中央障害者施策推進協議会 第6回
- 日時
- 平成21年12月11日(金) 13:00~15:00
- 場所
- 総理大臣官邸2階大ホール
- 出席委員
- 石川会長、石野委員、今野委員、岩城委員、、川本委員、
京極委員、清原委員、小金澤委員、笹川委員、佐藤委員、潮谷委員、
篠原委員、副島委員、高山委員、竹中委員、館森委員、田山委員、
妻屋委員、野村委員、樋口委員、福島委員、藤井委員、松尾委員、
水越委員、、村田委員、山本委員、米田委員、 - 1.開会
- 2.議事 :
- (1)今後の障害者施策の在り方について
- (2)その他
- 3.閉会
内閣府 政策統括官(共生社会政策担当)付
障害者施策担当
○松田政策統括官 定刻になりましたので、これより「第6回中央障害者施策推進協議会」を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。内閣府政策統括官、松田でございます。
委員改選後、初回の会合でございますので、会長選任を行うこととなりますが、これまで会長を務められた京極委員に、それまでの間、司会進行役を お願いしたいと思います。
京極委員、よろしくお願いいたします。
○京極委員 それでは、会長選出までの間、協議会の進行を努めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
本日は内閣府から福島特命担当大臣、大島副大臣、泉大臣政務官がそれぞれ出席しております。
また、外務省からは西村大臣政務官、厚生労働省からは山井大臣政務官が御出席されております。
なお、鳩山内閣総理大臣は、後ほど到着の予定となっております。
まず、今回、新しく委員に就任された方を御紹介いたします。
全日本ろうあ連盟理事長の石野委員。
学習院大学経済学部教授の今野委員。
全国労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長の篠原委員。
日本発達障害ネットワーク理事の高山委員。
以上でございます。
それでは、本協議会の会長の選出に移りたいと思います。
中央障害者施策推進協議会令第2条におきまして、「中央協議会に、会長を置き、委員の互選により選出する。」となっています。
司会の私からでございますけれども、これまで長く経緯がありまして、私が会長を務めておりましたが、新たな会長は、有識者であるとともに、障害当事者でもございます委員の中から、石川委員にお願いしたらどうかと思います。私もこれから石川委員を支えてやっていきたいと思いますので、いかがでしょうか。
(拍手)
○京極委員 それでは、御異議なしとの声がありましたので、石川委員に本協議会の会長をお願いしたいと存じます。
それでは、石川委員、恐縮でございますけれども、会長席に移っていただきまして、今後の議事運営につきまして、お願いしたいと存じます。
○石川会長 石川でございます。
一言、あいさつをさせていただきます。
これまで、長い間会長として御尽力いただきました京極委員に、まず心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。今後とも御指導をいただきたいと存じます。
また、制度改革等、大変重要な時期に来ておりまして、本中央障害者施策推進協議会に対する障害当事者諸団体及び関係諸団体等からの期待も非常に高うございます。また、委員の中からも、この協議会に対する期待の高さを、感じております。
そういった時期に会長を引き受けさせていただきますので、大変微力ではございますが、皆様の御見識、御経験、専門的な知識を合わせて、委員各位、事務担当、全体でこの協議会の役割を、更に大きなものにしていきたいと思いますので、どうぞ御協力よろしくお願いいたします。
簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。
それでは、議事を進めたいと思います。
まず、協議会令の第2条第3項に、会長に事故があるときのために会長代理を置くということが定められております。これは会長が指名するということになっておりますので、指名させていただきたいと思います。
会長代理としまして、村田委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○村田委員 村田でございます。よろしくお願いいたします。
○石川会長 間もなく鳩山内閣総理大臣が御到着になる予定ですが、しばらくお時間がございますでしょうか。
それでは少し時間がございますので、協議の中に入りますけれども、先に 内閣府の方から説明をしていただこうと思います。
最初は、「障がい者制度改革推進本部について」、内閣府より御説明をいただきます。
○泉内閣府大臣政務官 では、こんにちは。大臣政務官の泉でございます。
福島大臣、大島副大臣とともに、この政策の変化を御実感いただけるような、充実した障害者施策の推進に努力をしてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、中障協のメンバーの皆様に、まず心から感謝を申し上げますとともに、障害者基本法に規定されました中障協というのは、基本計画への意見具申という機能がございます。
そして、総理出席という特別の重みを持った場でもございますので、その役割は非常に大きなものであるというふうに理解をしております。
一方で、これまでの開催形式や運営方法などについても調べさせていただきましたが、ここについては、少し改善も検討する必要があるのかなということを感じております。
もうすぐ総理が来られると思うんですが、このたびの新政権は、やはりこれまで私たちのことは私たちの手でというふうに、当事者の皆さんが多く声を上げてきたということをしっかりと大事にして、施策の推進を考えていきたいというふうに思っております。
まず、その1つが、内閣府の中における事務局の体制であります。中障協の皆様からも、かねてから事務局機能の強化というお声がございましたけれども、このたび事務局である内閣府共生社会担当障害者施策担当部局に障害者政策の専門家であり、また当事者である方の常勤枠をつくるべく、現在準備を進めているところでございます。この中障協の事務も含め、内閣府の障害者施策全般に携わっていただくことを考えております。
一度、これで後ほど、説明ということにさせていただきたいと思います。
(鳩山内閣総理大臣入室)
○石川会長 ただいま鳩山内閣総理大臣が御到着になりましたので、ここで 最初にごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○鳩山内閣総理大臣 お集まりの皆さん、こんにちは。
この協議会は、2期4年間にわたりまして、会長がお努めくださいましたことを、まず心から感謝を申し上げたいと思います。
新しい政権になって、この協議会の開催に当たって、新会長として、石川准さんがおなりになったということでございまして、お祝いを申し上げながら、大変大きな責任を持ったお役目でありますので、御苦労さまだと申し上げたいと思いますが、大いに頑張っていただきたいと、心から期待を申し上げたいと思っております。
私は、まず、今日は竹中ナミさんもお見えでありますので、中央障害者施策推進協議会ですから、タイトルに障害者という名前がつけられておりますが、障害者という言葉よりもチャレンジドと竹中さんがよくお使いになっておられますが、その方が望ましいなと思っておるわけでございまして、こういうこと一つ一つも、ある意味でいろいろと新政権において考えていかなければならないことだと、そのようにも感じているところでございます。
私なりに一言申し上げれば、私が留学中に大変驚いたことは、全く目が見えない方が、私が普通のスピードで歩いておりましたら、後ろからやってきてあっという間に追い抜いていかれてしまいました。
あいさつだけ申し上げた思いがございますが、あのアメリカにおいては、障害がおありの方も、健常者の我々よりも、いわゆるバリアフリーのことを安心して生活をされているんだなと、そう思いまして、非常に感じ入ったこともございます。
その方があるとき、オプタゴンという機械を持ってこられて、アルファベットで26文字でありますから、割と簡単ではあるんだろうとは思いますけれども、本を、私が読む英語のスピードよりも速いスピードで、全く目が見えない方でありますのに、お読みになっておられる姿を見て、これもまた感じ入った次第でございます。
障害がおありの方、チャレンジドの方々が、まさにチャレンジ精神の中で、健常者以上に見事にお暮らしの中で頑張っておられる姿を見て、こういう日本にしていきたいなという思いを、その当時感じたところでございます。
いろんな面で、障害者の権利条約、まだ日本として不十分な状況であろうかと思いますので、こういった議論も、是非皆様方も十分していただいて、早く締結ができるようにしていかなければならないと思いますし、その先にあるのは、いわゆる障害者差別禁止法、これもアメリカを初めとして世界の多くの国が、既に実践をしているわけでございます。
いろいろと、まさに障害があってできないんだみたいな議論があるようではございますが、こういったところも極力新政権としては、前向きに取り組んでまいりたい。そのようにも思っております。
その意味で、私たちは、新たに障害者の皆様方のために、制度改革推進本部という名前に改組いたしまして、新たな組織の中で、再出発していこうじゃないかということを誓い合って、3日ほど前に、その方向で閣議で決められていったところでございます。
是非、皆様方にも、今日までこの協議会の中で熱心に御議論をいただいてくださっておりますことに感謝を申し上げながら、すなわち、障害者の基本法の精神に基づいてつくられたこの協議会が、更に協議会の役割を十二分に果たしていただけるように、そしてそのことが政府の方針と一致できるような、政府の迅速な対応をしていけるように、私として全力を傾注してまいりたいと思っております。
改めて石川会長のもとに、再出発をされていかれますこの協議会が、大いなる活躍をされていかれますように、チャレンジドの皆さん方が、胸を張ってこの国に生まれてよかったなと、そのように感じていただけるような日本をつくっていけるように、私どもの最善の協力を申し上げることをお約束申し上げて、一言、長くなりましたが、総理として皆様方へのあいさつといたします。
お互いに頑張りましょう。ありがとうございました。
