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第38回障がい者制度改革推進会議(2012年3月12日)
議事要録


議事 その他

(障害者自立支援法に代わる新しい法律の検討に関して)

  • (東室長)平成22年4月27日に第1回総合福祉部会が開催され、平成23年8月30日の第18回で骨格提言がとりまとめられた。9月26日の第35回推進会議で、藤井議長代理から副本部長である蓮舫大臣(当時)にこの骨格提言が手交された。これを基に厚生労働省で新法が準備され、2月8日の第19回総合福祉部会で厚労省案が提示された。そこでの意見を受けた民主党ワーキングチームでは議論を重ねて、3月1日に修正された法律案が厚労省から民主党厚労部門会議に出され、了承された。3月8日の民主党ワーキングチームで総合福祉部会委員並びにその他の団体への説明会が開かれた。
  • (発言)3月8日の民主党ワーキングチームでの説明は以下の通り。
    • 法案の名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」、略称を障害者総合支援法とする。「総合的に」を入れることで、骨格提言が求める地域生活のための施策を新たに始める。
    • 法律の基本理念を新設する。改正障害者基本法で補強された、社会参加の機会の確保、どこでだれと生活するかの選択の機会の確保、社会的障壁の除去などの考え方を盛り込む。
    • 制度の谷間を埋める大きな転換を図るため、これまでは障害者手帳がなくこの法律の対象外とされていた一定の範囲の難病の人たちも支援の対象とする。
    • 地域生活への移行を応援するため、重度訪問介護の範囲を重度肢体不自由者に加え、知的障害や精神障害のある人で常時介護を必要とする人にも拡大する。
    • 地域移行を促進するために、ケアホームとグループホームを一元化し支援を増やす。
    • 研修や啓発事業、障害者や家族の活動支援、後見制度に関する人材の育成や研修事業、手話通訳の養成事業など、地域生活支援事業を補強する。
    • 当事者参画で施策を前進させるため、障害福祉計画とそのための国の基本指針、自立支援協議会を当事者、関係者、家族の参画でよりよいものにする。障害福祉計画と基本計画の見直しに当たってはPDCAサイクルの手法を取り入れ、計画の実施や評価も行う。
    • PDCAサイクルを国でも地方自治体でも取り入れ、どんな資源が必要か、その資源が充実したかどうかをチェックする。また、目標を掲げて評価しながら進むことで「地域基盤整備の10ヵ年戦略」という骨格提言の方向性を反映している。
    • 附則の検討事項では、施行後3年で障害程度区分を含む支給決定、常時介護を要する障害者等への支援、移動支援、就労支援、コミュニケーション支援、その他障害福祉サービスの在り方について見直すこととしている。その検討に当たっては障害者、家族、関係者の意見を反映させる、即ち骨格提言の内容が当事者参加によって反映される仕組みだ。
    • 法案は自立支援法の一部改正という形式だが、医学モデルを前提とする自立支援法から、社会モデルに立脚した新しい原理に転換した。保護の客体から権利の主体へと障害者の位置付けを変えたことで、障害者や家族を積極的に政策決定に参画するパートナーとする。
    • 骨格提言が抽象的な内容にとどまったため、法律に書き込めず廃止条項を盛り込めなかった。しかし、タイトル、理念、方向性は自立支援法とは違うので、実質的な廃止だ。
    • これまでも応益負担の廃止などを進めてきたが、この法律を成立させ、来年には差別禁止法の制定と権利条約を批准し、更に障害者制度改革を進めたい。以上が資料の説明だ。
    • 訴訟団からは、自立支援法で尊厳を傷つけられたので裁判を起こし新しい法律をつくることで和解したが、この法案でもう一度尊厳を傷つけられたので重大な決意をせざるを得ないとの意見も出た。骨格提言が尊重されていないとの意見が相次いだ。法案提出まで、さらに国会提出後も修正に向けて最大限頑張ってほしいとの意見が多数出た。
    • 障害者が地域で生活するために必要な支援を権利として保障するための国と自治体の義務を規定していないことが問題だ。
