○ 小川議長 定刻になりましたので、これより第26回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。
本日の委員の出欠状況ですが、門川委、清原委員、竹下委員、土本委員、福島オブザーバーが御欠席、その他の委員は御出席です。
会議の公開はこれまでと同様といたします。
進行上の時間配分については、後ほど東室長より報告があります。
本日の会議は15時30分までを予定しております。
それでは、これより先の進行については、藤井議長代理よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 それでは、これから先は私の方で進行をさせていただきます。
まず最初に本日の進め方の概略について東室長より説明をお願いいたします。
○ 東室長 こんにちは。担当室の東です。
今日は午後4時より第1回の「差別禁止部会」を開催いたしますので、推進会議自体は午後3時半までといたします。休憩は1回とし、2つのコーナーに分けて進行していきます。
まず第1のコーナーは55分の予定で、2つのテーマを取り上げたいと思っております。
1つ目が合同作業チームからの報告です。障害者基本法に盛り込むべき内容について3つの合同作業チームの座長からこれまでの検討の成果を御報告いただき議論したいと思っております。
2つ目のテーマは「障害」の表記に関する作業チームからの報告です。同チームの検討成果を御報告いただき同じく議論したいと思っております。
次に第2のコーナーですが、70分ほどを予定しております。ここでは2つのテーマを取り上げていきます。
1つ目は第二次意見の骨子と今後のスケジュールについてであります。事務局からの報告を受けて議論をしていただきたいと思っております。
2つ目のテーマは基本法の性格についてということで、これも事務局からの報告がありますので、それを受けて議論していただければと思っております。
最後に若干の報告事項がある予定です。
本日の予定は以上のとおりです。
○ 藤井議長代理 それでは、第1コーナーはこれから2時までなんですが、2つの分野があります。1つは3つの合同作業チームからの報告と議論です。あと、障害の表記に関して後半の方は進めてまいります。
合同作業チームの方は、医療・合同作業チームが堂本座長、就労・合同作業チームは松井座長、障害児支援作業チームにつきましては大谷座長、おのおの10分間の持ち時間です。5分間程度を説明で、残り5分間を質問や意見交換にしたいと思います。
それでは、最初に堂本座長に担っていただいた医療・合同作業チームの報告をお願いいたします。
○ 堂本委員 4ページの紙をお手元にお届けしてございますけれども、最初に1枚目です。これは障害者基本法に医療の領域で盛り込むべきこと、文章にはなっていませんが、キーワードとして絶対に入れる必要があると考えたこと、今まで総合福祉部会と推進会議の両方の合同チームで公式に2回、非公式に3回話し合いを持ってまいりましたけれども、そこで出た議論をまとめたものをこういう形で盛り込むべきだということでつくらせていただきました。
めくっていただいて、2ページの「I 確認事項」からご覧いただきたいと思います。
まず前期に私たちが前提としたことを一番最初に書いてございますけれども、当然のことなんですが、我々の領域においては必ずしも権利条約の考え方を反映するという考え方を持っていない方も入っておられると言ったらいいでしょうか、比較的そこから遠い存在もないわけではございません。ですので、権利条約の考え方を前提にしているということを毎回確認させていただいてまいりました。
それから、同時に第一次意見、閣議決定、推進会議での議論、総合福祉部会での議論を前提として議論を進めるということです。
あとの法律2つと個別分野は皆様と共通のことでございます。
1回目から2回目にかけて確認したということで、次の3つが大事なんですけれども、いわゆる社会的入院を解消し、自立(自律)した生活及び地域社会への包摂、インクルージョンのための施策の根拠となる規定を設けること。
2番目に医療保護入院に係る同意を含む保護者制度を解消するための根拠となる規定を設けること。
3つ目、強制的な入院等の人権制約が行われる場合に適正手続を保障する規定を設けること。
以上3点の論点を障害者基本法の改正の折に入れるということで、医療のところだけではなくて基本理念その他のところにもいろいろな形でこういうことができるような姿勢で臨んでいただきたいと考えております。
3ページにまいりますが、1回目の3つの合意をした後で足りない部分が出てきました。その1つは精神医療の質の向上に努めること。
5番目に書いてありますように、一般医療の問題点の解消ということ。
2になっていますが、精神医療の法体系の在り方についてどう考えるか。
この3点が更に議論すべきこととして議論を続けてまいりました。
医療の質の向上というところなんですけれども、精神保健福祉法には当然のことながら当事者に説明することが義務づけられているんですが、実質的にインフォームドコンセントがなされていないということで、これを徹底するということ。
それから、今、拘束治療というものがあるそうで、身体拘束、保護室というところへの行動制限での処置が多いということなので、行動制限を極小化すべきではないか。
ドクター側の発言は医師の人数が足りない、看護師の人数が足りないから拘束するなり薬を使うという方法に頼らざるを得ないという発言が多うございました。このために非自発的な入院を削減していくことが大前提ですけれども、それでもなおかつ入院して来られる場合にはできるだけインフォームドコンセントをするということ、それと同時に入院の必要を十分に精査した上で、必要最低限度の適正な病床数に対して行動制限をする。それに見合った人員配置を行うということをここで是非確認したいと考えております。
と申しますのは、関口さんがよく言われるんですが、入口が広がっていると後からどんどんやってくる。今でも入院は大変多いと病院から伺っております。ただ、退院も非常に多いということなので、入院の人数を十分に精査することがとても大事で、必要最低限の適正な病床数で、どうしても入院しなければならない場合においても行動制限は可能な限りなくすことが理想ですが、極小化という言葉を使いました。そのための人員配置を必要とする。それには一般医療よりも少なく設定している現行法を変える必要があるのではないかということです。
また、急性期の精神医療に関わっている医師、看護師、コメディカル等の仕事の質を確保するためのガイドラインを是非とも整備しておくことが必要です。
障害者基本法において、こういった施策の根拠となるような規定を是非とも設ける必要があるということが第4番目でございます。
5番目ですけれども、一般医療における問題点の解消に努めることの根拠となる規定を設けること、これは2つの面があります。
1つは、一般医療において適正手続の保障がない状態で行動制限が行われている状況がある。認知症の方などが対象だという話なんですけれども、医療提供に当たって人権確保の必要性は精神医療にとどまらないあらゆる科において行動制限についての適正手続をきちっと保障するといった法的な裏づけが必要であろうということです。
もう一つの問題は全く違う観点なんですが、精神障害者が身体合併症の治療のために一般医療を受ける必要が生じても、円滑な提供がなされないことがある。例えば癌になったり、歳をとった方が多くなっているので、どうしても糖尿病になる。あるいは外科的な手術を必要とするようなことになった場合に精神科からということになると、入口で拒否されてしまう。こうした事態の改善が必要ではないかということです。障害を理由とする差別をしないといったことをきちっと法的に決めておく必要があるのではないかということです。精神医療の範囲にとどまらず不可欠なことではないかと、ここではもう一度なぞって書いてございます。障害者基本法においてこのような問題を解消する施策の根拠となる規定を設けることについてお願いしたい。
最後ですが、精神障害者に必要な支援は当然ながら医療にとどまらず保健などにもございます。座長さんをしていらっしゃる方にはおわかりいただいていると思いますけれども、地域保健法などにも精神の方の問題を考えていただきたいというお願いをしてございます。「入院とならないよう」と書いてありますが、通院並びに入院とならないよう未然防止するための支援、「通院」という言葉を入れてほしいと総合作業部会の広田さんから言われているので、追加して入れさせていただきたいと思います。今、言われたところなので口頭で申し上げますが、通院も入院も未然に防止できるものはできるだけ防止をして、退院直後の支援等も必要である。
福祉ですけれども、これは総合福祉法に是非とも盛り込んでいただきたいこととして、住居の確保、所得保障、就労支援等のサービスや支援が個々の障害者のニーズに即して相互に連携して提供されなければならないのではないか。特に精神医療に関しては、医療と福祉が混在し制度上問題を多く含んでいるので、精神保健福祉法の人権的な視点を含めた抜本的な改正にするのか、または新法の制定を検討する必要があるのではないか。抜本改正ですと至るところを改正しなければならなくなります。例えば第5条の精神障害者の規定、その他もあるんですけれども、そういった手続の内容からすべてなので、むしろ新法という形も考えられると思っています。
どういうところにそれ以外のところは入れていくかといいますと、医療法等の一般的な医療法制に取り組んでいくこと。あるいは地域保健法等の保健法制、総合福祉法等の福祉法制に精神障害者に関する規定を取り込むこと。この法体系は自立支援法のときから一緒になっているので、そこは是非厚く入れていただく必要があると考えています。
○ 藤井議長代理 堂本さん、時間が大分オーバーしていますので、まとめてください。
○ 堂本委員 急いでやります。もうちょっとです。
精神障害者固有の事情に基づく人権の尊重、非自発的入院、隔離拘束の際にとるべき適正な手続、第三者機関によるチェック等の必要性を満たすために上記の新法または抜本改正した精神保健福祉法に規定を置くことはどうかということに話し合いでなってきております。
この前の合同作業チームのときに意見が分かれまして、それがこの下に書いてあるんですが、関口委員からは精神医療という言葉を入れない、本人の自発的な意思に基づく法にしてほしいということで、人権確保のための適正手続の法律、適正手続法を設けるべきという御意見でした。それに対して日精協などの病院協会からは自分たちは医療モデルでやっているのだから、あくまでも精神医療に特化した法律を存続させてほしいというところで、ここだけは意見が分かれております。
時間がないので表をめくっていただきたいと思いますが、今の議論を基本法にどのようにして盛り込むかということで、いわゆる社会的入院を解消するというところについては、社会から隔離されることなく地域社会において自立した生活を営む権利のような書き方を是非してほしいということ。
2番目の保護者制度の解消ですが、ここは大事でございます。自らの判断と選択による医療の利用、非自発的な(本人の意思に反し、または本人の意思を確認することができない状態における)入院及び隔離拘束の際の保護者にかわる公的な機関の責任。
3番目は強制入院等の人権制約に関わる問題ですけれども、これについては日本国憲法の保障する権利及び自由の本人の意思に反し、または本人の意思を確認することができない状態における制約に係る適正な手続の整備、第三者機関による監視を含む適正な手続の保障。
4番目も大変大事でございますが、今、認知症などの方たちが大変多く入院されています。そこのところをきちっと見るべきだということで書いていますが、入院ニーズを十分に精査し、ここで精神病院への入院が必要かどうかということを十分に精査した上で必要最低限かつ適正な病床数と人員確保を含む医療サービスの提供体制の担保が大変大事だと考えております。
あと、定義その他の日本国憲法と書いてあるところなんですけれども、関口さんから御意見が出ているので、時間が許せばたとえ2分でも3分でも追加して言ってもらいたいと思いますが、私たちが書いたところで、参考として社会モデルに基づく障害の定義ということで、心身の機能上の損傷と社会におけるさまざまな障壁との相互作用により継続的に日常生活または社会生活に相当の制限が生じた状態。
基本理念のところですけれども、すべての障害者は日本国憲法の保障する権利及び自由が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する。
