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障がい者制度改革推進会議(第23回)
議事録

小川議長 これより第23回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。

本日の委員の出欠状況ですが、門川委員、山崎委員、福島オブザーバーが御欠席、大久保委員、大谷委員、清原委員、堂本委員が若干電車の関係で遅れるという状況でございます。その他の委員は御出席です。

会議の公開はこれまでと同様といたします。進行上の時間配分につきましては、後ほど東室長より報告があります。本日の会議は17時までを予定いたしております。

それでは、これより先の進行については藤井議長代理、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 それでは、第23回目になりますが、推進会議を進めてまいります。

最初に東室長より本日の議事の概略についての説明をお願いします。

東室長 担当室の東です。今回も障害者基本法の関係などをテーマとして取り上げていきます。今回は15分の休憩を2回とることにいたします。そこで3つのコーナーに分かれることになります。いつもよりも議事のボリュームが少のうございますので、予定よりも早く終わることが予想されておりますので、御理解のほどよろしくお願いします。

第1コーナーは70分の予定です。冒頭に障害者基本法の各則として取り上げる分野について、これまで議論がなされなかった部分について報告いたしたいと思っております。

続きまして資料1「障害者基本法の改正に関する規定ぶりイメージ素案(各則関係部分<1>)【たたき台】」という長い表題になっておりますけれども、それを基に国際協力、選挙等、公共的施設のバリアフリー化の3つの分野について議論をいたします。

第2コーナーは65分の予定で、3つの合同作業チームの検討状況などにつきまして御報告、御議論をしていただきます。

第3コーナーは25分の予定で、報告事項と質疑になっております。

以上が本日の予定であります。

藤井議長代理 それでは、これから70分間の予定で第1コーナーに入ってまいります。最初にありましたように各則として取り上げるべき分野についての、これまでの議論の整理を東室長からいただきましょう。東さん、どうぞよろしく。

東室長 担当室の東です。前回これまで議論されてきた分野の確認等ということで、現行障害者基本法の各則に対比しまして、これまで議論されてきた分野ということで17の項目に分けた資料を提出させていただきまして、これまで議論されなかった分野、漏れている分野について御議論いただきました。この中でこれまでほとんど議論されていなかった分野について御意見をいただきましたけれども、例えば家庭生活に関する権利の部分は権利条約に規定がある分野ですが、これについてはまだ議論がなかったという御意見がありました。このことにつきましては正面から確かに議論がなされていないところです。

次に、例えば災害対策についてはどうかという御意見がありました。災害対策のうちの情報に関する部分につきましては、確かに議論はありましたけれども、避難体制とか被害回復の問題につきましてはまだ議論がなされていない部分だと思います。

福祉用具、福祉機器は盲導犬とか聴導犬も含めまして、これについても議論がまだなされていないかなと思っております。

権利条約の14~17条にかけての部分です。権利条約の14条は身体の自由及び安全、15条は拷問等について、16条は搾取、暴力、虐待、17条は個人のインテグリティについて規定があるわけですけれども、この中で強制収容とか虐待などについては一定の議論があったと思いますが、その他まとまった形での議論はなされていない部分もあると思われます。

権利擁護とかアドボカシーについては、一部例えば成年後見の中で欠格事由になっているという議論はありましたけれども、正面からの議論はまだなされていないかなと思っております。

今回、大久保委員から教科書とか教材のアクセスの問題に関して文書が出ておりますが、これについても議論がなされていない分野かと思っております。

今回以降、議論する各則の中でこれまでに議論されていなかった分野に関連する部分があれば、その中で議論していきたいと思っております。ただ、全部が全部改めて議論を起こせるかどうかについては時間との関係もありまして、今後の進み方を見ながら議論していただくことになろうかと思っております。

簡単ですが、以上です。

藤井議長代理 それでは、これは報告だけにしていただきまして、早速今日の第1コーナーの本論に入ってまいります。先ほど言われましたが、今日は基本法の各則部分について3つ、国際協力、選挙等、公共的施設のバリアフリー化という3つについて、第1コーナーで論じてまいります。

齊藤企画官よりお話いただきますけれども、残りの時間70分弱を3つに分けまして、最初に国際協力、次に選挙等、公共的施設のバリアフリー化を齊藤企画官から報告をいただいた後、これについて十数分間ですが、質疑を交わし合うということで報告と質疑というふうにして進めてまいります。

それでは、最初にたたき台に沿って、齊藤企画官から国際協力についての条文イメージの報告をお願いいたします。

齊藤企画官 企画官の齊藤でございます。資料1に沿って御説明をさせていただきます。

初めに毎回同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、本資料の趣旨について念のため御確認させていただきたいと思います。本資料はこれまでの会議における議論などを事務局において、規定ぶりイメージの形に整理をしたものでございます。既にお気づきのことと思いますので、後ほど御質問をいただく前に御説明を申し上げますが、前回まで条文イメージ素案たたき台としていたものを、今回から規定ぶりイメージ素案たたき台と若干文言を変えてございます。

これまでの条文という文言が、政府部内におけるある程度調整を経た政府案のたたき台のような、誤った印象を与えてしまっていたのかなという反省も踏まえまして、微修正をしておるものでございます。あくまでもまだ政府部内の調整を経たものではないということを、念のため御理解いただきたいと存じます。

特に本日から始まります各則の部分につきましては、それぞれ法制上の整理に加えまして、所管省庁との調整などが必須となってまいります。今後そのような調整が必要でございますので、その旨を誤認識いただければ幸いでございます。

ということで、早速「1.国際協力」の部分を御説明させていただきます。総則部分の国際的協調と同様に、これは男女共同参画社会基本法に類似の規定がございますので、その規定を参考に規定ぶりイメージを作成してございます。具体的には国際的協調のための施策といたしまして、国は障害者の権利の確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援を国際的協調の下に促進するため、外国政府または国際機関との情報の交換その他国際的な相互協力の円滑な推進を図るために必要な施策を講ずるものとすることでございます。本規定はこれまでございませんので、新設となってございます。

今後この規定を国際協力に関する施策の目的の書き方として、このような書きぶりが適当かどうか、国際的な相互協力の具体的な内容について更に精査が必要だと考えてございます。

以上でございます。

藤井議長代理 今日からは条文イメージと言ってはいけなくて、規定ぶりイメージと言わなければいけないらしいので、たまに間違う場合もあるかもしれませんけれども、よろしくお願いします。齊藤企画官、規定ぶりイメージですか。

齊藤企画官 はい。

藤井議長代理 では規定ぶりイメージ素案となります。

それでは、イエローカードが土本さんから出ていますので、お願いします。

土本委員 規定ぶりイメージということを、もう少し具体的に言ってもらいたいのですけれども。

藤井議長代理 齊藤企画官、この条文イメージと規定ぶりイメージの違いをもう少し厳格にしていただいて、なおかつ規定ぶりイメージの解説をお願いします。

齊藤企画官 書いてある内容に関して、これまで事務局内でした作業は全く一緒でございます。ただ、作業した内容のものをどういう名前をつけてお示しするのが適当かを考えた際に、最終的に政府から提出する法案というのは条文の形で閣議決定をして提出をいたします。

検討の過程で今ここにあるものがどの位置にあるのかというのを、できるだけ正確に記述しようといたしまして、どうしても条文イメージとなりますと、ある程度政府部内で調整をして、こういった条文の立て方でどうかという具体的な案のような印象を与えてしまうのではないかと反省しまして、毎回御説明申し上げていますように、これまで本推進会議において御議論をいただいて、1次意見としておまとめいただいている部分もございますが、そういった内容を法文の形にしていくに際して、どういう言葉遣いで表現できるのかという、まさにこれから条文化していく作業のスタート地点に今いると認識しておりまして、何もない白地で議論をいただいてもなかなか議論が詰まっていかないということから、あえて条文に類するものとして文言を並べたのが今の作業の段階でございます。

それを条文という文言で呼ぶのは不適当ではないかということを部内で再度検討して考えたので、条文という言葉を使わずに表現をしようと思った結果、この規定ぶりという言葉を編み出したということでございます。

藤井議長代理 土本さん、わかりましたか。わかりにくいですね。

土本委員 やはりこの委員の人たちも、これはわかりづらいという状況であることも含めて、話し合いをしなければならないのではないかと思います。

藤井議長代理 お役所の中での1つのいろんな調整で、条文と言うと少し踏み込み過ぎているということらしいんです。私は規定ぶりも余り変わらないと思うんです。またここは語句だけの問題ではないかと思いますけれども、これで質問者へのお返事というふうにいかないかもわからないが、また休憩時間等を使いながら説明をお互いにし合うことにしましょうか。土本さん、進行していいですか。

土本委員 はい、いいです。

藤井議長代理 それでは、肝心の中身に入ってまいりますが、国際協力で今、言われたことは権利条約の中では32条にも関係するところですけれども、まず質問、意見はいかがでしょうか。中西さん、どうぞ。

中西委員 ありがとうございます。中西です。形の上では国際協力が入ったように見えるのですが、実際的にここで言われている文言は、国際的な相互協力ということで、あくまでも今までの国際支援というような、持てる者が持たない者へ持っているものをシェアするという形ではありません。相互というのは相手から期待をして、相手も何かをしなければいけないということで、私たちが考えているような国際協力ということとこの文言は異なるので、やはりこれは国際協調の項目の下に2文にするなり、国際協調と国際協力は違うものだということで、国際協調のために国際協力が必要でしたら、その中に含めるのではなく、そのためにも国際協力が必要であるという前回提案したような形にしていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 とりあえず関連すると思いますから続けましょう。長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 ありがとうございます。東京大学の長瀬です。まず総則部分に引き続いてですけれども、新たに国際協力、国際的協調に関する規定が設けられることは非常に嬉しく思います。

今の規定ぶりイメージですが、1つは最初の障害者の権利の確保並びに障害者の自立及び社会参加の支援、まだこんな細かいところまで議論する必要はないかもしれませんけれども、支援という言葉が要らないのではないかと思います。どうしても全体として障害者はさまざまな支援の対象で、実際に支援が必要な場面も勿論あるわけですが、過度に支援を強調するのは避けたいという観点から支援の削除の提案です。それと、今この規定ぶりイメージが先ほども齊藤企画官からおっしゃっていただいた、男女共同参画社会基本法にならっているということで同じ文言になっているんですが、その次のところの外国政府または国際機関との情報の交換というふうになっていて、具体的には外国政府と国際機関しか出ていないのは不十分だと思います。藤井議長代理から御指摘のありましたように、32条で国際協力が規定されているわけですけれども、32条では国家間において並びに適切な場合には、国際的及び地域的な関係機関並びに市民社会、特に障害のある人の団体と共同してということがありますので、ここに具体的な記述として是非、市民社会、特に障害のある人の組織ということを具体的に入れていただきたいと思います。

この推進会議でも以前に、お隣の土本さんから例えば再来年にピープルファーストが、知的障害者本人の組織ですけれども、アジア太平洋の国際会議を開くということがありましたが、本当にいろいろな面で障害のある人たち自身の組織を中心とする、市民社会の役割が非常に大きくなっていることを考えますと、従来の男女共同参画社会基本法案と同じ外国政府と国際機関というところだけでは、不足だと申し上げたいと思います。ありがとうございます。

藤井議長代理 それでは、竹下委員、お願いします。

竹下委員 竹下です。3点指摘をさせていただきます。

第一点目は国際協調あるいは国際協力という言葉の使い分けの問題は、いろいろ言われているので置きまして、この規定が入ったことによってどういう違いが生じてくるのかというのが1点目です。すなわち、例えばこれまでにも国際機関等からの国内の人権状況に対する改善を求める勧告等がなされても、我が国はそれに応じてこなかったという事実があります。そうすると、こういう規定が入ったことによって障害者施策に関する国際機関からの人権問題、障害者施策に対する勧告や改善の要請があったときには、どういう効果を持つのかが重要であるわけですから、この規定ではそういう点が明確にならないという不満があります。

2点目は外国籍障害者に対する福祉サービスの問題であります。現実に我が国に滞在する外国籍障害者に対して、この規定によって平等な施策が実施されることになるのかどうかが見えてこない。もっと明確にそういう点では我が国に滞在する外国籍障害者に対するサービスが、日本国籍障害者と同様にサービスが受けられる規定にすべきだというのが2点目です。

3点目は長瀬さんと似ているわけですけれども、この規定では民間団体、障害者団体等の連携が含まれないと思います。ちなみに私は29日から今日までアジア太平洋地区の視覚障害者の国際会議をやって今ここへ来たんですが、その中でも非常に民間団体といいますか、そういう視覚障害者団体の国際協力の下での情報交換であったり、政策的支援の問題であったり、そういうことについての論議をしてきたわけですけれども、そういうことがスムーズに、あるいは国の支援を受けながらそれを実施するための根拠づけになる規定に、この点はなり切っていないと思うので、そういうものが行えるようにすべきだと思っています。

以上3点です。

藤井議長代理 松井委員、どうぞ。

松井委員 ありがとうございます。松井です。既に中西さん、長瀬さんからも指摘があったので重複することになりますけれども、外国政府及び国際機関との交流、情報の交換というのは先ほど指摘があったように、必ずしも政府間だけではなくてNGOも含めた、特に障害団体を含めた形の書きぶりが適当であろうと思いますし、情報の交換というふうにかなり限定的になっておりますが、情報だけではなくて人的な交流であるとか、そういうことも含めて書き込むべきではないかと思います。

中西さんから指摘があったように、相互協力という意味での相互というのは必ずしもつけなくても、国際的な協力ということでいいのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 関口委員、どうぞ。

関口委員 長瀬さんの言った、支援というのを取った方がいいのではないかというのに反対です。というのは第32条b項で、能力の開発を容易にし及び支援することというのは、特に次のことを含むということの中に入っておりまして、これが抜けるとまずいというのが1つ。

国際協力及びその促進が重要であることを認識して、適当かつ効果的な措置をとることになっているので、わずか3行にまとめられた中ではかなり今までいろんな方がおっしゃっていましたけれども、抜ける部分が出てくるのではないか。例えば障害者基本法では国民という言葉を使うんだとすれば、まさに在日の外国人のことはここの部分に入れるしかないのかなと思います。

藤井議長代理 今の4人の御発言をうかがっていますと、この規定ぶりの目的は一体何なのかというところですね。これが単に狭義の交流とか強調だけなのか、竹下委員がおっしゃったように国際機関等の勧告等を日本はどう尊重するかとか、在日の外国人障害者にもいい影響が及ぶようにとか、そういうところまで入るのか。ここが論点の1つで、加えて中西委員が言われたように相互という意味合いを除去して、むしろ交流という点あるいは長瀬委員が言われました点も特にNGO、市民社会等を、ここでは外国政府、国際機関の2つに限定していますので、これを権利条約の水準まできちんと位置づけるべき。関口委員の意見も関係します。松井さんの意見も中西さんに関係します。

