○ 小川議長 定刻になりましたので、これより第19回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。
本日の委員の出欠状況ですが、北野委員、長瀬委員、山崎委員、福島オブザーバーが御欠席、清原委員が公務のため15時ごろ御退席、その他の委員は御出席です。
会議の公開はこれまでと同様といたします。
進行上の時間配分については、後ほど東室長より報告があります。
本日の会議は17時までを予定いたしております。
それでは、これより先の進行については、藤井議長代理よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 藤井でございます。
第19回の推進会議を始めてまいります。
先日、荒井大臣の方に小川議長、東室長ともども伺いまして、是非とも来てほしいというお願いをしてまいりました。どうしても今日は公務で来られないということなので、是非とも次回以降御出席を賜りたいと思っております。
それでは、今日もまた17時まで続きますけれども、最初に東室長より今日の議事に関する概略を説明願います。それでは、東室長お願いします。
○ 東室長 こんにちは。東です。
今回は障害者基本法の改正についてということで、総則並びに各則についての議論をしていただきます。併せて総合福祉部会との合同の作業チームについてなどをテーマとして取り上げたいと思っております。
今回は試行的に15分の休息を3回としたいと思っております。したがいまして、コーナーとしては4つになります。前回、会議の運営について御議論いただきましたけれども、その後で門川委員より追加の御意見をいただいております。会議中は指点字のために両手がふさがって、両手を解放して資料を確認するとか記録をするとか、またお茶を飲むなどの時間が必要だという御意見がございました。門川委員からは十分な休息を3回にという御提案でした。これにつきましては、全員についても同じように必要なのではないかということで、今日は試行的に15分の休憩を3回入れることにしております。
まず第1のコーナーは45分で、障害者基本法の改正についての1として、総則について20分ぐらい、その後、各則の中の住宅の部分に25分ぐらいを充てたいと思っております。いずれも冒頭に私から皆さんの御意見の特徴を御紹介した上で議論していただくことになります。
次に第2のコーナーは60分で、障害者基本法の改正についての2として、各則の中の文化・スポーツ及び障害の予防にそれぞれ30分を充てたいと思っております。
第3のコーナーは50分で、やはり障害者基本法の改正についての3として、各則の中のユニバーサルデザインに30分を充て、その後、総合福祉部会との合同作業についてというテーマで25分ぐらいの報告と検討を行います。
最後の第4コーナーは25分で、報告事項を3点ほど予定しております。報告の後、それらについての質疑を行う予定でおります。
本日の予定は以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、今の概略の説明に沿って、今日は4つに区分して進行してまいります。
各委員から出ていますあらかじめのペーパーの論点整理を東さんからしていただき、そして、議論に入っていきます。いずれも25分から30分ということなので、おおよそのことを頭に入れながら進行に協力を願います。
それでは、総則です。これもたくさんの方たちからペーパーで意見が出ています。短時間ですけれども、東さんから論点の整理をお願いいたします。
○ 東室長 東です。
前回第18回の推進会議でこれまでの議論を踏まえた障害者基本法の改正検討事項について総則部分、たたき台という資料を配付しております。それを基に前回御議論いただきましたけれども、今回、改めて書面にて御意見を伺うということでした。
まず御意見の御紹介の順番としては、前回配付した項目に従って御紹介をして、その後、それ以外の今回委員の皆様から出された意見の御紹介をしていきたいと思っております。
早速ですが、1の目的規定等の見直しに関する御意見ですけれども、多くの方が障害者の人権ないし権利の実現のための法律であることに触れるべきであるとの御意見でした。また、権利条約の規定を尊重するとか、権利条約の目的の達成に関して権利条約に言及すべきとの御意見や障害者福祉という言葉は見直しないし削除すべきとの御意見が複数出されております。その他分け隔てなくとか、障害を受容する社会の形成といった言葉を目的の中に入れるべきであるとか、人並みに値するまたは人並みに暮らすことのできる社会を実現するという点、さまざまな関係者との連携や協働による共助という趣旨などを入れ込むべきであるといった御意見もあります。
また、効力の関係では、理念を示すとともに障害者基本法に定める原則とか権利は司法審査において判断基準となるべきであるとするような御意見もあり、更に適用範囲の問題として、障害のある子どもも含むといったことを明らかにすべきという御意見もございました。
次に2の障害者の定義の見直しに関する御意見ですが、これまでの推進会議の議論を踏まえると、第1に制度の谷間を生まないという観点、第2に社会モデルという観点、更には第3に権利条約の関係条項を念頭に置くべきという3つの観点がございます。これらは質的な同じ内容を持っていると思われますけれども、これらを踏まえるべきという点については異論がなかろうと思います。
権利条約の関連条文を見ますと、障害は機能障害の存在そのものから発生するのではなくて、機能障害のある人と社会的障壁との相互作用であって、社会参加を妨げるものから生ずるという考え方が示されているわけです。しかしながら、そこで障害そのものが何であるのかという定義は置かれていないということになっております。
そのような観点からどのような定義にするのかが問題となるわけですけれども、その点に関して、例えば身体、知的、精神などの区別自体は撤廃すべきであるという御意見もありますが、逆に感覚障害などの個別障害名を加えるべきだという御意見もあります。趣旨としては同じものであろうと思いますが、規定の仕方などについては必ずしも見解が一致しているとは言えないところです。
また、今回の意見の中で障害は長期にわたる必要があるのか、もしくは症状の固定が必要なのかといった点に関しても必ずしも一致しておりません。この点に関しては、障害者の権利条約は障害が短期間である場合を必ずしも排除しておりません。社会モデルから言えば、障害が短期であれ、もしくは症状が固定しなくても社会的不利益という状態はあり得るところでありますから、そういった観点からの議論も必要かと思われます。
更に障害者の定義は不要であるといった御意見もあります。ただ、障害を定義すれば自動的に障害者の内容が決まるという関係にあるのか否か、独自の要素がそれぞれに入る可能性があるのか否か、そういうことについても詰めた議論が必要ではないかと思われます。
3の障害を理由とする差別の禁止の中で、1番目の項目である障害を理由とする差別の定義に関する御意見です。この点につきましては、合理的配慮に関する規定を盛り込むほかに直接差別、間接差別、補助者、保護者への差別、積極的差別是正策についても定義の必要があるという御意見もあります。また、差別の定義の内容として、区別されることによる不利益や意識ないしは意図とは無関係に発生した場合も含めるべきであるという御意見もあります。
更にこれらの定義の在り方として、基本理念の条項とは別個の条項として規定すべきであるという御意見もございます。加えて、差別禁止という場合、障害を理由とする差別の禁止という表現をしますけれども「理由」という言葉ではなくて、障害者の権利条約の規定に沿って「障害に基づく差別」とした方がいいのではないかという御意見もございます。
そして、このような定義規定を設けた上で、差別禁止のための法律を整備すること、差別に対する救済制度を設けることについての規定が必要ではないのかという御意見もあります。
このほか虐待からの保護救済並びに虐待の防止等に言及し、虐待防止の法制度の整備についても規定すべきとする御意見がございますし、補助犬に対する虐待も加えるべきという意見もございました。
これらの御意見のうち、差別禁止そのもの並びに差別に関連する定義規定は総則部分として議論する課題ですけれども、差別禁止に関する法制度の整備の部分は政府がなすべき施策の1つとして各則に位置づけるべきかどうか検討が必要だと思います。
更に虐待に関する御意見として、虐待とはこれであるといった定義規定を盛り込めといった趣旨で発言されているかどうかは必ずしもわかりませんが、これらの点については、もう少し詰めた議論が必要ではないかと思われます。
3の中の2番目の項目である差別事例の収集、公表に関する御意見ですけれども、これにつきましては、その必要性について反対する御意見はございませんでした。
その上で、権利条約第8条の規定を受けた独立条項である障害に関する意識向上を設けて、その一部とすべきであるとか、差別事例の収集、公表自体には賛成するけれども、個別具体的な事例によってはその都度検討していく必要があるなどといった意見がございました。
4の基本的理念及び障害者施策の基本方針の中の1番目の項目であります、すべての基本的人権の享有主体に関する御意見ですが、障害者が人権の享有主体であること及び個人の尊厳が重んじられるという一般的な規定のほかに、例えば自己決定権をあらゆる場面で保障すべきとか、虐待にさらされやすい存在であることを認識し、医療を含めあらゆる場面での尊厳が保障されるべきであるとか、権利条約17条の個人をそのままの状態で保護される権利の趣旨を盛り込みたいとか、日本社会のあるべき姿について明確なメッセージが必要であるとか、障害者権利条約第28条の規定からすると、現行の基本法にあるその尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有するという表現については、そのまま残すべきであるなどの御意見がありました。
4の中の2番目の項目であります自己決定に基づく社会参加に関する御意見ですが、これについては、例えば自己決定のプロセスへの支援の重要性を踏まえて、支援付きの自己決定も含むことを明示することとか、自己決定に必要な情報提供や助言などの援助が受けられることも権利であるとする御意見がございました。意思決定の手段となる自己選択の権利も保障されるべきであるとか、強制入院は自己決定を奪うものであって、自己決定を絶対要件とすべきである、またはあらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるという現行法の規定は妥当ではなく、あらゆる分野に参加する権利と必要な支援が保障されるという表現にすべきであるといった意見などがございました。
4の中の3番目の項目であります自ら選択する言語及びコミュニケーション手段の利用に関する御意見ですが、ここでは少し問題となる側面を切り分けて御説明したいと思います。
まず手話と非音声言語の定義という側面についての課題ですけれども、言語としての規定は必要であるとか、独立の条項が必要であるという御意見があります。これらが言語であることの確認は不可欠であるということについては、意見を出されなかった委員も含めて異論はなかろうと思います。
次にコミュニケーションの定義という側面についての課題ですが、これについてはその定義の中にトーキングエイトや人的支援も含めるべきであるとする意見がありました。これらも含めて包括的な規定が求められていると思います。
更に権利の主体、障害者の範囲という側面についての課題ですけれども、言語及びコミュニケーションの手段に関しましては、聴覚、聾、視覚だけではなくて知的障害者にも保障されるべきであるとする御意見のほか、発声や言語に障害のある人などについても言及すべきだという意見もございました。
いずれにせよ漏れなくすべきだということだろうと思います。
また権利性を明らかにするという課題ですけれども、ここでは言語及びコミュニケーション手段に関する規定と権利に関する条文を新設する必要があるという御意見を始め複数の御意見があります。これについては十全なコミュニケーションに困難を抱える障害者が障害のない人と等しく人権を保障されるという観点から、第1に自ら選択することや選択した言語ないしコミュニケーションの手段を使用するという側面、言わば自由権的な側面と、第2に選択した言語及びコミュニケーション手段による支援を求める側面、言わば社会権的な側面ですが、この両方について御意見が出されておりました。2点を合わせて、この点についてはもう少し検討される必要があると思われます。
4の中の4番目の項目でありますが、自ら選択する地域における生活の実現に関する御意見です。これらの御意見の中で、自ら選択した地域における自立した生活を営むことの権利性を明確にしろというのが多くの御意見でした。それに加えて、一般の社会生活とは異なる生活様式を強制されるなど社会から分離もしくは排除されてはならないこととか、地域での生活には日常生活だけではなく、地域でともに学ぶ、地域でともに働くことも含めた社会生活全般にわたることがわかるような規定にすべきであるとか、地域での自立した生活実現のために必要な諸支援を実施する国と自治体の義務を明確に表記することとか、どのような福祉サービスがあるのか情報提供やガイドヘルプサービス等についても触れるべきであるという御意見などがございました。
4の中の5番目の項目である障害のある女性に対する配慮に関する御意見ですが、権利条約第6条の趣旨を反映した規定を設けるべきとか「障害者」という表記ではなく「障害を持つ男性、女性」という表記にすべきであるなどの御意見がございました。
4の中の6番目の項目である生活の実態に応じた施策の実施に関する御意見ですけれども、この意味が正しく表われるように見出しは「生活の実態に基づく施策の策定と評価」とすべきであるとか、障害者に関する定期的、継続的な実態調査、統計を実施し、障害者に関する施策の策定、実施は一般国民と比較可能な障害者の生活実態調査に基づいて行わなければならないといった趣旨の規定を設けるべきであるなどの御意見がございました。
4の中の7番目の項目である施策の策定及び実施への当事者意見の反映に関する御意見ですが、ここでは例えば当事者意見を聞くだけではなく、具体的な施策に反映される仕組みを確保するための方法の例示や意見の反映状況に関する公表規定などを明示するとか、取組みの遅れている部分、すなわち地方自治体や支援提供機関での参加や知的障害、精神障害、発達障害、慢性疾患に伴う障害などのある人の参加を強めるべきであるとか、意見が反映しやすいように障害者団体や家族の団体の結成と運営に対する国、自治体の支援を掲げることが望ましいとか、国及び地方公共団体の障害者に関する施策の策定、実施においては、障害者団体の参画を保障しなければならないとの規定を設けるべきとか、障害者の参加は単に意見表明にとどまらず、政策決定への参加権を制度的に保障するものでなければならないなどの御意見がございました。
以上が前回の資料に基づく御意見です。
次に資料にはない点についての御意見を御紹介します。
まず法律の名称の変更に関する御意見がございました。障害者の人権の保障と尊厳の尊重や障害者への差別のない共生社会の実現を図るためにふさわしい法律とするならば、その名称の検討も必要があるという御意見でした。
前文に関する御意見がございました。我が国の基本法のうち、人権とか権利に関わる基本法、例えば教育基本法、男女共同参画社会基本法、環境基本法、犯罪被害者基本法、消費者基本法などには前文があるということを引き合いに出されて、前文を書くべきであるとする御意見のほか、前文に権利条約の批准や履行のための改正の趣旨を盛り込むべきであるとか、前文に障害者権利条約の目的及び趣旨に沿った障害者施策を進める上で、国際的な連携、協力及び経験交流や情報交換などの必要性についても触れるべきであるとか、抜本改正の趣旨や理念、目的などをうたった前文を検討する必要があるなどの御意見がございました。
障害者のある子どもに対する配慮に関する御意見がございました。障害のある女性と同じく障害のある子どもについても配慮が必要であるとする意見のほかに、親への十分な支援とモニタリングを明確化すると同時に教育、虐待等幅広い分野で障害児が他の児童と同様に平等に扱われる権利を明文化することが必要という御意見がございました。
国際協力に関する御意見もございました。障害者基本法にも権利条約の第32条、国際協力の部分を反映した規定を設けるべきとか、障害に関する規定、施策が国際的基準に整合したものであると同時に、国際的基準の普遍化に寄与、貢献するものであることを明記すべきなどの御意見がございました。ちなみに、男女共同参画社会基本法とか環境基本法、消費者基本法、食品安全基本法などにおいても、国際協力に関する関連規定が置かれているところであります。
国民の責務に関する御意見としては、社会連帯の理念に基づいて相互理解、人格、個性の尊重、安心して暮らせる地域社会の実現に寄与するといった文言にすべきとか、地域社会における障害者等さまざまな関係者との連携や協働による共助の関係の構築が欠かせないという意見がある一方で「社会連帯の理念に」という言葉は削除すべきだ、むしろ障害者の権利と尊厳を確保及び促進するといった観点から書くべきだという御意見もありました。「社会連帯」という言葉をどうするかについては意見が分かれることになっておりますけれども、障害のある人とない人の関係について、保護する者と保護される者という関係から国民の責務といったものを導き出すべきではないという御意見がすべての前提になっていると思います。その部分については、基本的には共通していると思います。