○ 藤井議長代理 堂本さん、時間を倍ぐらい使っていらっしゃいます。これは書いてありますので、できれば要約してお話してほしいです。
○ 堂本委員 それでは、関口さんからお願いします。
○ 関口委員 ここには機能上の損傷とあり、社会におけるさまざまな障壁との相互作用ということが入っているので問題はないととれるんですけれども、私が提案したいのは、障害とは人が身体的、精神的、知的、感覚的な疾病もしくは損傷の状態にあることにより、あるいはその他事情により日常生活もしくは社会関係、態度を含むに他の者と比べて継続的もしくは長期にわたり断続的に相当な制限を受ける状態を言うということで、障害ということに関して定義づけを少し考えてみました。
以上です。
○ 堂本委員 ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 それでは、就労・合同作業チームの松井座長からお願いします。持ち時間は質疑が入って10分ですので、お願いいたします。
○ 松井委員 松井です。ありがとうございます。
就労・合同作業チームでは、項目を6つ掲げております。
1つは労働の権利の保障と苦情に対する救済制度の整備です。現在の基本法の15条、16条では全くそのことには触れていませんし、障害者自立支援法にしてもあるいは障害者雇用促進法にしても権利という形では規定されていませんので、是非障害者の労働の権利及びその権利を侵害された場合の救済ということが書き入れられてしかるべきではないかということです。
2点目は労働施策と福祉施策が一体的に展開できる障害者就労制度の整備です。これには生計を維持するための賃金補てんなどによる所得保障を含むということと、労働者保護法の適用の確保。現在は労働施策と福祉施策が分離しているということで、それを一体的に展開できるような仕組みをつくること、特に福祉的就労に従事している障害者が合理的配慮及び必要な支援を受けながら、労働者保護法が適用されるような多様な就労の場を整備していくことが必要であろうということです。
3点目は多様な就業の場の創出及び必要な仕事の確保です。現在の雇用促進法は公的機関あるいは企業での雇用ということに限定されていますけれども、それだけでは十分に働く場が確保できないので、自営であるとか起業、最近話題になっている社会的事業所、協同組合での就業あるいは在宅就業といった多様な働く場を積極的につくっていく必要がある。当然そこにおける必要な収入を確保するためには、適切あるいは必要な仕事が安定確保できるような仕組み、例えばハート購入法などの優先発注制度などが整備される必要があります。
4点目は合理的配慮及び必要な支援の提供の確保ということで、障害のある人たちが適切な仕事をするために職場における合理的配慮及び必要な支援が継続的に確保できるようなこと。その中には職業維持に必要な生活面での支援であるとか、通勤支援などが当然含まれるべきであろうということです。
5点目は障害を持った人たちが障害者向けの特別な職業サービス、つまり障害者に特化した職業相談や職業指導、職業訓練あるいは職業紹介サービスだけではなくて、一般の市民が利用する職業サービスを利用できるようにすることによって障害のある人たちが身近なところで必要な職業サービスを受けられるということです。そういう意味で、通常の各種職業サービスを障害のある人たちにとってインクルーシブでアクセシブルなものにする必要があるということです。
最後の6点目はあらゆる種類の障害者への雇用義務の拡大と雇用の質の確保です。現在雇用率制度の対象は基本的に身体障害者、知的障害者に限定されていて、精神障害者については雇用の義務化はされていないが、雇用した場合、雇用率にカウントすることができるということになっていますが、精神障害者も含めてあらゆる種類の障害者に対して雇用義務の拡大がなされてしかるべきである。それと同時に雇用率制度はあくまで量としての雇用の確保にとどまっていますので、雇用の質を確保するための必要な施策が併せてなされる必要がある。特に合理的配慮及び必要な支援が障害のある人たちに確実に提供されるためには、障害者だけではなくて事業主に対しても適切なフォローアップサービスが必要な期間継続的になされる必要があるということを今回書かせていただきました。
以上です。
○ 藤井議長代理 6点にわたっての説明でしたが、1名ぐらい、質問、意見があったら受け付けますが、いかがでしょうか。
なければ次に進みます。障害児支援作業チームの大谷座長から説明をお願いします。
○ 大谷委員 大谷です。
障害児の方は本日条項イメージということで4点にわたって提出させていただいています。
合同作業チームですのでいろんな方がおられました。施設経営をされている方で、施設がなければ生存が確保されないし、重篤な障害のある子に対する命の保障をどうするのかという視点から発言される方とかいろいろな方がおられたんですけれども、基本的には権利条約で障害のある子がどのように位置づけられているのか、どのような権利を持っているのかを第一義的にまず基本法に書きましょう。そのことを踏まえて、どういう個別法に具体的に展開するかはまた別の問題として考えられるべきなので、障害者基本法に何を盛り込むべきかということに関しては、権利条約を尊重するということで一致させていただきました。
そうするならば、障害者権利条約が個別に障害のある児童を規定していること、忘れ去られがちなんですけれども、権利条約23条で家庭生活に関する権利を規定しています。家庭生活の権利も23条の3、4、5項で規定しているんですが、3項が家庭生活についての平等な権利、4項は父母からの分離禁止ということなんです。父母からの分離禁止に関しては障害のある子が障害を理由に父母から分離されてはいけないということプラス両親の一方が障害のあることを理由に児童から分離されてはいけない。御両親のうちどちらかが障害があることを理由に家庭生活、子どもを持つことも含めて奪われてはいけないという、どちらかというとリプロダクトの方で禁止されているということもあるんです。後段に関しては障害のある児童に対する権利ということなので、ここに盛り込むことはできないけれども、どこかでそのことは規定してもらいたいということを踏まえて、ここには盛り込まなかった。
もう一つは、代替的な監護も家庭的な雰囲気の中で保障されなければならないと5項が規定しているということです。
それから、これも忘れ去られがちでしたけれども、30条に文化的な生活、レクリエーションの権利という中に障害のある子どもに特化する形で、30条の5項のd項に障害のある児童は遊びに対する権利を持っているという規定があります。これはレクリエーション、余暇等々という規定の仕方プラス遊びという言葉で特別に障害のある児童が権利を持っていると規定されていますので、それらをすべて総合的にここに盛り込みたいということで検討させていただきました。
そうすると、非常に盛りだくさんにあれもこれもということで1項から5項まで盛り込ませていただいたんですけれども、ざっとした説明とそれを読んでいただければおわかりかと思いますが、権利の保障の中では先ほど言ったように生命の権利、遊びの権利も盛り込みました。そして、一番の基本は家庭及び地域社会の構成員として尊重されるということがまず明記されなければいけないだろうということで、権利の保障の中にはそれを書き込んでいただきたいということで一致しました。
それから、これは最善の利益なんですけれども、子どもの権利条約以降子どもに関わる事項に関しては最善の利益が確保されなければならないということが再三言われるんですが、最善の利益とは何なのかということに関しては必ずしも一致しない。我々とすると、最低限保障として子どもの権利条約以降言われていること、今回権利条約でももう一度確認されたことに関してはここに盛り込みたいということで、保護者が第一義的な養育責任を持つということと、やはり家庭及び地域社会の一員として等しく尊重されること、尊厳等々が保障されなければいけないという基本的な事項の確認に関しては、最低限の最善の利益の確認事項としても必要ではなかろうかということで明記させてもらうことにしました。
意見表明権は子ども権利条約以降言われていることなんですけれども、権利条約が特記すべきことはただ単に意見表明権を保障するだけではなくて、意見を表明し得るよう支援を保障するということになっています。ですから、意見表明権を保障した上で、なおかつそれを表明できる支援、加えてその意見をくみとる能力、環境も国、地方自治体の義務とするような施策を講じてもらいたいとまとめさせてもらいました。
4は早期支援なんですが、ここでお気づきかと思いますけれども、まず障害のある子の定義で実はもめます。障害ということが全般に対して関わってくるということで、それはそれで我々の範囲ではなかったんですけれども、やはり障害のある子と障害児といった場合、一般的に障害の定義プラス特に乳幼児に当たっては障害が気づかれる、気づくといったときからの支援も必要である。障害があるかないかわからないけれども、保護者とすれば不安に思う。不安に思ったときからの支援も障害のある子どもに対する支援として保障してもらいたいということが言われました。それをどのように表現していいか私たちも苦労したんですけれども、障害のある子の定義を固有でここで設けるべきかという議論がありましたが、やはりそれは不適切かと思いましたので、乳幼児においては早期に適切な支援を得られなければ後に障害を持つ可能性の高い子を含むという形で、失礼ですけれども、括弧書きで加えるということで、気づきの段階からの支援を保障するという意味を込めて、ここでそのように入れさせてもらいました。
それから、家庭的な家族による監護が得られない場合の代替的な監護は特に里親的な監護が保障されなければならないということ、早期からの継続的かつ可能な限り無償のということです。先日の19日の会議で最後に入ったのが、かつ可能な限り無償な支援をということを要求してもらいたいということで、これも要求させてもらおうということで入れさせていただきました。可能な限り無償な支援というのは子どもの権利条約には入っているんですけれども、今回の権利条約の中には入っていないんです。それを受けているということで、可能な限り無償な支援ということでイメージの中に入れさせていただきました。
障害のある子どもに関しては、基本イメージ条項としてこれだけのことを盛り込むのはなかなか難しくても、全般の児童福祉法になるのか、総合福祉法になるのかいろんなところに関わる事項ですので、やはり障害者基本法の中にはその総合的な指針としても、最低限これだけは入れてもらいたいと言いながら、だんだん増えてきてしまったのでちょっとどうなるかわからないんですけれども、是非これは残していただきたいものとして提案させていただくということで、とりあえず作業チームとして一致しました。
報告は以上です。
○ 藤井議長代理 時間が余りないんですが、端的に新谷委員、大濱委員、久松委員の3人の御発言も認めます。
新谷委員からどうぞ。
○ 新谷委員 新谷です。
大谷さんへの質問です。4番の早期支援のところで、あえて早期発見を外した理由は何なんでしょうか。早期発見は一般予防の範疇にもっていくという意味で外れたのか、早期発見の重要性を評価した上で外されたのかを聞きたいと思います。
それから、乳幼児においては早期に適切な支援を得なられなければ後に障害を持つ可能性が高い子どもを含むとあるのは、まさに早期発見、早期治療の大切を言っておられると思うんですけれども、これが別の項目できちっと表現されておればいいと思いますが、その辺の考え方をお伺いしたいと思います。
○ 藤井議長代理 併せてお答えいただきますので、大濱委員どうぞ。
○ 大濱委員 2点あります。
1点目は最善の利益のところで、地域社会の一員として等しく育成されるに関してです。地域社会での障害児に対する支援が非常に少ない現状を配慮して、地域社会での障害児に対する支援という文言を入れていただきたいというのが1点目です。
2点目は、最近、親のない障害のある子どもが相当増えているという現状があります。そこに対する支援は今後どのように考えられているのか。
その2点です。
○ 藤井議長代理 意見です。
久松さん、どうぞ。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。
お聞きいたします。全部で4つの項目が権利の保障となっていますが、スポーツが抜けているように思います。権利条約でもスポーツの項目があります。どこかで読めるのかどうか。もし抜けているのでしたら、スポーツを是非入れていただきたいと思っています。
