第3回中央障害者施策推進協議会 議事録

平成19年10月29日

内閣府政策統括官(共生社会政策担当)


○柴田政策統括官 定刻になりましたので、これより第3回「中央障害者施策推進協議会」を開催させていただきます。

皆様方におかれましては、御多忙中のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

内閣府政策統括官の柴田でございます。恐縮でございますが、会長を選出いただくまでの間、協議会の進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

本日は、内閣官房から大野内閣官房副長官、内閣府からは岸田特命担当大臣、中川副大臣、西村大臣政務官がそれぞれ出席しております。また、福田内閣総理大臣と町村官房長官は、後ほど到着の予定となっております。

まず新しく委員に就任されました方を御紹介いたします。

東京都精神障害者家族会連合会副会長のかわさきいいん

全日本手をつなぐ育成会理事長の副島委員。

日本経済団体連合会参与の高橋委員。

日本労働組合総連合会特別専門委員のとくもいいん

日本身体障害者団体連合会副会長の山本委員。

でございます。

それでは、本協議会の会長を選出していただきたいと思います。中央障害者施策推進協議会令第2条におきまして、中央協議会に会長を置き、委員の互選により選任するとなっております。委員の皆様方において、会長の選出をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。

笹川委員、どうぞ。

○笹川委員 御承知のとおり、この計画は10か年計画になっております。前期・後期で一貫して取り組んでいただくことが必要かと思いますので、引き続き、京極委員に会長をお願いしたいと思います。

(拍手)

○柴田政策統括官 ただいま笹川委員から、京極委員を会長にという御提案がございましたが、皆様から御異議がないようでございますので、京極委員に本協議会の会長をお願いしたいと存じます。

それでは、京極委員、恐縮でございますが、会長席へ移っていただきまして、今後の議事運営をよろしくお願いいたします。

○京極会長 ただいま御指名いただきました京極でございます。引き続き、会長を拝任いたしまして、身の引き締まる思いでございます。

障害者施策については、この10年間、特にこの5年、重点施策実施5か年計画で非常に施策が進んだんですけれども、大きな目で見ると、高齢者福祉に比べて、まだ見劣りする点は否めないと思います。

今後、更に後期の5年の計画をより充実して実現するために、私どもも見守っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。なるべく多くの方々の御意見を総理がいらっしゃるところでも聞いていただくような機会を設けたいと思います。よろしくお願いいたします。

総理がいらっしゃったら、早速お話をしていただきますが、まだいらっしゃらないので、私の方から少し時間稼ぎということでお話させていただきます。

御案内にありますけれども、新しい委員の方は御承知かどうかわかりませんが、障害者基本計画は10か年の計画でありまして、前期と後期に分かれておりまして、前期は数値目標を超過達成ということで、ほぼ完了いたしました。そして、後期がこれから始まるということでございます。

ただいま町村官房長官が到着されました。

総理はまだですので、ちょっとお待ちしたいと思います。

それでは、総理と官房長官が御到着でございますので、協議会の開催に当たりまして、福田内閣総理大臣からごあいさつをお願いいたします。

○福田内閣総理大臣 皆様方には御多用のところ、各地からお出かけいただきまして、誠にありがとうございます。

実は私、5年前に障害者基本計画を策定するときに、官房長官をしておりまして、関係をしておったわけでございます。障害者基本計画におきまして、今後、我が国が目指すべき社会を障害の有無に関わらず、国民のだれもが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会ということを申し上げたと記憶いたしております。

この考え方は、今日、そして今後も障害者施策においても極めて重要で普遍的な考え方であると考えております。

一方、この間、障害者基本法の改正を始め、雇用、生活支援、教育、生活環境などの各分野におきまして、基本計画に基づいて、さまざまな取組みが具体化されてまいりました。また、先月末には、障害者の権利に関する条約にも署名をいたしました。今後は、条約の可能な限り早期締結を目指して検討を行っていく段階になっております。

本年は、障害者基本計画の中間年にも当たる年でございますので、年内に新たな重点施策実施5か年計画を策定するように、今、作業を進めています。

新たな5か年計画につきましては、現在の計画が策定されて以降における制度改正の施行状況を反映した内容にしたいと考えているところでございます。

今後とも、基本計画及び新たな5か年計画に沿って、共生社会の実現に向けた取組みを着実に推進してまいりたいと思っております。

また、障害者自立支援法の抜本的見直しの検討につきましては、ただいまの連立政権合意の1つでございまして、今後、与党とも相談しながら、制度全般にわたって議論を行っていくことといたしております。その議論の経過を踏まえて、必要に応じて、新たな計画に反映してまいりたいとも考えております。

本日、各委員の皆様からいただいた御意見を、今後の障害者施策の推進に生かしてまいりたいと考えております。

委員各位におかれましては、引き続き、御理解・御協力を是非くださいますように、お願いをいたしまして、ごあいさつにさせていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

○京極会長 ありがとうございました。

福田総理大臣は、後ほどやむを得ず公務のために退席されますので、今回、初めて委員に就任された方々のうちで、障害当事者またはその御家族として活躍されている方々に御発言をいただいた上で、議事に入りたいと思います。

かわさきいいん、副島委員、山本委員から一言ずつ御発言をいただければと思います。大変恐縮ですけれども、後の議論に差し支えますので、できるだけ簡潔にお願いいたします。順次、五十音順にお名前を申し上げますので、着席のままで結構でございますので、お願いいたします。

それでは、かわさきいいん、よろしくお願いいたします。

かわさきいいん 今回、初めてこの会議に出席させていただいております、精神障がい者の家族会のかわさきでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

簡潔にということでございますので、現在の家族の地域生活支援について、少しお話させていただきたいと思っております。

社会の変化に伴いまして、精神障がい者施策も変わり、社会資源も増えてきており、徐々に精神障がい者の社会参加の場が増えていますことは、とてもうれしいことと思っております。しかし、その施策を利用して、経済的にも精神的にも親から自立した生活ができている当事者は、残念ながら少数です。9割以上の当事者は、地域活動への参加の機会も少なく、引きこもり状態で、生活は家族によって支えられているのが現実です。

その家族は高齢となり、年金で生活している方が多くなっております。当事者を支える家族は、自分自身も介護を受けながら、当事者の日常生活のお世話をしているのが状況でございます。当事者を支える家族の苦悩といいますのは、精神障がいの場合、再発しやすいと言われておりまして、家族は何回もの入退院を経験しておりまして、精神的、経済的苦悩は言葉では言い尽くせません。

我が国においては、家族への支援策はなく、家族は無支援状態にあります。今、家族が求めているのは、在宅での医療、福祉の支援です。勿論、社会資源の充実も必要なことですが、社会資源の利用にいきつけていない当事者を在宅から支えることで、地域につながります。これが、今、家族のニーズでございます。

障害者自立支援法の見直しに関しましては、家族にさらなる経済的な負担が課せられている、毎年の自立支援医療の診断書代、福祉サービスの利用料など、改善が望まれると同時に、当事者が自立するための所得保障の充実を期待いたします。

以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○京極会長 ありがとうございました。

続きまして、副島委員、よろしくお願いいたします。

○副島委員 全日本手をつなぐ育成会理事長の副島でございます。よろしくお願いいたします。

全日本手をつなぐ育成会は、知的障害のある人たちの運動団体です。知的障害のある人とその家族の幸せを願うこの運動は、障害のある人たちの人権を回復して、地域の中で安心して暮らせる社会をつくることです。

今、私たちの運動は大きな節目にぶつかっております。それは国の経済成長の下、障害のある人たちの生活環境が大きく変わったこと。また家族、隣人で支え合った時代から、社会で支える時代に変わったこと。更に福祉の流れが、施設福祉から地域福祉へと移行が進んでいること。また、加えて少子高齢化の影響を直接受け始めていることです。

このような変革の中、知的障害者福祉は、2006年に障害者自立支援法へ変わりました。この理念は、障害者が安心して暮らせる社会の実現ですが、地域では生活する上での不安が解決できずにいるのが実情です。