○石川会長 鳩山総理、ありがとうございました。
総理は後ほどやむなく退席されますので、この機会に今回から新しく委員に就任された方の中で、当事者として活動をされていらっしゃいます、石野委員と高山委員に、まず御発言をいただきたいと思います。
五十音順ということで、着席のままで簡潔に恐縮ですけれども、まず石野委員からお願いします。
○石野委員 ただいま御紹介いただきました、全日本ろうあ連盟の石野でございます。住まいも職場も、滋賀県です。
この6月に全国ろうあ者大会において、新しく理事長に選ばれたばかりです。これからも皆様の御協力、御指導をいただきたいと思っております。
以前の中障協の委員としては、安藤が参っておりました。年齢もありますので、今回引退いたしまして、私の方で担当させていただきます。
現在、連盟の方で取り組んでおりますことは、創立60周年記念としてろうあ者の歴史の中で差別・偏見と闘ってきた「ゆずり葉」という映画を製作しました。今、全国的に上映活動を進めております。マスコミなどからも絶賛いただいておりますので、是非皆様方にもごらんいただきたいと思っております。
○石川会長 ありがとうございました。高山委員、お願いいたします。
○高山委員 御紹介いただきました、日本発達障害ネットワーク理事の高山恵子と申します。この会議に初めて参加させていただき、感謝いたします。
ADHD、LDや高機能自閉症など、今まで障害の範疇に入っていなかったグループを含めて発達障害ということで、障害の中に入ることになりました。いろいろな支援を開始していただいていますが、アメリカなどと比べて、まだまだ30年ぐらい遅れています。これから是非この分野の支援もよろしくお願いいたします。経験不足ですが、いろいろ御指導をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○石川会長 高山委員、ありがとうございました。
それでは、先ほど泉政務官の方から説明をしていただいて、まだ始まったばかりですので、もう一度最初から御説明いただけますか。
○泉内閣府大臣政務官 はい、わかりました。改めて説明の方をさせていた だきます。
やはり新しい政権ということで、皆さんに変化を実感していただけるような施策を進めていきたいということを、冒頭申し上げましたが、中障協というのは、基本計画への意見具申という、法律で決められた大変重要な機能を有しているということ。そしてまた、総理出席という特別の場であるということもありまして、非常に役割は大きいというふうに考えております。
一方で、先ほども指摘をさせていただきましたが、これまでの開催の形式ですとか、開催の回数等々も含めて、これは改善の余地があろうかというふうに、現在、認識をしているところであります。
そしてこの政権というのは、これまで障害当事者の皆さんが、再三、声を上げてきた私たちのことは私たちの手でというその思いを、実現できるような新しい政権というふうに考えておりますが、その1つとして、内閣府における事務局体制の中に、中障協の皆様からも、かねてから事務局強化というお声がありましたけれども、内閣府共生社会担当障害者施策担当部局の中に障害者政策の専門家であって、また障害当事者である方の常勤枠をつくるということを、今、準備を進めているところでございます。
この中障協の事務ということも含めて、内閣府全般の障害者施策の全般に携わっていただくということを考えているところでございます。
2つ目が、今後の制度改革の推進体制についてです。今日お配りしている資料1というのをごらんください。
「障害者制度改革の推進体制」という紙になります。先週12月8日の閣議決定で、障がい者制度改革推進本部というものが設置されました。
この推進本部は、障害者の権利に関する条約の締結に必要な国内法の整備を始めとする、日本の障害者に係る制度の集中的な改革に向けて、当面5年間を集中期間というふうに位置付けて、改革の推進に関する総合調整、改革推進の基本的方針案の作成について検討を行うというものになっております。
同時に、「障害」という文字の表記、先ほど鳩山総理からもお話がございましたけれども、この表記のあり方についても、検討させていただくということを考えております。
推進本部というのは、従来どおり障害者基本計画についても審議をしてまいりますので、次期基本計画の策定の際に向けても、また中障協の皆様に御意見を求めるということになるわけですが、このたびは、更に新しい政権の考え方に基づいた、改革の具体的項目の検討を進めるために、この図の本部の下にございます、「障がい者制度改革推進会議」というものを、本部長決定にて設置をしていく予定でございます。
この推進会議の中の主な検討事項としては、障害者権利条約の実施状況の監視等を行うモニタリング機関、あるいは障害を理由とする差別の禁止に関わる制度、そして教育、雇用、障害福祉サービス等々が含まれるということになります。
これらの分野別の課題を精力的に検討していくということを考えると、この推進会議のもとに、必要に応じて部会を設置して開催をしていくというのが、この表の一番下の「部会(施策分野別)」というふうに書いてあるところですけれども、そういった部会を設置し、開催してまいる予定であります。
先ほどの、事務局体制の補足としては、年内に、この推進会議についての事務局機能を担う担当室というものを設けることにします。特別に部屋があるわけではないのですが、担当室長という立場も置きまして、この室長にまさに障害当事者の方に、御就任いただくということを考えております。
また、推進会議の人選につきましては、内閣府の中でよく検討をして、年内に決定をさせていただいて、勿論、障害当事者を主体としながらの推進会議になりますけれども、年内に決定をした上で、年明けに会議開催を目指して、今、作業を進めているところでございます。
資料1を1枚おめくりいただきますと、12月8日付の閣議決定をお配りしております。中障協の皆様におかれましては、今後とも障害者基本計画の策定等の大事な節目ごとにも、御意見をいただくというふうに考えておりますので、どうぞ御協力のほどをよろしくお願いを申し上げます。
以上でございます。
○石川会長 ありがとうございました。
それでは、時間もございますけれども、お1人ぐらいになるかと思いますけど、後でまた時間をとりまして議論をいたしますが、特に今の説明について、不明な点等ございましたら、1点、御質問をお受けしたいと思いますが。
では、最初に潮谷委員の方からお願いいたします。
○潮谷委員 ありがとうございます。
ただいまの御説明の中で、少し意見を申し上げさせていただきたいと思います。
まずは、今回の会議が石川会長という、大変画期的な形で進められていくということを、評価させていただきたいと思います。
それから御説明の中で、「障害」表記のあり方に関する検討を、今後行っていくということでございますが、やはり大事なことは、表記の中身が非常に問われてくると思います。
そういった意味で申し上げますと、私は、前熊本県の知事をしておりましたときに、障害の「害」の字を平仮名で表記させていただきました。
そして同時に、このたびの障害者の権利条約の第2条に基づき、障害のある方も含めて、社会全体が暮らしやすいものになるという、ユニバーサルデザインの環境を提供していくことによって、社会参加と平等を促進して権利を実現する社会を創造していくということが、今後大事になっていくと思いますので、意見を述べさせていただきました。
ありがとうございます。
○石川会長 ありがとうございました。
それでは、清原委員、お願いいたします。
○清原委員 ありがとうございます。東京都三鷹市長の清原でございます。
このたび障がい者制度改革推進本部が設置されるに当たりまして、「障がい者」の「がい」が平仮名表記となりました。
前熊本県知事の潮谷委員もおっしゃいましたが、私も三鷹市長になりまして、翌年、障がい者の表記の「がい」を平仮名にさせていただきました。
その思いは、表記が変わることで障がい者の皆様に、より一層さまざまな活動の当事者になっていただく契機をもたらしたいという趣旨でございました。そして、今も、残念ながらある、障がい者の皆様に対する偏見や人権侵害を徹底的になくしたいという趣旨でございました。
したがいまして、今回、政府が障がい者制度を改めるに当たって、まず本部名を平仮名表記にされたというのは、第一歩だというふうに思います。
あわせて先ほど総理は、「チャレンジド」という言葉も、大変意味のある言葉だとおっしゃいました。私もその「チャレンジドを納税者に」という活動を御一緒させていただいてきた立場から、この平仮名表記だけにこだわらず、障がい当事者の皆様の多様な御意見を聞いていただいて、表記に関する取組みをしていただければと思います。
2点目に、このたび、担当室長として障がい当事者の方に活躍をしていただくという方針をまとめられたということでございます。先ほどの潮谷委員の発言と重なるのですが、障がい当事者の方が、重い役割をのびのびとしていただくためには、さまざまな支援が必要です。人による支援だけではありません。権利条約でもICT、すなわち情報通信技術ということが明確に示されておりまして、やはり自立支援には情報通信技術など、幅広い科学技術や具体的なシステムのあり方が、大いなる助けになると思います。
したがいまして、このあたりにつきましては、内閣府を中心としながらも、ほかの省の協力、総務省や経済産業省、文部科学省等の協力を強く受けることによって、自立支援が更に進むと思います。
最後に、この協議会も当事者の方がたくさん参加してくださっています。三鷹市でも計画をつくるときに、勿論障がい当事者の方に参加をしていただいていますが、障がい者施策を実行する上でも、たとえば三鷹市の障がい者地域自立支援協議会には、障がい当事者の方に加わっていただいています。
障害者の自立を支援するのは、健常者だけではありません。当事者の方に計画づくりだけ、制度づくりだけではなく、具体的な活動にも中心的な役割を担っていただけるような制度を、更に実現していただければありがたいと思います。
以上です。貴重なお時間をありがとうございました。
○石川会長 ありがとうございました。ここで総理が退席されます。一言ごあいさつを。
○鳩山内閣総理大臣 本当に退席しないといけなくなりました。申し訳ありません。
皆様方から熱心に御議論をいただいて、一つ一つの御意見を大切にいたしたいと思います。
