障がい者制度改革推進会議(第35回)議事録
○ 藤井議長代理 それでは、定刻になりましたので、よろしゅうございますか。「第35回障がい者制度改革推進会議」を開催いたします。
まず、本日の委員の欠席状況でありますけれども、小川議長、清原委員、堂本委員、福島オブザーバーが欠席でございます。少し遅れますのは、中島委員と遠藤オブザーバーであります。本日、小川議長が欠席でございますので、議長代理の藤井の方が今日は進行を務めさせていただきます。
会議の公開は、これまでと同様です。
本日の進行の時間配分につきましては、後に東室長より報告をいただきます。なお、本日の会議の終了時間は17時を予定していますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今日の進め方の概略等につきまして、東室長より報告をいただきます。東さん、よろしくお願いします。
○ 東室長 担当室の東です。こんにちは。
まず、本日の会議の最後、17時30分以降になると思いますけれども、蓮舫大臣、中塚副大臣、園田政務官の政務三役がいらっしゃることになっております。その場で障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言を蓮舫大臣にお渡しすることにしております。予算委員会の関係上、時間が遅くなりますことを御容赦いただきたいと思っております。
次に、この障がい者制度改革推進会議を担当している内閣府共生社会政策担当の審議官が、前任の岡田審議官から伊奈川審議官に交替しておりますので、御紹介させていただきたいと思います。それでは、伊奈川審議官、ごあいさつをよろしくお願いします。
○ 伊奈川審議官 皆様、こんにちは。8月22日付で内閣府の共生社会政策担当審議官になりました伊奈川でございます。よろしくお願いいたします。
○ 東室長 どうもありがとうございました。(拍手)
それでは、本日の議事の概要について御説明します。
本日は、障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言に関しての御報告が中心となります。この骨格提言は、障害者自立支援法を廃止した後に、制度の谷間なく、個々のニーズに基づいた地域生活支援体系の整備等を内容とする障害者総合福祉法を制定するために、障がい者制度改革推進会議から総合福祉部会に検討をお願いしていたものであります。
総合福祉部会の55人の構成員の皆さんには、昨年の4月27日の第1回会合以来、1年4か月の間に18回の会合を重ねていただきました。そして、去る8月30日にこの骨格提言をとりまとめておられます。障がい者制度改革推進会議としても、この55名の総合福祉部会構成員の総意としてとりまとめられた骨格提言の重みをしっかりと受け止め、本日は御報告を受けたいと思っております。
本日も、15分の休憩を3回として、4つのコーナーに分けていきたいと思います。
今日、お手元に資料として分厚いものがあります。資料1となっております。これは骨格提言ですが、これの最初のページを開けてもらうと目次が付いておりますので、これを見ていただければいいかなと思います。
まず、第1のコーナーは40分です。骨格提言の第1章、「障害者総合福祉法の骨格提言」とありますが、このうちの「1.法の理念・目的・範囲」から「4.支援(サービス)体系」までを第1のコーナーで行います。
第2のコーナーは45分です。骨格提言の第1章の「5.地域移行」から「8.相談支援」までとなっております。
第3のコーナーは45分です。骨格提言の第1章の残りの「9.権利擁護」と「10.報酬と人材確保」及び第2章の「障害者総合福祉法の制定と実施への道程」についての報告と質疑を行います。
続きまして、第4のコーナーは45分で、骨格提言の第3章の「関連する他の法律や分野との関係」についてであります。ここは前回、第34回の障がい者制度改革推進会議でも御議論いただいておりますので、その後の変更点を中心に御報告いただきたいと思っております。報告を受け、医療、障害児、労働と雇用の3つの領域について、今後の検討を進める上での必要な点についても議論いたしたいと思っております。
その後、幾つかの報告事項があります。
そして最後に、先ほど述べましたように、この骨格提言を蓮舫大臣にお渡しする予定にしております。大臣の都合もありまして、終了時刻は17時を過ぎると思いますが、皆様よろしくお願いいたしたいと思います。
本日の予定は以上でございます。
○ 藤井議長代理 ありがとうございました。
それでは、今の報告にありましたけれども、第1コーナーはこれから40分間程度、時間を取ります。今の目次の「1.法の理念・目的・範囲」から「4.支援(サービス)体系」までについて報告いただいて、質疑を交わし合う。報告の方は、本障がい者制度改革推進会議の委員でもあります、障害者総合福祉部会の佐藤久夫部会長。それから、同じく本障がい者制度改革推進会議の委員でもあります、障害者総合福祉部会の尾上副部会長。この両名から提案いただきます。
佐藤部会長、よろしくお願いします。
○ 佐藤部会長 資料1をめくっていただきたいと思います。
まず、1ページから「はじめに」という部分を設けております。特にここでは、この骨格提言が何を目指しているのかということを、3ページから4ページにかけて6つのポイントで示しています。これを第1章に入る前にながめていただければと思います。
1番目のポイントとしては「障害のない市民との平等と公平」で、障害のない市民が地域の中で生活して、社会参加しているわけですけれども、障害者が同じように地域で暮らし、社会参加できるように、そのための必要な支援を提供する法律を目指すという考え方を示しています。
2番目に「谷間や空白の解消」で、特に障害の種類や程度によって福祉の支援が受けられない現状を変えて、すべての障害者が必要な支援を受けられるようにという願いを込めております。
3番目に「格差の是正」で、いろんな格差がありますけれども、特に市町村の財政力によってサービスの格差があるということをなくして、日本のどこで暮らしても必要な支援が受けられるような、そういう公平な制度を目指すということです。
4ページに行きまして、4番目で「放置できない社会問題の解決」で、特に長期にわたる社会的入院の解消、地域での支援がないために施設入所を余儀なくされている状態の解消などを目指そうということです。
5番目が「本人のニーズにあった支援サービス」で、一人ひとりのニーズをきめ細かく評価して、必要な支援を提供する、本人の意向・希望が反映されるような福祉の制度にしたいということです。
6番目が「安定した予算の確保」で、必要な財政を確保することを目指そうということを掲げています。
そういう全体の目標、目指すものをまず踏まえた上で、以下、各論的な内容に入っていきたいと思います。
7ページからが「I-1 法の理念・目的・範囲」という部分になっています。
この中で、いろんな法律の総則部分で書き込むべきことを提起させていただいておりますけれども、8ページから9ページにかけて「法の目的」という部分があります。ここでは、障害者総合福祉法の第1条になるでしょうか、目的という条文の中で、次の5つの中身を書き込んでいただきたいということを提言しています。
1つが、この法律が、憲法や障害者基本法等に基づいて、すべての障害者が、基本的人権を共有する個人として尊重され、他の者との平等が保障される、そういう理念の下で制定されるという理念の部分。
それから、この法律が、障害者の基本的権利を保障するものである。その基本的権利というのは、どこでだれと生活するかについての選択の機会が保障されて、そのために必要な支援を受けることを基本的権利とするものであるということ。
それで、この同じ段落の中に書いてあるわけですけれども、3番目に、その基本的権利が漏れなくすべての障害者に保障されるということ。
目的の中で書くべき4番目として、そうした支援を提供することを国と地方公共団体が義務とするということ。
最後に、そのことによって、共生社会を目指すための法律であるということです。
今の目的のところでも書き込んでいるわけですけれども、更に11ページに「法の理念」、権利の主体ということ、それから、医学モデルから社会モデルへの障害概念の転換など、基本的な視点、理念を独立した条文として掲げる。
更に、12ページのところでは、目的のところに書いたやや抽象的な基本的権利をより具体的に書き込む必要があろうということで、何点かの基本的権利として掲げています。
生命の危険にさらされない権利。
必要とする支援を受けながら、意思決定を行う権利。自分で判断する、選択する力が弱い場合に、意思決定をするための支援を受ける、そのことも権利だというのが2番目です。
3番目が、生活支援の権利といいましょうか、どこでだれと住むかを決めること、そうした生活を可能にするための支援を受けること。
4番目に、13ページになりますけれども、コミュニケーションの支援を受ける権利。
5番目に、移動する権利。
6番目、7番目は、それらについての保障の仕方ということで書いているところです。
そして、13ページから14ページにかけて、国・都道府県・市町村がそれぞれの役割を持って、こうした権利を保障するための取組みをしなければならないということを義務として掲げています。
16ページでは、介護保険との関係について触れています。障害者総合福祉法と介護保険とはおのずと法律の目的や性格を異にするものであるので、それぞれが別個の法体系として制度設計されるべきであるという、基本合意文書で示されている内容を確認しているということであります。
同時に、介護保険の対象年齢となった場合に、それまでの障害者総合福祉法の支援を継続して受けて、生活に大きく変化を来さないような保障を確保する必要があるという書き方をしております。この点に関しては、介護保険優先という考え方を現行どおり示すべきであるという意見とか、それから、本人の選択に任せるべきであるという意見とか、いろんな議論がなされたわけですけれども、従来の生活支援の継続性を確保するということで、部会のメンバーの合意となりました。
そういうものが、第1章の目的・理念・範囲についてです。
2番目が、19ページからの「障害(者)の範囲」というところです。
これについては、障害がありながら必要とする支援を受けられない人が出てこないようにという網羅的な規定が必要だということで議論してまいりまして、7月の末に成立した障害者基本法の改正の条文を、この障害者総合福祉法でも対象規定とする、障害者基本法との整合性を図るということで落ち着きました。
ただし、より支援を確保するために、「上記の定義における心身の機能の障害には、慢性疾患に伴う機能障害を含むものとする」ということで、そのことを明示した形になっています。
そして、23ページですが、支給決定のところで「『障害』の確認」という部分があるわけですけれども、その人が障害者であるかどうかの市町村での確認に際して、障害者手帳がない場合であっても、医師の診断書等によって対象として確認する。そして、支給決定のプロセスに参入することができるという形にしております。
21ページから「選択と決定(支給決定)」という章になっております。
この点に関しては、今日の資料2で2ページ、3ページに図と簡単な説明、コンパクトに説明したものがありますので、この図などをごらんいただくと一層わかりやすいかと思いますので、この図の方で説明しようかと思います。
市町村に支援の申請をすることになるわけですけれども、その際にサービス利用計画を付けて申請するということで、どのようなサービスを利用したいのかを明確にして申請するということになります。自分でつくってもいいし、家族や支援者の協力でつくってもいいし、相談支援事業を利用しながら利用計画をつくるということでもいいわけですが、そういうものを添えて申請する。
そして市町村では、先ほどの障害の確認、障害者であることの確認を経て、支援ガイドラインに基づくアセスメントという作業に入ります。従来は障害程度区分の調査決定というプロセスを経て支給決定に入っていたわけですけれども、それをやめて、支援ガイドラインを使うことになります。
そういうニーズ評価を踏まえた支給決定の内容と、サービス利用計画で本人が求めていることとが食い違う場合もあろうかと思いますけれども、そういう場合には本人と市町村とで協議・調整をして、ガイドラインだけではよくわからなかった個別の事情などもよく聞いて、合理的な理由があれば、その意見を聞いた上で市町村が支給決定をすることになるわけですが、どうしても協議が調わない場合には、中立的な、第三者的な合議機関の評価審査を経て、その結果を尊重して、市町村は支給決定をする。その合議機関に、また本人も意見を述べることができる。
なおかつ、それでも本人が納得できない場合には、都道府県に不服の申立てをすることもできるという、全体で6つのプロセスを用意しています。
この中で、まだ支援ガイドラインというものがどういうものになるのかについては、その作成の仕方、基本的な考え方を資料1の24ページから25ページにかけて示している段階で、更に調査・検証しながら、実際に市町村で試行をやってみて、こういうアセスメント、こういうガイドラインであれば、全国どこでも大体、公平な支援ができるというようなものを確認した上で実際には活用することになろうかと思います。
こういう申請から不服申立に至るまでの過程で、相談支援を継続して受ける、あるいは権利擁護の支援を受けることがサポートとしてなされるということであります。
第4章が「支援(サービス)体系」ですので、尾上副部会長の方から報告をお願いしたいと思います。
○ 藤井議長代理 どうぞ、お願いします。
○ 尾上副部会長 尾上です。
27ページからが「I-4 支援(サービス)体系」になっていますけれども、残されている時間が余りありませんので、ポイントを中心に御説明したいと思っています。
27ページに表のようなもの、そして、28ページの下のところに図がございますが、今、障害者自立支援法では、御存じのとおり、介護給付、訓練等給付、そして、地域生活支援事業というふうに大きく3つに分かれているような状況なんですが、これをより利用者にとってわかりやすく、使いやすくということで、全国共通の仕組みで提供される支援Aと、もう一つは、地域の実情に応じて提供される支援Bというふうに、大きく2つに分けて整理していこう、再編していこうということであります。
この全国共通の仕組みというものは、今、障害程度区分に基づいて国庫負担基準という国からの負担金の上限が決まってしまう仕組みがあるわけですが、そうではなくて、実際に市町村、自治体がサービスに要した費用の、例えば2分の1、4分の1を国や都道府県が負担していただける、そういう負担金事業ということ。そしてBの方は、自治体で独自にいろんな裁量を持って柔軟なメニューを展開できるようにということで、市町村独自支援というふうに大きく2つに分けています。
もう一つ、こういうふうに分けて、先ほど「はじめに」のところにもありましたとおり、今回の提言の一つの視点が格差の是正、あるいは裏返して言えば、全国どこにいても安心して地域で暮らせる、そういった社会をつくっていこうということで、この全国共通の仕組みで提供される支援で、しっかりと地域生活、障害者全体の生活を支援しながら、同時に自治体で柔軟にいろんなサポートが得られる、そういった体系を考えたということです。
そして、その中身ですけれども、Aの方、29ページから順番に行きますと、就労支援。こちらの方は後で就労と労働の合同作業チームの方も報告をいただきますので、簡単に申し上げますと、障害者就労センターと、デイアクティビティセンター、作業活動支援部門という方向に、障害の働く人たちの支援の場を発展させていこうということと、加えて、この障害者総合福祉法施行後3年をめどに、すぐにでもパイロット・スタディを来年度なり再来年度予算で是非とも組んでいただいて、社会的雇用を始めとする多様な働き方についてのパイロット・スタディを行いながら検証して、今後の就労支援の仕組みを、更にパイロット・スタディを踏まえて見直しをしていく、そういった流れで考えています。これが就労支援です。
それで、この就労支援の中でデイアクティビティセンターも、作業活動支援部門の紹介がありましたが、それだけではなくて、デイアクティビティセンターは、例えば文化・創作活動や社会参加支援や、いわゆる居場所機能的なものを含めた多様な、主体的な社会参加活動の場ということで、日中活動支援ということで31ページから提起しています。その際、特に今後、より重度のといいますか、例えば医療的ケアが必要な方たちが参加される、そういったことも踏まえた体制をつくるべきだということを提案しています。
33ページ、「3.居住支援」のところを見ていただきますと、障害者自立支援法ではグループホームとケアホームというふうに大きく分かれてしまったわけですけれども、その実態からすると分けることには実務的にも意味がないのではないかという提起もございまして、グループホームとケアホームを改めて、もう一度、地域での多様な住まい方の一つということで、新グループホームということでしょうか、グループホームに一本化するということと、家庭的な場ということで、4~5人を上限にする。障害者自立支援法では10人とか、あるいは20人、30人という大規模な複数ユニットのものも生まれてきた。そういう反省も踏まえて、4人から5人が原則ですというようなこともここで提起しております。
あと、この体系をつくるときにしっかり考えておかなければいけないのが、障害者権利条約19条で地域生活が基本であるという、それに沿った支援体系であると同時に、今、障害者自立支援法下でのサービスを受けておられる方が、障害者総合福祉法になって使えなくなる、そういったことがあってはいけないということで、4番目に「施設入所支援」を入れさせていただいています。その施設入所支援についても、短期入所やレスバイトを含むセーフティーネットとしての機能の明確化を図るというようなこととか、あるいは一方で地域移行もしっかり進めながらということと、施設入所に至るプロセスの検証と、10年後、再度見直しをする、そういった形での位置づけをさせてもらって、4番目に「施設入所支援」ということで書かせていただいています。