その原因の1つとして、障害者自立支援法の不完全さによるものであると思っています。自立支援法の抜本的な改革は、本当に必要だと思っています。この人たちの生活の安心とは、一人の人生をその人のライフサイクルにわたった、切れ目のない連続した福祉サービスで支える体系が必要だと思っています。

2つ目は、所得保障が確立されていないことです。まず生きるための所得保障が必要です。障害基礎年金だけでは、地域生活は不可能と私どもは思っております。

3つ目は、障害のある人の人権の回復です。物理的なバリアはなくなりつつありますが、心のバリアはなくなりません。それはすべての国民の心の奥底に、障害者差別の意識が残っているかたらだと思っております。

以上の取組みを是非切にお願いいたします。

また、私たちは、これからも障害者問題を障害のある人と家族だけの問題にしないこと。

障害者福祉を特別の人たちの福祉にしないこと。

障害者が安心して暮らせるまちづくりを進めること。

この3つのことを目標に掲げて、これからも運動を展開していくつもりです。

どうぞよろしくお願いいたします。

○京極会長 それでは、最後になります。山本委員、よろしくお願いいたします。

○山本委員 日本身体障害者団体連合会副会長の山本でございます。今年の2月から参画させていただいております。

そして、本日は大変お忙しい中にありまして、首相を始め関係の皆様の御尽力によりまして、このような盛大な会をもっていただき本当にありがとうございます。

この貴重なお時間をちょうだいしながら、次の3点についてお願いしたいと思います。

まず1点目は、今も話が出ております障害者自立支援法でございますが、昨年の12月に緊急の特別対策をとっていただき、辛うじて現場は一息ついている状態でございますが、21年度以降は、全くの白紙の状態であると思います。そこで第一は、利用者負担を本人の所得に応じた算定にしていただきたい。支援費制度のときは、本人、配偶者、その子どもの所得を対象にしていたが、今回の障害者自立支援法は、「扶養義務制度の見直し」についても議論してないことをはじめ大変大きい問題点があるかと思います。なおこの障害者自立支援法は平成18年度から施行され、朝起きて顔を洗ったり、トイレへ行くとき、食事をとるにおいても障害が重いゆえにヘルパーを必要とし、障害の重い人ほど多くのサービスを必要とするし、利用者負担は個々のサービスごとに加算して原則1割の負担を必要とする制度で、措置から契約のもとでの障害者自立支援法でございます、抜本的な見直しを切望しています。

2点目は、介護保険制度と障害者サービスについてですが、両制度とも体系はほぼ同じの仕組みになっています。サービスの支給決定権限者である市町村の実態を紹介させていただきますと窓口では、年齢が65才以上であれば理由を問わず介護保険を適用することになっていて、私の場合も「車いすの補修の申請」に先日伺い窓口で申請書を記入しているときに65歳以上になっているのですから福祉のサービスでの修理ではなく、介護保険のリースになるといって受理を拒否されました。「介護保険で救えないところ、不足する部分は障害者サービスで補てんすること」等々の説明をして、ようやく障害者福祉で車いすの修理ができることになりました。このようなことはめずらしいことでなく、いずれの市町村も厳しい財源不足が背景にあり、理念だけに終わっているところにおいて、本質的なところからよろしくお願いしたいということでございます。

3点目でございますが、私はいま66歳になるのですが、32歳のときにこの身体になってしまいました。障害者になる前から今日までを振り返ってみるとき、敗戦直後の日本は、みんなが貧しい中にあっても支え合い、相手を思いやる心があって、それぞれ夢をもって今よりもっと元気であったと聞きますし、私もそのように感じています。経済的には豊かになったのにかかわらず連続9年自殺者が3万人以上、少子化の一因でもある晩婚化のこと、男性の30%ぐらいの方は独身のまま等の状況にあって、婚姻率と離婚率の最近の推移を単年度ごとにみるとき、一年間に結婚なさった婚姻件数を分母にして、当該年度の離婚件数を分子にするとき40%に近いかたがたが離婚していることもあって、人口動態統計による推計では、今が約5人で1人の65歳以上の人を支えて、そう遠くない1億人を割る時点は1.8人で1人を支えることができる社会環境の整備が喫緊の課題になっている。価値観と意識の劇的な変化で地域社会の地域力は、一部において組織そのものの存在が難しい状態のもとで私どもも地域の一員として自治会やNPOはじめとする各種団体との連携と協働のもとで共生社会の創造をめざして一生懸命取り組んでまいりますので総体的な施策をよろしくお願いいたします。

首相よろしくお願いいたします。

以上です。

○京極会長 ありがとうございました。

ここで福田総理大臣、町村官房長官、大野内閣官房副長官は、所用のため退席されますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

○福田内閣総理大臣 済みません。あとは岸田大臣にしっかりとやっていただきます。

○京極会長 今、国会開会中ですのでね。ありがとうございました。

それでは、議事に入らさせていただきます。

初めに「(1)新たな『重点施策実施5か年計画』策定に向けた取組状況等について」内閣府から説明してください。

○柴田政策統括官 失礼いたします。

それでは、お手元の資料1「新たな『重点施策実施5か年計画』策定に向けた取組状況等について」をごらんいただきたいと思います。

3ページをごらんいただきたいと思います。3ページには、現行の重点施策実施5か年計画の期限がきますので、新たな計画策定についての障害者施策推進本部決定をお示ししてございます。今年5月17日に決定されました。

まず最初の2行目ですが、19年度中を目途に、20年度を初年度とする新たな計画を策定するということでございます。

「2.計画期間」ですが、20年度から5年間とするということでございます。

「3.計画の内容」ですが、具体的な内容及びその達成期間を定める。なお、目標の設定に当たっては、極力数値目標を置くということでございます。

現行計画策定以降の制度改正の施行状況等を踏まえるものとするということでございます。

制度改正の際に、見直し規定が設けられていることもありますが、それは年限がいろいろ違ってきますけれども、見直し規定等を踏まえ、計画策定後も必要に応じ計画の見直しをするということでございます。

「4.検討体制」ですが、障害者施策推進本部に設けられました課長会議の下に、施策の分野別の検討チームを設けて検討を行うということでございます。

そして、その検討に際しましては、障害当事者、その家族、事業者団体などの関係団体、学識経験者から意見を伺うということが方針として決められております。

4ページをごらんいただきますと、そのときに総理から御指示のあった内容がございます。

今と重複するものは避けますけれども、1つ目を見ていただきますと、これまで必ずしも数値目標が設定されていなかった教育や情報・コミュニケーションなどの分野についても、積極的な取組をお願いしますということがございました。

2つ目ですが、昨年、教育基本法が改正されましたけれども、発達障害をはじめとする障害のある方が十分な教育を受けることができるよう、積極的な条件整備に取り組むこと。

3つ目は雇用や就業でございますが、やはり障害者の自立と社会参加にとって重要な柱だということで、福祉的就労の底上げと一般雇用への移行促進を図る。それから、率先して各府省が一体となって計画的な推進をお願いするという御発言がございました。

恐縮ですが、1ページに戻っていただきたいと思います。こういうことで、今、検討しているところですが、先ほど申し上げましたように、本部の下に課長会議を設け、そこでいろんなワーキングチームをつくって意見聴取をしているということでございます。

意見につきましては、5ページをごらんいただきたいと思います。これまでこの重点施策実施計画策定に向けて、何度かお話を伺いました。

中央障害者施策推進協議会委員懇談会ということで、3度ほどお伺いし、また高市大臣との懇談会もございました。

そこにありますように、各団体からもいろいろと御意見を伺って、現在、それを踏まえて検討しているところでございます。

8ページ以下には「各ワーキングチームにおける主な検討課題」ということで、とりまとめてありますが、この課題につきましても、伺った御意見も踏まえて整理しているものでございます。

内容につきましては、それぞれのワーキングチームの主査から報告をさせていただきます。

○須田参事官 「1.啓発・交流分野」を担当しております、内閣府の須田でございます。

お手元の8ページでございますが、啓発・交流分野の検討状況につきまして、御報告をさせていただきたいと思います。

多くの方々から、啓発・広報の重要性といったことの指摘を受けたわけでございますけれども、その観点から、共生社会の理念の普及あるいは障害及び障害者に関する理解の促進といったことは、今後も非常に重要な問題であろうということでございまして、検討課題とさせていただいているところでございます。