表記の問題は、大変ある意味で大事だと思っております。デザインも同じだと考えております。
今、活動当事者の方が活動をされるために、必要なICTの導入その他も、大変重要な御指摘だと思っております。政府としてもその方向で頑張らせていただきたいと思います。
最後に、高山委員の方からお話がありましたが、発達障害は、実は私のいとこも1人発達障害の子がおります。おかげさまでというか、アメリカでずっと生まれて暮らしているものですから、そのことをほとんどを意識しないでずっと暮らしていけるような状況になっています。
そういう意味では、まだまだ彼我の開きがあるのかと思っております。それを彼我の開きが、できるだけ埋められるように努力をするのが、政権の役割だと思っておりますので、いろんな御意見を是非、聞かせていただいて、聞く一方でなく、それを実現できるように、一生懸命、政権としては頑張っていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
今日はありがとうございました。失礼いたします。
(鳩山内閣総理大臣退室)
○石川会長 それでは、次に、外務省より、障害者の権利条約について、御説明をいただきたいと思います。西村政務官、よろしくお願いいたします。
○西村外務大臣政務官 外務大臣政務官の西村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私から、障害者権利条約について、現在の状況を簡潔に御報告申し上げます。今ほど泉政務官が御報告くださった資料に続けて、資料2をごらんいただきたいと思います。
障害者権利条約は、2001年12月の国連総会決議に基づく計8回のアドホック委員会での検討を経まして、2006年12月の国連総会で採択されました。
2008年4月3日に締約国が20か国に達したことを受けて、本条約は同年5月3日に発効しております。
その後も締約国数は増加傾向にありまして、本年11月末までに、142か国及び1の地域機関、これはECでございますが、これらが署名し、11月までには74か国が締結済みとなっています。しかし今月に入りまして、またこれが増えまして、今日現在では、76か国が締結済みでございます。
我が国は、障害者の権利及び尊厳を保護し及び促進するための本条約の意義を認めまして、起草段階から交渉に積極的に参加してきております。国会議員や当事者団体の皆様も、アドホック委員会に代表を送るなどされて、本 条約に高い関心を持って関与してまいりました。
我が国が本条約を締結することは、モニタリングのための国内の枠組みの設置や障害者の権利に関する委員会、これらによります国際的な評価、そして社会権的権利の漸進的な実現に向けた施策の促進等を通じまして、我が国の取組みを一層強化することができるほか、人権尊重についての国際協力を一層推進するとの意義があるものと考えております。
我が国は、これらを踏まえ、2007年9月に本条約に署名いたしました。今般12月8日でございますが、障害者施策の総合的かつ効果的な推進を図るために、障がい者制度改革推進本部が設置されたところでありますが、引き続き本条約の早期締結に向けて、同本部における議論にも積極的に参加してまいりたいと考えております。
以上です。
○石川会長 ありがとうございました。引き続きまして、障害者の保健福祉に関しまして、厚生労働省より御説明をいただきます。山井政務官、お願いいたします。
○山井厚生労働大臣政務官 ありがとうございます。政務官の山井でございます。
資料3の「障害者保健福祉について」ということで、まず御説明をさせていただきたいのですが、1ページ目にありますように、本年9月9日の連立政権合意におきまして、障害者自立支援法は廃止し、制度の谷間なく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくることというふうになりました。
今後、新たな制度の創設に当たっては、障害者の方々や事業者など現場の方々を初め、さまざまな関係者の御意見などを十分にお聞きしながら、検討を進めていく必要があると考えております。
このため、先ほどもお話がございましたように、現在、内閣府において設置されている障がい者制度改革推進本部とも連携しながら、障害者保健福祉分野についても、検討していきたいと考えております。
この障害者自立支援法につきましては、勿論、すべてが問題があったというわけではございませんが、応益負担を中心とする大きな問題もあったというふうに考えておりまして、自立支援法のよい部分は引き続き残していき、また問題がある部分を修正していきたいというふうに考えております。
そしてこのたび、自立支援法がスタートして初めて本格的な、自己負担がどれだけ変わったのかという調査をさせていただきました。
その内容は、参考資料1ということで、「施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果」というものに出ております。
ここにございますように、11月26日に公表いたしましたが、こちらのグラフにさせていただきました。
全体状況としましては、87%の方が、自己負担が増になっております。減少した方は12.8%。特に自立支援法においては、市町村民税非課税の低所得者の方の自己負担がアップしておりまして、93.6%の方が、平均8,452円上がっておりました。
次のページにもございますように、このような分布になっておりまして、8,000円以上増加したという方が、全体の中の18%、低所得者の方に限っては19%。
次の3ページになりますが、工賃を上回る負担をするというのが、今までから大きな問題と言われておりましたけれども、法施行前の場合は、実負担を上回っている割合が31.4%でありましたけれども、法施行後は52.5%、そして、4ページにもございますように、働いて得た工賃よりも負担の方が3万円以上上回っている方が、16%から23%にアップしております。
このような結果、これは当然サービス利用の1割負担といわれるサービス利用負担、そしてこの自立支援法に伴いまして自己負担が増えました食費などの実費負担というものの両方がございますが、新しい自立支援法にかわる制度をつくるまでには、年数がかかりますが、しかしまずは第一歩、応能負担に応益負担を変えていくためにも、新しい制度ができるまでの間、来年度の予算概算要求において、障害者自立支援法の廃止に関して、利用者の負担を軽減することを事項要求として、今、要求しているところであります。
今は財務省とも話をしておりまして、まだまだ厳しい状況でめどがなかなか立たない現時点での事情ではありますけれども、予算編成過程において、内容を自己負担軽減が実現するように努力をしてまいりたいと思っております。
以上です。
○石川会長 ありがとうございました。
それでは、これから2時50分まで、1時間少しございますけれど、委員からの御意見、あるいは御質問を受けたいと思います。
3件の御説明は、すべて深く関連しておりまして、個々に切り分けてというのも難しいんですけれども、強いて言えば、内閣府からの御説明と外務省からの御説明は、今後の制度改革に関する骨組みといいますか、スキームに関わるようなお話だったかと思います。
それと厚労省からのお話は、もっと各論といいますか、具体的な中身に関する話が、どちらかというと中心となりまして、さまざまな御意見、御質問が委員の方からあると思います。
ですので、最初に内閣府と外務省からの御説明に対しての御意見、御質問を受けることから始めたいと思いますが、いかがでしょうか。
笹川委員、お願いします。
○笹川委員 まず、内閣府にお尋ねをしたいんですが、障害者基本法の改正の時期を迎えておりまして、私どもは今年度中には、改正されるものと思っていたわけですけれども、今回の新しい本部との関連で、この改正問題はどうなるのか。まずこの点をお尋ねします。
それから第2点ですが、障害者権利条約の批准の問題です。国内法との関連がいろいろあるわけですけれども、国内法との調整、それから今後の見通しと、大体、批准はいつごろに予定されているのか、この辺をお聞きしたいと思います。
○石川会長 ありがとうございました。それでは、内閣府の方からお願いいたします。
○泉内閣府大臣政務官 内閣府ですけれど、基本法の改正については、民主党が野党の時代に、改革推進法の法案を出しておりますけれども、その絡みもありまして、どういう形で、どのような内容で法案を出すのかということを、再検討しなくてはいけないというふうに考えております。
確かに、かつて野党時代に出した法案についても、それを改めて現段階で法案で出すものと、あるいはもう制度として運用でやっていけるものというふうに、再分類ができるのではないかということも考えておりまして、そういった検討を、まさに新しい推進会議の中でさせていただくことになろうかなというふうに思っています。
一方では、やはりなるべく早くという姿勢を我々も持っておりますので、作業だけはスピード感を持って取り組んでいくというふうに考えています。
○石川会長 ありがとうございました。
笹川委員、よろしいでしょうか。
○笹川委員 権利条約の方は。
○石川会長 では、外務省の方からお願いいたします。
○西村外務大臣政務官 権利条約の締結でありますけれども、私どもとしては、できるだけ早期に締結をしたいというふうに、基本的には考えております。
本条約締結のためであるということになりますと、そのために必要な国内法令のほとんどは、既存の法令によって対応が可能と考えておりますが、ただ、2点クリアしなければならない点があります。
1つは合理的配慮の否定、これを障害に基づく差別に含めること。これは第2条関係でございます。もう一つは、条約の国内実施を監視するための枠組みを設置すること。これは第33条の2の関係でございます。
この2つにつきましては、本条約において導入された新しい概念でありますので、我が国の現行法上の位置付けが明確ではないというふうに考えておりまして、関係法令、具体的には障害者基本法になろうかと思いますけれど も、これを改正することが必要ではないかと考えているところです。
○石川会長 ありがとうございました。
ほかの委員の御意見、御質問、ございますでしょうか。
福島委員、どうぞ。
○福島委員 福島です、意見と質問が1つずつ。
1つは、障害者の表記ということについて。「害」という漢字を、平仮名に変えるという今回の取組みは、また今後に向けての検討ということ自体は、有意義だと思いますけれども、ただ次の2つの点を考慮すべきだろうと思いますので、あえて申し上げます。
