日時
平成14年8月6日(火)15:00〜17:00
場所
中央合同庁舎第4号館 共用第1特別会議室
出席者
松下副大臣 | ||
江崎政策統括官 | ||
大前大臣官房審議官 | ||
吉冨参事官 | ||
安藤 豊喜 | (財)全日本ろうあ連盟理事長 | |
池末 亨 | (財)全国精神障害者家族会連合会常務理事 | |
伊藤 勇一 | 全国身体障害者施設協議会副会長 | |
雄谷 助成 | (財)日本知的障害者福祉協会理事 | |
河端 静子 | 日本障害者協議会代表 | |
君塚 葵 | 全国肢体不自由児施設運営協議会理事 | |
座長 | 京極 高宣 | 日本社会事業大学学長 |
紀陸 孝 | (社)日本経済団体連合会常務理事 | |
斎藤 公生 | 全国社会就労センター協議会会長 | |
潮谷 義子 | 熊本県知事 | |
清野 智 | 東日本旅客鉄道株式会社代表取締役副社長 | |
竹中 ナミ | (福)プロップ・ステーション理事長 | |
細村 迪夫 | 独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長 | |
松尾 宣武 | 国立成育医療センター総長 | |
松友 了 | (福)全日本手をつなぐ育成会常務理事 | |
松矢 勝宏 | 東京学芸大学教育学部教授(日本障害者雇用促進協会評議員) | |
丸山 一郎 | 埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科教授 | |
村上 忠行 | 日本労働組合総連合会副事務局長 | |
山内 繁 | 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所所長 |
議題
(1)開会
(2)意見発表
(3)基本的考え方骨子(素案)について
(4)その他
(5)閉会
配布資料
1 基本的考え方骨子(素案)
2 各委員からの意見
参考資料
「障害者基本計画」構成の新旧比較
内容
午後3時03分開会
○京極座長 定刻になりましたので、これより新しい障害者基本計画に関する懇談会の第3回目を開催いたします。
委員の皆様方におかれては、ご多用中のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、鹿島委員、北浦委員、兒玉委員、笹川委員、鶴岡委員、宮原委員、谷中委員がご都合によりご欠席でございます。また、松友委員、秋山委員は遅れて出席されます。
内閣府から松下副大臣がご出席でございますので、ご紹介をいたします。
なお、本日は清野委員が初めてご出席でありますので、ご紹介をいたします。
○清野委員 JR東日本の清野と申します。よろしくお願いいたします。
○京極座長 それから、前回は全員にご発言ということでしたが、雄谷委員のお姿に気付かず失礼いたしましたけれども、きょうは追加資料ということで雄谷委員から別途資料が出ておりますので、ご覧いただきたいと思います。
それでは、早速、議事に入らさせていただきます。
初めに、委員の方からご推薦いただいた、知的障害のある方、精神障害のある方から、ご意見をいただきたいと思います。委員からのご質問等につきましては、最後にまとめてお願いいたします。お一人当たり5分程度でお願いしたいと思います。
初めに、阿部さんにお願いいたします。
○阿部参考人 東京都さくら会から来ました阿部と申します。よろしくお願いいたします。
私の言いたいことは、東京都にあるグループホームや生活寮をもうちょっとふやしてほしいと思うのですけれども、なぜかというと、4人ぐらいで住める地域で暮らしたいという人が主に多くて、そういう人たちのためにグループホームがたくさん地域の町にできるといいと思います。なぜかというと、地域で暮らしたいという人が主に多いです。なぜかというと、本人が自立をして、親が死んだらどうするのと言われたときに、自分で暮らしてみたいという人が多いんです。そのときに欲しいのは4人ぐらいで住めるグループホームです。みんなと一緒に暮らして、仲間と一緒にどこかに行きたい、遊びたい、いろいろなことを学んでみたいです。生活寮ができると皆さんにとっては住みよい場所で、地域で暮らすと町内会や地域の人たちがみんな、「障害者ですね」というよりも、「障害者でもいいから一緒に餅つきをしましょうよ」とか、いろいろなことを言ってくれるから、地域で暮らしたいというのが夢です。
それともう1つ言いたいことは、私たちに公団住宅を貸してほしいということです。知的障害者だからといって差別をしないで、貸してほしいのです。なぜかというと、そういうところがあると、住む場所が、何人でも住めるということで、結婚した人やそういう人たちが住める場所も欲しいのです。知的障害者の人たちは主にそう思っています。なぜかというと、公団住宅は火事を起こしたり何かしたら怖いという面がありますけれども、そういうことはありません。ただ、そういう住む場所があれば皆さんそれぞれ豊かになると思うんです。住みたいというよりも、なぜかというと、自分自身のことだから自分でやってみたいからです。そういうところを障害者にも安く公団住宅で貸してくれればうれしいと思うのですけれども。障害者はできないからだめだとか、そんなことではなくて、そういう住む場所を提供してくれるのが国だと思うのですけれども、国の方に言いたいのですけれども、そういうところを知的障害者に貸してください。どうかよろしくお願いいたします。
あと、自分自身で考えたことではありませんけれども、いろいろな国を見てきて思ったことは、スウェーデンという国は施設が余りありません。なぜかというと、重たい人も軽い人も一緒に住んでいる国だということがよくわかりました。何人で住んでいるかは知りませんけれども、5〜6人で住んでいるグループホームや生活寮にいる人たちがかなり多かったと思います。東京都内にも地方にもいっぱいそういうグループホームができるといいと思います。そういう人たちの希望をかなえてください。なぜかというと、親御さんや兄弟の方たちは本人の意思を無視した感じで話すから、ちょっと旅行へ行くのよという感じで施設に入れてしまうなんていうのは横暴です。なぜかというと、本人の意思をちゃんと確かめてから、聞いてから話してください、それだけです。よろしくお願いいたします。
○京極座長 どうもありがとうございました。
次に、橋本さんにお願いいたします。
○橋本参考人 私は練馬から来ました橋本です。
私の方からは、来年、平成15年から支援費制度が4月から始まるということで、私も、今、友愛会というところに入っていまして、そういう話を聞いたことはあるのですが、そういうところに入っていない人たちは支援費制度という制度も全く知らなければ、どういうことなのか全く知らない状態でここまで来てしまっているわけです。それで10月から申し込みですよ、そして4月1日から始まるんですよとなっても、今だに何もわからない。そして、今まで親の敷いた線路の上、サーポーターが敷いた線路の上を何の抵抗もなく歩いてきた人たちまで一緒になって支援費制度というのに入ったときに、それを自分たちがこれから選ぶんですよというふうになったときに、果たして本当にそれを選べるのかなと−−自分もその1人になってしまうのですけれども。そういうことが今ようやくになって、この7月の末ですか、日本で8ブロックに割った1つの北海道の帯広の方でそういう制度の話をされたということなのですけれども、どうしてぎりぎりになるまでお話をしていただけなかったのかなと。
私たち友愛会の中でも、6月30日にあったのですけれども、東京都の方に来ていただいて、支援費制度が始まるんですよという本を紹介はしていただいたのですけれども、「私も詳しいことはわかりません」というふうに答えられてしまうと、私たちは何とお話を続けていいかわからなかったんですよね。だから、そういうところのお話も、4月1日から始まったとしても、今度は地域密着型で本当に私たちにわかるようなその支援費制度の話をしていただかないと、4月1日になったときにまごついてしまうのがもう見えているのになと思うんですね。だから、そういうところの話もしていただきたいなと思います。
それからもう1つは、これは私の仲間なのですけれども、豊島通勤寮の後輩なのですけれども、10年近く印刷会社で働いていたのですけれども、そこが突然この不況で倒産してしまったんですね。そうすると、行くところがなくなってしまったと。緊急避難地みたいなところも私たちのところにはあるので、そこにいなさいというふうに言われて、本人もちょっと不本意だったのですけれどもそこにしばらくいるよということで、そのときはよかったのですけれども、余りにも長く、二月近く彼もそこにいた形で不満がたまっていて、それでハローワークにも行ったのですけれども、やはりこのご時世で、紹介はしてもらえたけれども結局は就職できなかったと。それでどうしようと悩んだのですけれども、幸いにして練馬の大泉の方の福祉作業所に入ることができて、また、生活寮にも入ることができて、今そこで生活もし、そこで仕事もしているのですけれども。
そういうことで、このご時世ではあるのですけれども、もっと私たちに開けた働く場所というのもどんどんつくっていただきたいなと。何もそういう作業所とかそういうところにこだわらなくても別に構わないと思うんですね。だから、そういうところにそういう障害者がどんどん行けるような方向で考えていただきたいなと思います。よろしくお願いします。
○京極座長 どうもありがとうございました。
次に、山田さんにお願いいたします。
○山田参考人 山田でございます。私は、東京都知的障害者育成会本人部会友愛会というところの代表をしております。本日はお招きをありがとうございました。
まず最初に、私たちの声を聞いてください。これはいつもいろいろなところで言っていることなのですが、また、私たちのことを決めるときは私たちも交えて決めてくださいということで、例えばこういう障害者基本計画等の委員に知的障害者がなぜ入れなかったのかなと、今度からはもっと知的障害のある人たちをこういう委員にしてほしいというのがまず第1のお願いでございます。
そして、今、東京では「愛の手帳」、また、いろいろなところでいろいろな名前で呼ばれていますように、例えば「みどりの手帳」だったり、「愛護」だったり、「療育手帳」と言っているところもあります。まず「療育手帳」という言葉の響で、知的障害者の別称なのでしょうけれども、そういうちゃんとした知的障害者手帳が我々は欲しい。なぜかというと、「療育」というと子供じみている、いつまでも我々のことをそういう感じで見ている部分が多いのではないのかなと、いつまでも療育だという感じなんですね。まずはそれに国として−−知的障害者はまだ認知されていない部分が多いのでそうなのかなという感じなのですが、療育手帳を日本全国どこでも使えるように共通にしてほしい、そして、「知的障害者手帳」という名前をつけてほしい、そして、例えば東京の人間が地方どこにででも使えるように、また、地方の人間が東京などに出てきたときに使えるように。というのは、東京内の手帳を持っていって地方で使おうとしても、「よくわからないよ」、「ここでは使えないよ」というふうに言われる部分があるんです。だから、全国共通な手帳を。例えば、知的障害者手帳ということで、東京の場合は「愛の手帳」というふうにしたらどうでしょうか。
