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障がい者制度改革推進会議(第30回)
議事録

小川議長 これより第30回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。本日は、園田政務官が冒頭のみ御出席ですので、ごあいさつをいだきます。

園田政務官、よろしくお願いいたします。

園田政務官 皆さん、こんにちは。御紹介をいただきました、このたび改造内閣におきまして、当推進会議も含め、障害者の施策の担当政務官と内閣府の担当政務官というふうに就任をさせていただきました園田康博でございます。どうぞこれから蓮舫大臣の下で、そしてまた末松副大臣の御指導を仰ぎながら、しっかりと皆様方の声を反映すべく、全力をかけて頑張っていく所存でございます。御指導のほどをお願い申し上げます。

また、皆様方には、私が民主党のプロジェクトチームの事務局長を仰せつかっている際には、さまざまな御指導をいただいたことに改めて感謝を申し上げたいと思っております。そのときから皆様方と一緒になってこの権利条約批准を最大の目的とし、またその批准のためには、国内の法整備をしっかりとやっていかなければいけない。日本の立ち遅れた障害施策を皆さんと御一緒につくり上げていく。そういう思いで私も長年にわたり障害施策の問題に取り組んでまいりました。いよいよと言いますか、ようやく私も何の風が吹くかわかりませんけれども、この担当政務官ということで就任をさせていただきました。これから更に全力を尽くして頑張っていく所存でございますので、皆さん方の更なる御指導をいただきたいと存じます。

そして、本日は、基本法のベースとなる要綱案を事務方で整理していただいて、また皆様方には昨年来29回もの審議を重ねていただきながら、今日まで御意見を第二次意見という形でとりまとめをしていただきました。

本日の要綱案は、まだまだ皆様方の思いからすると決して十分なものとは言えないと思っていらっしゃるのではないかと思って、私自身も受け止めさせていただいているところでございます。さすれば、今日を境に、更にこれは事務方から各省庁との調整をして、今日の段階でとりまとめをしていただいたものでございますけれども、また皆様方からの更なる御意見をちょうだいしながら、最終案という形まで持っていければと考えているところでございます。

どうぞこれから皆様方の大きな御知見と、今まで活動、運動をしてこられた経験を踏まえて、更によりよいものにしていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

小川議長 ありがとうございました。

本日の委員の出欠状況ですが、清原委員、福島オブザーバーが御欠席、佐藤委員が16時ごろに御到着。その他の委員は御出席です。

会議の公開はこれまでと同様といたします。進行上の時間配分については、後ほど東室長より報告があります。本日の会議は17時までを予定しております。

それでは、これより先の進行については、藤井議長代理によろしくお願いいたします。

藤井議長代理 ここから先は藤井の方で進めさせていただきます。

大変大事な会議になりますので、十分に議論をしていきながらと思っていますが、園田政務官におかれましては、冒頭のあと数分間程度ということもありますので、本来であれば東室長から今日の議事の概略をと思っていたんですが、政務官いらっしゃるうちにどうしても言っておきたいという方が何人かいらっしゃりそうなんです。それをまず受け付けてから、後で本日の議事の概要を説明していただきますが、いかがでしょうか。

森さんと関口さん、お二人ぐらいになりますが、では森、新谷、各委員いきますので、手短にお願いします。

森委員 ありがとうございます。森でございます。

今日、出発する前に、障害者基本法に改正についての案というのを読ませていただきまして、今日お手元に第30回障がい者制度改革推進会議についての小川榮一の案が資料として提出されていると思います。

実は、これは大変な見解になっているわけでございまして、21年3月に実は御案内のとおり障害者基本法の改正があって、これを批准するというような意向で、いわゆる内閣府と外務省が御相談しながら、旧政権与党のところにお話がいって、閣議決定をする間際において、日本障害フォーラムのところにこの問題についてはどう思うかというような御意見がありました。そこで日本障害フォーラムとしてこれを出したのがこの文書でございます。

本来ならば小川榮一代表が御説明申し上げるところでございますが、日本障害フォーラムの政策委員長である森がお話しするという形になりましたので、少し説明させていただきたいと思います。

まず最初に見ていただきたいのが、7ページでございます。当時、障害者の権利条約の締結に際して必要と考える障害者基本法の改正事項という形になって、(1)~(8)でございました。かいつまんで関係のところを言いますと、差別定義を新たに設け、差別について類型的に記載する。

(2)、(1)の定義においては、合理的配慮の規定が差別に含まれることを明記する。そして、後ろの方にいきますと、差別禁止法のことも出ています。いわゆる障害者推進協議会についてのモニタリング関係でございますが、その規定を追加するというような形で提案されてきたわけでございます。我々もこれを重視したわけでございます。

これについて、日本障害フォーラムといたしましては、これでいいのかと。我々が8回も5年以上にわたりましてニューヨークへ200名の障害者を含めて行ってきたわけです。それでこんな簡単でいいのかということでございました。

そこでその当時、「障害者基本法の改正の基本方針(視点)」の2ページをお開き願いたいと思います。我々はただ反対するだけではなくて、どういう理由で反対したかということも整理したわけです。

1つは、障害者基本法の改正のみを障害者権利条約の批准の条件としないこと。ただし、基本法の改正は条約の精神や内容を十分踏まえて行うとともに、条約批准の主な要件の1つとすること。

障害者差別禁止法(仮称)を創設すること。

障害者の基本法の主な改正といたしまして、最初にこれもこの推進会議で多く問題になりました。

(1)障害者を「権利の主体」に位置づけた規定とし、「施策の客体」に限定しないこと。

(2)としましては、ちゃんと障害者差別禁止法制定への道筋となる規定を設けて担保すること。それと虐待防止にも触れています。

(5)には第2条の定義といたしまして、障害者権利条約の規定を考慮して、障害が態度及び環境の障壁としての相互作用から生じるという観点を含めること。つまり、これは社会モデルということでございました。

(6)差別の定義を明確にすること。直接差別、間接差別、合理的配慮の欠如。差別の積極的是正措置などに言及してもらうこと。

これが技術的なところに入っていると思いますけれども、(7)は監視機関(モニタリング)は計画策定機関(中障協)と分離して設置し、障害者基本法の中に規定すること。

(8)救済機関とモニタリングは分離し、救済機関に関しては、障害者差別禁止法の中に規定すること。

(9)障害者基本法に規定されていない事項について、規定を追加し整理すること。

(10)同法に規定されている項目で適切でないものは明確にすることという形で、障害者福祉に関する施策から障害者に関する施策などへの訂正というような形で、(11)その他という形で話をしてあるわけでございます。

特に基本法に規定されていない事項については規定を追加するということは、言語の問題等も相当入っていたわけでございます。

さて、そこでまたもう一度、7ページをお開き願いたいと思います。障害のある人等からの意見聴取について、障害者基本法の改正に関し、3に係る御意見をいただいている。これらの意見の中には、障害者権利条約締結があって、必要と考える改正事項については該当しないものも含まれておるというような形になっておりますが、この8項目を我々は玩味し、先ほどの考え方、視点を言って、これで基本法を改正し、権利条約を批准するということは反対であるという形でございました。

我々がそういう形によって、今回民主党のおかげでこういうすばらしい会議が出発したわけでございます。その中で相当煮詰めたものが出ていると思います。そういう中で、今回の案を見て、後からいろいろ出てくると思いますが、少なくとも8項目の中の規定あるいは我々がこういう形でやっていただきたいという原点を抜きにして、日本障害フォーラムとしては納得できないのであります。この辺のところを慎重に御検討していただいてまずやっていただかなければならないのではないかということが第1点でございます。

第2番目でございますが、誠に恐縮ではございますが、聞くところによると、今日の御説明は齊藤企画官が発表するそうでございます。先ほど園田政務官からお話がありました。これはもう一度重ねてお話しいたしますと、どういうことかと言いますと、大臣を含めて政務三役全員が今日発表なさる案については承諾しているのかどうか。これをお聞きしたいと思っております。

3番目でございますが、第一次意見あるいは第二次意見、勿論、その中で特に第一次意見で閣議決定した事項につきまして、これをちゃんと反映している案になっているかどうか。また、我々は権利条約という大きな問題、改正、批准ということで背負っておりますので、言うならば権利条約の批准にふさわしい内容になっているのかということでございます。

3番目は実はここに出ている障害者あるいは障害者の関係者の方々がおりますが、この推進会議はお陰様で、全国で見ております。みんな期待しているんです。私は土曜日に、地方フォーラムで京都へ行ってまいりました。京都では、これは関心がございまして、初め400名の予定だといったときに600名集まりました。それで資料も配付できないくらいだったんです。それは我々に期待しているということであります。また、新政府に期待しているということであります。

そういう観点から、これが本当に真剣に我々に応えられるものであるかどうかということも踏まえて、今日これから討論されると思いますが、冒頭私の方としては、日本障害フォーラムの政策委員長としてお聞きしたいと思っています。

以上でございます。ありがとうございました。

藤井議長代理 園田政務官、あと数分いいですね。

では、関口委員と新谷委員、政務官は時間の制約がありますので、かいつまんでお願いいたします。

関口委員、どうぞ。

関口委員 障がい者制度改革推進会議ができるときに、福島大臣はエンジン部隊であると、基本法改正をやってくれということで、第二次意見が基本法に向けた議論だったということは皆さんの知るとおりでございますので、第二次意見と今回出されてきた政府案と比べて見ますと、例えば地域生活の部分が法案には全くございません。精神障害者の部分も全くございません。

密接に関連しておりますけれども、精神障害者の部分は、主に社会的入院、強制入院の問題があります。社会的入院は当然地域生活の権利がなければ社会的な移行ができないわけですから、これが抜けている。

そして精神障害者の問題をなぜ基本法の議論の中でもってやってきたかというと、それは大変遅れている問題だからここでやらなければいけないんだということがあったと思います。譲歩に譲歩を重ねた形での案で、例えば適正手続があればいいんだということだけでいってしまうと、これは今の厚生労働省も法務省も適正手続はやっていますということになります。そこに他のものと平等なとか、実効的なとか、そういう文言が入ることによって、初めてぎりぎり担保されるというふうにきたので、そこがなぜ抜けてしまったのかということについて御説明願いたい。

もう一つは、相談支援でございます。これもまさに障害者権利条約が施策の客体から権利の主体になったということであるならば、障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務ということになりますと、これは施策の客体になります。「による」相談業務を位置づけるということでもって推進会議の意見書は丸ポチで出ていると思いますので、そこもなぜこんなことになってしまったのかということをお聞きしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 新谷委員、どうぞ。

新谷委員 全難聴の新谷です。森さんの意見と重複しますけれども、手続的な面を確認させていただきたいと思います。

12月17日に第二次意見をとりまとめて、当時の岡崎担当大臣に小川議長から手渡しました。あれが私は推進本部に対する推進会議の第二次意見の正式な手渡しと理解しておったんですけれども、もしあれが正式な手渡しであれば、当然それを受けて推進本部は各省庁にこういう方針で基本法の改正案をまとめなさいという指示があってしかるべきだと思うんですけれども、どういう指示が推進本部から各省庁に出ているのか、今回の要綱案を、まとめるプロセスを政府を代表して政務官の方から御説明をいただきたいと思います。

もし、あれが正式な手渡しでないとすると、どういう形で内閣府の担当室でも結構ですけれども、担当室の方から推進本部に提出されたのか。提出されていないとすれば、一体どういう手続を踏んで各省庁はこの要綱案をまとめられているのか、その辺について政務官の方から政府を代表した御説明をいただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、政務官にお答えいただきます。

園田政務官 ありがとうございます。誤解があるかもしれませんが、先に申し上げたいと存じます。

先ほど関口さんから、地域で生活する権利あるいは相談支援の具体的な法文の中身については、実は私もまだ把握しておりません。つまり今日は、今まで事務方のところで調整していただいた結果を皆さん方に発表させていただいたということでございますので、その点については後ほど事務局から説明があろうかと思っておりますが、是非お聞き入れいただければと思っています。

この流れは、先ほど森さんからもお話をいただきました。つまり、政務三役も含めて、この案というものが今まさしく事務的に政務折衝をなしに進められてきたものでございます。したがって、今日これから皆さん方にまた御議論をいただいて、ここはこうするべきであるとか二次意見も含めて皆さん方のこれまで積み上げてきた意見というものを更にここで反映させていただきたいと私からお願いでございます。

それを受けて、ここの推進会議でまとまった意見を逆に私どもがそこで正式に受け取らせていただいて、そこから各省に対してしっかりと政務折衝も含めて協議をしてまいりたいと思っておりますので、今日が正式なと言ったら語弊があるかもしれませんが、今日提示したのが最後ではありません。ここからまさしく議論を始めていっていただきたいということでございますので、それで皆さん方からも更にいろいろ御意見をいただければと思っております。

新谷さんから推進本部に対して二次意見をお渡ししていただいた。そのことをもって、言わばこの要綱案の中にどのように反映されているのかというお話でしたけれども、結果的には、岡崎大臣に手交していただいたのは当然正式なものでございます。

そして、その後、閣議後の閣僚懇談会というところがございまして、そこで岡崎前大臣から、言うなれば各閣僚の方々に対して、このような推進会議から意見が出てきておりますと。そのことをもって是非今後御協力をお願い申し上げたいという旨の発言が岡崎大臣から各大臣に対する要請という形でされています。

今日は事務的な調整をしていただいているわけでございますけれども、その事務的な調整の上で、私どもが今度政務三役を通じて各省との最終調整に入ってまいりたいと思っております。これが政府内の言わば手続だと思ってください。

今日、多くの議員の皆様方にも傍聴のところにもいらっしゃっておられますし、今後、私の元上司と言ったら失礼ですけれども、党のPTの座長でもあります谷先生もお見えでございますので、当然ながら、今後、皆さん方とともに、党側あるいは国会側とのさまざまな話し合いが持たれていただけるのではないかなと思っておりますので、まずは政府内で、更に推進会議の場で、皆さん方の御意見のとりまとめをしていただく。その後、政府として決定させていただいたら、今度は国会に御提示をさせていただく。国会に御提示をさせていただく過程の中でも、私は各党、各会派の皆さん方にも御意見をちょうだいした方がいいのではないかなと私個人としては考えているわけでございますが、そういう各党各会派の御意見を踏まえながら、今後、国会の方でも御議論をいただけるものではないかなと思っております。

そして今日、御提示していただく事務局からの要綱案でございますけれども、先ほど関口さんの御質問にもお答えする形になろうかなと思っておりますが、是非、細かい部分の1字1句も含めて、そこの条文だけではなくて、実はいろんな条文のところに、私も事務的に目を通させていただいておりますけれども、各条文の間でさまざまな形で関連性を持って書かれている工夫もさせていただいている部分はございます。

これは法技術的に申し上げて、あわせ技で読み取れる部分も実はあるように、まだ私も完全な掌握をしているわけではありませんが、そのような法技術的な読み取り方、解釈の仕方というのもこの部分から読み取れるのもございます。そういった面では、字句どおりに受け止めるのではなくて、法解釈も含めてどうしてこのようになったのかということは事務局からの説明でよくよく皆様方の中で御議論をいただければと思っております。

いずれにいたしましても、先ほど森さんからJDFの見解を原点とするべきだというお話をいただきました。私も当然ながらこのJDFの見解を、さきに党のときにも御意見をちょうだいいたしております。

合理的配慮あるいはモニタリング機関というものも、当然ながらこの基本法の中に考え方として盛り込まれなければいけないと考えているものでございます。したがって、ここの意見も原点とするというのは当然ながら私どもの考え方とも一致させていただいておりますし、また政府の中でもそういう見解が私は示されていくべきだと考えておりますので、是非更に皆さん方からの御意見をちょうだいできればと考えております。

藤井議長代理 森さん、どうぞ。

森委員 森でございます。どうもありがとうございました。今日、障害者基本法の改正に関する日本障害フォーラムの見解という形で小川榮一の名前を出しましたが、我々は13団体でこれだけは今日先に出そう。その後、今日の話と討議を含めて、日本障害フォーラムとして意見をまとめようという話もあります。したがって、我々は今日の話の後で、フォーラムとしての意見もまとめたいと思います。それを是非お受け止めしていただきたい。これは第1点でございます。

第2点は、先ほど政務官からも温かいお答えをいただきました。私としては、その当時の旧政権・与党がここまでやった。それよりも下ではないかということは絶対ないようにお願い申し上げたいと思っています。

以上でございます。ありがとうございました。

藤井議長代理 これ以上政務官を拘束できません。大変踏み込んだお答えをいただきました。最後に政務官、今、森さんがおっしゃった点なんですが、すなわち旧与党時代のレベルを、この案を下回るということはないという方はよろしゅうございますね。

園田政務官 解釈にも当然よりますけれども、当然ながら、そのレベルというか、皆さん方の思いというものをベースに積み上げていくという認識には私も立たせていただきます。

藤井議長代理 それでは、政務官、大変時間をオーバーして申し訳ないです。どうもありがとうございました。(拍手)

(園田政務官退室)

藤井議長代理 それでは、この後、今日の全体の進め方につきまして、東室長より概略をお願いします。

東室長 こんにちは。担当室長の東です。今日も障害者基本法の改正について議論します。15分の休憩を3回、そして4つのコーナーに分けます。

第1のコーナーは60分で、改正の総則の部分。第2コーナーは70分で、基本施策の部分。第3コーナーは40分で推進体制の部分について議論いたしますが、それぞれ最初に事務局から改正案の説明をさせていただきます。その後で質疑ということにさせていただきます。最後の第4コーナーでは25分を予定しております。報告事項と質疑ということになっております。

以上が本日の予定です。よろしくお願いします。

藤井議長代理 本日の議事は、今、言ったように、大きくは総則と基本的施策関係、推進体制なんですが、冒頭に3名から発言があったように、恐らくそれを超えて、この推進会議の進め方等も含めて意見があろうかと思うんです。

一応どのコーナーでもいいですが、入れてください。総則から入りますので。時間が既に二十数分間ずれ込んでいます。これからおよそ1時間を総則にとりますので、少し予定よりも進行が遅れていますけれども、大体今の配分でやっていこうと思っています。一応17時には終わりますので、少し終わりの方が短縮される感じがあろうかと思います。

それでは、まず、総則関係につきまして、齊藤企画官から説明をお願いいたします。

齊藤企画官 企画官の齊藤でございます。それでは、資料1に沿って御説明させていただきます。

まず、冒頭、資料の位置づけについて確認をさせていただきたいと存じます。現在、内閣府におきまして、昨年12月にいただきました第二次意見の基本改正に当たって政府に求める事項に関する意見に基づきまして、基本改正の内容について関係各府省等と調整を続けているところでございます。

本日、お示ししている内容は、その調整中のものということでございまして、内閣府の責任で基本法改正のイメージという形でまとめたものでございまして、関係省庁などとの間で合意に至っているというものではございません。したがいまして、今後更に調整を進めた結果、修正等が必要になる場合もあるという点を御理解いただいた上で御説明を聞いていただければと存じます。

それでは、早速、総則のところを上から順を追って御説明させていただきます。1、目的でございます。二次意見におきまして、障害者が障害のない人と等しく基本的人権の享有主体であることを確認する。障害の有無にかかわらず国民が分け隔てられることなく、相互に個性と人格を尊重する社会の実現に併せまして、障害者を福祉施策の客体としてのみとらえるという印象を与える表現を用いないことというふうな御意見をいただきまして、それを踏まえて、法律の目的の冒頭のところにすべて国民が障害の有無にかかわらず等しく基本的人権を享有する個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、すべて国民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することができる社会を実現するためと目的が書かれております。

併せまして、もって障害者の福祉を増進するという部分につきましては、この法律そのものを障害者の福祉の増進というふうに狭くとらえるのではなくて、より高次な、今申し上げましたすべての国民が共生することができる社会の実現という目的にしてございますので、それに合わせて障害者の福祉の増進という部分を削除いたしております。

続きまして、2、定義でございます。定義に関しまして、二次意見では、社会モデルの考え方を踏まえたものとするようにということで中期的、継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける場合も含まれ得るような包括的な定義にせよという意見をいただいてございます。

