■ポスター審査講評■
今回も皆さんの作品との出会いを楽しみに、選考会場に入ると、いつものように何かピーンと張り詰めた空気を感じます。だが、すぐに皆さんの作品が私に語りかけてくれます。それぞれの色使い、画面の構成、視覚伝達への創意工夫、制作中の皆さんの姿が目にうかぶように作品から伝わってきます。
その中から最終的にポスターとして使用する作品を、一点に絞り込まなければならないのは、審査委員としても、とても緊張します。
小学生部門の最優秀賞、村上菫さんの作品は人物と盲導犬を画面いっぱいに、のびやかに構成し、あたたかな味のある色調で表現されています。しっかりとふんばっている、盲導犬の表情が愛らしく、魅力的で、審査委員、全員一致で選ばしていただきました。
中学生部門の最優秀賞、山中香里さんの作品は、青系の色彩を中心にした、さわやかな感じに、玄関マットの発想がユニークでマットの模様が効果的に生かされています。小学生部門の優秀賞、大野元暉君の作品は、伴走者とランナーの足元を表現しなくとも充分に伝わってきます。ポスターとしては、効果的な表現方法だと思います。中学生部門の優秀賞、谷本知砂さんの作品は画面を対角に切り、街角と車内の組合せが立体的な奥行を感じさせます。小学生部門の佳作、坂本怜奈さんの作品は、色彩豊かに可愛らしさと車椅子をもつ手の力強さが画面に生かされています。長濱愛香さんは、簡略化された構図、単純な線で、とても面白い表現方法だと思います。溝口心星君の作品は車椅子に乗る子と介護する子を思いきり右側に寄せ、空間の使い方良く、形も色彩も大胆で、元気よく感じました。高橋京香さんは地元の阿波踊りを素材に、賑やかな、おはやしが聞こえてきそうな楽しい作品です。米澤里紗さんの作品は、群像をカラフルに躍動感にあふれています。
中学生部門の佳作、柏倉紗耶香さんの作品は、思い切ってトリミングした、足元と車輪、斜めに構成された点字ブロックとの組合せがとても印象的です。青木沙織さんの作品は、何世代の人物が良く表現され、細かなシャツのストライプが効果的です。佐々木香奈さんの独特のムードの作品から、それぞれの形が、とてもほほえましく伝わってきます。池上結子さんは、漫画的な技法を生かしたとてもユーモラスな明るい作品です。上田真帆さんは、しっかりとしたデッサン力、力強い臨場感が作品の中から伝わってきました。
審査委員会委員 篠崎三朗
■障害者週間のポスター入賞作品の紹介■
■編集後記■
内閣府では、障害者施策における啓発広報の一環として、毎年、都道府県・指定都市との共催で「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の募集を行っています。今年は、作文では小学生部門1,242編、中学生部門3,167編、高校生・一般部門629編の合計5,038編、また、ポスターでは小学生部門908点、中学生部門1,056点の合計1,964点の応募がありました。作文とポスターの応募者数を合わせると、7,002名となりました。
これも、各都道府県・指定都市をはじめ、関係機関・関係者の方々に積極的に取り組んでいただき、また、御協力いただいた結果であり、厚く御礼申し上げます。
応募作品のうち、各都道府県・指定都市から推薦のあった作文及びポスターについて、審査委員会(黒井千次委員長)において審査いただいた結果、全体で最優秀賞5作品、優秀賞11作品、佳作25作品の計41作品を入賞作品として決定いたしました。
本作品集は、これら41(作文27編、ポスター14点)の作品を掲載したものです。なお、作文中の表現については、作者の意向を尊重するため、原文のとおり掲載することを基本としました。また、推薦のあった作品については、参考資料の中で作者・学校名等を一覧表で掲載しました。
障害の有無にかかわらず国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会の実現を図るためには、各種施策の進展とともに一人一人の、「心の壁」を取り除いていくことが極めて重要でありますが、本作品集が学校、職場、地域などあらゆるレベルにおいて「心の輪」を広げ、障害者への理解と関心がさらに深められることの一助になることを期待します。
内閣府 政策統括官(共生社会政策担当)付
障害者施策担当
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