障害者政策委員会差別禁止部会(第1回)議事録

平成24年7月27日(金)
13:00~17:00
財団法人都道府県会館101大会議室

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

東室長 定刻になりましたので、これより第1回「障害者政策委員会差別禁止部会」を開催させていただきます。障害者制度改革担当室の東と申します。
 差別禁止部会は、傍聴の希望の方に所定の手続を経て公開しております。また、会議の模様は、インターネットを通じて幅広く情報提供いたしているところであります。
 なお、御発言に際しましてのお願いとしまして、発言を求められるときには、まず、挙手をしていただいて、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言をお願いしたいと思っております。
 本日の会議は、17時までを予定しております。
 皆様も御存じだと思いますけれども、去る7月23日月曜日に、第1回「障害者政策委員会」が開催されております。その際、差別禁止部会の設置が決められました。その意味で、本日は、第1回目の差別禁止部会といったことになります。
 これまで、21回にわたって障害者制度改革推進会議の下で行われてきましたけれども、改めてということで、私の方から出席委員の皆様を御紹介させていただきます。「あいうえお」順で名前を読み上げますので、挙手をしていただいて、お返事のみお願いしたいと思っております。
 早稲田大学大学院法務研究科教授であられます、浅倉むつ子先生。
 弁護士の池原先生は、若干遅れられていると思います。
 日本労働組合総連合生活福祉局長、伊藤彰久様。
 特定非営利活動法人日本アビリティーズ協会会長、伊東弘泰様。
 ただいま池原委員がまいられました。弁護士の池原さんです。
 北九州市立大学法学部准教授、植木淳様。
 弁護士の大谷恭子様。
 JDF障害者の差別禁止等権利法制に関する小委員会委員長、太田修平様。
 作家の大野更紗さんが、今、来られました。来られてすぐなんですが、作家の大野更紗様でございます。
 関西大学社会学部教授、加納恵子様。
 東洋大学教授の川内美彦様は、ちょっと遅れるということです。
 東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、川島聡様。
 社会福祉法人日本盲人会連合会長、竹下義樹様。
 上智大学法学部准教授、永野仁美様。
 日本労働組合総連合会特別委員、全日本自治団体労働組合障害労働者全国連絡会代表幹事の西村正樹様。
 毎日新聞論説委員の野澤和弘様は、本日は、御欠席であります。
 田園調布学園大学人間福祉学部准教授、引馬知子様。
 大阪大学大学院高等司法研究科教授、棟居快行様。
 神奈川大学教授、山崎公士様。
 京都大学大学院法学研究科教授、山本敬三様。
 以上が、委員の皆様です。それでは、ここで、新たに差別禁止部会の委員になられました3名の方からごあいさつをいただきたいと思います。
 まず、植木委員、よろしくお願いいたします。

植木委員 植木淳です。北九州市立大学法学部で、憲法を専攻しておりましたが、この数年間は、アメリカの障害差別禁止法であるADAを中心に勉強しておりまして、2年前に障害のある人の権利と法という本を書かせていただきまして、その中で、ADAに関する判例と、日本の障害差別に関する判例を書かせていただいたんですが、これが、思いのほか、売れない本でありまして、まだ、ごらんになっていない方は、是非、お買い求めください。よろしくお願いします。

東室長 ありがとうございます。
 続きまして、大野委員の方から、一言ごあいさつをお願いします。

大野委員 大野更紗と申します。作家をしております。立場としては、自己免疫疾患系の難病の一当事者でもあります。この中では、一番年が若いという、若輩者ですが、一生懸命勉強して議論に参加していければと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

東室長 ありがとうございます。では、加納委員、お願いします。

加納委員 皆さん、こんにちは。関西大学の社会学部の加納と申します。18回の女性障害者のところで大野さんと一緒に、この部会で呼ばれまして、ステートメントをさせていただきました。
 私は、社会福祉専門であります。とりわけ、地域福祉論ということで、これまで研究をしてきましたが、その原点が、学生時代に障害者解放運動に出会い、バリアフルな町を変えていくということで、関西中心に動き回っていたものです。
 そういう意味で、福祉は、専門者養成もとても重要なことではありますけれども、町が変わる、そういうことが大事ということで、地域福祉をずっと追求し、そして、このたびは女性障害者、複合差別の被りやすい当事者の一人として、その声を部会に届けるためにまいりました。よろしくお願いいたします。

東室長 どうもありがとうございました。冒頭にも申しましたとおり、先日の第1回障害者政策委員会におきまして、差別禁止部会の設置が決められております。その際、障害者政策委員会運営規則、これは、参考資料の2ということでお手元にあるかと思いますが、その5条4項に基づきまして、政策委員会の石川委員長が、差別禁止部会の部会長として、これまでの検討の経過等を踏まえまして、棟居委員を指名されておられます。その点、御報告いたします。
 また、政策委員会では、差別禁止部会の設置について、これは、参考資料の3ということで、お手元にありますが、それが決定されておりますので、これを読み上げて紹介させていただきたいと思います。
 参考資料の3は、差別禁止部会の設置について、平成24年7月23日、障害者政策委員会決定となっております。
 4項ありまして、第1項は、障害者に対する差別の禁止の在り方については、新たな障害者基本計画の策定に当たり重要な課題であることに鑑み、障害を理由とする差別の禁止に関する法制の制定について調査検討するため、障害者政策委員会運営規則第五条に基づき、差別禁止部会(以下「部会」という。)を置くということになっております。
 第2項として、部会に部会長を置き、部会の事務を掌理させる。
 第3項として、部会は、平成24年9月を目途に調査検討を終えるものとする。部会長は、その結果を障害者政策委員会に報告するものとする。
 第4項は、上記に掲げるほか、部会の運営に関し必要な事項は、部会長が部会に諮って定めるということになっております。
 以降の部会の運営は、これに基づいて行われるといったことになります。
 それでは、これからの進行は、棟居部会長にお願いしいと思っております。よろしくお願いします。

棟居部会長 部会長に指名されました、棟居です。よろしくお願いします。
 それでは、早速ですが、差別禁止部会の設置について、参考資料3、今、お読みいただいたものですが、その4に基づきまして、副部会長について、皆様にお諮りしたいと思います。4というのは、部会の運営に関し必要な事項は、部会長が部会に諮って定めるということで、私が皆様にお諮りをするということになります。
 これまで、障害者制度改革推進会議の下で、21回にわたり検討してまいりました。その経過等を踏まえ、特定非営利活動法人日本アビリティーズ協会会長の伊東委員と、社会福祉法人日本盲人会連合会長の竹下委員のお二人に副部会長をお願いしたいと思いますが、皆様、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

棟居部会長 御承認いただきまして、ありがとうございます。それでは、お二人に副部会長をお願いいたします。
 続きまして、やはり差別禁止部会の設置について、参考資料3の4、先ほど読み上げました部分でございます。これに基づきまして、当部会にオブザーバーを置くことについて、皆様にお諮りしたいと思います。
 これまでの検討の経過等を踏まえつつ、幅広く御意見をいただく観点から、日本経済団体連合会労働政策本部主管、遠藤和夫様並びに日本商工会議所産業政策第二部副部長、髙山祐志郎様のお二人にオブザーバーとして議論に加わっていただきたいと存じます。お二人の方は、挙手をお願いします。
 皆様、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

棟居部会長 ありがとうございます。それでは、お二人には、当部会のオブザーバーとして議論に加わっていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事資料等について、東室長から御報告をお願いします。

東室長 担当室の東です。本日の議事は、途中で15分の休憩を2回入れます。3つのコーナーに分けて進行するといったことになります。
 第1のコーナーは65分で、部会三役の原案の2の1、国等の責務について議論を行います。
 第2コーナーも65分で、部会三役の原案2の2、簡易迅速な裁判外紛争解決の仕組みについてであります。
 第3コーナーは40分で、前回御検討いただきました部会三役の原案1の修正についてであります。
 続きまして、資料の説明でありますが、資料1は「障害者政策委員会 差別禁止部会 委員名簿」であります。
 資料2は「障害を理由とする差別の禁止に関する法制等の検討」という表題が付いております。これまでの経緯を記したものであります。
 資料3は「部会三役の原案2の1【国等の責務】」という表題が付いております。
 資料4は「部会三役の原案2の2【簡易迅速な裁判外紛争解決の仕組み】」であります。
 資料5は、前回の部分の修正でありますが、修正箇所を反映させたものであります。
 資料6は、同じく前回のものの修正なんですが、修正の履歴が付いているものが6です。5は、修正を反映させたものであります。
 次に、参考資料1は「障害者政策委員会委員名簿」であります。親部会の名簿といったことになります。
 参考資料2は「障害者政策委員会運営規則」です。
 参考資料3は、先ほど読み上げました「差別禁止部会の設置について」であります。
 なお、専門委員の皆様には、机上に辞令が配付されておると思いますので、忘れないで持って帰っていただければと思っております。
 最後に、太田委員の方から、今日は配付資料ということで、JDFの意見書が出ております。
 資料としては、以上です。確認していただければと思っております。

棟居部会長 ありがとうございました。それでは、ここで、これまでの障害者制度改革推進会議の下での差別禁止部会の検討の経過につきまして、資料2に基づき、東室長から御説明をいただきます。よろしくお願いします。

東室長 担当室の東です。資料2をお開けください。
 これまでの全般的な経緯と、従前の当部会の経緯を記しております。皆さん、ほとんどの方が御存じだろうと思いますので、詳しい説明は省かせていただきます。
 ただ、全体的に申しますと、障害者に関わる差別の禁止の法制につきましては、来年の通常国会に提出するということが目指されております。それを念頭に、これから9月までのまとめが非常に重要だといったことになると思っております。
 後の方でスケジュールのこともしゃべりますが、2ページ目に今後の予定も書いてありますので、できるだけ9月14日がまとめとなっておりますので、そこまでまとめていただければなと思っておりますが、8月31日にまとまれば、一番いいかなというところであります。
 簡単ではありますが、以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。以上の御説明に対しまして、御質問ございますでしょうか。特に今回、新委員にお加わりになりました皆さん、この経緯について御質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の議事は、部会提言のとりまとめについて(その2)でございます。これまで、当部会がまとめる予定の報告書の名称を骨格提言等と呼んでおりました。この議事も部会提言のとりまとめとなっております。しかしながら、骨格提言という呼称は、総合福祉部会の報告書で既に使われており、混乱するおそれがございます。
 そこで、当部会の報告書につきましては、現時点では仮に、本日の資料3等の表題にありますように「『障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定等』に関する差別禁止部会の意見」と呼ぶことにしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。なお、これは、あくまで仮の呼称でございます。また、骨格提言と比べて格付けが下がるといったことでは全くございません。単に混乱を回避したいということで意見という名称を用いたいということでございます。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

棟居部会長 では、恐れ入ります。ありがとうございました。
 それでは、今後は、例えば、この議事の名称は、部会意見のとりまとめについてということで行わせていただきます。
 第1コーナーに入ります。このコーナーは65分を予定しております。資料3、部会三役の原案2の1、国等の責務についてというものをお手元にお置きください。最初に私から15分程度で報告をさせていただき、その後、50分程度の質疑及び議論を行いたいと思います。
 資料3でございます。国の基本的責務といった事柄につきまして、まず、第一に述べております。以下、箇条書きで簡単に要約をさせていただきます。皆様方、恐れ入りますが、私が要約を読み上げる間、目を走らせていただけますでしょうか。ということで、要約文の読み上げをさせていただきます。
 1、差別防止に向けた調査、啓発等の取り組みでは、障害に基づく差別をなくすために、国は実態調査等の現状把握をした上で、啓発及び正しい知識の普及と差別の防止のための総合的な施策を策定、実施すること。
 2、情報提供とガイドラインの作成では、本法への国民の幅広い理解のために、国は不均等待遇や合理的配慮に関するガイドラインを作成、周知しなければならないこと。
 3、関係機関の連携の確保では、本法の対象分野が多岐にわたることから、国は関係機関相互の連携を確保するための体制整備等を行うこと。
 4、円滑な救済の仕組みの運用と状況報告では、差別が発生した場合に解決のための仕組みが円滑に運用されるよう、国は実施状況を検証し、受理事案の概要を毎年度公表すること。
 5、研修及び人材育成では、関係機関の職員等が障害者に関する専門的知識等に基づき業務を行うために、国は研修や人材育成を行うこと。
 次に、第2、国の基本的責務に関して、特に留意を要する領域に移ります。
 ここでは、当部会で検討した重要な分野として、以下の3つを挙げ、国に特段の留意を求めております。
 1、障害女性ですが、障害女性では、男女共同参画に関する取組み等も踏まえ、国は実態調査と障害女性の複合的な困難を解消するための適切な措置を取り入れること。
 2、障害に基づくハラスメントでは、障害に基づくいじめや嫌がらせ等のハラスメントは、障害者等の尊厳と誇りを奪い、人格を損なうことから、国はこれらの防止のため、本法に基づき適切に対処するとともに、障害者虐待防止法とも連携すること。
 3、欠格条項では、障害が資格取得の制限の理由となることは、差別的待遇であることから、国は資格取得の認定の仕方等を検証し、必要な場合には、適切な措置を取ること。
 第3、地方公共団体の責務に移ります。
 ここでは、障害者の地域での生活支援は、国とともに地方公共団体の大きな役割であり、差別のない地域社会を目指す条例等の制定も広がっていることから、地方公共団体は、国に準じた取組みに努めることとしております。
 第4、国民の責務でございます。ここでは、本法の円滑な施行には、国民各層の協力が必要であることから、国民は差別防止の重要性を理解し、国や地方公共団体の施策へ協力するよう努めることが期待されるとしております。
 以上、簡単ではございますが、要約させていただきました。
 それでは、質疑及び議論に移りたいと思います。どの場所からでも結構でございます。
 どうぞ、加納委員、続きまして、大谷委員という順番でお願いしたいと思います。
 加納委員、どうぞ。

加納委員 どの場所からでもいいということですので、第2のところですけれども、特に留意を要する領域として、3つ挙げていただいています。その1と2に関わるところでの質問ないし意見です。
 ここでは、特に留意するということで、障害女性、複合的な差別、生活困難な状況に置かれているという認識については、深く受けとめていただき、そして、これを国の責務として留意することと表現していただいているわけなんですけれども、後の議論にもなるかと思うんですが、これは、本文というんでしょうか、障害女性の条項化は難しいという意味でしょうか。

棟居部会長 これは、前回と申しますか、旧差別禁止部会の第21回から、我々のとりまとめに入っておるわけでございます。
 そこで、前回という言い方は、話を簡単にするためにさせていただきますけれども、前回、冒頭申し上げたんですけれども、あえて条文という形ではなくて、考え方を示すと、そのとりまとめということを何度かの作業で行いたいと、こういう考え方で進行しております。
 ということですので、最終的な条文案にどのように結び付いてくるのかということにつきましては、今、むしろ、それがないのではないかという御心配をされていると思うんですけれども、我々は、条文そのものをここで述べておるのではございませんで、そうではなくて、考え方の上で障害女性について、より複合的な困難というものがあるんだという認識をして、むしろ逆に谷間に落ちないようにすると、つまり、女性問題だから男女共同参画の方にお任せをする。したがって、この差別禁止部会では直接にテーマとしないという、そういうやり方ではなくて、両者が、つまり男女共同参画、女性差別廃絶の問題、それと我々の障害者差別の禁止の問題、この2つが重なってくる領域だというのを認識しつつ、我々のテーマとしても押さえておくと、そういうつもりで挙げております。

加納委員 なるほど、それでしたら結構でございます。ただ、1点、なかなか省庁横断的な男女共同参画会議の基本計画等も、障害女性に関する項目、こうやって留意の事項を挙げて進めてきているところですが、実態は、窓口問題にしろ、進んでいかない状況がございます。そういうこともございますので、できるだけ障害者差別禁止の方においては、むしろリードするような形で、その谷間に落ちないということを、ここで必ずカバーできるようなものにお願いしたいと思います。

棟居部会長 ありがとうございました。今、おっしゃった御懸念を十分承知した上で、このタイトルにおきましても、特に留意を要するという強調した表現を取っておるつもりでございます。ただ、今の御指摘の点は、どうしても忘れがちというか、別の大きな制度があるじゃないかと、女性問題の方でカバーされるんではないかという油断が生じやすいということで、改めて御指摘いただいたと受けとめさせていただきます。
 もし、今の関連で、ほかになければ、大谷委員の方に移らせていただきます。よろしいでしょうか。
 お願いします。

