(PDF形式:362KB)別ウインドウで開きます

障がい者制度改革推進会議(第33回)
議事録

小川議長 定刻になりましたので、これより「第33回障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。本日の委員の出欠状況ですが、門川委員、清原委員、福島オブザーバーが御欠席です。遠藤オブザーバーが15時に御退席です。更に、中島委員が若干遅刻のようでございます。その他の委員につきましては御出席でございます。会議の公開はこれまでと同様といたします。進行上の時間配分については、後ほど東室長より報告があります。本日の会議は、17時までと予定いたしております。

それでは、これより先の進行については藤井議長代理にお願いいたします。どうぞ。

藤井議長代理 それでは、ここから先は藤井の方で務めさせていただきます。最初に、本日の進め方につきまして東室長より概略の説明があります。東さん、よろしくどうぞ。

東室長 担当室の東です。こんにちは。本日のメインテーマは、合同作業チームの報告についてであります。15分の休憩を3回とし、従前どおり4つのコーナーでやっていきたいと思います。第1のコーナーは55分ほど時間を予定しております。

最初に、障害者基本法などについてこの間の状況について御報告を申し上げたいと思います。続きまして、議事に入りまして、就労合同作業チームの報告について議論いたします。座長である松井委員から20分ほど報告していただき、その後、25分ほど議論をする予定です。

続きまして、第2のコーナーですが、ここでは45分を予定しております。医療合同作業チームの報告について、座長である堂本委員から20分ほど報告いただき、その後、25分ほど議論になります。

第3のコーナーは45分で、障害児合同作業チームの報告についてであります。座長である大谷委員から20分ほどの報告をいただき、その後、25分ほど議論いたします。

最後の第4コーナーは40分で、前半の25分は、部会作業チームの状況等について、今後のスケジュールを中心に総合福祉部会の部会長である佐藤委員から15分ほど報告していただきます。その後、10分程度の議論をしていくことになります。

後半の15分は災害と障害者につきまして、日弁連から出されております「災害時要援護者及び県外避難者との情報共有に関する意見書」が大谷委員から提出されておりますので、大谷委員から5分ほど報告をいただきたいと思います。

本日の大体の予定は以上のとおりです。

藤井議長代理 今も説明がありましたように、今日は4つのコーナーに分かれますので、ちょうど、14時、15時、16時が各コーナーの終わる時間です。各々15分間ずつ休憩をすることとなりますので、進行に御協力をお願いします。

それでは、第1コーナーは今、ありましたように2つです。前半が報告事項を15分間。後半が就労合同作業チームの報告。これが議題になります。まず、前半の障害者基本法等のこの間の改正に関する動きついて東室長より報告をお願いします。

東室長 担当室の東です。既に御存じだと思いますけれども、障害者基本法の改正につきましては、政府におきまして改正案を取りまとめて、衆議院に提出されておりました。これにつきまして、衆議院の内閣委員会の方で6月の15日に審議が行われました。

内閣委員会では、政府の改正案をベースに修正案が出されまして、それに基づいて審議が行われました。2時間以上あったかと思います。確認答弁を含め、最終的には全員一致で衆議院の内閣委員会を通過しました。それを受けて、翌日、本会議でも異論なく通過したと聞いております。ですので、参議院でいつ審議されるかということが現在の課題ですが、国会の全体的な状況、いろいろな動きもある関係で、いつ審議入りするということまではまだ確定していないと思いますが、早晩、この基本法につきましては、審議され、通過していくのではないかと思っている状況です。

それと、お手元に参考資料として配付しておりますが、障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律。いわゆる、障害者虐待防止法が6月17日に成立しております。これは議員立法という形で議論されてできたわけです。所管は厚生労働省になると思いますので、時期を見て、この法律の内容等につきましても厚生労働省の方から御説明願うことがあるとは思っております。

以上でございます。

藤井議長代理 それでは、障害者基本法の改正等に関するこれからの経過の説明がありましたが、質問等がございましたら挙手してください。松井委員、どうぞ。

松井委員 先ほどの、東さんの方からも衆議院は通ってあとは参議院だということですけれども、その改正の内容の中に、例えば、第4章で私たちは障害者政策委員会が非常に重要だと考えていますけれども、この役割として、省庁間を超えた問題の取り扱いというか、そこはこの政策委員会で議論ができると理解しておいていいんでしょうか。

藤井議長代理 これは東室長。

東室長 それは法案を見てもらえばわかると思うんです。要するに、一番は、障害者基本法に基づく基本計画。それが議論の対象になるわけですけれども、基本計画は省庁横断的に、ある意味で言えばあらゆる問題が入るものですので、省庁ごとに議論が制約されることはないと思っております。

藤井議長代理 松井委員。

松井委員 確認させていただいたのは、総合福祉法に対する作業チームからの報告に対して、厚労省からのコメントが出ておりますけれども、特に、例えば就労関係で言えば、雇用労働に関しては、労働政策審議会のマターであるということで、基本的にはそこをクリアーしない限りは議論できないというニュアンスがあると思いますが、この政策委員会の場合は、そういう制約なしに議論できると考えていいわけですね。

藤井議長代理 東室長。

東室長 現在は、ここの会議は閣議決定ということでできております。法案が通れば、法律に基づく委員会ということになりまして、そこで審議すべき事項、権限等は法律に書いてあるわけですから、当然、それに基づいて議論ができることになります。ただし、ほかの省庁なので、いろいろな関連分野で審議会等もございますので、ここだけですべてが完結することにはならないと思いますけれども、基本的には、法律に従って審議をしていくと御理解願えればと思います。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。久松委員。お願いします。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。今回の制度改革推進会議の場で、障害者基本法の内閣府の法案提出に対する意見が出され、修正案が出されていると思います。できれば今回の会議で資料を配っていただきたいと思います。

もう一つ、附帯決議も衆議院の内閣委員会で採択されました。しかし、その附帯決議が持つ意味につきましても確認したいと思っております。付帯決議は7項目があり、いろいろ検討を進めなければならないと思っております。その内容すべてをこの制度改革推進会議で検討することになるという理解でよろしいでしょうか。確認したいと思います。

以上です。

藤井議長代理 今、2つ出ていました。修正案について最新のものを配付してほしいというのと、附帯決議と推進会議との関係ですね。答えられる範囲で、東さんお願いします。

東室長 担当の東です。修正案自体は、ここで作成したものでは当然ありません。国会を見ますとホームページには出ております。ただ、先ほど参考資料として出しました虐待防止法のように成立したものではないので、まだ、審議の過程であるということで、今日はまだ出していない状況です。成立後は、勿論、次回の推進会議では当然、出そうとは思っておりましたが、そういうことで今日は出していないということです。

附帯決議について、久松委員の質問の御趣旨がわからないんですが、そこでこういう検討をすべきだと書かれた事項についてもここで議論するのだと理解すれば、当然、それが障害者の制度に関わるものであれば、議論の対象としては、やはりしていくことになろうと思います。

藤井議長代理 久松さん、よろしいですか。

久松委員 はい。結構です。ありがとうございました。

藤井議長代理 私の方でコメントとしましては、附帯決議については、恐らく、当該省庁でやはりこれを施行するものと、引き続き推進会議等で論議するものと峻別されると思うんです。だから、それもきちんと参議院も経た後にもう一度考えるというふうにしたいと思います。

このコーナーはこれで大体予定時間は終わるんですが、よろしいですか。

それでは、これから議題に入りまして、今日、3つの合同作業チームと、総合福祉部会のおのおの説明をいただきますが、最初に就労合同作業チームに関して、松井委員の方から報告をお願いします。

松井委員 松井です。この機会を与えていただきましてありがとうございます。20分ですので、基本的にはこの作業チームの報告に基づいて説明させていただきます。

まず最初に1ページの下の方にございますように、就労合同作業チームは全体で6回にわたって会合を行いました。主な検討内容は、基本法に絡むものと、総合福祉法に関連するもの、それから、雇用促進法に関連するもの、その他という形で検討をしました。

2ページの冒頭に、就労合同作業チームの結論とその説明が書いてございますけれども、最初には、障害者基本法について、作業チームとしてどういう内容を盛り込むべきかということを、6点について書いてございます。

まず最初に、労働の権利の保障と、苦情に対する救済制度の整備。

それから、労働施策と福祉施策が一体的に展開できる障害者就労制度の整備と、労働保護法の適用の確保。

3点目に、多様な就業の場の創出及び、必要な仕事の確保等が基本法に向けて提案しました。

2点目の、この総合福祉法の中にどう位置づけるかということですけれども、私たちとしては、現在の自立支援法などに基づく就労関係事業を就労系事業と作業活動と社会参加活動を中心とした作業活動系事業と再編成したらいいと。特に、最初の就労系事業については、障害者雇用促進法に位置づけるべきか、あるいは、総合福祉法に位置づけるべきかという2つの考え方があるわけですけれども、この就労系事業に従事する障害者の労働者性を確保する目標からは、当然、労働法である障害者雇用促進法に位置付けるのが望ましいわけですが、しかし、条件整備等は容易ではないということで、当面は総合福祉法の中に位置付けるという提案をしました。ただし、期限を定めて見直しをする。

なぜ、期限を定めてかというと、後の方で出てきますけれども、この就労系事業に関する試行事業が、後の方で提案されております。試行事業がもし実施されるとすると、その検証結果を踏まえてこの就労系事業の見直しを当然すべきである。最後の活動系事業については、総合福祉法に位置付けるということになっています。

就労系事業については、実は、委員の中に3つの考え方がありまして、3ページ目の真ん中の下の方に就労系事業と書いてございますけれども、大きく分けると、社会的雇用。これは箕面市が実施している、そこで働く人たちに最低賃金以上を保証し、労働者性を確保しているという取り組みです。それから、滋賀県であるとか、札幌市が実施している、社会的事業所においても基本的にそこで働く障害者等には労働法を適用するということです。

3点目が、セルプ協、あるいは日本障害者協議会が提案している社会支援雇用。これは、賃金補てんの下に労働法を適用するという考え方でございます。基本的には、この最初の社会的雇用と、社会支援雇用、非常に似たようなことで、あるいは、両者を一本化できるかわかりませんけれども、社会的事業所は、必ずしも障害者だけを対象としたわけではなく、就労に困難を抱えるあらゆる人たちを対象にする。

それから、この社会的事業所もう一つの特徴は、必ずしも賃金補てんは求めないで、基本的に、適切な仕事の確保の支援があれば、その中で労働者性、あるいは、賃金保証をしていく。そこは、社会的雇用、あるいは社会的支援雇用と社会的事業所の違いですけれども、いずれにしても、大きく分けて2つについては、必ずしも今回の議論の中では整理していなくて、これについては、試行事業ということで、その中で検証しながらいずれの仕組みがより妥当性があるのかを検証していこうという形になっております。

4ページ目に、もう既に申し上げましたけれども、冒頭に就労系事業については、基本的に労働法を適用する。

それから、4点目として、就労系事業で就労する障害者の賃金を妥当な水準に引き上げるための適切な仕事を安定確保するためにどうするか。これは非常に大事なことで、賃金補てんをすれば済むということではなく、やはり、そこで、きちんとした仕事を確保し、その仕事を通してできるだけ収入を増やしていくということを考えると、仕事の確保について、例えば、官公需の優先発注制度であるとか、総合入札制度、あるいは民間企業からの仕事の確保のための、雇用率制度とリンクしたいわゆる「みなし雇用制度」の導入であるとか、発注促進のための税制上の優遇措置といったものであるとか、あるいは、単独の事業所だけではなかなか取組みが難しいということで、共同受注窓口といったものを設けることによって、1つの事業所、あるいは、少数の事業所では対応できないものを協力して対応する。あるいは、共同でその事業所の能率・生産性を上げるための取組みをする。そういうことも併せてやる必要があるだろう。

現在、自立支援法の下で、施設外就労といって事業所に所属しながら実際には企業、あるいは公的機関に出向いて、そこで就労するという仕組みがございます。それは職業準備性を高めるという意味で有効であるので、そういう施設外就労を受け入れている企業等についても先ほどの「みなし雇用」と同じような形でカウントすることも併せて検討する必要があると思います。

ただ、問題は、今の民間企業の1.8%という雇用率の中でそれをやると、本来雇用につなげるべきものがつながらないことがありますでしょうから、もし、そういう形を導入すると、後で出てくる雇用率制度の対象の拡大に関連して、当然、雇用率の引き上げも併せて検討する必要があるだろう。

それから、4ページの最後の5点目として、就労系事業で就労する障害者に対する利用料負担の問題。現在、この自立支援法の下では、A型にしても、就労移行支援事業にしても利用料負担という問題がございます。それは基本的におかしいということで、利用料はなしということで提案しております。

雇用促進法に関連したことですけれども、雇用率制度は、基本的に雇用の量としての規制をしているわけですけれども、当然、雇用の質を高めるという意味で、現在、差別禁止部会でも検討されておりますが、合理的配慮であるとか、あるいは、職場における差別の禁止が当然、取り上げてしかるべきである。

それから、障害雇用促進施策が対象とする障害者の範囲については、あらゆる種類の障害者に広げていく。現在のところ、例えば雇用義務が課されているのは身体障害者・知的障害者に限られておりますけれども、精神障害者も含めて、その他、あらゆる種の障害に広げるとともに、就業上必要な支援を明らかにするための総合的なアセスメントの仕組みをつくる必要があると提案しております。

雇用率制度及び納付金制度の在り方ですけれども、先ほども申しましたように、やはり、現在の対象を障害者権利条約で求められているようなあらゆる障害を持つ人たちに広げることと同時に、納付金の額であるとか、あるいは助成金の給付手続等についてもしかるべき見直しが必要であろう。

職場における合理的配慮の提供については、これも今後、検討されるわけですけれども、そういう合理的配慮が企業等できちんと提供されるような経済的・技術的支援を制度化すると同時に、適切な合理的配慮が提供されない場合についての苦情申立等の救済措置等についても、当然、併せて検討すべき必要がある。

先ほど少し御紹介しましたけれども、6ページの一番最初のところ、今後の検討課題ということで、現在の福祉的就労というものを見直して、そこで働く人たちに労働者性、あるいは最低賃金以上を支払えるようにするための仕組みの検討で、試行事業を提案しているわけです。

これについては、先ほども申しましたように、基本的には3つの考え方があるわけです。それ以外にも、さまざま取組みがあるわけですけれども、そうした取組みの有効性を検証することによって、特にそういう労働法の適応、あるいは最低賃金以上を提供できるような制度をつくる上での課題を整理するということで、いろいろ提案しております。具体的な内容については見ていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、今のこの機会を逃しては、これまでそれこそ何十年も続いてきた福祉的就労制度の見直し、それを変えることはできないということで、それにつなげるためのこういう取組みが是非とも必要であろうと、作業チームでは考えております。

既に申し上げましたように、この新しい制度には労働法の適応と賃金補てんを制度化することによって、そこで働く人たちがちゃんと地域において生活できるようなことにしなければいけないわけですけれども、その場合に、6ページの一番最後にあるように現在の所得保障制度との調整の在り方は当然議論しなければならないだろう。

これについては、6月の閣議決定の中でも、公的年金制度の抜本的見直しと併せてこういう障害者の年金制度、あるいは所得保障制度について見直すということになっております。その中で引き続いて検討する必要があると思います。

7ページの真ん中のところに、全国民の中での障害者の経済的活動や生活実態を明らかにする基礎資料の整備が提案されております。これまで、障害者に関する実態調査等については、限られた人たち、例えば、就労関係で言えば、手帳を持っている人であるとか、あるいは、雇用されている障害者で、必ずしもそれ以外の障害者についての実態調査がきちんとできているわけではない。そういう意味では、特に現在のこの制度の中では谷間に属するような人たちも含めて、障害を持った人たちが、障害を持たない人と比べて生活実態であるとか、経済活動がどうなっているかというようなことを国の基幹統計調査、つまり、全国消費実態調査であるとか、国民生活基礎調査の中に障害に関する項目を入れることによって、実施することが国民の中での障害者の位置づけを明確化する意味で必要だろう。そういう意味で、そういう調査をやるべきだ。

