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障がい者制度改革推進会議(第4回)
議事録

小川議長 定刻になりましたので、これより第4回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。

委員の皆様方には、大変御多忙のところお集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。

本日は福島内閣府特命担当大臣、大島内閣府副大臣、長妻厚生労働大臣及び山井厚生労働大臣政務官が出席をいたしております。

委員の出欠の状況ですが、本日は清原委員から御欠席との御連絡を受けておりますけれども、それ以外の委員は全員出席でございます。

本日の会議は一般傍聴者の方々にも公開しております。また、会議の模様はインターネットを通じて幅広く情報を提供することといたしております。

なお、御発言に際してのお願いとして、前回も申し上げましたが、発言を求めるときはまず挙手をしていただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから可能な限りゆっくりと御発言いただくようにお願いいたします。

本日の会議は17時までを予定しております。

本日は前回同様議事の時間を約65分程度とり、その後、約15分間の休憩を挟むという時間配分を基本として進めていきたいと思います。

それでは、まず福島大臣よりごあいさつをお願いいたします。

福島大臣 どうも皆さんこんにちは。障害者制度改革を担当する大臣である福島みずほです。今日もまたよろしくお願いします。

今日はちょうど第4回「障がい者制度改革推進会議」になります。よろしくお願いいたします。

活発に議論していただいておりますが、今日は長妻厚生労働大臣、山井政務官にも来ていただいております。本当にありがとうございます。

今日は前回の議題として残っております障害者雇用、そして差別禁止法、虐待防止法という大変ボリュームがあるテーマをやれということであります。雇用の問題、長年皆さんたちと取り組んできました差別禁止法の問題、虐待防止法の問題がありますので、是非熱心な御討議を心からよろしくお願いいたします。

それから、前回この推進会議をやっている間に他の省庁でつくっている法案についての御質問がありました。御存じのように、国土交通省では交通基本法を策定中で、来年の通常国会に提出し成立させたいと聞いております。夏ごろまでに案をまとめると聞いております。ですから「障がい者制度改革推進会議」に国土交通省にも来ていただきまして、そこで私たちの意見を、この推進会議として意見を言っていくという機会をきちんとつくりたいと考えております。ですから、他の省庁で進行中で障害者施策に非常に関係のあるテーマにつきましては、その省庁に来ていただきまして、きちっと推進会議として意見を言っていく。その機会をこの推進会議としてしっかり保障しやっていきますので、交通基本法を始めとした他の省庁の施策についても是非御関心を持ち、一緒に的確なる意見を言っていこうではありませんか。

本日も長丁場ですが、引き続きよろしくお願いします。

私はちょっとだけ予算委員会に呼ばれている以外はずっとおりますので、どうかよろしくお願いいたします。今日もよろしくお願いいたします。(拍手)

小川議長 ありがとうございました。

続きまして、大島副大臣よりごあいさつをお願いいたします。

大島副大臣 内閣府副大臣の大島敦でございます。一言ごあいさつを申し上げます。

この推進会議では、これまで3回にわたって精力的に御議論いただいたと伺っております。インターネットで会議の様子をすべて配信していると承知していますが、全国のさまざまな方々が大きな関心を抱いているということで、大変すばらしいことだと思っております。

本日は先ほど福島大臣が申し上げましたとおり、障害者雇用、差別禁止法、虐待防止法という実に大きなテーマを御議論していただくことになっております。委員の皆様におかれましては、どうか活発な御議論をお願いいたします。

ありがとうございました。(拍手)

小川議長 ありがとうございました。

続きまして、長妻大臣よりごあいさつをお願いいたします。

長妻厚生労働大臣 皆様こんにちは。厚生労働大臣の長妻でございます。

当事者の方から直接貴重な御意見を聞くということが何よりも重要であると我々は肝に銘じているところでありまして、皆様の御意見を参考に福祉政策あるいは雇用の政策などを立案していきたい。そして、我々は自立支援法を廃止するということを掲げておりまして、それに代わる新しい制度につきましても、いろいろな部会等で詳細な御議論をお願いしたいと考えております。

今、僭越ながら資料を配らせていただいたんでございますが、調査結果ということでございますけれども、私ども厚生労働行政で最も重要なのは現状把握だと申し上げておりまして、その調査の第1弾が出ました。これは障害者自立支援法の施行前の平成18年3月時点と現在ということで、平成21年7月における利用者負担に関わる実態調査です。サービスの実負担額について、全利用者の87.2%の方がやはり増加をしておりまして、その平均増加額は1か月で8,518円ということです。特に低所得者、市町村民税非課税世帯については93.6%の方が増加しておりまして、その平均増加額は1か月8,452円という実態がございます。

そして、今、お配りしたのは第1弾の調査でございまして、第2弾の実態把握調査というものを実施中であります。これはどういう調査かといいますと、自立支援法が施行された当初の平成18年3月から10月までの間に、利用者負担を理由に退所をした方を追跡調査する。1,625人という方が退所したので、どうして退所されたんですか、その後どうされているんですかということに関して、お一人お一人の方に当たりまして、現在の障害福祉サービスの利用実態を把握するという第2弾の調査をやっております。春ごろに結果が出ますので、それも生かしていきたい。

今、お願いしている平成22年度の予算審議では、低所得者の方の福祉利用のサービス料を無料にさせていただく、補装具の利用者負担についても無料とさせていただく、こういう政策を掲げ予算化もしております。

いずれにしましても、よりよい制度のアドバイスを是非皆様から今後とも御指導いただきますよう、よろしくお願いをいたします。(拍手)

小川議長 ありがとうございました。

続きまして、山井政務官よりごあいさつをお願いいたします。

山井政務官 皆さん御苦労様です。政務官の山井和則です。

2点申し上げたいんですが、1点目は予算のことです。私も初めて政務官にならせていただいて、今も長妻大臣から話がありましたが、来年度予算で低所得の障害者福祉サービスの1割負担、自己負担の部分を0にする107億円を獲得するためだけにも大変な苦労をいたしました。しかし、皆さんも思いは一緒だと思いますが、これは当然自立支援法を廃し、更によい制度に向けた最初の一歩であって、この会議で議論していくことを形にするためにはもっと多くの予算が必要となってきます。勿論、厚生労働省も内閣府と力を合わせて再来年度の予算に向かっても努力をしますが、やはり国民の中で障害者福祉がもっと進んでいるのが当然なんだ、欧米諸国に比べて10年、20年遅れているんだという機運を盛り上げていく必要があると思いますので、まさに私たちはともに重い責任を負って、この場からともにそのような国民運動をしていきたいと思っております。

もう一つは、障害者の福祉現場の処遇改善交付金というものがあります。高齢者介護の交付金は月々平均1万5,000円上がる交付金で、今8割の事業所が申請をしておりますが、障害者福祉現場は6割台で、まだまだ交付金を申請されている事業所が少ないんです。勿論この交付金にはさまざまな使い勝手の悪さがありまして、100%になりにくいということもわかるんですけれども、せっかく交付金として予算を獲得しておりますので、この場をかりてより多くの事業所に交付金を申請していただいて、現場で低い賃金で頑張ってくださっている職員の方の賃金がちょっとでも上がるように、ともに取り組んでまいりたいと思います。

今日もどうかよろしくお願いします。(拍手)

小川議長 ありがとうございました。

それでは、これより先の個別討議につきましては、藤井議長代理に議事進行をお願いいたしたいと思います。藤井議長代理、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 藤井でございます。議長代理の藤井の方で議長を務めさせていただきます。

本日は長丁場なんですが、まず最初に本日の議事の進め方につきまして、東室長より提案をさせていただきます。東さん、よろしくお願いします。

東室長 こんにちは。室長の東です。

本日は雇用、差別禁止法及び虐待防止法について御議論いただきたいと思っております。

3コマのうち第1コマを雇用に充てたいと考えております。一般就労、福祉的就労、シームレスな支援、雇用の創出、その他という枠で1コマ目を使いまして進行します。

2コマ目は差別禁止法に充てます。差別禁止法制度の必要性、差別の定義、個別分野、関係個別立法との関係、救済機関、相談支援機関、その他というコマでやっていきます。

第3コマは虐待防止法についてでありますけれども、障害の定義から始まって虐待行為者による類型、虐待の定義、早期発見義務、通報義務、救済機関、監視機関、相談支援機関、その他という形で進めていく所存でございます。

それと今回からの議事の進行に当たって2点ほど担当室からお願いがございます。

1点目は門川さんの支援体制をどう組むかということについて、福島智さんのオブザーバー参加について認めていただきたいということです。門川委員から指点字を通じて4時間の会議の議事進行についていくに際して、例えば最後の方では皮膚の感覚さえなくなっていく。通訳者の方もかなり疲労がたまってきて正確にできない状況も発生してきている。そういうことで、4時間の会議に参加するための配慮をお願いしたいということで、具体的にはいつも来られていますけれども、福島智さんと途中で交代するという形でやりたいということだったわけです。それでいろんなことを検討して、現状としては委員自体を増やすということは難しいだろう。それでオブザーバーという形で支援していただくと考えているところです。それについて、皆さんの御了解をいただきたいというところであります。あくまでも定員を増やすということではなくて、例外的な形であるということについて御承知おき願いたいと思っています。

2点目は、北海道から土本委員が来られています。土本委員は知的障害の当事者です。前からも御発言がありましたけれども、難しい言葉、外国の言葉を使われると理解ができない。4時間もそれを聞いていて会議についていくことは非常に困難である。そういうことですので、例えば難しい言葉が出た場合には、サッカーではありませんけれども、支援者の方にイエローカードを出していただく。それによってその言葉をもう少しかみ砕いて委員の方に説明していただく。そういうやり方をとりたいということで御要望が上がっております。

土本さん、その点について何か補充があればお願いします。

土本委員 今日の資料にも書かれているんですけれども、わからないところをそのまま通過するのはよくないと思います。

それとイエローカード、黄色い紙、目に困難を抱えている人には見えないのですけれども、カードを上げますということを一言添えてもいいと思いますので、よろしくお願いします。

以上です。

東室長 以上ですので、皆さんの方でお願いします。

藤井議長代理 それでは、ここで大島副大臣が公務のため退席されます。大島副大臣、どうもありがとうございました。

大島副大臣 ありがとうございました。

(大島内閣府副大臣退室)

藤井議長代理 今日の大枠は約65分間ぐらいです。雇用の分野のめどは14時15分です。15分休憩して、14時半から5時30分までの60分間が差別禁止法、15時45分から16時50分までが虐待防止法に関して議論をするという段取りで進めてまいります。

今、お話にあったことなんですが、まず門川委員に関しまして、そういう理由から福島智さんにオブザーバーということで加わってもらうとなったんですが、まず門川さんから発言はありますか。

門川委員 門川です。

室長の東さんと議長代理の藤井さん、ありがとうございます。

今回オブザーバーとしてですけれども、福島智さんに協力をしていただくという形で、この会議に加わっていただくことになったことは大変うれしく思います。

この推進会議はいろんな意味で大変高く評価をしています。まず当事者が、そして、当事者の家族が半分以上そこに加わっているということと、もう一つは、手話や字幕付きで全国に配信しているということ、これはなかなかすばらしいことだと思います。

一方で、この会議自体が4時間と大変長丁場なんです。4時間という会議をこなすにはやはり1人では大変だと感じているんですけれども、できるだけ皆さんと一緒にこの会議に臨みたいと私は思っています。会議というのはコミュニケーションの場でありディスカッションの場です。私のような盲ろう者は見ることも聞くこともできませんから、通訳を介して議論に加わっています。通訳者は両脇に1人ずついて、交代しながら指点字で通訳をしてくれています。指点字というのは神経を使いますから、大変疲れもたまっていきます。ですから、続けているとだんだん集中力も落ちます。でも、こちらはできるだけ努力をしてみんなについていこうと思っています。

だけれども、やはり1人では限界を感じるので、先日、要望書を内閣府に出したわけです。2人の参加を認めてくださいという内容で出しました。その結果がオブザーバーとしてという条件で認めていただきました。これについては大変うれしく思っています。ありがとうございます。ただ、できましたら、オブザーバーという扱いではなくて、やはり構成員という立場で福島智さんに関わっていただくのがよい、それが理想だと思っています。1+1=2というのが通常ですけれども、私たち盲ろう者は1+1=0.5かやっと1になる。つまり、2人合わせてやっと1人前という感じだと思っているので、4時間をこなすには2人のチームワークでやっていけたら一番よいと思っています。

この長丁場の会議をこなすのは大変だという人たちはほかにもいらっしゃるかと思います。合理的配慮ということはこういうことだと思います。障害者の権利条約の差別の定義には合理的配慮の否定ということが書かれてあります。ほかにも点字受験の時間を延長するといったことも立派な合理的配慮です。今回の2人体制というのも、この合理的配慮のよい例だと思っています。前例のないことではあるんですけれども、この推進会議が率先してそういったやり方を広めていっていただければ、大変うれしいと思っています。

いずれにしましても、オブザーバーという形ではありますけれども、今後、福島智さんに協力していただくことになりましたので、皆さんどうぞよろしくお願いします。

ありがとうございました。以上です。

藤井議長代理 まず東室長から御説明がありましたことは、これでよろしいでしょうかという各委員の合意が要ると思いますが、皆さんよろしゅうございますでしょうか。

(拍手起こる)

藤井議長代理 それでは、今ありましたように、1+1=2ではなくて1+1=1ということもありますし、オブザーバーという名称に入るということもありましたけれども、とりあえず一歩前進ということで、福島智さん一言いかがでしょうか。

福島氏 ありがとうございます。これまでネット裏みたいにこういうところに座って、傍聴人なのに偉そうにしていたんですが、机がないと指点字は本当に読めないからなんです。門川さんが言われたように、光と音のない状態ですべてを指だけで読み取るというのはものすごい神経の集中が必要なので、今後、私と門川さんの二人で臨ませていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

藤井議長代理 それでは、議事に入りますが、ほかにいかがでしょうか。

新谷委員、お願いします。

新谷委員 大臣がおられる間に2点お願いがあります。

本題に入る前に一言、昨日の津波関連のテレビ放送ですけれども、1日ずっと放送しておりましたが、定時ニュース以外には全く字幕が付いていません。私たち聴覚障害者にとっては、毎回、緊急時に繰り返されることですけれども、本当に不安と苛立ちの1日です。定時ニュースが12時にあって、次の7時のニュースまで全く字幕が付かないで、テロップとL字スーパーを追いかけているだけです。画面ではいろんな情報が出てきていますけれども、一体どういうことなんだろう。海面が上がっている、下がっているというのは一体どういうことが私たちは全くつかめないのです。これは毎回繰り返していることですけれども、NHKはその技術をお持ちなのにこういう緊急時になぜ字幕を付けられないんだろうか。緊急時に付いていなかったら、私たちはどうしていいのかわからないということがありますので、是非この場をかりてお願いしたいと思います。

本題に入ります。先ほど門川さんから情報保障の話がございましたけれども、今回の会議の私への情報保障は十分に御用意いただいております。要約筆記があって、スクリーンがあって、磁気ループも用意していただいています。だけど、会場に参加された皆さんは要約筆記のスクリーンを見ることができません。

前回から私以外に聞こえない方がこの会議に傍聴者として参加されていますけれども、その方はわざわざここに座って、あのスクリーンをごらんになって、この部分だけにはった磁気ループを使って参加されています。私はコミュニケーションというのはそういうものではない。この場にいる全員が同じ情報を共有して、同じようにわかり合っていくのが情報保障、コミュニケーションだと思っております。解決策としては、例えばここに大きなスクリーンがあって、ここからプロジェクターで放映する。私たちはいつもそういう方法をとっていますが、そうやれば解決があります。ただ、準備されている方々からお伺いしますと、確かに会場が狭いので、ここの部分を取り外して広げますと傍聴席が削られたりしてしまいます。会場の制約はあるかと思いますけれども、せっかくパソコン要約筆記がありますので、全員の方が情報を共有できるように御配慮いただきたいと思います。

