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障がい者制度改革推進会議 差別禁止部会(第20回)
議事録

○棟居部会長 それでは、定刻になりましたので、これより第20回「障がい者制度改革推進会議差別禁止部会」を開催させていただきます。
差別禁止部会は傍聴希望の方に所定の手続を経て公開しております。
また、会議の模様はインターネットを通じても幅広く情報提供いたします。
なお、御発言に際してのお願いとして、発言を求めるときはまず挙手いただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただくようお願いいたします。
本日の会議は18時までを予定しております。
それでは、東室長から委員、オブザーバー及び専門協力員の出席状況と資料説明をお願いいたします。
○東室長 こんにちは。担当室の東です。
本日の出欠状況でありますが、本日は野澤委員、山崎委員が御欠席であります。
伊藤委員が15時ごろ御退席の予定です。
大谷委員が15時ごろ御到着の予定でありますが、その他の委員、オブザーバー、専門協力員の皆さんは御出席です。
前回、現行の部会が終了する見込みであることをお伝えしましたけれども、障害者政策委員会をまだ開催できておりません。そのため、今回は障がい者制度改革推進会議の下での第20回の部会として開催することにいたしました。
本日から、障害を理由とする差別の禁止に関する法制の骨格提言に向けての検討に入ることになります。15分の休憩を2回とることとして、3つのコーナーに分けて議論していきたいと思っております。
第1のコーナーは60分で、障害を理由とする差別の禁止に関する法制の骨格提言のまとめ方についてであります。
最初に私の方から10分程度説明をさせていただき、その後、50分ほどで質疑及び議論を行いたいと思っております。
第2コーナーも60分ほどで、障害を理由とする差別の禁止に関する法制の骨格提言の柱立てについてということで行います。同じように私の方から10分程度説明させていただきます。その後、50分程度で質疑及び討論を行います。
第3コーナーも60分で、障害者差別禁止法の基礎的理解に向けてであります。やはり私の方から10分ほど説明をさせていただきます。その後、50分程度で質疑及び討論というのが今日の予定であります。
次に、資料の確認ですが、資料としては資料1が骨格提言に関する議論において、これまで取り上げられた項目ということで、これは専ら第2コーナーで使いたいと思っております。
続きまして、委員提出資料として西村委員から地方自治体における採用試験に関する現状からがございます。
次に、参考資料なんですが、参考1は机上配付ということで書いてあるものがございますけれども、これは障害を理由とする差別の禁止に関する法制の骨格提言のまとめ方についてということで、第1コーナーで議論する際に念頭に置いていただければと思っております。
次に、参考2も机上配付という形で、障害者差別禁止法制の制定についてのさまざまな意見、質問というものがございます。
更に、委員の皆様方には本日の議論の参考に、以下の4点を机上配付しております。
薄い方の冊子として、障がい者制度改革推進のための基本的な方向について(閣議決定)とあります。これは後ろの方に推進会議がまとめた第一次意見も載っております。
次が障がい者制度改革の推進のための第二次意見。これはいわゆる第二次意見です。
3冊目が障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言といったものであります。
なぜこれを配付したかと申しますと、これまで推進会議ないし総合福祉部会で提言をまとめる際に、どういう形式でどんな形でまとめてきたのかといった辺りの参考になるかなということで出させていただきました。
最後に厚いものがあります。これは平成23年度に内閣府が委託した調査報告書ですけれども、表題としては障害者差別禁止制度に関する国際調査というものであります。開けていただきますと1990年にできました障害のあるアメリカ人法、通称ADAと言われるもの。それと第2章で1992年にできました障害差別禁止法。これはオーストラリアのものです。更に3番目に韓国における障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律。4番目に2010年平等法。これはイギリスでありますが、5番目に1993年人権法、ニュージーランドの全訳を付けたものであります。
資料としては以上でございますので、確認していただけませんでしょうか。ありがとうございます。
○棟居部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきます。第1コーナーは60分で障害を理由とする差別の禁止に関する法制の骨格提言のまとめ方についてです。
最初に東室長から10分程度で御報告をいただきます。東室長、よろしくお願いします。
○東室長 担当室の東です。
第1コーナーでの議論は、骨格提言をどうまとめるかといった点についてであります。
参考1ということで机上配付している資料があります。この点について、こういう点が問題になるのではないかということで私の方でまとめたものになりますが、まず骨格提言をまとめるに当たっての基本的な考え方ということで、基本的には部会として一致した点を中心に結論部分と、その結論に至るまでの考え方とか根拠をわかりやすく示すということになろうかと思っております。
これが一番基本の「き」でありますが、ただ、必ずしも意見がまとまっている現状にはないということ考えると、更に議論を尽くすべき点も出てくるわけです。その議論をしてもなおまだまとまらない場合はどうするかといったことも、押さえておく必要があるかと思っています。
1つのやり方としては意見が分かれる、その基の共通項までさかのぼるということで、分かれる前の部分について書くという形もあり得るかなと思っています。
ただ、このまとまらない点についてどうするかということについては、皆様方もそれぞれの御意見があるだろうと思っていますので、御意見いただければいいかなという点でございます。
次に、骨格提言全体のイメージなんですけれども、当然、項目ごとに書いていく。その項目立てとしてどんなものがあるかということについては、第2コーナーで議論するところです。項目ごとに書いていくことになりますが、その中身としては第一次意見、第二次意見を見ていただいてもわかると思います。部会で共有された問題意識ないしはその問題意識に対する基本的な考え方とか意見、そういったものをベースに、そういった点から差別禁止法制としての在り方としてはこうだといった部分を書くことになるのかなと思っております。
ただ、今、言った3つの最初の2つは結論に至るまでの部分なんですが、結論部分としてどこまで書くか。総合福祉法において議論されたときには、基本的なテーマは制度設計ですから、かなり制度についてどうあるべきかという形でのまとめになったわけですけれども、今回は法律そのものがテーマになっておりますので、理想的に言えば条文に近いものを示せればいいのかなという気もしますが、しかしながら、逆に細かい話になりますので、そこまでまとまっていくのかどうなのか大きな問題点があると思っています。
ですので、現実的には条文というところまではいかなくても、ある程度それに近いようなところまでではどうなのかといった辺りが想定されるわけですが、その点についても皆さんの御意見をいただければなと思っています。
先ほど資料説明の中でも言いましたけれども、骨格提言の形式といいますか様式といいますか、それにつきましては先ほどの第一次意見、第二次意見、総合福祉法の骨格についての部会の提言といったものがありますので、そこら辺を参考に御意見をいただければなと思っています。
最後に、具体的にどういう形で今後まとめていくか、進行していくかということですが、現段階で考えておりますのは、部会三役を中心として原案を作成して、それを議論の進行に合せて項目ごとに部会に諮るという形がいいのではなかろうかと思っています。まとめの話をずっと続けていった最後に、全部をまとめて部会三役の案を示すというのもあり得るでしょうけれども、どこにどのぐらいの時間がかかるかというのがきちんと読めない状況がありますので、テーマごとに議論の進行に合せて、小出しになりますが、部会三役の方から出していただくという進行を考えているところであります。
以上が骨格提言のまとめについてということで、私からの説明であります。
○棟居部会長 ありがとうございました。
それでは、質疑及び議論に入ります。時間は50分を予定しております。どなたからでもどうぞ。
第1コーナーはあくまでまとめ方の方法論ということで、個別論点の中身に入るというのではなくして、どういうふうにまとめていくかという、その方法論について議論をするということで、少し今までと違って勝手が違うというか、形式的なテーマになりますけれども、しかしこの時期でもございます。非常に方法論も大事な時期ですので、忌憚のない御意見をお願いします。
○太田委員 太田です。ありがとうございます。
基本的には今、説明された考え方に同意をするものでありますが、まず、この部会だけで合意をしているものは何なのか、コンセンサスを得ているものは何なのかを説明していただきたい。差別禁止法制を進めるということも含めて、合意する点は何かをはっきりしてほしい。また、意見の相違点は何なのかをはっきり説明していただきたい。そうしていただかないと、議論に入りようがないように思うので、そういう基本的な合意点は何か、相違点は何かをはっきりとさせていただきたいと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
室長、お願いします。
○東室長 中間整理をいたしておりますけれども、あれを見ていただければ大体のところはわかるかなと思います。
ただ、理屈的に言えば合意している点、していない点というのは例えば同じことであっても、どこまでのレベルで合意をするかということで区切っていくと、非常に難しい話なんです。細部の細まで本当に100%、条文に至るまで合意した点か否かというと、それはまだゼロです。しかし、差別禁止法をつくるべきかどうかという点では、ほぼ100%合意しているということは言えるだろうと思います。
ですから、その中間的にどこまでのレベルで合意しているんだということを一つひとつやり出すと、それは大変な作業ではないかと思っているところです。しかし、それは理屈の話ですけれども、大枠は大体中間整理で議論したところでわかっていただけるのではなかろうかと思います。
○棟居部会長 太田委員がおっしゃったのは、このまとめ方という参考1の1(2)の意見が分かれる点については更に議論を尽くすという、議論をすることが前提になっているけれども、どこで意見が分かれているのかという、まずその現状を今、目の前に示していないということをおっしゃっているのかもしれませんが、先ほどお断りしたように中身の話以前に、今後残りの回数が少ないですけれども、どういう方針でまとめていくかという段取りの話をしているわけで、室長が今、中間とりまとめに言及されたのは、過去の資料からある程度事務局サイドで一致した点、意見が分かれる点の振り分けは可能という、そういうことをおっしゃっているわけです。それも含めて事務局にお任せいただけないかということですね。それでよろしいでしょうか。
○東室長 事務局にお任せというところまで含んでいるわけではないんですが。
○棟居部会長 勿論、中身の話ではなくして、どこで意見の相違があるのか、どこをさかのぼって議論すべきか、これは残り回数の関係で非常に大事になります。それについての集約とかピックアップを事務局にお任せいただけるかという、この点は非常に大事だと思うんですけれども、太田委員はその点も含めてこの平場で議論すべきだというお考えでしょうか。
○太田委員 そういう観点ではなくて、まずまとまっている点を確認しないと、前に進まないのではないか。つまり、中間整理を見ればわかるとおっしゃいましたが、中間整理は意見の羅列であって、合意したとも何とも書いていないわけでして、つまり、どこまで合意しているのかがはっきりとわからないわけで、合意している点の確認をしていただかないと、話も進まないのではないでしょうか。
○東室長 先ほど言いましたように、合意点をどこに求めるかということでぎりぎりやっていけば、かなり大変な作業になるのかなと思うんです。ですから、実際の進行上では部会三役から出されるまとめを見ていただいて、ここまではみんなが大体合意したなと考えるところであれば、別に意見は出てこないでしょうけれども、これはちょっと違うのではないかという辺りで、そういう形で言っていただくと、その問題になるところで合意したものなのかどうなのか明確になっていくと思うんです。
ですから、実務的、効率的な観点から言えば、それをやる中でそこを確認していくというやり方はどうでしょうか。
○棟居部会長 松井委員、お願いします。
○松井委員 松井です。ありがとうございます。
今の時点でこういうことをお聞きするのは非常に酷なことかわかりませんけれども、骨格提言は別に条文ではなくて基本的な考え方、先ほどのような皆さんが合意できるところをとりまとめて提言にするということだと思いますが、その後、当然条文にする作業が出てきます。それについては事務方で基本的にはつくられるということだと思いますけれども、御承知のように総合福祉部会の骨格提言と、できた法律の間にかなり大きなギャップがあったわけです。今回もそういうことが懸念されるわけですが、その途中でというか、そのプロセスにおいて何かそういう担保できるような手続が考えられるのかどうかについて、確認させていただきたいと思います。
○東室長 差別禁止法制に関する骨格提言ができた後で、内閣府の担当部局の方で法律化の準備をしていくことになりますけれども、これは基本法のときと同じ枠組みですね。基本法のときにも国会に上程するまでには何度か推進会議を開きまして、委員の人の意見を聞いた上で、またそれを反映させるという流れでやってきましたので、その基本的なやり方については同じだろうと思っているところです。
○棟居部会長 西村委員、お願いします。
○西村委員 ありがとうございます。西村です。
事務局の方から出されました骨格提言のまとめ方の方向性については賛成する立場から、プラスαということで意見を申し上げさせていただきたいと思います。
東さんからお話がありましたとおり、今回の差別禁止部会につきましては法律を具体的につくる。それをできるだけ骨格提言の中に反映させるという説明であったと理解してます。そして、この部会の中で一致した点につきましては、1つは差別禁止法をつくること、もう一つは資料1に示された総論と各論の各分野についての盛り込みが必要であるということが、確認されていると思います。
とりあえず課題、分野を確認したのであれば、部会三役の皆さんがつくる、資料1で示された目的、障害、差別の定義等々につきまして、個別具体にここでどういった意見が出てきているのかというものを入れ込みながら、それぞれの項目についてどこまで意見が一致できているのか、できていないのかといったことを掲載して法律に近い形の要綱、具体的な差別禁止法のイメージと論点等々がここで出てくるまとめ方をしてはという提案です。
それから、まとまらない点の取扱いについてですが、さまざまな政府機関の報告等々を見ますと、両論併記というのが一般的と思います。ただ、この部会の議論と、この間の確認等々の中では、障害者権利条約を批准するために国内法の整備をしていくのであれば、障害者権利条約という国際条約が憲法と一般法の間に位置づけるのであれば、まとまらない点の取扱いは、この条約が何を示しているのかという視点からまとめてもいいと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今、御提案いただきました、先ほどの御提案ということでいただきました御意見は、資料1で示されております項目表、この項目表についてはおおよそ問題なかろうという前提でお話されたと思うんですけれども、それぞれについていろいろな意見が出ておる。それを例えばエクセルのような格好で西村委員はこうおっしゃった、松井委員はこうおっしゃったというような格好で一目瞭然の、これはかなり大きな表になるでしょうけれども、1枚の表にまずできないのか。それをたたき台として意見を集約していくという進め方がとれないかという御提案でしょうか。西村委員、どうぞ。
○西村委員 西村です。ありがとうございます。
そこまで細かく、だれが何を発言したかまでは要らないと思います。同じような意見であれば、それは、ひとまとめでいいと思います。要するに、各項目の中ででてきた意見を紹介することは必要ですが、だれが言ったかまでは必要ないと思います。その上で、これらの各項目につきましてはどういった盛り込み方ができるのかというところで、この盛り込み方はいいでしょうと。例えば障害者に差別をしてはならない、直接差別、関連差別をしてはならない。では、その直接差別、関連差別の具体的な定義は何なのかということになるとまた変わってくると思いますけれども、だれが個別になにを言ったのかまでは求める必要はないと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
