○ 小川議長 定刻になりましたので、これより第31回「障がい者制度改革推進会議」を開会させていただきます。
3月11日午後2時40分ごろ、東日本大震災が勃発しました。この未曽有の大震災では多くの尊い人命が失われ、また被災された皆さんは1か月が経過した今も将来の展望を見出すことができない中、余震におびえながら不安な生活を余儀なくされています。
その中で、障害のある人たちも筆舌に尽くし難い被害を受けることになりました。ここで亡くなった皆様の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
本日は末松副大臣と園田政務官が御出席ですので、ごあいさつをいただきます。
まず末松副大臣、どうぞよろしくお願いします。
○ 末松副大臣 末松でございます。
東日本大震災によって、お亡くなりになられた方々に対しましてお悔やみを申し上げ、また被災された方々に対してお見舞いを申し上げたいと思います。
そして、本日は障害者基本法の一部改正の法律案を説明させていただくということでございます。法案のとりまとめに当たりましては、私も政務三役の1人として大臣、園田政務官とともに関与いたし調整をしてまいりました。そこで、3月11日の朝に全閣僚出席の下、推進本部で私も説明をいたしまして、御了解を得たところでございます。そして、3月15日に予定されていた閣議でこれが閣議決定される予定でございましたけれども、震災の関係でまだ閣議決定がなされていない状況でございます。このような形で皆様と一緒になって決めてきた法律案は、是が非でも通したいということを改めて申し上げたいと思っております。
終わりになりますけれども、私も仙台に行きまして、現地対策本部長代行として、ある一定期間震災のさまざまな現場を見てまいりました。障害者の方々も苦渋をされておられたわけでございますが、この支援体制についても皆様が中心となってやられていることに敬意を表しますとともに、政府の方でもそこは厚労省を中心にやられているところですが、対策本部でもそこはしっかりできるように、精一杯また努力をしていきたいと思います。
よろしくお願いします。(拍手)
○ 小川議長 ありがとうございます。
続きまして、園田政務官、よろしくお願いいたします。
○ 園田政務官 内閣府大臣政務官を務めさせていただいております、園田でございます。
本日この推進会議が開催されまして、私からも一言皆様方に御礼と、これからの議論に向けて本日はさらなる御意見をちょうだいできればと考えております。
冒頭、小川議長からもお話がありました、また副大臣からもお話がございましたけれども、先の東日本大震災におきまして、お亡くなりになられた皆様方に心から哀悼の意を捧げたいと存じます。また、被災をされた皆様方、避難所でお暮らしの皆様方、すべての関係者の皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思っております。
皆様方におかれましては、先ほど副大臣からもお話がございましたけれども、支援センターという形で福島と宮城にすぐさま設置をしていただいて、避難所あるいは被災をされた瓦れきの中でも暮らしをされていらっしゃる障害当事者の皆様方に救いの手を差し伸べるべく全力で支援をしていただいたことに、また全国の当事者の皆様方あるいは御家族の皆様方、活動支援をしておられる皆様方から温かい御支援をいただいたことに心から感謝を申し上げたいと思っております。
先週でありますけれども、東室長が現地を訪れた際には、ここにいらっしゃる皆様方に手伝っていただきまして開設をしていただき、また今日までの活動の報告も私どもは事細かに受けたところでございます。そういった皆様方とこういう大震災が起きたときには、何といっても当事者の皆様方をイの一番に救っていかなければいけないという思いで皆様方が現場で携わっていただいていることに、心から敬意と感謝を申し上げたいと思っております。政府はこういったときには活動を行わなければいけないのは当たり前のことでございますけれども、政府だけあるいは自治体だけでできない状況もございました。そこに対しまして、皆様方がすぐさまボランティア活動という形で手を差し伸べていただいた、この連携というものが今後の活動で大変重要になっていくのではないかと考えているところでございます。そういった意味で、こうしてまた皆さん方から後ほど現場の意見あるいはさまざまな課題等も聞かせていただけるということでございますので、今後、障害当事者の皆様方を含めた被災者支援に結び付けてまいりたいと考えておるところでございます。
基本法の改正でございますけれども、皆様方の御意見をいただいて、今日までとりまとめをしていただいた。そして、それに応えるべく政務三役が中心となって各省折衝をさせていただいた結果でございます。皆様方からすると、まだまだ課題が多く残っているかとは存じますけれども、私どもとしては、それに応えるべく全力で政府としてのとりまとめをまずさせていただいたところでございます。この法案が成立をいたせば、この推進会議がようやく障害者政策委員会という形で位置づけられていくとすると、障害者基本法の法案成立とともに、第一歩を踏み出すことができると考えているところでございます。そういった意味では、さらなる皆様方からのお知恵と、今なお全国で苦しんでいらっしゃる皆様方のためにも、この推進会議が中心となってこれから更に推進をしていく、そういう形を皆様方と御一緒につくってまいりたいと考えております。
これは今後国会に提出をされる運びになっているわけでございますけれども、国会での審議、早期の成立というものに更に私も全力をかけて頑張っていく所存でございますので、皆様方におかれましては、今後とも御指導、御鞭撻を賜りますことを心からお願いを申し上げさせていただきまして、冒頭のごあいさつにかえさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○ 小川議長 ありがとうございました。
本日の委員の出欠状況でございますが、清原委員、山崎委員、福島オブザーバーが御欠席、その他の委員の中で竹下委員が15時30分ごろ到着という連絡でございます。中島委員が14時30分ごろ御退席ということでございます。オブザーバーは御出席でございます。
会議の公開はこれまでと同様といたします。
進行上の時間配分については、後ほど東室長より報告があります。本日の会議は17時までを予定しております。
それでは、これより先の進行については、藤井議長代理、よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 それでは、ここから先は藤井の方で進めさせていただきます。
最初に本日の進め方の概略につきまして、東担当室長より提案をさせていただきます。よろしくお願いします。
○ 東室長 お久し振りでございます。担当室の東です。
前回の第30回の推進会議は2月14日でございました。その後、障害者基本法のとりまとめ等に時間が必要だということで、政務折衝も含めた観点から、31回の推進会議を当初の予定でありました2月28日から3月7日に変更し、更には3月14日と三度延期になりました。ようやく今日を迎えることができました。こうした延期ということで、皆さんに御迷惑をおかけしたことにおわび申し上げたいと思います。
3月11日、大地震が発生した日の午前中ですが、第3回の障がい者制度改革推進本部が開催されまして、そこで障害者基本法の一部を改正する法律案及び障害者制度改革の推進のための基本的な方向について(第二次)というものが了承されております。このうち第一次意見の中で抜けていた新しい分野につきまして、その方向性を示した障害者制度改革の推進のための基本的な方向について(第二次)につきましては、3月15日の閣議で決定されているという状況です。
以上の経過を踏まえて、本日は障害者基本法の一部を改正する法律案の説明と議論を行っていきたいと思います。
15分の休憩を3回として4つのコーナーに分けたいと思います。
第1のコーナーは45分を予定しておりまして、障害者基本法改正案の総則について、最初に事務局から改正案につきまして御説明申し上げ、その後、議論していただきたいと思います。
次に本来であれば、基本的施策の部分について議論をするのが筋であると思いますが、政務官の時間の都合などもありまして、前半で推進体制についての議論をした後で、行います。
○ 藤井議長代理 基本法まではやって、第3コーナーを入れ替えるんです。
○ 東室長 第3コーナーを入れ替えるということでいいですか。打ち合わせがちゃんとできていなくて、済みません。
それでは、第1コーナーで総則、第2コーナーで基本的施策、そこまで休憩を挟みながら順序どおりやっていきます。
次に第3コーナーの中で、前半を推進体制と予定しておりましたけれども、前半に震災関係の議論を入れたいと思います。その後、推進体制についての議論をするということで、第3コーナーを終わりたいと思います。
最後に第4コーナーは30分ぐらいを予定しておりまして、報告事項と質疑であります。
本日の予定は以上のとおりです。
○ 藤井議長代理 それでは、早速、今のスケジュールに沿って審議に入ってまいります。
第1コーナーですから、今から13時55分をめどに総則に関する部分を審議しますが、冒頭に齊藤企画官より報告を願って、その後、質疑を行います。
それでは、総則箇所の点について、齊藤企画官から報告をお願いします。
○ 齊藤企画官 企画官の齊藤でございます。よろしくお願いいたします。
前回の案を御説明して以降、相当時間が経ってございます。それから、個別の条文ごとに変更する部分だけを御説明しても、なかなか条文全体の趣旨、内容が伝わりにくいところもございますので、前回からの修正点にこだわらず、できるだけ全体を御理解いただけるように説明させていただきたいと思います。
本日、資料は3種類配付させていただいております。資料1といたしまして、現行の障害者基本法と今回の改正案の対比表でございます。あと2つは、参考資料1と参考資料2ということで、これは先ほど副大臣から御説明がありましたが、3月11日の推進本部で了承した際の資料でございます。実際にこの形で閣議で決定をしたものが国会に提出され、この形のものを御審議いただいて、議決をいただくものでございます。参考資料1をごらんいただくとわかるんですが、要は現在ある法律のどの部分をどう変えるのかということ、いわゆる改め文と呼ぶんですが、そういう形で表現してございます。ということで、これを読んでも、何が書いてあるのか多分おわかりいただけないと思いまして、本日の説明は資料1でさせていただきます。
資料1に移ります前にごらんいただきたいのは、参考資料1を読みますと、1ページ目の3行目ですが「第一条 障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の一部を次のように改正する」とあります。それから、ずっと飛びまして、10ページ、後ろから2行目でございます。「第二条 障害者基本法の一部を次のように改正する」とございます。今回の改正案は2つの条からなる法律でございます。第1条、第2条ともに障害者基本法を改正するという内容でございます。個別の改正の内容がその後ろに書いてあるという構造でございますが、これは施行期日の関係で、総則の部分、特に基本原則とか差別の禁止、そういったところは法律を改正し公布をして周知がされれば、直ちに施行ができるということで、そのような形で施行しようと思ってございます。
推進体制の部分は、先ほど政務官のごあいさつの中にもございましたが、推進会議を発展的に改組していく中で、新たに政策委員会を置く。またこれは国だけではなくて地方にも置く。必置、必置でない自治体がございますが、置いていくということで、必要な条例ですとか、地方でいけば政令等の手当が必要になってございます。そういったこともございますので、第2条目の部分、推進体制の部分は公布の日から1年以内に政令で定める日から施行しようと考えてございます。丸々1年かかるかどうかというのは、今後の国、地方公共団体の準備の状況を見ながら見極めていきたいと思ってございますが、いずれにいたしましても、こういった形で内容によって施行の日をずらす関係で改正法は2つの条から成り立っているということを御理解いただきたいと思います。
参考資料の説明は以上でございまして、早速、改正の内容についての御説明に入らせていただきます。資料1をごらんください。
まず第1条の目的でございます。障害者を保護の客体から権利の主体へととらえ直すという推進会議における議論を踏まえまして、第1条の目的において、現行の障害者の福祉を増進という観点から、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するというふうに法律の目的を改める改正でございます。
また、権利の保障とこの会議で議論いただいたところでございますが、権利の保障という文言そのものに関しましては、ごらんのとおり盛り込んでいないところでございますけれども、すべての国民が障害の有無にかかわらず等しく基本的人権を享有する個人として尊重されるという形で、その趣旨をこの改正の中に盛り込んだところでございます。
このように改正案では、障害者も障害者でないものと同様、社会を構成する対等のパートナーであると位置づけて、各規定の内容し、必要な改正を加えておりまして、障害者の権利条約及びこの推進会議の議論に沿った形で、抜本的なパラダイム転換が図られたと考えてございます。
目的の関係で、前回の会議の際に、たしか竹下委員から御指摘だったと思いますが、そういった目的と齟齬のある条文があるのではないか。具体的には第6条に障害者の福祉の増進という文言があるではないかという御指摘をいただいたところでございます。そのような御指摘も踏まえて、今回の目的の改正に合わせた形で、より高次の障害の有無にかかわらず共生する社会を実現ということで、障害者の福祉の増進を包含するような、より高次の法目的を掲げるという整理をもう一回徹底をしたところ、第6条の当該文言については削除してございます。
目的の変更は以上でございます。
続きまして、定義のところでございます。前回お示ししたところから内容的には変更はございませんが、念のため、定義の規定の読み方を再度確認させていただきたいと思います。
障害者の定義につきましては、日常生活または社会生活上の制限が心身の機能の障害と社会におけるさまざまな障壁の相互作用によってもたらされる、いわゆる社会モデルの考え方を踏まえまして、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある者という形で規定をいたしてございます。本規定は、基本的には障害と社会的障壁の相互作用ということを念頭に置いてございますが、極めて例外的なケースかもしれませんけれども、社会的障壁の有無にかかわらず、相当な制限を受けるような状態にある場合も本法の障害者に含められるように、あえて相互作用に類する文言は入れないということで規定を置いたところでございます。
また、社会的障壁の定義につきましても、社会モデルの考え方を踏まえまして、障害がある者が日常生活及び社会生活において受ける制限をもたらす原因となるような社会における障壁、要はバリアーズと条約に書いてあるものでございますが、それを社会的障壁という言葉に置き換えまして、物理的な障壁や制度、慣行のみならず、障害者に対する偏見などについても含まれることを明らかにするために、観念という文言を明記しているところでございます。
定義の規定は以上でございます。
続きまして、第3条、地域社会における共生でございます。この条文に関しましては、前回の会議の際にも位置づけといいますか、趣旨が十分に説明し切れなかった部分でございまして、要は本条の性格は3条に加えて、次の4条、5条、3つ合わせまして、新たな基本法の基本原則と位置づけでございます。これは国、地方公共団体のみならず、第8条において国民の責務などにも引いてございますが、要は国民一般まで含めて本条にのっとって共生社会の実現に協力することが求められるという基本原則でございます。したがいまして、斬新的に位置づけを目指す、政策的に目指していくという実施の目標ではなくて、共生社会の実現を図る上で旨とする普遍的な原則という形で立ててございます。そういったことから、前回の会議の際に議論がございましたが、計画的にという文言は、今回、斬新的な趣旨ではないという整理で削除いたしているところでございます。
第1号から第3号まで列挙しているところでございますけれども、それぞれ権利という文言では規定してございません。しかしながら、これらの各号が導き出される根拠となるような幸福追求権、居住の自由、表現の自由などの基本的人権につきましては、本条の柱書きにおきまして、すべて障害者が障害者でない者と等しく基本的人権を享有する個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提として、共生社会の実現を図らなければならないということで、その趣旨を最大限表現したところでございます。
もう一つ御議論がありました、可能な限りの文言でございます。前回の会議の際にも申し上げましたけれども、選択の機会の確保、地域社会における共生というものにつきまして、100%無条件で、例外なく可能であるわけではないという懸念がございまして、そういったことから、各号から削除するのは難しいと最終的に判断をさせていただいたところでございます。
前回の会議で、これも時間をかけて御議論させていただきました手話についてでございます。ごらんいただきますとおり、手話につきましては、第3号で言語(手話を含む)その他のという文言を意思疎通の手段の前に挿入するという形で盛り込ませていただいたところでございます。
念のために申し上げますと、言語に手話が含まれるということを入念的といいますか、補足的に明示をしたものでございまして、逆に手話以外の障害者権利条約において想定しているようなその他の非音声言語は除かれているという意味ではございません。そういったものを含めてすべて意思疎通の手段と読めると考えてございます。
続きまして、第4条、差別の禁止でございます。これに関しても、前回からお示しした案から実質的な変更はございません。
現行の障害者基本法では第3条第3項におきまして、障害を理由とする差別の禁止と規定されているところでございますが、今回の改正案では差別の禁止という条を新たに起こしまして、第4条として独立をさせてございます。第1項につきましては、現行法の第3条第3項からそのまま移す形になってございます。
続きまして、第2項に関しましては新設いたしまして、障害者権利条約における合理的配慮の内容を規定しているところでございます。具体的には、障害者権利条約の第2条におきまして、合理的配慮の定義として、合理的配慮とは障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、または行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ均衡を失したまたは過度な負担を課さないものを言うという定義でございます。
改正案の中では、第2条を見ていただいたように定義規定がございますが、そういった全体の構造に合わせる形で、まず社会的障壁、先ほど見ていただいた第2条第2号でございますけれども、障害があるものにとって日常生活または社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念、その他一切のものの社会的障壁の除去を必要としている障害者が現に存し、その実施に伴う負担が過重でないときは、1行飛ばしまして、その実施において必要かつ合理的な配慮がなされなければならないと規定した上で、同じく条約の第2条において、障害を理由とする差別にはあらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む)を含むと規定されている部分につきまして、先ほど飛ばしたところでございますけれども、すなわち社会的障壁の除去を怠ることによって、前項の規定に違反することとならないようということで、社会的障壁の除去を怠った場合には、前項の規定の違反になるということを裏側から規定をしているところでございます。
なお、合理的配慮等の文言そのものについてでございますが、日常生活、社会生活上のさまざまな場面で具体的にどのような対応が求められ、それを怠った場合に差別に当たるのかについては、今後差別禁止部会におきまして御議論いただく内容でございますので、その結論を待たずに内容を確定することはできません。したがいまして、内容が確定していない段階で条文化することはできないということでございます。ただ、今、御説明したように、条約の内容を忠実に法律の構造に沿って規定をしてございますので、合理的配慮という文言そのものが使えなくても、条約における合理的配慮の内容は改正案に盛り込んだと考えてございます。
次の国際的協調につきましては、特段変更点もございませんので、飛ばさせていただきます。
第6条、国及び地方公共団体の責務でございます。先ほど目的のところで申し上げましたけれども、今回、改正案では法の目的を障害の有無にかかわらず、すべての国民が共生する社会を実現するということで改めますので、障害者の福祉の増進という現行法の目的を包含するより高次の目的であることから、障害者に限定した意味合いの障害者の福祉の増進という文言は削除をいたしてございます。
なお、現行法にございます障害者の権利の擁護ですとか、障害者に対する差別の防止という記述に関しましては、今、見ていただきました第3条、第4条の基本原則として新たに規定してございますので、第4条を改めて第6条にする部分につきましては、削除されているということでございます。
第7条、第8条、国民の理解、国民の責務でございます。共生社会の実現、すなわち障害者も障害者でない者も等しく社会を構成する対等のパートナーであるという位置づけでございますので、国民が障害者について正しい理解を深めるとか、障害者の福祉の増進に協力をするという障害者を保護の客体ととらえたかのような記述は削除いたしてございます。
また、社会連帯の理念という文言もございましたが、社会を構成する各主体が互いに助け合おうという意味で使われている文言でございますし、今回の基本法の改正案の趣旨と合致するものではございますが、表現の仕方として、共生社会の実現という法目的に包含されてしまうということでございまして、条文上からは削除したということでございます。
第9条、障害者週間のところは、特段前回お示ししたところから内容の変更はございません。
第10条、施策の基本方針でございます。国にどのような責務がかかり、国にどのような政策対応が求められるのかに関しまして、前回の会議で御議論いただいたところでございますので、もう一度整理をいたします。