あと、手帳のサービス等についてなのですが、我々にもよくわからない部分もあるので、ちゃんと知らせてほしい、こういうことに使えるよというのをもっと大きくあれしてもらいたいと思います。それにはまず、「愛の手帳」を開くと、ただ「何とか割引」と、「旅客割引」とかになっていますが、ほかでどういうことに使えるかみたいなものが余り書いていない。だから、もっと大きく使えるようになったらいいなと思います。
あと、支援費も、今も橋本さんが言われたように、全国で使えるようにしてほしい。例えば授産施設は使えるけれども作業所は使えない。同じような施設なのに、規模とかそういうことなのでしょうけれども、同じ市内でグループでやっていて、例えばそういう作業所と授産施設だとサービスがかなり違ってきてしまうのではないかなと。同じサービスで同じような知的障害者がいろいろなところで使えるようにもっとなってくれたらいいのかなとか。例えば、さっきも、ご説明の部分で、まだ法律はちゃんとなっていないのでということで、説明はあるのですけれども、細かい部分、お金は幾らになるんだよとか、そういう部分はまだはっきり出ていないみたいなので、そういうところはもう少し早めにお知らせいただければと思います。
私も普段は授産施設に通っております。今度は10月から更新で、続けていかれる方は来年度でもよいという、来年の4月からですから来年でもよいということなのですが。例えば授産施設の中で今いる人が全員やめなかったら後から入ってくる人というのはまずないわけですよね。だから、どんどん新しくしていかないと……。例えば今は作業所に通っているのだけれども、授産施設の方に行きたいよという方がもっとふえてくると思うんですよね。また、一般に知らされている部分があるので、一般の方も授産施設に入りたいという方もいらっしゃるかもしれません、知的障害の方は。そうすると、現時点でいっぱいなところの授産施設は使えないと。例えば作業所はまだ空きがあるのだけれども、それは支援費には使えないとか、そういうふうに、今あるもので考えているから先に進まないのかなみたいな部分がちょっと感じられます。
また、軽度の人も年金をもらえるようにしてほしい。今、軽度の人間はやはり仕事をしているからいいんじゃないのという部分があるみたいなのですが。先ほどのいろいろなお話の中に、今は不景気な時代で、今まではよかったかもしれないけれども、所得があったかもしれないですけれども、これからのあれをするとお金はどんどん減っていってしまって、例えばボーナスがなくなってくるとかという人もいると思います、それに、就職したとしてもまだ10万程度のものぐらいの人が多いと思うんですね、だから、生活も大変な部分があると思うのですが、でもそういうところで軽度の人間には余りもらえない人もいるという現状もあるみたいですね。
それから、鉄道割引、これは「愛の手帳」ができたときに、一番最初、昭和42年の時点でもっと鉄道割引もお願いしますよというのを最初に出したというあれなのですが、なかなか受け入れていただけない、障害の軽い人にも、また、介助者が必要な人にも使えるようにしてほしい、また、 100キロ以下にも割引をしてほしい。これは友愛会としても東京都にお願いを随分長いことしていますし、これは全国的にいろいろなところで割引をしていただけたらいいのかなと。
また、知的障害者で漢字が読めない方というのもいらっしゃいます、そういう人のために看板とか表示をわかりやすくしてほしい。
最後に、地域で暮らせるようにしてほしい。地域で安全に暮らせるようにしてほしい、グループホーム等をつくって。例えば親が亡くなったり兄弟がいなくなると、やはり地方の施設等に行かされるような知的障害の方もまだいらっしゃいます。だから、ホームヘルプ等を使って地域で暮らせるようにもっとなったらいいなと思います。
ありがとうございました。
○京極座長 どうもありがとうございました。
なお、阿部さん、橋本さん、山田さん、3人の名前で、「新障害者基本計画に対する私たちの意見」というA3の大きな紙に要望書が書いてありますので、ご参考にしていただきたいと思います。
次に、日野さんにお願いいたします。
○日野参考人 日野勇治と申します。島根県松江市から参りました。
私は2年前に重度の鬱病に陥りまして、大学院に通っておりましたが中退いたしまして、以後、療養生活をしてまいりました。最近、精神科の医師から、そろそろ少しでも働いてみたらどうかというアドバイスを受けましていろいろ就職活動をしたのですが、そこで大きな壁にぶち当たったのであります。
まず1つ、これは病気を理由に、採用の際に差別が行われているということであります。私の履歴書には、2000年9月大学院退学となっておりまして、その後の経歴が書いていないものですから、人事担当者に「その後どうしていたのか」というふうに突っ込まれますと、「病気で臥せっておりました」と言います。そうしますと、「これはちょっと無理ですね」という返事をいただく場合がほとんどでございます。もっと技能ですとか仕事に対する熱心さといったものを見ていただきたい、ほかの人と同様に見ていただきたいということが1つでございます。
2つ目は、実は私は情報処理関係の勉強を大学院時代にしておりまして、コンピューター関係にやや詳しい知識を持っております。それで、コンピューター関係の企業に就職しようと思えばできるのでありますが、就職しようとしますと、情報処理関連企業といいますのは大変労働量が重うございます、残業もかなりあります、徹夜で泊り込みで作業をするということも日常茶飯事であります、したがいまして、なかなかその仕事に就こうとしても、仮に就けたとしても、そこでまた体を壊してしまうという悪循環に陥ってしまうのでございます。ここで、私は、一律の雇用環境を変えていくべきであると主張したいと思います。といいますのは、現在のフルタイムでの労働形態、9時〜5時まで働く、あるいは残業をするといった形態を見直して、例えばオランダのようなワークシェアリングを導入する、午前だけ働く、午後だけ働くといった形態、あるいは、月水金働く、木金働く、週のうちに3日ないし2日働くといった形態もあっていいのではないかということであります。これは何も景気回復策の一環としてだけの意味ではなく、私たちのような精神病を持った人間が就労しやすい環境をつくることを促進することにつながるものと主張いたします。
そして3つ目、これは、先ほどと関連いたしますが、多様な働き方のできる社会づくりをしていくべきであるということであります。例えば、対人関係で悩んでいる人、対人恐怖症である人は在宅で仕事ができるではないかというふうに発想を切りかえて就労を促進する、あるいは、対人関係で悩んでいる人でもそれほど深刻でないということであるならば、営業ではなくて、別の部署で働いてもらうというようなこと、いろいろ考えられると思います。それぞれの人に合った就労環境というものをこちらからつくり出していく、国からつくり出していくという働きかけが必要なのではないだろうかと主張いたします。
そして、最後に、今まで述べましたような、多様な働き方のできる社会づくりをしていくために有効に税金を使っていただきたいということであります。といいますのは、実は障害年金を受けている方は働くことを許されておりません。これは働きたいと思っている方も、障害年金を受けていると働くことができないで結局家にこもっているという状況を生み出しております。また、法定雇用率の問題があります。法定雇用率達成のために企業はある程度努力をいたしておりますが、実際のところ、雇用をいたしましても結局その職場に慣れなくて辞めていく、そしてまた別の方が雇用されるというような状況であります。こういったいろいろな雇用環境を、それぞれの人に合った雇用就労環境というものを構築していくこと、促進していくことが必要であると主張いたします。
以上でございます。
○京極座長 ありがとうございました。
それでは、今までのことでちょっと、障害年金のことなんかに関しましては若干行政のところでお答えできるところがあるのではないかと思いますが。働きながら、稼得収入と障害年金とある程度オーバーラップできるところもあると思いますので、事実関係についてはちょっと行政のほうで何か補足がございましたらしていただきたいと思いますが。
○吉冨参事官 本日は関係省庁からオブザーバーということで出席をしておりますので、厚労省さんの方からいかがでしょうか。この場でお答えができますでしょうか。
○オブザーバー(厚生労働省) 1点だけ申し上げたいと思いますが。
先ほど日野さんのお話の中で、年金をもらっていると働けないというようなお話があったのでございますけれども、年金というのは所得制限というのがありまして、一定以上の収入がある場合には年金が出ないというようなそういう制度的な仕組みになっておる部分がありますけれども、働いていると年金が出ないというふうにはなっていないということでございますので、またその辺は後ほど改めて制度についてご説明をさせていただければと思っております。
○京極座長 ありがとうございました。
山口さんはきょうはちょっと遅れていらっしゃいますので、どういたしましょうか、また来られ次第お話しを伺うということにしたいと思います。
それでは、委員の皆様から何かお聞きになりたいことがあればお願いいたします。
どうぞ、副大臣。
○松下副大臣 日野さん、今、具体的には家でどういう勉強をしておられるのですか。それには収入の道が具体的に今あるんですか。もう少し詳しく聞かせていただけますか。
○日野参考人 お答えいたします
私は、現在、かつて大学院で情報処理を専攻しておりましたこともありまして、インターネット関連の技術等の勉強を独学でやっております。あと、英語に大変関心がありまして、翻訳の仕事に就けるように勉強をしておるところでございます。ただ、これは主・副でいいますと副の方でありまして、やはり家族等から早く就職先を決めろというふうにせかされる場面もございまして、さまざまな企業の面接を受けたりしております。
○松下副大臣 どうもありがとう。
○京極座長 ほかにどうでしょうか。
竹中委員。
○竹中委員 質問というより、今の日野君のことについてなのですけれども。きょうは実は日野君と新幹線がご一緒で、お話しをしながら来ました。今、彼が言われた、多様な働き方、フルタイムが無理、あるいは残業が無理であっても、自分自身が体調がいいときはきちんと社会貢献できると、あるいは仕事ができるという働き方というのは、私は、これからは特に少子高齢社会が非常に進んできますので、すごく求められるものではないかなというふうに思います。その中でも、私どものプロップ・ステーションでも特に精神の障害の方はたくさんいらっしゃって、私自身が20年以上おつき合いある大変重いような分裂の方などもおられます。そういう中で日野君はコンピューターとか英語を通じた仕事をされたいというようなことで知り合ったわけなのですけれども、逆に非常に高い知識をお持ちで、しかも経験も持っていらっしゃる、それから、ご自身がそういう重い鬱病ということになられたことによって、逆に新しい働き方があれば自分も働けるのにというようなことを切実に感じておられてきょうご発言をしていただいたということは、私はとても貴重だと思うんですね。
