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新障害者基本計画骨子(案)


前文

1 基本的な方針

  1. 社会のバリアフリー化の推進
     障害の有無にかかわらず、国民誰もがその能力を最大限発揮しながら、安全に安心して生活できるようソフト、ハード両面にわたる社会のバリアフリー化を強力に推進。

  2. 障害の特性を踏まえた施策の展開
    • 個々の障害の特性に応じた適切な施策を実施。
    • これまでの障害者施策では対象とならなかった障害等に適切に対応。
    • ICF(WHO国際生活機能分類)活用について検討。
  3. 利用者本位の支援
    • 利用者が自らの選択により、適切に公的サービスを利用できる体制づくりを推進。
    • 利用者の多様なニーズにきめ細かく対応できるよう、サービス供給の担い手の拡大を図る。
    • NPO等市民団体との連携・協力を推進。
  4. 総合的かつ効果的な施策の推進
    • 施策体系の見直しの検討。
    • 広域的かつ計画的な観点からの施策の推進。
    • 行政機関相互の緊密な連携。

2 重点的に取り組むべき課題

  1. 活動し参加する力の向上
    [疾病、事故等の予防・防止と治療・リハビリテーション]
    • 障害の原因となる疾病等の予防・早期発見・治療や障害の原因となる交通・労災事故等の防止対策を推進。
    • 障害の早期発見及び障害に対する医療・医学的リハビリテーションの提供の推進。
    • 障害の原因となる疾病の予防、治療等に関する研究開発を推進。

    [福祉用具等の研究開発とユニバーサルデザイン化の促進]
     障害者一人一人のニーズに合わせた福祉用具、各種機器の研究開発を推進するとともに、障害の有無にかかわらず誰もが利用しやすい製品、サービスの普及を促進。

    [ITの積極的活用]
    • 経済的自立を促すため、IT技術の積極的活用を図るとともにデジタル・ディバイドによる情報格差の解消のための取組を推進。
    • また、障害者が地域で安全に生活できるよう、ITの活用による住民相互のネットワークの構築などにより住民連帯の強化を推進。

  2. 活動し参加する基盤の整備
    [自立生活のための地域基盤の整備]
    • 障害者が地域において自立して安心して生活できることを基本にその基盤となる住宅、交通、公共施設等の基盤整備を一層推進するとともに、障害者の日常生活の支援体制を充実。
    • 支援体制は、障害者本人、ボランティア、地域住民の参加の下に関係機関の緊密な協力により構築。
    • 障害者の自立に重要な役割を担う家族に対する支援策を充実。

    [経済的自立基盤の強化]
     雇用・就労、年金、各種手当等により、経済的に自立した生活を総合的に支援する。

  3. 精神障害者施策の総合的な取組
    • 精神障害者に係る保健、医療、福祉の総合的な取組を強化。
    • 精神障害者の医療施設からの退院を促進するとともに、地域で自立して生活できるよう支援策を充実。

  4. アジア太平洋地域における域内協力の強化

3 分野別施策の基本的方向

  1. 啓発・広報
    (1)基本方針
     障害の有無にかかわらず、相互に個性を尊重し支え合う共生社会の理念の普及を図るとともに、障害及び障害者に関する国民理解を促進するため、幅広い国民の参加による啓発活動を強力に推進する。

    (2)施策の基本的方向
    1) 啓発・広報活動の推進
    • 共生社会の理念の普及を図るため、行政、企業、NPO市民団体等の連携による啓発活動を推進するとともに、ホームページの活用等による国民啓発を推進する。
    • マスメディアの協力を得て、新聞、放送等の広報媒体を通じた広報活動を推進する。
    2) 福祉教育等の推進
     福祉教育やボランティア活動等を通じて、障害及び障害者に対する理解を促進する。
    3) 公共サービス従事者に対する障害者理解の促進
     障害者が地域において安心して生活できるよう、公務員を始めとする、各種公共サービス従事者への障害者に関する理解の徹底を図る。
  2. 生活支援
    (1)基本方針
     利用者本位の考え方に立って、個人の多様なニーズに対応する生活支援体制の整備、サービスの量的・質的充実に努め、すべての障害者に対して「豊かな地域生活の実現」に向けた体制を確立する。