これを受けまして、現行1項しかございませんが、その第1項目の障害者の定義を、身体障害、知的障害、精神障害、その他の心身の機能の障害、これを障害と総称する、がある者であって、障害及び社会的障壁、次に定義が異なりますが、により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいうということにしようと考えているところでございます。

併せまして、今、出てまいりました社会的障壁の定義を置く必要があると考えてございまして、障害があるものにとって日常生活または社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、概念、その他一切のものを言う。ここですべてのものが読み込めるような定義にする必要があると考えてございます。

次のページ、3でございます。もともと基本的理念というふうな立て方になってございましたが、これが御説明をいたします3、4、5。済みません。

藤井議長代理 土本委員、どうぞ。

土本委員 基本法についてなんですけれども、次から次へと進めてしまうと自分がついていけない。すごく議論がいっぱい出てくると、本当についていけない。法律用語とかあったりするので、1ページ、1つずつ区切ってもらいたいのです。1ページ終わった後、区切って、次に移らないとなかなかついていけない状況です。

藤井議長代理 そうすると、1が終わると、少し間を置くということですか。

土本委員 少し置いてください。

藤井議長代理 どうぞ。

元氏(支援者) 元氏といいます。土本さんが言っているのは、今、2ページ目に進もうとしているんですが、その後すべてまとめて質問とか議論になると土本さんがついていけなくなるんです。あっちに行ったりこっちに行ったりしてしまうので、区切りをなるべく1つ2つぐらいでまとめて意見を出してもらって、土本さんがそれに対して考える。あっちに行ったりこっちに行ったりするとすごく難しくなってしまうというところです

藤井議長代理 逆に言うと、全部逐条的に1個ずつ質問をやった方がいいのか、何か所かまとめてもいいんですか。

元氏(支援者) 今、言ったのは1ページずつにしてほしいという土本さんの希望です。

藤井議長代理 目的・定義までというのは今の1ページですね。

土本委員 はい。

藤井議長代理 目的・定義を今、齊藤企画官から説明があったので、これで一旦区切って、ここで質問、意見を出し合うようにしてほしいという要望ですね。

土本委員 はい。

藤井議長代理 では、進行上、そのようにさせていただきます。ただし、全部に関係することもあるので、もし今、進行としては1ページずつぐらいで区切って質問、意見を出し合うんだけれども、そうすると全部にまたがること、何個もあると思うんです。それを先に受け付けておいてからいきましょうか。

これでいいですか。

土本委員 はい。

藤井議長代理 そうしたら、時間が大変制約はあるんだけれども、そうすると全体に関わることでもし意見がある方は出してもらって、その上で1ページずつ、提案と質問、意見を出してもらいます。最初に総則全部にまたがって意見等があればいかがでしょうか。

竹下さんと新谷さん、長瀬さん、北野さん。一言ずつ何を言いたいかというのを1フレーズ。

竹下さんは何を言いたいですか。

竹下委員 私は前文と1条のことです。

藤井議長代理 わかりました。

次に新谷さんは何を言いたいですか。一言、項目だけ。

新谷委員 前文は竹下さんと同じです。2つ目の質問は、第二次意見は総則関係で12項目挙げておりますけれども、その12項目をどういうふうに要綱案では編集されているのか、その流れを聞きたいと思います。

藤井議長代理 12項目の編集という意味は何ですか。

新谷委員 12項目、第二次意見で出しましたけれど、その中で落としている項目もある。各則へ持っていって、各則というよりもほかへ持っていっているものもあるということで、どういう意図でこの総則を編集されたかということを聞きたいと思います。

藤井議長代理 第二次意見から比べると落ちたりほかへ回っている、12項目の設定の理由を挙げてほしいということですね。

待ってください。長瀬さん、何を言いたいですか。

長瀬委員 今の新谷さんとも関連するのですけれども、障害がある女性が完全に抜け落ちていますので、それに関する点と、個別のところでは4番の差別の禁止についてです。

藤井議長代理 では、また後でやります。

北野さん、何を言いたいですか。

北野委員 私の方は、最初のところの目的に出てくる基本原則というものがどういうふうに全体にかかってくるかということを聞きたいです。

藤井議長代理 大谷委員、どうぞ。

大谷委員 私も皆さんと共通すると思いますけれども、目的の第1条と地域社会の第3項との関係を聞きたいと思いましたけれども、3項のところで聞いてもいいです。

藤井議長代理 そうしたらこうしましょう。まず前文に関わって、竹下委員、補足があったら新谷委員。今度の12項目を設定した理由、落ちた理由等を含めて設定理由。特に初めから抜けている、関係しますが女性のところが入っていない理由。この順番でまいります。

では、竹下委員からいきましょう。

竹下委員 竹下です。前文が付けられない改正案になっていることについての理由、経過を御質問したいと思います。すなわち、推進会議では、今回の基本法の改正の抜本性または今回の権利条約を受けての基本法の改正という大きな意味を持つことから、その改正の性質を明確にし、今後の基本法の言わば位置づけを明らかにするために前文が必要だということになりました。

ところが、ここではそれが一切カットされているのは、何かこれについて反対する意見があったのかどうかについて教えてください。仮に反対する意見があったとすれば、その反対した省庁となぜ反対されたのかについてを質問させていただきます。

以上です。

藤井議長代理 前文に関わって、新谷委員、補足はありますか。

新谷委員 第二次意見は障害者基本法の構成について、前文があり、総則があり、各則があり、推進体制があるという大きな骨組みをつくって意見を出したわけです。その骨組みに対して、省庁はどう検討したのかの回答が最初にあってしかるべきだと思います。

藤井議長代理 そうしたら、これは全体の構造に関わる問題ですね。骨組みに関わる問題です。これが変わってしまったということは、大変疑問と同時に理由を聞きたいということで、これについては齊藤企画官、お答えいただけますか。

齊藤企画官 前文について御意見をいただいたことは、重く受け止めて検討させていただいたところでございます。皆様御承知のように、前文が付いている基本法というのも現に存在いたします。しかしながら、政府部内でどこの省庁がどうということを竹下委員がおっしゃいましたがそういうことではなくて、政府部内で検討している法律、法案の検討のプロセスの中で、どうしても前文というのは国民の総意といいますか、それを議員内閣制、間接民主制でございますので、国会というところで受け止めていただいて、その国民の総意として制定する、改正するというふうな手続ではないだろうかというのが政府部内で検討したときの意見でございます。

要は政府の方からこの法律を制定する、改正するということに関する国民の総意といったものを提案するのは、言葉は適切なものは見当たらないんですが、要はおこがましいと申しますか、そういった配慮もございまして、必要であればその辺り、国会の審議の中で議論をしていただければありがたいと考えているところでございます。

藤井議長代理 大事なことなので、竹下委員、いかがですか。

竹下委員 竹下です。申し訳ありませんが、齊藤さんのおっしゃっていることは、2つの意味で日本語として意味が理解できません。

まず、議員内閣制であろうが、大統領制であろうが、国民の総意として内閣が存立しているはずです。議員内閣制が民主主義、国民主権に基盤を有しなかったとしたら、どこに存立基盤があるんですか。この推進会議もまさに国民主権の下で民主主義を基盤として推進会議の議論をしてきて我々は提案しているはずなんです。それを政府内部の議論として、閣法として提出する場合に前文をつけることがおこがましいという日本語の意味がわからないのですが、その前文を推進会議が一致して是非必要だと言っているのを政府内部の議論でおこがましいというのはどういう配慮なんですか。

その中身を教えてください。

藤井議長代理 企画官、どうぞ。

齊藤企画官 済みません。言葉の使い方が適切ではなかったのかもしれません。もう一度申し上げたかったことを整理いたしますと、前文を付すに当たって、政府がこういった前文がよろしいのではないかというふうな提案をこれまでほとんどしたことがありません。要はそういった提案を政府からするべきではないのではないかというような意見がございます。

この法は政府で閣議決定をして国会に提出した後、国会で御審議をいただくことになりますが、その審議の中で国会の中でどういった前文がふさわしいのか御議論をいただき、適切な御判断をいただければと考えて前文の案を付していないところでございます。

藤井議長代理 竹下委員、どうぞ。

竹下委員 齊藤さん、やはり公開されている審議の場だから明確にしますけれども、閣法で、すなわち内閣から提出される法案で前文のある法律は幾つでもあります。なぜこの場合だけがそれが否定されるかだけ最後に教えてください。それ以上質問しません。

藤井議長代理 それでは、基本法なり閣法で前文があるものはあるということ。これは齊藤さんがおっしゃったと思うんですが、その違いは何なのでしょうかという質問だと思うんですが、いかがでしょうか。

齊藤企画官 おっしゃるとおり、閣法で提案した際に前文がついている法案もございました。ただ、我々がその検討プロセスを確認いたしますと、並行して国会の中で御議論をしていただいているなり、いろいろ既にそういった提案をする検討が実際に国会の中でされているような例に付されているのではないかと考えております。

特にほとんどのものが前文が付されていてこれを落としているということではなくて、政府提案で前文を付している例というのはそれほど実は多くないわけでございまして、その提案プロセスを見たところ、今回の例にはそぐわないのではないかと考えたところでございます。

藤井議長代理 堂本委員、どうぞ。

堂本委員 私は国会議員だったときに、環境基本法の立案を経験しました。各法ですけれども、別にそのときは国会での審議は衆議院で1時間、参議院で1時間しかしなかったほど短い審議でしたが前文は付いていると思います。

男女共同参画社会基本法は、国会でいろいろ議論をし、前文が付いています。今おっしゃったような数少ないと言っても非常に日本の中で大きい、しかも制度を揺るがすような、時代を先取りするような、あるいは時代の求めに応じるような基本法に前文がついているということを認識してほしいと思います。

藤井議長代理 大変大事なことなので、これは審議官、または統括官の方で、もし見解がございましたらいかがでしょうか。

齊藤企画官 その前に事実関係だけ申し上げさせていただきます。男女共同参画社会基本法は、まさに我々は参照させていただいている法律の1つでございますが、閣法で提案させていただいたときには前文を付してございませんで、国会で御議論いただく中で前文を付すべきだという結論に至ったとなってございます。

以上でございます。

藤井議長代理 環境基本法はいかがでしたか。

齊藤企画官 済みません。確認させていただきます。

藤井議長代理 時間が大分進んでいるんですが、もしこの件で審議官や統括官から何かございませんか。

岡田審議官 審議官の岡田です。前文をつけている例を幾つか探してみたところです。1つは先ほどの男女基本法のように、政府提案の法案に対して国会で議員の修正の中で前文が付けられたという例が多いということが第1点。

法律を改正法案ではなくて、最初に新しく新規に制定される法案に、この法案はこういう趣旨だという意味での前文を付けられるというケースが多いというのが我々の調べた状況でございます。

今回の法律は、基本的にはこれまでの法律を改正するという点、政府で出すという点、2つの点から必ずしも前文を付けるようなものではないのかなということで一応判断しているというところでございます。

委員 だれが判断したんですか。

岡田審議官 これは内閣府の事務方としてそういうことで判断させていただいているということでございます。

藤井議長代理 そうしたら、強い要望として受け止めていただきまして、全体の総則の構造に関わって12項目になっていますけれども、入ったもの、落ちたもの、そういうものの全体をこうした理由を齊藤企画官から説明いただけますか。特に女性のあれが落ちたことも含めて。

齊藤企画官 総則に関係する部分、12項目、それがどのように反映されているのかという御質問だと思いますけれども、それぞれいただいたものをそのまま総則に条文化するということではなくて、それぞれがどういう規定になるのか。それは総則、各則にどういうふうに盛り込むべきなのかという法技術的なところで整理をしたところでございます。

併せて、障害のある女性に関する項目でございますが、今回の改正の中で性別という形で幾つか盛り込ませていただいたところでございまして、総則に1項目新規の条文を立てるということも検討させていただいたのですが、1項目を総則に立てるということは、各則に共通する事項として総則に1項目を立てる必要がある。

逆に言うと、その総則を受けて各則部分の規定も整備する内容があるということが必要でございまして、現段階でその各則にわたって規定すべき施策が個別に各則の中で独立をさせる必要な点が見当たらなかったことと、併せて性別ということで今回いただいた意見が反映できるのではないかと考えたことから、その項目は総則に設けてございません。

併せまして障害のある子どもの部分について、総則のところに御意見をいただいてございますけれども、各則のところに書かせていただいた内容をごらんいただければわかると思いますけれども、要は各則事項として施策として立てるべき内容に尽きるのではないかということからそう書かせていただいたところでございます。

その2か所がいただいたもののうち、総則に項目として盛り込まれていない事項でございます。

藤井議長代理 新谷委員と長瀬委員、一応大谷委員も含めて、今の御説明はよろしゅうございますか。

では、長瀬さんから、少しタイムラグがあるから新谷さん、堂本さんの順番でいきます。

長瀬委員 ありがとうございます。東京大学の長瀬です。

まず具体的発言の第1回の機会ということで、今回の改正案はまだたたき台ということですけれども、これをまとめていただいたことは本当にありがたく思います。全体として私どもが昨年後半ずっと、前半も含めてですけれども、話し合ってきた内容が、多くの点で盛り込まれて、この新しい障害者基本法の改正に向けて、ようやく法案づくりまでこぎつけたということはうれしく思います。

全体としてさまざまな面で前進があって、この推進会議で議論してきた内容が反映されているということは非常に心強く思っています。ただ、今申し上げている、例えば障害のある女性等を含めてですけれども、個別のところではまだまだ不十分なところがあると思います。

先ほど政務官から、まだこれから私たちも意見を出して、それが反映される余地が十分にあるという心強いお言葉をいただきましたので、そういう観点から意見を申し上げたいと思います。

障害のある女性につきましては、一番最初の第一次意見の議論の段階から意見があって、特に第二次意見の議論に入ってからは勝又さんから具体的な提案をいただいて、第二次意見の総則の5番に入るというところまでこぎつけたところです。障害者の権利条約の批准に向けての取組みということで私たちの推進会議の議論を行っているわけですけれども、障害のある女性については、権利条約の議論の中でも最初はなかなか独立した条文として実るかどうかという議論がありました。日本の現状を考えたときに、性別による格差全般が非常に深刻な状態にあって、それが特に障害のある女性については、本当に更に深刻な状態にあるということ、それは第二次意見の問題認識のところでも十分書かれているところだと思います。

先ほど齊藤企画官から総則に入れるということは、各則の共通の部分にならなければならないということでした。そういったことは十分認識しておりませんでしたけれども、この総則にもしなじまないということであれば、せめて各則でも障害のある女性について盛り込んでいただきたいと思います。

多分このことについて、私たちが十分に考えてこなかったというところから、この障害者ということと女性というのは重なっているところの問題への認識がまだまだ薄い状態にあると思います。

そこへの取っかかり、これを今回の基本法の改正で十分に全部取組むことはできないかもしれませんけれども、少なくとも今の個別の施策の基本方針等で性別という形で出されているだけでは不十分だと思いますので、せめて各則で独立した条文を子ども並みに立てていただきたいと思います。

ありがとうございます。

藤井議長代理 堂本委員、どうぞ。

堂本委員 私も長瀬委員と同じに、ここまで事務の方たちがおまとめいただいたことの労は多としたいと思うんです。少なくとも今日の議論のスタートラインに立てた。スタートラインからこれから私たち相当ここまで走ってきたつもりでしたけれども、再度また急ピッチで走れというようなことが先ほど政務官から言われたと理解しています。

どうしても今納得のいかない御説明が1つあリましたが、「これは改正法だから」とおっしゃいました。確かに男女共同参画社会基本法は改正法ではなくて新法でした。環境について言えば、ほかの2つの法律を廃止して環境基本法にまとめた。改正法だから前文がなくていいという問題ではない。なぜならば、改正というのは新しい理念を追求することであって、先ほどどなたかおっしゃったみたいに、権利条約に向かって抜本的に変わるということは、新しいものをつくるのと同じくらい大きいことだろうと理解します。改正法であってもそれは法の理念を追求するということの意味では、新しい法律と同じところの性格を持つのではないか。これは竹下さんに伺った方がいいかもしれないけれども、法律家の方はそう理解できるのではないかと思うことが1つです。

あと、女性の問題ですけれども、やはり性別とは決定的に別でございます。なぜかというと、障害女性の場合には、普通の女性が受けている以上の差別があります。ここの場でも議論されましたけれども、本当に中絶を強制される、あるいは逆に望まない妊娠を知的障害の女性がして、被害者となるというようなことを考えたときに、それは性別というところで読み取ることはできません。

したがいまして、今の21世紀の国際的な流れ、特に権利条約の流れの中で言えば、私は総則にたとえ一言でもきちっと女性の権利を入れるべきだと思うし、各則でも入れるべきだろうと考えております。ありがとうございました。

藤井議長代理 時間が大分心配なんですが、北野委員、大谷委員、竹下委員からも内容面で目的、定義について発言を求められていますので、順番に簡単にいきます。

北野委員、どうぞ。

北野委員 北野です。私もかなりいろいろな意見が反映されているところについては一定評価をさせていただきたいと思うんですけれども、根本的なところを1つお聞きしたいと思います。

それは今回、現行法の基本的理念というものを今回は基本原則という表現で表現されて、3~5項が基本原則に当たるというふうに書いていただいておりますけれども、1つは基本原則というものがどこまでの規定力といいますか、意味を持つのかというところで、私は今回理念を原則という全体に関わるものにしていただきましたので、はっきり定義のところで、例えば定義の第3なり4のところで、3~5に定める基本原則とは、この法律に規定するすべての支援等のための施策がそれを遵守しなければならない原則をいうという形で、明確にすべての施策がその原則の下に実行されなければならないという原則として明確に規定していただければと思います。

中身なんですけれども、3~5というのは非常に大事なところで、地域における共生の権利と差別の禁止、国際協力という大事なものが入っておりますけれども、一番大事なものが抜けております。

それは、第10項の2番です。つまり、今回の障害者権利条約の最大の眼目は、障害当事者の主体的な意見、意思決定や意見表明権、あるいは参加・参画権が最も大切な部分でありますので、これを基本原則にしてもらわなければなりません。Nothing about us without us!はこれが原則ですから、10項の2の国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講じるに当たっては、障害者その他の関係者の意見を聞くという部分でありますけれども、この表現を改めていただいて、第33条の表現を使ってもらって、障害者の実情を踏まえた支援が実行できるように、重度障害者を含むさまざまな障害者及び関係者の意見を聞き、その意見を尊重しなければならないということを明確にこの10項の2を繰り上げて基本原則としていただいて、これを徹底してすべての施策はこれを最低原則にするというふうにしていただければというのが私の思いであります。

以上です。

藤井議長代理 今の北野委員の発言は、定義に関わってくる話、つまり基本原則を定義の項目に入れるというのと、かつ第10項の2を原則、すなわち定義に関わってくるという話なんですね。

北野委員 はい。

藤井議長代理 大谷委員は次のページでいいのかな。

大谷委員 目的のところだけ先に言ってしまいます。

藤井議長代理 どうぞ言ってください。

大谷委員 目的というのは、非常に重要な条項だと認識しています。そこに共生社会の実現というのが入ったのはとても大きいと思うんですけれども、残念ながら共生社会を実現するという目的が全体にかからないんです。ここでせっかく入っているのに、最後、障害者の自立及び社会参加の支援がまとめの言葉になってしまって、これはずっと読むとわかるんですけれども、例えば後にかかりますけれども、地域社会、共生社会も計画的に図らなければならない。この計画的にという計画的な条項が、次の例えば基本計画の中でいくと11項の基本計画はみんな自立及び社会参加の支援のための計画になってしまっているんです。

せっかく第1項で目的の中に共生社会の実現ということを一応掲げたのだったら、これを計画的に実現するために、各施策義務がどのようにあるべきかといったところまで引っ張っていかなければいけないのに、目的だけが浮いてしまっているというか、この目的の書き方が少し不十分なのではないかなと思います。

自立及び社会参加だけにかかわらない、共生社会の実現という項目を立てなければ落ちてしまう施策があるので、障害者固有に自立及び社会参加を支援するのではなくて、社会全体をどう変えていくのか、どう変更していくのかという各政策、施策に関しては、そこは入らないので、そこを是非生かすように、目的の言葉を変えてもらいたい。

要するに共生社会を実現するための施策も入れて、その施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とするというふうに変えていただきたいなと思いました。