7ページの最後のところで、今回の中では、障害者の雇用・就労に関する労働施策と福祉施策を一体的に展開するための体制整備を提案しているわけですけれども、そのためには、当然、今、2つに分かれている労働行政と福祉行政をどう一体的に展開できるようにするか、あるいは、地方自治体レベルで雇用・就労・福祉・年金などに係る総合的なワンストップサービスの設置も提案しております。実は、これは最近幾つかの市で単独でワンストップサービスを既に実践しているところがあるということですので、そういう取組みに注目していきたいと思います。

以上、さまざまな提案させていただいたことに関して、フォローし、実現化を目指すための今後の検討体制づくりで、この提案の中では、推進会議の下に就労部会、または就労検討チームの設置をして就労系事業に関わるモデル事業等の検証も含む検討課題について議論を深めて結論を得るという提案になっております。先ほど質問させていただいたように、障害者基本法の下に、障害者の政策委員会ができるのであれば、その中でそういうことも含めて引き続いて検討していただきたいと思います。

ただ、先ほど、少し申しましたように、就労合同作業チームでは、特に、就労系事業について3つの考え方があるということで、1本には絞っておりませんけれども、そうすると、総合福祉法の中にどう位置付けるのかが問題になってきます。早急に、作業チームの中で、メール等での意見交換をすることによって、当面、総合福祉法の中にどう具体的に位置付けるべきかという提案はしたいと考えております。

併せて言わせていただければ、先ほど少し言いましたように、総合福祉部会への第2期作業チームから出た報告書に対して、厚生労働省からのコメントが出ているわけです。勿論、もっともだということもございますけれども、いずれにしても、私たちも政府のメンバーとして一緒に検討しているわけで、さまざまな、例えばこの就労合同チームが提案していることについても、非常に難しい問題があることはわかりますが、しかし、それは、お互いに知恵を出し合って、いかに問題を解決していくのかというポイントでコメントを欲しかったと思うんです。

そのコメントの多くは、例えば、先ほど少し言いましたように、労働政策審議会のマターであるとか、あるいは、閣議決定の中で、特に就労関係については、来年、結論が出るということで、今、なぜその結論が出る前にお前たちは勝手にそんな議論をしているんだとも取れるようなニュアンスがあるわけですけれども、別に、私たちは自分たちの利益のためにやっているわけではなく、やはり、今この問題はきちんと取り組むべきだということで議論しているわけです。

足りないところについては、勿論、指摘されてしかるべきだと思いますけれども、それを、どうしたらこの問題によりいい回答ができるのかという姿勢で取り組んでいただきたいと思います。この際、一言併せて発言させていただきました。どうもありがとうございました。

藤井議長代理 松井委員、ありがとうございました。

それでは、これから、2時、14時を目途に質疑を交わします。今日、この後に続きます医療の合同作業チームとか、それから児童の合同作業チームも同じなんですが、この時期にこのことを論議している意味合いは、仮称ですが、総合福祉法に合同作業チームとして盛り込むべきものと、総合福祉法には入り切れない内容と、当然このことを峻別し、区分けしていきながら議論をしていくことになると思うんです。

おのおの、ずっと抱えている、あるいはずっと継続している、言わば積年の課題を引っさげていますので、それぞれ深刻でありますが、共通しては総合福祉法に入るものと入らないものとを区分けして議論することにあると思うんですが、まず、就労合同作業チーム、今の松井委員の報告について質問・意見などがある方は挙手していただけますか。

まず、土本委員からお願いします。

土本委員 意見ということで言いたいんですけれども、先ほど言ったような苦情を処理するという点ですが、なかなか知的の場合、相手に伝えるのが難しいところもあるので、そのときにもう少し合理的配慮を含めればいいと思うし、それで、雇用したときに労働の保険はどうなっているか。私たちはやはり、労働しても雇用保険が入っていなかったために、大変なお金を払わなければならなかったという部分があります。その点はどうかという意見を言います。

以上です。

藤井議長代理 土本委員からは、最初のもう少し、苦情相談等で合理的配慮があってもいいのではないか。

2つ目としては、雇用保険を今、出しながら、障害がゆえに不利益がかかってくるということで、この辺をやはりそうならないような、今度の制度の方向には欲しい。

土本さん、例えば苦情に関する相談などで、合理的配慮をとおっしゃったけれども、例えば、今、土本さんが考えられる、こんなふうにしてもらえばいいのではないかという具体案は何かありますか。

土本委員 具体案ということではないんですけれども、やはり、自分たちが知っている人たちでないとなかなか気持が伝えられないというか、初めて会う人はやはり伝え切れないので、自分の、仕事の場合で嫌なことがあっても、なかなか伝え切れないので、自分たちが理解をしている人たちが周りにいて、それで、話せるかと思うんです。

藤井議長代理 そういう支援者が一緒にいてということ。

土本委員 支援者が一緒にいて、伝えられるのではないかと思うんですけれども。

藤井議長代理 2つ目の、雇用保険の話があったけれども、それ以外にも、例えば土本さんたちの仲間の中で、就職はしたけれども、正規社員とか、正社員ではない。全部、臨時だとか、アルバイトとか、こういうふうになっている場合が多いと思うんだけれども、その辺で何か感じていることはありますか。なかなか正規社員とか正規職員への道は遠いとか。

土本委員 そうですね。やはり、精神の人たちは、精神というだけで、もうそこで就職を断られたりとか。

藤井議長代理 済みません。精神ではなく、正規。正規というのは正社員とか。よく最近、非正規とか正社員になれない人が多いでしょう。特に障害者とか知的障害の場合にはなかなか正職員に採用されない。皆、臨時とかアルバイトになってしまうんだけれども、こんなことを感じていることはありますか。

土本委員 やはり、障害のことが理解されていないのかなと思うし、なかなかその点をもう少し理解してほしいと思っております。

藤井議長代理 では、今のことはまた松井さんからコメントをいただきますが、併せてほかに少し何人かいかがでしょうか。では、関口委員。

関口委員 3ページを見せていただいているんですけれども、就労系事業と作業活動系事業となっていて、当面は総合福祉法。私の理解では、総合福祉法というのは、多分、給付に関わる法律だと思うんですが。労働者性をいずれ、そちらの方に移行するとか、例えばB型事業というのは、工賃が発生しているわけですけれども、最低賃金には行かないという場合には、労働者性はどうするのか。その辺の突っ込んだ議論はあったんでしょうか。

藤井議長代理 逆に関口さんは何か意見はありますか。

関口委員 工賃が発生している場合には労働者性は私はあるんだと思います。ですから、ここで作業活動系の中に、地域活動支援センターと就労継続支援B型が並んでいるというのが、私には不自然な感じがして、地域活動支援センターは別に工賃は発生しないんですけれども、小規模作業所とか、就労継続支援B型の場合は工賃が発生するので、この場合は当然、労働者性は担保されなくてはいけないのではないかという気がしていて、根拠法が総合福祉法だと給付の法律になってしまうので、その辺の折り合いをどう付けていったらいいのかがいまいち、よく。パイロットプラン、試行事業でいろいろやってみるということもあるようですけれども、私はここでは、就労継続支援B型並びに小規模作業所などのいわゆる工賃が発生するところに関しては、利用料が無料であることは勿論として、労働者性を担保するべきでないかと考えます。

藤井議長代理 では、後でお答えいただきます。ほかにいかがでしょうか。では、まず松井委員、今のお二方の質問、意見に対するコメントがありましたらお願いします。

松井委員 ありがとうございます。

土本さんからあった、最初の苦情処理については、やはり、そういう自分たちのサポーターというか、よくわかる方が代弁するなり、あるいは、企業の中でも日常的に接触している方がちゃんと必要な代弁をするそういう仕組み。例えば、ドイツにおいては重度障害者代表という人が職場の中にいて代弁をする仕組みがあるので、そういうことも含めて検討すべきではないかということは議論をしました。

先ほどの非正規、正規雇用との格差であるとか、あるいは、具体的には私が言った福祉的就労で働いている人たちにはまさに同じ問題があるわけですけれども、そういう問題をやはりきちんと解決していくための制度の再検討が必要であろうとこの議論をしてきたわけです。実際に、新しい制度づくりには当然時間がかかると思いますが。

関口さんから質問があった総合福祉法との関連ですけれども、現在でも、関口さんが御存じのように障害者自立支援法の中でA型、B型が位置付けられていて、A型は基本的には雇用関係があるわけです。ですから、当然、総合福祉法においてもあり得る。だから、私たちとしては、A型、B型というよりも、その中でちゃんと労働法が適応できるような仕組みに当面は、A型、B型に代わるものとしてつくってはどうかということなんです。

関口さんが、工賃があれば、それは当然労働者性があるとおっしゃいましたけれども、現在、B型は、平均すればそれこそ月額1万2,000円ぐらいしかならないわけで、あくまで、これは労働契約なしでやっているわけです。ですから、そこは先ほど私が強調したように今回の中でやはりそこをきちんと整理する必要があるということで、これから、作業チームで提案しようとしているものの中では、少なくとも総合福祉法の中で労働性があり、最低賃金が支給できるような形でまとめたいと考えております。

藤井議長代理 先に新谷委員、お願いします。

新谷委員 新谷です。松井さんがまとめられて座長報告の中でほとんど網羅されているんですけれども、例えば、福祉的就労の中の就労ケア事業に労働者性を持ち込むということに関して、それでは、どういう労働者性を持ち込むのか。賃金に関して持ち込むのか、安全法規とかその辺の労働者性を全部持ち込むのか、いろいろな議論があったわけです。

賃金の問題について言えば、最低賃金とか所得保障の問題とすぐ結び付いてしまうので、単純な労働者性の持ち込み方だけでは解決できない。その点、さまざまな議論があって、ここの報告の中ではかなりオブラートに包んだ、一般的なことしか書けていないんですけれども、それにもかかわらず厚生労働省は労働者性の問題を持ち込むのは、今は労政審議会の問題であるという形になっているわけでしよう。

そうしますと、総合福祉部会がこの提案、作業チームの方向を受けて、どれぐらい整備した総合福祉法の書き込みができるのかが非常に不安があるわけです。

総合福祉法はまだ佐藤先生の部会である程度たたく場が設けられていますけれども、ここで報告している一般就労の部分は、一体どこで議論するんですか。松井先生の御提案はここにそういう議論をする場をつくって、それで労政審議会の議論とかみ合わせながら進める必要があるという御理解だと思いますけれども、閣議決定でも、少なくとも23年度中に福祉的就労への労働法規の適応の在り方は片をつけるとなっているわけです。24年度では合理的配慮の問題とか、そういうものを全部片をつけるとなっている。それをやる場が一体どこなのかを、やはりはっきり決めておかないと、この作業チームの報告の行き場がないということが起こるのではないかと思うんです。

もう一つ、私はやはり委員参加していて今、非常にフラストレーションというか、心残りな部分は、例えば、教育の場ですと、対象となる人は全部わかっています。一般、普通学校と特別支援学校となっても、教育年齢というのは一応、何人、どれぐらいいるととらえ切れています。だけれども、労働問題については、福祉的就労に何人いる、一般就労に何人いる、対象はあくまでも障害者手帳を持っている人の範囲であるということで、本来、労働ができる人がどれぐらいいて、その中のどれぐらいが福祉的就労に入って、どれぐらいの人が一般就労に入って、残っている人は一体どうなっているんですかという外枠の議論が全然できなかったわけです。

それについては、ここでいろいろな実態調査をやって、全部課題を出してという取組み方になっておりますけれども、単純に見て、身体障害で360万人の手帳を持っている人の3分の1が就労対象だとしても120万のうち35万人しか就労していないわけです。3分の1ぐらいしか就労していないわけです。ほかの人の生活実態はどうなっているんですかというのを、やはり、一緒に問題にしないと、労働就労の本当の問題は浮かび上がってこないのではないかという気がしています。一部は議論したんですけれども、そこの議論をやる場がなかったのですが、なかなかその部分の議論ができなかった。やはり、委員の構成、作業チームの構成から総合福祉部会のメンバーのお話が中心になってしまったので、やはり、この推進委員会から入った委員の議論する範囲が、かなり限定を受けたということがあったわけです。

土本委員のお話にもありましたけれども、これからそれをどうしていくのかというのを踏まえてこの場で議論していただきたいと思います。

藤井議長代理 今、かなり本質問題が2点ありまして、1つは、総合福祉部会からあぶれるところの議論の行き先は一体どこになるのか。労政審というけれども、そういう議論はまだできていないということ。議論の今後のありようと、それから、余りにも基礎データがなさ過ぎるということですね。この辺のところは、実態を踏まえた議論という点でいうと、一体、ここの議論の仕方自体も実態を踏まえているんだろうか等々。

では、東さん、お願いします。

東室長 1点だけ質問したいんですけれども、労働者性の議論の前提として、通知で出されている労働者の要件があります。随分以前、昭和26年ぐらいだったと思いますけれども、一律に授産で働いている人を除外する、そういう趣旨の規定から、一定に実質的な判断ができるような規定に最近変わったと思うんですけれども、その判断基準自体がどうなのか。妥当性があるのか、ないのかといった議論はあったのかということ。もし、あれば、どういう議論がなされたのか、そこを少し紹介していただければと思います

藤井議長代理 それでは、新谷委員は松井さんの座長、合同作業チームでありますので、先ほどの御意見はまた議論しますが、今の東さんの質問に、昨今改訂がありましたけれども昭和26年通知のところの読み方、及び、そこの議論があったとしたら議論の経緯をということですが、これは松井さん、いかがでしょうか。

松井委員 昭和25年か26年かの通知と、一昨年の通知がありますが、昭和25年のときは、一括最低賃金適用除外となっていたのが、御承知のように、2年前の改正案では、一般に比べてどれぐらい生産性が低いかということで、例えば、仮に言えば50%までダウンすることによって労働者性を確保することが可能である。だから、一律に除外するのではなく、減額特例措置をすることによって50%の賃金しかもらえない人も労働者性を確保することは可能であるとはなっています。

ですから、今回、どこまで労働者性を適用するかということについて、希望すればすべて適用することは現実的ではないと思います。それは、ある一定のレベル以上については、例えば、一定時間きちんと払える、仕事ができる、あるいは、一定レベルまで生産性を上げられるという人たちについて、労働者に準じた形で適用することを議論したわけです。

東室長 東ですけれども、そういう意味で聞いているのではなくて、新しい通知では、内容を詳しく正確には覚えていませんけれども、要するに指揮命令とか、そういうものがあって、実態が労働かどうかということが問題になっていて、労働能力如何は問題になっていなかったと思うんです。賃金除外制度云々という話では全然ないわけです。要するに、訓練という要素がきちんと入っていれば労働者ではないとか、そういう趣旨の文言があったと思うんです。そういう基準自体がどうなのかという議論があったのかどうかを聞きたいんです。

松井委員 失礼しました。結局、現在の制度では、例えばB型は、5年、10年ずっと訓練で最低賃金適用除外という形になっているわけですけれども、そういう、訓練ということであれば、当然、一定の年限が2年なり3年ということであれば妥当性があるけれども、5年も10年も訓練という形ではおかしい。だから、そこはやはりちゃんと就労として位置づけるべきではないか。

実際、今のB型にしても、いわゆる指揮命令なしにやっているのかというと、やはり、一定の仕事について、何時までに仕上げることが求められる。実質問題としては指揮命令関係に実態としてはなっているわけです。やはり、そこの現実をきちんと受け止めて、だから、訓練にしても、あるいは、先ほどの指揮命令にしても、やはり実態を見て判断しなければいけないのではないか。形式的に言えば、確かにそれはB型のところはそうはなっていないと理解されているけれども、それは形式的な見方であって、実態論から見てほしいという議論はありました。

藤井議長代理 関口委員。

関口委員 今のは少しおかしいと思うんです。作業所とか、いわゆるB型などで、工賃倍増計画が言われました。言われましたけれども、なかなかそんなに簡単に効率のいい仕事を取ってくることはできないわけです。そうすると、職員も同じ仕事をしているわけですけれども、利用者さんの方が仕事の能率はいいということが起こるわけです。職員も同じ仕事をしていて、給料は全然違うわけです。片や工賃で、片や給料です。

