日時
平成14年9月4日(水)15:00〜17:00
場所
中央合同庁舎第4号館 共用第2特別会議室
松下副大臣 | ||
江崎政策統括官 | ||
大前大臣官房審議官 | ||
吉冨参事官 | ||
安藤 豊喜 | (財)全日本ろうあ連盟理事長 | |
池末 亨 | (財)全国精神障害者家族会連合会常務理事 | |
伊藤 勇一 | 全国身体障害者施設協議会副会長 | |
雄谷 助成 | (財)日本知的障害者福祉協会理事 | |
鹿島 晴雄 | 慶應義塾大学医学部教授(日本精神神経学会理事) | |
河端 静子 | 日本障害者協議会代表 | |
北浦 雅子 | (福)全国重症心身障害児(者)を守る会会長 | |
君塚 葵 | 全国肢体不自由児施設運営協議会理事 | |
座長 | 京極 高宣 | 日本社会事業大学学長 |
笹川 吉彦 | (福)日本盲人協会連合会会長 | |
潮谷 義子 | 熊本県知事 | |
竹中 ナミ | (福)プロップ・ステーション理事長 | |
鶴岡 啓一 | 千葉市長 | |
松友 了 | (福)全日本手をつなぐ育成会常務理事 | |
松矢 勝宏 | 東京学芸大学教育学部教授(日本障害者雇用促進協会評議員) | |
山内 繁 | 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所所長 |
議題
(1)開会
(2)意見発表
(3)分野別瀬策の基本的方向骨子(素案)について
(4)その他
(5)閉会
配布資料
1 分野別施策の基本的方向骨子(素案)
2 各委員からの意見
参考資料
1 基本的考え方骨子(素案)
2 委員提出参考資料
内容
午後3時00分開会
○京極座長 定刻になりましたので、これより新しい障害者基本計画に関する懇談会の第4回目を開催いたします。
委員の皆様方におかれては、ご多忙中のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、秋山委員、紀陸委員、兒玉委員、斎藤委員、清野委員、細村委員、松尾委員、丸山委員、宮原委員、村上委員、谷中委員が、ご都合によりご欠席でございます。また、内閣府から松下副大臣がご出席でございます。
議事に入る前に、初めに、前回の障害当事者の参考人から出された質問・要望への対応状況について、ご説明をいただきたいと思います。
○吉冨参事官 それでは、現在の対応状況をご説明申し上げます。
前回の懇談会で知的障害、精神障害の当事者の方から参考人としましてご意見を拝聴しました際に、ご質問・ご要望が出されてございます。これらのご要望の中には支援費制度に関する周知徹底などのこれからすぐに対応できるもの、さらにはグループホームの拡充などの15年度予算で対応しようとしているもの、こういったものから、グループホームの家賃補助、精神障害者生活支援センターへのショートステイの併設などの事業の見直しが必要なもの、さらには障害基礎年金の受給要件の緩和などの制度改正を要するもの、こういったさまざまなものがございました。
これらご要望のございました内容につきましては、障害者基本計画・障害者プランに関します関係省庁の検討チームで対応を検討しているところでございます。今後、できるだけ早くご要望のございました内容を、直ちに対応可能なもの、15年度予算で要求しているもの、さらに新基本計画・プランで対応を検討していくもの、そして、今後、中長期的にさらに検討を要するもの、また、対応の困難なもの、こういったようなカテゴリー別に整理をしまして、できるだけ早く障害当事者の方にご回答をしたいというふうに考えております。また、その内容につきましては次回懇談会でご説明をしたいというふうに考えております。
なお、日野参考人からご質問がございました。その内容は、就労と障害年金との関係で、医師から障害年金の1級を受給すると就労できないと言われたと、こういったようなご質問がございましたが、この点につきまして厚生労働省に確認をしましたところ、就労していることをもって支給されないとの制度にはなっていないと、しかし、医師が診断の際に就労の実態を判断要素として加味することは考えられると、このような回答がございました。
以上でございます。
○京極座長 ありがとうございました。
それから、お手元に配付資料がございまして、1つは、私がお約束をしたのですけれども、前回は出版が間に合わなかったのですが、東洋経済新報社から、『障害を抱きしめて−共生の経済学とは何か−』というのがございます。それから、竹中委員から大変すばらしい写真集で『チャレンジド』というのがあります。とりあえずご紹介をさせていただきます。
それでは、早速、議事に入りたいと思いますが、お手元に皆様からあらかじめ文書の形で提出をいただきましたご意見をお配りしてありますが、内容について何か補足することがありましたら手短にお願いいたします。委員で補足説明がある方は挙手をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
よろしいですか、文書でかなり詳しく出ておりますので。
それでは、前回に引き続きまして、きょうは分野別の問題でございますけれども、「基本的な考え方骨子(素案)」についてまだご意見がございましたら引き続き意見交換をさせていただきまして、その後、きょうの議題であります「分野別施策の基本的方向の骨子(素案)」について議論をしたいと思います。
それでは、前回に引き続いて、ご意見をまだ十分にいただいていない方もいらっしゃいますので、基本的な考え方につきましてございましたらどうぞ。いかがでしょうか。
竹中委員。
○竹中委員 この「基本的方向骨子」というのに対する意見ということでいいのでしょうか。今回ご配付をいただいているものではなくて……。
○京極座長 一番後ろの方に参考資料1として「新障害者基本計画骨子(素案)」が、その中に「I 基本方針」がございまして、裏の方に資料としてついております。
○竹中委員 この中についているいろいろな分野についての意見を述べてもよいということなのでしょうか。
○京極座長 分野別についてはきょうの議題ですので、後でいただきたいと思います。
○竹中委員 わかりました、すみません。
○京極座長 前回に大分ご議論をいただきましたので、また分野別の施策の検討とともに
○安藤委員 安藤ですけれども、基本骨子の中で用語について確認を要するものがあるのではないかと思うのですけれども。基本的な考え方のポイントの最初ですけれども、「障害の有無にかかわらず、相互に個性を尊重」としておりますけれども、この「個性」をどう理解していくのか。つまり、今、各分野では、障害も個性とうたわれるような考え方も出ていますけれども、実際、いろいろなバリアを抱えている障害問題を単に「個性」と考えていいものかどうか、国際的にも個性・生活の分類など細かく分析がされていますけれども、このように障害についてはきちんとした定義というものを出すべきであって、「個性」という表現で理解できるものではないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○京極座長 これは用語についてのご議論で、ここで言う「個性」は、障害のことを個性と言っているわけではないんですね。
ちなみに、今、安藤委員からご意見が出ましたが、大変重要なご指摘だと思います。私も、しばしば障害を個性ととらえるという見方があって、その考え方にはプラスの面もないわけではないと。つまり、個性として認め合うという点ではプラスの面もありますけれども、では障害を個性と一緒にしてしまいますと、本当は障害は状態像を言うわけですので、例えばそれに対するリハビリをどうするかとか、積極的な取り組みについては個性だからもう認めてしまうという、やや消極的なとらえ方というか、現状を改善していこうという動きに対してもうそれでいいんだというあきらめの考え方にもつながる要素がございまして、障害イコール個性論というのは、一面は、差別をしないという点では非常にいい考えですけれども、他面では、これからチャレンジドでまさに克服していく課題をとらえていないという点で不十分なところもあるのではないかと思っております。ここで言っているのは、そういう意味ではなくて、「障害の有無にかかわらず」と言うのだから、障害のない人の個性も含めてお互い同士尊重をし合うという、ここでは広い意味だと受け止めてよいのかと思いますが。本検討会では、障害イコール個性というとらえ方はしないということで確認をしておいたらどうかと思いますが。
ほかにどうでしょうか。
○河端委員 「基本的考え方」の4番目、これは言葉の表現なのですけれども、「障害のある人の挑戦支援」の「挑戦」というのは、どういう意味にとらえればよろしいのですか。積極的に生きるという、いろいろなことをして生きていくという意味なのでしょうけれども、この言葉使いの意味をもうちょっとわかりやすいような表現にしていただけないだろうかというのが1つ。
それから、あと、「基本的な方針」の中の3番目の「障害の原因となる疾病等の予防」、この次には「治療」という問題も一応お願いしたいということをこの前のときに申し上げたのではないかなと。予防だけをやっても、やはり治療を積極的に、自分で治そうという気がなければだめですし、また、医療関係者も治そうというふうな積極的な姿勢でいらっしゃるのでしょうから、それから、施設にしても、親たちにしても、在宅の人たちも、自分自身が治療をするんだと、よくしていくんだと、そういうことも考えさせていただきたいなとこの前のときに申し上げたような感じがするのですけれども、いかがでしょうか。
○京極座長 これは、前回にもうご議論いただいたことはご議論いただいたこととして、最終的にこの素案を修文するときに含めて検討するということで、きょうの分野別の施策の検討を踏まえまして全体としてどうするかということのときに、既にご議論をいただいておりますので、その中で検討をしていったらどうかと思います。前回もいただいておりますので。
○河端委員 そうですね。「挑戦」というのはいかがなのでしょうか。
○京極座長 言葉の使い方ですね。
○吉冨参事官 「挑戦」という表現をとりますことにつきましても、前回にご意見をいただいております。私どもとしましては、「挑戦」という言葉は、障害のある人が最大限その能力を発揮していくと、そういった試みを支援していく必要があるのではないかと、こういったような意味合いで、最近、比較的よく「挑戦支援」という言葉が使われておりますので、そういった理由でこういった表現をとりあえず使っているということでございます。
○京極座長 挑戦的課題への支援ということなので、表現についてはまた検討をしたいと思います。
ほかにどうでしょうか。
潮谷委員。
○潮谷委員 大変気になっているのですけれども、当然含まれて今後は処理をされるというふうに思いますが、この「新障害者基本計画骨子」の「すべての人の社会参加の機会均等」という、「基本的考え方」の中の2ポツ目です。すごく気になっている点は何かといいますと、障害者を囲む家族に対しての支援体制、これはすべての人の社会参加の機会均等と非常に触れ合ってくるというふうに思いますので、今後の論議の中でその辺の視点は整理されるというふうには思いますけれども、再度、障害者を有する家族に対しての視点という点は今後必ずどこかで論議される、あるいは含むという形の中での方向性が示されるというふうに思いますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
○京極座長 「基本的考え方」のどちらかというとその内容の検討になりますので当然含めて考えていくべきかと思いますが、ここではポイントだけ出ておりますので、あとは中身を説明する中で詳しくしていったらどうかと思います。
事務局の方で何かありますか。
○事務局 ございません
○京極座長 いかがでしょうか。
○北浦委員 この1番の「障害の有無にかかわらず、相互に個性を尊重し」のところに「可能性を求めて」と一言入れていただけると、何か支え合うというのが生きてくるような気がするのですけれども。