それで、5番目が「個別生活支援」です。この個別生活支援というものは、今で言う訪問系サービスというものですが、今回、障害者のあらゆる分野の社会参加への支援ということからしますと、家の中と外という分け方には問題があり、どうしても訪問というと、御自宅への訪問があくまで中心ですよというイメージになってしまいますので、やはりそういった名称も含めて、個別生活支援、一人ひとりの生活に併せた支援ということで再整理したらどうかということにしております。
とりわけ、その1つ目が重度訪問介護の発展的継承によるパーソナルアシスタンス制度の創設ということで、権利条約の中でパーソナルアシスタンスサービスを含むということで明記をされている、このパーソナルアシスタンス制度を、日本での歴史を踏まえて、重度訪問介護を、現行の肢体不自由者のみならず、障害種別を問わず、常時の支援を必要とする人が使えるようにしていこうといったようなことを提起しています。
加えて、このパーソナルアシスタンス以外にも、居宅介護の改善や移動介護も、この10月からようやく同行援護が始まりますけれども、この移動支援、行動援護、同行援護といった移動介護をより強化していこうといったこと。そして、6番目にコミュニケーション支援と通訳・介助支援ということを明記しています。
このコミュニケーション支援や移動支援のいずれも、障害者自立支援法では地域生活支援事業になって、非常に大きな地域間格差が生まれたということで、作業チームなどでも指摘がありました。そういったことも踏まえて、話す、聞く、見る、歩く、動くという基本的権利の保障に関わる部分ということで、これをしっかりと全国共通の仕組みに持っていこうということと、盲ろう者の通訳・介助支援については、全体としての数の人口といいますか、対象となる方の数の少なさということもあって、盲ろう者の会、当事者の方々から、こちらの方はやはり広域自治体、都道府県での実施を基本に考えてほしいというようなことの提起も入れています。
あと、「7.補装具・日常生活用具」、「8.相談支援」、「9.権利擁護」といったような体系になっています。
それで、39ページからが「B.地域の実情に応じて提供される支援」ということで、市町村独自支援という、先ほど申しました、市町村で柔軟に提供される支援を引き続き提供できるようにしていこうといったことです。
最後に、40ページ以降は、そういった支援体系を円滑に、かつ障害の種別や程度にかかわらず地域生活が可能になっていくようにといったことで、必要な事項ということで記させていただいています。
例えば、「1.医療的ケアの拡充」というものが40ページにありますけれども、こちらの方は後の医療の報告の中にもありますが、例えば先ほどのデイアクティビティセンターに通ってこられている方に対する医療的ケア、特定多数の方への提供の場面と、パーソナルアシスタンスや、御自宅や学校といったある特定個人に対する医療的ケアも、やはり提供の仕方は違うということも何名かの方からも提起があって、そういうふうに整理をして、医療的ケアを拡充していこうということを整理しておりますのと、入院中においても、慣れた介護者から支援を受けて地域生活が継続できるようにというようなこととか、あるいは日中活動等支援における定員の緩和や通所保障、あと、グループホームが地域での住まいという、多様な住まい方の一つという位置づけになりますので、経過措置ではなくて、言わば継続・恒久的な制度として個別の支援、今で言うホームヘルプ、居宅介護が使えるというようなことなども提起いたしております。
そういうことで、もう少し詳しく紹介したいところもあるんですけれども、あとはお目通しをいただければと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 ありがとうございました。
今の第1章に先立って「はじめに」というところに大変大事な6つの目指すものが入っているということに加えて、「I-1 法の理念・目的・範囲」に始まって、「I-4 支援(サービス)体系」まで報告がありました。
ここで質疑に充てられる時間が10分ぐらいしかありませんので、何人かでありますけれども、御発言があったら挙手をお願いします。
それでは、関口委員、新谷委員、門川委員という順番で御発言いただきます。関口委員、どうぞ。
○ 関口委員 関口です。
時間が少ないということで、1点だけ注意喚起といいますか、質問といいますか、市町村独自支援のところで、39ページで、地域活動支援センターを独自事業としてやることになっていて、これはこれで別に構わないと思うんですけれども、実際に、例えば精神の地域活動支援センターなどは、その自治体の人しか受け入れないというところは結構多いんです。そうなってくると、自治体に1つ、多くて2つですので、ほとんど選ぶ自由がなくなってしまう。それから、要するに近所の支援センターには行きたくないという人もいるわけで、そうしたときに、うちの自治体の予算でやっているんだから、ほかの市民・区民は来るなという話になってしまうと、当事者の選択権が奪われてしまうのではないかということがあって、健全な競争を促すという意味からも余り好ましくないと思いますので、その点だけよろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 それでは、佐藤部会長、尾上副部会長、もしお答えがあったら後で言ってください。
先に、新谷委員に行きましょうか。
○ 新谷委員 新谷です。
質問が2点あります。
21ページの「支援決定のしくみ」の中で、サービス利用計画に沿って支給が決定されていくということですけれども、従来、私たち聴覚障害の場合、地域生活支援事業を利用するとき、程度区分によるサービス利用計画は全然使っていないわけです。それで、今回の制度になるときには、38ページにあるコミュニケーション支援、通訳・介助支援、こういうものもサービス利用計画に入るのか。それから、補装具・日常生活用具もサービス利用計画として申請しないといけなくなるのかというのが1点目の質問です。
2点目は、23ページの「『障害』の確認」なんですけれども、これは前回の会議でも御質問しましたが、手帳に代わる医師の診断書もしくは意見書の具体的な中身なんですけれども、一般的な医師の診断書というものは、別にあなたの場合にはこういう聴覚の障害がありますとか、こういう数値になっていますとか、こういう病状が出ていますとかということしか書かないですね。そういう診断書を受け取って市町村は、だから、あなたは障害のこういう程度に該当するというような判定が、その意見書とか診断書を見てできるのかどうかということなんですけれども、今、例えば障害者手帳をもらうときの診断書ですと具体的に書式が決まっていて、それで数値結果をいろいろ出して、最終欄に身体障害者福祉法4条の別表に該当する、該当しないという判定があって、その次に等級名を書くようになっているわけです。それを受け取れば手帳をもらうという話になってしまうわけです。そういう診断書であれば、それをもらった市町村は、この診断書を持っている人は2級該当だとか1級該当だという話になると思うんです。
ですから、もともとにある障害の程度を決める実定法、私たちの場合は身体障害者福祉法ですけれども、ここの部分の内容のどこかに触れない限り、医師の診断書を市町村が受けても動きようがないと思うんですけれども、そういう意味で、手帳制度の議論は積み残していますが、身体障害者福祉法とか手帳制度に踏み込まないと、診断書や意見書の利用の方法が具体的に固まってこないのではないかという懸念を持つんですけれども、その辺についての部会のお考えをお聞かせいただければと思います。
○ 藤井議長代理 それでは、先に門川委員の方で御発言をお願いします。
○ 門川委員 門川です。
質問ではなくて、確認をしたいことがあります。ささいなことなんですけれども、法の理念のところで、最初に障害のない市民との平等と公平とありますが、市民という言葉で間違いないんですか。国民であるとか、人々であるとか、そういう言葉ではなくて、市民という言葉が使われているということは間違いないのかということで、同じところの2点目で、谷間や空白の解消。この空白というのがよくわからなかったのですけれども、要するに、今まで福祉制度の対象となってこなかった障害者にも制度を利用しやすくするということになるのでしょうか。
もう一点、サービス体系のところについてなんですが、全国的なものと地域に即したサービス体系の中に福祉ホームというものが1つ載っていただけだったかと思うんですが、ここはこれでよろしいのでしょうか。福祉ホームと書いてありましたが、地域に即したサービス体系というものはもっといろいろと考えられるのではないかと、地域に必要な福祉提供者の人材養成とか、そういったものは入らないのでしょうか。確認をお願いします。
○ 藤井議長代理 それでは、以上、関口さんから1点、新谷さんから2点、あとは確認ということで門川さんから3点ありましたけれども、佐藤委員と尾上委員の方で分担しながら簡潔に御返答をお願いします。
○ 竹下委員 その前に、済みません。
○ 藤井議長代理 竹下さん、関連ですね。どうぞ。
○ 竹下委員 竹下です。
新谷さんの質問に関連するんですけれども、コミュニケーションということについて、もう少し内容をやはり明確にしておく必要があるのかなということを読んでいて思います。端的に言えば、情報支援というものが、私が見ている限りでは見つからないんです。これは聴覚障害者や視覚障害者に限らないわけです。知的障害者も含めてなんですが、情報提供、または情報支援ということが明確な項目として見つからないので、コミュニケーション支援との関係も併せて、その点がどういう位置づけになっているかを御説明いただければありがたいです。
以上です。
○ 藤井議長代理 コミュニケーションと情報とは違う論理から、特に情報はどうなっているのか。それでは、そこのところをお二方で分担しながら御返答をお願いできますか。
○ 佐藤部会長 佐藤です。私の方から、答えられるところは答えさせていただくということにしたいと思います。
サービス利用計画の提出がどんな場合でも、この法律を利用する場合には義務付けられるのかということですけれども、とりあえず、部会の報告ではそういう方向になっています。自分がどんな暮らしをしたいのか、そのためにこんな支援が必要なんだということを自分なりに整理をして、そのために請求しますという文書ですので、ただ、これが余り高いハードルになってしまうということは趣旨ではないので、とりあえず申請をして、最終的に支給決定のプロセスに入る前までの段階で、市町村にも助けてもらいながらサービス利用計画をつくるということも書き込まれておりまして、これがないと受付を受理しないというようなことではない。その計画も、うんと何十ページも細かく書いていかないといけないというふうなことではなくて、サービスの申請・利用・支給を確実にするためのものですので、その辺の工夫はいろいろしなければいけないと思います。
それと、診断書ということなんですけれども、従来は機能障害、障害の種類と程度をうんと厳密に規定して、それに該当するかどうかがサービスを利用できるかどうかを決定するというような面があったわけですが、今度は病気や機能障害そのものよりも、それに伴って生活上の支障があるかどうか、その支障を軽減するために支援が必要かどうかが主眼ですので、余り厳密な障害の種類と程度を診断書というものは設けるべきではないだろう。ただ、そうはいっても、どのくらいの期間、機能障害が続いているのか、続く見込みがあるのかとか、ある一定の基準については、その診断書の要件、書式の中に書き込むようなことが必要なんだろう。総合福祉部会の1年半の検討では、そこまで細かいところは詰めることができなかったということです。
門川さんの市民と国民なんですけれども、十分な議論がなされたわけではないんですが、国民という表現を使うと、国籍のない人、ずっと暮らしているんだけれども、国籍がない人などを排除するようになっても困るというような議論は、この「はじめに」のところの関連ではないんですけれども、部会の議論の中では出ていたことがありました。
そして、谷間について、障害の種類によって支援が受けられないという、障害の種類に伴う谷間、障害の谷間という面が中心なんですが、学校教育はそれなりにかなり手厚くなったんだけれども、卒業後、ほとんど地域の中には資源がないとか、あるいは移動の、通勤の介護が確保できないために、十分働く能力がありながら働けないでいるとか、そういう使い勝手の悪さといいますか、本人のニーズに即していろんなサービスが、支援が連帯・協調するというのではなくて、非常に縦割の弊害の下で起こっているいろんな制度間の谷間というものも、この谷間や空白の解消の課題の中に念頭には置いております。
そして、竹下さんの情報のことなんですけれども、点字の文書でちょっと探しにくいかもしれませんが、先ほどの第1章の「法の理念・目的・範囲」の「地域で自立した生活を営む基本的権利」の4番目の項目は、自ら選択する言語(手話等の非音声言語を含む)及び自ら選択するコミュニケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有し、そのための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障される旨の規定を設けるというようなところで、それから、「支援(サービス)体系」のコミュニケーション支援のところで、情報入手に関わる支援というふうな表現の中で、コミュニケーションとともに情報ということを強調していると言うことができるかと思います。
私からは以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、引き続き、尾上さんですか。
○ 尾上副部会長 はい。
○ 藤井議長代理 どうぞ。
○ 尾上副部会長 それでしたら、関口さんから御質問いただいた部分と、門川さんから御質問いただいた部分を少し御紹介します。
はしょってしまってわかりにくかったかと思うんですけれども、今回の骨格提言では、現行で地域活動支援センターという形で提供されているもののかなりの部分は、こちらのデイアクティビティセンターの方に発展をしていけるのかなと想定しています。
31ページの【説明】のところをごらんください。障害者自立支援法における生活介護や自立訓練、地域活動支援センターなどの利用者などの障害者総合福祉法に基づく活動の場として、デイアクティビティセンターを創設し、よりシンプルな支援体系にするということで、その際、作業活動支援が行うことができるということもあるんですが、個々の必要に応じた個別支援計画により、本人が主体的に自己実現と社会参加を進める多様で創造的な活動の場であるということで、地域活動支援センターの多くがこちらの方に行けるようにしようということが1つ。
ただ、もう一つは、これが門川さんの質問とも関係をするんですが、これは作業チームでの御議論でもあったんですけれども、現行の仕組みの中で、例えば地域活動支援センターでやっておられるところなどでは、ある自治体では年間登録だけをして、例えば子どもさんの場合、夏休みとかそういうとき、すぐに使える、言わば事前に申請して色々手続きしてというよりも、1年間登録して必要なときに使うみたいな、非常に柔軟な使い方もできているような場もある。そういうものがなくなってしまうとまずいのではないかということもあって、地域活動支援センターの中の多くはデイアクティビティセンターに行けるような方向を目指すけれども、今、全国のいろんな中で展開されているものが、今のデイアクティビティセンターだけがすべて発展できないという話になってしまうとまずいので、そういうふうに書いている。
もう一つは、福祉ホーム以外にも、今のいわゆる地域生活支援事業ということでやっているいろんな、先ほど言われた研修会であったり、あるいは障害者の社会参加やスポーツ大会に関するものであったり、いろんな活動をされていると思うんですが、そういったものは当然、自治体の中でしっかりやっていけるようにしていこうということで、別に福祉ホームだけが個々の市町村独自支援ということではございません。
ただ、現行との比較で言いますと、地域生活支援事業の中の必須事業と言われているものの多くが全国共通の仕組みになっていくのかなと。つまり、相談支援であったり、移動支援であったり、コミュニケーション支援であったり、先ほど地域活動支援センターの、全部ではないですけれども、多くがそういった形になっていくというような、例えばそういうものを上げていけば、結果的に言えばそういう必須事業と言われているものの多くが全国共通の仕組みになっていくのかしらというふうに考えます。
以上です。
○ 藤井議長代理 関口さんが言われた質問は、もう一つは市町村を超えて、特に精神の場合などは我が市町村よりも他の方に行きたいという、そこら辺のところの解釈はどうなりますか。
○ 尾上副部会長 その場合というのは、支給決定をされて、言わば基本的には、その方が自ら出したサービス利用計画に基づいて、そこに行きたいということになるので、地域活動支援センターの場合ですと、今までは市町村の予算の中でやっているから、その市民だけという制約があったんでしょうけれども、そこはより柔軟な、広域的な展開ができるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○ 藤井議長代理 それでは、4人の発言者、どうでしょうか。いかがですか。
竹下委員。
○ 竹下委員 竹下です。
