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障害者施策トップ基本的枠組み長期計画懇談会第4回議事次第 > 資料

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第4回資料 各委員からの意見

目次

  (50音順)

「新しい障害者基本計画」への意見

社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長 兒玉 明

  1. 戦後50年間にわたり主に施設福祉において「措置」として運営されてきた日本の障害者福祉制度が大きな変革期を迎え、障害者自身が自分の意思と責任において利用するサービスを選択できる新しい時代に適った制度が導入されるにあたり、新基本計画及び新プランも、こうした制度の理念を十分意識した内容とする必要がある。
    また、サービスの選択に不慣れな障害者が安心してサービスを利用できるよう、幅広く利用者をサポートする具体的な方策を新基本計画・新プランにも盛り込むことが大切である。

  2. 新基本計画・新プランをより実効性のあるものにするため、それぞれの計画には必ず数値目標を設定されるとともに、必要によっては障害種別に配慮した内容とするなど、柔軟な対応を求めたい。また、均衡のとれたサービス提供を保障するため障害等級等の見直しへの十分な配慮が必要である。

  3. 新しい障害者基本計画では、障害のある人ひとりひとりが安心して生活できる在宅福祉充実の理念を骨子のなかに盛り込み、計画に具現化することが極めて重要になる。あらゆる側面から在宅福祉・地域福祉の視点を重視し、施策の充実にあたられるとともに、全国的に懸念されるいわゆる「障害者施策の地域間格差」を強力に是正することについて、とくに万全を期すことが望まれる。

  4. 在宅福祉施策の充実の効果的な方策として、支援費制度の施行準備においても地域の社会資源としてその役割が注目されている障害者相談員(身体障害者相談員、知的障害者相談員)、精神障害関係相談員の活動活性化および資格制度の思い切った導入などが効果的であり、新しい障害者基本計画及び新プランのなかで位置づけるなど、十分な配慮が不可欠である。

  5. 障害者計画の円滑な遂行を図る上で、中央関係の障害当事者団体の力を総集し、緩やかな連携の下、政官民一体となった行動を進めていくことが不可欠である。そのためのハブ・拠点として、全国障害者総合センター(仮称)の新設の必要性が唱えられている。新基本計画及び新プランのなかで同センターの新設を盛り込むことが望まれる。

  6. 地域社会の中に点在する障害者小規模作業所、及び小規模通所授産施設については、障害者の社会参加を支援する上で大きな役割を担っている。しかしながら、長期化する経済不況により、その活動の停滞が全国的なレベルで憂慮されている。
    障害者小規模作業所及び小規模通所授産施設に対する施策を新基本計画及び新プランの中でも明確に位置づけ、力強い支援の方向性を示していかなければならない。

  7. 障害者の自立と社会参加を果たす上で、また、障害者の日常生活を支援する上でIT技術の革新は大きな推力となっており、引き続きIT環境の整備に万全を期すことが大切である。
    また、一方で、いわゆるデジタル・デバイドの拡大も懸念されているため、個別の障害、とくに視聴覚障害のある人々に対する情報保障の視点に立った、計画性のある施策の充実が必要である。

  8. 国際的な流れとして障害関係NGO(民間団体)の役割がこれまで以上に増大し、また、その期待も大きい。とくに、いわゆる先進国としての日本の責任はきわめて重くなっている。障害者プランの中で盛り込む国際協力のなかにNGOの役割を位置づけるとともに、継続的・中長期的な活動支援を図る方策が望まれる。

  9. 国連では障害者権利条約に関する特別委員会が開催されるなど、俄かに障害者の権利・人権の重要性が改めて認識されはじめている。権利・人権の視点から新しい障害者基本計画の理念を描くとともに、計画の中に権利・人権に関する文言を盛り込む必要がある。

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新障害者基本計画、新障害者プランについての意見

全国社会就労センター協議会会長 斎藤 公生


  1. 新障害者基本計画、新障害者プランの実効性を担保する予算の確保
    すばらしい計画や数値目標があっても、それらの実現を担保する予算がないかぎり、意味をなさない。計画やプラン作成の前提として、科学技術振興費のように予算削減の対象とせず、さらに、障害者福祉を重点分野にかかげること。

  2. 障害者差別禁止法、援護就労保障法の創設
    さまざまな障害にかかる差別を禁止する法律(日本版ADA)、援護就労保障法を創設し、障害者の生活しやすい環境と、労働施策と福祉施策を統合させ平等な就労機会を保障する。