○京極座長 ほかにどうでしょうか。
それでは、まだいろいろとございますでしょうが、「分野別施策の基本的方向」につきましてきょうは集中的に議論をしまして、そういうものを踏まえて全体をもう一回見直すというふうにしたいと思います。
それでは、次に、内閣府の方から「骨子(素案)」についてご説明をお願いいたします。。
○吉冨参事官 それでは、「分野別施策の基本的方向骨子(素案)」についてご説明を申し上げます。
配付資料の1をごらんください。この「骨子(素案)」は各分野の施策の基本的な枠組みと方向性について取りまとめたものでございまして、啓発・広報など、8分野で構成をしてございます。これから最終的に基本計画を取りまとめていくに際しましては、より具体的な形で施策の方向性を盛り込みたいと考えております。また、それぞれの分野ごとに基本方針を掲げてございますが、この構成につきましては最終的にもこのような形で取りまとめたいというふうに考えております。なお、推進体制につきましては次回にご説明をしたいと思います。
それでは、それぞれの分野ごとにご説明をしてまいります。ちょっと量が多いものですから、ポイントだけかいつまむような形でご説明をしてまいります。
最初に「啓発・広報」でございますが、新基本計画では、「基本方針」としましては、目指すべき社会像としまして共生社会を掲げてございますが、この理念の普及を図りますとともに、障害や障害者に関します国民理解を促進していくということを基本方針としたいと考えております。
「施策の基本的方向」では、行政、企業、NPO等の連携によります啓発活動を強力に推進しますとともに、3にございますように、障害者の方が地域で安心して生活できますように、公務員を始めとします各種公共サービス従事者への障害者に関する理解の徹底を図る、こういったようなことにつきましても重視をしてまいりたいと考えております。
その次に「生活支援」でございますが、「基本方針」としましては、利用者本位の考え方に立って生活支援体制の整備やサービスの量的・質的充実を図るということでございます。
次に「施策の基本的方向」では、まず「生活支援体制の整備」につきましては、ケアマネジメントの実施体制の整備など、身近な相談支援体制の整備を図りますとともに、地域福祉権利擁護事業や成年後見制度の利用援助など、権利擁護の推進を図ることとしております。さらに、障害者団体や本人活動の支援ということで、障害者本人活動の支援の強化を考えております。次に、「在宅サービス等の充実」でございますが、在宅サービスやグループホームの量的・質的充実を図りますとともに、障害者の家族に対する支援も重視をしたいと考えております。次に、「施設サービスの再構築」でございます。ここでは、障害者本人の意向を尊重して、施設入所から地域での自立生活への移行を促進してまいりますことや、施設体系につきまして、施設機能のあり方を踏まえた見直し、さらに、重度・高齢化や行動障害などに対応した医療的ケア等を確立することを内容としたいと考えております。そのほかには、「スポーツ、文化・芸術活動の振興」、「福祉用具の研究開発・普及促進と利用支援」、また、自己評価や第三者評価などによります「サービスの質の向上」、また、精神保健福祉士等の「専門職種の養成・確保」等でございます。
次に「生活環境」でございますが、ここでは、自宅から、交通機関、まちなかまで、連続したバリアフリー環境の整備の推進を図りますことを「基本方針」としたいと考えております。
「施策の基本的方向」では、まず、「住宅・建築物のバリアフリー化」につきましては、障害者向け公共賃貸住宅の供給やバリアフリー化された住宅ストックの形成、ハートビル法に基づきます建築物のバリアフリー化の推進、こういったことについて取り組んでまいりたいと思います。また、「公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化」につきましては、交通バリアフリー法に基づきまして、旅客施設を中心として、旅客施設、道路等のバリアフリー化を重点的・一体的に推進してまいります。また、鉄道駅やバス、船、航空ターミナル、そして、鉄道車両やバス車両、船、航空機のバリアフリー化を推進します。歩道につきましてもバリアフリー化された歩行空間のネットワーク整備を推進します。これはどういったことかと申しますと、市街地の駅、商店街、病院などの周辺や、こうした施設を結ぶ歩道をバリアフリー化すると、幅の広い歩道にする、あるいは段差を解消するといったようなことでバリアフリー化をしていくということでございます。なお、3にございますように、「防災・防犯対策」についても盛り込みたいと考えております。
次に「教育・育成」でございますが、「基本方針」としましては、教育、福祉、医療等の関係機関が連携しまして、乳幼児期から学校卒業後まで、自立や社会参加に向けた教育・育成施策の充実を図ってまいります。
「施策の基本的方向」としましては、まず、乳幼児期から一貫した相談支援体制の整備と地域におけるサービス提供者間の連携強化を図ること、そしてまた、教育・療育機関は、障害のある児童・生徒の特別なニーズにこたえる地域のセンターとして位置づけまして活用すること、こういったような形で取り組んでまいりたいと思います。また、4にございますように、後期中等教育・高等教育におけます就学支援、学校卒業後の就労等につきましても推進をしてまいります。また、学校施設のバリアフリー化も進めてまいります。
その次に「雇用・就労」でございますが、雇用・就労は、障害者の自立、社会参加のための大変重要な柱でございます。このような認識のもとに、障害者の方が能力を最大限発揮し、働くことによりまして社会に貢献できるよう、障害の特性を踏まえた条件の整備を図ることを「基本方針」としたいと考えております。
「施策の基本的方向」といたしましては、まず「雇用の場の拡大」につきましては、雇用率制度におきまして、除外率の縮小や精神障害者を雇用義務制度の対象とする取り組みのための検討を進めると、こういったようなことを進めたいと考えております。また、重度障害者多数雇用事業所や特例子会社を活用しまして、障害者の能力・特性に応じた職域の拡大に努めてまいります。また、短時間雇用、在宅就業等、障害者が働きやすい多様な雇用就業形態の促進を図ってまいります。さらに、(4)にございますが、雇用促進のためにITを積極的に活用した取り組みを展開してまいります。(5)でございますが、障害者の雇用・就労関係事業の活性化の方策としまして、官公需におきます優先発注などを検討したいと考えております。
次に、2としまして「総合的な支援施策の推進」でございますが、まず、保健福祉、教育との連携を重視した職業リハビリテーションの推進でございます。ここでは、ジョブコーチの活用や、障害者就業生活支援センターによります身近な地域での支援ネットワークの形成など、関係機関の連携を重視した支援体制を構築してまいります。また、雇用への移行を進めますために、授産施設等におけます支援、さらには盲・ろう・養護学校の在学中から卒業後までを通じた支援、こういったように福祉・教育機関等との連携にも重視をしながら円滑な雇用への移行を図ってまいります。また、雇用の場におけます障害者の人権の擁護にも配慮をしてまいります。
次に「保健・医療」でございますが、保健サービス、医療・医学的リハビリテーションなどの充実、そして、障害の原因となります疾病等の予防・治療を基本方針としたいと考えております。
「施策の基本的方向」としましては、まず、「障害の原因となる疾病等の予防・治療」でございますが、予防や早期発見、早期治療のため、各種健康診査等を推進してまいります。なお、児童虐待や交通事故・労災事故などの社会的要因によります障害の予防につきましては、「基本方針」の中で言及をしたいと考えております。次に「精神保健・医療施策の推進」につきましては、これは精神病床の機能分化、精神科救急システムの充実等を推進したいと考えております。なお、保健福祉施策の充実につきましては、これは「基本方針」の中でも柱を立てまして、その推進につきまして位置づけてまいりたいと考えております。その他には、「研究開発」や「専門職種の養成・確保」といったことに取り組んでまいります。
次に「情報・コミュニケーション」でございますが、「基本方針」としましては、情報通信技術の活用によります自立、社会参加の支援と情報格差の是正、デジタル・ディバイドの解消が基本方針でございます。
「施策の基本的方向」としましては、まず「情報バリアフリーの推進」ということでございますが、ここでは、情報リテラシー、情報の活用能力向上のための取り組みを推進しますとともに、障害者が使いやすい機器やシステム、障害者に配慮したホームページなどのコンテンツの開発・普及を促進してまいります。また、電子投票やテレワーク等、「社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及」を促進したいと考えております。「情報提供体制の充実」としましては、視覚・聴覚障害者の方のための情報提供関連施設の整備を促進しますとともに、緊急通信や災害時の情報伝達等の体制を整備してまいります。「コミュニケーション支援」としましては、多くの場所で手話が使えるように、国民の手話に対する理解を促進してまいりたいと考えております。
最後に「国際協力」でございますが、「基本方針」としましては、「アジア太平洋障害者の十年」がさらに10年延長されたことなども踏まえまして、アジア太平洋地域への協力関係の強化に努めたいと考えております。これが「基本方針」でございます。
「施策の基本的方向」としましては、リハビリテーション技術の交流、技術指導者の養成等の国際協力の推進、そして、国連や各種の国際的な非政府機関におけます行動計画やガイドラインの作成などの取り組みに、関連する既存条約等との関係にも留意しながら、積極的に参加をしてまいりたいと考えております。そして、障害当事者の皆様による国際交流を支援してまいります。
以上でございます。
○京極座長 ありがとうございました。
ただいまご説明をいただいた「分野別施策の基本的方向骨子(素案)」に対して、質問を含めて何かご意見がございましたらお願いいたします。ばらばらにやってもあれですから、項目ずつやっていきますか。
では、まず「啓発・広報」、1ページでございます。「基本方針」があって具体的な施策が並ぶということで、わかりやすい整理だと思いますが。これに関して……。
笹川委員。
○笹川委員 「啓発・広報」で一番大事なことは、国民により理解していただくということです。それにつきましては、やはりもっとマスコミの力を借りる必要があると思うんですね、これには全然そういうことは入っていませんが。特に公共放送等の活用。これは国際障害者年が実施されたときに2年ほどNHKが、障害者のコマーシャルといいますか、PRといいますか、それを入れました。それはかなり効果があったのですけれども、その後全くマスコミがこの障害問題をとらえていない、報道をしていない。ぜひマスコミの力を借りるような方向を考えてもらいたいと思います。
○京極座長 それは前の議論でも出ましたね。
○安藤委員 安藤ですけれども。この「啓発・広報」についても、この内容がもう10年前からずっと言われてきています。現在、高齢化社会という背景もあって、国民全体の障害者に対する理解というものはかなり浸透しているのですけれども。したがって、今、啓発とか広報を考える場合、国民の理解のレベルはどの程度あるのか、どのような課題があって、その対応にはどのような効果的な宣伝が必要なのかというような具体的な分析というものがあって、それを踏まえるというような考え方が必要ではないかと思うのですけれども、スローガン的なものをいくら繰り返してもそれはきちんとした今の条件に合わせた啓発ということにはなり得ないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○京極座長 これに関しては、オブザーバーの方で何か、厚生労働省なり、文部科学省なり、ございますか。
