障害者政策委員会(第21回)議事録
○石川委員長 第21回の「障害者政策委員会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多用のところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日の会議は17時30分までを予定しております。
では、事務局から委員の出欠状況について御報告をいただきます。
○加藤参事官 事務局でございます。
本日は、大原委員、河井委員、清原委員、高橋委員、竹下委員、玉木委員、柘植委員、辻井委員が御欠席です。また、石野委員、上野委員、大濱委員、野澤委員が少しおくれるという連絡をいただいております。
なお、会議冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入り、写真撮影が行われますので、御承知おきください。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入ります。
毎回のお願いです。各委員からの発言を求めるときは、まず挙手をお願いいたします。委員長からの指名を受けてから発言をお願いいたします。
できるだけ結論を最初に述べ、その後に理由あるいは説明を述べてください。御発言の際は、まずお名前を名乗り、可能な限りゆっくり、わかりやすくお話しください。できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後はマイクをオフにしてください。
本日は、国連障害者の権利に関する委員会の前委員長であるロン・マッカラム、シドニー大学名誉教授に御講演をいただき、意見交換を行います。
その後、第3次障害者基本計画の実施状況について意見交換を行います。
それでは、会議の資料と流れについて、事務局より御説明をいただきます。
○加藤参事官 本日の会議資料と流れについて御説明いたします。
まず、会議資料でございます。
資料1、文部科学省提出資料ということで「文部科学省における障害者スポーツの取組(障害者基本計画3-(4)について)」
資料2、厚生労働省提出資料「障害者の芸術活動を支援するための取組(障害者基本計画3-(4)について)」
資料3、国土交通省提出資料「バリアフリー施策の推進(障害者基本計画5-(2)~(4)について)」
参考資料1「障害者政策委員会ワーキング・セッションについて」
参考資料2「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視に係る今後のスケジュールについて(案)」
参考資料3「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視について(案)(第20回障害者政策委員会 資料)【抜粋】」となっております。
また、委員の皆様には、机上に常備いたします資料として、障害者基本法、障害者基本計画、障害者基本計画の概要、障害者基本計画の実施状況、障害者の権利に関する条約を御用意しております。
なお、参考資料2に今後のスケジュールと現時点で確定した日程について記載をしております。現在、障害者政策委員会と並行して4つのワーキング・セッションを開催し、御議論いただいております。障害者政策委員会及びそれぞれのワーキング・セッションにおける議論は、今後議論の整理(案)として取りまとめ、その上で障害者政策委員会において、全体にわたる議論を2回行っていただく予定であります。
その後、議論の整理にのっとりまして、権利条約の政府報告(案)について御議論いただく予定であります。
合計30時間を超える御審議をいただくことになります。委員の皆様方には、大変過密なスケジュールとなっておりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
次に、本日の具体的な進行についてですが、まず障害者の権利に関する委員会前委員長でありますロン・マッカラム教授より、権利条約に係る政府報告やその監視、障害者の権利に関する委員会との建設的対話などについて御講演いただき、意見交換を行います。
その後、15分間の休憩を挟みまして、残りの時間を3つに分け、第3次障害者基本計画の「1.生活支援」「2.保健・医療」「3.教育、文化芸術活動・スポーツ等」「5.生活環境」の分野について議論を行います。なお、この中には既にワーキング・セッションにおいて御議論いただいている事項もありますので、「2.保健・医療」「3.教育、文化芸術活動・スポーツ等」「5.生活環境」を中心に、各省からの説明の後、議論を行っていただきます。
説明省庁の担当者の入れかえを2回行いますので、その際、10分間ずつ休憩をとる予定でございます。
ロン・マッカラム教授は英語で講演されますので、日本語と英語の同時通訳方式で進めさせていただきます。このため、受付で同時通訳用のレシーバーを配付させていただいております。もし、まだ受け取っていない方がいらっしゃいましたら挙手をお願いいたします。職員がお伺いします。
よろしいでしょうか。
レシーバーの使い方でございますが、アンテナを左側にしていただいて、その真上から見ていただきますと右側につまみが2つ並んでおりまして、右の背の高いつまみが電源とボリュームということで、電源を入れていただいて、その左側にあります背の低いほうの小さ目のつまみがチャンネルスイッチでございまして、日本語が聞こえる方は1チャンネルでございますので、1チャンネルに合わせてお聞きください。
なお、これ以降の写真撮影は御遠慮いただきますので、お願いいたします。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、ロン・マッカラム前障害者権利委員会委員長に御講演をいただきます。障害者権利委員会による審査について、各国が行うべき政府報告のあり方について、政府と市民社会との対話についてなど、示唆に富むお話をお聞かせいただけるものと思います。
障害者政策委員会を代表いたしまして、遠路、私どものために本委員会に御出席いただきました教授に対しまして、深く感謝の意をあらわしたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
○マッカラム氏 皆様、こんにちは。政策委員会委員長の石川准様、内閣府統括官、御来賓の皆様、今回、日本国内閣府障害者政策委員会においてお話をさせていただける機会をいただけたことを心より光栄に思います。この場をかりまして、私のアシスタントとして東京まで同行してくれたアマンダ・ボーランドさんにお礼を言いたいと思います。
世界中の障害者コミュニティは、2014年1月20日に日本が国連障害者権利条約、以後は権利条約と呼びますが、これを批准したときに心より喜びました。多くの議論の後、日本というすばらしい国は、権利条約を批准する150以上の国の一つとなったわけです。
権利条約の第45条第1項に基づき、この条約は日本が批准した30日後に効力が発生いたしました。つまり、2014年2月19日に日本で権利条約が発効されたわけです。
現在、9つの人権条約があり、それぞれの条約はモニタリング委員会によってモニタリングされています。国連障害者の権利に関する委員会、障害者権利委員会と呼ばせていただきますが、同委員会は権利条約を批准した国における条約の実施をモニタリングしています。
障害者権利委員会には、世界各国から集まった18名の委員がおり、委員は批准した国によって選出されます。私は、2009年1月から2014年12月まで障害者権利委員会の第1期目の委員であり、2010年2月から2013年4月まで委員長を務めました。
今回のスピーチで、私は日本の報告、協議、モニタリングの義務についてお話しいたします。その後は、報告サイクルの最も大事な部分であります障害者権利委員会の建設的対話のプロセスについて見ていきたいと思います。
まず、報告義務からお話ししたいと思います。障害者権利条約第35条第1項において、批准した国は権利条約が発効されてから2年後に第1回目の政府報告を障害者権利委員会に提出することが求められています。これは、日本にとって最初の報告を2016年2月29日までに提出しなければいけないということです。
権利条約の第35条第1項によると、この最初の報告は次のように書かれています。
この条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告でなければならない。
政府の皆様は、この条約が指定する日本の最初の報告のために、既にデータの収集を始められていることと思います。
私の議論のスタートとしてここで持ち出したいのは、2009年11月に発効された障害者権利委員会による報告のための指針です。私は、これを作成するに当たり尽力しました。
