-

(PDF形式:39KB)別ウインドウで開きます

ルビあり(PDF形式:79KB)別ウインドウで開きます

第34回障がい者制度改革推進会議(2011年8月8日)
議事要録

【障害者基本法の改正についての報告】

  • (東室長)障害者基本法は、3月11日に推進本部で改正案が了承され、4月22日に国会に提出された。6月15日に衆議院の内閣委員会、16日は本会議。参議院は7月28日に内閣委員会、29日に本会議で可決された。8月5日に公布されている。
    政府原案に対して議員修正された。修正を経て、全会一致で可決したことを報告する。
    (資料2「障害者基本法新旧対照表」に基づき説明。下線部は政府原案の修正点で、ゴシック部分は議員修正点。)
  • (発言)障害者政策委員会等は、公布から1年以内に政令で定める日から施行となっている。見通しはどうなっているのか。
  • (東室長)障害者政策委員会は年度末には立ち上げたい。
  • (事務局)今後、各自治体で合議制の機関を設置するための条例等の準備や、国の障害者政策委員会の準備が必要だ。これらの状況を踏まえ、切りのいいところで施行する。
  • (発言)基本計画も障害者政策委員会ができてから作るのか。
  • (東室長)推進会議も基本計画の検討は課題だが、政策委員会になってから検討するのか、その前に検討を始めるのかは考えたい。
  • (藤井議長代理)今の基本計画は平成24年度で終わる。来年に改定するのが通常であるので、障害者政策委員会の初仕事になるだろう。
  • (発言)「障害者政策委員会の意見を聴いて」という障害者基本法の規定がある。基本計画を策定するときには、政策委員会ができていることになるのか。
  • (東室長)政策委員会に諮らなければならない。推進会議の意見が障害者政策委員会に引き継がれていくだろう。
  • (発言)新設された「防災及び防犯」に「障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため」とある。国体等の時に近隣の精神障害者が入院を強制されたり監視されたりすることがあり、このようなことの根拠にならないことを確認したい。
  • (東室長)条文を読んでいただければ、そのような趣旨ではない。