この参考1という文書の(2)の意見が分かれる点についてはという、ここのところでこちらのサイドで、三役なり事務局なりで意見が分かれている点というのは、言わば作為的、人為的に小さくしてしまって、大事なところは既に部会として一致しておりますというまとめ方をするのではないかという御心配を、ひょっとしてされているかもわかりませんが、私個人はそういうまとめる力がありませんので、意見が分かれる点をかなりたっぷりと今後とらせていただいて、西村委員案とかそういう細かい表記はしませんけれども、主な意見をうまく再現させていただいて、更に議論を尽くすという、この表記に忠実な運営を時間の範囲でとらせていただければと私個人は思います。
その前提としては、ある程度ざっくりとした、しかしエクセルの表のようなものが要ることになりますが、これはよろしいですか。どちらを向いて言えばいいのか。
○東室長 例えば単独の項目で議論していても、ある点だけで議論が分かれるというよりも、1つの項目を議論するときにだんだんと議論が深まっていけばいくほど、細部になればなるほど分かれていくという、要するにツリー状の構造になっていくわけです。ですから、どこら辺のレベルでまとめるのかというのも非常に大事な話なんです。余りに細かい点で違うところばかりを見せると、全体が全然まとまっていないのかという話にもなりますけれども、それもまた部会の議論の範囲ではないと思うんです。
基本的な主要な幹の部分でまとまっていれば、私はまとまっていると思っているんです。本当に毛根一つひとつ取り出して言えば、それは恐らく全部違うでしょう。そういった意味で太田委員にもお話したとおりでありますけれども、基本的な幹の部分、大きな根の部分、そういう主要な部分がどこになるのかという辺りについて、部会三役の方で判断していただいて、それを中心にまとめていく。勿論、それは幹ではない、枝葉の問題だという位置づけが違えば、またそこで部会三役の原案に対して意見をいただければいいと思っているところです。そういう形でいかがでしょうかということなんですが。
○棟居部会長 たくさんお手を挙げていただいておりますけれども、池原委員、先ほどからお挙げいただいていますかね。お願いいたします。
○池原委員 済みません、先に失礼します。池原です。
西村委員のおっしゃっていることと余り違わないと思いますけれども、取扱いとしてなかなか難しいのは、まとまらないという場合にどうするのかという辺りが1つあると思いますが、私自身は両論併記という書き方は余り適切ではなくて、やはり部会として一定の結論なり見解なりを出すべきだろうと思っています。
その場合に、どういう基準で考えるかというと多数決をとるのかということもありますけれども、どうしてもまとまらないときは、ある程度多数意見なのか少数意見なのかということを調べざるを得ないのかなと。
もう一つ重要な点は、ただ単にこれは多数決で決める問題ともやや性質が異なっていて、これも西村委員がおっしゃっていたように、あくまでもこれは権利条約の批准を前提として、あるいは国連で既に日本でも障害者差別禁止法をつくるべきだということを再三言われていることを前提にして作業をしているということですので、やはり国際的な人権規範ということとの関係を無視して、全く白紙の状態で多数決をとるということとも性質が異なるんだろうなと思います。
そんなようなことを考えながら具体的な論点について決議をとったり、条約上の解釈としてはこうなるはずではないかということで一定の見解を示していくべきではないかと思っておりまして、ただ、どうしても反対意見というものが存在している場合には、場合によれば最高裁判所の判決ではないですけれども、反対意見の人には反対意見の理由を簡潔に例えば書いていただいて、それを部会なり三役の方で最終的な提言の中に、全文入れるということは難しいかもしれませんが、こういう理由でこういう反対意見の人もいたというまとめ方がどうかなと思っています。
それから、できれば条文化した方が、やはりこれは今後骨格提言がこの部会の手を離れた後で、どれぐらいいろんな形で修正されたり変わっていくのかということがありますので、そういう意味では条文化された形の方がむしろ相違点だとかいろんなことが明確にもなると思うし、あるいは法制局等で検討していただく場合にも、むしろ具体的に検討していただけるのではないかと思いますので、できる限り条文的なイメージまで落としていった方がいいのではないかと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
引き続き、伊藤委員お願いします。その後、山本委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。伊藤です。
まず今日の参考1で整理していただいているように、法制の骨格提言のまとめ方については、最終的に法律案をつくるのが目的ではあるわけですけれども、今後の技術的なプロセス、法令協議にかけ、法制局等の審査を受けるといった法制上のプロセスの中で、ここでまとめたものがそのままになるという形にならない部分もあるかもしれないし、ただ、それが総合福祉法のときの経緯のような問題が起きないようにする必要もあると思いますので、そういう意味ではあくまでも骨格ということながらも、許容範囲がわかるような形で何らかの文章の形で示していけないかと思います。
その文章化という意味なんですけれども、議論のプロセス、こういう意見があったというような形で、中間的な資料をどんどんつくっていくという方法もあるかもしれませんが、やはり全体像がわかる中で理解が進む部分がかなりあると思いますので、たたき台というような具体的な形を示していただく中で、議論を更に深めていくというようにしたらどうかというのが私の意見です。
意見が分かれる部分をどういうように取り扱うのかということですけれども、これはとにかく議論を尽くしていくということを求めたいと思います。特に私が前から言っているのは、雇用、労働分野のところでは厚生労働省の労働政策審議会との関係も指摘させていただいております。あちらでの議論がまだ今、行われておりますし、それをお互いが把握するよう報告していただき、そのすり合わせをしていくという作業を何度かとっていただくようにお願いしたいと思います。
そういうことで、以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
引き続き、山本委員、お願いします。
○山本委員 山本です。
どの立法でも、立法案ないしは立法案に向けた提言をまとめることはなかなか大変だろうと思います。しかし、差別禁止法を制定するとしますと、より一層難しいことだと思います。というのは、ここでは、基本的な物の考え方のレベルでさまざまな、それぞれにもっともな考え方があって、それらがどうしても対立してしまうという性格があるからです。そのような難しい問題について立法するときに、基本的な考え方のレベルで一致を目指すのは、もちろんできれば素晴らしいことだと思いますけれども、現実にはそう簡単にはいかないだろうと思います。
それだけに、ここでは最終的に法律をつくろうとしているわけですから、法律の形でどのように定めるのであれば一致が得られるかということが、私はやはり重要ではないかと思います。そのように定められた事柄の意味をどう解釈するか、あるいはどのような物の考え方でそれを説明するかという点については、あるいは立場が分かれるかもしれないけれども、しかし、このような形で法律にすることについてもし一致が得られるのであれば、私はそれで意味があると思いますし、場合によってはそこから先は、判例、学説も含めた広い意味での実践に委ねるということが、私はあってよいのではないかと思います。
その意味で、「骨格」という言葉の意味が問題でして、「骨格」と言うと、基本的な事柄について一致が得られれば、それで「骨格」提言になるという感じがするのですけれども、それが何か基本的な物の考え方のレベルのことだとしますと、おそらく難しいでしょう。「骨格」提言と言っても、法律案をつくるときの基本的な考え方というよりは、法律案がうまくつくれればよいというレベルで一致が見られればよいのではないかと思います。
したがって、まとめられる際には、その意味をどう解釈するか、どう説明するかという点についてはいろいろ御意見があるかもしれません。勿論それも重要なことですけれども、このような形で立法するという方向について一致が得られるかどうかを議論するという形がよいのではないかと思います。そのレベルでもどうしても意見が分かれるときは、両論併記ということにならざるを得ないかもしれませんが、基本的な考え方のレベルで一々両論併記、三論併記、四論併記となりますと、立法へ向けた作業としてはいかがなものかと思います。
以上のようなことを学者が言うのはどうかという思いもするのですけれども、そのように学者としての筋を通したいという点はひとまず置いて、プラクティカルに進めていくことがこの段階では必要なことではないかと思います。
○棟居部会長 今、最後に山本委員がおっしゃった点あるいは先ほど伊藤委員が御指摘になった点ともある程度共通するかもわかりませんが、理念を骨格提言という形で無理やりに一致をさせていくというのはなかなか難しい。それよりも目の前に形のあるたたき台あるいは条文案のようなものを示して、解釈とか運用に任せられるものは法律ができた後の話で、我々はこの場ではこういう法律案ではここではコンセンサスを得られるという、それに絞った議論をした方が生産的ではないかという、学者の立場を横に置いてとおっしゃったと思いますけれども、極めてプラクティカルな御提言を最後に山本委員はされたように思います。
ただ、その点がまさに今日の第3コーナー、これは場合によっては時間の進行がもう少し早いと第2コーナーで既に入っていきたいと思っておるんですけれども、この参考2という机上配付の文書を見ていただきますと、障害差別禁止法の制定についてのさまざまな意見、質問ということで事務局でおまとめをいただいたものが本日出てまいっております。それをごらんいただきますと差別禁止法の必要性の有無といった、こういう話から極めて素朴な、しかし、多くの国民にとっては差別禁止法というのは極めて新しい、しかもある意味異質といいますか、今まで考えたこともなかった、その是非は勿論別に議論しなければいけませんけれども、不意打ち的にやってくるテーマで、必要性の有無についてもストンとなかなか腑に落ちていただけない。そのときに権利条約の批准だという錦の御旗で今まで我々は議論してきたんだけれども、果たしてそういう言わば外圧だけで世論の納得を得られるのかというところが、特に政治家の先生などを説き伏せるときにはかなり厳しいハードルにどうもなってくるわけです。
先ほどの山本委員の御提案あるいは伊藤委員の御意見は誠にもっともなんですけれども、条文化してゆるやかなコンセンサスをここで得るというやり方は、ここでのコンセンサスは得やすいと思うんですが、しかし例えば法制局を相手にする、あるいは政治家の先生を相手にするときに、立法事実は何なんだ。つまり平たく言うと、なぜこういう法律が必要なんだ。これはモラルの問題ではないのかとか、日本人はそこまでだめになったのかとか、そういう極めて素朴なレベルで相手に納得していただかなければいけない。
条約がありますから、それを批准しなければいけませんから、国際的には厳しい目がありますからというだけではなかなか難しい。特に民民の私人間の日常生活に飛び込んでくる可能性のある法律ですから、条約は関係ないではないかと思っている方々に腑に落ちていただくには、やはり日常用語で説得づける必要があるということで、ちょっとここに来てまさに実践的に法律を何とか形にしていくために、そういう意味では違うファクターが入ってきているんです。つまり、いかに今までのある意味専門的な議論をかみ砕いていくかという課題なんです。
ここでの難しい話のコンセンサスというだけでは足りないわけです。それを要するに世間に通用する言葉に直すという話もしなければいけない。ちょっと先走ったよけいなことを言いましたが、今日の段取りは全体にそうなりますので、後に行くほど中身は濃くなっていきますので、済みません、よろしくお願いします。
西村委員、どうぞ。
○西村委員 西村です。ありがとうございました。
今の部会長のお話につきましては、そうだと思う部分と違うのではと思うところがあります。
例えば生活保護の問題につきましては、今、批判的な議論がされていますけれども、一方では実際にこれを必要としている方たちがいらっしゃいますし、多くの貧困や孤立死がある中で政治や行政の判断は、必ずしも世論だけに惑わされる必要はないと思います。
ただ、差別禁止法がなぜ必要なのか、障害者がどういう生活実態にあるのか、この法律が何を目指しているのかということにつきましては、当然、国民全体に対して丁寧に御説明をし、社会的合意を確保するための最大限の努力はしなければいけないと思います。
ただ、繰り返し申し上げますけれども、一般的な理解がない中で障害者の差別というのは起きてきたという事実、足を踏まれている者でしかわからないという中から出てきたということ、そのことをきちんと踏まえた上で、どこまでどういうコンセンサスがとれるのか、どこまでどういう形で普及していくことができるのかということは宿題にしながらも差別禁止法をつくることは確認したいと思います。差別禁止法はつくる必要がないという話に聞こえましたので、そうではないということを私たちといいますか、障害当事者として働きかけたいと思っています。
それから、資料を出してますけれども、障害者の差別の問題につきましては別に昨日、今日、権利条約ができたから始まったものではありません。それは内閣府がこの間、障害者の暮らしにくさということでさまざまな調査を実施し、公表してきている。国民的な啓発につきましてもやってきている。その経過の中でここに来て差別禁止法という具体的なものが出てきた。
差別禁止という名称がいいのかどうかということは議論しても構わないと思いますけれども、そういうものがあったから千葉県、北海道を含めて各地で障害者に関する条例ができてきているということも踏まえて、先ほど共通認識ということがありましたが、名称はともかくとして、障害者が住みづらい、暮らしにくい、さまざまなところで生活上の制限や制約を受けている。それを人の善意ではなくて社会のルールとして、たばこではないですけれども、マナーからルールへと変えていくというのが、今回この部会の役割であり、それを多くの方々に周知をしていく役割も含めて進めていくことが必要あるということを発言させていただきます。
以上です。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
先ほど私、ちょっと舌足らずな言い方をしたかもしれませんが、まさに今、西村委員がおっしゃったとおりで、これは立法自体に啓蒙的な意味合いがある。マナーからルールへという流れが以前からあるんだということで、決して何か突然どこかから飛び出してきたというような異質なものでも何でもない。これは必然だという御指摘だったと思います。
私が先ほど申し上げたかったのは、単に条文で同床異夢の形でまとめればいいということではなくて、共通の言葉ないし理念が要るということです。でないと立法事実は何ですかとか、立法趣旨は何なんだ。それを単に政治家や法制局を納得させるだけではなくて、世間に向かって示す責任が言わばこの場には課せられているという、そういう非常にここに来て重たい宿題を背負わされているというのがひしひしとわかってきたものですから、最後に皆さんに法制局がやってくれたら一晩で済むような細かい技術的な条文づくりよりも、むしろ共通の理念とか言葉をいただいた方が、はるかに生産的ではないかと思っているんですけれども、室長いかがですか。そういう方向でよろしいですか。
では、川島委員、どうぞ。
○川島委員 ありがとうございます。川島です。
私はこの参考1、議事配付の2の(1)と(2)なんですけれども、今、部会長がおっしゃられたことは理解できるところがあると思います。その上でさまざまな理念にしても、例えば差別禁止法がなぜ必要かとか、どんな有用性があるのかとか、障害の定義がどうあるべきかとか、これはいろんな意見があると思うんです。完全に一致することはないとして、いろんな意見があると思うんですけれども、こういう条文だったら合意できる、つまり、その背景となる意見が多少異なっていても、みんな合意ができるような条文形式の表現というものがあるのではないかというのが、山本委員のお考えではないかといまして、つまり完全な条文を作ることは難しいかもしれませんし、どこまで条文化できるかというところは難しいところもあるかもしれませんけれども、なるべく条文の形にして、説明のところでこの条文にした理由というのは、こういう意見も、こういう意見も、こういう意見もいろいろあった上で、それでこの最大公約数的な趣旨を全部汲み取ると、こういう条文にすると落ち着きがいいのではないかという形になるという理解で、この2の(1)と(2)を私は理解しておりました。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
