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障がい者制度改革推進会議(第14回)
議事録

小川議長 定刻になりましたので、これより「第14回障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。

委員の出欠状況でございますが、本日は、門川委員が御欠席、清原委員が16時ごろに御退席、その他の委員は御出席です。

会議の公開は、これまでと同様といたします。

進行上の時間配分については、後ほど東室長より報告があります。

本日の会議は17時までを予定しております。

それでは、これより先の進行については、藤井議長代理、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 それでは、これより進行していきます議長代理の藤井です。

今日の大きな目的は、第一次意見をとりまとめることでありますので、そういう観点で是非議事に参加をお願いいたします。

なお、今日、事務局の方で、泉政務官の出席をお願いして、ぎりぎりの調整してもらったんですが、先ほど、今のこの時期、どうしても来られないという連絡がありましたので、これもお伝えをしておきます。

それでは、本日の全体の進め方につきまして、東室長からお話をいただきます。東さん、どうぞ。

東室長 こんにちは。担当室の東です。

今日は本会議としてまとめる第一次意見案の仕上げの議論を行いたいと思っております。いつものとおり3つのコーナーで、中に休息を挟むという形で進行したいと思います。

第1のコーナーは60分取っておりますけれども、まず冒頭に、総合福祉部会の佐藤部会長から推進会議の小川議長へ「要望書」と「障害者総合福祉法(仮称)の実施以前に早急に対応を要する課題の整理(当面の課題)」という2つの文書を提出されます。この文書は去る6月1日の第3回総合福祉部会において検討されたものです。お手元に2つの資料があるかと思いますので、確認をお願いします。

引き続き、第1コーナーでは、第一次意見案についての議論に入ります。ここでは初めに総論について議論したいと思っております。

なお、総論は、第一次意見案の「II 障害者制度改革の基本的考え方」と「III 障害者制度改革の基本方向と今後の進め方」の1~3を指しております。

続く第2コーナーは70分を予定しておりまして、各論のうち「労働及び雇用」「教育」「所得保障等」「医療」について議論をしたいと思っております。

最後の第3コーナーは70分で、各論の残りということで、7つの分野について議論いたします。

本日の概要は以上ですが、お手元に先ほど述べた資料のほか、資料1として「障害者制度改革推進のための基本的な方向(第一次意見)(案)」があります。資料2としては、内容的には同じなんですが、修正箇所が見える「修正箇所表示版」というものがあります。総論、各論の議論においては、これを専ら参照していただければと思っております。

そのほか、今日、委員から持ち込まれた資料としては、竹下委員からの「障がい児教育における統合された環境の下でのインクルーシブ教育の実現を」という表題のものが1枚、それと「当事者参加の会議マニュアル」ということで、コミュニティサポート研究所というところが発行した冊子なんですが、特に知的障害を持つ人が、協議会とか、委員会とか、理事会などに参加するときに、どのようなことが必要ということでつくられたパンフレットです。これは後ほど長瀬委員から、わかりやすいバージョンをつくることの報告に関連して御案内があるかと思っております。

以上です。

藤井議長代理 それでは、今のような日程で進めてまいります。まず、第1コーナーの冒頭ですけれども、本論に入る前に、せんだっての6月1日の総合福祉部会での結果として、「要望書」と「障害者総合福祉法(仮称)の実施以前に早急に対応を要する課題の整理(当面の課題)」の2つの文書を総合福祉部会の佐藤久夫委員長より小川榮一議長に手渡しをいただきますので、佐藤部会長、よろしくお願いします。

佐藤委員 「要望書」をまずお渡しさせていただきます。

障がい者制度改革推進会議小川榮一議長殿。

要望書

障がい者制度改革推進会議のもとに設置された総合福祉部会において、「障害者総合福祉法仮称)の実施(制定)以前に早急に対応を要する課題」について、4月の部会立ち上げ以降、本日まで議論が進められてきた。

しかし、そうした議論をまとめている最中にもかかわらず障害者自立支援法の一部改正が情報提供もなく進められたことに対して、部会構成員一同は強い遺憾の意を表するとともに、推進会議並びに本部会の議論が尊重されるよう、推進本部に意見を上げていただきたい。

障がい者制度改革推進会議総合福祉部会構成員一同

よろしくお願いいたします。

続きまして、もう一つ「障害者総合福祉法(仮称)の制定以前に早急に対応を要する課題の整理(当面の課題)」ということで文章をまとめさせていただきました。全体では28ページに及ぶ非常に網羅的なものですけれども、特にその中で来年度の概算要求に反映していただきたい事項について、以下の4点にまとめておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

1つは、利用者負担の見直しという課題です。2番目が、法の対象となる障害の範囲の見直しという点です。3番目が地域での自立した暮らしのための支援の充実ということで何点か掲げております。4番目に新しい総合福祉法を準備するに当たって必要とされる調査、試行事業などについての予算措置ということで、これもまた本部の方に上げていただければと思います。よろしくお願いいたします。

小川議長 十分、本件につきましては承知いたしましたので、御期待に沿うような御努力を申し上げるつもりでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

藤井議長代理 今の件、2つとも大変大事なことでありますので、もし、これに関する意見等があれば、短い時間ですが、伺っておこうと思うんですが、いかがでしょうか。

まず、久松さん。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。

昨日、私たち全日本ろうあ連盟では、島根県におきまして全国ろう者大会を開催いたしました。その場では、全国からの地域代表228人が集まって、自立支援法一部改正法案について議論を交わしたわけですが、今回の手続は非常に問題があるのではないかという意見が多数を占めました。自立支援法ができたころは賛否両論の意見がありましたが、今回は総合福祉部会ができて、そちらで自立支援法に代わる新しい法律をつくろうということで議論を重ねてくという約束でした。そういう手続を踏まえた上で対応していこうと考えていたわけです。全国の代表者も集まった場では、出席者全員が今回の一部改正法案の議論について、内容についてはともかく、進め方に非常に問題があるのではないかということで、全員一致の反対決議をしました。今回、ここでのこの要望についても、総合福祉部会から出された要望には早急に、一日も早く本部に上げていただきたいと考えております。是非ここの推進会議の中の意見をまとめて、早急に上げていただくことを要望させていただきます。

以上です。

藤井議長代理 もう一方、手が挙がっていました。新谷委員、お願いします。

新谷委員 全日本難聴の新谷です。

今の久松さんの意見と同意見ですけれども、障害者自立支援法の改正に当たっては、自立支援法訴訟違憲団と厚生労働省との基本合意で当事者の声を聞いて新法を制定するという約束があります。

また、新たな総合的福祉制度を制定するに当たっては、障がい者制度改革推進本部において、障害者の参画の下に十分な議論を行うとされており、それで障がい者制度改革推進会議の下に、今、佐藤さんが議長をされています総合福祉部会を立ち上げて、現在、新法実施以前に早急に対応を要する課題の整理を議論している真最中です。

このような中で障害者自立支援法の一部改正を議員立法の形で進め、衆議院で強行可決することは、違憲訴訟団との基本的な合意に背くものであり、また、当事者参加の下に障がい者制度改革推進会議において制度改革を進めていくという閣議決定にも反するものと考えます。制度改革推進会議は政府内に設置された会議体ではありますが、このような手続無視、当事者無視の立法府の進め方には声明をもって遺憾の意を表すべきではないかと考えます。

以上です。

藤井議長代理 ほかに御意見ありますか。なければ、今、本部長に対して要望をいち早くという意見と、推進会議として声明を出すべきという意見が出たんですが、東室長、見解はございますか。

東室長 特段はないです。

藤井議長代理 声明の扱いはどうしましょうか。

東室長 今回は議題になっていないから、どうしますか。

藤井議長代理 そうしたら、今の声明を出すべしということはあるんですが、今日、ここでは声明の原案等もありませんし、しかし、一方で時間もかなり急がれていますので、一旦事務局で預からせていただいて、場合によってはメール等で意見交換することを含めて対処していくと。今日、ここで、今から声明文といっても、現実的には難しいと思いますので、そういう形の処理でよろしゅうございますでしょうか。もし別な意見があったら出してください。大谷委員と関口委員、順番に。

大谷委員。

大谷委員 それでいいと思いますけれども、非常に急を要していることだと思います。6月1日付の部会からの要望書がもう推進会議に出されて、これはメール等でみんな読んでいるところだと思います。ですから、この要望書でもう既に部会構成員一同は強い遺憾の意を表するとともにと、こうなっていますので、ほとんどこの文章と右にならえでいいと私は思いますので、現時点における参加者一同で、本会議としても遺憾の意を直ちに表明するとした方が時宜を得ているのではなかろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

以上です。

藤井議長代理 では、関口委員の意見を聞きましょう。

関口委員 内容的には異議ないんですけれども、問題は声明を出すあて先でございます。1つは、国会議員というか、立法府ということになるんでありましょうけれども、この間、例えば、自立支援法の一部改正の中で、実は、精神保健福祉法も改正されております。そういった中で、こころの健康推進会議とか何とかいうところで、松沢病院の岡崎院長と長妻厚労大臣が面会をしていて、それを後ろで山井厚生労働省政務官が聞いているという写真が出ております。あくまでも重要なのは、当事者の参画を得て推進会議で挙げたものをちゃんとやってくださいということだと思うんで、これは政府全体の姿勢にもかかわることなので、立法府に対するものとは別に、我々の問題意識として、そういうことはちゃんとあるんだよということは、これは裁判の和解書でも確認されていることですから、そこのところも併せて御検討いただきたいと思います。

藤井議長代理 今のは、あて先ということもありました。大谷委員からは、ほぼこの内容を踏襲して、推進会議、この会議体として、差出人を変更して出してもいいんではないかと。関口さんからは、相手については要検討だけれども、まず出すのは本部長でいいということですか。

関口委員 はい。

藤井議長代理 本部長には出そうと。つまり、総理大臣であり、言い換えれば、政党では与党の党首であるということもありますのでね。

ほかに意見はいかがでしょうか。なければ、東室長の方から。

東室長 推進会議でもこの件は問題になったところであります。時間的な関係から申しますと、今日いただいた要望書について、この推進会議本体としても同趣旨であるということを確認していただけるならば、いただいた上で、小川議長から要望書を差し出すときに、その旨、伝えていただくという形ではいかがでしょうか。

藤井議長代理 要望書を差し出すというのは、時期的に言うと。

東室長 ですから、この第一次意見とともに早急にですね。今の政治状況の中で、従来予定していたとおりできるかどうかはわかりませんが、この第一次意見を、今日できればの話ですけれども、それを差し出すときに、同時に小川議長から、その旨、同趣旨であるということで伝えていただければいいんではないかと思っております。

藤井議長代理 それでは、内容については、もう一度確認しますけれども、今の大谷委員の意見を踏襲して、ほぼこの内容を、差出人を発展させて、推進会議としての名前で、小川議長の名前で出す。

それから、出す時期については、今の東室長の意見としては、今日議論する第一次意見を提出する際に、先ほど佐藤部会長から出ていました総合福祉部会としてのもう一つの早急に対応すべき課題と併せて、この要望書を出す。

私の方の進行としまして、おっしゃるとおり、そこで出すのがいいと思うんですが、今の内閣の転換期にあって、仮に第一次意見を出す時期が大分ずれ込んだ場合は、大谷委員がおっしゃるとおり、こちらはかなり急ぐこともありますので、その場合には切り離して考えることもあり得る。原則は第一次意見に添付して出すとして、そちらが余りにも遅れる場合には別で出すこともあり得るというふうにして出す時期を考えていきましょう。

それから、出す相手については、関口委員がおっしゃったように、まず、我々の会議体の親組織である本部長に出すのが筋だろう。ここをメインにして出し、写しを立法府にどう配るかはまた別に考えればいいんではないかということでよろしゅうございますか。そういうまとめで特に異存がなければ、そうさせていただきますが、よろしいですか。

(「はい」と声あり)

藤井議長代理 では、そのようにさせていただきます。

では、今日の本題に戻りまして、これから60分間は「はじめに」という部分です。それから、総論の部分です。総論というのは、IIの1~3です。

まず最初に、それを通して、東室長より改めて、この第一次意見とりまとめの基本視点についてお話をいただきます。

東室長 東です。

今日は、第一次意見を仕上げることが最大の目的であります。前回もお話ししましたように、第一次意見は今後の制度改革へ向けたロードマップの大枠を示すというものですので、必ずしも細かい点について意見を上げるという趣旨ではないことをお分かり願いたいと思っております。ですので、今日の議論においても、大きな方向性についての議論ということでお願いしたいと思います。

ここで、これまでのとりまとめに当たって、担当室として考えてきた指針というものを若干述べさせていただきたいと思います。

まず、とりまとめの経緯ですけれども、第一次意見のとりまとめとして、これまで第12回、5月24日と、第13回、5月31日の2期日を当ててきました。第一次意見の素案というものを最初に出しましたが、これにつきましては、事前に書面をいただいた上で、第12回の5月24日に御議論いただきました。その日の御議論では言い尽くせなかった分については、更に書面を出していただいております。

これらを踏まえて、担当室としては、第一次意見素案の2というものをまとめております。これにつきましても事前に意見書をいただいた上で、第13回の5月31日に反映し切れなかった部分について御議論いただいて、その際の提案を文書でいただくことになりました。

また「I はじめに」という部分につきましては、5人だったと思いますけれども、起草チームを中心として「I はじめに」について御意見をいただいた委員との調整も含めて、13のバージョンに至るまでの御議論をいただいてまとめたものを前回の推進会議に提出していただいている。こういう経緯を受けて、今回の第一次意見案ができております。このようなとりまとめの過程で担当室が念頭に置いていた点を少し述べたいと思います。

第1点は、まとめの対象は、既に一定の議論を経たものをまとめるわけですから、一応、議論としては出ていても、議論が薄かった部分、もしくは議論に出ていない部分、もしくはまとめの段階になって新しく出された論点、そういうものにつきましては、今回に反映させることは困難かなと思っております。

第2点目としては、総論として、すべての障害者に関係する事項について述べている部分につきましては、なるべく個別事例は述べないことを心がけました。どうしても書く必要がある場合には、他の事項とのバランスを考慮する必要があるかなと考えております。この点は、障害者の権利条約の作成過程でも同じように問題になりました。個別の事情に触れれば触れるほど、そこに書いていない部分を排除してしまう危険も当然、一面で出てくるわけです。ですので、書きようによっては、新たな制度の谷間を生む原因にもなる。そういうことも考えまして、総論ないしは各論の中でも柱書きの部分、各論の総論に当たる部分などにおいては、余り細かく特定の事例だけを書くということは避けたいと考えております。

第3の点は、意見を出す時期との関係ですけれども、会議の場で意見を述べる機会がなかった場合は別なんですが、述べる機会があったにもかかわらず、その場では述べずに、後になって、しかも提出期限を過ぎて意見書を出される場合が結構あります。しかしながら、会議というものは、そのときどきの議論を前提に次の議論に進んでいくという関係にあります。ですので、その場で出せたにもかかわらず、後から出された意見というのは、それまでの議論に大きな影響を及ぼすことにもなるわけです。特にとりまとめの時期になってハードなスケジュールではあったわけですが、一定の発言の機会がありながら、しかも会議でも異議がなかった提出期限は守っていただかないと、期限を守った委員とか、期限を過ぎてしまったので出さないと考えられた委員との公平性といいますか、そういう点でも問題になると思いますので、できる限り提出期限を守っていただきたい。もし無理であれば、いついつまでにと言われたときに、それは非常に困難なことだから、もう少し延ばしてくれとか、その場で期限を決めるというやり方でやっていただきたいと思っています。これは担当室の考えで、皆さんがどういうふうに考えられるのかは御自由だと思いますが、審議会のような会議では、どこでも大体共通したものだと思うんです。そういう意味で、こういう点は皆様の御理解を得て、共通の認識にしていければなと願っているところです。

それと、ついでと申しては何ですが、今後の方向性ですけれども、これまで議論を重ねてきた中で、この議論は足りなかったなとか、この議論は共通の大きな問題だから別個に立てねばならないという点も何点かあったかなと思っております。ですので、そういう点を今後議論していく必要性があると思います。それとともに、第一次意見によるロードマップというものが閣議決定されれば、それを足掛かりにして、今後、各省の検討状況を推進会議においてヒアリングするとか、そういう形で進めることが1つ必要だと考えております。

次に、夏場辺りなんですが、これはまだ私の個人的な案ぐらいの段階でしかないんですが、できれば地方公聴会というものをやっていきたいと考えているところです。形式として、内閣府が主催するか、もしくは逆に地方の実行委員会みたいなものを立ち上げていただいて、そこに推進会議から出向くか、いろんなパターンがあるかと思いますが、全国で一定の数、そういうものをやっていければなと思っているところです。

今日のまとめに当たっての視点と、今後の方向性について述べさせていただきました。ありがとうございます。

藤井議長代理 これはこれで、大きくはよろしいですね。では、このことを踏まえていきながら、早速、第1コーナーの前半になりますけれども、「I はじめに」に関して時間を取って論議をしたいと思っています。20分程度時間を使って、これが終わりますと、この後に今度は総論と称して、先ほど言ったように、II、IIIの1~3。IIIの4の個別分野は後半の第2コーナー、第3コーナーでやりますので、ここでは「I はじめに」の部分です。引き続き東室長から「I はじめに」に関してコメントをお願いします。

東室長 前回提出した「I はじめに」の部分は、先ほど申しましたように、起草チームの方が非常に御苦労なさって、短時間のうちに集中的な議論と、ほかの委員の皆様から声を聞くという形で出来上がったものですが、これについて、期限を過ぎた形ではありますが、御意見が挙がっている部分もあります。それを踏まえて御議論いただければと思っているところです。

藤井議長代理 それでは、「I はじめに」に関して、あらかじめ各構成員の委員の意見を伺っていますと、前回の中でもありましたけれども、IVの、要は歴史的な経緯とも若干関係しますので、この扱いも含めて「I はじめに」の「序」という部分と、2の国際動向等の関係、IVの歴史の記述と併せて、このコーナーは論議していこうと思います。

まず、このコーナーで発言をしたい方、挙手してくれますか。あとはよろしいですか。

では、竹下委員、お願いします。

竹下委員 うるさい人間が、5月は全く来れなくて済みませんでした。日本にもいなかったので、日本が静かになっていたんですけれども。

内容的に、異論ではありません。表現のところで、もし皆さんの御意見が既にあったんであれば、私の方は撤回しますが、すべて「障害者」という表記になっているわけですが、それを「障害のある人」という表示にするかどうかについての御議論があったのであれば、この報告書で「障害者」という表現で確定させるのかということについて、少し疑問があったのでお伺いします。

以上です。

藤井議長代理 これに関しては、東さんから発言を求められていますので、どうぞ。

東室長 東です。

結論的に言えば、議論はありませんでした。しかしながら、担当室として「障害者」という表記に統一したのは、制度改革に当たって、法律上「障害者」という表記がなされておるということが前提であります。それと「しょうがい」の表記については、これまで何度か議論してまいりましたけれども、統一的にこれを変えろというところまでは至っていない。さまざまな意見があって、それぞれ尊重すべきところがあるということで、現状としては「障害者」という表記で、この文書ではやるべきかということで、担当室としてはそういう形にしております。

以上です。

藤井議長代理 どうぞ。

竹下委員 余り強くこだわりませんが、私は今後、表記の仕方を議論をしていく布石というんでしょうか、動機づけというんでしょうか、国民へのスタートの時点における働きかけという意味合いからも、「障害のある人」という表現は、この会議体で異論の出ないところとして統一できるんであれば、そういう用語は大きな意味を持つんではないでしょうか。