たくさんの障害を持つ方は−−福祉というとつい守ってあげるんだと、手を差し伸べてあげるんだと言いがちなのですけれども、一人一人の方は社会から認められたい、自分もできる範囲で、自分にできる精一杯のことで社会に対して自分を発揮したり、対等な評価を、お金としても得ていきたいと皆さん思っていらっしゃるので、ぜひ福祉をそういった観点で、誇りを持って働けるという観点あるいは身の丈に合った形で社会を支える一員に迎え入れることができるというような観点でこの新しい基本法について語り合っていただければうれしく思います。
ちょっと先ほど日野君が言われた、障害者年金をもらっていれば働けないというのは、これは身体障害あるいは知的の方々はそういう年金をもらわれても働いているのですが、逆にちょっと日野君に質問なのですが、精神障害の方の場合は年金が出るということによって働くことがノーとなるような状況があるんですか。
○日野参考人 これは、実は私は障害年金につきまして医師に相談いたしました。そうしましたらば、障害年金の1級を受給すると働くことはできなくなりますよと説明を受けました。これは厚生労働省の方に後で専門知識で補足をしていただきたいのですが、医師からはそのように説明を受けました。また、私の知り合いで障害年金を受給しておられる重い精神病患者の方がいらっしゃるのですが、その方も同様のことを言われました。
以上でございます。
○松下副大臣 今の日野さんのお話も、きょうはペーパーで、阿部さん、橋本さん、山田さんの3人から出していただきました。これはこの場ですぐ答えができないものもあると思いますので、これは副大臣として責任を持って、今、現状がどうなっているのか、この意見に対してどのように取り組むことができるのか、近い将来に実現ができるのか、まだ難しい課題があるのか、ちょっと整理をしまして、皆さん方にきちんとお答えできるようにこれは責任を持ってきょう預かりますので、きょう答弁できないものがありましたら私の方できちんとそういうふうに対応して参りますので、それだけをまず申し上げておきます。皆さん方団体の人たちとも相談して、きちんとこれに対応できるようなお答えができるようにしてまいります。
○山田参考人 ありがとうございます。何とぞよろしくお願いいたします。
○村上委員 厚生労働省にお答えしていただければいいのですが、多様な働き方の問題については、昨年から、経済界あるいは連合、労働、それに政府が入った三者で、今後の社会のあり様として、やはりそれぞれのライフスタイルとか生き方とか考え方に基づいてさまざまな働き方ができるような社会をつくっていこうということで合意いたしておりまして、雇用情勢が悪いものですから、雇用維持型のものについては3月末に政労使で合意したものを出しました。そのときに今後の社会のあり様としての多様な働き方については問題点を整理いたしまして、7月以降、その問題点についてどう解決を図っていくのかという協議に入っていまして、何とか年内には政労使の合意をとって、言われたような多様な働き方ができるような社会づくりに向けた条件整備を含めて議論を詰めていきたいということで作業をしているということだけは申し上げておきたいと思います。
○京極座長 きょうはいろいろご要望とかを伺って、当面すぐできることは、今、副大臣がおっしゃったような形で対応していただきまして、計画に盛り込めるところは盛り込んでいくということで、今、村上委員がおっしゃったことなんかも、少なくとも前の計画では必ずしも十分ではなかったけれども、今度の新計画では少し目玉として出していけばというふうに思っております。
ありがとうございました。
ほかにどうでしょうか。
○河端委員 阿部さんはお勤めになっていらっしゃるということですけれども、もう何年ぐらいどういうお仕事をなさっていらっしゃいますか。
○阿部参考人 私は日産の下請会社に勤めています。車のフロントギアをつくっている会社です。
○河端委員 そうすると、部品を組み立てたり何なりするんですか。
○阿部参考人 いえ、つくっている方です。材料を出して、そういうプラスチックのものをつくる会社に勤めているから、それを日産の親会社に持っていって、親会社が組み立てるんです。
○河端委員 それで、もう何年ぐらいそういうお仕事をしていらっしゃいますか。
○阿部参考人 お仕事はいろいろな仕事をしましたけれども、私は今勤めている会社で13年ぐらい勤めています。
○河端委員 それで、お給料はどのぐらいなんですか、失礼でございますけれども。
○阿部参考人 給料はそんなにもらっていません。せいぜい行って9万ぐらいだと思います。
○河端委員 1カ月9万。そうすると、お住まいはご両親とご一緒ですか、それとも自立ですか。
○阿部参考人 私は今は生活寮に住んでいます。
○河端委員 生活寮に。では、お給料だけで何とか足りますか。
○阿部参考人 いや、足りません。だから年金を崩してやっています。それがなければ私たちはやっていけません。なぜかというと、働くのも今はきつきつだし、食べていくのもきつきつだし、小遣いまでは回ってこないと思います。
○河端委員 でも、毎日毎日お勤めは楽しく行かれてますか。
○阿部参考人 行っていると思いますけれども、職場によっていろいろなことがあると思いますけれども、いろいろな会社に勤めている人がいると思いますけれども、うちの寮に製本に勤めている女の子がいるんですけれども、もう少したったら倒産しそうな感じなんだけどと言われたのですけれども、そうしたらどうしたらいいかねと言われて、次の仕事を探してみたらどうですかと言ってあげたのですけれども、倒産するまではそこの会社できちんと働いていた方がいいですよと説明してあげました。なぜかというと、自分が今まで働いていた会社で何十年と勤めた会社だから、自分でやりたいことがあって勤めたのだから頑張ってくださいと言ってあげましたけれども、励ましも大事だと思いますけれども、自分自身が励まされた方ですから。
なぜかというと、私は自分自身のことを人から言われたことがあるんです。「八重ちゃん、お母さんが死んだらどうするの? あなたは1人でやっていくの? 兄弟に面倒を見てもらうの?」と言われました。「いや、違いますよ、自分で自立するんです」と言ったんです。なぜですかといったら、自分で自立して、自分でお金を貯めて、生活寮でもグループホームでも地域で暮らせるようにしたいんですと言ったんです。そうしたらば、どうしたらいいかということを福祉士さんに聞きました。福祉士さんは丁寧に教えてくれました。じゃあ、通勤寮というものに入ってみたらどうですかと言われました、3年間勉強したらどうですかと。そうしたら、町の生活寮やグループホームに入れますよと言われたから、そのとおりにして、私は、今、自分で自立しています。親には一切迷惑をかけていません。なぜかというと、母親は去年の暮れに死にました、それに、あとは父親しか残っていないから、頼るといったら兄弟は姉しかいませんから、姉に頼ってもしようがないから、自分自身のことは自分でできることはやりましょうということですからやります。
○河端委員 どうもありがとうございました。これからもすばらしく生きましょうね。
○伊藤委員 今のお話を伺っていまして、私どもの方は入所の施設を持っているところなのでございますが、改めて強く思ったことは、障害者お一人お一人の自立というか、自立や主体性をやはりきちんと確律していくことをこの基本計画の中の最重要の課題にしていっていただきたいと、このように強くお願いするところでございます。
以上でございます。
○京極座長 ほかにどうでしょうか。
○松矢委員 阿部さんにもう1つお伺いしますけれども。
先ほど、軽度の方で働いている人で年金がもらえない方がいらっしゃるというお話が出ました。阿部さんの友達で、働いている方で、年金をもらっていない方はかなりいらっしゃいますか。
○阿部参考人 手続きを取りに行ったときに、「あなたはちょっと無理じゃないですか」と言われた人がいます。なぜかというと、年金を取ろうと思って行ったらば失敗しました。お医者様はちゃんとそういうのを書いてくれるのですけれども、「あなたは何でもできちゃうのね」と言われたときにもらえなかった人がいます。だけれども、別の医者へ行ったらば、「あなたは取れますよ」と言って書いてくれた医者もいます。だけれども、ほとんど取れない人が多いです、4度の方は。欲しいのだけれども、医者の書き方によって違ってくるから。だから、地方の人もほとんど取れない人が多いと思います、お友達で。その人たちが、年金を何とか皆さんがもらえるようにしてくれるように国に働きかけなくてはねと言っていました。困っているから何とか助けてほしいという人もいます。だから、お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○松矢委員 もう1つよろしいでしょうか。
年金をもらわないで働いている方は、大体10万円程度の給与ですか。10万円程度の給与では、グループホームを使って働きつづけるにはお金が足らないですよね。年金をもらえないとグループホームや生活寮の利用は難しいと思うのですが、どうでしょうか。
○阿部参考人 それは難しいと思います。なぜかといったら、給料が少ないと年金を切り崩していかなければやっていけないと思います。だけれども、年金が欲しくたって何とかしなくてはという考えを持っている人が多いと思いますけれども、もらっていても、11万もらえるかなという人もいるし、12万もらえるかなという人もいるけれども、ほとんどそんなもらえません、知的障害者にとっては、少ないんです。時給幾らということを考えれば、時給 700円ぐらいだったらば、 600円の人もいると思います。だけれども、少ないから、何とかしてもらいたいから一生懸命なんだけれども、もう少しなければやっていけないと思います。
○松矢委員 どうもありがとうございました。
○阿部参考人 年金をもらっていない人はどうしたらいいんでしょうか。そこをひとつなるべく多くもらえるように皆さんのためにきょうはしゃべりに来たのですけれども、年金をもらっていない人は何とかしてやりたいのだけれども、一人住まいしたくてもできません。やっと生活寮に入るのにかつかつかなというぐらいの感じです。だから、そういう人たちは貯金もできません。何とかしてあげたいのだけれども、地方によって違ってくると思いますけれども−−年金は一緒かもしれませんけれども、もらえない人の方が4度の人は多いと思います。何とかしてほしいのが知的障害者の希望なのですけれども、それがなければ失業したときに困ってしまうんですよね。失業したときにそのお金を使って何とか少しずつ少しずつやっていこうという気持ちがあるのですけれども、それがなかったらば貯金も一銭もないから住めません。何とか助けてください。
○京極座長 ありがとうございました。
ほかにどうでしょうか。