改正案におきましては、まず第2条の定義において、障害者の定義を社会モデルに改めた。それに基づきまして、第4条の差別の禁止において何人もということで、これは当然国、地方公共団体も含むわけでございますけれども、合理的配慮を含めて差別の禁止を規定する。そして、第6条におきましては、国、地方公共団体の責務という形で、これらの基本原則にのっとって共生社会の実現のために施策を実施するという責務が、国、地方公共団体に課せられているところでございます。
第10条につきましては、施策を実施する上での基本方針を掲げたところでございまして、当然、今、見ていただいたような条文を前提に施策の基本方針として必要なものが明記をされている。
具体的には1つ目として、施策を策定して実施する上で障害者の性別、年齢、障害の状態、生活の実態に応じてきめ細かく行うんだということ、施策がそれぞればらばらに実施されるのではなくて、有機的連携の下で総合的に行うんだというところが1つ目でございます。併せて、施策を策定し実施するに当たっては、当事者その他の関係者の意見を踏まえて行うべきということを2つ目に掲げたところでございます。
これらを定めまして、第10条に社会モデルを想起するような文言は入っていないわけでございますけれども、今、見ていただいたような構造の中で、当然定義から社会モデルに改めておりますので、第10条におきましても、社会モデルの考え方が反映された形の施策の実施が担保されているとお考えいただきたいと思います。
この部分で、推進会議で御議論いただきました大きな論点として、女性の問題がございます。何度かの会議にわたって御説明をいたしましたけれども、障害を有する女性が二重の困難にさらされているという問題意識で御議論いただきまして、事務局といたしましても、いろいろ検討したところでございますが、まず各則の医療、介護、雇用、教育、相談などの各分野におきましては、それぞれ必要に応じて性別についても明記をしたところでございます。これら各分野に吸収されない独自の施策というものが、現段階ではどうしても観念ができないということでございまして、条文を独立したものとして立てることができなかったということでございます。そのため、今、見ていただいた第10条でございますけれども、施策の基本方針の中で性別に応じてきめ細かく対応するんだということを明記することによりまして、この会議で御議論いただいた女性の問題につきましても、条文上は反映をしたと考えているところでございます。
11条以下につきましては、前回以降、特段変更はございません。読んで御理解いただけ内容だと思ってございます。
総則の部分に関する各条、または全体の構造に関する御説明は以上でございます。
○ 藤井議長代理 総則の第1条から第13条までに触れられて、11条以降は省略されましたけれども、説明がありました。
13時55分をめどに質疑をしてまいりますので、進行に協力を願います。
それでは、発言をしたい方はいかがでしょうか。たくさんいますね。森さんから始まって、関口さん、勝又さん、尾上さん、あとの方も順番でいきます。そういうことで発言の御準備を願います。
森さんからお願いします。
○ 森委員 ありがとうございます。
我々日本障害フォーラムといたしまして、本件の案につきまして、いろいろと検討いたしました。その結果は代表の小川榮一が出す予定でございますが、政策委員長の森がかわりに読ませていただきたいと思っております。
まず最初に、本題に入る前に、3月11日に発生した大地震と津波、それに伴う福島第一原発事故の問題が複合的に作用している東日本大震災は、障害者や関係者にも甚大な被害を与え、JDF構成団体一同、今回の大震災により多くの尊い命が奪われたことに心からお悔やみ申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
そういうことの前提の上で、3月14日に改正案が発表されたわけでございますが、この意見をまとめました。今日読んでいるところでございますが、3月14日付で内閣府より示された障害者基本法の改正案について、評価すべき点があるものとは認識しつつも、基本的には12月17日に障がい者制度改革推進会議(以下、推進会議)でとりまとめられた「障害者制度改革の推進のための第二次意見」の内容と大きな乖離があると言わざるを得ません。
JDFといたしましては、2008年以降、障害者権利条約の規定に基づいた障害者基本法の抜本的な改正を求めて活動してきました。推進会議においても、それを前提に精力的に議論してきたところであります。しかしながら、JDFを始めとする障害当事者、関係者の努力にもかかわらず、多くの課題が残されました。例えば前文が入っていないこと、基本原則において地域生活の権利規定がされず、可能な限りの選択の自由という限定的な文言が入っていること、合理的な配慮という文言の規定はされてはおりますが、差別や合理的配慮の定義が明記されていないこと、精神障害者の社会的入院の解消や医療の問題について規定がないこと、教育条項の内容、労働に関する条項の内容など、多くの問題を指摘せざるを得ません。
一方、手話の言語性が確認され、国際関係の条項、司法手続における配慮、勧告や応答義務を盛り込んだ推進体制の規定など、一定の評価ができる点があることも事実であります。
私たちは、障害者基本法改正案3月14日版における問題点や課題については、今後の国会における議論等によるさらなる改正を求めているものであります。JDFといたしまして、与野党を始め各省庁とあらゆる機会を通じて、個別の政策課題につきまして、継続して取組みを進める予定でございます。
以上でございます。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 森委員、今の文書は後で委員の方に配っていただけますか。
○ 森委員 はい。後で提出いたします。
○ 藤井議長代理 関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 総則の部分で、全国「精神病」者集団が昨日付で声明を出しておるんですけれども、第3条の2、すべて障害者は可能な限りどこでだれと生活するかについての云々かんぬんでございますけれども、この可能な限りというのは、日本国憲法の22条で保障されている、どこで、だれと住むかということです。勿論それはお財布と相談してということはあるんでございましょうけれども、これを制約することになるので、憲法違反ではないかと思っております。ここの可能な限りについては、他の者と平等にあるいは憲法の22条の条文をそのままもってきて、公共の福祉に反しない限りという形で整理していただかないと、これは明らかに障害者差別だと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 これは後で少しお答えいただきましょう。
続きまして、勝又委員、どうぞ。
○ 勝又委員 ありがとうございます。勝又です。
先ほどの施策の基本方針の第10条のところで、今回は障害のある女性については特記しないけれども、性別という表現を入れて、その問題についてはここに入れたという御説明をいただきました。障害を持つ女性の複合差別について、一言入らなかったことは非常に残念ではありますけれども、ここに性別が入ったということの意味合いをちゃんと確認しておきたいと思います。
また、今回、私は意見を出しました。委員提出資料の32ページです。そもそもは障害のある女性を新たに追加することについての提案をしておりますけれども、この中にございますように、障害のある女性を新たに追加することは、障害のある女性というのが生活の実態においてさまざまな役割を担っている事実があることを喚起するものでございます。
具体的には、33ページから広沢里枝子さんという方の文章を付けてございますけれども、障害のある女性が自ら家族を持って、育児、介護をしていく場面がございます。しかし、実際のところ、障害を持っている人は介助される、介護される対象としてしか扱われていません。障害者が家族を持って自ら親の役割を果たすということを前提にされておりません。ですから、女性の障害者が家族の一員として、他の者と平等な権利を獲得するためには、こういう役割への支援が重要であるということを強調しておきたいと思います。
今後、性別という言葉が入ったことが、具体的に障害者、障害を持つ女性にとって何が必要なのかという政策に反映されていくことを強く期待しております。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 尾上です。2点ございます。
まず1つは、第2条の定義に関係してなんですけれども、定義のところで、障害者ということで身体障害、知的障害、精神障害、その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある者を言うということで、先ほど齊藤企画官から御説明があったとおり、社会的障壁との相互作用が社会モデルということで、その考え方を取り入れたということですが、まれに社会的障壁との相互作用云々ではなくて、機能障害そのものでという御説明で相互作用という言葉をあえて入れなかったということなんですが、考え方として、言うまでもなく、これは障害者権利条約の社会モデルの考え方を取り入れたものと理解していいのかどうか。そのことが1点でございます。
したがってということになるんですけれども、第一次意見以降、推進会議でずっとまとめてきているのは、谷間のない総合的な制度、支援を必要とする人にちゃんと必要な支援が得られるような制度にしていこうというのが全体の共通認識だと思います。その点から、これは確認なんですけれども、身体障害、知的障害、精神障害、その他心身の機能の障害の中に、例えばこの間の議論でいいますと、発達障害や高次脳機能障害あるいは難病といったような方々も当然含まれるという理解でいいのかどうか。これが1つ目の質問でございます。
2つ目ですけれども、先ほど関口委員が御指摘されたこととも関係をしますけれども、第3条の2項で、すべて障害者は可能な限り、どこでだれと生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々の共生することを妨げられないとあります。例えば障害のない人であっても、自分が毎月払える家賃、資力といったことと相談しながら家を借りるわけです。御殿みたいなおうちに私自身は余り住みたいと思わないですけれども、住みたいと思っても自分が家賃を払える範囲で選んだりするわけです。つまり、そういう形で自ら選択をしているわけです。
今回、第1条で、先ほど言われたとおり、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有する主体ということで書かれるとすれば、可能な限りとわざわざここに入れるのは、障害者だけ特別な制限が課せられるかのような誤解があってはいけないと思います。そういう意味で、権利条約の中にたびたび出てきています他の者との平等、つまり障害のない人と平等にこういった選択の機会があるとされるべきではないか。
以上2点です。
○ 藤井議長代理 今のは多分3つあって、社会的障壁の相互性と同じような意味かどうかという権利条約の障害の概念との整合性が1つ、谷間のない障害ということを議論してきたんだけれども、この書きぶりの中で例えば発達障害、高次脳機能障害、難病が含まれますかという問題、関口委員との質問との関係してくるんですが、障害がゆえに可能な限りというのが入ってはよくない。その辺はどうかということで、関口委員との質問とも関係しますが、御質問がありました。
続いて、手が挙がっていたのは長瀬委員、中西委員、佐藤委員、門川委員ですね。長瀬委員、中西委員、佐藤委員、門川委員の順番でいきます。時間が大分きていますので、意見を述べる方は端的にお願いします。
○ 長瀬委員 東京大学の長瀬です。ありがとうございます。
私からは1つだけお伺いしたいと思います。第4条の差別の禁止のところで、先ほど企画官から再度御説明をいただいたのですが、特に4の2の社会的障壁の除去と合理的配慮というところについての御説明が私自身よく理解できない部分があります。今の言葉を読む限りでは、社会的障壁の除去と合理的配慮というのが本来の障害者の権利条約の文脈と違う形で入ってしまっているということが、非常に気がかりです。確かに差別禁止法に向けて、差別禁止部会でこれから合理的配慮の中身について検討していただくのは全くそのとおりだと思いますけれども、そうであるならば、なおさら今の段階では障害者の権利条約にのっとった形で、合理的配慮がないことが差別であるとストレートに、シンプルに規定をしておいた方がいいのではないかと思います。
後で報告の機会をお願いしたいと思いますが、ジュネーブでは国際的なモニタリングが障害者の権利委員会で始まっています。今の書き方というのは、言ってみれば社会的障壁の除去と合理的配慮を混ぜた新しい差別の禁止の定義になっているので、これは条約の実施のモニタリングに実際に取りかかったときに、今の書き方では説明が非常に難しいのではないかと思われますので、今の段階から本当にシンプルに条約にのっとった形で合理的配慮がないことが差別であるということを御検討いただけないかということをお願いしたいと思います。
もう一点は、女性の障害者のところについてお伺いしたいと思いましたが、これについては勝又委員から御発言がありましたので、私からは差し控えたいと思います。
ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 中西委員、どうぞ。
○ 中西委員 中西由紀子です。
先ほどから勝又さん、長瀬さん等で出てきている女性障害者の問題がまず1点です。これは性別という形で入れてはいただいているんですけれども、やはり今のままでいくと、障害のある女性が地域で当たり前のように暮らしていけるような、女性に特化したような、当事者のニーズに合わせたようなサービス、生活につながる概念がここでは打ち出されていないということをすごく残念に思いました。
2点目は、先ほどの長瀬委員と同じように合理的配慮に関する質問なんですが、ここにわざわざ合理的なの「な」を入れているのは、何か意味があるのかと勘ぐらざるを得ないような気がしまして、合理的配慮というのが権利条約で言われている合理的配慮とすんなり受け止めていいものかどうか疑問に思いましたので、明確にしていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 次に佐藤委員、お願いします。
○ 佐藤委員 ありがとうございます。日本社会事業大学の佐藤久夫です。
第3条で、既に何人かの方が質問されていることに関連するんですけれども、可能な限りどこで生活するかの選択の機会が確保されるという提案なんですが、基本法が障害者に何を保障するものなのかということをお聞きしたいわけです。この改正案で施設や精神科病院に希望しないで入っている人たち、地域で介護や医療の保障が提供されれば地域で暮らすことができる人が、地域の支援がないために施設、病院の中に長期にわたって入所を余儀なくされている場合、この条文に基づいて出ていくことを主張することができるのかどうなのか。希望しているにもかかわらず、条件が用意されないために長い間ずっと施設、病院の中にいなければいけないという自分の状態がこの法律に違反している。法律の中では可能な限りどこで生活するかの選択の機会が確保されると書いてあるではないか、法律違反ではないかと訴えたときに、確かにあなたの状態は第3条の2項違反ですと言えるものなのか。それとも障害者基本法というのは、障害者に何かを保障するものではありません。基本的な方向を示して、国や自治体がそちらの方向でどう努力するかを書いたものであるので、個々の障害者がこれを理由にして権利を主張することはできませんという性格のものなのか。そうであると、せっかく権利条約との整合性が持てる基本法の改正の議論をしている意味が半減するのではないかと思います。今までの基本法がそういうものであったとしても、権利条約の批准のとともに性格を変えるということが必要なのではないかというのが1点です。
もう一点は、第2条の定義なんですけれども、障害は心身の機能の障害だという説明をしているわけで、これはインペアメントとディスアビリティの違いを明確にして、インペアメントと環境の障壁が相互作用を起こしてディスアビリティ、障害を発生させる。そういう権利条約の障害の概念と全然違うものになるわけで、あと2~3年後には権利条約の批准を予定しているわけで、これと全く矛盾するようなものを基本法の中で書いていいのかどうなのか。前からも指摘をさせていただいていることですけれども、障害の社会モデルというのは2つあって、1つは障害が機能障害なのか社会生活上の問題なのかという観点、それから、障壁との相互作用という観点の2つだろうと思います。障害を機能障害と見る医学モデルそのものをここで打ち出して、全体の構造がどうなるのか。障害の理解を改めることが今度の基本法改正、権利条約の批准でも非常に大きいわけで、そのときに概念的な混乱を残したものをここで規定することはいかがなものかということが1つ、継続的または断続的にという言葉を入れることによって、どんな困難な問題が起こるのか、多くの人が要求しているそのことをなぜ入れられないのかということが2点目、今度の自然災害などに見られるように、社会的障壁だけではなくて、自然環境の障壁についても全体を見なければいけないのではないかと思うわけですけれども、勿論社会障壁が一番大事だということはわかるんですが、もっと障壁の概念を広げるべきではないかということです。
ちょっと長くなって失礼しました。
○ 藤井議長代理 佐藤さんの2点目の定義の中で、例えばその他の心身機能の障害をその他の機能障害とする、そこはそんな感じのことを主張されているんですか。心身を取ればということですか。
○ 佐藤委員 そうです。括弧の中で、これら身体障害、知的障害、精神障害、その他の心身の機能の障害を障害と総称するということで、障害の定義を与えているわけで、括弧を取るということが当面の対応策だと思います。
○ 藤井議長代理 そういう主張ですね。
○ 佐藤委員 障害の定義を基本法は設けない。本来障害というのは、機能障害と社会的な不利益まで含めたいろんなものがあるんだという定義を本当はしていただきたいんですけれども、その議論の時間がないと思いますので、それであれば障害の定義をなしにするというのが当面の次善の策だと思います。
○ 藤井議長代理 それから、今のお話は自然災害等は社会的障壁とは別だという考え方ですね。
○ 佐藤委員 人災と天災の絡みはいろんな複雑な問題があるにしても、自然環境にも配慮して、うまく社会参加できるようにすることが必要なので、環境の障壁を社会的環境だけに限定する必要はないだろう。権利条約との整合性からいってもそうだろうと思います。
○ 藤井議長代理 また後でお答えいただきましょう。
門川委員、どうぞ。
○ 門川委員 門川です。ありがとうございます。私から3点ございます。
まず1点目は、もう既に何人かの方から出されていますが、第3条の件です。第3条の2項だけではなくて3項もです。可能な限りという文言についてなんですが、これは制約をかけてしまっているかと思います。3項の文については情報について言われていますが、特に聴覚に障害があったり、視覚に障害があったりするような障害者にとっては、情報を提供してもらうことが当然のことであって、可能な限りといった制約は付けてほしくないと思うので、これは入れてほしくない文言です。
2点目です。言語の部分なんですが、言語(手話を含む)となっていますが、言語については、盲ろう者協会から要望していますが、障害者権利条約にもあるように、言語とは手話、音声、非音声の3つが規定されていますから、できれば手話に加えて非音声等と入れてほしいところです。これが難しいのであれば、手話等の「等」を入れていただきたいと思います。
3点目として、これは質問です。前回の2月14日に出されていた改正案では、障害児支援という条文がありましたが、今回の改正案にはそれがありません。また、これも何人かの方から出されていますが、女性についての規定がありません。ですが、第二次意見がもう閣議決定されているわけで、第二次意見の中には障害のある女性、子どもについても具体的に記述があるわけで、基本法の改正にも子どもであるとか、女性であるものも当然入るべきではないかと思うのですが、削除されているのはどうしてでしょうか。
以上です。
○ 藤井議長代理 あと1人だけ、北野委員を受けて終わります。簡単にお願いします。
○ 北野委員 幾つか言いたいことがあります。2月14日に前の会議がありまして、2月14日の第一次バージョンが出てきてから、我々はあのときにいろいろ意見を言わせていただいて、どう変わったのかと思っていたら、2月14日のバージョンよりもバージョンアップしているというよりは、表現のレベルが下がっているという気がしています。
ですから、あのときに議論したことの中身の中で、変更されたことについて幾つかお聞きしたいことがあります。勿論これまでも「可能な限り」についての議論もしましたし、これについては表現が変わっておりませんけれども、第3条の2の可能な限りというのは、どなたが可能な限りかということを判断されるのか、ここの1点で私は非常に疑義がある。どなたが可能な限りというのを御判断されるのかということです。ほかの国の法律でもこの表現が入る場合は、どなたが判断されるかによって大きな問題になりますので、この表現は非常に危ない表現だといいますか、解釈上非常に困難を生む表現なので、取られた方がいいのではないかと思います。
それから、その表現の中で、2月14日には、地域社会において他の人々と共生することができるという表現であったはずです。それが妨げられないという表現に変えられた理由を聞かせていただきたいです。共生できるという表現の場合は、当然共生できるようにするための支援サービスの主体が国、自治体でありますから、当然国、自治体の義務規定と読めるんですけれども、妨げられないという表現に変えられてしまいますと、支援サービスの義務規定が不明確になってしまうと思いますので、これは非常にまずいのではないかと思っています。
変えられた中でもう一つ大きな問題があります。それは第6条です。第6条は2月14日のバージョンでは、第3条に定める基本原則ではなくて、第3条から第5条までに定める基本原則と書いてあったと思います。つまり、差別の禁止というものが明確に基本原則であるとうたわれておったのに、今回は基本原則から外されてしまっている。一体これはなぜなのかということについて御説明していただけたらと思います。