○安藤委員 補足ですけれども、例えば聴覚障害者の理解ですけど、国民への手話の普及とか、テレビ番組での取り上げなどがあって、聴覚障害者や手話問題は国民に浸透しているとの認識があります。手話とか聴覚障害者問題に限ってはそうですけど、ほかの障害者問題はそうではないと思います。したがって、今、国民の障害者への理解のレベルはどうなのか、今後の効果を考える上でどのような方法が必要かと言うような分析が望まれているということです。
○吉冨参事官 ただいま安藤委員からご指摘がございましたが、実は、内閣府、旧総理府を通じまして、障害者施策に関して国民の意識がどういったものになっているのかということを定期的に世論調査という形で実施をしております。その結果を見ますと、確かにご指摘のように、十分国民意識として理解が進んでいるかどうかという点につきましては疑問な点がございます。そういった点も踏まえまして、最終的にこの「基本計画」の中で啓発・広報に関する施策を考えます際には、具体的にどのような対応が効果があるのかといったようなことも十分検討しながら内容を詰めていきたいというふうに考えております。
○京極座長 なかなか総括するといっても難しいところだと思いますが。今回、「公共サービス従事者に対する」というのは新しい点ではないかなと、雇用促進率の上昇ともリンクしていますし。何かこれに関してほかに。
松友委員。
○松友委員 今、座長がおっしゃったように、私たちも要望として、公務員、特に警察、消防等の方々が、いわゆる一般的な理解を超えて、具体的な地域の中の支えとなる1つの中心になるような形のセーフティーネットという視点からも強く要望しておりまして、我々NGOレベルでもいろいろ実践をしておりまして、これは大変我々としてもうれしく思っておりますので、これは具体的にどういう形で予算化されるかという段階で期待をしたいと思いますので、これは高く評価をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○京極座長 北浦委員
○北浦委員 具体化ということですけれども、この「福祉教育やボランティア活動」というのを具体的にやっていらっしゃるところがあるんですね。施設に中学校の生徒が、修学旅行に行くのをやめまして、その修学旅行のかわりに重症児施設を毎年訪問しているわけです。初めは何か恐ろしくてそばにも寄れないと言っていた子供たちが、1週間もするとその子がにっこり笑ったというだけで心が非常に和んで、その中学校のその修学旅行というのはもう七、八年続いているのではないでしょうか。そういう学校教育とこの福祉とがどこかで連携をして方々でそういうことがあると……、つまり、若い人をなるべくそういうふうに育てていくことが大事ではないかと思いますので、文部科学省の方もいらしていますので、そういう面もあわせて考えていただけたらいいのではないかと思います。
○京極座長 ここに「福祉教育」と書いてあるのは、小学校低学年から成年、あるいは場合によってはお年寄りのボランティア活動も含めて幅広くとらえていると思うのですが。今は学校の先生も教員になる前に1週間の福祉施設等に−−実習と言うのか、見学と言うのか、ボランティアと言うのかはわかりませんけれども、そういうものが義務づけられていますので、大分変わってきたような気がしますけれども。
伊藤委員。
○伊藤委員伊藤でございます。
今のお話の件なのでございますが、当初からちょっとお話しを申し上げたと思うのでございますが、あと少し市民レベルのエネルギーが欲しいのではないだろうかという話を前回にさせていただきました。今回のこの「基本方針」の中に「国民理解を促進するため、幅広い国民の参加による……」ということが載っております。「基本的方向」として、今言った公共であるとか福祉教育の現場であるとかというのがあるのですが、一番先に「行政あるいは企業、NPO」とありますが、あと1つ。ここに「国民理解を」といううたい文句が出ておりますので、できれば、先般も申しましたとおり、あと少し市民レベルの何かを入れていただけないだろうかと、実はこういう要望でございます。
以上でございます。
○京極座長 ほかにどうでしょうか。
それでは、いろいろとまだ課題はございますので、2ページに行きまして、「生活支援」についてご意見を承りたいと思います。
これは従来は福祉と言っていたのですけれども、幅広く生活支援というふうに呼んでおります。7番の専門職種の並べ方が、社会福祉士や精神保健福祉士やソーシャルワーカーなんかは前の方に持ってきて、介護福祉士とか保育士なんかも入れて「等」というふうにした方がここは並び方がいいかなと思いますが、ちょっと細かいことですけれども。
ほかに何か気がついた点がございましたらどうぞ。
松友委員、どうぞ。
○松友委員 松友です。
先ほど京極先生がおっしゃった専門職種の養成・確保という問題は当然ですが、これは資格制度ができたときの議論にもなりましたが、いわゆる資格制度の位置づけといいますか、養成するだけではなくて、業務独占を含めた、いわゆるそういう意味での社会福祉士等の養成・位置づけ・確保というのをお考えなのでしょうか。そのあたりはいかがでございますでしょうか。
私は、今度、支援費制度、契約制度へ規制緩和されたということで、何をもってサービスの質を担保するかということになると、やはり専門職種の資質あるいはその配置、あるいは業務独占等の中でそれがなされなくてはいけないのではないかと考えるのですが、いかがでございますでしょうか。
○京極座長 ここは通常は「養成・確保」ということで行政的には言うのですけれども、養成・確保とともに幅広く活用すると、活用の視点をいろいろとということで、具体的な業務独占とかそういう中身に入ってしまいますとこれは微妙ないろいろな問題がありますので、養成・確保をしておけばあとは何かに使ってくれるだろうというのではなくて、民間も行政もあわせてともにこういう専門職種を有効に使っていくという視点で「活用」という言葉をどこかに入れたらいいかと思いますけれども。
○松矢委員 前回も生涯学習の振興ということについて触れましたが、この3ページの4項の「スポーツ、文化・芸術活動」の中に生涯学習が入るのかどうか。特に私は知的障害と発達障害のある方々の、要するに高等学校段階で教育が終わってしまうわけですね、それから大人になっていく人格形成、主体性の確立というのは生涯学習による以外にはないわけですね、それがどこにも入っていないわけです。今回も入っていないので、4に入るのか、それとも教育・育成の方に行くのか、その辺のところをちょっとお聞きしたいのですが。
○京極座長 これはどうでしょうか、教育の方に入っていたような気がするのですが。
○吉冨参事官 これは5ページの「教育・育成」のところにございますが、ここの「社会的及び職業的自立の促進」のところで触れたいと思っております。文章を整理する過程で「生涯学習」という言葉が全体として入りにくくなったものですから、明示的には書いてはございませんが、計画案を作成する中では生涯学習についてここで触れていきたいというふうに考えております。
○松矢委員 それは文章としてきちんと生涯学習はおもてにうたうべきであろうと。これは国の生涯学習振興法というのがあって、そこでは障害者については何も触れていないんですよね。ですから、この中では生涯学習というのは絶対に入れていきたい。特にエンパワーメントという課題があるわけですね。障害者の方々みずからがその力を、要するに人格を形成していくという面ですね。この点はスポーツ、文化・芸術だけではとても入りきれないわけです。その点を、今はこういうふうに変貌していく社会ですから、やはり生涯学習というのは障害のある方々にとっても基本的な課題で、絶対におもてに文言として出していただきたいと思います。
○京極座長 どうもありがとうございました。
河端委員
○河端委員 2ページのローマ数字の2の1の(3)、「障害者団体や本人活動の支援」という言葉が、この下の文章もそうですけれども、こういうのが入っていますことを大変歓迎いたします。そして、前は具体的なこういうことは本当に文章の中には見られなかったのですが、こういうふうに障害者本人の活動の支援を強化するということは非常に結構なことだと思います。ただ、「障害者の自立と社会経済活動」、その前に「社会経済活動」という言葉が入っていますが、私どもは、むしろ障害者の生きがいというのでしょうか、私たちはQOLと言いますけれども、やはり社会経済活動だけではなくて、生きがいを持って生活をすると、そのために我々は本人の活動、そういう団体の支援を地域の中で一生懸命しているのですけれども、そういう生きがいとか、この「経済活動」だけではなくて、そういうものをやはりどこかに入れていただきたいなと思います。
それから、先ほどおっしゃいました生涯学習の点も、私たちが地域の中で重度の身体障害者をデイケアで見守っているときに、やはり雇用するまでには、就業することはとても不可能であると、ただし、そういう生きがいのために手先の芸術的ないわゆる趣味を通じていろいろな対話が起きて、そこで自分たちが日常生活をどう生きていくかということを、皆さんがデイケアに集まったことによって、そういう話し合いの交流の中で、また、手先を使って作品をつくり上げることで1つの大きな生きる力というのが徐々に醸し出されておりますので、その辺も具体的になったらどういうふうに考えてくださるのかなというのがちょっと……。例えば先ほどの問題も、具体的にどういうふうに障害者本人の活動の支援をするのか。今までは「明るい暮らしの事業」とか何とかがありますので、その内容をもう少し具体的に見直していただけるのか、その辺は具体的になった場合はどういうふうに考えたらよろしいのでしょうか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
○京極座長 これはオブザーバーの方で。
○厚生労働省 ご質問の趣旨を取り違えているかもしれませんけれども、基本的に、例えば障害者の生きがいに関します事業ですと、例えばデイサービス事業であるとか、あるいは今おっしゃられた社会参加の事業とかがあると思うんですね。これはすべて地方団体を主体とするものでありまして、私どもはそれに対して財政的に支援をするという立場にあるわけでありますけれども、基本的には使いやすいように、なるべく制約をかけないで、それぞれの障害者のニーズに応じた形でできるようにというのが基本ではないかと思っておりまして、もし何か私どもの方で制約があるのであれば、そうした制約は基本的になくすべきだというふうに考えておりますけれども。ご質問の趣旨に合っているかどうかはちょっと確信が持てないのですが。
○吉冨参事官 補足をちょっとさせていただきますけれども。いわゆる障害当事者の皆様の生きがいのためのさまざまな活動ということにつきましては、3ページに4としまして「スポーツ、文化・芸術活動の振興」というものがございます。こちらで障害者ご自身が自己実現できるようなさまざまな活動、こういったものについて支援をしていきたいということでございます。
○河端委員 具体的にどういうような……、今までの支援というのは具体的には余りなかったんですよね。ですから、今後はそういう夢が持てるのでしょうか。
○京極座長 これは文章上の問題だと思いますけれども、例えば小規模作業所とかそういうのも1つの−−完全に就労活動と言い切れるかどうかはわかりませんが、生きがいと就労をあわせて持ったようなものもありますし、そういうものはこれまでもかなり行政的には応援してきたという経緯がありますので、ちょっと文章は工夫をさせていただいて、健康・生きがいみたいなことがどこかに入れられるかどうかは検討してみたいと思いますけれども。