そのほかの方がいらっしゃらなければ河端さん。
○河端委員 今、年金の問題が出ましたけれども、新聞やテレビやなんかのニュースによりますと、物価スライド制で年金を減額しようという政府の発表がございまして、私どもは大変これに対しましてはショックを受けました。今でさえ障害基礎年金が生活保護より低いというような現状で、今、阿部さんたちが、年金だけではとても食べていかれない人が多いんだというお話、また、年金をもらえない人もいるんだというような中で、幾ら消費物価が下がっているからといっても、公的障害者年金をスライド制で本当に減額するなんていうお話は私たちにとってはまことに遺憾でございます。ですから、障害者の基礎年金につきましては本当に減額するようなことのないように、副大臣もいらっしゃいますので、この辺はよろしくお願いしたいと思います。
○京極座長 それでは承っておきまして、山口さんがお出でになりましたので、意見陳述をよろしくお願いしたいと思います。
早速でございますが、恐縮でございます、5分ぐらいでお願いいたします。
○山口参考人 どうも遅れまして申しわけありません。NPO法人全国精神障害者団体連合会理事長の山口と申します。新しい障害者計画の意見書としてまとめてあるのですが、全部は話せないと思うのですが。
まず第1に、今までの計画がなぜ数値を達成できなかったのかという原因は、やはりこれを努力義務化にしたことにあると思うんですよね。やはり義務化の方向へ持っていく必要があると思います。具体的には、これはインターネットに載せてくださるそうですが、努力義務であっても努力さえなかった、民間の社会福祉法人が手を挙げるのを待っていたという状況であって、あるいは、積極的に県市が働きかけるというようなこともなかったことがあるんですね。だから、もし義務化できなかったときには、例えばそのまま黙っているとか、あるいは使わせないような発言をするとかといったときには、国の方に訴える機関を設けてほしいと思っております。そうしないと、現実的には、幾らいい計画ができても、県市はなかなか動かないという点があると思います。一遍そこら辺の反省をした上でやらないと、新しい計画が実際に数値目標を達成することはできないと考えております。
まず社会復帰に関することなのですが、医療機関に就かせることは医療機関の人間しかできないような欠点があり、この是正のため、社会福祉法人だけでなく、民間企業の参入を許すべきであるというふうに考えております。特に入所、通所授産施設には民間企業を積極的に参入させ、その訓練機関が終わったらその企業に雇わせる方向に持っていくべきだと考えます。本来の授産の目的は、精神障害者の就労へつながる道というふうに考えます。
現在、授産施設では、訓練が終わっても家でごろごろしていることが多くて、授産科目は農業や、実際にそれが役に立つということがないわけであります。賃金も極めて低く、作業所よりも低賃金のところもあるくらいです。この現状では、数値目標をたとえ達成しても、精神障害者のための本来の授産施設とならないというふうに考えておりますので、やはりここに民間企業を参入させ、その職員も、精神保健福祉士だけではなくて、民間企業の社員を職員に採用し、精神医学及び精神の教育を行って、そしてその民間企業に雇わせるという形をとっていく方向が授産施設のあるべき今後の方向ではないかと考えております。企業に移行した場合には、企業にある偏見なんかを取る場合にも彼らの活躍が期待できるし、彼らをジョブコーチとして採用することはその企業にとっても非常に有効なのではないかというふうに考えております。やはり長崎でも1つ、2つはあるのですが、民間企業が行ってそこの企業に雇わせる、そういうことが就労を考えた意味では今後の1つの道ではないかと思います。
それで、精神障害者生活支援センターのあり方なのですが、この施設は、本来は地域で暮らす精神障害者の支援に役立ってはまだいない、山の中につくっている地域生活支援センターもあります。これをやはり独立した形にして、運営に人数の配置をもっとふやすべきであり、また、ここにケアマネジメントの役割を担わせるべきだと思っております。就労支援センターのとの兼ね合いを考え、企業内で働いている社員の相談窓口、例えば企業内で鬱病の患者が急増していることが日経連の方からも報告されております。この生活支援センターにここの相談の窓口に持ってきてもいいのではないかということを考えております。
この生活支援センターの相談業務は、精神障害者本人を雇用することに極めて有効な機能を果たすと思うんです。先駆的には沖縄や佐世保市、他の先進地域では既に行われております。ショートステイを現在の生活訓練施設や入所授産施設にくっつけるのは適当かという問題がありまして、山の中や病院のあるところに非常に多く、このショートステイをもっと気軽に利用できるために生活支援センターにくっつけるのがよいのではないかと考えております。このことを考えると、生活支援センターというのは数をふやす方向とともに、内容の充実、人員の確保、財源の確保など、生活支援センターの役割は極めて地域精神医療を進める上で重要な意味を持っています。ショートステイに家族のレスパイトケアや一時避難場所の利用も考えるなら、やはり気軽に行ける身近な生活支援センターが一番有効な利用の仕方ではないかというふうに考えております。
次に、住居について、公的保証人の新設をお願いしたいと思います。中長期的入院者の中には保証人さえいれば退院できる人が多くいることは事実であります。このことは長く精神保健関係団体から要望のあったことでありますし、先駆的に北九州の当事者団体がみずから保証人となり地域へ出している現実があります。彼らがその人たちを支えている現実を見たとき、これはやはり国自体がやる事業であると考えます。一番ネックとなるのは、万が一事故があったときにだれが責任を持つかですが、このときの責任体制は国自体が制度としてつくれば、家族会、当事者団体、ボランティア団体でも保証人となるであろうし、彼らが地域で暮らせるリハビリテーションを責任を持って行い、地域生活支援センター、ホームヘルパー、作業所、患者会で支える体制を持っていくべきである。この責任を負うのは国でありますし、なぜならば、彼らを保証人のいない状態にまで病院内にとどめたのは隔離収容政策をとってきた国の誤りに1つの原因があるからではないかというふうに思っております。
今、教育について叫ばれておりますが、現在、精神障害者は社会からどのようなイメージで見られているかを考えてみますと、まだ現在継続審議になっている心身喪失者の犯罪の法案がそのまま成立すれば、さらに精神障害者は国民からどのような目で見られるか、偏見が助長されるのは極めて深刻な問題であると思います。施設をつくる場合も、現在でも反対運動が起こっておりますから、反対運動が起こるのは予想されます。企業の中にいる人たちの多くは一層困難となり、企業内で働いている人が精神病、特に鬱病になった状態で治療を受けて企業に戻るときも、元の職場復帰が困難となることが予想されます。これらを考えるとき、教育の問題は単に個別に考えるべきではなく、精神障害者が社会で生きていく上で、就労の問題を含め、どうとらえ、どのような施策をとるか考える必要があると思います。
具体策としては、小学校・中学校の教科書の中に正しい精神病の知識を入れ、精神病への正しい理解を行う。それから、当事者が行う教育のあり方としては、当事者団体がみずから小学校・中学校へ出向き、自分が精神障害者となり、その体験を語る語り部の活動。それから、国が当事者育成費として予算を組む。現実に、長崎県、埼玉県で、実質的に個人の活動として人権教育の一環で行われております。これを1つの制度として、教育の一貫として行わせるのは有効であると思います。また、家族会、当事者の企業の中での体験を語る語り部とその活動。やはり企業の中における偏見を取るためには、家族や当事者がみずから企業の中で話をする、そういうふうな活動を行わせる必要があると思います。それから、精神保健福祉協会が行っている講演の講師として、家族、当事者、民生委員、学校関係者、行政関係者、一般市民を集め講演会を行い、マスコミ及び国民への正しい報道を行わせる、こういうことも必要な教育の一環だと考えます。
次に、国、地方公共団体の具体策は、マスコミに地域で暮らす精神障害者の正しい理解のための広報活動とともに、家族会、当事者団体、障害者団体の国民に向けての全国規模での啓蒙活動を行わせることをしなければならないと考えております。そして、日本精神神経学学会その他の学会が、現在の精神医学の進歩と新薬の開発により、例えば精神分裂病の病がどのぐらいで治るかという正しい医学的知識の報告をしていくことによって、極めて治る病だということがはっきり言われております。こういう活動を学会にさせることも必要なことではないかと思います。これが教育に対しての具体策の提案です。
それから、公営住宅の精神障害者の単身入居を促進すること。現在、民間アパートに入居している人の家賃と公営住宅の家賃とを比べると、公営の家賃の方がはるかに低く、設備も整っております。この公営住宅へ単身入居をさせることは現実的に見れば何ら問題のないことであり、公営住宅の入居に反対があるとすれば、それは一般人の偏見であり、これに対して家族会、当事者団体の運動の一環として行わせ、国、地方公共団体、そのための広報活動、教育活動を行うことであると思います。これに対する入居制限を加えること自体、精神障害者の人権に対する不当な差別であると考えます。一般と何ら差別のない条件で行うことが先進国日本の方向であるし、また、現在、こういう人のグループホーム化も考えられていますが、これに対してはいろいろな制約があってなかなかできません。この制約を撤廃してグループホームの拡大をすることこそ、先進諸国の例に見るとき、一番国がするべき課題であると思います。
このグループホームと福祉ホームB型の関係なのですが、現在、社会保障審議会障害者部会精神障害分会において、7万 2,000人が条件さえ整えば退院可能という数字が示されておりますが、福祉ホームB型を当初の通過施設として、親元に帰すかグループホームに入れるというのが厚生労働省の全家連リハビリ会議での私の質問に対する回答でありました。ところが、病院のベッド数を減らすかわりに、この福祉ホームB型を永久施設化し、福祉の一貫であるという主張が行われております。これは病院から施設へ、施設から地域への国の政策を打ち出してきた方向性に逆行するものであり、これをまた民間病院の敷地内で民間病院に行わせるのは再び国策の誤りを行うというほかはありません。精神科医療とは何か、精神病院のあるべき姿を考えるとき、先進諸外国の方向を見れば、現在の日本の国策の誤りは国際批判の対象となっている事実をよく考えるべきであると思います。福祉ホームB型は、あくまでも最初の原則どおり地域へ出す訓練の一貫としてとらえ、グループホームへの増設と向かうべきであります。いかにして精神障害者が人間としての処遇を考えるとき、かつて精神衛生法時代、病院の墓へ引き取り手のない人たちが人知れず葬られていった現実、これは国は重く反省すべきであり、二度と精神障害者が非人間的扱いを受けることのないように地域で暮らす方策を考えるべきであると思います。