    • 支給決定、就労の在り方等について骨格提言の示す方向性が尊重されていない点、権利擁護や地域移行が検討事項に入っていない点、谷間の障害が残る点、相談支援や移動支援等に市町村格差が残る点、家族の収入を基礎とした利用者負担が継続する点等、この法案には骨格提言の方向性が理解されていない部分が多い。基本理念の条文の「可能な限り実施する」という表現に対し、地方自治体の裁量の範囲が広すぎることで問題が生じているのに、その範囲を更に広げるような表現を入れることは逆行しているとの意見が多かった。
  • (発言)骨格提言の中で改正法案に取り入れられた点は何か。骨格提言と方向性が違う点を具体的に説明してほしい。
  • (発言)PDCAと書かれているので意味が読めない。推進会議で自立支援法廃止について話し合ってきたが、自分たちの意見が伝わり切れないところも多かった。仲間たちが廃止と言っているのに、廃止できなかった部分は言っていかなければならない。
  • (発言)自立支援法の支援と障害者総合支援法の支援は違うのか。
  • (発言)2月8日の厚労省案には、骨格提言の60項目中3項目が取り入れられ、9項目が触れられてはいるが内容が不十分だと採点した。3月1日案については採点の基準を検討している段階だ。骨格提言と方向性が違う点は支給決定の在り方の他、利用者負担も決着済みとして現行のままであり、本人ではなく家計の負担能力で利用料が決められる状況も残っている。その他、多くの項目で骨格提言の方向性が無視されているか、尊重されていない。PDCAは達成度を具体的に評価できる計画を立てて取組み、その評価に基づいて改善するというサイクルで、その過程で当事者・関係者が十分に参加するとのことだ。支援については、説明はなかった。
  • (藤井議長代理)PDCAは英語の頭文字で、Pはプラン、計画をつくる。Dはドゥー、計画を実施する。Cはチェックで、点検をする。Aはアクションで、もう一回やってみる。これを繰り返して評価するということだ。
  • (発言)JDFの要望書に対する民主党ワーキングチームからの回答では、「権利擁護の法定化」は成年後見制と虐待防止法で対応しているとのことだ。しかしそうではなく、医者に言いにくい時や申請する時に付き添う、入院させられそうな時に入院しなくても済む方法を考える等、支えになることを具体的に行動する人を法定化してほしいということだ。
  • (発言)第1次意見を最大限尊重した閣議決定で改革の基本的方向性が打ち出されて、その中に障害者総合福祉法の制定が含まれている。改革の方向性という点から見て、現在の総合福祉法ではなく総合支援法へという動きはどうなのか。
  • (発言)民主党は2年前、自立支援法の廃止が難しいと分かっていたのか。分かっていたならば最初からだますつもりだったことになる。分かっていなかったならば政治主導という党の公約に反する。民主党ワーキングチームの座長は「2年前は法律の勉強が足りなかった」という趣旨の発言をされたので、後者と理解していいか。また、自立支援法の廃止条項を盛り込めなかったのは、骨格提言に問題があるのか、民主党側の責任か。
  • (発言)2年前に障害者自立支援法の廃止と新法の制定ができないと思っていたら、部会のメンバーは委員にならなかっただろう。重い機能障害があっても社会参加しようという試みが20年、30年前に比べて高まっているが、こうした社会参加の願いと可能性が広がりつつあるのに、古い福祉の制度がこれを押さえている。骨格提言は、どこに住んでいても平等な社会参加に必要な支援を保障するために財政や技術を準備しようという内容なので、これを実現する方向で国会審議をしてほしい。
  • (発言)障害者自立支援法で問題となっているのは地域間格差だ。民主党ワーキングチームの説明会で座長はこの格差を「特徴」という言葉で説明したが、そのような考え方を刷新していただきたい。
  • (発言)地域生活の権利を実質的に保障するのはこの法律の理念ではなく、私たちが求めた総合福祉法だ。推進会議で考えてきた理念を実質的に保障するために、私たちは総合福祉法の制度設計をしてきた。障害を持っている方がどこでだれと暮らすか決めることを保障するためには、協議調整に基づく支給決定の仕組みと地域基盤整備10ヵ年戦略が必要なので、民主党や国会で議論してほしい。PDCAサイクルは1990年のゴールドプランや1993年の障害者基本計画の際にも前提とされており、PDCAのないソーシャルプランニングはない。当事者参画がどんな形で担保されるかを明確にしてほしい。