確かに、今までの自立支援法の体系だと、行った日だけ利用料を払うという話ですから、いつ行ってもいいということになって、それが原因で何とかということで定員1.5倍まで登録していいという特例が設けられたりしているわけですけれども、精神などの場合、特に調子の波がありますから、行ける日と行けない日があるわけで、行ける日に働くのは合理的なことだと思うんです。でも、いずれにしろ、働いた代わりに工賃、例えば、私の関係しているところでは1時間400円とかそれぐらいに、平均でなるときはなります。ですから、月に1万2,000円ということは全然なくて、いく人はもっといくわけです。

実際に働いている内容は、別に健常者の職員と同等か、それ以上のスキルを持ってやっているということであれば、そもそも利用料を取るのがおかしいし、働いた分は、賃金だとすれば、当然のことながら労働者性はあるんだと私は見ているんですけれども、そこのところはどうなんでしょう。

藤井議長代理 松井さん、最後にお答えいただいてこのコーナーを締めくくりたいんですが、いかがですか。総括的に今の発言と併せて、全体でもいいです。

松井委員 関口さんが言いたいことは、先ほど、例えばB型において、働いている人たちは、能力のある人も含めて最低賃金にも満たない、極めて低いものにとどまっている。そこは一体どうしたらいいんだろうということが指摘されたと思います。確かに、先ほどの社会的事業所においては、そういう、職員、利用者という区別がなくそこで働いている人たちについて同じ仲間、労働者として処遇すべきであるという考え方もあって、確かに、それは一理あると思いますけれども、そういう在り方も含めて、今後、先ほどの試行事業の中で検証することによって、より妥当な在り方について明らかにすると提案しているわけです。

藤井議長代理 それでは、時間が来たんですが、委員の方の挙手も少なかったような感じが私はしたんですけれども、問題がやはり難しいということはあるんです。

福祉的就労という言葉は一体いつごろからだれが使ったか。これは政策用語ではないんです。まさに1970年代半ば以降、だれかが使い始めた言葉。割と便利がよくてこうなってきた。しかし、これだけ矛盾がたまってしまった。

松井さんの話を伺っていますと、政策のあるべき方向はかなりはっきりとしているんだけれども、その行き着くための論理構成が、やはり、非常に私は甘いという印象を受けました。これは、本当に経済界や、あるいは社会を相手にしたときに、この部分の労働法規適用にしても、福祉と労働の一体化にしても、相当やはり理論武装、あるいは論理的な分厚いものを持つ必要があるだろう。これは引き続き、方向性の合意は大まかにあったにしても、この詰めを、是非、残っている課題として、議長をやりながら感じましたのでよろしくお願いいたします。

では、以上で、2時になりましたので、これから2時15分まで休憩にしまして、この後、医療・合同作業チームからの報告に入りますので、15分間、休憩をしてください。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、第2コーナーに入りますので、着席をお願いします。

第2コーナーに入る前に、土本委員から、先ほど、あれからいろいろ考えて、労働に関する発言をしたいという申し出がありましたので、短い時間ですが土本委員の発言を認めますので、土本委員、よろしくお願いします。

土本委員 先ほどの少し補足で言います。働く者の権利を等しくし切れないという点と、面倒くさいけれども置いてやっているという関係がつくられてしまっている状況だということを付け加えたいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 私は、今、休憩時間にお話ししたんですが、非正規と、正規職員で、圧倒的に知的障害者は非正規が多いわけです。形式上は労働権保障と多いのだけれども、その労働の質で言うと、もう、圧倒的に非常勤。これは伺っていると、もうほとんどの知的障害者の多くが、その権利を主張できないんですと、ここに加えて言っていました。とても難しい問題が一杯絡んでいる。

ですから、どんなに政策が立派でも、ちゃんとそれを実行たらしめるようにちゃんと作動する仕組みが同じぐらいないと、政策だけではいけませんという話と、もう一点は、差別・偏見だと思うんだけれども、何となく、雇ってあげているんだということを感じる、あるいはそういう仲間が多いということを土本さんがおっしゃっていたので、この辺も、もっと深い政策論議が要るのではないかと感じて、今のお話に加えて、そういうことをおっしゃっていましたので補足させていただきます。

関口さん、どうぞ。

関口委員 今の件に補足ですけれども、労働者性と私が言っているときに念頭にあるのはスト権なんです。要するに、労働の対価として賃金を得ているのであれば、団結権も交渉権も全部あるわけです。そうしたときに、例えば、雇用主の態度がひどいとか、あるいは、賃金が安過ぎるということに関して、団結してストライキを打てるのか打てないのかというのは、基本的に重要なことであると思っていて、そういう意味で労働者性ということを言っています。給付の法律である総合福祉法にはなじまないような気がするんです。

藤井議長代理 松井委員もまた労働者性とはということはこれまでもお話ししてきましたが、改めて労働者性を担保していくための条件とは何かということについても、更に明快に示してもらいたいと思います。

このコーナーは次に移りますので、医療・合同作業チームです。これについては堂本委員から報告をお願いします。

堂本委員 まず、1期と2期の私どもの医療の合同作業チームは、ある意味では本質的な違いがある精神障害、重度心身障害、難病について議論が進みました。1期目は、精神医療に特化した議論です。そして、2期は重度の心身障害、難病、さらに精神障害の領域で、総合福祉法に反映されるべき事項の3点に絞って議論しました。

まず1期の内容からお話を申し上げたいと思います。資料の中で「第1期作業チーム報告(医療)」の13ページになります。

全体を見ていただいた方がわかりやすいので、一番大事なことは、やはり、1期は精神医療が主でしたから、精神医療に特化して申し上げると、私どもは障害者権利条約の批准を念頭に置いた場合には一番、抵触する内容が多いのは、精神障害の領域と云えるので真摯に取り組みました。

そのポイントを説明させていただきます。誰もが憲法で自由を保障されています。しかし、精神障害者は犯罪をしていなくても、また、裁判で拘束されることが決まったわけでもないにもかかわらず、医学的な理由で非自発的に身体を拘束されたり、行動を制限されたり、非自発的に入院させられます。しかも自分が希望する期間以上に、最近は以前より短くなっているとはいえ、時には5年、10年、あるいは20年という長期にわたって身体拘束というか、自由を剥奪された状況に置かれるケースが少なくないのです。憲法に違反なのではないか、と云いたいケースが少なく有りません。それにも増して、障害者権利条約の考え方にも違反するので、そうした人権侵害に当たるような医療モデルのシステムは改正すべきです。さもないと条約の批准にはたどり着けないのではないか、というのが基本的なスタンスです。

そうした中で、改正障害者基本法が国会で成立しました。障害者基本法の改正の際には残念ながら精神障害に関する記述は入りませんでした。それだけではなく、精神障害の問題は医療法ですとか、精神保健福祉法とか、その他、さまざまな法律と関連があります。

まず、一番の問題は、ページをめくっていただきまして、(1)いわゆる社会的入院の解消です。地域社会でインクルーシブな生活ができる体制が整備されなければなりません。それを担保するためには、精神病床を削減することを前提として、必要最小限の病床確保に向けた国の責務として施策の実施の根拠となる既定を設けるべきである。これが一番大事だと思います。(1)の下の3行でございます。

なぜ、こういうことが求められるようになったかというと、もう、半世紀前に、国策として「収容と保護」という形を取ったときに、「自由の拘束」は本来は公がするべき仕事、裁判所であれ、地方自治体であれ、公的な行政の名においてきちんと公平、中立な立場で行われるべきです。ところが民間病院の活用という方向に舵が切られたために、純粋に公の判断ではなく、「病院の経営」という要素が入ってきました。そのために、ここの3行が大変大事なことになったわけです。そのことを一番重要視して、私たちの考えることの土台とさせていただきました。

2番目ですが、これも同じようなことなのですけれども、今の法律では、精神障害者に関しては、本人の自己決定だけではなく、保護者が責任を負うことになっています。これも、保護者が全ての責任を負うべきなのかどうか。保護者といえどもそういった責務を負うべきではなく、例えば、司法機関であるとか、地方公共団体といった公の機関が責任を負うべきということで、これを2番目の大きな柱とさせていただきました。

3番目ですけれども、社会的入院、人権の侵害が起こっている原因は、強制的な入院で、3行目ですけれども、適正な手続を保障する規程が何より大事ということを、私たちとしては制度化してほしいと訴えました。

次のページの(4)に移らせていただきます。精神医療の質の向上です。一般医療と違うことは説明、インフォームドコンセントがないということで、原則をきちんと決めるべきです。

それから、後半のところですけれども、大事なのは、往診・外来受診を含む医療体制の強化と書いてあります。地域生活を支援するのであれば、当然のことながら地域医療が充実しなければいけないわけですが、そこに書いてございますように、医師、看護師、コメディカルといった人たちが連携して地域での生活を支える。それは、医療と福祉の連携が重要ということができます。そういった意味で、入院という形だけではない、まさに医療モデルから社会モデルへの移行をすすめるべきである、としてここに書かせていただいております。

5番目になりますけれども、その場合に、一般医療の問題になるのですが、精神医療に人権の確保という視点からだけではなく、一般医療においても精神障害者の人権を確保すべきです。なぜならば、精神障害者が癌になったり、糖尿病になったり、年を取ってくるといろいろな合併症を起してきますが、その際、適正な手続が保障されていません。そのために、癌や糖尿病などの合併症を起こしても一般病院になかなか入院もできないという現実があるのです。したがって一般医療における問題点として解消すべきであり、我々にとっては大きなテーマでございました。

総合福祉部会では、精神病院を代表する先生も委員として入っておられて、大変まじめに、真摯に議論をしました。当事者の福祉、人権といった観点から、福祉の充実、地域移行の充実については意見が一致したのですが、精神保健福祉法を廃止又は改正するか、否かについては、合意をみませんでした。

推進会議の場ではむしろ、精神保健福祉法はなくして、もっと正当で、現実に即した適正手続法に変えるべきであると主張しました。また、第2次意見でもそれを書かせていただきました。精神科としてはその立場が取れないということで、ここでは、囲みでこちらの座長メモだけが出ておりまして、それを書き込むことはできませんでした。

もう一つ、病院側と意見が違ったことは、17ページの2-2になりますけれども、認知症の問題です。私たち推進会議の議論としては、認知症の方は、精神病院に入れるべきではないという意見でしたが、精神病院の方では、精神医療が認知症の人に必要なので、専門的観点から対応すべきである。認知症には積極的に関わっていきたいとしている民間病院も多いので、認知症を精神病院に入れるべきでないといったことを書いてもらうのは困るということで、書き込むことができませんでした。

飛びますけれども、退院する人を地域で支える、地域移行支援システムの構築のところを見てください。長期入院をしている方たちが地域に移行することになった場合には、なかなか病院外の生活に慣れません。そのための集中的なトレーニングとか、多角的な社会適応訓練を含めた地域移行が円滑にできるようなシステムが必要です。ここは、まさに医療モデルから社会モデルに移行するための生活支援・福祉サービスを重視する必要があるということを主張させていただきました。

そのためには、まず必要なことの1つが、住居でございます。そのために、いろいろな居住サービスをこれからは展開していく必要があるということです。

それから、病院から地域への道筋をつくるのには、それ相応の予算が必要であるし、人権の視点からの財源の確保が急務であるということです。それを支援する人材の確保も大事です。

もう一つは、ドロップインセンターのようなシェルターの必要性です。病院からいきなり地域あるいは就労ということは難しい場合があるので、そういった場合に、クッションとなるようなセンターが必要ということも主張してきました。

いずれにしても、一期で議論したのは、地域移行をしていくについて、人権的な視点からどのような支援をし、福祉のサービスを充実していくかです。そして、適正手続の下に不条理な入院が続くとか、自由の拘束が行われるようなことがないように、さまざまな施策がいりますが、その方法の一つとして、例えばピアサポートがあります。以上、多角的に議論をしてまとめさせていただきました。

私個人として言わせていただくと、これだけ今まで多くの問題を抱えていながら、厚生労働省は社会的には解消すべきであるとの認識をもちながら、非常にアバウトな議論しかしていない。幸い日精協の副会長さんも含めて、歴史を逆上り、とことん議論をしたことは有意義でした。お隣の関口さんも、当事者として何を考えているのかを明確に表明し、議論が展開されました。初めてのことです。議論した結果、今、お話ししたような筋道で私たちは意見をまとめることができました。

精神病院の代表を含めて話した結果、精神保健福祉法の問題と、認知症の問題は一致しませんでしたけれども、それ以外のところでは、相当に地域移行について積極的にまとめることができたのは大変に前進だったのではないかと思うのです。

先ほど松井さんも言われましたけれども、厚生労働省のコメントで、そういった議論全部を、これは要らない、もう、厚生労働省で検討委員会が進んでいるのでそちらの方で決めると一刀両断に切られてしまったことを私はとても残念に思います。

こちらも、第一次意見があり、閣議決定があり、第二次意見にきちんと理論的に推進会議として書き込んだことを土台として総合福祉部会の作業チームとして話し合ったわけなんですけれども、その土台がすべて否定されたのは、非常に論理的にもおかしいのではないか、という思いを強くしています。

先ほど、これは就労の問題と同じだと思いましたが、改正障害者基本法にも、完全にゼロ回答。議会での答弁の中とか、そういうところでは幾らか回答があったかもしれませんけれども、きちんと今、申し上げたような内容が書き込まれなかったということです。

そして、今度は総合福祉法の内容についても、以上の内容が反映されるべきである、特に後半に申し上げた地域移行のために地域医療と福祉との連携が必要です。福祉サービスがない限り、あるいは居宅サービスがない限り、社会的入院の解消は難しいのです。私は半世紀以上、精神障害者の問題は国策としての方向性を間違ってきたといえます。政府は責任をもって解決すべきです。

第2期の報告に移らせていただきます。簡単なレジュメが23ページにあります。

先ほど、難病、重症心身障害児、精神障害の3つの内容で議論したと申し上げました。まず重症心身障害児については、既に医療と福祉の連携がとられ、福祉サービスが行われてきました。

一方で、難病になりますと、「難病」の概念すらもまだ確立していない「難病」についても厚生労働省としては、既に厚生労働省の検討会で議論している、そこでの議論にまかせればいいのでは、といった姿勢。総合福祉部会で議論した内容は、いわゆる陳情のような扱われ方をしてしまったように思っています。3つのグループに共通して言えることは、自己決定権のための相談支援が大事とのことです。

それ以外にも、今回の報告にどういう相談が必要かが書いてあります。通学の支援や学習の支援についても、3のところですけれども、特に若年で発症した場合には、そうした支援大事なことが書かれています。

1期のときと同じですけれども、なにより地域での住まいの確保、居住のサポートがないと、地域移行は難しい、進まない、ということです。具体的には、特に精神障害者にとって大きい問題なのですが、公的な保証人の制度をつくって、市町村が賃貸物件を借り上げることも考えるべきではないか。

1期と2期の違いは「認知症」の精神病院の入院についてです。1期は「認知症」を精神病院で受け入れるべきか、否かについては、合意することが出来ず、両論併記になっています。関口委員川崎委員は推進会議の意向としては、「認知症」を入院させるべきではない、と主張しましたが、日本精神病気協会の副会長はそれに反対の意見で、両論併記になりました。

ところで25ページの丸ポツをごらんいただきますと、病床を削減し、閉鎖した病棟を高齢者や障害者のケアハウスなどの共同住宅として活用することを禁止する、としています。「認知症」という言葉は使っていませんけれども、同じ意味から書きました。というのは2期はメンバーが変わり、日本精神病院協会の代表が抜けたので、新しい2期のメンバーの意見として書き込まれました。そこで、一期と二期の間で整合性がなくなりました。つまり、メンバーが変わったことでこのように変わりました。

難病の方たちの御意見は強烈で、医療モデルの中にどっぷり入れられているケース多く、本人の希望に沿って地域医療と福祉サービスが受けられるシステムがないのです。しかし、まだ結論として制度化を要望するのは時期尚早、というのが難病の担当委員の意見でした。

藤井議長代理 堂本委員、そろそろまとめに入ってください。

堂本委員 入ります。たんの吸引や経管栄養をどこまでやるかということなどについても非常に微妙な問題を抱えている。したがって、いい形でこれから議論を深め、その上で制度をつくって欲しいということでした。