国及び地方公共団体の責務に関する御意見として、差別を禁止する措置をとることや障害者の権利を保障する責務を盛り込むべきであるといった御意見や障害の特性やニーズを踏まえた合理的配慮の提供等の必要な支援を義務づけることを規定すべきだという御意見がございます。
法制上の措置については、現行法は基本法の10条にありますが、現行法10条を維持すべきであるという意見のほか、改正すべきである、必要な関係法令の制定または改正という形で明確にすべきであるという御意見がございました。
障害者週間に関する御意見として、現行の障害者週間は具体的施策に関係する事項であるから、第1章の総則にはなじまない内容と考えるといった御意見や、ここで使用されている「障害者の福祉」という言葉を「障害者の権利と尊厳の確保及び促進」という言葉に変えるべきだといった御意見もありました。
施策の基本方針に関する御意見です。現行の施策の基本方針に関する第8条では、自主性が十分に尊重され、可能な限り地域において自立した日常生活を営むことができるようとありますけれども、これについては全面的に見直して、選択の機会を持って地域社会で生活する権利を盛り込む必要があると考えるといった意見や、障害者の福祉に関する施策から障害者に関する施策に変更すべきであるといった御意見などがございました。
障害者基本計画に関する御意見として、現行の障害者基本計画等に関する第9条は、具体的施策に関係する事項であるとともに、中央障害者施策推進協議会の取扱い等については今後の推進会議やモニタリング機関との関連を含め議論が必要であり、第1章総則にはなじまないと考えるという御意見がありました。また、ここにおいても「障害者の福祉」から「障害者に関する」という表現に変更すべきであるといった御意見がございました。
最重度の障害がある者に対する配慮に関する御意見がございました。すべての分野で最重度の障害者が他の障害者と平等な扱いを受けることができる権利を明文化すべきである。このことを基本に据えることで、あらゆる障害者が社会の一員として当然の権利行使ができる社会環境の構築が可能となるといった御意見でした。
個人をそのままの状態で尊重することに関する御意見がございました。権利条約の第12条から14条では、法的能力の平等であることや恣意的に自由を奪われないといったことが規定されておりまして、それらを包括するものとして権利条約第17条で個人をそのままの状態で尊重するといった趣旨のものが規定されておりますが、そのことに鑑みて基本法としても権利条約第17条に沿った規定の新設が必要であろうという御意見でした。
家族依存からの脱却に関して御意見がございました。障害者の権利条約の前文の趣旨とか第一次意見が依然として自己責任や家族依存の色彩を強く残しと指摘した上で、すべての障害者が家族への依存から脱却し、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利を有することを確認すると述べている点からしても、基本的理念及び障害者施策の基本方針の中に家族依存からの脱却ということを盛り込むべきだという御意見でした。
障害者相談、支援に関する御意見として、基本法の総則として盛り込むべきであるという御意見がございました。
また、事業者等の責務に関する御意見として、合理的配慮義務は国及び地方公共団体の責務だけではなくて、雇用等における事業主とか教育における学校設置者にも課される義務であるから、国民一般とは別個に総則として事業者の責務を規定すべきであるという御意見がございました。
インクルーシブの定義に関する御意見もありました。障害を受容する(インクルーシブ)社会というものの定義を規定すべきであるという御意見でした。
最後になりますけれども、これらの全体の章立てについて具体的に基本法に盛り込むべき事項を体系的にわかりやすくまとめた御意見が提出されております。詳しくは書面を見ていただければと思っております。
少し長くなりましたけれども、以上が総則に関する御意見でした。どうもありがとうございました。
○ 藤井議長代理 これに充てたい時間がもう5分オーバーしています。質問を受けませんというわけにはいきませんけれども、今の東さんのお話とかぶっていないところ、あるいは若干論を争うところ、どうしても強調しておきたいところ、ペーパーは出せなかったけれども、どうしても発言をしておきたいところ、2~3つになりますけれども、意見等を受けましょう。
時間が余りないので、このコーナーでどうしてもして発言をしておきたいという方は何人いらっしゃいますか。次のコーナーもあるんですが、今4人挙がっていますので、極力結論を述べ合って、進行に協力いただくということでお願いします。新谷さん、中西さん、清原さん、大谷さんの順番でいきます。
新谷さんからいきましょう。
○ 新谷委員 新谷です。
東さんに説明の中に加えていただきましたが、法制上の措置です。現行の基本法の10条は改めて東さんがまとめられた内容をもう一度繰り返したいと思います。というのは、例えば障害者基本法で障害者の範囲とかいろんなものが決まっていったときに、現在の身体障害者福祉法の手帳の規定というのは、障害の定義が変われば明らかに抵触します。その場合、身体障害福祉法の別表の規定がそのまま残ったときに、これを変える法律的な効果が障害者基本法にあるのか、ないのかということなんですけれども、手帳を申請したとき、現行規定に合わないからといって手帳の給付が拒否された場合、個人の権利ではなくて、やはり行政法上の仕組みとしてその処分そのものが無効であるという形の権利を守る道筋がつかないのかどうかということなんですけれども、法制上の措置をとった以上は、単に法制の措置ではなくて法律を制定するとか改正しなければならないとうたっておけば、そのまま放置されたことはもろに問題になってくるのではないかと思って、その改正の必要があるのではないかという提案をさせていただきました。
以上です。
○ 藤井議長代理 大変大事な提起だと思います。基本法と実体法との関係、基本法と各種施策の関係という点で、これは今後の大きな論議になろうかと思います。
それでは、次に中西さんお願いします。
○ 中西委員 「福祉」という用語に関しては、総則の中に結局8回出てきます。多くの方たちが変更する、やめると言っていらっしゃると思ったんですが、意見が少ないようでした。今、世界的には社会福祉は社会開発という領域で論じられるようになって、条約に関しても16条の4の福祉というのは健康とか自立とか自尊心、そういうものと並行して出てくる1つの概念であって、基本法においては総括する最大目的、つまり基本法が福祉法であるかのような言い方でなっているんですけれども。それは完全に変えるべきで、福祉という用語は権利を増進するのか、政府の責任はどこにあるのか、どの範囲で障害者の権利が認められるのかとか、すべてわからないうやむやな状態で法律になっている危険性がありますので、新しい法律になる限りは「福祉」という言い方はできる限りやめてというか、本当は一切やめてという方がいいんでしょうが、今回の改正で実行させていただきたいと思いました。
○ 藤井議長代理 この際、改めて福祉の概念を深めるということも併せて、福祉と権利性の関係等を中心に、やや広義の意味で使われていますが、あいまいさが権利性を損ねかねないということも含めて、ここはもう少し深い議論が必要だ。中西さんは省いた方がいい、誤解を招くような考え方は少し古いのではないかということも含めてだと思います。
それでは、清原さんお願いします。
○ 清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
私の意見は、端的に資料1の21ページに「国民の責務を明確に位置づけていただきたい」ということで書かせていただきましたが、大谷委員も基本法総則として盛り込むべき事項の中に、「国の責務、地方公共団体の責務、事業者の責務、国民の責務」を位置づけてくださいました。また、森委員も表現については熟慮が必要だけれども、「国民の責務」を位置づけるということを示していただきました。
基本法の場合、やはり明確に示すべきは国の責務と地方公共団体、自治体の責務だと思います。けれども、今回、議論の中で事業者及び国民の責務についても国を挙げて障害者の自立と参加と権利保障のために進めていく上では、明確に示すべきだと思います。
もう一点、今、中西委員から「福祉」という言葉についても再考をというか、新たな時代に合わせてという提言があったのですが、現場の自治体の立場で申し上げますと、福祉という言葉は大変重要な行政領域、行政サービスの分野の言葉でございます。勿論それが悪用されたり、偏見や差別を助長するために使われたりする場合もあり、そのことを懸念しての御指摘だと思うのですが、他方で福祉という言葉を一切使わないとか、あるいはほかの言葉に代替することになりますと、自治体の現場というのは更に混乱すると思います。
この間、基本法を議論するに当たって、大変重要な障害者の皆様に関する人間観とか、そうしたものの変革が迫られているということは権利条約に照らして大変重要なことだと思いますが、その反面でお願いしたいのは、自治体関係者の立場は私1人なものですからあえて申し上げますが、自治体現場で障害者福祉のサービスや施策をさせていただいている者は使命感を持って一生懸命させていただいておりますので、例外的なことはあると思いますが、現場の行政サービスに対しての一定の敬意といいましょうか、そういうものも持ちつつ変革に対して前向きな提案をいただければありがたいと思います。心情的なことを申し過ぎてはいけないのですが、私はこのような大きな変革を進めていくときには現状の課題だけを問題視するだけではなくて、やはり一定の成果が上がっていたり、あるいは継続すべきだったりする点についても配慮をした書きぶりも重要だろうと思って、失礼ですが、あえて申し上げました。
いずれにしましても、総則というのは大変重要な部分でございますので、東室長に整理していただいた論点が整合性をもってまとまっていくことを願いたいと思います。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 大変大事なことなので、中西委員、今の件に関する意見はございますか。2点目の福祉のとらえ方です。
○ 中西委員 今、清原委員から御説明があったように「福祉」という用語はすごく広く使われていて、これですべて障害行政が包括されているという現状の中で、果たしてすべてが障害者の権利に沿ったものかということを考えたときに、ここは今まで使われてきた広範な福祉という用語ではなくて、もう少しその場に応じた言葉で表した方が実際の障害者の権利を進めるのにはいいのではないかと考えました。
例えば英語でいった場合、私は福祉に関わっているというか、福祉で生活しているということは、つまり現金給付を受けている人たちのような扱いになっていて、日本で使われているような方向ではないんです。福祉を訳して説明したときに、海外の人たちからまだそんな用語を使っているのかという指摘もあって、前から考えていたことだったので、この際、法律の改正に当たってそこも変更できるかと考えた次第です。
○ 藤井議長代理 共通点もありますが、恐らく今後議論が残る部分もあるかと思います。
どうぞ。
○ 佐藤委員 中西さんが提起したことは、恐らく2つあるんだろうと思います。障害者基本法の中で「福祉」という言葉が2つの意味で使われていて、1つは雇用とか教育などに並ぶ施策の分野の1つとしての障害者福祉というのがあって、中西委員はそれすら否定するということではなくて、もう一つの使われ方である非常に抽象的な意味でのことだと思います。「障害者の福祉のための施策」というような言葉の中で、障害者の幸福のための施策というような意味で使っています。1つの分野としての福祉ではなくて、そういう抽象的な言葉で使っているものがあって、これが保護的な世界の潮流から大分ずれた理解のされ方をされるので、この辺は今回の改革の中できちんとなくしていく必要があるのではないかと言われたんだろうと思います。
○ 藤井議長代理 そうだとすると、その辺はむしろ広義と狭義があって、広義のあいまいな方は、この際、誤解もあればあいまいということで考え、再考する必要があるだろうという点については、清原委員も同意しますか。
○ 清原委員 ありがとうございます。清原です。
御指摘のとおり、私は現在進めている障害者制度の改革の基本的な理念というのは皆様と共有しておりますので、今おっしゃいましたように、狭義の部分で私たちが培ってきたサービスのいい面までも否定するかのような受け取られ方をしますと、いわゆる福祉サービスの現場にいる人たちにとってはやや認識の混乱を招くであろうということを懸念したわけでございまして、中西委員あるいは佐藤委員が御指摘されましたようなそれぞれの主体性、人間的尊厳の尊重、そういうことを踏まえる方向での改革には意見は一致しております。今おっしゃいましたように、何かわからないことになるとあいまいに「福祉の向上」などと言ってしまうことへの御懸念は私もよく理解しておりますので、そういうあいまいさを排除するということについては同じ意見でございます。
ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 ありがとうございました。
それでは、大谷委員いきましょう。
○ 大谷委員 大谷です。
議論の絡みでいえば、はっきり権利としての福祉もしくは恩恵としての福祉という形で、ある種使い分けなければいけない事態になっていると思っています。福祉という1つの言葉をとらえても色々なとらえ方がありますので、我々が使うときには明らかに社会権の具現化としての福祉ということを意識した形での使い方も必要だと考えています。
それとは別の意見を言わせていただきますけれども、一番最初に出した意見に加えて本日付で机上配付させていただいた2枚ぐらいになっている意見書があります。私がなぜこれをもう一回出させていただいたのかを少し補足させていただきたいと思います。障害者基本法の提案というのは、我々の制度改革の第一の大きな仕事になろうと思います。そのときに障害者基本法がどういう権利を具体化し、どういう社会を目指しているのかということを我々からもきちんとしたメッセージとして法律に盛り込む必要があると考えています。その中で、前文、目的、定義、基本理念に今までにはない新たな社会を我々が構築するのだということを意識的なものとして盛り込む必要があろうかと思っています。
その言葉として、インクルーシブな社会という形で提案させていただいたときに、どういう日本語が適切かということを検討すると、インクルーシブの訳語がどうなるのかちょっとわからないのですけれども、とりあえず障害者を受容する社会というのが公定訳になるかもしれないということを受け止めると、障害者を受容する社会の構築もしくは障害者を受容するということは一体どういうことなのかということの定義、そして、基本理念を明らかにするべきと最初に提案させていただきました。障害者を受容するという言い方そのものが受け身的で、日本語的になじまないということもありますので、今回は今まで余り言い慣れていない障害者を受容する社会ではなくて、思い切って従来から使われている共生社会という言葉で定義できないかということを改めて提案させていただきたいと思い、今日もう一回意見を出させていただきました。ですから、目的もしくは定義、基本理念にはっきりと共生社会をうたっていただきたいということです。
そして、共生社会を定義とすると、今日案文として出させていただきましたけれども、これはこれで皆さん1つの提案としてたたいていただければいいのですが、従来行政用語などでも使われている多様性を認め合いということなのですけれども、それだけではなくて、この場合には社会が変わるのだということを意識した文言を入れてもらいたい。障害者を受容することによって社会が変わるということは、障害者を受容する社会といった場合には結構はっきり出てくるのですけれども、共生社会といった場合には必ずしも多様性を認め合う社会というだけでは、社会がそのことによって変化をするのだというニュアンスが若干遠くなるように危惧するのですけれども、そこをはっきり意識した形で入れていただきたいと思います。
あともう少し加えてなのですけれども、東さんの説明から少し落とされたところがあると思うのは、基本理念と今後検討する各論的な権利規定との絡みです。基本理念が抽象的な規定で終わっても、例えば各論の雇用の権利の中で障害のある人は合理的配慮、支援を受けながら平等に働く権利を有するという形で、各論的、個別条項的、権利焦点的に規定してくれるということであるならば、基本理念は抽象的な基本理念でも各論、各則において具体化していくということでいいかと思うのですけれども、各論において施策義務だけであって、各権利の規定に関しては盛り込めないということになると、この基本理念は可能な限り具体的な権利規定である必要があると思っています。それは各論とのバランスなので、どちらがどうなるのか、各論が具体的であれば基本理念は抽象的でもいい。でも、各論に具体的な権利を盛り込むことができないのであるならば、基本理念は可能な限り具体的でなければならないというバランスの中にあると思っています。
