海洋総合文化ゾーン体験学習施設等特定事業 事業者選定における客観的評価
海洋総合文化ゾーン体験学習施設等特定事業の事業者の選定を行いましたので、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(以下「PFI法」という。)第8条の規定に基づき、事業者選定における客観的評価の結果をここに公表します。
平成14年2月13日
神奈川県知事 岡 崎 洋
1:優先交渉権者
オリックス・グループ
- (グループ代表者)オリックス(株)
- (グループ構成員)(株)日建設計
- (グループ構成員)大成サービス(株)
- (グループ構成員)大成設備(株)
- (グループ構成員)オリックス・リアルエステート(株)
- (グループ構成員)(株)江ノ島水族館
なお、事業予定者は、優先交渉権者が中心となって設立した「江の島ピーエフアイ(株)」となります。
2:優先交渉権者決定経過
PFI法及び本特定事業提案募集要項の手続きに従い、あらかじめ公表した事業者選定基準に基づき、神奈川県PFI事業者選定審査会において審査を行い、優秀提案を選定しました。
その結果を踏まえ、優秀提案を行った応募者を優先交渉権者と決定しました。(審査の詳細は、「海洋総合文化ゾーン体験学習施設等特定事業提案審査講評(神奈川県PFI事業者選定審査会)」のとおりです。)
3:本件事業の評価
(1)評価の方式
本件事業において、水族館については独立採算による運営を行うことから、体験学習施設を県が直接実施する場合の公共負担額と民間事業者の提案に基づく公共負担額の比較を行い、事業全体について定性的評価を行うこととしました。
(2)公共負担額の比較
ア 県が直接実施する場合の公共負担額
平成13年3月28日付けで公表した特定事業の選定において、体験学習施設を県が直接実施する場合の前提条件を次のとおり設定しました。
なお、建設費と起債利率の数値は、今回、初めて公表します。
- 算定対象とする経費は、建設費648百万円の他、設計費、展示工事費、県債利息、維持管理費、運営費(県の人件費を含む)、修繕費等
- 建設費の財源には、政府資金による公園緑地事業債(償還期間20年)を70%充当
- 起債利率は、過去10年平均の4.07%
- 維持管理費、運営費及び修繕費は、類似施設の経費などを参考に算出
- インフレ率は1%、割引率はインフレ率を含め4%
以上の前提条件により算出すると、県が直接事業を実施した場合の公共負担額は2,146百万円となり、これにリスク調整分29百万円を加算し、合計の公共負担額は2,175百万円となります。
イ 民間事業者の提案に基づく公共負担額
優先交渉権者となったオリックス・グループの提案内容を踏まえ、前提条件を次のとおり設定しました。
- 体験学習施設に係る施設整備費(建設費の他、設計費、展示工事費等を含む)約401百万円
- 基準金利に上乗せするスプレッド 2.0%
- 初年度の維持管理費及び運営費(大規模修繕費及び工事を伴う展示更新費を除く)約 50百万円
- 大規模修繕費及び工事を伴う展示更新費(インフレ率を考慮しない30年間の合計) 約189百万円
- 特定事業選定時の算定と比較を行うため、基準金利(6ヶ月LIBORベース10年物円金利スワップレート)は過去10年平均の4.28%
- インフレ率は1%、割引率はインフレ率を含め4%
以上の前提条件による民間事業者の提案に基づく公共負担額すなわち神奈川県の負担額は、現在価値で1,560百万円となります。
ウ 公共負担額の比較
従って、県が直接事業を実施した場合の公共負担額(① 2,175百万円)と民間事業者の提案に基づく公共負担額(② 1,560百万円)を比較すると、民間事業者が実施するほうが、県が直接実施する場合より、公共負担額が現在価値で615百万円削減(①-②)されます。
(3)総合評価
本件事業は、上記のとおり体験学習施設に係る公共負担額の削減が認められるほか、事業全体の定性的評価においても、オリックス・グループの提案は審査講評で示したとおり、効率的かつ機能的な事業の遂行やサービス水準の向上が期待できることが認められます。