特に精神障害、発達障害などに係ります理解促進につきましては、非常に多くの御意見があったところでございまして、既存の世論調査の結果を見ましても、その重要性が明らかであろうということでございます。

世論調査の結果におきましては、特に若い方に対して啓発が必要であるということでございますので、こういった項目につきましても、検討課題とさせていただいたところでございます。

また、御指摘のございました障害者の関係する法令、特に条約の周知につきましても、啓発につながるものでございますので、検討課題として掲げているところでございます。

そのほか、インターネットなど、さまざまな媒体を活用しました啓発・広報あるいは補助犬、点字ブロック、国際シンボルマーク等、特にマナー違反の観点からの御指摘がございましたけれども、こういった項目。

マスメディアの協力といったことにつきましても、御指摘を踏まえて検討課題としているところでございます。

特に若者の啓発の関係では、福祉教育の推進におきまして、交流及び共同学習の推進、あるいは指導の充実といった事項を入れているところでございます。

公共サービスの従事者に関する理解の関係でございますが、行政や民間の職員に対する理解の一層の促進ということで、これもいろいろ御指摘がございましたけれども、こういった形で検討課題とさせていただいているところでございます。

ボランティア活動につきましては、現場の企業、企業の職員の方々が非常に活躍されているということで、高い評価をいただいているという話がございました。また、期待も大変高いようでございますので、企業における活動に関する理解・協力といったものも重要なテーマであろうということで、検討課題とさせていただいているところでございます。

そのほか、特に啓発につきましては、先ほども御発言ございましたけれども、人権問題として取り上げていくべきだという議論がございますので、こういったところとの連携を図った広報も重要になってくるのではないかと考えられるところでございます。

9ページは、国際協力でございます。国際協力につきましては、JICAを通じました研修員の受け入れ等の実施、内外の民間活動への支援、ESCAPにおける障害者対策分野での協力といった御指摘があったかと思いますけれども、それらの項目につきましては、いずれもこういった形で検討課題にさせていただいているところでございます。

2番目の議題にもございますけれども、条約の締結に向けた検討といったことも重要な検討課題ということで、位置づけているところでございます。

障害児の教育情報の発信といったことも、現時点での主な検討課題として掲げているところでございます。

以上でございます。

○京極会長 ありがとうございました。

○教育・育成分野WT主査 引き続きまして「2.教育・育成分野」について、御説明をさせていただきます。

私は主査を務めさせていただいております、文部科学省の特別支援教育課長の永山と申します。

お手元の資料の10ページと11ページが教育・育成分野の資料になります。基本計画では、左側にあります5点からの内容が盛り込まれております。

教育・育成分野につきましては、御承知のように、昨年、法改正による特別支援教育へという形で、大きく制度が変わりました。特別支援教育の趣旨である一人ひとりのニーズに応じた、きめ細かな教育をきちんと実施できる体制を整備していくことが、後期の大きな課題、一番基本的な課題と私どもは認識してございます。

具体的に申し上げますと「(1)一貫した相談支援体制の整備」という観点からは、個別の教育支援計画、これは前期で特別支援学校について、かなり進捗したと認識しておりますが、きめ細かな指導を行うための個別の教育支援計画の策定・活用を推進していくことが大きな課題と認識しております。

2つ目の○でございますが、乳幼児期から就労まで一貫した支援、そのための組織づくり、また特別支援教育という観点から、特別支援学校以外の幼稚園から高校までの学校における体制の整備を課題として位置づけてございます。

「(2)専門機関の機能の充実と多様化」という観点からは、これも先の法改正によりまして、特別支援学校が地域の小中学校などをきちんとサポートするセンター的機能を果たすことが役割として法律上位置づけられました。そういうセンターとしての機能を充実すること、またその充実を通じて、小中学校に在籍する障害のある児童生徒への支援の充実を図ることを課題と認識してございます。

「(3)指導力の向上と研究の推進」という観点からは、特別支援学校の先生の特別な障害に応じた免許の保有率の向上を図っていく。教員の研修の充実、教員だけではなくて、お医者さん、福祉の関係者、大学の先生、そういう外部の専門家に学校にお出でいただきまして、活用し、教育の一層の質の向上を図ること。特別支援教育総合研究所の研究、研修の推進ということが課題と認識しております。発達障害に関する情報提供も課題と考えております。

11ページになりますが、4番目の柱が「(4)社会的及び職業的自立の促進」でございます。これにつきましては、関係機関が連携した就労支援の充実。一般企業に対する理解の啓発ということ。それとともに、職業訓練という観点からは、学校と職業関連の機関が連携した効果的な職業訓練の実施。また放送大学における字幕番組の制作の推進ということが課題と認識してございます。

「(5)施設のバリアフリー化の促進」でございます。特別支援教育に係る施設の計画な整備が大きな課題と認識しております。

教育・育成分野については、以上でございます。

○雇用・就業分野WT主査 引き続きまして、雇用・就業WTの状況につきまして、御報告申し上げます。

私は厚生労働省障害者雇用対策課長の吉永でございます。

雇用・就業WTでは、6つの省庁の御協力をいただきながら、特に雇用・就業分野につきまして、検討を進めておるところでございます。本年7月3日に第1回の会合を開催しておりまして、8月9日に第2回の会合といたしまして、経済界、労働組合、特別支援学校関係者、就労機関の方々にお集まりいただきヒアリングを開催し、これらの状況を踏まえながら、御意見、御指摘を踏まえて検討を行っているところでございます。

当WTの現時点の状況につきましては、引き続き、12ページ及び13ページに記載のとおりでございます。

第1に12ページでございますが、障害をお持ちの方々の雇用の場の拡大という観点から、障害者雇用の一層の推進。精神障害者の方々に対します雇用支援の充実強化。短時間雇用や在宅就業など、多様な働き方の支援につきまして検討しております。

13ページになりますが、第2点といたしまして「(2)総合的な支援施策の推進」という観点から、ハローワークを中心としたチーム支援。障害者就業・生活支援センターや個別の教育支援機関を活用した関係機関との連携等、福祉、教育との連携による支援等々につきまして検討しておるところでございます。これらにつきまして、関係府省に御協力いただきながら、幅広く検討を進めておるところでございます。

以上のような状況を踏まえまして、懇談会の状況等々、さまざまな御意見をちょうだいしながら、新たな計画に盛り込んでいきたいと考えているところでございます。

雇用・就業WTからは、以上でございます。

○生活支援・保健医療分野WT主査 「4.生活支援・保健医療分野」の関係でございます。資料につきましては、14ページ、15ページでございます。

私は厚生労働省障害保健福祉部企画課長の川尻でございます。よろしくお願いいたします。

14ページは「生活支援」の分野でございます。

特に後期の計画に新たに盛り込もうということを中心に、御説明をさせていただきますけれども、利用者本位の生活支援体制につきましては、2つ目に書いてございますけれども、成年後見制度の利用促進といった項目を新たに盛り込むことも考えておりますし、引き続き、福祉のみならず保健、医療、労働、教育など、幅広い関係者のネットワークを通じまして、多面的な生活のサポートをする地域自立支援協議会の充実を図ってまいりたいと思っております。

在宅サービスの分野につきましては、18年度中に各都道府県で策定をされました障害福祉計画に基づく基盤整備、あるいは精神障害者の退院促進、地域移行に加えまして、新たに発達障害者施策の充実ということで、ライフステージに応じた施策の充実に努めてまいりたいと考えております。

経済的自立の関係では、新しい項目といたしまして、障害者の消費トラブルの防止についても盛り込みたいと思っております。

施設サービスの関係でございますけれども、これにつきましては、先ほどの精神障害者の退院促進に加えまして、施設入所者につきましても、地域移行を進めていくことを考えております。

5点目は福祉用具の関係でございますが、これにつきましては、引き続き、優れた技術や創意工夫のある福祉用具の実用開発に向けて取り組んでまいりたいということでございます。

