産業再生機構(仮称)に関するQ&A


  4.支援基準

1. 具体的な支援基準は何ですか。
2. 産業再生法と同じ基準を適用するのはなぜですか。
3. 産業再生法の数値基準を満たしていなければ、支援対象とならないのですか。
4. 中小企業についても大企業と同一の支援基準となるのですか。
5. 過剰供給構造にある部門の企業の再生はどのようにして行うのですか。
6. 建設業についての支援基準はどうなるのですか。
7. 政府は個別案件についてどのように関与するのですか。
8. 個別案件についての不当な圧力で判断が歪められることはないのですか。

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Q 4−1 具体的な支援基準は何ですか。
A
(1)  基本指針では、再生計画の終了時点において、産業再生法の「生産性基準」と「財務健全化基準」を満たすことを要件としています。
(注)  事業所管大臣が別途指針を定めた場合には、その指針に基づく要件を含むこととしております(Q4−6.参照)。
(2)  「生産性基準」とは、具体的には、自己資本利益率(ROE)が2%ポイント以上向上する等の基準であり、「財務健全化基準」とは、有利子負債のキャッシュフロー比率が10倍以内であること等の基準です。ただし、業種特性等を勘案し、合理的と認められる特段の事情があると産業再生委員会が認める場合には、当該要件を硬直的に適用はしません。
(参考) 生産性基準(次の3つのうちいずれかを満たすこと)
自己資本利益率(ROE)が2%ポイント以上向上
有形固定資産回転率が5%以上向上
従業員一人当たり付加価値額が6%以上向上
財務健全化基準(次のいずれも満たすこと)
有利子負債のキャッシュフローに対する比率が10倍以内
経常収入が経常支出を上回ること
(3)  そして、機構は、実際に債権を買い取り、最終的には当該債権を処分するという立場にあることから、
対象企業の清算価値よりも回収価値が多いと見込まれること
再生計画の終了時点において、新たな再生スポンサーの関与等により当該企業が3年以内に機構以外からの資金調達が可能な状況となり、その結果、当該債権の処分が可能となる蓋然性が高いと見込まれること
を要件としています。

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Q 4−2 産業再生法と同じ基準を適用するのはなぜですか。
A  機構は、事業再構築、事業再編等を通じた事業再生を目的としており、過剰債務企業の生産性の向上、財務構造の改善を求めるという点においては、産業再生法と同様の目的をもっていますので、機構の支援基準の一部として、産業再生法と同じ「生産性向上基準」と「財務健全化基準」を適用することとしました。

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Q 4−3 産業再生法の数値基準を満たしていなければ、支援対象とならないのですか。
A  機構は、再生の支援の要件として、再生計画(3年以内)の終了時点において、産業再生法の「生産性向上基準」と「財務健全化基準」を満たすことを前提としています。しかしながら、産業の業種・業態・規模等によって、必ずしも同一の財務指標等で画一的に判断することが適切でないケースもあり得るため、こうした数値基準を硬直的に適用することとはしません。

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Q 4−4 中小企業についても大企業と同一の支援基準となるのですか。
A
(1)  機構の買取りに当たって適用される基準の一つである産業再生法の基準(Q4−1.(1)(2)参照)は、対象となる企業の規模の大小で差を設けておらず、機構が支援する場合も基本的には同じ基準となります。
(2)  しかしながら、企業規模、業種・業態等による特性等を加味することなく一律に基準を適用することは企業再生の観点からかえって適切でない場合も考えられ、産業再生委員会が合理的と判断する場合にはこの基準によることなく、硬直的な対応とならないようにすることとしています。
(3)  機構が支援する場合のもう一つの基準(Q4−1(3)参照)である
対象企業の清算価値よりも回収価値が多いと見込まれることや
再生計画の終了時点において、新たなスポンサーの関与等により当該企業が3年以内に機構以外からの資金調達が可能な状況となり、その結果、当該債権の処分が可能となる蓋然性が高いと見込まれること、
については、その性質上、すべての企業に同様に適用されます。

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Q 4−5 過剰供給構造にある部門の企業の再生はどのようにして行うのですか。
A  過剰供給構造にある事業分野を主な事業としている企業については、供給能力の削減や集約化を通じた収益性の回復や稼働率等の向上が継続的に見込めるようにしていくことが重要です。機構は、再生計画を作成する際に、こうした観点を踏まえて対応していくことになります。

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Q 4−6 建設業についての支援基準はどうなるのですか。
A  建設業については、昨年12月に国土交通省が事業分野別の指針の1つとして策定した「建設業の再生に向けた基本指針」に示された要件を、Q4−1(2)の基準に加えて、大手・準大手ゼネコン等の支援基準といたします。即ち、安易な企業救済にならないよう「企業・産業再生に関する基本指針」に定める「生産性向上基準」、「財務健全化基準」に加え、次の2つの項目を満たすことを要件とします。ただし、他の業種と同様、数値基準については硬直的に適用はしません。

○過剰供給構造の是正
   具体的には、
(ア) 事業規模の縮小(但し、縮小傾向にない分野に特化した場合を除く)
   又は、
(イ) 2つ以上の企業の経営統合・事業再編

○再生の確実性
   具体的には、
(ア) 収益性を表す指標(利益率を示す指標等)
(イ) 安定性を表す指標(資本の安定度、資本と負債の関係を表す指標等)
(ウ) 健全性を表す指標(固定資産と資本の関係を表す指標等)
の3つの点で、再生計画(3年以内)の終了時点に建設業の平均的水準に近い水準となること。

    (参考)
○基本指針に定める基準
○生産性基準(次の3つのうちいずれかを満たすこと)
 ・ 自己資本利益率(ROE)が2%ポイント以上向上
 ・ 有形固定資産回転率が5%以上向上
 ・ 従業員一人当たり付加価値額が6%以上向上
○財務健全化基準(次のいずれも満たすこと)
 ・ 有利子負債のキャッシュフローに対する比率が10倍以内
 ・ 経常収入が経常支出を上回ること

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Q 4−7 政府は個別案件についてどのように関与するのですか。
A
(1)  機構が個別案件に係る支援決定等を行うときには、あらかじめ主務大臣の意見を聴くとともに、事業所管大臣が機構に対し意見を述べることができることとなっています。これは、主務大臣は対象企業の再生可能性を基準に照らして判断するとともに、事業所管大臣は債務者が再生プロセスに入っていくことについて、過剰供給構造等の実態を踏まえて意見を述べる必要がある場合を想定したものです。
(2)  また、機構による債権の買取決定や、譲渡その他の処分の決定に際しては、当該価格の適正性をチェックするため、主務大臣の意見を聴かなければならないこととなっています。

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Q 4−8 個別案件についての不当な圧力で判断が歪められることはないのですか。
A  機構は、経済合理性に基づき、当該企業が再生計画3年以内の終了時点で機構以外からの資金調達が可能となる蓋然性が高い等の出口を見据えた判断を行い、かつ、有識者からなる産業再生委員会の検討を経て対象事業者の債権買取りを行いますので、判断が歪められることはありません。

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