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障がい者制度改革推進会議(第36回)
議事録

藤井議長代理 それでは、定刻になりましたので、これより第36回の「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。

まず本日の委員の出欠状況ですが、欠席につきましては、小川議長、清原委員、土本委員、中島委員、遠藤オブザーバー、福島オブザーバーが欠席であります。

なお、本日の会議は、これまで同様公開とさせていただきます。

本日の進行上の時間配分につきましては、後ほど東室長よりお話をいただきます。

本日の終了予定時刻は17時とさせていただきます。

小川議長が欠席でありますので、議長代理の藤井が本日は議長を務めさせていただきます。小川議長なんですが、前回同様、今回も欠席なんですが、体調は大分回復しまして、次回以降は出られると伺っております。

それでは、早速入ってまいりますが、本日の進め方の概略を東室長から説明いただきます。

東室長 こんにちは。担当室の東です。

本日は障害者基本計画についての議論を行いたいと思っております。

現行の障害者基本計画は平成15年度から平成24年度を計画期間としていることから、来年の平成24年度にはその次の障害者基本計画を策定することになります。新しい障害者基本法に基づいて設置される障害者政策委員会において詳細は検討されると思われますけれども、先行してそのための準備の会議を始めるのが今回の趣旨です。現行の障害者基本計画の内容を把握し、これをどう評価するか。あるいは新たな障害者基本計画に求められる要素といったものはどのようなものかといった辺りの議論をしたいと思っております。

それでは、本日の進行につきまして、御報告します。本日も15分の休憩を3回として4つのコーナーに分けてやっていきたいと思っています。

第1のコーナーは40分を予定しております。最初の20分程度で現行の障害者基本計画が策定された背景や内容、特徴などについて、担当室より報告いたします。それを受けて20分ほど質疑及び討論を行いたいと思います。

第2のコーナーは45分を予定しておりまして、障害者基本計画のうち、分野別の施策「1 啓発・広報」「2 生活支援」「3 生活環境」「4 教育・育成」について質疑及び議論を行います。最初の15分で現行の障害者基本計画のこれらの分野について担当室より報告し、残り30分程度で質疑及び議論となります。

第3のコーナーも45分ほどを予定しておりまして、分野別の施策の残り「5 雇用・就業」「6 保健・医療」「7 情報・コミュニケーション」「8 国際協力」について質疑及び討論をいたします。同じように最初の15分で担当室より報告し、残り30分で質疑及び議論を行います。

第4のコーナーは50分ほどで、若干担当室より説明を加えた上で、前半は分野別施策の構成をどうするかについて議論し、その後、推進体制等について質疑及び討論を行いたいと思います。

本日の主な予定は以上のとおりです。

藤井議長代理 それでは、早速入ってまいりますが、今、ありましたように、第1コーナーの時間は40分間です。ここでのポイントは、現行の障害者基本計画の経緯や背景、内容のポイントについて論議してまいりますので、最初に東室長から20分間ほど説明をいただきます。

東さん、よろしくお願いいたします。

東室長 今日議論する前提として、資料をお配りしております。

基本的な中身は、資料1の「障害者基本計画」を見ていただければと思っております。

枠組みなどについては、資料2になります。

重点施策実施5か年計画が資料3になります。

その概要版みたいなものが資料4です。

以上を前提にして、お話をさせていただきます。

まず初めに現行の障害者基本計画ができるに至った経緯について、御説明を申し上げたいと思います。

御存じのとおり、1975年(昭和50年)に障害者の権利宣言が国際連合で採択されております。それ以後、国連では、1981年(昭和56年)を国際障害者年と定め、その基本的な理念であります完全参加と平等を実現するために、1983年(昭和58年)から1992年(平成4年)までを国連障害者の10年と定めております。

この流れを受けて、日本では1982年(昭和57年)になりますが、国際障害者の10年の国内行動計画として、障害者対策に関する長期計画が策定されております。

更に1993年(平成5年)からおおむね10年間を計画期間として、障害者対策に関する新長期計画が策定されました。新長期計画は、1993年(平成5年)に改正された障害者基本法において、初めて法律に基づく計画という形で位置づけられることになった次第です。

現行の障害者基本計画は、この後、2002年(平成14年)に策定されております。長期計画としては3つ目になります。その計画期間は、2012年(平成24年)までとなっております。

これらはいずれも10年のスパンではありますが、10年の計画期間を前期と後期に分け、それぞれ数値目標を掲げた重点施策実施5か年計画を策定し、5年のスパンでこの計画に基づく諸施策の着実な推進を図るものとなっているところであります。

なお、長期計画をつくる際には、障害当事者や有識者から意見を聞くため、新しい障害者基本計画に関する懇談会を立ち上げて、2002年(平成14年)6月から11月にかけて7回ぐらいの議論を経てつくられております。ですので、今度の新しい計画も政策委員会の下でということになると思いますけれども、ある程度回数を重ねてつくり上げることが求められるのではないかと思っております。

次に基本計画の大きな枠組みといった点ですが、障害者基本計画の構成としては、大きくいうと5つに分かれております。最初に「はじめに」という部分があります。そこから始まって「I 基本的な方針」「II 重点的に取り組むべき課題」「III 分野別施策の基本的方向」「IV 推進体制等」という枠組みになっております。

このコーナーでは、基本計画の総論的な位置づけになろうと思います「はじめに」「I 基本的な方向」「II 重点的に取り組むべき課題」という部分について説明した後、議論に入っていただきたいと思っております。

「はじめに」の部分では、最初にこれまでの経緯を振り返るとともに、現行計画の前身である1992年(平成4年)に策定されました障害者対策に関する新長期計画でのリハビリテーションとノーマライゼーションの理念を承継するといったことについて述べてあります。

「I 基本的な方針」の部分では、最初に計画の理念、考え方といったものについて述べて、続いて横断的な支援として、障害者施策を推進するに当たって、各分野に共通する視点を述べております。

視点の1つ目として「1 社会のバリアフリー化の推進」を挙げてあります。これはソフト、ハード両面にわたる社会のバリアフリー化やユニバーサルデザインの観点から、すべての人にとって生活しやすいまちづくりやものづくりを推進して、バリアフリーについては、社会全体での取組みが重要であるといったことが述べてあります。

2つ目として「2 利用者本位の支援」というものがあります。これにつきましては、地域での自立した生活の支援を基本とする。そして、ライフサイクルの全段階を通じた総合的かつ適切な支援を実施する。このような原則が盛り込んであります。

3つ目としては「3 障害の特性を踏まえた施策の展開」というものがあります。ここでは国際生活機能分類、いわゆるICFについて、障害の理解や適切な施策推進等の観点から活用方策を検討することになっております。

4つ目として「4 総合的かつ効果的な施策の推進」というものがあります。ここでは高齢者など他の制度との整合性や連携、施策体系の見直しの必要性について述べてあります。

以上が「I 基本的な方針」という部分で述べてあることです。

「II 重点的に取り組むべき課題」が置かれています。この項目は現行の計画の骨子を議論した際に、非常に総花的に整理されているけれども、ポイントが見えにくいといったような意見も出されました。10年の計画で何が獲得されるのかといったことが見えにくいという意見もありまして、そのため10年間で何らかの重点目標について、これだけはやるということを出して、めり張りをつけるべきだという趣旨で設けられた部分です。

このような観点から幾つか上がっておりますが、まず第1に福祉用具等の研究開発やITの利用という、活動し参加する力の向上というものが挙げられております。

第2に住宅等の基盤整備や家族に対する支援策の充実、経済的に自立した生活に向けた支援という、活動し参加する基盤の整備というものが挙げられております。

第3には、精神障害者施策の総合的な取組みというものも挙げられております。

第4、アジア太平洋障害者の十年がちょうど終わることもありまして、アジア太平洋地域における域内協力の強化といった点が挙げられているところであります。

以上が基本計画の総論と申しましょうか、基本的な考え方や大きな方向性について触れた部分であります。

このような総論部分を理解する上で、2つぐらいの大きな視点が必要ではないかと思っているところです。障害者基本計画は、これから10年の我が国の障害者施策の基本的な方向を定めるものでありますので、まずは10年の基本計画が達成しようとする課題とか基本的な方向性をどう設定するのかという視点です。実は前回基本計画を策定したときにも、理念的、思想的な意味での大きな飛躍というか、転換を図る必要があるのではないかという意見も出されていました。ですので、そういった観点から見て、今後の基本計画を考えるに当たっては、障害者権利条約が求める基本的な考え方とか、昨年6月と12月に閣議決定されました障害者制度改革に向けた基本的な方向についてといった辺りで示されている事項とか方向性、更には今年7月に成立しました障害者基本法が示す内容とか方向性、そういったものを踏まえることが必要になると思っています。

今日はこのようなことを念頭に置きつつ、それとの対比で、現行の基本計画が何を課題として、何を達成しようとしてきたのか、もしくはどれだけ達成できたのか、そういった視点から現行基本計画の内容を吟味する必要があるかと思っています。

次に大事になる視点は、実施状況をどのように監視していくかといったことです。今年7月に改正された障害者基本法において、1年以内に障害者政策委員会が設置されることになっております。障害者基本計画に基づいて施策の実施状況を監視することができるようになっておりますので、新しい基本計画は障害者政策委員会が監視をするに当たって大きなよりどころとなります。また、障害者基本計画は基本的な方向を定めるものですから、理念的、抽象的な側面があります。しかしながら、他方で各省庁や地方公共団体では、施策を実施するためにより具体的な計画を定めていることもあります。

そこで、障害者政策委員会が施策の実施状況を監視するには、具体的にどのような取組みをしているかについて把握することが必要になりますので、各省庁や地方公共団体が定めた計画に基づく施策の実施状況を把握して、調査、審議を行うことを考えております。

そんな意味で、障害者基本計画の記述が非常に重要になってくると思います。まさに障害者基本計画の書き方によって、各省庁のどのような取組みを推し進め、また監視するのかということが変わってくるのではないか。ですので、そういう点も踏まえて御意見をいただければというところであります。

とりあえず総論的なものは以上です。

藤井議長代理 今の基本計画は、約1年余していますが、9年目に入っている。

今日の議論というのは、この後に分野別施策が入ってくるんですが、その前に、今、提案があったことは、現行の基本計画の「はじめに」「I 基本的な方針」「II 重点的に取り組むべき課題」の3つです。

かつ大事なことは、現行の計画のことなんですが、論議の進め方としまして、未来を見据えるということで2つの視点が言われました。新しい基本計画をつくっていくときの理念を今から探り合おうということ、基本的に権利条約あるいは閣議決定した第一次意見、第二次意見、更には改正された基本法。

2つ目としては、監視システムです。基本計画の監視ということが、今度の改正基本法では第32条から第34条に入っています。これも見据えて考えていこう。過去、現在の評価を加える、到達点を推しはかるということに加えて、少し未来を見据えて議論しようということになると思うんです。

「はじめに」あるいは「I 基本的な方針」「II 重点的に取り組むべき課題」どこから入っても結構なので、大体13時45分まで、これに関して論議を進めてまいりますが、いかがでしょうか。

関口さんからどうぞ。

関口委員 一番基本的なことなんですけれども、37ページにリハビリテーションの説明が載っています。「ライフステージのすべての段階において」と書いてあります。1981年のWHOの定義だとこれでいいんだと思うんですけれども、82年の行動計画の部分では、一応時間を限定した過程であるとなっていまして、私も条約などを見ている過程で、リハビリテーションというのは、例外はあるにしろ、基本的に時間を限定した過程なのであろうという理解に立っておりました。それが生涯教育みたいな形で、いつまで経ってもリハビリテーションということなので、これは一体どういう考え方からきているのか。WHOの原則からいえば、こういう書き方もできると思うんですけれども、つまりほかの人はしなくていいのに、障害者は死ぬまでリハビリテーションをするんですかということです。

藤井議長代理 後でまたお答えできるものもあるし、一緒に考えていくものもありますので、ほかの御意見と併せて進めていきましょう。いかがでしょうか。

中西委員、次に竹下委員に回ります。中西委員、どうぞ。

中西委員 中西由起子です。

今のリハビリテーションの問題ができてきて、多分その延長線上にあると思うのですが「II 重点的に取り組むべき課題」で「参加する」と出てきます。一体どういうふうに何に参加するかという具体的な案が出てこなくて、もし参加するというのが本当なら、今、関口さんがおっしゃっているように、リーダーシップをとれるのは、障害当事者自身がそれぞれの場で一緒に参加しながらリーダーシップがとれるはずなんですが、一体どの場所にどういうふうに参加するのかということがはっきりしなくて、政策決定の参加というクリアーな状況が抜けていると思います。この段階ではそこまで言い切れなかったのかと思うのですが、次の基本計画ではもっと的確に参加するということの意味が言われてしかるべきです。

それから、先ほどおっしゃったリハビリテーションの定義は1982年の障害者に関する世界行動計画に依るべきです。WHOはリハビリテーションというものをもっと狭義に考えていましたが、現在、出しているCBR、地域に根差したリハビリテーションのガイドラインでは、CBRというリハビリテーションが付く戦略の場合には、全障害者の領域に関わることであるとの解釈で進んでいるので、決して今のWHOの解釈ではないと思います。この参加というものの色合いをもっと強調して、明確にしていくべきであると考えます。

以上です。

藤井議長代理 竹下委員、お願いします。

竹下委員 質問になると思うんですが、まず1点は、基本計画を策定していく過程、プロセスの問題です。基本法の改正によって、将来的には障害者施策推進協議会と推進会議が1つになるんだろうと思うんですが、計画を審議する土俵といいますか、審議機関はどこになるのか。ここになるのか、それとも別個にまた設けられるのかどうか。併せて基本計画が検討される手順みたいなものが決まっているのであれば、教えていただきたい。

もう一点は、内容の問題ですけれども、基本計画では立てられていない項目で、立てる必要がある項目が幾つかあると思います。例えば障害者基本法の改正との関係でいいますと、障害者の参政権、選挙権の保障をという規定が入ったわけですが、そうすると、それに見合う今後の制度づくり、あるいは基盤づくりみたいなことについての行動計画が要るかと思います。そういう項目を増やすとか、あるいは医療の問題としてか、地域生活ということになるのかわかりませんが、例えば地域移行といいますか、そういうことがこれまで十分に議論されてきたかと思うんですが、そういうものを今後行動計画に反映するために、施設や医療機関から地域への移行を計画的に実施することをうたう項目を加えたり、そういう意味で、新たな項目を加える議論はどこでされるのか。あるいはそういう考えを議論する場はどこになるのかも教えていただきたい。

以上です。

藤井議長代理 今の竹下委員のおっしゃった点については、東さんからお答えいただけますか。

東室長 先ほどの説明でも触れたつもりではありますけれども、障害者基本法が新しい項目を付加する形で改正されております。それにつきましては、先ほどの説明で言いましたように、4コーナーの項目の構成という部分でどうするかという議論をしていただきたいと思います。

新しい基本計画の策定のプロセスでありますけれども、先ほども言いましたように、障害者政策委員会で詳細に検討していく。前回7回ぐらいやっていますので、今回どの程度になるのか。それに推進会議という形で、いろんな問題について議論しておりますので、もう少し時間が少なくて済むという感じももっておりますけれども、いずれにせよ4月以降の政策委員会の中で議論されると考えております。