6番目は専門職種の養成・確保の関係でございますけれども、これにつきましては、引き続き、養成あるいは現任訓練体制の整備に努めてまいります。

15ページでございます。こちらが「保健・医療」分野になりまして、5つの項目がございます。

1番目の障害の原因となる疾病の予防・治療の関係につきましては、周産期医療体制の整備。あるいは難治性疾患に対する治療法等々の開発を進めていくということでございます。

2番目の保健・医療サービスの関係につきましては、特に新しい項目といたしまして、高次脳機能障害者支援のための拠点整備に取り組んでまいりたいということでございます。

3番目の精神保健・医療施策につきましては、新しい項目といたしまして、2つ目にございますが、自殺未遂者あるいは自殺親族のケアに関する知識の普及等の支援に努めてまいります。その他、精神科救急医療体制の充実にも努めてまいります。

4番目の研究開発の関係では、新たに再生医療の研究の推進に取り組んでまいりたいと思っております。

5番目の専門職種の関係では、精神科医をサポートできる心理職などの養成に努めてまいりたいということでございます。

以上でございます。

○生活環境分野WT主査 16ページでございます。生活環境分野WTで主査を務めさせていただいております、国土交通省総合政策局安心生活政策課長の武川でございます。

生活環境分野WTでは、新たな重点施策実施5か年計画の策定に当たりまして、検討すべき主な課題といたしまして「(1)住宅、建築物のバリアフリー化の推進」。

「(2)公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化等の推進」。

「(3)安全な交通の確保」。これは信号機でございますとか、交差点でございますとか、交通安全に関するものでございます。

「(4)防災、防犯対策の推進」。

この4つの事項を掲げて、検討を進めております。

これまで当分野の対策といたしましては、公共交通機関、建築物、道路、住宅等のバリアフリー化を主に推進してまいりましたけれども、昨年、バリアフリー新法や住生活基本法が成立、施行されたところでございまして、これらの法令や関連計画に基づきまして、バリアフリー化の取組みを一層、強化、充実してきているところでございます。

今後はこれらの取組みを着実に進めまして、障害者に配慮しました施設等の整備の一層の充実を図りますほか、福祉タクシー等の障害者に対する輸送サービスの充実、更には施設管理者等に対するバリアフリー化についての理解の促進、いわゆる心のバリアフリー等を図る必要があると考えております。

また、ユニバーサルデザインの考え方に基づきまして、障害特性に応じましたバリアフリー化についても検討するほか、災害時の対応の充実等につきましても、検討が必要であると考えております。

今後、12月の最終とりまとめに向けまして、本日の御議論などを踏まえまして、更にWTにおける議論を深めてまいりたいと思っております。

以上でございます。

○情報・コミュニケーション分野WT主査 それでは、続きまして、17ページをごらんください。「6.情報・コミュニケーション分野」でございます。

とりまとめをいたしております、総務省の情報通信利用促進課長の松川でございます。

「6.情報・コミュニケーション分野」におきましては、4つの分野に分けまして検討しております。

1つ目が「(1)情報バリアフリー化の推進」。

2つ目が「(2)社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及」。

3つ目が「(3)情報提供の充実」。

4つ目が「(4)コミュニケーション支援体制の充実」でございます。

「(1)情報バリアフリー化の推進」では、障害者のリテラシー向上のための施策の推進、

障害者が使いやすい情報通信機器、システム等の開発・普及の支援促進、

JIS規格の見直し、

ホームページ等のバリアフリー化のための普及・啓発の推進について、今、検討しているところでございます。

「(2)社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及」では、電子投票の関係、

情報通信機器の取得を支援する事業の推進について、検討しております。

「(3)情報提供の充実」では、聴覚障害者情報提供施設の全都道府県での整備の促進、

非常に多くの要望をいただいております字幕番組、解説番組、手話番組の推進、

視聴覚障害者への情報提供サービスの充実、

これも多くの要望をいただいています障害者の情報へのアクセスに配慮した著作権制度の在り方について、検討しております。

「(4)コミュニケーション支援体制の充実」では、手話通訳者等の養成研修、派遣体制の充実強化について、検討しているところでございます。

以上です。

○京極会長 ただいまの政策統括官並びに各WTの御説明につきまして、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。潮谷委員、どうぞ。

○潮谷委員 ただいまWTの御発表を伺った中で、気がかりな点が2点ございます。

1つは、私どもは、障害者自立支援法は地方という観点がやや欠けた制度設計であったために、移動支援サービスあるいは通所サービス等の地域生活を支える福祉サービス面に大きな影響が出てきているということを実感いたします。WTがそれぞれ意見を聞かれたということは評価いたしますけれども、今後是非都市部と地方の両方の意見をしっかりヒアリングしていただくことをお願いしたいということが1点でございます。

2点目ですけれども、今、国土交通省から障害特性に応じたユニバーサルデザインについての発表がございました。今後の検討課題は、今後5年間を見据えて計画を立てられるわけですので、是非ユビキタス技術を活用した検討課題が、総務省あるいは国土交通省の施策にあるのではないかと思いますので、今後の検討課題の中に入れていただければと思います。

以上2点です。

○京極会長 ほかにどうでしょうか。笹川委員、どうぞ。その次に、村田委員。

○笹川委員 まず今回の後期5か年計画のベースになると思うんですけれども、身体障害者、知的障害者、精神障害者はまた別かと思いますが、昨年、実態調査がなされているはずでございます。そうなりますと、前期の障害者数と後期の障害者数は、おのずから違ってくるのではないかと思います。平成8年の調査、そして、13年の調査の間に約10%増という結果が出ております。したがって、今回も当然その程度あるいはそれ以上の増があるはずですが、それらを含めて後期計画が立てられているのかどうか。これは今後大変大きな問題になると思います。調査の状況についてはまだ報告がありませんが、いつ報告がなされるのか。この点を1つお尋ねします。

教育の問題ですけれども、御承知のとおり、国連の障害者権利条約では、統合教育ということを大きくうたっております。先ほどの文部科学省のお話ですと、特別支援教育に力を入れる。それは確かに必要なことかもしれませんけれども、国連でいう統合教育とはかなり意味が違うと思います。共生社会という以上は、まさに一般校で障害児が学ぶということが前提でなければならない。その辺の文部科学省の取組みをお聞かせいただきたいと思います。

情報サービスですけれども、最近は各省庁から出る情報は、ほとんどホームページで出されております。しかし、例えば視覚障害者の場合、ホームページを十分読みこなせる、聞きこなせるのは、限られた人々でございます。

前回の調査で70歳以上が2人に1人という超高齢社会でございますから、恐らくそういう方々にはほとんど情報が伝わっていない。この辺を今後どう対応されるのか。ただ単にわかりやすい情報の提供と言われても、私どもとしては、その辺がなかなかわかりません。その辺は明確にお示しいただきたい。

就労の問題ですけれども、今は障害一元化ということで、余り詳しい調査結果が出ておりません。法定雇用率は、今1.52%で伸びてきておりますけれども、その中身が私どもにはよくわかりません。特に身体障害者の就労状況の中で、視覚障害者が果たしてどれだけ就労しているか。その辺の数字が全くありません。そういう細かいところまで行き渡るような計画を今後しっかり立てていただきたい。トータルで出た数字だけを見ていたら、すごく進んでいるように見えても、実際はそうではない分野もありますので、この辺は今後十分に取り組んでいただきたいと思います。

以上です。

○京極会長 一つひとつ今WTの方に答えていただきますと、時間がかかりますので、最後にまとめてということで、なるべく多くの方の御意見、御質問を受けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、村田委員。次に藤井委員と順番にいきます。

○村田委員 こういう会議では心のバリアフリー化が進まないということが指摘されます。また、今日は人権を守るということが、非常に大事だという話が出ました。心のバリアフリーを進めるということと、高齢者や障害者の人権や権利を守ることは、非常に関連性があると思います。そのための具体的施策として、厚生労働省の施策の中に成年後見制度を利用するというのが1つ出てきました。

知的障害あるいは精神障害といった判断能力が不充分な人達にとって必要なのは、生涯にわたっての人の支援です。ですから、成年後見制度を使って、きちんと後ろ盾があるんだということを社会に見せていく。そのことが人権を守り、心のバリアフリーを解いていく上で非常に効果的で、後押しする制度ではないかと思います。