遠藤オブザーバー、お願いします。
○遠藤オブザーバー 幾つか意見を申し上げさせていただければと思います。
確かに、条文化するかしないかというのは、条文化のイメージのとらえ方次第で、濃淡があると思っています。そういった中で考え方としては、私は部会長がおっしゃっているように、まさに骨格提言として、皆さんの思いを合意している限りにおいて書いていくというのが、生産的ではないかと思っております。
仮に条文めいたものを書くのであるとすれば、その条文の解釈というものも別途そこに書き添える必要があると私は思います。そうなれば法律があって、その解釈の通達めいた大変分厚いものをこのメンバーの中でつくっていくことになり、その中身について合意していくというのは、事実上難しいのではないかと思っています。むしろスケジュールもある程度立っていますので、そこまでの間にどういう段階を経て、どういう形でやっていくのかというところに注力した方がいいのではないかと思っております。これは1点目であります。
2点目ですが、その進め方の中で勿論合意するところと合意しないところがあるというのは、どの議論にあっても必定かと思っています。そういった中で多数の意見としてはこうだという意見がある一方で、そうではないという意見があれば、その少数意見を書いていくというのも民主的なプロセスの中では必要だと思っています。
ただ、その書きぶり、本当に細かいところまで少数意見がこうだああだというところを書くのか、それとも大ぐくりした形で書くのかというところについては、その合意も得ていけばいいのではないかと思っているところであります。
3点目、実はこれも最近あったことの実例として申し上げたい。仮にここで書かれているように部会三役の方々を中心として、その原案をお出しになるという場合にあっては、それがあくまで原案、たたき台であるということを間違いなきようメッセージとして添えてもらいたいのです。それが出てしまうと、あたかもそのとおりになるというふうに報道されがちであります。これでは議論そのものが建設的に進まないということを過去に経験しておりますので、そういったことがくれぐれもないよう、お願い申し上げたいと思います。
最後に、感想めいたことになりますけれども、なかなか新法をつくるというのは大変で、それぞれの場面でエネルギーが要る話であります。例えば今、改正法案が国会に提出されていますけれども、労働契約法は相当な時間をかけて、採用から退職まで、いろいろな段階までいろいろ議論をしました。でも、まとまった中身はわずか17条でした。それをわずか17条と言うのか、その17条をもってして、これをどう育てていくのかというとらえ方では全然違ってきます。多くの方が、これは17条かもしれないけれども、この法律を育てていきましょうということで受け止めて今日まで来ているということを思えば、まとまったところでスタートしていくというのは、考え方としてはあり得ると思っています。
以上であります。
○棟居部会長 非常に要点をわかりやすくお伝えいただいて、ありがとうございました。
そもそも部会三役でのとりまとめというところに、ある種の幻想というか、つまり三役が集まれるということが恐らくほとんど期待できない。極めて忙しい方がおられるというのが1点と、まとめるとしましても新規のものでおおよそまとめるのではありませんから、結局今までの議事録をひっくり返して意見集約というようなことしかできません。更に条文を何か示せと言われると、およそ笑われるようなものしか多分出てこないでしょう。その条文づくりには何らの経験を私個人は有しておりません。
ということで事務局のお手伝いがあれば条文の核はつくるのかもしれませんけれども、理念について条約頼みではなくして、わかりやすい言葉で我々は議論してきているはずなので、それを更にこういう議論をしましたねという確認をとっていく。それがまず1点、今後の進め方としては必要ではないか。それは後に使える話になります。
結果が仮にわずかしか条文には直接反映していないではないかと思われても、これは今の遠藤オブザーバーの最後の労働契約法についてのお話で勇気づけられましたけれども、これはまた規範が今度は裁判を通じてなりでまた独り歩きをしていく中で、ここでの議論なんかも拾っていただけるということは、裁判の中ではよくあることです。
そういう意味合いにおきまして、直接条文に何をねじ込むかとか、どういう言葉が入った入らないということを我々はゴールにすべきではなくて、勿論、立法そのものがこの場での最大のゴールですけれども、それが有効性を持つという、その立法の後のところにフォーカスを当てて、有効性を持つためには立法自体が一定の説得力を持つ必要があります。それを我々が言葉化していくということを今後数回の共通のコンセプトにできたらと、個人的には思っております。
ほか御意見いかがでしょうか。伊藤委員は第1コーナーで時間はないということですけれども、御発言よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、このまとめ方についてということでは貴重な意見をちょうだいしましたので、先ほど来の御意見をベースに今、申し上げましたような方向で頑張ってまいりたいと思います。
それでは、プログラム上はやや先走った格好になりますけれども、第2コーナーで本来予定をしておりました次の話題に移りたいと思います。それは障害を理由とする差別の禁止に関する法制の骨格提言の柱立てについてということでございまして、本日の資料1、この総論から始まる項目立てについての議論に入りたいと思います。
初めに、東室長から10分程度で、この点の御報告をいただきたいと思います。東室長、よろしくお願いします。
○東室長 担当室の東です。
この項目立ては、これまで議論したところをまとめただけの話であります。しかしながら、骨格提言の項目立てのベースになると思いましたので、資料としてお出ししているところです。ただ、特に中間整理を行いましたその時点以降に話したハラスメント、欠格条項、障害女性の問題につきましては総論で触れるべきなのか、各論に書くべきなのか、いろいろ議論がありましたので、そこら辺をどうされるのか項目立てとしては議論が要るのかなと思います。
説明としてはそのくらいなんですが、もう少しここら辺はこういう項目を付け足した方がいいとか、ここは要らないという御意見をいただければと思っているところです。
○棟居部会長 すぐに御意見がなければ、本来予定しておりました休憩時間、第1コーナー終了を15時10分辺りを予定しておりましたが、10分早いですけれども休憩に入って、その間に次の議論に備えていただくこともできるかもしれません。お一人、お二人、次につながる何か御意見でもあれば今、伺いたいと思います。川内委員、お願いします。
○川内委員 川内です。
これは確認ですけれども、総論2)障害の定義というのは、障害の定義を行った後、障害者の定義をするというふうに理解していいんですか。感じとしては障害者の定義と言う方がいいような感じがちょっとしているということです。
もう一つは、これは議論にはなかったんですけれども、差別の防止というのはないのか。つまり救済とか何らかの罰則というのは当然あるんですが、啓発とかそういうふうなものは、どこで扱うのかなというのがもしわかればということでお願いします。
○棟居部会長 今の点、室長お願いします。
○東室長 既に議論があったところだと思いますけれども、障害の定義については本法が障害を理由に行う差別を問題にするわけですから、障害の定義は要るだろう。しかし、障害者の定義が必ずしもこの差別禁止法で要るのかというところだと思うんです。
これまでの議論は、正確に覚えているわけではないんですが、必要であればこの障害の定義に関連した項目として、それは書けばいいといった程度のものではないでしょうか。別個に障害者の定義という形で独自項目として書く必要はないのではなかろうかと、私個人としては思っているところです。
それと、この防止に関しましてはある意味一定の防止施策という施策としてどうするかという話になりますので、それを書くとしたら国もしくは都道府県とか市町村の責務辺りで触れる話になるのかなと思っております。
以上です。
○棟居部会長 太田委員、どうぞ。
○太田委員 東室長の意見を支持したいと思います。多くの差別は障害者なんですが、たまたま障害の状況で、外部の人たちから差別的取り扱いをうけたり、障害とみなされて差別されたりということがありますので、法律的には障害の定義をきちんと行うということが大事なのであると思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
西村委員、お願いします。
○西村委員 ありがとうございます。西村です。
私も東室長の答弁について、2点意見を交えて質問したいと思います。
先ほどの国、都道府県、市町村の責務ということでの事前防止につきましては、川島委員が出しておりました事前的改善措置と重なるのかなと思いますが、そういったことも含めた地方自治体の責務ということで考えた方がいいと思いますけれども、そこら辺についてどう思われるかという質問が1つ。
それから、たしかこれは中間まとめの中でどういう形にするかという議論の1つだったと思うんですけれども、差別禁止法をだれに適用するのか。つまり障害者の受けている差別を対象範囲にしているのか、それとも障害のない人たちも含めてどうするのかというのは、議論が分かれていたと思っています。
私は、原因が、けがだろうと、障害だろうと、車いすを使用していることで飛行機に搭乗できないとか、バスに乗れないのであれば、これは同じと思っています。何を言いたいかといいますと、今の障害の定義の範囲の中もしくはその他の部分でいわゆるこの法律の適用となる範囲あるいは対象については、障害の定義の中で入れ込むという理解でいいのか、それとも違うのかを教えていただきたいと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今の点、室長お答えになりますか。
○東室長 これまでの議論で言えば、障害の定義がこの法律によって保護される対象を決めるかどうかということとは関係のない話だろうと思っているんです。要するにだれに対して差別をしてはいけないのかという、そこの範囲の話で、その理由は障害であるわけです。障害以外のことを理由にしたら、この法律の範囲外の話になる。そこは皆さん当然御理解だろうと思いますけれども、障害を理由にしてどこの範囲まで差別してはいけないとするのか、それを障害者だけに限るのか、もう少し範囲を広めるのかという議論で、障害の定義とは一応別個の問題だと今、議論がされてきていると思います。
それと、先ほどの一般的な防止施策と事前改善措置というものは、同じものではないと理解しております。事前改善措置というふうに川島委員から提言されているのは、あくまでもこれは義務です。事前の義務という形で防止の施策ではないんです。施策の中に入るのかもしれませんけれども、いわゆる一般的な行政施策としてされている事前の啓発とか、そういったものとは質が違うので、先ほど申し上げた防止の施策が国、都道府県、市町村の責務の中で語られることがあるでしょうという話の中には、事前改善措置といったものは念頭に置いてはおりません。むしろ合理的配慮との関係でどうするかという議論はまだ詰まっておりませんので、ここで議論してもらわなければなと思っているところです。
以上です。
○棟居部会長 松井委員、お願いします。
○松井委員 ありがとうございます。松井です。
各論の冒頭で雇用・就労という表現になっています。これまで第一次意見、第二次意見は労働及び雇用としてきていましたので、そこは共通にした方がいいと思います。あえてここで就労と言う場合、一体どこまで範囲をとらえるのかという議論にもなりますので、整理していただいたらいいと思いますので、よろしくお願いします。
○棟居部会長 ありがとうございました。その点は東室長、何か。
○東室長 先生、その雇用と労働と就労とどこがどう違うのかという辺りは、まとめの中に入れ込んでもらった方がいいのかなという感じがします。それが範囲とどういうふうに関連するのか。必ずしも統一した議論になっていないと思いますので、お願いしたいと思います。
○棟居部会長 それでは、ほぼ予定の第1コーナー全体の時間が尽きました。一部、第2コーナーを先取りいたしましたが、今、手元の時計で3時08分、15分休憩ということで23分辺りに御参集ください。

(休憩)

○棟居部会長 それでは、時間がまいっておりますので再開いたします。
既に先ほど第2コーナーに入っておりますけれども、このコーナーだけで、これからの時間割だけで申し上げますが、この後も60分近くとることが可能でございます。先ほど既に御案内いたしましたように、障害を理由とする差別の禁止に関する法制の骨格提言、柱立てについてということで、既に室長から御説明をいただき、何人かの委員の方から御質問、御意見を賜っているところでございます。
続きといいますか、先ほど御発言された方の追加でも結構ですし、新規の御発言も結構でございます。いかがでしょうか。
浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 ありがとうございます。浅倉です。
先ほど既に出た御意見と重複するかもしれませんけれども、幾つか申し上げます。
第一に、この法律のタイトルです。障害者差別禁止法ではなく、障害差別禁止法という取扱いになっているように思いますが、私も、障害差別禁止法という呼称の方がいいのではないかと考えます。先ほどからの御意見をうかがっていても、やはり障害差別禁止法とした方がいいというのが1つ目の意見でございます。
2つ目は、国の責務、都道府県の責務、市町村の責務とありますが、どこかに国民の責務というのも入れてはどうかと思います。これは恐らく理念的なものにとどまるとは思いますが、やはり国民がどのような意識でこの問題に対処するかということを書き込んだ方がよいのではないかと思います。
3番目に全体のまとめ方としては、なるべく端的に、「何々とすべきである」、あるいは「何々である」という形で、意見としてまとまったものを書き込んでほしいと思います。
中間的な整理によりますと、「これこれの意見が出された」という書き方がたくさん出ておりまして、中には異論があったなどとなっています。しかし最終意見として公表する場合には、これらをできるだけ整理していただき、「何々すべきである」、あるいは「何々である」という形で整理をしていただければいいと思います。
勿論、異論がある場合には少数意見を記載してもよいと思いますけれども、大事なことは、少数意見を記載することによって、全体の論旨が伝わらないような書き方はしない方がよいと思います。おりあわない場合には少数意見として取り上げた方がよいと思います。
4点目ですが、先ほど松井先生がおっしゃったように雇用、就労なのか、雇用、労働、就労、そういう言葉を使うかという点です。内容的なポイントは福祉的な就労も入るということを明確にせよということではないかと思います。私もそれには賛成で、労働と言った場合に、ややもすると労働法が適用される労働のみというとらえ方がされます。しかし差別禁止法が取り上げなければいけない就労もしくは労働というのは、福祉的な就労も入るのであるということを明確にした方がよいのではないか、と思います。
例えば外国人の例ですけれども、外国人労働者の研修というのも、しばらくは、労働法が適用されない就労だと考えられてきました。しかし現在では、法改正によって労働法が適用されることになりました。問題は、内実は雇用労働とほとんど同じであっても、形式的に「研修」とすることによって、労働法の適用を免れるという事例が多かったことです。そこで、この差別禁止法でも、幅広く労働者とほとんど同じような働き方をしている人たちを、この労働、就労あるいは雇用というところで救えるような形にしておいた方がよいのではないかと考えます。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
各論のお話をいただいて、項目立てに不足があるのではないかという御指摘を賜っておるわけですが、今、西村委員、お手を挙げになりましたが、西村委員からは詳しい資料も御提供いただいているのですが、今そのお話をされますか。それはまた後ということで、今は御意見ということで承ります。
○西村委員 西村です。ありがとうございます。
総論に追加する必要があると思う分野が1つございます。
各論との関係ですけれども、公共的施設とか交通機関あるいは商品、役務、不動産ということが載ってます。また、医療も載ってますので、そういう意味ではどういった載せ方がいいのかはうまい言葉が浮かびませんけれども、いわゆる交通事業主とか、そういった役務を提供する立場にある方たちの責務ということで載せる必要があると思ってます。