【「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」について】

  • (発言)資料は、7月26日に提案したもの。部会ではあと2回議論する予定だ。
「障害(者)の範囲」について
「身体的または精神的な機能障害(慢性疾患に伴う機能障害を含む)を有する者であって、その機能障害と環境に起因する障壁との間の相互作用により、日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいう」と提案した。障害児は、「障害者のうち十八歳未満である者をいう」。例示列挙すると書かれていない障害が軽視される危険性があるので包括的な定義にした。慢性疾患については、除外されないように加えた。部会では「従来、対象とされていた知的障害が消えたので違和感がある」「障害者基本法との整合性がとれるのか」「本法の支援を必要とする者という表現の方が良い」「障害児の定義が必要なのか」「馴染みのない機能障害という言葉で共通理解が得られるのか」等の意見があり、検討している。
「支給決定」について
支給決定の流れは、<1>申請、<2>障害の確認、<3>支援ガイドラインに基づくニーズアセスメント、<4>ガイドラインの水準を超える場合は本人と市町村とで協議調整を行う、<5>調整できない場合は第三者的な合議機関での検討、<6>都道府県への不服申立、という6段階を提案している。次に障害の確認について「手帳がない人を判断する専門職のリストに国家資格でないものが含まれている」「看護師等は障害に詳しく無い人もいる」等の意見があり、検討している。
ガイドラインについては、地域で暮らす他の者との平等を基礎とすることを可能とする支援の水準であること、障害の種類と程度ではなく社会参加を含めた支援の必要性を反映した支給決定につなげることなどの基本的視点を示した。部会では「現行の市町村の要綱と同じにならないか」という意見があった。
  • (発言)障害者の定義が、障害者基本法と総合福祉法とでは異なることになるため、市町村は戸惑いがある。趣旨を確認したい。支給決定について、障害程度区分は問題が多いとのことだが、現在の認定委員が現行法に基づいて認定していることには敬意を払う必要がある。障害者の制度の運用は難しく担当職員は疲弊し休職等も出ているので、自治体職員の確保が必要だ。また骨格提言を各市町村で格差なく取り組めるよう、国に提案していただきたい。
  • (発言)市町村の決定に不服がある場合、障害者は都道府県の審査会に不服申し立てができるが、都道府県が市町村と異なる結論を出しても、無視されることが多い。都道府県に権限を与え、市町村に是正させるような措置が必要だ。
  • (発言)この法で、障害者の定義を設ける理由は何か。支給決定のプロセスを定めるために、障害者の定義まで踏み込む実益はあるのか。また、現行の地域生活支援事業のサービスを使うプロセスは、どうなるのか。障害の確認で手帳がない場合のことは考えられているが、手帳制度そのものの問題、例えば身体障害者福祉法の別表の改定等につながる議論は、あったのか。
  • (発言)障害者の定義について、新しい考え方で対象を見ようとしている。機能障害や程度ではなく参加の支援の必要度を中心にしたものに切り替えようとしているが、知的障害という言葉が消えた等、不安が出され議論している。障害者基本法と全く同じ定義でなければいけないことはないだろう。整合性があり、漏れがなければ、良いのではないか。定義を設けることの実益について、例えば父子家庭で家事援助が必要だという人は障害者総合福祉法の対象ではなく、障害を要件に含めなければ制度にならない。地域生活支援事業については窓口で必要に応じて認めてきている。障害者手帳制度については、短い期間の中で十分検討できなかった。客観的指標がダメだということではなく、障害程度区分がニーズを反映しないので客観的指標として不十分だということだ。個別にニーズを評価してモニターするといった行政担当者の専門性を高め、手厚く配置することが必要だ。明日から一挙に改善されなくても、切り替える方向性を議論している。不服審査について都道府県と市町村の関係については、検討させて頂きたい。
