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障がい者制度改革推進会議 差別禁止部会(第9回)
議事録
○棟居部会長 お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。定刻を少し回りました。ほぼ皆さんおそろいになりましたので、これより第9回「障がい者制度改革推進会議差別禁止部会」を開催させていただきます。
差別禁止部会は一般傍聴者の方にも公開いたします。
また、会議の模様はインターネットを通じても幅広く情報提供いたします。
なお、御発言に際してのお願いとして、発言を求めるときは、まず挙手をいただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただくようお願いいたします。
本日の会議は18時までを予定しております。
それでは、東室長から委員、オブザーバー及び専門協力員の出席状況と資料説明をお願いします。
○東室長 こんにちは。担当室の東です。
本日の出欠状況でございますが、小島委員、川内委員、野沢委員、山崎委員、山本委員、相澤専門協力員が御欠席、その他の委員、オブザーバー、専門協力員は御出席です。
本日の議事は15分の休憩を2回取ることにします。したがいまして、コーナーとしては3つに分ける形になります。
第1のコーナーは80分ほどを予定しておりまして、引き続き差別の類型論をめぐる論点を行っていきたいと思っています。今回は委員提出資料として配付しました、「総則における規定の在り方・議論の整理のための参考に」というものを参照していただきながら、議論していきただきたいと思っています。
第2、第3のコーナーはそれぞれ60分で、各分野の差別についての議論に入りたいと思っております。今回は雇用、就労における差別についての問題です。
以上が今日の予定であります。
次に資料の確認ですが、使用するコーナーごとに御紹介申し上げたいと思います。
第1コーナーで差別の類型論を議論する際に使う資料としては、委員提出資料として配付しておりますけれども、専門協力員ほか数名の委員において作成されました「総則における規定の在り方・議論の整理のための参考に」というものです。
当日配付資料でございますが「差別禁止法の総則における差別の類型化に関する規定のあり方」で、竹下副部会長、大谷委員、池原委員から提出されたものがございます。
以上が第1コーナー関係でございます。
第2コーナー関係ですが「雇用、就労における差別について」に関する資料として、資料1から資料3まであります。
資料1は、労働政策審議会の中の障害者雇用分科会による「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する中間的な取りまとめ」という表題のものでございます。
資料2は、労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会によります「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応について(中間整理)」というものであります。
資料3は、今、申しました研究会の開催要綱であります。
参考資料1があります。これは差別に関連する関係条例・法律等の抜粋でございます。
参考資料2は、内閣府で平成21年3月に調査を委託したものです。障害者に対する障害を理由とする差別事例等の調査というものがあります。その抜粋でございます。
あと1つ、今日は御欠席ですが「『差別禁止部会』と『労政審・障害者雇用分科会』との役割について」という題で、小島委員から提出された意見書がございます。
以上が第2、第3コーナーの関係の資料でございます。
以上がお手元にあるかどうか御確認のほどお願いします。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
資料はよろしいでしょうか。
それでは、議事に入らせていただきます。
第1のコーナーは80分で「『差別』の類型論を巡る論点(その4)」に関してです。今回は委員提出資料として配付いたしました「総則における規定の在り方・議論の整理のための参考に」を参照しながら議論します。今、東室長が御紹介された資料でございます。
これについて、最初に引馬専門協力員に10分程度で御説明をいただきます。よろしくお願いします。
○引馬専門協力員 こんにちは。専門協力員の引馬です。
今日、皆様のお手元に「総則における規定の在り方・議論の整理のための参考に」という表題の資料があるかと思います。恐縮ではありますが、私からこの文書の趣旨を御説明申し上げたいと思います。
この文書は、前回の部会終了後、担当室からの依頼を受けまして、私を含め専門協力員である相澤先生、永野先生、諸外国の差別禁止法を研究されている川島先生、弁護士の池原先生にお集まりいただいて検討を行い、また韓国の差別禁止法を訳され、この部会でも報告をされた崔先生にも御意見をいただきながらまとめたものです。
この文書をまとめた趣旨は、差別禁止の総則部分について、こうあるべきだという結論を、参考資料作成のために集まった方々の一致した意見として部会の皆様に提出する、ということではありません。これまで総則に関してさまざまな御意見がございました。また、集まっていただいた方々の中でもさまざまな意見がありました。このため、資料は集まっていただいた先生の委員としての意見を拘束するものでもありません。議論を整理するためには、まずは一定の形になったものがあった方が議論しやすいのではないかという視点から、配付資料は条文的な体裁をとりつつ、見える形のものとして、あくまで議論の参考にしていただくためにまとめたものです。
そして、これまでの議論を踏まえますと、1つのパターンでまとめるよりも、複数のパターンを示した方がいいだろうということになりました。このため、差別の定義の部分は4類型のパターンと2類型のパターンを用意してみました。
次に内容について簡単に御説明申し上げます。
差別の定義ですが、これは改正された障害者基本法の定義を用いております。障害の定義は、障害者の定義の中身をピックアップしたものです。
ここで過去や将来の障害、または障害がないにもかかわらず、周囲から障害があるとみなされる場合をどうするかが問題となっていますが、ここに提示した案は、これらの場合も障害とみなすという形で対処しております。
次に差別の定義の部分ですが、本文では表現のよしあしは別として、障害に基づく差別という形で、あらゆる形態の差別を包括する形にした上で、これを禁止するという構成をとりました。類型化することで漏れが生じないようにするという趣旨と、複数の類型を包括した表現を用いることで、1つの言い回しで類型全体を表現できるようにということが、その趣旨となっております。
その下からが4類型と2類型のパターンに分かれます。
4類型のパターンでは、直接差別、関連差別、間接差別、合理的配慮を行わないことの4つの類型を別個独自の類型として規定するパターンです。それぞれの類型における言葉の使い方や表現については、これがベストというわけではなく、いろいろな御意見があるものとは存じますが、1つの例示としてまとめてみました。
次に2類型のパターンですが、これは直接、関連、間接の3つの類型を一まとめにしたものと、合理的配慮を行わないことの2類型でございます。この2類型を考えるに当たって、歴史的に見て差別の基本的な概念は直接差別にあると思われます。しかし、障害は女性や人種という属性以上に幅広い概念であり、それに関係してくる事項も多いことを考えると、2類型とはいっても直接差別と合理的配慮を行わないことの2類型ではなく、直接差別、関連差別、間接差別といったものを1つにまとめた上での2類型が必要であるという認識に立った提案となっております。合理的配慮に関しましては、障害者権利条約でも別個の定義が与えられておりますので、いずれのパターンにおいても、独自の形で入れ込んでいるところです。
説明としてははなはだ簡単ではありますが、以上でございます。皆様の議論の参考になればと思っております。
○棟居部会長 引馬専門協力員、どうもありがとうございました。
それでは、質疑及び議論に入らせていただきます。時間は70分を予定しております。
なお、僭越ではございますが、議論のポイントを私より2点御指摘させていただきたく存じます。
1点は、今、引馬専門協力員より、整理の参考のためにということで資料をちょうだいしたところでございますが、そこには先ほどのお話にもありましたように、今風の言葉で恐縮ですけれども、見える化というか、これまでの議論の中で入れかわり立かわり出てきたいろんな考え方をある程度集約しつつ、しかし、最後まで選択肢として残していくということで、目に見える2枚の紙にしていただいたところでございます。しかし、人間というのはぜいたくで、逆にこういう文章にされますと、これはかなり条文の形に近づいていると私などもつい思ってしまうものですから、ここの表現はこうした方がいいのではないかという細かい表現上の注文に移りがちであります。しかしながら、本日は表現等の詳細ではなく、大枠の方向性について是非御議論いただきたいと考えております。
また、そのこととの関連で、第2点としてお願い申し上げたいのは、特に差別の類型論でございます。この紙にも4類型案、2類型案という、4と2という2つの典型的な考え方を並べていただいております。ほかにも例えば3つとか、そういう可能性も勿論あるわけですけれども、おおむねこの2つの考え方を中心に、差別の類型としてどういう類型論が望ましいのかについて、可能であれば、今回この議論で一定の結論といいますか、一致点、おおよその意見の集約が望ましいのではないかと考えております。
以上を申し上げました。
おさらいですけれども、表現の細かいことは今日の課題ではない。大枠について御議論いただきたい。とりわけ差別の類型は4類型案もしくは2類型案のいずれかが望ましいか、あるいはその他であればどういうものが考えられるか、こういう点について是非御議論いただきたい。まず御意見をちょうだいしてということになりますが、お願いをしたいところでございます。
太田委員、どうぞ。お願いします。
○太田委員 ありがとうございます。太田修平でございます。
差別禁止法が立法化されることは、日本においては極めて現実的な、非常に意味があるパラダイムの転換を意味するものだと思っています。ただ、日本においては、差別とか権利という言葉に対して、必ずしも好意的に受け止めていない市民の意識がある、そういう文化を持った国だと一方では感じています。ですから、差別禁止法という法律の成立は、私たちが思うより困難な道のりをこれから歩むだろうと感じています。ですから、一般の市民に、行政に、政治家にわかりやすくシンプルな、かつある程度は日本の法律になじむようなものを、パラダイムの転換であると同時に、今までの法律の流れから逸脱し過ぎない範囲のぎりぎりのところで政策が立法化されることが、私たちの夢を現実的にしていくものだと感じています。
質問に移らせていただきます。差別の定義の4類型、2類型をただいま提示されましたが、それぞれのメリット、デメリットについて、簡単に御説明をいただければ幸いに思います。
以上です。
○棟居部会長 太田委員、ありがとうございました。
最初のところだけ、確認の意味で、私なりにもう一回言わせていただくと、差別禁止法というのは非常に大きなパラダイム、ある意味世界観の転換、考え方の大きな転換を意味する。しかし、他方で、一般の人々には必ずしもなじみがないというか、差別とか権利ということについて、日本社会では好意的でない一面もある。したがって、日本社会で定着させるためには、あるいは立法化するためには、日本の法律になじむように、言わば現実的な選択も必要で、そのぎりぎりのところで、言わばマキシマムの結果を得たいんだという、ある種の委員としての決意を示されたと理解してよろしいですね。
その上で、御質問については、4類型、2類型のメリット、デメリットということで、本来私の方でそういう方向性で議論しましょうと言うべきことを言っていただいたと思います。
差し当たり、引馬専門協力員にメリット、デメリットとして、皆さんのところでどういうふうに議論が共有されていたかということを、情報提供という形でお願いできますか。場合によっては永野専門協力員に補っていただいてということで、簡単で結構ですから、お願いします。
関連ということで、松井委員、お願いします。
○松井委員 松井です。ありがとうございます。
今回の定義の中では、合理的配慮が規定されていませんけれども、それは前提にあるわけですね。特に直接差別、間接差別、併せて合理的配慮が出ているわけですけれども、そこは何か意図があるんでしょうか。併せて説明いただきたいと思います。
○棟居部会長 これは私からあえてお答えさせていただきますけれども、表現等の詳細については今後詰めていく話ですので、特に意図的にということではなくて、言わば専門家集団の協力員の方々は、定義などは往々にして共有されているので、横に置いておくということでされているのではないか。あるいは定義をしようとすると、これは立法技術的にも大変なことになるという新たな障害が、今日のような形だと見えていない可能性はあります。今、松井先生はその御指摘をされたかもわかりません。
しかし、本日は具体的な段階に入りつつあるんですが、先ほどの太田委員のお言葉ですと、夢と現実という、両方のちょうど中間ぐらいのところに今おりまして、そういう意味では、現実べったりでなくても、合理的配慮という言葉がぽんとまずきて、それを我々がどう受け止めるんだという、ここはやって構わないのではないかと思っております。
ちょっとよけいなことを言ったかもしれません。
東室長、お願いします。
○東室長 御趣旨がよくわからなかったところもあるかもしれませんけれども、規定を見ていただくとわかりますが、合理的配慮自体はこの中に定義されているということでいいですね。引馬先生、合理的配慮の規定はあるということでいいですね。松井先生のご質問によるとないとおっしゃったように聞こえましたが。
○棟居部会長 ごめんなさい。ちょっと部会長が混乱しておるかもしれませんが、先ほど松井委員がおっしゃったのは、合理的配慮の定義がないとおっしゃいました。合理的配慮そのものについては勿論入っておるわけです。
○東室長 定義という形で入っています。
○棟居部会長 合理的配慮を行わないという形で入っています。
○東室長 括弧して合理的配慮という言葉がありますので、定義になっていると思います。
○棟居部会長 これでよろしいですか。ありがとうございました。
それでは、引馬専門協力員あるいは永野専門協力員から、メリット、デメリットというところで、どういう意識を持たれていたかについて、お話いただければありがたいと思います。
○永野専門協力員 永野です。
メリット、デメリットという形で明確に示すことができるかどうかはわかりませんけれども、まず4類型の方は、諸外国において、直接差別、関連差別、間接差別、合理的配慮を行わないこと等について既に法制度が整えられており、これらの差別がどういうものであるかということが、ある程度明確になっていることが、メリットとして挙げられます。4類型では、それぞれの差別がどういうものなのかが、比較的わかりやすいと言うことができます。また、訴える側、すなわち、差別の被害者が、どういうことを裁判において主張しなければならないのかを考えたときに、4類型が示されている方がわかりやすいということもあるかと思います。
しかしながら、他方で障害を理由とする差別に関しましては、不利益取扱いが直接差別に該当するのか、あるいは関連差別なのか、間接差別なのか、必ずしも明確に区分できない場合があります。
以前、川島委員から盲導犬を連れた視覚障害の方が、レストランへの入店を拒否された場合の例を示していただきましたことがありますが、1つの事柄が直接差別と解釈されることもあれば、間接差別と見られることもあり、また関連差別と見られることもある。そういったことが障害を理由とする差別におきましては生じ得ますので、細かな分類をすることなく、不平等待遇、不利益取扱い等、表現の仕方はいろいろとありますけれども、こういった言葉で表現するのがよいのではないか。