この辺がどうかということがありますが、まず目的について今の原案とは大分違ったようになっていますので、一旦ここで齊藤企画官からお答えをいただいた上で、更に議論を進めてまいりましょう。齊藤企画官、お願いします。

齊藤企画官 まさにそういった部分を推進会議で御議論いただきたいということで、原案を作成しているわけでございますけれども、最初に申し上げましたように、この部分の規定は男女共同参画社会基本法を参考として書いておりまして、先ほど来議論になっている例えば国際協力というものが、男女共同参画の分野で必ずしも位置づけられていないわけではないと思いますし、そういう意味で恐らく似たような立て方の条約があり、基本法がありますので、今、御議論いただいたようなところはある程度カバーはできているのではないかと思いますが、逆に更にこういった部分が入るのか入らないのか、それとも入れるべきなんだという議論を推進会議でしていただいて、それを基に男女共同参画社会基本法の規定の内容などを、今後精査していくということではないかと思っておりますけれども、よろしいですか。

藤井議長代理 その前に関口委員と長瀬委員の意見の相違があったので、長瀬委員、まず支援の問題についてコメントはありますか。

長瀬委員 長瀬です。今は結構です。ありがとうございます。

藤井議長代理 そうしたら、今、齊藤企画官からまさにそういうことも含めて今日ここで議論を出していただいて、男女共同との整合性もあるし、更に独自に推進会議としてどうするかという論点もあろうかと思うので、もう少し今の点に関して意見があれば出してください。大谷委員、どうぞ。

大谷委員 私の記憶で申し訳ないんですけれども、男女共同参画のときの国際協力、国際協調の議論をしたときには、少なくとも国際監視と在日外国人を含めた形での文言というふうに、それを意識した議論をした覚えがないんです。必ずしも私の記憶が違っているかもしれないんですが、あの当時はまさに市民と国際組織との連携ということで議論したのであって、居住している外国人とどう国際協調しようかとかいうようなものは、そこの文言に入れたのかなというのが非常にあいまいな記憶なんですけれども、意識的には少なくとも議論をしなかった。

国際監視に関しては、別項で憲法との関係で条約遵守義務があるんだという意味では議論されましたけれども、この国際協調、協力の中で国際監視を重視しなければならないということを入れたらどうかということを、余り明確な記憶ではないが、なかったように思うんですけれども、どなたかそのことに関して、あのときにはこうだったということがあれば参考にしていただいた上で、議論した方がいいのではないかと思いました。

藤井議長代理 ちなみに大谷委員として、議論がなかったとした場合に当推進会議としてはどう考えますか。

大谷委員 率直に申し上げて、国際協力の中に在日の方の権利とか国際監視を盛り込むのは、若干無理があるのではなかろうか。もし入れるとしたら別項で違う形で保障するべきだろうと思っておりました。

藤井議長代理 今、大谷委員からは男女共同参画のところでの議論の中に、そういう議論は入っていたのか。あえて言うならば、更にそのことをここで議論するのは、この規定ぶりには無理があって、置くとすれば別項を設置すべきだろうという御意見だったんですが、長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 長瀬です。ちょっと違う論点なのですが、これは総則のときも申し上げたのですけれども、項目の見出しは1で国際協力になっているのですが、総則も国際的協調だし、ここも「1.国際協力」とは書いてあるんですけれども、例えば名称は国際的協調のための施策となっています。先ほど中西さんがおっしゃった点と重なると思うのですが、やはり今回は32条の国際協力というところで、新たに基本法の中に条文を新設ということで提案をしてきました。それが現在は国際協調の方にすり替わって入っていると思いますので、今回の32条の国際協力という点から総則として各則ともに見直す必要があるのではないかと、全体的なイメージのところで考える必要があるので、今回の国際の部分の新設の目的が何かという原点を、もう一度確認する必要があるのではないかと感じています。

藤井議長代理 幾つか論点が重なっていきますけれども、今の御意見は1つ考えてもらいましょう。中西委員、どうぞ。

中西委員 齊藤さんの御質問の答えですが、いいですか。それでしたら、ほかにいろいろ入れるべきことということで、国際協力という意味で言うならば情報の交換だけではなくて、経験、訓練、研修、条約に基づくと技術的、経済的支援というものが入ってくるんだと思うんです。

そこがやはり長瀬委員のおっしゃったように、情報だけの交換になってしまうと片手落ちであり、国際協力というのは一応ここでは障害者の社会参加とか自立とか、頭に出ていた言葉というのが全般的な基本法の目的でありますので、それは支援ということで議論にはなっていますが、自立及び社会参加を促進するために国際協調の下そういうものの交換とか、国際開発のための経済的、技術的支援という形できちんと明記した方がいいように思います。

藤井議長代理 竹下委員、先ほどの大谷委員の国際監視や在日外国人障害者については、むしろ別項でという意見もあったんですが、いかがですか。

竹下委員 竹下です。2つ申し上げれば、まず大谷委員がおっしゃっている趣旨が、それは規定上無理だという趣旨ならば、それは別項に設けることについて何も私は異論を言っているわけではないんですが、そうであればその部分の新設が必要になるだろう。そうではなくて、ここに相互協力と入っていることが気になったわけです。

もともと国際協調の上では相互主義という考え方があって、例えば特定の外国が日本と同様のサービスを我が国の国民に対して提供している場合は、その国の外国人が日本にいる場合に、同様のサービスを提供するという形の相互主義というものがあるわけですが、年金なんかは特にそういうことが言われるわけですけれども、相互主義ということがもしここに意識されて相互協力とあるとすれば、外国籍の人に対するサービスを意識しないということは逆にわからなくなるわけです。

もう一つ、国際監視の問題というのはもともと権利条約が2段階でのモニタリングを求めているわけです。国連においてもモニタリングをやっている。各締約国、要するに批准した国にもモニタリングを義務づけているわけです。そうすると国連によるモニタリングの結果としての締約国に対する勧告ないし是正指導に対して、どう対応するのかということが、どこに規定されているのかということが逆にわからなくなるから、ここに含むのではないかと理解したわけです。

以上です。

藤井議長代理 これはまた今後の論議になろうかと思います。問題提起として今日はここで承っておきましょう。関口委員、どうぞ。

関口委員 関口です。条約の条文では国際協力となっていて、国際協調としてしまうと足並みをそろえて低水準でいいという可能性が出てきてしまうと思うんです。とりわけこの前のESCAPで28項でもって、法的能力の問題についてWNUSPのメンバーと議論があったところです。つまり国際協力はこの条約の目的及び趣旨を実現するために行うものですから、協調して仲良く例えばESCAPならESCAPの中で低水準のものをということではないと思うんです。ですから、そこのところを国際協力という形で整理し直して、協調されても困る。つまり精神の分野でもって協調すると、世界中ほとんどの国で精神がものすごく差別されているわけですから、そこで協調されてしまったら精神の世界の進歩はないです。

藤井議長代理 議論を更に正確を高めていくために、国連の権利条約をつくる過程での第32条国際協力がつくられる背景、過程を東さんからコメントをいただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

東室長 担当室の東です。国連における権利条約の審議の過程で、国際協力についてはいろんな観点から議論されてきたわけですけれども、1つ言えるのはもともと南北問題というのが前提にありまして、開発の権利というものを国際協力の中に入れ込もうという考え方が一方であったわけです。しかしながら、開発の権利という南から北への権利というものを、どう個人ベースの権利条約に落し込むかという中で、それは非常に難しいという話もありました。ですから、これは条約の実施という部分に規定されておりまして、権利という部分には規定されていないわけです。

ただ、国際協力がなければこの条約が実施できないかという4条の規定との関係で国際協力32条の頭書きの部分にそこら辺の考え方が触れてあるわけです。ですから、相互協力という形でこの国際協力が問題になったのではないという点は、審議の経過の中から明らかだと思います。

ですので、中西委員が言われたように北から南への支援ということが実際的には念頭にあってできた規定ということであります。その中で例えば国際協力、国際開発も含む部分がインクルーシブでアクセシブルであることという規定なども、一般的な国際協力や国際開発が障害者にとってインクルーシブという形になれば、障害者に特化した国際協力以外のものによっても、この条約の実施という側面で非常に有効になるだろうということで、個別規定もできているわけです。ですので、そういう条約の経緯というものをもう少し別に御議論いただければと思っております。

国際監視に関しては条約上は次の33条で規定しておりますので、監視機関という辺りで議論してはどうかなという気もします。担当室としては以上です。

藤井議長代理 それでは、更に進めてまいります。堂本委員、どうぞ。

堂本委員 今の33条の監視のところですけれども、かつて宇都宮病院の事件が起きたときに、日本の精神保健というのは国連の人権委員会で問題になって、監視調査団が来て勧告を受けて、精神衛生法から精神保健法に改正されるという実態はあったんですけれども、実質は法律が変わったにもかかわらず、人権という視点が入ったことにもかかわらず、実態が変わらないままで現在まできてしまった。それで今回こういう形で権利条約がもし批准された場合には、是非それがより実効性のある形になることを望みたい。

例えば男女の方も今、女性の地位委員会から7項目にわたって勧告を受けていますけれども、一向にそれに対して国内法や政策への対応をなかなか日本国はしないんです。女性の方はなかなか難しいみたいですが、こちらでは今、法律をつくるところなので、そこのところを是非国内法としては強く訴えていただければ嬉しいと思います。

以上です。

藤井議長代理 久松委員、どうぞ。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。2つ申したいと思います。

1点は国際協力というところで権利の確保という言葉が使われていますが、障害者基本法改正の1つのポイントは、権利の確保という言葉を全般的に使っているかどうかだと思うのです。現行の障害者基本法では、権利の保障という言葉を使っています。でも前回の会議で、たしか竹下委員からは権利を保障するという言い方の方が良いのではないかという御提案があったかと思います。私も権利を保障するという言い方の方が良いと思いました。統一した方が良いかと思います。

権利条約の中では、締約国は権利を確保することに努めなければならないという言い回しで使われています。権利を確保するべきだと言われた国は、自国では障害者の権利を保障するという言い方になるのではないかと思います。その辺りの言葉の使い回し、統一性を図った方が良いのではないかと思います。それが1点目です。

2点目は松井先生、中西先生、長瀬先生、竹下先生のお話とダブりますが、私どもろうあ連盟は国際協力の活動に積極的に力を注いでいます。特に思っていることは東南アジア、アフリカの障害者が主体性を持って活動をする、または参加する状況が非常につくりにくい状況であること、もう一つはヨーロッパアメリカがアジアまたはアフリカを支援するほとんどの場合はNGO、障害者団体が担っている実態が多いわけです。政府の支援を受けてNGOまたは市民障害者団体がアジア、アフリカに出かけていって支援をするという現状があるということです。

それから見ますと日本の考え方は、障害者抜きで障害者団体が支援することができないことが多いと思います。障害者が主体的に支援に関わることができるかどうかで、施策がうまくいくかどうかが決まると言ってもおかしくないと思います。ヨーロッパの言い方では、日本語で言うところの国際協力という言葉を使っています。ですから、この辺りも協力という言葉で統一すべきではないかと思っています。

以上です。

藤井議長代理 松井さん、新しい論点ですか。

松井委員 既に東さんから指摘がありましたけれども、最近インクルーシブ開発ということが非常に強調されているので、そういう意味では日本のODA政策全体にある程度この観点が反映されるような形で書けないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 それでは、ここの論点はまだあろうかと思うんですが、次の方にも時間配分が要りますので、今おっしゃられたように、この規定ぶりがODA等の障害分野を含めてやや後退している。この辺を発展につながっていくような、また、竹下委員のおっしゃる別の論点になるけれども、外国の国際機関からのいろんな勧告、報告に対して効果があるような、また、在日の外国籍障害者にとって、ずっと懸案の不利益な状況をどう好転するか。そうすると1つは国際協力という権利条約の第32条に沿って、これは目的に関係しますので、もう一度そういうような論調で整理をし直すことがどこまでできるか。

国際監視や在日外国籍障害者については、やはり第33条権利条約の関係はあるんだけれども、国際協力では無理があるので、これはどうするのか。今日は宿題にしておきますが、そういう論点もここのコーナーではちゃんと書きとめておくようにしてまいりましょう。

幾つか大変大事なことがありましたので、更にここはこの議論を尊重しながらということがありましたので、引き続き次回以降につないでいくようにしてまいろうと思います。

続きまして第2コーナー2つ目の要素になりますけれども、この規定ぶりを報告いただきますが、選挙等についての報告を齊藤企画官からお願いします。

齊藤企画官 齊藤でございます。選挙等でございますが、御承知のとおり現行の基本法には選挙等に関する明文の規定はございませんので、新設ということでございます。

内容といたしましては1次意見でいただきました選挙情報へのアクセス、投票所へのアクセスなどについて明文化をしてみたということでございまして、具体的には選挙等として国及び地方公共団体は、法律の定めるところにより行われる選挙、国民審査または投票(以下この条において「選挙等」という。)において、障害者が障害者でない者と同等に容易に投票できることができるようにするため、選挙等に関する情報の提供に当たって障害者の特性に配慮した措置を講ずるとともに、必要な体制の整備を図らなければならないこととしてございます。

したがいまして、新設でございますので今後ここに掲げました選挙等に関する情報ですとか、障害者の特性に配慮した措置ですとか、必要な体制の整備の中身といったところを更に精査する必要があろうかと考えてございます。

以上でございます。

藤井議長代理 最後に言われた検討・精査を要する3つのポイント、情報と障害特性と体制整備だったと思うんですが、これに関して御意見ございますでしょうか。新谷委員、お願いします。

新谷委員 1点はこの条文を置くことによって、公職選挙法の改正は義務づけられるんですか。その関係を聞きたいというのが1点目です。

2点目は障害者の特性に配慮した措置と書かれていますけれども、この言い方は非常に気になります。こういう言い方は誰が障害者の特性に配慮するという、誰が内容を決めるのか非常に不明確な言い回しだと思います。情報の提供に当たっては必要な措置を講ずるとともに体制の整備を図らないといけないと、単純に言えばどうなのかと思います。

以上です。

藤井議長代理 2点目は御提案だと思います。1点は全部にかぶってきますので、ここで一旦齊藤企画官の方でお答えできる範囲で結構ですからお答えしてほしいんですが、つまり今から論じようとしていることは公職選挙法の枠の中で論じるのか、今ここで論じていることが公職選挙法の改正にまで我々は想定しながら議論するのか、この辺のところの立ち位置のことだと思うんですけれども、齊藤企画官、いかがでしょうか。

