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障害者政策委員会差別禁止部会(第3回)議事録

棟居部会長 まだ全員おそろいではないですが、私は大事なことを忘れるくせがありますので最初に御案内ですけれども、きょうは5時を終了時刻と予定をしております。そして、5時に近い時間までは本来は議論すべきだと考えておりますが、金曜日でございますので御承知のように、特に今回ふだん使っている場所と少しずれておりまして、首相官邸周りの恒例のデモにかなり地理的に近いということで、退出される際に電車、地下鉄を御利用の場合、溜池山王方面にお出になってすぐ左側という順路で行かれるとスムーズではないかということで、進行の方も御協力をお願いできればというふうに、これは便乗ですけれども、考えております。いずれにしましても非常に盛りだくさんということでございます。

それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきます。

これより第3回「障害者政策委員会差別禁止部会」を開催させていただきます。

差別禁止部会は、傍聴希望の方に所定の手続を経て公開しております。また、会議の模様はインターネットを通じても幅広く情報提供いたします。

なお、御発言に際してのお願いとして、発言を求めるときはまず挙手いただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただくようお願いいたします。

本日の会議は17時までを予定しております。

それでは、東室長から委員、オブザーバー及び専門協力員の出席状況と、本日の予定資料説明をお願いいたします。

東室長 どうもこんにちは。担当室の東です。よろしくお願いいたします。

まず本日の出欠状況でございますが、本日は池原委員、川島委員、竹下委員、西村委員、永野委員、山崎委員が御欠席でございます。

大谷委員が15時ごろ退席の御予定です。

その他の委員、オブザーバーの皆さんは御出席であります。

本日の議事は前回に引き続き、意見のとりまとめについてであります。

今日は資料が多うございますので、まず資料の確認からしたいと思います。

資料1「部会三役の原案5(各論後半)【教育、商品・役務・不動産、医療、国家資格、婚姻・妊娠・出産・養育】」についての新たな案です。

資料2は既に議論した部分でありますが「部会三役の原案3の修正1【はじめに】(修正反映版)」。

資料3は、この修正経過がわかるような形で書いたもので、修正箇所表示版となっております。

資料4「部会三役の原案4の修正1(各論前半)(修正反映版)」。

資料5はその部分の修正箇所を表示したものです。

資料6「部会三役の原案2-1の修正2【国等の責務】(修正反映版)」。

資料7はその修正箇所を表示したものであります。

資料8「部会三役の原案2-2の修正2【簡易迅速な裁判外紛争解決の仕組み】(修正反映版)」。

資料9は、その修正箇所を表示したものであります。

資料10「部会三役の原案1の修正3(修正反映版)」。これは総論の部分です。

資料11が、それの修正箇所表示版となります。

資料12「意見書の構成に関して(案)」。これまでの議論を1つのものにまとめる場合に、どういう順番でやるかといったものについて一応書いてある案です。

続きまして委員提出資料として、太田委員提出の第3回差別禁止部会太田修平資料というものと、加納委員提出の「第10節婚姻・妊娠・出産・養育」に関する三役案への意見」というものであります。

以上が資料でございます。御確認のほどお願いします。

続きまして、本日の予定でありますけれども、15分の休憩を2回とることとして、3つのコーナーに分けて行います。

第1のコーナーは75分を予定しております。部会三役の原案5(各論後半)について、その1という形で表示しておりますが、それに基づきまして、その中の教育と商品・役務・不動産並びに医療の3分野につきまして、それぞれ25分ずつで報告と質疑及び議論を行います。

第2コーナーは50分で、部会三役の原案5(各論後半)その2ということで、その中の後半の2つの分野、国家資格の問題と婚姻・妊娠・出産・養育の2つの分野について、それぞれ25分で報告並びに質疑及び議論を行います。

第3コーナーでありますが、ここでは70分を予定しております。まず最初の15分で資料2及び資料3に基づいて、部会三役の原案3の修正1【はじめに】につきまして報告並びに質疑及び議論を行います。次に25分で資料4及び資料5に基づきまして、これは各論前半につきまして報告並びに質疑及び議論を行います。続く15分で資料6と資料7に基づきまして、国等の責務について報告並びに質疑及び議論を行います。最後の15分で、資料12で出しておりますが、意見書の構成に関して議論をしたいと思っております。

以上が今日の予定でございます。よろしくお願いします。

棟居部会長 ありがとうございました。

それでは、まず私の方から、最初に教育について5分程度で御報告をさせていただくという順番で始めさせていただきますが、今、室長から最後に言及がありました資料12というものをお手元に置いていただくと、きょうの議論のプログラムといいますか、今、御承知のようにまとめの段階ですので、これは本日の最後にその時間を残しておかなければいけないわけですけれども、意見書の構成について幾つかの案があり得るのでお諮りをしたいと思っております。

しかし、いずれにしましても今、資料12というこれをごらんいただきますと、これからお話しますのは「第2章 各則」の「第6節 教育」から順番にということで、第1コーナーで6~8、つまり教育、商品・役務・不動産、医療までの説明と議論を済ませまして、第2コーナーで「第9節 国家資格」「第10節 婚姻・妊娠・出産・養育」という、これらを終えて各則を得る。第3コーナーでは修正につきましてのお諮りということで、全体の流れを考えております。

ということで、今どこをやっておるんだという迷子になりそうなときには、この資料12を横に置いておかれたらいいのではないかと思います。私はそのようにするつもりでおります。

全体非常に多うございますので、ごくかいつまんだ格好でまず教育から始めさせていただくということで、皆様この資料1のページをどんどん、こちらは必ずしもページを申し上げませんけれども、章立てで申しますので追いかけていただければと思っております。

本日は前回に引き続いて各論の後半ということなんですが、ですから本来は各論前半のところで既にお話をすべきでしたけれども、全体にお気づきと思いますが、個別の各論になると結構似たような記述、つまり原則論の繰り返し。それから、この事例をこういう事例があるではないか。現行の法律では十分にカバーできないのではないかという形で、事例を挙げるという構成を繰り返しております。

これはあくまでこの差別禁止部会としては条約の批准というものを前提にいたしまして、その総則的な理念、つまり差別とは何であるか、合理的配慮とは何であるかといった理念的なものを我々として中心に打ち出していく。そして、これを個別の分野ごとに、これは1つには政策委員会で例えば教育とか役務とか、そういう事柄を個別に担当する小委員会を設けられるに至っています。政策委員会でのそうした小委員会を通じての議論に対して、情報提供あるいは考え方のお示しをしていくというのが、今やっておる作業の狙いの第一であります。

もう一つは所管各省庁の皆さんに、この差別禁止法の基本的な考え方はこういうことですよ、これを例えば教育であるとか医療であるという個別のテーマに則して言えば、こういう規範になります。事例としてはこうした事例が報告されています。現行の法律では十分にカバーされないのではないでしょうかという問題提起をしていく作業を前回、虎の尾を踏むという表現をあえて使いましたが、そうした若干の身構えた気持ちを持ちながら前回から行っているということでございまして、ですから項目数はたくさんあるんですけれども、方法論的にはいずれも今、申し上げましたように原則をその都度繰り返していく。特にその分野ごとにどのような原理原則あるいはそこから出てくる規範が念頭に置かれるべきか。更に具体的な事例としてどのような事例が報告をされておるか。こうしたことを繰り返していくというスタンスになります。

ですから、この委員の皆様方、これは前回も初めにそれを申し上げればもっとスムーズだったと思うんですけれども、今回も御理解をいただきたいのは、事例を報告しているときには、これはあくまで事実の報告です。そこでこうあるべきだという規範を混ぜてしまうとよくわからなくなるというか、今、申し上げたようなこちらが伝えたい方々に十分伝わらない。それはあなた方の意見でしょうということで終わってしまう可能性があるので、事例は事例として淡々と並べていくというやり方をあえてとっておるんだということを、今さらながらですが、委員の皆様に御理解いただきたいと思っております。

遠藤オブザーバー 経団連の遠藤と申します。遅れてまいりまして申しわけございません。

今、部会長の方から御説明いただいた点で1点だけ確認をさせてください。

新法制定に向けたとりまとめを行っていて、この部会のとりまとめ内容についてですが、新しく障害者政策委員会が設置され、そして小委員会の中でそれぞれテーマごとに議論していくことになりますと、ただ今、御説明があったとおりとなり、その小委員会との関係について、いま一度御説明いただけますでしょうか。

棟居部会長 これは私が答えるのが適切かどうか、室長、場合によっては。

ちなみに私個人、政策委員会の一員、これは遠藤オブザーバーもそうであられますけれども、政策委員会の一員としての理解は、小委員会でこの差別禁止部会の意見書をどう取り込むかについては、今のところ特に委員会上の言及はなかったように、政策委員会の場での言及はなかったように思っております。

東室長 政策委員会の下でこの差別禁止部会が設置されておりますので、ここの意見書はまずは政策委員会に上げる形になろうと思っています。それを政策委員会として受け止めてもらうということは、共通認識できる部分だろうと思っています。

ただ、ここでの意見が先ほど棟居部会長が言われたように、小委員会の中でどのように扱われるかということについては、特段何か決まったものがあるものではないと思っています。ですから小委員会でどのような議論がなされるのか、恐らくここでの議論が委員の方から出されて、議論の中身になるということもあるのかもしれませんが、ここでのものを小委員会に持ち込んで議論するということまで正式に決まっているとか、そういうことではないと思っております。

今回どういうふうに答えていいのかわかりませんが、そういうような認識です。

棟居部会長 大谷委員、どうぞ。

大谷委員 流れがよくわからなくなってきたから、よけい確認させていただきたいんですけれども、政策委員会の中に設けられる小委員会のことですか。

東室長 はい。小委員会と言っているのはそのとおりです。

大谷委員 ですね。それは基本計画に何を盛り込むべきかということで、年度内に基本計画を策定し直すための意見書づくりと私は認識しているんです。それはあくまでも基本計画をどのようにするかという、10年か、もしくは5年なのかわかりませんけれども、この計画。

私たち差別禁止部会は、差別禁止法をどのようにつくるかということで、法律をどのようにしたらいいのかということの部会だと思っていますので、法律はこうあってもらいたいという意見と、政策としてこのような基本計画を立ててもらいたいというのは、違いそうだと私は理解しているんです。ですから差別禁止法がこうあるべきだということと、基本計画はこのようなものが欲しいということが抵触することがあるやもしれぬという御懸念で、遠藤オブザーバーがおっしゃられたのかもしれませんけれども、私はそれはあり得ないと思っていますし、本来の目的を追求していけば必ず一致するはずなので、何か違ってしまうのではないかという御懸念だとしたら、我々がそれぞれ与えられた任務が違うので、それは御懸念に当たらないのではないかと私は思っております。

東室長 事務局としては今、大谷委員が言われたこと、枠組みはそのとおりだと思っております。ただ、棟居部会長が言われたのは、ここでの意見が事実上そういうところに反映されて、議論の俎上に上るかもしれないということをおっしゃったに過ぎないのではないかと思います。

棟居部会長 ありがとうございます。

また例によってよけいなことを言って、乗っけからつまづいてしまっておるわけですけれども、オリンピックでもボルトという選手は出足はつまづいたが、新記録を出しておるので、きょうはそういうつもりで後半ぜひ皆さんには頑張っていただきたい。

我々は意見書を出す。その意見書は政策委員会に出す。なぜなら、ここは政策委員会のもとに置かれております。ということで、相手先は政策委員会です。どう処理されるかは向こうさんの政策委員会でのマター。ただ、同時に政策委員会では小委員会をおつくりになり、それは今、大谷委員がおっしゃってくださったように、基本計画というもののためにある。ただ、政策委員会での席上でも議論が恐らく出たと思いますけれども、法と政策を行ったり来たりしなければいけない話になってまいります。

という意味で差別禁止法というのは純然たる法規範ですから、政策設定的な面ももちろんありますけれども、これをしたらだめです、あれをしたら違法になりますという意味での純然たる法規範ですから、少し政策形成というのとは角度が違う面はございます。

しかし、にもかかわらずそれを、つまり差別禁止という考えはあくまで政策の中に適宜取り込んでいかないと、全部事件が起きて、後からどうする。そのときに差別禁止法の規範で裁判をしていくという事後処理だけの話になってしまいますね。我々が今やっておる議論が。ここでの議論はずっと、もちろん裁判の規範を定律するというつもりでもありましたが、同時により事前に解決するために、あるいは無用な紛争を起こさないために、明確な規範を立てていく。つまりわかりやすいルールを定律していくという、これは紛争を未然に防ぐという趣旨もあったはずであります。

そういう意味では、政策委員会が本来手がけられる政策形成と、差別禁止の我々のこの意見書は十分にリンクしてくる。少なくとも政策委員会では我々の意見書を真剣に取り上げてくださるはずですので、その段階でどうにか政策に落とし込んでいく。そこで小委員会が出てくる。今、私は政策委員会の構造をよく理解せずに、勝手な思いを個人として言っておるだけなんですけれども、ということで先ほどプログラムといいますか、章立てはお示ししました。ただ、それだけではなかなか迷子にならずに済むということではなくて、要するにこの意見書はどういう形で今後生かされていくんだという点については、十分な説明を私が用意できていなかったという点、早速おわびをしたいと思います。

ということで教育に入らせていただいてよろしいでしょうか。「はじめに」あたりをごらんください。あるいはそのページを送っていただいて「分離排除から統合教育へ、そしてインクルーシブ教育」という、ここらあたりでございます。

「はじめに」で権利条約の敷衍をいたしまして、分離から統合へ、インクルーシブへという流れを2ページで述べておる。その際、ユネスコのサマランカ宣言であるとか、インクルーシブ教育とは何ぞやであるとか、翻って2ページの下「4、日本における原則分離の教育」ですけれども、こうした指摘をしておるわけであります。

そうした一方に条約、他方に日本の置かれた現実というものを踏まえた上で3ページ「第3、この分野において差別の禁止が求められる対象範囲」ということで、入学の拒否であるとか、入学に当たっての条件の付与といった事項や場面という点に御注意ください。先ほど申しましたように、こうした事例があるではないかということを淡々と述べておるわけでございます。

「2)授業や学校行事への参加制限」ということで、遠足に保護者が同行しないと参加できないとか、参加できたとしても見学コースには一緒についていけずにバスで待たされる。つまりバスに乗っていって君は待っていなさいということで、また乗って帰るという、実質、学校行事に参加できていないといった事例もあるといった事柄を、ここで述べておるわけであります。

そうした厳然たる事実が誰との関係で発生しているか。それを覆していくためには誰を相手どって差別をしてはいけませんということを言っていかなければいけないかというのが3ページの2、であります。設置者等が相手方の範囲として入ってくるということであります。

その下に書いておりますのは保育園。教育なのかサービスなのかといった限界事例の面がございます。この点は特に答えを出さずに整理が必要ということでとどめております。

3ページ一番下「第4、この分野で禁止が求められている不均等待遇」。不均等待遇という1つの言葉で差別のさまざまな類型を既に集約しているわけでございまして、そうした大きな意味での不均等待遇というものは一体何だろうかということで、これは先ほど申しましたように教育という分野で何が禁止をされるのかという、分野の特性を踏まえた不均等待遇はこういうものですということを書いております。3ページの下の方に入学、学級編成、転学、除籍等々、学校ならではのいろんな言葉を並べておるのは、そういうことであります。

4ページの一番上をごらんいただきますと「ただ、人生の岐路にあってその選択に責任を持てるのは、本人もしくは本人にもっとも身近な関係者であるべきであるので、特に教育の分野においては、本人・保護者が望まない場合を不均等待遇の前提にすべきである」。こうした文章が我々が意見書で意図しております、まず条約の条文あるいは趣旨に照らして原理原則を掲げ、それを各論、今、教育をやっているわけですけれども、そうした分野ごとに落とし込んでいくときに、具体的にはどうした規範が出てくるかということで、例えば教育の分野においては本人・保護者が望まない場合を不均等待遇の前提と考える。このような具体的な規範定律をしておるということでございます。