次に権利条約では発達という言葉を使っていますが、ここでは成長という言葉になっています。発達が含まれることが読めれば良いのですが、大谷先生のお考えをお聞きしたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 質問が出ていましたので、繰り返しません。大谷さんから順次お答えになってください。
○ 大谷委員 大谷です。
括弧の中で適切な支援を得られなければ後に障害を持つ可能性が高い子を含む、早期と入れているので、そこに含まれているという趣旨で私は考えました。それプラス率直に申し上げて、国及び地方公共団体の責務の中に早期発見責務ということで一般的に書くことに関して、見つけ出して支援するというようなことになります。これは前回も藤井議長代理から指摘されましたように、申請主義等の絡みで、早期発見ということで探し出すというイメージまでは強くなくても、申請がなくても支援をしなければいけないという趣旨で早期発見という概念が盛り込まれたのかもしれませんけれども、やはり見つけ出すという意味で使われるようなことは、余り適切ではないと私は考えました。その辺のところは早期に適切な支援を得られなければといったところに盛り込まれれば、表題にわざわざ掲げることはないのではないかといったところで削らせてもらいました。
発達も同じです。異論があったわけではありません。発達でもいいし成長でもいいし、成長・発達と2語続けてもいいし、とりあえずその辺のすべてが保障されるということで特段の議論はありませんのでしたので、成長・発達としても問題ないと思います。
スポーツに関しては余暇等ということで、余暇という言葉が本当はよろしくないのではないか、レクリエーション、スポーツ等々ということで全部並べたいんですけれども、遊びを入れて、余暇を入れて、スポーツを入れて、レクリエーションというのはちょっと長過ぎると思ったものですから、余暇などということで「など」に含めさせていただきました。
それから、親がいない子に関しては非常に関心の高いところで、代替的な監護が保障されなければならないということで、傍聴している方にもそのことに携わっている方がおられまして、いろいろ意見を聞きました。その中で代替的な監護、特に家庭的な雰囲気での監護を保障しなければいけないということで支援の中に含めさせていただきました。
もう一つ、地域社会の中における支援も保障されなければいけないということなんですけれども、これは早期支援の中に入れたいと思っています。てんこ盛りでどこまで読み込むべきかというのはなかなか難しいんですけれども、家庭的な環境の中で提供されなければならない支援というのは、まさに地域社会の中での支援ということで読み込んでいただきたいと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 質問者の方、時間が余りないので、特別なければ今の回答でいいですか。
おわかりのように3つの合同作業チームは総合福祉法だけでは立ち行かない。つまり、縦割行政の弊害をなくしていくために、医療、保健と福祉、労働と福祉、児童の場合には児童福祉法と障害者の総合福祉法の関係性、そういう点でいうとやはり基本法が間に入って、そういう関係分野あるいは関係法律の調整機能を持つという点において非常に大事なことなので、基本法の役割の1つはそういう他領域、他分野にわたる視点を含めるという点で、今のことを含めて今後更に規定ぶりイメージに反映していくと期待したいと思っております。
それでは、これについては一応打ち切りまして、次は障害の表記についてです。
堂本さんですか。簡単に頼みます。
○ 堂本委員 この間、最後に長瀬委員から御発言のあった男女のことなんですけれども、これも、今、言われたように両方にまたがる問題だと思いますので、それも考慮していただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 これに関しては勝又委員から今日大変丁寧な資料が出ていますので、後で少し出てくると思うんですが、堂本委員の御発言も含めて更に前に進んでまいります。
「障害」の表記に関する作業チームから報告をいただきます。まず最初に座長の山崎委員よりこれまでの作業チームの経緯、到達点、成果ということを報告いただきます。その後に質疑をしてまいりますので、山崎委員から発言をよろしくお願いします。
○ 山崎委員 山崎です。
お手元の資料2をごらんください。「障害」の表記に関する作業チームの座長として、資料2「『障害』の表記に関する検討結果について」御報告申し上げます。
飛びますが、最初に14ページをごらんください。私どもの作業チームが設置された趣旨がここに簡単に書いてございます。
「◆作業チームの役割、構成について」。
作業チームの役割は、推進会議が障害の表記について議論をしやすくするために検討事項の整理を行う。
2番目に、そのため、関係者からのヒアリングを通じて表記の案などに関するプラス面とマイナス面を整理し、推進会議で検討ができるようにすること。
そして、メンバーは5名とすること。
こういう枠組みで検討させていただきました。
5名につきましては、16ページをごらんください。ここに掲げてある5名でございます。なお、私の体調不良により途中のヒアリングの期間、私が実質参画できなかったため、委員さんに座長代理をお願いして運営していただきました。座長代理に感謝申し上げたいと思います。
また14ページにお戻りください。「◆作業チームの進め方」でございますが、ここに書いてあるとおり、関連分野の有識者や障害の表記に積極的に発言されてきた関係者などからのヒアリングを中心に進めていくということで、メディア関係者等からヒアリングをさせていただきました。
具体的なことにつきましては、15ページの2回目から5回目で合計10名の専門家から御意見をちょうだいしたということでございます。
「○ヒアリングのもち方」でございますが、作業チームによるヒアリングとして行い、ヒアリングの内容を整理した上で推進会議に報告し、推進会議ではヒアリングで明らかになった論点について検討いただきたいと思っております。
15ページをごらんください。私どもは非常にきつい日程でこなしてまいりましたが、それはなぜかと申しますと、12月に見込まれております第二次意見に反映できるように、この報告を今月中に何とかさせていただきたいということで、8月の段階で逆算した結果、お一方15分という非常にきつい日程でヒアリングを実施させていただきました。
私どもの作業チームの役割、構成をどのように進めたかの御案内は以上でございます。
引き続きまして、表紙の裏側の「目次」を簡単にごらんいただきたいと思います。私どもの「障害」の表記作業チームの検討結果は、基本的には先ほど御案内を差し上げたヒアリングによって得た私どもの知見を内容別に分類して、第2、第3という形で整理させていただきました。なお、ヒアリング結果に基づいて、後ほど読み上げさせていただきます第4、第5の見解を御報告するという形をとっております。
なお、第2、第3に書いてございます中身は、ポイントだけ指摘しても非常に時間がかかるということと、私座長の判断で特定の箇所をピックアップすると、そこだけが重要のように受け止められるおそれがございますので、ここに表記してあるものはすべて等しく均等に重要であるということが第1点です。
2点目は、事前にお配りさせていただいておりますで、多くの方々には既にごらんいただいているということを若干前提にさせていただきまして、第2及び第3の中身については、ここでいちいち列挙することは控えさせていただきたいと存じます。
御質問があれば、わかる範囲でお答えを差し上げたいと思います。
そういうことで、11ページにお移りいただきたいと思います。ヒアリングによって示していただきました専門家あるいは関係者の御意見、知識ないし御経験を踏まえて、私ども作業チームがどのように考えたかを読み上げる形で御報告させていただきます。
11ページの「第4ヒアリング及び意見募集の結果を踏まえた総括」でございます。
「第2及び第3で述べてきたように、様々な主体がそれぞれの考えに基づき、『障害』について様々な表記を用いており、法令等における『障害』の表記について、現時点において新たに特定のものに決定することは困難であると言わざるを得ない。
他方で、この度の様々な関係者、有識者からのヒアリング等を通じて、これまで明らかになっていなかった検討課題や論点も浮かび上がってきており、今後『障害』の表記に関する議論を進めるに当たっては、以下の観点が必要と考えられる」。
12ページでございます。「『障害(者)』の表記は、障害のある当事者(家族を含む。)のアイデンティティと密接な関係があるので、当事者がどのような呼称や表記を望んでいるかに配慮すること。
『障害』の表記を社会モデルの観点から検討していくに当たっては、障害者権利条約における障害者(persons with disabilities)の考え方、ICF(国際生活機能分類)の障害概念、及び障害学における表記に関する議論等との整合性に配慮すること。
これらを踏まえて、法令等における『障害』の表記については、当面、現状の「障害」を用いることとし、今後、制度改革の集中期間内を目途に一定の結論を得ることを目指すべきである。そのためには、障害は様々な障壁との相互作用によって生ずるものであるという障害者権利条約の考え方を念頭に置きつつ、それぞれの表記に関する考え方を国民に広く紹介し、各界各層の議論を喚起するとともに、その動向やそれぞれの表記の普及状況等を注視しながら、今後、更に検討を進め、意見集約を図っていく必要がある」。
以上が私どもの基本的な考え方でございます。
併せて、これに基づいて推進会議にこういうことを課題として御提示申し上げたいと思います。
「第5今後の課題」。
「第4に述べた観点を踏まえつつ、今後、以下の課題について検討する必要があると考える。
各種シンポジウムや障害者週間等の啓発事業を通じて、『障害』のそれぞれの表記に関する議論を紹介するとともに、幅広く様々な主体における議論を喚起していくこと。
『障害』のそれぞれの表記の普及状況について、定期的に調査を行うなど、その把握に努めること。
近年、国会においても『障害』の表記の在り方に関する議論が度々なされており、このような動向も注視しつつ検討を進めること」。
13ページでございます。「なお、今般の本作業チームにおける議論においては、『碍』が常用漢字に入っていないため、『障碍』の使用が広がらないとの観点から、『碍』の字を常用漢字に追加するよう、推進会議から文化審議会に提言すべきとの意見も出されたところである。
これについては、そもそも常用漢字は、分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の目安であって、常用漢字ではない漢字の使用が制限されているわけではなく、また、法令における『障害』の表記を『障碍』にするという結論に至っていない現時点において、文化審議会に提言を行う十分な理由がないとの意見もあり、本作業チームとして合意には至らなかった。今後、上記の取組を進めながら意見集約を図っていく過程において、『碍』の字の常用漢字への追加についても十分に検討を進めていく必要がある」。
なお、座長代理あるいはその他の委員の方々で補足等があれば、御発言いただければ幸いでございます。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 まず委員を始め他の委員からの補足があったら、お願いします。それが終わってから、残り十数分間を意見交換にします。いかがでしょうか。
委員、佐藤委員の順番でいきます。
○ 今回、山崎先生の代理として副座長をさせていただきましたでございます。
先ほど山崎座長の報告のあったとおりでございます。短い時間の中で決めていくという作業は、私どもにとりまして結果を出すのに苦労いたしました。ヒアリングと内閣府のホームページへの意見公募も含めまして検討させていただきましたが、意見公募も20日間ぐらいの間で、いただいたのも700弱というかなり数が少ないというところで、今回の方向性に提示できるかということも含めまして、現時点で私どもとしては先ほど山崎座長から報告があったとおりであると認識しております。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 佐藤委員、どうぞ。
○ 佐藤委員 ありがとうございます。日本社会事業大学の佐藤久夫です。
