平成27年度「心の輪を広げる体験作文」作品集 小学生部門佳作
伝えたい事
人吉市立西瀬小学校六年 豊沢 花恋(熊本県)
私は「高機能自閉症」と呼ばれる障がいを持っています。一目では
「どこが障がい者?」
と思われる事が多く、なかなか理解されず、生き難い生活を送っています。
例えば、一年生の頃、
「並んでください」
と先生が言われました。他の子達は、特に問題もなく、すっと行動していましたが、その頃の私の頭の中には、
「並ぶとは?」
「誰のために?」
という疑問が先に浮び、並ぶことを忘れ、ずっと考えこんでしまっていました。
しかし、私が考えこんでいる間にも、先生は私を並ばせなければいけないので、
「何をしているんですか?」
「早く並んでください」
と声をかけられました。今の私には、先生のこの言葉に悪気なんてものはない事を知っていますが、その頃の私は、考えることを中断された事にいらだち、逆におこってしまいました。このような状況になってしまうと、
「なぜ並ぶのにおくれたのか。」
などということを伝えられないまま、話が終わってしまうことが多かったのです。
また、会話の時も、相手の言葉の一部だけを理解してしまい、話がかみ合わなくなることも、しばしばあります。
このように、周りから見ればふざけている、馬鹿にしている、と思われるような行動を取ってしまうことがあります。しかし私は、決して悪気があってそのような行動をとっているわけではないのです。 一方的に決めつけてはいけませんが、私は、私と同じような誤解や一部の人々からの偏見を、一度でも受けたことがある人々は多いと思います。
そこで私は、
「障がい者と呼ばれる人々の立場」
から、
「その中の一人としての私」
として、個人意見を少し伝えたいと思います。
一つ目に、障がいの有無にかかわらず、だれもがみな同じ様に活動することは、とても難しいと思います。障がいといっても、みな同じ、というわけではないのです。
「できること」「すぐれた所」
「できないこと」「苦手な所」
がある、と私は思っています。何を伝えたいかというと、
「同じコミュニケーション方法では、相手に伝わらない事がある」
ということです。例えば、私の場合、並ぶのにおくれてしまったときに、
「なんで並ばないの!」
「並ばなきゃだめでしょ!」
と言われてしまうと、少しパニックになってしまいます。しかし、
「行かないといけない場所があるから並ぶんだよ。」
と、理由を説明してもらえれば、パニックにならなくてすむし、次からなやむこともありません。
「その人その人で、考えている事はちがう」ということを知るとともに、一日も早く、広く様々な障がいについて正しく理解、認知してくれる人が、一人でも増える事を、私は心から願っています。