○ 小川議長 定刻になりましたので、これより第24回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。
本日の委員の出欠状況ですが、門川委員、佐藤委員、松井委員、山崎委員、福島オブザーバーが御欠席、その他の委員は御出席です。
会議の公開は、これまでと同様といたします。
進行上の時間配分については、後ほど、東室長より報告があります。
本日の会議は、17時までを予定しております。
それでは、これより先の進行については、藤井議長代理、よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 それでは、これから先の議事は、藤井の方で担当いたします。
最初に、東室長より、今日の進め方の概略を説明願います。東さん、よろしくどうぞ。
○ 東室長 どうもこんにちは、東です。
今回も「障害者基本法の改正について」などをテーマとして取り上げていきます。今回は15分の休憩を3回といたし、4つのコーナーに分ける予定です。
第1コーナーは75分の予定であります。「障害者基本法改正に関する規定ぶりのイメージ素案(各則関係部分<2>)たたき台」を基に「司法手続」と「情報バリアフリー」「年金等」「経済的負担の軽減」の4つの分野の議論をしていただきます。
第2コーナーは45分の予定であります。第二次意見のとりまとめに向けて「新たに議論した分野についての推進会議の問題認識」をテーマとして「住宅」と「障害の予防」の2つの分野に分けて議論していただきます。
第3コーナーも45分の予定で、同じく「文化・スポーツ」「ユニバーサルデザイン」の2つの分野を議論していただきます。
最後に第4コーナーは10分ほどの予定で、報告と質疑を行いたいと思っております。
以上が本日の予定でございます。
○ 藤井議長代理 それでは、本日も前回に続きまして、基本法の各則についての論議を集中して行ってまいります。
今、言われましたように、第1コーナーから第4コーナーまで分けてやりますけれども、第1コーナーは75分間です。14時20分をめどにして進行をしてまいりますので、協力をお願いします。
このコーナーは「司法手続」「情報バリアフリー」「年金等」「経済的負担の軽減」の4つの分野についてお話を進めてまいります。
最初に、3つに分けます。最初に「司法手続」、2つ目に「情報バリアフリー」、3つ目に「年金等」と「経済的負担の軽減」については併せて議論します。いずれも齊藤企画官より、冒頭にたたき台に基づいて、規定ぶりのイメージ素案の話をしていただきます。大体数分間提案していただ
いて3つを20分ずつぐらいに分けて、「司法手続」も数分間提案いただいて、20分間討議、「情報バリアフリー」も数分間提案をいただいて、20分討議、最後に「年金」と「経済的負担軽減」は、併せて数分間提案していただいて、20分間議論ということで進行してまいりますので、よろしくお願いします。
それでは、司法手続につきまして、齊藤企画官より提案をお願いいたします。
○ 齊藤企画官 齊藤でございます。本日の資料1に沿って御説明させていただきたいと思います。
毎度のことでございますが、冒頭、本資料の趣旨について、改めて確認をさせていただきたいと思います。
本資料は、これまでの推進会議における議論を踏まえまして、事務局において規定ぶりの素案ということでイメージに落としたものでございます。今後、条文化に当たりまして、各論点について精査の上、各省庁との調整が必要となってまいります。
最初に「1.司法手続」についてでございます。
規定ぶりイメージといたしましては「国及び地方公共団体は、司法に係る手続(犯罪捜査の段階における手続を含む。)において、障害者がその特性に応じた必要かつ適切な意思疎通の手段を確保するために必要な措置を講じるとともに、当該手続に係る関係職員に対し障害者についての理解を深めるために必要な研修その他の措置を講じなければならないこと」ということで、現在の基本法にはない、新たな条項の新設と考えてございます。
この内容につきましては、第一次意見でいただきました2つの項目をそのまま規定ぶりイメージの形に整理をしたものでございます。
今後の検討・精査のポイントといたしましては、この司法に係る手続の範囲はどのようなところを含めるかということ。それから、必要な措置の具体的な内容などについて精査が必要かと考えてございます。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 それでは、齊藤企画官から、お手元の資料1の確認をしたいということの発言がありました。
このことを議論する前に想起すべきは、今ありましたように、第一次意見、個別分野における改革の基本的方向と今後の進め方の中の10番目のところと、当然ながら、権利条約の特に第13条です。この辺を想起しながら議論をしたいと思っておりますので、これから20分間程度の時間になりますが、よろしくお願いします。御発言の方は、挙手をお願いします。
では、久松さん、竹下さんの順番で進めてまいります。
久松さん、どうぞ。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。御指名いただきまして、ありがとうございます。
本日、このイメージ素案に基づき、当日配付で大変申し訳なかったのですが、こちらからも文書を持ってまいりました。皆様に配付させていただいております。
基本的な考え方ですが、まず、聴覚障害者で刑事裁判に関わる場合には、日本語教育を十分受けていない、または教育を受けられなかった人が多いという現状の中で、コミュニケーションの保障だけでは十分ではないことをまず御理解いただく必要があるかと思います。
もう一つは、手話通訳等の通訳にかかる費用についてです。当事者負担という考え方が、今の日本の司法制度の考え方にあり、当事者のアクセスを阻害することになっています。先進国では、障害者が裁判を受ける際、通訳等の費用については公費で裁判所が負担をする考え方が原則になっているので、日本の司法制度の考え方は極めて独特の状況です。それを早期に改善する必要があると考えております。
2つ目でございます。法務省のヒアリングの際に、実態が十分把握できていないことがありましたので、全国のろうあ団体に、司法に関する実態の調査を依頼をしました。まずわかったことは交通事故が起きたときの調べはほとんど健聴者の話の内容に従って進められてしまうということです。聞こえない人の状況が余り聞かれていないことが明らかになりました。手話通訳が呼ばれることが全くないことがわかってきました。それが非常に大きな問題だと考えています。
また、研修についても、当然手話通訳を付ければ終わり、筆記通訳を付ければ終わりということではなく、本人・当事者が求めるコミュニケーションの選択を保障する。また、当事者がどのような手段を用いているかは当事者に決めてもらうことを原則とするという考え方が1つあります。言語力が十分でないことを前提の上で、当事者の実態を研修で理解していただくことを求めたいと思っております。
詳細は提出しました文書にございますので、参考にしていただければありがたいと思います。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 では、竹下委員、新谷委員の順番で行きます。
竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 竹下です。3点か4点になりますけれども、短く言います。
まず、この条項に関する適用範囲ですが、括弧書きで「犯罪捜査に関わる手続を含む」となっているわけですが、そうであれば、当然に受刑手続、刑務所等への処遇における配慮も含むものでなければならないと思います。これが1点目。
2点目は、ここに「意思疎通」とあるわけですが、その意思疎通という日本語からくる理解としては、久松さんが指摘するような聴覚障害者などへの現在も制度として存在する手話通訳士、あるいは外国語に対する通訳者の対応ということになるかもしれませんが、そうではなくて、情報処理という面での保障でなければならない。それは知的障害者であったり、その他のさまざまな障害に応じて、まさにここに「特性」と書いてあるわけでありますから、障害に応じた情報提供が十分なものでなければ判断を適正に行うことができないということが前提になるわけでありますから、そのことから考えますと、「意思疎通」という表現では日本語の従来の概念からは狭過ぎる。「十分な説明を伴う情報提供」ということが中身として入るべきだというのが2点目。
3点目は、司法についての項の主語は「国及び地方公共団体は」となっております。それに対して司法という制度上は、検察あるいは裁判所は国の機関でありますが、司法の3当事者を担う弁護士は民間という位置づけになるわけでありますから、これを司法手続にどう位置づけるのか。ちなみに、日本にも大法律事務所は多少存在しますが、1人から数人という中小法律事務所が基本ですから、経済的に負担応力に乏しいそうした事務所へのアクセスが保障されなければ、司法手続における障害者の権利保障は十分でないということは、憲法上からも明らかであります。その点での民間人としての弁護士に対するアクセス、あるいは弁護士による弁護の保障がこの司法手続保障に含まれなければ十分なものにならないと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 この論点から精査すべき点は、特に今、言われたように、司法手続の範囲ですね。「意思疎通」だけではやはり不十分で、十分な説明あるいは情報保障ということを合わせてどうするか。それから、弁護士の扱いですね。その対象の中に、国及び地方公共団体に入らない部分としてどうするのか。
次は、新谷委員に行きます。その次は、北野委員、そして大谷委員と行きます。
○ 新谷委員 全難聴の新谷です。2点あります。
1点目は、確認ですけれども、司法に関わる手続の中には、当然裁判傍聴が入ると思うんですけれども、その辺を確認いただきたいと思います。裁判傍聴も含まれるということで理解しております。
2点目は、第一次意見もそういう文章を使っているんですけれども「障害者がその特性に応じた必要かつ適切な意思疎通の手段を確保する」とありますが、だれが特性を判断するかというポイントがはっきりしていないので、理解としては、あくまでも必要とする当事者が要求する意思疎通手段、コミュニケーション手段が準備されるのかどうか。判断主体がどこにあるのかということがこれでは読み取れないので、明確に「障害者が必要とする適切な意思疎通の手段を確保する」という書き方に変えていただければと思います。特に問題になりますのは、捜査被疑者の段階のときに、密室のときでやられた場合に、障害を持った人は適切な意思疎通手段をだれに求めればいいのか。取り調べている警察官の方、検事の方に筆談ということで押し付けられて、逆にこちらの方から弁護士さんに相談して、要約筆記者をつけてくださいという、心の余裕、全体の余裕あるプロセスであるのかどうか、非常に気になります。
そういうこともありますので、ここは「障害者が必要とする適切な意思疎通の手段」としていただければありがたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 2つあって、1点目は、対象の中に裁判傍聴が含まれるのかという質問。
2点目は、今の意思疎通の関係ですね。当事者が望む方法での意思疎通と改めるべきだろうという意見です。後でまた併せて、齊藤企画官、東さんから意見をいただきます。
続きまして、北野委員、どうぞ。
○ 北野委員 北野です。私は1つだけ言わせていただきます。
昨今、知的障害の方であるとか、高齢者の方が犯罪に巻き込まれることが非常に増えてきております。私どもは、今回の障害者基本法の改正の規定ぶりは、障害者権利条約の規定をもう少し参考にすべきではないかと思っております。
第13条には「手続上の配慮及び年齢に適した配慮を提供されることが必要である」と書いてありますので、障害者がその特性に応じてという場合、勿論特性には知的障害の方も入っておるのでありますから、「適切な意思疎通の手段」という表現は、知的障害の方などには非常に不適切な表現ではないかと考えます。ですから、表現としましたら「障害者がその特性に応じて必要な合理的配慮を含む十分な情報と適切な支援を確保するために」という表現で、知的障害の方の支援もきっちり入るようにしていただければと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 第13条の規定ぶりともう少し整合性がとれないか。特に今、おっしゃったように、合理的配慮だとか支援という部分をどういうふうに加えるかということですね。
大谷委員、どうぞ。
○ 大谷委員 大谷です。既に皆さんが言われたこと、特に竹下委員と同旨のところが多いのですけれども、改めて指摘させてください。
これは第一次意見とりまとめのときにもお願いし、正直言って、その段階で確かに落とされたところではあるんですけれども、範囲、犯罪捜査の段階における手続だけではなく「及び確定後の処遇」は是非入れていただきたいと思います。
それから、竹下委員が指摘したように、ここに義務者として弁護人が入っていない。やはり事業者としてそれに携わる者はこの義務を負うという意味でも、司法手続に関わる事業者がこの義務を負うという意味で、ここに入れるべきだと思っております。
それから、意思疎通に関することに特定されておりますので、施設等はすべて施設に対するアクセス権の方で保障されているということで、意思疎通に関する規定ぶりになっているんですが、そうであるならば、やはり権利規定がどうしても必要だと思っています。これは再三指摘させていただいているのですけれども、基本理念の中にきちんと理念が書き込まれているのならばいいんですが、それがいまだに不十分、もしくはわからないところがあるので、やはり司法手続の中にも意思疎通に関する権利が明確に書かれた条文が必要だろうと思います。基本理念の方に、意思疎通全般に関する権利として書かれていれば、それはそれを受ける形で施策義務だけということでもいいのかもしれませんけれども、そこがはっきりしませんので、やはり司法手続においては、すべての障害者が司法手続に関わる上において最低限必要なことは、意思疎通に対する権利が不可欠であるという確認的な権利、規定がまず必要であろうと思います。
それから、新谷委員が指摘の裁判傍聴が入るのかどうかということに関しては、素直に読むと、この規定ぶりが確かに司法に関わる当事者に対する規定ぶりのようにしか読めないんですけれども、もしそこも含めて入れるとしたら、司法に関わる手続の中で直接もしくは間接という形で、少し幅を広く持つということも必要なのかと思います。それは権利条約の中で、確かに「直接・間接」ということで、間接的に司法に関わる者もイメージしていますので、間接的に司法に関わるというのは、裁判傍聴を含めた用語なのかどうか、この規定の経過を見ないとわからないんですが、やはり少し膨らませる意味においては、直接及び間接の「参加者」という形で表現している権利条約を意識した規定ぶりも検討していただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 これに充てられている時間が大分迫ってきました。後でまた齊藤企画官から説明をいただきますので、関口委員をもって、ここの皆様方の御意見は終わります。
関口さん、どうぞ。
○ 関口委員 ありがとうございます。全国「精神病」者集団の関口です。
手続的に問題のある医療観察法は論外ですけれども、少なくとも全国「精神病」者集団は、刑法39条までをも条約違反と言っているわけではありません。刑法39条では、簡易鑑定の場合も本鑑定の場合もありますが、精神鑑定を行わないと、喪失なのか耗弱なのかが判定できないわけですが、これを行うに際して、必要な措置を講ずるということの中に治療が入るのか入らないのかが不分明です。治療を入れてくれた方が、どちらかというと精神障害者にとってはいいというか、つまりすぐさま治療に結びつけてもらった方が医療的にはいいと思うんですが、この辺のところを御検討願います。
○ 藤井議長代理 では、発言を求められていますので、東さんからお願いします。
○ 東室長 東です。関口さんの意見に関連して、医療観察法の是非は別としてありますので、司法手続を経て強制的に収容される医療観察法に基づく収容については、この範囲の中に入れるか入れないかという意見については、どうお考えですか。
○ 関口委員 現にある法律という意味で言えば、それは当然司法に係る手続だということで、行政処分ですから、司法と言っていいのかどうか。違うサンクションではないかという気もしますけれども、その辺はよくわかりません。
○ 藤井議長代理 そこはよくわからないということですね。
○ 東室長 今まで出てきた議論は、例えば確定後の処遇という場合に、医療観察法に基づく収容は判決の確定ではないので、そこは省かれてくるわけですね。ですので、その点についてまだはっきりとした御意見がないようであれば、関口さんの方で、後でもいいから明確にしていただけますか。
○ 関口委員 わかりました。
