障害者政策委員会(第15回)議事録 3
○ 石川委員長 再開します。事業者および行政庁の皆様について御紹介を事務局からお願いいたします。
○ 加藤参事官 このパートでは、全国宅地建物取引業協会連合会政策推進委員長の小林様。
警察庁長官官房総務課参事官の松坂様。
法務省大臣官房秘書課付の初又様。
刑事局参事官の佐藤様。
矯正局成人矯正課企画官の花村様から意見を伺います。
以上です。
○ 石川委員長 それでは、全国宅地建物取引業協会連合会の小林様からよろしくお願いいたします。
○ 小林氏 御紹介いただきました、全国宅地建物取引業協会連合会の政策推進委員長をやっております小林と申します。早速説明させていただきます。
まず、私どもの組織概要を簡単に御紹介いたします。
私どもは、全国10万社の宅地建物取引業者で構成されております。その多くは地域密着型の中小零細企業で、不動産の売買や賃貸の仲介等を主な業務としております。
それでは、個別の説明に入りますけれども、御案内のとおり、不動産には一般の物品サービスと異なる特殊性がございます。そのため、今回の問題の整理に当たりましては、不動産の特殊性を踏まえた幾つかの前提を御理解いただく必要がございます。簡単に御紹介いたします。3点ございます。
まず1点目でございます。不動産の契約締結手続、これに関しましては、売買・賃貸双方が問題になること。そして、いわゆる制限行為能力者制度、これが適用される場合には、当該制度により契約の有効性等は確保されますので、契約手続上の問題は回避できます。ただし、契約内容は不動産ごと、契約者ごとに異なることから、画一的な取り扱いが難しい、そういうことに御留意をいただく必要がございます。
2点目、特に賃貸借契約でございますけれども、賃貸借関係は、継続的な関係でございます。障害者の方が飲食店や公共交通機関等を利用する、そのような場合のような一時的な問題と異なる側面がございます。賃貸物件で多数を占める共同賃貸住宅、賃貸マンションあるいはアパート等でございます。
そこでは、同一建物内で生活をする別な入居者、この方たちへの影響も考慮する必要があることなど、特殊性を考慮する必要がございます。また、賃貸住宅、経営者は、小規模零細事業者が多数であること。これにも御留意をいただきたいと思います。
3点目でございます。賃貸人には賃借人に対して、物件を目的に従って利用していただく法的な義務があるということでございます。住宅の場合、住居として利用するに当たり、通常有すべき安全性、これを備えた物件を提供することが求められます。また、土地の上にある工作物の瑕疵、これにつきましては、通常有すべき安全性の欠如という問題がございますが、これに伴う事項等に対して、無過失の損害賠償責任を負っております。したがって、賃貸借をする際には、一般的に賃借人御自身や他の居住者の安全性、これは賃借する部屋のみならずエントランス、廊下、階段等の共用部分、これを含めた建物全体の安全性でございますけれども、これを確保できるかが賃貸人にとっても重要となります。
その一方で、規模や形態、建築時期の異なる賃貸住宅におきましては、現状では専用部分、賃借部分でございますが、これと共用部分を含めましてユニバーサルデザインとなっているものは多くない、このことに御留意をいただきたいと思います。
以上のような市場特性がある中で私ども宅建業者は契約成立に尽力する仲介業務や物件の管理業務等を行う、いわゆるプレイヤーとしてかかわっております。買主や賃借人に安心、安全な住宅等を提供することは、私どもの重大な責務ではございますけれども、物件の供給元である売り主や賃貸人の意向、これは私どもが行う仲介や管理等の業務運営に大きな影響を及ぼすことに御留意をいただきたいと思います。
以上の前提を踏まえた上で、各設問について特に申し上げたい事項のみを説明いたします。
まず、不当な差別的取り扱いの基本的な考え方に関する部分ですが、設問1、2にありますように、例えば契約時において、①建物の構造や設備、共用部分の状況等から、障害者である賃借人の安全性が確保できないことが明らかな場合、そのことを理由に契約を拒否することや、②賃借人自身を含め周囲の安全・安心な居住環境の確立のためには、親族や支援ネットワーク等によるバックアップ体制が必要である場合において、障害者の方の側において当該バックアップ体制が確保できないことを理由に契約を拒否すること。
③障害者が日常生活の上で物件内に一定の設備等が必要とされる場合において、賃借人の負担で当該設備を設置し、退去時に撤去等の原状回復を行うことなどを賃貸条件とすること。
④賃借人の現在の状況等につきまして、客観的な情報がありませんと、賃貸人の理解を求めることが困難な場合がございます。賃借人の現在の状況や日常生活上の留意点、これらにつきまして信頼性ある第三者を介しての情報提供を求めること。
こういったケースは正当な事由がある場合として御配慮いただきたいと思います。
続きまして、設問1-4の合理的配慮をする場合の何が過重な負担となるかという点でございます。
その判断要素として、賃借人が障害者であることをあらかじめ想定した建物や設備である場合、またそうでない場合、あるいは賃借人にバックアップ体制がある場合とそうでない場合、これらの場合では配慮に要する賃貸事業者・宅建業者・管理業者、これらの負担が大きく異なります。それぞれの場合ごとに当該配慮に要する能力、時間やコストを踏まえ、過重性を判断する必要があるものと考えます。
過重な負担の具体例としては、契約時において、①筆談等を超えて、重要事項説明書や契約書、これをあらかじめ点字化等しておくこと。
②従前はユニバーサルデザインではない建物や設備につき、賃貸人の負担で所定の設備等を整えること等は、事業者に求める負担としてはかなり過重であると考えます。
続きまして、設問1-5の行政機関における差別解消への取り組みにつきましては、既存の建物等につき障害者も安心して利用できるようにするためには、建物、設備等の改造等が必要となるケースがあるため、設備等への改造に要するコストにかかわる一定の支援方策を構築すること、また、賃貸借契約期間中等にトラブルが生じたとき、賃貸借の特殊性を踏まえ、かつ公正、中立な立場で迅速に処理できる紛争処理体制の確立と支援等を要望いたします。