以上です。

藤井議長代理 竹下委員、どうぞ。

竹下委員 竹下です。1条の目的のところで非常に気になるのは、今回の改正は障害者権利条約を受けて、我が国における障害者の、言わば基本的人権の保障を中心とする権利を保障するためになされたはずなんです。であれば、1条において明確にされるべきは、今回の改正によって障害のある人が我が国において生存し、生活していくことにおいてどのような権利が保障されたのかということが明確にならなければならないはずなんです。

ところが、先ほどの齊藤さんの説明とは裏腹に、この1条を見てみますと、どう書いているかと言いますと、自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、となっているんです。どういうことかというと、一言にして言えば、この目的は、「福祉の増進」という言葉をカットしたと言いながらも、結局のところは、障害者は福祉の対象にされているんです。なぜならば、社会参加の支援等のためなんです。そのことがどこでちゃんと形に表われているかというと、6を見てもらったらわかるんです。国及び地方公共団体の責務のところを見たら、明確に国及び地方公共団体の責務は福祉の増進と書いてあり、その部分できちっと形に表れてくるわけです。

こういうことでは本来私たちが望んでいた今回の改正の抜本的趣旨が失われていると思いますので、是非この点がなぜそうなったのかについて御説明いただければありがたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 門川委員、どうぞ。

門川委員 門川です。しばらく欠席させていただいていましたけれども、またよろしくお願いします。

推進会議の議論の結果が基本法の改正案づくりに反映されているということで、大変評価しています。ありがとうございます。私からも改正案の3のところ、地域社会における共生などについてという中の表現の問題が気になるんです。

2のところ、すべての障害者は可能な限り、どこでだれと云々となっているんです。この可能な限りという表現が気になるんですけれども、これは言わんとすることが弱くなってしまいますから、可能な限りという表現はできるだけ避けて、ここは権利として明確に保障していただきたいなと思います。

同じように、次の3のところ、すべての障害者は、可能な限り情報の取得もしくは、と書いてありますけれども、この「可能な限り」というのは情報取得または意思疎通のための手段というのが最低保障されなければならないことですから、「可能な限り」というのはそぐわないと思うんです。ここも是非修正していただきたいと強くお願いしたいところです。

あと「可能な限り」という表現はほかにも出てきます。それとついでですので、どこでしたか、子どもに関する規定が設けられているということは、すごくいいことなんですが、タイトルが障害者の障害児支援のタイトル、すっきりしないと思うのは私だけでしょうか。

以上です。

藤井議長代理 どうしてもほかにまたがってきてしまうので、こうして今は本当は1ページだけを議論しようと言っていたんですが、ほかにまたがってきてしまいます。土本さんから1ページずつと言われてはいるんですが、この調子でいくと、ずっと続きます。これではいけませんので、こういうふうにしましょう。

当然、各則も大事だし、推進体制も今日は議論をしなければいけません。土本さん、少しわかりにくい点もあるんだけれども、全体に関係するので、引き続き今、手が挙がっている新谷さん、尾上さんまで発言を求めた上で、更に齊藤企画官から残りの総則のポイントをお話ししていただいて、極力議論は項目で議論するようにしますので、ただ、またがることがあると、今のような北野委員もそうだったと思うんですけれども、これはやむを得ないと思うんです。だから、そこは私も精一杯項目を分ける工夫の努力はするけれども、少しそういうことで土本さん、全体で提案して進めるという方向はいかがかな。

土本委員 ある程度は曲げますけれども、なるべくわかりやすいという状況はほかの全国で見ている仲間たちに対してもそうだと思うので、極力というかなるべくそうしてほしいなと思います。

藤井議長代理 では、出席者も今のことを念頭に置きながら、項目を分けるだけではなくて、精一杯言葉づかいも含めてわかりやすく注意をし合いましょう。

では、そのまま進みます。新谷委員と尾上委員まで一区切りいきますので、新谷委員、どうぞ。

新谷委員 新谷です。定義のところなんですけれども、これは障害者の定義と社会的障壁の定義だけを載せたというのは、1つの見識だとは思うんですけれども、問題のあることは定義には載せないという1つの表れかもわかりません。その後、意思疎通とかいろんなことが出てきます。こういう争いのある言葉が出てくるので、定義のところできれいに整理しなくていいのかということがまず疑問に思うんです。

ただ、それを置くとしても、閣議決定の2ページで障害のとらえ方として定義の明確化というのは閣議決定でうたわれているわけです。閣議決定というのは多分省庁の検討にとっては絶対的な指示だと思うんですけれども、その中では少なくとも差別の定義の問題と手話及びその他の非音声言語の定義を明確にし、ということが閣議決定でうたわれているので、今回、久松さんから当然発言があると思ったんですけれども、言語の定義の中に手話、非音声言語が含まれるということを基本法の中に全然うたわないというのは閣議決定にももとるものではないかと思うんですけれども、その辺の定義の絞り込みのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

藤井議長代理 後でお答えいただきます。

尾上委員、どうぞ。

尾上委員 尾上です。まず、1つ目の目的のところです。先ほど大谷委員がおっしゃったとおり、共生社会ということが盛り込まれたというのは一歩前進と思っているんですが、ただ、第二次意見では合理的配慮や必要な支援の充足を通じて障害のある人の有無にかかわらず共生できるというか、分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重しながら共生できるというのがあったと思います。

「合理的配慮や支援の充足を通じて」というのがなければ、どうしても情緒的なレベル、お互い障害があってもなくても仲良くしましょうね。仲良くしたいんです。でも、そのために必要な合理的配慮や支援の充足、そこをちゃんと押し出さないと、先ほど技術や社会参加支援で意見がありましたが、今までと何が違うんだろうというふうになっているのではないか。第二次意見の方では、合理的配慮支援の充足ということが入っていたということがなぜ落ちているのか少し説明いただきたいのが1点です。

同じく定義のところで、こちらは第二次意見では周期的または断続的に日常生活または社会生活に相当に制限のあるものも含まれるような規定にすべきだと第二次意見では求めておりました。

ところが、旧来の継続的にというだけになっていて、ここら辺がなぜそうなったのか、あるいは前も申しましたが、例えば機能障害の状態は変調があっても、就労に困難がある、日常生活または社会生活の制限ということでの継続性ということで読めるのか、そこら辺、私どもとすれば今まで継続的ということがどうしても症状固定という形で非常に障害の範囲を狭く取ってきた言葉なので、やはりこだわらざるを得ません。その点をお聞かせ願えればと思います。

あと、先ほどの目的と原則との関係なんですけれども、目的では「ひとしく基本的人権を享有する個人」ということで、そして御存じのとおり権利条約では「地域生活の権利」が書かれていて、第二次意見ではその権利を確認しようということで言っていたわけですね。

そういう意味では、目的では基本的人権の享有主体として位置づけられ、その中には当然地域で暮らす権利があるにもかかわらず、なぜ「可能な限り」という言葉が入るのでしょうか。障害者の人権は制限をしていいということがこの「可能な限り」ということなんでしょうか。やはりこれは19条から見て「可能な限り」というのは見直すべきではないのかと思います。

施策の部分で言えば、計画的に図らなければならないということで、政策は漸進的に進めるということはその前のところで書いているわけですから、後のところでわざわざ「可能な限り」というのを入れなくていいのではないかということ。

最後ですが、先ほどの障害のある女性について、もう一度、第二次意見を確認してください。複合的差別ということで私ども第二次意見の問題認識ということで1ページ余りにわたって障害がある女性ということの複合的差別によってどんないろんな困難があるか、差別があるかということをとうとうと記しているわけです。それなのに総則に入れるだけの、言わば各則にいろんな規定を設けるだけのものが見当たらなかったというのは、私ども推進会議の問題認識と大きくずれているのではないでしょうか。

私ども問題認識とのずれというのはどういうふうに理解するのか、なぜそんなずれが出ているのかを教えてください。

以上です。

藤井議長代理 以上の点につきまして、これは主に1条、2条、他にまたがるというのも一部ありましたけれども、このところで齊藤企画官からお答えいただけるところをお答えいただきます。

齊藤企画官 多くの質問をいただきましたので、うまく全部をカバーできるかわかりませんが、順を追って御説明させていただきます。

まず、目的、基本原則、施策の基本方針、その辺りのところから御説明させていただきますが、この目的は、すべての国民がともに共生することができる社会を実現するという目的の下に、基本原則。これは国、地方公共団体、公だけではなくて、すべての法律が対象となる国民、すべてをカバーする原則でございます。したがって、それを受ける形で6というところに「国及び地方公共団体は、基本原則にのっとり施策をする」んだと。7や8では基本原則にのっとり、または基本原則に関する理解を深めるなどのように、すべてにかかるのが基本原則でございます。

語尾の例えば国民の責務であれば「努める」ですとか、国民の理解であれば国または地方公共団体が国民の理解を含めるような「施策を講ずる」というふうに、基本原則がどのようにかかるかはその語尾でそれぞれ国であれば施策としてかかるというふうな構造になってございまして、先ほど10の施策の基本方針の部分で、意見の反映というのを基本原則に入れるべきではないかというような御指摘をいただいたところが端的に表れるんですが、施策を策定するに当たっての意見の反映というのは、基本原則、つまり国民も含めてすべてにかかるということではなくて、国・地方公共団体は施策を実施する上で意見をしっかりと反映せよというふうな整理になりまして、基本原則ではなく、施策の基本方針というふうに整理しているところです。

そのようにそれぞれの項目がどういうふうな対象に対してどういう効力を持つのかということを整理した結果、若干当初いただいていた意見と1対1で対応しない形にはなってしまわざるを得ないところがありますが、おっしゃっていただいたことは分解をして、必要な箇所にしっかりと規定しているつもりでございます。

竹下委員から御指摘いただきました「障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策」となっているのではないかということでございますが、この「等」のための施策ということで、まさにこのともに生きる社会を実現するために、政府の講ずる施策はすべて盛り込んでいるつもりでございます。「等」というのがわかりにくくなりますけれども、あくまでも自立及び社会参加の支援というふうな施策の部分も大きゅうございますので、法案化をする上で例示してはそれが適切であろう。かつ、もともとの基本法の条文上もそうなっているということがございまして、それを踏まえ、ただ目的として社会を実現するというふうに目的そのものを昇華させてございますので、すべての施策がしっかりと規定されていると考えているところでございます。

定義の部分につきまして、要は都合のいいところだけ定義規定をつくっているのではないかといった趣旨の御指摘をいただいたと思いますけれども、法律の定義規定というのは、あくまでもその法律上定義すべき必要がある用語につきまして置くということでございまして、ここに定義を掲げました障害者の定義、社会的障壁の定義というのはこれを定義しないとその後の条文でその部分が何を指すのかわからないという意味で定義しているところでございます。

他方で、これが先ほどの御発言の念頭にあったんだと思いますけれども、合理的配慮という部分でございますが、合理的配慮に関しましては、定義をすることも検討いたしたところでございますけれども、今、差別の禁止という(4)の2で社会的障壁の除去はそれを必要としている障害者が現に存し、かつその実施に伴う負担が過重でないときはこれを怠ることによって前項の規定に違反する。これは差別をしてはならないという差別禁止規定そのものでございますが、その実施について合理的な配慮がされなければならないことを規定しています。

用語として「合理的配慮」というものを定義して、規定はいたしておりませんけれども、4の差別の禁止の中に合理的配慮に関する考え方をしっかりと規定しているということでございます。

竹下委員から御指摘をいただきました権利に関する目的の中に権利ということがしっかりと書かれていないのではないかということでございます。以前の会議でも立法化作業の上の留意点として私の方から御紹介いたしましたけれども、国や地方公共団体、企業、国民等に対して、具体的な行為を義務づけるという意味での権利、それを実現するためには、義務づけが行われる内容、その義務を果たすために必要な財源をだれがどのような形で負担をするのかなど、しっかりと精査した上でなければ規定ができないと考えてございまして、こうした作業は今まさに総合福祉部会、差別禁止部会などで検討がされておりまして、その検討の中でその法制度の中で具体的に規定していく内容だと認識してございます。したがいまして、そういった内容の権利というのをこの目的の中に掲げるのは難しいと考えてございます。

他方で抽象的な権利という意味で基本法に規定すべきとのお考えもあろうかと存じますが、国民にどのような負担を求めるかについて具体的にしないまま義務づけを行うということになりますことは、政府としては適当ではないというふうな考えで規定いたしていないところでございます。

大体全体としては以上でございます。

藤井議長代理 「可能な限り」という文言のわかりづらさ、あるいは撤廃できませんかというお尋ねがあったと思うんですが、いかがでしょうか。

齊藤企画官 (3)の部分でございます。地域社会における共生等の中で、第1項の2、3に「可能な限り」という文言を入れてございます。可能な限り選択の機会が確保されということで、選択の機会が100%必ず確保されるというふうなところまでしっかり担保できるかどうか見極めがございますので、可能な限りというふうな留保が必要ではないかという姿勢でございます。

しっかりと個別の場面においてどういった対応が必要であり、それがどのように担保されるのかしっかりと確認した上で、必要がなければ取ることも考えられると考えております。

以上です。

藤井議長代理 大事なことは、障害のある女性のところは引き続き更に追求の質問があったので、これもお答えいただけませんか。

尾上委員 尾上ですが、あと障害の定義のところも質問したんですが、答えていただいていないようです。

藤井議長代理 では、齊藤さん、よろしゅうございますか。

齊藤企画官 2つですね。まず、障害の定義、断続的、そういった用語はどうなってしまったのかという御質問でございます。二次意見の内容を精査いたしまして、この継続的にという用語ですべて含まれ得るというふうな判断をいたしましたので、あえて幾つかの用語を併記するような形にはしてございません。それで特に問題はないと認識してございます。

女性のところでございますが、まさに二次意見の中で複合差別の状況など御指摘をいただいたことはしっかりと受け止めてございます。その中で、先ほどの説明で足りなかったようですので申します。

要はまず各則に条文を入れるというふうなことは、各則として施策をしっかりと規定をするということでございますので、どういった施策についてだれが実施をするのか、しっかりとそこまで調整をしないと具体的事項として入れることは難しい。

ただ、医療その他のところに関しては、今回の御指摘を踏まえて、性別ということを付け加えることにより、そういった精査も踏まえた医療が適切に提供されるように規定を改正する必要があると考えたというところでございます。

藤井議長代理 本当はもっと突っ込んでいくんですが、時間がないので、本当は第1コーナーが終わる時間なんです。まだ手が挙がってはいるんですが、第3の柱以降ずっと残っていますので、これは一括して少し第1コーナーの時間を延ばしまして、総則全体にまたがって、説明がないんですが、どうしましょうか。

特に齊藤企画官から、皆さん資料を読んできていますので、特に重点があったら一言触れてもらった上で一括で議論していきたいんです。

どうぞ。

森委員 済みません。確認させてください。定義のところでございますけれども、「継続的」という形で表現をそのままやると。しかし、いろいろ入っているということですが、難病が入っていると理解してよろしいんでしょうか。

藤井議長代理 今の範囲ですね。それも含めて齊藤企画官、よろしいですか。

齊藤企画官 難病による障害についても、当然この障害の定義に含まれるという認識でございますので、何か御議論いただいた対象が漏れるということはこの規定でないと考えてございます。

森委員 ありがとうございます。

藤井議長代理 一括で齊藤さんの方からこれだけはということを述べていただいた上で、3~12まで一括で議論しますので、企画官、特にはよろしゅうございますか。

では、読んできたことを前提にして議論に入りますが、3以降でいかがでしょうか。

大久保委員、大谷委員、北野委員、竹下委員、大濱委員、長瀬委員、中西委員、久松委員の順番でいきます。では、先に大久保委員、どうぞ。

大久保委員 大久保です。ありがとうございます。まず1点、前提として確認させていただきたい事柄は、昨年6月29日の閣議決定、今日お配りいただいた資料、これというのはどういう位置づけになっているのか。別にこれは終わったことだというのであればそれはそれでいいのでしょうけれども、そういう意味なのかどうか。あるいは閣議決定ですから、当然これを踏まえているということになりますと、当然この内容と違う部分がもう既にあるということになります。

ですから、6月29日の閣議決定を十分に踏まえるということであればその辺確認させていただきたいということ。

それともう一つですけれども、条文の方ですけれども、2ページ目の地域社会における共生等の中で、先ほど委員方から御指摘があった「可能な限り」という文言について私もかなりこれは不自然というか、随分神経質になっているなという感じなのです。この文章から解釈しても、「可能な限り」というのは特に要らないはずだと思います。というのは、それの(1)で「次に掲げる事項を旨として、計画的に図らなければならない」と書いているわけです。これをすぐ100%実施しろという文言にはなっていないのです。そういうふうに考えれば、そこに「可能な限り」を入れなくてはいけないという理由はないのではないかと。上で「計画的に図らなければならない」ということになっているわけですから、ここについては是非とも取っていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 待ってください。大事なことなので。これは齊藤さん、閣議決定の持つ意味、性格、これはどうかということで、これについては全体にかぶっていきますのでお答えいただけますか。

齊藤企画官 閣議決定につきましては、当然我々の検討、政府部内の調整の前提ということで、これに沿った形で検討を進めているところでございます。

藤井議長代理 ということは、今日の案は、閣議決定と全部整合性があるという考え方ですか。

齊藤企画官 はい。先ほど恐らく障害の定義のところで御指摘をいただいたことに関することだと思いますけれども、我々もこの閣議決定の内容、差別に関する記述、手話その他の非音声言語の定義を明確して、法整備も含めた必要な措置を講ずるというようなことを踏まえて検討を進めてございまして、今、この基本法の改正の中で反映をすべき事項ということで明示的に必要なものはないと判断してございますけれども、この閣議決定に沿った形の検討をしているという認識でございます。

藤井議長代理 閣議決定を下回ったものはないと思ってらっしゃるわけですね。

それでは、可能な限り、大久保さん、2点目は後で一括してお答えいただきますから、大谷委員、どうぞ。

大谷委員 大谷です。先ほどの続きということになりますけれども、第3項、地域社会における共生等ということで、我々は地域社会で共生する権利、ともに生きる、生活する権利と提案させていただいたところが、計画的に図らなければならないの中の第2号に、地域社会において他の人々と共生することができることということを入れているので、とにかくそれは計画的にやっていくんだということがここで認められている。

ところが、この計画とその後に第6項の施策義務が、計画的に実施することのところでは、障害者の自立及び社会参加の支援などのための施策「等」となってしまっているんです。この「等」の中には、共生社会の実現もしくは共生社会が人々と共生すること、この計画が入らないのかどうか。私はこれは十分入るということを前提に読み込むとすると言葉不足だなと思ったので言葉を加えてもらいたいと思います。

第11項、障害者基本計画。これも基本計画を策定するということで、自立及び社会参加の支援などのための施策の計画的な推進となっているんです。私は第3項は非常に不満です。共生社会の実現が計画的に図られなければならないというのは不満だけれども、新しくとりあえず共生社会を実現しようということを目的に掲げ、そして基本理念にも掲げとするのだったら、施策の計画的に実施というところに、是非共生社会を実現するための各施策ということを計画の中に盛り込んでもらいたい。これを「等」で読むというふうにするのは絶対無理があると思いますので、そこは是非条文上の工夫をしていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 北野委員、どうぞ。

北野委員 北野です。1つは、基本原則のところで、私の説明の仕方がまずかったのか、齊藤企画官の方に誤解を生んでしまいましたので、もう一度説明いたします。

10の2と申しましたのは、私は別に国及び地方公共団体だけを問題にしているのではなくて、例えば民間で実際にされる場合も含めて、つまり、すべての障害者に関する支援なりそういう施策を打つ場合は、当然障害者の実情を踏まえて、障害者の方の意見を尊重しなければならないという基本原則、つまりNothing about us without us!の基本原則を絶対原則として、10の2に置いておいても結構ですので、必ず基本原則のところに入れていただきたいというのが私の最初の意見であります。ですから、それは必ず入れるということが1つ目です。