これらの指針には、報告をどのように作成すべきかが詳しく書かれており、その付録には、権利条約の各条項に対してどのような情報が求められているかについて、有益な情報が書かれています。最初の報告は、統計資料などの附属物を含んでもよろしいのですが、60ページ以上になってはなりません。
国連事務総長は、この指針の冒頭に覚書を記しています。その第3項において、事務総長は次のように書いています。
締約国は、報告の準備過程を含めた報告過程を、国際的な義務の順守を確保する手段としてだけでなく、より効果的な政策立案と条約実施を目的とした、自国の管轄区域内における人権保護の現状を評価する機会としても見なさなければならない。したがって、報告の準備過程において、各締約国には以下の機会がもたらされます。
その後にまたパラグラフ(a)と続いておりますけれども、
「(a)国内の法律と政策を、締約国が加盟している関連のある国際人権条約の規定と調和させるためにとられてきた措置を総合的に見直す機会。
(b)人権全般の促進に照らして、各条約に定められている権利について、その享有促進の進捗状況を監視する機会。
(c)各条約の実施に向けた取り組みについて、その問題点と欠陥を明らかにする機会。
(d)これらの目標を達成するための適切な政策を計画し、開発する機会。」
以上が、事務総長が書いていた覚書の引用となります。
障害者権利委員会の第1期委員としての6年間を通して私にとって明らかになったのは、私たち障害者が充実した豊かな暮らしをするために、全ての国が改善をすることができるのだということです。 私が建設的対話に参加した全ての国が、障害者への対応に関して不足している点がありました。そのため、最初の報告では、国が成し得たこと、そしてまだ足りないことを詳細に書き、正直であるべきです。
最初の報告では、権利条約の第1条から第33条に基づき、どのような進歩があったか、コメントすることが求められています。今では、十分な数の最初の報告が公になっていますので、これらの条項がどのように考察され、進歩と不足点がどう説明されているかを見ることができます。
日本においては、権利条約の中の2つの条項を、この最初の報告でより詳細に分析する価値があるのではないかと思っています。1つは権利条約の第11条で、そこでは危険なる状況及び人道上の緊急事態において、国は障害者を保護し、支援する措置をとることを求めています。世界は、2011年3月11日に東北地方を襲った地震と津波によって、多くの命が失われたことに衝撃と悲しみを受けました。それ以降、日本は防災戦略を強化しました。ことしの3月には、第3回国連防災世界会議が日本の仙台で開催され、仙台防災枠組2015-2030が採択されました。私が準備した紙には、参考となる文書番号(2015年3月18日、A/CONF.224/CRP.1)が書かれているので、御参照ください。私は、障害者権利委員会は、障害者が防災戦略に含まれることを保障するために、日本がどのような努力をしたかを学びたいだろうと思います。
2つ目は、権利条約の第5条で、それは障害者への差別を禁止しています。日本が最近制定した障害者差別解消法の範囲、実施、そして障害者に合理的配慮を保障する効力に関して、障害者権利委員会はこの法律に関心を持つことでしょう。何と言いましても、障害者権利条約は、全ての国に障害者への差別を禁止する包括的で拘束力のある法律を制定することを求めています。
ほかにも、障害者権利委員会と日本との建設的対話において、大変関心を持たれるだろうと私が思う重要な条項があります。そのため、この最初の報告においては、それらの条項のために十分な枚数を設けておくのがよろしいかと思います。第9条は、建物、交通、情報へのアクセシビリティについて触れております。アクセシビリティは、ほとんどの障害者の生活に重要なものです。だからこそ、2013年に障害者権利委員会は、この条項について2回目の一般的意見を発行しました。
第12条では法的能力のことが書かれており、同じく2013年に障害者権利委員会は、この条項に関して1回目の一般的意見を発行しました。法的能力は、権利条約の中心的なものです。なぜなら、障害のある全ての人は人権の担い手として、完全な法的能力を主張しているからです。特に、障害者権利委員会は、日本の後見人に関する法律が第12条に準拠しているかを知りたいだろうと思います。
障害者権利委員会は、障害のある女性、少女、少年の生活に深く変わらぬ関心を寄せています。これにつきましては、権利条約の第6条及び第7条をごらんください。それは、障害を持つこれらのグループの人々は、報告をしてくるほとんどの国において、特に立場が弱いからです。障害者権利委員会は、障害を持つ女性や少女について記述した第6条におきまして、一般的意見を書いています。特に性的暴力を含む女性や少女への暴力は、世界中において永続的な問題です。これに関しては、権利条約の第16条をごらんください。障害者権利委員会は、こうした暴力を削減し、排除するための手段についての情報を欲しがっていることと思います。
第19条は、障害者が地域社会で暮らす権利について書いていますので、これも重要です。ほとんどの国では、大きな施設をなくし、障害者が地域社会で暮らしていけるためのプログラムをつくっています。そして私は、日本も同じ方向に進んでいると思っております。
最後に、第24条のことも言わなければいけません。こちらは、インクルーシブな教育への権利に重きを置いている章です。障害者権利委員会は、日本においてインクルーシブな教育を実施するために、どのように前進したかを知りたいと思っています。ことしの3月から4月に行われた第13回セッションにおいて、障害者権利委員会は、第24条とインクルーシブな教育について、半日を使って一般的な議論を行いました。
次に、日本の協議の義務についてお話ししたいと思います。権利条約の第35条第4項では、次のように書かれています。締約国は、委員会に対する報告を作成するに当たり、公開され、かつ、透明性のある過程において作成することを検討し、及び第4条第3項の規定に十分な考慮を払うよう要請される。
次に、権利条約の第4条第3項は重要な条項です。そこには次のように書かれています。
「締約国は、この条約を実施するための法令及び政策の策定及び実施において、並びに障害者に関する問題についてのほかの意思決定過程において、日本やオーストラリアのような国は障害者(障害のある児童を含む)を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に関与させる。」
最初の報告を書くに当たり、政府は障害者と障害者を代表する団体と協議しなければいけないことは明らかです。最初の報告を書く際に、透明で協議をもとにしたプロセスをとることは、障害者権利委員会の報告指針の冒頭にあります事務総長の覚書でも強調されています。
事務総長は、第3項において次のように書いています。
「締約国は、障害者団体を含む非政府機関に、報告の準備に参加するよう奨励し、これを促進しなければならない。これらの機関によるこのような建設的な参加は、報告の質の向上をもたらすとともに、全ての人による障害者権利条約で保護されている権利の享有を促進するであろう。報告には、市民社会、特に障害のある人を代表とする団体との協議で使用された手続と、この過程を完全にアクセシブルにすることを確保するためにとられた措置に関する説明を含めなければならない。」
以上が事務総長の覚書の引用です。
ですので、最初の報告を書くに当たり、政府は、日本障害者フォーラムのような障害者団体と協議することが求められています。
オーストラリア政府が採用した方法が、いい例として挙げられます。政府は、最初の報告の草案をネットに上げて、障害者団体からコメントや批判を求めました。また、政府はオーストラリアの障害者団体がパラレルレポートを書けるように、資金も提供しました。日本政府も、障害者団体がパラレルレポートを書けるように資金援助することを私は願っております。障害者権利委員会は、最初の報告におけるこの協議プロセスについて、情報を得られることを期待しております。
権利条約第33条は、国内における実施及び監視、モニタリングとなっています。それは障害者団体がモニタリングプロセスにおいて中心的な役割を果たせるような、独立したモニタリングメカニズムを国がつくることを求めています。私は、批准した国の多くの政府が、この要件を満たすことに苦労しているということを知りました。これには、私は驚きました。
第33条の第2項と第3項は、政府に以下のことを求めています。まず第2項ですが、
「締約国は、自国の法律上及び行政上の制度に従い、この条約の実施を促進し、保護し、及び監視するための枠組み(適当な場合には、1つまたは2つ以上の独立した仕組みを含む)を自国内において維持し、強化し、指定し、または措置する、または設置する。」