「したがって、たとえば」というところを読ませていただきますが「入学に関して言えば、障害者または保護者が学校等の教育機関への入学を求めたにもかかわらず、障害を理由に拒否することは、不均等待遇として差別に該当することになる。障害者又は保護者が特別支援学校への入学を希望する場合もあるが、これは不均等待遇に当たらない」。あくまで本人・保護者が何を望むかという意志が基準になるということであります。

もちろん、不均等待遇を正当化する事由が存在するという場合も、これは従来から何度も述べておるように、この差別禁止法の仕組みの中ではあり得るところであります。それが4ページの2、のところであります。「当該取扱いが客観的に見て、正当な目的の下に行われたものであり、かつ、当該取扱いがやむを得ない場合に、不均等待遇を正当化する事由があるとして、差別の例外となる」。

ただ、これも先ほどの繰り返しですが、教育という特殊な分野において、果たしてそのような一般論が成り立つのか。どこまで成り立つのかということが問題になるわけでありまして「当該取扱いがやむを得ないと言えためには、学校及び学校設置者等が合理的配慮を尽くしても障害者の教育目的を達成し得ない場合」ということが要件となるであろうということでございます。

すべてを取り上げていくことはできませんが、今、申し上げたように原則論を当てはめつつ、領域ごとの特性に照らして修正といいますか、各論的な規範を立てていく。その場合、例えば正当化事由もこうした教育といった場合には、わかりやすい言い方をすると、相当程度狭められることにならざるを得ないであろうということを述べておるわけでございます。

「第5、この分野で求められる合理的配慮とその不提供」ですが、これはまさに教育というのは情報を伝えるというのが中心になりますので、

1)障害特性に適応した情報伝達手段を用いた授業

2)障害特性に適応できる態様の授業

3)障害特性に応じて利用可能な形態の教科書、教材の提供

4)利用可能な物理的環境の提供

5)必要な人員の配置

6)その他必要な変更及び調整

ということで、合理的配慮の中身が教育という特殊な領域に対応して具体化されていくということを述べております。

5ページの下「6、その他の留意事項」ということですが、合理的配慮の実現のプロセス、つまり合理的配慮を具体的な場面ごとに考えていくときに、必要な変更や調整を行っていく。どういうプロセスだということが問題になります。これは教育ですので特に関係者による話し合いを経て内容を決定していくのが妥当ということで、うまく調整がつかない場合、紛争ということになりますけれども、その紛争解決の仕組みも「2、内部的紛争解決の仕組み」で述べておりますように、もちろん権利性を認めることは大事だし、最終的には裁判による救済というものを待つほかないとしても、こうした教育の日常的な現場で起きる紛争については、まずもって内部的な解決ということが、しかも障害者及び保護者と学校との間での対等な意見を述べる場、これが本来しかるべきでございますが、それがなかなか難しいということから5ページ一番下「第三者が参加しながら意見の調整が図れる仕組みが必要である」とまとめておるところであります。

以上が教育についての御説明でありました。御意見等いかがでしょうか。

植木委員 全体を通じて大学教育の場合と義務教育の場合の整理の問題ですが、3ページ第3以降、第4、第5にかけて、これははっきり書いているように、中心的な部分は大学の場合にも義務教育の場合も同じように、差別禁止と合理的配慮の義務が妥当するということに恐らくなっていて、それはそれでいいのではないかというふうに思います。

とは言え、特に第2の部分などを読むと、あたかも義務教育を中心に書かれているような印象もあります。特に「第6、その他の留意事項」の最後の部分が高校進学で止まっているということからすると、どちらかと言うと読み手の印象としては、これは義務教育を中心に書いてあって、高校進学のところで終わっているという印象があるのだと思います。

どうすればいいかという1つの提案ですが、やはり義務教育段階での問題と高等教育での問題では、イメージされる解決策が少し違うのだろうということを、留意事項で書き出すというのもありなのではないかと思います。つまり義務教育段階では、すべての子供が小中学校に入ることを前提にした上で、全員がやってくるからこそある程度個別化された支援というものが必要だということがあるでしょうが、大学の場合には今度は逆にみんながその大学に入れるわけではないし、みんなが卒業できるわけではないということが前提になるので、大学の場合にはまずは学力試験だとかの場合において、障害を理由にした不利益を受けないようにする必要があるということと、それと就学に当たってある意味で教育課程の本質に反しない範囲で、最大限の合理的配慮が必要であるという整理をするというのではどうかと思っております。

差し当たり以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。

いずれも私個人としては一切異論はございません。特に最後6ページの高校進学のところは先ほど端折ってしまいましたが、ここで止まっておるということを鋭く突いていただいたということで、教育というものがどうしても初等、中等教育あるいは義務教育止まりの見方をしておった。実際には放送大学が非常に人気があるのを見てもわかるように、高等学校の後の大学機養育の過程に対する国民各層のニーズは非常に高い。これはもちろん障害者もまたしかりでありまして、大学としてもいろいろな対応を個別にはしておるところですが、大学の場合、教養課程の講義というものもございますけれども、専門教育というのも入ってくるので、施設をいかに有効に利用するかという別の面もあるのかもしれません。ですから植木委員が学力試験で障害を理由に不利益を受けないという書きぶりが適しているのではないかとおっしゃってくださったものと思います。

これはこの後の議論を通じても、すべての委員に対するお願いですけれども、実質の議論をきょうで終えたいと考えております。これはそうしないと後がございません。先ほど仄聞したところでは、9月下旬といいますか、9月に2回予定されておった最後の予備日というのは、会場をキャンセルしてしまっているという情報もあり、つまり9月に1回、全体の修正をする機会があるだけで、きょう、この中身の議論をすべて終えるという、決してこれは粗っぽく終えるという意味ではありません。今おっしゃっていただいたような丁寧な論点を出していただく。ただ同時に修文もぜひ、今、夏休みの宿題のように赤ペンで書いて、後で持ってきていただけるとありがたい。

植木委員 既に準備しております。

棟居部会長 大変ありがとうございます。

ということで、続きまして大谷委員、どうぞ。

大谷委員 植木委員が高等教育のことを大学のことについて言ってくださったので、そこは端折ります。

私の希望とすると、確かに「第6、その他の留意事項」のうちの3が高校で終わっていますので、4に高等教育、大学という形で入れていただいて、今、植木委員が言ってくださったことを加えてくださるのが、一番簡便かなと考えています。

私とすると、そこを除いて若干確認なんですけれども、3ページ「2、差別をしてはならないとされる相手方の範囲」なんですが「学校教育法に決められているところの学校、すなわち」となっていますけれども、これは学校とその設置者という趣旨ですね。「高等専門学校の設置者」になっていて学校が抜けてしまっているので、学校及びその設置者という気持ちだろうなと私は善解しましたけれども、設置者だけが相手方ではなくて、学校そのものも相手方になると私は理解しておりますので、もしよかったらそういう形に書き加えてもらいたいと思います。

その後の「なお」なんですけれども、確かに難しい問題がきっとあるんですが、保育園がまた法の谷間になってしまってはいけない。保育園がどこかにちゃんときちんと位置づいていればいいんですけれども、まだ精査していないんですが、この役務の方に入っていなかったり、もしくは養育の方にこぼれてしまっていると困るので、私とするとやはり保育園及び保育園設置者というのは幼稚園まで挙げてあるんですから、何とかここの一文に入れていただきたいなと思っております。

職業訓練校以下、予備校、私塾というのは役務の中に入るのかとは思いますけれども、やはり特に保育園に関しては考慮していただきたいと思っています。

やはり法の谷間になってしまいそうなところが通学支援。これもいつも教育に対するアクセスとして、学校もしくは設置者が負担すべきなのか、各市町村が負担すべきなのかということで、ここもこぼれてしまっているところですので、やはり私とすると現在、教育と福祉の谷間と言われている通学支援については、教育へのアクセスとして学校もしくは学校設置者が義務づけられなければいけないというか、何らかの方向性をここで示していただきたいと思っておりますので、これをその他の留意事項の5に入れていただければと思っています。

「3、高校進学」が、やはり知的障害者に特化されております。知的障害のある方の高校進学が一番問題であるということは、もちろん私も十分認識しておりますので、そこを強調するにしても、まずは高校進学に当たっては98%の子供が進学していることは、義務教育と同様であることが前提とされた上で、よって受験時における配慮は既にその前の方に書いてあるんですけれども、配慮しつつということで、どのような障害のある子も高校進学が保障されているということを前提にして、そして、その後にとりわけという形でもいいんですけれども、それ以降の知的障害者も高校での教育の機会が保障されるべきであるという形で続けていただきたいと思っております。

というのは、やはり受験時の配慮では配慮し切れない存在としての知的障害者の方がいることになりますので、そういう形でも教育は保障されるべきである。その後の最後の2文ですけれども、ではどうするかということに関して、これは非常に正直申し上げて「政府において検討し、必要な措置を取ることが求められる」ということで、追って協議という形の提案になっているんです。では、政府は一体どこなんだと。我々はそれを検討することを期待されている部署ではなかろうかと私は思うのに、ここで政府において検討しということを投げてしまうというのはいかがなものかと思いますので、ここはどのように確保していくかについて、特に知的障害のある子の高校進学についてどのように考えていくかについては、各地域における先行的取組みも存在するので、これを参考にして必要な措置をとることが求められるという文案を提案させていただきたいと思っております。

もう一個だけ、内部的紛争解決は本当に異論ありません。5ページなんですけれども、棟居部会長が言ってくださったように、教育というのは内部的な解決が大事であるということは、やはり教育現場は信頼関係がなければならないというようなことを一言加えていただいた上で、内部的な解決が望まれる。ただし、それは現在、差別禁止部会で今後同じ、ここで検討されている紛争解決手段を利用することと、ある種その調整機関を利用することとセットというか、妨げないというか、当然のことではあるんですけれども、その選択肢の1つであることは否定しないとか、内部的な調整機関を設けたらここで設けられる紛争解決機関との関係が、一体どうなんだというようなことが議論になるかもしれませんので、そこは注意的に書いておいた方がいいのではないかと思いました。

以上です。

棟居部会長 どうもありがとうございました。

伊藤委員、お願いします。

伊藤委員 2点だけ簡潔に申し上げたいと思います。

まず拝見しますと、インクルーシブ教育を達成するために、入口段階で差別が行われないようにということが非常に細かく書いてあるという印象を持ちました。加えて、入学後に差別や排除、いじめといった問題が起きないことが、非常に重要ではないかと思っています。

そういう意味で、初めは3ページの第3に「差別が禁止されるべき事項や場面」のところで、入学後の学校での排除が行われないという点を書くべきだと思いました。しかし、校内での排除は、必ずしも設置者がするというよりかは児童・生徒等との関係の方がむしろ大きいんだと思うので、適切でないとも思います。そうであれば合理的配慮のところで、児童生徒への指導も含むというようなことが書けないものかというのが1点であります。

2点目は今、大谷委員から指摘がありました保育所のことです。保育所はぜひ漏れ落ちてしまわないような記述にしていただきたいと思います。国会で認定こども園法の改正という形で幼保一元化の方向があるわけですから、学教法の一条項としての幼稚園が入るのであれば、保育を含めて教育のところに書くことが可能なのではないかと考えております。

以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。

先ほど言いませんでしたが、大谷委員がおっしゃった具体的な御提案については、取り込む方向で修文させていただきます。ということで、赤ペンの修正案をぜひお届けください。

今、伊藤委員が2点おっしゃいました。後の方はもとより当然のことと思います。保育園について特に我々は重視すべきだ。前の入学後についての生徒の間でのいじめ等について、学校は単に自分自身が差別的な不均等待遇等していないんだということで済む話ではなくて、まさに教育機関である以上は、むしろ積極的に障害のある生徒をいじめる障害のない生徒の側を指導していくといった、そうした教育現場らしい規範の拡充といいますか、そういう落とし込みの作業が要るのではないかという御指摘で、これは先ほど私は原則論を分野ごとにモディファイしていくという言い方をしましたが、その分野ごとに規範を落とし込んでいく作業で非常に肝心なことを忘れていたということで、今おっしゃるとおりだなと思っております。ただ、どこにどう入れるかという点については工夫をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

予定の時間をオーバーしております。もしよろしければ次のテーマに移らせていただきたいと思います。それでは「第7節 商品・役務・不動産」ということで、お手元の資料1の続き、7ページからになります。

「はじめに」というところは当たり前のことを書いておるんですが、実際に我々の日常生活でこうした商品・役務・不動産といったものをめぐるさまざまの経済活動、そのサービスの給付なしではおよそ生活自体が成り立たないわけであります。

この点につきまして障害者権利条約はといいますと、保険契約以外については特に日常生活上、社会生活上の商品の購入、役務の提供、不動産の賃借等について、条約は直接には言及しておらないんですが、あらゆる生活分野における差別を禁止する総則規定がございますので、当然にこうした分野においてその条約が及んでくることは前提になっておるわけであります。

そこで差別禁止法のあり方を論じるこの場では、商品・役務・不動産といういわゆる立法事実としてさまざまの差別事例が集積しておると思われるものについて、当然に分野として取り上げるということで、7ページ第2点のところですが、対象範囲ということにつきまして事例を挙げておるところであります。

商品の売買については、親を連れてこないと売りませんといった事例がありますし、また、ここに書いておりませんけれども、狭い店舗で車いすでそもそも入れない、あるいは2階にあるけれども、2階の展示場に車いすでは上がれないといった形で、事実上、商品へのアクセスが退けられているといったケースも多々あるわけであります。

役務の提供につきましては、レストランに入れてくれないといった類の例は、この場でもたくさん出てまいったところでありますが、具体的には公共施設や交通機関の利用の分野とかなり重なってくることがあります。しかしながら、生命保険のように広い意味での役務の提供にかかわる契約、これは先ほど言いましたように条約は保険の契約ということを特に取り上げておるわけですが、こうした役務の提供についても当然に意識をする必要があるということでございます。

国や地方公共団体による公共サービスは、役務の提供という性格づけはもちろん可能であります。ただ、国や地方公共団体は当然にこの条約の批准後は差別禁止を制定し、自らも条約の国内実施を当然に履行していくべき立場にありますので、公共サービスもここで言う役務に入るというのは違和感があるかもしれませんけれども、ここで役務の中に位置づけておるわけであります。

8ページ、不動産の利用はアパートが借りられないといった類の事例が集積しておるところであります。住むところなくして生活は始まりませんので、極めてこれは基本的な原理にかかわる。日常生活上の基本的な利便に関わるという認識を持っております。

不動産の売買は商品売買の一種であるということで、ここでは賃貸借を念頭に置いて書いておるわけであります。また、行政による公営住宅の提供。これは公共サービスということで、これも含めた広い意味の役務というものには入ってくるということで、ここで含めて考察をするというのが8ページ3)に書いておることでございます。

したがいまして、差別の禁止を求められる対象事項としては、今、読み上げをしておりますが「賃貸借や公営住宅の入居の募集、賃貸借契約や公営住宅の利用契約及びその継続に関わる事項」が対象事項になろうと思います。

続きまして「2、差別をしてはならないとされる相手方の範囲」でございますが、対価を得て商品の販売や役務の提供を行う民間事業者と有償、無償を問わない公共的サービスを提供する国や地方公共団体いずれも含むわけですが、それをここでは一応分けて、相手方として2つの対象を挙げておるということでございます。

対価を得る側としては、民間の商店経営者、ホテル、旅館、銀行、保険会社、娯楽、レクリエーション施設、食堂、レストラン等を思い浮かぶところでございます。

公共サービスを提供する国、地方公共団体は、それとは分けて2)に書いているということであります。

続きまして、先ほどと全く同じ順番の流れになりますが「第3、この分野で禁止が求められる不均等待遇」についてであります。ここらでは先ほど教育で議論がありましたように、この差別禁止という考えが分野に応じてどのように一般原則が個別の姿をとってくるかということが問題になるわけですが、余り教育のように特に分野として特殊であるということで修正あるいは拡大していく必要があるというわけでもない。ある意味、原則がそのまま当てはまる分野かなと思っております。

もちろん、ですから合理的配慮というものが何ですかというものが問題になり、合理的配慮をしなくても正当と言えるのはどういう場合ですかというあたりが問題になります。これは8ページの下から9ページにかけてということであります。過度の負担が生じる場合には不提供に正当化事由があるということで、8ページの下から9ページにかけて、全体の原則論をここでもそのまま述べているわけであります。