それから、2点目ですけれども、前回御質問しましたし、先ほど大臣からも御説明がございましたように、各省庁での施策検討と推進会議の関係についてです。前回お願いしました背景には、第2回の推進会議だったと思いますけれども、大臣にお答えいただいた障がい者制度改革推進本部やこの推進会議の設置根拠となる、例えば障害者制度改革推進法といったものがまだ国会に提案されていないということが背景にございました。推進会議の設置が法的な根拠を持つようになると、先ほど大臣から御説明があったり、先日私たちが懸念しました問題もおのずから整理の道がついていくのではないかと思います。そういう意味で、障害者制度改革の旗振り役、エンジン役として、推進本部と推進会議がその役割を十分に発揮できるように、各省庁での障害者制度改革が推進していくように、是非今国会への法案提出を実現いただきたいと思います。

以上2点が要望です。

藤井議長代理 大変大事な事柄なんですが、福島大臣お答えいただけますか。お答えできる部分で結構です。

福島大臣 何点かありましたけれども、プロジェクターの件は、設備のこともあるので私が今ここですぐにあれすることはできないんですが、おっしゃっていただいた件はきちっと検討いたします。

設置法のことなんですが、閣議決定をして推進会議が発足して、設置法をつくるまでもなく実はもうスタートしているということなんですが、皆さんの御要望はしかと受け止めてやっていきたいと思っています。

ただ、1つ、これは閣議決定を経てやっていることなので、何か遜色があるとかそういうこともない。これは進行している話ですので、設置法についての要望は、今、予算委員会で国会の中の状況はまだ法案を出すことができない。それは理解をしておりますし、また設置法がなくて推進会議がスタートしたわけですが、それはとても重く、他の省庁との関係でも全く問題や遜色はないということを改めて今日申し上げたいと思います。

藤井議長代理 新谷さん、よろしいですか。

新谷委員 とにかく提案するというようなお話は伺えないのですか。国会に上程するというお話はないのですか。

福島大臣 それは勿論国会に上程する法案の中に入っております。

藤井議長代理 大臣から国会に上程する法案に入っているという力強いお答えをいただきましたので、新谷さん、よろしいですね。

新谷委員 はい。

藤井議長代理 久松さん、手が挙がっていますか。どうぞ。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。

新谷委員のお話を更に補足してお話させていただきます。実は新谷委員のお話の中に津波のお話が出ましたが、私どもろうあ連盟で太平洋側に住んでいる各県の被害状況について調べたところ、宮城県では避難場所に逃げ遅れた聾者が出たという報告を聞きました。今回、官房長官の記者会見の中にもありましたが、津波の警報について知らなかった難聴者、聾唖者がたくさんいます。これはテレビのニュース速報を見ても意味がつかめない人がたくさんいるということを是非御理解いただきまして、いろいろな省庁、厚生労働省等に働きかけをお願いしたいと思います。

それと同時に、せっかく福島大臣がいらしていますので、内閣府の大臣の皆様に是非お願いをしていただきたいことがあります。大臣がいろいろ国民に直接語りかける場というのがたくさんあると思います。そういう場で、手話通訳、字幕を必ず付けていただくということをお願いしたいと思っております。例えばアメリカの大統領あるいはヨーロッパの首相の演説のときには、必ず手話通訳、字幕が付いているという状況を見ております。日本ではそういう状況が全くありませんので、今後は内閣府あるいは閣議の場でそのように働きかけをお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 大臣からお願いします。

福島大臣 わかりました。今回の津波の件に関して、そういう実態があった。障がい者制度改革推進会議で意見も出たということで、他の省庁にも働きかけていきますし、後者の点についても検討してもらえるように要請したいと思います。ありがとうございます。

藤井議長代理 いずれもそういうことでよろしゅうございますね。

それでは、本題に入ってまいります。まず雇用の分野です。東さんから論点となる意見書の整理をお願いいたします。

東室長 東です。

「○一般就労」についてでありますけれども、この点につきましては、

まず、適用範囲の問題があります。

2番目は、障害種別による制度間格差の問題です。

3番目は、現行法定雇用率制度の問題点です。

4番目は、職場における合理的配慮の実現プロセスと異議申し立てについてという大きなテーマを挙げております。

各テーマについて、それぞれ簡単に委員の御意見を御紹介申し上げます。

まず適用範囲、手帳制度の問題点についてでありますけれども、障害者雇用促進法の第2条は対象となる障害者を身体障害、知的障害または精神障害があるため、長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難なものと規定してあります。そして、それぞれの3障害については、障害の種類とその程度に基づいて、雇用促進法の対象範囲を決めるという仕組みになっているかと思います。このような対象範囲の決め方について17名の委員の方から御意見をいただいております。

まず2~3の意見を紹介しますと、

・機能障害をベースとする障害者手帳制度で対象者を判断するのではなく、基本的には職業生活上の困難度に注目して対象を判断するような仕組みが必要であるという御意見。

・現在、外れている難病、発達障害、高次脳機能障害などを幅広く対象とするべきだという御意見。

・また、適用制度そのものについては、3障害によってそもそも手帳制度の法的な位置づけがそれぞれ異なっていることを始めとして、多くの検討課題があるんだ。

・手帳の交付を受けている障害者だけを対象とするようなものは不適当ではないのか。

・手帳制度を廃止して、利用者に必要な支援が行き渡るようなアセスメントの方法を導入すべきである。

そのような御意見が挙がっております。その他の意見も大方同じような御趣旨だと思われます。

まとめますと、現行の手帳制度は生活の困難もしくは就労の困難さに重点を置いたものではない。社会モデルの視点で見直すことが必要であり、そのような現状では雇用促進法の対象を手帳交付者に限定すべきではない。そのような御意見が多かっただろうと思います。

2番目の障害種別による制度間格差についての問題ですけれども、15人の委員の方から御意見を伺っております。

どこに格差があるかといった点については、例えば、

・手帳を有する身体と知的の障害の間には大きな賃金格差がある。

・手帳を有する精神障害者は雇用率には算入されますけれども、雇用義務から外されている。

・手帳を有しない難病、発達障害、高次脳機能障害は雇用義務がないだけでなく、雇用率にも算入されない。

・視覚障害者は他の身体障害者に比較し、雇用促進が遅れている。

・聴覚障害者に対する就労支援が手話通訳者等の不足により他と比較して不十分である。

などの御意見が挙がっております。各意見ともその格差を是正する方策が求められるということでした。

次に法定雇用率制度の問題点です。例えば雇用率そのもの、ダブルカウント制度、特例子会社、雇用納付金等の制度についてどう考えるかということですが、これについては18名の委員から御意見をいただきました。かなり意見が挙がっていますが、代表的なものだけに絞らせていただきます。

まず雇用率についてでありますけれども、

・日本の雇用率がドイツの5%、フランスの6%に比較して著しく低い値に設定されている。このこと自体が問題である。

・雇用率の算定に用いられる障害者の範囲や失業している障害者の数が実態と比べてどうなのか、きちっと見直す必要があるのではないのか。

・公的なセクター、国や自治体での雇用率を率先して上げていくことが求められるのではないか。

などの御意見があり、また、障害種別ごとの雇用率となっていないわけですけれども、例えば、

・公務員の募集において、事実上知的障害者は省かれている。

・他の障害の方だけが不利益な状況を受けている。

・それぞれの障害種別単位で雇用率を発表すべきではないか。

などの御意見がございました。

次にダブルカウント制度もしくは0.5カウント制度でありますが、

・重度障害者の雇用促進という目的から見ても、障害者を二分するもので不適切である。

・低い雇用率を更に低くするものである。

・ダブルカウントによって重度障害者の雇用の促進が図られると言われるけれども、それについては疑問がある。

・合理的配慮で対処すれば、ダブルカウント制度は不要ではないのか。

・短時間労働のニーズを有する障害者を0.5としてカウントすべきではない。

などの御意見があります。ただ、

・ダブルカウントや0.5カウントはそれなりに雇用の促進に役立っている。

という御意見もありました。

また、特例子会社につきましては、

・確かに雇用促進の効果が上がっている半面、差別的な待遇、例えば人員にしても、賃金体系にしても本体とは別個のままに固定化される。そういう面がある。だから、制度の廃止を含めて差別禁止や固定的な人事の是正が求められるのではないか。

・特例子会社においては、特に精神障害者の雇用が少ない。

という御指摘や御意見も挙がっております。

次に雇用納付金制度についてでありますが、例えば、

・常時雇用する労働者の範囲についての行政解釈が拡大されていて、雇用納付金を不当に免除させる結果になっているのではないか。

・納付金額の引き上げと納付の義務を負う対象企業を拡大すべきではないか。

・雇用率未達成企業の存在を前提とした雇用納付金と助成制度は、そもそも制度の目的とは矛盾するものである。雇用率達成を前提とした財源確保の手段を検討すべきではないか。

という意見がありました。また、合理的配慮と関係して、

・合理的配慮が確保されるよう雇用調整金とか助成金制度が適用されるように望む。

という御意見もありました。ほかにもありますが、大体以上が御意見です。

一般雇用、一般就労における最後の論点として、職場における合理的配慮の実現プロセスと異議申し立てについてどう考えるかという点でありますけれども、障害者の権利条約では、御存じのように合理的配慮を提供しないということは差別であると規定されております。ですから、合理的配慮をすることは相手方の義務であり、これを求める側の権利でもあります。しかし、合理的配慮は本来個人の状況と置かれた環境によって個別的に決まるという性格を持っておりますので、すべてを法律で細かく書き込むには限界があります。具体的な場面でどういう形で合理的配慮の内容を決めていくのか。そういう点でプロセスが大事となってくると思います。

これらの点について19名の委員から御意見をいただきましたが、多くは、

・合理的配慮を実現するに当たって、事業者とか個別の機関において協議や調整の仕組みを設けるべきだ。

・その際に障害当事者を支援する相談体制が非常に重要である。

・事業者側の認識を高めるような教育、研修体制も必要であろう。

・行政機関によって具体的なガイドラインかつくられること。

・実態調査に基づいて事例研究がなされ、更には利用者が合理的配慮できるような公的な財政支援、助成金制度、技術的な援助の仕組みを検討する必要がある。

という御意見が多くありました。

また異議申し立てについては、

・裁判になる前の職場内での調整とか第三者機関における調整や調停、そういう仕組みを用意する必要性。

・既存の紛争調停機関の利用もしくは新たな機関の設立を検討すべき。

などの御指摘や御意見がございました。

以上が一般就労についての御意見の概要です。

藤井議長代理 このコーナーはこの後に福祉的就労、その他、シームレスな就労分野等が加わってきますが、前段、後段に分けてやります。前段は、今、言われましたように4つの要素がありましたけれども、一般就労全般に関して、これに加えての御意見あるいは強調しておきたいことがあったら発言を求めます。いかがでしょうか。

松井さん、お願いします。

松井委員 ありがとうございます。法政大学の松井です。

今日は大量に資料を出していただきましたけれども、部数が足りなくて傍聴者の方々には渡っていませんが、委員の先生方には障害者の就労支援と国際基準ということでILO159号条約違反の提訴への回答と今後の対応というものを出させていただいております。詳細には触れませんけれども、内容としては我が国の障害者雇用の水準は国際基準と比べてまだまだ問題があるということが指摘されております。

例えばILOの条約勧告適用専門家委員会というものがあり、それに対して日本政府から文書で、ILO159号条約に関する日本の取組み状況について報告がされることになっておりますけれども、これまで政府からILOに出される文書が民間に対してオープンになってはいないと思います。そういう文書について、勿論労働組合及び経営者団体との協議はありますけれども、ILOとしては障害当事者団体も含めて協議するということを奨励していますので、次回政府から出される文書については事前にそういう協議の場を設けていただきたい、あるいは設けるべきではないかと思います。それが第1点です。

もう一つ、合理的配慮に関して、「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応のあり方」検討会の中間整理が後から出した資料の中に含まれておりますけれども、これは労働行政の方で11回にわたって行われた研究会での検討内容を中間整理という形で示されております。これを出させていただいたのは、今日、極めて限られた中で議論するわけで、今、紹介しましたように、労働行政の方では研究会を11回にわたってやり、その後、労働政策審議会でも障害者雇用部会で継続して審議しているんです。そういう意味では、先ほど福島大臣が、法律がなくても閣議で了解されているから、きちんと対応できるとおっしゃいましたけれども、そういう各省レベルにある審議会であるとか研究会とのすり合わせをどうするかということが非常に大事ではないかと思います。

昨年12月下旬にひらかれた労働政策審議会障害者雇用分科会でもこのことに関連した議論が行われていました。

藤井議長代理 ちょっと待ってください。松井さん、今、見ているのは追加資料-2ですか。

松井委員 追加資料-2のところです。

藤井議長代理 終わりの方ですね。

松井委員 はい。

藤井議長代理 何ページか書いてありますか。

松井委員 63ページです。

藤井議長代理 松井さんの追加資料-2の63ページのところです。

松井委員 同分科会の議論では、労働政策審議会あるいは障害者雇用分科会は厚生労働省設置法といったものなどで根拠づけられている。そういう法令でがっちりしたフレームが決まっているわけだけれども、推進会議はいまのところ法律で根拠があるものではない。そういう意味では、少なくとも障害者雇用に関する議論というのは、むしろ労働政策審議会あるいは障害者雇用分科会の方で優先してやるべきだという意見が委員からでています。そうなると、ここで議論していることは一体どういうことなのかと思いますし、その辺の整理をきちんとしない限りはなかなか議論が進まないし、実効性のある形での提言としてまとめることは極めて困難ではないかと思いますので、その点についても御検討いただきたいと思います。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

関口委員、大濱委員の順番でいきます。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口です。冒頭に話そうと思ったことと、余りいっぱい話すといけないというので、雇用に関しては回数をこの1回にしますので、ちょっと長くなることをお許しください。

もうお帰りになってしまったんですけれども、山井さんが予算のことを言っておられました。300億つくと言っていたのが107億しかとれなくて、自立支援医療が落ちたというのは甚だ残念です。多分自立支援法の訴訟団の原告の中に精神障害者がいなかったということも大きな要因だったと思います。それが1点です。

雇用についてですけれども、まずILO条約での雇用といったときには、ILOはこの条約における障害者はという定義があるんです。条約における定義があるんです。それは権利条約の定義とはいささか違っている形になっています。ですから、その辺をどう考えるのかというのが根本問題としてあると思います。

それから、雇用に関して私は幾つか意見を述べていますけれども、労基法の問題です。要するに労働法を適用するか否かということで、保護的就労のところでも触れているんですが、労基法というのは例えば6時間以上ぶっ続けで仕事をさせることはできない。つまり、休憩を入れなさいとかそういう最低基準が書いてある法律なんです。ところが、精神障害者の場合はそもそも6時間もたない。3時間で休憩がほしいという場合がありまして、なぜか精神障害者は訓練して6時間耐えられるようにするんだとか、そういうことでもって一生懸命訓練するわけですけれども、皆さん就職してつぶれてしまうんです。労基法準用と書いたのはそういう意味で、厳密に適用すると6時間働いてから休みをやればいいのではないかという話になってしまうので、そこは合理的配慮でもって、むしろ精神障害者は例えば3時間なら3時間働いてお休みを少しいただけるような形にしていただけないだろうか。それは労基法を厳正に適用するというよりも、もっとフレキシブルに解釈して適用するということの趣旨です。

それから、やはり精神は手帳を振りかざして働いている人の数は非常に少ない。隠れてクリニックに行っている人は多いと思うんですけれども、こういう人は手帳をとろうとしませんので、潜在化しているわけです。それを顕在化させた途端に、あるいは企業が定員を埋めたくなったときに、数えます、としたときに、あっという間に埋まってしまうのではないかというおそれが多々あります。そんな意味で、簡単に申し上げますと、雇用に関してはそういうことなんです。