○ 藤井議長代理 久松委員、どうぞ。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。
繰り返しで申し訳ありませんが、先ほど大谷委員から、直接及び間接の参加も含むという御意見をいただきました。これを保障する具体例を2つ出したいと思います。
四国のある県では、聞こえない障害を持った人に裁判員の通知が来ました。手続のミスかどうかわかりませんが、聞こえない障害を持った人が、排除されたという事件が起こっております。
もう一つは、検察審査会の審査員に選出される過程において、障害を持つ当事者が排除されたという事例もありました。
そういう事例もありますので、現在の規定ぶりイメージでは、排除された人の権利を守るという考え方を含むとは読み込めません。そういう意味で「直接及び間接の参加」ということも盛り込むことが必要であるということを求めたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、以上の意見で質問等もありましたし、かなり素案の規定ぶりをもっと超えて、こういうふうにすべしという発展的な議論もありました。とりあえず、齊藤企画官の方でお答えできる範囲で返答をいただけますか。
○ 齊藤企画官 齊藤でございます。
まず、この規定ぶりイメージにおいて、どういったことを念頭に書いたかを申し上げますと、第一次意見の際に政府に対する意見としていただきました刑事訴訟手続に関する平成24年内を目途の議論、また検討といったものを念頭に書いてございます。しかしながら、当然今、御議論いただきましたように、司法に係る手続というのはほかにもあるわけでございまして、どこの部分まで、どういう形で範囲とするのかということをまさに御議論いただきたいということで、今回御提案をさせていただきましたので、今日の御意見なども踏まえつつ、更に検討してみたいと思っております。
その中で「国及び地方公共団体は」のところに弁護士が入っていないということをいただいておりますけれども、障害者基本法の各個別分野の立て方に関して、バリアフリーのところで一部そのこともございますが、基本的には国及び地方公共団体に対する条文ということであったものですから、一応それを念頭に今は書いてございます。
先ほど御指摘いただきましたように、弁護士に関しても、事業主という立場でほかの条項がかかってきますけれども、そのほかの表現の仕方が必要なのかどうなのか、更に勉強をしたいと思ってございます。
細かなところは、まさに御議論をいただいたところを踏まえて、更に検討ということだと思っております。
以上です。
○ 藤井議長代理 論議になっていますのは2つあって、「司法手続」という名称自体、やはり「手続」をどう読むかということがあるんですが、これ自体、手続規定の狭いニュアンスに対して、権利条約第13条は、手続に加えて「利用の機会」というのが入っています。したがって、大谷委員の言われたことも含めてなんですが、手続というのは狭義の意味なのか、裁判傍聴等を含めた利用の機会ということを含めての意味なのか、そこはやはり今後論議が残っています。
それから、北野委員がおっしゃった支援。例えばそれは意思疎通ということの狭さもあるけれども、目が見えない者が証拠をどうやって知るのかとか、あるいは受刑者。今日はまだ十分な議論になっていませんけれども、場合によっては、そこにおける医療保障をどうするのかという点での支援の中身の範囲も問われてくると思うんです。そういう点でいうと、範囲というのは、司法手続の中での範囲の問題と、支援の要素といいますか、それも今後議論に残ってくると思うので、これは新しい規定、条項だけに、きちんとした方向を考えていく必要があると思います。
この部分の議論については、一旦これで今日は終わりますので、引き続き議論は続くということでよろしくお願いします。
続きまして、今日の第1コーナーの2つ目は、情報バリアフリーです。
齊藤企画官から、たたき台に沿って御発言をお願いします。
○ 齊藤企画官 齊藤でございます。資料1の2ページ目でございます。
この情報バリアフリーの規定ぶりイメージに関しましては、現行の第19条に書き加える形でイメージをつくってございます。具体的には、第2項のところに、先日の会議の際にも御指摘をいただきました災害時の情報提供ということを書き加えてございまして、その部分だけ読み上げますと「2 国及び地方公共団体は、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に当たっては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮するとともに、とりわけ災害情報の提供の実施に際して、障害者の特性に配慮した伝達手段が確保されるよう必要な施策を講じなければならないこと」ということでございます。
併せて3項で「社会連帯の理念に基づき」といったものが「事業者は」の後にございますところは削除したいと考えてございます。
以上が規定ぶりイメージの内容で、今後はまさにその提供に際して必要な伝達手段を確保すべき、災害情報の具体的な内容について整理をしていくということかと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、これも第一次意見の個別分野での8番目に議論した点、権利条約で言うと主には第21条でありますかね。この辺と重ねてと思いますけれども、ここでは今の提案どおり、主に災害関係の追加が中心になっています。恐らくいろんな議論があると思うので発言を求めますが、いかがでしょうか。
まず、清原委員、お願いします。
○ 清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
ちょっと古い話を出して恐縮ですが、平成7年、1995年、当時の郵政省に高齢者及び障害者の情報利用に関する研究会が置かれましたときに、「情報障害克服部会」という部会が設置されました。当時大学勤務の研究者であった私は、その主査を務めさせていただいたのですが、情報を利用する際の障害を克服するための部会という名称について、まず第1回目から議論が交わされました。そして、「情報を利用する際に障害を感じている人が自ら克服するという発想ではなくて、社会そのものが情報をバリアフリー化すべきである」ということで委員の意見が一致し、珍しいことですが、当時の郵政省では、部会名を次の部会から「情報バリアフリー部会」と名称変更してくださいました。そのことを思い起こしますと、この規定の中に情報バリアフリーに関する規定が明確に置かれるということは、大変意義深いものと考えます。
そこで提案があるのですが、実は「バリアフリー」という言葉をその当時もなかなか最初から使えなかったのは、どうもこのような法律をつくりますときには、日本語をできる限り優先して使おうということがあるからだと思います。そこで今回の規定ぶりでも、これまでと引き続き、第1項目と第2項目には「電子計算機」という用語が使われています。せっかく「バリアフリー」とか「ユニバーサルデザイン」という片仮名語も法律の中に使うのでございますので、今の時代の中では「電子計算機」よりも「コンピュータ」という言葉の方が、ひょっとしたら一般的かもしれません。もし法律上許される範囲であれば、ほかの法律との整合性もかんがみてこのような用語にされたのではないかとも思いますが、ぜひ「電子計算機」を「コンピュータ」にされてはどうかということが1つの提案です。
2点目ですが、2項目に、とりわけ災害情報の提供の実施について付加していただいたのは、大変意義があると思います。また、地方自治体の1つであります三鷹市でも、この点については、障害のある方だけを対象にするのではなく、外国籍市民の方で日本語が正確に伝わりにくい方のことも含めて、現実的には検討しているところです。
ただし、この際、このような書きぶりをした場合には、例えば関係するところが出てくると思います。1つには、内閣府でIT戦略本部を置いていらっしゃいますので、是非災害時の情報提供については重要な項目でもありますので、大きな柱にしていただき、全国的に地域差なく、格差なく、標準的な在り方についての推進を、明確に位置づけていただければありがたいと思います。
併せて、総務省でも、地域の情報化については、積極的なモデル事業なども推進されていますし、総務省内の消防庁でも同様です。そのようなところで研究されていること、あるいは実際に地方公共団体と連携されていることが、この2項目の災害情報の提供に関して積極的に反映されなければいけないと思います。是非それは府省を越えて、更にこの部分について幅広く連携の声を上げていただければと思います。
最後に質問でございますが、付加していただいたところに、ほかに、条文とも関係すると思いますが、あえて「障害者の特性に配慮した伝達手段」という表現がされております。これは特に視覚障害や聴覚障害の方、あるいは色覚もそうですが、それぞれに配慮した情報提供をしなければいけないという趣旨であるとは理解するわけですが、ほかの条文とも関連して、今後も「障害者の特性に配慮した」という留意的な表現を利用するのが必要なのかどうか、あるいは入念的に加えていると思いますが、この表現で適切なのかどうか。これは御検討されたと思いますので、御説明していただければありがたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 今、言葉遣いも含めて、2つの提案がありました。特に災害の部分での言及、最後の質問は後でお答えいただきますが、出ていました。
新谷委員、久松委員の順番で行きます。
新谷委員、どうぞ。
○ 新谷委員 新谷です。
この条文は、現行法をそのまま持ってきて、そこに付け加えているだけなので、非常に理解しづらい面があると思うんですけれども、ゆっくり読みなおしてみると、1項、2項、3項がどういう関連になっているのか、頭の中にすんなり入ってこないんですよ。
まず、表題として「バリアフリー化」というのは、前項をそのまま持ってきたのかわかりませんけれども、これは変える必要がある。「バリアフリー化」というよりも「アクセス」とかの方が実態に近いイメージがありますので、表題から見直しが必要だと思います。
1項は、国、地方公共団体の情報アクセスに関する施策を条件づけるというか、明記するための条文なのかどうかという位置づけをはっきりさせないと、国及び地方公共団体が情報バリアフリー化、情報アクセスのためにいろんな施策を打ちますということをここに書くのかどうかというのがよくわかりません。
2番目になってくるともっとわからないんですけれども、国及び地方公共団体は行政情報を提供するという立場で書かれているのか、それとも国及び地方公共団体の行政情報が障害を持つ人にアクセスブルなように、スムーズに伝わるように施策を講じないといけないとしているのか、その辺がよく読み取れません。ここで公共放送の役割は一体どうなっているのかということもよく見えてこないところがあります。
それから「災害」だけをここにぽっと付けてしまうと、これはいい良い面もあるんですが、災害の問題が明確に浮かび上がってこないのではないでしょうか。障害者が災害のときに災害弱者になる問題というのは、もっといろんな問題がありますので、情報アクセスのところだけをクリアーするような書き方だけでは不十分だと思います。特に公共放送の役割を災害問題に全然規定していないというのは非常に問題があるのではないかと思います。
3番目の規定は、通信放送事業者とか情報関連のいろんな製造事業者、ソフトの事業者も含めて、その事業者に対する義務づけを規定しているのか、努力目標を規定しているのか、その辺の対象も内容も非常に不明確な条文に読めます。一読して、何を目的としているのかよくわからない条項だという気がします。
○ 藤井議長代理 そうしますと、久松さんの発言に行く前に、今の新谷委員の発言はかなり根本的な発言になっていますし、少し質問という形も織り込まれていましたので、先ほどの清原委員の「障害者の特性に配慮した」と表現をした討論経過、恐らく他の情報の厳しい方たちとの関係がそこに組み込まれていると思うんですけれども、これも併せて、ここで一旦、齊藤企画官から説明していただけますか。
○ 齊藤企画官 齊藤でございます。できる範囲で答えさせていただきます。
最初に「障害者の特性に配慮した」という文言の検討の経緯という御質問でございますけれども、当然それぞれの分野で障害者の方々の特性に配慮することは必要なのでございますが、特にこの分野に関しましては、一次意見をおまとめいただいた際に、その特性に配慮した方法が必要なんだということを御議論いただき、意見の中でもそういった形で表現したものですから、特にポジティブにそれを書いたということでございます。
現行の1、2、3項が何を言いたいのかよくわからないということで、まさに法律の条文で書くとなかなかよくわからない表現になっておるわけでございますけれども、簡単に申しますと、第1項の1の部分が、要は情報バリアフリー化一般を国及び地方公共団体が推進するための措置を講じるという、社会の情報バリアフリー化に関する部分を規定してございます。
第2項は、それに対して行政の情報。今回の災害時の情報提供に関しましても、今、いろいろな省庁でそれぞれ関係することをやっているという御指摘もいただきましたけれども、そういった各省庁が住民の方々に情報を提供するような部分も、この行政の情報ということでございまして、そういった行政の情報バリアフリー化に関する部分が第2項。
公共放送はどこにということもございましたけれども、それがまさに第3項の電気通信及びその他の情報提供に係る役務の提供云々かんぬんの事業者というところでございます。この第3項に関しましては、事業者に関する規定ということで「努めなければならない」と努力規定になってございます。
簡単でございますが、以上でございます。
○ 藤井議長代理 第2項の行政の情報化というのは、どういう意味なんですか。
○ 齊藤企画官 まさに行政そのものが情報提供に関しましては、どんどんICT化が進んでいるわけでございますけれども、そういった際にも、要は情報提供に際してバリアフリー化をしっかりと進めるようにという意味でございます。
○ 藤井議長代理 これはちょっと読みにくいですね。
まず、新谷委員からは根幹に関わる大変大事な質問だったと思いますので、今の齊藤企画官のお話は、今日ここで両方のやりとりという意味ではないんですが、とりあえず議論を深めていくために理解はされたか。いかがですか。
○ 新谷委員 多分、齊藤さんのお答えはそういうお答えにとどまるのではないかと思うんですけれども、やはりここではもう少し根本的に情報バリアフリー、情報アクセスの議論をする必要があるし、それから、障害を持った人の災害に対する対応の問題というのも、別にしっかり議論する必要があると思います。それを条文にどう落とし込むかというのは、これからの議論かもわかりませんけれども、ここでの議論もまだまだ不足しているような気がいたします。
○ 藤井議長代理 新谷委員から問題提起として、災害は他の分野全体にまたがるので、ここだけの特出しはどうかという意見だったと思います。
清原委員、関係する意見ですか。
○ 清原委員 ありがとうございます。清原です。久松委員、ちょっとごめんなさい。
今、行政の情報化ということについて確認の御質問がありましたので、私たちの立場で理解しているものをお話いたしますと、一方で行政から市民の皆様、国民の皆様に提供する内容について、さまざまな多様なメディアを使って提供するようになる。印刷媒体にとどまらず、ケーブルテレビですとか、放送ですとか、パブリッシーも含めて、そういうことを総合的に情報化と呼ぶ場合と、後の情報通信技術の公共分野における活用と関係しますが、具体的に電子申告ですとか、電子的な税の引き落としですとか、そういう行政手続や行政サービスに関して、国民、市民の皆様に電子的な機器や情報通信技術を活用することによって、より利便性を高めるような取組みを総称して「行政の情報化」と理解することがあります。
したがいまして、ただ「行政の情報化」と言われますと、今、私が御説明しましたようなものが包含されてしまっているので、わかりにくいという新谷委員の御意見はもっともでございますが、それをより具体的に表すとすれば、行政情報の提供や、あるいは後にあります公共分野におけるさまざまなサービスについて情報通信技術を活用する際には云々という、少々長い説明にはなるかと思いますが、国民、市民の御理解をよりいただくためには、そのような修文が必要かと思います。
併せて、私は先ほど「情報バリアフリー」の言葉のことを申し上げましたが、実はその部会の後、日本障害者協議会では、情報保障委員会というものを設置されて、研究をされました。そのときの考え方は、情報バリアフリーの先を行く情報保障であり、情報アクセシビリティーの向上ということをテーマにした展開があったと思います。先ほどは時間の関係でその部分まで御説明いたしませんでしたが、新谷委員が問題提起されました「情報バリアフリー」というよりは「情報アクセス」という文言の方が、より先に進む用語ではないかという御指摘がありましたので、この点についても幅広く更に御議論をいただければということも感じました。