最後になりますけれども、5の上記以外の事項についてでございます。
事業者と一口に言っても事業の形態、規模、障害者のかかわり方等、個々の事業ごとにそれぞれことなる特殊性がございます。不動産、とりわけ賃貸住宅事業に関しましては、冒頭の前提でそのことを明示いたしましたけれども、基本方針の作成に当たりましては、このような事業の個別性に応じて異なる取り扱いがなされること、もしくは異なる取り扱いが許容されること、これを明記していただきたいと考えます。
また、具体の場面を想定した場合、障害者及びその支援者側で一体の対応が必要なことも少なくないので、障害者側向けの記載も必要ではないかと考えます。また、一般国民も法4条で一定の責務を負っておりますので、事業者、障害者、行政、一般国民、全てが障害者差別の解消に向けて取り組むべきであるという障害者差別解消法の精神、これを改めて基本方針に記載することも必要ではないかと思います。
以上、要点のみ説明させていただきました。ありがとうございました。
○ 石川委員長 小林様、ありがとうございました。
それでは、次に、警察庁の松坂様、よろしくお願いいたします。
○ 松坂氏 ただいま御紹介いただきました警察庁の企画参事官をしております松坂でございます。
私からは、警察における障害のある方への対応につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。
まず、警察では、警察職員の職務倫理及び服務に関する規則というものをつくっておりまして、その中の職務倫理の基本という項目で、人権を尊重し、公正かつ親切に職務を遂行することをはっきりと記載しております。これを基本原則としまして、警察庁としては、障害を持った方が警察の窓口等を利用される際、配慮すべき事項について記しました障害を持つ方への接遇要領あるいは人権に配意した警察活動のための手引といった資料を作成し、全国警察に配布するなどして、障害を持つ方の障害の種別に応じ、適切な対応、配慮がなされるよう取り組んでいるところでございます。
例えば交番につきましては、新設をする際に、入口にスロープや点字ブロックを設けるなど、バリアフリー化を進めております。また、警察施設は古いものもまだたくさん残っておりますが、そういったものも含めまして全ての施設で歩行などに障害のある方が来所した場合には、在所する警察官等が介助するなど臨機応変の対応を進めております。
あるいは話し言葉によるコミュニケーションに困難のある方などに使っていただくことを目的に、コミュニケーション支援ボードを作成しまして、全国の交番などに配布しているところでございます。
また、聴覚や言語に障害のある方が犯罪の被害に遭われたり、あるいは犯罪を目撃した場合については、警察への緊急通報ができるよう、全国警察でファックス110番あるいはメール110番といったものを導入しております。また、こういった方からお話を伺う際、必要に応じて御家族に御同席をいただくなど配慮を努めているところでございます。
一方、障害のある人が被疑者または参考人となった場合についてでありますが、犯罪捜査規範に、取り調べに当たって被疑者あるいは参考人の特性を十分に理解し、時間、場所などに配慮するとともに、供述の任意性に疑念が生じることのないよう、その障害の程度等を踏まえ、適切な方法をとることを記載してございます。また、これを受けまして、具体的に警察庁から発出をした通達において、障害の種別ごとに留意すべき事項を指示しているところでございます。
以上のような取り組みを警察として進めている中で特段御意見というわけではないのですが、資料に2点記載をさせていただきました。お手元の資料の33ページ、1-2というところでございます。
取り扱いが本人もしくは他人の生命等に対する危害の防止または公共の安全等の維持上、必要と認められる場合等は、正当な理由があると考えるという意見でございます。
私ども警察が所管をしている法令の中には、危険物の取り扱いに関する法令が多数ございます。そういった危険物の取り扱いなどを始めとする取り扱いに慎重な配慮が必要とされるものにつきましては、物の性質上、一定の条件を課しているところでございます。こういったものは、公共の危険を防止するという観点から、必要な制限と考えていることに御理解をいただきたいと思います。
また、先ほども御説明申し上げました被疑者等となられた場合の取り扱いにつきまして、34ページの5、上記以外の事項のところで、ただいま御説明申し上げましたような警察の今の取り調べにおける配慮について記載させていただきました。こういった点につきましても御理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
警察におきましては、今後とも引き続き不当な差別的な取り扱いというものがないよう、障害者差別解消法等に基づき、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。どうぞ引き続き御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、法務省の初又様ほか皆様、お願いいたします。
○ 初又氏 法務省でございます。今、紹介をしていただきました、私は法務省の大臣官房秘書課の初又と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、今回、基本方針に関するこうした意見交換の場を御用意していただき、ありがとうございます。法務省は法務行政を所管しております。日ごろ市民の皆様とも接する機会の多い職場だと考えております。多くの職員がおりますけれども、これらの職員に対し、やはり障害者の皆様方に対する配慮といったようなものがきちんとできるように、今後とも教育、教養を深めていきたいと考えているところでございます。また、こうした基本方針の策定について、法務省としましても、皆様とともに一緒に考え、御協力をさせていただきたいと考えております。