長妻厚生労働大臣と山井さんが言ったときに予算の話が出ましたけれども、これに関しては、私は中野区に住んでいるんですが、長妻厚生労働大臣の大きなポスターがはってあります。サービス提供側の仕組みから生活者主体の仕組みに変えるんだということをおっしゃっております。ですから、くれぐれもサービス提供側にだけ有利な予算のつけ方ではなくて、障害者自身に有利な予算のつけ方を考えていただきたいと思っています。そうでなければ、生活者主体ということにはならないと思います。事業所さんが使いにくいとか使いやすいとか山井さんが言っていましたけれども、事業所というのはサービス提供者側なのであって、サービスを受けるのは我々なんです。つまり、我々が心地よいサービスを受けられるように組み換えていくんだということを長妻厚生労働大臣はポスターの中で言っているんだと思うので、その辺は我々も再確認した上で、なおかつ障害者が国民の理解を得なければならないということを言いますけれども、精神障害の場合は国が率先して差別、偏見をあおってきた側面がありますので、何を今更言っているんだという話です。私らはもともとそんなことではなくて、実態を知らせて、危ない人でも何でもないということを言っているんですけれども、不幸な事件が起こると、ごくごくまれな事件をネタに医療観察法をつくったり何なりして、そういう方に押し付けてきた。だから、我々は正々堂々と、OECDの真ん中ぐらいと言っているんだから、真ん中ぐらい予算を増やせということは外国と比較してもこうですということで国民に説得できるはずなんです。それを大臣がやらなくてどうするんですか。政務官がやらなくてどうするんですかと私は思いました。

藤井議長代理 関口さん、時間がないから極力テーマに即してお願いします。

関口委員 もう終わります。

藤井議長代理 関口さん、いいですか。

関口委員 はい。もう終わりです。

藤井議長代理 今度は短目に頑張ってください。

今、あと2人手が挙がっています。順番にいきますが、このコーナーでどうしても発言したいという方はほかにいますか。その3人で、今、言いましたように、時間は少し短目にお願いしたいんですが、できれば結論を先に言ってください。そうするとわかりやすいので、進行に協力してください。

大濱さん、どうぞ。

大濱委員 3点申し上げます。

まず法定雇用率です。法定雇用率は日本の場合1.8%。これは精神障害者が数字に入っていないということで1.8%に設定されているわけですが、ここはやはり精神障害者も入れて1.8%から5%程度、諸外国並みにするということが重要だと思います。これが第1点目です。

2点目ですが、ダブルカウントの件です。厚生労働省の職業安定局の数字を見ますと、1999年から2007年の統計が出ています。この統計によりますと、重度以外の障害者の数字が16.5%に上がっているのに対して、重度障害者の雇用率は1999年から2007年で21.6%に上がっています。こういうことを考えますと、ダブルカウントの制度というのはある程度まで積極的な差別是正措置という観点からとらえることができると思います。

また、3点目として、一般に就労しづらいと言われている重度障害者に対する積極的差別是正措置の在り方です。ダブルカウントの制度の問題としましては、障害者手帳1種1級というのは重度障害者になってくるわけですが、この1種1級と言っても非常に幅広いわけです。障害手帳についてもそうですが、やはり障害の範囲と同時に障害の程度や手帳の在り方も新たに再検討する必要があると思っています。積極的差別是正措置の対象者はどんな障害者なのか。それがダブルカウント、要するに2倍がいいのか1.5倍がいいのかということも含めて、一般に就労しづらいと言われている重度障害者が一般就労をしやすいような状況をどのようにつくっていくかということが今後の課題だということです。これについては新たな今後の検証が必要だと考えております。

以上です。

藤井議長代理 新谷さん、どうぞ。

新谷委員 新谷です。

先ほど松井先生からお話がございましたけれども、厚生労働省にできている合理的配慮に関する研究会の中間整理案というものを拝見しているのですが、そこでの議論が労働施策審議会に引き継がれたということを初めてお伺いしました。研究会の時点から聴覚障害者がその中に入っていない。特に職場における合理的配慮というのは、私たち聴覚障害にとって切実な問題で、委員参加をさせてほしいということを繰り返していましたけれども、審議会に引き継がれるときに全く私たち団体には情報提供がないまま進んでいるということがあります。

その審議会での議論の方向ですけれども、前の研究会のときにもお願いしましたが、アメリカの雇用機会均等委員会は、職場における聴覚障害者の合理的配慮について28のガイドラインの事例をまとめて出しているわけです。こういう方向の議論が審議会の中でやられているのかどうかをお伺いしたいです。

藤井議長代理 これはだれに聞けばいいかという問題がありますね。今日ここに労働行政についてわかる方はいらっしゃいますか。事務局どうですか。今、すぐお答えできませんから改めてということなので、新谷さん、追って次のこの場でお答えするということでいいですか。

松井さん、遠藤オブザーバーの両者が委員なので、お答えいただけますか。

遠藤オブザーバー 日本経団連の遠藤と申します。

今の点についてでございますけれども、現在は、研究会から審議会に検討の場が移ってまいりまして、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス等々の諸外国の状況も踏まえつつ、多方面から、審議が進められている途上でございます。

発言の機会をいただきましたので、1点だけ私どもの考え方を述べさせていただきたいと思います。障害者の雇用につきましては、やはり労働者と使用者が十分に連携を図りながら進めていく必要があると思っております。そういった意味で申し上げますと、障害者も加わって労使が十分に参画できるような形となっている厚労省の審議会における議論を最大限尊重していただくようお願いしたいと思っております。

以上でございます。

藤井議長代理 今後の労働行政の審議の進め方ですね。労使双方がちゃんと入るようにということで出ていました。これは遠藤委員の紙媒体にも出ていますので、参照してください。

新谷さん、更に詳しくはまたということで、今の件でよろしいですか。

新谷委員 改めて厚生労働省からお話をお伺いしたいと思います。

藤井議長代理 そうしましょう。

それでは、川崎委員からお願いします。

川崎委員 精神障害者の家族会の川崎でございます。

先ほど来からの一般就労につきまして、実は精神障害者ができていない。これはしたいけれども、できないという状態が現状でございます。精神の人たちはほとんどの人が就労をしたい。しかしながら、それがなかなか結び付かないということが、今、精神障害者の一般就労の大きな課題だと思っております。

松井先生からお話がありましたように、厚生労働省の「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」で、私も委員として入っておりまして、ここでは合理的配慮を非常に細かく議論、審議されております。その中で精神障害者の合理的配慮については述べておりますので、是非ともそれをこの場で実効性のあるものにしていただきたいと思っております。

以上でございます。

藤井議長代理 まだたくさんあるのはわかっているんですが、時間がございませんので、同じ雇用分野の次のカテゴリーの福祉的就労、シームレスな就労に関する分野、その他を一括して東室長から提案をお願いします。

東室長 一括すると随分長いんですけれども、いいですか。

藤井議長代理 はい。構いません。

東室長 「○福祉的就労」に関しては、

まず労働者性と労働法規の適用についてどう考えるかというのが1番目。

2番目に、最低賃金と賃金補填についてどう考えるのか。

3番目に、就労支援事業のあるべき姿についてどう考えるか。

4番目に、一般就労における就労支援についてどう考えるかというものがあります。

まず労働者性の問題についてですが、障害者の権利条約はインクルーシブでアクセシブルな開かれた労働市場であることを求めているわけです。しかし、御存じのように、日本においては福祉的就労と一般就労という形で区切られております。勿論、就労継続のA型については雇用型となってはおりますけれども、大枠としては分断固定化されたままである。こういう現状において、福祉的就労という部分で働く障害者を労働者として認めるか、労働法規を適用すべきかという点です。これらについて16名の委員から御意見をいただきました。

適用に慎重な意見もありました。例えば、

・現状を考えると就労A型を除けば、B型から一般就労へ移行するという形の方が妥当であって、いきなりB型に労働法を適用すべきではない。

・福祉的就労は一般労働と質が異なる。積極的な位置づけが必要であり、支援を受けながら働く場としてB型は不可欠である。

これらは労働法規を適用しないという前提での御意見だろうと思います。しかしながら、多くの御意見は、例えば、

・障害者の権利条約とかILOの勧告からしても、福祉的就労の分野においても一般労働法規を適用すべきだ。または、賃金補填制度も検討すべきである。同一価値労働、同一賃金の原則を適用すべきである。

・非雇用型であっても、少なくとも労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法などを適用すべきである。もしくは福祉法と雇用法との連結によって、労働者の権利と所得を保障すべきである。

・福祉的就労という位置づけを残すにしても、適用が可能なもの、または適用が妥当なものから労働者の一般保護法を個別的に適用すべきである。

という御意見がありました。こちらの方が多かったと思っております。

次に最低賃金と賃金補填についてどう考えるかですが、従来の最低賃金除外制度が、去年、最低賃金の減額特例制度に変わっているわけですが、これらの点について17名から御意見がありました。ざっと御説明申し上げますと、

・賃金補填が必要であるもしくは減額制度を見直すべきである。

とする多数の御意見がありましたが、

・最賃そのものは守るべきである。

・賃金補填を前提に年金などとの相互調整が必要。

・賃金補填が逆に労働の機会を圧縮するようであれば、年金とか就労手当を総合的に調整すべき。

という御意見がありました。ただ、

・重度障害者の一般雇用の維持という観点からして、最低賃金の除外制度もしくは今の減額制度は維持すべきである。

という御意見もありました。

次に3点目の就労支援事業のあるべきか姿という点についてでありますが、13人の委員から御意見をいただいております。その中で例えば、

・就労支援と生活支援を切り離すべきではない。

・職場だけの支援だけではなく帰宅後の生活面での支援も必要なんだ。

・単に就労支援において、職場と生活を切り分けるべきではない。

という御意見がありました。さらに、

・在宅における就労の支援も対象にしてほしい。

・自営の仕事の促進もこの中に含めるべきだ。

という御意見もありました。

精神障害の場合について述べてある意見の中では、

・一般就労後にどう継続して働けるか、どう定着していくかということが大きな課題なんだ。だから、それに向けた支援と仕事が終わってから、帰宅後の生活支援が重要だ。

という御意見がありました。また、

・就労に向けた訓練というのは無償で提供すべきであって、ジョブコーチとか相談支援、権利擁護者の存在も必要である。

・就労後の合理的配慮や職場適応体制の確立、障害者雇用に関する協議会の創設などを検討すべき。

などのご意見も就労支援事業の中で述べておられます。

これらのご意見は、一般就労後においても、なお福祉サービスを受けられるようにすることが重要だということで、自立支援法の介護サービスの問題でもあるわけですが、それらの場面についても適用があるようにという御意見だろうと思います。

現在は自立支援法に基づく就労支援と雇用促進法に基づく就労支援事業が分かれているわけですけれども、この事業自体を統合または融合することが必要であるという御意見などがございました。

次に4番目ですが、一般就労における就労支援です。例えば通勤支援、身体介護もしくはジョブコーチについてどう考えるかということです。17名の委員から御意見をいただきました。これについては、さまざまな意見があります。

意見を見てみますと、通勤支援とか身体介護、ジョブコーチなどの一般就労における支援については、現状としては雇用促進法上の制度や助成という形で一部が行われているわけです。外国では合理的配慮として行われるところもあるわけです。福祉サービスとしてどのように位置づけるべきかという問題もあります。これらをどういう根拠に基づいて、どういう制度で提供するかという点について御意見を見てみすまと、まだまだ共通の理解ができ上がっていないのではないかという感じがいたします。

例えば通勤支援は雇用対策として検討すべきという御意見のほか、ジョブコーチは合理的配慮として提供されるべきであるとか、それとは違った見解なんですが、総合福祉法に置いてパーソナル・アシスタントとして対応すべきであるとか、もしくは通勤支援は独自の通勤介助制度を設けるべきであるとか、職場における身体介助は合理的配慮でやるか福祉サービスで提供するか検討が必要だとか、そのようにどういう根拠に基づいて提供するのかについて意見が分かれております。これはもう少し議論を煮詰めて、共通理解を得る努力が必要なのではないかと思っているところです。

次に「○シームレスな支援」ということで、一般就労と福祉的就労の制度間格差とサービスの断絶の問題についてどう考えるかという問題です。シームレスな支援という表現でよかったかどうかちょっと反省もしておるんですが、この論点は今まで議論してきた自立支援法における就労支援の問題点を踏まえて、総括的にどのように考えればいいかという意図の下に打ち出した論点です。この点については、14名の方から御意見をいただいております。

これについてもさまざまな意見がございましたが、議論の方向性としては一致しているのではないかと思っています。結構いろいろあるんですが、例えば、

・社会的活動、社会的就労、一般就労のどの場面にあろうが本人の選択を基本として、切れ目のない3類型における支援を提供すべきという包括的な御意見。

・福祉的就労を一般雇用の対策の外で扱う現状を改めるべきだという御意見。

・2つの就労形態を自由に選択できて、体調や希望により容易に移動できることの重要性を指摘する御意見。

・制度間の格差を解消し、サービスを一元化すべきだという御意見。

などがございました。ですが、方向性としては、そういう格差をなくしていけということで一致していると思っております。

次は「○雇用の創出」です。社会的事業所の法制化についてどう考えるか。いわゆるハート購入法についてどう考えるかという点であります。社会的雇用ないし社会的事業所というのはヨーロッパで発展してきたものだと思います。つい最近では、韓国でも法制化されるに至っております。日本では滋賀県とか大阪府箕面市で自治体としての実践が知られておりまして、また運動としても実践している団体があります。少しずつ知れ渡ってきておりますが、まだまだ一般的な理解が得られているとは言えない分野だと思っております。しかしながら、今後の雇用制度を考えるに当たっては大きな問題点ですので、これについて10名の御意見がございました。

意見としては、社会的雇用ないし社会事業所の意義を強調して法制化に向けた検討がなされるべきだという意見が多うございました。

それに対して、効果と費用の検討が必要だという御意見とか、一般雇用が開かれたものになることが先決であって、その点を忘れてはならないという御意見もありました。

いずれにしましても、この分野についての問題は今後さらなる検討が必要だと思われます。

最後にいわゆるハート購入法についてどう考えるかということですが、御存じのように、国や自治体などが障害者の就労支援施設へ優先的に仕事を発注するということを促す法律が提案されてきたわけですが、成立していないわけです。これについての多くの意見は、法制化を望むという点でほとんど一致しております。ただ、買い上げ価格の問題とか努力義務でしかないこと、こういう問題点を指摘する御意見もございました。

以上が概略です。

最後に「○その他」という意見もありますが、これは書面を見ていただければと思っています。

以上です。

藤井議長代理 時計を見ますと、早くもオーバーしています。オーバーはしているんですが、とても大事だと思いますので、少し後ろにずれ込むかもしれませんけれども、御意見をいただきます。

福祉的就労という言葉は日本独特であります。かつこの言葉というのは、政策用語ではありません。70年代からでき上がってきた1つの実践現場で生まれた言葉なんだけれども、ややあいまいな概念であります。

意見交換に入る前に私の方から一言述べさせていただきます。先ほど松井さんが持ってこられた障害者の就労支援と国際基準の19ページをお開きください。傍聴の方々には大変申し訳なんですが、これはILOが日本政府に対して、昨年4月か3月に出してきた1つの報告でございます。これに対して大変興味深いILOからの報告が入っていますので、短い文章を読ませていただきます。19ページの第75項目目です。ちょっと短い文章なので代読させていただきます。

「75、授産施設で行われる作業に適用される基準は、国内状況を考慮する必要があるとはいえ、当委員会はこれらの基準もまた機会及び待遇の均等(第4条)などの条約の原則に従わなければならないことに注目する。当委員会は条約の目的である障害者の社会的、経済的統合という観点から、また障害者による貢献を十分に認識するという目的のため、授産施設における障害者が行う作業を妥当な範囲で、労働法の範囲内に収めることは極めて重要であろうと思われると結論する。」

皆さん方は知っていますが、ここで言う条約というのはILOの159号条約です。そして、ここで言っている大きな主張というのは、保護雇用制度というものを考えるべし。つまり雇用か福祉かではなくて、雇用も福祉もということです。間を「も」でつなぐ観点です。こういうことも是非参考にして少し意見交換をと思います。

どうしてもここで御発言しておきたいという方はいらっしゃいますか。佐藤委員、尾上委員、中西委員、松井委員、竹下委員、久松委員、大久保委員、これは大変なことになりました。そうしましたら、次の差別禁止や虐待防止も随分大事な問題ですが、少しずれ込みます。しかし、今日は17時に終わりますので、そのことを頭に入れて短い時間で御発言を順番にいたただきます。今、手の挙がった方全員にいきますので、安心してください。それでは、順番にいきましょうか。