大谷委員 大谷です。関連するようで、関連しないかもしれませんけれども、申し訳ありません。基本的な立場が、意見出しであるということであって、法案を意識したものではないというのは、十分理解しているつもりなんですけれども、ただし、やはり読んでみて、正直いって、例えば、国の基本的責務の中に、第1項に書かれているのは、まず、実態調査をせよというのは、それですごくわかるんですね。ですから、ここは第1項、差別をなくすための実態調査を国はするべきであるということは、1つ大きな課題としてありますから、わかりやすい話として、そこは1つ挙げていただきたい。
 しかし、その後に、収集した情報を整理して、施策の基礎に据えるというのも国の責務であると。これもいい。しかし、その後「これを一般に提供し」というのは、国民全体にこの差別実態を情報提供せよということの文意かと思うんです。
 ちょっと正直申し上げて、この一文の中に、施策義務が実態調査と、その調査の結果を国民に知らしめ、そして、その後に啓発及び知識の普及、総合的な施策を策定せよという3つの事項が入っているように思われるんですけれども、そのことと、第2項の情報提供とガイドラインの作成というところで、また、同じく情報提供、このため、国は、これらの理解を広めるため本法に関する広報・情報提供せよと、努めるとともにと、非常に要約的に発言すると、ここでもう一回情報提供ということになっています。
 私は、この第1の第2項に関しては、ガイドラインの作成に意味があるのであって、ガイドラインの作成と、この情報提供を1つの項の中にまとめることによって、多少意味が薄らいでしまうように感じるんです。ですから、文章表現だけの問題なのかもしれませんけれども、端的に、国の責務として差別に対する実態調査をせよ、そして、それを踏まえた施策を国はせよと、その情報提供というのは、差別実態もしくは差別実態に基づく国の施策、これをプロパガンダせよ、そして、一番大きい、私とすれば、第4番か第3番目なるかわかりませんけれども、ばらけてしまうような形で申し訳ありませんけれども、ガイドライン、不均等待遇と合理的配慮、これは各論でいろいろ出てくるところがあるだろうと思いますけれども、それに対して、国の立場として合理的配慮に関するガイドラインを作成せよ、雇用機会均等法でいうところの、例えば、指針とか、そういうようなたぐいのものになるのかなというイメージなんですけれども、ガイドラインを作成せよという形になるのかなと思われるんですね。私の理解だと、そんなふうに読めるんです。
 それの絡みでいうと、今度は、ぼんと飛んで、地方公共団体の責務の第3で、やはり差別に関しては、国だけではなく、自治体の責務というのはものすごく大きいと思うんですけれども、条例ができているところは条例による、条例も積極的に活用すべきだという趣旨はわかるんですけれども、条例のないところに関しては、国の取組みに準じた取組みに努めることが求められるということで、ある意味で、正直申し上げて、いわずもがなのことがここで書いてあるような感じなので、もう少し突っ込んだ表現をしていただきたい。
 やはり、地域で暮らす障害者を支える自治体の責務というものをもっと意識した形での自治体の責務というのがあるように思われるので、ここは、もう少しうまい表現ができないのかなと、今、感じました。
 そうすると、第3に、やはり合理的配慮に関しては、新たな概念でありますから、プロパガンダというのはとても必要ですけれども、合理的配慮を実現するに当たって、国及び自治体がどれだけ努力してくれるのか、ここでの議論も出たかと思いますけれども、教育でいえば、合理的配慮に対して、財政的もしくは人員的支援をするというようなことを、どのような立場で意見出しをするのかということも、やはり、なかなか財源に絡むようなところに関しては、実現可能性からすると、難しくなるから、余り触れない方がいいという配慮かもしれませんけれども、やはり意見ということであるならば、合理的配慮に関して、国、自治体の責務は大きいというようなことは、どこかに入れていただきたいというふうに思いました。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございます。十分お答えできるか自信がありませんけれども、足りないところというか、つじつまが合っておらぬとか、書いておるのに言い残しておるではないかということは、どなたからでも室長さんも含めて、補っていただくとして、私なりに、自分のつもりと、今の先生の御疑問を突け合わせまして、まず、第1点ですが、この書きぶりがごたごたしておるという、これは、申し訳ありませんというしかないんですけれども、意識としては、まだ、私自身が政策委員会というのが、どこまでのことをされるのか、つまり、大きな施策の方向づけをされて、内閣総理大臣、関係各大臣に意見を具申されるということは承知しておるんですけれども、具体的な施策のハウツーというのが、いわゆるガイドライン、非常に具体的な意味での、そこまで政策委員会でどこまで踏み込んでいかれるのかというのが、ちょっと私自身でよくわかっていないところがあって、資料3の第1の書きぶりの方に話を戻しますと、1、のところでは、調査を行い施策の基礎に据えると、調査というのは、言わば、当たり前のことです。ただ、抽象的に施策を論じる以前に、まず、現状の把握が不十分ではないかということで、現状をちゃんと見据えた上で施策を講じる。
 ここは、やはり政策委員会というのがかなり絡んでくる、本来の役割として施策についてのいろいろな提言をしていくことになるんだろうと、この大きな話ですね。
 情報提供ガイドラインという、この2のところは、そうやって、言わば高いレベルで総合的な施策という言葉を使っておりますけれども、高いレベルの総合的な施策を確立した後で、具体的にそれをどう実行に移していくかという、法律の執行とか、ああいう具体化していくというレベルのことを、この2、のところで書いておりまして、それについては、広報や情報提供が勿論必要だし、また、不均等待遇や合理的配慮というのが何なのかということを日常生活で、私人間、民民でもこれはものを言ってきますので、ガイドライン、これはかなり具体的なガイドラインを示して周知しなければいけないと、大きな施策の話と、もっと細かい具体的なマニュアル化の話を一応分けて書いたつもりだということなんです。
 ですから、一応、どっちを向いて書くのかというときに、大谷委員を始め、ここの皆さんの方を見て書いているのかと言われると、そうではないわけです。これは、政策委員会に出す文書を、今、詰めている作業をしているわけですから、政策委員会に対して、こういう段取りではないでしょうかということを言って、だれに向いて、何を言っているのかがわかりにくくなっているかもしれません。今のが第1点の御質問に対する一応の答えです。
 以下、続けて御回答申し上げるということでよろしいですか、それで、また、御意見をちょうだいするということで。
 2点目につきまして、自治体にもっと責任があるという、3ページの第3というところ、地方公共団体の責務というところをもっとしっかり書くべきだと、最後の国の取組みに準じた取組みに努めることが求められるなんていうのは、当たり前ではないかということなんですが、勿論なんです。
 しかし、自治体について、本来のいわゆる自治事務という、本来、自治体に託されている法定受託事務という言葉もありますから、法律でやりなさいと言えば済む話だけれども、本来の地方自治からすると、それは、市民生活あるいは福祉といった、こういう地域に密着した話ですね。
 それで、我々が今、議論しているのは差別禁止ということなので、確かに具体的には道路が段差があるとか、あるレストランが障害者を入れないとか、そういう身近なところで差別は起きています。しかし、だからといって、本来の自治体の課題なのかというと、むしろ、人権侵害を防いでいく、除去していくと、これは全国一律の憲法上の要請を実現していく話なので、むしろ国の責任というのが、それだけやはり第一義的に大きいと、それを自治体にも同じような責任があるんだというのは、何か国の文書としては少し潔くないというのか、つまり、自治体さんの幾つかは、先行して条例を設けておられるわけで、それを何か国が後から追いかけていくようなときに、ちょっと俗な表現をすると、偉そうな書き方はなかなかしづらいという、それが、この2点目の御質問についての一応のお答えということになります。
 3点目、合理的配慮について、国や自治体はどれだけ努力をしてくれるのかということについて、努力をすべきなのかということについて、例えば、教育について具体的な意見をもっと述べるべきであると、まさに、これは名前も意見という名前なんだからもっと意見らしくしろとおっしゃってくださいました。それについての私の姑息な言い逃れは、意見というのは名前だけで、今までのとりまとめとか、骨格提言というのと特に変わっておりませんというのが、ですから、骨格だけ変えたというのが一応の説明なんですけれども、少々遠慮というか、引いている部分があるかもしれないですね。今までといいますか、旧差別禁止部会でいろいろヒアリングをやって、ある意味、各省庁の、ある種のハードルの高さというか、これは感じつつ、しかし、正面から当たるよりも理念を浸透させていくことで、岩にも透き間があるだろうと、そこに水のように入っていって、それでいつか大きく変えることができないかという、私だけかもしれませんが、そういう戦略というのも何となく意識をしたものですから、ちょっと具体的な話が薄くなっているということかなと、自分では思います。
 大谷委員は、もうよろしいですか。
 どうぞ。

大谷委員 今、棟居部会長の最初の説明の政策委員会に対する意見なので、この意見の方向性は、政策委員会当てだということなんですけれども、とりまとめの手続は、政策委員会にこれを上げて、政策委員会で最終的に了承していただくということになるのかもしれませんけれども、今、私たちが議論しているのは、差別禁止法に盛り込むべき事項を、どういうものが必要なのかということで検討してきたつもりです。
 ですから、手続的には政策委員会に提出するのかもしれませんけれども、やはり差別禁止法には、最低限国の責務としてこれだけは盛り込んでいただきたいということを法案としても、このようなものは最低限不可欠ではなかろうかというような意見は、私は出してもいいんではないのかと思いました。
 以上です。

棟居部会長 わかりました。政策委員会に向けてではなくて、もっと広く国あるいは国民に届くような大きな声を書くということを肝に銘じたいと思います。
 太田委員、それから、西村委員、引馬委員、山崎委員、山本委員は、先ほど挙手はされなかったですね、では、今の順番で、浅倉委員もですね、名前も覚え切れていないと思いますので、まず、太田委員、どうぞ。

太田委員 ありがとうございます。太田です。大谷委員が、今、述べられ国及び地方公共団体のところで、合理的配慮ということの必要性を強く書くべきであるということに基本的に賛成です。
 というのは、差別禁止法という法体系は、権利条約の批准を目指すという大きな流れをもった、そういう目的を持った法律・制度ですから、権利条約で新しい概念として、合理的配慮の不提供は差別であるということが言われています。それについてまだまだ一般市民の間では周知徹底がされていない状況であると認識しています。少しやり方を工夫すれば、机の高さと、スロープを付けたり、トイレの整備とか、勤務時間の変更とか、少しやり方を変えれば、ほかの人たちと同様に働けたりするということにも、周知徹底をされることが、国、地方公共団体にその責務として、新しい概念であるからこそ、責務があると思います。
 あと、欠格条項について1点だけ、資格の取得が制限というように、下から2行目に書いてある。これがそのとおりであるとすれば、障害の在り方をもっと広くとらえて、例えば介護が必要な人は、公営住宅に応募できませとか、そういう資格の取得の制限が実際にあることを念頭に入れていただく、そういうことを含んだ資格の制限であると、念頭に入れていただきたいと思います。

棟居部会長 ありがとうございました。今、最後おっしゃった点は、この資格というのが、いわゆる国家試験を受けて、例えば弁護士資格であるとか、そういった資格に限定されるとすれば、狭過ぎると、公営住宅入居の資格といった、もっと広いものも含むように書くべきだと。

太田委員 含んでいるというふうに解釈をして大丈夫ですねということです。

棟居部会長 ありがとうございました。本来の趣旨よりもっと狭く読まれないように、十分注意して改めていきたいと思います。
 ちょっと私は、記憶力が非常に悪いんですが、多分、西村委員に御指名していましたね、その次に引馬委員、山崎委員、浅倉委員、この順番、その後に伊藤委員でよろしいですか、では、そういうことでお願いします。
 では、西村委員、どうぞ。

西村委員 西村です。ありがとうございます。国と地方の責務につきましては、大谷委員がおっしゃったとおり、合理的配慮に関する一定の支援等々についても、入れるべきと思います。
 特に、他の制度とか予算というお話もありましたが、この間の部会の議論では、例えば、障害者雇用に関しましては、労働政策審議会の障害者雇用分科会の中で、現行の障害者雇用促進法の支援メニューも合理的配慮になるのではないかといった議論もあるわけですから、やはり、合理的配慮の提供、これは、過度な負担が生じた場合にということも、この間の議論の中にはありましたので、国の一定の取組みを、入れていただきたいと思います。
 それから、これは、地方自治体も併せてになりますけれども、障害者雇用でいえば、国とか地方公共団体につきましては、民間企業よりも高い雇用率が設定されておりますが、それは、民間に対して規範的なものを示すということもあると思ってます。
 私どもの方で提出させていただいた資料の中で、地方自治体が採用試験を行う中で、欠格条項的なもの、あるいは合理的配慮を提供していないといった実態が明確になっていることから、国なり地方自治体は、障害者の差別をなくすといいますか、障害者に対するさまざまな対応をしていく上で、模範的にやっていくべきであることを加えるべきだと思います。
 それから、この国等の責務で載せられている範囲ですが、国と地方公共団体と国民という3つの枠組みになっています。この間の議論からいえば、事業主も加える必要があると思います。これは、障害者雇用、交通機関、役務提供、教育機関も本法と大きく関連するからです。
 そうであれば、やはり第4の国民の責務に書かれているように、国民各層における自主的な協力が必要であれば、これは、当然、社会全体が関わっていくということからも、こうした範囲には、事業主等々ということで、もう一度見直しをする必要があると思います。
 ちょっと戻りますけれども、国の基本的責務の4番目の円滑な救済に関する仕組みの運用と状況報告が書かれてますが、これも部会の中で一定の議論がされて、結論的なものが出ていないと思いますが、ここの中では差別事案が発生した場合の、と書かれていますが、ここがもうちょっと具体的にならないのかと思います。
 勿論、この間の議論の中では、人権救済法を含めまして、どういった形の救済機関が必要なのかと、あるいはできるのかといった議論がありましたが、やはり救済機関を設置するということがあって、初めてその他のものが付いてくると思いますので、そこら辺も併せて意見として申し上げたいと思います。
 もう一つ、欠格条項の関係ですけれども、3ページの一番上ですが、真に必要とされる最低限の要件というのが、わかりにくいと思います。この意見書自体につきましては、先ほど大谷委員からも意見がありましたが、この間の議論の中では、あと2つあったと思います。
 1つは、国会で議論していただく以上、国会議員の皆さんにもきちんと理解をしていただく内容にしようということ、それから、もう一つは、広く国民の皆さんに、問答集みたいなものが出てきましたけれども、わかりやすい形で書いていこうということもありましたので、真に必要というのは、わかりにくいので、そういった意味では、書き方につきましても、広く広範に理解を得られるような書き方をしていく。そして、この前のような質疑集みたいなものも併せてつくっていく方向でいけばよいと思ってます。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。1つずつ重要な御指摘をいただいているんですけれども、三役ということもあり、とりあえず、即答はなかなかできませんので、全体に少し書きぶりが薄いということかもしれませんが、室長、お願いします。

東室長 東です。御意見の御趣旨はよくわかるんですが、こういう案ではどうかという形で意見を出していただかないと、御趣旨はわかるんですけれども、どういうふうなイメージでおっしゃっているのか、こちらもなかなか、事務局的にも把握できない部分があります。
 例えば、事業主等のことをおっしゃいましたけれども、具体的に西村委員としては、例えば、国民の責務のほかに事業主の責務をつくれという御提案なのかどうか、よくわかりません。
 それとか、真に必要とされるのはわかりにくいとおっしゃるんですが、抽象的に全部の事例を包括して部会三役としては書かれているわけで、ですから、一定抽象性を免れない表現というか、そういう前提があるわけですけれども、具体的にどう書けばわかりいいのかという辺り、そういった積極的なものを出していただかないと、ちょっと時間がない中で、なかなか3人集まって作業というのは難しいので、そういったところにも意を用いて御意見をいただければと思います。

棟居部会長 補足をしますと、全部覚えているわけではないんですけれども、今、欠格条項の真に必要とされるという、確かに余りうまい表現ではないと思うんですけれども、当初は、例えば、科学技術の進歩を見ながらとか、考慮してとか、補助器具等の進歩で、従来は欠格条項とされてきたものが、そうではなくなるとか、そういうところをもっときめ細かく見ていくべきだという文章なんかも考えたんです。
 しかし、逆にそういうふうに書いてしまと、欠格条項についての検討が専ら技術サイドの検討だけになってしまうというのも、かえって具合が悪いんではないかということで、結局、踏み込んで書こうとすると、逆にある意味では狭くなる面もあるので、少し真にと、単に言葉だけはきつくして、中身はぼかしたというのは、西村委員が鋭く発見されたように、ちょっとどたばたしておる面はございます。というような、これは泣き言というか、言い訳に過ぎないので、今、室長が言われたように、もっといい文章があるんだということであれば、御提案いただければということで申し訳ございません。
 では、引馬委員、お願いします。