  3. 各障害福祉法の統合・施設の体系見直し
    障害者が主たる障害種別によって提供サービスに格差が生じないように、各障害別福祉法を統合することが求められる。
    また、そうした統合法のもと、地域生活移行の視点をもち、現在の障害者の実像にふさわしい施設体系を構築する必要がある。

  4. 新障害者基本計画の市民合意形成
    計画は、障害当事者、行政、関係者のみでつくりあげるのではなく、ひろく市民の合意が得られるような仕組みづくりが不可欠である。
    そのためには、地域福祉計画に市町村・都道府県障害者計画を不可欠のものと位置付けるとともに、各地の標準的な数値目標を国が示し、その数値を地域の計画に盛り込む必要がある。

  5. 地域生活移行を可能とする基盤整備の充実
    平成15年度施行の支援費制度において、理念上は地域生活移行が前提であるが、基盤整備は地域生活移行を支えるほど整っていない。
    よほどインセンティブをつけて抜本的な整備を行わない限り、飛躍的な基盤整備の伸びは期待できない。支援費制度移行を契機に、抜本的な見直しが可能となるような計画とすることが期待されている。
    障害者は「地域に生きる生活者」との視点を欠かさない計画づくりが必要である。
    そのため、数値目標では入所施設の増設は掲げないとともに、入所施設から通所施設への移行について、支援制度を設けること。
    また、通所授産施設の絶対数の不足をふまえ、数値目標として、通所授産施設の飛躍的拡大を掲げること。

  6. 経済社会を反映した計画づくり
    従来、障害者が可能な限り一般就労につくことが目的とされてきたが、経済構造の変化による不況で、リストラ、不安定雇用が続くなか、一般就労で障害者が安心して暮らせる状況は少なくなっている。社会就労センター(授産施設)は、「第二の雇用の場」として期待されている。
    これまでの、雇用か福祉かの二者択一ではなく、「雇用+福祉」の支援の場として、社会就労センター(授産施設)を重視し、施策の充実を盛り込むこと。

  7. 所得保障の充実
    地域生活を可能とする所得保障の確立が急務である。年金、雇用保険、障害者年金の財源を活用した所得保障の充実・確立が不可欠である。


新障害者基本計画骨子1,2(素案)に対する意見

  1. 前提
    新障害者計画、障害者プランの実効性を担保する予算の確保
    すばらしい計画や数値目標があっても、それらの実現を担保する予算がないかぎり、意味をなさない。計画やプラン作成の前提として、科学技術振興費のように予算削減の対象とせず、さらに、障害者福祉を重点分野にかかげること。

  2. 基本的な方針に盛り込むべきもの
    障害者をめぐる法体系整備
    さまざまな障害にかかる差別を禁止する法律(日本版ADA)、援護就労保障法を創設し、障害者の生活しやすい環境と、労働施策と福祉施策を統合させ平等な就労機会を保障する。
    また、障害者が主たる障害種別によって提供サービスに格差が生じないように、各障害別福祉法を統合することが求められる。
    また、そうした統合法のもと、地域生活移行の視点をもち、現在の障害者の実像にふさわしい施設体系を構築する必要がある。

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新しい障害者基本計画「新障害者プラン」に対する意見

社会福祉法人日本盲人会連合会長 笹川 吉彦

 高齢化の進行、少子時代となった今日、21世紀の社会福祉、特に障害者福祉を如何に展開するかは極めて重要な課題である。障害者に関する新長期計画、障害者プランの最終年度に当り、新しい障害者基本計画「新障害者プラン」の策定が決定し、平成15年4月1日からスタートすることになったが、その策定に当っては先ず第1にこれまでの計画の中で未達成となっている問題、言い換えれば解決困難な問題を中心に、計画進行中に発生した諸問題、例えば介護保険制度のスタート、IT社会の到来、さらには機構改革による厚生労働省の誕生、地方分権そして来年度からはじまる社会福祉基礎構造改革に基づく支援費制度を取り入れ、全ての障害者に平等に光の当る実行性のあるものにしなければならない。日本国憲法は基本的人権の保障を謳い、法の下の平等を約束している。障害者の人権が保障され一人の人間として地域で生き、いささかでも社会に貢献し満足出来る人生を全う出来る新障害者プランにしなければならない。
 また、社会の変化は著しくその変化に柔軟に対応出来る、また積極的に取り入れられるものにすべきである。具体的には、