○潮谷委員 2ページ目の「身近な相談支援体制の構築」という、こういう構築の方向性が示されたということは大変すばらしいことだと思いますけれども、その相談支援体制の責任の窓口というのは今は市町村単位ということで従来の流れがほとんどなってきているのですが、その責任の窓口という点では位置づけとしては市町村ということで考えてこの項目はよろしいのでしょうか、それとも、広域の中でのケアマネジメント実施体制の整備というような方向性の中で考えられているのでしょうか。その辺がちょっとここのところでは見えがたい、窓口は一体どこなのか、構築していくときの責任はということでちょっと見えがたい部分がありますが、その辺を説明していただければと思います。
○京極座長 これはどうでしょうか、市町村と広域と両方あると思うのですけれども。
○厚生労働省 基本的に相談支援の窓口というのは市町村でありまして、市町村が実施主体になって事業が進められております。ただ、県が関与する要素というのは、1つはそうした広域の自治体として、圏域全体を含めて−−圏域というのは障害福祉圏域という意味でありますけれども、障害福祉圏域全体の相談支援に対する整備を図るというのは県の役割であるということであります。
それからもう1つは、専門性の高い相談、例えば療育関係の相談であるとか専門性の高い相談については、これもやはりより専門的な能力を持っているところの県の役割であると、そういうふうな位置づけになっております。
○潮谷委員 その中で、やはり実施主体が市町村ということになりますと、実施主体がこのケアマネジメントについて自分たちのところで−−ここの中に「構築」というふうに書いてありますけれども、それを受け入れて自分の市町村の中で構築していこうという姿勢がある場合はいいですが、市町村が実施窓口であるために自分のところではその施策展開はやらないと、こういうふうな形が今の状況の中でも出てきているわけです。そうしますと、よりよい形の中でこの相談支援体制が構築されているにもかかわらず障害者の皆様たちにはそのサービスが届きにくいというような実態については、その辺はどういう形の中で整合をとっていこうという方向性でございましょうか。
○厚生労働省 地方の事務の性格からいたしまして、市町村が行います障害者に対する身近な生活相談に関する事務は在宅サービス事業も含めて同じでありますけれども、市町村の自治事務、市町村が責任を持ってやるべき自治事務でありまして、私どもはそれに対して財政的に支援をするという立場なんですね。ですから、基本的には市町村が責任を持ってやらなければいけないものでありまして、それは私どもは基本的に県を通じて市町村にしっかり言っていく必要があるというふうに考えております。ただ、市町村といっても、財政的な能力であるとか、いわゆる行財政能力に欠けるところもあるわけでありますから、そういうところにつきましては広域自治体として県が積極的に支援をしていくという枠組みではないかというふうに考えておりまして、そうした体制全体について私どもは県を通じて指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○潮谷委員 ありがとうございました。非常に気がかりなところはあります。地方自治体の中で、優先順位を、どういう行政展開をやっていくかというところではただいまの意見というのは非常に微妙な問題をはらんでくると思いますので、この構築された中身がよりよい形で障害者の皆様に届くように、今後とも厚生労働省の方でもバックアップをよろしくお願いしていきたいと思います。
以上です。
○京極座長 市町村との連携ということも含めて、私は専門機関や事業のネットワーク化というのはすごく大事だなと思っておりますけれども。
○鶴岡委員 ちょっとよろしいですか。
今の質問にも関係するのですけれども、このペーパーをつくるに当たっては、ある程度はその所管省庁とすり合わせができて出ていると理解していいわけですか。例えば「充実する」とか「支援を強化」するということは、今よりも強化するということですよね。そういうことについてはそれなりに所管する省庁とはすり合わせができてこのペーパーにすべて出ていると、こう読んでいいのですか。
○吉富参事官 「障害者基本計画・障害者プラン」の作成に当たりましては、総理を本部長とします障害者施策推進本部というのが内閣に設置をされてございます。この障害者施策推進本部にこの「新基本計画・新プラン」を検討するための検討チームを設けております。これは大体分野ごとに主要省庁の課長クラスで検討チームを設けておりますが、この検討チームでそれぞれの分野ごとの施策を検討しまして詰めまして、そして、それを最終的に関係省庁に相談するといったような形で本日ご提出をさせていただいたということでございます。
○京極座長 あと、3ページの上の方の段で「医療的ケア」と、これは英語の訳だと思うのですけれども、「メディカルケア」とか「ヘルスケア」というのは「医療」と訳したり「医療サービス」と訳しますので、ちょっとここはやや横文字的なものをよくしたような感じに、少しわかりやすい言葉にしたらいいと思いますけれども。
それでは、次のページに行きたいと思います。4ページの「生活環境」でございますが、これについて、「バリアフリー」という言葉が相当強く出ておりますけれども。
○潮谷委員 3番目のところの「防災・防犯対策の推進」ということですが、ここのポツの1のところでは「自力避難が困難な障害者等が」というふうになっておりますけれども、機器・機材を配置することによって自力避難は当然できるという状況にあるにもかかわらず困難というような状況がございます。それは、例えば、旅館の中で聴覚障害の方々のために、今、災害が起きている、火事になっているというようなことをアナウンスしても、非常にそれは難しいという状況があります。ここの中では「利用する施設が立地する地域における」というふうに非常に広範になっておりますが、対象の中で、旅館だとか、障害者だけではなくて、一般の方々が利用する公共の中でのそのあり方、その辺が文言の中でもう少し出てくると非常によろしいのではないかと思います。
以上です。
○京極座長 この「施設」というのは、障害者施設みたいな感じとか、公共施設なのかなと思ったりしますので、ちょっと幅広い表現が必要かと思いますので。
ほかにどうでしょうか。
河端委員。
○河端委員 災害の場合、「施設が立地する地域」というふうに書いてございますが、私どもは、いわゆる自宅、在宅の重度のそういう自力避難が困難な障害者をどうするかということが非常に悩ましい問題でございまして。
実は9月1日に防災訓練が各都道府県でもそれぞれ行われましたが、そのときに障害者団体の方には一切呼びかけがなかったのです。これは、国が主催する防災訓練はどういう防災訓練だかはわかりませんけれども、少なくとも都道府県単位で防災訓練を毎年毎年いたしております、東京都もいたしまして、埼玉も先日したのですが、そのときは呼びかけがなかったのですけれども、今年から呼びかけをしてくれということで、先日、私は埼玉の方に行ってまいりましたのですが。まず第1に、その場にやはり車椅子がすぐに対応できなかったとか、あとは障害者の簡易トイレが用意されなかったとか、あるいは、車椅子を押したことがなかったと、その会場に来ている消防隊員とか警察官だとか、そういうことを現実に見まして、やはり少なくとも都道府県単位の防災訓練の場合はその地域の障害者団体に呼びかけていただいて、いろいろな障害の方に参加をしていただいて。例えばタンカだってみんなお人形を乗せているんです、人間は乗せていないんですよ。だから、そういうお人形でやって……、実際に災害のときには障害の人が多くなるんですよね、それなのに車椅子が1台か2台しか探さなければならない、そういう状態ではちょっと不安でございますので、その辺はよく指導をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○京極座長 ここはちょっと幅広く表現をした方がいいかと思いますので。
それから、ローマ数字の1の「基本方針」のところですけれども、これは「バリアフリー環境の整備」という中にかなりユニバーサルデザイン化も入っているという理解もできますけれども、前回いろいろ議論が出たので、「バリアフリー環境の整備及びユニバーサルデザイン化を推進する」と、「及び」ということでつけたらどうかと思います。
安藤委員。
○安藤委員 安藤ですけれども。
最後に「FAXによる緊急通報の受理」とありますけれども、FAX 110番はもう今はほとんど全国で行われているんです。今課題になっているのは携帯メールの 110番とかEメールの 110番などが課題になっているのですけれども、そのような時代に合わせた新しい体制で考えていただきたいと思うのですが。
○京極座長 少し新しくするということで。
松友委員。
○松友委員 住宅、建物のバリアフリーという点ですが、多分これはハードな意味で大体使われているかと思うのですが、実は知的障害−−多分、精神障害もそうかと思いますが、ソフトの面での、例えば単身入居ができないとか、あるいはグループホームで利用する−−利用はしてもいいということになっているのですが、実際上はこれは目的外使用ということで、いわゆる料金的に非常に高い料金を取られるとか、そういう面でのソフトな意味でのバリアも検討いただきたいということが1つです。
同じ意味で、この2番目の「公共交通機関等」におきましても、今度法律上、交通バリアフリー法におきましては知的障害のことを考えていなかったと明確に国会答弁があったとおり、その後、関係省庁の方がいろいろとヒアリングをされました。それで、そのときにお話ししたのは、ハードな意味ではなくて、標識とか−−今度、かなり改善されているようでありますけれども、ちょっと後で確認をしなければいけないのですが、いわゆる表示、サインの統一とか、そういうソフトな意味におけるバリアフリーといいますか、その障壁の除去について何らかの表現で絡めていただければということをお願いしたいと思います。
以上です。
○京極座長 重要なご指摘だと思います。
竹中委員。
○竹中委員 1つは3番の防災のところなのですけれども、私は神戸なものですから阪神大震災を経験しまして、あのときにたくさんの方も亡くなり障害を持つ人の困難度もあったのですが、余り知られていないのが、障害の方がたくさん亡くなったということでしたが、実は6割以上は家族介護のお年寄りだったんですね。逆に、障害を持つ若い方々は日ごろから当事者同士のネットワークとかをかなり強固に持っておられて、情報交換もして助け合いもあったのですけれども、家族介護のお家というのは本当に点で存在していて、人と人とのネットワークや情報網がほとんどできていなかった、どこで介護の必要なおばあちゃん、おじいちゃんが寝ているかということもほとんど地域として把握されていないという状況でそういう方々が非常にたくさん亡くなったという、私にとっても大変痛恨なできごとでした。
それと前半のバリアフリーもそうなのですが、ぜひそういったいろいろなバリアフリー情報、ユニバーサル情報、あるいは、ここにこういう方がいらっしゃる、いざというときにはみんなで助けなければというようなことも含めた情報というのが、これからITがとても活用できる分野ではないかなと思っておりまして、次の項目のところ、いろいろな項目にITの活用を入れていただいてはいるのですが、ぜひこの「生活環境」のところもそういったITによる情報の共有、そして、支え合う、助け合うというようなことをぜひ入れていただきたいと思います。
それと、ちょうどきのう私は国土交通省の方とお話をしておりまして、道再生とか、都市再生の中で、今はハードよりもソフトというか、ハードもそうだけれどもソフトもというお話が出ましたが、そういった公共事業のユニバーサル化をするときに、必ず今はもうコンピューターを使うお仕事が多数生まれてくる、デジタルのお仕事が生まれてくる、そういったものを、次の次ですか、雇用のところにもかかわりますけれども、障害を持つ方や高齢の方や、あるいは通勤が困難で家族介護あるいは育児をしているお母さんで、だけど本当はそういうコンピューターのお仕事ができる実力を眠らせている方とか、そういう方々がこういった公共事業のユニバーサル化あるいはバリアフリー化にかかわる仕事をされるということもソフトではないのだろうかというようなお話をして、非常に共感を得まして、そういう事象実験もやってみようというようなことにきのうなったのですけれども。そういう意味でやはりここのところにITということで何らかの言及をしていただければうれしいなというふうに思います。