そういった意図がありまして、この2つの案を提案させていただきました。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
池原委員は今の補足ということでしょうか。補足なりあるいは御意見、両方お願いします。
○池原委員 池原です。
今日の袋の中ではなくて、皆さんの机の上に置いていただいた別添の資料で「差別禁止法の総則における差別の類型化に関する規定のあり方」という、竹下副部会長、大谷委員、私の連名でまとめたものがあります。これと対比して見ていただくと、今、議論していることについて、また違った角度から参考になると思って、この段階で少し御紹介させていただきたいと思います。
私どもが提案している条項は、細かい書きぶりのところまで、この形がベストだということで申し上げている趣旨ではなくて、3者の中にも、あるいは我々の議論に協力してくれている日弁連の差別禁止法部会の人たちの中でもさまざまな意見があり、書きぶりにまで至れば相当議論があるところなので、これが確定という趣旨でないことは、前提としてお断りしておきたいと思います。
ただ、大きな考え方として、類型論としては2類型論、つまり合理的配慮を行わないことを1つの大きな類型としてとらえています。その類型が必要だということについては、どの立場でも恐らく異論がないと思いますが、それ以外の類型としては、直接差別、間接差別、関連差別を含めて、あるいは現段階で、欧米でも日本でもそれ以外の直接、間接、関連以外に更に予想し得ないような差別があるのかどうかはわかりませんけれども、法律を長く使っていく10年、20年の中には、制定当時には予想しないような差別が起こることもあり得るので、ある意味では広く含めて、合理的配慮の形態という類型と、それ以外のあらゆる差別を含めた類型という2本柱ということで、まとめてみたらどうかというのが我々の大きな提案の枠組みです。
文章の方を見ていただきますと、何条に位置することになるかわからないので、第○条ということですけれども、直接差別、間接差別、関連差別、あるいはそれ以外にもしかしたらあり得るかもしれない差別を含める趣旨で1つの大きな類型をつくるということですが、規定ぶりとしては、障害に基づきあるいは障害に関連して、何人も、区別、排除、制限もしくは不利益な取扱い、以下不利益な取扱い等をしてはならないということになっています。障害に基づきあるいは障害に関連してという表現の仕方を我々の提案ではしているわけですけれども、2類型案の専門協力員側のものでは、障害または障害に起因する事由に関連するという書きぶりになっていて、多少表現の仕方は違うけれども、実態として同じことを言っているのか、違うことになるのかということが1つはあるだろうと思います。
更にいうと、今の基づきとか関連してという表現、あるいは起因する事由に関連してという表現ぶりが、書いている人間たちが意図しているとおりに直接差別、間接差別、関連差別を包摂した書きぶりに解釈されることになるかどうかというのが一番大きい問題なわけです。読んできれいか、きれいではないかということよりも、法律家やあるいは一般の人が読んだときに、直接差別もここに入るし、間接差別もここに入るし、関連差別もここに入るんだ、あるいはもうちょっと広がりがあるのかもしれないぐらいの日本語の意味を含んでいるかどうかというところが重要なのではないかと思います。
私たち3人の委員の提案では、区別、排除、制限もしくは不利益な取扱いという書きぶりになっていますけれども、専門協力員の提案では、取扱いまたは規定、基準もしくは慣行の適用となっていて、大きく違うのは規定、基準もしくは慣行の適用という言葉を入れることの意味がどうかというところです。専門協力員に整理していただいた2ページ目の上の間接差別の一般的な書きぶりが、外形的に中立的な規定、基準または慣行を適用するということになっているので、もしかすると規定、基準もしくは慣行の適用を書き込んでいった方が、間接差別も含んでいることを意味しているように読めなくもないかもしれませんが、この辺はよくわかりません。そんな気持ちで対比しながら見ていただくといいと思います。
それから、我々3人の委員の提案では、区別、排除、制限もしくは不利益な取扱いということで、差別の中身を書き切った表現になっているんですけれども、専門協力員の方の2類型案では、関連する取扱いとか慣行などの適用が平等な機会の享受を妨げるか、または実施質的な不利益を与える場合、平等な機会の享受を妨げるか不利益を与える場合という書きぶりになっているわけです。恐らく対比していうと、委員の提案の方の区別というのは、平等な機会の享受を妨げることの中に含まれるのかもしれませんし、あるいは不利益な取扱いというのは不利益を与える場合と同じことですから、書き方が少し違うけれども、中身としては似ているのかもしれません。あるいは区別、排除、制限という表現よりは、平等な機会の享受という表現の方が少し広い意味合いを持つのか、あるいは広過ぎるために逆に何を意味しているのかがわかりにくくなるという問題が出てくるのかもしれません。
それが本文の問題です。
ただし書きの方を見てみますと、専門協力員の提案は、目的が正当で、その目的を達成する上で必要かつ適切な手段であるときは、機会の平等な享受が妨げられているとしても差別にならない場合があるという規定ぶりになっているわけですけれども、3人の委員の提案の方では、正当な目的がある。目的が正当でなければいけないという点は共通しているわけですけれども、その手段が目的を達するために必要やむを得ない場合と書いてあって、要するに適切な手段だという表現と、必要やむを得ない手段という表現のどちらが厳しいのか。あるいは同じなのかということがあります。
ちなみに、もう一つ申し上げておきますと、先ほどの太田委員の御質問との関係もありますが、4類型案にすると、専門協力員の提案で見ておわかりのように、4類型案の直接差別というのは例外を認めていないんです。直接差別になったら必ず違法な差別になる。許される場合なんか存在しないと規定ぶりができているわけですけれども、直接と間接と関連を含めて1項にまとめてしまうと、間接と関連については例外を認めざるを得ないというのが一般的な考え方なので、それとそろい踏みになって、直接差別も例外を許す場合があるという規定の書き方になってしまうという問題があって、直接差別については、むしろ許される場合を認めてしまうという問題が出てくるのではないかということがあります。
合理的配慮にいきますと、専門協力員の方の規定ぶりは、合理的配慮を行わないことはという書き出しで、合理的配慮を行わないことを積極的に定義している。その中身として、障害者が他の者と平等な機会を享受するができるように、その者に必要に応じて現状を変更すること、以下合理的配慮ということで、合理的配慮についても定義しながら、それを行わないことが合理的配慮を行わないことなんだという書きぶりになっています。3人の委員の提案との対比で一番大きな違いは、平等な機会を享受するというところについて、3人の委員の提案では、平等に権利を行使し、または利益を享受する機会を保障するというように、つまりどういう機会なのかという、機会というチャンスとかオポチュニティということについての一定の修飾文句を付けている。権利を行使するとか、利益を享受する機会なんだという書きぶりになっていて、これは3人の委員のいろんな議論の中で、単に機会というと、何の機会なんだろうという空虚な概念になってしまわないかという辺りが少し議論されていて、機会ということの中身を補充すると、権利を行使したり、利益を享受したりする機会なんだといった方がいいのではないかということがありました。
逆に専門協力員の提案では、することができるようにという表現の中に、スタートラインだけちょっとチャンスを与えて、あとは自分でやれという話ではなくて、ある程度持続的、継続的に合理的配慮というのは必要とされる趣旨を、することができるようにという表現の中に読み込めるようにしたらどうだろうかという議論もあったように思います。
2つの書き方の違いとしては、3人の委員の提案の方では、現状の変更または調整(社会的障壁の除去もしくは人的及び物的支援を含む)というふうに、かなり詳し目に書き込んでありますけれども、専門協力員の条項案では、現状を変更することぐらいの比較的シンプルな書きぶりになっている。だから、この辺はシンプルなもので言っていることが十分に意味されているか、あるいはたくさん書いた方がいいのかという辺りの問題になると思います。
最後にもう一つ、ただし書きの例外の方です。合理的配慮について例外規定をどうとらえるかということについて、専門協力員の方の提案では、加重な負担が生じる場合は、合理的配慮の義務が免除されるというか、合理的配慮をしなくてもいいことになるということになっていまして、3人の委員の方では業務の本質を損なうとか、業務の遂行が著しく困難になる場合は合理的配慮をしなくてもいいということで、中身は恐らく同じことで、将来、裁判所とかあるいは会社対従業員という場面で、加重な負担というだけで概念的に明確になるか、あるいはもう少しそれをかみ砕いて書いた方がいいのかという議論だと思います。
○棟居部会長 池原委員、非常に詳細にありがとうございました。
先ほどお願いしましたように、今日は言葉を詰めるということではないんですが、今、池原委員が詳細に専門協力員の2類型案、4類型案とお三人方のあり方の案を比較されましたのは、考え方の違いを言葉の対比によって示していこうということで、あえて細かいいろいろな比較をしていただいたものと思います。
今、まだよくわかっておらないものですから、私から池原委員に更にお聞きすることになって恐縮なんですけれども、専門協力員の皆さんにおつくりいただいた4類型案、2類型案はいずれも他国の立法例を相当参考にというのか、組み合わせでいいところ取りというか、どこかで見たようなあるいは御紹介いただいたようなものを使っておられる。これは明らかにそうです。変な言い方かもしれませんが、そういう意味では、出所がはっきりしている。日本の法制度になじむかとか、裁判で使いやすいかという問題はさておき、各国のものを取り混ぜて標準的なものを専門協力員の方々には2つの案でまとめていただいているということで、以前こちら側からそういうことをお願いしたこともあるんですが、そういう作業をしていただけたわけでございます。
池原委員、竹下副部会長、大谷委員のお三人方の条項案について、先ほど既に御説明があったと思うんですけれども、いま一度確認のために、逆にどうしてこういう言葉をお使いになっているんですかと聞かせていただいてよろしいですか。その方が多分わかりやすいと思います。つまりよその国でこうですという、言わばこれは条約を受けての話ですから、世界標準的な相場が専門協力員案である。それに対して、3委員の案というのは、もっとドメスティックなローカライズされたものだとすると、なぜこういう用語なんだということをお聞きしたい。用語についてあれこれ言わないと先ほど申し上げた手前、余り細かい話をしてはいかぬのですけれども、今の池原委員の対比からしても、言葉の使われ方には非常に深い差異やある種の考え方の違いがあるかもしれません。
第1行目、何人も、区別、排除、制限もしくは不利益な取扱いの不利益な取扱いはともかく、区別、排除、制限、ここら辺はどういう意識で言葉としてお使いになっているんでしょうか。
○池原委員 これは私だけではなくて、竹下部会長、大谷委員にも説明していただくといいと思うんですけれども、一番大きな議論として、区別すること自体が不利益性を伴っていると考えるのか、それとも区別というのは必ずしも不利益性を常に伴っているものではなくて、区別の中で特に不利益を生じさせる区別が禁止されるべき差別になるのか、その辺の議論があると思います。
特に分離教育などの教育の分野あるいはそれ以外の障害差別でも、障害のある原告の側からすると、区別さえ証明すれば、少なくとも例外的な許容事由、その区別に正当な目的があって、その区別をすることがやむを得ないような場合が証明されない限りは、差別になるんだという規定にしたい。不利益性というのは、現実の訴訟の中で立証するのが容易ではない場合があって、一面では利益であって、他面では不利益であるという事象が発生して、利益なのか、不利益なのかということを議論していると、だんだん訳がわからなくなっていって、それは不利益とまでは言えないから、差別にはならないみたいな議論に持ち込まれてしまうことは避けたいということがあります。
最初に戻りますと、区別が常に不利益性を伴うものなのか、それとも区別と不利益性というのは必ずしも一致しないものなのかという、やや哲学的な議論があるとは思うんですけれども、それはひとまず置いておいて、現実の訴訟の場面では、障害のある原告は区別されたということを証明すれば、例外的な許容事由がない限りは違法な差別になるというところに持ってきたいという趣旨で、このような規定ぶりにしたという理解だと思います。
○棟居部会長 畳みかけて恐縮ですが、専門協力員の方では、区別、排除または制限という形で直接差別を定義されております。同じ言葉の並びで、3先生方のものは、区別、排除、制限となっています。今、おっしゃった区別は、必ずしも不利益を伴わなくても、区別それ自体が、つまりセパレート・バット・イコールみたいなことも、同じ教育内容だ、同じ設備だ、プールが同じようにあるのではないか、でも、黒人、白人、分離教育自体が差別だ。同じように分離教育自体が差別なんだという解釈の含みを残すという意味で、不利益とあえて分けた書き方をされた。そういう意味で、区別、排除、制限はセットですか。専門協力員の直接差別のところで使われている区別、排除または制限を、3先生も同じように直接差別の意識でお使いになっているということで、私は先ほど区別なんですか、排除なんですか、制限なんですかと聞こうとしたんですが、セットでお考えということでよろしいんでしょうか。どうなんですか。
○池原委員 関連差別も含まれると思いますけれども、直接、関連、いずれもその趣旨で理解していいと思います。
○棟居部会長 関連は障害に関連するで、あとは直接差別と同じということですね。区別、排除または制限です。済みません。私ちょっと踏み込み過ぎたかもしれません。
川島委員、どうぞ。
○川島委員 今の池原委員と部会長のお話は、本日の言葉の詳細に踏み込まないというところに踏み込んでしまって、そういう進め方が妥当かどうかというのはまた別にあるんですけれども、権利条約の条文自体に区別、排除、制限という言葉が入っているんです。多分それを受けたものだと思います。
しかし、権利条約では、単に区別、排除、制限があるだけでは差別と書いていません。区別、排除、制限があって、障害のある人が他の者と平等に人権と基本的自由を享受することを妨げるものを差別と言っているわけですから、単に区別、排除、制限があるだけでは、権利条約自体は差別とは言っていないということを事実確認として申し上げたいと思います。
あと、4類型と2類型案についての位置づけです。ここを一旦明確にしないといけないと思うんですけれども、それはお話してよろしいでしょうか。
○棟居部会長 それが本題ですから勿論です。
池原委員についてはまた後で戻るかもしれませんけれども、一応完成された考え方をお示しいただいたということで、お三方については、非常にありがたく存じます。
川島委員、本質論ということですね。4なのか、2なのかということでお願いします。
○川島委員 本質論かどうかはわからないんですけれども、位置づけです。まず4類型論というのは、イギリスの2010年平等法を下敷きにしたもので、2類型論というのは、専門協力員の意図とは別に私の中では、4類型論というものは余り論理的妥当性がないので、4類型論を突き詰めていくと2類型論になるのではないか、という理解をしております。