    (2)施策の基本的方向
    1) 利用者本位の生活支援体制の整備
    ア 身近な相談支援体制の構築
     ケアマネジメント実施体制の整備、サービス内容の情報提供の促進、専門機関や事業のネットワーク化などを図り、地域の身近な相談支援体制を構築する。
    イ 権利擁護の推進
     地域福祉権利擁護事業や成年後見制度の利用援助の促進などを図る。
    ウ 障害者団体や本人活動の支援
     障害者の自立と社会参加を促進するために、障害者本人の活動の支援を強化する。

    2) 在宅サービス等の充実
    • ホームヘルプサービス・デイサービス等の在宅サービスや地域の居住の場であるグループホーム等を障害者のニーズに応じて利用できるよう、その量的・質的充実を図るとともに雇用・就労、所得保障等により、地域での自立した生活を支援する。
    • 障害者の家族に対する支援を充実する。

    3) 施設サービスの再構築
    ア 施設等から地域への移行の推進
     障害者本人の意向を尊重した地域への移行を促進するため、地域移行を支援するための事業の推進等を図る。
    イ 施設の在り方の見直し
     施設体系について、施設機能の在り方を踏まえた上で見直し、地域資源として再構築するとともに、重度・高齢化や行動障害などに対応する医療サービス等を確立する。

    4) スポーツ、文化・芸術活動の振興
     障害者自身が自己実現できるようなスポーツ、文化・芸術活動のための環境を整備し、その振興を図る。

    5) 福祉用具の研究開発・普及促進と利用支援
     障害者のニーズに合わせた福祉用具の積極的な研究開発を進めるとともに、その普及促進と利用支援のために情報提供や相談の体制整備を図る。

    6) サービスの質の向上
     自己評価及び第三者評価の普及を図り、また、苦情解決制度を円滑に実施する。

    7) 専門職種の養成・確保
     社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士等の専門職種の養成・確保及び質の向上とその積極的活用を図る。

  3. 生活環境
    (1)基本方針
     障害者等すべての人が安全に安心して生活し、社会参加できるよう、自宅から交通機関、まちなかまで連続したバリアフリー環境の整備を推進するとともに、災害弱者に対する災害対策等を推進する。

    (2)施策の基本的方向
    1) 住宅、建築物のバリアフリー化の推進
    • 障害者の特性やニーズに対応した適切な設備・仕様を有する障害者向け公共賃貸住宅の供給及びバリアフリー化された住宅ストックの形成を推進する。
    • ハートビル法に基づき、障害者等すべての人が円滑に利用できる建築物のバリアフリー化を推進する。
    • 官庁施設について、障害者等すべての人の利用に配慮したバリアフリー化を推進する。

    2) 公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化の推進
    • 交通バリアフリー法に基づき、旅客施設を中心とした一定の地区における旅客施設、道路等のバリアフリー化を重点的、一体的に推進する。
    • 鉄道駅やバスターミナル等及び鉄道車両やバス車両等のバリアフリー化を推進する。
    • 障害者等すべての人が公共交通機関を円滑に利用できるよう、障害特性に配慮した情報提供や普及・啓発活動を展開する。
    • バリアフリー化された歩行空間のネットワーク整備を推進する。
    • 障害者等すべての人が快適に利用できるよう、公園、水辺空間等におけるバリアフリー化を推進する。

    3) 防災・防犯対策の推進
    • 自力避難が困難な障害者等が利用する施設等及びこれらが立地する地域における災害対策を推進する。
    • 地域防災計画において自力避難が困難な障害者等への支援策を位置付けるとともに、障害者関係団体の参加の下に防災訓練を実施するよう指導する。
    • Eメール等による緊急通報の受理の導入、手話のできる警察官の交番等への配置等の施策を推進する。

  4. 教育・育成
    (1)基本方針
     障害の重度・重複化や多様化に対応するため、一人一人のニーズに応じたきめ細かな支援を行う必要があり、教育、福祉、医療等の関係機関が連携し、乳幼児期から学校卒業後まで障害のある子どもの自立や社会参加に向けた教育・育成施策の充実を図る。