  • (発言)障害程度区分認定について、審査員の努力により二次判定で変更されていることには敬意を表しており、提言は障害程度区分の106項目に問題があると言っている。円滑な実施は重要な事であり、そのためのモデル事業の実施を提案している。不服申立については、現行よりもバージョンアップさせて、書面審査だけではなく必要に応じて本人が意見陳述をし、支給決定の中身が妥当かどうかを含め議論できるという提案だ。
  • (発言)
相談支援について
相談支援の対象者は基本法の障害者の定義になっているが、本法の対象となる障がい者と整合性を図る。特定相談と一般相談を設けるよう提案しているが、分けることなく連続的にやるべきだという意見が部会から出ている。相談支援機関を充実するために、重層的な相談支援の仕組みづくり、エンパワーメント事業の併設、事業所や市町村から独立した相談支援の実施等が議論されている。手話通訳などの情報保障を充実させるべきだという意見が出ている。
権利擁護について
寄り添い型の相談支援とそれをサポートする機関が必要だ。入院・入所者への権利擁護制度は、ピアサポーター等第三者が病院や施設に入って支援する制度を提案している。グループホームや在宅の人も含めた総合的な権利擁護制度が必要だとの意見が出されている。
  • (発言)
支援体系について
支援体系の基本的な視点は、本人のニーズに基づき地域生活を充実させることと、地域格差を是正することだ。「A.全国共通の仕組みで提供される支援」「B.地域の実情に応じて提供される支援」「C.支援体系を機能させるために必要な事項」の3つで構成している。自立支援法のように介護給付と訓練等給付とに分ける必然性はなく、Aについてはどこの自治体でも必要な支援が得られるような仕組みが必要だ。また、自治体の裁量できる支援も必要なのでBを決めた。現在は地域生活支援事業の中にある地域活動支援センターや福祉ホームもAであるべきとの意見があった。就労支援は障害者就労センターとデイアクティビティセンターに再編する。労働法の適用や適切な仕事の確保、賃金補填等については試行事業を実施し、その検証結果を踏まえて、施行後3年を目途に就労支援の仕組みを見直すことを提案している。日中活動支援については、デイアクティビティセンターの創設やショートステイ、日中一時をより強化すべきであると考えている。居住支援サービスは、グループホーム、ケアホームを1本化し、地域における居住支援として位置付けることを提案している。個別生活支援は今の訪問系サービスを発展させたもので、パーソナルアシスタンスを創設し、居宅介護はニーズに応じて使い易くする、そして移動介護は地域間格差が起きないように全国共通の仕組みにするとしている。コミュニケーション支援及びガイドコミュニケート支援は、全国どこでも支援が得られるよう、行政や事業者が対応すべき基準を設け、費用は無償にする。ガイドコミュニケート支援は、盲ろう者の人数が少ないため都道府県での実施とし、コミュニケーション支援と移動介助を合わせて利用できるようにするとしている。また、日常生活用具を補装具と同じ仕組みにすることも提案している。医療的にケアの拡充も必要だ。この他、日中活動支援の通所保障やグループホームでのホームヘルプ利用等の提案している。
  • (発言)障害者の定義が障害者基本法と異なるので違和感がある。障害者の定義は、障害者基本法が広く、総合福祉法はそれよりも小さい。その場合、障害者の定義は同じにするが、総合福祉法が射程とする適用対象を限定するのが一般的だ。総合福祉法で障害者を定義する必要が何故あるか。相談支援の項では障害者基本法の定義に近く、整合性が取れていない。
  • (発言)予算がどの程度必要なのかがわからないと評価できないので、議論して欲しい。医師が自分の責任で入院か退院かを決める際に、相談支援専門員が現れると、自分の責任が軽くなったと受け止めると聞くが、相談支援専門員はその責任を負えるのか。制度設計として、相談支援の延長線上の権利擁護は成り立たないのではないか。
  • (発言)働く場で虐待を受けた場合、どうすれば良いのか。泣き寝入りするのか、聞きたい。
  • (藤井議長代理)今度の仕組みの中で不当な権利侵害を持ち込む場があるのかという質問だ。
  • (新谷)骨格提言では何を基準に「全国共通の仕組みで提供される支援」と「地域の実情に応じて提供される支援」に区分しているのか。コミュニケーション支援事業は、全国一律の事業になるのか。
