【中学生区分】 ◆優秀賞 岩﨑 心菜(いわさき ここな)

聴覚障がい者の私の思い岩﨑 心菜(西条市立西条東中学校2年 愛媛県)

私は、聴覚障がい者で人工内耳と補聴器という器具を付けています。

私は、人工内耳を付けていなかったら何も聞こえません。音のない世界に入っているみたいです。逆に、人工内耳や補聴器を付けるとよく聞こえ、いろいろな音があるのに気がついて、おもしろいです。でも、人工内耳や補聴器をつけると目立つので、知らない人からじろじろ見られて辛いこともあります。また、私たち聴覚障がい者が耳に器具を付けると、何でも聞こえると思っている人もいるようです。でも、それは違います。器具を付けていても何でも聞き取れるわけではありません。

例えば、何か言われた時に聞き取れないことがあります。そういう時は、「え?」とか「もう一回言って。」とかと言って聞き返します。もちろん相手の人は、私に口の動きを見せながら話し、私に伝えようとしてくれます。しかし、何度言っても聞き取れない時は「なんでもない。」と言われてしまいます。内容を知りたいから頑張って聞き取ろうとしているので、わからないままになってしまうと困るし、いやな気持ちにもなります。そういう経験を何回かしたら、言われたことがわからなくても、「うんうん」と相槌を打ち、わかったふりをしてしまいます。わからなくても聞き返さなくなります。なぜかというと、「何でもない。」と言われたくないからです。

聴覚障がい者の中には、健聴者と一緒の幼稚園、小学校、中学校、高校に通う人もいれば、聾学校に通う人もいます。普通に話せる人もいれば、話せるけど聞き取りにくい人、手話で話す人もいます。私は今、健聴者と一緒の学校に通っていて、普通に話せるけど聞き取りにくいので、話を聞く時に話す人の顔と口を見ながら聞いていますが、その時に困ることがあります。それは話す人が早口の時です。早口だと言葉が聞き取りにくいし、口の動きも早すぎて何を言っているかわからないのです。

私は健聴者のみんながうらやましいです。友達と普通に話せるところや会話の中に入れるところがうらやましいです。友達は、有名な歌手の歌や流行っている歌を知っているけど、私は全然わかりません。私だって普通に友達と会話したいし、会話の中にも入りたいです。お店に行ってもじろじろ見られないし、顔の見えない相手と電話もできてうらやましいです。

しかし、障がいをもっているからと言って何もできないというわけではありません。何かの障がいをもっているから何もできないと思っている人がいるとしたらそれは間違いです。障がいをもっていてもできることはたくさんあります。私も自分にできることは精一杯頑張ることにしています。勉強も、聞こえにくさに負けたくないので、授業の内容がわかるように予習や復習を頑張っています。部活動も、顧問の先生や審判の人にタッチスクリーンマイクをすることをお願いして、その他でわからないことは仲間の部員に助けてもらいながら活動しています。また、長距離走が得意なので、駅伝の練習にも参加しています。タイムや声掛けの声が聞こえなくて困ることもあるけど、それを伝えると周りの人が支援してくれます。毎朝の練習も大変だけど、どこまでできるか自分の限界に挑戦したいと思っています。

障がいがあっても、できることを見つけて何かをしようとすることはできます。どんな障がいをもっていてもみんな同じ人間です。健常者の人と障がいがある人とがきちんと向き合って話すことで解決できることはたくさんあると思います。お互いのことを知ることで、障がいがあるとかないとか関係なく仲良く生きていけるといいと思います。