齊藤企画官 これから議論いただく各則はすべて同じだと思うんですけれども、要は基本法でそれぞれの分野に関してどこまで記述をしていくのか。基本的にはそれぞれの分野の基本的な理念を明記していくということと思いますが、当然その基本的理念に照らして現行制度上手直しが必要なことがあれば、その部分に関しては個別の制度の中で解消していくということだと思います。

具体的に今の規定ぶりイメージと公職選挙法の改正が、どう相関しているのかは詳細に詰めていませんので、今の段階でこういうふうに記述すると、こういうふうに変わるというようなところまでは申し上げられませんけれども、基本的な方向性を基本法に書く。その基本理念を実現するには、個別制度を必要であれば手直しをしていくという関係になっていると思います。

藤井議長代理 おわかりのように簡単に言うと、現行公職選挙法の枠にとらわれることなく議論しても構わない。しかし、そうは言っても簡単ではないということも言外にあったと思うので、ただ、今、質問したあれで言うと枠の中での議論でなくてもいいということだと思うんです。久松委員、どうぞ。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。障害者権利条約29条のタイトルは、政治及び公的活動への参加となっています。今後の見直しのテーマでは選挙等に限定された分野になっていますが、政治参加ということでもっと幅広いテーマにして限定を外すことができないか。例えば議員が議会活動をする。その障害者が政治活動に参加する、政治活動が保障されることも必要ではないかと思います。また、議会の傍聴も情報保障しなければならないとか、そのように見直していくと今回かなり抜けていることが多いかと思います。ですから政治参加という視点で文章の条文をつくる必要があるかなと思います。

以上です。

藤井議長代理 それでは、そのまま進めてまいります。長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。本来は今、久松さんからお話の出た権利条約29条では、被選挙権も取り上げているわけですけれども、これは第1次意見をまとめる過程でも、それは立法関係の方ということで私たちの守備範囲にはなかなか入らないことは承知していますが、せめて選挙だけに限定する、投票に限定するのではない形で、選挙や投票だけではなくて、もう少し幅広い政治参加という書き方にできないのかというのが1点です。

これは新谷さんが最初におっしゃった障害者の特性に配慮した措置というのは、できるだけ避けたいというのは新谷さんと同じ意見です。ありがとうございました。

藤井議長代理 長瀬さんのおっしゃった1点目の内容を、もう少し言及すると投票や情報に限らない政治参加という場合、どういうイメージですか。

長瀬委員 いろいろな枠組みを考えずに言えば被選挙権とか、そちらの方にまで本来は踏み込みたいというのが、まさに第1次意見のときに議論になったわけですけれども、それは立法府の権限ということで入らなかったので、今ですとどうしてもこれが投票と選挙に限定されているので、全般的な政治に関する情報に関して条文の中で広げることは検討できないのかという趣旨です。

藤井議長代理 土本委員、どうぞ。

土本委員 選挙に関する情報と特性に配慮ということですけれども、知的障害を抱えている者として依然として文章が小さく書かれている部分があり、わかりづらいなと思いますので、とにかくふりがなを振ってもらいたい。わかりやすいものにしてほしいと思います。

成年後見人になると選挙ができなくなることも含めて確認とかしたいと思いますが、もしそれになった場合、選挙をしたいと思ったときにも選挙ができなくなるのではないかと思いました。

選挙の場所まで行くことなんですけれども、やはりガイドヘルパーなどの支援がないと、そこまで行きづらいところもあります。特に期日前投票はどこに投票に行っていいのかがわかりづらいところもありますので、そういうところも含めてです。

以上です。

藤井議長代理 知的障害を持った人々を中心とした情報に関しては配慮をという意見です。大事なことは、これは総務省マターでもあると思うんです。成年後見人制度と選挙権行使の矛盾。これはこの部分でどう解決できるのかということも今、希望が込められていたと思います。竹下委員、どうぞ。

竹下委員 竹下です。まず今回基本法に選挙等についての必要な措置を講ずるという規定を設けたことは、極めて重要な前進だと思っておりますので感謝しております。

内容に関して1点だけ私が気になるのは、確かにどなたも指摘するように、公職選挙法との関係はどうなるのかというのは極めて重要だと思うんですが、2つあると思うんです。

1つはこういう一般的な規定を設けることによって、関係法規の改正を促すという役割を果たすということと、もう一点は関係法規の改正を待たなくても実行できる施策の実施という面があると思っております。その点から言えば点字の選挙公報の関係で言いますと、いまだ十分な保障がされていないわけです。これは公職選挙法の改正をしなければならないのか否かという議論があるわけですが、名称としては「選挙のお知らせ」という名前で点字の広報が来るんです。なぜ「選挙のお知らせ」という名前になっているかというと、国の言い分そのままで言うと、これは選挙公報そのものではないからだと明確に言うんです。ということは、視覚障害者にとってみればいまだ選挙公報は保障されていないということになるんです。細かいことは時間がないので避けます。

少なくともこの「必要な措置」が入ったことは大きな前進であるだけに、この規定によって今後具体化される内容については、十分に基本法によって改善できるものについては具体化していくことも含めて、議論いただければと思っています。

以上です。

藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。

尾上委員 尾上です。2つございます。

1つは第1次意見の政治参加でどう書いていたかをもう一度確認しておきたいんですが、被選挙権に関する成年後見人の欠格条項については、後見人がついているかどうかで差別化する人権侵害の側面が強いことから、廃止も含めその在り方を検討するということで、第1次意見では選挙権も被選挙権もともに、その制限は問題であるということで文章規定はなっていた。それを受けて、先ほどの土本さんの御指摘とも関係しますが、まず選挙等という形でこの条項がつくられたこと自身は、非常に大きな意味があるということの確認の上ではありますけれども、更にもう一つあるとするならば、例えば障害者が障害者でない者と差別されることなくという、規定に反している、人権侵害の現状にある、これを是正しなければならないということが読み取れるような規定ぶりが要るのではないか。

これは第1次意見にも書かれている選挙権並びに被選挙権の制限は、差別化する人権侵害の側面が強いという認識から生み出されるような書きぶりが、要るのではないかというのが1点です。

もう一点は久松委員あるいは長瀬委員も御指摘されていた権利条約29条、政治的及び公的活動への参加ということですので、ここでは選挙といいますか投票に関わる部分が中心に書かれていますけれども、例えば先ほどの欠格条項との関係で言えば、そういった公職に就く、あるいは団体の理事や役職に就くといったことも制限を受けているという問題があります。そういう意味でもう少し幅広い政治参加及び公的活動というのが、読み取れるような書きぶりができないかなと1つ思います。

少なくとも第1次意見では被選挙権もということが問題指摘の中に入っておりましたし、29条の中には障害のある人が投票をし、選挙される権利及び機会を含むということなので、選挙ということだけでとってみても、選挙権並びに被選挙権も少なくとも書かれる必要があるのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 大久保委員、どうぞ。

大久保委員 大久保です。もう土本さんと尾上さんがおっしゃったので言うことがなくなってしまったのですけれども、だめ押しで言わせていただきます。

やはりここで大きいのは選挙権、被選挙権ということですが、いわゆる成年後見制度との絡みです。被後見類型において選挙権が剥奪されると言っていいかもしれませんけれども、そういう現状がある。そして権利条約上の法的能力をどう解釈するかという、いろいろ課題はあるでしょう。だけれども民法改正も視野に入れて、そういう道筋、そういう方向性が必要ですよというぐらいの書きぶりはほしい。すぐにどうのこうのはなかなか大変でしょうけれども、そういうことを含んだ書き方をお願いしたいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 それでは、まだあろうかと思うんですが、やはり時間が来ています。大体今日の場での議論の収れんはお聞きのとおり、選挙等という表題は権利条約第29条等に照らして、あるいは第1次意見に照らして、政治参加あるいは公的活動への参加という辺りまでの書きぶりにできないかという問題。

それから、成年後見制度の関係で民法改正に近い将来つながるようなことを刺激する書きぶりがどうかという点が2つ目です。

更に竹下委員からは公職選挙法との関係で言うならば、今の公職選挙法を拡大適用できるような論拠にならないかということ。例えば点字広報や政権放送は現行法でもできるらしいんです。そういう点でうんと拡大して適用できるような論拠、同時に公職選挙法を変えていくような論拠になればなおいいということだったと思いますが、東さん、これも終わっていいですか。

では、この点はこれで終わります。大変大事な論点がいっぱいあったので、幾つか事務局の方では宿題になろうかと思います。

次に3つ目の要素でありますが、公共的施設のバリアフリー化に関して同じく齊藤企画官から説明をお願いします。

齊藤企画官 齊藤でございます。2ページ目にまいりまして「3.公共的施設のバリアフリー化」についてです。

現行の基本法第18条をベースにいたしまして、1次意見でいただきました地域間格差の問題、合理的配慮の実施を追加する形にしてございます。具体的には3で国及び地方公共団体は、前二項の規定により行われる公共的施設の構造及び設備の整備等が、地域間における整備等の水準に格差が生ずることなく、総合的かつ計画的に推進されるようにするため、必要な措置を講じなければならないということ。

5は追加してございますけれども、国及び地方公共団体は、障害者が障害者でない者と実質的に同等に容易に官公庁施設、交通施設その他の公共的施設を利用できるよう、個々の場合に必要となる合理的な変更または調整が実施されることを確保するために、必要な施策を講じなければならないこととしてございます。

したがいまして、追加をした地域間格差の問題、合理的配慮の実施内容につきまして、更に精査をしていく必要があると考えてございます。

以上でございます。

藤井議長代理 新しい論点を2つ、今、言われたように盛り込むということで、更にこれについては検討・精査をということだったんですが、いかがでしょうか。森委員からお願いします。

森委員 日身連の森でございます。何点かお聞きしたいんですが、まず合理的配慮の規定がここにありますけれども、総則に合理的配慮という枠ができるわけですが、各規定に合理的配慮という規定を入れるかどうか。これはJDFでも大分検討しておりまして、基本的には入れようという意見であります。

2番目が、この規定でいくと何でバリアフリーが必要かというものがないのではないか。つまり、権利条約9条なり19条等を含めて言えば、移動する権利を保障するんだという規定をまず入れなければいけないのではないかという気がしております。

第3番目は第2項に事業者はと書いてあるんですが、ここに合理的配慮の規定がない。5項にいきますと、国または地方公共団体はという形で下の方に合理的配慮の規定が入ってございますけれども、これで事業者が入るかどうか。

4番目は今までとちょっと違って、実は私は大変関心を持ったんですが、ホームドアの問題でございます。あるいは可動式ホーム柵です。これにつきましては我々は大分要求してきておるわけですけれども、この規定がこれで読めるかなという気がしておりますので、その辺をよろしくお願いしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 いずれも大事な論点なんですが、もう少し議論をしていきながら質問の部分はお答えできる範囲でお答えいただいていきますけれども、次は新谷委員、お願いします。

新谷委員 何点かあります。まず1点目は2行目、自ら設置するというのはどこかの条文と同じように引っ張ってきて、自ら設置する官公庁施設、交通施設という書きぶりにされているのか、自ら設置するという言葉が要るのかどうかよくわかりませんけれども、こんな要らない言葉は省く方向が必要かなと思います。

問題は5項ですけれども、まずは2項が関係しますが、事業者のところで合理的配慮を書かずに国、地方公共団体で合理的配慮を書くというのは論理が逆で、事業者のところで合理的配慮の問題が入ってくるならまだ議論の余地がありますけれども、これでは話が逆だと思います。

5番目の問題ですが、ここで実質的という言葉が入ってきたわけです。これは前回から議論が続いていますけれども、形式的な平等を省くために実質的なと書くのか、実質的に何をするのか全然詰まっていない中で実質的という言葉が出てきたので、ちょっと疑問を感じます。

国、地方公共団体の設置義務の中に合理的配慮を持ち込む場合、非常に制限的に注意して書き込む必要があると思います。合理的配慮以前にまず国、地方自治体が設けるパブリックフォーラム、公共施設のスタンダードミニマム、ミニマムは何かということをきちんと押さえた上で次の合理的配慮に入っていかないと、合理的配慮が全面に出てきますと過度な負担の問題が出てきますので、そういうことを許さずに端的な義務づけを中心に考えるべきだと思います。

以上です。

藤井議長代理 これも大変大事な論点です。一部重なっていますが、事業者に対する合理的配慮こそが合理的配慮を有効に高めてくるものだ。これは森委員の指摘と同じなので、後でまたこれは議論しましょう。長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。

1つは5項のところでの表現が、合理的な変更または調整となっている点で、これはたしか総則のときにも申し上げましたけれども、合理的な変更または調整というのは特に一般的な理解を広めていくときに難しいので、やはり合理的配慮という言葉で全体を統一した方が、社会的な理解の促進が進むのではないかというのが1点です。

もう一点はバリアフリー化というところで、既に御指摘のあったところだと思うのですけれども、全般的なバリアフリーもしくは条約の言葉ですとアクセシビリティという言葉になっていますので、そこと合理的配慮の二枚腰といいますか、例えば5項のところでも全般的なバリアフリーという点、もしくはアクセシビリティ及び合理的配慮という形で、二段構えでバリアフリー、アクセシビリティの促進プラス個別の配慮である合理的配慮とした方が、より強化できるのではないかという点です。

第三点目になりますけれども、もう一点はバリアフリー化ということで出されますと、どうしても従来の物理的なバリアフリーのイメージが強くなりますので、表現に工夫が必要だと思うのですが、物理的なバリアフリー並びに情報面でのバリアフリーという、その両方がきちんとイメージされるような形での書き方にできないかと思います。

関連するところですと、条約9条のアクセシビリティの第1項aが主に物理的なバリアフリーを取り上げて、bが情報通信を取り上げていますので、単に物理的なものだけではないという点が、読んだときにイメージできるという点が重要かと思います。

関連して条約2項のdでは、公衆に開かれた建物その他の施設において点字表示及び読みやすく理解しやすい形式の表示ということがありますし、e項におきましては公衆に開かれた建物その他の施設でのアクセシビリティを容易にするための人的または盲導犬等の動物による支援や、さまざまな支援者のサービスを提供することが含まれているという点も申し上げたいと思います。ありがとうございます。

藤井議長代理 長瀬委員の特に2つ目の論点で、バリアフリーに加えてアクセシビリティという論点を二枚腰とおっしゃったけれども、先ほど新谷委員がおっしゃったスタンダードミニマムという観点で言うと、ユニバーサルデザインという観点も更に付加する必要はないかあるか。その辺は長瀬さん、いかがですか。

長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。ユニバーサルデザインとバリアフリー、アクセシビリティを分けていくというのはなかなか難しい作業だと思うのですが、万人が使えるという路線で基本的にユニバーサルデザイン、バリアフリー、アクセシビリティを入れていくというのが1つ目の路線で、それに加えて個人への対応である合理的配慮を両方合わせることによって、できるだけ漏れが少ない形に持っていけるのではないかと思います