佐藤部会長の説明は点字で見つけられたんですけれども、私は非常にそこで気になるのは、そうすると、情報支援というものはコミュニケーションの一部というふうにとらえられているんですか。それとも、独立したというのか、障害者制度を成り立たせるサービスとしては、その位置づけ、ないしは意義というものは、ここでは意識されたとか説明とかはされているんでしょうか。私は見つけられていないんです。
○ 藤井議長代理 逆に言うと、竹下委員の方は、その情報という概念と、コミュニケーションと、それはどんなふうに意見として言われますか。
○ 竹下委員 私は、情報支援とコミュニケーションを1つにするならば、コミュニケーションの定義が要ると思うんです。そのコミュニケーション支援は何を意味しているかということがどうしても見つけられなかったので、それが気になったということであって、そうでない限りは、一般的な理解としてのコミュニケーション支援と情報支援というものは2本立てで明確にしておくことが、コミュニケーション支援障害として位置づけられるような、聴覚障害、視覚障害、盲ろう障害者だけでなくて、知的障害者をも含めた情報支援というものは極めて重要な柱として、コミュニケーション支援とは別個のものとして、その意義づけをしておくべきではないかと思ったからです。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、この辺は佐藤部会長から再度お答えいただけますか。あるいは考え方をわかる範囲で、いかがでしょうか。
○ 佐藤部会長 総合福祉部会の共通理解としては、情報やコミュニケーションの支援が必要な人は聴覚障害者や視覚障害者だけに限らないということはたびたび指摘されて、共通理解になっていると思います。知的障害の場合でも情報がわかりにくいというものをどう支援するのかということもあるだろうし、それから、例えばまばたきでコミュニケーションを図るような人に対してきちんとした通訳とかコミュニケーション支援が必要だというようなことで、そういう点では感覚系の障害だけに限らないという共通理解はあるものの、情報の保障とコミュニケーションの保障とをきちんと概念的に整理して議論したという点では非常に不十分だろうと思います。
そういう点からも、「情報・コミュニケーション支援」というような、ややあいまいな形での表現が随所に見られるのは、そんな議論の不十分さの反映かと思います。
○ 藤井議長代理 新谷委員。
○ 新谷委員 新谷です、済みません。
先ほどの佐藤部会長のお返事で、わかるんですけれども、了解はしているんですが、ただ、現実問題として、方向性だけでも出ていなければ、手帳では、手帳を持ってきて、私は聞こえがこういう状態なので、こういう補聴器、補装具を申請しますという人と、あなたは突発性難聴ですという診断書だけ持ってきた人が来たときに、これは行政としては判断のしようがないですね。突発性難聴で障害程度2級ぐらいに困っているというのは、何かリンクづけがないと、単なる診断書をもらっても、市町村としてはどう判定していいのか困りますね。
そういうことで、やはりかちっとした何か判定基準が出てくるような仕組みを考えようということの方向がないと、手帳制度と診断書の関係がまちまちになるといいますか、実際に運用されたときに、医師の判断、それから、市町村の受付窓口の判断、いろんなところの判断が基準なく出てきて、ある人はサービスを受けられる、ある人はサービスを受けられないという事態が起こるような懸念を持つわけですよ。
そういう意味で、部会の方向性として手帳制度、それから、等級制度のそういう問題、身体障害者福祉法の問題もやはり総合的に検討すべきだという方向は出なかったんですか。
○ 藤井議長代理 それでは、これも佐藤部会長からいかがですか。
○ 佐藤部会長 手帳制度そのものについては若干の議論にとどまって、また、部会だけで結論を出せないような、いろんなところに手帳が活用されているので、そう簡単には見直しはできないだろうというようなこともあって、今後、総合的に見直す必要があるという程度の指摘にとどまったわけですけれども、ただ、今、新谷委員が言われたことは、確かに従来の障害者支援の対象を決めるときにはそういう発想があったと思うんですが、それを切り替えないといけない時期に来ているのかなと私は思います。
つまり、確かに突発性難聴という診断名だけでなくて、右が何デシベル、左が何デシベルというようなデシベルの値まで出てくれば市町村窓口は、はい、あなたはOKです、あなたはだめですというような線引きが付きやすいんだろうと思いますけれども、ただ、まだ、その辺は技術的な検討をする必要があろうかと思いますが、私は突発性難聴だということだけでいいのではないか。それで、要約筆記の支援がこういう場面で必要ですというふうに本人が言っているということであれば、支給決定といいますか、ガイドラインに基づいて、こういう社会参加のために要約筆記がこの場面で必要なんですね、わかりました、提供しましょうと、そういう市町村の対応でいいのではないかと思います。
大事なのはデシベルではなくて、要約筆記の支援があることによって社会参加ができるか、できないかということの判断です。要約筆記が、突発性難聴であればかなりコミュニケーションに困難を来すことが常識的にもわかりますので、それで要約筆記が欲しいと言っていれば、そうですかというふうに考えていいのではないかと思います。
○ 藤井議長代理 情報・コミュニケーションの保障という観点が、今、要約筆記していますので、もうちょっと待ってください。
新谷さん、いかがですか。
○ 新谷委員 全体を見ていないんですけれども、わかりました。これはここで長く議論できないので、改めて何か意見を出すときがあればお話ししたいと思います。別の意見がありますので、よろしくお願いします。
○ 藤井議長代理 少なくとも、身体障害者手帳の別表を含めて、ここはやはり、今回の検討のテーマそのものではなかったこともあるし、ただ、そこはやはり積み残しているということははっきりしていますので、これは大きな課題になっていくと思うんですよ。
それでは、時間が大分過ぎていますが、門川さん、まだどうしても御意見がありますか。
○ 門川委員 はい、意見です。門川です。
私の意見なんですけれども、コミュニケーションと情報保障のことが上がっていましたので、一言言いたいと思いますので。
コミュニケーションの中には通訳、これは手話通訳も含めて、盲ろう者向けの通訳介助も含めた一般的な通訳のことなんですが、これを括弧を付けて入れていただきたいと思います。単なるコミュニケーションでは、対人のコミュニケーションをイメージする人が多い。対人、1対1とか1対複数とか、そうでなくて、コミュニケーションを支援するためには最低通訳が必要ということです。障害がなくても、この席に外国人の方がいらっしゃったら、その人向けに通訳サービスがついていないと、この議論には参加できません。通訳という言葉は必要と思うんです。
次に、情報の保障についてですが、これは言葉だけではなくて、文書とかによる情報の保障、ニュースとか点字による情報の保障とか、そういったものも含まれるかと思うんです。あとは、災害のような緊急のときの情報の保障とか、そういったものもあるかと思うので、特にコミュニケーションの部分については通訳という文言を入れていただけると非常にわかりやすくなるのではないかと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 時間がもう20分以上オーバーしていますが、北野さん、手が挙がっているんですけれども、どうしてもありますか。
○ 北野委員 いいです。
○ 藤井議長代理 いいですね。
○ 北野委員 はい。
○ 藤井議長代理 我慢してくださいね。
今日のこの場は、先ほど東室長からありましたけれども、実は骨格提言そのものを今から変えることは難しい。ただ、確認答弁として、こういうふうにみんなで共通理解し合おうというふうなことでございますので、こんなことを意識しながら更に第2コーナーへと進めてまいりますが、今、14時5分なので、20分遅れていますが、休憩は15分間取ります。14時20分まで休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 定刻になりましたので、第2コーナーに入ります。再開します。
いいですか。
このコーナーは、「I-5 地域移行」から「I-8 相談支援」まで進めてまいります。20分ほどオーバーしていますので、この第2コーナーの時間帯は14時55分ぐらいを目安に進行していきますので、進行に協力を願います。報告の方は、佐藤部会長、尾上副部会長の方で、少し短縮してもらいまして、20分間の報告と、残り15分ちょっとの質疑となりますので、よろしくお願いします。
それでは、お二人から報告をお願いします。
○ 尾上副部会長 最初の方は、尾上の方で分担させていただきます。
45ページ、「I-5 地域移行」のところをお開けください。この「I-5 地域移行」と、次の「I-6 地域生活の資源整備」は、ある意味でセット物と考えています。
先ほどの「支援(サービス)体系」のところで、これまで以上に地域生活の支援を飛躍的に拡充していこうという方向を前提としてですが、この「地域移行」の1つ目、「『地域移行』の法定化」ということを提起しています。それで、この際、地域移行についての定義もここで記しています。ちょっと文章を読み上げますが、重要な点なので、この表題の「『地域移行』の法定化」の2つの○を確認したいと思います。
「○ 『地域移行』とは、住まいを施設や病院から、単に元の家庭に戻すことではなく、障害者個々人が市民として、自ら選んだ住まいで安心して、自分らしい暮らしを実現することを意味する」ということで、単に場所の問題だけではなくて、むしろ一人の市民として主体的なといいますか、自ら選んだ住まいで安心して暮らせるかどうか、そのために必要な支援が得られているかどうかというようなこと。
2つ目で、「○ すべての障害者は、地域で暮らす権利を有し、障害の程度や状況、支援の量等に関わらず、地域移行の対象となる」としています。これは、ともすれば周りのスタッフや周りの人たちが、この人は地域生活が可能そうだから地域移行にしましょうといった形になってしまいがちな場面があったわけですが、そうではなくて、そもそも、すべての障害者は地域で暮らす権利があるということの前提にして、どうすれば、その地域で暮らしていけるかということを一緒に考えていきましょうというところであります。
そういう意味で、周りが選別して、地域移行に向いている人、向いていない人とかではなくて、そもそも、すべての人が地域で暮らせるようにということの前提に、その上で、「国が、社会的入院、社会的入所を早急に解消するために『地域移行』を促進することを法に明記する」ということで、確かに障害者自立支援法の中で、地域移行といったことがスローガンや障害者福祉計画の中で指針のように書かれたわけですが、実際には、これは部会構成員の委員の皆さんからもデータをいただいたんですけれども、1割ぐらいの方の地域移行は進んだんだけれども、実際にはそれを超える新規入所、つまり、地域での生活の支援といいますか、生活の場合は生活支援というものが得られないといった状況、つまり、後で申しますけれども、地域移行を更に円滑に進めていくためにも、もう一つの課題である地域基盤の整備をしっかりやっていくというのは今回のこの提言の構造なんですけれども、とりわけ、この地域移行を単にメニューやスローガンにとどまらせずにちゃんと法定化しようというのがここの1つ目です。
そして、2つ目が「地域移行プログラムと地域定着支援」ということで、地域移行プログラムと地域定着支援は、実際に地域生活を始められるように、一人ひとりの状況に併せて策定される。つまり、何らかの訓練トレーニングのようなプログラムがあって、このハードルを超えたら地域移行というものではなくて、一人ひとりの状況に併せて、例えばいろんな、外に出ていくような支援、あるいは外泊をしてみたりとか、そういう地域生活に慣れ親しんでいくようなプロセスも含めまして、さまざまな、地域移行の途上において支援を得ながら地域移行を進めていける、そういったプログラムと、そして、もう一つ、地域移行をしたら終わりではなくて、地域移行の定着の支援ということをここで提起しています。
その際、特に地域移行のプログラムや地域定着の支援というときに、ピアサポーター、地域移行の支援をする障害当事者が、入院・入所中の方々の意思や希望を聞き取りつつ支援する。今までも、これはいろんな各地域の実践でも試され済みですけれども、長期の入院や入所の中で、どうしても地域生活、夢ではあっても具体的にイメージができない、あるいはいざ踏み出そうとしたときに不安になったりしますね。どうしても、生活環境が変わる。それでは、そのときにやはりピアサポーターから、自分も例えばこういう体験があったけれども、今はこうしているみたいなことが非常に大きな支えになってきた。そういったことの経験なども報告がありましたので、こういったこともしっかり入れ込んだ地域移行プログラムと地域定着支援ということをここで提言しております。
次に、49ページですが、「I-6 地域生活の資源整備」ということで、やはり、こちらの一番の肝は「地域基盤整備10ヵ年戦略」というものをちゃんと国に責任を持ってつくってもらおうということで、国はそういう「地域基盤整備10ヵ年戦略」を策定するということで、その際のポイントで、49ページの黒ポツというんでしょうか、幾つかの視点が書いておりますけれども、その「地域基盤整備10ヵ年戦略」、初めにも書いておりました、地域間格差の是正もしていくという意味も含めまして、特に策定に当たっては、1つは長期に入院・入所している障害者の地域移行のための地域における住まいの確保や、日中活動や支援サービスの提供等の社会資源整備は、緊急かつ重点的に盛り込まれるべきである、行われなければいけないということ。
もう一つは、どんな重度の障害があっても地域で生活できるように、長時間介助も含めて提供できる社会資源を全国津々浦々に整備していく、そういったことで、まさにサービスの基盤が、例えば事業所やそういう基盤、資源がないために、サービスを使いたくても使えない状態を解消されるべきだということ。
そして、それ以外にも、地域生活を支えるショートステイやレスバイト支援、医療的ケアを提供できる事業所や人材が不足している現状を改めるというようなことをここに記しております。
この「地域基盤整備10ヵ年戦略」を前提にして、次の項目になりますけれども、「障害福祉計画」で、5年ごとの計画、前期5年、後期5年ということで、51ページに記していますが、国の方で定めた「地域基盤整備10ヵ年戦略」をブレークダウンしていくといいますか、それに基づいて、更にそれぞれの自治体の状況を加味して、障害福祉計画を当事者の参画の下につくっていくということであります。
あと、「地域生活支援協議会」という52ページのところ、現行では自立支援協議会ということで進められてきているわけですけれども、自立支援協議会といっても状況に応じて非常にばらつきがあると言われています。その中で、やはり地域における、1つは既存の社会資源を有機的にネットワークさせていくということと、それだけではなくて、地域資源が不足しているところだと、社会資源を開発していく、そういった機能をしっかりここに持たせて、ここに当事者参画を必須のものとして、地域生活支援協議会ということで再定義といいますか、新たに地域生活支援協議会という形にして、今回のタイトルであります、地域生活の資源整備を進めていく仕掛けの一つにしようということを提案しています。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、佐藤部会長お願いします。
○ 佐藤部会長 55ページからが「利用者負担」の部分です。
ここでは、障害の有無にかかわらずすべての人が負担している部分に関しては本人が負担をするけれども、障害に伴って必要とされる支援については、原則無償とするべきであるというふうに、まず基本的な考え方を示しています。
その上で、ただし、高額な収入のある者には、収入に応じた負担を求めるということで、利用者負担を払っても痛くもかゆくもないといいますか、十分な収入がある人からも全くお金を取らないのか。この財政的に厳しい中で、それで世の中通るのかというような議論が部会の中でもなされまして、そうした原則無償という考え方と、それから、高額な収入のある人からは負担を求めるということを併せた、そういう提言になりました。ただ、費用を求めるという場合でも、成人の場合は障害者本人の収入に基づいて考えるし、未成年の場合には世帯主の収入とするということ。
それから、いろんなサービスの利用者負担を合算するということと、現在の障害者自立支援法の中での負担水準を上回ることがないようにというような条件を付けています。
その上で、障害に伴う必要な支援とは何かということで、6つの分野に整理しています。その中で、「<1>相談や制度利用のための支援」と「<2>コミュニケーションのための支援」については、原則無償ではなくて、文字どおり無償とするということで、「<3>日常生活を送るための支援や補装具の支給」以下とは若干重さといいますか、無償と原則無償ということで性格の違いを示しています。
そして、やや各論的なことになりますけれども、58ページのところで、ガイドヘルパーの交通費について、現在、障害者本人がガイドヘルパーの交通費とか入場料とかを負担している現状は、平等という観点から解消する必要があろうということの問題提起と、それから、家賃負担の軽減についても説明の中で書いています。だれもが払う費用については、障害者も払うとはいっても、低所得といいますか、家賃を払ったらもうほとんど残らないくらいの低額の障害年金の現状、所得保障の現状がありますので、家賃補助的な支援をきちんと充実するということを併せて触れています。
そして、59ページからが「相談支援」の章になっています。
