障害者政策委員会(第12回)議事録 1

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○ 石川委員長 定刻になりましたので、第12回「障害者政策委員会」を開催いたします。

本日は、お忙しい中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

本日の会議は16時30分、4時30分までを予定しております。

大谷委員と花井委員が御欠席との連絡をいただいております。また、竹下委員は所用により少しおくれるとの連絡をいただいております。また、嘉田委員の代理として、滋賀県副知事の西嶋栄治様に御出席をいただいております。

まず、本委員会における発言のルールを確認させていただきます。

まず、委員長が発言を求めます。発言を希望される方は挙手をお願いいたします。指名を受けてから発言をお願いいたします。可能な限りゆっくり、わかりやすく御発言いただきますようお願いいたします。できれば最初に結論を述べ、その後、理由あるいは説明を述べていただくのが望ましいかと存じます。御発言の際は、できるだけマイクに近寄ってお話しいただき、発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。

本日は、報告事項が2件と議事が2件ございます。

議事の1は、第2次障害者基本計画の実施状況についてフォローアップ、追加的確認を行うということであります。

議事の2は、前回に引き続きまして、障害者差別解消法に基づく基本方針の検討として、関係団体からヒアリングを行います。

まず、資料について事務局より御説明をいただきます。

○ 加藤参事官 それでは、本日の会議の流れと資料について御説明いたします。

本日の会議では、まず報告事項として①障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施に係る同協議会の設置・運営暫定指針、②としまして、障害者権利条約の国内モニタリングに関する国際調査についてそれぞれ御報告いたします。

次に、平成24年度が最終年度となっておりました第2次障害者基本計画の実施状況についてのフォローアップを行います。その後、前回に引き続きまして、障害者差別解消法に基づく基本方針の検討として関係団体からヒアリングを行い、意見交換を行っていただきます。

資料としましては、資料1ということで「障害者基本計画の進捗状況~平成24年度~」という大部なものでございます。

資料2としまして、基本方針に関する関係団体からの意見というのを用意しております。

机上には、障害者差別解消法の条文、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律Q&A集等、議論の参考用に資料を置かせていただいておりますので、適宜御参照ください。

また、参考資料1としまして、障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施に係る同協議会の設置・運営暫定指針。

参考資料2としまして、その概要を2枚。

また、参考資料3としまして、平成25年度障害者権利条約の国内モニタリングに関する国際調査実施報告をお配りしております。

具体的な進行についてでございますが、途中10分の休憩を2回挟みながら進めます。タイムスケジュールとしては、この後14時10分ごろまで2つの報告事項、その後10分間休憩を挟み、14時20分~15時35分まで第2次障害者基本計画の実施状況について意見交換を行います。その後10分間休憩を挟み、14時45分~16時25分まで、障害者放送協議会からのヒアリング及び質疑応答という流れを想定しております。

本日の会議の流れ及び資料については以上でございます。資料の不足等ありましたら、事務局まで御連絡ください。

なお、本日追加で、ヒアリング用の資料がお手元に別途あるかと思います。2枚とじたものであります。

それから、もう一つ、障害者制度改革担当室の新しいメンバーを御紹介したいと思います。4月1日から、立命館大学から青木千帆子、平塚市役所の方から又村あおいがそれぞれ着任しております。

事務局からは以上でございます。

○ 石川委員長 それでは、議事進行について御協力をお願いいたします。

それでは、まず報告事項の1としまして、障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施にかかわる協議会の設置・運営暫定指針について、会長の野澤委員より御報告をいただきます。

○ 野澤委員 こんにちは。地域協議会の設置・運営指針をつくる暫定指針ですが、この指針をつくる検討会の会長をさせていただいております。

この検討会ができてからこれが決まるまでにわずか3カ月という非常に慌ただしい時期で、しかも、この4月から既にモデル事業の準備を始めている自治体もありますので、何としてもこの4月に間に合わせるということで、全力で走りながらつくったというのがこの暫定指針です。

内容については不十分な点は多々あるかもしれませんけれども、とりあえず暫定指針ということで、これがないとなかなかモデル事業が始まらないというので、この点を御理解いただきたいと思います。その内容については、後ほど事務局のほうから説明していただきたいと思いますけれども、法律では地域協議会を設置することができるという非常に緩い規定になっていて、自治体に対して影響とか強制力を持ってつくらせるということはなかなか難しいことであります。しかも、自治体がいろんな事業をこの数年担ってきている状況の中で、予算や人員の不足しているところでまた新たなこういうものができるのかということで非常に警戒感、心配する声が強いのは事実であります。