6月の第一次意見でも障害の法的表記については継続的に検討するということになったわけで、それからほとんど時間も経っていない中での作業チームでありまして、表記をどこかに一本化できないか、変えられないかという観点での議論というよりは、いろんな意見をお持ちの方々に来ていただいて、理由プラスマイナスなどをじっくりお聞きして、議論の前提となる基礎的な知見を整理するという形で作業チームが行われたと思います。そのために、障害にかわる表記の候補としては非常に可能性の低い「チャレンジド」という言葉を使っておられる方にも2人来ていただくということで進めてまいりました。そういう中で、我々も非常にたくさんのことを学ぶことができて、そういう点からも感謝しております。
同時にそういう中で私の方で強く提起をさせていただいたのは、13ページにあるところです。「碍」を常用漢字に追加するべきではないか。そのことを文化審議会に求める必要があるのではないかということでした。それに対して全体の合意には至らなかったということで、下の段に2つの理由が書いてあります。1つは常用漢字に入れなくても使うことは自由なのだから問題ない、自由に使っていいんだということと、障害の表記を「障碍」に変えるということの決定が出れば「碍」を常用漢字に追加してほしいということを言ってもいいけれども、それが決まっていない中で「碍」の追加を要望することは十分な理由にならないのではないかというのが2番目でした。
1番目の理由については、最後のメールでのやりとりで十分な議論ができなかった段階なので、私もよくわかりません。常用漢字に入っていない言葉を使ってはいけないということではないんだろうけれども、常用漢字の漢字を使いましょうというのが国の在り方だし、したがって、佐賀県知事がこの場にも来て常用漢字に入っていないので使えないということで何とか追加してほしいということを訴え、ほかの自治体やマスコミなども「障碍」という言葉は使わないでいるということで、常用漢字を尊重しようという理解をしている現実があるのに、自由に使えるんだとここで言って、どちらが正しいのか整合性がよくわからないというのが私の率直な感想です。
12ページのところにもあるように、いろんな言葉の使い方、動向、それぞれの表記の普及状況等を注視しながら今後更に検討を進めて、意見集約を図っていくということを我々の作業チームは提言しているわけですけれども、そのためにも「障害」も使えるし「障碍」も使えるし「障がい」も自由に使える状況にして、どういう表現が人気があるのかということを中長期的に見ながら再検討するということを提言しているわけですので「障碍」が使えない、常用漢字に入れないままでいくというのは不公平なことではないのかと思われます。
10ページに先ほど委員から紹介がありました意見募集の結果が出ております。ここでは「障害」を支持する意見が約4割、「障碍」を支持する意見が同じく約4割、その他2割は「障がい」その他ということとなっていました。「障害」と「障碍」が4割ずつでほとんど同じくらいこれを使いたい、これが望ましいという意見があるのに「障碍」の方は使いにくい。使ってはいけないということではないにしても使いにくい。特に公的機関は常用漢字表を尊重するという立場上、使いにくいということのまま置いていいのか。
また、意見募集の中でも「障害」が4割の支持ということは、6割は「障害」を使いたくない。6割の中の多くは「障碍」を使いたいということだと読むこともできるわけで、これだけ多くの人が使いたいと言っている「障碍」、バリアに直面した状態ということを表す社会モデルにもフィットする「障碍」を使いやすくするために「碍」を常用漢字に追加していただくことが必要なのではないかと思います。
そういう検討の余地も残して、作業チームでは推進会議に検討をお願いしたということで、あとは推進会議での議論で決めていただければいいのではないかと思いますけれども、「障害」を「障碍」に変えるということではなくて、そのことは今のところ議論することはできないことだろうと思います。結論は出ないことだと思いますけれども、少なくとも「碍」を常用漢字に追加するということに対して、反対の委員がいたら、是非手を挙げてどういう理由でそうなのかということを私に聞かせていただければと思います。表現の自由のことなので、そんなに反対はないだろうと思っていたところ、全体の合意にならなかったという結論で私の考えがちょっと偏っていると思ったりもしていて、どう考えたらいいのか推進会議の皆さんの御意見をお伺いできればと思っている次第です。
○ 藤井議長代理 ほかの委員からよろしいですか。
論点としては2つに区分けをしましょう。
今度の第二次意見に向けて、すかっとはしていませんけれども、従来の「害」を使うという点では、積極的ということより、むしろ当面これでいくんだ。同時に次の論点として「碍」を常用漢字へという意見があります。しかし、報告書を見ると違う意見もあったということなので、第1点については法令上あるいは第二次意見に向かっては当面現行でいくということで、佐藤委員もいいわけですね。
○ 佐藤委員 はい。
○ 藤井議長代理 第2点の問題について残り時間議論しますが、これに関してもし御意見があったら挙手をお願いします。関口さん、尾上さんの順番でいきます。
関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 4割が「害」を使うということでございますので、逆にいえば「碍」を使う人は4割で、反対の6割は「害」と考えてもいいのではないかと思います。つまり、常用漢字表に入れるということは法令に使うことをOKするということですので、自治体によっては「碍」を使うところも出てくるでしょう。そうなったときに自治体によって使う「がい」の字が違うという状態が生じます。これははなはだよろしくないのではないかと思います。
第2に意見書の最初の方に出ていますけれども、「碍」が必ずしもいい意味を持っているとは読めないわけです。障礙というところで出てきますので、そういう意味でいえば、私はまるっきり新しい言葉を考えるか今のままの「害」を使うしかないと思っていて、常用漢字表に入れるということはそれこそ一点突破、全面展開されるだけであって、「害」を使うことを主張している方からいえば、到底容認し難いと思います。
○ 藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 尾上です。
私どもDPIの関係者もヒアリングにお招きをいただきましたので、その件を補足しながら発言させていただきます。
ちょっと風邪気味でごめんなさい。
障害の法令上の表記についてはここに書かれているとおりで、社会モデルへの転換という意味を確認した上で現段階では今のままの障害を使うべきではないかという意見でございます。その上で私どもDPIとしては「がい」あるいは「チャレンジド」については採用すべきではないという意見をヒアリングでは申し上げました。「碍」につきましては、よくわからないという結論を申し上げています。「碍」については、社会モデル的な意味があると御指摘をされる方もいれば、先ほど関口さんが言われたとおり障礙という意味で使われてきたという御指摘もあって、私たちとしてはよくわからないという立場で提起をさせてもらいました。そういう意味では否定的意見の中に3つとも入っているんですが、そういう意味ではかなりグラデーションがあるということが1つです。
その上でなんですが、法令上の表記と別にして、先ほどから議論になっている常用漢字として言わばどういう書きぶりができるかという幅を広げることについては、私どもは反対をする立場では特段ございません。そういう意味で、法令上は今回の結論のとおり、現行の障害のままを使い、常用漢字については佐藤先生の提起のとおり、法令とは別に各団体や地方公共団体等におかれて自由に使える選択肢を広げるという意味での「碍」というのはあると思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 長瀬委員、どうぞ。
○ 長瀬委員 ありがとうございます。東京大学の長瀬です。
まず作業チームについてはこの短期間でいろいろな観点からの意見聴取をしていただいて、本当にありがたく思います。また、第5回には関西学院大学の杉野教授、障害学会の現在の事務局長ですけれども、杉野さんにも来ていただいたというのはありがたく思います。
全体として、当面、今の障害を用いるということを含めて、非常にバランスのとれた妥当な結論、総括をしていただいたと思います。ありがたく思います。
また、今、御指摘のあった「障碍」についても、常用漢字ではない漢字の使用が制限されているわけではないという点を含めて、当面は「障害」という結論にも賛同いたします。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 時間が大分迫っていますが、ほかにいかがでしょうか。
松井委員、どうぞ。
○ 松井委員 松井です。
「碍」について私はニュートラルな立場なんですけれども、この件に関連して、内閣府が実施した国民の意識調査では、「碍」に対する理解度は非常に低かったと理解しています。今回の意見募集では、先ほど佐藤先生がおっしゃったように4割近い方はそれがいいということですけれども、一般の意見募集はかなり意識がある方から出てきているわけで、4月か5月に内閣府がやったものはもっと広い意味で意見聴取をしているわけです。そういう意味でのウェートからいえば、より広い人に対して意見を聞いたものの方がウェートが高いのではないかと私は思います。
○ 佐藤委員 今のはどちらのウェートが高い、どちらの結果が重要だという御意見ですか。
○ 松井委員 国民に対する意識調査の方がより幅広い人に対して聞いているわけで、ここはあくまではっきりした意識を持った方がそういう表現をしているわけです。そういう意味では一般の認識度の方を重視した方がいいのではないかと私は思います。
○ 藤井議長代理 その点に関して、佐藤委員からどうぞ。
○ 佐藤委員 推進会議の議論の中でちょっと紹介したと思うんですけれども、あのときのアンケートでは無作為抽出の公平な国民の意見を聞いたわけですが、「障碍」には悪魔のたたりというような悪い意味があるけれども、どうかということを設問の中で聞いているもので、公平なアンケート調査という点から見ると非常に疑問だと思います。私はその影響がかなり強いのと、今、先生が言われた一般の人々で「障碍」という言葉にはほとんどなじみがないという対象でしたので、こちらの方は2.4%の支持だった。今回は意見募集で関心のある人たちが意見を寄せたら4割が支持したということです。ですから、どちらに重みがあるかというのは簡単には言えないと思います。
○ 藤井議長代理 森委員、どうぞ。
○ 森委員 日身連の森でございます。
日身連の意見としてはまとまっておりません。ただし、日身連といたしまして、障害の表記の在り方に対するアンケートをやりました。それは先ほどのお話に出たように内閣府とアンケートと同じような事項を出しました。障害の表記を改めるべきとの意見についてどう思うかということで、そう思うというのは33.3%、内閣府のときはたしか21%だったと思います。そうは思わないは31件で49.2%、内閣府は43%でございました。そういう形で、日身連の63団体の意見というのはそうは思わない、現行の障害でいいのではないかという意見が強かったと思います。ただし、先ほど私がお話したとおり、これを全部集めて日身連の意見としていいかという承認は得ておりません。報告としてさせていただきます。
以上です。
○ 藤井議長代理 以上のような議論なんですが、ほかにありますか。時間も大分迫っています。
久松委員、どうぞ。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松でございます。
ろうあ連盟も日身連と同じようなアンケートをいたしました。47加盟団体にアンケートをいたしましたところ、漢字を使う、平仮名を使うに二分されまして、「碍」の方がいいという意見は1団体でした。
先ほど行政の表現は自由という言い方がありましたが、幾つかの団体から平仮名表記を使っている行政に、私たちの団体が「障害」を使って文書を出したところ、行政から平仮名に書き直すようにという指導を受けたとう報告も出ております。ですので、その辺は慎重に議論をするということを求めたいと思っております。私ども加盟団体もほかの障害者団体も、行政との間で確認をしながら団体名を使うというところも増えております。現状を考えると今の時点で決めるのではなく、当面「害」を使うことで、少し時間をかけて結論を出すことをお願いしたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 佐藤委員、どうぞ。