59ページのところで、福祉の制度の利用に関わる相談が中心ですけれども、そのほかの生活全般にわたる包括的な相談をする。しかも、継続的にそれを行うということが新しい障害者総合福祉法の下での相談の体制として確立される必要がある。
併せて、相談の中でいろいろ持ち込まれた課題について、個別の支援をするだけでなくて、市町村・都道府県などの資源を全体としてつくっていくといいますか、地域への働きかけも相談支援の中での大事な役割であるという原則的な位置づけをまず59ページのところでしています。
61ページのところでは、相談支援機関を設置する。それで、そこでどういう役割を果たしてもらうのかということについて書いているわけですけれども、地域、総合、広域という重層的な相談機関の仕組みをつくる。それで、そこにエンパワメント支援事業なども併設できるようにして、できるだけ身近なところで相談支援が受けられるような体制を整える。そして、そうした相談支援機関としては、行政とかサービスの事業所から独立性が保証されるような仕組みにする必要があるというようなことも書いています。
そして、今、触れたエンパワメントの事業としては、64ページのところに1つの表題で強調しています。一定のエリアごとにエンパワメント事業が利用できるような体制を整える。そこでは個別のピアカウンセリングなどとともに、グループ活動とか自立生活プログラムとか、いろんな支援が受けられるようにしましょう。それで、地域の相談支援センターに併設することを中心としながら、サービス体系の中で出てきたデイアクティビティセンターの機能の中にも位置づけることなども検討する必要があるのではないかというようなことを書いています。
65ページのところですけれども、相談支援専門員が相談支援センターで活躍する中心的なスタッフなわけですが、そうした専門員の基本理念は何かということを明確に書いて、本人を尊重して支援するというようなことを強調しています。そして、相談支援専門員の行う活動として、必要に応じて本人中心の支援計画やサービス利用計画の策定など、支援をするということを位置づけています。
67~68ページのところでは「相談支援専門員の研修」ということで、主に都道府県が責任を持って研修を行って、いい支援ができるようにしましょうということを書いています。その際、研修としては、実務経験を重視することなど、実践的なものであるべきだというふうな位置づけをしています。そして、将来的には基礎資格としてのソーシャルワーク専門職とかについても検討する必要があるということとか、それから、障害者自身が相談支援専門員となることを促すような取組みが必要であるというようなことを強調しています。
とりあえず、今のコーナーではここまでということかと思います。
○ 藤井議長代理 ありがとうございました。
それでは、これから15分ちょっとなんですが、質問や意見を受け付けますけれども、御発言したい方は挙手を、まず何人ぐらいいらっしゃいますか。
それでは、大濱さん、竹下さん、門川さん、大谷さんの順番でいきますので、極力、もう結論部分から入っていただきますようにお願いします。
それでは、大濱委員どうぞ。
○ 大濱委員 今日、提出した参考資料「24時間介助の確保と利用者負担の在り方について」をご覧ください。これはタイトルの順序を逆にした方がいいのかもしれませんが、地域で暮らす最重度の障害者に関して、今、訪問系サービス利用者が約12万人います。そして、実際にそのうち24時間介助を受けている人は300人以下、比率としては0.25%と、非常に少ないんです。それらの人数が将来的にどうなるかというと、恐らく1,000人から2,000人ぐらい、せいぜい全体の1%程度だというふうに私たちは推定しています。
ここまで増加するとそれ以上、24時間介助の、重度の障害者は増えないのではないかということで考えています。これら24時間介助の人たちは、利用者負担の問題を解決するべきだというよりも、まず生きていくために必要な介助のサービスの時間を確保するということが非常に重要だと考えています。勿論、権利条約を踏まえれば、理念として、介助サービスに利用者負担があるということは非常におかしい。これは確かに、私たちもわかります。基本的な理念としては、そのとおりだと思っています。ですが、その前に、他の者との平等を考えると、最弱者である重度障害者、0.25%の人たちが非常に差別的な状態に現在置かれている、十分な介助の保障も受けられないという状態に置かれていることを想起していただきたい。
そのために、実際、何が起こっているかと言えば、その後の資料に付けてありますが、年間約数十件、10~20件程度の介助殺人という事件が起こっている。典型的な相模原事件についても載っていますので、後からごらんになってください。さまざまな記事のデータが載っています。
このように、重度の障害者たちに介助がきちんと保障されていない、介助が確保されていないという現状のために、このような悲惨な状況が起こっていると私たちは考えています。
今後の課題としては、私たち重度障害者と同時に、重度の心身障害者と言われる、非常に医療と手厚い介助を要する人たちが、今、施設にたくさん入所しています。この人たちが置かれている立場を考えると、地域移行といっても、地域に行けない現状があります。このような重度の障害者たちに対する、医療や介助をきちんと提供できる基盤が地域に現存するのかといえば、全く現在はないわけです。そうなると、この人たちが地域に出た場合、同じような介助殺人がより増えるだろうという可能性も考えられます。ですので、このような重度障害者を取り巻く環境といった重い課題を解決しなくて、利用者負担ゼロと簡単に言えるのかと私たちは考えています。今回の骨格提言の中では、非常にお金のある人たちは利用者負担を支払うという文言が入っていますが、やはり今後、この介助保障の課題を、例えばこの障がい者制度改革推進会議の下に新たな部会を設けるなどにより、もう少しきちんと整理しないと、課題が残ったままになっていくのではないか。重度の心身障害児・者と言われる人たちも同じようなことだ、置かれている立場は同じだと思っています。
更に言いますと、この問題をさまざまな団体に提起しました。その中で返ってきた返答として、例えば権利条約に基づく他の者と平等という観点から、負担がゼロという考え方は本当に正しいのかということが挙げられます。例えば可処分所得が1億円以上ある人、孫正義さんなら何百億円という収入があるわけです。その人なり、その人の子どもが障害者になった場合も、本当に負担ゼロでいいのか。例えば今、二十歳以上の人だったら、本人の収入のみに着目して負担ゼロとなっています。ですが、例えば孫さんの息子さんが障害者になったときに、この人は実際には扶養家族ですから、かなりの援助をもらっているわけです。その人たちまでゼロというのは本当に公平なのか。片や二十歳未満の若い親御さんたちは、大した収入がないのに、親の責任として扶養の義務があるのだからということで、今、負担を課されているわけです。これは本当に公平のルールなのかどうか。要するに、そのあたりまで私たちはきちんと踏み込んでいるのかということも含めて、議論していただきたい。
そして、新たにここで介助保障の問題を取り上げているのはなぜかといいますと、パーソン論を懸念しているからです。数年前に、ピーター・シンガーという人の『人命の脱神聖化』という本が出版されました。この人はモナシュ大学の教授や、国際生命倫理学会の初代会長を務めた人でして、今、プリンストン大学の生命倫理学の教授をしています。この人の理論が、人格、パーソン論と呼ばれています。
○ 藤井議長代理 大濱さん、時間が大分オーバーしているので、まとめに入ってください。
○ 大濱委員 はい。
現在のところ、まだ日本ではきちんと議論されていないのですが、尊厳死が非常に大きな問題になっています。それから、臓器移植も問題になっています。動物愛護法という法案も新たに提出されます。そして、彼が言っているのは、人間と動物を比べたときに、自意識のある人たちは人間である。一方で、自意識のない人たちは人間ではない。極端なことを言うと、これは遷延性意識障害の人たちは自意識がないから、はっきり言って動物以下である。こういう人たちについては動物実験をして、むしろ人間の役に立った方がいいんだ。この人たちを生き長らえさせることに何の意味がないということをはっきり言い切っているのです。
そして、こういう議論はアメリカやイギリスではかなり裁判所でも認められているそうです。日本の中でも、今後、そういう議論が始まるでしょう。そういう危険性もある中で、重度障害者が現在置かれている差別的な立場を考えると、きちんと私たちはもう一度ここで議論する責任があるのではないか。特に障がい者制度改革推進会議としては、そういう議論をする必要があるのではないかということで御提案させていただいています。
以上です。
○ 藤井議長代理 竹下委員。
○ 竹下委員 それでは、短く。
「利用者負担」のところの原則無償の6類型の2番目を見てもらったらわかるんですが、先ほど私が指摘したように、コミュニケーションのための支援というものが原則無償であるとなっている。これは、どこを見ても情報支援が入っていないんですよ。だから、私は指摘したわけで、このコミュニケーションのための支援には情報支援も含まれているんだということを是非確認しておいていただきたい。これが1点目。
それから、「相談支援」のところで、専門相談と総合相談の、あるいは地域と総合という体系は考えておられるんですが、教育、医療、その他の横断的な支援についても、項目としてはあるんですけれども、これはそのままでは、制度化されていかない。これを本当に連携させるためには、そういう制度設計そのものの提案までが必要だと思うので、そのことはどこかで議論していただくことも含めてお願いしておきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、門川委員。
○ 門川委員 門川です。
結論から言いますと、サービスの利用料について原則無料ということですが、ここについて、高額所得者については負担が発生するということで、ここで気になったので、高額所得者の場合は、所得上限はどのように設定されているのかということ。
もう一点は、コミュニケーションと、先ほど竹下委員からもありましたように、情報も入れていただきたいですが、コミュニケーションの場合は、これも高額所得の場合は負担が発生するのか。その場合は、上限はどのようにということです。
なお、ついでなので、情報のことについては、例えば点字によるニュースの配信というものは、特に情報に疎い人たちにとっては非常に重要な媒体ですから、この情報というものは必要ですね。
以上です。
○ 藤井議長代理 大谷委員。
○ 大谷委員 大谷です。
相談が非常に厚くなっているので、これがこのまま実現するとうれしいなとは思うんですけれども、ちょっと確認です。教育が入っているということで、教育相談もワンストップ型でやるという形で提案されています。そして、関係機関と調整するということを前提に、段階的に実施するんだというようなことも言われています。
それから、相談支援専門員。これは教育など、あらゆる資源を効果的に利用する、動員するという表現ですけれども、そのようなことも書かれていますので、とりあえず、この中にはちらばってはいますが、教育及び障害児、子どもの相談もここで、総合福祉法の中で規定していくという趣旨が入っているのかというふうに読めるんですけれども、私たち障害児支援の方でワンストップ型の障害児支援相談を是非ということで、子どもに対する相談も保障されるべきだということを提案させていただいていますが、ここでの相談の中にそういうことも入れるといいますか、含めて想定しているんだということは是非確認させていただきたいと思います。
特に現在、教育委員会が教育相談を先見的にやっておりますので、そのことを少し意識した提案になっているのかどうかに関しても是非確認させていただきたいと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 以上、4人の委員から質問・意見が出ましたので、分担をしながら返答をお願いします。
○ 佐藤部会長 そうしましたら、答えられるところから答えさせていただきます。
部会の中では、どういう人への支援を優先的に扱う、あるいはどういう種類のサービスが別なサービスより当面緊急に重点整備をするべきだというような優先順位的な議論というものはできなかったといいますか、するべきだということは一定の議論はあったんですけれども、なかなか、それは難しいという、また、本当に必要があるのかどうなのかということについてもはっきりしないまま、優先順位的な議論はなかったと思います。
ただ、予算の不足を前提として議論するというよりは、88ページを見ていただきますと、これは第II部のところになるわけですけれども、現在の障害者福祉の日本の、国と自治体を合わせた総合的なものがOECDに日本からも報告しているわけですが、そのデータによると、GDPの0.2%ほどなんです。それで、OECD諸国の平均は0.4%くらいですので、OECDの平均よりも半分くらいになっているので、これを平均並みにアップすることによって、かなりいろんな、足りないで困っている部分を手当てすることができるのではないかということで、とにかく総枠を国際的に恥ずかしくないところまで何とか急いで増やす。急いでといっても、すぐ、1年、2年でできるかどうかということはなかなか難しいことがあろうかとも思いますけれども、そういう方向で、総枠を何とか改善してほしいというような議論をしているところです。
うんとお金のある人から負担を取らないということについてなんですけれども、議論の結果、高額の所得者からは徴収するということになったわけですが、大濱委員は原則的にも無償という考え方が本当にいいのかという話をされたと思うんですけれども、部会の統一見解ということではないんですが、1990年代にオーストラリアで障害者差別禁止法ができて、連邦でも、それから、州でも差別禁止法ができたわけですけれども、それを実行するに当たって、障害者が同じ料金で交通機関を利用できるようにしようではないか。公園とか遊園地とか、いろんなそういうところの入場料も、介護者の分を払わなくても1人分の同じ平等な料金で利用できるようにしようではないか。その人がうんとお金持ちであるかどうかとは関係なく、平等というものはそういうことなのではないかということで、そういう取組みというものはかなりカナダとかほかのところでも進んでいると思います。
したがって、うんとお金持ちの人からは払ってもらおうということではなくて、同じ負担、同じ料金で社会参加ができるというのが障害者差別の考え方との関係で出てくるのではないかという感じもします。原則、どう考えるかということについて、まだまだ部会の中でも十分な議論ができなかったんですけれども、そんなことも含めて、差別禁止法が2年後くらいには日本でもつくられるわけで、そういう議論の中で一緒に、この利用負担のことは考えてみたらどうかなと思います。
とりあえず、そんなところで。
○ 藤井議長代理 あとはコミュニケーションで、原則無償で、それでは、尾上さんいいですか。
○ 尾上副部会長 はい。
門川さんの方から御質問のあった部分で、コミュニケーションのための支援のところは、先ほど佐藤先生の方から説明のあったとおり、<3>以下の原則無償という書きぶりとわざと変えている。つまり、コミュニケーションの支援や相談支援は無償とすべきというふうに言っているわけです。コミュニケーションというものは双方向、双方に関係するものだということで、先ほど原則的にどう考えるかということについての議論はまだあるけれどもというのは佐藤先生が言われましたけれども、基本的には障害者ゆえに必要な支援については原則無償という、でも、原則無償というけれども、とりわけ相談支援やコミュニケーションは、原則というよりはそもそも無償とすべきだというふうにしているというところでしょうか。
あと、もう一つ別の、大谷委員の方から御質問のあった分、相談支援の方は後でまた佐藤先生からあるかもわかりませんが、まさに大谷委員の方から御指摘のあった部分は意識しまして、「地域生活支援協議会」のところでは、ちょっと時間がなくて飛ばしてしまったんですが、53ページのところを見ていただきますと、「○ 地域生活支援協議会は、ライフステージにわたる途切れない支援体制が整備されるよう、地域における様々な社会資源と連携するものとする」というふうに結論で書いた上で、更に【説明】のところで、その地域における解決困難な課題に焦点を当てて関係者が議論をし、この次なんですが、就労や子ども、住居などの部会を設けるべきだ。先ほどの「はじめに」のところにありました、制度の谷間と並ぶ空白の部分、教育と福祉や、就労と福祉や、そういった、特に子どもさん、ライフステージの部分で空白が生まれないようにということで、そういったこともちょっと意識して説明も補強したつもりであります。
○ 藤井議長代理 それでは、また佐藤部会長から、お答えできていない部分をお願いします。
○ 佐藤部会長 竹下委員の方から、「利用者負担」のところに書いてあるコミュニケーション支援というものは情報保障も含まれるのかということなんですけれども、情報の保障とコミュニケーションの保障との概念的なすみ分けをきちんと議論したわけではないというような限界もありまして、考え方としては当然、情報保障も含めて無料だという考え方かと思います。ただ、自治体の広報とか、選挙のときの広報など、点字の情報保障などを、この障害者総合福祉法の支援としてやるかということになると、また議論は必要になるのかなと思います。
それと、相談支援に関しては、児童専用の相談の機関と、障害者総合福祉法の相談機関というものが必要に応じて両方使えればいいのではないかと思います。障害者総合福祉法の対象年齢というものはすべての年齢を対象としていますので、児童も必要に応じて利用することはできる。それで、児童福祉の専門相談機関とのすみ分けをどうするのかということに関しては、もっとこれから議論が必要な部分かなと、一番、利用者の権利が守られるような運営をする必要があるのかなと思います。
