叙勲基準

昭和39年4月21日
閣議決定

「生存者叙勲の開始について」(昭和三十八年七月十二日閣議決定)第二項の叙勲基準は、別に定めるものを除き、次のとおりとする。

  1. 一 国及び地方公共団体等の公務に従事した者であつて、国家又は公共に対し功労のあるものには、次により勲章を授与するものとする。
    1. (一) 内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長及び最高裁判所長官の職にあつて成績があつた者に対する初叙は、ひとしく勲一等瑞宝章とする。
    2. (二) 国務大臣、衆議院副議長、参議院副議長及び最高裁判所裁判官の職にあつて成績があつた者に対する初叙は、ひとしく勲二等瑞宝章とする。
       内閣官房長官及び総理府総務長官の職にあつて成績があつた者に対する初叙は、勲二等瑞宝章とする。
    3. (三) 国会議員の職にあつて成績があつた者に対する初叙は、勲四等瑞宝章とする。内閣官房副長官、政務次官、衆議院常任委員長、参議院常任委員長、衆議院特別委員長及び参議院特別委員長の職にあつて成績があつた者に対する初叙は、勲三等瑞宝章とする。
    4. (四) 認証官等職務の内容が特に重要と認められる職にあつて成績があつた者に対する初叙は、勲二等又は勲三等瑞宝章とする。
    5. (五) 都道府県知事及び地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市の市長の職にあつて成績があつた者に対する初叙は、勲四等瑞宝章とする。  指定都市以外の人口二十五万以上の市の市長の職にあつて成績があつた者に対する初叙は、勲五等瑞宝章とし、人口二十五万未満の市の市長及び町村長の職にあつて成績があつた者に対する初叙は、勲六等瑞宝章とする。
    6. (六) 都道府県議会議員及び市区町村議会議員の職にあつて成績があつた者に対する初叙は、勲六等瑞宝章とする。
    7. (七) 前各号以外の者であつて、職務の内容が重要と認められる職にあり、成績があつた者に対しては、勲六等瑞宝章以上の勲章を、その他の職にあつて成績があつた者に対しては、勲八等瑞宝章以上の勲章を授与する。
    8. (八) 前各号の者に対する初叙及び進級に必要な在職の期間は、当該職務の重要度等を考慮し、適正に調整するものとする。
    9. (九) 特に功労のある者に対しては、前各号にかかわらず、特別の詮議を行うことができるものとする。
  2. 二 次の各号の一に該当する者であつて、国家又は公共に対し、功労のある者には勲六等瑞宝章以上の勲章を、いちじるしい功労のある者には勲四等瑞宝章以上の勲章を、特にいちじるしい功労のある者には勲二等瑞宝章以上の勲章を授与するものとする。
    1. (一) 学術、芸術等の分野において業績を挙げ、文化の発展に寄与した者
    2. (二) 新聞その他報道の業務に従事し、公益に寄与した者
    3. (三) 学校教育又は社会教育に従事し、教育に寄与した者
    4. (四) 社会福祉事業又は納税に尽力した者
    5. (五) 発明発見その他の創意工夫により、公衆の福祉の増進に寄与した者
    6. (六) 治山治水事業、砂防事業、土地改良事業等公共工事に尽力した者
    7. (七) 地方鉄道事業、軌道事業、海上運送事業、道路運送事業、航空運送事業、電気事業、ガス事業等公共的事業に従事し、公衆の福祉の増進に寄与した者
    8. (八) 医師、薬剤師等の業務に従事し、国民保健又は環境衛生に寄与した者
    9. (九) 弁護士、弁理士、公認会計士等公共的業務に従事し、公益に寄与した者
    10. (十) 調停委員、人権擁護委員、民生委員等の職務に従事し、国、地方公共団体その他の公共団体の業務に寄与した者
    11. (十一) 農業、林業、畜産業、水産業、商業、工業、鉱業、貿易、銀行業、保険業、信託業、倉庫業、建設業、観光事業等の業務に従事し、経済若しくは産業の興隆を図り又は公益に寄与した者
    12. (十二) 労働界において経済の興隆と国民生活の安定に寄与した者
    13. (十三) 体育界において業績を挙げ又は体育の振興に寄与した者
    14. (十四) 前各号に掲げる以外の者であつて、公益に寄与した者
  3. 三 次の各号の一に該当する者には、相当の勲章を授与するものとする。
    1. (一) 風水害、震火災その他非常災害に際し、身命の危険をおかして、災害の防止、救援又は復旧につとめ、功労のあつた者
    2. (二) 身命の危険をおかして、現行犯人の逮捕等犯罪の予防又は鎮圧に功労のあった者
    3. (三) 生命の危険を伴う公共の業務に従事し、その職に殉じた者
    4. (四) その他前各号に準じる者
  4. 附則
    1. 一 皇族及び外国の君主、大統領、外交使節等に対する勲章の授与については、従前の例によるものとする。
    2. 二 文化勲章を授与された者に対しては、その者が他の分野で功労のある場合のほかは、原則としてこの基準による勲章は授与しないものとする。
    3. 三 その功労を表彰する方法として、勲等に叙することより、銀杯又は木杯を授与することがふさわしいと認められる者には、叙勲にかえて銀杯又は木杯を授与することができるものとする。

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