1つは恐らく皆さんも同じ御意見だろうと思いますが、表記が変わるということと、そこで生じていること、あるいはそこで取り組まれるべき内容とは別ですので、看板のつけかえだけに終わってしまってはいけないですので、本来の取組み、施策が展開されていくという中身が最も重要だということを、常に肝に銘じるべきだろうと思います。
名前が変わることで、何か重要なことをなしえたかのように感じるのは、ある種の幻想の面もありますので、勿論イメージは重要ではありますが、イメージ先行にならないように、常に注意すべきだという点が、1つです。
もう一つは、やや論争的なことかもしれませんが、障害者とは何かということだろうと思います。あるいは障害とは何かということ。
例えば私は目が見えなくて、耳が聞こえないという状態で生きているのですが、そのことを私もだれも否定はしないと思うんですけれども、ただ私は障害者という存在として存在するわけではないんです。これはたまたまそういうふうに、この国であるいはこの社会で位置付けられているだけのことであって、つまり障害者というのは、本人に付着して本人の中にあるのではなくて、社会との関係性において発生する概念ですので、その意味では、障害者の表記を変えてしまうことで、その人と社会との間に生じてしまっている関係性に付着している障害問題が見えにくくなってしまう。
本人がどういう状態であるかということが問題なのではなくて、社会との関係性自体、制度とかさまざまな社会的な取組みとか意識とかということが、本来大事であって、そこに障害があるということが問題なのに、何か本人に付着した部分だけが問題であるかのような、すりかえが起こりかねない危険性がありますので。
あえて言えば、例えば犯罪被害者という言葉があります。被害者ということは、その人は被害者かもしれないけれども、その人の内部に被害者があるのではなくて、犯罪という現象によって発生した概念だと思います。被害者の害をやめて平仮名にしようという議論は起こらないだろうと思います。ち ょっとそれと似た部分が、障害者にも本来はあるんだろうと思うんです。
平仮名に変えたから、何か大きなことが変わるのではなくて、本来は社会との関係性が大事なのだということを、常にそのことを肝に銘じながら、この議論はしていいただきたいというふうに思っています。
次の質問は、この場で申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、今回の制度改革が民主党のマニフェストとの関連で、あるいは基づいて出されてきたことは、周知のことですので、あえて関連して伺います。
マニフェストには、自立支援法を廃止して、包括的な総合的な障害者福祉法をつくるという方向が明示されていて、その制度改革のために必要な資金、財源として400億円程度、手当てするというふうに書いてあるんですが、だれが読んでも400億円は少な過ぎるというふうに思うと思うんです。
今年度の障害福祉関連の予算で1兆円あるわけで、自立支援法の、例えば地域生活支援事業でも400億円以上あるわけで、あるいは前政権の緊急措置の追加対策でも、1000億円以上のものがなされていますので、この大きな、ドラスティックな制度改革の中で、400億円しか手当てされていないというのは、非常に少ない印象があります。多分これは一つの呼び水なんだろうとは思いますけれども、この400億円というのはどういう意味なのか、どういう位置付けなのかということを、もう少し補足説明をいただきたいなというふうに思っております。
以上、意見と質問でした。
○石川会長 福島委員、ありがとうございました。
名付けと名乗りの政治、ポリティックスについては、かなり深い議論がございますので、今後、各機会に継続して議論していく必要があろうかと思います。
後の質問の方について、厚労省の方からお願いいたします。
○山井厚生労働大臣政務官 福島委員、御質問、ありがとうございます。
御指摘のように、今回の民主党のマニフェスト、障害者自立支援法を廃止して新しい法制度をつくっていくという中で、所要の予算は400億円というふうに書いております。
これはまさに御指摘のように、第一歩の呼び水、いわゆる応益負担を廃止して、応能負担に変えていく第一歩として、400億円が必要であるというふうな意味で書かせていただきました。
何よりも新しい制度の体系は、それこそこれから当事者の方々の議論を踏まえてつくっていきたいと思っておりますので、その制度が最終的な形が明らかになっているわけではありませんので、それに必要な財源は、ここでは書くことができませんでした。
しかし、まず第一歩、応能負担に近づけていくということをやりながら、同時に新しい制度をつくっていきたい。そして新しい制度、法改正を国会に提出することになると思いますが、そのときには新たな予算が、当然必要になってくると思っております。
今この税収の落ち込みの中で、予算獲得は非常に厳しい状況でありますけれども、全力で頑張りたいと思っております。
○石川会長 ありがとうございました。
ほかの委員から。では、京極委員、お願いいたします。
○京極委員 ありがとうございます。
山井政務官から御説明がいろいろありまして、期待しているところでございます。
厚生労働省になったので、労働部門でもうちょっと障害者施策で力を入れていただけないか。自立支援法の中にも移行支援とか継続支援という、一般就労と福祉的就労の間の橋がかかっておりますけれども、これは丸木橋のような細い橋でありまして、もっと王道の橋を、例えばヨーロッパで最近非常に盛んになっていますソーシャルファームとか、そういうかなり中間的なもので収益性も大変高いと聞いています。恐らく経済産業省とも協力をしてやっていかなくてはいけない分野だと思いますが、そのあたり、是非、頑張ってやっていただければと思っております。
○石川会長 ありがとうございました。厚生労働省から。
○山井厚生労働大臣政務官 今回の緊急雇用対策の中でも、地域における、そのような新しい雇用の創出と社会的事業というものも考えておりますので、このソーシャルファームということも、その中に含めて検討していきたい と思います。ありがとうございます。
○石川会長 それでは先ほど石野委員、手が挙がっておりましたので、よろしくお願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
新しく委員になりまして、まだまだ勉強不足で申し訳ないんですが、この中央障害者協議会をもとにつくられたというふうに考えております。先ほどの政務官からのお話にありました、今後、来年1月からの障害者の制度改革推進について、先程、推進本部が立ち上げられたということですけれども、こちらの協議会、推進本部との関わり、どのように関わるのか、もう少しお話を聞かせていただきたいと思います。
2つ目ですが、確認させてください。2つ目は、障害者保健福祉に関する資料3の中にあります3つ目のところです。来年度の予算概算要求について、利用者負担を軽減することが書かれてありますけれども、私が得た情報では、財務省の方では予算がゼロだというふうに聞いております。私の情報が間違っているのかどうか、確認をさせてください。お願いいたします。
○石川会長 では、まず内閣府からお願いいたします。
○泉内閣府大臣政務官 推進会議の位置付けについてですけれども、推進会議は、推進本部の下に位置付けられるということになりまして、中央障害者施策推進協議会の方は、以前から閣僚たちが集まった本部がございましたけれども、ここに対して横に位置するような形で意見を言うという形で位置付けられてまいりました。
今後も中障協に関しては、本部に対して横の立場で意見を言うという位置付けは、変わりません。かつては本部のもとに課長会議だとか、参与だとか各省の会自体が幾つかございまして、官庁の中で、政策は実務的には動いてきたということがあったわけですが、今回はそこの部分にまさに当事者の方にお入りいただくという意味で、推進会議というものを本部の下につけるという形になるというのが、今回の形であるというふうに御説明をしたいと思います。
○石川会長 ありがとうございました。
もう1点につきまして、予算についてお願いします。
○山井厚生労働大臣政務官 石野委員から、今、一番私どもが苦しんでいる点を、御質問いただきました。来年度、応益負担を応能負担に近づけるという第一歩で、今、財務省と予算の折衝をしておりますが、こういう税収の大 幅な落ち込みの中で、石野委員御指摘のように、非常に厳しい状況に陥っているわけであります。
しかし、弱者を大切にする友愛の政治ということ、そしてまさに今回も、制度改革推進本部をつくるという中で1丁目1番地でありますので、その意味では、是非予算を獲得して、障害者福祉に熱心な政権だということを示していきたいと思います。
あと1週間ぐらいが山場だと思いますが、全力で頑張っていきたいと思いますし、これは一厚生労働省の問題ではなくて、鳩山内閣が障害者施策にどれほど熱心かということが問われる、まさに試金石だというふうに思っております。全力で頑張ります。
○石川会長 ありがとうございました。
先ほど小金澤委員から手が挙がっておりましたので、よろしくお願いいたします。
○小金澤委員 先ほどのネーミングの障害の「害」を平仮名にするというお話、これには異議はないんですけれども、小さな問題です。それよりも中身がどうなるかということが一番大事ですので、それを十分審議するような、中央審議会にしていただきたいということ。
これは、鳩山総理にお伝えしたかったんですけれども、ロザリン・カーターというカーター大統領夫人が、15年前に来日したときの講演の中で、その国の文化水準は、その国の精神障害者の処遇にあらわれると、すごい指摘です。いかに日本の精神医療、精神福祉が遅れているかということを、15年前に言われたのに、少しも変わっていない。
我々は全精連という団体を立ち上げましたけれども、厚労省からの応援はまずない。考えました、自分でやろうと。自分で精神障害者に対する普及啓発をやろうということで、先日、NPO法人の認証を取りまして、東京を発信基地として全国へやっていくつもりです。
もう官には頼っていられません。民が頑張ります。民間の企業と一緒に、我々はやっていく。それを国の方は、後から応援してくれれば結構です。
以上です。