それと、教育とか雇用とか、いろんな相談もできるということなんですけれども、ただ、やはり中心は福祉の相談で、その相談の中で、教育や雇用や住宅や所得保障や、いろんな課題が相談の中で浮かび上がってくることに対して、たらい回しにするのではなくて、それを聞いて、必要なところにつなげていくとか、連携をするとか、そういう意味で総合的なスタンスでの相談が必要だということを部会の方では書いているというふうに理解していただければと思います。
○ 藤井議長代理 時間がオーバーして、北野さんはいつも最後に手を上げるんですけれども。
○ 北野委員 1つだけ。
○ 藤井議長代理 それでは、簡単に言ってくださいよ。どうぞ。
○ 北野委員 大濱委員の意見書は基本的に大賛成なんですけれども、1つだけ気になることがありまして、それは重症心身障害児・者の方が置かれている状況のことについて触れていただいているんですが、彼らの場合に、地域ということだけでは言い切れない。つまり、現行の福祉制度の未成熟な中で、入所施設以外の選択肢もない場合があるのではないかというふうに書いてもらっていますけれども、私、この表現はちょっと心配なことがあります。つまり、現行の福祉制度の未成熟な中では地域というだけでは言い切れないと言ってしまいますと、これは重症心身障害に限らなくなってしまいます。
つまり、重症心身障害の方の場合でも、あるいは知的障害の方の場合でも、身体障害の方の場合でも、現行の福祉制度が未成熟だったら入所施設ということもあるのではないかというふうに読み取られる心配がありますので、やはり私は、これは未成熟のままではよくないのであって、そのために我々は「地域基盤整備10ヵ年戦略」等を用いて、こういうことを解消しなければならないということを強調していただきたいということが1つです。
もう一個は、障害者基本法の第3条で、可能な限り、本人がどこで、だれと生活するかについての選択の機会の確保という、可能な限りという表現が入ってしまったんですけれども、この可能な限りということの解釈の問題が出てくると思うんです。どう解釈するのか。つまりここで、本人が判断困難であるということをもって、この可能な限りという表現を使ってしまうと絶対問題だと思います。つまり、本人が判断困難な場合は、支援者等が勝手に判断していいのかというふうになってしまいますので、絶対にこれは許されない。つまり、ここで可能な限りというのは、現状のサービスの状況の中では、まだそういう状況があるんだ。しかし、その可能な限りを乗り越えて、「地域基盤整備10ヵ年戦略」等でこれを乗り越えていくんだという意味での可能な限りというふうに理解しないと、これは判断の問題が入ると非常に危険であるということで、それも含めて、今、少しだけ意見を言わせていただきました。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、時間が来ましたので、これは打ち切ります。
ただ、大濱委員が言われたことにつきましては、負担との関係のリンク、否かは別として、やはりより重い障害者、最重度、確かにこれは今後、検討課題であるということで、大濱委員もここで無理に結論とは言っていませんわけでありまして、引き続き、障がい者制度改革推進会議等でもって深めてほしい。これは課題にして、ちょっと記録にとどめておきましょう。
一旦、時間が大分オーバーしていますので、そうしましたら、次に15時20分から再開いたします。休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、時間になりましたので、第3コーナーへ入ってまいります。
中島委員と遠藤オブザーバーが途中で来られましたので、再度、今日のスケジュールとしまして、この会議は17時をめどに終わりますけれども、17時半をめどに中塚副大臣、更に17時45分をめどに蓮舫大臣と園田政務官がお見えになります。ここで骨格提言の手交を行いますので、そういうふうに今日は進めてまいりますので、御了解ください。
第3コーナーのテーマは、残りの「I-9 権利擁護」、「I-10 報酬と人材確保」、それから、「II 障害者総合福祉法の制定と実施への道程」、これに関して、やはり20分間、両委員の方から報告いただきます。そして、質疑に入りますので、大体、これもできれば15時55分ぐらいをめどに終わってまいりますので、よろしくお願いします。
それでは、報告をお願いします。
○ 佐藤部会長 69ページが「I-9 権利擁護」という章になっています。
こういう障害者総合福祉法が実施されれば、大分、目的とか理念とか権利の規定とかが入ってきますので、それだけで自治体、市町村、あるいは事業者、相談支援機関などの対応が権利擁護的になってくるんだろうとは思いますけれども、それに加えて、権利擁護の独自の制度も設けましょう。そんなことから、先ほどのサービス体系の中にも権利擁護という項目を位置づけて、市町村や都道府県などの障害福祉計画などの中でも、うちの自治体ではどうなっているんだというようなことをきちんとみんなで意識ができるような、そんなふうにできればと思います。
具体的な点なんですけれども、69ページの一番下のところの「第三者の訪問による権利擁護(オンブズパーソン)制度」ということで、第三者が自宅とかグループホームとか入所施設などに訪問して、面会して、権利擁護のための活動を行うような制度を創設するべきであるということを掲げています。
そして、70ページの一番下のところでは、虐待防止など、ほかの制度との連携協力が必要だということを書いています。当然、障害者差別禁止法ができれば、それとの関係も整理する必要があろうと思います。
71ページのところでは、「サービスに関する苦情解決のためのサポート」ということで、本人の気持ちを尊重した、問題が起きる前からの寄り添い型の相談支援が必要であり、同時に苦情解決のための特別なサポートの機関が設けられるべきであるというようなことを提言しています。
こういう個別の障害者に対する権利擁護の仕組みとともに、全体としての総合福祉法がうまくいっているかどうかについてのモニタリング機関については、障害者基本法によって設けられる政策委員会の地方版の合議機関などが全体としてモニタリングを行うという、重層的な権利擁護の体制を取ろうというふうに考えて提言がなされています。
73ページが「報酬と人材確保」ということです。
障害者の地域での支援がきちんとなされるためには、それを支える、支援する職員が希望と誇りを持って働けるだけの報酬が確保される必要があり、それを保障するための事業者に対する適切な報酬が必要である。当然のことですけれども、そういうことを、この10章では取り上げています。
それで、大分議論となってきた日額払いと月額払いについては、75ページのところにありますように、それらを組み合わせて、事業の運営がきちんとできるようにすることと、利用者の選択が保障されるような組み合わせを工夫するべきであるというようなことを書いています。
そして、77ページでは、「福祉従事者の賃金における基本的方針と水準」ということで、少なくとも年齢別賃金センサスに示された全国平均賃金以下にならないよう、事業者が適切な水準の賃金を払うこととする、そういう目標を掲げて、具体的にこれをどう達成するかということについて、難しい点もあろうかと思いますけれども、工夫をするべきだということを掲げています。
そんなものが、報酬と人材確保のところのポイントかなと思います。
○ 尾上副部会長 それでは、続きまして79ページからの「障害者総合福祉法の制定と実施への道程」について説明させていただきます。ちょっと項目といいますか、見出し項目が多いので、かいつまんだ説明になることをあらかじめ御了承下さい。
II-1からII-3までというのは、端的に言えば、この障害者総合福祉法の制定以前、障害者自立支援法の新体系移行というものが来年3月までが期限になっていますので、それまでと、障害者総合福祉法制定までの部分、そして、障害者総合福祉法の制定から実施までに至る部分というふうな時間軸に分けて整理したものがII-1からII-3でございます。
「II-1 障害者自立支援法の事業体系への移行問題」ということで、来年3月で移行期限が終了するわけですが、一定の要件の下、端的に言えば、例えば東日本大震災とか、いまだに収束のめどがなかなか立たない原発事故、そういった状況の中で、新体系に移行しようにもなかなか難しい、そういう事業所に対して、しっかりと従前の10割保証などの手当てを打つべきであるというのが、ここの1つ目でございます。
そして、「II-2 障害者総合福祉法の制定及び実施までに行うべき課題」ということで、こちらの方は、基本的には去年の4~6月の総合福祉部会での御議論を基にして、当面の課題の整理を行いました。それをベースにつくったものでありますが、ただ、それともう一点、重要な項目が今回入っております。前回も、この障がい者制度改革推進会議で、8月8日でしたでしょうか、清原市長さんの方から、今日はお休みですけれども、御指摘といいますか、御意見をいただきましたが、とりわけ、先ほどの支給決定の在り方とか、その部分、市町村の体制をどうつくっていくのかみたいなことも含めて是非検討いただきたいということです。この部分も含めまして、実際の具体的な体制やそういったことも含めて、障害者総合福祉法の今後の制定及び実施に当たっては、市町村及び都道府県の意見を踏まえるという、自治体からの御意見をいただきながら法案作成をしていくということを1つ目に掲げております。
そして、2つ目の「利用者負担」のところは、新法になる、障害者総合福祉法になる以前にも、少なくとも現行で行われている低所得者の軽減策、応能負担的な軽減策について、自立支援医療についてがまだ手つかずという状態になっていますので、これは基本合意でも当面の重点的な課題であるという指摘がありましたので、これを是非やってほしいというのがここに書いているようなことです。
あと、合算制度、障害福祉サービス、補装具、自立支援医療、地域生活支援事業、介護保険の利用者負担の合算といったようなこと。
それで、「地域での自立した暮らしのための支援の充実」ということで、現在、国庫負担基準に基づいて、自治体に対しての負担金が配分される状況ですけれども、国庫負担基準を超えてしっかりサービスを出している自治体には、支援を出している自治体に対する財政支援とか、あるいは移動支援、個別給付化ということを提言で出されているわけですから、地域生活支援事業の中の移動支援であったり、そういった部分をしっかり財政的な手当てをしてほしいというようなこと等々。
もう一つは、福祉・介護人材処遇改善事業助成金というものも非常に複雑な事務になっていますので、この部分をしっかり、人材確保につながるような、基本ベースの報酬の改定・改善につなげていってほしいというようなことも提案しています。
83ページのところなんですが、障害者総合福祉法の策定及び実施のための調査ということを、これは先ほど支援体系のときに、1つは、社会的雇用などを始めとする、障害者の就労に関するパイロット・スタディというものを挙げましたが、それだけではなくて、今回、地域移行あるいは地域基盤整備、とりわけ長期の入所の方々のサポートができるような基盤整備を挙げていることから、地域移行に向けた施設入所や入院されている方への実態調査を実施してほしいということと、あと、新たな支給決定の仕組みのための試行事業、モデル事業をやりながら、そのガイドラインのつくり込みと加えて、市町村での体制や相談支援体制をどうつくっていったらいいのかみたいなことも含めて、実際にいきなりえいやでやるというよりは、こういうモデル事業、調査事業、試行事業をやりながら、無理のない形で進めていきましょうということを提案しています。
そして、「II-3 障害者総合福祉法の円滑な実施」で、これは制定以降になりますけれども、「障害者総合福祉法を補完する基金事業」ということで、御存じのとおり、障害者自立支援法においても都道府県等に基金が積まれたわけですが、今後、どういうふうな法体系、そして、報酬の水準や加算とかを含めて、どんな仕組みになるかというのは、まだこれからですけれども、もし、本来の法の体系に組み込むことが困難なものについては、新たに基金を創設して、基金事業として実施する。
要は、もう今の障害者自立支援法の基金、今回の分をもって終わりではなくて、むしろ障害者総合福祉法の下において、よりバージョンアップした形で基金をつくってほしいということの提案と、その基金については、85ページの下に書いていますが、法成立時から法施行時まで、更に法施行時から5年間という2段階の時期区分にした上で、この基金の中で、勿論、1つは事業者の円滑な障害者総合福祉法体系への移行ということがありますけれども、それだけではなくて、例えば市町村や都道府県における体制整備を含む自治体支援や就労支援、相談支援、権利擁護、人材育成・研修、幅広く使えるような形の基金ということを提案しています。
あと、「II-4 財政のあり方」なんですが、全体のマクロ的な状況については、先ほど佐藤先生のところで別個で紹介をいただいた状態ですが、もう一度おさらいをしておきますと、87ページでございますけれども、まず1つは「積算の根拠となるデータの把握」。これは部会の議論と並行して、そういうデータ把握ができればよかったわけですが、そもそも、そういう制度の谷間にいる人たちがどのくらいの数がいるのか、どういう実態なのかというデータも今はないというようなこともあって、これは私ども障がい者制度改革推進会議でまとめた第一次意見でも、たしか基礎的な課題における改革の方向性というところの中に実態調査という項目を、この障がい者制度改革推進会議の意見として出したというふうに覚えておりますが、まさにこの実態調査、5年に1度と言わずに、いろんな各種の調査を組み合わせながら、しっかりと積算根拠を持って、障害者福祉予算を大幅に伸ばしていくような取組みを、これは官民両方、力を合わせて進めていく必要があるのではないかということ。
それと、「財政についての基本的な視点」ということで、1つはOECD加盟国の平均値並みの水準を確保する。現在、押しなべた言い方をすれば、1兆円ぐらいの水準のものをOECD平均並みとなると、2兆円となるというのが先ほどの御説明でしたが、更にそれに加えて、地域間格差の是正ということで、あるいは一般施策での予算化ということ。
更に、障害関係の予算というものは、一方的な消費に使われるというよりは、その中で雇用を生み出し、あるいは障害者自身がいるさまざまなところに社会参加をし、それが就労支援につながり、いろんな意味での経済効果にもつながる、そういったこともしっかりと検証しながら進めていってほしいということを言っています。
先ほど一部、どうしても1兆円を2兆円予算にすると言うと、いきなり来年度から一挙倍増みたいなふうに、そうなれば個人的にはいいなと思いますが、そういうことを骨格提言で意見を言っているわけではなくて、次の「障害者福祉予算の漸進的な拡充」ということで、漸進主義的な予算の確保ということを言っています。それで、「地域基盤整備10ヵ年戦略」ということを掲げているわけですが、例えば、この数年間、前年度10%ぐらいの伸びで障害者予算が進んできましたが、仮に10%ずつ、毎年、前年度予算で伸びていくと、複利で計算しますと、6年か7年ぐらいで2倍になるんですよ。だから、そういう意味で、1兆円予算を2兆円というふうに、いきなり1年で2兆円と言うとむちゃなことを言うと思われるかもわかりませんが、6~7年のスパンとか、ましてや10年ということを基盤整備の中で言っている中では、そんなむちゃなことを言っているわけではないとは思ったりもするわけですが、そういうこと。
あと、もう一つ言っていますのは90ページのところですが、「(2)支援ガイドラインに基づく協議調整による支給決定の実現可能性」ということで、既に支援費時代から、つまり、今の障害程度区分によらず、障害の状態のみならず、社会参加やいろんな状況を加味して、そして、何よりも御本人の生活を支援していくということで、ガイドラインをつくって支給決定をされてきた自治体があるわけです。
それで、先ほど大濱さんからも御提起がありましたが、このうちのA市というのは重症心身障害児・者の人が、24時間の介護を得て、地域生活を可能にしている、そういうガイドラインを持っている自治体であります。それで、そういう自治体がほかの自治体に比べてどれだけ予算が増えているだろうかということで、部会の構成員といいますか、障がい者制度改革推進会議のメンバーであります北野先生の方でも調べていただきましたところ、ほとんど大きな差はないということだったんです。
それで、これをもう少しいろいろ精査しなければいけないところがあるかもわかりませんが、明らかになっているのは、やはりこういった地域においては、地域生活の支援が一定進んでいるので、入所施設、旧法の施設の比率がやはり少ないというようなこともあって、そういう状況になっているということと、先ほど大濱さんが言われたとおり、そもそも、そういう24時間介護が必要な最重度の障害者というのは、人口的にもといいますか、全体の比率的にもそんなに大した比率にはならないということが、実はこのA市、B市の事例からもといいますか、ガイドラインに基づく支給決定をやっておられる自治体の例からも明らかではないかということであります。
時間をオーバーしていますが、最後にこれだけ、92ページを見てください。全体の予算を増やしていこうというのが先ほどの財政の在り方の前半でしたが、その全体のパイを大きくしていくというだけではなくて、とりわけ、それを全国どこの地域においても安心して生活ができるような配分の仕方、工夫の仕方を是非考えてほしいということで、92ページに書いています。2つの提起をしています。