最後は第10条なんですが、第10条もよろしいんですか。第10条は今の範囲内ですか。第10条の中で、あのときも議論したと思うんですけれども、障害者その他の関係者の意見を聞きというのは、これまでのどの委員会でも障害者とその他の関係者の意見を聞いておるわけでありますから、今回は特に障害当事者の意見を尊重するということでありますので、これは障害当事者の意見を聞き尊重しなければならないという表現に変えられるべきである。是非とも今回そうしていただけたらと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 私の方で冒頭に言えばよかったんですが、今日の議事の進め方ですが、既に説明がありましたように、去る3月11日の障がい者制度改革推進本部で一部法案は承認されています。したがって、手続上は閣議決定のみとなっているわけで、今からこのことを変えることは現実的に難しい。今日の討論、審議は何かというと、言わば解釈をきちんと確認する。今後国会に上程されて、そこでまた調整が入ってくるということにおいては、勿論推進会議を離れて、いろいろなロビー活動を含めて展開していくということで、今日は主には解釈をきちんと求める。ここに主眼を置いて議事を進行してまいりますので、その点はあしからず了解いただきたいと思っています。
どうぞ。
○ 竹下委員 竹下です。遅れてきて済みません。ごく短く言います。
今の3条の2項と3項ですけれども、端的には解釈論として、だれが可能な限りと判断するかという指摘もあったんですが、もっと重要なのは、2項の地域における生活選択権と3項の意思疎通の選択権が認められているのか、認められていないのか。可能な限りという言葉の意味が私自身は法律家として理解できないんですが、少なくとも障害者に地域での生活の選択権、意思疎通の選択権が2項、3項では認められているのか、いないのかということについての解釈を明確にしていただきたいというのが1点目です。
2点目の4条の2項の必要かつ合理的な配慮という表現と、権利条約2条とは解釈上どこが違うのかということを明確にしてほしいというということです。
この2点です。以上です。
○ 藤井議長代理 一部重複していますが、お答えいただきましょう。
新谷さん、済みませんでした。どうぞ。
○ 新谷委員 時間がないところ済みません。
補足なんですけれども、可能な限りの論点です。総則で可能な限りという被せがどうして必要なのかということをもう少し説明いただきたいと思います。普通、一般条項というのは対立する利益があって、それを比較考慮して調整しないといけないために総則の方に一般条項を置くんだと思います。各則の中にもいっぱい可能な限りと載っているわけです。だから、財源制約とかいろんな具体的な問題があって、そういう問題の調整のために可能な限りという文言が残るというのはある程度わかります。だけれども、一般条項を総則で被せてしまって、すべてに関わるような可能な限りという書き方を基本法でされてしまうと、すべての権利は可能な限りです。それから、だれが判断するのか問題でしょうけれども、まず可能な限りという制約がいつでも持ち出せる。コミュニケーションの問題はいろんな根本的な自由意見に係る問題、共生する権利とかそういうものについて、可能な限りと一般条項を被せて一体何をねらうのかということです。一般条項で被せても得るものはないのではないか。具体的な財源制約の問題は個別事項の中で話し合えばいいわけですから、これをあえて残す必要はないと思います。これを今更変えると大変な議論になるのかもわかりませんし、藤井さんが終わりとおっしゃるんだったら、国会審議の中でこの文言をどうするか検討いただきたいと思いますけれども、解釈としては、やはり一般条項をこういうところに持ち出すのは非常に意図的な感じがして仕方ないです。
○ 藤井議長代理 以上、幾つも大事な部分が重なっての質問もありましたが、解釈をここできちんと伺うということを中心に、齊藤企画官から今のところの答弁をお願いいたします。
○ 齊藤企画官 できるだけ簡潔に網羅的に答えさせていただきたいと思います。
まず、今、御指摘いただきました可能な限り、第3条の各号の規定でございます。そもそも先ほど御説明したとおり、第3条から第5条までの3つの条を基本原則と位置づけてございます。これは国、地方公共団体だけではなくて、国民、それは個人も含みますし、事業種、そういったものもすべて含む。そういったそれぞれの主体に対するすべてに係る基本原則でございます。例えば国民でいけば、第7条、第8条で国民の理解、国民の責務ということで基本原則にのっとって共生社会の実現に寄与するよう努めるんだと書いてある。こういう構造になってございます。
そういうことで、今の議論の中で、だれが判断をするのかということもおっしゃっていただいたと思いますけれども、これはそれぞれの主体ごとにそれぞれ判断をするということだと思います。ただ、最初の方の質問でありましたように、適応ということではなくて、まさにそれぞれの主体がそれぞれの立場で共生社会の実現のために行動をする。国民であれば寄与するし、国であれば施策をする。そういった際に旨とすべき原則の内容として規定してございまして、要は直接これを基に請求をするとか、そういう趣旨の条文ではないということでございます。
第3条の2項、3項も可能な限りと入っているわけですけれども、法案化作業の中で考えましたことは、まず第2項につきましては、極めてレアなケースとまではいかないのかもしれませんが、障害の程度、重度によっては必要な設備がしっかりと整った施設で医療ケアを受けなければならないというケースも想定されるところでございますし、第3項であれば、特に一般私人まで含めて国民ということを考えますと、意思疎通の手段の選択の機会を確保するということが必ずしもすべてのケースで可能ではないということを考えているところでございまして、それぞれどうしても可能な限りという文言は必要だと判断をさせていただいたところでございます。
それから、女性のところは、先ほど勝又委員から御指摘をいただいたとおりでございまして、今回、性別という形ではございますけれども、そういった視点をしっかりと基本法に盛り込んだということで、今後、政策委員会などで実際にどういう二重の差別という状況があり、それに対してどういった施策が必要なのか、更にそういった議論の場を通じて政策的な対応を求めていく規定だと考えてございます。
女性と併せて子どもの話も御指摘をいただきましたけれども、これに関しましても、年齢ということで、その視点は既に総則に盛り込んでいるところでございます。そういった条文を根拠に子どもの置かれている状況、または必要な政策について更に御議論をいただくということをお願いしたいと思います。
合理的配慮に関して、何人かの委員の方から御質問をいただきました。もう一度説明をいたしますが、私どもとしては、条約の合理的配慮の内容はしっかりと規定で表現ができていると考えてございます。ただ、我々の直面した問題は、合理的配慮というものを新たな概念として法体系に位置づけようとすると、その内容についてしっかりと確定をさせなければいけない。ただ、確定をさせるというのは、まさにこれからの作業ということもあり、新たな概念をこの段階で法律上明記をすることはできなかったということでございますが、我々も条約における定義の立て方、差別の中身として合理的配慮の否定を含むという規定を参照いたしまして、それを差別の禁止また社会的障壁の除去、それを怠ると前項の規定に規範する、つまり差別に当たるという立て方で条約と同じ内容を条文上盛り込んだつもりでございます。そういうことで、合理的配慮の内容に関しましては、しっかりと法律で位置づけだと考えてございます。
それから、定義のところでございます。社会モデルというものをしっかりと規定をしてございます。レアなケースかもしれませんが、相互作用と書いた場合に除かれてしまうような心身機能の障害というものがあるんだとすると、そういう規定では逆に先ほど問題提起いただいた谷間とかそういった問題が生じると考えてございます。要は基本を社会モデルで相互作用を念頭に置きつつも、相互作用2つがセットにならないと適応できないと書くのではなくて、及びでつないで、レアなケースかもしれませんが、前者のみの場合にもしっかりとこの法律の障害者に位置づけられるように配慮したということでございまして、社会モデルをしっかりと取り入れた規定ぶりになってございます。そういったことから、先ほど例示として、発達障害、難病その他御指摘をいただきましたが、そういったこともすべて含んで障害者ときちんと規定ができていると考えてございます。
社会的障壁の範囲です。自然災害の話もさせてございましたけれども、自然そのものに関しましても、内容的には社会における事物に含まれるのかもれませんが、正直申し上げて、自然災害そのものまたは自然環境そのものをすべて除去するわけにはいきませんので、そこは恐らくすべては入らないだろうと考えますが、他方でそういった自然に起因するものであったとしても、人的に除去ができ、かつ除去が必要な障害のある者にとって日常生活、社会生活を営む上で障壁となり、除去が可能でかつ除去すべき主体が要る場合には、それは当然含み得る表現になってございまして、社会におけるということを社会的障壁と書いたものでございます。
北野委員から、前回から若干トーンダウンしている部分があるのではないかという御指摘をいただいているところでございます。
1つ目の第3条の第2項、共生することを妨げられない、できるという表現から変わっているところでございます。実は第1条も同じ変更をしてございまして、当初、共生することができると書いてありました。ただ、その後、法制上の意味などを議論した結果、共生することができる、可能という概念がここに入るのだろうか。先ほど申し上げたように基本原則そのものというのは、政策的に実現すべき斬新的なゴールではなくて、もう少し普遍的な価値として規定をしようと整理をし、計画的などの文言も削除したということで、そもそも共生できる、できないということではなくて、共生するという状態を指す概念として、今回の法律上再度整理をいたしました。その結果、共生することができるという表現そのものが意味をなさずに、当然共生をするんだけれども、他者からそれを妨げることがあってはならないという意味で、共生することを妨げられないと書き直したところでございます。
併せて第6条に関しても御指摘をいただきまして、前回は差別の禁止も含めていたけれども、今回は除かれているのではないかということでございますが、今回の第6条では前の3条に定める基本原則ということで、3、4、5の3つの条を含めて基本原則と規定してございまして、そういった趣旨ではございませんので、念のため申し上げます。
それから、障害者の意見を聞くというところも御指摘をいただきましたが、障害者その他の関係者ということで、当然障害者を含んで他にもいろいろな方の意見を聞くということを通常の法令上の用例に基づいて書いてあるところでございます。当然例示をされている障害者を念頭に置きつつ広く意見を聞くという意味でございまして、後ろの部分があるからといって弱められているという趣旨ではございませんので、御了解いただきたいと思います。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 今の中で、第3条2項の選択権の行使はできるんだろうか。イエス、ノーでいいんですが、これはできるということで齊藤企画官よろしいんですか。
○ 齊藤企画官 もう一度申し上げますが、選択権という、恐らく権という場合には国、公に対する請求権という御趣旨だと思いますけれども、要はこの部分は国だけではなくて、国、地方公共団体、国民一般すべてを含めた基本原則という形で、それぞれの局面においてそれぞれの主体がこの条文に基づいて、こういったことを旨として共生社会の実現に寄与しろということでございます。それを基に選択権を保障しろという権利を主張することは想定してございません。
もう一つ、答弁漏れがございました。手話のところでございます。門川委員から御指摘いただいたところでございますが、当然、条約の中に非音声言語と書かれているのは認識しておりますけれども、障害者基本法で言語の定義を新たにするということは基本法の枠を大きく超える問題でございまして、そこまで踏み込むことは今回の改正案では難しい。そういった中で、先ほどの最初の説明でも申し上げましたが、この推進会議の御議論を踏まえまして、手話が含まれるということを入念的に明示した。しかしながら、それをもってその他の非音声言語に関して排除されるという趣旨では決してございませんので、その部分は権利条約における言語というものを今回の条文の中で不足なく位置づけた上で、表現はこうなっているということを御理解いただきたいと思います。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 時間が大分オーバーしていますので、どうしてもという方はいらっしゃいますか。竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 竹下です。
齊藤さんの言っていることは、日本語として理解できないです。3条の2項を見てください。主語は「障害者は」です。国民はという主語ではありません。3条2項では、すべての障害者は可能な限り選択の機会が確保されているんです。国民のところは、7条、8条に国民の責務としてあるわけです。だから、完全に質問に対する答えのすり替えです。
しかも、今の齊藤さんのお答えによると、障害者にはどの地域で暮らすかという選択権はないとおっしゃった。そうであればその規定は憲法22条違反になるのではないんですか。憲法22条よりも後退した内容を障害者基本法が権利条約にのっとって改正した、そんなばかげた体系があり得るんですか。解釈として全く理解できません。
私の質問は、3条の2項のすべての障害者はという主語の規定の書きぶりからして、選択権があるということを規定したものではないのかという質問です。
○ 藤井議長代理 これは大事なことなので、齊藤企画官、もう一度お願いします。
○ 関口委員 要するに憲法22条違反ではないのかどうか、なぜ違反ではないのかちゃんと答えてください。説明してください。
○ 藤井議長代理 それでは、齊藤企画官お願いできますか。
○ 齊藤企画官 この条文の構造上の主語の議論と、共生社会を実現する上でのそれぞれの主体の議論の説明がごちゃごちゃになってしまったようでございます。申し訳ありません。
○ 竹下委員 ちゃんと日本語として主語が明確に書いてあります。
○ 藤井議長代理 齊藤さん、どうぞ。
○ 齊藤企画官 文章の主語は障害者はと書いてございます。まさに障害者は2項であれば、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないという文章でございます。要はすべて障害者が妨げられないということを旨として、共生社会の実現を図るというのが第3条に書かれている内容でございます。それは共生社会の実現を図る主体はだれなのか。そこが単に国、地方公共団体だけではなくて、国民一般まで広く含めた法律になっていると御説明をいたしたところでございます。
憲法に違反しているのではないかということですが、全くそういう趣旨ではございません。そもそも第3条の柱書きで、すべての障害者が障害者でない者と等しく基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、以下の事項を旨としてという大前提は柱書きに述べてあるとおりでございます。先ほど関口委員からおっしゃっていただいたとおり、憲法の権利、人権の中にもいろいろな制約がございます。そういった一般の制約が係るのは当然のことでございますが、それ以上に何か制限をしているものではない。
ただ、第2項、第3項で書いてあることは、それぞれ先ほど申し上げましたように、第2項であれば選択の機会を確保されるというところに関して、そもそも選択肢がない状況があるのではないかという懸念から可能な限りということを書いてございまして、極めて高度な医療的ケアが必要な場合、そういった施設が整った施設でなければ生活が困難ではないか。第3項であれば、意思疎通の手段の選択の機会を確保するというのは、当然ある程度の社会的存在であればできるとしても、それを一個人にまで拡大する場合、必ずしもそれは対応が不能な場合があるのではないか。そういったことから可能な限りという文言はそれぞれ必要ではないかと判断したところでございます。
○ 藤井議長代理 北野委員、尾上委員、どうぞ。
○ 北野委員 齊藤さんの説明の中で一番私が気になっているのは、今、高度な医療の方がいらっしゃった場合はという例を出しておられるから困っているんです。今回、権利条約の批准で一番大きな問題は、第19条で地域で生活する権利というものをすべての障害を持っている方に提供する、これが根本なんです。これが少しでも揺るぐような、つまりこんな方の場合は無理ではないか、だから、除くんだという表現をされてしまったら、今回法律改正なりをする意味が全くなくなってしまうんです。ですから、こんな方の場合は無理ではないかということを絶対に認めてはいけない。そういう表現をされてしまうと、ここはどうしても譲れないと思います。
○ 藤井議長代理 尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 同様なんですが、総合福祉部会の資料とかそういったものも是非ごらんをいただきたいし、現場なども見ていただきたいと思います。いわゆる医療的ケアが必要な重度の障害のあるお子さんや障害のある者が地域で暮らしている実践はあります。そういったことを含めてあるからこそ、そういったことの制約要因に使われることのないように、可能な限りというのは誤解のないようにしたいということで確認答弁を私たちは求めてきたつもりなんですが、今の説明だと、かえってやはりそんなふうに思われているのかと不安になってしまいます。
そうではなくて、最初に申しましたけれども、障害のない人でも自分の資力やいろいろな状況の中で、その範囲で判断をして選択をしているわけです。つまり医療的ケアが必要な人はどうのこうのというのではなくて、むしろ他の者と平等な地域での生活の選択があるんだ。そういう意味でこの条文がある、あるいはそういうふうに第3条の柱書きの中にある尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する、その中には地域生活ということが当然含まれるんだと私たちは読みたいわけです。ところが、今のような説明が続くと読めなくなってしまうということで、こういう人が云々という議論はやめていただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 門川さん、どうぞ。時間がなくなってきていますから、端的にお願いします。
○ 門川委員 門川です。端的に言います。
可能な限りの3条の3項についても同様に、今のことで言えば、東日本大震災のことで情報提供がされていますが、今は手話や字幕が付くようになりました。このように可能な限りではなくて、当然情報を保障するということで、可能な限りというのは取ってしまっていただきたい。
もう一点、齊藤さんにお願いですが、言語(手話を含む)というのは、言語イコール手話と読めてしまうので、手話等というように「等」を付けていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 齊藤さん、更にいかがですか。時間も余りないんですが、いかがでしょうか。
○ 齊藤企画官 今、尾上委員からおっしゃったこともまさしくそのとおりだとは思います。私が御説明したのは私の個人的な見解というよりは、政府で法案を議論する中で示された懸念などを踏まえて、どういう意味でこの条文のそれぞれの表現を決めたかという御説明でございます。こういうふうに説明してほしいという御指摘はごもっともなことかと思いますけれども、そうですとこの場で私が決めるのはなかなか難しいかと思います。
それから、門川委員から第3項の部分もおっしゃっていただきましたけれども、今まさに御指摘いただいたように、今回の震災の関係で意思疎通の確保について徐々に対応が広がっている。そういう中でも、個々の現場すべてにおいて必要な情報の意思疎通の手段の選択の機会を確保するというのは、すべての主体に求めるのはなかなか難しいという状況を想定して、どうしても可能な限りが必要ではないかと考えているところでございます。
「(手話を含む)」で、言語イコール手話のように見えてしまうのではないかということでございますが、先ほど来申し上げていますように、言語というものがそもそもこの規定の内容でございます。ただ、そこに本推進会議における議論を踏まえまして、入念的に手話がこの条文上に含まれるんだということを明示したところでございまして、あたかも言語は手話だけなんだということで読まれる必要はないと考えてございます。
○ 藤井議長代理 まだあると思うんですが、今日の議論というのは、閣議決定が近いということがあって、ここで更に内容を変えるということは非常に困難である。したがって、解釈をここで可能な限り聞き出す。そのことを基にして今後推進会議の手を離れて、国会上程後、また働きかけをしていくときの参考意見にしかならないと思います。これはこの後、第2コーナー以降もそうだと思います。
時間も大分超過していますので、ここで休憩に入ります。手が挙がっているのはわかります。しかし、質問があったら、次のコーナーでまた話してください。
○ 長瀬委員 済みません。議事についてよろしいですか。
○ 藤井議長代理 議事進行ですね。
○ 長瀬委員 はい。
○ 藤井議長代理 どうぞ。
○ 長瀬委員 済みません。長瀬です。
3月15日付の閣議決定、第二次意見は、住宅と文化・スポーツについてなされていますけれども、この後の基本的施策を議論する際に、今日その配付があった方がいいと思いますので、もし可能であれば、休憩中に3月15日の閣議決定、第二次意見の部分の配付をお願いしたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 事務局の方で努力をお願いいたします。
第1コーナーは随分オーバーしましたが、今から15分間ですから、2時50分まで休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、休憩を終わりまして、再開しますが、よろしいですか。始めます。
予定が大分ずれ込んだのと、政務官がここにいらっしゃる時間との関係で少し議事を入れ替えます。第3コーナーの前半に切り替えた災害に関するところを、第2コーナーのトップでやります。基本的施策の前半部門を第2コーナーの後半で行います。時間としては、震災関係が25分、基本的施策の前半部分が15時45分までの約30分間、休憩を挟んで16時から基本的施策の後半部分と推進体制になっていきます。
なお、土本委員が飛行機の関係で、どうしても今日は5時定刻に出ると聞いています。したがって、途中の状況を見計らいますけれども、第二次報告のわかりやすい作業チーム、これは簡単な報告らしいんですが、途中で挟むかもわかりません。進行のあんばいを見ていきながら、判断をさせていただきます。
それでは、震災関係のところの話に入りますが、冒頭に東室長からお話をお願いします。