そうだとするならば、従来の議論から、各論において一つひとつの権利の内容を確定していくということは、どうも法律の体裁としてふさわしくないという形で各基本法が制定されていると見られます。基本理念から速やかに各権利がスライド的に想定されるという内容でなければ、やはり各施策が生まれてこないというか、義務づけ施策としてもイメージが薄くなってしまうと思いますので、私はそういうふうに各論に書く具体的な権利内容が規定され得ないかもしれないということであるならば、可能な限りの権利性もしくは社会の在り方に関して、基本理念で一目瞭然に想定できるような内容にしていただきたいと思います。
ちなみに、私の出した意見書の中の7ページの基本理念の考え方は、各論との関係においていろいろ考えるべきだということを提案させていただいた。もしくは基本理念の中で男女共同参画社会基本法と環境基本法の法律は、これから想定する社会はこういう社会なのだということを基本理念に盛り込んでおりますので、そんな社会の在り方をこの基本理念に盛り込む書きぶりもあると思いますので、そこに共生社会とはこうなんだ、障害者がともに生きる社会とはこうなんだという書きぶりも含めて検討していただけたらと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 私たちは序盤戦として第一次意見をとりまとめて、基本法が言わば推進会議の第1章といいますか、一番最初の大仕事で、その中の総則というのは羅針盤的な意味を持つんだと思います。しかし、今、大谷さんがおっしゃったように、それでも書き方によっては抽象的になりがちだし、性格づけを目いっぱい拡大して、他の法制に実効的影響を及ぼすようにするのはどうしたらいいのかという提起がありました。前文の話は出なかったけれども、前文も含めてだと思います。これらについては、今後更に議論を展開できます。特に今の最後の御意見などで、恐らく問題意識は共有できたと思います。そういうことで一旦これは打ち切ります。
次に各則、個別の方に入ってまいりますが、住宅に関して冒頭に論点整理をお願いします。東さん、時間の配分に少し協力してください。
○ 東室長 東です。なるべく短くしたいと思います。
住宅に関しての御意見ですが、まず住宅問題をどう位置づけるのかといった点につきましては、地域移行の促進や地域での自立生活の観点から、障害者が利用できる住宅の確保並びにそれに向けた支援といったことが極めて重要であるという点については、ほぼ全員共通だと思われます。
次に民間住宅利用における問題点としては、どのようなものがあるかということにつきましては、3つほどにまとめられると思います。
1点目としては、借用拒否とか入居拒否の問題点。
2点目としては、入居できたとしても改造について拒否するといった事態や改造費とか出るときの現状回復などの問題点があるという御指摘があります。
また、入居後の家主とか近隣とのトラブルについての問題指摘が多かったと思われます。
公営住宅利用における問題点として、どのようなものがあるかという点につきましては、4点ほどにまとめられると思います。
1点目としては、公営住宅法施行令第6条の相対欠格条項という問題があります。これによって重度障害者の入居申し込みが制限されているという状態がまだあるという御指摘がなされております。
2点目としては、市街地から遠い距離にある、公共交通機関が利用できなければ社会生活ができないという移動に関連した問題点が指摘されております。
3点目としては、障害に配慮したアクセシブルな障害者住宅自体の数が少ない。また、あったとしても1階などに限られて、他の入居者との交流ができないといった設置基準の問題点などが指摘されております。
4点目としては、そもそも単身世帯用の住宅数が不足しているという問題が指摘されておりました。
公的保証制度を利用する上での問題点として、どのようなものがあるかという点につきましては、国レベルでの現行の公的保証制度としては高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づき、国土交通省が所管する高齢者住宅財団に委託された家賃保証制度というものがありますけれども、そもそもこれについては利用実績が非常に少ない。もしくは財団と契約した物件で障害者の入居を敬遠しないという条件が家主さんの方に課されるので、こういう縛りのために敬遠してしまう問題点があるという御指摘があるところです。
グループホームやケアホームという観点から見た住宅に関する問題点でありますけれども、この点に関しましてはグループホーム、ケアホームが住宅とは言えない。だから、原則として反対の立場に立つという御意見とか、人里離れた場所に設置されるようでは施設入所と変わらないという御意見もありますけれども、多くの意見は一人生活をする前の生活訓練の場として機能しているとか、ミニ施設ではなく多様な地域の住まいの1形態として位置づけた施策が必要だとか、通常の住まいへのステップ的な居住形態として位置づけるべきであるとか、そのような通常への住まいという方向性を持った部分に位置づけるという意見が多数でした。その上で、他の住宅に住んでいる障害者と同様に居宅支援サービスなどが利用できるようにすべきだという意見などが挙がっております。
公営住宅に関する住宅施策として必要とされるものは何かという点で御意見が挙がっておりますが、1点目としては、障害者の優先入居を図るべきという御意見。
2点目としては、障害のない人たちとの交流ができるような設置基準などの配慮が必要。
3点目としては、家賃の補助、家賃助成などが行われるべきである。
4点目としては、公営住宅でも必要な福祉サービスが使えるようにすべきとか、ユニバーサルな構造を持つ住宅が普及されるべきであるなどの御意見がございました。
一般住宅に関する住宅施策として必要とされるものという点につきましては、3点ほどあります。
1つはバリアフリーの義務化、省令等に関して、一定の割合でバリアフリーを義務づけるとか、バリアフリー化のために容積率、建ぺい率などの優遇とか補助金の支給、金利の優遇制度などが必要であるという御意見があります。
契約等で不利益を受けた場合の解消の仕組みに関して問題が生じたときに通報できる制度とか、行政がその利害を調整する機能を持つべきだといった意見がございました。
また、先ほど取り上げましたけれども、公的保証人制度の充実とか住宅手当、住宅改造と現状の回復への助成などの御意見がございました。
居住支援に関わる地域のネットワーク形成に関して行政に求められるものという点につきましては、居住支援に地域のネットワークの形成が必要なのかわからないという御意見もありましたが、多くは居住に関する相談とかアドバイスの体制の整備、人的ネットワークの構築に関する財政支援も含めた条件整備、災害時の要援護者に対する個別支援プランの充実に向けた個人情報の開示の検討を含めた取組みが必要であるとか、全市町村で使える居住サポート事業が求められるなどの意見がありました。
日常生活に適した住宅の整備として必要とされるものですが、この点については、先に触れました一般住宅に関する施策としての御意見と内容的にはほぼ重なりますので、省略いたします。
最後に現行基本法の問題点について御指摘があればということですが、この点につきましては、障害者が地域で暮らす権利やどこでだれと住むのかの選択といったことが記されておらず、住宅分野の施策の意義が不鮮明であるという御意見とか、当事者のニーズの把握と個別課題への対応策の検討及び実施に関する規定が必要であるとか、現行法17条の規定は全面的に改正し、当事者参画の下に施策の実効性を担保できる規定とするなどの意見が挙がっております。
住宅に関しては以上です。
○ 藤井議長代理 かいつまんで報告いただきました。
この議論をするときのこのメンバーの共通の視点としては、権利条約の第19条のアのa、b、cです。a項を中心としたb、cまでを含めた3項目。そして、第28条の相当な生活水準の1と2です。この辺を念頭に置きながら議論をすべきだと思っています。
同じくこのコーナーで発言をしたい方の挙手を求めますが、いかがでしょうか。
尾上さん、お願いします。
○ 尾上委員 尾上です。どうもありがとうございます。
現行の障害者基本法17条というのは、基本的に国や自治体が公営住宅等を確保する施策ぐらいしか読み取れないという感じがしております。先ほど藤井議長代理がおっしゃられたとおり、この部分は権利条約の第19条、地域で暮らす権利やあるいは居住地を選択し、どこでだれと住むかを選択する機会を有している。それを確保していくために地域での住まいの確保が必要なんだみたいな書きぶりに改めていく必要があるのではないかと思います。
先ほど大谷委員がおっしゃったこととも関係するんですが、要は総則規定にそういった地域で暮らす権利ということを書いて、そのためにとするのか、ここの住まいというところで地域での住まいという形にして、そういった権利なども含めて書くのかというのはこれからの議論なのかもわかりませんが、いずれにしても地域で暮らす権利があり、そのための住まいという書き方であってほしいということが1つです。
その点からしますと、1つは先ほど公営住宅の相対欠格がいまだに残っているということを東さんから御説明いただきましたけれども、加えて民間賃貸住宅における入居差別もあります。JDFの関連団体の方で要望書を出されて今年撤廃されましたが、ある大手不動産チェーンのアパート等の賃貸住宅の契約書には、精神障害であることだけの理由をもって契約解除の条件にすることができるような約款、規定が残っておったんです。今、公営住宅の相対欠格に加えて、民間住宅においてもまだまだ入居差別が平然と残っているというか、実態的にはもっと残っていると思います。そういったことも含めて、それはあってはならないことですし、更にもう一つは先ほどありましたとおり、公営住宅だけではなくて民間賃貸住宅の借り上げであったり、入居促進であったり、あるいは居住サポートみたいなもう少し幅広の住まい方支援、住宅の確保の多様性と住まい方支援みたいことが導き出せるような書きぶりであってほしいと思います。
いずれにしても、障害者の権利条約第19条を具体的に実現していくために非常に重要な条文だと思いますので、19条を踏まえた書きぶりであってほしいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 時間なんですが、あと1人ぐらいいかがですか。この件については本当にいっぱいあると思うんですが、なければ時間が時間なのでこれで終わりにします。
今の東さんのお話、尾上さんのお話にありますように、第19条をとにかく想起しよう。19条がこの国で根を下ろすような書きぶりができるのか。しかも、大事なことは、確認し合った第一次意見の第3の中の基礎的な課題の中の第1項です。地域で暮らす権利の保障とインクルーシブな社会の構築になりますと、おのずと一般住居するのがベース、民間住居も当たり前です。こんなことが可能になるような方向づけが必要です。これをおおむね押さえておきながら、このコーナーはこれで終わっていきます。
現在14時5分になりますので、14時20分まで休憩をして第2コーナーに入ります。それでは、休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、時間がまいりましたので、第2コーナーに入ります。
時間配分ですけれども、先の第1コーナーが15分ぐらいオーバーしたものですから、このコーナーは30分間ずつを25分間ずつとして、15時10分をめどに2つの分野について論議を終えていきます。前半は文化・スポーツ等です。後半は障害の予防に関する柱です。
それでは、また最初に東室長より、皆さんからいただきました書面の意見の論点整理をいただきます。お願いします。
○ 東室長 東です。
文化・スポーツに関して、皆さんからいただきました御意見を御紹介いたします。
まず文化やスポーツをどう位置づけるのかという点であります。これにつきましては、文化・スポーツへの参加と享受の意義を認め、障害のある人にも障害のない人と同様に保障すべきであるという点では、意見を提出していただきました全員の委員が共通しているところだと思います。このことを基本法に明記すべきだと直接的に述べられているのは4名ほどですが、それ以外の委員の方もその点について反対という御意見ではないだろうと推察されるところです。
ちなみに、この件に関しましては、享受という視点と参加という視点について検討すべきではないかみたいなことも書いておりますけれども、権利条約ではその点が少し書き分けられて書いてありますので、その点についても意識してほしいというところです。
次に、文化とスポーツは項目を分けて議論すべきかという点でありますけれども、分けて議論すべきであるという委員の意見の方が多うございました。本来独自の領域のあるということや内容や目的が異なる。文化活動は分離が例外的であるべきだが、スポーツは分離が例外とはまでは言えない。合理的配慮の内容や調整方法が本質的に異なるなどによるものです。ただ、ともに論じるべき、または論じることは可能であるという御意見とか居住する権利や機会の平等という総論的な観点からは同等に議論できるが、個別的に議論すべき点もあるという御意見もありました。
次に、レクリエーション、余暇、観光といったことについて触れなくてよいかという点につきましては、レクリエーション、余暇、観光についても触れるべきだとする意見が多うございました。権利条約でもその点について触れているということであったり、これらは生活を豊かにし心の健康づくりにも大きな役割を果たすとともに、楽しみや達成感、問題解決能力、エンパワーメントの向上にもつながるからということでございました。
次に、文化やスポーツを行う上での物理的な環境や社会的環境等について、どのような問題があるのかという点につきましては、意見を提出された多くの意見が文化やスポーツを行う上で物理的環境や社会的理解などについての問題点があると指摘されております。例えば情報保障などの環境整備が不十分であるとか、著作権法上の制限があるとか、施設を利用する上での制限があるなどについて御指摘がありました。
次に、文化やスポーツの機会を享受する上で、利用拒否などの問題点があるかということについても多くの委員が問題点を指摘しております。例えば一般のマラソンに車いすで参加しようとしても拒否されたとか、一般のスポーツ教室やスポーツクラブなどで参加すること自体を拒否されたり、設備的に整っていないから利用できないと言われたり、その他についても意見が挙がっております。
次に、文化やスポーツを行う上でどのような行政的な支援が必要とされるかにつきましては、さまざまな御意見が挙がっておりますが、例えば啓発が必要であるとか、施設のハードやソフト面での整備が必要であるとか、財政的な支援が必要であるとか、コミュニケーション手段の確保や情報保障が必要であるとか、地域間の格差の解消などが必要であるとの御意見が多うございました。
次に、障害に特化した文化やスポーツの育成の必要性をどう考えるかということですが、特にスポーツは障害に特化すべきではないという御意見もありますが、多くの方は文化・スポーツを問わず障害に特化したものは必要であるというのが御意見でした。障害者の文化やスポーツや本人の生きがいだけでなく社会への啓発の効果も大きいとか、障害を持つ者同士技術を高め合いたい、競い合いたいという気持ちを尊重する必要があるとか、心身機能、身体構造の違いから文化やスポーツの独自の発展のために支援が必要であるとか、障害の持つ文化的側面への配慮として、障害に特化した文化とスポーツへの支援は重要であるなどの御意見が多かったと思います。
一方で、一般の文化やスポーツの間で区別をすべきではないという考え方についてどう考えるかという点につきましては、原則として、文化、スポーツともに区別すべきではない、もしくはスポーツだけは区別すべきではない、または障害を理由に一般の大会などから一律に排除されてはならないという御意見もありますが、多くの方は一般の文化やスポーツと区別しないインクルージョンとか統合を原則としつつも、必要な環境整備や本人の希望を尊重するという観点から区別というものがあってもよいという御意見が挙がっております。
次に、行政上、特にスポーツについて一般と異なる省庁が担当しているけれども、問題はあるかという点につきましては、多くの方が一般のスポーツと障害者スポーツは同じ省庁が担当すべきであるという御意見がありました。少数の意見としては、省庁横断的な仕組みをつくるべきであるとか、厚労省と文科省の役割を密にして相互補完的に取り組む必要があるなどの意見があります。
次に、現行障害者基本法上についての問題ということで意見が挙がっております。文化的な生活への参加が権利であることが現行法では明文化されておりませんけれども、それを明文化すべきであるとか、現行法の第7条の障害者週間は国民への周知が少ない。障害者を国民が理解する機会とすべきで、効果的に事業を展開すべきである。それとか宗教活動と政治的活動について他の者と平等な活動を介助者も含め保障すべきであるということ。その他として、障害者スポーツ団体や文化活動を進めているところのヒアリングが必要であるとか、ろう者アスリートは障害の社会への理解などが不十分であるため競技を続けることが困難になっている。障害者への理解の向上は行政が施策として推進すべきであって、個人の努力や資質によるものではないことを基本法に明示すべきであるという意見がありました。