ただ、4類型論の意義としては、抗弁事由が1つありまして、池原委員もおっしゃられましたとおり、直接差別に該当すれば正当化の抗弁ができない。他方で、2の関連(起因)差別と間接差別というのは、全く同じ正当化の抗弁を認めるということです。ただ、関連(起因)差別と間接差別というのは英国では大きな違いがあって、関連(起因)差別は比較対象者を認めない。つまり英語でいえばunfavourably という言葉。それに対して間接差別はless favourably といって、比較対象者と比べて、より不利益を被ったことを証明しなければいけない。そういう意味では、関連(起因)差別の方が、障害者の証明が楽なんです。結局のところ、証明するのが難しいから、間接差別を使う人が余りいないのではないか。だから、関連(起因)差別を使う人の方が多いのではないかということが言われている。
合理的配慮というのは、これとは次元を異にする概念で入っているということです。
先ほど永野専門協力員もおっしゃられましたように、盲導犬を連れた人の事例でいえば、盲導犬を連れた人がレストランの入店を拒否されるときに、あなたは目が見えないからレストランに入れませんと言われた場合は、障害自体を理由としているので直接差別です。しかし、あなたは見えないからレストランに入れないのではなくて、障害と関連した事柄である盲導犬を連れているからレストランに入れないと言えば関連差別です。もしくは見方を変えて、障害自体に関して表面的には中立的なルール、つまり犬は一律で入れないというルールがあるから店に入れませんといったら間接差別です。つまり同じ事例でも見方によってはいろんな差別類型に該当してしまう。盲導犬のような例もあるんですけれども、現実にはもっと複雑ないろんな例があるので、障害と関連する事由というのは、流動的、連続的なので、二分的に分けられるものではない。
太田委員がおっしゃられたとおり、直接差別、関連(起因)差別、間接差別というものを分けてしまうことは市民に分かりやすのか。これはイギリスの特定の政治的な文脈ででき上がってきた。そもそも関連差別というのは、1995年のDDAに入っているわけです。その後に、2010年平等法で間接差別・起因差別というのが入ったわけで、そのような政治的背景とか裁判所の判例に対抗して、イギリスではいろいろと法律を変えてきたという経緯があって、その表面だけをすくい取って4つを並べて、それが日本の人たちの頭にスッと入ってくるかというと私は疑問で、直接差別、関連(起因)差別、間接差別というのは、機能としては似ているという意味で、2類型案でいう不均衡待遇という形で、ひとつにまとめ上げることができると思っております。
それとは別に合理的配慮というのは、連続性という観点からいえば、直接差別、関連(起因)差別、間接差別というものとはちょっと次元を異にするところがあるので、別立てにするというのが2類型案だと思っております。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
川島委員は2類型案を支持される。その際、専門協力員にお示しいただいた2類型案の不均衡待遇でこの3つが読むんだということですね。直接、間接、関連の3つがここで集約されている。これは言葉の書き方かもしれません。読めないとなると、もう少し詳しい書き方をということかもわかりません。
太田委員、どうぞ。
○太田委員 私も先ほど冒頭に申し上げたように、わかりやすくシンプルな法制度という立場をとるので、2類型案に傾きつつあるんですが、なお、質問しておきたい点があります。
今、川島委員も言及をされたように、直接差別という概念は、直接差別に該当する差別の抗弁事由が生じてしまうことについて、どう考えるかということなんです。専門協力員の案でも、もう一つの案でもありますが、正当な目的を達成するためには、正当な手段を確保するためには、この限りではないという内容のことがあります。
我々が日々感じている差別は、障害者差別をしているつもりではないんだろうけれども、車いすに乗っていて、エレベーターという設備が現実にないからとか、スロープがないからとか、さまざまなことで正当な理由らしきものを我々に提示してくる内容のものが差別だと思います。
こういう文章を見たときに、何となく関連して思い起こすのは、戦争の問題、日本の自衛隊の問題です。戦力を行使しない日本の自衛隊ですが、他国が攻めてきた場合は防衛する権利がある。戦争というのは、大体において防衛、国防を目的に開始されるわけですので、その部分が心配です。
私は2類型案を支持したいですが、その問題をもう少し深めていただいて、何が正当な理由で、何が正当な手段で、何がやむを得ない事由なのかということを、きちんとこの場で議論していただきたいと思います。
○棟居部会長 今、太田委員がおっしゃったことを全部集約できているかどうかわかりませんが、最後の辺りでおっしゃったのは、例えば専門協力員のものでいうと、ただし、その目的が正当であり、その目的を達成する上で、必要かつ適切な手段というただし書きのところはかなり濫用される危険がある。自衛隊の例を挙げられたのは1つの例だと思いますけれども、自衛だ、防衛だという名前の下に従来すべての戦争が行われてきているではないかということで、目的が正当であり、手段がというただし書きの定義づけなり、そういう議論をちゃんと詰めていくべきだ。
そういう意味で、本文で4か2かという点については、太田委員は2類型案で構わないという考え方ですね。
○太田委員 思いは2類型案に傾いています。
○棟居部会長 現時点では2類型案で、4か2かということよりも、むしろただし書きの具体的なつくり込みの方が大事だという御意見と承ってよろしいですね。ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村委員 西村です。
専門協力員から提起された議論の整理のための参考につきまして、戻りますが、意見を言わせていただきたいと思います。障害に基づく差別禁止に併せて、障害者の定義、障害の定義という3点が専門協力員から提起されたと思っています。
これらについて、この部会での確認状況は、曖昧だと思っていますが、私なりの理解としては、差別禁止法をつくるに当たっては、裁判における規範性や実効性をきちんと確保したものにすること、それから、先日の欠格条項の見直しにもありましたように、各関連法律や制度との関係もきちんと整理することが必要である。そして、わかりやすい内容にすることも重要であるということは、概ね確認されてきたと思っています。
そうした視点から、今までの議論も含めて、意見を言わせていただきますと、障害の定義につきましては、既に基本法が改正されたことから、差別禁止法で規定する障害者の定義は、基本法に準じた定義でいいと思っています。
障害の定義は、障害者が受けてきているさまざまな差別、これは外国の法律も反映し、実効性を担保するため、想定される範囲としては、現在そして過去、未来ということが明記されていること、障害者手帳の所持や障害者としての認定を受けていなくても、みなし規定もあるので、私はよいと思います。
部会長がおっしゃるように、具体的な文言は、この後の議論として、ここで示されている方向性については、これでいいと思っています。
そして、この間、議論されている障害に基づく差別の禁止は、こうした基本的認識からいけば、2類型で十分だと思います。4類型はわかりにくいと思います。多くの国民に、ここでの議論、もっとも法律の条文自体が必ずしもわかりやすいわけではありませんが、わかりやすいものにする必要があると思います。川島委員もおっしゃっていましたが、私ども当事者が受けてきた差別は、これは直接差別、これは間接差別、これは関連差別ということではなく、それぞれの関連がある中で、受けてきた事実から考え、法律としての実効性、規範性が担保できるのであれば、わかりやすい2類型がいいと思っています。
そして、この2類型につきましても、冒頭申し上げました表現については、弁護士の各委員から出されている内容や、今、太田さんが言われた内容、更には合理的配慮の具体的内容も併せて、この後の議論の中で固めていくことがいいと思います。
それから、法律として盛り込むことと政省令などで盛り込むことは、今後の議論の中で整理する必要があると思っています。
以上、意見とさせていただきます。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今、この時間は15時25分までを予定しておって、まだあと20分ほどありますけれども、4類型なのか、2類型なのかという点について、この時間帯での中間とりまとめというか、現時点で皆様方の意見のある程度の一致点が見えてきておる。つまり2類型の中で丁寧に読めるような形にすればいい。4類型というのは、今まで何もなかったところにいきなり4つ並べるということで、かえって一般国民の理解を得にくいのではないかといった現実的な懸念も示されておるところです。
これは他国の例を見ても、初めに直接差別といった考え方があって、そこから派生的に言わば直接差別逃れのような格好で出てきたものもどんどん後追いでカバーしていくと、幾つも類型が増えていく。我々は既にそうなることがわかっているわけですから、初めから抜け道を許さないような規定ぶりにしておけば、たくさん並べる必要はないのではないかということで、2類型案が大方の一致を見てきているのではないかと思います。
松井委員、どうぞ。
○松井委員 ありがとうございます。
2類型でいいと思うんですけれども、法学者の中には合理的配慮が提供されないこと自体をもって、実際に差が生じなくても差別であるととらえるのか、あるいは合理的配慮が提供されないことによって実際に差が生じていることについて差別と考えるのか。後者であれば、直接差別のイシューであるということで、あえて合理的配慮として別につくることはないのではないかという意見もあると思います。そこはどう考えたらいいのかということです。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今、松井委員がおっしゃったことは、最初におっしゃいました定義がないのではないかという御質問に関わっているのではないかと思うんですが、要するに合理的配慮というのは、太田委員ほか数名の方が御指摘になったように、日本社会でこういうものが出てきて、果たしてうまく定着するだろうかと心配しなければいけないときに、合理的配慮というのが実は一番インパクトが大きいのではないかと思います。今までは閉め出す排除のようなことをしておった。これはしてはいけないということが一般にも理解されやすいし、今までよけいなことをしておったら、それをやめなければいけないんだということで、差別の禁止というところまではいきやすいんですが、単なる何もしないという不作為ではなくて、何かしなければいけないという配慮になると、そこまでやるのかということで、新たな大きな波紋というか、ある種の抵抗感、また場合によっては経済的にも負担になり得ますので、そうしたお金の問題も絡んでくるということです。
4か2かという類型案は、先ほど本質論という言い方をしましたが、ある意味で本丸の本質論というのは別にあるわけで、つまり合理的配慮という従来なじみのなかった考え方を、条約上の要請ということもあり、他国もやっておるということで、何らかの形で取り込む。4という案、2という案、いずれも合理的配慮ということについては1本の柱にしておるんですが、言わば日本の法体系の中で整合的に位置づけていくか。今は立法テクニックの場ではありませんけれども、考え方として慣れさせていくか。そこで、松井委員がおっしゃったように、結局、直接差別に戻ってしまうようなことだと、考え方としても合理的配慮というのはわかりにくい。ここら辺をすっきりさせなければいかぬ。合理的配慮というのが大きなテーマとしてあるんです。
しかし、この時間の直接の宿題は、4類型ですか、2類型ですかという、もう少し手前のテーマをやっておりまして、そういう意味では、合理的配慮以外の4つのうちの3つ、つまり直接、関連、間接は一本化してよろしい。これが2類型案です。その点については、大方よろしいのではないかという一致を見ていると思います。
ただ、そこで1つ気がかりなのは、先ほど池原委員も御指摘になったところなんですけれども、直接差別だと例外がない。これに対して2類型案にしてしまうと、結局正当な理由という形で、どうしても関連とか間接と併せる格好で例外が直接差別にもかぶってしまう。この点をどうとらえるかということです。
川島委員、お願いします。
○川島委員 今の点に関連しまして、直接差別でなぜ正当化が認められないかというと、等しいものを等しく扱いなさいという形式で判断しているからなんです。ですから、2類型案の中で1つ項目を設けて、直接差別的なものについては、正当化事由を認めないというものを付加すれば、2類型を基本に据えても、懸念されているようなことは大丈夫だと思います。特にこういう場合には正当化の抗弁は認めない、というものを1つ加えれば、直接差別では正当化が認められないという英国平等法と同じような機能を、日本の差別禁止法でも果たすことができると思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
大谷委員、お願いします。
○大谷委員 大谷です。
2類型で私も全く異議がないんですけれども、2類型を是とすることを前提としても、できるだけ規範性の高いもの、より明確な条項が必要だと思います。差別とは何かということが読んでわかることです。
合理的配慮もそうですけれども、1項においては、何々をしてはならないということも含めて規範性が出てくると思いますから、具体的にこういうことが差別類型なんだと条項上わかるものが必要だと思います。その意味で、権利条約が区別、排除、制限という言葉を用いていますから、それは1つの差別の典型例というか類型として、少なくとも例示するべきだと思います。
我々が弁護士の中で議論したときに、区別、制限、排除は例示なのか。区別、排除、制限その他不利益取扱いとすると、ある種の例示規定的になるんですけれども、そうではなくて、独立して区別、排除、制限、それと同レベルで不利益取扱いがある。並列なのかどうかということを正直議論しました。
私は特に教育をやっておりますので、教育の取扱いを見ると、例えばプールの中で障害のある子どもだけが赤い帽子を被せられる。それはある種非常に屈辱的な感じになる。生命、安全を維持するために、あの子は障害があるということがわかるために、赤い帽子をつけるんだということが、ある種1つの区別の取扱い例として出てくるんですけれども、それだけで差別事例になるんだろうと思いますし、排除、制限という言葉の意味においても、不利益取扱いを想定しているということですから、区別、排除、制限という言葉は是非設けるべきだ、入れるべきだと思っています。
あと1つだけです。ただし書きのところなんですけれども、適切な手段である場合はというただし書きが広がりやすくなる。それは太田委員のおっしゃったとおりだろうと思うので、適切な手段ということではなくて、必要やむを得ない場合には例外的に許される場合があるということです。ただし書きも狭く解釈するということで、より明確にする努力が絶対に必要だと思っていますので、その点は是非配慮していただきたいと思っています。
○棟居部会長 今、大谷委員はあえて言及されませんでしたが、専門協力員案には差別禁止というのがはっきり出ていない。不均等待遇ということで、ここはあいまいだというのは私も同感であります。
大谷委員らの3弁護士案は、直接差別なことをもっと書いてもいいと思います。言わば前振り的、総論的、導入的な書き方で、障害のみを理由とする差別はしてはならないとか、1つ原則規定的なものを入れておくことがあってもいいと思います。