以上です。
○ 藤井議長代理 今、清原さんがおっしゃったように、この法律というのは、そもそも法律用語とか、他の法律との整合性があって、独特の言い回しというのを理解できないわけではないんだけれども、やはり障害当事者がわかりやすいということも一方ではあるわけですから、従来の法律の固定観念だけでもいけない。一旦努力し合って、やはりわかりやすい、あるいは誤解を生みにくいような表現、表記ということも追及していくべきだと思うんです。そういうことと併せて、この「行政の情報化」という言葉などは、1つの例に上がったわけです。
久松委員、どうぞ。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。
情報バリアフリーの項目では申し上げたいことが山ほどございますが、ここでは皆さんに本日配付した資料がございますので、これをお読みいただきたいと思っております。
文面の説明の前に、1つ申し上げたいことは、情報通信または情報技術に関する条文、文章表現は非常にわかりにくい、読みにくいということは、十数年前から私自身も別の法律のことで議論をしている際に経験したことです。「コンピュータ」のことを「電子計算機」という言い回しをするとか、「インターネット」を「電子計算機を利用した通信網」という言い方にしています。片仮名語を使わずに読みづらい言葉に翻訳されるという経緯があると思います。そういうときには、普通名称になっているかどうかということが1つの議論のポイントになるのですが、もうコンピュータとかインターネットは、国民のみんなが知っている言葉ですので、普通名称化している言葉として、できるだけその言葉を積極的に使うべきだと思います。そうすることによって、読みやすくする心がけが大切だと思います。
もう一点。今回の規定ぶりイメージの中で、例えば私自身も含めて経験していることですが、郵便局に行って代理人を立てて手続きをする際、銀行もそうだと思いますが、本人確認を電話ですることがあります。その場合、聞こえない人だけではなく、言語障害の方、知的障害の方については、電話の利用ができない人がいます。本人確認が電話でできないということで、私自身、仕方なく郵便局に直接行って手続きをしたことがあります。本人確認を電話を利用できない当事者がする場合、どのように保障されるべきかということは、この情報バリアフリーの項目の中で保障する必要があると思います。ほかに該当する項目はないと思います。
文章で出したことの1つのポイントですが、今回、障害者基本法は、権利条約の理念、内容に沿った形で整理し、つくるということになっていると思います。少なくとも権利条約の第21条の条文の内容と今回の障害者基本法の条文の格差が、あまりにも大き過ぎると思います。上位にある条約の条文の方が具体的で、下位にある障害者基本法の方があいまいな書き方であり、具体性がない。普通に考えても、理解できる話ではないと思います。
ですから、情報バリアフリーに限らず、すべての項目において言える話だと思いますが、上位概念の権利条約より、もっと具体性を盛り込んだ基本法であるべきではないかと思います。今回、基本法の総論で「コミュニケーション」については「意思疎通」という言葉を使って、これを理念として盛り込みましたが、各論の中には何もありません。理念にコミュニケーションという言葉が含まれて、具体的な分野、各論にない場合、この理念は何なのとなり、問題ではないかと思います。情報バリアフリーの中にコミュニケーション保障を今回盛り込む必要があります。権利条約と同じように、情報アクセスという考え方を盛り込まなければなりません。障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段、利用また受容というものを権利として保障すること。これを情報バリアフリーの項目の中に是非盛り込んでいただきたいと思っております。
あと、災害の範囲です。この範囲をどのように読むのかという問題ですが、自然災害もあれば人為的災害もあると思います。1つは、緊急事態が発生したとき、例えば電車の事故や交通事故など、交通利用で遅延が起きたときの情報発信、情報受容についても、こういう災害時に盛り込むのかどうか。当然盛り込むには無理があるので、災害時以外のことを新しい言葉として含めなければならないかと思います。また、災害情報の内容については、資料に書いてございます。
最後に障害者が利用しやすい情報機器の開発に関しては、情報機器の製造及び開発に関して、障害を持つ当事者が参加することを是非盛り込む必要があると思います。盛り込まれていることが理解できるような文章にしていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 土本さんからイエローカードが出ていますので、よろしくお願いします。
○ 土本委員 土本です。今日の文章に書かれていることは、全体的にはわかりづらいことなので、説明をしてもらいたいと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 土本さん、今、少なくともこれだけは聞いておきたいということはありますか。
○ 土本委員 これを聞きたいというのは、やはり情報機器とかあるので、そういうところがどうなのかということも含めてなんです。
○ 藤井議長代理 情報機器。あとはないですか。まあ、幾つもあるのでしょうね。
○ 土本委員 はい。
○ 藤井議長代理 では、情報機器については、後で説明してもらいましょうか。
あと発言を求めている方は、大谷委員、どうぞ。
○ 大谷委員 大谷です。本当に私も読みにくい条文になっていると思います。
それで、やはり「バリアフリー」ではなく「アクセス」という言葉で、と幾つかの意見が出たと思うんですけれども、同じ条文の中に「利用しやすい」ということと「利用の便宜が図られるよう」ということが2つ使い分けられているんですが、これにどの程度の意味があるのか、私自身も理解できないんです。この際、少なくとも「利用可能なもの」と変更するべきだと思います。
もう一つ、第3項です。本当に長ったらしい事業者の説明があって、「情報に関わる事業者」で十分ではないかと思うんですけれども、長く説明がたらたらあって、やっと「事業者は」とあるんですが、事業者のところは努力義務になっているんですね。この基本法に事業者の責務を設けてもらいたいというのは総則で提案させてもらっているんですが、それを踏まえた上で、各項に事業者の責務をこういう形で設けるときに、すべて努力義務になってしまうのか、そうではなくて、国、地方公共団体と同じような責務が課せられているのかどうかということに関して、統一見解で示されたのか、たまたま情報のところは現行がそうなので努力義務にしているということなのかは、質問としてもお聞きしたいと思います。
もう一つ、災害時に関しては、まだ皆さんにお配りすることができないんですが、日弁連の案では、とにかくすべて総合的な施策をとらなければいけないということで、災害時、緊急時における施策義務は、地域で生きる権利、障害のある人が地域で自立して生きる権利の中の1項として、災害時・緊急時には何らかの支援を受けるということで、総合的に保障する施策をとらなければいけないという形で設けさせていただいています。
ですから、情報だけではなく、いろいろ緊急時に起こるすべてのことに関して網羅的な規定を設けるべきだということになると、やはり地域生活の中における施策義務とした方がふさわしいのではないかと考えております。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、かなり根幹に関わる第一次意見からの発展ということであるんだけれども、改めて権利条約第21条の表題は、表現及び意見の自由、そして情報の利用の機会となっているわけで、情報バリアフリーあるいは情報アクセスとしたにしても、まだ狭過ぎるという論を基本にしながら、災害のとらえ方等々、ずっと何人かから出ていましたので、一旦ここで齊藤企画官から発言をいただいた上で、東室長から御意見をいただきますので、順番にお願いします。
では、齊藤企画官から御発言いただけますか。
○ 齊藤企画各 いろいろ御指摘をいただいたところでございますけれども、まず、情報バリアフリーのところに災害のことを加えたことに関しましては、一次意見で御議論をいただいた内容に関して、一番盛り込むことが適切かなと思って盛り込んだ次第でございます。そのほかの立て方に対応する御提案もいただきまして、更に勉強してみたいとは思ってございます。
事業者の努力義務のところで御指摘をいただきましたけれども、基本的に基本法でございますので、国及び地方公共団体に対する義務というものを課す法律といいますか、個々の事業主に具体的にどういった義務を課すかということに関しますと、それぞれ個別の制度なり何なりの中で、しっかりとどの程度の義務をどういうふうに課していくのかという整理が必要なのではないかと考えてございます。要は、今回ばらばらと御提案させていただいておりますけれども、事業主に関しては、差別の禁止のところで端的な禁止の義務を課しているところがございますが、ここの個別分野に関して、事業主に義務として課すということは考えていなかったところでございます。
それから、先ほどの久松委員のお話の中で、条約よりも内容が漠然としているという御指摘をいただいたものに関しまして、今、御議論いただいている基本法というものは、基本的には個別の政策分野に関する基本的な理念だとか方向性、各分野に関しても、その当該分野における施策の方向のようなものを定め、それを更に個々の法律・制度でブレークダウンしていくという立て方で我が国は法律をつくっていますので、全体を見ていただいた上で、要はそれぞれの条約の条項がきちんと実現をするという構造になると思ってございまして、なかなか条約に書いてあることを更に詳しく基本法の中で書いていくというのは、なかなか今の我が国の基本法の立て方からすると、極めて異質ではないかとは思ってございます。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、東室長からお願いします。
○ 東室長 東です。皆さんがおっしゃったことは、そのとおりだなという思いで聞いておりました。
この条文は、例えば日本の高校生に読ませて、すんなりとわかる人がどのぐらいいるのか。非常にわかりにくいと思いますね。こういう書き方自体がバリアになっているという気もします。
なぜこうなったのかというのは、現行の施策の中のものを持ってきて書き込んだということから、こういう形になっているんだろうと思うんですが、例えば放送の役務とは一体何なのかとか、いろいろ法律用語として使われている言葉ではあるんですが、非常に一般的にわかりにくい言葉が羅列されているという感じはいたします。その結果、1項、2項、3項の関係が非常にわかりづらいという御指摘も、そのとおりではないかという感じがします。
ですので、書きぶりについては、大幅にわかりやすい形で、しかも体系だって書く必要があるのかなというところは、今後本当に検討しなければならない点かなと思っております。
以上です。
○ 藤井議長代理 今日はこれ以上時間がとれませんけれども、恐らく聴覚障害者関係、視覚障害者関係から聞いていますのは、著作権問題などもここでしか触れられませんし、多分まだ漏れている点があると思うんです。是非またプレゼンも含めながら、更に精査をしていくようしてほしいと思います。
それでは、時間が大分オーバーしていますので、次の「年金等」と「経済的負担」の軽減と合わせて、齊藤企画官から説明をお願いします。
○ 齊藤企画官 齊藤でございます。資料1の3ページ目をごらんください。2つの規定ぶりイメージを合わせて御説明させていただきます。
まず「3.年金等」でございます。
規定ぶりイメージといたしましては、国及び地方公共団体は、障害者の自立及び生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならないこと。現行法第13条でございます。
併せまして「4.経済的負担の軽減」でございます。
国及び地方公共団体は、障害者及び障害者を扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免その他の必要な施策を講じなければならないこと。現行法第21条でございます。
この2つの条文に関しましては、特段改正が必要ではないのではないかということで、そのまま書いてございますけれども、実際に改正の要否については更に検討、精査が必要かと思ってございます。
併せまして、経済的負担の軽減の部分に関しましては、この規定はそれぞれの個々の制度に関して国が必要な施策を講じなければならないという一般的な規定でございますので、これを基に新たに国や地方公共団体に負担を求める場合には、当然財政的、経済的な影響が生じるものでございます。その負担をどう考えるのかということを検討していく必要があろうかと考えてございます。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 ほとんどの方がお気づきのとおり、第一次意見では表題が「所得保障等」となっていたと思うんです。これが「年金等」となっています。併せて、経済的負担の軽減となっていますので、こんなこととも併せて少し意見交換をしたいと思います。発言したい方は手を挙げてください。
土本さん、竹下さん、北野さんの順番で行きます。
土本さん、お願いします。
○ 土本委員 障害者基礎年金のことであるんですけれども、今でも障害者基礎年金を受けられていない仲間がいる。軽度の知的障害と言われている人が、障害者基礎年金の受付もされていない。拒否されている部分はあります。これは一部ではなく、全国的にもあるのではないかということです。
2つ目は、公共的施設の利用とか、交通機関の利用とかも含めて、今、育成会本人部会と言われているところから、決議文として出されている100km圏内では半額にならない状況だし、せめて自分たちが交通機関を利用するときには半額利用。JRとか、そういうことではなくて、全体的に交通機関を利用するときには、すべて半額利用をすべきだということの声が上がってきているので、その点が意見です。
以上です。
○ 藤井議長代理 2つ出ていました。比較的障害が軽いけれども働いていない方たちが年金をもらいにくいという問題と、公共交通費、皆さんここにいる方はおわかりのとおり、精神障害者はここでまた問題になってくるんですが、省かれていますけれども、身体障害者、知的障害者については、介護者がいれば100km以内も含めていいんだけれども、単独の場合には100km以内は使えないという辺りを近郊であっても使えるようにということだったと思います。
竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 竹下です。2点ございます。
まず1番目は、年金制度に関してです。
この規定の設ける趣旨、目的、意義は極めてあいまいであると思うんです。もともと憲法25条の生存権保障というのは、国民全部に対する保障としてまず明確に規定されているわけです。ナショナル・ミニマムという考え方なんです。国民の最低生活保障であります。そうであれば、障害があろうがなかろうが、障害者も国民として健康で文化的な最低限の生活は保障されなければならないというのは、3.の年金の規定がなくても同じことになってしまうと思うんです。
そうではなくて、あくまでもこの年金について、障害者の所得補償として意義を持つためには、障害ゆえに必要となる支援でなければならないわけであります。すなわち、障害ゆえに増加する支出、あるいは障害ゆえに生存を維持するために必要となる加算的な考え方。そういう点がこの規定の中に明確に含まれなかったらだめだと思うんです。そうでないと、この規定によって何も変わらないと思うんです。
結論だけ言えば、障害の補償という観点からの規定ぶりを少し明確にする必要があるということが年金のところです。
4番目に書かれている経済的負担の軽減のところですけれども、これは非常に悩ましいことが日弁連に持ち込まれたことがあります。それは何かといいますと、高速道路の割引について、精神障害者の方から割引制度を我々にも適用してくれという要求が出てきたんです。では、それは権利なのか何なんだという問題です。もともと御存じのとおり、高速道路は公団という、実質的には国またはそれに準ずる団体であったところが設置・運営していたものが民営化されて、言わば民間の一事業者になったわけです。その場合に、高速道路の利用について、障害者に対する割引制度の位置づけというのはどういう意味を持っているのか。その中で身体障害者の中での区別、差別。精神障害者と身体障害者の区別、差別。それらが解決する基準というのはあるのかということが問題になりました。その点で軽減という規定をする以上は、もう少しそうした部分をも改善することに結びつくものでなければならないと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 北野委員、どうぞ。