大久保委員からお願いします。

大久保委員 育成会の大久保です。

私の意見は一応資料の方で述べさせていただいているのですけれども、補足ということで申し上げたいと思います。

私はどちらかというと、福祉的就労といったところにおいても、それなりの意義はあると思っています。つまり、それなりの機能なり役割はあるのではないかという考え方を持っております。ただし、現状の一般就労あるいは就労継続支援A型と就労継続支援B型の賃金格差というのは相当開きがある。つまりここが極端であるということなのです。

就労継続支援A型というのは、皆様御承知のとおり、労働者と利用者という2面性があって、利用料を払う、工賃を受け取るという妙な形であることはおわかりだと思います。そういう中で、先ほど御説明いただいた社会的事業所、これは正式な名称はよくわかりませんけれども、社会的事業所と言われるものが実際に我が国においても試行的に行われている。外国ではソーシャルファームという言い方とかいろいろあるようですけれども、こういったものが、ひょっとしたら先ほどの極端な差というか溝を埋めるような保護雇用に近いのかもしれません。今後そういう形の可能性もある。その場合の社会的事業所というのは当然労働施策の方で対応していくべきだと思っております。

そうなると、就労継続支援A型というものが実際に今後どうなのかという議論も片方であると思います。というのは、知的障害のある方にとって、就労継続支援A型というのは結構ハードルが高いという感じがあるのです。そういうことも含めて社会的事業所において賃金補填みたいな形も実際に行われているようですけれども、こういったものも今後考えていってもいいと感じた次第です。

以上です。

藤井議長代理 もう一度、自分が出した文章に入っていない部分で、特にここで言っておきたいという方は挙手していただけますか。わかりました。お一人1分半でお願いいたします。

尾上さん、お手本を示してください。

尾上委員 尾上です。

先ほど藤井さんの方で読まれた文章に関係するのですが、日本の場合、雇用と福祉的就労の間にすごく壁がある。二元論で進められてきた。これをどう破るかということがすごく大きなポイントだと思います。

先ほど箕面市や滋賀県などで行われている社会的事業所の取組みなどを含めまして、やはり賃金補填の仕組みあるいは保護雇用というのでしょうか、賃金補填も含めた重度の障害者が労働者としての権利性を持って働けるような支援をもっと充実させていくべきではないかということが1つです。

先ほどのシームレスな支援ということの中で、例えば自立支援法では、今、通勤のときには使えない場合があります。それを労働の法制度でいくのか、福祉の法制度でいくのかというのはともあれ、言わば支援が要らなくなったら働くのではなくて、支援を得ながら働くという考え方で今の制度をバージョンアップしていくべきではないかと思います。是非とも社会的事業所などをやっておられる箕面市とか滋賀県などの実例は、この推進会議でヒアリングをしてみたいと思うところであります。

あと、もう一点、支援を得ながら働くということに関連して、これは合理的配慮の確保とも関係をするのかもわかりません。先ほどの雇用促進法のところでお話をすべきだったかもわかりませんが、現在、納付金制度で職場介助者制度がありますけれども、これは10年で年限が切られているんです。

藤井議長代理 15年ではありませんか。

尾上委員 10年プラス5年ということです。例えば私が10年経ったら歩けるようになるわけでも何でもですから、そういう意味で継続した支援が必要な仕組みというか、継続的な支援が必要な重度の障害者が働き続けられる、しかも合理的配慮を得られながら働き続けていけるような社会的な仕組みが要るのではないかと思います。その点から職場アシスタントあるいは家賃補助などもそうですが、そういった年限が切られているものを恒久的な制度にしていくことも検討していくべきではないかと思います。

藤井議長代理 佐藤さん、お願いします。

佐藤委員 保護雇用とか社会的雇用ということはずっと前から要望が出ていたわけですけれども、これまで日本の労働行政はそういうものは実施しない、ノーマライゼーションに反するということで拒否してきた経過がありますので、是非これはきちんと理論的にも整理をしながら進める必要があろうと思います。

前回の資料の中で、多くの委員がこういう方向を目指すということで出ていましたので、幸い雇用が今回にずれ込みましたので、その間の時間を使って箕面市の担当の方から資料をいただきました。追加資料-1の57ページ以下のところに載せていただいていますので、ごらんいただきたいと思います。

障害者差別禁止、雇用差別禁止によって雇用に登場できる人というのは比較的労働能力の高い人に限られるだろうと思います。それから、雇用率の制度で雇用できる人も比較的労働能力の高い人に限られると思いますので、補助金雇用、賃金補填雇用が実施されないと、依然として福祉的就労というカテゴリーが大量に日本に残り続ける。先ほどのILOの要請に応えられないということになろうかと思いますので、その点を総合的に考える必要があろうと思います。

58ページのところで、私なりの基本的な概念を示しておきました。勿論、年金だけで暮らしたいという障害者がいてもいいし、残るだろう。それから、こういう制度を使わないで自分の力で稼いで十分な仕事ができるという人もいるだろう。その中間の人たちに、労働能力に足りない不足分は賃金補填で社会参加できるようにするという制度を是非実現したいものだと思います。

先ほどから意見が出ているように、大阪府の箕面市や滋賀県など、特別な事業所をつくってそこで賃金補填で働けるようにするタイプのものもあるし、神奈川県の横須賀市や幾つかの自治体でやっているように、一般雇用、一般雇用の人に対して賃金補填をするという自治体単独の事業もありますので、是非こういう多様な形態を調査するというヒアリングをやっていただければと思います。

以上です。

藤井議長代理 中西委員、どうぞ。

中西委員 中西由起子です。

労働を義務として考えるならば、今までの皆様の御意見の中には所得保障の話がほとんど出てこなかったように思います。まとめのところでも、東室長からは賃金補填という形で最低賃金法を下回るような、いわゆる福祉的就労に就いている人たちへの保障の話が出ましたが、もっと広い意味で、働く人として、福祉的労働であれ何の形であれ最低限の賃金が守られていなければなりません。それは所得保障の大きな枠組みの中で一緒に論じるべきで、ここで単なる賃金補填という形にとどまってはいけないと思っています。

以上です。

藤井議長代理 これはまた後で議論があってもいいんですが、東さんの論点の中では、第6回目に改めてこういったことを併せて所得保障というカテゴリーで議論をしようとなっていますので、併せてまた議論していきましょう。

竹下さん、どうぞ。

竹下委員 2点発言します。

1点は福祉的就労の中で、実は現在でも非常に大きな差別が起こっています。それは例えば労働災害を考えていただきたいわけです。頚肩腕症候群であるとか腰痛症であるとか、そういうもので授産所の障害者が被災状態となっても、現在は保護されていない。こういう問題が起こっているということだけは認識していただきたい。

2番目には、就労支援と言いながら雇用に限定されていることは極めて問題だと思います。とりわけ視覚障害者の場合には、鍼灸マッサージ業というのは非常に自立性の高い職業であって、ほとんどの場合、自営業、開業という形をとっております。にもかかわらず、そうした場面における支援がないというのは片手落ちというよりも、欠陥状態の支援と言わざるを得ないと思っています。

ちなみに、私自身は働いていますが、視覚障害者、障害者に対するヒューマンアシスタントなどの支援は受けられないわけです。雇用されているわけではなくて、私は雇用している側だからです。そういう意味では、もっと障害のある人たちを広い形で支援することが必要だろうと思います。

以上です。

藤井議長代理 堂本委員、どうぞ。

堂本委員 ありがとうございます。時間がないので簡単に申し上げます。

現場からの声と思って聞いていただければいいと思いますが、先ほどから公務員は知的障害の方がなかなか就労しにくいところだというお話がありました。私ども千葉県庁では働いている普通の職員、今までずっと県庁で働いている人たちの仕事を分解しました。ページでいいますと、この資料の17ページに出ています。仕事を分解して、それを全部集めてみると知的障害の方でもできる仕事が1人分、2人分と出てくるのです。

それから、身体障害の方と精神の方たちができることを集めてみるという形で、半年ぐらいトライアル就労というものをやったんですけれども、これならいけるのではないかということで正規の雇用を一昨年、私がまだ知事の時代に雇用をさせていただきました。

その結果、職員にしてみれば、いわゆる自分がその時間はほかの仕事ができるようになるわけですから、職員の方からも喜ばれる。働いている人たちもあちこちから電車に乗って通ってみえるんですけれども、喜んで働いておられる。両方からいってWin-Winでした。

今度は59ページにもちょっと短く書かせていただきましたけれども、障害のある人の雇用に取り組んだ結果、一番感じたことは、障害があるとか、ないとかということもありますけれども、やはりその人の持てる力をどうやって引き出していくのかということなんです。ですから、固定的な仕事ということではなくて、働いてみたら、この人はこういう能力があったんだ、こういう能力を持っている人にはこういう仕事を集めてやっていただこうではないかと集めた結果、今はみんながハッピーに働いています。たしか6人ぐらいの少ない数ではありますが、私も何度もその部屋に行ってみて、みんなそれぞれに仕事をしてくださっています。

もう一ついいことは、職場に多様性が出てくるということがあります。それから、職場に優しさと申しますか、気遣いのようなものも生まれてきます。今、皆さんは法律の議論をしていますが、最終的には事業主の方と障害者の方とのコミュニケーションをどれだけ強く持てるかが問題です。そして、どれだけ可能性が引き出せるか、仕事の中にどういう可能性があるのか。どういう障害ゆえに何ができるのかということを探していくことです。

私どもはキャリアセンターというものをつくり、そこで障害者のトレーニングしてから、企業へ就業するというようなやり方をとりました。千葉銀行さんが障害者の方の別の子会社ハートフルちばをつくられたんです。

藤井議長代理 堂本さん、時間がないので短くお願いします。

堂本委員 これで終わります。

最後になりましたけれども、対立関係ではなくて、雇われる側も支援を求めるというだけではなくて、お互いに歩み寄っていく、そういった姿勢もとても大事だろうと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 東京大学の長瀬です。ありがとうございます。1分間でまとめたいと思います。

一般就労といわゆる福祉的就労、切れ目のないシームレス支援に関する点ですけれども、ここ数年、知的障害のある人が数年間就労すると、障害基礎年金が停止になったり、減額になったりする事例が結構たくさん報じられているのは皆さん御存じだと思います。これは就労支援ということを考えたときに、逆に戻れる場所をなくしてしまうといいますか、就労がうまくいかなくなった場合、基礎年金が戻るという保障はどこにもないわけですから、就労支援という方向性からは全く逆の効果をもたらしてしまう問題点があるということを1点だけ問題点として御指摘させていただきたいと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 松井委員、どうぞ。

松井委員 松井です。2点だけ短く申します。

1つは就労の場における利用料の問題ですけれども、先ほどの厚労省の資料からも実際に負担している利用料の方が工賃より高いということになっております。

先ほど御紹介したILO関係の文章の中でも、ILOの委員会として就労の場において利用者に支払い義務が導入されることに関して、繰り返し懸念を表明するとなっております。私たちが調査した諸外国の例でも、利用料をとっている障害者の就労施設は皆無ということですので、これは考えるべきだと思います。

それから、もう一点、今朝の『日経新聞』の記事によれば、EUが2020年までに新成長戦略として20歳から64歳の労働年齢人口の就業率を現在の69%から75%以上にすると掲げております。これを達成するためには10%を超える障害を持つ人たちの就業率を高めることが不可欠の要素になるんです。そういう意味では、いわゆる福祉的就労も含めて、きちんと就労できるような仕組みをつくっていくことが我が国にとっても必要でしょうし、EUが掲げているような数値目標をきちんと出して、それが達成できるような取組みを進めることがこれからの大きな課題だと思います。

ありがとうございます。

藤井議長代理 久松委員、どうぞ。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。1分では無理なので2~3分よろしいでしょうか。

藤井議長代理 どうぞ。

久松委員 どうもありがとうございます。

労使関係と罰則の関係について意見を申し述べたいと思います。日本の場合は手続が非常に難しくて複雑な手続をする方式が多いのですが、アメリカやヨーロッパの場合には比較的手続が簡単にできます。この中で驚くことは、ルールを破った場合、罰則の額がすごく高い。アメリカやヨーロッパの企業は、ハードルの高い仕事に果敢に挑戦してアメリカやヨーロッパで商売ができるような努力をして頑張っております。片や日本の場合には、ルールを破った場合の罰則という考え方は非常に抵抗を感じる企業が多く、そういう企業体質があります。

障害者雇用については、日本では皆さんハードルが高くて大変だという言い方をしますが、アメリカやヨーロッパの企業は日本より更にハードルの高いところに挑戦して、それをクリアーするようにと努力をしています。そういう競争力を高めています。日本の労使に関するところを見ますと、ハードルの低いところで議論をしているわけです。低いハードルの中で議論をして、障害者雇用がなかなか進まないという状態です。

罰則に対する意見はほかに意見を出している方がいないので、あえて出します。例えばアメリカの場合はリハビリテーション法、あるいはテレビに字幕を付ける法律があります。30年前にそういう法律ができました。30年前に付けられた字幕の義務に関して日本のメーカーは果敢に挑戦をして、アメリカにテレビを売ってきました、ところが、日本は字幕を付けてほしいといっても、なかなかそれが実現できません。そういう状態ですので、私たちは障害者雇用促進法、労働基準法の罰則性について議論を深めていく必要があると思っております。今後、部会の中でもそういう話を踏まえて議論をしていただけるといいと思って提案します。

以上です。

藤井議長代理 時間がまいりましたので、この件はこれで終わります。

ここで議論する意味というのは、省庁を超えた横断的な視点、つまり労働、福祉あるいは医療行政、情報行政、こういったものが寄ってたかって全般的、総合的に加わってくる。このときに新しい雇用制度が多分生まれてくるんだろうということもありますので、こういうことはまた部会の方につなぎますけれども、どうしても部会へいきますと、労働行政中心ということになってきますので、そうさせないような部会の仕組み、加えて今ありましたように、雇用を超えたこともありますので、そういう点で新しい討論形態も必要かと思います。なお、これに関しては、次の差別禁止法にも関係してきますので、一旦この件はこれで打ち切って、一息入れまして、次の方に進んでまいります。

現在、既に52~53分になっていますので、15時5分まで休憩して、そして、あと2つの大きなテーマに進んでまいります。12~13分間休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、3時5分になりますので、着席してください。よろしいですか。

大分時間が押していますので、この後の進行なんですけれども、虐待防止に関しては非常に議論が少ないこともあります。差別禁止法の方はいろんな蓄積もありますし、かつこれに関しては部会を設置することも考えていますので、少し議論を圧縮したいと思います。これから時間の配分としては、当初よりも少し時間が短縮されますけれども、15時45分をめどにする。その分、虐待防止法に関して時間をとる。なお、意見に関しましては東室長より意見を述べていただきます。これで30分強の意見交換をします。そういう段取りで進行してまいりますので、協力のほどよろしくお願いします。

それでは、東室長さんからお願いいたします。

東室長 東です。

まず最初に「○法制度創設の必要性」というところです。これについては18名の委員から意見をいただいておりますが、法的に差別を禁止すべきであることについて、異論はございませんでした。そして、ほとんどの委員が差別禁止に特化した独立の法律による規制を求めております。

次に「○差別の定義」ですが、総則的定義をどのようにするのかということについて19名から意見が出されております。障害者の権利条約が禁止する差別には、直接差別、間接差別、合理的配慮を提供しないという3つの類型が含まれていることに争いはありません。意見の中で14名の委員は、この3類型を総則的な規定に含めるべきであるとしております。

ただ、少数意見としては、間接差別と合理的配慮が提供されない場合の区別が困難であるという意見や独自の定義を述べられる意見もあります。

また、差別禁止における障害の定義をどうするかという観点からいうと、過去や将来の機能障害、みなされた障害、そういうものを含めるべきであるという意見、社会モデルの考え方に準拠すべきであるという意見などがあります。これについて異論があるという感じではありません。

次に個別分野の定義をどのようにするのか。分野別に定義を設けるかについては18名の委員から意見が出されております。この中で15名の委員は分野別の定義を設けるべきであるという見解であります。その中の多くは、裁判規範性を保つには分野別に規定すべきである。そういうことを論拠にされていると思います。

少数の見解としては、現状においては困難であるとか、個別化することで抜け穴が生じるのではないか。広範になり過ぎはしないかという意見もありました。ですので、根本的に分野別に定義を設けることに反対されているわけではない。少数意見も何らかの手当があれば、個別化することができるのではないかと思っています。