2つ目は、これも同じなんですけれども、最初の3番のところの「可能な限り」は、可能な限り選択の機会が確保されるという表現ですが、選択の機会を保障されないとか確保されない人間がいるというふうに前提をしてしまう文章というのは全くナンセンスである。つまり、すべての方は「可能な限り」ではなくて、基本的に選択の機会を確保されるということは当然の原則でありますから、「可能な限り」という表現は矛盾している、間違っていると思います。確かに「機会が与えられる」という表現から、「機会が確保される」という表現になったことで、JDFの見解で言うところの、少し権利の客体から主体のイメージが出ていると思うんですけれども、この「機会が確保される」という表現と、例えば「機会が保障される」という表現にはニュアンスにかなり重み、意味が違う。あるいは明確に「機会が確保される」ではなくて、権利がある、参加する権利を有するという表現でなければ、権利として明確にならないのかということについては、少し齊藤企画官の方から御説明をしていただけたらと思います。

定義のところなんですけれども、当然差別の部分のところで合理的配慮であるとか、負担の荷重の問題が出てまいりますので、定義のところもしくは差別の禁止のところで明確に、合理的配慮や過重な負担等の定義については、差別禁止法(仮称)において規定するものとするという差別禁止法というものをつくってそれを規定するんだということを明確にどこかのところで入れていただきたいと思います。

その次に、差別の禁止の中で、国の役割が3番で違反の防止に関する普及啓発を図るための防止に関する情報の収集整理及び提供を行うという表現だけになっておりまして、この表現だけにしてしまうと、国が情報の提供だけするのかと。つまり、今後アメリカの仕組みと違って、合理的配慮に関して国が情報提供以上のことをしてもらう可能性も今後出てまいりますので、これは情報の提供等とか、少し次の展開が見えるような表現をしておかないと、これによって規定されてしまう危険があると考えます。

8番の国民の責務なんですけれども、国民は基本原則にのっとり、1に規定する社会の実現に寄与するように努めねばならないという表現は、やはりこの国民に障害者の方がちゃんと入っているかどうかについて気になることがありますので、ここはすべての国民は基本原則にのっとり、社会の実現に努めねばならない。つまり、寄与する、寄与されるという関係をもし主体、客体として分離される心配があるとすれば、寄与する、寄与されるという関係を超えて、社会の実現に努めねばならないという表現にされるべきだと思います。

以上です。

藤井議長代理 竹下委員、どうぞ。

竹下委員 時間がないので結論だけになることをお許しください。

齊藤企画官の説明は理解できないんです。抽象的であるにせよ、権利を障害者に保障するためにはお金の問題があるから国民の負担を先に決めないとだめだからだめだというのならば、福祉の増進であろうが、施策の推進であろうが、そのために金がかかることは国民のコンセンサスは得られないということです。そんなばかなことはないはずなので、たとえそれが障害者の権利を保障するためのものであろうが、障害者の福祉増進または推進のためであろうが、国民の負担になることは同じではないんですか。そこを教えてください。それが1点目。

2点目は、そこと大いに関係するわけなんですが、差別の禁止のところは北野委員が言ったことにほぼ一致するのでそこを省いて言えば、大事なことは、差別の禁止のところで我々は常に、差別の禁止によって、今後我が国が大きく前進する。障害者の基本的人権が実現するということが根っこにあるはずですから、それは裁判規範性というものがどうしても必要だということを強調してきたはずですから、その点から、差別の禁止のところでは、あくまでも裁判規範性を持たせるためにもこの表現ではまずいのではないか。その点、齊藤さんの説明によれば、この4項では裁判規範性がどう受け止められているのかを教えていただきたいのが2点目。

最後に、原則に「可能性のある限り」というのは、多分法律的にも日本語としてもあり得ないと思うんです。可能な限り原則という日本語はどういう意味なのでしょうか。私に日本語の理解力がないのかもしれませんが、教えてください。

以上です。

藤井議長代理 大変大事なことが含まれていますので、一旦ここで4人までについて、齊藤企画官への質問もありましたので、あるいは見解を含めて、齊藤さん、よろしゅうございますか。

大濱委員 関係があるので一緒に発言していいですか。

藤井議長代理 はい。では、大濱さんを先に優先します。

大濱委員 企画官の方から、閣議決定と基本的には整合性があるという御説明だったんですが、閣議決定の1ページ目の地域生活の実現とインクルーシブな社会の構築というところに、「地域への移行支援や移行後の生活支援の充実、及び平等な社会参加を柱に据えた施策を展開するとともに、そのために必要な財源を確保し」という文言が記載されているわけです。これに対して、改正法の文案では「可能な限り」という文言が5項目で使われています。したがって、国の責務として必要な財源を確保していくことが閣議決定でうたわれている以上、この5項目での「可能な限り」という文言を外してもまったく不思議ではない。むしろその方が閣議決定と一致する。そのように考えますが、そのあたりはいかがでしょうか。

また、先ほどの定義で「継続的な」という言葉があり、難病が含まれるという御発言でしたが、今まで「継続的な」という言葉のために難病が排除されてきたという歴史があるわけです。そのあたりをきちんと踏まえて「周期的または断続的」という言葉をきちんと書き込まないと、従来どおり難病が排除される、現行法と大して変わらないということになってくるので、そのあたりの御検討をお願いします。

以上です。

藤井議長代理 一旦ここで区切って、齊藤企画官、説明をお願いします。

齊藤企画官 まず「可能な限り」のところから。おっしゃるように、旨として計画的に図らなければならない、「可能な限り」ということで二重にかかっているのではないか等々いろいろ御指摘いただきました。

まず基本原則のところでございますので、国の施策だけではなくて、まさにともに生きる社会を実現するため、すべての国民にかかるところでございまして、機会の確保などに関してもどなたがどのような形で関与するかということは必ずしも十分に、国以外のところも含まれているところでございまして、範囲を確定することは難しいと考えてございます。

いずれしても可能な限りが必要ないという見極めをするためにそれぞれの状況を精査する必要がございまして、それがしっかりと整理できれば不要な「可能な限り」であれば取るということができると思ってございます。

財源確保に関しましては、まさに条文上ももう既にあるところでございまして、引き続きそれが当然あるということで、要は規定上は変わらないんですが、今回この基本法を改正して、その目指すべき施策の目的からすべて改める中で、各関係の施策も再度見直して、具体的にその社会の実現に向けて施策が進むというふうな構造になります。そのために必要な財源もしっかり確保しようというのが条文上の規定でございまして、そういった構造になっているから、この段階で見極めもなく全部取れるんだというところはなかなか法律の整理としては難しいと考えてございます。

大谷委員から御指摘のあった地域の共生のところと国の責務のところの関係ですけれども、要は計画的に図るというのは、先ほど申し上げたような基本原則の部分でございまして、(1)を見ていただければわかるんですが、ともに生きる社会を実現するために、基本原則を定め国・地方公共団体の責務を明らかにする云々かんぬんというふうに個別の後ろに来る条文が立っているという構造になってございます。

この基本原則そのものについては、政府の施策だけではなくて、国民全般に係るという構造になっておりまして、6項で国の責務として計画的に実施をするというふうにあることと、その3項で書いてある、1に規定する社会の実現を計画的に図るという、その計画の意味は別なのでございます。政府の施策を計画的に進めなければならない責務というのは6項に書いてあって、3項は要は政府だけではなくて、国民全員が協力をしてそういった社会を実現していくんだと。そういったことについては、計画的に進めなければいけないというふうに規定しているところでございまして、3と6は全く違うことが規定されているという関係になってございます。

北野先生のおっしゃっていただいた10項の2の部分でございまして、こちらも今、政府の施策の基本方針として意見反映というふうに規定してございます。おっしゃっていただいている3項というのは、基本原則でございまして、これは先ほど来、見ていただいたように、国民だとかそういった方々にもかかるところだと。そこも含めて原則にする必要があるんだという御指摘をいただいたのでございますが、逆に原則とするためには、政府以外のところに関して、具体的に意見を反映するというふうな、この規定ですと「義務」とまでは規定されていないにしても、そういったことが原則の1つとして規定されるということになりまして、新たにそういったことが国民、政府だけではなくて全体にかけられるかどうかを見極める必要があるということでございます。

差別禁止の3項の「等」とおっしゃっていただいたところでしたか。いただいた御意見を基に、こういった規定で足り得るだろうと思っていたところでございまして、逆に、これ以上国が施策として対応すべき事項というものは、そもそも国の責務またはそれを計画的に進めるというふうな中で当然全部が網羅できるんだと思いますが、具体的に基本原則として、施策ではなくて国が実施するものとして規定すべきことがあれば何か加えるということかもしれませんが、それ自体が理解できていないので、少なくとも今はいただいた御意見の形で整理しているということでございます。

あといろいろ重複。竹下委員から日本語がよくわからないということだったかと思います。「権利」と書く場合と「施策」と書く場合、結局のところ国民に負担を求めるという意味では同じではないかと。したがって「権利」と書けるのではないかということだったかと思います。

先ほど申し上げたとおり、「権利」に関して具体的な権利、国や国民に対して求める、何かを義務づけるということであるとすると、その内容をしっかりと精査した上でないと規定は盛り込めないのではないかと。

他方、漠然と抽象的な権利なんだとした場合、その「権利」という言葉が具体的に何を意味するのか。それに関して、中身がどのくらいどういう負担を強いているのか。または具体的にどんな内容の負担を強いているのかというところが全くわかりませんので、なかなかそういった具体的な内容にまで精査が進まない段階で、抽象的に「権利」と書くのは難しいというのが我々が政府部内で検討している段階での判断でございます。

以上でございます。

藤井議長代理 ここで一旦休憩に入りますので、ただし、今の権利の保障の問題は、実は推進会議が一番大事にしてきた1つだと思うんです。したがって、この件について、少し休憩入る前に議論があったら伺っておいて、休憩に入ります。勿論、このまま続けますので。

竹下委員、今の点はいかがですか。

竹下委員 一言だけ。齊藤さんがおっしゃっていることを皆さんは理解できるようですが、私は申し訳ないけれども、理解できない。例えば「自立及び社会参加を支援するため」とした場合には、お金が幾らかかるかとか具体的な施策に幾ら義務づけられるかというのはわかってくるんですか。すなわち、私が質問したのは、「権利を保障する」とした場合と、「社会参加の支援」と書いた場合で、負担にどういう違いが出るのか教えてくださいと申し上げたはずです。

藤井議長代理 根幹にかかりますので、国民の負担の増とおっしゃったけれども、その違いはどうですか。

竹下委員 100億円かかるのか1兆円かかるのかわかりますか。

藤井議長代理 そこは精査が進んでいるという解釈でいいんですか。

齊藤企画官、どうぞ。

齊藤企画官 もう一度、今、竹下委員からおっしゃっていただいたことを踏まえて御回答させていただきますと、要は施策というものに関しては、施策を進めるに当たって例えば費用負担が生ずると。それを踏まえて、計画的に進めるとか、どういうところを優先するとか、そういった政策としての判断というものが次に来るんだと思います。「権利」といいますのは、これも権利の書き方による部分が大きいかもしれませんけれども、「権利」として規定をするということは、つまり直ちに実現を求める内容でございまして、そこにそういった政策的な判断とか検討とかそういったものが含まれない概念だと考えてございます。

藤井議長代理 竹下委員、いいですか。

竹下委員 いいです。

藤井議長代理 それでは、一旦休憩に入りたいんですが、どうしてもというのでありますか。大谷委員、簡単に結論から言ってください。

大谷委員 3項の計画は国民一般、6項の計画は国、11項の計画も国の義務だからということの説明でしたね。国民に対するものは3項だから、国民に対する計画は国に対する計画に勿論入るわけでしょう。ですから、6項と11項のところにある「等」の後に、共生社会の実現のための施策、と入れ込むことは何ら矛盾しないし、企画官からの説明とも矛盾しないと思います。

それともう一つ。この3項の中に、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することとなっているんです。ここは権利を明確にしていいと。その尊厳にふさわしい生活を保障される権利が幾らかなどはだれも考えていないし、これは非常に抽象的な権利。こういう条項の決め方ならばいいんだけれども、地域社会で生活する権利というのは幾らかかるかわからないからだめというふうに言われても、我々は納得できないということです。

以上です。

藤井議長代理 整合性ということもありますね。

松井さん、関係あるということで、手短に。

松井委員 1つだけ休憩後に説明していただきたいんですけれども、差別禁止の2のところに、社会的障壁の除去はそれを必要としている障害者を現に存し、かつその実施に伴う負担が過度できないときは、それを怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、その実施について合理的な配慮が云々と書いてありますけれども、ここはよく理解できない。

つまり、社会的障壁を除去することが合理的配慮なのか。仮に障壁を除去するのが過度な負担であるとそれはやらなくてもいいと読み取れるんですけれども、果たしてそういう表現が正しいのかどうか。そこは併せて休憩後に説明していただきたいと思います。

藤井議長代理 では、現在、57分なので、厳密ですが、3時12分まで休憩に入ります。更に総則を若干続けますので。

休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 各構成員、席に着きましたか。それでは、予定に大分オーバーをしているんですが、この第2コーナーは60分ほどにさせていただきます。前半は一部残っている総則について論じ合い、大半は各則の方に時間を移行します。

それで、この総則というのは、やはり権利条約の批准要件に関わってくる大変大事なことです。したがって、もう少し議論が続いていますので、続けますが、今、手が挙がっているのが、またこれは大変なことになりますので、おのおの重複は避け合って、なお、大事なことはより重点をお互いに絞り合って考えていきましょう。

では、今、手が挙がった方、順番に行きますので、新谷さんから行きます。

新谷委員 先ほど3~5の基本原則の適用相手として、国、公共自治体、それから国民ということが議論されていましたけれども、この基本法案の名宛人というのは、以前から説明がありましたように、まずは、国・地方自治体が名宛人であると、それから国民の責務ということがあったわけですけれども、第二次意見でもその中に、21ページに○印として、事業者等は障害者が障害のない人とともに、同じ社会の一員であることを踏まえ、合理的配慮などにより、その事業活動が障害者にも等しく及ぶよう認識しという非常に大切な一文が第二次意見に入ったわけですね。

それで、今回の要綱案では、事業者が、法の名宛人として落ちてしまっている、出てきたのは、国・地方自治体と国民だけであって、国民の中に事業者が入っているというのは、やはり素直にそうは読めない、国民というのは、個人個人というイメージが強いわけで、一番大事な事業者、第二次意見として、事業者の責務のというところが詰め切っていないのは非常に残念なんですけれども、3~5の原則は適用されるというのは、まさに事業者が、今回新しい名宛人として出てきたという側面があるので、ここについての考え方をお伺いしたいと思います。

藤井議長代理 次は、山崎委員。

山崎委員 ありがとうございます。山崎です。先ほど来の御議論を伺っていて、端的に申し上げて、権利規定を置くことについて極めて消極的でいらっしゃるのは、実はその前にも議論がありましたが、前文を置くことについて消極的な態度を示していることと、私は連動していると思っております。

そういう観点から2つほどお伺いしたいと思います。まず、第1点、1の目的規定なのですが、「すべての国民が障害の有無にかかわらず、等しく、基本的人権を共有する個人として尊重されるものである。」これは、障害を持っている個人の権利主体性を認めているという趣旨なのか否かを、もう一回確認したいと思います。

仮に主体性のあるという形で規定するのであれば、せめて第二次意見の6ページの2の1)の四角の冒頭の2行は盛り込む必要があるし、もう一歩進んで権利という用語は用いるべきであると、私は思います。これが第1点。

第2点目は質問ですが、これとの関わりで、権利性を盛り込むと、抽象的なものであれ、なかなか難しいという御説明を齊藤さんはなさっています。お立場からすれば、極めてお上手な御説明で、そういう意味では、私は非常に感心して伺っておりました。

ところが、よく聞いてみると、どうも納得できないことが幾つかあります。そのおっしゃっている権利というのは、例えば自由権的な側面のことと社会権的な側面のこと、すべて丸ごとおっしゃっているのか、あるいは社会権のことだけなのか。障害を持っている方がこの権利性を主張される場合に、財政出動が必要になるから、国民の合意が必ずしも得られないものをこのような基本法に盛り込むのはいかがかという御説明でしたが、権利規定というのは、必ずしもそうではなしに、国家権力に対して、こうやってはいけないというものを個人が求める趣旨の自由権という側面もあって、これについては、原則としてですが、余り財政出動はかからないわけです。

ですから、御説明の中で、社会権的な側面だけ、かなり色濃く説明されているのは、何か本旨がほかにあるのかなというふうにちょっと疑わざるを得ないという気がします。

伺っていて、ちょっと感じておりますのは、例えば権利性について規定を正面切って置かない、あるいはそれと連動する前文を置かないという趣旨は、例えばインクルーシブ教育を受ける権利というものが、前文とか、権利性の規定から出てくることに対する消極的な姿勢なのかなという邪推も持たざるを得ないので、そうであるか、ないかも含めて御説明いただければ幸いです。

以上です。

藤井議長代理 今の山崎委員の見解、内容というのは、この論議の一番のコアになる部分なので、これに関する発言だったら続けます。

どうぞ。

竹下委員 私は、さっき言ったことを繰り返さないために、1つだけお願いとして最後に申し上げれば、今の山崎先生と、ほぼ考えが一致した上でなんですが、基本的人権を保障するということが、お金のかかる話という問題ではなくて、基本的人権を保障するための施策を講じるところに金がかかわるわけですね。そうであれば、基本的人権を保障するためには、財政の可能な限り施策を遂行するということでいいんではないですか。そこまで基本的人権を保障するためにということを明確にしないと、権利条約を批准するための受け皿の改正にはならないじゃないですか。そこを明確にしていただきたい。少なくとも1条に入れていただきたいけれども、そうでないならば、3条でそのことを明確にすることでも、私はやむを得ないかなと思いますので、そのことをお願いするとともに、質問をします。

以上です。

藤井議長代理 これに関わる他の方の発言はありますか。森さん。

森委員 森です。私は、冒頭、JDFの見解として述べた、その柱は、間違いなく保護の客体と、対象から権利の主体と、それの保障というのがひとつ。もうひとつは、差別のない社会を実現、この2つなんです。

権利の保障のところは、大変重きがあるわけでございまして、これから言いますと、まず、改正法案第3条の地域社会における共生等のところで、2項でございますが、どうしても私は可能な限りというところに引っかかっているんです。この可能な限りというのは、だれが可能な限りと判断するのか、よくわからない。

一方においては、いわゆる「閣議決定」を尊重するといって、"基礎的な課題における改革の方向性"の(1)のいわゆる"地域生活の実現とインクルーシブな社会の構築"で、"日常生活や社会生活を営むよう留意しつつ、障害者が自ら選択する"という形で言っているわけですね。これが、非常にぼけている、これで合っているのかどうか。

もう一つ、差別の問題でございますが、これも私が冒頭お話しいたしました。内閣府の出していた8項目の中の第1点は、差別の定義を新たに設け、差別について類型的に記載する。

それと、定義においては、合理的配慮の欠如が差別に組まれることを明記すると、こうはっきりしているわけでございます。

そういう点からいうと、その当時よりも、今回の提案は、いわゆる退化しているのか、どうなのか、それをお聞きしたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 関口委員。

関口委員 ありがとうございます。関口明彦です。

さて、まず、人権条約ですけれども、17~18世紀に自由権が発見されまして、ワイマール憲法で社会権が規定されました。

それで、1945年の国連憲章で初めて尊厳という言葉が使われるようになったわけです。このように、人権にまつわる事柄というのは、だんだん進化してきております。

では、障害者の権利に関する条約で使われている人権の基本原則というのは、3条の一般原則の部分に書かれているわけです。

それで、それの中で重要なのは、例えばダイバーシティー、つまり多様性ということが出てきます。それから、勿論、共生と言っていますけれども、インクルージョンということが出てきます。

これらは、いずれも別に障害者のための人権ではないんです。みんなのための人権の1つなんです。というのは、他のものと同じというふうにちゃんと書かれているからです。

そうしたときに、条約33条のモニタリングを受けた推進体制が入っている、この障害者基本法の書きぶりについてなんですけれども、これは質問ではなくて意見ですけれども、書きぶりについてですけれども、推進体制が入っている以上、理念的にきちんとしたもの、これだけはちゃんとやらなければいけないんだということを、別に今すぐそれをやれという法的義務はもともと基本法自体が、前のもそうですけれども、理念法と言われていたわけで、現実とは乖離していた存在だったわけです。