○京極座長 阪神大震災の教訓で、ネットワーク化みたいなものが、行政レベルだけではなくて、民間レベルも含めて広く日常的にやられているところはかなり被害が少なくて済んだという経緯もございましてというようなご指摘だと思います。
では、次の方、5ページでございますけれども、「教育・育成」のところでございますが、先ほど生涯学習についてはご意見が出ましたけれども、ほかにはどうでしょうか。
笹川委員。
○笹川委員 ご承知のとおり、来年の4月からいろいろ制約はあっても統合教育というものが推進されます。この中では全く統合教育には触れていないのですけれども、やはり21世紀というのは統合教育から始まるというふうに私どもは考えています。何らかの形でこの統合教育について挿入していただきたいと思います。
○京極座長 どうでしょうか。
○君塚委員 前の「生活環境」と関係するのですけれども、車椅子の子供が学校の中にその設備がないために選択のときに普通学校に行けないと、法的にはしなくてはいけないのですけれども、全国の学校で車椅子が使えるようにするためには 2,000億円ぐらいかかると言われているのですけれども、その辺は優先的に必要な学校には車椅子で通学できるような設備をつくるというような形を前のところと連携して項目立てをしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○京極座長 それについてはどうですか、文部科学省のオブザーバー。
○文部科学省 施設のバリアフリー化は近年進めておるのですが、制度としてはこういう形になっております。学校の設置者、ほとんど公立学校は市町村立になっていると思いますけれども、そこの設置者が整備することについて国が補助をするという仕組みになっていまして、設置者が−−もちろんしたいという気持ちはあるのでしょうけれども、それが 100%に行っていないというところの部分があると思います。ここ数年で見て数年前よりはかなり進んでいるのは事実ですけれども、おっしゃるような状況も一方ではあるので、当省としてはできるだけそういう方向で進めていきたいなという気持ちでおります。
○河端委員 今、笹川委員の方から「統合教育」という言葉がございましたけれども、もう21世紀の教育というのは、統合教育とか、盲・ろう・養護学校の教育とか、そういうふうに私どもは認識を 180度変えるような方向で、義務教育というのは統合でも専門でもないと、特殊教育でもないということで、ここに書いてあるように、「一人一人の子供のニーズに応じたきめ細かな支援を行う必要がある」と、これが大きなこれからの21世紀の教育ではないかと思います。
そして、かつて教育というのは、盲・ろう・養護学校に行く子は行く子というふうに、就学指導で枠が決められてしまったわけですよね。それから、普通学校に行きたくたって、あなたはそっちの方に行きなさいと就学指導委員会で指導をされてしまいました。でも、これからはやはりその子やその親がこの学校に行ってみたいんだという場合には就学指導委員会でその親子の希望をある程度取り入れていただいて、今、教育の現場は非常に窓口が広がっています。私どもが子育てをしたころとは全然違います。それこそ盲・ろう・養護学校の専門教育もありますし、普通学校もあります、通級制もあります、訪問教育もあります。もういろいろなことを選択できるんですね。その選択の中で、やはり情報だけはどんどん入れていただいて、そして、親や子供がどの学校がいいか、とりあえず希望の学校に入れていただきたい、そして、入れた後、これは大変だ、やはり専門教育をもっと受けた方があるいはいいのかもしれないといった場合は、常に学校を変えられるような、あるいは、盲・ろう・養護学校に入ったけれども、普通学校の方にある程度順応できるような教育の成果があったから普通学校に変えるんだと、教育というのはそういう広い教育の場があって私はいいと思いますから、あえて「統合教育」という言葉をここに入れなくてもよろしいのではないかしらというふうに思います。
以上です。
○笹川委員 ただいま河端委員から発言がありましたけれども、本当に障害児がすべて希望して普通校に行けるかといったら、そうではないんですね。例えば視覚障害の場合も、来年から実施されても、いろいろ制約がついています。そんなにフリーにはなっていないですね。そういう状況でそれがそのまま推進されるということは到底考えられません。しかも、各市町村の教育委員会が認めた場合ということで、文部科学省そのものが統合教育を認めているというわけではないんです。そういう状況であることを十分ご理解いただきたいと思います。
例えば視覚障害者の場合、視力ゼロの者は入れませんね。そういうことではなくて、たとえ全盲の子供が入っても現場で十分に対応できるような体制をとってもらわないと意味がないと思います。そういう意味ではまだまだ日本の統合教育は遅れています。ぜひその点をご配慮いただきたいと思います。
○京極座長 3のところに「指導力の向上と研究の推進」ということで、それらしいことが入っていますが。
どうぞ。
○松友委員 松友ですが、笹川委員と同じか違うかはちょっとわからないのですが。
もうご存じのように、1994年にスペインのサラマンカというところで国連の「特別教育的ニーズに関する世界会議」というのが開かれて、そこでサラマンカ声明とその行動大綱ということで、もう既に9年前に世界に教育についての大転換の戦略転換の提案がされている。それは94年ですが、93年が基準規則、スタンダードルールが出されるときにもその趣旨に合わせた教育が提案されたけれども、日本政府は特別に特使を派遣していろいろ頑張られたとか、いろいろ国連の動きを中心とした世界の動きと我が国の教育制度の動きにかなりずれがあるのではないかということを、我々NGOレベルで国際組織から実はいろいろ詰め寄られているわけです。それに対してはいろいろと我々は説明もしますし、批判や疑問もなるほどなと思う面もあるわけですが。
一言で言いますと、「統合教育」という表現は、今までの「integration 」というよりも今は「inclusion 」ないしは「inclusive education 」という形で、特に私たちの団体は世界的に「inclusion international 」という会の名前からそうなっていまして、非常にこれは大きく流れが変わっています。ただ、種別の団体によってはその考えではないというところもあったりして非常に複雑な面はあるのですが。一言で言うと、教育においては、今までの特別支援教育と普通教育というふうに二元論的に今後も行くのか、それとも、通常教育という一元論を中心としつつ必要な支援としてこういういろいろなサポートシステムを連れていくかという、これが一番大きなところだと国際的にも言われているのですが、ぜひ私たちとしては、流れとしては、やはりそういう通常教育を中心とした一元論的な流れの中でスペシャルサポートを考える方向に転換できないものだろうかという期待を持っております。
きょう、今、お答えをいただかなくても結構なのですが、そういう大きな世界の流れから見ますと、それをどういう日本語で呼ぶかは別として、流れはもう既にそういう方に行っていて、その中で、全部通常学級云々ではなくて、要するにそれには丁寧なさまざまなサポートシステムが要るわけで、いわゆる昔のダンピングとは違うわけですが、やはり二元論でやる時代ではないだろうと、そうしないと地域支援という流れになっていったときにもつながっていかないというのがいろいろ議論されておりまして、その方向で文部科学省にも今度は特別支援教育の検討をいろいろやっていただいておりますので大変期待をしておりますが、ちょっとそのあたりは少し何らかの前向きな形で織り込まれていければと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○京極座長 これはなかなか難しい問題で。
○鶴岡委員 ちょっといいですか。
先ほどの「統合教育」という言葉の問題ですけれども、私は千葉市役所でして千葉市から来ていますけれども、ぜひ文部科学省の人に考えてもらいたいし、ここで議論を整理してもらってからそういう言葉を書くなら書いてもらいたいと。これには非常にイデオロギー的な色彩の入った使い方をしている人もおります。我々、実際に行政を預かる人間としては、今の時点の千葉市のいろいろな施設なりであれば無理だと、到底できないということを統合教育ということをやるためにやれというような意味の質問も毎回出てきています、最近は特に。
ですから、先ほどの河端委員の意見に賛成なのですけれども、あえて私は今ここで「統合教育」という言葉は入れないでいただきたいなと、それの方が現場はスムーズに行くのではないかという率直な意見をちょっと言わさせていただきます。そういう言葉を入れるのであれば、よくよく文部科学省の方で、我々自治体がわかりやすく、どういうふうな方向ならそういうふうに合うのかというのをぜひ−−今お聞きしましたら、関係各省庁が入ってこの原案を決めるということですから、これからこれを骨子にして、成文化できてくる段階で十分に検討をしていただいて、その中身によってまた私どもは判断をさせていただきたいと思います。
○松矢委員 ちょっと関連で。
河端委員から一人一人のニーズというのが出ました。今、文部科学省は全体の特殊教育という用語を変えようとしていて、課の名前が先に特別支援教育というふうに変わりました。私はそれを非常に重要に思っているんですね。特別支援教育の中には、inclusion というか、そういう考え方も入っていると。やはりinclusion というのはかなり国際的にいろいろなとらえ方があって違うと思うんですね。サラマンカでもいろいろな国々の人たちがそれを使ったと思います。日本はかなり長い時間―盲ろう教育の義務化は早く終わったのですけれども、その後の重度のお子さんたちの教育をどうするかということで、特殊学級と養護学校の整備をやりました。かなりそういう基盤整備をやってきて、その上で、今、統合ということが課題になっています。そのときに、僕は、一人一人のニーズを尊重する特別支援教育というのがそういったinclusion 原理も入った我が国の用語として育っていったらどうかというふうに思っているんですね。そういう用語として我々は成熟をさせていけばいいのではないかと。もし、inclusion 、統合教育というとやはり二元論になってしまうんですよね。もう日本はそういう障害児教育の基盤整備はかなり進んだので、その全体をどういうふうによりよくしていくかという意味では特別支援教育、一人一人のニーズに応じてというのがいいのではないかというふうに私は考えております。
○京極座長 オブザーバーで、文部科学省の方でご発言がありましたら。
○文部科学省 現在、特別支援教育のあり方に関する調査研究協力者会議ということで、今、ご議論になっていることをまさしく検討しています。この計画が議論される前に結論が出ればよかったのですが、非常に深みも広さもある課題が多くて、今まさしく熱心に議論をしているところでございます。
方向性としては、こういう一人一人のニーズにより的確に、かつ、一人だけでは対応ができないということがいろいろありますので、柔軟で、また−−ここにも書いていますが、関係機関とのつながりとか、あるいは障害をどう見ていくかというような、非常に視野を広く持ち、かつ、できるだけ柔軟な仕組みづくりということをかなり念頭に置いた議論がされているところでございます。予定では、この秋にも中間的な報告が出されると思われますので、それを踏まえて、また、それに対するパブリックコメントも含めて、この計画にも反映して、また、皆様のご意見も伺いつつ記載をしていきたいなと思っております。