なので、これを十分に理解していただいて、一体となって取り組んでいくためには、自治体の理解と本気になって、その気になってやっていかなければいけないということを痛感しております。ただ、いろいろ検討していく中で可能性というものもいろんなところに見えてきているのも事実で、これからモデル事業をやっていく中でそれぞれの自治体の事情もあると思いますので、その辺も組み入れながら、よりよいものをつくっていきたいと思っております。官も民も一体になって、中央も地方も一体となってやっていきたいと思っておりますので、今後とも御協力をよろしくお願いしたいと思います。

私のほうからは以上です。

○ 石川委員長 野澤委員、ありがとうございました。

それでは、加藤参事官のほうから御報告をお願いします。

○ 加藤参事官 それでは、私のほうから暫定指針について御説明をいたします。

参考資料1というのは、運営暫定指針の本文でありまして、それを要約してスライドにしたのが参考資料2というものでございます。適宜、参考2をごらんいただきながら聞いていただければと思います。

今、野澤委員から御説明がありましたように、今年の1月に検討会を立ち上げ3回にわたり御検討、御意見をいただいてきたところでありまして、今年の3月に障害者差別解消法支援地域協議会体制整備事業の実施に係る同協議会の設置・運営暫定指針というものを作成したところでございます。

これの中身でございますけれども、1としまして「地域協議会を組織する趣旨」ということであります。障害者差別解消法におきましては、地域において障害者差別に関する相談や紛争の防止解決を推進するためのネットワークを構築する観点から、国や地方公共団体の機関が地域協議会を組織することができるとされております。

地域協議会の事務は、必要な情報を交換するとともに、障害者からの相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取り組みに関する協議を行うこととされております。

例えば障害者差別に係る事案につきましては①としまして、適切な相談窓口を有する機関の紹介や具体的な対応例を共有することによる協議でありますとか、②としまして、紛争の解決や複数の機関で紛争解決等に対応することなど、障害者差別に関する相談等に係る協議、③としまして、構成機関等による周知・啓発活動の取り組みについてなど、地域における障害者差別を解消するための取り組みに関する提案に係る協議を行うことにしております。

2としまして「地域協議会の基本的な仕組み」でございますが、地域協議会を組織するに当たっては、庶務を担うこととされている都道府県、市町村、特別区など、地方公共団体が主導して組織する。また、新たに地域協議会を組織する場合には、必ずしも条例を根拠とする必要がないこと。

次に、地域協議会の構成員としましては、障害者の日常生活及び社会生活にかかわりの深い機関等が参加すること。具体的には、参考資料の表に掲げられているとおりでございます。

3としまして「都道府県単位で組織する地域協議会と市町村単位で組織する地域協議会について」ということで整理しています。

都道府県の地域協議会では、事案の情報共有及び構成機関等への提言、地域における障害者差別解消の推進のための取り組みに関する協議、提案、市町村の地域協議会から情報提供または協力を求められた事案の対応に係る協議などを考えております。

市町村の地域協議会では、事案の情報共有及び構成機関等への提言、事案の解決を後押しするための協議、事案について都道府県の地域協議会への情報提供、または協力を求めるか等が考えられるところであります。なお、市町村が地域協議会を組織していない場合は、都道府県の地域協議会が同じ内容を扱うと考えております。

4としまして「地域協議会の事務局」でありますが、想定される部署としましては、各地方公共団体の障害者施策主管部局を想定しております。

5としまして「相談及び紛争の防止等のための体制」ということでは、障害者差別解消法では、国及び地方公共団体は、障害者及びその家族、その他の関係者からの障害者差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害者差別に関する紛争の防止または解決を図ることができるような体制の整備が求められているところであります。

そのため、相談窓口からの地域協議会への情報提供も重要な役割と考えておりまして、特に地域内に他の適切な機関がない事案、複数の機関による連携が必要と思われる事案、紛争の解決に至った事案。

障害者御本人は障害者差別と認識しないが、困難を抱えているような事案につきましては積極的に情報提供されるべきと考えております。なお、情報提供に当たりましては、個人情報保護に留意する必要があるということでございます。