1つは、施設などからの地域移行の場合ということで、ちょっと細かな部分になるんですけれども、在宅サービスと言われる、例えばホームヘルプやそういったものは、今の障害者自立支援法で言うと、基本的に国が2分の1、都道府県が4分の1、市町村が4分の1という負担割合なんです。ところが、入所施設になると出身地主義という形になって、その方のお住まいの自治体というよりは、その人がもともといた自治体、市町村が4分の1を負担するというふうになっていまして、そうすると、例えば施設に入所されていた方が、その施設の周辺、普段よく、その商店街に行き慣れているからということで地域移行を、地域生活を始められたりすると、その方の負担が、それまではその施設のある自治体ではなくて、出身地の自治体が4分の1を持っていたのが、いきなりその施設のある自治体が4分の1を持つという仕組みになって、大体、一定のところで地域移行が財政的理由でとまってしまうというのがデータ的にも確認されているようなことなので、そうならないように、当分の間、例えば出身地と居住自治体が折半をするような負担の仕組みにすればどうかというのが一つの提案です。
ただ、これは今回、時間もなかったこともあって、入所施設やグループホーム、ケアホームも全部、出身地主義を大きく見直すのかということでちょっと御不安を与えた部分はあるんですが、そうではなくて、当分の間の居住地特例というのは残しつつ、地域移行を円滑に進めるためにこういう仕組みを提案しているというのが1つです。
もう一つは、長時間介護の場合の財源の確保ということで、今回、国庫負担基準を廃止して、自治体が実際に負担をされた分に対して国・都道府県がちゃんと負担金を支払う仕組みにしましょう。それでは、そうすると4分の1の負担だけになるといいますか、国庫負担基準を超える単独負担は生じないんですが、その4分の1の負担もなかなかきついというような状態がありますので、これを、先ほど申しましたように、人口的には少ないわけですから、その自治体だけではなくて、都道府県全体の方で積んだ基金で市町村に支援するということで、これで言いますと、94ページにグラフがありますけれども、今、長時間の介護というものを、今の国庫負担基準で言いますと、1日7~8時間、重度訪問介護の基準時間というものはそれぐらい、国庫負担基準の時間になっていますので、その8時間を超えるというところで1つ区切りを仮につくったとして、その8時間を超えるサービスの部分については、市町村の負担を25%ではなくて5%に下げるというような仕組みを考えてみればどうかということにすれば、全国なり都道府県で集めたお金でそういう財源調整ができる。
そのことによって、ある小規模な自治体や財政力がきつい自治体で重度の方が自立されても、言わば全国や都道府県で集めたお金で支援ができるのではないかという仕組みを提案しています。
以上です。
○ 藤井議長代理 ありがとうございました。
大変せかせて済みませんでしたが、残り10分ちょっとなんですけれども、55分をめどに進行してまいりますが、また御発言したい方、関口さん、最初に発言してもらいましょう。
それでは、関口さん、新谷さん、松井さん、大濱さん、中西さんですね。こうなると、時間があれですね、1人大体2分弱ですね。
関口さん、どうぞお願いします。
○ 関口委員 地域移行のところでどうしても言い漏らしたのは、今、入院している人の半分ぐらいが65歳以上なんです。それで、10年経ったら75歳になってしまうんです。だから、その辺も本当は考えてほしい。
それから、これも今の権利擁護というところなんですけれども、日本精神科病院協会は診療報酬を上げろと言っています。それは、私は賛成です。ただ、理由がちょっと気に食わないんです。精神科の方が高く評価されてもおかしくないと考えています。それは退院促進するんだったら高く評価されてもおかしくないと思うんですけれども、一般科と違い、精神科の入院患者はほうっておくと自傷他害行為により警察ざたになることもある。精神科医療は社会防衛的な機能も担っているのです。しかし、現状の診療報酬体系では、これに対する評価がなく、逆に減額されている。
こういうことを言う人は、山崎さんという協会の会長なんです。それで、こういう人たちが運営してきたから社会的入院は減らないし、ベッド数も減らないわけです。これは本当にお互いに不幸だと思うんです。こんな人がトップになっている団体は、はっきり言って傘下の医者は、真面目な医者はたまったものではないです。これはどうにかしてほしいと思いました。
以上です。
○ 藤井議長代理 御意見として承っておきます。
○ 関口委員 ごめんなさい、質問がありました。
障害者虐待防止法の所轄官庁はどこでしょうか。
○ 藤井議長代理 それでは、後で答えてもらいましょう。
次に、新谷委員お願いします。
○ 新谷委員 新谷です。
83ページの実態調査なんですけれども、2つ目の○にある「新たな支給決定の仕組みのための試行事業や研究等を実施する」という中に、部会で議論された、生活のしづらさ調査というものが入っていると理解してよろしいんでしょうか。
それで、意見に近くなりますけれども、身体障害者実態調査を5年に1度やっている。それが今回の生活のしづらさ調査でやられないということになると聞いてびっくりしておるんですが、実態調査は確かに手帳保持者範囲で限定されていますけれども、手帳制度の実態を浮かび上がらす意味でも、やはり調査の継続は必要だと思っております。
それから、中の調査項目で非常に私たちに大事な聴覚障害者の日常のコミュニケーション手段を継続的に聞いているわけですが、今回の生活のしづらさ調査の中にはその設問がないので、実態調査が落ちてしまいますと、コミュニケーション手段の調査の継続性がなくなってくる。それで、日常のコミュニケーション手段を聞かない生活のしづらさ調査の中で、果たして、どういうふうな支援ガイドラインが出てくるのか、非常に心配があるんですけれども、今からでも継続している5年ごとの調査は実施するという方向にはならないんでしょうか。
○ 藤井議長代理 これは、どのくらいお答えできるか、後でまたお答えできる範囲でお答えしてもらいます。
次は、松井委員。
○ 松井委員 松井です。ありがとうございます。
確認させていただきたいんですけれども、8月30日に障害者総合福祉法の骨格提言に関して総合部会で採択されたときに、皆さんから、そのフォローをどこでやるのか。今、政府の方で法案作成作業が始まっていると思いますが、この提案が十分反映されているのかどうかということのフォローをきちんと部会でやりたいというふうな話があったと思いますけれども、それについて、部会の存続についてどうなっているのかということを確認させていただきたいと思います。
特に、先ほど説明がありましたように、総合福祉部会でさまざまな提案をされているわけで、そういう提案がきちんと実現していくかどうかということについても、55人の方々の努力に報いるという意味でも、フォローできるような形が望ましいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 松井委員、それは第4コーナーでよろしいですか。
○ 松井委員 わかりました。
○ 藤井議長代理 そうしたら、大濱委員お願いします。
○ 大濱委員 本当は8分ぐらいもらいたかったんですが、今度は1分要りませんから、大丈夫です。
このOECDの話ですが、これの骨格提言の前後だと思いますけれども、OECDから日本に対して消費税率を引き上げなさいという勧告があったと思います。OECDの平均では大体20%弱、18.5%なんです。それに対して、日本は5%です。やはり消費税の問題を、ここにきちんとリンクさせるべきではないかと思います。推進会議としても、消費税をどうやって障害者福祉に回すかということを議論しておいた方がいいのではないか。骨格提言の中で全く書かれていませんので、消費税についての考え方もきちんと整理していただきたい。
以上です。
○ 藤井議長代理 中西委員。
○ 中西委員 中西由起子です。
質問をして、例えば女性障害者のことは各視点に入っているんですねと言って、入っていますということのコメントだけではつまらないので、結果的に言いたいのは、4ページです。一番最初の「障害者総合福祉法がめざすべき6つのポイント」の【5】で出てくるだけで、あとはずっと、そこに関連する、例えば支援サービス体系とか相談支援とか、そして、今、御説明があった権利擁護、そこのところでの女性障害に対する視点がすごく欠けていて、今後制度化されたり、これから新たな動きが生まれてくるときに、何らかの形で女性障害者ということがやっている人たちの間で残る方法をお互い同士、もっと考えておかなければいけないと思いました。
以上です。
○ 藤井議長代理 そうしたら、今の中で、まず障害者虐待防止法の所管ですが、これは東室長の方で何かお答えいただけますか。
○ 東室長 権利擁護とも関連あるんですが、障害者虐待防止法が成立しております。これについての所管は厚生労働省だと伺っております。
○ 藤井議長代理 それでは、今の5人の、松井さんのは後にして、第4コーナーにさせていただきまして、それ以外の点でまずお答えできる範囲で、佐藤部会長、尾上副部会長、お願いします。
○ 佐藤部会長 5年おきに行っている実態調査ですけれども、今年の12月1日を調査時点にして、手帳のない人も含めた生活のしづらさ調査ということで、去年から部会のメンバーにも意見を聞きながら、調査項目の見直しなどを含めて検討して、ほぼ障害当事者団体の意見なども取り入れた形で、新しい調査票でやっているわけですけれども、これまで身体障害者実態調査でやってきた項目との継続性などについて十分確保されているかどうか、今、確認をして、手元になくてわからないですが、ただ全体的に、今度、精神障害とか難病とか、いろんな人たちもすべて含めて、かつ、調査項目がもう既に十何ページになっていて、できるだけ増やせないというようなことでやってきたので、調査の継続性に欠ける部分が出てくる部分は、ある程度やむを得ないのかなという感じがします。それで、今となってはもうどうしようもない、調査票ができていっているので、この調査に関しては5年後にどういう改善をするかということになろうかなと思います。
同時に、障害者基本法の中で、施策の基本方針のところで、障害者の障害の種類とか、性別とか、生活実態に応じて施策を見直す、立案するというようなことも入ったので、福祉の法律に基づく調査に限らず、より総合的な実態調査が行われていく、そういう中で、継続性という点と、新しい項目を入れたいという部分と、どう折り合いをつけながらやっていくのか、障害者政策委員会の中でも議論をすべき大事なポイントかなと思います。
○ 藤井議長代理 新谷さん、それでは、その関連することなので、どうぞ。
○ 新谷委員 御説明はよく理解できていますけれども、次の見直しまで実態調査のデータが途絶えてしまうと非常に不安があるので、今回に限り身体障害者実態調査を継続ということはいかないんですか。今、5年に1度を継続していますね。あれを今回やめてしまって、次の見直しのときに、そういう継続性の問題まで含めて内容を議論するということは当然必要だと思いますけれども、とにかくデータを継続しておかないと、今度は10年に1度の話になってきますね。
○ 藤井議長代理 佐藤部会長。
○ 佐藤部会長 私は厚生労働省ではないので、やれと言われても何ともお答えのしようがないですけれども、今年の予算は既に決まっていて、その予算の額からして、一件当たりの調査の謝金もほとんど、非常にわずかな額しかなくて困っているというような話も聞いたので、とても身体障害者実態調査をまた同じ予算の中でやるというのは、少なくとも今年度については非常に難しいのではないかなというふうに、こんなことを厚労省に代わって説明するべき立場かどうかはわかりませんけれども、思います。
○ 藤井議長代理 新谷さん、伝わりましたか。
○ 新谷委員 済みません、生活のしづらさ調査をやるのであれば、それに別冊で、現在継続している実態調査を付けるだけですから、そんな予算増は、確かに確保は手間暇かかるかもわかりませんけれども、コストとしてはそんなにかからないのではないんですか。
○ 佐藤部会長 身体障害者手帳を持っているかどうかというようなことは調査の項目の中に入るので、その部分について比較をする調査設問項目が、適当なものがあればですけれども、幾つか基礎的なことはあるので、最低限の継続比較というものはできるだろうと思います。
○ 藤井議長代理 ここで佐藤さんも、多分、答えるには限界がありますし、ただ、推進会議あるいは部会としても少し、今回、調査の全体の流れの中で、そういう全体の在り方に関する意見を言う時期を失したということは反省としてあると思うんです。一旦、この段階ではこういうふうにしておいて、今回の中でできることがどれくらい運用で可能か、今後の反省点として何かということを残して、一旦、今日の場はここで次に進みたいんですが、新谷さんいいですか。
○ 新谷委員 仕方ないとは思っていますけれども、厚生労働省でこれから法案作成とかいろんな作業をされるので、今回の意見は参考にしていただきたいということです。
○ 藤井議長代理 それでは、そういうふうにしてまいります。
あと、尾上さん、どうですか。大濱さんの消費税論議、それから、中西さんの、特に女性障害者の複合差別等に関する点での配慮とかです。
○ 尾上副部会長 部会の中でも何人かの委員の方から、積算根拠やそういうことを示しながら、ちゃんと税収を上げるという、全体として、今、当然、障害者予算というものは税ですから、税収を上げていくといいますか、財源を確保するというところまでは、今回何とか財源を拡充していただきたいということを書き込んだというところなんですが、その財源の中で、例えば消費税、所得税、相続税、資産課税、いろんなものがあるかと思うんですけれども、その中でどうすべきかということまでは議論できなかったというのが現状で、骨格提言としては、今回のところが55名の総意というのが現状です。
それで、先ほど大濱さんから提起のあった部分というのは、更に今後、この骨格提言とは別に、この福祉予算だけではなくて、この障がい者制度改革推進会議全体の制度改革に関わる事項ということで引き続き検討ができればいいのかな。これは部会三役というよりは、この障がい者制度改革推進会議の一員として思うところであります。
あと、中西さんの方から御提起いただいた部分といいますか、確認答弁的には入っていますということだけではつまらないということなんですが、もう一つ、更にそういったことが読み込めるようにということで入れ込んでいる文章を御紹介して発言に代えたいと思います。
13ページの「地域で自立した生活を営む基本的権利」という中の、5つぐらい権利を書いているわけですが、その上で「6.以上の支援を受ける権利は、障害者の個別の事情に最も相応しい内容でなければならない旨の規定」ということで、この個別の事情に最も相応しいという中には、障害の状態であったり、その人の希望であったり、そして、例えばその中には性別というか、女性障害であったりというようなことなども読み込めるように、そういう意味では一人ひとりの必要性に応じて提供される、言わば決まった形、こういうことしかできませんというものではなくて、そういったそれぞれの状況に応じて、そういう意味では、広く言えば女性障害である複合的差別ということを踏まえてということも、この中には入るのではないかと思います。
以上です。
○ 藤井議長代理 若干苦しい言い訳に感じますけれども、中西さん、ひとつ、そういうことで勘弁していただいて、今後はやはり、ここについてはもう少し、特に男性陣も奮起して注意し合うということにしましょう。
それでは、時間が来たので、まだ消化不良の点もあるかもわかりませんけれども、解釈についての確認を、この分まではこれで終わります。
関口さん、時間なんですよ。どうぞ。
○ 関口委員 消費税のことが出たので一言だけ言っておきたいんですけれども、単純にパーセンテージを比べるのは余り意味がないと思っています。日本の今の消費税の上がりは13兆円で、3兆円が企業の懐に入っているんです。それで、例えば逆進性も緩和している国があります。ですから、日本の消費税は独特の日本の消費税というふうな考え方をして、その上で比べないと公平な比較にならないと思います。勿論、消費税を上げて社会保障の目的に使うのは私は賛成ですけれども、ただ、単純に消費税という同じ単語を使うのはよろしくないのではないかと思います。
○ 藤井議長代理 いずれにしても、尾上さんがおっしゃったように、消費税ということを超えて、財源のありようについて、どこかで、これはタブーではいけませんし、正面から議論する場はやはり残っていくのではないかというふうにさせていただきましょう。
それでは、次の第4コーナーは16時15分から始めますので、休憩に入ります。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、最終のコーナーに入ってまいりますが、よろしいですか。
このコーナーは、3つの合同作業チームの報告になるんですけれども、最初に、今日予定していた2つの報告のうち、土本委員が17時にはこの会場を出ないと今日は帰れないということなので、先に報告事項のうちの一つ、わかりやすい基本法についてのみ、先に報告させていただきます。
土本さんと、共同座長のお一人の長瀬さん、お願いいたします。
○ 土本委員 土本です。
障害者基本法のわかりやすいチームで、今日、午前10時過ぎから12時過ぎまでやりました。出席者は、長瀬さん、中西さん、関口さん、育成会から今回から羽村さんが参加してもらいました。それで、自分の支援として元氏さんも参加してもらいました。これからもわかりやすいチームの参加も構わないと思いますので、是非参加してください。
以上です。
○ 藤井議長代理 長瀬委員、補足はありますか。
○ 長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。