成年後見制度というのは、ノーマライゼーションの理念に基づいていますし、自己決定も大事にする制度ですし、残された能力を活用しようという非常に優れた理念に裏打ちされた制度です。従って全体の障害者施策を進めていく上で、例えば啓発とか広報という分野においても、人権を守るという観点から推進していく。きちんと後ろ盾をつける大事さについて盛り込んでいただけたらと思います。

以上です。

○京極会長 藤井委員、お願いします。その後、清原委員、小金澤委員ということでお願いします。

○藤井委員 私の意見は、5月24日、7月24日の本協議会の記録に入っていますので、それを参考にしてほしいんです。さて、今、伺っていまして感じるのは、報告のあった分野別の計画案はいずれももっともで、それ自体は推進すべきで、後期重点施策に盛り込んでほしいと思います。

ただ、この間の状況をみますと、障害者基本計画を策定した頃と比べても、随分と障害分野を取り巻く環境は変わっています。例えば、障害者権利条約などはそれを象徴するようなもので、おそらく批准に向かう動きが出てくるように思います。となれば、各省庁も、条約の水準を意識した取り組みが必要となり、後期重点施策を策定していくうえでもこれを基調にすべきだと思います。

本論に入る前に、もう一言。今、首相が言われましたように、また、潮谷知事もおっしゃったとおり、障害者自立支援法については、いろいろと問題や混乱が生じています。後期重点施策策定の入り口の問題として、この障害者自立支援法の問題にいかに対処していくか、これは厚生労働省の管轄になるわけですが、それなりの対応策が必要だと思います。

さて、省庁を越えて横断的に考えていく必要がありますが、とにかく障害分野に関した基礎データがなさ過ぎます。データの収集、集積をもっと真剣に考えるべきです。また、問題の深め方ですが、例えば、基本計画の前期を終えようとしている今、精神障害者や知的障害者の社会的入院や社会的入所の問題がほとんど好転をみないわけですが、この現象を深めるだけでもさまざまな課題が浮き彫りになると思います。そこには、地域の社会資源が乏しいとか、家族負担が大きいとか、所得保障が不十分だとか、いろんな面での政策上の弱点がみえてくるのです。いずれの省庁も過去5年間でできなかったことを、もっとえぐるべきではないでしょうか。

もう一つ、以前にも述べたことですが、働く問題についてです。雇用から福祉へと言われていますが、単純にそうならないように思います。雇用か福祉的就労かというのもおかしいように思います。大事なことは、雇用も福祉もと言う事であり、例えば賃金補填や、人的な支援、通院時の有休扱いなど、さまざまな支援策が講じられなければなりません。日本も批准しているILO159号条約はこの点を強調しているのであり、今後批准に向かうはずの障害者権利条約もその27条には今述べたことが含まれているのではないでしょうか。そして、この働く課題も通勤などでは国土交通省も関与すべきで、働く課題をとってみても、やはり、省庁を越えて、あるいは厚生労働省内の壁を越えた対応が必要になるのではないでしょうか。そういう意味ではこの中央障害者施策推進協議会は、横断的な場であり、もっと横断的な視点での検討や後期重点施策策定に際してもこの視点が求められるように思います。

○京極会長 ありがとうございました。

それでは、清原委員。その次に、小金澤委員という順番でお願いします。

○清原委員 三鷹市長の清原です。

新重点施策実施計画の策定に向けまして、分野ごとにWTが積極的に活動されているという御報告を伺いました。それに基づきまして、今後とりまとめをしていただく上でかぎになるまとめ方として、2つのキーワードをお話したいと思います。

1点は「地域」ということです。これは潮谷委員もおっしゃったとおり、私も、地域を「都市」と「地方」に二分化するという意味ではなくて、それぞれの「地域」の特性がある中でどのようにこれを具体化していくかという観点から、とりまとめの方向性に「地域」を位置づけていただきたいと思います。

2つ目には、各WTの御報告の中で「連携」という言葉が大変多く使われています。1つの目標を達成していくときに、機関の連携をという提言でございます。地域におりますと、やはり各機関の連携は不可欠ですし、私たちは協力の「協」に「働く」と書いて「協働」と呼んだり、あるいは「ネットワーク化」と呼んだりいたしますけれども、そのような方向性を各分野別WTが共通にお示ししていただいておりますので、是非そのようにまとめていただければと思います。

具体的なことだけ1つ申しますと、例えば啓発・交流ということで言えば、心のバリアフリーということを三鷹市では強めております。

教育・育成では、特別支援教育を具体的な現場で実施していくために、0歳から義務教育の15歳までを念頭に置きつつ、生涯学習も含めた取組みをしております。

雇用・就業では、各地域の企業の方に大変お世話になりながら、NPOに主体的に「障がい者就労支援センター」などの運営をしてもらっています。

生活支援・保健医療あるいは生活環境の整備等では、国交省さんが常に力を入れていらっしゃるバリアフリーの取組みなどをしております。

情報・コミュニケーションでは、「ユビキタスコミュニティー」というような発想での展開があるわけですが、これらが個別にそれぞれ分野別で「地域」というところで意味があります。

また、私が最近関わりました厚生労働省の社会・援護局長さんが主催されている「これからの地域福祉の在り方に関する研究会」の中で、まさに「地域」という観点を入れることによって、障害者福祉における望ましい公共団体の在り方、あるいは今までの社会福祉団体の在り方、そして、NPO、ボランティア団体等々の在り方が浮き彫りになってまいりますし、そのことを深めていく提言をしていただければ、血のかよった具体的な提案になるのではないかと思います。

今年は、日本が「障害者権利条約」に署名を行った重要な年です。だからこそ、後半の5年間というのは、今、申し上げました「地域」と「連携」の具体的な方向性を込めた計画案にまとめていただければありがたいと思います。

以上です。

○京極会長 それでは、小金澤委員。続きまして、石川委員、妻屋委員ということでよろしくお願いします。

○小金澤委員 小金澤です。

15ページの厚労省さんがまとめてくださいました部分なんですけれども「保健・医療」の中に「(3)精神保健・医療施策の推進」がありまして、これをずっと見てきまして、1つだけ大事な点が抜けております。

それは以前から言ってきたかと思うんですけれども、いわゆる当事者能力の発揮、エンパワーメント、具体的に言いますと、ピアカウンセリングだったり、当事者グループ、当事者団体といった辺りの支援が欠如しております。我々はどこから情報を得るかといいますと、個別の役所から情報を得るよりは、仲間から、例えば障害基礎年金というのはこういうのがあるとか、もらえるとか、生活保護というのは、こういうものだという情報が当事者から入ってきます。

ですから、個別なケースとしては、厚労省さんの対策で十分だと思うんですけれども、プラスエンパワーメント、当事者団体の育成と支援またはピアカウンセリング等の当事者能力を発揮する、精神障害者も参加できるような計画にしていただければと思います。

もう一点は、先ほど笹川委員がおっしゃったように、雇用率なんですけれども、ハローワークへ行きますと、精神は何%ですかと聞いてもわかりません。ハローワークの求人票が障害者枠だけなんです。問い合わせをしてもらうと、精神障害の方はお断りしていますとか、そういう形になってしまうケースがあります。年齢についても年齢不問になっていても実際はそうでないケースが多いのです。

確かにトライアル雇用とか、短時間労働といった面で雇用率自体は上がっていると思うんですけれども、その辺はもう少しきちっと精査していただきたいと思います。

○京極会長 それでは、石川委員よろしくお願いいたします。

○石川委員 先ほど藤井委員の御発言にもありましたけれども、我が国も権利条約の批准を遠からずすると思います。これまでの5か年間の計画の継承、あるいは現行の法制度に基づく延長線も大切かもしれませんけれども、今日的あるいは未来に向かってのグローバルスタンダードは、障害者の権利条約が役割を果たすことになると思いますので、基本的な観点である社会モデルや合理的な配慮あるいは人権、自己決定といったことをベースにして、各分野別のテーマをもう一度再確認していただく必要もあろうかと思います。