○石川会長 ありがとうございました。
それでは、先ほど佐藤委員から先に手が挙がっていたようなので、お願いします。
○佐藤委員 埼玉県立大学の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。
ちょっと議論をもとに戻すようで恐縮ですけれど、まず、発言の前提は、今後、新たな政権のもとで、さまざまな問題が大きく変わっていくのではないかと、非常に強く期待をしているところです。
その期待のもとで、さまざまな新しい取組みが始められようとしているということについても、歓迎しております。
その中でとりわけ障害当事者、障害のある方御自身がもっと意見を述べ、もっと活躍するということについて、いろいろと取り組んでいくということについても、勿論異論はありません。したがって内閣府で新設されるポストなどにも、そういう方々を起用していこうということも、極めて画期的なことだと思います。
それらのことを前提にして、なおあえて申し上げたいのですけれども、共生社会の精神は、基本的にはイーブンでフェアな社会をつくることだと理解しています。Nothing About Us Without Usという、私たちのことを抜きにして私たちのことを決めないでくれというフレーズには、大変心打たれるものがあるわけですけれど、しかしながらそれが危険性をはらんでいないわけではない。つまり、障害者のことは障害者でなければわからないという話になると、これはいささか違うのではないか。
そういうことをあえて申し上げたいのは、私は大学に関わるまで、ずっと地域で仕事をしてきました。今もそれなりにいわゆる現場で、いろんな障害のある方と関わっていると思っていますけれども、そのレベルではその方を障害者というふうに、認識はしないわけです。固有の意思を持って具体的に生活をしている人であったり、子供であったりという認識で付き合っています。
ところが、いろいろと会議の場になりますと、障害者という形で非常に抽象化される。しかし抽象化されているにもかかわらず、障害のある方が発言した場合には、本来、その人の御意見であるはずなのが、すべての障害者をあたかも代表したかのような御意見として、我々はどうしても受け止めてしまうところがあるんです。具体的には、例えば、おれたちのことはおれにしかわからない、おまえは余計なことは言うなと言われたりすることがあります。親御さんにも、こういう子を持った親にしかわからない気持ちがあるはずだと。そういう場では、先生にそんな気持ちがわかるはずがないというふうに決めつけられたりもします。
そういう狭間の中で、我々は何とかフェアでイーブンな関係で、まさに共生社会としてお互いの幸せのために、みんなの幸せのために、この社会をど うしようかというふうに考えているということを、いろんな意味で互いに信頼をしていきたい、信頼していきませんかということを確認した上で、先ほどのような、いろんな取組みを是非、積極的に進めていただきたい。
これが危惧でなければいいと思うんですけれども、お互いに自由に闊達に議論ができるようなことを、是非期待したいし、私はそういうスタンスで、これからも発言をしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
○石川会長 佐藤委員、ありがとうございました。重要な御指摘だと思いますし、深めるべき議論でもあろうかと思いますが、今の関連でございますか。。
○ 私どもの団体は、精神障害者の家族会でございます。先ほど来から、やはり障害を理解するということが、いろいろ言われていますけれども、実は精神障害に関しましては、まだまだ偏見の多い社会で生活しておりまして、私ども当事者は、地域でも本当に偏見の中で、難儀をしているというのが現状でございます。
これは、やはり病気を正しく理解されていないということが大きいことだと思いまして、やはり国民が精神に限らず、障害を正しく理解するという啓発活動なんですけれど、共生社会というスローガンだけで終わるのではなく、やはり実際、共生社会を進める上には、どのような施策が必要かという、ずっと精神障害者も啓発活動ということを、内閣府でもされていますけれども、まだまだ偏見が根強く地域に残っております。
そういうことを考えますと、今回、新政権にお願いいたしたいことは、ここで共生社会に向けて、一歩を踏み出せるような施策を考えていただきたいと考えています。
以上でございます。
○石川会長 ありがとうございました。それでは、高山委員、お願いできますでしょうか。
○高山委員 今までの中で、周囲の障害理解や病気の理解が大切だというお話がありましたが、福島委員の、「社会との関係性の中で、障害が起こっている」という障害の考え方は、大変重要なキーワードになると私は考えております。
鳩山総理大臣からも先ほど、「いとこの方がアメリカで、発達障害と診断を受けたけれども、きちんとしたサポートを受けてトラブルがない」という御発言をいただきました。
日本では、発達障害の理解が不十分で、トラブルが非常に多いです。最近は、文部科学省が頑張ってくださっているので、義務教育、特に小学校では特別支援教育が以前より進みましたが、発達障害の場合は、知的障害を伴っていない場合も多く、高等教育、高校、大学、そして大学院に進学する発達障害者がいます。
学校など各ライフステージで支援があるということは、今後、共生社会を考えるときにも重要なものになると考えます。
WHOの障害のモデルも、ICFということで、機能障害だけでなく、参加と活動のところに焦点を置くというか、同様に重要と考えるようになりました。QOLを考えるということは、やはり参加と活動のところでの支援が、ポイントになってくると思います。
新しくつくられる障がい者制度改革、障がい者制度改革推進会議でも、発達障害の関係者を入れていただき、高等教育の推進も含めた各ライフステージの支援に是非、力を入れていただきたいと思っています。アメリカでは研究者とかノーベル賞受賞者の中に、実は発達障害と診断された人がいます。
ですから、隠れた人材発掘という視点からも、御支援をお願いしたいというふうに思います。
以上です。ありがとうございました。
○石川会長 ありがとうございました。高等教育支援、あるいは発達障害者支援についての御意見でした。
それでは、次に妻屋委員、先ほどからお待たせしていたかと思いますので、お願いします。
○妻屋委員 先ほどの福島委員の意見には、全く賛成しております。この平仮名の「がい」と漢字の「害」のことについては、どちらにしても障害があることには変わりはないわけです。やさしく「がい」と平仮名で書いてくれることは、ありがたいことですけれども、障害という言葉がある限り、問題はずっと続くわけです。
私たちは障害と呼ばれないような社会にしたいと考えて、今、頑張っているわけですけれども、それにはさまざまな環境を整備しないといけないということがあります。この環境がしっかり大分よくなったねとか、もう問題はなくなったねといったときに、障害という名前が漢字でも平仮名でもなくなると思っているわけです。そのときは障害者の妻屋という特別なくくりではなく、単に妻屋君ということで呼ばれていくわけです。そのことが私たちの目標だと思うんです。
障害があるからこうやって皆さんと集まって、いろんな問題を協議しなければいけないし、これからいろいろやっていかなければいけないということですから、それは名前を「害」に変えようが、平仮名に変えようが、関係のないことであって、どっちでも私はいいと思っております。
要は、問題を解決をしなければいけないということなんだと思います。1つ質問がございます。先ほどの内閣府の障がい者制度改革の推進体制について、ちょっとお聞きしますけれども、この現在の中央障害者施策推進会議のメンバーが、それがそっくりそのまま改革推進会議になるのかということを、お聞きしたいと思います。新たに別途、人選をして、障がい者制度改革推進会議になるのかということが、1つ。
それからその下に、必要に応じて部会を開催する、設置すると書いてありますが、それはどういう必要があった場合にということを、聞きたいと思います。
最後にもう一つは、この推進会議のゴールというのは、どういうことなのかというふうに思うわけです。こういった問題を、いろいろさまざまな問題を提言していくとか、意見を言ってそれが法律になるのか、制度になるのかということがちょっと気にかかるわけですけれども、いずれにしても今の現状を変えて、制度を変えていくということについては、これまでの予算規模ではなくて、新たな予算が必要になってくるというふうに思うわけです。
それはもう自明の理だと思いますが、予算もめどが立たないし、出ることも考えられないといったときに、いろいろ意見を言っても、余り生産的ではないのではないかと思います。それは長年かかってゴールですよということは、わかりますけれども、そういうゴールというのは、一体どういう絵柄を考えたらよろしいんでしょうかということを、ちょっとお聞きしたいと思います。
○石川会長 ありがとうございました。では内閣府の方から、中障協と推進会議の位置付けと関係等について。またゴールについてお願いいたします。
○泉内閣府大臣政務官 まず、中障協と推進会議の関係ですけれども、この政務三役の立場をいただいて、これまでの中障協の開催状況等を調べさせていただき、また法律の中にどのように書かれているかということを、改めて見させていただいて、非常に難しいなという思いを実際には持っておりました。
といいますのは、これまでの開催状況が年1~2回であるということ。基本的には基本計画に対して、意見を述べるという役割であるということ。
そして今年の7月に新たなメンバーで、この中障協が第3期というか、スタートしているというさまざまな状況の中で、一方で政府の中の、より事務的な中の意思決定も含めて機動的にかつ当事者の方にもお入りいただいて、決めていく必要もあろう。その整合性をどのように取っていくかということを、検討いたしました。
そういう中でいいますと、中障協のメンバーは、今年7月に新しくなっていただいた方も含めて、第3期がスタートしたばかりということもございまして、法律で書かれているということでございますので、中障協の仕組みを変えるには、法律を変えなくてはいけないという前提がございます。
そういったことから、今すぐに法律を出すという状況にも勿論ありませんし、まだそういった法律を出すという検討もされていない状況ですので、中障協については、このまま勿論存置をして、これまでのしっかりとした役割を果たしていただく。また、総理との直接の対話の場面もあるということでございます。