わかりやすい基本法の改正チームは、今回はたたき台を、総則部分を中西さん、各則部分を私、それ以外の、最後の政策委員会のところは関口さんが担当して、最初のたたき台をつくりました。
それで、今日午前中、みんなでそのたたき台を基にまとめる作業をしたんですけれども、約2時間かけて全体の6分の1ぐらいの最初の作業が終わったという段階ですので、これから第1次の作業をするためだけでも大体10時間から12時間ぐらいはかかるのかなという感じです。次回の障がい者制度改革推進会議が10月のときにも作業チームの会合を行いますので、もし御都合のつく方がいらっしゃれば、また参加を是非お願いしたいと思います。
完成目標は、12月の障害者週間に置いていますので、11月21日の障がい者制度改革推進会議の段階で、多分、最終的な言葉についての確認をお願いすることになるぐらいのペースでつくれればいいなと思っていますので、引き続き御協力のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。
ありがとうございます。
○ 藤井議長代理 それでは、この第4コーナーの本来の協議事項であります「III.関連する他の法律や分野との関係」で、これは3つの合同作業チーム、医療、障害児、就労、この座長さんたちの方から、前回の推進会議からの変更点をメインに、5分間しか時間が取れませんけれども、報告をいただきます。
最初に、医療の合同作業チームになりますけれども、今日は堂本座長が御欠席ですので、同じ作業チームにいらっしゃる委員の方から報告をお願いいたします。それでは、委員どうぞ。
○ 堂本座長に代わりまして、の方から報告させていただきます。
この医療部会は2つ、前半と後半に分けて行われまして、前半の方が精神医療を中心に、後半に重度心身障害児・者の人とか難病の方を含めて、医療について検討してまいりました。その前半と後半を通して、いろいろ私たちが課題といたしましたことは、この医療というものは95ページから書いてありますけれども、やはり「地域における障害者の生活を支える医療」とあるべきだということがすべての合意でしたけれども、この医療というのがどういうものかということに関しましては、医療はやはり福祉サービス、保健サービスとの連携を確保しながらされなくてはいけないということで、私たちが課題といたしますことは、この医療と福祉と保健の連携する制度の基盤整備をこれからやっていかなくてはいけないのかなということを、今、強く感じているところであります。
それと、先ほど利用者負担のことがありましたが、実はいろいろと、この病気の方とか障害者の公費の利用者負担制度があります。例えば、96ページの上のところにありますけれども、難病の方の問題とか、小児慢性の方とか、あと、都道府県で行われております重度心身障害児・者の方の助成制度とか、これの負担軽減を考えるべきということで、これもやはり総合的に考えてほしいという意見が出ておりました。
また、医療的ケアの充実ということで、大濱さんからもありましたけれども、実は重度心身障害児・者の方から、この担い手がやはり少ないということで、この医療的ケアの担い手の確保といたしまして、介護職員等とか医療機関の法令の調整が必要であるということが強く言われておりました。特に今、障害者も高齢化が始まっておりますので、そういうことを含めますと、介護を必要とする方が増えるわけですので、この担い手の確保はかなり重要であるという意見が出されました。
あと、精神の方でいきますと、やはり精神障害者の医療とか入院に関する権利の保障とか人権の保障ということがかなり今回は問題となりました。精神科医療の質の向上といたしまして、精神科特例という、他の科とは看護師も医師も少ないという、そういう法令とか、なかなか身体合併症の人が受け入れられない状態を解消するべきことなどが挙げられております。
この中で、「保護者制度」というものが100ページの真ん中辺りにありますが、実は前回、8月30日の部会におきまして、保護者制度につきまして、やはり人権擁護の文言を入れるべきという意見が出まして、部会終了後、この検討をする機会を持ちました。部会の三役と、担当室から東室長と成冨さん、それと、私ども当事者であります精神科のお医者さんと、精神の当事者と家族で、3人でこのことを検討いたしまして、本日100ページのような文言に変わっております。
実はすべて変えておりませんけれども、前回は、ちょっと読み上げますと、「保護者制度の問題点を解消するために、扶養義務者に代わる公的制度の確立を検討するべき」というものが案で出された文言なんですが、この公的制度のところを人権擁護制度の確立というようなことを入れるべきということで、実は全員、ある程度穏やかな話し合いの中でこのように決まりました。
説明のところにも少し、このことを変えまして、前回の、やはり公的機関のところです。100ページの説明の2行目の後半から、「非自発的入院に関し、障害者権利条約の求める人権擁護の観点から新たな仕組みを検討し、その仕組みの導入に伴い保護者制度は廃止する」というように文言を変えておりますことを報告いたします。
それと、精神障害者の立場からですと、今回の障害者基本法にもなかなか精神の問題が取り上げられなかったこととか、これからの医療法とか、まださまざまな差別がある中で、私たちはもっとこれを重点的に、この障がい者制度改革推進会議で取り上げていただきたい。やはり精神疾患に関する権利の保障とか、医療法の改正とか、それに向けて皆さんと議論が進められることを強く望むところであります。
以上でございます。
○ 藤井議長代理 それでは、まずお三方の報告を進めてまいりますので、次に障害児合同作業チームの座長でありました大谷委員、お願いします。
○ 大谷委員 大谷から障害児支援を、8月8日以降変更したところだけ報告いたします。先回、こちらで報告した後、総合福祉部会で提案し、総合福祉部会の皆さん、55人の方から多数の意見をいただき、それに基づいて変更したところです。
まず、変更したところは、基本的にはそんなに大きくはないんですけれども、最初に、例えば103ページからですが、これも見え消しがそちらの手元にないので、どこが変わっているのか、ちょっとわかりにくいかと思いますけれども、例えば総論のところの最初の「権利擁護」のところなんですが、「子どもは、児童福祉法に規定されている理念を踏まえ、ひとしく愛護されなければならないことはもとより、権利の主体とされなければならない」という2行を付け加えました。といいますのは、意見の中で、やはり権利主体性がより強く主張されて、子どもは保護され、愛育されなければならないという視点が欠けているのではないかという意見もありましたので、やはり児童福祉法には愛護されなければならないという趣旨が入っておりますので、これは共通の趣旨ですということを確認的に入れました。
それから、子ども・子育て新システムの方で新たな報告書が7月末に出ました。それによって多少文言が、例えば認定こども園が総合施設園かな、名前が変わりました。そういうことで、それに基づいて文言修正をしました。これは本当に文言修正ですので、実態、内容には影響はないというところです。
それから、少し内容を変えたところは「療育」です。療育は、やはり障害者権利条約を踏まえ、新たに障害者基本法の中に障害児固有のものとして療育が入ったんですけれども、その障害者基本法を踏まえて、どのような方向性に持っていくかということなんですが、実は療育とは何かということを規定するだけでなかなか難しい議論になるということで、療育を発達支援、育児支援、相談支援、医療的支援という形で、とりあえず、それらを全部含むものが療育だというふうに一応規定させていただいて、とするならば、現在の児童福祉法に規定されている療育が非常に狭い。肢体不自由に関する一時的なものに限定され、それから、これは一般的なものなんですけれども、幼児療育に何となく限られたイメージがあるということですので、これをより広い概念として意識する必要があるということで、加えたところは説明のところです。「思春期までの継続した療育」ということで、幼児だけではなくて思春期まで、15~16歳、要するに児童福祉法がカバーできるまでの間のものも療育として保証するべきであるというようなことをここに入れさせていただきました。
あと、「通所による支援」。これは、内容は変えていません。ただし、やはり文言修正ということで、よりわかりやすい文章にさせていただきました。それから、障害児入所施設となっていたものを、やはり通所による支援と入所支援ということで、支援という名称を使わせていただきました。
それから、変えたところは、あとは本当に文言修正がほとんどです。内容的に変更したところはない。
最後の「寄宿舎」のところです。これも意見が多かったところなので、寄宿舎の在り方については後半、【説明】の4行を加えさせていただきました。特に高等部における大規模化等々の問題はどうなのかというようなことで、例えば小舎制にするとか等々のことでどうかという意見もありましたので、そこに入れさせていただき、それから、これは従来からも部会内で意見が出ていたところなんですけれども、その点も加えさせていただいて、寄宿舎の在り方を提案しようということで、「手話等の習得には一定の集団形成が必要である」ということで、それらも踏まえた形で、寄宿舎の在り方を検討する際には、そういうようなことも踏まえて検討するべきであるという点を加えさせてもらいました。
そういうことで、大きくといいますか、内容を変えたところは3点、あとは基本的には文言修正ということで、内容は変えておりません。
以上です。
○ 藤井議長代理 続きまして、就労合同作業チーム座長であります松井さんの方からお願いします。
○ 松井委員 松井です。ありがとうございます。
就労合同作業チームの関連のところは111ページ以降ですけれども、特にこの中で、総合福祉部会で出たさまざまな意見を踏まえて変えたところを中心に説明します。
113ページの下のところに、「就労系事業に関する試行事業(パイロット・スタディ)の実施」ということで、これは内容的には変わっていないんですけれども、前の表現は非常にわかりにくいということで、項目を整理して、パイロット・スタディの目的、パイロット・スタディの対象、パイロット・スタディでの検証事項というような形で整理させていただきました。
実は、このパイロット・スタディ自体は障害者総合福祉法の実施と同時にということで考えておりまして、そのためには来年8月までの概算要求に間に合うような検討を具体的にしなければいけない。それで今回、要望書ということで追加資料で出しておりますけれども、これでは総合福祉部会の骨格提言に係る緊急要望書ということで、試行事業(パイロット・スタディ)の実施のための検討チームの設置についてということを提案させていただいております。このパイロット・スタディの具体化に向けて更に詳細を詰めるという意味で、是非とも検討チームを設置していただきたいと思います。
それから、114ページに「賃金補填と所得保障制度(障害基礎年金等)のあり方の検討」。実は、この新しい障害者総合福祉法での就労支援で提案している障害者就労センターというものは賃金補てんの可能性も提案しているわけですけれども、それに関連しては、この賃金補てんの導入を考える上で、現行の所得保障制度、障害基礎年金等との関係を整理した上で両者を調整する仕組みを設けるというような形に修正させていただきました。
特に、この賃金補てんの検討に当たっては、公的年金制度、あるいは所得保障制度等の調整が必要になるわけですけれども、これについては平成22年6月29日に閣議決定された「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」において、公的年金制度の抜本的見直しに併せて、障害者の所得保障制度の在り方について検討する。それを平成24年内をめどに、その結論を得るということになっておりますので、この賃金補てんと所得保障制度との在り方についても、当然、それと関連付けて検討すべきであるということです。
それから、115ページの最後のところですけれども、これは「障害者雇用・就労にかかる労働施策と福祉施策を一体的に展開するための体制の整備」という中で、総合福祉部会の方から、特に重症心身障害の関係者の方々から、「また、常時介助等を必要とする障害の重い人びとも、希望する場合には、その能力を生かして働けるような就労のバリエーションを検討することも重要である。さらに、こうした関係機関ではコミュニケーションに支援が必要な障害者が利用しやすいよう、十分な配慮がなされる必要がある」というご意見をいただきましたので、それを追加させていただきました。
以上です。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 それでは、これ以降、今日はもう時間がないんですが、1つは、今のお三方への質問というコーナーを設けます。それ以後、全体を通して、この骨格提言と、この実施・実現に向けての障がい者制度改革推進会議として御意見等があったら、それも今日、ここで伺っておきます。お三方への質問、それから、全体を通しての今日のまとめの質問・意見を受けますので、合わせて十数分間になりますが、最初に、このお三方への、3つの合同作業チームの座長さんへの質問があったら、いかがでしょうか。
久松委員、どうぞ。
○ 久松委員 私、1人だけでしょうか。
○ 藤井議長代理 その後、別なことででも質問・意見を賜ると思いますので、どうぞ、いいですよ。
○ 久松委員 全日本ろうあ連盟の久松でございます。
今までのとりまとめ、本当に御苦労様です。また、ありがとうございました。感謝申し上げます。
障害児のテーマのことについてお伺いします。先日、文部科学省の特別委員会の審議の中で、早期発見・早期支援というテーマで意見交換がありました。今回は児童福祉法の範囲での議論になると思いますが、文部科学省の範囲、例えば学校教育法の中での関連性につきましても少し整理が必要かなと思っておりますが、いかがでしょうか。
以上です。
○ 藤井議長代理 ですから、質問の趣旨は、学校教育法と児童福祉法との関係性・重複性という意味ですね。
○ 久松委員 はい、そうです。
○ 藤井議長代理 それでは、これは大谷委員から見解があったら述べていただけますか。
○ 大谷委員 まさにそこが重大、大問題なのであって、児童福祉法だけではなくて、母子保健法、それから、学校保健法等々、乳幼児健診以降からずっと、その在り方が問題になってくると思います。
ですから、今回、我々の立場は、早期支援が必要である。そのための早期発見、それも一般施策に結び付けられるように、そして、一般施策の中で固有の支援があり、というような形で、大きな体系の中に位置づけるべきであるということを意識して提案させていただいたんですけれども、文科省の特別支援教育の在り方に関する特別委員会の方では個別支援の方から入って、一般施策、一般的な支援の中でどういうふうにしたらいいのかということに関しては、正直申し上げて、関心が薄いように思われますので、どこかできちんと意見交換して、すり合わせをして、一つの方向性を出していきたいと強く思っております。
以上です。
○ 藤井議長代理 久松さん、いいですか。
○ 久松委員 はい、ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 お三方へでも結構ですが、全体を通して、今日のまとめになりますけれども、質問・意見はいかがでしょうか。
先ほど、松井さんからは1つ残っていますテーマですね。関口委員と竹下委員で、それでは順番に、関口委員から行きます。
○ 関口委員 権利条約を受けて、基本法が決まって、それから、障害者総合福祉法の骨格提言ができたということで、一山越えたのかなという感じはしていますけれども、例えば医療の合同チームなどで積み残した問題はすごくあるんです。
例えば、これは前にも本会で言ったと思いますが、精神保健福祉法が医療と保護を目的としているので、病院だったら治すことだけを目的にしてほしいんです。住まわせてくれても困るんです。それから、そのせいかどうかは知りませんけれども、いわゆる精神科の疾患対策というものは社会・援護局の担当になっている。医療だったら医政局が担当していただきたいと思います。ちゃんと薬も飲むわけですから。
そういうふうに積み残した論点がまだ山のようにすごくあるので、その辺をこれから先、どういうふうに取り扱っていくのかについてお伺いしたいんです。
○ 藤井議長代理 それでは、これは、また後で東さんの方から少し、お答えできる範囲でと思っていますが、あと、竹下委員どうぞ。
○ 竹下委員 今のと重なる部分もあるかと思うんですが、竹下です。
この骨格提言がこれから法制化作業される過程で、総合福祉部会の役割といいますか、あるいは障がい者制度改革推進会議の役割について重要だと思っているんです。すなわち、これで出したからおしまいにはならないはずだと思うので、今後法制化される過程で、例えば厚生労働省との懇談とか、あるいは法制化の作業過程についての厚生労働省との意見交換とか、そういうものが行われるべきだと思うんですが、この点についての意向あるいは予定をお聞きしたいです。
以上です。
○ 藤井議長代理 ほかにいかがですか。
それでは、久松委員。
○ 久松委員 ろうあ連盟の久松でございます。
たびたび申し訳ありません。大切なことなのにちょっと質問を忘れておりました。今回、合理的配慮についての審議はどうなっているかと思っているのですが、それは差別禁止部会の方で審議するテーマかもしれません。ただ今、文部科学省では教育というテーマの中で合理的配慮についての審議が先行している現状にあります。医療や障害児の作業チームの中で、合理的配慮のテーマで審議することができるかどうか、お伺いします。
以上です。