○ 佐藤委員 森さんも久松さんも議論のテーマを誤解しているのではないかと思います。今「障碍」がいいのか「障害」がいいのか「障がい」がいいのかということの議論しているのではなくて、それについては継続的な検討が必要だということが全員一致で確認されたということです。それを継続的に確認するためにも「碍」を常用漢字に入れて、自由に使えるようにするということについて賛成か反対かということです。
関口委員は「障碍」にもっていくための戦略なんだから、そういうことを認めてはいかぬということを言われて、尾上さんは自由に使えるようにするということについてはあってもいいのではないかという意見を言われたんだろうと思います。
○ 藤井議長代理 森委員、どうぞ。
○ 森委員 森です。
基本的に私はそう思っています。ただし、これをある程度推進会議で決めるということになってきますと、法律でどうなっているかという形になるのではないでしょうか。
あと「害」はこれでいいけれども、平仮名とか「碍」でも何でもいいですというお考えでいるのであれば、行政的にはうまくないのではないか。私はそういう意味で言っているんです。常用漢字の審議会の方で検討してもらうというのは反対しているわけではないです。したがって「碍」でもいいんだというような意見が聞こえたものですから、そういう形ではうまくないのではないですかという考えです。
○ 藤井議長代理 森さん、今、佐藤さんがおっしゃっているのは「がい」はどちらがいいかということではなくて「碍」の方は検討していこう。ただ、今回、常用漢字にこれを申請するということまで阻むのはいかがなものかという意見だったんです。
○ 森委員 それは私は否定しているわけではありませんと言っているんです。
○ 藤井議長代理 森さん、今、佐藤さんがおっしゃっているのは「がい」はどちらがいいかということではなくて「碍」の方は検討していこう。ただ、今回、常用漢字にこれを申請するということまで阻むのはいかがなものかという意見だったんです。
○ 森委員 ですから、それは私は否定しているわけではありませんと言っているんです。
○ 藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 先ほどの久松委員からの報告で、そういう自治体があるのかということで驚きました。
推進会議の基本的なスタンスというのは、私たち抜きに私たちのことを決めないでということだと思います。
表現の自由を広げるという意味で、先ほど言ったとおり「碍」があってもいいのではないかということと、それぞれの団体がどういう表記をするかというのはそれぞれの団体に委ねられるべきですし、もう一つは地方公共団体が当該の当事者抜きに、例えば最近どうやら平仮名がはやりらしいから、深い考えもなく平仮名にしようとか、何となく「碍」の方がいいのかということで深い考えもなしに「碍」にして、しかも、それを当事者団体や当事者に押し付けるということは決してあってはならない。その前提の上で自由な表記があってもいいのではないかということを補足したいと思います。
○ 藤井議長代理 そろそろ収束したいんですが、いかがですか。
関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 繰り返しますけれども、常用漢字に入れるということは使えるということになるわけで、そうなりますと、地方公共団体が「碍」を使うんだということになると、そこに住む当事者すべてが影響を受けるわけです。ですから、それを4対4の段階で使える自由はあるんだということで認めてしまっていいのか。平仮名だったら確かに常用漢字も何もなくて使えるんでしょうから、使っているんでしょうけれども、いずれにしても、それが上からの物として降ってくるようなやり方は避けていただきたい。つまり、今、意識のある方ですら4割対4割ということで伯仲しているわけですから、それを常用漢字にすることによって、ある自治体は「碍」にしました、それがはやりのようになって全部「碍」になってくると困ると私は思います。
○ 藤井議長代理 さまざまな意見があります。したがって、以下のように方向を提案したいと思います。
1つは今日ここで合意を得ているように、第二次意見に向かっては、つまり国の法令上については消極的という意見あるいは当面ということもあったと思うんですが「障害」でいかざるを得ない。これにしましょうということです。
山崎座長がおっしゃったように、改革の集中期間を通して、関口さんが言ったように本来「がい」ということを「害」であれ「碍」であれ違ったということも含めながら、これは少し腰を据えて考えていこうではないかということが2つ目。
常用漢字に関しましては、詳しく日程とか締め切りの期限はわかりませんけれども、今日ここでどちらかという結論は出しにくいと思います。まだ猶予があるような感じもしますので、これについて今日は保留にして更に議論をしていく。
今日の大きな眼目は、座長がおっしゃったように、一旦第二次意見に間に合わせるということにおいて合意を得るということでまとめにしたいんですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○ 藤井議長代理 そのように進めさせていただきます。
山崎座長以下よろしゅうございますか。
○ 山崎委員 ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 大分時間をオーバーしましたけれども、20分なので、2時35分まで休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、時間になりましたので、着席をしていただいて、私語をやめてください。いいですか。私語をやめてください。
第2コーナーは2つに分かれます。前半が第二次意見の骨子と今後のスケジュール、後半は大変大事なんですが、基本法の性格等の説明、意見交換となります。時間を半分ずつぐらいとって、できれば後半にシフトしたいと思っていますので、前段の第二次意見の骨子と今後のスケジュールについて東室長より説明をお願いします。
○ 東室長 担当室の東です。
今日お手元に資料3ということで、A4の1枚の紙が配付されていると思いますが、見られる方はそれを見てください。
第一次意見をつくる際にもこのような、ある意味目次だけを示した概要、骨子版みたいなものをお配りしております。趣旨としては同様のものです。第二次意見を作成する上での目次的なものとして一応書いております。「はじめに」から「4.推進体制」まで書いております。
簡単に御説明申し上げますと「はじめに」の部分では、第一次意見作成後、推進会議並びに総合福祉部会において議論が進んでいるわけですけれども、その経過を若干書きたいと思っています。
次からが本文になるわけですが「I 第1次意見後に議論した事項」ということで「1.個別分野」として4つの分野「1)住宅」「2)文化・スポーツ」「3)ユニバーサルデザイン」「4)障害の予防」。これらの部分につきましては、専ら第一次意見後新たに議論した分野であります。この分野についての議論は基本法の施策関係に及ぼすべき基本的な部分でありますけれども、それだけにとどまらない個別的な政策に関する議論もなされておりますので、一応基本法の改正等は別枠でここに書きたいと考えております。
「2.『障害』の表記」がありますけれども、それにつきましては、先ほどの議論をベースにしたものを書きたいと思っております。
「II 障害者基本法の改正について」ということで、これ以降が本体であります。その中で1、2、3、4に分けております。
「1.障害者基本法改正の趣旨・目的」ということで、障害者基本法の前身である法律辺りから今回の改正に至った経緯とか視点、そういうものを書きたいということで考えております。
「2.総則関係」ですけれども、ここでは1~11まで総則に当たる部分、これまで議論してきた部分について書いております。細かくは読みませんが、見ていただければと思います。
3が各則という部分で「3.基本的施策関係」という表示で書いております。ここでは「1)労働及び雇用」から「14)国際的協調のための施策」という分野で書くということになります。
「4.推進体制」で、中央の推進体制及び地方の推進体制ということで書く予定です。
こういう項目にわたって書きたいと思っておりますけれども、この部分については総則でちゃんと独自に書けとか、この部分はもう少し各則で書くべきだとか、そういう御意見があろうかと思いますが、時間の関係もありますので、できればメール等で御意見をいただければありがたいと思っているところです。
項目についての御説明は以上のとおりです。
書き方といいますか、どういうような書きぶりにするのかという点につきましては、細かいところでいえば条文イメージとか規定ぶりイメージという形で議論しているところもありますけれども、そこを中心に書くということは現段階では非常に難しいだろうと思っております。ですから、第一次意見の構造といいますか、推進会議の問題認識をベースにして、それに基づいて例えば基本法改正についてはこういうことを盛り込むべきだとか、第一次意見の○の部分です。おわかりになりますか。
第一次意見では、問題認識としてここで議論されたことを枠の中でいろいろと書きましたね。その後でその中から抽出したものを○ということで、政府に求めるべき事項という形でまとめております。○です。●というのはございませんので○です。いいですか。
そういう書き方を踏襲したいと思っております。だから、政府に求めるべき事項というものが基本法改正について言えば、基本法改正について求めるべき事項みたいな形になるかと思います。そういう形で12月13日を目標にしてつくっていければと思っているところです。その段階で第二次意見ができれば、第二次意見書を推進本部に手交するという運びになるかと思っています。
第二次意見を基に今後具体的にどういう法案をつくっていくのかということが問題になるわけですけれども、それは各省庁との折衝とか内閣法制局との折衝とかいろんな過程を経て次第に明らかになっていくわけですが、その過程において結果を推進会議に持ち帰って議論しながらキャッチボールをしていくという状況になるのではないかと思っております。ですから、ある意味で3月の後半ぐらいに法案提出ということになるだろうと思いますけれども、年が明けてからそこら辺の議論を進めていく。そのための前提として第二次意見をつくるという形になると考えております。
以上が骨子案についての御説明です。終わります。
○ 藤井議長代理 今ありましたように、1つは骨子です。これについてはもし御意見等があったらメールで更に受け付ける。
2つ目、書き方は規定ぶりあるいは条文イメージではなくて、前回の第一次意見のような意見書方式にまとめていくということ。
3点目はスケジュールとして、年が明けて、更に関係省庁、内閣法制局との関係でキャッチボールしていく。議論が循環していくというスケジュール感が示されました。
これは併せて残り10分ほどですけれども、意見、質問があったら挙手をお願いします。大谷委員、長瀬委員の順番でいきます。
○ 大谷委員 ○で気になったのは、○は条項イメージではなくて意見として出すということでしたね。前回、第一次意見をまとめたときに、我々の基本的な認識は推進会議の問題認識として点線で囲って、それを所管する各省庁とある意味ですり合わせをしながら政府に求める今後の取組みに関する意見ということが○で出てきたという感じなんです。今回はそれをしないで、各点線の中から条項イメージのもっと大きい形のものを○で出した後、各省庁とすり合わせをするという御趣旨ですか。
○ 藤井議長代理 東さんからお答えいただけますか。
○ 東室長 第一次意見のときには第一次意見を提出して、推進本部でそれを議論してもらって、時間を置かずに閣議決定ということでやったわけです。ですから、求めるべき部分、○で書いた部分が閣議決定のベースに即座になるという関係がありました。だから、かなりぎりぎりで詰めた形で、あのときも時期的には後の方で○を埋めていったかと思います。
しかし、今回、閣議決定自体は閣法の提出という形でなされます。それは出す前になされるわけで、意見書の作成と閣法の間にはかなり時間的な間隔というものがあるわけです。ですので、○部分については推進会議の問題認識をベースに、例えばこういうふうに書くべきだという理由の部分とか現状認識などを点線囲みの中で書いて、具体的にはその中の大事な部分を○で書くということです。それ自体が条文イメージというわけではないんですが、条文イメージのもう少し前の大きなものを書くという形になろうかと思っています。ですので、そこまでぎりぎりに詰めてということは時間的にも無理だと思います。
