福田内閣官房長官 | ||
奥山大臣政務官 | ||
江崎政策統括官 | ||
秋山 哲男 | 東京都立大学大学院都市科学研究科教授 | |
安藤 豊喜 | (財)全日本ろうあ連盟理事長 | |
池末 亨 | (財)全国精神障害者家族会連合会常務理事 | |
伊藤 勇一 | 全国身体障害者施設協議会副会長 | |
雄谷 助成 | (財)日本知的障害者福祉協会理事 | |
鹿島 晴雄 | 慶應義塾大学医学部教授(日本精神神経学会理事) | |
河端 静子 | 日本障害者協議会代表 | |
北浦 雅子 | (福)全国重症心身障害児(者)を守る会会長 | |
君塚 葵 | 全国肢体不自由児施設運営協議会理事 | |
座長 | 京極 高宣 | 日本社会事業大学学長 |
紀陸 孝 | (社)日本経済団体連合会常務理事 | |
小島紀久雄 | 東日本旅客鉄道(株)代表取締役副社長 | |
兒玉 明 | (福)日本身体障害者団体連合会会長 | |
斎藤 公生 | 全国社会就労センター協議会会長 | |
笹川 吉彦 | (福)日本盲人協会連合会会長 | |
潮谷 義子 | 熊本県知事 | |
竹中 ナミ | (福)プロップ・ステーション理事長 | |
鶴岡 啓一 | 千葉市長 | |
細村 迪夫 | 独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長 | |
松尾 宣武 | 国立成育医療センター総長 | |
松友 了 | (福)全日本手をつなぐ育成会常務理事 | |
松矢 勝宏 | 東京学芸大学教育学部教授(日本障害者雇用促進協会評議員) | |
丸山 一郎 | 埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科教授 | |
宮原 英明 | (社)電気通信事業者協会専務理事 | |
村上 忠行 | 日本労働組合総連合会副事務局長 | |
谷中 輝雄 | (福)全国精神障害者社会復帰施設協会会長 | |
山内 繁 | 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所所長 |
午前10時08分開会
○江崎統括官 おはようございます。内閣府の政策統括官の江崎と申します。
官房長官はただいま記者会見室に入っておられますが、ほどなくお見えになるかと思いますので、まず私の方から事務的な件につきまして進行を務めさせていただきます。
本懇談会の委員会の皆様の名簿は資料の2枚目に配付資料1としてございます。本日は、この委員の中で秋山委員、小島委員、村上委員のお3方がご都合によりご欠席でございます。
官房長官は記者会見室を出られたということでございまして、ほどなくお見えになると思いますので、恐縮でございますが、今しばらくお待ちいただきたいと思います。
○吉冨参事官 それでは、長官が来られましたので、始めさせていただきます。
この後の進行は、座長に指名されております京極委員にお願いいたします。
それでは、京極座長、よろしくお願いします。
○京極座長 京極です、おはようございます。
私は厚生労働省の社会保障審議会の障害者部会長を仰せつかっておりますけれども、今般は非常に幅広い角度から議論しなくちゃいけない障害者計画で、皆様の自由闊達なご議論で参考になる計画に貢献できればと思っております。
それでは、初めに福田内閣官房長官からご挨拶をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○福田内閣官房長官 おはようございます。官房長官の福田でございます。きょうはご多用のところをお集まりいただきましてありがとうございます。「新しい障害者基本計画に関する懇談会」の開催にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
始めに、皆様にはこの懇談会の委員をお引き受けいただきまして本当にありがとうございました。
我が国では、平成5年に策定いたしました「障害者対策に関する新長期計画」に基づきまして、施策を着実に実施してまいりました。この計画は今年度で終期を迎えます。
また「アジア太平洋障害者の十年」の最終年にあたるわけでございまして、この5月に開催されましたESCAP総会において、我が国の主導によりこの「十年」をさらに10年延長するということが決議され、10月には我が国が議長国として滋賀県大津市でハイレベル政府間会合が開催されまして、新しい「十年」の行動の枠組みが決定される予定である等、本年は障害者施策を推進する上で内外ともに節目の年となっております。
このような中で、内閣総理大臣を本部長といたします障害者施策推進本部では、本年中に「障害者対策に関する新長期計画」に替わる新しい基本計画を策定するとともに、その重点実施計画として新しい障害者プランを策定することを決定いたしました。
新しい障害者基本計画は、これからの10年の我が国の障害者施策の基本的方向を定めるものでございまして、その策定にあたりましては、障害のある方や障害者福祉についてご理解、ご経験のある方々のお考えを広くお伺いする
必要があると考え、今般、皆様にご参集いただくことになった次第でございます。
21世紀におきましては、誰もが生きがいをもって安心して暮らすことのできる社会とするという考え方に立ちまして、障害のある人も障害のない人と同じようにさまざまな活動に参加できるバリアフリー社会を構築する必要がございます。
新しい計画におきましては、IT革命の進展等の社会経済環境の構造的な変化を踏まえながら、障害のある人の社会参加が促進されるよう、関連施策の充実に努めますとともに、公的サービスやバリアフリー等の分野については、プランの中で極力数値目標を設定したいと考えております。
委員の皆様には、今後の障害者施策の在り方につきまして、忌憚のないご意見をいただきますようお願い申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○京極座長 それでは、本日、内閣府の奥山大臣政務官にご出席いただいておりますので、ご紹介申し上げます。
○奥山大臣政務官 奥山でございます。どうぞよろしく。
○京極座長 続きまして、本懇談会の運営につきましては、配付資料2の「運営要領」をごらんください。会議は非公開とすること、議事録を公開するといった方針で進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、第1回でございますので、本日ご出席の皆様に、自己紹介をかねまして、障害者施策についてふだんお考えの点を含めて、お1人2分程度でご挨拶をお願いいたします。
たくさんの委員がいらっしゃいますので、なるべく時間厳守ということでお願いしたいと思います。
なお、ご挨拶はお手元の配付資料1の名簿に沿ってお願いいたします。
最初に、安藤委員からお願いいたします。
○安藤委員 全日本ろうあ連盟の安藤豊喜でございます。どうぞよろしくお願いします。私は耳が聞こえませんので、手話通訳を介して皆さんのお話を聞いています。