9ページ「2、この分野で求められる合理的配慮の内容」でございますが、これも事例として銀行口座の開設や預金の引きおろし、保険の契約において「視覚障害のため本人が記入できないので郵便局の職員や銀行員に代筆を依頼したが、断られる」という事例がたくさん挙がっております。これは事例の紹介にここでは留め置くということではなくて、そのビデオ撮影等で本人確認のための何か状況を保管しておく、データを保管しておくということも、後々のトラブルに備えるということであれば可能である。あるいはほかに複数の職員が立ち会うといった確認の仕方もあるではないかという代替手段を合理的配慮として提供すべきであるという、ここでは具体的にこの事例がありますよというだけではなくて、代替手段としてあり得そうなものを挙げるというところまで踏み込んで書いております。

不動産の利用におきましては、スロープの設置や台所の改造をしないと使えないという車いすの障害者が入居を望むが、そうした施設がないという場合。そして家主が承諾をしないので契約できないという場合が、たくさん事例としては挙がっております。これは承諾をしていただいてスロープの設置、台所の改造に応じていただくことが合理的配慮になろうということになります。

ただ、もちろんこの場合の費用負担の前提は、あくまで借りる側で費用負担するという前提で、それに異議をとなえないという家主の側の受任を求めることが、合理的配慮ということの内容になってまいります。

続きまして「3、合理的配慮の不提供を正当化する事由」というものですが、これはサービスの本質が損なわれるか損なわれないかというのが1つのキーワード、中心的な命題となってまいります。例えば「障害特性からクラシックコンサートの最中に会場で大声を上げてしまった場合に、当該サービスの提供に不可欠な静謐さを保つために会場内で鑑賞することを拒否された」といった事例があるわけですが、こうした場合にクラシックコンサートで静謐さ、もちろん音楽家の側は大きな音を出しているわけですけれども、会場の客の側は静謐を保つことが当然に求められるわけでありまして、このような場合には個室を用意する。そして設置されているモニターを通じてコンサートを鑑賞するといった代替措置が、合理的配慮の方法として考え得るのではないかといった代替的手段を、業務の本質を損なうことなくとり得るかどうかということが実際には問われるということを書いております。

9ページ一番下「第5、その他の留意事項」ですが、公営住宅の単身入居に係る資格制限について、法令上の欠格条項の見直し、いわゆる国家資格等々と並んで議論になった部分でございますが、その1つという位置づけをし、多々ある制度の見直しがなされた結果としまして、現に旧公営住宅法施行令では、本人が必要な介助、援助が得られるのであれば単身入居が可能、入居制限の緩和がなされてきております。ただ、これは実際には自治体が実施をしておりまして、その水準はまちまちであるという現状があるということで、立法事実があるなしというときに規範が手当をされておっても、つまり法改正がなされておっても現実がついてきていないという残念なこともあるんだということで、特にこの入居の問題について留意されるべきだということで、ここで書いておるわけでございます。

障害者の中でも重度の障害者、高齢者や障害者の場合には単身入居が特別に認められているとはいえ、世帯用の住居の数に比較すると圧倒的に少ないという事柄。こうしたことから重度の障害者の住宅ニーズがなかなか実際には満たされていないという事実を指摘しておるところであります。

最後、これは先ほど大谷委員が、我々がまさに物を申すべきだ。政府とかどこかよくわからない別のところに丸投げをするような書きぶりはよくないとおっしゃいましたが、各地方公共団体において見直しを含めた検討が求められるという、一応、相手を名指しした書きぶりにここではしておるわけであります。

長くなりましたが、以上で第7節についての説明を終わらせていただきます。御質問、御意見等どうぞ。

山本委員 たくさんあって申しわけないのですが、3つないし4つぐらいの問題点を指摘したいと思います。

7ページ第2の1「1)商品の売買」です。これは例示した部分ですので、こうあるべきだということを述べていないのだと思いますが、これを見た場合に出てくるであろう産業界ないし経済界からの疑問を指摘しておきたいと思います。

と言いますのは、民法の成年被後見人に当たる場合は、日常生活に関する事項は単独でできるのですけれども、それ以外の被後見人がした契約は取り消すことができるとなっています。被保佐人、被補助人に当たる場合には、一定の契約に関しては法定代理人の同意なしに行われれば、それも取り消すことができるとされています。相手方としては、取り消されますと、大きな問題が出てくる場合があります。ですので、疑わしい場合には確認することができないとうまくいかないだろうと思いますが、そのような確認をしたり一定の条件をつけたりすることは差別に当たるけれども、正当化事由があるのでそれは免責されるという説明をするのかしないのか。これはかなりあり得る問題だと思いますので、一定の回答を用意しておく必要があるのではないかと思います。

2点目は8ページ「2、差別をしてはならないとされる相手方の範囲」についてです。相手方の範囲については、これを見ますと、事業者と国または地方公共団体が挙げられています。幾つか問題があります。

まず、事業者以外のものは除外しているということでしょうか。もし除外している、つまり事業者に限定しているとしますと、その理由は何か。そして、仮に事業者に限定するとした場合に、その事業者をどう定義しているのか。消費者契約法の2条に定義が一応ありますが、それをそのまま踏襲するのか。営利を目的としているからではなくて、反復継続性を基準にしているのが消費者契約法なのですけれども、そうしますと、例えば非営利団体等もここで言う事業者に入ってくることまで考えて、ここでは事業者と述べているのか。

そして、仮に事業者に限定するとして、総則ではそのような限定はしない。しかし、各則のある特定の部分では限定をするということなのか。それは技術的にも難しい問題を生みますし、分野ごとになぜ違うのかという説明を要することになって、非常に難しい問題を生むのではないかと思います。

3点目は9ページ「2、この分野で求められる合理的配慮の内容」で、その中での3段落目の不動産の利用についてです。これは例を挙げてわかりやすく説明している部分だとは思うのですけれども、これをそのまま読みますと幾つかの疑問が生じてきます。つまり、障害者が賃貸物件を借りたいと言ってきた場合に、承諾をしないといけないのか。もし障害者の側が費用負担するのでこれだけの合理的配慮をしてほしい、その上で貸してほしいと言ってきたときに、それを承諾しなければならないとなりますと、理論的にも実践的にもかなり大きな問題が生じてくるのではないかと思います。その点についてここで書かれていることはどこまでのことを意図しているのかということを明らかにしないと、立法についての賛成も反対もなかなかしにくくなるのではないかと思います。

そして、その後ろの部分で、借りる側で費用を負担するという前提であるとありますし、先ほどもそう説明していただきました。これはそうしますと、この分野に限らず、合理的配慮全体について、どのような場合であれば事業者等の相手方が費用を負担すべきであって、どのような場合は障害者に負担を求めることが許されるのか。その仕分けが示されませんと、実務に大きな混乱をもたらすと思います。

これはガイドラインで示せばよいという問題ではないのだろうと思います。つまり、これは合理的配慮をしなければいけない相手方の広い意味での財産権に対する非常に大きな制約を課すことになりますので、やはり指針も挙げていないのでは問題が大きいのではないかと思います。市場で広く薄く費用負担を転稼できる場合というのが1つの考慮要因になっているのかなと思いはします。転稼できない場合は障害者に費用負担を求めてもよいということなのかもしれません。しかし、なぜそのような場合に障害者が費用負担をしなければいけないのかという理由も、さらに説明を要するところだろうと思います。その意味でここは非常に難しい問題があります。

民法の専門家の観点から付け加えますと、仮に障害者側の費用負担とすることが許されるとしますと、賃貸借が終了する場合には、つけた造作の買取請求権だとか、有益費の償還請求権だとかが民事法上は認められています。それを排除する、障害者の負担にするならば、そのような買取請求権だとか有益費の償還請求権などが認められますと、結局、貸主側の負担になりますので、そのような権利は放棄するという特約がされるだろうと思いますが、それを有効と見るのか。消費者契約法から言いますと、無効になる可能性が十分ある特約ですけれども、それはどうなるのか。あるいは、契約が終了したときに、つけた造作は全部撤去するという特約を、それも障害者の費用負担で撤去するという原状回復特約をした場合に、その効力はどうなるのか。

多くの方は何を細かいことを言っているのだと思われるかもしれませんが、賃貸借ビジネスにおいては非常に大きな問題であって、このような提案が一般的な形で出ますと大きなリアクションが出てくるのではないかと予想されますので、詰めておく必要があると思います。この段階で言うのはどうかと思いますが、私自身は前から言ってきたつもりですので、ご容赦ください。長くなりましたが、以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。

私がかえってよけいなお答えをして、法的にナンセンスな回答をしているということになるとまた時間を食いますけれども、ごく簡単に山本委員の御質問を敷衍するというか、直接に多分こういうつもりで少なくともこちらは書いたという説明の補充という程度の回答ならできますので、それをさせていただければと思います。

まず、今の御質問いろいろありましたけれども、全体を通じて結局契約とか役務の提供という分野の特徴に則した規範のモディファイ、修正をしていかざるを得ないのではないか。そこから逃げているというのも私は最初に申し上げました。つまり役務の提供、商品の売買については原則がそのまま当てはまるんだということで、先ほどの教育のような個別の教育という特性に応じた修正をかけていない。しかしそこに不十分さというか落とし穴が残っているという御指摘であったと思います。

以上が感想で、成年後見については全くおっしゃるとおりということで、室長にいろいろ伺いながら修文したい。これは恐らく山本委員のお手を煩わせるまでもなく、こちらで対応すべきものと思っております。

2点目の事業者とあるが、事業者以外についてどう考えるんだ、事業者の定義については一体どういうつもりなんだということについては、役務の提供、商品の売買などで事業者という言葉を使っておるというのが正直なところで、反復継続という前提かと言われればそうだというふうに、こちらの意図としては思いますけれども、例えば1回切りの例えばインターネットオークションで素人が自分の中古車を売るといったような、反復継続性がないような場合、これはここで言う事業者には入ってこないのかといったことになりますと、よく考えていませんでしたと言うほかないので、これも室長と御相談したい。

ただ、従来出ておった山本委員の御指摘にたしかあったわけですが、いわゆる親密な関係については差別禁止の基本的な理念もなかなかむしろ及び得ない、それは排除されてもしようがないのではないかといった、つまり差別禁止と言っても入っていけないような親密圏という非合理な、あるいは場合によっては差別的な何か偏見を共有したような小さなグループがあっても、そこの中にはなかなか入っていけないという一般的な考え方。山本委員の考え方というのではなくて、親密圏というそういうものは一定の保護を受けるだろうという、これはごく一般的な考え方ですけれども、これと今の事業者を結びつけると、友達に売買するとか、知り合いだから売買するとか、この人ならこの車を譲渡しても大事に乗ってくれるだろうというので売買するといった類は、差別禁止の基本的な考えが入っていけない親密圏ということになるのかもしれません。それと事業者というのを対比させて頭の中で何となく見ていた。言葉を整理させていただきたいと思います。

3点目の9ページ2、のところで家主の側に承諾義務があるのかといった御質問がありました。この承諾義務というのは私の意図では、もしこの契約の申し込みをしておる障害者の側に障害がなければ、大家が契約を結んだであろう、契約の申し込みに応じたであろうという場合に、殊さらに障害だけを実際には理由として契約を拒否するというのは差別に当たり、違法になるという意味での承諾義務があるのではないかというふうに、障害が唯一の理由ということかそうではないのか、別の経済合理性といったものがあるのかという答え方を今、させていただければと思います。

4点目の費用負担、終了後の買取請求権等ということですが、これは一般論としましては山本委員が御指摘のように大変な大問題。どちらの費用負担かということがはっきりしないと制度が動かないというのは御指摘のとおりであります。

これは役務や商品の中身そのものに本来は含まれるか、同語反復みたいになるかもしれませんが、含まれてしかるべきかという、こういう観点から分けて考えるということになるのではないかと思います。つまり、初めからこの障害者対応だ、あるいはバリアフリーだと言っておりながらバリアがあるではないかということであれば、これは商品そのものがバリアフリーであるべきなんでありますから、大家の側、設置者の側の費用負担でということになっても致し方ないかなと思いますが、そうではないごく一般的なアパートの経営者の場合に、障害者が入居を求めるときに障害者の費用負担で、そしてこれが障害者が出ていくときにはまた障害者の費用負担での原状回復をしてという一連の流れになるのではないか。それはなぜかというと、本来の商品とか役務の中身に障害者対応でなければいけないということまでは、一般的には入っていないからだろうと私としては考えておるのですが、室長、お願いします。

東室長 最後の4点目の費用の話ですけれども、住宅の確保というのは非常に大事な話です。こういう権利条約の議論がある前から実際上、住宅確保という面で、障害者にできることはせめてこちらに負担させてくれ、だから認めてほしいという形で、譲歩した形で住宅を借りざるを得なかったという側面があるわけです。だから合理的配慮という考え方が最初からあるならば、実際にこういう形になっていたかどうかというのはわからないんです。

ただ、現状としては障害者が入る場合は自分で費用負担するかという、ある意味慣行的な形で進んできたので、それをベースにそれを合理的配慮としてどう位置づけるかという議論が出てきたわけで、この問題を一般化するということは間違いだと思うんです。そういう特殊事情があるから、ここであえて触れたというだけであって、この問題が逆に一般化するような問題として捉えられるのであれば、むしろこの部分はばっさり削除すると言った方がいいのではないかと思っています。この点は削除も含めて相談させていただければなと思っています。

棟居部会長 削除と申していますのは、以前にこのまとめに入る7月段階だったと思いますけれども、基本的にこの場での委員の皆さんの全体の従来からの御議論の集約を今やっているわけですから、そこで異論が出て、何か両論併記的なものを求められるという場合は、本来まとめとしてはおかしいので、皆さん方が一致できるところまでで書くのを止めるというお話をさせていただいております。

ですから意見が分かれるというのとは少し違いますけれども、今、室長がおっしゃったのは、さまざまの背景によってこのような費用負担というのが障害者側の問題として従来から認識されておるんだけれども、その整理が今までの議論の延長上でうまくできない場合には、あえて記述自体落としていくということも含めて今、御承認いただければということなんですが、よろしいですか。ありがとうございます。

それでは、順番で川内委員、浅倉委員という順番で進めさせていただきます。

川内委員 10ページに公営住宅と介護の問題がありますけれども、一番上の行に本人が必要な介助や援助が得られるならばという条件がついていますが、5行目のところには公的介護を受けられていてもと書いてあります。介護は公的だけではなくて私的な場合もありますので、ここは必要な介護を受けられていても、なお自らの力で食事やトイレ等の自活要件というふうに、介護の幅を少し広げるべきではないかと思います。

その段落の一番終わりですけれども、面接を行う条件がつけられている事例が各地で見られるということが書いてありますが、もう一つの事例として、居宅支援事業がある市町村でなければ申し込めないという条件をつけている自治体もあるということも、書き加えていただきたいと思います。

その次ですけれども「公営住宅の入居は」というところで、自活要件を設けること、あるいは介護制度がある地域に限定することが、地域生活を妨げる要因となっているということです。

以上の点を、赤ペンを入れたものは出しますけれども、修文していただきたいと思います。

東室長 確認いいですか。最初の点は「地方公共団体の募集の中には」というのがありますので、事実としてあるかどうかの話であり、「あるべきだ」という議論ではないんです。公的介護の方から私的介護というのも、事実としてそういうものが、募集案内の中にあるんでしょうか。

棟居部会長 これは私の方で言わせていただくと、公的介護を受けていても、さらにこれこれが必要という、要するに言い方を変えると公的介護が不足していて、さらにいろいろしなければいけないというような場合とか、公的介護を一方で自治体がしているのに、さらに何か特別の要件を付加するとか、いずれにしても矛盾があるのではないかというニュアンスでここでは公的介護を受けられているということを特に挙げているわけです。自治体自体が言わば自分で一方では公的介護をしながら、他方では更に自力要件といったものを加えていくという、これはいろんな意味でちぐはぐではないかということが念頭にある記述なんです。

これはあくまで今、室長が言われたように、1つの典型事例の指摘ということなんです。ですから、そうした典型事例はないだろう。もっと普通にあるのは別の形のものではないかという御指摘ならぜひ、赤ペンで文章をください。あとで検討させていただきます。ありがとうございました。

