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障害者施策トップ意識啓発20年度心の輪を広げる体験作文・障害者週間のポスター作品 > 平成20年度入賞作品 中学生部門 優秀賞

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出会いふれあい心の輪「心の輪を広げる体験作文・障害者週間のポスター」作品集
〜平成20年度入賞作品〜

【中学生部門】  ◆優秀賞

僕のお母さん

納田智仁
(兵庫県小野市立小野中学校1年)

 僕のお母さんは、「脊髄空洞症」という難病をわずらっています。でも、お母さんは、いつも元気です。そんなお母さんと僕は、学校の事、部活の事、友達と遊んだ事など毎日普通に会話をしています。お母さんは、そんな僕の話をいつも興味を持って、楽しそうに聞いてくれます。僕の友達の名前もすぐに覚えてしまう天才です。でも、僕はたまに、そんなお母さんをうっとうしいなぁ、しつこいなぁ。と思う事があります。これは、僕の事をいつも気にかけてくれているからうるさく言うのだと分かっています。
 お母さんの病気ですが、この「脊髄空洞症」という病気は、お母さんの話では、今の医学では治す事ができないそうです。発病は僕が2年生の時。それまでは、働いていたお母さんが仕事を辞め、家に居るようになりました。当時の僕は、まだ小さかったので、なぜ家に居るようになったのか分かりませんでした。それより、学校から帰ったら家に居るようになって、ちょっぴり嬉しかったのを覚えています。僕が5年生、姉ちゃんが中一の時、おばあちゃんに僕ら二人は、並んで座らされ、真剣な顔で涙を流しながら、お母さんの病気の事を聞かされました。お母さんの病気は、毎日、体のあちこちに痛みが現れ、腕や手の指など、動かすのも大変な病気であるということ。手の握力も低下していくということ。この先の事はまだ分からないということ。だから、僕と姉ちゃんに、「これから、お母さんが出来ない事は、手伝ってあげて欲しい」とおばあちゃんにお願いされました。その時僕は、分かったような、分からないような不安な気持ちになりましたが、とにかくとても大変な病気であることだけは理解できました。そして、今まで病気や障害のある人の話をいろいろ聞いても、無関心で、他人事のように思っていた僕が母の病気を知り、驚いて何だか悲しくなりました。
 お母さんは時々こう言います。「ぼくが産まれるまでは、普通の人よりも元気だった」と……。それがだんだん違和感を感じ始めて、今では、時々、激痛に襲われ、動くのが精一杯の時があるほど進行しています。
 今まで、障害をもつ人のことを「変な人」と思っていましたが、お母さんの事がきっかけで、今では、何か、少しでも、助けてあげることがないかと思うようになりました。どこかへ行って、募金することがあれば、募金に協力したり、障害を持っている友達も偏見を持たず、普通にしゃべったりしています。集団の輪に入りにくい友達にも、僕は、話しかけるようにするなど、いろんな人に対する意識が変わってきました。
 以前の僕のように、「人権人権」と口先だけで言って心の中では、「気持ち悪い」「変な人だな」と思い、結局、「他人事」で済ませてしまう人がたくさんいると思います。しかし、僕のお母さんにしても、障害を持つ人たちは、障害者になりたくて障害者になったわけではありません。周りの僕たちが、その人たちの気持ちを真剣に考えたら、偏見からくる言葉や態度を少しずつ消していくことができるはずです。そして、障害のあるなしに関係なくみんなにとって、暮らしやすい世の中になると思います。
 僕のお母さんは、難病だからといって、何もできないわけではありません。ぼくのお母さんは、体が痛くても、家の仕事はがんばってやってくれます。ぼくは、そんなお母さんに、感謝したいです。
 そして、僕の願いは、お母さんの、「脊髄空洞症」という病気が治ってくれることです。でも、そんなのは、今の医学がもっと発達しないといけません。ぼくのお母さんが、一生を終えるまでに、「生きていて良かった、生きていて幸せだったなぁ」と思ってくれると嬉しいです。
 年を追うごとに、だんだん、お母さんの病も辛くなっていき、家族や僕も、精神的に辛い時期がやってくると思います。辛くても、がんばってくれているお母さんに、僕は、感謝して、お母さんが笑って暮らせるよう、いろいろな面で支えていきたいです。
 お母さん、ありがとう。大好きです。

 

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