  • (発言)予算の見積もりはできていない。今年度、厚労省で生活のしづらさに関する実態調査を行う予定だが、そのようなデータもまだない段階だ。予算については、OECD諸国の平均水準以上にすることやガイドラインを使って支給決定をしている自治体の財政状況の分析等の関連資料を用意している。相談支援と権利擁護については、相談支援事業が権利擁護の機能を果たす必要があることをベースに、権利擁護に特化した仕組みも用意するという整理だ。推進会議は基本法の改正に当たり、新しく包括的な障害者の定義を提案していたが、省庁との折衝で既存の基本法をベースにしたものになった。総合福祉部会では新しい考え方を示そうという意向が強いが、運用上、齟齬が起きないような工夫をすべきだ。
  • (東室長)障害者基本法には「継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける」とあるが、この継続性と相当性が部会の提案にはない。基本法の定義の方が広いなら、こちらは限定的に書けるが、むしろ逆だ。この点をどう考えるか。
  • (発言)支援体系については、自立支援法の体系にとらわれないという視点と、総合福祉法でこれまでのサービスがストップしないようにするという視点で整理をした。全国共通の仕組みはどの自治体でも必要な支給決定ができるよう財源を強化する仕組みであり、地域の実情に応じて提供される支援は地域生活支援事業の統合補助金というイメージをなくすため新たな名称にした。現行制度では地域間格差が広がり障害者の地域生活は安心できないので、相談支援やコミュニケーション支援、移動支援、日常生活用具、地域活動支援センターを全国共通の仕組みに入れた。
  • (発言)どこに重点的に予算を付けるかで新しい法律の性格が決まる。権利擁護は人権に関わるから、ここにどの程度予算がつくのかが死活問題になる。つなぎ法の延長上で行けば相談支援事業は凄く予算がかかるが、それならば人権擁護で使う方がよい。
  • (発言)医療的ケアの拡充について、命か地域かという二者択一の議論になっているのが、気がかりだ。当然、生命優先だが、今回の制度改革ではそこを一歩進め、地域生活に近づけようとしている。改正された障害者基本法14条(医療、介護等)5項で「可能な限り」身近な場所で医療や介護を受けられるようにすることが書かれているが、「可能な限り」は不要だ。これが何故必要なのかという説明に医療的ケアが持ち出されているという経緯を踏まえ、地域生活の中での医療的ケアを強めて欲しい。
  • (発言)医療的ケアが、地域生活のあらゆる場面で確保されるだけでは弱い。地域生活のあらゆる場面で介護職員等によって確保されるという文言にはどうか。
  • (発言)「医療的ケアの拡充について」は障害者基本法14条5項の条文案が出る前に検討されているので、新法によって医療的ケアが必要だから地域での生活は難しいという議論を変えるような実態が進み、基本法の3年後の見直しの時に修正されるようしたい。また、医療的ケアは本人や家族が行うものと誤読されないよう、支援サービスとして入れたい。
  • (発言)相談支援を重層的に整備するとしているので、予算をかけて新たにセンターを作るとの印象を持たれたかもしれないが、今あるセンターの活用やネットワークの効率化も考える必要がある。相談支援は地域生活支援事業なので市町村格差が大きい。問合せや情報提供だけではなく、訪問相談や同行支援が全国どこでも可能になるようにしたい。エンパワーメントの拠点にもなるため、この点を重視したいというのが部会の意見だ。
  • (発言)
利用者負担について
他の者との平等の観点から、食材費や光熱水費等、誰もが支払う費用は負担をすべきだが、障害に伴う必要な支援は無料とすべきである。ただし、財政状況が厳しい中で国民的な理解を得るために、高額な収入のある人からは本人のみの収入に応じて徴収することを加えるべきではないかという意見があり、検討している。自立支援医療も無料にするという提案だが、一部は応能負担でも良いのではという意見がある。
報酬と人材確保について
障害福祉の報酬水準は障害者の人権や尊厳の水準と連動しているとの考え方から、障害者に必要な支援を提供する職員の人件費を保障するために必要な事業の報酬を確保するべきである。通所施設等が利用率80%程度で採算が成り立つ水準の報酬等することや、常勤換算方式の廃止を提案している。報酬については、利用者個別給付報酬と事業運営報酬に分け、前者を原則日払い、後者を原則月払いとする整理をした。基本報酬のみで安定経営ができる報酬体系にするため、加算制度は最小限にしている。福祉従事者が誇りをもって働けるよう、国家公務員の福祉職俸給表の水準の賃金を確保するべきとの提案もしている。