○ 東室長 東です。
災害を含む緊急時の障害者の問題について、先ほども御意見の中に出ていたと思いますけれども、これは政府の仮訳ですが、権利条約の第11条は、危険な状況及び人道上の緊急事態という表題の下に、締約国は国際法(国際人道法及び国際人権を含む)に基づく自国の義務に従い、危険な状況(武力紛争、人道上の緊急事態及び自然災害の発生を含む)において障害者の保護及び安全を確保するためのすべての必要な措置を取ると書いてございます。推進会議は権利条約の批准を大きな課題としておりますので、推進会議が始まってからこのことについての正面から議論しなければならなかったところであります。しかしながら、議論できた部分は災害時、緊急時における情報保障がメインでした。勿論委員さんの御意見の中には、それにとどまらない御意見もありましたけれども、第一次意見もしくはそれに基づく閣議決定、第二次意見、すべてコミュニケーションの保障という点に焦点を合わせて議論してまいりました。しかしながら、改めてこの大震災を目の前にして、この問題についてもきちっと議論すべきではないかと担当室としては考えております。
ただ、今回の基本法の改正につきましては、推進会議の議論を受けて、政府としてはそれを尊重しながら改正していくというシステムをとっている関係上、今度の基本法にきちっとしたものを盛り込むというのは手続的には非常に難しい状況にもあると思っています。ですので、基本的にはこの部分は推進会議で今後とも協力して議論して、その上で反映させていくのが筋だと思っております。
私も被災地に何度か個人的にまたは公的に出向きまして、いろいろと情報を集めようと努力しましたけれども、一定の部分はある程度わかるけれども、特に在宅関係、サービスに結び付かない在宅で生活している障害者の状況については、極端に言えば全くわからないような状況も一面であるわけです。そういう事実関係がわからない中で、それをベースにして議論しても、きちっとした議論はできないのではないかということもあります。ですので、本来的にきちっと議論するためには、被害の実態並びにその被害によってどういう困難を障害者が負うのか。そういう点が明らかなにった上で、対策としてどういうものが必要なのか。そういう事実と事実に基づく必要な対策をこの推進会議でやった上で議論していきたいと思っている次第です。ただ、やはり緊急的に必要なこともあるでしょうし、一定程度この推進会議で頭出しみたいなものになるかもしれませんが、議論していただきたいということで、短い時間ではありますが、よろしくお願いしたいと思っている次第です。
以上です。
○ 藤井議長代理 この件で御発言を求める方はいますか。森委員、久松さん、尾上さんという順番でまいりますので、森委員からお願いします。
○ 森委員 ありがとうございます。
全般に基本法の問題につきまして、JDFの意見を言わせていただきます。我々の方では、災害につきましても2点まとめてありますので、是非お願いしたいと思います。また、小川代表ではなくて、私から読ませていただきたいと思っております。
第1点は障害者基本法に関してでございます。障害者権利条約第11条の危険な状況並びに人道上の緊急事態に基づき、障害者基本法において、<1>障害者の被害に実態の検証、<2>検証から見えてきた障害者が必要とする支援体制の確立、<3>復興において障害者権利条約の理念に基づき、障害当事者の参画の下でのインクルーシブ社会の新生などに関する緊急事態における障害者の保護と安全の確保に関することにつきまして、国会でも審議を求める者であります。
提案理由でございますけれども、JDFは、災害直後より各構成団体での障害者救援活動が取り組まれるとともに、それらをネットワークする形でJDF被災障害者総合支援本部を設置いたしました。そして、地元団体と連携して被災地の障害者支援活動に現在取り組んでいるところであります。
災害等緊急事態において、緊急に求められる被災者の救済や新たな社会づくりに向けた取組みについては、人の生命に関わる重大な検討課題であるにもかかわらず、この間の推進会議等の議論の中で、先ほども室長からお話がありましたとおり、議論がなされなかったのは事実であります。このことにつきましては、反省するとともに、この現状にかんがみ、障害関連法の中核法たる障害者基本法において、緊急事態における障害者の安全と支援等についての規定がなされるよう、今後の国会でも検討していただきたいということでございます。
第2番目でございますが、災害復興の検討に際しまして、障害当事者の参画をということでございます。現在、政府が進めている復興構想会議のメンバーには障害当事者は勿論、障害福祉に造詣の深い関係者等も見られないことにも懸念を抱かざるを得ません。当事者の声を抜きにして、障害あるなしにかかわらず平等でインクルーシブな社会の構築という障害者権利条約の理念がゆがめられる形であってはなりません。現在、進められている障害者制度改革(障がい者制度改革推進本部/菅直人内閣総理大臣)は、障害当事者参画を基本に進められております。これを踏まえまして、復興構想会議の構成メンバー等に障害当事者を参加させるべきではないかと考えております。
以上をお願い申し上げたと思います。
なお、本件につきましても、後日、文章を提出したいと思っております。よろしくお願いいたします。
○ 藤井議長代理 久松委員、どうぞ。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。発言の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。3点説明させていただきたいと思います。
今回、私どもろうあ連盟では、また手話通訳の活動をしている団体などの協力を得まして、聴覚障害関係の団体で構成する救援中央本部を立ち上げました。岩手、福島、宮城への支援に取り組んでおります。JDFでも初めて被災障害者総合支援本部を立ち上げました。これは障害団体が障害種別の枠を超えて、ともに初めて立ち上げた組織です。現在、宮城と福島に立ち上げました。
今回の支援センターの効果は何かといいますと、それぞれの障害団体の立場、活動する状況等情報の共有が図られたということ、お互いにどのようなことで困っているのか、どのような支援が必要なのかということ、そういった情報を共有して効果的な支援体制をつくるということが非常に大事であると思いました。
私ども聴覚障害者としましても、中度失聴者ですとか難聴者、さまざまな個々のニーズがあります。それぞれのニーズに則して個別の支援体制を構築しなければならない。その支援体制をつくるために中央本部をつくり、また地域本部をつくり、お互いに連携作業をしないと効果的な支援は行えないということ、行政が関与した支援体制をつくっていくこと、国として積極的な支援をしなければならないのではないかということ、そしてこの役割は内閣府が担うべきではないか、また、支援体制、障害者団体と当事者団体との関係をつくり、総合的なネットワークをつくる、これは国が積極的に支援していくべきだと思っています。
2点目、今回私たちが聞こえない人で被害を受けた人を救援していく中で、非常に困っていることは何かを調べたところ、やはり個人情報保護というものが壁になっていました。私たちろうあ団体は会員の範囲であれば個人情報を持っており、それぞれの会員の安否確認、またその状況に応じて個別の支援をすることはできました。しかし、会員に入っておられない方々についての安否確認は非常に困難を極めました。これは行政に障害者に関する情報を求めましても、個人情報保護法が壁になり情報をいただけなかったという状況がございました。その結果、安否確認ができませんでした。障害個々人の安否確認が非常に困難でした。したがいまして、その後の救援ができなかったということです。すべての障害者に関しても支援ができる体制がつくれないという状況にありました。個人情報保護について、災害時には特例的な配慮、扱いができないかということをお願いしたいと思います。
また、情報保障の取組みですけれども、震災以降、記者会見の場で初めて手話通訳を付けていただきました。これは非常にありがたいことでしたけれども、実際に記者会見が行われて、生放送では勿論手話通訳は付いているのですが、これがニュースになったときに手話通訳が見えない状況なんです。字幕もなかった。後日やっと字幕が付くようにはなりましたけれども、手話通訳はその後も映りませんでした。首相とか官房長官が記者会見を行っているときに、手話通訳が必ずついています。ただ、離れた場所で通訳を行っているために、ニュース映像になりますと、手話通訳がせっかくその場にいるにもかかわらず、全く映像には見えないということになってしまいました。これでは通訳を配置した効果が薄れてしまいます。映像を見ても、ニュースを見ても、必ず手話通訳がわかるように配慮をしていただきたい。字幕につきましても、すべてには付いてはいませんでした。手話と字幕は非常に重要な情報手段ですので、今後はすべてに付けていただくことを是非お願いしたいと思っています。
以上です。
○ 藤井議長代理 尾上さん、どうぞ。
○ 尾上委員 尾上です。
先ほど久松さんからありましたとおり、日本障害フォーラム、JDFではそれぞれの障害者団体の救援活動をネットワークする形で総合支援本部というものを立ち上げ、福島や宮城等にセンターをつくって一緒になって支援をしてきました。先日、蓮舫大臣に福島のJDFのセンターに来訪いただいて、地元の実際に被災をされた方々、あるいはその支援に当たっておられる方々からの十数項目に及ぶ要望を受け取っていただきました。どうもありがとうございました。
そういった活動の中で、やはり改めて思いますのは、避難所生活すら送れない障害者が多数いるということでございます。実は私も宮城のJDFを立ち上げるのに先遣隊ということで入ったときに、一般の避難所の視察ということで、ある小学校に行ったんですけれども、その小学校の入り口には3段の段差がございました。そのために車いすで入ろうと思っても全然入れなくて、持って行った支援物資をほかの支援者に持って行ってもらったという状態です。言わば視察というか、物資を送り届けるだけでも車いすで中に入れない状態なのに、どうやって避難したらいいんだろうと思いました。
加えて、そういった中で何とか中に入れたとしても、実際に宮城で被災された方にお聞きしたんですが、最初、避難所に行ったんだけれども、やはり車いすでは3人、4人のスペースを取ってしまう。車いすトイレはとても使える状態ではないということで、結局普段使っておられるホームヘルプの派遣事業所に自主避難をしたんだけれども、やはり公的避難所ではないから、支援物資が届かないという形になります。公的避難所がバリアフルで避難生活ができないということに加えて、そこから自主避難をしたときに、今度は支援物資が届かないという問題が出てきているということです。
加えて、1995年の阪神・淡路大震災の教訓から、災害時要援護者のリストアップと福祉避難所の契約が進められてきているんですが、非常に少なくて、宮城県では仙台市が一番多いと言われましたけれども、障害関係では各区に1つずつぐらいということでございました。そういう意味では、避難所の問題と避難生活ができないときの自主避難ということです。
もう一つつけ加えますと、今回、原発による緊急避難地域がどんどん拡大をされた時期がございました。その中で自主避難ということで、私どものDPIの関係の団体で運営した避難所、東京都内の方に自主避難所をつくって遠隔地避難をしていただきましたけれども、そういった形の重度の障害であればあるほど必要な支援がちゃんと得られるような避難の場所や支援体制というのが要ると思います。それが1つでございます。
2つ目は、いよいよこれから仮設住宅をつくってということになってきているわけですが、阪神・淡路大震災のときはバリアフリーの仮設住宅というのは、たしかあの当時、静岡県で十数戸お持ちだけだったのが、今は多少増えているものの、やはり仮設住宅のバリアフリー化というのは遅れていると聞きます。
もう一つは、仮設住宅をつくるときに、例えば共同の中庭といいますか、共同スペースをつくる形で、コミュニティの再生的な要素を持たないと、やはり孤立化していく。特に障害や高齢のある者で仮設住宅に住むときに、孤立した生活にならないような御配慮をお願いしたいと思っています。
最後3点目ですけれども、先ほどの個人情報保護の問題とも関係しますが、今回いろんな形で安否確認をいろんな団体が力を合わせてやってきましたけれども、一番遅れているのは、震災前から在宅で生活されていてサービスを使うことなく、御家族だけでやっておられたりする方です。そういう状態の中で、例えばヘルパーを使っておられるところでしたら、ヘルパーさん自身が被災しているにもかかわらず、まずは安否確認で利用者のおたくを回られたりしたわけですが、普段からそういった支援やサービスにつながっていない。御家族だけで何とかやっておられる方々の安否確認がいまだに取れない状態であります。是非ともここは障害者団体の枠を超えて、JDFでそういうセンター、ネットワークをつくったりしてきているわけですから、特例といいますか、その人自身の生命や権利を守るための活動ということで、何としても御配慮をお願いしたいと思っています。
長くなりましたけれども、復興構想会議が2~3日前、先週の金曜日ぐらいに立ち上がったとお聞きしておりますが、その名簿を見る限り、社会福祉や社会保障あるいは限定的に言えば障害関係に詳しい方が残念ながら見当たらない現状でございます。推進会議でこういった議論を続けているわけですから、推進会議のメンバーが入るなり、あるいは推進会議からのヒアリングの機会を持っていただくなりということを是非お願いしたいと思います。財政が厳しい状況の中で、復興が大変な中で、やはり社会保障は抑えなければいけないみたいな論調がマスコミの一部には流れております。でも、復興か社会保障かではないと思います。
先ほど申しましたとおり、むしろ普段から必要な支援を入れて、必要なサービスを入れて、地域でいろんな人間関係、社会関係を持って生活していることこそが、いざ何かあったときに支援の手が得られる。つまり災害に強い町というのは、必要な支援を得ながら地域で暮らせるインクルーシブな社会だ。そういったことを今回の復興構想の言わばイの一番に掲げてほしいと思いますし、障害者や高齢者は社会保障の問題をコアに入れた復興構想をお願いしたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 堂本委員、どうぞ。
○ 堂本委員 ありがとうございます。
今日初めての発言です。私は藤井議長代理がおっしゃっているように、この基本法はこれから修正することはできない段階に来ていると思います。今日は政務官がいらっしゃいますけれども、これから政治の場に移っていく段階での意見を申し上げたいと思います。
災害の問題で大変心配だったのは、障害者の問題です。あとは女性の問題もとても心配でした。現地へ行っても、私は尾上さんのように専門的に障害者の施設を歩くことができなかったので、精神障害の方がどういう状況にあるかということを厳密に把握することはできませんでした。ただ、大変心配をしております。
この基本法の案ですが、皆さんおっしゃるように、不満足なことだらけです。しかし、ここまでこぎつけようと一生懸命やってきた方たち、東室長を始めこの会議のメンバー、役所の人たち、政治家の方たちの御努力に感謝します。ここを出発として更に進んでいく必要があると考えますが、やはり「精神障害」が入らなかったことはとても残念です。
そういうことで、今回の東日本大震災で気になったことは、やはり非自発的入院という形で拘束されている精神障害者が、地震が起きようが津波が来ようが自分から逃れるすべが全くない。そういう状況で、本当におののくばかりの恐さだろうと思います。また、強制転院や、地域に住んでいた人が避難入院させられたケースもあると聞いています。
この間、総合福祉部会で日精協の副会長から伺ったのですが、せっかく進んできた地域医療が後退しそうな感じがするとおっしゃっていました。それも残念なことです。
身体障害者と同じで、精神障害者の場合も避難所に入れず、危険を承知で自宅に帰ってしまう人も多い。そういうときにはケア付きの福祉避難所を設けるなどの配慮がとても大事なのではないかと思います。
復興会議については、森さん、尾上さんがおっしゃったことに同感でございまして、私も陳情をちょうだいしたと実は思っていたぐらいなので、御一緒に何かできると思います。
この津波は自然災害ですが、今回の災害で思ったことは、精神障害は半世紀にもわたって、まるで放射能ではないけれども、目に見えない差別の津波を受けてきたと言ってもいいのではないかと思っています。なぜならば、今の手続法は現行法で正しいと行政の方はおっしゃいますけれども、非自発的入院は、先ほどから何度も出ているように、憲法で保障された居住の自由や、また障害者権利条約第3条にも書かれている基本的人権を担保するということなどに抵触するのではないでしょうか。そもそも、日本は何度も国際人権委員会から「日本の精神医療における手続法は間違っている」ということを指摘されています。私もかつて精神医療の取材でジュネーブの国連人権委員会に行ってきましたが、あれから四半世紀経つにもかかわらず日本の制度は変わっていません。この災害で制度の不都合が露呈している今が千載一遇のチャンスだと思っています。このときに障害者基本法を改正するにあたって、どうして一言「精神障害」の問題を指摘できないのでしょうか。この災害で、「日本は礼節がある」と外国人が言っている。それと同じように、当時、言われたことを今でも私は忘れません。「日本がどんなに経済的に発展しても、精神障害者がこのように人権を侵害されている国というのは、決して先進国でもなければ文明国でもない」と指摘されました。
この間、権利条約を批准するために私たちは推進会議として作業を続けてまいりました。そして、障害者の主体性、ニーズに応えようと思って、少なくとも私は微力を尽くしてきた。しかし、残念ながら、財政の都合なのか、省庁間調整の都合なのか、政治的決断がなかったのか、精神障害者の問題は、改正基本法に入りませんでした。私たちは今まで50年間、外国から「人権的視点がない、医療モデルですべて仕切られている」と批判されてきました。非自発的入院だけではありません。「身体拘束の治療あるいは退院が保障されていない、地域での生活支援がない」なども指摘されてきました。そういった制度的な問題を解決するための方向性を、外国が日本に目を向けている今、障害者基本法に書き込むことができなかったことは残念です。
先ほど藤井さんがおっしゃったように、これは変えることができない。第二次意見のところに、犯罪を犯していない、裁判もないにもかかわらず、20年、30年、非自発的入院によって自由を拘束される。それは本当にあっていいことなのか。社会的入院ということで、個人が片付けられていいのか。こういった津波が押し寄せてきたときに、逃げることすらできない。この間、被災地に入っていってみたら、精神病院の中で何人もの方がそのままの形で亡くなっていたという報道がありました。そんな現実が起こっていいのでしょうか。実態から、これは国として反省すべきだと思います。
今300万人ともいわれる非常に多くの精神障害の方がいまだに多くの差別を受け苦しんでいることを思うと、自分の非力を恥じるし、国としては世界に対してまた恥ずかしいことをやっているという思いがあります。政治に期待し、国会に期待し、政権交代したのですから、それを機会にここでは頑張っていただきたかった。しかし、また従来どおりの微調整、省庁間調整で行政が仕切ろうとしている。そうではないでしょう。今度の災害に特別の予算を出していくのと同じように、10年かかっても、20年かかっても、半世紀かかっても、日本の国として「心病む人への差別の津波をもうここでやめるんだ、復興にあたっては精神障害者が住みやすい町をつくるのだ」という姿勢を示して欲しかった。そのことが何より求められていると思いますので、災害と重ねての意見を言わせていただきました。
どうもありがとうございました。
○ 藤井議長代理 このコーナーで発言したい方は、ほかにいますか。さん、災害に関してですか。
○ はい。
○ 藤井議長代理 大分時間が過ぎているんです。さん、関口さん、大濱さん、新谷さん、おのおの申し訳ないんですが、結論から述べていただけますか。
○ 精神障害者の家族会のです。
現在の被災地の精神障害者の状況をお話いたしまして、これからの支援策に反映させていただきたいと思っております。現在、避難所にいる精神障害者は大変少ないです。ほとんどの方が在宅で、それもなかなか社会資源につながっていない方が多く、孤立化している精神障害者を何とかしようということで、心のケアチームが動いておりますが、どこにだれがいるかわかりません。先ほど来からあります個人情報で、なかなか動けない状況にいるということです。精神障害者は自立支援医療を使っておりますので、行政ではどこのだれが自立支援医療を使っているということがわかりますので、こういう災害時特例といたしまして、特定の支援チーム、心のケアチームとか支援に行かれるような人たちに対しては情報開示をしていただきたい。今、孤立化して状態が悪くなっている精神の人が大変多くいると思います。
もう一つ、福祉避難所のことなんですけれども、現在、避難所に大勢いる中で精神障害者が大変に状態が悪くなって、大きな声を上げたりすると、避難所から出ていけという物すごい差別が行われております。そのようなことを考えまして、福祉避難所におきまして、障害者が特性を持ちながらも避難できるような施策的なものを是非ともお願いしたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 関口さん、どうぞ。
○ 関口委員 全国「精神病」者集団から派遣されて、1週間ばかりでしたけれども、JDFの宮城支援センターに行ってまいりました。そこに宮精連というものがあるんですけれども、そこの方とお目にかかって、友好団体なので、とりあえず被災地担当ということで運営委員に急遽入ってもらうことにしました。
実態を向こうに行ってから調べてみてびっくりしたんですけれども、厚生労働省の平成19年6月30日調査、いわゆる630調査というものですが、これは5年に一度発表されるんです。それで取ってみたら、宮城、岩手、福島の入院が3,802人、4,710人、7,680人、福島県が非常に多いということがわかりました。これは必ずしも人口に比例していないと思います。外来も含めて多いんですけれども、例えば福島県だと外来で2万1,989人いるわけですが、手帳を取っておられる方は5,000~6,000人ということです。そうすると、残りの方は手帳も取っていない。下手をすると、自立支援医療も使っていないかもしれない。これは患者調査ですから、あくまでも6月30日に来た患者を基にして何人いるということで調査したものですから、これで大体概数は合っていると思います。入院は横ばいとしても、通院の方は増えている可能性が非常に強い。