次に抽象的な例外規定をどう明確化・限定化するかという点です。これについてはいろいろな意見が出されております。

障害者の権利条約では差別の例外としては、積極的是正措置とか合理的配慮における不釣り合いまたは過重な負担が伴う場合が規定されています。ただ、一般的にいうと、正当な理由がある場合とか合理的なある場合とか、生命・身体に危険が生じる場合とかいろいろ抽象的な例外規定が用意されることも考えられるわけです。しかしながら、不釣り合いな負担または過重な負担の場合もそうですけれども、非常に抽象的ですので、拡大解釈すれば例外の方が多くなるという危険性もあるわけです。したがって、例外があるにしても相手方の都合のいい解釈に陥らないような工夫があるのではないかというのがこの論点です。

しかし、挙がってきた意見はかなり多様であります。一方で、例外規定を設けるべきではなく、個別的に一定の機関が判断すべきものとする見解もあります。ただ、多くは例外規定というのは書かざるを得ないということを前提にした議論であると思います。

積極的差別是正措置だけに触れている見解とか挙証責任について触れている見解、不釣り合いもしくは過重な負担という抗弁が適用されない公的分野が存在するのではないかという見解などもありました。基本的にはそういう抽象的な例外規定をどのような形で明確化していくか。条文自体を具体的な文言にする努力とともに、規則もしくはガイドラインみたいなもので明確化することが重要であるという指摘も挙がっております。ですので、少し議論が混乱しておりますが、この点はもう少し議論を詰めていけば方向性が出てくる分野だと思います。

次に「○個別分野」に関してですが、生活分野としていかなる分野を規定すべきか。例えば地域生活、自己決定と法的能力、移動、建物、利用、情報保護とコミュニケーション、教育、就労、医療及びリハビリテーション、性、政治参加、司法手続、その他という例を論点として挙げております。

障害者の権利条約はあらゆる分野にわたる差別を禁止しておりますが、同時に個別の分野ごとに権利を保障しております。ですので、ある程度分野ごとに分けていく必要があるかと思っています。

これについて18名の委員から意見が出ておりますが、論点の例示で示したほかにさまざまな分野を明示すべきだという意見がありました。例えば社会参加、行政サービスと行政手続、経済文化サービス、不動産取引、契約、福祉サービス、商品及びサービスの提供、出生、婚姻、出産、資格取得、文化生活やレクリエーション、スポーツへの参加、観光、こういうものが明示してありました。

なお、法の抜け穴や漏れが生じないような工夫を求める見解もありましたし、虐待も規定すべきだという見解がありました。

次に「○関係個別立法との関係」ですが、まず第一に既存の立法の中で差別禁止法に抵触する法律の改廃についてどう考えるかという論点です。これについては19名の委員から意見が出されております。

差別禁止に抵触する法律を改廃すべきという点においては、異論はございませんでした。問題は差別禁止法の制定と同時に即時に改廃するか、差別禁止法を先に制定し、その後、改廃のための何らかの手段を考えるべきか。そういう点に絞られてくるのではなかろうかと思っています。

その準備として、例えば差別禁止に反する欠格条項を始めとするさまざまな法律の問題点を洗い出す作業が必要であるとか、差別禁止法自体に他法に優先するような条項、もしくは差別禁止に該当するような他法の条項の効力を停止させるという条項を規定すべきであるとか、そのような意見がございました。

また、具体的にこの点は差別禁止に該当するんだとして挙げられた例として、公職選挙法における被後見人の選挙権の剥奪、成年被後見人などを公務員の欠格事由とする公務員法、分離教育を前提とした学校教育法、443もあると言われる欠格事由、精神障害者が雇用義務に入っていない雇用促進法、障害種別ごとに異なるサービス、医療観察法、精神保健福祉法、成年後見人制度、裁判上の離婚、医療法施行規則第10条(一般病室に精神病患者を入院させてはならぬという規定)、民事訴訟法第31条(精神障害者の訴訟無能力の規定)などですが、これらを指摘する意見が挙がっておりました。

次に合理的配慮の具体化に向けた改正についてどう考えるかという論点ですが、この論点は提示の仕方が少しわかりにくかったと反省しているところです。実は既にある既存の個別立法と新しくできる差別禁止法との関係では、2つの側面が問題になると考えております。1つは前述の差別に該当する規定をいかに改廃させていくかという問題です。あと1つは、既存の法律には合理的配慮の規定が原則として書かれていないわけです。ですから、そこの法律においてしかるべき合理的配慮が考えられるとすれば、その法律でどう書くかという問題と差別禁止法本体との関係をどう整理するか。この2つの問題がありまして、今、言ったのは後段の問題です。ですから、各分野における差別禁止は差別禁止本体で扱うとしても、合理的配慮の具体的内容を関連する個別立法にも盛り込むのか、それともそうするべきでないのかといった辺りが論点です。

例えば司法へのアクセスにつきましては、合理的配慮の1つの類型だと考えられているわけですけれども、司法分野における差別禁止自体は合理的配慮も含めて差別禁止法の本体に書き込むとしても、例えば判決が出た場合、判決文を点字で交付する請求権は合理的配慮の1つの具体化だと思いますが、そういうものも刑事訴訟法ないし民事訴訟法の当該箇所に入れ込むか、差別禁止法本体に書くだけにするか、そういう仕分けみたいなものが論点となっているわけです。

ただ、この点については、二者択一という問題ではないわけですが、基本的にどう考えるのかという辺りをまとめていただければと思っているところです。御意見としては2通りありまして、1つは個別法にも必要であれば盛り込む。2つ目は可能な限り差別禁止法の本体に書き込むという点でした。

次に「○救済機関」について、2つほど論点が挙がっております。

1つは行政救済機関の設置についてどう考えるかですが、これについては18名の委員から意見が出されております。ニュアンスの違いはありますけれども、独立しかつ個別救済のための一定の権限を持つ行政救済機関の設置が必要であるとする意見が多かったと思われます。当該救済機関の独立性の意味とか必要な権限の内容、相談から始まって調整、助言、斡旋、調停、審判などの救済の在り方、単独の機関を創設するのか、既存の類似機関があればそれを活用するのか、国レベルや県レベルまたは市町村レベルまで当該機関を設置すべきかなど、今後この論点についてもう少し詰めた議論が必要かと思います。

次に人権擁護法案との関係についてどうか考えるかですが、これについては17名の委員から意見が出されております。新たな人権擁護法案の議論を見守るといいますか、考慮する必要があるということについては異存がないと思われますけれども、それを前提としつつも、委員から出された意見は2通りのものがあると思われます。

最も多い意見は障害に基づく差別の固有性というのは非常に強い。だから、ひとまずは一般的な救済制度というよりも、障害に基づく差別禁止法制度の中で独自の救済機関を考えるべきだとする意見です。

次にあるのは、パリ原則に従って新たな人権擁護法案ができることを前提にした意見だと思われますけれども、それが速やかにできれば、窓口を一般化すべきだという意見です。この場合においても、障害に固有の問題をどのように一般的な制度の中に反映すべきかという課題がある。そういう御指摘、問題があります。この点についても、人権擁護法案の動きを見守りつつ、どちらの方向でいくのかというところはもう少し詰めた議論が必要だと思っております。

次に「○相談支援機関」です。相談者の立場に立った支援の在り方と支援機関の関係についてどう考えるかという点です。この論点は差別などの人権侵害が起きたときの相談体制をどう考えるのかということです。これについては19名の委員からさまざまな意見が出されております。これらの意見の中で論点を整理すると、3つぐらいの切り口があるかと思っています。

1つは組織的な問題点として、相談支援機関を行政救済機関の一部として設置するのか、または障害者団体とかNPOが独自に、もしくは自治体と共同した形でつくるのか、それとも既存の社会資源による地域のネットワークを構築するべきなのか。就労の場においては、職場のうちと外で支援機関が必要なのではないか。どういう形で組織をつくっていくのかという論点が出されております。これについてもどちらか一方しかないという二者択一の問題ではないと思いますが、あるべき姿を議論していただきたいと思っています。

次に人的な問題として、相談者の立場に立つという視点から、どういう組織であれ専門的な知識を有する人の専門家の配置だけではなくて、ピア・カウンセリングとかエンパワーメントという手法を取り入れることができる当事者や家族の参画が極めて重要だという指摘もあります。更にどの地域のレベルで配置すべきかという論点があると思います。国レベルもしくは都道府県レベル、更には広域的なレベル、市町村のレベルといった段階で議論が挙がっております。やはり身近なところで相談と支援を受けられるという仕組みにするためにはどうするのか。また、逆に地域間格差をなくしていくためには、全国的な形で最低限度の基準を提示できるような機関の必要性も議論されております。

以上が大体論点の整理です。

「○その他」については、9名の委員からいろいろな意見が挙がっております。これについては時間の関係もありますので、割愛させていただきます。

以上です。

藤井議長代理 この件は、福島大臣がこの会議が始まる冒頭に障害者基本法の抜本改正と自立支援法廃止以降の新しい総合福祉法制度と並んで3つ目の重点の柱として挙げられました差別禁止法の展望をどうつくるか。私も昨日全部の資料を読ませていただきましたが、膨大な意見であります。ただ、どの委員もなくてもいいという方は1名もいなかったわけです。ただ、いわんとする基本は、どうやったら実行度が上がるのか。どうしたら実際の効果が上がるのか。ここがポイントであるという意見が随分出ていました。

前回、今回と見ていまして、まだ発言がない方が何人かいらっしゃいますので、少し優先しようと思うんですが、この問題というのは労働組合も随分大きな影響あるいは力になると思います。中島さん、御発言いかがでしょうか。

中島委員 ありがとうございます。

先ほどの雇用の問題なども含めまして、どういうプロセスでどのように実効性を担保するかが大事だと思います。それから、いわゆる基本法的な性格を持たせるのか、あるいは個別法とするのか。個別法にした場合には、当然皆さん御指摘のように他の個別法との関係が出てくると思いますけれども、そこがポイントになると思っております。

例えばということで雇用に引きつけて申し上げますが、雇用といっても、先ほども皆さんがおっしゃっていましたように、もう少し幅広に、就労というか働くという範囲で考えた上で一つひとつの問題を位置づけていかなければならないと思います。具体化をしていく段階で重要だと思うのは法としての実効性、性格づけ、既存の法体系との関係性、をどうやってクリアーしていくかというところでございます。

総論で恐縮ですが、以上です。

藤井議長代理 中島さん、もし差別禁止法となった場合、連合は応援しようとなりますか。

中島委員 応援します。

藤井議長代理 ありがとうございます。

山崎委員はこの方面の専門家でもあるんですが、手が挙がっていますので、御発言をお願いします。

山崎委員 ありがとうございます。神奈川大学の山崎です。2点申し上げたいと思います。

まず第1点は、障害者差別禁止法は当然私もつくるべきだと思っております。皆様方のメモとか先ほどのおまとめを伺っていて、1つだけなぜ必要かの視点が十分に出ていなかったと思うことがあるので指摘させていただきたいと思います。障害者差別禁止法の必要性について、多くの方々が裁判で使える裁判規範性を持つものとすべきであるということでしたが、私も賛成です。

それから、それを前提として、こうした行為をすると世の中で差別とされる。裁判所でもそのように認定される可能性が出てくるということで、社会教育的な効果が出てくる。これが2番目の御指摘であったと思います。

強いて3番目の指摘を加えさせていただければ、障害者差別、人権侵害に関わる救済機関ができたときの行動のガイドラインとなる点も私は重要な点であると思います。と申しますのは、こういった会議の場には恐らく差別禁止法、障害者差別禁止法は要らないなどという論者は皆無と思われますが、実は世の中には少なからずそういう方がいらっしゃいます。そうした方々の指摘の中で、やや我々も耳を傾けるべきだと思っておりますのは、新しい差別禁止法をつくることによって、新たな人権侵害が登場してくるおそれがあるという指摘がございます。これについては、きちんとした政府から独立した人権救済機関をつくる。そこできちんとした判定をし、なおそれに不服であれば裁判で司法的救済が可能である。こういう答え方が常道であると思います。その際にも、やはり差別禁止法をきちんとつくるということが意味を持ってくると思っております。これが大きな第1点です。

第2点は、東室長のおまとめの文言ですが、人権擁護法案との関わりという書き方をされております。これは前政権の際、2002年3月に国会上程された旧法案、今もう廃案状況でございますが、これをそのまま活用されていると思います。これでいきますと、やや手あかにまみれた、いろいろ問題のある中身をそっくり我々が検討素材にしていると世間から誤解されるのも余り思わしくないと思いますので、例えばですが、民主党が野党であった際に提案されて、また今の国会にはかかっていない人権侵害救済法というネーミングを使うとか、あるいは単純に人権救済法というネーミングを使うのが良いかと思います。少なくともいろいろなニュアンスが付いている人権擁護法という用語は私は擁護いたしません。この点を御配慮いただければと思っております。

以上です。

藤井議長代理 これは東さんコメントありますか。

東室長 そのようにします。ありがとうございます。

藤井議長代理 手が挙がっているんですが、どうしても私はここで共有しておく必要があると思っています。今までの発言を受けながら、改めてお手元の権利条約の公定訳案を出してください。第5条は短いので読み上げます。更にこれを共有していきながら進めてまいりますので、代読してもらいます。

「第5条、平等及び無差別。

1、締約国はすべてのものが法律の前にまたは法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを認める。

2、締約国は障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、いかなる理由による差別に対しても平等かつ効果的な公的保護を障害者に保障する。

3、締約国は平等を促進し及び差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。

4、障害者の事実上の平等を促進し、または達成するために必要な特別の措置はこの条約に規定する差別と解してはならない。」

勿論このことは第2条の定義とか第3条、4条の一般原則、一般的義務と連動しますので、併せた場合に非常に方向性は明確だと思います。

こういうことを踏まえて、どうしてもこの意見書に入っていない論点等があったら、何人かから発言いただきますが、いかがでしょうか。

まず発言のなかった大谷さんからいきましょう。

大谷委員 ありがとうございます。この機会に発言しようと思って我慢していました。ありがとうございます。

2点私の意見に加えたいと思います。意見交換するという形で進められないのがとても残念なので、この機会に併せて、前のときに出された久松委員の意見に加えて意見を言いたいと思います。裁判規範性のある差別禁止法といったときに、最後に問題となるのが刑罰を科すかどうかという大きな論点があると思います。一番規範性の高いのが、これに違反したら罰則があるということで国家意思として強い意思を示す刑罰を持った規範性だろうと思っています。

それに対して、私たちは経験として女性差別撤廃条約のときに、雇用機会均等法に対して罰則規定を設けるかどうかという大きな議論をしました。そのときに、経団連の強い反対があって罰則などとんでもない。雇用機会均等法に罰則を設けたら、経済界が混乱するという大きな抵抗にあって、あのときは残念ながら努力義務になりました。その結果、たしか2回ほどの国連の女性差別撤廃委員会からの勧告を受けて、結局1997年だったと思いますけれども、やっと禁止規定になった。しかし、いまだに罰則はないという状況で、女性差別撤廃条約を基につくられた雇用機会均等法の実効性においては、勿論法律ができたことは重要な要素ではあったんですけれども、いまだに十分な実効性がないと私は考えています。

ですから、差別禁止法においても、たとえ伝家の宝刀であって抜かれることがなくても、労基法においても実際に差別の禁止に関しては罰則規定があって、それが伝家の宝刀でもうさびついているのではないかと言われていますけれども、それでも罰則がある。ですから、今回ももし差別禁止法を設けるのであれば、是非私は最高の規範性を持った、罰則を設けるかどうかということを真剣に考えていただきたいと思っていますし、私は罰則を設けて規範性の高いものとしていただきたいと思っています。

なかなか当たらないから、もう一つだけ言わせていただきたいと思います。障害者基本法の方で述べたのであえていいかと思いますけれども、やはりこれは重要なことですので加えさせていただきたいと思います。女性に対する複合的差別をどういうふうに解消するのかということに関しては、差別禁止法のところにも意識した規定を設けていただきたいと思います。特にリプロダクティブ・ヘルス、性と生殖に関する権利に関しては、女性が重要な権利を持っていると思います。しかし、それに関する実定法がいまだにありません。権利条約の23条は、家族に関する権利というものを規定しております。これは特に女性に絡む重要な権利ですから、ここを意識した条項を差別禁止法の方にも設けていただきたいと思います。