私どもの願いは手話というものを言語的に認知していただくということです。手話奉仕員養成事業が昭和45年に始まってから、福祉分野での手話通訳事業については前進していますけれども、言語的な認知等が進んでいない国なんです。国際的には手話の言語的な認知が大きな流れになっています。また、聴覚障害児教育の中でも手話による教育というような考え方も進んでいます。新計画については、この手話の言語的な認知という面と、もう1つは手話通訳の制度が一体的になった制度を考えていただくことをお願いしたいと思います。
2つ目は、1989年の国際障害者年に始まって、この20年間を振り返ってみますと、日本は経済成長に伴って非常な前進を遂げました。総体的に考えてみますと、アジア太平洋地域の中でも福祉制度というものは高いレベルにあるのではないかと思うんです。ただ、福祉制度については高いレベルにありますけれども、障害者の人間的な権利という面では必ずしもそのようなレベルにない面があります。したがって、これからの10年間については、障害者の人間的な権利の視点が基本になるのてはないかと思っています。そういった面で皆さんと論議を重ねながら、よい方向でまとめていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○池末委員 全国精神障害者家族会連合会常務理事の池末と申します。
精神障害者の福祉は、身体障害者、知的障害社の福祉施策に比べて大幅に遅れていると言われています。1995年に障害者プランが出されて初めて精神障害者の施策についても数値目標が出されました。社会復帰施設、地域生活支援センターなど、その数値目標に沿って大幅に数が増えてきましたけれども、精神障害者のニーズに比べればまだまだ不十分と言われています。
新しい障害者プランの……。
○京極座長 話の途中ですけれども、座ってどうぞ。
○池末委員 新しい障害者基本計画、障害者プランの中で、精神障害者の施策を大幅に拡充していくように意見を述べていきたいと思います。よろしくお願いします。
○伊藤委員 全国身体障害者施設協議会の副会長をしております伊藤でございます。どうぞよろしくお願いします。
今一番思っているところは、いろいろな施策の推進の中で意識改革をしていくということが最も大事なのではないだろうかと思っております。その中で、特に障害者の自立や主体性を確立するということが何よりも大事ではないかと。そういう意味では、15年からの支援費支給制度の導入も、それの具体的な第一歩であると認識しているところでございます。あわせまして、障害者を中心にというか、核に据えたものの考え方、進め方が大事ではないかと思っています。3つ目は、もっとダイナミックに地域住民の方々を巻き込んだ仕組みを確立していければなと考えております。どうぞよろしくお願いします。
○雄谷委員 日本知的障害者福祉協会の雄谷でございます。
措置から計画という時代に向けて、経済状況あるいは地域格差の是正はぜひ必要かと私どもは考えています。それから、世の中の大きな流れというのは老人の政策が優先されているような感じがします。しかし、知的障害の分野にかかわりあいを持つ人間といたしましても、特にいろんな広報等を通じてこの方面の皆さんの国民的なご理解といったものが必要であろうかと思い、努力いたしたいと思っております。
それから、最近の日本国はおかげさまでいろんな制度、いろんな形が整っておりますが、近隣のアジア地域においての施策というのは遅れがたくさん見られる。そういった中で、アジアに対して我が国がどういう役割を果たすことができるのか、そういう方面についての啓蒙、いろんな会合等を通じてご理解を賜りたい、特にそういった会議等についてのご支援を一層お願い申し上げたい。
以上でございます。ありがとうございます。
○鹿島委員 慶應大学の精神神経科の鹿島でございまして、精神神経学会の理事もやっております。
障害者基本法の前回の改正のときに精神障害を入れていただきましたけれども、先ほどお話がございましたように、精神障害に関しては福祉の部分がまだまだ遅れております。現在では、特に社会的な問題とか法的な問題で精神障害の問題が非常に話題になっておりますが、この問題は精神医療と福祉の充実との密接な連携において考えねばなりませんので、ぜひここでいろいろご要望申し上げたいと思います。
もう1つは、私は脳高次の機能の障害を専門にしておりまして、身体障害の中に、今話題になっております記憶とか、身体障害はないんですけれども、交通事故なんかで若い人の脳障害ですね、そういう方の評価を学会でやっておりますので、そういうことも発言させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○河端委員 日本障害者協議会の代表をしております河端でございます。このたびはこのような会議を開いていただきまして、私どもは本当にうれしく存じております。ありがとうございました。
2分間ではとても個人の紹介をできないんですけれども、前の国際障害者年が20年前に発足いたしまして、そのときに発足いたしました団体がこの日本障害者協議会でございます。私の娘が筋ジストロフィーという難病でございまして、語れば長いんですが、教育から始まりました。当時、普通中学校、高等学校、それから、大学に行きたいというので大学も、中央大学の法科を卒業させましたが、卒業した翌年に亡くなっちゃいました。
筋ジストロフィーというのは難病でございますので、生きているうちに何とかしてやりたいと思ってやってきました。本当に短い命でしたけれども、幸せだと言って亡くなってくれたんです。そのときに私は思いました。障害者がほんの少しでもいいから幸せだったと思ってくれればよかったと。私はその言葉を守って、今、どんな小さなことでも私が障害者の方たちにできることだったらやろうと、そういうふうに覚悟を決めたんです。
そして、今、障害者協議会の代表をやってますが、私自身が障害者になっちゃったんです。子どもを二十何年間在宅で介護したものですから、ひざと股関節がいかれちゃいまして、股関節の人工骨を入れました。その人工骨の手術をしたときに、更生医療が充実していましてびっくりいたしました。自分が実際に障害者になって、こんなに更生医療が充実していたんだな、障害者の福祉法が本当に進んでいたんだなということを実感いたしまして、私たちが運動してきてよかったなということを本当に実感いたしました。
今、日本障害者協議会が抱えている問題は、3障害というのが基本法で決まっておりますが、その3障害が別々に法律がつくられています。そうしますと、非常に不都合なことがございまして、あなたはこっち、あなたはこっちというので、法解釈がいろいろ違いますので、できれば総合福祉法というものをつくっていただいて、障害者の総合福祉法一本にしていただいて、その中にいろいろ分かれるのは結構だと思うんですが、そういう方法をとっていただきたいというのが私、それから、障害者協議会の先日の総会において全員がそういうご希望を話していました。
それからもう1つは、障害者基本法を皆様のご努力でつくっていただきましたが、この基本法を契機にして地方も障害者対策が進んでまいりました。私、地方の運動を長いことしております。都道府県の場合は、障害者施策推進協議会、あるいは、障害者プランをつくるのが義務とされておりますが、市町村の場合は義務とされておりません。ですから、市町村によりましては、障害者プランをつくれるところと、業者に任せちゃって実際と離れているというような状況がございますので、できますれば、基本法の中に市町村も必ず障害者プランをつくりなさいというような義務化を図っていただきたいというのが、私どもが地方で運動している者の願いでございます。