    (2)施策の基本的方向
    1) 一貫した相談支援体制の整備
     乳幼児期から一貫した相談支援体制の整備を促進するとともに、地域におけるサービス提供者間の連携強化を図る。

    2) 専門機関の機能の充実と多様化
     障害の重度・重複化や多様化に対応するため、教育・療育機関は、障害のある児童生徒等の特別なニーズに応える地域のセンターとしての役割を果たす。

    3) 指導力の向上と研究の推進
     教育及び関係職員の専門性や指導力の向上を図るとともに研究の推進及び情報の提供を図る。

    4) 社会的及び職業的自立の促進
     社会的・職業的自立を促進するため、後期中等教育・高等教育における就学を支援するとともに、学校卒業後の就労・生涯学習等を推進する。

    5) 施設のバリアフリー化の推進
     教育・療育活動や交流を行う場として、障害のある人が円滑に利用できるよう施設のバリアフリー化を推進する。

  5. 雇用・就労
    (1)基本方針
     雇用・就労は、障害者の自立・社会参加のための重要な柱であり、障害者が能力を最大限発揮し、働くことによって社会に貢献できるよう、その特性を踏まえた条件の整備を図る。

    (2)施策の基本的方向
    1) 障害者の雇用の場の拡大
    ア 雇用率制度を柱とした施策の推進
    • 障害者に自立や社会参加の機会を提供する強力な後ろ盾となる、障害者雇用率制度について、法定雇用率の達成指導の強化、除外率の縮小等により、民間企業・公務部門における障害者雇用の一層の促進を図る。
    • 精神障害者については、雇用義務制度の対象とする方向での取組のための検討を進める。また、採用後に発病した精神障害者についての、職場復帰や雇用の安定のための施策の推進を図る。

    イ 障害者の能力・特性に応じた職域の拡大
     重度障害者多数雇用事業所や特例子会社における障害者雇用の取組を支援するとともに、その蓄積されたノウハウを活かし、障害者の能力・特性に応じた更なる職域の拡大に努める。

    ウ 障害者が働きやすい多様な雇用・就業形態の促進
     短時間雇用、在宅就業等障害者がその能力や特性に応じて働くことができるよう、雇用・就業形態の多様化の促進を図る。

    エ ITを活用した雇用の促進
     ITの活用により障害者の職域の拡大、雇用・就業形態の多様化、職業訓練の推進など、更なる障害者雇用の促進に努める。

    オ 障害者の雇用・就労を行う事業の活性化
     障害者雇用等の社会的意義を踏まえ、国の行う契約の原則である、競争性、経済性、公平性等の確保に留意しつつ、官公需における障害者多数雇用事業所等及び障害者雇用率達成状況への配慮の方法について検討する。

    カ 障害者の創業・起業等の支援
    • 障害者の創業・起業の意欲・ニーズを踏まえて、障害者の創業・起業に必要な資金調達の円滑化のための施策等を検討する。
    • 障害者によるNPOなどの非営利団体の設立、創業・起業等の活動に対する支援策などを検討する。

    2) 総合的な支援施策の推進
    ア 保健福祉、教育との連携を重視した職業リハビリテーションの推進
     障害者職業センターによるジョブコーチの活用等による職業リハビリテーションの推進、障害者就業・生活支援センターによる身近な地域での支援ネットワークの形成など関係機関の連携を重視した支援体制を構築する。

    イ 雇用への移行を進める支援策の充実
     トライアル雇用の活用、授産施設等における支援、盲・ろう・養護学校の在学中から卒業後までを通じた支援等により、雇用への移行の促進を図る。

    ウ 障害者の職業能力開発の充実
     障害者職業能力開発校における職業訓練を推進するとともに、民間教育訓練機関等への委託訓練等の拡大により、障害者の職業能力開発を促進する。

    エ 雇用の場における障害者の人権の擁護
     企業等において雇用差別など障害を理由とした人権の侵害を受けることがないよう、適切な措置を講ずる。

  6. 保健・医療
    (1)基本方針
     障害のある者に対して、適切な保健サービス、医療・医学的リハビリテーション等を充実するとともに、障害の原因となる疾病等の予防・治療が可能なものについては、これらに対する保健・医療サービスの適切な提供を図る。

