平成27年度「心の輪を広げる体験作文」作品集 小学生部門佳作

『水泳の授業での友だちのサポートに感謝』

大阪市立扇町小学校六年 白箸 知紗(大阪市)

「また、水泳の授業が始まるのか。嫌だな。」とついこぼしてしまうぐらい、6月になると、気が重くなってきました。

 体育など体を動かすことはとても好きです。

けれど、水泳の授業だけはどうしても、好きにはなれませんでした。

 3年生の水泳の授業の時、泳力別に分かれて練習をすることになりました。

 先生の指示がきき取れず、どのコースに行けばよいのか分からず、そんなにうまく泳ぐことが出来なかったのに、泳ぎが得意な人のコースに間違えて入ってしまい、後ろから泳いできた人の邪魔になり、とても困り不安になったことを今でも覚えています。

 私は、きこえにくいので補聴器をつけています。補聴器をつけると、静かな所なら友だちと会話をすることができます。

 しかし、水泳の授業になると補聴器を外し、声だけをきき会話したり、先生の説明をきき理解したりするのは難しいです。

 少しでも、きき取りにくさを解消するため3年生の時から水泳の授業が始まる前、クラスの友だちに水泳の授業でよく使う言葉を手話に変え伝えて覚えてもらうことにしていました。

 しかし、普段手話を使い友だちと会話をしていないので、水泳の授業の時も手話の必要性をあまり感じてもらえず、手話を使ってもらえませんでした。結局、先生の指示がよく分からないままでした。

 そこで、6年生の水泳の授業が始まる前に勇気を出し、手話に興味を持ち覚えて使ってくれるようになってきた友だちに

「補聴器を外すと、先生の指示がきき取れないので、手話通訳をしてくれる?」

と頼みました。水泳の授業の時は、友だちも自分がすることで必死なので、断わられるかもと少し不安にかられ友だちを見つめました。

「いいよ。先生の話を手話で伝えたらいいんだよね。」

と不安に思っていたことがふき飛ぶ様な感じで快く引き受けてくれました。

 喜んでいたのも、束の間、6年の水泳の授業では、曲をかけてリズムに合わせて泳ぐことが始まりました。曲は全くきこえないので、リズムに合わせて泳ぐのは特に困難で(曲がきこえないのに、リズムに合わせて泳ぐなんて、絶対に無理だ。)と自分には、とてもできないとあきらめかけていました。

 ついに水泳の授業が始まり、沈んだ気持ちでいたら、友だちがその様子に素早く気付き

「大丈夫?一緒に泳ごうか??」

と手話を使いながら声をかけてくれました。

「水中で1・2・3・4・5…12と手話で表すから、それに合わせ、けのびを止めたり、再びけのびをするようにしてみよう!」と、声をかけてくれた友だちが方法を考えてくれました。

「その方法でやってみよう。」

と少し安心して、実際に試しました。

 その方法で泳いでみると、きちんとリズムがとれて、他の人とピッタリ合わせることができました。

 友だちのアイディアとサポートがなかったらどうやってリズムに合わせて泳げばいいのか分からず途方に暮れているところでした。

 友だちのおかげで不可能だと諦めかけていた、リズムに合わせて泳ぐことができホッと胸を撫で下ろし嬉しい気分であふれました。

 いつもは、補聴器をつけ会話ができても、水泳の授業の時の様に補聴器を外すと視覚的に分かりやすい方法が重要になり情報をつかみやすい方法が変わります。

 状況に合わせ自分にとって分かりやすい方法は何かきこえる友だちに知ってもらうために詳しく具体的に伝えていくことを続けどんな活動にも積極的に参加していきたいです。