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障がい者制度改革推進会議 差別禁止部会(第1回)
議事録

○東室長 4時になりました。お席に着いていただけますでしょうか。
それでは、定刻になりましたので、これより第1回の「障がい者制度改革推進会議 差別禁止部会」を開催させていただきます。
申し遅れましたけれども、障がい者制度改革推進会議担当室の東と申します。よろしくお願いします。
本日は差別禁止部会の第1回ということで、末松副大臣が冒頭に御出席の予定ですので、ごあいさつをいただきます。
なお、後ほど岡崎大臣も駆けつけて来られる予定ですので、お見えになり次第ごあいさつをいただくことにしております。
末松副大臣がまだお見えでないので、議事を進行させていただきます。
差別禁止部会は推進会議同様一般の傍聴者の方にも公開しております。また、会議の模様はインターネットを通じて幅広く情報提供しておるところでございます。このような中で御発言をいただく際のお願いとして、発言を求めるときにはまず挙手をしていただいて、指名を受けた後、御自身のお名前を述べていただくようお願い申し上げます。また、手話とか要約筆記という形でやっておりますので、できる限りごゆっくりと御発言をしていただければと思います。
それでは、末松副大臣が来られましたので、ごあいさつをお願いしたいと思います。
○末松副大臣 皆様こんばんは。官邸で全国知事会との会合が長引いたものですから、それでも途中で抜けてきたんですけれども、副大臣の末松義規でございます。
今日は差別禁止部会がいよいよ動き出しということで、まさしく差別の禁止を徹底し、そして、差別を受けた場合はしっかりと救済できるような仕組みをこれから皆様の御議論で確立していくということでございますので、皆様には是非率直な御議論をいただいて、その後、私どもはそれをしっかり受け止めて政策実現に生かしていきますので、どうか御議論よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございました。副大臣は5分ぐらいいらっしゃるそうなので、よろしくお願いします。
本日の会議は17時15分までを予定しております。
冒頭のカメラ撮りはここまでということで、以後、固定のムービーカメラのみということでお願いします。
それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。
最初に皆様から自己紹介をいただきしまて、それぞれお名前、もしくは現在の問題意識などについて2分ほどでお話していただければと思います。
差別禁止部会は15人の構成員、2名のオブザーバー、3名の専門協力員という形で構成されております。
それでは、私の方で「あいうえお」順にお名前を申し上げますので、簡単にお願いしたいと思います。
早速ですが、早稲田大学教授の浅倉むつ子様、お願いします。
○浅倉委員 早稲田大学の浅倉むつ子と申します。どうぞよろしくお願いします。
私は労働法とジェンダー法という分野を専攻しております。主としてこれまで性差別禁止の分野について研究をしてまいりました。
労働法学会というところに所属しております。労働法でも以前は性別や国籍という伝統的な差別事由が主たる議論の中心だったんですけれども、最近では年齢とか障害という新しい分野の差別禁止立法が議論になっております。ただ、労働の分野というのは相手があるといいますか、民間企業が相手であったりして、性差別を禁止するということに関しても差別をなくすという方向に進みにくいことがありまして、とりわけ採用差別という問題が非常にネックになったりしております。
今回、思いがけなくこういう形で障害を理由とする差別禁止について研究をする機会をいただきまして、大変ありがたく思っております。障害差別禁止法というものがもしできれば、間違いなくほかの差別事由についても波及していくと思われますので、そういう意味で非常によい機会を与えていただいたと思っております。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○東室長 ありがとうございます。「もしできれば」ではなくて、「絶対につくる」という意気込みでお願いしたいところであります。ありがとうございます。
次に弁護士で日弁連差別禁止委員会の委員であります池原毅和様、お願いします。
○池原委員 御紹介いただきました弁護士の池原毅和と申します。
所属としては、今、御紹介いただいた日本弁護士連合会の人権擁護委員会というところに関係している、障害のある人に対する差別を禁止する法律についての調査研究委員会というものにかれこれ10年ぐらい所属しています。思い出しますと、2001年の日本弁護士連合会の人権擁護大会で、障害のある人に対する差別を禁止する法律をつくることについてのシンポジウムをスタートして、それ以来その委員会が続いているわけですが、ようやく現実の法律になるという日の目が見えてきたというところで、是非皆さんのお力をいただいて、多くの障害のある人の御意見も伺いながら、ほかの国を超えるような新しい差別禁止法と言ったら変ですけれども、差別禁止法をつくっていきたいと思っております。
私自身、実は障害のある人に対する差別禁止法については4回ショックを受けていて、第1回目は本などで有名になりましたが、ADAの衝撃というものがありました。ADAができたのが1990年ですから、今から20年前ということになりますが、この当時こんな法律が日本にできたらすごいということで大きな衝撃を受けたわけです。
それから10年間ぐらい何かつくりたいと思いながら少しぼんやりしている間に、2000年にアメリカでADAから10年経ってどんなことが変わってきたかという国際的なシンポジウムが開かれまして、そこに参加させていただいていろいろな国の人の話を聞いてみると、差別禁止法と呼んでいいような法律を持っている国は、当時のDREDFというアメリカの公的な法律事務所での報告では四十数か国で既にできているということを聞いて、私自身は大変びっくりしました。
また、同時に諸外国では障害のある人に対する差別を禁止する問題についての研究者や実務家というのは非常に人数も多いし、研究の業績も深くて、そのことについても日本は大変遅れをとっているということで衝撃を受けたわけでして、その報告を日本に帰ってきてしたりしたことも多少はあって、2000年ぐらいから差別禁止法についてのかなり本格的な議論がいろいろな団体の方々からも起こってきたということがありました。
3回目と4回目の衝撃というのはどちらが先か後かちょっと微妙なところなんですけれども、1つは2007年だったと思うんですが、韓国で障害のある人に対する差別禁止法ができた。日本と韓国は兄弟のように法制度も似ているわけですけれども、お隣の国でそういうものができて、決して日本でできない法律ではないはずだ、私たちはアジアの国々の中でも更に遅れをとっているのかもしれないということで大きな衝撃を受けました。
それから、言うまでもなく2006年に障害者権利条約ができて、この中に当然障害のある人に対する差別を禁止するということが非常に大きな柱の1つとして入っているわけです。