いろいろございますけれども、障害者が元気で暮らさなきゃいけないんです。障害者は障害があるから、病人だから、あるいは、障害者だから健康に気をつけなくてもいいんじゃなくて、健康に気をつけることが一番大事で、元気で明るい障害者じゃなきゃだめだと思うんです。そこで地域のリハビリテーションの活動が大切だと思いますので、この辺を重点的にぜひお願いします。40年間、自分の難病の子どもの世話と、自分自身の障害者の経験の上からこのようなことを申し上げました。よろしく。ありがとうございます。
○北浦委員 私は全国重症心身障害児を守る会の会長でございます。
私どもの会は、重症心身障害児の命を医療によって守り、わずかながら伸びていく成長を喜び、また、その喜びとともに私ども親自身や職員はそのことによって自分自身も成長していく、そういう考え方で運動して事業を行っております。今は亡き糸賀一雄先生が、重症児は縦軸には伸びないけれども、横軸に伸びていく。その横軸にわずかに伸びることを「この子らを世の光に」とおっしゃった言葉が、私は実感として考えさせられております。
重症心身障害児は医療と福祉の緊密な連携と、医療と教育の連携が必要です。最近、養護学校に通う医療的ケアの必要な児童に関しては、文部科学省と厚生労働省の合意ができたということを伺いましたので、これから前進していくものと喜んでおります。最近、地域社会でともに生きていくということで、ある意味の脱施設論的なことを伺うことがあるんですけれども、私どもの子どもたちは親が年をとりましたら、最後は施設にお願いして医療ケアの中でその子の命を守るということで、施設を全面的に否定することはできないと考えております。
もう1つ、最近、超重症児と申しまして、人工呼吸器をつけて、胃ろう、胃から食事を与える。また、痰でしょっちゅうぜいぜいしている。そういうお子さんたちがだんだんと増えてまいりまして、そのお子さんたちが一般病院に一遍入るわけですが、一般病院は医療を抑制していますから、長いこと入っていられないわけです。それでどこかに出ていくときに、在宅になるか、あるいは、重症児施設に入所を希望されます。施設としても、医療費が削減されますと、運営していかれないということで、専門家の先生方が心配してくださっています。この医療費の抑制については、どこが無駄なのか。無駄はしてはいけないと思うんですけれども、必要なところは必要とするというような医療費の在り方であってほしいと思っております。
もう1つ、最後に、私どもの会であけぼの学園という通園事業をやっております。幼児グループは近くの保育園と交流しているんですが、初めは変な子っていう目で見ていた子どもたちが車いすを押してくれるようになったんです。それから、近くの小学校に入りまして、この間、まち探検というのであけぼの学園に参りました。そしたら、あの子が笑ったよ、あの子が手を動かしたよといって、小学生が喜んで帰っていったんですね。これからの障害者の在り方として、地域の方々に共感していただく運動こそが大事ではないかということを考えておりますので、その点もよろしくお願いいたします。
○京極座長 名簿の順でやっておりますけれども、君塚委員、お願いいたします。
○君塚委員 全国肢体不自由児童施設運営協議会理事の君塚でございます。整形科の医師をしております。
肢体不自由児施設は、児童福祉法及び医療法にのっとるホスピタルアンドホームで、障害児のための総合的な開かれた施設で、50年を越える歴史を持っております。小児のリハビリテーションを核にしながら、脳性マヒあるいは二分脊椎、さまざまな障害の児童たちのケア及びキュアを担っております。私たちの中では療育という時代の科学を総動員していてという言葉がモットーになっておりまして、このもとに障害児のためにということを常に心がけて、全国の施設で協力しあっております。
細かくなるんですけれども、今回ファミリーサポートということを、例えば障害があるために虐待される、あるいは、虐待のために障害になるという子どもたちは、私たちの施設で5%を超えております。家にも帰れません。そういう子どもたちの予防のためのファミリーサポート。もう1つは、障害者の生きがいのための最大は雇用の問題ですけれども、仕事についても人間関係とか体の障害のために仕事ができなくなるということで、仕事をやめざるを得なくなるということに対する調整がなかなかできてないんですね。その辺を今後対応していって、いつまでも働けるような形にしていきたいということを願っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○紀陸委員 日本経済団体連合会の常務理事の紀陸と申します。
先般、日経連と経団連が統合いたしまして、大きな企業だけではなくて、中堅・中小、地域の企業の方々も新しく会員になられましたが、産業界といたしましては、さまざまな障害者の方々を企業あるいはいろんな職場で雇用の拡大をしていくことが責務だと思っております。ただし、現実には企業の規模なり地域の格差等の事情によって雇用の責務の発揮度合いに差異があるという状況でございまして、私どもといたしましても、経営者の自助努力で雇用なり就労の場が広がることを、これからも仕事として進めてまいりたいと思っております。
新しい基本計画、節目になる年だと官房長官からお伺いしましたけれども、こういう計画の中に経営側として今抱えている問題もございまして、これを反映させていただきながら、この計画の実現にできるだけ協力をさせていただけたらと思っております。私個人もこの場で皆様方のご意見を拝聴させていただきまして、勉強もさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○兒玉委員 私は日本身体障害者団体連合会の会長の兒玉と申します。本日の懇談会、本当にありがとうございます。
私どもの団体では、5月31日に第47回日本身体障害者福祉大会を徳島県で開催させていただきました。障害者施策に関する要望事項とか宣言とか決議などもその大会で採決したのでございますが、その中に新しい障害者基本計画に関するものも含まれております。
5つばかりございますが、簡単に申し上げたいと存じます。
1番として、総合的な計画として希望の持てる大きな方向性を示した計画の策定を目指してほしいということです。2番、その一方で障害の種別、程度に即した個別の障害、視覚障害、聴覚障害、内部障害、精神障害などに対しましても、きめ細かい計画を立てていただきたい。3番、具体的な取り組み、個々のプランには必ず数値目標を設定していただきたい。4番、IT革命をはじめとする急激な時代の変化に対応した障害者に対する温かい内容をお願いしたいと思っております。5番、新計画の策定にあたりましては、この懇談会に限らず、日ごろから障害者当事者団体との連絡調整を密にしていただきたいという要望でございます。ありがとうございます。