今、ちょうど時間が来たようなのでやめたいと思いますけれども、結論として難病、重度心身障害、精神障害の3つの障害領域に共通して言えることは、総合福祉法だけでなく、それ以外の法律、例えば医療法、精神保健福祉法、あるいは、地域保健法といった、ほかの法律に関わる問題が非常に多かったことです。そこで最後の作業としては、「骨格提言」をまとめる総合福祉部会の三役に、総合福祉法に反映させる内容と他の法律の中で改正しなければならない内容を振り分ける整理をしながら受け取っていただきたいというお願いをいたしました。

報告書の目次を佐藤会長からいただいたところですけれども、総合福祉法の骨格提言のほかに、関連する他の法律との関係を報告書にまとめ込んでいただくことになったそうなので、私はとてもよかったと思っています。2期目に議論した重度の心身障害児の問題、難病の問題も整理し、関連法との関連として列挙していただけることを歓迎したいと思います。

以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

藤井議長代理 それでは、残り20分間弱でありますが、今の御報告に関する質問や意見をお受けします。発言したい方は挙手をお願いします。まず、川崎委員、お願いします。

川崎委員 私は、堂本座長の下、第1期、第2期と医療部会にどっぷりつかっていた者でありまして、少しその中での意見を申し上げますと、やはり、全体、1期も2期も通しまして、医療をどのように福祉につなげるかということで、これは先ほどの松井先生と同じなんですけれども、医療法があって、福祉法があって、現在自立支援法におきましても、自立支援医療と福祉が全く別枠で動いているところで、いかにこれのすり合わせといいますか、福祉に必要な医療をどのようにするかということをずっと考えておりました。

確かに、日精協の先生がおっしゃるのは、医療法の話なんですけれども、特に今回この医療部会に入りました精神と難病と、重症心身の方と、聴覚障害の方がいらっしゃいましたけれども、皆さんに共通していることは、医療と保健と福祉のやはり連携したサービスがないことには、地域生活はできないのではないかということが私たちの大方の意見だったと思います。

そういうところで、医療と福祉の連携はどんな形でできるかなんですけれども、私は、相談支援体制であるのではないかと思っております。すべてやはり、相談の窓口からいろいろとサービスにつながるのではないかと思います。

先ほど、堂本座長からもありましたが、多職種チームによる相談支援体制を、是非ともこの総合福祉法の相談体制の中に組み込んでいただきたい。その場合、医療に対しまして恐らく医療報酬がかかってくると思いますが、それは、またその時点で、いわゆる往診の形になると思うんですけれども、その辺また新たな策を練らなくてはいけないと思いますけれども、一番、大切なことは、やはり医療と保健と福祉の連携した支援体制をつくっていただきたい。このことを強調したいと思います。

以上です。

藤井議長代理 関口委員。

関口委員 22日から24日にかけて国連高等人権弁務官事務所のジュネーブ駐在の男性と、フィジー駐在の女性が福島の震災に関して、2006年に国際関係機関常任委員会というころで正式に決定されているものだそうですけれども、「自然災害発生時の被災者保護に関する運用ガイドライン」を紹介しに来て、視察もして帰りました。

保護という意味ですけれども、保護行為とは、関連する法典、すなわち人権法、国際人道法、難民法の文言及び精神に従い、個人の権利を十分に尊重させることを目的としたすべての活動だそうです。直接災害とは関係なかったんですけれども、3回ほどいろいろセミナーや会合がありまして、その中で精神障害に関することでお伺いしたことをちょっと紹介したいと思います。

最初に言われたのは、まず第一に、拷問等禁止条約の選択議定書を批准してはどうかと。これをすると、いわゆる拘禁施設に対する査察が入ります。精神病院も例外ではありません。これが必要ではないかと最初に言われました。

次に、国連特別手続きというのがあるらしいんですけれども、双葉病院のことを英文で紹介しましたので、その中の健康への権利というマンデートを持っているところがあるので、そこに上げてはどうかということ。もう一つは恣意的拘禁に関するワーキンググループというのがあるんだそうです。これにも上げていいのではないかと言われました。厚生労働省がいろいろ言うならば、少なくとも、選択議定書の批准はなかなか難しいでしょうけれども、残りのことはできますのでやりたいと思います。

今後の検討課題。32ページを見ていただきたいんですけれども、精神障害者については精神医療における拘束、電気ショックなどの医療の内容に踏み込んだ人権確保の観点から適正手続の確保、保護者制度の見直し等について精神保健福祉法の抜本的な改正が必要。実は、これは拘束とか電気ショックとか、薬物療法を見直すということは、医療法とか、医師法そのものに関わってくる話です。拘束は倫理委員会ができるようになってからパーセンテージが増え続けています。また、薬物についてはベンゾジアゼビン系薬物の離脱症状。ベンゾと言っていますけれども、要するに、普通に適量を取っているだけで依存してしまうんです。麻薬みたいなものです。やめるときにすごく苦しいという問題があって、JDFにメールをいただいた件です。欧米ではほとんどなくなっているんですけれども、日本ではまだ盛んに使われている。これは医療内容を本当に読み込んだ話だと思います。どの薬物を使うか使わないか。

そういうことも含めて検討していかなければいけない。人権の観点から検討していかなくてはいけない。つまり、そんな依存してしまう薬物をどうするんだという話で、欧米では社会問題になったわけです。それが日本では、全然社会問題にもならない。医者はいい薬だと思うから使っているみたいな話でJDFに告発されています。そういうこともあるので、本当にここのところは重要なところなので、治りさえすればいいというものではないです。例えば、拘束をして治す方法もあるだろうし、しないで治す方法もあるとしたら、しないで治す方が、少し時間はかかるかもしれないけれども、当たりまえですが、当事者はしないで治して欲しいわけです。だから、そこのところをやはり人権の観点からはかりにかけてほしいと言っておきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 関口さんは委員だったんでしょう。この報告書は人権の観点はないということなんですか。

関口委員 人権の観点があるんですけれども、医療内容に踏み込んでと言ったのは検討課題で一番最後に私が言ったんです。医療内容に踏み込むということは、つまり、拘束は治療行為だからやりますと言われたら、人権も何もないんです。つまり、医療行為の1つだから、私は拘束派ですから拘束しますと言われてしまったら、医者の権限になってしまうんです。例えば、ベンゾ系の薬を私はそれが好きだから使いますと医者が言ったら使われてしまうわけです。それに対して、それは困ると言うのは人権の観点から医療の内容に踏み込んでいるわけです。だから、今までにはなかった論点です。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。委員の方以外の方たち、いかがでしょうか。今は補足意見だと思うのですが、ほかにいかがでしょうか。挙手がないというのもおかしな話です。これはいかがですか。これで問題現象が片づきますか。つまり、正解は見えているんです。そこにたどり着く方程式が見つからなかったわけです。これで方程式になっているでしょうか。いかがですか。

大谷委員 例えば、難病の問題などでも、本当に私なども余り知らなかったんですけれども、座長をしたお陰で、本当に大変な数の難病があって、病気という形で障害を持っている方たちのことなどについて議論をしたんですが、やはり、コメントが、さっきの松井さんが言われた労働の部分もそうですし、精神障害もそうですけれども、難病のところも読んでみると「医療をはじめとする難病そのものの議論については、障害者総合福祉法とは別に検討される必要があると考えます」となっているんです。そういうふうに、議論を別に、総合福祉部会は総合福祉法のことを考えている部会なんだけれども、本当にそこには入れないというコメントなんです。医療と福祉の在り方及び医療費の支援の在り方等については、現在、厚生労働省の設置された新たな難疾性疾患対策の在り方検討チームにおいて制度横断的な検討を行っている。

制度横断的と言うときは、多分、医療法にも関わるし、総合福祉法にも関わると思うんです。私はつくづく思うんですけれども、どうしてこういうときに、今回の報告を厚生省が行っている新たな難疾性疾患対策の在り方検討チームにおいても十分に参考にさせていただくという書き方ができないのか。全く、精神にしてもこれにしても、就労にしても一刀両断に排除されているわけです。そうじゃなくて、せっかくこれだけ、あれだけの多人数の方が議論をしたわけです。それをどうして排除してしまうのか。それを参考にしますということを一切書かない形でこのコメントが出ていることは、では、何のための議論だったのか。そもそもこの推進会議のありようそのもので。きちんと、それでなければ何のために推進会議から座長が出ていって、これだけ大議論をして、佐藤会長にしてもまとめようとしておられるわけですけれども、全部、ほかで検討していますからそこに置いておいてくださいなのかということなんです。

そのことをもう少し、厚生労働省とどなたが適当なのかわかりませんけれども、きちんと、ここで議論したことは参考意見として提示してほしいと提言していただくことが大事なのではないかと私は、自分の領域だけではなく、全体として今回の作業を通して思っています。

藤井議長代理 大事な指摘がありました。ほかにいかがでしょうか。松井委員。

松井委員 ありがとうございます。1つ、確認させていただきたいんですけれども、30ページの(1)のサービス体系の在り方についてで、下の方に、これは実は厚労省のコメントにもありましたが、働きたいと思う人への就労支援の強化というところの最後の方に、就労を希望する障害者には、施設の中ではなく、企業や働く場での支援の強化を盛り込むことが必要だと書かれております。ここの議論をもう少し紹介していただけませんか。

堂本委員 これは、ジョブコーチとか、コーディネーターの存在がとても大事だということの議論だったと思います。私が覚えている限りはそういうことで、具体的に言いますと、最初に慣れるまでの間、例えば、心身の障害あるいは知的障害の場合でもあると思いますけれども、やはりコーディネーターやジョブコーチが一緒に行って、そこでいろいろな手助け、慣れるまでの支援をするというようなジョブコーチのシステムが大事になるのではないか。

千葉の場合でもジョブコーチが1週間付いている制度をつくってからは早期退職が減りました。どうしてもうまく適応できないときは、またもう一回、キャリアセンターで再訓練をします。それから企業の方にこの人の得意な領域はこういうところで、こういうことはできないとか、精神の方などだったら、持続できる時間を示すなど、ジョブコーチが間に入ってつなぎ役をします。

藤井議長代理 松井委員は、質問の趣旨はこれでいいんですか。

松井委員 現実に、今、精神の方もいわゆる福祉的就労と言われるところで相当数働いていらっしゃいますね。

堂本委員 はい。

松井委員 そういうことについては何ら触れていなくて、ここで強調されているのは、施設の中ではなく、企業や働く場での支援となっていますので、そこにつながらない人たちの問題については議論があったんでしょうかということも含めて確認させていただいた。

藤井議長代理 就労継続AやBだということは意識はなかったんですかということだと思うのですが。

堂本委員 わかりました。多分、精神障害の場合に、実際に労働条件を整えて働くようなところが少ないのかも。そこはどうですか。

関口委員 少ない。

堂本委員 少ないです。決定的に少ない。なかなかBからAという形の移行は難しい。私が少し関わっているところは、今、必死になってそれを実現させようとしていますけれども、現実の問題としてはとても難しいところがある。ここは多分、精神だけではなく、あらゆる障害の場合のことを考えながら話していたと思うのですが、精神や知的障害の場合はなかなか福祉就労から脱却できない。そこが一つ大きな問題だと思います。しかも、能力を持った方が結構おられます。発達障害などの場合でも能力を持った方の力に合わせて合理的配慮をまさにすれば、相当いい仕事ができる場合があっても、環境を整えるところまでの工夫や、努力や、人的な支援が足りないことに問題があると思います。

藤井議長代理 松井さん、いいですか。では、山崎委員。

山崎委員 ありがとうございます。山崎です。今日の就労部会チームと、医療チームのお二方の座長の御報告を承って、若干の感想と、少しのコメントをさせていただきたいと思います。

特に、今、堂本委員から医療合同作業チームの話を伺っていまして、まさに、例えば精神障害をお持ちの方については身体拘束をはじめとして、自由権が侵害されているわけです。それで、地域移行をされたいという場合には、社会権の保障が果たしてどの程度確保できるかという、人権の根本的な価値観に関わることを提起されていると思います。

加えて、これらについて、今後、国の法制定とか、法の運用施策に当たって、一貫して大事なことは適正手続がいかに確保されるかという貴重な御提言もなさっている。法学的な発想から言うと、実態的な価値観と、それを実現していく手続の在り方を、まさに総合的に御指摘になっていると思います。これを、私どもの障がい者制度改革推進会議の、この親会議と総合福祉部会、更にその下での合同作業チームと、積み重ねてやってこられているということで、非常に貴重なお話であり、私個人としては大変勉強になりました。まず、御礼を申し上げたいのが第1点です。

同時に、第2点目としましては、今、申し上げましたとおり、実は、今回は総合福祉部会と親会議である会議との関わりで御報告を承っているのですが、どうやら、例えば、人権侵害であるとか、あるいは、医師が投薬する行為について何らかの規律をかけなければいけないという話が出てくるとすれば、場合によっては、総合福祉部会の話プラス差別禁止の話にも関わってくる。両部会が相互に連携し合わなければいけない課題がここに内在しているのではないかというのが、第2点に感じたことでございます。

第3点目に、お二方の座長さんがこもごもおっしゃっていたとおり、いかにここの内閣設置の私どもの会議が頑張って、当事者の知見を踏まえたあるべき姿を提言しても、縦割行政の中で、例えば、厚労省の下にある労働政策審議会その他の審議会が縦割的に、従来専門家集団で、こちらも熱心に検討なさっていて、そこでやろうとしていることと、場合によっては、私どもが鋭意検討しようとしていることが、袖すり合ってしまうと、ちょっと待ってくれと、相互の乗り入れができない状況が、今までもありましたが、今回も出ているような気がします。やはり、これを解消しないと、私どもの会議が何をやっているかということになってしまうのではないか。非常に危機感を感じております。

ある段階で、やはりこれは政治的なマターにならざるを得ないので、勿論、私どもとしたら、この人権政策をやる場合、総合性の原則が私は大事だと思っていますから、どこの省がやることだからというのは大事かもしれませんが、その結果、行政サービスなりが当事者にとってどういう形で来るか、一番そこが問題なわけです。そこをきちんと考えずに、上からの視点でものをつくっても、今までと何ら変わることがないという危機感を持っております。

したがいまして、最後の要望でございますが、私どもの会議がこれまでもやってきたし、今後も引き続き検討しようとしている事柄について、他の省庁の審議会とのすり合わせを、ある段階では政治的に動かしていただきたいというのが強い願望でございます。

以上です。

藤井議長代理 はい。それでは、もう時間が来ましたので、これで終わらなくてはいけないんですが、東さんから何かコメントはございますか。

今後の日程の流れ。

東室長 特にいいです。

藤井議長代理 では、今のことも含めて、今後の推進会議の運営の在り方等を判定しますので、後で一括して室長の方から、山崎委員の3点のコメントプラス1点の要望に、コメントを付け加えるとさせていただきます。

では、今の山崎委員を最後の発言に。では、時間が来たので、堂本委員、簡単に。

堂本委員 ありがとうございました。山崎委員に御礼申し上げたいと思います。同時に、一番大事なことは、今まで、私も幾つか自立支援法とか、後期高齢者医療制度改革とか、審議会に出てきましたが、高齢者だけは当事者という形でしたけれども、それ以外は当事者の意見が反映されていないんです。それだけに推進会議、あるいは総合福祉部会の意見を積極的に聞いてくれないのか、納得がいきません。私は前知事という立場で選んでいただいてここにいるわけですが、以前から関わってきた精神障害の問題に取り組めたのは、意義深いことでした。知事としていろいろな審議会や研究会を運営してきましたが、そういう中で、経験していなかったことを新しく経験しているわけです。

それは何かと言えば、当事者同士の議論、や意見です。だから、もう何十年もの間気が付かなかったことに、気付かされました。もう、数限りなく。だから、推進委員会の意見を集約した報告書を是非国として取り入れて欲しいと思います。そういった観点から、政治的にも対応してほしいものです。それが当然なされる筋道だとおもいます。よろしく、どうぞお願いします。

藤井議長代理 山崎委員が政治的なことも含めてとおっしゃったと思うんですが、併せて、今の堂本さんのことも確認できると思います。よろしゅうございますね。

それでは、今、6分ぐらいなので、これから、少し5分、6分を過ぎていますので、少し短いのですが、20分まで休憩をして第3コーナーの児童の方に入ってまいります。では、休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、時間になりましたので第3コーナーに入ってまいります。大谷委員から児童に関する合同作業チームの報告です。例によって20分間程度の報告をいただいた上で質疑・意見を交わします。では、大谷委員、よろしくお願いします。