こうした世界的な20年ぐらいの状況を見たときに、日本でこの法律をつくらないで済ませておくということは到底許されないだろうと私自身は思っていまして、ときどきカラオケなどに行ったときには、自分で替え歌で差別禁止法の歌を歌ったりしているんですけれども、是非この会議の中で目に見えた形の推進がなされることを期待しておりまして、皆さんと活発な議論をさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、日本アビリティーズ協会会長、障害者差別禁止法を実現する全国ネットワーク専務理事の伊東弘泰様、お願いします。
済みません。ここで末松副大臣が退席されます。今後ともよろしくお願いします。どうもありがとうございました。(拍手)

(末松副大臣退室)

○東室長 済みません。伊東さん、お願いします。
○伊東委員 御紹介いただきましたNPO法人日本アビリティーズ協会の会長、伊東弘泰でございます。早稲田大学の客員教授もいたしております。
私は1歳のときにポリオになりました。人生の中で幾つもの差別を自身で体験いたしました。
そこで2001年にさまざまな諸団体と連携して、JDA、障害者差別禁止法を実現する全国ネットワークを設立して、皆さんとともに運動を展開している1人でございます。JDA、ネットワークからの立場としも参加させていただいていると思いますし、このような部会ができたことを大変感謝いたしております。
日本では心身の障害があると、様々な差別をうけることになり、私自身も100社以上の会社から就職試験で書類が全部突き返されてきた経験を持っております。運動を始め、障害者による会社を6人で45年前に設立して、今に至っているわけでございます。
医療から教育、雇用すべてにおいて差別があります。そして、その差別に対して障害のある人たちは、本人と家族が人知れず涙を流しながら、ようやく生きている、それが今の日本です。たとえどんな障害があっても当たり前に生きていける社会をこれからつくるために、差別禁止法をつくっていただくということで御協力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、日本障害フォーラム、障害者の差別禁止等権利法制に関する小委員会の委員長であります太田修平様、お願いします。
○太田委員 ただいま紹介を受けました太田修平でございます。
私は生まれたときから障害を持って生きてきました。友達は幼稚園に行き、自分はリハビリテーション施設に行かなければいけない。友達は近くの学校に行くのに、私は遠い養護学校に行かざるを得ない。友達は大学に行っているのに、私は親元で在宅生活をせざるを得ない。友達が会社に就職したりしているのに、私は障害者施設に行き、そこで12年間暮らさざるを得ない。本当に障害を持って生きて、何でこんなに違う生活をせざるを得ないんだろうと毎日無念の日々を送ってきましたし、今も悔しい思いをしています。
そして、多くの仲間たちは今も施設や病院で暮らして、生きているというより生かされている状況にあり、仲間たちは人生をあきらめて送っている人たちが多い現実があります。
南アフリカという国は、10年ぐらい前にアパルトヘイト政策が終わりました。でも、日本にはまだアパルトヘイト政策があるのです。障害を理由にした本当に悲しいアパルトヘイト政策の終止符を打ちたい。そういう思いでこの部会に臨ませていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、弁護士、日弁連の差別禁止委員会の委員でもあります大谷恭子様、お願いします。
○大谷委員 大谷です。
差別禁止委員会に関しては池原さんから詳しく説明していただきましたので、それと同じものに所属しています。制度改革推進会議の委員もさせていただいています。
個別の自己紹介もしたいんですけれども、時間がないようですので、はしょりますが、一言だけ言わせていただきます。弁護士になりたてのときに出会った障害のある子が地域の学校に転校したいという事件が、私の障害のある人との出会いでした。それ以降、個別事件で障害のある子とない子がともに学ぶ教育というものをどのようにしたら実現できるかということをやらせていただきましたけれども、裁判ではなかなか勝てない状況が続きました。子どもの権利条約が批准されてもだめ、皆さん御存じの障害者の機会均等に関する基準規則などを使っても裁判規範性までいかない。これをどのようにしたら裁判で勝てる状況にまで持ち込めるかということになると、やはり裁判規範性のあるもので裁判所で闘うしかないという状況になります。私はともに学ぶということが基本で、ともに学ぶことなくしては、ともに生きる生活はあり得ないと思っていますので、裁判なんかしなくてもそれが実現するように、最悪裁判になった場合にはここでちゃんと下支えがあるというような法律が1日も早くできることが必要だと思っていますので、そのためにこの会議が一定程度成果を得る、結果を出すということが求められていると思いますので、そのためにみんなと一緒にやっていきたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)
○東室長 よろしくお願いします。ありがとうございます。
続きまして、日本労働組合総連合会総合政策局長、小島茂様、お願いします。
○小島委員 御紹介いただきました労働組合連合で総合政策を担当しております小島です。よろしくお願いいたします。
私は労働組合の立場でありますので、労働組合の組合員の中には本人あるいは家族の方でさまざまな障害を持っている方がおります。そういうことも含めまして、連合といたしましては、障害者権利条約の早期の締結を求めているところであります。そのために国内法の整備が必要だと考えております。1つは雇用における障害者差別の法律の制定及び雇用に限らず教育、医療、政治参加という形でのより包括的な障害差別禁止法の整備が必要だと思っております。私たちのところでは、労働組合でありますので、雇用なり労働における障害者差別の禁止についての検討を先行して、一定の考え方を整理しているところであります。
今回、私も禁止部会のメンバーとなりましたので、今、想定されている2年内にはとりまとめ、法律を政府として出せるように一定の役割を果たせればと思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、東洋大学教授で障害者政策研究全国実行委員会、障害者差別禁止法作業チームの委員でもあります川内美彦様、お願いします。
○川内委員 こんにちは。東洋大学の川内です。
私の専門は建築なので、この名簿に名前が載っていることを知ったときにはちょっと驚いたというか、どういう役割ができるんだろうかということを考えざるを得なかったところがあります。
日本では交通バリアフリー法とかバリアフリー新法とかいわゆるハードの面というのはすごく進んできていて、多分世界でも指折りのレベルにきていると考えていますが、これらの法律のすべてがハードをつくることをいっていて、なぜハードをつくらなければいけないかということは一言も言っていないという法律です。つまり、理念のないままに鉄とコンクリートをつくるということだけが目的化した法律になっている。ですから、現在でも信じられないことですけれども、大阪から東京まで鈍行電車でないと来られない、新幹線に乗せてもらえないという人たちがいるわけです。ですから、そのような現実をこの会議の中でどう解決していくかということを一緒に考えていけたらと考えております。よろしくお願いします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、東京大学大学院特任研究員の川島聡様、お願いします。