それでは、お待たせいたしました。浅倉委員、どうぞ。

浅倉委員 私の方は単純な質問です。以前、雇用の分野で議論をしたときに、福祉的就労が出てまいりまして、雇用でない福祉的就労については雇用の分野では取り上げずに別の分野に回すということだったと思いますが、福祉的就労というのは、それではここの中の「役務」というのに入るのでしょうかという質問です。

棟居部会長 福祉的就労につきましては役務に入るか入らないかというときに、先ほど来、公的サービスも役務に入るんだということを言ってまいっておるので、福祉もサービスだろうということで言えば、理屈で言えば入るということに勿論なりますね。

他方では先ほど大谷委員が言われたように、何か保育園の問題、これは伊藤委員も御指摘だったと思いますけれども、これを役務の方に回していくといった形で教育というもののジャンルを狭めていくという、つまりカバーする領域を狭くするというのはよろしくないというのもありまして、今、浅倉委員が御指摘になった福祉的就労については、これはタイプA、タイプBといった形で伊藤委員から御指摘があったと思うんですが、なるべく広くこの雇用とか就労の方に位置づけていくという、実質において労働だと言えるものについては福祉の方には入れないという考え方を、前回確認させていただいておるところではあります。

その上で御質問というよりは、ここをこうすべきだという具体的な記述でお答えいただくと、極めてありがたいということなんですが。

浅倉委員 私もどうしていいかわからないので質問したのです。もし雇用ではないもの、つまり労働者性がない就労移行支援サービスや就労継続支援のB型の非雇用型というものをどこかに位置づけるとすれば、ここの役務、例えば8ページの2に書き込み、その旨を相手方の範囲のどこかに入れるのかなという気がしていたんですが、伊藤委員、どうでしょうか。

棟居部会長 では、伊藤委員、お願いします。

伊藤委員 前回、雇用のところの福祉的就労についての書きぶりで私が申し上げたのは、B型で少なくとも労働者性が認められる場合には、本法の対象とすべきという提案について、労働者性が認められない場合には、この差別禁止法そのものの対象とならないということにはすべきではないということです。今、浅倉委員がおっしゃったように少なくとも労働者性がない人については、どこかで例えば今、御提案があったような役務のところで対象となるというようなことを含めて、どこかでちゃんと差別が禁止されるということが書かれる必要があると思います。

棟居部会長 ありがとうございました。

以上を踏まえまして、こちらもどこかにうまく記述できないかなと検討してみることにいたします。

高山オブザーバー 1点だけ確認を含めてなんですけれども、私の記憶が正しければですが、この分野でも当然ガイドラインの作成という話が出ていたような気がしておりまして、その文言がここの部分にはないものですから、情報とコミュニケーションのところでもあるような形で、こちらの方にもガイドラインの作成をというのを入れてはどうかと思います。

棟居部会長 ありがとうございます。

先ほど来、申し上げておるように教育とか、これから入っていく医療とか、そういう特殊なカテゴリに比べると、かなり一般性の強い分野が役務提供であったり商品であったりする。不動産については多少特化できるかもしれませんが、ということでガイドラインというのも総則の中での一般的なガイドラインの考えがそのまま来るんだということで端折っているというか、横着をしておるというのは事実でございます。

その上で、しかし重なっても体裁を整えるというか、何がしかのガイドラインがないと実際動きようがない分野でございますので、どこかに文章としては挿入するという形で誤解を生じないように、何か商品・役務・不動産についてはガイドラインもなしにいきなり規範だけでいくのかという、そういうふうな誤解を生じないような書きぶりにはしたいと思っております。それでよろしいですか。ありがとうございます。

それでは、大変恐れ入りますが、医療の方に移らせていただきます。医療まで終えて本来は第1コーナー終了とすべきところでございますが、この予定しておる第1コーナー終了時刻がちょうど今の時間でございます。ですから以下すべて時間的にはオーバーランをしておるという申しわけないことになっておりますが、医療について急いでいきたいと思います。

11~13ページに医療を書いております。資料につきましての差別禁止法の基本的な考え方がどうモディファイをされるか、修正をされるかという、そこでございますけれども、これは11ページの「第1、はじめに」の真ん中の段に「医療分野は【役務】の提供の一つではあるが、国民の生命と健康に関わるものであるので、医師等の高い専門性を有する者だけに独占を委ねられた分野である。したがって、この独占は、市場原理だけからは導き出されることのない適正な医療水準で医療を提供するという公的責任を伴うものである。医師法自体が診療拒否を原則否定しているなどの特性があり、私的自治を前提とする一般の【役務】の提供の分野と異なる」。ですから先ほど高山オブザーバーがおっしゃった何かガイドラインがというときには、役務提供や商品売買はもちろん私的自治が根底にある。しかし、そこにいろいろな合理的配慮をしなければいけないとか、そういう差別禁止法ならではの修正がかかっていくという、全体の構造を反映した何かガイドラインになるのかなと思いますけれども、そうした役務提供一般の私的自治という議論がむしろ医療の場では排除されるというのが、ここでの出発点となります。

事項や場面といいますか、この対象範囲という11ページの真ん中のところですが「したがって」という一番下をごらんください。受付手続から始まり診療、医療行為、施薬、通入院管理、治療後の訓練等々、初めからおしまいまですべてであるというとらえ方であります。

また、相手方も医療の独占が許されている機関が、すなわちここで言う医療機関ということになる。病院、診療所、薬局といったものが当たる。ただ、医療の独占ということとの兼ね合いで、それ以上むやみに広げるべきとは考えていないとうことでございます。

つまり、医療関連であっても独占的な業務ではない場合には、役務の提供という先ほどのカテゴリ一般で処理すべきものという考え方であります。

続きまして不均等待遇としては何かということですが、12ページ「そこで」というところからごらんいただきますと、1)医療の提供を拒むこと、医療の提供に当たって条件を付すこと。拒んではならないというのはもちろん先ほどの医師法19条なんですけれども、一般的な規定があるところで何人に対しても医療は拒めない。正当な事由なくしてということですけれども、特に障害者との関係では、障害があるから拒むなんていうのは正当な事由になるわけもございません。

医療の提供に当たって条件を付すというのも、実質は拒んでいるのに近いのではないかということで、これも含めて不均等待遇に当たりますよということをちゃんと書く必要がある、指摘する必要があると考える次第であります。

2)ですが、インフォームド・コンセントというのは今、医療一般についてのキーワード、必須の事項になっております。そういう考え方になっておると思います。障害者との関係で実質的にインフォームド・コンセントを徹底していくことが必要で、それが他者と同質、平等な医療保障をすることにつながるというのが2)の記述でございます。

3)は地域医療の提供など、自宅などで医療が受けられるという必要が殊のほか障害者の場合にあるわけです。つまり、介護等で家族や支援者、友人等のネットワークができておるというときに、入院ということを強制されますと、そうした既存のネットワークから引きはがされてしまうという問題があります。ですから、そのような自宅等での医療という合理的配慮を提供することなく、むやみに入院を強制するといったものも、ここで言う不均等待遇に当たると書いている次第です。

「2、不均等待遇を正当化する事由」。もちろんこれには正当化事由というものも反面としてついてまいるわけであります。ここでは例示をしておるところですが、歯科や耳鼻科の治療でパニックを起こす、あるいはその可能性があるという場合に、本人や周囲の安全のためとして診療を断ることや、押さえつけて治療することがございますが、こうした現にパニックが起きておるという場合と区別をすべきなわけですが、パニックを起こすかもしれないという可能性だけでそもそも診療を断ってしまう、あるいは押さえつけて治療をしてしまう、その他、拘束具を何かつけて体を固定してしまうといったことは、不均等待遇だけれども、正当化されるでしょうということにはならないわけであります。

安心感を伝えながら治療をする、パニックに陥らないような手立てを講じるといった合理的配慮が求められるわけでありまして、それでもなお治療ができないという現実具体的な弊害が目の前にあって、初めて不均等待遇、何らかの異なる措置が正当化されることになります。

障害者に特化した自傷他害のおそれや法的判断能力の欠如、これも重要な論点の割にはあっさりと書いてあるということかもしれませんが、他の者と同質・平等な医療を保障するという観点から、交通事故で意識不明の重体になり、本人の意思が確認できない場合といった緊急医療一般で認められる例外を除き、合理的配慮を尽くしてもなお入院以外の治療ができないといった場合に限定をする必要があります。つまり、障害者だから即入院、法的判断能力がないから即入院ということではない。個別の合理的配慮のあり方が追求されるべきであるということであります。

それとの関連で12ページの下「第4、この分野で求められる合理的配慮とその不提供」ということですが、既にこの正当化事由等でも触れてきたところでありますけれども、12ページの下「2、この分野で求められる合理的配慮の内容」、特に医療の分野では何が求められるかということですが、他のものと同質・平等な医療を受ける権利が実質的に保障されるということが基本になると考える次第です。そのためのさまざまな手段、ツールが使われるべきである。手話通訳者、支援者の同席といったことは当然合理的配慮の内容をなすということでございます。ガイドラインとして13ページに幾つかの事柄を挙げております。これは時間の関係ですべて読むことはしませんが、1)適切な情報伝達方法をガイドラインに明示する。

2)医行為等に関して十分な説明に基づく自由な同意が行われるために必要な自己決定の支援。これがガイドラインに書かれるべきである。

3)補助者の付添いの承諾。これがガイドラインに書かれるべきであるといった事柄を挙げております。

「3、合理的配慮の不提供を正当化する事由」。過度の負担が生じる場合には、提供しなくても差別には当たらないということが一般論としては言えるんですが、医療が独占されている、また、命にかかわるということからすれば、過度の負担ということは滅多には該当しない。その判断は慎重でなければならないという考え方。こうした形で医療に特化した一般論の修正を施しております。

「第5、その他の留意事項」ということで、これも幾つかだけを挙げておるという点でもっとあるのかもしれませんが、精神医療の強制入院について見直しの指摘があるという点。

それから、関連領域。薬の製造、ドラッグストアでの薬の販売等についても、医療分野に含めるべきかについては議論したところですが、これは先ほど申しましたように、医療については独占ということが言える場面だけをここでの医療の章に取り上げるべきという考え方から、一般的には【商品】【役務】の分野で対処すべきということであります。

最後「3、プライバシー」。診療や治療等で身体に接触したり、肌を露出するというハラスメント事案にもつながりやすい、そうした特殊性が医療ではございます。障害のない人に対するのと同程度のプライバシーや、性別の差に配慮した医療の提供が求められる。同程度ということですから、これは障害がある患者に対してはさまざまな具体的な配慮がさらに必要になるということを含みますけれども、そうしたプライバシーへの配慮し、また、性別への配慮ということが、特に医療現場で求められるというのが留意事項の最後であります。

以上、医療について説明いたしました。御意見、御質問どうぞ。

大野委員 13ページのガイドラインの7個目について「自閉症の場合、不安感を取り除き、安心感を伝えながら診療するための配慮」とあるんですけれども、これは自閉症の場合と自閉症に限った何か理由があるのでしたら、それをお伺いしたいのと、もし特定の「自閉症の場合」と書かなければならないというわけではないのであれば「自閉症等」であるとか「どのような障害種別であっても、障害がある人でそれが必要がある場合」というふうに書き直した方がいいのではないかと思います。

棟居部会長 ありがとうございます。

今、最後におっしゃった「必要のある場合、不安感を取り除き、安心感を伝えながら診療するための配慮」あるいは必要というだけでは少し広過ぎるとなれば「障害特性に応じて必要のある場合」とすればよろしいですか。では、そのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

川内委員、どうぞ。

川内委員 12ページの真ん中あたりに「パニックを起こす」というのが書いてありますけれども、先ほど部会長の御説明では、パニックを起こす可能性があるということで押さえつけたり断ることはいけないとおっしゃっていました。ここでは「パニックを起こす」で1つ項目を立てて「またはその可能性がある」ということになっていますので、パニックを起こす場合は診療を断ることや押さえつけることは認められるのかというのが1つ出てくると思うんです。ですから、そのことは可能性だけであれば「起こす、または」というのは要らないだろうと思います。

棟居部会長 ごめんなさい。今おっしゃったのは「パニックの可能性がある」というふうにすればいいではないかということですか。わかりました。ありがとうございます。そうさせていただきたいと思います。

ほかいかがでしょうか。遠藤オブザーバー、どうぞ。

遠藤オブザーバー 私自身、答えを持っていないので大変申し訳ありません。この医療の分野については、先ほどの教育と重なる質問になるのかもしれないのですけれども、保険に基づいて行われる医療行為と自由診療の場合について、これは特段差異を設けることなくこのまま一気通貫で書いているという理解でよろしいでしょうか。

棟居部会長 そのように、つまり殊さら意識して書いておるということは一気通貫に書いたということになります。そのことの是非は今、考えが及びませんが、特に区別はいたしておりません。

もしよろしければ時間オーバーしておりますので、第1コーナーはここで切らせていただければと思います。よろしいでしょうか。

それでは、第1コーナーを終わります。ここで15分の休憩をとります。再開は今、38分ぐらいですから、ここから15分足していただいて、53分、55分より少し前に再開しますので、お集まりください。

(休憩)

棟居部会長 再開します。第2コーナーは50分という予定でしたが、今、既に15分遅れですので、これを40分少々というふうに短縮させていただかざるを得ません。部会三役の原案5(各論後半)その2ということで、資料2の残りの国家資格、婚姻・妊娠・出産・養育の分野につきまして、それぞれ国家資格20分、婚姻・妊娠・出産・養育20分という形で報告と質疑を行いたいと思います。

最初から国家資格について私から5分程度を厳守したいと思いますが、報告させていただきまして、その後、15分程度で質疑をお願いするという流れになります。

それでは、先ほども使いました資料1の14ページ以下をごらんください。国家資格ということで、「はじめに」のところですが、障害者権利条約は国家資格等について明文で言及はしておりません。しかしながら、第1としまして国家資格の認定が行政自身によってなされるものである。つまり、行政自身による差別的行為は当然禁止されるべきものでありますから、そういう厳しい目で国家資格というものについて検討する必要がある。

2点目としまして、国家資格は他方で生活の多方面にかかわってまいります。国家資格を有するということで地域社会で生活をすることが容易になるというふうに、生活上も極めて重要な要素になります。

ということから、特に国家資格という項目を設けて、差別禁止法の考え方がこの分野でどのように具体的に展開されるべきかについて、以下、述べておるというところであります。

第2の対象範囲というところですが、いわゆる資格試験そのものだけではなく、案内に始まり受付手続、受験資格、合格発表等、資格試験及びその手続すべてに関わるというふうに、対象範囲を一連の行為全体を含むんだ、広くとらえようとしております。

相手方でありますが、資格認定の権限を有する国または地方自治体の担当部局はもとより、民間事業者の場合にも例えば運転免許が通常そうであるように、一定の分野におきまして資格取得の前提要件が一部民間事業者の提供する事業に委ねられている場合があります。自動車教習所のような例でございます。そのような民間事業者もここで言う相手方に入ってくるということであります。

不均等待遇としましては、これも一連の今までの延長でございますけれども、資格試験そのものだけではなくて、案内、受付手続、受験資格、合格発表等々、すべての局面で障害または障害に関連した事由を理由とする区別、排除または制限その他の異なる取扱いがカバーをされる。それらについて不均等待遇がすべて差別として禁止されるべきだということになります。

なお、この点に関連しまして14ページ一番下ですが、欠格条項というものが特に問題となります。この欠格条項、欠格事由は障害があるということ自体を受験資格そのものを排除することと結びつけておるというのが通常の欠格条項ですが、これでは先ほど述べました行政自身による差別的行為ともなり得、他方で障害者自身が自らの生活の支えとして国家資格を有していくということにもつながってこないわけであります。

そこで特にここで取り上げて書いておるということで、この点に関しましては15ページの上の方に述べておりますように、いろいろな修正が立法レベルでもなされてきておるところなんですが、書きぶりとしてこれも誰を向いて、どういう立場で言っているんだという御指摘があろうと思いますけれども、なおいろいろ問題が残っているということで、係る指摘を踏まえ、政府においてはさらに引き続きこの問題を検討すべきであるが、この点については国等の責務の項で述べたとおりであるということで、ここではあっさりと済まさせていただいております。