○斎藤委員 授産施設で組織をしております全国社会就労センター協議会の斎藤でございます。よろしくお願いします。時間がありませんので、3点ほど、この場でぜひとも今後ご議論いただきたい点を提案させていただきます。
まず1点目は、障害者各法の問題点、課題等についてぜひ整理をしていただきたい。ひいては障害者差別禁止法等も議論の対象にしていただきたい。2点目には、障害者の施設体系や事業の見直し。現在、40ほどの施設がございますが、これについてぜひとも生活の場、訓練の場、または就労の場というような体系をつくり直していただけないか。
3つ目には、雇用の場をぜひ創設していただきたい。現在、我が国の施策は福祉か雇用かの二者択一になっております。でありますので、福祉プラス労働というような観点から新たな雇用の場の創設を議論していただきたい。現在、産業界は空洞化現象を起しておりますし、リストラも進んでおりますし、雇用の形態が大きく変わってきておりまして、常傭雇用から非常傭雇用に移行しています。障害を持った人の雇用が難しくなっていく。産業界だけに責任を被せるという形はこれからは通用しないのではないだろうかということで、その辺の議論もぜひこの場でやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○京極座長 続きまして、笹川委員、お願いいたします。
○笹川委員 日本盲人会連合会の会長の笹川と申します。
過去20年間、障害者政策を政府で真剣に取り組んでいただきましたが、隔世の感がございます。特にこの7年間、障害者プランの実施にあたりましては、数値目標を立てて具体化に随分ご尽力いただきました。しかし、そういう中でいろいろと問題が出てきております。先ほど官房長官からも「これからの計画は数値目標を立てて」というお話がございましたけれども、例えば授産所の定員は目標を達成したと。
しかし、その中で重度の障害者がどれだけ働けるようになったか、特に重度の視覚障害者の場合はほとんど参入できておりません。雇用率が 1.8%と法律で定められていますけれども、雇用の実態をみますと、視覚障害者は非常に不利な立場に立たされている。そういうことからしますと、障害の特性をまず考える必要がある。そうしませんと、障害者間で格差を生じるという結果がこれまでの計画の明確になってきております。したがって、基本計画を立てるにあたりましては、障害の特性を重視していただきたいと思います。
それから、先ほど障害者の権利ということで安藤委員から発言がございましたけれども、来年4月から実施される支援費制度の中で費用負担の問題がございます。今の状況では本人の所得または扶養義務者の所得によって費用負担を決めるということになっておりますけれども、本人が所得がなくて扶養義務者の所得で費用負担が決められるということになりますと、障害者自身がほしいと思ったサービスも扶養義務者の同意がなければ受けられないということになります。これでは障害者の権利は明らかに侵されている。二十歳すぎの障害者については本人の所得を基本にして考えるべきだと。この点をこれからの新しい方向としてぜひ考えていただきたいと思います。
これから私も仲間といろいろ協議しながら、この計画に取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○潮谷委員 熊本県知事の潮谷義子と申します。
時代的な認識の中で少子・高齢社会が進んでまいりますと、高齢者の問題はとりもなおさず障害問題と大きく関連してまいります。そういった中で、この障害問題は部位別といった観点だけでとらえていくのではなくて、大きく理念としての整理の中で、障害問題は社会全体の問題であるという啓発と理念整理が必要ではないかと思います。それか1点です。
それから、地方分権の中で市町村が権限委譲ということで事業の実施主体になっていくところがたくさん出てまいります。さらに、支援費というところでも従来のパターンと違ってまいります。その意味で、体系をきちっと整えていき、横断的な法的な整備も一方で考えていかなければならないのではないかと思います。さらに、これまで市町村の障害プランというのはややもすると非常に差異がございましたけれども、数値目標をきちっと立てることによって市町村のレベルが上がっていくということが、障害者全般にとっての大きな利益につながっていくと思いますので、そうしたことに対しての整備も大変大事になってくると思います。
それから、従来、また今回もそうですけれども、バリアフリーということで大変大きく政策的なものが出てまいりましたが、バリアフリーと同時に、ユニバーサルデザインに障害福祉法の領域、計画の領域が動いていくことが大事じゃないか。例えばバリアフリーというのは、車いすのトイレを利用するのは障害を持っている人たちが利用するわけで、普通のトイレにたくさん並んでいるけれども、あそこは障害を持っている人が利用するところなんだからということは、もしかしたら私たちの心の中に逆にバリアをつくっていっていることにつながらないかと思うんです。すべての人ができるだけ使いやすくて、その中には一人ひとりの存在感や人権が大事にされているということがユニバーサルデザインの考え方でありますので、今回はバリアフリーとともに、ユニバーサルデザインということで新しい障害者基本計画が整理されていくことが大事ではないだろうかと思っております。
以上です。
○竹中委員 はじめまして、プロップ・ステーションの竹中ナミねえです。よろしくお願いいたします。
プロップ・ステーションは「障害者を納税者にできる日本」という大変過激なキャッチフレーズを掲げて、ITを駆使して在宅でもあるいは施設の中でも、病院のベッドの上からでも、きちっと社会を支える側に回れる人になろうということを志して、そういうことを目標とするたくさんの重度の障害を持つ人たちと一緒にこの活動を始めて、10年ちょっと過ぎました。
日本は、今、いろんな意味で経済的にも大変なんですけれども、プロップ・ステーションは各国のさまざまな先進事例から学ぶということで、例えばスウェーデンのサムハルという、32,000人の社員のうちの28,000人がチャレンジドの、障害を持つ人で、なおかつ大きな国策企業としてスウェーデン一の請負業者としての実績を上げている。あるいは、アメリカの国防総省のペンタゴンの中にキャップという組織がありますが、これは最高の科学技術を最重度の方に施策として、あるいは、研究開発をして提供することで、その方たちが政府職員になっていけるように、あるいは、企業のトップリーダーになっていけるようにというような組織であります。
こういう各国の事例と連携をとって、小さなNPOなんですけれども、活動を続けています。こういうさまざまな情報を得ることができるのもITの力ですので、ITの力を駆使して、一人でも多くの人が、今、潮谷さんが「ユニバーサル」ということをおっしゃいましたが、すべての人が持てる力を発揮できる社会を私たちは「ユニバーサル社会」と呼ばせていただいています。日本が他国に先駆けてそういう国になって、世界に日本から発信できるものとしてユニバーサル社会を推進していく国民の一人として、私自身が責任を果たせればうれしいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○鶴岡委員 千葉市長の鶴岡啓一でございます。新しい障害者基本計画に関する懇談会に、全国市長会の中から推薦されて出てきました。