また、心のケアホーム構想もされておりますが、これをやはり病院敷地内につくることは地域へという方向に対して逆行する方向だと考えております。
医療に関する件ですが、精神病院の内部の治療のあり方をかつての隔離収容政策から先進各国で行われているチーム医療へと転換していく、現在それをやると経営が赤字になり、やれない現状を考え医療点数の加点を行う、そして、そのケースワーカー、看護士、臨床心理士、作業療法士の地位の向上と教育の強化を行う、それを行うことで精神科特例も自然となくなることは必然であるし、また、精神病院内部の機能の分化を、思春期病と分裂病、躁鬱病、アルコール・薬物依存の専門的な医師の配置とそれに応じたチーム医療、現代医学の進歩、新薬の開発により長期入院が不要となることも必然であると思います。
地域での精神科医療のあり方、単に診療所を広げるのではなく、もっと家族や当事者が早い時期に治療に結びつけられるために、家族や当事者が偏見なく行われる地域の医療の一貫として、バンクーバー、カナダのベンチャーという施設の日本への導入を真剣に考えてほしいと思います。これは当事者が……。
○京極座長 済みません、一応5分ということでお願いをしていたのですけれども、まとめていただきまして、あとは紙をお配りしますので、お読みになる場合は要約していただきまして、残りは……。
○山口参考人 最後のところだけ、これだけ読ませてください。
当事者や家族や精神病院の悪いイメージを持ちすぎている現状を考えるとき、精神科専門看護婦や精神保健福祉士を中心としたケアつき休息施設を広げることも考えるべきであります。これは精神障害者の犯罪が服薬の中断による原因が多いことに対する1つの対策にもなり得ると考えます。
以上、ここまでとしておきます。
○京極座長 では、残りのことに関してはペーパーで皆様方に後日お配りするということでお願いします。
○山口参考人 どうもありがとうございました。
○京極座長 ありがとうございました。
それで、いろいろと時間を取りましたので、次に、お手元に委員の皆様からあらかじめご意見をお配りしてありますので、補足がもしありましたら手短にお願いしたいということで。
それから、きょうご意見をいただきました皆様はこれでご退席で結構でございます。ありがとうございました。
それで、事前にいただいているのときょう雄谷委員からいただいたのとございまして、読んでわかるようなものでありますので、どうしてもここだけは補足したいということがございましたらお願いしたいということでございます。
○池末委員 全国精神障害者家族会連合会の池末です。全家連からは8項目にわたって意見を出していますけれども、その中の1点だけ補足説明をさせていただきます。
1の2)の「社会的入院の解消」です。今、山口さんからも話がありましたけれども、社会的入院の解消は大きな現在のテーマになっておりますが、現在、社会保障審議会精神障害者分会で行われている議論の中で、既存の精神病棟を社会復帰施設に転換するという意見が出ております。これは、先ほどの山口さんの発言にもありましたように、地域社会の中で普通の人と交流をしながら生活をして、生活する力をつけていくということと真っ向から対立する考え方です。
精神病院の敷地内に社会復帰施設をつくっていても、この精神障害者分会の3月28日の第3回の審議会のときに、当事者の代表である広田委員からこういう発言が出ております。精神病院の敷地内に社会復帰施設をつくって、そこに入っている人から、「広田さん、いつ退院できるんでしょうか」という話が出ている。これはもう退院して、施設に入っているにもかかわらず本人は入院していると思っている、そういう施設では意味がないと思います。精神病棟を社会復帰施設に転換するということではなくて、地域の中に社会復帰施設をつくっていく、そういう方向を強く主張します。
以上です。
○京極座長 ほかの委員でどうでしょうか。
○雄谷委員 3番目の項目の、「地域における基盤整備」の一番最後の列でございます。
「資質向上、さらには職員の処遇向上を図るため、地域生活を支える職員の所得をいわゆる施設の職員と同じ待遇にしてレベルアップをしていただきたい」ということが3番目の基盤整備に関する足していただきたい項目であります。
それから、5番目の4行目でございます。「統合理念を踏まえた」、その間に、「入所更正施設と同様な自活訓練事業の創設を図るなど、児童期への対応についても積極的な取り組みが必要」ということでございます。入所更正施設と同じような自活訓練事業の創設。
それから、6番目の「施設の地域生活支援指導の強化」の項目で、一番最後ですが、「施設における地域生活」とありますが、「施設におけるデイサービス事業やショートステイ事業など、地域生活支援機能の強化をより一層深めていただきたい」という要望でございます。
それから、7番目の4行目でございます、「入所施設における居住環境」。これは一部広くなりましたけれども、「居室面積の拡大や個室の確保、居住環境等」とありますが、「居住環境」と「等」の間に「居室面積の拡大や個室の確保」。それから、7番目の一番最後の列でございますが、「今後一層その重要性がます毎日通える日常活動としての場としての」、その次でございます、「通所更正施設及び通所授産施設及びデイサービス事業などの通所施設においても環境条件の整備を図る努力をお願いしたい」ということでございます。
それから、8番目の下から2行目でございます。「現在の支援体制」と「施設体系」の間に、「現在の支援体制としての地域療育等支援事業や就業生活支援センターなど、あるいは施設体系としては中間報告でありました生活施設の創設、そして、施設機能をライフステージに沿って見直すことが肝要であろう」というふうにつけ加えていただきたいと思います。
以上であります。ありがとうございました。
○京極座長 これにつきましては後で正文をいただきまして、委員の皆様にお配りさせていただきたいと思います。
ほかにどうでしょうか。
それでは、きょうは事務局からいよいよ新しい計画の基本的な考え方の骨子が出ておりますので、残された時間をこの骨子の議論に充てたいと思います。
それでは、内閣府から、基本的な考え方の骨子(素案)について、ご説明をお願いいたします。
○吉冨参事官 それでは、配布資料の1をごらんください。こちらに新障害者基本計画の骨子(素案)がございます。そして、また、参考資料としまして、現行の新長期計画と新障害者基本計画の骨子(素案)との比較対照表を用意してございます。こちらも随時ご参照になりながらご説明をしたいと存じます。
まず、骨子の素案でございますが、全体構成につきましては、前文でございます「はじめに」のほか、4項目から構成をしてございます。このうち、本日は「基本的考え方」と「基本方針」の骨子(素案)についてご説明をすることとしまして、分野別の施策につきましては次回ご説明をしたいと考えております。
まず、「基本的考え方」では、新計画を策定する上での理念など、基本的な考え方を記述してございます。記述のポイントとしましては、こちらにございますように、計画の目指すべき社会像を、障害のあるなしにかかわらず、相互に個性を尊重し支え合う共生社会とすること、そこでは、障害のあるなしにかかわらず、すべての人の社会参加の機会均等を目標とすること、そのために、障害のある人の社会参加を阻むハード・ソフトのあらゆるバリアの解消を目指すこと、また、施策推進のあり方としましては、障害のある人が最大限その能力を発揮できるよう支援することを強調したいと考えております。そして、最後に、計画の着実な推進を図りますために、基本計画と一体的に新障害者プランを策定することを明記したいと考えております。
次に、2「基本的な方針」でございます。こちらをごらんください。
「基本的な方針」では、ただいまご説明をしました「基本的考え方」に立ちまして、総合的あるいは各施策分野で横断的に取り組むべき課題、さらには、新計画で重視すべき視点といったものを取り上げてございます。
まず最初に、共生社会実現への国民理解の促進では、共生社会の実現のためには国民一人一人の理解が大変重要であること、そのための取り組みを強化する必要があるということを指摘をしたいと考えております。
その次の、障害態様の特性を踏まえた施策の展開でございますけれども、ここでは、現在、障害者施策の対象となっておりません一部の高次脳機能障害、自閉症などへの対応が必要であること、さらに、また、ICF/WHOの国際生活機能分類を障害認定や施策立案等にどのように活用するかも検討テーマになるのではないかと考えております。また、個々の障害へのきめ細かな対応が重要であることも指摘したいと考えております。
(3)としましては、最新の医療、科学技術を活用しまして、障害の原因となります疾病等の予防や、障害者の利便のための福祉用具の開発に取り組みますとともに、だれもが利用しやすいユニバーサルデザインの開発・普及を図ることが重要であることを指摘したいと考えております。
次は、障害のある人が地域で自立して生活できる基盤の整備としまして、住宅や公共建築物、さらには、道路、鉄道、乗り物などのバリアフリー化、また、相談支援や各種の生活支援といったソフト面のサービス、こういった面につきまして一人一人のニーズに的確にこたえた施策を推進することが重要であるということを指摘したいと考えております。
次の、経済自立基盤の強化についてでございますが、こちらでは、障害のある人の自立のためには、バリアフリーな環境整備あるいは条件整備を進めますとともに、ITなどを積極的に活用した職業能力の開発、パートや在宅就労など、その能力に応じた働く場の確保が重要だということを指摘したいと考えております。
次の、利用者本位のサービス供給についてでございますが、公的サービスにつきましては、先ほど参考人からもお話がございましたけれども、15年度から、従来の措置によりますものから、利用者の選択によるサービス提供を行います支援費支払い制度が実施されることになっております。障害のある人の自立の観点からは、みずからの選択によりまして希望する多様なサービスを利用できるようにすることが大変重要でございます。そのためには質量両面でのサービスの確保、さらに、サービス供給者のすそ野の拡大といったような、実効ある施策を一層推進する必要があると、こういった問題意識でございます。
次の、精神障害者施策の総合的取組みにつきましては、これは各委員からもご指摘がございましたけれども、精神障害者に係ります保健福祉施策がこれまで大変立ち遅れていると、こういったような認識に立ちまして、精神障害者施策の総合的な取組みを一層推進する必要があるということでございます。
次の、IT革命への対応でございますが、我が国が高度情報通信社会に移行します中で、障害のある人はITの利用につきまして困難な状況にございます。そのことが障害者にとりまして社会経済への参加といった面で決定的に不利になることが危惧されるわけでございます。他方、ITの利用環境さえ整備されれば、働く場の拡大など、社会参加の機会の拡大に多大な貢献をすることが期待されます。このようなことから、デジタルディバイドの解消が急務であると、こういったような問題認識に立ちまして記述をしたいと考えております。