それを推進体制をつくって、乖離している現実を何とか理想に近づけていくというのが条約の仕組みで、それを33条に取り込んでいるからこそ推進体制というのはあるわけです。

そうしたときに、もし、本則に書けないのであれば、前文にきちんとリーディングコンセプトといいましょうか、指導する概念あるいは理念なるものをきちんと前文に書いて、その上でもって可能な限りだなんていうのはやめてしまって、きちんと書けるものは書く、つまり、自由権、社会権ときて、更に一般原則というところまで来たわけですから、その中でもって、例えばインテグリティーというのが出てきて、それが多様性、ダイバーシティーの源泉になるということまではっきりしているわけです。

そういうことがわかってきているわけですが、その新しい条約を受けたもので、しかも、なおかつ推進体制があるわけですから、つくり方として、今までの障害者基本法のつくりとは構造的に丸っきり変わってこなければおかしいと思うんです。ですから、それは本当に今までの障害者基本法をいじればいい、抜本改正する、その抜本というのは、基本法の在り方を変えるという抜本なんですから、そうだとするならば、表現は、多々意見が出ていますけれども、それも含めて、構造的に抜本改正していただきたいというのが、私の意見です。

藤井議長代理 それでは、尾上さん、権利の保障に関係してですか。

どうぞ。

尾上委員 先ほどから出ています、3の可能な限り、どこでだれと生活するかという、この可能な限りという部分のところなんですが、そもそも障害のない人の場合、どこでだれと生活するかというのを、他者によって決められることというのはあるのでしょうか。

そもそもなぜ障害者だけ可能な限りというのが課せられるのかということに関連してなんですが、実は、現行の8条を見てください。

この可能な限りというのは、だれが判断するのかという、森さんがおっしゃったこととも関係するんですけれども、今の現行の第8条の2ですと、障害者の自主性が十分に尊重されという言葉が入っているんですが、今回、先ほどの可能な限りという言葉が原則の中に入っていることと加えて、あと、第二次意見で言っている自己決定の権利と、その保障に関わる部分が入っていないと理解をします。

その結果、それを意図したとは思わないんですけれども、いつの間にか、先ほどの第1閣議決定にある障害者が自ら選択する地域、自ら選択するということが、実は今の第8条の障害者の自主性が尊重されるということもなくなっている。一方、可能な限りというのが付け加わるという形で、第二次意見というか、推進会議は、障害者の、言わば自己選択を制限するような方向での議論というのはしてこなかったと思うんです。

ここの第8条の2の障害者の自主性が尊重されるということが落ちたことも併せて説明をいただけないでしょうか。

藤井議長代理 関係ですか。では、先に堂本さん、北野さん、行きます。

堂本委員 女性のことにこだわりますけれども、全く山崎委員がおっしゃったことと重なるんですが、先ほどの説明では、性差を踏まえた医療ということで、そこに政策が出せるから、これは男性の医療、女性の医療、それは性差を踏まえる、両性にとってのことですが、障害女性の人権保障ということについては、これは、男性は妊娠しない。それを望まない妊娠をしてしまうようなこと、被害者になる、そういったことについては、さっきおっしゃったまさに自由権だと思います。そのことについては、財政出動とか、そういうものではなくて、やはりあくまでも固有の差別、それをなくすということのためなのです。そこのところをもう一度説明していただきたいと思います。

藤井議長代理 北野委員。

北野委員 ほぼ同じなんですけれども、やはりどこでだれと生活するかについての選択の権利というのは、これは明らかに自由権ですね。つまり、どこでだれと暮らすかということについては自由権ですので、この自由権について、可能な限りという限定を設けておられるのは、これは絶対的に間違ったことだと思います。

可能な限りは取って、どこでだれと生活するかについての選択の機会は、これは自由権として必ず確保すると。

そのために、必要な支援を確保するという部分につきましては、最大限やっていただくと、そこの表現は、社会権と自由権を明確に分けていただけたらと思います。

以上です。

藤井議長代理 はい。そうしたら、門川委員、これは関係してですか。

どうぞ。

門川委員 門川です。今、可能な限りが話題になっていますけれども、この可能な限りは、地域生活の3の2のところだけでなく、その次の3の3についても同じことが言えるので、つまり、情報アクセスとか意思の疎通、可能な限りというのは、どう考えても矛盾していると思っていますので、そこも取っていただきたいです。

情報アクセスとか、意思の疎通は、聴覚障害者であるとか、盲ろう者であるといった障害者は、自分の力ではできないですから、これを可能な限りではなくて、当然の保障として、権利として位置づけていただきたいです。お願いします。

藤井議長代理 久松委員。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。

ちょっと竹下先生と同じで、私もどうも日本語の理解力が乏しくて、手話通訳を見ても何を話していただいたのか、ちょっと困っている状況です。土本さんも、多分同じと思いますが、土本さんが持っていらっしゃるイエローカードを私もほしいと思っております。

それで、齊藤さんにいろいろな質問がなされ、対処、努力していただいていると思います。大変ありがたいと思っております。私も質問が幾つかあります。答えていただけるようにお願いしたいと思います。

先ほど新谷さんの質問にも、まだ、十分答えていらっしゃらないので、お答え願いたいと思います。

まず、議論の前提として、理解しにくい言葉があります。これからも議論になると思うのですが、国民の総意という言葉の使い方です。私も国民の1人としてその言葉を聞きました。国民の総意という言葉の使い方はどういう意味なのかを御説明いただきたい。国民の総意の中に、私も含まれるのかどうかをお聞きしたいと思います。

2つ目ですが、今回、説明を聞いても、ちょっとわからないところが多いのです。第一次意見、閣議決定、次の第二次意見を踏まえて、今回の法案を書いたというお話しでしたが、意見を踏まえたというところを、表の右側にコメント欄をつくって、こういう意見を踏まえた上で、このような修正案をつくったというような書き方をしていただきたいと思います。そうすれば、手短にいろいろな議論ができるかと思います。

もう一つだけ質問があります。新谷さんの質問に答えていなかったので、あえてお聞きしたいのですが、閣議決定の中のコミュニケーションの定義のところです。(8)の情報アクセス、コミュニケーション保障のところです。情報コミュニケーションの定義で、できるだけ障害の特性に配慮した方法によるという考え方、また、言語の定義として手話を入れて法制度をつくるということ、2ページのところです。手話及びその他の非音声言語の定義を明確にして、法制度を含めて必要な措置を講じるという閣議決定があります。この決定を踏まえるという話でしたら、今の齊藤さんのおっしゃる法改正案の中に、どこにどのように意見が反映されているのか、是非説明していただきたいです。どこにその考え方が盛り込まれ、つくられたのかお聞きします。国民の総意、権利として保障されるという言い方をされるならば、現行法においても3条の中にすべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活が保障される権利を有すると書いてあります。現行法で新たに入っているわけですが、私はここまで権利という言葉を入れていただいたことに大変感動しました。今回は権利条約に沿って内容を変えていくというお話でしたが、先ほどの齊藤さんのお話を伺いますと、改正案は権利という言葉は使わないと言い切っていらっしゃるようにお伺いしました。盛り込まないと言い切っていらっしゃる、その考え方の根拠が何なのかを説明していただきたい。

以上です。

藤井議長代理 権利の保障とあるいはこれまでの施策の基本法から人権確保の基本法へと、これが第二次意見までの到達点だったと思うんです。

それで、今日、ここで齊藤企画官が全部一問一答ということでもないと思うんですけれども、もう一点、それと関わって、可能な限りという表現は、どうみてもこの権利性から遠ざかるものであって、むしろ、可能でないものはということで、言わばますます尻抜けといいますか、そうなりかねない。全然権利性はないということで、この権利の保障という言葉と、それから、可能な限りということと関係は大変あるんですが、今、ずっと出ていましたが、最低限お答えいただける点、最低限に絞って、齊藤さん、いかがですか。

齊藤企画官 それでは、今の点について御説明させていただきます。

まず、先ほど皆様、各委員からの御質問の中で、まず、権利という言葉がどういう意味で使われているということでございます。

今までずっと議論してきたことは、基本的には社会権的な権利というものを基本法にどう盛り込むのか、盛り込む場合にどうなるのかという御趣旨で議論が続いていったものと考えておりまして、逆に、自由権的な権利だと、また、御質問の中で基本的人権だというふうな御指摘もいただきました。仮に基本的人権ということであれば、その共有主体性をしっかりと確認をし、それを前提だというふうに規定してございまして、かつ、他の自由権的権利を新たに法定するということに関しては、正直申し上げて、なかなか、どういった自由権を法定するのかというふうなことで、難しい課題だと思っております。

要は、日本国憲法において、基本的人権、自由権的な権利というものが規定されて、その中で、更に新たに主張してきた権利というものに関して、現在、法律でポジティブにどんどん列記をしているという状況ではないものですから、その自由権的な権利というものに関して書くということに関しては、それはまた別の難しい法律的な論点があろうかと思います。

それで、社会権的な権利ということを前提にこれまで議論をしてきたつもりなんですが、そうした場合に、それが果たしてどういう権利なのかといったことを、具体的に確定をしないと、先ほど来、御説明させていただいているとおり、具体的にどういう義務が発生し、それが国、地方公共団体、国民その他、だれにどういう負担を求めているものなのかというのがよくわからない状態になってしまうということで、そこの部分をしっかりと整理をしてからでないと、書くのが難しいというのが政府内の検討の状況でございます。

それで、先ほど久松さんの方から国民の総意ということで、若干私の説明が間違っていたのかもしれませんが、私が総意と申し上げたのは、前文の案が入っていないということに関しまして、なかなか政府の提案で前文を提案するのは難しいと、過去の立法例などを見て難しかったということで申し上げたつもりでございまして、逆に国会審議の中で、与野党を含め、皆様方がこういう前文を入れるべきなんだという御判断をされて、議員修正で入っているというのが、私どもが把握している典型的な基本法の例だったものですから、そういう意味で、国民の総意と申し上げたわけで、当然、間接民主主義でございますので、国会の皆様方が合意をされたという意味で使ったつもりでございます。

それから、可能な限りのところでございますけれども、正直申し上げて、3の部分は基本原則ということでございまして、単に国に義務を課すということを超えて、共に生きる社会の実現に向けた基本の原則でございます。そういった意味で、あらゆる場面で、あらゆる方々にのっとっていただきたい。またはそれを踏まえて努力をしていただきたいという規定なものですから、そこに可能な限りが入らなくて大丈夫かというところは、ちょっと精査をする必要があろうかと考えているところでございます。

手話のところでございますが、先ほど閣議決定を御案内いただきましたけれども、手話その他の非音声言語等の定義を明確化し、法整備も含めた必要な措置を講ずるというのが閣議決定の内容でございます。

我々も閣議決定及び2次意見を踏まえて検討いたしましたが、この基本法の中で手話というものを規定する必要というものが、立法技術的には特にないというふうなことを考えてございまして、逆に手話というものを法定するということであれば、それに対応した法律というものが別途検討される必要があろうかと思いますが、ただ、法整備も含めて必要な措置を講ずるのところで、障害者基本法改正という意味では、手話というものを法定をするということが、この法律の構成上は必要がないのではないかと、現在、考えているところでございます。

藤井議長代理 恐らく納得いかない人が多いと思うんですが、時間がありませんから、意見の違いということで、今、お答えいただいて納得ではなくて、各構成員からは意見として挙がったと理解しましょう。

尾上委員 済みません。答えてもらっていないのがあるんですが、第8条の自主性が十分に尊重されというのが、今回、改正案では落ちているわけですね。それはなぜかということの説明を求めたんですけれども。

藤井議長代理 では、そこだけ手短に。

齊藤企画官 現行8条の第2項でございます。自主性が十分に尊重され云々ということでございますが、今回、この部分は、第3条の第1項に基本原則、つまり、これまでは施策の基本方針という国の施策に関する方針のところに入っておったのですが、更に内容を高めて、(3)基本原則の1項目目に入れたと考えてございます。自主性を尊重しないということでは当然ございませんで、そちらの第1項の各号に掲げておりますとおり、その選択の機会の確保等を通じて、しっかりともともとの規定の内容については反映をできていて、かつ、これは基本原則、つまり、すべてに係るところですが、それにのっとって国が施策を講ずるという、国の部分に関しましては、当然これまで第8条において国が尊重すべきであった部分も含めて、新たな法律においてもしっかりと国が尊重していくと、更には意見の反映という規定をもって担保をすると、そういう構造になってございます。

新谷委員 事業者の扱いはどうなんですか。

齊藤企画官 事業者でございます。御指摘をいただいたことも踏まえて検討いたしまして、先ほど、国民に入るというのはおかしいという趣旨の御発言だったかと思いますが、我々の法律の構成上は、国民の責務には当然事業者も含まれると、特に我々が考えましたところは、事業者と一言で申しましても、それは個人の事業主から大きな企業体まで含めて、すべて事業者でございますので、それに関して、特に国民から切り分けて、それ以上の責務を規定するのは難しいのではないかと考えているところでございます。

大谷委員 女性は。

藤井議長代理 時間がないのですが、障害のある女性のところは、これも一言、権利との関係で。

齊藤企画官 女性についてでございます。先ほど、やはり私の説明が十分ではなかったような気もいたしますが、要は本則の中に性別という形で入れて、それは不十分だというふうなところがそもそもの御意見の発端かと思います。

ただ、ここに書いてあるのは、単に男性と女性の性差というだけに限らず、女性が置かれている、本会議で議論していただきました二重に困難を抱えているんだというふうなことも踏まえるような形の規定で読んでいただきたいといいますか、そういうふうな趣旨まで盛り込んだ規定のつもりで書いてございます。

藤井議長代理 それでは、多分、議論は尽きませんけれども、大事な各法が残っています。中西さんまで発言を求めます。

この部分は、まとめではありませんけれども、やはり権利の保障という点では、やはり権利条約の批准というこの時期、特別な意味があるだけに、やはり権利の保障は条件が満たされれば、つまり財源があったり、国民の理解が得られればという条件があれば権利があるんではなくて、権利が先んじていくんだという趣旨です。自由権はもとより、社会権も含めてということだったと思うんですが、これに関しては、やはり今日の意見としては権利の保障という趣旨は、きちんとこれは入れてもらおうと、同時に、この可能な限りという表現についても、これも今後いろんな議論があるかもわかりませんけれども、今日の段階では、やはりこれを取ってほしいというのが、ここでの総意だったように思います。

その他、手話の定義化、障害のある女性のところも含めて引き続き検討を願うと、こうなると思うんです。

長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。2つだけ申し上げたいと思います。

1つは、先ほど松井さんがおっしゃった点でお答えがなかった点ですけれども、4の差別の防止のところで、4-2の社会的障壁の除去と合理的配慮というのが、一緒くたになっているところが、これが非常に読みづらいといいますか、閣議決定でも合理的配慮がないことが差別であるということが既に決まっています。

それが、ここの差別の禁止のところで、これを読む限り全然入っていない。合理的配慮がないことが、すなわち差別であるということを障害者の権利条約では規定していますので、それにのっとった形で、この基本法の段階で、少なくとも入れておく必要がある。具体的なところについては、勿論、差別禁止部会がやってくださっているわけですけれども、この差別禁止のところに、今の段階で合理的配慮がないのは差別であるというのが明確に入っていないだけでなく、更に社会的障壁の除去との関連での合理的な配慮というのが書いてあって、ここに書いてある合理的な配慮というのが、障害者の権利条約が第2条で、それがないことは差別だというふうに定義をしている合理的な配慮と同じなのか、違うのか、読めば読むほどわからないというふうになっていますので、先ほど松井さんの御質問にお答えがなかったので、そこの点については、再度御質問させていただかなければならないと思います。

もう一点、これが最後ですけれども、次の国際的協調、これについては新設ということで入れていただいたことを心強く思っています。ありがとうございます。

藤井議長代理 中西委員。

中西委員 中西由起子です。さっきから皆様の討議の中で、共生が出てきて、これが高く評価されていますが、これはインクルーシブというか、インクルージョンという意味でここに取り上げられたということで評価されていると解釈されています。

ただ、この言葉が共生となると、共生というのは、なあなあと仲良く関係を結んでいくような甘い、緩い関係であったり、場合によっては共生動物、共生植物に関しては、従属関係が生じるという意味合いもあって、私自身としては、インクルーシブという言葉が閣議決定でも使われているので、そのまま残るべきだと考えるのですが。そういうふうに言うと、多分片仮名は馴染まないとか、お答えをいただくような予想がされて、ここで言うところのインクルージョンがなければ、その後のインクルーシブ教育につながらないという危惧もありますが、ここでやはりインクルージョンを入れることが、改正法の新しい概念を言っているんだったら必要であると考えます。

それから、このインクルージョンの中には、やはり定義として既に第二次意見の中に社会の一員として受け入れられることとか、合理的配慮とか、必要な資源が充足していること、それから、障害の有無にかかわらず、地域社会で自立した生活が営めることというようなバックグラウンドがあります。ここでいう共生の中には何の説明もなく、その意味合いが抜けていることをすごく残念に思うので、この共生という言葉の取扱い、再考していただきたいと思いました。

以上です。

藤井議長代理 佐藤委員は、これと関係ありますか。

佐藤委員 2条の障害者の定義のところで。

藤井議長代理 どうぞ。

佐藤委員 遅れて大変失礼しました。日本社会事業大学の佐藤久夫です。第2条の障害者の定義のところなんですけれども、これだと心身の機能の障害が障害だという典型的な医学モデルの障害の定義ということになってしまうと思います。障害者権利条約における障害の考え方と全く違うものを基本法で定めてしまうことによって、2年後の批准のときに、また改正しなければならなくなるのではないかと思います。

藤井議長代理 そうしますと、まず、今のことも関係ありますが、合理的配慮の欠如は、差別であると、こう解釈しているのかどうか等を含めて、企画官、簡単にお答えいただけますか。

齊藤企画官 では、お答えいたします。第4条といいますか、(4)の2でございます。合理的な配慮というふうな言葉を使ってございまして、これ自体は、合理的配慮というよりは、この2そのものが合理的配慮の考え方を規定しているものだと考えてございます。

立法上の問題は、要は合理的配慮の具体的な中身、それから定義の仕方、そういったものに関しましては、まさに差別禁止部会で、これから精査をしていくというふうな状況でございまして、そういった段階で、基本法で定義だけ先にというのは、なかなか法律的に難しいと考えてございます。

ただ、これから差別禁止部会でどんどん作業を進めていただくに当たっての大元となる考え方はしっかり基本法に盛り込んでいると、そういうことで第2を立ててございます。

先ほどの質問に答えがなかったとおっしゃっていたのは、要は社会的障壁の除去に関して、過重な負担の場合にはやらなくてもいいのかと、そう読めるのかという御質問だったかと思います。社会的障壁の除去、これはそもそもこの第1項で何人もと、すべてだれに対してもかかる差別の禁止の規定にかかって第2項がございまして、そういう意味では、過重な負担に関しては、直ちに実施できない場合にも、合理的な配慮はなされなければならないけれども、直ちに実施できないことも想定をしていると。

ただ、それはあくまでも何人もという規定であって、当然、国・地方公共団体などに関しましては、そういった社会的障壁の除去に関する配慮というのは、当然、他の国民その他と違い、政策的に、計画的にしっかりと実施をしていくという、今、また、別の条項でかかっていると、そういう構造になってございます。

それから、既にお答えを予想されてしまって、大変恐縮でございますけれども、インクルーシブは、やはり概念としてなかなか今の段階で直ちに法律に盛り込むというのは、非常に難しくて、ただ、この場で議論をしていただいた内容が、もしかすると、十分に文言が全部盛り込まれていないというふうなところなのかもしれませんが、この第1の目的のところにすべて国民が、障害の有無に隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することができる社会というふうなことでしっかりと盛り込めたと考えているところでございます。

それから、障害の定義について、佐藤先生から御指摘をいただいたところでございます。我々も当然、障害の定義の議論というのは、十分踏まえて条文化の作業を進めてまいりました。その中で障害を定義する方法、障害者を定義する方法、両方いろいろな可能性を精査、検討いたしました。