以上です。

藤井議長代理 今、竹下委員から呼びかけがありました。今言った理由から大きな意味を持つという点から、皆さん、いかがですかということですが、これに関して、どうでしょうか。なければ、今の意見を含めて、東さんの方で少し検討していただくことになりますか。

今のことに関係してですか。どうぞ。

清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。

その先の12ページに「2.基礎的な課題における改革の方向性」の「7)障害の表記」という項目があります。この個所では「がい」の文字の表記が中心に整理をされたと思うんですけれども、今、竹下委員がおっしゃいましたように「障害者」の「害」を平仮名にするとか、「碍」にするとか、現状維持でいいとかという以外に、「障害のある人」というような表記の仕方もあり得るので、この「2.基礎的な課題における改革の方向性」の中に、漢字表記以外の議論について、今後も検討する余地を残すというような整理の仕方をするのも1つの方法かなと思いまして、反映の方法について気づきましたので発言をさせていただきました。

以上です。

藤井議長代理 ほかに、これに関して意見ありますか。

ちなみに、竹下委員、今の清原委員の「7)障害の表記」のところで併せて「障害者」を「障害のある人」を含めて検討していくという点ではいかがですか。

竹下委員 それでも私は構いません。特にこだわりませんので、このままで行って、清原委員のおっしゃるように、その部分に一言加えておけば、現時点では、議論のまさに第一次案ですから、それでも事足りるのかもしれませんので、私はそれには賛成してもよいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 では、これは第1コーナーの後半となっていましたけれども、ここでの議論を含めるとしておきましょう。

ほかに「I はじめに」の点で、発言者、いかがですか。

久松委員。

久松委員 ろうあ連盟の久松です。

起草チームの皆さん、これをとりまとめていただいた御努力に、改めてお礼を申し上げます。大変お疲れなことだったと思います。

まず、この第一次意見案に載せる障害者施策の歴史のことについて、私も思うところがあるのですが、今後続けて第二次意見をつくる際に、それぞれ障害者施策についてのテーマを設けて議論をしていくと思います。また、いろいろな法改正の成果や、障害者の差別に関しての要項を撤廃してきたという過去の歴史、運動の力で撤廃をしてきたこと、また、民法に関すること、刑法に関すること、さまざまな法改正があったと思います。その話も含めて、今後、第二次意見書に盛り込むという方向が見られるのであれば、今回はこのシンプルな内容、骨子、レベルでまとめることについては問題はないととらえたいと思います。いかがでしょうか。

藤井議長代理 これに関しての御意見、歴史の評価にもかかわってくることもあったということだと思うんですが、第二次意見で更に深めるという前提であれば、ここに書いてあることはこれでいいんではないかということですが、いかがでしょうか。

大谷委員。

大谷委員 大谷です。

とりまとめに参加した者として若干経緯を説明させていただきたいと思います。確かに提案された第一次案には、骨子という形で、詳細なところはなかなか盛り込まれていない。特に、いろいろな運動があったと思うんです。運動の成果によっていろいろ変わってきたというプラスの点もあったと思いますが、そのことに関してはほとんど触れられていないというような不満も、いろいろ意見もありました。ただし、今回、とにかく第一次案を出すということは、今、これが必要である、不可欠であるということをとりまとめるために最低限必要な事実、そして、最低限争いのない事実ということでまとめた方が良いということで、運動に関しては、ある意味、意識的に載せないということにしました。その点、もしこれから第二次案をとりまとめていくときには、今度は逆に、当事者運動がこれだけ頑張って、こういう成果を与えた、もしくはここが不十分であったというような、ある種、総括的な文章をまとめることができるならば、是非それはやった方がいいと思います。

ただし、かなり時間がかかると思いますので、12月の末に第二次案を出すということであるならば、8月からすぐ、第二次案をまとめるに当たって、例えば、戦後の当事者運動の成果及びその不十分性とかいうことも含めてとりまとめていった方がいいのではないかと思います。私も、そういった形でやる分には、是非やりたいなと思っていましたので。以上、補足的に言わせていただきました。

藤井議長代理 これは原案を支持するという考えですね。

大谷委員 勿論、原案をとりまとめた者として、不十分だったところも含めて自覚しておりますので、その点をと。

藤井議長代理 わかりました。

では、関口委員。

関口委員 大谷さんが大体おっしゃってくださったんですけれども、もし本当に第二次案でもって、歴史評価を含めて、あるいは運動の評価を含めてやるんだったら、早いうちに起草委員を、もう今からつくってやらないと、これはものすごい議論が予想されます。とてもそんな議論をしている暇はなかったので、なるべく価値中立的に行きましょうということで、何とかとりまとめが済んだものですので、そこのところは御容赦ください。

藤井議長代理 堂本委員。

堂本委員 言語表現なんですけれども、ちょっと抵抗があるのは、2番目のパラグラフの下から5行目に「障害者に一般市民以下の生活と無権利状態をもたらしている」と書いてあるんですけれども、この「無権利状態」はもうちょっと砕けた言葉で表現した方がいいんではないかと思います。例えば「権利が十分に守られていない状態」とか。日本語としてどうなのかなという疑問を持ったもので発言しました。

以上です。

藤井議長代理 ほかに御発言はありますか。なければ、併せて、東さん、この部分のコメントございますか。

東室長 今、堂本委員がおっしゃった点につきましては、個人的に確認させていただいて、皆さん、変えるということでようございますか。であればやりますけれども。

それと、今後のことですが、関口さんがおっしゃったとおり、本格的にまとめるとなるといろんな議論が必要だと思います。時間も十分要ると思いますので、それについては今後の課題として、必要であれば早急にそういうものを立ち上げることを検討したいと思っております。

藤井議長代理 議長代理ですが、この会議体が何か主目的なのかということを考えた場合、歴史をやれば、多分、切りがないと思うんです。その評価と価値観というのは私は多様だと思うんです。ですから、それはほどほどにやらないといけないし、本来の目的をちゃんと押さえるということで、エネルギーをどこに配分するのかを考えていこうではありませんか。

では、およそそういうことで、原案については少し条件がつきましたけれども、今後への課題を残していきながら、この原案で行きましょうということでよろしいですか。

(「はい」と声あり)

藤井議長代理 では、続きまして、総論になります。「II 障害者制度改革の基本的考え方」と「III 障害者制度改革の基本的方向と今後の進め方」の個別分野を省いた分を総論と言っていますが、これに関して、東室長より冒頭にコメントをお願いします。

東室長 資料2をお開けください。これをベースに御説明をしたいと思います。前回いただいた意見で、これに加えた部分についてはアンダーラインがついておりますので、加えた部分についての説明はいいかなと思います。むしろ御意見いただきながら、つけていない部分について御説明していきたいと思いますが、それでようございましょうか。

(「はい」と声あり)

東室長 まず、9ページをお開けください。「4.『地域生活』を可能とするための支援」というところです。ルビつき版では10ページになります。これにつきまして、大濱委員から、例えば「必要に応じて1日24時間以上のホームヘルプ等の介護制度を受けられることも含み、それに具体的な財政措置とか、国の強い関与を講じる」というような文言を加えていただきたいという提案が挙がっておりますけれども、これにつきましては「II 障害者制度改革の基本的考え方」という中に置かれておりまして、一応、包括的な考え方を示すという場所なんです。ですので、1日24時間のホームヘルプ介護制度というような特定の例示を示すことは必ずしも適切ではないと考えております。では、ほかのサービス類型はどうなるのかという問題もありますので、包括的な、基本的な考え方の部分については、個別分野の例示、それは重要でないということでは決してないんですが、包括的な形で書いた方が妥当だろう、個別課題は、特に総合福祉法の中で議論をお願いできればと思っているところです。

それと、財政的措置につきましては、IIIの「2.基礎的な課題における改革の方向性」の中で一応、財政措置については書いておりますので、そこで記述しておけば、ほかの場面でもすべて財政措置は問題になりますので、ここだけ書くというのもバランスが崩れるというところからいって、「2.基礎的な課題における改革の方向性」で記述しているから、それでいいのではないかと考えております。

それと、同じ「4.『地域生活』を可能とするための支援」のところで、清原委員から追加が挙がっております。「地域の障害者の実情に応じて、適切で柔軟な対応ができるとともに」という文言を加えてほしいということなんです。ただ、清原委員の御趣旨に反して、読み方によっては、例えば、この地方は障害者が多過ぎるからという、地域の障害者の実情をそこだけを考慮してしまうと、むしろ地域間格差が広がるみたいな、そんなふうに読めなくもないんです。だから、言葉だけがひとり歩きした場合のことを考えると、ちょっとまずいかなという感じがしましたので、申し訳ないんですが、反映させておりません。

次に、新谷委員から、これは前回も発言があったところなんですが、新谷委員がおっしゃることは本当によくわかるつもりでおりますけれども、「WHO等の規格の国際比較」という文言をつけ加えた場合に、では、WHOの国際規格が何を意味しているのかという点で、これだけの文言では特定できないようにも思います。逆に聴覚障害のデシベルの基準だと限定してしまうと、ほかの障害についてはどうなるのかという問題が出てきます。ですので、いろいろ検討はしてみたんですが、障害の定義を個別化する前の包括的な考え方ですので、個別の具体的な基準についてだけ特出しすることは避けた方がいいだろう。むしろ総合福祉部会等の検討を通じてやっていただければと考えたところです。

次に、佐藤委員から「7)障害の表記」に関してですが、12ページ、ルビつきだと13ページになります。これについて、原文を生かしながら、かなり詳細に追加の提案がなされております。これまでの議論を詳しく書かれたという意味で、佐藤委員の意見は非常に正確ではあるんですが、まだ議論が足りない部分もあるかなという感じもします。ですので、これで終わりというわけでは決してないので、現段階としては、これまでの議論の紹介としては、この程度でいいのかなと思っているところです。

次に、関口委員から「2)『障害者を理由とする差別の禁止法』(仮称)等の制定」、ページで言いますと13ページ、ルビつきで15ページですが、これに関しまして、前回、民法の親族のところの規定ですか、差別的な規定があるという問題提起がありまして、これらについても法律改正が必要なものは明言すべきだということが言われました。これについて議論があったかと思いますが、全員の討議の対象とした議論という形では、それについてはなされていないと思います。ですので、そこに書いております「なお、差別禁止の検討に併せて、障害者制度改革の推進に必要な他の関係法律を一括して整備するための法案の検討も行うものとする。」という中に含めて、そういう問題も今後考えていければということで、現段階では民法については明記しないということで考えております。

次に、大濱委員から「3)『障害者総合福祉法』(仮称)の制定」に関連しまして、ページ数で行きますと14ページ、ルビつきで言うと16ページですが、ここでも同じように「1日24時間以上のホームヘルパー等の介助制度を初めとする国内全市町村での」云々という言葉とか、その他、詳細な提案がなされているわけです。しかしながら、ここでは横断的な課題についての改革の基本的な方向を述べることが趣旨なわけですので、他の項目とのバランス上、具体的な数値などは控え、他方、一応「24時間介護」という言葉自体は入っておりますので、それが何を意味するかというのは大体、皆さんおわかりになっていただけると思うんです。ですので、それ以上の詳細な文案につきましては、今後の総合福祉部会の議論を通じてとりまとめていただきたいと考えております。

総論に関しましては以上のとおりです。

藤井議長代理 あらかじめ各委員から出ていた意見への対応に関するコメントを含めて述べられましたが、まず、総論に関して発言をしておきたいという方は挙手をしていただけますか。佐藤委員、中西委員、竹下委員、大濱委員の順番で行きます。また後で受け付けますのでね。

では、佐藤委員からお願いします。

佐藤委員 日本社会事業大学の佐藤久夫です。

12ページの「7)障害の表記」のところなんですけれども、3月19日だったでしょうか、推進会議でこの点について議論して「障害」という表記を変えるかどうかということについても合意には至らなかった。まして、変える場合に「障碍」にすることの一致は得られなかったということで、「障害」の表記については引き続き検討しましょうということで、東室長が言われたとおりだと思うんです。

ただ、3月19日の討議の後で、東室長が、「障害」の表記についての一致はなかったけれども、「碍」という言葉を使いたいという人がいるので、表現の自由を保障するという点から言っても、使えるようにしたらいいのではないかという発言をされたと思うんです。なぜそのことがここに書き込まれないんでしょうか。なぜそういうことが困難だということになったのか、その辺がはっきりわからないと、これから第二次意見に向けてどういう検討が必要なのかということも出てこないので、御説明をいただければと思います。

藤井議長代理 この件に関しては、文化審議会国語小委員会の日程等との関係も含めて、東さんからコメントをお願いします。

東室長 どう表現するかについては自由であるということは私の方から申し上げたとおりです。それにつきまして、そういう議論を否定するような形で書いているつもりは全くなくて、そういうことも含めて、国語審議会等に意見を出すなら出すで、これから、もう少しそういうことを前提にした議論した方がいいんではないかという段階だと認識しているわけです。ですから、さまざまな見解の中身をもう少し詳しく書いた方がいいという御提案なんでしょうか。どう表現するかについては、それぞれの団体に任せるべきとか、そういう意見の中身をもう少し詳しく出した方がいいということですか。

佐藤委員 いえ、東さんが言われたように、「障碍」という表現を使いたいという障害当事者や、佐賀県知事を初めとする地方自治体の関係者などがいるので、使えるように「碍」を常用漢字化することを要望したいと、そういう表現でいいと思うんです。

なお、法律制度上の「障害」の表記はどうあるべきかについては引き続き検討すると、そういうことでいいんだろうと思うんです。

ちょっとつけ加えますと、文化審議会の方では、法律制度の用語を「障碍」にするということであれば、我々文化審議会としても「碍」を常用漢字化しましょうと、政府が法律用語として使う必要があると言っているにもかかわらず、文化審議会の方で常用漢字にしないなどいうことはあり得ないわけですので、そういう場合には常用漢字化しましょうと、そういうのが文化審議会のスタンスだと思うんです。

ということは、法律上の用語を変えない限り、「碍」だけを特に常用漢字化するという、政策と離れたところでの常用漢字化はしたくないというのが文化審議会の意向のようですので、政府の方だけに目を向けているといえます。これはおかしいのではないか。地方自治体でも、それから、障害当事者でも「碍」を使いたいという人たちがいるので、そういう国民のニーズにも文化審議会はきちんと目を向けていただきたいです。「賄賂」の「賂」などは常用漢字化しなくても平仮名でいいんだろうと思うんです。196の常用漢字化を今日にでも答申する予定だと聞いていますけれども、あるいは「みだら」という意味をあらわす「淫」などを常用漢字化するのであれば、「碍」の方が、障害者のことを考えれば、もっと大事な常用漢字化の候補ではないのか。政府が決めるんだったらやりますよというスタンスもわからないではないんですけれども、常用漢字というのは余り増やせないわけですので、文化審議会がハードルを高くするという気持ちもわかるんですけれども、しかし、国民の中で使いたいという人がいて、推進会議の中でも東室長の3月19日のまとめで全く異論がないという、全員一致しているわけですので、この「碍」だけを切り離して、「障害」の表記そのものとは切り離して常用漢字化することで御検討いただければと思います。

藤井議長代理 それでは、東さん。

東室長 自分たちをどう表記するかについては自由だということで、その点は意見が一致したと思います。ただ、それをどういう形で国語審議会に意見を述べるのか、どういう文書をつくるのか、そこまでは議論していないんです。そして、国語審議会がどういう場合には認めるのか、認めないのか、その点のきちっとした議論もここでは御紹介されていないと思います。ですので、その点については、もう少しそれをメインにしたような形で議論をすべきではないのかというところが今、考えているところなんです。だから、これを議論しないということでは決してなくて、しかも緊急にしなければ間に合わないという状況ではないと伺っております。そもそも、制度改革推進本部から、この推進会議に諮問されているのは、法律の表記としてどういうものにすべきかということなんです。だから、その問いに答えるという意味では、現在のところ、これぐらいかなということで考えているわけですが、ちょっと待ってください。

藤井議長代理 事務局から何か発言ございますか。

事務局 統括官の松田でございます。

今、東室長から話がございましたように、閣議決定で本部に求められているのは法令上の「碍」の字の表記について検討し、結論を出すということでございます。これまで3月に基礎資料、5月に意識調査の結果等を会議の場で御説明し、それから、佐藤先生から意見書が出ておりますけれども、それの紹介であって、推進会議でそれ以上どうするかという議論はなされていないと承知をいたしておりまして、法令上の表記としてどうするかということであれば、今回は国語審の答申にかかわらず、別途推進会議の意見を踏まえて対処するということでございますので、今回、こういう全体の制度改革の進め方を先行して議論していくに当たりまして、「碍」の字につきましては議論がまだ中途にあるという判断で、引き続き審議という形で整理をさせていただこうと、これが担当室の見解ではないかと考えます。

以上でございます。

藤井議長代理 確認しておきたいんですが、日程上、佐藤久夫委員から、今日にも明日にもということがあったんですが、この文化審議会漢字小委員会での議論は、今、伺っていますと、これに関しては、いわば特例的に、こちらの推進会議の意向を待っても構わないということなんですが、日程上は、そうしますと、必ずしも今日、明日という一般論での日程でなくてもいいという解釈でいいんですか、松田統括官。

事務局 答申は出ますけれども、「碍」の字につきましては、推進会議の結論を得て別途対応することもちゃんと考えているということですので、文化審議会が6月に出る云々にかかわらず、推進会議の審議スケジュールの中で判断することは構わないと、向こうは言っておりませんが、そういうことは可能だと考えております。

藤井議長代理 では、それらを併せて、佐藤久夫委員、いかがでしょうか。

佐藤委員 文化審議会の方ではリミットは設けていません、推進会議で「障碍」を使うことになりましたという報告が出てくれば、その時点で追加の常用漢字化を図りましょうというスタンスだと思うんです。それはそれなりの文化審議会のスタンスだろうと思うんですけれども、この推進会議で「障碍」を「障害」に代わる表記として採用するかどうかの議論をするに当たって、「障碍」という言葉が地方自治体や、いろんな関係者が現状では自由に使えない状況になっていることが問題なわけです。

選択の自由、表現の自由を保障して、地方自治体もこれを使おう、あれを使おうということの中の候補の1つとして「障碍」を使えるようにして、これからどういう言葉が人気があるのか、特に障害を持った人が使ってほしいという言葉は何なのかということの普及や理解の広がりを見た上でないと、この推進会議として継続的に検討すると言っても、手足を縛られた状況の中で検討しても結論は出ないだろうと思うんです。ですから、そのために、文化審議会はちょっとハードルを下げていただいて、法律上の用語として「障碍」を使うことは決まっていないけれども、「碍」の常用漢字化を図っていただきたいというのが私の願いですので、「障碍」の表記の継続的な検討をするということだけでは不十分だと考えているところです。

しかし、これだけいろいろ議論しましたので、あとは文化審議会がハードルを下げていただくということしかないのかなとも思っているんですけれども、鳩山総理が「障がい」という平仮名でこの本部を立ち上げたと、それだけ大胆にやっていこうよと、今までの伝統にとらわれるんでなくて、新しい発想で制度を改革していこうということで発足したはずなのに、「碍」という常用漢字化1つがいろんなしがらみがあって実現できないということになると、この推進会議というのは一体何なのかなという、非常に無力感にとらわれてしまうんですけれども、何とかならないものかなと思います。余計なことまで言いました。