今後、基本方針に基づき、障害者の皆様方に対して私たちの職員が適切に対応をするため、対応要領を作成していくことになります。これに先立ちまして、本日は法務省から、特に時間もございませんので3点に絞って御説明、お話をさせていただきます。
1つは、まず職員研修に関すること、刑事手続に関すること、刑務所などの矯正施設に関する、この3点をお話しさせていただきたいと思っております。
早速ではございますが、資料の36ページをごらんください。下のほう、1-5のところから御説明をしたいと思います。
まず、研修についてということで、どのような取り組みをするべきであろうかという問いがございましたので、法務省のほうから少し意見を書かせていただいております。
まず、法務省では、従前から各職員に対して、障害者の皆様方に対する配慮、こうしたものをきちんとしていくようにということを各局などが中心となりまして指導してまいりました。こうした研修は、今後ともさらに皆様方の状況などを踏まえて発展させて、さらに深めていきたいと考えております。
そして、国の行政機関が行うこうした取り組みについては、やはり著しく整合性を欠く事態は避けるべきであろうと考えていますし、また、可能な限り必要な調和を図っていくことが望ましいと考えております。
また、法務省は、全国津々浦々に役所がございます。職員も多数の職員が全国に散らばっております。これらの多くの役所で、また職員が徹底した研修、それからレベルの一定の研修を受けるために、例えば私たちとしては、専用のDVDをつくってそれを閲覧する方法であるとか、あるいはコンピュータの端末、それを通じて今eラーニングというような方法なども行えればよいと思っているところですので、そうしたことを通じて津々浦々の職員、仕事に応じた教育をしていきたいと思っておりますし、ほかの省庁の皆さんが配慮する、当然役所として配慮しなければいけないことはぜひ統一的に教育をしていきたいと考えております。
そういった意味で、これは1つ我々としてはきょう主催をしていただいておるところにお願いでもございますけれども、各府省庁、これが一堂に会する合同研修なども開いて、互いに意見の交換しながら進めていけたらよいのではないかと考えております。
研修についてはこういったところでございますけれども、私たちは従来からほかの省庁とも協力して研修の方法をいろいろ工夫してまいりました。先ほどDVDを使ったらいかがという話をしましたが、従前も内閣官房等から各省に対し研修用のDVDが作成され配付し、それを使って教養を深めてきたということもございました。ぜひそうした取り組みを今後とも協力しながらできたらいいなと考えております。
続きまして、刑事手続に関することについて刑事局の担当者から説明をいたしたいと思います。
○ 佐藤氏 法務省刑事局の参事官をしております佐藤と申します。よろしくお願いいたします。
私からは、刑事手続についてどのような配慮がなされているかという実情を御説明いたします。
刑事手続といいますと、犯罪が起きた場合に主に警察が犯人、被疑者を逮捕して、その後、検察庁に事件が送致されて、そこで検察官が起訴をするか、あるいは不起訴にするかという判断をして、起訴をした場合には今度は裁判、刑事裁判になる。その後、有罪判決が出れば、場合によっては刑事施設に行くと、このような一連の流れを称して刑事手続と言いますが、それについてどのような配慮がされているかということを説明します。
大きく分けると、そのうち前半が捜査にかかわること、後半が公判、裁判にかかわることですので、それぞれについて御説明いたします。
まず、捜査手続における配慮ですが、被疑者となった方には、当然権利の告知をしなければなりません。その権利の告知の内容は、弁護人を選任する権利であるとか、あるいは取調べに当たって言いたくないことは言わなくていいという黙秘権の告知があります。
刑事訴訟法上必要とされている逮捕状、捜索差押令状などの提示、それから、先ほど申し上げました逮捕の際の弁護人選任権の告知、被疑者取調べの際の黙秘権の告知という手続は、相手方の権利を保護するためのものでありますので、相手の方がその内容を十分に理解することができるような適切な方法で行わなければなりません。
障害をお持ちの方に対してこれらの手続を行うに当たりましては、聴覚障害者に対する手話通訳などの利用、あるいは知的障害者の方に対する分かりやすい言葉での説明など、障害の内容、程度に応じた適切な配慮を行い、実質的に権利の保護を図るということが必要になります。
もし、そのような配慮を欠いた場合どういうことになるかというと、当然逮捕の手続が違法となり、裁判所がその後の勾留手続を認めないということになりますし、作成された供述調書について、任意に供述がされたものではない疑いがあるとして証拠能力が否定される場合があります。
また、取調べの方法ですが、被疑者や参考人に対する取調べというのは、当然対象者の特性を考慮して適切な方法により行うことが必要です。障害をお持ちの方が被疑者になる場合もあれば被害者になる場合もありますが、いずれについても適切な配慮をしなければならないわけです。そこで、捜査実務におきましては、知的障害者などの方に対しては供述特性を踏まえた分かりやすい発問、質問を行うこと、聴覚障害者の方に対して手話通訳や筆談を用いること、また、必要に応じて検察官らの捜査官が自宅や病院などに赴いて、保護者や医師の方の同席のもとで事情聴取を行うなどの配慮を行っています。
また、検察当局におきましては、現在、被疑者の身柄を拘束している事件で、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に係る事件及び精神の障害等により責任能力の減退・喪失が疑われる被疑者に係る事件について、取調べの録音・録画の試行に取り組んでいます。
これまでこの録音・録画の試行に取り組んできましたが、本年10月からは試行を終えまして本格実施、もうこれからはずっと実施していくということを決めて実施する予定でおります。
