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障がい者制度改革推進会議(第22回)
議事録

小川議長 定刻になりましたので、これより第22回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。

本日の委員の出欠状況ですが、土本委員、山崎委員、福島オブザーバーが御欠席、その他の委員は御出席です。会議の公開は、これまでと同様といたします。進行上の時間配分については、後ほど東室長より御報告があります。

本日の会議は17時までを予定しております。それでは、これより先の進行については、藤井議長代理、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 それでは、ここから先は藤井の方で進行をさせていただきます。今日は途中で、まだ予定ではありますけれども、岡崎大臣、末松副大臣がお見えになる予定です。随時、ごあいさつをいただきますので、よろしくお願いいたします。

今日から、今月は2回目ですが、予定ではこれ以降、毎週続きます。是非体力には十分に健康に注意して、大変大事な局面に入ってきますので、みんなで協力してやっていこうと思っていますので、よろしくお願いします。

それでは、今日の進め方につきまして、東室長よりよろしくお願いします。

東室長 こんにちは。担当室長の東です。

今回も前回に引き続きまして、障害者基本法の改正についてテーマを取り上げております。15分の休憩を3回とることとし、いつものとおり4つのコーナーで進めていきたいと思っております。第1のコーナーは60分ほどで、障害者基本法の総則部分の条文イメージについて、前回の会議以降にお寄せいただいた意見などを中心に議論していただきます。

次に第2のコーナーは60分で、障害者基本法の推進体制の部分につきまして条文イメージ案について議論していただくということになります。

第3のコーナーは25分で、障害者基本法の各則として取り上げるべき分野として、これまで議論された項目を振り返りたいと思っています。

最後は第4コーナーは、35分ほどで報告事項と質疑です。本日の予定は大体以上のとおりです。

藤井議長代理 それでは、これから60分間をめどにして、14時5分まで、前回に引き続きまして、障害者基本法の総則部分についての議論をしてまいります。

まず最初に、前回以降、各構成員から寄せられた意見書の状況を東さんからお願いします。

東室長 担当室の東です。今日の配付資料の中で、資料1というのがあります。これが新たに出された意見の一覧ということです。前回出された意見につきましては、資料2ということでまとめております。資料1に基づいて、今回出された御意見の概要を御説明したいと思っております。

まず、条文イメージの中の「目的」の部分ですけれども、これにつきましては、「障害」が繰り返し出されてきていて、意味がかえってわかりにくいという御指摘がありました。具体的には「障害者が障害者でないものと等しく」という文言につきましては、「障害者が他の者と等しく」という形に変えるべきという御意見があります。

その点につきましては、条文イメージの基本的理念の1項目ですが、同様の文言がありますので、その点も同様に修正すべきだという御意見でした。

次に、障害の定義については、事務局から出されている条文イメージでは、障害の定義を身体障害、知的障害、または精神障害、その他の心身機能の損傷とするとなっておりますけれども、これに関する御意見として「障害」という定義をやめて、機能障害の定義を設け、障害者の権利条約の書きぶりに改めるという御意見があります。

また、障害の定義を障害者の権利条約の観点から、国際生活機能分類に基づいて、障害としては構造障害を含む機能障害、活動制限及び参加制約の総称であると定義すべきであるという御意見が出ております。

次に障害の定義に関しては、条文イメージとして、障害者の定義を「障害があり、かつ社会における様々な障壁との相互作用により継続的に日常生活または社会生活に相当の制限を受ける者」と入れておりましたけれども、これにつきまして、まずは包括的な表現とすべきであるという観点、もしくは継続的または相当なという二重の縛りは必要ないのではないかという2つの観点から、「障害者とは身体的または精神的な機能障害があり、かつ社会におけるさまざまな障壁との相互作用により、日常生活または社会生活における相当な制限を受ける者」と定義すべきであるとする御意見が出されております。

また、さまざまな社会障壁との相互作用という文言につきまして、「環境」という言葉を追加して、さまざまな社会的障壁と環境との相互作用という文言に改めるべきであるとしたうえで、制限にかかる「相当な」という文字自体は削除すべきであるという御意見もありました。

次に、基本理念の2項目目の条文のイメージとしては、すべて障害者は障害者でない者と等しく、自らの判断により地域において生活する権利を有するとともに、自らの決定に基づき、社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を有するものとするとなっておりましたが、その点につきまして、まず判断能力と結び付けられ、不利益になる可能性があるので、「自らの判断により」という文言と、「自らの決定に基づき」という両方の文言を削除すべきであるという御意見。

または「自らの判断により」という文言を削除すべきであるという点は同じなんですが、障害者の権利条約の第19条に書かれている居住地及びどこでだれと生活するかを「選択する機会を有し」という文言を挿入した上で、「参加する機会を有する」という点を「参加する権利を有する」に変更すべきだという御意見がありました。

更には「参加する機会」の前に、「必要な支援を受けて」という文言を加えるべきであるという御意見もございました。

次に、国際的協調に関しましては、国際協力も国際協調との関連で実施されるべきであるという観点から、文言を追加して、国際協力活動を推進し、諸外国の障害者の自立及び参加の支援に取り組むことという文言を追加すべきであるという御意見が挙がっております。

更に障害者週間については、障害者の自由意思による参加であるべきという観点から、「積極的に」という文言を削除して、「障害者が希望を妨げられることなく、社会・経済・文化、その他あらゆる分野の活動に参加できる環境を促進する」に変更すべきであるという御意見が挙がっております。

更に、施策の基本方針の項目の2番目の後半部分なんですが、障害者が自らの判断により地域において自立した日常生活を営むことができるよう配慮されなければならないこととなっておりますけれども、この部分に関しまして、「自らの判断により」という言葉は削除すべきであるという御意見が挙がっております。趣旨としては先ほど御紹介した意見と同様かと思われます。

次にその他という部分につきまして、何人かの委員から御意見が挙がっております。まず、地方モニタリング機関に関してですが、地方委員会はモニタリングのみでなく、施策の推進の役割もあることから、自治体に勧告するだけではなく、その結果を中央の委員会に報告する。中央の委員会は、それを受けて国連の条約委員会に報告する。なお、モニタリング及び推進は条約上、国の義務であることから、中央委員会は自治体に直接調査し、勧告することができるものとするという御意見が挙がっております。

また、同じく地方モニタリングに関しまして、この機関の設置は必要と考えるが、しかし、地方公共団体には既にモニタリングの役割に相当する機関が設置されていることも考えると、それらの既存の機関との関係、整合性を十分に調査または精査を含め、在り方を検討すべきであるという御意見も挙がっております。

次に新しい権利の規定についてどう考えるかということにつきまして、障害のある人の生存権を保障するために、地域で人間らしく暮らす権利など、新しい権利という側面を有するとしても、それは狭義の憲法上の権利を障害のある人の生存権及び基本的人権の保障という場面で変形もしくは変容したものにすぎない。だから、これまでなかった権利を新たにつくり出すというものではないという御意見が挙がっております。

更に、法制上の措置について、現行の10条は改正法でも残すべきであろうという御意見が挙がっております。これにつきまして、条文イメージとしては挙げていなかったと思いますけれど、これは改正部分についてだけ条文イメージとして挙げたということでありまして、触れていないから削除するとかという趣旨ではありませんので、その点は御理解をいただければと思っているところです。

障害者相談、支援部門の設置ということで、国・地方自治体に障害者相談支援部門の設置を義務づける。医療機関、民間事業体にも同様な部門設置を義務づけるという御意見が挙がっております。

これらは資料1の中で述べられている意見なんですが、別紙で、大谷委員の方から条文イメージでは出されていない新たな独立の条項も含めて、包括的な形で総則の改正に対する御意見をいただいております。

新たに独立条項とされている部分は、障害のある女性、障害のある子ども、事業者の責任といった点であろうかと思いますけれども、この点を含めて、後で大谷委員の方から説明いただければと思っているところです。

更に川崎委員の方から、制度間差別の是正を基本法抜本改正の検討事項にということで、具体的には、障害者基本法の第4条の中に障害者医療、福祉政策の格差を是正する責務を有するという形で付け加えるべきだという御意見が挙がっております。

新たな意見としては大体以上のところです。

藤井議長代理 それでは、これから議論に入ってまいりますけれども、進め方としまして、今も出ていましたけれども、大谷委員からかなり詳しい日弁連案、「障害者基本法総則に関する意見書」、これは24枚ほどA4版で出ています。短い時間でしかありませんけれども、このエキスをお話し願う。川崎委員から出ていましたので、御発言を求めますので、それが終わってから全体で議論をし合うという形で進めてまいります。

それでは、大谷委員の方から御発言をお願いできますか。

大谷委員 済みません。初めにありがとうございます。量の多いものを出して済みません。障害者基本法(総則)改正についての意見書なんですけれども、最初にお断りいたします。21名の弁護士の名前で出させていただきました。この21名は日弁連人権擁護委員会の中にある差別禁止法特別部会の構成員です。残念ながら、これがまだ、私がフライングしまして、日弁連案と書いてしまいましたけれども、日弁連案の案の段階です。今、理事会の承諾を取り付ける段階ですので、いまだ日弁連案としては固まっておりませんけれども、とりあえず部会の中でまとまったところであるというところで紹介させていただきたいと思います。

この案は、日弁連の差別禁止部会がつくった案ですけれども、実は差別禁止部会は、既に2007年に差別禁止法の要綱案を日弁連案として合意されたものを発表しています。私たちは、差別禁止法をつくるということでやってきて、その当時の委員長はここにおられる竹下さんなんですけれども、竹下さんと一緒にずっと差別禁止法をつくろうということでやってきたんですが、どうやら差別禁止法よりもその前に障害者基本法が先に変わるということがわかりました。今年6月以降、急遽、差別禁止法を基に障害者基本法をとりあえず提出したいということで、組み替えを含めてやってきたものであります。

まず、第1条からは、前々回から再三、私が提案させていただいているように、目的の中にはっきり差異と多様性を尊重するという共生社会を実現することを目指すということを明記してくれということが項目として挙がっています。

この点に関しては、先回も意見書を出させていただいたのですが、先ほどの必要なとりまとめの中に抜けておりますので、是非その辺は明記していただきたいなと思っております。

基本的理念等についても、再三ここで言わせていただいたところなんですけれども、やはり新しい権利として意識されるであろう、地域社会で生活する権利は、落としてはならない権利であるということで、6ページ、地域社会で生活する権利を基本的理念の3項に入れさせていただいています。それの趣旨説明を述べさせていただいて、やはりインクルーシブ社会、共生社会を実現するためには、各個人の持っている権利を明確にしなければいけない。インクルーシブ社会というのは、社会なので、それを実現するためには、各障害のある人がどのような権利を持っているのかということを意識するためには、やはり地域社会で生活する権利というのは具体的な手段としてはそれで実現していかなければいけないのだろうと我々は認識しております。

第4条の差別の禁止に関しても、差別の類型をはっきりするということ。たたき台に、いわゆる直接差別に関しても全く定義がない、制限排除・分離・拒否・不利益ということに関しても、例示すらないということに関しては問題だろうと思いますので、直接差別、間接差別、合理的排除の欠除ということが差別の禁止の中においてはきちんと明記されるべきだということを我々としても提案したいと思っています。

先ほどから、ない条項ということで言われましたけれども、障害のある女性、障害のある子どもに関しては、きちんと障害者基本法に明記すべきであるということは、我々の意見にもなっております。我々というのはこの制度改革推進会議の総意にもなっていると思っていますので、その点に関する条文イメージは是非出していただきたいと思いまして、とりあえず私たちの方でも出しました。

ただ、障害のある子どもに関しては、障害児支援作業チームの方で今検討しておりますので、それを待っての案ということでもいいかと思いますので、とりあえず我々の方の提案ということにさせていただきます。

ないところで言いますと、やはり先回も意見を述べさせていただきましたけれども、14ページ以降の国の責務、地方公共団体の責務、事業者等の責務、国民の責務・国民の理解。この点に関してももう少しきめ細かな案文が必要だろうと思います。

特に国の責務に当たっては、合理的配慮を実現することが国の責務である。これを踏まえて、これを制度的に保障するための適切な措置と施策を講じなければならないということを意識したものが必要だと思っています。

また、第9条に私たちは設けましたけれども、地方公共団体の責務とすれば、国の責務を踏まえて、それぞれの地域において障害者の参加を得て、各地域における施策を推進するということが盛り込まれた条文が必要だと私たちは思っております。

第10条の事業者の責務も、事業者というのは雇用、教育において直接的に合理的配慮の責務者、義務者になるということになっておりますので、「事業者等」というのは、雇用、学校等の設置者が入ると思いますけれども、具体的に合理的配慮をすることは事業者の義務であることを踏まえ、共生社会の実現に寄与するよう努めなければならない。このような条項が事業者等の責務の中には必要だろうと思っております。

そして、国民の責務ですけれども、国民の責務というのは、あるいは国民の理解とセットにして考えられるべきだと。国民の理解を推進するというのは、国・地方公共団体の責務だということで、これらと相まって国民の責務が生まれる。差別されることなく、社会、経済等に参加することができるよう努めなければならないということで、努力義務ではあっても、国民の責務はこういう形で規制されるべきであろうと思います。

あとは、各施策の基本方針、基本計画等に関しては、たたき台が出されているイメージが、申し訳ありません、非常にコンパクトにまとまっておりますので、我々とするとこのぐらいのことは盛り込んでもらいたいということで、思いつく限りのことをそこに規定させていただきました。16~17ページです。

最後に、18ページですけれども、法制上の措置ということで、法制上の措置をとるということは、第1項は現行どおりなんですけれども、第2項に障害者に対する差別を禁止するために救済の仕組みを含む法制上の措置を講じなければならないということを障害者基本法の中で決めておいていただきたい。これは3年後になるのか、3年以内に差別禁止法をつくるということは我々の閣議決定にはなっているんだろうと思うんですけれども、基本法の中でも差別を禁止するための救済の仕組みを含む法制上の措置という意味で、法律をつくるということをここでお約束していただきたいという意味で基本法に述べていただきたいと思って、総論をまとめました。

これは今、日弁連案として確定するため、理事会等に交渉中ですけれども、そのための手続が若干間に合わない。そして、終わったときには基本法がもう出来上がってしまっているのではということで、焦る気持ちもありまして、とりあえず案の案ではありますけれども、これを皆さんに提案して、我々、日弁連としてはこういう方向で考えるということを是非御理解いただきたいと思います。

若干補足させてもらいますけれども、共生社会を構築するためという目的条項に共生社会を入れるということなんですが、この点に関しては、皆さん異論ないところだろうと思うんですけれども、自立支援法がほとんど同文で分け隔てなくではないんですけれども、相互に個性と人格を認め合い、安心に暮らす地域社会をつくるためのとなっているんです。私は自立支援法の各論的な問題はいろいろあると思っても、方向性はよかったんだろうと思うんです。ただし、福祉を目的とする法律ということで、安心に暮らす地域社会をつくるんだと、そのための自立支援法だということが明記されているということであるならば、障害者基本法はそれを上回る目的条項でなければいけないと思っています。

自立支援法の目的が今どのように改定されているのかわかりませんけれども、それを上回るということであるならば、安心して差別のない社会が障害者基本法においては明記されるべきだと思っておりますので、安心して暮らすということは総合福祉法の方で盛り込まれるかもしれませんけれども、やはり障害者基本法の方ではそれに加えて、差別のない社会、イコール共生社会をつくるんだということを基本法に是非筋として、軸として盛り込んでもらいたいと思っております。

この辺が差別禁止法をずっと10年間にわたってつくってきた日弁連側の意見だと思って、是非参考にしていただきたいと思います。

以上です。時間をありがとうございました。

藤井議長代理 今、目的を強調されまして、ずっと総則のポイントを述べてもらいました。大谷さん、質問しておきたいんですが、定義で6つほど大変大事なキーワードが入っています。この中に合理的配慮、まさにこれは権利条約の合理的配慮、第2条をほぼ踏襲しているんですけれども、この文末。均衡を失し、または過度な負担を課さないものをいう。これがどうも抜け道になってしまうという意見もあるんですが、この部分はもう国連の条約に入っていますから、必ず付きものであるという、あるいは解釈をどういうふうにとらえるかという辺りはどんなふうにお考えでしょうか。

大谷委員 これに対して我々はずっと議論したところです。抽象的にはこのような文言は入れざるを得ないだろうと思いますけれども、その場の解釈、相手が一体だれなのか。国なのか、事業主なのか、学校設置者なのか。もしくは義務教育なのか等々において、この辺は大きな違いが出てくるだろうと思うんです。ですから、その辺は定義としては入れざるを得ないけれども、幅のあるものだろうということで、正直申し上げて我々もやむなく入れたといったところが実情だと思います。

藤井議長代理 竹下さん、どうぞ。

竹下委員 合理的配慮というのは、もともとADAができたときでも、DDAの合理的調整でも、常に抜け道として過度の負担とか、その分野における本質的能力とかというのは壁になっていることは事実なんですが、そのこと自身は合理的配慮義務というものを概念する以上は、つきまとうだろうと。

ただ、大事なのは、判断基準というものをどう提示していくのかというのが1点目。しかし、常に判断基準というものは提示されていかないとそこは発展していかないだろうということです。

2点目は、だれによって判断されるのか。すなわち利用者、障害者自身による判断と、あるいは事業主等による判断ということで分かれてしまうのか。それとも第三者機関として調整機関というものを設置することによって、合理的配慮義務の内容を確定できるのかということがポイントになると理解しています。

以上です。

藤井議長代理 これはまた今後大事なポイントなので、今の議論なども参考にしながらと思っていますが、北野委員、関連ですか。

どうぞ。

北野委員 今の合理的配慮の問題なんですけれども、アメリカのADA法で一番大きな問題は、合理的配慮をする側を特定のサービス提供者とか事業者に限定しているんです。今後、日本でやる場合に、合理的配慮をする立場を、そのサービスを提供する側だけにするのか、それとも国なり地方自治体にも合理的配慮の義務を課すのかということは、定義の問題にも関わりますので、そこも含めて今後御議論していただければと思います。

藤井議長代理 北野さんはどう考えるんですか。

北野委員 私は特定の事業者だけに合理的配慮を課すのではなくて、一定の配慮を国なり地方自治体も含めて責務を負っていただく仕組みの方が日本ではよりそのことが進むのではないかと判断いたしております。

藤井議長代理 これはいろんな方が多分発言したいと思うんですが、大変大事なことだし、今日は時間の範囲もありますので、更にこれは議論を深めるということをここで確認して前に進んでまいります。

次に、川崎委員からも大事な指摘があります。あと佐藤委員からも障害に関する資料が出ていますので、川崎委員、佐藤委員の順番でまず発言を求めてから前回のディスカッションに入ってまいります。

それでは、川崎委員、お願いします。

川崎委員 精神障害者の家族会の川崎でございます。前回にも同じ文章を提出いたしましたが、今回また機会をいただきまして、意見を述べさせていただきます。ありがとうございます。

実は、精神障害者の施策というのは、皆様にこの会議でもいろいろ申し上げておりましたように、遅々としてはかどらずというところでありまして、自立支援法ができました段階で、3障害一元化ということで、私たち関係者は大変に期待をいたしました。

しかし、幕を開けて見ましても、全然変わらない状態である。例えば福祉サービスにおきましても、手帳サービスも全然変わらないし、あと実際、社会資源につながろうにも、なかなか精神の人にはなじみのない制度になってしまっているとか、特に私は今回申し上げたいのは、医療なんです。精神科医療というのは、精神科特例ということで、これは全くの差別法だと思っております。ずっと医療の改革と保護者制度を廃止ということは要望しておりましたけれども、なかなかそれが実現されなかった現状であります。

ここで精神障害者の人権を確保するという意味におきましても、障害者別でなく、制度の格差を是非ともなくさなければ、私たち精神障害者のこれからの発展といいますか、明るい見通しがつかないと思っておりまして、是非ともこれを基本法の中の第4条の国及び地方公共団体の責務のところの最後の黒字になっております障害者医療福祉施策の格差を是正する義務、これを是非とも国の義務としていただきたい。そうしないと、また精神の施策は何も変わらないと思っておりますので、これを強く要望させていただきます。

以上でございます。

藤井議長代理 再三、精神障害分野の問題というのは格差が問われてきたんですけれども、こういう場なので川崎さん、改めて今、医療をテーマに挙げられましたけれども、精神科特例のところが改めて問われながらどうして変わっていかないのか。そこら辺を今わかっている範囲でお話ししてもらえますか。

川崎委員 私が理解しておりますところは、やはり精神保健福祉法という法で今精神障害者に対する制度特に医療に関する制度が施行されております。精神保健福祉法を改正して、医療法を別にしていかないことには進まないと思っておりまして、精神保健福祉法の今回改革も含めまして、強く要望していかなければいけないと思っております。

藤井議長代理 つまり、今度の障害者基本法では、国及び地方公共団体の責務という第4条、この条文イメージにきちんと明示すべきと。もう皆さん方おかわりのように、3障害一元化というお話があったけれども、同時に制度の谷間をなくしていこう。つまり、難病とか高次脳機能障害とか、発達障害を勿論含めて、そういうことまで含めてこの問題というのは言及、関係してきますので、3障害という意味合いと、もう1枠表側に谷間にある方たちがいっぱいいるんだということも連関しながらということです。

しかし、多分、川崎さんは、全体もあるけれども、精神がぼけちゃいけないという思いも強くあるので、そういうことも含めて意見があったと思います。

それでは、佐藤委員、障害及び障害者のところです。

意見が出ていますので、どうぞ。

佐藤委員 ありがとうございます。日本社会事業大学の佐藤久夫です。資料1の2ページのところに掲げていただいております。

障害とは、ICFが示す機能障害、活動障害、参加障害ということで、幅広く実際に障害という言葉が使われているので、幅広く定義しておかないと、例えば障害に基づく差別を禁止するといった場合に、狭い障害の定義だと、障害者差別が救済されないということになりかねないので、できるだけ広くということが適当ではないかということです。

権利条約では、主に参加の障害という就職できないとかそういうようなことを障害という考え方で示しているわけですけれども、もう少し広げるということでICFの3つのレベル、手足のまひも障害だし、歩けないということも障害だし、就職が困難になっているというのも障害だと。この幅の広さで障害を定義するというのが実態にも合っているし、新しい社会モデル的な障害の考え方ともマッチするのではないかということです。

障害者の定義の中に、権利条約が指摘するように、4ページですが、身体的または精神的な機能障害があり、かつ社会における障壁との相互作用により、日常生活または社会生活における相当な制限を受けるものとするという、相当なというのは除いた方がいいという中西委員の意見なども貴重な大事な意見だと思いますけれども、検討したいと思います。

いずれにしろ、身体的障害、知的障害、精神的障害、感覚的障害というようなものを細かく列挙し過ぎると、そこに入らないものが軽視されるということになりかねない。かといって、単に機能障害があり、環境の障壁との相互作用で参加が困難だというような定義にしてしまうと、機能障害という言葉自体に余りなじみがないので、どういう対象を含んでいるのかということがよくわからないので、かなり幅広で制限列挙的にならない、身体的または精神的な機能障害があり、かつ、という表現にしたらどうかというのが私の提案です。

その機能障害という言葉をICF機能障害という言葉を使うことによって、5ページに書いたわけですけれども、いろいろな従来、谷間に置かれがちであった各種内部臓器の障害、例えば血液だとか消化器だとか、生殖系だとかいろんなそういうものもカバーされるし、痛みだとか易疲労性だとか、皮膚、背の低い小人症のような非常に幅広い機能形態の構造上の障害がカバーされるということになるのではないかと思います。

発言の機会をいただいたので簡単にそのほかの点についてなんですけれども、資料1の10ページに差別の禁止という条項があり、これをもう一度読んでみると、差別の禁止を掲げて、かつ、10ページの一番下、国の責務として、差別に関する事例を収集して、普及・啓発を図るということが書いてあります。

ここに国の責務として普及・啓発、事例の収集ということだけを書くと、あたかも国がこれだけをやればいいのかという印象を与えてしまうので、先ほど大谷委員も合理的配慮の実施の責任だとか、救済機関の設置だとか、いろんな国の責任があるわけで、そういうことに加えて、技術的・財政的な支援というのが非常に大事だろうと思います。

例えば企業の中で合理的配慮をしようとしても、いろんな助成金の制度が充実していれば企業の負担も軽くなって合理的配慮をしやすくなる。あるいは医療機関で障害者の医療を提供しようとするときに、例えば診療報酬制度上の障害者加算のようなものがあれば、それほど大きな負担なしに医療機関が障害者の治療にいろいろ配慮することができるというようなことがあったりするので、また、技術的な面では、てんかんの人を職場で受け入れるためには、どんな配慮が必要なのかということの研究だとか技術開発だとか、そういうようなことというのは、個別の企業等の責任でもあるんだけれど、同時に、国の責任でもあろうかと思います。

ですから、事例の収集と普及啓発だけではなくて、いろいろなものがあるので、この並びでここにだけ国の責務を入れるというのはいかがなものかなと。入れるのであれば、今言ったようないろんなことを入れなければいけないのではないかということと、申し訳ありません、12ページに障害者週間というのがありまして、これは現在12月3日~9日となっているわけで、それなりに意味のあることですが、今、権利条約が国連で採択された12月13日という日を障害者週間に含めて、12月13日~20日までとか、それが年末に押し迫り過ぎているということであれば、12月13日に至る1週間ということにして、権利条約がらみの週間にするということが啓発の目的でもあるので、特に大事ではないかなと思います。ありがとうございました。

藤井議長代理 東室長から、手が挙がっていますので、東さん、お願いします。

東室長 佐藤先生、ありがとうございました。障害及び障害者の定義をどうするかということについては、いろんな意見が挙がっているわけですけれども、佐藤先生からかなり長文にわたって出されておりますので、若干御質問させてもらってもいいでしょうか。

社会モデルの観点を障害という定義にも入れ込むということは、権利条約でもそういうような方向性で書かれております。ただ、権利条約で言うところの障害はディサビリティーという言葉が原文にあるわけです。ですので、ディサビリティーを日本語で障害と訳すべきかどうかという問題が1つあると思うんですけれども、ダイレクトに障害と訳した場合に、差別禁止の絡みで言うと、一般差別禁止ということはまだ現状においてはないわけです。すべて女性とか人種とか、それぞれの個人の有する属性の1つを取り上げて、それにまつわる差別を禁止するという法制度になっている中で、個人の属性プラス社会的な要因というものを障害の中に入れ込んだ場合に、差別禁止における障害を理由にする、もしくは障害に基づく差別という場合に、トートロジー的にならないのかという問題があると思うんです。例えば参加制限、就職が困難なことまで入れると、ある人が就職が困難な状況にあるからうちも雇わないんだと。

要するに、差別自体が社会的障壁なんですけれども、社会による不利益ということまでも障害という言葉に入れてしまうと、不利益による不利益というトートロジー的なことにはならないのかどうかという点がまだ解決できていないところなんですが、それについてどうお考え方かというところが1点です。これらはほかの先生方にもお尋ねしたいところなんです。

社会モデル的な表現をICFの言葉を使ってはどうかという御提言なんですが、機能障害、活動障害、参加障害という、これまで余り日本語の中で使われていなかった言葉を入れますと、またそれは何なんだと。それぞれ定義が必要となるのかどうかとかという議論がありますので、そういう言葉はどうしても必要なのかどうか。もしくは障害の定義の中で「相互作用により」というような形で書かれているが、こういう言葉ではいけないのかどうか。その2点についてお考えを伺わせていただければと思います。

藤井議長代理 では、佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 障害に関連して、環境との関係もあって起こってくる失業だとか、貧困だとかいろんな参加の障害といいますか、社会的不利というのがあるわけで、それを理由にして次の不利益を生みだす、就職させないとかということになっても困る。それも含めて防がなければいけないだろうと思います。

したがって、例えば私の会社はあなたが精神障害を持っているから雇用しないというのではありません。あなたがここ3年間失業しているので、仕事ができるかどうか不安なので採用しません。あるいはあなたが精神病院に長く入っていたので、うちの会社では採用しません。あなたの精神疾患、精神障害を理由にした不採用ではありません。入院歴を理由にしているのであって、したがって、これは障害者差別ではありませんというような逃げ道を与えないようにするためにも、機能障害を理由にして、参加の障害を理由にしても、活動の障害を理由にしても、すべて障害者差別であるというふうにする。むしろ逆に、そういうふうに広げた方がトートロジーということではなくて、カバーの範囲が広くなるのではないかというのが1点目です。

2点目については、やはり現実がかなり複雑なんです。障害の現象というのは、機能障害もあるし、環境のバリアーもあるし、社会生活もあるというようなことで、そういう複雑なものを表現し理解し、また解決していくためにも、ある程度、障害という言葉で単純に何でも意味するみたいなことでやってきた状態を改めて、多少違ったものを違った名前で呼ぶということが必要になってくるのではないか。

障害者権利条約も機能障害と障害という言葉を分けて、またバリアーという言葉も入れながら全体の理解を深める工夫をしているので、仕方のない難しさ、やむを得ない難しさというのは我々も引き受けなければいけないのではないかと思います。

藤井議長代理 東さん、いいですか。

東室長 要するに障害という言葉が「障害」単独で出てきたり、「何々」障害という形であったりする場合、一番詰めたところの障害は何かということになると、それぞれまた違った意味になる。機能障害と参加障害は違う意味。だから、機能障害という1つの単語、参加障害という1つの単語で、それぞれ違うものならばもっと違う言葉の方がいいのではないかという感じもするんです。

障害というものがいろんな形で出てくるということ自体、どうなのかなと。論理的にきちんと定義すれば問題ないのでしょうけれども、それが一般的に受け入れられるのかどうか。ここについては多くの人はどう考えられるのかなということも伺いたいです。

藤井議長代理 それでは、残り時間を少しオープンします。いろんな御意見を出してもらいますが、せっかく今、障害の問題も深めていますので、特に第2条になってきますが、大変大事なことなので、一番障害者基本法の中心概念なわけですから、これは今出たように、総合福祉法のみならず、差別禁止法全部に影響してきます。だから、これに関する意見を少し深めておきたいんですが、ほかにこれに関して御意見はございますか。

では、まず手が挙がった順番に関口さんからいきましょう。それで竹下さんにいきます。

関口委員 実は昨日、医療の合同検討チームがありまして、この間、問題になっているのはインペアメント、いわゆる機能障害の中に疾患、ディジーズ、あるいは精神の場合だとディスオーダーといいますけれども、障害に入るのか入らないのかという話なんです。

お医者さんの精神科医の河崎さんは、入るとも入らないとも言わないんです。違うのではないかみたいな言い方でもって、そこは棚上げになっている議論なんです。ですから、非常に密接に関わりのあるところです。

ただ、例えば民法ですと、七百何条だかに「精神の障害により」ともろに精神の障害という単語が出てきてしまっているんです。これはどういう意味なんだというのは、むしろ逆に法律家に聞いてみたいようなところがあって、いろんな法律に多分障害ということは出てきているんだと思うんですけれども、それを定義していくときに基本法ですから、それが基になってすべてが決まっていかなければいけないので、そこら辺との整合性が図れるような形でもって定義をきちっと、下からさかのぼってというのではなくて、上から出してそれに併せて下の解釈を変えるということが必要なんだと思いますけれども、そういうことを考えた方がいいのではないかと思います。

藤井議長代理 関口さん御自身は疾患のところはどういうふうに御理解しているんですか。

関口委員 私はインペアメントの中には、疾患も、ディスオーダーも入ると思っております。当然のことだろうと思います。つまり、身体的あるいは医学的な身体の不調というのがインペアメントということであるならば、インフルエンザであろうと、その瞬間はインペアメントの一種になります。だからこそ、ある程度長く続くというのが多分入っているんだろうと思っていて、当然、インペアメントの中にはディジーズもディスオーダーも入るというのが私の立場です。

藤井議長代理 竹下委員、どうぞ。

竹下委員 佐藤委員の発言を聞きながら、どうしてもしゃべらなければいけないと思って手を挙げたんですけれども、東室長の質問と佐藤委員のお答えというのは、聞いていて1つのことを議論しているのか、かみ合っているのか正直言ってよくわからなかった。確かに英語では、今言っているインペアメントもそうなんですけれども、ディスアビリティーとハンディーキャップと全部どこで問題にするかによって、概念そのものが分析的に成り立っていると思いますが、日本の場合はそれはすべて障害あるいは障害者と呼ばれていると思うんです。そういう意味でかみ合っていないのではないかと率直に思ったんです。

私は東室長との質問の関係では、端的にはこうだと思うんです。障害の定義というものをするときのポイントは、どのような支援を必要とするかというところから物事は多分出発するのではないか。それに対して、差別禁止との関係では、差別を受ける原因となるものをどこでとらえるかということではないかと思うんです。

障害の定義をするときには、どなたかおっしゃったように、すべての場面で、すべてというのは支援の場面であろうが、差別の場面であろうが、その他の場面であろうが、すべてを障害ゆえに何らかの施策を議論する対象になり得るというためには、それらが網羅的に入ることを意識しないといけないわけですから、そういう意味ではおのずと定義は広くなるということだろうと思っています。

ADAで非常に面白い例として表れたのは、今議論していることの関係で言えば、多分日系企業でのことだったと思うんですけれども、手首かひじかの腱鞘炎になった女性が、自分は腱鞘炎があるからそのことを配慮した職場配置をしろという要求をしたのに対して、裁判所では負けてしまうんです。理由は、ADAではそのケースを障害者とは想定していないからという結論です。

ですから、今後、我々が意識しておきたいと思うのは、そういう意味では障害者基本法における定義というのは、時には所得保障との関係で問題となるかもしれないし、時には差別禁止との関係で問題になるかもしれないわけですから、自ずと広くとらえる。その結果として、場合によっては抽象的にならざるを得ないということではないかと理解しているんです。

以上です。

藤井議長代理 その辺は逆に東さん、今の竹下さんのに対してはいかがですか。

東室長 個別の目的を持った法律になればなるほど、一般的な定義よりももっとそれに特化した定義にならざるを得ない。そういう意味で、障害も相対的に目的に応じて理解されることになろうという先ほどの先生の御意見はそのとおりだろうと思います。その上で、それを包括するような定義が必要だろうという点では、皆さん御一緒だろうと思います。

ただ、関口委員が言われたように、障害ということが既存の法律の中に入っておりますので、それとの関連性も考慮しながらということも必要になるんだろうと思ったところです。

お三人の発言につきまして、まだまだ考慮が足りなかったなという面も感じましたので、これはもう少し皆さんと議論しながら進めていく必要があるのかなと感じました。

以上です。

藤井議長代理 佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 そんなに複雑にしようとは実は思っていないんです。現在の障害者基本法の定義を思い起こしていただければと思うんですけれども、身体障害、知的障害、または精神障害があるため、継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける者をいうというのが障害者の定義になっています。

つまり、機能障害があるため、日常生活や社会生活に相当な制限を継続的に受けるということなので、ICFが言っている3つの機能障害と活動の障害と参加の障害を、既にこれは1970年の心身障害者対策基本法のときからの定義なわけで、国連の障害者権利条約も似たような定義をしているので、それを拝借したわけですけれども、そういう医学的な障害と個人レベルの障害と日常生活の障害と社会の障害というか、その次元の違いについては、納得をしながら、ただ医学モデルで機能障害があるから生活に支障が起こるんだという医学モデルをそこにぶっ込みながら整理してきたということで、今度権利条約が我々の手の下にあるので、そこでは生活上の支障、特に参加の障害を障害と言っているので、全部を障害としようと。そうすることによって、障害に基づく差別というのも幅広くカバーすることができるだろうというような考え方でいけば、そんなに新しく複雑なものを持ちこんだということでは必ずしもないのかなと思います。

藤井議長代理 新谷委員、どうぞ。

新谷委員 全難聴の新谷です。機能的に考える必要がある部分もあると思うんです。条約が障害についてあえて定義しないで、障害というのは身体的、知的、精神的障害、感覚障害の、原語はインペアメントです。だから、単純に機能障害として障害は片づけてしまって、社会的な問題というのは、障害を持った人のいろんな活動、参加の問題として条約はとらえたわけです。

佐藤先生がおっしゃっている、参加とか活動の要因まで含めた障害そのものをあえて定義する必要は機能的にあるのかどうかというのは非常に疑問を感じるんです。インペアメントがディジーズとかディスオーダーと区分しないといけないところは、端的な風邪とか治る見込みの高いものを障害の分野から一応切り分けようという機能を持たせたんだと思うんです。そこのところが一番、障害の定義の実効性のある部分で、それは当然その先の継続的な負担とかそういうことに関わってくる部分かもわかりませんけれども、少なくとも障害と短期的な疾病とは分けるということは大きな言葉の機能だと思うんです。

そういう意味で結論的には、単純に条約に沿って、障害というのは身体的・知的・精神的、私の主張は感覚的も入れてほしいという主張ですけれども、機能障害としてしまって、後はそれぞれの場面の障害者なり、そのときの障害という言葉を使うのが適当かどうかわかりませんけれども、参加場面、個別分野の場面での不具合、不都合、負担については、個別に書かざるを得ないではないですか。障害を基本法レベルで複雑に考えると議論がどんどん拡散していくような気がするんです。

以上です。

藤井議長代理 それでは、長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 ありがとうございます。東京大学の長瀬です。今、新谷さんがおっしゃっていた点で言うと、更に拡散させて複雑にするかもしれない論点なのですけれども、定義のところで米国のADAが社会モデル的な差別禁止法である、特に差別禁止というところからだと思うのですけれども、インペアメントがあるとみなされるという、いわゆる「見なし」の部分です。それは機能障害がないのにあるというふうに見なされてしまっていろいろな不利益や差別を受けた場合でも、差別禁止の文脈の中では障害者と見なされるというところが入っているので、ここの定義の議論のところで更に複雑にしてしまうかもしれないので、申し上げづらいのですが、後で差別禁止法ができる際にもここの基本法での定義との関連というのが浮かび上がってくるということを考えると、ここの定義の段階で既に機能障害があるというのに加えて、機能障害があると見なされてというのも入れておいた方がいいかもしれないぐらいの感じをちらっと持っています。

勿論、後で、例えば差別禁止のところで障害を理由とする、障害を基にするというときに、見なしも含むという可能性も当然あると思うのですけれども、給付対象やサービス法だけではなくて、差別禁止の文脈にもこの基本法の定義が影響を及ぼすということを考えたときに、社会モデルに基づくというのを考えたときに、ここの段階で既にみなしというのも入れておくのも1つの手かなと思います。議論を更にややこしくする感じは非常にして、恐縮なのですけれども、申し上げたいと思います。ありがとうございました。

藤井議長代理 それに関しては東さんから手が挙がっていますので、先に発言を送ります。

東室長 みなしはみなしにすぎないんです。本体部分には入らないが、何かの必要があって、これもそれに入れるというふうに個別的修正をするのがみなし規定なんです。だから、今議論しているのは、本則にそもそも入れるかという議論なんです。本則に入れるのであれば、それはみなしとはならずに定義そのものになっていくわけです。

例えば韓国の差別禁止法では、障害の定義ではなくて、差別の定義の中にADAのみなしの部分を入れる形で対応しているというやり方もあるし、佐藤先生が1つの選択肢として書かれているようなやり方もあるのではないかと。それは違う側面かもしれません。

あくまでも基本法の定義の中でみなしという言葉で入れるということにはならない。本体として入れるかどうかという議論をしていただきたいと思います。

藤井議長代理 では、この件では、関口委員、北野委員が挙がっていますから、大事なことなので続けます。

では、関口委員。

関口委員 関口です。去年の4月15日に内閣府の障害者の担当の方にJDFの方からとりあえず参考としてということでもって、障害者基本法の対案をお持ちしているはずなんです。実は、6月29日の閣議決定では定義を明確にしろということが言われていまして、障害という定義はつくらざるを得ないだろうと思っています。

そのときに参考になるのがJDFの対案でございまして、障害の定義を一応書いてあります。これを今デフォルメしますと、身体的精神的知的状態が疾病その他の事情に伴い、その他ではなくて私はここに知的状態のほかに感覚的状態も入れてもいいと思うんですけれども、そのときどきの社会的環境において、日常生活または社会生活において相当な制限を受ける状態を言うというふうに定義しております。

これは1年前ではございますが、かなり一生懸命考えてつくったものなので、参考にしていいのではないかと思っていて、その関連で言いますと、実は総則部分に当たるところでJDF案では基本法で新設条項が3つぐらいあるんです。それについても言いたいのですが、今、定義の部分ということなので後でまた。

藤井議長代理 北野委員、どうぞ。

北野委員 佐藤先生の御意見と新谷さんの御意見をうまく整理できたらなと思っていたんですけれども、佐藤先生の定義の中の活動制限と参加制約というのはとても大事な部分なんですけれども、この部分は逆に佐藤先生の2の方でうまく取り込むことができるのではないかと思っていることが1つ。

もう一つは、4ページの結論の2の部分で、再度障害者とは身体的または精神的な機能障害という、また精神的及び身体的という表現を出してしまわれますと、せっかく身体的、知的、精神的あるいは感覚的とか幾つか列挙するものが再度これで全部入っているのかという議論に戻ってしまうことを心配します。

これは新谷委員がおっしゃったように、ここはすっきり身体的、知的、精神的、感覚的という表現を先に表現していく。その他の身体機能の損傷というものを最初に障害として定義しておかれて、あとは身体的とか精神的という表現をとらえて、機能障害があり、かつ社会におけるさまざまな障壁との相互作用により、日常生活または社会生活における相当な制限という表現をされれば、日常生活または社会生活における相当な制限の中身が活動制約、参加制約でありますので、そこはむしろ統合の方向でできるのではないかと考えた次第です。

以上です。

藤井議長代理 時間が過ぎてはいるんですが、では、清原委員、手が挙がっていますね。

清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。ただいま大変重要な議論がされておりまして、私は定義というのは、その後の政策の枠組み、形をつくっていく上でも重要だと認識しています。

基礎自治体の立場でおりますと、社会的な参画における差別であるとかそういう部分を含んだ定義というのは大変重要だと思いつつ、具体的な障害者の方に向けたサービスなどを政策として形成していくときに、余り包括的な定義でありますと、個別的なニーズに応じられないような形になることも懸念するところです。

したがいまして、先ほど大谷委員が関口委員と類似した障害の定義を日弁連案とお示しくださっていまして、例えば心身の状態が、疾病・変調・障害、その他の事情に伴い、そのときどきの社会的環境との関係において云々という定義というのは1つの形だと思うのですが、しかしながら、佐藤委員が提案されておりますような狭間を懸念しつつも、身体障害、知的障害、精神障害、または感覚障害、その他の心身機能の損傷などという例示をしていただいた場合には、それに対応したサービスというのも具体化しやすいので、この点については私としては結論を申し上げるという趣旨ではなくて、その後の障害者施策に関わる各項目と結びつきやすい定義というのを法の初めには規定しておくことも重要な視点ではないかと考えました。

したがいまして、抽象度が高過ぎると具体的なサービスには結びつきにくいところもありますが、逆に抽象度が高ければかなり包含性を持って、その後の政策を幅広くとらえることもできるかもしれません。

けれども、やはり糸口としては具体的に今までの従来の制度との整合性もございますので、激変がありますと政策との不意整合が生じないかという懸念を持ちましたので、そういう懸念の問題提起だけをこの場ではさせていただきました。ありがとうございます。

藤井議長代理 この点は、大体論調としては今の清原委員の御意見もありましたけれども、これからの各種の実体法、とりわけ我々の頭に入っているのは総合福祉法という生活支援法、もう一方で差別禁止法という違った形の法律というもので、全体に通用する1つの定義づけを考えるべし。一方で、権利条約という我々には大きな味方がいます。これを踏襲することはだれも文句はないわけで、なおかつ今、自治体という立場から、抽象度で大きいと個別施策を組みにくいこともあるという辺りが、多分矛盾しないと思うんですけれども、そこは工夫があると思うんです。

前回から深まってはいるんですが、なおこれについては慎重に議論する必要がありますので、今日は途中経過として更に深めていくということでこの点については終わっていきたいと思います。

時間が過ぎているんですが、これ以外のところでどうしても発言しておきたいという方がいたら発言してください。

では、尾上委員、関口委員、大谷委員、順番にいきます。

尾上委員 尾上です。どうもありがとうございます。総則の後、もう一つ、基本理念のところで、地域で暮らす権利、地域で生活する権利の必要性というのを改めて強調しておきたいと思います。といいますのも、昨日、総合福祉部会がございまして、昨日からいよいよ幾つかの作業チームに分かれて議論を進めてきておるんですけれども、私が座長をしております訪問系サービスの議論の中でも、権利条約の第19条を踏まえ、特定の生活様式を義務づけられることなく、地域において必要な支援を得ながら自立した生活を送る権利といったことが必要だ。そのための人的な支援として、パーソナル・アシスタント・サービスのようなものが要るんだという大方の議論があったわけなんです。

その際、総合福祉部会の作業チームの中では具体的な制度の論点の部分なんですが、その前提になる地域で暮らす権利、他の者との平等性を確保しつつということで、前回もお示しいただきましたけれども、大谷委員の方から今回も出ております共生社会の中で、合理的配慮と必要な支援の充足を通じという、共生社会の定義の部分と、併せて地域で暮らす権利、地域での生活する権利というのが基本法でしっかり書かれないと、この後の総合福祉部会やいろんなところの具体的な作業チームでどういう議論をしていったらいいのかしらという形になりますので、是非障害者基本法の中で地域で生活する権利ということの明記を、総合福祉部会の作業チームの議論を踏まえて、改めてその必要性を提起しておきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 関口委員、どうぞ。

関口委員 1つは尾上さんが言ってくださいました。前のJDFの対案基本法の中に新設されたものが3つ総則部分でありまして、第3条に新設されたのは、個人をそのままの状態で尊重すること。条約の17条に当たるんです。障害者は他の者との平等を基礎として、その心身がそのままの状態で尊重される権利を有するというのが入っております。

その次に、地域生活を営む権利。これは尾上さんが説明してくださいました。

言語及びコミュニケーションに関する権利。この3つは総則部分で新設されて入っておりますので、是非この部分は条約に基づいていずれも入っているものですので、考慮していただきたいと思います。

藤井議長代理 大谷委員、どうぞ。

大谷委員 先回、提案された実質的に権利を確保するという、この実質的なという言葉を明確にせよという御意見と、ふさわしくないのではないかという御意見がたしかあったなと思って確認しましたらあったので、意見を述べさせていただきたいと思います。

この実質的なというのはどこかにあったなと思っていろいろ思い出せなかったんですけれども、昨日偶然に見つけたんです。子どもの権利条約の障害児の権利のところに、実質的な利用及び享受ということが入っていたんです。どこで見たことがあると思ったら、ここに実質的にとなっていました。

子どもの権利条約23条で、障害を有する児童は可能な限り社会への総合等々で教育、訓練、雇用の準備の機会を実質的に利用及び享受することができるよう行わなければならないということです。そのときの子どもの権利条約は、1989年に国連で採択されたときには、まさに障害者の権利を絵に描いた餅ではなくて、具体的に保障しなければいけないということが、ここで実質的にという言葉で入ったんだと思うんです。その後、権利条約の策定の過程で、実質的に保障するということは、合理的配慮、支援を通じて保障するということが明確になってきたんだと思うんです。

とするならば、やはりたたき台の中で提案されている実質的な確保ということは、合理的な配慮及び支援を通じて保障するというふうに明確にした方がいいし、それが子どもの権利条約からの障害者に対する権利の国際的な変化の、要するに充足に関する実際的な蓄積に見合うものだろうと思います。

ですから、先回実質的なということに関して御意見が出たので、それを踏まえて訂正するならば、実質的なという言葉をやめて、合理的な配慮及び充足を通じてというふうに書き換える。ただし、これは目的条項に合理的な配慮の充足ということが入るというのはなかなか私もふさわしくないかなと思うので、とするならば、ここは何度も言わせてもらって恐縮ですけれども、共生社会の実現ということを目的に入れて、共生社会の定義の中で実質的な確保を合理的な配慮及び支援というふうに明確にしていただくのが一番いいと思っていますので、その点もう一度提案させていただきます。

以上です。

藤井議長代理 久松委員の手が挙がっていますので、これをもってこのコーナーは終わります。久松委員、どうぞ。

久松委員 ろうあ連盟の久松です。この障害者基本法の総則の部分についての議論の進め方ですが、日弁連から出された総則案について、これも1つの議論のたたき台として一緒に議論をすることを求めたいと思っております。

私は基本的に日弁連の総則案を1つの議論のたたき台にする必要があると考えております。ですので、賛成です。定義には事務局から出された総則案の障害者の障害の定義だけではなく、権利条約には定義がたくさんあります。一昨日の文科省の特特委員会でも、ようやく合理的配慮という言葉の中身について議論することが始まったところです。なおかつ、子どもの権利条約についても、話し合っていこうという取組みもあるわけです。

具体的に申し上げますと、今回の定義、合理的配慮という言葉をどうしても入れていただきたい。これは教育の分野や労働の分野でも、議論のテーマになっているわけですので、両方の定義がしっかりしていないと、合理的配慮が分野ごとに違った解釈になってしまいます。ですから、基本法の中の定義にどうしても入れる必要があるだと考えております。

あとは個別事項です。今後の議論になると思いますが、情報、伝達手段という言葉だけでは不足していると思います。あえて言うならば、意思・情報伝達手段という言葉。2つの側面について盛り込んでいただければありがたいと思います。

次に、障害のある女性という項目と、障害のある児童の項目は是非必要だと思っています。子どもの教育のテーマでは、子どもの意見表明権、早期発見・早期支援ということが、今の法体系ではどうしても対応できない、欠けている部分に関わります。障害者基本法の中でその考え方をきちんと盛り込んだ上で、学校教育の中で対応できないところを補てんするという法的根拠をつくっていく必要があると思っています。

その辺のところも日弁連の案を協議のたたき台として議論していく必要があるのではないかという認識を持っております。今後の議論をするときには、事務局が出された案と日弁連の案、対案2つを今後の中心的な議論のたたき台として進めていくことを求めます。よろしくお願いいたします。

以上です。

藤井議長代理 先ほども言いましたように、これは日弁連案の案。まだ日弁連案にはなっていなくて、案の案というややこしいんですが、そこは議事録に残ってまいりますので、大谷さんにしかられてしまいますので、そういうことで。

ただ、今の提案をどうするかということは、すぐそういうふうにいくかどうかは担当室でも考えてほしいと思います。

どうぞ。

遠藤オブザーバー 日本経団連の遠藤と申します。ただ今の御提案について、一言意見を述べさせていただきたいと思います。あくまでこの会議体は、会議の構成メンバーの中で議論するということでありますので、このメンバーの合意をもって、特定の団体に対し、お考えを伺うということでない限り、特定の団体のものをたたき台にして議論することについては不適切だと思っております。たたき台を出すのであれば、事務局案を出して皆さんで議論を進めていくというものであってしかるべきだと考えております。

以上であります。

藤井議長代理 久松さんとは違った意見で、あくまでもこの会議体としては事務局の案を素案とすべきであって、2つの案の並列はいかがしたものかという御意見だったと思うんですが、いかがですか。

久松委員 久松です。事務局が日弁連の案を組み込んで器量の大きさを見せていただければありがたいと思っております。

藤井議長代理 筋としては多分遠藤オブザーバーがおっしゃることは筋だと思うんです。久松さんの方から今言われたのは、それも織り込んでということを期待したいということにしてここは進めてまいりましょう。

では、大分時間を20分ぐらいオーバーしていますので、今、23分なので、14時40分まで休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、15分以上お休みをとりましたので再開します。着席してください。

これから第2コーナーに入りますが、時間が大分予定をオーバーしています。20分ほどオーバーしています。このコーナーはできれば提案を含めて、次の節目を15時20分ぐらいを目途にして進行してまいりますので、御協力お願いします。

このコーナーは障害者基本法の推進体制の条文イメージ案を、今までの議論を踏まえて齊藤企画官からまず提案していただきます。10分前後の提案時間、その後30分前後の論議で進めてまいりますので、まず齊藤企画官から提案をお願いします。

齊藤企画官 企画官の齊藤でございます。今回の部分はそれほど長くないので、できるだけ簡潔に説明させていただきたいと思います。資料3に沿って御説明いたします。

資料の趣旨ですが、前回同様でございまして、念のためこの位置づけをもう一回申し上げますけれども、これまでの本会議における議論を事務局の方で条文イメージ案に落し込んだものでございます。ということで、まだ政府部内の調整等を経ているものではございませんので、そちらに掲げておりますような検討・精査を要するポイントを中心に、今後更に整理をしていく必要があると考えてございます。

内容にまいりますけれども「1.障害者政策委員会の設置」及び「2.障害者政策委員会の所掌事務」でございます。現在の中央障害者施策推進協議会を障害者政策委員会に改組するというものでございまして、内閣府に委員会を置く。所掌事務といたしまして、現在の中障協の事務でございます(1)一、計画の案の作成に関すること以外に、二以下の諮問に応じて調査審議をする、必要があると認める場合には意見を述べる、実施状況の監視、必要があると認めるときには勧告をする。更に(2)でございますけれども、内閣総理大臣または関係各大臣が、その勧告に基づいて講じた施策を報告するという所掌事務を、新たに追加するものでございます。

ということで、今後の精査のポイントといたしましては改組の必要性ですとか、それぞれ新たに追加をする所掌事務に関して、その必要性、更には具体的にそれぞれの機能がどういうふうに果たしていくのか、その具体的な内容などを整理していく必要があると考えてございます。

次のページ、これも新たに新設をするものでございまして、先ほど申し上げた所掌事務を遂行するために資料の提出、説明の要求等をできるような規定を新たに設ける必要があると考えてございまして、そういった規定の必要性について更に整理を進めたいと考えてございます。

4.は委員会の組織ですが、まず現在の中障協から変えているものが名称と総則の部分と同様に、福祉に関する事業に従事する者というところから、福祉を取るという形式的な修正をいたしております。

次のページ「5.地方障害者政策委員会」ということで、これも名称の変更と併せて中央と同様に監視の機能を新たに所掌事務として追加をすることを考えてございます。ということで、同様にその必要性等を精査するとともに、ここに関しては特に都道府県の委員会に関しましては必置の組織でございますので、そういった組織に新たに事務を追加するということと、現在政府で進めております地域主権の考え方との整理が不可欠だろうと思ってございます。

4ページは「6.障害者政策委員会の所掌事務の特例」でございまして、現在の改革集中期間は平成26年末まででございますが、その間この推進会議が担っている改革に関する調査審議機能を、所掌事務の特例として時限で追加をする必要があると考えてございます。

推進体制に関しては以上でございます。

藤井議長代理 これまでの議論を踏襲して、今もありましたけれども、更に今後とも議論を進めていく。これはまだ中間的な論議ですが、だんだん煮詰まってきていることは事実でありまして、そういうふうなこの時期を意識しながら議論に加わってほしいと思っています。

これに関して発言をしたいという方は何人ぐらいいらっしゃいますか。それでは、まず3人の方が発言した後、順次いきますので、特に論点は自由に発言してください。清原委員、関口委員、大谷委員の順番でいきます。清原委員、どうぞ。

清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。ただいまのたたき台につきまして幾つか意見を申し上げます。

1つは障害者政策委員会を設置して、しっかりと障害者の基本計画を議論するとともに調査審議することは重要だと考えております。そこで2ページ目の障害者政策委員会の組織について申し上げます。

このように積極的に内閣総理大臣あるいは関係各大臣に意見を述べたり、あるいは必要があるときには監視したりするという取組みを通じて勧告することになりますと、その組織にはどのような構成メンバーが適切かと言えば、障害者や障害者に関する事業に従事する者や、学識経験者がいることは当然ではございますが、今年の前半、当時の泉大臣政務官からは、学識経験者等の中に自治体関係者も含むというお答えをいただいているわけですけれども、国民、市民に最も近い自治体関係者として都道府県及び市町村の代表が入って議論をするということは、私は極めて重要だと思っていまして、その趣旨がこれから読み取れればありがたいと考えます。政令で定める中に入るのであればよろしいのですが、是非その点はあらかじめ申し上げたいと思います。

次に地方の障害者政策委員会についてです。都道府県については必置とされ、市町村については置くことができるという原案は非常に現実的だと思います。その中で地方障害者政策委員会の事務として一~三と書かれております。その三に「当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること」とあります。

都道府県と市町村においては、両者が密接な関係を持って障害者に対する取り組みがなされるべきであり、特に障害者の皆さんの社会参加を保障し、差別という、あってはならないことを防ぐためには、まさにこうした連携が必要だと思っております。行政機関相互という場合に、これは市町村を含むということは当然のことと理解しておりますけれども、国及び地方公共団体という書き方をされますので、広域自治体であります都道府県と市町村では役割と責務を明確にし、相互の連携を果たしていくことは極めて重要ですので、市町村という基礎的自治体の視点も含んだ内容として運営を考えていければと思っています。

なお、先ほども事務局の方がおっしゃいましたように、今後地域主権について政府の方ではお考えになっていかれるようです。この地域主権の動向と今回の地方障害者政策委員会の位置づけということは関係もしてくると思いますので、そうした動向を見据えながら適時適切な取り組みが必要だと思います。

この場をお借りして申し上げますが、いろいろな制度をつくっていきますときに、特に推進体制については常なる検証というのが必要です。したがいまして、今回基本法でこのような記述をしたとしましても、実際に施行し運用をしていく際には常なる見直し、よりよくしていくことが必要でございますので、この取組みにつきまして4ページで「障害者政策委員会は、2(1)に定める事務をつかさどるほか、平成26年12月31日までの間、次に掲げる事務をつかさどる」というふうに制限列挙されております。

これは非常に制度改正とつながる重要な項目でございますが、併せて今、申し上げました地域主権の動向やその他の動向ということもございますので、この基本法そのものも一定程度経ちましたら、その在り方、内容についても見直すということ、いい意味でより改善していくことが今後必要なことではないかと認識しております。

いずれにしましても、改革の集中期間であります平成26年末までの時限で制度改革の調査審議を集中していく組織が、障害者政策委員会になるということでございますので、この存在というのは大変重いものになってまいりますので、丁寧に組織の、とりわけ所掌事務及び構成については、結論を得ていく必要があると考えます。

以上でございます。ありがとうございました。

藤井議長代理 では関口委員、どうぞ。

関口委員 私が申し上げたいことは、なるべく早くつくらないと間に合わない課題があるのではないかということを、問題提起させていただきたいと思います。

去年12月8日に閣議決定で制度改革推進本部がつくられました。これにはすべての大臣が含まれています。12月15日に推進会議が本部長決定、つまり総理大臣決定という形でもってつくられました。ここには施策の推進に関する事項について意見を求めるためつくると書いてあります。6月29日に1次意見を受けた閣議決定が出されていますけれども、そこの概要の工程表を見ると教育の部分、障害のある子どもが障害のない子どもとともに教育を受けるインクルーシブ教育システム構築の理念を踏まえた制度改革の基本的方向は22年度内となっております。地方のバリアフリー整備の促進等の方策は22年度内目途となっております。選挙情報へのアクセスなどに関するものは22年度内となっております。

一方、この基本法の改正は23年度に法案の提出を目指すことになっておりまして、では22年度内の課題について、制度改革推進会議は何も言わなくていいのかという問題があると思います。これは私としては非常に納得がいかないところでありまして、つまり例えば教育の部分だと特別支援教育特別委員会ができていて、文科省の方でもってやっております。これが22年度内ということでしたら今年中に決着がついてしまうということです。

実は厚労省の方でも保護入院等に関する委員会みたいなものをつくっておりまして、これも議論が始まっております。これは25年度なので、その間に結論が出ればこちらとすり合わせができるのかなということですけれども、このようなところでもって制度改革推進会議が、つまり先ほど言ったようにすべての国務大臣が入っているから、政府ですから、政府が何々を諮るという形で6月29日の閣議決定は出ているので、各省庁政府ですので政府がその大臣を通じて本部に上げればいいだけの話ですから、つまり我々としてはどういうアクセスの仕方があるのかなということが非常に疑問なので、皆様のよいお知恵をかりたいと思います。

藤井議長代理 勿論推進体制と関係はあるんですが、今の話は直接の齊藤企画官の提案ということよりは、当座のロードマップ、工程表が基本法誕生前にどうか、すなわちそれぞれの主務官庁と横断的な内閣府所管の推進会議の関係性を、どうするのかということだと思うんですが、これは誰が答えるということよりも、東さんから後でお答えしていただけますか。今いいですか。

東室長 枠組みとしてそうなっていることはそのとおりでしょうけれども、議論を全部委ねたという関係ではないわけで、引き続き推進会議並びに関係の部会で議論するという形で書かれていると認識しておりますので、こちらの意見は意見としてまとめていく。特に22年度以内もしくは22年度というのは、基本法改正をにらんで早めにしてもらったという経緯もありますので、一方的にそこだけで議論されてそれで終わるという関係ではないということを、御理解願いたいとは思っております。

以上です。

藤井議長代理 その関係では多分来週から始まる個別の分野とも関係してきますので、勿論あちこちという発想法ではなくて、当然それは主務官庁と私たちとの関係で十分に整合性を保ち合うということでもあると思いますので、次回以降にも今の関口委員の提案は関係してくると思うので、引き続きこれについてはいい意味で推進会議が役割を果たしていくというふうにしていこうと思っております。大谷委員、どうぞ。

大谷委員 大谷です。質問になるのかもしれませんけれども、障害者政策委員会の所掌事務は調査審議ということで、国は勧告権があるということですね。国レベルのものは関係各大臣に勧告することという4項が入っているということですね。都道府県にある地方障害者政策委員会は調査審議、監視、推進だけあって、例えば知事に勧告するとか、そういう勧告をすることはない、4号がないのでここはないという趣旨なのかなと読めるんですが、やはり障害者政策は各自治体で主に担うことになると思うので、この辺は地方レベルでも例えば都道府県に設けられた政策委員会は、少なくとも知事に勧告するという勧告が必要ではないかと思います。読み違いだったらごめんなさい。

もう一つ、総則の方で実態調査が入ります。特に事務局からのたたき台としてあった、先ほどもどこかで議論が出ていましたけれども、差別に関する実態調査、事例収集、整理及び提供を行うものとする。これはどこでやる趣旨なんでしょうか。少なくとも障害者政策委員会ではなくて、どこか違うところでやる趣旨というイメージで語られているのか、この中に実態調査とか広報啓発というのは所掌事務の中に入っていないんですけれども、やはり政策委員会なので実態調査とか広報啓発は違うんだ、別個のところでやるんだという趣旨なのか、それとも広く実態調査、広報啓発は政策の中に入る趣旨として述べられているのかどうか、そこが読み取れないので質問をしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 解釈が誤ってはいけませんから、今日到達している案の段階での今の2つの点についてお答えいただけますか。

齊藤企画官 お答えいたします。まず最初の地方障害者政策委員会の所掌事務の点でございます。おっしゃっていただいたとおり、地方の部分に勧告という所掌事務は書いてございません。現在の考え方といたしましては先ほど申し上げた地域主権との関係で、どこまで必置のものの所掌事務として標準装備をするかという考えでございまして、例えば都道府県ごとに当該都道府県で勧告権を持った組織が必要だということであれば、条例などで所掌事務を追加するようなことは可能だと思うんですけれども、一律に必置の組織に勧告権まで書くのはどうかという考えで、この段階のものには入れていないということでございます。

もう一つ、この政策委員会の所掌事務そのものに事例収集だとか、そういうものは含めるような形で書いてはございません。と申しますのは、政府の中でそれぞれの省庁または部局がそういった調査だとか事例の収集、公表という事務を行い、この委員会は例えば内閣総理大臣がそれを実施しているのであれば、それに関して重要事項を調査審議し意見を述べるとか、そういった役割分担をするのではないかという考えに基づいていまして、おっしゃっていただいた事例収集や公表というのは、政府部内でそれぞれ所管しているところで行うということをこの段階では考えて書いてございます。

藤井議長代理 質問者の大谷委員、どうでしょうか。

大谷委員 きっとどこで何をやるかということに関して、まだ私自身は不案内なのかもしれませんけれども、かなり実態調査というのは今回の意見の中でも重要な意味を占めていたと思うんです。実態調査、広報啓発をどこでやるのかということに関しては、我々の手の届かないところでやるのか、少なくとも内閣府所管の政策委員会ではなくて、どこでやるのか、実態調査をやるべきと一生懸命意見を言っているんだけれども、これに対する何らかの強制力とまではいきませんが、そういうものはここでやってもらいたい。特に障害者基本計画の案で実態調査をするべしと入れてしまえば、ここでやるとか、より広報するべしということを基本計画に盛り込めば、逆にここでやれるとか、そういうようなことになるのか。その回しのイメージがわかないので、もう少し教えていただければと思います。

藤井議長代理 齊藤企画官、どうぞ。

齊藤企画官 説明が舌足らずで済みません。もう少し具体的に申しますと、要は障害者施策に関する一般的な調査だとか事例の収集や公表というのは、内閣府が障害者施策の総合調整を所掌事務として持っていますので、そこで行う。ここで設置をいたします委員会は、その内閣府で行う調査、事例収集や公表は例えば2号で書いてある基本的な政策に関する、極めて重要なことだということであれば、それは調査審議していただいて、もっとこうすべきだという意見をいただくとか、そういう役割分担です。

ですから、今のは一般的な事例収集なり何なりですけれども、例えば他の省庁が所管しているような個別の分野では、当該省庁が事例収集なり公表はするんだと思います。そこに関してこの委員会が、当該施策の実施に関して調査審議をし意見を述べる。または必要があれば勧告をする。そういう役割分担を想定してございます。

藤井議長代理 大谷委員、いいですか。

大谷委員 私自身が不案内なのかもしれません。それでうまくいけばいいです。

藤井議長代理 まだわからない点が多いということがわかりましたけれども、とりあえず次を伺います。新谷委員、どうぞ。

新谷委員 その議論は随分以前に一度やったと思うんです。それでモニタリング機関が調査機能を持つのかという議論があって、調査については所轄官庁の職務ではないかという議論があったと思うんです。私は今の齊藤さんの御説明で非常に納得なんですけれども、むしろ政策委員会がやることはそういう実態調査に基づいて、特別なポイントで施策を打つためにとか、何かを指摘するために特別な調査が必要であれば、モニタリング機関として動く場合があるでしょうけれども、基礎的な調査というのは所轄官庁がやるという理解だった。それで今日の総則部分に関する意見の中で前回言ったことを敷衍して、30ページのところに載せてあります。これはやはり政府の施策としてやっていただかないと困るという意味で書いてあります。

藤井議長代理 竹下委員、どうぞ。

竹下委員 この案で基本的にいいと思うんですけれども、2つだけ質問です。

現在の政策委員会もそうだと思うんですが、中央と地方の関係が見えてこないと思うんです。すなわち地方で監視業務までやるとすれば、そこで出てきた内容あるいは中央で行った監視内容等が齟齬するものだとおかしいと思うので、そうであれば中央と地方の関係がどうなるかというのが1点目。

もう一点は調査方法等については今後の検討事項であったり、場合によっては政令等で決まるのかもしれませんが、大事なのは範囲の問題があると思うんです。今、言っている実態調査なんかは齊藤企画官の説明で私も納得はして、それでいいと思うんですけれども、調査権限ないしは調査の範囲について何かイメージがあればお聞きしたい。一言で言えば重要な問題で、調査権限と調査の範囲というのは強くて広ければ極めて監視効果は大きくなると思うので、そこを少しお聞きしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 まず大濱委員からお願いします。

大濱委員 脊損連合会の大濱です。地方の障害者政策委員会なんですが、やはり重要な役割を担うわけでして、人材面のことを考えますと人材育成なども含めて、本当に適切な人材が配置されることが非常に重要になってくると思われます。その際、この中に指定都市が入ってきますと、そこまで本当に人材がきちんと確保できるかというのが若干心配で、人材育成が当然なされなければいけないと思っているんですが、当分の間は指定都市は外していただいた方がよろしいのではないかというのが第一点目です。

地方の障害者政策委員会と中央ですが、中央の方が内閣総理大臣に勧告することができるようになっています。これに関しても都道府県等の政策委員会も地方の長に対しても、勧告できるような権限を付しておいていただいた方がいいのではないかということです。先ほど大谷委員からも話があったように、これは条例で定めるということで、地域主権という関係で条例に定めるという齊藤企画官の説明でしたが、やはりそのときに地域主権で地方と国の間で相当かけ離れた地域政策がなされても困りますので、地方に対しても都道府県に対しても勧告できるような文言も必要ではないかという2点です。

藤井議長代理 今の御発言の中で政令指定都市を省くとおっしゃいましたね。そこをなぜかというのをもう一度お願いします。

大濱委員 やはり十分な人材が確保できるかという、それが一番大きな問題でして、まず人材育成ということが今後重要になると思います。都道府県レベルではそれなりの人材がおると思うんですけれども、政令指定都市レベルで人材が十分確保できるのかというのが疑問だということです。

藤井議長代理 次に進みましょう。堂本委員、どうぞ。

堂本委員 今の大濱委員にちょっと補足して申し上げると、都道府県は専門家がいるんですけれども、例えば大濱さんの場合のようなケースでも人口が10万人以下ぐらいのところになってくると、専門家を置くことができないからおっしゃっているわけでしょう。違いますか。政令都市だと100万ぐらいいるからいいんですが、ただ私が伺いたいのは、地方障害者政策委員会についてここは言っているわけなんですけれども、そういった専門家を置いたりなんかすることになると、この範囲なのかどうか、現行法第26条は地方自治法ですか。

藤井議長代理 障害者基本法の現行法です。

堂本委員 そうですか。それで、ここで言っている地方障害者政策委員会というのは、そういった人員配置まで決める権限を現行法では持っているんでしょうか。

藤井議長代理 齊藤企画官、どうぞ。

齊藤企画官 若干質問の趣旨をもしかしたら取り違えているかもしれませんけれども、現行法では今、議論になっている指定都市も含めて必置になっておりまして、市町村に関しては指定都市を除く部分は置くことができる規定。ただ、今回この推進会議の議論を踏まえて、そこに監視という権限を追加する。その場合に当然事務が追加になり、それに伴って非常に高度な専門的なスタッフが必要なのではないかということで、今の段階で指定都市にまで必置にするのは、難しいのではないかという問題提起だったと思いますけれども、そこに関して具体的に法律で人員の配置ですとか、そういったことに関して細かな規定は現行もないですし、今ここに書いた改正のイメージにもそういった具体的な想定をしてございませんで、それぞれ当該自治体においてお決めいただくことを想定してございます。

堂本委員 そうすると、監視の委員の中にそういう人を入れるかどうかという意味ですね。今おっしゃったのだと専門家をそこに置くということではなくて、監視する委員会の中にそういう専門家が置けるかどうかという意味ですね

齊藤企画官 まさに所掌事務を遂行するに当って必要な人材を置けるかどうかという論点だと思います。

堂本委員 そういうことを監視するわけですね。

齊藤企画官 委員会において監視をするということです。

堂本委員 わかりました。

もう一つは先ほどから地域主権とおっしゃっているんですけれども、割にあいまいだと思うんです。地域主権というのが実際に分権一括法の中で権限がどこまで移譲されて、それに伴う予算がどう分割されているかというところではっきり決まってくることなので、単に地域の主権と言うと非常にここがアバウトに聞こえるんですが、どういう意味で地域主権というおっしゃり方をしているか、地域主権なのか、それとも一括法で決められて基礎自治体にいろいろ権限が下りていますけれども、それを踏まえておっしゃっているのか、どちらなんでしょうか。

齊藤企画官 ここで精査のポイントとして書いてございます地域主権の考え方との整合性というのは、現在できる限り必置または新たな事務の追加というものはやめようという方針で制度全体を検討してございますので、そういった方針の下で今回新たに組織自体はこれまでのものを使いますと同じような置き方ですが、所掌事務としては追加をする。監視をするという機能が当然先ほどの人材の話でもそうですけれども、実質的に相当な事務が想定される。そういった事務を新たに追加するということが、この制度全体の地域主権という考え方に基づいている必置をなくすだとか、新規の事務を追加することはやめようとか、そういう方針とどう整合性がとれるのかという意味で書いてございます。

堂本委員 わかりました。ありがとうございました。

藤井議長代理 大濱委員、先ほど政令指定都市は、多少例外はありますが規定は人口100万人ですね。100万人ということは都道府県よりも場合によっては相当高い能力をもっていらっしゃるんです。なおかつ、そこを省けというのはやや理解に苦しんだんですが。

大濱委員 説明させていただきます。例えば横浜市と神奈川県があった場合、両方で組織を立ち上げることになりますが、これは神奈川県1つで十分なのではないか。これは条例で決めることになっていますから、神奈川県でどういう人を選ぶかということになるわけでして、神奈川県と横浜市でそれぞれ2つ必要なのか。私が申し上げたのはそういう意味合いです。

藤井議長代理 東室長、どうぞ。

東室長 県がつかさどる障害者福祉政策と市町村がつかさどる障害者政策は随分違うわけです。だから単に規模という問題ではなくて、本来は最も一番近いところにある市町村が実際的にはやっていくわけですから、ここに本来は監視機能が必要だというのが多くの委員の認識だろうと思うんですが、地方主権との絡みでどうするかという形で、こういう議論がなされているわけです。

ですから、市町村一般については条例でということにしても、県並みのレベルを持っていて直接的な仕事をやっている政令指定都市については、やはり県と同じように必置にすべきではないかという議論なんだろうと思うんです。ですから都市がダブるからという理由だけで置かないということについてはどうかなと思っているわけですけれども、その点いかがでしょうか。

藤井議長代理 大濱委員、どうですか。

大濱委員 これは十分な人材がいるという大前提なんですが、100万人で十分な人材が輩出できるということであれば、私は問題ないと思います。ただ、人材面では本当にいるのかなという疑念があります。したがってこの点を解消する必要があると言う意味合いです。

藤井議長代理 ここで仕組み論を議論しておかないと、要るか要らないかという議論をし出すと大変なので、仕組みが人をつくるというぐらいで考えてください。

それでは、とりあえず発言をそのまま続けてもらいます。大久保委員、お願いします。

大久保委員 大久保です。モニタリングという言葉が行き交っているのですけれども、この資料の中でも施策の実施状況の監視という書き方をされています。権利条約の求めるのは、権利条約の実施状況のモニタリングということだと思うのです。今は問題ないと思いますが、必ずしも施策が権利条約と同じ方向とは限らないという意味で、このモニタリング機関というものが重要になってくるということで、これまでもJDFは独立性ということを強調してきた経緯があったと思うのです。この中で位置づける場合には、例えば障害者政策委員会の組織の部分でも若干の修正がありますが、何か担保できるような部分、いわゆる独立性というか、しっかりと構成メンバーを含めて権利条約というものをベースにモニタリングできるというものが、どこか仕組みとして必要ではないかと感じました。

以上です。

藤井議長代理 勝又委員、どうぞ。

勝又委員 ありがとうございます。勝又です。質問が2つあります。

1つは障害者政策委員会の所掌事務の中で、今、検討をしている調査ということなんですが、先ほど実態調査とかでていましたが、それぞれにどんな調査かというイメージが違うと思っております。例えば現在内閣府がいろいろな調査をやっていて、それは世論調査という形での調査になります。私がイメージしている実態調査というのはそれとはちがって、例えば総務省統計局が行う全国民を対象とした大規模な調査で、家計調査とか、全国消費実態調査とか、そういう統計法における位置づけのはっきりした、また、継続して定期的に行われる調査を実態調査と私はイメージしているのです。そういうものが政策委員会でできるのかどうか、それについて1つ伺いたい。

もう一つは、この中に苦情処理とかそういうものが全く入っていないんですが、それは先ほどの大久保委員のモニタリングにも関することなんですけれども、差別禁止法をつくっていくという方向がありますので、差別禁止法ができたらば差別禁止法がちゃんと遵守されているかどうかを見るという機能ができるのかもしれないんですが、ここの政策委員会では、例えば基本法がしっかり守られていませんよということを人々がい政策委員会に訴えたらば、それを受け取るような機能というのはないのでしょうか。2つです。

藤井議長代理 これについては先ほど竹下委員から調査の内容ということと、オーバーラップしますが、併せて調査のとらえ方についてお答えいただきます。それから、今、言われた苦情等の処理も含めての話へのお答えを、齊藤企画から今わかる範囲でお答えいただけますか。

齊藤企画官 今後の精査のポイントにも書いてございますように、まさに具体的内容をどうするか今後更に検討という状況でございますけれども、まず調査という文言に関して皆さんの認識が多分非常に幅があるというので、議論がなかなかかみ合わない部分があると思いますので、現在書いてある内容をもう一回簡単に御説明いたしますと、この委員会における調査というのは、基本的にはその次のページにあります資料の提出要求等でも掲げていますが、関係行政機関、関係省庁などから報告を聴取したり、資料の提出をさせたりして、施策をどういうふうに実施しているのかを調査をする。

それに基づいて当然要はどう実施し、そのアウトプット、アウトカムがどうなっているかの報告を受けて、施策がどう進んでいるか調査をするという意味での調査という言葉でございまして、もう一つ実態調査とかそういったことが今、議論に挙がっているわけですけれども、そういったものは基本的には今の行政の仕組みですと、それぞれ担当している省庁、基本法一般であれば内閣府が所管ですので、内閣府が内閣府の事務として調査をする、実態調査をする。法がどう施行されているのか、また、個別の条項がどう施行されているのかを調査する。

やり方としては世論の調査もあれば、もう少し学術的なものもあれば、いろいろな方法があると思います。そういったことは基本的には各行政機関で実施をする実態調査ということでございまして、今ここに書いてある通常こういった委員会の所掌事務として書く調査というのは、先ほど最初に申し上げたそれぞれ所掌している省庁からいろいろな形で報告を受け、その内容を吟味するという調査でございます。

藤井議長代理 2点目の答えも併せていかがでしょうか。苦情処理機能です。

齊藤企画官 苦情の処理というのもいろいろな政府の機関でやっているわけですけれども、まさにモニタリングというものをどういう内容にするかに関連があって、個別に一般の国民の方から苦情を受けて、それを処理するという機能を通常は余り想定をしていないわけでございまして、逆にそういった苦情を当然それぞれの制度を所管する省庁に日々来るわけですが、そういったものを当該省庁で判断をし、蓄積をし、その中から政策対応の必要性などを吟味しているんだと思います。

ですから、この所掌事務としてそういった個別の国民から苦情という形でインプットがあって、それをこの委員会で処理をするという機能は通常ここに書いてあるような所掌事務の書き方では、想定をしていないということでございます。

藤井議長代理 佐藤委員の発言は関係ありますか。では、どうぞ。

佐藤委員 勝又委員の最初の質問、今の統計実態調査に関係することなんですけれども、ということは事務局案としてはこれまでこの推進会議でも何回か意見が出されて、一般国民との比較可能な障害者の定期的な全国的な実態調査が必要で、その生活実態に基づいて施策の評価、立案が必要だということがたびたび指摘されて、今日の資料2でも新谷委員から30ページでそのことを再度確認しているわけですが、こういうものは政策委員会の行う調査とは違うものだという説明を受けたので、そうであればどこかの条文の中できちんとそういうものを新たに設ける。それが障害者権利条約31条だったと思いますけれども、データの収集と活用を新たに実施することになると思いますので、総則なのかどこなのかはわかりませんが、そういうものを新たな条項として設ける検討を、この推進会議ではするべきではないかと思います。

それと同時に齊藤企画官が言われましたように、各省庁でそれぞれの施策分野について評価をするという省庁の調査というのも必要だろうと思います。それを各省庁がばらばらではなくて統合的に、統一的に行うためには、各省庁が調査を行うべきだということについても基本法のどこかの条文の中で入れておかないと、各省庁は根拠法がないままでばらばらにやったり、やらないところがあったりということでは困るので、そういう各省庁に義務づけるような実態調査も検討すべきではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 時間が来てはいるんですが、今の件に絡む話をまず先に、調査はずっと議論してきましたので大変大事なポイントだと思いますので、これに関して追加はありますか。北野委員、どうぞ。

北野委員 今のモニタリングの中身なんですけれども、勝又委員からそれは調査ではないのではないかというご意見がありました。確かに個別の施策がどう実施されているかについて、ほかの国々でどう展開されているかということなんですが、2つの仕組みがあって、1つは例えば国なり自治体の施策に関して、個別事例について検討するオンブズマン制度が動いている。これはいわゆる差別とか、権利擁護に関する個別事例について調査する仕組みなんですけれども、そこは基本的に一定の政策提言もいたします。つまり、個別事例が集積されることによっていろんな問題がわかってきますから、その問題を精査して、こういう施策にすべきであるという政策提言をする。

ところが、今回私たちが考えているこの仕組みは、基本的には差別禁止法上で権利擁護に関する個別事例に関しては、その機能を果たすべき差別禁止法上の権利擁護機関なりセンターというものが、国や都道府県でできるということを前提にして議論すれば、その機能の一部分は基本的にそちらに行く。そうしますと、今回議論しているのはまさにアメリカで言うとNCDと言われている国の政策のチェックと政策提言の仕組みなんです。つまり全米障害者評議会と言われているものが、まさにこのモニタリングのシステムを担っている。

これを考えますと、はっきり言うといわゆるリサーチャーではないですけれども、専門性の高い調査員をかなりの数を持っていらっしゃる。ですから、これはここに書いてある例えば政策委員会のメンバーが30人で、その方々を非常勤とするというのは明確になっていますが、非常勤とすることをそもそも初めからうたっていいのか。どこまでの方をまずここに置くのか。それから、事務局の組織及び運営に関する事項は政省令で定めるとなっていますけれども、この政省令の中身でどこまでのインベステイゲーションする職員体制、配置なりシステムをどこまで置くかということは、すごく大きな問題ですから、これは政省令についてもここで議論できるようなレベルになければ、なかなかいいものはできないというのが私の意見です。

以上です。

藤井議長代理 東室長、どうぞ。

東室長 精査すべき事項で施策の実施状況の監視(モニタリング)の具体的方法について、意見をいただきたいということで書いておりますけれども、まさに今、北野先生が言われた部分だと思うんです。具体的にどういうやり方で監視をしていくのか、そのイメージがなければ条文には書き切れない監視機関の具体的なイメージ、規模、開催頻度が出てこないわけです。ですから、もう少しそこら辺を皆さんこうあるべきだという具体的なやり方まで含めて、御意見があればと思うんです。

例えば国際モニタリングで定期的に各国が報告書を出します。ああいうやり方を倣って各省庁が毎年1回きちんと報告書を出すとか、そういうやり方も1つあろうかと思うんですけれども、そういうことも含めてもう少し議論をいただければと思います。

藤井議長代理 それでは、1人1分で順番にいきます。結論から言ってください。松井委員からどうぞ。

松井委員 ありがとうございます。先ほどの大久保さんの質問にも関連するんですけれども、確かに現在の協議会と比べて、はるかに強力な形で政策委員会ができることはわかりますが、その実効性が上がるような担保がきちんとできるような仕組みになるのか伺えればと思います。先ほどの話なので質問に答えられないでしょうけれども、各府省の審議会であれば分科会がきちんとあって、専門的にモニターするような形になっていますが、30人の委員で構成するにしても政府全体の領域をカバーするわけで、必ずしも各分野のことを、きちんとモニターできるような人的構成ができるのだろうか。全体についてきちんとモニターしようと思えば、分科会も併せてやらないと実効が上がらないのではないかと思います。

更に言えば、事務局がそれだけの機能ができるようなものになるのだろうか。この条文は確かに極めて妥当なものだと思いますけれども、それが十分機能するような仕組みなり、リソースが確保できるという前提でやるということでないと、従来の協議会と実質的にそんなに違わないものになりかねないと思いますので、その懸念を表明させていただきます。

藤井議長代理 松井さんの結論は、妥当でないと言っているんですか。

松井委員 いや、妥当なんだけれども、きちんと機能するような裏づけが必要だろうということです。

藤井議長代理 では、次は中西委員、お願いします。

中西委員 中西です。ここで言っている障害者政策委員会は、権利条約33条の「国際的な実施機関のフォーカルポイントが、国内で1つまたは2つ以上」のその1つに当たるわけで、先ほどの権限の強化ということと併せて、これ自体もっと調整機能を持って活動しないと、先ほど議論の中に地方障害者政策委員会も出てきますので、そことの関連と、各省庁からいろいろレポートをとる等の報告、必要性も討議されているので、その部分も強化してほしいと思いました。

地方に関しては自明のことにはなるのでしょうが、やはり委員の構成の中に障害当事者ということが1つも含まれていないので、それは明記される必要があると思います。

以上です。

藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。

尾上委員 先ほど言えばよかったんですが、地方障害者政策委員会のところで意見を申し上げます。1つは先ほどの指定都市の件ですけれども、元大阪市民といいますか、大阪市の施策推進協議会のメンバーとして言えば、むしろ政令指定都市は今までもありますし、これからも残すべきであるという意見であります。

例えば大阪市が1996年ぐらいだったかと思いますが、その当時全国で初めて知的障害の当事者、精神の当事者も施策推進協議会に入れて、それが全国のモデルになっていった。比較的そういったモデル性を政令指定都市がつくってきた。これは施策推進協議会だけではなくて、例えば全身性障害者介護人派遣事業も、そういった政令指定都市発でほかの自治体に広がってきたことからしましても、むしろ政令指定都市を省くというよりは、今回の論点は市町村の地方障害者政策委員会を、本来でしたら必置にしてほしいなと思うぐらいなんです。

前回申しましたとおり必置だと言われなくても、どこの自治体もこれぐらいの政策委員会は自らつくるのが当たり前で、つくった上で自ら調査をし、評価し、公表するというぐらいの責任を、地方自治体として基礎自治体は持っていただきたいと思うんです。ただ、国の法律の中で地域主権云々という話があるとするならば、少なくとも障害当事者として一番困るのは、我が町とほかの自治体と比較考慮ができない。

我が町はほかの自治体と比べてどうなんだろう。例えば我が町よりもほかの自治体には進んでいる例がある。例えばほかの進んでいる例を我が町でもできないだろうか。そういったことを提起して、いい意味での政策競争ができるような仕組みこそが、本来は地域主権だと思うんです。この前も申しましたけれども、そういった比較考慮ができるような調査、評価、公表ということが、市町村の政策委員会の中でもしてもらえないかと思うんですが、その際に今回の場合は少なくともと都道府県分は必置となっていますので、この条文イメージの(2)二、三に関わってなんですけれども、都道府県における施策に関して必要な事項を調査審議及びその施策の実施状況を監視、あるいは行政相互機関の連絡調整を要する事項を調査審議するということで、例えば仮に大阪府なら大阪府が大阪府下の市町村の障害政策の実施状況を調査し、それを住民に公表するようなことは可能なのかどうか。そういったこともイメージされているかどうか。

つまり障害者政策マップのようなものが公表され、それを使って障害当事者が住民として地元の自治体に働きかける仕組みまでは、持っていかないとだめではないかという意見でございます。そういったことが(2)二、三に含まれているかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。

藤井議長代理 その点では齊藤企画官、いかがですか。

齊藤企画官 詳細に関してはまだ検討が進んでいませんけれども、ここで書いてあることは基本的に、当該都道府県における施策を当該都道府県に設置をされている委員会で調査審議をする。ですからエリア的にかぶっている当該都道府県内の市区町村の施策を調査審議することを想定しているかと言われると、しているとは言いにくいんですが、ただ、3にありますように連絡調整を要する事項で、当該都道府県内の市区町村と連絡調整を要するような事項ということであれば、3で読めるのかなということは思います。いずれにしても詳細についてはまだまだこれから詰めていくということだと思います。

藤井議長代理 東室長、どうぞ。

東室長 今、中西委員がフォーカルポイントのことを言われましたけれども、条約上のフォーカルポイントは、あくまでも施策担当の連絡調整として集中する機関を1つ、2つ設けなさいということで、33条1項に書いてあるものなんです。監視機関については33条2項で別のものとして規定してありますので、このモニタリング機関は1個のフォーカルポイントというわけではないという前提で、御議論願えればと思っております。

藤井議長代理 これは1項、2項の両方の機能を併せ持っているという意味ではないんですね。

東室長 違うと思います。

藤井議長代理 では2項ということですね。中西委員、その辺はいいですか。

中西委員 併せ持つ機能を持たせることは可能ではないんですか。

東室長 33条2項はパリ原則に基づくということで、政府から独立したものというのが前提なんです。しかしながら、1項は必ずしもそれは要するに政府内の既存の組織の中でばらばらでやってはいかぬ、集中的なところを設けなさいという趣旨なんです。ですから、基本的な性格が違いますので、併せ持つということではないと思っています。

藤井議長代理 今日の段階では、そこは1項、2項は両立はしないととらえておきましょう。森委員、どうぞ。

森委員 森です。ありがとうございます。この障害者政策委員会というものをつくったのは、モニタリング機能をどう整理するかという問題だと思っています。したがって障害者権利条約第33条の1~3項というのは大久保さんがおっしゃったとおり、この中に生きているのだろうかという疑問があります。

もう一点は、委員が30名という形になっておりますが、実は現在の政策委員会でも中央障害者施策推進協議会(中障協)のメンバーでも、障害者の人数をどうするかというのが実はたしか問題になったと思います。その当時の担当者が非常にそのことについて理解がありまして、大変苦労なさったということを私も聞いたことがあります。したがいまして、ここには障害者の人数をどのくらいにするのかということを、私とすれば過半数以上入るのか入らないのか、その辺をどうお考えになっているのかという2点をお聞きしたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 1点目は先ほどのお答えではまずいんですか。

森委員 話に出ましたから結構です。

藤井議長代理 2点目の方を齊藤企画官からお願いします。

齊藤企画官 特に障害当事者の人数とか、そういったことに関して具体的に規定をすることを考えていないといいますか、想定しておりませんで、逆に言うとこういった組織をつくる上でどういう構成が適当かを御議論いただいて、それをどういう形で担保するのかを別で議論をされていくのかなと思っています。

藤井議長代理 森委員、どうぞ。

森委員 現在の中障協が物語っているのではないかと思っておりますが、この状態を続けましょうというのが我々の一番初めの出発点だと思っております。これを参考にしていただければと思っております。

藤井議長代理 関口委員、どうぞ。

関口委員 33条1項ということで、ますます私の疑問がはっきりしてきたんですけれども、つまり名前が中央障害者施策推進協議会から政策委員会に変わって、推進が抜けてしまったんです。これはモニタリングと促進の役割を担っていただきたいと思います。

その部分を担っていただくことをどこかに入れていただくと同時に、例えば3項で行政機関相互の連絡調整を必要とする事項を調査審議することと書いてあります。調査審議というのがどこまでのことを含むかわからないんですけれども、私は例えば国と都道府県あるいは都道府県と基礎自治体とが連携して、施策を促進していくことぐらいのことをしっかり書き込んでいただきたいと思います。そうでないとこれはモニタリングの法律だという話でもって、推進だったのがまるっきり抜けてしまったという話になりますので、そこのところをよろしくお願いします。

堂本委員 今のに関連して1つよろしいですか。

藤井議長代理 手短にお願いします。

堂本委員 尾上さんの質問と企画官のお答えで、今すとんと落ちてよくわかったんですけれども、都道府県と市町村の関係をおっしゃって、知事の経験からここでちょっと言わせていただくと、中央と地方の間の分権というのも進んでいるんですが、都道府県と市町村との間の分権というのも非常にありまして、これは是非市町村に連絡してこれをやってほしいと言っても、市町村の分権で都道府県から言えないということが余りにも多いんです。非常に多いんです。やりたくてもなかなかそうはいかない。

むしろ清原さんもいらっしゃいますけれども、市町村の決定の方が重視されている状況なので、企画官も非常に用心深く都道府県間の連絡という言葉をお使いになって、そこからやらせるという発言をされなかったんですが、私はそこでわかったことは、やはり尾上さんが言うように、政策自体が都道府県よりも基礎自治体に行っているものが多いわけです。精神障害とかそういう例外を除いては、ほとんどの福祉関係は基礎自治体に行ってしまう。

都道府県に設置しても、2000年以前の分権一括法が決められる前ならこの書き方でもいいんだけれども、現行法は今の分権一括法ができた後から言うと、尾上さんのおっしゃったことが非常に実質的で、さすが当事者はこういうことがよくわかっていると思って今、感心したんですが、そういう意味で言うと都道府県ではなくて、市町村の必置の方がよっぽど大事である。そして森委員や松井委員もおっしゃいましたけれども、同時に当事者を入れることを何とか担保できたら随分変わると思ったので、ちょっと付け加えさせていただきました。是非よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 清原委員、どうぞ。

清原委員 今おっしゃいましたように、障害者をめぐるさまざまな施策を、具体的には市町村がさせていただいております。しかも障害のある方と協働しながら三鷹市のみならず、多くの自治体では実践しているわけです。また、障害のある方とともに生きる御家族の皆様や事業者と一緒に実施しているわけです。

基礎自治体でそのようなモニタリングの機関があったらとおっしゃる御指摘も、一方では正しいと思います。ただ、前回も私は申し上げましたけれども、三鷹市のような場合ですと総合オンブズマン制度もありまして、障害の施策のみならず、すべての施策についてオンブズマンということで御提言をいただいたり、苦情の深刻なものを処理していただいていますが、併せて議会があり監査委員も存在しますし、しかも、今は地域主権の時代でございます。

もし仮に、国の中で基礎自治体にそのような組織をつくるべきだという結論をお出しになるのであれば、その運営に関してしっかりとした財源措置をしていただければ、それはできるかもしれません。本当に、これは深刻な問題なのです。どんなにいい制度であっても理念だけでは形はできません。

私は尾上さんのおっしゃることはよくわかるし、三鷹市としてもできる限りのことを、現在は必置ではありませんが、自前でやっております。しかしながら、大切なのはすべての自治体がこぞってできるような仕組みを、もし本当にこの会議で基礎自治体がやるべきであるということであれば、財源措置を保障した上でするということでなければ、地域主権の動きの中ではなかなか難しい点があるかと思います。しかも障害のある方が直面している問題は、子どもや高齢者や多様な何らかの被差別的な状況にある方の問題と、横並びで進めていかなければいけないと思いますので、そういう意味でも障害者の問題が全体としての人権問題解決の水準を上げていくきっかけでもありますので、今回の議論というのがほかのテーマともなっていけばいいなと思います。

今、まだ動いてはおりません「人権機関」の設置などとも差別禁止法は関係してくるでしょうし、そういうことをきちんと整合性をとりながらやっていくことが重要だと思います。ただ、本当にありがたいのは、基礎自治体が大切である、そこが障害者の問題の現場であることを多くの方に認識していただいているということを改めて感じまして、責任の重さと同時に、そういう御認識を大変ありがたく受け止めました。

以上です。

藤井議長代理 仮称ですが、障害者政策委員会、地方障害者政策委員会の所掌事務を中心に構成メンバーの在り様等を含めて相当議論が残っていくと思います。これからまた詰めていく。特に十分整理できませんけれども、調査だけを見ても調査を大事にしていこうということを、たしか基礎的課題の中に入っています。推進会議でも閣議決定をしてもらいました。

今日ここで言う調査は3つの種類を言われていました。1つは省庁間の資料提供、開示を求めたり、資料収集という権限を持った調査。意見として言われたのは、やはり直に調査ができるものができないかという意味合い。なおかつ基本法の中で所管省庁に調査をすべしという点。多分このトータルが第31条の基礎データの収集等に、かぶってくるのではないかということも出ていました。

監視という問題と政策審議という問題と、複合要素を持つんだけれども、そういうことも含めると名前なんかもどうするのかということも多分に出てくる。言われていましたようにすべての障害者は市町村に暮らすわけです。先ほど私たちは前段で地域で生きる権利という、この権利をつくっておこうではないかというときに、こちらは必置でないとなると矛盾はしないか。しかし、清原委員の言うように分権、地方主権の問題もどう整合性を保つのか。この辺で一貫した議論をしていきたいという思いと、諸般の関係性とも整合性が要るという、こういった宿題を残していきながら、更に齊藤企画官、またバージョンアップしてくるということで、みんなで考えていくことになると思うんです。

大分時間をオーバーしていますので、これに関してもっと意見を言いたい、ただ、東さんが先ほど、もう少しイメージをみんなが出してもらえないかという提案もありましたので、これまた後で事務局の方で日にちを決めてと思っていますので、今日意見を言えない方あるいは言った方も含めて、そういうことで提案はできるようにしておこうと思います。

ここで連絡なんですが、国会の状況なんですけれども、国会の事情によって末松副大臣は内閣委員会の関係でこちらに来られないということと、岡崎大臣は状況を見計らって時間内に来られるべく、調整をしているということでありますので、来たらお話をいただきます。

今、内閣委員会がちょうど区切りがついて散会ということで、こちらに向かっているということなので、来次第ごあいさつをお願いいたしますが、私の時計で今は15時52分なんです。本当はあと2回休憩というところなんですけれども、いかがしましょうか。提案としましては今から少し長めに16時10分まで休憩にして、残り50分は第3コーナー、第4コーナー両方やるということで再提案させていただきますが、どうしても反対はいますか。門川さんは反対ですか。

門川委員 了解です。

藤井議長代理 はい。全会一致で休憩に入ります。少し長めですが、16時7~8分に始めますので、よろしくどうぞ。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、今日の最終コーナーに入りますので御着席お願いします。よろしいですか。

大臣、副大臣がお着きになりましたので、岡崎大臣、末松大臣から一言ずつごあいさつをお願いいたします。

岡崎大臣 どうも皆さんこんにちは。障害者施策を担当いたしております、内閣府特命担当大臣の岡崎トミ子でございます。今日は障がい者制度改革推進会議に大勢の皆様においでいただきまして、本当にありがとうございました。

本日の推進会議におきましては障害者基本法の改正に際しまして、前回の議論を踏まえて総則部分と推進体制の条文イメージについて御議論をいただいているということと、差別禁止部会に関しましての構成員案についても御呈示されると伺っておりました。私は前々回の推進会議に出席をさせていただきましたけれども、そのときも大変熱心に熱意ある皆さんの御議論を聞かせていただきました。本当にありがとうございました。皆様の声を生かして障害者権利条約の理念をしっかりと実現することができるように、私もこの場で頑張ってまいります。皆さんと一緒に頑張りますので、よろしくお願い申し上げます。

今日の内閣委員会におきましても、障害者権利条約についての質問もございました。各委員の皆さんもこの問題について大変に関心を持って、ともに進めていこうという気持ちでいるようでございますので、どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

藤井議長代理 続きまして、末松義規副大臣からお願いいたします。

末松副大臣 どうも皆様こんにちは。副大臣の末松義規と申します。この推進会議も22回を数えているということでございます。この会議は大体1回4時間ぐらいやってらっしゃると聞いて、すごいなと。そういった意味で障害者の方々を含めたまさに当事者の方々、そして知識を有される方々がここでつくり上げていく、汗とともにつくり上げていくこの法案ができてくることを、私もそこはしっかりとできた法案をきっちりと国会で、岡崎大臣の下で一緒に答弁させていただきたい。そういうことで楽しみにしております。

私もこの会議に顔を出させていただいて、皆さんと一緒に議論にも参加させていただきたいと思っておりますので、どうかまたよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

藤井議長代理 公務多忙なところでありますので、大臣、副大臣、多少はいられますか。ちょっとだけいてもらって、そんなことで途中で退席されますが、議事を進行してまいります。

それでは、第3コーナーで準備しました障害者基本法の各則、個別の規則について、これまで議論してきたことを振り返ってみようと思います。資料の説明を東室長からお願いします。

東室長 担当室の東です。お手元に資料4があるかと思いますが、開けていただくと2つに分かれておりまして、1つは現行障害者基本法の各則というものを項目だけ抜き出しております。これをどうするかという議論をするわけですけれども、これまで議論された分野として2番目に書いております。第1回からいろいろでこぼこはあるかと思いますが、こういう形でこういう分野を議論してきたわけですけれども、まずこれ以外に各則として議論すべき分野があるかどうか。

1~17まで書いておりますが、これがそのまま各条文になるというわけではないでしょうけれども、こういう分野を含めた形で足りない部分を含めて、新しい各則をつくっていくという議論の出発点として、大枠としてこれでよかったかどうか、そこだけまず確認させていただければと思っております。

ちなみに1~17まで、点字が配ってあれば読むことは省略しますけれども、竹下委員にはまいっておりますでしょうか。読み上げは省略しますが、17の分野にわたって議論してきたということで、どうでしょうか、ほかに漏れている部分があれば御指摘いただければありがたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 それでは、このコーナーは17の今まで議論してきたことの項目です。これについてなお足りない、あるいは漏れがあるという点を伺いますが、いかがでしょうか。堂本委員、お願いします。

堂本委員 私の領域ですけれども、医療、介護となっておりますが、基本法は「健康」というところがあるんです。条約の方の「健康」というところとの関係で、そこの整理が必要かどうかということです。以上です。

藤井議長代理 健康という表記ですね。大谷委員、どうぞ。

大谷委員 いろんなところにまたがっているんですけれども、条約で言うところの家庭生活に関する権利ということが、個別には議論されていないんです。障害児のところで議論に入れてありますが、そこだけで足りるのかどうかということを提案させていただきたいと思います。

藤井議長代理 もう少し家庭に関する権利についてコメントしていただきますか。

大谷委員 要するに23条はリプロダクトヘルスに関するものと、家庭生活に関する平等の権利ということが、2つにまたがった条文になっているんです。リプロダクトに関しては健康のところでもう一度議論されればされるかなと思いますけれども、今まで地域生活に関する権利ということでは議論されても、家庭生活に関する権利ということを意識した討議はされてこなかったなと思っています。それを今、障害児のところで家庭生活に関する平等の権利ということは、障害児支援のところで議論を始めておりますが、皆さんにそれを返す形だけでよろしいのかどうかということを、意識していただきたいと思います。

藤井議長代理 佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 災害時対策と言ったらいいのか、その独立した項目が必要なのかなという感じがいたします。災害時の情報の保障、災害時の介助、災害時の避難時の医療だとか、ほかの領域とも関わる部分もあるわけですけれども、災害時というものを1つ用意するべきではないかと感じたものです。

藤井議長代理 関口委員、どうぞ。

関口委員 条約14条の身体の自由及び安全、15条の拷問または残虐な非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは刑罰からの自由、16条の搾取、暴力及び虐待からの自由、17条の個人をそのままの状態で保護すること、この辺のところをどう入れ込んでいくのかをちょっと考えていただきたいと思います。

藤井議長代理 久松委員、どうぞ。

久松委員 ろうあ連盟の久松ですが、その前にお伺いしたいのですが「2、これまで議論」の<1>~<17>まで、この順番というものは特に何か意味はあるのでしょうか。

東室長 全く意味はございませんので、アトランダムにとにかく出しただけです。

藤井議長代理 今日の段階では順不同ということです。

久松委員 <1>のユニバーサルデザインに関わる分野、このユニバーサルデザインという範囲が限定されています。例えばバリアフリーとユニバーサルデザイン、この2つの言葉が入っていいのですが、バリアフリーという言葉を使うと建物、交通のバリアフリーとなりますが、ユニバーサルデザインとバリアフリー、この2つのテーマを一緒にしてもいいのかなと思います。

また、佐藤先生から出された災害時に関する緊急情報についての情報保障は、<12>のテーマ、これは権利条約で使われている「情報アクセス」その中にはあらゆる情報にアクセスまたは情報を保障される意味が含まれると思いますので、この<12>は「情報アクセス」という言葉を使うのがよろしいかと思います。

コミュニケーションに関わる分野も保障するという考え方で今まで議論されてきました。言葉の使い方ですが、情報コミュニケーション保障という言葉を使っていただければいいのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。

尾上委員 権利条約の第19条に関わって、地域で暮らす権利、地域生活の権利や特定の生活様式を義務づけられないということで、大分議論があったかと思います。介助に関わる分野もそうなんですけれども、それ以外に、そのときに例えばエンパワーメントであったり、支援付きの自己決定の重要性も話されたと思っています。

そういう意味で分野としてどういう名称がいいのかはわからないですが、広い意味での権利擁護といいますか、エンパワーメントやセルフ・アドボカシーも含めた形でのアドボカシーといった分野も、実際は地域生活を成り立たせていくための支援ということで議論してきたと思いますので、是非そういうエンパワーメントやアドボカシー、権利擁護みたいなことが議論されてきたということを、是非分野として入れてもらえればと思います。

以上です。

藤井議長代理 佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 たびたび済みません。介助ということに含まれるのかもしれませんし、今、尾上さんが言われたようなこととも関連するんですけれども、福祉としたらいいのか地域生活支援としたらいいのか、そういう条項も必要なのではないかと思います。

現行の中には経済的負担の軽減というものがあって、これも今度基本法の中でなくしてしまうことになると、いろんな制度が軽視されることになっても困りますので、種類がいろいろ多様なので、基本法でどう書いたらいいかというのは非常に難しいと思いますけれども、経済的負担の軽減というのは名称も含めて、その分野のものは1つ残しておいた方がいいのではないかと思います。

藤井議長代理 ほかにいかがですか。門川委員、どうぞ。

門川委員 門川です。今までに議論されてこなかったこととして1つ気になっているのが「2、これまで議論された分野」の<13>に当たる文化とスポーツに関わる分野にも関係するのかと思うんですけれども、レクリエーションとか余暇活動というのは人間が生きていく上ではとても重要な分野だと思うんですが、これについてはどこにも書かれていないような気がするんです。レクリエーションと余暇活動について加えていただくと大変ありがたいかなと思います。

もう一点、情報とコミュニケーションですが、最近はICTということで通信技術関係の分野が非常に発展してきているので、情報通信と幅を広げていただければよいかと思います。

久松委員も言われていたかと思うんですけれども、アクセスビリティについては条約の第9条にもありますし、これは非常に全体的にまたがっていて重要な部分だと思うので、いろんなことに対するアクセス、情報へのアクセス、交通へのアクセス、あらゆる分野へのアクセスということで、アクセスビリティを独立した条項として設けてはどうなのかなと考えました。

以上です。

藤井議長代理 長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。2つ申し上げたいと思います。

1つは今、門川委員がおっしゃった点で、私も個別の分野をもう一回見直したときに、条約で申し上げますと30条のところに入っているレクリエーションとレジャーが落ちているのかなと思いました。文化とスポーツに密接に関わっているところですけれども、レクリエーション、日本語で余暇と言ってしまうとどうしても「余」が入っているので、添え物みたいな感じがどうしてもしてしまうのですけれども、そういうレジャーと呼ばれるようなところが意外と添え物ではなくて、生きるときには非常に力になることもありますので、今の門川委員の御提案に賛成です。

もう一点は、これまで議論された分野ということで申し上げますと、条約の6条の障害のある女性に関するところも、推進会議でもさまざまな形で議論があったところだと思いますので、個別の分野として障害のある女性も提案させていただきたいと思います。ジェンダー全般についての格差が大きい日本社会の中で、障害のある女性についてもジェンダーということで、さまざまな複合的な不利益があるというのは条約に書いてあるとおりだと思いますので、御提案申し上げます。ありがとうございます。

藤井議長代理 北野委員、どうぞ。

北野委員 現行の障害者基本法の第20条の相談なんですけれども、表現は第20条で国及び地方公共団体は、障害者に関する相談業務、成年後見制度その他の障害者の権利、利益の保護のための施策または制度が適切に広く行われ、利用されるようにしなければならないという表現があります。

気になっているのは一般の相談支援の部分と、自己決定支援、権利擁護支援という部分が全体として含まれるのか、それとも権利擁護支援というものを独立して出すのか、その辺は相談支援の部分の表現が薄いなと思ったのが1つと、もう一つは大谷委員から家庭生活に関する権利という表現がありましたが、例えば家族ケアラーの支援に関する部分であるとか、その辺も含めて大きな意味で、家族ケアラーも含めた家庭生活に関する分野を少し考えていただければと思います。

以上です。

藤井議長代理 佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 福祉用具という1つの分野を設ける時期に来ているのではないかと思います。介助にも関わるし就労にも関わったり、教育だとか情報コミュニケーションにもいろんなところに顔を出すものなんですけれども、福祉用具の研究開発、普及利用等を入れたらいいのではないかと思います。

藤井議長代理 中西委員、どうぞ。

中西委員 中西です。ちょうどいいタイミングで佐藤先生が福祉機器のお話をされたので、私はそれもやはりないなと考えて「2、これまで議論された分野」として挙がっている介助に関わる分野で、自立した生活という形で介助を含め、福祉機器も含め、聴導犬、盲導犬のような移動等を手助けしてくれる存在も入れて、持ってきた方がいいのではないかと考えています。

以上です。

藤井議長代理 東室長、お願いします。

東室長 今日こういう形で御提案させていただいた趣旨としては、先ほども若干申しましたけれども、まず事実確認として議論をしたのかしていないのかというところをベースとして確認した上で、漏れている分野として議論していなければどう議論していくか。そこの目安みたいなものがほしかったということです。

ただ、今、御意見を聞いていますと、既に議論しているんだけれども、こういうまとめ方ですべきだという御意見もかなり含まれていたかと思うんです。まだこれはどういうふうにまとめるかという前提でつくっておりません。ばらばらに書いております。例えばユニバーサルデザインに関わる分野で議論したという中には、バリアフリーとかアクセスビリティという議論を含んだ形で、事実としては議論してきておりますし、ほかの分野でもそれに関連することも含めて議論がなされております。ただ、それをどうまとめるかという点で、もう少しこういう視点からまとめた方がいいだろうという御意見がいっぱいあったと思っております。

そういう意味で今、言われた点を少しこちらとしても整理しまして、事実上議論されていない分野についてはどこかで議論すべきかなと思いますし、議論されている分野であれば、まとめ方としてどうなのか。それを条文にどう結び付けていくかという検討をさせていただきたいというところです。

以上です。

藤井議長代理 今まで議論したところで漏れがあるところ、なおかつ、今後の中では書き方については、幾つか17項目の中で複合的に入ってくる点もありますので、それも含めて少し書き方については考えてみたい。もしどうしても今日発言できなかった方があったら、意見を早めに出してください。では、本件はこれで終わります。

次は報告と質疑に入ります。大臣、どうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。差別禁止部会の委員の候補について、東室長から提案をいただきます。

東室長 差別禁止部会の構成員案というものを、先ほどお配りさせていただいたと思いますが、お手元にございますでしょうか。なかなか時間がなくて、やっと今日発表できるような段階になりました。それで点字版がありませんので、基本的に読み上げるつもりでおりましたので、資料は後でお配りします。

障害者に対する差別禁止法というものを日本の法体系に持ち込むという作業は、非常に大きな作業だと考えております。法体系の中にどう位置づけていくのか、そこから始まって各法との関連をどうするのか、そして現実の問題としてどういう問題が現場で起きているのか、そういう現場感覚を基に、これまで障害者の運動の中で差別禁止に焦点を当てて活動されている人たちが、どういう御意見をお持ちなのか、もしくは裁判などで実際にやられている弁護士の感覚としてどうなのか、そういう辺りを構成員に反映したいと思っております。

また、憲法的な視点から議論が必要だと思いますので、大阪大学教授で憲法学を担当されております棟居快行先生にお願いをしたいと思っております。

早稲田大学で労働法を教えられております浅倉むつ子先生に、労働法の観点から御議論願いたいと思っています。

京都大学で民法を教えられております山本敬三先生がいらっしゃいます。差別禁止法は民法レベルで言えば不法行為という部分に一般的には当ろうかと思うんですが、それの特則みたいな関係にもなるという観点で、民法的な観点から御議論いただきたいと思っております。

本委員の山崎公士先生は国際人権という視点から、特に救済の在り方について議論いただければと思っております。山崎先生は神奈川大学法学部で国際法を教えられております。

同じく推進会議のメンバーですが、松井先生にも労働の観点から御議論願いたいと思っています。

皆さんよく御存じだと思いますけれども、権利条約を訳されております川島聡さん、東京大学大学院の特任研究員をされていますが、この方にもこれまでの条約の経緯及びほかの諸外国についての見識もございますので、その方にも入っていただきたいと思っております。

実務的な弁護士というサイドでは、推進会議のメンバーであります大谷先生、ヒアリングで来ていただきましたけれども、弁護士の池原先生にも特に精神分野における問題について御見識がございますので、入っていただきたいと思っております。

堂本委員が知事時代につくられました千葉県条例の中で、研究委員会の座長をされていた、毎日新聞の論説委員をされています野沢さんにも参加していただきたいと思っています。

当事者サイド、もしくは弁護士会も含めてですが、これまで差別禁止に焦点を当てた研究とか支援をつくる、もしくは運動をするという形でされてきた分野から、ここの委員でもあります竹下委員に、当事者という側面も含めて参加していただきたいと思います。

障害者政策研究全国実行委員会障害者差別禁止法作業チームの委員ということで、いわゆる差別禁止の市民案をつくられてきた中に川内さんという方がおられます。障害を持っておられますけれども、東洋大学の先生でもあります。その川内さんにも入っていただきたいと思います。

実は1990年にADAができたときに、日本にADAを広めてくれたのは川内さんなんです。彼が全国を行脚して、アメリカの関係者を連れながら差別禁止法を広めてくれたという実績もある方です。

障害者差別禁止法(JDA)を実現する全国ネットワークの理事でもあり、日本アビリティーズ協会の会長でもあります伊東弘泰さんもいらっしゃいます。総合福祉部会の委員でもありますけれども、伊東さんにも当事者のサイドから御発言をいただきたいと思います。

JDFの中でいろいろ委員会がありますけれども、障害者の差別禁止と権利法制に関する小委員会の委員長であります、太田修平さんにも入っていただきたいと思っています。

差別禁止法の大きな分野として労働の分野があります。その関係で労働者側として連合から小島茂さんに入っていただきたいと思っております。

自治労の中で障害を持つ人たちの組合の連絡会議がございます。通称障労連と言われておりますけれども、そこの代表幹事をされています西村正樹さんにもお願いしたいと思っています。

お立場の関係上オブザーバーということになりますが、日本経済団体連合会からは、ここの委員もしていただいています遠藤様にオブザーバーとして入っていただきたいと思っています。

日本商工会議所からは佐藤健志様に入っていただきたいと思っております。これは使用者側というだけではなくて、例えば消費生活の場面で企業とそこを利用する障害者の間で、合理的配慮の問題なんかも多くあるわけです。そういう意味でも商工会議所から入っていただいたことになります。

専門協力委員という形で若手の学者さんに3人ほど入っていただきたいと思っています。

差別禁止法はアメリカを起点に世界的に発展してきた経緯があります。そして、それぞれの国で、その国に合ったような形で実現化しているわけですけれども、世界の差別禁止法制についての研究をなされている方がいらっしゃいます。

1人は永野仁美さん、上智大学法学部の准教授で専らフランス法を研究されておられます。

引馬知子さんは田園調布大学の准教授で、EU法制についていろいろと関わられております。EUは随分ダイナミックに変わってきております。そこの推移というのは非常に参考になるのではないかと考えております。

3番目の方は相澤美智子さんです。一橋大学専任講師で労働法をされていますけれども、ジェンダーの観点から例えば間接差別の問題などについても、いろいろ論文を書かれております。障害者に対する差別禁止法の中で間接差別の解釈として入っていると言われておりますが、間接差別についてどう考えるか、まだまだ議論が足りないところでありますので、是非とも相澤さんの御見識を出していただきたいということで考えております。

この3人の方には、議論のベースとなるような基礎的な資料などの作成にも携わっていただいて、議論を効率よく進めていただくという形で御協力願えればと思っているところです。

以上、正式な構成員としては15名です。オブザーバー、専門協力委員を含めると20名という形で、御内諾を得ている状況です。

報告としては以上です。どうもありがとうございます。

藤井議長代理 質問はございますか。大谷委員、どうぞ。

大谷委員 人選に関して異議を言える立場ではないことは重々わかっている上で、あえて言わせていただきますけれども、この構成員を初めて見させていただいて、労働にここまで偏って、教育に一切の配慮がないというのは驚き以外の何物でもない。インクルーシブ教育を是非推進する立場から教育現場の人、それなりにずっと教育現場で頑張っている当事者等々がおられたと思うんです。文科省からここは教育の専門家がないと言われながらずっと来て、教育の専門家と言われるのはどういう方かわかりませんけれども、私は差別禁止部会に教育従事者等が入ってくるのをとても期待して待っていたんですが、入っていないんです。これはどうしてなんでしょうか。

東室長 教育分野に関しては、教育自体の中身についての議論は本当に活発にいろんな立場から出されていると思いますけれども、人権という観点から教育における差別禁止について、そこに焦点を当てて御意見を述べるとか研究をされている方は、非常に少ないわけです。そういうこともありまして、これまでのいろんな試案を出されてきた段階、もしくは試案の中にも教育についてはそれなりに触れられておりますし、御議論されてきたと思うんです。ですから、そこら辺を含めて教育の分野については御議論願いたい。もう少し言わせてもらえれば、大谷委員がこれまで教育についてはいろいろ御議論されてございますし、頑張っていただければと考えております。

藤井議長代理 長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 ありがとうございます。個人的には同じプロジェクトにおります川島さんが入ったことを嬉しく思いますけれども、本当に細かい点で恐縮なのですが、東洋大学の川内さんの「よし」の字が、川内さんは美男子なので美しい美彦と覚えていただいた方がいいかと思います。せっかくの大事な名簿ですので、訂正を是非お願いいたします。

東室長 済みません、申し訳ありませんでした。

藤井議長代理 大事な御指摘でした。ほかはよろしいですか。佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 いろいろ検討されて、よく熟慮されてつくられたんだろうと思いますので、いいかと思うんですけれども、やや心配なのはオブザーバーでお二人、経営サイドの方がおられますが、実際にいろんな場面で差別の問題が問われることになると思うんです。例えば大学を含む学校教育だとか、医療機関での問題だとか、タクシーの乗車なんかをめぐることも含めて交通機関、交通事業者、デパートなど、いろんなところで何が合理的配慮なのかとか、そういうものを含めた議論がいろいろ必要になってくるんだろうと思いますので、ヒアリングとか何かの形でこれだったらやれそうだとか、そういう議論をできる場があるといいのかなと思いました。

東室長 ありがとうございます。進め方の問題になるわけですけれども、一応考えておりますのは各論、各分野の具体的な差別を議論するに当たって、是非とも立法事実といいますか、どういうことが現場で起きているのかについて、ヒアリングを十全に重ねていくことが求められるだろうと思っておりますので、そういう形でやっていきたいと思います。

藤井議長代理 堂本委員、どうぞ。

堂本委員 私は当事者が少ないのではないかと思うんです。野沢さんも非常に重度の自閉症のお子さんのお父さんなので、当事者ではいらっしゃるんですけれども、先ほど大谷さんもおっしゃいましたが、私たちがこんなことがと思うようなことを伺ったのは、やはりお子さんをお持ちのお母さんだったんです。教育のことが差別の中でトップだった。差別の実例というのを800ほど出してもらった中のトップは教育だったんですけれども、その中で経験をし、名前こそ研究者のトップの方を集めてくださったように見えておりまして、研究としては非常に高度なものが書かれるかもしれないが、私は日本で差別禁止法ができるのであれば、むしろ実態に即した、本当に差別されている人たちから差別がなくなるような法律にしてほしいと願います。

その意味で言うと、この委員会はとてもいい委員会だと思うんですが、こちらはここの推進会議の持っている特質から外れているように思うんです。当事者がいない。そのことがとても心配です。どうもありがとうございました。

東室長 当事者というか、障害を持った人及び関係者ということであれば、7人は少なくともおります。御指摘の点はごもっともな点だと思います。ただ、委員として入れる方法も当然あるわけですけれども、これら7名の方はこれまで自分の障害だけではなくて、全般的な状況を把握した上で議論を積み重ねてこられた方ばかりですので、そこに漏れがあるとは思っておりません。ただ、やはり具体的な現場の生の声というのは佐藤先生からも御指摘がありましたように、ヒアリングを十分やりたいと思っているところです。

藤井議長代理 いろんな御意見があろうかと思いますが、今のとおりいろんな障害への思いをはせながら論議できるメンバーでもある。なおかつヒアリング。より大事なことは、またこの場に持ち帰ってきてくれるということがありますので、二重、三重で動いていくんだと考えれば全部部会で完結ということはありませんから、そこを信頼しながらやっていくというふうにして、今日の段階ではまとめておきます。

次の報告がありますが、少し時間が10分ぐらい延長になりますので御了解ください。次は佐藤部会長の総合福祉部会から、この間の論議の経過を5分程度になりますけれども、これは昨日ちょうど行われています。加えて合同作業チームの座長からと思ったんですけれども、大分時間が押していますので併せて佐藤部会長の方から、昨日座長会議もやっていますので、ごくポイントになりますが、経過を御報告いただけますか。

佐藤委員 昨日、厚労省の講堂で総合福祉部会が開かれまして、最初1時間くらい障害者実態調査のことなどを中心とした報告事項的な全体会をやった後で、厚労省の講堂に9つのテーブルを設けて、3時間ほどの作業チームの第1回目の会合を開いたということで、そのうちの6つは総合福祉部会の下に置かれている部会作業チームで、3つの作業チームなんですけれども、その中で2つの班、3つの班に分かれているところもあって、合計6つのテーブルに分かれて議論をしました。

この推進会議の下に部会と合同で設けられている合同作業チーム、就労と医療と障害児支援という3つの作業チームについても同じ会場で開かれました。全体会のときには推進会議のメンバーで、部会のメンバーになっていない方は端の方で待機をしていただいて、2時からは合流をして部会のメンバーと一緒に討議をしていただいたということです。マイクを使わない話し合いなので声が聞き取りにくいだとか、傍聴の方も更に聞き取りにくいということがあったりということで、11月、12月と第2回目、第3回目の作業チームの話し合いを開くわけですけれども、もう少し設定など条件を改善しながら進めていくことになっております。

昨日の話し合いと、メールなどでこれから打ち合わせをこれからするわけですけれども、作業チームではこういう方向で、こんな点の議論が進んでいるということについての簡単な月報的なものは11月19日、次の部会のときに報告をしていただくことになっております。その部分に関しては紙で部会にも配るし、同時にインターネットで公表をするということで、月々の動きを11月、12月と見ていただきながら、最終的には1月に3か月の議論をまとめて作業チームの報告をいただき、1月からは一部つくり変えて別なテーマで、例えば利用者負担の問題だとか、新しいチームを立ち上げて、3月まで第二期の検討に入る。そんなことで内容的な話は今の段階で報告できる時間もありません。内容もまだ十分把握しておりませんので、そんなことで進んでおります。

藤井議長代理 合同作業チーム、作業チーム6つ、都合9つが昨日スタートを切ったということで、また逐次報告をしていただきます。

最後の報告になりますけれども、川崎委員から障害の表記、今日も委員会が開催されていますので、お願いします。

川崎委員 川崎から報告させていただきます。本日の午前10時から12時まで、第4回の障害の表記に関する作業チームを開催いたしました。本日も前回に引き続きましてヒアリングを実施いたしました。3人の方に来ていただきました。

お一人が第一生命から人事部の方に来ていただき、朝日新聞本社からお一人来ていただき、もう一方は竹中ナミさんという、社会福祉法人プロップ・ステーションの方の3人の意見を聞きました。

今まで3回ヒアリングを行いまして、9人の方のヒアリングを終えましたけれども、次回もう一回学識経験者ということで、もう一方のヒアリングを行います。それら10人の方のヒアリングを含め、それと実は前回にも皆様に報告いたしましたんですが、内閣府のホームページで皆さんの意見を聞くということで募集をいたしまして、大変に短期間でしたんですけれども、640近い意見をいただいております。

このデータと、もう一つ日身連で行っていただきました障害の表記に関する同じようなデータをいただいておりまして、これらを含めましてチームといたしまして方向性を次回ぐらいまでにまとめて、皆様に報告できればというところでございます。山崎先生ももうそろそろ出ていただけるということで、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

藤井議長代理 この点に関する質問はございますか。竹下委員、どうぞ。

竹下委員 1点だけ、表記ということですけれども、これは名称も含んで検討されているのでしょうか。

川崎委員 今回私どもは表記に関してということでお願いしておりますけれども、御意見の中には名称を含めてとか、さまざまな意見が出されていることは報告の中で出させていただきたいと思っております。

藤井議長代理 よろしいですか。それでは、この件はこれで終わります。

以上をもちまして本日準備されました議事内容は終わりますので、マイクを小川議長にお返しいたします。

小川議長 本日は長時間本当にお疲れ様でございました。ここで東室長より今後の予定を含め、報告すべき事項があれば御説明をお願いいたします。

東室長 担当室の東です。本日は御苦労様でした。次回23回の推進会議は11月1日月曜日ですぐです。議題は引き続き障害者基本法の改正について等ということですので、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

小川議長 ありがとうございました。それでは、これをもちまして本日の会議を終了いたします。この後、この場所で記者会見を行います。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。御苦労様でございました。(拍手)

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