次は、障害者施策の進め方の問題でございますが、総合的かつ効果的な施策の推進が重要であることを取り上げたいと考えております。具体的には、施設体系の見直しなど、施策のあり方の検討、また、行政機関相互の緊密な連携の確保、そして、また、広域的、計画的観点からの施策の推進の重要性、こういったものにつきまして検討をしたいと考えております。
最後に、アジア太平洋「新障害者の十年」につきましては、去る5月、ESCAPの総会で、我が国の主唱によりまして、この十年をさらに十年延長するという決議が採択をされてございます。こういったようなことから、我が国としまして、さらにこういった地域での積極的な貢献を果たしていく必要があると、こういうことでございます。
以上が、「基本的考え方」、「基本方針」についてのご説明でございますが、最後に、参考資料をごらんください。分野別施策の骨子(素案)につきましては次回にご説明をしたいというふうに考えておりますが、事項立てにつきまして現行新長期計画と若干異なってございますので、その点について簡単にご説明をしたいと思います。
まず、新長期計画で「福祉」となっておりましたものを、自立支援の趣旨を明確にするといったようなことから、「生活支援」としております。そして、その中に、新長期計画で、スポーツ、レクリエーション、文化といったような事項立てが立っておりましたものにつきまして、こういったものも自立支援の中に含ませると、このような整理で考えたいと思っております。
また、新長期計画では、生活環境に含まれておりました「情報」につきまして、これを「情報コミュニケーション」ということで、事項として独立をさせたいと考えております。
なお、事項の順番につきましては、障害のある人が社会の一員として生活できる環境整備の視点を重視しまして、若干の並べかえをしてございます。
以上でございます。
○京極座長 ありがとうございました。
ただいまご説明をいただいた「基本的な考え方の骨子(素案)」に対するご質問を含め、何かご意見がありましたらお願いいたします。
松友委員。
○松友委員 全日本育成会の松友でございます。
実は、私たちは、丸山委員、河端委員の3人と、ほかのメンバーも含めまして、国連で障害者の権利条約の特別委員会がスタートしまして、一応前半の方に参加してまいりまして、後半を別のグループが、兒玉委員等が今参加されております。
実質的な中身についての討議は後半にあるようですので、また後日レポートが出るかと思いますが、一応前半に我々は参加をしまして、幾つかそこで出た印象を踏まえて、この素案、基本案について2つだけ意見を述べさせていただきたいと思います。
第1点は、やはり権利条約についてどうするか。大変いろいろ議論がありましたが、やはり権利条約に反対しているところはどこもないわけでありまして、問題は権利ということのとらえ方ということでいろいろな議論がございましたが、この基本的な今回の基本計画を見ましても、いわゆるもはや権利条約を決議しようという国際的状況の中において、新しい十年の基本計画には、権利的視点というか、権利保障というか、そういう部分が全体として掲げられていないような感じがします。防犯とか防災という面はあるのですが、もう少し明確なる権利保障あるいは権利擁護というところが不十分ではないだろうかというようなのが第1点です。
第2点は、これが大変議論になったのですが、NGO、特に当事者団体がどういうふうに、国連のアドホック委員会でそのかかわりをやるかというのでかなり議論がありまして、最終的には、ほとんど平等といいますか、発言、あるいはそういう時間、あるいはチャンス、それから資料を受けるという意味においても、積極的にNGOを受け入れていくということに最終的には決定いたしました。これは当然の流れだと我々NGOとしては思うわけでありますが、やはりこの十年の施策の中でも、もっといわゆる当事者団体を含めたNGO、あるいはグループ、そういうところがいわゆる積極的に参入できる、あるいはそれが1つの社会資源として役割を果たせるような意味での支援というか施策がどこで出てくるのだろうと。私は意見としても出しておりましたが、国際的にももはやこういう分野になると、NGO、当事者を抜きには語れないと、当然これは当事者団体からも意見としても出ておりますが、そういう時代であるという認識が最終的に決定した、それをもって後半の議論に入っているわけであります。この点についてもいわゆる骨子の中で明確に十分に取り入れていただければと、この2つを今回のアドホック委員会に出たものとしての報告を兼ねての意見として述べさせていただきました。
ありがとうございました。
○京極座長 ほかにどうぞ。
○河端委員 私も一応その国連の権利条約をつくろうという検討委員会に出席いたしましたが、初めて国連のそういう会議に出席し、また、日本の本村大使の演説、メッセージを聞きまして、大変感激いたしました。
日本政府を代表いたしまして大使が発言をなさいましたけれども、その内容は、障害者の権利条約の促進に大いに重要性を置き、そして、我々としても障害者の権利と尊厳の促進と保護のための包括的、統一的な国際条約に関する提案を一応成功裏のうちに開始を歓迎すると、大使は力強くおっしゃってくださいまして、大変私は日本国民といたしまして、大使のそういう発言がすばらしいと、国連に出席してよかったというふうに思いました。それは参加者一同でございます。そして、なお私どもが望むことは、この権利条約をつくる場合、一応政府委員として国連の関係委員には専門官を派遣してほしいというように特に私たちはお願いいたします。国連政府代表部におきましては、やはり障害者の問題につきまして専門的な方々はいらっしゃいませんので、この障害者権利条約をつくるときにぜひ日本政府から専門の担当官を派遣していただいて、各国共同で障害者の権利条約はある程度きちんとしたものをつくってもらいたい、ある程度ではなくて、全くきちんとしたものをつくってもらいたいと希望します。そういうわけで、ぜひ専門官の派遣をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○京極座長 それでは、潮谷委員。
○潮谷委員 1つは「基本的考え方」のところですけれども、1点目のポイントの「障害の有無にかかわらず、相互に個性を尊重し支え合う共生社会の実現」、こういうことが出されておりますし、さらに「基本的な方針」の中で、「共生社会実現への国民理解の促進」、こういう点が出されております。この「基本的な考え方」と「基本的な方針」のすみ分けがやや見えがたいという感じがいたします。「基本的な方針」というところの中で、啓発を主にしたことを言っていこうということであるのか、あるいは、先ほど論議の中で出ておりました、障害者の権利条約等々を踏まえて、国際的な動向をこの中で論じようとしていくのか、その辺の点がやや見えがたいという感じがいたしました。
それからもう1点、NGOに関してのお話が出ましたけれども、今後、新基本計画を実現していくために、やはり多様なニーズに対応していくという観点では、国だけではなく、あるいは地方公共団体だけではなくて−−広い意味の地方公共団体を含めてですけれども、NPO、ボランティア等々とのパートナーシップ、そのことが大変これからは大事になっていくのではないかというふうに思いますので、そうした点をどこで整理をされていこうとされているのか。例えばNPO、NGO、あるいはボランティアというのを、アジア太平洋「新障害者の十年」を踏まえた地域内協力強化という点で整理をされていこうというのか、あるいは、そのほか国際協力、情報コミュニケーション、そういったところの中でやっていこうとされていくのか、今後の課題として少し整理をしていく必要があるのではないかという点を感じました。
以上でございます。
○京極座長 これは事務局がいちいちお答えをするということではなくて、承っておけばよろしいと思います。
今度の計画では、お手元の参考資料の見開きのところにございますように、従来は「基本的な考え方」と「分野別施策」ということで2つに分かれていたのを、もう1つきめ細かく真ん中に「基本的な方針」というのを置いたのですけれども、まだそのすみ分けが十分ではないと。前回に比べればより具体的な形になっているというふうに評価していいと思いますけれども、そういうご意見もいただきました。
なお、松下副大臣におかれましては、これから官邸で諮問会議等がございまして、ご退席をされますので、何かございましたら一言ごあいさつをいただきましてご退席願いたいと思います。
○松下副大臣 大変暑い中、大変貴重なご意見を賜る会に出席をさせていただきました。本当に私自身も勉強になりました。
いよいよ10カ年計画、新しい基本計画をつくるわけでございますけれども、どうぞきょうは5人の参考人の方たちの本当に日常生活に立脚した本当の身の震えるようなご意見をいただきましたので、それが生かされるようにきちんとしていかなければいけないと改めて思った次第でございます。河端委員からの年金の物価スライドの問題も出ました。経済諮問会議でも議論になっている感じでございますし、これは承ってまた伝えたいと思っております。
どうぞいい計画ができますように、これができてこそ本当の一級の国になるというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。どうも、委員の先生方、よろしくお願いいたします。
それから、5人の参考人の意見に対する対応は責任を持って、今すぐにできるものと、将来にわたって検討するものと、整理してお答えするように、聞きっぱなしにしないようにしたいと思いますので、どうぞ団体の方々にもお力をいただきますので、よろしくお願いいたします。
○京極座長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、この骨子(素案)につきましてご意見をいただきたいと思います。
松尾委員。
○松尾委員 第1回の懇談会のときに、新基本計画は障害の予防というところに焦点を当てる方が望ましいのではないかという私見を申し述べたのですけれども。したがいまして、そのことに関連してこの素案を拝見いたしますと、2の「基本的な方針」というものの(3)というところに「障害の原因となる疾病等の予防」というのがまずありますが、現在、子供の障害の一番大きな問題は、疾病というよりも−−疾病というのは「Biological Morbidity 」という言葉で私たちは総括いたしますけれども、「Social Morbidity」、要するに社会病理に基づく問題の方が非常に大きな問題で、その一例として虐待児の脳障害を考えていただければよくわかると思うのですけれども、これは決して疾病ではございません、ですので、予防の中心になるべき事項について語句にちょっと検討が必要ではないかと。