引馬委員 引馬です。これまでの委員の先生方の話とかぶりますが、合理的配慮に関する国などの責務についてです。
 記載されている啓発、情報提供、救済は、合理的配慮に関わり大変重要だと思います。同時に、やはり合理的配慮の実際の提供自体が、よりよく確保される支援について向き合う記載が何らかの形であってもいいのではないかとの思いがございます。
 よりよく確保されるための支援といいましても、支援の意味をかなり広く捉えて、いろいろな書きぶりがあり得ると思います。
 例えば、合理的配慮の公の支援のなかには、多分、これまで既になされてきた財政的な支援が入りますし、あるいはさまざまな、直接的には財政的ではない支援があります。合理的配慮をよりよく実行するためのさまざまな既存のサービスなどもあるかと思います。これらを出発点にできると思いますし、そうした実際の取り組みを大切にしていく必要があると思います。その点に触れることは、合理的配慮の実施にあたり重要ではないかと思います。
 付け加えて、そう思います理由の一つは、やはり合理的配慮を提供する主体には、さまざまな規模があることです。大きな規模のところもあれば、小さな規模のところもある。小規模だから提供が無理ということは必ずしもないかもしれませんが、合理的配慮を提供する主体に仮に思いがあっても、条件によっては提供できない場合があると思います。さまざまな規模の主体が合理的配慮の実施を確保できる意味でも、実際の提供に関わる支援に触れる必要かと思います。
 もう一つの理由は、この部会でも議論がありましたが、合理的配慮の中身自体が非常に多様だということです。この点を考えれば、合理的配慮の中身を細かく考えていく必要があり、そのなかで同時に今の厳しい状況においても、いい意味で一定の実質的な支援ができるのではないかと。こうした意味で希望を持って、国などの責務の部分で、合理的配慮の実際の提供に関わる支援あるいは役割などについて、何らかの形で触れてはどうかと思います。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。合理的配慮について、ガイドラインという格好で、少し直接合理的配慮を国がもっと支援していくという、そういう積極的な面を十分出していないという御指摘だと思うんですけれども、これも言い訳なんですが、余りそれを書くと、合理的配慮は常に国が、例えば財政的な面倒を見てくれるはずだという期待を生んで、しかし、それは、本来の差別禁止法からすれば、合理的配慮をしないと差別になるわけですね、当事者が、ですから、合理的配慮をするときの条件として国の支援を事業者が求めるというのは、本来、筋として余りよくない話ということで、国が勿論、ガイドラインを作成して周知徹底し、しかも、その合理的配慮のまさに中身をより合理的なものにしていく、つまり、無理のないものに、言わばWin-Winの関係になるようにしていくという、こういうことは十分考えるべきだけれども、常にお金を出してという話ではないんだろうというふうに、私としては思います。
 ただ、合理的配慮というときに、実際にお金の面では、そんなに思うほどにはかからないという、これは、以前、室長とかと参加したテキサス大学のリチャード・スコッチ先生の講演の中で、意外なほどに安上がりであると、つまり、机の位置をちょっと低くしてくれとか、その程度で、いちいち国の支援なんかも要らないようなものだと、ただ、そういうマニュアルさえしっかりつくっておけば動いていくという、こういうことを20年のアメリカテキサス州での実証データとしておっしゃった。これは、勿論、そんなはずはないという御異論もあるかもしれませんけれども、ということで、国の支援というのは、まず、一義的にはガイドラインでどこまでやるべきなのか、どういうことをすると差別になるのかと、これを示していくと。それに伴う財政云々は、我々も別論として、勿論、どこかでは強く呼びかけるというか、期待を示すことは必要なんだろうけれども、概念的に合理的配慮の国の財政支援が、当然組み込まれるというものではないかなと、個人的には思っています。少なくとも、そこは切り離して考えましたということです。済みません、私の要領の悪い回答で時間がかかってしまって、では、恐れ入ります、先ほどどんどんお手が挙がっていましたので、順番に御質問いただくということで、私の方も簡単に答えられる範囲でお答えをすると、そして、また、引き取らせていただいて三役で、勿論、今、おっしゃったすべてを含めて、また検討の場を、勿論、我々三人で設けていますので、すべて検討するということで以下進行します。
 山崎委員、お願いします。

山崎委員 山崎です。私の意見は、欠格条項に関するものです。3ページですが、この全体の趣旨は、資格制度の趣旨・目的からして、先ほど来問題になっている真に必要とされる最低限の要件、能力に制限を課すことはやむを得ないが、それを運用によって実質的に制限範囲が広がることは許されないという趣旨だと理解しています。
 この趣旨は、非常に私は大事だと思いまして、これを誤解なきように浸透させるためという趣旨での文言修正なんですが、今のところの第3段落目「このため」で始まっているところで「資格を取得する上で求められる」、ここは要件、能力で、先ほど来、問題になっている真に必要とされる「最低限の」という文言が入っていないんですね。私は「真に必要とされる最低限の」という文言は、よく工夫されていると実は思っていまして、強いていえば、これに「合理的な」などと加えた方がいいのかなと思っているんですが、1行目にある文言を、更に第3段落の1行目にもってくるのは、ごたごたするかもしれませんが、可能であれば「求められる」の次に「真に必要とされる最低限の合理的な等」を「合理的な」はなくてよろしいんですが、だめ押し的に加えた方がよろしいんではないかという意見でございます。
 以上です。

棟居部会長 どうも建設的な御提言ありがとうございました。取り込ませていただく方向で三役で検討させていただきます。
 続きまして、浅倉委員、お願いします。

浅倉委員 ありがとうございます。浅倉です。私も4点あります。簡単な部分なのですが、1つ目は順番の問題です。第1の2というのは、私なりに考えますと、差別を事前に防止するための措置だと思います。つまり、情報提供とか、ガイドラインの作成です。ところが第1の4は、それに対して、事後的な救済の問題だと思います。ですので、この3と4を入れ替えたらどうかという提案が1つ目です。防止のつぎに救済を持ってきて、そして、3を4にする、というように、順番を入れ替えるといいのではないかというのが、1つ目の提案です。
 2つ目は、先ほど西村委員からも出ましたが、3ページ目の第4です。国民の責務とありますが、この見出しを民間事業者及び国民等の責務とか、そういうふうにしてはどうかと思います。
 といいますのも、以前の部会三役の原案の中にも、見え消し部分で修正していただいた言葉がありまして、例えば今日の資料6には、国・地方自治体及びこれに従事する公務員のほか、民間事業者、私人も含めた社会の行為規範、というようになっています。できれば、ここと同じように、事業者という言葉を入れるか、事業者及び国民等の責務とするかがよいかな、というのが2点目です。
 3つ目は、また戻りまして、第1の4、円滑な救済の仕組みと運用と状況報告の中で、1行目、差別事案が発生した場合の簡易で迅速な解決とありますが、やはりここに、簡易で迅速かつ実効的なというように、実効的という言葉を是非入れていただきたいと思います。
 第1の2には「実効性を確保するために」と書いてありますが、こちらのほうはむしろ防止です。実効性というのは、やはり救済の方にもっとかかるべきだと思います。別に2から実効性を外せというわけではなく、4の方に、「かつ実効的な」を入れていただきたいと思います。
 4つ目ですが、第2の1、障害女性の問題です。ここも具体的に修正していただけるとありがたいのですが、3段落目になりますがこのように「男女参画の分野では」とありますが、「男女共同参画の分野では」がいいと思います。「障害のある女性が取り上げられるようにはなったが」と、ここで終わっています。しかし、最近、男女共同参画の分野でもせっかく障害がある女性を取り上げても、全く実効的な取組みがないということが判明しましたので、取り上げられるようにはなったが、具体的な施策の遂行やモニタリングは不足している、というような表現で、一度切っていただければと思います。
 そして、改めて、これまでの障害者に対する一般的な施策の中で、障害女性の問題が取り上げられることは、極めて少ない現状にある、という言い方がいいと思います。
 その下の方にいきまして、このため国はという段落の2行目、「基本的な責務として求められる書く施策に」とありますけれども「基本的な責務として求められる各施策のすべてに」と入れていただきたいです。その次に「ジェンダーに敏感な視点を反映させ」というふうに入れていただくと、意味がはっきりするかと思います。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。最後の「ジェンダーに敏感な」というのは、私自身には、ちょっと余りぴんとこない、これは、よく使われる表現ですか。

浅倉委員 はい、ジェンダー視点を、という表現もありますが、男女という問題に敏感な視点を反映させてほしいというふうに言うと、同性介護の問題とか、そういうのも全部含まれるのかなと思いますので、そういう言葉を入れていただければありがたいなと思っております。

棟居部会長 わかりました。それと、終わりから2番目に、それもやはり修文の提案としておっしゃいました、今のところのすぐ上ですかね「これまでの障害者に対する」というところの前に具体的な施策やモニタリングは不足していると、これについて、人様のというか、別の委員会がされておるので、差別禁止の観点からの具体的な施策やモニタリングは不足していると、こちらの話の挿入を加えても、先生の御意見として特に変わりはないですかね、今の差別禁止の観点からといった文章を差し挟んで、更に具体的な施策やモニタリングは不足していると、こういうことでなら、特にこちらもやぶさかではないというのか、書こうとした趣旨を明確にしていただいたということで。

浅倉委員 浅倉です。ありがとうございます。複合差別の問題ですので、いいと思います。

棟居部会長 ありがとうございます。後ろから順番で申し訳ないですが、簡易、迅速かつ実効的という「実効的」という文章を第1の4のところに入れるべしと、これについては、私は、まさにそのようなつもりで書いておりますので、受け入れさせていただきたいと思います。
 先ほど何度かほかの委員からも言及のあった、第4、国民の責務のところですけれども、これは、紛らわしいんですが、確かに浅倉委員御指摘のように、本日、第3コーナーでもサイド取り上げます部会三役の原案1の、先ほど言及された部分では、民間事業者、私人という表現をしています。
 しかしながら、原案1では、まさに障害の定義のところで、人々が行為する際の判断基準、つまり、法規範としてだれが名宛人なのかといった観点で、国・地方公共団体、更に民間事業者、私人と、こういう書き方をしようとしておるわけで、それに対して、今、御指摘の、本日第1コーナーの部会三役原案2の1の最後第4国民の責務は、本法の円滑な施行には、国民各層における自主的な協力が必要ということで、法規範、裁判規範という紛争が生じた後、だれがどういう義務を負うんだという、そこまでいく前の話、もっと一般的にガイドラインを示すので自主的に協力をお願いしたいと、そういう呼びかけですから、アバウトに国民でもいいかなと思っているんです。ちょっと文章の段階というか、どこを向いて、何を言わんとしているかというのがわかりにくくて申し訳ないですけれども、これは、基本的責務ということで、そもそも国は基本的責務と申しましても、これは、条約に対応して、法的な義務を、国内法的にも負うということになりますので、本当は責務とか、そういう緩い呼びかけで済む話ではないですね。しかし、こういう新しい制度をつくるときには、まず、この枕から入る。そういうときには、責務というような言い方をする。そして、実は、差別禁止法は合理的配慮という格好で事業者と私人に対しても法的な義務づけを伴ってくる、そういう意味で非常に踏み込んだ重い規範性を持ち得るんですが、この枕のところでは、国民の責務というお願いと、そういうスタンスを取っているということで、余り意味のない文章で、ここで、国民の中に、更に事業者とか書いていく必要があるかなと、個人的には思います。国民でもいいのではないかと思います。
 ただ、勿論、すぐに合理的配慮義務という格好で民間事業者、名宛人に出てきますので、それなら最初から国民なんて言わずに、事業者と書いておく方がわかりやすいということであれば、先ほど御提案のあったような民間事業者、私人といった形に改めたいと思います。
 済みません、どうも言い訳で長くなりまして、以上で、一応、浅倉委員の御質問に私なりに答えたとすれば、伊藤委員がお名前があった最後ですね、では、伊藤委員、その後、池原委員。

伊藤委員 3点にわたりまして、簡潔に意見を言いたいと思います。
 1つ目、国の責務についてですが、財政という表現よりは、自治体や事業者などへの援助を行っていくことが、国の役割の責務の1つであると明記することもできると思います。それが1点目です。
 あと、地方公共団体の責務について、先ほど来から議論があるのと、私も同感です。地方公共団体の役割は、特に障害福祉分野では大きいのが現実ですし、「国に準じた」というようなことで済ますのでなく、より明確に、具体的に書いていく必要があると思います。具体的には、相談という役割については、特に明記すべきだと考えます。
 あと、救済機関に関することですが、設置主体の議論を踏まえてで結構ですが、国あるいは地方公共団体に設置をするということがペーパーに出てまいりますので、救済機関の設置、また、円滑な運用も責務に入ってくるのではないかと考えます。
 最後に、事業者についてですが、私も事業者の責務を明記すべきだと考えます。
 国民の責務と並んで書くべきかということについては、私なりの理解では、国民の責務の方は、私人としての責務だと思っていました。事業者の責務という場合、民間事業者だけでなく国や地方公共団体を含め、例えば、雇い主だったり、あるいは事業の主体というような意味の事業者であって、単なる国民とは大分性格が異なると思います。個人情報保護法では、事業者というのが、国も地方公共団体も含んでいたと思いますが、そういった意味の事業者の責務ということを別途明記する必要があるのではないかと思います。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。今、おっしゃったのは、技術的、かつ、明確な御提案をいただきまして大変ありがとうございます。検討させていただきます。
 引き続き、池原委員、お願いいたします。

池原委員 池原です。欠格条項のところの記載に関してなんですけれども、1つの可能性として参考にしていただければと思うんですが、私の視点は、むしろ、この意見書自体が、実は第3コーナーでもう一度検討することになりますけれども、差別の定義とか、それから、例外的な許容要件についてある程度言及をしているので、そのこととの文脈的な多様性を出した方がいいのではないかというふうに思っています。
 そういう点では、欠格条項についての第1段落と第2段落について、例えばですけれども、資料5の5ページを見ていただきますと、結局、当部会の意見として、差別については、4)の最後のパラグラフのところで、障害または障害に関連した事由を理由とする差別類型というふうにいっているので、これを欠格条項に当てはめて表現すると、障害または障害に関連した事由によって、国等が認定する資格の取得が制限されることになると、差別になるという可能性があるということになって、第2段落の方は、今度は8ページの方を見ていただきますと、8ページの一番下の、下から4行目、当該取扱いが客観的に見て、正当な目的の下に行われたものであり、かつ、当該取扱いがやむを得ない場合においては是認されることになるというふうになっているので、例えば、第2段落は、資格の制限が客観的に見て正当な目的をもっていて、かつ、その制限がやむを得ないという場合であれば正当である。だけれども、後は、日本語の表現の仕方ですけれども、正当な目的が認められない場合とか、あるいは、その制限がやむを得ないというようなものでないのに、資格を制限しているとすれば、正当化されないだろう。あるいは合理的配慮ということについて、何らの検討もなしに、資格が与えられないというのも適当ではないと。
 第3段落に入って、現在、絶対的欠格条項については大幅に見直されてきているけれども、運用の在り方によっては、こうした問題が、なお残る可能性があるので、将来検討してほしいというような方が、意見書としての、せっかく基準を出しているので、統一性が取れていいのではないかと思ったということです。

東室長 池原先生、案分を出していただけませんか、せっかくそこまで言われるのであれば、お願いします。

棟居部会長 私から追加すると、今の池原先生のは、我々三役の方で、欠格条項というのを何か別のカテゴリーみたいに考えておった、その問題を指摘されたということで、非常に有益な御指摘をいただいたと、つまり、自分らで提案をしている、何が差別でるのかと、何が正当化事由であるのかといった、この枠組みに欠格条項の問題も載せるべきだと、その枠組みの応用の1つの事例として欠格条項をとらえるべきだと、文章の書き方もそうすべきだと、こういう御提案ですね。それで、職業選択の自由の制限あるいは居住の権利の制限といった観点からすれば、当然、池原委員がおっしゃったような、この一般的な枠組みを当てはめて答えを出す必要があるわけです。
 他方で、国が資格を、例えば弁護士資格といったものを認めるというときに、一般的な職業選択の自由の合理的な制限という目線が必ずしもないわけです。むしろ、特許事業的に、本来、自由にはできないものを例外的に与えているという、何か頭の隅にそういうイメージが少しあって、だから欠格条項というものが一人歩きを許されてきたし、それに引きずられて、こういう書きぶりになったと、非常に反省させられました。ということを感想として付け加えさせていただきます。
 どうもありがとうございました。私が、必死の抵抗というか、これはディフェンドではない、ずっと前回までは、せいぜいサッカーの審判で一緒に走っていればよかったんですが、前回からディフェンドに回されて、ぼこぼこにされているので、大変しんどいんですけれども、しかし、これはとりまとめですから、勿論、必要なプロセスであります。
 ということで、進行予定は、2時35分くらいで切らせていただこうと思っておりますので、お一方、川島委員がお手が挙がっています。川島委員で、第1コーナーは、一応終了ということにさせていただきたいと思います。
 川島委員、お願いします。

