平成27年度「心の輪を広げる体験作文」作品集 中学生部門佳作
「心通わせる場」
大阪教育大学付属平野中学校一年 土井 正太(大阪市)
僕は、腎臓に障がいを持って生まれてきました。
手術を受けるまでは、川遊び・海水浴はもちろん、友達とプールに入ることも出来ませんでした。他にも、感染の可能性から、沢山の制限がありました。また、アレルギーもひどく、給食も僕一人だけが違うメニューで、みんなと同じ物を食べたかったです。
色んな事を我慢して、諦めてきました。けれど、お母さんたちが色々工夫してくれて、その中でも出来ること、楽しいことを沢山させてくれました。自分も大きくなって、逆に何か出来ないか、つらい思いをしている人の役に立てないかと思うようなりました。
去年初めて、区役所が主催している、「スリーアイズ」に参加しました。車椅子体験では、移動の大変さ、行きたくても行けないところがあることを知りました。アイマスク体験では、目の見えない恐怖を体感しました。アイマスクをつけたまま行う、サウンドテーブルテニスをしましたが、こんなにも違うのかと驚きました。音を頼りにしていると、とても神経を使い、本当に疲れることを知りました。チーム対抗で、ボールを投げたり転がしたりして、9個のマス目にボールを入れて競うスリーアイズは、本当に楽しかったです。車椅子の人も、目が不自由な人も、どんな人も参加できる、本当に楽しい競技でした。
それから、色々勉強しました。認知症サポーターにもなりました。まず知ることが、大切だと思ったからです。知ることが出来ると、自然に動けて、考えられると思いました。
今年の夏休み、長居障がい者スポーツセンター主催の「障がい者スポーツ・レクリエーションひろば」に参加しました。障がい者スポーツ・レクリエーションひろばとは、障がいのある人が身体を自発的に動かすことにより心地よさや楽しさを感じ、リフレッシュを図るとともに、身近な地域で定期的にスポーツ・レクリエーション活動を楽しむことができるよう、障がいのある人とその家族・友人・介護者を対象として大阪市各区で開催されているものです。去年参加した「スリーアイズ」と同じで、障がいのある人・ない人、どんな人でも参加出来、みんなで楽しめるものでした。
まず、参加者全員で準備体操をしましたが、体操も、学校で行うものとは違い、手・首・足と、部分別で順に行われ、誰もが行いやすく考えられているんだと思いました。その後、グループに分かれて、もの送りリレー(送る物を次々に変えていきました)、風船バレーなどを行いました。全員で、フラップバルーンも行いました。小さな子達はバルーンの中に入って、楽しんでいました。
参加中、たくさん話し、笑いました。はじめ緊張していた僕に、車椅子の人から話しかけてくれました。ゲームをしているときは、障がいを持っていてもいなくても関係なく、誰もが楽しめました。音楽に合わせて上下左右に、みんなで息をあわせてフラップバルーンを動かしているとき、みんなで一つになれたと感じました。
僕も、小さいときに、参加したくても出来なかったことがあって、つらい思いをしたので、障がいがあることで、参加できないことがあるつらさがわかるので、こんな場がもっとたくさんあればいいなと思います。車椅子体験で、移動の大変さも知ったので、もっと身近にこんな場があればいいなと思います。
今、携帯電話で簡単にコミュニケーションできてしまうけれど、直にふれあい、目を見て話す大切さが、本当にわかりました。うまく話せなくても、笑顔で向き合うだけで嬉しく感じました。