区別、排除、制限という条約をそのまま反映していますというのは、日本の判例にうまくなじむかということはまた考えなければいけないかもしれない。あるいは諸国との解釈と連動するということで、多少抵抗あるかもしれませんけれども、しかし、区別と排除とか直接差別的な響きのある言葉を取り込むべきだというのは、そのとおりでしょう。
それと、ただし以下についても、専門協力員の2類型案では、適切な手段という書き方で、ちょっと甘くなっているのではないかという批判をされたということです。
ここまで来れば2類型案が2つあるわけですから、単なる言葉の揚げ足取りでない限りにおいては、相互のメリット、デメリットの検討に入っていって構わないと思います。
大変お待たせしました。川島委員、お願いします。
○川島委員 今の大谷委員のお話、池原委員、部会長のお話は、具体的な文言の議論の中に入ってきてますので、2類型の中でどう考えるかという議論をしてもいいというお話になるのだと思うんですけれども、そこまで詳しい話をする前に、今、我々が議論しているところはどこなのかという位置づけを考えないといけない。
我々は差別禁止法体系の中のあくまでも総論部分をしているわけで、つまり皆さんが懸念に思っている、例えば専門協力員の2類型案の中で、目的が正当であり、それを達成する必要かつ適切な手段の内容などは、労働とか教育とかサービスによってそれぞれ事情が違うわけで、そこで一定程度具体的に明確に記していくとか、2類型案の合理的配慮のところの現状の変更とは何か、というところも、ある程度具体的に裁判規範性が持てるように、労働の論理、教育の論理、サービスの論理があるので、そこで具体的に議論する話だと思います。
○棟居部会長 今日の第2コーナーでは労働について予定しています。またそこで御発言ください。
残り時間が少なくなりましたが、御発言されていない中で、伊東副部会長から御発言の要望があります。あと、浅倉委員が先ほどから手を挙げておられます。
伊東副部会長からおっしゃってください。
○伊東副部会長 4点あります。
第1点は、差別禁止法は国民に広く理解されやすい表現であってほしいと思います。法律専門家しかわからない今の日本の法律こそ、誤解もしくは理解されないで、その結果、障害のある人に差別が発生したり、また差別の解消を妨げていると感じます。法律の文言がわかりにくいということは、障害のある人が、どけだけ正当に自分の権利を主張できないまま差別の中に置かれてきたかということを考えなければなりません。例えば知的障害の人が理解できないような難しい文言で法律ができていれば、当然、不利となり、差別にもなります。差別禁止法では、そういう点に十分に配慮して法律づくりがなされることが大事です。
第2点は、4類型でも2類型でもいいですが、2類型の場合には、先ほどお話がありましたように、差別とは何かという一番大事な点がかなりあいまいというか、わからないというか、非常に簡単になっています。差別をなくすという目的のためにいえば、4類型の中の部分を2類型の中でもある程度斟酌して、わかりやすく、差別とは何かということを明確にする必要があるのではないかと思います。
今日は文言にはこだわらないということでありますが、3点目は、最初の障害の定義の3のところに、障害があると他者からみなされている場合となっておりますが、例えばこの文言でいいますと、みなされていることが明確でない場合があると思います。みなされていると想定される可能性のある場合も結構あると思います。そういうことにも配慮していただきたいということです。
4番目は、3人の委員の方からの案で、現状の変更または調整(社会的障壁の除去もしくは人的及び物的支援を含む)またはその他の配慮を行わないことは差別であると書かれてあります。こういう点の表現は多分配慮されていると思いますが、例えば階段のところだけできないから、物的支援、人が出て行って人が支援するということでよいと誤解をされては困る。やはり合理的配慮という中身を国民に広く理解されやすい内容、表現にする必要があるのではないかと思います。ですから、余り法律の専門的用語だけに配慮されないで、実態として差別が禁止されるようなことをお考えいただいて、議論していただきたい。
○棟居部会長 伊東副部会長、どうもありがとうございました。とりまとめていただいたと思います。
最後になりましたが、浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 ありがとうございます。浅倉です。
4類型のそれぞれが、きちんと2類型の中に盛り込めるとすれば、たしかに2類型の方がわかりやすくなると思います
ただその場合、よくわからないことがあります。つまり、間接差別がこの条文の中にあります。
○棟居部会長 どちらの方でしょうか。弁護士案ですか。
○浅倉委員 お三人が出された案を、たとえばみております。その中で、「障害に基づき、あるいは、障害に関連して」、不利益取扱い等をしてはならない、とあります。ここには間接差別という言葉は使用されていません。しかし、この表現を使わなくても事実上、間接差別の禁止が読み込めればよいと思います。そこで、間接差別というものは、差別的効果をもたらすことであれば、正当な理由がない限りだめだ、という概念ですので、障害に基づくとか、関連して、ということを言わなくとも、効果をもたらすものはだめ、と読めるような条文化を、最終的にはした方がいいと思います。
これについては、条約の第2条では、区別、排除または制限で、これこれの目的または効果を有するもの、と表現しています。つまり「効果を有する」というところで、間接差別を読みこんでいるのだと思います。それが1点です。
それから、同じことになるのかもしれないんですが、関連差別と間接差別の関係は、先ほど川島先生に御説明いただいたとおりだと思うのですが、重要なことは、関連差別は相手が障害を持っていることを知っている場合に生ずるということです。そうすると、内部障害で相手が障害者であることを全く知らなかった場合の差別というものが、間接差別の禁止規定によって救える部分なのだと思います。そういう意味で、いずれの案でもよいとは思いますが、障害者であることを知らなかった場合でも差別として禁止されているように読み込めるかどうかということだけは、最後に条文化するときに、明確に解釈できるようにした方がいいと思います。
以上です。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
ちょうど25分ということで、ほぼ時間は尽きました。これについては、御指摘いただきましたように、はなはだ進行の不手際もあったかと思いますが、ありがたいことにといいますか、2類型案ということでほぼ一致を見られたのではないかと思っております。ただ、同時に2類型案についても、4類型案の直接、間接、関連が読み込めないようでは困るという御指摘が複数あったように思います。ということで、4類型の水準を下げない形で、わかりやすいという利点を有するはずの2類型の方に集約していこう。これがこのコーナーでの一応の結論ということで、ここはくくらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
遠藤オブザーバー、お願いします。
○遠藤オブザーバー 経団連の遠藤と申します。
1点確認させてください。進行に際し、字句については発言を控えるようにということでしたが、複数の方から字句についての御発言がありました。
○棟居部会長 字句については、あくまで基本にある考え方として承ったつもりであります。
○遠藤オブザーバー 質問を続けます。今は、2類型ということであっても、2類型も恐らく仮置きで、今後議論を深めていくことになると思います。そういった中で、仮置きをする場合、仮置きの基になるものは、専門協力員の方々から出ている2類型案であり、一部字句を足されたり、修正されたりするということが想定されるかと思うのですが、それについて、今後、取扱いをどうするのか教えてください。
○棟居部会長 室長、お願いします。
○東室長 専門協力員からいただいたものは、表題にもありますように、考え方の整理のためにということで、それ以上の意味はありません。ですので、仮置きする場合もこれを前提で議論していくことにはなりません。ただ、意見としては出ていますので、それもほかの方の意見と同じような扱いという形です。これを中心にというわけではありません。ですので、これからの議論としては、何らこれに拘束された議論をするということではなくて、今、皆さんからいただいた意見を基に2類型を中心に、更に問題点を詰めていく形で議論が進んでいくのではなかろうかと思っています。
以上です。
○棟居部会長 そういうことで、15分の休憩に入らせていただきます。15時25分を少し回っておりますけれども、15時40分をちょっと回った辺りで再開させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
(休憩)
○棟居部会長 それでは、時間になりましたので、再開させていただきます。
第2のコーナーは60分で「雇用、就労における差別について」議論します。
雇用、就労に関わる条例、法律、差別事例については、参考資料1、参考資料2として抜粋しておりますので、ごらんください。
それでは、最初に資料1、資料2、資料3について、東室長より20分程度で御説明をいただきます。よろしくお願いします。
○東室長 担当室の東です。
いよいよこれからは各論の分野に入っていきます。
まずは雇用からですが、雇用分野につきましては、障害者の権利条約の批准という課題に対して、厚生労働省の労働政策審議会、いわゆる労政審がありますが、そこの障害者雇用分科会などにおいて、既に議論が進んでおります。中間まとめ的なものも発表されております。そこで、私の方から、その議論の経緯と内容の概要について御説明申し上げたいと思います。その上で、部会の皆様の議論に移っていただければと思っているところです。
先ほど申しましたように、これに関連する資料としては、資料1、資料2、資料3があります。中身については、先ほど御紹介申し上げたところです。
それから、委員から提出された資料としては、当日配付資料があります。小島委員からのものがあります。ただ、残念ながら今日は御欠席ですので、最後の方で、私から若干内容について触れさせていただきたいと思っております。
議論の経緯についてですが、平成20年(2008年)、厚生労働省職業安定局の高齢・障害者雇用対策部では、障害者権利条約につきまして、早期の条約締結に向けた検討を進める必要がある。しかしながら、職場における合理的配慮の提供という概念は、これまでの我が国にない概念であったことから、これらも踏まえた上で、障害者雇用促進法制において、どのような措置を講ずべきかについて考え方の整理を早急に開始する必要があるということで、雇用対策の部長名で職場における合理的配慮その他の対応の在り方について検討を行うための研究会、名称は労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会というものが設置されております。
この研究会では、平成20年4月から検討を開始しておりますけれども、その成果は平成21年7月8日付の労働・雇用分野における障害者権利条約への対応について(中間整理)という形でまとめられております。資料でいえば、資料2がこれに当たります。詳細はごらんいただければと思っております。
労働政策審議会、いわゆる労政審は、そもそも労働政策に関する重要事項の調査、審議を行うところでありますが、その下に障害者雇用分科会というものがあります。障害者雇用分科会では、今、申し上げました研究会の中間整理を踏まえた上で、平成22年4月27日、労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する中間的な取りまとめをまとめております。これが先ほど御紹介申し上げました、資料1に当たるわけです。
中間まとめの概要について、これから御説明申し上げたいと思います。
この中間まとめは4本の柱からなっております。「第1 基本的枠組み」「第2 障害を理由とする差別の禁止」「第3 職場における合理的配慮」「第4 権利保護(紛争解決手続)の在り方」という形で成り立っております。
主な点について説明申し上げますと「第1 基本的枠組み」という項目では、労働・雇用分野における障害を理由とする差別の禁止及び合理的配慮の提供について、実効性を担保する仕組みを含めて国内法制に位置づけることが必要であることについては、異論なかったとされております。
また、差別禁止等の対象とする障害者の範囲は、現行の障害者雇用率制度の対象より広範囲なものとし、障害者雇用促進法第2条に規定する障害者とすることについても、異論がないとされております。
事業主の範囲に関しましては、労働者代表委員からは、差別禁止等を義務づける事業者の範囲については、すべての事業主とすべきとの意見が出され、これに対し、使用者代表委員からは、とりわけ中小企業主については、職場の就業環境や公的な支援機関の整備なども勘案しながら、段階的な実施を含め、一定の配慮が必要との意見が出されたとされております。
「第2 障害を理由とする差別の禁止」という項目では、障害を理由とする差別を禁止することについて、異論はなかったとされております。
条約においては、雇用に係るすべての事項を差別禁止対象としており、主な対象としては、募集・採用の機会、賃金その他の労働条件、昇進・配置その他の処遇、教育訓練、雇用の継続・終了(解雇・雇い止め等)が考えられるとの意見が出され、これについても異論はなかったとされております。
「第3 職場における合理的配慮」という項目では、障害者に対して職場における合理的配慮の提供を事業主に義務づけることについても異論はなかったとされております。
相談体制も含め、合理的配慮が適切に提供されるための仕組みを検討する必要があるということについても、同じく異論はなかったとされております。
更に事業主の負担に関しましては、事業主にとって配慮の提供が過度の負担となる場合には、事業主が合理的配慮の提供義務を負わないということについても、異論はなかったという形で確認されております。
「第4 権利保護(紛争解決手続)の在り方」という項目では、企業内における紛争解決手続という点につきまして、企業内における労使の十分な話し合いや相互理解等により、できる限り自主的に問題が解決されるべきであること、企業内で自主的に解決しない場合は、外部の第三者機関による解決を図るべきであるが、刑罰法規や準司法手続のような判定的な形で行うのではなく、調整的な解決を重視すべきであるとの意見が出され、異論はなかったとされております。
また、外部機関等による紛争解決手続という点につきましては、紛争の早期解決、実効性を考えると、紛争解決手続として、既に存在する紛争調整委員会を活用した仕組みとすることが妥当であるとの意見が出され、異論はなかったという形でまとめられております。
以上が中間まとめの概要でございます。
御存じのように、ILOなどの条約におきましては、雇用政策について、労使同数の参加の審議会を通じて政策決定を行うべき旨の規定が存在するなど、公益委員、労働者委員、使用者委員の3者構成の原則がとられております。このように公労使の3者の間で、今、述べましたような点について、異論なく合意いただいている状況にあるわけです。したがいまして、こういう動きは障害者の権利条約の締結に向けて大きな動きであると認識しております。
勿論このまとめは中間的なものでありますので、これから更に障害者雇用分科会での議論が必要になるだろうと思いますが、中間まとめの冒頭において、障害者雇用促進法の改正を含めた対応を図ることとするためと記載されておりますので、方向性としては、今、述べた点につきまして、障害者雇用促進法の改正として、改正点が盛り込まれることになろうかと思っております。
そこで、これからが部会の皆様に議論していただきたいと思っている点ですが、雇用促進法の改正と差別禁止法の相互関係といいますか、それぞれの立ち位置とか住み分けといったものをどう考えるかという点についてであります。