具体的なことについて申しますと、就労に関してなんですが、入り口を広げることも非常に重要ですけれども、就労後の職場における支援。これは被雇用者側だけではなくて、雇用者側に対する支援、コーディネーションということも非常に重要だと思います。実質的に雇用後にお互いに満足できるような関係になっていないと、やはり進んでいかないものですので、入り口のところでぎゅうぎゅう押し込んでも仕方がないという面があると思いますので、この点についても、更に御検討いただきたいということです。

それから、情報分野に関してですけれども、確かにITを用いた情報支援機器であるとか、ホームページのバリアフリー化であるとか、あるいはユビキタスコンピューティングであるとか、こういったことは重要なんですけれども、既存メディアについての言及が少し弱いのではないかと思います。

具体的に言うと、出版といったような事柄に関しましては、従来の点字図書館等によるボランティアに依存したサービスから、余り新しいアイデアが出ていないように思いますけれども、例えば最近では、出版と同時に、電子媒体での提供を、出版社と著者が自発的に行うという取組みも広がりつつあります。今までそういったことに対して、非常に消極的であったような大手も出版社も始めておりますので、こういった流れを加速させる、あるいはそれをエンカレッジする意味でも、もうちょっと広範囲にわたる情報分野のバリアフリー化について、御検討いただければ幸いだと思います。

○京極会長 大変残念ですけれども、岸田大臣は所用のため、ここで中座されます。

○岸田内閣府特命担当大臣 国会開会中で公務のため中座いたしますが、今日は本当にありがとうございます。貴重な御意見は、是非しっかりと参考にさせていただきたいと存じます。今後ともよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございます。

○京極会長 それでは、妻屋委員からよろしくお願いします。

○妻屋委員 私からは1点細かい話で恐縮ですけれども「1.啓発・交流分野」の項目の中で「○補助犬、点字ブロック、国際シンボルマーク等障害者の利活用するものに係る啓発・広報の充実」とあるんですけれども、同じ検討をするのであれば、この中に障害者用駐車場の件の1項目を是非入れていただきたいと思います。それが1つお願いです。

「○在宅就業支援の充実」とありますけれども、今どれぐらい進んでいるのか。またその内容は、具体的にどんなものなのかお聞きしたいと思います。

全体的に各省庁が行ういろんな仕事になるわけですけれども、問題は各障害者団体が障害者の役割として社会にどれぐらい貢献するかということについても、新たに検討していただきたいと思います。障害者団体が社会に貢献するのは、それなりの役割として非常に大きいものがあると思うんですが、そういった社会貢献に対する支援も入れていただきたい。各障害者団体は、それぞれの予算でいろいろな事業を行っていますけれども、その予算以外のことで、やらなければいけないことがたくさんあります。そういうこと支援するような項目を是非入れていただきたいと思います。

今の我々は生活環境がまだまだ不十分なために、特に自立支援法はまだ不十分ですので、いろいろ要求をしなければなりませんけれども、さまざまな要求はするんですけれども、私たちは何をするかということを、そろそろ考えていく必要があるのではないかと思いまして、障害者団体が社会貢献をする上での支援策も1つの検討項目として入れていただきたいと思います。

以上です。

○京極会長 ありがとうございました。

時間の関係で、後でお時間がありましたら意見交換をしたいと思います。後でもう一度回っていきますので、「(2)『障害者の権利に関する条約』の署名について」外務省から御説明をいただいて、その上で、また質疑応答をしたいと思いますが、よろしいですか。

○山本委員 会長、先にお聞きいただくわけにはいきませんか。後の方がよろしいですか。

○京極会長 後でよろしくお願いします。

それから、御質問に対しては、一問一答しますと2時間ぐらいかかってしまいますので、後で柴田政策統括官から書面で答える場合もありますし、いろんなお答えの仕方がありますので、一括したいと思います。

それでは、恐縮でございますけれども、時間の関係で「(2)『障害者の権利に関する条約』の署名について」外務省から御説明をお願いします。

○木寺外務省総合外交政策局審議官 外務省総合外交政策局審議官の木寺でございます。

この場をおかりして、障害者権利条約の署名の御報告と条約の主な条項について、御説明申し上げたいと思います。

この条約は、障害者の権利につきまして、幾つかの一般原則を定めております。

1つは障害者の固有の尊厳の促進。障害者個人の自律や自立。最初の自律は「自らを律する」。後の自立は「自ら立つ」という意味でございますけれども、障害者個人の自律や自立の尊重。差別されないこと。社会への参加などの原則でございます。

また、障害者に保障されるべき個々の人権や基本的自由について定めた上で、この人権や基本的自由を確保し、促進するための措置を締約国がとることなどを定めております。条約交渉は2002年7月にニューヨークの国連において開始されました。以後、全部で8回の会合を経て、2006年12月、第61回国連総会において採択され、本年3月30日に署名のために開放されました。

日本政府は、先月でございますが、現地時間9月28日ニューヨークの国連本部において高村外務大臣により、障害者権利条約に署名いたしました。114か国目の署名でございます。10月26日現在ですが、117か国と1の地域機関が署名をしております。7か国が締結を行っております。条約の発効には、20か国の締結が必要とされておりまして、まだこの条約は発効されておりません。

政府といたしましては、外務省、内閣府、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、警察庁の関係各課を構成員とする障害者権利条約に係る対応推進チームを中心に、この条約の署名、締結に向けた検討を行ってまいりました。今後は締結に向けて、障害者権利条約に係る対応推進チームにおきまして、各条項の担保法令の検討、論点や解釈に対する見解の統一を図る作業を行い、法令改正の要否やその内容も含め、国内法制度による実施措置を検討してまいります。

これまでの検討において、特に重要と思われる条項について簡単に説明申し上げます。この条約には、合理的配慮という新しい概念が盛り込まれております。お手元に簡単な署名の資料と仮訳を御用意しております。第2条の合理的配慮の定義では、障害者が障害を持たない者と同じように、自らの権利を行使できるようにすることを確保するための必要かつ適当な配慮を指すとしており、同時にこの配慮に当たっては、不釣り合いなまたは過度な負担を課さないものとされております。

同様に、第2条の障害を理由とする差別の定義に、合理的配慮の否定を含むと規定されていますので、これを国内においてどのように実施するかについては、今後十分な検討が必要と考えます。

第24条では、あらゆる段階における障害者を包容する教育を確保することを規定しております。日本では特別支援学校、特別支援学級、通級など、さまざまな支援を行っておりますが、このような現行制度を踏まえて、障害者を包容する教育の実現のために必要な施策を考えてまいります。

第27条では、職場における合理的配慮を提供することが規定されており、現行制度との整合性を検討しております。

第33条では、条約の実施を促進、保護、監視するための枠組みを設置することを規定しております。これは他の人権条約にはない新しいシステムであることから、日本において、具体的にどのような枠組みが可能なのか検討を進めているところでございます。

ここで、政府と障害者団体の協力について述べたいと思います。

この条約交渉に当たりまして、政府は早い段階から国内の障害者団体の皆さんと協力してまいりました。政府は条約交渉において、障害を持つ当事者として、専門的知見を有する東俊裕弁護士に政府代表団顧問を委嘱いたしました。東弁護士からは、条約案の文言が具体的にどのような場合を想定し、障害者にとって、どのような影響を与えるのか。また障害当事者から見た国内法制度の改善すべき点など、わかりやすい説明とアドバイスを頂戴しました。こうしたアドバイスは、大変有益でございました。

また、条約交渉の前には、障害者NGOと障害者施策に携わる関係省庁との間で意見交換を行い、実質的な条約づくりを目指してまいりました。今後は締結に向けた意見交換を障害者団体と行ってまいります。

今後、政府といたしましては、可能な限り早期の締結を目指して検討を行ってまいる考えでございます。また、この条約が障害を持つ当事者とともにつくられてきた交渉経緯を踏まえまして、障害者団体の意見も参考にしながら、締結に向けて更に検討を進めてまいりたいと考えます。

