平成27年度「心の輪を広げる体験作文」作品集 小学生部門優秀賞

ぼくの親友、T君

名古屋市立高蔵小学校六年 杉村 俊樹(名古屋市)

 T君とは、小学一年生の時に虫採りを通して知り合った。友だちになってから、今年で六年目だ。ぼくたちは同じ学年だけれど、一度も同じクラスになったことがない。なぜなら、T君は特別支援学級に通っているからだ。T君は障害をもっている。障害名はくわしく分からないけれど、大勢の人と一緒に活動したり、人と話したりすることが苦手だ。そして、人が大勢いる前では笑わない。出会ったころは、はずかしがり屋の子なのかと思っていたが仲良くするにつれて、T君に障害があることが分かった。でも、ぼくは、そんなことは全然気にならなかった。

 ぼくがなぜT君のことが好きなのかというと、まず、名前が似ているということ。名前の漢字が同じなのだ。しゅ味が同じことも、仲が良い理由だ。ぼくとT君は、昆虫と魚でつながっている。ぼくが、T君に魚のことを教える。T君は、ぼくの話を真剣に聞いてくれる。そしてT君はぼくに昆虫のことを教えてくれるのだ。T君はまるで昆虫博士みたいだ。それから、性格もちょっと似ているところがある。大勢の前で話をするのが苦手なところは、二人とも似ている。T君は絶対にいやなことをしない。ぼくが友達にイジメられていた時も、T君は一緒にいてくれた。だから、T君が友達に嫌がることをされたり、困っていたりしたら、ぼくはT君を助けるようにしている。クラスは違うけれど、休み時間はT君と一緒に遊んでいる。似た者同士なのでとても楽しい。休み時間があっという間に終わってしまう。

 T君は、授業中に眠ってしまうことがある。特別支援学級の担任の先生がT君を起こそうとしても起きない時は、休み時間にぼくが呼ばれる。ぼくが、「T君、起きてー!」と言うと、すぐに起きてくれる。ぼくの言葉に、すぐに反応してくれるT君。そんな時ぼくは、すごく嬉しくなる。

 昨年ぼくとT君は、野外学習に一緒に行った。自由時間には、やっぱり二人で昆虫探しをした。二人でトカゲを捕まえた時は、とても盛り上がった。夜も一緒に寝ることができ、T君との楽しい思い出がたくさんできた。

 家で、ことわざを勉強している時、ぼくは、「気が置けない」という言葉をなかなか覚えられなかった。お母さんに、「あなたの気が置けない友だちは、T君だよね。」と言われて、この言葉を覚えることができた。「気が置けない」とは、気をつかったり、遠りょがいらないという意味だ。

 この作文を書いている間も、T君のことを考えたり、思ったりするだけで、ワクワクする。ぼくの自慢の友だち、T君、これからもずっと、ずっと、ずっと友だちでいて欲しい。