一方で推進会議については、中障協のメンバーが、そのまま全員移るということでは考えておりません。それは、これまで中障協をお願いするに当たって、そのような状況で皆様にお願いをさせていただいていないという経緯もございます。そして恐らく、相当機動的に回数を増やしながら、この推進会議を持っていかなくてはいけない。部会に至っては更にということも考えられますので、改めてこの人選は別途行っていかなければいけないと考えています。
ただ、1つ言えますのは、可能性としてですが、中障協におられるメンバーの中にも、この推進会議や部会に御協力いただくケースがあるのではないかということは、この場であらかじめお話しさせていただきたいというふうに思います。
部会につきましては、必要に応じてというのは、多少私は、官僚用語だと思っておりまして、実際には置くものは置くということだと思っております。浮かんでは消えというものではなくて、特に議論が必要なものは、最初から置いて議論が終わるまで置き続けるということになろうかと思います。
一番最後のことについては、山井厚生労働政務官の方からも、補足があるかもしれませんが、最終的な結論でありますけれども、1つはこの推進会議の本部そのものが、5年間という集中的な改革期間を設けておりますので、私たちの意志としては、5年間で政権獲得前に挙げた17の論点、課題がございますので、そのすべての解決を目指して取り組んでいきたいというふうに考えております。
その形が改革推進法の形になるのか、基本法の改正に至るのか、そしてまた最終的な総合福祉法の成立になっていくのかというところの形を、まさにこれから実際的にスケジュール感でいいますと、来年の夏ぐらいまでに、こういった推進会議や部会を一生懸命開催しながら、その方針を固めていくということが、今、考えているところでございます。
もし、山井政務官、補足があればお願いします。
○山井厚生労働大臣政務官 厚生労働省の山井でございます。
今、妻屋委員から御指摘がありましたように、絵に描いた餅であっては意味がないということであります。
私も新しい制度と新たな財源というのは、当然セットであろうかと思います。そのときにポイントになるのは2つだと、私は思っております。やはり新しい鳩山政権の中で、数ある課題の中で、障害者福祉推進ということの優先順位を、ここでの議論を通じて、どんどん今まで以上に引き上げていくということ。
それと先ほどや小金澤委員のお話にもありましたように、国民の理解が障害者福祉ということに関して不十分であったり、あるいはまだまだ偏見や差別が残っているという根強い問題もあります。
そういう意味では、政権の中だけではなく国民の中でも、やはり先ほど鳩山総理のアメリカとの比較がありましたが、まさに障害者福祉を推進していくというのは、先進国として当然のことであって、まさに先進国の文化水準が、障害者福祉の充実度合いによって測れるんだという、そういうふうな世論を国の中で盛り上げていくということも、必要ではないかと思っています。
私も2年間スウェーデンに留学して、福祉の勉強をしておりましたが、そのときにスウェーデンの私の指導教官の教授から言われたのは、車いすでどれだけ独立、自立で動けるかということが、その国の文化レベルを示すんだということをスウェーデンの大学教授から、私自身も言われました。
そういう思いで皆さんとともに制度と財源を新たにセットで見つけることができるように、頑張ってまいりたいと思います。
○石川会長 ありがとうございました。
中障協のあり方につきましては、今年の夏だったかと思いますけれども、委員へのアンケート調査が実施されまして、その集計結果が「ノーマライゼーション」という雑誌の7月号に出ています。中障協のこれまではどちらかというと、限定的な役割であったけれども、より積極的な役割を担うべきではないかという意見が、多くの委員から寄せられているという、そういう集計結果も出ておりましたので、補足させていただきたいと思います。
それでは、ほかの委員から御意見、御質問をいただきたいと思います。
樋口委員、お願いします。
○樋口委員 樋口と申します。
私は先ほどの権利条約との絡みで、ちょっと意見を述べさせていただきたいのですが。この中で非常に大事なことが触れられていて、いかなる差別もなしにということが、うたわれています。
この条約を批准するとなると、このいかなる差別もない、そういった社会を構築するということが非常に重要だと思うのですが、残念ながら、日本は差別と偏見が非常に強い国であります。
古い話になって恐縮ですが、明治時代に日本の精神医学を確立した東京大学の呉秀三教授という有名な教授がおられるわけですが、有名な言葉があります。精神障害者は、この病にかかりたる不幸に加えて、この国に生まれたる不幸という二重の不幸を負っているということを、呉先生は述べられています。
残念ながら、今の時点でもこの言葉が当てはまってしまう。そういう状況にあろうかと思います。
実際に1つ例示をさせていただきますが、比較的最近、2006年にオーストラリアから、日本とオーストラリアの偏見の度合いの違いといったものが、論文となって出ております。一例を申し上げますと、鬱病の方と隣同士に暮らしたくないというのが、日本は82%。オーストラリアは11%です。
あるいは結婚して家族になりたくない。これは日本は84%であるのに対して、豪州、オーストラリアは29%です。
これだけの大きな違いがなぜ生まれるのか。これは私たちは、しばしば偏見差別をなくそうという掛け声はよく掲げるわけでありますが、なかなかそれが一歩も進まないという背景には何があるのかということ、どこにその違いがあるのかということを、このデータをもとに、きちんと見ていく必要があるだろうと思うのです。
私はその1つは、数回前のここでも発言させていただきましたけれども、教育の問題であると考えます。生まれてきた子供が、生まれながらに偏見や差別を持っているわけがないんです。それは親から子へ、あるいは大人から子供へ、その子がまた自分の子供に対してという、その連鎖がある限り、これは絶対に消えていかない。
その教育というものに関して、私が前にも申し上げたのは、小さいときから学校教育の中で正しい知識と理解を教えることが重要で、明らかにオース トラリアと日本とでは違いがあります。障害に対する正しい知識、あるいは啓発が必要だとが述べられましたが、そのとおりだと思います。学校の教育の中でそれをきちんとやっていかないと、この偏見差別というのは、ずっと永遠に続いていってしまうのではないかというふうに思います。
これは文科省のマターでもあるわけで、是非この協議会から発信して、文科省に強く働きかけていただいて、学習指導要領を変えないと、これはできないんだそうです。
一例を言うと、精神障害に関しては、学校の保健の教科書の中には、ほとんど触れられておりません。そういう状況にあるということを、御理解いただいて、今後、教育の中での偏見差別の打破ということに、是非、御尽力いただきたいと思います。
以上です。
○石川会長 ありがとうございました。
では、、お願いいたします。
○ ありがとうございます。
樋口委員のお話は、全くそのとおりだというふうに思います。私は特別支援教育の制度等の検討にこれまで関わってきた者です。先ほど高山委員からお話があったことなども踏まえて、その観点でお話をさせていただきます。
お手元に「障害者白書」の21年版があるんですが、第3章の中に、社会参加に向けた自立の基盤づくりということが出ております。障害のあるお子さんの教育育成に関わる施策というのがあるわけですが、それと同時に、実は特別支援教育の推進ということを考えたときに、障害がないというか通常のお子さんたちに、どのような教育をしていくのか。障害者理解教育をどんなふうに進めていくかというのが、非常に重要であろうかと思います。
今般の学習指導要領の改正では、そのことについても強く触れているわけでございます。その第1点目が、交流及び共同学習の充実ということを謳ってあります。
ただし、課題としては、まだまだ、十分な障害者理解教育のプログラムができて、小学校、中学校、あるいは幼児期からの支援の体制ができているわけではありませんので、このあたりの充実発展を進めていかなければいけない。
そういった意味では、今日は文部科学省が出席されていないのはちょっと残念です。やはりこういう会議にきちんと文部科学省が出て、お話を聞いていただきたいというふうに思っています。
2点目は具体的な学校制度そのものを考えたときに、幼小中高の整備が、今、進んでいるわけですが、特に高等学校あるいは大学等で学ぶ障害者に対する対応というのが、非常に大切になっております。
私どもは、特別支援教育の推進に関わる協力者会議で、高校の整備をするということで先だってワーキンググループの報告を出したんですが、現在、高等学校の校長会等に働きかけ、高等学校での対応をしていただけるように働きかけさせていただいているところです。
これから、ますます後期中等教育・高等教育、特に高等教育、大学での障害者への教育の仕組みを十分進めていく必要性がある。
そのときに、何と言いましても、財政的な対応でありますとか、きちんとしたロードマップをつくっていくというようなことが求められる。最終的には、皆さんが先ほどおっしゃっていたような障害者という名称がなくなっていくことが、一番重要だと思うんですが、具体的な方向性をきちんと整えていくことが、ここでの大きな役割なのかなというふうに、皆さんのお話を承りながら考えておりました。是非、次回等は、文部科学省の出席を求めたいと思います。
以上です。
○石川会長 ありがとうございました。文科省からの御出席についても、御検討いただきたいと思います。それでは、ほかの委員の方。岩城委員、お願いします。
○岩城委員 全国重症心身障害児(者)を守る会の岩城でございます。ちょっとお時間をいただきます。
本会の子どもたちは、知的にも肢体的にも重度の障害を併せ持っております。そのため、本人たちの命と生活を守るためには、自分の主張をすることが苦手な子どもたちですので、私たち親がやらざるを得ません。
昨年、自立支援法、児童福祉法の見直しということで、私ども会員1万2,000人が心を一つに心血を注いで、改正案にたどりつきました。