続きまして、不均等待遇を正当化する事由につきまして、国家資格の試験は一定の能力と知識の有無を判定するという制度なわけであります。その際に一定の事由があるという場合にこれに該当する障害者を除外する、すなわち欠格事由を設けているということが、これまで述べておりますようにあるわけであります。

しかしながら、このいわゆる欠格事由が当該国家資格を設けた趣旨や目的に実質上どのようにかかわっているか。どういう影響があるのか。仮に障害に絡む欠格事由というものを撤廃したからといって、どのような差し支えが生じるのかということについて、個別にきめ細かく検討がなされるべきだということが言えると思います。

そのようなことを踏まえまして16ページの上の方に、当該欠格事由に該当するものを除外しなければ、その趣旨目的を達しえないかどうかという観点から、それがやむを得ない場合と言えるかどうかが判断されなければならないという文章で、個別のきめ細やかなぎりぎりの判断を迫るというか、求めるという書きぶりにしております。

続きまして「第4、この分野で求められる合理的配慮」ということですが、一般論としては過度の負担につながれば正当化事由があるということで、差別禁止の例外となるわけでございますが、しかしながら、それが過大に独り歩きをしてはいけないということなわけであります。

具体的には2、のところですが、特に資格の判定は一定の能力の有無を確認するものであるが、試験の方法や対応が障害の特性を考慮しないことで、本来有している能力が正当に判定されないということがあり得ます。その資格そのものの制度の目的からしても、不必要なそうした一定の試験方法、対応がとられているということはないのかどうか。それがこの正当化事由という言葉によって、過大に不必要なものが正当化されてしまってはいないかということをきめ細かく見ていく必要があります。この点は手続や試験会場への物理的なアクセスといった点にも、考慮が及ぼされる必要があります。

以上を2、のところで述べておるところであります。

続きまして、合理的配慮の具体例としまして、これは試験の際に問題用紙、解答用紙に対する配慮が必要である。器具等の使用に関する配慮が必要である。移動に関する配慮が必要である。具体的には試験室まで介助者が同伴をすることを認める。通常、試験会場には受験生しか立ち入れないといった制約がありますが、その例外として介助者自身も受験生について障害のある受験生に同伴して、試験室まで同行可能という合理的配慮をする必要がもちろんある。その他、情報伝達に関する配慮も必要である。あるいは場合によっては試験時間中に一定の糖質類等の飲食をする、薬を飲むといったことも認める必要がある場合も出てまいります。

こういったきめ細かい配慮を、ここで合理的配慮として具体的に挙げておるわけであります。

17ページ「4、合理的配慮の不提供を正当化する事由」ですけれども、これは国や自治体が実施をするこうした試験の場合に、経済的な面での過度の負担といった正当化事由というのは考えにくいところであります。ただ、知識や能力の判定という試験に求められる本質を害するような形態までが、合理的配慮として障害者の側が求めるという場合、それを提供しないということが例外的に正当化されることは、もちろんあるであろうということも同時に述べています。

「第5、その他の留意事項」ですが、国家資格の取得にかかわる養成、教習、研修等さまざまな養成機関等での差別的取扱いはだめですよといったことも、注意書きをしておるわけであります。

「2、入学試験、就職試験、その他の試験」。国家資格そのものではないこれらの試験におきましても、知識と能力の判定を行う。その結果、その障害者の生活の基盤が提供されていくといった点では、一般の試験も国家資格の試験とそう異ならないということもございます。したがいまして、以上述べてきたことは入学試験、就職試験、その他の試験にも基本的には当てはまるということから、それぞれ教育や雇用の場で考慮されなければならない。

ただ、国家資格ということに当然に伴う、つまり国家自身が差別的なことを当然してはいけないといった物の言い方は、民間が行う就職試験等では必ずしもストレートには当てはまってこないという、一定の読み替えが必要であることは言うまでもございません。

以下、不動産の利用、選挙権の行使、議会の傍聴等、非常に大きなテーマなんですけれども、国家資格の問題ではないが、実は法令上に欠格事由が設けられるという形で似たような状況になっておる場合がございます。公営住宅の入居利用制限は不動産。議会の傍聴制限や成年被後に対する除外規定は政治参加、選挙等の問題としてそれぞれ位置づけられるべきですが、以上の検討が想起されるべきであろうということになると思います。

さらに民間資格というものも今、一部に見られるところであります。民間独自の資格認定につきまして、これは法令上の資格ではありませんので、法令上の欠格事由ということではないわけですが、国家自身が行う資格認定ではないので、国家自身による差別という問題はひとまず横に置くことができるとしても、生活の基盤につながるという点では民間の資格も十分に重要であります。その限りで以上の検討が踏まえられるべきである。民間資格についてもやはり同じように厳格に考えていくべきだというのが結論であります。

以上で説明を終わります。川内委員、どうぞ。

川内委員 この9節のタイトルが国家資格となっていますが、先ほど御説明があったように、最後のほうでは民間のものとか試験とかいろいろありますので、国家資格等というふうにされるべきだと思います。

棟居部会長 おっしゃるとおりです。

川内委員 同じページ、第2の2で車両の運転免許について資格試験が民間に委託ということですけれども、最後は国家公安委員会が免許証を交付しているようなので余り適切ではないということで、社会福祉士とか理容師とか、そういうふうな民間に委託されているはっきりしたものがありますので、そちらのほうを例示されたほうがいいと思います。

棟居部会長 わかりました。例示の項目を再検討させていただきます。

川内委員 それから、15ページ「3、不均等待遇を正当化する事由」の上3行目「欠格条項の解釈運用の結果」と書いてありますけれども、解釈運用だけではなくて欠格条項そのものの問題もあるわけですから、ここは修文すべきではないかと思います。これについてはまた案をお出しします。

棟居部会長 ありがとうございます。

案を見させていただいて、検討させていただきます。

川内委員 次ですが、16ページの上3行目からですが「当該事案において、その欠格事由の存在が実質的に見て、当該欠格事由に該当する者を除外しなければ、その趣旨、目的を達しえないかどうか」というのは非常にわかりにくい表現のように思えていて、総論の国等の責務のところには、こう書いてあるのを少し引用する形で、そのものが業務等の本質部分を遂行できるかどうか、合理的配慮を尽くしてもなお、そのものを欠格事由によって除外しなければ、その国家資格等の趣旨や目的を達しえないかという観点からという修文を提案します。これもまた御検討ください。

棟居部会長 ありがとうございました。

川内委員 それから、最後、民間資格のところですが、17ページ、18ページでは内部規定において欠格条項を定めている場合もあるというふうにあります。これはもちろんなんですけれども、実際というか、もう一つは5の2でも述べられたような試験のときの合理的配慮を提供しないということとか、受験そのものを拒否するというふうに、欠格条項を内部規定において定めている場合と、試験の場合の運用の場合もありますので、これについても修文を御提供しますので、御検討ください。

棟居部会長 よろしくお願いします。ありがとうございました。

室長、どうぞ。

東室長 修文いただけるということだったので、それを見させていただきたいと思います。特に均等待遇を正当化する事由の中の言い回しとして、西村委員も前回言われていたことなんですが、合理的配慮を確保した上でという文言を入れるべきだとおっしゃっているんですけれども、国家資格を得たうえで勤務するという場面も想定されるわけですが、国家資格を得て自営業を営むという場合もあるわけです。

そうした場合に特に弁護士なんかも同じようなものですけれども、自営業の場合に合理的配慮といったって誰に対して求めるんだということになるわけです。合理的配慮がないということになれば、では資格は与えないのかといった逆の話も出てくるわけです。ですから、勤める場合は事業主に対して一定の配慮をしてもらって、障害があっても関係なく仕事ができるといった状況が想定し得るわけですけれども、では過度な負担で合理的配慮ができないという場合には、資格は与えなくていいのかという逆の状況にもなってくるわけです。ですから、その合理的配慮があろうとなかろうと、本質的な能力があれば資格としては付与すべきだというのが基本的なスタンスだろうと思うんです。

そういった意味で合理的配慮という言葉を書き込めばいいという話ではないだろうと考えております。

棟居部会長 植木委員、どうぞ。

植木委員 ひょっとするとかなり強引な関連づけかもしれないんですが、となると、ここの部分は欠格条項の点については、ある程度綿密な基準みたいなものが立てられていますが、問題になるのは14ページの第2の1だとか、第3の1に書いてある資格試験そのものの差別とは何かというのがまさにポイントになってくる部分で、これが要はその資格を行使するために真に必要な能力以外の部分で障害を理由にする不利益が及んではならないという内容だということを、もう少しはっきり書いた方がいいのではないかと思います。

東室長 誤解がないように言っておきますけれども、試験そのものについての合理的配慮は当然必要だという前提です。試験の実施主体が合理的配慮を提供することが必要です。けれども、その上で資格を与えるかどうかという判断において、合理的配慮の確保が困難な場合には、資格を与えなくともいいということになりかねません。そういった意味で逆に問題になるのではないかということなんです。

棟居部会長 ここで稚拙な表現でいろいろ余分なというか、御心配をかけておるかもしれませんが、国家資格というときに、一連の流れのなかでとらえるということで、その一連の流れは案内に始まり、合格発表、その後の手続、こういうものをすべてカバーする。その流れの中の1コマとして資格試験というものがあるわけで、その全ての面でこの差別禁止法の一般的な考え方が基本的に妥当するべきである。つまり、資格試験とか、それについてくるというか、合格した後についてくる国家資格というそのものだけを独り歩きさせないという観点です。

ですから、もちろん資格にとって本質的な制約というのは何なのか、条件は何なのかという、これはすべての局面で付随してきますが、特にこの資格そのものと同時に資格試験そのもの。この2つに関しては資格の本質と密接不可分にかかわっている条件づけのみが許されるということに当然なる。資格試験と資格のかかわりなんかについても、もう少し丁寧に書いた方がいいかもしれませんが、修文案があればお持ちください。

ほかいかがでしょうか。もしよろしいようでしたら国家資格の点はひとまず終わらせていただきまして、引き続きまして10分ほど予定より遅くなっておりますけれども、婚姻・妊娠・出産・養育について最初に私から5分でとどめればと思いますが、報告をさせていただき、その後、15分程度で御議論いただくということで進めてまいりたいと思います。

ということで、お手元の先ほど来の資料1の19ページをごらんください。第10節の婚姻・妊娠・出産・養育についてでございます。

この分野において、どういう分野としての特性があり、それに応じて差別禁止法の一般的な理念がどのように妥当すべきかということなんでございますが、障害者が家族を形成するという当たり前の生活を確立する上で、家族に関する分野における不均等待遇や合理的配慮の不提供が障害に基づく差別であるという一般論を、この「はじめに」の最後3行ほどで繰り返しておるところであります。なお、権利条約も「はじめに」の冒頭で書いておりますように、家庭及び家族の尊重について特に締約国に求めているところであります。

「第2、この分野において差別の禁止が求められる対象範囲」はタイトルでも書いていますように、婚姻・妊娠・出産・養育にかかわる場面で、障害に基づく差別というものすべてがここで妥当する。他方、このような領域は先ほども役務の提供、商品の売買のところで使った用語ですけれども、親密圏という、まさに親密な個人と個人のかかわり、極めてプライベートな領域であるという特性を持っています。ですから、逆に一般的な差別禁止の考え方が必ずしも成り立ちにくいといいますか、もう少し言わば踏み込んだ形でいろいろな利益が交わってくるという特性があろうかと思います。

今、いろんな利益がと言いましたが、利害関心というか、場合によってはおせっかいというか、あるいは心配というか、いろんな言葉が使われると思いますけれども、婚姻のところをごらんいただきますと、最も多いと思われる事例は障害者や相手方の家族や身内から反対を受ける。どうやって子育てをするのか、どうやって授乳をするのか、どうやってお風呂に入れるのか。自分の面倒も見られないという形で家族の形成に対して断念を迫ってくるということが極めて多い。

しかし、他方でこうした周りからのさまざまのネガティブな、つまり賛成できない、反対であるといった意見の表明も、まさに障害者本人をふだんは支えてくれている家族であったり、友人であったりという極めて身近な、いわゆる親密圏に属する人たちである。ですから、一概にこうした干渉を全て差別である、違法であるとして片づけるわけにもいかないという意味で、先ほどいろいろな思いが錯綜する領域というような曖昧な言い方をしたわけであります。

行政の相談窓口あるいはさまざまな施設では、これは親密とも言い切れない人たちによってビジネスライクに心無い発言がなされる例は多々あるわけで、また、結婚相談所に入会を申し込みに行っても、入会申込書すら渡してくれない、相談にも乗ってもらえないといった対応も多々ある。また、障害のない兄弟、姉妹、身内の結婚式などのおめでたい席に、障害者である家族が招待をされないという不幸な事例も事欠かないというわけで、いろいな事例がありますよということを淡々と挙げていくということですから、余り深く何か考えを込めるということは避けた方がいいかもしれませんが、こうした親密圏に属するような領域についても本人の自己決定をおよそ、あるいは人格そのものを無視したような発言等が非常に多いということが、事実として言えるわけです。

続きまして妊娠・出産につきましてもまたしかりということで、障害者なのに子供を産む気なのかといったことが医療従事者によって言われて、出産を断られるとか、あるいは聴覚障害のためにコミュニケーションがとれないというので、本人が望む出産方法を断られてしまうといった例を19ページの一番下に挙げております。子どもはどうせ育てられないとか、産むべきでないという本人の自己決定を否定する医療従事者がおり、堕胎を勧められることすらあるという現実があるわけです。

20ページ3)養育の母子保健サービス。障害者の場合は子供を出産した後に、障害者本人には育児はできないと医療関係者や保健師が判断する。したがって、適切な情報提供をしてくれない。子供の予防接種等に際して親の特性が配慮されない。コミュニケーションがとれないので適切な情報が提供されない。頑張って子供を育てようとしているのに十分な情報が提供されないという現実があるという指摘であります。

B)医療ですけれども、子供が病気になった場合に、親に障害がある場合に適切なコミュニケーションがとれないので、物理的に診察室に行けないとか、コミュニケーションがとれないので診察が受けられないといった事例がある。障害者本人が病気になった場合は障害者総合支援法がそれを想定した規定を置いておりますが、障害者の子供が病気になった場合に親である障害者への支援についての規定は、残念ながら存在しないといった事情があります。

教育におきまして、これは先ほど既に述べた教育というテーマとも重なってまいりますが、今度は本人ではなくて親の側が障害者という場合であります。どういうさまざまの場面で、どういう場合にも親が障害者として、しかし、親としての役割を果たしていかなければいけないわけですけれども、授業参観、進路相談等々で障害者が親の役割を果たそうとしているのに、阻まれるケースがある。

最後、D)親権ですけれども、知的障害のある子供の養育権の問題を取り扱ったアメリカの映画が日本でも有名になったことがあるなんていうのは趣味的な記述なので、ここらは無視していただいても、あるいは書く必要もなかったかもしれませんが、親権の剥奪に当たる親権喪失のほか、今年4月からは親権の停止制度が導入されておるところであります。その際に研究会報告書で「親権者がその精神上の障害等により子を適切に養育することが著しく困難であるが、それが親権の濫用又は著しい不行跡という現行の親権喪失の原因に該当するとは必ずしもいえないような事案」も含めて検討が行われてきておるところであります。

もちろん、子供へのネグレクトや、それも含めた虐待防止という観点からは、このような最近の法改正は必要なわけでありますけれども、その法改正の背後あるいは運用の過程で障害者に対する偏見が醸成されるというか、生み出され、さらに繰り返されるということがないようにということは、我々としては気をつけたいところであります。

このように、さまざまの局面で立法事実と言えるものが存在することから、婚姻・妊娠・出産・養育において差別禁止法の理念に基づく差別禁止がなされなければいけない。

相手方ということですが、婚姻についてはさまざまの心配に端に発するおせっかいを家族や身内、周りの人たちが干渉してくる、反対してくるということで深刻な事態があります。しかし、そもそも家族関係のあり方を法律が規制するということについては慎重であるべきだという前提が確認されるべきで、これは21ページの1)婚姻のところですけれども、身内の結婚について親や家族がさまざまの反対をしたりするのは、いつの世でも障害の有無にかかわらずあるところでありまして、その理由がどういうものであれ、身内の関係の中で判断され対応されるべき性格と書いております。