そういう状況ですけれども、それでいいでしょうか。
○ 藤井議長代理 大谷さん、理解しましたか。
○ 大谷委員 はい。
○ 藤井議長代理 長瀬委員、どうぞ。
○ 長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。
最初にお伺いしたかったことは、今、大谷委員が伺ってくださった点なので、ありがとうございました。
中身の方については、先ほど東室長からの御説明でまだ各則等についても新しい項目がつけ加えられるということで安心しました。
前回の最後に、障害のある女性について提案をさせていただいて、先ほど堂本委員からも御発言がありましたけれども、今回の資料では多分後で御説明いただけると思うのですが、勝又委員から障害のある女性について具体的なたたき台というものを出していただいたので、大変ありがたく思います。齊藤企画官から全部出していただくというのも大変ですので、大谷委員の案をたたき台として、総則に既に入っているのですけれども、それでは非常に弱いと思いますので、基本的施策関係のところで各則として入れていただきたい。これも後で文書で出したいと思います。
もう一点だけ済みません。総則と各則ともに、今、国際というのが入っているのは非常にありがたく思っております。当初、佐藤委員、中西委員、松井委員、私たちから国際協力をということで御提案申し上げて、それが反映されていることは非常にありがたく思います。ただ、前回、私自身も出したのですけれども、今回の障害者の権利条約は人権条約として初めて国際協力という表現になっています。前回、東室長から御説明がありましたように、途上国の開発の問題、国際開発を念頭に議論されたという点、また32条では最良の実践の交換と共有についてと述べている趣旨から、前回、関口委員から国際的協調について御指摘がありましたけれども、やはり弱いと思いますので、是非ずばり国際協力という条文名に変えていただきいと思います。
ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 松井委員、尾上委員の順番でいきます。
松井委員、どうぞ。
○ 松井委員 先ほど東さんからメールでというお話がありましたけれども、いつまでにというのはあるわけですね。
それと、先ほど概要をご報告したように、就労合同作業チームで労働及び雇用について一応意見書という形で出させていただいておりますけれども、それを更に加工した形で出す必要があるのかどうかということと、働くことと所得保障というのはリンクしていますので、そういう関連づけたものを併せて出すということも可能と考えていいんですね。
○ 藤井議長代理 東さん、これはいかがでしょうか。
○ 東室長 合同作業チームのお話としてある程度まとまった部分であれば出していただければと思いますけれども、先ほど堂本委員が出されたように、ある程度コンパクトに絞っていただくと非常に参照しやすいと思います。意見の部分と反映させる一番重要な部分に分けて書いていただければ、まとめやすいという感じがします。
○ 藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 尾上です。
詳しくはまたメールで意見を出させていただきたいと思いますけれども、現行の第2章第12条が医療、介護等となっているんですが、今回いただいた骨子案で見れば健康、医療となるんですが、介護だけではなくて地域生活支援、今でいう福祉サービス的なもの、総合福祉法絡みのところ、特に生活支援的な部分が読み取れる項目がないと、12条のうちの医療だけが残るような形になります。私の読み違いであったらいいと思うんですが、やはり地域生活支援という項目が要るのではないかということが1つです。
それと、前回の議論でも「(10)年金等」というところは、次の「11)経済的負担等の軽減」も含めて所得保障というより積極的な規定ぶりの方がいいのではないかということ「12)選挙等」という部分も前々回の権利条約の規定からすれば、むしろ政治参加というもう少し広い形の書きぶり、規定ぶりの方がいいのではないかということがあります。
改めてメールでも申し上げますが、とりわけ現行の障害者基本法の第12条が医療、介護等となっている中で、医療が今回の「3.基本的施策」の3)に入っている分、地域生活支援、介護等の部分をちゃんと基本的施策の中にも入れるべきだということを申し上げたいと思います。
○ 藤井議長代理 久松委員、新谷委員の順番でいきます。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。
先ほど尾上さんからお話があったこととダブりますが「12)選挙等」は政治参加ということでお願いしたいと思います。詳しい内容はメールでお送りします。
全体の構成、目次も含めて意見を出してもよろしいでしょうか。
ほとんどこの中には含まれていないのですが、一番大事なことは自己責任、自己決定という考え方を盛り込んだとき、権利条約の21条にある証言及び意見の自由並びに情報アクセスです。意見、表現の自由は社会の中で障害者がとても弱い立場にあり、いろいろな人に支えられて生きている、社会生活をしている場合、意見を言いたくても言えない状況があるという点と、意見を言いたいが手段がないために自分の意見が言えないという点、この2つを盛り込まなければならないと思います。
構成についても少し工夫が必要ではないかと思います。
それも含めて詳細な項目の構成について御意見を出したいと思っております。これが申し上げられるかどうか伺いたいと思います。
○ 藤井議長代理 関連して、堂本委員どうぞ。
○ 堂本委員 構成なんですけれども、今ごろこういうことを言っていいかどうかわからないんですが、精神障害の問題をずっとやってきて、健康、医療という中でやっているんですが、病院の側とお話をしていると徹底的に医療モデルでむしろ改革をするという視点でございます。しかも、福祉とかそういう方にまで進出しかねないほど医療モデルの発言が多い。そういう中で、障害者権利条約は医療モデルから社会モデルへの移行ということを前提にしてここでの議論をしている中で、こういう項目の医療という中で精神障害を語ると、ずっとこの間それに反対をしてきたにもかかわらず、項目としてはそれを是認するという矛盾になると思います。これを見て私はぞっとしております。
健康、医療というのは、むしろ大濱委員など御一緒にするところは間違いなく健康、医療なんですけれども、精神障害については別の人権的なことが非常に大きいので、精神障害あるいはそこのところはどのような項を立てるかは別として、医療の中から外した方が本質を間違えないで済むのではないかと思います。本当にこれは大きい問題なんですが、皆様に考えていただきいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 関連ですか。どうぞ。
○ 尾上委員 尾上です。
その点は私もまさに懸念をしたところで、だからこそ「3.基本的施策」のイの一番に地域生活支援というのがなければ、社会モデルを総論で言いながら各論は医療モデルではないかという矛盾になってしまうということで、改めて地域生活支援の重要性あるいはそれをトップに入れるべきだということを申し上げたいと思います。
○ 藤井議長代理 先ほど久松さんから質問があって、構成についても全体に意見を言ってもいいですかということがありましたが、これはいいんですね。
○ 東室長 東です。
当然出されるものがあれば受け取ります。
○ 藤井議長代理 久松さんいいですね。
○ 久松委員 はい。
○ 藤井議長代理 それでは、新谷委員、佐藤委員の順番でいきます。
新谷委員、どうぞ。
○ 新谷委員 新谷です。
先ほど東さんから意見はメールで出せと聞いてちょっとよくわからないんですけれども、今まで総則部分とか各論部分で何回か議論を重ねてきましたね。そのときに意見を出しました。それをもう一度繰り返すのでは意味がないです。
○ 藤井議長代理 東さん、どうぞ。
○ 東室長 担当室の東です。
そういうことを繰り返してほしいと言っているわけではなくて、例えば項目の順番とか項目として抜けている部分、議論はしたけれどもこの項目が抜けているのではないかとか、今おっしゃったように現行法12条の介護という部分を地域生活支援という形で独自の項目にしろとか、先ほど出た意見は障害のある女性について総則では書いてあるけれども各則でも書くべきだとか、障害児支援は各則では書いてあるけれども総論ではないという意見もあるだろうと思います。
そういう意味で、この辺の構造についての意見をくださいと言っているわけで、一つひとつのこれまで議論してきた中身をもう一度あれしてくれと言っているわけでは決してありません。
○ 新谷委員 それでは、今まで総則とか各則部分で出した意見というのは、それなりにまとめていただいて、担当室なり事務局案として12日の大分前ぐらいまでに委員に原稿が出てくると考えればいいんですか。
○ 藤井議長代理 東さん、どうぞ。
○ 東室長 東です。
その前提として何をどこで書くかという、要するに目次みたいなものが確定しないと書けないわけです。だから、書く順番なども含めて意見をいただければということです。
○ 新谷委員 もう一つ内容についての御質問ですけれども、法制上の施策というのは総則の「10)施策の基本方針」の中に含まれていると考えていいんですか。法制上の措置の問題です。
今回も佐藤先生が資料としてお出しになっていますけれども、障害者生活支援システム研修会が資料を出されています。基本法そもそもは実定法の中での位置づけの問題をこの部分は提起されていますけれども、その部分の議論というのはちょっとはやりましたが、それ以降は進化していないですね。それはこの中で「11)その他」に入るのか「10)施策の基本方針」の中で、私なら個人で意見を持っていれば改めて出すという形になっていくんですか。それとも事務局から何か出てくるのをお待ちして、それをコメントするという形ですか。
○ 藤井議長代理 東さん、どうぞ。
○ 東室長 そういう漏れも含めてチェックしてほしいという趣旨です。完璧なものを最初から出すつもりはございません。時間もないし、こちらで完璧なものを出してどうのこうのということではなくて、みんなでつくり上げようという趣旨で、事務局的にも非常にハードな中でやっておるわけで、要するにどうやってつくっていくかということについては一緒にやっていきましょうということで出しているわけです。確かに言っていただいたとおり、法制上の措置は漏れております。だから、そういうことも含めて、早急に指摘してもらうと第二次意見の素案みたいなものをつくる骨格ができるわけで、それを基にできれば6日辺りにこちらの案を出せるというところです。
以上です。
○ 新谷委員 それでは、忘れられたら困るからこれだけは入れておいてほしいというようなリマインダーの意味での意見でもいいということですね。繰り返しになってもいいんですね。そういうことですか。
○ 東室長 はい。
○ 新谷委員 わかりました。
○ 藤井議長代理 皆さん方、今日は延長できないんです。次は非常に大事なことを議論するんです。この調子でいったらずっと時間が続くんですが、どうでしょうか。どうしても発言したい方に絞って次のことに備えたいんですが、いかがでしょうか。これに関しては資料などに出ていますね。これ以外に何か発言がありますか。
○ 勝又委員 済みません。これでもう了解できたということなんでしょうか。各則と総則についての提案をしているんですけれども、意見を出したから、もうこれで終わりということですか。
○ 藤井議長代理 どうぞ。
○ 堂本委員 今、勝又さんと休憩の間に御相談しました。勝又さんは女子差別撤廃条約を書いてくださって、本当にありがとうございました。それプラス女性の一番の障害は妊娠、出産の選択の問題なんです。とかく中絶させられてしまう。そういうことがないために健康の問題をきちっと書き込む必要があると思います。リプロダクティブヘルスの問題と健康の権利というのがあるので、それを後から勝又さんと相談して追加したものを作成して出させていただきたいと思いますが、勝又さん、それでよろしいですか。
○ 勝又委員 私は結構なんですけれども、今日のこの意見の取扱いについては、藤井議長代理の見解を聞きたいと思います。
○ 藤井議長代理 これに関しましては、今の勝又さんの資料も含めて、先ほど室長がおっしゃったように後でメールで受け付ける。この一環にこれを入れるという意味です。