6としまして「既存の協議会等との関係」でございます。

新たに組織するか、既存の協議会を活用するかにつきましては、地域の実情に即して地域協議会を組織する国の機関及び庶務を行う地方公共団体等の判断に委ねられるところでございますが、いずれにいたしましても、地域の実情を踏まえて組織することが重要であると考えております。

7としまして「秘密保持義務」の関係でございます。

今年度から始めます体制整備事業は障害者差別解消法の施行前に行われるものでありますことから、地方公務員法でありますとか刑法等による秘密保持義務があるものを除きまして、障害者差別解消法上の秘密保持義務は生じないことに留意する必要がある。そのため、この地域協議会の構成員に対して誓約書の提出を求めるなどによりまして秘密保持義務を担保することが求められるところでございます。

以上がこの暫定指針の概要でございまして、障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業につきましては、今年度から幾つかの地方公共団体で実施することを予定しております。その際には、各地域においてフォーラムを開催する、あるいは最終的に各地のそういう取り組みを紹介するシンポジウムを東京のほうで開催するような形で関係者の皆様方に情報提供をするということを考えております。

また、地域協議会のあり方検討会につきましては、今後、当事者も含めた構成員の増員など、引き続き地域協議会のあり方について意見交換を実施していきたいと考えております。

説明は以上でございます。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

若干の時間ですけれども、御意見、御質問を受けたいと思います。御発言を希望される方は挙手をお願いします。

それでは、清原委員、お願いします。

○ 清原委員 ありがとうございます。全国市長会、三鷹市長の清原です。

このたび、野澤委員を初めとする皆様には、「障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業の実施に係る設置及び運営の暫定指針」をおまとめいただき、ありがとうございます。それぞれの地方公共団体、自治体は、今、御説明にもありましたように、それぞれの地域の特徴やこれまでの経過、事情がございます。それらを尊重しながら、自治体が自立的に、自主的に地域協議会を検討していく上で、この暫定指針というものであれ、本日御紹介いただきましたものは有益だと思います。

そこで質問させていただきますが、今後、この暫定委指針に基づいてモデル的に幾つかの自治体で取り組みをされるということですが、その自治体の類型というのでしょうか、政令市であるとか、中核市であるとか、あるいは人口規模でどのぐらいの規模のところでお考えか。都市的な性格の自治体と、どちらかといえば中山間地というか、そういうところの自治体では事情も異なるかと思いますし、これまでの障害福祉の取り組みなどによって幾つかの類型を持ったモデル地域での取り組みがあれば幸いだと思いまして、現時点でどのような自治体の特徴を持っているところでまずは始めていただけるかということと、2点目は、今後、この協議会のあり方について検討される場合、当事者も含めて構成員を拡充しながら検証されていくということで、これもこれから準備する自治体にとっては大変ありがたいことでございまして、モデル事業の取り組みを検証しながら、あわせて今後どのような視点で検討を続けていかれるか、お考えのことがありましたら教えていただければと思います。

以上です。よろしくお願いします。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

これは事務局、会長、どちらに。

では、加藤参事官、お願いします。

○ 加藤参事官 では、最初のほうの御質問でございますけれども、今現在はまず規模別に申し上げれば、都道府県、それから政令市、あとそのほかの都市ということで3層ぐらいを考えております。どういった地域を考えるかといいますと、結構全国地域によってばらつきがいろいろあろうかと思いますので、東北なり関東なり近畿なり、そういったブロック単位の中でどこか1カ所ずつぐらい選べればなと思っています。その際に、都道府県、政令市あるいはそのほかの都市という形で3層を選べればと思っています。

その地域協議会のあり方でございますけれども、実際にモデルとして動いていただける地方自治体、そういった運営協議会のメンバーと私どもの協議会のメンバーがなるべく、ある種、渾然一体というとあれですけれども、さまざまな形で議論をし合っていく中で、ある程度国のほうの協議会の中にも地方協議会のメンバーに入っていただく、あるいは地域協議会のほうに私どもの検討会のメンバーが出席するというような、そういうようなことを考えているところでございます。

○ 石川委員長 清原委員、どうぞ。

○ 清原委員 御説明ありがとうございました。今、言っていただきましたように、地方の協議会ですので、自治体関係者、それから当事者、またさまざまな障害者を支援されてきた団体の御意見とともに、国の担当者の方も一緒になって、今、「渾然一体」となってという表現されましたけれども、「パートナー」としていろいろな角度から御検討をさらに進めていただければありがたいと思います。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、関口委員、お願いします。