藤井議長代理 それでは、少し枠を広げて、ほかの方の意見も聞きましょう。

関口委員。

関口委員 病者集団の関口です。

私のところにも「障害」の表記についてのお手紙とか、いろいろ来るんですけれども、少なくとも病者集団の運営委員の会議の中で「碍」を使おうと言っている人は1人もいません。佐藤委員の以前の発言だったと思うんですけれども、「碍」を認めるのであれば、差し障りのある「障害」の「障」の字も変えることを考えていいんではないかという話を聞いたと思うんです。つまり、もし諮問されているのが法律上の表記の「障害」を「障碍」に変えるということであるならば、それは逆に使いたくない人の自由を奪います。法令でもって決まってしまえば、それを使わざるを得ないので、そこのところは慎重に、むしろ新しい言葉をつくり出すぐらいの気持ちでやっていった方がいいんではないかと思います。単に表記の諮問を求められているというよりは、本質的なところにかかわってくると思います。例えば、僕ら病者集団の中では「被障害」、つまり障害を被ると表記したらどうかという案も出ております。その辺のことは、単に「障碍」から「碍」の字だけを切り離して常用漢字に入れればいいんだという話では全然ない。「障碍」という表記にかかわって碍の字の常用漢字化が問題になっているんだという背景を忘れない方がいいと思います。

藤井議長代理 ほかに。

新谷委員。

新谷委員 新谷です。

「障害」の表記の問題以外でもいいんですね。

藤井議長代理 いえ、「障害」の表記のことで、この時間、コーナー限っていった方がいいと思うんで、待っていただけますか。

では、福島委員、手が挙がっていました。

福島オブザーバー 「障害」の表記について、このことにばかり時間を使うのもどうかと思いますが、余りにもここでエネルギーが使われているので、一言だけ。基本的に、本質的な議論ではないと思っています。ただ、その一方で、本質的な議論ではないのだけれども、本質的なことであるように思われる図式が危険だと思っています。

私は今回、医学モデルと社会モデルの用語の解説というか、「注記」を担当したんですけれども、その関係で言えば、今の「障害」の表記はだめだという意見は、言ってみれば医学モデルだと思っています。つまり、人間の心身の機能とか構造において何がしかの損傷がある状態がイコール障害だと考えていれば、つまり、人間と障害がいわばひっついてしまっているととらえていれば、この「障害」という今の表記がけしからんという発想になるんですけれども、障害が社会的なものであって、人間の外側にある問題なんだと考えれば、それがすごく問題だということを示す意味で、今の「障害」という字を使っても、むしろそちらの方が問題があることがはっきりする点で意味があるんです。

平仮名にしてしまったり、ほかの表記にしてしまって、あたかも何も問題がないかのようにしてしまうことはむしろ危険な可能性がある。例えば、竹下さんが言われた「障害のある人」はいいですし、関口さんがおっしゃった「被障害者」というのも意味としてはすごくよいと思いますけれども、平仮名にしたり、ほかの表現にしたり、あるいは片仮名語を持ってきて「チャレンジド」などと言えばいいんではないかというのはナンセンスな話であって、障害者が抱えている問題は本来障害者の外側にある、つまり、社会と人間との間にある。そこに問題が厳然としてあるにもかかわらず、あたかも何もないかのように、口当たりのよい、あるいは耳に快い表現に変えていくというのは非常に危険な動きである。例えば「被障害者」のように、社会モデル的に表現を変えていくという工夫をするんであればいいですが、そうでないんであれば、今のままか、せいぜい「障害のある人」とするのが妥当だろうと私は思っています。少なくともこういう意見を持っている人間も1人はいるということをここで表明します。

藤井議長代理 時間がないので、私としては、もしこの問題で本質があるとすれば、今、福島さんがおっしゃったことに加えて、この推進会議は、勿論、諮問されている分野があることは言うまでもありません。しかし、佐藤委員がおっしゃるように、対国民に関しても、いろんな面で注意を払ったり、あるいは手直しを加えたりということもあってもいいと思うんです。ですから、今後とも「碍」の字の表記に限らず、推進会議は大きくは諮問事項にあるんだけれども、やはりそれを超えた論議も重要案件にあってはあってもいいんではないか。こんなことで、今後、第二次に向かって、また、漢字小委員会については、日程を超えて間に合うということもありますので、佐藤委員、不本意かもしれませんけれども、第一次意見では、今のような議論が議事録に残りますので、第二次意見に進むということでよろしゅうございますか。

佐藤委員 はい。

藤井議長代理 では、次のことで、新谷委員。

新谷委員 2点あります。

1点目は、先ほど東さんから御説明のあったWHOの規定云々のところですけれども、身体障害者福祉法の別表の規定は1949年につくられてから、ずっと変わっていないのです。沿革を尋ねていくと、それは昭和の初期の工場法か何かで決めた規定がそのまま続いていると聞いています。その間に世界的な医学の進歩があって、規定を直しているのに、そのままの規定がずっと残っているということがあるわけです。

私は別に聴覚障害のデシベルを書いてくれと言うんではなくて、世界的な医学的な進歩をきちっと踏まえて日本の身体障害者福祉法もタイミングを見て改めていくというアプローチがあっていいんではないかと思うんです。このままそういう規定を外しますと、何もそういうきっかけがないので、総合福祉法部会でそういうことに非常に関心のおありの方がどんどん意見を言って、それで世界比較と国際比較と日本の落差ということを常に念頭に置いて議論をいただけるんでしたら、お任せしても安心だと思うんですけれども、そういう手がかりが全然この文書に残らないと、どういうことが起こるのかという心配があります。それで、そういう規定を盛り込んだら、本当に東室長が御心配なさるような他の問題とのバランスを逸することになるのかというのは、私はどうもそうは思えないんですけれども、その辺のお考えを伺いたいのが1つです。

それから、12ページの「8)実態調査」は新しく加わって、非常にありがたかったと思うんですけれども、「障害者にかかわる制度設計は、障害者及びその家族の実態に基づいて行うことが求められる。」と、ここまでは当たり前なので、「したがって、障害者及びその家族の実態調査を速やかに、かつ定期的に実施すべきである」とか、はっきりとした要望を出さないと、ここはまずいところではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

藤井議長代理 関係ですか。では、私は先ほど、中西さん、竹下さん、大濱さんという順番を言ったんですが、後で戻しますので、今、関係してということでありますので、竹下委員から行きましょう。

竹下委員 3つあるんですけれども、今の新谷さんの意見との絡みで、私は結論は現在のIIIの2の3)でいいと思うんです。結論から言いますと、それは確かに新谷さんの御指摘する古い定義なんです。例えば、視覚障害で言えば、何で視覚障害が矯正で0.3で、肉眼で両方の和が0.1とか0.6なのか、何の根拠もないです。現に、アメリカの障害者の定義を見ていると、視力が0.6以下なんです。そういう議論をここに持ち込むこと自身が、私は、時間的な面、あるいは現在、社会的なモデルの視点からも議論を続けていこうとしていることからすれば、現時点では、この定義で行くべきではないかと思っています。

あとの点は、発言は後に回します。この関連では以上です。

藤井議長代理 新谷さん、竹下委員の今の話はどうですか。

新谷委員 私は、国際比較をして基準の見直しを図ってほしいという意味合いなんです。済みません。字幕がちょっとおかしいんで、国際規格の基準の見直しを求めたいんではなくて、日本の規格と国際規格との落差を検討して、しかるべき日本の基準を立ててほしいという意味です。

藤井議長代理 これに関して、関口さんですか。

関口委員 新谷さんのおっしゃられている懸念も非常によくわかりますので、「国際機関並びに各国の状況を勘案して見直すべきである。」という一文を入れるということはどうなんでしょう。それ自体はいけないことではないと思います。

藤井議長代理 東さん。

東室長 中途半端でなくて、漠としたるものなら漠としたるもので、例えば「国際基準を踏まえ」とか、抽象過ぎるなら抽象過ぎる方がいいと思います。中途半端に、例えば、ICFとかICIDHとか、特定の名称を入れるよりも、その中に含まれ得るわけですから、「国際水準を踏まえ」とかいう言葉であれば。そういう形ならどうでしょうか、竹下委員、新谷委員。

藤井議長代理 新谷さん、どうですか。少し一般化して入れるという妥協案です。

新谷委員 今の東さんの御提案で了解です。よろしくお願いします。

藤井議長代理 では、おさまりました。

竹下さん、あと2つ待ってください。順番に行きます。中西さん、竹下さん、大濱さんで行きます。

中西さん。

中西委員 中西由起子です。

時間がないので、結論だけ。9ページ「II 障害者制度改革の基本的考え方」の「5.『共生社会』の実現」です。前回、「共生社会」という用語を変えてほしいという要望は却下されたのですが、それは、時間的に最後の段階で、この概念について疑問を出したので、しようがないかと思いました。それと、またよく考えましたら、ここは内閣府政策担当の共生社会政策と結びついていて、抵抗しても無駄かなとも思ったのですが。

それとは別の話として、やはり共生社会という概念自体が、昔、障害者差別に反するものとして統合、インテグレーションが言われていていましたが、その後が十把一絡げに障害者を普通の社会に入れる統合の考え方ではなくて、インクルージョンでは権利を認めてきちんとサービスを実施ので統合よりいいという提案があり、その時代の統合の概念を思い出させるのが共生です。私の個人的考えに共感してくださる方もいらっしゃって、今後の討議の際には、これを是非また再考することを提案として発言したいと思いました。

以上です。

藤井議長代理 これは今後の要望ということで承りましょう。いいですね、中西さん。

中西委員 はい、結構です。

藤井議長代理 では、竹下委員。

竹下委員 簡潔にします。まず、第1点目は、IIの2と、IIIの2の「4)差別の定義」の部分です。ここに合理的配慮は指摘しているわけですけれども、気になるのは、区別ということに触れられていないのはこれでいいのかという疑問であります。すなわち権利条約2条では、区別も差別であることを明確に規定しているわけでありまして、そのことは歴史的に見ても、黒人差別から問題になったアメリカにおいても、イコール・バット・セパレートをやめようという流れからしても、区別も差別であることを、IIの2、またはIIIの2の4)で触れておく必要はないのかというのが1点目です。

それから、2点目、IIIの2の「5)言語・コミュニケーションの保障」というところで、この内容そのものには異論があるわけではありませんが、1つだけ「点字」という言葉が抜けていることが気になります。すなわち、言語としての点字とは言いませんが、コミュニケーションとしての点字というのは極めて本質的でありまして、指点字は入っているんですが、点字が入っていないんです。したがって、この部分で「点字」という言葉が、表現上は「手話通訳、筆記、点字・指点字」なのか、それとも「コミュニケーションの手段を」の前に「点字等」が入るのか、何かしておかないと、私の方としては少し不十分かなということです。

以上です。

藤井議長代理 竹下さんがおっしゃった第2条の差別の定義のあらゆる区別、制限も割に入っていますが、竹下さん、制限はいいんですか。区別、制限、排除と権利条約に入っています。

竹下委員 そうですね。勿論、全部入れたらそのとおりなんですけれども。

藤井議長代理 では、併せて東さんから2つ目のコメントをいただきます。

東室長 東です。

まず、差別の定義で「区別」という言葉が入っていないがということですが、区別だけではなくて、区別、制限、排除、そこら辺も含めて「社会の異なる取扱」という言葉で入れたつもりなんですが、しかしながら、すべての異なる取扱いが差別ではないという佐藤委員の意見もありまして、ここでは「障害者に対する社会の異なる取扱は、個人の障害に起因するものとして、平等な社会参加を困難にするものであっても、これを差別であるとは認識してこなかった。」というふうに、一応、変更しております。趣旨として、この中にあらゆる区別も、要するに、佐藤先生がおっしゃりたいのは不利益処分ということだろうと思うんですが、その趣旨も両方とも入っているんではないかと考えております。

それと、点字につきましては、個別化していくと、やはりこういうミスが起こるんです。だから、これで点字を入れなければ、点字が入らないのかという話になるわけです。しかし、ここでは明らかにミスですので、入れることにしましょう。

藤井議長代理 では、1点目の件は、竹下さん、いいですか。

竹下委員 はい、結構です。

藤井議長代理 では、大濱委員。

大濱委員 先ほどから「個別化」とか「障害横断」で意見書への反映の基準とする説明でしたが、私どもの出した9ページ目の「4)『地域生活』を可能とするための支援」というところですが、当初の案では、ホームヘルプとか、かなり個別的な案件として出しました。この件につきまして考えると、やはり地域で障害者が暮らすということは、地域に24時間生活するということです。この視点から考えますと、この文言に10文字ぐらい加えてもらいたいということでお願いしたい。下から2段目の「その実現のための」とありますが、そこに「その実現のために24時間介護の可能な支援制度の構築」という文言を入れていただければ、地域で障害者が24時間ちゃんと暮らしている、必要に応じて介護も保障するんだということになってきますので、そのような文言を入れていただければと思います。これは横断的な考えで書いたつもりです。

藤井議長代理 東さん、どうしますか。

東室長 もう一度確認しますけれども、「その実現のために24時間介護の可能な支援制度の構築」ということでございますか。

大濱委員 はい。

東室長 という御提案ですが、皆さん、いかがでしょうか。

藤井議長代理 北野委員。

北野委員 もし今の表現を入れられるんでしたら、24時間「介護」ではなくて「介助」という表現にしてもらえたらと思います。「介助」という表現の方が、身体介護だけではなくて、見守りとか、いろんなもの、全障害への支援が入っているというイメージですので、「介助」という表現でお願いしたいです。

以上です。

藤井議長代理 大濱委員、よろしいでしょうか。

大濱委員 文言につきましては、「介助」「介護」、お任せします。

藤井議長代理 東さん。

東室長 それでは、その「その実現のために24時間介助の可能な支援制度の構築」ということでよろしゅうございますか。

藤井議長代理 では、そのようにさせていただきましょう。

時間が大分過ぎているんですが、どうしてもこのコーナーで発言しておきたい方。北野委員、福島委員、佐藤委員ですか。おのおの結論を明確に言ってください。

北野委員 北野です。

今日、昼にわかりやすい意見書をつくるチームのメンバーに入れていただいたことで、急にそのことが気になりまして、8ページの「1.『権利の主体』たる社会の一員」の「たる」という言葉は古臭いし、ややこしい。これは「権利の主体である」という普通の表現にした方がいいんではないかなと、それだけであります。

以上です。

藤井議長代理 併せて後でお答えいただきます。

では、福島委員。

福島オブザーバー 私は、前回の宿題で、社会モデルと医学モデルの「注記」を担当したんですけれども、IIの3に「社会モデル」が最初に出てくるんですが、ここには「注記」がついていなくて、どこについているのかなと思って見たら、最後の方に注記というのがあって、これは余り目立たないというとあれですが、わかりにくいと思いますので、初出の近くに入れていただきたいというのが希望です。

以上です。

藤井議長代理 これも全体の文章構成と関係しますので、後でお答えいただきましょう。

では、佐藤委員。

佐藤委員 今の福島さんの指摘に関連することなんですけれども、総論の部分で、この文章は、政策の立案に当たって、従来の医学モデルを社会モデルに転換しましょうと、そういう点が強調されている文章なんです。今の福島さんが準備してくださった40ページ、41ページの「注記」のところでは、簡単に言ってしまうと、医学モデルというのは、障害者本人の中に問題があるので治療や訓練などを優先するという考え方で、社会モデルというのは、その外に問題があるので環境を変えるというアプローチだと、そういう説明がなされているわけです。これらを全体として読むと、ああ、そうか、この推進会議の改革の方向性は、医療だとか、リハビリテーション訓練だとかというのはもうこれからしなくなるのか、障害児教育などもしなくなるのかという問い合わせが関係者から寄せられる可能性があるなと。この「注記」のままであるとですね。

そこで、私も福島さんが準備をする過程で相談をさせていただきまして、事務局にもCCでやりとりをさせていただいたんですけれども、事務局の方で、40ページ、41ページの「注記」に加えて、こういう表現をつけ足して誤解がないようにしたらどうかというメールがあって、しかし、どう判断したらいいか、自分の検討の範囲の外に出るので、私としては何とも言いがたいというような福島さんの御返事で、結局、この40ページ、41ページの、医学モデルというのはこういうものだ、社会モデルというのはこういうものだという説明に終わっているんだと思うんです。

その案は、3番目の段落としてつけ足すとすると「『医学モデル』から『社会モデル』への転換は、軸足の転換を意味し、例えば医療や訓練などはやめ、バリアフリー施策や差別禁止だけを行う政策を求めているのではない。『社会モデル』に軸足を移すということは、障壁除去を障害者施策の中心に位置づけるとともに、医療や訓練などの施策においても目標を社会参加とし本人の選択の権利をふまえた支援に転換することを意味するものである。」

従来と同じように医療やリハビリはやるけれども、社会モデルを踏まえたやり方というのは従来とは違うんだという説明をすることによって、いろんな関係者の不安というのは払拭することができるのかなということで、事務局でこういう調定案を出したのに私は賛成です。この基本的な趣旨のところは、福島さんと私のメールのやりとりの中でも、福島さんも基本的に了解をされたのかなと思っているんですけれども、そういう補足を「注記」の中に入れることが望まれるのではないかと思いました。

以上です。

藤井議長代理 では、以上、3名の委員から出ていましたので、東さんから見解をお願いします。

東室長 東です。

1番目は、北野委員の「たる」を「である」ですね。それはいいですね。

福島委員には、医学モデル、社会モデルの解説をお願いしたわけです。「注記」の本文をどこにするかということなんですが、一番目立つ部分はどこでしょうか。最初に持ってくればいいということであれば、「社会モデル」という言葉が最初に出てくる9ページの3)に「注記」をつけるということでようございますか。

藤井議長代理 IIの3のところですね。

福島オブザーバー 具体的な場所についてはお任せしますけれども、初出の近くにつけるのが普通かなと思っただけです。

必要があれば、さっきの佐藤先生のことにもコメントいたしますので、必要があれば言ってください。

藤井議長代理 まず、位置づけは、今の福島さんの御意見を参考にして、その期待に応えられるように事務局は頑張りますということでいいですね。

東室長 はい。

藤井議長代理 では、東さんから、佐藤委員へのお答え、見解はいかがですか。

東室長 福島委員の意見に対して、佐藤委員から、こういうのをつけ加えてくれということをCCで事務局にもいただきました。ただ、その3段目の中で、本意見書は云々かんぬんという、本意見書の内容解説のような書きぶりであったので、これは純粋に医学モデル、社会モデルの解説であって、本意見書の解説ではないので、若干書きぶりを変えてくださいということで御提案申し上げたのが先ほどの佐藤先生がおっしゃられたことです。福島委員と佐藤委員の間でお話ができれば、事務局としてはどちらでも構わないんではないかと思っているところです。ただ、ほかの委員の皆様方がどうかという点も考慮していただければと思います。

藤井議長代理 福島委員から、これに関して意見を求められればとおっしゃっていますので、意見を求めましょう。福島委員。

福島オブザーバー 福島です。

正確に言うと、ゼロの状態から佐藤先生の提案があったのではなく、私がもともと3つ目のパラグラフとして別の文章を書いていたんです。それについて佐藤先生から修正案が出て、私が、もう時間もないだろうから、それでもいいかということで一旦はイエスと答えたんです。ただし、それに対して、事務局から、今、東さんが言われたような、いわば意見書全体の性格づけにかかわるような記述になるので、それは「注記」の中で書くのは適切ではないんではないかというお話もあったので、私も本来そうだなと思いましたので、それだったら、もともとの私の役割である社会モデルと医学モデルの用語解説にとどめるべきだと思って、ここにあるような形がいいと思って、最終的にここに落ち着いています。