先ほど市町村の間にかなりレベルの差があるのではないかというお話が出ておりましたけれども、各市町村は身近に住民に接して、住民の生命を大切にしなくちゃいけないという気持ちでそれぞれ行政運営をやってきております。ただ、現実の問題を言えば、市のレベルでも非常に格差がありますから、これから皆さんの意見を十分聞きながら、どのレベルのところでどういうふうにやっていくかということを、私なりによく考えて、また改めて意見を述べさせていただきたいと思います。
きょうはどうもありがとうございました。
○細村委員 独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長を務めております細村迪夫と申します。私は、その前は群馬大学教育学部におきまして障害児教育を専攻しておりました。退官して1年たちまして、今度は理事長に任命されまして、2年目に入ったところでございます。よろしくお願いいたします。
このメンバーの中では、障害児教育の分野の方は少ないような感じがいたしますので、頑張らないといけないかなという感想をまず持った次第でございます。文部科学省に置かれました調査研究協力者会議が、13年の1月に「21世紀の特殊教育の在り方について」という最終報告を出しております。この最終報告には、今後の特殊教育と言いますか、障害児の教育のさまざまな課題が述べられております。私もそれに参画しておりましたので、これを踏まえながら私の個人的な意見なども交えて発言していきたいなと思っております。
大きな観点としては、教育の分野におけるノーマライゼーションの推進。今後、小・中学校に障害のある子どもが就学することが増えそうな感じでございます。就学基準と就学手続が最近政令改正で見直されたこともありまして、小・中学校も含む教育分野におけるノーマライゼーションの推進。それから、乳幼児期から学校を卒業後、あるいは、大人になるまでの生涯学習という観点から子どもたちを支援していくということ。さらには、基本的な考え方として、これまでの特殊教育という考え方は国で変わりましたので、子どもたち一人ひとりの特別な教育的ニーズに応じた教育を推進する。
こういう観点から私の考えやら、その報告書をご紹介したりして、意見を述べさせていただきたい、そんなふうに考えております。どうぞよろしくお願いします。
○松尾委員 小児科医の松尾でございます。
2つ申し上げたいと思います。第1点は、障害児に関しまして、もう少し予防策を色濃く打ち出す必要があるのではないかと思っております。第2点は、現在の子どもと接しておりますと、子どもの世代の脆弱化というのは皆様の想像を絶するものがあります。これらの世代の人たちが支えきれない施策を次代に委ねることは避けなければいけないと思いますので、その辺の資料を出させていただきたいと思っております。
○松友委員 全日本育成会の常務理事をやらせていただいております松友と申します。
全日本育成会というのは知的障害の親の会でありまして、正しくは全日本手をつなぐ育成会と言いますが、約2,700の市町村に親の会がありまして、そこに約320,000人の親たち、あるいは、いろんな関係者が会員として入っております。昨年が50周年でございましたが、大変大きくて歴史のある古い団体であります。
いろんな課題を私たち育成会としても抱えておりまして、その中で一番大きいのは親自身がいかに子どもを守る擁護者になれるかということであります。あるいは、家族内扶養という形で、家族にいろんな意味での負担、扶養義務がきているものを、どう変えていくか。あるいは、支援費制度という流れの中で、特に市町村移行ということに対して、2,700余の親の会がどう対応できるか。そういうことを抱えている団体であります。
私自身は父親でございまして、33歳の長男がおりますが、最初はてんかんという病気でしたので、日本てんかん協会という組織をつくり、長らく常務理事をやっていたんですけれども、重い知的障害も合併しましたので、今は知的障害の問題で、私は一貫して父親という立場にこだわりながら発言してきたつもりでおります。ということは本人ではない。本人の意見あるいは主張をどう保障するかという課題もありますし、長らくやったからといって専門家でもない。そういう意味では、支援費制度においては利用者のそばにいる者として、特に契約が本人契約となりますと、知的障害者の場合はいろんな援助、サポートが必要になる。後見制の問題等がありますから、そういうものにどうかかわっていくかというふうに思っております。
第二次の基本計画ということで、21世紀初めての基本計画でございます。多くの方がおっしゃってましたように、単に今までの延長ではなくて、特に理念的な、思想的な意味での大きな飛躍というか転換を背景にしたものであってほしいと思っております。私たち知的障害の親の会は、国際育成会連盟という国連のNGOの大きな組織で、今まで一貫して戦後の障害者の権利ということで動いてきました。国連での権利条約の推進、翻っては地域における地域の中で暮らしていくシステムをつくる。特に知的障害者の10数万人が入所施設に入っている、そのこと自体が既に権利侵害ではないかと言われております。
しかし、地域の中で年老いていく親に替わって誰が支えていくのか。どういうサポートシステムをどのようにつくっていくか。その部分について強力にかつ早急に回答が出るような計画になればということを期待しております。よろしくお願いします。
○松矢委員 東京学芸大学に所属しております松矢勝宏と申します。よろしくお願いいたします。日本障害者雇用促進協会の評議員も仰せつかっております。
2点ほど申し上げたいと思います。1つは、この4月に障害者の雇用の促進等に関する法律が改正されました。障害者雇用促進法と言われておりますけれども、私自身はこの改正は新しい基本計画づくりを意識した改正でありたいと思っておりました。実際に企業の皆様の協力による特例子会社の設置による障害者の雇用の促進、あるいは、就業・生活支援センターの設置によりまして、就業の支援だけでなくて地域生活の支援をあわせた、一体化した支援の在り方、さらに就職から定着までのジョブコーチ支援事業による雇用促進。それから、何よりも精神障害者の雇用の促進、そういったことがテーマの改正でございました。
多くの課題もありましたけれども、次の基本計画づくりの土台を築いたのではないかと思います。特に障害者の欠格条項の見直しという流れの中で、除外率の段階的撤廃ということが企業の委員の方々のご同意もいただきながら進んだということは、次の10年の基本計画にとって、また障害者の完全参加の上で非常に重要な一歩だったろうと思っております。