大谷委員 大谷です。障害児支援チームです。当委員会からは、長瀬さんと私が出ました。6人の小チームだったんですけれども、総合福祉部会の方からは施設の方が2名、また、たまたまその方もお医者さんたちでした。児童福祉一般の施策にとても強い学者さんが1名。それから重度心身障害児の保護者の方が1名ということで、非常に多岐にわたった立場の方と議論しました。

皆さんそれぞれのお立場をお持ちでしたので、正直に申し上げてなかなかまとめることが大変だったんですけれども、実は、障害児支援に関しては平成20年7月22日に厚生労働省が障害児支援の見直しに関する検討会報告書を出しています。先ほど言った総合福祉部会の4人までがこの検討会のメンバーであるならば、この検討会において検討したことで積み残したもの、そして、具体的に両論併記になったままになってしまったものの方向性も含めて、これを踏まえた上で何ができるのかを意識した方が効率的な進行になろうかと思って、そういう立場を取らせてもらいました。

まとめなんですけれども、35ページからです。皆さん御存じのように、権利条約は障害児支援を1個別に設けているということがありますし、それから子どもの権利条約も障害児の権利で1条別に設けていることもあり、やはり、子どものころからの支援は、両条約において非常に重要に位置づけられていると認識しています。

では、具体的にどういう方向で支援していくのかとなるんですけれども、まず、大きく我々は一般の児童施策において支援されるもの。ですから、例えば障害のある子もない子も同じように支援される中で、障害のある子もそこに位置づいているという意味において支援されるもの。それと、障害児固有の支援で、障害があるがゆえに特別に保障されなければいけないもので、重層的に支援されなければならない。また、その重層的な関係がどうあるべきかということでまとめました。

結論その1です。まずは障害児の基本的権利と権利擁護で、基本的権利を明記する。本来でしたら、障害者基本法の中でこれらの権利は明記されるべきだということで、障害者基本法のところで意見出しした内容です。そして、障害児の権利を具体的にするために、オンブズパーソンを制度化すること。これもまた、子どもの権利条約批准以降、障害児だけの権利ではなく、子ども一般についてオンブズパーソンが我が国にない、子どものためのオンブズパーソンがシステム化されていないことに関して、国連の子どもの権利委員会から勧告を受けているということもありますので、これを制度化すべきである。特に、子どもの中でも障害児は、やはり権利変動が大きくあり得るということであるならば、なおさらのこと、障害のある子どもにとっては非常に必要なものとして意識して制度化されるべきであるということを第2の意見としました。

36ページですけれども、先ほど言ったように、児童一般施策における支援と、障害児施策における支援。これが重層的に保障されるべきであることがまず大きな枠組みとして、そうあるべきだろうということなんですけれども、(2)、実は重層的に支援があるということなんですが、概して、特別な支援があるときには、特別な支援の方で支援されるべきであるということで、一般施策から排除されがちになる。必ずしも制度的にはそういうことは明記していなくても、運用段階においてそのように排除されてしまうことがあり得るので、そうならないように、両方において保障されるべきであろうことを、まず、基本的な制度設計の立場として明確にするべきであるとしました。

その上で、早期支援。ゼロ歳児、未熟児等々から今はとても多くの乳幼児健診の健診率が高い。その中で、療育、医療保障をということで、本当に我が国はそういう意味では母子保健法の実施率が高い。衛生面においては充実した国だと言われているんだろうと思います。この歴史の中で、得てして、医療・療育の保障ということに正直、偏りがちになるところを地域における子育て支援や保育所入所など、早期の地域支援につながるように制度設計されることを、ここで要求項目等を立てさせてもらいました。

決して、医療・療育を否定するものではありません。しかし、そこで乳幼児健診が、やはりお医者さんが中心的になされるということですから、医療機関に結び付いてしまうことが、勿論、保障としてはいいんですけれども、医療機関のみで終わってしまわないで、地域での子育て支援につながる方向を何とか制度設計するべきだという意見になっております。

37ページですけれども、保育所と訪問支援事業の訪問対象に家庭を加えること。この辺が、先ほど言ったように、平成20年にまとめられた障害児支援の見直しに関する検討会報告書に基づいて、いわゆるつなぎ法で、障害のある子どもに関しては児童福祉法等の改正を得て、既に成立しているものがあります。その1つが訪問支援事業なんですけれども、この中に家庭が入っていない。保育所等とか、保育所には訪問して支援していくということがあるんですけれども、もっと、家庭を加えて、家庭にも訪問してくれと要求しました。

というのは、やはり、早期からの支援というためには、乳幼児を抱えて気付きの段階、少しおかしいかなと思うところから、いろいろ家庭の中で支援をしていくことが重要な施策になると、皆さん、強い意見もありますので、訪問対象を家庭に拡大する必要があることを求めさせていただきました。

更に、内閣府で現に検討中の子ども園。今は保育所、幼稚園となっているのが総合的な子ども園になろうかと思います。そこで、障害を理由に入園が拒否されることのないよう、制度設計されることと要求させてもらいます。現在の運用ですと、保育所においては一応、応諾義務がある。障害を理由にその言葉をもって明確にそれを拒否するということは法文上、少なくとも予定はされていないので、その制度の延長線上に子ども園もつくってくれと要求しています。これに関しては、本当に今、ちょうど同時進行で子ども園の在り方について内閣府を中心に検討されているようです。ですから、刻々と、入所基準、応諾義務の例外規定を設けるのか設けないのかということに関しては審議されているようですので、それに対して私たちからも意見を言わせていただきながら、なるべく多くの障害のある子が子ども園、保育園に入れるような制度設計をするべきだと要求しています。

勿論、子ども園に入って以降は障害児の合理的配慮を保障すること。これは、どこへ行ってもそうなんですけれども、先ほど言ったように、一般施策の中で障害のある子どもも支援されるべきだということは、そこで放置されるということではなく、そこで支援と合理的配慮を受けることですから、当然、どこにおいてもということで、ここはもう念のため要求する。

それから、放課後児童クラブでの支援も、先ほど言ったのと同じように一般施策の中での支援です。障害のない子が放課後児童クラブに行けるんだったら、障害のある子も当然、そこで支援を受けながら児童クラブで遊べる、時間を過ごせることが保障されなければならない。

要保護児童としての障害児。御存じのとおり、児童虐待をされている子なんですが、いわゆる要保護児童と言われている子どもです。その子どもたちが家庭に戻れるようにするためにはどのようにしたらいいのかということです。家庭で虐待を受けたときに、家庭に戻ることはなかなか大変なことなんですけれども、そこでは、やはり、親・家族へのカウンセリングや育児支援を家族全体が受ける中で、家族に戻れる。勿論、健やかに戻れるようにということですけれども、そのようなことが保障されなければいけないし、家庭復帰が困難な場合には、専門里親制度や、ファミリーホームなどの家庭に近い環境での養育を保障されるということで、そこでの養育を保障すべきである。この点に関しては、皆さん御存じのように障害者権利条約の中で、障害児の権利の中に家庭での養育の保障、できるだけ家庭的な環境で養育されるべきであると明記されております。こんなところにもその辺は生かされるべきだと思いました。

さて、それが児童施策一般の中で障害のある子がどのように位置づけられるかです。障害児施策の中ではどうなのかということで、38ページからです。

まず第1に療育保障を上げさせてもらいました。今回の障害者基本法で障害児の権利が、療育及びそれに関わる生活支援という形で明記されて施策義務にまでなりましたので、それをここで同じようにほとんど同文で、「可能な限り」は入っていませんけれども、地域社会の身近な場所においてということで療育が保障されなければならない。

基本法に入ったことを具体的に施策義務としてどのようになっていくかということが、ダブるだろうと思いますけれども、やはり、制度設計としてどのように療育を保障していくのかが問題になってくるだろうと思います。

訪問系サービス。具体的に障害児が自立するための経験を保障するために、いわゆる訪問系サービスをどのように利用できるか。これは、例えば、特別支援学校、それから、地域の普通学校に行くときにも、通学保障がされていない。通学保障として移動サービスが保障されるのか、そもそも日常サービスとして移動サービスが保障されるのかの区別もなかなかつかないまま、それこそ、まさに谷間にあるということですので、この辺も保障されるべきである。

(3)通所支援です。身近な地域で発達支援を受けられるよう、児童発達支援センター等は、通所支援だけではなく、保育所等への訪問型支援や、学齢障害児も対象にした発達支援を講じることとなりました。固有の障害児施策の大きな内容は療育、訪問系サービス、そして、通所支援と入所支援という形になろうかと思います。障害児入所施設があるので、そこでの支援はどういうものなのかとなりますので、大きく分ければその4つで支援がされるべきだと思いました。

通所支援に関しては、やはり大きくつなぎ法で変わってきましたので、それを踏まえた形で、例えばデイサービスをどのようにするのか、それから、児童発達支援センターでの在り方はどのように今度していくのかという、これからのことが多いようですけれども、具体的な制度設計として提案されていかなければならないということで、少し細かく提案させてもらっています。

そして、39ページの障害児入所施設の方です。やはり、別に、入所施設が児童福祉法に規定されて、そこに現に子どもがいるわけですから、障害児入所施設のどのような在り方がいいのかに関して、我々は提案させていただきたいということで、この内容になっております。まず第1に、やはり、障害児入所施設においては、特に障害児の最善の利益が確保されなければならないということになります。

障害者入所施設の原則は、措置から契約になったということにはなっているんですけれども、このときの契約は、結局、保護者の契約になりますので、保護者が入所契約をするに当たっての、最善の利益は何なのかを、やはり、固有に判断されなければならない。保護者の利益による入所があってはならない。保護者支援ということも勿論、我々は提案しますけれども、子どもにとっての最善の利益を保障するためにどのようなものが必要かという観点からするならば、ここにこそオンブズパーソンが制度化されて、ある種のチェック機能が働けるようなものが保障されるべきではなかろうかと思っています。

自立支援計画の策定の義務付け。児童養護施設においては、自立支援計画があり義務付けられていますけれども、障害児入所施設には、いわゆる個別支援計画というのはまだ義務付けられていない。よって、入るといつまでもいることが可能になってしまう。入って、どういった状態だったら社会にまた戻って、家庭での生活ができるのか、もしくは、いわゆる社会に自立していけるのかというイメージがわくような内容がなければ、やはり、ずっといっぱなしの入所型になってしまうのではと思います。

そして、勿論、家庭に近い養育施設の整備と、地域生活支援。それから、家族支援はやはり障害のある子に固有の問題だと思いますけれども、子どもだけではなく、家族に対して支援しなければならないことから内容を提案させてもらっています。

入所施設も、勿論固有にあるんですけれども、やはり、地域の社会資源の1つとして入所施設から在宅支援などを、そこからデリバリーというか、多機能化していろいろ出張していくことをどんどんやるべきではなかろうか。実際、既にやられているところも多いようですが、ますます、その方向性で地域での生活を支援する入所施設の方向にかじを切るべきではなかろうかという提案になっています。

入所決定においては、市町村が関与できるよう制度設計されること。先ほど言ったように、入所施設の基本は契約なんですけれども、やはり、養護施設等の関係もありますし、措置も勿論残っております。そのときには、都道府県管轄ですので、都道府県が決定することになっております。その結果、入所決定において市町村から引き離されると、子どもが市町村の子どもではない、子どもが見えにくくなってしまう実態があるとしたら、やはり、何らかの形で市町村が関与できるように制度設計できないか。この辺に関しては、この見直し検討会、平成20年にやった厚労での検討会でもそもそも、もう市町村に委譲せよということと、いや、都道府県のままでいいんだということで、かなり厳しい議論の対立があって、両論併記のままでしたが、いきなり、市町村委譲ができなくとも、市町村が関与していく形で地域の子どもであるという自覚を双方が持ち続けるような制度設計。まだこれは本当に具体的なイメージはわきませんけれども、何らかの形でこれから追求していくべきではなかろうかと思いました。

済みません、少しはしょります。養護学校の寄宿舎の問題です。この点も検討会においては、そこに現に子どもがいるならば、触れなければいけないという議論が出たようですけれども、やはり、厚生労働省管轄ではないので据え置かれたようです。

勿論、これは文科省管轄ですけれども、そこに子どもがいて、入所型のような利用がされているとしたら、これに対して何かそこをタブー視する必要はないということで、一応、最低限の提言はさせていただく。そもそも、寄宿舎は、通学を保障するためのものである。とするならば、自宅のある地域社会からは分離されないよう運用されなければならない。これ以外の役割、入所型になってしまっているとしたら、実態を調査して、地域生活への移行へ向けた施策を検討しなければならない。

ただし、実際、寄宿舎というのは、まさに年度が限られているんです。卒業すればそこから出ていく。そうすると、卒後の進路生活相談は、必ず付いて回りますので、そこで具体的にどのように自立生活・地域生活への移行へ向けた指導等がそこでなされていくのかということにもなろうかと思います。それに向けた、また社会資源としての有用性も検討すべきであると提言させてもらいました。

藤井議長代理 時間が迫っていますので、まとめに入ってください。

大谷委員 そうですね。済みません。保護者・兄弟支援は先ほど言ったとおりです。

そして、一般施策と障害施策は大きく2つあるんですけれども、そこをつなぐものとして相談支援特別支援計画がある。これは、谷間があってはいけない、乳幼児から、就学前、就学児、卒後がずっとつながりますので、年齢も大きくなっていくときに、どういう支援が必要なのかということをやはり、個別支援計画を立てて、ワンストップ型の相談体制を保障する中で、切れ目のない支援をしていくべきだということで提案させてもらいました。

ケアマネ等々に関しては、少し、内容を紹介する暇がなくなりましたので、読んでいただきたいと思います。

44ページですけれども、最後の5、人材育成。そのように、障害児固有の相談、個別支援計画等々を担う人材がやはりまだ決定的に不足しているということで、これはどこの部分でもそうなんですけれども、大きく第5で人材育成を提言させてもらいました。

以上、全体とすると、この制度改革の報告書、厚生労働省がつくった報告書を踏まえて、今、何が必要かという形で提案させてもらったんですけれども、実は、やってみたら、ほとんどが児童福祉法に関するものばかりで、総合福祉法のために我々、合同チームが設けられたにもかかわらず、やらなければいけないことは、児童福祉法の改正であった。ほとんどが、もう、児童福祉法に関わってします。では、これは一体どこでだれがやってくれるのということが本当に大きな課題として残っております。

せっかく出したこれが、児童福祉法だから、総合福祉法では引き取れませんと終わってしまわないように、児童福祉法の一挙の解決になるのか、もし、できないのならば、時間を多少ずらしてでも、何とかこの内容を実現していただきたいので、引き続きの体制を、やはり、労働・雇用・医療と同じように検討していただけたらと思っております。

以上です。ごめんなさい、長瀬さん、何か補足がありますか。

藤井議長代理 長瀬さん、補足はありますか。

長瀬委員 ありません。

藤井議長代理 それでは、使える時間は4時5分までなので、その時間までで質疑応答と行きますが、いかがでしょうか。新谷委員、久松委員の順番で発言をお願いします。

新谷委員 新谷です。提言の方が非常に多岐にわたっていますので、少し、かいつまんで理解したいんです。

ターゲットとしては障害者権利条約の規定と、子どもの権利条約がある。それを両方今回の提言の中で実現したいという基本的な話し合いはあったんですか。それが1つ。

2つ目は、今、最後大谷さんがおっしゃったことなんですけれども、これで、総合福祉法が預かる部分と、児童福祉法が預かる部分と、それから、内容によっては学校基本法、教育法の関連する部分もあるし、それ以外の法制度で整備しないと対応できないところがいろいろあります。その辺をどう切り分けて、提言内容をぼんと投げてどこかが整理するだろうという意味合いですか。それとも、提案の中に、この部分は総合福祉法で預かってください、この部分は少なくとも児童福祉法で預かってください、この部分は学校教育法で預かってください、とそれぐらいの切り分けの議論はなかったんですか。

藤井議長代理 それでは、お答えいただく前に久松委員からお願いします。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。オンブズパーソン制度について教えてください。実際に、自分で意見表明ができない場合に、障害を持つ子どもが福祉サービスあるいは医療サービスを選択するときには、親が決めることが普通だと思います。親が決めるという中身、プロセスの中での考え方で、オンブズパーソン制度を組み込むと理解してよろしいのかどうか。私は入れるべきだという意見を持っていますが、その辺りの議論があったのかどうか。また、大谷先生の御意見をお伺いしたいと思います。