川島委員 ありがとうございます。川島です。簡潔になんですけれども、資料3の第1の5ですけれども、2ページ目に入ったところで、1行目と2行目に「本法の円滑な施行のためには、関係機関の職員等が障害者に関する専門的知識等に基づき」、これは「業務を行う必要がある」というふうに書いた方がよいように思いました。

棟居部会長 間違いです。改めます。

川島委員 それと、同じ部分で、「障害者に関する専門的知識等」とあるんですけれども、差別禁止なので、「障害者と差別に関する専門的知識等」でもよろしいのかなとも思いました。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。そのようにさせていただければと思います。
 大野委員、お手が挙がっていました、失礼しました。

大野委員 簡潔に最後に申し上げます。2ページ目の障害に基づくハラスメントの部分なんですけれども、障害女性のセクシャルハラスメントを含めて、これは、作文の問題でもあると思うんですけれども、現在、起きている実態をかんがみたときに、障害女性だけではなくセクシャルマイノリティーの人たちや、あるいは男性に対する差別というのも起きるということは十分に考えられると思いますので、障害女性のセクシャルハラスメントを含めということと同時に、差別禁止法というものが、今後、しばらく運用されるということを考えたときに、現在の実態的な差別の状況をかんがみて、セクシャルハラスメントという概念をもう少し広く包括した方がいいのではないかと思います。

棟居部会長 ありがとうございます。今の点について、大野委員あるいは浅倉委員、何か技術的な、では、こういう言葉があるじゃないかという御示唆をいただければありがたいんですが。
 恐れ入ります。では、ちょうど時間もまいっておりますので、どうも活発な御議論、御指摘ありがとうございました。
 以上で第1コーナーを終わります。ここで15分の休憩をとらせていただきます。
 ということで、この会場には、時計がございませんが、私の時計では、14時33分かと思うんですが、ここから15分ということで、48分、50分より少し前に再開させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

(休憩)

棟居部会長 再開します。第2コーナーも65分で予定しております。
 どうぞ。

太田委員 申し訳ありません。第1コーナーでのお示しになられた原案について確認ですが、国等の責務ということで、前回お示しされたものとの違いは、国や地方公共団体の責務と課題について明らかにされているというふうに解釈をしていいのでしょうか。

棟居部会長 御質問ありがとうございました。おっしゃいましたのは、前回は理念というものを中心に原案1、これは、本日の第3コーナーで、また、修正案が出てまいりますけれども、その理念というのを、まず、取り上げたと。そこでは、コンセプトを我々として示した議論をいただいた、一定の、ある程度の合意を見たと思っております。
 それに対して、本日の、先ほどの部会三役の原案2の1、ここでは、国の基本的責務あるいは地方公共団体の責務といったものを書いておるときに、前回の差別とは何なのか、あるいは合理的配慮とは何なのかということについての理念が、それが国に及ぶあるいは自治体に及んで国や自治体の責務になるはずなのに、その関連性が十分に原案2の1、先ほどのものですが、そこでは理念的なものが反映されていないと、まず、差別禁止、合理的配慮についての理念があり、それを国が、では、どうしなければいけないかという責務と、この結び付きの書き方が弱いという御指摘と理解していいでしょうか。

太田委員 そうです。それもありますが、私たちは、それを混同してしまって、問題を混同して考えてしまいがちですので、それのコンセプトの違いをはっきりさせていただければ議論もしやすいかと思って発言をしました。

棟居部会長 ありがとうございました。御趣旨を承りました。つまり、先ほどお示しした国等の責務というものの位置づけが少しあいまいで、それが皆さんのいろんな議論、その中に多少あいまいさゆえの混乱というか、行き違いがあったんではないかと、こういう御指摘だろうと思います。
 私は、国の責務というところ、あるいは地方公共団体の責務というところで、日本語としては、実施することが求められるとか、見直していくことが求められるという非常に弱い書き方になっていますけれども、本来の法的な意味での国や自治体の責務は、これは法的には義務です。ですから、もっとずっと強い。ただ、今までになかった考え方ですから、まず、隗より始めよということで、国や自治体は何をしなければいけないか、当然、それは、非常に、国や自治体は緊張感を持って、自らに厳しく接するべきですが、この種の文書の書き方として、責務という1つの枕詞があるんではないかということで、余り中身のないことを、先ほどの原案2の1で書いている、中身がないというと、また、御批判があるかもしれません。あれだけ一生懸命議論したのに中身がないとは何だと言われるかもしれませんが、政策委員会、引いては内閣、引いては国会、更に国民、事業者に向けて、我々が主として提示するのは、差別とは何か、合理的配慮とは何か、何をすべきで、何をしてはいけないかということです。
 それに対して、言わば、国や自治体は、どう条件を整備していくべきか、こういうことが先ほどの責務という話ですから、少し靴の上から書いているようなまどろっこしい言い方になっています。しかし、決してそれは国の責務が緩やかなもの、程度が低いものということではありません。そこはわかるように、場合によって、意見書をまとめるときの順番も、国の責務とかをどこに持ってくるかという順番も、今の御指摘を踏まえて工夫したいと思います。ということでよろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、第2コーナーの中身に移らせていただきます。
 第2コーナーも65分ほどを予定しております。資料4をごらんください。
 部会三役の原案2の2、簡易迅速な裁判外紛争解決の仕組みについてという資料でございます。これに基づき、最初に私から15分程度で御報告をさせていただきまして、その後、50分程度の質疑及び議論を行わせていただきます。
 まず、資料4、第1、紛争解決の仕組みの必要性というところでは、以下のことを述べております。本法が何が差別なのかという物差しを提供することで、差別等の紛争が事前に回避されることが望ましい。差別等の紛争が事前に回避されることが望ましいのですが、不幸にして紛争が発生した場合に備えて、本法の目的を実現するために、簡易迅速な裁判外の紛争解決の仕組みが必要であるということを述べております。
 続きまして、第2、想定される紛争事案のところでは、以下のことを述べています。
 1、相手方と事案の性格という部分では、雇用や就労、公共的施設及び交通施設の利用、商品、役務、不動産の利用、情報等、主に民間事業者や私人が相手方として想定される分野と、司法手続、選挙等、教育等、国や地方自治体及び公務員が相手方として想定される分野があるということでございます。
 わかりにくい文章で恐縮ですが、相手方事案について性格で分けていく必要がある。相手方については、主に民間事業者や私人が相手方という場合と、国や自治体及び公務員が相手方という場合を区別するということでございます。
 続きまして、2、紛争の態様では、以下のことを述べております。
 まず、解決の困難性という観点から3点に分けるべきである。
 第1点は、誤解をなくしたり、少しの配慮があれば解決する軽微な事案というものがあると。
 第2点目としまして、簡易な調整では納得が得られないが、一定の時間をかければ、合意できる事案というものもある。
 3つ目に、合意的な解決では解決が望めない事案というものもある。
 以上の3つの類型に解決の困難性という観点から紛争を区別するということでございます。
 続きまして、別の観点からの分類としまして、紛争の個別性、地域性という観点からは、1つには、個別的で地域的な広がりがない事案というものがある。
 もう一つは、構造的で広域にわたり、個別的解決が困難な事案というものがある。この個別的で、地域的にも限られておる事案と、構造的で、広範囲にわたり個別的解決が困難な事案、この2つを分けて考えることができるだろうととらえております。
 更に、日常生活の中で、継続的な関わりがある中での事案というものについては、円満な解決が望まれるということも述べております。
 続きまして、第3、自主的な解決の仕組みと第三者が関与する解決の仕組みというところをごらんください。2ページの真ん中でございます。
 そこでは、以下のことを述べております。
 まず、1、のところですが、自主的な紛争解決の仕組みと促進では、本来的には、自主的な解決が望まれるということを述べております。特に、雇用や就労分野のように、当事者間に継続的な契約関係がある場合は、円満な解決のための仕組みが必要であるということでございます。
 また、教育分野のように、継続的な信頼関係が求められる分野では、今、述べました点に加えて、児童、生徒及び親の立場をサポートする第三者の参加等の工夫が必要であるという点も述べております。
 続いて、2、紛争解決の仕組みに求められる機能という2ページの下の方でございますが、そこでは、次のことを述べております。
 紛争の円満な解決のために、障害者が身近で安心して相談できる相談機能、障害者への誤解をなくすために相談担当者が相手方に出向き、説明や調整をする調整機能。調整では解決が困難な場合に、専門家を含む中立・公平な機関による調停もしくは斡旋機能、こうした程度に応じた相談機能、調整機能、調停もしくは斡旋機能といったものが必要であるということでございます。
 また、当事者の合意を前提に中立・公平な第三者に解決を委ねる仲裁機能による解決というものも同時に検討されるべきであると考える次第です。
 利害対立が強い場合の裁定機能というものを導入することが適切であるのかについても、本法の施行後の状況を見つつ検討する必要があろうと考えます。
 続きまして、3でございますが、これは、4ページに飛んでいただきます。
 紛争解決に当たる組織の在り方のところでございます。まず、第1に、相談及び調整を行う機関として相談担当者には、障害者の立場や心情への理解や紛争当事者を説得する技術等が求められることになります。
 したがいまして、障害当事者や家族、身体障害者相談員、知的障害者相談員等の活用が考えられるところでございます。
 政府は、障害者総合支援法に基づく相談支援センターと、既存の組織を活用し、相談担当者の育成・確保に努めるべきと考えます。
 また、調停・斡旋・仲裁等を行う機関として、都道府県ごとに障害者の権利擁護につき、専門的な資質を持つ専門家を含む中立・公平な機関が必要であり、障害者基本法に基づき、都道府県が設置する合議制の機関と、既存の組織の活用を検討すべきであると考えます。
 更に、最後に、中央に置かれる機関として、障害者政策委員会等既存の組織が活用できるかどうかも検討すべきであると考えます。
 以上が3のところについての要約でございました。
 続きまして、5ページ、第4でございます。他の紛争解決の仕組みとの関係につきまして、本法に係る紛争について、既存の紛争解決の仕組みを通じて解決することは排除されないが、手続の実効性の観点から、政府において引き続き検討することが期待されるということを述べております。
 続きまして、これも同じく5ページの第5、司法判断のところでございます。ここでは、本法に係る紛争が以上の仕組みで、先ほど来、るる述べましたさまざまな仕組で解決できない場合は、司法の判断に委ねられることも勿論ございます。その際の訴訟形態や適切な判決の在り方については議論があり得るということを書いております。
 最後に第6、5ページの一番下、制度的な解決というところですが、個別の紛争で指摘された制度の問題点等についての情報を国または地方公共団体が権限ある行政機関に
 フィードバックすることで、既存の制度等の見直しにつなげることが重要であります。
 したがいまして、障害者政策委員会が、こうした観点で政策提言を行うことが期待されると述べております。こちらは部会で政策委員会、親委員会ですので、子どもが親に期待するといった書きぶりになるかもしれませんが、とにかく政策委員会には、今、申し上げた観点での政策提言を期待するという旨を述べております。
 以上が、資料4、部会三役原案2の2についての簡単な御紹介でありました。
 それでは、質疑、議論に入らせていただきます。予定の時間としましては、15時55分までの50分程度を予定しております。どこからでもどうぞ。
 植木委員、どうぞ。

植木委員 植木です。ありがとうございます。資料4を読ませていただきまして、まず、3点ありまして、1点目が、紛争がどういうイメージでとらえられているのかということで、紛争というのは、当然、この法律に違反するような差別的な事例が行われているような場合という意味だと思うんですが、読み方によっては、社会生活上のトラブル一般というふうな柔らかい意味でとらえられることもあると思います。
 この点、例えば、第1の4行目には、差別等の紛争とも書いてありますから、紛争といえば、法的な意味での紛争だという共通了解があるのかもしれませんが、それでも、一般の方が全体を読んだときに、ここでいう紛争というのは、もう少し柔らかい意味での社会生活上のトラブル一般を含むと読まれる可能性もあるんではないかと思います。
 どちらのイメージなのかということですが、確かに日常生活上のトラブルでも、それをハラスメントであったり、差別であったりするというふうにとらえるべきだというケースが多いと思いますので、間口は広げるべきだとは思いますが、それでも差別禁止法のインパクトということを重視するのであれば、これは、もうはっきり、法的な意味での紛争なんだということをどこかで強調してもいいんではないかと思います。
 ですから、最初のどこかの段階で、ここでいう紛争とは、この法律に違反するような差別行為が行われているという主張があった事例であるというふうなことをはっきり書いてもいいんではないかと思います。それが1点目でした。
 2点目は、これは、確認と提案なんですが、2ページに行きまして、2ページは、自主的な解決の仕組みと第三者が関与する仕組みという第3のところですが、第三者が関与する解決の仕組みの方が、国や行政機関が出てきて解決するということで、1の部分の自主的な紛争解決の仕組みの方は、これは、国などが出てこない解決の仕組みだというふうな整理なんだと思います。
 そうであれば、第3の1の2段落目の最後のところの、自主的な努力により円満な解決が図られている仕組みが事前に用意されることが望まれるという、この仕組みをつくるのは、多分会社だとか、あるいはその他の適用主体がこの仕組みをつくるということのイメージなんだと思いますので、そうであれば、もう少しわかりやすく、この仕組みが会社などの適用主体において事前に用意されることが望まれるという書きぶりの方がいいんではないかと思いますし、同じように、3段落目の「また」の部分ですが、教育の分野のように、学校や教師との関係で、継続的に信頼関係が特に求められる分野においても、学校が同様の仕組みを用意することが必要であるという形で、だれがこの仕組みをつくるのかが明らかになっていた方がいいのではないかと思いました。
 第3点、これは、質問ですが、以前からも議論になっていたと思いますが、中心的な人権救済機関というものをつくるか、つくらないかということに関して、この意見は、ある程度あいまいにしているということなんでしょうか。その点の可能性、前々回の部会で問題になっていたような中心的な人権救済機関を、もし、つくるということであれば、5ページの3)のところの言い方は「例えば、障害者政策委員会等の既存の組織を活用できるかどうかも含めて」というところで、例えば、あるいはそれに代わる人権救済機関をつくるかどうかも含めてというふうに、もう少し可能性を残した表現でもありなのではないかと思いましたが、この点は、いかがでしょうか。
 以上です。

棟居部会長 どうもありがとうございました。順不同でお答えさせていただきますが、最後の人権救済機関をつくることも含めてというのは、私としては入れたい文章であります。ただ、これは、当初、むしろ積極的にそういう書き方にしておったんです。行政救済というものに焦点を当てた形にしていました。しかし、御承知のように、人権救済機関というもの自体が過剰な介入を招くという、世間に広まってしまっている悪印象というか、そうしたものが不幸にしてどうもあるようで、それに、差別禁の問題が巻き込まれたくないというところで、全体として行政救済という用語を引っ込める代わりに、簡易迅速な救済とか、そうした、例えば、ADRとか調停とか、司法あるいは準司法的なものも含むような書き方にバックしたという作文のプロセスがありまして、ですから、あいまいになっているというのは、あいまいにしたということで、まさにおっしゃるとおり。
 しかし、例示として、行政救済機関などというのを入れるというのは、私は一向に構わないんではないかと思いますので、三役でまた検討させていただきます。ありがとうございました。
 それから、あとは、御質問ということか、あるいは御意見というか、こう書いた方がいいという御提案ということだったかもしれませんが、最初に御指摘のありました紛争のイメージのあいまいさというか、文字どおりの差別禁止法違反として法的救済の対象となる、そういう法的紛争なのか、それとも、社会生活上のトラブル一般というより広い意味かと、そういうのがあいまいだという御指摘で、確かに書き方はあいまいかもしれません。ただ、こちらのとしては、あくまで法的救済の対象としての紛争ということを意識しておって、これも言い訳ですから、時間を取りたくないですが、最初の第1の2行目、私人を含めた社会に対して行為規範を法で定めて、何が差別に当たるのかの判断の物差しを提供すると、これにより、差別等の紛争が事前に回避されることが望ましいと、まずもって行為規範を提示ということで、ここまでは法的な話をしているつもりであります。
 それで、差別に当たる紛争が事前に回避されるということが望ましいということと同時に、差別等という言葉で、法的には差別にまではいかないが、その他、日常的なトラブルというのも入ってくる書き方にしているんですが、これは、実害はないんではないかと思っております。
 以上が第1点についての答えであります。
 それから、2点目につきましては、会社とか学校とか、そういう仕組みの主体、2ページの第3のところの自主的な紛争解決の仕組みの主体、これを会社や学校というふうに明示をしてはどうかということで、勿論、自主的な解決というのは、本当にその場、その団体ごとの自立的な解決という意味でございますので、その主たる場面である会社とか学校といったように主体を書いても何ら文章の意味は変わりませんし、その方がわかりやすくなるというふうに、私も思います。
 以上で、一応の答えとさせていただきます。
 もし、追加でなければ、どうぞ。