  • (発言)
地域生活の資源整備について
全国どこでも必要な支援を受けて安心して地域で暮らせるよう、地域基盤整備10か年戦略を提案している。特に社会的入院という状態にある方の地域生活を進めるための重点整備を盛り込んでいる。現行の自立支援協議会の名称については地域生活支援協議会という意見を頂いている。
地域移行について
地域移行の法定化という提案している。施設入所については、地域資源整備により地域移行を拡充することを前提として、入所施設は小規模化を促進しつつセーフティネットの機能を担うという提案をしている。
  • (発言)利用者負担について、理念としては障害に伴い必要な支援は無料とするべきだと考えるが、財政状況を考慮して一部は応能負担にするという議論があったことに敬意を表したい。障害者基本法には、自治体に国で言う政策委員会のような合議制の機関を置くことができるという努力規定があるが、これと現行の自立支援協議会とはどのような関係になるのか。
  • (発言)利用者負担は社会保障政策の税制の中で議論をすべきで、障害を理由とした支援は利用者負担になじむのかという議論からスタートすべきだ。私は利用者負担にはなじまず、公費負担をすべきであると考える。高額の収入がある場合は別の税制政策の中で対応すべきだ。
  • (発言)重度の障害者の中には必要なサービスが支給決定されないために自ら死を選ぶ人もいる。こうした現実を考えた時、利用者負担の無料化に財政を使うのは将来の課題であり、24時間のサービス確保を急ぐべきだ。そのためにある程度の利用料を払っても良いというのが仲間の声だ。
  • (発言)基本的な考え方は全額公費負担だが、高額な収入のある人には一定程度負担をしてもらうと提案している。ただ、高額所得者は既に税制で払っているのに徴収するのかという議論や、見出しを「利用者負担」とするのか「公費負担の在り方」とするのか等の点は検討したい。
  • (発言)自立支援協議会については、障害者基本法に基づき自治体に置かれる合議体の分科会としてはどうかという提案があった。政策委員会や自治体の合議体は施策の計画づくりやモニタリングが役割だ。一方、現行の自立支援協議会は地域生活のための資源整備や事業者間の調整等を行っているが、新法ではそのまま引き継ぐのではなく、地域基盤整備10ヵ年戦略という新しい枠組みの中での地域生活支援協議会とすることを提案している。
  • (東室長)機関の性格を明確にして役割分担をしなければいけない。基本法に基づく政策委員会や自治体の合議体の任務は、基本計画の作成に当たって意見を述べることとそれに基づく政策の進行状況の監視だ。自立支援協議会は目標に向けての実施機関なので、そこが監視をするのは問題がある。また、自立支援協議会は自立支援法のサービスが対象になるが、基本法に基づく政策委員会や自治体の合議体は福祉サービス以外の分野も対象になる。従って、両者は分けて考えるのが基本だ。
  • (発言)利用者負担の項目で障害に伴う必要な支援を6つ挙げている。ここに権利擁護を加えて欲しい。
  • (発言)障害者基本法で「消費者としての障害者の保護」が新設されたが、消費者の保護は物を買うだけではなくサービス利用者という概念も入る。利用者負担という言い方は、使わせてもらっているという意味があるので、権利性という観点から見ると問題がある。
  • (発言)支援の類型として挙げている6つ全部を無料にするとか全部を応能にするということではない。相談は利用料が発生すると利用できないので現在でも無料だ。コミュニケーション支援は、例えば手話を使える人と使えない人の双方がメリットを受けるのに聴覚障害者だけが利用料を負担するのはおかしいのではないか。権利擁護はお金を気にしていては利用できない。このように一律に考えるのではなく、国民的な理解が進むように議論する必要がある。お金のある人が障害を持った場合でも障害のない時と同じような人生を遂行できるようにし、その代わりに障害者も責任をもって社会参加をするのが平等な社会だ。消費者として位置付けると、利用者負担ではなくより自己責任的な方向が強まってしまうのではないか。
  • (発言)支援を得て当人が払うという意味で、消費者という認識が成り立つ。