2番目には、私は東京学芸大学で障害児教育の教員養成をしておりますが、特に私は研究のテーマとして進路指導、学校から地域社会への参加と移行、そして、子どもから大人になることへの移行、そういう移行支援をテーマに研究しております。ただいま盲・聾・養護学校で視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱等のお子さんたち、今は高等部はほぼ全員就学の段階になりまして、毎年10,600から10,700名のお子さんたちが社会に出ます。その方々の幸せな一生と言いますか、子どもから大人になる条件づくり、そのための生活保障、保健・医療、就労・雇用等の関係機関の連携策による幸せな生活の土台づくり、そういう観点から基本計画づくりについていろいろ考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○丸山委員 丸山でございます。埼玉県立大学におりますが、アジア太平洋障害者の十年の各国の民間ネットワークの事務局長もしております。
日本では、初めての障害者政策が1949年、昭和24年の身体障害者福祉法から始まっておりまして、この50年間ではいろんなものに施策が広がって成果があったということは大変うれしいことだと思っております。殊に1975年の国連での障害者の権利宣言から始まる一連の国際的な活動に日本が影響を受けて、ここまで進んでまいりまして、考え方もノーマライゼーションという社会そのものを変えていくというところにまできていることは、大変うれしいことだと思っております。そういう中で、日本からアジアの各地域に貢献できる要素がたくさんある成果が上がっていると思っておりまして、日本の役割としてぜひ国際的な協調をこの分野でもやらなければいけないだろうと考えているところです。
さらに、ノーラマライゼーションというような高い理念に障害問題が進んできておりますけれども、こういうレベルに及ばない日本の国内的な問題も幾つか残っていると思っております。1つは、先ほども指摘されましたように、地域で地域住民として障害を持った人の生活を進める上で、福祉法がそれぞれ障害別に分かれている。障害別に違うサービス、またはサービスが違う現象で行われている、こういう障害別に福祉法があるのは日本しかございません。このようなことを統合して、誰でもが同じようなサービスを受けられるようにしていくべきだということで、先ほどから出ております福祉法を一本にすべきだというのは大変重要な指摘だと思っております。
それから、先ほどどなたかおっしゃいましたけれども、雇用面においては、雇用されるべき人たちが雇用されておりません。「福祉的な就労」という日本独特の言葉で言っていることでありまして、そういうところで働かざるを得ない。雇用されている180,000人と同じくらいの数字の160,000人もそういう人たちがいらっしゃいます。そういう点では、雇用か福祉かということではなくて、ちゃんとした働く場をつくるべきだと考えております。こういうところは世界の常識からかなりかけ離れている場面もあります。そういうところを直しながら、日本はアジア地域に障害問題で貢献すべきときだと考えております。
○京極座長 宮原委員、お願いします。
○宮原委員 社団法人電気通信事業者協会の専務理事の宮原と申します。
私どもは電気通信事業者の業界でございまして、IT革命推進の一翼を担っている立場でございます。ご案内のとおり、最近、通信サービスにおける急激な変化ということで、利用者の利用環境を整備していくというのは大変重要な課題でございまして、先ほど来話にございましたように、通信サービスにおけるユニバーサルデザインを目指すということが一つの課題でございます。私どもの関係団体とか、障害者の団体にもメンバーになっていただいておりますし、私どもも一員になっておりますけれども、電気通信アクセス協議会というものがございます。そちらでは通信におけるアクセシビリティーを高めるための通信機器とか、あるいは、システムといったもののユニバーサルデザインを高めていこうという施策に取り組んでいるところでございます。
今回の懇談会での議論の成果とか結果等を大いに参考にさせていただきまして、アクセス協議会の中で反映させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○谷中委員 全国精神障害者社会復帰施設協会の谷中と申します。
先ほど来各委員の方も触れてくれましたが、我が国における大きな問題は精神障害者の福祉の政策の遅れだと思います。これは精神障害の方々が障害というよりは病者としてみなされていたということも一つ大きな問題なんですが、もう1つは、現在330,000床、精神病院の中に隔離収容という形で今なお社会復帰ができない。これは医療の問題と同時に地域に受け入れるということが、福祉の施策として十分進んでなかったという問題だと思います。
でも、この10年間、公衆衛生審議会の精神保健部会で、一つのテーマソングみたいに私たちが言ってきたのは精神病院から社会復帰施設へ、社会復帰施設から地域の中へという流れをつけていこうと。こういう形で社会復帰施設が数値目標にあげられ、現在8割方達成してきたが、まだまだ十分とは言えないんですが、ここで私どもが時代の変わり目ということを意識しております。
1つは、今後、活動の展開を市町村を中心に広げていこうと。そして、3障害一緒にこの問題に取り組もう。そして、ケアマネジメントを導入しよう。これらの動きの中で、施設整備計画が7カ年目標であったのに比べまして、これからは地域の中でどう暮らすか、どう生活するかという目標に向けて取り組まなければいけないと思っております。現在、大変重要な役割を担って活動しているのが地域生活支援センターです。先ほども出ましたが、これに就労支援もプラスして、地域でどういうふうに暮らす、どういうふうに生活するか、そういう生活支援システムをつくり上げていくということが、とりもなおさずこれからの私たちの目標ではないかと思っております。
同時に、この障害者計画そのものがまちづくりとドッキングさせていき、文字どおりノーマライゼーションの理念を具現化していく、こんなことが今回の目標の中に盛り込まれ、さらには先ほどどなたかも触れておりましたが、障害者の総合福祉立法を目指す一つの基盤づくりをしていく、こんなふうな時代がようやく来たのかなと思っておりまして、私どもの立場からも今後ご意見を言わせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○山内委員 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所の山内と申します。
私どものセンターは、身体障害者の方々の社会復帰のためのトレーニング、訓練施設である、更生訓練所がメーンボディーでありますが、それに併設いたしまして病院、研究所、学院という組織がございます。訓練施設ではあるけれども、その中で研究所をつくっているということでございます。研究所は非常に小さい規模ではありますけれども、ヨーロッパにもそれぞれ代表的な研究所がありますが、これらの研究所と同じくらいの規模はございます。
私はエンジニアでございまして、私個人は主に福祉機器の研究開発をやってまいりました。研究開発のレベルについて考えてみますと、16から17年前は日本はミゼラブルなものでございました。ただし、ここ数年、福祉用具法以来だと思っているんですが、日本の研究開発は元気になりまして、一部では、アメリカ、ヨーロッパではできないようなものもできるようになりましたし、研究のレベルでもアメリカ、ヨーロッパ等に負けないというところまでやってまいったと思っております。