  1. 地方分権への対応
     中央集権から地方分権となった今日、地方自治体が障害者施策とどう取り組むかは障害者にとって大きな問題である。特に来年度からスタートする支援費制度については、介護保険制度同様、地方自治体が実施主体となることから、各自治体に障害者施策推進協議会の設置を義務付け、当事者参加の下に障害者施策推進計画の策定をも義務付ける必要がある。特に留意しなければならないことは、自治体間に格差を生じないこと、広域的に施策が展開出来るよう図ることである。

  2. 高齢障害者、重複障害者への対応
     昨年6月に実施された身体障害者実態調査によるとその高齢化は著しく、視覚障害者を例に挙げると70歳以上が51.3パーセント、60歳以上が実に73.4パーセントとなっている。一方、障害の重度化も進行している。いずれの場合も高齢と障害あるいは二重障害と障害者の中でも最も厳しい状況に置かれている。計画策定に当っては、これらの障害者に対する施策を最優先し、安心して暮らせる生活環境、生きがいと希望を持つことの出来る施策を展開する必要がある。

  3. 障害の特性、等級に配慮したきめ細かな施策の展開
     全ての障害者に平等の施策を展開する上で最も重要なことは障害の種別や等級に十分配慮することである。例えば視覚障害者に対するパソコン教育は視覚障害者特有の機器やソフトの整備、そしてその操作をマスターした指導者が必要である。また、同じ視覚障害者でも等級が異なれば使用する機器も指導方法も異なって来る。歩行困難な重度障害者に対しては、講習会での指導は不可能であり、当然訪問指導方式が求められる。全ての施策においてこうしたきめ細かな方策が採られる必要がある。

  4. 費用の一部負担の在り方
     各施策における費用の一部負担については、特に20歳以上の障害者については本人の所得を原則とすべきである。各種のサービス制度があっても扶養義務者の所得までが対象となれば、必要なサービスを受けるにも支障をきたし、障害者の人権をも犯す結果となる。社会全体の支え合いで「共に生きる」社会を目差す今日、あくまでも費用の一部負担は本人の所得とすべきである。

  5. 数値目標と年次計画
     新障害者プランにおいては、障害者プランで見られたような数値目標、年次計画を立て十分な成果が得られるよう図るべきである。また数値目標を設定するに当っては、ただ単に数字を羅列するだけではなく、障害種別、等級別にきめ細かく規定する必要がある。例えば、障害者の雇用について1.8パーセントという法定雇用率が定められているが、障害種別、等級別の規定がないため、重度障害者、特に重度視覚障害者の雇用は遅々として進まず、置き去りの状態となっている。

  6. 新機構としての取り組み
     政府の機構改革により厚生労働省となった。これまでは縦割り行政の弊害から問題によってはたらい回しされるケースが少なくなかった。今後は両者間の連携を密にし、十分な成果が得られるよう図るべきである。例えば、障害者の就労については、これまで雇用を中心に推進されて来たが、重度障害者の多くが従事している自営業については融資制度がある程度で、有効な施策がほとんど採られていない。今後は雇用という視点からではなく、就労という視点から問題を捉え、有効な施策を展開すべきである。

  7. 当事者の意見の反映
     国際障害者年以来、「政策決定の段階から当事者が参加する」という方向が打ち出され、大きな成果を挙げて来た。しかしまだ不徹底な点が多く「知らない間に造られてしまう」というケースも少なくない。特にユニバーサルデザイン風潮の今日、当事者の参加は極めて重要である。そのためには新障害者プランに「当事者の参加」を明記する必要がある。

  8. アジア太平洋地域における日本の役割と国際的な活動の推進
     アジア太平洋諸国のリーダーとしての日本に対する期待は大きく責任は重い。
     しかし、未だその期待に応え得ず世界的に見てもアジア太平洋地域の活動の鈍さが目立つ。また国際交流の面でも極めて不十分であり、一部には消極さに対する批判さえ聞かれる。今後はアジア太平洋地域における先進国としての責務を果たすべきであり、そのための施策を具体的に盛り込むべきである。

  9. 関係法令等の整備
     新しい障害者基本計画の実施に当っては、その基本となる関係法令等の整備が必要である。例えば障害者基本法については見直しの時期に来ており、その他民法や介護保険法、障害者の雇用の促進に関する法律など緊急を要するものも少なくない。また、国際的にはADA法(アメリカ障害者差別禁止法)施行以来先進国を中心にすでに40ヵ国余りが差別禁止に関する法律を制定しており、これらの動きも視野に入れ、法令等の整備に積極的に取り組む必要がある。
     各分野に対する意見については、改めて提出する。