次に、公判に関する配慮ですが、こちらは刑事訴訟法ないし刑事訴訟規則上の規定として以下のようなものがありますので、それらを適正に活用するということになります。
かいつまんで申し上げますと、まず、障害をお持ちの被告人に関するものとしては、一定の場合に裁判所が職権で弁護人を選任するという制度があります。また、被告人が心身喪失の状態にある場合などは、公判手続を停止するという制度があります。
また、障害をお持ちの証人の方もいらっしゃるわけですが、こうした方々については、心身の状態等に応じて証人を保護する制度があります。例えば傍聴席から見えないように遮へいをする、あるいは介護の方が証人尋問に付き添う、あるいはビデオリンクということで別のところからビデオで中継する、こういった制度が既にあります。
また、被告人、証人に共通するものとしては、聴覚障害者等に対する通訳あるいは書面による尋問、こういった制度もございます。
以上、刑事手続に関する配慮の例を説明させていただきました。
○ 初又氏 続いて、矯正施設に関することについて矯正局の担当者から説明をいたします。
○ 花村氏 法務省矯正局成人矯正課で企画官をしております花村と申します。
私のほうから、矯正施設の関係についてお話をさせていただきます。39ページのところになります。
矯正施設、これは罪を犯したことによりまして裁判所等で有罪の判決などを受けますと、一定期間施設に拘禁、収容されるということになります。刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所などを総称いたしまして矯正施設というふうに申し上げております。
今回、この基本方針の作成に当たりまして、矯正施設につきましては、他の行政機関とあわせて検討を行うことで十分であり、それを超えてまで矯正施設の処遇、処遇というのは矯正施設の中で生活する者、受刑者でございますとか少年院に入っている少年など、これらの者に対する取扱い、英語で言いますとトリートメントという言い方になりますけれども、そういった取扱い全体について申し上げて使っておる言葉でございます。例えば刑務作業に従事するであるとか、教育を受ける、職業訓練を受けるなど、生活全般に関してのことでございます。その矯正施設の処遇に関しまして、特例的に検討をすべき必要性までは認められないものではないかと考えているところでございます。
その理由、2つ目の○のところに記載をさせていただきました。矯正施設、中でも刑事施設、これは刑務所、少年刑務所、拘置所について刑事施設と申し上げておりますけれども、この刑事施設につきましては、刑事収容施設法、正式な法律の名前は刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律と申しますけれども、刑事収容施設法に基づきまして、また少年院及び少年鑑別所におきましては、少年院法等その他関係例規に基づきまして、個々の受刑者や少年など被収容者等の状況や特性に応じた処遇を行っておるところでございます。
必要とされます配慮につきましては、こういった受刑者、少年など被収容者等の障害の程度などを踏まえまして、個別具体的に判断されるものであろうと考えておりまして、これを類型的にその内容を定めるというようなことはなかなか難しい、到底困難と考えておるところでございまして、この点について御理解をいただきたいと考えております。
また、刑務所、少年刑務所、拘置所、刑事施設におきましては、刑事収容施設法上、受刑者と被収容者などによります不服申立制度が設けられております。また、この制度のほかに各刑務所、少年刑務所、拘置所には、刑事施設視察委員会というふうな第三者の入りました委員会を置くこととされております。この委員会のメンバーは、弁護士さんでございますとかお医者様、それから地方自治体の職員など、刑務所以外、外部の有識者の方々が刑事施設の運営に関しまして意見を述べる仕組みということが設けられております。
また、同じような制度でございますけれども、平成26年6月に少年院法と少年鑑別所法が新たに成立をいたしました。この新しい法律のもとでも少年院、少年鑑別所にこういった視察委員会を置くというふうにされております。
以上でございます。
○ 初又氏 法務省からは以上でございます。また、基本方針の案が示されましたときには、私どもとしても積極的に検討し、また意見交換などをさせていただければと考えております。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
それでは、残り時間、約15分ぐらいですけれども、委員からの御質問を受けたいと思います。今度は正面に向かって右側、つまり、大河内委員から大濱委員まで。
委員、ではお願いします。
○ 精神障害者の家族会のと申します。
実は、宅地建物協会の方に少し意見と質問をさせていただきたいと思いますが、現在、精神障害者に関しましては、国の方針といたしまして、地域移行ということが強くうたわれておりまして、かなりの数の精神障害者が地域移行をしようとしているのでありますが、これがなかなか現在進んでいないという実情もあります。それはやはり住まいの問題ではないかと思うのですが、住まいといたしましては、やはり今グループホーム等があるのですが、なかなかそれも需要に足りていないということで、家庭に戻る方もおりますが、家族が高齢化しておりましてなかなか家で世話をできないということで、やはり御本人たちはアパートでのひとり暮らしを望むわけなのですが、その際、精神障害者ということで実は大家さんのほうから断られてしまってなかなかひとり立ちができていないというのが実情であります。
この精神障害者の地域移行の一番大きな要は、地域でひとり暮らしできるということだと思うのですが、そのための支援としてアパートでのひとり暮らしを私ども家族は望むところなのですけれども、ここでネックといたしまして、大家さんの精神障害者を受け入れられないという偏見と、それから、保証人問題というのがかなり大きくありまして、その2つを何とかクリアさせていただきたいと思っております。現在、地域でいろいろ温度差がありますが、かなりこれが進んで取り組んでいるところもありますので、そういう好事例を参考にしながら、精神障害者が地域移行をできるような住宅の確保ということで、ぜひともアパートでの契約がスムーズにいくような、そのようなお考えをお聞きしたいと思います。