○ 北野委員 私も竹下委員とかなり近いのでありますけれども、今回の大きな改正のときに、現行法第13条の規定の表現が全く変わらないということではなくて、恐らくこれは障害者基本法の総則の第1条、理念の方の改定の規定ぶりと関連してくると思います。つまり、実質的な社会参加を保障するための書きぶりとして、国及び地方公共団体は、障害者の他の市民と同等の自立した生活の安定に資するためといった、もう少し踏み込んだ表現にしていただければと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 では、委員、どうぞ。
○ 精神障害者の家族会のです。4番の経済的負担の軽減の「障害者を扶養するもの」の文言について提案させていただきます。
これからしますと、どうしても親というイメージがあるのですけれども、現状では、兄弟とか子までも含めて、いろいろと障害者を世話しているということを踏まえますと、外国などでは「ケアラーズ」という言葉が使われているのですが、それをここで日本語にしますと「介助者」とか、そういう言葉で使われておりますので、この文言を「障害者を介助する者」とした方がいいのではないかということを意見とさせていただきます。
以上です。
○ 藤井議長代理 委員しかおっしゃっていませんけれども、そうしますと、民法では扶養義務者というのがありますね。一般に「介助者」というと、家族でない方も含むという解釈になってしまうのではないですか。
○ 一応、私どもの方では「介助者」ということを別のところで規定しておるのですけれども、そのような介助者の規定ということを少し入れていただければ、この辺は解決できないでしょうか。
○ 藤井議長代理 まだ議論ですけれども、言っている意味は、要するに扶養の義務者の親というイメージを超えて、幅のある家族ということをイメージしてほしいということですね。
○ はい。
○ 藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 第2ラウンドで幾つか言いたいことがあったので我慢をしておったので、申し上げます。
年金のところの規定で、1つは先ほど竹下委員がおっしゃられたことと全く同じ意見なんですけれども、要は、推進会議では、障害ゆえに必要な追加的支出、例えば障害で体温調整が難しい方がエアコンをずっと使わなければいけない。そのときの電気代や、ナショナル・ミニマムに加えて、そういう障害ゆえに、更に追加的な支出をどうするのかというより積極的な所得補てんみたいな議論があったと思いますので、それが読み取れるような書きぶりであってほしいというのが1つです。
もう一つが、第一次意見では、無年金障害者の所得保障です。ここも推進会議では大分議論をしたところだったかと思います。ここの無年金障害者の所得保障を差別することなく、無年金の解消といったようなことが読み取れるような条文の書きぶりでなければ、何のためのこれまでの第一次意見に至る議論だったのかという思いがあります。
以上、追加的支出に関する補てん、そしてもう一つは、無年金の解消につながるような条文の書きぶり、改正が要るのではないか。
以上です。
○ 藤井議長代理 では、勝又委員と関口委員、北野委員はまた発言ですかね。
まず、勝又委員から先に発言してもらいます。
○ 勝又委員 勝又です。ありがとうございます。
経済的負担の軽減のところで「税制上の措置」と書いてあるのですが、これについては、どういう意味でしょうか。税制改革議論でいろいろな議論があるのですが、例えば所得控除は税制上は逆進性があるということで排除していくという動きもあります。基本的に障害者の年金というのは非課税になっておりますので、そこでは税金はかからない。その上、障害者を扶養している人に対しては障害者を扶養することで、追加の所得控除があります。税制上の措置を議論するときに、障害者にはこのぐらいの税制上の優遇をしているので、本来入ってくる税収が税収として入ってこない。裏返せば、その部分は障害者のために使っているんだという議論が成り立つわけです。
しかし、現実には恩恵を受けている人というのは、所得があり、税制上の優遇措置を受けている人だけであって、所得が一定以下で、控除を受けるだけの所得を持たない人にとっては、所得控除は何の優遇にもならないわけです。ですから、こういう税制上の措置ということが、現状の税制優遇措置を追認していくだけにとどまってしまい、これからさまざまなサービスに分配されるとか、先ほどお話のあった無年金の方の所得保障に使われるとか、積極的な所得再分配議論というのがないがしろにされる危険性があると思います。
○ 藤井議長代理 それでは、関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 ありがとうございます。関口です。
障害ゆえに就労できない人が精神障害者の中に結構いるんですけれども、これがほとんど生活保護をとっているという状態です。これは憲法第25条で保障されているから、それは全国民に保障されているんですが、つまり障害ゆえに正規就労ができないという場合に、それはもう少し障害があるからというところに着目した形と、同じことを言っているのかもしれませんが、つまり年金と最低生活保障というのはまた別物だと思うんです。そこのところを明確にするような形の書き換えをしていただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 そこまで日本で議論がまだ成熟化しているかわかりませんが、ヨーロッパの国などでは、障害ゆえに就労できない人を長期の失業者と置いている国もあれば、生活保護ではなくて、そういう点で手当している国もありますので、これはまた少し深めていく必要があるかもわかりません。
北野さん、どうぞ。
○ 北野委員 私は、委員と表現が同じでありまして、障害者及び障害者を扶養する者という「扶養」という表現が、民法の扶養義務規定を障害者の親、兄弟に課しておるような表現に読めますので、これはやはりなくしてもらうか、もしくは委員がおっしゃったようにケアラーズ、介助する者とする。ですから、実質的に介助しているというのは事実でありますけれども、障害者を扶養しているということではありませんので、この「扶養」という表現は、是非とも変えていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 今の北野委員の御発言というのは、先ほどの委員の御発言に加えて、恐らく扶養義務制度のさまざまな問題点まで言及していますね。つまり、これは扶養前提に成り立っているという感じでも受け止められてしまうということですね。当初この中でも「扶養の社会化」あるいは「社会扶養」という言葉があったと思うように、そういうことにも抵触しかねないということも含んでいますので、ここはかなり深い意味があろうかと思います。
ほかにいかがでしょうか。
では、中西さんをもってこのコーナーは一旦終わります。
中西委員、どうぞ。
○ 中西委員 中西由起子です。年金と経済的負担の両方を伺っていると、やはりこれはかわいそうな障害者が、その生活が基準に達しないがために金銭的にその部分をカバーしてもらうというイメージがどうしても拭えないような気がします。この年金と経済的負担は、今までの基本法では別個な規定になっていますが、やはりここは新しく、適切な生活を営む権利の1つとして、年金及び経済的負担の軽減が入ってくる方が新しい基本法に近いと思うんです。その中に年金とか経済的負担の軽減というのがあって構いませんが、これが先に出るのではなくて、基本的には障害者が地域で妥当な暮らしができるための権利に準ずるものとして扱ってほしいという意見です。
○ 藤井議長代理 この部分はかなり根幹ですが、表現はいろいろありましたけれども、障害からくる追加支出とか、あるいは過剰な支出を補うという点で、やはり新しい所得保障の考え方。国民一般の所得保障ということではなくて、第一義的には、障害からくるよけいな支出をどうカバーするか。加えて、多くの障害者が国民一般の所得水準に達していないという辺りをどうするのか。同時にそこには無年金問題、在日外国人の方の無年金を含めた無年金問題も大分議論したわけですが、どういうふうにするのかという点では、かなりこれは現行法の書きぶりでいいのではなくて、恐らく構造的な直しも含めてというのが今日の議論であったように思うのですが、齊藤企画官からコメントはございますか。
○ 齊藤企画官 齊藤でございます。まさにいろいろ御指摘いただいたところを今後詰めていくということだと思いますけれども、一応現行どおりの御提案をさせていただいた趣旨といたしましては、第一次意見の際に、所得保障の在り方について24年内を目途に議論して、結論を得るということになってございまして、要は、個別にはそういった検討の中で具体的な内容を詰めていく。ただ、それを基本法の規定として担保するような形で、その方向性について表現する規定は何かということで考えたわけですが、現行の規定の年金等のところでも、障害者の自立及び生活の安定に資するためということで、その趣旨は表現されているのかなと考えて、御提案させていただいたところでございます。
個別の内容に関しましては、どこまで行っても、結局は個別の制度でしっかりと議論をしていただくということだと思いますので、それをきちんと表現できるような基本法の書きぶりということで、引き続き検討をしたいと思ってございます。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 幾つか大事な宿題を残しながら、この点は今日の段階では終わりにしてまいります。
以上で今日の第1コーナーに課せられた4つの要素については終わりますが、特にございますか。
では、簡単にお願いします。
○ 東室長 以上、御意見をいただきましたけれども、口頭で説明が不足している点もあろうかと思うんです。ですので、今日いただいた御意見で書面化する必要があると思われる方は、いただけませんでしょうか。
○ 藤井議長代理 これは、別にここには限っていませんね。
○ 東室長 今日の議論でです。
○ 藤井議長代理 だから、今日の全体のことでしょう。
○ 東室長 そうです。
○ 藤井議長代理 全体にまたがっての点で、もしここで発言の中で不十分、あるいは発言ができなかった方もいると思うので、書面でということでした。
では、これから14時40分まで休憩に入ってから、第2コーナーへ移ります。
では、休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、時間になりましたので、着席をお願いします。よろしいですか。
これから45分間で、2つの点です。
まず、資料2はどういう表題かというと「新たに議論した分野についての推進会議の問題認識」です。ここでは4つ入っていますが、まず前段、第2コーナーでは、このうちの住宅、そして障害の予防の2つの点を議論していきます。
お手元の資料は、今までの討論、議論のまとめになっています。特に時間もありますので、東室長の発言は冒頭はなしにして、必要に応じてまた発言していただきます。いきなり議論に入ります。
約20分を住宅問題に、後半の20分間を障害の予防に充てます。大体15時25分をめどにして進行してまいりますので、御協力をお願いいたします。
それでは、住宅の分野に関して、御発言を求めたいんですが、いかがでしょうか。
尾上委員、中西委員の順番で発言をいただきます。尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 ありがとうございます。尾上です。
今回、住宅の分野で、冒頭にどんなに障害が重度であっても、特定の生活様式を強いられるべきではなく、どこでだれと住むかについての選択ができるための前提として住居が確保できるようにすべきだという文章から始まる項目を設けていただいたことを高く評価するところであります。
その上で、具体的な部分は時間の関係もありますので、次回までに文書で出したいと思いますけれども、公営住宅法施行令の単身入居に関わる相対的欠格条項について、事実誤認があるようなので、訂正したいと思います。
ここでは、公営住宅法施行令には、同居親族要件が必要云々というのは、公営住宅法自身が戦後すぐ世帯向け、ファミリー向けにつくられたということで、もともとは世帯向け、同居親族がいるというのが基本で、1980年以降、単身入居枠というのがつくられたんですけれども、そこで問題が生じたと理解をしています。つまり、1980年に単身入居枠を設けたにもかかわらず、障害が重度のために常時介護を必要とする者を除くとなっているわけです。その後、2000年の改正で現行の第6条について、ただし、身体上または精神上著しい障害があるために、常時の介護を必要とし、かつ居宅においてこれを受けることができず、また受けることが困難であると認められるものを除くと、明らかにただし書きで障害を理由にした制限規定が設けられているということであります。ここの相対的欠格の部分をやはり見直すべきだと思うんです。
問題は、要は、住宅は住宅、あるいは介護等の必要な福祉的支援は福祉的支援として、それぞれ当たり前に得られるということで、別に障害者は住宅部局の方々に介護まで求めているわけではなくて、住宅部局の仕事として当たり前に住宅を提供してくださいということであります。
もう少しあえて申しますと、1980年当時、地元の公営住宅の担当者と話をしたときに言われた言葉が今も忘れられませんが、そういう常時介護を必要とする重度の障害の方には社会福祉施設があるではないですかと。住宅ではなくて、それは社会福祉施設でお住まいになられることであってというように、そもそも重度障害者が公営住宅に1人で住むはずがないという当時の差別意識、偏見ということが前提になって設けられたのが、この欠格条項であります。
そういった点から、具体的に言いますと、1つは、同居親族要件が必要云々というのは、肝心の欠格条項と違う部分を指しているので、先ほど申し上げた「ただし云々」と書かれている部分の見直しがわかるような文章にしていただきたい。
あと、このような観点から以下を実施すべきであるというポツの2つ目になりますが、具体的に例えば公営住宅の申込みに当たり、前後に書かれているどこでだれと住むかについての平等な選択の視点から見直し、常時介助が必要な障害者であっても、その後「同居親族が求められている」を取りまして「単身で入居申込みができる制度」にする。
つまり、どういうことかというと、どこでだれと住むかについての平等な選択の視点から見直した結果、当たり前に単身で入居ができるという書きぶりがいいのではないかということを提案したいのが1点でございます。
そしてもう一つ、住宅の方で、2ページ目でありますけれども、グループホーム、ケアホームに関する課題のところです。こちらの方の2つ目の段落でありますが、障害者が入居するときに限って、地方自治体によっては事業の実施主体に地域住民からの建設の了解、いわゆる協議書、合意書というものを条件にしているとろがある。このこと自身は重要な指摘なんですが、たしかこれは厚生労働省、国土交通省とのヒアリングのときに、担当の課長さんが明確に申し上げられていたと思うんですが、1999年以降、国としては、こういう協議書や合意書を法的に求めるということはないということを言っておられます。
だとすれば「地方自治体によっては」の前のところに「法的な根拠がないにもかかわらず、地方自治体によっては」という「法的な根拠がないにもかかわらず」という文章を是非入れていただけないか。それがこの前のヒアリングの成果だったのではないかと理解をしています。
以上、2点をよろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 2つの点ですね。
では、中西委員、どうぞ。
○ 中西委員 中西由起子です。ここでの住宅を見てみますと、どうしてもまず数の確保ということが視点に入ってきていて、それのためのさまざまな施策と読めるのですが。現在、数を増やすために、例えば公営住宅等をアクセシブルな住宅にするために、1階部分だけが障害者が入れるようにしています。つまりここは一定の割合でアクセシブルな車いす住宅がありますよということで、1階に障害者を入れてしまって、その上の階は別の人たちという偏在があります。更に踏み込んで、アパートの場合には、その中の偏在がないようにとか、もう少し質的に高めるような条項も含めていただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 ほかに発言はございますか。
長瀬委員、どうぞ。
○ 長瀬委員 ありがとうございます。東京大学の長瀬です。2点申し上げたいと思います。
1点目は、最初の住宅の柱書きといいますか「障害者は、どんなに障害が重度であっても」という部分に関してです。今回の私たちのまさに議論になっている、障害をどう定義していくかというところとも関連するのですけれども、やはり条約交渉の過程の中で「障害の重度」という表現よりは、例えば「すべての障害者、一層多くの支援を必要とする障害のある人を含む」という形になっていますので、ここも例えば権利条約の19条の地域生活のところが「すべて障害者は」という表現になっていますので、一案ですけれども「すべて障害者は」と始めて、そこに「一層多くの支援を必要とする障害のある人を含む」とするのも1つのやり方かなと思います。