そして、この(3)でございますが、予防ということは非常に概念的、包括的なとらえ方でございますが、その次に出てきます「用具やデザインの開発」というのは対応策のかなり限られた領域をやっておりますので、並列構造になっていないという問題がございますので、この辺も検討が必要ではないかというふうに思います。
○京極座長 ありがとうございました。
ほかにどうぞ。
竹中委員。
○竹中委員 「基本的考え方」が、「障害の有無にかかわらず、相互に個性を尊重し支え合う」という、つまり、障害があってもなくてもお互い支え合う仲間なのだというか、同じ人間なのだというところが最初に来ているのは、私たちにとっては大変うれしい基本的考え方です。「共生社会」という言葉は、今、私たちは「ユニバーサル社会」というふうに呼んでいろいろな活動をしているのですが、そういう意味で、このユニバーサルな社会、共生社会の実現というのを最初のポイントに置いていただいたということは大変うれしいです。それから、障害のある人の挑戦支援ということで、最大限一人一人の能力が発揮されるようにというようなこととか、あるいは、その上の、あらゆるバリアの解消の中で住宅や移動、交通という細かいところまで含めていただいたと。
それから、「基本的な方針」の、経済的自立基盤の強化や、あるいは、8番のところで、ITの活用によってさまざまな多様な働き方や生き方が選択できるので、よりIT革命がそういった方向へ、障害を持つ人たちがより一層社会参加や就労ができる方へ利用していくのだというような文面といいますか流れになっているというのが私としては大変うれしく思いました。
不備な点も皆様のご意見にはいろいろあるかと思いますが、プロップ・ステーションの活動を長年続けてきました者としては、大変このような方向に今回の骨子が出たことをうれしく思います。
○安藤委員 安藤です。ちょっと確認したいのですけれども、この骨子が出る以前に過去2回の懇談会で各委員の皆さんから意見が出されていますが、この骨子がその意見にどう反映しているのか全く説明がないわけです。先ほどお話のありました権利の問題にしてみても非常に重要な問題であって、意見の中でもたくさん出されましたけれども、全くそれが載っていないということを。また、この「基本的な考え方」の中に、「障害のある人の挑戦支援」、「挑戦」という言葉が使われていますけれども、今後の社会のバリアフリーというものの考えの中で、特に障害者が挑戦しなくてはならない、その挑戦を支援するというような表現というものは誤解が出ないかなど、整合性の問題もあると思うのですけれども。皆様方の意見というものをどのように受け止めてこの骨子に反映しているのか、それを確認していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○京極座長 細かい一つ一つの意見を計画に盛り込むということではないので、事務局で整理をしてまとめた形になっていますので、もし事務局で必要があればお答えいただけますか。
○吉冨参事官 ただいまご指摘をいただきました、これまで2回の懇談会で出された意見がどのような形で反映されているんだということでございますが、権利の問題につきましては、これは「基本的考え方」の中で何らかの形で触れるということになると思います。明示的にこのポイントとしては掲げてございませんが、例えば「すべての人の社会参加の機会均等」といったようなこともございますので、そういった中で触れることができるのではないかというふうに考えております。
そして、過去2回の懇談会ではいろいろなご意見をいただいております。本日も非常に詳細な障害者プランについてのご意見もございました。そういったものにつきましては、それぞれ、障害者基本計画で盛り込むべき事項と、障害者プランで盛り込むべき事項がございます。そして、また、障害者基本計画でも、このいわゆる「基本的考え方」、「基本的な方針」で触れるべき部分と、各分野別の施策で書いていくものもございます。したがいまして、次回に分野別施策の骨子(素案)についてご説明をする予定でございますが、そういった中でこれまで出されましたご意見につきましてもできるだけ踏まえたものにしたいと、このように考えております。
また、「挑戦支援」というのはちょっと誤解を生む表現ではないかということでございますが、この「挑戦支援」という言葉に込めました意味は、障害のある人の能力が最大限発揮できるようなそういった環境、条件というのを整備していこうということでございまして、それを挑戦者支援ということで書きましたのは、こういった表現が最近比較的普及してきておりますので、誤解もないのではないかということで書かせていただいたということでございます。
○京極座長 村上委員。
○村上委員 全体の姿は前の基本計画よりは大分よくなっていると思っていますが、幾つかご意見を申し上げたいと思います。
権利条約の問題は「基本的な考え方」にできるだけ取り込むということについては私も賛成でございますので、ぜひそういうふうにお願いしたいということであります。
例えば次の、「すべての人の社会参加の機会均等」ですが、これはやはり機会均等ではなく、参画社会をつくるんだと、すべての人たちが参加していく社会をつくるんだと、機会均等ではなく、もっと積極的な形で考えるべきではないかというふうに思っています。これは「障害のある人の挑戦支援」のところでも、やはり障害のある人自身が参画していく中でどういうことをつくっていくのかという考え方をぜひ織り込んでいただきたいと思います。
それから、ここでぜひ入れていただきたいのは、地域で暮らすということを基本的な考え方としてぜひ入れて、その中で自立支援とかそのような施策を展開していくんだということがにじみ出るようなものにしていただけないかということを要望したいわけであります。
それから、「基本的な方針」のところでは、2番目のところの、国際障害分類というものを基本にやっていきたいというのはぜひそういう形でお願いしたいわけでありますが、「自立生活のための地域体制の整備」と「利用者本位のサービス供給」のところでは、ぜひ数値目標をつくっていただきたい。例えば地域で暮らすということを基本にするならば、基盤整備その他、サービス供給体制は非常に遅れております。相当の水準に引き上げないと実は地域で暮らせない。私たちは、施設の役割も十分承知した上で、基本的には今後は地域で暮らすということを考えるべきだと思っておるわけでありますが、今のままではどうも地域で暮らすということはできない、それぐらいの差別水準、また、体制整備、基盤整備ではないかと思っています。特に市町村障害計画の義務づけぐらいはしないと、立派にやっておられる自治体と全然やっておられない自治体と非常に格差が出ております。これはやはり幾ら地方分権といってもここまで格差があると問題だと思っていますから、そういうところも含めてお願いをしたいわけであります。
それから、「経済自立基盤の強化」のところでは、分野別のところで、生活支援、所得保障という問題が出ておりますけれども、この問題をぜひ重要視していかなければいけないのではないかと思っていますので、よろしくお願いいたします。
それから、権利条約との関係でいきますと、私どもは差別禁止法は要ると言っていましたが、権利保障的なものを制定すると、権利条約を受けた形で、そういうふうな法の制定が要るのではないかと。それから、私は民法の成人の扶養義務規定はぜひなくすべきだと思っていますから、それらとの関係において、民法とか刑法の見直しも必要だということはぜひ「基本的な方針」の中で考えるべきことではないかというふうに思っております。
それから、先ほど言いましたけれども、利用者本位のサービス供給ということを本当に何年計画でやるのか、これはもう気が遠くなるほど実は遅れておるわけでありまして、これは責任ある数値目標をつくって、地域で暮らすということが本当にできるようなことを1つ項目として立てるべきだと思っていますから、ここで言うかどうかは別にしても、個別分野別の「基本的方向」の中でも結構でございますけれども、どこかでそこはきちんとしていただきたいということをお願いしたいわけでございます。
以上であります。
○京極座長 あらかじめご意見をいただいているのは、きょう参加していただいたということを踏まえた上でご発言をいただきたいと思います。
丸山委員。
○丸山委員 たびたびもう出てきましたので、ポイントが人権・権利を守るというところに非常に注目があるということは明確になりましたが、先ほどの内閣府のご説明でも、この中に人権の視点が入るんだというふうにおっしゃっていますが、私が強調したいのは、改めて人権の視点をはっきりと「基本的な考え方」の中に入れるということであります。先ほどの参考人のお言葉の中にも、それは自分たち権利だと、権利として認められていないんだということを強調しておられました。
つまり、新しい基本計画の一番の基礎は、本当に地域に住むことが権利である、それから、福祉的な就労やそういうのである程度ごまかされないで、ちゃんとした就労に就くのは権利なんだと、特に精神障害を持つ人自身が地域に住むことは権利であるというようなことをやはりきちんと認めるところから新しい計画があるのではないかと思いますので、権利を認めるといいますか、人権という問題は権利条約の動向とは−−関係は非常にありますけれども、やはり基本的な視点としてはっきりと明確にするべきだと思います。
○京極座長 ほかにはどうでしょうか。
私の方から1つ、座長は余り発言はできないのですけれども。
今回、事務局でご用意いただいたのは、古い方の長期計画に比べまして、これまでご議論いただいた意見を−−直接同じ言葉で表現しているかどうかは別として、幾つかかなり込められたというふうに評価しております。ただ、今までいろいろなご意見の中に出てきていましたように、この新しい十年の計画で、何かめり張りというか、十年で何が獲得されるのかというのがどうもなかなか見えにくいので、非常に総花的に整理されているのだけれども、ポイントが見えにくいと。
なぜそうなのかなというふうに考えましたところ、松尾委員からもご指摘がございましたけれども、「基本的な方針」というのはいい整理の仕方ではありますけれども、「基本的な方針」を踏まえた重点施策というのが見えないと、いきなり今度は分野別の施策になってしまいますので、やはりこの2と3の分野別施策の間に重点施策というのをかなり打ち出したらどうなのかなという感じはいたしております。
例えば、先ほど出た意見の中では、「福祉用具、ユニバーサルデザインの開発・普及」とか、こういうものは今度の新計画での重点施策というような形で出すとか、あるいは、精神障害者の施策は遅れていますので、これについては総合的な取組みを重点施策で出すと、「IT革命への対応」、これは今まで余り十分ではなかったわけですから、21世紀を展望しますと非常に重点として挙げてもいいのではないかと、それから、「アジア太平洋『新障害者の十年』」もこれから延びたわけですので、これも我が国としてはアジアの中では積極的にやっていく国際的な役割もあるわけで、こういうのを重点施策とする。あるいは、「基本的な考え方」で入っています「重点施策実施計画の策定」、これは「基本的な考え方」と言えるかどうかで、こういうのは重点施策として「実施計画の策定」ということでうたえば、私はかなりめり張りが出てくるのではないかと。