佐藤先生がさっきおっしゃっていたことなんですが、医学モデルから社会モデルにもし軸足が移ると、医療や訓練が否定されるんではないかという誤解があるかもしれないというのは、この用語解説をきちんと読めば、本当はそういう誤解は発生しないんです。というのは、医学モデルはイコール医療や訓練ではなくて、基本的な考え方として、障害は損傷と同じだと考えてしまったり、あるいは何が何でもとにかく医療や訓練がいいんだという考える発想が医学モデルなので、そこからは転換するという話なので、医療や訓練を否定するものでは全然ないです。社会モデルの中でも医療と訓練はあり得るわけで、考え方を転換するということなので、考え方を転換するということは、前の考え方を一部残すということは論理的にあり得ない。つまり、医学モデルと社会モデルの統合というものはあり得なくて、社会モデルの中で新しい医療や訓練の在り方を考えるということがあるだけだろうと私は思っています。

ということで、確かに誤解をする人はいるかもしれないけれども、それを言い出すとどこだって誤解する人はいるわけで、余計なことは考えないで、このままの方が中立的でいいんではないかと思います。というのは、これ以上つけ加えると、歴史認識の話と同じように、すごく議論しないといけない。勿論、議論そのものはいいですけれども、時間もないんではないかと思いますのでというのが私の意見です。

藤井議長代理 関口さん、関係してですか。お願いします。

関口委員 このままでいいという意見に結論としては賛成です。理由は、今、佐藤先生が述べたことは、紙に書かれていないので、私の頭に入った限りでもって解釈しますと、例えば、精神障害者は権利を持って、選択権を持って社会に出て行く。そこで社会との関係で障害にあう、つまり差別、偏見にあう。権利性が担保されればいいんではないかと聞こえてしまいましたので、それは違う、社会が変わるべきだと、おかしな人がいてもいいではないかと、そういう寛容な社会になってほしいので、佐藤先生のおっしゃっていることをそのまま入れてしまいますと、まず、考え方が私としては到底容認できないということなので、結果として元のままでいいと思います。

藤井議長代理 佐藤委員、何かありますか。

佐藤委員 というと、関口さんは、医療だとかリハビリテーションなどは要らないということなんでしょうか。社会のバリアをなくす、インクルーシブな社会をつくる、ノーマルな社会をつくるという多様性を認め合うような社会をつくることが障害者施策の基本だけれども、同時に医療やリハビリテーションも本人の必要に応じて提供する、しかし、障害者施策の中心は環境を改善することなんだというスタンスで私は先ほどの東さんが調定案的な文章を用意したのを採用したらどうかという言い方をしたわけです。これは私個人の考え方というよりは、むしろ東さんの考え方でもあるんだろうと思うんですけれども、これは間違いなんでしょうか。

藤井議長代理 関口委員。

関口委員 一度読んでいただいただけなので明確に論点を展開することはできませんけれども、つまり、私は、医療もリハビリテーションも認めておりますけれども、それで障害がなくなるわけではない。例えば、私は薬をずっと飲み続けています。医療がずっと必要なんです。だけれども、問題は、私が精神障害者とわかって、そのことによって差別されたりとか、不利益な処分を受けたりとか、そういうことを引き起こしている社会が変わらなくてはいけないんであって、医療が必要なのは、契約して、インフォームドコンセントの上で医療を受けるのは当然の権利ではないですか。だから、それと医療モデル、社会モデルの説明とは何の関係もないと思うんです。

藤井議長代理 では、ここら辺で、東さん、これに関する意見を聞いた上での見解はいかがでしょうか。

東室長 事務局としては、お2人の意見がありましたので、解説という形に表現を変えていただいたところでどうかという提案をさせていただきましたけれども、これにつきましては、一番基本的なところですので、基本的な部分について、福島委員が書かれた限度の方が、その後の解釈は各人に任せればいいんではないかという気もしてきました。そういう意味では、福島委員のそのままだというところでおさめたらいいのかなという感じがしていますが、いかがでしょうか。

藤井議長代理 時間が大分オーバーしているとは言っても、これは大事なことなんですが、これに関する他の意見はいかがでしょうか。

関口委員 提案しますけれども、今の文章を紙に印字したものを休憩時間中に配っていただけませんか。そうでないと、論議の前提が一回聞いただけですので。

藤井議長代理 では、そういうふうにしましょう。これは引き続き、休憩後、少し時間取りましょう。

では、時間が相当オーバーしています。福島委員なども多分、疲労していますので、一旦ここで打ち切って、第2コーナーの冒頭続けますので、今から13分、55分まで休憩に入ります。では、休憩に入ってください。

(休憩)

藤井議長代理 時間になりましたが、印刷がもうじき来ますので、いましばらく待ってください。「注記」に関しての医学モデル、社会モデルの解説に加えて、第3のパラグラフをめぐっての議論が残っていますが、今、印刷をしていますので、ちょっと待ってください。

もうこの総論を打ち切りたいんですが、それ以外の件で、どうしても発言しておきたい方はいらっしゃいますか。

それでは、時間がもったいないので、その間を利用して、あとお2方から事前の通告があって、1つは、わかりやすいバージョン、わかりやすい版に関して発言、それから、土本さんから、やはり総論にかかわって、全体にかかわって発言をしたいと来ています。

わかりやすい版をつくるに関しては、希望者を募った結果、今日は長瀬さんがここで話をするとなっていますので、長瀬委員、お願いします。

長瀬委員 ありがとうございます。東京大学の長瀬です。

前回、土本さんから提案があった、わかりやすい第一次意見づくりについて、志願する委員を募ったわけですけれども、そうした志願者で、本日正午から作業チームの第1回の会合を開きました。

出席したメンバーは、あいうえお順で御紹介しますと、大久保さん、また、大久保さんの育成会のわかりやすい情報提供の冊子の「ステージ」というのがありますけれども、それを担当されている室津さんという職員の方、委員に戻りまして、北野さん、それから、土本さん、また、土本さんの支援者の元氏さん、それから、私、あと、支援室のスタッフからは成冨さんに御出席をいただきました。今、おうかがいしたのですけれども、堂本さんも今後加わっていただけるとうかがいいましたので、大変ありがたく思います。

今日、集まりましたメンバーの名称なのですが、「わかりやすい意見をつくるチーム」で、略称としては「わかりやすいチーム」とさせていただきました。

座長は、知的障害者本人という立場で御参加されている土本さんと、やると言った手前、私が共同の座長を務めるという形にさせていただきました。

これからの進め方ですけれども、まず、完成物、最終的にできるもののイメージを共有することを優先して話し合いたいと思っています。既にわかりやすい自立支援法などの例もあります。また、今日出た意見としましては、余り長いものだと皆さんが読まれないので、短くする。写真やイラストの利用も考えてみるということがありました。あと、視覚障害等の方の利便も考えて、テキストデータ等の提供も考えるということもありました。あと、今回は知的障害の方を念頭につくりますけれども、出来上がったものは幅広く社会全般にわかりやすい推進会議からの意見という形で、社会的に広く提供できることを目指したいという意見が出されました。

これからの進め方は、まず、この第一次意見がまとまった段階で、全体の目次といいますか、構成づくりに取りかかりたいと思っています。そこでは、多分、そもそも、この推進本部とは何か、推進会議とは何かという点が含まれると思いますし、また、この会議自体の重要な要素として、わかりやすい情報を提供する、その意義は何かということも含まれると思います。先ほど福島委員から御発言のあった社会モデル的観点からも、このわかりやすい情報の提供は非常に意義深いものだと考えています。

関連資料として、お手元に配付された「当事者参加の会議マニュアル」を先ほど東さんから紹介してくださいというお話がありましたので、簡単に紹介させていただきたいと思います。

これを作成されたコミュニティサポート研究所は、たしか斉藤明子さんが代表だったと思いますけれども、このコミュニティサポート研究所から推進会議に提供のあった「当事者参加の会議マニュアル」、具体的には、知的障害者が協議会、委員会、理事会などに参加するときに何が必要になるかという非常に重要なマニュアルです。

全体は後で是非ご覧いただきたいと思いますけれども、例えば、ご覧いただきたいのが8ページの「会議参加者への『支援サービス』とは」で、具体的に会議支援者についての説明があります。今回のこの推進会議の中では、土本さんに会議支援者として元氏さんがつかれているわけですけれども、そういう場合にどういう役割があるのかというのも説明がしてあります。多分、まだまだこういう知的障害者の会議支援者という役割が認識されていない面があると思いますので、こうしたマニュアルも参考にしていただきたいと思います。

関連して申し上げますと、第1回の総合福祉部会に毎日新聞の野沢和弘さんから意見書が提出されていまして、ご覧になっている方もいると思いますけれども、わかりやすい文章で意見を出そうということで、実際、野沢さん御自身の意見書も非常にわかりやすい形になっていますので、この推進会議の委員の皆様にも是非ご覧いただきたいと思います。

作業チームの方に戻りますけれども、この推進会議自体、ルビつきの資料の準備や、イエローカード、支援者というような形で、実際にある程度わかりやすい情報提供を反映して進められているので、そうした点についても、この作業チームでまとめるわかりやすい意見の中にも反映していきたいと思います。このチームのドラフト、草案ができた段階で、この推進会議として御検討いただいて、推進会議として認めていただくというふうに考えております。

完成したものは、予算の問題もあると思いますが、できれば簡単なパンフレットのような形で無料配布したいという希望をチームとしては話し合いをいたしました。やはりネットだけでの情報提供には限界があるという指摘がありました。

完成の時期ですけれども、秋にはいろいろな集会も予定されています。できるだけ鮮度が落ちないように、スピーディーに、しかし、つくっていく過程、プロセスも非常に大事ですので、あくまで当面の目標としては、9月中にはこの推進会議に作業チーム案を出したいと考えております。

また、今後の進め方ですけれども、この推進会議の前の時間、正午からチームのメンバーが集まることを予定しておりますので、関心のある委員の方がいらっしゃれば、是非参加していただきたいと思います。

私からは以上とさせていただいて、共同座長の土本さんからもお願いできれば幸いです。

以上です。

藤井議長代理 それでは、土本さんからも、全体の進め方の意見も併せて一言いかがですか。

土本委員 今日、12時から、長瀬さんからも言われたとおり、わかりやすいチームをつくり上げていきました。長瀬さんが大体話してくれたんですけれども、知的障害と言われている人たちがやっと理解ができつつあるかなと思います。全体的に、今日、まとめてきている文章もあるんですけれども、全部読み切れないので、大切なところを少し伝えていきたいと思っています。

先ほど言っているように、わかりやすい情報、わかりやすくしていかなければならない。会議に参加して、すごく難しい、初めて見た文章と、片仮名で書かれているんでは、非常にわからなかった部分があります。支援がいて、説明してくれたから自分も中に入っていけたところもあるんですけれども、本当に自分だけがいいのではなくて、全国にいる知的障害と言われている人たち、それと、こういう会議をインターネットとかテレビで見てくれる人、それで伝えてもらっている人もいるんですけれども、障がい者改革推進会議はまだまだわからない部分ではないかと思うし、本当に話し合っていかなければならないところもあるんです。

今、いっぱい議論をしているんですけれども、話し合いしているんですけれども、だれのために話し合って、制度をつくって、法律をつくっていくのかということをしなければならないのかなと思います。今までは、国、行政も含めて、勝手につくり上げた部分、法律でも、私たちを抜きにして決めてきた部分、やっと私たちが中に入って決めるようになってきた。自分たちに関することは私たちを交えて決めろということもやっと動き始めました。40年、50年前のものを今すぐ変えるというのはすごく問題ではないかと思います。一遍に解決するというのは、自分たちもすごく難しいところもあるし、障害のないというか、どういう表現をしていいのかわからないですけれども、人たちにも、急に変えるということになると、いっぱい時間もかかるし、年数もかかるんではないか。

だけれども、急がないとならないところは必要だけれども、今、ちょっと抑えてもいいようなところは、もう少し話し合ってもいいんではないか。もっといろんな人と話し合いをしてもらって、自分たちが納得するものにしないと、勝手にやっていくというか、今までどおり、だれかがつくられたものをのみ込んでしまって、それで終わるのかということも含めてなんですけれども、こういう機会、半年間やってきて、一次にまとめてはきているんですけれども、障害者と言われている人たちが話し合いに参加するのは初めてだと思うし、もっともっと多くの仲間たちが、差別とか、理解されていない部分がいっぱいあるとか言っています。

地域で住む人たちは、支援と言われている人に説明をもらったりとかするんですけれども、まだ入所施設に13万人閉じ込められている。それで、長い間、閉鎖されている、入院生活をされている仲間たちにも、こういうことを伝えなければならない。自分が全部伝え切れるかどうかはすごく難しいところでもあるから、支援者とともに、周りの人たちと協力しながら、わかりやすくしていかなければならないかなと思うし、何のために会議を進めて、何のために制度を変えて、法律を変えていくのかということをもう少し、自分も中に入れていきたいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 今のお話の中で印象的だったのは、だれのための意見なのか、会議なのか、何のために会議であり、意見なのか、この大原点を踏まえろというふうな、大変強い警鐘だったと思うんです。では、長瀬委員と土本委員のお話はこれで皆さん御了解だと思います。

元へ戻りまして、福島委員の先ほどの説明に加えて、実は、佐藤委員とのやりとりの過程で、第3番目の段落があって、これもこの際、一緒にもう一度ここにあらわして、関口委員が言ったように、もう一度ちゃんと文書で見たいということなので、これについては、もしできるんだったら今日決着をつけようと思うんです。この第3パラグラフ、つまり、第3段落の件では説明なかったんで、福島委員から発言していただきましょうか。

福島オブザーバー もともとの第1と第2のパラグラフ、すなわち医学モデルと社会モデルの説明については、資料にあるとおりで、佐藤先生からもそれについては特に疑問は出なかったのですが、続いて第3パラグラフを私がつくっていたんです。それに対して修正案が出されて、その修正案が先ほど朗読されたものです。今、改めて朗読されたものを印刷で配ってはどうかという御提案だったので、ついでに私がもともと出していた第3パラグラフも印刷していただいたんです。私も、医学モデルと社会モデルを並べるだけでは確かにわかりにくいかもしれないと思って、次の説明をつけていました。

「なお、ここで示した両モデルは、あくまでも『障害』に対する基本的な考え方の枠組みと方向性を表すものであり、医療や福祉、リハビリテーションなどでの実際の個別の取り組みにおいては、両モデルは混在している。したがって、認識論としての医学モデルと、実践行為としての医療やリハビリテーションは区別してとらえるべきであり、その意味では、社会モデルに立脚した医療やリハビリテーションの実践が今後求められていると言えるだろう。」というのが私のもともとの第3パラグラフでした。

藤井議長代理 そうしたら、ここで佐藤委員に一言言ってもらった上で議論しますが、佐藤委員、いかがでしょうか。

佐藤委員 今、福島さんが読み上げた部分はちょっとわかりにくいところがあるので、私の方で、こういうのでどうでしょうかというのを出したんです。それに対して、そのやりとりを聞いていた東さんから、事務局として、更に修正したらどうかという案が出されたのが、今、配られた資料の佐藤案というものです。佐藤案に基づいて事務局が修正したのが佐藤案として今、出ているもので、私もこれでわかりやすいのではないかと思ったので、佐藤案でも全く問題ないんですけれども、もう一度読みましょうか。

「『医学モデル』から『社会モデル』への転換は、軸足の転換を意味し、例えば医療や訓練などはやめ、バリアフリー施策や差別禁止だけを行う政策を求めているのではない。『社会モデル』に軸足を移すということは、障壁除去を障害者施策の中心に位置づけるとともに、医療や訓練などの施策においても目標を社会参加とし本人の選択の権利をふまえた支援に転換することを意味するものである。」

藤井議長代理 これに関して、関口委員が、手元に文書がないのでわかりにくいとおっしゃっていたんですが、手元の文書を見ながら、関口委員、いかがですか。

関口委員 福島さんのは別に異議はないですけれども、ちゃんと丁寧に書こうとすると、パンフレット1冊ぐらいにはなると思うんです。

佐藤先生のも、このままでは、例えば、目標を社会参加とするのはわかるんですけれども、目標を支援に転換すると、続きがよくわからなくて、僕ら精神障害者は、はっきり言って、余計な支援をされるのが一番嫌なんです。今度の自立支援法の改正でも、無理やり相談支援してくれるんです。僕らは権利に根差した自己実現を図っていきたいだけであって、そこにあるところの社会の障壁を取り除いてくれと言っているだけなんで、支援してくれるのが目標では困ってしまうんです。だから、佐藤案は、文字になったものを見ても、もう少し詳しく展開して、パンフレット1冊ぐらいになっているんだったらわかるかもしれませんけれども、このままでは到底受け入れられません。

藤井議長代理 参考までに、福島委員の第3パラグラフはどうですか。

関口委員 これについては、特に異議はありません。言ってみれば価値ニュートラル的な書き方をしていらっしゃるので。

藤井議長代理 わかりました。

ほかの委員の方の意見はいかがですか。

尾上委員。

尾上委員 尾上です。

今、両方の案を見せていただいて、この文脈から一番すっきりするのは福島案かなと思います。というのは、佐藤先生が御懸念されていたのは、社会モデルへの転換ということで、医療技術やリハビリテーション技術の否定と受け止められないかということの懸念だったと思いますので、福島さんの文章の中でも十分それは分かるようになっているのではないかというのが1点です。

一方、佐藤先生の文章の中で言いますと「軸足の転換」という言い方が私の中でちょっと引っ掛かります。というのは、いわば物事をどうとらえるかという枠組みの転換なのに、2つのとらえ方の両方が混在するかのような書き方になっていて、もし佐藤先生の案で行くならば、軸足の転換を意味してという部分の削除をして、社会モデルの転換は、例えば云々ということと、その後に出てくる軸足を移すというところも、社会モデルに転換するということはという言い方に変えることにすべきではないかと思います。少なくとも「軸足」という言い方になると、両方のモデルが混在をするかのような、例えば、地球が回っているのか、空が回っているのか、両方が混在しているかのような解説になっているかと思います。まずは私自身は福島案でどうかなと思います。

藤井議長代理 ほかに。

北野委員。

北野委員 我々の福祉の世界では、医療モデルの問題点は2つ考えられていまして、1つは、医学モデルというのは、問題を、本人の属性として内在化させて個人だけを治療対象とする。2つめはそのときに、専門家がそのプロセスをコントロールしてしまう。仕切ってしまって、障害者御本人の自己決定、自己選択に優先してしまうことの問題が出ますので、佐藤先生は後で選択権という表現をしておられますけれども、専門家がコントロールするという面が医学モデルでは私たちは非常に気になるものですから、支援というところが強調されてしまうと、そこがちゃんと問題が解決されていないんではないかという心配が出ますので、福島さんの意見で統一されるか、むしろ2つのモデルだけの提示で終わった方がいいんではないか。どちらかにしていただけたらと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、ここで議論を打ち切りますが、こういうふうに打ち切りましょう。3つの選択肢があるんです。つまり、福島さんの方は、そもそも第1案としては、医学モデル、社会モデル、2つのモデルの解説に徹するという案。これに対して、佐藤委員、また事務局の方でも調整があった上で、特に医療、リハビリということの必要性を含めて、その関係性を論じるということで、第3番目の段落をつけた。しかし、福島さんはその過程で、佐藤先生の疑問を払拭していくために、御自身でつくった案もあった。佐藤修正案か、福島案、福島さんの第1番目の解説のみと。今日の議論を聞いていますと、北野委員の最後の意見はあったけれども、一般の専門家でない方たちが見たときに、第3段落があった方が丁寧だと思うんです。基本的には福島委員の案を中心にして、もし若干両者で意見の調整があれば、少しの補強はいいと思うんです。今日中であればね。そのぐらいにして、基本的には福島案をベースにして、もしどうしても佐藤委員の方で文言の補強があれば、あるいは部分的な修正があればしてもらって、これをベースに採用するということで、第3段落は残すということで、皆さん、いかがでしょうか。