これはインペアメントが重いということと、社会的な不利益が重いということが重ならないということがやはり前提として挙げられますので、障害の軽度、重度ということよりは、支援の必要度に応じるという考え方を背景にして、つまり支援のニーズが大きい場合であっても、特定の生活様式を強いられるべきでないという点を更に強調するという点からです。それが第1点です。
2点目は、2ページ目の冒頭のところに出てくる「差別禁止部会での議論を踏まえ」というところで、これはグループホーム、ケアホームに関するところでも、やはり差別禁止部会における議論も踏まえつつという点と両方なのですが、多分今後の差別禁止部会での議論の動向がどういう方向にあるのかということもある程度検討していただいた上で、ここでこういう言葉になっているんだろうとは思いますけれども、両方とも「差別禁止部会での議論を踏まえ」、「差別禁止部会における議論も踏まえつつ」という表現になっています。勿論、差別禁止部会での議論というのも非常に重要になると思いますが、これから実際に動き出す部会ですので、そこの議論が出るまで、例えばグループホーム、ケアホームに関する地域での反対運動への対処等が動かないということだと、非常に時間がかかってしまうのではないかという心配があります。既にこれからの議論の方向というものを検討した上での表現だと思いますが、1つの考え方として、分けてしまって、例えば後者の方ですと「グループホーム等の建設に際し、地域住民との間に生じたトラブルについては、紛争を調整する仕組みの構築等必要な措置を講じる」と1文で終了して、もう一つ別の文を立てて「その際には必要に応じて今後の差別禁止部会における議論も踏まえる」というのはいかがでしょうか。
以上です。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 今の長瀬委員の2点目は、尾上さんの2点目と関係してくるとおり、現実問題、かなり各地で起こっていますので、こうしたものへの具体的な効力ということが期待されていますので、少し踏み込んだ内容、差別禁止法の論議を待つまでもなく、現実にやはり応えていくということをどうするのかということの提案だと思います。
関口委員、お願いします。
○ 関口委員 例えば中野区だと2割のアパートが余っておりますので、この一部をグループホームにしようとすると、消防法の問題がどうしても出てきてしまうという問題があります。もう一つ、ここで居住者のニーズに応じた多様な支援が可能となるよう、引き続き総合福祉部会で検討するとなっているところでございますけれども、精神障害者の場合は、ショートステイを勿論使っても、限度は2週間ぐらいということで、それよりも、むしろ本当にくたびれてしまってお休みしたいときは、1~3か月の間のレスパイトの入院の方がいいような気がしています。私個人も、携帯も何もかも切って3食付でもって休ませてくれる病院があるなら、山奥でも行ってみたいと思います。食事がおいしいということと、開放病棟であるということは条件でございますが、そういうことも含めて、考えておいていただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 森委員、どうぞ。
○ 森委員 日身連の森でございます。どうもありがとうございます。
住宅の問題につきましては、やはり根本的に考える必要があるのではないかという気がしているんです。といいますのは、日本の障害者支援を見ていますと、間違いなく施設あるいは家庭から障害者を囲い込んでいたということです。
次に出てきたのは何かといいますと、やはり公営住宅。しかし、その公営住宅も初めは、障害者を含めて世帯の優先順位だと。それを今度は単身まで進めてきた。その一方において、保護者たちがグループホームをつくり出したという動きがあるわけです。それで今、民間の方に来た。
そこで、これは住む場所という形で実態的にやっていないんですね。権利条約の地域生活権といいますか、地域で生活する権利を保障するためには、住む場所について総合的な再構築をする必要があるのではないかと考えております。それは先ほど言いました住む場所のハードの面もそうですけれども、住宅手当とか所得保障、あるいは民間で住宅を提供してくれる人についての補助金制度みたいな、優遇措置のような、あるいは賃貸借で保証制度も必要なわけです。やはりこれを建てようと思ったときには、地域からの反対の問題がある。それとか、先ほども出ましたけれども、ケアホームなどについては消防法の問題もあるし、あるいは住宅がそんなときに介護的なサービスがついていなければできないということもあります。そういう面から、もう一度住むという形で振り返って、総合的に再構築したらどうなんだろうかという提案でございます。
以上です
○ 藤井議長代理 大久保委員、どうぞ。
○ 大久保委員 大久保です。先ほど関口さんもおっしゃっておりましたけれども、この住宅施策の中で現実的に大きな隘路になっているのが、民間住宅を活用する場合の消防法並びに建築基準法です。この辺はしっかりと並行して改善していく必要があると思っています。
それと、ここの中での書きぶりとして、やはり福祉施策と住宅施策の連携をかなり強化して進めていくという考え方でいかないと、なかなか難しいかなということがあります。
以上です。
○ 藤井議長代理 北野委員、どうぞ。
○ 北野委員 私も森委員や大久保委員の意見と全く同じなのでありますけれども、これから障害を持っている方の地域移行を進めていくという場合に、最初の文章のだれとどこに住むかの選択ができるための前提として住宅は確保できるようにと。この選択できるほどの住宅の確保というものが、今の日本の場合、ほとんど夢のような状態でありますので、これはやはりかなり総合的な、計画的な仕組みが要ると思います。
例えば表現として今後可能であるとすれば、障害者が利用しやすい民間住宅の建築を計画的に促進するために、多様なバリアフリー化が進んだ、あるいは進めようとしている良質な住宅に対して、補助金や金銭優遇措置等を講じるとともに、バリアフリー改修工事に関する費用助成等の施策を計画的に促進するという形で、何か計画的なビジョンを示していただけたら思っております。
以上です。
○ 藤井議長代理 東さん、コメントございますか。
○ 東室長 1点だけ質問なんですが、尾上さんが先ほど1980年に単身入居枠ができたとおっしゃいまして、1999年以降は厚労省も地元の了解は要らなくなったという見解を表明しているとおっしゃいましたけれども、それは何か法的な根拠があって厚労省はそういう見解をとっていたが、その根拠法が変わったことによって見解も変わったということなのでしょうか。「法的根拠がないにも関わらず」とおっしゃっていますが、もともと法的根拠があったのか、なかったのか。ここはどうなんですか。
○ 尾上委員 2つのことがらが一緒になって言われています。
まず、単身入居の話。1980年云々というのは、公営住宅法の単身入居枠というのが設けられた年なんです。だから、先ほどのグループホームやケアホームの際の協議書や云々という話とは違う話です。それが1つ。
そして、先ほどの1999年云々というのは、実は99年以前も正確に言えば法的根拠があったわけではないんですが、社会福祉施設等の設置においては地方自治体との協議文書あるいは合意書という書式をつけて申請する。つまり、申請書類の中の書式として、協議書、合意書というのが添付書類の中にフォーマットとして入っていたんです。ところが、これは私の地元だった大阪で、精神障害の方の地域生活支援センターをつくろうとしたときに、施設コンフリクトということで、町内会で大反対運動というか、のぼり旗が立つような状態で、その後、地域住民といろんな協議を重ねて、無事ちゃんと設置されて、適切に設置できているんですけれども、そういった施設コンフリクトの件で大阪府と厚生労働省が協議をした結果、今後その協議書の書式を添付書類の中には入れないということで、99年以降、国としてはそれを求めないということになっています。この前のヒアリングで厚生労働省が99年以降はそれを求めていませんとおっしゃっています。だから、法的根拠は前からなかったのかもわかりませんが、少なくとも99年以降、国としては協議書を求めていないにもかかわらずということです。
○ 藤井議長代理 私の記憶では、今おっしゃったフォーマットだけではなくて、精神保健課の方には、当時、通知か通達がありましたね。たしかあったと思います。近隣の同意書を条件にするようにと。だから、それを取っ払ったのが99年だと思います。そこは確実に調べてみなくてはいけませんけれどもね。
○ 尾上委員 私も99年当時の自治体と国との協議の経過も含めて、段ボール箱をあさったら資料が出てくると思いますので、整理して、お届けするようにいたします。
○ 東室長 尾上先生、それはよろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 東さん、あとはいいですか。
○ 東室長 はい。
○ 藤井議長代理 では、今、出た意見は、現行法では第17条、障害者基本法、住宅の確保となっているものを今回はどう発展させるか。論議には2つの大きな軸があって、1つは一般住宅、勿論公営住宅、民間住宅ともども発展というのはあるんだけれども、森委員、大久保委員、北野委員がおっしゃったように、ハウジング、つまり建物としての住宅に加えて、そこに大久保委員の表現を借りれば、福祉面の連携。森委員のお言葉を借りると、むしろ全面的な見直しが必要だろうということだったと思いますが、人的なケアだの、そういう言わば家賃補助を含めた所得保障的な視点だの、幾つかこれには重なっているんだ。17条はこれで独立させた上で、全体をつなぐという点をどういうふうにするかということも含めて、今後やはり検討の余地がある。
もう一点は、今のグループホーム、ケアホームの、特に長瀬委員からは、差別禁止法制の検討を待つまでもなく、かなり焦眉の急であるわけで、やはり何らかの今度の基本法で方向を出しておくべきではないか。尾上委員からも、今までの何らかの決まりがあったものを、これがないにも関わらず、自治体では十分に応えられていないという辺りをきちんと、過去の状況をもう一回確認した上で明文化してはどうかという意見が出ていました。
恐らくこれも今日出ている方たちから、ほかにもあると思うので、また書面で出してほしい。いずれにしても「地域移行」という4文字を実質化していくためには、魅力のある住居、住まいという問題は前提だと思うんです。ですから、多くの入所施設や精神科病院の方たちの中には、そうは言うけれども、今のままでいいんですという答えもあるわけなんです。そういうことを考えたときに、この部分というのは非常にこの10年間、15年間で大事な項目になるような気がしますね。またこれについては深めていければと思います。
次に、もう一つこの第2コーナーの後半、障害の予防です。これに関して、お手元の資料を見ながら、御意見があったら挙手をお願いします。
まず、大濱委員、そして尾上委員と順番に進めていきます。大濱委員、どうぞ。
○ 大濱委員 大濱です。ここに「『障害の予防』に対する基本的考え方」とありますが、これは「障害の予防」ということだけではなくて、障害の予防と新たな先端的医療を含む治療を受ける権利ということとしていただきたいということが第1点です。
具体的にその中身の文言ですが、下から2行目「条件整備の一部として、障害の原因となる傷病や疾病への対策を講ずるべきである」とありますが、「整備の一部として」ではなくて「整備の一環として、傷病の改善、治療、治癒や疾病の原因発生解明のための基礎研究並びに研究成果に基づいた臨床試験や知見に対して、積極的な対策を講ずるべきである」という文言を入れていただきたいと思います。
なぜかというと、現在、新たな治療、特に難病とか希少難病も含めて、根本原因を究明し、根本治癒へという方向に日本の社会全体というか、医学界全体が動いています。それとの整合性が必要です。つまり障害は治らないものだという固定観念から、そうではなくて、治癒する可能性がある新たな医療(先端医療、再生医療)が始まっていますので、そこの部分を基本的な文言に入れていただきたい。
したがって、タイトルも「障害の予防」だけではなくて「障害の予防と新たな先端医療を含む治療」ということで、タイトルも変えていただきたい。
以上です。
○ 藤井議長代理 では、尾上委員、お願いします。
○ 尾上委員 ここの部分では、やはり障害の予防というのが非常に多義的な概念だということで、最初の文書の前文に書かれている部分で、とりわけ障害はあってはならない、あるいは治療しなければならないという否定的な障害者観と書かれている部分の指摘をされたということは、非常に評価をしたいと思っているところであります。
それを受けて、先ほど大濱さんが言われた治療や云々というのは、基本的考え方のところだとするならば、3ページ目の最後のところです。「『障害の原因』の予防と早期発見、早期治療」となっていますが、この文章の中身を見ますと、最後から2行目「早期の段階から必要な支援を得ることがでる体制づくり」とあります。勿論その中には医療もあったり、あるいはリハビリテーションもあったりということは否定をするものではないですけれども、それだけではなくて、例えばこの議論をしたときよく覚えておるんですが、久松委員がおっしゃられたかと思いますが、スウェーデンかどこかの国で子どもさんに聴覚障害があるとわかった段階で、親御さんに手話を教えに行くサポートをする。早期のそういった言語の獲得も含めた、早期のインクルーシブ支援のようなものといいますか、そういった早期に障害の状態ということが確認、あるいは確認という前の段階でも、行って会ったときに、それをもって分離につながるのではなくて、インクルーシブにつながっていくような早期の支援というのが要ると思うんです。
そういう意味で、ここのタイトルを「早期発見、早期治療」となっているものを「早期発見、早期支援」と変えていただけないかというのが意見です。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、中西委員、新谷委員の順番で行きます。
中西委員、どうぞ。
○ 中西委員 中西由起子です。この障害の予防に関しては、前からやはり国際的な用語に従うと「障害の予防」ではない表現が使われています。つまり障害としてしまうことは、私たち障害を持つ者が、これは予防しなければいけないようなものだというネガティブなイメージで障害をとらえてしまいます。それがよくないということがずっと言われてきて、それがために「障害原因の予防」で国際的な文書が全部通っていますので、まずその用語に変えていただきたいということ。
それから、果たしてこの障害原因の予防が基本法にふさわしいものかというのを考えたときに、この中で中身として議論されていることの多くは医療です。その多くが大濱さんがおっしゃったような障害の二次障害の予防、もしくはそれ以上の障害の重度化の予防であったら、それは関係すると思いますが、そうではなくて、原因に対する予防ですと、これは純粋に医療だけの分野になって、この基本法の性格にはふさわしくないと考えますので、その部分はもう一回構成のし直しが必要だと考えます。
以上です。
○ 藤井議長代理 中西委員からは、他の公衆衛生法、母子保健法とか幾つかありますが、そういうところで疾患とした場合はですよ。ここではやはり障害に限定して、二次障害等にということでどうかという御意見だったと思います。これは完全に根本的な意見であり、また中西さんは今までもそれに近いお話をしていましたから、唐突ではないと思いますが、これをどうするかですね。
更に議論を続けていきます。新谷委員、長瀬委員、関口委員の順番で行きます。
では、新谷委員、どうぞ。
○ 新谷委員 新谷です。先ほど尾上さんが指摘された障害の原因の予防の早期発見、早期治療のところですけれども、尾上さんとは全く逆に、「早期支援」を入れても構いませんが「早期発見」「早期治療」は明記していただきたいと思います。
それから、今日本当はここにお配りしたかったんですけれども、8月15日に国際難聴者連盟が人工内耳のポジションペーパーを発表しました。それの翻訳をやるのに時間がかかって、今日は当日配付は難しいということで配れなかったんですが、そこで子供の人工内耳の問題について、大分書いてあります。それの評価については、確定的な評価はまだまだ難しいという国際難聴者連盟の書き方ですけれども、少なくとも小さな子供の言語形成に占める人工内耳手術の役割というのは非常に評価できるという書き方があります。
それで、聞こえない子ども、未熟児段階の子ども、ちょっと大きくなった子どもをそのまま聞こえない状態のまま育てて、尾上さんがおっしゃったような適切な支援で育てるという考え方も1つあります。別にそういう子どもに対して、人工内耳手術を施して、聞こえる状態に育てていきたいという親の考えもあります。どちらもあると思うんです。その価値評価というのは非常に難しいところがあると思いますので、ここで書くのは早期支援だけではなくて、やはり早期治療、早期支援というバランスのとれた内容を書いていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 尾上さんいかがですか。
