【小学生区分】 ◆佳作 上久保 美穏(かみくぼ みおん)

気付くことからつながる福祉上久保 美穏(南九州市立大丸小学校5年 鹿児島県)

六月に福祉体験活動があり、社会福祉協議会の方々と、三名の目の不自由な方が来校された。視覚に障がいのある方のお話をうかがうのは初めてだったので、どんなことを教えていただけるのか、三時間目が始まるのが楽しみだった。
「皆さん、福祉って、どんな意味があるか知ってますか。」

社会福祉協議会の方が、わたしたちに質問された。今まで考えたことがなかったので、わたしは答えられなかった。まわりの友達も、わたしと同じように困った顔をしていた。
「福も、祉も、『しあわせ』という意味があります。だんのらしがあわせであること。」と書かれた画面を見て、なるほど、分かりやすい説明だと思った。特別なことではなく、毎日の生活の積み重ねが大切なのだ。

三名の方は、自己紹介をしながら、持参された私物を見せてくださった。声で知らせてくれる体重計や、中に鈴が入っている卓球のボール、「はくじょう」と呼ばれる白いつえ。どれも、初めて見る物ばかりだった。白いつえを上に上げている時は、助けを求めている時だということも教えてくださった。

三時間目の休み時間になると、福祉協議会の方は、目の不自由な方の右うでを支えながら、多目的トイレへ案内されていた。声をかけながら、ゆっくりした速さで歩かれる様子を見て、不安にさせないように、安全に気をつけていらっしゃるんだなあと気付いた。

四時間目は、点字を打つ活動だった。四年生の国語で、フランスのルイ=ブライユが考え出した六つの点を組み合わせる「指で読む文字」を学習したことを思い出した。

最初は、配られた点字器を使って、ひらがなの「め」を打つ練習をした。わたしたちは、一列打つのにとても時間がかかったが、盲学校を卒業されたという方は、比べものにならないくらいの速さで、まるで見えているのではないかと思うほどだった。盲学校の一年生の子どもたちも、この練習から始めるということを初めて知った。

次は、自分の名前を打つことに挑戦した。点字の読み方表を見ながら、小さいわくの中に、一文字一文字打っていく。だれもしゃべらず、真剣な表情で手を動かしていた。「かみくぼ みおん」の「ぼ」は、だく点があるので七文字の中で一番難しかった。

ようやく打ち終わると、三名の方の前に持って行き、正しく打てているか読んでもらった。紙をわたして待っている間、まちがっていないか少し心配だった。
「かみくぼ みおんさんですね。」
と、にっこり笑って読んでくださったので、ほっとしてうれしくなった。

この日の体験活動を通して、視覚に障がいのある方の生活に役立つさまざまな道具があることや、わたしたちにもできるサポートがあることを学ぶことができた。

この活動をきっかけにして、国語の「みんなが過ごしやすい町へ」の学習では、盲学校についての調べ学習をした。六才から大人の人まで勉強していることや、校舎内の廊下に点字ブロックがあること、点字の教科書は、わたしたちが使用している教科書の何倍もの厚さになること、自宅が遠くて通学が困難な人たちは寄宿舎で生活していること等、広幅用紙三枚にまとめた。みんなに読んでもらい、盲学校のことを知ってもらうことができた。

祖母と買い物に行った際、目の不自由な方が立ち止まっているのを見た男性が、その方の左腕をとって車まで一緒に歩いている光景を目にした。困っていることに気付いて、素速く行動に移せる人は、素晴らしいと思った。「気付くこと、そこから幸せは始まります。」

社会福祉協議会の方が教えてくださったように、周りのことに気付き、自分にできることを考えて行動できる人になりたいと思う。