【わかりやすい障害者基本法について】

  • (発言)1回目の話し合いをした。12月の障害者の日までに作り上げることにした。障害者基本法は、自分たちに関することなので是非つくり上げていきたい。

【合同作業チームの報告】

医療について

  • (発言)「地域における障害者の生活を支える医療」の実現に向けた理念と制度基盤の構築が、与えられた課題だ。障害者が地域で暮らし、社会参加ができるようにするためには適切な医療の提供が不可欠だ。医療は福祉サービス及び保健サービスとの有機的な連携を確保しなければならないが、どのようにすればできるかが問題だ。精神障害、重度の心身障害、難病の方と検討しているが、いずれも医療モデルで進められてきた領域だ。障害者は法の対象ではなく、権利の主体であるという考え方を基本として検討しており、医療モデルから社会モデル、生活モデルへということになる。四六時中、医療を必要とする方がおり、これに対して医療の基盤を整えるには地域医療を充実させることが一番で、これは日本の医療制度を抜本から改革することになる。障害があろうがなかろうが、すべての人にとって地域医療が充実することが重要で、それが障害者や難病の方の医療につながる。また、医療に人権的な視点が組み込まれることも重要だ。利用料については、無料であるべきだという意見と、応能負担の中で負担にならない形を考えるべきだという意見があった。
    難病はまだ概念が決まっておらず、総合福祉法の大きな課題の一つは難病問題だ。難病の方たちはサービスが受けにくい状況にある。精神障害については精神保健福祉法と医療観察法を大きく変えないと地域移行にはならないが、総合福祉法では制度が後退せずに前進するようにして欲しい。
  • (発言)病床削減をしつつ、精神病院の診療報酬を上げることに賛成だ。その方が、医者の数も増え、高度なケアが受けられる。人権の視点から医療を考え直し、拘束等はやめるべきだ。
  • (発言)医療的ケアの提供について、介護職員などが不特定多数の対象者に行う場合と、担い手が特定の対象者に行う場合を区別して、それぞれに相応しい実施体制を整備するとあるが、これは支援体系のところで医療的ケアについて整理した時と同じ視点だ。
  • (発言)精神障害者の問題については、総合福祉法だけでなく精神保健福祉法や医療法も関わるため、その辺りも検討して欲しい。
  • (藤井議長代理)誰も医療は否定していないが、医療の名の下に地域生活や人権を侵害することがある。
  • (発言)医療観察法に基づく病棟については、どのような議論があったのか。自傷行為が激しく本人の安全を守ることができない場合等は拘束以外に方法がないのではないか。
  • (発言)医療観察法だけではなく、措置入院を含めて非自発的な入院というのを完全になくすことを大前提に議論した。精神保健福祉法や医療観察法を無くし、権利擁護ができるような医療についての手続法が必要だ。自傷については、病院ではなくドロップインセンターがあれば入院しなくて済むだろう。ただ、入院がゼロにはならないから、医療の専門家の判断が必要になる。
  • (発言)WHOの基準では拘束は4時間が限度になっている。日本では厚労省が拘束のガイドラインを出しているが、恣意的な内容が含まれている。WHOの基準に近づけなければいけない。
  • (発言)自傷の可能性があると予防のためとして入院させられる。手続を厳密にしなければ、病院経営の力学が働いて入院になってしまう。

障害児支援について

  • (発言)障害児に関しては総合福祉法と児童福祉法の両方にまたがる。総合福祉法に関わる点は「総合福祉法の骨格提言」で述べられているので、児童福祉法に関わる点について報告する。権利擁護のシステムとして児童福祉法で子どものためのオンブズパーソンを制度化するべきで、これは障害児だけではなく子ども全体に関わるものだ。療育に関しては障害者基本法に新設されたため、児童福祉法でも見直しが行われるだろう。障害を理由に一般児童施策の利用が制限されないようにするべきで、こども園や放課後児童クラブ等への入所が障害を理由に妨げられないことを基本にしている。通所支援については、自立支援法のつなぎ法に伴い児童福祉法が改正されており運用基準等が明らかになれば意見も変わるかもしれない。また障害児入所施設の在り方についても提言している。相談支援体制については、地域のより身近なところで保障されるべきであり、障害者基本法に新たに入れられた意思決定支援を含めて制度化するべきだとしている。ケアマネと個別支援計画、要保護児童対策地域協議会と自立支援協議会に関しては総合福祉法と重なっているので、棲み分けを検討したい。家族支援ときょうだい支援は障害者基本法で新たに規定されたので、これを受けて児童福祉法を改正するべきだ。寄宿舎については支援の実態を調査し、地域社会生活が保障されるように施策を検討するべきだ。
  • (東室長)権利擁護に関しては、施設か在宅かは関係なくすべての子どもを対象にするということか。ケアマネジメントと個別支援計画はどういう障害児が対象で、誰が計画を作成するのか。相談支援体制をつくりケアマネージャーが個別支援計画を作成するということか。
  • (発言)権利擁護は全ての子どもが対象だ。一貫した支援のためにはケアマネが必要で、それに基づいて個別支援計画を作るべきだ。相談支援とつながれば具体的になるが、ワンストップ型で保障できるかは今後の課題だ。
  • (発言)すべての入所施設にショートステイ枠をつくると、ショートステイからだんだんと長期入所になるのではないか。寄宿舎は自分で決めて入るわけではなく、また地域によっては生まれた所から遠くにある寄宿舎に入らされるので、反対だ。
  • (発言)長期入所になる恐れがあるからこそ、個別計画を立てて期限を区切った入所が必要だ。寄宿舎については実態調査をした上で提言するべきだ。
  • (発言)「家族支援ときょうだい支援」について、外部から介助者を入れることについての議論はなかったのか。寄宿舎に入ることによって、親が育児放棄をしてしまうことがあると聞くので、この調査はしていただきたい。
  • (発言)家族支援は、第三者が家族を支援することをイメージしている。今まで子どもに関しては家族負担、特に親の養育責任が大きく、第三者が介入できなかった。
  • (藤井議長代理)総合福祉法に関することは私たちが議論できるが、児童福祉法や子ども・子育て新システムに関すること等、他法の分野について今後の展望をどう考えているのか。
  • (発言)子ども・子育て新システムに関する新法や児童福祉法で障害児の視点を外すわけにはいかないから、全体の子育て支援における障害児という位置づけになるのではないか。