残りは飛ばしまして、次に3に移りますが、そこには次のように書かれています。
「市民社会、特に障害者及び障害者を代表する団体は、監視の過程に十分に関与し、かつ、参加する。」
以上が引用でした。
私は、障害者政策委員会は、日本において、第33条のモニタリングプロセスの一端を担っていると理解しています。政策委員会が、日本における権利条約の実施において独立したモニタリングを行い、日本が障害者権利委員会に提出する最初の報告をモニタリングし、また、作成する一端を担えるようになることは、とても重要だと思っています。オーストラリアのモニタリング委員会のように、幾つかの独立したモニタリング機関は、障害者権利委員会に自分たちの報告を提出しています。
次に、日本のモニタリングの義務に移りたいと思います。
私は、この日本のモニタリングの義務を、今の協議の義務について話すことの後にとっておきました。意義深く適切であるモニタリングには、障害者団体との協議や相互のやりとりが求められるからです。
明らかにモニタリングの最初のステップは、統計を慎重に収集し、分析することです。その統計には、次のようなことが含まれるでしょう。例えば日本が最近制定した障害者差別解消法のもとで申し立てられた不服の数も挙げられます。これはもうしばらくたってから起こることかと思います。そのほか重要な測定としては、後見人制度のもとにいる知的及び認知的な障害のある人の数、そして、まだ施設で生活している人の数、そしてインクルーシブな教育にアクセスをすることができる、障害のある日本の子供たちの数と割合、そうしたものが挙げられます。この統計を分析するに当たり、もし、入手可能であれば、これらの数値と以前の数値を比較し、ここ数年でどれだけ改善したかを理解する。それはとても重要です。もし、それが入手可能であればです。といいますのは、それはしばしば入手不可能の場合が多いからです。それは、将来の改善を計画する上でも必要となります。
もちろん、こうした量的測定は必要ですが、全てのストーリーを教えてくれるわけではありません。私は、質的データを集めることも重要だと思っています。つまり、障害のある日本人が日々どのように生活しているかを調べることです。これは、障害のある日本人女性、男性、少女、少年をインタビューすることによって一番よく得られるものでしょう。
モニタリングに関する興味深いプロジェクトが、カナダのトロントに本部を置く障害者権利促進インターナショナル(DRPI)によって行われています。そのアプローチは、人権重視で障害者へのインタビューも含む量的指標も使用しています。近々、このマルシア・リオの本がカナダから出版される予定です(マルシア・H・リオ、ポーラ・C・ピント、ジリアン・パレク「エビデンスから作り出す力:障害、権利の監視、社会変化」Canadian Scholars’ Pressより出版予定)。私は、モニタリングの専門家ではありませんが、インタビューを通じて質的内容を加えることで、そして障害者団体と協議をすることで、日本は障害者権利委員会にすばらしい最初の報告を提出することができるものだと思っております。
次に、建設的対話に移ります。権利条約第36条第1項の1文目には、次のように書かれています。
「委員会は、各報告を検討する。委員会は、当該報告において適当と認められる提案及び一般的な性格を有する勧告を行うものとし、これらの提案及び一般的な性格を有する勧告を関係締約国に送付する。」
以上が引用です。
政府からの報告の検討はジュネーブで行われ、そこでは報告した国が障害者権利委員会と報告内容について議論をします。このプロセスは建設的対話として知られていますが、その進め方を簡単に御説明します。
障害者権利委員会は、通常は、最初の報告を年代別に検討することに決めました。つまり、受け取った順番ということです。障害者権利委員会に既に提出された最初の報告の数を見ると、日本の最初の報告は、2016年2月に提出されてから、今では3年以上がたたないと取り扱えないということになります。建設的対話に選ばれた日のはるか前に、障害者権利委員会は委員の1人もしくは2人を日本の報告者として任命します。報告者は、慎重に日本の最初の報告を検討し、JDFのような日本の障害者団体が提出した、1つかそれ以上のパラレルレポートも調査します。
報告者は、日本政府からさらなる情報と説明を求めるために、リスト・オブ・イシュー(事前質問事項)と呼ばれる質問のリストの草稿を書きます。この草稿は、障害者権利委員会のプレセッションの作業部会、これは委員会の中で6つ存在しておりますが、その作業部会において検討されまして、その後完成され、日本政府に送られます。
次は、日本政府がこの事前質問事項に回答して、障害者権利委員会に提出します。この回答を書くことで、日本政府は最初の報告を提出して以来どのような進展があったかを、障害者権利委員会にアップデートする機会を得られるわけです。
建設的対話は、ジュネーブのパレ・ウィルソンで行われます。日本政府代表団は、そこで障害者権利委員会の委員たちに会います。対話は午後のセッションから始まり、3時間続きます。翌朝には質疑応答がさらに2、3時間行われ、この対話は終了します。冒頭陳述の後、それは日本政府代表団の団長もしくは日本の報告官が行ったりしますが、そうした冒頭陳述の後、障害者権利委員会の委員長は、委員たちに日本における権利条約の実施状況について質問することを促します。
現在、委員長は、まず第1条から第10条までの質問を聞くことから始めます。これらについて質問がされたら、代表団がその質問に回答する前に短い休憩をとります。その後、同様に第11条から第20条、第21条から第33条までという形で質疑応答が行われます。
私の意見としては、日本政府代表団に少なくとも障害者が1人含まれることが賢明であり、適切だと思います。権利条約は、私たち障害者の暮らしを改善することを考えています。障害者権利委員会の設立当初から、ほとんどの委員は障害者です。
現在、18人の委員のうち17人は障害者です。権利条約の第33条に即して、独立したモニタリングメカニズムを設置した国では、そのような機関も建設的対話に出席するなど、こうした実践は発展していっています。例えばオーストリアのモニタリング委員会の委員長であるマリアン・シュルツ氏は、以前私の生徒でもありましたが、障害者権利委員会との建設的対話の際、オーストリア政府代表団と一緒にあらわれました。そしてシュルツ氏は、この対話開始時の発言者の一人となり、彼女はモニタリング機関の委員長として、独立した立場で発言しました。同じように、オーストラリアが障害者権利委員会と対話したとき、オーストラリアの障害差別コミッショナーのグライム・イネス氏は、建設的対話の際、独立した立場で発言していました。私は、日本はこの実施を支持し、障害者政策委員会の委員長が建設的対話の際に独立して発言できるようにするべきだと思います。
対話が終了したら、報告者は障害者権利委員会の全体会で完成される総括所見の草案を作成します。この総括所見は日本政府におくられ、日本語に翻訳され、障害者や障害者団体が読んで理解できるよう、アクセシブルな代替フォーマットで拡散されることとなります。
総括所見は、通常3,500~4,000ワードほどの長さになります。さまざまな分野における政府の努力をたたえた後、総括所見においては、権利条約をその国で実施するに当たり、改善すべき分野について詳述します。
今回のスピーチでは、この初回報告を書くに当たり、日本の報告、協議、モニタリングの義務についてお話ししました。また、私は建設的対話のプロセスも詳しく説明しました。私は、日本の初回報告、そして日本の障害者団体による1つかそれ以上のパラレルレポートを読むのを楽しみにしています。
最後に、私は日本の建設的対話がインターネットで中継される際には、熱心に聞いていることとなるでしょう。私は、日本政府が、インターネット上でも日本語への同時通訳が提供されるような資金を提供してくださることを望みます。そのことにより、日本の多くの人たち、障害者の人たちも、この建設的対話を同時に聞くことができるかと思います。
今回、このように私を招待してくださったことを本当に心より感謝したいと思います。そして、通訳を手配してくださったことも感謝いたします。ありがとうございました。
○石川委員長 ロン・マッカラムCRPD委員会前委員長、ありがとうございました。
またとない機会でございますので、各委員から質問を受けたいと思います。質問のある方は、挙手をお願いいたします。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。DPI日本会議の佐藤です。