  • (発言)第2次意見に書かれたにもかかわらず、厚生労働省で検討会をしているという理由で精神障害関係のことなどが基本法改正には盛り込まれなかった。推進会議では本質的な議論がされたのに、どうして法定化できなかったのか。推進会議は内閣総理大臣を本部長とする推進本部の下部機関であり、そこで当事者が真に迫る議論した内容を最優先課題として取り上げてほしかった。

議事 障がい者制度改革推進会議の成果と課題について

(障がい者制度改革推進会議の存在意義について)

  • (発言)第35回推進会議で障害福祉にお金が付くなら消費税の5%増税は仕方がないと発言したが、障害者制度のために使わないなら、消費税は一番弱者を直撃する税制なので発言は撤回したい。どう予算を取るかが課題だ。
  • (発言)推進会議の状況が全国に放映され、家族会の中で我々が制度改革をするという意識が目覚めてきている。それぞれの地域で要望活動なども活発になり、推進会議のシステムはよかった。各省庁の検討会や研究会との連携が難しかったが、政策委員会では解決されることを望む。
  • (発言)わかりやすい版の第1次意見と第2次意見と改正障害者基本法をつくり上げてきたことと、会議での先ほどイエローカードを出してきたことで、知的障害のある人も含めて理解ができたと思う。話し合いについては満足していないが、これからも障害の理解を含めてやっていきたいし、話していきたい。
    資料が追いつかず困った。振り仮名を振っていない版とずれがあった。どんどん議論が出たときには付いていけなかった。急に言われたことについてすぐに発言できないところもあった。2年間、38回もやってきたが、まだまだ障害のことも含めて理解されていないところがあるので、これからも言い続けていきたい。
    わかりやすい版はわかりやすくて、これを使いながら会議や集会などを行ってきているので、これからみんなに行き渡るまでやり続けたい。
  • (発言)推進会議の限界は他省庁との調整に無力だった。それは、推進会議がどういう位置づけだったからなのか、総括してほしい。新しい組織で、推進会議で行われてきた情報保障のようなよいことが継承され、内閣府の様々な会議でも確立できるのか関心と危惧を持つ。推進会議に障害当事者が参加したことは意義があったが、障害者の中で完結して予算を獲得するという甘い前提で議論はできないので、全国民にどのくらいの影響力と問題提起ができたのかについては総括が必要だ。
  • (発言)6月29日の閣議決定で11項目の個別分野が示された点については、推進会議として発言の権限もあったのではないか。文科省の特特委の議論や職場における合理的配慮の問題について意見を出す、またはそれらの委員会にヒアリングを受けていただく等できなかったのは、行政の仕組みなのか、それとも推進会議の方が自己規制したのか。
  • (発言)内閣府主導の会議ができることに対する警戒感が省庁にある現実をふまえて、信頼関係をどうつくるのかが課題だ。そのために政治が、ここの会議はどこでどう仕切るのかまで介入しないと解決しない。省庁間の垣根の問題は今後いろいろな法律をつくるに当たっても影響がある。個別課題の中で、小さな市町村への負担を軽減しつつ重度障害者の24時間介助をどう確保するか、常時医療と介護の必要な重度心身障害児の生活基盤の確保、精神障害者の社会的な入院と医療観察法の問題の整理は大きな課題だ。
  • (東室長)推進会議は新政権が権利条約の批准を念頭に置いて議論する仕組みとしてつくり、障害者に関わる具体的な施策を担当していない内閣府に置いて、意見を推進本部に上げるという位置づけにした。今日の意見はこの位置付けまで立ちかえって考えるべき問題提起だ。他省庁との調整は推進会議の命題ではない。第1次意見も各省庁が行うべき工程表で、行ったかどうかを検証するのは障害者基本法に基づく政策委員会の役割だ。内閣府に置かれて良かったが、すべての省庁の施策に影響を及ぼせたかというと難しい点もある。省庁間の垣根についても、推進会議の意見で現実がすぐに変わるわけではない点は理解していただきたい。
  • (発言)障害者本人や家族の代表が約半数という推進会議の構成は評価するべきだ。権利条約の交渉過程で繰り返し言われた、私たち抜きにして私たちのことを決めないでということが推進会議で実質的に実現した。87年の国連障害者の10年中間年の専門家会議で、国連の専門家会議としては初めて障害者が過半数を占め、そこで障害者分野の差別や権利に関する条約をつくるという意見が出された。これが2006年に権利条約として実り、その波が日本に来て推進会議が生まれた。新政権の発足により制度改革の動きが本格化したことは評価するべきだ。情報公開や合理的配慮、わかりやすい情報提供がスタンダードになるという実績を推進会議であげたと自信を持ってよい。わかりやすい改正障害者基本法のリーフレットについて「まだ難しい」という意見があるが、唯一の正解ではないので、難しいと思った方が別のバージョンをつくっていただきたい。
  • (発言)他省庁にわたる障害者制度改革の事務局を内閣府に置いたのはよかった。特定の省庁には置けないので、内閣府か内閣官房ということになるが、従来、障害者白書などを扱っていた内閣府が所掌したのだろう。他省庁の会議体との議論の行き違いは問題だが、構造的には省庁縦割制の中で避けられなかったのではないか。その上で、障害者政策委員会が不十分な点をどう補い、推進会議が提起した問題をどう具体化するのかが重要である。内閣府が所掌したメリットは、基本法と差別禁止法の原案を内閣府がつくることができることだ。基本法は相対的には前向きな部分も多かった。この点を積極的に評価したい。
    当初は当事者の思いが法制度づくりや政策、施策に具体化される場だと思っていたが、予算や省庁間縦割りの問題が見えてきて大変だと思った。しかし、全体の評価として、当事者主体の会議体でこれまで見えなかったものが見えるようになってきた点、そして、その全プロセスを全国民にお見せできた点は大きな成果だ。ただ、これらの前向きな点が法の改正や制定、あるいは各省庁の具体的な施策や予算取りにまでは反映できていない。障害者政策委員会にその辺りを期待する。
  • (発言)事務局に民間から障害者の専門家を登用し、会議のメンバーとやり取りできたことが最大の成果だ。内閣府の担当者と民間登用者の共同チームが機能する仕組みとして始まった。第2次意見のまとめのとき、時間をオーバーし座長、室長一任と思っていたら、「事務局等で議論するから待ってほしい」と言われ、再度議論した。民主主義を貫き物事を決めるモデルを提供したことはすごい。これを政策委員会等でも展開してほしい。
  • (発言)旧政権時代に障害者基本法を改正して条約を批准する動きがあった。これを止めた団体の1人としては、結果的に推進会議がもたれてよかった。政策委員会は、推進会議と同じような形で進めれば、歴史に残る制度になるだろう。
  • (藤井議長代理)今日の意見のまとめとして、<1>当事者主体あるいは当事者過半数ということ、<2>当事者委員に対する合理的配慮を含むさまざまな支援、<3>1回4時間、2年間で38回と実質審議にウェートを置いたこと、<4>徹底した情報公開、を挙げることができる。この4つは確認して障害者政策委員会に引き継ぎたい。

(障害者政策委員会への期待)

  • (発言)政策委員会が実質的に討議できる開催頻度と時間が必要だ。また、モニタリング機関の役割を果たせるよう、各種調査やヒアリング、ワーキングなども含めて機能的に検討できる体制や、地方における合議機関との連携や協力体制、地方機関に調査もできる体制をお願いしたい。政策委員会の勧告を実効あるものにする体制を実現したい。事務局体制を充実させてほしい。障害者基本法の改正で積み残した課題について3年後の見直しに向けての調査等はどこがやるのか。また、総合支援法で骨格提言の重要な部分を今後3年かけて検討することになっており、その検討のために、推進会議に準じた場が必要だ。
  • (発言)障害者基本法の32条は、障害者基本計画をつくって、その計画に沿ったことを議論していくと読める。しかし、基本計画の策定を待たないで議論すべき部分や、基本計画とは別に議論すべき部分がある。障害者制度改革が始まった趣旨を踏まえて、幅広く議論できる中でいろんなことが検討できることが必要だが、32条の解釈はどうか。
  • (発言)積み残した課題で、社会的入院の解消に関連して病床削減を進めるかが重要だ。生活保護受給者の医療費のうちの25%は精神障害者の入院費用だ。去年度ある区で生活保護の人を2人退院させて黒字になった。地域に出した方が、国が出すお金は少ない。こういうことを議論しないで、生活保護受給者の医療費の一部自己負担等を言うのは理解に苦しむ。お金の問題は全部に関わるので、各省庁に提言できることに期待している。
  • (発言)現在の推進会議の委員構成は引き継ぐべきだが、基本法の改正で障害者の定義が見直されたことは反映すべきだ。改正基本法の第33条で政策委員会委員について「障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者」と書かれおり、障害者を中心としつつそれぞれの分野について詳しく現状把握をしている人が必要だ。専門委員やヒアリング等様々な形で、委員の専門外のことについて検討する仕組みと予算が必要だ。地方の意見を吸い上げる仕組み、地方の合議機関における議論の情報を集めて整理して政策委員会で検討する仕組み、そのための事務局体制や資料収集の仕組みなどが必要だ。
  • (発言)委員会による監視・調査研究が政策の改善に影響を与えられるように、監視・調査部門の評価が必要だ。予算を新たに組まなくても現状のマンパワーが機能しているかどうかを点検した上で実施するのが現実的だ。
  • (発言)全米障害者評議会をモデルとして、障害者政策委員会には定期的なモニタリング、個別テーマごとに調査や検討を行うことと、議会から依頼を受けて調査検討する機能が望まれる。政策委員会の長はアメリカを参考にして、議会、行政、障害者団体の三者から信頼のある人がなるべきだ。また、事務局に独自裁量予算をもたせる必要がある。障害者団体の方が構成メンバーの過半数になるべきである。
  • (東室長)政策委員会は内閣府設置法37条に基づく審議会で、いわゆる8条機関の位置づけだ。具体的な権限としては、障害者基本計画に関し幅広く調査、審議をして意見を述べることができる。基本計画の実施状況の監視についても、計画は抽象的に書かれるので限定された議論にはならないのではないか。今は障害者基本計画がモニタリングの指標だが、権利条約が批准されれば権利条約を指標とすべきという課題が出てくる。その他政策委員会に求められる機能等については、事務局だけではなく皆さんも含めて考えていく課題である。
  • (発言)障害者政策委員会は他の省庁や内閣、国会に対する意見の発出力が3条委員会に比べれば低い。障害者基本法32条の基本計画に関し意見が言える、勧告ができるという規定ぶりから、障害者基本計画で触れられていない事柄等についても政策委員会は言及できるという方向性を、室長は示した。内閣総理大臣又は関係各大臣は勧告に基づき講じた施策について、政策委員会に報告しなければならないとあるが、講じなかった、つまり無視した施策については報告義務すらないということか。
  • (東室長)3条委員会とは違うのは事実だが、発信力の強さは組織の在り方の問題だけではなく、当事者参画や情報公開など総合的な要素によって決まる。各省庁が提案しなかった部分についても、調査審議に関しては限定されないので政策委員会は言及できるのではないか。何も講じられない場合の懸念については、通常は何らかのことを講じるだろうし、100%やらない場合には再勧告もあり得る。
  • (発言)都道府県と市町村における合議制の機関は、いつまでに誰ができたことを確認するのか。合議制の機関と政策委員会との関係はどうなるのか。
  • (発言)ある自治体では障害者施策推進協議会が母体になり、3月に第2次障害者基本計画がつくられ、これを3年間実施するとのことだ。障害者基本法が改正されたことの、地方レベルの効果がわからない。
  • (東室長)基本法の改正に基づき、地方の既存の委員会も条例などで改正が求められており、この作業が2月の定例議会で終わる。構成メンバー等は国の政策委員会と同様の規定が加えられており、これに適合する構成を都道府県や市町村で検討していただく。現実に現場で変わるかどうかは、地域の障害者団体がどう働きかけるかという課題もある。
  • (藤井議長代理)去年の8月5日が基本法の施行日で、障害者政策委員会の発足は1年以内となっているが、地方の合議機関も同じか。
  • (東室長)同じと考えている。
  • (発言)政策委員会で、地方の合議制の機関ができているかどうかを調べるのはモニタリングの1つにはならないか。
  • (東室長)基本計画の中に含まれていると思うが、施行日までに合議制の機関を設置しなければならないので、政策委員会の勧告の対象とは異なるのではないか。
  • (発言)現在も内閣府が市町村、都道府県に定期的に調査して、障害者施策推進協議会や計画の策定委員会を設置しているかいないのか、どういう障害者や家族が委員になっているのか等についてホームページで公開している。更に、事務局体制、監視の中身、予算等を調べて地方に提供する、進んだところの経験をほかの自治体が生かせるようにする、そういう動きについて政策委員会が勧告をする等の機能が求められる。
  • (発言)34条1項の「関係行政機関」は国の委員会だけで、2項の「前項に規定する者以外の者」に都道府県、市町村は入っているのか。
  • (発言)障害者総合支援法に基づく自立支援協議会との関係はどうなるのか。
  • (東室長)自立支援協議会は障害福祉サービスをメインとした協議会。しかし、障害者は福祉の世界だけで生きているわけではないので、全般的な問題を議論する場として地方の合議制の機関がある。
  • (発言)各省もこの推進会議を意識して勉強しているし、情報収集を熱心にやっているという点では大きな効果があった。議長代理の議事進行は他の審議会等に対してよい見本になった。室長には事務局として推進会議の運営を引っ張っていただいた。お二人から推進会議の運営に対する自己評価をお聞きしたい。
  • (藤井議長代理)進行役の役割は、話しやすい環境をつくることと意見を練り上げることだ。両方ともやや反省している。進行で困るのは黙ってしまうことだが、活発に御意見いただいた。視覚障害や聴覚障害のある委員等にとっては、通訳の関係でタイムラグがあっただろう。障害当事者を中心に据えて議論をするという点で反省がある。練り上げる作業は、この場では不十分だったかもしれないが、レポートを含め、方向性だけは示す手伝いができた点はうれしく、進行への協力に感謝を申し上げたい。今日、議長が欠席だが、こういう場にいて幸せだったし、よろしく言ってくれといっていたことも付け加える。
  • (東室長)まず、先ほどの質問について、障害者基本法34条1項の行政機関とは国の機関で、都道府県等は2項の「前項に規定する者以外の者」に含まれる。推進会議については、議論が進む中、全体でどうまとめていくかという観点から議論していただいたことに感謝申し上げる。その中で第1次意見も第2次意見も、骨格提言もできた。一人ひとり違う立場だが、一緒に議論できたことは日本の福祉の歴史で初めてではないか。推進会議が発足したころは、月に4回ぐらい開催し、宿題の論点表に答える形で参加していただいたお蔭で、一定の方向性は第1ステップとしてつくられた。本当にありがたいことだ。
  • (発言)事務局、要約筆記の方、カメラを撮ってくださった方、傍聴席を埋めてくださった方、いっぱいの方が推進会議を盛り上げてきた。こういう会議は日本になかった。推進会議では、自分が一番感じていること、考えていること、そして日本中の多くの障害者が制度の使い勝手が悪いために苦しみ、悩み、困惑してきた問題等について、それぞれが別の障害を持つ方たちと本気で話し合ったことで一定の方向性を出すことができた。裏方の一人ひとりに、2年半のたくさんのありがとうを言いたい。
  • (発言)私も同じ思いだ。室長はストレスで倒れないようにお願いしたい。議長や議長代理、総合福祉部会部会長、副部会長もお疲れ様。広い意味では、障害者に寄り添って活動や研究をされている方は当事者だ。その中でも、いわゆる障害のある人はしんどかった。委員によっては、コミュニケーションのハンデがあったり、体温調節が大変な人もいるし、聞いていてわからない発言が多かったということもあった。内閣府の皆さんや情報保障に当たっている皆さん、本当にありがとう。これで一区切りだが、できる範囲でそれぞれの立場で頑張っていこう。

[以上]

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