障害者基本法と差別禁止法との関係をどのように住み分けて分類していくのかということは大きな議論にはなると思いますけれども、重要な権利であれば重畳的に重ねて権利を規定していくということも私はあっていいのではないかと思っております。その点も是非考慮していただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 今、大谷委員から議論が余りないと言われましたので、議論しましょう。

まず今のお話の中で、おっしゃるとおり象徴的な論点の1つとして罰則規定があると思います。罰則規定に関して御意見のある方は、是非挙手してください。

関口さん、どうぞ。

関口委員 差別の類型にもよるんでしょうけれども、罰則規定は必要だと思います。

もう一つ言いたかったことをついでに言いますけれども、基本法のときに議論になった入院者がとても多いということに関しては、特定の生活様式を強制されないということは基本的権利になったと思うんですが、私の書き方の中でそこを強調していなかったのが悪いかもしれないんですが、これはOECDの1,000人当たり0.7に比べて、日本は2.8の病床を持っているわけですから、これは明らかに権利侵害なわけで、そこのところはどういうふうに切り分けていくのか議論してください。

藤井議長代理 森さんは今の大谷さんのお話に絡んでですね。罰則規定の関しての発言があったらお話ください。

森委員 日身連の森でございますけれども、ありがとうございます。

14年に障害者の基本法を改正するときに、差別禁止法を入れるか入れないかということで大変もめた経緯があったと思います。そのときに、突然、刑事罰をつけるということになってくると、大混乱が起きるだろうということで、まず差別をしてはいけないということだけはちゃんとしておいて、こういう問題に権利条約も動いているときだからという話をして慎重論をとったつもりでございます。そういう面でいうならば、やはり差別禁止法をつくるときに刑事罰、刑事法とするのかどうかというのは本当に慎重にやる必要があるのではないかという気がしております。これに実効性を持たせるためには、どう知恵を絞るかということが必要であろうと思っております。

そのために、ちょっと切り口を変えて言わせていただいてよろしいでしょうか。権利条約を批准するというのが我々の一番の目的だったわけです。そのためには、どうしても差別禁止法をやらなければいけないのは当然なんです。それと、もう一つはちょっと出ましたけれども、障害者基本法の改正もやらなければいけないんだろうと思っております。差別禁止法をやったときには、少なくともここに出てきている虐待防止法も一緒にやらなくてはいけないだろう。

差別禁止法は室長さんの方で大分整理されてきております。つくるかつくらないかというのは、やるということが前提でございますが、どういう法律構成でやるかということが出てくるわけです。総論と各論、私は各論のところは各分野で、我々が当たり前に生活するためにあらゆる分野があるわけです。その分野はやるべきだろう。総論の方には目的とか用語の意味、抽象的な問題、差別した場合にはこういう救済法があるんだという形で分けたらいいのではないかと思っております。

もう一つ、既存の法規との問題は、障害者権利条約に抵触するものは直さなければいけない。一番問題になってくるものの1つは、合理的配慮だと思います。合理的配慮については、基本的にある程度法令等でちゃんとやって、それでやり切れるわけではないと思います。ガイドラインをやると同時に、やはり権利擁護委員会みたいなものをつくって、そこで合理的配慮等を含めまして規則などをつくってやるべきなんだろう。

もう一つは救済機関をどうするか。司法によるのかどうかということがあります。救済機関と権利擁護機関との整合性をどうするのか。この辺をやってもらって、最後に罰則の問題にいくのではないかと私は思っておりますので、そういう検討をしていただければいいと思っております。

以上です。

藤井議長代理 ちなみに、日身連を離れて、今、おっしゃったように実行度が上がらなくてはいけない。しかし、刑事罰はどうかということがあったんだけれども、その矛盾はどんなふうに森さんはうずめていきますか。

森委員 これは各国のつくり方を見たいと思っています。たしか韓国の場合は備わったと私は勉強させていただきましたけれども、だんだん私の気持ちも罰則というのは何か考えてなくてはいけないのではないかという気持ちはあります。

以上です。

藤井議長代理 このことは今後部会でも議論します。今に関係してもいいんですが、これ以外の論点でほかにいかがでしょうか。

北野さんは発言していなかったね。北野委員、どうぞ。

北野委員 北野です。文章を書くのが遅れてしまいまして、私の文章がありませんので、2つだけ意見を言わせていただきます。

1つは、すべての差別を禁止する市民権法といいますか、公民権法は将来的には必要であると思うんですけれども、権利条約の批准との関係でも、まずは障害者差別禁止法を先に起こすことが肝要であると考えております。

私はカナダとアメリカのことしかわかりませんので、カナダのことを申しますと、例えばカナダの人権委員会では、大体持ち込まれる問題のうちの3~4割は障害者問題であります。他の問題を圧しておるんですけれども、その中でも特に就労問題の合理的配慮であるとかバリアフリーの問題で、どうしても専門性に欠けているという批判が出てきております。ですから、この問題はかなり高い専門性を必要とするということで、一般的な人権問題ではなくて、まず障害者の差別禁止法からやるべきであろうと考えております。

もう一つ、アメリカでは例の公民権法によって1964年に雇用機会均等委員会がつくられておりますけれども、実はADAが成立した1990年以降、ここで障害者の雇用問題が対応されております。やはり10万件のうち2万件ぐらいが障害者問題なんですけれども、一定の合理的配慮とかあるいは過剰な負担に関する政策指針が形成されるまでに10年かかっております。かなり時間をかけながら、結局10年かかってある程度の方針ができた。

また、法務省が民間のサービスに対する対応をしておりますけれども、はっきり言いますと、かなり問題が多くて、予算であるとか専門家の不足によって、特に交通であるとか建築物の問題等の広範な障害者問題に対する対応が遅れておりまして、審議待ちが1年を超えておると言われておりまして、障害者問題についての専門性が欠けておる。

これらのことを考えますと、例えば就労問題1つとりましても、一般的な労働者の権利侵害に対する労基局等の専門機関のノウハウ、障害者雇用に関する制度、政策に関しての障害者職業センター等のノウハウ、そしてこれから形成される予定の障害者権利擁護機関、センターによる障害者の就労問題における合理的配慮等の今後のノウハウの、3者の高い次元での連帯、連携がなければ問題は解決しないと思っています。このように障害者の生活の各分野における差別問題、特に各分野における合理的配慮の一定の政策指針の形成とそれを使いこなしていけるマンパワーの養成には、かなりの費用と時間を要すると思われますので、一刻も早く障害者差別禁止法をつくり、障害者権利擁護機関、センターの運用過程において、精度の高い政策指針や運用指針を設け、形成し、実行していく必要があると考えております。

もう一つあります。

藤井議長代理 時間がないので、短くお願いします。

北野委員 済みません。もう一つはやめておきます。

藤井議長代理 やめてください。

ここで大事なことは、ここで幾ら盛り上がっても一般の市民はどういう目線あるいは意思なのかということが大きいと思います。この委員のメンバーは恐らく障害問題に造詣の深いメンバーなんですが、その中でやはり経済界の影響というのはこの関係では結構大きいと思います。もしこの件に関する率直な御意見があったら、遠藤委員から一言いただけませんか。

遠藤オブザーバー ただ今の御質問について何かお答えができるのかということで考えますと、どのような法制度をつくる上でも実効性をどう担保するのかということは大変重要な指摘だと思っています。

ただ、例えば労働分野1つをとってみても、いわゆる刑罰以外の形で行政機関による助言、指導、勧告ですとか、調停制度や企業名公表制度ですとか、また今般の均等法改正の中にあっては行政罰ですけれども、過料といったような形の枠組みも入ってきております。それぞれの分野の中で実効性を上げるには、どういう形の仕組みが選択肢としてあり得るのかというところを広範に見た上で、どのカードが適切なのかということについて皆さんの御議論を深めていくことが必要ではないかと考えております。

以上でございます。

藤井議長代理 たくさん意見があるのはわかっているんですが、ちょっとタイムラグがあるので、門川さん、どうしても言いたいことは特にないですか。

門川委員 ないです。

藤井議長代理 土本さんは発言ができにくいと思うんだけれども、どうですか。差別に関していいですか。

土本委員 あります。

藤井議長代理 発言してください。

土本委員 雇用問題です。資料に入っているんですけれども、札幌市役所、道庁でも身体の人には募集をかけているんです。知的と精神の人には募集をかけていない。どうしてかという抗議をしたら、どういうことしてしまうかわからないということでした。今日、資料として書いているんですけれども、それは差別ではないか。だれでも就職しろと行政から言っているのに、自ら言っている先から就職の排除をしているというのは差別ではないかと思います。

それと学校の問題なんですけれども、自分は小学校3年まで普通学級に行って、小学校4年から特殊学級、今は支援学級となっているんですが、昭和41年ぐらいは特殊学級でした。親とか学校の先生には何にも説明もされていなかったということで、ただ行かされている部分がありました。それと、特殊学級は別の建物で勉強させられたということです。

以上です。

藤井議長代理 雇用は先ほどもあったし、教育は次回もありますので関係してきます。

たくさん手が挙がっていたんですが、時間がきました。これはまた部会でも議論しますので、これで打ち切ります。申し訳ありません。

堂本委員 済みません。大谷さんとの関連で罰則のことが出たんですけれども、女性のことについての議論が1つもないんですが、30秒だけでも言わせてください。

藤井議長代理 その件を手短にお願いします。

堂本委員 権利条約の第6条に「障害のある女子が複合的な差別を受け」ると書いてあります。そして、最後の行に、「女子の完全な能力開発、向上及び自律的な意思決定力を確保するための全ての適当な措置をとる」とあります。

これはどういうことかというと、日本国は94年にカイロで開かれた国際人口開発会議まで優生保護法という法律があって、そこで障害者、特に精神障害者に対して優生的な理由で人工妊娠中絶ができるような、とんでもない法律をもっていました。例えば障害があるからといって性行為、妊娠、出産、そういったものを禁止、制限あるいは強制するべきではありません。つまり障害があるからといって不妊手術を強制されない権利、不妊を目的とするような子宮の摘出とか、そういったことを絶対に強制してはなりません。これは先ほどリプロダクティブ・ヘルス・ライツという言葉を使われたんですが、カイロの国際人口開発会議のときに、障害があってもなくても一人ひとりの女性が自己決定すべきであるということを採択し、日本国も勿論それを賛成しました。

特に知的障害の方に対しての強姦は非常に多いです。そのために望まない妊娠をしてしまう。そのことについては、是非部会というようなチャンスがあったら、6条の複合的差別という視点から、そこで詳しく議論をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 この問題は第6条、今日はなかったけれども、子どもの第7条も含めて大変矛盾が集積化しやすいところでもありますので、今後ともこれは議論を続けていくことにしましょう。

ここで一旦休憩に入ります。16時5分から再開します。最後は虐待防止法のところに入ります。それでは、休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、着席をお願いします。よろしいですか。

第3ラウンドに入りますけれども、その前にどうしてもこれは言っておかないと気が済まないという御意見がありました。今、福島大臣がいらっしゃるんですが、差別禁止法に関しましては立法化を吟味していこうということなんですが、その前にできることがいっぱいあるのではないか。その最たるものが今も増えている欠格条項です。最新データによると443の法律にこれがある。これに関しては、やはり運用とか改正段階で事実上手直しをしていく、あるいはなくしていくということについて考えなくてはいけないだろう。こういう御意見がありました。これはもっともだろうと思いますので、この意見も加えさせていただこうと思っています。

それでは、このコーナーの最後になります。50分間ほどになりますけれども、虐待防止法への展望ということで、これに関して出ています意見の集約を東さんからお願いします。

東室長 東です。

虐待に関しましては、まず「○障害の定義」の関係で、被虐待者、虐待をされた者は手帳所持者に限られないのではないかという論点を挙げております。

その後に「○虐待行為者による類型」ということで、どの範囲までをカバーすべきか。

その後に「○虐待の定義」について、虐待行為者類型ごとに通常用いられています5類型で区分するか。それと5類型の内容をどう考えるかという辺りについて御説明申し上げます。

まず手帳所持者に限られないのではないかという点については、18名の委員から意見が出ておりますが、全員が手帳所持者に限る必要はない。虐待防止と救済の必要性がある限り、広く障害をとらえるべきだという点では一致しております。これは当然のことだと思います。

2番目に「○虐待行為者による類型」ということで、どの範囲までカバーすべきかという問題があります。例として介護者とございます。この介護者に親族なども含めるかどうかというのは解釈の余地があります。それと福祉従事者、事業所などの使用者、これには従業員はどうなんだという議論もあるかと思います。それと学校関係者、医療従事者という例を挙げております。これについては、基本的にそれを前提にして、もう少しつけ加えるべきだという意見が多かったと思います。

例えば親、兄弟、親族も入れるべきだ。もしくは刑務所等の職員ないしは行政職員、警察官、一般市民、先ほど言いましたけれども、使用者の中には一般従業員は入らないわけです。そういうある意味では同僚的な立場の人はどうなのかという問題があります。

ほかに公共交通関係者ということで挙げられています。例えば知的障害のある人がバスに乗るときに、非常に侮辱的な言動で乗車を拒否される。これは差別にも当たるわけですけれども、本当に精神的な意味での虐待みたいなものに当たるのではないかという御指摘だろうと思います。

保育関係者は福祉従事者に入ろうかと思うんですが、そういう人たちが挙げられております。

そのほか、相談とか法律に従事する者とか職業訓練施設の関係者などはどうなのかということが言われています。

また、そもそも範囲を限定せずすべての関係者とすべきという意見もあります。

ただ、その反面、やはり類型ごとに分けるべきだ。それはなぜかというと、虐待の本質とか背景、動機がそれぞれ行為者類型ごとに違う側面があって、それが虐待の内容にも変化をもたらしますし、救済の方法とか発見なども形態として若干違うということがあるから、やはり類型は類型として残すべきだという意見などがあります。この点に関しては、そういう虐待の本質や発見、救済、防止手段の違い、もしくは一般刑法との関係などを検討して議論を詰める必要があると思っています。

次に「○虐待の定義」ですけれども、虐待行為者類型ごとに5類型に区分するかということです。身体的虐待、精神的虐待、性的虐待、放置、経済的搾取という5類型が障害者の場合には問題になるということで、一般的な議論としては争いのないところだと思うんですが、それで足りるのかという観点から、特に必要な場合には追加すべきであるという見解、とくに、いじめとか医療関係者による身体拘束、地域で生きる上で必要とする適切なサービスを受けさせないという行政の対応などが、挙げられていたと思います。さらに、セルフ・ネグレクトといいますか、自己に対する問題なんですが、そういうものも検討すべきとする見解もありました。

ここまでいくとちょっと広過ぎると思うんですが、すべての人権侵害に当たる場合を虐待に含めるとする見解、もしくは、そもそも虐待の定義を置く必要はないという見解まで結構幅広くあります。

ただ、犯罪についても、犯罪をしてはいけないというだけでは犯罪はなくならないわけです。それと同じように、どうしたら実効性が上がるのかという観点からも、類型の問題をきちっと考えていただければと思っています。そういう意味で、この点についてももう少し議論を詰める必要があると思っています。

次に5類型の内容についてどう考えるかですが、これについては17名の委員から意見が出されております。定義の詳細については紹介する時間がありませんが、基本的に資料で挙がっています日弁連の意見書に日弁連で考えた定義が挙がっておりますので、それをベースにして議論していただければいいと思っています。

意見としては、そのものに加えて、先ほども出ましたが、差別的言動やからかいなどのいじめ、プライバシー侵害を心理的虐待に含めるべきではないか、セルフネグレクトも放置に入れるべきではないか、などの意見があります。また、言葉の使いようとして、ほかの法律には「著しく」という言葉が結構出てくるんです。著しく侵害を受けた場合という形で「著しく」という言葉を入れるべきなのかどうなのか。非常に抽象的な概念でありますし、評価する側がどう評価するかで変わってくるわけです。それと、発見する人にとっても著しいかどうかという判断は非常に難しいことを強いることになるわけです。そういう意味で「著しい」という言葉は入れるべきではないという御意見があります。