以上であります。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
それでは、清原委員、お願いします。
○ 清原委員 ありがとうございます。全国市長会、三鷹市長の清原です。
法務省の方に質問させていただきます。今回、重点的に御説明いただきましたのが「刑事手続における障害者への配慮の実情」でした。「捜査」、「取り調べ」、「公判」、そして「矯正」とここまで御説明いただきました。きょうは担当者の方が恐らくお見えでないのかもしれないのですが、やはりその先の「更生保護」についても法務省では力を入れてくださっています。特に、障害者の「更生保護」については、厚生労働省と連携をしながら最近取り組みを進められていて、居住支援や就業支援等を含めた更生保護についてお力を入れていると承知しています。
きょうは「矯正」までのお話だったのですが、おわかりになる範囲で「更生保護」における障害者に対する配慮の実情や今後について補足をしていただければありがたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
それでは、今、お二人だけだったので続けて向かって左側のほうの。
では、まず佐藤委員、お願いします。
○ 佐藤委員 佐藤です。ありがとうございます。
全国宅地建物取引業協会連合会様に2つ御質問があります。
まず1つ目はお願いなのですけれども、今、委員が言われたのと同じなのですが、私たち地域移行ということで入居施設あるいは親もとからひとり暮らしをするときに、一番大事なのはまず住まいの確保なのですけれども、これは非常に見つかりにくい。率直に言うと、障害があるから入居を断られるということは非常に多いのです。私自身もそういう経験を何回もしております。ですので、ぜひそこを改善していただける、そういう方向に導いていただきたいという、これが1つお願いです。
2つ目、これが御質問なのですけれども、27ページ、1-2のところで(1)の②バックアップ体制という言葉がありますけれども、これは具体的にどのようなものを想定されているのか。どういった障害の方にどういったことを求められているのかということを教えてください。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
では、続きまして大日方委員、お願いします。
○ 大日方委員 ありがとうございます。私も宅地建物取引業協会様に1つ質問させてください。
今の佐藤委員からのにも関連するのですが、1-2の(1)①及び②の賃借人の安全性が確保できないことが明らかな場合あるいは②のバックアップ体制が必要である場合というのは判断者が誰になるのかというところをお聞きしたいと思います。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
ここまでのところでまだ発言されていない方で小林様に御質問のある方はいらっしゃいますか。
では、石野委員までお聞きします。
○ 石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
3年前になりますが、東日本大震災の後、障害者にとって住宅の確保が非常に困難だという問題が起こってまいりました。家を探すというときに、障害者という理由で断られる例を聞いております。実際にそれが事実かどうか伺いたい。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございます。
そうしますと、整理しますと、委員、佐藤委員、大日方委員、石野委員から、障害を理由として賃貸契約を断られるケースがあるように思うけれども、これについて協会として何らかの取り組みについて、あるいは御意見等あればというお話だったかと思いますので、小林様、お願いできますでしょうか。
○ 小林氏 まず、一番初めの委員さんからの御質問ですけれども、精神障害者さんの地域移行ということで進んでいない理由。これは先ほど御説明の中で申し上げましたとおり、私どもは家主さんに対しては仲介する立場でございますので、なるべく受け入れしていただくようにお話はいたします。ただ、現実を見ると、トラブルの事例もかなり多いのです。後からも御質問がありましたけれども、従前からの居住者の安全性とかこういうこともあるのですが、トラブルになった事例でここでは具体的にはお話ししないつもりでおりますけれども、安全性というところでいうと、もう極端に言うと生命の危険性まであった事例もございます。
そういう意味で、なかなか賃貸人さんを説得することも難しいということも1つありますけれども、賃貸人さん自体もかなり零細な規模で、御自分も共同住宅の中にお住みになりながら3室もしくは4室ぐらいの昔から言う木造のアパート、こういうものをお持ちの方、私は東京ですけれども、いまだにまだこういうところが多いことが実情です。特にそういう木造の共同住宅の場合ですと、もう壁もかなり防音性が低いので、大声を出すと聞こえてしまうとか、小さなトラブルも発生しがちになるということもありまして、ただ、生活保護の方が役所の方がお連れしてお部屋を探す場合などは、私ども本来そういうことはいけないのかもしれませんが、実際に障害は何が障害なのかを教えていただけないことがほとんどなので、仲介する側として精神的障害の方については、やはりトラブルになった事例から考えても慎重にならざるを得ないという部分がございます。
ただ、設備的に、いわゆる鉄筋もしくは鉄骨の建物で遮音性とかあるいは隣室からの独立性、こういうものが高い場合には何とかお願いをして入れていただいた事例も幾つかございます。済みません、4人の方に御質問いただいているのですけれども、まとめて話をさせていただきたいと思います。