藤井議長代理 久松委員、どうぞ。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。長瀬委員のお話と非常にダブってしまうかと思いますが、私も公共施設のバリアフリーの問題について議論をするとき、ほとんど長瀬委員のおっしゃるようなハードの物理的なバリアフリーの話で、議論になってしまうことが多くありました。情報アクセシビリティに関してのバリアフリーが議論されることはほとんどありませんでした。

この文言の表現が一番大きいと思いますが、例えば2番目の点、施設の構造及び設備の整備という言葉があります。普通の日本人がこれを読むと建物のハードの場面での整備という受け止め方になると思います。ソフト面、情報アクセスという考え方がこれではどうしても入らない。そういうことが一番大きな言葉の表現上の問題になってくると私は受け止めております。情報のアクセシビリティという考え方を含めたバリアフリー的な言葉遣いをした方がよいと思っています。

2点目は4番目のところです。今まで議論にはなかったと思いますが、身体障害者補助犬は実際に補助犬という言葉が法律用語として使われています。見えない人、耳の聞こえない人、車いすの人という意味で身体障害者と使いますが、リハビリ的、心理的な支援の犬もこのような扱い方があるのではないかと思います。今後は身体障害者補助犬という言葉は障害者補助犬という言葉に変えていくことを検討をしてもよろしいのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。

尾上委員 ありがとうございます。先ほど森さんがおっしゃったこととも重なるんですが、4月だったでしょうか、国交省さんからヒアリングをしたときのことを思い出しながら聞いておりました。

2つございます。国交省では交通基本法の改正案をその当時準備されているということで御説明があったように記憶をしておりますが、その中の1つが移動の権利ということの明記だったと思います。言わば交通分野の施策でも移動権が1つ大きな目玉といいますか、焦点になってきているこのときだからこそ、是非ともここの公共施設のバリアフリー化という項目に関連して、この中の1項、2項に関わるのか、あるいはもう少し1項、2項の前のところに移動の権利を新たにうたうような項目にするのかというのがありますけれども、まず1つはそういう交通基本法でも移動権が書かれる時代になるわけですから、障害者基本法の中でも移動権という言葉が明記される必要があるのではないかというのが、1点でございます。

もう一つ、今回新しいのは3項目目に地域間における整備等の水準に格差が生ずることなくという、これ自身は今まで交通バリアフリー法、新バリアフリー法、この10年間の中で生じた地域間格差を是正していくという意味では非常に大切な部分なんですが、もう一つ、単に地域間の格差だけではなくてというよりは、地域間格差が生じたのが単に基準やそういった部分だけではなくて、パーツレベルでのバリアフリー化、例えば駅や駅前周辺あるいは大きな建物はバリアフリーにしましょうと進められた矛盾の結果、例えば我が町でも大きな駅は1つしかない、そこへ行くまでの交通手段がない。そういった状況にあるのが地方だと思うんです。

そういう意味で個々の建物や駅や駅前だけではなくて、切れ目のない移動をどう確保していくのかといったことを読み取れるような書きぶりが要るのではないかと思います。これも交通基本法の中では地方自治体、地方公共団体は交通計画をつくっていく。交通基本法に沿って計画をつくっていくことになっていますから、その中で建物やいろんなそういう設備の充実は勿論だけれども、それだけではなくて、自分の家から出て多様な交通システムや移動のシステムを使って自分の目的地にたどり着き、自分の家に帰ってこられるという切れ目のない移動の確保といった言葉が、何とか入らないかなと思います。

以上です。

藤井議長代理 北野委員、どうぞ。

北野委員 今日の皆さんの議論を聞いていて、これはアメリカのADAをつくるときも同じだったんですけれども、バリアフリーの対応というのはすべての国民、市民が最も論点を共通にして、一緒にやれる大きなテーマであるなと。ほとんど同じ一致した意見をみんな述べているこのことが非常に重要だなと思っています。

私も森委員、新谷委員、長瀬委員等と重なる部分があるんですが、1つは2番の計画的推進に努めねばならないという表現がなされておりますけれども、今後の交通基本法等の規定ぶり、書きぶりにも関係いたしますが、ここは明確に計画的推進を図らねばならないという形で、努めるという表現を超えた表現を明確にしていただきたいと思います。

次に5番なんですけれども、まず障害者が障害でない者と実質的に同等に、容易にという表現がありますが、この表現を今後どう実質的に展開するかということなんです。総則で恐らく障害の差別の定義というものが出てくると思うんですが、差別の定義にも関係いたしますけれども、差別の定義を今までの議論で言いますと、例えば障害者が障害でない者と区別されず、平等に社会参加や役割を十分遂行できるように、あるいはそれに必要な合理的配慮を怠ることを差別と言う。明確に差別の定義というものが出てくれば、ここはむしろ長ったらしい表現ではなくて、障害者が差別されることなくという表現に統一されたらどうかなと思っています。

やはり国及び地方公共団体だけではなく、国及び地方公共団体並びに公共的施設を設置する事業者はという表現を明確に入れていただいて、合理的配慮義務を課すべきだと思うんですけれども、そのときに合理的配慮の義務とバリアフリー対応がごっちゃになると困りますので、表現としては1~3項に基づく公共的施設のバリアフリー化、アクセシビリティ化義務並びに個々の場合に必要となる合理的配慮がという、2つが必要であることを明確にしていただければと思います。

以上です。

藤井議長代理 関口委員、どうぞ。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口です。まず精神病者側から言いますと、これはユニバーサルデザインに入ると思いますけれども、例えば駅の階段を上ったところ、あるいはエレベーターを降りたところに、ホームに何番線はどういう駅に行きますというのが一覧表で載っている掲示がほしいです。それは我々の仲間も非常に困っていますし、一般の人も実は地下鉄なんかでも、これはどこどこに行きますかと言ったときに、私はその場所までは行くことはわかっているんですけれども、駅名を言われてもわからないです。つまり、それは全部の行き先が書いてある表を貼っておくだけでいいわけです。それが1つです。

もう一つ、ここで今、議論されていることが推進会議の概要によると、建物利用、交通アクセスのことは22年度中に方策を立てることになっておりますので、方策を立てる国土交通省さんが中心になるんでしょうけれども、できるだけ反映されるようにお願いしたいと思っております。例えば地方の駅だと利用人数によって合理的配慮をしなくていいのかどうかよくわかりませんが、とにかく無人駅でもってホームがあって階段があるというだけの駅はたくさんあるわけです。それは基準の人数に満たないからほうっておいていいかというと、やはりそれはそういう問題ではないだろうと私も思いますので、そこら辺をきちんと22年度中に策定する方策の中に入れ込んでいただきたいと、お願いしたいと思います。

藤井議長代理 大谷委員、どうぞ。

大谷委員 大谷です。すべていろんな方が言ったことと同じなんですけれども、重ねての話になるかもしれませんが、やはりどうしても気になるのは基本理念と各則との関係なんです。基本理念を受けてこれがあるということなんですけれども、一番最初に障害者基本法を議論したときに、これが権利章典であるべきだということからすると、障害のある人がどういう権利を持っているのかを、一つひとつきちんと確認するべきであるということは、ここで大方の一致をみたと思うんです。

ただし、現行の障害者基本法は第2章は施策の内容になってしまって、どういう権利を有しているのかに関しては一つひとつ明記していないんです。ですから、ここを本当でしたら例えばバリアフリー化をするのであれば、公共施設に対して障害のある人はどういう権利を持っているのかという権利の内容が、まず第1項で確認された上で、そして各施策に入っていく。そういう書きぶりというか法的な形式がとられるべきだろうと思うんです。

ただし、それが従来の基本法には確かにそのような形のものはないということで、どうしても抵抗が大きいということであるならば、逆に基本理念で非常に細かく権利を確定していく。基本理念の中に最大限の権利条約の理念、新しい権利の新しい形で設けられた権利も明文化していく必要があるだろうと思うんです。そういう意味ではバリアフリーの根拠となるアクセシビリティというのが、きちんと基本理念に盛り込まれている。もし盛り込まれないんだったら第1項にアクセスする情報、設備、建物だけではなく、情報そのものに対してもアクセスすることができるんだということを、まず第1項で確認する作業が必要だろうと思うんです。

政治的権利のところもそうだったんですけれども、やはり今日初めて各則の議論に入ったときには、やはりこういう形で施策義務が第1項に入ってきてしまうんだということであるならば、また戻って恐縮ですけれども、基本理念にきちんとそこは盛り込まれているのだということとセットの形でやっていただかないと、蓋を開けてみると権利の内容に関しては不十分で不明確なまま施策だけになってしまうことを、とても恐れます。

もう一つ、事業者の責務に関しては皆さんが言ってくださったことと同じです。事業主のところにも合理的配慮が規定されるべきだろうと思います。

合理的配慮がバリアフリーのところだけ出て、先ほどの政治的権利、投票権のところには逆にないことが、これで差がついてしまっていますので、その辺のことも統一的に、すべての権利は合理的配慮の下に実現されるんだということを意識した、整合的な規定の仕方が問われているのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 今の大谷委員の意見は、かなり全体の意見を反映していますね。大濱さん、重複していなければですが、いかがですか。時間も15分ぐらいオーバーしているので。

大濱委員 大濱です。公共施設のバリアフリー化についてですが、権利条約での内容と比べるとかなり後退しています。権利条約の中でのアクセシビリティはかなり幅広い範囲を規定していますし、18条では移動の自由及び国籍ということで、移動の自由と居所を選択する自由まできちんとうたわれているわけです。この辺を考えると公共的施設のバリアフリー化というのは狭過ぎて、先ほど大谷委員が提案したように幅広の規定を前文に書き込むか、ここの部分でもう少し盛り込まないと、権利条約と比べて狭過ぎると思います。

藤井議長代理 佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 どうもありがとうございます。このページを読むと合理的配慮の義務ということが、国や地方公共団体についても書いていないと思うんです。事業者について書いていないという意見が先ほどから出ていますけれども、5項目に書いてあることは合理的配慮が実施されることを確保するために必要な施策を、国や地方公共団体は講じなければならないということであって、合理的配慮を実施するために技術的、財政的な補助だとか、そういうようなことについて書いているんだろうと思うんです。

そうであるとすると技術的、財政的配慮だとか啓発などは建物のバリアフリーだけではなくて教育、情報の保障、医療など、いろんなところで必要とされているので、そういうすべての各則に合理的配慮を確保するための必要な施策というのは入れるのか、ここにだけ入れてほかにないということになると、ほかでは財政的なことをやらなくてもいいということになりかねないので、その辺の書きぶり、全体の整合を考える必要があるのかなと思いました。

藤井議長代理 皆さん方、大体共通点が多かったんですが、1つは権利性の書きぶりで交通基本法や権利条約等を考えたときに、公共的施設のバリアフリー化の権利性をどうするのか。全部各則にそれを設けるのか、さもなければ全体をきちんともう一度権利性、大きな理念の部分で丁寧にもう一回書き込むという辺りにするのか。

同じく今、出たのは合理的配慮もしかりであって、各則ごとに載せるのか、もう少し合理的配慮全体のときに、全体に及ぶような書きぶりで書き込むのかという、法文全部の構造の中に在り方をもう一回問われているということだと思います。かつ、今の合理的配慮の話は第5項目では、決して公的な機関、国、公共団体についても義務を負うものになっていないということで、そういう指摘もありました。

その前に、なおかつ合理的配慮という考えで言いますと、国や公共団体についてはむしろ一般政策で極力アクセシビリティをカバーする、かつ、個別性が強い合理的配慮はむしろ民間事業者です。これこそ効力を発揮すべき書きぶりが求められる。これでは入っていないのではないかということがあったんですが、以上のこの点辺りはかなり根本問題でもあると思うので、更に議論をしてまいることになるんですが、とりあえずここでお答えできる点あるいは見解があったら齊藤企画官、東室長、いかがでしょうか。

齊藤企画官 今、御指摘のあった合理的配慮の部分でございますが、おっしゃるとおり規定間の調整がまだできていないということだと思います。おっしゃっていただいたように、もともと総則のところで合理的配慮を提供しない場合には、それは差別に当たる。禁止されているんです。したがいまして、当然禁止されていることを前提に各則を立てていますので、個別のところに入れる必要はないだろうというのがもともとの大前提で書いてみました。

ただし、公共的施設のバリアフリーの部分に関しましては、合理的配慮をどう提供させていくのかということを1次意見の中で随分議論していただいて、第三者機関ですとかそういったことまで御意見をいただきましたので、ここは公共的施設ということで非常に影響も大きいということで、それに対して合理的配慮をきちんと実施されるような担保の条文が必要ではないかということで、国や地方公共団体がそういった施策を講じなければならないというふうに立ててみたんです。ただ、それはたまたまこの部分だけポジティブに議論しただけであって、ほかの部分にもそういうことが必要だということになれば、また逆に全体の中でどう規定する方がよりベターかということを、整理していく必要があると思ってございます。

以上でございます。

藤井議長代理 東さん、いかがですか。いいですか。

齊藤企画官、特に合理的配慮のところは事業者の関係も何人かから出ていましたけれども、この辺の考え方をもう少し言及していただけませんか。

齊藤企画官 舌足らずで済みません。当然事業者も合理的配慮を提供しないことはそもそも差別に当たり、禁止をされている。そういう前提なんでございますが、この公共的施設に関しましては、要は多くの人々が利用し、いろいろな設備にもバリアフリーの設備投資の費用を要しますし、国の施策と緊密な関係があるということですので、あえて国及び地方公共団体が、そういった個々の場合に合理的配慮が実施されるように確保する施策が必要かということで書いたものでございまして、当然事業者に合理的配慮の義務がここで書いていないからないということではなくて、そもそも全体の差別禁止としてかかっていると考えている次第でございます。

藤井議長代理 まだ意見があると思うんです。なぜならば現行の基本法でも何人も障害を事由にして差別して権利、利益を侵害してはいけないと書いてあるにもかかわらず、さまざまな差別があるわけですから、本当に実効度を上げていくためにどういう書きぶりがいいのか、どういう法の構造がいいのかについては、多分この移動問題とか公共的バリアフリーの問題に限らずに、全体を通してこれは宿題であると思います。そういうことを確認してこのまま終わります。

現在37分でありますので、15を足しますと52となるんですが、14時55分まで休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、時間になりましたので第2コーナーに入ります。

第2コーナーは推進会議と総合福祉部会の3つの合同作業チームの座長さんから、進捗状況についてお話いただいて、その報告と議論をしてまいりますので、順番としては就労合同作業チームの松井座長、医療合同作業チームの堂本座長、障害児合同作業チームの大谷座長から順番で、各々報告と議論を合わせて1つの合同作業チームは20分を目途にして進行してまいりますので、進行に協力してください。したがって60分ほどこのコーナーは時間をとります。