今、被災地はどうなっているかというと、私も何回か現地から行きましたけれども、例えば津波でやられてしまっているところは壊滅状態です。ですから、避難所に行って家に戻って掃除するぐらいしかできない。ところが、建物が幸い倒れないで、内陸地にいる人たちはライフラインもだんだん復活してきていますから、差が大きくなってしまっているんです。ただ、問題は在宅の精神障害者にしても、例えば物価が上がっているんです。生鮮食料品などは値段が上がっているんです。非常に暮らしにくい。
先ほどから言われているように、個人情報保護法と災害との関係の問題で、私も直接役場に行って聞きましたけれども、災害の登録をしていた方については安否確認しました。だけれども、自立支援医療何人ですかと言っても何もわからないわけです。全然わかりませんみたいな話で、例えば車いすの1割は死んだでしょう、1割は避難所でしょうぐらいしか言えないような話で、精神なんて頭にないんです。
そういう中で、宮城しか我々の方としても当事者団体の協力がないものですから、宮城を中心にこれから当事者相談ということで活動を強めていきたいと思うんですけれども、そこで問題になってくるのは、どこにいらっしゃるのかということです。患者会でも全部を把握しているわけではありませんので、そういう情報をどこかで出していただきたい。
もう一つ気になっているのは、いわゆる保護入院の規定が暫定的に緩められて、医療関係の方のメーリングリストにも入っているんですけれども、最初の方のときは自衛隊の病院のカルテを使っていたんです。それから、落ち着いてきたら、それを民間の病院のカルテに移していくということをしていました。言ってみれば、緊急事態なわけです。緊急事態だから、保護入院も簡単な手続で保護入院させることができるということをやったわけです。どんどん押し込んでいって、被災3県は精神病院が満杯なんです。どんどん松沢の方にも流れてきている。流れてきているということはどういうことかというと、例えば松沢が30人受け入れると、30床空いているわけがありませんから、30人ほかの病院に行っているんです。そういうことの調査も本当はちゃんとしていただきたい。そういうことを私らもやりますので、是非行政の方も何とか力をかしていただきたい。
以上です。
○ 藤井議長代理 新谷さん、どうぞ。
○ 新谷委員 新谷です。
結論からですけれども、首相官邸の記者会見に手話が付いて、字幕が付いていないということで、私たちは放置されたという意識を非常に強く持っております。私が会員から言われているのは、あれは無視されたのではなくて、虐待を受けているという強い声が上がっています。政策判断として首相官邸の記者会見に手話通訳を付けて、NHKとか放送局に字幕を付ける費用がないということを、どういうふうに首相官邸は理解されて政策判断をされたのか。その辺を検証いただきたいと思います。
NHKには3月13日に私たちは字幕が付いていないという抗議の文書を送ったんですけれども、1か月経って回答がありました。NHKとしては精一杯努力をしました、人員の制約の中からあそこまでの努力が精一杯だという回答がきました。精一杯の努力をしたのであれば、数字として出していただきたい。以前の放送の字幕について何パーセント生字幕が改善されたのか。この時間で出せなかったのは、どういう理由で字幕が出さなかったのかという数値を出していただきたいと思います。
東海村の事故から十数年経っているわけです。福島の避難地域の人たちの避難の情報というのは一体どこからあれされたのか。ほとんどは記者会見の情報をだれかに聞いて、一緒に避難することがあったのではないかと思います。東海村の事故の場合には、広報車が全部を回ったわけですけれども、その当時は7人から8人の聞こえない方が在宅のまま放置されていたという情報があります。恐らく今回の福島の事故はもっと広域的なので、身近な人にサポートの方がいなかったら、聴覚障害者自身は避難できていなかったと思います。聞こえない聴覚障害者というのは、手話を読み取れない人が非常に多いです。だから、手話が付いたから聴覚障害者の問題が解決されたんだということは決してない。字幕があれば、普通の人は全部字幕を読めるわけですから、字幕と手話との優先順位をきちんとつけた政策判断をしていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 大濱委員、どうぞ。
○ 大濱委員 大濱です。
今回の震災に当たりまして、当会は2団体の連携団体があります。勿論、私たちのこれら団体の名簿に入っている障害者のある人たちの安否確認はできました。しかし、先ほどからの発言にあるように、団体名簿に入っていない他の人たちはできないという状況で、あらかじめ電話等で名簿に基づいて生存が確認できない人たちについては、医者と一緒に車で沿岸部の被災地、宮城、岩手に入って確認していただきました。しかし、その際にドクターたちから言われたのは、何でこんなに名簿の情報がないんだということでした。もっと情報を出してほしい。このような場合は、緊急避難的に名簿を出してもよいと言う制度を構築し、安否確認できないところにはそれを元に確認できる、このように安否確認できるというシステムをつくる必要があるということが1点目です。
2点目としまして、先ほど電話がかかってきて、今日の夕方から日本リハビリテーション医学会とOT、PT、STの学会と民間のリハビリテーション病院の関係の方たちが集まって、これからの復興支援に向けてリハ科のドクターが入っていく。特に避難所などではリハビリがされていないために、健康状態が非常に悪くなっているという状況にあるので、是非入っていきたい。しかし、どこの拠点と連絡を取ればいいのかわからない。それを教えてくれないかという話が入っています。それぐらい情報が集約されていない。どこの拠点に入ればどういう情報が得られるのかということがはっきりしていないので、この辺りはもう少しきちんと整理してほしい。リハ科のドクターなどが入るときには、どこに入っていけばいいという情報整理をする場所、情報を集約する場所をきちんと整理していただきたい。
以上2点です。
○ 藤井議長代理 大震災があったこの時期の基本法改正、やはりこのことを踏まえた改正をどうするのか。東室長は頭出しということでしたが、しかし、その前に検証も大事だろう。例えば検証した上で、しかるべき時期にきちんと災害と障害者ということで改正すべしということを附則に盛り込むことはあるでしょう。今、出ていましたのは、特に個人情報保護と災害時の救援という問題、NGOが入っての救援という問題をどうするのか。情報保障では手話、字幕の政策判断がどうだったのかという問題、更には復興構想会議へ障害分野からの参画をどうするのか等々ありました。
園田政務官、時間も限界にきていますので、これに関することで、もし一言コメントがあったらいただけますか。
○ 園田政務官 ありがとうございます。
いろいろな御意見をいただきまして、また改めてでございますけれども、現地に入っていただいて、安否確認あるいは避難をされていらっしゃる方々への支援という形で、全国から支援の輪を広げていただき、心から感謝を申し上げたいと思っております。
先ほどお話がありましたけれども、先週、蓮舫大臣も直接現地で御意見をいだたきましたので、私どももそれをしっかりと今後検証させていただく中で、踏まえさせていただきたいと思っております。
その上で、今、お話がありました個人情報保護の関係でございます。実は規制制度改革を蓮舫大臣が担当させていただいておるところでございまして、その中で、今年3月でありましたけれども、いわゆるパーソナルサポートという考え方を我が国の中においても取り入れていくべきではないかということで、どのように考えていったらいいんだろうかということを、言わば規制仕分けという公開の場で一度議論をさせていただいたことがございます。その中でやはり議題となったのが、地域でボランティアで活動されておられる方々が、行政の情報をいかに効率的、有効的に活用することができるであろうか。このときも個人情報保護の関係が議題となったわけでございまして、今の現行の枠組みの中では、これをすぐさま取っ払う、撤廃をするということは難しいということになっております。しかしながら、運用の面の中で、地域で信頼のあるあるいは実績のあるボランティアの団体の方々は、言わば行政の情報をうまく連携を取りながら、さまざまな形でパーソナル、すなわち自宅、在宅でのサポートを取っておられるという先進的な事例も紹介されました。
こういう形を私としては1つのヒントとさせていただいて、今後につなげていくことはできないだろうか。これはいわゆる行政の枠を超えて、逆に言うならばボランティアの今までの枠を超えて、大きな公、新しい公共という考え方がこの中に出てきたわけでございます。緊急時のみならず、平時においても地域において人々の安全、とりわけここは障害を持った方のことを議論するところでありますけれども、地域における活動の中でこういう枠組みが考えられないだろうかというところは、私自身もそれを議論する中で1つの課題として認識させていただいたところでございます。
くしくもこの地震が起き、皆さん方が経験をされてこられたし、私自身もそういう御意見をいただいて、これは今後しっかりと議論をしていく必要があるだろうし、あるいは地域の中で更に新しい公共の在り方というものは、情報の共有という観点から今後必要なものではないかと考えておりますので、是非今回のことを1つのきっかけとして、今後議論をしていただきたいと思っております。
その中で、必要な行政の今までの規制であるとか、あるいは法律的な枠組みであるとか、そういったところは皆様方にも情報の御提示をさせていただきながら、どういう形であればこの枠組みを取っ払っていくことができるかというところの議論に結び付けていくことができればと考えて、今、お話を聞かせていただきました。
それから、国会での今後の議論ということで、最初に私もごあいさつの中で申し上げさせていただいたわけでございますけれども、当然ながら、私も3月11日の震災が起きてから、もう一度基本法の条文を改めて見直させていただきました。その中で、やはり情報のコミュニケーションといいますか、コミュニケーションの中においての災害時における規定というものはございましたけれども、先ほど来議論が出ておりますように、避難所での生活であるとかあるいは在宅、避難所にも行けない方々のサポート、支援という形を、こういう規定の中で何か盛り込むことができないか。今後考えておかなければいけないだろうということは、私も直感的に感じたところでございます。したがって、今日こういう場でまずお話をいただいたわけでございますけれども、今後国会も含めて、あるいはこの会議体の中で皆様方からより具体的な、復興の中でより漸進的な議論がなされることで、こういう規定を更に設けた方がいいのではないかという観点があれば、どんどん御議論をいただければと思っておりますし、また私も御一緒にそういったところの議論に参加をさせていただければと考えております。
支援センターやJDFも含めて、いろんな団体の皆さん方に対策本部を立ち上げていただいて、御議論をいただきました。今回は安否確認も含めて情報を収集する。そして、それを発信していく。自治体あるいはさまざまな支援団体等も含めてでありますけれども、連携をしていくということの大切さというものは、私自身も大変大きな課題であると強く認識をさせていただきました。したがって、災害時における、あるいは緊急時における支援の在り方というものをより現実に即して、更に議論ができれば私は本当によりよいものになると思いますし、今後何か起きたときにも迅速に国、自治体あるいはボランティアも含めた団体との連携の中で、一体となって支援あるいは救出、救援をしていく新たな形というものを今後つくり上げていくことができればと考えております。どうぞよろしくお願いを申しあげたいと存じます。
そのほかの字幕スーパーのことに関しましても、いろいろな議論があったと聞いておりますけれども、この場で私からお答えを申し上げられる材料は持っておりません。何らかの形で今後前向きに議論が必要ではないかと思っておりますし、復興会議の中においても、皆さん方の御意見が今後どういう形で生かされていくのかということも同時に考えていきたいと思っておりますので、更に皆様方から御意見をちょうだいできればと思います。
最後になりますけれども、堂本先生からも御意見をいただきました。ここにいらっしゃる皆様方は精神の障害を持った方々も含めて、日本において障害者施策を何とか前に進めていかなければいけない、それが言わば国際社会において先進的なことである。言わば経済的に先進的にはなっていたけれども、まだ取り残されている実態というものが、我が国にあったんだ。しかも、心のバリアフリーという障害が残ったままできていたのではないかという問題意識の中で、御議論をしていただいてきた。そのことは紛れもない事実であろうし、私自身もそういう思いで、この推進会議を当初は見させていただいておりましたし、途中からではありますけれども、議論に参加をさせていだたいたと考えております。その上で、それを完全な形で反映できなかったというのは、私自身も不明を恥じたいと思っておりますし、これから更に前進をさせていかなければいけないという決意も新たにさせていだたいたところでございます。
そういう意味では、今回の法律案というものが、皆さん方の思いあるいは全国の地域でこの会議の様子をごらんいただいている皆様方もかたずをのんで待っていたと認識をさせていただいています。その皆さん方の思いに100%応え切れていないということは、本当に申し訳ない思いではございますけれども、ここから一歩前に踏み出させていただきたいと考えております。
更に御懸念の部分というものは多々あると考えておりますので、それは私どもが精一杯皆様方の思いにお応えをさせていただくべく、解釈も含めて、さまざまな形で努力をしていきたいと思います。先ほど事務方からも答弁をさせていただいておりますけれども、私は権利の主体者である、このことはこの法律案をつくる際においては絶対に譲れない事実である。ここからスタートをしていくんだという思いで、この改正法案を皆さん方とつくってきていると考えておるわけでございますので、このことを1つの出発点とさせていただいて、まだ不十分な点あるいは可能な限りも含めてもう少し皆さん方の思いに近づけるためには、御懸念を払拭するように努力は続けていかなければいけないと考えております。したがって、法律案の審議とさまざまな形で御意見をこれからいただく中で、運用の中でもよりいいものにどんどん改善をしていく、あるいはそれによって国民の皆さん方一人ひとりの心の障壁が取り除かれながら、みんなで同じ思いを共有する中で、新たな社会を築いていきたいと思っております。
したがって、これを1つの機会として、もう一度皆様方と議論のスタートに改めて立たせていただければという思いで、今日は聞かせていただいておりました。申し訳ございませんが、この後も私は次の会合がありまして、これで失礼をさせていただきますけれども、また皆さん方からさまざま形で御意見をちょうだいしながら、それをしっかりと受け止めさせていだたいて、進めていくことをお誓いさせていただいて、私からの回答といいますか、今日の議論における私からの思いを話させていだたいたと御理解をいただければと思っております。本当に今日はさまざまな形で現場の声を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
まだ正式には決まっておりませんけれども、近いうちに私も被災地に足を運ばせていただきながら、地域においてまだ苦しんでいらっしゃる皆様方の思いというものを、次の施策の中に1つでも生かしていけるように努力をしてまいりたいと考えておりますので、是非ともそのときには皆様方からのお知恵とお力添え、御協力をお願い申し上げたいと存じます。
本当にありがとうございます。(拍手)
○ 藤井議長代理 園田政務官は、時間がきましたので、これで一旦抜けられます。引き続き、私たちの方は会議を進めてまいります。
(園田政務官退室)
○ 藤井議長代理 災害と障害者に関しては、今もありましたけれども、第22条第2項に情報に関しては入っていますが、全体を通してはこの部分は入っていないということもあって、これも恐らく今後閣議決定以降の話になってくるんだろうと思います。
いずれにしましても、地域生活を推進しようと言っていながら、地域にいる方が被災状況で大変厳しいというのはおかしな矛盾であるわけですから、そういったことを踏まえて、あるいは精神障害者が遅れている、今回もそこに集中的に影響が及んだということは堂本委員がおっしゃるとおりです。どうやってこのことを推進会議は考えていくのかという重い思い、課題ということを背負わされて、国会上程以降に移っていくと思います。
このコーナーはやや中途半端な感じはしますが、一旦終わりまして、時間の関係で齊藤企画官から基本的施策に関するお話、提案だけしていただいて、休憩に入ります。基本的施策の討論、議論は休憩後にします。
今日は5時20分程度まで延長することを御了解ください。もし御都合等が悪い場合には、予定どおり帰られて結構であります。
それでは、齊藤企画官、説明をお願いします。
○ 齊藤企画官 わかりました。
それでは、資料の7ページをお願いいたします。基本的施策のパーツでございます。
第14条、医療、介護等でございます。前回お示しした以降の変更点といたしまして、項の順番を整理いたしました。新設する項を5項とするとともに、5項において人権に十分に配慮という文言であったものを、人権を十分に尊重と変更してございます。
前回の会議の場において、精神障害者の強制措置入院の適正手続の保障、社会的入院の解消などにつきましての条文が必要だという御指摘がございましたけれども、本基本法の構造上、障害者を全体としてとらえて共生社会の実現のための施策の基本的な事項などを定めるという構成をとってございますので、個別の障害者種別に特化した事項を定めることは難しいということでございます。そのため、本条において、主としてこれらの精神障害者の問題を念頭に置きまして、人権尊重規定を盛り込むという形で、推進会議における議論を反映させたところでございます。
続きまして、1ページめくっていただいて、15条は飛ばして、16条の教育のところでございます。前回の会議では調整中ということで改正案をお示ししていなかった部分でございます。新たにこういった規定にしてございます。
現行法の年齢、能力、障害の状態に応じという、いわゆる医学モデル的な視点を社会モデル的な視点に転換することに伴いまして、新たに障害者の特性という用語を用いることとしてございます。これは障害の状態、すなわち種別や程度だけではなくて、障害を有するがゆえに日常生活または社会生活上の困難、更にはそのために必要となる支援まで含めた概念として創設をしているところでございます。ここは教育の条文でございますので、教育においては障害者が学習をする上で、障害を有するがゆえにどのような困難を有するのか。そのためにどのような支援が必要かを踏まえるという意味になります。
また、可能な限り障害者である児童及び生徒が、障害者でない児童及び生徒とともに教育を受けられるよう配慮しつつ、障害者が十分な教育を受けられるようにするために必要な施策を講じなければならないという内容が第1条となってございます。その必要な施策の例示といたしまして、教育の内容、方法の改善及び充実を図るという構成になってございます。
次に現行の第3項を第2項に繰り上げてございます。これは今ごらんいだたいた第1項において、可能な限りともに教育を受けられるよう配慮しつつ、必要な施策を講ずるとありますけれども、例えば本人または保護者が特別支援教育を望む場合など、ともに教育を受けない場合が想定されるところでございますので、このような場合につきましても、交流や共同学習を通じて相互理解を促進するという施策を講ずるという意味になります。
これら1項と2項を合わせまして、全体としてインクルーシブ教育システムを規定していると御理解いただければと思います。
更に第3項といたしまして、今、申し上げました第1項と第2項を実施する上で必要となるインフラとして、調査研究ですとか、人材の確保、資質向上、施設整備その他の環境の整備とございます。その他の環境の整備という中には、例えば教材などのソフト面なども想定しております。これらを充実する必要があるというのが第3項の趣旨でございます。
続きまして、第17条、療育でございます。前回の案では医療、介護等の次の第15条としておりましたが、今回、医療、介護等と教育が関連するということで、それらの規定の後に療育という形で盛り込んでおります。
併せて、基の案では保護者を明示していますところ、今回の案ではそれを削除いたしまして、そのかわりこれに関連する支援というものを加えてございます。更に医療や介護、教育のところで施策を講ずる部分に関しましては、内容が重複いたしますので、その部分を除きまして、残ったものとして、新たにそれらに包含されない療育という新しい概念として条文を起こすことといたしたところでございます。
先ほど申し上げました保護者は削除いたしましたけれども、療育の規定というものは、そもそも障害のある子どもにとらえることによって、施策対象は保護者を掲示しない。ただ、これに関連する支援ということで、当然これは保護者に対する支援まで含めた内容に整理をし直したものでございまして、条文で規定されている施策の内容に関しては変更してございません。
続きまして、18条、職業相談等でございます。前回の案の第1項中には、障害者の多様な就業の機会の確保に努めるとなってございましたが、位置を移動いたしまして、今回は努めるとともに、個々の障害者の特性にというふうにつないでございます。これは職業選択の自由の尊重の例示というよりは、国及び地方公共団体が施策を講じて対応すべき内容であるということで考え方を整理し直しまして、適切な位置に移動したということでございます。
併せて第2項中、障害者に適した職種及び職域との記述につきましては、削除いたしまして、障害者の多様な就業の機会の確保を図るために、前項に規定する施策、すなわち職業相談、職業指導、職業訓練、職業紹介その他障害者がその能力に応じて適切な職業に従事するができるようにするために必要な施策に関する調査研究という形に整理いたしたところでございます。
本条の第1項におきまして、個々の障害者の特性という文言が出てきますけれども、これは先ほど教育のところでも申し上げましたけれども、社会モデルへ転換したことに伴いまして、単に障害の状態、すなわち種別ですとか程度のみならず、障害を有するがゆえに職業生活上どのような困難を有するのか、またどのような支援が必要となるのかというところにまで十分に配慮をするようにという趣旨で、障害者の特性という文言に改めているところでございます。