○ 関口委員 全国「精神病」者集団の関口明彦です。

1枚紙を見ますと、地域協議会の組織は必ずしも条例を根拠とする必要はないことに留意と書いてありますけれども、例えば障害者虐待防止法は全自治体に必置義務がございますけれども、これが実効的に働くためにはどうしても条例の担保が要るということでございます。障害者虐待防止委員会あるいは自立支援協議会といったような、いわゆる既存の協議会との関係がここに書いてあるだけではイメージがよく湧かないのですけれども、そこの御説明を少しお願いしたいということ。

もう一つは、運営方法に代表者会議、実務者会議を設けることなどが考えられると書いてあるのですけれども、代表者会議とか実務者会議とか、あるいは実務者会議が幾つかに分かれるのかとか、そういったようなことは例えば今考えられているモデルケースの中ではどのようになっているのか、お教え願いたいと思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

こちらも事務局のほうでお願いします。

○ 加藤参事官 最初のほうの御質問でございますが、この障害者差別解消法のためにあえて新しく地域協議会を更地から建てるという方法ももちろんあるだろうし、今、関口委員のほうから御質問のあった既存の虐待差別の関係の協議会を活用するというのもあるのでしょうし、高齢者の協議会を使うという手もあるかと思います。

ただ、いずれにしましても、地域でいかに地域協議会を立ち上げて運営しやすく、実際に運営していくのかということを考えた上で、地方公共団体のほうの庶務を行うところで御判断をいただきたいと思っています。その際、一番重要なのは、地域の実情を踏まえて組織していただきたいということであります。

条例ということで申し上げれば、条例がないからこの協議会をつくりませんよという理屈はないということであって、当然条例化できるのであれば条例化していただくことは全然問題はありませんし、やぶさかではございません。ただ、条例がないからといってこの協議会をつくらないという理屈はないよという趣旨でございます。

2つ目の質問につきましては、さまざまな協議会の運営の仕方があるわけでございまして、お示ししたような、構成機関等を眺めていだたきますとわかりますように、結構大きな委員会を想定してしまうとなかなか地域によっては荷が重いということがあろうかと思いますので、そこの運営の仕方についても、こういう大きな親委員会を立ち上げていただいて、その下にある種実務者委員会というようなもう少し小回りのきくものをつくるという、そういう2段階の構えもあるのかなということでありまして、これも必ずしもこのとおりにやらなければいけないということではなくて、あくまでも地域において協議会を動かしていただくための方便といいますか、そういうようなものを例示的にお示ししたと御理解いただきたいと思います。

○ 石川委員長 それでは、北野委員、お願いします。

○ 北野委員 北野です。

特に障害者差別解消法のほうでは明確にされていなかった、明記されていなかった障害者当事者を地域協議会のほうに参加、参画できるというように明確していただいたのは非常にうれしく思っております。

1つ私のほうの意見ですけれども、最初に地域協議会を組織する趣旨のところで、個別事案ごとに差別か否かの判断を行うことまでは想定されていないことを留意と書いていただいておりながら、一方で3番の②で「事案の解決を後押しするための協議」と書いてありますね。つまり、事案を解決するということは何らかの形で判断がなければ、差別があるかどうかわからないのに事案を解決することは難しいでしょうから、ここは問題を解決するための解決のための権限は法的に有していないということはわかるのでありますけれども、余り差別か否かを判断することについて強調されないほうが3との整合性はとれるのではないかなと思いました。

以上です。

○ 石川委員長 これは御意見ということでよろしいでしょうか。

○ 北野委員 はい。

○ 石川委員長 それでは、時間が押していますので、あと三浦委員長代理、最後にということで。

○ 三浦委員長代理 全国身体障害者施設協議会の三浦でございます。

いただきました指針のイメージ図の枠の中に、相談窓口としても非構成としても出てきているNPO法人という記載、これは内閣府がさきに出されました差別解消法のパンフレットでも「NPO法人等」ではなくて「NPO法人」と書かれておりまして、これは断定的なものなのかどうかをお尋ねしたいと思います。地域によっては一般社団の法人で、ここに見合う団体もあるかもしれないので質問です。