でも、このたびのような政権交代、社会の大きな流れの中で、私たちがいかに変わろうとも、子どもたちにとって子どもたちが生きやすいことは貫いていただきたいと思います。
私どもは、会に3原則を持っております。その一つが「最も弱いものをひとりももれなく守る」です。私たちは、これをいつも忘れずにやってまいりましたから、子どもに代わって親がやらざるを得ない部分、決められた制度の中で、まず親が責任を果たす、自己負担でもそういうことでは、子どもに代わって親自ら責任を果たすことが大事ではないかと思ってやってまいりました。
それと、少し歴史をさかのぼって見ますと、人も自然淘汰の中に、もうなかったような命、そんな発言もされておりまして、私たちは大変心を痛めました。まさにその子どもたちが本会の子どもたちに当たっているからです。
ぜひ、制度が変わっても、そしていろいろな皆さんのお話でも、権利条約もみなそうですが、やはり一番弱いものを守り切れなかったら、その次に弱いものが切り捨てられていくと思います。よろしくお願いいたします。
○石川会長 ありがとうございました。
それでは、副島委員、お願いいたします。
○副島委員 私どもは知的に障害のある子供とその家族の会です。
先ほどから出ている、本人のことを決めるのに本人を主体的に、本人を外さないでくださいという論法があります。我々親たちも、その気持ちはあるんだけれども、まだ親自身が、安心できる地域社会ができていないために、どうしても本人の言葉よりも、親の安心で先に物事を決めてしまうということがあります。
そういう親たちが安心できるためには、安心できる共生社会をつくっていってもらわないと、親から地域へ託すということが、なかなかできないと思います。それが1つと。
この共生社会をつくるときに、先ほどから出ている教育の問題、児童の問題があります。特に今回心配なのは、民主党さんが出された、幼児、児童の問題は、総合福祉法の中でやるようなことを、一部に書かれたものがあります。
我々は最初から、子供の段階から、あなたは障害があるんだ、あなたは障害がないんだというような区別をすることで、偏見差別が残っていると思っているんです。
だから幼児の段階は、まずみんな同じ子供として育てていくという対応の仕方で、児童福祉法の中でやっていくべきです。それから学校もそうです。今は特別支援教育ということで、支援学校の取組みがなされていますけれど、どうしても前の養護学校時代から、地域の中の学校ではなくて、ヘンピなところの学校なんです。そうすると、そこに行くだけでも、あなたは特別な別の人なんだねという意識が、そこに出てきます。できれば、本人の居住地の学校で受け入れができるような体制を、とるべきだと思います。
それから、これはひとつ質問なんですけれど、社会保障国民会議というのがあったと思います。去年の20年11月に出された、21年度の社会保障を考えていくための最終報告で出されたものを見ますと、その中には障害者福祉が入っていないことが、はっきり書かれています。
結局、今まで我々がこうやっていろんなところで障害者福祉のことを論じているのにもかかわらず、社会保障国民会議という位置付けがどうなのか、私もよくわからないんですけれども、その中では日本の社会保障を考えていくときの項目として、障害者福祉が入っていないということが明示されています。次の段階、つまり平成21年度に、その会議をやった場合には22年度の段階からは、それを考えていかないといけないと書かれています。この会議はどういうような位置付けなのか、どういうふうに理解をしたらいいのか、聞きたいんです。
以上です。
○泉内閣府大臣政務官 お答えが必要な部分も出たと思うので、お答えをします。
社会保障国民会議は、福田総理のもとで直轄的に置かれたものだということで、どの省も実は今担当している状況には、多分ないのと。
それを今の政権が引き継いでいるかといえば、多分イエスかノーかで言ってしまうと、余りそう引き継いでいない部分もありますので、まさにそういった足らぬ部分は、しっかりと我々としては、改めてやり直すようなことが必要なのかなというふうに、考えています。
○石川会長 先ほどから何度も手を挙げてくださっていて、私がまだ発言の機会を差し上げていない方が、たくさんいらっしゃるような感じなのですが、済みません。藤井委員、野村委員、米田委員、山本委員、川本委員がお手を挙げていらっしゃるので、藤井委員から今の順番で行きたいと思いますので。
○藤井委員 藤井です。制度改革推進本部に大変期待をしております。ようやく日本の障害者福祉の本当の黎明期、そんな思いがあるわけです。
欧米から比べますと、ものによっては、50年ぐらい、半世紀ぐらい遅れがあると。これ以上遅れてはいけないという危険水域だと思うんです。どうにか間に合った感じがするんです。
まず1つ目、推進本部及び推進会議についてなんですけれど、今ありました、他の省庁にいろんな見解が及びます。とくに専門部会の議論はそうなるはずです。そうしますと、法的な根拠、つまり今は内閣府で一元化というんだけれども、法律上の根拠をしっかりしないと、恐らく他省庁への発言権なんかに影響があると思うんです。法的な根拠が一体どうなっているのかというのが、1つです。
もう一点は、推進会議の予算の問題です。推進会議の本会議、専門部会、相当なメンバーで合理的配慮を含めて進めていく。また調査なども必要になります。さらに事務局も当事者を含めて民間からも採用と聞いています。そういう意味で予算の問題がどうかというのが、気になります。
なお、障害という言葉ですが、私もこの場で何回も発言してきました。かつての精神薄弱者は精薄とも言われ、これがまずいということで知的障害者に変わりました。統合失調症は、前は分裂病。
仮に精薄ということを、平仮名にした場合、どうでしょうか。あるいは分裂病を平仮名にしたらどうでしょうか。恐らくすぐに漢字をイメージしてしまうということがある。やはりこれは、本質問題をきちんと議論をする。
関東の一部の学校、中学校では、障害児のことを「がいじ」と言っているそうです。ですから、平仮名表記というのはあまり解決になりません。したがってこれはもっと本質的な議論がなければならないと思います。以上、2つの質問と意見です。
○石川会長 質問がございましたが、よろしいでしょうか。
○泉内閣府大臣政務官 まず、内閣府の方から本部、そしてその下の会議、また部会ということの権限についてですけれど、推進会議の方は、必要に応じ、構成員以外の者の出席を求めることができるという形にしようと思って います。
この会議の庶務は、先ほどお話をしましたように、内閣府の中で、事務的に行う部分があるんですが、明確に何々権限、何々権限ということが、現在整理できている状況ではありません。しかし、調査については、勿論、内閣府の中に置かれる当事者も含めた事務局の中でしっかりとサポートしていくということは、最低限言えるでしょうし、できる限り推進会議のメンバーの独自のさまざまな資料要求などについても、今の現在では応じていきたいというふうなところまでしか、お伝えできないのは、多少残念なところがあるんですが、現在のところでは、そういうことを考えております。
最終的には、各部会で上がったことが、恐らく推進会議の中で、一定の権威付けをされて、それが本部の方に上げられるという形になりますので、本部の方に次々と意見を述べていただくような形になって、政治の側に対する推進会議からの要求というか、要請というか、意見が伝わっていくということになろうかと思います。
まさにそういった、最近ここに限らずいろんな審議会や会議体、有識者の皆さんに集まっていただいた会議体を含めて、調査権限、そして各省との調整権限がどこまであるんだということは、非常に大きな課題になっておりますので、早急に整理をして、なるべく皆さんに明らかにしていきたいというふうに思います。
○石川会長 ありがとうございました。
議事運営、時間管理が下手で申し訳ありません。この後は、御意見の場合はお1人2分、御質問の場合は1分ということで、お願いしたいと思います。
野村委員、お願いいたします。
○野村委員 野村です。
私はバリアフリー、ユニバーサルデザインの研究をしている者です。
実は皆さん、住宅行政の中に障害者という言葉すら存在していないということを御存じでしょうか。どうしているかというと、「高齢者等」という「等」の言葉の中で読み取れという考え方なのです。住生活基本法の中にも、「障害者」という言葉は入っていないのです。そのために障害者の住宅政策は非常におくれをとっている、と私は思っています。
その結果、実際に自治体で住宅行政を検討するときには、どうしても二番煎じになってしまう。具体的に言いますと、ある県の公営住宅の建てかえ事業計画を行うときに、高齢者に関する福祉施設あるいはシルバーハウス等は検討されるのですが、障害者福祉ホームであるとかあるいはケアホーム、そういう障害者関連の建築物は一切考えられないで計画が進められてしまうのです。
私は、ここにはとても大きな問題があって、我々の住生活の最も根幹である住宅行政において、言葉すら存在していないというのはまずいのではないかと思います。本当はそういう言葉がない世界をつくりたいのですが、その一歩前には、やはりそういう言葉が存在することが重要だと考えます。
以上、意見です。
○石川会長 ありがとうございました。
次に米田委員、お願いします。あと山本委員も最後にお願いいたしますので。
○米田委員 全国心臓病者友の会の米田です。よろしくお願いいたします。
意見を2つです。
1点目が教育に関してです。先ほどから議論が出ておりますように、教育での重要性を、もう一度申し上げたいと思います。特に、学校の先生が、まだまだ御理解をいただいていないと思います。
私ども心臓病者というのは内部障害をはたから見てもわかりません。心臓病はすぐに倒れて死んじゃうんでしょうという考え方を持った先生方が、まだたくさんいらっしゃいます。ですから、子供たちが普通に遠足に行って、普通に修学旅行に行って、できる教育を受け、そして体育を受け、参加できる。そういう環境づくりを、国も勿論大事ですけれども、自治体においてもそういう指導をしていただきたいと思っています。
もう一つは、手帳の取得に関してです。先ほど来、障害というものに関する議論が、いろいろ出ておりましたが、もう一つ手帳を取得するかどうかというのが、私どもの会でも、非常に重要なポイントになっております。やはり手帳を子供に対して取得させたくないという親御さん、もしくは積極的に取るべきであるという、いろんな意見がございます。