それぞれそれに基づいて、各省庁の調整もあり、大変だと思うのですけれども、十年間で何かこの重点目標についてはこれだけやるということを出していけば、今度は分野別の施策に移るときも−−これは割と担当省庁の持分になりがちなのですけれども、重点を押さえた上で各省庁にも取組みをしていただくということで、わかりやすくなると思います。また、これが都道府県で受け止められるときも、何か重点というのがありますとはっきりするのではないかという気もいたしまして、これは1つの考え方ですけれども。先ほど松尾委員から出たように、予防なんかの考え方は「基本的な考え方」できちんと整理をして、もう少し位置づけを上の方に持っていくというようなこともあるのではないかというふうに思います。
そんな印象を持っておりまして、前回の計画よりも非常に具体的で幅広くなっておりますけれども、めりと張りを今回はもう1つつけるとよくなるのではないかというふうに思いまして、勝手ながら座長発言ということでお許しをいただきたいと思います。
ほかにはどうでしょうか。
松矢委員。
○松矢委員 今、座長のおっしゃったことに賛成なのですが、この中で、生涯学習をどこに入れていくかということなんです。教育育成で、きょうは細村委員から出ておりますが、生涯学習は全体の中で後期中等教育の中の3項に少しだけ出てくるんですね。きょうは知的障害者の代表の方々のご発言がありましたけれども、学校卒業後、社会人になってから学習がさらに進んでいきます。つまり、子供から大人になっていくというところのテーマは極めて遅れているわけなんですね。基本的には、この生涯学習というのはどこでやっていくのかというところが、ここではスポーツ・文化等があるから生活支援なのかというふうにもとれるのですが、本来的には生涯学習というのは教育施策の中で扱っていくべきことだろうと思っています。
特に権利の問題とかかわって、本人の方々が主体性を身につけていくというところで、本人の方々の学習というのは成人になってからますますそのニーズは高まっていくわけであります。そのときのいろいろな教材の準備とか、特に知的障害者の場合には−−これは情報提供支援とも関係するのですけれども、わかりやすい教材でもって、ただの知識ではなくて、それを具体的に生活の中に生かしていく、そういう学習が必要です。それは生涯学習という形で組んでいかなければならないというふうに思っております。
また、例えば聴覚障害者の場合のいわゆる手話文化ということがあります。これは生活支援という中には入りませんよね。やはり文化を担っていく、そういった観点は広い意味で教育の中に入っていくのではないか、だから本人の主体性を高めていくというような重点施策を設定すれば、やはり生涯学習とか文化活動とかそういったようなことはかなりめり張りをつけて取り出せるというような感じがいたします。
その意味で、こういう分野別のところではどういう内容がそこに入っていくのかというのはもう少し大きな観点で見ていただいて、さらに重要なものは重点施策で出していくというようなことが必要かというふうに思います。
以上です。
○京極座長 ほかにはどうでしょうか。
君塚委員。
○君塚委員 障害者あるいは児童なのですけれども、生涯を通じて支えていくという観点から、よく「ライフステージに沿って」という言葉がありますけれども、障害児の家族支援、子育てでは、療育なり成育あるいは育成という言葉のもとに、分野別に入りますけれども、子育ての問題、卒業後の進路の問題、二次障害なり親亡き後という、ライフステージに沿った、生涯を通して支えていくという視点を、「基本的な方針」の中にどこか入れてもらえるといいなと思っております。
○京極座長 斎藤委員、お願いします。
○斎藤委員 過去の委員会でいろいろな委員の先生方からご意見が出ておりましたけれども、3障害者の各法律の統合化ですね、これはどこでどういうふうに対応されるのかというのを1点お聞きしたいのですが。
○吉冨参事官 直接、制度の整備という、再編ということでは触れておりませんけれども、先ほどの「基本的な方針」の「総合的かつ効果的な施策の推進」のところで実際の施策事業につきましては、総合的な、そして、それによって効果的な施策の推進が図られるようにしていこうと、こういったようなことで考えております。具体的には(9)のところで触れたいと。ただ、斎藤委員からご指摘がございましたように、法制度の整備まで言及するかどうかは、これは実際にそういう必要性があるかどうかということも含めて検討する必要があるのではないかというふうに思っております。
○京極座長 どうでしょうか、例えばいろいろな問題で、検討課題で、計画として今からこうしますということではないけれども、この10年間でひとつ大いに検討して、次の10年につながるような検討課題というのは結構多いと思うんですね。だから、そういうのはどこに入れたらいいかなと私もずっと考えているのですけれども、何か、さっき民法の話も出ましたが、そういったような、今の段階では計画として書くには書けないと、しかし、少なくとも10年間で検討するということはきちんとうたって、その検討の結果がまた次の10年に反映できるようなものであれば非常にいいことなのではないかと。そうすると、例えば今出ました法の統合とか、あるいは行政の統合化の問題とか−−それはもちろん抽象的に書かなければいけませんので、余り細かく書くといろいろ波紋を撒き散らすもので、それから、就労支援の問題、地域でどれだけの障害者が暮らしていけるかというような基本的な目標値だとか、あるいは精神障害者の雇用率をどうするかとか、いろいろなことがありまして、何かこの10年間でそういうものを検討することを計画に盛り込むというようなことはできないかなと。
それからあともう1つ私は思ったのですが、今、地域社会で障害者の施策を統合してやっていくわけなので、何かモデル的な障害者都市づくりみたいなことを、各県で一、二カ所選べるようなことで、本当だったら交付税交付金の若干のつかみのお金でどう使ってもいいみたいな形でモデル的なことをやっていただくと。余り細かい補助金で、各府省が、これに使いなさい、これに使いなさいというふうにはやっていかないで、何かできる限りやってみて、そういうのもこの10年でできないかなと。そうしますと、毎年数カ所ずつやっても10年で結構できますし、その地域に行けばいろいろなことが参考になるというふうなことで、今までのように障害者福祉都市宣言で、宣言をしますと何かが変わったような錯覚をするのですけれども、そうではなくて、具体的に若干の予算の配慮があって何かができると−−これは財務省のお力がないととてもできないわけですが、あるいは総務省もですが。
そういうことで、何か目に見える形でのものがやはり欲しいなという気もいたしまして、ちょっと欲張りに余り新計画に何でもかんでもというわけにはいきませんけれども、そういうことの目標というのは比較的国民にもわかりやすいし、県においても、うちの県ではどこどことどこどこの町がこういうモデル計画をやっていると、そうするとそこに行ってみようかということになって、そこに行くと、こういう点が違う、ああいう点が違うというようなことがはっきりわかると、そうすると後のこの10年の終わった成果というのは次の10年に非常に影響を与えていくというふうな気もいたしまして、ちょっと座長としては言い過ぎなのですけれども、何かそういうことも含めて考えられないかと思っております。
○河端委員 「基本的な考え方」の中で、やはり障害者基本法というものが平成4年にできました。そして、これの見直しは5年たったらしましょうというお話だったのですけれども、いまだに見直しはされませんので、10年たっておりますから、やはり障害者基本法そのものを見直していただきたいというのをこの「新障害者プラン」の中にぜひ入れていただきたいんです。
例えば、都道府県は障害者施策推進協議会は設置義務でございますけれども、市町村は設置義務はございません。その場合は、私どもは、地域の中では、公益行政の中でこの推進協議会をつくって、当事者団体も入れて、そしてつくったらどうだと、そういう意見を述べておりますので、やはり市町村が設置義務ではないので、これは任意でございますので、その辺の地域における福祉施策が非常に遅れている場合が多いところが多うございますので、ぜひ障害者基本法の見直しを図っていただきたいのが1点。
それからもう1つ、先ほど申し述べました障害者の権利、これをきちんとこの文章の中に入れていただきたいのです。国連総会の検討会におきましても人権条約とか子供の権利条約とか婦人の条約、その他地雷の条約とかいろいろ条約はありまして、果たして障害者の権利条約が必要かどうかということも議論されておりましたけれども、議論されていた中であえて障害者の権利条約をつくろうではないかと、つくるべきだというお話になりましたのは、いろいろな条約ができていても、障害者が果たして世の中で、社会の中できちんと生活できるかどうか、権利が主張されているかどうかということが大変疑問にされた問題が多うございましたので、これで 191カ国になるそうですけれども、国連の検討会で、ではそれをつくろうというそういうお話になっておりますので、障害者の権利ということをきちんとこの「基本的考え方」の中に文言として入れていただきたいというのを特にお願いしたいと思います。
第3点といたしましては、「基本的な方針」の中に私たちが問題点としていろいろ要望いたしました事項はそれぞれ解釈すれば入っておりますので、私は「基本的な方針」というのはこの内容で進められて、細かいことはそれぞれ検討していただくということでよろしいのではないかと思いますし、「基本的方向」にいたしましても、国際協力も入り、大変私としてはよろしいのではないかと思います。ただ、4の「推進体制等」というのがこれ1つしか書いてございませんので、どのような体制でこれを持っていくかということは、私たちは、先ほどのNGOの問題もございましたけれども、非常に関心が深うございますので、この辺も次の懇談会のときには具体的に、どういう体制をとるのかということを明示していただければ大変ありがたいと思います。
それからもう1つ伺いますが、「基本的な方針」の中の第3番目、先ほどの障害の原因となる疾病で、いわゆる虐待による脳疾患等はどういう疾患にするかはわかりませんけれども、この予防というのは結構だと思うんです、ただ、予防だけではなくて、資料にもやはり気を入れていただかないと、予防だけではだめです、治らなければだめなんですから、治るものは治す、それから、病気の進行をそこで防ぐという2つの問題がありますので、治療の問題はぜひここに加えていただきたいと思います。
以上、3つの点についてお願いしたいと思います。
○京極座長 それでは、時間も参りましたので。いろいろご意見があるかと思います。既に何名かの方からは提出意見ということで文書でいただいておりますけれども、また追って事務局で意見をまとめたいと思いますので。
それでは、きょうの懇談会はこれで閉会したいと思います。非常にたくさんのご意見をありがとうございました。
午後5時5分閉会