○京極座長 ありがとうございました。
潮谷委員。
○潮谷委員 実は先ほどから大変気になっているのですけれども、「基本方針」の中では乳幼児期からの視点が整理されています。しかし、表題の中では「教育・育成」という形になっておりまして、これは文部科学省の領域だけではなくて、厚生労働省の領域も当然含んで来る問題だというふうに思います。私も「一人一人のニーズに応じたきめ細かな支援」というこの文言の中で将来的にどのように整理をしていくかという課題は意識されなければならないというふうには思いますけれども、同時に、今論議されている中身は、厚生労働省とも深いかかわりがございますので、この表題の見出し方が、「教育・育成」ではなくて、もう1つ、保育の対象・養育の対象、そこが出てこなければならないのではないかというふうに思います。乳児期の子供たちは教育の対象にはむしろなっていなくて、養育・保育の対象の部分で吸収されていっている、今の論議は重なってきている論議であるというふうに思います。
以上です。
○京極座長 乳幼児期からということで「乳幼児期」という言葉が入っておりますが、文部科学省が中心としても厚生労働省にも関係がありますし、生涯学習のことも今出ましたので。
○吉富参事官 見出しを「教育・育成」というふうにしておりますが、まさにこの育成の部分が厚生労働省に関係する部分という意味合いで使ってございます。すなわち、就学年齢以下が育成、就学して、それ以降は教育と。しかし、この「教育・育成」ということを就学年齢を境にして切ってしまうのではなくて、十分に連携をとりながら、乳幼児期から就学、そして就学後も含めて適切な施策を推進していこうと、十分連携をとった施策を推進していこうと、そのような趣旨でございます。
○潮谷委員 そういたしますと、今までの概念でいきますと、育成というのはどうしても育成医療との関係といったような形の中でとられがちなところもございますので、ただいまのご意見のとおりであるとすれば、その辺の整理をまたよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○京極座長 ちょっと時間の関係で次に行きたいと思います。
安藤委員。
○安藤委員 ちょっとしたことですけれども、関係機関の連携というのは非常に大切だと思うんです。それで、「教育、福祉、医療」となっていますけれども、「等」の中に入るかわかりませんけれども、労働についても連携をとるということが非常に大切ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○京極座長 これは就労のところでまた教育のことも出てきますけれども、職業リハビリとか教育機関の労働関係もたくさんございますので、「等」の中にもそれが入っているかと思うのですが、検討させていただきたいと思います。
○河端委員 「育成」という言葉が……。私たちは「育成」というのは何だろうと思ったときに、実は厚生労働省の方で子供病院をナショナルセンター的な「育成センター」という名称にしたんですよね、そうですよね。その辺で、ああ、育成というのはそういうものなんだな、そしてそこに教育も入っているわけです、教育の内容もそこに含まれておりますから、私個人としては「育成」というものに対して違和感を感じていなかったのです。ああ、そういうものだな、本当に乳幼児期からこういうものをずっと就学時まで総合的に面倒を見てくれるんだな、そういうふうに思いましたので一言申し述べさせていただきました。
それから、先ほど「障害教育」という言葉が出ておりましたけれども、障害教育というのは福祉でやるのか教育でやるのか、その辺がはっきりしていないんです。というのは、卒業後、作業所や何かの施設はたくさんございますけれども、そういうときにいわゆる教育の現場から補助金なんて、こういうことをやりたいのだけれども助成をしていただけませんかと言ったって、全然教育の現場からは本当に出ておりません、都道府県の教育委員会の方からは。ですから、障害教育といわゆる義務教育とどういうふうにやっていくのかということが疑問だと思います。
それから、4番で高等教育に言及していただいたことは大変ありがたいと思っています。
以上です。
○京極座長 「障害教育」というのは、障害者の障害教育という意味でさっき出たんですね。
次に行きたいと思います。また戻っても構いませんので、6ページ、「雇用・就労」のところでございますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○竹中委員 今まで、障害を持っている人がお仕事をすること、働くことを支援する制度というのは法定雇用率だけに近いというような状況だった中で、今回は「多様な働き方、多様な就業形態の促進」ということで、それを前提として基本方針や中身が書かれたというのは大変うれしく、また、ありがたく思います。それから、「ITを活用した」というところも出ているのでとてもうれしく思います。
それで、特に5番なのですけれども、官公需における障害者多数雇用事業所等の優先発注の方法とか入札制度に雇用率達成条件をつけると、これも私は非常に賛成なのですけれども、これだけではなくて、今現実にプロップ・ステーションのような−−今、プロップは厚生労働省の方から正式に在宅就業支援機関という形で、プロップ以外にも幾つかの団体が指定を受けていまして、特にプロップはどのようなことをやっているかというと、企業や自治体からのお仕事を責任を持って受託をして、つまりアウトソースの受け口となって、それを在宅で技術を身に着けられた方々にきちんと配分をし、また、それを統合し、責任を持ってチェックをしてお仕事の発注者にお返しをする、そして、その技術を磨く勉強、education の部分もやっているというような機関なんですね。
こういうことを目指される機関がNPOであれ草の根であれ非常にふえてきただけではなく、おかげさまで、さまざまな、自治体のセクションと民間のNPOと地元企業などが連携してプロップがやっているようなことを地元で推進していく体制もつくろうというのが広がってきまして、既に47都道府県のうちの10の自治体がそのような組織を生み出そうとしている、あるいは既に生み出しました。隣にいらっしゃる潮谷知事の熊本でも、来月、そのような「チャレンジド就業支援策」ということで立ち上げられるということで私もお話をさせていただきに行くのですけれども、そういう流れの中で、雇用率を達成していることだけが条件ではなくて、私は、企業や自治体も含めて結構かと思うのですが、むしろそういうふうに広がってほしいのですが、アウトソースですね、障害を持つ方々がその事業の中でアウトソースであってもお仕事をされている、つまり、そういった機関を通じてアウトソースのお仕事もされているということも、ぜひ政府調達あるいは自治体の事業推進の1つの条件、官公需の入札の条件にしていただけるような方法を考えていただきたいなというふうに思っています。これはこの中に一応入っているというふうに考えてよろしいですか、別途追加するということではなくて。今、ご意見をいただいたのですけれども、この中の項目に何か足すということではなくて。
○竹中委員 ここが、「多数雇用事業所等」あるいは「障害者雇用達成率の条件」ということで、そこまでは「多様な雇用・就業」というふうに雇用と就業の両方を入れていただいているのですが、ここの5番に関しては「雇用」という言葉だけになっているので、どうしても雇用率を満たすというようなところにお話がちょっと小さくなっているのかなということで、ここに就業についても何らかの形で少し文言で入ればいいかなというふうに思っています。
○京極座長 その言葉の中に就業も入っているのではないかと思ったのですけれども。
○鶴岡委員 今の5番のところだけは、ここだけ「検討する」と書いてあるので、多分、この原案ができるまでにいろいろな議論があったのだろうと思いますけれども、私自身は、このことを発注者側の立場に立って考えると、非常に難しい問題があると思います。ですから、これは最終的には「検討する」という形で残すのではなくて、やれるかやれないか、この10年の話ですから−−国土交通省とかいろいろな省があると思いますけれども、十分に議論をしていただいて、どちらかの方向性を出されたらいいのではないかと思います。これだと誤解を呼ばれて現場の自治体では混乱が生ずるおそれがありますので、最終案まで慎重に検討をしていただきたいと思います。
○京極座長 ここで「検討」というのは、今度の新しい障害者基本計画の期間の中で検討するということですね。要するに、この10年の中で検討して結論を出すというニュアンスで書いてあるのだと思いますけれども。したがって、その10年間かかるのか、それとも2、3年で出るのかは、ここは割と幅のあるところではないかというふうなところで、前回も私の方からも指摘をいたしましたけれども、検討課題は必ずしもすぐにできることではないと、10年間かけて次の10年に新しい芽が出てもいいものも含まれているということを申し上げたので、そういうニュアンスで書いてあると思っておりますが。
○松友委員 今の5番のところで、鶴岡委員の、どういう面で混乱が起こるのかというのがちょっとわからないのですが。私たちは、やはり制度として雇用率制度がある中で、雇用率を達成していないところが入札に入れるということ自体が世の中の常識から見ておかしいと思うんですね、基本的には国の制度を守っていないところですから。ですから、やはりそれは最低のことであって−−私はこういう現状があることを知らなかったのですが、それ以上に私たちがお願いをしているのは、官公需の入札についての雇用率は 1.8%ではなくてもっと高くしてほしいという要望を持っています。
といいますのは、各都道府県−−僕は東京都しか知りませんが、今、いろいろな入札の規制緩和という形で、障害のある方を多数雇用している事業所がどんどん今は入札で負けて−−東京都は最低 1.8%を要求しているようですが、結果としてどんどん障害者が解雇されている、そういう現状がある中で、これはやはり最終的にはその場面においては安く入札ができるかもわからないですが、結果としてその方がタックスペアでなくなっていくということ等を考えていけば、これはやはりアファーマティブな対応を考えるべきではないだろうかというのが第1点です。
それから、ほかのところですが、1番の「民間企業・公務部門における障害者雇用」で、この「公務部門」というか、従来から私たちは公務員雇用というか公共事業体における雇用の推進をもっと体系的に組織的に考えるべきではないかと。これについてはやはり国民の平等の観点から試験を受けていただきますとかいろいろあるわけですが、あの競争原理の激しいアメリカにおいてもアファーマティブなシステムをつくっているわけでありまして、やはりこれはやっていかないと。一応公的機関では、教育分野を除くと、教員雇用を除くと、大体法定雇用率はクリアされているようでありますが、知的障害等に関しては非常に厳しい状態があります。そのあたりの……、これは民間だったら特例子会社という形での対応ができて、公務の場合はそれはちょっと難しいということがあるので、これをどうするか。いつも労働・雇用対策課の中でいろいろ問題提起をさせていただいているのですが、もう一歩踏み込めないかということが2つ目。
3つ目は、先ほどちらっと言いましたが、もう7年ほど前、総務庁だったかと思いますが、要するに教育部門の教職員の法定雇用率が著しく達成されていないと、そのときの勧告は、もう1つは知的障害者も対象にしろということで、知的障害については対象にしていただいたのですが、やはり教職員の問題等については−−これはここの問題かどうかはわかりませんが、やはりそのあたりで一歩進んだ形の取り組みがもしまだであるとしたら、文言はともかくとして、この中身として、いわゆる公務部門の雇用ということについてはいろいろな形で積極的な姿勢を見せていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