バックアップ体制の御質問がお二人からありました。これは何を言っているかというと、東京都ではないのですけれども、ほかの道府県の協会は、このバックアップ体制、いわゆるネットワークをつくって成功している事例も実はあるのです。このバックアップ体制は、システムとして中心にまず病院があります。それで、この入居者と病院をつなぐ間にNPOの法人の方が入っていただいて、我々管理者がその間に入っている。こういう体制があると比較的運営ができるのではないかとは感じておりますが、東京ではまだそういう事例ができていないのが事実です。
あと大震災のときの住宅確保につきましては、障害者の方を断ったという事例は、済みません、私の耳には入っておりません。関東、東京都を初めとして関東近県の、あるいは関東以外の県でも東日本大震災のときには、被災者の住宅をあっせんするために私どもも家主さんを説得して数多くのお部屋を提供させていただいている実績がございます。
以上で全部お答えできているかと思います。
○ 石川委員長 ありがとうございます。時間の関係で急がせて済みませんでした。
あと何人か手が挙がっておりまして、警察庁、法務省への質問ということでもう一度改めて確認させていただきます。
野澤委員と辻井委員です。では、お三方、済みませんが簡潔にお願いいたします。3人までで切らせてください。ごめんなさい。
まず、野澤委員。
○ 野澤委員 ありがとうございます。警察庁と法務省の方に御意見を聞きたいというか言いたいことと聞きたいことがあります。知的障害とか発達障害の方へのいろんな対応を今言ってくださったのですけれども、やはり身近なところで被害に遭うも多いし、加害、容疑者になるのも多くて、これはもうどこの国でもそうなのです。どこの国と言っても私は限られていますけれども、イギリスに行ったって、アメリカへ行ったって、オーストラリアに行ったって、どこもやはり困っていて、彼らは見た目が普通に見えて、やりとりがそれなりにできてしまうために、全く誤解されてしまうわけです。
その障害特性を理解して聞くのと、理解して聞かないのでは意味が全く変わってしまうのです。意味が全く変わったまま刑事手続をとられて矯正、更正のほうに行くとなると、本人の矯正にもならないし、ひいては社会の安全にもならないという、全くミスマッチがそこで起きていて、それは何とかしたいというので、それぞれの国も取り組んでいて、例えば取り調べの障害者、こういう障害特性に詳しい人の立会だとか、コミュニケーションをいろいろ配慮したり、あるいは一番重視しているのは、取り調べる人や関係者の研修ですね。障害の理解をちゃんとしてもらうという研修。
我々の側も日本でもそれなりにやってきて、我々も例えば10年前にアメリカでそういうのをやっていると聞いて警察庁にお願いに行って、警察官向けのハンドブックも我々つくって全国に全部配ってもらって一斉にあちこちで研修をやってもらったりして。ところが、やりましょうと言ってくれていた人がいるといいのですけれども、その方が異動でいなくなるといつの間にかぽしゃってしまって続かないのです。千葉県などではここ最近は、毎年新任の警察官に警察学校で500人、600人相手にやっていただいている。こういうのをやっていくと、たった一度でもこういう話を聞いて現場に出るのと、全く知らずに出るのでは全然違うと思うのです。
例えば法務省でも私も何度か毎年行ってやっていますが、裁判官向けの研修というのをやらせていただいているのです。これは法務省の人権擁護局長様と私とで、人権擁護局長は代々裁判官ですね。3代続けてもう4~5年やっているのです。そうすると、裁判官の方が物すごく反応がいいのです。やはり困っていたと。これはどうなのかなと実際思っているというのです。それだけ強いニーズがありながら、なかなかそれが広がっていかない。あと狭いルートでしか広がっていかないというのはとても残念なのです。
障害者が刑事手続きにかかるケースはとても数が多くて、いわばヘビーユーザーなわけです。刑事手続においてはヘビーユーザーであることと、合理的な配慮がないために、理解がないために起きることは物すごく甚大なのです。だから、これは個々の人的なルートで、ベストプラクティスでやっているようなものではもう全然足りないと思っているのです。やはり何らかの制度できちんと恒常的にやっていくようなものをつくらないといけないと思っているのですが、そういうのはできないでしょうかという、一方的にお願いをしているような質問になってしまいましたが、以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
では、辻井委員、お願いします。
○ 辻井委員 司法あるいは捜査等の手続の話は今野澤さんがおっしゃってくださったので全くそのとおりで、司法面接と研修をちゃんとしていただきたいということで、矯正のほうに関して。
今、野澤さんのおっしゃったことの続きですが、結局再犯をしてしまってという方たちの中で、知的障害あるいは発達障害については実態もまだ明確にされていないだろうと思うのですが、そういう方たちというのは、少なくとも今までわかってきている知見から言えば多いわけです。そうだとすると、「あわせて検討することで十分だ」ということは多分言えなくて、「個別具体的だから類型的にできない」という話も多分矛盾があって、それこそ再犯してというような形、それから、その後の保護観察のところでも保護司さんたちが十分理解できなくてというようなことが実際には生じてきているわけですね。矯正に関しては知的障害とか発達障害とかの特性を持つ方たちについて、もう一度その方たちについての人権が十分に配慮され、再犯をできる限り防いで地域の中で生きるようにしていくというような形については、少なくとも取り組むべき課題がかなりあるという認識をお持ちいただかないと、この資料は、実態というか現状がわかっているのかという話を、少なくとも知的障害、発達障害にかかわっている関連の人間から言うと申し上げざるを得ないということなのかなと思っております。
最大限、いい取り組みをたくさんしてくださっているのはよくわかっているのですが、何せ特に再犯等をしてしまう場合に数が多いという問題というのは考えざるを得ないのかなということを思います。ですので、その辺のところの認識について、もう一度御説明をお願いできればと思います。