ですから今後、制度改革推進会議の中におきましても、障害のあり方、そして手帳を取るか取らないかというところについても、いろいろ私どもも含めて議論を深めていただければと思っております。
以上でございます。
○石川会長 ありがとうございました。
それでは、山本委員、お願いします。
○山本委員 日身連副会長の山本です。
意見提起と要望という形で、まず2点についてお願いいたします。
1点目は障害者自立支援法を3年から4年程度かけて廃止していただくものですから、とやかく言うことではないのかと思いますが、同法は、「地域格差」をなくすという理念のもとで導入されたと思っていますが、私ども日本身体障害者団体連合会として、実施状況を見ていると、財源が豊かな関東であり、東京などは、財源の乏しい地方の市町村とは10倍ぐらいの差があると思うんです。
端的な例の一つとして、移動支援のサービスですが、私の住む三重県内での「タクシー券の助成制度」は、1区間630円か何かのものを72枚が、最高なんです。一方、東京都内の大田区や杉並区などで暮らしている車いすを使用 する仲間は、1か月に5万円ぐらいの移動支援のためのタクシー・チケットが既に支給されているということなどがあります。
新政権においても、前の自立支援法が、地域格差をなくそうとしてやってもできなかったというというところもありますので、この地域格差をなくす取り組みを当事者の参画のもとで、まず進めていただきたく、1点目の提言とします。
次に2点目、扶養義務制度のことについては、前回の当会議で、田山先生を含めて、私は意見を申し上げた中で、「新アジア太平洋障害者の十年」というような中で、確か2002年から2013年がこの期間になっていて、残すところ、あと4年になっている中で、一番初めに、「アジア太平洋障害者の十年」で日本が取り組むべき基本10課題という中を掲げて、アジアに対しても約束するみたいな形で、大阪で宣言しているわけです。
その基本課題の第一番目として、扶養義務制度を改正し、これは民法に関係することで、国民的な合意形成が必要な大変な内容ですが、避けている時ではなく、財源的なことを含めて、そういう基本的なところができていないものですから、各省庁ごとにいろんな、厚労省は厚労省でして、いちいち施策は打ってくれているんですけれども、全体的なところが、やはり財源というところにぶつかってしまいます。
そこで、これに関係してのことになりますが、山井政務官は、スウェーデンへ2年間福祉関係で留学なさったことを、今日、伺いました。私どもの目指す社会は、北欧の多くの国のように、たしか20歳を過ぎた大人の障害者は、社会で経済的な支えをして、親、兄弟姉妹、親戚は、精神的な面を支え、 共に生きる共生社会が確立しているんです。
また法務省の方の出席がない中で申し訳ないんですけれども、扶養義務制度については、「民法の規定は、見直す必要は無い」というような見解になってしまいます。
新政権に期待するところが大きいものですから、先ずこの2点、長くなりましたけれども、よろしくお願いいたします。
○石川会長 ありがとうございました。それでは、川本委員、お願いいたします。
○川本委員 御質問でございます。先ほどの推進体制についてですが、特に部会で施策分野別に精力的に検討するというお話がございましたけれども、現行、各府省庁でも障害者関連の審議会が置かれているので、その関係はどのように考えておられるのでしょうか。
もう一つはメンバー構成ですが、例えば厚生労働省の審議会では、使用者側、労働者側、障害者団体と公益委員が、同数出席する中で、現実的な意見交換をしていくわけです。
したがって、今回こういった部会をやっていく場合に、どんなメンバー構成のバランスを取っていくのか、イメージがあるのでしょうか。
もう一つ言わせていただくと、障害者雇用の問題では、中小企業においてなかなか雇用が進まなくなっているという現状もございます。中小企業の方のも重要ではないかと考えているということを、申し上げておきたいと思います。
いずれにしても、質問でございます。よろしくお願いします。
○石川会長 それでは。
○泉内閣府大臣政務官 内閣府ですね。ありがとうございます。
実は障害者の問題を考えると、本当に厚生労働省の方にも、いろんな検討会や審議会がございます。ここはまずは当面は、併存状態が続いていくのかなと思います。厚生労働省にかかわらず、各省それぞれ個別の課題を検討するときには、よく有識者や当事者の方を集めてという形でやりますので、幾つかの会議体がそれぞれ動いているという状況になろうかと思います。最終的には各省とのすり合わせが必要になってきますので、そこでそれぞれ出た意見を最終調整して、まさにその後は政務三役において、政策としては決定していくということになろうかと思います。
部会については、今どれくらいの部会をどの規模でつくるというところまでは、明確に決まっていませんけれども、やはり信頼性を高めたり、あるいは幅広い意見を聞くというところから考えれば、なるべく構成はさまざまなところからということにもなるでしょうし。あともう一つの考え方としては、構成は少人数で機動的にやったとしても、ヒアリングという形で御意見をお伺いするということは、十分あると思います。
逆に言うと、これからどんどん運営、進行についても御意見をいただいて、そして我が方からも声を聞いてほしいという御要望も含めて、事務方の方にいただくことが、また今後の充実した運営にもつながるのかなというふうに思います。
○石川会長 ありがとうございました。時間がもうほとんどなくなってまいりました。
最後に村田委員、先ほど手が挙がっていたということで、最後ということでお願いいたします。
○村田委員 表記の問題に戻りますけれども、障害をどう表記するかということは、私は、大変重要な問題だと思っています。
というのは、表記というのは、その言葉に対してどういう見方をしているかということをあらわしているわけです。
平成7年版だったと思いますが、障害者白書で「障害は個性である」という障害者観が示されているんです。これは私自身番組で取り上げておりますので、確実で平成7年版だったと思います。
その当時から、障害は個性であると言われて、私自身、大変、違和感をずっと持ち続けております。今でも障害のない人、ある人もそういう言い方をされます。
確かに平成7年当時は、そういう言い方をして、つまり否定的に見ないで個性と考えようよと、こういう言い方が出てきたという時代背景というのは、とてもよくわかるわけですけれども、先ほど福島さんがおっしゃったように、私は障害者として生きているわけではない。障害というのは、社会との関係性の上で、自分は障害を感じるんだというようなことをおっしゃいまし た。
私も非常にそのことは実感いたしますし、そうだろうと思います。したがって表記をどう決めるかということは、障害者観をどう見ていくかという理念といいますか、基本的にそういう考え方を内包したものでなければいけないと思っていますので、是非、真剣に、このことは討議していただきたいというふうに思います。
以上です。
○石川会長 ありがとうございました。
これで時間がほぼなくなりました。自由を重視する考え方と平等を重視する考え方は、絶えずせめぎ合っているわけですけれども、その中で鳩山内閣は、あえて友愛というもう一つの原理を重視されています。この原理はとても大事で、これがないと、多分自由と平等のせめぎ合いを調停していくことはできないのではないかというふうに思います。
最後に閉じるに当たりまして、福島大臣から御発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○福島内閣府特命担当大臣 本日はどうもありがとうございました。長期間にわたり、熱心な討議とさまざまな御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
また、委員には2期4年間にわたり、精力的に会長として協議会の運営に御尽力いただき、誠にありがとうございます。
本日は、公平でイーブンな社会とは何か。障害の「害」を平仮名にすることの意味。障害というのは社会との関係性で出てくるものだ。共生社会をどうつくっていくのか。そして障害者権利条約、障害者基本法の改正、障害者差別禁止法に向けて、障害者自立支援法の廃止の問題、あと運用面の問題など、さまざまな御意見をいただき、本当にありがとうございます。
この中障協にも、今日は文科省や国土交通省、法務省、いろいろなところの事務方もいれば本当にいいなと個人的に思いまして、今後も横断的に障害者施策は、内閣府の担当でありますが、厚生労働省だけではなく、横断的にまさに取り組むべきテーマですので、今後のこの中障協のあり方も含めて、また改善というか改革をしていきたいと思っております。
今日の閣議で決まりました、障がい者制度改革推進本部の話がありました。すべての役所の大臣が関わっていって、それこそ国土交通省、文科省、法務省、などあらゆる役所に障害者施策ということを、省の政策の中できちんと位置付けてもらって、しかも横断的にきちんと施策を実現していくということも、精力的にやっていきたいと考えています。
障害者権利条約を批准する前に、国内法の整備、それから法律をつくらないまでも、さまざまな運用面、今日は学習指導要領の話なども出ましたが、運用面でもこの障害者は、今すぐできることというのもあるわけですから、内閣府の担当としても、今すぐやれることをしっかりとやっていきたいと考えています。
総理は友愛とおっしゃり、私自身は、「いのちを大切にする政治」と言ってきました。障害の有無に関わりなく、みんなが共生社会で生きていけるような施策を、この内閣を挙げて全力でやってまいります。
それから、連綿的に御本を読んだり、いろんなところで今までもお世話になった皆さんにも、本当にこれまでの障害者施策への渾身の尽力と、これからもどうぞよろしくということを申し上げて、今日は閉会させていただきま す。今後もよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
○石川会長 福島大臣、ありがとうございました。
これをもちまして、第6回中央障害者施策推進協議会は終了とさせていただきます。
なお、次回の開催の日程につきましては、事務局より改めて連絡をさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。