今、この部会で議論している差別禁止法は、障害者の主要な生活分野を網羅したものにするという点では、共通した理解であると存じております。このような前提で、この部会ではこれまで主に総論の議論をしてまいりましたけれども、今後は主要な生活分野の議論に入ろうとしている状況であるわけです。ですので、雇用促進法の改正に労働分野の差別禁止が盛り込まれるということであっても、この部会で議論している差別禁止法の各論から労働分野だけには触れないといったことはできないだろうと思っているわけです。
しかし、反面、今、申しましたように、差別禁止といったものを労働分野に持ち込む場合、労働分野というのはある意味継続的な法律関係の下で、労働者と使用者が継続的な形で日ごろ顔を突き合わせるような関係で生産活動を行っているわけです。ですので、特に労働現場でどのような形で合理的配慮を実現していくのかといった具体的なプロセス、仕組み、更には紛争解決といったものの具体的な在り方、そういうものは公労使の議論をベースとして改正されるであろう雇用促進法で考えていただくことも、1つの方向としてあるのではないかと思っているところです。
こういう動きを前提として、この部会では差別禁止法で労働分野に触れるとして、もしくは触れないという考え方もあるかもしれませんが、触れるとした場合、どのように住み分けをするのか、しないのか。そういった辺りを議論していただきたいと思っているわけです。
触れる場合、例えば総論で規定している差別の規定もしくは禁止規定が、労働分野に及ぶ辺りとか、先ほどの話の中でもでましたけれども、権利条約の中では雇用に係るすべての事項が禁止の対象になっている。そういう辺りの確認規定などはこちらで入れる。それは雇用促進法の改正でも触れられるかもしれません。しかし、そういった基本的な事柄はこちらで触れるといったこともあり得るし、もしくは雇用促進法という枠組みでは対象にできない分野があるとするならば、それはここで書くべきだといった議論なども出てくるだろうと思っております。
そういうことを前提にして、皆様方に御議論いただければと思っているところです。
それと、先ほど言いましたように、今日、御欠席の小島委員から当日配付の意見が出ております。何枚かありますが、小島委員の意見自体は上の1枚だけです。
表題としては「『差別禁止部会』と『労政審・障害者雇用分科会』との役割について」という形で出ておりますけれども、内容的には一般的な差別禁止法の議論と、改正を要請されている障害者雇用促進法との関係の整理が必要だということであろうと思っています。
添付として「連合の『雇用における障害差別禁止法』(仮称)制定要求について」ということで、連合で話し合われたものが付いております。
簡単ですが、以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
続きまして、資料的な御説明を松井委員から追加でお願いしようと思っておったんですが、その前に御確認ということですか。
○西村委員 その前に確認の質問です。
○棟居部会長 どうぞ。
○西村委員 西村です。
今、東さんから説明がありました労働・雇用に関しては、雇用分科会や障害者雇用促進法との住み分けについての、お話がありました。そのこと自体に異論はありませんが、若干確認したいことがあります。
今、東さんからは、差別禁止法は生活のあらゆる分野にわたると説明されましたが、生活のあらゆる分野ということであれば、例えば教育、交通アクセス、建物あるいは司法等々があると思いますが、これらについても、労働・雇用と同様に関連する法律などがあると思います。具体的には、教育基本法やバリアフリー新法などになりますが、そういった分野も障害者雇用・労働と同じような考え方をするのでしょうか。教育は、文科省で特特委が開催されていますが、そういうことを前提とするのか、それとも雇用・労働分野だけを、そういう整理をするのか、そこら辺の考え方を教えていただきたいと思っています。
○棟居部会長 室長、お願いします。
○東室長 特段決まっているわけではないんですが、分野ごとに法体系とか日ごろ課題とされている事項とかさまざまな違いがあると思います。権利条約の批准に向けた体制づくりなどもさまざまであるわけです。ですので、一律にこういう形で何かを進めていこうというのは、現実に無理だと思います。現状がどうなのか、それぞれの状況に応じて考えていくしかないと思っております。
幸いと言っていいのか、不幸と言っていいのかわかりませんが、日本は個別的な形で差別禁止法は発達してきておりません。アメリカなどでは個別分野の差別禁止法があって、残された部分について包括的な形でADAができたという経緯があります。しかしながら、日本にはそういう経緯がありませんので、基本的にはここで議論している差別禁止法が必要な分野について、必要な規定を置くということが方向性としてあるだろうと思います。
ただ、雇用分野については、障害者に関連してではありませんが、女性に関しては差別禁止の法制度があるわけです。ですから、そういう経験もお持ちの上で、この推進会議が始まる前から検討いただいて、中間的なものではありますが、具体的な形として出されている。そういうことは、それなりにつくる上ですり合わせみたいなものが必要だろうということであります。決して一般的な議論をしているわけではありません。
○棟居部会長 西村委員、よろしいですか。いろんな分野がそれぞれ先行していくと、うちが何もできなくなるということではなくて、これはあくまでも住み分けを議論するということだと思います。
ごめんなさい。御意見であれば、後に回っていただきたいと思います。
○太田委員 西村委員のことに関連してです。
○棟居部会長 太田委員、どうぞ。
○太田委員 西村委員の言われたことと関連するんですが、今の政権によって障害者制度改革をしようということで、障害者基本法の改正、総合福祉法の制定、障害者差別禁止法の制定、制度改革をしてと、政府が動いていると私は理解しています。そういう中にあって、厚生労働省さんや文部科学省さんは、やはり私たちと連携をとって調整をしながら、政策を進めていただきたいというのが、私の現段階の個人的な思いです。
○棟居部会長 ありがとうございました。
お待たせしました。労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会のメンバーであられました松井委員より、追加の御発言をお願いしております。こちらは15分程度と考えております。よろしいですか。お願いします。
○松井委員 ありがとうございます。松井です。できるだけ簡略にしたいと思います。
資料3を見ていただければわかりますように、後ろの参考がございます。研究会は全体で11回にわたって開催されて、その中で諸外国についてのヒアリングが2回、4回にわたって17の障害団体からのヒアリングをやった上で、資料2のまとめができているわけです。
委員は障害当事者団体の関係者5名、公益委員が私も含めて3名、労使委員が2名ということで、10名で議論をしているわけです。
基本的に11回の議論の中で結論が出ているわけではなくて、先ほど東室長から説明があった障害者雇用分科会もそうですけれども、両論併記という形で、まだ結論にはなっていない。
研究会の中での厚労省の立場としては、この研究会のまとめを踏まえて、大枠の方向性は分科会で決めるけれども、例えば合理的配慮の内容に関するガイドラインとか、そういう中身については、引き続いて研究会で検討していくことになっています。しかし、それは2年も前の話なので、そのことがいまも生きているかどうかはわかりません。
基本的なことは先ほどの労政審の分科会で内容が出ているわけですけれども、例えば障害者の範囲をどうするかということについては、幅広くとらえるということでしたが、事業主団体からは、確認をするためのツールは何かあるんだろうか。特に障害を持った人であるということが確認できないために必要な合理的配慮ができなかったといった場合、そのことが原因で訴訟になると非常に困るので、何かわかるものがほしい。障害の範囲をできるだけ広げる一方、障害を確認できるようにするというのは、ちょっと矛盾しているわけですけれども、その辺の整理をどうするかということがありました。
一番大きな問題は、先ほど西村委員からも出ていましたけれども、雇用の範囲をどうとらえるのか。権利条約の27条では、あらゆる形態の雇用ということで、雇用自体非常に幅の広い概念でとらえています。例えば起業とか、自営とか、協同組合とか、あるいは私たちはその中に福祉的就労も含まれていると理解しているわけですが、今回の厚労省の議論はあくまで雇用関係がある方々に対する対応であって、それも雇用促進法という法律にほぼ限定されているわけです。
連合の小島さんからも出ているように、例えば労働関係の法律には、基準法であるとか、職業安定法とか、あるいは職業能力開発促進法もあります。先ほどの自営、たとえばあんま、針、きゅうということになると、雇用関係ではないので、そこはどうするんだということでした。それを含めた議論にはなってはいましたけれども、具体的にそれらをどうまとめていくのかとなると、それぞれまた別に検討しなければいけないということになっていると思います。
特に障害を持った人たちのことを考えた場合、労働能力に基づく差異というか、そこは非常に難しいところで、労働能力を客観的に評価することはできないわけですけれども、結果としてはさまざまな労働条件に差異が出てきている場合があるわけです。そこは差別なのかどうか。少なくとも研究会の議論の中では、合理的配慮は提供された上で、労働能力が適切に評価されたものであれば、結果として差が生じても、差別に該当しないのではないかという意見があったと思います。
先ほど申し上げたように、この議論の中で、合理的配慮について実際に差が生じていなくても、合理的配慮をしないこと自体が差別なのかということに関する疑問が提起されておりました。
それから、差別が禁止される事項ということで、勿論募集、採用、解雇、退職に至るまですべてカバーされるわけですけれども、事業主サイドからいえば、採用差別についてはいろいろ難しい問題がある。特に日本では裁判所が採用の自由を重視しており、また企業も採用の制限に関しては、抵抗があると考えられる。採用差別についてはどうするかということが1つあるのではないかと思います。
職場における合理的配慮については、法律では概念を規定する程度にとどめて、具体的な内容については、いわゆる指針、ガイドラインでやるべきではないんだろうかという意見もありました。
合理的配慮義務を労働基準法の中で規定するのかどうか。労働基準法で規定すると、刑罰対象になるということで、極めて狭くとらえることになってしまう。それでは本来の趣旨が生きないのではないか。そういう意味で、制裁を背景にした合理的配慮を進めることが適当かどうか。基準法との関連ではそういう意見がございました。
合理的配慮の1つである、例えば通勤時の移動支援であるとか身体介助というのは、企業の合理的配慮というよりも、むしろ福祉サービスとして提供するのが妥当ではないかという意見もある一方、労災は通勤途上の災害についても対応することになっておりますので、そういう観点からいうと、通勤も勤務と連動するものであるから、労働政策として行うべきではないかということです。これはどちらかにするという結論にはなっていなくて、その辺の整理が必要だろうと思います。
それから、過度の負担との関連でいえば、現在、労働関係の助成金であるとか補助金というのは、期限付きになっているわけです。例えば合理的配慮で考えると、パーマネントに必要なケースも勿論あるわけで、現在の労働行政が持っている補助金なり助成金の枠組みを見直さない限り対応できないのではないか。その場合、費用をどうするかということが勿論出てくるわけです。
権利保護、紛争解決の手続の在り方については、基本的には企業内における紛争解決手段と、外部機関などにより紛争解決手段を講ずるという2つのことがあるわけですけれども、研究会の議論の中では、外部機関あるいは第三者機関にいく前に、企業の中において適切な紛争解決ができるような仕組みをつくるべきではないか。その辺はどこの時点で外部に委ねるのかということについて、かなり意見が分かれていたと思います。
紛争解決手段について新たに国、行政から独立した第三者機関としてつくる必要があるという意見と、そうではなくて、現在ある既存の仕組み、例えば労働審判であるとか、紛争調整委員会とか、そういうものを活用すべきだろう。特に労働審判にしても、紛争調整委員会にしても、そこに障害のことがよくわかる委員がいるわけではないので、障害当事者が参画できるような委員会構成も含めて、検討すべきではないかという意見も出ておりました。
それから、現在の障害者雇用率制度との関係でいえば、雇用分科会でも議論が難しいと思いますけれども、例えば重度障害者に対するダブルカウントというのは、障害当事者の立場からいえば、差別を感じている方も少なくない。そういう意味でダブルカウントの問題であるとか、雇用率制度がポジティブのアクションだとしても、それによってかえって運用上一般社員への門戸が狭められたり、あるいは一般社員との職場の分離が定着するような実態があるので、そこをどう直していくのかということも併せて検討する必要があるのではないかということでした。
最後のその他ということで、先ほどの研究会の委員の中で、視覚障害の方々からは、自営業の問題がありました。特に視覚障害の方はあんま、針、きゅう、マッサージに従事する方々が多いわけですけれども、そういう人たちに対しても当然合理的配慮が必要だ。この研究会あるいは障害者雇用分科会の中でそのことが話題となったとしても、全くフォローされていない。それについて、どこでどう扱ってくれるんだろうか。
それから、福祉的就労であるとか福祉施設、労働関係でも職業訓練センターといった職業訓練の場においても、しかるべき合理的配慮が必要なわけですけれども、そういう問題はこの分科会ではテーマにはなっていないので、そういうことも含めて議論するべきである。落ちこぼれがないように、それをどこでどう見るのかということが出ておりました。
先ほど太田委員からも出ておりましたけれども、国内には少なくとも差別禁止法が関わるさまざまな法律があるわけで、各法律の関連部分の見直しをどういうふうに進めていくのかということも、この研究会のヒアリングの中で、関係団体から問題提起がされておりましたので、併せて触れさせていただきます。
以上です。ありがとうございました。
○棟居部会長 限られた時間の中で、ポイントを要領よく教えていただきまして、ありがとうございました。
それでは、議論に移りたいと思います。
先ほど室長が既に要約されたところですが、今回も大きな問題でございますので、もう一度具体的なテーマについて簡単におさらいさせていただきますと、次のような点を意識しつつ御発言いただければ幸いだということでございます。
まず住み分けということでございます。今、松井先生から御紹介のありました障害者雇用促進法では、中間とりまとめということですけれども、かなり具体的な、しかも、手慣れた形で議論を進めておられるということです。それとの兼ね合いで、労働分野の差別禁止に関する事項について、言わば任せてしまうという考えなのか、それともこちらで書くのか。こちらで書く場合、触れるとしても、どのような住み分けをするのか。先ほど室長はそういう言い方をされたと思いますけれども、このような両者の関係づけが1点問題になります。それを意識していただきたいということです。
それから、労政審では、条約批准に向けて、政労使の3者により議論を積み上げてきておられるところですが、この議論の過程で、こちらでも耳を傾けるべき有益な御指摘がなされておるようでございます。これについてどこまで拝聴するか。既に若干お伝えいただいたところですけれども、更にこちらとしても精査していくというか、情報を集めていく必要性についても、御意見なり御感想をいただければ幸いでございます。