○ 石川委員長 事務局、お願いします。

○ 加藤参事官 先生、恐縮でございます。まさに先生の御質問の趣旨のとおりでありまして「NPO法人等」でありまして、ここはイメージという形であくまでもそういうように簡単にお示ししています。

○ 石川委員長 それでは、時間もございますので。

○ 野澤委員 すみません。私から一言。

○ 石川委員長 どうぞ。

○ 野澤委員 大変貴重な御意見、ありがとうございます。できるだけ皆さんの意見、今後も反映していきたいと思っております。

この地域協議会は本当にどうやればうまく機能するのか、この1点にかかっているような気がするのです。先ほどもありましたけれども、条例がなくてもできますけれども、やはりいろいろ考えると条例があったほうが機能すると思います。でも、これをこちらから強制するわけにはいかない。やはり地域主権というのが大前提ですので。こういうものを取り組みながら、やはり条例があったほうがいいねという声が地域のほうで起きていただくのが理想なのかなと思っております。

もう一つは、うずもれている差別というか、つらい思い、嫌な思いをしているものをどうやって表に出してくるのか、これがとても重要なところで、これをやるには障害当事者や家族、ここがきちんと地域の中にかかわっていかないと本当の声は出てこないと思うのです。ですので、この点については今後も重視して取り組んでいきたいと思っております。

以上であります。

○ 石川委員長 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

それでは、報告の2つ目としまして、平成25年度の障害者権利条約国内モニタリング国際調査実施報告ということで、これは私のほうから簡単に報告させていただきます。正式な詳細な報告書は5月末、もしくは6月になろうかと思いますので、きょうは本当に簡単に報告させていただきます。

まず、調査目的は諸外国の国内モニタリングの実施状況を把握することにより、我が国の障害者政策委員会の運用などの国内モニタリングの適切な実施に役立てることを目的としています。調査対象国として、イギリス、ドイツ、韓国、オーストラリア、そしてアメリカの5カ国。ただし、アメリカは締約国ではございません。この5カ国を対象としています。

3番目に調査事項ですけれども、障害者施策に関する基本的な枠組み、関連組織、法令、基本計画等。

2つ目として、障害者権利条約の国内実施体制。

3つ目として、国連の第1回の報告書の策定課程について。

4つ目として、国内モニタリングの枠組みについて。

5つ目として、その他となっています。

ここでは、調査結果の概要として、さきの①~⑤のうちの②~④について簡単に報告いたします。

まず、実施体制についてですけれども、調整の仕組みは国によりかなり違っているといいうことがわかりました。例えばイギリスは中央連絡先が調整の仕組みを兼ねているのに対して、例えばドイツは連邦政府弁務官が調整の仕組みと指定されており、その弁務官の下に包容諮問委員会という市民社会から委員を務める委員会を持って調整の機能を充実させています。

一方、韓国は非常設の障害者政策調整委員会というものが調整の仕組みとして指定されているといったような具合です。

また、基本計画の策定については、イギリスとドイツは条約を批准してから全国レベルの障害者総合計画をつくるようになっています。

それから、市民参加についてですが、各国ともに調整の仕組みは政府と市民社会との対話の場として機能しているように思われます。次に、調査項目の3番目です。第1回の国連への報告の策定課程の特徴ですけれども、イギリス、オーストラリアは政府と人権委員会と市民社会である程度意見交換し、調整を行って報告書を出しているのに対して、ドイツは独立性を重視しています。そして、ドイツの人権機関も単独で報告を提出しています。これが特徴です。

4つ目の国内モニタリングですけれども、まず指標についてですが、モニタリング指標や関連統計については、韓国は以前から整備してきた実績があるものの、調査した他の国については、条約批准後に数値的なモニタリング指標の整備を進めており、障害者施策の進捗を定量的に把握できるような基盤づくりを目指しているということが言えます。

次に独立した仕組みの役割についてですけれども、これも国によりかなり異なっています。イギリスは平等人権委員会、ドイツはドイツ人権機関、韓国は国家人権委員会、オーストラリアはオーストラリア人権委員会という機関があります。ちなみにアメリカは全米障害者評議会です。