では、松井委員からお願いできますか。

松井委員 松井です。ありがとうございます。20分というのは私が報告する時間が20分ということですか。

藤井議長代理 今、言ったように報告と議論と合わせて20分です。

松井委員 そうすると10分程度ですね。

藤井議長代理 そうですね。

松井委員 わかりました。

就労合同作業チームはほかの作業チームと同じですけれども、6回にわたって議論をするということで、その中で基本法絡みのことが大体1回半ぐらい、続いて総合福祉法に関連する部分の議論が2回余り、最後に障害者雇用促進法に係る部分の議論ということで、3つの分野のことを6回でまとめるというのはかなり困難なことであるということが、第1回目の議論の中で出てきました。

労働、働くとか就労などさまざまな表現がありますけれども、例えば労働にしても、一体何をイメージしているのかということの確認ができないままに議論を進めざるを得ない。それと実態をどう把握しているのか。例えば福祉的就労という概念がございますが、それは個々の人によってイメージすることがかなり違うということとか、あるいは福祉的就労に労働法を適用すべきであるという議論がありますけれども、労働法というのは一体どの範囲のことを言っているのか。

あるいは例えば賃金補填が必要であるということですが、賃金補填というのはどういう形でどの程度やるのが妥当であるとか、そういう意味で非常に共通理解をどう確保しながら展開していくのか。従来の制度の見直しになるわけですけれども、従来の制度の検証ができているのかできていないのか。それに関連して、例えば国際的な動向も当然考慮に入れないといけないわけですが、そういうことについても必ずしもきちんとした情報が共有化されていないということで、かなり難しいということが第1回目の議論でわかってきました。

ただ、第1回目の議論で、これは正式には19日の次回の作業チームで基本的なことを確認し、合意しなければいけませんけれども、少なくとも皆さんの共通理解としては障害を持った人たちの働く権利、労働する権利をきちんと補償すべきであるということについては、共通理解であると思います。

特に先ほど言いましたように、2つ目のテーマは総合福祉法との絡みですけれども、その中で福祉的就労と言われる部分について、総合福祉法の中に残すべきか残すべきでないのかということは、かなり大きな議論だと思うんです。特に就労移行支援事業あるいは就労継続支援A型、B型というのが現在ありますが、そういうものを仮に残さないとした場合に、労働行政の方でそれを全部引き取ってくれるのかとなると、その確証はない。

そういうこともある程度考えながら、どこの部分が本当に移行可能であって、どこの部分は福祉サイドできちんと押さえながらやらなければいけないかとか、更に今の総合福祉法の議論の中では、例えば日常活動というのがございますけれども、その中で地域活動支援であるとか、日常活動の中で生活介護あるいは自立訓練と言いながら、実際にはそこでかなり作業をやっているという実態もあって、そこはどう整理したらいいのかという振り分け機能を、一体どこで持つべきなのかということも実はあります。

特に就労で十分賃金が確保できないという場合に、それを賃金補填するのか、あるいは所得保障するのかということがございますが、労働サイドと福祉サイド、あるいは賃金補填も含めた総合的な窓口というか、そこはどういうふうにするのかという仕組みの問題も含めて、このグループの中で議論はしなければいけないわけですけれども、そこはなかなか本当に皆さんが納得するような形へどこでまとめるのか、そこも非常に大きな課題だと考えています。

最後の部分では労働関係の特に雇用促進のことであるとか、労働法の適用をめぐっては労働基準法あるいは最低賃金法、場合によっては社会保険法の適用も含めて議論をするわけですが、そういう意味では労働行政、プロパーの中身について、今のメンバーがどこまで本当に内容を十分理解した上で議論をするのかということについても、実は冒頭から私はかなり難しいのではないかということを申し上げておりますけれども、いずれにしても今回の6回の議論では恐らくある程度の整理だけであって、それを更に深めた形で特に労働にわたる問題については、次にどういう形でバトンタッチできるのかということの整理を、ある程度せざるを得ないのではないかと思っていますが、そういう意味では6回という極めて限られた中で整理し切れない懸念を抱きながら、前回やっと議論がスタートしたところでございます。

非常に雑駁なまとめ方で恐縮ですけれども、とりあえず報告としてはこの程度にさせていただいて、むしろ質問をしていただいた方がいいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

藤井議長代理 就労に限った話ではないんですが、今日こうして議論をしている1つの大きなポイントとなりますのは、来週以降続く各則の中で当然労働及び雇用、医療、障害児、教育という大変難しいテーマを、どこまで書き込むかということとの関係もありますので、そういうことも頭に入れながら議論に入っていこうと思うんですが、まず今トップバッターを切っていただいて、就労合同作業チームの報告をしていただきました。10分間ほどですが、質問、意見があったらどうぞ挙手をお願いします。大谷委員、どうぞ。

大谷委員 きっとこの場ではない席で確認をすればよかったのかもしれませんけれども、次回までに出さないと、基本法に作業チームがどのようなことをイメージしているのかが出てこないと思うんです。そのときに条文イメージなのか規定ぶりイメージなのか、いずれにしてもある種まとまった形で、障害者基本法にはこういう形で文章を出すということで期待して待っていてよろしいんでしょうか。それだけです。

藤井議長代理 後でお答えをいただきましょう。新谷委員、どうぞ。

新谷委員 新谷です。障害者基本法の15条、16条の改正だけに焦点を絞れば6回で松井先生が頑張ってまとめ上げることは可能かと思うんですけれども、総合福祉法の分野が大きく入ってきています。そうすると6回で基本法を1回で終わらせて、あと2回で総合福祉法をやるというのはとんでもない日程だという気がします。

障害者雇用促進法の議論は1回だけしかないという日程なので、非常に消化不良というか、参加している立場から見てもどういうスタンスで臨めばいいのか、勉強不足もありますが、非常に困惑している状況です。

以上です。

藤井議長代理 土本委員、どうぞ。

土本委員 土本です。就労に関してというか、住込みで30年間働かされてきたことも含めて、分け隔てられてきたことも含めて、私たちは抗議することがなかなかできない部分があって、そのままほうっておかれてしまっている部分があります。最低賃金ということも含めて、どんどん奪われてきているのではないかと思います。自分も一般就労を経験しているんですけれども、一緒に働いているジョブコーチ、就労支援を受けて仕事をしながら、自分の思いを伝える人がいれば、自分ももう少しその場所で働いていたのではないかと思うし、給料の面などなかなか言えない状況もあったりとか、伝える人をもっと増やしてほしいと思います。

以上です。

藤井議長代理 伝える人というのは、例えばもう少しイメージを言うと権利侵害とか物すごい低い賃金とかいうときに、自分に代わって話をしてくれる人、例えばパーソナルアシスタントというのが海外なんかでは労働の場面でいらっしゃるんだけれども、そういう人がちゃんとついてくれるというイメージですか。

土本委員 そうですね。給料をもらえる権利があるということも言い出せないところもあるし、そういう人がいればうまくいくのではないかと思います。

藤井議長代理 恐らく皆さん聞いてわかるとおり、ジョブコーチとは違った意味で本人の権利性を守るような人的サポーターが、労働の場面でも要るのではないかという御意見だったと思います。

そうしたら、先ほど大谷委員が言われた点で言うと、これから続く2つの合同作業チームにも関係するんですが、どこまで今の段階で求められているかについては、東室長からお答えいただけますか。

東室長 担当室の東です。どういう部分を基本法に盛り込むかということですけれども、1つの視点としては権利条約27条以降について、11項目の基本的な考え方が書いてあります。ここでは一般就労だけを念頭に置いているわけではございません。ある意味では福祉的就労、保護雇用と呼ばれる分野も念頭に置きながら書かれておりますので、これからの就労の在り方みたいなものの方向性を議論してつくられたものだと思うんです。

この部分と日本特有の事情みたいなものも考慮した上で、基本法に盛り込むべき今後の方向性みたいなものを、まとめていただければありがたいのではないかと思っているわけですが、どうでしょうか。

藤井議長代理 もう一名ぐらい時間をとれますが、いかがですか。松井委員、どうぞ。

松井委員 大谷さんは既に具体的な条項としてまとめられておりますけれども、先ほど東さんからもありましたように、就労では例えば労働の権利の保障、福祉的就労制度の抜本的改正、労働保護法の適用の確保、多様な就業の場の創出及び適切な仕事の確保、合理的配慮及び必要な支援の継続的提供の確保、あらゆる種類の障害者への雇用義務の拡大と雇用の質の確保、先ほど土本さんがおっしゃったような雇用の質の確保の中で権利擁護的な役割を、きちんと福祉雇用や一般雇用でも仕組みを設けることが必要ではないかと思います。基本的にはその程度のことはなぜ必要なのかという理屈を含めて、文章にまとめたものを出したいと考えています。

藤井議長代理 いずれにしても労働問題は条約27条と、今から55年前のILO99号勧告なんかに比べても、まだその域に達していない。松井さんに頑張っていただいて、大変困難なテーマだと思うんです。しかし、より困難な方にきっと正しい答えがあるような気がするんです。是非頑張ってください。竹下委員、一言どうぞ。

竹下委員 竹下ですが、本当に労働の問題というのは柱の1つであることは間違いないと思うんです。多分労働の問題を考えるときに一般就労と呼ばれている雇用の場面で、どれだけの権利性を確保していくのか。この部分については土本さんが言ったことは非常に大事で、例えば滋賀県で起こったサングループ事件なんかでも、労働基準監督署が監督権限の行使すらしなかったために、被害が起こっていることは判例も指摘しているところでもあるんです。そういう意味で言うと札幌3丁目事件とか大橋製作所事件とか、全部あちこちで起こっている問題は、現実に現在の労働監督行政すらも及んでいないところが大きな問題だろうというのが1点目です。

2点目には、福祉就労という位置づけをやめようというのはみんなかけ声としては一致しているわけです。ところが、何を意味しているかという議論はさっぱり一致していない。例えば福祉就労をやめようと言っている人に中身を聞いていくと、でも今の福祉就労の現実は残そうともろに発言しているんです。典型的に言えば「授産所を廃止してもいいのか。事業主への補助もなしでの、言わば従来の労働概念だけでくくれるのか」という問いに対しては誰も答えられないんです。だから本当に福祉就労をやめようというときに、何を意味して福祉就労をやめようと言っているかという議論が、これから始まるのかなという思いがしています。

3点目は、視覚障害者の場合はいつも言うんですけれども、鍼灸マッサージの自営業が多いんですが、視覚障害者に限らず障害のある人たちというのは障害ゆえにという部分もあるわけですけれども、自営という形での社会参加、社会貢献あるいは自己実現というものを大きな場面として位置づける部分が必要なわけですから、そういう点も含めた就労、働く権利というものについて、今回議論をする必要があるのかなという気もするので、基本法でそういう点を意識した条項の提案ができればと思っています。

以上です。

藤井議長代理 大変大きな積み残している課題であるんだけれども、この基本法で少なくとも方向性をきちんと出すというのが眼目だと思うので、その点で歴史を挽回するような意味と、時間との競争がありますけれども、そういう方向でみんなで知恵を出し合うし、松井さんにも頑張ってもらいます。

続きまして、医療の合同作業チームを堂本委員からお願いします。

堂本委員 お手元に資料がございますけれども、メンバーは隣の関口さん、川崎さんがこの推進会議からで、総合福祉部会から伊澤さん、河崎さんが病院の院長さんで、日本精神病院協会の代表として参加されます。当事者として広田さん、福祉の専門家として三田さんというメンバーでございます。

私どもは2つに分かれていまして、前半が主として精神医療について、後半は主としてそれ以外の医療の問題、リハビリの問題など、大濱さんに座長というよりも、多分座長は私が続けて、サブ座長のような形でリーダーシップをとっていただくつもりでおります。

まず今日のところの御報告は、前期の精神医療についての問題です。今、労働の問題も6回ではとてもということですが、私どもは3回ということで、しかも大体半世紀にわたって、制度だけで言いますと四半世紀ずっと問題を抱えてきたんですけれども、たまたまイタリアの人にある人が、イタリアは急激に変えた、急ぎ過ぎなかったかという質問をしたそうです。そうしたらば、長い時間をかけてうまくできるのか。世界で長い時間をかけている国でうまくいっている国は1つもない。早くやったおかげでアメリカ、イギリス、イタリアにしても実現したんだということを言われたそうです。

私どもも短いと言えばめちゃくちゃ短いんですけれども、こういったチャンスが何十年ぶりかに来たときに、どんなに短くてもこのチャンスを逃してはならないということで、みんな一致をしています。ただ、こちらには病院の方はいらっしゃらないんですが、総合福祉部会には病院の方がおられて、隣の関口さんやそうした当事者と、病院は何百人という方を抱えていながら、実は政策面で話し合ったことがこの何十年間一度もないということで、公式の場面ではなく、とにかく顔合わせがしたい、そこからのスタートでございまして、2回顔合わせをいたしました。

そしてとにかく腹を割って話したいということで、一番最初に関口さんがした質問というのが、障害と疾病の関係をどう考えているのかということでした。なかなか私がインペアメントの概念がよくつかめていないんですけれども、やはり精神障害の場合はほかの部門の障害と違って、非常に疾病の部分が完全に慢性化してしまう。どこで障害と区切るのか、今までずっと医療モデルに重点が置かれてすべてが仕切られてきたという歴史があります。そこを今度は障害という形で福祉、人権の視点から考えるというところで、病院の側と当事者の側とでは非常に見解が違うということから話が始まりました。

余りそこで深入りをしていると時間がないということで、とにかくそこのところは棚上げをして、障害並びに疾病についてはどう考えるかは後にして問題を考えようということで、ここに書いてございますように障害者の権利条約を反映してとにかくやるということ、障がい者制度改革推進会議の第1次意見とそれを踏まえた閣議決定を私たちは基本とするということ、障害者基本法の改正に向けた推進会議の議論が6月から行われましたが、それを反映すること、そして総合福祉部会でも議論が進んでいたので、そこのところも反映するという姿勢で臨んでおります。

2番目に推進会議と総合福祉部会で以下のことを検討するということで、障害者基本法の改正、総合福祉法の制定に向けて、これら2つの法律に関わる個別分野の制度改革が必要な場合、例えば保護者の問題を議論するとどうしても民法、刑法にまで及んでまいりますので、そういった関係法についてもできることならそこまで何が問題かということを、考えることにいたしました。

推進会議では今までいろいろ考えてきましたけれども、ちょっと時間がなくて一番残念なことは、先ほども国際監視のところで発言させていただきましたが、精神衛生法というのは人権的な視点がないということから、社会的入院の解消を目的として精神保健福祉法に改正されたんですけれども、実はそれでいながら実際に社会的に解消されていないし、人権侵害も解消されていない。これがなぜなのかということのきちんとした検証をやった上で次にいかなければならない。