要するに差別禁止法と障害者雇用促進法のそれぞれをどう書き分けるか。こちらは差別禁止法性の側からどこまで書くかということですが、今回も大枠の議論をお願いしたいということでございます。よろしくお願いします。
なお、議論全体で25分ほどを予定しております。
太田委員、お願いします。
○太田委員 今、部会長がおっしゃられたように、傾聴すべき提言も出されていると認識しています。
一方で、先ほども申し上げたように、推進会議の役割と差別禁止部会の任務と目的を考えれば、差別禁止部会できちんと議論をしたいという思いもあるわけですが、もっと広く考えていくならば、目的は障害者制度改革にあり、権利条約の批准にある。また、権利条約に書かれた内容が国内政策にどう担保されていくのかということが、まさに、今、障害分野に問われていることだと思っています。ですから、差別禁止法は救済の場所を目的とする法制度ということと、他の省庁で議論されていることについて問題を共有しながら、全体的な整合性をつけた政策の実行が必要だと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
最後におっしゃった整合性というのは、労働法制が特別な形をとるのは好ましくないというお考えなんですか。
○太田委員 差別禁止法の考え方と労働法制の考え方は、基本的に同じ方向になる。そのために我々は何をなすべきかを考えることが非常に重要だと思います。
○棟居部会長 わかりました。場合によっては、あちらが先行したいい考えを持っておられる場合には、取り込んでいくことも、今、おっしゃった整合性に入る。承知しました。
ほかにいかがでしょうか。川島委員、どうぞ。
○川島委員 今の太田委員の御意見に同意します。その上で幾つか住み分け論についてなんですけれども、まず従来の障害者雇用促進法とこれからつくる差別禁止法というのは、大きな視点でいえば、障害のある人の参加、平等、自己決定、人間の尊厳という方向に向かって統合されるべきものだと思いますけれども、やはり法的な論理が異なりますので、差別禁止部会において、従来の労政審の分科会で議論されたようなものを踏まえて、差別禁止法の枠組みの中で、労働分野についても、差別禁止法の実体法規定で定めるべきだと思います。
例えばなんですけれども、労政審の分科会の障害者の範囲のところで、雇用促進法第2条に規定する障害者を差別禁止法の対象とするような意見が出され、異論はなかったとありますけれども、差別禁止法の中では、先ほどもありましたとおり、現在の障害のみならず、過去、みなし、障害者に関係する人に対する差別も禁止するような話になっていったときに、どうしても対象の範囲自体が異なってしまうということで、そういうところでしっかりと論理の違いを意識した議論をしていくべきだと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今、川島委員がおっしゃっているのは、別に労政審側に狭過ぎるというサジェストをするということではなくて、足りないところはこちらがバックアップするという御趣旨ですね。ありがとうございました。
いかがでしょうか。竹下副部会長、お願いいたします。
○竹下副部会長 労政審の中間まとめで理解できない点があるので、どなたか教えてほしいんですけれども、雇用促進法2条の障害者の範囲でいいと言っておられるわけですが、現実に差別禁止法でいう障害者と一致するのかどうかということが、端的にはよくわからないんです。2つあって、この前も改正法で議論をした障害者基本法の障害者の範囲の問題、それと差別禁止法における差別の対象としての障害者、それと雇用促進法の法定雇用率の対象としての2条の障害者とは一致しているんでしょうか。私は一致していないのではないかと思っているんですけれども、もし松井先生がわかれば教えていただきたいというのが1点です。
もう一点は、雇用促進法で、合理的配慮義務を規定することが可能であればそれでいいと思っているんですが、法の体系上ちょっと理解できないんです。雇用促進法はだれを責務、義務、行為者の対象にしているのかということで考えた場合、少なくとも事業主であることは明確であろうと思います。そうすると、差別禁止法との関係でいうと、差別をされた人間がその是正を求めるという関係では、雇用促進法の中でそれを位置づけることは可能なんだろうかと思うわけです。
例えば現在でも雇用促進法の中で職場介助者の設置の規定がある。しかし、これは規定の体系上、従業員に職場介助者を付けてくれという請求権は存在しないんです。それは体系上あり得ないわけです。あくまでも事業主が従業員のために職場介助者を設置しようとしたときに、補助金を付けましょうという体系をとっているわけですから、体系上合理的配慮義務規定を設けること自身はあり得るかとは思うんですけれども、差別の是正を考えたときに、労働者に是正を求める地位あるいは権利というものを、雇用促進法の体系の中に取り込むことは可能なんでしょうか。
この2点が理解できないので、教えていただきたいです。以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
松井委員、できればお願いします。
○松井委員 松井です。
私は当局者ではないので責任ある回答にはなりませんけれども、少なくとも最初の雇用率制度の対象と雇用促進法第2条の対象者が同じかというと違います。雇用率制度は具体的にどういう人を対象にしているということで、かなり細かく規定していますけれども、第2条の方はかなり幅広くなっています。例えば職業リハビリテーションなどは原則としてあらゆる種類の障害者をカバーできるようになっていますので、実用上どうかということはあるにしても、比較的幅の広い概念であるということです。
2点目については、研究会でもかなり議論があって、恐らく従来の方式、行政サイドからのイニシアティブで進めてきた雇用促進、就労支援というアプローチではできないだろう。特に先ほどおっしゃったように、合理的配慮になると、個々の障害を持った従業員が自分にとってどういう合理的配慮が必要なのかということを明確に発言する、あるいは御本人が発言できないのであれば、代弁する方がそこを明確にして、その上で対応するというアプローチなので、それを入れるためにはかなり法律を変えないといけないだろう。労政審の分科会でも6回にわたって議論しておりますけれども、まだ中間であって、結論にはなっていない。そういう意味で、ここでの議論なども恐らく参考にしながら、今後の議論を進めていくのではないかと考えます。
○棟居部会長 ありがとうございました。
合理的配慮というのは、先ほどの第1コーナーなでも残されたテーマですが、合理的配慮をしないと差別ですという書き方に、今、書きぶりを細かく言う場ではないんだけれども、現実的には自然な形でそうなるとすると、客観的な義務という面も見られないではないです。権利の側から構成しないでも、合理的配慮というのは、事業者側の客観的な義務として提供しなければいけないという形で織り込めるかもしれませんが、とにかく議論されているということですので、これは先ほども言いましたように、今後もますます情報を提供していただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 現在、障害者雇用促進法の改正によって障害者権利条約に対応しようという議論が進んでいます。それはすなわち、今日資料として小島さんがお出しになっているような、連合のいうような雇用における障害差別禁止法という法律を、障害者雇用促進法を改正して厚労省側がつくりたいということなのでしょうか。
現在の障害者雇用促進法というのは、差別禁止法ではないと思います。今、竹下先生がおっしゃったとおりだと思います。あくまでも雇用を促進するための法律ですから、司法的効力があるわけでもなく、差別禁止法とは異なるものだと思います。しかし、せっかく権利条約を批准するのだから、この法律を抜本的に変えるべきではないか、そういう議論をするメリットはあると思います。均等法もかつては勤労婦人福祉法であったのですが、それと同じように、現在の法律をまったく変えて、新たに雇用に関する障害差別禁止法をつくるという前提で議論をされているのだとすれば、こちらとしても、さまざまな内容を盛り込むべきであるという議論を進めていくメリットがあると思います。しかし、もしそうではないのであれば、その議論を余り気にせずに、私たちは独自に障害者差別禁止法の内容について提案した方がいいのではないか、という気がいたします。
○棟居部会長 雇用促進法の範囲内であれば、参考にすべきものはするけれども、基本的にはかぶってこない。それより大きいことを考えておられるようなので、逆に一緒に考えを合わせていく必要があるという御指摘です。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。あるいは今の浅倉委員の御指摘に対して、松井委員、お答えや御意見はありますか。
○松井委員 ありがとうございます。
少なくとも研究会にしても、先ほどの雇用分科会にしても、現行のポジティブ・アクションである雇用率制度は評価するというか、それをやめて差別禁止のアプローチだけでは無理だろう。これはアメリカとかイギリスなどの例を見てもそうです。だから、両方のアプローチが必要だろうという意味では、片方をなくすのではなくて、それを生かしながら、新しく差別禁止の要素を持ち込んだ法律にするのが、恐らく妥当なことではないかと皆さん考えていると思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見いかがでしょうか。西村委員、どうぞ。
○西村委員 西村です。
松井さんからもお話がありましたが、私も労政審の議論は、注目していました。障害者雇用促進法では、一般雇用といいますか、企業等々に就労するに当たって、障害者が必要とする対応等を、支援事業として実施していると認識しています。
労政審の中で、障害者が一般企業で働くために、どういった支援が必要なのか、あるいはどういった配慮が必要なのかについては、この間の取り組みからは、例えばトイレの改修といったハード面とジョブコーチやワークーアシスタントの配置といった人的なソフト面での環境を整備しています。こうした現状は、障害者雇用促進法は差別を禁止するよりも、障害者が雇用されるために必要な環境を整備する。例えば採用試験における点字試験の実施や手話通訳の配置といった、合理的配慮をこの法律の中で位置づけていくことが現実的だと思います。そして、この法律で合理的配慮を位置づけるときに、そこで生じるトラブル、勿論、この法律がどちらの側に立つのかという議論も必要であると思いますが、合理的配慮を障害者が求める、あるいは事業主が提供するという関係の中で生じる問題やその解決方法は、障害者雇用促進法に含まれると思います。
東さんからありました、雇用促進法と差別禁止法の住み分けについては、大ざっぱというと誤解がありますが、明確に採用方法とか、採用後の処遇とか、障害者が働く上で不利な扱いを受けてはならない。それは先ほどの議論でも出てきた差別の類型につながると思いますけれども、そういったところを差別禁止法の中で定義する。ただ、合理的配慮との関係がありますので、ここはまた議論が必要なのかもしれません。
障害者雇用促進法では、ガイドラインという示し方が妥当と思われるので、合理的配慮の具体的な事例なども挙げながら、そういった環境が整うことによって、障害者雇用が進んでいく。それから、障害者が働くために必要な合理的配慮を整えることが、障害者雇用促進法に求められると思います。
いずれにしましても、この後の議論の中で、そこら辺の検討ができればと思います。
○棟居部会長 今、かなり重要な御指摘をいただいたように思います。つまり合理的配慮という部分について、各論的というか、個別分野ごとの各法に委ねるという住み分けがあっていいのではないか。しかし、差別禁止という本丸については、差別禁止法でやるんだという、住み分けといっても全体としての住み分けではなくて、差別禁止立法の中の合理的配慮について委ねていく部分が、ガイドラインという形で各法にあるかもしれないという御指摘でした。ありがとうございました。
お待たせしました。川島委員、お願いします。
○川島委員 今の西村委員の御意見とも関連して、竹下副部会長がおっしゃられたとおり、今の雇用促進法の下では、例えば在宅就労をしたいと障害のある人が求めても、それをするかどうかは使用者の自由裁量なわけです。裁判所に訴えることもできない。
同じような在宅就労という形は、ある種の合理的配慮という一般的な言葉で言えたとしても、条約が求めている合理的配慮というのは、それをしないと差別になる。つまり実際上の請求権が発生する。論理が違うんです。現象として在宅就労という結果が実現したとしても、プロセス、権利を創設するかどうかというところも違ってくるわけで、そうなると、差別禁止法というのはまさしくそういうものをつくってしまう。障害のある人に在宅就労を断られたときに、最終的に裁判所までいける権利とか法的資格を与えることができるものなんです。そういう意味で論理が違うというのは、皆さん合意していると思います。
その上で、同じ合理的配慮に近いものだとしても、雇用促進法の中に、つまり差別禁止法的なものを入れて、少し充実させるというやり方はデメリットもあると思います。障害の定義の範囲で、かなり制約されてしまうということを私は危惧しています。
それとは別のもう一つの論点として、両者の住み分けというか、両者の相互補完的な関係というか、両者の関係性も考えなくてはいけなくて、諸外国の労働分野では、合理的配慮の過重な負担の抗弁というものが出てきたときに、国などから財政的支援を受けた場合には、合理的配慮の抗弁が一定程度できなくなるところもあって、それは割当雇用制度の納付金制度の下で、今、助成金という下でいわゆる在宅就労支援などをやっていますね。それを何とか活用して、合理的配慮をする企業に支援をすることも考えられます。
その場合、雇用促進法の議論について言いたいのは、納付金制度自体が赤字になってきている。そこで法定雇用率を今の1.8%から少し上げるとか、そういう形で納付金制度をもうちょっと立て直して、差別禁止法の中の合理的配慮をする企業に財政支援をできるような、両者の連携を考えていくことが法の実効性を担保する上で1つあるのではないかというところも議論した方がいいと思っています。
○棟居部会長 ありがとうございます。
合理的配慮に話がいきました。これはまた別の回ということです。
伊東副部会長、お願いします。
○伊東副部会長 6点あります。
差別禁止法と現行の雇用促進法を整合させるのは、非常に難しい。むしろ無理なことだと考えております。ですから、改正ではなくて、やはり差別禁止法というものをメインのベースにした、新しい障害者の雇用体制とか雇用制度をつくらないと解決しないと思っております。
第2点は、その理由です。現状の障害者雇用の問題の総括を申し上げれば、雇用率というものをメルクマールとして、結局、形式的な雇用が行われていることによって、実態としては、雇用や就労の質ですとか、所得が低いとかといった問題を重視あるいは直視していないで雇用率で見ている制度の運用が、現在の雇用、就労実態の質の低さが大きな差別になっています。障害者雇用促進法は差別禁止法とともに見直され、雇用率とともに就業に実態、質において差別を解消するべきです。
3番目は、先ほどの報告の2ページの「2 障害を理由とする差別の禁止」の「2 禁止すべき差別」とありますが、この中で書かれております主な差別の対象として、募集・採用の機会、賃金その他の労働条件、昇進・配置その他の処遇、教育訓練、雇用の継続・終了などが考えられる、との意見が出されておりますが、現実に障害者の雇用、労働の場で、この項目すべてが大きな差別として存在していると受け止めなければなりません。障害者が消費者として企業のお客様の側に回ったときには、客として売るにもかかわらず、働く側に回るときには、それを差別するという不合理な状態が存在していると考えております。第1に申し上げました現行法との整合性、あるいは一部変更でいかないことは、現在の制度そのものが不利益とか差別を生み出す原因になっていると思います。