以上です。
○鹿島委員 1の「雇用の場の拡大」の(1)の2つ目のところで、精神障害の雇用の場の拡大を取り上げていただいたのはまことにありがとうございました。しかし、この表現なのですが、いろいろご議論があったかと思うのですけれども、「雇用義務制度の対象とする方向での取り組みを進めるための検討を進める」というのはなかなか慎重なので、もう少し積極的に書けないかと。「雇用義務制度の対象とする方向で取り組むための検討を進める」と、それでもいろいろご事情があってこうなさったのかもしれませんが、これは非常に大切なことなので、できれば、検討を進めるということですから同じだろうと思いますので、もう少し積極的な表現をお願いしたいと思います。
○京極座長 私がちょっと印象を受けましたのは、今回はすごく雇用・就労についてはよく書かれていると思っているのですが、ややもしますと厚生労働省サイドで、経済産業省サイドは余り書いていないと。やはり起業というのは起こす起業で、障害者が働きやすい企業を開発するというのはすごく大事なのではないかなと、既存の企業に押し込めろ、押し込めろということばかりではなくて、経済産業省と連携をして何かそういうのができないかなと。恐らくいろいろなことが可能性としてあるのではないかなと思っていますね。授産施設なんかを見ますとすごく−−きょうは雄谷委員もいらしていますけれども、地ビールをつくられてものすごいすばらしい活動をされているのですけれども、そういうのは企業のサイドでも、起こす起業で、もうちょっと頑張っていただけないかということで、その辺あたりがここにはちょっと書いていない感じなので、それは私の意見ということで置いておきます。
○潮谷委員 今の京極座長のご意見に本当に賛成です。障害者の方たちもベンチャー企業として伸びていくという余地がこれからは出てくると思うんですね。ですから、ぜひ経済産業省等々の援助あるいは支援というような視点がこの中に盛り込まれてくるとさらに豊かなものになるのではないかと思いますので、私はただいまの意見をぜひ支持したいと思います。
○京極座長 ありがとうございました。
○竹中委員 私も大賛成、支持派です。この『チャレンジド』の写真集にもたくさんの方が取り上げられているのですが、やはり介護を受けながらでも働けるという時代が来ていて、それはやはり雇用というより、どちらかというと就業寄りなのかなというふうに考えています。そして、その就業経験の積み重ねが起業につながっていく、だけど、介護も必要なのだというようなところで、非常にこれは全体、総合的に進めていけるような方針になっているので、「基本方針」としては大変うれしいです。今、潮谷さんも言われましたが、座長がおっしゃったような、そういう自営とか起業とかみずからSOHOをするとかといったようなこともぜひぜひ何らかの形でバックアップできるような方向性が出ればうれしいです。
○京極座長 恐縮です。では、次の8ページの「保健・医療」のところに進みたいと思います。ご意見をいただきたいと存じます。
○君塚委員 障害児者の医療というものを国策として、政策医療として位置づけて、障害を少しでも軽減できるためにできる限りの医療を行えるように、一般医療と連動して医療費の抑制とか削減という形で、それに連動しない形の医療というものを障害者には行うべきであると考えているのですけれども、そのように政策医療として位置づけてほしいと考えています。
○京極座長 河端委員。手短にお願いします。
○河端委員 「基本方針」の中に、私たちが希望しておりますリハビリテーションも入っておりますし、大変この内容につきましては、例えば「施策の基本的方向」の中にも「早期発見、早期治療」ということも入っていますし、非常に前向きに書かれておりまして大変安心いたしました。
それから、精神保健医療施策の方もある程度の取り組みが前向きに書かれているようでございますけれども、もう少し精神障害者の方も、やはり在宅で治療を進めて、それから仕事をする、生きがいを見出してやるというような、そういうことをもうちょっと強く出していただければいいのではないかなと思います。
それから、先ほどの委員がおっしゃったように、政策医療として今取り上げている疾病というのは幾つかございますけれども、やはり一般の障害者、重度の障害者の場合は皆さん一般と同じように今度も保険点数が上がったり下がったりいろいろございまして、自己負担金が多くなったり、非常に医者にかかりづらくなってしまっていると。そうすると、かかりづらくなってしまったものを元へ戻すというのは、ある程度病気が進んだものを元へ戻すのは大変なんですね。ですから、この「早期発見、早期治療」のそこのところにやはり政策医療的な要素を若干入れていただきまして、ぜひお願いしたいと思います。そして、やはり健康な、元気な障害者であってほしい。
それで、難病のことに余り触れておりませんので、どこかに難病疾患を−−「特定疾患」という言葉もございますけれども、その辺が、今、障害者基本法の中でも3障害を優先しておりまして、附帯事項として難病、癲癇とか、いろいろなそういうものが入っていますが、難病の患者から言わせてみますれば、基本法ができたって何ら救いがないではないかという声を聞いておりますので、やはりこういうところにも「難病等」とか何とか、何かそれに関係するような表現を入れていただければちょっと安心できるのではないかなと思いますので、お願いいたします。
○京極座長 では、山内委員。
○山内委員 この疾病等からなる障害についてはここに書かれていることで十分というか、かなりいいと思うのですが、実は外傷とかけがで障害になる部分もありまして、骨折なんかは非常に大きい典型だと思うのですが、その部分を見落としてしまうことがないような表現をぜひ工夫していただければと思います。ここをずっと読むと、病気で障害になることしか思い浮かばないという感じがいたします。
それともう1つは、義肢装具なんかの専門職種の中で義肢装具士というのもありますので、ぜひお忘れなくお願いしたいと思います。
○京極座長 ここで、専門職種のところの順番が、やはり常識的には保健・医療になりますと医師、看護師、精神保健福祉士とか理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士とか、そういうふうに並ぶ順番があると思うので、ちょっとここはわかりやすく整理されるといいと思いますが。
○潮谷委員 そのことに関連してですけれども、恐らく「等」というところの中で意識されているとは思いますが、臨床心理士が果たしていく役割というのが大変大きくなってきておりますし、同時に、ソーシャルワーカーが果たしていく役割は大きいものがありますので、この「専門職種の確保」というところでは、「等」でくくらないで、明確にその辺は出していただければという要望があります。
以上です。
○鹿島委員 この「司法精神科」という用語は使われておりませんので、どうしても書くなら、「司法精神医学」と書くしかないと思います。
○京極座長 禾(のぎ)辺の「科」だと実際に病院の中にそういうセクションがあるという、外科とか、そういう意味になってしまうので、ちょっとこれも工夫は必要だと思います。
○池末委員 3の「精神保健・医療施策の推進」のところで、ここに書いてある文言は全くこのとおりでいいと思いますけれども、前回も申し上げましたが、今、精神医療で一番大きな問題は社会的入院の解消の問題です。社会保障審議会の精神障害者分会で、8月23日に行われたときにも、厚生労働省の精神保健福祉課から7万 2,000人が具体的に対社会的入院の解消として数値が上げられています。それに対して、23日の審議の中で、日本精神病院協会は3万人ぐらいというふうな具体的な数字を出していまして、大きな差があります。ぜひここで具体的に7万 2,000人の社会的入院の解消ということを明記してほしいと思います。
○京極座長 数量的なことに関しては、「障害者プラン」と「基本計画」との関係がありまして、全体としてはこの計画は数値目標を全部上げていくという形はとらないというスタンスで、「障害者プラン」の方に目標を入れていきたいと思っております。
今おっしゃった意味で、ややここは社会的入院の解消とかそういう点が十分ではないので、あるいは退院計画等を充実させるとか、何か具体的なことを入れてそれに資するような文章を少し加味する必要があるかと思いますが。数量目標については全体的には、これ全部、初めのところから、「啓発・広報」からずっと行きますと、目標数値はこの中には書いてございませんで、そこは書き分けていただければと思いますが。社会的入院の解消のところにちょっと触れていないような感じが、精神病床の機能分化とか緊急とかそれだけしか触れていませんので、ちょっと弱点があるかなという気が率直にいたしました。
それでは、後でお気づきの点がありましたらまたご指摘をいただきまして、9ページの「情報・コミュニケーション」のところに移りたいと思いますが。ちょっとここはカタカナの言葉がやや多いので、括弧で使うのはいいのですけれども、「リテラシー」とかそういうのも「活用能力」とかというふうにして、括弧で「(リテラシー)」というふうに。これだけ出ますとなかなか一般の方には読みにくいというのがありますので。上の方は「格差(デジタル・ディバイド)」と書いてありますけれども、同じような形にしたらよいかと思いますが。
これに関しては、新しい分野というか、今度の施策でも重要な新しい新計画の1つの柱でもございますので、ご意見をお願いいたします。
笹川委員。
○笹川委員 視覚障害についてはここの役割というのは非常に大きいんですね。例えば点字ということがしきりに言われますけれども、実際に点字を読める者は10%ぐらいです、パソコンに至っては5%ぐらいというようなことで、やはりなかなか技術的にはついていけない。それをカバーするためにはやはり音声というものが非常に重視されています。特に高齢失明者の場合は点字の修得など全く不可能です。そういう意味から、この情報バリアを取り除く。
それから、コミュニケーションにしましても、やはり我々の場合は相手の顔が見えないために非常に話がしにくい、特にこちらから声をかけるということはなかなかできないんですね。相手がつかまれば幾らでもしゃべりますけれども、そうでない限りはなかなかしゃべれないというようなことで、コミュニケーションについてもかなりハンディがあります。
そういう意味からすれば、聴覚障害者については大変丁寧に書いてありますけれども、視覚障害に関しては全く触れていないので、ぜひ視覚障害者に対する情報バリア、コミュニケーション、この点を書き入れていただきたいと思います。
○京極座長 ローマ数字の2の4の「コミュニケーション支援体制の充実」で、手話通訳者等についてはかなり書いてあるのですけれども、これも中ポツでもう1つ先ほど出たような意見を踏まえまして少し具体化したらどうかと思います。
安藤委員。
○安藤委員 手話通訳の養成とか派遣または国民の手話に対する理解を促進すると書いていただいて感謝しますけれども、ただ、この書き方は、以前ならいいのですけれども、今後を考えた場合、手話というものを言語的に認知していくということが国際的な流れになっているわけです。日本ではそこまでは無理かなと思うのですけれども、手話通訳の養成とか派遣等の制度の確立を図るというような一歩踏み込んだ書き方を検討していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○京極座長 これについてはいろいろなご意見があると思うのですが。先ほど千葉市長からお話がありましたけれども、検討というのも、大変重たい課題で、10年間をかけてやるかやらないかを決めるということになりますとなかなか。今も既に充実しているわけですけれども、制度的な確立という意味は、ちょっとその中身もとり方によってはいろいろとれてしまうので、ここでは養成・派遣を推進するということをうたっているのですけれども、それ以上何か制度的なものが必要ですかね。