(「はい」と声あり)

藤井議長代理 佐藤委員、よろしいですか。

佐藤委員 よろしいです。

藤井議長代理 では、東室長。

東室長 補強されたいところがもしもあるならば、次の休み時間内で何とかお願いします。

藤井議長代理 事務局では時間との競争なので、そういうことでお願いします。

では、時間をオーバーしていますが、皆さん、自分の時計を見ながら発言してください。17時をめどに行きます。今度は第2コーナーに入りますけれども、IIIの「4.個別分野における基本的方向と今後の進め方」です。11分野あって、どの分野も東室長から冒頭にコメントをもらってから入ってまいりますので、「労働及び雇用」に関するコメントをお願いします。

東室長 担当室の東です。

総論と同じように、各論の分野においても、「推進会議の問題意識」という点につきましては、前回の意見を受けて修正できるものは修正しております。その上で、その下に「政府に求める今後の取組に関する意見」という欄で○をつけて段落を設けております。この部分については、前回申しましたように、一定の方向性で、いついつまでにという期限つきのタイムスケジュールを明らかにするという方針の下に、それぞれつけております。これに関しては、ここの意見のとりまとめをしながら、各省庁と折衝してまいりました。委員の意見の欄とかなり隔たりがある部分もあるかと思います。しかしながら、ぎりぎりのところまで折衝した結果が○にあらわれております。ただ、これは全部が全部、100%、各省庁がOKを出したとまでは言えません。若干はまだ折衝が終わっていない部分もありますが、これ以上は下がれないというところを示しております。見られてわかるように、かなり要約されておりますし、簡素化されているという印象があるかと思いますが、一応の大枠として工程表をつくって、これから、これに基づいて、先ほど申しましたけれども、ヒアリングなり、そういう形で今後も交渉していく、その足掛かりをつくるという意味での提示ということになります。

「1)労働及び雇用」の分野に関して、まず「推進会議の問題認識」というところでは、松井委員、久松委員、藤井委員から、労働部会の設置を書くべきではないかという御意見がありました。しかし、現段階において労働の部会をいつ、どのような形で立ち上げるかということはまだ煮詰まっておりません。ですので、総論の9~10ページ、ルビつきで言うと11ページになりますが、「1.全体的な当面の進め方」の中で、部会や作業チームでの議論を踏まえ行っていくという記載で読み込めるのではないかと考えております。具体的な点についてはそれだけです。

以上です。

藤井議長代理 それでは、1分野10分内外の時間しか取れませんので、まず、進行上参考にしますので、この「1)労働及び雇用」に関して発言したい方、挙手していただけますか。では、1方、1分半から2分程度の発言をめどに協力してください。松井委員、中島委員、竹下委員、新谷委員の順番に行きます。

では、松井委員、お願いします。

松井委員 ありがとうございます。松井です。

個別分野の前のところに新しく文章が入っておりますけれども、これを見ると、個別分野については関係各省で検討するというふうに、読めると思われます。以前から発言しているように、本当は部会という言い方をしたいんですけれども、「横断的な課題については、推進会議の下に別途協議の場を設け検討するとともに、その他については事項ごとに関係各省において」云々という表現にできればしていただきたいと思います。

藤井議長代理 もう一度ゆっくり読んでください。

松井委員 4の個別分野の下に新しく入ってございますけれども、この文章を読む限りは、事項ごとに関係各省になっていますので、その前に「また、横断的な課題については、推進会議の下に別途協議の場を設け」というような表現を入れていただきたいと思います。

それから「政府に求める今後の取組に関する意見」が17ページにございますけれども、2つ目の○のところで、障害者雇用率制度について、雇用の促進と平等な取扱いという視点から、いわゆるダブルカウント制度の有効性というふうにいきなりなっておりますけれども、この前の議論では、法定雇用率の水準の妥当性自体問題だと思いますので、法定雇用率の水準の妥当性及びダブルカウント制度については有効性というよりも、むしろその在り方について協議するというふうにしていただきたい。

また、その下の、いわゆる福祉的就労のところでは、総合福祉部会における議論との整合性ということになっておりますけれども、ここは以前から言っておりますように横断的な課題ですので、ここについても推進会議の下に検討の場を別途設けるということを入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。

藤井議長代理 松井委員からは「1)労働及び雇用」に入る前の、全体にかぶってくる、関係府省における云々というところの前にという発言がありました。恐らくこれに関しては他の委員もあると思うんですが、及び労働に関しては、今、御指摘あったんですが、まず、行きましょう。竹下委員でしたか。

竹下委員 簡潔に一言で申し上げて、すべてが雇用関係を前提とした内容になっていることに対する懸念であります。視覚障害者の圧倒的多数の就労者は自営業であります。視覚障害者以外の方でも、就業という形での社会参加を果たしている方がたくさんおられます。その点からすると、そうした人たちへの支援が一切触れられていないというのは極めて欠陥だろうと思っています。この点で、あえてこの内容のままで行くことにするんであれば、一言「就業」という言葉をどこかに埋め込んでいただきたい。

言いたいことはいっぱいありますけれども、以上です。

藤井議長代理 視覚障害者の就労に関する特徴で、自営ということを含めてそこに入れてほしいと。

次に、中島委員。

中島委員 中島です。ありがとうございます。

私からは2つですけれども、1つは、今竹下先生がおっしゃったように、雇用だけでなくやはり"仕事"というところが入った方がいいと思います。

もう一つは、具体的なことですが、16ページの福祉的就労の中の2つ目の○の最後の2行に「協同労働の協同組合」等という具体的なことばがあるのですけれども、協同労働にはいろいろな手法があります。「協同労働等」というふうに、固有名詞にしないでおく方がいいのではないかという提案でございます。

理由は、協同労働にもいろいろな手法があること、もう一つ、現在超党派で「協同労働の協同組合法案」が提出準備中と聞いております。恐らく今回は出てこないと思われますが、この法案の趣旨は私も賛成なんですが、やはり労働法規の適用でありますとか、労働者性のあり方のところで福祉的就労の問題と同じような問題があると思います。それらを含めていろいろな議論があります。また、所管の省庁についても、必ずしも厚生労働省ではないと聞いています。以上提案したいと思います。

以上です。

藤井議長代理 中島委員がおっしゃった仕事というのは、全体のテーマにかぶる話ですか。

中島委員 そうですね。どういう書き方が一番いいかわかりませんが、自営業、御自分の自宅で仕事をされている方もたくさんいらっしゃいますので、仕事づくりという意味で、必ずしも雇用とイコールにならないという意味です。前半の方に入れるのがいいのではないでしょうか。

藤井議長代理 表題ではなくて、文中の初めの方ですか。わかりました。

新谷委員。

新谷委員 新谷です。

18ページの○の2つ目ですけれども、「障害者に対する通勤支援」の次に「コミュニケーション支援」を入れてください。

その後「平成23年内を目途に得られる総合福祉部会への検討結果等を踏まえ、必要な措置を講ずる。」の中に入るのかもわかりませんけれども、ペーパーで出したんですけれども、高齢障害者支援機構の助成金制度は、職場における合理的配慮を進める上で非常に大きな力を持っているというか、意味のある制度なんで、それを抜本的に変えて別の制度をつくるということも可能性としてはあると思うんですけれども、当面、この助成金制度の中の見直しが非常に大きな課題となりますので、その文言を入れていただくか、それはこの文章の中に入っているとしておさめるのか、お任せしますけれども、とにかく合理的配慮の助成金制度が非常に大きな意味を持っているということは、認識していただきたいと思います。

藤井議長代理 では、今、4人の委員から具体的な文言、対案、代案、提案含めてあったんですが、まとめて、東さん、いかがでしょうか。

東室長 この「1)労働及び雇用」についての「推進会議の問題認識」につきましては、前回はほとんど意見がございませんでした。今の段階になっていろいろ言われても、各省庁との折衝の前提としてこれが出されております関係で、大枠で変えるとどうなるかという問題があります。自営業の支援という視点は、議論の中で出ていたのは出ていたと思いますけれども、余り全体討議の対象になっていなかったんではないかと思いますので、できれば今後の課題として対処するということでいかがでしょうか。

それと、「協同労働の協同組合」という部分につきましては、文言をちょっと修正すれば足りる話なので、特に松井先生から出た意見ですので、そこは。

松井委員 結構です。

東室長 いいですか。よければ、そういう形でやります。

それと、各論に入る前の部分ですけれども、松井先生からいただいているのは「また、横断的課題については、政府、関係府省との協議の場を設け検討するとともに」とありますけれども、これは推進会議でこれまでもヒアリングという形でやってきたわけです。ですので、それは当然の前提で、推進会議とは別個に設けるということになれば、それは推進会議としての意見としてどうなのかという議論もありますので、これは推進会議を引き続きやっていくということの中に入っているんではないかと思っています。

それと、新谷さんから、「コミュニケーション支援」を政府に求める事項の中に入れてほしいということだったですか。

新谷委員 新谷です。

18ページの2番目の○の「障害者に対する通勤支援」の次に「コミュニケーション支援」と入れていただきたい。

東室長 これについては、推進会議の最初の方の議論の中で出た話題だと思います。職場におけるコミュニケーション支援が合理的配慮として事業者側の義務として出されるものなのか、国の社会サービスとして提供されるものなのかについては、まだ議論の整理が必要だろうという形で示させていただいた部分だと思うんです。それについては今後の課題だと認識しているわけですけれども、○で書かれた部分は専ら社会サービスとしての、簡単に言えば自立支援法の問題としてここで書かせていただいているわけです。ですので、そういう前提での折衝だったので、今、改めて「コミュニケーション支援」をつけ加えるということになると、特に厚労省との関係で折衝が必要になってきますので、そこは何とも、今、返事できるところではありません。

藤井議長代理 久松さん、堂本さん、順番に行きます。

新谷委員、今の件に関してですか。ちょっとタイムラグがあると思うんで。

新谷委員 そういう論点ではなかったと思うんです。職場における合理的配慮は個別性が高いんで、確かに事業者の責任なんですけれども、その合理的配慮を社会的に進める意味で、行政側の支援というか、補助が必要、助成が必要だということで、高齢障害者支援機構の助成金制度の問題を提起したというのが私の意図でした。

東室長 担当室の東です。

その点については、17ページのマルポツの一番下「既存の助成制度も含め」ということで、一応、意見としては入れているわけですが、専ら上の職場における通勤支援がまずメインであって、厚労省に投げかけておりますので、そこまでのことは、折衝の結果、言葉としては入らなかったということです。

藤井議長代理 新谷委員。

新谷委員 堅苦しく考える必要ないんではないですか。ここに「コミュニケーション支援」が入っても、余り実害はないと思うんです。職場におけるコミュニケーション支援は非常に大きな問題だということを認識いただくためにも、「通勤支援」に続いて「コミュニケーション支援」という言葉があっても構わないんではないでしょうか。

藤井議長代理 東さん。

東室長 東ですけれども、言葉としては入っていませんが、「職場介助」というのはそういうことも一定含むものとは理解しているわけですけれども、明文として今、入れるのがどうかということになると、担当室の判断だけでは難しいところだと思っています。

藤井議長代理 関係して、久松委員。

久松委員 ろうあ連盟の久松です。新谷委員の発言に補足をしたいと思います。

コミュニケーション支援ですが、実際にたくさんの企業、職場で、企業の負担で手話通訳を配置するという事例はたくさんあります。ですので「コミュニケーション支援」という言葉が入るというのは自然だと考えます。また、職場でもコミュニケーションで阻害を受けている人もたくさんいますので、「職場介助」という言葉の方はまだなじみがないので、ここでは新谷委員の言うように「コミュニケーション支援」という言葉が是非とも必要だと思います。17ページにも同じ言葉が入っていまして、18ページの○の2つ目のところで抜けるというのはちょっとバランスが悪いかと思います。

以上です。

東室長 おっしゃっていることはそのとおりだと思います。ただ、現状において、厚労省との意見のやりとりの中で得られたのはこの限度なんです。その言葉をつけた場合に、閣議決定でどうなるかというのは私どもの手の及ばないところになるわけで、どうしたらいいのか、私もちょっとわからないところであります。

藤井議長代理 恐らく、議長団が察するには、関係省庁との調整があって、今日はかなり完成度の高い文章になってきている。1つ崩すと、生態系のバランスではないけれども、全体に影響が及びかねない、得たものも消えてしまうということもあり得るんだということを想定される。しかし、今、両者が言ったことは本当に当事者ならではの意見であって、東さんも内容はそのとおりということで、つまり、内容論と交渉上のテクニックの問題と別な次元で議論になってしまっているんです。したがって、考えられるのは、落ちても仕方がない、しかし、推進会議の意向としては、これを入れてお願いしようではないかということがぎりぎりの線かと思うんですが、東さん、そういうことでどうですか。

遠藤委員から先にいただきましょうか。

遠藤オブザーバー 発言の機会をいただき、ありがとうございます。そもそも今日の会議が始まる冒頭に、いろいろ制約がある中で、皆様方の御尽力によってここまでたどりついたのであり、何とかスケジュールを守っていきたいというお話があったかと思います。どの施策についても大切だと思います。だけれども、この第一次意見の中でどこまでまとめていこうかという大前提に立って各省庁との折衝があったと認識しており、東室長の説明にあった通り、ぎりぎりの折衝を経た文言を変更すれば時間を要するということであれば、第一次意見の中では、提示された内容を可能な限り受け入れていくという方向で議論していくことがまず求められているのではないかと思っております。私は基本的に室長が言っているお立場に賛同し、この文言のままとすることについて賛同を示すものであります。

ありがとうございました。

藤井議長代理 進行上のことも入っての御意見だったと思うんですが、ほかに御意見ありますか。

堂本委員。

堂本委員 私は竹下さんのおっしゃったことが気になっています。竹下さんは前回おられなくて、今日の御発言の自営のことなんですが、例えばマッサージをしている方とか、スワンベーカリーのようなこととか、農業とか、障害者の方が雇用ではない領域でいろいろ働き始めておられるし、そこで場を見つけておられるんです。この整理ですけれども、ここでは障害者の雇用の促進ということになっているんで、これは中島さんにも伺いたいんですが、しかも、いわゆる福祉的就労は、本当にここにも書いてあるとおり、自分で生活をしていくのには難しい程度の給与しかない。そうすると、今、竹下さんが指摘されたことは、その下の、例えば「協同労働の協同組合」の、こういった領域に入ってくるのかどうか。そして、どこへ整理したらいいのかと思うんですが、次回に先送りをしないで、役所との交渉で何とかできるかできないのか。今、できている文章を直すのは大変難しいだろうと思うんです。だから、例え2行でもいいから、マルポツを加えることによって解決するのであれば、それも検討する必要があるんではないかと思ったんですが、そこのところ、厳格にもう一回、竹下さんと中島さんの御意見と、そして室長とに伺いたいと思って質問しました。

藤井議長代理 その辺は、広い意味での業をおこすを含めた自営という、もう一つの大きなカテゴリーなんですが、竹下委員はずっと冒頭からそこの分野で発言もあって、前回いらっしゃらなかったということで、要素を入れてもらえないかという、これは東さん、いかがですか。

東室長 東です。

最初の方に言いましたけれども、このまとめというのは、議論した部分についてのまとめなんです。ですので、議論がなかった部分は全然話になりませんけれども、議論があったとしても、ほかの課題の中で触れられたような議論、皆さんの全体の議論の対象となっていない部分についてはなかなか入れ込めないということで、竹下委員も自営業についての支援ということは恐らく言われていたと思うんです。しかし、それについて、では、どういう仕組みで支援するとか、皆さんの中で一定の議論をされたというところまでは行っていないのかなという意識でおりまして、ポチの中にも入れ込んでいないことになっているわけです。ですので、その点については、先ほど言いましたように、今後の課題かなと思っております。勿論、マルポチの中で、こちらの意見として十分議論がなされているにもかかわらず落としたという面があれば、それは文案がまとまれば今日の段階で入れることも可能ではあると思うんですが、下の「政府に求める今後の取組に関する意見」という部分はなかなか修正が困難だという認識でおります。

藤井議長代理 コミュニケーションのところの文言と、今の自営、これは視覚障害者に影響が大きいんですが、それを超えて、他の障害を含めた大事な就労形態、しかし、議論が少なかったということもあって、少なくとも政府に求める云々というところには入りにくい。もしあれだったら、ここで本当に大事だというので合意が得られれば、「推進会議の問題認識」というところに云々と、あるいはこれからの課題にちゃんと記録にとどめておくということだと思うんですが、更に御意見ございますか。

どうぞ。

竹下委員 竹下ですが、結論は、今後の議論として、課題として残すということにするなら、それはやむを得ないと思うんですが、埋め込めるとしたらここなのかなというのは、点字で言いますと、「福祉的就労に従事する」云々から、もう一つ後ろの「障害者も障害のない人も対等の立場で一緒に働くことができる」云々という流れがあります。この文章のどこかに一言入れておくことによって、文章全体を壊さずに行けるのかなと思っているんですが、いかがでしょう。

藤井議長代理 今後の課題という位置づけを込めて、政府に求めるというところではなくて、「推進会議の問題認識」の今のところの文言に一言入れるというのは、東さん、可能ですか。

東室長 今、竹下委員が言われたのは福祉的就労の部分ですね。マルポチの2番目ですかね。

竹下委員 マルポツは点字に出ていないのだけれども、その辺です。

東室長 「障害者も障害のない人も対等の立場で一緒に働くことができる」云々という下りですか。

竹下委員 その後に、例えば、賃金にこだわっていないから一部を補填する云々とありますね。そこの関係で行っても「賃金を含む経費の一部を補填するいわゆる」云々と、こういう流れから見ると、ここに「自営業者に対する支援をも含め」か、埋め込むと、ぎりぎり行けるのかなと見ていたんです。

東室長 ただ、これは社会的事業所についてに係る文言ですので。

竹下委員 確かに福祉的就労ではないとなると、場所がおかしいと言われたら、そうなのかなというのも率直なところです。

藤井議長代理 どうぞ。

堂本委員 社会的事業所というのをどなたか教えてもらえますか。どこまで入るんですか。

藤井議長代理 松井委員。

松井委員 松井です。

社会的事業所というのは、滋賀県であるとか、箕面市で取り組んでいるもので、いまのところ、それらの自治体が独自で補助金を出して運営している。その事業を全国的な形に展開するということですから、それには自営業は含まれないと思います。

堂本委員 滋賀県でやっている、いわゆるガンバカンパニーとか、ああいうところですか。

松井委員 現在のところは、滋賀県や箕面市の条例に基づいて設置されている事業です。

藤井議長代理 どうぞ。

竹下委員 竹下ですけれども、自営となると、私はよくわかないのですけれども、多分、厚生労働省になるとすれば、厚生労働省の障害者保健福祉の中で自営視覚障害者に支援ができるのかという問題か、あるいは場合によったら経産省の所管になるのかもしれないので、そういう意味では議論がまだ不十分だということは事実なんで、今後の課題として残すことに、私も半歩引いてやむを得ないかなという気はします。

東室長 東ですけれども、「推進会議の問題認識」の下の柱書きの部分で「障害者が地域において自立した生活を営み、より一層社会参加ができるようにするためには、他と等しく障害者が職業等を選択でき、働く機会が確保されるとともに」とありますので、その部分に自営等を含むということを括弧でどこかに入れればいいかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