それから、私の記憶違いでなければ、中間整理以降に議論した分野になると思いますが、障害児が入っていたと思います。記憶違いであれば別ですけれども、追加しておく必要があると思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今の点で室長、特に御意見があれば。
○東室長 役務提供者の義務は、ある意味サービスという意味で言えばみんなサービスなんですけれども、1~8それぞれ中身が少しずつ違うのではなかろうかと思います。ですので、各論において提供者の義務、何々してはならないというのが明確に書くべきものは書くという形の方が、総論で一本で書くよりもいいのではないかと思います。これまでの議論もある意味そうだったのではなろうかというところです。
障害児につきましては、先ほどの障害の定義の関連ですけれども、障害者の定義を必ずしも書く必要はないということから言うと、年齢で分けるという規定を設ける必要性があるのかどうか。例えば障害児が買い物に行った場合にも、同じように障害者が買い物に行った場合と同じように商品、役務、不動産のところの項目の適用があるということになります。児童の保護の体系が問題とされているわけではありませんので、特段切り分ける必要はないのではないかと思います。例えば教育というのはある意味未成年が多くの部分を占めるわけです。ですので、障害女性同様に障害児も複合差別的な状況にあるという現実があれば、その部分を総論のどこかで反映した方がいいかという、そういった議論が出てくるとは思いますけれども、それ以外に定義的な形で分ける必要はないと思っているところです。
○棟居部会長 ちょっと1点だけ私から話を挟ませていただきたいんですけれども、今、休憩明けに浅倉委員から引き続き、皆さんおっしゃったこととして障害者ではなく障害ということでよろしいと。その意味で浅倉委員はこの名前についても障害というくくりの法律名でよろしいということをおっしゃいましたし、これは休憩より前にもそういう御指摘があったところでございます。
ただ、障害と障害者という似ているようですけれども、そして障害の定義をちゃんとやっていけば、一定のくくりはできるんでしょうが、逆に一時的なけがではなく、病気の人とか、あるいは非常に苦手であるとか、そういう人とか、こういう個人の障害というのではない単なる一時的な特徴まで全部カバーされて、範囲があいまいになるというとまたこの実際に立法化のときに、それでは動かないとか、乱用されるとか、そういう懸念や否定的な意見というのは多分常に出てくるんです。それが1点です。
もう一つは、日本国憲法で人種、信条、性別云々という差別禁止の項目がございます。そこに障害者というのはないんですけれども、社会的身分という言葉の中に読み込もうと思えば読み込めなくはないというつくりになっています。しかし、いずれにしましても人種とか性別とか、憲法の書きぶりはそういうまさに個人あるいは集団の属性でくくっているわけです。すると、整合性を持たせるためには障害者という人的な集団の方が、すとんとはまることははまるかなと個人的には思ったりします。
今、私の単に先ほど来の議論についての感想です。部会三役でまとめて何か今から誘導しているんだろうとか思われるかもしれませんが、残念ながらそんな周到な準備は全くありませんので、勉強中でただ質問をしたというか、個人的感想を今、挟んだというだけでございます。
そういう点でもしお返しがあれば。では、浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 川島委員に補足していただければいいと思います。イギリスの平等法ですと、障害の定義をしたうえで、障害者というのは「障害を持つ人である」という書き方をしていると思います。そのうえで、障害を持つ人に対する差別をメインに規制しています。しかし、障害を理由とする差別の中には、障害者の関係者についての差別や、過去に障害を持っていた人に対する差別も障害を理由とする差別であるという形で、範囲を広げて書き込んでいます。ですので、日本の差別禁止法も、タイトルをどうするかはまた議論になると思いますが、障害を理由とする差別というものが禁止されるのだが、その対象者のメインは障害を持つ人である、しかしその周辺にもその差別禁止規定の適用対象者がいる、そういう書き方をすべきではないでしょうか。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
川島委員、お願いします。
○川島委員 ありがとうございます。川島です。
今、浅倉委員がおっしゃられたことは、私も同意見です。要は障害者に対して障害を理由とする差別を禁止すると同時に、障害を持っていない親などに対しても障害児を持つことを理由とする差別を禁止すると考えれば、障害差別禁止法でいいかなと。ただ、合理的配慮については障害者に対して提供する、というふうにもし書くとしたら、合理的配慮が障害者だけに提供されるものかどうかはなお議論すべきと思いますが、もし必要であれば、障害と障害者の両方を定義してもいいのではないか。ただ、ベースはやはり障害を理由とする差別禁止法かなという理解が浅倉委員のお考えだと思いまして、私はそれに同意いたします。
もう一点、別の論点として参考1の3のところで部会三役を中心として原案を作成しというところがあって、それは資料1の項目に基づいて原案を作成していくものだと思うんですけれども、まずそれがいいのかというのが1つ。
第二点目に、ここで上げている1の総論というのは、大体多かれ少なかれ同意できると思うんですけれども、2の各論の1~8の論点の振り分け方の根拠ですね。なぜこういうふうな振り分け方をしているのか。別の振り分け方、別の項目立ての可能性は考えられないのか。別の考え方と比べてこちらの方がまだいいからという、大体多くの人がこれで合意したらこれでいいんだというお考えなのか、そこら辺をお聞きしたいと思います。
○棟居部会長 室長、お願いします。
○東室長 御質問の部分ですが、項目立てはこれまでの議論において取り上げられた項目をまとめただけの話で、これをベースにやるかどうかを今日皆さんの御意見をいただくというのが今日の議論のテーマなんです。
では、そもそも各論を議論したときに何でこんな順番で、こういう項目でやったのかということを問われているんだろうと思うんですけれども、現実的に言うと千葉県条例始め、条例づくりの中でいろんな差別の実態というのをまとめて、類型化してあるわけです。司法の分野というのは地方条例ですからありませんけれども、こういう差別の分野が類型化されてきているということがありましたので、こういう形で議論をしていただいたというところなんです。
ですから、何もこれまでの議論に拘泥するということでは全くありません。ですので各論の順番もこれでいいのかどうか。例えば生まれたときから亡くなるまでという、そういう順番で考えたらどうかとか、ライフステージに応じて考えたらどうかとか、いろんな考え方があると思うんです。ですので、むしろそこら辺はこういう考え方に従って、こういう順番で書くべきだとか、各論的にこれはこういう切り口ではなくて、別の切り口で書くべきだとか、そういった御意見があればいただければなと思っているところです。
○棟居部会長 ありがとうございました。
引馬協力員からお手が挙がっていました。引馬さん、お願いします。
○引馬専門協力員 引馬です。
部会でどのような議論をするかということはあるかと思いますが、例えばオーストラリアの立法も日本ではこれまで障害者差別禁止法とよく訳され呼ばれてきました。しかし、原語はDisability Discrimination Act で必ずしも障害者差別禁止法とはなってはいません。オーストラリアの同法を内容的にも見てみますと、障害を理由とする差別ということで、関係者への差別に関する規定も入っています。また、以前御報告したとおりですが、EU加盟国27か国はすべて、関係者などを障害差別に入れているのが現状です。
併せて、この部会でそこまで議論するかは別ですけれども、私の知る限り、合理的配慮に関してもフランスやオーストリアなどは、家族等の関係者にまで合理的配慮を提供するという規定を持っているはずです。参考になればと思いまして発言いたしました。
以上です。
○棟居部会長 引馬協力員、どうもありがとうございました。
山本委員、先ほどからお手が挙がっています。お願いします。
○山本委員 全く違う論点なのですが、よろしいですか。
○棟居部会長 結構です。
○山本委員 山本です。
これは、この部会の一番最初のころからずっと申し上げている問題点なのですが、必ずしもこの項目に挙がっていませんのでもう一度強調したいと思います。
というのは、差別禁止法に、差別をしてはいけない、差別を禁止するということだけを書けばそれでよいと考えるかどうか、差別をした場合にどのような効果を認めるかということまで書くべきかどうかという問題です。
このような問題提起をする前提には、法律家の方ならばよくわかると思うのですが、一般の方にはすぐにわからないかもしれないけれども、もっともな理由に基づく考え方があります。それは、公法と私法は異なる法分野であり、異なる考え方に基づく法であるという考え方でして、昔から強く主張されてきたものです。私自身は反対しているのですけれども、多くの法律家は一般的にそういうものだというように受け止めていると思います。
ということはどうなるかといいますと、法律に差別をしてはいけないと書いていても、それは公法の問題である。つまり、国が差別をしてはいけない、あるいは、国が私人に対して差別をしてはいけないということを述べているだけである。ここから、私人と私人の間に何か効果が生じるかと言うと、それは私法の問題であって、この公法とは別の物の考え方によって規律されるべきものであると考えます。
ですので、ここに差別をしてはいけないと書くだけでは、恐らく従来の一般的な法律家のイメージからしますと、これは私法についての効果を定めていないと解釈される可能性が十分あるだろうと思います。したがって、実際に差別を受けた人が、例えば損害賠償を求めるとか、あるいは契約が無効であると主張するとか、差し止めを求めるということをしても、差別禁止法に書かれていることは参考にはなるかもしれないけれども、そこから直ちには私人と私人の間の効力は出てこないと解釈される可能性が私は十分あるだろうと思います。
何度も言いますが、私個人の学説としては全く違うことを主張しているのですが、自分自身、それはまだ支配的な見解になっていないと考えています。ですので、差別禁止法の中に、差別がされた場合の私法上の効果まで書くかどうかということが非常に重要な論点だと私は思います。書かなければ、先ほど申し上げたような形で今後の実務が推移するかもしれない。それでよいというのは1つの立場だと思いますが、それではやはり不十分だと言うのであれば、どのような効果をここに書くかということを検討すべきではないかと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
従来全く議論のなかった点につきまして、このタイミングで教えていただいて、どうもありがとうございました。浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 ちょうどいい御意見を出していただいたので、私も申し上げたいと思います。
たしか前回、山本先生がお休みだったときに、私も同じような問題意識を持って発言したつもりでした。労働法ではその辺りの議論をしてきました。均等法が制定されて以降、性別以外にも差別を禁止する立法が幾つかできております。例えば高年齢雇用安定法の中では、8条で、定年は60歳を下回ることはできないと定めています。もし定年制がこの条文に違反する場合には、明確に、この条文には私法的な効力があるので、定年制自体が無効になる、という解釈が通説になっています。一方、9条は、65歳未満の定年を定めている企業は65歳までの継続雇用をすべき、と規定していますが、継続雇用制度を導入していない場合でも、定年年齢が65歳まで伸びるという効力は認められないという解釈がされていたりします。すなわち、法律に書き込んでいないものを我々がさまざまに解釈をして、私法的効果ありやなしやという議論についても、裁判所がさまざまに判断をしております。
裁判所の判断は、法律で「明確に禁止する」とか、「してはならない」と書き込んであるものについては、私法的効果があるという解釈になっており、それに反する契約は無効である、損害賠償の対象になる、という解釈をしてきております。しかし、書きぶりが少し違うものについては、そういう解釈はとられていないという傾向にあります。
ですので、もし可能であれば、私も、せっかくの差別禁止法ですので、条文からいかなる私法的効力が導き出せるのか、これに反する契約をした場合は無効であって、無効になった場合に補充的な効力があるのかとか、そういうことをできれば議論しておきたいと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今まで議論がなかったと申しましたが、既に議論していたと。こちらで汲み取れていませんで大変失礼しました。
これは公法的に無理やり持っていこうとすれば中止命令とか、上からのを挟んでということにもなるのかもしれませんが、これですと即効性がないというか、私法的に無効であるという規範の立て方を労働法では既にやっている。それを何とか差別禁止法にも持ってこられないかということで、ただ1点、外野として気になるのは、労働法はあくまで社会法というジャンルで、言わば公法と私法の中間的な領域だという認知のされ方があると思うんですけれども、純然たる民民の関係、純粋に私法的な関係においてそういう労働法的な処理というのが、労働法的な考えを拡張するんだと言うと、雇用主とかでもない一般人がどうしてだというふうにすぐなりますね。そのまさに私人AさんとBさんの間で労働法と同じようにという、そこはもうひとつ何かこちらとしては言葉が要るかもしれないです。これも個人の感想ですけれども、室長、何かおっしゃいますか。
○東室長 いつの時点でお話したかどうか忘れましたけれども、世界の差別禁止法の大きな類型としては4つある。これは池原委員が今日いらっしゃいますので、僭越ですが、2000年の世界会議の池原先生の御報告があったと思うんですが、4つぐらいの類型があると思います。
1つは憲法的なアプローチに基づく差別禁止。
2つ目は刑事法的なアプローチに基づく差別禁止。
3番目は福祉的なアプローチに基づく差別禁止。
4番目が民事法的なアプローチに基づく差別禁止。
こういった4つの類型があって、多くの世界の差別禁止法は基本的には民事法的な類型に入っていて、私人と私人、要するにそこに登場する当事者間の法律関係として、国もおりますので民民と言うと誤解を生じるかもしれませんので、そこに登場する当事者間の私法的な関係を通して解決をしていく。そういった類型が基本だと言われております。
これまでもそういうものをベースに考えてきたわけですが、ベースにしただけではそこら辺がきちんと世の中に伝わっていかないということであれば、もう少し議論していただいて、項目としてそこをはっきり触れるということも必要かなと思っているところです。
○棟居部会長 今の点につきまして池原委員、補っていただけますでしょうか。
○池原委員 池原です。
補う必要もないとは思いますけれども、確かに山本委員がおっしゃっていただいたみたいに、あるいは浅倉委員がおっしゃっていただいたみたいに、実は私は民事法的な類型として議論されているんだろうなと思っていたので、余り私法上の効果について明示的に言及する必要もないかと思ったりしていましたけれども、例えば資料1で出ている骨格提言の議論において、取り上げられた議論の項目の中でも、国の責務とか都道府県の責務とか市町村の責務というものを書き始めると、一般の民事法では多分こういう規定というのはあまり見受けられないので、やや法の性格がわかりにくくなる危険性があったり、更に一部では実効性を確保するために罰則みたいなものをつくった方がいいのではないかという議論をされる方もいて、そうするとますますどういう法律なのかということがわかりにくくなってくるということもあります。
それから、私法上の効果論として前にちらっと議論に出たところがありますけれども、1つは例えば損害賠償と言っても従来の例えば自己決定を侵害されたとか、個人の尊厳を侵害されたという議論の立て方あるいは平等ということを侵害されたというだけだと、損害賠償の額というのが思ったより小さいものになってしまう。例えば入店拒否だとかという、差別的に入店を拒否されたときの損害賠償請求は、訴訟でやったら300円ぐらいの牛丼を食べられなかったことについての損害がどうなるのかという議論をすると、なかなかどうしたら実効的になるのかということがあります。
損害賠償の額の問題もありますけれども、もう一つは通常で言うと差別禁止に違反した場合に契約が無効であるという理論は、従来の公序良俗論とかそういうもので立てやすいかとは思うんですが、逆に契約を差別的に拒否されているというときに無効だという議論を言ってみても、ほとんど問題は解決されないので、しかし、だからと言って契約強制、要するに契約が成立したものとみなすみたいな形にするということになると、これもかなり逆に相手方の自己決定とか、いろいろな負担を受ける側の権利との調整ということも難しい部分があって、私法上の効果については少し明示的な論点としてどの程度のことまで、1つは法の性格を明確化するということと、私法上の効果としてどのぐらいのことが差別禁止法として考えられるのかということは、議論した方がいいのかなと思いました。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