障害を社会モデルと定義する問題といたしまして、この法律の中に障害という用語が多数出てまいります。それから、そのほかの法律にも出てくると。

そういった中で、例えば第4の障害を理由とする差別というところに関しては、例えばここに社会モデルを入れてしまうと、障害を理由とする差別ではなくて、恐らく、別途、現在、第2で障害と総称しているものを別の概念で置き換えた上で、それを理由とする差別というふうに書き換えて、例えば第4は、障害を理由とする差別ではなくて、新たに置き換えた用語を使って、それを理由とする差別になるとか、そういったいろいろな波及もございまして、社会モデルという考え方を踏まえつつ、障害者の定義として、このような形にするのが最も法技術的には適当であろうと判断したところでございます。

藤井議長代理 私の頭が悪いせいか、非常にわかりにくいんですが、要するに、さっき長瀬さんがおっしゃった合理的配慮を欠くということは、差別であるというふうに、同じ解釈でいいんですかと、そこのイエスかノーで、もしお答えできれば助かるんですが。

齊藤企画官 合理的配慮の内容を精査して、しっかりと差別禁止を確定して以降は、その合理的配慮を欠く場合には差別に当たるというふうな形に法体制が整理されると考えています。

藤井議長代理 ということは、この条項はそうはなっていないということですね。

齊藤企画官 この条項は、その作業を前提に、現在書ける趣旨を書いたということで、今、合理的配慮そのものの内容がしっかりと確定されていないので、では、どれがそれに当たるのかというのは全く当てはめられない状況になっています。ですから、この法律を根拠に差別禁止法を制定して、その中で合理的配慮がどういうものが当たるのかというのを確定した以降、しっかりと法体系として整備をされると、そういう構造だと思います。

藤井議長代理 長瀬さん、どうぞ。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。今の御説明では、全く不十分だと思います。今の基本法の中で、何人も障害を理由として差別すること、その他の権利、利益を侵害する行為はならないという抽象的ながら差別禁止規定が入っていて、今の段階で、障害者の権利条約の批准に向けて、今、改正を行っているわけで、その権利条約の中で、明確に合理的配慮がないことは差別であると。

実際に、具体的に合理的配慮は何なのかということは、これから差別禁止法の中で差別禁止部会がまとめてくださるわけですけれども、その前の段階で、今の基本法の改正の中で、合理的配慮の欠如が差別であるということを書けない理由はないと思います。書けると思います。それは、なぜなら、今までの法律の中で具体的な障害者差別を定義することなく、障害者差別禁止を、今まで禁止してきました。今回、それを更に一歩進めて合理的配慮がないということが差別であるというところまで踏み込むことに、何の問題があるのか、私は今の御説明では理解できませんでした。

更に、今の文章というのは、社会的障壁の除去と合理的配慮の提供というのを混ぜこぜにしているので、全く意味が通らないものになっているので、このままでは非常に問題があると言わざるを得ないと思います。ありがとうございます。

藤井議長代理 堂本委員。

堂本委員 今、長瀬委員のことに関連ですけれども、これは本当に基本法の本質に関わる問題だと思います。基本法というのは、ボトムアップで各法を集合させたのが基本法ではなくて、先ほど一度言いましたけれども、まさに新しい概念で改革を抜本的にしようというときには、法の理念を新しくリードしていく立場にあるとすれば、むしろ、差別禁止法において、合理的配慮が欠けることが差別なのだという形で差別禁止法を書いてほしいということを、むしろ基本法の方で指示をする、そういう立場、上位法だというふうに考えていいのではないかと思うので、今の説明では、私も逆転なんではないか、発想が逆なんではないか、立場が逆なんではないかと思うので、先生方の御意見も伺いたいという気がしました。ありがとうございました。

藤井議長代理 今の長瀬委員や堂本委員の意見は、大体共通だと思います。先ほどの権利保障も、この差別の禁止法についても、やはり先に基本法が牽引をすると、そして大きな方向を決めた上で、個別法としての差別法の検討に入っていく、あるいは権利で言うならば、お金の問題についてはいっていくということで、そういう点で、全体のスタンスとして、逆の姿勢ではないかという件は、多分共通かと思います。全体の意見として、更に内閣府の方にお伝えするということにしておきましょう。

各法の方に入ってまいります。時間も大分ないんですが、これは恐らく手を挙げるということを求めなくても全部手が挙がると思うんですが、どうしましょうか。そうはいってもやりましょう。

まず、発言したい方。では、お一人発言して、これに関係すれば、手を挙げていただいて、関連として取扱います。一番右の方、新谷さんから行きますので、順番で関連の方は、発言が終わった段階で関連で言ってください。極力ポイントをついてお願いします。

では、新谷委員。

新谷委員 情報アクセス全般に関連するんですけれども、こういうふうに個別の書き出しがかなり出てきているんですけれども、今日も、もとの基本法をそのまま横流ししているので、それを尊重すると、こういう書き方になるのかもわかりませんけれども、例えば選挙のところで、政見放送の字幕の問題、私たち固執していますけれども、そういうソフト面のことを書かないで、環境整備だけ、投票所のバリアの問題だけを書き出しますと、政見放送が抜けてしまうとか、そういうふうな過不足が非常に出ているんです。ですから、全部やり出すと切りがないんですけれども、別に文案を出せというんだったら出しますけれども、こういうふうに、かなり具体的なことになるときには、やはり第二次意見の議論をどこを取って、どう捨てたのかということを出していただかないと、議論が非常にやりづらいので、また蒸し返しの第二次意見をそのままもう一度述べるような形になりますので、非常に非経済的だと思います。整理いただきたいと思います。

藤井議長代理 では、情報関係はいいですかね。これは、投票システム条項ではないということだと思いますので。

新谷委員 いや、全然よくないんです。それを言い出すと、随分かかってしまいますので、はしょって、どういうふうに第二次意見を取捨選択したのかということを言っていただきたいということです。

藤井議長代理 では、次は、久松委員。

久松委員 各法についての議論、細かいところは、もう時間がありませんので、基本的なことをお聞きします。各法のテーマについてお伺いしたいと思います。

第二次意見では、各法のテーマをつくりましたが、それではなく、非常に狭いテーマにされた理由は何なのかということ。御説明を聞きたいです。

例えば、新谷さんのお話のように、選挙等における配慮、普通、政治参加というテーマで考えていくべきところですが、刑事手続における配慮等というテーマ、これは第二次意見では、このような狭い考え方ではなく、すべての対象範囲、司法に関する対象範囲ということでテーマを整理しました。テーマの整理だけでも多大な議論をした経過があるにもかかわらず、事務の方で範囲を狭めた、このようなテーマにした理由、また、第二次意見で議論したさまざまな分野を削った理由をお聞きしたいと思います。

教育の分野においてですが、文科省でも特別委員会で、それなりの議論は深まってきたと思います。私の知る範囲では、文部科学省でまとめた議論の論点と比較しましても、今回のものは劣るというか、変わらないレベルになっている、この意図は何なのかをお聞きします。

以上です。

藤井議長代理 そうしたら、簡単にいいですか。

齊藤企画官 各則に関して、簡単に御説明をさせていただきます。

まず、今、まさに御指摘をいただいたところが、二次意見のうち、どうしてもなかなか政府部内の検討では難しかったところでございまして、政治参加につきましては、これは本会議でもいろいろ御議論いただきましたけれども、被選挙権の部分に関しては、なかなか政府提案では難しいということで手がつかずに、選挙の部分に関しての規定に狭めてございます。

そういう意味で、選挙の実施に関しては、二次意見で御指摘をいただきました、要は選挙権の行使に関する障害種別特性に応じた必要な施策。それから、選挙等に関する情報、投票等についての施策というものを盛り込んで条文にしたと。その関係で、要は条の見出しが選挙しか書けなかったものですから、政治参加ではなくて選挙等と書いてある。

その次の司法手続に関しましても、御指摘のとおり、刑事手続以外の部分も御議論いただきました。

今回、条文を整理していく中で、刑事手続と、それ以外の、例えば民事上の手続などに関しては、当然、刑事手続か、自らの意思に反して身柄を拘束されるという、非常に強い権限の行使でございますので、そういったものと、そうではないものを書く場合に、規定の後ろの部分に関しては、大分濃淡が出てきてしまうということで、まず、私どもなりに考えて、コアの部分、まさに絶対的に保障されなければいけない刑事部分に関して書いたということでございます。

それから、教育の部分ですが、これは、済みません、説明がないと全くわからずに、非常に申し訳なかったところでございます。二次意見でいただきましたインクルーシブ教育、すなわち可能な限り同じ場でともに学ぶんだと、そういう考え方につきまして、どのような形で条文化するのか、正直申し上げて、まだ、規定が検討中の段階でございまして、それは当然検討していないということではなく、どう盛り込んでいいのか、まだちょっと形にできていなかったものですから、今回、お示しする案からは抜いてしまったということでございます。

まさに、二次意見で御指摘をいただいたところを含めて、引き続きどのように盛り込めるのか調整を進めたいと、そういうふうに考えてございます。

その部分が、いただいたもののうち、これはどこに行ってしまったのかというふうに思われるところの主なものだったと記憶しております。

以上です。

藤井議長代理 したがって、教育に関しては、これはまだ未完成で、この後、調整した結果出てきますよということですが、それ以外、そういうものというのは、分野はほかにあるんですか。教育に関してですね。

それでは、教育に関して、少し意見をと思います。

大久保委員。

大久保委員 大久保です。ここのところは検討中ということで、これから大きく変わるものと予想していますけれども、その割には少し人材確保とか入っているのですけれども、あと、「交流及び共同学習」というのが復活というか、また戻りましたけれども、これを別に否定しているわけではないのですけれども、皆さん、こういうふうにご覧になると、やはり「交流及び共同学習」というのが妙な感じがすると。やはり、この前提に何か別々だから、こういうことをしなければいけないみたいな雰囲気がどうしても出てしまうということです。つまり、インクルーシブという片仮名を入れるということではなくて、既に特別委員会の論点整理の中でも一定の方向は出ていますから、それを書いていただければいいのです。ともに学び、ともに育つとか、そういった表現でも結構ですから、そういうものがしっかりと入っていれば、「交流及び共同学習」というのは、例えば特別支援学校とか、特別支援学級の皆さんは、こういう形でもってということになっていくということですから、そんなにあえて打ち出さなくてもいいのではないかと思います。

つまり、ともに学び、ともに育つという原則があれば、当然それは特別支援学校であっても、あるいは特別支援学級であっても、そのような機会を設けるということになるだろうということで、私もかつて主張したということですので、そういう方向で恐らく検討されているのかなと思っております。

以上です。

藤井議長代理 先に尾上委員に行きます。

尾上委員 関連です。同じで、今回、総則のところでは、先ほど共生社会、インクルーシブということの方がいいという意見もありましたが、少なくとも、この目的のところに障害の有無によって分け隔てられることなくということが入っている、その規定を受けて、やはり原則ということからすれば、この基本法が原則を定めていくということからすれば、障害のある子とない子がともに学び、育つことを原則としというようなことがわかるような文言を入れていただきたいということが1点。

もう一つ、7ページのところなんですが、14、医療・介護等のところも、先ほどの可能な限りということは繰り返しませんが、1つだけ、医療・介護というのが、地域生活という、私がもともと求めていた項目が、なぜ医療・介護という名称のままなのかということ。

もう一つ、14の2のところなんですが、国及び地方公共団体は、医療もしくは介護の給付またはリハビリテーションの提供を行うに当たっては云々というふうになっているんですが、非常に狭くなっています。

今までですと、医療・介護や生活支援と言われていたと思うんですが、あたかも何か医療と介護給付とリハビリテーションしかないかのような書きぶりに、かえって狭くなっていないでしょうか。日本のところには、生活支援というのは入っているのに、2番のところだけ、なぜ生活支援という言葉が消えて、介護の給付だけになっているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

藤井議長代理 発言回数が制限されますから、教育に絞って、尾上さん、済みませんがね、議論していかないと、大事なところなので、大谷さん、教育に関してですか。

大谷委員 教育に関して一言言わせてください。

藤井議長代理 ほかは、言ってはだめですよ。

大谷委員 絶対に言わないです。とにかく抜本的なでも何でもいいけれども、変えるということは、もう約束していただいたんでしょうかね。私は、今日は約束してくれなかったら帰らないというくらいの気持ちなんだけれども、第1項に是非原則を確認してもらいたい。教育の第1項、これは特別支援を規定しているんです。インクルーシブに関して、ともに学ぶというのはどこにもないんです。障害の状態、能力、それに応じた教育というのは、今、既に特別支援でしかされていない。

何度も言いますけれども、原則分離の状態のまま個別支援をしたら、どんどん今分離されて、2004年に障害者基本法が改正されて、2007年に特別支援教育が入った以降、どんどん分離されてしまっているんです。特別支援学校ばかり増えてしまっている。なぜならば、原則規定がないんです。ですから、是非、第1項に特別支援ではなくて、インクルーシブ教育、ともに学ぶ教育が原則なんだということを是非入れていただきたい。そうすれば、大久保委員が言ったように、第3項の交流及び共同学習というのは、分離された中でそれが必要なんだということが生きてくる。そんなの要らないということになれば、それでもいいし、でも第1項なくして、第3項を抜かしてしまったら、ますます何もなくなってしまうから、これは第1項に大原則を是非述べてもらいたい。

それから、人材の確保及び資質の向上が、なんでこの時期にこんなのが入るんだと、教員の資質に関してだけは頑張りますというのは、これは文科省の姿勢なのかもしれませんけれども、教員の資質だけが、今、問題なのではなくて、どうやってインクルーシブ制度をつくるかということなんですから、これをなくして、教員だけに責任を負わせるようなことはしないでもらいたいということで、齊藤さんにばかり言って申し訳ないんですけれども、是非、これは大原則を第1項に確認する、と述べるということを是非約束していただきたいと思います。

以上、お願いします。

藤井議長代理 今日は文科省からも、多分傍聴にいらっしゃっていますので、持ち帰っていただこうと思うんですが、長瀬委員、教育ですね。

長瀬委員 長瀬です。教育です。先ほど申し上げた合理的配慮のことが、ここでも本当に関連してきまして、第二次意見の中でも、障害のある子どもの個別のニーズに的確に答えるため、合理的配慮や必要な支援ということを、私たちが主張しましたのは、やはり今、大久保さんや大谷さんからお話のありました、ともに学ぶ場というのが確保されたときに、それが普通学校や普通学級であっても、きちんと合理的配慮が提供されるということが、やはり大前提になりますので、そういう意味で、今度は、これが、今の全く未完成ということを聞いて非常に安心をしました。次の案が出させるときには、明確にインクルーシブ教育の方向を出していただくとともに、合理的配慮についても明記していただきたいと思います。

ありがとうございます。

藤井議長代理 竹下委員。

竹下委員 教育の関係で、是非お願いしたいことは、せっかくこの推進会議で議論したこと、その内容を正確に御理解いただきたいこと。それから、文科省自身が設置した特別委員会で到達した議論を本当に尊重してほしいこと。特別委員会で議論され到達したことすらが、現時点で入っていないことは非常に驚きなので、これはまだ途中ということを聞いて、私も心を穏やかにしているんですけれども、したがって、今日は余り大きい声を出さないで済んでいるんですが、是非、その2つの到達点を最低守るということで、時間がないので中身は言いませんが、お願いしたいと思います。

とりわけ、インクルーシブ、選択、それからもう一つ大事なことは、選択のところで、当事者の意に反することは、やはりやらないということまで特別委員会で議論されているわけですから、是非お願いしたい。

藤井議長代理 北野委員。

北野委員 実は、自立支援法のつなぎ法案で、その有する能力及び適正に応じという表現を削除するということがありまして、なぜかといいますと、能力や適正に応じるという表現が、非常に誤解を生んで格差を生んでしまうと、つまり、ある方については、例えばある特定の学校に行くということを強制される可能性があるというので、応じるという言葉はやめるべきであるという表現になっております。

ですから、今回も、やはり1のところで、能力及び障害の状態に応じという言葉が、分に応じるといいますか、あなたは障害が重いからこうしなければならないというように理解される可能性がありますので、この応じるという表現は、もうやめるべきときに来ているのではないか。

ですから、障害児が、その年齢及び能力、状態を踏まえとか、そういう表現に変えていただいて、原則、地域の学校において十分な教育を受けられるようにと、そういう表現に明確にしていただけたらと思います。

以上です。

藤井議長代理 未完成であるというところに、意を強くしてというのがありましたので、この件は、是非、次の案を待ちたいと思っています。

松井さん、どうぞ。

松井委員 教育ではなくて、次のことでいいですね。

藤井議長代理 どうぞ。

松井委員 職業相談と雇用の促進等の9ページですけれども、何か部分的には付け足しがございますけれども、基本的に、これまで私たちが議論してきたことが、ほとんどこれには反映されていないということを非常に残念に思います。

具体的には、現在、労働と福祉が分離した形で展開されているということで、そこを何とか一体的な展開をすることによって、現在、雇用の場に入っていない人たちについても、雇用の場を広げるべきだというような議論とか、それから、先ほどから出ている合理的な配慮については、これは(19)の2のところで、適正な雇用管理ということで、現在、そういうことが使われているわけですけれども、基本的には、ここについては合理的な配慮ということで議論してきたわけです。

というのは、適正な雇用管理というのは、あくまで、これは企業サイドからの配慮であって、しかも、努めなければならないということで、必ずしも義務づけが担保されているわけではない。そういう意味で、ここはきちんとやるべきだと思います。

それから、細かいことになるかもしれませんが、職業相談等の2のところで、国及び地方公共団体は障害者に適した職種云々に関する調査とございますけれども、これは前から議論があるように、障害者に適した職種であるというのは、基本的に古い考え方であって、むしろ現状では、例えば労働年齢の障害者が365万人いるわけですけれども、そのうち、雇用という形では50万人足らずなんです。更に、20万人近い方々が福祉的就労という実態にあるわけで、では、365万人のうちの、それ以外の人たちはどういう働き方をしているのかということに対する実態がわからない。

ヨーロッパなどでは、障害者の就業率を一般の就業率と同じようなレベルに高めるということが目標になっていて、就業率に対する調査がきちんとありますけれども、日本の場合は、就業率というのははっきりしない。ですから、それを改善するためにどういうことが必要なのかということが、実は求められるわけで、そういう意味で、多様な就業の機会の確保ということは、決して雇用だけではだめなので、それ以外の働く場をきちんと整備していく必要があるということで、今回、非常に強調させていただいたわけですけれども、そういうことも含めて、現在、提示されている案というのは、将来性というか、将来展望がこれからは見えない。

少なくとも将来展望を踏まえた形で障害者施策のあり方を示すというのが、基本法の本来あるべきことではないのかというふうに思いますので、そういう意味では、現在の原案について、抜本的に見直していただきたいとお願いしたいと思います。

藤井議長代理 労働及び雇用関係でほかにありますか。

では、今の件は、就労と福祉の一体的というところとか、合理的配慮という問題、現状、紹介で、ここからは近未来が見えてこないという辺りが、したがって抜本的にということだったと思います。

次のテーマに移ります。ほかは、いかがですか。

堂本さんがずっと手が挙がっていたので、先に堂本さん、行きましょう。

堂本委員 精神障害へ行っていいでしょうか。

藤井議長代理 どうぞ。

堂本委員 教育と同じように、これから入れていただくのだろうと思っていますが、それでいいのかどうかが、まず、1点です。なぜならば、全くのゼロ回答で、私たち、ここで議論させていただいたこと、全く入っていません。何も入っていないと言っていいと思います。

3つのことを申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げたように、基本法というのは、牽引役をするということであれば、教育とも似ていると思いますけれども、厚生労働省において検討会が進んでいるから、そっちが優先して、こちらのことを書けないという道理はないということが第1。

2番目は、これは全部障害別に、例えば身体とか、知的とか、精神とかというふうに区別して書かないということに、基本法が徹する必要はないということです。最初から議論されてきた中で、それから閣議決定にも言われていますけれども、精神障害は、我が国でも大変遅れていて、しかも、国際的にも人権侵害とで、何度も勧告を国連の人権委員会から受けたりしているような領域です。