○ 藤井議長代理 それでは、いいですね。時間が来ていますので、松井さんがおっしゃったのは竹下委員ともダブりますけれども、この部会の存続を含めて、あるいは厚労省との関係性をどうするのかとか、関口委員、委員からは、やはり精神は課題が、丸々積み残されているテーマが多い。障がい者制度改革推進会議でも、論議できる場を含めてどうなのか。それから、合理的配慮の関係で、今、久松さんから出ていましたので、これは東室長の方から答えられる範囲でお答えいただけますか。
○ 東室長 いずれの御質問も、これまでいろんな場面で出てきた御質問で、確定的に答えられるという状況ではないと思っています。
少し個別的に申しますと、骨格提言を厚生労働省がどういう形でつくり上げていくのか。それで、その過程にどうコミットできるのかというところの問題です。これを総合福祉部会という形でやるか、障がい者制度改革推進会議でやるのか、両方があり得るのかもしれませんけれども、少なくとも、これまで言ってきたように、総合福祉部会は8月30日で即解散という位置づけではなくて、何らかのフォローをできるようにしたいと担当室サイドでは思っているところです。ただ、相手方もあることですので、厚生労働省がどういうタイミングでそういう機会を設けてくれることになるのかどうか、今後の詰めがまだ残っているというところです。
それと、医療の問題だけではなくて、いろいろ積み残しの課題があります。就労の分野についてもそうです。そこら辺の問題を推進会議で、今後、どうやっていくのか。部会という形でやるのか、やるとすれば、新たな部会といいますか、専門部会といいますか、チームといいますか、そういうものになるかもしれませんけれども、そういう形でやるのか、障がい者制度改革推進会議本体でやるのかというところは、政策委員会ということでいずれ変わりますので、その変わるタイミングも見ながら検討していかなければならないということになります。
ただ、特に政策委員会の最初の大きな仕事としては、障害者基本法に基づく基本計画についての意見をまとめるということがあります。それで、この基本計画につきましては、広い範囲で議論しなければなりませんので、当然、積み残しの課題はそこの中の議題の一つにもなると思っているところです。ですので、積み残された論点というものを、どの程度、時間をかけてやれるかどうかは別ですが、一応、やはり今後ともやっていきたい。ただ、その形というものは、まだちょっと見えていないという状況です。
合理的配慮に関しましては、今、御指摘のあった文部科学省での議論だけではなくて、そもそも最初、議論を立ち上げたのは厚生労働省の中の障害者雇用対策課、要するに就労における合理的配慮の在り方についての検討会みたいなものがありました。いずれも、基本的には差別禁止という範疇での、分野での問題ですので、今、議論がなされております差別禁止部会で議論していくということが基本線になるかと思いますので、特定の分野だけに絞って、障がい者制度改革推進会議で合理的配慮について議論していくということは考えておりません。他省庁での議論と差別禁止部会での議論をどうすり合わせていくかという問題はありますけれども、基本的には差別禁止部会でそれを受け持つというふうに考えているところです。
大体、以上です。
○ 藤井議長代理 今のお答えが今日お話しできるぎりぎりかと思いますので、それでは、一応、今日の予定した案件に関しましては、これをもって終了いたします。
それで、報告事項が1つ残っています。それから、最後に室長の方から今後の予定を言ってもらいますので、まず、長瀬委員の方から国連での権利条約第4回締約国会議、これはペーパーが出ていますので、これに関する御報告を、長瀬委員お願いできますか。
○ 長瀬委員 ありがとうございます。長瀬です。
今日配られた資料の最後に、「障害者の権利条約第4回締約国会議」という資料があると思いますので、参照していただければ幸いです。
まず、9月7日から9日までニューヨークの国連本部で障害者の権利条約第4回締約国会議が開催されましたので、その報告を簡単に行いたいと思います。
これは、前回の障害者の権利委員会のときも御報告したと思うのですけれども、この締約国会議においても、パソコン筆記、文字通訳が入って、大スクリーンで逐次、発言内容が大きく映されるというのが定着したということを1つ、まず申し上げたいと思います。
今回の締約国会議は「可能性を引き出す環境」というのが大きなテーマで、副題としては「参加と雇用、国際協力を通じた障害者の権利条約の実現」でした。昨年と比べましても参加者の数が大分増えまして、全部で500名を超すぐらいの参加者がいて、半分近くはNGO(非政府組織)の代表でした。非常に参加者が多くなってきたということ、そして、関心が高くなったというのを痛感しましたのは、サイドイベントという関連行事が開かれるんですけれども、今回は35と、昨年と比べましても2倍以上の数になりました。開かれる時間も、今までは昼休みが主流だったのですけれども、正規の締約国会議の時間と競合したり、あと、会議が終わった18時以降の時間帯も複数開かれるというふうになって、この締約国会議が国際的な協力の非常に大きな場面になっているというのを実感いたしました。
それで、権利条約の締約数が100を超して、本当に障害問題への国際的な関心が高まっているということを感じています。来年は、ブラジルでリオプラス20という地球環境、そして持続的発展に関する会議、また、2015年にはミレニアム開発目標という世界の貧困や教育に関する取組みの新たな目標など大きな動きがありますけれども、そうした国際的な大きな課題と障害の問題をどういうふうに結び付けるのかというのが国際社会の大きな課題となっているということが明らかにされています。
そうした意味で、来年秋の国連総会の冒頭の部分で、障害と開発に関するハイレベル会合が開催され、世界の今後の開発目標と障害をどのように結び付けるのか議論されるということを含めて、開発全般と障害への関心が更に高まる動きがあるのは非常に心強いと思います。
昨年は、日本政府の出席も発言もなかったのですが、今年は非常にうれしいことに、日本政府のステートメント(発言)が行われました。その内容は次のページに添付いたしましたけれども、1つ目が障がい者制度改革推進本部及び推進会議の設置、2つ目に本年7月の改正障害者基本法の改正、そして、3番目に条約の32条にのっとった国際協力の実施というものであって、条約実施に向けての日本での積極的な努力を世界と共有する非常に肯定的なものだったと申し上げたいと思います。なお、日本のステートメントについては、国際障害同盟のリーダーからは、締約国も署名国である日本のように努力してほしいという言葉を耳にいたしました。
初日の7日の午後は、この障害と開発というテーマを意識して、「国際協力を通じた障害者の権利条約の実施」というラウンドテーブルが開かれ、ここでは障害者の人材開発に関する日本財団の石井国際協力グループ長の発言が注目されていました。
また、2日目の8日の午前には、2つ目のラウンドテーブルが「政治的及び公的活動への実効的で完全な参加の確保」というテーマで開かれました。ここではペルーのマリア・アレハンドラ・ヴィラヌーヴァさんという、御自身がダウン症の方なのですけれども、ペルーで投票する権利を奪われて、裁判で選挙権を取り戻した、そういう経緯を述べ、「私はこうした事態を、自分と他の障害者のために変えるために闘います。他の人と同じように市民になりたいのです」というふうに締めくくっていらっしゃいました。日本でも今年に入って、成年後見制度の利用者から選挙権を奪う公職選挙法への違憲訴訟が起こされているのを思い起こしました。また、8日午後には、「労働及び雇用の権利の実現」が開催されています。
最終日の9日には、国連機関の参加による「双方向の対話:条約の実施」が開催されて、そこではパネリストとして国連アジア太平洋経済社会委員会の秋山愛子さんが参加していて、アジア太平洋障害者の10年等の取組みについて触れていて、日本の制度改革についても域内での条約実施の努力の例として紹介してくださいました。来年もまた締約国会議が開かれますので、是非、引き続き日本政府代表には、この制度改革の動きについて積極的な発言を期待したいと思います。
すみません、最後にもう一点だけ付け加えさせていただきたくて、先週、南米のアルゼンチンで障害と開発に関する会議が開かれました。そこでは震災と障害者について報告する機会があったのですけれども、世界銀行の担当者やパラグアイやチリの出席者から、日本の障害者分野での国際協力での貢献について高く評価されました。また、条約の批准に向けて、制度改革の枠組みの中で、基本法の改正の中で防災が盛り込まれた点等を報告する機会を得ました。ここでも批准に丁寧に時間をかけている日本のアプローチというものが好意的に評価されたという点を報告させていただきます。
ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 ありがとうございました。
それでは、最後になりますが、東室長より今後の予定を含めて、報告がほかにあれば併せてお願いいたします。
○ 東室長 担当室の東です。
先ほど、関口委員から一段落というふうなお言葉もありました。今後、先ほど言いましたように、障害者政策委員会という形に移っていくわけですけれども、やはり基本法に基づく基本計画についての意見とりまとめが大きな課題になっていきますので、今後、そこを念頭に置きながら障がい者制度改革推進会議を開いていきたいなと思っております。ですので、先ほどの就労とか医療とか障害児の問題も、その中に当てはめて議論ができればなということも思っています。
それと、先日、NHK教育テレビで震災の報道がありました。ちょうど6か月を迎えた時期の報道でした。その中で、障害者の死亡率が一般の死亡率に比べて2倍というデータの報告もありました。ですから、やはり、先ほど長瀬委員も触れられましたけれども、障害者基本法の中で防災のことがテーマとして取り上げられている関係もありまして、やはり障がい者制度改革推進会議としても、基本計画との関係で、再度、震災のことについても議論が必要かなと思っております。
そんな思いだけで、それでは次回、何をやるというふうにまだ決めているわけではありませんが、大体そんな感じでやろうと思っているということの報告です。
次回は、10月24日月曜日になります。正式に決まり次第、テーマ等を含め、改めてお知らせします。
また、第37回につきましては、11月21日を予定しておりますので、空けておいてください。
私からは以上です。どうもありがとうございました。
○ 藤井議長代理 それでは、次回が10月24日の予定である。それから、第37回が11月21日の予定である。内容は、今、お話があった点辺りを勘案して、また連絡をします。
これは馬の耳に念仏かと思いますが、今の基本計画が10年間で、ちょうど来年で終わります。したがって、この基本計画で、国の長期政策で言うと、今回、第3次目になりますので、再来年度から第4次目という、このつくり替えということが、今、室長が言った趣旨だと思いますので、是非、基本計画を、現行のものをよく読まれてくると、またいいと思うんです。お願いいたします。
それでは、今日予定した議事はこれで終わりますが、先ほどもありましたように、この後、17時半を目途に中塚副大臣がお見えになってごあいさつを、その後、17時45分を目途に蓮舫担当大臣と園田政務官がお見えになる時間的めどになっています。少し休憩をして、余り遠くに行かないで、すぐに集まれるように、時間は5分か10分、ずれがあるかもわかりませんから、17時半といっても、あくまでもめどでございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、これで会議は終わりますけれども、またしばらく後に再開すると。どうぞよろしくお願いします。
以上で終わります。(拍手)
(休憩)
○ 藤井議長代理 副大臣、間もなくお見えになりますが、各委員の方にお諮りしたいことがあります。最後に肝心のことを漏らした感じで、今更言うのもおかしいんですが、改めて、今度の「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」、いわゆる骨格提言について、文字を含めて、この障がい者制度改革推進会議として了承するということの手続を、今、ここで確認させていただきます。それで、拍手をもってと思うんですが、改めて、この骨格提言に関しまして、推進会議として了承していただくということにつきまして、いかがでしょうか。(拍手)
○ 藤井議長代理 そういうことで、いろんな課題は残りましたけれども、本提言につきましては、文字、一言一句を含めて、これで確認をしたというふうにさせていただきます。
間もなく副大臣が着きますので、もうしばらく休憩してください。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、今、中塚副大臣がお見えになりましたので、副大臣の方からごあいさつをお願いいたします。副大臣、どうぞよろしくお願いします。
○ 中塚副大臣 どうも、皆さん、改めましてこんにちは。このたび、内閣府の副大臣を拝命いたしました中塚一宏と申します。
私の選挙区は神奈川県藤沢市といいまして、湘南海岸のあるところなんですけれども、観光漁業といいますか、レクリエーションで地びき網というものがありまして、海に仕掛けた網を引っ張って魚を捕るというものがあるんですが、昨日、藤沢市の聴覚障害の皆さん方が主催される地びき網がありまして、それに参加いたしてまいりました。その場でも多くの御意見をちょうだいしてきたところであります。
本日も、大変に長時間にわたる御議論をいただいたというふうに聞いております。間もなく蓮舫大臣もまいりまして、皆さん方からの提言をお受け取りするということでありますが、私も担当の副大臣として制度の改革に一生懸命努力をしてまいりたいと考えております。委員の皆様、お集まりの皆様には何かと御苦労をおかけするわけなのでありますけれども、どうぞ、これからも御尽力を賜りますようによろしくお願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。
本日はどうもありがとうございます。(拍手)
○ 藤井議長代理 どうもありがとうございました。
それでは、まだしばらく時間がかかりますので、もうしばらく、また休憩に入らせていただきます。よろしくお願いします。
(休憩)
○ 藤井議長代理 それでは、お忙しいところ、どうもありがとうございました。
○ 蓮舫大臣 とんでもないです。
○ 藤井議長代理 これから手交のセレモニーを行いますけれども、私の方で一言申し上げてから手交をします。その後に大臣からごあいさつをいただきます。
私ども障がい者制度改革推進会議の下で総合福祉部会が立ち上がったのが、たしか去年の4月27日でした。18回の議論を重ねて、ここにまとまりました。佐藤久夫部会長の下で、55人のメンバーで懸命に論議してまいりました。55人と申しますのは、障害当事者代表、家族の代表、事業者代表、自治体代表、そして、研究者です。
今日、ここに121ページの本文、いろんな思いが込められています。万感を込めてお渡ししますけれども、本来、今日は小川議長がいるはずなんですが、体調不良でお休みしました。私が障がい者制度改革推進会議を代表しまして手交させていただきます。なお、この手交には佐藤部会長も55人を代表して立ち合っていただきます。
それでは、立ってやりますので、どうぞよろしくお願いします。
万感を込めてお渡しします。
(藤井議長代理から蓮舫大臣へ提言を手交)
(拍手)
○ 蓮舫大臣 ちょうだいいたします。本当にありがとうございました。長い間、御苦労様でございます。
○ 藤井議長代理 それでは、握手いたします。
○ 蓮舫大臣 はい。ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 それでは、佐藤委員も握手を。
○ 蓮舫大臣 ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 それでは、ごあいさつをどうぞ。
○ 蓮舫大臣 改めまして、お疲れ様でございます。
障がい者制度改革推進会議が35回目、この2年の間で本当に異例なまでに多く開いていただきました。参加をしていただいているメンバーお一人おひとりの皆様方にも、お仕事があり、御家族があり、所用があり、大変御多用な中、時間を割いていただいて、そして、御参加をいただき、貴重な御意見をいただいたこと、改めて心からお礼を申し上げます。今日も長時間の議論、本当にありがとうございました。
本日は、今、総合福祉部会の提言を賜りました。藤井様からちょうだいいたしました。この提言をおまとめいただく間にも、本当に率直な意見交換、また、経験に基づいた、本当に実りある御議論を重ねてくださったと報告もいただいております。改めて、この提言を担当大臣、そして、親会議の副本部長として受け止めさせていただいて、今後は厚生労働省にしっかりと議論をしていただきたい。当事者の皆様方、関係者の皆様方、御専門の皆様方の本音の思いが詰まっているということも含めて、私から小宮山大臣にはお話をさせていただこうと思っております。
是非、今後とも障がい者制度改革推進会議の皆様方とともに障害者施策、しっかりと推進していくための努力を行ってまいりたいと思いますので、どうぞ、これまで以上のお支えをいただきたいということを改めてお願いを申し上げ、最後に心からお礼を申し上げ、ごあいさつに代えさせていただきます
本当にありがとうございました。(拍手)
○ 藤井議長代理 大きな拍手をお願いします。
どうも、済みません。
○ 蓮舫大臣 ありがとうございました。
○ 藤井議長代理 それでは、無事に手交の式を終えましたので、これで本日の会議を終わります。この後に記者会見を行いますので、記者の方はよろしくお願いいたします。
どうも、今日はありがとうございました。(拍手)
○ 蓮舫大臣 ありがとうございました。