まず、独自調査機能、これは全ての独立した仕組みが持っています。

政府への助言、提言、これも全て持っています。

個別の事案についての申し立てを受け付けるかどうかについてですが、イギリス、韓国、オーストラリアは受け付けます。ドイツ、アメリカは受け付けません。

それから、調停、これも同様です。イギリス、韓国、オーストラリアには調停機能がございます。

国連への報告ですけれども、ドイツとオーストラリアは単独で独立した仕組み、人権機関が、国としての報告、市民社会の報告とは別に独立に報告を出しています。

それは、国連の権利委員会からの要請で提出した、あるいはするのか、あるいはそれぞれの国の人権機関から自発的に報告をするということなのか、最終確認中です。

調査のまとめですけれども、新しい知見が多く得られました。各国における障害者政策の基本計画やモニタリング指標等の整備状況は、少なくとも各国が障害者権利条約を批准した時点においては、国によって相当のばらつきがあったことが伺えます。それらの整備がおくれていた国では、条約批准後に新たな基本計画の策定であるとか、数字的なモニタリング指標の策定であるとか、関連する統計調査の整備等が政府により積極的に進められております。

一方、独立した仕組みの国内モニタリングへのかかわり方は国によって異なっており、中央連絡先や調整のための仕組みについては以前からの継続性というものがあって、その上でそれを権利条約に対応する方向で手直しをしてきているといったことが言えると思います。

障害者の権利委員会に独立した仕組みが独自に報告を行う国もあったということは、注目すべきであると思います。我が国においても、国内モニタリングの基盤となる指標と統計の整備や、障害者政策委員会の監視にかかわる取り組みの具体化を進めていく必要があると考えています。

本委員会として、権利委員会から求められてか、あるいは自立的にかはわかりませんけれども、第1回の報告を行う、提出する際に、本委員会として単独の報告書を出す可能性もあり得るということも一応念頭に置いておいたほうがよいのかもしれません。

私からの報告は以上です。

それでは、これにつきましても時間的に余りありませんけれども、御意見、御質問があればお受けしたいと思います。

それでは、勝又委員、お願いします。

○ 勝又委員 ありがとうございます。勝又です。

1つ質問と1つ意見ですが、1つは、この報告書というのは5月末を目途に最終報告をまとめる予定であるとありますけれども、どういう形で報告のまとまったものが公表されるのか。報告された後、この報告書について、今後、政策委員会のほうで何らかの質問をする機会があるのかどうか、それがまず1つ質問です。

1つは意見ですけれども、恐らく、もちろんされていると思いますけれども、各国で障害者についての国の調査といいますか、その国の中で障害者が置かれている状況というものを全国民の中であらわすような、そういう公的な調査というものがあるのかないのか、どういうような形で行われているのかというようなことは、この調査の中で明らかになっているのかどうか。2つ目の質問です。これは報告書を見ればわかることですけれども、事前に聞いておきたいということで、2つ質問いたします。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

前者、できれば後者も、外形的な部分については事務局のほうから報告していただければ幸いです。

○ 加藤参事官 報告書がまとまった時点でこの政策委員会の先生方にはお配りするようなことを今のところ考えています。したがって、その時点で御質問等があれば、むしろサジェスチョンいただけるならばありがたいと思っています。

今回は、あくまでも国内モニタリングの実施体制ということで調査しておりますので、そのモニタリングの中身として具体的にどんな調査があるのかというところまではまだ掘り下げていません。ただ、次の段階としては当然各国がどういうレポートを出しているのか、その中身を見てみたいと思っております。

○ 石川委員長 それぞれの国がどのような統計データの収集を行っているかについて、そこまで踏み込んだ調査を今回の調査ではできていないと御理解いただければと思います。必要性は感じました。

以上です。

それでは、佐藤委員、お願いします。

○ 佐藤委員 日本社会事業大学の佐藤久夫です。ありがとうございます。

日本では、ことしの1月に批准をしたわけですけれども、先行している先輩格というか、既に批准をしている国々がどういうふうに実行しているかというようなことについてきちんと勉強するというのがすごく大事なことで、大変貴重な調査をされたと思います。