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「新しい障害者基本計画」についての意見

独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長 細村 迪夫

  1.  「基本的考え方」の「・障害のある人の社会参加を阻むあらゆるバリアの解消」に関連して、「国際生活機能分類(ICF)」における「機能障害」(impairment)、「活動制限」(activity limitations)及び「参加制約」(participation restricttions)の概念を盛り込んで欲しい。

  2. 「21世紀の特殊教育の在り方について」(最終報告)には、「ノーマライゼーションの進展に向け、障害のある児童生徒等の自立と社会参加を社会全体として、生涯にわたって支援する。」と述べられています。
     このような考え方を「基本的考え方」においても述べてほしい。例えば、「障害のある人の自立と社会参加を社会全体として、生涯にわたって支援する。」、「障害のある人の自立と社会参加を社会全体として、その人のライフステージやニーズに応じて支援する。」というような表現を盛り込んでほしい。

  3.  行政機関が障害のある人に関する諸施策を効果的に実施するためには、医療、福祉、労働、教育等の関係部局の密接な連携・協力が不可欠です。
     そのため、「基本的な方針」の「総合的かつ効果的な施策の推進」において、関係部局の密接な連携・協力の重要性を強調してほしい。例えば、「関係部局が一体となって」、「医療、福祉、労働、教育等の関係者が一体となって」というような表現を盛り込んでほしい。
     また、いわゆる縦割り行政システムが、関係部局の密接な連携・協力の阻害要因として指摘されています。そこで、例えば「都道府県知事や市町村長が強いリーダーシップを発揮して、関係部局の密接な連携・協力を図ることが必要である。」、「関係部局の職員等でプロジェクトチームを編成するなどして、施策の実施に当たることが大切である。」といった表現を盛り込んでほしい。

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新プランへの意見

社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会会長 谷中 輝雄

 障害者計画の目標はノーマライゼーションの理念を具現化することであります。障害者プランにおいては、精神障害者の社会復帰施設の数値目標が掲げられ、2002(平成14)年での施設整備が行われました。今後は施設整備を推進すると同時に地域における生活支援システムを構築していく必要があります。
 全精社協としては、「精神障害者の社会復帰にむけた体制整備のあり方に関する研究」(主任研究者北川定謙)の分担研究として「精神障害者社会復帰施設から地域福祉への展開とこれからの展望に関する研究」(分担研究者谷中輝雄)をとりまとめたところでもあります。そこで、今後の展望として述べた部分を意見として提出いたします。

地域で支えあうシステムを
 精神病院から社会復帰施設への流れをつけたのが障害者プランであり、今後、新障害者プランでは施設から地域の中で支え合うシステムを生み出すことが求められる。即ち、ノーマライゼーション実現化のための作業である。施設整備計画の見直しを行うと同時に地域生活支援システムを構築することが必要である。さらにはケアマネージメントの導入によって総合的サービスを市町村が窓口となって提供する体制のあり方を提示しなければならない。そして適切な範囲は人口規模としてどの程度であるかを設定して計画を立案しなければならないであろう。

  1. 利用者主体の地域生活支援システム
     ケアマネージメントの導入の焦点は利用者主体のサービス体系を生み出し、利用者の自己決定、自己選択を中心としたものでなければならない。施設処遇を中心とした時代は専門家主導型でもあった。地域で支え合うネットワーク化では利用者主体としての利用者と専門家が協同してシステム化をはかることをどのように具現化するかである。利用者にとって専門家はパートナーとしての役割と機能を持つことでもある。
     これらの活動の中軸は地域生活支援センターが機能することになるであろう。地域生活支援センターは生活支援ネットワーク化のための重要な地域拠点となる。ケマネージメントの本格的な導入に際しては相談の窓口は市町村が担うにして、生活支援を維持・継続していくために、ケアマネージメントは地域生活支援センターが担うことになるであろう。
     地域生活支援センターは、地域住民参加、当事者参加のもと支援ネットワークを生み出したり、必要な資源を開発したりする役割を担うことになるであろう。
     今後は、地域生活支援センターの役割と機能を明確にしていく作業が必要とされる。

  2. 圏域の設定
     国が定めた圏域は人口30万人を単位としている。30万人に地域生活支援センター2ヶ所である。市町村を中心に活動の展開をはかる際には、30万人を1単位とする規模では大きすぎる。現実的には15万人(生活支援センター1ヶ所)を単位として具体的なシステムを構築しようとする動きがみられる。さらには、5万人、3万人の単位で圏域をしぼりこんでいく傾向がみうけられる。ここでは15万人を1単位として考察することにし、3障害統合の地域生活支援センターでは、人口5万人に1ヶ所も可能ではないかと考え、ブランチも視野にいれて検討することとした。
     今後が5万人もしくは3万人規模で生活支援ネットワーク化をはかることになってくるであろう。