続きまして、第19条、雇用の促進等でございます。前回からの変更点といたしましては、第1項では国及び地方公共団体並びに事業者におけるを追加することによりまして、障害者の雇用促進の対象が官民全体であるということを明確にいたしました。特性を踏まえつつの文言を逆に削除しておるとこでございますが、これはここだけ社会モデルを否定したということではございません。
そもそも先ほど総則のとこで御説明いたしましたけれども、全体定義から社会モデルを規定してございまして、それが基本原則となり、国及び地方公共団体の責務、施策の基本方針等に反映されているところでございまして、更に新たに特性に配慮という形で明記をする具体的内容に乏しいということで、あえて明示をしていない。逆に申し上げますと、各条文でそれが明記されていないところに関しましても、当然総則から社会モデルは反映されているということでございまして、教育ですとか職業相談のように、明記をしているところには明記する具体的な内容が想定されるから明記をしているという構造になってございます。
優先雇用、その他の施策という規定になってございます。これは障害者の雇用率制度等のほか、障害者を多数雇用する企業への優先発注などを想定して規定しているものでございます。しかしながら、国及び地方公共団体が障害者雇用の促進のために講ずるものであれば、どのようなものであっても含まれ得るということで、特に概念を画するような規定ぶりにはなってございません。
なお、推進会議の議論の中で、障害者施策と福祉施策の一体的展開という御議論をいただいたところでございます。先ほど療育のところでも申し上げましたが、法律の構造上どうしても同じことを、重複することを複数の条に規定するというのはできません。そういうことで、どこかの条に規定されていることは、その条文を基に施策が推進されるということでございまして、一体的展開ということで新たに規定をつくるというのは技術的に難しい。しかしながら、それぞれ労働施策と福祉施策ということが規定されておるわけでございまして、更に総則の第10条では、施策の基本方針といたしまして、それぞれの施策がばらばらに実施されるのではなくて、有機的連携の下で総合的に策定、実施されなければならないという施策の基本方針が明記をされてございます。したがって、そういった一体的展開は条文上は担保されておりまして、更に具体的にどのような形で実施をしていくのかという部分につきましては、今後障害者政策委員会等の場でしっかりと必要な施策を議論して、更に推進をしていただくということであろうと思ってございます。
10ページでございます。20条は飛ばせていただきます。
21条、公共的施設のバリアフリー化でございます。前回からは特段変更してございません。したがいまして、その条文は長いんですけれども、変更点といたしましては、現行の第2項の社会連帯の理念に基づきという文言を削除するものでございます。
削除の理由は、総則のところで申し上げましたように、共生社会の実現というより高次の社会連帯の理念に基づきという内容を包含するような法目的にバージョンアップしたことに伴う削除でございます。
なお、本会議で御議論いただきました地域間格差の是正の観点から、合理的配慮の必要性に関して何か盛り込めないのかという御議論だったかと思いますけれども、先ほど来ごらんいただいていますとおり、総則の中で合理的配慮というものが基本原則として規定をされ、国は当該基本原則にのっとって共生社会の実現を図るという仕組みになってございます。
そういった中で、公共的施設のバリアフリー化に関しまして、どのような合理的配慮が必要かということにつきましては、ほかの部分は同じでございますけれども、今後差別禁止部会の中でしっかりと具体的な内容を議論して決めていっていただくということで御対応いただけるものと考えております。
続きまして、第22条、情報の利用におけるバリアフリー化等でございます。本会議における議論を踏まえまして、情報アクセスの重要性に関して御議論いただいたところでございますので、その部分を表現しようと考えまして、情報の取得を明記するという変更をしてございます。
それに伴いまして、条見出しもバリアフリー化等としました。小さな改正ですけれども「等」という内容を盛り込んでいるところでございます。
第23条、相談等でございます。条文上は前回案と変更はございません。この部分に関しましては、前回の会議で障害者及びその家族による相談、いわゆるピアカウンセリングについて盛り込めないのかという御指摘をいただいたところでございます。
事務局といたしましても、ピアカウンセリングの有効性、重要性に関しては十分に認識をしておるところでございますけれども、現段階で国及び地方公共団体に対して、ピアカウンセリングが適切に行われ、または利用されるようにしなければならないという条文の構造の中で義務化をするところはなかなか難しいと判断をさせていただきました。ただし、これはあくまでも法律をもって義務づけることは難しいという現段階における判断でございまして、現に各地において取り組まれているような個々の取組みを否定したり、今後政策的にそういった方向性を拡充していくことを否定するような趣旨では一切ございませんので、更に具体的な施策として御議論を進めていただければと存じます。
24条、25条は特段変更がございません。
26条、選挙等における配慮でございますが、前回の会議でも被選挙権の問題に対して再度御指摘をいただいたところでございますが、これは1年前、この議論を始めるときから何度か話題になったとおり、今の三権分流という観点から被選挙権のところを政府提案で具体的に御提案させていただくのは難しいということで御理解いただければと存じます。
続きまして、第27条、司法手続における配慮等でございます。前回の会議におきまして、刑事手続に限定しないようにという趣旨の御指摘をいただきました。そういうことで、今回の改正案では刑事手続のみならず、民事事件等の当事者になった場合にも対象とするような形で条文を広げたところでございます。
刑事施設等における処遇の問題についても併せて御指摘をいただいたところでございますが、その問題に関しましては、本条の射程外と整理をさせていただいてございます。第4条第2項、第1項の合理的配慮、差別の禁止の規定の中で、今後刑事施設等における処遇の問題も必要に応じて御議論をいただいて、内容を整理していただければと存じます。
第28条、第29条に関しましては変更がございませんので、省略させていただきます。
各則に関する御説明は以上でございます。
○ 藤井議長代理 それでは、今から4時20分まで休憩をして、基本的施策の14条から29条までの意見、質問等を伺います。
それでは、休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、着席をしてください。第4コーナーの報告まで併せていきます。できれば17時20分をめどにして終わります。
ただし、5時にここを出ると言われている方が何人かいらっしゃいます。特に土本委員が飛行機の関係でここを5時に出られる。わかりやすい第二次意見の作業チームとして後の報告事項に入っていたんですが、これを繰り上げてほしいという要請がありました。したがって、共同座長の土本委員と長瀬委員から第3コーナーの冒頭にこれに関する報告をすることを認めますので、土本委員、長瀬委員から一言ずつお願いいたします。
○ 土本委員 土本です。
申し訳ないんですけれども、わかりやすい第二次意見を伝える前に、一言つけ加えてよろしいでしょうか。
○ 藤井議長代理 いいです。
○ 土本委員 先ほどの被災者の状況についての発言のときに伝え切れなかったんですけれども、今回、推進会議をやる前に被災者のところに行ってきました。青森から岩手、仙台、福島を回ってきました。実際に津波の被害を受けたところも見てきました。含めてなんですけれども、自分たちもいっぱい言われてもわからないところもいっぱいあります。いっぱい言われても何を伝えていいのかわからないところもあったりしますので、何を伝えるのかはっきりした方がいいと思いました。これから仲間たちがどうやって元気を取り戻してやっているのかということも含めて、新聞、テレビなどで受けたことより、実際に行って被害を見てきたということはすごくよかったと思いますので、見てもらいたいと思っています。すごく被害がひどかったということでした。それをつけ加えておきます。
わかりやすい第二次意見なのですけれども、今回、構成員の人たちに配られている第二次意見ができ上がりました。既に出されていると思いますが、自分たちも手に入らなかったところも含めてなんですけれども、でき上がりました。一応わかりやすいチームが第二次意見としてまとめてきたので、終わりたいと思います。今まで関わってくれたチームの成冨さんや育成会の室津さん、大久保さん、北野さん、中西さん、門川さん、長瀬さん、支援の元氏さん、ありがとうございました。
そういうことで、ほかの人たちからも意見をいっぱい受けまして、多くの人たちに関わってきたということも含めて、本当にありがとうございました。どんどん使っていただけたらいいと思います。
これで終わります。
○ 藤井議長代理 続きまして、長瀬共同座長からお願いします。
○ 長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。
私も一言だけ先ほどの震災のところの話をさせていただきたいのですが、先ほど考えがよくまとまっていなくて、今もまだ迷っている点なのですけれども、1つは手帳保持者の個人情報の開示というところで、実際に私も宮城と福島では避難所めぐりとか事業所めぐりをしていて、手帳の名簿があれば本当に便利だというのは痛感しますが、同時に権利条約の22条のプライバシーの尊重、個人情報等のプライバシーを保護するというところの兼ね合いもあるのではないかと思っているところです。先ほどの園田政務官にはバランスを考えて検討していただくのだと思ったのですが、プライバシーの尊重という点も置き去りにしてはいけない点なのではないかと感じているのが1点です。
もう一点、新谷さんから字幕の必要性ということがありました。それは本当にそのとおりだと思います。ああいうときに字幕がなくて情報から取り残されている方たちの不安というのは、私には想像ができない点だと思います。ただ、今回、合理的配慮、情報バリアフリーの一環として手話が付いた。これは大きな合理的配慮の実施、バリアフリーの実施という観点から評価する。ですから、ある意味で優先順位ということではなくて、あれもこれも、手話もそうだし字幕もそうだしという方が、私たちが目指しているインクルーシブな社会の実現に向かっては近いのではないかということを感じたので、申し上げさせていただきました。
第二次のわかりやすい作業チームの方は、めでたくこれで解散になりましたので、皆様方の御協力に心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 御両名の座長に拍手をしましょう。どうもありがとうございました。お応援してくれた方々も含めて、ありがとうございました。(拍手)
それでは、議題はまた元の基本的な施策に戻りますけれども、時間が限られています。皆さん発言したいのは重々伝わってきます。しかし、非常に限られた時間なので、取り残されている問題の大きい部分をお互いに感じ合ってください。大谷さん、感じ合うんです。いいですね。しかし、ここはどうしても確認、答弁をほしいということ、あるいは次の国会へのステップも含めて共有しておきたいということにウェートを置きながら発言願います。
今のことを踏まえて、発言したい方、挙手してください。今、手の挙がっている方に全員発言してもらいますので、先ほども言いましたように、自分は何を言いたいのかという結論を言ってから、残り1~2分でその理由を言う。そういうふうにしていきましょう。もし余り時間をオーバーするようでしたら、途中で切ってしまいます。あるいは前半に時間を費やし過ぎると後半の方に回らないということで、他の方の発言を制限してしまうので、よく考えて前半者は協力してください。
それでは、大谷さん、お待たせしました。
○ 大谷委員 総論で我慢したんだから絶対と思っていますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。
教育に関して是非確認を求めたいと思います。
その前に、被災の関係でますます障害者、障害児が地域に登録されているということが非常に大事なことだと痛切に感じました。地元の小学校で学籍を有している、有していたということが地域の登録につながると思いますので、是非インクルーシブな教育制度は被災にも強いということで、それを前向きに検討してもらいたいと思います。
細かいことは、特別支援学校に行っている子どもがどれだけ帰宅困難になったかとか、いろいろ事実があるんですけれども、時間がないので、その点はまた今度の機会に触れたいと思います。
確認なんですけれども、正直申し上げて、教育条項は不満があります。ただし、今、前向きにこういう形で確認してよろしいでしょうかということでお聞きしたいのは、16条の第1項と第2項の関係です。今、齊藤企画官から16条の1項、2項全体を通じてインクルーシブ教育制度であると説明されましたけれども、我々が従来求めていたように、原則としてインクルーシブ、ともに学ぶことが保障され、選択した、希望したときには分離された教育施設でも可ということを要求してきました。16条1項が非常にわかりにくい条文ですけれども、ともに学ぶことに対して合理的配慮をしつつ、いろいろやるということをまず原則として認め、2項において交流教育も保障する。分離された場所においても交流教育を保障するという形で読んでいいのかどうか。そして、1項における配慮しつつという配慮は、まさに合理的な配慮を踏まえた文言として理解していいのかどうかを確認させていだたきたい。
それから、従来、特に教育に関してはニーズ保障と言われていましたけれども、説明によれば、ニーズ保障に非常に近い概念として特性という言葉を使われているように聞こえてきますので、そういうものとして理解していいのかどうかということを是非確認させていただきたいと思います。
それが教育です。
それから、療育も障害児支援が療育に変わったと理解せざるを得ないんです。見出しに条文見出しが付くのかどうか。教育、療育ということで、障害児支援が非常に狭い概念としての療育という形になってしまったように見られますので、療育という見出し条文が付くのかどうかを確認させていただいた上で、報告事項として時間が与えられるのかどうかわからないんですけれども、子ども・子育て支援の中で、障害のある子どもに対する支援も一般施策の中で保障しろということを、子ども・子育て支援の方で要求しています。そうだとすると、具体的に障害固有ではない支援は、子ども・子育ての方で保障される。よって障害者基本法の障害児支援は、障害児固有のものとして考えるから、療育ということでくくらせてもらったんだという理解でいいのかどうか。そうだとするならば、児童福祉法で障害児支援も入るんだ。一般施策の中に障害のある子どもの支援も児童福祉法の方では入るんだということを前提として理解していいのかどうかということを確認させてもらいたい。
資料で出していますけれども、障害児支援作業部会の方でも、障害児支援条項にこういう条項を入れてもらいたいというのを2月15日付の要求書で出しています。今日の資料の1ページ目に付いています。この中で、子どもの意見表明権を踏まえた支援を、となっているんですけれども、子どもの意見表明権については児童福祉法にも明記されていない。そうだとするならば、障害児のところだけ子どもの表明権を入れるのは、ある種おかしい。子ども施策一般の方で、その辺のところが保障されるということも含めて検討していただけているのかどうか。部署が違うのでどういうふうに答えていただけるのかよくわからないんですけれども、そこが落ちていますので、その辺のところも教えていただきたいと思います。
報告事項で説明する時間があれば、子ども・子育てのところで、どのように障害児支援が検討されているかということに関して報告させていただきたいと思いますけれども、是非その点を踏まえた形で、療育のところで可能な限り説明していただければありがたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 報告のところは、また少し時間を取ります。
委員、どうぞ。
○ 家族会の全国組織のと申します。
私から申し上げたいことは、精神障害者の問題をこのままにはできないということを強くこの場で申し上げたいと思っております。私ども推進会議で精神障害者のことをずっと話してきまして、今までずっと取り残されて、今こそ権利条約に基づいて精神障害者のことを底上げするというか、ほかの方たちと同じような位置づけにいようという根拠法が必要であるということで、今回、第二次意見では精神障害者の項目を皆さんの一致した意見として入れていったと思っております。
しかし、今回、先ほど精神に特化したことはできないとありました。それは重々承知でおりました。ずっと取り残された精神障害者が、今またここで取り残されてはいけないという感じを強く持っております。
これから国会で審議され、検討されていく運動を私たちはしていかなくてはいけないと思いますが、それと併せまして、先ほど園田政務官からも積極的に取り組んでいきたいというお話がありましたので、私としては提案したいことが1つあります。それは部会を立ち上げていただきたい。差別禁止部会、福祉部会と同じように、タイトルはどうしたらいいかわかりませんが、精神障害者に関する部会を立ち上げていただき、その中でいろいろ審議して、それを新たな制度化につなげていくような方向性を是非ともつくっていただきたいという思いでおります。
以上です。
○ 藤井議長代理 部会の件は、また後でお答えいただきましょう。
次は佐藤委員になります。
○ 佐藤委員 基本的施策の中で、何か所かで出てくる障害者の特性という言葉の意味をお伺いしたいと思います。たしか12月の障害者自立支援法の一部改正で、障害者の能力及び特性に応じた自立した日常生活または社会生活という条項一部が改正されて、能力及び特性に応じたという言葉が削除されたわけですけれども、その削除の理由の中の大きなものは、私の理解では特性といっても何のことかよくわからないということではないかと思います。先ほどの説明だと、障害の状態に応じたというのは医学モデルで、これを障害者の特性に応じたという社会モデル的な考え方に改めたんだという説明ですけれども、多くの人は余りそうだとは思わないというか、そういう解釈や共通理解になりにくいと思います。
そこでお聞きしたいのは、障害者の特性という場合の特性の中には、次のものが含まれるのかということですけれども、1つは希望、要求、ニーズが含まれるのか。2番目に生活実態が含まれるか。3番目に生活環境が含まれるか。4番目に能力が含まれるか。5番目に障害、この法案では機能障害の意味で障害を使っているわけですけれども、この5つが含まれる総合的な概念として障害者の特性という言葉を使っているのかお伺いしたいと思います。
○ 藤井議長代理 佐藤委員、特性という言葉なんですが、自立支援法等では能力と適性と言っていませんか。特性とは言っていないと思います。能力と適性です。
○ 佐藤委員 認識違いで大変失礼しました。しかし、意味はほとんど同じだと思います。言っている趣旨は同じだと思います。
○ 藤井議長代理 関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 私はJDFの統一要求書と第二次意見書に沿ったものを参考として、意見を述べさせていただきます。
まず第二次意見書で社会的入院の解消ということが言われていて、病床削減の義務化ということが入っているわけです。それから、人権保障の担保ということがかなり細かく入っている。それから、自由なインフォームド・コンセントということも条約上必要であろうということです。そうしてくると、14条の5で可能な限りというのが入っているんですけれども、つまり3条、4条、14条の5のところで可能な限りと入っているときに、要するに基本法全体でいいんですけれども、どこをどういうふうに解釈したら病床削減の義務化、これは社会的入院の解消につながりますが、自由なインフォームド・コンセント、人権保障の担保というところを読み込めるのか教えていただきたいということが1点でございます。
23条については、第二次意見を読みますと、障害者に対する人権侵害に関する事項を含む多様な相談が適切に行われるよう、相談体制の整備を図りとあります。これは施策ですね。障害者自身または家族による相談やそれ以外の者による相談等、相談を行う者に対する必要な研修等を行い、制度に位置づけることとあります。これも施策だと思います。これを家族とか障害者に対する相談としてしまうのは、第二次意見をまるっきり無視しているのではないかと思われるので、この点についてお答え願いたいことが1点です。
それから、27条ですけれども、これも民事が入ったということでよくなった点はあるんですが、前回入っていた刑、保護処分その他拘禁の処分の対象となった場合において、という部分が削除されています。これはつまり手続だけになってしまっていて、拘禁下における処遇の部分がまるっきり欠落してしまったので、私らとしては後退している、もしくははっきり言ってかえってだめになったと思っているぐらいなんですけれども、例えば基本法ではなくてもいいんですが、ほかの法令等でもって担保されるのかどうかということをお教え願いたい。
以上です。
○ 藤井議長代理 北野委員、竹下委員の順番でいきます。
北野委員、どうぞ。
○ 北野委員 私は1つだけですけれども、今、関口委員のおっしゃった23条は、一番大事なところは、家族及びその他の関係者に対するではなくて、ずっと意見の中でピアカウンセリングの話をしてきたんですけれども、齊藤企画官の説明の中で一番気になったのは、何といいますか、これからつくっていく我が国の障害者の施策全体の方向性を示すべき基本法に対して、説明の中で、今の施策の現状追認といいますか、全国展開を市町村がしにくいからとか、そういう現状のレベルの追認のような説明をされるのは悲しいと思います。これは方向性として今後やっていくべきことを示すべき基本法でありますから、ここはせめて障害者及びその家族その他関係者の相談支援にしますと、どちらとも解釈できます。それなら両方が入りますので、今後の施策の展開としての表現をしていただけたらと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 まず1点目は、14条5項、16条1項、17条の3つに共通して出てくるのは、医療を受ける場所、教育を受ける場所、療育を受ける場所について可能な限りということで、主語は国または地方公共団体となっているわけです。したがって、その場合、裁判で言えば立証責任は、現実の行政を行う場面からして不可能であること、あるいは可能でないことの説明義務が国にあるとこの条文は言っているということでいいんでしょうか。これが1点目です。