藤井議長代理 どうぞ。

竹下委員 竹下です。

室長の言っていることは理解できないんです。

1点目の項目は4コーナーと言うけれども、例えば従来の基本計画との関係でいうと、関係省庁であったり、関係分野へのヒアリングを行う際に、内容が異なるものが出てくるわけです。そうすると、後のどの機関で審議するかということとも関係があるんですが、ここでこういう構成がいいのではないかという意見を出すのはいいんだけれども、各項目に沿って、今後どういう検討スケジュールになるのかが、何となく見えてこないんです。

2点目の関係で言うならば、先ほど私も言ったように、将来的に政策委員会1つになるのはわかるんだけれども、この論議がいつから始まって、いつごろ確定するのかということになると、政策委員会はまだ設置もされていないわけです。逆に施策推進協議会はまだ存在しているわけです。そうすると、どこで議論されるのかがわからないというか、どうしてももう一遍しつこく聞きたくなるんです。

藤井議長代理 この件は全部に関わってきますので、もう一度、東室長からお答えいただきましょう。

東室長 新しい項目については、先ほども言いましたように、第4コーナーで議論するという以外にお答えはないと思います。

政策委員会の件ですが、あと数回しか推進会議ができる余裕はないんです。ですから、今日はある意味で事前の大枠の話であって、新しい項目も含めて、どういう項目立てをしていくのかという、そこを整理する必要があります。それは政策委員会でやる。委員会で部会を設けるとか、設けないという話はあるかもしれませんけれども、基本的には政策委員会自体で来年度から始めていくことになろうかと思っております。政策委員会ができれば、中障協はなくなりますので、中障協自体で議論することはあり得ない話です。

政策委員会のメンバーとして、今の皆さんの推進会議をベースとして出入りはあるかもしれませんが、一応推進会議と統一性をもった形で、新たな装いで議論が始まっていくということで、そこから先いつごろまでをめどにしてやるかということは、まだ決まった話ではありません。ただ、おしりは決まっていますので、当然おしりに間に合わせるような形で議論していくことが求められる。そのぐらいのことしか、今は言えないと思っています。

藤井議長代理 みんな共通に押さえた方がいいと思うので、今の竹下委員のお話というのは、1点目の新しい内容をどう盛り込むかということは、これから議論を始めるんだけれども、今日はその端緒であって、それについては今日の第4コーナーで少しディスカッションをしましょうということです。

2つ目の問題については、障害者政策委員会を新設します。これは決まっているんですが、来年度に間に合うようにつくっていって、そこで論じ合う。他の審議会との関係もあるんだけれども、これはまだはっきりしていない点が多い。いずれにしても、来年度中にこれができ上がらなければ、基本計画は間に合いませんから、ここに間に合わせるべく体制を組んでいこうということです。

山崎委員、新谷委員、松井委員の手が挙がっていますので、順番でいきます。山崎委員、新谷委員、松井委員という順番でいきます。

山崎委員 山崎です。ありがとうございます。

先ほどの竹下委員の御質問にも多少は関わるかと思うんですが、私の質問は、基本計画を再検討する際の素材の問題です。先ほど室長さんから、当然ながら閣議決定された第一次意見、第二次意見、あるいは基本法の改正の中身、こういったものを素材として検討作業が進められるだろうというお話でした。

私の発想ですと、加えて行政自体がこれまでの基本計画にのっとって実施された施策等を行政としてどう評価されているのか、それもやはり素材として重要だと思います。と申しますのは、一般的に政策過程論で言われることは、政策をつくる、それを行政が実施して、更に行政自体がそれを評価する。策定、実施、評価、これはぐるっと回って、評価のところで見えたものを次なる策定に生かすというのが行政過程というか、政策過程では一般的ですので、行政自体の評価の中身、自己評価、批判的なこともあろうかと思いますが、そういったものも資料としてお出しいただいた方が、検討の中身は深まるのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 この件に関して、東室長から手が挙がっていますので、どうぞ。

東室長 山崎委員がおっしゃったことは、そのとおりだと思っています。行政自身の自己評価につきましては、ある意味『障害者白書』にも出ておりますので、ああいうものも資料として出そうかと思いましたけれども、今日は何せ1日で大枠を議論するということで、到底そこまでいかないだろう、詳細は来年度になってからだと思っておりましたので、今日は出しておりませんが、当然そのことも含めて議論したいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 そういう視点が大変大事であるということは、共有できるかと思います。

新谷委員、お願いします。

新谷委員 新谷です。

今の山崎さんの意見とも重なるんですけれども、1点、質問です。障害者基本計画の年度ごとの見直しがどういうふうになっていたのか。年度ごとの見直しと『障害者白書』との関係がどうなっているのか。平成19年に重点計画に見直しを入れていますけれども、恐らく年度ごとの基本計画に対する評価があって、それが何らかの形で『障害者白書』に結び付いているというのが常識的な理解だと思うんですが、その辺のプロセスがどうなっているのか、御説明いただきたいのが1点目です。

2点目は意見というか、今日の進め方なんですけれども、基本的に現在の障害者基本計画の目次の過不足をどうするのか、順番をどうするのか、プライオリティをどうつけるのかということに議論をもっていくのか、それとも中の個別項目の実態的な話をここでやっていくのか。特に違和感があるのは「II 重点的に取り組むべき課題」の最初に、現計画は活動し参加する力の向上となっていて、障害者が力を持ってやることが計画なんだという書きぶりになっているので、この辺からまず全体の構成にかなり違和感がありますので、その辺の議論は今日するのか。それは政策委員会での検討事項にもっていくのか、その辺もあると思うんですけれども、そういうことです。

藤井議長代理 先ほど整理したように、内容に関する過不足の議論につきましては、今日は端緒であると思うんですが、この後の第4コーナーのこれからの構成というところで議論する。第1コーナーでは、今、新谷さんが言われたことも含めて、時間の範囲内で、今の基本計画の評価や到達点を深めていこうということです。

そのときに、もう一個大事なことは、今日の全部にかぶってくるんですが、2つの視点が必要だと思います。1つは、新しい計画の理念として、何を押さえるのか。それから、今度の基本法に盛り込まれている監視という視点をどう考えていくのかということを押さえるということはあったけれども、一応今日の第1から第3コーナーまでは、現行の基本計画の評価、あるいは到達度を確認するというのが眼目かと思います。いいですか。

新谷委員 新谷です。

現在の基本計画の見直しプロセスと白書との関係を御説明いただけますか。

藤井議長代理 年度ごとに評価が、年度ごとにつくられる白書とどうリンクしているのかについて、東さん、わかる範囲でお願いします。東さんに答えてもらうのはちょっと酷な気もしますけれどもね。

東室長 年度ごとの見直しに関して、具体的にいつこういう見直しがあったかという詳細は調べてみないとわからないと思っています。

白書につきましては、それと必然的にリンクした形でなされているかどうか。それも調べてみないとわからないところであります。

必要であれば調べて御報告いたします。

藤井議長代理 この段階ではわかりにくいということなので、新谷さん、調べてもらいましょう。よろしいですか。

新谷委員 了解です。

藤井議長代理 松井委員が終わったら、長瀬委員、佐藤委員の順番で回ります。

松井委員、お願いします。

松井委員 ありがとうございます。松井です。

確認をさせていただきたいんですけれども、改正基本法によると、政策委員会の意見を聞いて政府が基本計画をつくることになっております。政策委員会で基本的な考え方について議論をした上で、政府、つまり各省で担当部門について計画をつくって、それを政策委員会に諮るということになっているのかどうか。これまでの基本計画が実際にどういう形でつくられたのかはよく知りませんけれども、それぞれの部門ごとに各省で書いているという感じがして、省を越えたところの調整については、特に計画の中ではされていないという認識をしています。そういう意味で、新しくつくる基本計画のつくり方というのは、従来ベースでなくて、推進会議でこれまで議論してきたようなかなり幅の広いというか、省庁の枠を越えた形でつくることになるのか、そこは確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

藤井議長代理 これも東室長からお答えいただけますか。

東室長 改正障害者基本法では、政策委員会の意見を聞いてとなっております。聞けばいいのかということですけれども、これまでの推進会議での議論をベースにした第一次意見に基づく閣議決定とか、第二次意見に基づく基本法の改正、そういう積み重ねはやってきております。ですから、今度の基本計画についても、基本は政策委員会でどういう結論を出すか、それをベースに閣議決定していただくということで、従来の施策のリストみたいなものを各省庁から出してもらって、それで決まっていくという一方的な形ではなかろう、そうあるべきではないと思っております。

ただ、第一次意見と第二次意見の違いのように、政府がつくるわけですから、閣議決定しなければなりません。ですので、その点はここでまとめた意見と実際にでき上がってきたものが一定の格差があるといった状況も、ある意味予想されます。その差をいかにうずめていくかといった辺りが大きな課題としてもあるのではなかろうかと思っております。

以上です。

藤井議長代理 松井さん、とりあえずはいいですか。

松井委員 ありがとうございました。

藤井議長代理 その辺はこれからの課題かもわかりません。

長瀬委員、次に佐藤委員、勝又委員にいって、この辺で一旦第1コーナーを終わりますので、よろしくお願いいたします。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。

6ページの「4 アジア太平洋地域における域内協力の強化」で、現行のものでは「『アジア太平洋障害者の十年』の次の10年の行動課題である『びわこミレニアムフレームワーク』の推進に積極的に貢献するとともに、技術協力や障害者団体の交流等を通じアジア太平洋地域の各国・地域との協力関係の強化に主導的な役割を果たす」ということで掲げられていたわけですけれども、実際の評価ということで申し上げますと、特にこの10年の後半に入ってからは、この部分は著しく弱まった、推進する姿勢と貢献する姿勢というのが非常に弱まってしまったという点は、評価として申し上げなければならない点だと思います。

もう一点は、今、伺っていたら、後で申し上げなければいけないということに気がついたのですが、一応申し上げておきますと、横断的視点のところで、推進会議の第二次意見でも、総則として障害のある女性のことを取り上げるべきだということが出されていましたけれども、現行のものを見る限り、ジェンダーなり性別、女性という観点が抜けています。これは多分第4コーナーで言わなければいけないことだと思いますけれども、そういった観点を横断的支援のようなところで盛り込むことが必要になると思います。

ありがとうございます。

藤井議長代理 後段でそこら辺のことは強調し、今、長瀬さんがおっしゃった「II 重点的に取り組むべき課題」の最後の4項目目、アジア太平洋の第二次10年が政府としては弱かったのではないかという辺りは、意見として述べておきたいということであります。また、分野別の国際協力とも関係しますが、わかりました。

佐藤委員、お願いします。

佐藤委員 日本社会事業大学の佐藤久夫です。

2ページのところで基本的な考え方が示されていて、これを読むと、ポイントとしては、障害者が社会のあらゆる活動に参加できるようにしましょう、それをもって共生社会の実現を図りましょうというのが基本的な考え方だと思うんですけれども、次の計画がこのままでいいかどうかということと、これを検証して、評価していく仕組みがどうかという2つの点で意見を述べたいと思います。

あらゆる活動に参加できるようにすることが目的の計画であれば、10年経つわけですので、実際にあらゆる分野の活動に参加できるようになったのかということが、この会議のテーブルの中の資料として示される必要があるんだろうと思います。主に示されているのは、ホームヘルプの時間がこれだけ増えたとか、施策がどうなったかということについてのデータにとどまっていて、そういう施策の進展によって、例えば障害者の雇用状態がどういうふうに実態として変化したのか、外出頻度が高まったのかどうなのか、そういう生活実態についてのデータがないまま評価の総括をしようとしている感じがしております。

基本法の改正でも、生活実態を踏まえて施策を立案し実施すると改正されたばかりですので、その観点を是非これからの計画の中では盛り込む。施策や予算によって評価するのも大事だけれども、一番の基本は、生活実態の変化によって評価するという仕組みを新しい基本計画の中にどう盛り込むかということが大事だと思います。

もう一つは、社会のあらゆる活動に参加することを目標にするということは、この段階では適切だったかもしれないですけれども、今や障害者権利条約ができた段階で新しい基本計画を立てるわけなので、障害のない市民との平等という視点、概念というか、それを重視するような基本的な考え方に転換、補強する必要があると思います。

そうなってくると、先ほどの評価の基準についても、障害のない市民の就労状況と比べてどうなのか、賃金だとか、労働条件の面で遜色のないところまできたのか、こないのか。産業別にどういう分野では進んだけれども、どういう分野では遅れているのかとか、それをスポーツだとか、地域生活だとか、住宅だとか、所得だとか、いろんな分野において中間的な総括をし、最終的な総括をして変えていくことができるようなモニタリングの仕組みが必要になってくると思いました。

以上です。

藤井議長代理 これもまた後で議論が展開され、今後の推進体制も含めて関わってきますので、今日でいうと第4コーナーでまた意見として出していただきました。

勝又委員、お願いします。

勝又委員 勝又です。

先ほど長瀬委員がおっしゃったように、ジェンダーの視点、女性障害者については是非とも最後のところで議論していただきたいと思います。

そもそもの議論として、基本計画というのは、どう活用すべきなのかという視点が必要だと思います。つまり基本計画というのは、いろんなところでつくられています。別に障害者だけではなくて、高齢者もそうですし、例えば統計法の基本計画もあります。統計法が新しく変わったときの基本計画もございます。全基本計画とも閣議決定されているわけですけれども、それはそれぞれの基本計画で何をしたいか、どこまで進めたいかという目標を持って計画をたてているのであり、施策を進めていくためのツールなわけです。ツールとして基本計画に書かれていることは、各省庁で全くできそうもないことは書かない、今までそういう前提で書かれておりますので、できるところまで明記したならば、それを実行するためにツールとして使うべきものが基本計画だと思います。ですから、今、私たちがこれから検討しようと思っている基本計画を、いかに政策を実現するためのツールとして使うことができるのかという視点が重要で、それは障害者の問題にかかわらず、政策を立案して、そして、実行していくところに、こういう評価とか計画といったものが実際に役に立っているのかどうかということを厳しく監視しながらいくという姿勢が必要だと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 今の御意見も全体にかぶり、またこれからの新しい計画の議論のベースになる点だと思います。多分何回かそういう議論を出していきながら、練り上がっていくと思います。

関口さん、何ですか。

関口委員 先ほどのことと関係するんですけれども、基本的にノーマライゼーションとリハビリテーションという2つの概念でもって組み立てられているわけですが、障害者の権利条約あるいは基本法で認められた障害の社会的定義からいえば、むしろ医学モデルに偏っているのではないかという気がしています。もし言うんだとしたら、多様性の尊重及びインクルージョンだと思います。こういうふうに基本的によって立つ概念を変えていかないと、ノーマライゼーションというのは、社会の中で同じように一般人として暮らしていけるみたいなイメージですね。インクルージョンはそうではないです。違ういろんな人たちがいて、それがインクルージョンされるわけなので、そういうふうに考え方を変えないとまずいのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 そういうことも含めて、新しい基本計画の視点の意見の1つとして承っておきます。