植木委員 植木です。ではあれば、まず、私が3番目に指摘しました中心的な人権救済機関という話を、もし、含めるのであれば、今日、前段で私は言い損ねたんですが、資料3に戻っていただきまして、1ページの第1の3の関係機関の連携の確保という部分も、これも既存の関係機関が横並びで連携するというイメージなのではなくて、障害者政策委員会なり、新しい人権救済機関なりが中心となって連携するというイメージの書き方もあり得るのではないかと思いました。
 以上、御検討ください。

棟居部会長 今の修文は、政策委員は、かくあるべしと、恐らく考える、自分たちが中心だと、こういう修文になりますので、結構ではないかと思います。そういう御意見を取り入れさせていただければよろしいんではないかと思います。勿論、これはすべて三役で一個ずつ、今はやれませんので、御相談ということで、とりあえず、今、顔色を見ておるんですけれども、ちょっとよくわかりませんので、後で相談します。
 では、山崎委員、お願いします。

山崎委員 山崎です。先ほどの植木委員の最後に出された救済機関に関わることの補足的な質問をさせていただきます。
 障害者権利条約との関わりなんですが、少なくとも、障害者制度改革推進会議の趣旨は、日本で障害者権利条約を批准する、そのことを前提としているといいますか、あるいは強く念頭に置いて、今後の日本の法政策を考えると、そのアイデアを出すという役割であったと理解しています。
 本日から、この差別禁止部会は、障害者政策委員会の下に置かれましたが、そこら辺が劇的に変化したとは当然思っておりませんので、その趣旨が継続しているという前提でお伺いしたいと思います。
 障害者権利条約の第33条、締約国における国内実施、モニタリングの規定によれば、1項でフォーカルポイントという国内的な中心的機関をつくらなければいけないと命じられています。
 更に、ここからが植木委員が御指摘のところに関わるわけですが、第2項の前段によれば、できれば、パリ原則にのっとったような形の政府から独立した人権救済機関を障害者権利条約の実施についても置かなければいけない、これも必置ということになっています。
 先ほど部会長が救済に関しては、行政救済だというふうにおっしゃっていますが、この条約規定との関連で申せば、単なる行政救済ではなくて、やはり行政救済と司法救済の中間に当たる準司法的なものを政府から独立した機関が担保するという形が想定されておりますので、行政機関と言い切ってしまうのはどうかなというニュアンスもありますが、いずれにしましても、ここからが質問でして、今、申し上げた権利条約の33条の1項と2項に対応するような必置の機関についても、やはり我々の意見の中に盛り込む必要があるのではないか。具体的にどういうふうに修文したらいいかというのは、たちどころに言えませんが、少なくともお伺いしたいのは、権利条約の33条1項及び2項への対応を念頭に置かれているのかどうか。置かれているとすれば、どこがそこに対応する文言なのかというのをお教えいただければ幸いです。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。言うまでもなく、おっしゃったように、権利条約というものの比準ということとすべて連動しておる話でありますから、そこの規定、これから離れた議論をしておるとすれば、この差別禁止部会の意見のとりまとめとしては不十分というのは、御指摘のとおりかと思います。
 なお、これは、三役で相談したときに議論しておりませんので、あくまで、ここでの個人、一研究者というか、教師としての反応ですけれども、政府から独立した人権救済機関が必置であるというときに、それは、行政救済には限定されないんだと、むしろ、司法と行政救済の中間の準司法的なものと、こういうことを、今、山崎委員はおっしゃってくださいました。私もそうであったというふうに思います。
 ただ、ややもすれば、日本では、従来のヒアリング等を通じて、我々痛感してきたところですけれども、最後は、司法的救済があるではないかと、まさに、パリ原則を、あの司法的救済が満たしておるんだと、この最後のセーフティーネット、最後のディフェンスラインが極めてしっかりしておるから、十分条約の要請を満たしている、特に、特別の救済機関を設けずして、実体法をちゃんとつくり込んでいけば、手続法的あるいは救済機関という観点からは、司法で必要にして十分であるといった認識もどうも、いわゆる関係機関の中には見えなくもないところであります。
 我々としましては、まずもって実体法の方で、こうした国内法の整備が大事なんだと、求められているんだと、そこにかなり焦点を当てまして、政策委員会、内閣、国会、ひいては国民に訴えていこうと。
 それで、実体法として、こういった新しい考えが必要だということが承認されたときには、まさに差別禁止という特別の考え方にふさわしい救済手続というものもおのずと付いてくるはずだと、そういう、言わば実体法を中心に突破をするというか、訴えていって、手続法については、実体法の必要性が十分意識されたところでふさわしいものをおのずと整備することになるはずという、こういう二段構えの発想を部会三役としては取っていて、余り救済機関を全面に出すということは、なんとなくですけれども、特に私に強いのかもしれませんが、意識としてありました。その点を山崎委員は、救済機関についてのパリ原則という、この権利条約は、むしろそちらが非常に大事なんだと、そこを少しちゃんと正面から見ていないんではないかという御指摘だと思うので、非常に鋭いことをおっしゃっているのは事実、まさにそのとおりであります。
 ただ、戦略として、実体と手続、実体と救済両面からいくのか、それとも今までの我々三役の意識のように、まず、実体、続いて救済というふうにするのかは、ちょっと作戦的なものもあるので、また、考えたい。
 ただ、結局は、勿論、この場で委員の皆さんでどう考えるかということだろうと思います。
 では、竹下副部会長お願いします。

竹下副部会長 竹下です。今の山崎委員の指摘で、私、率直に悩んでいることが2つあるんです。
 1つは、権利条約の33条の関係でいうと、条約が求めているモニタリング機関というのが、即救済機関ということになるのかどうかが疑問ないしは悩んでいる点です。すなわちそれとの関係では、既に成立した障害者政策委員会がどういう位置づけになるのかということが、これから少し議論が必要ではないかと思っているのが1点です。
 もう一点は、確かに救済機関、あるいは人権委員会については、私は、当然にパリ原則が入ってくるべきだろうと思っているわけですけれども、この部分については、三役での議論の、言わば含みとしては、もう片方で国の段階で人権委員会の設置が論議されているときでもあるので、そことの調整は、どこかで必ずやらざるを得ないんだろうなという思いを含んで書いていることは、御理解いただければと思っております。
 以上です。

棟居部会長 山崎委員、どうぞ。

山崎委員 簡単にコメントさせていただきたいと思います。第1点目ですが、条約の33の2項が求めているものは、必ずしも人権救済機関という実態でなければいけないとまでは言えないかと思います。これは、締約国に委ねられていることであると思います。勿論、独立した人権救済機関であるのが望ましいのは間違いございません。
 2点目ですが、それを前提とした上で、日本に現在ある障害者政策委員会が、これに当たるのではないかという御指摘ですが、前々回、私がここで報告させていただいたときに申し述べたとおり、障害者政策委員会は、いわゆる8条委員会、審議会並みでございますので、独立性の点でやや難があるので、政策委員会を33条2項が求めている機関として想定するというのは、かなり難しいのではないかというのが2点目でございます。
 ついでに、竹下委員の御指摘に関わらない、部会長が最後におっしゃったことでございますが、基本的には部会長と同じ意見です。ただ、この差別禁止部会で独立した救済機関の設置について言及するのか、それは、その後の立法過程に委ねるという考え方もあり得ます。しかし、ここの部会では、やはり条約の趣旨を比較的生真面目にといいますか、受けたような書きぶりをした方が望ましいのではないかと、個人的には思っております。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。全体を通じまして、条約との関連づけが、前回あるいは今回お示ししておる文章で弱いというのはあると思います。これは、専ら国内法の厚い壁を破っていくというか、変えていくという、先ほどの表現だと、岩の透き間に水を入れていくという、そっちに目を奪われておるものですから、条約でこうなっているからというのが、国内法の世界では必ずしも援軍として十分働いてくれないものですから、むしろ、国内法の中の整合性を意識しながら、どこかにうまくはめ込んでいけないかなという、そっちばかりになっている。
 ただ、これは意見としては、条約との関連づけを総論的な部分とかで、少し補えればよいと、個人的には思います。ありがとうございました。
 では、竹下副部会長。

竹下副部会長 竹下です。山崎委員の今のコメント、少し私の説明が悪かったのかもしれませんが、誤解があると思っているのは、権利条約の33条との関係で障害者政策委員会が、それに当たる可能性があるんではないかというのは、監視機関の問題です。すなわち、権利条約の33条が求めている趣旨には、最も強いものとして、私の理解は、差別禁止制度なり権利確立の政策がどれだけ締約国に徹底され、進歩していくことを監視する機関という意味では、政策を担当する障害者政策委員会は、十分その可能性はあると理解しているつもりであって、少なくとも救済機関という点で、私は、障害者政策委員会がそれに当たるというふうには考えているわけではないということだけ、ちょっと付け加えさせていただきます。
 以上です。

棟居部会長 私からも付け加えますと、山崎委員は、やはり8条委員会という位置づけでは弱いと、言わば組織法的な問題も、政策委員会については御指摘ということですね。ありがとうございました。
 ほかに、どなたか、では、川島委員、どうぞ。

川島委員 ありがとうございます。川島です。資料4の第2の2の紛争の対応の1)と2)と3)と紛争の対応が類型化されているんですけれども、できましたら、どういうような具体的な事例を念頭に置いて類型化されているのか、1)の①、②、③とか、2)の①、②について具体例を1つくらいずつ挙げていただけると、何をメッセージとして伝えたいのかというのが理解しやすいかなと思いました。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。今の点、事例についてですので、東室長の方からお願いします。

東室長 最初に解決が困難かどうかというレベルから書いておりまして、必ずしも具体例を一つひとつ思い浮かべながら書いてあるわけではないと思うんですが、最初に書いてあるのは、やはり相手方も悪気でやったんではなくて、その人のためによかれと思ってやったことが、結果的には差別的な行為になってしまったと、だから、何が差別であるのかがわかっていれば、そんなことは、私もしませんでしたといったことで解決できる事案というのは、結構あると思うんです。
 日本人の場合、多くは、悪気でわざとやるといったようなことは少ないというのが私の実感でもあるんです。勿論、利害が対立して、解決困難な事例もありますけれども、だから、パターンとしては、そういった、よく話し合えば解決するような型が、まず、最初にあるんではないかということです。
 ②として書いてあるのは、そのくらいでは済まないんだけれども、例えば、普通の離婚でも同じですね。一定の時間をかければ、解決可能な事案もあるだろうということです。
 それと、そういう合理的な解決では難しい、やはり裁判までもっていかないと難しいという事案も当然あるわけですね。
 それと、個別的であるかどうかという2)の話なんですが、これは、日々の生活の中で個別的な形でたまたま起こったような事案もあるだろうし、例えば、大きな全国展開しているチェーンの一般的なやり方の問題として一環として起こったような場合、そういう場合は、そこだけで解決するというのはなかなか難しいわけですね。簡単にいえば、本社の指導がないとどうしようもないとか、そういった広域的な事案、ないしは、行政処分に絡むような事案は、やはり地方レベルで簡単に解決できる事案ではないわけですね。そういった意味で、こういうような分け方もあるんではなかろうかということ。
 やはり、最後に書いてあります事案は、たまたま出会ったところで偶然発生したような事案ばかりではないわけですね。例えば、近所の近くにある食料品店に行って問題が起こったという場合に、ずっとそれからも継続してそこを利用する必要がある場合に、勢い差別だということで紛争を解決するような仕組みにもっていくよりも、やはりそこに第三者が入って、間接的に調整して、余り紛争性を表に出さないといいますか、そういうことが配慮が必要とされるような事案もあるんではなかろうかと、そういうことが部会三役のベースになっているんだろうと思います。

棟居部会長 どうも補っていただきましてありがとうございました。ちなみに部会三役の少なくとも私の頭の中では、これは単純にグレードを分けていろんなレベルがあるということ。
 それと同時に、障害あるいは障害者の置かれた状況というのは、例えば、女性問題と異なるのは、障害者問題というのは、極めて個別的で個々人の置かれた状況、これはさまざまであるということから、特に思い込みや誤解とか、そうしたものをほぐしていくということが簡単な解決につながるということがあるんではないかと、つまり、事情がわからないから、知らずに足に踏んでいると、それで、差別的なことをしているんだというのがわかったら、もうその瞬間に簡単に解決するということもあるものですから、そうした障害ゆえの個別性というのに合わせて①のような「軽微な」と、そういう類型をあえて立ててみたということであります。
 勿論、最終的には司法的救済というのが本来の紛争解決、そして、そのために実体法を用意するという、この制度のねらいですから、③の利害対立が強く合意的な解決が望めないと、これが、教科書事例というか、差別禁止法の本来の出番になってくるんですが、その前段のもっと緩やかな段階がたくさんあると。ですから、差別禁止法は随分、例えば、男女雇用機会均等法とかに比べると、遅いというか、これは世界的にも権利条約という観点でいうと遅いと思うんですけれども、でも、それは裁判までいかなくても、意外に簡単に個別的に解決されてきて、言わば一般性を持たない形で、日常的に解決されてきたこともたくさんあるはずで、だけれども、それが決して一般的にならないんです。うまくいっているところもあるし、全然だめなところもある、それを一律にうまくいくようにしようというので、差別禁止法をやりましょうと、我々頑張っていると思います。
 ですから、今までうまくやってきて、一定の自立的な解決の仕組みを既にされているようなところに、もっと厳しく裁判でやれとかいうのは、全くよけいなことなので、今までのうまくやっておられるところについては、そういう方々、そういう部門に合うカテゴリーを設けたということです。長々と済みません。
 大谷委員、先ほどお手が挙がっていましたね、では、大谷委員、それから、伊藤委員、浅倉委員、どんどんお手が挙がって、私の処理能力を超えているんですが、今のことへの関連でしたら、太田さん、今の関連ですか、関連でしたら、どうぞ。

太田委員 ありがとうございます。私たちは、日々、毎日、毎日差別を受けているわけで、いまだに電動車いすのタイプによっては交通機関に乗れない、飛行機にもいろいろな条件が加えられ、お店には段差がある。それもわざと段差を設けているようなお店がある。日々、毎日、差別を受け、多くの人たちはあきらめて泣き寝入りというか、世の中はこんなもんだと思うしかないという状況にあることは、この雑禁止法の議論で皆さんも御存じのことだろうと思います。
 それで、私たちが差別禁止法に求めたいものは、解決手段を持つことが1つの光となってくるわけで、解決手段を具体的に法律上、制度に踏み込んでこそ、実効性のあるものになると考えます。そういう意味で、考えると、一日も早く解決手段を構築していただきたいという立場で、1つずつの問題をクリアしていきながら、とにかく紛争の解決手段を早く設置してほしい。そういうふうな思いに立ったとき、三役が御提案された文章につきましては、そういう方向で具体化されるのであれば、基本的に賛成をしたいと思っています。それで、独立性の問題とか、ありますね。実質的にどう独立性を担保させていくかということが委員の皆様や関係団体の支援によって可能となると思っています。支援の力によって、また新たな状況を切り開けると思います。私は、全体的な視点に立って、1つのことにこだわるのではなくて、今の障害の状況を考えたときに、早く方向性を出してほしいです。

棟居部会長 ありがとうございました。タイトルにも付けましたように、簡易迅速な裁判外紛争解決、これが非常に大事だと、三役も考えています。
 今、太田委員がおっしゃったのは、とにかく救済手段を早く設けるべきだということで、そこには当然使いやすいということが入っていますね。我々もそういう観点からさまざまな救済手法、簡易迅速な使いやすい救済手法、そして、勿論、実効性の上がる救済手法というものをいろいろ考えて分類をしようとした。
 ただ、先ほどの私の説明で、何か認識が甘いということを懸念されたかもしれませんが、労働の現場では、いずれにせよ、話し合いのルールや場が確立しているケースがあるんではないかということで、少し甘い書き方になっているかもわかりません。
 いずれにせよ、先ほど川島委員にもお答えしましたように、単純にいろんなレベルを分けて書いたというだけです。何か誤解を生むようなことがもしあれば、分けずに全部まとめて書くとか、そういう方向の修正をすることは簡単にできます。