○ 尾上委員 そこの治療と言われる部分については、先ほど大濱さんが指摘されたとおり、基本的考え方のところに、必要な情報提供の下で快適な生活を送るための健康の増進に不可欠な条件整備の一部として、障害の原因となる傷病や疾病への対策を講ずるべきであると書かれているので、そういう意味では、先ほどのいわゆる早期治療と言われるようなものの医療的な支援は、基本的には1番目のパラグラフに書かれていると理解しています。そして、ここの最後のパラグラフに書かれているのは、どのような障害があっても地域の中で育ち、学び、生活し、働くといった地域生活を実現していくための支援ということが書かれているので、その文章の内容からすれば、ここは早期支援ではないですかということを指摘したということであります。
○ 藤井議長代理 この辺は、尾上さんもそこを否定するのではなくて、ここのパラグラフの流れでいうと「支援」の方で、「治療」は前段に包含されるんだということで、治療を否定するという意見ではなくて、座りの問題ですね。早期支援あるいは早期治療という言葉の座りの問題としてどうかという御意見だったと思います。
長瀬委員、どうぞ。
○ 長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。
まず、やはり見出しが「障害の予防」になっている点ですけれども、これは先ほど中西委員や大濱委員がおっしゃった点とも重なりますが、権利条約の25条では「健康」というタイトルにしていますので、これは今、いわゆる障害を持っている人自身の健康増進という観点から、表題自体はやはり「健康」と変えた方がいいと思います。
ただ、従来の旧心身障害者対策基本法や現行の基本法との議論の連続性がわからなくなると困るということであれば、とりあえず括弧で「障害の原因の予防」を入れておくという手もあるかと思いますが、今回の推進会議の問題認識はよく整理していただいたと思いますが、権利条約の批准に向けてという観点からは、やはり障害のある人自身の健康増進という意識を明確にするために、見出し自身を変えるということをひとつ御提案申し上げたいと思います。
2つ目が「難病を始めとする疾患等」のところですけれども、精神疾患や難病は今、具体的に挙げてあるのですが、これに関連して、発達障害の方たちからも、やはり早めに知りたかったとか、そういう声がありますので、ここに発達障害も具体的に列挙するのはいかがでしょうか。
あと、同じ「難病を始めとする」の段落の2つ目のところで「このような観点から、当事者の人権にも配慮し」となっているのはちょっと気になってしまいますので、これはやはり障害者権利条約の批准に向けて、障害のある人の人権を守るという立場から私たちは取り組んでいると思いますので、この「も」はよけいかなと思います。
最後の点になりますけれども、先ほど新谷さんがおっしゃった国際的な難聴者団体からの人工内耳に関する新しいガイドラインには非常に注目をしております。尾上さんがおっしゃった点、つまりろうで生まれた子はろうで育つ権利があるという論点が一方であり、他方で適切な治療の一環として人工内耳を付けさせないのがまさに幼児虐待になるという議論があります。多分、新谷さんの御議論は後者の方に近いのかなと思って聞きました。非常に論争がある分野ですので、新しい資料の提供は是非歓迎したいと思います。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 では、関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 大分重なると思いますけれども、早期発見、早期介入ということでございます。介入の仕方が問題なんです。無理やり医療に結びつけられるというのが精神の場合は多々ありまして、これだと本人の人権に余り配慮しない。これが未成年者の場合ですと親権がございますから、親の命令ということでもって何とかなるんでしょうけれども、成年、二十歳を過ぎますと、本人を一人前と認めるからには、その人の権利擁護者なり、あるいはその人の精神衛生なりに目を配る人が根気よく働きかけて医療に結びつけるという丁寧な作業をしていただかないと、人権に配慮したことには全然ならないということを明記していただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。
少し時間があるので、今、中西委員、長瀬委員がおっしゃった論点ですね。条約25条では「健康」という考え方。中西委員も「もし」とは言っていなかったけれども、今までの論議で言うと、障害の原因の予防、あるいは障害の原因となる疾病の予防という表現もあると思うんです。しかし、むしろこの障害者基本法では、そういうことも要らないのではないかという御意見もあったと思うんですが、これに対するほかの委員の意見があったら伺おうと思うのですが、いかがでしょうか。
清原委員、どうぞ。
○ 清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
今回、障害者のさまざまな課題を議論する中で、今日この項目の中にも含めていただきましたが、難病についてもやはり重要な検討がこの過程でなされてきたと思います。実際、三鷹市でも医師会の皆様と長年にわたりセカンドオピニオンなどを得ていただくための相談、支援などをさせていただいておりますが、やはり障害の問題、特に障害の原因あるいは難病等を考えますと、医療との密接な関係というのは欠かせないと思います。
そこで先ほど、権利条約との関係でポジティブに「健康」というものにしてはどうかという長瀬委員からの御提案もありまして、私も健康、そして括弧として過渡的に障害の原因の予防というものを含めていただくような表現の方が、今までの議論としてはふさわしいのではないかと思います。しかしその中で、やはり積極的に早期発見、早期治療、早期支援と先端的な治療の保障を含めますと、医療との密接な関係というものについては、何らかの形で記述をしていただければと思います。すなわち、障害のある方のさまざまな地域生活の困難等を考えますと、健康ということを目指しつつも、やはりそれを保障していくための医療との関係についての記述が、どこかに明確になければならないとしたら、この部分がやはり重要ではないかと思います。今、議長代理から問題提起いただきましたように、この部分については、障害の予防という表現から先に進んだ表現の条文にしていくことの方が、より障害のある方の健康保障にも役立つのではないかという印象を持ちました。
以上です。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。
大谷委員、どうぞ。
○ 大谷委員 皆さん意見が出ているので、言うべきことではなかったのかもしれませんけれども、やはりちょっと整理した方がいいと思っているんです。健康とか医療としても、障害のある人、その人固有に対する医療、健康ということと、障害の発生を少なくするという意味での公衆衛生に関わるところの予防というのは、全く別だと認識しています。
ですから、今ここで議論するべきことは、医療、その人固有の健康ということで議論するべきであって、社会全体として予防するかとか、公衆衛生をどういうふうにしたらいいのか、難病発生をどういうふうに防いだらいいのかということに関しては、障害者基本法マターではなくて、また違うところで議論するべき問題ではないのかなと、ずっと気持ちで持っております。
そして、医療に関する原則に関して、今までここでははっきり議論されていない。勿論第一次意見のところで出たし、障害者基本法の方にもあるんですけれども、これをどういう形で医療に対する権利をどのように持ち、健康に対する権利を障害者がどのように持っているのかということをきちんと議論した上で、加えて予防も書くべきかどうかということをしないと、どうも何となく未整理のまま、いろんな思いを含めて議論しているように感じて仕方ありません。
それから、早期発見、早期支援、早期治療、早期介入という4つの言葉が出てきました。いずれにしても、可能な限り何らかの配慮をするということに関しては、全部一致しているんです。早期治療に関しては、医療の分野の問題だと思っています。
支援に至っては、自立支援。障害のある人がどのように生活を豊かにしていくかということで、すべてに関わる問題だと思っています。
介入という言葉は、正直申し上げて、やはり精神医療の分野においては非常に問題のある、その人をあるがままに尊重するという意味において非常に使われる言葉だと思うんですが、やはりそれはそれ固有に精神医療がどのように保障されなければいけないのかということとして、また議論しなければいけないと思っているんです。
すべてに早期発見というのが関わるんですけれども、そうであるならば、あえて「発見」という、何かしら障害を見つけ出すというか、どちらかというとマイナスのイメージを伴ってしまいがちな「発見」という言葉を何もあえて使わなくても、いろんなところで使われている「早期支援」「早期治療」「早期介入」を少しばらける形で使わせていただいて、そこに全部頭書きのように「早期発見」「早期発見」と使わなくても、十分意味が通じるし、逆に言うと「早期発見」という言葉を使うことによって、マイナスイメージを持たせてはいけないのではないかと、これは本当に若干の感想を持っています。
ということで、少し言葉の整理も含めて、それから医療に関する議論をした上で、またあえてこの予防に関してはもう一度議論が出れば出させていただきたいなと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 今のお話のとおり、確かに健康とか、リハビリという権利条約で言われているところの25条を中心とした、それと同時に、障害を持った人の特に医療をもう少し検証していきながら、それは1つのカテゴリーだろうと。
予防という概念は、やはりこことは違った概念。今までこの推進会議で「予防」という概念については、2つの論調について議論しました。1つは、優生思想的な予防観はやはりなしですよと。これは確認済みです。そうしますと「障害の予防」という言葉はそういうものをイメージしかねない。そのときに、中西さんが言われているように、国際的には「障害の原因の予防」と「原因」を入れるとか、あるいは「障害の原因となる疾患の予防」とか、そういうことで「予防」を限定して使おうと。でも、今、言われたように、なおかつこれについては、むしろ公衆衛生関連法の中で、本来障害者基本法とは別の次元ではないかということもあって、やはり今後この辺の検討をしていこうということ。
加えて、今、言われたように「早期発見」「早期治療」「早期介入」というものについては、もう少し言葉の意味合いあるいは関連性、それをつくり出しているイメージ。ただ、同時に「発見」という問題は、今は残っていますかね。身体障害者福祉法第19条で、行政が発見するという言葉があったんです。それは申請主義に対する対置用語だったんです。申請しなかったものは受け入れないと。そういう点でいうと、申請を待つだけではやはりよくないので、逆に能動的に行政が動くんだという点で使われてきた経過もありました。それでどんな言葉がいいのか。
こういうことも含めて、ここはまだ少し議論が残る点かと思います。
東さんからコメントございますか。
○ 東室長 東です。障害の予防に関しては、前回も議論をいただいて、今回でかなり論点みたいなものが少しずつ整理されてきたかなという感じを受けているところです。
大谷委員が総括的に言われたように、個人サイドにとっての医療という問題と、公衆衛生的な問題はやはり少し整理すべきかなという感じもします。
障害者基本法自体も、第2章の医療、介護ということで、12条の中で医療というものが書かれているとともに、第3章の障害の予防というところでも医療が書かれているわけですね。ですので、ここら辺の整理も含めて、やはり枠組み自体を考え直すことが必要なのではないかと思っているところです。
以上です。
○ 藤井議長代理 先ほど整理したような感じになりますかね。またこれは大変大事なことが含まれていますので、引き続き精査をしていくことになると思います。
では、一旦ここで第2コーナーの時間が来ましたので、これで終わります。第3コーナーにつきましては、15分ちょっと休憩をしまして、45分から開始をして、少しずれ込んでいますけれども、最後まで行かせてほしいと思っています。特に、いつも門川さん、福島さんについては、やはりいろんな配慮をし合おうということも出ていましたが、今日はお休みということもありまして、もし皆さん方の同意が得られたら、第3コーナー、第4コーナーをくっつけて、1時間15分の75分間続けるということでよろしゅうございますか。反対という人いますか。ないということにしましょう。
15時45分まで休憩をして、再開します。では、休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、第3コーナーに入りますので、着席をお願いします。よろしいですか。
では、第3コーナーは2つの分野、同じく新たに議論した分野についての推進会議の問題認識の中の3つ目、4つ目、文化・スポーツの分野と、ユニバーサルデザイン。最後にまた報告がありますけれども、2つの分野を先にやります。大体20分ちょっとぐらいで1分野を終えてまいります。
最初に、文化・スポーツの件で、これは権利条約の第30条を思い起こしながら議論をしたいと思うんです。新しい議論の分野ですので、第1次意見には十分には入っていません。御発言を求めますが、いかがでしょうか。
竹下委員、久松委員、順番にいきます。
まず、竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 竹下です。一定の議論のこれまでの成果はここに表現されているとは思うんですが、2点だけ指摘しておきたいと思うんです。
1つは、スポーツの件につきましては、競技性のあるスポーツに対してどのような配慮をしていくかということで言いますと、今、スポーツ基本法の制定という大きな運動というか動きがあります。文化についてもいろんなそういう基本法、規制法もあるわけですが、そうした基本法において障害者に対する配慮といったもの、あるいは障害者の参加を明確に位置づけることまでをも要求していくことが必要ではないかと思っております。具体的な中身は細かいので置きます。
2点目は、競技性が特に意識しなくてもいい分野においては特にそうなんですが、障害の種別によって現状としてある不公平というものをどう解決するのかということについては、前に発言しましたけれども、十分な議論になりきれていないと思うんです。
例えば障害者スポーツ大会における参加枠の問題であったり、あるいはパラリンピック等への参加派遣の枠の問題であったり。パラリンピックは競技性の方が特に中心ですけれども、特に障害者スポーツ大会は、競技性というよりは福祉的要素も含めたリハビリ的な参加型だと思いますので、そういう分野への平等性というものを確保するのにどういう観点に立つかということについては、十分な議論がまだ尽くされていないのではないかと思っております。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、久松委員、どうぞ。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。竹下委員と同じように、競技性のある身体障害者のスポーツ大会あるいは大衆性のあるスポーツ大会についての議論が十分ではありません。その議論をもっと深めていかなければいけないということが1点。
2点目は、スポーツ大会や競技大会の運営主体についてです。今はまだスポーツを楽しむレベル、またスポーツに参加するというレベルの入口のところにいますが、聞こえない私たちの場合は、私たちの手で私たちが運営を担っていくという考え方で、スポーツ大会やろうあ者大会をろうあ者自身が運営しています。ろうあ者自身が楽しみ、ろうあ者自身が競技をし、運営をするという形でやっております。ほかの障害者スポーツ大会の場合、なかなかそこまでは当事者の参画が結び付いてこない。自分たちで運営をしていく、形づくっていくことができていないということをとても残念に思っております。
また、障害者スポーツの指導員の場合、ほとんどの場合は障害者自身が指導員になるという例がほとんどありませんので、障害を持つ指導員がそういう研修を受けられるように、そういう環境整備が必要だと思っております。
あと、今年でしたか去年でしたか覚えていませんが、障害者スポーツ大会に参加するための予選で、九州のある県のバレーチームが九州ブロック大会で優勝したにもかかわらず、ある県が財政的な理由で派遣ができないとなり、ほかの競技チームが出場したといった問題がありました。このある県のチームはいつも優勝しているので、ほかのチームと比べると公平ではないということで、その県からの派遣はなく、第2位になったチームが派遣されたという経過があったようです。このようなスポーツ大会の予選の在り方にも問題があるのかと思っております。