○川島委員 今御紹介いただきました川島です。
私の専門は国際人権法なんですけれども、特に障害者分野の国際人権法で、障害者権利条約を中心に研究しております。しかし最近では特に、ディスアビリティと法という新しい学問分野に対して関心を持っておりまして、ディスアビリティ・スタディーズという障害当事者の人たちの声を何よりも重視する、現実を何よりも重視するというディスアビリティ・スタディーズという学問分野、ディスアビリティのとらえ直し、障害とは何かというとらえ直しから、社会、法、政治、その他現代の知の在り方、近代の知の在り方を問い直すというディスアビリティ・スタディーズという観点から、法の在り方を研究しております。
今回、障害差別禁止法という大変重要な法の制定を効果的に検討するために開かれる差別禁止部会に私の研究してきたことから何らかの貢献を行いたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、弁護士で日本盲人会連合副会長の竹下義樹様が順番でございますが、今日は御都合で御欠席です。
続きまして、日本労働組合総連合会特別委員、自治労障害労働者全国連絡会代表幹事、西村正樹様、お願いします。
○西村委員 西村です。
今回の差別禁止部会の構成員ということで選ばれましたことに、まず感謝申し上げたいと思います。
今、御紹介がありましたとおり、私は労働組合を基本として今回このメンバーに選ばれたわけですけれども、自治労につきましてはいわゆる障害者雇用促進法で定められている雇用率の中で採用されてきた障害者がたくさんいらっしゃいます。その組織化をすることによって、個々の障害を持つ労働者がどのような職場環境に置かれているのか、そして、どのような課題に直面しているのか、そういったことを中心にその問題に対する取組みを進めてまいりました。
私どもの運動の基本あるいは取組みの基本は、障害者雇用ということで採用に関する実態、あるいは職場に関する実態なんですけれども、実は障害者は雇用に限らずすべての面で共通すると思うんですが、働くということは通勤をしなくてはならない。通勤をしなくてはならないということは交通アクセスを使わなければいけない。そして、働くということは公営住宅を含めた住宅を確保しなくてはいけない。更には職場の中で働いていく上で、ろうの方であれば情報保障が必要である。視覚障害の方であれば点字資料等々が必要である。あるいは障害の重度化によって介助が必要になってくるといった、実は雇用という側面から障害者が必要とする生活上のさまざまな制限や制約を実際に感じてきております。そして、状況によっては、その結果、障害者の雇用を促進すると言いながら、障害が重度化することによって働くことができなくなってくるという状況もあります。
この間こうした問題というのは、個々の障害の状態を理由とした問題ということで片づけられてきたのではないかと思っています。ただ、今回の障害者権利条約あるいは今回の差別禁止部会のテーマにつきましては、そうではなくて、問題がどこにあるのかということを改めて考えていく、そして、そうした問題を起こさないためにどういった形の法的あるいはその他の制度が必要なのかということを議論する場だと私自身は思っております。ですから、そういう意味では、そうした現場あるいは当事者の実態から何が求められているのか、そして、どういうことが必要なのかということを今回の差別禁止法の中に少しでも反映していくことができればと思っております。
2年、3年になるかと思いますけれども、一緒に皆さんとやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございました。
続きまして、毎日新聞の論説委員であります野沢和弘様、お願いします。
○野沢委員 こんにちは。野沢です。よろしくお願いします。
この部会はちゃんと出るようにという東室長からの御下命でして、私もそのつもりで気合いを入れてきたんですが、先ほど皇居の前で通行止めになっておりまして、馬だの馬車だのが東京駅の方に延々と行列で15分ぐらい立ち往生して、しょっぱなから遅れてしまいました。済みません。
私も自閉症の知的障害の息子がおりまして、24年間彼と一緒に暮らしてきたわけですけれども、さまざまな差別的な場面に出くわしてきました。悪意のある差別もあれば、誤解に基づくものもあれば、あるいはよかれと思ってやられていることが意外にこちらが傷つくなんてこともあり、いろんな思いをしております。
最近、東京都内のあるところで障害者のグループホームをつくろうとしたら、住民に反対運動をされている。反対運動の中心が保護司さんと民生委員の方と聞いて、がっかりしまして、別の区から人権についての原稿を頼まれたのでそのことを書いたんです。場所は匿名で書いたら、慌ててその区の担当から電話がかかってきて、うちでも全く同じことが起きているんです。しかも、民生委員と保護司が反対しているんですと聞いて、今、世の中はどうなっているのかということを最近つくづく感じております。障害者施設だけではなくて、最近は保育所もつくろうとすると、住民の人たちに子どもの声がうるさいと言われているので、世の中の寛容さみたいなものが薄れてきているということも感じております。
この部会でいろんなことを幅広く考えていけたらと思っております。どうぞよろしくお願いします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
ただいま岡崎大臣が来られましたので、早速ですが、一言ごあいさつをお願いします。
○岡崎大臣 皆さん、こんにちは。障害者施策を担当いたします内閣府特命担当大臣の岡崎トミ子でございます。
本日は障がい者制度改革推進会議差別禁止部会の第1回の会合にお越しくださいまして、ありがとうございました。
御承知のとおり、政府におきましては、障害者権利条約の批准に向けて制度改革を推進するために、過半数が障害当事者の皆さんからなります、障がい者制度改革推進会議の中で医療や教育、雇用などさまざまな分野にわたって御議論をいただいてまいりました。こうした議論を最大限尊重して、去る6月29日には改革の工程表を示します障害者制度改革の推進のための基本的な方向が閣議決定されたところでございます。
また、この工程表の中で、政府は障害を理由とする差別の禁止に関する法律案を平成25年度の通常国会に提出することとしておりますが、この部会はその法制度の在り方を御検討いただくために開催するものでございます。このような法制度の検討は前例のないことでもございまして、簡単に結論の出ないものもあるかと思いますけれども、障害者制度改革の中でも特に重要なテーマの1つとして、皆様のお力をお借りしながら検討を進めてまいりたいと思います。是非とも障害者の権利、尊厳を尊重して、インクルーシブな社会が実現することができますように、皆様方の活発な御審議をお願いいたしまして、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございました。是非とも前代未聞の挑戦にバックアップのほどをよろしくお願いしたいと思います。