特に基本法はそのことを踏まえてやるべきですが、そういった作業だけは非公式会合を重ねても、それは私たちの手でなかなかできないことですので、大変苦しいところではございます。しかし、自立支援法でもう一つは3障害が平等に福祉の対象となったにもかかわらず、やはり機能していない。多分社会資本が今まで蓄積されてこなかったという実態とか、各地方自治体がきちんと予算づけをしないとか、いろいろな理由があると思いますけれども、そこについても検証をする時間がないところが大変苦しいところです。

内容については2ページ目をお開きいただきたいと思いますが、2回にわたる非公式の会合での話し合い、1回大体4時間ずつぐらいかけたんですけれども、そこでの話し合いを全部まとめたのがこの3点になります。

いわゆる社会的入院の解消、自立した生活及び地域社会へのインクルージョンのための施策の根拠となる規定を設けることについて、その内容は下に書いてあるように保護と収容を優先する、これまでの障害者施策の結果生まれた社会的入院の解消、閉鎖された空間から、すごい話を今でもいっぱい聞くので、全部とは言いませんが人権侵害が一部で行われている。権利法の19条にもございますけれども、自分の望むところへの生活の移行をどう担保するのか。地域社会で実際に生活していくための展開、それを障害者基本法においてこのような施策の根拠となるような規定を設けることについて、どう考えるかということの議論を、これは第1回目の公式の場でこの議論をいたしました。

2つ目が、医療保護入院に関わる同意を含む保護者制度の解消のための根拠となる規定を設けることです。強制入院と保護者制度と申し上げていいと思います。精神障害者に関して本人の自己決定権を尊重するとともに、家族の負担を軽減するためには医療保護入院の同意を含む保護者制度について抜本的に見直し、例えば地方公共団体その他の公的な機関が責任を負う制度に改めることが必要ではないか。これは医療の方からのいわゆる医療モデルだけからの判断ではなくて、そこに人権の視点を入れ込んでいこうということです。障害者基本法にこのような趣旨とするための施策の根拠となる規定を、設けるべきであろうと考えるということです。

3つ目は強制的な入院等の人権制約が行われる場合に、適正な手続を保障するための規定を設ける。どうやって精神病院への入院並びに退院もなんですが、施設の入所は本人の自由な意思に基づいて行われることが原則であるべきで、これは自己決定権という最も重要な基本的人権の1つである。したがって、やむを得ず措置入院が行われるような場合においては、これを基本的人権の手続的な保障として適正手続が履行されなければならないのではないか。

例えば行政、精神保健士、PSWの方もいらっしゃいますし、行政と言った場合にいろいろ担当するところがあるかと思います。司法等の第三者が当該措置をチェックする。例えば行政が同席する、48時間以内に司法からのチェックが入るというような意味です。本人の権利擁護のための仕組みも必要で、障害者基本法には障害者の自己決定権の理念と適正手続保障の根拠となる規定を設けることについて考えるということで、これを基本として先日話し合いを公的な場で持ちました。そして大変幸いなことに、その前の2回のところで相当に話し合いをした結果、この3つをまとめたものですから、今のところは日精協からもこれには合意をするという返事をいただいております。ただ、財政的措置を講じるということを付け加えてほしいということの注文が出ました。そのことについては私どもも合意をしているところです。

そのほか、両方から出た問題として精神医療の質の向上です。特に身体拘束をなくす、行動制限の解消をすることによって、今は特に急性期の場合はドクターの話によるとほとんどが拘束、行動制限を行って、加療の投薬ということが今は医療の方法として通っているようなんですけれども、そういうことをできるだけ解消して、より高い質の医療にしなければいけないのではないか。

そして一般医療の診療拒否が大変多い。今60歳以上の方が半数を占めるような精神病院の原状では合併症を持った方が大変多い。どなたでもがん、脳梗塞、糖尿病にもなる。その上で一般病院へ行くと精神の方はということで拒否されてしまうことがあるので、このことを何とか担保してほしい。

最後に一番大きい問題ですけれども、閣議決定には書いてございませんが、推進会議では6月のときにも問題になった精神保健福祉法を廃止して医療法に書き込む、あるいは総合福祉法で福祉は担保するという話が出ていたんですけれども、日精協との間で違っていることは、やはり精神保健福祉法は継続を希望するというのが病院側の希望でございます。内容としては入退院の手続、病院内の処遇、そして地域医療といったようなことです。

病院の側としてはこれから社会的入院をなくしていくということについては、時代の趨勢であり理解をしているが、やはり病院としても立ち行かなければならない。そのために病院としては選択肢を求めたい。例えば急性期医療とか認知症の医療、地域の受け皿の医療ということをおっしゃっていらっしゃいます。

このことについてはまだ議論をしておりませんで、今、申し上げた医療の質の向上、一般医療の診療拒否の問題、精神保健福祉法を継続するかしないか、精神保健福祉法の内容についてということは、再度9日に非公式の会合をもって議論することにしておりまして、とても早いんですけれども、11月19日までに障害者基本法の医療の部分について何とか一生懸命やって、最低そこにきちんと書き込むことによって各法にそれが反映されるようなものに、私たちとしては精いっぱいの努力をするというところで今いることを御報告いたします。

以上です。

藤井議長代理 今、堂本委員から非公式な時間帯での打ち合わせを含めて懸命にやっていらっしゃるということで、ずっと論点が御紹介されました。質問や意見がありましたらいかがでしょうか。関口委員、どうぞ。

関口委員 1次意見書の中には裁判所の決定による強制医療ということが入っていて、これは医療観察法のことなんですけれども、それと同時に議論の過程の中に処遇は手続の中に入るんだということも入っていて、これはどちらかと言えば精神障害者の極めて少数の方に対して適用される法律ではあるのですが、そこにおける医療と称する患者とドクターとの関係が到底医療関係ではないと私は思っているので、この辺はまだこれからの議論の問題なので、そこはお願いします。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。川崎委員、どうぞ。

川崎委員 家族会の川崎でございます。今、堂本座長から全部説明があったとおりなんですけれども、実は保護者制度を今回何としてでも解消するための手立てをやりたい。そのための精神科医療を改革しなくてはいけないという、委員全員物すごい意気込みで今やっておりまして、ここで精神科医療を改正しないことには、同じような保護と収容の生活が続くのではないかということで頑張っておりますので、どうぞ皆様方にも御理解をいただき、医療改革を進めていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 川崎委員にお尋ねしたいんですが、堂本委員が大変しっかりとまとめられたと思うんですけれども、ただ、このことは既に何回も言われているんです。例えば今、進められている改革ビジョンは6年目に入りましたが、大変不調である。7万2,000人はなかなか出せない。そうすると、今のレベルだと恐らく変わらない気がするんです。もう一歩踏み込んだときに基本法に書く場合、どんなことが考えられますか。

川崎委員 やはり今、堂本座長からもありましたように、精神保健福祉法を解体しなければいけない。保護者制度というのは人権からみても大変に私たちは大変差別されている。当事者家族の差別法であるということで、この文言を基本法に入れていかないことには、これからの規定にはなかなかつながっていかないということで、基本法に入れることによって今回少し解決の目途がついていくのではないかと思っております。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。関口委員、どうぞ。

関口委員 前回の公式のチームのときに、私は任意入院は保護入院に補完であるということでもって大騒ぎになりまして、精神保健福祉法の紹介をよく読むと、任意入院は当事者と医療の側の契約とは見なさないと書いてあるんです。保護入院の場合は保護者と病院との民事契約なんです。

もう一つ、出口はともかくとして社会的には出さなければいけないんですけれども、入口の話でございます。入口を何とか狭めたいということを日精協の河崎委員に言ったんですが、これに関してはあちらは拒否とは言いませんけれども、YESとも言わずということで、まだこれからの議論となっております。

藤井議長代理 それでは、よろしいですか。これは推進会議としても全員が堂本座長チームを応援しながら何か活路を生み出していく。勿論精神障害者の運動も必要だし、国民運動もいろんな面で要るんだけれども、政策論上、活路を開く方法があれば今回チャンスだと思いますので、更に堂本チームを中心に残りわずかだけれども、基本法の各則にどう書き込むか考えていこうかと思います。堂本さん、最後に一言お願いします。

堂本委員 明日までに作業部会に関連した内容というか、例えば相談、自治体とか、いろんな作業チームに同時に検討していただきたいことを総合福祉部会に提出することになっているんですけれども、昨日から一生懸命何が必要かを書き出しておりまして、例えば相談だけではなく、働き方というのは精神障害の場合非常に難しいこともございまして、その就労の問題にどう対応していくか。そういった一つひとつほかのチームへのお願い事を今、書いておりますので、どうぞ御協力いただきたいと思います。ありがとうございました。

藤井議長代理 非常に多分野にわたって、ちょうど山手線がぐるっと同時に電車が動かないといけないのと同じように、重要事項が新宿駅とか池袋駅とか、そういうものがあって、そういうことを今、堂本さんが考えていらっしゃって、重要分野については協力をしてほしいということなので、よろしくお願いいたします。

続きまして、障害児支援の合同作業チームで大谷座長からお願いします。

大谷委員 大谷です。障害児支援ということで6名、この会議からは長瀬さんと2人で出てやっています。一番最初に出した論点を皆さんにお配りしました。

とりあえず第1次意見では1人の子どもとして尊重されるということで、障害児支援の在り方は基本的な方向性としてはそういうことだ、だけれども、具体的にそれはどういうことを意味するのかということを、もう少し踏み込んだ議論をしようということで確認作業に入っています。

もう一つは、これは第2番目の論点とすると、子どもの権利条約以降、子どものことに関しては、子どもの決定、判断等に関してはすべて最善の利益が追求されなければいけない。これは行政がそれに当っても、保護者がそれに当っても最善の利益を求めようと言われているんですけれども、我が国においては最善の利益が一体何なのかということの議論も余り明確にはされてこなかったということなので、この点に関しても確認をしたい。

3番目の論点とすると、もう一つこれも子どもの権利条約以降、子どもの意見表明権という形で言われています。障害者権利条約でも意見表明権を保障するべきとなっていますので、具体的にどうやって意見を表明する、どうやって支援するのかということに関しても、具体的に検討をしよう。

4番目は子どもの権利条約にはここまで明記されていないんですけれども、権利条約では家庭生活における平等な権利ということで、特に障害のある子においては家庭生活を保障するべしということが、23条3項以降に書かれておりますので、具体的にそれをどのような形で保障するべきなのか。

それとの絡みでもあるんですけれども、5番目には推進会議で早期発見、早期療育、早期支援ということの在り方を具体的にどのようなイメージで考えるのかということ。この5点が基本法に関して論点になるのではないかということで、前回提案をさせていただきました。

というのは、とにかく障害者基本法に関して権利条約に障害児ということが1個別立てで設けられていること、子どもの権利条約においても障害児と障害のある子の権利ということが別項、別条で設けられていたことからすれば、今度こそ障害者基本法に障害児、障害のある子に関して、どのような基本政策が必要なのかということは是非盛り込みたいということで、何とかこの2回、既に第1回をやって、今度2回目は11月19日なんです。

それで各論の議論が私の手帳を確認しますと、どうやら22日で各論の議論が終わってしまうのではなかろうかと思ったものですから、19日までには基本法に盛り込むべきことを中間報告という形でここの親会議に持ってこないと、せっかく作業チームでやっていても、時期に失したということで反映されないといけないと思ったものですから、まずは基本法に関する論点を5点出していただく。それ以降、これを具体的に総合福祉法でやるのか、もしくは児童福祉法でやるのかということは、あとの4回でやりましょうということで、非常に無理無理に論点を分けてしまって基本法の論点、総合福祉法もしくは児童福祉法の論点ということで分けてしまいました。

私とすると次回11月19日には、規定ぶりも含めて作業チームとしてはこのようなものは是非盛り込んでもらいたいということを提案したいと思っています。具体的にもこれは急いた気持ちの表れで申し訳ないんですけれども、第1回会議に座長提案もしくは長瀬さんと2人でということであったんですが、基本法の論議に関しては親会議の方が先行していますので、基本法において盛り込むべきことを長瀬さんと私でたたき台として既に出させていただいて、このたたき台をたたく形で先ほど言った5点の論議をいたしました。

その中では、まず第一の1人の子どもとして尊重されるといったところで、各委員から出た中で非常に特徴的だったのは、やはり社会、家庭の構成員として尊重されるんだ、その地域社会、その家庭の中の1人として尊重されるということを共通の認識とした上で、命に対する権利を書いてくれ。障害のある子、特に乳幼児の子どもにとって命が保障される、生存が保障されることは非常に大きな意味があるということで、従来成長、発達という形で言われてきたものも、やはりもっと前の命に対するということで書き込めないかという提案がありました。

1人の子どもとして尊重されるということは、障害のない子も持っている権利を全部保障されるということなんだけれども、これまた権利条約の中に障害のある子が固有に条文の中に提案されているのは、余暇のところで遊びに対する権利。権利というか遊びの保障ということで、30条のレクリエーション、余暇及びスポーツというところに、障害のある子は遊びが保障されなければいけないという、遊びという形で入っている。やはり従来障害のない子どもにとって、遊びを法文で保障することは余りイメージできないんですけれども、遊具の保障も含めて障害のある子の遊び道具というのは一体どんなものが必要で、どんなものが保障されなければいけないのかというのは、本当にまだまだこれからのところなので、そういう遊びに対する権利も盛り込む必要があるのではないかという新たな提案もありました。それなども盛り込んで権利保障という形で条文イメージ、規定ぶりを出していきたいと思っております。

最善の利益なんですが、これも最善の利益が保障されなければならない、考慮されなければならないというのは、子どもの権利条約以降やはり揺るぎないところだとは思うんですけれども、何が最善の利益だという最終判断を一体誰がするんだということも、いろいろ問題が出てくるんだろうと思います。それで基本的には障害者基本法で保証されていることがすべて考慮される。それから、従来の憲法、人権規約、子どもの権利条約が保障しているすべてのことが、この最善の利益を判断するに当っては考慮されなければいけないということを、確認的に決めていく必要があるのではないかということで、もう少しきめ細かな形で最善の利益の方向性を出していきたいと思っています。

最善の利益の方向性が定まらないと、それぞれの幸せを追求することが最善の利益だということで非常に茫洋としてきてしまいますので、やはり人権を基底に置いた判断が保障されるべきだということで、明記する必要があるのではないかということが議論されました。