私は、きのうの午前中のマッカラム先生を囲む会にも参加させていただきました。その中で私が非常に印象的だったお話は、外務省から、どういう報告がいい報告で、どういう報告が悪い報告かという質問がありまして、その中でマッカラムさんは、正直に書いてあるものがいい報告だとおっしゃいました。正直にということは、何ができているのか、何ができていないのかということを明確に書いてあることと言われて、そういう報告をつくればいいのだなということは非常によくわかりました。
そこで教えていただきたいのですけれども、政策委員会は日本の国内モニタリング機関なのですが、その中の私たち委員が特にどういったことを心がけてモニタリングをやっていけばいいのか、そのポイントを教えていただければと思います。
○マッカラム氏 御質問ありがとうございます。通訳を助けるため、ゆっくり話すようにします。
私、オーストラリア政府を含め、幾つもの政府と活動をしてきました。政府は何がよくなったか、そういうことを話したがります。私はオーストラリアの政府とも話しましたが、やはり何がまだ足りないか、何をすべきかということを話すことは非常に難しいです。けれども、真実は、私の国を含めて、やはり障害者の生活をよりよくするために、まだ改善できる余地はあります。
この建設的対話は、政府、障害者権利委員会、そして市民社会、つまり障害者団体との協力関係によって成り立ちます。ですので、日本の障害児の65%がインクルーシブな教育にアクセスをしている。そして、例えばレポートの報告の中では、今後数年にわたって、またその数を改善したいと書くことができるかと思います。
また、第19条を見ていただければ、重度の障害のある人たちが、まだ何人この施設にいるかということを見てもいいかと思います。
これはほかの国でもそうだと思いますが、例えば私は中国の上海でもそれを見ましたが、やはり多くの国では、障害のある人たちを施設から出して、コミュニティで自立した生活を送れるようにしております。この分野においても、日本はまだ改善の余地はあるかと思います。
ニュージーランドにおきましては、2つのプロジェクトについて話しました。それは、人々を施設からコミュニティにどのように移すかというプロジェクトについてです。障害者権利委員会は、そうしたことを知りたいのです。何が成し遂げられたか、それはあると思いますし、まだ幾つか到達していない点があると思います。そのために何をしようとしているかを書くことが大事です。
ありがとうございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
私からも質問をさせていただいてもよろしいでしょうか。
先ほど、よい政府報告、悪い政府報告についてのお話がありましたけれども、日本は権利条約を批准するまでに多くの時間を費やしまして、政府、市民社会が協力をして精いっぱい準備をしてまいりました。そのことを第1回の報告において強調すると、それはよい報告でしょうか。悪い報告でしょうか。
言いかえれば、権利条約批准から2年間に限定して、日本は権利条約の実施にどのような前進を行ったのかに集中すべきでしょうか。あるいは一定程度それまでのプロセスも含めて報告をした場合に、権利委員会の委員の御評価はどちらの方向に向かうでしょうかという端的な質問をさせていただきたいと思います。
○マッカラム氏 石川先生、ありがとうございます。
国の中には、何もしないまま権利条約を批准し、その後、改善しようと思った国もあるかと思います。オーストラリア、日本、スウェーデンは、批准するまでに少々時間をかけ、自分たちの国内法を権利条約に即した形に改革しました。日本は国際的な義務にとても慎重だと思います。どの条約を批准するかということにとても慎重だと思います。ですので、その報告の中には批准するまでのプロセスを書いてもいいと思います。
特に、障害者差別解消法が制定されるまでは批准をしなかったということも書いているといいと思いますし、また、批准した後に何が起こったか、どうなったか、将来・未来に対してはどのような計画があるか、それを書いてもいいかと思います。障害者権利委員会は、現時点における障害者に関する状況だけでなく、未来のことにも関心を持っています。そして、日本はとてもすばらしい国で、とても慎重な国だと思っています。
私たち委員会は、批准するまでにさまざま多くのことをやったということはわかっておりますが、批准してどうなったか、今後どのようにしていこうと思っているか、行動計画をどのように考えているか、そうしたことも書いていただければと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
重ねて申しわけありません。もう一点、場合によってはさらにもう一点質問をさせてください。委員から質問があれば、そちらを優先したいと思います。
では、1点させていただきます。よい建設的対話についての御示唆もいただきました。それに加えて次のようなアプローチはよいでしょうか。つまり、政府報告は2年間の国内実施についての報告でありますが、その後、CRPDの審査までにどうしても数年間のタイムラグがあると思います。この間に当該の締約国は、さらに条約の実施で前に進んでいるはずです。そのことを建設的対話において、あるいはリスト・オブ・イシューズに対する応答において、具体的なエビデンスに基づきつつ、追加的な資料の提出あるいは追加的な報告をすることはよいでしょうか。期待されているでしょうか。よろしくお願いします。
○マッカラム氏 ありがとうございます。
障害者権利委員会が直面している問題は、ほかの委員会でもそうなのですが、報告してくる国からの報告書がどんどんたまっていくということです。2014年に国連総会は、次のような決議を採択しました。つまり、もっと予算を使って、ジュネーブでの会議の期間を長くし、たまっていっている報告を減らしていこうということです。私は多分、日本が最初の報告を提出してから建設的対話が始まるまで、3年もしくは3年半はかかると思っています。
日本が最初の報告をアップデートするやり方は、幾つかあります。建設的対話の前の年に、委員会は先ほどの事前質問事項、リスト・オブ・イシューズを送ります。日本は、それに回答をするときに、障害者権利委員会に対してどのような進歩、改善がさらになされたかをアップデートすることができます。
建設的対話をどのようにするかについては、とても厳しいルールがあります。日本政府代表団の団長もしくは大臣とか、何か上席の方になるかと思いますが、日本について語るための時間は20分か25分しか与えられません。私たちは対話をしたいからです。ですので、大臣もしくは代表団の団長の上席の方は、この20分から25分についてアップデートをする時間に使うことができます。
また、さまざまな条項の実施について幾つもの質問がされますので、それについて、そこの場でもアップデートすることができます。ですので、第12条の法的能力もしくは第13条の司法へのアクセスについて、例えば私たちは過去6カ月、こうしたパイロットプログラムを始めましたとアップデートすることができるわけです。
私は、ジュネーブにおきまして日本の外交官の方とそれほど多くの時間は過ごしていませんが、国際コミュニティの中では日本の外交官の方はとてもプロフェッショナルだと思いますし、この短い時間の中でも障害者権利委員会ととても真剣に向き合ってくださると思いますし、委員会は多くのことを得られると思います。ですので、ジュネーブに行けなかったら、インターネットで熱心に視聴をすると思います。
○石川委員長 それでは、三浦委員、どうぞ。
○三浦委員 きょうは貴重なお話、ありがとうございました。
マッカラム先生のお国は、先進的な障害者政策をお持ちの国と以前より思っております。お話の中で、改善を続けることの重要性をいただきましたけれども、オーストラリアで批准後に改善できている特徴的なもの等、事例がございましたら教えていただきたいのですが。
○マッカラム氏 そうですね。どのような改善がされたかについての例を挙げられます。また、私は何をすべきかということについても話せます。
私、オーストラリアが2008年に権利条約を批准してからオーストラリア政府とかかわってきておりますが、オーストラリア政府は国家障害者スキームというものを作成しました。これはスカンジナビアの障害者のスキームを模倣したものです。つまり、障害者がこのスキームの一部となり、自分の個人的なプログラムのための資金を求めることができるわけです。それが子供であっても、例えば脳性麻痺の子供で早期介入が必要だということがあったら、そこの国家障害者スキームに、その子供に対して支援をしてほしいということで願い出ることができます。このスキームにおいて、例えば計画が不満であれば、私たちや私たちの同僚や裁判所に不服を申し出ることもできます。
