「障害について知っておきたいこと・知ってほしいこと」募集結果

平成16年12月1日
内閣府障害者施策担当

1.募集概要

(1) 募集目的

 本年6月に障害者基本法が改正され、法律の基本的理念として「障害を理由とする差別禁止」が明記されたことを踏まえ、内閣府においては関係省庁との連携の下、今後の効果的な啓発内容の検討の参考にするため、国民から「障害について知っておきたいこと」や「障害について知ってほしいこと」について広く意見を募集した。

(2) 募集内容

1) 「障害について知っておきたいこと」
 障害のある方と地域や職場などで共に生活・活動していく上で、障害について知っておきたいと思われる点について

2) 「障害について知ってほしいこと」
 障害のある方自身が社会生活を円滑に行う上で、周囲の方々に対して知っておいてほしいと思われる点について

(3) 募集期間

 平成16年8月13日(金)から9月12日(日)までの1か月間

(4) 募集方法

 内閣府ホームページに掲載するとともに、広く都道府県・指定都市や障害者団体のホームページ上でのリンクを依頼。意見の提出については、電子メールのほか、ファックス、郵送等の方法により提出いただくこととした。

2.応募者の概要

(1) 応募者総数

 総数437人からの応募があり、そのうち「知って欲しいこと」が全体の8割以上を占めた。視覚障害のある方からのEメールによる応募や点字による応募もあった。

男性 女性 未回答
知っておきたいこと 44人
( 10.0%)
31人
( 7.1%)
2人
( 0.5%)
77人
( 17.6%)
知って欲しいこと 171人
( 39.2%)
185人
( 42.3%)
4人
( 0.9%)
360人
( 82.4%)
215人
( 49.2%)
216人
( 49.4%)
6人
( 1.4%)
437人
(100.0%)

(2) 「障害について知っておきたいこと」の応募状況

1) 年齢別内訳
 各年齢層・男女ともに幅広く意見が寄せられたが、全体の半数を30~40代が占めていた。

20歳未満 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳以上 未回答
男性 1人
( 1.3%)
5人
( 6.5%)
12人
( 15.5%)
8人
( 10.4%)
6人
( 7.8%)
6人
( 7.8%)
6人
( 7.8%)
0人 44人
( 57.1%)
女性 1人
( 1.3%)
3人
( 3.9%)
9人
( 11.7%)
9人
( 11.7%)
4人
( 5.2%)
3人
( 3.9%)
1人
( 1.3%)
1人
( 1.3%)
31人
( 40.3%)
未回答 0人 0人 1人
( 1.3%)
0人 0人 0人 1人
( 1.3%)
0人 2人
( 2.6%)
2人
( 2.6%)
8人
( 10.4%)
22人
( 28.5%)
17人
( 22.1%)
10人
( 13.0%)
9人
( 11.7%)
8人
( 10.4%)
1人
( 1.3%)
77人
(100.0%)

2) 職業別内訳
 職業についているのは全体の2/3であり、そのうちの1/3強は福祉関係だった。

福祉関係 教育関係 医療関係 左記以外
の職業
無職 未回答
男性 7人
( 9.0%)
2人
( 2.6%)
3人
( 3.9%)
15人
( 19.5%)
15人
( 19.5%)
2人
( 2.6%)
44人
( 57.1%)
女性 10人
( 13.0%)
2人
( 2.6%)
2人
( 2.6%)
7人
( 9.1%)
10人
( 13.0%)
0人 31人
( 40.3%)
未回答 1人
( 1.3%)
0人 1人
( 1.3%)
0人 0人 0人 2人
( 2.6%)
18人
( 23.3%)
4人
( 5.2%)
6人
( 7.8%)
22人
( 28.6%)
25人
( 32.5%)
2人
( 2.6%)
77人
(100.0%)

(3) 「障害について知って欲しいこと」の応募状況

1) 年齢別内訳
 30~40代の方からの意見が全体の6割近くを占めるが、なかでも30代の女性 が全体の2割を占めていた。

20歳未満 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳以上 未回答
男性 1人
( 0.3%)
17人
( 4.7%)
39人
( 10.8%)
46人
( 12.8%)
31人
( 8.6%)
23人
( 6.4%)
12人
( 3.3%)
2人
( 0.6%)
171人
( 47.5%)
女性 0人 24人
( 6.7%)
77人
( 21.4%)
50人
( 13.9%)
26人
( 7.2%)
8人
( 2.2%)
0人 0人 185人
( 51.4%)
未回答 0人 1人
( 0.3%)
0人 0人 0人 0人 0人 3人
( 0.8%)
4人
( 1.1%)
1人
( 0.3%)
42人
( 11.7%)
116人
( 32.2%)
96人
( 26.7%)
57人
( 15.8%)
31人
( 8.6%)
12人
( 3.3%)
5人
( 1.4%)
360人
(100.0%)

2) 職業別内訳
 職業についている方は6割強であり、そのうちの1/4が福祉関係だった。

福祉関係 教育関係 医療関係 左記以外
の職業
無職 未回答
男性 21人
( 5.8%)
7人
( 2.0%)
18人
( 5.0%)
63人
( 17.5%)
59人
( 16.4%)
3人
( 0.8%)
171人
( 47.5%)
女性 32人
( 8.9%)
9人
( 2.5%)
18人
( 5.0%)
49人
( 13.6%)
77人
( 21.4%)
0人 185人
( 51.4%)
未回答 1人
( 0.3%)
0人 0人 0人 0人 3人
( 0.8%)
4人
( 1.1%)
54人
( 15.0%)
16人
( 4.5%)
36人
( 10.0%)
112人
( 31.1%)
136人
( 37.8%)
6人
( 1.6%)
360人
(100.0%)