それでは、続きまして、法政大学名誉教授の松井亮輔様、お願いします。
○松井委員 ありがとうございます。松井です。
私はこれまでずっと障害者の就労支援の分野で仕事をしてきました。権利条約の特別委員会に東さんはずっと出られましたが、私もほとんど出させていただきました。その後、2年前に厚労省で権利条約への対応というか、特に27条の労働及び雇用への対応ということで1年近く研究会をやりましたが、そのメンバーにも加わってきました。そういう意味で、今回、推進会議の下に差別禁止部会ができたのは非常にうれしく思います。是非きちんとしたものができるように私も協力させていただきたいと思います。
御承知のように、アジア太平洋障害者の10年は2012年で今の第二次は終わります。2013年からは第三次アジア太平洋障害者の10年ということで、これは障害者権利条約をアジア太平洋地域において推進するということが目的になっていて、「メイク・ザ・ライツ・リアル」、つまり、「権利の実現を」という標語の下に推進することになっていますが、今、岡崎大臣がおっしゃったように2013年度に差別禁止法ができるのであれば、是非第三次の10年の中で、日本がこの分野においてもリーダーシップがとれるような形になればということを願っております。よろしくお願いします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、大阪大学教授の棟居快行様、お願いします。
○棟居委員 大阪大学の棟居と申します。
専攻は憲法学でありまして、主に人権を全般として研究をしてまいりました。昔から研究テーマの1つで、我々は人権の私人間適用と呼んでおるんですけれども、この場合の私人というのはプライベートな人々です。市民と市民、個人と個人あるいは個人と企業とか団体、国家対個人ではなくて横関係といいますか、隣の人とかあるいはお店屋さんの人とか、市民なり個人の間で人権保障がどのように、あるいはどこまで成り立つのか。これを憲法解釈を通じましていろいろとやってきました。
特に障害者の場合、先ほど来いろいろな御発言がありましたように、見えないバリアがあるといいますか、女性の場合ですとガラスの天井という言い方がされますけれども、バリアフリーと言いながら物理的なバリアフリーになっていて、見えないバリアが残っているということが社会の中で非常に強くまだ残っておると思います。先ほどアパルトヘイトということも言われました。私は非常に重い言葉をちょうだいしたと思っています。
そうした社会の中の根強い障害者差別といいますか、排除の論理というか構造というか、善意の場合もあるということなんですけれども、これにどういうふうに理論あるいは憲法解釈で対処できるかということと同時に、こういう場を通じまして、法制度でどこまで、どのようにということを考えさせていただきたいと思います。
特に国が音頭をとって一定の介入をしていくという場合には、これはまた別の憲法とか人権の問題が出てまいりますので、微妙なバランスどりが必要になるんだろうということで、なかなか厄介だ。先ほど大臣がおっしゃいましたように、これで成果を上げることはそう簡単ではないだろう。結論が簡単には出ないだろうという表現をされたと思いますけれども、御期待以上の何らかの成果が出ればと私個人としては思っております。どうぞよろしくお願いします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、神奈川大学法学部教授、山崎公士先生、お願いします。
○山崎委員 山崎公士と申します。神奈川大学に属しております。専門は国際法、国際人権法、人権政策学を研究し教えています。
この部会との関連では、ここ10年ほど人権侵害とか差別を受けた方々を国が公の制度で何らかの救いの手立てをつけるために、従来の立法とか司法とか行政機関とは異なる人権委員会、オンブズパーソン制度が諸外国ではあるわけですが、国内人権機関と総称されるものを日本で何とかできないものかということを研究してまいりました。そのプロセスで国際比較研究をやっている中で、いろんな国で国内人権機関をつくることと、いわゆる包括的な差別禁止法あるいは包括的な人権法をつくる、この2つが車の両輪として動いてきているという様を学んでまいりました。
もう一つは、障害者権利条約が国際レベルでできて、日本ももう少しで批准するという段階になっています。この条約を批准する際には、条約で定められている義務を国がきちんと守っているかどうかを国内モニタリングする組織を何らかの形で決めざるを得ません。そうしますと、一般的包括的なあらゆる人権課題に対処する国内人権機関を一方でつくり、他方で障害者の権利を守るための救済機関もつくる。こういうことが求められているということになろうかと思います。
私は国際人権法の立場から、ここの部会では恐らくこの両者の調整等が大きな話題の1つになろうかと思いますので、その点を中心に微力を発揮させていただきたいと思っております。
併せて、この部会の親会議でございます障がい者制度改革推進会議のメンバーもさせていただいております。こちらには東室長さんを始め弁護士の皆さんは何人か御参画されていますが、実は法律学研究者はなぜか私1人でございまして、非常に寂しい思いをしておりました。今回は非常に強力なお仲間を得ることができて、そういう意味でも大変心強く、勉強させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、京都大学教授の山本敬三様、お願いします。
○山本委員 山本敬三と申します。よろしくお願いいたします。
専門は民法です。具体的には契約法ないしは不法行為法を中心に研究してきました。差別禁止部会から私に声がかかったのは、恐らく私自身、公序良俗に関わる問題、更には広く憲法と民法の関係に関する問題について研究してきたからだろうと思います。具体的には、先ほど棟居先生が挙げられた憲法の私人間適用という問題について研究をしてきました。この憲法の私人間適用という問題は非常に難しい問題なのですが、その中でもとりわけ難しいのは私人間における平等という問題です。つまり、私人間で平等取扱義務というものが認められるのか。認められるとして、どのような場合にどこまで認められるのか。これは実践的にも理論的にも難しく、かつ重い課題だと思っています。
その課題の重さに私自身が特に接しましたのは、2001年から2002年にかけてドイツに在外研究に出ていた時です。この当時、ちょうどその前に出ました差別禁止に関するEU指令を国内法化するということが、社民党政権の下で問題になっていました。もともとEU指令自体は人種、民族、性別というのが基本的な項目だったのですけれども、国内法化するときに、それを更に一般化して、障害、年齢あるいは性的嗜好まで含めて立法化しようとしたために、それも私人間の契約関係等も含めて問題にしようとしたために左右から激しい議論が巻き起こりまして、もともと予定されていた国内法化の期日までに間に合わない事態になりました。そのような議論を見ていまして、これは相当深刻で難しい問題であるということを実感いたしました。ドイツでは、その後2006年にようやく一般平等取扱法という法律ができましたけれども、その後もなお激しい議論が続いているという状況にあります。それを関心を持って見てきましたために、今、日本でまさにこういうことが問題になろうとしているのは、非常に意義深く、かつ重い課題が課せられたものだと実感しているところです。
私自身は民法が専門ですので、民法の観点からしか寄与できないかもしれませんけれども、可能な限り議論に参加していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
次にオブザーバーの皆さんを御紹介します。
まず初めに日本経済団体連合会労働政策本部主幹の遠藤和夫様、お願いします。
○遠藤オブザーバー 経団連から参りました遠藤和夫と申します。
現在は雇用、労働政策を担当させていただいております。数年さかのぼってみますと、例えば社会保障制度改革への対応ですとか、あるいはまた雇用均等行政への対応といったことにも関わってきてるものでございます。
今般は、新しい枠組みとして障害者差別禁止法の制定に向けての取組みということで機会をいただきましたので、私どもも努力してまいりたいと思っております。よろしくお願い申しあげます。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、日本商工会議所産業政策第二部担当部長、佐藤健志様、お願いします。
○佐藤オブザーバー 皆様こんにちは。日本商工会議所の佐藤健志と申します。
私は商工会議所で労働と少子化や高齢化などの人口に関する課題、環境問題を担当しております。
商工会議所といいますのは、民間企業が自主的に集まって組織をしている団体でございまして、全国に514か所ございます。市町村でいいますと、市があるところには大体商工会議所がございます。会員は約133万、その94%は中小企業です。中小企業の中でも大部分は1人ですとか、あるいは御家族だけといったところも含めまして、非常に規模の小さな企業が大多数を占めております。業種はあらゆる業種で構成されております。そうした団体の商工会議所でございますが、私がおります日本商工会議所というところがそのとりまとめ役をいたしまして、いろいろな意見を申し上げるという仕組みになっております。
これからどうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、専門協力員の皆さんですが、まず上智大学法学部准教授、永野仁美様、お願いします。
○永野専門協力員 永野と申します。
専攻は社会保障法です。私はこれまでフランスの障害者政策について研究してまいりました。雇用政策や所得保障、サービスの利用に係る費用負担の保障方法等々幅広くフランスの障害者政策について研究を行ってまいりました。その中で、差別禁止立法についての研究もしております。2009年、2010年には、内閣府からの委託を受けまして、他の研究者とともに諸外国における差別禁止立法の調査もおこないました。その成果が、今日配付されております2冊となっております。
既に外国法の調査につきましては、かなりの蓄積がありますけれども、こちらを基にしつつ、また新しい展開等情報をアップデートしながら、ここでの議論の参考になるように外国法の状況について皆さんに情報提供できましたらと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございます。
続きまして、田園調布学園大学准教授、引馬知子様、お願いします。
○引馬専門協力員 引馬知子と申します。
社会政策を専門としております。既にある諸外国の差別禁止あるいは均等待遇法政策の先駆的な取組みのよい点や課題、あるいは日本の障害のある人々の社会参画に関わるさまざまな議論、事実などを参考にしながら、日本の社会が障害のある人もない人も等しく参加できるようになっていく、参画しやすい社会になるように、少しでも貢献できたらと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございました。
なお、4月からになりますけれども、一橋大学専任講師の相澤美智子様にも専門協力員という形で御協力いただくことになっております。
以上が自己紹介ということで皆さんにお話いただきましたけれども、障害者差別禁止法をつくるということは困難な状況も予想されております。しかしながら、いろんな深い、重たい現実がある中で、この法律をつくることの意義は非常に大きいと思っております。今後ともよろしくお願いします。
続きまして、部会長の選任に移りたいと思います。資料2というものがありますが、それを見ていただけますでしょうか。これは「障がい者制度改革推進会議差別禁止部会について」ということで、推進会議で決定した要領でございます。
この中で部会長は構成員の互選により決定するということになっております。
その他の事項は推進会議の例によるということで、裏の方に参考資料ということで推進会議の開催要領も付けております。
つきましては、部会長は構成員の互選により決定するということになっておりますので、どなたか皆様の中から他薦、自薦でお願いしたいと思いますが、御意見がある方はいらっしゃいませんでしょうか。
池原さん、お願いします。
○池原委員 この分野は法的には多分障害者権利条約のような国際法の問題、国内的には当然憲法が最も基本的な法律になりますし、民法、労働法、諸法にいろいろな目配せができるということが必要であると1つは思っています。同時に実務家として申し上げると、やはり実務の現場の問題ということについても関わりを持たれているような方が望ましいのではないかと思っておりまして、そういう観点からすると、棟居委員が私は適切ではないかと思っております。
棟居委員は先ほどの自己紹介でもお聞きしましたけれども、いわゆる私人間効力の研究も非常にお詳しくやっていらっしゃいますし、その他社会保障法とか生存権に関しての御論文などもありますし、更に国際法についてもかなりいろいろな文献を読ませていただいております。
それから、弁護士会としても、日弁連や第2東京弁護士会でいろいろと実務的な問題についてもお願いしたことがありまして、先ほど申し上げたような国際法、憲法、民法、労働法あるいは実務的な観点ということで、非常に多角的な活動をされていらっしゃると思っておりますので、座長としては非常に適任な方ではないかと思っております。
○東室長 ありがとうございます。
ただいま池原委員から棟居さんを部会長にという声がありましたが、皆様いかがでしょうか。御異議ございませんか。

(「異議なし」と声あり)

○東室長 ありがとうございます。
それでは、棟居委員に部会長をお願いしたいと思います。
つきましては、部会長の席はこちらでございますので、御移動願えますか。

(棟居委員、部会長席へ移動)

○東室長 それでは、まず棟居部会長にごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○棟居部会長 高いところで失礼します。
今、非常につたない自己紹介をした後にいろいろ補っていただきまして、大変ありがとうございます。恐らくいろいろやっておるではないかということで部会長に御推薦いただいたということだと思うんですが、結果としましては、しゃべる材料がこのメンバーの中では一番少ない。だから、どうせ一番おとなしいんだろうということでここだと自分では思っております。
ただ、これだけいろんな方々をそろえるというのはチャンスだと思いますので、やはり日本はすごいというような新しいアイデアが出てくれば、これは期待以上ということになるかもしれないし、そうあってしかるべきではないかと思っております。
ということで、高いところから失礼しますけれども、よろしくお願いします。(拍手)
○東室長 どうもありがとうございました。
○棟居部会長 それでは、私からということですね。
○東室長 はい。
○棟居部会長 東室長より差別禁止部会の議事運営、情報提供、傍聴及び取材協力等について御説明をお願いします。
○東室長 先ほども資料2ということで見ていただきましたけれども、読んでいただければわかると思います。
特に推進会議の開催要領を付けております中で、2ページの方を開けていただきたいんですが、推進会議自体ではコミュニケーションに困難を抱えておられる方が随分いらっしゃいます関係で、情報保障として、例えば手話の通訳、指点字の保障であったり、ルビをつけるとか要約筆記、理解を容易にするための支援者という形で会議内での情報保障というものに努力してまいりました。それとともに、あと1つは、ここだけの会議ではなくて、実は、今、皆さんの御発言はリアルタイムで外にも出ておるところなんです。そのためにテレビ専用の手話通訳とか要約筆記も用意されております。そういう形でこの会議は開かれていくということを御理解願いたいと思っているところであります。
ほかには特段質問があればお受けしますが、読んでいただければありがたいと思っています。
それと、部会には副部会長を置くということになっております。副部会長は部会長が指名するという形になっておりますので、その件も今日議題として挙げなければならないところです。
大体以上です。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
先ほど御説明いただきました部分につきましては、報告事項ということで扱わせていただきます。
それから、今、後の方でお話がございました部会長から副部会長を指名するという私の最初の大役でございますけれども、この点につきましてはお二人お願いしたいと思います。
1人は伊東様です。障害者差別禁止法を実現する全国ネットワークを立ち上げられるなど、差別禁止法制定の必要性を以前から訴えて来られた方だと伺っておりますので、是非お願いしたいと思います。
もう一人は、本日は御欠席ですが、竹下弁護士にもお願いしたいと思います。日弁連で障害者差別禁止に関して長年取り組まれてきております。その知見を是非生かしていただきたいと思っております。
いかがでしょうか。というか私の指名ということで、これは命令だということですので、よろしくお願いします。
○東室長 ありがとうございます。
伊東さん、移動できますか。移動できるのであれば、こちらの方に移動していただいて一言お願いします。

(伊東委員、副部会長席へ移動)

○東室長 一言お願いします。
○伊東副部会長 突然の御指名でございますが、一生懸命頑張らせていただきますので、是非皆さん御協力、御支援をよろしくお願いいたします。画期的な成果を上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
○東室長 ありがとうございます。是非ともよろしくお願いします。
○棟居部会長 それでは、岡崎大臣が御公務のためにここで退席されます。どうもありがとうございました。
○岡崎大臣 よろしくお願いいたします。

(岡崎大臣退室)

○東室長 ありがとうございました。
なお、竹下委員には事務局から副部会長の指名の件はお伝えしたいと思っております。
部会長お願いします。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
それでは、次に課題の概要と当面の進め方ということで、これも東室長から引き続き御説明をいただきたいと思います。その後、質疑を行うという順番で進めてまいります。よろしくお願いします。
○東室長 担当室の東です。
資料3をお開け願えますか。お手元にありますか。「差別禁止部会の今後のおおまかなスケジュール」ということで、日付を打ったものが1枚あります。
ホチキスでは止めていないんですが、裏の方に差別禁止部会のスケジュール骨子メモというものがございます。そのメモから御説明したいと思います。差別禁止部会は当面2か月に1回ほどのペースで検討進めたいと思っております。実は推進会議本体の方が障害者基本法の改正作業でかなり密にやっておりますので、その関係で来年3月ぐらいまでは差別禁止部会については少しゆったり目のペースで進めたいと考えております。ですので、推進会議本体の課題がある程度解決した段階では、こちらの方を月1回ぐらいのペースで行っていきたいと思っています。
今後の進行の予定の大まかな点なんですが、次回は1月ということになります。もう一枚のペーパーを見ていただくと、第2回目が平成23年1月31日月曜日ということになっております。また、3回目は3月14日というものがあります。4月以降につきましては、一応最初の4月だけは4月4日となっておりますが、それ以降につきましては、皆様方のスケジュールをいろいろとお知らせ願って調整していきたいと思っているところです。
こういう日程の中で、予想される議論と流れということで別のペーパーで書いておりますけれども、まず日本では理念規定とか訓示規定という形で差別禁止に関わる法律もあるにはあるわけですが、本格的な差別禁止法をつくるに当たって、まず最初に世界の法制度がどうなっているのかということのある意味で勉強会みたいなことをやっていきたいと思っているところです。
専門協力員として今日お二人に来ていただいておりますけれども、それぞれの専門分野を通じて一定の資料を準備していただきたいと思っております。お二人だけでは当然大変ですので、この部会のメンバーからも協力していただければと思っておりますが、専門協力員に主に頑張っていただいて、欧米の主な国の差別禁止法制がどうなっているのか、その検討をやっていきたいと思います。
そういう法制度の検討が一応終わった後で、どこの国においても障害とか差別の定義をどうしているのかというのが一番大事な部分だろうと思いますので、そこら辺から諸外国の法制度を念頭に置きながら、総論的な課題の検討が必要になると思っております。
また、外国の法制度を見ますと、必ずしも個別分野をすべて包括的に規定している法律というのは、完全にそろえている法律というのはないようにも思われますけれども、それは各国で個別法が発展してきた結果、残った部分を包括的に書くような歴史的な経緯もあろうかと思います。ところが、日本ではほとんど個別法が発達してきていない。そういう中にあっては、個別分野を包括的に漏れなく規定するということも検討しなければならない課題だと思います。
そういうことを検討しながら、時期として後先になるかわかりませんけれども、先ほどの委員の紹介の中にそれぞれの自分の体験の中での差別が語られておりましたが、やはり現実にどういう差別があるのか、いろんな分野でさまざまな差別があると思われますけれども、調査を兼ねて現場からのヒアリングを行っていきたいと思っているところです。
その他いろいろなことを書いておりまして、おしりの方は24年の秋から暮れにかけてと考えております。それはなぜかと申しますと、第一次意見に基づいて閣議決定がなされておりますけれども、25年の通常国会に差別禁止法案を提出するということが決められておりますので、それに間に合わせるためにはここの意見を24年夏から秋もしくは暮れにかけてまとめていく。それを推進会議に上げて意見を聞くなどして、また上げるということが必要になるかと思います。
ここに書いてある部分は当面考えられる部分をざっと書いただけですけれども、それまでの期間の中でできるだけ十分な検討ができるように進めていきたいと思っているところです。
雑駁な御説明ですけれども、このような感じでやっていきたいと思います。以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今、室長から課題の概要並びに当面の進め方について御説明をいただいたところでございます。今日お示しになっておられますものは、ざっくりといろんなものを並べているということですけれども、予想される議論の流れ等について、こういうものをもっと重視すべきであるとか、切り口はこういう角度がいいのではないかとか、あるいは進め方の順番についても研究者の方からヒアリングという定番的なところからそろって入っていくような段取りを示されましたが、もっと別の切り口だとか何か質疑はございませんか。何か質疑はございませんかと私からお聞きしておきながら、多少質疑以上のものを皆さんに言ってくださいと申し上げておるようなニュアンスもあるかもしれませんけれども、多少そうした広目のことも含めまして、御質問をちょうだいしたいと思います。いかがでしょうか。
どうぞ。
○大谷委員 大谷です。
この中身そのものに異論があるわけではありません。こういう順番で進むのがきっと本当だと思うし、すばらしいことだろうと思います。
ただ、私がどうしても気になるのは、今、障害者基本法を推進会議の方でやっています。それを3月までにということをやっているんですけれども、基本法と禁止法の関係なんです。基本法は基本法で3月までに何とか上げる。基本法のところで今日まさに議論になったんですけれども、いわゆる権利確認規定の内容を基本法に盛り込むべきではないという基本的なスタンスがある。個別的な権利義務関係に関しては、障害者基本法ではなくて各個別法でやるべきであるという提案がされている中で、障害者基本法が単なる抽象的な理念の確認に終わってしまうおそれがあるんです。私とすると、何とか推進会議で基本法にきちんと権利規定を盛り込んでもらいたいという形でやっています。
それは会議の全体の流れなんですけれども、私が危惧しているのは、差別禁止法の方で具体的にもう少しなってくるから、裁判規範性のあることは差別禁止法の方でやればいいんだ、禁止法はこれでいいのではないかという形になったときに、数年後にまとまるであろう差別禁止法にすべてをかけるということになってしまうんです。それが担保されていればいいんですけれども、担保されないおそれもあるという中で、具体的に禁止法と基本法をどういうふうにしていったらいいのかというのが私とすると悩ましいと思っているんです。
それで1つ御提案なんですけれども、推進会議の方で議論している中身に関してもこちらに持ち込みますので、これだけの学者さんがそろっているので、禁止法だけではなくて基本法にもきちんとした権利規定の少なくとも総論的なことは入った方がいいし、入るべきだし、それは法制的に意味があることだという意見を出してくれればまた心強いし、もしくは基本法の中に差別禁止法をつくるんだということを法制度の措置のところに、具体的な権利に関しては差別禁止法に制定を委ねるという条項をきちんと入れるということで、ある種法制定の担保をとるかとか、そういうような2輪を意識した進行をしていただきたいと思います。その点を具体的にどうしたらいいのかというのは、まだちょっとイメージが湧きませんけれども、少なくとも今2輪になってしまっていますので、片方だけにならないようにということを是非意識していただきたいと思っています。
以上です。
○棟居部会長 今の大谷先生の御発言を進行上私なりに集約させていだたいてよろしいですか。
お願いします。
○松井委員 先ほど私の紹介の中で申し上げたんですけれども、個別法で2年前に既に障害者雇用促進法の中に差別禁止事項をどう入れていくかとう議論が始まっているわけですが、そういう差別禁止法全体の進行の問題と先ほどの基本法とも関連しますけれども、そういう個別の法律の中で盛り込んでいくような動きがあるわけですが、その辺の全体の調整というか進行管理というか、そこも含めて議論しておく必要があるのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
先ほど私は集約と申しましたけれども、これは集約し切れない大きなことを大谷委員はおっしゃったと思います。要するに基本法はかなりペースが早いわけです。早いというか3月に一応まとめる。そこで権利確認規定はあえて入れないという方向性がもう出てきておるんですか。それは差別禁止法の方できっちりやってくださればということで、基本法の親委員会の方は言わば身軽な状態で理念の宣言みたいなことで済む、それなら早いんだという分業になりかけている。先ほどの御発言は必ずしもそうなるべきではないという観点からの御発言だったんですね。
○大谷委員 事務局提案がそうだったのであって、私は基本法の方にもきちんとした権利確認条項があってもいいと思っているんですけれども、従来の基本法の枠の中では難しいのではなかろうかという事務局提案があるという段階です。そこを何とか突破できないかということです。
○棟居部会長 山崎委員、お願いします。
○山崎委員 山崎です。
今日のちょうど午後3時ごろやっていた議論ですので、そこにいた人間として少し補足させていただきます。
制度改革推進会議のメンバーは、ほぼ例外なくどういうネーミングの法律であれ、権利の客体から権利の主体になったことのようなパラダイム転換は実体法として何らかの法律に表現すべきであるという点では異論がございません。
問題なのは、今、障害者基本法というものの改正が議論されているところでして、基本法の中にこういった重大な理念とか権利性を盛り込むことが可能かどうか。内閣法制局などに言った場合、それは無理である、基本法というネーミングの範疇を超えているという議論にならないかという危惧が一部あるというところと、別の委員さんからは、今、私が申し上げたような延長で、これは高度の政治的な意思が働かないと従来の基本法という枠組みの中に理念とか権利性を実体規定として盛り込むのは難しいのではないかという心配が今日の3時から3時半ほど間に議論されていたということでございます。
○棟居部会長 親委員会がかなりのスピードで動いておられる中で、こちらの部会ではどこまでそれを意識しなければいけないというなかなか難しいですけれども、とりあえずここではいろんな分野の方がくしくもこれだけそろっていますので、親委員会がある意味で丸投げしてくれているんだったら、逆にそれをチャンスととらえるという発想もあると個人的には思うんですけれども、東室長はいかがでしょうか。
○東室長 基本的に基本法の問題は推進会議でやるということですので、それに相当する部分をここでやっていくということではありません。ただ、差別禁止法をどういうふうにしていくかということの関係でどうしても基本法に触れておくということが必要であれば、それはここでの議論として必要だと思います。ですので、それはある意味で基本法について推進会議の議論の推移を見ながらということにもなろうかと思います。
ただ、推進会議で差別禁止に関してもこれまでいろんな議論がなされております。そういう資料につきましては、参考資料として準備しますので、それをごらんになった上で、基本法のレベルでどういう議論になっているのかという状況についても理解をしていただければと思っております。
それと、松井委員がおっしゃった部分につきましては、例えば労働分野における差別禁止と厚生労働省において検討されている合理的配慮の在り方の問題との関係でどうするのかとか、既存の個別立法と特に差別禁止法で予定される個別分野との関係をどうしていくのか。それは労働分野だけではなくて、ほかの分野についても同じような問題点が出てくるんだろうと思います。ですので、ある意味では個別分野で関連する部分については省庁とのヒアリングとか、いろいろすり合わせが必要になってくるような状況も出てくるのではないかと思います。そこら辺につきましては、全般的にどういうふうに対応していくということまでは案としてあるわけではございません。ですので、それも走りながら考えていくということではないかと思っているところです。
○棟居部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○太田委員 最後の室長の説明でおおよそ理解はできたんですが、1点細かい質問で恐縮なのですが、室長が出された差別禁止部会スケジュールというペーパーによると「差別禁止法部会」と書いてあって、この部会の名称は「差別禁止部会」なのか「差別禁止法部会」なのか、どちらでしょうか。どちらでもいいようには思えるのですが、将来の議論をしていくに当たって、いいにしろ悪いにしろ部会の名称によって物事が規定される動きがあるので「差別禁止法部会」なのか「差別禁止部会」なのかお答えをいただければと思います。
○東室長 先ほども説明のときに少し言ったかと思いますけれども、私の骨子メモの上の方に「差別禁止法部会」という「法」が付いております。これは私のミスでして、正式名称は「差別禁止部会」と表示すべきところを誤って「法」と書いたということなわけです。
ただ、名称はどうであれ、先ほど言いましたように第一次意見に基づく閣議決定では、差別禁止法の制定に向けて部会をつくって議論していくということが決まっておりますので、メインの目的としては新たな差別禁止法をつくっていく、それについて議論していく部会であるという性格については変わらないと思っております。
以上です。
○棟居部会長 貴重な御質問をありがとうございました。私も部会長ということで、何の部会長なのかの認識を間違っていたかもしれませんが、これはあくまで「差別禁止部会」である。しかし、こういう場ですので、法を通じて、制度を通じてそれを具体的に実現していくという室長の強い意欲が「法」という誤植にも表れておったのではないかと思います。
お、走りながら考えるというお言葉も先ほどどなたかお使いになりましたけれども、本日は一応予定された時間を少々過ぎております。
ほかに特に御質問等はございますか。どうぞ。
○池原委員 予想される議論の流れに関してなんですけれども、当然されるんだろうと思いますが、障害者権利条約が差別禁止法規範として具体的にどういうことを求めているかということについては、一度整理する必要があると思っています。障害者権利条約ができる前の段階ですと、ある意味国際比較法的な資料を集めて、どこの国がどれぐらい優れているかという議論になるんだろうと思うんですけれども、今、世界的な1つの規範的な基準として障害者権利条約があるので、やはりこれをベースに置いて、その視点から諸外国の立法例を評価したり、日本としてどうすべきかということを考えるべきだと思います。
更に障害者権利条約の解釈にはかなり幅があると思われますし、条約での見解もそろそろ出始めたり、ヨーロッパでもいろんな文献が出ているようですので、その辺は是非集めて1回共通認識の機会をつくっていただきいと思います。
○東室長 担当室の東です。
ありがとうございます。そのとおりだと思います。ただ、それに向けての資料等の準備もありますので、池原委員にもよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○棟居部会長 どうぞ。
○伊東副部会長 伊東でございます。
この会の進め方なんですが、すばらしい法律の先生方、弁護士さん、大学の先生などが非常に多くて、先ほどからのお話にも法律の専門用語がたくさん飛び交っております。そこで、先ほど室長からお話がございましたように、リアルタイムで外にも出ているということであれば、特に障害を持っている人たち、関連の方々は大変に注目してホームページなども見ておられますので、できるだけだれもが理解できるような御説明、御発言をしていただくように努力する必要があると思います。
もう一点は、推進会議、私は総合福祉部会の方に出させていただいておりますが、委員の方々もそれぞれの推進会議や総合福祉部会に参加していらっしゃる方といらっしゃらない方がおられる。そこで関連することが議論されたりしますので、やはり情報の共有化をするために、できるだけそのときの情報を共有できるようにしないと、この中で情報の差別化が出てきても困ると思いますので、是非ひとつ御配慮をお願いいたします。
○東室長 大事な御意見だと思います。推進会議では知的障害の委員の方もおられます。その方の情報保障の1つの手段としてやっているのがイエローカードを挙げるということです。今、山崎先生が挙げられておられますけれども、イエローカードが挙がったら一旦発言をストップして、何がわからないのか発言を受けた後、もう少しその意味を砕いて話すということをやります。それは決してイエローカードを挙げられた方だけではなくて、実は今更恥ずかしくて聞けなかったということで皆さんのためにもなるというところがあるんです。そういう意味で、わかりやすい形で話をしていくことは非常に大事なことだと思いますので、どうか皆さんの御協力をお願いしたいと思っているところです。
どうもありがとうございます。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。今のイエローカードは、学生に土産で持って帰れたら、彼らは散々それを行使するのではないかと思いますが、お互いわかりやすい議論、ここだけの議論ではないんだということで是非進めていけるように御協力をお願いします。
それでは、本日はもう時間がまいっておりますので、これで課題の概要と当面の進め方について終わらせていただきます。
なお、このほかの予定はございませんので、これをもちまして、本日の会議を終了させていただきたいと存じます。
本日の部会の概要につきましては、この後、記者会見におきまして、私と東室長から説明をさせていただきます。
本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。これにて本日は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

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