竹下委員 私の方は了解です。

藤井議長代理 では、記述上、補強すると。

松井委員。

松井委員 松井です。

1つだけ確認させていただきたいんですけれども、労働及び雇用について「政府に求める今後の取組に関する意見」の最初のところの障害者の範囲については、就労の困難さに視点を置いて見直すということで、これは平成24年度内となっています。その下のダブルカウント制度の有効性については、平成22年度内に検証するとされ、時間差があります。ダブルカウントにしても、基本的には就労の困難さに視点を置いた重度障害者ということです。22年度内に検証するダブルカウントの対象者と、24年度までに見直す対象者が違うんではないか。そこは確認していただいたんでしょうか。

藤井議長代理 これは、東さん、わかりますか。年数の矛盾というか、ずれ。

東室長 障害者基本法の改正に伴う各省庁の基本的な施策の部分については22年内にということで投げかけていたわけですけれども、事項によっては、どうしても後ろにずらしてくれという各省庁からの折衝の中で、全般を24年度内ではなくて、少なくともできるものだけでも早くしろということで、一部22年内という形でおさまっているということで、そういう意味では論理的な整合性というよりも、交渉の結果という形でこうなっているということです。

藤井議長代理 ちょっとすっきりしないかもわかりませんが、松井さん、ダブルカウントの問題点、課題、有効性は、単品で一旦現状を洗って、より深い労働分野の障害範囲は本質問題なので時間をかけようと、そういう解釈で行きましょう。

松井委員 はい、わかりました。

藤井議長代理 久松さん。

久松委員 ろうあ連盟の久松です。

竹下先生がおっしゃられたように、聞こえない人でも自営をやっている人はたくさんいますので、竹下委員の意見も他人事ではありません。自営に関する話について、残すのでしたら、障害を持っている人が、自分の生活を守るために自営をやっている人もたくさんいるということを皆さんにも知っていただきたいと思います。

それともう一つ、改めてコミュニケーション支援についての話にこだわります。ここでの議論は確かに少ないと思いますが、ろうあ連盟は長い間、厚生労働省との話し合いの中で、また、厚生労働省も、視覚障害者を雇用した事例ですとか、聴覚障害者を雇用した企業ですとか、知的障害者を雇用した企業など、モデル企業の例を毎年報告書として出して、職場改善のためにコミュニケーション支援をしていることは事実としてあるわけです。ですから、政府に対して、また厚生労働省に対してコミュニケーション支援の話を出しにくいということは絶対ない、ということをあえて強く言いたいと思います。実際に、聞こえない人、見えない人、知的障害の人を頑張って雇用されている企業があることを頭に入れていただきたいと、強く話をしたいと思います。そのような話があったことを記録に残していただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 自営に関しては、先ほどの竹下委員の発言を受けながら、先ほどの文章の中に括弧で自営業、または自営を含むという文言を入れようと。

コミュニケーション問題は、今、出ていましたが、新谷委員の発議に始まって、決着がついていませんが、そろそろこの分野は終わっていきたいんですが、コミュニケーションに関しても、東さん、最後に意見ございますか。

東室長 意見書を提出するのが、従前、想定していたのが、今日まとまるとして、今週内には総理に手渡すという前提でおりました。その予定はまだ消えてはおりません。ですので、この文書自体はどうしても今日確定した方がいいと思っているわけです。今、言われた点を再度、各省庁に投げて交渉し直すということになると、かなり時間を食うわけです。ですので、合意が取られないまま、こちらの原案を変えるとすると、かなり上のレベルでの折衝ができるのか、できないのかわかりませんが、その判断は今の時点で何とも答えようがないところです。そこら辺はちょっとお時間いただけますか。

藤井議長代理 では、こうしましょう。今日、残りがまだありますので、この内容は、不十分ではあっても、事務局としてはかなり完成度を上げたつもりである。つまり、折衝をかなり終えている。しかし、どうしてもという、最後、ぎりぎりであった点については、ごく限って、努力はしてもらうけれども、もしだめな場合は、これからの課題に含んで、今回の方には入りにくいということもあるとして進行させていただきます。そうしないと進みにくいんでね。今の件については、東さんがまとめられたように、一旦努力をしてみるということなんで、お願いしましょう。東さん、このまとめでいいですね。

東室長 はい、進めてください。

藤井議長代理 では、「1)労働及び雇用」についてはこれで終わりまして、時間ばかり言って恐縮なんですが、このまま行きますと相当時間が延長してしまうことになりますので、どうしても今日まとめようということなので、今のような内情なり、私も進行して随分苦しいんですけれども、一方での現実的な事務局でのいろんな対応の経過がありますので、これらを参考にしていただきながら議論に参加をお願いいたします。

では「2)教育」に関して、また引き続き、冒頭に東さんからコメントをお願いします。

東室長 「2)教育」に関しましては、18ページ、ルビつきの20ページですが、教育の機会均等の部分をかなり圧縮した形で書いております。御存じのとおり、教育基本法は60年ぶりに改正されて、その過程において、例えば、障害だけではなくて、国籍とか、民族的出身とか、宗教とか、いろいろ議論がなされたわけです。6年間ぐらいの議論を踏まえたと聞いております。その上で、障害も明文では書かれていないけれども、解釈としては含まれているということが示されております。このような経緯を考えると、障害者基本法だけの改正という形で、その部分をドラスティックに変えていくというのは非常に困難な問題である。もう少し全国民的な議論が必要であろうという認識の下に、推進会議の明文化したいという意見は残しつつ、解釈としては含まれているという形で書きぶりをかなり整理したというところがあります。

次に、19ページ、ルビつきの21ページになりますが、「地域における就学と合理的配慮の確保」のマルポチの2番目の変更について、佐藤委員から詳細な意見が出ております。理由も長くいただいているわけですけれども、通常学級が原則という表現は従来とは逆に、特別支援学校や特別支援学級を例外、第二義的な教育の場としてしまうことになり不適切であるということが理由として1つ掲げられております。しかしながら、佐藤先生からいただいた修文にも「原則」という言葉は残っているんです。ですので、そんなに問題ないのかなと私は思っているところです。ですから、表現としては、このままでどうかということです。

それと「最も適切な言語やコミュニケーションの環境」という言葉が前回から入っているわけですけれども、この前に本人・保護者が望む場合「のほか」という言葉をつけ加えているわけですが、そういう表現は、希望に基づいて特別支援学校、特別支援学級に就学、在籍する道筋が確保されるべきことが表現上薄められるのではないか、そういう印象があるという御意見が挙がっております。これは「のほか」は後ろの方に続くわけで、決して本人が希望する場合という部分に続くわけではないので、表現が薄められることはないと思うんですが、いかがでしょうか。

それと、条約に基づいて、盲人、ろう者及び盲ろう者というふうに3者を書いているわけですが、そのほかに「本人にとって」という表記をすべきだと御意見いただいているわけですが、権利条約上、この部分はこの3者に限られているわけで、「本人にとって」という言葉を入れると、ある意味ではすべての障害児が入ることになりますので、条約の趣旨とは必ずしも合致しない。例えば、従前の言語障害を持っている脳性麻痺の人も、先生の御提案だと、特別支援学校という形になり得る可能性もあります。ですので、ここは、基本的には権利条約ベースで表現させていただきたいと思っているところです。

それと、今日、竹下委員から配付資料がありますけれども、権利条約に従って「盲人」という言葉も入れております。しかしながら、権利条約の策定過程の中でも、最も言語環境として必要なのはろう者の人たちだったわけです。視覚障害の方にも、ろう者の場合と同じような形でするのがいいかどうか、実は竹下先生に御意見を求めようと最初から思っていた次第なんですが、外国旅行に行かれていたということで連絡取れなかったんです。それで、最終的に今日、意見を出していただくということで、それは後で先生の方からお願いします。

それと、佐藤委員から最後に、特別支援学校の学校規模や適正配置等を定める特別支援学校設置基準を整備するというものを新設した方がいいという御提案がありますが、今回までの議論の中ではそこまでの議論をやっていないと思いますので、今回はこれは触れないということで考えております。

以上です。

藤井議長代理 それでは、教育については、こうして見ますと、いろんな思いがあると思うんですが、まず、この点で発言したい方、挙手していただけますか。では、視覚障害者関係もありますので、竹下委員から行きましょうか。

竹下委員 これも簡潔に。済みません、遅くなりまして。ドイツに行っていて、申し訳ありません。

「地域における就学と合理的配慮の確保」という項目でありながら、その中の「障害の有無にかかわらず」以下のフレームのところを読んでいきますと、私、聴覚障害者のことは触れませんが、少なくとも盲人、視覚障害者について、これを読んでいると、特別支援学校での就学が原則と読み込まれかねません。それは権利条約とも合致していると思わないんです。権利条約においても、視覚障害者についても、日本で言えば盲学校の存在は否定していないことは事実でありますので、それは私も認識はしているつもりです。その上で、本来は私の希望としては、地域の学校での学籍を保障した上での例外としての盲学校という書き方をしてほしいと思っていますが、今日の段階でそれを言うのは困難であろうと私も認識しますので、この文章をそのまま生かすことを前提にして、この中から「盲人」という言葉だけを削除していただくと私は納得できるので、それでお願いしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 それでは、清原委員。

清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。

第1に、確認と質問をさせていただいてから、第2に意見を言わせていただければと思います。

確認させていただきたいのは、19ページの「地域における就学と合理的配慮の確保」の最後の項目です。「障害者が小・中学校等に就学した場合に、当該学校が必要な合理的配慮をして支援を講ずる。」の次なんですが、今回修文をされましたので、その趣旨について確認をさせてください。「当該学校の設置者「は」、追加的な教職員配置や施設・設備の整備等の条件整備を行うために計画的に必要な措置を講ずる。」とあります。三鷹市のような基礎自治体は特別支援学級の設置者であり、また、都道府県は特別支援学校の設置者です。前回は設置者「が」行うためにかくかくのような必要な措置を講ずるとあったところ、「は」と「が」では結構ニュアンスが違いまして、つまり、この文章の後に文部科学省と括弧がしてありますので、主語は文部科学省がこのような設置者ができるように整備をすると読むのか、私たち学校の設置者はしなければならないと読むのかによって、国と自治体との関係について、ややニュアンスが違ってきます。

これが前回から修文された経過というのは、文部科学省とのやりとりの中で、この方がより適切であると判断されたとすると、実はかなりポジティブな、積極的な変更がなされたと私は思いました。すなわち、特別支援学校だけではなくて、一般の学校の設置者が改めてインクルーシブ教育のために計画的な取組みを行うことが明記されることになったわけで、これは大変前向きなとりまとめがなされたと思いますし、文部科学省の皆様とのやりとりがかなり前向きになされたように受け止めると同時に、私たちのような公立学校の設置者の責任が大変重くなっているものですから、単に文部科学省にお願いするだけではなくて、公立学校の設置者の自覚がより一層高まらなければならないと思います。そんなわけで、政府に求める意見というのが基本的な在り方として構成されているものですから、文部科学省とのやりとりの中でこのような記述になった経過について教えていただいてから意見を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

藤井議長代理 清原さんの解釈で間違っていなければいいんですが、東さん、いかがですか。経過説明をお願いします。

東室長 まず、皆さん、竹下さんの御意見はいいですか。

藤井議長代理 竹下委員のお話はいかがですか。では、それはそういうふうにさせていただきます。

東室長 では、御異論がないようなので、そこは削除ということで。

それと、清原委員の御指摘ですが、合理的配慮というのは即時的に成すべきものだということ、それと「計画的に」という文言があるわけですけれども、合理的配慮が計画的になされればいいというわけではないということで、一文として長く続いていたのを途中で切って別の文章にしたという経緯です。その経緯の中で、担当室としては、学校設置者「が」を「は」に直すことの意味まで厳密に考えていたわけではありません。その点、大谷さんの提案に基づいてこういうふうに書いたんですが、むしろ大谷さんの意見がどうなのか、聞いていただければと思います。

藤井議長代理 その前に、文科省は、この文章は確認はしたわけですね。

東室長 これはマルポチで、こちらの問題意識ですから。

藤井議長代理 では、大谷委員、何かコメントはございますか。

大谷委員 教育における合理的配慮義務は一体だれがするべきなのかということなんですけれども、当該学校であり、設置者である者、市町村であり、都道府県立であれば都道府県という前提に立って文章を考えていただいたものです。ただし、文科省がそれに対してどのような責任を持つかということになると、全体としての教育条件、例えば、先ほど佐藤委員から出された設置基準、もしくは当該学級人数の最低基準等々がいろいろありますけれども、全体的な教育条件を整備するということになれば、政府全体の責務ということになろうかと思うんです。その辺、今、これはどこに焦点を当てて言うのかということだろうと思いますけれども、まずは合理的配慮という形で言った場合には、学校であり、学校設置者の問題であろうかと私は認識しております。

以上です。

藤井議長代理 清原委員。

清原委員 ありがとうございました。

これは大変重い役割を設置者である基礎自治体であれ、広域自治体であれ、自治体が果たさなければいけないことになる記述であると思います。当然のことながら、自治体は今までも公立学校設置者としての重い責任を果たしてまいりましたが、特別支援学校・学級ではなく、通常学級でこの合理的配慮をきちんとしていくには、相当の各自治体の取組みが求められてくることになります。したがって、ちょっと気になったのは、文部科学省と括弧して書いてあるところが、文部科学省との折衝ではなくて、こちらの認識で、これは文部科学省向けなのだということであれば、こういう書き方は大変不ぞろいな部分がありまして、消してあるところもあれば、入れてあるところもあったり、それぞれの関係の府省が書かれているだけだとしたら、ちょっと誤解を招きかねないと思います。

ですから、政府全体であるというふうに、今、大谷委員おっしゃいましたように、このことについては、文部科学省が主管はされますけれども、政府の方針としてきちんとしたものがなされないと、文部科学省であれ、あるいは私たちの基礎自治体の教育委員会であれ、結構大変な責務の拡大になりますので、私としては少なくとも、関係するというぐらいの意味なら、文部科学省とかというこの括弧はなくして、最後の「政府に求める今後の取組に関する意見」をすぱっと出していただいて、政府全体での議論にしていただいた方がよろしいのではないかと思います。つまり、文部科学省だけではなくて、設置者は基礎自治体でもあり、広域自治体でもありますから、関係するなら文部科学省・広域自治体・基礎自治体となって、それをこの段階で書くのはまだまだ全体としての議論が成熟していないのではないかと思います。これは意見です。

もう一つ、関連して、先ほどから、第一次の意見書を出すときには、まだまだこの会議で成熟した議論が出されていない、これは今後の課題に残そうと言われたことが幾つかありました。私もその中で気づいたことがございまして、18ページの「推進会議の問題認識」の最後に、今回は義務教育について大変重点的に議論したことがあるものですから、「また、義務教育だけでなく、就学前の教育、高校や大学における教育及び就労に向けた職業教育や能力開発のための技術教育等についても、教育の機会均等が保障されなければならない。」と、大切な未来に向けた課題が3行書かれています。そこで私は気づきがありました。私のような基礎自治体は、学校教育だけではなくて、実は、社会教育、生涯教育、あるいは図書館についても運営をしています。私は、もし許されるならば、今後の課題の中に、生涯教育、あるいは社会教育などにおける教育の機会均等も入るべきではないかと思いまして、これは御無理ならば今後の課題として認識いただくだけで結構です。

以上です。ありがとうございました。

藤井議長代理 時間が迫っていますので、発言は1人1分半。1分でブザーが鳴ります。結論からお願いいたします。

では、大谷委員、どうぞ。

大谷委員 とにかく「政府に求める今後の取組に関する意見」の修文はなしという、東室長の痛切な顔を見ていますと、意見を言うのをためらうのですけれども、20ページです。特性に応じた教育を実現するためには、24年以内に結論を得る。しかし、インクルーシブ教育システム構築の理念等を踏まえた制度改革については検討を行うと、こういうふうに差がついています。

なぜこのような差がつくのかというのは、これは文科省の強い抵抗があったと推測するしかないので、これ以上室長を責めてもしようがないんですけれども、私は、もう少し前に戻りまして、総論のところ、障害者差別禁止法を検討するという第1文の最後、14ページの頭の「差別禁止法の検討に併せて、障害者制度改革の推進が必要な他の関係法律を一括して整備するための法案の検討を行う」というふうに、差別禁止法の検討をするときにはほかの法律も検討するよと載せている。せめてここに学校教育法などの他の関係法律を一括して整備するための法案の検討も行う。ここで差別禁止法のときには学校教育システムをちゃんとやるよと、そうすると、24年末までにはちゃんと検討するよということがここに盛り込まれると思います。ですから、政府に求めるところの文章がいじれないのでしたら、せめて差別禁止法のところに載せていただきたい。学校教育法システムをインクルーシブに変えるということを、一体どこでロードマップをつくるのかということを明らかにするためにも、ここには是非入れていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 新谷さん。申し訳ないけれども、極力1分半程度でお願いします。

新谷委員 19ページ、先ほどのマルポチの1番目、東さんから説明を聞いて、この座りの悪い文章の意味がやっとわかったんです。確かに障害者権利条約は、ろう者に対する教育という書き方をしているんですけれども、ここのところは「聴覚障害者」と改めてほしいという議論は別のときにやったつもりです。実際問題として、聴覚障害者の中で、特に中軽度の生徒たちは、特別支援学級への在籍が非常に多いわけです。この文脈からですと、それは出てこないです。ここを「聴覚障害者」と改めるというのは、また非常に大きな議論になるんでしょうか。

藤井議長代理 では、清原委員、大谷委員、新谷委員の意見を含めて、教育でまとめて東さんからお願いします。

東室長 私がそちらの席に座っていれば、同じようなことを言ったと思います。これからの交渉のとっかかりといいますか、今まで一定の方向を向いていなかったものを、各省庁、基本的には一定の方向を向いてもらって交渉していく、最初の閣議決定にしたいというところなんです。そのスタートに当たっては、それぞれ現状いろいろ違いますので、でこぼこがあるかとは思うんです。そういう現状の中での苦渋の選択というところもあります。

それで、学校教育法の問題については、差別禁止法の部分で書いてあるところの一括の法律で書いてほしいという御意見ですが、関口委員の民法の規定も同じようなところの問題としてあるわけです。そこの部分も多分、閣議決定に載る部分なんです。ですので、一般的な規定として書くしかないのかなと思っているところです。

「聴覚障害者」と「ろう者」という言葉は意味が違うと認識しております。難聴の人たちもここに入れるべきかという議論につきましては、担当室サイドというよりも、むしろ、ろうあの久松さんと新谷さんの間で少し議論していただければと思います。

藤井議長代理 それでは、清原委員の件はいいですか。

では、ここで休憩を取ります。この休憩時間中に、福島委員、佐藤委員との調整、もし可能だったら今の件がありますので、久松委員と新谷委員、15分間で結論が出れば出していただくようにお願いいたします。

なお、今日は、どう見てもこのまま行けば5時には終わりません。御都合のつかない方はやむを得ませんから退席はいいと思うんですが、できれば17時半ぐらいまでの延長をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

藤井議長代理 では、今から15分間ですので、4時40分まで休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、時間がまいりましたので、第3番目のコーナーに入ります。

内閣府は今月からクールビズで、希望する方は別なんですが、ネクタイはなくてもいいということで、私はネクタイ取りました。暑いので、これ以降は9月まで、どうぞノーネクタイにしてください。