    (2)施策の基本的方向
    1) 障害の原因となる疾病等の予防・治療
     障害の原因となる疾病等の適切な予防及び早期発見・治療の推進を図り、出生から高齢期に至る健康保持・増進等のため、健康診査等の各種施策を推進する。

    2) 障害に対する適切な医療の充実
     障害の早期発見及び障害に対する適切な医療・医学的リハビリテーションの提供により、障害の軽減、重度化や二次障害及び合併症の防止を図る。特に、小児に対しては、障害に対応した成長・発達を支援する。

    3) 精神保健・医療施策の推進
     精神疾患の早期発見等に取り組み、患者の病態に応じた医療を提供するため、精神病床の機能分化、精神科救急システムの充実等を推進する。

    4) 研究開発の推進
     最新の知見や技術を活用しながら、障害の原因となる疾病等の病因・病態の解明、予防、治療、再生医療等に関する研究開発を推進する。

    5) 専門職種の養成・確保
     理学療法士、作業療法士、義肢装具士、精神保健福祉士、言語聴覚士及び司法精神医療、児童精神医療等に係る医師、看護師等の養成と適切な配置を図る。

  7. 情報・コミュニケーション
    (1)基本方針
     IT(情報通信技術)の活用により、障害者の個々の能力を引き出し、自立・社会参加を支援するとともに、障害により、ITの利用機会及び活用能力に格差(デジタル・ディバイド)が生じないようにするための施策を積極的に推進するほか、障害特性に対応した情報提供の充実を図る。

    (2)施策の基本的方向
    1) 情報バリアフリーの推進
     障害者の情報活用能力(リテラシー)の向上のための取組を推進するとともに、国際規格に基づいて障害者に使いやすいIT機器・システム、サービスや障害者に配慮したコンテンツの開発・普及を促進する。

    2) 社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及
     障害者の積極的な社会参加を支援する観点から、電子投票やテレワーク等の推進を図るための情報通信システムの開発・普及を促進する。

    3) 情報提供の充実
     情報提供関連施設の整備の促進、字幕番組、解説番組、手話番組等障害者に配慮した情報提供の一層の拡充のための施策を推進するとともに、緊急通信、災害時の情報伝達等の体制を整備する。

    4) コミュニケーション支援体制の充実
     要約筆記・手話通訳者等の養成・派遣を推進するとともに、国民の手話に対する理解と協力を促進する。

  8. 国際協力
    (1)基本方針
     2003年からもう10年間、「アジア太平洋障害者の十年」が延長されたこと等も踏まえ、障害者団体間の交流、政府や民間団体による各種協力の実施等によるアジア太平洋地域への協力関係の強化に努める。

    (2)施策の基本的方向
    1) リハビリテーション技術の交流、情報の交換、技術指導者の養成等の国際協力を一層推進する。

    2) 国連や各種の国際的な非政府機関における障害者問題についての行動計画やガイドラインの作成等の取組等に、関連する既存条約等との関係にも留意しつつ、積極的に参加する。

    3) 障害者による国際交流を支援する。


4 推進体制等

  1. 重点施策実施計画
    • 重点的に取り組むべき課題について、計画の着実な推進を図るため、具体的な目標及びその達成期間を定めた重点施策実施計画を策定し実施。
    • 重点施策実施計画を策定したときは、速やかに公表し、関係者にその周知を図るとともに、進ちょく状況を継続的に調査して公表。

  2. 連携・協力の確保
    • 障害者施策推進本部を中心として、内閣総理大臣のリーダーシップの下に関係行政機関の間の施策連携を強化。
    • 障害者関係団体、NPO等市民団体、事業者団体、地方公共団体との連携・協力を推進。
    • 都道府県との連携も図りつつ、複数市町村による広域の対応も含め市町村計画の策定を支援。

  3. 計画の評価・管理
    • 障害者関係団体との意見交換やニーズ調査の実施等を通じて施策・事業の有効性についての検証を行い、適切かつ効果的な施策・事業を実施。
    • 計画の推進状況を継続的に点検するとともに、障害者のニーズや社会経済状況の変化等を踏まえて、必要に応じ計画を見直し。

  4. 調査研究、情報提供
     ニーズ調査、国内外の障害者施策の先進事例の収集・提供等調査研究、情報提供の充実を図る。

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