例えば障害者の最賃除外規定とか、あるいは特例子会社を認めているというのは、実態としては1つの企業でありながら、そこに二重賃金制度を生むような仕掛けをつくっております。20万人と言われている低賃金の就労障害者、月平均1万2,000円とか1万5,000円しかもらえないような人たちを、福祉的就労という名の下に、失業者集団をここに温存しているという現状、それを放置している状況、法律・制度こそ大きい差別を生み出しているのです。
結論としては、障害のある人の雇用や労働のあり方はどうあるべきかという理念を確立し、差別のない雇用や労働関係、労働条件、それこそ労政審に期待したいことでありますが、差別禁止法では根本的な理念を明確にし、障害者の雇用の差別をなくしていくことを進めるべきと思います。
最後に6点目。この報告を拝見しますと、随所に過度の負担を求めないということが出てきます。
先ほど引馬専門協力員から報告のあった文章の中では、差別について、加重の負担という言葉が出てきます。過度の負担と加重の負担はどう違うのか。
○棟居部会長 ありがとうございました。
締めのような話をしていただいた上に、休憩を挟んで、最後の第3コーナーでも先ほど来の議論の続きを中心としたいと考えております。
最後の点については、加重の負担という言葉、過度の負担という言葉ですが、言葉の詮索はしないというお約束での議論の中では、ちょっと細か過ぎるかもしれません。今、室長からもこれは結論が出ないだろうという御指摘がありましたので、休憩を挟みたいと思います。よろしいですか。
ただいま予定の進行よりやや遅れておりますが、50分に近いということで、15分休憩をとらせていただきまして、5時5分に再開にさせていただきます。
(休憩)
○棟居部会長 時間がきましたので、再開させていただきます。
第3のコーナーにつきましては、予定より全体が遅れておりますので、50分ほどの時間で考えております。「雇用、就労における差別について」という、第2コーナーにおける議論の続きでございます。
なお、総論は第1コーナーで終わりといいますか、あそこで一応切らせていただいて、第2コーナーで各論の一番最初ということで雇用の問題を取り上げたわけですが、松井委員等に御紹介をいろいろいただきましたが、議論を単に求めるところがあり、どういう進行かよくわからないという御質問、御指摘を休憩時間に複数の委員からちょうだいしております。
そこで、私から言うと、ますますわからなくなる可能性もありますので、東室長から基本的な流れを御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○東室長 先ほどの説明の中で触れたつもりではあったんですけれども、先ほども言いましたように、障害者への差別を禁止する実効性のある法律が日本にはまだない中で、新しい法律をつくろうとしているわけです。ただ、厚生労働省においては、同じ方向性で議論が進んでいるといった状況の中で、向こうは雇用促進法の改正の中に入れ込もうという動きがあって、それは抽象的な議論ではなくて、かなり具体化した流れとしてあるわけです。それを全く考えずに、こちらだけの議論というのは現実的ではないということで、こういう議論が出ているということをまず御紹介申し上げたわけです。
具体的に雇用促進法の改正という形も進む、差別禁止法の制定という形も進む場合、労政審は労政審での議論、こちらはこちらでの議論ということをお互いにやっていかなければいけないという関係にあると思います。そういう意味で、労働の分野に差別禁止規定を入れる場合、お互いの状況を共有することが必要ですので、皆さんにはそういう状況があるということを前提に、差別禁止法の労働の各論の中にどういうふうに何を書くかということを議論してほしいと思う次第です。
そのときに住み分けみたいな言葉を使ったのは、労政審として3者の枠組みで議論としているところに、ある程度任せるべき部分があるのか、ないのか。ILOの基準からいっても、基本的には3者の枠組みが揃ったところできちっとやってもらわなければいかぬという要請もあるわけです。こちらは障害者権利条約というものがあるかもしれませんけれども。そういう意味では、どちらがどちらという関係ではない気もします。
そういう全般的な状況の中で、確かに議論の中では、定義の問題とか、例えばそもそも今の雇用促進法がアファーマティブ・アクションとして位置づけられるのか、差別的な運用がいろいろあるのではないかという御意見もありました。確かに既存の制度についてのいろんな御意見はあると思います。そういう御意見は御意見としてあるということを前提の上で、新しい改正ないしはこちらの制定の中で、どういう枠組みでやっていけばいいかということだと思います。
ここの部会は、雇用、就労の課題全般を議論する部会ではありませんので、ここでは雇用、就労一般の議論をするわけではなくて、そういう場面における差別禁止をどう確保していくかという議論に集中してほしいと思います。ただ、議論の中では、既存の制度の問題点は当然出てくると思うんですが、そこが議論の本体ではない。よりよい差別禁止法を労働現場でどのようにするかということなんです。
具体的にいうと、そういう動きがあることを前提に、ここでつくろうとしている差別禁止法の労働の各論の中で、具体的に何を書いていくのかという議論をしていただければと思っています。その際に、雇用促進法という枠組みがありますから、そこから漏れる労働に関係する部分があるのであれば、それはこちらで書くしかないということが言えると思います。それが本体ではないんですけれども、そういう点もあるかどうかを検討しながら、差別禁止法でどう書いていくのかという議論をしていただきたいと思っております。
以上です。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
継続ということですが、大谷委員、お願いします。
○大谷委員 なかなか議論についていけなかったんですけれども、実際に今日が各論の初日で、今後、教育、交通等々いろいろ続くということですので、全体にも関わることだろうと思っています。ですから、非常に重要な議論だろうと思うんですけれども、例えば既に雇用の方では、具体的な文書が労政審等からいろいろ出ているということですので、より議論がされやすいということで、初日の各論に選ばれたんだろうと思います。
雇用に関しては不安なところが多いんですけれども、資料1の中で出されている内容、権利条約を意識した在り方に関する中間的なとりまとめということで文章化されているものがあります。
例えば「第2 障害を理由とする差別の禁止」の「2 禁止すべき差別」として、全部例示されて異論がなかったと言われている、あらゆる段階における差別が禁止されなければならないということに関しては、基本的に差別禁止法の中にきちんと明示されるべき事項だろうと考えるんです。
それから、合理的配慮の考え方に関しても、基本的な考え方という形で示されている内容に関しても、迷った場合には差別禁止法で具体的な指針が出されている。差別禁止におけるある種基本法みたいな形での基本的な考え方が出されていますので、このような事項に関しては、差別禁止法の中の雇用における各論の中に条項化されるべきだろうと思います。
雇用促進法の改正になるのか、どのような法律が予想されているのかわからないんですけれども、もっと細かい合理的配慮を個別、職場でこの人にとって何が必要かということを策定するときに、だれとだれが協議して、だれの同意を得れば具体的に決まるのかという個別内容がございます。教育などでいうと、正直いって個別計画という言葉で表現されるような問題だと思うんですけれども、そのような策定の問題に関しては、ある種労働法の固有の分野において決められるという、それが住み分けという形で表現される問題だったと思います。
特に紛争解決、職場内で合理的配慮の問題が決着つかなかったとか、もしくは差別に関する紛争が発生したような場合、労働法において一定程度の積み上げがあるし、そこで経験されているならば、そこでそれを取り扱う。差別禁止法の方でどのようなことがプラスαとして盛り込まれなければいけないのかというと、差別是正策、アファーマティブ・アクションは差別ではないということを、女子差別撤廃条約の場合と同じような条項を盛り込んでおいて、積極的差別是正策に当たるものに関しては、差別ではないんだ。一定程度の雇用率を達成するための是正措置に関しては、差別ではないという条項を設けることで住み分けていく、漠然となんですけれども、そう考えるんです。
資料1に示された内容、具体的にこの点に関して、我々の方向性として明らかにしておきたい。逆に各論として、細かいところに関しては、労政審の議論にもっと委ねたいということを意識した議論をした方がいいのではないかと思いました。
以上です。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。大変具体的な住み分け論に言及していただいたように思います。
遠藤オブザーバー、お願いします。
○遠藤オブザーバー 経団連の遠藤と申します。ありがとうございます。
個別法に委ねられる部分については、大きく個別法に委ねていく考え方を持っておる者でございます。当然のことながら、そこから漏れるものについては、分野横断的な差別禁止法の中でしっかり拾っておくべきものであり、トータルの中で差別があってはならないという形を絵として描いていけば、それが現在動いている枠組みを十分に活用した形であるのではないかと考えているところでございます。
もう一点だけよろしいですか。
○棟居部会長 どうぞ。
○遠藤オブザーバー 誤解があるといけないのですが、松井委員が御説明されたのは研究会の中身でありまして、分科会のまとめはまさに審議会としてのまとめでありまして、審議会のまとめというのは、審議会で判断してまとめたものであります。例えば、先ほど松井委員から、採用に関しては研究会では意見の一致は見なかったとございましたが、分科会のまとめの中では、募集・採用の部分についても、きちっと合理的配慮の対象とするという形で位置づけられております。そういう意味で、分科会のまとめは分科会としての判断の下につくっているということが1点です。
日付を見ていただきますと、22年4月27日です。この後、基本法の改正を含めて、また福祉法の動きその他がありますので、とりまとめが終わった後の動きを十分に踏まえた形で、今後は次に進んでいく中身でございます。今の中身だけをもって評価をするのは、少し割り引いていただかないと、今後なかなか進展していかないと思っている次第です。
○棟居部会長 貴重な情報提供、御指摘をちょうだいしました。特に最後のことは、影を踏んで歩いているようなことだと、住み分け論という我々の意識とも違ってくるということで、情報のアップデートも図っていきたいと思います。
この点については、松井委員から、分科会のその後の動きについて、何かあるでしょうか。
○松井委員 私は知りません。
○棟居部会長 どうも失礼しました。
遠藤オブザーバーが最初におっしゃった点は、先ほどの大谷委員と直接に矛盾するというか、衝突という言葉を使っても多分差し支えない基本的な立法方針、考え方の違いでございます。つまり個別法に委ねるべきものは、個別法にという一般的な考えをとって、今回たまたま労働法制との住み分けを問題にしておりますけれども、これから出てくる各論的な教育あるいは交通その他についても、むしろそれぞれ各法の制定ないし改正に即していくような形で、こちらは基本的な理念を提供していく。そういうふうに役割を限定していく。だからといって、権利条約の批准を実行化する国内実施という点で弱いわけではなくて、たくさん法律があっても、全体で条約を受け止めておればいいのではないかという御指摘であったと思います。勿論象徴的な1つの法律がある方が、外から見ると、ある意味ではわかりやすいかもしれないけれども、現実に個々の救済という点では、個別法の方がたけておる場合もあり得るわけですから、これは立法技術としてどちらがどうとは言えないと思います。
ただ、理念的なものとして、大谷委員はここできっちり差別とは何かということから固めていってということでした。これは最初の第1コーナーに戻ってしまう話になるかもしれない。それを戻す気は一切ありません。
室長から御発言があります。
○東室長 大谷先生の御意見の中で理念という言葉が出ましたけれども、総則規定を適用するという意味で、理念みたいなものを適用するという話ではないんですね。そこは正確にお願いします。
○大谷委員 大谷です。
理念という言葉ではなくて、いわゆる労働、雇用における差別とは何かということが明確になったものが、私は差別禁止法の中にもそれぞれ必要だろうと思います。雇用、教育、交通、生活場面における、ある種差別禁止法の総論みたいな形のものがあって、それを受けた各論みたいなものまでを全体としてここに盛り込もうとすると、結構大きな法律になってしまいますから、それは難しいだろう。でも、教育における差別とは何か、雇用における差別とは何かということが明確にわかるものがここに入っているということは、絶対に必要だと思います。
○棟居部会長 池原委員、お願いします。
○池原委員 大谷委員の言っていることと大体同じだと思いますけれども、もう一つ注意しなければいけないと思っていますのは、個別法というときに、これも既に議論が出ているところですが、障害者雇用促進法がそもそも根っこにある差別禁止法の個別法に対応するものになるのかということがあって、ある種の見方からすれば、特に法定雇用率を最も中心部分に置かれている雇用促進法というのは、どちらかというと、大きな分け方からすれば、福祉的なアプローチをしているもので、海外の今までの議論の中では、パラレルトラック論というか、割当雇用制度と差別禁止法という2つのアプローチが両立し得るかみたいな議論があったぐらいの問題を持っている。
問題というのは、必ずしも悪いという意味ではないんですけれども、理論的には両立しにくい性質を持っている部分もあるので、差別禁止法に対して障害者雇用促進法が個別法としての、言わば各論的な位置づけを持ち得るんだと単純に言っていいかどうかには、かなり問題があって、勿論労働分野で根っこにある、ある種の大きな差別禁止法と生活領域とか社会領域における個別法という位置づけは当然あり得るわけですが、そこのところは、個別法になり得るものと、なり得ないものがあるということは、区別しておいた方がいいと思います。
○棟居部会長 客観的な事実認識として、そういう御指摘をいただいたわけですけれども、逆に差別禁止法に対する個別法として、つまり全部差別禁止法で欲張って自分で決めることはしない。しかし、いろんな個別法は差別禁止法という統一的な理念があります。理念という言葉は注意して使わなければいけないんですけれども、基本的な考え方を個別分野ごとに適用していくような格好をとるべきだという考えもあります。多分大谷委員はそういう考えをお持ちです。
今の池原委員は、そうではなくて、例えば福祉的な面を持っている現状の雇用促進法は、これはこれで構わないということなんでしょうか。構わないという言い方もあいまいですけれども、どうでしょうか。
○池原委員 差別禁止法的な条項を雇用促進法に入れてくるのが、適当なのかどうかということにやや疑問を持っていて、余り詳しくないので、説明としては適当でなければ、浅倉先生から御指摘いただきたいんですけれども、例えば男女雇用機会均等法みたいな法律に、障害を持っている女性についての特別な差別禁止規定なものが入るのは、余り違和感がないように思うんですが、雇用促進法に入るのは、法の性質がそもそも個別法としては違うのではないかというのが、私の個人的な意見です。