以上が文化・スポーツに関する御意見の御紹介です。
○ 藤井議長代理 これはもとより権利条約でいうと第30条の文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加というものとの裏表だと思いますけれども、今、論点を整理してもらったところを更に深めていこうと思うんですが、例によってより強調しておきたいところ、あるいは少し論を争うところ、更にはどうしてもペーパーが間に合わなかったけれども、意見を言いたいというところを中心に発言をいただきますが、15分間ほどあります。
発言をしたい方はまず挙手をいただけますか。また順番にいきます。
久松さんから発言をいただきます。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。
障害者自らが文化活動を行うあるいはスポーツ活動を行う場の提供だけではなく、その場をつくって、それに参加する場合において市民の理解、また企業等に勤める人の理解が非常に不足している状態であると感じています。特に特別支援学校の職員、教員においては、障害者スポーツ活動を支援する人も多くいますけれども、国際大会とか国内競技大会に参加するときには、長期にわたって活動したり、また強化合宿等をする場合に休みを取らないとできない状況です。しかし、企業の理解が得られないあるいは長期休暇が認めてもらえないという状況もたくさん出ています。また、特別支援学校の先生方も休みを取ると学校の授業の運営、管理上の問題があるということで休みが認められないという話も出ています。こういった状態では、私たちが生きていく、生活していく上で文化活動を行ったり、スポーツ活動を行うような場の環境整備という意味では、周りの理解が得られないと十分な活動を行うことができる状況にはないということで、大変大きな問題ですので、身近な人たちに障害者がスポーツや文化をやるということに関して、できるだけ環境整備をしてもらうということが必要になります。
ほかに映画の話をしたいんですが、日本では映画といいますと、目の見えない方への音声解説、副音声がついています。また、耳の聞こえない者については字幕をつけるわけですけれども、日本の映画の場合にはバリアフリー映画という形でやります。その場面だけにしか字幕がつかない。一般の映画館では日本映画に字幕のついたものがない。日本の映画について楽しむことが普通にはできないということで、外国の映画しか見られないということで選択肢が狭まれています。日本の映画については見られなくて、外国の映画に対しては字幕がついているためにそちらしか楽しめない。外国の映画製作会社がもうかるような状態になっています。日本の映画も楽しみたいという障害者に対する参加を保障する、見る権利を保障するということを是非お願いしたいと思います。
3つ目ですが、アメリカでは映画等のDVDについては字幕をつけることが義務づけられています。そういう法律となっています。日本の場合には経済産業省の管轄ですけれども、要望を出しているんですが、義務づけということにはなかなか理解を得らないという状態で全く進んでいない状態ですので、この義務づけについても法整備をして解決をする必要があるのではないかと思います。
改めて問題提起をさせていただきました。以上です。
○ 藤井議長代理 1点目はおわかりのように、東室長からは参加と享受という二元的に分けてとらえていこうという視点が述べられて、これに対して、今、久松さんから、加えて環境、周囲の支援、理解をどういうふうにするのか。
2点目、3点目は映画の字幕に関して、やはり行政による支援を含めて、特に邦画を見られるようにということが出ていました。
重ねての意見だと思います。
ほかにいかがでしょうか。清原委員、どうぞ。
○ 清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
私自身が体験していることから意見を申し上げます。
1つは、私が市長になりましてから、いわゆる総合スポーツフェスティバルというものと障害者運動会というものを同日に同様の場所で開催することといたしました。その経験の中から見えてきたことでございますけれども、スポーツというものを通じて障害種別や年齢によって、本当は多様な在り方や形というものが求められていたにもかかわらず、どちらかというと一般的なイメージの中で各スポーツ種目が選ばれたり、あるいは振興されたりしていたようです。むしろ障害のある方に障害種別は異なりますが、参加していただくことによって、体力的にもあるいは身体条件的にもある方々の幅広いスポーツと接する機会の啓発につながっているという実態が1つです。
2つ目は、この夏、特別支援学級あるいは学校を卒業して、現在、特別支援学校の高校生であるあるいは就職している4名の発達障害のある若者、知的障害のある若者と話す機会がありました。そのときに学校の授業等に加えて、クラブ活動でスポーツを通じて先輩、後輩関係であるとか、あるいは友人関係が深まったり、大会を通じてチームワークというものが磨かれたりした経験について、大変明るく笑いながら報告してくれました。つまり、青少年にとりましても、学習の内容をきめ細かくすること以外にスポーツなどを始めとしたクラブ活動の意義が再確認されたところです。
更にそのうちの1人は、絵画が得意であるということから、それを適切に指導されることを通して、将来就業の形としてグラフィックデザインであるとか、そういったことを学びながら文化活動の1つでもあります絵画とかデザインとかそういうものを就労に結び付ける可能性を期待を持って語ってくれました。
すなわち、文化・スポーツという活動に関して、障害のある方々が参加することによって、多様な出会いとかあるいは交友関係、交流関係も広がると思いますし、更に青少年の場合には、そうした機会をきめ細かく提供することによって、それぞれが持っている能力とか才能とか、雇用につながるようなものも発見できる可能性もあります。問題提起として、今回、「参加」だけではなくて「享受」という視点も必要ではないかとありましたが、スポーツや文化に参加することが、ほかの機会への参加にも結び付くという広がりも提起できればありがたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 この件については、権利条約の第30条に文化的生活やスポーツと書いてあって、その第5です。全部で5項目ありますが、その中のdです。障害児等のことにも触れていますので、今日の皆さん方の書面には今の御意見が入っていなかったので、それはまた加えておこうと思っています。
ほかにいかがでしょうか。珍しく時間内に終わりますが、よろしいですね。また引き続き議論しますし、次の問題も大きいテーマなので、次の話題に入ってまいります。
次は障害の予防に関してですが、また論点の概略を説明願います。
○ 東室長 東です。
障害の予防についての御意見を御紹介します。
障害の予防に対する基本的な考え方の中で、1番目として、障害の予防についてどう考えるのかという点ですが、現行障害者基本法には障害の予防ということが書かれております。ですので、現行基本法の障害の予防をどう考えるかということになります。これに関する御意見ですけれども、障害の予防についてはこの規定をなくすことの特質を十分に検討すべきという慎重論もありますけれども、全体的な傾向としては、障害はあってはならず、治療しなければならないものという否定的な障害観が色濃く反映されているため、基本的に削除するという御意見を始め、多くの方も障害の予防をそのまま残すことについては反対の御意見であろうと思われます。
仮に障害の予防自体を削除する場合であっても、障害の予防に変わるべきものとしてどのような項目立てが考えられるのかなどについての御意見ですが、これに関する御意見としてはさまざまなものがありました。
まず障害の予防を削除した上での項目立てとしては、例えば医療、保健及びリハビリテーションという項目にすべきとか、保健サービスへのアクセスまたは保健サービスの利用という項目立てにすべきとか、医療、介助、リハビリテーション及びハビリテーションという項目にすべきという御意見とか、早期発見、療育、二次障害の予防、平等な医療的ケアを含んだ障害者の保健、健康という項目立てとハビリテーションを含むリハビリテーションという2つの項目立てという御提案とか、健康という項目で特にリハビリテーションは分けて書く必要はないという御提案とか、健康とリハビリテーションの2本立てとするという御提案などがあります。
これらを前提として、現行障害者基本法は医療、介護、リハビリテーションについて一括して規定しておるけれども、それぞれ内容が異なるから独立させるべきであるという御意見もありました。
また、障害の原因の予防を一般公衆衛生の中で論じるにしても、そのことを明記すべきだという御意見や、難病につきましては、障害の定義に含まれることを前提として改めて規定の仕方を検討すべきだという御意見がございました。
障害の予防と早期発見、早期治療をどのように整理するかということですが、この点に関する御意見としては、早期発見、早期治療それ自体の重要性を否定する意見はなかったかと思います。その上で、早期発見、早期治療と障害の予防とは切り離して考えるべきであるという意見が多数であると思われます。ただ、早期発見と早期治療が予防に役立つという御意見もございました。
また、権利条約第17条の個人がそのままの状態で尊重されるという趣旨からすると、早期発見、早期治療は障害者や親の主体的な判断の下で行われることが重要であって、強制だったり、早期発見が職場や教育の場でのあぶり出しにつながるようなことがあってはならないとする御意見もありました。
次に難病に関する現行法の記載についてどう考えるかということですが、難病に関する規定を障害の定義に含めないまま予防のところに位置づけているという現行基本法の在り方については、多くの委員が反対であろうと思われます。ですので、障害者として位置づけた上で必要な医療や福祉の施策を規定するという方向性の意見だっただろうと思われます。
現行法上の問題点とかその他については、特段意見がございませんでした。
以上です。
○ 藤井議長代理 これはこの間も少し議論があったところですけれども、今もありましたように、障害を否定するような障害予防、また優生思想につながるような障害予防は表記上なくすべきだ。しかし、早期発見や二次障害は極力予防する。これについては考えるべきだと今るる説明がありました。
大変大事なことなので、少し時間をとって御意見を伺いたいんですが、いかがでしょうか。堂本さん、竹下さん、さん、尾上さん、佐藤さんの順番でまいります。
堂本さん、どうぞ。
○ 堂本委員 ありがとうございます。
私も優生思想を入れることはやめた方がいいということを考えています。
質問になってしまうのですが、中西さんがアメリカにBirth Defects Prevention Act of 1998、先天的欠損予防法というものがあると書いていらっしゃるんですが、この法律について中西さんに短く内容を教えていただきたい、お願いできるでしょうか。
○ 藤井議長代理 皆さん方も情報の共有ということがありますので、中西さん、少しかいつまんでよろしいですか。
○ 中西委員 法律の条文自体はすごく短いもので、ここに御紹介したようなものなんですけれども、結局私たちが討議している内容に関して、予防をどうするか等は各地につくったセンターにおいてその業務を行うということで、かなり州レベルの業務に任せられているんです。ここで議論しているような障害の原因、予防に関するような内容のものは各州の権限において実施するということで、私たちの法律で言っているところに当たるような内容は、アメリカでは全部そこに収められていて、むしろここで主に協議をしている社会モデルに基づくようなさまざまなサービスなどはADA、障害を持つアメリカ人法で集約しているという分け方をしていますので、御紹介しました。
○ 藤井議長代理 堂本さん、よろしゅうございますか。
○ 堂本委員 私はたまたま環境のことをやっているので思うのですけれども、水俣のような重度の水銀の汚染はなくても、地球全体が水銀に汚染されており、原因になる物質を考えたときに、予防をどう考えるか、その辺のところは議論をする必要があるという気がいたします。
以上です。
○ 藤井議長代理 かなり根本的な問題ですね。
竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 迷いながらの発言になることをお許し願いたいんですけれども、2点あります。
まず私は健康権ということがすべて柱になると理解しています。それらの内容は時間がないのではしょりますけれども、人間として豊かさというのは障害がある、なしにかかわらず何を求めているかということになれば、自らが人生を豊かにするというときに健康という基礎が必要なわけです。私のように全盲でも健康は当然追求するわけですから、そういう意味で健康権として、私は憲法25条あるいは憲法13条を理解しているんですが、この位置づけからどこまでの範囲をそこに盛り込むかという問題だと思っています。
ただ、それとの関係で予防医学という言葉から理解できるように、予防ということをすべて否定的に見るというのは非常に危険だし、例えば私が若干関わった問題でいいますと、細菌性髄膜炎撲滅運動とかポリオ撲滅運動がございます。明らかにこの2つは重度の障害を生み出す、言わば予防衛生、公衆衛生なんです。この部分を否定するということはあり得ないと思います。そうすると、優生思想と予防医学との違いというのは何なのかというところを本当にとことん議論しないと誤解を招くし、運動は進まないと思うので、その部分でもし見識のある人がいれば説明いただきたいというのが私の意見とお願いです。
2点目ですけれども、私自身がほかの方の意見を聞いていて迷ってしまうのは、リハビリテーションあるいはハビリテーションと予防が1つになっていることに違和感を感じます。なぜかといいますと、例えばリハビリテーションの強調というのは今まで運動の中で否定されたこともあるはずなんです。なぜならばインクルージョンとの関係で、リハビリテーションをある意味では社会に合わせようとすることからくる思想的な、否定的な評価をしてきた部分があるはずなんです。そうではなくて、障害があるがままに社会での生活の成り立ちということが強調されてきたときに、二次的予防との関係でリハビリテーションを強調することが本当にそれと合致しているのか私は非常に疑問を持ちながら皆さんの意見を聞きました。
以上です。
○ 藤井議長代理 これはまた大変な議論です。これは今後深めていく必要があります。
委員いきましょうか。
○ 精神障害者の家族会のです。
実は精神障害に関しまして、障害の予防といいますか、まず精神の疾病を早期に発見されて、それによって障害が予防されるという考えでおりますが、現状では病気の理解が家族や当事者にも正しくされていないことから、疾病の早期発見がなかなかなされていないということを考えまして、精神障害の障害がそれに伴ってきてしまう。この辺りは啓発の問題のところと関係していきますけれども、病気、障害の正しい理解は国民にされていくべきではないかと考えております。
以上です。
○ 藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 尾上です。
多くの委員の皆さんの意見を見て、改めて今回の制度改革の意味を意義深く感じています。というのも、第3章の今の書きぶりは障害を否定的にとらえている、あるいは優生思想的な色彩というものがどうしてもぬぐえないということがあります。私だけではなくて多くの方々から共通の指摘があったかと思います。
ちなみに、私から提出した資料の1ページに1970年の心身障害者対策基本法の条文も引用しておきました。今の障害者基本法との違いというのは「心身」と「発生」という言葉が削除されている以外は全く変わっていないんです。
2ページのところは書き間違えがありまして、心身障害者対策基本法以降、不幸な子どもの生まれない県民運動などが巻き起こったと書いているんですが、不幸な子どもの生まれない県民運動というのは1966年ぐらいから始められている県もあるので、言わばそれと前後して、そのときの時代の障害者観といいましょうか、障害を否定的にとらえる障害観があって、その中でこの条文ができたということは紛れもない事実だと思っています。そういう意味で、今回、障害者が多数参加をしたこの推進会議で3章そのものの今の在り方自身を削除していくというのは、やはりシンボリックな課題なのではないかと思っております。
ただ、その上で、先ほどから出ています難病の方々の施策は、後の基本法のときに今の第3章のところに無理に難病施策を入れたと思っています。むしろ難病施策は保健へのアクセスとかそういった形でちゃんと書き改めるべきですということと、あるいは先ほどの早期発見、早期治療、治療というのかどうかというのはありますが、障害の予防のためというよりは小さなときから必要な支援を得て、地域で保育所に行ったり、育ち、学び、そして生活をし、働く、そういう育ち、学び、生活し、働く、そのために早期のときからそういう支援があるべきだと思います。そういう意味で早期インクルーシブな支援といいますか、早期からのインクルーシブ支援みたいな意味で、今、早期発見と言われているものの施策というのは、どんな障害があっても、例えばお父さん、お母さんがパニックになることなく、言わば当たり前に権利として、これからも地域で生き続けられますというメッセージとそのための必要な支援を早期から得られるという形に組み替えていくべきだと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 佐藤委員、どうぞ。
○ 佐藤委員 ありがとうございます。
私も障害者基本法の中で障害の予防という条項を削除するということは、皆さんと同じように賛成です。ただ、その理由について意見が2つに分かれているという感じがするんですけれども、7ページで長瀬委員が書いていることですが、障害者基本法というのはあくまでも障害者自身の権利のための基本的な在り方を示す法律なので、障害の予防というのはその枠内とは違う領域のものだということで、障害の予防という条項は要らない、そぐわないという理解で削除するのがいいと思います。何人かの委員の方々の議論は、障害は予防すべきものでないから、この条項を削除すると聞こえるんです。竹下委員が言われたこととほとんど同じなんですけれども、否定されるべきものは優生思想なのか、障害の予防なのか、その辺がはっきりしないような感じがします。もともと母子保健というか、出生時の障害の予防ということにリンクしてこの条項ができたということで、優生思想とすごくリンクしているので、それと一緒に障害の予防全体を否定することになると、この推進会議は障害の予防についてどうでもいいことだと考えているのかと世間から誤解をされるのではないかという感じがするんです。障害の予防というのは交通安全対策とか労働災害の予防、公害の防止、成人病の予防、国際的にはビタミンAが足りないために失明している人たちがたくさん出てきていたりとか、ハンセン病による障害だとか、いまだにポリオによる障害だとかいろんなことがあって、こういうものをどう予防するのかということは日本政府も含めていろいろ努力をしている中で、推進会議は障害の予防というのは他人事だからどうでもいいことだ、むしろ障害の予防などはすべきことではないので基本法から除外しましたという理解を世間からされたら、すごく大変なことなのではないか。障害者運動の最後でも障害の発生の最大の原因は戦争である。世界を平和にするということは、障害という点からも非常に重要な意味があるんだということも言ってきているわけで、そういう従来の主張とも矛盾してくるのではないかと思います。
障害を持っていても胸を張って地域の中で生き生きと社会参加できるという社会、そういう理解の仕方と、障害の予防、優生思想とは違う障害の予防にもできるだけ取り組む、この2つは一見矛盾する、非常に両立しにくい部分に抵触する部分もあるんだけれども、我々のこれからの成熟した日本の社会、障害者が権利を認められて、地域で活躍する社会というのはそういう複合的なことが十分にこなせる社会でなければいけないのではないかと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 大変大事なことです。
関口さんの手が挙がっていますから、関口さんにいきましょう。
○ 関口委員 関口明彦です。
先ほど公衆衛生という話も出て、私の方で書いておいたと思うんですけれども、要するに今ある世の中というのは障害のない人に合わせて設計されている世の中です。だからといって、障害者に障害のない人生とある人生のどちらかを選べといったときに、障害のある人生を選ぶ可能性はあるわけです。ゼロとは言えない。そうしたときに、ないにこしたことはないというのは、つまり完全に障害のない人の社会に合わせたという基準になってしまうということが1つあると思います。ですから、そういう意味では、早期発見で早期対処というのはそれはそれで必要だと思いますけれども、全体として障害のない人がメインストリーミングされてしまうような価値観というのはちょっとおかしいと思います。
もう一つも書いたことですけれども、ヘルスケアとかメンタルヘルスケアと言われているものは必要だと思います。日本で行われてきたことですけれども、公衆衛生の名の下に例えば部落の人の家が焼かれたとか、そういう極端なことが起こってきているわけです。たしか17条で一時期パブリックヘルスという言葉が入っていた案文もあったわけですけれども、それは拒否したわけです。公衆衛生というのは何かというと、個人にとっての健康ではないんです。社会のパブリックのヘルスなんです。だから、それは思想が変わってきてしまっていて、感染症などの場合はまさにパブリックヘルスだと思います。つまり社会にとって危険性が及びという意味でなんだけれども、そうではない場合に、公衆衛生という言葉を簡単に使ってしまうと個人個人の権利が侵害されるということが起こり得るんだということをしっかりと肝に銘じておいた方がいいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 ほかにこれに関する御意見はいかがですか。中西委員、どうぞ。
○ 中西委員 先ほどの佐藤委員のお話につけ加えます。障害を持っている人たちが障害予防に関して否定的というレベルの話ではなくて、障害予防としてしまうと、現実に予防というのは悪いものが起こらないように前もって防ぐという意味であって、悪いものというのは何かというと、この場合には障害になっていて、自己否定につながるわけです。私たちが権利の問題を論じているときに、そのレベルの話ではなくて、明らかにここでいう障害予防というのは障害の原因の予防であり、障害を起こすような状況の予防であるわけですので、改めてこれを医療の問題として考えて、ここでは論じないと整理するのが一番わかりやすいのではないかと思いましたので、つけ加えさせていただきます。
○ 藤井議長代理 ちなみに、その場合、現行法でいうと母子保健法等々、そればかりではないと思うんですが、例えばどういうふうに考えますか。その場合、責任ある推進会議として、うちでの理解というだけでは済まされませんからね。
○ 中西委員 ほかの法律の改正のところでそれをもってこられるようにして、これはあくまでも別の法律であることを位置づけることがまず大事であって、今、藤井さんがおっしゃっていたのはほかの法律の中にどう取り込むかという意味ですか。
○ 藤井議長代理 例えば1つの考え方として、こういうところで位置づけるべきだというもう少し踏み込んだ見解はございますか。また今後議論していきますけれども、もしあればお願いします。
○ 中西委員 障害の問題が1つの障害予防だけではなくて、さまざまな法律で論じられなければいけないので、例えば子どもの医療なり何なり今までに議論されてきた法律がありますね。その中で分散してもっと詳しく述べられて、難病も含めて述べられなければいけないと考えています。
○ 藤井議長代理 広くは平和とか、狭くは交通事故とか環境破壊を含めて、恐らく医療、保健を超えてあるんでしょうね。
今日、長瀬委員は欠席ですが、そういう論調でというのが、更に1つの意見として追加されました。
久松委員、お願いします。
○ 久松委員 ろうあ連盟の久松です。
なかなか難しいデリケートなテーマだと思います。私たち聞こえない人の世界では、聞こえないことをどう受け止めるかというのが極端に分かれています。例えばろうの両親を持つろう者、あるいは子どもがろうであるというのはかなり数が多くいますが、ろうの両親から生まれた子どもがろうであることを両親が喜ぶケースもあります。私はろう者として生まれてよかったと思う人も多くいます。
1つの考え方ですが、尾上さんが早期インクルーシブという言葉を使いました。早期インクルーシブという言葉を使うのはとてもいいと感じたことは何かといいますと、聞こえない子どもが生まれたとき、この子どもが2つの選択を持ちます。一般的に医療機関は聞こえない子どもが生まれたら、この子が聞こえるようなるため人工内耳を施術することを進めることがあります。しかし、もう一方の見方としては、聞こえない子どもだとわかったとき、すぐに手話言語環境を整備するきっかけをつくるという2つの考え方があります。
障害の予防という言葉を使ったとき、今までの受け止め方、考え方というのは障害そのものをマイナスのイメージとして受け止めているわけですから、ろう者の立場から見ますと、障害は何かというと、人間にとっての障害ではなく、社会そのものが障害であるという考え方です。社会の障害を予防するという言い方であればわかります。ですから、私たちは生まれてから障害を持った立場として、人間らしく豊かに生きたいと願います。社会そのものの障害が多い場合、障害を持った人間はマイナス被害を受けることになりますから、人間として生まれてよかったと思えるような社会の中で生きていくことが、社会の中で予防をすると考えています。ろう者として社会の中で生きられる状況をつくるように努力していきたいと思いますし、ろう者であることに誇りを持って生きていくことを社会から認めてもらえると考えるべきであって、基本法の中の障害の予防という言葉を外すべきだと思います。
それとは別に、ほかの法制度の中で、障害というのは社会がつくるものだという考え方で障害の予防という言葉を使うかどうかについて議論すべきだと思います。
以上で意見を終わります。
○ 藤井議長代理 新谷委員の意見をもって終わりにします。どうぞ。
○ 新谷委員 今の発言は私たち中途失聴・難聴者にとっては非常に問題のある発言です。聴覚障害というのは、聞こえないとか聞こえるというレベルは非常にさまざまで、そのための原因というのはいろいろあります。
世界のWHOのデータというのは2億8,000万の聴覚障害者がいるけれども、そのうちの70%以上は障害児、それも後進国に集中している。そのほとんどは中耳炎の障害です。これは適切な医療を受けて、中耳炎ですから消毒をして適切な薬をやればほとんどの炎症は治るんですけれども、そのことが放置されているために完全に聞こえなくなる、そういう障害を持ってしまうという子どもが何億というレベルでいると報告しています。私もそうだと思います。中耳炎になって適切な治療を受けないと、本当に聞こえなくなってしまう。そういう子どもはたくさんいる。私たちの場合にはそういうものを早い時期に見つけて、適切な医療をとれば別に障害の予防とかではなくて、障害の原因の予防ははっきりとできるという理解を持っていますので、早期発見、早期治療を忘れて議論しては片手落ちな議論になる。
私たちの場合には、聴覚に異常が起こって人工内耳の選択というのがあるけれども、それは非常にいろいろな問題を含んでいるというのは十分にわかっていますが、1つの選択肢としては人工内耳の治療というのは明確にある。それから、これからもっと進む形としては、再生医療の問題があるわけです。聴覚の内耳に障害を持った場合の再生医療というのは、これからの大きな可能性として、今いろんな研究機関が努力している最中で、恐らく10年、20年のスパンで考えれば再生医療というのは大きなテーマになってくる。このときにどこまで踏み込んで、治したい子ども、治したい御家族もいるわけです。内耳に障害を持って完全に聞こえないといっても、新しい再生医療で内耳を再生医療すれば治るということがわかった場合にそういう選択をする両親とか子どももいる。その人たちの権利を否定するような発言は私はあり得ないと思います。だから、ここではいろんな選択肢を認めるということだと思います。再生を選ぶ人の選択肢もあれば、聞こえない状態での手話とかそういう環境を保障して生きていきたいという人を認める。そういう多様性の承認がないと、ここでの議論としては非常に片手落ちだと思います。
関連して発言しました。
○ 大濱委員 関連して発言させてください。
○ 藤井議長代理 時間が過ぎていますが、どうぞ。
○ 大濱委員 今の話で私も同じような考えを持っていまして、予防という切り口だけでは無理だと思っています。近いうちに、角膜の移植が始まろうとしている時期にきていますので、障害の根本治癒ということがあります。今、再生医療という話が出ましたけれども、幹細胞を使っての医療はすごい勢いで進歩しているところなんです。やはりそういう先端医療を受ける権利、障害の根本治癒についての先進医療、先端医療という分野の受ける権利を明確に書き込んでいただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 この議論はある面では価値観にも及ぶ問題です。ただし、ありましたように「障害の予防」という5文字は2つの相反する意味があります。あるいは違ってファクターが入っている。つまり優生思想であったり、障害を否定する考え方あるいは差別につながるような考え方が含まれている予防という問題があります。一方で、社会モデルのさまざまな障壁との相互作用の1つの側面である機能障害が軽くなったり、なくなるということは当然だれも否定しない。ここを予防すること、あるいは二次障害の予防であったり、早期発見であったり、早期治療はだれも否定しない。このことは混在化しかねない。この5文字だけでは両方が入ってくる。竹下さんは、予防医学という性質、ここのところの理論的な峻別、区分けはどういうふうにあるのかということを言われていました。
この辺のことも含めて、今後この中でも引き続き検討していく。とりあえず現行の障害者基本法の位置づけというのは余りよろしくない。その先をもう少し論じるということの宿題を残して、このコーナーは終わっていこうと思っています。
今3時15分ですので、3時半まで休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、第3コーナーに入ります。
第3コーナーも2つです。前半は同じく障害者基本法の各則のユニバーサルデザインです。後半は合同作業チームに関する件に入ります。
それでは、ユニバーサルデザインに関して、書面で寄せられた意見の論点整理を室長からお願いします。
○ 東室長 東です。
ユニバーサルデザインの関係でいただいた御意見について御紹介いたします。
まずユニバーサルデザインは障害者の権利条約で規定されているところでありますけれども、ユニバーサルデザインという考え方の意義と効用をどう考えるかという点についてであります。これにつきましては、多くの委員の人がインクルーシブな社会の実現にとって大きな意義があるんだということを述べられております。ただ、多様な特性に対応できるような補完が必要だという御意見も他方であります。
それと関連するわけですけれども、2番目の障害やそれに基づくニーズの多様性や差異の尊重という要請との関係をどうとらえるかという点につきましては、ユニバーサルデザイン自体が多様性や差異の尊重と矛盾するものではないとか、むしろ多様性が前提となっている。また、多様性を排除するものではないという意見がほとんどであるわけですけれども、中には障害者の個別ニーズの解消は社会の責任という観点をあいまいにする危険があるという御意見もございます。
3番目ですが、ユニバーサルデザインとバリアフリーもしくはアクセシビリティーとの関係をどう考えるのか。バリアフリーというのは障壁の除去、アクセシビリティーというのは利用可能性とか利用可能な状態という意味でしょうけれども、それらの関係について大まかにいうと3つぐらいのパターンがあるかと思います。多くの御意見はユニバーサルデザインとバリアフリーというものは、アクセシビリティーを確保するための考え方、手段という位置づけのパターンがあります。その中でユニバーサルデザインとバリアフリーは相互補完的な関係にある。ユニバーサルデザインは一般的、公共的なものに対して認められたものであるのに対し、バリアフリーというのは個別性の高いもの、特定のニーズ向けのものである。この2つが相まってアクセシビリティーを確保していくんだという考え方が1つのパターンで、多数意見だと思います。
あと1つは、バリアフリーとかアクセシビリティーというのは特定のニーズに向けられたもので、それと一般向けのユニバーサルデザインが補完関係にあるという考え方が2番目の考え方だろうと思います。
3番目は、バリアフリーにしてもアクセシビリティーにしても、それはユニバーサルデザインの構成要素なんだという考え方です。3番目の考え方はユニバーサルデザインという全体的なものがあって、その中の構成要素としてバリアフリーないしアクセシビリティーがある。そういう考え方だろうと思います。
こういう3つの考え方のパターンに分けられると思いますが、それぞれ力点の置き方などに違いがあって微妙にその中に入らない場合もあると思いますが、こういう関係をここで整理する必要があるんだろうと思われるところです。
ユニバーサルデザインの対象範囲についてどう考えるかということですが、次の製品、環境、計画及びサービスの設計という条約で示された対象範囲とも関連しますので、一緒に御紹介したいと思います。多くの委員は条約4条の一般義務にあるような物品、サービス、整備、施設などの生活のあらゆる分野を対象とする。それとか環境とか製品等のハードウェアだけではなく、サービスや計画などのソフトウェアも含まれるという表現の仕方であらゆるものを対象とするという御意見がございました。ただし、個々の障害種別やニーズに配慮した設計を排除してはならないという御意見もございました。
具体的な説明は、例えば製品というのはテレビとかコンピュータ、日常生活に使用する器具あるいはまちづくり等の用途に使用されるパーツなど、環境とは公共交通関係や住宅等、計画とは行政計画等、サービスとは案内や注文などの人々の生活に関わるものという表現の仕方で説明をされている御意見などがあります。