○ 石川委員長 辻井委員、ありがとうございました。私も同じことを質問したいと思っておりまして、人権的な観点とともに、再犯、矯正の目的を実現する上で、障害の多様性を考慮した矯正手法ということが求められているかと思いますので、これについて後でお聞きしたいと思います。
最後に玉木委員、お願いします。
○ 玉木委員 ありがとうございます。時間がないので簡潔に言います。
1つは研修について。多分説明があったように警察庁も障害を持つ方の接遇要領とかありますということを言われていましたが、所轄の警察署の生活安全課の人たちも同じことを言っているのです。それはどういうことかというと、内部で研修をやっていますから、よそからの意見などを聞く必要はありませんみたいな形で終わってしまっているので、それは一緒に研修をさせてもらうことが、各地域の警察という形でできたらいいかなということが1点。
それから、法務省の方は各省庁合同で研修をやっていく必要があるということを言われていて、それはそのとおりだなと思っていて、人権ということの共通認識が本当に国民を含めてみんなどこまでできているのかという基本的な押さえをやっていかないということがあります。
それと質問なのですけれども、捜査手続上の権利の告知というところで、知的障害のある方にわかりやすく説明していますよということを言われていたのですが、誰がしているのかということが一番私は気になった。
もう一つは、矯正施設については、現行法でも特例に応じて対応しているから、これ以上変えることはやりませんみたいなことを言われたのだけれども、今やっている矯正施設における個別性の矯正のあり方みたいな、もう一回検証していただいて、その上で本当に変更が必要ないと言えるのかどうなのかということをお願いしたいと思います。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
では、松森委員、お願いします。
○ 松森委員 松森です。
私からは、警察庁に対して2つ。
まずは、緊急時の通報についてです。警察は110番というのは、国民ならば常識であり、幼いころから自宅の電話番号と同じくらい重要だと教えられます。私も高校生までは聞こえていましたのでそうでした。でも、聴力を失い、電話にアクセスができなくなると何の意味も持たない番号になりました。
ファックス110番やメール110番での対応もあります。私も登録をしています。でも、それらは地域によってばらつきがあって、110というような単純な番号ではありません。そのために、完全に役割を果たしているとは言いがたいと思います。警察への通報ができないというのは、時として命にもかかわることです。特に母親という立場になると、子供の命を守る責任があります。
私も緊急時に電話をしてくれる人を探し回った経験が何度もありました。なぜ全国で統一した110番にかわるものがないのか、ずっと素朴な疑問として思っていました。
緊急の場合も通常の場合も、障害のない人と同等に警察へのアクセスが完全に保障されていないということについて、どのように考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
もう一つ、自動車免許の更新は警察の管轄なのですね。ビデオに字幕をつけてくださったり、一部手話通訳もつき始めていて、とてもありがたいことです。でも、今は講習会などには聴覚障害者自身が区や市の障害者福祉サービスの通訳派遣を依頼して利用しています。しかし、本来は都道府県の警察行政として、警察行政のほうで通訳の派遣、設置が必要だと思っています。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
それでは、時間がありませんが、警察庁及び法務省のほうから、質問がいろいろ出ましたけれども、とりわけ差別解消法にかかわる質問に関してということで結構ですので、まず警察庁のほうからお願いします。
○ 松坂氏 それでは、私から、今いただきました御意見などにつきましてお答えを申し上げたいと思います。
まず、野澤委員からいただきました研修のあり方について、これを研修課程に入れるなどシステム的にシステマチックに取り組んでいただきたいという御意見と理解いたしました。私ども警察の捜査において正しく聞くということの重要性はもう論をまたないところでありまして、等しく理解しております。我々、そういった能力の向上を努めているところではありますが、今後とも引き続き私どもの研修の不断の見直しを進めまして、今いただいたような御意見がどういった形で反映できるのか、取り組んでまいりたいと考えております。そこは課題として私は受けとめたところでございます。
続きまして、玉木委員からいただいた御意見で、これも研修にかかわる御意見と理解しました。そういった警察学校、都道府県単位ではなく、より小さな警察署の身近な単位でいろんな研修などをできないかという御意見と理解いたしました。警察署の規模などさまざまな問題もあるところではありますが、今、警察署ごとに、地域の方の御意見を聞く機会を設ける、地域の方の御意見を聞いて警察署を運営するという取り組みを全国を挙げて進めているところでございます。
そういった個別の場面において、地域に住まわれている方、障害のある方、ない方、等しく御意見が反映できるように、これも引き続き全国的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
最後に、松森委員からいただいた2つのお話がございました。いずれの意見につきましても、警察の提供すべきサービス、警察の行う業務、これについてアクセスが確保できるように、警察として取り組んでもらいたいという御意見と受けとめました。重い意見と思います。今、直ちに何ができるというお答えができるわけではありません。予算などの制約も確かにございます。他方でやはり警察のサービスが本当に必要とされている方が必要なときに安心して使えるように、これは私ども警察に課せられた使命でございますので、いただいた御意見につきまして、私ども今後の業務を進めるに当たって、きちんと踏まえてできるところからかもしれません。一つ一つ取り組んでまいりたいと思います。