○棟居部会長 御指名で恐れ入りますが、浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 適当な回答が思いつかないのですが、先ほど質問したのも、その辺りの違和感でした。障害者雇用促進法は、いわば雇用率を定めた雇用促進のための法律です。司法的効力がないというのは、そこからきているのだと思います。しかし、もし差別禁止法の個別法として、障害者差別禁止法のようなものができるとすれば、それは必ず司法的効力を持った雇用に関する差別の禁止立法でなければいけないと思います。
その中で、雇用率との関係をどうするのか。この規定を維持すれば、雇用差別禁止法プラス雇用促進法という両方の立法が並び立つ可能性があるだろうと思います。あるいはそれらを統合して、雇用差別禁止法、障害者雇用差別禁止法の中に雇用率についての規定をポジティブ・アクションとして盛り込む、そういう体系をつくるということもあり得るとも考えます。しかしともあれ、先ほどから言っているように、障害者雇用促進法を抜本改正しないと、差別禁止法にはなりませんので、抜本改正が必要です。そのうえで考えても、障害者という対象そのものが、差別禁止法は非常に幅広いですが、雇用促進法はあくまでも、身体、精神、知的という類型化をして雇用を促進している法律ですから、対象となる障害者の幅も違います。両者の仕組みをどうするのか、それを議論しなければいけないのではないかと思っています。
○棟居部会長 西村委員、お願いします。その後、竹下副部会長お願いします。
○西村委員 西村です。
先ほど発言したことと重複するかと思いますけれども、障害者雇用促進法はやはり差別禁止法ではないと思います。しかし、障害者が働くため、あるいは雇用を促進するためにさまざまな措置を講じることがうたわれていることから、ある意味では合理的配慮を確保するための法であるという側面もあると思っています。ですから、差別の禁止ではなく、具体的な合理的配慮を提供するという役割を、障害者雇用促進法に求めることができるのではないかと思っています。障害者が働くために必要な配慮、雇用促進、そして、必要な支援という流れになって、そこで出てくる過度な負担については、助成金なりで国などが支援施策を用意するのがいいと思います。
それから、私たちが、今、関わっている障害者制度改革は、今回成立した障害者基本法改正と併せて、障害者総合福祉法と差別禁止法の制定という3つの課題があると思います。
先ほどから個別法に関する話がありましたけれども、私の認識では、障害者差別禁止法も含めて個別法だと思っているところがあります。障害者施策制度改革は、その先頭バッターとして、大もとの基本法の改正が決まった。私は、これまでの基本法は、各種障害者施策の現状の取組みを集めた法律にすぎなかったのではないかと思っています。ただ、今回の制度改革の中では、そうではなくて、総則の中で障害者の差別禁止、あるいは合理的配慮等々が総則に入っていると認識しています。
そして、基本法に基づく個別分野として、雇用や教育など、さまざまな分野が載っている。そして、それらがそれぞれの分野に関する各法律で規定されている。
そういうふうに考えると、法律の並びからいけば、まず障害者差別禁止法を裁判における規範性を持つ法律として位置づける。そして、各分野の法律に、そうした理念をきちんと反映したり、その分野で起きているさまざまな問題を解決するための仕組みにすることが必要と思います。そのひとつは、障害者雇用促進法なりの紛争解決していく感じだと、私自身は思っているということを発言させていただきます。以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
お待たせしました。竹下副部会長、お願いいたします。
○竹下副部会長 私はまとめるつもりで発言するわけではありませんし、私はまとめるタイプではないんだけれども、大谷、池原両委員が言ったことは、多分理念型の労働分野における差別禁止法制をどこで規定するのかということの発言だと思います。それを雇用促進法に入れることが直ちに矛盾だと言っているとは聞こえないんです。そのことは今の西村委員の発言にもつながると思います。
なぜかというと、私はこの部会ではなくて、親団体の制度改革推進会議で障害者基本法の改正の議論のときにも言ったんです。そのときは余り議論にならなかったんだけれども、障害者基本法というのは権利法になっていなかったんです。もともとの歴史からいっても、昭和45年の心身障害者対策基本法だったんです。その名称が変わって、今の基本法になっているという流れからいっても、条文の立て方からいっても、基本的には障害者に権利を付与するという体系をとっていなかったんです。その中に我々が権利規定を設けるようにという主張をしたけれども、それが本当に成り立つのかと問題提起をしたことがあるはずなんです。そのときには、結果的にはそこを克服した形で、基本法の改正が、我々から見たら不十分だと思っていますけれども、現在の改正法のレベルへきたわけです。
そうであれば、浅倉先生がおっしゃるように、雇用促進法の中で差別禁止体系としての規定を設けられる限り、あるいはそれが根本改正かどうかわかりませんけれども、そこはそれとしてやっていただかないとだめなんだろうと思います。と同時に、そこでは盛り込め切れないものが出てくるだろうから、その部分は新法によるのか、差別禁止法の中で規定するのかという整理をしていかないと、住み分けの議論というのは前に進まないのではないかと聞いていて思いました。
以上です。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
先ほど来の御意見を伺っていて、権利規定的な意味合い、法規範性という言葉もそれにつながると思いますけれども、それと労働法制との間の齟齬がもともとあるところで、良好な隣人関係というか、協力関係を築くという課題だと思いました。
川島委員、今、お手を挙げられましたね。お願いします。
○川島委員 今、複数の委員からお話があって、いろいろ議論があると思うんですけれども、そもそも障害者雇用促進法というのは、事業主間の共同連帯責任の下で負担を分かち合う。それによって障害者雇用を促進する。その中核を占める納付金制度というものがあるわけです。
障害者権利条約に照らして、これは異論の余地がないと思うんですけれども、障害者雇用促進法はポジティブ・アクションとして、障害者権利条約の下で許容され、もしくは奨励されている措置になると思います。しかし、障害者雇用促進法といえども、差別禁止法に抵触するようなものは、修正されなくてはいけないということがあると思います。それがまず1点。
2点目として、我々が今ここで議論していることは、まさに差別禁止法です。それは労働分野、教育分野、サービス分野、その他を含めた差別禁止法を議論しているわけであって、障害者雇用促進法の趣旨、目的とは違うことをやっているわけです。これが2点目です。
第3点目は、しかし、同じ各論分野、労働分野に議論を限定すれば、労働分野ということで、ここでやっている差別禁止法と雇用促進法が相互に関連し合う部分がある。そこのところをここで明確に議論すべきだとは思っております。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。かなり議論を整理していただいたということで、承りました。
ほかにいかがでしょうか。太田委員、お願いします。
○太田委員 竹下副部会長の意見と違うかもしれませんが、障害者基本法が改正されたことによって、それを受けて関係法律が改正された。権利条約に照らして各法も改正されたわけで、そこに差別禁止という概念が入ることは不自然なことではないし、むしろ当然なことだと思います。また、雇用促進法でいえば、経済団体や労働界の関係者の方々、教育関係の法律でいえば、教職員の方々など関係者に差別禁止の概念を徹底しなければならないと考えています。
ですから、各法でできるだけ障害者の権利、差別禁止をメインにしていく方向性はよしとして、差別禁止法には問題が生じた場合、具体的に救済を申し出たり、あるいは裁判所へ訴えることができるような、被害者救済を求めることが差別禁止法の制定の趣旨だろうと思いますので、そういう方向で私は議論を進めていきたいと思う立場であります。
○棟居部会長 ありがとうございました。
竹下副部会長、ほかの方も強調された権利救済という観点から、あくまで差別禁止法を中心に、先ほど個別法とは何かという議論もありましたが、雇用促進法排除ということではないが、差別禁止法で権利救済規定を置いて、それを軸にすべきだという御指摘だったと思います。
ちょっとずれているかしれませんが、権利規定は救済の問題と結び付いておって、労働法制は救済については独特の成熟したいい仕組みをお持ちなわけです。しかし、見ようによっては権利なき救済のようなところがないわけではない。そこは差別禁止法の側からすると、乗れないというか、乗りにくいというか、違和感があるということです。
場合によっては、浅倉委員、コメントをお願いできますでしょうか。
○浅倉委員 紛争解決手続のところが、他の差別と雇用差別が一番異なる結果になるのではないかと思います。
先ほどの松井先生が関与された障害者雇用分科会が、第4として書いているところでして、私はこれ自体に全く異論はないので、既に存在する紛争調整委員会を活用することはよいと思います。
ただ、既に存在する紛争調整委員会が「ベストか」というと、なかなかそうでもないと思います。現在、労働関係の紛争解決には2つシステムがあります。1つは個別労働関係紛争解決手続法です。これが、既に存在する紛争調整委員会の方だと思います。そちらの方はあっせんをするわけですが、あっせんというのはあくまでもあっせんにすぎないので、未解決なままで、行政機関による解決に至らないことが多いと思います。そういうときに、均等法やパート法、育児・介護休業法は、特別にそれぞれの立法が定める、あっせんではない調停のシステムを持っています。そこで、障害差別についても、せめて調停を申請し、紛争調整員会が調停案を提示して、その案でまとめるという、そういう手続ぐらいは作っていくべきだろうということが、1つ言えることかと思います。
もう一つの方は、司法救済です。司法救済は例の労働審判法が2004年にできていますので、裁判所に行きますと労働審判手続をとり、労働者委員、使用者委員、裁判官の3者構成で紛争の審判をするというシステムがあります。ただ、こちらの審判も3日間で実施できるものに限定されているために、果たして差別の問題が3回の期日で解決できるのかどうか、その辺りが問題になると思います。おっしゃるように、その中で、障害者の方々に関与してもらえるようなシステムをつくれるかということは、考えなければいけないことだと思います。
もう一つ、労働基準法には罰則付きの条文があり、そちらの方は、労働基準監督行政が罰則を運用して、送検までするわけです。それについては、労働基準法の3条に、現在、国籍、信条、社会的身分というものに対する差別だけが禁止されていますけれども、それに障害者を入れるかどうかという議論もあるかとは思います。ただ、当面そこは難しくなり過ぎるので触れていないのでしょう。ですので、今のような紛争解決の2本立てでいくという提案なのであろうかと思っております。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。既存のものの中で、なるべく権利性の強い方向へという工夫が可能ではあるという御指摘だったと思います。
大谷委員、お願いします。
○大谷委員 1点だけなんですけれども、今日は雇用なんですが、紛争解決に関しては全体として人権救済法との関係とか、差別禁止法の中で横断的な救済機関を逆に設けるのか。個別労働における紛争解決、調整機関、教育における調整機関を個々的に設けるのかという大きな議論があると思います。
今日は山崎委員が欠席ですので、是非山崎委員などの意見も聞きながら、全体として差別があった場合の救済方法に関しては、今、できるかできないかわかりませんけれども、人権擁護法に委ねるのか、それとも障害者差別禁止法の中に横断的な解決方法を求めるのか、全部個別法に任せるのかということも含めて、どこかで議論していただきたいと思います。
○棟居部会長 室長、今、御提案の具体的救済については、我々は来年を当て込んでおりますね。
○東室長 はい。
○棟居部会長 そういうことで、それは非常に大事ですので、勿論議論の時間はとってあります。
ほかにいかがでしょうか。専門協力員の方もずっと議論をお聞きになっていて、当初の意図から離れているとか、誤解されているなどがありましたら、今でも結構です。第2コーナーから続きの第3コーナーで、別に蒸し返すつもりはないんですけれども、最初の話は逆に今しかありませんので、もしありましたら、お願いします。よろしいですか。ありがとうございます。
ほかに御意見あるいは御質問ございますか。特に労働法制については、浅倉委員、松井委員に随分詳しく教えていただいて、また西村委員にも貴重な情報、知見を提供していただいて、ありがたかったと思います。
今日は御案内のようにフルメンバーではない中で、かなり新しいゾーンに入ってきましたので、四苦八苦しながらということなんですけれども、有益な御意見、情報が得られているように思います。
残り時間も大分少なくなってまいりましたが、もし室長が集約されるんでしたら、今、お聞きしたいと思います。あるいは今後どうつなげるかということです。
○東室長 今後の進行との関連ですが、このままのペースでいけば、恐らく月に2回ぐらいはしなければいけない事態にくるだろうと思っております。
各論としてはどの範囲でやるのかという、範囲のことを独自にここで議論してもらったことはないんですけれども、今回を含め、次回以降各論を挙げていきたいと思っています。例えば司法の問題、消費者の問題、建物利用、不動産の利用とかいろいろあります。今日の御議論は労働の一番入り口の問題、枠組みをどうするかという議論で、これで終わりということでは困ると思いますが、ほかの課題もありますので、こういった大枠の話を、それぞれの分野でも続けていければと思っています。
ここでの今日の御議論は、まだ確定的ではありませんけれども、しかるべき時期に労政審を担当されている部局から来ていただいて、ヒアリングをさせていただこうと思っているところです。その時期にまた今回の議論をもう少し深めたいと思っております。
次回は、先ほど言いましたように、司法と消費者辺りを各論的に議論できればと思っているところです。
予定としては、そんな感じです。
○棟居部会長 ありがとうございます。
あと数分残っておりますけれども、どなたか御発言ありますか。
川島委員、この際ですので、進行についてもし御提案があれば承ります。一般的なことでも構わないです。よろしいですか。個別には伺っているんですが、いろんな考えの方がおられる。要は私が余りしゃべり過ぎるなということで、これは非常にありがたい御提案をいただいておるということで、今後はもう少しおとなしくしたいと思っております。
ほほ時間になりましたので、潔くここで第3コーナーを終わりにします。またヒアリング等で続くということなんですが、先ほど来、第2コーナーから引き続きました第3コーナー、このテーマについての議論を終わらせていただきたいと思います。
これにて本日の議事は終了しました。
最後に東室長から、次回の内容については既にアナウンスいただきましたが、日時等についてのアナウンスをお願いします。
○東室長 御苦労様でした。
次回は第10回になりますが、11月11日金曜日、14時から18時までの予定です。
それ以降、年内の部会の予定は、11回が12月9日金曜日です。
以上でございます。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
本日はこちらの進行不行き届きにもかかわらず、活発な議論をいただけたと思います。
それでは、本日の差別禁止部会の概要につきましては、この後、記者会見において、私と東室長から説明の場を設けたいと考えております。
本日はお忙しい中お集まりいただきまして、大変ありがとうございました。