ちょっとこの書き方は何か腰が引けているというか、身内との関係での障害者の立場が弱いのではないかと思われるかもしれませんが、差別禁止法というのはあくまで障害者に特化してその差別をなくしていこうというのが目標でございますので、現状その家族関係の中でのさまざまの身分関係、それについての親密圏的な一般社会では不当な干渉に当たるようなことでも、家族であればこれは心配をしているんだという形で正当化されるという、言わば法が入っていきにくい領域があるということを踏まえた上で、現実的な書き方をしたつもりであります。

あと、障害者虐待防止法というものがちゃんとありますので、精神的虐待と言えるほどに家族の反対が執拗であれば、障害者虐待防止法の手に委ねていくことも考えられると思います。

妊娠・出産については医療機関等あるいはその他福祉施設等が相手方となります。養育については母子保健サービスの場合は、それを担当する行政部局。子供の病気の場合は医療機関。保育園、幼稚園、義務教育やその後の教育の過程にかかわる場合は、その設置者。親権喪失や停止に関しては、虐待防止や親権の制限に権限を持つ機関が相手方となります。

さて、不均等待遇としてはどういうふうに考えていくべきかということですが、いずれも婚姻・妊娠・出産・養育において、以上の相手方による障害を理由とする不均等待遇は禁止をされるべきであります。これはもちろん原則論であります。中には極端な犯罪に該当する場合もございまして、これも書く必要がないようなことかもしれませんが、障害者に対して入所施設、医療従事者が優生手術を受けさせてきたといった事実がございます。これは、ここで言うところの不均等待遇などという生易しいものではない、端的に何らかの犯罪に該当するという場面もあろうと思います。

「2、不均等待遇を正当化する事由」という部分でございますけれども、やむを得ない場合、正当な目的のもとで行われ、かつ、当該取扱いがやむを得ない場合には、例外として正当化される場合があるということで、この例としては障害女性の妊娠・出産に対して医療機関が診療、診察を拒否するということは、一般的にはもちろん差別に当たるわけですが、その障害ゆえに当該医療機関に求められる出産のための特別の設備がないという場合。したがって、障害女性自身がその医療機関では安全に出産をできない可能性があるという場合には、これは客観的な理由があるわけですから、障害を理由にした診察拒否には当たらない。不均等待遇というふうに見えても、それを正当化する事由があるということになると思います。

合理的配慮としてはどういうものが求められるかということですが、婚姻については例えばいわゆる婚活で利用可能な情報提供について、情報保障、障害特性に応じたさまざまな配慮が必要である。あるいは婚姻後に居住の場の確保がなされるようにという、場所がないと結婚生活が営めないということで、入所施設の施設利用者相互の結婚の場合に、婚姻後、本人たちの希望に反して異なる等で男女別に生活が強いられるというのでは、婚姻をした意味がないということで、家族としての住環境を保障していく必要がある。

更に妊娠・出産ということですが、障害者が子供の数や出産の間隔について自由に責任を持つ。つまり、妊娠・出産は優れて本人の自己決定の問題であります。そうした前提から、障害に応じた避妊や妊娠等に関する情報提供と意思確認が行われるべきである。

例えば知的障害者に対して医療従事者は手術を行う際に、特に堕胎手術の場合にどのような結果になるのかをわかりやすく十分に説明をする。そして、その説明が知的障害者によって理解をされたということを確認しなければ、同意があったと見なしてはいけない、手術を行うべきでないということになる。そうしたきめの細かい相手の障害特性に応じた考慮がなされるべきだということになります。

3)養育ですが、障害を理由に親権剥奪が行われるという不幸な例があるわけで、それをそうならないように、障害を持つ親が子育てができるように適切に情報提供されるべきである。また、一般に提供される子育て支援を利用できるようにすべきである。

Bですが、障害を理由に親子分離の強制がされないようにするために、障害を持つ子供子育てについて適切に情報用法提供がなされるべきで、また、一般に提供される子育て支援を利用できるようにべきである。

2、で最後ですが、過度の負担に当たるんだということで合理的配慮の不提供を正当化できることが一般論としてはあります。この点は特にどういう場合なんだと書いていませんが、ただ、今の最後の妊娠・出産等について説明を尽くす。知的障害者にもわかりやすく説明をするということなどについては、過度の負担になるという理由でそれを回避できるというのは、なかなか想像しにくいところでありますので、過度の負担というのは特に医療の場ではなかなかに出番はないのではないかという想定のもとに、以上を書いております。

説明が長くなりまして済みません。以上でございます。

初めにタイムスケジュールをお知らせいたしますと、この第2コーナーはちょうど今ぐらいの時間、3時半ぐらいで本来は終える予定でおります。ですから、これから御意見、御議論をちょうだいしますけれども、すべて後にずれてくるということを頭の隅に置いていただいて、よろしくお願いいたします。

加納委員 委員提出資料の5ページをお開けください。大変時間が少ないということですので、事前に不十分ではありますけれども、修文の案として幾つか示させていただいております。5ページからの加納恵子提出の委員資料ということでお願いいたします。

もう既に時間が過ぎているということですので、なかなか全部を意を尽くして説明するという時間はとれないということで、できるだけ重要な点について報告したいと思います。

棟居部会長 済みません、こういうふうにこちらとして処理させていただくというのでいかがでしょうか。つまり、事実についてもっと適切なというか、典型事例としてこういう事実を書くべきだという御提案が幾つもありますね。これについてはこちらでそのような記載をした方が全体がスムーズになる、あるいはより正確に事実が書けることになるかどうかで、1個ずつ見させていただくことにさせていただくというのでいかがでしょうか。今、事実が例えばあるとかないとか、より好ましいという議論は時間としては多分間に合わないと思いますので、事実の記載についてはこちらで引き取らせていただく。もちろんこれはゼロ回答とかそういうことは一切、私個人は考えていませんが、全体の流れの中でこういう事実を記載するということが、この意見書の書きぶりとしてバランス等々で好ましければ、どんどん採用させていただくということでいかがでしょうか。

加納委員 事実の部分ですか。

棟居部会長 先ほど申しているように、いろいろ書いておりますけれども、一般論を繰り返した上に、この領域においてはこうした点が特に留意されるべきである。現にこうした事実があるではないかという、大体この3点セットで来ております。その事実について例えば不幸になる、家族に障害者が欲しくないといったことが婚姻について言われることがあるんだという、こういう事実を取り上げろという御指摘ですね。

加納委員 そうです。

棟居部会長 ですから、これは事実は山ほどありますので、どれを取り上げるかについて基本的には私の方で作文をするときに、耳に残ったいろいろな方がおっしゃってきた事実を取り上げたつもりなんですけれども、別の事実の方が適切だという御提案であれば、そうかどうかを検討させていただくという、そういうことです。

加納委員 わかりました。

それでは、今、既に部会長が触れていただいた部分が、なぜ障害者と結婚すると不幸になる、家族に障害者は欲しくないということを追加してほしいというふうに言ったかといいますと、基本的に上で例示をたくさん挙げていただいているのは結構なことなんですが、婚姻イコールすぐ出産、育児という形の発想になっていまして、ここの部分というのは婚姻ですから、その結婚に至る段階での差別事例として、こう言ったほうが適切でないかという修文の提案でございます。ということで御検討お願いいたします。

棟居部会長 わかりました。

加納委員 ちょっと手前に戻りまして<1>のところですが、ここでは修正案としては家族形成という言葉を入れてはどうかというふうに提案したいと思います。もう少し婚姻だけにかかわらず、広くあるいは婚姻・妊娠・出産・養育と家族形成にかかわるという形でも結構かと思いますが、家族形成という言葉を入れていただきたいという提案でございます。

棟居部会長 その際、タイトルについては婚姻・妊娠も家族形成という言葉を入れるという御指摘になりますかね。

加納委員 そうですね。

棟居部会長 検討させてもらいます。それは養子縁組なども含むということですか。

加納委員 そうですね。そういったことも含んだものであります。

棟居部会長 申しわけないですけれども、どんどんいきましょう。

加納委員 <3>ですが、ここは先ほど紹介がなかったんですけれども、原文のところで「将来の妊娠を心配して、または、生理介助に手間がかかることを理由に望まないあるいは本人に意味を理解させないまま子宮摘出等の優生手術をされた事例」というふうに書かれていまして、重要なものを取り上げていただいているのは結構なんですが、ちょっとここは事実と違っていまして、このように修正をお願いしたいということです。「妊娠をさせないため、優生保護法のもとで優生手術をされた事例が日本にも存在したのはそれほど古い話ではない」。優生保護法は御承知のとおり、96年に母体保護法に移行しますけれども、その手前におきましても下の理由のところにありますが、子宮摘出等ということは優生手術には含まれていないということであります。

棟居部会長 ありがとうございます。一々理由を書いていただいているので、こちらで勉強させていただいて、素直に受け止めていきたいと思います。

加納委員 わかりました。このようにお願いいたします。

では<4>~<6>は読んでいただいて、<7>の21ページの最後のまとめの部分ですけれども「なお、これらの事項における差別に関しては、特に障害女性が被害を受けやすい傾向にはあるものの、性別で限定することなく差別が禁止されるべきである」と書いていただいております。障害女性に触れていただいていることは結構なんですが、逆にこの書きぶりですと深刻な差別を受けている障害女性の方が軽く読めてしまうことがありますので、修正案としてこのようにしてはいかがか。「なお、これらの事項に関しては、性別で限定することなく差別が禁止されるべきであるが、特に差別や不利益を受けるリスクの高い障害女性の実態には留意する必要がある」。

棟居部会長 そのようにさせていただきます。

加納委員 お願いいたします。

飛ばしまして<9>の不均等待遇のところですが、これは正当化事由としてこの例を挙げていただいているんですけれども、設備のことを言い出せば幾らでも正当化事由に使われてしまうのではないかということで、ここでは全文削除でいかがでしょうか。

棟居部会長 こちらで今の御趣旨を踏まえて検討します。

加納委員 <10>です。合理的配慮のところですけれども、特に括弧の中の知的障害者の部分であります。ここの修正案を次のようにお願いします。「例えば、知的障害者に対して、医療従事者は手術を行う際に、特に不妊手術、人工妊娠中絶手術の場合には、どのような結果になるのかを説明した上で、その説明を理解し手術に同意していることが確認できなければ、手術を行うべきではない」ではいかがでしょうか。

棟居部会長 今の加納委員の御指摘を更に少しいじると、その説明を理解した上で手術に同意という御趣旨ですね。つまり、原文でも説明を理解するということと、手術に同意というのは当然に前提になっておりますので、説明を理解して、その上で同意という御趣旨ですね。

加納委員 特に、その確認が大事だということで、確認ができなければ行うべきではないということを強調したいと思います。

棟居部会長 同意書があればいいではないかと逆になることはないですか。つまり、原文で力点を置いておるのは、説明を理解していることが確認という、確認する医療機関の側にかなり高いハードルを課したつもりなんですけれども、同意書1枚ということでまかり通っているのではないかという危惧があったものですから、ですから同意という言葉がよみがえって、その確認ということになると、同意書1枚があるということで逆に医療機関側のハードルが下がらないか。これは個人の懸念ですけれども、いずれにせよ引き取らせていただいて検討します。

加納委員 そうですね。ダブルチェックをしてほしいという趣旨ですので、文言についてはよろしくお願いいたします。

最後のところですけれども、23ページの養育の最後のところです。AとBと両方ありますが、同じような形での補足の修文案でございます。「また、一般に提供される子育て支援を障害特性に応じた配慮のもとに」ということを入れていただきたいということです。

意図は、なぜかと申しますと、子育てについても先ほど子供の病気のときのことを御説明いただきましたように、子育てにおいても介助サービス等が、障害者本人への介助サービスとしてはあるんだけれども、実際に子育てをする上での子供に対するサービスというものが全く配慮されていない。それは子育てをする上での合理的配慮に欠けることになるのではないかという意味です。よろしくお願いします。

棟居部会長 今、最後におっしゃった子供に対するサービスという言い方をされましたが、子育て支援は子供を育てる親への支援ということだと思いますけれども、親に障害特性があって、一般的な支援制度はあるけれども、それが障害特性を持つ親には届かないということを懸念されているんですね。

加納委員 子育て支援自体が全くないという意味です。具体的な母親が子育てをする、ケアをするときに介助サービスが要るという配慮がされていないという意味です。

棟居部会長 母親自身がケアを受けているときに、さらに子供について手が回るようにということですね。

加納委員 母親が子供をケアするための介助ということです。

棟居部会長 これは一般に提供される子育て支援を利用できるという書きぶりでは、そこまでカバーできないということですか。

加納委員 できないと思います。イメージが湧かないように、この部会でも湧いていただけないように思います。

東室長 その点ではっきり理解しておいた方がいいと思うことがあります。ここで問題としているのは、差別の問題です。それで、一般に提供される子育て支援というものが仮にあったとして、それが障害ゆえに利用できないという場合があれば、それは差別の問題です。だから、それを利用できるようにするというのが合理的配慮の問題です。けれども、障害者についてだけ独自の支援、例えば総合福祉支援法のサービスは、障害のない人に対しては提供されないサービスですので、障害のない人と比較して障害者だけが利用できないという問題は発生しません。ですから、それは総合支援法が十分に障害者のニーズを反映しているのかといった問題とはなり得ても、差別禁止の問題ではないのです。だから、そこは明確に意識した上で混乱が生じないように書く必要があると思います。

加納委員 ただ、こういう養育等の差別を禁止するというときに、こういったものが合理的な配慮として考えられない限りは、実質的に差別を禁止することができないという意味です。

棟居部会長 おっしゃるとおりのことをこちらも考えていますので、ただ、福祉の方に何かラインをまたいでいってしまうような書きぶりは避けたいというのが今の室長の御意見で、そのぎりぎりのところで工夫してみたいと思います。

ほかよろしいでしょうか。太田委員、どうぞ。

太田委員 結婚相談所の入会申し込みの拒否と、家族の反対とは質的に違うと思います。結婚相談所は役務に入るのではないかと思いますので、そこの整理をお願いしたいということと、結婚しても両性の合意のみによって成立するということが書かれていることを、念頭に置いた書きぶりをお願いしたいと思います。

棟居部会長 ありがとうございました。

結婚相談所というのは先ほど来言っておる親密な関係、言わばよけいなおせっかいがある意味同行した家族による干渉とは全く異質で、端的に役務の問題で、ここから外すべきだという御指摘で、そのような方向で検討したいと思います。

東室長 その点については21ページを見ていただくと「これらの状況を踏まえると、婚姻、妊娠、出産、養育において、差別が禁止されるべきである」ということの下の方に「また、上記内容は【役務】【医療】【教育】とも内容が重なる部分もあるが、この事由に関わる差別が解消されるよう注意を喚起することが肝要であるため、特にこの項目を独立して設けるべきである」といった形で、重複はするけれども、独立して書くべきだということでまとめさせていただいております。委員としては、そうすべきではないという御意見ですか。

太田委員 この文章が家族の親密圏と公的なサービスによる反対が混同して書いてあるので、整理して書いていただけると問題のレベルが違うと思います。

棟居部会長 ありがとうございます。

今の御指摘は、家族ならもちろん決してすべて許されるわけではないが、本人のために、あるいは周りの介護の事情から許されるような干渉、結婚に反対する。それは本人のためであるとか、子供が産まれたらどうするとか、家族なら良し悪しは別にして、そういうことも言うだろう。しかし、そもそも行政なり結婚相談書にそうしたこれはあなたのためであるとか、あなたは子供を育てられないといった考慮をされたり、それを口にされるということ自体が非常にこれは不都合だというか、まさに差別禁止法でそれを排除していかなければいけないところが、この婚姻という親密圏の話の中に行政や結婚相談所まで入れてしまうと、親切でやっているんだというような論理がまかり通るのではないかという御心配ですね。混同しないように工夫はしたいと思います。決して家族以外の行政や結婚相談所までが同じようによけいな干渉をしていいなんてことは、私どもの念頭には全くなかった。