もちろん、分野によってデコボコがございますので、これからはイコールの立場で切磋琢磨する、お互いにイコール・パートナーとして協力しながら切磋琢磨するというところまで発展してきたと個人的には思っております。ただ、アメリカあるいはヨーロッパの人たちから日本の研究開発の仕組みはどうなっているんだと言われると、どういうふうに説明したものか非常に困ります。アメリカやヨーロッパの場合は比較的構造が単純なんですが、日本の場合はなかなか複雑で、ちゃんとわかっていただくのが難しいということがございます。
それから、私が常日ごろ感じている事柄はほとんど皆さんおっしゃっていただいたので、あまりつけ加えることはありませんが、2つだけコメントさせていただきたいと思います。1つは、潮谷知事から車いすマークは障害者専用であるという印象が強いというご意見がございました。あの車いすマークは、私が10何年委員をやっておりますICTAという国際リハビリテーション協会の下部組織が20年近く前に決めたものでありますが、これの趣旨は障害者専用であるということではございませんで、障害者の方に使いやすくできておりますので安心してお使いください、ほかの人は使っちゃいけないという趣旨では全くないのでございます。障害者リハビリテーション協会のグループでもそういうことを一生懸命宣伝しているんですが、なかなか行き届かなくて、さっきのようなお話が出てきたのかなと思います。
もう1つ、ユニバーサルデザインは非常に重要でございまして、私どももそういう考え方でいろんなことをやっておりますけれども、その対極にオーファン・テクノロジーと私どもが言っております、特定の障害にしか役に立たない、しかしその障害の人にとってはそれがなしにはきちっと生活ができない、こういうふうに機器には2つの側面があります。オーファン・テクノロジーとユニバーサルデザインをどう調和させながら、研究体制としてもっていくかということが大切なんですが、両方ともちゃんと見ていかなくてはいけないと考えております。
以上でございます。
○京極座長 皆様方から多面的なご意見をいただきまして、今後の議論が盛り上がるということを期待するところ大でございます。
私の方から3点ほど申し上げます。1つは、きょう間に合えばよかったんですけれども、私は『障害の経済学』という連載を書いていまして、東洋経済新報社から本が出ますので、出ましたところで皆様にお配りしたいと思っています。経済的な考察というのは障害者福祉にとっては大事なことでして、所得保障から就労保障まで全部経済的な問題なんだけれども、研究している人がいないという日本の現実がございます。かつては経済学者だったものですから、そういうことをやっています。
2点目は、少子化との絡みで、最近の若者は子どもが生まれると障害児が生まれるんじゃないかという危惧もあって、少子化に若干影響を与えているのではないかといううわさもあります。障害を持って生まれてきても、立派に幸せに暮らせる社会をつくるということは大きな目標でございますので、そういう点も含めて考えていきたいということでございます。
最後に、冒頭に申し上げましたように、この障害者プランは他の計画と比べて総合的なところが特色でありまして、労働とか教育、あるいは、ハードの建物の問題とかいろいろ絡んでくるわけでございますので、社会の英知を集めなくてはできない計画分野だということと、この計画がうまくいけば社会の質を飛躍的に引き上げる社会になるということになりますので、そういう点で大いに知恵を出して、この10年、日本が世界でも注目されるようなユニバーサル社会になれるようにしたいと思っております。
内閣官房長官は、国会中でございますので、ご退席されます。
○福田内閣官房長官 私もいろいろと啓発されるご意見を伺い、いろんな分野で大変ご活躍だということもよくわかりました。世界に冠たる障害者対策の充実した日本にするために、どうかよいご提言をいただきますように心からお願いいたします。
途中退席して申しわけございません。
○京極座長 ありがとうございました。
それでは、次に本日の資料につきまして、担当の参事官からご説明いただきたいと思います。
○吉冨参事官 障害者施策を担当しております吉冨でございます。よろしくお願いします。
最初に配付資料2をごらんください。冒頭、座長からご説明がございましたけれども、懇談会の運営要領でございます。懇談会は非公開といたしまして、議事録を作成し、委員のご了承を得て公開すると、このような取扱いにしたいと存じます。なお、議事録の作成に際しましては、発言者の氏名を明記して公表させていただきたいと存じております。
次に配付資料3をごらんください。懇談会の開催日程案でございます。12月中の閣議決定を目途にご検討をお願いしたいと考えております。初めに、新計画の基本的考え方、分野別施策の基本的方向に関する骨子案についてご意見を伺いまして、10月ごろを目途に事務局で新基本計画の案を取りまとめ、各委員からご意見を拝聴できればと考えております。
次に参考資料1をごらんください。これは去る2月に障害者施策推進本部で了承されました新「基本計画」と新「障害者プラン」の策定方針でございます。新「基本計画」の計画期間は10年とするということでございます。それから、新「障害者プラン」につきましては、新「基本計画」の前期5年間の重点実施計画として策定すること。また、公的サービス基盤、バリアフリー等につきましては、できるだけ数値目標を設定することとしております。
次に参考資料2をごらんください。参考資料2は、厚生労働省が5年ごとに在宅の知的障害者、身体障害者の方について調査を実施しております。近年では、昨年に身体障害者の方について、一昨年、平成12年に知的障害者の方についての調査結果が取りまとめられております。本資料ではこの調査結果と過去の調査等を比較しまして、簡単な資料として本日お出しした次第でございます。
1ページをごらんください。それぞれの数値についてはご一読願いたいと存じますが、施設入所者数のところで、12年の数字となっておりますけれども、これは13年の集計結果がまだ出ておりません。そういうことで12年の数字を使わせていただいたということでございます。また、精神障害者の方については厚生労働省で患者調査をもとに推計しておりまして、その推計値を掲げさせていただいております。
この資料全体で注目される点としましては、高齢化の傾向が見られるということでございます。2ページをごらんください。こちらにございますように、在宅の身体障害者の前回調査との比較でございますが、50歳以上の方に増加が見られるということでございます。
もう1つの傾向としては、重度化の傾向があるということでございます。4ページをごらんください。ここでは障害の程度別に見ました身体障害者の方の数の比較をしております。前回調査に比べて4級以上の方の人数が増えているということでございます。
その次のページをごらんください。13年度調査、昨年の調査の結果で、全体のところの棒グラフをごらんいただきますと、2級以上の方の比率が45%強となっております。
知的障害者の障害程度については11ページをごらんください。前回調査と比べまして、重度の方の比率が増えております。