また一般のスポーツ大会に参加する条件ですが、その条件に合った場合には参加できるけれども、条件に合わないと参加を拒まれるということが結構あります。
例えば冬季スポーツでノルディックの場合に、後ろから追い越していくときに声をかけて、前にいる人がよけて抜かしていくというようなルールがあります。聞こえない人が参加する場合には、後ろから声をかけられてもわからないので、そういう理由だけで参加できないと拒まれたという例がございます。
けれども、こういう例は、ノルディックの競技が大変盛んな北欧やヨーロッパでは、そのようなルールがあっても聞こえない人の参加を認めないということはありません。健常者よりも障害者に早い選手もたくさんいます。ただ、こういうルールがあるために力がある障害者が競技に参加できないという問題が幾つか起こっておりますので、非常に残念に思っております。
このような競技大会への参加については、障害があるという理由で拒むことのないように、強く意見を盛り込むことが必要ではないかと思っております。
以上です。
○ 藤井議長代理 大久保委員、どうぞ。
○ 大久保委員 大久保です。文化等についてというところなのですけれども、もう少し積極的に知的障害のある方、あるいは精神障害の方もそうかもしれませんけれども、いわゆる芸術・文化活動への支援といった形の表現は是非とも欲しいかなと。実際にアールブリュットとか、ボーダレスアートというふうな形で展覧館が催されたりとか、こういったことは我が国国内でもありますし、パリでも開催されたりということが実態としてあります。こういったことも国として支援してほしいということも含めて、積極的に芸術・文化活動への支援というふうな表現もほしいかなと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。
関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 ここにも書いてありますけれども、プールの利用を拒否されたというほど明確ではないんですけれども、精神障害者手帳を示したところ、根掘り葉掘り聞かれて、自分の病気のことを話さなければ使わせてくれないというような異別取扱いがある。スポーツ施設なんですから、別にクリニックでも何でもないので病状とか聞く必要はないと思うんですけれども、その辺のところの切り分けをきちんとしていただきたいと思います。
もし、そういうことでもってスポーツ施設を使うのに適当か適当でないかという資格がいるのだったら、それならばそれで明確にしていただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。
新谷委員、どうぞ。
○ 新谷委員 1点だけ。5ページの映画、DVDへの字幕表示についてと載っていますけれども、これは文化・スポーツのところに入れるのが適当なのか、情報バリアフリーのところに入れるのが適当か。やはりしかるべきところに書いていないと、問題がずれてくることがあると思いますので、私は情報バリアフリーに入れる方が適当かと思います。
○ 藤井議長代理 では、久松委員、どうぞ。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。今回、スポーツのテーマだけと思っていましたので、文化のテーマで発言をしていませんでした。文化についてお話ししたいと思います。
障害の特性による独自の文化と打ち出してくる場合があります。ろうあ者の場合ですと、手話をベースにした文化の発展、ろうあ者文化があります。手話による演劇ですとか、手話で映画をつくるとか、手話で舞台の活動をするとか、そういった手話の文化発展のため、いろいろな人に見せるという芸術性を持った文化というのがあると思います。このような創造的な活動ができるような環境整備の支援が必要と思いますので、それも是非盛り込んでいただきたいと思います。
ほかに知的障害の方も健常者の発想とは違う豊かな絵画等も目覚ましく発展していると思いますので、そういう創造的な分野での活動ができるような環境整備も必要と思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 もう少し時間がありますが、いかがでしょうか。
東さん、どうぞ。
○ 東室長 東ですが、以前の議論の中で著作権の問題が出ていたわけです。覚えていらっしゃると思います。ただ、著作権法は改正されて随分使い勝手がよくなったという話も一方で聞きますけれども、まだ問題が残っているというお話もあったかと思うんです。
残っている問題の部分で、もう少し具体的な形で何か御指摘いただければありがたいなと思っています。なければないで結構です。よろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 これは、情報分野で取り上げるのがいいのか、著作権問題というのはここがいいのかということはどうなんですか。
○ 東室長 確かに新谷さんが先ほど言われた議論と同じで、どちらに振り分けたらいいのかという問題はあるかと思いますけれども、とりあえず具体的な問題点の指摘があればありがたいなと思っています。
○ 藤井議長代理 詳しい方はおわかりのように、著作権法37条1項、2項だと思うんですが、久松委員の手が挙がっています。どうぞ。
○ 久松委員 久松です。著作権法については、別のところで議論をする機会がないと思いますので、この場であえてお話ししたいと思います。
例えばDVDの字幕あるいは映画DVDに字幕を挿入する際、著作権法上は自由に字幕を付けることができるということになっております。しかし実際に字幕を付けるときには映画製作会社からマスターテープをもらわないと字幕を付けることができません。市販されているDVDから字幕を付けることは技術的に難しいです。
ですから、結局のところ映画会社と製作会社と交渉してマスターテープ、つまり、原盤そのものをお借りしないと字幕が付けられない状況ですので、字幕をつけることはフリーなように見えますが、結局のところは著作権者に申し出なければいけないという問題がまだ残っております。この著作権法の壁が残っているということを現状として認識していただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 新谷さん、どうぞ。
○ 新谷委員 それは違うと思います。映画会社が自分たちの版権を持っているところでDVDを製作して出すというのが私たちの求めている方向で、2次的に原画をもらってそこに別の会社が字幕を付けるということを求めているのではない。会社そのものがDVD映画から版権をもらうときに、同時に字幕も付けてもらう会社もあるでしょうし、映画会社が即そのままDVDを出してそこに字幕を付けることもあるし、その2段階のことが根本的な議論ではなくて、媒体を出すところが字幕を付けなさい。媒体を販売するところが字幕を付けなさいと。映画会社であれば映画会社が付けなさい。テレビ会社ならばテレビ会社が字幕を付けなさいという要望が原点だと思っているんです。
二次利用の問題というのは、フェアユースかなにかで今は議論していますので、それはまた別のいろんな要因が入ってくると思いますので、細かな議論が必要かもわかりませんけれども、根本は一番最初のところで字幕を付けるということだと理解しています。
○ 藤井議長代理 久松さん、その辺のところはもう少し何か意見はありますか。
○ 久松委員 ろうあ連盟の久松です。基本的には製作会社が字幕を付けて販売することが原則だと思います。そのように理解をしております。ただ、現状として著作権法上の問題があるということ、二次利用するときに、例えば視覚障害者や聴覚障害者はそれぞれの情報提供施設であるとか、そこで字幕等つけて無料で配布する上での問題として著作権法上の問題、原盤がないと製作できないという問題があることをお話しました。
本来は理想としたら、著作権者、版権を持っているところが字幕を付けるべきと、義務づけることが必要という考え方は、新谷さんと同じ考え方であります。
以上です。
○ 藤井議長代理 そこで伺っておきたかったのは、今の合意は、新谷さんが言われるのはまず本筋であると。加えて、今、言われたマスターを借りるという場合、今までは運用としては補償金を払ってやっているんですか。久松に質問しておきたいんです。
○ 久松委員 映画製作会社の中には、字幕製作グループと関係をつくって、バリアフリー映画という名目でやる場合、無償実施しているところがあります。
何にお金を使っているかというと、字幕をつくっているグループに字幕製作費として払っているということがあるかと思います。
○ 藤井議長代理 東さんから発言を求められていますので、東さんからどうぞ。
○ 東室長 今の久松さんと新谷さんの御意見は対立するものではなくて、新谷さんの意見は情報バリアフリーそのものとしては、メディア会社が自ら付けるのが本則だろうという御意見。
それはよくわかるんですが、私の質問として聞いているのは、著作権法上の問題として、2次利用する場合に、例えば今はどこの図書館でも一般のDVDなどを来館者に見せるようなサービスをしているわけですけれども、その中で字幕が付いていない日本の映画とか、そういうものは一般の人には見せることはできるけれども、聴覚障害の人には実質見せないということにもなっているわけです。そういう中にあって、例えば障害関係のところで複製するということはできるでしょうけれども、一般図書館とか大学図書館などができるような形で緩和されたのかどうなのか。そこも含めて現状の著作権法上の問題はないのかという辺りを聞きたかったんですけれども、そこら辺はどうなんでしょうか。現状で満足されているということであれば、それでいいんですが。
○ 藤井議長代理 その点でもしわかれば、どうですか。
新谷さん、どうぞ。
○ 新谷委員 詳しくはないですけれども、今回の著作権法の改正で、そういう福祉分野での2次利用はフェアユースで原則問題なくなったのではなかったでしたか。
○ 東室長 東ですけれども、福祉分野の話をしているわけではなくて、一般の情報提供施設、図書館などが典型なんですが、そういうところにおいて実質的な格差がないのか。例えば一般の図書館が市販のDVDに字幕を付けるようなことができるのかできないのか、そこはどうなんですか。
○ 藤井議長代理 久松委員、どうぞ。
○ 久松委員 今、著作権法上では利用可能な、例えばDVDに字幕のないものに字幕を付加するのは、基本的に聴覚障害者情報提供施設が制作し、聞こえない人に無料で貸し出しをしております。その場合に、先ほど藤井さんからの御質問にあったように、製作会社に対し、補償金を払っております。
一般の図書館とか大学図書館のようなところでは、DVDのようなたぐいのものは字幕が付くもの、付かないもの等々貸し出しておりますが、図書館独自で字幕を製作するということはやっていませんので、結局、現状としては、情報提供施設だけが製作しております。
図書館のDVDには字幕が付いているもの、付かないもの等々あります。字幕が付かないものは置いてあっても、聞こえない人はそれは利用できません。図書館の場合、補償金を払うという話を私は聞いておりませんが、著作権法の解釈上、字幕製作をする機関は情報提供施設か、もしくはそれに相当する社会福祉法人で字幕製作の設備のあるところ等でやっていると理解しております。
ですから、字幕製作の設備があって、法律が認めた団体、機関は、補償金を払うという考え方ですが、図書館自体がそれをやっているかどうかは私は存じ上げません。
以上です。
○ 東室長 東です。ありがとうございます。字幕はそうですけれども、竹下先生、点字については何か御意見はありますか。
○ 竹下委員 竹下です。その準備をきっちりしていないので正確な報告はできませんが、今年の1月1日から施行されている改正法の下では、福祉施設には限定されていません。政令による指定も含めて、時にはボランティア団体にまで至る範囲で、著作物の変形が視覚障害、聴覚障害者の情報提供の範囲内でできるようになったはずです。正確な表現は覚えておりません。したがって、公共図書館は、字幕を付けることは、1月1日後の施行の下ではできると理解しています。
以上です。
○ 東室長 点字本をつくるということもできるという理解でいいんですか。
済みませんけれども、もう少し正確な資料があれば確認していただいた上で御提供をお願いします。
○ 藤井議長代理 では、それぞれ聴覚障害の分野も、竹下さんの視覚の方もそれぞれ資料を少し準備していただいて、この機会にきちんといい影響を及ぼすような基本法にしていく必要がありますので。
ほかにいいですか。では、この件は終わりまして、次の新しい議論した分野については最後になりますが、ユニバーサルデザインです。権利条約で言うと第2条の定義、一般原則、一般的義務にもありますけれども、これに関して、同じく資料2を見ながら、御意見があったら挙手をお願いします。
ないというのは今までで初めてです。もう少し考えてください。いいかな。特に東さんから少しありますか。
○ 東室長 東です。ユニバーサルデザインにつきましては、これまでの議論を基に、6ページにあるような形でまとめさせていただきましたけれども、実は少し煮詰まっていないところもあるんです。議論の中でアクセシビリティとバリアフリーとユニバーサルはどういう関係なのかということで問題提起させていただきました。その中で3つぐらいの考え方があったんですが、その考え方に基づいてきちっと整理できているという状況ではなくて、混在した前提で書かせていただいたわけです。
ただ、条約的に言いますと、ユニバーサルの問題は定義としては置かれていますけれども、それが独自の条文になっているわけではございません。こちらの言葉としては、出てくる部分もあるわけですけれども、それに比してアクセシビリティは原則という中でも独自の条項として扱われていますし、また9条という総則的な規定として置かれているわけです。やはり総則として置かれている意味は、ある意味ですべての権利行使の前提となる部分だからということで非常に重要だということで書かれているわけです。
そういう条約の中でどういうふうにこの3つの関係を理解するかというのは、条約だけでははっきりしないところもあって、まとめきれていないという面もありますが、こういう書き方自体についてはどうでしょうかということなんです。
あと1つ、担当室としての問題点は、現状においてユニバーサルデザインと言われているのは、商品というところに特化した形でしか議論されていないわけです。権利条約ではもう少し幅の広いものを対象として規定しておりますので、もう少し範囲を広げた形で具体的な政策として落とし得ないのかなという問題意識はあるんですが、現実としてはこういう書きぶりで終わったというところです。
○ 藤井議長代理 尾上さん、どうぞ。
○ 尾上委員 室長からの問題提起の前に考えたことなので、今のことに答えることではないんですけれども、商品に限られているという話から言いますと、例えば銀行のATMや公衆トイレの中のいろんなパーツを購入するのは実は障害者自身ではないんです。片仮名の言葉で申し訳ないんですが、エンドユーザー、使う人、利用者自身が購入をするわけではなくて、自治体とかが購入して公共施設という形で提供したり、公共的な機能として提供する場合が多いので、ともすれば実際にはこんなトイレは使いにくいなと思っていても、そのままになってしまう。もし自分でお金を出して設計するのだったらこんなトイレはつくらないのに、エンドユーザー、直接使う人が購入をしない仕組みのために使いにくいものがユニバーサルデザインとなってどんどん広がっているという状況が現状としてあると思います。
つまり、商品を購入する人が直接使う人とイコールではないところにそういったものの特徴があると思っています。その点から、今回いただいた文章の中で一番最後のところで、障害当事者が参画し、意見を反映する仕組みという、大枠で言えば間違いではないですけれども、例えば参画をし、当事者が評価し、意見を反映する。評価のシステムというのが不在というのが日本の今の特徴ではないのか。特に、しかも先ほどそういうまちづくりや公共施設などにつくられるものが、当事者は使いにくいと思っているのにもかかわらずどんどん購入されてしまうというのは、実際に購入する人と使う人が違うという状況の中でそのまま放置されている状況だと思います。その意味で、一番最後のところに評価の仕組みということがもう少しわかるようなものということ。
もう一点、前文に関わる部分かもわかりませんが、当事者参画の必要性ということで、ユニバーサルデザインというときに、必ず言われてきたのがスパイラルアップの仕組み。これも片仮名の言葉で申し訳ないです。当事者が実際に使いやすいか使いにくいかを見て、ここは使いにくいからこう変えてほしいということで更に使いやすくなる。より使いやすくなっていく仕組みをスパイラルアップと言うんです。
そういった当事者参画によるスパイラルアップの仕組みということがユニバーサルデザインのときに必ず合わせて言われてきたと思います。その意味で、当事者参画によるスパイラルアップの仕組みということと、それを加えて意見の反映という前提として当たり前なんですけれども、当事者が参画をして評価をし、その評価の結果に基づいて意見を反映できるというか、そういった仕組みということがわかればなということを提起します。