東室長 その点はきちんと分けているつもりなんですが、具体的にどこをどう変えろという修文があれば出していただけますか。

太田委員 わかりました。

棟居部会長 それから、憲法上も両性の合意ということで、そもそも家族のおせっかいについても当たり前のように書くこと自体も、本当はおかしいだろうというのが太田委員の御意見ですね。

太田委員 おせっかいがあっても、基本的に最後は両者の合意によってしか成立なし得ないんだということの確認です。

棟居部会長 原則論を確認しておきたい、またはどこかに書ければ書いた方がいいという御指摘ですね。ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。山本委員、どうぞ。

山本委員 今の点にかかわるのですが、21ページで、相手方について家族や身内を除外するという書き方になっていると思います。これは具体的にどのレベルで、どのように法律の中で書きあらわすということなのでしょうか。少しイメージがわきません。そして、今の太田委員が言われた点ともかかわる部分だと思います。

その意味でコンセプトはわかるのですけれども、具体的にどうするのか。そして、総則レベルで、親密圏に関わるものについては、どのような形で書くか。これも私はまだイメージがわきませんが、適用除外のような形で定めるとすると、それとこれとの関係をどう整理するのかというのは、実際にはかなり大きな問題になるだろうと思います。

棟居部会長 この差別禁止法というのはいろんな考え方というか、規範の切り貼りというか、パッチワークでありまして、そもそも社会的障壁という形で障害者を言わば類型として、1つのグループとして社会としては排除してはいけない。社会のさまざまの局面、いろんな局面がありますけれども、そこから排除してはいけない。そういう意味で差別してはいけないという考え方と、役務の提供、商品の売買に代表されるような社会生活上、必須のもの。そこには不動産等も含みますけれども、そうした財やサービスの提供において障害を不利益な考慮要素にしてはいけない。

こういうそもそも排除するなという規範と、物やサービスのやりとりにおいて不利益に扱うなという、この2つが一体化しておるんです。日本国憲法は分けて書いていると思いますけれども、これを差別禁止法の段階では特にそうしたことを分けるということをせずにひとかたまりにしておるので、いろいろなものがクリアでないままにここまで来て取りまとめという、つまりあいまいなものをどうまとめるかという作業を今やっているということで、山本委員がおっしゃったような親密圏というような差別禁止法がある意味入っていきにくい領域をもし残すのであれば、どういうふうにそれを書くのか。下手な書き方をするともちろん独り歩きをして濫用されますので、虐待に近いケースまでが親密圏だという形で正当化されたりということも非常に困るわけですから、どう書くというのは非常に悩ましいところがございます。非常に大きな問題として受け止めさせていただいて、今すぐには答えが用意できないのと、きょうここで必ず何かおっしゃるはずの竹下副部会長が御欠席ですので、後日御相談ということで、あと1回幸いなことにございますので、そこでけりをつけたいと思います。

けりをつけるというのは、山本委員はもちろん論破されることはあり得ないと思いますけれども、こちらの説明をとりあえず提示するという形で議論としてのとりまとめをしたいという段取りで、室長それで無理がないですか。

東室長 結構大きな問題なので、どういう表現をしていいのかわからないところもあります。これは意見書ですから、これをベースにどう法的に組み立てるかというところまで、ぎりぎり詰めた形のものではないと思っております。ただ、具体的にどう書くかということで、よりベターな書きぶりがあれば、教えていただければなと思っているところです。

21ページの相手方についての婚姻の部分も、基本的には家族は本法と書いていますけれども、本節においては家族は当然念頭に置いていないという書き方ですね。この婚姻について、本節の対象になるのはそういう婚活を企画する事業所とか、地方自治体という形で書いていますので、こういう書き方よりも、もっといい書き方があるのであれば、教えていただければなと思っているところです。

棟居部会長 内容的には「はじめに」とか、そういう総則的なところに反映できればなというような、非常に一般的な問題を提起されたと思っております。

浅倉委員、どうぞ。

浅倉委員 婚姻というものの中には、婚姻の成立と解消の両方があると思います。しかし、ここでは成立の方だけが強調されていますので、事例として、婚姻解消の自由のようなものを、後に修文として入れさせていただきたいと思います。

棟居部会長 ありがとうございます。

本来、修文をいただくまでもなく、当然に書くべきことでした。ありがとうございます。

ほかいかがでしょうか。よろしいですか。では、もう時間オーバーしておりますので、以上で第2コーナーを終わらせていただきます。ここで休憩は15分ということで、したがいまして再開が4時10分ということなんですが、終わりがすべてひっくるめて5時に終わらなければいけない。特にきょう、もうお忘れかもしれませんが、一番最初に申し上げたように、金曜日でこの首相官邸に近いこのロケーションはかなり混雑を予想されますので、5時には皆様方、出口から外に出られるタイミングで終わらせたいと考えております。

ということで15分休憩をとりますが、その後の進行は非常にタイトになります。今、あらかじめ申し上げておきます。

(休憩)

棟居部会長 再開します。第3コーナーです。残り時間が極めてタイトなことになっております。55分をめどにするとしましても45分ということで、実際に今、外は平穏だということですけれども、混雑は当然予想されますので、時間どおり進行したいと思っております。別にそればかりを言いわけにするわけではなくて、あと1回あるということと、竹下副部会長も相談には乗ってくださるわけですので、こちらで引き取らせていただくという格好で、最後の夏休みの宿題としたいという流れで第3コーナーを考えております。

そして、時間切れになりそうな予想もありますので、第3コーナーの最初に、中身に入る前に室長から1点、全体の報告書の構成についての御報告というか、御相談というか、それをお願いします。

東室長 資料12を開けていただけませんか。委員の机上に配付してあります。第2章各則の構成案というものがありますか。これは傍聴の方には配付されていないのですが、資料12は意見書全体の構成について、こういう順序になるのかなということで書いてみました。表紙、目次がありまして「はじめに」。

第1章としては総則というふうに銘打って、3つの節を立てております。1つは理念・目的、2番目が国等の責務、3番目が障害に基づく差別ということで、総則で議論しました障害の定義とか、差別の定義なりを書くということになろうかと思っています。

第2章は各則として、これまで10分野で議論してきたことを議論の順番に従って当てはめております。その後で、それまでが言わば実体規定でして、その後で紛争解決の仕組みという第3章を設けたいと思います。

最後の附属書類としては部会の構成員の一覧表であるとか、部会の審議経過などを載せたいと思っております。

特に全体的な「はじめに」「第1章」「第2章」「第3章」という枠組みは了解していただけるんだろうと思っています。ただ、各則の中身の順番をどうするかといったあたりを考えていただきたいということで、第2章各則の構成案ということで3案ほど案を提示させていただいております。

第1案は公共的施設・交通機関が最初に来ております。2番目に情報・コミュニケーション、3番目に商品・役務・不動産というものが来ております。この3つは日常生活、社会生活を送る上で、一番ベースとなるべき部分ではないかということで持ってきたものです。その後、第4が教育、第5が雇用、第6が国家資格ということで、これらは社会参加という場面で1つのグループになるのかなと。第7が医療、第8が婚姻・妊娠等で、この部分は日常生活、家族生活に関係する部分かなということで7、8に持ってきております。第9は政治参加、第10は司法手続きということです。この9、10はいずれも第2案、第3案とも同じ、最後の方に持ってきております。

第2案はそれとは違ってまず社会参加という場面で教育、雇用、国家資格を最初に持ってきたというのが第1案と違うところです。2番目のグループとしては第4節が婚姻等、第5節が商品等、第6節が医療ということで、先ほど言った説明とは違いますけれども、日常生活的な部分です。第7、第8が社会生活、日常生活の一番ベースとなるべき部分を持ってきたということです。

第3案は、これもグルーピングがちょっと違っていますけれども、基本的には日常生活を最初に持ってこよう。次に社会参加、そして両者のベースとなるべき部分を持ってくるという分け方でやっています。

今日、確定する必要はないですが、次回はこの順番に並び替えて1冊で提示したいと思っております。できれば第2章の順番も今日御意見をいただければ、それに従って1冊のものにしたいと思っているところです。

こちらからの説明は以上です。

棟居部会長 ありがとうございました。

私なりに勝手に言うと、3つ案があって、1つは日常生活から公的生活へという順番で並べた。

第2案というのは人生をたどる順番、教育、雇用というふうにステップごとに、時間の系列で並べている。

第3案は法体系というか、私法から公法へという法律家的な構成。

つまり第1案は日常生活が最初に来るバージョンで、第2案というのは人生の時間の流れでまとめたバージョンで、第3案は法律の体系でまとめた。どれがお好みかというか、一番我々の議論にふさわしいまとめ方か。そこらで私個人としては、第3案は法律家臭さが残っているのでやめたい。第1案は日常生活から公的生活へといういろんな生活局面をその性質に応じて並べている。これは素直かなというふうに思います。しかし第2案は障害者を主人公にしてさまざまな局面でいろいろな障害があるという、それを1つずつ突破していくという意味ではわかりやすいかなという、ここら辺は皆様方、今までのほとんどの方は二十何回お付き合いいただいたんですけれども、どういう集約の仕方が最も伝わるかという、インパクトという点で御意見をお寄せくださればと思います。もちろん第3案というのも法的な観点からは一番きれいなので、これが無難かもわかりません。よけいなコメント済みません。ということで、残りのわずかな時間に、これは従来のおさらいというか、修正についての御報告であります。

私は見え消しというバージョンを、カラーですともっとわかりやすいんですけれども、白黒印刷でも見え消しという、ただ、ここの情報保障という観点から見え消しというのは視覚障害の方には十分伝わっていないかもわかりませんが、申し訳ない、時間との関係で見え消し版をベースにどこら辺を言っているかという章立てを紹介しながら、以下、御報告をさせていただきます。基本的には修正提案を受け入れたり、理由があって受け入れなかったりということの御報告となります。しかし、もちろんまだこれで確定というわけではないので、御意見は適宜承りますが、くれぐれも全体の進行には御協力いただくように、これはよろしくお願いいたします。

ということで、資料3【はじめに】というのをごらんください。いろいろ章立て等を入れておりますけれども、大きな修正はこれについては加えておりませんで、第4というずっと後のほう、いわゆる見え消し版ですと5ページになります。障害に基づく差別の禁止に関する法制はなぜ必要か。ここで差別事案の存在と国民意識という2、の文章をいろいろ書いたり消したりというか、いじくった結果、お手元のような格好でまとめたいと考えています。

なお、先ほど山本委員から御指摘のあった親密の関係といった場合に、差別禁止法はどういう考え方をとるかといったあたりも、どこかここらに挿入しなければならないということだろうと思います。今すぐには思い当たりません。

この見え消し版で今の続き、5ページの一番下「3、物差しの共有化」というところですが、要するに差別はよくないと漠然は考えられているけれども、ルールとして共有することが大事で、具体的にどういう場合が差別に当たるのか。もちろんこれは差別に当たらない例外を教えるとか、何かそういう抜け道をガイドラインできっちり確保するとか、そういうことではもちろん全くない。ただ、この裁判をやって人格権の侵害等で救済していくという現状では極めて不安定であります。そうやって事後的に個別に争うというのでは、ほとんどの障害者はいわゆる泣き寝入りを強いられるという現実があります。

そこであらかじめ基準をわかるように明記していく、国民各層がわかりやすいということを第一義に考えていくということで、従来から議論しておって、ここで趣旨をよりわかりやすく書いたつもりであります。

6ページ「第5、新法の制定に向けて」の「2、課題と想い」。想いなんていうのは、よけいな想いは書くなと言われるかもしれません。これは皆様方に自由作文していただいて、挿入していけばいいのかもしれませんが、ここでいただいたいろんな想いの最大公約数みたいなことを書いたつもりであります。そして、ここで想いと言いながら客観的な事実なんですが、2001年9月24日に勧告を国連から出されましたよということで、実効性のある差別禁止法性をつくらなければいけない時期にも来ていますよという、こういうことを想いに便乗して事実についてもリマインドした。以上が【はじめに】であります。

なお、進行の都合上、残りにつきましても間の質疑を挟まずに一気にいかせていただいて、最後に残った時間ですべての今お話をしておる事柄についての質疑を承りたいと考えております。

資料5が私がこれから用います見え消し版の次の資料でございまして、これは部会三役の原案4の修正1というもの、いわゆる各論の前半です。先ほど第1コーナー、第2コーナーで各論の後半は扱いました。その各論の前半の修正バージョンの見え消しがこの資料5であります。

ここでまず雇用というものにつきまして、実はいろいろ御意見をちょうだいしておって、また先ほど浅倉委員からは詳しい修文の原稿まで入れていただくという、大変皆様に御協力いただいております。

高山オブザーバーからメールでは特に御指摘があり、それに応える形でまずお答えする格好で、我々なりに受け止めたということの証拠にさせていただきたいんですけれども、まず高山オブザーバーが御指摘だったのは「第1節 雇用」の第2の「募集、採用」を「募集及び採用の機会」とすべきであるということでした。この点につきましては何か結果を保障するようなニュアンスが出るのだとすれば、それは言い過ぎではないかということで「募集及び採用の機会」というふうに置き換える御提案をしていただいたわけであります。

この点につきましては、こちら側は内容的にはそんなに大きく「募集、採用」と書いておっても、今おっしゃったような「募集及び採用の機会」というのとそんなに本質的にはずれていないという理解をしています。募集、採用等々さまざまなことを書いておりますが、「その他の労働条件」という日本語としては決してよくないかもしれませんが、最後に「その他の労働条件」というところをあわせて読めば、募集、採用というものも全て条件としての募集条件としての採用で、決して採用の結果が保障されているという誤解は受けないのではないかということ。

また、権利条約自身の文章もこのような書きぶりになっておる。今、正確には再現しませんが、そういうことから募集、採用、これこれの労働条件ということで、つまり原案のままでよろしいのではないかというのが、こちら側の説明です。ですから、文章はいじっていませんが、説明を今のように加えさせていただくということで、高山オブザーバーいかがでしょうか。あるいはほかの方いかがでしょうか。とりあえず議論はした。そして、その論点は意識した。そして結果までが保障されているという誤解は、やはりこれは誤解であるという。

高山オブザーバー 一応、前回申し上げたのは、均等法5条の表現に合せていただけたらということで、「募集」と「採用」は「募集及び採用の機会」、それから、「研修」の部分は「教育訓練」、「解雇」と「整理解雇」が分けてありますけれども、これを「解雇」一本にする。そういう言い方で申し上げておって、これは均等法5条の表現と一緒という意味でございます。

棟居部会長 わかりました。今の御指摘は忘れておりました。大変失礼しました。持ち帰らせていただきます。内容的にはそう離れたものにはならないという前提です。

遠藤オブザーバー 労働契約を締結する前と締結した後の話は、しっかり分ける問題だと思いますので、そういう意味からも均等法の過去の歴史があるわけですから、十分それを踏まえた形で、機会の均等という文言はぜひ入れていただきたいと思っております。

棟居部会長 今、逆に質問することになって恐縮ですけれども、そうした表現を用いれば均等法の過去いろいろな歴史というか、それを踏まえたことになりますですか。

遠藤オブザーバー もともと努力義務にかかわる場面と義務にかかわる場面を分けて成長してきた法律でもありますから、とりわけ入口については労働契約を締結する前の段階として、そこは機会を均等に、障害のあるなしにかかわらず与えていくということが、本来のここで言っている趣旨だと理解しております。

東室長 第3の部分で不均等待遇と労働能力という部分があります。ここでは特に採用場面においては労働能力の問題が非常に大きくて、一般的な不均等待遇という形では議論が難しいという問題があります。それで、かなりぎりぎりのところでの不均等待遇という形で位置づけています。採用の機会といった場合に、こういった議論まで含めて理解できるのかどうかが問題となります。本当に形式的な意味で機会をとらえると、要するに機会を与えた、採用試験を拒否はしない。そういった機会だけは与えるという形式的な捉え方で考えると、そういう問題もそもそも出てこないのではないかという疑問も湧いてきます。

ですから、この第3の2の不均等待遇と労働能力というところで述べてあることが、機会の均等という意味の中に入るのかどうか、そこら辺はどうお考えなのかお教えいただければと思います。