知的財産、特に著作権による利用の制限がある場合、ユニバーサルデザインの観点からどう考えるかということですが、著作権による利用制限はかなり緩和されてきていると言われておりますけれども、問題がまだ残っているという現状の中で、ユニバーサルデザインの観点からどう考えるかということです。これに関してはさまざまな御意見がありますが、ユニバーサルデザインの観点から著作権という権利、利益との調整も含めて、だれでも情報にアクセスできるような仕組みを整えるべきであるという点については一致していると思っております。
企業等がユニバーサルデザインの商品等を開発する際に、当事者参画や意見の反映がどの段階で、またどういう仕組みで確保されるべきかという点につきましては、さまざまな形での意見反映の仕組みなどが提案されております。時期としては、当然企画や開発ができる早い段階から当事者参画、意見の反映をするべきだということが多数であります。
具体的な反映のさせ方としては、当事者がプロセスに参加する方法であったり、ヒアリング機会を設ける方法であったり、製品の共同開発という方法であったり、公共調達については一定の基準を設けて当事者の参加と発言を担保するという方法について議論がなされております。また、計画、実施、実行、点検、評価、処置、改善という製品開発をめぐってのサイクルの中で、利用当事者が参画することが重要なんだという意見があります。
次にユニバーサルデザインの普及に向けて、行政が取り組むべき課題としてどのようなものが考えられるかという点についてでありますが、これにつきましてもさまざまな意見が挙がっております。例えばユニバーサルデザインやその促進、研究、開発のための基準とかガイドライン、指針、規範を作成して法制化するとか、財政支援を含んだ補助、援助などをするとか、啓発、広報をするとか、公共調達の仕組み、仕様における促進を通じて事業の取組みを促進する、もしくはそのための法制度化を進めるという意見であったり、ユニバーサルデザインの普及を積極的に奨励するための税制上の優遇措置や優先購入などの仕組みをつくる。それとか当事者参画がだれでも容易にできる意見提出の仕組みの構築などが提案されております。
その他でありますけれども、ユニバーサルデザインとして求められる分野かどうかの切り分けを明確化する。そのことの重要性やサービスを提供する視点などについての御意見が挙がっておりますので、書面を見ていただければと思います。
簡単ではありますが、以上です。
○ 藤井議長代理 これに関して意見を出していただきましょう。御発言をしたい方は挙手をお願いできますか。
竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 1点だけに絞りますけれども、著作権や知的財産権との関係は整理をしておく必要があると思います。知的財産権に関する配慮としては2方向あるわけです。1つは財産権者の権利制限という形、もう片一方が保障という形なんです。ユニバーサル化とバリアフリー化の違いは正確にはわかりませんが、いずれの場合であったとしても、著作権者の権利制限という形でやる場合というのは、簡単に言えば著作権者の犠牲として、著作権者の人格権とか保持権を否定するということになるわけです。そういう形で障害者の利用アクセス権を保障しているのが現在の著作権法です。それに対して障害者の著作物へのアクセスの保障責任は国家にあるんだと考えれば、著作物を複製したり、変更を加えたり、あるいは著作物に何らかの否定的評価が加わることになることにより、著作権者に損失が生じた場合には、それに対する補償ないし補てんは国家責任として行われるべきである。そのどちらでユニバーサル化を図るかということは少し分けて考えておかないと、著作権者の人たちとの議論がかみ合わなくなると思うので、それだけはつけ加えておきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。
日本の場合は国際障害者年以降この概念は広がっていったんだけれども、やはり決定的だったのは権利条約だと思います。この件は、今、東さんからもありましたけれども、改めて第2条の概念をきちんと共有した方がいいと思います。第2条、それから、今ありました第4条の一般的義務のF項は短いので読んでもらいます。
○ 介助者 障害者の権利に関する条約の3月3日版の公定訳文案です。
第2条の定義の中の「ユニバーサルデザインとは」というところです。ユニバーサルデザインとは、調整または特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。ユニバーサルデザインは、特定の障害者の集団のための補装具が必要な場合には、これを排除するものではない。
第4条の一般的義務の(f)第2条に規定するユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設であって、障害者に特有のニーズを満たすために必要な調整が可能な限り最小限であり、かつ、当該ニーズを満たすために必要な費用が最小限であるべきものについての研究及び開発を実施し、または促進すること。また、当該ユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設の利用可能性及び使用を促進すること。更に、基準及び指針が作成される場合には、ユニバーサルデザインが当該基準及び指針に含まれることを促進すること。
○ 藤井議長代理 この辺はとても大事な点なので、いつも押えておくことが必要だと思うんですが、それを踏まえながら更にいかがでしょうか。
新谷さん、お願いします。
○ 新谷委員 1点意見があります。以前もここで発言させていただきましたが、アクセシビリティーの定義をどうするかという問題があると思います。障害者権利条約ではアクセシビリティーの定義はなされていないです。意味規定をずっといろんなところで挙げているだけであります。だから、今アクセシビリティーは自明のこととして議論しておりますけれども、単なる利用可能性という日本語訳で解決がつくのかどうか。私はアクセシビリティーというのはもう少し膨らんだイメージとして、例えば利用しやすいとか、利用者に大きな負担をかけないで利用できるんだとか、もう少し中身が膨らんでいるので、利用可能性という日本語に訳して概念がはっきりするのであればそれでいいかもわかりませんけれども、もう少し議論が必要だと思います。
○ 藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 書いておきましたけれども、駅の表示です。この間も遠出して、帰りに電車に乗ろうとして時刻表を見たんです。そうしたら、終点しか書いてないんです。見知らぬ土地へ行ったときに終点だけ書かれても、一体これはどこへ止まるんだろうということがわからないわけです。つまり、地名がわかりません。そういうところは勿論一般人も困るわけで、特に精神障害者の認知の障害がある場合は、少なくとも行く駅の名前は全部書いてあるボードがどこかに置いてあるとかそういうことが必要で、例えば見知らぬところに行ってもそういうものがあれば、これはどこへ止まるんだということがわかるわけです。だから、そういう設備といえば設備ですけれども、ソフトの面で障害特性にも配慮した形でのものというのは、ユニバーサルデザインに入るんだと思うんですけれども、よろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 いかがでしょうか。特にありませんか。それでは、次の問題もありますので、新しい法との関係で今後また引き続きやっていきます。
私は先だって青梅線である駅に降りたんですが、それまでは「車いすトイレ」と書いてあったのが「みんなのトイレ」と変わったんです。恐らく赤ちゃんを連れている方も入りやすくなったりし、つまり障害を持った方が使っているものを逆に市民が一緒に使おうという発想です。だから、いろいろな面でお金をかけなくてもできる点が本当はいっぱいあるんだということを感じました。蛇足です。
それでは、第3コーナーの後半に入ります。
○ 中西委員 済みません。今の蛇足に関して一言いいですか。
○ 藤井議長代理 蛇足の蛇足ですね。蛇足の蛇足をお願いします。
○ 中西委員 ユニバーサルデザインというのは基本的にみんなが使えるということなんですけれども、現実的には障害者のニーズはさまざまで全員が使えるということはあり得なくて、ユニバーサルデザインは一定の水準に達したものをユニバーサルデザインと呼ぶと考えると、そこに本当はもっとアクセシビリティーを追求しなければいけないことがあるのに、それが隠れてしまうようになる気がするんです。
今の「みんなが使えるトイレ」なんですけれども、結局みんなが使えるとしてすごく立派なものをつくったがために、そこにほかの人がたくさん入ってきても拒絶できなくて、みんなが使えるトイレが本当はみんなそうであればいいのに、そうはなくて1か所、2か所がみんなが使えるトイレで、ほかは一般トイレが現状です。アクセシビリティーとユニバーサルデザインとの境界線というのがはっきりしないままで、ユニバーサルデザインはいいものだと一人歩きしている危惧を感じるので私も意見を書かせていただきました。確かに議論は足りないと思いますが、その前の段階で新谷さんがおっしゃったようなアクセシビリティーに対する議論があるべきだと考えています。
○ 大濱委員 追加でお願いします。
○ 藤井議長代理 大濱さん、どうぞ。
○ 大濱委員 ユニバーサルトイレについては、私たちの団体は非常に危惧しております。といいますのは、正直にいいまして、私たちの団体の場合はトイレとか排泄の問題というのは社会参画の上では非常に重要な課題です。誰でも使えるトイレという形態が増えたために、この人は本当にユニバーサルトイレを使う必要があるのかという人まで使う現状がある。緊急性、尿意をもよおして脳からの神経の命令伝達機能が麻痺しているために我慢できない障害、私たちの団体の脊損の場合は使えなくて失禁してしまった。そういう現実の問題が起こっているんです。だから、ユニバーサルデザインというだれでも使えるという概念で一区切りにしていいのか。緊急で本当に必要な人に対してのトイレでないといけないところが必ずありますので、そこら辺を配慮してもらわないと、今、言われたみたいな言葉でユニバーサルがすごくいいような意味で一人歩きするというのは非常に危険だと思います。
○ 藤井議長代理 尾上さん、どうぞ。
○ 尾上委員 蛇足の話題からどんどん議論が広がって申し訳ないんですけれども、非常に重要なポイントだと思います。今までユニバーサルデザインというものに対する評価や当事者から見てのフィードバックという仕組みがなかなかなくて、イメージ戦略的な意味でのユニバーサルデザインという感じで進んできたところがあります。
先ほどのトイレの問題でいいますと、だれでもトイレと言われるもの以外のもの、一般のトイレは段差がそのまま残っていたりします。そうではなくて、手動車いすぐらいだったら一般のトイレまで入れる状態にした上で、もう一つは今のだれでもトイレというよりはバリアフリーの機能を強化したトイレがある形であるべきです。だれでもトイレ、ユニバーサルという意味ならば一般のトイレ自身が基本としてユニバーサルであるべきで、それに加えていろんな人が使えるということからすれば、今まで車いすトイレと言われてきたタイプのものはもっと数を増やさなければいけないみたいな、特定のトイレだけをだれでもということだけではなくて、全体のシステムとしてどういうふうに使えて、アクセスできる仕組みにしていかなければいけなくて、そういったところの評価や今後のフィードバックの仕組みをちゃんとつくっていくということがなければ、今、みんなが危惧をしていたようなことが出てくるんだろうと思います。
そういう意味でユニバーサルとは何なのか、何をユニバーサルにしなければいけないのか。そして、先ほどから出ているアクセシビリティーをちゃんと当事者から確保できるための評価、フィードバックの仕組みをどうつくるのかということがすごく重要ではないかと思います。
○ 藤井議長代理 そうですね。一般のトイレを手直ししないのに免罪符としてみんなのトイレなどを使ってみたり、今、言われたアクセシビリティーとユニバーサルデザインとの関係、アファーマティブアクションとユニバーサルデザインとの関係は、もう少し政策論上きちんと峻別する必要があると思います。
○ 東室長 今の点でいいですか。
○ 藤井議長代理 どうぞ。
○ 東室長 関連なんですけれども、2つの方向性があるんです。車いす用の駐車場、パーキングについての世界の流れは、ユニバーサル化ではなくて、ほかの者が使ったら罰則をとる。ほかは使ってはだめという方向で障害者のアクセシビリティーを確保する方向と、今、言ったトイレみたいに一般に開放していくという方向でトイレ全体のユニバーサル化を図る。この2つの違った要素がアクセシビリティーということで語られているわけです。そこら辺一般との関係ももう少し議論として整理していく必要があるのではないかという感じはします。
以上です。
○ 藤井議長代理 そういう課題を残していきながら、次に進みましょう。少し内容から離れます。今度は先ほど言ったように推進会議と総合福祉部会の双方で3つの分野に合同作業チームをつくろうということです。既に総合福祉部会では部会作業チームを発足する旨が決まり、座長も先だって発表がありました。言葉でいうと、部会作業チームは総合福祉部会や今後つくられる部会でつくる作業チーム、推進会議の中だけでつくるのは作業チーム、今やっているわかりやすい第一次意見づくり作業チームとか障害の表記作業チーム。総合福祉部会との合同でつくるのは合同作業チーム、今日今から話をしますのは、総合福祉部会との合同作業チームに関してのことです。
まず東室長から提案をいただきます。
○ 東室長 東です。
前回合同の作業チームをつくるということの御承諾を得た上で、メールではありますが、就労、医療、障害児支援それぞれについて、作業チーム委員として参加していただけますかということで打診を申し上げました。
就労に関しては、対象分野としては障害者の雇用の促進、福祉的就労に従事する障害者に対する支援、職場における合理的配慮や必要な支援の整備という3項目を大まかな項目として挙げさせてもらいました。
医療につきましては、精神障害者に対する強制入院等の見直し、地域医療の充実と地域生活への移行、精神医療の一般医療体系への編入、医療にかかる経済的負担の軽減、地域生活を容易にするための医療の在り方です。
障害児支援につきましては、障害児や保護者に対する支援、児童福祉における障害児支援の位置づけです。
これらの範囲に限るというわけではありませんけれども、メインとしてこういう問題を合同作業チームで検討していくという点についてメールで打診しましたところ、就労に関しては松井委員、竹下委員、新谷委員になっていただきたいと思っております。
医療に関しましては、堂本委員、関口委員、委員の3名に担当していただきたいと思います。
障害児支援につきましては、大谷委員、長瀬委員にお願いしたいと考えているところです。
作業チームというやり方が必ずしもいいかどうかということについては、まだ解決されたものではありません。今それぞれのお名前を挙げまして、お頼みしているわけですけれども、当面はこの作業チームで議論をしていただいて、問題の整理をしていただきたいと考えているところです。
担当室としましては、就労に関しては、松井委員に座長を務めていただきたいと思います。
医療に関しては、堂本委員に座長を務めていただきたいと思います。
障害児支援につきましては、大谷委員に座長を務めていただきたいと思っているところであります。
担当室としての提案というのは以上ですけれども、御意見があればお願いします。
○ 藤井議長代理 手が挙がった松井委員、お願いします。
○ 松井委員 どうもありがとうございます。松井です。
就労の作業チームの座長は非常に名誉だと思いますけれども、推進会議でもこれまで何度も発言させていただいたと思いますが、合同作業チームは基本的には総合福祉法との絡みでできているわけです。勿論、先ほど東室長から話があったように、テーマとしては必ずしも福祉だけではなくて雇用促進法あるいは合理的配慮に関わるものも含めて議論するということになっていますけれども、メンバーは基本的には総合福祉部会と先ほど推進会議からは私を含めて3名ということで、かなり範囲が狭いといえば狭いと思います。
総合福祉法の絡みでいえば、来年3月までに基本的に結論を得るというか、そこで論点を整理するわけですけれども、雇用に関する問題はそんなに簡単には決着しないというか、御承知のように雇用は基本的に労働政策審議会を中心に議論してきているわけで、今回の合同作業チームは言うならばボランティアです。勿論推進会議のメンバーでありますけれども、ボランティアであって、そこでの論点整理はどれほど権威づけがあるものなのか明らかではないということです。
総合福祉部会でも就労に関する部会をつくるべきだろうという意見が出ているようですし、それ以外に5つの団体からそういう要望書も出ていると漏れ伺っておりますけれども、そういう状況の中で私が座長を仮にお受けする場合、そういう要望を全く無視するわけにはいかないのではないか。少なくとも今後の展望といいますか、とりあえずスタートするにしても、先ほど言いましたように、それだけでは決着できない問題がかなりあるわけです。そういう意味では、部会に向けて何らかの展望を示す必要があるのではないか。そういうことなし合同作業チームで決着ということになってしまうと、せっかく関係者の方々が推進会議に対して期待してきたことに応えられないことになりかねないのではないか。この分野は私のキャリアというか、もともと就労で仕事を始めて、これまでそれこそ50年近く関わってきて、どういう問題があるかということは十分に承知しているはずで、さまざまな発言とか文章で書いていますけれども、仮に実効あるものにつながっていかないとすると、松井は結局いろいろ言ったけれども、何もやっていないのではないかということにもなりかねないので、私としては何とか展望が開けるようなことを室長から言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○ 藤井議長代理 もう少し広げて、今、室長から意見をもらう前にこれに関連して御発言はございますか。
堂本委員、関口委員、お願いします。
○ 堂本委員 私も全く松井さんと同じ気持ちを持っています。というのは、推進会議で医療について議論したときには、精神保健福祉法を廃止または改革をすべきとの明快な意見が出ていた。地域移行ということについても知的障害者の制度と同じように精神障害者の場合も制度化すべき、というまとめが出た。ところが、最終的に省庁とのヒアリングがあったときには、それが全否定された。
私は手を挙げて、推進会議と政務官との間にギャップがあるが、どちらを優先するのか、と聞いた。返事は両方で話し合って決めるとおっしゃったんです。この推進会議は内閣総理大臣の下につくられている。上位にあるのではないか。今までなぜ障害当事者が不便をし、私たちが思うような政策が実施できないのは、中央の縦割り行政の壁ということができます。しかも、当事者の意見より、行政の都合、病院の都合などが優先されがちでした。たから、日本には障害のある人とない人と、障害別などさまざまな差別の実態があります。推進会議は当事者の意見を聞くことに意義があります。
日本で柔軟に政策が進まない、実態に対応しないのは省庁間調整の壁があるからです。あらゆることが全省庁の間でイエスと言わないと進まない。そういう省庁間調整、あるいは法律との整合性の関係で、これはできない、あれもできない、ということになる。省庁間調整のために、大なたが振るえない、のが日本の福祉政策です。
内閣総理大臣の下で障害問題を当事者が参加して、議論するのは画期的なこと、革命的だと思うんです。しかし議論をするだけでは意味がない。当事者の都合に合わせた政策に変革するのが権利条約に対応することだろうと私は思っています。それがまた作業チームの中で、調整されてしまうとしたら、何のための推進会議だったのか、と言いたい。
○ 藤井議長代理 関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 ちょっと違うことですけれども、医療ということで、この中に精神とついているのが2つあるわけです。一次意見書が22年6月に出ていますけれども、同じく22年6月にハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会報告書というものが出ています。ここにおいて医療基本法をつくれということを内閣総理大臣に提言しているんです。つまり、ハンセン病の検証委員会の中で何が言われたかというと、患者の権利ということが勿論言われました。それから、医療基本法をつくらなければいけないということが言われています。それを抜きにして精神医療の話だけをされても困る話だと思っています。つまり、医療ということをいうときには、ちょっと偏った言い方かもしれませんけれども、いわゆる戦前からの国策医療から脱して患者と医者の権利、権限、契約を明確にするような医療基本法がなければ、医療の話はできないと思っています。
勿論私はこの会議の中でいろいろ発言しますけれども、障害者の部分のところだけで医療全般を語れるかというと、別に精神病だけではなくてハンセン病もそうですけれども、医療というのは全部の医療なわけです。そういったときに、ほかの利害関係者というのが入らなくてできるんだろうかという危惧があるんです。勿論ハンセン病も精神病も長い間の閉じ込めというのは構造は非常に似ていますし、差別という点でも似ているからいいんですけれども、そこで出された検討の報告が今年の6月の同じ時期に上がっていて、それが医療基本法をつくりなさいということを提言しているんです。それをどうするのかというのが不安なんです。それはどうしたらいいんでしょうか。
○ 藤井議長代理 関係あるんだけれども、今、松井さん、堂本さんがおっしゃった作業チームの在り方との関係でいうとどういうことなんですか。
○ 関口委員 その絡みでいうと、この間の厚生労働大臣政務官の外科のお医者様が言われたことはとても承服できませんけれども、精神科以外のお医者さんとか有識者の方、一応医療に詳しい方が入っていただいた方がいいのではないか。勿論部会と本会だけでやるというのは1つの手ですけれども、そうすると障害者の枠でやるという話ではないですか。医療全般を論じるときにそれでいいのだろうかということです。
○ 藤井議長代理 先ほどもおっしゃっていた点がありますが、今3人から質問、意見がありましたので、ここで一旦東さんから更に追加意見があったらお話いただけますか。
○ 東室長 皆さんがおっしゃる点は全くそのとおりだと思います。要するに、現実問題というものが一方ではあるわけです。
1つは基本法の改正を来年の常会に上げるということで、そのために今から関連部会を立ち上げて議論するということではとても間に合わない。やはり推進会議のこれまでの議論を煮詰めていくことが求められます。基本法の改正に当たっては、例えば労働にしても医療にしても一定の大枠のものを書き込むことが必要になるわけです。だから、そういう時期的な問題もあると思います。
それと、総合福祉部会についても同じように時期的に一定の結論を出していかなければならない。そういう中で、合同の作業チームという形で論点を整理していただいて、推進会議ないし部会の方に上げていただいて意見をまとめていくことになっているわけですけれども、時期的な点で1つ大きな現実上の課題があるということです。
それと、部会を開くということになりますと、情報公開ということで、今、推進会議で行っている体制をそっくりそのまま保障していく。そうでなければ部会とは言えないと位置づけているわけですけれども、そうなりますと、かなりの予算が必要になります。しかしながら、まだ正式には決まっているわけではないんですけれども、来年度の予算として獲得できるのか。一律10%減の中で、ほかの事業についてはかなり削減する形でしか、こちらを増やすことはできないわけです。そういう中にあって医療の部会をつくる、この部会をつくるということについては、今のところ予算的な裏づけが明確ではない。
担当室としては、私ほか4名のスタッフでやっておりますけれども、推進会議をフォローしていくだけでも事務的には満杯状況にある。総合福祉部会の事務は基本的には厚労及び部会三役の手に委ねざるを得ない状況にあるということもあります。
あと1つは、例えば労働の部会をつくるにしても、労政審という枠組みと同じようなものが部会として成り立ち得るのかどうなのか。それについては推進会議の部会という問題とはちょっと違う性格もありますけれども、そこら辺の基本的な問題点をクリアーしなければならない。
そういういろんな課題の中で、当面選択できるのは合同の作業チームという形だろうということで御提案差し上げた次第です。
勿論基本法と総合福祉法にまたがらないといいますか、独自、固有の問題についてですが、例えば労働については24年度内に結論を上げるということが言われておりますので、合同作業チームが終わったからといって、そのことについてそれ以後は触れないということではなくて、24年度の期間内という期限の中で、推進会議本体として一定期間労働に集中して議論していくことも可能であろうし、それは医療についても同じことだろうと思います。そういう意味で、議論をまとめていただいて上げていただく。そして、必要であれば今後とも推進会議本体でやっていくということは、今の時点で言えることであります。しかしながら、部会を3月以降立ち上げるということまで、今、確約できる状況にはないと思っております。
何のために推進会議ができたんだという原点に立ち返ってみれば、いろんな困難を乗り越えてできることを可能な限り追求していくということが推進会議の担当室の役割だと思っております。そういう意味で、威勢のいいことはなかなか言えない状況にあるわけですが、そういう現実との狭間の中でできることをやっていきたいと思っております。
先ほどボランティアと言われましたけれども、本来であれば皆さん方には謝金などを当然出すべき性質のものだと思いますが、作業チームという位置づけの中で、そこは御勘弁をという形にして、ボランティア的と言われる要素もあるわけですけれども、決して任意の人たちだけが集まってやるというよりも、推進会議ないし部会の全体の中でどういう議論をどういう人たちにしてもらうか、会議自体、部会自体の判断としてそれを設けるという位置づけについては変わりませんので、全くのボランティアではないということを申し上げたいと思います。
歯切れの悪い発言かもわかりませんが、現在のところ言えるのはそのぐらいだと思っております。以上です。
○ 藤井議長代理 少し時間が過ぎていますけれども、大事なことなので、更に御意見があったらお出しください。
松井さん、どうぞ。
○ 松井委員 松井です。ありがとうございます。
おそらく東さん自身も就任された当時と今の状況とはかなりギャップがあるというか、財政的にも、いわゆるマンパワーの点でも極めて苦労されているということはよくわかります。先ほど言いましたように、この機会を逃しては、特に労働のテーマについてはなかなか解決がつかないというか、そういう意味で非常に多くの関係者が期待を持っています。難しさはわかるけれども、何か知恵が出せないのか。これは推進会議の事務局だけではなくて、これだけメンバーがいるわけですから、どういう形にすればもっと応援できるのか。
先ほど堂本さんもおっしゃったように、本来ならば政治のリーダーシップで始まったんだけれども、現時点では政務官はじめ政治家がここにはだれも来ていない。最初の福島大臣のときは大臣自ら出席されるという形で、非常に存在感があったわけですけれども、今の推進会議に対しては政治的なサポートが弱っているのではないかと思います。そこを強化することも含めて、どうすれば現状を少しでも打破して、より実効性のある方向に踏み出せるのか。そこはもう少し言っていただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 ほかにございますか。関口さん、どうぞ。
○ 関口委員 ハンセン病の検討会は、医療の基本法の法制化に向けた取組みを緊急の課題として早急に進めるよう厚生労働大臣に強く要望したと過去形で書いているわけです。ハンセン病のみならず、その他の疾病、とりわけ誤った認識に基づく差別被害を受けやすい疾病についても問題解決の方法の導入とそのための機関あるいはシステムの設置が喫緊の課題になっていること云々と書いてあるわけです。ですから、ここまで持ってきた検討会の上に立たないと精神疾患のことについては語れないという立場なんです。そうだとするならば、ここの検討会に関わったどなたでもいいんですけれども、どういうことなんだということを1回でもいいからヒアリングをしたいとか、そういうことがあるんです。
○ 藤井議長代理 それも関係はしてきますが、今の松井さんの御意見は大変困難な理由はわかるけれども、逆にこうやったらできるのではないかというできるための知恵を出し合うということができないか。できない理由を挙げるのではなく、できるためにこうやるという論点はどうかという投げかけがありました。
東さんの方では時間的な制約、推進会議本体でやるんだということがありました。同時に事務局の機能、予算不足等で、実際にやっていきますと、思った以上に困難が多い中で、余り調子のいいことは言えない。こういうお話だったと思います。
それをもう一歩深められないかというのが松井さんからの話だと思うんですが、関口さんの医療も同じです。併せてあったと思うんですが、更に御意見をもう少し受けましょう。
竹下さん、どうぞ。
○ 竹下委員 2つの点で議論を是非進めたいと思います。
1つは、労働問題でいえば、労働問題全体の制度とは別個に障害者労働の問題だけを解決するというのは、多分現実的ないし倫理的にあり得ないんだと思います。更に言えば、総合福祉部会の議論との関係で全くそこでの議論と遊離してしまうのであれば、合同作業チームは要らないわけです。そうではなくて、今回作業部会によって深めた内容は、ときには労政審あるいは総合福祉部会、この本体の推進会議にフィードバックするために議論を深めているのです。日本の縦割り行政社会を打ち破るために、その1つの突破口にしていくべく合同作業チームでの議論を深めることが必要だろうと思うので、それはやるしかないと思うのが1点目です。
もう一点は、合同作業チームの中で走りながら出てくる問題点を大きな枠組みの中でとらえることが必要であり、既成概念をどこまで押し返せるかわかりませんが、たぶん押し返せる部分があるとは思うんですけれども、合同作業チームを進める中で可能な限り打ち当っていくというか、あるいはそこで議論をしていくことが必要であって、入口のところで理想的な形でスタートするというのは無理だと思います。松井先生の言うことは基本的には大賛成だけれども、現実的には非常に難しいと思います。走りながら解決可能なものを一つひとつ突破していくしかないのではないでしょうか。以上です。
○ 藤井議長代理 松井さん、大谷さんの順番でいきます。
松井さん、どうぞ。
○ 松井委員 今、竹下委員がおっしゃったように、理想的な形で全部条件整備ができた後でやれといっているわけではなくて、スタートの時点からかなりいろいろな制約があるということがわかっているわけで、それをどう将来に向けて拡大していけるか。そういう意味では幾つかの段階があると思いますけれども、決して理想論を言っているわけではないと思っています。
○ 藤井議長代理 大谷さん、どうぞ。
○ 大谷委員 大谷です。
基本的にやるしかないという結論は同じなのですけれども、例えば障害児支援ということなのですが、思い出していただきたいのですけれども、教育の特特委というものが文科省に設けられたときに、ここのメンバーに、我々が推薦するメンバーを入れてくれという要望に関しては正式な結論は得られないまま、残念ながら文科省の主導で委員会がつくられ、現在既に審議されている。これは障害児支援ということになっていますけれども、教育も固有に本当は議論しなければいけないことが多々あると思うのです。結局、今、文科省の結論待ちというような状態になってしまって、あえてこちらで部会を設けろ、また作業チームを設けろという要求すら出しにくい状態になってしまっているという状況の中で、障害児支援の中だけでもインクルーシブな方向を目指す障害児支援を提案し続けたいと思っています。ですから、その観点においていえば、私は障害児支援が固有に専門ではないのですけれども、もし必要であればやるしかないと思っています。
ただし、限られたメンバーの中から人を選んでいるということの限界はどうしてもぬぐえない。そうだとするならば、今後の1つの検討としていただきたいのは、差別禁止部会は必ず立ち上げるということをずっと言明されておられますから、それを早く立ち上げていただきたい。差別禁止部会の中に障害児支援もしくはインクルーシブ教育、インクルーシブな観点での障害児支援をやっている人をメンバーに入れていただき、その人も作業チームの中に加えてこれから拡充していくという方向も追及できるのではないか、追求していただけるのではないかという期待も含めて検討していただきいと思っています。総合福祉部会の方のどなたが来るのかも、どういう形で構成されるのかもいまだに私はわからないのですけれども、勿論その中のメンバーで頑張りたいし、やり続けたいと思うけれども、これから入ってくる差別禁止部会の方もその中の1人に加わるという形で拡充していくことは可能なのではないか。非常に現実的な方法として可能なのではないかと思いますので、それは早急にやっていただきたいと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 どうぞ。
○ 松井委員 今、大谷さんがおっしゃったことは私も賛成です。差別禁止部会には、例えば先ほどの合理的配慮云々もあるように、当然そこはそういう雇用、労働に明るい方が入って議論するということになるわけでしょうから、そういう意味では、おっしゃるように合同作業チームとリンクするということも1つのいいツールだと思います。
○ 藤井議長代理 後で議論を整理しますが、まず久松さんから出してもらいましょう。
○ 久松委員 ろうあ連盟の久松です。済みません。
作業チームがボランティアだとおっしゃるようですが、ボランティアの範囲というものは何なのかもう少し具体的に説明をいただきたいと思います。交通費、日当のような謝金が払われないけれども、会場整備はできているというようなレベルなのか、今後作業チームの開催の割合がどのような状態なのかということがわかれば、我々構成員がどんな支援、サポートができるか、どんな知恵が出せるかということも議論できると思います。
例えば大谷委員がおっしゃるように、今、私は文部科学省の特別委員会の委員として入っております。ここの推進会議の議論、就労について出た問題などの組み合わせなどについて大きなテーマになってくると思うので、今後どのような方向で進めていくのか状況がわかりませんので、そのようなことも教えていただきいと思います。
○ 藤井議長代理 今の久松さんの件については、東さんの方でお答えいただける点があったらお願いします。その後で少し整理します。いかがでしょうか。ボランティアの範囲などです。
○ 東室長 ボランティアという言葉はこちらが使ったわけではないので、何とも答えようがありません。推進会議としては、旅費と謝金は本人については済みませんということだけで、あとはこの前お示ししましたように、部会並みにないしは推進会議並みに対外的な情報はできませんけれども、対内的な情報は保障しますということです。それはボランティアであるとか、ないとかということとは無関係の話です。謝金について御協力いただきたいという意味で言っただけです。いいでしょうか。
○ 藤井議長代理 久松さん、いいですか。
○ 久松委員 久松です。
今後の進め方について、もっと厚生労働省とお話合いの場をつくって、厚生労働省に労働審議会がありますので、そこにどのように働きかけていくか等その関係について整理をしないと、松井先生がチームをつくって議論をしても、厚生労働省の審議会の様子、状況との関係がつかめないという場になってしまう。その辺りの有機的な機能をどうやって示していくのかということです。
例えば私たちも所属団体のいろいろな関係で研究会のような場をつくってやっていますけれども、そこでの意見をどのようにまとめて持っていくのか、どのように推進会議をサポートしていくことができるのかと思っています。それらとの関係がつくれるならば、検討してもいいのではないかと思っています。
○ 藤井議長代理 もう時間なので、これで議論は区切ります。
このメンバーは何とかいいものをつくっていこうと思っているということです。1つ共通なのは、総合福祉部会との合同だけでは議論できる内容に不安がある。つまり、メンバーをもう少し大きくしていく必要がある。しかし、部会であろうが、合同作業チームであろうがメンバーは限定です。このメンバープラス総合福祉部会です。
大谷委員からは次期につくられる差別禁止部会のメンバー補充の中で、大合同作業チームというか、そこともリンクしていく中で人数を広げるという苦肉の策もあり得るだろう。
東さんからは、推進会議本体でも議論し、発信はここからするんだからボランティアではなくて、推進会議が出していくということでやっていく。
松井さんから出ていたのは、出発はわかった、将来事務局の機能強化等も含めて部会という可能性は残してくれないかという辺りもあったと思います。
東さんからそこまで言えないけれどもということが出ていたと思うんですが、ここでの希望としては、基本法の議論が終わって条件をつくっていくということがあれば、そういう部会という可能性も探求できないかというぐらいにしておいて、医療もそういう御意見があるけれども、まず一度部会との合同で作業チームを発足させていきながら、おのおのの進路は多分変わってくると思います。全部押しなべて機械的に共通とはいかないと思います。したがって、ここにフィードバックしていきながら、またみんなで考えていく。当分は差別禁止法制の部会の中のメンバーとの合同もあり得るというぐらいで、今日はまとめていきたいと思います。
私は東さんの意を超えて物を言ったかもしれませんけれども、松井さん、いかがですか。渋々了解していただけますか。
○ 松井委員 今の状況の中で、藤井さんがおっしゃったような形でまとめるのはやむを得ないと思いますけれども、ただ、先ほど東さん自身もおっしゃったように、当初はもっと勢いがよかったわけです。ですから、そういう意味で可能性はちゃんと探求するんだという姿勢は是非持っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 堂本さん、どうぞ。
○ 堂本委員 私たちも頑張っていかなければいけないと思いますけれども、こちらが3人だったら、あちらの総合部会からも3人ぐらいの方が出て作業チームをやるんでしょうか。
○ 藤井議長代理 どうですか。
○ 東室長 その点に関しましては、部会長の佐藤先生から後で説明があると思いますけれども、今なされますか。
○ 藤井議長代理 佐藤さん、今やってください。
○ 佐藤委員 当然合同の作業チームですので、部会からも推進会議からも委員を出す。座長は推進会議からということになっておりますので、これから部会のメンバーに合同の作業チーム、部会作業チームのどれに参加したいかというアンケートをとりまして、恐らく第1次希望、第2次希望ぐらいまでとって、ただ、それが完全に尊重されることになるのか、足りないところに行ってもらうという調整をすることになろうと思いますけれども、そういう調整を三役と正副部会長と座長の打ち合わせ会というものができていますので、そこで最終的に調整をさせていただく。
○ 堂本委員 それは政府三役ですか。
○ 佐藤委員 部会の正副部会長です。9月21日の次回の部会でそれを承認いただくことになります。したがって、何人かというのは今のところ言うことができないという状況です。
○ 藤井議長代理 佐藤さん、そんなに多くはなりませんね。
○ 佐藤委員 そうですね。
○ 藤井議長代理 堂本さん、いいですか。
○ 堂本委員 頑張らざるを得ない。みんなで頑張っていこう。できるだけ情報公開をした方がいいと思います。傍聴にいらしている方もいっぱいいらっしゃいますけれども、みんなでやっていくことが大事だろうと思います。代表して出てくる3人は、日本全国の関係者の人たちを背負っているつもりになってやってほしい。
○ 藤井議長代理 関口さん、ありますか。
○ 関口委員 どうも言っていることが通じていないみたいなんですけれども、ハンセン病の検討会の報告書にあるように、患者の権利に関する体系について、医療従事者も含めいずれの有識者からも医療の基本法制定の必要性が明言されたことがあるということで、これを抜きに精神医療の問題に入るということは私にとっては考えられないことなので、それが前提になりますということを言っているだけで、この議論をしないんだったら、私は精神の話はしません。
○ 藤井議長代理 堂本さん、どうぞ。
○ 堂本委員 私もハンセン病の関係文書を知らなかったのですが、早速に教えていただいて、勉強したい。まず前提にしてここから先を話そうということを提案したらどうですか。調べてみないといけないですしね。これだけから判断できないので、この結果、今どういうふうに役所の方がそれを受け止めているのかしっかり調べた上で、それこそ全部理想的なところにいきなりはいけないので、段取りを踏んでいく作業をやったらいいと思います。
○ 藤井議長代理 関口さん、今の堂本さんの意見も含めて入りましょうということでいいのではないですか。
○ 関口委員 そういうことならばいいですけれども、ここで言っている医療従事者というのは精神科医だけではないです。勿論ハンセン病は精神科ではないですから、そこのところはわかってください。
○ 藤井議長代理 メンバーとしては総合福祉部会と推進会議のメンバー限定になってしまうけれども、問題性としてはそれを含めて、調査も少し含めて入っていくことにしましょう。
大谷さんはいいですね。
○ 大谷委員 はい。
○ 藤井議長代理 東さんそういうことです。スタートするが、幾つか将来に向かった課題も残りそうだけれども、最後にコメントがあったら言ってください。
○ 東室長 さまざまな課題があるということは重々承知しておりますけれども、是非とも御協力いただいて、できる時間内で素早く行動していく。そして、意見をきちっと整理して対外的にも出せるようにしたいと思っております。こちらの協力体制も不備な中で、今後とも御協力をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 あえてスタートをこういう形で切りながら、やはりいい意味での権威とか他の関係省庁の審議会との関係で切磋琢磨し合って補完し合うけれども、いい位置づけになるためには、将来に向かって残っているテーマであるということを付言しておいて、スタートを切ることにしましょう。
この件については、これで終わります。よろしいですね。
少し時間がオーバーしたんですが、休憩をとります。55分まで休憩をとります。今日は15分ぐらいオーバーしますけれども、御了承下さい。55分まで休憩します。
(休憩)
○ 藤井議長代理 まだ少し時間が早いですが、何人かから絶対に5時15分に終わってほしいと言われていますので、どうしても御都合のつかない方は中座してください。全体では5時15分に終わってまいります。
残り3つの報告事項があります。1つは障害の表記の作業チーム。2つ目は、わかりやすい第一次意見の作業チーム。そして、地域フォーラムです。数分間ずつお話をいただきます。
まず障害の表記に関して、山崎委員が座長でしたが、今日は御欠席なので、かわってさんから報告をお願いします。
○ 障害の表記の作業チームの報告です。2点です。
まず1つは今日の午前中に2回目の会議をやりました。1回目のときにいろいろな表記を使っている方たち、意見を出している方たちのヒアリングをする必要があるということで、これからの進行方法としては3回にわたってさまざまな方のヒアリングをするということにしています。
今日は第1回目のヒアリングをしました。お三方に来ていただき、1人は常用漢字の文化審議会の調査官である氏原さんから、今までの常用漢字の委員会での経過報告がありました。もう一方は、当事者団体で「碍」を使っているし、これからもそうなってほしい方の東京青い芝の会の寺田さんから報告をいただきました。もう一方は、行政の立場で「害」を平仮名表記で使っているという岩手県の保健福祉部の朽木さんという方から御意見をいただいたり、お話をさせていただきました。
10時から12時の短い時間でのヒアリングと質問で、消化不良の部分もありましたけれども、これからもさまざまな意見を持った方のヒアリングを通して論点をまとめていこうということで、今いろいろと事務局の方でヒアリングする方の人選をやっていただいておりますが、これからあと2回で6人ぐらいの方においでいただきましてヒアリングをする予定であります。
それともう一つの報告といたしましては、障害の表記に関しまして、当事者とか関係団体にもっと広く意見を求めたいということと、一般の人々からも広く意見をいただいてはどうかということで、内閣府のホームページで意見募集を実施する方向になりました。
実施方法といたしましては、内閣府のホームページに9月10日ぐらいにこの情報をアップいたしますが、まず意見提出のフォーマットをアップいたしまして、そこで皆様から意見をいただく。大体400字ぐらいでということで今やっております。それに関しましては、ここにいらっしゃる皆様方からも意見をちょうだいし、また広くほかの方々にもこのことを広めていただきたく、かなりいろいろな意見が出ている中で、私たちも論点整理をしていきたいと思っております。
期間は大変短くて申し訳ありませんが、9月10日ごろにアップいたしまして、9月末ぐらいまでに御意見をいただければと思います。大変に急なことでございますが、そういうことを今回決めましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○ 藤井議長代理 2点目はマスコミへ要請はするんですか。こういうものが上がりますということは新聞等での発表はあるんですか。
○ マスコミへのことはやりません。
○ 藤井議長代理 そちらはやった方がいいと思います。こういうものが内閣府のホームページに上がりますということをね。
○ マスコミの方もこれからのヒアリングにお呼びするようにはしております。
○ 藤井議長代理 今日もいらっしゃいますので、マスコミの方よろしくお願いします。
続きまして、わかりやすい第一次意見づくりの作業チームです。今日は長瀬さん、土本さんともに御欠席ですので、堂本さんからかわって御報告をお願いします。
○ 堂本委員 ほとんど長瀬さんと土本さんのお二人が頑張ってつくってくださいました。
お手元のものを皆さん開けてみてください。とてもわかりやすくて、例えば5ページなどは障害とは何でしょうかということで、先ほどからいろいろ議論になっていた社会モデルもとてもわかりやすく書かれております。こういう形でみんなで意見を出し合って書いた部分もあるし、共同座長お二人で最終的にまとめ上げてくださったのですけれども、皆さんの御意見がもしあれば水曜日までに教えていただきたいということです。御感想があったら是非伺いたいと思います。
そして、難しいと申しますか、法律そのものとか基本的な考え方にしても全部を読むのは大変でも、これなら読んでいただけると思うので、いろいろなところでどんどん活用していただきいと思っております。もしここはこうした方がいいのではないかということがおありになったら是非いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 意見等があったら8日までにお寄せいただきたいということです。よろしくお願いします。
それでは、地域フォーラムに関して、事務局からお願いいたします。
○ 東室長 担当室の東です。
お手元に参考資料2ということで、地域フォーラムの会場、講演者等一覧案というものがあります。これまで内閣府主催で地域フォーラムをやりたいという提案する前から実はいろんなイベントが企画されておりまして、そのことも含めて担当室並びに委員が関係するものの7月以降について一覧表にしたものです。
こういう状況の中で、内閣府として主催できるまでにいろいろな手続がありまして、結論が出るまでに2か月ぐらいかかるという見込みです。ですので、ここに書いてあるものがすべて内閣府主催の地域フォーラムということではありませんので、その点は御了承ください。ただ、各地でされている状況とか委員の出席状況などはこれでわかるかと思っています。
内閣府主催となる場合には、1時間ぐらいの基調講演で使用する共通のパワーポイント等は担当室で、今、準備中です。
シンポジウムとしては、推進会議のメンバーほか地元から2名ないし3名の方に出ていただいてやるという状況です。
内閣府主催という形になった場合には、それ以降のフォーラムは主催者が内閣府と地元実行委員会になるということで、内容面での調整が必要になる場合があるかと思っています。
概要につきましては、以上です。御質問があればお願いいたします。
○ 藤井議長代理 少し時間があります。今3の分野の報告がありましたが、質問はございますか。ないとしましょう。
少し時間があります。今日午前中に特別支援教育に関する特別委員会がありましたが、今日は大久保さんから発言がないので、大久保さんから簡単に3分ぐらいで報告してください。
○ 大久保委員 育成会の大久保です。
いきなり振られて困っています。御報告というより、今日の委員会は就学相談、就学先の決定、合理的配慮みたいなところで議論がされたわけですけれども、現状のさまざまな問題と基本的な考え方とかその辺のところの部分では、こんなことを言っては何ですけれども、かなり議論が混乱している部分があって、ポイントがなかなかつかめないというところです。
例えば学校教育法の施行令については大きな課題があるのですけれども、そういったことも含めて本格的に直すところは直すとか、そういった議論にこれから発展していくのかどうかというところは大きな課題だと思います。
おそらく議論としては、現場のさまざまな課題というものも出てくるのでしょうけれども、今のところ議論が余り積み上がっていないような感じもします。そこでしっかりと私が発言しなければいけないということなのでしょうけれども、その辺は臨機応変に様子を見ながら押えるべきところは押えたいと思います。
もう一つ、差別、間接差別、合理的配慮の辺のところの考え方もある程度共通の認識の下で議論を進めなければいけないのでしょうけれども、今日の委員会では皆さんの共通理解というのはどうだったのかという感想を持っています。恐らくこれから本格的な形で進んでいくと思いますので、久松さんと協力して頑張っていきたいと思っております。
○ 藤井議長代理 突然済みませんでした。
先ほどの休憩時間に、門川さんから今日は休憩を3回とってもらってよかったというコメントが出ておりました。次回以降も多分そういうふうになると思いますので、みんなで協力し合ってやってまいりましょう。
それでは、小川議長にマイクをお返しします。
○ 小川議長 本日は非常に長時間の御討議お疲れ様でございました。
ここで、東室長より今後の予定を含め報告すべき事項があれば御説明を願います。
○ 東室長 東です。
本日はどうもありがとうございました。
次回は第20回推進会議ということになりますが、日程は9月27日月曜日です。議題は障害者基本法の改正に関わる省庁ヒアリングということで、今回これまで議論が足りなかった各則の部分について議論いただきましたけれども、それに対応する形で各省に来ていただいて、率直な意見交換みたいな形でできればと考えております。
以上でございます。
○ 小川議長 ありがとうございました。
それでは、これをもちまして、本日の会議を終了いたします。
この後、この場所で記者会見を行います。
本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。御苦労様でございました。