ビル・ショーテンという人が、今、野党のリーダーをやっておりまして、私の昔の教え子でもあったのですけれども、とてもよくやっておりますし、また、前のジュリア・ギラード首相の時に、そのスキームを国会で通過させることができました。けれども、私たちにはまだ多くの問題があります。まだ障害者の雇用率は高くありません。OECDの29カ国の中で、雇用率は26位となっております。ですので、私たちは労働市場における状況を改善しなければいけないという報告もされております。また、私たちは今、後見人制度に関する法律を改正しようとしております。オーストラリアにおける先住民の方たちとの問題もあります。
どこの国にも問題はあります。中国と話したときにも問題がありましたし、スウェーデンでも問題がありました。ですので、建設的な対話の目的というのは、成功と問題を明らかにし、市民社会と障害者権利委員会と協力し合い、皆が協力することによってどのようにこの問題を改善したらいいかを話すことです。私たち障害者権利委員会は、国を攻撃するつもりはありません。そんなことをしても何の役にも立ちません。これが国際的なステージで議論されること、それが大事なのです。
○石川委員長 ありがとうございました。
ほかの委員から御質問があれば挙手をお願いします。
それでは、私からもう一点だけ質問をさせていただきます。
CRPDの委員会が審査を行う際に、当該の締約国がほかの人権条約体から、最近何がしかの勧告を受けているとします。その場合、勧告の内容及び勧告に対する当該国の対応について、CRPDはそれを重視されるでしょうか。あるいは先入観を持たないなどの理由で、独自の観点から他の人権条約体の勧告は考慮せずに審査を行われるでしょうか。教えていただければと思います。
○マッカラム氏 9つの人権委員会の委員長は、ミーティングを行っております。私が委員長のときもそれに参加しました。それは9つの委員会がちゃんと調和をして、重複することを避けるために、そのように集まっておりました。私たちは、ほかの委員会がどのような総括所見をしたかということを、ある国の審査をするときにはそれを参照します。
私は、ヨーロッパのオーストリアの報告者をしました。オーストリアは、女性差別撤廃条約の委員会と対話をしたばかりだということを思い出しましたので、そちらの委員会にオーストリアが何を達成し、まだ何が不足しているかということについて聞きました。同じようにオーストリアは、その1年前に子どもの権利条約の委員会との対話を行ったばかりでした。
そこで私は、その委員会から話を聞きまして、オーストリアの移民の子供たち、障害のある移民の子供たち、そうした子たちが同じように教育にアクセスがあるかということを聞いたりしました。
また、全ての国は、UPRといいます人権委員会に報告されます。ですので、私も自分が調査をする際、UPRを見たりしました。こうした全てのことがとても有意義な情報であります。けれども、最も有意義な情報は、市民社会やモニタリング機関から来るものです。
○石川委員長 ロン・マッカラム前委員長、私たちは大変多くを学ぶことができました。深く感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。盛大な拍手をお願いいたします。
それでは、ここで15分休憩とさせていただきます。再開は50分からです。
(休憩)
○石井委員長 第3次障害者基本計画の状況についての説明、意見交換を行います。その前に外務省から、障害者権利条約第1回政府報告の骨子について報告がございます。
外務省、よろしくお願いします。
○外務省 外務省人権人道課の中野と申します。
ただいま御紹介いただきました障害者権利条約第1回政府報告の骨子についてですが、前回までに委員の方からいただきました御要望を踏まえ、関係省庁と協議しましたところ、難病法に関連した記載を第19条に入れ込むこと、心神喪失者等医療観察法、精神保健福祉法に関連した記載を第14条に入れ込むこと、この2点、3法律につきまして、それぞれ了解を得ました。ついては、これらを追記した形で骨子を確定させていただければと思いますので、御報告させていただきます。
今回は時間的に間に合わずに、資料に掲載した上で配付することができませんでしたので、政府報告の本文を提示させていただく際に、あわせて骨子の最終版も配付する形とさせていただきたいと思います。御了承のほどお願い申し上げます。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
前回の当委員会での委員からの御意見を踏まえて、骨子を修正していただいたと理解したいと思います。
それでは、先に進みたいと思います。
第3次障害者基本計画の実施状況の議論に移ります。まず、第3次基本計画の各論の2ですけれども、保健・医療について御議論いただきたいと思います。
それでは、厚生労働省から説明をお願いいたします。
○厚生労働省 厚生労働省でございます。
基本計画第3次の実施状況につきまして、お手元の資料の分野別施策の「2.保健・医療」15ページからでございますが、最初に22ページをごらんください。22ページと23ページの一番左端に「(4)人材の育成・確保」とございます。この人材の育成・確保のところで、私からは医師、歯科医師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の人材の確保、資質の向上についての取り組み状況を御説明申し上げます。
まず、22ページの2つ目の行に、医師・歯科医師についての記載がございます。詳細は22ページの一番右の列に書いてございますが、医師につきましては、医学部卒業後の医師臨床研修において、到達目標としまして、リハビリテーション等を含む総合的な診療計画に参画するということを定めて、医師の資質の向上に努めております。
また、その下の歯科医師につきましては、同じように歯学部学部卒業後の歯科医師臨床研究において、到達目標としまして、かむ、飲み込む、発音するなど、口腔機能のリハビリテーションを含む、総合治療計画の立案に必要な能力を身につけることを目標として掲げるなど、資質の向上に努めております。
その下、看護職員につきましては、教育内容の質の向上を図るための体制整備あるいは看護職員の資質の向上を図るための研修に対する予算事業を実施するなど、資質の高い看護職員の養成に努めております。
次の23ページでございますが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等につきましては、養成施設の教員等となることを希望する者に対し、より高度な知識、技能を習得させることを目的としました教員等講習会を実施し、リハビリテーション医療の向上に努めています。
以上でございます。
○厚生労働省 続きまして、同じく厚生労働省から。
21ページでございます。「(3)研究開発の推進」の中の2-(3)-1、優れた基礎研究の成果による革新的な医薬品・医療機器の開発を促進するため、研究の支援、臨床研究・治験環境の整備、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の薬事戦略相談の活用等を推進するという項目について、現在の推進状況を御説明させていただきます。
一番上の○でございますけれども、優れた基礎研究の成果による革新的な医薬品・医療機器の開発を促進するということで、革新的医薬品や医療機器等の開発を促進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院を臨床研究中核病院として整備する。また、世界に先駆けてヒトに初めて新規の薬物等を使用する臨床研究を実施する拠点としまして、早期・探索的臨床研究拠点という拠点を整備いたしまして、これが合わせて15拠点ございますけれども、こちらについて整備を行っている状況でございます。
次に、その下の2-(3)-2について御説明させていただきます。
最新の知見や技術を活用し、倫理的側面に配慮しつつ、疾病等の病因・病態の解明、予防、治療等に関する研究開発を推進する。また、再生医療や個別化医療等の新たな医療分野について、多くの障害者、患者が活用できるよう、研究開発の推進及び実用化の加速に取り組むという項目でございます。
それにつきましては、一番上の○でございますけれども、再生医療の推進に関連しまして、平成25年11月に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」という法律が制定されました。こちらにつきましては、再生医療等の安全性の確保と、それによるさらなる臨床研究も含めた再生医療の推進を図ることを目的としまして、再生医療の安全性の確保に関するルールなどを定めた法律でございますけれども、こちらについて円滑な施行を行っているという状況でございます。
○厚生労働省 厚生労働省からは以上でございます。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