藤井議長代理 オンブズパーソンの考え方ですね。ほかにいかがでしょうか。関口委員。

関口委員 最後に人材の質の向上のようなことを書いているので、いいのかなとは思うんですけれども、相談支援と言ったときに、子どもの意見表明権があるわけですから、当然、子どもの意見も聞くんだろうという確認が1点。

もう一つ、子どもですから、確かに、契約能力がないので仕様がないとは思うんですけれども、実は、精神障害者の場合でも、事業所との契約に本人だけでは契約してくれない事業所があったり、あるいは、本人だけが行っては受けてくれないショートステイが現にあるんです。つまり、精神障害者に契約能力を認めてくれないんです。そういうことから言うと、オンブズパーソンが必要なのかとも思うんですけれども、ただ、オンブズパーソンを認めてしまうと、契約無能力を自ら認めることにもなりかねないので、オンブズパーソンというので言っている守備範囲を明確にしていただきたい。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。では、東さんから発言を求められていますから、東室長。

東室長 一般的な質問で、議論があったかどうかを教えてもらえれば結構なんですが、今の関口委員とも関連しますけれども、一番、基本的な考え方として、最初のページに、他の子どもとの平等の確保。これは争いのないところでいいと思うんですが、2番目に子どもの最善の利益が来て、3番目に意見表明権という関係になっています。ここに書いていないんですけれども、一般的に言うと、自己決定権という大きなテーマがあると思うんです。

子どもの最善の利益とは、一般抽象的にどこでも言われますけれども、問題は、だれがどういう立場で判断していくのかによって、同じ言葉で使われても中身が全然違ってくるということなんです。一体、保護者が言うのが最善の利益なのか、本人の意見表明と違った場合にどう考えるのか。もしくは、保護者と行政の意見が違った場合にどちらが正しいのか。もしくは、福祉関係者とか、サービス事業提供者とか、お医者さんとか。最終的に言うと、裁判所がどう判断を下すか。裁判所も、最善の利益の名において判断を下します。ですから、非常に抽象的で、多義的で、内容も利害対立を含んでいます。

そういう言葉であるにもかかわらず、意見表明権よりも高い価値として、2番目に最善の利益を持ってきたことについての議論があったかどうか。ひいては、自己決定権とどう絡んでいくのか。障害児と障害者は1日違えば違うんです。1日過ぎれば、もう障害児から障害者になるんです。特に知的障害の人たちは、大人になっても子ども扱いされていて、事実上、本人の意見表明どころか、自己決定権があるにもかかわらず、最善の利益という形でこれまで処遇されてきた。そういうことについての問題意識に基づく議論があったのかどうか教えていただければと思います。

藤井議長代理 それでは、今、4人の方から大変核心を突く質問があったんですが、大谷さん、では、お答えいただけますか。

大谷委員 ここは、そういう議論ができるからすごくうれしいんです。オンブズパーソン、そして、最善の利益と意見表明権のところから行かせていただきます。

障害者基本法に何を盛り込むかということで、前半のときにこの点に関して非常に議論しました。基本的には、最善の利益は子どもの意見表明権を踏まえたものであって、動作、しぐさ等々も踏まえて、最大限にくみ取られるべきものという形でかなり議論をしました。ですから、書き方が、別に優劣を付けたわけではないので、子どもの最善の利益を図るに当たっては、意見表明権を踏まえたものでなければならないという前提には立っております。

それから、オンブズパーソンですけれども、いわゆる権利擁護の形の1つとして権利条約以降はずっと提言されているものですし、具体的に各市町村で設けられているところもあります。そこでの動き方を見ると、とにかく、子どもに寄り添ったもので、子どもの利益とは何なのか。確かに、利害対立してしまうところで、子どもにとってどうなのか、子どもの意見をできるだけくみ取った上で、子ども自身の自己決定を尊重していく形でオンブズパーソンは動いておりますので、きっとその方向性のものがつくられるべきだと思っています。

確かに、子の最善の利益に関しては、特に、保護者、医師等の専門家等々が積極的に関与すればするほど、子どもの意見が損なわれ、後退していくという実態がありますので、とするならば、今まで、従来そこには当事者として参加してこなかった同じ障害のある仲間がそこで意見をサポートするとか、知的障害のある人だったら、知的障害のある仲間が、従来の自分たちの経験に基づいて子ども自身をエンパワーメントする形でサポートしていくものも含めて、オンブズパーソン制度というのは意識されているし、そのような運用が求められているんだろうと思います。

それから、年齢に応じたということになっております。確かに1日違いで18歳から、本当に障害児から障害者になるということはそうですので、年齢に応じた意見表明。ですから、もう具体的には自己決定で全部行く。例えば、特に一般の子ども施策、障がいがなくとも、13歳以上においては、親権の決定においては子どもの意見を聞かなければならないということから考えると、ほとんど18歳以上については、自分の権利変動に関しては意見を聞くという取り扱いもあります。もう、一定程度に関しては自己決定に近い運用がされていくことになると思いますので、また一律に何歳以上だったらどうなのかというのはなかなか決め難いのではないかと思います。

でも、久松さんの言われたように、やはり、子どもの権利というのは、子どもの生活にとって非常に密接で、大きな問題は医療、それから、居場所。入所するかどうかということが大きいですから、そこには、私は、やはり子どもの立場に立った、要するに、保護者でもなく、また医療の専門家だけでもない、生涯、どのようにこの子が生きていくのかという、この子自身のエンパワーメントだけを考えることのできる立場の人がサポートしていく制度設計を、本当にこれからだと思うんですけれども、考えていかなければいけないのではないかと思っています。

新谷さんの一番最初の質問に戻りますけれども、本当にこれは基本法に書かれるべきものとして、オンブズパーソン、それから、子どもの権利等々に関して、一番最初のころ議論したものを全体の中で入れさせていただきました。そこがとても大きな枠なんですけれども、このオンブズパーソンは、障害児だけではなく、子ども一般においてももっと必要なんですが、なかなか壁が厚くてできなかったところを、あえて私とすると、やはりもう一度述べたいと載せさせていただいたんだけれども、後半の議論は、やはりそういう大きな枠組みではなく、やはり入所はどうあるべきか、通所はどうあるべきか、通所支援はどうあるべきかということに大分、議論が傾きました。余り、具体的にオンブズパーソン制度をどのように実現していくかに関しては、個別に後半、議論する機会はありませんでした。ただし、全体の中の大きな枠組みとして、この中に位置付いて、そして、入所・通所支援等々の在り方を検討していくことに関しては別に異論はなかったと思っています。

それから、法律ですけれども、基本法にほぼできあがるだろうと思われるところに、もうこれ以上盛り込むことはほとんど不可能になっている段階ですので、あとはもう、児童福祉法にこの中のものをどれだけ盛り込めるかということです。そこは、ほとんどは、厚生労働省なんです。ただし、一般施策の中の子ども園に関しては、内閣府が所管しておりますので、同じここだから何とか、統括官はおられませんけれども、同じ内閣府の中で子ども施策検討委員会をやっていますので、そこに、もっと、より我々の意見を反映させてもらいたいというのは、もう少し身近にやらせてもらいたいと思っています。

それから、厚生労働省がこれから児童福祉法の改正等々に関してやるときにも、継続して我々の意見を何とか反映させるような方法は、先ほど言った、本当に共通の問題ですので、何とか知恵を出していただきたいと思っています。

藤井議長代理 時間が大分来ているんですが、質問者、よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。土本委員。

土本委員 自己選択、自己決定する前に、説明をすべき。この間も、特殊学校に行かされている部分では、説明をされていない部分で行かされていたし、養護学校も、選択権もないと言われているけれども、説明をしないまま入れられてしまっている部分。事細かく、ゆっくりと説明をしながら、自分たちがどう生きるのかの選択を説明する人がだれもいなかった。これからもいないのかということになると、どこにも自分たちが選択して決定もない部分がありますので、小さいころからゆっくりと丁寧に説明をしながら、自分たちがどう生きるのかということをしていきたいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 意見として。ほかに。

大谷委員 一言だけ。

藤井議長代理 大谷委員、どうぞ。

大谷委員 この障害児支援という枠組みでチームをつくっていただいたので、残念ながら、教育、同じちょうど子どもの時代の中でも学校のところだけは除いているんです。ただし、放課後は入っています。こういう感じなんですけれども、同じように、子どもにとって、非常に重要な問題ですから、全部、説明を受けて、その子自身の意見を聞いてもらって、そして、丁寧な説明の中で決めていくのは、私はもう大原則だと思っています。ただし、その大原則の中のもう一つ手前に、やはり地域の子どもだという意識、全部つながっているということが、もっと、より大きな大原則でもあると思っています。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。もうあと1,2名。松井委員。

松井委員 ありがとうございます。前の質問ですけれども、44ページの6の安定的なサービスの提供のところで、その最後のところなんですが、福祉サービスの利用料の滞納によってサービス提供に支障が生じることのないよう、子どもの最善の利益を侵害する場合の対応について行政の関与を検討することが必要であると、少しこれは意味がよくわからないんですけれども。最近、例えば、学校などで言えば、払えるにもかかわらず給食費を払わないという問題がかなり大きく取り上げられています。そういう場合のことも念頭に置いてここは書かれているんでしょうか。

藤井議長代理 では、これは大谷委員、説明してください。

大谷委員 払えるのに払わないということは想定していません。保育料等の滞納児に対して、どうするのかということに関しては、行政等の関与で、その子にとっての利益がやはり保障されるべきであろうとするならば、何らかの形での補てんがあってもいいのではないかという議論で出されたものです。

ですから、学校でしたら、義務教育の間は原則無償ということになっていますけれども、保育料等に関しては、保護者の負担能力で一応、払わなければいけないことになっていますから、それが、実際に払えない人がもう出てきてしまっているという中で、そういうような救済策が必要ではなかろうかということでした。

藤井議長代理 ほかに。大久保委員。ごめんなさい。どうぞ。

大久保委員 大久保です。総合福祉法との関連かもしれませんけれども、お伺いしたいのは、いわゆる家族支援という視点でしょうけれども、重要なサービスとして、ショートステイとか、レスパイトとか、いわゆるホームヘルプも入ってくるかもしれませんけれども、こういったものについて、基本的には児童福祉法ということですが、その辺のサービスについてはどうお考えになっていますか。

藤井議長代理 大谷委員。

大谷委員 必要だ、欲しいと言っているだけで、特に保護者だけではなくて兄弟支援も必要だからということで。ただし、乳幼児の段階での支援ということで位置付けさせてもらったんですけれども、難しいですか。

大久保委員 必要だということは恐らくそうだと思うのですけれども、現行の法律では、自立支援法の方で対応していると思うのですけれども。

大谷委員 これがどの法律のどの分野に関わるかということを一応、振り分けさせてもらいました。ですから、その問題に関しては、総合福祉法の方で入れてもらう。これと、もう一つの訪問系サービスに関しては総合福祉法でちゃんと引き取ってきちんと制度化してくださいということになろうかと思います。

藤井議長代理 いいかな。

大久保委員 では、相談支援もそちらの総合福祉法の方で。

大谷委員 そうです。

藤井議長代理 相談支援もそうなんですか。

大谷委員 今回、つなぎで児童福祉法に入ったのではないかと思いますけれども。

藤井議長代理 別途の法案で。つなぎの方で。

大谷委員 ええ。ですから、つなぎ法で児童福祉法が改正されていることに関しては、それをより改正すべきだという要求もしますので、そうすると、児童福祉法の改正になってくると思っています。

藤井議長代理 大久保さん、いいかな。

大久保委員 はい。

藤井議長代理 こうして議論しましてわかりますように、就労も医療も児童も、総合福祉法で盛り込むべきと。しかし、どうもその懸案の事項とか、主たる、あるいは基本的な問題、課題はこの総合福祉法では解消できない。労働関係の法律あるいは労働関係の部署との調整や、合同協議や、医療もしかり。児童も、今、言われたように内閣府のところで一部議論できることの可能性はあるにしても、厚労関係の特に社会保障審議会の児童福祉部会。そうしますと、先ほど山崎委員は、ここもやはり政治的な力をどう及んでもらうかということもありますし、恐らく、障害問題というのは、いろいろな部署との連携や、それを超えた調整あるいは合同協議が必要だと思うんです。だから、恐らく今日の議論というのは、今後、やはり審議形態のありよう、この辺も大きな課題になっていく。

では、当座どうするかということについてはまた後で議論が多少あるかもわかりませんけれども、政治的な力を借りる、あるいは、これからの障害問題というのは随分他の部署にまたがっていく。しかも、そこに基本問題が残っているとすると、どういう審議形態がいいのかということ。あるいは、そういうところに委員を送り込むということも含めて、こういう課題がわかっている。ただ、そこが、わかっているんだけれども、これがまたなかなか難しいテーマ。何となく基本問題は自分たちの土俵の中で論じ得ない。だから、靴の裏から足をかくように、問題意識はあるんだけれども、非常にフィットしないというか、そんなことを、恐らく今日、ここにいる方たちは感じていると思うんです。

一遍に、そういうことでどうこうできないんだけれども、今後のこの推進会議のありようとも関わってきますので、多少後で、また東さんからも触れていただきます。では、この第3コーナーは時間がまいりましたので、児童に関する合同作業チームの議論は終わりまして、更に、あと4時20分から総合福祉部会のお話、それから、その他の報告事項と進んでまいります。

では、休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、まだ時間が少し数秒早いけれども、時間がもったいないので、座っていらっしゃいますから、始めましょう。これから第4コーナーになりますが、これは総合福祉部会の部会三役の方から、作業チームの報告と今後のスケジュールについて、お話をいただきます。まず、佐藤部会長の方から口火を切ってください。

佐藤部会長 15分の時間をいただきました。そこで、まず資料2、2分冊に分かれていますけれども、部会作業チーム報告の(1)(2)という方を使って、尾上副部会長から部会の作業チームがどういう内容の検討をしてきているかということを中心にお話をいただいて、その後で、私から5分ほど資料3を使って、今後、総合福祉部会では骨格提言の策定に向けてどういうスケジュール等で進めようとしているかという紹介をしたいと思います。

それでは、尾上さん、まずお願いします。

尾上副部会長 尾上です。佐藤部会長から御紹介いただきましたとおり、資料の2-1と資料の2-2が部会作業チーム報告であります。この部会作業チームの方ですけれども、去年の10月から12月が第1期の作業チームということで議論をし、そして、1月に総合福祉部会でそれぞれのチームから報告をいただいた。そして、更に2月から、3月が震災の関係で1か月延期になりましたけれども、2月、4月、5月、同じく3か月間議論をし、第2期作業チームということでまとめたものをこの前、6月23日の部会で報告をしてきたところであります。

限られた時間ですので、とても、全部を紹介するわけにはいかないんですけれども、例えば、法の理念・目的というチームでいいますと、資料2-1の、例えば3ページのところを見ていただきますと、一番上には、地域で自立した生活を営む基本的権利といったことをこの目的のところで掲げるべきであるという提案をされています。あるいは、その前提に保護の対象から権利の主体への転換を確認する理念規定も要るのではないかということで、この推進会議、第一次意見、第二次意見を含めての議論を一定踏襲した形で、更にこういうふうに具体的にするべきだという提言になっていたり。あるいは、障がいの範囲でいいますと資料2-1の23ページになりますが、こちらの方では、法の対象規定について、推進会議では障がいの定義について、社会モデルに立った制度の谷間を生まない定義とすることが確認されている。

これを踏まえた総合福祉法における定義はどうするべきかということで、次の24ページのところからその経過があります。結論的に言えば、作業チーム案ということで、24ページの上のところですが、「障害者とは身体的または精神的な機能障害(慢性疾患に伴う機能障害を有するものとこれらのものに対する環境に起因する障壁との間の相互作用により日常生活または社会生活に制限を受けるものをいう)」でどうかという提言があります。