太田委員 甘いというか、早く仕組みをつくってほしいということです。

棟居部会長 わかりました。独立性については、いずれにせよ、独立行政委員会というものをつくっていくということについては、これは、山崎委員もよく御承知のように、憲法論では、また別の論点も出てまいりますので、我々も文字どおりの独立の人権救済委員会というものについて打ち出すよりも、いろんなリスクを伴いますので、とにかく使いやすい、簡易迅速、そして、現実に実効性を持つものという点に焦点を当てていきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 ということで、大勢お手をお挙げになったんですが、全く間違っているかもしれませんが、伊藤委員、浅倉委員、山本委員がお手をお挙げになった、それで、加納委員、ごめんなさい、ちょっと私、その角度が見えにくいので、加納委員、先ほどからお手をお挙げになっていたと思います。
 まず、加納委員、どうぞ。

加納委員 済みません、2点あります。今の議論の続きということで、意見を述べさせてもらいますと、ここで、今、労働事案という想定でということで、2ページ目の2)のところ、個別性、地域性のところの御説明でしたが、労働事案ということで事例を紹介いただいたわけですけれども。

棟居部会長 ごめんなさい、書くときにイメージしやすい労働の現場を思い描いたというだけで、別に限定する趣旨は一切ありません。もっと一般的にごらんのように書いています。

加納委員 述べたかったことは、ちょっとこれを私が読んだときには、労働事案にしろ、個別的といったときには、例えば、DVであったり、ハラスメント個人というふうな権利侵害があったと読んだんですね。
 それに対して、2の構造的な広域にわたるというものは、もうちょっと広く起こっているような事案、もう少し社会構造的なものとしてあることといったときに、何を思い浮かべたかといいますと、実は、既に法律では規制されている優生手術などが、実際には紛争に至る前に、結局、自主的な話し合いの中で、揉み消されているような状況というのがまだまだあるわけです。それは、皆さん御承知のとおり、この10月から虐待防止法という形で規制がかかっていくわけですけれども、そういったものが非常に、先ほどのハラスメントの議論にも戻りますけれども、深刻な人権侵害といったものが、単なる悪意でなく、あるいは障害理解が乏しいためにというふうなことでは起こっていない、しかも、支援する施設での生活支援であったり、家族における日常生活、それは、先ほど太田さんが言われた、日々大変な差別を受けているというのは、そういうことも入っていると思うんです。
 という意味で、何を言いたいかというと、ここで受けるものというのは、棟居先生がおっしゃった、男女共同参画とか、これまでの施策に比べると、障害者問題に対するこういったことは、かなり法的救済の以前に解決できる、理解が深まれば解決できることが多いんではないかという見解を示されましたが、実は、私なんかは全く逆の認識でして、非常に深く社会構造的に能力格差、ジェンダー格差といったものが埋め込まれているこの社会において、日常生活次元で差別意識がもたらす深刻な事態があり、それが福祉支援の名の下に、さまざまな優生手術への促しであったりということが過去にあったわけですね。今も若干のヒアリングで、この前も述べました、複合差別困難の調査によって明らかになってきているところです。
 ですので、もう少し人権侵害の深刻さというところのご認識を確認したいという気持ちに、かられました。

棟居部会長 三役のこの書きぶりが誤解を招いたかもしれませんが、この場では、今、おっしゃったようなことは、勿論、社会的障壁という考え方によって十分に理解されていると思います。
 つまり、誤解を生んだとすれば、①の事案が個別的であって、地域的な広がりをもたない場合が多いといった、そういう観点は、実は、一見個別的な、あるいは一見軽微な事案の中に深刻な構造的な排除が入っていると、それを見失わせると、①と②を分けることによって、②の問題が見えにくくなると、こういう御指摘というふうに理解し、研究者の端くれとしては、いろいろ賛成できる部分もあり、言いたいこともありますけれども、そうした誤解を生まない形で、この2つを分けるという書き方そのものについて、つまり、今、御指摘のような点について誤解を生まないように文章を練り直すということでよろしいということで受けとめていいでしょうか。余りにも学問的にもなりますので、恐れ入りますけれども、論点の御指摘は十分わかりました。
 室長、どうぞ。

東室長 ちょっと補足させていただきますと、この部分は事案の深刻さとか、そういうことを念頭に書いたものでは余りないんです。要は、身近な地域で解決した方がいい事案なのか、中央で解決した方がいいのかという、要するに場所的な問題、機能の在り方とか組織の在り方を考えるときに、地域性のことが出てくるんではないかということなんです。そういうことで、ここでは書いてあるわけです。
 それが、後ろの方の機能の問題であったり、具体的にどこでやるかというところに反映していく、そのために書いたという位置づけだろうと、私としては理解しているわけです。
 ただ、書きぶりが、そういう形で誤解を生むのであれば、それは少し修正しなければならないと思っています。
 ですから、先生が言われたのは、どちらかというと、利害対立が強くて、合意的な解決で簡単に片付くような事例ではないというところに入るんだろうと思います。
 ですので、2の片括弧の部分は、事案の深刻さの度合いの問題ではなくて、要するに管轄をどこにもっていくかと、そういう視点から、こういう違いもあるんだろうということで書かれている部分だというふうに、前提としては認識していたんです。

加納委員 管轄の違いというのは。

東室長 要は、どこに住んでいても、例えば、中央でしか窓口というか、紛争調停機関がなければ、東京まで来なければならないのか、都道府県で解決できるのか、そういった問題の前提として書いてあるということです。後の方で、まず、相談調整機能は、市町村ごとに身近なところで解決するという案が出されています。それで、相談調整だけでは済まないのは、県ごとに設けられる組織で、調停、斡旋等が行われるべきだという提案がなされています。
 しかしながら、では、中央では要らないのかというと、例えば、国の行政処分的な事案に係るものとか、例えば、さっきいいましたように、全国チェーン店の中で起こるような事案については、例えば、ある県で解決しても、ほかの県では解決しないとか、いろいろありますので、やはり、それは中央で解決すべき事案ではないかということで、中央でやるべきかと、そういったことを議論する前提として書かれているだけで、事案の深刻さということで書かれている部分ではないと、私としては理解しているわけです。

棟居部会長 ですから、今の室長のを引き取らせていただくと、こうしたらいかがでしょうか。つまり、これは、あくまで私の即席の案ですけれども「事案が個別であって」という部分、それから②の「事案が構造的なものであって」と、この対比が加納先生が御指摘のような誤解というか、懸念を生んでいると思いますので「個別的であって」という部分と「構造的なものであって」という部分それぞれを削除いたしますと「事案が地域的な広がりをもたず」云々が①、「事案が広域にわたる」云々が②となって、今、室長が私の代わりに答えてくださったような、言わば地域的な広がりということに、クリアになると思うんですけれども、これで、加納委員としてはよろしいですか。

加納委員 はい。

棟居部会長 では、今のような方向で検討させていただきます。ありがとうございました。

加納委員 済みません、2点目の、ちょっと簡単に。

棟居部会長 ごめんなさい、今、関連ということで1点お話いただいたんだけれども、また、後ということでいいでしょうか。

加納委員 わかりました。では、結構です。

棟居部会長 では、伊藤委員、浅倉委員、山本委員の順に、お待たせしました、伊藤委員、どうぞ。

伊藤委員 伊藤です。1点だけです。2ページ、第3の1「自主的な紛争解決の仕組みと促進」のところで、第2段落に、雇用、就労で可能な限り自主的な努力の解決の仕組みが事前に用意されることが望まれるとあって、第3段落で、教育分野でもこういった仕組みが必要であるとあります。その中の「ただ」というところですが、使用者と労働者の立場のように対等に立たせる法的な仕組みがないので、児童生徒や親の立場をサポートする第三者の参加の工夫が必要だとあります。これを障害の議論に置き換えて考えますと、例えば、知的障害者や発達障害者について、十分な対等関係が、労働の場で確保されているとは言い難いと思います。
 雇用において労使対等原則が法的に確保されているということを書いていただくことは、非常にありがたい面はありますが、障害者の労働、雇用、就労という点では、あたかもそれが発達障害者等でも十分に対等関係ができていると説明しているようにも聞こえてしまいます。そのため、自主的な解決のための条件だけではなく、紛争解決全体に必要な工夫ではないかと思うので、「ただ」以下は削除して、全体の紛争解決のための必要な条件のところで書き直す方がよろしいのではないかと思います。
 その際、法的な仕組みがないのでというような書き方ではなく、紛争解決の仕組みを機能させるためには、使用者と労働者、学校教師と児童生徒の対等な関係に立たせることが必要であり、障害者等をサポートする第三者の参加等の工夫が必要であるといったように、全体に関わるような形で書いた方がよろしいのではないかというのが意見です。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。雇用や就労の分野のように、対等な関係に立たせる法的な仕組がないのでという部分を削除しまして、代わりに御提案のような文案で練ってみたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、浅倉委員、お願いします。

浅倉委員 ありがとうございます。1点目は、今、伊藤委員がおっしゃったことと全く同じことを言おうと思いましたので、省略いたします。
 2つ目は、3ページから、2)3)4)とありますように、調整、それから調停、斡旋、仲裁とあり、このような機能を区分けして、非常に綿密に書いてくださっているのですけれども、ここまで詳細に書き上げる必要があるのかなというのが、私の意見です。なぜならかえって、それが原因で内容がわかりにくくなっている面があるからです。
 また、3)の下から2行目の「公平な機関による調整」とありますけれども、これは調停ということではないかと思います。

棟居部会長 そうです。

浅倉委員 調整機能、調停、斡旋、仲裁と、非常に明確に区分けしてお書きになっているとは思いますが、読む側としては、すなわち、2)3)4)というのは、要するに当事者の合意を図るための程度に応じて解決の強度があるということだなとわかればよいと思うので、この辺りをまとめて書いていただくといいと思います。
 そして、むしろ裁定機能を持つような多少実効性のある仕組みのところを、やはり強調していただきたいと、個人的には思っています。
 例えば、公表とか制裁という言葉も後に出てきます。これを裁定というのか勧告というのかわかりませんが、すなわち、何らかの決定をして、その決定を守らせるというような勧告機能、それを持つような機関というものについて、検討すべきだと思います。ここでは、「これについては、本法の施行後の状況も見つつ検討することが妥当」と書かれています。これは三役の方のぎりぎりのところの妥協の産物かなと思いますが、「検討することが必要である」として、少し強調していただきたいと思います。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。まさに現場の相談担当者が間に入って、相手方の関係を調整、本来の関係に修復していくという、自立的な解決、これを2)の調整機能というところで期待をしておるわけでございます。
 先ほど来のお話をいろいろ伺っていまして、こうした自立的な解決というのは、なかなか現場では難しいのかもしれないという思いが新たにしておりますけれども、しかし、これは理想に偏り過ぎているかもしれませんが、差別禁止法が施行され、その理念が十分社会に行き渡れば、いずれは自立的な調整ということで、多くの事案が解決していくんではないかという期待を込めて、まず、この調整という緩いカテゴリーを設けています。
 それに対し3)の調停、斡旋、途中で調整という別の言葉が紛れていて、これはすべて調停のつもりですが、ここに至ると、権利擁護ということで、単なる関係の調整ではなくて権利の話になってきます。ですから、段階を分けて調停、斡旋ということにしているわけであります。
 ただ、それと仲裁、裁定という、ここらが人権救済機関のようなものをどこまで想定できるのか、あるいは準司法的な方でやるのかと、そういうのをいろいろきょろきょろしながら書いているものですから、数が増えている面もないわけではありません。
 どうぞ。

東室長 1点だけ担当室の方から補足させていただきますけれども、千葉県の差別禁止を内容とする条例をつくるときに、いろいろ議論もあったと思いますけれども、なかなか差別されたことがありますかと、障害者当事者に聞いても最初は事案が出てこなかったと聞いております。
 なぜか、本当に大変な思いはしているけれども、その体験が差別なのかと思えない、本当に嫌なことがあっても、こんなことはどこに相談していいのかということもわからない。
 そういう意味で、障害者に対する差別の問題点、非常に顕在化しない、そういった実態があるわけですね。だから、普通のADRであれば、調停という段階からつくれば済むんですね。しかし、やはり自分が受けたこの問題が何なのか、相談しようもないというところをまず変えていくという、だから、身近なところで相談して、これはやはりきちんとしなければいかぬ問題だというふうに、ある意味相談を受ける人がきちんと情報を提供していくと、そういう最初の辺りの機能を持たせないと、調停からだけ始めても私は機能しないと思うんです。そういった意味で、相談、調整というのは、この分野にとっては書くべからざるものだと、そういうことで、ちょっと長く、もう少しまとめた方がいいんじゃないかとおっしゃいましたけれども、長く書いていただいているというところです。

棟居部会長 どうぞ。

浅倉委員 浅倉です。ありがとうございます。私も相談、調整、それでまとまらなければ、調停、斡旋、仲裁、というように行くのだと思います。しかしこれだけ段階があるとイメージが非常に拡散してしまって、「裁定」という特徴が何かというのが非常にわかりにくいので、むしろ、「相談、調整」、それから「調停、斡旋、仲裁」、それから「裁定」と、せめてその3類型くらいにならないかというのが意見です。

棟居部会長 私どものイメージもそういうことで、つまり、これは決して、このたくさん並べた数だけ別の主体が出てくるということではありません。家庭裁判所みたいに幾つかの段階を経て、いろんな機能を果たしていくというイメージなので、浅倉委員が御指摘のように、幾つかに集約という方向でより読みやすいものにしたいと思います。ありがとうございました。
 植木委員、どうぞ。

植木委員 植木です。この点だけちょっと補足しますけれども、日本の仲裁法はそんなに詳しくないので、そこはよくわからないんですが、特にADAとの関係では、仲裁の場合、裁定の結果に対して訴訟提起しないという前提で仲裁合意をするのが普通なので、むしろ、差別禁止法の領域で使うのは、むしろ有害であるというふうな指摘がされています。
 ですから、仲裁に関して、ここで議論されているかどうかわかりませんが、その意味では、仲裁というのは、特に入れなくてもいいんではないかという印象を持ちました。

棟居部会長 そうした、かえって有害ということは全く思い至りませんでした。どうもありがとうございました。
 ということで、今の点も含めて、また、修文をしたいと思います。
 先ほど来からずっとお待たせをしています、山本委員、お願いします。

山本委員 山本です。5ページの第5、司法判断について2点お話ししたいと思います。
 まず、1点目は、修文なのですが、1段落目に「本法は行為規範であると同時に、司法判断を踏まえた裁判規範性も有している」とありますけれども、「司法判断を踏まえた裁判規範性」というのは、意味が取りかねます。これは、司法判断の基準になる裁判規範性という意味ではないかと思います。
 2点目は、先ほどの棟居部会長の御発言を聞いていて、よけいにわからくなった点です。3段落目の「その際」という部分で、「どのような訴訟形態がとられるのか」、「原告により判断されることになり」、「それに対してどのような判決があり得るのか」、あるいは「適切な判決の在り方の議論もあり得る」とあるのですが、これは法律の専門家から見ますと、手続法の話をしているのではないかと受けとめられる文章だと思います。給付訴訟だとか、確認訴訟だとか、あるいは給付判決、確認判決、あるいは少額の訴訟に対応するようなものだとか、あるいは手続的に人事訴訟のようなものを想定するとか、そのようなイメージでとらえられるのですが、どうも先ほどのお話を聞いていますと、そのような民事手続法の話をまず考えているのではなくて、例えば、損害賠償責任が認められるのかどうか、あるいは差止めが認められるのかどうか、あるいは契約の有効、無効が認められるのかというような事柄については、民事実体法、特に民法の一般規定に基づいて、原告が、まず、「判断」ではなく「選択」するのではないかと思いますが、それに対して、そのような民事一般法の規定を踏まえて、裁判所が判決を下すということが想定されていたのではないかと思います。もし、そうであれば、そのような書き方をしないと、むしろ誤解を呼ぶことになると思います。
 ただ、これは、前回の議論の中で、効果を書くかどうかということを私から問題提起したことと関わるところでして、深読みをすれば、これは、効果については、差別禁止法の中に明示的に定めるのではなく、このような民事一般法の解釈・適用に委ねるということまで、どうも提案されているのではないかというように理解しました。それも勿論、1つの考え方だと思いますが、今日の論点ではないかもしれませんけれども、問題提起だけしておきますと、損害賠償は、民法の規定に従っていけるかもしれないと思いますが、差止めに関しては、民法に規定がありません。裁判所によりますと、物権のほか、人格権に関わるものについては差止めを認めるということがかなり確立してきていると思いますが、それと同じような扱いが直ちに認められるかどうかは、なおオープンになる余地があるのではないかと思います。さしあたり、私からは以上です。