それでは、委員から御意見・御質問等をいただきたいと思います。挙手をお願いいたします。
では、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日身連の阿部です。
最初の22ページで2-(1)のときのリハビリテーションの重要性を言っていただいたのはとても大事なことだと思います。ただし、このまま見ると、医学的リハビリテーションのことだけなのかなと不安に思います。権利条約では第26条で、リハビリテーションは医学的だけでなく、保健、雇用、教育及び社会ということで、総合的に幅広いリハビリテーションに言及しています。生活支援を含めたリハビリテーションということを大事にしているのであれば、その辺をわかるようにしていただいたほうが、私たちも理解が進みやすいのかなと思いました。
○石川委員長 ありがとうございました。
大濱委員。
○大濱委員 脊損連合会の大濱です。
一点目は、今のリハビリテーションの件です。私たちが問題にしているのは、リハビリの期間が非常に短くて、きちんとしたリハビリを受けられない、期間が短いために病院を転院せざるを得ないという点です。長期にわたるリハビリに対する診療報酬が大きく下がることが原因ですが、この問題が全く解決されていません。このあたりはいかがでしょうか。
2点目は、2-(3)-2の再生医療についてです。今回、文部科学省、経済産業省、厚生労働省の3省の予算を1つに集約する機構が内閣府書簡で創設されたと思いますが、そことの関係がどうなっているかというのが質問です。
3点目は、再生医療の安全性の問題です。一昨年、「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律」と「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の2法案が成立しました。その中でも後者の法律では、例えば安全性が確認されないと、新しい幹細胞を臨床に使えないという規定になっていると思います。しかし、実際のところ、現場からは、幹細胞を使った治療が現在でもまだ行われていると報告されています。例えば、歯髄幹細胞を勝手に使って医者が治療を始めましたという報告も届いています。実際にどれくらい問題が把握され、実際に取り締まりが行われているのでしょうか。また、この規定に違反した場合にどのような罰則規定になっているのでしょうか。そのあたりについて具体的に教えていただきたいと思います。
あと一点ですが、26ページの2-(6)-4のドクターヘリの件についても、説明していただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
ドクターヘリの何についての御質問ですか。
○大濱委員 現在の状況や今後の計画についてです。
○石川委員長 わかりました。
あと、石野委員が手を挙げていらしたので、石野委員、お願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
22ページの医療関係の職員の確保、養成のところです。以前も発言させていただいたかとは思いますが、実は医者や看護師が障害者問題を全く熟知していないという状況があります。
以前、医学部の学生を対象にいろいろアンケートを実施しました。例えば聴覚障害者の補聴器を装着してのコミュニケーションについて設問がありましたが、半分以上の学生が、知らないと答えました。現場の医療関係者がほとんど障害者のことを知らない。知的障害者または精神障害者のことを全くわからないという方も多くおられます。ぜひ、医学部のカリキュラムの中に、障害者概要などの項目を含めるよう御検討いただければと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、何点か質問がございましたので、厚生労働省からお答えいただきたいと思いますけれども、まず、リハビリテーションについての考え方に関しての疑問が、お二方から出されたと思います。これを初めにお願いできますでしょうか。
○厚生労働省 厚生労働省でございます。
リハビリテーションにつきまして、最初に医学的リハビリテーション中心なのではないかという御指摘がございました。確かに、ここには具体的にどういうリハビリテーションについてという詳細は書いてございませんが、当然、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のセラピストの皆さんに、今、どういうリハビリが求められるかということを学んでいただきますので、その中で幅広くリハビリテーションを勉強していただくということだと考えております。
2つ目、リハビリテーションの期間のことでございます。以前、この政策委員会でも、保険の話だと思うのですけれども、リハビリテーションの適用期間の話があって、それがこの中に書き込まれていないのではないかということでございます。
確かに、そういう御意見・御要望が出ているということで受けとめておりますが、具体的な保険の適用につきましては、厚生労働省の中のいわゆる中医協という診療報酬を議論する場がありますので、その中でそういった皆さんの御意見を踏まえて検討されていくものと考えております。
○石川委員長 ありがとうございます。
ES細胞等を用いた治療に関しての御質問もございました。これについてはいかがでしょうか。
○厚生労働省 引き続き厚生労働省から御説明を申し上げます。
大濱委員から御指摘がございました。まず、経済産業省と厚生労働省や文部科学省などで新しい委員会をつくったということですがというお話ですが、もしかしたら、医学に関する研究開発の関係を所掌します新しい独立行政法人のお話かなと思うのですけれども、AMEDのことでよろしいですか。
○大濱委員 そうです。
○厚生労働省 これにつきましては、昨年法律が通りましたので、AMEDと呼ばれておりますけれども、これまでは各省庁、御指摘のような経済産業省ですとか厚生労働省、文部科学省など、それぞれ医学に関する研究開発を進めてきた部分について、予算を統合いたしまして、どういった研究にお金を出していく、推進していくべきかといったところを、トップダウンでどんどん配分を決めていくという趣旨で、新しいAMEDという独立行政法人ができたと認識をしております。
こちらについては、新しい独法で予算の集約化をしまして、今、どういった研究に対してお金を出していくのが戦略的によいのかといったことを政府全体で考えていくということで、これまでのような各省庁それぞれで考えるということよりは、もう少し戦略的に予算の配分を考えていくといったことを目的にして発足をしておりますので、そういったところで、そこは各省庁で連携をしつつ、これまで縦割りだったという御指摘もありましたので、そういったことがないようにきちんと研究を進めていけるようにしていきたいと思っております。
○大濱委員 今の日本版NIHのことだと思いますが、それについてもここにきちんと報告を上げてもらいたいと思うのです。現在どのようになっているかということを実施状況の中に入れてもらいたいということです。お願いします。
○厚生労働省 私、厚生労働省の者なのですが、こちらの部分は私のほうで把握をしておりませんので、改めて担当の省庁から御説明をさせていただければと思います。申しわけありません。
続きまして、再生医療についてのお尋ねがあったかと思いますけれども、こちらについては先ほど御説明をしました、再生医療等の安全性の確保等に関する法律ということで、平成25年11月に法律が制定をされまして、昨年の11月から施行されているという状況になっております。
この法律の中では、先ほど御指摘がありました幹細胞を使った再生医療に関する一般的な安全性の確保、安全に医療を提供するためのルールというものは定められておりまして、具体的に申し上げますと、再生医療を提供しようとする医療機関が、あらかじめどういった医療を提供するのかということについて計画を作成しまして、それを国に届出をしなければならない。その届出をせずに提供した場合には、例えば罰金ですとか、最終的には拘禁刑というものもあります。もちろんそこに至るまでに改善命令ですとか、中止命令ですとか、いろいろな行政罰もございますけれども、そういった形でルールを守らずに再生医療を提供するということがないように、今のルールを定めているところでございます。
ただ、ここの部分につきましては、施行は昨年11月からなのですけれども、1年間の経過措置の期間が設けられておりまして、再生医療を提供する医療機関でも、どうしても準備に時間がかかるといったところもありますので、今回、安全性の部分をきちんとした上で提供するというルールを厳しく設けたところもございまして、そういった経過措置というものも設けている状況でございます。