松井委員、お願いします。
○松井委員 松井です。ありがとうございます。
非常に基本的なことで恐縮なんですけれども、7番の商品、役務の中に、この役務の中にはいわゆる公的サービス、例えば福祉サービスが入っているわけです。もし入っているのであれば、それと関連して確認させていただきたいんですが、差別禁止法はイコール権利保障法と理解していいわけでしょうか。
というのは、公的サービス、特に福祉サービスについては現在の法律では請求権はないというか、利用者側が権利として求めるような形にはなっていませんけれども、この差別禁止法ができると、それをベースに例えば権利保障というふうにもつながると理解していいのかどうか。そこは非常識な質問かわかりませんが、教えていただきたいと思います。
○東室長 権利に関しては人権と言ったり、権利と言ったりしますけれども、権利という言葉自体は例えば民法の中でもいろんな権利があるわけです。障害者の人権というものがこの法律によってどうなるのかという話ですけれども、今、言われた類型論の問題と関係してくると思うんです。憲法的なレベルで言えば人権ということにかなり近づいた法律になるんでしょうが、民事法的な枠組みの中で解決しようということであれば、権利と言ってもそれは私法上の権利という形の位置づけになろうかなと思うんです。
だからダイレクトに人権そのものをこの法律で確保するというよりも、憲法的に保障されている権利を私法的な権利義務の中で保障していく、解決していくというものだと思うんです。ですから、憲法の人権のカタログに書いてあるような権利としてここで書かれるというものとは違った性格なのかなという感じがしますけれども、そこら辺は議論していただければなと思います。今のは枠組み論から言っただけの話ですので。
○棟居部会長 今、室長がおっしゃったのは公序良俗といったものの解釈を通じて、あるいは不法行為の違法性の解釈を通じて、従来、障害者差別の事案ではないけれども、そういう一定の差別事案について慰謝料が認められるという下級審例が幾つかあったりするわけですが、そういう公序良俗とか不法行為の違法性とか民事法の仕掛け、その中に憲法上の人権を読み込んでいくという私人間適用とか、そういうルートで人権という権利が言わば司法の客観的な意味内容の中に取り込まれていく。ですから、ぎらぎらした司法レベルでの直接の権利というものとは少し違うかもしれないという御指摘ですか。違いますか。
○東室長 私法の分野で明確化するということですね。今まで間接適用という形で一般条項を使ってしか私法レベルで解決できなかったものを、私法レベルにおいて明確化した法体系をつくることによって解決を図る。それは引いては憲法上の人権にも資することにもなる。そういったとらえ方です。
○棟居部会長 合理的配慮請求権という格好をとれば、しかも民民の関係でそれを立てるのであれば、権利を創設するということは言わざるを得ないですね。それと横へ並んで差別禁止の方は主観的権利なのか客観法なのかという議論は余り意味がないのかもしれません。要するに腹をくくって権利の創設だという格好をとるしかないということかもしれません。
労働法というか、雇用機会均等法での差別禁止等は権利がまずあって、その結果として差別禁止なんだ、違法なんだ、無効なんだと考えられているのでしょうか。
○浅倉委員 なかなか難しくて、事案によります。主に今まで均等法とか労働基準法4条違反とか、そういうところで争われてきたケースは、不法行為の類型に入るような損害賠償の対象になるなど、事後的な救済の対象になるものが多いです。もちろん、未払い賃金の請求なども行われます。
しかし、例えば、昇進できなかったとか、昇格できなかったということが争われると、そう簡単ではありません。昇格請求権とか昇進請求権があるのか。あるいは採用されなかったから採用しろという採用請求権があるかという、そういう議論もこれまでになされたことがあります。
その場合は、既に労働契約の内容に含まれていた権利が確実にあると認められる場合には、その契約上の権利を履行せよという履行請求権があるという解釈をすることになります。例えば、芝信用金庫事件という裁判では、女性が差別によって昇格できなかったということを訴えた場合に、昇格したはずの地位につけるべきであると東京高裁判決が述べたという例があります。
ただし、それは、労働契約の内容が履行されていないから履行しろという権利であって、全く何もないところから権利を創設して履行しろというところまでは認めたものはない、と言えます。ですので、おそらく契約上の権利の解釈という問題になるのではないかと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
唐突でこのタイミングでいいかどうかわかりませんが、西村委員が詳しい資料をお出しになっております。多分、後に回しても適当なタイミングというのがないと思います。今日お出しになったのも、この部会で今まで十分話題にしてこられなかったということで、しかしちゃんとこういうデータがあるんだということで御紹介されたいということだろうと思いますけれども。
○東室長 今の権利を創設するのかという議論は非常に大きなポイントだろうと思います。創設的権利と言われましたけれども、権利条約はあくまでも一般の市民にない権利をつくり出すという形で議論はされておりませんし、これまでのADAにしても、そのほかの国の議論においても、障害者に特別に与えられた権利として規定ができてきたという議論は、不勉強かもしれませんけれども、聞いたことがありません。
ただ、これまでにはない形のものであるということは否めませんので、その部分をどういうふうに考えるのか。骨格提言でどう書き込むのか、そこら辺については皆さん考えていただいて、うまくわかりやすく簡単に説明できるような文章ができましたら、積極的に提案していただければなと思っているところです。
以上です。
○棟居部会長 遠藤オブザーバー、お願いします。
○遠藤オブザーバー 本日は中身の議論ではないということで手を挙げないでいましたが、幾つか誤解があるようなので、そういうことでないようにということで発言を幾つかさせていただければと思います。
民事効についてですが、民事的な効力を持つというのは、そんな簡単にできる議論ではなくて、もしそれを行うのだとすれば相当な議論を重ねなければできないということを、まずもって申し上げたいと思います。
それから、労働分野においても民事効を与えているのは、全体から見たらほんの一部でしかなくて、どれだけの議論を重ねてきたのかということも十分ご認識いただきたいと思います。
また、簡単に請求権とおっしゃっていますけれども、労働分野における請求権の代表例としてどんなものを皆さんはイメージされているのでしょうか。よく資料等で出てきますのは有給休暇の取得についてです。これは本来であれば就業規則の中に書かれて、効力が発するのですが、有給休暇の場合については、例え就業規則上何も書かれていなかったとしても、労働者の権利として請求してお休みをとって、その部分の補償がもらえるというのは代表例として出てきます。それ以外のものが請求権的に位置づけられているかと言うと、必ずしも見解が一致しているものではないということがあるかと思います。本日は議論の中身ではないのでこの程度にいたしますが、請求権的な権利を創設するということについては私自身は慎重な立場であります。
以上であります。
○棟居部会長 ありがとうございました。
山本委員、お願いします。
○山本委員 今の御指摘に更に追加して、今後、議論を行うことになると思いますので、問題点の整理のために少し考えているところを述べておきたいと思います。
私人間で民事的な効力を認めるかどうかということについては、よく考える必要があるというのは、おっしゃるとおりだと思います。そのときに、今おっしゃったことの中で、2つの問題を区別する必要があるのではないかと思います。
1つは、私人が他の私人に対して一定の「給付」、つまり何かをしてくれと求めることができるかどうかという問題と、私人が他の私人に対して一定の行為をするなと求めることができるかという問題は、同じ私法上の効果と言っても少し性格が違うだろうと思います。
一定の「給付」、つまりそれをしてくれと求める権利は、本来は、契約があって初めて、約束したのだからその行為をせよと請求できるというように、伝統的な民事法の考え方はできていると思います。ですので、特に契約をしているわけでもないのに、一定の給付を請求できるとすると、それはなぜか。あるいは契約を締結してくださいという請求、これも一種の「給付」なのですが、このような請求をし、かつ強制できるというのが、先ほど言われた契約の締結強制なのですけれども、このようなものを本当に認めてよいのかということが、従来からも民事法の領域では非常に議論されているところで、できる場合があるかもしれないが、それは一定の限度内においてであるという議論がされています。
それとの関係で、この差別禁止法でそこまでの効果を認めるか、認めるとするならばどのような場合に、どのような理由から認めるかということを検討する必要があるだろうと思います。
もう一方の、してはいけないことをするなという請求は、必ずしも契約に限って問題になる事柄ではないと思います。例えば、他人の人格を侵害してはいけないということは、従来の民事法でも言われていることでして、そのような人格権に当たるものを侵害するなということは言いやすいという面があります。差別禁止法の場合に、そのようなものがどこまであるのか、あるいはないのか。これは、先ほどの問題とは少し性格は違いますが、勿論、簡単に何でも認められるというものではありませんので、場面と根拠、射程をよく考えて議論をする必要があります。
いずれにしましても、同じ民事上の効果と言っても、非常に大雑把に言うと、この2つは最低限区別する必要があるのではないかと思います。
○棟居部会長 今の山本委員のは、教科書的な作為と不作為を区別するということですね。不作為については従来、判例でも人格権侵害という形で障害者差別について慰謝料が発生するという方向上の処理までならあり得ただろうと。これを特別の立法をするということにそう大きな違和感はないのではないか。裁判をやれば、うまくすれば障害者側が勝てたケースです。
ただ、新規に積極的な作為請求権を民間で発生させる。しかもその大本に契約が何もないときに、これはそう簡単な話ではないということで、これ以上、今日中身の話に入ると先ほどの形式論だという私自身の方向づけとずれてしまいますけれども、合理的配慮請求権というものを独立に一本立てると、すぐ今の作為請求権、そんなものはどこから出てくるんだということになります。
ですから、合理的配慮をしないで差別をすると、それはだめですよという差別禁止の中に合理的配慮というものを一要件として落とし込むというのは、去年の段階から私個人は言っておるんですけれども、姑息であるということなのか、ほとんど支持を得られていないということで、しかし、これから立法の話を詰めていくときには、作為と不作為一体どちらなんだ。今の山本先生のお話で、場合によって不作為にもしうまく入れば、あえて事を荒立てて作為に無理やりにする必要はないという、そういうメッセージを私個人はちょうだいしたように思っております。
ということで、本来プログラムですと25分ぐらいまでをこの第2コーナーととっておりまして、残り15分なんですけれども、先ほどからフライングぎみに何度も申し上げているんですが、西村委員、そろそろ資料について御案内いただくとちょうどおさまりがいいのではないかと思ったりします。お願いできますでしょうか。
○西村委員 西村です。
このタイミングでこの資料の説明をするのは非常にタイミングを外して。
○棟居部会長 では第3コーナーの最初にしますか。
○西村委員 その方がありがたいですけれども、ただ、どなたに聞いていいのかわからないんですが、遠藤オブザーバーなのか山本委員なのか、浅倉委員なのかわからないんですけれども、今のお話を聞いていて思っているところがあります。
それは、私人間なり事業所なりの云々かんぬんと言ったときに、たしか前々回だったと思いますが、障害者の権利条約の批准に向けた国内法の整備に関する議論が、女性の差別禁止条約のときに似ていると。かつて女性が雇用の場に入っていくときに非常に差別的な発言がある中でつくられてきた経過がある。先ほど私はマナーからルールと申し上げましたけれども、喫煙者の状況が示すとおり、社会的対応は、時代とともに変わってきている。かつてはバスの中でたばこを吸えたんですけれども、今はあり得ない。
差別禁止法に、障害者が求めていることは何なのかという基本的なことを考えたときに、先ほど東さんが言われたように新しい特別の権利ではなく、障害のない人たちは当たり前にバスに乗っている、普通学校に行っている、デパートに入っている、トイレを使っている。それが障害者はできないんだ。そのできない状態が変ではないか。それが差別なのか合理的配慮なのかは、おいておいて、障害があっても障害のない人たちと同じように生きていける社会をつくりましょうよと。その手立ての1つが差別禁止法であると思っているんです。
そうして考えたときに、いやそれは違いますと。障害があるんだから、あなたは車いすなんだから、2階に上がれないのは当たり前でしょうという考え方でいくなら仕方ないです。仕方ないというか、また違うんですけれども、機会均等というか、障害の有無にかかわらず、いろんな社会の場面に参加していく上で必要な措置というのが、これはわかりません。たばこを飲む人たちが今まではそこら辺で吸えたのが一切吸えなくなっている。隔離されている部屋で吸えと言われている。女性もどんどん登用されるようになってきている。その中で障害者の問題、つまり障害者の機会均等を広げていくために役務なり禁止行為なりを求めていくことが、そんなに難しいことなのか。法律的にいろんなことが言われていますけれども、ごくごく当たり前の暮らしを求めていく、そのための法的措置が難しいというのがどうしても理解できない。
だから、差別禁止法でも権利保障法でも機会均等法でも何でもいいんです。障害当事者が望んでいるのは。だからその実効性をどうこの差別禁止部会の議論の中で、あるいは新たな法制度の中でつくるのかということを、冒頭の中で何が共通確認なのかと言われましたけれども、このことは共通確認としていただけるのかどうか、改めて確認をしていただきたいと思います。
それが前提でなければ、同じものに向かっているということでなければ、これはもうまとまらないと思いますので、そこら辺の確認をしていただけたら大変ありがたいと思っています。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
要するに現状ずっと足を踏まれている。それをどけてくれという話で、何か新たに権利だとかそういうものは全くピンボケだという御指摘で、私個人は非常に今の点についてはそうだったと再度確認させていただきました。ありがとうございました。
伊東副部会長、どうぞ。
○伊東副部会長 ありがとうございます。伊東です。
私も先ほど来ずっと御意見をお聞きしていて、西村委員のおっしゃることに全く同感であります。障害のある当事者が新しい権利を創設してくれということを求めているわけではなくて、同じ日本人として当然あるべき権利や機会を失われていることを修復してもらいたいということです。
ですから一般の国民、社会全般で全くそのとおりだと多くの人が言ってくれるような合意を得られることを前提にしたい。失われている権利を得られるように、チャンスを得られるようにしてほしいという当事者の視点に皆さん立っていただいて、社会の合意を得られるような議論と内容に展開をしていただきたい。骨格提言の基本はそこにあると思います。
第3コーナーでやられると思いますが、参考2に用意いただいたさまざまな意見、質問は極めて基本的なと言いましょうか、当たり前の質問が社会全般の目線であって、法律論とか制度論に行かないで、その視点に立ち、もっと社会生活の中の原点のところに視点を置いて議論をまとめ、骨格提言をつくるべきではないかと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
太田委員、どうぞ。
○太田委員 西村委員と伊東委員の意見に賛成です。本当に私たちは平等に生きたいというお願いをもって参加をしたいと思っているわけです。
合理的配慮というのはそんなに重たいものではない場合が多いわけで、机の高さを車いすに合せてほしいとか、車いすでも仕事ができるような通路を保障してほしいとか、コピー取りができなくても本来与えられた業務が遂行できるならば採用してほしいとか、そういうことをまず行ってほしいわけで、その段階で多くの障害者が排除されて仕事ができない、雇用されない、あるいは学校教育を受けられないという状況があるわけで、それは労働時間を30分ずらしてほしいということとか、簡単なことが多くの障害者には壁になっている現実があるわけで、合理的配慮もそういう意味で非常に大切なメッセージとなっているということを考えていただきたいと思います。