個別の条項について御質問がありますれば、本日、出席しております関係省庁とともにお答え申し上げたいと存じます。

ありがとうございました。

○京極会長 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。

なお、新しい5か年計画についての御質問がまだ残っていますが、まだお時間もありますので、それはこの議論が終わったらしたいと思います。よろしくお願いします。

とくもいいんからお願いします。

とくもいいん 差別禁止条約の批准の件で意見申し上げます。

差別禁止というのは、理念ではなくて、恐らく具体的な場面において問われていくことになると思います。御説明の中でも、合理的な配慮や包容ということが具体的に何を指すのかは、多分これからの議論になるのだとのご説明だったと思いますが、今年の第166回国会の参議院内閣委員会で、障害者差別の禁止に関する法制度の在り方について十分な検討を政府に要請する決議がされたとも聞いております。差別禁止という法令は日本の法令の中でどのようにつくっていけるのか、是非十分な御検討をいただきたいなと思っております。

私がいただいた資料をさっと斜め読みした範囲では、相当国内法の議論を行い、差別禁止の中身を具体化していく作業は不可欠だと感じておりますので、そこの御検討を是非よろしくお願いしたいと思っております。

それから、教育のところで「包容」という翻訳については、幾つか異論もあるやに聞き及んでおりますので、日本語の訳文についても、十分な合意形成を図っていただきたいということが2つ目です。

3つ目は、精神保健などで強制的な措置の体系を政策体系の中にまだ持っておりますので、そういうことと差別禁止との整合性がどのように図られていくのかについても、研究、検討を是非お願いしたいなと思っております。

以上です。

○京極会長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 簡単に申し上げます。

今、木寺審議官から大変丁寧に説明がありました。今も出ましたけれども、9月28日の署名が行われた瞬間に仮訳が出されて、いよいよ締結への準備が整備された。実は仮訳に注目していたんですが、やはり幾つか民間の思いとは違って、随分とずれが出ています。

今ありましたように、インクルーシブを包容あるいはインテグリティを健全、監視メカニズムに関してフォーカルポイントを中央の連絡先などと訳しています。確かに間違っていないんだけれども、随分低い次元の訳に終始した感じがあります。是非公定訳をつくる段階では議論していきながら、できればいい訳にしていただきたいと思います。と申しますのは、それによって解釈をどうするのか。

解釈の次には、各条項の国内法との比較が始まってきます。すべて出発点は訳なんです。したがって、大変大きい問題でありますので、もう仮訳はでき上がっていて変更は難しいらしいんですが、極力、条例の解釈段階で柔軟に対応していただき、先ほども言ったように公定訳段階では是非とも意見交換をした上で考えていただきたい。

いずれにしても、署名をした政府が出す次期の5年のプランですので、やはりこれに恥じない内容で、是非やっていただきたいということを更に意見として加えておきます。

○京極会長 ほかにどうでしょうか。

大変重要な御意見、御質問等が出ましたので、これを受け止めていただきまして、先ほど新しい5か年計画について、まだ質問が残っていましたので、山本委員からひとつお願いいたします。

○山本委員 私も3点になるかと思いますが、まず数値目標というところで話をさせていただきたいと思います。

今回、地域格差をなくす意味合いで数値目標を導入し数値化してわかりやすくした取り組みであるのですが、例えば移動支援事業等においては、視覚障害の方のガイドヘルパーであり、全身性の方のサービスであり、知的障害の方のサービスであり、精神障害者の方のサービスを一纏めにした内容での数値目標であるため個々のサービスについて実績把握ができない。また、限られた時間のなかで現状の実績をベースにとりあえず数値化していることもあって、私どもの把握したなかに10倍~20倍に近い格差が現実に存在しています。

2点目は、生活分野のところでございますが、今、妻屋委員からもお話がありましたがバリアフリー新法の定着であって、今までの会議の中でもお願いをしてきておるわけでございますが、バス停留所のバリアフリー化を推進いただきたい。

また、都市部では低床バスやノンステップバス化が比較的順調に進んでいるが10年間で達成する数値目標そのものが低床バスで53%、ノンステップバスが30%であったと思いますが後期のなかでは更なる前倒しの見直しをいただきたくお願いします。

次に3点目は本日の12ページの雇用・就労分野でございますが、今日の日経のニュースなどによりますと、障害者の就労を支援するため、来年度から全国の主要なハローワークに数百人規模の専任職員を配置し、障害者の就労を企業での人事の経験者などが橋渡しをして「意欲のある障害者の雇用につなげたい」という内容の記事があって、施策の推進をいただけるような記事が出ておりました。

この中にあっても、先ほどから言われております合理的配慮との兼ね合いの中で、当事者参画という中にあって、どちらかというと上から与えていただけるだけではなくして、当事者参画で合理的配慮を併せ持って議論した中で、こういう施策も打ち出していただけるような、これからの施策を確立していただきたいなという具合な感じを持ちました。

いずれもこれらの考えのもとに新たな「重点施策実施5か年計画」に採り入れていただきたく重ねてお願いたします。

○京極会長 せっかくの機会ですので、御発言なさっていない方でいらっしゃいますか。それでは、佐藤委員、岩城委員という順番でお願いします。

○佐藤委員 余り時間がないようですので、簡単に申し上げます。

私は「4.生活支援・保健医療分野」のところで、1点だけ申し上げたいと思います。「(4)施設サービスの再構築」という項目があって、地域移行の推進ということが書かれているわけですけれども、精神障害を持つ方の多くが社会的事由で入院をされている。早くこういう方々を地域移行させるべきであるというのは、当然のことであります。

一方、知的障害者あるいは身体障害者と言われる人たちのための入所型の施設のほとんどは、医療施設ではありません。そのことで言えば、こうした人たちは全部が社会的理由で入所している方々であります。したがって、社会的理由で入院としている方々の地域移行を促進するということであれば、当然、施設入所者は全員が地域移行の支援を受けるべき人たちであると考えるのが、恐らく論理的には正しいんだろうと思われます。

今回の自立支援法は、いろいろと問題点があると言われておりますけれども、最も主要な問題は、恐らくこれからの地域福祉をどういうふうにつくり上げていくかということに関して、施設との関係、いわゆる入所型の施設との関係をきちんと整理し切れていない。自立支援法が1条や2条にうたっていることを実現していくために、どういう運用をされるべきかということが、下世話な言葉で言えば、腰が座っていないことが大きな問題で、その結果として、利用者負担の問題や事業者からのいろんな不満が出てきていると思います。それらは、実は自立支援法の一番大きな問題なのだろうかと逆に思っているわけでありまして、ここの文言の扱いを含めて、今度の5か年計画の中では、地域移行という問題を中心にした考え方の整理をきちんとやるべきだと思っております。

以上です。

○京極会長 岩城委員、どうぞ。

○岩城委員 重症心身障害者障害児(者)を守る会の岩城でございます。

本日、手元にきております「新たな『重点施策実施5か年計画』策定に向けた取組状況等について」の14ページの「生活支援」のところで、お尋ねします。

前回までは、同じ生活支援の在宅サービスに重症心身障害児(者)通園事業を約280か所整備するとありました。私ども重症心身障害というのは、勿論、就労もできません。地域で生活または施設入所の者がほとんどでございます。

その中において、特に医療的ケアをどうしても必要としてまいります。現在は、おかげさまで呼吸器をつけても在宅で生活ができるようになっております。子どもたちの家庭での在宅生活というのは、通園事業なくしては成り立たない。そして、施設も勿論なくしては成り立たないわけですが、これらが今回この中には文言としてはございませんが、これは前回の280か所が本当に整備されるものと理解してよろしいんでしょうか。

○京極会長 御質問ですね。

ほかにどうでしょうか。みやざきいいん、どうぞ。

みやざきいいん ありがとうございます。

本日「新たな『重点施策実施5か年計画』策定に向けた取組状況等について」を見せていただいているわけですが、それぞれWTをつくって計画的に立案をしていただいていることにつきまして感謝申し上げます。

基本的な点については、全く異論はないのですが、全体の取りまとめをするに当たり、先ほど三鷹の清原市長さんに、地域と連携という2つのキーワードをお示しいただきました。この点につきまして全く同感です。私も懇談会の席上では、連携について、特に思うところがありまして発言させていただいたのですが、前期5か年計画の実施状況の数値目標に関しては、省庁独自の個別的な対応で達成できているところが圧倒的に多いわけです。問題は、連携をして対応するという仕組みを省庁を超えて御努力をなさっていることに、大変敬意を表したいと存じますが、この点の取組みを一段ときっちりと整備していただきたいと考えているわけです。