2点目は、21条2項の交通アクセスの問題でありますが、この規定からいけば、障害者は施設の改善を求めたり、あるいは合理的配慮を求める権利はあるということになるのか、そういうものは否定されているのかについて、条文の解釈として教えていただきたい。これが2点目です。
3点目は、22条1項の情報アクセスの問題でありますが、この条文の主語は国及び地方公共団体となっております。そうであれば、国及び地方公共団体は障害者の情報アクセスについて合理的配慮義務に基づいて施策を行うというのが条文の意味、内容であるかということについての確認であります。
最後に26条の選挙に関する規定であります。この規定を設けていただいたことは、非常に前向きであって、大いに評価したいと思っております。その結果、26条が成立した場合には、現在の選挙法において障害者に対する制限的な規定がどのような検討が開始されることになるのかについて教えていただきたい。
以上です。
○ 藤井議長代理 門川委員、どうぞ。
○ 門川委員 門川です。
先ほど第20条の説明は飛ばされていましたが、ちょっと違和感を覚えます。住宅についてです。この中に障害者のための住宅と書かれています。これでは障害者が住む場所を選ぶ権利が見えてこなくなりますので、こういう表現でよいのかどうか疑問に思います。
次に第22条について、先ほど竹下委員からも御発言がありましたが、加えて意思の疎通とコミュニケーションを図るということで、この次に出てくる電子計算機というのがよくわからないんです。電子計算機は何を意味するのでしょうか。ここは電子計算機ではなくて、通訳者、支援者とあるべきではないと思うのですが、いかがなものでしょうか。
以上です。
○ 藤井議長代理 意見も入っていましたが、質問としてお答えいただきましょう。
次は松井委員です。どうぞ。
○ 松井委員 ありがとうございます。松井です。
特に18条、19条について確認をさせていただきたいんですけれども、先ほど一応分かれて書いているようだが、基本的にはこの中で議論してきたいわゆる福祉施策と労働施策を一体的に展開されると読み取れる。特に先ほど10条の中で有機的連携の下に総合的に策定されと書かれているので、18条、19条においては特にそれは書かれていないけれども、そういうことが読めると発言がございましたけれども、この書きぶりを見ると、19条は基本的に雇用ということで、あくまで雇用促進法あるいは労働行政絡みのことです。18条で多様な就業の機会ということを入れていただいているわけですけれども、その中で読めるのかということを確認させていただきたいんです。
私たちがこれまで議論してきたことで、繰り返しますけれども、いわゆる雇用以外の福祉的就労において、実態として労働性がありながら、そこは全く労働保護法の適用になっていない。そこを何とかこの機会に是正できないのかということで議論をしてきたと思います。そういう意味では、この書きぶりだけでは必ずしも十分ではないのではないかと思います。
先ほど委員から、精神障害者については部会で引き続いて検討すべきだという御意見がございますけれども、労働及び雇用についても、一応来月の総合福祉部会の就労合同作業チームで最終報告書をまとめて出すことにはなっておりますけれども、そこで出てくる報告書の中には、全体というか、労働施策と福祉施策を両方カバーした形で書くことになりますけれども、それをどこでフォローしていくのかということを考えると、やはり推進会議の中にそういう部会なり、あるいはそれにかわるものをつくっていただいて、そこで引き続いて議論できるようなことにしていただきたいと思います。
例えば労働政策審議会障害者雇用分科会のように、雇用の問題あるいは労働の問題というのは、労使が入ってきちんと議論しないと、その議論が有効にフォローされないということもありますので、仮に推進会議の下に部会あるいはそれにかわる何らかのものができるのであれば、そこのチームには労使の団体を入れていただきたいと思います。実際に経営者団体からは遠藤さんがオブザーバー、あるいは連合から中島さんが委員として入っていらっしゃいますけれども、もう少し強化した体制で考えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 長瀬委員、中西委員という順番でいきます。
長瀬委員、どうぞ。
○ 長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。
1点だけ28条の国際協力についてです。新設をうれしく思います。ここの最後のところのその他必要な施策を講ずるように努めるとする、そこの必要な施策のところにODA、政府開発援助が含まれるということを確認していただきたいと思います。
ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 中西委員、どうぞ。
○ 中西委員 中西由紀子です。
ちょうどよかったです。今のことの続きで、28条の国際協力ですが、今回も被災地においては一番先に駆けつけた団体の多くが国際協力を行う団体であって、被災地支援のノウハウはすごく役立っていて、第一義的に国際協力というのは国際的な支援だと思いますので、先ほどのODAのことを含めて、ここで言う最後の必要な施策を講じるようにの中に国際支援という意味合い、または開発支援でもいいんですが、入っているのかということを確かめたくて質問します。
○ 藤井議長代理 それでは、以上です。恐らくまだあると思うんですが、時間がまいりました。
提案としましては、精神の部会、松井さんからも部会またはこれにかわるものとしてとありましたので、まず齊藤企画官からお答えいただけますか。
○ 齊藤企画官 順番に御回答させていただきます。
まず教育の第16条でございます。大谷委員がおっしゃったように、原則という言葉は用いてございません。ただ、第1項におきまして、施策の方向として、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒とともに教育を受けられるように配慮しつつ、施策を講ずるんだというのが第1項でございます。先ほどこの部分を御指摘いただきましたが、当然合理的配慮というものはそもそも基本原則として国のみならず、すべてに主体に係りますし、国におきましては、その施策を講ずる上で当然の前提となっているということでございます。
第2項においては、そういった方向で施策を講ずるということであったとしても、当事者の選択等によって、ともに学ばないということも想定されますので、そういった場合であっても交流や共同学習などにより相互理解の促進をしなければならないということが併せて書かれているということです。
先ほどの御質問の中で、ともに学ぶところだけを切り取ってインクルーシブ教育だというとらえ方ではないかということをおっしゃっていただきましたけれども、そういった制度全体をインクルーシブ教育システムと位置づけるのではないかと考えて整理をして、当然ともに学べるように配慮をして施策を講ずるんですが、ともに学ばない場合のこともしっかりと施策を講じて、全体としてインクルーシブ教育システムという位置づけではないかと考えてございます。
ニーズ保障とおっしゃっていたものが、必ずしも正確に何を指すのか私は存じ上げないんですけれども、別の方の質問にもありましたが、単に障害の種別や状態という極めて医学モデル的なものだけではなくて、個々の障害を有する児童、生徒はどういった困難があり、どういった支援が必要なのか。または教育ですから、当然お子さんの能力を伸ばすだめにどういうものが適当なのか、そういったことも全部含められるようにということで、特性という概念で今回整理をしております。
別の質問のところに出てきましたように、特性というものは、そもそもこれまでそういった概念がなかったところに何かそういった視点までを含めて表現する際に、どう表現するのが適当かということを検討の結果、ぴったりこういった用例はないんですけれども、他の分野における用例などを参考に、特性という言葉が一番いろいろなものを読み込める表現として適当ではないかと考えて、こういった表現にしてあるところでございます。したがって、佐藤先生の御質問ですけれども、要はニーズだとか実態、性格、環境といったものは当然全部含めた形で障害者の特性という概念を創設しているということでございます。
療育のところに関して狭まった、技術的な話として、見出しが付くのかという御質問があったかと思います。先ほど一番最初に見ていただいたように、改め文に確認いただければと思いますけれども、当然条文の見出しも含めて法律でございますので、今回の改正案でこういった見出しを付けている。したがって、これが議決されれば見出しの付いた条文になるということでございます。前回の案から条見出しが変わったのは、先ほど御説明しましたが、法律の構造上、他の条文で規定されているものをまとめて書いた方が参照しやすいと言えばそうなのかもしれないですけれども、何度も同じ法律の中で重複して書くということは、今の我が国の法律の整理上できないものですから、教育とか医療といったところで規定されているもの以外に抽出をする形で、医療や教育では含み切れない総合的な障害を有する子どもの発達支援のための施策という意味で、療育と改め固有の分野として規定をしたということでございまして、結果として、障害児支援全体がここの条文に書かれているわけではないと御理解いただければと思います。
第14条第5項の点でございます。先ほども御説明申し上げましたけれども、精神障害者の方々に関する個別の規定というのは、法律の構造上どうしても難しいということでございまして、そういった条文は盛り込まなかったわけでございます。第14条第5項におきまして、人権を十分に尊重という規定は、まさに精神障害者の方々に関する本推進会議における議論を踏まえて規定をしたところでございます。そこの部分で人権保障の部分は読めると考えてございます。
23条、相談等に関する部分についても御質問をいただきました。二次意見でピアカウンセリングと書いてあるけれども、条文上はピアカウンセリングと入っていないということで、先ほどの説明でも申し上げましたが、個々の条文に関しましては、立て方を見ていただければわかりますように、国、地方公共団体はかくかくしかじかしなければならないという立て方でございます。要は方向性というお話も別途北野先生からいただきましたけれども、方向性としてもピアカウンセリングをしなければならないというところまで、現段階で見極めがつかなかったということでございます。ただ、施策の方法としてそういったことが現にあり、その有効性を否定するものでは一切ございませんので、今後施策の内容を御議論いただく中で、どういった施策が必要なのかを更に御議論いただいて、御提案をいただければと考えてございます。
27条の司法手続に関する部分で、お二方から御指摘をいただいてございます。前回の刑事手続の場合の処遇のところでございまして、刑事手続に限って処遇のところまでを含めた条文がいいのか、手続対象を広げて規定する部分を全体に共通する部分にするのかという考えの双方を検討した結果、今回の改正案では刑事手続に限定しない形で書きつつ、処遇の部分に関しましては、先ほどの説明で申し上げましたけれども、合理的配慮の具体的な内容として刑事施設における処遇の問題など、個々に必要な配慮の内容を御議論いただければ担保ができるのではないかと考えた次第でございます。
14条、16条、17条に関する可能な限りの点について、竹下委員から御質問をいただきました。それぞれ条文の主語は国及び地方公共団体となってございます。例えばわかりやすいのは、教育の16条であれば、国及び地方公共団体は可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒とともに教育を受けられるように配慮しつつ、施策を講じなければならないという義務づけがされているわけでございまして、ともに教育が受けられていないと国及び地方公共団体に対して権利として主張することを想定して、こういった条文を立てるわけではなくて、あくまでも施策の方向性としてそういったことに配慮しつつ、施策を講じなければならないんだということで、可能な限りと書いてございます。
26条の選挙の関係に関しましても、御指摘をいただいております。まさに選挙等における配慮の条文で、これが成立をし、施行されれば、この条文が生きてくるということで、御質問はたしか選挙関連の法律、法令の検討が開始されるのかどうかという質問だったかと思います。それぞれの内容に関して、ここに書いてある内容をどのように実現するのかは、まさに所管する省庁が中心となって検討していくわけでございますけれども、具体的にこの条文を受けて、個々の法律はどういう改正が必要なのかということに関しては、当然どういった枠組みかはその省庁が考えることかもしれませんけれども、検討がなされると考えてございますし、そういったことも踏まえて、新たに設置をされる障害者政策委員会において、個々の条文がどのように具体化されていくのかを監視をしていただくことかと考えてございます。
第20条に関しまして、ここの部分の御説明を省略させていただきましたのは、前回の案から変更がなかったからという単純な理由でございます。
障害者のための住宅を確保という文言に若干違和感があるのではないかという御指摘だったかと思います。障害者のための住宅というものが具体的にどういった住宅を指すのかというところまで、この条文上厳密に規定しているわけではございません。まさに地域社会において安定した生活を営むためには、住居というものは当然不可欠な要素であるということで、その確保を国及び地方公共団体はしっかりとしろという意味で、一般的な概念として障害者のための住宅と書いてあるものでございます。具体的にどのような形で住宅を確保していくのかの施策に関しては、先ほどの選挙と同じでございますが、担当する省庁が中心となって更に検討していくものでございます。
22条の電子計算機でございます。これも会議で何度か御指摘をいただいたところでございますが、正直申し上げて、法律の用語というのは同じ概念を示す場合には同じ用語を使うということで法体系全体を整理しておりますので、ここでいう電子計算機、コンピュータを指すわけですが、それに関してわかりやすくその部分だけを今回の改正案で直すということは難しいということでございまして、それらを含めて法体系上はすべて電子計算機ということで統一をされていることで御理解をいただきたいと思います。
18条、19条のところでございます。先ほどの説明が若干うまくいっていなかったように御質問をお伺いして思って、反省をしております。個々の施策はそれぞれ何らかの分類に基づいて条文で規定をされてございます。今でいうと、18条の職業相談、19条の雇用促進とくくってある。
施策の連携に関して、新たにどういうふうに条文を立てるのかというときに、それぞれ個々のパーツは別途条文があるんだけれども、連携して施策を講ずるという特定の分野だけ条文を立てるのはどうしても法律の構造上バランスが悪くて、そういったことから、当然施策の連携というものはこの分野だけではなくて、先ほどの療育と教育とかあらゆる分野で想定されるわけで、そういったことをすべて含めて施策の基本方針の中で有機的に連携をさせて、総合的に展開せよと国に課しているということでございます。ですから、こういう施策の連携という条文を根拠に、今後具体的に一体的運用というのはこういうふうにすべきなんだということは、まさに法律の運用の中で、または政策委員会における議論の中で更に深めていっていただくということかと存じます。
ODAのところの御質問がお二方からありました。28条、国際協力のところでございます。情報の交換というものを例示として挙げてございますが、その他必要な施策ということで、当然ODAの中にもそういった障害者関連の施策ですとか、ここに書いてあるのは共生社会実現のための施策、全体の法律でございますが、それに関連し、それに資するようなものは当然に読めると考えてございます。ですから、そういったことを含めて、具体的にどういったものが含まれるのかは、今後更に具体的法律の運用の中で議論を進めればいいことだと思いますが、いずれにしても、この条文の立て方でそういったものは当然含み得るということを御理解いただければと存じます。
一応いただいた質問に対する回答は、以上でございます。
○ 藤井議長代理 補足に加えて、今、精神関係、就労関係、部会云々という提案がありました。これを併せて東室長からお答えをいただきます。
○ 東室長 若干補足したい点があります。それは司法へのアクセスの部分です。司法へのアクセスの部分については、刑事だけではなく民事まで広がったというのは非常に大きな前進だと思っています。ただ、処遇における配慮はどうなるのかという御質問について、権利条約の該当部分については、推進会議で余り議論していなかった点だと反省しておりますけれども、権利条約上の整理はどうなっているかというと、司法へのアクセスについては手続上もしくは年齢に適した配慮という書き方をしていて、それは13条にあります。
次に14条というのがあって、これは何を規定しているかというと、身体の自由及び安全ということで、特に2項においては、締約国は障害のある人がいずれの手続を通じても自由を奪われた場合には云々というところで、合理的配慮を提供することを含むという形で配慮すべきだということが書いてあります。ですので、権利条約上の整理でいうと、手続については手続上の配慮、その結果として自由を奪われた場合には合理的配慮という整理といいますか、区分けがなされているわけです。こういう観点からいっても、今回の改正案はかなり整合性がある形でなされているのではなかろうかという点を説明したいと思いました。
ただ、合理的配慮というものがきちっとした形で基本法に規定されていないという点で、どうかという議論は当然あるとは思いますが、それを前提にしても、権利条約に沿うような形になっていると思います。研修に関しては、権利条約上も刑務官を含むという形になっておりますで、若干その点は権利条約自体がきちっとした形で整理されているのかどうなのかというのはわからない点もありますが、大枠においては合っているのではなかろうかと考えております。
残る課題としては、処遇の問題について合理的配慮というものが被さるんだということが法文上明確にされるか、もしくは解釈上確認されるのかという辺りが課題としてあるという感じがします。
部会のことですけれども、特に労働に関しましては、従前から議論があるところであります。また、精神に関しても、今日委員から提案をいただきました。これについては、基本的には部会というものを設けるには大きな困難があるということを言ってきたわけです。しかし、ある意味では部会というよりも、推進会議本体でやる方がいいという感じも持っております。それは労働も精神も両方です。
特に精神のことに関しては、皆さん方の多くの意見を受けて、震災の問題がなければ個人的には、近々の推進会議でも精神のことをメインに議論できればと思っていたわけです。総合福祉部会の合同作業チームの報告もありますので、総合福祉法では片付かない問題というのは、また推進会議に戻ってくるだろうと思っておりました。そういう意味でも、労働と精神の問題は推進会議でじっくりとやる方向でできればと思っております。部会というところまでは、まだ結論は出せない状況です。
勿論推進会議のメンバーだけで議論ができるのか、足りないのでないかという御意見があると思います。従前からそういう意見を伺ってきましたけれども、そういう場合にはヒアリングという形でやる方法もあると思っております。必要であれば、単発ではなくて、何回かに分けていろんな人から聞くこともあり得ると思います。そこはもう少し検討させていただけませんでしょうか。お願い申し上げます。
以上です。
○ 藤井議長代理 後半の部会のところは、今、見解もあったけれども、もう少し検討させてほしいということを認めましょう。
まだ不満とかわかりにくい点もあったと思うんですが、ざっとお答えいたしましたけれども、よろしゅうございますね。
新谷さん、どうぞ。
○ 新谷委員 時間がないところで済みません。
質問は2点なんですけれども、先ほどの齊藤企画官の説明では総則に可能な限りを入れた理由は、条文に事業者も入っているから、可能な限りという文言が総則に要るというお話でしたね。先ほどの教育のところでは、国、地方自治体だから可能な限りが要るという御説明でした。私の理解が間違っているのかもわかりませんけれども、個別の条項でいちいち可能な限りを議論する、こういうことで可能な限りを議論するぐらいであれば、総則から可能な限りを外してしまった方が議論は個別にできるのではないですか。総則に残すという理由が崩れたような御説明だったので、気になりました。
もう一点、選挙のところなんですけれども、これでもう条文ができ上がっていると言われたら言いようがないんですが、選挙はハードのバリアフリーだけをとらえています。ソフトのバリアフリーは入っていないです。前から言いたかったんですけれども、これは総務省で進んでいる議論より後退した条文になっていますので、これだったらハードのバリアフリーさえ解決できれば、選挙に関する配慮は大丈夫という議論で終わってしまうのではないですか。
○ 藤井議長代理 この点だけお答えいただいて、次に移りましょう。齊藤企画官、1点目の可能な限りは総則と各則に矛盾がないかという指摘と、選挙に関する条項ではハード部分でしかないのではないか。事実上選挙への参画は難しいだろうということなんですが、お答えいただけますか。
○ 齊藤企画官 まず可能な限りのところでございますが、総則のところで事業主個人が入るから可能な限りが必要だという御説明に響いてしまったようですので、正確に申し上げます。第3項の意思疎通の手段の典型的な可能な限りが必要な状況として、そういった個人対個人の状況まで想定すると難しいのではないかと申し上げたかったので、それ以外のところは、すべて可能だという前提でお話をさせていただいたつもりはないものですから、そこのところは誤解を生じるような説明であったのであれば、訂正させてください。
それ以外の各則の部分でございますが、可能な限りというのが幾つかの条文に入ってございまして、それぞれの部分に関して、必ずしも可能ではない場合があり得るという懸念がどうしても政府部内の調整の中で払拭し切れなかったものですから、残っているということでございます。総則にあることと、各則にあることが矛盾をしているということではないと考えてございます。
選挙のところに関して、ハードだけに限定されているような表現になっているのではないかという御質問でございますが、ごらんいただいたところの最後の部分です。投票所の施設、設備の整備その他必要な施策のところには、ハードだけではなくて、ソフトの部分も含めて規定をしたつもりでございます。典型例として例示を挙げたのが投票所の施設と設備の整備でございますが、その他ソフトも含めて、ここに書いてありますように、円滑に投票できるようにするために必要な措置を講ずるという条文になってございますので、その点はハードには限られていないということでございます。