したがって、それをここで特に個別に出すことは、何ら問題なくて、それをやるべきであるということです。

もう一つ、さっき佐藤委員が言われましたけれども、私、ちょっと自分では気がつかなかったんですが、最初の定義のところが、やはり今の定義の書き方であると医療モデルになってしまうということは、とても気になりました。やはり、特に精神の場合を考えた場合には、ちょっとほかの障害と違うことで言わせていただければ、やはり流動性がある障害なので、特にそこのところをすべて医療モデルで仕切られてしまうと、また、医療モデルに戻ってしまう。そこのところは、定義の問題と、それから今後の書き込み方の問題としてどうしていくかということですけれども、きちんと女性のことについても教育のことについても、それからこの精神障害についても、私は何か書き込みにくいところばかりやっているような気もしていますが、そこのところをきちんとこれから書いていただけるということを、是非ともきちんと伺いたいと思います。

あと、もし、関口さん、追加することがあれば、言ってください。

藤井議長代理 では、精神障害に関して関口委員。

関口委員 基本法改正に当たって、政府に求める事項に関する意見というのは、第二次意見書の42ページに2つ書いてあるんです。

それで、1つは、社会的入院の解消と精神病床の削減ということですけれども、もう一つの方が、そもそも書き込まれないようであるならば、ここに書いてある基本的人権の尊重の観点に基づきとか、障害のない人との平等を基礎とした実効性のある適正手続を保障することということが書き込まれるのかどうか。それが、もし、書き込まれないんだったら、私ら精神病者集団は、強制入院、強制医療はすべて反対という立場から政府と対峙する以外にないと思います。これは、ぎりぎりの妥協案なんですから、そこのところを非常にわかっていただきたいと思います。そもそも書き込まないということ自体が不愉快ですけれどもね。

藤井議長代理 川崎委員。

川崎委員 家族会の川崎です。実は、第二次意見で、私どもが精神障害者、当事者家族の立場で申し上げてきましたことは、特に精神障害者に特権を与えてくれとか、そんなことは申し上げておりませんで、現状で、私どもが他の障害の人と比べて、大変に差別的な待遇をされている。そこを何とか、今回、改革しなくてはいけないという思いで、第二次意見で、ずっと私どもは意見を述べてきました。

そういう中で、やはりここの各則で地域生活のこととか、精神障害に関わる地域移行の促進に関して、何らか基本法に入れられていないということに関しましては、大変に今、私どもはちょっと憤慨に近い思いでおりますが、実は、この権利条約を批准するに当たって、精神障害者の権利をしっかりと保障してほしいという思いで、第二次意見にずっと述べてきておりました。そのことが、今回、反映されていないことに対して、少しどのような方向性でこういうことがされたかということを、ちょっとお聞きしたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 それでは、精神に関しては、今、お三方から出ていましたので、これは、少し齊藤さんから簡単にコメントをいただいた上で、やはり休憩をとらないといけないと思います。

今日は、5時に終わると断言したんですが、推進体制が非常に大事なんです。少しだけ時間を延長させていただきます。極力早く終わりますので、その後の日程もあると伺っていますので、どうしてこれが入らなかったのか、次回、入るのかということも含めて、企画官、お答えいただけますか。

齊藤企画官 二次意見でいただきました精神障害者に関わる地域移行の促進のパーツでございます。項目として、独自には起してございませんけれども、14の医療介護等の2の部分に、まず、医療もしくは介護の給付、リハビリテーションの提供を行うに当たって、人権に十分配慮しなければならないということを盛り込んだ上で、御承知のとおり、保護者制度や社会的入院の解消のための具体的な策、体制の整備などにつきましては、検討中のものでございますので、現段階では書き込めないということを考えた次第でございます。

藤井議長代理 堂本さん、納得は。

堂本委員 いきません。どうしてもいきません。

藤井議長代理 では、一言どうぞ。

堂本委員 なぜなら、今、私の申し上げたこととさかさまのことをおっしゃっている。検討委員会で、まだできていないから書けない。それは逆ではないか。こちらの検討委員会でこういうことを是非やっていただきたいということを今まで二次意見で必死になって、私たちは入れてきたと思っていることが1つです。

もう一つは、今、まさに私が申し上げたことで、これはどの障害でも必要なことなのです。知的だろうが、精神だろうが、それから身体だろうが。そして、今、まさに関口さんが言ったように、それから川崎委員も言われたように、精神の特殊性、そのことのために精神障害ということをここに書き込むことが、基本法としてできないという、その態度こそが抜本改正ではない、基本法の本質、さっき関口さんは構成を変えるべきだと言いましたけれども、まさにそうだと思います。医療モデルから社会モデルへと移行する、そういった大きな方向性の中で、構成を変えることと、それから、みんな3障害共通ですべて図る中に、精神固有のものも潜り込ませているという形ではなくて、明確に精神障害については、社会的入院を減らすのだということ。あるいはその適正手続、不法に裁判なしに、今、身体の自由が拘束されるということは、精神の領域だけにあることです。そのことの人権の侵害、自由の拘束ということを、ここでもし保障しなければ、一体どこでするのでしょうか。

そうすると、また、世界の中で、日本だけが人権侵害を続けていく、そういった構図を続くことになってしまう。とすれば、権利条約を批准はできません。これは、私もDV法で経験したことですけれども、日本の法律の美しさを阻害するとか、日本国民一人ひとりのためにある法律だとすれば、ここで憲法で保障されている人権をきちんと担保する、そういったところがこの基本法だと、私は思いますので、今の御説明では納得がまいりません。

以上です。

藤井議長代理 関係してですか。

竹下委員 この精神障害に関係して1点だけ。

藤井議長代理 どうぞ。

竹下委員 齊藤さんの説明を聞いていて、逆に不自然だと思いました。医療のところの2、ここに精神障害者の強制入院を排除し、精神障害者の地域での生活を保障するという内容をどうして読み込めるんですか。読めないでしょう。しかも、あえて言えば、当然のことなんですけれども、精神障害者については、他の障害者もそうなんですが、日本の現状の悪いところを変えようという議論をしてきたわけです。我々は立法を議論するときには、立法事実を前提にしているわけですから、その現状を把握することが我々重要だと言ってきたわけですから、その認識に立って、この2項は、それで結構ですけれども、これとは別個に精神障害者の社会入院をなくすための1項は絶対に必要だということだけを、もう一度お願いしておきたいと思います。

藤井議長代理 今のことを、特に関口さん、プラスですか。簡単にお願いします。

関口委員 簡単に言います。立法事実がないのに医療観察法をつくったわけですね。今、裁判所でやっていますけれども、あれはダイバージョン、つまり路線転換といって、刑を受けるべき人が、あるいは減刑されたり、無罪になったりする人が保安処分に行くあれなんです。ほかの一般の人は保安処分に行かないですね。精神障害者だけ保安処分なんですよ。これが他のものとの平等に反するんです。ですから、これはちゃんと書き込んでもらわないと、後々困るので何としても書き込んでいただきたい。

藤井議長代理 このコーナーもさんざん議論してきて、論点は2つあったと思うんです。1つは、人権侵害を含めて特段障害分野の中で遅れているというところ、ここを引上げましょうというのが1つ。同時に、国内の政策検討を精神保健福祉課でもやっていますけれども、基本法である以上は、先んじて牽引しましょうと、この2つがあったはずなので、この点から言って、堂本さんの表現を借りれば、ゼロ回答は、とても承服できないというのが、大体、今日ここでの合意かと思います。

それでは、この件で、精神の方は一旦打ち切りますけれども、ここは大変大きな宿題を残しています。

それで、ちょっと時間は短いんですが、45分まで休憩しまして、恐らく5時20分をめどに、各法の残りと、推進体制が非常に大事です。この時間の確保を考えて、最後のコーナーに入ってまいります。

では、休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、最後のコーナーに入ります。どんなに遅くとも17時20分までには終わろうと思っています。

なお、各則の残り部分と、推進体制について論じ合っていきたいんですが、第二次のわかりやすい意見、土本さんと、長瀬さんの共同座長なんですが、今日は、土本さんは北海道に帰られますので、航空機の時間の都合で、17時過ぎに出るということなので、先に、第二次、わかりやすい意見について一言ということでありますので、土本さんと長瀬さんから一言ずつお願いいたします。

では、土本さん、よろしいですか。

土本委員 わかりやすい第二次意見のものをやる前に、是非ともちょっと言いたいことが1つあるので、いいですか。

藤井議長代理 どうぞ。

土本委員 22番目の情報におけるバリアフリー化ということで、今、知的障害と言われている人たちの情報がわかりやすい、それだけでは足りないし、自分で選んで決める経験がないということも含めて、今回もイエローカードをあげたということは、今まで情報が全然入ってこない。それで、自分たちが経験しておかないと、なかなか情報が得られない。これは、今、身体の人たちが中心的に書かれているものであって、やはり知的も情報があるべきだと。

それで、先ほど合理的配慮がなされていない部分、今、ふりがなを振ってくれということも情報としては必要ではないかということで、これは是非とも一言言いたいということで言っておきます。

ついでですが、今日の午前中、第6回目の第二次意見のわかりやすい版が長瀬さんと、北野さん、中西さん、育成会の室津さん、それと自分と、事務局の成冨さんが出席して、わかりやすい版をつくり上げてきている最中です。

あと、細かい言葉とか、文章とかは直したりしてきました。空いているところに絵を入れようということで、これから作業を進めていきたいと思っています。

それで、本当にわかりやすくして、それでだれでも使えるような形にしているので、これが、今、大体でき上がってきている紙の中で、表紙の色をどんな色にするかといって案を出してもらって、橙色という形なんですけれども、もっとはっきりした色にするということで、オレンジの色にするということで、今、動いています。

後ろ側に、今までは黄色のカードを出したんですけれども、今回は、水色としてわかりますということで同一にするということで、後ろ側に色を付けています。表はオレンジ色として、裏側が水色として、これからつくり上げていきたいと思っています。

補足をお願いしたいんですが。

藤井議長代理 では、共同座長、長瀬さん。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。皆さんのお手元に、こういうイラストが入っていない、今回の参考資料という形で、言葉だけのわかりやすい版の案がお手元に届いていると思います。1月に、推進会議とは別に作業チームで作業を進めることができましたけれども、26日の福井の地域フォーラムに間に合わせたいということで、今、イラスト等を入れている段階です。

委員の皆さんに、こうした資料を配ったときに、明日の5時までということで、大変恐縮なのですが、もし何かこの言葉について、本当に問題があるという場合は、是非、御指摘をしていただきたいと思います。明日の5時までということで、事務局から配付してもらいましたので、何かお気づきの点があれば、明日の5時までによろしくお願いします。

ありがとうございます。

藤井議長代理 それでは、本当に土本さん、ありがとうございました。それから長瀬座長もありがとうございました。明日までということなので、意見があったらお出しください。

それでは、また戻りまして、各則の残り部分と推進体制に時間をとりたいんですが、各則の部分で、どうしても残り、これだけは言っておきたいという方はいますか。

そうすると、推進体制の時間がとれませんよ。本当にここは一度絞らせてもらいます。もう一回手を挙げてください。同じ人。

では、1人、本当に結論から言っていただきます。佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 今の日本の社会の障害者施策の全体の状況の中から、明らかに福祉サービスというのは、1つ独立した財源や法律、それを利用する人たちの数、支援者、制度、そういうところから見て、独立したものとして掲げるべきではないか。いろんな十数項目の各則の中で、福祉がないというのは、非常におかしな、国民的な理解が得られないことではないかと思います。

2004年の基本法の改正のときに、なぜ医療と一緒になってしまったのか、非常にわからないんですけれども、それまでは独立していたし、地方や国の障害者基本計画の中でもきちんと位置づけられているものなので、この基本法の中に、きちんと位置づけるべきではないだろうかと思います。

以上です。

藤井議長代理 そこでいう福祉というのは、要するに幸福とか、抽象的な福祉概念ではなくて狭義の福祉という意味ですね。

佐藤委員 はい。ホームヘルプだとか、グループホームだとか、そういう福祉サービスというのを1つ独立させるべきであろうということです。

藤井議長代理 次に、北野委員。

北野委員 簡単なんですけれども、最初が16の年金等なんですけれども、所得保障という展開を考えていたんですけれども、年金等については、やはり障害があるがゆえに、社会参加に困難を抱えているという問題がありますので、もし、最低でも、障害者の自立と、社会参加及び生活の安定に資するために年金手当等という、社会参加という表現を明確に入れていただいて、社会参加に係る必要についても、やはり考慮しなければいけないということは明確にしていただければと思います。

あと、23の相談のところは、これは、関口委員がおっしゃってくださったとおりでありまして、これはまさに、私たちが求めていたのは、国及び地方公共団体は、障害者及び家族、その他の関係者に対する相談ではなくて、障害者及びその家族が行う、それらに対する相談を加える方向で検討してもらわなければ、前のものと何も変わらない。前の表現よりも、なお劣ってしまうような表現になってしまいますので、障害者及び家族が行う、あるいは、によるという表現を明確に入れていただきたい。

あと、2番目に権利利益の保護等という表現ですけれども、やはりここは権利利益の促進、救済とか、促進・救済のためにとか、そういう保護の表現だけではない表現を入れていただかないと、少しまずいんではないかと思います。

それから、同じところの最後ですけれども、適切に利用されるようにしなければならない部分だけではなくて、相談支援体制の整備を図り、必要な研修等が行われなければならないと、その必要な整備と研修体制もうたっていただければと思います。

以上です。

藤井議長代理 私は、時間を急がせたけれども、大事なことを、今、お話しなさいました。所得保障なんかは特にそうですね。相談もそうです。

では、大濱委員。

大濱委員 先ほど尾上さんの方から発言があって、途中で切られたようですが、医療・介護等のところについてです。まず、「介護」という言葉ですが、これでは障害者を客体とする扱いになってしまいます。ですから、障害者を客体から主体へという方向性を踏まえて、「介助」という障害者主体の言葉に置き換えていただきたいということが1点目です。

それから、第1項では、「障害者が生活機能云々」とあり、リハビリテーションが位置づけられています。しかし、第二次意見の医療・介護の一番大きなポイントは、「障害者が地域社会で自立した生活を営むことができるよう」「必要な医療や支援サービスが提供されること」とされている点です。この「日常生活よる可能な限り身近なところで」ということは、医療・介護等の一番根本となる規定ですので、やはりこれを第1項にもってきていただきたいということが2点目です。

それと、先ほど尾上さんから発言があった「可能な限り」について、これはおかしな表現になっていると思います。文案では「可能な限り地域社会におけるその身近な場所においてこれらを受けられるよう必要な施策を計画的に講ずる」となっていますが、計画的に講ずるのであれば「可能な限り」という文言は要りませんし、第二次意見の趣旨にもそぐわないので外していただきたい。

以上、3点です。

藤井議長代理 長瀬委員。

長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。28番の国際協力です。これは、総則の6の方の国際的協調に並んで、新設で入れていただいて、大変うれしく思います。

ただ、今、見出しは国際協力になっているのですが、中身の本文の方で、政府開発援助に当たるところが全くないので、それを是非入れて修正をお願いしたいと思います。権利条約の32条が国際協力で、具体的には国際的な開発計画を含むというふうになっています。

しかし、今のこの文案では、政府開発援助が含むというふうには読み取りづらい、もしくは読めないので、ここに明確に政府開発援助を含めという言葉を入れていただきたいと思います。ありがとうございます。

藤井議長代理 久松委員。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。発言の機会をありがとうございます。

11ページの情報の利用の基本のバリアフリー化というテーマのところですが、ここで発言したいと思います。

齊藤さんから閣議決定で情報アクセス、コミュニケーション保障、言語の利用について議論をした結果、事務レベルでは外したという説明がありました。これは何のために外したのか、その理由の説明がありません。なぜ外されたのかわからないのですが、改めて申し上げたいのは、11ページの中の情報の利用、バリアフリー化は、現行法の書きぶりとほとんど同じで、災害防止に必要な施策というのが入っているだけです。これは1つの前進ではありますが、第二次意見にはさまざまな情報アクセス、また、自ら必要とする言語を使用し、更に多様なコミュニケーション手段を使うことができるようにする施策を講じることというのが、政府に求めたテーマとして入っております。

今回、どこを見ても、そのような言い回しはありません。情報通信機器あるいは放送の機器の利用範囲だけで、先ほど土本さんがおっしゃったように、知的障害者に適したコミュニケーション保障あるいは精神障害の方に適したコミュニケーション保障、知覚障害者、聴覚障害者に適したコミュニケーション保障という考え方は全く盛り込まれていません。これを盛り込むべきだと思いますが、次の改正案で必ず盛り込むことを強く要求したいと思います。

以上です。

藤井議長代理 次の改正案の要綱案という意味ですね。

久松委員 済みません。要綱案という言葉、最初から発言されていますが、何が要綱案になるのかわかりません。この法案改正と要綱という意味、この言葉の使い方を教えていただきたいと思います。

藤井議長代理 では、これは後でまた説明していただきます。

それで、一応、各法に関して、恐らくまだ発言がない条項もありますけれども、一旦これで打ち切らないと、推進体制が残っていますので、特に、今の件は、また後で一括して、もしコメントがあれば、後でいただきますが、先に議論を進めましょう。

それで、今日の大きな第3番目の分野になりますけれども、推進体制です。これも今回、非常に大事な議論をずっとやってきました。この件に関して、御意見のある方は挙手していただけますか。

では、まず、尾上委員、山崎委員、久松委員、あと手が挙がった順番に行きますので、そういう順番でまず行きましょう。尾上委員から行きます。

尾上委員 今回、この推進体制というのは、権利条約の33条、国内モニタリングとの関係で、非常に重要な部分だということで議論をしてまいりました。

その点からすると、ここまで、まず、入ったというのは、一歩前進ではあるんですが、私ども第二次意見との関係でいうと、2つほど提起をしたいことがあります。

1つは、この委員構成です。第二次意見では、障害者政策委員会に関して、当事者が過半数を占める新たな審議会組織を内閣府に置くこととしています。この制度改革そのものが、Nothing about us without us、私たち抜きに私たちのことを決めないでということでつくられてきて、その下につくられる基本法から審議会組織、そこにNothing about us、私たち抜きに、私たちのことを決めないでという精神が生かされないというのは、やはりあってはならないことだと思います。それが1つです。

もう一つは、今日、清原市長さんはお休みなんですけれども、前回の議論のときに、私ども障害団体からも是非、地方分権、地域主権ということの中で、いろんな福祉サービスや教育、いろんなものが地方自治体に権限移譲される中で、ブラックボックス化になってしまう。そのために、国で勧告を出そうにも実態がわからない状態になるので、評価をし、それを公表するような機能としては、いろんな機能があったとしても、市町村の方でそういったものを設けてほしいということを申し上げたところ、たしか、そのとき清原市長さんの方は、むしろ地方自治体を預かる立場、個人の意見ということでしたけれども、むしろ、ちゃんと国の方で必置というふうにしてもらった方が設置をしやすんだということが、清原市長さんおっしゃっていただいたことだと思いますので、もう一度申しますが、当事者過半数ということと、市町村必置ということを是非お願いしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 それでは、山崎委員。

山崎委員 山崎です。ありがとうございます。2点、質問と意見です。

1点目ですが、第二次意見ですと、66ページですが、国に置かれる審議会組織という抽象的なネーミングでしたが、今回は、障害者政策委員会という明快なネーミングになっています。

これは、推測するに、個別の施策を行政が策定される前提として、当事者の感覚でもってあるべき姿を示してもらう、そのために施策より一段上の政策という文言を用いていると理解しておりますが、こういう理解で正しいか御確認をいただきたいのが1点。

もう一点は、実はこれは第二次意見そのままで、個人的には、第二次意見の私どもの見落としだったので、今からこれを申し上げると後出しになって甚だ心苦しいのですが、御検討いただきたい点です。

要綱の方だと、14ページの31番の2に当たるところです。要するに1の3号で、内閣総理大臣とか、各大臣に勧告をした場合、それに対する応答義務という形で規定されていると思いますが、実はよく見ますと、応答義務になっていないんです。これは、私もうっかりしておりましたが、2を素直に読みますと、内閣総理大臣または関係各大臣は、上の勧告に基づき、講じた施策について政策委員会に報告しなければいけない。要するに胸を張って前向きの施策を打ったときには報告するけれども、何もしない、無視するときにはだんまりでよろしいと、こういう形に読めなくもないわけです。そこで提案でございますが、勧告に基づき、講じた施策でなしに、勧告に対する対応についてとすれば、何もしない場合にも、応答義務が生じてまいりますので、ここは是非御検討いただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 大事な指摘だと思います。大久保委員。