さらに、言葉の暴力、コミュニケーションの疎外、無視、隔離、社会的入院、保護室への隔離と拘束時の放置などの検討が必要であるという意見もありました。

その他5類型を定義化したとしても、包括的な虐待の定義というものが要るのではないか。それは定義に含まれない部分を救済する可能性を残すという意味があろうかと思いますが、そういう御意見も挙がっております。これについてももう少し詰めた議論が必要であると思っているところです。

済みません。もう少し行きます。次に「○早期発見義務」について、早期発見義務の程度と義務者の範囲についてどう考えるかということと、発見者の通報義務の対象範囲と程度についてどう考えるかという論点を挙げております。

早期発見と通報義務というのは同じような感じがするかもしれませんけれども、早期発見というのは虐待というものがなかなか見えにくい、わかりにくいという現状の中で、とにかくだれかが早く発見することが救済にとって非常に重大だという観点から、虐待が見えやすいような、把握しやすいような人に発見の義務もしくは努力の義務を課すという問題なんです。通報という問題は、発見した場合にどうするか。発見したけれども、黙っていていいのか。やはり救済機関みたいなところに、発見した人はすぐに通報すべきではないか。言わば虐待が発覚する前の段階が発見義務の問題で、発覚した後が通報義務の問題です。こういうふうに割り振って考えていただければ分かりやすいと思っているところです。

そういうことを前提に、早期発見義務者の程度と範囲については、日弁連の意見書と同様にすべての公務員や虐待を防止する立場にある仕事に就く者に対して、早期発見の努力義務を課すという見解が多いと思いますが、すべての関係者まで広げるべきだとする見解もあります。例えばそういう仕事に就く者だけではなくて、いろんな情況の変化を見届けられる支援者とか保護者、親族まで広げるべきという見解もありました。

ただ、そういう見解の半面、法的に発見義務を課すのは困難とする見解もあります。または家庭内の虐待では発見義務を課すべきではないとする見解もあります。一般市民まで課すべきではないという見解などもありました。

この問題ももう少し議論を重ねれば一定の範囲で落ち着くと思っています。

次に「○通報義務」ですけれども、これについては17名の委員から意見をいただいております。どのような場合に義務を課すかについて、いろいろな議論が挙がっておりますけれども、まず虐待の程度についてですが、先ほども言いましたように「著しい」とか「重大」という場合だけに限定すべきではないという議論があります。

虐待というのは、ある意味でささいな虐待から重大な虐待までずっと継続して続いていく側面があるわけです。これを虐待の継続性みたいな言葉で表現することもあるんですが、そういう観点からいうと、やはり軽い虐待のときにいかにそれを表に出すかという観点からいくと、重大になったときにだけ報告義務を課すというのは解決としては遅過ぎるということもあり得るわけです。

発見した虐待の認識の程度についてという点でいうと、虐待の可能性があるような場合にも通報義務を課す必要がある。主観的な認識、これは虐待かそうではないかと悩んだ場合は、通報義務を弱めるというようなことをすべきではないという見解もあります。

3番目の点としては、虐待を発見した人の中でだれに義務を課すのかという点が問題なんですが、この点については発見した人はすべての人に通報義務を課すという見解、例えば虐待の発見の報告を受けた上司であったり、施設長であったり、そういう一定の機関にも救済機関に届けを出させるべきだという見解もあります。

本来虐待でなかったにもかかわらず、虐待があったと過失で報告を上げた場合について、何かペナルティーがあれば、やはり虐待報告が少なくなる可能性が十分にあるわけです。ですから、そういう場合についての免責規定を設けるべきだという見解もありました。

過失があるかないかを問わず、通報者の保護規定が必要だという見解がありますが、その反面、少数ですが、一般市民まで厳格な義務を課すべきではない、虐待の程度と認識の程度に応じて義務化、努力化を整理すべきという意見もございました。

大方の意見は、程度や認識に関わらず通報義務を課すべきだというものだったように理解しております。

最後まで御説明します。次に「○救済機関」が問題になっております。

まず1番目として、救済機関の権能についてどう考えるか。例えば事実確認、立入検査、一時保護、回復支援、その他となっております。2番目は、救済機関が対象とすべき範囲についてどう考えるかです。

まず権能ですけれども、これについては17名の委員から意見が出されております。救済機関という硬い言葉でイメージが湧きにくいかと思いますが、例えば児童相談所のようなものをイメージしていただければいいと思います。問題はこのような機関がいかなる権限を有するかによって、実行的な救済ができるかどうかがほぼ決まってくると思われます。

そこで御意見としては、例示で挙げた事実確認、立入検査、一時保護、回復支援といった権限については若干の異論はありますけれども、多くの意見は一般的には強制力を伴うこのような権限があるべきであるということを前提にしていると思われます。その上で例えば保護命令の申し立てについてもう少し詳しく述べている意見、臨検とか捜索の権限、各種審判の申し立て権などがあります。例えば親権の剥奪などがこのごろ子どもの関係で問題になっておりますが、そういう審判の申し立て権もしくは介護者支援などの権限をつけ加えるべきだという見解も多く挙がっております。

次に救済機関が対象とすべき範囲についてどう考えるかですが、旧与野党が出した法案は救済機関が対象とすべき範囲を限定するような形で出されているんですが、委員の意見としては、介護者、福祉従事者、使用者、学校関係者、医療従事者、使用関係者による類型それぞれについて救済機関はこの分野を対象とすべきであると考える意見が多かったと思います。もしくはあえて特定の分野に限定する必要があるのか、すべての分野を対象とすべきだという意見もありました。それに対しては、団体とか集団を対象とすることについても疑問があるという意見も挙がっております。

次に「○監視機関」について御説明申し上げます。1番目は、行政に関してですが、監督権限はあっても原則として監督義務はないとする現行法規の解釈の下で、現行法の適切な運用のみで虐待防止の実効性を担保できるかどうかという論点です。

虐待に関しては、さまざまな裁判が起きておりますけれども、例えば労働基準局にしてもいろんな公的機関の責任が問われるときに、国側が何を主張するかというと、確かに一定の監督権限はあるわけですが、だからといって監督義務が伴うものではない。だから、その義務を履行しないことが義務違反、すなわち国賠法上の違法には該当しない。そういうことがよく言われているわけです。ですので、こういう解釈を前提に現行の法規を適切に運用するという形で対処した場合、果たして効果が上がるのがということが論点です。

このことに関しては、ほとんどの意見が現行法の適切な運用のみでは虐待防止の実効性を発揮することはできない。監督義務が必要だという御意見でした。

次に家庭における虐待以外の場合、独立した監視機関の設定の必要性についてどう考えるかということですけれども、18名の委員から御意見をいただいております。

権利条約の16条3項を見てもらうとわかりますけれども、すべての施設や計画が独立した当局による効果的に監視されることを確保すると規定されております。したがって、このような独立した監視機関の是非を問うのがこの論点です。

これについてもさまざまな意見が挙がっておりますけれども、監視機関と救済機関との関係をどうするかとか、既存の関係機関との関係をどうするかとか、そういう観点からの御意見もありますけれども、多くの方は監視機関というものを設けるべきだという見解だったと思っております。

次に「○相談支援機関」ということで、これは具体的な論点の最後になるわけです。生活支援まで含めた相談支援の在り方についてどう考えるかということです。これについては17名の委員から意見をいただいております。

実はここでは2つの論点があると考えています。特に家族による虐待の背景を考慮すると、単に虐待を取り締まるというだけでは、虐待を本当に防止することができるのか。家族の抱えている問題についての支援ということを正面から考えるべきではないかという点が1点です。

2点目は、例えば施設や職場で働いている知的障害のある人のことを考えれば、そこから出てどこかで生活するということができない状況にあるわけです。その中で生活のすべてを依存している。その中で虐待が発生した場合には、単に相談を受けるだけでは虐待は防止できない。極端に言えば丸ごと生活を支援するという外の機関がなければ、虐待を発見し防止していくということはできないのではないかという現実があるわけです。

そういう2つの論点にわたってお伺いしたわけですが、多くの方からやはり相談支援体制一般については非常に重要であるという御指摘がありました。ただ、生活支援という面においては、少し意識が薄いという感じも受けましたが、こういう形で2つに分けて論点を提示すれば、どれについても非常に重要であるという意見が返ってくるのではないかと皆さんの書きぶりから推測したところではあります。

以上が論点の御説明ですが、その他については11名の委員から意見が出されております。それについては、時間の関係で割愛させていただきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 大変大事な問題で、これをちゃんと正面から議論する場が余りなかったものですから、これについては、私の方から今のことに加えて3つの視点がございます。

1つは、先行している虐待防止に関する法律、2000年には児童虐待防止法、2001年には配偶者からの暴力等の防止法、2006年には高齢者虐待防止法が1つある。

2つ目の視点は、昨年の国会で7月9日に旧与党が障害者の虐待防止法に関する法案を出しています。しかし、7月21日の解散でこれが廃案になりました。この到達点をどう見るかということが2点目です。

3つ目は今もありましたけれども、お手元の権利条約の公定訳案をごらんください。第15条、第16条辺りがこれに関連してきますけれども、第16条に関係の深い第1項と第3項を代読してもらいますので、これも聞いてください。

「第16条、搾取、暴力及び虐待からの自由。

1、締約国は家庭の内外におけるあらゆる形態の搾取、暴力及び虐待(性別に基づくものを含む)から障害者を保護するためのすべての適当な立法上、行政上、社会上、教育上その他の措置をとる。

3、締約国はあらゆる形態の搾取、暴力及び虐待の発生を防止するため、障害者に役立つことを意図したすべての施設及び計画が独立した当局により効果的に監視されることを確保する。」

こうした先行した他の分野の虐待防止法、障害者虐待法のかつて出た法案、権利条約の論調も併せて議論をしていこうと思うんですが、まずどうしても発言をしたい人は手を挙げてください。

それでは、先ほど尾上さんに我慢してもらったので、尾上さんからいきましょう。

尾上委員 藤井さんから示された論点の2つ目に関わって申し上げたいと思います。特に通報義務の範囲や早期発見の義務の範囲にも関係するんですけれども、たしか昨年議員立法で検討されてきた案というのは、入所施設や職場においては通報義務、通報した人に対する保護をかけていたのですが、残念ながら医療機関や学校については防止義務はありましたけれども、たしか通報義務まではなかったと思います。

私はもともと大阪にいましたが、今から十数年前に大和川病院事件という本当に痛ましい事件がございました。そう考えたときに、精神科病床での人権侵害あるいは虐待については、入所施設と同等の構造を持っているのではないかと思うわけです。そういう意味では、今日のほかの皆さんの御意見を見ていても、医療機関や学校も含めるべしということで異論がないと思うのですけれども、とりわけ昨年度の議論の到達点からすれば、もう少し更に踏み込んで、医療機関や学校まで含めて通報義務等を課すべきではないかというのが1点です。

もう一点は追加資料の方に入れておるのですけれども、追加資料-1をごらんください。追加資料-1の53ページです。これは大阪府で行われています精神医療オンブズマン制度の関係の資料でございます。特に障害者の虐待が起きる場面というのは密室性が非常に強いと思います。そういう意味で、常に外部からの目といいますかオンブズマン的な仕組みがあります。これは早期発見という意味でも、あるいは予防という意味でも重要なのではないかと思っています。

53ページからお示しをしている資料というのは、まさに先ほど申しました大和川病院事件の痛ましい事件の総括を踏まえまして、二度とそういう虐待や人権侵害が起きないようにということで、精神医療オンブズマンという市民や当事者が研修を受けてオンブズマンになり、医療機関に定期的に訪問をし、その報告を上げていくという仕組みであります。是非ともこういった事例なども参考にしていただいてというか、虐待防止法をつくって、やはり実効性を高めていかなければいけないと思いますので、その点でオンブズマン制度は必須ではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 去年のこの法案では、今ありましたように、精神科医療を含めた最も起こりやすい医療機関、教育、保育所の3つは別扱いになっていて、虐待の介護者とか福祉事業従事者、使用者とは別になっているということもあって、これらを含むべきという意見だったと思います。それがオンブズマン問題です。

これに絡む意見があればいかがですか。

川崎さん、どうぞ。次に中西さんにいきます。

川崎委員 家族会の川崎でございます。

今の御意見は全くそのとおりでございまして、精神科病院における虐待は本当に表に出てこない。例えば家族が気がつくことがあるのですけれども、それを家族がなかなか言い出せない。家族にとっては、言ってしまうともっと何かされるのではないかと思ってしまう。見えないところで虐待が行われているということは、本当に憂慮すべきことだと思っております。

例えば精神科病院の保護室でネグレクト、放置されている状態とか、拘束医療といいまして、24時間拘束されて、それも何もされていない、放置されているという現状は、なかなか外に出ておりません。こういうところに監視機関なとが入って、改良されることを家族、当事者としては切に望むところでございます。

以上です。

藤井議長代理 中西さん、お願いします。

中西委員 中西由起子です。

医療の点に関しましては、難病、ALSの方からお話をいただいて、なるほどと思ったことがあります。今、東室長のお話で生活全般を丸ごと支援するということがありましたが、例えば地域で生きているALSの方に対して24時間の介助を依頼された福祉課の職員が、それだったらほかに移って住んでくれという形があります。これは差別だと思いますの。しかし、医師によるそんなにまでして生きたいのかという虐待的表現に関しては、そのような状況を防止していくということになった時に、医者を変えるなどの選択肢が少ないために丸ごとの支援というのがすごく難しくなっています。そこで虐待防止とオンブズパーソンとすべてが機能して動かなければいけないわけで、こういう形で、特に医療が大きな権威を持っている段階では、この部分は特に討議が必要だと考えています。

以上です。

藤井議長代理 それでは、関連した発言はありますか。先ほどに大濱さんからお願いします。

大濱委員 今の虐待と差別に関連してくると思いますが、権利条約第25条の健康のところに、「障害のある人が障害に基づく差別なしに到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有することを認める」という文言があります。その次の(a)に「障害のある人に対して、他のものに提供されるものと同一の範囲、質及び水準の無償又は負担可能な費用の保健サービス」という文言があるわけです。

ところが、実際には医療の現場でどうなっているかというと、今、中西さんのお話にもありましたように、ALSのような重度の障害者に対して、特に進行性のある障害者が呼吸器をつけるときに、医者からの告知というのはかなり残酷であるわけです。

これは滋賀でALSの方が2~3日前に亡くなられた、そこからの報告ですが、ALSの呼吸器をつける場合、医者から家族に対してALSの呼吸器をつけたら、これから長く生きて医療的な負担も非常に大きい。年間何千万もかかりますとか、家族が非常に大変になりますとか、そういう医者からの告知があるわけです。ALSの人たちが呼吸器をつけない方が良いという誘導が医者からなされている事例はかなり聞かれます。やはりこの問題は現実的に差別でもあるし、ある意味では精神的な虐待にもなるわけです。

こういう現実があるということで、私がお願いしたいのは、できれは医療の部会を設けていただきたい。それは総合福祉の部会でも構わないんですが、その中に位置づけるのか、それとも別途医療の部会を設けるか何らかの形を検討していただければありがたい。

以上です。

藤井議長代理 北野委員、どうぞ。

北野委員 これは虐待の定義にも関係するんですけれども、今、川崎委員などがおっしゃったような拘禁、拘束は、5つの分類に追加すべきです。あと、過剰投薬の問題による抑制の問題がありますので、身体的拘束やネグレクトではなくて、私の方は定義の中に明確に拘禁、拘束と過剰投薬を別分類として1項目起こしていただきたいと思っているのが1つです。

さらに同じようにネグレクトの場合、支援の必要な自己管理困難・拒否というセルフネグレクトの項目も追加していただけたらと思っています。

以上です。

藤井議長代理 関口さん、関係しますか。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口です。今の御意見はどうもありがとうございました。

近年というか大分前から、行動制限最小化委員会というものが病院でつくられるようになってきました。2004年に身体拘束をされていた人は、全国で1日合計1万2,000人いたわけです。2006年で1万4,500人ということで、2,500人増えているんです。

