中央障害者施策推進協議会委員懇談会(第3回)議事要旨

  • 日時:平成19年5月14日(月)10:00~12:02
  • 場所:三田共用会議所 B会議室
  • 議事:
    (1)重点施策実施5か年計画について
    (2)その他
  • 要旨:各委員から出された意見の要旨は以下のとおりである。
(石川委員)
  • 達成できない目標(ボトルネック)になっているところがある場合、どうやってそれを解決していくかという視点で今後の5年間を考えていくのも有効なのではないか。
  • 障害当事者の参加ということでは、特に支援技術の分野では開発の参加といったことが非常に有効であり、重要である。
(京極委員)
  • 自立支援法施行以降の数値はまだ不明だが、障害者施策の地域間格差、障害者間格差についてはあるかもしれないが、全体としては底上げがされてきたのではないか。
  • 今後の5年間で障害者の統計データをきちんと整備するということも非常に重要。
  • 第3期の障害者基本計画では連携がどう進んだかを見られるようにしてはどうか。
  • 現行の計画では厚生労働省、国土交通省が非常に積極的であったことにより、目標 が超過達成したものがあるかと思うので、後期計画ではあまり活発でなかった省庁 について具体的な計画が出るようお願いしたい。
(清原委員)
  • 市において障害福祉計画を策定する時、障害のある当事者、家族・関係団体を含め具体的な検討を行った。改めて当事者の声を反映した施策にすることが、いかに重要であり、そうしていくべきではないかということについて痛感させられた。
  • 障害福祉計画策定の際、数値目標の適正さについては、なかなか判断が難しいため、改めてこれまでの検証をしつつ、一方では各部門の力を結集することによって達成する可能性が考えられうる根拠のある数値目標を設定していくことに努力した。
  • 数値目標を達成した場合には、国、都道府県、市町村のどのような施策が有効に機能したのか、について共有することが有用。
  • 数値目標と大きく乖離している事項について、なぜ達成しないのか、その要因はどこにあるのか、について分析することによって、自治体が障害福祉計画を実行していく上で、大きなヒントになる。
  • 障害者自立支援法の施行により自立とは何かということについて、精神障害者の方も含めて御意見を伺うと、居住と就労という2つは大変基本的なことだとの認識を深めており、今後の取組については具体的な目標が設定できるのではないか。
(潮谷委員)
  • 障害者自立支援法になり、これまで意欲を持って取り組んでおいでになられた多くの方々が、意欲をなくされている。特に通所授産や施設から地域に戻った方々が意欲を損なわれているという姿があるのも事実である。
  • 進ちょく状況の数値は伸びているが、実態としての質的な部分や、利用者の声などを今後新しい計画に当たっての、制度設計に反映させていくことが非常に大事ではないか。
  • 障害者自立支援法に関し、支援費制度の導入から法律施行に至るまでの制度改正についてあまりに早急すぎて関係者間の議論が十分に尽されなかったのではないか、制度の具体的な設計において法の目指す方向と一致していないのではないか、むしろ逆に自立の意欲をなくした方々が増えているのではないか、と考えている。
  • 障害者自立支援法により、利用者負担が非常に増えたため、多くの方たちが請願を議会に出されており、県独自で負担軽減策を講じたところであるが、地方の財政というのは、乾いた雑巾を絞って、なおかつ支出している状況であるということをぜひ理解していただきたい。利用者負担といった制度の根幹に関わる部分は是非国レベルで解決していただきたい。
  • 利用者負担については、生活実態を詳細に把握して負担額を設定するべきであり、特に、障害児施設の負担設定については、児童福祉の体系の中で整合性を取るべきだったのではないか。
  • 就労支援については、労働政策の大部分は国の事務であり、都道府県が手を出そうとしても、手が出せないということが多いので、まずは国においてしっかり取り組んでいただきたい。今後の政策の有機連携については、是非見直しをしていただきたい。
  • 熊本県ではITを活用した在宅就労を就労支援の中で行っているが、国でも本格的に行ってもらうことが必要であり、政策連携の中で、民間を含めた形で障害者をきちんと位置づけて展開していただきたい。
  • 居住サービスも含めて、基礎的な福祉サービスが負担金化されたことについては評価するが、地域生活支援事業については法に基づく自治体の必須事業が含まれている非常に重要な事業であるが、補助金事業であるため、財政力が弱い、人口密度が低い自治体において超過負担が生じているというケースが出てきているので、国の財政措置を充実していただきたい。