今、御指摘がありましたような、本当にルールを守らずに医療を提供しているというところがありましたら、こちらでも指導をしていくということで対応をしているところでございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
○阿部委員 日身連の阿部です。
先ほどお答えいただきましたが、まだ委員長から確認が求められていなかったので、発言をさせていただきたいと思います。
ただいまの医学的リハビリテーションだけではないということでのお答えは、そのとおりだと思いますし、今、教育でも行っていると思いますので、生活、教育、職業、社会的なものも含めた取り組みをしているということともに、障害者基本法で見ますと、リハビリテーションは第14条に医療・介護等とありますので、これだけでも医学的に偏っているのではないかと常々思っているところなので、その辺のところも総合的な総括支援だということをいずれ確認していただきたいと思って発言しました。
ありがとうございました。
○石川委員長 阿部委員、ありがとうございました。
それから、ドクターヘリの現状といいますか、実績について教えてほしいという御質問かと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
○厚生労働省 ドクターヘリの件についてお答えさせていただきます。厚生労働省でございます。
ドクターヘリにつきましては、各都道府県が地域の実情に応じまして導入するという形をとらせていただいております。平成25年度のドクターヘリの導入ですが、36道府県で43機、26年度は36道府県で44機、27年度は2機の増を予定しております。それは富山県と滋賀県で、新たに導入することを予定しております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
石野委員から、医師、看護師等医療にかかわる人々が、障害について必ずしも十分な理解を持っていないことが多いという御指摘がありました。ここに対する対応といいますか、どのような方策を講じていらっしゃるか、あるいは計画があるか等について、可能であればお答えをお願いいたします。
○厚生労働省 厚生労働省でございます。
御指摘のとおり、医師あるいは看護職員、障害者の問題について、十分わかった上で業務に携わるべきだという御指摘はそのとおりだと思います。
委員がおっしゃったように、特に医学部の教育の時点からどのようにしていくかということが大切かと思うのですけれども、きょうは文部科学省がおられないようで、教育のことについては、また改めて御説明をする機会があればと思っております。申しわけございません。
○石川委員長 ありがとうございました。
大濱さん。
○大濱委員 ドクターヘリの関係ですが、外傷センター、トラウマセンターが、今、どれぐらい日本にあって、実際にそれとどれぐらいドクターヘリがリンクしているか。トラウマセンター、外傷センターがどれぐらい実際にできているかどうか、そこら辺の数字があったら教えてもらいたいのです。
○石川委員長 今すぐにお答えは可能でしょうか。
○厚生労働省 数字は持ち合わせていないので、省に帰って確認をさせていただきます。
○石川委員長 ほかに御質問等はございますでしょうか。
では、石野委員、お願いします。
○石野委員 厚生労働省の説明を聞きましたが、大学教育におけるカリキュラムは文部科学省の策定なのか、厚生労働省の策定なのか、確認したい。カリキュラムに関しては文部科学省という考え方だと思うのですが、医師、看護師に関しては厚生労働省にも関係があると思います。いかがでしょうか。
○厚生労働省 厚生労働省におきましても、医師の養成ということは文部科学省と連携してやっておりますので、文部科学省だけが担当ということでは決してございません。ただ、医学部のカリキュラムを立てるに当たりましては、連携しているのですけれども、文部科学省において医学部のモデルコアカリキュラムというものを作成しておりまして、その中でこの問題についてどのような位置づけがなされているかということを、また御説明できればと考えております。
○石川委員長 ありがとうございました。
ほかに御質問はございますでしょうか。
それでは、私から1点。差別解消法にかかわることになりますので、狭義には基本計画の実施に関することから少し離れるかもしれませんけれども、可能であればお願いしたいのです。
国立の病院等における対応要領の策定に関しましてはどのような進捗になっているか、厚生労働省として何らかの支援をされているか、あるいは調整をされているかについて、可能であれば教えてください。
○厚生労働省 厚生労働省でございます。
国立病院における現在の対応状況ということなのですけれども、今、担当がこの席におりませんで、現在はこの場でお答えすることができませんので、改めて御説明をさせていただければと思います。
○石川委員長 よろしくお願いいたします。
ほかにございますでしょうか。
それでは、ここで10分間休憩をさせていただきます。再開は3時30分です。
(休憩)
○石川委員長 続きまして、第3次障害者基本計画の「3.教育、文化芸術活動・スポーツ等」の実施状況についてですけれども、教育につきましては、既にワーキング・セッションで議論をしていただいておりますので、それを除いた他の領域に関しまして、文部科学省より御報告をいただきたいと思います。
お願いいたします。
○文部科学省 文部科学省でございます。
33ページをごらんいただきたいと思います。
スポーツから御説明させていただきますが、文部科学省では、障害のある方、障害のない方が地域において一体となってスポーツ・レクリエーション活動を行えるように、事業を行ってきたところでございます。
成人一般のスポーツ実施率が現在47.5%、週1回以上運動される方が47.5%いる中で、障害者の方のスポーツ実施率が18.2%になっております。ですので、この18.2%という実施率を文部科学省としてもさらに高めたいということで事業を実施しているところでございます。
以上です。
○文化庁 文化庁の益居と申します。
引き続きまして、文化芸術分野の文化庁における取り組みを御説明させていただきます。
33ページをごらんください。平成25年度の推進状況の○の2つ目からが文化庁の取り組みでございます。
まず、2つ目ですけけれども、自治体や地域の美術館等が企画する障害者の芸術作品を展示・紹介等する事業に対して支援をさせていただいております。
また、子供たちに質の高い文化芸術を鑑賞・体験する機会を確保することを目的として実施している事業におきまして、小学校、中学校等に障害のある芸術家の方を派遣して、例えば車椅子ダンスの披露ですとか、車椅子ダンスの体験の機会を設けさせていただいております。
次の○ですけれども、平成25年度の取り組みでございますが、厚生労働省と文化庁において、共同で障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会を開催しまして、8月に提言を取りまとめております。その提言を踏まえまして、厚生労働省、文化庁でそれぞれ事業を実施している状況でございます。
次ですけれども、障害者の芸術活動に対する国民の関心を高め、理解を深めることを目的としまして、平成25年5月に文部科学省の情報ひろばにおいて、アール・ブリュット作品の展示を開催させていただいております。
次に、国立新美術館においても、障害児・障害者のアート展の開催も実施させていただいております。
少し飛びまして、文部科学省と書いてある取り組み、国立劇場や新国立劇場においては、障害者の入場料の割引、国立美術館、博物館においては、展覧会の入場料を無料にする取り組みを実施させていただいております。
また、東京国立博物館におきましては、点字案内パンフレットの配布ですとか、国立美術館において筆談対応可能な受付の設置、国立劇場や新国立劇場では、一部の公演において字幕表示の導入といった取り組みを進めているところです。
1枚おめくりいただきまして、次に全国の高校生が芸術文化活動の発表を行う祭典である全国高等学校総合文化祭において、特別支援学校の生徒さんによる作品の展示や実演芸術の発表の場を提供するといった取り組みも実施しております。
文化庁からは以上でございます。
○厚生労働省 引き続きまして、厚生労働省におきます文化芸術・スポーツ等の振興の関係につきまして御説明をさせていただきます。
お手元の資料33ページと34ページにわたって厚生労働省の関係を記載してございますので、御参照いただければと思います。併せまして、茶封筒に入っておりますが、資料2という1枚紙も御用意させていただいております。適宜御参照していただければと思います。