私が今理解しました範囲、以上でございます。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
それでは、法務省、最後にお願いします。
○ 初又氏 初又でございます。
野澤委員、それから、玉木委員から研修の関係のお話がございました。従前も研修には皆様に御協力いただきまして、本当に感謝しております。やはり当事者の方々から直接お話をいただいたり、アドバイスをいただくということは非常に重要だと思っております。今後ともぜひ御協力をお願いしたいと思っております。
私ども、研修は各局単位で進めているわけでございますけれども、こういう今回の法律ができたり、あるいは基本方針ができることをきっかけに、より多くの職員が共通の認識を持てるようにすることが大事だと思っております。私たちも内部でどういう方法がさらにあるか、これを考えていきたいと思っておりますので引き続き御協力のほうをよろしくお願いしたいと思います。
では、刑事手続関係、矯正関係それぞれ、あるいは更生保護の関係、お話がありましたので、まず手続関係について、刑事局のほうから御説明いたします。
○ 佐藤氏 今の研修の補足のような形になりますが、野澤先生からお話がありましたとおり、発達障害に限らず、障害をお持ちの方が刑事手続に不幸にもかかわってしまう。これは被害者の場合もあれば被疑者の場合もあるのですが、最初から障害をお持ちだと分かっている場合ばかりでは実はなくて、途中で障害をお持ちなのではないかということが分かる場合があります。それをいかにキャッチできるかというのが、捜査に関わる者にとって大変重要だと思っておりまして、その意味で、手続は制度というよりも、それを運用する職員の意識が大事なのではないかというのは全くおっしゃるとおりだと思います。
少しだけ紹介をさせていただきますと、現在、検事については、新任検事研修といいまして、検事に成り立ての者に対する数カ月間にわたる研修をやっていますが、そこでは必ず知的障害者の方、あるいは児童に関する取調べの留意点ですとか、あるいは精神鑑定に関する講義、これを必ず実施しております。1年目だけでは足りずにその後3年目ぐらいになりますと、検事一般研修というのをやっておりますが、そちらでもやはり精神鑑定の基礎知識あるいは国際人権関係、障害者権利条約についても再度認識をしてもらう、こういった研修をしておりますが、今後もまた皆様の御協力をいただいて、引き続き充実に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○ 花村氏 法務省矯正局の花村でございます。
私のほうから2点。まず最初に、清原委員から更生保護関係の施策についてお尋ねがありました。矯正施設との関わりというところで御紹介をさせていただきたいと思います。
法務省と厚生労働省におきまして、障害などによって自立が困難な刑務所出所者などが、出所後直ちに福祉サービスを受けられるようにするために、私ども矯正施設内の社会福祉士などを活用した相談支援体制を整備しておるところでございまして、こういった相談支援体制で福祉ニーズの掘り起こしを行いますとともに、保護観察所と地域生活定着支援センター、これは厚生労働省が各都道府県とともに整備をされておられますけれども、保護観察所と地域生活定着支援センターが連携をいたしまして、私ども矯正施設に入所中から社会の福祉サービスにつなげていけるようにするために必要な調整を実施しておるところでございます。
また、出所後、直ちに福祉の支援の確保が困難な者につきましても、保護観察所におきまして指定更生保護施設への一時的な受け入れを調整していただいておるというところの取組を御紹介させていただきます。
それから2点目でございます。辻井委員、玉木委員から、福祉的な配慮といった観点からの御質問がございました。私ども刑務所の中におきまして、もちろん再犯防止というような観点もございますし、障害を理由とする差別の解消という観点からも例えばでございますけれども、長崎刑務所など一部の刑事施設という形になりますけれども、もちろん罪と向き合わせるという教育も実施しておりますけれども、そういった受刑者の円滑な社会復帰を図っていくために、社会復帰の支援指導というものを実施しておるところでございます。
例えば福祉施設等の職員にお越しをいただいて、社会での福祉制度に関するお話をしていただいたりですとか、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などによります指導でございますとか、先ほどちょっとお話し申し上げました地域生活定着支援センター、こういった職員の方による特別調整の御説明といったこともプログラムとして行っているわけでございます。
こういった一部の刑事施設での福祉的なプログラムでの取組を踏まえまして、さらにこういった個別の処遇を充実させていくという姿勢に変わりはございませんので、御説明をさせていただきます。
以上でございます。
○ 石川委員長 まだ議論が熟さない印象もありますけれども、時間がございませんので、ここまでとさせていただきたいと思います。
本日は、ヒアリングに御協力いただきましてありがとうございました。
それでは、本日予定しておりました議題は以上となります。
次回以降の日程について事務局からお願いいたします。
○ 加藤参事官 第16回、第17回障害者政策委員会につきましては、10月20日月曜日、27日月曜日の13時30分開始を予定しております。来月も2週連続の開催ということでございますので、よろしくお願いいたします。
会場は本日と同じこの第4合同庁舎の220会議室でございます。
内容としましては、基本方針素案に関する議論を予定しております。
以上でございます。
○ 石川委員長 これをもちまして第15回「障害者政策委員会」を終了いたします。どうもありがとうございました。