意見表明権に関しても、一般的に意見表明権が保障されていることはあるんですけれども、これも残念ながら子どもの権利条約以降、現在の我が国の法体系の中にまだまだ明文化されたものがないんですが、やはり障害児にとっては非常にいろいろな措置、判定、判断というものがつきものになりますので、そのときに障害のある子の固有の意見を聞いていくことが確認されなければいけないということで、設けられなければいけないということが確認されてきました。ただし、意見表明となっているので、この意見というのは一体どこまでのものなのか。それは障害の程度とか年齢というところで考慮されなければならないことになっているんですけれども、やはり確定的な意見発表というオピニオンではなくてビュー、感情、意思、感想など、もっと広い概念でこれは予定されている。

訳文のところで意見表明と言われてしまうと、急にかっちりとした起承転結のある意見でなければいけないという雰囲気になっていますが、国際社会が言っているこの意見というのはもっと広い概念だということも含めて、これは長瀬委員から提案がありましたので、私はこの意見表明の中にもう少し広い意思、感情も含むといった形での意見を酌み上げる。そうすると逆に例えば目の動きとか、しぐさとか、そういったことも含めてその子が一体何を求めているのかということを酌み上げるある種のノウハウ、技術になるのかわかりませんけれども、それは付き合っていればわかることもあるんでしょうが、そういう訓練も含めてどこかで保障しなければ、この意見表明の支援が保障されないのではないかということで、そんな議論もされましたので、そこを何とかまとめ込んでいきたいと思っております。

早期発見と早期支援、早期療育に関してもおおよそ異論のないところではあったんですけれども、その方向性とすると、やはりあくまでも権利条約は地域で、家庭でということが明記されていますので、家庭生活を奪うことがないように早期支援ということになる。とするならば、これは障害のある子に対する固有の支援ではなくて、障害のある子を抱えている家族支援ということで、そこはもっと広い支援の在り方が必要になってくるのではないか。そこがはっきりわかるようなものが保障されなければいけないということが議論されました。

ただし、家庭でということは権利条約の大きな原則にはなっていますが、それだけにとどまらないで、どうしても施設とか入院等々の場所でしか養育ができない場合があることを想定するとするならば、どういう場所でそれが保障されるのかに関しても、権利条約はできるだけ家庭的な雰囲気の中で子どもの医療、養育等が保障されなければいけないとなっていますので、小規模で家庭的な雰囲気が保障された中での場所も含めて早期支援をするようにということを、何とか盛り込みたいと思っております。

ということで盛り込みたいことはたくさんあるので、我々が出したたたき台をもう一度修文して、再度提案して、皆さんに意見を言ってもらおうかと思っています。これが基本法に盛り込むべきことであって、その後にこれを踏まえて総合福祉法で問題になってくる障害児支援、本当に細かいというか、具体的に目の前に抱えている問題はたくさんあるんです。それをあと4回の間でやらなければいけないことになるんですけれども、正直申し上げて私はそれに対して医療や労働よりもう少し楽観しているのは、実は去年厚生労働省でもう検討会があって、それで一定程度の結論が出され、我々長瀬、大谷委員以外の4名は全部その検討委員会のメンバーであるということですので、ほとんどそこで論点を出し尽して、論点に対する一定程度の見解を出されている。

ですから、それを踏まえて、それ以上に具体的に我々としてはどういうふうにしたらいいのかということを、たたき台が既にあると言ったら失礼ですけれども、検討会の結果をある種土台にさせていただきながら、その方向性を見ていきたいと思っていますので、そこの座長をしておられた方がこの作業チームにも入っておられますので、そういった形ではそんなに拡散することがないかなと思っていますので、来年の3月までには作業チームの中で一定程度の結論が出るかと思います。

検討会の意見も正直申し上げて一番知りたいところが両論併記になっていたり、ここは議論が分かれましたという形での結果報告になっていますから、その方向性を我々としても出していきたいと思っておりますので、一定程度のものが出せるのではないかと思っています。

以上です。

藤井議長代理 残り数分間ありますので、御意見、質問があったら挙手をお願いします。土本さん、どうぞ。

土本委員 土本です。最近なんですけれども、札幌の重症障害児のことでテレビとかニュースがあったんですが、親が抱え込んでしまって情報がどこで相談するかもわからなかった。やっと市に申請するとこういう相談室あると教えてくれる。それで家族がいっぱいいっぱいになって相談するのではなくて、生まれた時期で相談をしながら育てていかなければ、親もいっぱいいっぱいになってしまって、最終的には入所施設に投げられてしまっている。自分のことなんですけれども、親も弟も含めてなんですが、情報がもらえなかったことと、相談することもできなかったときに入所施設に入れてしまったことも含めて、そうではなくていろんな人に相談して、抱え込まないでいろんな人に話してもいいのではないかと思うし、最低でも親の保障、生活面での保障とかヘルパーさんをもっと増やしてほしいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。久松委員、どうぞ。

久松委員 いろいろな作業御苦労様でございます。久松でございます。

言葉の使い方ですが、意見の表明権、意見という言葉の使い方をどう読むかということの議論が必要だと思います。子どもの気持ちを外部に表現するために早期発見、早期療育という言葉を使っていますが、子どもの権利条約では療育という言葉も使っています。厚生労働省と文部科学省で言葉の使い方はそれぞれ違う使い方をしていて混乱があります。

何が言いたいかといいますと、子どもの気持ちを表明するための条件として、言語環境、コミュニケーション環境が整備されて、初めて子どもにとって自分の意思を表明できます。その辺の環境をどのように整備していくかということが大きな課題になるかと思います。

私は個人的には早期支援という言葉が、すべてのあらゆる面でのサポートという考え方が含まれているので、早期支援という言葉が適当だと思っています。今後文部科学省の中でもインクルーシブ教育の支援の考え方を整備していくことがあるんですが、そこでどう論議していくかという方向性を示していただければありがたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。竹下委員、どうぞ。

竹下委員 障害児支援の議論で私は2つ意識してほしいと思うのは、障害児支援のときに家族支援というのは親の支援を含めて重要なんだけれども、それだけでは無理があると思うんです。直接の支援というものをどういうシステムでやるのかという議論を是非やっていただきたいと思うわけです。単に家族による支援を得られない人のためにというのではなくて、家族によって養育を受けている環境にあっても直接支援というものがないと、多分今の土本さんの話も含めて言えば親の支援だけでは成り立たないこと、あるいは親を支援することで足りない部分が出てくることについて意識をしてほしいです。

2番目は、今回は教育の問題は直接には論点に入らないのかもしれませんが、障害児童の支援といったときに学校との関連性を意識していただきたい。それは単に統合教育だとか分離教育ということではなくて、学校との関連性を持ちながらも地域でどういう学習環境あるいは就学を保障する体制の問題も含めて議論に入ってくるのであれば、意識していただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 2点目の話がわかりにくかったんですが、それは教育からのアプローチではなくて、障害児支援からアプローチする場合に、もう少しどういう言い回しがいいのか。

竹下委員 具体的に言えば、例えば地域での生活の中で1つは学校教育以外のところでの就学支援というものがどういう形であるのか。すぱっと言えないんですけれども、そのような支援が必要であると思うのと、それから、通学を含めて学校にだけ任せられるのか、それともそれを福祉の分野で支えることの必要性が出てくるのかという議論が入ってくると思うんです。

藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。

尾上委員 どうもありがとうございます。私のところは総合福祉部会では訪問系の作業チームを担っておるんですけれども、そちらで前回生活支援行為としての医療的ケアを地域生活の中でどう確保していくのかということや、あるいは通勤や通学、シームレスな支援をどう確保していくのかといったことで、その作業チームのメンバーの皆さんから御発言をいただきました。

その中で特に医療的ケアについて御報告をいただいた方の話の中で、これは別に教育の在り方論ではなくて、地域の通常学級であれ、特別支援学校であれ、その学校の中における医療的ケアの確保も非常に大きな課題になっているということで、実は今ちょっと準備をしておるところなんですけれども、次回の私どものチームでその関係者の方からヒアリングを受けましょうという話になっております。

そこでまとまったような課題、関連領域としては障害児支援のチームや医療の第2期の方になるのかもわかりませんけれども、そういった形でそれぞれのチームでの議論が重なり合って分厚い議論になっていけるように、お互い協力していければなということで、次回そういったことのヒアリングをお受けするので、そこの資料を障害児支援と医療の方に流させていただきますので、是非よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 清原委員、どうぞ。

清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。各作業チームとも熱心な御議論本当にありがとうございます。

障害児支援合同作業チームの論点整理の中で、竹下委員の御意見とも重なるかもしれませんが、障害の早期発見、早期療育の在り方について勿論さまざまな御意見はあるかと思いますが、やはり生まれる前の胎児のときから含めての議論の中では、教育分野だけではなくて、いわゆる保健、医療、福祉、とりわけ現行の制度では保育園・幼稚園の位置づけというのも大変重要になってくると思います。

現在内閣府では子ども・子育て新システムの検討の中で、幼保一体化ワーキングチームの取組みも始まっております。私は個人的には全国市長会からそのワーキングチームのメンバーにもなっておりまして、その中で幼保一体化という取組みの方向性の中で、今までの幼稚園教育と保育園の取組みとを、どのように意味ある形で一体化にしていくかという中で、障害のある子どもたちに対しても、一体化が有効に働くように検討しなければならないという御意見が出されております。

したがいまして、大谷委員のお言葉を借りれば生存の保障といわれるような、「基本的人権の保障」を考えていく際には、理念的に考えるべき部分と、具体の教育制度や児童福祉制度の現状と今後についても、大変ご無理なお願いをしていることは承知なんでございますけれども、どうぞ視野に入れながら整理をし、検討をしていっていただければ有効ではないかと考えます。保健、医療、福祉、教育それぞれが一体的に関係してくると思いますので、先ほど尾上委員も御指摘のように、障害児支援合同作業チームの中で深めるべき部分と、その他のチームの中に障害のある子どもの視点を入れて検討することの有効性と、両方あるかもしれません。

オールマイティに1つの作業チームでということではないと思いますが、論点として問題提起をさせていただきました。ありがとうございます。

藤井議長代理 中西委員、どうぞ。

中西委員 中西です。大谷さんの発表の中で最後に意見の表明権及び意見の表明への支援ということで出ていて、竹下委員より支援の方法について意見がありましたが、権利条約の中で多分表明という日本語の中で表わそうとしていらっしゃるのかと思いますが、それぞれの見解とか考え方の表現という言い方で、必ずしも言語だけではなくて、いろいろな方法が考えられるのではないかと思いますので、単に意見の表明とすることで誤解が生じるんでしたら、むしろ自分の意思を表現するという形での言い方の方がわかりやすいかもしれないと思います。

以上です。

藤井議長代理 表明という日本語は強い意見となりますので、表現という案が出ていました。関口さん、どうぞ。

関口委員 関口ですけれども、先ほどの尾上さんの意見を受けて、地域における医療の在り方のところで確かにアウトリーチという形でやっていく医療の在り方というのは、例えばACT-Kというのがあるわけですけれども、それと福祉的な訪問サービスとの兼ね合いがちょっとまだはっきり区別ができていないところがあります。それが1点。

もう一つは先ほど教育の部分でも出てきましたけれども、例えば厚生労働省ではこの間の6月29日の閣議決定を受けて、社保審の障害者部会の下に保護入院と入院の在り方の検討会みたいなものをつくって、この委員はもともと社保審の委員がありますので、そこに部会の広田さんと日精協の河崎さんが入っておられるわけです。そうしたときに藤井さんからも御提起がありましたように、今まで社保審を延々やってきて精神医療は何一つ変わってこなかったという状況があるときに、我々が医療のチームとしてきちんと出していくということが、本当に精神医療を変えていくことにつながるんだとしたら、やはり推進会議の意見をきちんと反映させていただきたいということが必要不可欠になってくるということだと思いますので、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 それでは、今の御提起も含めて大谷委員は大変ですけれども、まとめてもらったら私の方に一言、やはり障害を持っていない子どもと違う点でもあるかもわかりませんが、ライフステージで就学前はダブってきます。しかし学齢期に関して障害児は教育は制度上あるんですけれども、この部分の生活支援が希薄になります。普通の障害を持っていない場合にはやはりここは違った意味だと思いますが、学齢期から青年期へつなぐところが、障害を持った人が厳しい面に置かれがちであるという点で、そういうことを併せて、あるいは時間帯の隙間がないように、ライフステージの隙間がないように、同時に日々の生活で隙間がないようにというときに、多分野が関わっていくという点でまた考えてもらえればと思うんです。

言われていたように最善の利益というのは大変大事な表現なんだけれども、どうここを表現するかは別としておいて、これは変えてはいないという主な要素なんかも合同作業チームで検討してもらえればということを注文つけようと思います。

以上でこの点での議論は終わっておきましょう。大谷委員いいですね。休憩時間を15分間とりますが、25分まで休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、第3コーナーに入りますので、委員の方は着席をしてください。よろしいですか。では始めます。

第3コーナーでは2つの件、差別禁止部会の開催、わかりやすい第1次意見の作業チームからの報告、それ以外にもう1、2発言を求められていますので、進めてまいります。

最初に東室長より差別禁止部会の開催に関して資料が出ていますので、これに沿って御報告をお願いします。

東室長 担当室の東です。お手元の資料2を開けていただけますか。「障がい者制度改革推進会議差別禁止部会の開催について」ということで出させていただいております。総合福祉部会をつくるときにも大体同じようなものを用意させていただきまして、承諾をいただいているところです。内容としては5点あります。

1点目は障がい者制度改革推進会議の開催について第5項に基づき、障害を理由とする差別の禁止に関する法制の制定に向けた検討を効果的に行うために、障がい者制度改革推進会議差別禁止部会(以下「差別禁止部会」という。)を開催する。

2点目は、部会長は構成員の互選により決定する。

3点目は、差別禁止部会の議事手続及び公開については、障がい者制度改革推進会議の例によるということで、情報保障等はこの推進会議と同じような形でやるということです。

4点目は、差別禁止部会の庶務は関係行政機関の協力を得て、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)において処理をする。簡単に言えば推進会議の担当室で担当することになります。

5点目は前各項に定めるもののほか、差別禁止部会の運営に関する事項その他必要な事項は、部会長が定める。

以上の5点であります。御質疑の上、御承諾いただければと思っているところです。

以上です。

藤井議長代理 質問、意見を受け付けます。佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 佐藤久夫です。4番目の項目なんですけれども、庶務は内閣府政策統括官において処理するということなんですが、障害者差別禁止法ができ上がると、それを国会に政府提案として提案するのは恐らく法務大臣なのかなと思うんです。できた法律の実行などにも予算もかかるわけだし、そういう点からすると内閣府と法務省とで合同で庶務を担当するという形で、法務省の関わりもかなり強く持たせておいて、進めた方がいいのではないかという感じもするんですけれども、いかがなんでしょうか。

藤井議長代理 わかる範囲で東さんからお願いします。

東室長 恐らくは差別禁止法ができ上がった場合に、それは内閣府で所管する形になると考えております。だから所管が法務省になるという前提で進めているわけではないところです。ただ、おっしゃるようにほかの省庁とも協力関係が必要であれば、それは協力を求めることになります。