棟居部会長 遠藤オブザーバー、お願いします。

遠藤オブザーバー 先生から御指摘されていることは皆さんも御存じと思うのです。障害のあるなしにかかわらず、採用の段階では機会しか与えていないわけです。ですから、そこの部分を書いてくださいと言っているにとどめていますので、ただ今、室長がおっしゃったようなところがぎらついてしまうのではないかというのは、そこは決してそこの部分を言いたいだけではなくて、障害がない人についても採用の段階では機会を与えているということであり、御理解をいただきたく思っています。

棟居部会長 ありがとうございます。戦略として均等法の実績がありますので、言わば後ろに並ぶというか、つく方が形式上も賢いのかもわかりません。ただ、条約を受け止めたものであるというのが限定ですので、それも残したい。そういう狭間に置かれておるということで、今の御意見を承って調整させていただきます。ありがとうございました。

ということで雇用につきまして私の説明を端折りまして、代わりに高山オブザーバーに御質問いただいていた点について振ってしまったんですけれども、私の方の特に直しとしては、2ページの一番下「職務適正、さらには人柄」というところの「さらには人柄」といった書きぶりをここでは削る。それから、3ページの真ん中辺、職務内容を特定しない募集が多いという、何でもこなせる云々という稚拙な文章を取りまして、代わりにこうした表記に改めるといったあたりを2ページ、3ページで行っております。

また高山オブザーバーに戻させていただいて恐縮なんですけれども、3ページの一番下「2)事業主の合理的配慮義務についての公的支援と過度の負担」というところで、室長交えいろいろこちらでも議論したのですが、消極の要素の書きぶりで、私としては過度の負担であるかどうかの判断に当たって、考慮要素の1つにはなるであろうといった書き方で、消極という表現を外すことも先ほど室長と相談して、それならいけるのではないかといったことも考えたんですが、高山オブザーバーは今のような考慮要素の1つという、余りにも当たり前で内容的には何も言っていないようなものですけれども、そうした修文についてはいかがお考えですか。

要するに論点としては、公的な支援を当然の前提にして、それで合理的配慮の有無を判断するというのは順番としては逆であるというのが、こちら側の原則論としてあります。つまり、合理的配慮は当然に民間の自らのコストにおいて行われるべきで、ただ、公的支援というものがこういう新しい制度をスムーズに実行に移していくためになされるということはあるかもしれない。あったら好ましいという順番で考えておるんですけれども、そこで一定の合理的な配慮というものを新たな負担として課すからには、公的負担が一定以上のものが見込まれるべきではないかという、恐らくそういうニュアンスで高山オブザーバーが御質問等されたのではないかと理解しておったんですけれども、そこは例によって私が誤解しておるんですか。

高山オブザーバー この点は遠藤オブザーバーが御指摘をして、私が付け足しで最後に少し言った形になっていますので。

棟居部会長 遠藤オブザーバー、お願いします。

遠藤オブザーバー 結論的には、ただ今、部会長からおっしゃっていただいたように消極という用語を取り外していただいて、考慮要素にしていただくことです。たしか本日の医療のところもその程度の書きぶりにとどまっていたと思いますので、全体のバランスからは良いと思います。

合理的配慮における助成あるいは奨励が行われたような場合についての取り扱いというのは、いろんなケースがあり得ると思いますので、まさにこれは考慮要素の1つにとどめておいた方が、今後の展開の中でもいい形になるということを前回申し上げましたけれども、私はそう考えています。

棟居部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただければと考えております。この点はよろしいですね。言葉の問題ですので内容についてはある意味、ブランクな状態で政策委員会に意見として提示していくという、こういうことになります。

引き続きまして、4ページの一番下、公務員についてその他の留意事項でございますが「本節の適用において民間における労働者と同等以上に準じた」云々という文章をしておりましたが、同等の取り扱いという形で、きょうはお見えではない西村委員が同等ではだめだ、公務員もっと頑張れというふうにおっしゃるかもしれないんですけれども、同等であれば一応必要な水準はクリアしておるのではないかということで、やや苦しい書きぶりですけれども「同等」。それなら「同等以上」と書けばいいではないかと思われるかもしれません。私の背中を押していただければそうしたいと思いますけれども、とりあえずここでは民間についてもあるところまでは頑張っていただく。相当のことを頑張っていただくとすれば、それは公務員も一緒であるという書き方で、何か公務員が民間に合せて国や自治体が低い水準で、自らはクリアできるというようなつもりはもちろんこちらとしては一切ないところでございます。よろしいですか。

太田委員 養育のところで、職業訓練校を雇用に回すということがあるのですが、職業訓練校は対象に入っていないのでしょうか。

棟居部会長 雇用の関係で職業訓練校ということを対象に挙げるべきであると。

東室長 企業内の職業訓練の問題と、国がやる職業訓練サービスは分野として違うわけですけれども、どちらの方をイメージされているんですか。

太田委員 どちらかと言えば、国がやる職業訓練校で、先ほど養育の議論で職業訓練校は雇用の方に回すようなニュアンスがどこかに書いてあったので、どちらかに入れてほしいということです。

東室長 それはどこかにそういうニュアンスがあったら、間違いだと思うんです。雇用ではなくて公共サービスだとか、そちらの話の問題だろうと思いますので、どこがどうだという御指摘をいただければ修正したいと思います。

棟居部会長 要するに、職業訓練についてどこかにちゃんと書けということですね。谷間に落ちてしまわないように気をつけて見直したいと思います。今、どこかというのはすぐ出てきません。申し訳ない。

ほかいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、引き続きまして国等の責務という、実はこれは全部まとめてと言ったので、「はじめに」のところもまだ皆さんから何の御意見もちょうだいせずにここまで来ておって、雇用のところでやりとりがあったものですから、何か「はじめに」のところまでほおかむりをして済ましてしまっているようなところがありますけれども、雇用は済んだということで「はじめに」はまだ保留中。

御意見ですか。伊藤委員、どうぞ。

伊藤委員 前々回、雇用のところを議論したときに福祉的就労、2ページの上の方にあります3、ですが、このB型で働く障害者であっても、実態として労働者性が認められる場合には、本法の対象とすべきであるという書きぶりについて、では労働者性が認められない人については差別禁止法の対象とはならないんだというように読めるので、そこについては労働者性がない人でも対象とすべきです。けれども、どこで読むのかということも。

棟居部会長 本節の対象とすべきという書き方のつもりで、これは完全な誤植です。大変申しわけない。別に本法から除くなんてことはおよそ考えていなくて、ただ「第1節 雇用」というふうにタイトルをつけていますので、この雇用の節の対象として労働者性があるもののみを残す。労働者性のないものはほかの節に委ねる。もしございましたらどうぞ。よろしいですか。

浅倉委員からは詳細な修文をちょうだいしておって、そのまま移そうかなと思っておったんですけれども、御発言いただいた方が。

浅倉委員 もしかしたら後に遠藤オブザーバーあたりから修文の御意見が出るかもしれないと思いますので、少しだけ発言します。詳しい修正の文章は部会長にお渡ししましたが、どこを修正したかということだけ御紹介しておきたいと思います。

1ページの第2の「2、差別をしてはならないとされる相手方の範囲」で、2行目に「これに関し、労働基準法のように使用者まで相手方の範囲を広げるべきかについては検討を要する」と書かれています。この「事業主」と「使用者」の違いがわかりにくいのではないかと思ったものですから、「事業主のために行為をする者(使用者)」というふうにした方がよい、というのが1点です。

2点目は今、伊藤委員がおっしゃった福祉的就労について修正の文章を出させていただきました。労働者性が認められない福祉的就労については、○○で取り上げられる、というような書き方にしていただきたいなと思います。

3点目は2ページ第3の2の3番目の段落「まず、障害があることにより」云々という、その段落ですが、ここで合理的配慮をしたにもかかわらず、その本質的な能力がない、という脈絡をはっきりさせたいと思って、ここに合理的配慮を入れた修正文書を提出いたしました。

4点目は2ページの一番下の段落「次に、例えば、競争試験で一次試験は合格したとしても、面接等がある場合」という点です。必ずしも競争試験や面接等がある企業ばかりではないので、もう少し一般論的に述べることとして、また、そうした場合でも、三菱樹脂事件の最高裁判決との整合性がはかれるということについて、私なりの修正文書を出させていただきました。

以上でございます。

棟居部会長 今の判例の点については「例えば、競争試験で一次試験は合格したとしても、面接等がある場合」という、この部分のみを除き、次にそもそも採用に関して法律その他による特別な制限がない限り、事業主に云々と。これはよろしいですね。つまり判例に対してまで事上げをする文句を言うというのは、意見書としては生産性がないと思いますので、今のような例えばというよけいなところだけカットということで処理させていただきます。どうも大変ありがとうございました。ほかは読めばわかるようなことでよろしいでしょうか。本当に御協力ありがとうございました。

こちらの不手際で時間が尽きかけておりますけれども、司法手続きという6ページをごらんいただきますと、7ページの法的保護の対象というところで傍聴については「公共的施設」の利用者という観点、それから、裁判員についても情報とコミュニケーションにかかる合理的配慮という書きぶりを入れております。

7ページの下「発達障害者の発することが間違って受け取られる」といった発達障害について、前回落ちておったものを幾つかの箇所で挿入しておって、今のもその1つでございます。

8ページの一番下「受刑又は身柄拘束中の処遇」について「他の被拘禁者と実質的に同等の扱いを行うためには、合理的配慮として被拘禁者に対して必要な介助や医療が継続されなければならない」という書き方にしております。

9ページの6の3)ですけれども「知的障害や発達障害を含む様々な」という文章にしております。

10ページ「第3節 政治参加」でございます。これにつきまして11ページをごらんいただきますと「d)投票方法」の最後に、最高裁裁判官の国民審査についての記載を加えたということでございます。

12ページの上、その他の留意事項というところですが、障害者自身の政治活動について前回、必ずしも十分な記載でございませんでした。そこでそれを加えたということであります。

国会中継等につきまして2)ですけれども、手話通訳、字幕の付与も御意見がございましたので、入れさせていただいた。

13ページ、公共的施設・交通機関でございます。これもさまざまな御議論、御意見を前回ちょうだいしたところですが、13ページの真ん中より下、エレベーターの使用時間規制、障害者用の座席しか利用できない劇場やバリアフリーな部屋は高額な部屋しかないホテルというように、見かけ上は一定のサービスが提供されておっても、障害のない人と比較すると選択肢が限られているといった、こういう場面が差別の禁止が求められる対象事項や場面になるんだという指摘を加えたわけであります。

14ページ「2)交通機関」ですが、障害者に関して事前に利用申し込みをしなければいけない。個人情報の記載までが求められる、あるいは自由席を選択できないといった御指摘がありましたので、それもここに書き加えております。

15ページにつきまして、国のバリアフリー施策との関係が議論になりました。バリアフリー基準はハード面に専ら焦点が合わさっているということで、それに対してハード、ソフトあわせて障害者施策がなされるべきだということで、少し違いを強調した書き方にしております。

16ページ、不均等待遇を正当化する事由ということで、他の乗客の安全といったことを抽象的、一般的な理由として障害者の利用を拒絶するといったことがなされがちだということで、安全性は誰に対しても、つまり障害のない者にもある者にも当然に保障されなければいけないということで、障害者が交通機関を利用できることを前提にした上で、障害者自身の安全性も他の利用者と同等のものが確保されるような合理的配慮が求められるという書き方にしております。

17ページ、情報・コミュニケーションに移らせていただきます。ここでも発達障害者についての書きぶりを加えております。17ページの真ん中より下ですが「イラストや絵記号など構造化された形での情報提供などの障害特性に配慮した情報提供」という記述にしております。

19ページは文章の順番をずらしたりしたということですが、真ん中辺「以上を踏まえ、現状において、技術や体制の整備ができるにも関わらず、これを提供しないことは、合理的配慮の不提供と考えるのが妥当である」。日進月歩でありますので、現状の技術や体制の整備ができるのにしない。それを合理的配慮の不提供と位置づけた。

20ページ、合理的配慮に関して障害者の発することが間違って受け取られることがないようにすること等を含めた、障害に配慮した方法等々が必要。コミュニケーションに関しての特に注意的な書きぶりをしております。

以上、非常に急ぎましたが、この各論全般についての修正箇所の説明でございました。

「はじめに」とあわせて何か御意見があれば、一言、二言でお願いをいたします。

川内委員 一応この部会のルールみたいなものとして、ここで発言して後で修文を提出するということですが、議論の時間がないので、発言しないけれども、修文を提出するということで、採否はそちらにお任せするということでよろしいですか。

棟居部会長 はい、結構です。ありがとうございます。

その場合、今、置いていただけると理解してよろしいですか。

川内委員 今夜じゅうにメールで送るとか。

棟居部会長 わかりました。では、それでお願いします。

引馬委員、どうぞ。

引馬委員 「はじめに」の障害に基づく差別のところや、あるいは先ほどの議論にも関わりますが、こうした意見書のいくつかの部分に出てくる家族という用語の異なる位置づけを意識する必要があると思われます。例えば、残念ながら結果として加害者のようになってしまう家族という部分と、障害を理由として家族等関係者に対して異なる取扱いをすることを差別と考えるという、どちらかといえば被害者としての家族の部分の使い分けなどについてです。加納委員が質問された点についての意見書部分ですとか、使い分けの部分について気づいた点についてなど、修文を送らせていただきますので、御検討いただければと思っております。

棟居部会長 ありがとうございます。そうさせていただきます。

なお、残っておりますその他この国等の責務という資料7につきましては、実質の直しは2ページに男女別統計、これが障害者に関してちゃんととられていないといった事実の指摘を含めましたが、特に内容的な大きな修正というものはこちらでは加えておりません。

それ以外に、簡易迅速な裁判外紛争解決の仕組みという部会三役の原案2-2につきましても、特に内容の修正を加えていない。それから、部会三役の原案1の修正3、理念のところですが、これも散々いろいろ御意見ちょうだいして、今回特に修正はございません。ただ、先ほど山本委員から出ました親密圏等についてどうなんだという、あるいはここらに何か文章が要るかもしれないと今、ちょっと緊張しておるところであります。

以上で一応こちらとしての今回の修正案の御説明は終えたつもりであります。時間ももう尽きておりますが、最後に御意見等ございますでしょうか。なければどうも本当にきょうはありがとうございました。ということで第3コーナーについて終わらせていただきます。

本日の議事はこれで終了いたしました。ほかに補足はありますか。

東室長 今日までの議論をできるだけ反映したものを、皆さんにできるだけ早目にメールで送らせていただきたいと思っています。ただ、全体を通して見ますと字句修正、例えば「たとえば」という言葉が漢字であったり平仮名であったりとか、「など」という言葉が漢字であったり平仮名であったりとか、「地方公共団体」と言ったり「地方自治体」と言ったりとか、さまざま用語を統一するといった事務的な作業だけではなくて、流れを見ていると本来こちらで説明すべき部分が別のところあるということもあって、内容を修正するというわけではないんですが、書くべき部分をずらすとか、全般にわたって細かい部分も含めて修正が要るかなと思っております。ですので、皆様方からいただいた意見だけではない修正のものが出てくると思います。

とにかく早目に送らせていただきますので、当日にではなく、次回の前に、もう少しここはこういうふうに修正した方がいいという御意見があれば、修文の形で送っていただければなと思っているところです。

章立てについては先ほど意見いただけませんでしたので、暫定的に第1の案で第2章の流れを組み直したものを提供しようかなと思っております。大体80ページ前後になるかなというところです。

以上が最後の御報告です。確認ですけれども、9月14日金曜日13時から17時まで、会場は今日と同じ仮庁舎で行います。後日、開催通知をお送りしますので、間違いないようにお願い申し上げます。

なお、前から言っておりますが、9月28日は予備日として取ってはあります。先ほど棟居部会長はキャンセルしたとおっしゃいましたけれども、それは気持ちでありまして、一応取ってはあります。でも、とにかく次回で終わらせることができればなと願っているところです。

報告としては以上です。どうもありがとうございました。

棟居部会長 ありがとうございます。

本日の差別禁止部会の概要につきまして、この後、記者会見において私と伊東副部会長、東室長から説明させていただきます。

本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございました。

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