○安藤委員 でも、現に手話通訳事業については社会福祉事業法で認められているんです。したがって、手話通訳者の養成とか派遣については法的な制度として認めていくということは、もうそのレベルに来ているのではないかと思うのですけれども、その現状の中でこの表現は非常に後退したものになっていると思うのですけれども。
○吉富参事官 ただいま安藤委員からご指摘のあった点でございますが、後段に「国民の手話に対する理解を促進する」という文章が入っておりますが、これはまさに実質的には安藤委員のおっしゃっているような趣旨を踏まえたものでございます。すなわち、例えばデパートとか鉄道の駅、そういったところでできるだけ手話が通じるようなそういったような環境というものをつくっていく必要があるのではないかと、そのための国民の各界各層でそういった手話に対する理解を深めていくと、そういった取り組みを進めていく必要があるのではないかという趣旨で書かせていただいております。趣旨としては安藤委員のご趣旨を踏まえたような取り組みをしていきたいと思ってございます。
○安藤委員 でも、事務局の認識と私の認識はずれがあるわけなんです。どちらかといいますと私たちの基本的な実績とか展望等を聞いた上で書いていただいてもよいのではないかと思うのですけれども。この手話に関しては事務局の今の認識と大きな開きがあるんです。
○京極座長 これは専門のご意見を尊重したいと思いますけれども、「理解を促進する」と言うとさっきの啓蒙的なことの理解とダブってしまいますので、とりあえず「理解と協力を促進する」というふうに「協力」を入れまして、あと、文章については少し検討していただくということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。ただ理解だけだと、何か一般的にこういうのは大事だと言うのではなくて、そういう体制もつくるという意味で、さっき吉富参事官から出たように、協力体制ということもあって、「理解と協力を促進する」というふうに。
○河端委員 実は「生活支援」の方にやはりこの問題が出ているのかなと思いましてちょっと前をめくっておりましたら、全然「生活支援」の中にはこの項目は入っていないんですね。ただ、1つ、「福祉計画」の中にはこの言葉は、手話通訳者養成については本当に義務ぐらいで出ておりますので、私どもも国は一生懸命やってくださっているんだな、地方自治体はやってくださっているんだなというそういう思いがいたしますけれども、ただ、「制度の確立」という言葉を安藤さんの方がおっしゃっていましたので、その辺がどういうふうな文言で……。やはり半分義務づけるような形でやりませんと、一般の生活の中で、耳の聞こえない人、それから、中途に耳の聞こえなくなった人、その人たちはどんな生活を強いられているかということを考えた場合、やはりもう少し思いやりの言葉が必要ではないかなと。やはり実現可能な表現の仕方をしていただきたい。
それから、「手話通訳者等」と書いてありますけれども、ここにやはり「要約筆記」という言葉がどこにも出ておりませんので、「要約筆記」という言葉もここに入れていただきたいと思うのです。と申しますのは、人生の途中で難聴になった方、あるいは小さいときから難聴になった方、そういう方が相当数いらっしゃるわけですね。そうした場合はもう本当に手話が全然できません、手話が通じません。それから、先ほどテレビだとかいろいろな問題が出ましたけれども、そういうところの字幕がコミュニケーションの情報の中にどういうふうに入っていくかわかりませんけれども、やはり、先日、ニューヨークに行った際、テレビに非常に字幕が出ていたんですね。ですから、そういう字幕の推進も図っていただくような。ですから、「手話通訳」の言葉を入れるということと、「字幕」も入れること、それから「制度化」ですね、これがやはり地方自治体、市町村に行けば行くほどだんだんだんだん先細りになってしまうのです。そして、みんな日常生活の中で困っているんです。その困っていることを私たちはやはり地域の中で実感しておりますので、ぜひこれを制度化するような方向で、検討ではなくて、していただきたいというように希望しています。
○松矢委員 情報提供支援について、その障害特性に対応した情報コミュニケーション支援というような、障害特性というようなことをちょっと入れてほしいんですね。というのは、知的障害者の情報提供支援ということは余り言われていないんです。かつて、今から七、八年前、厚生省の研究で育成会から知的障害者の社会参加ということで厚生研究をやらせていただいたときに、情報提供支援のグループができました。そのときに知的障害者がどういうふうな情報提供支援を受けているかということで、どうでしょうか、困ったときにどうしますかというのは、まず身近な人に聞くというのが一番多かったのです、親御さんとか、グループホームだったら世話人さんとか、人情報というわけです。そうすると、この情報提供支援というのは生活支援と密着しているところもあります。
しかし、一方で、文字による情報も必要なんです。例えば支援費制度について知的障害者がわかりやすいマニュアルを、今、育成会が発行していますけれども、文字情報というのも必要なんですね。それは、ここに書いてあることを説明してくださいというふうに聞けばいいわけです。だから、知的障害者の人にとってもイラストとか簡単な文字の入った情報が必要なんですね。それから、全部ひらがなでいいかというと、決してそういうことではなくて、よく使う漢字であれば漢字の方がわかりやすいということもあるわけです。だから、そういう研究とか。
あと、例えば文字ですとそういうことではわからないけれども、一方、ビデオなどの視聴覚だと非常にわかりやすいということがあるのですが、見終わるとすべて忘れてしまう、そうすると、文字情報あるいはイラスト情報とビデオ情報が一体化すると非常によくわかるということもあるわけです。
そういうふうに、知的障害者にとっても情報提供支援というのは極めて重要で、そうなりますと「障害特性に対応した」ということを入れておけば、聴覚障害者についても、あるいはもっと脳性麻痺の重度な発達障害者の場合は言語障害によるコミュニケーションの支障というのがあるわけですから、非常に生きてくるのではないか。ですから、それぞれのその障害の特性に応じた情報提供支援あるいはコミュニケーション支援というのは絶対に大きな社会参加の要だと思いますので、何かそういう文言の工夫をお願いいたします。
○京極座長 ありがとうございました。
時間の関係で、もう5時になりましたので、最後の「国際協力」のところに移りたいと思います。なお、ご意見がありましたら後で事務局の方に文書でお願いしたいと思います。
国際協力については、3点、基本的方向として挙がっていますけれども。
○松下副大臣 5時で席を立ちますので。
今お話を伺った中で、経済産業省と一緒になって障害者のためのベンチャーに取り組む仕組みを。これは経済財政諮問会議で−−私も中でいろいろ事務的なことをしていますので、これは検討して、経済産業省とも相談をしたいと思います。
それから、今お話がありました文字情報、イラスト情報、字幕の問題、これは総務省でもう既に検討を始めていますけれども、技術的にかなり難しいところもあったり、システムとしてやると物すごくお金がかかったりすることがあって、1つの壁にぶち当たっているところもありますけれども、今、勉強会で検討をしていますので、またさらに進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○京極座長 どうもありがとうございました。
国際協力について2、3伺いましたら一応これできょうは終わりにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○雄谷委員 これは新しい計画に対することになるのかはちょっとあれなのですが、いわゆる規制の緩和でございます。私どもは授産施設をやっておりますが、実際に世間でいわゆる同等で対等な関係で競争していくにはいろいろな規制で縛られるケースが多くございます。ですから、その規制緩和については、先ほども出ましたけれども、より積極的な検討をこの文章の中のどこかに入れていただきたいと。いわゆるいろいろな縛りを、足を引っ張っておいておまえら競争しろと言われても、なかなかできない部分が授産の施設の場合には比較的あります。
それから、先ほど、教員の資格修得のときに施設での実習が義務づけられておるという部分がございました。それに対して、きょうは法務省の方はいらっしゃいませんが、私はやはり、交通違反であるとか、いわゆる犯罪を犯した更正する方々、こういった方々には、いわゆる保護観察とか、そういった制度がございます。しかし、そういうのはやはり外国によると、施設において奉仕活動を何日やるとか、そういった情報なんかも聞いておりますので、何かそこら辺の方向の検討がどこかに入る部分があれば、この骨子でなくとも結構だと思うのですが、何か検討をしていただければというふうに思います。
以上であります。
○京極座長 ありがとうございました。
ほかに。
○河端委員 国際協力の件ですが、ここの「基本方針」に「アジア太平洋障害者の十年」という文章がございますけれども、実は、来月、10月に札幌でDPIの会議がございますし、それから、大阪でアジアのリハビリセンターの協会の会議だとか、いろいろ会議がございますので、この次の機会にいろいろとこれに関連する書類を私どもは皆様委員の方にぜひ見ていただきお読みしていただきたいと思いましてお持ちいたしますので、次回はよろしくどうぞお願いいたします。そして、私たちはやはり世界のアジアの日本であるということをある程度認識した上で、皆さんとともにNGOとして活動していかなければいけないのではないかなと。今盛んに環境の方をやっていますけれども、実は環境の方に 500人も役所の人がいらしたというので、びっくりしました。もうそんなにいらっしゃるのかなと。先日、私たちはNGOとして本当に8人ぐらいしか行きませんでしたけれども、そういうものかなと、国際協力というのはそれだけ必要なのかなと思いましたので、ぜひ皆様よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○松友委員 最後に1点だけお願いしたいのですが。
潮谷委員からいつも家族に対する支援が必要だと言っていただいておりまして、大変ありがとうございます。「生活支援」の中で「障害者の家族に対する支援を充実する」という項目はあるのですが、ほかのところで、同じ例えば「生活支援」で、1の(3)、「障害者団体や本人活動の支援」のところには障害者本人の活動の支援ということで、家族の活動にも支援がほしいということと、国際交流も、障害者だけではなくて、家族の交流もぜひ支援してほしい。特に発達障害、子供の場合等からは、どうしても一体となった、家族をきちんと支え、かつ、家族も参加する、あるいは受容するというようなところで非常に重要なポイントだと思いますので、ぜひ最後にその点をお願いしたいと思います。
○京極座長 だんだん盛り上がってきたところなのですけれども、ちょっと座長の不手際で5分ばかりオーバーいたしました。
次回は、これまで各委員から出された意見を踏まえまして、計画全体の骨子案について意見交換をしたいと思います。また、推進体制につきましては、先ほど吉富参事官からお話があったように、その際にあわせてご説明を伺いつつ、また検討をしたいと思います。
なお、ご意見や参考資料等はこれまでどおり事前に事務局へ文書でご提出していただくようお願いいたします。
時間も参りましたのでこれで終了したいと思います。次回については、後日、ご連絡をさせていただきます。
どうもありがとうございました。
午後5時7分閉会