ついでに資料1ですが、2の3)に選挙等とありますが、選挙等だけではなくて、広く政治参加ということで、政治は選挙だけではなくて、いろんな場面で政治と障害者は関わりを持って、政治参加から排除されている現実があり、選挙等ではなく政治参加としていただきたいと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
ここのコーナーで予定しております25分に大分近づきつつありますので、どうしましょうか西村委員、しつこくて恐縮なんですけれども、休憩をとった後にお話されますか。5分でしたら今からお話いただくということでよろしいですか。後ろを切ってしまって申し訳ありませんが、ちょうど5分ぐらいで、済みませんが、お願いします。
○西村委員 私から資料を提出させていただいております。
提言ということでまとめさせていただいておりますが、提言自体につきましては1ページのみ、それ以外につきましては提言に反映した根拠、いわゆるエビデンスということでの資料を用意させていただいております。
私が所属してます自治労は、地方公務員や公共サービスを提供している労働者を中心にした労働組合です。その中の障害労働者連絡会(障労連)は、地方自治体における障害者雇用を促進するため取組みを進めてまいりました。
この資料がなかなか出させなかった理由があります。それはもともとの課題は雇用労働なんですが、障労連あるいは障害者の雇用に際しての課題は、単なる労働雇用だけではなく、今回挙げられている項目で言えば公共的施設や交通機関の利用であったり、情報提供であったり、福祉サービスといったことも大きく関係する中で考えなければ、実は障害者の雇用は進まないと思ってましたので、このタイミングで出させていただきました。
では、何を提言するのかということですけれども、地方自治体の採用試験は一般採用試験、つまり障害の有無の関わりなく採用している試験と、障害者だけに特化した特別枠あるいは障害者枠での採用試験がございますが、このいずれの試験におきましても共通する問題として、受験の制限や制約が多くの自治体ではあります。
具体的な受験資格としては、介助者なしで職務が遂行できる。口頭面接が可能である。活字印刷物に対応できる。更には自家用車での来庁は認めないといった規定があります。これは私たち障害当事者から見たときに、介助や手話通訳や点字といった障害に応じて必要とするバリアフリー的な対応を必要とする障害者を排除していると理解してます。ですから、これは当然改善しなくてはいけない。これは直接差別なのか、合理的配慮なのかはともかくとして、障害者雇用を促進するためには改善しなければならない大きな問題としてとらえてます。
一方で、一般枠の採用試験の中でも点字試験の実施や手話通訳の配置、あるいは福祉機器の持ち込みといったことも用意をしている自治体もあります。そして体力試験とか集団討論などにつきましても、その障害の状況に応じてはそうした試験を免除するといった規定もありますから、そういう意味では地方自治体の採用試験の状況は障害に応じた配慮と、障害に基づく制限と制約を両方持っているのが現状です。
しかし、こうした課題は地方自治体の採用試験だけの問題ではなく、この間、出てきた学校の入学試験とか欠格条項に代表される試験の実施状況、資格の取得要件にも広くつながってくると思っています。
ですから、全体の討論をするに当たりまして、試験の実施に関する受験資格や実施方法や資格取得に関する制限の制約といったものを持つべきではない。更には合理的配慮。これは主に情報だとか物理的アクセスになると思いますけれども、合理的配慮の提供を明確にするべきである。更には国や地方自治体が点字試験の実施や体力試験の免除のように、障害に関連する必要な措置を講ずること。更には今、申し上げた規定は試験の実施要綱の中に載せられていますから、そういう意味では関係要綱等々の法制度の中で同じようなものがあれば、それを外していくということを盛り込むべきだと思っています。
ただし、こうしたことをどの形で盛り込んでいくのか、つまり個別規定の各論の中で盛り込むか、総論の中の差別の定義なり、合理的配慮の定義なり、国、地方自治体の責務なりというところで入れ込むのかということにつきましては、必ずしも今の段階でこうすべきだという意見はありませんが、こうしたことをきちんと盛り込むべきであると思っています。
それから、どこまでできるかわかりませんけれども、合理的配慮が大きなポイントになっていると思います。この合理的配慮につきましては私どもの提出した資料の中で、さまざまな職場実態や当事者の状況からガイドラインを示させていただいてます。また、合理的配慮については2005年の時点で国は資格取得等々における、試験等におけるそうした配慮とか、公務部門における障害者の雇用についてのガイドブックも出していることから、一定程度の合理的配慮という事例等々は、部会として示すことが必要であると思います。
当然こうした配慮は、採用後も必要であることも明記することが必要であると思います。今回のこの法律の項目で挙げられている中で、こうしたことを意識した入れ込み方をする必要があります。そして、その具体的として資料を提出させていただきました。
以上で5分程度かなと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
この地方公務員あるいは国家公務員になるというのは、希望者にとっては勿論、就職という意味もありますけれども、そういう職業選択という側面だけではなくて、これは国政あるいは地方自治の行政に参加をするという参政権的な側面があると憲法の教科書にも書いてあります。いわゆる公務就任権。公の職務に就く権利です。勿論、試験に受かればとかの制約はありますけれども、単なる職業選択ではなくて政治参加、行政参加だという点を強調すると、ますますもって合理的配慮が必要だというのが一般論としては出てきやすいと教師の1人としては思いました。エビデンスをつけていただいてありがとうございました。
○東室長 結局のところ、各論の項目に採用試験とか受験とか資格取得等における合理的配慮の規定を設けろという御意見なんですか。
○西村委員 わかりません。というのは、各項目ごとに設けて、先ほどの障害児ではないですけれども、障害児をなぜ総論に持っていかないのかということについての東さんの説明は、私自身は納得しております。この今回の今の試験の制限とか、合理的配慮が、各個別分野で設けた方が実効性があるということであれば、そうすべきと思いますが、その判断は法律の専門家なり法制局なりの御意見が参考になると思っていまして、総論の中で合理的配慮の定義とか差別の類型とか国、都道府県、市町村の責務という中に入れ込むということもあるのかなということで、こうすべきであるという確信的な意見は特にありません。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
場合によっては先ほど太田委員がおっしゃったように、選挙というのはやや狭くて、政治参加一般だということからすれば、それを更に拡大して公務就任もここに入るということも整理としてはあり得るかもしれません。
ちょうど時間が尽きたというか、オーバーしております。ということでこの第2コーナーとして予定しておりましたセッションは、これにて終了ということにさせていただきまして、15分の休憩をとり、議論を続けたいと思います。
第3コーナーにつきましては先ほど既に御紹介がありましたように、Q&Aというかクエスチョンをたくさん並べた参考資料2を中心に議論することになります。
では、今から15分の休憩ということで、46分辺りに御参集ください。

(休憩)

○棟居部会長 それでは、再開いたします。
第3コーナーは60分弱を予定しております。障害者差別禁止法の基礎的理解に向けてというテーマで行います。
最初に東室長から10分程度で御報告をいただきます。東室長、よろしくお願いいたします。
○東室長 担当室の東です。参考2、机上配付というクレジットが入っている資料を開けていただければと思います。
これまで総論、各論、救済の在り方等について議論をしてまいりましたけれども、最終的にこの法律は福祉法と違って、国民との関係を規律する法律になりますので、一般国民がこういう問題についてどう考えているのか。多くの人は余り御存じない話だろうと思うんですが、こういう差別禁止を内容とする法律をつくるという形で提示したときに、やはりいろんな疑問を持たれていると思うんです。それに対してある意味世界の最先端的な話だけをしていても、そもそも何でなのかという一番基本的な疑問とか、そういったものに応えるものがなければ、なかなか広がっていかないだろうと思いました。
それで禁止法の必要性の有無とか、禁止法の有用性とか、禁止法の性格とか、差別の定義とか、合理的配慮の定義とか、例外などについて総論の分野だけですけれども、こういった疑問とか質問が上がってくるのではないかと私の頭の中で考えたものを羅列してみました。こういった質問はないのではないかと言われるのがあるのかもしれませんし、こういった質問も当然出てくるよという質問もあるとは思うんですが、骨格提言の中にこういう質問を念頭に置いて、わかりやすく書き込むといった作業がどうしても必要だろうと思うんです。
そういった点で、部会でこういう質問に対してこんな説明ができるのではないかといった辺りのお話を、皆さんでしていただければと思っています。
これは30ぐらいつくりましたけれども、各論についてはつくっておりませんし、30でも足りないぐらい総論ではあるのかもしれません。ですので今日の1つのコーナーだけでの議論で終わるのかどうかわかりませんので、できればこういう質問に対してはこういうふうな説明が適当ではないかという御意見があれば、今日議論していただくとともに、時間がなければペーパーで出していただければ大変ありがたいかなと思っているところです。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
それでは、質疑及び議論に入ります。時間は50分弱を予定しております。どなたからでもどうぞ。
なお、これは今、メール等での御意見とおっしゃいましたが、書式というかファイルにQ&Aのような格好でQ1の後にA1とかそういうふうに差し挟んで回答いただければありがたいという御趣旨ですか。ありがとうございます。
できるだけ、特に素朴な疑問、大きな疑問について今、それはこういうふうに答えればいいではないか。その点は皆さん同意見でしょうというような御発声をいただければと思うんですけれども、そもそもこれは権利条約だ、あるいは従来から長い間、当然のことがなされてこなかったという先ほど来の御意見からすれば、一々答えるまでもないような、ある意味つまらないQもたくさんあるかと思います。しかし、東室長の先ほどのお願いは、そこをぐっとこらえていただいて、骨格提言の言わば前書きのような、立法の背景説明、提案理由のようなところで、場合によってはそこまでの丁寧な書きぶりが求められるかもしれない。そのときのお知恵を拝借したいということだろうと思うんですけれども、西村委員、お願いします。
○西村委員 西村です。ありがとうございます。
先ほど賛否両論があったときに権利条約を基準にして、書くべきと申し上げましたが、今回出てきたこの内容につきましては、非常にいい内容であると思います。
というのは、やはり障害者の差別をなくすために必要なことはたくさんあると思いますが、1つは国民的な理解が必要だと思います。なぜこの法律を障害者は求めているのか。そして、この法律ができることで障害者は何を望んでいるのかというメッセージは、当事者として発信する義務があると思います。そのときに権利条約に書かれているからというのは説明にはなっていないと思います。
つまり、権利条約は相当な議論の中でできました。それは生々しい実態がある中でどう書くかという真剣な議論の中で出てきたもの。それを当事者でその経過を知っている人たちは知っていますけれども、多くの人たちは知らないと思いますので、私はこういう質問を、どんどん出していって、それに対して丁重に答えていく。つまり専門用語ではなく、一般の人たちがなるほどという答えをきちんと出していくことが、我々のもう一つの仕事ではあると思いますので、こうした取組みは支持をしたいと思います。
それから、今この質問に対してどのような回答があるのかということにつきましては、申し訳ございません、後ほどメールで出させていただきたいと思いますけれども、より深い理解を持っていただくことは、これは単に国民の皆さんに対するだけではなくて、我々がなぜこの議論をしているのかということの再確認になると思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
私から技術的な確認を私から室長にしておきたいんですけれども、例えばQ1の障害者に対する差別といった実態があるのかないのかよくわからないという、こういう素朴な疑問に対しては要するにエビデンス、証拠というか、これを厳密に言うと何かちゃんとした機関が出している統計的な資料とか、大規模なアンケートとか、何かそういったものが必要なんでしょうか。それとも幾つか寄せられたエピソードで読む人が読めば、なるほどそういうことが確かにあるなと思えるような典型事例ということでよろしいのでしょうか。
○東室長 それらは両方ともあり得るのではないでしょうか。例えば公式的なところで言えば、千葉県のホームページには条例策定過程の中で寄せられたアンケートが載っております。約800ぐらいあります。それらは勿論、生の事実をベースにして分類されてありますので、それ自身が虐待なのかハラスメントなのかわかりにくいような事例があったりすることも当然あり得るわけですけれども、実態としては本当に多くのものが挙げられております。
こういったことはホームページに挙がっているかどうかは別として、差別禁止条例をつくったところでは、基礎的な作業としては大体同じようになされていると思います。それとか内閣府の調査報告書にもこういった事例について報告したものもありますので、そういった公的なもの、もしくは委員さんの個人的な体験でも当然いいと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
すると都道府県レベルで既に行われている差別禁止条例の立法理由として挙げられておった事柄、そしてその条例を施行されて何年後かに、当然施行によってこういう点が改善されたといった事後的な調査をされていると思うんですけれども、例えば差別禁止法の有用性という形でQ7、Q8にございますが、これは既に先行事例として条例が一定の有用性を確保できているというエビデンス、証拠、事実があるかどうか。こういうものはかなり参考になるということですかね。つまり、条例でのいろんな経験は、このQ&Aをこさえていく中でかなり有効だという御指摘ですね。
○東室長 それと言い忘れましたけれども、これは外国の話ですが、例えばADAは既に30年の歴史を持っておりまして、判例なども相当な数が集積されております。勿論、定義も違うわけですけれども、やはり大きく言って障害者差別という実態はあるんだということは、事実としても出てきているわけですので、そういった点をきちんと説明できるかなと思っております。
○棟居部会長 川内委員、お願いします。
○川内委員 川内です。
今の御説明は、先ほど西村さんがおっしゃったものとは少し違うように私は受け取りました。というのは、国連の条約がこういうふうに言っているから、これはだめなんだとか、千葉の条例はこう言っているからこれはだめなんだとか、そういう説明では一般の方は腑に落ちないのではないかということを西村さんはおっしゃったように私は思っているんです。ですから、ここでこういうことがあるとか、ADAは30年の歴史があるということが、それほど説得力を持つとは思えないです。
○東室長 そういうことではなくて、その中で挙がってきている事実がある。その事実をもってこういう事実があるんですよという形の説明はできるのではないかということを申し上げました。
○川内委員 その辺は説明の仕方だろうと思います。
ちょっと御質問があるのは、先ほどの議論の中で障害者差別禁止法なのか、障害に基づく差別禁止法なのかというお話がありました。議論の流れとしては、障害に基づく差別を禁止する法律ということだったように思いますが、それはそれで私も合意なんですけれども、例えばQ1なんかは障害者に対する差別といった実態があるのかというふうになっています。これは障害に基づく差別という実態があるのかというのは書き換えられると思うんです。例えばQ2以降は多くの人は障害者に思いやりを持っておりということで、この障害者ということを対象にした差別禁止法の説明、質問になっているんです。ですから、障害に基づく差別禁止であるならば、設問の仕方が変わってくるかなという印象を持っています。