更に、支給決定のところ。選択と決定ということで言いますと、一つひとつ読み上げることはいたしませんけれども、これまでの第1期、第2期を通じて確認されているのが、障害程度区分というのが非常に障害種別、あるいは地域によって第二次判定の変更率が非常に高い。例えば4割、5割の変更率がある。いわゆる客観性、透明性ということではどうなのかという議論がされて、それに代わる新しい支給決定の仕組みとツールが要るのではないか。そして、相談支援を充実させて、当事者のエンパワーメント、役割などを充実させて協議・調整に基づいた形で支給決定ができるように、こちらの方は第1期、第2期を通じて提言をされています。

もう一つの、資料2-2は、施策体系ということで訪問系です。例えば、居宅介護や、重度訪問介護。ガイドヘルプや、そういった訪問系の在り方。あるいは、日中活動、グループホーム、ケアホーム、住まい方支援。地域生活支援事業の見直しと自治体の役割という、いわゆるサービス体系についての提言がございました。そして、4番、地域移行。5番が地域生活の資源整備。そして、利用者負担。報酬や人材確保等ということで、提言があります。

特に2-2の概要版、81ページところから見ていただきますと、応益負担の問題点。そして、この間、自立支援法が施行されて以降、毎年進められてきた負担軽減策の効果と問題点の検証や、いわゆる実費負担と言われる水光熱費や食費との関係の整理をした上で、4番、82ページの真ん中ぐらいですが、自立支援法並びに応益負担廃止後の負担の在り方ということで、障害に伴う必要な支援は無料とすべきである。

先ほど申しましたとおり、障がいのない人が負担をしている、例えば、食材費や水光熱費などだれもが支払う費用は、一定の所得保障を前提にした上で、負担をすべきだということで、負担すべきものと、基本的に他のものとの平等で無料であるべきものという整理をされて、提言をされたりしております。

報酬や人材確保のところも、どういうふうに、この障害分野でしっかりした人材が確保されていく仕組みをつくっていくべきかということも提言をされています。

ということで、ほとんど私の持ち時間は来たんですけれども、こういった提言に対して、先ほど、合同作業チームの報告の中でも松井さん、堂本さん、大谷さん、それぞれの方からも言われましたが、多くの項目で厚労省さんからはコメントをいただきました。その多くは、慎重な議論を行うべきだ、あるいは、厚労省のほかの検討会で検討しているところであるという形のコメントが多かったという印象を持っております。

これに対して、委員からは、例えば、部会と厚労省のコミュニケーションギャップが大きい。このギャップを解消していくために今後、すり合わせていく努力をしていく必要があるのではないのかということとか、あるいは、先ほどのコメントを聞いていると、新法が障害者自立支援法を少し化粧直しした程度のものにとどまらないかと心配をしている。何としても、しっかりと方向性を、この作業チームの報告を受け止めた形で整理をしていって欲しいということが委員、部会メンバーの方から要望があったことをお伝えしておきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 佐藤部会長、残り時間。

佐藤部会長 引き続き、資料3をごらんいただきたいと思います。これは6月23日の部会に出した、今後の部会としての骨格提言をまとめる手順だとか、日程について提案をしたものをそのままこの推進会議の方でも紹介をさせていただいております。

2ページものになっていますけれども、1ページの一番下の方の具体的なスケジュールについてというところをまず見ていただければと思います。

2ページ目のところに6月27日第33回推進会議と今日のことが書いてあります。23日に作業チームの報告を部会で受けまして、その場で何人かの方からの作業チーム報告に対する意見をいただきました。時間がなくて、十分意見を出せなかった部会のメンバーもいますので、そういう人たちから今月末を締切にして、作業チームに対する意見ということで、今、寄せていただいております。

作業チームの報告の中には、作業チームのメンバーの意見がまとまっていますけれども、もっとこういうことを入れてほしいという、いろいろな意見が部会のメンバーにはありますので、そういうものを作業チームの報告の末尾に補足版という形で口頭あるいは文書で寄せられた意見をまとめて、それをもって作業チームの報告の完成としたいと思っています。

そうした意見を座長さんのレベルでまとめていただいて、7月8日には最終的な作業チーム報告をまとめて、それを合わせて作業チーム報告の合本としてつくることを予定しております。

そして、そういうものに基づいて、7月26日に第16回の総合福祉部会にこの合本をお示しするとともに、それに基づく骨格提言の素案を提案する予定でおります。そこでも議論をして、また文章を出していただくことをしながら、8月9日、8月30日と8月に2回部会を設けて、そこで、最終的な部会のまとめ、骨格提言を策定していく予定になっています。

8月8日には、第34回推進会議と予定を入れていただいております。ここでも、部会に提案した骨格提言について、その後、修正ができるかどうかわかりませんけれども、修正があれば、それを修正したものを推進会議の方にもお示しして、更に親会議の立場からも御意見をいただきながら、最終報告に生かしていくという1つのステップを入れるようにしたいと思います。

3月の部会が流れて、日程的には1か月検討ができなかったわけですけれども、来年の通常国会に新しい障害者総合福祉法を提案するということは、去年の6月の閣議決定です。推進会議の第一次意見書に基づく工程表の中で決まっていることですので、来年の1月に始まる通常国会に向けて、厚生労働省で法案作成作業をやっていただかなければいけないという日程は変更がありませんので、3月に中断したとはいっても、8月には報告が欲しいと言われておりまして、何とか8月にはまとめを出したいということとして、今、作業をしております。

23日の部会では、9月以降どうなるのか、部会を解散してしまうのはまずいのではないか、どういう内容の法案になっていくのかを我々も知りたいし、また、できることなら意見も言って、もともと当事者参加ということで始まったこの部会の活動をもう少し先まで継続して作業するべきではないかという意見も出されておりまして、推進会議の方で、この辺の、いつ部会をおしまいにするのか、9月以降はどうするのかということはまだ決まっておりませんので、御検討をお願いしているところです。

そのようなスケジュールですけれども、最初のページに戻っていただきまして、先ほど言いました作業チームの補足版を含めた報告を合本として、総合福祉部会の報告書としてきちんとまとめて世に示す作業を第一段階として行って、それを踏まえて作業チームの報告書を尊重しながら、第二段階としての総合福祉法の骨格提言を作成するというのが、先ほど申し上げたとおりです。

その骨格提言のイメージなんですけれども、法律そのものを策定するのではなく、基本的なコンセプト、方向を示すというものになろうと考えています。ただ、障害者の定義だとか、法律の目的だとか、できる限り具体的な法案に近いものを骨格提言の中にも盛り込む努力はしようという方向です。

細かい内容を全部網羅的に書くというよりは、重要なポイントを整理して示す。恐らく合本のものは200ページ近いものになるんだろうと思いますので、骨格提言はそれを踏まえた上で、もう少しコンパクトな、みんなに読んでいただけるようなものにしようと思います。

(3)ですけれども、骨格提言策定に向けての部会等の進め方ですけれども、部会三役、正・副部会長の責任で、作業チームで検討してきたものをベースにして素案をつくるわけですので、座長・副座長からの意見を聞いた上で、部会に示す骨格提言の素案を作成する。そして、7月から8月にかけて3回の部会で、途中、推進会議でも検討していただいて、特に部会での委員全員での議論は、当日での口頭の議論と、文章なども含めてうまくやりたいと思いますが、みんなの意見を反映させながら骨格提言を策定する。そんな方向を考えて方針を部会でもお示ししたところです。

以上です。

藤井議長代理 親会議体であるこの推進会議に、総合福祉部会としての作業チームの報告と、それから今、部会として考えているスケジュールと説明がありましたが、いかがでしょうか。

竹下委員、久松委員。順番でいきます。

竹下委員 竹下です。佐藤部会長に3点お伺いします。

まず1点目は、各作業チームの相互間の調整はどうしてきたのか。端的に言えば、法の理念、目的という作業部会があるわけですが、その作業部会で行った法の理念・目的は他の分野にはどういう形で生かされたのかが1点目の質問です。

2点目は、現行法と言いましょうか、障害者自立支援法との関係であります。

当然、この議論は、現行の障害者自立支援法の廃止が前提になっているわけでありますが、現行制度の問題点を端的には指摘した上でそれがどう部会の議論につながっているのか。

例えば、私の主観的な部分を含めて言えば、現行法の最大の問題点の1つは、自立支援給付と、地域生活支援事業に二分化したことに大きな欠陥があると思っているわけです。そういう現行法、自立支援法が持っている欠陥を指摘した上で作業チームの議論がまとめられているかどうか。この2点に絞ります。

藤井議長代理 これは大事なことなので、佐藤部会長の方でお答えいただけますか。

佐藤部会長 第1期のときからも、作業チームでの検討の経過、議事要旨が月々、全員に共有されていますので、ほかのチームの検討の動き、論議は横目で見ながら、実際に作業チームの会合は並行してなされていますけれども、経過の中では、ある程度調整が自動的になされながらやれてはきています。ただ、ふたを開けてみると、相当、まだ違うところがありますので、そういう部分に関しては、できるだけ調整をすることになろうか、あるいは、こういう意見が多かったけれども、こういう意見も出されたという骨格提言の中で併案に近いような形で出すのか、その辺の調整がまだ7月の半ばにかけて必要な部分が幾つかあると思います。

例えば、先ほどの報告の中でも、障害に伴う費用負担は無料にするという利用者負担チームの報告が出て、その中には医療も含まれているわけですけれども、医療チームの方では両論併記的なものが出ているので、そんなところの調整などが残されているとは思います。

ただ、理念・目的の中で、権利性のある法律にということが出されているのは、ほかの作業チームの中でも地域で生活する権利を保障するための地域資源だとか、地域移行だとか、基本的な理念は共有しながら、第2期の作業チームに、第1期の目的理念の作業チーム報告の考え方が使われ、ベースとなっていると思いますが、いろいろな調整が必要な点は残されていると思います。

それから、旧法との関係についても、作業チームの報告の中で、かなり、こういう問題点があるのでこう変えるという点の指摘の部分も相当ありますので、恐らく骨格提言の様式としては、結論を明確に書きながら、同時に、それがなぜ必要とされているのかという説明事項もある程度スペースを取って丁寧に説明する。かなり変えようということですので、なぜ変える必要があるのかということについての国民的な理解を得ていただくためにも、やや丁寧な、背景とか、説明というのは分量が必要かとは思っております。

抽象的な答えで申し訳ないんですけれども。

藤井議長代理 竹下委員、いいかな。

竹下委員 2点目の質問との関係では、骨格提言を読み込んでいないのですが、非常に気になるわけです。例えば、今、申し上げた点で言うと、自立支援給付と、地域生活支援事業に二分化した現行法が今度の新法の部会にどういう形で反映されてくるのか。現行法においての障害者の自己決定権の問題とか、あるいは、合理的配慮という要請の問題と、今回の部会での体系的な立て方はどういう形で結び付いているのか。あるいは、不服申立制度が、ばらばらという言い方は恐縮ですけれども、作業チームでやった場合に、各分野ごとの給付サービスというものが請求権、あるいはそれに対する不服申立との関係でどう関連づけられてくるのかというのは、少し、今の話では見えてこないんですけれども。それは、十分に座長会議等で調整してきたとお聞きしていいわけでしょうか。

佐藤部会長 はい。あちこちでばらばらということではなく、権利擁護ということで不服申立だとか、苦情解決だとか、そういうものは1つのまとまった章を設けて骨格提言の中に入れようと、あちこちでばらばらということではなくて、権利擁護という項目を設けようということにはなっています。

地域生活支援事業と障害福祉サービス自立支援給付の義務的経費と裁量的経費の分け方についてですけれども、依然として地方の裁量でやれる地域生活支援事業的なグループは必要だろうというのが作業チーム報告です。

ただ、移動だとか、コミュニケーションだとか、非常に基礎的で必要なものについては、自立支援給付という名前を使うかどうかはともかくとして、裁量的経費ではなく、義務的経費にしようという方向、相談支援事業に関しても財政的にしっかりしたものにしようという方向とか、その辺のところを座長会議などでも今、調整をしているところです。

藤井議長代理 はい。久松委員。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。進め方についての意見を申し上げます。

仮称ですけれども、総合福祉法をつくるということは、推進本部の決定で、ついで閣議決定がさたという経過がありました。今回の総合福祉法の骨格案をつくるときには、最終的には、この推進会議の議論で決定をし、それを推進本部に堤出すべきだと思います。そして推進本部で決定をし、閣議決定をするという流れに乗ることがあるべき姿だと思っています。今回の作業の取りまとめ、佐藤先生をはじめ、皆さんの関わり方の御苦労を考えますと大変厳しい状況になるかもしれませんが、少なくとも、推進会議は親の委員会として、こちらの場で最終的に確認をする作業が必要だと思います。それが1つです。

もう一つは、この部会のことについてですが、骨子をまとめた次に法案を提出するときに、法案を審議する場がないと思っています。内容についてどういう意見をまとめていくかということ。また、いろいろな意見を聞く場としても、この部会がまた継続してやるべきだと思います。推進会議の場でも、この案を出して骨子をまとめてそういう作業の経緯に関わった人たちの部会の皆さんの意見を取りまとめて、聞いた上で推進会議としても法案についてもコメント、あるいは意見を申し上げる形をつくることが望ましい。そういう手順を踏まえてやっていくべきではないかということを改めて私は意見として申し上げます。

以上です。

藤井議長代理 はい。それでは、時間がそろそろ参っていますので、最後に、中西さん、少し。手短にお願いします。

中西委員 中西由起子です。今、合同作業チーム、そして、部会チームの方たちの発表を伺っていて、やはり、それぞれの発言の中で厚労省からのコメントが大きな意味合いを持っているように私は感じられたんですが、御報告でも少しは言っていただいているんですけれども、実際、それがどの程度のものなのか、どういうものなのかというのは、できれば、ここでシェアされるべきではないかと考えたんですが、今回、何も提出されなかったのは、何か意味があるんでしょうか。できればそれは提出していただきたいと思います。

藤井議長代理 佐藤部会長何か、ありますか。厚労省コメントが意外と大きな比重を占めつつあるんだけれども。資料としては。

佐藤部会長 厚労省コメントは、第一回目が2月15日の部会の資料の中に含まれていて、2回目が6月23日の部会の資料の中に含まれていますので、ホームページでは確認できますけれども、必要であれば推進会議の資料としても次回辺りに出していただくのか、御検討いただければと思います。

藤井議長代理 はい。それでは、先ほどの久松委員の件は、今後の推進会議で、前半でも議論がありましたけれども、進め方。山崎委員からも御意見がありました。では、そのことを含めた今後の予定を後で室長の方から話をしてもらいますので、そこに入れてもらいましょう。

では、まだ中間的ではありますけれども、この総合福祉部会の作業チームの報告と、それからスケジュールに関する報告はここで終わりにします。

それでは、正式な議事はここで終わりますけれども、あとは報告事項が数点続きます。最初に大谷委員より日弁連の「災害時要援護者及び県外避難者の情報共有に関する意見書」についての説明をお願いいたします。

大谷委員 大谷です。これは6月17日に日弁連としてまとめたものです。この原案は、日弁連の中に設けられた被災対策委員会でまとめて、我々もこの作成に関与しました。正式に決定されたもので、いわゆる執行として各関係機関等に配っているものです。内容が非常に多いので、これを説明するとまた時間をオーバーしますけれども、特に3ページ以降。問題意識とすると、本当に情報が共有されなかったということは、先々回で我々も皆、共有しました。

では、どうするのかということを提案させていただいている内容が、3ページ以降の3からです。いわゆる個人情報保護法の下での扱いなんですけれども、保護法をどうするかというよりは、各市町村の持っている保護条例の中で具体的に合法的にやれるんだということの解釈・提案をさせていただいています。

(1)は、もう条例の中で、先回も出ましたけれども、生命、身体、財産の安全確保のため緊急やむを得ないとき、または公益上特に必要があり、かつ本人の権利・利益を不当に侵害する恐れがないと認められたとき。もう少し大きく、住民の利益になることが明らかな場合ということで規定されている条例もあるようですから、それらを使って、積極的に個人情報を開示しても構わないということの解釈を提案させてもらっています。

あと、例えば、4ページの(2)個人情報共有の推奨方式については、既にガイドラインが平成18年に出ています。結局、このガイドラインが周知されていない。個別導入方式には限界があるので、関係機関共有方式を取るべきだということを推奨していたのですけれども、残念ながら周知されていなかった。これをもっとやるべきである。