○ 勝又委員 今日提出したということで、皆さんからの意見をメールでいただいて、事務局がまとめる。こういう意見についての議論は後日やるわけですか。先週、長瀬委員から御提案があったことについて私は賛同して出しているわけですけれども、そのほかの方の賛同意見については聞かないということですか。
○ 藤井議長代理 東さんからお願いします。
○ 東室長 もう少し丁寧な形で議論ができる時間があれば、おっしゃったとおりこの場で議論を進めた上でまとめていくというのが通常のやり方であろうと思います。ただ、6日と13日、予備日として17日という時間の中で、皆さん方からもらった意見をできれば6日に素案として出す。出された意見で過不足があるかという中身の議論ができればと思っています。
今日これを出したのは、素案を出すための項目みたいなものを精査してほしいということで出しているわけです。だから、例えば障害のある女性という項目、そういう意見も当然これまで挙がってきましたので、少なくとも総論部分では書こうということで書いているわけですけれども、その中身についてはこのところで議論する時間が余りないので、一応ペーパーとして出されたものをベースとしてまとめて書きますので、出された素案について内容的な議論をしていただくというプロセスとして考えているところです。
○ 藤井議長代理 勝又さん、どうぞ。
○ 勝又委員 確認ですけれども、今日出された意見については、今、話されている二次意見の中の議論においてもう一度議論するということですか。
長瀬委員が前回おっしゃったことで、障害のある女性について各則に含める。それについてはそういう形で検討を進めていいということですか。
○ 藤井議長代理 どうぞ。
○ 東室長 今は総論しか提案していませんので、各論も書け、項目立てとしてつくれという意見があるならば早急に出してほしいと言っているわけです。
○ 藤井議長代理 勝又さん、これを含め今日の第2コーナーのポイントは、出ている骨子、目次案について一応提案をし、不足分についてはメールでほしいということで、内容は次回以降にもう一度議論するチャンスがあるということなんです。よろしゅうございますか。
○ 勝又委員 わかりました。それでは、各則について意見を出します。
○ 藤井議長代理 今の趣旨に沿ってどうしても発言をしておきたい方、メールではだめだということがあれば出してください。
北野さん、関口さん、簡単に一言ずつどうぞ。
○ 北野委員 簡単です。2つありまして、1つは17日にやる可能性があるかどうかということです。
2つ目は、尾上さんや堂本さんがおっしゃいましたけれども、第一次意見書で私たちが個別の分野のことを書きましたが、地域の説明会ではいろんな意見や質問が出まして、一番多かったのは地域で生活する地域生活支援のことが各論で不明確であるというものでした。ですから、どうしても1番で地域生活支援ということを明確にうたっていただきたい。
あと、議論したんですけれども、権利擁護と家庭支援の問題、バリアフリーで建物の利用の部分と移動交通権の部分との問題がありますので、これを1つにしていいのか。つまり、建物の利用の権利と移動の権利という2つに分けるべきかどうか。
○ 藤井議長代理 是非メールでお願いします。
○ 北野委員 そのように明確に意見を出しますので、よろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 東さん、17日の件は予備日でという形で入っていましたけれども、今後のスケジュールの関係で何かありますか。
○ 東室長 皆さんできればゆっくりした年末を送りたいでしょう。ぎりぎりまでやるとおっしゃればぎりぎりまでやらなければならないでしょうし、17日以降もやる必要が出てくるかもしれませんが、議論の進み具合です。
○ 藤井議長代理 覚悟はしておきなさいということです。
関口さん、どうぞ。
○ 関口委員 本当に大まかなところを聞きたいと思うんですけれども、第一次意見書が出た後に6月29日に閣議決定が出ました。第一次意見書を最大限に尊重するということが書いてありましたけれども、例えば私らの精神分野でいいますと、障害者権利条約に基づきという文言が閣議決定の中では落ちておりました。そして、権利という言葉も一言も出ませんでした。第二次意見を出すときに、勿論医療の作業チームでもってこれだけは担保してほしい、堂本さんの言い方だと頭出し、私の言い方だと種まきということをやったわけですけれども、つまり、どこまで閣法に反映されるのかというところがイメージできていないと、閣法に本当に反映される部分があるのであるとすれば、条文イメージまで含めて考えざるを得ないというところがあるので、その辺をお知らせください。
○ 藤井議長代理 この辺は次のことに関係しますので、そこに譲ります。
堂本さん、どうぞ。
○ 堂本委員 今、尾上さんの言われた地域生活のところは是非とも入れていただかないと私どもも書きようがないし、医療の中に入らない。
それから、精神の医療から外れた部分をどういう形で総則なりあるいは各則なりに入れていただけるか、いつ決めていただけるか、それによってメールでお出しするにしても書きようが全然違ってしまいますので、どういう形で決めていただけるか後でお教えいただけたらうれしいです。
○ 藤井議長代理 皆さん方で手の挙がっていた方もいたんですが、自粛していただきました。
そこで、残り時間、3時半までしかありませんけれども、基本法の性格は大変大事な問題です。少し学習要素も入りますけれども、齊藤企画官からまずお話を願って、今の議論ともオーバーラップする点がありますので、更に議論を深めてまいります。
それでは、齊藤企画官から説明をお願いします。
○ 齊藤企画官 企画官の齊藤でございます。
資料4の御説明をさせていただきたいと思います。
まずこの資料の趣旨でございますけれども、これは政府部内で基本法の制定や改正などを検討する際の考え方の整理でございまして、今後、本推進会議からいただく二次意見を踏まえまして、政府部内で障害者基本法改正の条文化作業を進めてまいるわけでございますが、その際にも参照すべきものでございます。したがいまして、これから二次意見のとりまとめに入られるということでございますので、今回、御参考までに御説明をさせていただいている次第でございます。
内容でございますけれども、現行の基本法は、現在、障害者基本法を始めといたしまして、さまざまな分野で基本法が制定されてございます。それらにつきましては、いずれも国政の重要な分野、重要なウェートを占める分野ということで、国の制度・政策などの基本方針、政策推進の枠組みといったものを定めているものとなってございます。それぞれの個別分野において政策を決定・実施するに当たって、基本的な理念、方向性などについて規定をしているものでございまして、国民の具体的な権利義務に関する規定は設けていないというのが通例となってございます。
これに対しまして、個別法についてでございますけれども、現在、基本法が制定されている政策分野に関する個別法につきましては、基本法に示されております方針に基づきまして、それぞれの分野における政策実現のために必要な制度などが規定されるという役割分担となってございます。したがいまして、個々の制度の具体的な事項や国民の具体的な権利義務などが担保措置、例えば予算措置や罰則規定などを伴った形で定められております。
今後、政府部内の法案化作業におきましては、これらの基本法と個別法の役割分担の考え方を踏まえまして、基本法に盛り込むべき事項、個別法に盛り込むべき事項などを精査してまいりたいと考えておるところでございます。
資料の御説明は以上でございます。
○ 藤井議長代理 全体を代表して齊藤企画官に少し質問をしておきたいんですが、この基本法というのは裁判規範になり得るのかどうかというのが1つ大きな注目点だと思います。今、読まれた基本法の2つ目の項目で、国民の具体的な権利義務に関する規定は設けられていないということの関係で1つです。
もう一点もこれに関係するんですが、我が国の障害分野の実態を好転させたい、精神障害分野もいろんな分野がいっぱい出ていましたが、これに本当に作用し得るのか、これに本当に有効なのかということで大変皆さん注目しているんですが、その辺での基本法の裁判規範になり得るか、あるいは事態の好転に機能するかどうか、作用するかどうか、この辺のお考えについてはいかがでしょうか。
○ 齊藤企画官 答えられる範囲でお答えいたします。
まず裁判規範という言葉でございますが、いろいろな意味で用いられる言葉でございます。それが仮に直接裁判で請求するという意味で裁判規範となり得るかという御質問であるとするならば、それは直接基本法の条文に基づく請求はできないということかと思います。
他方で、先ほど申し上げましたように、基本法に示された方向に従って個別の制度が制定されるという構造になってございますので、例えば個別の事案を判断する上でも基本法に述べられている方向性などは判断の際に参照されるということかと思います。
もう一点の事態を好転させられるかどうかというのは主観的な要素もあるかと思いますけれども、今、障害者基本法の改正を議論していただいているわけでございますが、その御議論を踏まえまして、障害者の基本法が改正される。今後、基本法改正の方針に従いまして個別の制度の順次必要な見直しがなされていくということでございますので、その意味において、基本法で示された方針、方向性というものが個々の制度の中で反映をされていくということかと存じます。
○ 藤井議長代理 ここから先は残り時間の範囲で議論してきますが、まず新谷委員、北野委員という順番でいきます。
○ 新谷委員 新谷です。
今の御説明で先ほどの論点にも触れるんですけれども、質問があります。
基本法で例えばこういう法律をしなくてはならない、または改正しなければならないという書き込みがあったときに、社会モデル的な理念で基本法が制定された場合、今の身体障害者福祉法の等級規定は明らかに社会モデルからすると規定に外れるわけです。私たちが今のレベルで手帳を申請したけれども、それが却下された、手帳をもらえなかったとすると、行政処分について、私たちが個別にその処分については無効だ、取り消してくださいという訴訟をしたときに、その手がかりとして、基本法にこういう規定がありますね、だから、この行政処分は無効ではないですかという裁判を行政手続法上提起したら、そのときには個別法を変えてないからだめだとやられるのか、変えていないことそのものが法規範上問題があるんだという裁判結果をもらえるのか。私は法律の専門家ではないからわからないですけれども、基本法にそういう力がないと、先ほどの論点にも触れるんですが、基本法としての位置づけが個別法に対して上位規定だという位置づけがなくなるのではないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
○ 藤井議長代理 北野さん、これに関連した議論ですか。あるいは大谷さん関係しますか。関係なければお答えいただきます。
齊藤企画官、お答えください。
○ 齊藤企画官 個別のケースに関しては必ずしも十分答えられないと思うんですけれども、今おっしゃったケース、つまり基本法が社会モデルで書き改めようという議論をしているわけです。その形で新しい基本法が改正をされる。そうすると、要はその基本法の改正の趣旨を踏まえて各制度が手直しをされるという順番になりますので、この改正を踏まえて個別制度の必要な手直しが順次行われる。
今おっしゃったケースは、基本法は改正されたんだけれども、個別制度が対応していないという状況を仮定しての御質問だと思いますけれども、基本的には政府の中で基本法改正を議論し、それを閣法として提出をし、それが国会で成立をするという順番になりますので、政府部内ではそれに伴って必要な制度の手直しが順次進めるということが当然でございまして、そういった仮定のような事態が発生するとは考えられないです。
○ 藤井議長代理 本当かなという感じですね。
山崎委員これに関係してですか。どうぞ。
○ 山崎委員 山崎でございます。
一応法律学を専門にしておりますので、私が知っている範囲でお話します。日本における基本法の位置づけについて、前回から若干の違和感がございましたので、率直に語らせていただきたいと思います。
まず私の発想の原点は、やはり障害者制度改革をするに当たってパラダイム転換をする必要があることにあります。ですから、どのようなネーミングの法制度を整備するかはさておいても、改革の理念がきちんと法文上に語られる必要がある。更には当事者の権利性がきちんと実体法として語られる必要がある。これはいずれかの形で確保すべきだと思っております。
