上場基準の見直し等に係る産業再生機構に関するQ&A
<4月10日公表>


  1.上場基準関連

1. 事業再生が必要とされる上場会社が財務リストラを再生計画に織り込むと、債務超過に陥り上場維持が困難となり、さらに上場廃止となった場合に再上場を目指すには相当の期間を要することが予想されるため、短期間で大胆な財務リストラを計画、実施することは難しいのではないでしょうか。
2. 上場企業が会社分割により優良事業を切り離して新会社を設立する場合、優良事業は新会社に引継がれており、会社の実態は変わっていないのに、新会社は新規上場審査を受ける必要があるのでしょうか。
3. 証券取引所のルールによれば、上場申請会社の親会社等が非上場会社又は非継続開示会社である場合、上場は認められないため、上場廃止となった企業を再上場させようとすると、非上場会社はメインスポンサーとして株主になりにくいのではないでしょうか。

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Q 追加1−1 事業再生が必要とされる上場会社が財務リストラを再生計画に織り込むと、債務超過に陥り上場維持が困難となり、さらに上場廃止となった場合に再上場を目指すには相当の期間を要することが予想されるため、短期間で大胆な財務リストラを計画、実施することは難しいのではないでしょうか。(別添1)
A
(1)  機構の関与事案について、このような障害を取り除くため、東京証券取引所において、1)過剰債務を解消するために一時的に債務超過となった場合でも直ちに上場廃止とならないよう上場廃止基準における債務超過基準に特例を設けるとともに、2)速やかな再上場が可能となるよう上場審査基準における利益の額の基準に特例を設けるなど、所要の見直しを行うとのパブリックコメントに付しています。
(2)  具体的には、まず、上場廃止については、通常、債務超過で一部から二部へ指定替え、2期連続債務超過で上場廃止することとしていますが、機構関与案件の場合には、1年以内に債務超過解消を計画していれば、債務超過2期連続で一部から二部へ指定替え、3期連続で上場廃止との扱いとなります。
(3)  また、通常、時価総額1,000億円未満の場合、最近2、3年間で一定額の利益実績が必要ですが、買取決定から3年以内に開始する事業年度を直前事業年度として再上場を申請する場合は、直近1年で一定額(4億円)以上の利益実績があれば、足りることとなります。
(4)  また、他の証券取引所でも同様の見直しが行われる予定です。

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Q 追加1−2 上場企業が会社分割により優良事業を切り離して新会社を設立する場合、優良事業は新会社に引継がれており、会社の実態は変わっていないのに、新会社は新規上場審査を受ける必要があるのでしょうか。(別添2)
A
(1)  従来は上記のような会社分割を利用した場合、新会社が新規上場審査を受ける必要がありました。
(2)  このような弊害を取り除くため、東京証券取引所において、上場会社が人的会社分割(注)を行う場合で、新会社に上場契約を承継させようとすることを分割契約書又は分割計画書に定めることにより上場会社が上場廃止となるときは、新会社は簡易な上場審査手続により速やかに上場できるようにする見直しをパブリックコメントに付しています。
(3)  また、他の証券取引所でも同様の見直しが行われる予定です。
   
(注) 人的分割とは、会社分割のうち、分割会社から営業を承継する会社が発行する株式を分割会社の株主に対して割り当てるもののことです。

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Q 追加1−3  証券取引所のルールによれば、上場申請会社の親会社等が非上場会社又は非継続開示会社である場合、上場は認められないため、上場廃止となった企業を再上場させようとすると、非上場会社はメインスポンサーとして株主になりにくいのではないでしょうか。(別添2)
A
(1)  現状の証券取引所規則に従って再生企業の再上場を考えると、上場申請会社の親会社等(例えば、申請会社の議決権の20%以上を保有する会社等)が非上場会社又は非継続開示会社である場合は上場できません。このため、非上場会社はメインスポンサーとして株主になりにくいと思われます。
(2)  このような弊害を取り除くため、東京証券取引所において、親会社が有価証券報告書に準じた内容の書面を継続して提出、公表することに同意する場合には、上場の障害にならないようにする見直しをパブリックコメントに付しています。
(3)  また、他の証券取引所でも同様の見直しが行われる予定です。

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