この8ページのところを見ますと、先行する国々におけるこれらの取り組みを参考として、我が国においても国内モニタリングの基盤となる指標整備や、障害者政策委員会の取り組みの具体化を進めていく必要があると書かれております。この調査の結果から明らかになっていることは、どういう体制を組んでいるかということに関して、中央連絡先と調整の機関と独立した仕組みという3つがそれぞれの国でどうなっているかというのを調べているわけです。そこで政府自体が実行してそれを監視するというのはおかしいので、独立した者が必要だということで、それぞれの国は独立した仕組みで監視をするという体制を組んでいると思うのですけれども、8ページの先ほどのところでは、障害者政策委員会がどういう取り組みをするかを検討すると書かれているところを見ると、この障害者政策委員会を監視の仕組みとして活用しようという方向が伺われるわけですけれども、それでいいかどうかですね。

例えばこの報告に出てきているオーストラリアの人権委員会というのは、100人のスタッフを雇って、年間約15億円の予算で活動しているところです。韓国の国家人権委員会も11人の委員会の中で4名は大統領が指名して、国会が4名を選出して、大法院の長官の指名が3人の合計11人となっていて、つまり、国会からも政府からも司法からも独立しているような独立性を持った委員会でやっているわけで、たくさんの課に分かれて相当活動しているわけで、そういうものと比べるとこの日本の障害者政策委員会。独立しているのか、していないのかよくわからない。障害者団体の障害者はたくさん入っていますけれども、我々も独自の予算を持っているかどうかよくわからないし、委員のほうからいつどんな議題で開催しようということが言えるのか言えないのかもよくわからないような、この政策委員会がほかの国々の監視機構とは大分違うのではないかと思いますので、その辺どうお考えなのか、お伺いできればと思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

あくまで私見ということで、事務局のほうからまた別途あるかもしれませんが、独立した仕組みは1つである必要はなく、複数あって構わないというのが権利条約に規定されているところだと思います。現に、報告では述べませんでしたけれども、調整の仕組み、例えばドイツの場合、弁務官が調整の仕組みを担っておりますけれども、弁務官の下に包容諮問委員会という、いわゆる当事者参画型の、つまり市民社会の代表が集まってモニタリングと言ってよい、政策に対する評価や意見を述べるといったようなことをしております。

人権機関は人権問題の全般を扱っていて、その中の一部の担当者が障害者の権利にかかわる、障害者の人権に係ることを担当しているということで、ここはいわゆる独立した准司法機関のような場所ですので、当事者参画については、そういった点はむしろ考慮されていないということがあります。ですので、それぞれの機関によって同じモニタリングと言っても双方的にというか、補完的な役割を果たしているという国もありますので、今、現状で日本がやろうとしているのは政策委員会によるモニタリングということですけれども、それで十分機能できるかどうかということについては、これからの政策委員会の仕事と、それを支えていただく内閣府の御努力等にかかわってもいるかとも思います。

もし、事務局のほうから補足がございましたら。

○ 加藤参事官 事務局といたしましては、いずれにせよモニタリングということをやっていく。現在、私どもが考えておるのは、この障害者政策委員会でそういう役割を担っていただくのかなと考えております。したがって、事務局としては、現在、障害者政策委員会の任務といいますか、職務が全うできるよう、必要なことは検討していきたいと考えている状況でございます。

○ 石川委員長 ありがとうございます。

時間が押してきましたけれども、後藤委員と北野委員にも御発言いただきたいと思います。そこまでとさせてください。

後藤委員、お願いします。

○ 後藤委員 日本福祉大学の後藤でございます。

モニタリングは結局、評価、審査されるわけですので、2年なり4年が来たときに、その時点ではこうなっていますと記述して事実を報告するという性格のものではなくて、出口を見てどうあるべしということを考えながらやっていくものではないかと思います。それを2年が来たときに考えたのでは遅いと思います。

事前に考えるべき点として2つあると思います。防衛的な面と先取り的な面です。

防衛的な面は、今も御議論が出ておりましたが、やはり国際的な相場というか、求められる水準というのがあるでしょうから、その勉強はしていく。その点で、資料の権利条約の引用の一番最後の3項目目に市民社会の参加と書かれてあります。そこからいきますと、障害者や障害者団体対当局という2項的な問題ではなくて、第三者、一般的な市民の理解と支持というのが、例えばアクセシビリティを広めていくときにはすごく大事です。その点、日本は市民社会が運動して声を上げていくというのはかなり弱いと思います。

したがって、待っていて市民社会が動きませんでしたではなくて、何かで応援をするということを意図的にも政策的にもやる。それは市民は市民が動くのだろうではなくて、そこの配慮もあっていいのではないか。このあたりが防衛的なものです。