それから、(3)は県外被害者の方々のあれは、手挙げ方式なので、網羅できなかった。これに関しては、網羅的に登録された避難者情報を、避難者同士の相互連絡を促すことは、市町村の責務ではなく、国、都道府県の責務であるということで国と都道府県が関与して、積極的に開示するべきだということの提案をさせてもらっています。

4番の被災者支援システムの整備。特に、義援金の配分が滞っているところが、何で滞ってしまったのかというのも、やはり、情報共有がされていないということにも原因の一端があったということで、被災者の情報を管理するシステムを整備しておく必要がある。これは事前にできていないのだったら、早急に整備すべきだという提案です。

4、災害時における個人情報の関係機関共有方式の明記。これから、具体的に条例の中にこういう文言を入れ込め、災害救助法においてもこの文言を入れ込めという要求をする。

最後5。個人情報の提供先に関する適切な措置及びガイドライン。情報を開示するべきだということは市町村、行政に対する要求なのだけれども、だれに開示していいのかということも非常に問題になってくるので、やはり、ガイドラインを設けて、事前に関係団体等に周知しておくことも必要であろうということを提案させていただいています。

最後の6なんですけれども、共有システムと根拠法の整備。これなども、市町村が持っているだけでは駄目だったということが今回わかったわけだから、やはり、都道府県のレベルでの情報の共有化が必要である。ただし、いたずらに情報の共有ということで何でもかんでも国がすべての情報を一括管理ということも不適切という配慮も我々の方にはありますので、やはり、被災情報に限るということでのある種、歯止めをしながら、都道府県関与が必要であると意見提案させていただいております。

以上です。

藤井議長代理 はい。特に、今、討議ということはできません。そういう必要はないと思うんですが、こういう報告で、こういうことを意見書として提出した。だれ宛てにこれは提出したんですか。提出した相手は。

大谷委員 内閣府も、厚労も、それから、各関係被災地等々に執行という形で持ち込む等々でやっております。

関口委員 周辺自治体にも行かれたんですか。

藤井議長代理 都道府県知事。

大谷委員 都道府県知事段階です。市町村には行っていなのではないかと思います。

関口委員 でも、これは市町村がやっているのでは。

大谷委員 市町村がやるのでも、市町村がもうできないので、都道府県の責務とか国の責務を明記しているので、とりあえず知事段階からということでやっています。

藤井議長代理 市町村もやはりそう思わないといけないわけだから。

大谷委員 そうですね。市町村執行状況に関しては今度、確認しておきます。

藤井議長代理 いかがでしょうか。それでは、こういう大事な動きだし、前回のここでの議論です。くれぐれもプライバシーは尊重することが大事である。同時に、この個人情報保護法が怪物のように立ちはだかって、命や健康を害してしまうことは、もってのほかであるということだと思います。こうしたことの意見書はまた、我々も活用させていただきましょう。

では、次にあと2つ短い発言が求められています。まず、基本法の国会成立が間近い。わかりやすい基本法に関して提案がありますので、土本委員からお願いします。

土本委員 わかりやすい基本法について、わかりやすいチームを立ち上げたいなと思っています。予定としては、8月8日の月曜日に立ち上げたいなと思っています。是非、この日で、やりたいという人は手を挙げていただければいいと思います。早速自分もやりたいので手を挙げます。一応、長瀬さん。

藤井議長代理 長瀬委員と中西委員と、あとは、だれですか、勿論、土本委員です。ほかにまた追加も構いませんから。関口委員も加わりたい。いいですか。では、また、自分も加わりたいということがあったら事務局の方に登録してください。8月8日の午前中ですか。

土本委員 午前中です。11時からやります。

藤井議長代理 11時からお話し合いを持ちたいということですね。では、土本さん、いいですか。そういうことで。

それでは、続きまして、長瀬委員から国連関連情報をお願いできますか。

長瀬委員 ありがとうございます。東京大学の長瀬です。皆さんにお配りさせていただいた今日の委員提出資料で「長瀬修委員提出資料」というのをごらんいただきたいと思います。これは、4月の障害者の権利委員会に関する報告です。既にこの推進会議でも報告をさせていただいたいのですが、この障害者の権利委員会が最初の国際的モニタリングの対象としましてチュニジアを対象に審査、また対話を行って、委員会としての見解を示す総括所見が出されました。これが委員会としての重要な意見になりますので、簡単に内容だけ紹介させていただきたいと思います。

勿論、チュニジアと日本では、社会的にも経済的にも大きな違いがありますけれども、今回、チュニジアに対して示された審査の方向性は、将来、日本が批准をして条約を実施していく際にも非常に参考になると思います。

まず、積極的に評価できるところにつきましては、障害者組織を含む非常に幅広い国内における協議を経て、チュニジアの報告がまとめられた点が評価をされております。

次に、条約実施を妨げる要因と困難としましては、今年の1月の民主革命に伴って、いわゆる社会状況が不確実になっている。ただ、これにつきましては、同時にこうした変革は新たな国づくりに、障害のある人たちが参画する貴重な機会ともなると指摘されています。例えば、日本の場合ですと、今回の震災についても同じことが言えるのかもしれません。

一番の中心の部分の主要な懸念事項・勧告ですけれども、かいつまんで幾つか紹介させていただきたいと思います。例えば、第5条の平等と非差別につきましては、合理的配慮がないことが障害に基づく差別であるということをやはり法的に規定しなさいという意見が出されております。

また、障害児につきましては、障害児施設における障害児自身による苦情申し立ての仕組みの確立や、定期的なモニタリングの実施が求められております。

あと、2ページ目に移りまして、例えば第17条では、患者の完全なインフォームドコンセント、十分な説明と同意ですけれども、これを抜きにした手術や治療をなくす。そういう法律をつくることを求めておりますし、また、法律によって女性の権利擁護も求められております。

24条の教育につきましては、一例としまして障害児を対象にすべての学校でのインクルーシブな教育の実施が求められております。

最後になりますけれども、29条の政治的及び公的活動への参加につきましては、後見制度を利用している障害者の投票権を確保する法的な措置の緊急実施が求められています。これは、日本の場合でも今、公職選挙法によって後見制度を利用されている方の投票権の剥奪というのがありますけれども、これも明らかに引っ掛かるだろうということが予測されます。

次回は、スペインなのですけれども、今回はやはりチュニジアは、途上国であって、しかも、民主革命を経たばかりだという事情がありましたが、スペインの場合はそういう政治的な動きもないし、やはり、先進国ですので、チュニジアよりももっと厳しい勧告が出されるのではないかと一部の専門家が発言していたことを申し上げたいと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 それでは、準備されました議事や報告はこれですべて終わりましたので、マイクを小川議長にお返しします。

小川議長 本日は、長時間の討議、お疲れ様でございました。ここで東室長より今後の予定を含め、報告すべき事項があれば御説明をお願いいたします。室長、どうぞ。

東室長 担当室の東です。お疲れ様でございました。次回は、34回、8月8日月曜日を予定しております。中身については改めてお知らせしますが、一応、今、考えておりますのは、障害者基本法が成立しているであろうと思われますので、成立しておればその説明をいたしたいと思っております。

また、障害者の虐待防止、障害者の要保護者に対する支援等に関する法律につきましては、厚生労働省にお願いをして、法律の説明をいただこうと今、思っているところです。

また、先ほどの議論にありましたように、仮称ですけれども、障害者総合福祉法の骨格提言についての案を提出していただいて議論するという3本立て。骨格案提言の方がメインとなると思いますが、そういう内容でやりたいと思っているところです。

また、これまでいろいろ議論が出てきたところの問題です。この推進会議での議論、もしくは、部会での議論と各省庁に置かれている審議会等の議論と、どう連携していくかという問題が出されております。この問題は推進会議が始まったころからずっと指摘されている問題であります。

それで、当面としては、今日、3つの合同作業チームから報告がありましたけれども、その報告の中で、第一次意見に基づく閣議決定で、いつまでにという期限を切られた部分があるわけです。ですから、その期限を切られた部分との関係で、例えば、精神の問題の中で言えば、やはり推進会議で議論すべき課題について議論する中で、その点について厚生労働省における審議会等でどのような議論がどれだけ進んでいるのかといった辺りを事務局の方に来ていただいてお話を聞かせてもらうという形なども考えております。それは就労につきましても、児童支援につきましても、障害児支援につきましても同じようなやり方ができるのではなかろうかと考えているところです。

そういうふうに、推進会議ないしは、ほかの審議会との連携共同みたいな、そういうレベルの話も考えていかなければならないんですが、ただ、基本法が成立すると、基本法の枠組みはそれとは少し違った枠組みもあるんです。

基本法における障害者政策委員会の権限事項などを見ますと、まず、第32条2項1号で政策委員会は、障害者基本計画に関し、第11条第4項に規定する事項を処理することということが書いてあります。基本計画の部分については議論して意見を挙げるということになります。第2項の2号では、前号に規定する事項に関し調査・審議し、必要があると認めるときは内閣総理大臣、または関係各大臣に対し意見を述べることとなっています。

それで、前号に規定する事項に関しということですので、審議対象は、基本計画に関する事項なんです。基本計画に盛り込むべきかどうかということも含めてのことですから、ほとんど、いろいろな分野を調査・審議できるという形になるわけです。その調査・審議に基づいて必要があれば内閣総理大臣、または関係各大臣に対して意見を述べることができますので、ほかの省庁がそこに設置してある審議会に基づいて一定の政策をする、その政策について意見を述べることもできるわけです。

ですから、現在なされている政策に対して、関係各大臣に対して意見を述べることができるとすると、そういう意見について推進会議ではこういう意見が出ているけれども、まずは審議会に諮ってまた議論し直して、政策をつくり直すという流れも想定されているのかと思うわけです。

ですから、同時進行的に横並びに連携していく方法と、各省庁が審議会を経た上で、出した具体的な政策についてここで再び議論して、それについて意見を述べて、それがまた各省庁が設置する審議会に諮問されていく。そこで議論されて新たな施策になっていく。こういう横の動きと、縦といいますか、どういう表現をしていいかわかりませんが、そういう2つの動きが今後、考えられていくのかと今、思っております。

次回は、先ほど言ったような内容で進みますけれども、まずは審議の状況などをヒアリングする形で進めていきたいとは考えておるところです。ただ、まだ具体的にいつ何をやるかというところまでは詰めておりませんので、一定の方向ということで御理解いただければと思っているところです。

以上でございます。

済みません。久松さんの御意見に対してですが、8月8日に骨格の提言案をここでいただくんです。それで、推進会議は推進会議として意見をやはり出してもらって、一定のものがあれば、それをある程度総合福祉部会に投げるという形でここの意見を反映していただくことも必要ではないかと思います。

そういう、推進会議と総合福祉部会の一定のやりとりを通じて最終的には骨格案が確定されるんでしょうけれども、一応、総合福祉部会が決めた提言は骨格提言として、推進会議としては受け取る。そのものについて、それは駄目だという権限はないわけです。一定お任せしたわけですから。だから、できた正式の骨格提言について更に推進会議としてはこういうふうに考えるという、その議論は当然あっていいんですけれども、部会が上げる骨格提言は部会の骨格提言として部会で議論していただく。そういうスタンスで考えております。

そういう過程を経て、厚生労働省において、具体的な法案づくりに着手されていくことになります。その過程において総合福祉部会をどうするのか、もしくは、推進会議をどうするのかということが問題となります。この点につきましては、総合福祉部会でも、一つの考えとしてお示ししたのは、障害者基本法の改正につきましても第二次意見を上げた以降、一定の、どこまで進んでいるのか、どういうことを考えているのかということにつきまして、事務方の方から説明をしてもらって、それに対して推進会議は推進会議として意見を述べるということをやってきました。勿論、十分にやれたかどうかは別なんですが。

ですので、総合福祉法と部会との関係もそういうことが当然の前提として行われるべきではないかと考えているところです。ただ、具体的に一定のまとまりみたいなものが厚生労働省の方でどういう形で提示していただけるのか、それがいつごろの時期になるのか、それはまだ全くわかりませんので、具体的な話はできないわけですけれども、方向性としてはそういうことを考えているということであります。

以上でございます。

小川議長 ただいま、東室長からの今後のスケジュールということで、わかりやすく説明をされたと思いますが、御理解いただければ、本日の会議はこれで終了させていただきます。

竹下委員 竹下ですけれども、今後の流れの中で室長からの報告があったんですけれども、やはり疑問があるのは、23日に行われた厚労省のコメントがあるわけですが、そうすると、推進会議として厚労省のコメントに対する見解というか、あるいは、厚労省と推進会議との間で総合福祉法の骨格提言を受けたやりとりというものが必要ではないかと思うんですが、その点を室長はどうお考えでしょうか。

東室長 先ほど骨格提言の案を次回出していただいて議論するという話をしましたけれども、当然、厚労省のコメントなども議論の前提にできればそこでして、それについてどう考えるかということについて、推進会議として意見をここで述べるということは当然、考えております。

ただ、ここで意見を述べて、では、厚労省とどうするのかというところまでは、まだよくわからないのですが。少なくとも、議論としては、別に何ら制限を加えるものではないと思っておりますが、いかがでしょうか。

小川議長 竹下さん、今の議論ということについてはよろしいですか。

竹下委員 はい。

小川議長 もうお一方、久松さん。

久松委員 久松です。

小川議長 どうぞ。

久松委員 ろうあ連盟の久松です。東室長が大変調整に御苦労されていることは理解できます。けれども、作業部会をつくるに当たっては、制度改革推進会議で確認することを以前に確認しております。それが1点。

2点目は、総合福祉法をつくる、差別禁止法をつくるということが閣議決定されているのであれば、少なくとも、私たちが作業部会の意見、議論しまとまった内容を推進本部、閣僚に報告する作業が必要ではないかと思います。国民の皆さんの議論、合意があるということをきちんと確認する作業をすることが制度改革推進会議として、役割を果たすことになります。対策室としてもどのような方向かを示していく必要があると思います。原則を確認した方がいいと思います。

小川議長 東室長、いかがですか。

東室長 わかりやすく言えば、第一次意見につきましては、推進本部に上げて、それを最大限尊重する形で閣議決定がなされました。同じようなことが、骨格提言案についてできないかという御質問だろうと思います。先ほど言ったのは、少し理解がしづらかったかと思いますけれども、一応、骨格提言案は部会でつくるわけです。推進会議でつくるというものではなく、部会でつくる。その部会から上がったものについて、ここで一定の議論をして、これはこれでいいという議論になるか、もう少し何か加えた形で、推進会議の独自の意見として入れ込むかという議論は確かにあると思うんです。

その後で、それを踏まえて本部に上げるかどうかということが問題になってくるわけです。それはやはり、推進会議、総合福祉部会も含めた全体の意思として、当然、本部の方に伝えていくことが求められていると思います。ただ、具体的にどういう形で、いつごろということについては、全く今のところまだ見えていない状況です。その方向性は、恐らく皆さん異論のないところだと思いますので、そちらの方向で担当室としても調整していきたいと思っているところです。

ただですね、やはり、いろいろな政治状況がありますので、なかなかすんなりと行くかどうか、そういうのは本当に直前にならないと確定しないという要素もありますので、それはそれとして考慮していただければなと思っています。

以上です。

小川議長 久松さん、まずはよろしいですか。

久松委員 ろうあ連盟久松です。調整しなければいけないということは理解しました。政治的判断ということであれば、今回、衆議院の内閣委員会の附帯決議で、わざわざ4つの政党がここの制度改革推進会議の議論で足りなかった、障害者基本法に反映されないから、今後、国として議論して制度がつくれるようにと、そういう意見をまとめてくれました。逆に言えば、制度改革推進会議はもっと頑張ってほしいという応援のメッセージと理解しております。

ですから、率直にそれを受け止めて進めていくことがあってもいいのではないかということを一人の委員として意見を申し上げたいと思います。

以上です。

小川議長 本件については、各委員さんともども同じだと私は判断をいたしますので、政治家との折衝を慎重に、しかも、全国民の方々に理解できるような最終結論を出すまで頑張り抜きましょう。

それでは、ありがとうございました。これをもちまして、本日の会議を終了いたします。本日はお忙しい中、御苦労様でございました。お疲れ様でございました。例によりまして今後、記者会見をこの場で行います。

御苦労様でございました。

▲ このページの上へ

-