3) 障害の有無・種類別内訳
 障害のある方からの意見が6割近くを占めており、障害のある方の中では7割弱を身体障害が占めていた。また、障害のある方からの意見は男性が6割以上を占め、逆に障害のない方からの意見は女性が7割以上を占めた。

障害有 障害無 未回答
身体障害 知的障害 精神障害 その他 未回答
男性 130人
( 36.1%)
91人 3人 32人 3人 1人 41人
( 11.4%)
0人 171人
( 47.5%)
< 62.8%> < 44.0%> < 1.4%> < 15.5%> < 1.4%> < 0.5%>
[ 27.5%]
女性 75人
( 20.8%)
51人
1人 12人 10人
1人
108人
( 30.0%)
2人
( 0.6%)
185人
( 51.4%)
< 36.2%> < 24.6%> < 0.5%> < 5.8%> < 4.8%> < 0.5%>
[ 72.5%]
未回答 2人
( 0.6%)
0人 1人
0人 0人 1人
0人 2人
( 0.5%)
4人
( 1.1%)
< 1.0%> < 0.5%> < 0.5%>
207人
( 57.5%)
142人
5人
44人
13人
3人
149人
( 41.4%)
4人
( 1.1%)
360人
(100.0%)
<100.0%> < 68.6%> < 2.4%> < 21.3%> < 6.2%> < 1.5%>
[100.0%]

( )~全応募者に占める割合
< >~応募者のうち障害のある方に占める割合
[ ]~応募者のうち障害のない方に占める割合


4) 障害のある方との関わり別内訳
 自らには障害がないと答えた方の、障害がある方との関わりについては、家族に障害のある方がいると答えた方が7割を占めていた。また、家族に障害のある方がいる女性が全体の半数以上を占めており、障害のある子どもの母親からの意見が多く寄せられた。

家族に障害のある方がいる 近隣に障害のある方が住んでいる 職場に障害のある方がいる その他日常的に障害のある方と接する機会がある 障害のある方と接する機会はほとんどない 未回答
男性 28人
( 18.8%)
0人 3人
( 2.0%)
9人
( 6.0%)
1人
( 0.7%)
0人 41人
( 27.5%)
女性 78人
( 52.4%)
0人 9人
( 6.0%)
15人
( 10.1%)
2人
( 1.3%)
4人
( 2.7%)
108人
( 72.5%)
106人
( 71.2%)
0人 12人
( 8.1%)
24人
( 16.1%)
3人
( 2.0%)
4人
( 2.7%)
149人
(100.0%)

5) 「知って欲しい」障害の種類
 「知って欲しいこと」に記載された内容を見ると、障害を特定しない一般的な意見が多かったが、障害の種別では、精神障害と自閉症等の発達障害に関するものが最も多く、次いで視覚障害、肢体不自由、内部障害、知的障害、聴覚障害の順だった。

視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 知的障害 精神障害 発達障害 その他
障害一般
障害以外
45人
( 12.5%)
13人
( 3.6%)
35人
( 9.7%)
34人
( 9.4%)
26人
( 7.2%)
56人
( 15.6%)
56人
( 15.6%)
80人
( 22.2%)
15人
( 4.2%)
360人
(100.0%)

3.意見の主な内容

(1) 「障害について知っておきたいこと」の主な内容

  1. 様々な障害の特性と不自由さの内容
  2. コミュニケーションの取り方(不快に感じる言葉遣い、障害についての尋ね方等)
  3. 周囲の者にできる支援内容
  4. 障害について学ぶ機会
  5. 必要最低限の医学的知識
  6. どのようなサービスが利用できるのか。
  7. 地域でどのような生活をしているのか。

(2) 「障害について知ってほしいこと」の主な内容

  1. 障害は誰にも生じ得る身近なもの
    ・障害は本人や家族の責任で生じるものではない。
  2. 障害は多種多様で同じ障害でも一律ではない
    ・中途の聴覚障害や視覚障害では手話や点字ができない者も多い。
  3. 外見では分からない障害もある
    ・聴覚障害、内部障害、精神障害、発達障害では、外見上障害があることが分からないため、誤解されやすい。
    ・障害のあることが分かるマークやサインが欲しい。
  4. 不自由はあるが周囲の理解や配慮があればできることが多い
    ・障害のあることは「不自由」だが「不幸」ではない。
  5. 特別視せずに普通に接してほしい
    ・障害だけを見ずに一人の人間として見て。
    ・「障害があるのに頑張っている」と変に美化しないで。
    ・子ども扱いしないで。
    ・介助者や通訳がいても本人に話しかけて。
  6. 社会生活をする上で様々なバリアがある
    ・建物や交通機関等のまち中のバリアにより活動が制限されている。
    ・視覚障害者や聴覚障害者もテレビやインターネットを情報源としている。
    ・障害に配慮された施設や設備の利用がマナーの悪さで阻まれる。
    ・(点字ブロック上の駐輪、障害者用駐車場への駐車、電車内での電話機使用、エレベータへの割り込み等)
    ・周囲の人の心ない言葉に傷ついたり、差別や偏見が不安で障害について話せない。
  7. 日常生活や事業活動の中でちょっとした配慮や工夫を
    ・相互理解のために自然に交流できる場を。
    ・働くための支援や働く場が欲しい。
    ・思い込みの配慮ではなく、障害のある者の意見を聴いて対応して。
    ・どのような配慮があるかの情報を流して。
  8. その他
    ・教育や医療等の専門家は、障害について必要な知識を身につけて。
    ・役所の職員はもっと障害について勉強して。
    ・「障害」という言葉を他の適切な言葉に変えて。