以上です。
○東室長 まず、Q&A集をつくるということではありませんというか、そこを想定したものではなくて、こういった障害と障害者をそもそも区別するという発想は多くの方にはないと思うんです。ですから、そういう法律ができて、それの解説としてこれを出すといったことを念頭に置いているわけではないんです。こういう質問が予想されるので、こういう質問に対してどう答えるかという議論をしていただいて、それを「A」の部分のエッセンスを骨格提言にどうわかりやすく盛り込んでいくかといったことを念頭に置いて、こういうものをつくったんです。
だから理屈の話というよりも、むしろ素朴な疑問に対してどう答えるかというベースで書きましたので、そこまできちんと整理して書いたものではありませんので、混在していると言われればそのとおりだと思っています。
以上です。
○棟居部会長 太田委員、お願いします。
○太田委員 太田委員。
今の東室長の延長線上で言えば、質問の内容で私が読み落としているかもしれませんが、差別禁止法の制定によって多くの金がかかりませんかという質問は入れた方がいいのではないでしょうか。
○棟居部会長 室長、いかがでしょうか。
○東室長 ありがとうございます。確かにそういう質問も出てくるでしょうね。
○棟居部会長 ついでに、それは国が補填してくれるのかといった質問も当然出てきますね。民間で持つのかと。
○太田委員 私が言っているのは金の問題ではないという意味で言っているんです。差別禁止法の本質は。
○棟居部会長 差別禁止法の本質は、民間で従来気が付かれずになされてきたようなものを気付かせて、差別をやめてもらうということに本質があるのであって、福祉的な給付ではないと。そういう意味でのお金ではないと。
○太田委員 もしかしたら、少し金は必要になるかもしれないけれども、金が必要にならない場合も多いということです。
○棟居部会長 では、太田委員が付け加えた方がいいとおっしゃるQというのは、幾らお金がかかるんですかとか、すごく財政に更に圧迫を加えるのではないかとか、そういうお金目線のQではないと。お金がかかるのではないですかと聞いてもらって、それはむしろお金ではなくて行為によって、行動によって解決されるもので、そんなにお金はかからないことを想定しているというのがベストアンサーということですかね。
松井委員、どうぞ。
○松井委員 松井です。ありがとうございます。
合理的配慮に関係しますと、厚労省の研究会でも議論が出ているように、その費用の軽減措置をしない限り、なかなか実行されないだろうということで、当然そういう財政的措置は不可避だと思いますけれども、それはそれとして、これまで地方公共団体で条例をつくっているところを見ますと、差別禁止というタイトルにはなっていなくて、むしろ先ほど太田さんがおっしゃったように、より多くの方々の理解を深めるという内容、言うならば市民教育ということがどちらかと言えばメインになっていると思うんです。
確かに条例づくりのプロセスにおいて、地方自治体においてどういう具体的な差別事例があるのかということの周知をして、それは公表されておりますけれども、少なくとも最初から差別禁止という形が打ち出されていない。そういう実態を見ると場合によっては2段構えというか、最初はそういうふうな割合緩やかなものをつくって、その後で強いものをつくるということも選択肢としてあり得ると思いますけれども、どういうものをどこまで拘束力があるものをつくるのかということの議論は、この中で十分やるべきだと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
ちょっとよけいなことかもしれませんが、私もこれを立法していくというときに、事前の打ち合わせでQを見まして、こういうところから1個ずつクリアーをしていかないとだめなんだという、これは非常にかなり山を登ってきたはずだけれども、8合目から上が垂直のような、絶壁のような山なんだなと思いまして、そのとき既に条例でされているというのは非常に立派だなと思いました。
でも、そのある種の秘訣というか、条例でうまくとにもかくにも実施されている背景には、市民教育だというのを全面に押し出しておられる。そこはやはり地域社会に専ら足を置いておられる自治体が、上手に市民社会の中での相互の助け合いという従来からごみ出しルールとか、ある程度市民相互の関係についてルールづくりをされていますね。その延長で上手に自治体は条例をおつくりになってされているのかなとすると、国の法律も一部の一番ハードな権利義務というのか、負担を課していくような部分について、自治体ごとの条例を通じての施行とか、組み合わせがうまくできないかなと。既存のでき上がっている、うまくやっておられるところの条例、それに屋上屋を重ねるのではなくて、それを取り込むというか、今イメージがクリアーではないんですけれども、そういう地方と連動したやり方でうまく入れないかなと思ったりもしているんですが、ここらは自分で条文をつくってみろと言われると、どうつくったらいいのか、そういう例があるのかわかりません。ただ、大いに条例に学ぶという点では、今まさに一般市民の方に納得していただける言葉を、条例をつくられた先進的な方々の議論から我々も拾っていかければいけないと思っています。ありがとうございました。
ほか御意見いかがでしょうか。川内委員、お願いします。
○川内委員 川内です。
ちょっと質問です。先ほど東さんは言わば頭の体操みたいなものでこれをつくったんだということをおっしゃいましたけれども、見ていて、もしこの法律ができたときにパンフレットをつくったら、こういうものはものすごくいい説明材料になるなと思っていて、表現を変えていけば、すごく多くの方に説明するのにいい材料かなと思ったんですが、というような感じがあって先ほど聞いたんです。
それとは別に、Q9は処罰されることになるのかということが質問されていて、Q10では処罰されるものでないとすると、差別禁止は何をする法律なのかということなので、ここでは今までそのことについては救済という話はしてきたけれども、処罰というところがかなり不明確だったと思いますが、流れとしては先ほども少しありましたけれども、余り強い法律にするというのは問題が大きいので、処罰は入れずに救済はするよというようなレベルで考えているということが、ここに含まれているように思うんですけれども、そう理解して考えればいいんですか。
○棟居部会長 お願いします。
○東室長 差別禁止法の本質が何なのかということについては、刑法をつくるものではない、処罰するための法律ではないんだということを、まず多くの人に理解してもらう必要があると思うんです。でも、では何なのかというふうに多くの人は思うんです。差別禁止法と言われたらやはり処罰するための法律かというイメージが強いと思うんです。
しかしながら、一番大事なところは何かと言うと、要するに人々の行為の物差しをつくるというところだろうと思っているんです。行為規範とか行為準則とかいろいろ言われますけれども、何が差別であるのかないのか、それを一人ひとりの国民が理解するための手段を提供する。セクハラ防止と同じで、セクハラはいかんと言ってもこれまで何も法制度的に何もなかったから、人々の行為を自らの内発的な判断でやめるということはなかなかできなかったけれども、それと同じで法制度ができれば自分の判断で、ここからしてはだめなんだというふうに判断ができるようになるわけです。
そういう意味で人々に何が差別であるのかないのかの物差し、行為準則といったものを提供するということが、この法律の一番大事なところですよと。そして、その行為準則は救済するときの目安になるんだというところですね。そういった辺りをきちんとわかっていただく必要があるのではなかろうかと思っていて、こんな質問をつくりました。
○棟居部会長 ありがとうございました。
では、川内委員も関連ということでよろしいですか。その後に池原委員、お願いします。
○川内委員 問10についてはお答えいただいてありがとうございましたというふうになってしまいますが、もう一つ、11番の表現の自由が侵される危険というのは、具体的にどういうことを想定された質問かを教えていただけますか。
○東室長 一般的にこういう人権に絡む法律ができる場合に、表現の自由は問題になるんです。しかしながら、この差別禁止法が直接的に表現自体を規制するものなのかどうなのかという辺りについて、一定外形として、行為に出た外形が差別の定義に当てはまれば、それはやめてくださいということがメインですので、表現の自由一般について規制するといった関係にはないという説明で、納得してもらうことができるのかなと思っているところです。
○棟居部会長 差別的表現というのは一般的に勿論問題になるというか、それは規制はまかりならんと。つまり、そういうけしからん表現はとにかく言わせるだけ言わせて、しかし、ほかの人が厳しく批判するはずだと。そういう相互の批判の中でおのずと淘汰されていくべきだという表現の自由に肩入れした意見が普通かと思います。
ただ、川内委員の御関心だと例えば建築家がかなり階段の急な、しかしそういうコンセプトの建物をばんとつくろうというときに、それも表現行為ですけれども、スロープを付けなさいと言って彼のデザインが、コンセプトが台無しになるとか、そうすると表現の自由と差別禁止のぶつかり合いということになるんですかね。
○東室長 だから、どう説明するかという問題なんです。議論が正しいかどうかではないんです。例えばどんな建築物だって建築基準法には従わざるを得ないでしょう。建築基準法を超えて表現の自由だという形ではできないわけです。だから一般の国内法制とそんなに変わらないんですよといったところを説明しないと、表現の自由か差別禁止かという二項対立的な説明では絶対無理だということです。だから、いかにこの問題についてすんなりと入っていくかという辺りをここで議論していただければなと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
川内委員、もしよろしければ、次に池原委員をお待たせしていますので、お願いします。
○池原委員 ちょっと論点がずれるというか、関心が別のところの話になってしまうんですけれども、ある種このQ&Aというのは今後、差別禁止法というものを実現していくときに、想定される被説得者というか、我々が説得をしていかなければいけない人たちに対する多分こういう疑問があって、それに対してこういうふうに答えていかなければいけないのではないかという、ある種の想定問答なのかなと思っているんですけれども、そのときに私個人としてまだよくわかっていないのは、現実的にどういうところについて一番強い抵抗感があったり、どういうところについて一番理解されにくさがあるのかというところが、ある意味では見えない敵と問答しなければいけないところがあって、だからこちらがこれはきっと理解されないんだろうと思っているところが、意外に理解されてしまったり、こういうところは当然理解されるんだろうと思っているところが、意外に理解されなかったりとか、あるいは抵抗されないだろうと思ったところですごく抵抗があったりとかいうようなことが起こるのかどうかということが、ちょっとよくわからないところがあって、これは室長がもう既に障害者基本法であるとか、総合福祉法というものの立法化の経験を通じていろいろお考えになりながら、このQ&Aもつくられているのかなと想像するんですけれども、そういう中で今後恐らく政府内での議論とか、議会での議論とか、国民的コンセンサスとか、そういうところで現実にもう少し本当はQ&Aを答えていくときに、どの部分は相当十分に説得的な説明をしなければいけないとか、どの部分は比較的スムーズに通るんだろうという、手ごたえというか抵抗感というか、そういうものが少しあるといいなというふうに思って、例えばパブコメなんていうのをよく最近政府が立法化するときに、これはかなり具体的な案になってからの話ですけれども、試みる場合があって、果たして中間とりまとめについてパブコメみたいなものと言っても、これは中間とりまとめ自体が必ずしも結論的なことを何も言っていないので、なかなか取りにくいのかなというふうにも思うんですが、何かその辺りの一番言えば国民的な理解という点で言うとどういう点には疑問が提起されるのか、あるいは抵抗があるのかということがサンプル的にでも少し実証的なものがあるといいのかなと。ちょっと時間的に難しいかもしれませんけれども、それで意外にコンセンサスが得られている論点なんだということになるとすれば、それは将来閣内での議論とか議会での議論でも、これはサンプル調査をして、そんなに国民としては理解されていなくはなくて、割と思ったよりは理解されていますよということがあれば説得材料にも使えるので、何かそういうことができないかなと思いました。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今、パブコメということで、しかしそれはある程度具体的な条文の形をとっていないと、あるいは形だけではだめで立法の段階もある程度進んでいないと、今のこの時点では無理だなと、しかし必要ではあるという御指摘で、条約を批准するという辺りでこの権利条約を今、批准しようとしているんだけれども、これはどうですかという条約についてのパブコメなんていうのはないんですか。国際社会でのそれにあれこれ言わば検討中以外の突っ込みを入れるというような、これはしていないのかどうか私は知らないもので恐縮です。
池原委員、どうぞ。
○池原委員 言わばそういうタイミングは条項化されたぐらい、実際のパブコメというのはほぼでき上がってしまっているものにパブコメをとられるので、我々パブコメを出す方では、逆に言っても結局ほとんど聞いてもらえないんだろうなという感じになってしまうんですけれども、もう少し手前のところで我々が進めようとしている作業について、どんなふうに国民的には感じられているのかというのが少し見えると、ここで得られるコンセンサスと国民のコンセンサスは少しずれているかもしれないし、我々が心配していることが案外それほどでもなかったり、逆に大丈夫だと思っていることがとても引っかかっていたりということがあるのかないのか、これは調べるのはとても難しいと思うんですけれども、やや一番不安なのは見えない敵を想定しながら、見えない相手の存在を考えながら説得していかなければいけないという難しさが、このQ&Aを答えるときに思ったものですから申し上げた次第です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 大谷です。
見えない敵の話なんですけれども、若干浅倉委員とも共通の経験だと思うんですが、女子差別撤廃条約のときにまさに見えない敵と闘ったんです。そのときに一番問題になったのは固定的役割分担。従来、男は仕事、女は家庭というのを何とか女子差別撤廃条約を機にバランスを崩そうということに関しては、私は非常に抵抗感が強かったと思っているんです。
とすると、それとの関係で言うと今回も合理的配慮に関してはかなりわかりにくいというか、一人ひとりの人間関係に介入してくるのか。個人の関係なのではないか。この思いやりがどうのこうのという配慮という言葉にもいろいろ誤解を生じるのかもしれないですけれども、かなりここに関しては丁寧に啓発活動をしないと、女子差別撤廃条約のときの。
○棟居部会長 ごめんなさい。女性差別撤廃条約ですか。人種差別と。
○大谷委員 女性差別撤廃条約。1985年のときのジェンダーとか固定的役割分担は1対1の個人の家庭内の問題に何で条約だとか法律が介入するんだということに関しては、かなり抵抗感が強かったと私は思っているんです。
それがやっと理解されつつあって、何とか男も育児をするようになるまで30年かかったみたいな感じがあって、あのときも女性差別撤廃法などというのはとんでもないということで許されなかったんですけれども、今回ももし見えない敵を私が感じるとすると、合理的配慮義務という形で1対1の個人の関係に法や何か介入して、関係を強制するのかということに関しては、なかなか我が国の従来の差別禁止法をつくる過程を思い起こすと、抵抗感がかなり強いように思うんです。
結論から言うと、私はこの差別の定義のところの合理的配慮に関しては、丁寧過ぎるぐらいにQ&Aに答えていく、自ら設問し、自ら答えていき、啓発活動をかなりしないと誤解が生じて、ここからそんなものはつくらせないというように横槍が入ってしまうのではないかと恐れています。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
太田委員、お待たせしました。
○太田委員 太田です。
大谷委員の言われるとおりなんですが、池原委員の御主張を考えていくと、このQ&AのQ1の障害者に対する差別といった実態があるのかないのか、よくわからない。私はこれ以前の問題で、多くの市民は障害者と差別という概念を結び付けることも難しい状況にあるのではないか。かわいそうな人たちという感覚でしかないのではないかと私は認識していて、大谷委員の主張の水準まで全然至っていないのではないかと思っています。
