中央障害者施策推進協議会委員懇談会(第2回)議事要旨
- 日時:平成19年5月9日(水)13:03~15:13
- 場所:三田共用会議所 A会議室
- 議事:
- (1)重点施策実施5か年計画について
- (2)その他
- 要旨:各委員から出された意見の要旨は以下のとおりである。
(安藤委員)
- 進ちょく状況については、数字的な問題は残るが、良い結果が出ていると思う。しかし、支援費制度(応能負担)だったことが背景にあるので、応益がきちんと受け止められるよう、次期5か年計画には現在の自立支援法を基調にしたものではなく、転換が必要ではないか。
- 24時間介護が必要な重度障害者等については、全額税金でみるということが必要。
(岩城委員)
- 障害者自立支援法施行後、在宅の重症心身障害者にとって短期入所の利用が困難となっている。特に東京においては、診療費報酬、病院のベッド数、看護師の不足等により在宅の重症心身障害者が短期入所を使うのに大変な困難を呈している。
- 重い障害者、特に医療的ケアが必要な者に関わるホームヘルパーの数がまだ少ない。
- 公共の場所等に障害者トイレはあるが、大人用の下着交換ができるスペースといったものが今回入っているか。また、車いすが回転できる広さは数年前はスタンダードな車いすが回転できる広さだったが、いまはどうなっているのか。自分の体に合わせた大きな車いすを作って在宅で生活している障害者の社会参加が非常に阻害されるので、一考いただきたい。
(小金澤委員)
- 精神障害ではホームヘルパーを実際に使っている方は少ない。使い方がわかっていない点もあるので、どのような利用料で何時間使えるかといったPRが必要。
- グループホームについては、本来、例えば病院とか施設からグループホームを経て一般アパート、もしくは自宅へ帰るというものだと思うが、アパートからグループホームへというケースもあるので、そのような実態を踏まえて、数値を見る必要がある。
- 精神障害に係る就職については、ハローワークが3障害一緒の扱いをしても、求人票には出ないが企業側が精神障害を断るケースがあるため、法定雇用数には入ったが、まだまだ遅れが出ている。
- 自立支援法により精神障害に係る就職の数が増えて始めているが、就労を続けていくための支援はあらかじめ手当しておく必要がある。
- 精神障害者に限らず、所得保障ということを個人ベースで考えないといけない。
(笹川委員)
- ホームヘルパーを利用する場合、各自治体で使用量(利用量)が制限されるため、十分なサービスが受けられない。
- 全体として法定雇用率は上がってはきているが、視覚障害者の雇用は進んでいない。身体障害の中の視覚障害といった障害の特性ごとの就業実態というのが出てこないので、向こう5年間の計画において今のままの状況で続けられたのでは全くの希望が持てない。また、雇用以外の就業については具体策が全くなく、基本的な条件が整っていない。
- 国際障害者年から20年以上経っているが、啓発・広報に関しては、いまだに国民の障害者に関する認識は遅々として進んでいないと感じる。
- テレビの解説放送については、大変遅れているが、視覚障害者だけでなく、高齢者の中にも充実を求める声が高くなってきているので、国が積極的に解説放送の充実を図っていくべきである。
(佐藤委員)
- 確実に達成して増やすべきものと、必ずしもそうでないものとがあるのではないか。例えば、障害児通園事業が非常に高い達成率について、問題を若干感じている。障害児通園事業の達成率は高いが、障害を持つ子どもが減る中で、新しいカテゴリーとして発達障害の子ども達が障害児通園の利用者として誕生していることが、いわゆる「共生社会」というものを目指していく中で果たして望ましいことなのか、きちんと議論しておく必要があるのではないか。
- グループホームの30,400人分という数値目標そのものが十分であったのか、達成のために必要な施策は今後改善すべき余地はないのか、について検討する必要がある。
- グループホームが施設からの移行という受け皿になるのは、1つの大きな役割だと思うが、今地域に暮らしている人たちが、そのままその暮らしを維持し、暮らしてきた地域でそのまま暮らし続けるような支援として、グループホームを整備するということが大きな役割としてあるということを明確にする必要がある。
(諏訪委員)
- 雇用・就業に関して、雇用・就業に関する達成率は順調に推移しているが、障害者の雇用量を増やすということと、雇用の質を上げるということが重要であるので、次期計画では質の分野についてもどのように上げていくかについても考える必要がある。
- 在宅就業の障害者に対する支援は、現計画時にはまだなかったものなので、次期計画ではぜひ就業という、つまり雇われて働く以外の働き方に関しても目を向けていただきたい。
(田山委員)
- グループホームを健全な形で育てていくためには、ある程度経済的な面での具体的な配慮を考えてほしい。
- 一般的な経済的にグループホームを取り巻く環境が厳しくなっていることを考えれば、今後数値目標を大幅に超えて発展させるということを考えたときに、具体的なものを示していただきたい。
(野村委員)
- ホームヘルパーに限らず、数値については、カウントするときの根拠をきっちり説明できるようにしてほしい。
- 国際化の流れの中で、国内基準だけではなく、広い視野で捉えた方がいいのではないか。航空機のバリアフリーについては、国内基準だけではなく、例えばIATAに加盟している会社の状況等、国際化という中でも考えてほしい。
- 障害者(高齢者)の居住環境の問題は、住宅政策と福祉政策連携が大変重要視されてくると思うので、お互いの役割分担、責務といったものをきっちりと考えていただけないだろうか。
- コンビニエンスストア等といった小規模建築物が整備されてこそ、地域で居住する障害者の皆さんの生活が便利になったという気持ちが初めて生れてくるので、国が関係する補助金、助成金を出すときはバリアフリーをもっと進めるような要件を設けることができないか検討いただきたい。医療施設(診療所)は面積が小さいためバリアフリー新法の対象外であるが、国や地方公共団体から様々なプログラムにより助成金を受けたり、補助金を受けたりしたときには、バリアフリーの義務付けか、あるいは強制的にバリアフリーについて勧告するという形をとることができれば、かなり整備されていくと思う。
- 「災害弱者」から「災害時要援護者」に改められたが、この言葉を広める必要がある。
- 今のバリアフリー基準は電動四輪車の使用については考えられていないので、国土交通省で検討中と聞いているが、大変影響が大きいので、慎重に検討する必要がある。
(樋口委員)
- 「保健・医療」で書かれている、「うつ病対策」「思春期精神保健の問題」「社会的ひきこもり」については、これらの課題が取り上げられているという点では十分評価できる。しかしながら、マニュアルを作成することで終始しているのではないか。マニュアルの作成は入口に過ぎず、次の5か年計画の中では、それをいかに普及させていくか、それを使っていかに啓発していくか、その啓発の結果、どの程度目的が達成できているか、について評価しなければ、マニュアルを作った意味は十分でない。
- 児童の障害の方に対する医師、心理士、保健師といった人の教育というのは非常に遅れており、人数も非常に少ないので、医療側では大変な問題になっており、そういったことに対する対応についても、重点課題としてぜひ入れていただきたい。
- 精神障害に対するスティグマ(偏見)に関する取組は、簡単に解決していかないところだが、WHOが精神障害のスティグマの運動を展開しているので世界的な動きと連携した取組をしていくべきではないか。
- 日本の精神医療のレベルは欧米諸国に比べるとまだまだ遅れているが、何が日本では遅れていて、何が足りないのか、を明確にするような国際比較を行って頂きたい。