棟居部会長 どうもありがとうございました。司法判断というところについては、これは、先ほど来、人権救済機関というもの、行政救済というものを念頭に、当初、書いたりしておったんですけれども、それを引っ込めてみたり、代わりに簡易迅速ということでも、ある意味どういうジャンルの手続でも構いませんよと、そういう方向にいきまして、しかし、最後には司法判断ということにどの道なると、なお、御指摘の司法判断を踏まえた云々という、ここら辺は、いろいろいじっているうちに、こういう変な文章が残ってしまったということで、御指摘のとおり、司法判断の基準といった意味合いで勿論あるんですけれども、なるだけ司法判断、つまり損害賠償請求といった現行でも可能な、そして、決して抜本的な救済には必ずしもならないだろうと、例えば慰謝料幾らでおしまいと、その司法判断というものには、余り力点を置きたくなかったんですが、しかし、最後、これしかない可能性も十分あるわけですね。
 それで、今、山本委員御指摘のように、人格権というのは裁判所が判例を構築していく中で徐々に積み上がっていくもので、差別禁止を起こされたからといって、いきなり人格権の中身を差別禁止法の理念が重点し、差止めまで認めてくれるかどうかというのは、差別禁止法を、今、我々がその原案を書けるとしても、裁判所にああしろ、こうしろというところまでは難しいだろうということで、大変アバウトな表現になっているのは、御指摘のとおりであります。第5の最後の辺りです。
 これは、裁判所にげたを結局預けているような腰の引けた言い方になっています。ただ、私個人は、適切な判決の在り方というときに、単なる損害賠償1回ずつの、ごめんなさい、お金幾らということではない、制度改革的なものが、この事案に即していえば、適切な、抜本的な紛争解決の判決の手法ということになるはずですから、制度改革的な判決手法がうまく考案されないかなという期待を単に込めたと、そういうことであります。さまざまな期待や、ある種のあきらめというか、つまり、ここは大変そうだというので、方向転換をしてみたり、じぐざぐのプロセスがそのまま残っていると、学生の答案でいうと、書いたり、消したりという、絶対Aは付かないという、そういう答案になっておって、大変申し訳ありません。
 ということで、山本委員については、お答えになっていないですけれども、御指摘ありがとうございました。
 続きまして、加納委員、先ほど1つ残していただきましたので、加納委員、それから大谷委員という順番で、申し訳ありませんが、後が押しておりますので、それぞれコンパクトに御発言いただければ、こちらもコンパクトにお返しをするとお約束させていただいて、加納委員、お願いします。

加納委員 加納です。コンパクトにいきます。相談機能のところでございます。3ページの上から、1)の相談機能の中の2段落目の4行目ですけれども、相談が重要であって、かかる機能を担当できるような障害者家族、障害及び障害者に理解のある専門家などの社会資源と書いていただいていますけれども、ここに家族が必要かということが1点。
 それから、障害及び障害者に理解のあるということより、先ほどもちょっと出ましたが、障害者差別と権利擁護あるいはアドボカシーと福祉用語ではいう、相談機能としてアドボカシーというふうな言葉を使うわけですけれども、やはり障害者の人権とか、そういったことに認識がないと困りますので、そこを改めるということは、いかがでしょうか。
 これは、関連しまして、4ページのところも同様な文言がございます。3、の1)の相談及び調整を行う機関のところの、同じことですね、第2パラグラフに障害や障害者に関する知識とありますけれども、そこも障害者差別及び権利擁護とか、そういうふうな言葉に変えることはできるかどうか。
 それから、次の段落の家族が要るかどうかということです。

棟居部会長 ありがとうございました。今のに、まず、お答えしますと、3ページの上の方、4行目、るピア・カウンセリング的手法、つまり、当事者同士、仲間内というか、まず、よく実情を知っている身近にいる方々の間での話し合いと、こういう意味で、社会資源という言葉がいいのかどうかわかりませんが、一番事情がわかっているという意味で、ここでは相談という作業の主体をそういう方々に期待をしていまして、その関連から家族という方々にもピア・カウンセリング的な、よく事情を知っている、言わば、準当事者的な方だということで挙げているわけです。
 それは、4ページの方で御指摘になった家族云々についても全く同様です。
 また、人権擁護という言葉を入れていないのは、この相談というところ、あるいは次の調整というところもそうですけれども、あくまで関係を修復していくと、つまり、我々の見方では、従来の、今でもそうですけれども、特に旧差別禁止部会では弁護士比率が非常に高くて、法的な議論が飛びかっていまして、また、司法で、最終的には決着を付けるんだったら、そこでは、やはり権利論だというのがありました。
 しかし、他方で、権利とか人権というのは、鋭いメスのようなもので、そこまで行く前に関係を修復というのがあるんではないかというので、あえて権利という言葉を使わずに、相談とか調整という段階を設けていると。ですから、これで終わらせる話では勿論ありません。終わればいいんですけれども、終わらないときには、調停から後の権利という話になってきます。
 ですから、あえて権利という言葉を使っていないと、こちらのつもりとしては、そういうことなんです。

加納委員 その辺は、むしろ、あえて使っていただきたいと思います。つまり、相談、調整の中で、残念ながら、権利侵害のままに事態を収めたり、泣き寝入ったまま、差別を明らかにせず、相談の力関係によって、うやむやになるというケースが多いのです。
 という意味で、是非、相談、調整機能において、人権意識の弱さを、私ども専門教育の課題と反省するわけですけれども、その人権教育が弱いばかりに、これまで誤った指導や、相談や調整をしてきたということを申し上げざるを得ません。必要なことは福祉専門教育やピア・カウンセリングでしょう、このことは、家族を排除をするということでいっているんではありません。ここに「家族」を入れることで、逆に個人としての障害者の自立を妨げるようなニュアンスに取られかねないということです。つまり、家庭におけるさまざまな人権侵害ということも実際にありますので、家族が相談者になるということを削ってもらいたいということです。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。今の点につきまして、東室長に補足をお願いします。

東室長 ここで検討している差別禁止法の枠組みの話になるわけですけれども、対象は障害者だけに限定するということではないんですね。家族が、自分の身内に障害者がいて、その家族自身が家族を受けるといった場合も一定想定されています。ですから、被害者としての家族が、被害者として相談に来る場合に、その家族の立場で理解できるような人もいるだろうというようなことなんです。だから、ある意味ではピアという関係ですね。勿論、先生がおっしゃっている、親が障害当事者のことを代弁したり、権利擁護したりすることが原理的にどうなのかとか、そういった問題は、確かにあると思うんですが、家族自身が被害者として来るということもあるわけですから、やはり、余り間口を狭めるよりも、広くしておくべきだろうということだったんではないかと思っておりますけれども。

棟居部会長 では、太田委員、それから、大野委員、それぞれ短くお願いします。
 どうぞ、太田委員。

太田委員 基本的には、東室長の意見を支持したいと思います。障害を理由とする差別を禁止する法律ですから、今までの部会でもあったように関連差別も入るわけで、現実に今の社会の中で障害を持つ家族がいろんなところで差別されている場面があるわけです。これは、現状においては、家族という文言は入れておいていただきたいと思います。

棟居部会長 ありがとうございました。先ほどの加納委員の御指摘、それから、その前に既にあった議論、数が多過ぎるということと多分連動しておって、相談とか調整を、1つ関所があって、その次にまた来ると、なかなか権利を実現できないという、かえって丸め込まれてしまうという、そういう懸念が生じないように、もう始めからこれは権利擁護のための手続だというのは、どこかにうまく入れていきたいと思います。
 ということで、大野委員、お願いします。

大野委員 本法の目的の1つは、当事者本人の、何が差別に当たるかという行動規範を定めて、第一義的原則に戻ると、先ほどの加納委員と太田さんの議論にも含まれますけれども、当事者の立場からして、例えば、2ページ目の日常生活の中で、一定の継続性を持った関わり合いがある中において生じる紛争解決となったときに、可能な限りしこりを残さない円満な解決というような表現もありますけれども、このような表現が、当事者本人の人権擁護に対して、このような表現を規範的に部会が示すことが、果たして有効であるかどうかという1つ当事者としての疑問。
 もう一点、先ほどの家族の問題ですけれども、家族がピア・カウンセリングなど相談業務に入ってくるという方も、現実に起こっているし、それは、勿論、考え得ることなんだけれども、それよりも、まず、第一義的には、本人の権利擁護が必要であるということが、この文面からだと少しわかりにくくなるというか、まずは本人の人権擁護が重要なのであるというところに対して、それほど譲る必要性はないような気がいたしております。

棟居部会長 ありがとうございました。今、おっしゃったとおりで、初めに差別ありきなんですから、これは法的な概念としての差別が出発点にあるんですから、それを何もなかったかのように円満な解決とか、権利性を度外視した手法とか、そういうのはそもそも矛盾なので、その点、誤解のないように、全体の煩瑣の手続も、あるいは分類も圧縮し、また、権利性というのを、きちんと最初だけではなくて途中にも書き込んでいきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 それで、大谷委員、お願いします。

大谷委員 私も一言だけ、時間が押しているので、時間があったから修文までできましたので、是非、これを入れさせていただきたいと思うんです。
 まず、2ページ、1.の第3段落目「また、教育の分野のように」というところで、先ほど消されてしまったところなんですけれども、消されたところはよくわかるんですけれども、ここは教育のところで、対等な立場に立たせる法的な仕組みがないのでというところに意味があるんですね。ですから、雇用を比較したことがマイナスだったんで、雇用を労働者の立場と比較することは必要なかったと思うんですけれども、やはり対等な立場に立たせる法的な仕組みがないのでというのを生かしていただいて、やはり問題なのは、児童生徒及び親の立場をサポートする第三者の参加と、この第三者の参加が、まさに法的な立場がないんです。
 それで、これは、総合福祉法の方でも意見出しさせていただいたんですけれども、障害児部会の方で、子どもオンブズマンを設けるべきだというのは、どこでも取り上げてくれていないんですけれども、やはり、是非、ここに第三者の前に一部自治体で設けられている子どもオンブズパーソンなど、第三者の参加等の工夫が必要であると、ここは是非、その視点を盛り込んでいただきたいと思います。
 そして、時間がないので、修文できていますので、是非、4ページ、これは裁定機能というところで、本法の施行後の状況も見つつということで、ここには織り込まないよということをほとんど自白しているので、これについては、検討することが妥当であろうとか、検討すべきであるということぐらいにして、本法の施行後の状況も見つつというのは勘弁していただいて、そこだけでも削除していただきたいと、私は思っております。これも提案です。
 それから、4ページの、先ほど来から出ている相談担当者、当事者の御意見はすごくわかるんですね。それで、ここにおける相談担当者はということで例示されておりますけれども、やはりこれだけだと、権利擁護に関して、どれだけの識見を持っている方が担当してくれるかに対して非常に不安が残る。
 それで、是非、法律のみならず、どこの場所でもいいんですけれども、差別についての理解を有する者とか、何かそれに類するものを、相談担当者の中に例示として入れていただきたいと思います。
 それから、このようなものとしての、次の段落なんですけれども、家族となっているんですけれども、要するに当事者団体とすると、私たちはやはり家族会も当事者団体に含めてカウントすることもありますので、私とすると、家族といってしまうと、特定の家族というふうにイメージしてしまうと思うんですけれども、やはり、この例示からすると、家族会とか、それに近い人たちというような例示からすると、ここは仕方がないんではないかと思います。ただ家族というよりも、家族会とか、少し抽象化した方がいいように思います。
 最後にもう一個だけ、5ページ目、中央における機関の3)です。要するに政策委員会に対する期待を込めて、この権能をということなんだと思いますけれども、やはり、第1ラウンドでやったガイドラインに関して、私は、非常に重要だと思っているんです。
 ガイドラインは、各省庁がおつくりになってしまうおそれというか、きっとそうであろうと、厚労、文科がガイドラインを策定するだろうと。
 それに対しては、政策委員会が意見出しをできるということも含めて、この修文からすると、また、国の行政の一般的な運用に関わるものというところに例示でガイドラインの内容等、国の行政の一般的な運用に関わるもの、これに対しては、政策委員会も勿論意見出ししますよということを、いわずもがなかもしれませんけれども、そこに例示的に「また」の後にガイドラインの内容と国の行政の一般的な運用に関わるものというような形で例示していただいて、ガイドラインの策定に関しては、当事者がより重層的に関与し得るということを明記していただきたいと思っております。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。具体的な修文案を示していただきましたので、検討させていただきます。
 遠藤オブザーバー、どうぞ。

遠藤オブザーバー 経団連の遠藤と申します。大谷委員がおっしゃった点で、ガイドラインをつくるに当たっては、適切なメンバー構成の中でやっていくということであり、何ら異論はないところです。
 ただ、それに関して、例えば、それぞれの省庁の中で適切なメンバーにお声がけをして、つくるガイドラインにまで障害者の政策委員会が関与するということについては絶対反対です。

棟居部会長 伊藤委員、どうぞ。

伊藤委員 大谷委員の発言に関連する部分で、先ほど、私がいいました、2ページの「自主的な紛争解決の仕組みと促進」のところですが、第三者の参加に当たって、子どもの関係で例示を載せるということに異論があるわけではありませんが、ここはさっき私が申し上げたように、雇用就労の分野でも、このサポートが必要と考えていますので、第三者の参加というのが、教育分野だけに係るような形にはならないような工夫をしていただきたいと思います。

棟居部会長 ありがとうございました。では、どうぞ。

伊東副部会長 植木委員からの先ほどのご発言で3ページの4)で仲裁機能というところで、「仲裁機能は、ADAではかえって有害だ」というお話がありましたけれども、仲裁機能というのは、司法にもっていかれない前に解決する最後の砦だと思っているので、仲裁機能にもし有害な部分があるのであれば、どういう点からか後からで結構ですので、具体的に問題点、事例など、資料でいただければありがたいと思います。私がアメリカで聞いていた話は必ずしも「有害」というわけではなく、有効に機能しているときいていいましたので。

棟居部会長 では、植木委員、どうぞ。

植木委員 前々回報告させていただきましたが、調停あるいは調整と言われる機能は、相互の当事者で同意ができれば、同意完成、同意ができなければ訴訟に行くという仕組みですが、仲裁の場合は、一般的には、仲裁の結果に対して当事者が、それ以上の不服申立をしないと、訴訟提起しないということを条件にして仲裁同意をするので、一旦仲裁同意が出されてしまうと、もう訴訟も提起できない状態になってしまうという意味で、一般のビジネス上の契約には向くけれども、権利擁護は強く要請される差別禁止法の局面では適当ではないということが指摘されます。