  • 就労の上でも社会参画の上でも公共交通機関の運賃や有料道路の料金の割引は大事な視点であるが、精神障害者にはこのメリットが少ない。精神保健福祉手帳は、昨年10月から原則写真添付になり他の障害と同様の取扱いが可能となったことから、国において各交通事業者等への協力要請を引き続き強力にお願いしたい。
  • ユニバーサルデザインやユビキタス技術を利用して行う、外国人や障害者等に対応する新しい公共事業を構築することは重要である。超高齢化社会を見越して是非公共事業の質的な転換を図っていただきたい。
(館森委員)
  • 都会は交通が発達しているが、地方に行くとなかなか交通機関で出るのが難しいため、障害者に対する交通機関の運賃割引をお願いしたい。
  • 仕事をしろといわれてもなかなか仕事をする場所がない。また、理解してくれる人が少ない。就労支援センターなどを全国に増やしていただきたい。
  • 生活していくっていうことがどういうことか、支援者と本人で目標が違うことがある。そのための支援がどういうことなのか、本人と一緒に考えないといけない。
(藤井委員)
  • 達成した理由・分析、及び達成していない理由・分析に加えて、達成した場合に、どのように社会参加度、自立度が変わったのかが重要。
  • 基本計画の中で所得保障が入っているが、障害者の所得状況の実態が見えない。自立の根幹というのは経済的な基盤であるので、今後所得保障について実態把握を含めて、どう検討していくか。
  • 難しい問題ではあるが、家族からの自立、つまり扶養義務制度の見直しを長時間かかってもいいので、行うべきではないか。
  • 精神障害については、社会的入院という現象が、この前の7か年プラン、今回の5か年を経ても、大きな好転はなく、やはり全体的に遅れている。
  • 後期計画で一番大きいポイントは、障害者権利条約のベース水準をどのように考えるか、あわせて「障害」という言葉、語感というのは大変大きい意味があるので、この言葉についても検討することを考えるべき。
(松友委員)
  • 権利の問題については、単に量的な数値目標というだけではなくて、質的、あるいは利用者本人から見てのニーズとか、そういう視点からのパラダイムシフトの必要がある。
  • 5か年計画については、自分が出したデータについて、どう達成しているかということだが、国際的に使えるデータではなく、国際比較できず、議論できない。医療教育福祉をはじめ政府の障害者の統計データが国際的に使えないため、国際的なデータに合わせてきちんと整備するということは重要。
  • 障害者は何百万人いる中で、たった60万人(障害者雇用)では何だという話なので、福祉施策と労働施策あるいは教育施策と福祉施策、医療施策、それぞれの独立性をきちんと確立し、連携させていくこと。
  • 障害者権利条約等具体的な権利擁護の流れの中で、成年後見制度の利用が進んでい ない問題、青年期以降の障害者虐待に対する問題、罪を犯した障害者の社会復帰に対する問題といったことについて、政策的に対応できる部分においては踏み込んでいってはどうか。
みやざきいいん
  • 数値上では、順調に5か年計画が進んでいることはわかるが、数値目標を個々に見ると、それぞれの関係の機関が独自に対応できる事柄が中心になっているのではないか。
  • 今後総合的かつ効果的な施策の推進ということが重要であり、様々な専門機関の緊密な連携の下に推進することが、質的な充実の中身につながるのではなかろうか。国や地方公共団体の中において、教育、福祉、医療、雇用、就労等の関係機関、行政機関、専門機関の緊密な連携の下における推進が重要。
(山本委員)
  • 数値目標については、「障害者自立支援法第88条の規定」による障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の需要に対応する条件の整備を「障害福祉計画」で数値目標にして実現する取り組みをしているが、現行の予算の仕組み『市町村1/4、都道府県1/4、国1/2の予算制度』のもとでは、益々の地域格差が拡大することは明白であり、この点を十分に議論して予算の裏づけのもとで国民間の格差是正をお願いしたい。
  • 精神障害者の方も含めた障害者の就労の場の取組ができてきているが、地域に密着した法内にいたることが適さない小規模ゆえの特性を生かす5~10名以下の小規模作業所においても総合的に勘案した中での就業対策をぜひ取っていただきたい。
  • ノンステップバスの整備は進んでいるが、バス停の整備については、現行の計画にはないことも踏まえて、次期計画にはそういった整備項目についても検討いただきたい。