それを前提として申し上げますが、果たして、今、申し上げた理念とか権利性を実体法化するための法のネーミングとして、基本法が妥当かどうかということでございます。これまでの基本法は数十種類あろうかと思いますが、例えば最近のものですと、宇宙開発基本法とか食育基本法とか、要するに新たな政策課題が日本社会に表われたときに、日本政府が行政としてこれに取り組む指針を示すために基本法というものを制定してきたということであろうと思います。古くをたどれば、公害対策基本法であるとか男女共同参画基本法があろうかと思います。男女共同参画基本法については若干の権利性的な規定が盛り込まれているということがあろうかと思います。
ただ、一般的に申せば、新たな政策課題について今後日本はこうしていくんだということを立法府が示すという形で法制化するものですので、国、自治体の責務というものをまず書いて、書きぶりの問題だと思うんですが、抽象的にこうすべきだと書くのか、あるいは極めて具体的にこれは政策課題として大事だから、これについてはこの部署がこの財源の裏づけを込めて実施すべきであると書くのか。後半になれば先ほどの御質問の2番手、政策転換に機能する可能性は出てくると思います。ただ、前半の一般にいって方向性を示すだけ、抽象的な国とか自治体のあるべき姿を書く文にとどまるとすれば、これは政策転換に向けて機能するとは必ずしも言えないということになろうと思います。これが第1点です。
第2点、基本法という言葉はあやがあると思います。例えばよその国ですが、ドイツ連邦共和国は東西が別々の国になっていたために、最終的に憲法をつくりたいんですが、分断国家のときには旧西ドイツは基本法という名前を使いました。ここでいう基本法、現在でも東西を融合しても相変わらず基本法という名前は維持されているんですが、この際の基本法は憲法に匹敵しますから、理念も権利性も当然込められるネーミングであると思います。
ところが、これまでの日本の立法例を拝見していると、必ずしもドイツの基本法のような権利性、理念が込められるようなネーミングではないという気がします。ですから、この会議の比較的春先だったと思いますが、私も基本法の改正についてはネーミング自体を基本法でとどめるのは、理念とか実体権利性を込めるのは難しいので、基本法は廃止して権利法にすべきであるということを申し上げた記憶がございます。なかなか合意は難しいかもしれませんが、基本法の位置づけとしては無理なので、現時点でもできれば障害者の権利に関する法律というネーミングの方が適切であると思っております。
以上です。
○ 藤井議長代理 かなり根本的なお話が語られました。齊藤企画官の説明とは相容れない論点も含まれていたように私には聞こえました。
北野委員、どうぞ。
○ 北野委員 山崎委員の思いは非常によくわかります。
齊藤企画官の書いてくださった基本法と個別法の御説明ですが、特に基本的な理念や方向性については基本法、国民の具体的な権利、義務の規定については個別法であると整理されておられますけれども、一番大事なことは基本的な理念や方向に関する一般的な権利義務を基本法が指定していないという訳ではないと思います。なぜかといいますと、例えば障害者基本法の第3条はすべての障害者はその尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すると明確に権利をうたっております。ですから、権利そのものをうたえないということではないと思います。
今回、私たちが求めている最大の基本的な理念は、地域で生活をする権利である。ここは地域で生活をする権利を明確にうたうことは基本法でも十分に可能であると理解しておりますけれども、齊藤企画官のお考えはいかがでありましょうか。
○ 藤井議長代理 大事なことなので、齊藤企画官の見解はいかがでしょうか。
○ 齊藤企画官 おっしゃっていただいたとおり、3条の部分の権利という言葉がございます。基本法の中で若干そういった立法例があるのは事実でございます。
先ほど申し上げましたように、大きな役割分断として基本法と個別法というものがある中で、果たして、今、議論していただいている内容を基本法に盛り込む場合にどういうことが可能か。例えば具体的な権利であったり、抽象的な権利の規定の仕方としてどういう方法があるのか、または具体的に権利ということではなくて、実現すべき内容そのものを書き起こしていくような形はどうなのかとか、そういったいろいろな規定の仕方について更に検討したいと思ってございます。
○ 藤井議長代理 つまり、権利という要素あるいは性格づけをもう少しきちんとこの中に入れられないかという点についてはどうなんですか。しつこいですが、もう一度その辺についてはいかがなんですか。
○ 齊藤企画官 規定をする上で、そもそもその規定が何を意味するのかをしっかりと整理する必要があります。条文によって表現したい内容が精査できたら、その次にそれをどう表現していくのが適切かということもございまして、先般も具体的な内容をまず精査したいと申し上げたとおりでございます。その内容を踏まえてどういった規定ぶりがあるのか、先ほど申し上げましたように、3条に権利と書いてありますのは事実でございますので、そういったことも参考に更に精査をさせていただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 更に大谷委員から手が挙がっていますので、どうぞ。
○ 大谷委員 同じ趣旨を同じように皆さん言っているだけだと思います。この説明が現にある基本法と個別法を説明していただいているということはよく理解できるんですけれども、これを超えてはいないという趣旨ではないと理解したいと思います。
特に山崎さんがおっしゃるように、基本法というのは確かにその性格があるんですけれども、私が一番最初に基本法の例を出したときに、教育基本法というものが戦後直後にできて、あれは教育基本法でありながら権利規定をたくさん持っている規定であるということで、確かにドイツの影響もあのころはいろいろとあったんだろうと思います。基本法が非常に具体的な施策義務にある種偏っていると思います。要するに我々がどういうふうにつくりたいのかという基本的な姿勢をはっきり示して、従来はこういうやり方をしてきたけれども、この時点においてはこういう形をやりたいという強い意思を持ってつくっていただくしかないと思っています。
そのときには、例えば基本的な理念や方向性についての規定というのはだれも疑わないんですけれども、どう規定するのか。社会の在り方だけを規定するのか、そうではなくてそれを実現するための権利規定として何がなければこの社会は実現し得ないという形で権利まで意識した形で規定するのかというのはすごく大きいと思います。そういった意味では、男女共同参画社会基本法だとか環境基本法などが社会の在り方を規定し、それに対して具体的にどういう権利を持つかというところにおいては、いまだに若干不足している。そこを今回この法律は新しいところを踏み込んだ形で共生社会というものをつくるんだ、そのためには共生社会を実現するために地域で自立して生きる権利というものを個別の人たちが持たない限りは共生社会が実現し得ない、というところまで意識して書き込んだ形での基本的な理念と方向性の確認としていただくことは、十分に可能だと思います。
加えてもう一つだけごめんなさい。国民の責務と事業者の責務なんですけれども、国民の具体的な権利義務に関する規定は設けられていないとおっしゃいますけれども、責務という形ではあっても、国民と事業者の責務がなくては、一般に国と地方公共団体の責務だけでは十分に実現し得ないという認識にまで至って、そこまで広がっております。そこは問題になっていない、十分にここは射程距離に入っているだろうと思いますから、そこも踏まえていただきたいと思います。
もうちょっと言いたいことがあるんですけれども、時間がないようですので、後でいいです。
○ 藤井議長代理 東さんから発言を求められていますので、東室長から発言いただきます。
○ 東室長 通例はこうだということで齊藤企画官からお話がありましたけれども、なぜ今回の場合は権利規定というものが必要なのか。これまでいろいろ議論が挙がってきましたけれども、そこが煮詰まっていないという感じを受けております。
例えばこれまで保護の客体から権利の主体へというパラダイム転換がなされた権利条約を批准するためにということで、権利条約ではこう書いてあるのではないか、だから、基本法でも書けという議論では足りないのではないか。保護ということだけがメインにあれば、保護の施策として幅広い裁量権の下に、ある意味では自由権が制限されてきたという歴史的な背景があるわけです。そういう保護の名の下に自由権が制限されてはいかぬから権利として書くんだ。例えばの1つの理屈ですけれども、そういうきちっとした理屈をここでも本来議論して、一般社会に発信すべきではないかと思います。そこら辺を意識して、もう少しそういう点での考え方とか理屈を出していただければという感じがするんですが、どうでしょうか。
○ 藤井議長代理 3時半になりましたので、終わらなければいけないんですが、本当はこのことにもっと時間を取りたかったんです。
結論から言ってください。どうぞ。
○ 堂本委員 今、山崎委員、大谷委員がおっしゃったことは全部当然でございますけれども、その答えを企画官に求めるのは酷だと思います。決定権があるわけではないですからね。ですので、これは権利条約を反映するためにやるのであって、そして、福島元担当大臣が最初に「福祉の革命だ」という言葉を使われました。やはり大臣に来ていただいて、そこは大臣でなければ決められないと思うので、政治的判断をきちっとお願いすることがいいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、手が挙がっていますけれども、この後のスケジュール、差別禁止部会が迫っていますので、これで発言は我慢してください。
○ 東室長 担当室の東です。
今、言ったことの関連ですが、要するに陳情という形での物言いではなくて、こうだからこうなんだというきちっとした理屈、意見をメールでいただけませんか。お願いします。
○ 藤井議長代理 担当室としても理論的な根拠がほしいということがあります。
私が今日の進行役をした上で思うことは、どう考えても障害を持った人々は他の市民とは違った状況に置かれています。この状況を一旦引き揚げるということに影響を持つような基本法でないと、何を議論してきたのかということになってしまいます。権利条約の批准要件を満たそう、同時に障害を持った人々の暮らしぶりを好転させていこうということに影響を持つような、そういう点で各委員とも理論的な根拠、これに関する提案をしていただく。
堂本委員がおっしゃった政治判断ということもあるでしょう。これについては担当室の方で持ち帰っていただいて、御判断をしていただく。
このようにしていって、中間的でありますけれども、齊藤企画官からの報告のコーナーを終わりにしてまいります。
以上で終わりますけれども、本当は昨日の香川、熊本の地域フォーラムの様子を今日報告してほしかったんですが、次回に今日以降の地域フォーラムと併せて報告をいただきます。
小川議長にマイクをお返しします。
○ 小川議長 本日は長時間の御討議お疲れ様でございました。
ここで東室長より今後の予定を含め報告すべき事項があれば、御説明をお願いいたします。室長、どうぞ。
○ 東室長 次回は12月6日の月曜日です。議題は引き続きこの関連ということで、第二次意見の素案の素案みたいなものが、部分的にでもある程度できれば事前に出したいと思っております。
以上です。
○ 小川議長 ありがとうございました。
どうぞ。
○ 長瀬委員 長瀬ですけれども、大変恐縮です。
この後の差別禁止部会を勉強の意味で傍聴させていただきたいのですが、申し込んでないのですが、可能でしょうか。大変申し訳ありません。
○ 小川議長 室長どうですか。
○ 東室長 基本的に傍聴の方は傍聴を申し込まれて、抽選を受けられて、大変な思いで来られているわけです。ですから、空いている席があればいいですけれども、難しいですね。
○ 長瀬委員 ありがとうございました。
○ 小川議長 よろしいですか。
これをもちまして、本日の会議を終了いたします。
なお、本日はこの後この場所で第1回差別禁止法部会が開催されるため、記者会見は行いません。マスコミの方で質問等があります方は、部会終了後、4階の障害者制度改革推進会議担当室においでください。
本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。御苦労様でございました。