○ 藤井議長代理 議論の余地が残っていると思うんですが、新谷さん、時間がないのでよろしいですか。
それでは、基本的施策については、今日の段階ではこれで一応打ち切ります。
最後になりますが、30条以降です。改めて齊藤企画官から説明をお願いします。
○ 齊藤企画官 それでは、30条以下の推進体制の部分でございます。資料でいきますと、15ページ以下でございます。前回からの変更点はそれほど多くございません。
第30条の第2項中、前回の案では障害者基本計画に関すると書いてありましたものを、前号に規定すると直してございます。
ページをめくっていただいて、第32条でございますが、意見の表明というものがございますが、前回の案では意見の開陳となってございました。それらを改めた上で、31条と32条をひっくり返したというのが変更点でございます。これはいずれも法令の表現上の技術的な修正でございまして、実質的な内容については、前回から特段変更していないところでございます。
政策委員会の所掌事務の規定に関して、狭過ぎるのでないかという御議論をいただいているところでございます。特に議論ができない、所掌していないという構造にはなってございませんので、その部分は詳しく説明をさせてください。
第30条の第2項第1号におきまして、障害者基本計画の策定に関して、内閣府総理大臣が委員会の意見を聞くこととされておりますので、その委員会において当該事務を処理するための規定が第1号でございます。
第2号におきまして、先ほど申し上げたように、前号に規定する事項に関して、すなわち前号では障害者基本計画が規定されてございますので、要は障害者基本計画に関しまして、諮問の有無にかかわらず調査審議をして、意見を述べるための規定でございます。ここでいう障害者基本計画に関してという文言の中には、現に障害者基本計画に盛り込まれている事項は当然でございますが、それにとどまらず本法の目的であります共生社会実現のための施策であれば、基本計画中に仮にその段階で位置づけられていないことも含めて議論をすることができるという柔軟な規定でございますので、これをもって障害者政策委員会で議論する対象が狭められているということにはなってございません。この第2号があれば、諮問の有無にかかわらず調査審議をできますので、政策委員会において必要であると御判断されるのであれば、積極的に現行の計画に規定されていないものも含めて取り上げて調査審議をして、意見を述べていただけるということでございます。
第3号、監視に関する規定でございますが、監視の対象を計画の実施状況としているところでございますけれども、今、申し上げましたように、計画に関する事項は必要があれば能動的に調査審議を開始して意見を述べるというプロセスを経て、基本計画に盛り込めるということでございますので、その対象として何か狭まっているということではないわけでございます。ただ1点、計画に規定をされていないものを直接監視をすれば、そもそも監視というものは何か参照すべき計画がなければ監視の客観性を十分に担保することは難しいものですから、まずはしっかりと調査審議をして意見を述べ、それを踏まえて政府が計画を策定、改定し、それに基づいて監視をしていただくというプロセスを経る必要があると思ってございます。そうしないと、勧告ということになりますと、当然ここで議論いただきましたとおり、応答義務を課す非常に強い権限でございますので、その前提条件として参照すべき計画がないということになると、監視をする条件が整っていないのではないかという誤解も生じてしまうと考えてございます。
もう一つ、委員会の構成に関して御議論をいただいているところでございます。過半数を当事者にするような規定が必要なのではないかということだったと思います。この点につきましては、まさに障害者権利条約の策定プロセスの中でNothing About Us Without Usという基本理念を踏まえて、今回基本法の改正案の第10条において、国、地方公共団体は施策の実施に当たって意見を聞くんだ、そして、十分に尊重するよう努めるという規定を置いてあります。
更に政策委員会の構成につきましても、第31条の第2項におきまして、委員の構成については政策委員会がさまざまな障害者の意見を聞き、障害者の実情を踏まえて調査審議を行うことができるよう配慮されなければならないと規定しているところでございまして、これらの規定で十分に担保がなされているものと考えてございますが、具体的な構成につきましては、委員の任命権者は総理大臣でございますが、総理大臣の御判断に委ねるということが適当ではないかと考えた次第でございます。いずれにしましても、委員の構成につきまして、過半数を何々にするという立法例はないわけでございまして、そういった中でそういった条文を置くことは難しかったということで御理解をいただければと存じます。
説明は以上でございます。
○ 藤井議長代理 約束した時間を既にオーバーしていますが、しばらくこのまま進行させてください。
この件で10分程度しか時間が取れませんけれども、質問がある方は挙手をお願いします。大久保さん、新谷さん、尾上さんですね。大久保さん、新谷さん、尾上さんという順番でいきます。
大久保さんからお願いします。
○ 大久保委員 育成会の大久保です。
政策委員会というのは最も重要なものだと思うのですけれども、特に障害者基本計画の実施状況を監視しというところで、勧告とかこういったものが強化されているというのは評価するのですが、もともと障害者基本計画がどのようなものかというのが最も重要なわけです。そうすると、それを策定する際に意見を聞くというのは、現行の法律と同じなのです。文言としての違いは調査審議と協議というところが違うのです。調査審議によって、具体的にどのような効力というか権能というか、こういったものがあるのか。この辺をお聞かせいただきたいと思います。
もう一つ、基本計画に含まれていない事項もここで調査審議できるのだという根拠というか、この条文の前項の第11条4項のところを読んでも、そこからどういうふうに解釈できるのかという感じもします。ですから、その辺の根拠がどの条文から見ることができるのかということもお聞きしたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 その2つですね。
新谷委員、どうぞ。
○ 新谷委員 大久保さんのお話と大分かぶるんですけれども、労働、雇用の問題で、先ほど松井先生が労働政策審議会の分科会の問題を提起されましたが、30条の2項の審議内容の中に、例えば分科会が自分たちで担当すると言っている障害者の雇用、労働の問題、具体的には障害者雇用促進法の改正問題などというには、全部分科会が議論して、政策委員会なりここの推進会議はそれを聞いて問題点を質問したり、勧告する機能しかないのか。それとも実質的に雇用促進法の改正内容に踏み込んだ議論を障がい者制度改革推進会議または政策委員会ができるのか。流れとしては、省庁の管轄事項なので、省庁が独自に進めていきます。それについて政策委員会は質問などができるだけであって、かなりでき上がったものに少し手を加える、質問していく程度、解釈を聞く程度で終わってしまうのかという懸念があるんですけれども、具体的には労働者審議会、言わば分科会の動きというのが気になるんですが、それ以外にもいろいろあると思うんですけれども、そういうところと政策委員会との関係というのは、もう少し詰めた解釈をいただきたいと思います。
○ 藤井議長代理 他の政策会議体との関係性、権限という問題ですね。
尾上委員、どうぞ。
○ 尾上委員 園田政務官がおられる間に議論できればよかったんですけれども、今回、政策委員会の意義といいますか、条文上の規定に加えて趣旨や意義みたいなものをしっかり確認をしたいと思います。というのも、先ほど園田政務官のお話の中では、今回の基本法改正によって政策委員会ができることで、推進会議の体制に対して法的根拠を持って継続をして制度改革に取り組むんだというお話がありました。あるいは先ほど齊藤企画官の説明の中でもNothing About Us Without Us、私たち抜きに私たちのことを決めないということで、当事者の意見を聞く規定をいろんなところに盛り込んだというお話がありました。
そうだとすれば、過半数条項があった方がいいとは思うんですが、ほかに前例がないということで実務的に難しいとするならば、今日の園田政務官のお話や齊藤企画官が先ほどお話されたようなことをしっかりと国会での審議や今後の中で確認をしてほしい。すごく回りくどい言い方をするようになって、逆にこの意味が薄らいでいる感じがするんです。そこは逆にすっきりと、むしろ今の推進会議の体制に法的根拠を与える、すなわち推進会議は権利条約の私たち抜きに私たちのことを決めないという趣旨を踏まえて、当事者等が過半数になった委員会を設置したんだ、そういった経過を踏まえて、こういった政策委員会を提案するみたいなことを何らかの形でわかるように説明してほしい、発信をしてほしいと思います。お願いです。
○ 藤井議長代理 今回の議論で深められなかったこと、不十分な点は、恐らく政策委員会の方に場が移されていくだろう。政策委員会は非常に大事だということは共通認識だと思います。
以上の4点に関して質問があったので、齊藤企画官からお願いします。
○ 齊藤企画官 まず政策委員会の所掌事務の読み方に関する確認の質問でございます。第30条第2項第1号におきまして、基本計画に関しという文言がございます。
1号におきましては、計画の策定または改正に当たって意見を聞くという規定の事務を処理するための規定でございます。策定、改正に関して意見を聞くということであるとすると、単に現行計画に書いてあることのみならず、それに関連をし、必要なことは当然審議していただく必要があると思いますし、構造的に分析をしなくても、そもそも法令上の監視というものに関して、あえて所掌事務を狭めるような形で読まなければいけないという、解釈上のルールもございません。この法の目的が共生社会の実現で関連するということであれば、当然この規定の監視で読めるということで、政策委員会が独自に御判断をして調査審議をしていただければよろしいと思ってございます。それ以上に法律の文言でそういったことを担保するというのは、当然前例もございませんし、そもそもそういうふうに読んでいただければ、十分に権限を行使できるにもかかわらず、あえて入念的に法律をもってそういったことを書くというのは、法技術的になかなか難しいところでございます。
それから、調査審議や意見の内容について、もう少し詳しくということだったと思いますけれども、まさに先ほど申し上げた、また尾上委員からお話がありましたように、中障協があり、推進会議があり、そういったものを発展的に改組して、新たにこういった権限を持った政策委員会を設置いたしますということでございまして、今、推進会議で御議論いただいているように、必要な議題に応じて説明を求め、議論をし、必要な改善などの意見をまとめていくというプロセスが通常この調査審議、意見を述べるということで想定をされております。
それに関して、例えばヒアリングが必要だと政策委員会が判断すればヒアリングをしますし、現地調査が必要であればするかもしれませんし、それはまさに政策委員会において権能を十全に発揮していただくために必要なやり方で調査審議をしていただければいいということでございます。
他の審議会または分科会との関係でございます。御承知のとおり、国の組織でございますので、それぞれの所掌事務がございます。労働関係の法律であれば厚生労働省が所管をし、その内容に関して審議をするのは厚生労働省に設置をされている審議会の所掌事務でございます。
障害者政策委員会はまさに内閣府に置かれる八条機関として、先ほど案が決まって提示をされて、それに少し意見を言って終わりかという御趣旨だったかと思いますけれども、どういう段階でどういうふうに関与をするといいますか、意見をすり合わせていくのかとか、そういったことも含めて運営のやり方は政策委員会で御検討いただくものと思います。要は決まったものしか報告を受けないということが、何もこの条文上で決まっているわけではございません。検討の早い段階から公式、非公式に意見を交換していくとか、いろいろなやり方はできると思ってございます。
いずれにしても、そういった個々の共生社会実現のための施策、または基本計画に関する施策について、基本計画でこういう方向でやるんだと定まっているものに関して、その実施状況を監視するという機能もございます。ですから、今のもので労働政策に関する施策の実施状況について必要があれば監視をし、更に必要な意見を述べていくようなことも想定されています。この場で、動き出していない段階で、何をどうしていくのかということを考える必要はないといいますか、こういった規定を基にどういうふうに運営をすることが一番この法の趣旨に照らして適当かということを、法を施行し運用する中で御検討いただくことかと思ってございます。
恐らく質問は以上ですね。
○ 藤井議長代理 尾上さんのものは意見も入っていたし、国会に移った後のこともあると思います。
あえて聞きますが、他の関連審議会と政策委員会は、特に上位、下位という関係ではないということですか。
○ 齊藤企画官 上位とか下位とかそういう整理ではございません。それぞれ担当する分野がありまして、例えば個別の制度であれば、当該審議会の意見を聞いて改正をするという制度がそもそも存在することも幾らでもございます。それは当然その組織が担当するものでございまして、政策委員会は障害者基本法に基づいて、障害者施策または共生社会実現のための施策に関する調査審議、意見具申をする場でございますので、そういう切り口で意見を述べるということで、その両者にどちらが上、どちらが下という関係はございません。
○ 藤井議長代理 今後の運用ということもありましたので、一応今日の段階ではそういうお答えであるとしましょう。
時間が大分過ぎていますので、せかして申し訳なかったんですが、今日、主には解釈という点でのお答えということで、閣議決定前段階での話を伺ったことになると思います。今日の議題の本体はこれでおしまいにいたします。
最後に報告事項が数点ございますので、もうしばらくお付き合いのほど、お願いいたします。
まず大谷委員からです。先ほど出ていました障害児支援合同作業チームから、子ども・子育てシステムへ意見を出した。そういう報告の特徴点をお願いいたします。
○ 大谷委員 大谷です。
今日の配付資料の2ページからになります。多少分量がありますので、内容に関しては全部説明できないんですけれども、内閣府の中に子ども・子育て新システム検討作業グループというものがあって、それが既にかなり進行していて、今年5月、6月には成案を得てしまう中で、我々としても、せっかく障害児支援作業チームができているので、我々の意見も参照していただきたい。また、子育て新システムの方でも意見を聞きたいという両方からの思いがあったんですけれども、そういったときにどういうふうなツールがあるのか、ルートがあるのかがわからないけれども、とりあえず我々とすると早急に意見をまとめようということで、臨時の作業チームをもって、これをとりまとめました。
ただし、その後、震災があったりして、臨時の作業チームでまとめたものが作業チーム全体として成案になったということではないんです。6人中5人が集まった臨時の作業チームでしたので、ほとんどこれが合意事項にはなると思いますけれども、そういう意味では正式な手続は経ていませんので、まだ途上ではあります。ただ、相手方があることですので、可能な限り早く検討していただきたいということで、今日ここで報告をして、もしよければ、作業チームで成案を得たら、これはこのまま内閣府の子育て新システムの方で検討してもらってもいいという形で、後先になりますけれども、検討していただきたいということで出させていただきました。
内容に関しては、先ほどちらっと言ったように、障害児支援は子育て一般施策の中でもされるべきである。子育て一般施策というのは、通常の障害のない子どもに与えられているサービス、支援は、当然障害のある子どもにも与えられるべきである。具体的に言えば、保育園、子ども園等における入所が保障され、そこにおける支援が保障されるべきである。そして、それに対する具体的な財源保障なども検討されるべきであるということが大枠の意見となっております。非常に細かい論点になっておりますので、今日ここで全部を紹介することはできませんけれども、大枠はそのような趣旨で意見をとりまとめました。
そういうことで、後先になりましたけれども、長瀬委員も出席してもらった中で、とりあえず意見をとりまとめましたので、もし御意見があればいただきたいし、報告したといった取扱いの上で、次の作業を進めさせていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 意見をとりまとめて報告したということと、次の作業に進むことの了解ということで、よろしゅうございますね。
次に、内閣府としては旧年度最後だったと思うんですが、福井で行われたフォーラムの報告をしていただきたいと思います。行かれた方はだれでしたか。松井さん、大谷さんですね。報告書はどちらですか。松井委員から報告をお願いします。
○ 松井委員 福井は300人ぐらいの方が集まって、基本的には第二次意見を中心に説明をさせていただきました。後日、あらためてご報告したいと思います。
○ 藤井議長代理 はっきりわからなかった点もありますけれども、了解してください。人口六十数万の福井県で300人というのはすごいですね。
ほかにもJDF関係では奈良とか和歌山がありましたけれども、省略をさせていただきます。
最後になりますが、長瀬委員からジュネーブで行われた障害者の権利委員会の出席、傍聴を含めて報告がございます。長瀬委員から報告をお願いします。
○ 長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。
先週の月曜日11日から15日まで、スイスのジュネーブで障害者の権利条約の国際的モニタリング機関である障害者の権利委員会の第5回会期が開催されました。主な公開部分である11日から13日まで、NGOの立場で出席の機会を得ましたので、簡単に御報告いたします。
まず今回の大きな特徴としましては、締約国からの定期報告書の審査の開始があります。ようやく国際的モニタリングが実質的に動き始めました。記念すべき最初の審査対象国は北アフリカのチュニジアでした。今年1月のジャスミン革命で体制が非常に大きく変わったチュニジア政府との建設的対話が委員会と行われました。委員からの質問は非常に多岐にわたり、障害者の定義、合理的配慮、法的効力と成年後見、地域生活と入所施設、教育、手話、精神障害者、女性障害者などについてありました。このように私たちの課題である障害者基本法の改正とも密接に関連する質問が多くありました。
今回からは締約国の増加に伴って、これまで12名だった委員が18名に増えました。全部で18名のうち15名が障害者です。女性は8名、男性は10名です。役員の選挙があり、委員長は引き続きオーストラリアのロン・マッカラムさんです。彼は男性なのですけれども、副委員長は3名全員女性です。報告者にはドイツのテレジア・デゲナーさんがなり、役員5名のうち女性が4名となりました。
なお、今回から初めてパソコンの筆記、文字通訳が大きくスクリーン、大体3m×3mだったと思いますけれども、それで投影されて、非常に注目されました。場所は議長団のすぐ後ろで、非常に目立つところでした。私自身もこの筆記のおかけで大分理解が助けられました。筆記者はアメリカのシカゴにいるという形での遠隔の情報支援でした。ジュネーブとシカゴは時差が7時間あります。
条約は、現在、締約国、地域組織の数が全部で99で、大台になる100番目がどこかが注目されています。ロシアというあくまでうわさがありました。
次回はスペインの審査ですが、スペインの障害NGOからは、既に政府とは別の報告書の提出があり、それを中心的に紹介する国際障害同盟によるサイドイベントの開催がありました。また、別のNGOによる国内実施とモニタリングに関する33条をテーマとするサイドイベントもありました。次回の第6回会期は9月に開催されます。
最後になりますけれども、障害団体の非政府組織、NGOである国際障害同盟を代表する形で、初日に条約と震災について発言の機会を得たことを申し添えます。ぎりぎりの段階で発言をお願いしたいのですけれども、日本の震災と障害については委員会でも関心が強く、委員長、委員からの支持が得られ、急遽発言することができました。その前の週のJDFの宮城支援センターでの支援体験も踏まえ、本当にわずかですけれども、被災現場からの声を伝えるとともに、災害という観点からも条約実施の重要性を訴えることができたと思います。発言の内容については、次回、資料として提出をしたいと思います。
なお、東日本の大震災について、委員長始め各国の多く委員、またNGOの仲間から本当に心温かいお見舞いの言葉を預かってまいりましたことを御報告申し上げます。
以上です。ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 以上をもちまして、準備された議題と報告事項を終わりましたので、小川議長にマイクをお返しします。
○ 小川議長 本日は長時間の討議、お疲れ様でございました。
ここで東室長より今後の予定を含め、報告すべき事項があれば御説明をお願いいたします。
○ 東室長 東です。
御苦労様でした。
次回の32回推進会議は、5月23日月曜日を予定しております。正式に決まり次第、改めてお知らせを申し上げます。
中身としては、震災のことをメインに議論できればと思っています。ただ、震災のことといっても幅が広くて、できれば各委員が関係しておられる団体を通しての実情報告とか、どういう点に困っているとか、そういうことの報告もしていただければと思っております。状況報告だけでは推進会議の議論としては足りないのではないかと思っておりまして、どういう点をめぐって議論するかについては、できれば、こちらからこういう点についてどう考えるかという形の論点表みたいなものをお出ししたいと思います。完全にはできませんけれども、できる限り、そういうものを議論の進行に役立てるという意味で出したいと思っております。まだ検討中のことですので、確定はしておりませんが、以上のようなことを考えている次第です。
ありがとうございます。
○ 小川議長 よろしいですか。ありがとうございました。
それでは、これをもちまして、本日の会議を終了いたします。
この後、この場所で記者会見を行います。
本日はお忙しい中、誠に御苦労様でございました。ありがとうございました。