就労について

  • (発言)障害者権利条約で求められている労働への権利や障害に基づく差別の禁止、職場での合理的配慮等の提供等についての条文を雇用促進法に設ける必要がある。差別をされたり合理的配慮が受けられない場合に、職場で対応できる仕組みや第三者に申し立てる仕組みが必要だ。これについては、差別禁止部会や労働政策審議会障害者雇用分科会で議論することになっている。障害者雇用率の対象となる障害範囲を広げるなら雇用率の見直しが必要だし、納付金制度についても障害当事者から申請できない点等の再検討が必要だ。一般雇用でも福祉的就労でもない働き方を全国的に展開するため、そして賃金補てんや仕事確保の仕組みを作るために、就労系事業に関する試行事業を提案しているので実施して頂きたい。賃金補てんは所得保障制度全般との関連で見直しが必要で、公的年金制度の抜本的な見直しと併せて検討すべきである。障害のない市民との格差についての実態調査を実施する必要がある。福祉的就労と一般雇用を一体的に展開する仕組みづくりが必要で、それには中央省庁の組織の問題や地方自治体でのワンストップサービス等が関わってくる。障害者基本法に基づく障害者政策委員会でフォローして頂きたい。
  • (東室長)労働における差別禁止については、差別禁止法の中に規定を設けるのか雇用促進法に設けるのか。どちらか一方だけにするのか、役割分担するのか。
  • (発言)差別禁止法は全般的な規定であり、雇用に特化した問題については雇用促進法で差別禁止や合理的配慮義務を規定してもよいのではないか。労働政策審議会障害者雇用分科会では数年前から検討しているので、位置付けて欲しい。
  • (東室長)雇用促進法は積極的差別是正措置なのか。差別禁止とアファーマティブアクシヨンの関連性を議論した上で、雇用促進法に差別禁止の問題を盛り込むということか。
  • (発言)労働政策審議会の議論では、アファーマティブアクションと差別禁止や合理的配慮は矛盾せず、相互補完的な関係になるとしている。報告の補足だが、現行の雇用促進法で対応するのか、障害者就労支援法のような新しい労働法が必要なのかは、試行事業を実施した後で議論することにしている。
  • (藤井議長代理)賃金補てんと聞くと驚かれるかもしれないが、雇用調整助成金や農家の所得補償はこれに近い。難治性の疾患や発達障害でも賃金補てんに類似した施策を行っている。施策の実態把握をしているのか。
  • (発言)全体の状況は、把握していない。さまざまな形で賃金補てんが実施されているため、それらも併せメリットとデメリットを含めて検討する必要がある。
  • (発言)賃金補てんを福祉的就労の場に持ち込み、試行事業で検討するという方向性は賛成だ。ただし、賃金補てんと職場での合理的配慮の充実とは、ベクトルが合っていない。賃金補てんの考え方が強くなり、合理的配慮が後方になる懸念がある。試行事業でそこを見極めて欲しい。

[以上]

▲ このページの上へ

-