あと先取り的なもの、単にバツがつかないようにと守りをやっていくのではなくて、日本ならではの親切さとか物理的なアクセシビリティは国際的にみても進んでいる面もありますので、それを世界に発信していく、そういうところにもぜひ使いたいと思います。そういう配慮もお願いしたいという意見です。

○ 石川委員長 御意見ということで。

○ 後藤委員 そうです。

○ 石川委員長 それでは、北野委員、お願いします。

○ 北野委員 この国際調査の報告、ありがとうございました。少し勉強させていただきました。今後の障害者政策委員会の役割について若干提案させていただきたいと思います。

1つは、国連への報告作成に向けて国内モニタリングにおける障害者政策委員会の役割を明確にしていただいて、それを実行できるような、担保できるような事務局体制と調査のプロジェクト体制づくりをどうぞよろしくお願いしたいと思います。

2つ目は、権利条約に見当たったモニタリングの指標を設定する必要があると思うのですけれども、これをこの政策委員会で議論できるようにしていただけたらと思います。

3つ目は、モニタリングの指標に必要になるデータの収集に当たって、国内調査の戦略が必要だと思います。これについては、以前の議論の中で佐藤委員や勝又委員も述べられておられたように、障害者と障害を持たない方との比較の調査が必要になってまいりますので、この比較ができるような、どういうようにデータを収集するのか、あるいは男女の格差の問題が明確に調査できるような、そういう指標をとれるような調査をできるような仕組みを御検討願えたらと思います。

最後に、恐らくモニタリングして国連への報告の後、佐藤委員もおっしゃってもらったように、あるいは関口委員もおっしゃってもらったように、あるいは後藤委員もおっしゃってもらったように、今後ギャップが出てきた場合、そのギャップを埋めるために国内のアクションプランというものがまた必要になってくると思われますので、アクションプランにつきましても政策委員会が関与できるような展開にしていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 石川委員長 御意見ありがとうございます。

それでは、報告についてはここまでとさせていただき、2時30分まで休憩といたします。再開は2時30分ということでよろしくお願いします。

○ 関口委員 済みません、手を最初から挙げていましたけれども、いいですか。

ちょっとだけ確認したいのですけれども、ここで御報告された国々の中で、いわゆるパリ原則に沿った国内人権機関がある国は幾つかあるのか、どこなのかということを御説明願いたいのと、それから、権利条約33条2項でshall take into accountと英文ではなっていますけれども、パリ原則を考慮に入れるということで、必ずしも従う義務はないと読めるわけですけれども、考慮に入れるということは、多分考慮に入れたと思うので、どの点を考慮に入れたのか。つまり、政策委員会が今後この33条を履行するに当たって、考慮に入れると書いてあるので、どの点を考慮に入れたのか。例えば予算面なのか、独立面なのか、どういうところを考慮に入れてこの制度設計がなされているのかということを御説明いただきたい。

○ 石川委員長 答えられる範囲で私のほうからお答えし、事務局のほうから補足をいただくということにさせてください。

まず、網羅的に締約国140あるいは141ありますけれども、それについて調べたわけではなく、幾つかの国に絞って、大体OECD諸国に絞って、さらに4カ国、5カ国に絞って調査をしているので、全体についてはわからないです。

○ 関口委員 4カ国、5カ国の中でそもそもパリ原則に沿った国内人権機関が例えば韓国はあると思いますけれども、一体幾つあるのですかということですか。

○ 石川委員長 全部だと思います。よろしいですか。4カ国とも独立した人権機関を持っている。

○ 関口委員 日本だけがないということですね。

○ 石川委員長 日本については、いわゆる人権機関、人権委員会というのは御承知のようにないですね。

2つ目の件については、事務局でお答えいただけますか。

○ 加藤参事官 障害者政策委員会につきましては、まず障害者基本計画の実施状況を監視して内閣総理大臣または内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告する権限を有するということでありますし、また、監視において必要があると認める場合には、資料の提出等の協力を求めることができるということが法律上定められておりますので、その意味では独立した仕組みというような形で担保されていると考えているところです。

○ 石川委員長 関口委員、よろしいですか。よろしくないかもしれませんけれども、時間も押しているので、また。

○ 関口委員 結構です。

○ 石川委員長 2時30分と思ったのですが5分では厳しいので、2時35分とさせてください。2時35分から再開します。

(休憩)

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