WHOの精神保健10原則というものがありまして、これは条約よりも大分前につくられたものですけれども、精神保健ケアにおける最小規制の原則というもので、身体拘束は4時間を限度とする。指針としてこの原則の推進に役立つ行動として、隔離室の段階的廃止と新規設置の禁止ということがうたわれております。ところが、日本の身体拘束は1週間単位でやられています。4時間どころではないです。だから、考え方が根本的に違うんだと思います。

そして、今、新規入院で任意入院が増えているわけですけれども、その方々の半分以上が出られない部屋、任意入院であるにもかかわらず閉鎖病棟に入れられている。こういう実態は虐待を肯定するのではないかと思います。勿論、過剰投薬の問題もあるんですけれども、このようなことが治療法という名の下に許されてしまっていいんだろうか。これは電気ショックでも同じです。効果があるからいいんだといって、人の頭に電気をかけて、記憶が飛んでも構わないというのはいただけないと思っております。

以上です。

藤井議長代理 まだ手が挙がっているんですが、虐待行為者の類型の中で、福祉事業従事者は入っているんだけれども、医療事業従事者は入っていない。しかし、精神科病院に見られますように、医療という1つの閉鎖的な社会資源かつ医者の権限、権力、加えて物事を主張できない人々という点で、この場で虐待あるいはそれに類似する行為というのは多い。是非これをという意見は多分異存がないと思います。今後また検討していきます。

時間がない中で、もう一つ伺っておきたかったのは、児童福祉法は児相、児童相談所というものが救済機関を含めて中核機能である。それから、高齢者の虐待防止に関してはまだ不十分ですが包括支援センターがある。障害者の虐待防止に関する中核機関というものはどういうふうにするのか。先ほどの差別禁止法の中でもあったように、オーバーラップする点があるかもしれませんけれども、もしこの辺に関する御意見があったら伺っておきたいと思います。いかがでしょうか。

手が挙がっていない大谷さん、どうぞ。

大谷委員 今の藤井議長代理からの提案に対しては、そういうふうにばらばらに支援センターがあること自体も問題だろうと思っています。虐待があったときに児童、女性、高齢者というふうに被虐待者毎に順次法律ができてしまって、障害者だけが遅れてしまった結果、ばらばらのところで今は保護されているという状態です。包括支援センターなるものをもう少し広く扱い、その中で、個別に特化した問題があれば、それが検討されるべきだと思っています。

加えて、一番最初に藤井議長代理が提案された第1の論点、既に先行されている法律との関係でどうあるべきかということに関しては、実際に我々の経験として、いい点、悪い点が出てきています。

私の個別的な弁護士としての業務の関係でいうと、児童虐待に関しても、女性に対する暴力も、リアルなというか目に見える虐待に関しては少しずつあぶり出されている。やはり一番わからないのは、ある種心理的虐待、ネグレクトと言われているもの、経済的な搾取の問題に関してはなかなかあぶり出しにくい。というのは、虐待されている方がそれを虐待だと自覚しない。女性にあなたはそこまで夫にばかにされているのは虐待ではないかと言うと、妻はこう言うんです。私はだめな人間で、夫に怒られてもしようがないんだと。でも、そうではないんだ。あなたは悪くない、それはマインドコントロールなんだということで、そこから解放されるまでにすごく時間がかかるということも含めて、虐待される側が虐待だと自覚できない。これをどうやってあぶり出していくかということが課題になっているだろうと思います。

今回、時間がないので紹介できませんけれども、その他のところに意見を書きました、虐待の予防と罰則についての2つに関しては、是非意識していただきたいと思います。予防というのはこれが虐待だということを周知徹底するということです。虐待する側も虐待される側もこれが虐待であるということが周知徹底されるような教育を仕掛けなければならないということです。

虐待に対する罰則に関しては、虐待というのは既に刑事類型にあります。身体虐待だったら暴行、傷害罪だし、お金を取り上げたら横領罪だし、一つひとつの虐待に関しては刑罰で罰せられます。しかし、そこに至らない、例えば虐待をした人に対する懲罰が非常に甘くなっているので、そういうことも類型化して、刑罰でなくても懲罰を科すということも設けるべきだと思います。

加えて意見を言ってしまって、済みません。

藤井議長代理 大谷さん、私らも素人なものですから、刑罰と懲罰との違いを簡単に一言で説明していただいてもいいですか。

大谷委員 刑罰というのは構成要件をきちんと決めなくてはいけないということで、かなり厳しい要件が必要となります。懲罰というと、例えば虐待した人を解雇するとか、行政罰も含めてなんですけれども、企業名の公表なども1つの懲罰だろうと思います。広範に社会的な制裁を加えることも懲罰だろうと思います。

刑罰ということになりますと、前科前歴がつきますので、刑事手続上の要請もありますので、かなり厳しい要件が必要です。より緩やかに社会的な制裁を加える、広範に民事的な罰を加えるという意味で懲罰という概念を私は使わせてもらっています。

藤井議長代理 まだ御発言のない勝又さん、何かございますか。

勝又委員 ありがとうございます。勝又です。

今の御意見に関連して、DVの被害者の中には、特に女性の知的障害の方が多いという話を聞いたことがございます。ですから、そういう意味では性差別と障害者差別が複合的になっているのが、虐待で、大変重要な問題だと思います。

藤井議長代理 それでは、時間がきましたけれども、長瀬さん、大久保さん、久松さんから手が挙がっていますので、簡単にお願いします。できるだけ関係した発言をお願いします。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。

他の分野との動きとの関連というのは、既に何回が出ているテーマなのですけれども、例えば障害者虐待防止法案については、今国会にも野党側、自民党を中心に法案が出されているとうかがっていて、余り時間はないのかもしれないと思っています。政府としてどういう段階にあるのかわかりませんけれども、今回、私どもが出させていただいた意見というのは、今の段階でもある程度まとまっていますので、押し売りになるかもしれませんが、例えば東室長なりに、今、政府の中で障害者虐待防止法がどういう動きがあるのか把握していただいて、今の段階で結論めいたものにはなっていないかもしれませんけれども、例えば「教育関係者や医療関係者についても含めることが必要だ」という点を、この推進会議のプロセスの過程から他の動きに伝えていただく、インプットしていただく役割もあっていいと思いました。

例えば厚生労働省の障害者雇用の部分の方に来ていただいてヒアリングするというのも大事だと思うのですけれども、双方向で私たちがやっている動き、考えていることを今の早いタイミングで伝えることが必要な場合もあると思いました。

これはお願いです。ありがとうございます。

藤井議長代理 それは要望として受け止めることにしましょう。

大久保さん、どうぞ。

大久保委員 育成会の大久保です。

先ほどのところにちょっと戻ったりしますけれども、虐待行為者というところで、先ほどは病院が出てきましたが、私どもから申し上げたいところは、厚生労働省の本年度の研究助成事業の中で、ほぼ数字が固まりつつあると思うのですけれども、学校における教員の方々の虐待というのは結構多いと出ています。ということで、学校というところをこれから対象としていかなければいけないということは申し上げたいと思います。あと、職場での同僚の方、特にいじめとかそういった部分が多いということがある。こういったことは強調しておきたいと思います。

それと、私どもは知的障害関係の団体ですけれども、先ほどの長瀬さんのお話とも関連するかもしれませんが、知的障害のある方々はどうしても御本人がすぐに訴えたり、説明したりというのは難しい部分がある。ということは、それだけ後になってわかる、あるいは潜在化しているという危険性がかなり高いということで、虐待防止法については私どもは強く求めてきたという経緯があります。その結果、中身はかなり不十分な状況ではありますが、与野党案ということで前年に一応国会に出たということです。

そういう流れの中で、先ほど言った学校、病院あるいは職場の同僚、中には同級生ということもあるかもしれません。そして、児童虐待防止法、高齢者虐待防止法との関連、こういったことを含めてしっかりと議論していかなければいけない。今の政府の皆さんがすぐに受け止めて与党案として国会に提出していただければ、こんなにありがたいことはないのですけれども、やはり相当の議論が必要だということもあります。ですから、政府として今国会に提出されている虐待防止法案に対する対応というか、どういう姿勢で臨むかというところもはっきりしていただければと思っている次第です。

以上です。

藤井議長代理 久松さん、どうぞ。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。

大谷委員のお話に伴って更に議論を深めていかなければならないのかと思っているところですが、私自身の経験から申し上げますと、私の聾学校の同期生が、コミュニケーションが通じないという理由で精神病院に入院させられたという事例があります。コミュニケーションが通じないというだけでそのようなことが起こる、逆に言えば精神病院においても、ほかの障害者施設においても職員ともコミュニケーションが図れない状況、それだけでもかなり大きな虐待に該当するのではないか。隔離的に放置されているという状況があるのではないかと思っております。

それに絡めていえば、先ほど大谷委員がおっしゃったことで、施設、センターがばらばらに置かれているという状況は余り好ましいことではないというお話がありましたが、実際に1本化しても、またばらばらだとしても、コミュニケーションに問題があるという児童また成人障害者が関わったときに、どこでサポートができるのかという問題が残ると思います。実際に精神病院に入院した人たちを救うために、聴覚障害者、生活支援センターの職員、指導員、情報提供施設の職員、相談員が一生懸命彼らを守ってきたということもあります。障害者のためのセンターといってもやはりきめ細かいサポートが必要ではないかと思います。その特性に応じたセンター機能をつくるために、どのようなことをしたらいいのかという議論も必要ではないかと思います。そういう方向での議論も更に深めていただきたいと思っております。

藤井議長代理 そうだとすると、かなり慎重な議論も要るということですね。

時間がきたんですが、どうしましょうか。堂本さん、今の話にどうしても関係があることですか。

堂本委員 あります。

藤井議長代理 短目に御配慮をお願いします。

堂本委員 ここに高次脳機能障害とか発達障害、自閉症の分野の方がおられないので代弁します。今のコミュニケーションができない障害者というのは、まさにこの人たちなんです。しかも、一人ひとりの障害のあり方が非常に個別的で類型化できないということがあります。したがって、一人ひとりの個別なことに対してどう対応していくのか。自分の意思を伝えられない、そのため支援の受け方も個別です。ここに当事者がおられないということなので、どうしても申し上げておきたかったんです。

それから、センター機能ということでいいますと、大谷さんもよく御存じの領域なんですけれども、DV被害女性のことを考えると大変難しい。なぜならば夫が追いかけてくる。例えば刑務所から出た人が翌日妻と子どもを殺してしまったというケースは、日本国内でも外国でもあるんです。ですから、やはり広域で対応する必要があるのです。

例えば千葉にも北海道からとか逃げてきているような方がいらして、絶対に居場所を明らかにしないようにしています。逆に、DVの被害者と違って、子どもとか高齢者はそんなことではなくて、みんなが来てくれた方がいいということでしょう。したがって、センター化するということにはDV被害者については大変気をつけなければいけないことがあるということで、議論してください。

以上です。

藤井議長代理 関口さん、どうぞ。簡単にしてくださいね。

関口委員 罰則の問題でございます。弁護士としては、当然推定無罪ということになるんでしょうから、構成要件を緩めるということ自体がいいのか、悪いのかという議論があると思うんですけれども、例えば施設にいる障害者が性的虐待を受けても日時が特定できないので無罪になるということがあります。その他の意見に書いてありますけれども、そういうケースが実際にあります。そういう場合、疑えばというか、合理的に詰めていけば明らかに黒なわけです。だけれども、日時が特定できない。その方が日時を言うことができない。そのために刑事罰は逃れてしまうんです。

そういうときに、構成要件をある程度緩めるということは必要なのではないか。これは勿論推定無罪の原則がありますから、甚だ難しい問題なんですけれども、それをもし懲罰という形でかけることができるのであれば、刑事的な捜査を行うということは前提でございますが、刑事的にどうしてもつながらないといったときに、懲罰という形でかけられることがあるのであれば、それが公平性を担保できるのであれば、そういうこともやはり必要なのではないかと思います。潜在化しているときに、あるいは行われているけれども、わからないからやってしまうというときに、抑止するものは罰則とか懲罰とかそういうものが必要だと思います。それが目的の中に入っていないと、抑止効果はない。やったら大変なことになるということがないとやってしまうものですから、そういうことをある程度担保する虐待防止法になってもらわないと困ると思っています。

藤井議長代理 時間がきましたので終わりますが、この件はとても大事なことなんだけれども、土本さん御意見ありますか。

土本委員 議論がいっぱい出てきて、これから進めていきたいし、発達障害と言われている人たちもそうだけれども、発言を聞いてやらないとならないし、今まで泣き寝入りという形でしてきたんだけれども、私たちはもう嫌だということをちゃんと伝えなければならない。どんな困難を抱えていても、適切な支援が必要ではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 土本さん、もし虐待を自分なり友達が受けたとき、地域、北海道でどこに持っていけばいいと思いますか。持っていきやすい所とか、どういうふうに考えますか。あるいは宿題で持って帰ってもいいです。

土本委員 ちょっと宿題として持って帰っていいですか。

藤井議長代理 はい。これも大事なことです。

門川さん、いかがですか。少しタイムラグがあると思いますが、どうですか。

門川委員 門川です。特にありません。

藤井議長代理 この件は虐待行為者の類型に始まって医療は要る、教育も要る、オンブズパーソンという問題も大事だということです。

加えて、大谷委員、堂本委員、久松委員からもありましたセンター機能の在りよう等々を考えますと、長瀬委員から今国会にという意見もあったけれども、この辺は少し総合的な判断をして、また考えなければいけないということが今日の到達点ではないかと思います。

いずれにしても、大変大きな問題なので、今後またこれについては深めていく。今日は入口なので、この辺に関する今日の段階での議論はピリオドを打たせていただきます。

少し時間がオーバーしましたけれども、以上をもちまして、私の方の中身に関わる議論の進行は終わりまして、議長の小川さんにマイクをお返しします。

小川議長 それでは、本日の討議はこれくらいにいたしまして、資料の提出方法等について、東室長から簡潔に御説明をお願いいたします。室長、どうぞ。

東室長 東です。

第5回目以降の資料の提出方法につきましては、基本的には今回と同様といたしますけれども、詳しくは改めて別途メールにて送信しますので、よろしくお願いしたいと思っております。

今後の予定ですが、次回は3月19日金曜日となっております。テーマは障害の表記、教育、政治参加、この3本でやりたいと思っております。

中島委員 子どもはないんですか。

東室長 子どもは次々回の3月30日火曜日です。テーマは障害児、医療、難病、司法手続です。

藤井議長代理 所得保障は入らないんですか。

東室長 所得保障はまだここまでに至っていないです。

3月19日までは少し期間が空きますが、逆に3月19日から次の3月30日までの期間は少ないことになります。3月19日の分については原則どおり3月12日、1週間前までになりますけれども、3月30日の分は23日なります。3月19日の後は大変なんです。ですから、これから準備していただくという御覚悟でお願いしておきたいと思っております。

それと、政治参加とか司法手続につきましては、論点表という中にほとんど書いておりますが、ここ2~3日猶予をいただいて、基本的な論点だけつけ加えて出したいと思っております。ほかの障害の表記、教育、障害児、医療にしても若干論点として変えるかもしれません。いずれにしても、2~3日の猶予をいただければ送れると思います。それから、御準備の方をよろしくお願いしたいと思っています。

4月以降は残った論点もありますが、ヒアリングを入れていくことになろうかと思っています。まだ具体的な中身は決まっておりませんが、そういう方向性で考えているところです。

4月以降の日程は、基本的に第2、第4月曜日ということでお願いしているところだと思います。場所の確保でここがきちっと取れていない状況にありますので、場所はほかに移る可能性もあります。その点については、わかり次第、順次御報告しますので、よろしくお願いします。

それと、部会に関することについて少しだけ御報告させていただきたいと思います。前回申しましたように、総合福祉部会については例外的に早く立ち上げるということで、現在、人選等を進めている最中でございまして、大きさとかいろんな問題がありまして、確定するまでには至っていない状況です。ですから、厚労省の人からもう少し早くしろとおしかりの声が聞こえてきそうなんですが、もう少し時間をいただければと思っているところです。

報告としては以上です。

小川議長 ありがとうございました。

それでは、これをもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。御苦労様でございました。

本日の推進会議の概要につきまして、この後、この場所で記者会見を行い、藤井議長代理及び東室長から対応させていただきます。

本日はお忙しいところ、誠に御苦労様でございました。ありがとうございました。

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