大久保委員 大久保です。まず、今日お配りいただいた資料の6月29日の閣議決定です。その中の2ページ目にあります。真ん中辺に、障害者権利条約の実施状況の監視等を担う、いわゆるモニタリング機関の法的位置づけ等を含め、必要な法整備の在り方を検討しと、そして、平成23年の常会への法案提出を目指す。つまり、基本法の中でそれを位置づけるということを、まず、この閣議決定の中では示しているということ。

もう一つは、今日、JDFから示された資料で、かつて障害者施策推進課長会議、平成20年、この中で、これでも不満足でJDFでは、もっと改善してくれということを言いましたけれども、ここの時点でさえ言っているのは、障害者基本計画の作成及び変更の際の意見聴取に加えて、障害者施策に関する調査審議、意見具申等々書いてあるのです。つまり、基本計画の作成だけではないと、障害者施策に関するということで、広くここで示しているわけです。ここが重要な点で、障害者基本計画というのは、かなりざっくりした感じのものです。ですから、その中での議論ではなくて、広くさまざまな議論をしていく必要があるということになると、この障害者基本計画のみの調査審議というのでは、やはり不十分だと、モニタリング機関としての役割は非常に難しくなるのではないかということで、具体的な提案ですけれども、本当は障害者政策がいいのでしょうけれども、「及び障害者施策に関する事項に関し」という形で、その文言を入れていただければと思います。

以上です。

藤井議長代理 北野委員。

北野委員 山崎先生がおっしゃられたので、ほとんど私も同じ意見なんですけれども、1つは、非常勤という規定がございましたね。障害者政策委員会の委員ですけれども、わざわざ非常勤とするという表現を今から規定しておく必要があるかどうかというのは、別に、今後細かいことを決められたらいいんではないかと、3ですね。非常勤とするという表現は、別に要らないんではないかと。つまり、今後、政策委員はいろんな業務が、かなり過重になる可能性もありますので、柔軟な表現でいいのではないかと思います。

もう一つは、32のところで、関係機関の協力を求めることができるというのは、それこそ本当に前回こんなことを言わず、今、こんなことを言ったらいけませんけれども、協力を求めることができるというのは、逆に協力しなくてもいいということなのかなと読めてしまって、協力を課すことができるという表現にできるかどうか、ちょっとわかりませんけれども、もう少し強い表現が可能かどうかについて、少し御検討を願えたらと思います。

以上です。

藤井議長代理 大久保委員。

大久保委員 ちょっと確認で申し訳ありません。私が具体的に申し上げたのは、14ページの障害者政策委員会の所掌事務のところの1項、2項、3項、ここに障害者基本計画及び障害者施策というふうに、「及び障害者施策」を入れていただくという提案です。

以上です。

藤井議長代理 推進体制については、これで議論を終わりますが、どうぞ。

山崎委員 山崎です。1点だけ補足させてください。第二次意見の66ページと今回の31の2の違いは、もう一点ありまして、「適切な期間内に」が抜けているんです。これは恐らく非常に前向きに解釈すれば、一定の施策を形成するためには時間がかかるから、「適切な期間内に」を入れられるとなかなか辛いということで落とされたのではと思います。私の提案ですと、講じた施策ではなくて、それに対する対応でございますので、これは戻して、適切な期間内に勧告に対する対応というふうにしていただければと思います。

以上です。

藤井議長代理 対応との連動ということですね。

では、堂本委員。

堂本委員 質問ですけれども、男女の場合には、最初、内閣府に男女共同参画室ができて、基本法ができたときに、局に格上げになったわけです。非常に内閣府の組織が大事だと思うんです。局は無理だとしても、会議ができるだけでは足りなくて、行政側に部署をつくるべきです。

藤井議長代理 大事な指摘です。この部分は抜本改正の片りんがうかがえるところですね。ほかの分野に比べまして、恐らく内閣府がここは所管したということもあったと思うんですが、尾上さんの過半数委員に始まって、市町村の必置、山崎委員の対応、そして適切な期間と。大久保委員の計画のみならず、及び障害者施策全般、堂本委員の行政組織機構上、組織実態として、どういうふうにこれを置くのかという質問等を含めて、齊藤企画官の方で、もしコメントがあれば簡単にお願いします。

齊藤企画官 では、順を追って御説明いたします。尾上委員からおっしゃっていただいた過半数、それから必置のところに関しましては、正直申し上げてなかなか難しかったところでございます。

まず、合議制の機関で、当事者を過半数という例は見当たらないということでございまして、そもそも意見の反映という規定、それから意見を反映させるための委員の構成をしろということは条文上規定をしておりまして、殊更、過半数を当事者が占めなければいけないという規定を盛り込む必要性というところまでは到達していない。

これに関して、例として男女共同参画会議の例がよく引かれるわけですが、これはそもそも男性と女性というのは、おおよそ半々いる中で、どちらかの構成に偏らないようにというような趣旨でクォーター制が定められているということでございまして、なかなか今回の例とは違うのかなと思っているところでございます。

それから、市町村の必置に関しましては、正直申し上げて、なかなか今の現状で必置という規定を盛り込むのは非常に難しいと考えてございまして、おっしゃるように、この会議でも逆に必置の方がいいんだという御意見が出たのは十分承知しておりますが、なかなか難しいということを御理解いただければと思います。

それから、そこから先の部分は、実は法律の読み方に関することだと思います。政策委員会、まさに障害者施策に関する施策すべてを対象とするという意味で、何が一番適当なのかという中で、消費者政策委員会などの例を基にこういうふうに決めたということで、一番座りがいいというか、格好がいい規定になったのではないかと思ってございます。

それから、応答義務でございますが、ここは若干読み方が、ストレートに読んでいただきたいところでございまして、もともと勧告をすると、勧告に関して報告をせよというような、勧告に関してすべてどういうふうな対応をするのか、しないのかを含めての応答ということでございまして、そこを法文上、施策を講じないから報告もしないと、そういうふうに読むということではございませんで、当然そういったことにならないような条文であると、私ども考えてございます。

それから、条約の実施状況の監視というところですが、2つございまして、1つは、そもそも条約はなかなか、批准もしていないということもございまして、または、そもそも条約を直接国内に適用するわけではなくて、この基本法に基づいて、政府が計画をつくると、その中で条約をどのように実施するのかという政府の計画になりますので、それを監視するという構造でよろしいかと思っていまして、逆にそういうふうな構造しか、現行の法体系上ないということでございます。

それから、31の1項、第2号、計画に関する事項に加えて、障害施策に関するという御指摘がございますが、そもそもこれは何かが排除されているということではございませんで、単に計画に載っているものを計画に関する事項というふうに読むのではなくて、そもそも障害者政策すべて計画に関する事項でございます。要は、これによって、この委員会の所掌を狭めて解釈する必要は一切ございませんで、この新たに設置される委員会が、これが計画に関することだと判断すれば、おおよそどのような政策に関しても、この関するで読めるので、こう書いてありまして、要は2号と3号、いずれも計画ということが書いてございますが、それは、要は法律の規定上の用語の整理をしているということでございます。

他方で、3号に関しては、もう少し正確に説明をすると、何か計画がないと実施というところがなかなか、何に照らして監視をするのかが難しいということで、そこはしっかりと計画策定をし、その計画がどのように実施されるのかをしっかりとモニタリングせよという規定になるのではないかと思い、そう書いてございまして、その結果、2号と3号は同じ計画という文字が出ていて、上は関する事項ということで、より広く読めるという構造になってございます。

それから、非常勤の規定でございます。これは、実は法律的に非常に難しくて、仮に常勤にしようとしますと、この時点で決めなければいけない。かつ、この場合には、通常、法律設置の審議会等における常勤委員というのは、国会の同意が必要だったり、いろいろな諸般の手続が必要になりまして、逆に言うと、まさに行政改革の折、そういった常勤委員を持つ委員会を新たに設置するということになりますと、単に二次意見でおっしゃっていただいた、中障協や、それからこの会議を発展的に改組しというところの域を超えて、更にハイレベルの調整といいますか、そもそも組織の肥大化という論点をクリアーしなければいけないということになります。

それから、協力に関しても、課すといいますか、これは当然必要があれば、協力を求められるという規定、まさにハイレベルで内閣府に置かれる委員会からの協力要請でございますので、協力に応じないということは、そもそも想定されませんが、仮に協力に応じていただけない場合には、この組織の主任の大臣であられる内閣総理大臣などから協力を申し出ればよろしいのかと思ってございます。

同じように、合理的、適切な期間内にというのも、なかなか国の行政機関の所掌事務の関連で、そういったことを書くのは難しいと思います。

最後に、男女共同社会参画基本法の例などを引かれて、体制のことをおっしゃっていただきましたけれども、正直申し上げて、今の段階で組織を新たに新設するだとか、そういったことに関しては、なかなか検討の俎上にも載らないということが実態でございまして、特段この法律の制定に伴いまして、そういった意味で局を設けるとか、そういった検討は、正直なされていない現状でございます。

以上です。

藤井議長代理 この改正案、改正要綱案等々、そこをちょっと説明してください。

齊藤企画官 要綱というのは、法律の条文のもう少し要約をした内容というふうな位置づけでございまして、要は条文というのも、実はごらんいただいているのは、改正した内容を埋め込んだ形の改正後の条文の形になっているんですが、実際に国会で審議をされるのは、そうではなくて、現行の法令のどの部分のどの用語を、どういうふうに改正をするのかと、極めて読みにくい形のもので審議をされます。

ということで、なかなかそれを見ても、何がどう変わるのかよくわからないものですから、要綱という形で具体的にどういった内容の法律なのかを示す意味でつくっているものでございまして、逆にこの要綱を見ていただくと、どういう条文になるのかのイメージが一番確認しやすいということでございます。

藤井議長代理 今日のこれが要綱案になるんですか。

齊藤企画官 まだ要綱案というところまでは。

藤井議長代理 まだ、これは要綱案の前段ですね。

齊藤企画官 はい。イメージといいますか。

藤井議長代理 わかりました。これはまだ要綱案の前提だそうです。新谷委員、時間が来ていますので、手短にお願いします。

新谷委員 新谷です。ちょっと先走った意見を言って申し訳ないんですけれども、最初の話に戻ってしまいますけれども、今日いただいた要綱案は、現行の基本法と改正要綱との対比表ですね。だけれども、やはりこういうものも大切かもわかりませんけれども、私たちは、やはり推進会議で基本法についてずっと議論してきて、10回以上の議論をしてきたわけですね。ですから、やはり第二次意見と要綱案との対比をいただきたい。それで、要綱案、第二次意見も、先ほど言ったように、取捨選択の問題になりますけれども、どの部分をどう取り込んでこういう要綱案を出しているんだということが、やはり推進会議の議論を尊重して、条文をつくるという意味ではないかと思うんですけれども、それで全部で70ページある第二次案をそのまま出すのは大変かもわかりませんけれども、少なくとも黒ポツ、丸ポツの部分は、それをどういうふうに取り込んで条文化しているのかという意見を出していただかないと、今日でも意見を出して、出しきれていない部分もある、それから齊藤さんがお答えになっていない部分もあるので、やはりそれは第二次要綱案というのが出てくるのかどうかわかりませんけれども、そのときの資料としては、そういうものを出して、お互いに積み重ねた議論ができるような形にしていただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。

藤井議長代理 関口委員。

関口委員 2点質問したいと思います。条約を批准した折には、33条のフォーカルポイントがこれに当たるのかということが1つ。

もう一つは、差別禁止法ができた暁に、多分救済とか、何とかいろんな委員会なり何なり組織ができてくると思うんですけれども、それは、つまり条約の直接の要請ではないのか、それとも直接の要請になるのか、それと国内人権機関との関係はどうなるのかということをお願いします。

藤井議長代理 政策委員会がフォーカルポイントに当たるかどうかということを含めて、齊藤さん、簡単にお願いできますか。

齊藤企画官 条約のフォーカルポイントというのは、以前もこちらで質問が出たかもしれませんが、これはあくまでもモニタリング機関の方でございまして、フォーカルポイントというのは、政策部局が、そのフォーカルポイントに当たるというふうに考えております。

それから、差別禁止法制の制度後ということでございますが、まさにその差別禁止法制の中で、どういった組織、どういった機能が必要なのか整理をして、その上で判断をするということになるのではないかと考えております。

藤井議長代理 それでは、時間がまいりましたので、これで今日の議論を打ち切りますが、先ほど小川榮一議長の方に、日本精神神経学会のカシマ理事長より要望書が出ておりまして、今、ざっと斜めに読んでもらったんですが、およそ第二次意見の精神分野を支持するような内容の要望書がまいっておりますことを報告しておきます。

今後の進め方等、各地のフォーラムの状況もあるんですが、東室長の方に一旦マイクを渡します。

東室長 では、日程だけ先に述べておきます。担当室の東です。御苦労様でした。次回は31回、2月28日月曜日です。引き続きこの問題について議論していただきます。

その後の予定は、まだ決まっておりませんので、決まり次第、お知らせしたいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 今のことと、森さん、関係がありますか。

どうぞ。

森委員 そうではなくて、私も過日、12日ですが、京都の方に行ってまいりまして、その話です。

藤井議長代理 ちょっと待ってください。では、今後の進め方で、28日が2週間後ですが、次回と、それがわからないということなんですが、28日ということで、今後の進め方は、これでよろしゅうございますか。いいですか。

では、小川議長の方にマイクをお返しします。

その前にですか、どうぞ。

山崎委員 山崎です。1月31日に差別禁止部会をやっていますが、これについて、ここで御報告する必要があるのではないでしょうか。

藤井議長代理 では、報告をしてください。

小川議長 それでは、若干順序が違いましたけれども、各地の地方フォーラムの御様子を御報告お願いいたします。まず、京都の森さん。

森委員 森です。それでは、23年2月12日午後1時から午後4時30分まで、京都アスニーホールにおきまして、障害者制度改革について考える地域フォーラムin京都。私たちがつくる新しい障害者制度、障害者制度改革の推進のための基本的な方向という形で、40団体が集まりまして、初め400人という予定だったんですが、600名以上集まりました。それで、活発な意見がありまして、基本的に言いますと、基調報告は、竹下義樹委員、現在の推進委員のメンバーからやっていただきまして、あと、シンポジウムを行いました。活発なシンポジウムでありまして、また、フロアからの意見も相当出ております。

そういう中で、特に、本日開かれるということで、内閣障害者制度改革推進会議議長、小川榮一あてに、第一次、第二次意見書及び今後の障害者制度についての要望書を預かってまいりましたので、お渡ししたいと思います。よろしくお願いします。

議長、小川榮一様、第一次、第二次意見書、今後の障害者制度改革について要望書がございます。2011年2月12日、障害者権利条約の推進と完全実施を求める京都実行委員会、実行委員長は、竹下義樹でございました。お渡しいたしますので、よろしく検討してください。

小川議長 お預かりいたしました。

続きまして、同じく2月12日に行われました福岡フォーラムの報告を勝又委員または新谷委員からお願いいたします。

勝又委員 では、勝又から御報告いたします。2月12日午後1時から4時半、福岡クローバープラザ、アリーナ棟という大きなホールで、約700名が参加して行われました。

ここでは、今、森委員の方から御紹介があった、同じタイトルで行われましたが、サブタイトルとして、普遍的人権の実現に向けて、歴史的な転換ということで、非常に大きな期待を持って行われました。

また、地域フォーラムin福岡という29団体が連合で構成した団体からは、第二次意見に対する大きな部分と細部についても御意見をいただいておりますので、後ほど事務局の方に出したいと思います。

1つ印象に残っているのは、今後、どういうふうに運動を進めていくかということについては、福岡のさまざまな団体が参加してできた今回の連合体が、これから各地域において、その運動を立ち上げていく、今回はそのスタートにするということで、このフォーラム開催を機に、福岡の方で地域から推進会議の活動をサポートしてくださるという発言をいただいたことで、推進会議が地域から非常に力強いサポートを受けていると感じました。以上御報告です。

小川議長 ありがとうございました。最後になりますが、昨日、2月13日に行われました、宮城フォーラムの報告を関口委員、よろしくお願いいたします。

中西委員 済みません。1月のフォーラムの報告もまだなんですけれども、短く追加してよろしいですか。

小川議長 はい。

関口委員 昨日、私たちがつくる新しい障害者制度と題しまして、障害者制度改革について考える地域フォーラムが宮城県の仙台市青年文化センター交流ホールで開かれました。御存じのように、ちょっと雪が降っておりましたので、交通の便が悪いということでもって、本来ならもっともっと集まるであろうはずのところが、300人くらいでしょうか。満杯で400人から600人入るところなんですけれども、開かれました。

31団体による実行委員会形式で、主催者としては地域フォーラム実行委員会、それと社会福祉法人宮城県身体障害者福祉協会会長の森さんからいただきました。それで、基調講演を東さんが行って、パネルディスカッションを財団法人仙台市障害者福祉協会会長の阿部さん。それから宮城県知的障害者福祉協会会長の中村さん。あと、私がやりまして、コーディネーターを東さんがやってくださいました。

非常に雪が降ったにもかかわらず、皆さん駆けつけてくれて、いいフォーラムだったと思います。

以上です。

小川議長 ありがとうございました。先ほど中西委員から追加の報告をということでございますが、どうぞ、中西委員、お願いいたします。

中西委員 短くさせていただきます。1月15日に栃木で地域フォーラムがありまして、私たちがつくる新しい障害者制度ということで、ここは小川議長のおひざ元でもあり、かなり関心が高く、会場の中に入り切れない方は、特設会場でテレビのモニターを見ながら参加してくださいました。

そして、ここは私と松井構成員とお2人で伺ったんですが、その日、東北新幹線が事故で、松井さんの方は社内に閉じ込められ、私の方はずっと普通列車で行って、開始10分前に滑り込みというようなすごく大変な事態で、何かどきどきしながら、余り打ち合わせもしないで参加して御迷惑をおかけしたと思うんですが、皆様、とても熱心に聞いてくださいました。皆様の感じとしては、第二次意見に出たことの上に、更にその上にいろいろ意見を言って、すごくいいものができるんではないかという期待がありまして、それに応えられるのかなと思いながら、すごくさまざまな意見を皆様の御協力の下、時間内にとりあえずまとめることができてよかったと思っています。

ありがとうございました。

小川議長 誠に御苦労様でございました。ありがとうございます。

今、差別禁止部会からの御報告も中間的でございますが、お願いいたします。

どうぞ。

竹下委員 竹下です。用意をしていなかったんですが、ほんの1分だけ。

第2回の部会を、先日、1月31日に行いました。当面は、諸外国の差別禁止法制を学ぶことからスタートしようということで、31日にはEU、フランスの立法状況について報告を受けました。もう一つイギリスの報告を受ける予定でしたが、担当の先生が病気で体調を壊されたので、先送りになりましたけれども、非常に諸外国の動きが正確に報告されたことによって、私たちの調査・研究が大いに今後進展するものと思います。

次回もそうした諸外国の立法の過程や内容について学習しながら、国内の差別事象や条例等の状況も把握する作業を進めていくことになりました。

以上です。

小川議長 御苦労様でございます。ありがとうございます。

最後でございますけれども、総合福祉部会からの部会長、佐藤さん、一言どうぞ。

佐藤委員 今年に入ってから総合福祉部会は1月25日に行いまして、明日2月の次の部会が開かれます。明日からは、いよいよ利用者負担など、新しい作業チーム、第2期の作業チームも含めて更に詰めた検討を行って、6月には骨格提言素案をまとめて、8月に最終的な報告ができるようにということでやっております。

以上です。

小川議長 誠にありがとうございます。御苦労様です。本日、長時間の御討議でございますが、誠に御苦労様でございました。

大変本日は長時間、御苦労様でございました。これをもちまして、本日の第30回「障がい者制度改革推進会議」を閉会させていただきます。ありがとうございました。

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