1例を申し上げますと、総理大臣の発言の中で、2つ目のプロットのところに、「発達障害を始めとする障害のある人が十分な教育を受けることができるような、積極的な条件整備に取り組む」とあるわけです。これは教育基本法の改正を踏まえてとありますが、現実には発達障害者支援法等の整備が進んだ中で、こういった問題がクローズアップしてきていますし、特別支援教育の中でも、小中学校あるいは幼稚園、高等学校での支援のありようも、今後の大きな課題になると思います。この点は、前期の「重点施策実施5か年計画」策定時点では存在しませんでした。それで、特別支援教育という点に関して言えば、文部科学省だけで対応できるかというと、決してそうではなくて、例えば今回の啓発・交流の福祉教育の推進の中身を見ても、こうした点についての視点がかなり必要ですし、10ページの「2.教育・育成分野」の「(1)一貫した相談支援体制の整備」といったような観点からしても、ここは多方面にわたる支援があって、初めて達成される中身だと思います。

こうした観点からだけで、部分的にだけですが見ていきますと、15ページにあります「保健・医療」の関係で少し気になったのは「(5)専門職種の養成・確保」の「○精神科医をサポートできる心理職等の養成」です。これは大変大きな課題だと思うのですが、同時に発達障害者支援法の策定の時期に、「発達障害」という規定について省令で定めるための審議をしたときに、児童精神科あるいは精神科の先生の圧倒的な不足ということが議論されておりました。特に児童精神科の絶対数が足りないわけです。こうした問題についても、やはりきちっと整備を今後していく必要があると存じます。

そういう意味では、乳幼児期から学齢期、卒業後まで一貫した支援体制の整備といった点等を考えたときに、安心して支援が受けられる仕組みを確保するために、さまざまな関係機関が連携する仕組みを今後つくっていかなければいけない。この辺りが大きな課題になっていくのではないか。つまり、障害者福祉あるいは教育に関わる質の向上という観点から、こうしたことを加えて、整備をしていただければ、大変ありがたいと思います。

以上です。

○京極会長 どうもありがとうございました。

時間がきましたが、もう一方どうぞ。ニキ委員と館森委員の2人でお願いします。手短にお願いします。

○ニキ委員 ただいま児童精神科の話が出たところなんですけれども、私どもは大人になっても児童精神科のお世話になります。精神科に間借りしていることもあるんですけれども、とにかく精神障害のための対策に間借りするとか、たまたま知的障害が合併しているからという理由で、知的障害に間借りするとか、間借りの連続、継ぎはぎはそろそろやめさせてほしいと思います。発達障害の人には、身体的側面もかなりあります。人によりますけれども、私自身もあるいは私の周りの知的障害を合併しない自閉症スペクトラムの方でも、咀嚼や嚥下に困難を抱えている人や体温調節に困難を抱えている人がたくさんいます。

やはり精神に間借りとか知的に間借りですと、身体的な側面がどうしてもおいていかれてしまいますし、発達障害者は文科省とかそういうのは困るんです。とにかく大人になっても児童精神科にお世話になれるようにということと、児童精神科が幾らなんでも少な過ぎますから、子どもたちのものを横取りするわけにいきませんので、これでは幾らなんでも足りません。

○京極会長 どうもありがとうございました。

いずれにしても、障害者自立支援法に発達障害者については入っていませんので、3障害だけですので、これは今後の1つの課題だと思っています。

それでは、館森委員、最後にお願いいたします。

○館森委員 東京都知的障害者育成会本人部会の館森と申します。全日本育成会の国際活動委員会の委員もしております。

前からお願いしているんですが、わかりやすい障害者基本計画ができましたが、本年度はイラストなどが入ったパンフレットをつくってほしいと思っております。

また、本人活動につきましては、私たちが参加をして意見を言うために、わかりやすい情報や資料が必要です。これは日常の暮らしの中で関係します。私たちが考えるには時間が必要です。その場で考えるのは大変です。暮らしの情報をどこから得るのか。本人活動や周囲から情報を得る必要があります。しかし、私たちがわかるような資料は本当に少ないんです。私たちもわかりやすい情報があれば、意見を言えるのです。だからこそ、本人活動をすることで、本人の活動ができるように、わかりやすい勉強会をします。人間関係をよくするために交流をするのです。

このように、自分たちの活動の中に本人が参加することで、地域がよくなっていくと思います。地域の中で本人が活動できるように、本人たちの声をよく聞いてほしいと思います。福祉はだれのためにあるか。我々に関することには、我々の意見を聞いてほしい。

後期5か年計画の中でも、グループホームの数字化も必要ですが、目標の数字は何を基準としているのかわからないと仲間は言っています。そして、サービス目標数字だけがあればよいのでなく、実際の暮らしの場面でどう調べるのかが重要です。グループホームでも、よいグループホームまたは余りよくないグループホームもあります。それらが役に立っているか調べることも必要ではないかと思います。

広報についての情報が私たちのところになかなか入ってきません。それはいろいろなところから情報が出てこないということもありますし、またはパソコンなどで広報しているといっても、ただ一方的に出しているだけでは、私たちに伝わってこないと思うので、よろしくお願いします。

○京極会長 どうもありがとうございました。

時間がきまして、個々に答えたら1時間ぐらいかかってしまうと思うので、事務局からまとめて答えていただけますか。

○柴田政策統括官 時間が限られていますので、ポイントを申し上げます。

重点施策実施計画は、今年12月の恐らく予算のセットのときに最終的に決定されるということで、今そこに向けて私どもも政府一体となって頑張っているところでございます。

今日のこの会議は、今、検討している内容について皆様に御報告申し上げるとともに、もしかしたら、まだこういう点があるのではないかということがあれば、その御意見を賜るということと、先ほど意見を聞くべき相手として、こういう方から聞いた方がいいのではないかというお話もございましたけれども、そういう今日の御意見を踏まえまして、12月の最終のところに向けて、更に私どもでいろいろと練っていきたいと思っております。

非常に丸めた回答で申し訳ございませんけれども、今日いただいた御意見は大事な点がたくさん入っておりましたので、私どもなりによくかみ砕いて、こなして、そして、実施計画に反映できるものはしていくという形でやっていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○京極会長 ありがとうございました。

今日は残念ながら、時間の関係で発言できなかった方は、文書として事務局へお出しいただければと思います。

本日、予定されているすべての議題は終わりましたので、最後に中川副大臣からごあいさつをお願いいたします。

○中川内閣府副大臣 内閣府副大臣の中川義雄です。

今日はずっと皆さん方の御意見等を聴取させていただきまして、非常に多岐にわたって、そして、難しいたくさんの問題があるなという感じがしております。

今、事務当局からお話が出たように、重点施策実施5か年計画につきましては、暮れの予算との関係で、しっかりとしたものをつくっていかないといけないと思うんですけれども、時間的な制約や財政的な制約等いろんなものがあると思いますから、我々は政治家として、できるだけ皆さん方の声が施策に反映するように、最善の努力をしたいと思っています。

そして、障害者の権利に関する条約につきましては、今、貴重なお話も出ましたが、これはある程度じっくり時間をかけて、将来に向かって、障害者にとって憲法のようなものとして大事につくり上げていきたいと思いますので、今後とも皆さん方の貴重な御意見をいただきたいと思います。

この問題はこの会だけではなくて、広く各界各層また地域、特に我々の施策というのは、どうしても東京を中心にした方々の参加はありますが、地方の声というものが、反映しにくくなってきております。そんなこともありまして、地方の方々の意見も十分聞きながら、今後ともしっかりやっていきたいと思います。

いずれにしましても、各委員の皆様方には、今後とも御指導と御協力をいただきたいと思います。ありがとうございました。

○京極会長 どうもありがとうございました。

これをもちまして、本日の会合を終わらさせていただきます。

次回の開催は、事務局を通じて連絡させていただきます。

本日は誠にありがとうございました。