棟居部会長 引馬委員、一言、先ほど来、お待たせしております。

引馬委員 引馬です。先ほどの家族のことの点で1点だけです。3ページの上のところで、さっき東室長が話されたように、ピア・カウンセリングということなので、私は室長の御説明のように、この文章を読みました。そうすると、その少し上に、最初の行ですが、障害者が身近なところで安心して相談できるというところも、もしかすると、そこの文章で誤解が生じるのかなと、障害者ということだけ書かれていますので、その点が1点あります。
 それで、勿論、障害のある当事者が非常に重要であるということは、勿論、疑問に思うこともないかと思うんですが、それに関わって、もう一点だけ、家族という文言、余り詰めて言うつもりはないんですが、一体、何をもって家族というふうに想定しているのか、諸外国の例ですと、勿論、家族が一番に想定されているわけですが、アソシエーションという言葉がメインで使われていまして、関係者というふうに日本語では訳されるかと思うんですが、それで、よく日本語にすれば、家族等ということになるかと思うんですが、等と入れてしまうと、余りに不正確かもしれませんが、家族という表現についても、先ほどの大谷委員の当事者団体の話、当事者の話も含めて、少しもしかすると、検討が必要かもしれません。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。それでは、もう第2コーナー、予定の時間を大幅に過ぎてしまいまして、しかし、貴重な御指摘をちょうだいしました。三役で持ち帰りまして、修文あるいは再検討を加えたいと思います。
 それで、本日は、第3コーナーが残っております。それは、先ほども予告しましたように、前回の原案1の修正についてであります。それと同時に、本日は、普段よりというか、前回までより1時間早く始めましたので、終わりも勿論、17時でございます。残り時間が25分を切っておるような状態であります。しかし、あえてここで5分の休憩を入れるべきであるという声もあり、私は続行して5時までに論点を出し尽くすべきであるという、この点は、この部会では、極めて異例ですが、皆さんの御意見を伺いたいと思います。5分休憩派の方、挙手を願えれば、では、続行でよろしいですか、恐れ入ります。
 それでは、第3コーナーということで、残り20分少々しかございませんが「部会三役の原案1の修正について」ということで、御報告をさせていただきます。
 これにつきましては、お手元の資料5、これが前回御議論いただいた結果を踏まえて、清書し直した、つまり、修正済みのものをきれいに整えたものが、この資料5であります。
 資料6は、見え消し版というんですか、お手元では、白黒ですので、少し見にくくなっています。まさに、学生の、あるいは先ほどの私の答案のように、書いたり、消したりという格好になっておりますが、まさに、修正箇所が、その分見えやすいというのが、この資料6であります。この2つを御用意ください。
 私は、見やすさという点から、資料6の修正箇所表示版、いわゆる見え消し版というところに基づきまして、もう時間もございませんので、簡単に、どこをどう直したかというところを、大事と思われる点に絞りまして、簡単に見させていただきたいと思います。
 まず、第1、理念の2、のところですが、今後、差別者・被差別者をつくり出さないと、これは、差別がよくないというのは、差別する者がいるということも含めてよくないのだと、そうした、言わば人々を二分割してしまうことを廃絶しなければいけないという趣旨を込めて、こうした文章にしていました。
 それから、第2、目的の1、のところです。行為規範というところですが、この行為規範というのは、勿論、最終的には、司法的救済につながっていく、しかし、途中に、例えば行政機関による救済といった、あるいは裁判外の簡易迅速の救済といったものを、我々、いろいろ盛り込もうとしているわけです。そうした判断の際の基準、ひいては、事業者や個人がどう行動すれば差別にならないのかと、どういう合理的配慮をすべきなのかということがあらかじめわかるようにということで行為規範という言葉を使っています。つまり、非常に射程の広い言葉として、行為規範という言葉を使っています。
 これを、より砕きまして、人々が行為する際の判断基準という言い方を括弧書きの中に入れた次第です。
 それから、障害または障害者についての無理解や偏見または固定化した概念やイメージという、こうした社会的障壁を生み出すような、固定化した概念やイメージという、やや固い表現ですけれども、こうした文章にしてみた。
 それから、国民、国や自治体というものだけでなく、民間事業者、私人といった、こうした国民の代わりに書きぶりとしてより分けて、2ページの上に、民間事業者、私人という表現にしております。これは、先ほども国民の責務というようなことを第1コーナーのところではいいましたが、ここで前回の理念と法規範性を持たせる差別禁止、その名宛人はだれだというときには、民間事業者、私人といった細かい書き方を御提案申し上げておるわけであります。
 3ページにいっていただきますと、ここではごらんのような、あれこれの修正を加えておるところで、その多くは、民間事業者、私人といった、今しがた申し上げたそういう書きぶりに合わせたという部分でございます。
 それから、真ん中よりやや上の、障害の中に社会的障壁を盛り込む障害者権利条約上の障害の考え方より、インペアメントに限定する障害者基本法上の障害の考え方の方が障害の内容をわかりやすくより明確なものとして提示できると。これは、条約に向いた議論をするのか、それとも国内法に向いた議論をするのかという、ある意味、苦しい二者択一がございますが、国内法に照準を合わせているという、先ほども申し上げたような、この三役のスタンスの表れであります。
 以下、5ページ、関連差別というものをかなり重視しまして、間接差別というものを、言わば、そちらに吸収させるという、こういう類型化を前回お示ししたところですが、この5ページのなか書きで、間接差別に当たる実態が法の規定から漏れることがないようにと、配慮すべきだという、水漏れを止めるような手当をここに書いているわけであります。
 6ページですが、これは、関連差別について、何なのかという点について、これは詳しく、そもそも世界保健機関が示した国際障害分類というようなところから書き起こして、中身を充実させたと、ふくらませたということでございます。
 時間がありませんので、9ページの不均等待遇が禁止される範囲というところに行っていただきますと、不均等待遇というと、どこまでの範囲をその射程にするのかという点について、私人間に対して向けられた規範であるということから、個人の自由な意思に委ねられると、異なる取扱いをすることが社会的に容認されている私的な領域においては、法律で差別とすることは適当でないと、この部分の理由として、私的自治に加えまして、結社の自由というのを、これは、外国人差別の判例の中では、結社の自由というものを重視して、ゴルフクラブへの入会を認めなくても違法ではないとしたものがあり、その結社の自由というものをこちらに流用したという、専ら私の専門分野からのこだわりで私的自治と並んで結社の自由という、もう一つ出てくるであろう理由を加えたということであります。
 それから、すぐ下の積極的差別是正措置、アファーマティブ・アクションについてですが、この差別禁止法というものが、決して、この現行法上見られる積極的差別是正措置について、それを禁止しようといったものでは勿論ないということは、前回も確認させていただいておるところであります。
 これも、以下、説明をするよりも、修文あるいは加えた部分について、今日、5時までということでは、多分、全部終わり切らないと思いますけれども、宿題として質問を持って帰らせていただきますので、どこからでも御指摘をください。どうも不手際で申し訳ありません。
 山本委員、どうぞ。

山本委員 3点指摘させていただきたいと思います。まず、1点目は、関連差別と間接差別の関係についてです。
 先ほど、部会長がおっしゃられたような手当をしていただいているのですが、6ページ以下に、関連差別についての詳しい説明を付け加えていただいています。これは、確かにわかりやすいのですが、ここでは、いわゆる狭義の関連差別の説明が充実された結果、間接差別が入らないかのような印象がかえって生まれているようにも思います。
 したがって、具体例として、間接差別についてもここで基準と例を挙げていただいた方が紛れがなくなってよいのではないかと思います。
 2点目は、8ページの主観的要素です。これは、前回のときに、私が指摘させていただいた点で、真ん中辺りの「しかし、本法が行為規範を提供することの重要性を謳い」という段落の3行目「不均等待遇に当たると認識し又は認識し得たにもかかわらず、敢えてそれに該当する行為に及んだ場合には、差別に当たるとして」とあります。これは、故意と過失の両方を含むつもりでお書きになっているのだと思います。つまり「認識し又は認識し得た」です。しかし、その後に、「敢えて及んだ」というのは、故意を指す言葉でして、この「敢えて」は削除しなければ意味がわからなくなるだろうと思います。これは、「敢えて」のみを削除すればけっこうです。
 ただ、次の段落で「ただ、その際においても、本法は今後の適切な認識を求め、同じ行為の繰り返しを回避することを求める契機として機能するものであり、同種事案の発生、防止に効果を発揮することが期待される」というのは、このとおりだと思います。としますと、その前の「しかし」で扱っている部分は何を意味しているかといえば、認識していなかったし、認識することもできなかった人に責任を問うことはできないという意味だと思います。つまり、損害賠償責任を問えない。しかし、差止めはこれからの問題ですので、認識可能性はなくても、これからするなと言えるということだと思います。
 そのような意味で、「しかし」の部分は、やはり「本法を適用すべきではない」というのは言い過ぎで、「責任を問えない」というような表現に改める方が適切ではないかと思いますし、前回、私が指摘させていただいたこととも平仄が合うと思います。
 3点目は、これは、宿題で結構です。10ページの部分です。真ん中より少し上に「また」として「『基本的自由』といったものも示されているが、これには、差別を受けない自由が含まれる」と書いてあります。これは、御専門の方の御意見も伺えればと思うのですが、私は、「差別を受けない自由」というのが、よく理解できません。といいますのは、自由というのは、するかしないかを自分で妨げられずに決めることができるということだと思います。差別されないというのは、自分でするかしないかを決めることではなくて、ほかの者が差別に当たる行為をするかしないかを決める自由などはない。そうした行為が禁止される結果として、差別を受けなくなるということだと思いますので、差別を受けない権利はあると思うのですけれども、自由と言われますと、私には理解できなくなるところがあります。ただ、これは、一般に言われているかもしれない事柄ですので、その点、調査の上、対応してください。

棟居部会長 差別を受けないことにより確保される自由といったニュアンスで舌足らずな表現をしておりました。検討します。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。川島委員、どうぞ。

川島委員 ありがとうございます。川島です。ちょっと今日は時間がないということで、全体的なことは言えないので、1つだけ9ページなんですけれども、9ページの3行目のところで、「正当な目的の下に行われたものであり、かつ、当該取扱いがやむを得ない場合」と記されていて、2つのことを「かつ」で結んでいるんですけれども、「当該取扱いがやむを得ない場合」の中に「正当な目的」も入ってくるんではないかというふうにも考えられ得ますので、ここはどういうふうに理解したらいいのかなと思いました。
 以上です。

棟居部会長 検討します。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 浅倉委員、どうぞ。

浅倉委員 ありがとうございます。浅倉です。6ページの関連差別のところです。「そもそも」とありますが「機能障害が発生しそれが能力障害を生むことにより」とあるところですが、能力障害という言葉は、後にもずっと出てくるのですが、この言葉で混乱しています。能力障害というのは、機能障害と区別がつきにくいので、「能力障害」というものを、「障害」という言葉を使わずに説明していただくことはできないものでしょうか。何らかの「能力の低下または欠如」とか、そういう表現ではだめなのでしょうか。

東室長 この言葉は、WHOの国際障害分類の最も基本的な言葉ですので、これ自体は固有名詞的に使われております。ですから、これを下手にいじくるというわけにはいかないんだろうと思っています。

棟居部会長 わかりにくければ、言語を付け、更に、多少割注的なものでという、よく論文等でやるような工夫というか、ある種のごまかしをして補強したいと思っております。
 ほかにいかがでしょうか。
 遠藤オブザーバー、どうぞ。

遠藤オブザーバー 前回も申し上げたことで繰り返しになることをお許しください。13ページの正当化事由に、過度の負担についての記述がございます。
 その中で、「一方で」以下のところです。「障害者が直面している事柄の重要性、配慮の不可欠性、非代替性、配慮がないことによって被る不利益の性格や重大性が判断の要素として考慮されることになるであろう」という部分を、私は、過度の負担の中に入れて考えていくということが、いまだに理解ができないのです。これについて、何か三役の方でお話し合いをなされたことがあるのでしたら、教えてください。

棟居部会長 この点については、経済的、財政的なコストというだけのところで、この正当化というのは切れると、私も実は当初理解しておりました。
 ところが、実際の主張とか裁判の流れを考えてみますと、合理的配慮の請求があると、それに対して正当化事由ということで、それを拒もうとするという、言わば両当事者の間のせめぎ合いというか、押しくら饅頭の中で、結局、比較衡量になるということだろうと思います。
 それと、正当化事由のところで、事業者等の経済的、財政的なコストという、あるいは業務の内容、業務の公共性、事業規模等という、こういう事業者側ばかりの事情というだけではなくて、実際には、障害者の側の不利益や重大性との比較衡量で初めて事業の内容がどうなのか、業務の公共性がどうなのか、事業規模がどうなのかということの判断あるいはコストが高いと見るか、安いと見るかの判断というのも決まってくるという、いわゆる総合考慮ということで、ある意味では、合理的な配慮という中に、既に入っておるはずの重大であるとか、配慮が不可欠なんだという障害者側の事情も、結局、この正当化のところにまた戻ってくるというか、どうしても出てくると、そして、遠藤オブザーバーがおっしゃったように、そして、以前に私がそのように考えておったように、仮にこの部分をなくしても、結局、同じことではないのかなということで、ある意味、経済的、財政的なコストあるいは業務規模等を言えば、正当化事由になるという誤解を防ぐ意味で、あえてプラマイ両方を並べて書いているということでございます。

遠藤オブザーバー 正当化事由と、過度の負担を、御説明の中で使われていたように、では、正当化事由をどういうふうに判断するかというときに、過度の負担があって、過度の負担以外で、ただ今、触れた部分も含めて総合考慮すべきだという形で書かれるのであれば、まだ、それは理解が及ぶ部分もあります。過度の負担の中に入れるということ自体が、そもそも過度の負担という、この概念を持ち出す以前の、いわゆる制約要件になりはしないかということを、ずっと思っているので、私としては、この中で書き込むことに納得できないということだけ申し上げておきます。

棟居部会長 ありがとうございました。宿題として、つまり、宿題が済んでいないということで受けとめました。
 山本委員、どうぞ。

山本委員 前回申し上げたことをもう一度だけ、きっとわかりにくかったのだろうと思いますので、もう少しわかりやすく言ってみたいと思います。
 つまり、過度の負担が何によって決まってくるかというと、勿論、事業者側にかかってくる経済的な負担の絶対的な分量が考慮要素になることは間違いないのですが、ただ、これによって結論としてどうなるかといいますと、その合理的配慮として求められる措置が認められるかどうかが決まることになります。ということは、過度の負担になると、「合理的配慮」として求められている措置が認められないとになります。しかし、そうなると、障害者側において、もう生きていくことができないくらい大変な状況に陥るような場合は、やはりこのような配慮措置を否定することはできないと考えられます。
 したがって、障害者側にとって、その措置を取ってもらわないとどうしても困る。その意味で必要性が極めて高いときは、幾ら絶対的な分量として事業者側にかかる負担が多少大きいとしても、それは甘受しなければならないという判断が行われる。これが、過度の負担要件の意味だと思います。
 そのような意味で、両方の考慮がどうしても入ってこざるを得ないということを前回申し上げたつもりです。

棟居部会長 ありがとうございました。そうすると、山本委員、また、聞いて恐縮なんですけれども、不利益の性質や重大性という、この書き方より、もう少し何か強い表現にした方が文意がつながるということになるんでしょうか。

山本委員 今のは、どちら側の事情としておっしゃったことですか。

棟居部会長 勿論、障害者側の直面している事情が不利益の性格や重大性が判断の要素というと、何か単に、天秤の両方にいろいろ乗せて総合考慮だということに見えてしまうんですけれども。

山本委員 少なくとも例として挙がっている、障害者が直面している事柄の重要性、配慮の不可欠性、非代替性という辺りは、私が今、申し上げたことにおおむね対応していると思います。そこから先の文章が本当にこれでいいかどうかは、宿題として御検討いただければと思います。

棟居部会長 ほかにいかがでしょうか、もう時間はほとんど尽きております。
 遠藤オブザーバー、どうぞ。

遠藤オブザーバー 山本先生にお聞きしたい。ただ今、おっしゃったような理屈に立ってしまうと、それがなければ、当該障害者にとって生きていけないという状況下では、企業にとってみて、それをやることによって、会社が倒産するかもしれないといった状況下の中でもやりなさいという理屈が成り立ち得るのですけれども、それについては、どうお考えなのですか。

棟居部会長 山本委員、お願いします。

山本委員 勿論、事業者ないしは合理的配慮が要求される側にも権利があり、自由があるわけです。それを極めて過剰に制限する場合は、そのような合理的配慮措置を事業者側ないしはそれを課される側に課すことは正当化できないという判断を行わざるをえません。ですので、今の御懸念については、そのようなことも含めて過度の負担に当たるかどうかを総合判断することになります。それが、比較衡量といわれるものの、実際に行われている中身だと思います。

棟居部会長 単なる利益の天秤がけではないということですね。ぎりぎりの判断ということ。
 遠藤オブザーバー、どうぞ。

遠藤オブザーバー 私も比較衡量の意味合いは十分わかっているつもりなので、先生が最後におっしゃるところまで否定しているわけではありません。その部分を書くのだったら、過度の負担という部分と違うところで書き分けて、最終的にどう判断するのかという部分にもってくることについては、何ら反対はしないということだけ繰り返し申し上げます。

棟居部会長 ありがとうございました。いずれにせよ、宿題として、また、我々は頭をひねらなければいかぬということになります。
 では、永野委員、先ほどお手をお挙げになられましたね。
 もう時間は尽きております、どうぞ。

永野委員 永野です。私からは、本当に簡単なお願いというか、提案なんですけれども、合理的配慮の内容のところで、さまざま例が挙げてありますので、これだけたくさん例を挙げていただけるのであれば、もう一つ、障害者の関係者に対する合理的配慮についても1つ例を入れていただけると、非常によいかなと思っています。
 以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。それでは、もう時間が過ぎましたので、ここで打ち切りとさせていただきます。本日の議事は、これにて終了いたします。どうもありがとうございました。
 最後に東室長から御報告をお願いします。

東室長 どうも御苦労様でございました。次回以降のスケジュールでありますけれども、先ほど渡した紙にもありましたけれども、次回は8月17日金曜日でございます。各論として、雇用、就労の分野、司法手続、政治参加、公共的施設及び交通施設、最後に情報という5項目を巡って議論いたします。
 それ以降につきましては、書いてありますので、お読みいただければと思っております。
 今日は、本当に長時間御議論いただきまして、ありがとうございました。

棟居部会長 ありがとうございました。本日の差別禁止部会の概要につきまして、この後、記者会見において、私と伊東副部会長、竹下副部会長、東室長から説明させていただきます。
 本日は、お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございました。