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第16回障がい者制度改革推進会議 差別禁止部会(2012年3月16日)
議事要録
【議事 中間の論点整理について(その2)】
(0 総則)(1 雇用、就労)(2 司法手続)
- (東室長)「障害を理由とする差別の禁止に関する法制の制定に向けて-論点に関する中間的な整理-(案 その2)(以下、中間整理案)」について説明する。「はじめに」では、閣議決定の正式名称「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」を入れた。「第1 総論」の「1、差別禁止法の必要性、有用性」では、冒頭に「この点に関し、以下のとおり、差別禁止法の必要性やその有用性を首肯する様々な意見が出された。」と頭書きを付け、また、新たに項目を加えた。「2、現行法体系の下における差別禁止法の位置付け」でも同様に頭書きを付けた。「3、差別禁止法の対象範囲」では、「障害のある人」等の表記を「障害者」に統一した。「4、『障害』のとらえ方」では(1)医学モデルと社会モデルに関連して、(2)機能障害に期間や程度等から制限を付けることについて、(3)過去や未来の障害について、の3つに分けて意見を整理した。「5、差別(1)差別のとらえ方」では、<2>は異別取扱いと同一取扱いの関係について加える等した。「5、差別(2)禁止されるべき差別について」では、<2>で直接差別と間接差別等の関係について意見を追加し、<4>で直接差別・間接差別・関連差別を包括した類型と合理的配慮を提供しないことの2類型にすべきとした。「5、差別(4)合理的配慮」では、事前的改善措置についての議論の紹介にイギリスの例を加えた。「5、差別(5)正当化事由」では、委員の意見を生かして修正した。「第2 各論」の「1、雇用、就労(2)差別及びその正当化事由」に「働く上で不利益な取扱いを受けてはならない」と加えた。「1、雇用、就労(4)留意すべき事項」では、<4>で雇用促進法との関係について、<5>でこの分野の差別禁止の議論をどこでするべきかについての意見を付加した。「2、司法手続(5)その他」では、起訴前鑑定が行われると一般の拘束期間よりも延びることについての問題提起を加えた。
- (発言)この中間整理案をどういう意識を持って骨格提言へとつなげていくかがポイントだ。こういう視点に立って発言してほしいということがあるか。
- (東室長)この中間整理案はまとめではなく、これまでの議論を共通理解しまだ議論していない点を確認するために整理したものだ。議論したがまとまってない点を、今後まとめるためでもある。また部会での検討を公開し、いろいろな場で議論していただくためにも必要だ。
- (発言)新たな部会では合意できる点、できない点の確認を積み重ねていくのか。
- (東室長)差別禁止法制の骨格提言を作らなければならないので、合意点の単なる確認作業ではない。骨格提言を作る上で合意できなくても影響なければそのままでよいし、合意すべき点は合意してもらわなければいけない。
- (棟居部会長)本日は中間整理案を確定する。新たな部会では合意形成をする必要があるので、中間整理案への提案や批判と併せて足りない点も指摘していただき、今後検討する。
- (発言)やや対立する意見を並べている箇所、概ね一致した意見を紹介している箇所、意見を羅列している箇所、更に検討を要するとしている箇所等があり、形式面から見ると時間をかけた議論が必要なのはどの論点なのか分かりにくい。検討を要するとしている論点は、他に比して議論が不十分として放置されるのではないかとも受け止められる。
- (東室長)担当分野を分担したので書きぶりが統一されていない。書きぶりに関わらず、議論が分かれていれば検討を要する。
- (発言)一致したところは一致したと記載してほしい。
- (東室長)異論がなかったから皆さん共通理解されているのか、別の意見があったのに言わなかったかの判断は難しい。中間整理案は、あくまでたたき台でしかなく、4月以降の議論が拘束されるわけではない。
- (発言)骨格提言に向けて、今後の検討の方向性を示してほしい。
- (東室長)事務局から議論すべき点を示すことはスムーズに進める上で必要だが、結論の枠組みをこちらが示すというやり方は採らない。事務局が示す方向でまとめるのでは、従来のやり方と変わらないとの意見もある。皆さんの自主的な意見でまとめる方がよい。文書の形式等事務的なことはこちらから提案する。
- (発言)語尾が「検討を要する」となっている箇所が多く、4月以降どこに焦点を当てて議論したらよいのか伝わりにくい。
- (発言)中間整理案では暫定的に各論が設定されているが、何を各論にするべきかについては書かないのか。
- (東室長)各論については、事務局が提起したテーマで議論しつつ、他に議論すべきテーマがあれば言って欲しいと投げかけてきた。欠格事由のように議論の中では出てきたが時間をとって議論していないものは、テーマとしては取り上げず別のところで問題点について触れている。今後、各論として議論するべきだと皆さんが合意した分野は議論する。
- (発言)女性障害者への差別については、各論として議論の必要があると提起された。
- (発言)複合差別の問題、女性障害者の問題を議論していただきたい。
- (東室長)ほかにもそういう点は御指摘があるので、4月以降やっていこうと思っている。
- (発言)「第2 各論 1 雇用、就労(1)対象範囲」で「差別が禁止される事項として、募集、採用、解雇、退職」とあるが、働いている状況について記載がないので、労働条件と職場環境を付記してほしい。働き続けることについては十分な環境整理がされていないという議論があったと記憶している。
- (発言)「第1 総論 4、『障害』のとらえ方」に関連して、障害の定義は法律により異なることを前提に議論していた。障害者雇用促進法と障害差別禁止法の障害の定義は異なり得る。
- (東室長)「第1 総論 4、『障害』のとらえ方」の頭書きの「差別禁止法においてどのようにとらえるかについて」の部分に、法律の目的や性格によって障害の定義は異なるという趣旨は書いている。
- (発言)それを明示的に書くことが重要だ。皆が共有している前提だとして書かないと、誤解を生む。障害者雇用促進法の障害者の定義と同じであればよいという議論や、差別禁止法は法の趣旨、目的が違うから障害者雇用促進法の障害者の定義と同じでよいという考え方は妥当ではないという議論があった。
- (発言)「第1 総論 3、差別禁止法の対象範囲」にある「憲法第1条」は「憲法第14条」ではないか。「第1 総論 2、現行法体系の下における差別禁止法の位置付け」に「<2>国は個人に基本的人権を保障していることとの関連で」とあり、国が基本的人権を個人に保障していると読めるが、正確には憲法が個人に基本的人権を保障している。国民全体が憲法をつくり、基本的人権を保障するという点は重要なポイントだ。「憲法により個人に基本的人権が保障されていることとの関連で」と改めてはどうか。
- (発言)「第2 各論 1 雇用、就労(1)対象範囲」のところは、「差別が禁止される事項として、募集、採用から解雇、退職に至るまで全てのものが含まれる」と修文すると雇用に関する全ての過程が含まれる。
- (発言)「第1 総論 5、差別(1)『差別』のとらえ方」の「<2>ただし、この場合であっても原則は平等取扱いであることから」は、異別取扱いと同一取扱いを対比しているので、「原則は同一取扱いであることから」とすべきである。「第2 各論 1 雇用、就労(4)留意するべき事項」の「<5>労働・雇用分野における障害者差別の具体的な内容は公労使障の四者で構成されている障害者雇用分科会で」は分かりにくい。「第2 各論 2 司法(2)差別及びその正当化事由」の「ア)差別について」では、現行法自体の問題と現行法の運用の問題について問題提起をしたが盛り込まれていない。「第2 各論 2 司法(5)その他」の「<2>刑事訴訟法では身柄を拘束した場合には一定期間内に起訴しなければならないが、・・起訴前鑑定がおこなわれると、それを越えた拘束となって・・・不当だ・・」について、鑑定留置の場合には拘束期間が長くなるが、起訴前鑑定は20日以内に行っている。
- (発言)「第1、総論 1、差別禁止法の必要性、有用性」の<7>に「差別禁止法制が新しい社会づくりに重要な役割と意義があることについても、理解を広げなければならない。」とあるが、重要なことが最後の方に書かれている。差別禁止法の適切な実施は障害のある方々の社会参加の礎になり、今の少子高齢社会全体にとって利益になるということをどこかに書いてはどうか。
- (発言)「第2 各論 1 雇用、就労(4)留意するべき事項」の<5>は、論議を行って、「論議の棲み分けの整理を図っていくべきとの意見が出された」という意味がわからない。
- (発言)「(4)留意するべき事項」に<5>を追加してほしいと意見を出した。以前の部会で、前任の委員が厚労省の労働政策審議会の障害者雇用分科会での議論とのすみ分けの整理が必要という趣旨のペーパーを出した。
- (発言)「第2 各論 1 雇用、就労(4)留意するべき事項」の<4>「雇用促進法とは別に規範性をもった法律を新たに位置づける必要がある」の意味がわからない。ペーパーで出した意見は整理に反映しない方針が前回打ち出されたが、それはどうなるのか。
- (棟居部会長)労政審の分科会での議論とのすみ分けについてのペーパーは発言の代わりであり、またこの部会で何度も議論された内容なので、記載した。
- (発言)「第1、総論 4、『障害』のとらえ方」について障害者基本法の障害の定義を入れるべきだという議論があった。また、関係法令で差別を助長しているものと欠格条項も中間整理案の論点とするべきだ。
- (発言)「第2 各論 1 雇用、就労(4)留意するべき事項」の<4>に関する質問があったが、現在の障害者雇用促進法を大幅に改正するか又はそれとは別に新たに規範性をもった差別禁止法を位置づけるかという趣旨だ。<5>は、具体的な内容は厚労省に任せて、この部会では枠組みだけ議論するとも読めるので、「調整を図った方がよい」と書いてほしい。
- (東室長)障害者基本法の障害の定義を入れるべきだという議論についての指摘があったが、この部会ではそうした議論はなかったはずだ。
- (東室長)「第1、総論 4、『障害』のとらえ方」の(1)の後に、「障害(者)の法的定義は、法律の趣旨、目的に応じて異なる。例えば障害者雇用促進法と差別禁止法とでは、障害(者)の法的定義は異なる。そのため、差別禁止法独自の障害の法的定義をつくる必要がある。」を入れるという修文案が出ているが、よいか。ここは障害のとらえ方なので、「(者)」は省いた方がよいのではないか。障害者基本法では障害は機能障害としているが、障害者は社会モデル的な要素を付け加えている。どちらなのかが明快にならないと議論が混乱する
- (発言)障害者基本法と差別禁止法における障害または障害者は、異なる定義であっていいので、「障害(者)」という表現でも特段の問題は発生しない。または、見出しを「『障害(者)』のとらえ方」としてもよいのではないのか。
- (棟居部会長)「『障害』のとらえ方」の<2>に「体重150キロの人が」とあるが、このような具体的な表記は不要ではないかという指摘があった。異議がなければ「体の大きな人」に改めてはどうか。
- (東室長)「第2 各論 2 司法手続」の「(5)その他」の<2>は、起訴前鑑定を鑑定留置という言葉にかえる修文をいただいた。
- (発言)「第2 各論 1 雇用、就労」の「(4)留意する事項」の<5>の修文を以下に提案する。「<5>労働・雇用分野における障害者差別の具体的な内容は公労使の三者で構成されている労政審の障害者雇用分科会で審議を行い、当差別禁止部会では基本的な枠組みについて議論を行って、雇用分科会と差別禁止部会の役割、議論のすみ分けの整理を図っていくべきだとの意見が出された。これに対して、当部会でも具体的内容について議論すべきだとの意見が出された。」
- (発言)「第2 各論 1 雇用、就労」の「(4)留意する事項」の<4>の修文を以下に提案する。「<4>雇用促進法で定めている障害者雇用率制度の維持について反対はなかった。現在の障害者雇用促進法に差別禁止法の役割を担わせるには、大幅な改正が必要であるという意見があった。むしろ雇用促進法とは別に規範性をもった差別禁止法を新たに制定する必要があるという意見が出された。」
(3 選挙)(4 公共的施設及び交通施設の利用)(5 情報)
- (発言)「4 公共的施設及び交通施設の利用 (2)差別及びその正当化事由」の<4>に、「抽象的理由でそれが拡大適用されないようにする必要があるという意見」とあるが、「抽象的理由」がわかりにくいので、「具体的な根拠なく」としてはどうか。
- (東室長)飛行機に重度身体障害者が乗る場合に、乱気流の際等にマスクを自分で付けられないという理由で搭乗を拒否されることがある。可能性は少ないが抽象的にはそのような危険性があるので「抽象的理由」と書いた。「具体的な根拠」と書いた場合、マスクを自分で付けられないという具体的な根拠があると言われるのではないか。具体的に切迫した危険性ではなく、抽象的なあり得る危険性を根拠にされるのはどうかという問題だ。表現の自由の規制の場合も、明白かつ現在の危機がある場合に限り制限できるという議論がある。「抽象的な危険」「抽象的な可能性」の方が分かり易いか。
- (発言)「具体的な根拠」と提案した背景には、他の人に比べて可能性が高くもないのに、障害のある方々は危険だからということで乗車拒否されるということがある。
- (発言)総合すると「一般的、抽象的な可能性」や「一般的、抽象的な危険性」ではないか。
- (発言)「4 公共的施設及び交通施設の利用 (1)対象範囲」の「アクセスが問題になっている時に、不特定の利用とか、多数の利用という限定がなぜ、重要になってくるのか疑問である」は、バリアフリー法で「不特定の利用」「多数の利用」を重視していることについて述べたものなので、「アクセスが問題になっている時に」を「現行のバリアフリー法制の中では」に変えてはどうか。
- (東室長)現行のバリアフリー法の問題点について意見があるのは分かるが、バリアフリー法の議論をしているのではない。差別禁止法で公共性や不特定という要素を盛り込むかどうかを議論しているので、その点はご理解いただきたい。
- (発言)差別禁止の視点では不特定や多数という要素を取り除くべきとの趣旨を支持する。
- (発言)「アクセスが問題になっている時に」を「障害差別禁止の文脈で」にしてはどうか。
- (棟居部会長)「5 情報 (3)合理的配慮及びその例外」の冒頭で、「情報保障は、他の分野も含めて」と「他の分野も含めて」が新たに挿入されている趣旨は何か。
- (東室長)情報保障は、教育等いろいろな分野で重要だという議論があったので、情報保障を個別分野として書く場合にも、単独の分野の問題ではないことを強調した。
(6 教育)(7 商品、役務、不動産)(8 医療)
- (東室長)「6 教育 (2)差別及びその正当化事由 ア)差別について」の<1>で、「本人又は保護者が当該教育機関への入学を求めたにもかかわらず障害を理由に」を加えた。「イ)正当化事由について」では「合理的配慮を尽くしてもなお本人の教育目的を達成できないことを証明し時には差別に当たらない」「義務教育は国が全ての国民を就学させる条件を整備する義務を負うから、障害を理由に入学を拒否することの正当化事由はない」「知的障害者については成績の観点だけで高校での教育目的を達成できるかどうかを判断することは障害に基づく差別と考えるか」等を加えた。「(3)合理的配慮及びその例外」では<2>に「情報保障は、合理的配慮の概念を経由して、教育・労働・役務を含む全ての分野に及ぶので、情報保障という個別分野を設けないという意見であった」を加えた。<3>で合理的配慮の例外について、義務教育は国が条件整理義務を負っているので過度の負担の主張も適用されないという意見と、これは私立学校や私立幼稚園なども同じだとの意見を加えた。「7 商品、役務、不動産 (1)対象範囲」の<2>で、相手方について「法律の下で誰が義務を負っているのか明確にするという趣旨で、義務を負う主体を特定していくという観点からの意見があった」を加えた。「(4)留意すべき事項」で契約強制の問題について、「履行請求をすることは難しい」は「履行請求を認めることは難しい」に修正した。また、行政委員会では具体的な作為命令が出せるということを加えている。「8 医療」の修正はほとんどない。
- (発言)合理的配慮のところに全部正当化事由が入っていたので、正当化事由と合理的配慮を分けて記載してほしいと提案して修正していただいた。内容はそんなに変えていない。
- (発言)「6 教育 (2)差別及びその正当化事由」の「ア)差別について」の<1>の「本人又は保護者が当該教育機関への入学を求めたにもかかわらず障害を理由に」のところは「障害(障害に関連する事柄を含む。以下同じ)」としてほしい。「イ)正当化事由について」の<2>の「障害を理由に」、<3>の「障害に基づく」も同じで、障害は障害に関連する事柄も含むという理解で議論してきた。「(3)合理的配慮及びその例外」の<2>の最後の文「この意見では(中略)設けないという意見であった」は「この意見では(中略)設ける必要はない」でどうか。
- (発言)「障害に基づく差別」は教育以外でも出てくるので、最初に出てくる「障害に基づく差別」で「障害(障害に関連する事柄を含む。以下同じ)」と書いてはどうか。
- (東室長)大まかな方向性としてはそうだが、現時点で機械的に統一するのはどうか。
- (発言)「障害(障害に関連する事柄を含む。以下同じ)」とするのは避けた方がよい。間接差別や関連差別等の議論については総論で整理されているし、差別の概念について類型化した条文構成とすべきか、包含する表現がよいのかという議論があった。ここでそういう書き方をすると、直接差別のほかに間接差別や関連差別を特記する形になり、同じ議論の繰り返しになる。
- (発言)うつ病を理由に学校を休んだことで処分を受けた子どもは障害差別から漏れるので、「障害に関連する事柄」を入れる意義がある。
- (発言)うつ病を理由に欠席して不利益取扱いを受けることは関連差別なのか、直接差別ではないかという議論になってしまう。
- (発言)それが直接差別か、間接差別か、関連差別かについて結論は出ていない。総論についての議論でも、関連差別と直接差別は現実には区別し得ないから、一つにまとめた不均等待遇という枠組みをつくることを検討した。その議論を残す意味で「障害(障害に関連する事柄を含む。以下同じ)」と書くことはマイナスにはならない。
- (棟居部会長)今の点は、今後のこの部会の重要な検討課題になる。
- (東室長)議論があった点を書くのは妥当だが、一般的に規定するのは問題がある。「ア)差別について」の<1>では「障害(障害に関連する事柄を含む。以下同じ)」とすべきだが、<2><3>についてもそのように書くということか。
- (発言)<1>で、障害には障害に関連する事柄を含むとして、<2><3>はそうではないということは考えられない。
- (東室長)では「ア)差別について」に限定して「障害(障害に関連する事柄を含む。以下同じ)」と書くことにする。
- (発言)障害には障害に関連する事柄を含むかどうかは「5、差別(1)『差別』のとらえ方」についての議論の中で確定する必要がある。
- (発言)文科省ヒアリングの際に高等教育でどのような配慮がされているかについて質問したが、回答は来ているのか。障害者差別禁止法では障害者が高等教育の機会を与えられることが重要だ。
- (東室長)回答があったとは聞いていないので、議論された範囲のことを書いている。
- (発言)「6 教育(2)差別及びその正当化事由 ア)差別について」の<1>で「なお、障害者が特別支援学校への入学を希望する場合には、差別には該当しない」とあるが「なお、本人又は保護者が特別支援学校への入学を希望する場合には、差別には該当しない」とすべきだ。また、同じ個所の<1>では「入学を拒否」とあるが「イ)正当化事由について」の<2>では「入学等を拒否」という表記があり、両者の違いが分かりにくい。さらに、同じ個所の<2>では「義務教育の場合にはただ差別に該当しない、というだけではなく、より制限の少ない教育が提供されなければならない」とあるが、その理由を説明してほしい。
- (発言)「ア)差別について」の<1>は「なお、障害者が」を「なお、本人又は保護者が」に修正すべきである。「入学」と「入学等」については、最初は「入学」と書いていたが、議論の過程で「転学、除籍、退学等全部含めるべき」との指摘があり「入学等」とした。義務教育の場合には、正当化事由により入学を拒否できるというだけでは済まされない。正当化事由を認めるに当たっては、代替措置としてより制限の少ない教育の提供がセットとなるべきである。
- (発言)より制限の少ない教育は高等教育でもあり得る。義務教育に限定すると、これからの議論を狭めてしまわないか。
- (発言)それでは「特に義務教育の場合には・・・その必要性からより制限の少ない教育が・・・」と修文してほしい。
- (発言)「とりわけ義務教育の場合には」とすればよいだろう。
- (発言)「8 医療 (2)差別及びその正当化事由 イ)正当化事由について」の<1>で「精神障害者の自傷、他害のおそれを理由にした強制入院は障害者権利条約では差別としてとらえられることになる」とあるが、精神保健福祉法には自傷、他害のおそれに基づく措置入院と、法的判断能力の欠如に基づく医療保護入院があるので「精神障害者に限定した強制入院は障害者権利条約では差別としてとらえられることになる」とした方がよい。<2>については、冒頭を「精神保健福祉法の定める強制入院は差別禁止法のレベルで改廃することは困難であるが」とし、その後を「個々の医療行為について、インフォームド・コンセントの原則を履践すべきことは、医療一般の原則とされているところであるから、他の者と同質で平等な医療を保障するという観点から差別禁止法に規定することが現行法との抵触を避けて法文化する上で妥当であるとの意見があった」と修正してほしい。
- (東室長)趣旨はわかるが、ここでは正当化事由がどうあるべきかを議論している。
- (発言)「強制入院は差別禁止法に違反するけど現行法にあるので仕方ない」と書くぐらいなら、現行法についての積極的な言及はしないのが妥当だとの立場からの提案だ。これに関連して、現行法に定めがある場合を除き強制入院は差別に当たると規定することで差別禁止法と現行法の整合性を取るべきとの意見もあった。
- (東室長)障害者のみならず他人の生命、身体を保護するためであれば、自傷、他害が例外事由になる可能性がある。そうすると現行法とは衝突しないが、インフォームド・コンセントなしに医療を提供することが差別だと定義をしたことの意味がなくなるのではないか。
- (発言)現行の強制入院が自傷、他害のおそれがある場合だけでなく、法的能力が欠如している場合も含まれていることを明示するならばよい。
- (棟居部会長)精神保健福祉法の既存のスキームには差別禁止法は手を出せず、役割のすみ分けがあるだろう。しかし、権利条約の国内法的な効力に伴い精神保健福祉法の措置入院の在り方は問われることになる。それを差別禁止法であれこれ言わないという趣旨だ。
- (発言)<2>の修正を次の通り確認する。「精神保健福祉法の定める強制入院を差別禁止法のレベルで改廃することは困難であるが、少なくとも自傷、他害のおそれ、あるいは法的判断能力の欠如といったことで強制入院させられるのは精神障害者のみであり、他の人がいくらそのような状況に陥った場合でも強制入院させられるといったことはないので、現行法にあるこれらの要件をそのまま正当化事由として認めることは現状の追認となるのではないか」。
- (棟居部会長)この修正文の末尾を「・・・正当化事由として認めることは現行法の解釈、運用としても困難になるのではないか。」としてはどうか。
- (発言)現行法の解釈、運用に関しては、限定的あるいは拡大解釈にならないようにすべきとの意見が出たので盛り込んでほしい。
- (東室長)現行法自体の解釈ではなく、差別禁止法に書く正当化事由の書きぶりをどうするかを議論している。
- (発言)先ほどの修正文の末尾は「現行法にあるこれらの要件をそのまま正当化事由として認めるべきではないという見解があった」というようにすればよいのではないか。「ア)差別の内容について」の<2>に次の文章を加えてほしい。「個々の医療行為について、インフォームド・コンセントの原則を履践すべきことは、医療一般の原則とされているところであるから、他者と同質・平等な医療を保障するという観点からインフォームド・コンセントなしに強制的な医療行為を行うこと」と修文してほしい。
- (発言)今の意見と精神保健福祉法における強制入院は正当化事由に当たらないということを支持する。
- (発言)「8 医療 (3)合理的配慮及びその例外」で「医療分野における合理的配慮そのものの内容についての議論はあまりなかったが」とあるが、合理的配慮について細かい列挙事由を提案している。その中でも、インフォームド・コンセントのための自己決定支援と居住する地域で在宅医療を受けるための支援を合理的配慮として提供することは重要だ。
- (発言)「7 商品、役務、不動産 (5)その他」の<2>の「契約強制」を「締約強制」と改めてほしい。「(2)差別及びその正当化事由」の「<3>約款との関係では、障害又は障害に関連する事由に基づく行為又は基準が実質的不利益をもたらす場合は不均等待遇になるとの意見があった」の趣旨を確認したい。
- (発言)約款についての議論の際の意見で、障害または障害に関連する事由に基づく約款が障害者に実質的不利をもたらしている場合、それは差別ではないかということだった。
- (発言)約款は多数の場合を想定してあらかじめ契約条件を定めておく場合である。通常の契約条件において、障害者に実質的な不利をもたらせば、それは不均等待遇である。特に約款について取り上げ、このように述べる意味があるのか。
- (発言)間接差別についての議論だった。表面的には誰も差別とは思わない基準等をみんなに平等に適用すると、実質的に障害者にとって不利益になるという文脈の議論だったので、この部分は残した方がよい。
- (発言)この部分の修文を「障害又は障害に関連する事由が契約条項もしくは約款条項に定められることにより、障害者に実質的な不利益をもたらす場合は不均等待遇となるとの意見があった」と提案する。
議事 その他
- (発言)「第2 各論 1 雇用、就労(4)留意する事項」の<5>で「公労使障の四者で」を「公労使の三者で」と修正されたが、障害者も含め「四者」が実態なので、戻してほしい。
- (東室長)中間整理案を受けて今後どうまとめるかが大きな課題になるが、その前に救済の在り方、ジェンダー、欠格事由、ハラスメントについてはまとまった議論がなされていないので、議論していく予定だ。
- (発言)今後、骨格提言に向けて意見を集約する段階で、これまでの部会で出したペーパーの意見等の扱いはどうなるのか。
- (東室長)ペーパーで意見を出しただけでは、みんなで議論したことにならない。ポイントを示して議論していただきたい。そうしなければ、インターネットで見ている方も理解できない。今後は取りまとめをするので、なおさら具体的な議論が重要になってくる。事務局は部会で話された成果をまとめていくことになる。
- (発言)国連の障害者権利条約の起草過程では、書面で出された意見を事務局が一覧にまとめ、それを前提に議論した。今後の取りまとめに当たり、書面で出した意見に関して、発言しないと意味がないという扱いで、皆さんはよいのか。
- (東室長)議論の過程で、自分の意見を書面意見によって補強していただくとよい。書面自体がバージョンアップされることもある。今後のまとめでは、書面をできる限り引用しながら議論していただきたい。
- (棟居部会長)この部会の特徴はシナリオがなく、資料に基づいて議論を誘発するということである。書面での提案は資料であり、議論は資料に縛られるわけではない。提言の段階では、資料を提出した本人が積極的に平場でコミュニケーションを引き起こしていく必要があるのではないか。
- (発言)今後、まだやっていない各論を議論し、骨格提言に向けては積み上げを意識した議論の展開をお願いしたい。
- (発言)出していただいた資料が議論のベースになっている。ただ、膨大な資料をすべて議論に盛り込むのは難しい。抽出した事項について議論をするのはやむを得ない。
- (棟居部会長)今後、回数が増えると出席できない委員もいるだろうが、毎回の議論が貴重なので、書面意見を発言として議論の素材にする等個別の対応も必要だろう。
- (発言)4月以降、政策委員会はいつ発足し、この部会とはどういう関係になるのか。
- (東室長)当部会は、政策委員会の下の専門部会という位置づけで、差別禁止法制について意見をまとめることが基本的な役割になる。その課題をやり終えれば部会はなくなるが、骨格提言を出して即座に終わりとは考えていない。
[以上]
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