それから、土本委員は今日、北海道に帰られますので、5時15分にここを出ないと間に合いにくいということで、途中退席のお話がありました。

それから、2つの案件、福島委員と佐藤委員との調整については、福島委員の第3番目のパラグラフを採用で佐藤委員は構わないということで、これを挿入いたします。

それから、久松委員と新谷委員の調整については、新谷さんの方から発言をどうぞ。

新谷委員 新谷です。

久松さんと話して、お互いに了解したのは「盲人・ろう者、難聴者または盲ろう者」にとっても最も適切なということです。

藤井議長代理 先ほどの合意で「盲人」は消すことで結論を得たと思ったんですが、うまく伝わっていなかったかもわからない。

東室長 議論をお願いしたのは、「盲人」は消すという前提です。

新谷委員 「盲人」は消すんですか。その代わりは要らない。

東室長 代わりは要りません。竹下先生の発言は「盲人」は消してくれということです。

新谷委員 視覚障害者は要らないんですね。「視覚障害者」という言葉は入らない。

東室長 入りません。

新谷委員 それであれば、ここは、ろう者も難聴者も盲ろう者も要らなくなるという話ですよね。

東室長 いえ、そうではなくて、言語環境として考える場合に、点字については言語ではないので、基本的には一般のほかの障害と同じに扱うことも十分考えられるわけです。しかし、特にろう者の場合、盲ろう者の場合は、言語として集団的な習得環境が必要だろうということで、条約では特に言われているわけです。だから、難聴者の場合、どうなのかということで御議論いただきたいということでお話し申し上げた次第です。

新谷委員 難聴者の場合には、以前御説明しましたように、要するに、言語習得の問題が残るんで、言語習得ができる環境、具体的には補聴援助システムとか、ノートテイクのサポートが大きいんですけれども、教師の方でもやはり聞こえていない子どもは言語習得をしていくというステップアップを図っていかないといけないという意味では、言語習得できる環境というのは非常に大事なんで、今、そういうことが保障されている場は、特別支援学級とかが中心ですから、そういう意味ではここに「難聴者」という言葉を入れていただいた方が適切かと思います。

藤井議長代理 「盲人」は取った上で、もう一度、久松さんと新谷さんで協議したことを言っていただけますか。

新谷委員 聴覚障害者の方にとっては、要するに、コミュニケーションというのが一般的な障害者と同じという理解であれば、別に外してもいいのかなと思います。聴覚障害者はコミュニケーション、言語習得が常に問題になるんで、そういう環境の整備が必要だという意味で、ここは聴覚障害者に限定されてもいいかなと思います。そういう意味で「ろう者・難聴者、盲ろう者」という言葉でいいかなと思います。

藤井議長代理 もう一度確認すると、「盲人」は省いて「ろう者・難聴者または盲ろう者」として、久松さんの意見も入っていますね。

久松委員 久松です。

大丈夫です。

新谷委員 新谷も了解です。

東室長 担当室としては、ほかの方の意見がなければということで。

藤井議長代理 まず、当事者の御意見は2人了解、ほかの方の意見はいかがですか。よろしいですか。

(「はい」と声あり)

藤井議長代理 では、そういうことで、東さん、いいですね。

東室長 はい。

藤井議長代理 これ以降は、できれば5時半を目指しますので、あらかじめ文章等で修正箇所が出ていますので、本当にこれはよくないかもわかりませんけれども、時間との関係で1分野5~6分しか取れません。順番に行きますので、どうしてもという方は挙手を先にまず求めます。これで手を挙げていただいた上で、そこで発言者はおしまいとなります。次は「3)所得保障等」に関して発言をしたい方。

では、佐藤委員、お願いします。

佐藤委員 ありがとうございます。来月7月に障害年金の認定基準の見直しがあるということを聞きまして、この第一次意見書の中でそれが触れられているかどうかを見たところ、推進会議の議論の中では触れられてはいたんですけれども、この中には載っていなかったので、できたら「政府に求める今後の取組に関する意見」の中で、それが無理であれば「推進会議の問題認識」の中で、特に公的年金制度改革における検討の中に次のような文章を加えていただければと思います。

「障害年金制度における障害の概念と認定基準を医学モデルによる病気機能障害、日常生活能力から社会モデルを基礎とした所得保障の必要度に変更する見直しを行うとともに、所得保障と障害に伴う特別な出費の補填の概念の明確化を図る。」

以上です。

藤井議長代理 東さん、見解はいかがですか。

東室長 それについては、メールか何かでいただいておりましたか。

佐藤委員 今、口頭で初めて言っていることなので、無理であれば第二次意見書ということもあろうかと思いますけれども、7月に政府が見直しをしようとしているのでということが最近わかったので、インプットしたいなと思った次第です。無理であれば結構です。

東室長 今、時期的に切迫している問題なんですが、そのことについて、一般的な議論として議論されたという記憶も余りないんですね。そういう議論が出されたのかもしれませんけれども。ですので、今の段階では難しいかなと思っています。

藤井議長代理 佐藤委員。

佐藤委員 わかりました。

藤井議長代理 そうしたら、またこれからの、第二次意見に向けての中には考えることも含めていきましょう。

では、次に進みます。「4)医療」に関して、発言をしたい方はいらっしゃいますか。関口委員と北野委員、お願いします。

順番に、関口委員から。

関口委員 いつも最後の時間になって、くたびれ果てたころに順番が回ってきて、しかも短い時間でというので非常に苦痛ですけれども、医療観察法についてですけれども、これは法務省と厚生労働省の共管の法律でもって、法構造自体に問題があると考えております。現行の厚生労働省の部分には、自由の剥奪という観点から検討すべき問題があるとなっています。これは、実は新しく議論されてきた経過がありますので「心身喪失者等医療観察法については、刑事司法の問題と医療の問題を分離して考え直し、障害者権利条約上も問題のある不当な人権侵害をなくすために一旦廃止すべきである。」というのを入れていただきたいと思います。

というのは、部会の方でも冊子の24ページに医療観察法の即時廃止ということが挙がっております。これは第6回の本会で、ホームページ上で資料3となっておりますけれども、医療観察法における強制医療介入ということでもって、障害者の権利条約に違反するかどうか意見を賜りたいという設問がございました。14名、門川さん、福島さんを2名と数えれば15名ですけれども、そのうち9名が明確に違反すると答えております。少なくとも違反していないと答えている人は14名中1人もおりませんでした。というわけなので、この文章をできれば加えていただきたい。

それから、前回の検討のときに私は、全体として後退した感があると、つまり、会議で話されてきたことから後退しているんではないかという印象を述べましたけれども、例えば、いわゆる保護者制度の後に「等」がついていたと思うんですけれども、これが消えてしまっている。これでは保護者制度だけをやればいいという話になってしまうので、そこも御配慮いただきたいと思います。

藤井議長代理 北野委員。

北野委員 教えていただきたいんですけれども、23~24ページの「政府に求める今後の取組に関する意見」なんですけれども、最初の強制入院と保護者制度の見直しについては、その在り方を検討しというだけでありまして、総合福祉部会や推進会議との意見の整合性というのはありませんので、在り方を検討するのはどこがされるのか。それから、2つ目と3つ目はそれぞれ総合福祉部会との整合性を図るとありますけれども、最後のたんの吸引等につきましても検討するとありますけれども、どこで検討されるのか、もし御存じでしたら教えていただけたらと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、両委員の件について、まとめて東さんからお願いします。

東室長 関口さんの御意見の最初の部分につきましては、強制医療介入という面では、このマルポチの中にも入れております。関口さんの意見はそれだけではなくて、刑事司法との関係でということなんですが、推進会議の中でも刑事司法との関係については余り議論されていないと思いますので、今の段階においてはこの程度にしておきたいと思っています。

それと、後退した感じがあるということは、川崎委員も同じような趣旨のことを述べられておりましたので、精神障害者に対する強制入院等の見直しについては、見直すべきであるというふうに語尾を変えて強化したつもりです。ここに「等」が含まれていないということで御意見がありましたけれども、「等」については意識的に削除したわけではありませんので、「等」を入れてもいいかなとは思っております。

それと、北野委員の意見ですが、済みません、御意見の趣旨がよくわからなかったんですけれども、どことどこでしたか。

北野委員 24ページの「『保護者制度』の見直し等を含め、その在り方を検討し」というのは、福祉部会であるとか、推進会議等の意見の整合性を図りつつという表現がありませんので、どこで在り方を検討されるのか、もし御存じでしたらということと、あと、最後のたんの吸引のところも「結論を得る。」とありますけれども、今、どこかで検討されているのであって、我々推進会議であるとか、総合福祉部会とは無関係なのか、その辺がわかりましたらということでお聞きしました。

東室長 これは政府に求める意見ということで、政府全体として閣議決定するわけですので、文章中に厚労省とか、特定の名称は書かないことが前提ですけれども、所管としては厚生労働省ということになります。省庁としてはですね。お尋ねは、例えば、推進会議とか、部会の話を聞かれているんでしょうか。

北野委員 最初の保護者制度につきましては「その在り方を検討し」という表現ですけれども、後の文章には「総合福祉部会等における議論の整合性を図りつつ」という表現が入っておりますけれども、ここには入っていないので、推進会議や総合福祉部会ではこの議論はできないというのか、それとも無関係にという意味なのか、その辺が気になったものですから。

東室長 保護者制度自体につきましては、現在の総合福祉部会のメインテーマではないわけです。しかし、社会的入院の問題については、総合福祉法の1つの大きなテーマだと思いますので、そういうことで部会のことを書かせていただいたという関係です。

藤井議長代理 北野さん、そこを詰めても、恐らく答えのないところからちゃんと検討するということでいいですね。

関口さんはいいですか。

関口委員 刑事司法の件に関して話していなかったのは確かですけれども、ここで聞かれていたのは、条約違反かどうかということが聞かれていたのは話されていたと思います。そこで「医療措置を取ることが可能となっており、条約との整合性も図り、自由の剥奪という観点から」というふうに入れていただきたいと思います。

藤井議長代理 東さん、答えられますか。

東室長 記載の場所はどこを言われましたか。

関口委員 22ページの上から3行目に入れてほしいんですけれども、「可能となっており、条約との整合性も考えた上で」とか何か、文章は適当に任せますけれども、とにかく条約との整合性に基づいて自由の剥奪という観点から検討すべき問題があるというふうな、条約を入れてください。条約違反だという意見が9名あったわけですから。

藤井議長代理 東さん。

東室長 具体的に文言を披露していただけますか。

関口委員 「医療措置を取ることが可能となっており、障害者権利条約に基づいて、自由の剥奪という観点から検討すべき問題がある。」と、「障害者権利条約に基づいて」というのを入れてください。

東室長 「障害者権利条約に基づいて」、ちょっと検討してみます。

藤井議長代理 では、この件はこれで終わります。

次に行きます。「5)障害児支援」に関して、まず、発言をしたい方、手を挙げてください。では、佐藤さんお1人なので、佐藤委員、お願いします。

佐藤委員 非常に簡単なことです。24ページの「推進会議の問題認識」の見出しです。「障害児やその保護者に対する相談支援」という見出しの中身を見ると、相談支援だけではなくて、療育とか、いろんなことが書いてあります。したがって、見出しを、相談支援に加えて「・療育等」を入れていただければと思います。

藤井議長代理 「相談支援・療育等」ということですが、東さん、いかがですか。

東室長 ほかの委員の方の御意見があれば伺いたいです。

藤井議長代理 ほかの委員、いかがですか。

尾上さん。

尾上委員 ここの部分は確かに相談支援だけに限っているわけではないので、むしろ「相談」を削除して「障害児やその保護者に対する支援」とすればいかがでしょうか。

藤井議長代理 「相談」とか「療育」を省いて、支援と包括的にということなんですが、佐藤委員はいかがですか。

佐藤委員 それでも結構です。

藤井議長代理 ほかにもし意見がなければ、それを採用しましょう。よろしゅうございますか。

東室長 では、担当室としても、そのようにします。

藤井議長代理 では、それを検討してください。では、この件は終わります。

次は「6)虐待防止」について、発言したい方、いらっしゃいますか。では、土本委員、もう帰る間際ですね。お願いします。

土本委員 土本です。

虐待防止の「推進会議の問題認識」と書いているところで、入所施設や家庭内、労働現場や精神病院等の医療現場等と書いていますけれども、そこに学校が書かれていなくて、次のページに学校が書かれているという点です。

藤井議長代理 わかりますか。教育機関、学校。

東室長 担当室の東です。

確認ですけれども、虐待防止の「推進会議の問題認識」の1行目において学校が入っていないということですね。

土本委員 そうです。

東室長 しかしながら、後ろの方では入っているから、前にも学校を入れろということですか。

土本委員 そうです。

藤井議長代理 皆さん、いかがですか。

(「異議なし」と声あり)

藤井議長代理 もっともだということですね。東さん、もっともです。

東室長 わかりました。「学校」を入れます。済みません。

藤井議長代理 土本さん、いいですね。入りましたよ。では、これはこれでおしまいにします。

「7)建物利用・交通アクセス」で発言したい方。

久松委員。

久松委員 ろうあ連盟の久松です。

繰り返し繰り返し言っていることですけれども、もう何を言うか、皆さんもおわかりかと思いますが、障害者権利条約は「アクセシビリティー」という言葉が独立の項目になっています。でも、今回の意見書には、アクセシビリティーについて独立したテーマがないので、建物利用と情報アクセスという2つになっています。ここの場でも移動の権利に関しても同じように、移動に関する情報アクセスの権利ということ、繰り返し出しますが、その都度、却下されている状況です。しかし、この場でも改めてあえて出したいと思います。

以上です。

藤井議長代理 これに関する、他の御意見ございますか。久松さんが繰り返し言っていても、なかなかわかってもらえないということ、いかがですか。わかってもらえないというよりは、この記述のあれが省庁別となっていることから来る、ポイントを突いている面と、しかし、横断的に抜けてしまう部分とあるんですが、これに限った点ではないんですが、東さん、コメントございますか。

東室長 これもまた同じような返事になるかと思いますが、1つは「情報アクセス・コミュニケーション保障」の中で、あらゆる分野ということで「日常生活だけではなくて、社会生活の分野において」という言葉を加えているわけです。全般的にそれでカバーするという認識です。ですが、それでももう少し書きぶりを変えてくれということであれば、例えば、27ページの上から2行目から読むと「障害者にとって円滑かつ安全に公共的施設・設備、公共交通機関等を利用できる環境が十分に整っているとはいえない状況がある。」という中に、例えば「情報の提供もなく」とか、現状認識の中でコミュニケーションが不足しているということを入れるという形は対応可能かと思いますが、いかがでしょうか。

藤井議長代理 久松さん、いいですか。

久松委員 ろうあ連盟の久松です。

わかりました。今の御提案を受けたいと思います。ありがとうございます。

藤井議長代理 では、「あらゆる」というところに交通も読み込むということと、現状認識、問題認識の中に今の情報の不自由さを入れると、皆さん、これでよろしゅうございますね。

(「はい」と声あり)

藤井議長代理 皆さん、少し元気ないですね。大丈夫ですか。気をしっかり持ってくださいよ。

それでは、次にまいります。次は「8)情報アクセス・コミュニケーション保障」にまいりますが、この分野で発言したい方。

では、竹下委員からお願いします。

竹下委員 この8番目の「情報バリアフリーの取組」という項目の中で、こうあります。「手話付放送、字幕付放送、電話リレーサービス等」、全部聴覚障害者に対するサービスですね。そのくせ「あらゆる障害の種別・特性に配慮した」となっているんだけれども、これはちょっとバランスが悪過ぎると思うんです。そうであるならば、放送の関係で言うと、副音声サービスなのか、何らか入れていただきたい。そうでないと、後ろとの関係も含めて少しバランスが悪過ぎると思います。それが1点目。

それから、2点目は、更にその後ろのフレームで「手話通訳者、指点字通訳者、触手話通訳者、要約筆記者」、これも盲ろうを含みますけれども、聴覚障害者だけ、その後にやっとと言うと怒られるかな、「知的障害者の支援者」とやっと出てくるんです。すなわち、点訳養成者も含めて言うと、今のところ、すべてがボランティアによって賄われているのに対して、手話通訳に関しては公的な配置がされているという現実のアンバランスもあるわけです。そういう実態から踏まえても、その後ろには各行政機関での配置も意識されているわけでありますから、ここの養成の関係では、点訳者等の養成も含めていただくことがバランス上も必要かと思います。この2点です。

以上です。

藤井議長代理 これに関して、東さん、ございますか。

東室長 ちょっと検討する時間をください。

藤井議長代理 では、久松委員。

久松委員 ろうあ連盟、久松です。

28ページの真ん中辺りのところで、手話付放送、字幕付放送、電話リレーサービス等、音声解説も入ると思いますが、この中の「特性に配慮した方法による情報提供が」というところなのですが、私も見落としていました。「情報提供・コミュニケーション支援」という言葉が入れてほしいと思います。今回の文章を読みますと、情報提供という意味だけではなくて、コミュニケーション支援というのが一番生かされる言葉だと思いますので、「情報提供・コミュニケーション支援」と入れていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 東さん、これはどうしましょうか。

東室長 ここでは政府に求める意見ではなくて、関係事業者等によりなされるという問題なんです。手話付放送、字幕付放送はテレビの会社、電話リレーサービスは電話会社なんです。音声解説もテレビだろうと思うんです。コミュニケーション支援をどういう事業者に対して何を求めるのか、そこはどうなんでしょう。行政支援サービスの一環としての記述ではないというところを考えていただきたいんです。そこの整理が、私の方では今の段階ではできかねます。

藤井議長代理 久松さん、大事なことなんで、今の東さんの疑問について、意見ありますか。

久松委員 「情報発信・情報受信」という言葉があります。「情報提供」という言葉の使い方と、もう一つ、コミュニケーション、お互いの意思の交換をする、双方向性、この2つの種類があります。双方向性というときには「情報提供」という言葉は使いません。コミュニケーション支援です。これはコミュニケーション支援の範疇に入るので、文の流れからすれば、どちらかと言えば、コミュニケーション支援の方が適切ではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、再度、東さん。

東室長 手話付放送にしても字幕付放送にしても、情報提供者が一般不特定多数に情報を提供するときの仕組みの問題です。手段の問題。電話リレーサービスというのは、電話事業会社が提供するシステムの中で、それを不特定多数の者が不特定多数の者に対して利用できるように事業者に義務づけるものです。今の久松さんの御提案でも、何をどうするというのがイメージとして湧かないんです。具体的に何か事例があれば教えてください。

久松委員 ろうあ連盟、久松です。

新谷委員の方が詳しいと思いますが、電話リレーサービスというのは、情報発信だけではなく、相手の情報ももらったりして交換する、互いに交換する作業なのです。ですから、一般の音声による電話でお互いに話し合うということは聞こえない者同士ではできないので、その代わり、目で会話をする、それをサービスする、このように双方向のコミュニケーションを支援するという考え方です。電話通信事業者にとっても、情報提供ではなく、やはり「コミュニケーション支援」という言葉を使っていますので、違和感はないと思います。

藤井議長代理 東さん。

東室長 電話というのはそもそもが双方向であることが前提なんです。双方向の利用システムを事業者が提供する場合に合理的配慮を行えと、一般に対するサービスと実質同じようなサービスを提供しろという意味で、例えば、ADAの中で発展してきたものだと思います。しかし、それ以外に、行政ではなくて、一般事業者に対して、どういうものがあるんでしょうか。

藤井議長代理 竹下委員、どうぞ。

竹下委員 結論的には、その部分は久松さんとは逆で、私はこのままでいいと思うんです。なぜかというと、その後ろを読んでいただきたいんです。「日常生活、社会生活、障害者と障害のない人との交流する機会等のあらゆる場面において行われるよう必要な支援を行う」となっているわけです。このことから言っても、多分、久松さんのおっしゃっている意味でのコミュニケーションという内容も含まれていると十分読めるとも思うし、そういう点からも、その部分はこの文章でいいんではないでしょうか。そうでないと、言葉として私は「コミュニケーション支援」という言葉は大好きですけれども、ここで唐突に「コミュニケーション支援」という言葉を使ったら、だれが、だれに対する支援かというのが余計あいまいになって、ことばだけが浮いてしまうと思うんです。