○ 藤井議長代理 では、東さんから発言があります。
○ 東室長 今の尾上さんの発言が貴重だと思うんですが、ただ、ユニバーサルを商品だけを前提にした議論で言うと、実は今のような問題が出てくると思うんです。パーツパーツはユニバーサルかもしれませんけれども、それを組み合わせたサービス自体の設計とか、ここに「計画」という言葉もありますけれども、それ自体がユニバーサルでなければならないというふうに正面から言うと、つくった会社の問題だけではなくて、設置する側の公共的な団体とか事業体、その設置自体もユニバーサルの対象になっていくわけです。
そういう意味で商品に限定しているのかどうかという問題提起をさせていただいたわけで、そういう全体としての使いやすさみたいなものはもう少し言葉としても環境とか計画とかサービスの設計などを入れた方がいいのかなと思っているんですけれども、直接的な議論が皆さんの中から余り出てこないのでどうしようかなというところもあるわけです。
○ 藤井議長代理 関口さん、どうぞ。
○ 関口委員 一番最初にメーリングリストにポストしたときに、ユニバーサルデザインと心のバリアフリーも含めたバリアフリーという言葉を使ってポストしたんですけれども、返ってきたのがダイバシティ、つまり多様性ということでした。
例えば私が中野区長にあったときに、中野区は再開発をするわけですけれども、エレベーターもつくってほしいけれども、エレベーターは閉所恐怖症で乗れない精神障害者もいるからエスカレーターもつくってほしい。勿論、階段を上りたい人もいるだろうから階段もつくってほしいと。そういう多様性が尊重されなければいけないということは1つ抜けていると思うんです。
システムの中にいろんな多様性があることでもって多様な人々は多様な使い方をできるということ。それと同時に、あらゆる人が便利だという表示とかそういうものはそういうものとしてきちんとつくらなければいけない。勿論、点字表示も含めてそういうものも多様性の中に保障されていなければいけないと思います。
○ 藤井議長代理 大濱委員、どうぞ。
○ 大濱委員 これはユニバーサルのときの議論ですが、あのときの議論にトイレの問題が具体的に挙がっていたと思います。トイレなどですと、やはりユニバーサル化ということで、かえって私たちが使いづらくなっているという実態があるというのがこの会議で議論として挙がっていました。具体的に例えばトイレの中に赤ちゃんのおむつ交換をできるようになったとか、オストメイトの方が使えるようになった。確かにそういう良い面はあるのですが、その反面、車いすで急にトイレが、もうおしっこが漏れそうだ、うんこが出そうだとか、下痢して困ったときに、トイレが使えないという実態が実際に起こっているわけです。このようにユニバーサル化することによって逆に不便さか起きているという辺りをきちんと考慮した上でのユニバーサルデザイン化を。
例えばトイレでも一般のトイレよりも幅広くして、車いすが入れるようなトイレを増設するとか、必ずしも障害者用トイレということで固定概念化しなくても、いろいろな対処の方法がありますので、そういうことも含めて私達当事者と一緒に考えていただければと思っています。
○ 藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 大濱さんの言われた後半部分がとても大切だと思うんです。つまり、ユニバーサルデザインというのは何をユニバーサルにするかというと、別に車いすトイレだけ、だれでも使ってねということがユニバーサルの本質ではなくて、どのトイレでも基本的には使えるようになるという、そのユニバーサルデザインが基本で、加えて、一般のトイレを例えば車いすで使いやすいような大きさにする。また、一般のトイレの入口の段差をなくす。そういったユニバーサル化だけで使えない人が、もう少し重装備な形の多機能トイレと言われているものと両方がいるということだと思います。もう一つは、ユーザー、だれでもトイレと言われているもののユーザーが、当然だれでもという形で広がっていくならば、今までの条例ですと例えば建物につき1つとかという形で多機能トイレが非常に少ない数で限定されていました。それをもっと比率を上げるといったことが必要です。
もう一度申しますと、ユニバーサルデザイン、先ほどの東さんの話と関係しますけれども、そういった計画やプロセス、全体のプロセス自身をユニバーサル化していく。その中で当事者が参画して、例えば現状、ユニバーサルデザインと言われているけれども、かえって使いにくくなっているのはなぜなのかということを検証し、先ほどのトイレですと、まずは一般のトイレ自身がまずは基本的にだれもが使えるようにして、だれでもトイレの数を増やしていく。そういったようなことがいるんだみたいなことをちゃんと議論できるような評価システムあるいは意見反映のシステムがいるというのが先ほど申し上げた点です。
○ 藤井議長代理 中西委員、どうぞ。
○ 中西委員 中西です。先ほどすぐに手が挙げられなかったのは、いろいろな方から出ていた問題意識と共通するところなんですけれども、結局アクセシビリティが何であるかということが明確化されない限り、ユニバーサルデザインと言われても、結果的にそれは障害当事者にとって使いやすいものではないので、アクセシビリティの中のあくまでも1項目としてユニバーサルデザインがあって、特別なものとして扱われるのではなくて、それとの関連の上できちんと位置づけられないと、ユニバーサルデザインがあって更にアクセシビリティというような別項目で立つことによって、今まで指摘されたような問題が起こると考えます。
以上です。
○ 藤井議長代理 大体そういう点で言うと、アクセシビリティという1つの同心円的な、そこが中心として座っていて、もう一つ表側にユニバーサルデザインという概念、多分そこにバリアフリーというのがかぶってくるんですね。そういう意味で言うと、アクセシビリティというのは中心概念として押さえるというのが大事だという御意見だと思います。
尾上さんからも東さんからも出ていましたように、2つテーマがあって、1つは計画あるいは設計、評価、改善という循環をしていくときに、障害当事者が参画をしているということの大事さです。東さんから言われたように、このユニバーサルデザインというのは、今までは商品、製品に限定しがちだったけれども、国連が言っているような点で言うと、計画や環境やサービス設計、こういったものまで考えたときにどうかという辺りが出ていましたので、この辺を含めて今後更にどういうふうに基本法で形をつくれるのかというのは検討に入っていく必要があると思います。よろしゅうございますか。
それでは、今日、準備した前段の第1コーナーの4つと、新たに議論した分野についての4つの分野の今日の段階での議論を終えたいと思います。次に、報告事項が残っていますので、これに移ってまいりますが、尾上さんから、どうぞ。
○ 尾上委員 報告事項に移る前に、先ほど東室長から質問をいただいたことで、手元のパソコンを調べますと、大阪府の資料がありましたので、忘れないうちに。また全文は事務局を通して構成員全体にお渡しをしたいと思います。1999年直後ぐらいの文書です。大阪府のホームページでこう書いています。
大阪府は、国庫補助事業により福祉施設の整備を実施する際に、法令に根拠規定はないが、国の指導に基づき今まで地元の同意書の提出を求めてきた。しかし、こうした手続そのものが結果として法の趣旨にそぐわない障害者などの権利を阻害してきたとの認識に立ち、あらゆる機会を通じて国に撤廃を訴えてきた。その結果、99年度までにすべて撤廃されたとなっていまして、要は多分法令的な根拠というよりは、いわゆる行政指導というものの中で、国との協議書の中にその文書があったようです。その文書の更に説明を見ますと、国への協議書の様式で地域住民との話し合いの状況という欄があって、更にその中に、括弧付きで同意書の有無、地域住民との話し合いの状況、括弧付きで同意書があるかないかというのを○を付けさせるという文書を国が協議書のときに書式の中に入れて、それを求めてきた歴史がある。それが国としては1999年に全廃をしたというのがこの前のヒアリングの結果です。
そういう意味では、法令的にはもともと根拠がないものを国が行政指導として求めてきたものを、国としては障害者の人権から問題があるという自治体からの提起を受けて全廃をしたという経過でございます。
○ 藤井議長代理 自治体のみならず、民間からもそれはおかしいという経過があったと思うんです。
久松さん、どうぞ。
○ 久松委員 たびたび申し訳ありません。御発言の機会をいただき、ありがとうございます。全日本ろうあ連盟の久松です。
世界ろうあ連盟がこちらの推進会議に期待するという旨の文書を頂戴しております。情報、コミュニケーション、または言語に関する制度を日本の中につくることを期待するという意味の文書をいただきました。その英文と翻訳文を皆様に配布したいと思っております。参考までにごらんいただければと思います。あと、全日本ろうあ連盟の意見書も付けてあります。また、翻訳の中に権利条約というところを人権となっておりますが、それは正しくは権利ですので、後ほど正しいものをお送りしたいと思います。
先ほどありました著作権法上の、または著作権処理、運用方法につきましてもいろいろ問題があるので、聴力障害者情報文化センターと聴覚障害者情報提供施設協議会から資料をもらった上で推進室にお送りしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 それでは、内容に関わって今、追加発言等があったので、これで本題の方は打ち切りますが、よろしゅうございますか。
それでは、報告事項であらかじめ通告があるのは1件であります。障害の表記に関わっての作業チームの方で、委員の方からお願いいたします。
○ から報告いたします。本日、午前中、10~12時、第5回の「『障害』の表記に関する作業チーム」を行いました。本日は、ヒアリングの最後の方といたしまして、学識経験者の杉野昭博先生においでいただきまして御意見を聞きました。
これで今まで4回にわたりまして、10人の方からのヒアリングを行いました。この10人の方の御意見と、前回もお話しいたしました一般の方からの意見募集というのも整理ができておりまして、この内容も踏まえまして作業チームといたしまして論点を整理いたします。11月22日のこちらの親会議であります推進会議の方に論点整理を報告できればと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 今の委員への質問はございませんか。
では、委員の障害の表記に関する報告を終わります。ほかに報告事項等で発言を求めたい方はいらっしゃいますか。
土本委員、お願いします。
○ 土本委員 土本です。やっとわかりやすい一次意見ができ上がりました。明日、11月9日にでき上がるということです。長瀬さん、北野さん、堂本さん、事務局の成冨さん、門川さん、大久保さん、8回の意見交換をしてつくり上げて、先週で提示したものですけれども、でき上がったということですので、明日の滋賀のフォーラムでも使えるということで聞きましたので、どんどん使ってもらいたいと思っています。本当に長い間、次があるのかどうかこれから話し合いをしなければならないかなと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 明日の滋賀フォーラムで前回の話にあったように間に合うということです。欲しい場合はどういうルールになっているんですか。何か決まりがあるのでしたか。
東さん、どうぞ。
○ 東室長 東です。特段これまで決めていたわけではないんですが、印刷部数と必要性の相関関係で決めたいと思います。
○ 藤井議長代理 ちなみに初版はどれぐらいですか。
土本さん、どうぞ。
○ 土本委員 3,000部です。予算もあると思うんですけれども、皆さんには伝わりきれないんです。
○ 北野委員 北野ですけれども、明日のフォーラムの担当なんですけれども、分かりやすい版を会場の方全員にお配りすることは可能なのでありましょうか。
○ 藤井議長代理 追って連絡。3,000部ですから、多分難しいような気がしますね。
勝又委員、どうぞ。
○ 勝又委員 ダウンロード式にはならないんですか。私はそういうものというのはすべてダウンロードでとれるようになっていると理解しているんですけれども、いかがでしょうか。
○ 藤井議長代理 関さん、どうぞ。
○ 関参事官 また御連絡しますが、基本的に内閣府の方でまとめている紙媒体のものというのは、PDF化するなりしてダウンロードできるようにというのが原則になっていますので、基本的にそれに準じているということになると思います。
また確認の上、御連絡します。
○ 藤井議長代理 正確にまたお伝えするということにしましょう。
尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 ちょうど勝又委員がおっしゃることを言おうと思ったので、是非ともダウンロードでできるようにしていただければということは重ねて申し上げます。
○ 藤井議長代理 要望として承っておきましょう。ほかにいかがですか。では、その件以外の件でいいですか。これほど早く終わるというのは珍しいんですが。
長瀬さんの手が挙がっているかな。どうぞ。
○ 長瀬委員 今、土本さんからの御報告をいただいたわかりやすい第一次意見なのですが、竹下委員から御注文いただいた、字の大きさの部分で十分な配慮ができなかった点、ルビが入ることもあって字が比較的小さめなものになってしまっているのをおわびいたします。
今、お話いただきましたように、例えばダウンロードできるようなバージョンで拡大して印刷していただける、もしくは普通にA4サイズで考えているのですけれども、必要に応じてまた拡大コピー等のような形で今回は対応していただければ幸いです。
もう少し予算があれば拡大版なども是非考えたいと思っていますが、今回、当初予算の項目になかったことということで、担当室の方で相当苦労していただいて、もう予算は確保していただいたという経緯は十分承知していますので、いろんな形での合理的配慮もしくはアクセスというか、バリアフリーというか、それは難しいところなのですが、個別なさまざまな形で活用していただければ幸いだと申し上げたいと思います。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 久松さん、どうぞ。
○ 久松委員 繰り返しで申し訳ございません。全日本ろうあ連盟の久松です。1つ文部科学省の方の特特委員会で中間報告をまとめているところですが、それを受けて、12月の制度改革推進会議での議論があるのか、第二次意見に反映させるのか、今後の状況について、どう進めていくのか見通しが見えません。今後の進め方についてお伺いしたいと思いました。
以上です。
○ 藤井議長代理 これはだれに質問をしましたか。
○ 久松委員 だれが答えられるのでしょうか。
○ 藤井議長代理 どうしましょうか。まず、東さんが答えられる範囲で答えてもらいましょうか。
○ 東室長 担当室の東です。22年度内に検討していただくというようなことで第1意見及び閣議決定には書いてあるわけです。それに文科省の方でも間に合わせる意味で、中間まとめが12月には出していただけるのかなと思っております。
ただ、12月も随分遅れた形であればこちらの議論も遅れるような形になりますので、なるべく早くとは思っていますけれども、文科省側の都合もありますでしょうから、そこは待たざるを得ないわけですけれども、出た後でまたここで当然それについて議論するということになろうかと思っています。
○ 藤井議長代理 久松さん、よろしいですか。
○ 久松委員 あと1件なのですが、もう一つ、総務省の選挙環境に関する検討会でも12月ごろにまとめに入ると伺っているのですが、同じように受け止めてよろしいでしょうか。
○ 藤井議長代理 では、東さんからお答えできる範囲で。
○ 東室長 その件につきましては、いつごろまでにという確定的な期限を私個人としては伺っていないので時期としてはっきりしませんが、いずれにしろ同じような形でここでも議論させていただきたいと思っております。
○ 久松委員 ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 それでは、小川議長、よろしくお願いします。
○ 小川議長 本日は、長い間の御討議、お疲れ様でございました。ここで東室長より今後の予定を含め、報告すべき事項がございましたら御説明をお願いいたします。
○ 東室長 東です。本日はどうもお疲れ様でした。次回は25回になります。11月15日、月曜日です。議題は引き続き基本法の法改正ということについてであります。
以上です。
○ 小川議長 ありがとうございました。それでは、これをもちまして、本日の会議を終了いたします。この後、この場所で記者会見を行います。
本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。御苦労様でございました。