佐藤先生がそうおっしゃられるのは、特に救済の部分をどうするかということについて、法務省の方で人権救済に関わる法案の検討が進められておりますけれども、そことの関係をどうするかということは、法務省とも連携してやらなければならない部分ではあると思っています。そういう意味でそことの関係、調整も含めていろいろ検討するところが出てくるかなと思っているところです。

以上です。

藤井議長代理 佐藤委員、よろしいですか。

佐藤委員 障害者に限らず人権、差別の禁止、救済などを行う基本的な省庁が、障害者の差別の禁止についても担当をするという制度が一番望ましいんだろうと思いますけれども、その辺で内閣府がこの障害者差別禁止法を所管することで問題がないのかどうなのか、ちょっと教えていただければと思います。

藤井議長代理 竹下委員、どうぞ。

竹下委員 結論だけ。私は法務省が所管することははっきりと反対です。人権法の制定に当っても、もともとはパリ原則との関係から言っても法務省が所管することはよくないと言われているんです。あくまでも独立行政機関でやるか、少なくとも内閣府所管でやるべきだと言われているんです。その議論との関係から言っても差別禁止法の議論は法務省でやるのではなくて、内閣府でやることがふさわしいと思っているのが1点目。

将来的に人権救済を目的とする人権法が制定されるとすれば、そことの議論の整合性が出てくることは間違いないわけですが、そのときに法務省との議論が必要になるとしても、所管が法務省になるというのは、私は現時点では全く反対であることだけ申し上げておきます。

以上です。

藤井議長代理 関口委員、どうぞ。

関口委員 私は人権共同行動という運動の呼びかけ人の一人になっていますけれども、これは国内に人権機関をつくるということと、いわゆる人権条約の選択議定書を批准してほしいという、この2つを獲得目標にしておりまして、その中で国内人権機関は当然にも内閣府につくってほしいということを要望している関係もありまして、障害者権利条約における33条の救済機関がどのような形態になるにしろ、大枠の中での国内人権機関の1つの部分と考えられると思いますので、法務省につくることは反対です。

藤井議長代理 長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 ありがとうございます。私も基本的に内閣府だと思うのですけれども、その前提の上で今でもこの推進会議は非常に濃密に進められていて、担当室の御負担というには非常に大きいと心配しております。今の5名の体制で更に差別禁止部会も引き受けるというのは当然の方向だと思いますが、その際に更にスタッフ面での増員というのも、これはどこでお願いすればいいのかわからないのですけれども、差別禁止部会の事務も内閣府の方で担当するとなると、多分担当室で担当していただくことになると思うんですが、そこが心配なのでもし何か更にスタッフ面で強化できるような可能性があるのか、非常に予算面で難しい状況にあるとは思いますが、そこをちょっとお伺いしたいと思いました。

藤井議長代理 佐藤委員からそういう話がありましたが、今の話の流れとしては勿論各省庁にまたがるんだけれども、主に事務を担う内閣府は全省庁に関係するということもあって、内閣府が担当主体になっていく。人権救済の成熟度を見ながらそこは調整が要るけれども、この差別禁止法については主務担当部署は内閣府に置こう。しかし、今、言われたように実務体制が今でも極めてギリギリな中で果たしてできるんだろうかということで質問をしたいと今、出ましたけれども、東さんに質問を答えてもらうのはかわいそうなので、関参事官いかがでしょうか。

関参事官 ありがとうございます。まさにその問題は先般も国会でも民主党の相原議員からの御質問もあり、大臣からもお答えをしているところでございますけれども、現状の事務局での仕事量が本当に過密でフルにやっていることについては、皆さん異論のないところかと思います。そういう中で周辺にいるスタッフ含めて全面的に協力しながらやっているところですが、その時点その時点のワーク労働がある中で、どういうふうにすれば万全を期すことができるか、とにかくこの会議が回っていかないことには意味はございませんので、それを支えられるようにいろんな中での運用をやりくりも含めて、しっかり検討しながら充実を図っていきたいと思っております。そういう立場で私どもも要求する立場ですけれども、そういう形で是非協力し合ってやっていきたいと思っております。

藤井議長代理 今日は統括官にも聞いてもらっていますので、是非ご配慮をいただきたい。おっしゃるとおり体制を見ていきますと担当室長が正規で、あとは嘱託という状況も考えますと、大きな問題を考えていくときに体制強化を是非検討してほしい。今、2つの部会が立ち上がっていくんですけれども、他の分野からも部会ということもありますので、それを併せると中期的な展望が要るかなという感じもします。

新谷委員、どうぞ。

新谷委員 事務局へ質問ですけれども、傍聴に当っての情報保障はどうなりますか。

藤井議長代理 では久松委員からも先にいただきましょう。

久松委員 同じです。文部科学省の会議の傍聴者にも手話通訳が設置されていますが、こちらの部会もモニターテレビで情報保障を図っていくという考え方をお持ちかどうか、伺いたいです。

藤井議長代理 東さんからお答えいただけますか。

東室長 先ほどの3項を見ていただきますと、差別禁止部会の議事手続及び公開については、推進会議の例によるということで、推進会議と同じであるということは基本です。だからここのレベルでやっていることは部会においても実行するということです。

藤井議長代理 新谷委員、どうぞ。

新谷委員 確認ですけれども、パソコンの要約筆記が付いて、私が傍聴に来たときにああいうモニターを見られると理解してよろしいんですか。

東室長 東です。今やっていることはやります。

藤井議長代理 今ここで推進会議でやっている水準は実行するということです。

新谷委員 わかりました。ありがとうございます。

藤井議長代理 久松委員もいいですね。

久松委員 はい。

藤井議長代理 ではこの件は終わりにいたします。

続きまして報告の2つ目、わかりやすい第1次意見作業チームから共同座長の土本委員と長瀬委員から、順番に報告をお願いします。

土本委員 土本です。今日午前11時半ごろから始めまして、今日を含めて8回目を迎えました。大体つくり上げてきて、あとは文字とか、どんな絵を入れていくか等を話し合いました。出席したのは北野さん、育成会の室戸さん、長瀬さん、事務局の成冨さん、支援の元氏さんも含めて話してきました。

今日大体これができ上がってきたんですけれども、あとは細かい絵を入れるとか、そういうことをこれから作業して、11月9日の完成を目標にしています。

以上です。

藤井議長代理 11月9日というのは滋賀で地域フォーラムがある日ですね。

引き続き長瀬共同座長、お願いします。

長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。

わかりやすい第1次意見をつくる作業チームということで、6月から作業を始めてきましたけれども、本当にようやくおかげさまで最終段階になりました。ただ、まだ最終の詰めの段階の作業が残っておりまして、イラストのところでもぎりぎりになって、つい先ほどなんですけれども、久松さんのところからは手話のイラストについての御協力をいただいて、本当にありがたく思っています。

できれば11月9日には間に合わせたいと思っておりますが、でき上がった後は我々は第1次意見の作業チームですので、第2次のわかりやすい意見をつくる作業チームはフレッシュなメンバーで構成されると思っていますが、私たちの第1次の経験をまとめて新しいフレッシュなチームには、私たちの経験を伝えるということをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

藤井議長代理 早くもけん制がありましたけれども、第2次意見はまた別としておいて、とりあえず第1次が近々まとまるということで期待してまいりましょう。これはこれで特に質問等はいいですね。久松委員、どうぞ。

久松委員 ろうあ連盟の久松です。皆さんお疲れ様でした。11月9日滋賀の地域フォーラムの場で配布されるのはいいと思いますが、間に合いそうですか。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。

本当はもっと早い段階から手話のイラストについては、久松さんの御意見を伺わなければいけなかったんですけれども、ぎりぎりになってどたばたしていて大変申し訳ございません。11月9日に間に合わせるのが一番いいのですが、条約や推進会議の取組みもまさに同じですけれども、スピードと中身の両立を目指しますが、ぎりぎりの中でどちらかと言われたら中身の方で、その場合にはもしかすると11月9日は無理かもしれませんけれども、我々としては11月9日を目指して最善の努力をしています。

藤井議長代理 では是非努力をしていただいて、ただ、今、言われたように最後の詰めで拙速は禁物なので、ぎりぎり問われたら中身であるということを含んでおきましょう。

残り時間も大分来たんですが、森委員と大久保委員から短い時間での発言を求められていますので、まず森委員からお願いします。

森委員 森でございます。今日はある区の特別支援学級のモデル校に、事務局の方から我々推進会議のメンバーに参加しないかという呼びかけがございました。それで学校訪問の参加をいたしましたので、簡単に御報告させていただきたいと思っております。

10月28日でございましたけれども、推進会議の委員といたしましては6名でございます。代理1名を含めておりますが、参加がありました。介助者、事務局を含めますと13名で学校に伺ったわけでございます。

訪問した学校は都内の区立小学校です。ちょっとこの席では名前を言わないでくださいということがありましたので、そのようにさせていただきます。特別支援学級に在籍している子どもたちの机やロッカーを通常学級に全員分用意して、しかも個別支援計画に沿って必要な時間を取り出して学習をしているという学校でございました。全部で256名おります。そのうち障害関係の人が26名ということでございました。2クラスは知的障害児でございます。あと2クラスありまして、これが情緒障害児でございました。普通クラスが8クラス、したがいまして12クラスということです。

まず特徴的なことだったのは、第一点といたしましてすべての教職員が、すべての子どもの教育をするということが徹底されていたことでございます。障害を持つ子どもは障害児専門の教員にという区別は、できるだけなくそうとしているようでございました。これが子どもたちにとって障害の有無による区別をあらわにしないという印象を持ちました。この取組みは特別支援教育の区のモデル校であることから、他校においては現行の制度ではちょっと難しいのではないかという気持ちもありました。

2番目は、私の方で障害児と障害児でないお子さんを一緒にしたときに、実は親御さんたちの心配はどうなっているでしょうかというお話を聞きました。当初はいろいろとあったようでございますけれども、進行する中におきまして大変円滑に学習が進んでいるということでございます。それは学校の先生方がいろいろと工夫をするということではなくて、むしろ親御さんたちの理解、お子さんたちの理解でこれがスムーズにいっているというお話でございました。したがいまして、インクルーシブ教育の制度を考える際のヒントになるのではないかという感想を持ちましたわけでございます。

私の方では以上でございますが、他に参画しております委員がおりますので、その方からも補足していただければと思っております。

以上です。

藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。

尾上委員 尾上です。私も行かせていただきました。森委員から概要をお話されたので、私は感想みたいなことをお話させてもらいたいと思います。

こちらでは障害のあるなしに関わらず、すべて所属という原学級といいますか、そちらに机やロッカーなどもあるということに加えて、登校なんかも所属学級単位でやられているということで、本当に障害のある子とない子がいろんな形でともに学ぶということを、学校全体として配慮されていることをすごく感じました。

特に支援教室と言われたところを見せていただいたんですけれども、以前は例えばよくあるのはひまわり学級とか、そういった名前がよく支援学級の場合ついているんですが、こちらは特別という言葉もなくして支援教室A、支援教室B、支援教室Cという形で、ある意味でフラットな名前にした上で、いろんな子どもさんがその支援教室にも来られるという形でやっておられる。別のときにある議員さんとかが見学に来られて支援教室を見られたときに、どの子が障害のある子か見てわからなかったという感じでおっしゃっておられました。

そういう形で障害のある子とない子がいろんな形でともに学んでいくということ、そして教師が何々学級の先生が担任というよりは、学校全体で教師集団全体で障害のある子もない子もともに関わっているといいますか、携わっている。その姿がすごく印象的でありました。

何よりも一番私の中ですとんと来たのが、インクルーシブな教育制度と言うときに決して理念先行の性急なものでも何でもなくて、現場に地の着いたことなんだろうなと思うことがありました。その学校長さんがおっしゃられたのが、私たちは特別なことをしているのではなくて、当たり前のことを当たり前にしているだけだ。当たり前のことを当たり前にしていくことがインクルーシブ教育なのかなということで、改めて私たちの制度改革を是非学校現場でも、ここは本当に熱心にされておられますが、これがどこの学校でも当たり前の姿になっていくように制度改革を進めていければいいなと思いました。

藤井議長代理 時間が大分来ていますので、御両名の報告と感想とさせていただきましょう。大久保委員、お願いします。

大久保委員 大久保です。皆さんにお配りした提案の資料がございます。「教科書・教材のアクセス問題への提案」という資料がございます。この資料は文科省の特別支援教育の在り方に関する特別委員会というのを、皆さん御承知のとおりだと思いますけれども、そこに久松さんと私が参加させていただいております。

そこで委員長代理の静岡県立大学教授の石川さんとともに、全国視覚障害者情報提供施設協会理事長でもいらっしゃいます方が、これと同様の内容を提案されています。私も是非ともこういった内容を推進会議の皆さんにも御理解いただいて、こういった方向で具体的に政府に施策を講じていただくことをお願いしたいということで出したわけです。

内容的には教科書バリアフリー法というのが公布されて施行された。その中で点字教科書並びに拡大教科書といったものは実現されたけれども、いわゆる電子データによる教科書、つまりテキストといった形で音声的にもそれを聞くことができるとか、こういったことも含めて、基本的な合理的配慮であるということだと思います。こういったものをしっかりと保障してほしいということです。

現在でも何人かちょっとお話を聞いたところによりますと、電子データで提供した場合は教科書本体が提供されないみたいなこともあるようです。こういったことは非常におかしなことであって、教科書本体と電子データが提供されることが本来であろうと思いますし、こういったことを皆さんにも頭の中に入れていただいて、これから基本法の中での教育の問題とか、あるいは個別の課題などの議論に反映させていただければと思いまして提案いたしました。

以上です。

藤井議長代理 情報の提供ということで、今の動向と御意見ということで参考にしたいと思います。

以上で私の方で担当すべき議事はすべて終わりましたので、これから小川議長にマイクを返します。

小川議長 本日も長時間の討議お疲れ様でございました。

ここで東室長より今後の予定を含め、報告すべき事項があれば御説明をお願いいたします。

東室長 担当室の東です。御苦労様でした。

次回は1週間後の11月8日月曜日です。24回になりますけれども、議題は今回と同じで障害者基本法の改正についてなどです。まだ確定的ではないんですが、今、準備しておりますのは各則の中で司法手続、司法へのアクセス、情報のバリアフリー化の問題、年金、経済的負担の軽減などの分野について議論する予定です。

大体の予定としては以上です。

小川議長 ありがとうございました。

それでは、これをもちまして本日の会議を終了いたします。この後、この場所で記者会見を行います。本日はお忙しい中お集まりをいただきまして、ありがとうございました。御苦労様でございました。

以上でございます。(拍手)

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