  3. 3障害統合と高齢者サービスとの整合性
     すでにいくつかの地域では、3障害の統合化や高齢者のサービスとの整合性の点で一体化した構想を持っている。
     東松山市が提案しているような「一時的に生活のしづらさをもっている人全般に対するサービス提供」といった地域住民全体の福祉をめざすことから、町づくり、村おこしへと拡がりをもった活動となっていくであろう。
     障害の統合化はサービス体系を共有化することであり、地域生活支援センターに精神保健、身体障害、知的障害の専門家を集中させ、情報の共有化をはかることから始められる。施設の混合利用やサービスの共有化には法律と制度の改正も必要となろう。

  4. 施設整備計画
     基本的には施設整備は「障害者プラン」の目標を達成させなければならない。したがって、目標に達成しなかった分は新プランに送り込むことになろう。
     しかしながら、あまり要望がないということは、何らかの問題があると思われるので、再検討すべきである。第一は入所授産施設である。もともとノーマライゼーションの考えでいう住と職の分離に反した形での出発で当初から反対の意見もあったところである。第2は福祉工場である。雇用促進の課題として、福祉工場は最も必要とされるものである。しかし、最低賃金を保証するためには、生産性のある仕事の導入を試みなければならず、現実的には大変困難を極めている。企業との連携等も検討し、有効活用をはかるべきものであると考えるものの、今後の建設にはあまり期待できない。企業内福祉工場や営業を停止した工場などの再利用など、従来の発想とは違った観点から見直す必要があろう。以上のことから人口規模によって数値を想定すると人口100万人に福祉工場1ヶ所、人口30万人に生活訓練施設1ヶ所、福祉ホームB1ヶ所、人口15万人に通所授産1ヶ所、人口7.5万人に小規模授産1ヶ所、福祉ホーム1ヶ所、人口5万人に地域生活支援センター1ヵ所、グループホーム1ヶ所、小規模作業所1箇所の配置である。さらに就労支援センターを人口35万人に1ヵ所配置する。福祉ホームB型は、高齢者を中心としたケア付きグループホームとして活用することとする。
     ショートステイについては地域生活支援センターにショートステイ可能な宿泊の整備をはかることが現実的な対応である。地域生活支援センターには一人分緊急宿泊分を確保すること。さらには、生活訓練施設の利用を柔軟な対応をはかり、空き部屋の利用で最大50%までの利用を認めること、多障害を持った精神障害者に対する既存施設の利用を早急に検討するなど、今後は制度的に創意工夫が求められてくるであろう。

  5. 生活支援ネットワーク化
     中心は地域生活支援センターが担い、地域住民、当事者参加のもと、生活支援チームの形成や地域におけるボランティア、職親、患者会等のグループの組織を支援し、これら団体や機関からなる支援団体を結成する働きなどが、地域で生活を支える基本的な支え合いのネットワークなのである。
     人口5万人に1ヶ所の地域生活支援センターは、地域全体の社会資源をコーディネートする役割を担い、必要によってはさらにブランチを配置できることとする。地域生活支援ネットワーク化は住民の住む場の近くでなければ実行が不可能であり、圏域を小さなものへとする努力が必要である。

  6. 市町村と地域生活支援センターとの関係
     ケアマネージメントの本格的導入と相談窓口の一本化そして居宅生活支援事業を有効活用していくためには、市町村が実施主体として総合的なプランをもたなければならない。その上で、地域生活支援センターとの連携をはかり、運営主体として委託をはかる形態が望ましい。社会復帰施設は従来のような補助体制を継続していくこととして、地域生活支援センターは半ば公的な責任性を帯びた上で利用者主体の地域生活支援システムを構築していくことが必要である。
     今後、市町村が地域生活支援センターとの関係をどのように位置付けるかがノーマライゼ−ション具現化のための重要なポイントとなるであろう。

  7. おわりに
     地域生活支援センターについては、平成14年度4月1日現在、325か所が運営されており、平成14年度末までには、およそ400か所、人口30万人あたり1か所の整備が見込まれる。
     整備目標として、人口5万人あたり1か所の整備について提言したが、現状を勘案すると、まず、今後の5か年においては、人口15万人あたり1か所、全国に800か所の地域生活支援センターを整備することが急がれる。

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