このQ6を見ると、福祉を充実することで差別の問題は解決されていくのではないかと書いてありますが、福祉の充実と差別の問題を関連づけて考えることは到底できない。考えたとしても、障害者の福祉の充実で障害者の生活はそれで十分ではないかというような意識ではないかと多くの市民は思っているように思えまして、関係者の意識と多くの市民の意識はまだまだかけ離れたところにあると私は認識をしています。
○棟居部会長 ありがとうございました。
女性差別よりも、もっと根が深いというか、かわいそうな人たちというひとくくりだと。しかし、かわいそうにしているわけです。障害のない側が。排除というのが入っているという点に障害者差別の大きな特徴があると私は今のを受け止めました。
お待たせしました。川島委員、お願いします。
○川島委員 ありがとうございます。川島です。
まず1つは障害者権利条約を批准するために、合理的配慮義務というのを国内法化しないといけないというのは、非常に重要な視点だと私は思っているんですけれども、それだけでは日本で国内法を成立するためには説得力がないというところも事実だと思っていて、そのために参考2の想定問答集は非常に重要なものだと思っております。これは今まで御発言された委員も、同様のことをおっしゃられていると思います。
それに加えて、1つ私から追加の案なんですけれども、これは想定問答集で重要なんですが、それと同時に想定事例集というのもあるといいなと思っておりまして、例えば教育場面、労働場面、サービス場面で、ある障害のある人がこういう場面に出くわした。そうしたら学校側がこういうことを言った。こういうふうになった場合は差別になるのかならないのか、という大体そういう想定事例というのが、1つの個別分野ごとに、そんなにぜいたく言わなくて3つでもいいかもしれないんですけれども、多ければ多い方がいいかもしれないんですが、3つか4つぐらいあれば、こういうものは大体差別になるし、こういうものは差別とならないのかと学校や企業が認識して、学校や企業の理解が進むと思っておりまして、これは私は英国の平等法を読んだときに、条文の意味を理解するのがちょっと難しくて、実際に行動準則の中に具体例が出ていて、こういう場合に差別になるんだよとか、ならないんだよとか、それが非常に私にとっては条文の意味を理解するときに役立ったという経験がありますので、国民の皆様に差別禁止はどういうものなのか理解していただくためには、そういう想定事例集を、この想定問答集と同時につくるのはどうかなと思いました。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今のは典型事例ということですね。つまり限界事例だとほかのいろんなファクターによって、あるいは裁判を起こした場合、裁判官の個人の考えとかによってこれは変わってき得るので、限界事例で立法の前にこうです、ああですという答えを出すというのは非常に難しいというか、解釈まで縛る立法というのはなかなか考えにくいですね。解釈は解釈だということですから、この規範は主としてこういう場面を念頭に置いていますという典型事例ということで理解していいですか。ありがとうございます。
室長、どうぞ。
○東室長 一定法案ができたレベルで、法案の解説としてQ&Aと想定事例集をつくっていくということは、当然必要になるかなと思っているんですが、今日お出しした趣旨は、あくまで骨格提言にどう盛り込むかということで議論していただきたいということなんです。その後でまたこれを再利用することは当然あり得る話なんでしょうけれども、ですので議論はまずは骨格提言を念頭に置いてしていただければなというところです。
○棟居部会長 川内委員、お待たせしました。
○川内委員 川内です。
学生たちと接していると、先生は電車にも乗っているし、タクシーにも乗っているのに、何でそんなにクレームばかり言っているのかといって、クレーマーだとこの間、言われたんですけれども、つまり先ほどの見えざる敵というのは差別ということがわからないというか、何が差別かということ。例えばこのQ1だったらば事例をずらっと並べるというのは確かにあるけれども、それを並べられたところで何でそれが差別なのというのがまずあって、それが差別だと説明されても、でも仕方ないではないかというのがある。それをはっきりさせないことには、その先の合理的配慮だ何だというところにはとても進みにくいのかなというのが1つあります。
もう一つは、こんなことを言うんだったらお前たちが受けている優遇も要らないのかと。つまり旅費が半額になるだとか、何とか手当が付いているとか、そういうふうなものとの関係はどうなんだというところも、多分疑問として出てくるだろうという感じはします。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
伊東副部会長、どうぞ。
○伊東副部会長 ありがとうございます。伊東です。
この最初の資料1の項目とも関連するんですが、私はやはり国民とか社会に対する啓発活動の責任ということを大きく考えなければいけないことだと思っています。見えざる敵だとか、理解があるとかないとか、コンセンサスの話がありましたけれども、私は多くの国民は障害のある人に対して、積極的にしろ消極的にしろ、阻害しようとか差別しようとか思っている人は非常に少ないと思う。多くの人は善意なんです。しかし、その善意の中に誤解もある。そこに着目しなければならない。ですから、障害のある人が何を求めているのかという視点からの取組みといいましょうか、社会に対する訴えかけというものが非常に大事ではないかと思う。
私の経験から言いますと、昭和58年4月に仙台に重度の障害者10名で運営する大型ブックセンターをつくりました。今、東北に8店舗あります。店では重度の障害の人が中心になって働いています。これを最初につくるときに10か月間工事ができなかった。それは地元の書店組合から、又、商工会から反対された。両団体から同意書をとらなければやれないということで、その同意書がとれないで業界と10か月間話し合いました。
そのときに書店組合の方々も又、善意の心をもった人たちだということがわかりました。「あなた方は障害年金をもらっている」と言われました。そして「年に1回は自分たちもボランティアで旅行に協力して運転したり応援しているではないか」と。自分たちの仕事まで邪魔しないでくれと言われました。今お話があったように障害者はJRだって半額になる、こういう補助がついているではないか。これ以上のことをなぜ求めるんだと言われました。
私は障害のある人が本当に何を求めているのかということが社会に知らされていないところに、善意の人たちが誤解をして、それが結果として差別を生んでいるという現実もあるということを我々も認識しなければならない。決して故意に差別をしているのではないという前提に立って、対応をしていかなければいけないのではないか。
そこで国の責任とか都道府県だとかいろいろ責務の問題がありますけれども、やはり啓発ということを何かの形で項目の中にも入れなければいけないと思いますし、この質問の中にもできればそういうこと、今、申し上げたようなことを入れていただいたらどうかなと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
善意とおっしゃいましたが、要するに書店組合側の方々というのは、自分たちが生きるために必死に商売をしている。あなたたちは既にその点では優遇されているではないかというような、ある種の叫びですね。しかし、それに対して障害者の方々は、お金のために働くという発想ではなくて、働くことで社会に参加したい。同じように生活の悩みを抱えたりという、そういう同じ苦しみを味わいたいと言うと変な言い方ですけれども、そういう同じ土俵に立ちたいんだというのはすごくずれていますね。これをやはり啓発でという御指摘は重い宿題と思います。ありがとうございました。
では、川島委員、どうぞ。
○川島委員 ありがとうございます。
今の伊東副部会長の意見に同意いたします。
話は元に戻ってしまうんですけれども、東室長の先ほどの発言の中で、確かに法律をつくった後に想定問答集なり事例集というのは必要だと思うんですが、骨格提言をつくる場合においても、骨格提言の中に典型事例というのがあった方が私はいいのではないかと思っております。言葉だけですとイメージがどうもつかめないという人が多いと思っております。
以上です。
○棟居部会長 東室長、お願いします。
○東室長 想定ではなくて、実際の事例をピックアップして入れる必要があるかなと思っていたんです。先ほど言いましたようにいろんなところで調査なされておりますので、こういう実際の事例がありますよと。だからこそこういった法制度が必要なのではないでしょうかということで、中に入れ込む作業が必要かなと思っていたんです。ですので、趣旨としては想定と思ったので違う話だと思ってしまったんですけれども。
○棟居部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見等ございませんでしょうか。今日御発言のない高山オブザーバー、いかがですか。よろしいですか。ありがとうございます。
協力員の方もよろしいですか。
本当はこの第3コーナーでQ1以下について、これについてはこういう回答ができるのではないかという快刀乱麻を断つがごとき、すぱっとAがずらっと出てきて、後の作業が楽であるというのを本日期待しておったんですけれども、この点については皆さん慎重で、メールで後日回答して上げようということは、こちらとして期待はさせていただいてよろしいんですか。大谷委員よろしいんですか。
すべてに回答していただく必要はないけれども、ここはというところに回答を入れていただくというのを大いに期待したいんですが、それは非常に有効に使わせていただくことになるんだと思います。
ということで、ちょっと早過ぎる夏休みの宿題みたいなものですけれども、仕上げの時期に入っておりますので是非お願いしたいということと、Qについてこれも入れるべきではないかという点について、どこまで事務局的に採用できるかはわかりませんけれども、その提案も早めならしていただければということですね。こういうQについては皆さんに流した方がいいということであればお願いしたいと思います。
場合によっては、先ほど既に済ませました第1、第2の話に戻っていただいても、あと10分はありませんけれども、5分以上時間が残っておりますが、いかがですか。山本委員、どうぞ。
○山本委員 Qを増やすことになるのですけれども、答えもないのにQだけ増やして何事だと言われるかもしれませんが、あり得る質問だと思いますので、ご容赦ください。この部会でも以前に出ていた問題点の指摘なのですが、ほかにもたくさん差別で困っている人たちがいる中で、なぜ障害者ないしは障害を理由とする差別だけを今取り上げるのかというのは、まさによく出てきそうなタイプの質問なのではないかと思います。勿論、条約を批准するためだというのが当然出てくる答えの1つだとは思いますけれども、先ほどからの御指摘のように、それだけで国民一般の納得が得られるかというのは別問題だろうと思います。
○東室長 ありがとうございます。
○棟居部会長 ほかいかがでしょうか。一応40分までをこの議論の時間帯としてとっておるんですけれども、西村委員、どうぞ。
○西村委員 質問なんですけれども、以前はこういったものがある場合にはメールで送られてきて、それぞれいついつまでに回答を書けという楽しい時期があったんですが、余り聞かない方がいいかなと思って。
○棟居部会長 どうぞ、お願いします。
○西村委員 これは後でメールが来て、いついつまでにそれぞれ回答を、書いてくるようにという、あるいはあなたが考えるQも加えて返してくださいというメールが来るのかなと思ったんですけれども、どうでしょうか。
○東室長 それにつきましては、ある意味、何が正解かという話で議論すべきということではありませんので、強制的に出してくれということではありません。しかし、こういう質問に対してこれまで障害分野でいろいろ携わってきた方もそうでない方も、どんなふうに答えたいのかなということで、いろんなものが出てくると答え方としてもいろいろな書き方できるわけですので、正解とか不正解ということではありません。こちらで評価するつもりもありません。皆さんに出すときには名前は消して出しますので、御協力願えればなと思っているところです。
○棟居部会長 もし急に言われても今すぐには無理だということであれば、事務局でこういう答え方を従来の議論からすれば、当然することになるのではないかという1つの虎の巻というのか、回答例のようなものを簡単でも結構なので、もしおつくりいただいて、それを埋めた格好でQ&Aを流していただければ、いや、こんな回答ではだめだ、こう書きなさいというふうに委員の先生方に補充をしていく格好なら集まりやすいと思いますが、これは事務局との相談になりますけれども、全く白紙でどうぞお願いしますという格好はなるべくとらずに、従来の議論を踏まえた上での定型文を入れた上で補ってくださいという聞き方ができればよろしいかと思います。ということで、その節はしかし是非、補充をよろしくということでお願いしたいと思います。
よろしいですか。先ほど来から多少順不同でしたが、今日この締めくくりに当たって、かなり方向づけについて貴重な御意見が出たと思います。
以上で第3コーナーを終わらせていただきたいと思います。
本日の議事はこれで終了いたします。最後に東室長から御報告をお願いします。
○東室長 どうもありがとうございました。担当室の東です。
次回の話になりますけれども、現在、第1回の障害者政策委員会の日程を調整している最中なんです。その結果次第では次回も現行の部会として議論をしていただくという可能性もございます。
次回以降の予定につきましては、これまで何度か言っておりますけれども、再度確認の意味で申しますと、7月13日金曜日、7月27日金曜日、8月17日金曜日、9月14日金曜日、9月28日金曜日となっております。
次回からは骨格提言の内容についての議論になりますので、よろしくお願いしたいと思います。
分量としては総論部分全部を議論できるかどうかわかりませんけれども、その辺りからまとめについての議論をしていきたいと思います。
なお、7月の2回につきましては、この会議室がほかの用事でとれませんでしたので、別の会場となります。改めて決まれば正式に御案内しますけれども、予定としては7月13日が新宿区戸山の戸山サンライズ、7月27日が千代田区平河町の都道府県会館の予定であります。正式に決まれば開催通知を出しますので、それを御確認の上、間違いのないように御注意をお願いいたします。
報告としては以上でございます。
○棟居部会長 山本委員、どうぞ。
○山本委員 質問ですが、先ほど、これから合計5回の日程が決まっているということで御指摘をいただきました。既にここでも明らかだったことですけれども、当面この5回ですべて終わるという説明だったかと思うのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○東室長 少なくとも骨格提言については、この5回でまとめ上げるといった予定でおります。ただ、この部会自体は先ほど松井先生からの御質問もありましたように、それで即解散とは考えておりません。基本法のときもそうでしたけれども、法案の準備状況等について御説明申し上げて御意見いただくという機会が設けられると思いますので、完全に成立した暁には当然解散になりますけれども、それまでの間はどの程度開くかどうかは別として、一応、継続するという予定でお願いしたいと思います。
○棟居部会長 今の山本委員の御質問は、山のてっぺんに近づいてきたと思ったら、もう一山あるかもしれない。これを確認されたということで、私もまだまだ山はあるんだなという風景に驚いておるところですけれども、ひとつ是非よろしくお願いします。また追っていろんな手続があるということです。
西村委員、どうぞ。
○西村委員 西村からも質問が1点あります。
権利条約の批准につきまして、これはいつぐらいを予定しているというのがあれば教えていただきたいと思います。
○東室長 まず権利条約の批准の担当といいますか、行政的に言うと内閣府ではなくて、基本的には外務省が所管してやることになるんでしょうけれども、それがいつになるのかということについては、見通しは立っておりません。
ここの部会での議論は一応、条約批准にとって差別禁止法をつくることは必要条件だという前提で議論が進んできているわけですので、そういった基礎的な理解に基づけば差別禁止法ができてからということになるんだろうと思いますけれども、それはここでの基本的な考え方に過ぎませんので、全体的にどうなっていくかということについては、見通しはわからないというところです。
○棟居部会長 ありがとうございました。
では、以上で本日の差別禁止部会につきまして終了とさせていただきます。
なお、この後、記者会見におきまして私と伊東副部会長、竹下副部会長、東室長から説明をさせていただきます。
本日はお忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございました。

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