以上です。

藤井議長代理 久松委員、いかがですか。

久松委員 久松です。

互いのコミュニケーションを助けるのがコミュニケーション支援という意味です。その1人だけに対する支援はコミュニケーション支援ではないです。いろんな人に対して情報を提供する、いろいろな人の中の1人、あるいは2人がその情報を受信できない場合、それぞれが情報にアクセスできるということであれば問題はない。コミュニケーションはお互いのコミュニケーションができるような形にするという考え方でいいと思います。言葉の整理を求められると、情報提供とコミュニケーション、この2つが混在した文章になっているので、確かに御指摘のとおり、整理しないとまずいなとは思っています。

藤井議長代理 時間の制約の中で、大変大事な情報保障という概念と、コミュニケーション保障、またコミュニケーション支援という概念の共通部分と違いの部分があると思うんです。このことを無理にこの部分で今、まとめていきますと、大事な文章なので、今の久松さんの御意見は大事な御意見、主張ではあるんだけれども、今日のこの場においては、むしろ今言った言葉の概念整理を含めて、もう一度精緻に、厳密に議論して、第二次に備えるということで、今、竹下さんおっしゃったように、文脈としてはこれに含まれるということでもし受け止めていただけるんだったら、表記としては一応、原案どおりにしておいて、次につなげるということでいかがでしょうか。

久松委員 わかります。でも、一言お願いしたいのですが、よろしいですか。二次意見に含める方向で意見を出したいと思っています。1つだけ質問なのですが、この項目だけに関して、関係省庁との協力を得てということが括弧づけに入っているのですが、関係省庁の協力を得てという、これだけ出てきているのですね。これはどういう意味で受け止めたらいいのでしょうか。

藤井議長代理 この部分だけ、東さん、お答えください。

東室長 情報アクセス・コミュニケーション支援というのは、例えば、総務省だけでやれるということでは決してないと思うんです。例えば、緊急時の問題にしても、もっと幅広い省庁、あれは実施は総務省になるんですかね。内閣府も実は緊急災害のことを扱っていますし、そういう意味で、多省庁にかかわる問題だからということで入っているということです。

藤井議長代理 よろしいですか、久松さん。多省庁にまたがるということで。

久松委員 了解しました。

藤井議長代理 大谷さん、どうしてもですか。

大谷委員 それで皆さんいいと言うならいいんですけれども、ただ、文章の流れで、竹下さんのおっしゃっていることも、久松さんの意見もよくわかるんだけれども、これは何で提供だけで発信というのがないのかなというのが率直な疑問なんです。「情報提供・発信」としてしまうことはだめなのか。「提供及び発信」と。受けることだけでなく、言うこともという意味も含めることはそんなに難しいことではないのにと率直に、意見として述べたいんですけれども、今、ここの場でそのことを入れることがそんなに難しいかどうか。

藤井議長代理 では、東さん。

東室長 「情報バリアフリーの取組」で「日本においては、情報や考えや、やりとり」という形で、情報とか考えを伝え、または受けという、硬い表現ではわかりにくいんで、やりとりという形に変えております。

大谷委員 だから、その後、障害に配慮した情報提供と集約されるから、やりとりだったら提供及び発信ですね。それが何か違和感を感じる。

藤井議長代理 厳密に言ったら、情報の受発信とか。

大谷委員 受発信です。

藤井議長代理 こうなると、いろいろと意見が出てきますので、どうしましょうか。これは大事な議論なので、今日、ここで一気に結論を出すよりは、大谷さんの言うのはわかるんだけれども、かなり本質問題を含んでいるので、第二次に延ばしませんか。ろうあ連盟や、新谷さん、また福島さんたちもこの部分はきちんと整理をお願いしてということでいかがでしょうか。いいですか。

久松委員 結構です。そういうことを言っていただければ、コミュニケーションについて、一番の当事者が難聴者、あるいは福島さんとも意見をまとめて出した方がいいかと思います。

藤井議長代理 では、関係者の意見もこれからだんだんまとめてということもあると思うんで、このことは、今日ここで抜かすというんではなくて、余り表現はよくないけれども、今後の課題に残すというふうにしてつなげていきましょう。

東室長 担当室の東ですけれども、前回なかった分、つけ加えた部分が、先ほど竹下委員が読まれた部分であるわけです。障害者と障害のない人との交流する機会等ということで、これは場の保障ということで、新谷委員が言われたことを敷衍して書いたということです。

それと、竹下委員から「副音声サービス」ということとか「点訳者」という言葉を入れてくれという意見がありました。「副音声サービス」というよりも、言葉としては「音声解説」の方がいいんですかね。

藤井議長代理 「副音声等による音声解説」ですか。

竹下委員 どちらでも、表現は「音声解説」だけでも構いません。

藤井議長代理 「音声解説」。

東室長 では、その言葉を入れたいと思います。

藤井議長代理 では、それを含めて、よろしゅうございますね。では、大事なことを残していきながら、次に行きます。

次は「9)政治参加」で発言したい方。よろしいですか。進行に協力いただいていることがよくわかります。

では、次に進みます。「10)司法手続」について発言したい方。

大谷委員から質問。

大谷委員 「政府に求める今後の取組に関する意見」のところに、刑事訴訟手続においてというふうに限定されている。これは、被拘禁者の処遇については排除というか、それはやらないよという明確な意思なんでしょうか。それだけです。

藤井議長代理 東さん、どうぞ。

東室長 いえ、刑事訴訟法手続とは書いてありませんので、一応、広い意味だと解釈していただければいいかと思います。

藤井議長代理 大谷委員は納得ですか。

大谷委員 いえ、訴訟手続と処遇というのは別の法律ですので、できたらここは「刑事訴訟及び処遇において」とかしていただきたかったんだけれども、これは政府との関係でこうなったのであるならば、次回までに頑張りたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 東さん、そういうことですね。

東室長 はい。

藤井議長代理 では、次回に向けてということになりますが、大谷さん、いいですか。大事な指摘です。

大谷委員 はい。

藤井議長代理 ほかに、いいですね。

では「11)国際協力」に行きますが、この部分で発言したい方。中西委員お1人ですね。どうぞ。

中西委員 内容に関してというよりも、マイナーな修正です。まず、四角のところに「ESCAP」という言葉が出てくるのですが、以前は最初にあった「歴史」の部分でESCAPが出てきて、それが39ページに移ったがために、ESCAPがアジア太平洋経済社会委員会であるという説明がなくなっているので、39ページから移していただきたいということ。それから「アジア」における障害分野の国際協力というのが四角い枠内の最後から2行目に出てきますが、これは「アジア太平洋」、同じく政府への意見のところの2番目に○のところが、ESCAPを中心とした「アジア」におけるとなりますが、これはやはり「アジア太平洋」にした方がいいと思いますので、そこの訂正をお願いいたします。

藤井議長代理 これは東さん、どうですか。いいですね。

東室長 御指摘のとおり。

東室長 では、これは受け入れます。

国際協力、よろしゅうございますか。

では、全体を通して、ここは気になる、発言しておきたいという方がいらっしゃれば受け付けます。松井委員、関口委員、尾上委員。

では、松井委員からお願いします。

松井委員 15ページの「4.個別分野における基本的方向と今後の進め方」の新しく加わった部分で、先ほども発言させていただきましたけれども、原案だけですと、関係省庁が基本的に検討して決めていくとなりますので、私は修正案として横断的課題ということを挙げたんですけれども、例えば、教育というのは必ずしも横断的ではないので、横断的課題及び重点課題については、関係審議会等との、あるいは関係省庁との協議の場を設ける。先ほど東さんからは、もう既にヒアリングをしていると答えられましたけれども、ヒアリングだけでは十分ではないと思うんです。ですから、そういう意味では、横断的な課題や重点課題については、推進会議としても取り組むという理解をしていただきたい。

それから、マイナーなことですけれども、次の「1)労働及び雇用」の最初のところの「働く機会が確保されるとともに、多様で利用可能な労働条件・環境」の「多様で利用可能な労働条件」というのがちょっとわからない。ですから、ここは「多様な働く機会が確保されるとともに、人としての尊厳にふさわしい労働条件及び利用可能な環境が整備されること」という修正をしていただきたいと思います。

藤井議長代理 後で一括してお答えいただきますので、関口さん。

関口委員 精神保健福祉医療分野では、部会の方の16ページに国策として隔離収容を進めてきたことを謝罪してほしいということが載っております。各国を見ましても、例えば、アメリカでも大統領が決断し、イタリアの精神医療の中で病院収容を止めていくといった流れも大きな政治の流れの中で出てきたものです。ここでまた新しく首相になられた菅さんに、この間、ずっと厚生労働省が施策を行ってきたけれども、その結果がこれなんだ、これを変えなければいけないということを本当に決断していただきたい。本当にそれをお願いしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 尾上委員。

尾上委員 今日はもうとりまとめということで、あえて質問しなかったんですけれども、今後の確認なんですが、例えば、31ページの政治参加のところで、政見放送におけるバリアフリーといいますか、アクセスの問題であったり、あるいは前回も議論になりましたけれども、成年被後見の方の選挙権、被選挙権の剥奪の問題は、この推進会議としても非常に大きな課題ということで全体の一致を見ているところだと思います。「政府に求める今後の取組に関する意見」というのは、もう既に関係省庁で整理されてということなので、今回の第一次意見云々ということではなくて、今回の第一次意見の中に入らなかった部分、引き続き第二次意見といいますか、先ほど松井さんが提起されたこととも関係しますけれども、横断的、あるいは重点的課題については、引き続き推進会議でも第二次意見に向けて議論していくということでよろしいかどうか、確認だけお願いしたいと思います。

藤井議長代理 では、以上3人の意見ですけれども、東さん、お答えできる部分があればお答えください。

東室長 ちょっと時間をいただけませんか。10分ぐらい休憩して。5分でもいいです。

藤井議長代理 今、室長から申し出があって、5分間休憩して調整するということなので、35分から再開しますので、5分間、休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、時間も余りないので、再開します。

まず、東室長からお願いいたします。

東室長 東です。

まず、関口委員から権利条約云々という言葉がありました。あの部分は入れられるかと思います。踏まえてということですね。これはちょっと勢いでというところもありますけれども。

それと、18ページをお開けください。「障害者に対する通勤支援、身体介助、職場介助、ジョブコーチ等」という中に、確かに「コミュニケーション支援」という言葉が入っておりませんので、「コミュニケーション支援を含めた身体介助」とかいう言葉でコミュニケーション支援を入れたいと思うわけですけれども、この点は言葉としては省庁との合意ができていない部分なんで、その後どういうふうになるかということは保障できるところではありませんが、一応、気持ちとして、皆さんの総意として入れたいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

藤井議長代理 よろしいですね。では、総意として確認しましょう。

東室長 それと、松井先生の御提示部分なんですが、各論の前の「4.個別分野における基本的方向と今後の進め方」の中で提案をいただきましたけれども、「関係府省との協議の場を設け」という文言は、閣議決定でここの推進会議ができているわけですけれども、それ以外の協議機関をまた閣議決定でつくれという話になるわけですね。ですので、そういう形ではなくて、いろんな形でヒアリングとか、ここで来てもらって協議するということは実質上可能だと思うんです。松井先生もそういう御趣旨だろうと思うので。

松井委員 さっき尾上さんがおっしゃったように、推進会議の中で引き継いで検討するということで結構です。

東室長 はい。

それと「1)労働及び雇用」の中での問題意識の部分ですが、確かに先生がおっしゃるような表現の方がいいと思いますので、このように変えたいと思います。「多様な働く機会が確保されるとともに、人としての尊厳にふさわしい労働条件」云々と変えたいと思います。

その他、細かい字句の、どう表現するかというところで、100%御提案に従った部分で入れられるかどうかわかりませんが、一応、ここは入れますというところは入れたいと思います。どこか確認しておきたい点があれば言ってください。何点もありましたので。

藤井議長代理 いかがですか。それでは、字句修正とか、微細な修正は、幾つか誤字などもありますので、これは事務局に一任させていただくことにします。

最後に、今日のこの段階で、第一次意見をこのメンバーで承認をしたいんです。ちょっと気になっていますのは、発言していない方が5人いらっしゃるので、これでお任せということかもわかりませんが、短い時間になりますけれども、一言ずつ、感想でも意見でも言ってもらって、最後、承認としていきたいと思うんですが、大久保さんから順番にいいですか。

大久保委員 大久保です。

本当に事務局の皆さん、大変だと思います。ここまで随分よく整理されているなということも含めまして、今回の議論を踏まえて、あとは議長並びに事務局の皆さんにお任せしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 勝又委員。

勝又委員 ありがとうございます。勝又です。

本当にスピーディーにまとめていただいて、このスピード感が非常に重要だと思います。こうやって出していくことができたということは、本当に事務局の皆さん、それから、構成委員の皆さんのお陰だと思います。結構だと思います。

藤井議長代理 川崎委員。

川崎委員 本当に事務局の方にお礼を申し上げますけれども、ひとつ、私、質問させていただきたいのは、これを本部長に差し出すわけですけれども、そのときのやり方としては、書類をただ渡すだけなのか、もう少し私たちの意見が強調されるような渡し方をされるのか、その辺がちょっと疑問に思いました。

藤井議長代理 渡し方のイメージですか。要するに、意見を言って出してほしいということですね。

森さん。

森委員 どうもありがとうございました。恐らく行政の方で、この推進会議の問題認識というところをよく読んでいただいて、施策に反映していただきたい、こう思っておりますので、どうもありがとうございました。

藤井議長代理 山崎委員。

山崎委員 山崎です。

私もこの中身は基本的に賛成いたします。今日は1回でこの議論を全部終わらせようということでしたが、多分、2回あればまたそれに応じた意見が出てくるものと思います。皆さん、1回だということで、それを踏まえた上で、かなり自己抑制的に発言されていたんだと思います。私は自己抑制して全く発言しませんでした。

あと、1つ、御質問でございますが、先ほどの川崎さんの質問ともかぶるかと思いますが、これを本部長に出しまして、その後、閣議決定に至ると思うんですが、その際は内閣に任せるということですから、まさかこの全文が閣議決定の中身になるということではないとは思いますが、その際、ポイントがどこかということは、どういう形の折衝になるのか、今の時点でのお考えをお示しいただければ幸いです。

藤井議長代理 川崎委員と山崎委員から質問があったので、これをお答えいただいた上で全員で承認してもらいますので、東さん。

その前に、大濱委員。

大濱委員 済みません、最後で。これ、ざっと見ていて、私、落としたんだったらあれですが、予算の確保の視点というのはこれには一切書かれていない。書かれているのですか。

東室長 IIIの「2.基礎的な課題における改革の方向性」の中で「1)地域で暮らす権利の保障とインクルーシブの社会の構築」という項目があります。それの一番下の方に「また、そのために必要な財源を確保し、財政上の措置を講ずるべきである。」という部分には触れております。

藤井議長代理 大濱委員、いいですか。こういう表現でやむを得ないと思います。

大濱委員 ありがとうございました。

藤井議長代理 では、東さんにお答えいただいて、最後に承認してまいりますので、お2方への、答えられる範囲で。

東室長 どういう形で手渡したら一番効果的なのか、何かイメージがあれば教えていただきたいなと思います。

川崎委員 少し私達委員に時間をつくっていただいて、それぞれの委員が自分たちの主張できるのかしらと思ったりしたんです。

東室長 一応、意見をとりまとめたものを文書にして、それを小川議長が総理官邸で渡されるという形になろうと思います。ですので、皆さんが全員参加して議論してという形はちょっと無理だと思っております。ですので、ある意味では、これのサマライズしたものを小川議長から渡してもらうとか、読んでいただくとか、強調したい点を言っていただくとかいう形は可能かと思います。

これは推進会議の意見ということで、閣議決定の中身としては、この中で、政府が取り組むべき課題が中心になろうかと思うんです。ですから、総論の中の政府が取り組むべき部分と、各論の○の書かれた部分が閣議決定の中身になろうかと思っております。そこの詰めは、政務官初め関係の方に御尽力いただきたいと思っております。

藤井議長代理 堂本委員。

堂本委員 最後にお願いですけれども、この推進委員会の一番の特徴は、当事者の方が仕切りもし、参加もし、議論をしてきたということなので、総理官邸に行かれるときに、可能な限り当事者の方に大勢一緒に行っていただきたい。総理官邸に車椅子に乗った方や、目の不自由な方でも、耳の不自由な方でも、そういった方たちが直接行って、本当に当事者が手渡すということに私は一番意義があるし、そのことが強烈だと思うんです。それが推進会議の特徴だと私はずっと思ってきました。だから、そのことを総理にも認識してもらわなければいけないと思いますので、そこのところが明確にわかるような渡し方、そして、そのときに細かいことではなくて、日本の戦後の福祉政策の中で、菅さんも厚生大臣をやった方ですけれども、今、どういう局面に私たちが来ているのか説明してほしい。今回いっぱい議論が出ましたから。革命的と最初に福島さんが言って、最後におられないのはとても残念だし、御本人もとても心残りだったと思いますけれども、どれだけ革命的に変えなければならない、そのために総理の大英断が必要です。そのチャンスが来たんだということを、わかりやすい言葉で、その場で言うんではなくて、皆さんで工夫して、今、本当に大決断を総理に私たちは求めているんだという、そこのところを明確にわかるようにしてお渡しいただきたい。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

藤井議長代理 それでは、今日は第14回目ですが、今日の意見をもって第一次意見をここで構成委員として承認していただくということでよろしゅうございますか。(拍手)

では、承認いたしました。

なお、議長団として、ここで話が出なかったから取り上げなかったというのがいっぱいありました。実は、私は随分制限してしまったんです。だから、我慢をしたのに取り上げなかったという声も聞こえてきています。したがって、今後どうやっていくのかということで、随分大きな宿題が残されています。一応、ここで14回終わって、第一次意見がまとまりましたので、運営に関しても、議長団として、第二次意見のとりまとめに向けて、どういう方法かわかりませんけれども、少し意見を徴収しようと思っています。今後、第二次意見をもっといいものにという点で、運営面でも改善を加えていく必要があると思うんです。こんなことも、大変申し訳ないということも含めて、今日、この第一次意見を承認させていただきました。

では、私の役割が終わりましたので、小川議長にマイクを渡します。

小川議長 本日は、極めて長時間の討議、お疲れ様でございました。ここで、東室長より、今後の予定を含め、報告すべき事項について簡潔に御説明をお願いいたします。

東室長 東です。

どうも御苦労さんでした。

次回は、閣議決定がこの流動的な中でいつ確実に行われるかわからないということもありまして、いろいろ支障があるとおっしゃっている方もいらっしゃるんですが、一応、6月28日にさせていただきたいと思っています。7月につきましては、12日と26日、8月は9日、8月は夏休みということもありますので1回ということです。

ただ、先ほども言いましたように、地方公聴会みたいなものをできればこの辺りからぽつぽつとやっていければと思っておりますので、その点について一定の枠組みが決まりましたら情報提供しますので、御協力のほど、よろしくお願いしたいと思っております。

以上です。どうもありがとうございました。(拍手)

小川議長 ありがとうございました。

半年間にわたりますこの制度会議の中で、第一次意見の大まかなまとめが出来上がりました。皆様方の真剣な御意見、今、最後に堂本委員からもございましたように、この推進会議で苦心の末つくり上げた意見書、障害者当事者の声に真心をもって応えていただきたい、こういうことをお伝えしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

本日は極めて長時間にわたりましたけれども、東室長、議長代理の藤井さん、私を加えまして、記者会見をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

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