一旦このコーナーはこれで終わりまして、これから14時5分まで休憩します。その上で、分野別施策は2つに分かれます。前半4つ、後半4つ、そういうことで2時5分からは前段の4つ「1 啓発・広報」から「4 教育・育成」までについて論議をいたします。

それでは、休憩に入ってください。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、御着席いただけますか。いいですか。

第2コーナーに入ってまいります。ここのコーナーは14時50分までを目標に進めてまいります。

分野別施策の前半4つ、すなわち「1 啓発・広報」「2 生活支援」「3 生活環境」「4 教育・育成」です。これに関して、東室長から15分程度説明いただいた上で、4つの分野を一括して、残り30分ちょっとで議論していく。こんなふうにして進めてまいりますので、よろしくお願いします。

それでは、東さんから説明をお願いします。

東室長 東です。

総論の部分につきましては、大変大事な視点が出されたと思います。当事者参画、多様性、インクルージョンとか、そこら辺の大きな点も踏まえまして、各論についても考えていただきたいと思います。

各論は、今、お話がありましたように、8つの分野がありますが、まずは4つほど御説明させていただきたいと思います。

構成につきましては、最後のコーナーでやることにします。

「1 啓発・広報」の施策の基本方針としては「<1> 啓発・広報活動の推進」「<2> 福祉教育等の推進」「<3> 公共サービス従事者に対する障害者理解の促進」「<4> ボランティア活動の推進」という4つの項目が挙げられておりますけれども、これらに関して、行政、企業、NPO等の連携による啓発活動を強力に推進するとともに、障害者が地域で安心できるように公務員を始めとする各種公共サービス従事者への障害者に関する理解の徹底を図るといったようなことを充実させるとあります。平成14年当時の議論の際には、マスコミの力を借りるような方向を考えてもらいたいという意見も出ておりました。

「2 生活支援」の施策の基本的方向として、8つの小さい項目が挙げられております。1つの施策分野としては、余りにも多くのものを詰め込んであるのではないかという感じもしますが、一応最初から紹介します。

「<1> 利用者本位の生活支援体制の整備」という項目では、身近な相談支援体制の構築として、ケアマネジメント実施体制の整備やケアマネジメント従事者の養成、サービス提供事業者の情報のデータベース化、更には家族に対する療育方法などの情報提供やカウンセリング等の支援、またインターネットを利用した相談体制の検討、難病に関する専門的な相談支援体制の充実などが挙げられておりますし、障害者団体や本人活動の支援として、当事者による会議、当事者による政策決定プロセスへの関与の支援、障害者自身がボランティアとして活動できるように支援することなどについて挙げられております。

「<2> 在宅サービス等の充実」という項目では「ア 在宅サービスの充実」が挙げられておりまして、その中では在宅サービスの量的・質的充実に努めること、また障害特性を理解したホームヘルパーの養成、研修を行うこと。デイサービスセンターや重症心身障害児(者)通園事業についても充実を図ること。こういったことについて取り組むことになっております。

「イ 住居の確保」と題しまして、重度障害者などのニーズに応じて利用できるよう量的・質的充実に努めるということになっております。

「ウ 自立及び社会参加の促進」という点につきましては、当事者による相談活動のさらなる拡充を図ることとなっております。生活訓練、コミュニケーション手段の確保、移動支援といったような社会参加促進のためのサービスを充実させることにもなっております。また、平成14年には国会で身体障害者補助犬法が成立したことを踏まえて、身体障害者補助犬の利用を促進するということも入っております。

「エ 精神障害者施策の充実」につきましては、ケアマネジメント手法の活用の促進を検討することや、特に条件が整えば退院可能とされる退院・社会復帰を目指すための必要なサービスを整備する。こういった取組みをすることが記述されております。

「オ 各種障害への対応」につきましては、重度・重複障害者、高次脳機能障害者、強度行動障害者等への対応の在り方について検討することにもなっております。また、難病患者とその家族、自閉症などへの取組みについても記述されているところであります。

「<3> 経済的自立の支援」につきましては、雇用・就労や年金手当等の給付によって、地域での自立した生活を総合的に支援することになっております。

「<4> 施設サービスの再構築」ですが「ア 施設等から地域生活への移行の推進」につきましては、地域生活への移行がスムーズに行われるようにするための援助技術について記述されています。また、これまで障害者は施設で面倒を見ればいいといったような関係者の考え方を改めるため、保護者や市民の理解の促進を図るということになっております。

「イ 施設の在り方の見直し」という点につきましては、入所施設は地域の実情を踏まえて真に必要なものに限定するということで書かれております。また、身近なところで施設を利用できるよう、通所施設や分場の整備を図るとともに、障害種別を越えた相互利用を進めることになっております。障害の重度化・重複化、高齢化に対応した専門的ケア方法の確立、高次脳機能障害、強度行動障害者などへの対応の在り方についても記述されているところであります。このように、入所施設については、一層の小規模化・個室化を図り、入所者の生活の質の向上に取り組むことになっておりますが、ただ、一方で、平成14年の議論の際には、施設を真っ向から否定するのではなくて、やはり必要な者には施設は絶対に必要なんだ、この点は絶対お忘れないようにお願い申し上げたいといった御意見も出されておりました。

「<5> スポーツ、文化芸術活動の振興」につきましては、特に身体障害者や知的障害者に比べ普及が遅れている精神障害者のスポーツについて、その振興に取り組むことになっております。

「<6> 福祉用具の研究開発・普及促進と利用支援」につきましては、先進的な研究開発の推進を行うとともに、その成果の普及を図るために積極的に標準化を進めるといった言及があります。

「<7> サービスの質の向上」につきましては、自己評価を進めるとともに、第三者評価機関などによる客観的なサービス評価の実施について記述されております。

「<8> 専門職種の養成・確保」につきましては、社会福祉専門職の養成やリハビリテーション関連のパラメディカル、さらにはホームヘルパーなどの質的・量的な充実を図ることになっております。

以上が2の部分でした。

次に「3 生活環境」という項目に移りますけれども、ここではユニバーサルデザインに配慮した生活環境の整備が挙げられておりまして、重点的に取り組むことになっております。

施策の基本的方向の「<1> 住宅、建築物のバリアフリー化の推進」につきましては、障害者向け公共賃貸住宅の供給、バリアフリー化された住宅ストックの形成を進めることとなっております。また、いわゆるハートビル法や設計者などのためのガイドラインの作成・周知等によって、建築物のバリアフリー化を促進するといったことが挙げられております。

「<2> 公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化等の推進」につきましては、いわゆる交通バリアフリー法やガイドライン等によって、バリアフリー化を推進することになっております。特に旅客施設を中心とした一定の地区においては、旅客施設、道路等のバリアフリー化を重点的・一体的に推進することとなっております。更にバリアフリー情報の統一的な提供や障害特性に配慮した情報提供を推進することにもなっております。

「<3> 安全な交通の確保」ですが、音響信号機等のバリアフリー対応型信号機等の整備や歩車分離式信号、歩車というのは歩行者と車という意味ですが、歩行者と車が分離された方式による信号の運用、障害特性に配慮した見やすくわかりやすい標識・標示の整備を図ることになっております。

「<4> 防災、防犯対策の推進」につきましては「イ 住宅等の防災対策」として、障害者等の所在の積極的な把握や訪問診断等を推進することになっております。また、住宅等において障害者の特性に配慮した防災設備の整備・充実を図るとともに、自主防災組織等による協力体制の確立、地域における災害対策などを推進することになっております。地域防災計画におきましても、自力避難の困難な障害者に対して必要な対応をすることになっております。また、緊急通信体制の一層の充実ということで、緊急通報システム、ファックス、Eメール等による消防、警察への通報体制の整備を図ることになっております。

「ウ 防犯対策」につきましても、緊急通信体制の充実ということで、同様の対応を図ることになっております。

平成14年の議論の際には、住宅、建物のバリアフリーという点で、ハードな意味で大体使われていると思うけれども、例えば知的障害者、精神障害者が公営住宅に単身入居できないとか、あるいはグループホームを利用する際に、目的外使用ということで非常に高い料金を取られるとか、ソフトな意味でのバリアも検討いただきたいという意見がございました。公共交通機関等においても、ハードな意味だけでなく、標識とか標示、サインの統一とか、そういうソフトな意味におけるバリアフリーや障壁の除去について、何らかの表現で絡めていただきたいといった意見もございました。

「4 教育・育成」という項目に移ります。

施策の基本的方向として、5つに分けて記述がございます。

「<1> 一貫した相談支援体制の整備」という点につきましては、障害のある子どもの発達段階に応じて関係機関が適切な役割分担の下に、一人ひとりのニーズに対応して適切な支援を行う。個別の支援計画を策定して、効果的な支援を行うということが挙げられております。

「<2> 専門機関の機能の充実と多様化」につきましては、教育・療育機関の機能の充実を図り、地域の教育・療育センターとしての役割を担うための体制整備を図ることにしております。具体的には盲・聾・養護学校、現在の特別支援学校、更には療育機関についてそれぞれ役割分担に応じた体制整備を図るということであります。

「<3> 指導力の向上と研究の推進」につきましては、教員や療育に関わる専門職員の専門性や指導力の向上を図ることになっております。また、平成14年当時は、盲・聾・養護学校の学校ごとに特定されている特別教育に関する免許制度の改善を図ることとしてあります。

「<4> 社会的及び職業的自立の促進」につきましては、教育、福祉、医療、労働等の幅広い視点から適切な支援を行う個別の支援計画の策定など、障害のある子ども一人ひとりのニーズに応じた支援体制を構築することになっております。生涯学習につきましては、教育・療育機関等が生涯学習を支援する機関として位置づけられることになっております。

「<5> 施設のバリアフリー化の促進」につきましては、施設のバリアフリー化を促進するとともに、学習を支援する機器や設備の整備についても推進を図ることになっております。これらの部分の議論の際には、特に知的障害と発達障害のある方々は高等学校段階で教育が終わってしまうため、大人になっていく人格形成、主体性の確立という観点から、生涯学習という観点を入れてほしいといった御意見、もしくは統合教育という言葉を使うかどうかということに関して、二元論か一元論かということではなく、一人ひとりのニーズに応じたきめ細やかな支援という観点が大切であるという意見も出ておりました。

以上が施策分野の前半の説明でございます。

藤井議長代理 それでは、分野別施策の4つの分野です。本当は1分野についてきちんと議論をした方がいいんですが、時間の関係もありますし、全体的にかぶってくる点もなくはありませんので、この4分野について一括して扱います。順不同でいきますので、発言したい方は挙手をお願いします。

大谷さん、川崎さん、北野さんという順番で発言していただきます。

大谷さん、どうぞ。

大谷委員 大谷です。

第1ラウンドのところで発言したかったんですけれども、併せて発言させていただきたいと思います。

東室長からとにかく基本理念をどうするのかということと、監視としてどのような体制がいいのか、理念と監視という2つの側面から検討してもらいたいという提案があったと思います。今日の位置づけに関しては、私自身も正直言って合点がいかないところがありますけれども、とりあえず来るべき政策委員会に今日の議論が引き継がれるであろうということを意識して発言させてもらいたいと思います。

そうだとするならば、2002年の段階でできた基本計画が、その当時の時代の状況、制約を受けるということからすれば、その限界は否めないことは明らかだろう思います。その点に関しては、先ほど関口さんが言ってくれたように、インクルーシブの理念が全然ないというのは明らかです。ただ、正直申し上げて、共生社会という言葉が掲げられながら、インクルーシブの理念が欠けている、このことをどのように考えるべきかと思いました。

決定的に欠けているのは、差別に関する禁止というか、差別に対する基本的な視点、姿勢がこの基本計画にはない。その後、2004年に障害者基本法が改定されて、1項設けられたにもかかわらず、平成19年(2007年)の5年後の見直しのところでどのように書いてあるかというと、今後の計画の推進方策に関しては、障害を理由とした不当な差別的取扱い等に関する救済措置の整備と書かれてはおりますけれども、それがこの4年間でどのようになったのか。きっとそのまま何もないのではないかと思いますけれども、やはり2002年段階になかった差別の視点が、5か年計画の平成19年(2007年)においても救済措置の整備という形でしか位置づけられなかったということで、共生社会そのものの位置づけがあいまいなまま放置されたのではないかと思います。

その結果、ポンチ絵の左側の重点施策実施5か年計画に基づき着実に推進したとなされている中に、自立支援法が制定されたことと学校教育法が改正されたことで、基本計画に基づいた法整備であると位置づけられております。しかし、今、我々は障害者自立支援法が自立生活に非常にマイナスであって、具体的に支援法とは言えないという地点にいる。学校教育法の改正に関しても、個別論になりますけれども、特別支援教育の制定、導入等々でより分離が進んでしまって、支援は確かに充実したかもしれないが、インクルーシブなともに学ぶ教育が後退した側面もあることからすると、着実に推進ということをここで前向きに評価していることが、そもそもおかしいのではないか。

ですから、今後やるべきことは、この10年の総括というか、基本計画の中でやられたことに関して、一歩前進したことと、そのことによって失われたこと、失敗したこと、後退したことがきっとある。そこをきちんと法制度上も確認し合うことから是非初めていただきたいと思いました。

話が変わりますけれども、理念と監視ということからすれば、理念はより明確に、監視はより具体的にするならば、理念そのものが共生社会と掲げられながら、差別の視点を欠いているということで、非常に問題があるとは思いますけれども、監視のところにおいても数値目標を導入している。数値目標によってどの程度具体化したかということが、平成19年の5か年計画の5年間の総括資料として本日配られていますけれども、具体的に何パーセント実施されたという形で、数値目標達成率とすると、非常に成績のいいところもある。

具体的に教育の方を言わせていただきますけれども、例えば21ページ以降になりますが、コーディネーターの指名などの支援体制の整備が70%台に達している。コーディネーターの指名は、例えば平成18年は20%台を何とか24年までに70%を達成するんだという形での目標値、達成期間を示しているんだろうと思います。しかし、この内実がどうだったのかということに関しては、点検し得ていない。ですから、数値目標が入り口の監視体制とすれば、1つの道しるべにはなるかもしれないけれども、中身に触れない限りは、もしかしたら間違った方向において設置されている可能性もある。そこをどうやってチェックするのかということは、理念を確実に皆さんで共有して、理念の点からもそれをチェックしていく体制が絶対に不可欠だろうと思っています。

一遍にいろんなことを言ってしまいましたけれども、先ほどの総論で言うチャンスがなかったことと併せて、教育の各論的なことを言わせてもらえれば、この10年、残念ながら特別支援教育の推進、それによって分離された傾向が強まってしまっているということからすると、この10年間を総括する形での抜本的な見直しを是非していただきたいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 今、おっしゃった前段の点については、恐らくこれからも深めていく必要がある。すなわち基本計画そのものの総括です。一体どこまで進捗したかどうかということに加えて、むしろ後退した面があるのではないかとか、一見進展したように見えるけれども、その本質はどうかという点でいうと、深い考察が要るという点での提起もあったと思います。これもまた最後の方と関わってきます。

それから、後段の方は各論の教育問題が中心でありました。

続きまして、川崎委員、お願いします。

川崎委員 精神障害者の家族会の川崎です。

先ほど来の大谷先生のお話と大変重なる部分があるんですが、10年前の基本計画の中におきましても、精神障害者施策の充実ということがうたわれておりまして、社会的入院の問題とか、ここに書かれております当事者の相談支援体制の充実とか、10年前にもうたわれているにもかかわらず、まさに私どもは今回の推進会議や基本計画にもこのようなことを一生懸命意見として述べてきました。実際問題として充実されていない現状を、先ほど来からありますように、関係省庁がこれを評価して、一体何が関係省庁として問題とされているか、それをこれからの基本計画の資料として掲げて、私どもが考えていかなくてはいけないのではないかという思いでおります。

以上です。

藤井議長代理 これを見た方で共通なのは、ほかもありますが、精神障害分野では恐らく9年前につくったこの計画が今にそっくり当てはまる。つまり何も変わっていなかったということだと思います。

川崎さん、そういう点でいうと、どうしてこういう状況になったままなのか、もう一言コメントいかがですか。

川崎委員 恐らく制度の整備がされていない。社会的入院に関しましては、退院促進ということで進められておりましたけれども、地域基盤ができていないとか、今回、総合福祉法の地域生活支援の中でいろいろと述べているようなことが、今後充実されていかなくてはいけないと思っております。

藤井議長代理 おわかりのように、厚労省ではこの間ビジョンをつくったり、大きな検討委員会で展開したと思うんですが、変わっていないというのは、重く受け止めるべきだと思います。

北野委員、お願いします。

北野委員 今日、皆さんの意見を聞いて、うちのメンバーは優秀だと思いました。特に新谷さんと関口さんが、全体のイメージが非常に医療訓練モデルであるとおっしゃられたのは、まさにそのとおりだと思いました。10年前はこうだったと思います。

4ページのところで、最初にぱっと見ると、活動し参加する力の向上というのは非常に美しい言葉ですごいと思うけれども、ぱっと下を見ると、予防と医療、リハビリテーションと書いていますから、当然力の向上というのは、訓練モデルにおける個人の力の向上と読まざるを得ないんです。ここは他の市民との平等を踏まえますと、他の市民との平等の下に社会に参加・参画する権利の展開とか、そういう表現にしないと、ここはどうしても今までのビジョンを越えていないと思います。

私が言いたいのは、9ページの「2 生活支援」の部分が表現として、やはり10年前のものだと思うんです。あのころ議論しましたし、私はその時にも言いましたけれども、利用者本位という言葉が気になる。利用者本位というのは、サービスを利用するということなんですけれども、ここは地域生活の主体でありますので、利用者ではなくて、本人主体とか本人中心の生活支援という表現にしていただきたい。サービス利用者本位ではない。そこの表現は明確に変えていただきたい。

あと、9ページの<1>のアの中身でも「各種の生活支援方策を中心として」とケアマネジメントの表現がありますけれども、表現としては、本人の自己決定、自己選択をする本人を中心ということをうたうべきであって、サービスを中心にうたうべきではないと思います。

障害者相談員ということもありますけれども、これは今ある制度ですが、今後もう少し広げて、ピアカウンセリングであるとか、ピアサポートを行う当事者という広い概念を今後展開できるような表現にしていただきたい。

10ページですが、せっかく私たちは障害者基本法の改正も行いましたし、虐待防止法もつくりましたので、できましたら「イ 権利擁護の推進」は順番を入れ替えていただいて、財産権問題を中心にせずに、障害者本人の希望する地域で生活する権利等に関する権利侵害に対応するために、虐待防止法を含む福祉制度や福祉サービスに関する権利擁護システムを地域において導入していく。ここをメインにしていただいて、あとの財産権の問題は順番を入れ替えていただくことが望ましいのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 あと6~7人手が挙がっていますので、少しずつ時間を短縮して、結論から述べていただくように留意してください。

佐藤委員、お願いします。

佐藤委員 日本社会事業大学の佐藤久夫です。ありがとうございます。

「2 生活支援」の10ページのところに「ウ 障害者団体や本人活動の支援」とありまして、この中で「地域障害者本人や精神障害者本人の意見が適切に示され」云々で「当事者による政策決定プロセスへの関与等を支援することを検討する」と書いてあります。私はこの基本計画の中で評価できる幾つかの点の中で、非常に大きな部分がこれではないかと思っているわけです。

内閣府のホームページを見ますと、地方自治体で障害者施策推進協議会とか福祉計画の策定委員会などを設けているところで、委員の構成がどうなっているかということを毎年調査して、ホームページで公表しているわけですけれども、それを見ますと、市町村レベルで設けていないところもあるんですけれども、全体で816の自治体でこうした委員会が設けられて、計画づくりがなされている。その状況を見て、非常にラフな言い方をしますと、1つの策定委員会に2人の身体障害者が委員として参加している。そのうちの1人は肢体不自由者で、もう一人が視覚か聴覚か内部のどれかという感じです。

これに比べて、816の自治体の中で知的障害者の委員というのは37名、精神障害者は60名ですので、知的障害者を委員として持っている自治体というのは、22の自治体の中で1つ。精神障害者を委員として持っている自治体は14の自治体の中で1か所ということで、身体障害者の参加は当たり前になってきたけれども、知的と精神というのはまだ例外的な状態だということで、どういうふうに参加の検討がなされて、活用がなされているのかということをきちんと総括しないと、次の10年には入れないという感じがします。

共用品推進機構などで、アクセスシブルミーティングといいますか、だれでも参加しやすい会議というマニュアル的なものが、今年JIS規格になったと思いますけれども、そういうものがどういうふうに現場で普及して、活用されているのか。大谷委員が言われたように、形だけ委員に入れればいいということではなくて、どういうふうに実際の本音がそこで表明されて、評価されているのかということが大事ですけれども、とりあえずは参加すらしていないという状態を何とかしなければいけない。この辺の総括をしながら、次につなげていければと思いました。

以上です。

藤井議長代理 大事な視点だと思います。

関口委員、お願いします。

関口委員 ちょっと戻りますけれども、6ページに「精神障害者に係る保健・医療・福祉など関連施策の総合的かつ計画的な取組を促進する」とありますが、これは明らかに精神障害者が施策の対象で、権利の主体ではないです。

そうとはいえ、文章を見ると、いいことも書いてあるんです。障害者相談員ということは、第二次意見ではちゃんと言っていたんですけれども、法律からは削られました。いいところは継承していったらいいと思います。ただ、問題は基本法だけに縛られているのではなくて、自立支援法にもかなり影響を受けているのではないかという気がしまして、ケアマネジメントという言葉が9ページにも出てきますし、11ページの精神障害者のところにも出てきます。ケアマネジメントということもいいんですけれども、セルフマネジメントという概念も出たはずなので、その辺のところはいかがかというところが1つあります。

もう一つですけれども、15ページに飛びます。公共交通機関のところで、これは国土交通省に規則があるらしいんですけれども、いわゆるJRの運賃割引の問題で、規則に知的と身体は載っているが、精神は載っていないという話があります。この辺はバリアフリーだけではなくて、厚労でだめならば、国土交通省にちゃんと申し入れをすることが必要だと思います。

以上です。

藤井議長代理 他の市民との平等以前に、障害種別間の不平等解消ということが、後半の方では出ていました。

順番としては、尾上さん、松井さん、堂本さん、大濱さんという手が挙がった順番でいきます。

尾上さん、お願いします。

尾上委員 尾上です。どうもありがとうございます。

今回、改めて平成14年(2002年)にできた障害者基本計画を見せていただいて、やはり10年間というときの流れの大きさ、特に障害者権利条約ができ、推進会議の議論というのは大きい意味があったということを改めて思いました。

その上でなんですけれども、細かな点というか、具体的な点に入らせていただきます。先ほどの川崎さんの御意見とも関係するんですが、基本計画の後、2004年に精神保健医療福祉の改革ビジョンということで、そのときはたしか社会的入院の解消者は7.2万人という数字が出されていたと思うんですけれども、それを今回の資料5ではどういうふうに読めばいいのか。数字の細かなところの質問というよりは、果たしてこういう数値目標の設定の仕方が適切なのかということで意見を述べたいと思います。

つまり障害者権利条約、あるいはそれに基づいて推進会議で議論をしてきた第一次意見、第二次意見、更には先日の総合福祉法の骨格提言、いずれも一番のコアになっている課題の1つは、地域生活の権利をいかに実現していくかということだと思います。2004年の改革ビションでは7万2,000人の社会的入院の解消と精神科病床の削減を7万床するということが数値目標として出されておったわけですが、今日の資料5では、2枚目の真ん中ぐらいに「退院可能精神障害者」とあります。真ん中のところで、計画開始前4万9,000人となっています。7万2,000人から2万3,000人もの人が社会的入院の方が地域移行されたというデータは、私は見たことがありません。それだったら非常にいいんですけれども、なぜ7万2,000人が4万9,000人になり、更に4万9,000人はそもそも解消されなければならないのに、3.7万人の減少という形で、数字だけ追いかけていくと、いつの間にか値引かれていっているのではないかという危惧を持ったりするわけです。

細かな数字の部分というよりは、今回、総合福祉法の骨格提言では、地域生活資源の整備の10か年戦略をつくろうということを提起しています。その中では、例えば長期に入院、入所している障害者の地域移行のための住まいや必要な支援を重点的に行う。あるいはこの件に関わって、数値目標の設定は入院者、入所者、グループホーム入居者などの実態調査に基づかなければならない。この調査においては、入院、入所の理由や通所、退院を阻害する要因、あるいは施設に求められる機能について障害者への聞き取りを行わなければならない。入院、入所の方々の聞き取り調査を実際にやって、それでちゃんと数値目標を設定しましょうということを掲げています。いつの間にか7万2,000人が4万9,000人になったり、3万7,000人になったりということからすると、本来社会的入院という方がどれぐらいいて、これは去年の推進会議でも申し上げましたが、大阪府などでは社会的入院は人権侵害である、社会的入院は人権侵害であるという認識から目標をちゃんと設定されなければならないのではないかというのが1点です。

もう一点、地域生活の実現に関連してなんですが、こちらも資料5の1ページ目を見ますと「地域移行の推進」の「訪問系サービス」というところで、計画開始前は325万、それに対して目標が552万、5年間で約200万時間、1年当たり40万時間ぐらい伸ばしていきましょうということなんですが、2年経って実際には325万から366万ということで、40万ぐらいしか増えていないわけです。つまり目標値に対して、その半分ぐらいしか1年単位で言えば伸びていないという話になります。

一方「日中活動系サービス」は、既に数値目標825万に対して、21年度ベースで831万人ということで目標が達成されています。これは先ほど佐藤先生がおっしゃったこととも関連するんですけれども、こういう数字を行政としてアウトプットすればいいということではなくて、そのことによって本当に必要な地域生活が実現できているのか、あるいは地域生活を実現していくために、どういった目標数値を設定していくべきなのか。そういう意味で、しっかり障害者の実態調査に基づいた数値目標の設定が必要だということを申し上げたいと思います。

教育のところなども申し上げたかったことはあるんですが、先ほど大谷さんがおっしゃられたこととも関係しますが、障害者基本法の改正を受けて、しっかりとインクルーシブ教育といったことも、この基本計画の次の見直しの中では入れ込んでいく必要があるということ。

最後1点です。基本計画の17ページのところに「<4> 防災、防犯対策の推進」ということで「ア 災害対策」「イ 住宅等の防災対策」が書かれています。例えば自力避難の困難な障害者が居住する住宅及び避難所となる公的施設などの整備とか、あるいは自力避難の困難な障害者に対する防災知識の普及や災害時の適切な情報提供、避難誘導などの支援について位置づけると書かれています。でも、この前、5月に推進会議でも議論いたしましたけれども、今なお続く被災地の困難な状況を考えたときに、白々しいというとちょっと失礼な言い方ですが、本当にこれがしっかりやられていれば、もう少し何とかなったという思いを禁じ得ないわけです。是非ここで2002年にこう書かれていたのが、どういうふうに進んで、なぜ東日本大震災でああいう状況が生まれているのかということを、行政の担当者の方からもお聞きしたいですけれども、被災地の方をお招きして、ヒアリングというか、ここの部分は検証してほしいということをお願いしたいと思います。

藤井議長代理 時間がきてしまっているんですが、3人手が挙がっていますので、松井さん、堂本さん、大濱さんという順番でいきます。極力簡潔にお願いします。

松井委員 松井です。ありがとうございます。

簡単にまとめたいと思いますけれども、就労に関しては、12ページの「<4> 施設サービスの再構築」の中に入っているのと、次の項目で「5 雇用・就業」ということになっておりますが、総合福祉部会の作業チームの中では、いわゆる労働施策と福祉施策を一体的に展開するということで、2つに分けているのはおかしいということで提言したわけですけれども、それに対して、厚労省からのコメントでは、作業チームが提案している大部分については、来年度中に見直しをするということになっています。特に第一次意見の各論部分については各省マターになっていて、各省がいつまでに検討するとなっていて、そういう意味では、現在のタイミングと各省の検討のタイミングが必ずしも合っていない。その辺は先ほど問題提起させていただいたように、政策委員会と各省との関係をどう位置づけるのかということを整理しないと、こちらで検討しても、それは勝手にやっているわけで、各省としては関知しないということになりかねないので、そこはきちんと整理していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 今のお話は、時間的な点での調整もあるけれども、権限という点での調整、多分両方の意見があったと思います。現在、政策委員会は政令の準備が始まっていますので、こことも関係してくる問題かと思います。

堂本委員、どうぞ。

堂本委員 ありがとうございます。

私の言いたかったことは、尾上さん、川崎さん、関口さんのおっしゃった精神障害のところです。基本的なことはおっしゃったので、繰り返しません。

私が気になるのは、権利条約を批准するときに、他の領域と比較できないほど精神医療の分野では人権が侵害されてきました。この程度の書き方だと、抜本的な改革には程遠く、条約を批准するに当たっての人権的な視点がいかにも欠落していると思います。

11ページですけれども、くせ者は条件が整えば退院可能になるという言い方です。これこそが一番のくせ者で、医者が決める条件が問題なわけです。これは福祉に関しての計画だから、医療のことは書けないのでしょうが、こういう書き方は違うのではないか。入院の必要のない人は、直ちに退院させる、というぐらいの書き方でいいと思います。

それから、終始、主張し続けてきたことは、精神障害者は居住生活の場所があったり、ケアマネジャ―がいればいい、というのではありません。病院から地域への移行の途中の中間的なところ、例えばクライシス・ハウスのような、駆け込み的なところができれば、入院をしなくて済むようになります。また、それは退院しやすいシステムです。

次は17ページの防災のところですけれども、尾上さんもおっしゃいましたが、今度の東北の大震災で一番困難に直面したのは、高齢者や障害者、乳幼児を連れた女性たちです。こうした事態を解決するには、当事者の経験を踏まえた意見を聞くことが必要です。当事者でないとわからないことだらけだからです。当事者が主体となって防災対策をつくるべきです。ありがとうございました。

藤井議長代理 大事な御指摘でした。特に後半の方は、尾上さんの御発言と関わって大事です。

大濱委員、いいですか。

大濱委員 大濱です。

前段の総論、地域生活基盤の整備というところで申し上げた方がいいのか、今回で申し上げた方がいいのか迷ったのですが、先ほど尾上さんが資料5を使われていろいろお話をされたので、私もあえて言わせていただきます。やはり精神障害者のこの数字が不思議だと思いました。これは率直に見ても不思議な数字で、しかも、これは21年度の実績ベースで出ていなくおかしいと思います。

ここで言われている一番大事なことは、地域移行の推進だと思っています。その中で訪問系サービス、資料5にありますように、522万時間は非常に重要な数字だと思っていますが、実質的にこれはほとんど伸びていない。実績でも366万時間ということでして、366万時間は若干伸びているのですが、どういう中身が伸びているのか。むしろその方が重要でして、単に数字が何万時間伸びればいいというだけではなくて、その中で実際に重度障害者が地域で暮らすことができているのか、そういう検証がほとんどされていません。きちんと監視されていないということが、この中では非常に問題なのではないでしょうか。

なおかつ住居の確保のところで書かれている言葉でいいますと、グループホーム及び福祉ホームなどについて、重度障害者のニーズに応じて対応できるように、量的・質的にとあります。まるで重度障害者はグループホームとか福祉ホームに入ればいいんだという書きぶりになっているわけです。しかし、重度障害者の地域移行で基本となるのは、一人ひとり自分の住む場所は本人が決めるべきだという理念です。これに立ち返って、インクルーシブな社会の中で、重度の障害があっても、他の者と平等に暮らしていくという理念をきちんと押さえておかないと、これからの新たな基本計画の枠組みの中にはそぐわないと思います。

以上です。

藤井議長代理 東さん、コメントございますか。いいですね。

このコーナーは9人に発言いただきました。恐らく全員発言したかったと思います。

門川さん、手が挙がりましたか。お願いします。

門川委員 門川です。

この基本計画ができた時点から考えると、全然変わっていないことがあります。それは私たち視覚と聴覚の両方に障害がある盲ろう者です。この基本計画には視聴覚障害者という言葉が出てきていますけれども、視聴覚障害者はイコール盲ろう者ではありません。この表現は気をつけて使っていただきたいと思います。

例えばどこに入っているのかわからないんですが、ユニバーサルデザインということで、金融機関のATMであるとか、駅の券売機であるとか、自動販売機であるとか、そういったものはますます私たち盲ろう者には使えなくなってきているんです。ユニバーサルデザインという表現は美しい表現なんですけれども、見た目重視、触った感じがいいということが重視されているだけであって、だれもが使えるものにはなっていないんです。私たち盲ろう者が使えるようにしてほしいということで、この基本計画はお役所の人が見た感じではよくできていると思われるかわからないですが、当事者の立場からすると、非常に不足している部分が多いです。

もう一点いいますと、交通の安全ということに関しても、ホームから転落するという事故が多発していて、可動式ホーム柵をつくるとか、そういったことも盛り込んでいただかないといけないと思います。24年度以降に新しく基本計画を作成する際には、社会背景も考えながら、正しい数値目標、正しい項目を入れていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

以上です。

藤井議長代理 構成上のことについては、今日の第4コーナーを始め今日以降論議が続くと思いますので、そういう場でまた御発言をお願いします。

後段も4つの分野をやりますけれども、この段階で出てきていることは、精緻な総括をしようということです。

もう一点は、数値目標を達成しても実態は変わらずということで、これは一体何のための数値目標だったかという、目標値自体の検証についてもどうするのかということ。それから、出ている目標値自体は同じ政府でありながら、変わってきているというのは一体何なのかという疑問です。これは恐らくどこかでお答えいただけると思います。

もう一点大事なことは、この間くぐってきた問題でいうと大震災です。基本計画で言われているガイドラインや計画がどこまで有効だったのか。もし有効だったとすれば、NHKの報道にあったように、障害者の死亡者率、犠牲者率が一般市民全体平均の2倍というのは、どういうことなのか。2倍というのは、まさにこれは人災であったのではないか。

こういう点での厳しい検証が求められること等々、勿論当事者参画だとか障害当事者がつくっていくことの大事さも異口同音に出ていました。

更に後半の4つで深めていこうと思いますので、一旦ここで15分間休憩をします。細かいんですが、17分から始めます。時間が大分押していますので、15時17分には参集して開始をしていきましょう。休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、時間がまいりましたので、再開させていただきます。

第3コーナーに入りますが、この後、大事な全体の構成だとか、今後のことに触れたり、推進体制のことが残っていますので、このコーナーは16時をめどにして進めてまいります。

後半の残りの分野別施策「5 雇用・就業」「6 保健・医療」「7 情報・コミュニケーション」「8 国際協力」ということで、引き続き議論を展開してまいります。

東室長より、基本計画の4つの分野の大まかな内容を説明願います。

東室長 担当室の東です。

分野別施策の「5 雇用・就業」からです。

施策の基本的方向「<1> 障害者の雇用の場の拡大」という項目がございます。

「ア 障害者雇用率制度を柱とした施策の推進」となっています。その中で、精神障害者につきましては、今後雇用率制度の対象とするための検討を掲げております。また、採用後に発病した精神障害者につきましては、円滑な職場復帰や雇用の安定のための施策の充実を図ることになっております。除外率制度につきましては、平成16年度より段階的に縮小を進めて、一定的の準備期間を置いて廃止することを目指すとなっています。

「イ 障害者の能力・特性に応じた職域の拡大」につきましては、特例子会社制度を積極的に活用して、グループ内企業に共通する業務の集中処理などによる障害者雇用の拡大を図るとともに、グループ企業全体としても雇用を促進することとしております。

「ウ 障害者の働きやすい多様な雇用・就業形態の促進」につきましては、短時間雇用、在宅就業等に必要な支援、環境づくりに取り組むとなっております。

「エ ITを活用した雇用の促進」につきましては、職域の拡大、雇用・就業形態の多様化、職業能力の開発などの面でITを最大限活用することになっております。

「オ 障害者の雇用・就業を行う事業の活性化」につきましては、官公需における障害者多数雇用事業所など、更に障害者雇用率達成状況への配慮の方法について検討することになっております。

また、障害者の創業・起業等も支援することになっております。

「<2> 総合的な支援施策の推進」という項目では「ア 保健福祉、教育との連携を重視した職業リハビリテーションの推進」につきまして、障害者の職業生活全般にわたり、福祉、教育など各機関が連携を図りながら施策を推進することになっております。

「イ 雇用への移行を進める支援策の充実」という点につきましては、トライアル雇用の活用や授産施設等における支援、更に盲・聾・養護学校の在学中から卒業後までを通じた支援などによって、雇用への移行の促進を図ることとしております。また、障害者が就業する上で、必要な各種の資格で不利にならないように、高等教育機関等の試験等で必要な配慮を進めることになっております。

「ウ 障害者の職業能力開発の充実」につきましては、障害者職業能力開発校において、障害の重度化・重複化、障害者の高齢化など、訓練ニーズの多様化に留意しながら、サービス経済化や情報化の進展、また除外率制度の縮小に伴います雇用ニーズの動向、そういったものを踏まえて職業訓練を促進することになっております。また、在職の障害者向けの訓練についても実施することになっております。更に訓練を実施するに際しましては、民間の職業訓練機関等を活用した委託訓練を幅広く実施することによって、障害者の職業能力の高度化を図ることになっております。

「エ 雇用の場における障害者の人権の擁護」につきましても、適切に対応するということで、項目立てがなされております。

「6 保健・医療」です。

「<1> 障害の原因となる疾病等の予防・治療」につきましては「ア 障害の原因となる疾病等の予防・早期発見」がありますが、ここでは適切な予防・早期発見、治療の促進を図り、出生から高齢期に至る健康保持・増進等のため、健康診査などの各種施策を推進することになっております。

「イ 障害の原因となる疾病等の治療」という面につきましては、精神疾患や難治性疾患患者に対する治療、保健サービスについて、福祉サービスとの連携を踏まえたサービスの供給体制について検討し、その充実を図ることになっております。

「<2> 障害に対する適切な保健・医療サービスの充実」があります。ここでは障害の軽減、重度化・重複化、二次障害、合併症の防止を図るとともに、障害者に対する適切な保健サービスを提供するということで、特に小児に対しては、障害に対応した成長発達を支援することになっています。

「<3> 精神保健・医療施策の推進」という面につきましては、一般国民の心の健康づくりについても対策を講じることが記述されております。また、精神障害者に対する保健・医療施策を一層推進することになっております。

「<4> 研究開発の推進」という点につきましては、最新の知見や技術を活用しながら、障害の原因となる疾病等の病因・病態の解明、予防、治療、再生医療等に関して研究開発を促進することになっております。これらの部分の議論に際しましては、臨床心理士が果たしていく役割が大変大きくなっており、同時にソーシャルワーカーが果たしていく役割は大きいものがあるので、その辺は明確に果たしていただきたいといった御意見もありました。

「7 情報・コミュニケーション」の部分でございます。

「<1> 情報バリアフリー化の推進」という点が挙げられております。障害者にとって使いやすいように配慮した情報通信機器についての設計の指針などを日本工業規格化することですが、それとともに、各省庁、地方公共団体は公共調達において障害者に配慮した情報通信機器、システムの調達に努力することになっています。

「<2> 社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及」を挙げてあります。ここでは障害者の積極的な社会参加を支援する観点から、電子投票の導入など情報通信システムの開発・普及を促進することになっております。

「<3> 情報提供の充実」という面についてでありますが、聴覚障害者情報提供施設の全都道府県での整備などを促進するということが書かれております。

「<4> コミュニケーション支援体制の充実」という点につきましては、各種サービスの窓口において、手話のできる職員の育成、配置を働きかけるとともに、国民の手話に対する理解と協力を促進することになっております。これらの部分の議論に際しまして、例えば聴覚障害者については大変丁寧に書いてあるけれども、視覚障害に関しては全く触れていないので、視覚障害者に対する情報バリア、コミュニケーションの点を書き入れてほしいとか、知的障害者の情報提供支援は余り言われていないといった意見もございました。

「8 国際協力」です。「<1> 国際協力等の推進」「<2> 障害者問題に関する国際的な取組への参加」「<3> 情報の提供・収集」「<4> 障害者等の国際交流の支援」などにつきまして、記述されているところであります。

簡単ではありますが、説明としては以上です。

藤井議長代理 それでは、30分ちょっとございますので、また順番に発言いただきますが、このコーナーで発言を求めたい方は挙手をしていただけますか。新谷さん、松井さん、中西さんの順番でまいります。

新谷さん、御発言をよろしくお願いします。

新谷委員 新谷です。

「7 情報・コミュニケーション」なんですけれども、この10年間のタイムギャップを感じるんですが、そもそも情報・コミュニケーションの取扱いのところで、レイヤーを抜本的に改めた基本計画をつくる必要があると思います。情報・コミュニケーションというのは、人間が生命維持活動をしたり、移動したり、コミュニケーションするという非常に基本的なベースになる領域なので、障害者権利条約がコミュニケーションの定義を冒頭に置いたり、今回の改正障害者基本法が第3条の基本原則の中に情報・コミュニケーションの問題を置いている意味を考えて、今回の障害者基本計画の細かな点はこういう7という項目立てでもいいかもわかりませんけれども、そもそも情報・コミュニケーションというのは、生命維持と並べるぐらいの基本的な問題として冒頭の何条かのところに計画として位置づけて、それから、細かな敷衍した問題を各則、各項目で書くという位置づけが新しい障害者基本計画については必要ではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 松井さん、お願いします。

松井委員 ありがとうございます。

「5 雇用・就業」を中心に話をします。これは全体に通じることだと思いますので、問題提起したいと思います。

本来であれば、基本方針というのはどのような現状認識をしていて、その現状を改善するために何をすべきかという順番だと思いますけれども、例えば雇用・就業だと、厚労省は特に大企業を中心に雇用率制度は非常にうまくいっているとおっしゃいます。しかし、厚労省の実態調査を見ると、2003年と2008年調査では約5万人、つまり約50万人から約45万人ぐらいに減っているんです。雇用率制度の対象とするところは確かに増えていますが、トータルでは減っているので、そのために何をすべきかということが当然あってしかるべきですが、そういうことは何ら触れられていない。

もう一つ、例えば先ほどの5年ごとの実態調査にしても、この数字が減っていることについては問題ではないかというと、この実態調査は必ずしもちゃんとした数字、確実な数字をつかむためのものではないということなんですけれども、何のために実態調査をやっているのか。もしそれできちんとした数字がつかめないのであれば、当然つかめる実態調査をやるべきだろう。そういう意味で、きちんとしたデータが取れるような調査をやる必要がある。障害のある人とない人のギャップというか、例えば就業率にしても、あるいは雇用の条件にしても、違いがあるとすると、どこが違うのかということをきちんと把握して、そのギャップを縮めるために、あるいは平等にするために何をしなければいけないか。そういう観点が欠落しているということが、この基本計画の非常に大きな弱点だと思いますので、次回の計画においては、その弱点を是非とも埋めていただきたいとお願いしたいと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 全部にかぶってくるということですが、現状評価がなされていない。なされていないのも理由があって、データが余り正確ではない。データを取るときに大事なことは、他の者との平等を基礎にという、条約でいう他の市民との関係を基準としたデータ収集が全面に関係するという趣旨だったと思います。

中西委員、お願いします。

中西委員 中西由起子です。

「6 保健・医療」の部分は、基本法の医療、介護の流れからというと、かなりきめ細か過ぎて、障害者の直接なエンパワーメントと関係する以外のものも入っているので、この部分は次の討議で変わってくると思います。期待しています。

もう一つ「8 国際協力」に関しても、ここはアジア太平洋だけが主になっていて、今後の国際協力は世界全般を対象としなければいけなくて、国際協力の書き方も基本法の中の国際協調の部分に合わせて、アジア太平洋以外のその他全部のところを対象に、リハビリテーション技術等の交流というか、情報の交換、技術の提供が中心にまず一番最初に出てくるんですけれども、それ以外の部分で一番最後にある障害者団体との国際交流が一番最初にきて、その上での国際交流にすべきだと考えます。

以上です。

藤井議長代理 順番として、長瀬さん、大濱さん、大谷さんという順番でまいります。

長瀬さん、お願いします。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。

「7 情報・コミュニケーション」につきましては、先ほど新谷さんがおっしゃってくださった点でカバーされましたので、申し上げません。

「8 国際協力」について申し上げたいと思います。今、中西さんがおっしゃってくださった点と大分重なるのですけれども、1つは実績として、先ほど佐藤委員の具体的にプラスに評価する部分をきちんと見なければいけないということで申し上げますと「<1> 国際協力等の推進」の次の「<2> 障害者問題に関する国際的な取組への参加」は、2002年に始まった障害者の権利条約の策定過程におきまして、日本が非常に積極的に参加することができたという意味で、<2>のところは相当程度できたのではないかと思います。ただ、障害者の権利条約の取組みについて、引き続き積極的な姿勢を具体的に示していくことが非常に重要な点になると思います。ですから、この点を更に発展させることが課題になると思います。

今、開かれている国連総会におきまして、重要な障害者問題についての議論が行われていて、残念ながら、日本政府は消極的な姿勢を示しているという情報が伝わってきております。

例えば障害者の権利委員会という国際的な障害者の権利条約のモニタリングの仕組みがありますけれども、現在、年2回それぞれ1週間ずつしか開かれていません。既に20か国ぐらいから条約の実施に関する最初の報告書が出されていますけれども、1週間で審査ができるのは、せいぜい1つないし2つです。このペースですと、きちんとまじめに条約の実施に取り組んで出した政府の報告書が、数年、下手をすると5年ぐらいはたなざらしになってしまうということで、せめて年2回開催で、今の倍のそれぞれ2週間にしようという提案が出されていますけれども、これについても日本政府は消極的な態度を示しているという情報があります。

また、現在、国際社会は2015年までに貧困の問題を半分にするということで、ミレニアム開発目標というものがあって、その実施に取り組んでいますけれども、それには障害の問題、障害者のことが含まれていないという重大な欠陥があります。2015年の後、ミレニアム開発目標の次の目標の議論が来年から始められるという状況になってきていますけれども、それに先駆けて、来年の国連総会の冒頭でハイレベルミーティングという形で障害と開発に関しての重要な国際会議を開こうという動きがあるのですが、残念ながら、これについても日本政府は消極的という情報が入っております。

せっかく条約交渉の過程で非常に積極的な参加を示すことができたわけですけれども、更に次のステップについて、引き続いて取り組む必要があるということを申し上げたいと思います。

ありがとうございます。

藤井議長代理 大濱さん、どうぞ。

大濱委員 大濱です。

前回の推進会議でも話をさせていただいたのですが「6 保健・医療」のところで、これからの大きな課題として尊厳死問題が挙げられると考えています。今、日本尊厳死協会や尊厳死議連が動き始めています。尊厳死・安楽死は必要だということを一部のグループが言っているわけです。その背後にはピーター・シンガーのバイオエシックス、生命倫理の問題があると思います。たとえば、植物人間とか遷延性意識障害と言われる人たち、ALSの人たち、重症心身障害児(者)、このような人たちが医療の発展とともに非常に増えています。従って、こういう人たちを無視した政策にならないように、保健・医療のところで、今後の10年でどうやってこういう人たちの命を担保していくか、私たちはこの課題に非常に責任があると思います。

重度障害者、重症心身障害児(者)、ALSの人たちは、今、尊厳死問題という危機に立たされて苦悩しています。今後の10年の新たな計画をつくるのであれば、この問題をきちんと取り入れていかなければいけないと思っています。これは第4コーナーになるのかもしれませんが、あえてここで発言させてもらいます。

藤井議長代理 とても大事な指摘で、より困難なところに焦点を当てることが全体の底を上げるということは、こういう場でずっと繰り返し言ってきましたし、こういう場に来られない方がいっぱいいるわけですから、そういうところに思いをはせながら考えていくことも、我々委員の使命だろうと思います。

大谷さん、堂本さん、関口さんという順番でまいります。

大谷さん、お願いします。

大谷委員 大谷です。

「6 保健・医療」のところで意見を出したいと思います。総合福祉法の部会の方に障害児支援ということで意見を出しました。これは総合福祉法改正だけではなくて、児童福祉法にも絡む問題ですので、今回、総合福祉法が制定されても、児童福祉法の改正問題が残るだろうと思います。そこで重要な障害児の医療、療育に絡むことに関しても意見を出していますので、それがここでも引き継がれて、基本計画の中に十分に盛り込まれるべきだと思います。

具体的には、地域で、身近なところでの医療、療育保障に関して、基本法でも可能な限りとなりましたけれども、一応入りました。ですけれども、ここでの基本計画にはその視点が全く欠けていて、早期発見は書いてあるが、地域の中で一般の子どもとともに育つための療育保障という視点が欠けていますので、是非その視点を盛り込んだものにしていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 堂本さん、いいですか。

堂本委員 私も「6 保健・医療」のところにコメントします。先ほどの精神障害に関して、地域移行のところはほんの4行ぐらいしか書かれていなかったんですが、それとは逆にここは精神障害について微に入り細に入りいろいろ書かれているんですが、内容は徹底した医療モデルです。

特に気になっているのは、30ページの「イ 精神疾患の早期発見・治療」なんですけれども、いかにも聞こえはいいんですけれども、その下にある専門診療科以外というフレーズのところで、さまざまな救急ニーズに対応できる精神科救急システムを確立するということが書いてあります。これも見かけからいえばいいんでしょうけれども、実質は、人権的な視点から適正な手続がとられるかどうかです。その点は障害者基本法の改正に際しても一番議論したところです。あっさりこのように書かれてしまうことが、私はとても心配です。ここに人権的なことはほとんど書いていない。二行だけ人権についてかいてあるだけです。人権的な視点からの適正手続に基づいた救急システムの確立というのが、どんなに救急の状況でも必要です。

その下に精神医療における人権の確保を図るとあって、「都道府県の指定都市に対して精神医療審査会の機能を充実」とありますけれども、現在、審査会は全く機能していません。現行のシステムを幾ら充実しても機能するようになるとは考えられません。人権を担保するために、都道府県の審査会以外に、例えば弁護士とか司法の人が病院に立ち入って、人権を確保できるようなシステムが必要だと思います。現行のシステムの充実・適正化というのが逆に恐いという気がしました。

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する適切な医療の確保を推進という辺りも、私は触れておきたい。

最後にもう一つだけ、31ページに難病の問題があるのですけれども、難病の方について生活の質の改善ということが書いてあるのですが、難病の方たちの生活をどう担保していくか、についても公平の視点から書かれていいと思います。

以上です。

藤井議長代理 堂本さんに質問いたしますけれども、堂本さんは医療の合同作業チームでずっと頑張ってこられたんですが、今日こうして伺っても、先ほどから精神が出ています。政策自体がおかしいのか、政策の運用がおかしいのか、政策のつくり方がおかしいのか、どういうふうに感じられますか。

堂本委員 政策のつくり方がおかしいと思います。それはライシャワー事件までさかのぼって、そのときにやはり国策を間違えたとしか言いようがない。これは厚労省の方に話してもそうなんですが、あのときに間違ったんですとおっしゃっていまして、その間違えを一言で言わせていただければ、民間病院でやってしまったということです。憲法で保障されている人権、自由というものを担保するのであれば、諸外国がそうやったように、公的な病院でやるべきことをその時点で民間に委託してしまったために、人権とは別の経営的な視点が入ってきていることが、日本をこういうふうに混乱させていると思っています。

以上です。

藤井議長代理 関口委員、どうぞ。

関口委員 関口です。

古い基本法と新しい基本法で違っているところを読みたいと思います。まず古い方は、国及び地方公共団体の責務は障害者の福祉を増進することなんです。新しい方の基本法は基本原則にのっとり、基本原則というのは障害者の人権を保障しているわけですけれども、それにのっとって障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有するとなっています。つまり政策を実施する責務を有するということは、法律をつくったり、変えたり、やめたりすることが責務になっているんです。

例えば精神医療でいうと、精神保健福祉法というものがあって、医療と保護ということになっています。医療については、30ページにEBMと出ていますけれども、根拠に基づく医療というものは、政府もはっきり言って、きちんとなされていない水準だと認めているわけです。根拠に基づかない医療というのは何かというと、医者によって治し方が違うということなんです。こんなことが医療の分野であっていいのかということが1つあります。

そうだとしたら、これは医政局がきちんと監督すべきだ。保護の部分については、社会・援護局が保護してもいいですけれども、病院に置いておく必要はないだろう。病院は治療するところです。ですから、そういう1つのレール、根拠となる法律があって、今の状態ができていて、今の状態が続いているんだということを認識するならば、基本原則にのっとって自立及び社会参加のためにする施策というのは、もう目に見えているのではないでしょうか。それは精神保健福祉法を廃止して、新たに退院促進のための特別立法をするなり何なりをして、地域に戻して、なおかつ医療基本法をつくって、患者の人権を保障するということをやる。医療の中にちゃんと包摂するということだとしか思えないんです。そういうことも含めて、国及び地方公共団体の責務というところに書き込まれているわけですから、私としては、そこのところを非常に強く求めたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 政策はつくりっ放しではなくて、実施という辺りが、今、言われていましたように、多分これからの第4コーナーあるいはこれ以降の論議のポイントかと思います。

少し時間があるので、まだ発言していない方を優先していかがでしょうか。当てます。ほかにいいですか。次の方に時間を取りたいと思います。

竹下さん、どうぞ。

竹下委員 竹下です。

「5 雇用・就業」のところで、気になることが2点ありまして、1つは雇用・就業という命題でありながら、雇用でほぼ尽くされているんです。私は一貫して言っているんですけれども、障害者の中では自宅就労または自営という方が、それなりに大きな社会参加、自立の役割を果たしているわけでして、とりわけ視覚障害者の場合、鍼、灸、マッサージの基本は自営なんです。そうした人たちへの支援というものが欠落していることがあります。

それから、雇用率の関係で、これまで厚生労働省は障害別雇用率というものは定められていないんだから、それは調査しても発表しないんだということを常に言ってきているんだけれども、それはどうかと思います。障害別雇用率がいいとは思いません。ただ、実態を把握するためには、障害別雇用率というものが出てこないと、そこに存在する実態とか問題点を分析できないわけでありますし、対策も講じられないわけです。この点でも今後考え方において、少し研究する必要があるのではないかというのが雇用・就業の問題です。

「7 情報・コミュニケーション」の関係ですが、この点で1つだけに絞っていえば、定義の問題がどこに出ているかわからない。すなわち情報支援とか、コミュニケーション保障としてどういう内容を位置づけ、定義づけ、守備範囲としているかということがきちっと明確にされていないから、視覚障害者の問題が落ちたり、知的障害者の問題が落ちたり、あるいは学習障害者に対する支援の問題などが入れられていない気がするんです。したがって、情報支援及びコミュニケーション支援のところで、どういう保障を目的として、ここに項目を掲げるかということがきちっと議論されていく必要があると思っています。

以上です。

藤井議長代理 現行計画では8つ挙がっていました。それぞれ定義的なもの、守備範囲とするものについては、ややあいまいな点があると思いますので、新計画ではその辺が問われてくるという提起だと思います。

それでは、少し時間は早いんですが、次のコーナーに時間を温存したいと思います。16時10分から第4コーナーで、いよいよ全体の構成の考え方、推進体制、これはむしろこれからに向けて大事な論議に入りますので、備えてください。

それでは、休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、16時10分になりましたので、第4コーナーを始めてまいります。

大分出てはいましたけれども、このコーナーはこれから先の話になりますが、分野別施策でこういう分野を設けるべき、これは要らないのではないか、改廃、更には推進体制について、東室長から冒頭に説明いただいた上で、前半と後半に分けて議論をしたいと思います。前半は分野別施策についての新しい在り方、後半は推進体制、20分間ずつ分けてやります。そういう段取りで進めていきますから、協力をお願いいたします。

東室長からお願いします。

東室長 担当室の東です。

これまで説明した8つの分野が分野別施策ということで書いてありますけれども、今日配付してあります資料の中に参考資料1-2があります。これは「障害者基本法 見出し一覧」という表題がついております。

基本法の条文と見出しをそろえたものでしかありませんけれども、この中の特に「第二章 障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策」という14条から30条までの条文のうち、新しくできた条文としては、17条の療育、26条の防災及び防犯、27条の消費者としての障害者の保護、28条の選挙等における配慮、29条の司法手続における配慮等、30条の国際協力というものが新設されております。

そのほか、例えば14条医療、介護等では1項起こされております。教育についても同じように1項新たなものが起こされております。23条相談等でも1項起こされているという状況です。

これが各則的な部分での新しい状況なんですが、これを踏まえて、今まで御説明申し上げました8つの分野で足りるのか、足りないのかという議論のほかに、項目としては、起こされてはいませんが、今、新しくつくられた条文、例えば療育にしても、防災に関しても一応触れてある部分もあるわけです。だから、それらをどうまとめ直すかといった議論が必要ではないかと思います。余りに総花的に書いてはめり張りがないという御意見も以前の議論の中であったようですので、そこら辺のことを念頭に置きながら議論していただければと思っております。

以上が、構成をどうするかという問題点です。

次に推進体制ですが、基本計画で「IV 推進体制等」と書いてあります。資料1のページ数でいうと、最後の方ですが、35ページ「IV 推進体制等」ということで、項目としては5項目が書かれています。

「1 重点施策実施計画」ということで、後段の方に書いてありますけれども、例えばその進捗状況を継続的に調査して公表すると書かれております。

「3 計画の評価・管理」では、障害者施策推進本部において基本計画の進捗状況を継続的に点検するとともに、障害者のニーズや社会経済状況の変化等を踏まえて、必要に応じて計画を見直すという項目もあります。この項目に基づいて、実際どのような見直しがあったのか、なかったのかについては、調査して報告したいと思っておりますが、規定としてはこのようなものがあります。

「4 必要な法制的整備」ということで、単に基本計画だけではなくて、障害者関係の各種法令の見直し等による将来的に必要な法制的整備について検討するという項目も挙がっているわけです。

この計画をつくるときには、監視というものは「3 計画の評価・管理」の中に推進本部において実施するということで考えられていたと思うんですが、障害者基本法の改正とともに、監視の役割は政策委員会に移ることになります。ですので、ここの部分においては、単に推進という側面だけではなくて、最初に言いましたように、どうやって監視していくのかといった辺りを議論してほしいと思います。

これまでの議論の中でも、例えば数値目標がある部分について、単にその数値がどうだったのかというだけで、本当の意味での実態の進捗状況がわかるのか。これはどういう形で、どういう視点で調査を行うかということにも非常に大きな関連性があると思います。その点については、先ほどいろんな委員の方も述べられた点であります。そういう監視、検証、実態調査等も含めて、推進体制とともにどのような監視体制が必要なのかといった辺りについて、御議論をお願いしたいと思っているところです。

以上です。

藤井議長代理 それでは、前段は、今、あったように分野別施策の構成はこれでいいんだろうかということです。既に改正障害者基本法を例に出されて、新しく条項もつくられている。この辺はヒントとして考えていこうというお話もありました。

20分弱ですが、この点で論議を進めてまいりますので、御発言したい方はいかがでしょうか。まだ発言がなかった久松さん、森さん辺りから優先していきましょう。

久松さん、お願いします。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。御指名ありがとうございます。

今回の新しい項目として加えるべきものについて、これまでの議論で落ちていた反省をもとに申し上げたいと思います。東日本大震災の支援活動を通して感じたことがあります。障害者権利条約の理念に基づき、私たちはあるべき障害者施策をつくっていくということを議論してまいりましたが、東日本で被災を受けた障害者の多くの方、本当にたくさんの方々が福祉サービスを受ける権利があるという考え方を十分に認識できている障害者が非常に少ないと感じております。障害者福祉サービスの選択あるいはコミュニケーション手段の選択、情報へのアクセスの選択する権利、そのような考え方で福祉サービスを利用する体制をつくるということをまず考えたとき、国民への理解の普及だけではなく、保護されて生かされてきた障害者当事者が、権利として生きることができるということを学ぶ機会がなかったと感じております。

学べる環境、学習する権利の保障、国民に対する理解というか、国民の責務の中に、当然障害者も入ると私は思っております。障害当事者と家族も日本の福祉のサービスを受ける権利として、活用していくという、その考え方を学ぶ場、これを政策の中に入れるべきだと思います。これをあえて提言したいと思っております。

あと、推進体制についてですが、それは後半で申し上げます。

以上です。

藤井議長代理 今までエンパワーメントだとか、それこそ意思決定、自己決定ということを政策としてどうするかという議論はあったけれども、今、学ぶ機会とおっしゃったんですが、具体的にどういうことになりますか。

久松委員 久松です。

例えば行政は、障害当事者に対して、このような福祉サービスがありますと情報提供をするだけで終わっていると思います。けれども、福祉サービスの利用方法について、当事者がどのように利用したらいいのか理解できず、また行政は家族、地域の方々が障害者を支援するという福祉サービスを利用しなくても、家族が守るだろうという考え方を強く持っているということを実感しています。地域社会の中で自立するということを障害者当事者が自覚を持てるような、権利を持って生きていける状況をつくるためには、障害者に対していろいろ学習する場を設けることも必要ではないかと思います。

今回まだアンケートの集計ができておりませんが、アンケート調査を送ったときに、あなたは困っていますかと問いかけると、困っているという回答がきます。具体的にどのような支援を利用しますかという問いには、支援は利用しないという回答が多いんです。困っているけれども、サービスを利用しないという回答をする方がたくさんいるということです。こういうところから実感をするわけです。困っているならば、支援のサービスを利用すべきですが、遠慮する方がたくさんいる。改めて日本的な体質といいますか、障害者が保護される立場というか、積極的にサービスを利用することを避けているということです。これは周りのことを考えて、自分だけ特別なサービスを受けていいのかと考える方がたくさんいるということを改めて実感しております。

藤井議長代理 わかりました。またこれから深めていきましょう。

森さん、お願いします。

森委員 簡単にお話したいと思います。

1つは基本計画と実施計画との関係でございますが、両方とも見直し規定が入っております。後で東室長から調べた結果をお話するということでございましたが、恐らく実施計画を見てもらいますと、18年ごろまでのことが全部載っているんです。一方において、基本計画の方は、14年以降何も出ていないのではないかという気がしております。ということは、この基本計画は変える必要がないと判断したのかどうかということだと思います。それが1つでございます。

項目的にいいますと、基本的に「2 生活支援」のところは、抜本的に見直すべきではないかという気がしております。我々が検討してきた中で一番大きな問題は、地域生活の権利というものをどのように全面的に保障するかということだと思います。つまり権利条約第19条であります。そういうこととともにインクルーシブ社会の実現、そういう観点からここは見てもらいたい。といいますのは、14年以降これは変わっていないんです。ところが、大きな変わりがあるんだと思います。そういう観点から検討してもらいたいと思っております。

推進体制につきましては、後ほど質問させていただきます。

以上でございます。

藤井議長代理 大事な点だったと思います。

尾上さん、長瀬さんの順番でまいります。

尾上さん、どうぞ。

尾上委員 ありがとうございます。

参考資料1-1を見ていただけますか。これは基本法の改正の概要なんですが、是非とも今回の新しい基本計画をつくるときに、先ほど東さんから御指摘いただいた新設の各分野項目に対応したものも勿論検討することが前提ですけれども、加えて総則関係でいろんな原則や重要なことが書かれています。

例えば先ほど大谷さんが共生社会と書かれているけれども、実はインクルーシブではないということを言われていましたが、よく見てみますと、基本法の改正では障害の有無によって分け隔てられることなくというのが目的条項に入っているんです。ところが、もともとの基本計画の中では、分け隔てられることなくというのが抜けているということがあったりします。

更に障害者の定義の見直しということで、制度の谷間のない社会モデルに基づく定義を私たちは確認をしてきたわけですけれども、例えばその1つ、難病、難治性疾患の方々について、基本計画ではどこで書いているかと思うと、ほとんど「6 保健・医療」で、あと相談支援のところに少し書いてあるだけなんです。せっかく第2条、障害者の定義の見直し、今回基本法の改正でなったんだから、それを受けてこの基本計画の中に反映されるべきですし、そして、先ほど森さんがおっしゃられたとおり、地域社会における共生ということで、第3条関係ということで、原則やあるいは差別の禁止ということが今回の基本法の中で明確になったわけですから、あと国際的協調の5条までがたしか原則だと記憶していますが、原則に基づいて、今回の基本計画全般を見直していくべきではないかというのが1つです。

もう一つ、更に章立てのところなども含めて、是非しっかりと推進会議で議論したいと思いますのは、例えば現行の基本計画でいいますと、3ページ「1 社会のバリアフリー化の推進」というのが横断的視点ということで書かれているんです。ここを見ますと、建物、移動、情報、制度、慣行、心理などのソフト、ハード両面にわたる社会のバリアフリー化ということで、手前みそですけれども、この前の基本法の改正の中の社会的障壁に近い書きぶりをせっかくここに書いているのに、先ほどほかの方が言っておられましたが、重点的に取り組むべき課題で、いきなり障害者自身の活動し参加する能力の向上となっていて、横断的視点で示されている理念や原則的なものと重点的に取り組むべき課題が余りにもずれているという感じがするんです。そういう意味で、原則からどういうふうにそれぞれの施策を展開していくのか、どういう方向づけをしていくのかみたいなことを是非議論できればと思います。

最後は差別禁止に関わってなんですが、1点気になりますのは、1ページの「はじめに」です。基本計画の1ページです。真ん中ぐらいに「障害者の社会参加を阻む『欠格条項』の見直しが行われた」と過去形で書かれていて、いかにも解決した、既に終了した問題のように読めてしまうんですが、つい先日の差別禁止部会でも欠格条項のヒアリングがありましたし、今、成年後見に伴う選挙権の剥奪問題であちこちで裁判もされていますし、あるいは100万人署名といった取組みもされているということからすれば、欠格条項は決して過去のものではない、むしろ権利条約の第4条の差別的な法律や慣行、その他いろんなものを見直していくことがありますから、是非そういう差別禁止の中で、欠格条項のことも項目の中に入れていただければと思います。

以上です。

藤井議長代理 長瀬さん、どうぞ。

長瀬委員 ありがとうございます。

3点申し上げたいと思います。

1点目は、先ほども申し上げた障害のある女性に関して、きちんと分野として取り上げる必要があるということを申し上げたいと思います。改正障害者基本法の中で、性別という形でようやく数か所入りましたけれども、当初、私どもの第二次意見では、やはり総則として、障害のある女性を独立した項目としてということを主張して、それが反映されておりますので、それを引き続き基本計画の中でも反映させる必要があると思います。

2つ目は、先ほど久松さんがおっしゃっていた点です。障害者自身が権利を使うことに抵抗を示す、またそういう権利があることがきちんと伝わっていないという点は、非常に重要な点だと思います。権利条約の第8条の意識向上や啓発に関するところの中で、社会全体の中での障害者の権利の尊重というところがあります。ここには具体的に社会全体や家族という書き方がしてあるのですけれども、社会全体の中には当然障害者自身が含まれるわけです。

あと、権利条約の8条では、教育のすべての段階での障害者の権利の尊重が盛り込まれています。ですので、これも当然障害のある子どもたちの段階から含めて、そういう権利がきちんと伝えられるべきであるというところで、長期計画に戻りますと、今の分野別施策の基本的方向の啓発なり広報をもう少しグレードアップするような形で、権利の部分というのがきちんと伝わるようにする必要があるのだろうと思います。これが2点目です。

最後の第3点目になりますけれども、分野というよりは、どちらかというと重点的に取り組むべき課題で考えてしまったのですが、今は精神障害者施策の総合的な取組みが入っているのですが、今回の東日本大震災のことを考えますと、被災した障害者に関する総合的な取組みを重点的な項目として取り上げる必要があるのではないかと思います。

藤井議長代理 時間が余りないので、簡単にしてください。結論だけを言ってください。

長瀬委員 もう一点だけ済みません。とりわけ福島の放射能で汚染された地域の障害のある人たちに関する取組みを、今の段階でつくる基本計画であれば、是非盛り込むべきだと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 東さんから発言が求められていますので、どうぞ。

東室長 担当室の東です。

発言を制限するつもりは全くありませんが、今、分野別施策について議論していただいているんです。時間がなかったので、総論のことについても発言が多いと思うんですけれども、発言されるのであれば、総論の話と各論の話で分けて発言していただければ、こちらもわかりやすいので、お願いしたいと思います。

藤井議長代理 先ほど東さんと話をしたんですが、今日の議論は端緒で、これから深めています。これからまたいろいろな方法で議論を受けますので、今日はとりあえず分野別施策に特化してということでお願いします。どうしても総論に触れた場合には、今、言われたように区分けして発言を願う。こうしていきましょう。

予定の時間が過ぎていますので、大谷さん、川崎さん、佐藤さん、関口さん、大久保さん、新谷さんの順番でいきます。1人1分ぐらいをめどにしてお願いいたします。

大谷さんからどうぞ。

大谷委員 大谷です。

分野別からいえば、障害児支援を是非入れてもらいたい。これは医療でもなく、教育でもなく、支援でもなく、子育ても絡むということですから、是非必要です。

もう一つは総則のところで、差別の禁止も是非入れてもらいたい。合理的な配慮がないことは差別だと基本法で書いてもらいましたので、合理的な配慮に関して、意識した基本計画であってもらいたい。我が国の法律制度は法律ができる前に何らかの社会的な認知がないと法律が制定され得ないということも経験的にありますので、基本計画で先行的に合理的配慮をやってもらわないと、差別禁止法でとんざしてしまう恐れもあると思っているぐらいですので、是非お願いしたいと思います。

藤井議長代理 川崎さん、どうぞ。

川崎委員 家族会の川崎です。

私からは1つ要望させていただきたいことがあります。先ほど分野別の中でも精神障害に関するものはいろいろな分野にわたっていて、なかなか現状も進んでいない、精神障害の問題が遅々としてはかどっていないということを考えまして、実は障害者基本法の中にも精神のことが削除されましたし、今回5大疾病の中に精神疾患が入りました。そのような状況を踏まえまして、大変勝手なお願いでありますが、精神障害に関して一度推進会議で皆さんと議論を深めていただきたいという思いがあります。時間が少ない中で大変恐縮なお願いなんですけれども、一度そういう機会をつくっていただきたいということを要望させていただきます。

以上です。

藤井議長代理 これは後で東さんから、現段階でわかる範囲でお答えいただきます。

佐藤さん、どうぞ。

佐藤委員 分野別の各論の中で、意思決定支援というものを位置づけることについて検討するべきではないかと思います。基本法の改正の中でも意思決定の支援が入りましたし、骨格提言の中でも必要に応じて意思決定に支援を要する場合には、それが保障されるということを総合福祉法では権利として保障するべきだという条文が入りました。

どの部分に入れるかということで、3つぐらい可能性があると思うんですけれども、1つはコミュニケーションの支援に関連する。当初はコミュニケーションの支援というのは、意思決定の支援ができるんだけれども、通訳などが必要な場合の項目だと思ったんですが、先ほどの久松さんの話ですと、判断をする、情報を整理する、説明をすることが必要な人も聴覚障害者の中にはいるということなので、コミュニケーション支援と意思決定支援というのはかなり関係する部分、近い部分もあると思ったりしています。

それと、成年後見とかその辺のところが今度新設されるだろうと思いますので、そこと関連がある。

それから、地域生活支援の中で、身体障害者にとっての介護と知的障害者にとっての意思決定支援というのは、並ぶような、似た基本的な支援のタイプだと思いますので、地域生活支援の中できちんと位置づけるということもあると思います。その辺を検討していただければと思います。

藤井議長代理 関口さん、どうぞ。

関口委員 関口です。

総論的なことで、全体にかぶさることです。新しい方の第5条で、国際社会における取組みと密接な関係を有していることにかんがみと書いてあります。権利条約をきっかけとしてこの議論が始まったと思うんですけれども、批准された後の権利条約の扱いはどうなるのかということなんです。

例えば拷問等禁止条約を日本は批准しておりますけれども、選択議定書は批准しておりません。ついこの間、18日か19日に拷問等禁止条約の特別報告官が記者会見を開いております。その中で、50日を超える隔離、独居は、無条件に違法であるということを明言しております。これは当然精神保健福祉施設も入るわけです。選択議定書を批准していると日本に委員会ができて、それが抜き打ち検査をするということが起こるわけですけれども、例えば自由権規約を盾にとって、つまり精神保健福祉法の保護入院というのは憲法違反ではないかということを裁判しても、民事訴訟法の何条というものでものの見事に門前払いをくらうんです。条約の直接適用は日本ではないんです。条約を批准した暁に、あるいは既に批准している条約について、どういうふうにやっていくのかというのは、全体に関わってくる問題だと思うので、そこのところの議論をお願いします。

藤井議長代理 新谷さん、どうぞ。

新谷委員 新谷です。

先ほどの尾上さんの意見に敷衍するんですけれども、総論関係です。先ほど情報・コミュニケーションの問題を例に挙げてほしいというお話をしましたけれども、改正障害者基本法の第3条を基本計画にどういうふうに落とし込むかというところは、かなり悩ましいところがあると思います。

現在の基本計画ですと、基本的な方針、考え方、横断的視点、この辺に書くのかもわかりませんけれども、定量的な評価は難しいとしても、定性的な評価ができるぐらいの文言にして、ここに書き込まないと、理念がうたわれているだけで終わってしまいますので、最低限の定性的評価が書ける文章を計画の中に盛り込む必要があるのではないか。

情報・コミュニケーションの問題は、佐藤先生もおっしゃいましたように、決して聴覚障害に限らない、いろんな範囲の障害者の分野に関わる問題なので、レベルの高い部分で規定する必要があると思っております。

藤井議長代理 大久保さん、お願いします。

大久保委員 大久保です。

まず総論です。総論でいけば、現行の基本計画が縦割り行政的な色彩が強いという感じがします。どうしてもその辺でわかりにくい部分があるというか、それぞれの濃淡もある。それを本人の暮らしを中心とした形での項目立てといった視点も必要ではないかと思います。当然そのベースは障害者基本法です。そして、この性格は基本法を具体化することがあるわけです。ですから、同じことをただ書いてもしようがない。例えばキーワードで意思決定支援があるのであれば、これがどういう方向のものであるかということを、更にわかりやすく書かなければいけないということになる。そういう意味では、先ほど佐藤さんのおっしゃったことに賛成です。

もう一つ、ここでは先ほどからキーワードとしてインクルージョンとかエンパワーメントという言葉があります。法律ないし現実に片仮名言葉は使っていますから、これらはどんどん使っていいのではないかという意味で、やはりインクルージョン、エンパワーメントは当然入ってくるだろうと思っています。

以上です。

藤井議長代理 恐らくまだあると思うんですが、今後意見を出すチャンスはたくさんありますので、温存していただきたいと思います。

私、議長代理ではあるんですが、JDFでかねがね議論になっていますのは、総論か分野別かわかりませんけれども、家族依存からどう抜け出すかという視点とか、現行の障害者行政組織はこれでいいんだろうかとか、政策決定過程で推進会議はこういうふうに頑張っているんですが、全省庁関係者はこれでいいんだろうかとか、こんなことも恐らくテーマに挙がってくるという感じがしています。

次に推進体制に移ります。

先ほど発言したいという方がいました。久松さんと森さんでしたね。久松さん、森さんから始まって、この件で御発言したい方は手を挙げてください。尾上さん、佐藤さん、北野さん、大久保さんです。わかりました。

久松さんから、皆さん手短に努力し合ってお願いします。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松でございます。

推進体制のことですが、意見というか、具体的な進め方についての意見を述べさせていただきたいと思います。推進体制について、中障協がありまして、その下に各省庁の課長が集まった課長会議があります。課長会議で数値目標をつくる、また事業計画をつくる、重点目標をつくることになります。ですから、書き方というのは、主語が何かというと、行政が主語になります。行政が何をやるのかということを決める内容になりますので、今後の推進体制をつくるに当たって、政策委員会が主語になるような政令をつくる必要があるのではないかと思います。

具体的に申し上げますと、平成24年度で10年計画が終わります。これは国の計画だけではなく、地域行政の計画も24年度で最終段階を迎えることになります。それを考えますと、平成25年度以降どのような形をつくっていくのかということについて、行政の現場、地域行政も何をしたらいいのか、今の段階では全くわからない状況ではないかという声が出ております。

先ほど東室長の説明で、政策委員会をつくる、立ち上げるのは、平成24年度という話がありました。平成24年度に政策委員会を立ち上げて、次の計画の内容について議論する、平成24年度、25年度の準備、計画をつくるということは、地域行政は勿論できないと思います。今、来年3月までの間に政策委員会のフレームをつくる必要があるのではないか。それを引き継いで、平成24年度に立ち上げた政策委員会で内容を確認する作業をしていかないと、平成24年度の予算、平成25年度の予算をつくることが非常に難しくなるのではないかと思っています。その辺のことも考慮して、来年3月までにある程度の骨格、フレーム、枠というものをつくる必要があるのではないかと提言したいと思います。

もう一つ、政令をつくるに当たって、今までは課長会議がメインになっていました。政策委員会をつくって、各省庁の官僚の方々がどのように運用していくかということ、その仕組みというものも併せて審議する必要があると考えております。今、文科省も独自で目標をつくり、事業計画をつくっております。厚労省も同様です。それぞれの省庁で独自につくっておりますが、ほとんどばらばらな状況になっているのではないかと思っております。そこを来年3月までの間に何とか調整ができる機能というものを、今の担当室が担えるような仕組み、システムをつくるということを提案したいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 森さん、どうぞ。

森委員 森です。簡単にお話したいと思います。

障害者基本法の計画の策定は、政府が策定するわけです。そして、調査、審議、意見具申は障害者政策委員会がやることになっていると思います。そういたしますと、本日の推進会議でいろいろな意見を言っております。まだ決まっているわけではないので、微妙なところがあるかと思いますけれども、この意見を何かの形で反映していただきたいと思っております。これはお願いになると思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 尾上さん、どうぞ。

尾上委員 現行の基本計画の35ページで「1 重点施策実施計画」の件ですが、これも骨格提言で地域資源整備10か年戦略ということで提案させてもらって、10年のうち、前期5年、後期5年ということで、いわゆる福祉サービス以外のものも含めてありますけれども、とりわけ福祉分野においては、地域生活資源整備の10か年戦略をコアに置いた形で、前期計画、後期計画ということで重点実施計画になっていくように、是非論点を構成したいというのが1つです。

「3 計画の評価・管理」に関連してですが、これもずっと推進会議でも議論をしてきましたが、この十数年、地方分権なり地域主権ということで、具体的な教育や福祉サービスについては市町村が基本になってきています。そうだとすれば、それを評価するときに、先ほどみたいに単に抽象的な数で、これがこれぐらいの達成率というだけでは、実際の生活や実態がどうなっているのかがわからない状況が出てくると思います。ブラックボックスの議論にならないように、是非「3 計画の評価・管理」の中で、これは地方自治体の御協力も得ながらですけれども、地域的な実態調査を組み合わせた形でできるような仕組みができればと思います。

最後ですが、36ページ「5 調査研究、情報提供」です。これはいかにもつけ足し的に書かれているのがすごく問題だと思います。例えば先ほどの精神の方、あるいは入所している方の地域移行の目標数値にしても、ちゃんと入院患者さんや入所の方々の調査をして、数値目標を設定していくべきだということを骨格提言などでは提言しています。そういう意味で、調査、実態把握に基づく政策提言というのは、調査研究は一番最後ではなくて、むしろ総論なり基本的視点、政策の形成をどうするのかみたいな、もっと前の方にきてしかるべきではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 佐藤さん、どうぞ。

佐藤委員 今日、何回か評価をするための手段として、障害のない市民との比較可能な障害者実態調査のデータが必要だという話が出ていると思うんですけれども、その点で、勝又委員が前から何回か指摘されていることですが、例えば国民生活基礎調査のような調査に障害者であるかどうかの設問を加えて調べるやり方もあるだろうし、国勢調査の中で障害の有無を問う設問を入れて、障害のある人とない人との比較をするというやり方もあるんだろうと思います。

しかし、国勢調査で障害の有無を確認する設問というのは、かなりラフなものになるだろうし、生活実態を把握するには項目が限られているので、フォローアップのサンプル調査を、その後、全体で例えば1万人ぐらいを対象にして調査をする。そのうち障害がないと答えた2,000名と、障害があると答えた8,000名ということで、ないと言ったんだけれども実はある人とか、あると言ったんだけれども実は障害がない人がいたりするので、そういうものを差し引いて、より詳しい項目はフォローアップサンプル調査で行うという、カナダ、ニュージーランドなどでやっているようなやり方を日本でも取り入れる。新しい実態調査を内閣府として立ち上げるというのはかなり大変なことだろうと思いますので、既存のそうした調査を活用するやり方があるのではないかということです。

もう一点、障害者福祉サービスを利用している人の支給決定は全国の市町村で把握をしていますので、その人たちのデータをデータベース化して、モニターの一部として使うというやり方があります。オーストラリアなどでは、障害関係のデータベース化が政策のためにも使われていると聞いていますので、参考になると思います。

藤井議長代理 北野委員、どうぞ。

北野委員 来年度から障害者政策委員会がスタートするということなんですけれども、障害者に関連する国全体の法とか制度、政策に関するモニタリングと、政策提言、レコメンデーションを行っている有名なアメリカの組織というのは、NCDというところがあります。全米障害者評議会ですけれども、ちょっと比較させていただいて、日本でこういうふうにすればいいということを少しだけ提案させてもらいたいと思います。

1つは、アメリカの障害者評議会もリハビリテーション法とその改正に基づいて明確な根拠法を持っている。日本の場合も障害者基本法の改正で根拠法ができましたので、問題は施行規則の中身だと思います。これは全部英語で調べられますけれども、施行規則を見ますと、非常に細かく施行規則で中身が書いてあります。特に目的が明確になっておりまして、目的は障害の程度にかかわらず、他の市民との平等における機会平等を保障するということを調べて提言しなさいというのが、明確なNCDのゴールです。そのためにすべての地域生活の場面であるとか、経済的平等についてのことを調べなさいということで、調べる項目も9つあります。医療・保健、住宅、雇用・就労、年金、移動保障、レクリエーション、トレーニング、早期介入と予防、教育、この9つです。

最初に項目で言わなければいけなかったんですけれども、日本の仕組みで一番大きく抜けているのは、住宅です。2番目に住宅がきています。住宅のバリアフリーの問題だけではなくて、住宅政策は精神も含めて障害者の地域生活には最大の項目ですので、大項目として、住宅政策をどうするかということは明確にうたっていただきたいということが1つであります。

それに関してNCDの役割は、現状についてのデータと目標、それに近づくために勧告、レコメンデーションをする。レコメンデーションの中身は非常に細かいんですけれども、レコメンデーションをやって、毎年年次報告でどこまでレコメンデーションができたか、また新しいレコメンデーション、再勧告をすることが基本的な役割です。そのために評議

委員だけではなくて、今のところ一応11人の専属のスタッフを持っています。

もう一つ、報告に関しては、必ず全国の障害者団体の意見を反映しなさいということが781項のBに書いてあります。

あと、幾つかの業務があるんですけれども、NCDの業務の中には年次報告だけではなくて、つまりモニタリングと政策提言だけではなくて、その年の重要項目について全体調査と報告を行うことがあります。例えば2009年度の場合には、ハリケーンカトリーナの後の問題がありましたので、震災問題について非常に大きな報告書が出てきておりますし、政策提言もあります。あるいは精神障害に関することもあります。

藤井議長代理 北野さん、時間がないので、またペーパーにして出してください。全部覚えられないしね。

北野委員 精神障害に関する問題なども2つの項目が出てきたりしております。ですから、できましたら、今後、我が国でも明確にそういうことができる委員会として展開していただけたらと思います。

以上です。

藤井議長代理 NCDというのは前からよく言われていますし、北野さん、是非ペーパーにして配付してください。

大久保さん、どうぞ。

大久保委員 大久保です。

推進体制とは若干ずれるかもしれませんけれども、先ほどの尾上さんとかぶっていることです。基本計画をこれから策定していく際に、5か年計画、5か年戦略になるのかわからないですけれども、これを併せてつくることが重要ではないか。それは基本計画そのものの実効性を高める、つまりこれによって予算確保上有効だと考えます。数値目標で数値だけを見ることになるとよくないですけれども、ちゃんと中身を議論してという意味です。

もう一点、担当室に質問なのかどうかわかりませんけれども、政策委員会が今後調査、審議、監視あるいは勧告ということで機能強化されて、推進会議がバージョンアップされた形になっていくと思いますが、ここでこれから基本計画をつくっていく際に、その内容や書きぶりにおいて、権利条約の批准の時期、この辺のところをどういうふうに考えるかということがあります。政策委員会をモニタリング機関として想定しているわけですから。

例えば権利条約を批准することによって、明確にモニタリング機関として位置づけられることによって、この機能が更に明確化されることも含めて、それによって基本計画の書きぶりというか、書き方も幾分変わってくるかもしれません。この辺のところで、政府としての批准の見込み、批准に向けて国内法制を整備すると政府が打ち出しておりますけれども、それはどこまでの整備のことを言っているのかということも含めて、質問させていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 最後に勝又さんに質問します。先ほどおっしゃったこととも関係しますが、さまざまな基本計画をこの国は持っているんですが、実効度の高い基本計画とそうでない基本計画がありそうです。東さんが監視の問題提起をされましたが、監視を含めてなんだけれども、実効度を高める基本計画というのは、どんなふうに考えればいいかという辺りについて一言いかがですか。

勝又委員 実効度を高める基本計画ということでは、今回提案されているようなモニタリングのときに、実際にどういうことが行われたかということについて、定期的に報告させて、またそこにアドバイスをしていくような機能を今回提案されている障害者政策委員会の下に置くことが必要です。それは、政策委員会の下に専門委員会を置くという形でやっていくなど、例えば男女共同参画会議などのやり方が非常に参考になるのではないかと思います。

藤井議長代理 今、幾つか質問があったんですが、お答えできる点を含めて、東さんから少しコメントいただけますか。

東室長 川崎委員から、精神障害者の課題について、推進会議で議論すべきだという御要望をいただきました。雇用分野についても同じような御意見がありましたし、昔から投げられた課題だとは思っているんですが、実際の話、来年3月までの中でやった方がいいのか、法定機関としての政策委員会の中でやった方がいいのか、早目にやるべきかどうかということもありますし、推進会議があと何回開かれるのかという実際の日程の関係もありますので、議論すべきだということは当然前から伺ってはいるわけですけれども、実際にどういう形でやるとまでは、まだ決断できていないところです。

大久保委員から、条約の批准の時期などについての御質問がありました。特に去年6月の第一次意見を受けた閣議決定においては、いつの時期ということまでは触れていないわけです。そもそも推進会議が立ち上がったときの閣議決定についても明確にそういうことが書いてあるわけではありません。しかし、権利条約の批准ということが、今度の制度改革の基本的な課題になっておりますので、第一次意見の基本に基づく改革表は条約批准のための改革として考えられているわけです。ですので、あれが基準になろうかとは思うんですが、ある意味、政策委員会でこういう状況で批准できるのか、できないのかという意見なども施策の実施の監視ということから、意見を出せる事柄ではないかと思っております。担当室としては、これぐらいの時期ということは検討させていただきますけれども、政策委員会の中でもそのこと自体は考えていただければという気もしております。結論としていつまでと決まっているわけではないという状況です。

以上でよろしゅうございますか。

藤井議長代理 去年1月12日、特命大臣が権利条約と裁判の基本合意文書を指針にして、その後、基本法改正があったわけで、こういう辺りは幾つもベースになるものがありますので、そんなこともメンバーは十分に学習していきながら考えていく。今のことは、おっしゃるとおり、行政府としての対応、推進会議での対応、またNGOとしての批准の時期に対する見解とか、是非そういう議論を重ねていけたらと思っています。

少しオーバーしましたけれども、時間がきましたので、今日準備された議題はこれで終わります。

あと、1つ報告事項として事前通告を受けておりますのは、わかりやすい改正基本法、今日土本さんがいらっしゃいませんので、共同座長のお一人である長瀬委員からお願いします。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。

わかりやすい改正障害者基本法作業チームの御報告をさせていただきます。

前回以降、10月18日に第3回の作業チームの会合を、土本さん、支援者の元氏さんがいらっしゃる札幌で、私も加わりまして行いました。お昼を挟んでですけれども、この日は10時から4時ぐらいまで集中的に行いました。お陰様で結構進みました。

あと、今日の午前中10時から行いました。今日は4回目です。今日出席のメンバーは中西さん、関口さん、北野さんが途中から応援で来てくださいました。育成会の羽村さん、事務局の成冨さんで12時過ぎまで行いました。

まだ第1回目の読み合わせの段階なんですけれども、ようやく30条までたどり着きました。まだ6条残っていて、多分もう一回最初から全部読み通すという作業を引き続き進めていきたいと思っています。

次回はすぐなんですが、次の日曜日の10月30日に、私が勤務しております東京大学で、日曜日ですけれども、午前から午後の早い時間に実施します。

目標は今年の障害者週間ということで余り時間がありませんので、引き続きスピーディに、でも丁寧に進めていきたいと思っています。

次回の推進会議が11月21日に予定されていますので、その日にはこういう言葉だという文言は確定して、この推進会議での了承をいただきたいと思っております。

以上です。ありがとうございます。

藤井議長代理 それでは、最後になりますが、今後の推進会議の予定等を含めて、東室長からお願いします。

東室長 どうも御苦労様でした。

現在のところ、会議室を取っている日時についていえば、まず最初に11月21日です。12月は取っておりません。その後、1月23日と3月12日ということになっております。

差別禁止部会につきましても、かなり頻度を高めてやらなければならないような状況もありますので、そのこととの関連で、正直いいまして、目いっぱいこちらをやるということが難しい状況もあります。したがいまして、今、言った3回を全部開けるかどうかということもあります。その点につきましては、正式に決まり次第、お知らせしたいと思っていますが、期日だけは空けておいていただければと思っているところです。

以上です。

藤井議長代理 以上をもちまして、第36回の「障がい者制度改革推進会議」を終わります。

終わり次第、この後、この場で記者会見を行います。

本日はどうもお疲れ様でした。ありがとうございました。

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