障害者の状況についての資料のご説明は以上でございます。
次に参考資料3をごらんください。参考資料3では、「新長期計画」の主な達成状況についてごく簡単に取りまとめをしております。この資料の注にございますように、各分野別の上段の四角の中の事業欄については、障害者プランで「当面緊急に整備すべき目標」に掲げられた事業について、平成12年度まで進捗状況を取りまとめております。それ以外の事業については、計画期間内に開始された主要な事業を中心に記述をしてございます。ご参照いただければと存じます。
なお、数値目標を掲げたものといたしましては、例えば重症心身障害児(者)の通園事業とか、療育拠点整備、さらには市町村の障害者生活支援事業、精神障害者地域生活支援センターといった一部の事業については立ち遅れが見られますが、全体としては順調に進んでいるのではないかと考えております。
次に資料4をごらんください。障害者施策の動向について、大きな流れを図の形でお示ししております。上段にございますように、当初、「国連障害者の十年」の国内の行動計画として長期計画が取りまとめられ、それを引き継ぐ形で現行の新長期計画が始まったということでございます。この新長期計画が本年2002年度で最終年を迎えるということで、新基本計画を策定する必要があるということでございます。
また、1996年から障害者プランが策定されました。この障害者プランは新長期計画の後期重点実施計画という位置づけになっておりまして、これも本年度で最終年度を迎えるということでございます。これに替わる新障害者プランの策定方針を、障害者支援推進本部で決定したということでございます。
最後に、国連等というところにございますが、官房長官のご挨拶にもございましたように、現在、「国連障害者の十年」をアジア太平洋地域で引き継ぐ形で、「ESCAPアジア太平洋障害者の十年」というものが推進されております。この「十年」も本年で最終年を迎えるわけでございますが、去る5月に開催されましたESCAPの総会で、この「十年」をさらに10年延長するということが決議・採択されております。
なお、この新十年でどのような行動課題に取り組むかという、2003年からの10年間の行動の枠組みを決めるハイレベル政府間会合が本年10月に滋賀県の大津市で開催される予定でございます。この新十年につきましては、我が国が主唱国となって推進をしてきているということでございます。
以上、資料の説明を終わらせていただきます。
○京極座長 ありがとうございました。
ただいまご説明のあった資料に対するご質問、ご意見を受けたいと思いますが、何かございますか。
○安藤委員 ちょっと確認したいんですけれども、最近、情報の開示が主流になっていますし、政府関係の委員会でも公開が原則になっています。ただ、今度の懇談会については非公開となっていますけれども、あえて非公開とする根拠を念のためにお伺いしたいと思います。
それから、私の場合は組織を代表してこちらに出席していますけれども、計画討議の中で組織内部での討論も必要になってくるわけです。その場合、この資料の取扱いについてどうするのか、組織内部であれば資料を公開して、それを基本として討論して、その結果をこちらで提言することが可能かどうか、念のために確認しておきたいのでよろしくお願いします。
○京極座長 吉冨参事官。
○吉冨参事官 会議を非公開とする扱いについてでございますが、会議を公開するか、あるいは、会議の内容を議事録という形で全面開示をするか、いずれかの方法によるものだろうと考えております。私どもといたしましては、今回の会議は27名という大変多数の方がご出席でございますので、できるだけ自由闊達なご議論をいただきたいということで非公開とする。しかし、議事録については、テープ起しをするような形で、ご発言された方の氏名も明記した上で全面的に開示させていただきたいということでございます。
また、資料につきましては、公表扱いで結構でございます。
○京極座長 ありがとうございました。
ほかにどうでしょうか。
○河端委員 開示と申しますと、インターネットなんかに載るんですか。
○吉冨参事官 ええ、そのようなことを考えております。
○河端委員 それから、配付資料3の日程につきまして、この中に9回と書いてございまして、分野別施策という「分野別」という言葉が出ておりますけれども、これはどういう形でなさっていくんでしょうか。
○京極座長 もし伺えればまた伺うことにして、事務局の原案と申しますか、何かありましたら。
○吉冨参事官 こちらで基本的考え方、分野別施策の基本的方向と書いておりますのは、現行の新長期計画で基本的考え方、分野別施策の基本的方向という形での整理がございまして、この方法を踏襲しているわけでございます。まず基本的考え方という部分につきましては、この計画全般を見渡しての総合的・横断的な観点からの課題についてご検討いただければと考えております。それから、分野別施策につきましては、例えば教育とか医療、福祉、情報、そういった個別課題についてそれぞれの分野でどのような施策を講じていくのかということについての整理ということでございます。
○京極座長 ほかにどうでしょうか。
それでは、第1回ということでもございますので、きょうはこれぐらいで終わりたいと思います。ありがとうございました。
次回は皆様の意見交換ということで、活発な議論を期待しております。
なお、今後の懇談会の進め方ですけれども、議事を効率的に進めるため、ご意見や参考資料等がある場合は事前に事務局に対してペーパーの形でご提出いただき、懇談会開催前に皆様にお送りして、あらかじめご一読いただくようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、奥山大臣政務官からご挨拶をいただきます。
○奥山大臣政務官 きょうは本当にお忙しい中ありがとうございました。
ちょうど2年前に高齢者の介護保険がスタートいたしまして、どちらかというと政府の方が高齢者介護ばかりに力を入れているんじゃないかという話がかなりあったわけでありますけれども、障害者対策というものもこれまでと変わりなくずっと進めてはいたわけであります。しかしながら、特に精神障害者の社会復帰が非常に遅れているんじゃないかという指摘が随分なされていて、我々もいろんな面においてそのように感じてきたわけでありますので、そういった面も含めまして、このたびの新しい障害者プランを作成していただく上において活発なご意見をいただければ大変ありかだいと思っております。
先ほど話もございましたように、ことしの10月にESCAPのアジア太平洋障害者の総会が行われるわけでありますし、これに向けてアジア太平洋における対策を日本がこれからも主導的な立場でやっていかなければならないと思っておりますので、ひとつよろしくご指導をお願い申し上げたいと思います。
本日は本当にありがとうございました。
○京極座長 それでは、きょうはどうもありがとうございました。
なお、次回の開催日につきましては、調整をさせていただき、後日ご連絡させていただきます。
これをもちまして、本日の懇談会を終了させていただきます。ありがとうございました。
午前11時31分閉会