33ページを御覧下さい。まず、スポーツの関係につきまして御説明をいたします。御案内のとおり、障害者スポーツに関しましては、26年度から厚生労働省から文部科学省に移管をしております。競技性が高くなって、アスリート御本人たちの非常に強い御要望もあったということで、文部科学省に移管したという経緯がございます。これは25年度の実施状況ということでございますので、25年度は厚生労働省で担当している部分がございましたので、このことについて御説明をさせていただきます。
33ページの真ん中から少し下になりますけれども、都道府県におきまして地域生活支援事業という補助金がございますが、この補助金を使いまして、スポーツ・レクリエーションの教室の開催事業が実施されているところでございます。
34ページを御覧いただきますと、上から2つ目の箱で厚生労働省の部分がございます。東京都におきまして、第13回の全国障害者スポーツ大会を開催していただいております。25年は10月12日から14日までの3日間でございましたが、約5,500人の選手団の方が御参加されております。
その2つ下でございますが、全国障害者スポーツ大会におきましては、精神障害をお持ちの方の競技として、バレーボールが正式種目になっております。これは平成20年度の大会から正式種目ということで、計画の基本的な方向のところで、精神障害者のスポーツの振興に取り組むということで御指摘がございまして、これを20年度から実施しているということでございます。
次に、その1つ下の箱でございますけれども、3-(4)-4に、パラリンピック、デフリンピック、スペシャルオリンピックス等の参加の支援等ということで、基本的方向が掲げられております。厚生労働省の取り組みといたしましては、22回の夏季デフリンピックの競技大会ソフィア2013あるいはアジアユースパラ競技大会マレーシア2013、ソチで行われました2014パラリンピック冬季競技大会への参加を、総合国際競技大会派遣等事業という事業がございますけれども、この補助金を用いまして支援をしているところでございます。
続きまして、その下の○でございますけれども、総合国際競技大会指定強化事業という事業がございますが、パラリンピック等の競技性の高い障害者スポーツにおけるアスリートの育成強化を実施したところでございます。
その下の3-(4)-5は、文化のところでまとめて御報告したいと思います。
ソチのパラリンピック等の結果でございますけれども、ソチ大会では金メダル3個を含む計6個のメダルの獲得がなされております。ブルガリアのソフィアデフリンピックでは、金メダル2個を含む21個のメダルの獲得という結果になってございます。また、アジアユースパラ競技大会におきましては、39個の金メダルを含む計84個のメダルを獲得したということで、非常にすばらしい成績、結果となっているところでございます。
続きまして、芸術文化の関係でございます。33ページにお戻りいただきまして、先ほど文化庁さんから御報告がありました、33ページの上から4つ目の○でございますけれども、この懇談会の中間取りまとめを受けまして、26年度から3年間にわたりまして、障害をお持ちの方の芸術活動をさらに振興していこうということで、モデル事業を実施しているところでございます。著作権の問題ですとか、支援をされる方の人材育成とか、あるいは人知れず作品に取り組んでおられる障害をお持ちの方がいらっしゃるので、そういった作品をどうやって発掘していくかといったことにつきまして、モデル的に取り組んでいただいて、それを全国に広げていこうという事業に取り組んでいるところでございます。
その下の箱でございますけれども、先ほど申し上げました地域生活支援事業におきまして、文化芸術活動振興ということで、各自治体においてそれぞれの地域特性に応じた事業を実施していただいているところでございます。
続きまして、34ページを御覧下さい。上から2つ目の厚生労働省の箱でございますけれども、第13回全国障害者芸術文化祭が、25年12月6日から8日まで、山梨県において開催されたところでございます。この芸術・文化祭におきましては、688の作品が出展されまして、延べ1万1,000人の方が参加、来場されております。
その次の次の箱、一番下の3-(4)でございますけれども、聴覚障害者や視覚障害者の方が映画を楽しむことができるような取り組みを推進するということで、基本的方向が掲げられております。
この13回の全国障害者芸術文化祭におきましては、バリアフリー映画の上映に取り組んでいただき、「おくりびと」など4作品が上映されております。視覚障害者向けの音声ガイドですとか、聴覚障害者向けの日本語字幕がついた映画が上映されているところでございます。
加えまして、今年度新たに、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた障害者の芸術文化振興に関する懇談会を、文化庁さんと御相談をしながら開催する予定にしております。
厚生労働省からは以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、文化芸術活動・スポーツ等につきまして、実施状況の御報告が2省からございました。委員からの質問、御意見を受けたいと思います。挙手をお願いいたします。
それでは、門川委員、お願いします。
○門川委員 門川です。
御報告ありがとうございました。芸術文化活動について質問をさせていただきたいのですけれども、バリアフリー映画などの取り組みが最近随分と進んできておりますけれども、例えば美術とか博物館とか、私も含めて見ることも聞くことも両方できない者が楽しめるものを、芸術文化活動についてはどのようにお考えなのか。また、さわる美術館、さわる博物館についてはどのような取り組みがなされているのか、ぜひお聞きしたいと思っています。
ついでにスポーツについてですが、スポーツ競技に参加するには、選手の皆さんはトレーニングを追加されていく必要がありますね。そのためにフィットネスなどのトレーニング施設活用があろうかと思いますが、これについて民間のトレーニング施設ですが、障害者の利用状況はどのようになっているのか、ぜひ知りたいと思っています。というのは、重度の障害者が民間のジムを利用しようとすると、断られることがこれまでにもよくありましたので。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
何人かの方の御質問や御意見をお聞きした上で、まとめて御答弁いただこうと思います。
大日方委員、次にお願いします。
○大日方委員 ありがとうございます。
私、文部科学省のさまざまな委員をさせていただいて、ここに関しては皆様より若干情報が多いかと思っております。この取り組みそのものについて内閣府の方に1点お伺いしたいのですが、先ほどのマッカラム氏からのお話にもありましたが、定量的な数字であること、できていることとできていないことをはっきり示すことが必要だという貴重な御意見をいただいた中で、この分野だけを見ましても、もう少し詳しいデータがあると思いますし、実際の取り組みも各省庁で行われているように思われます。実施状況の取りまとめ全体について果たしてこの書きぶりでよいものなのだろうかというお考えをお聞かせいただければと思います。
個々の質問についても一気にしてしまったほうがよろしいでしょうか。
○石川委員長 あと幾つあるかにもよります。
○大日方委員 では、なるだけ手短にさせていただきます。
スポーツが厚生労働省から文部科学省へ移管された経緯についてですけれども、ここは先ほど厚生労働省の方から、競技性が高まっているのでという御説明があったかと思いますが、むしろスポーツ基本法との関係性というところでも、スポーツは人類共通の文化であり、スポーツをする権利であるということ、これは障害のある人、ない人にかかわらず保障されているものであるということを国がうたったことは非常に大きなことだと思っているのです。ここにつきまして、この中でも記述をしていただきたい。ほかの委員の方々は御存じのない部分も多いと思いますので、文科省から補足的な説明をお願いできればと思っております。
もう一点、本日、資料1についての御説明がされていないのですが、私の理解では、2の文部科学省の取り組みの裾野の拡大に関する取り組みという左ページにあります(1)の分野に関することと、(2)の競技力向上に関する取り組みというのは、文部科学省の中で課を分けてしっかりと取り組んでいただいております。
競技力向上に関するところでは、平成25年度の取り組みではないかもしれませんが、特にマルチサポート事業の実施であるとか、NTCやJISSの共同利用化等の動きもありますので、こういったところについてももう少し御説明を加えていただいてもよろしいのかなと思っております。
特にNTCやJISSという競技力の高いトップアスリートと言われております選手たちの実際の使用率というところ、平成25年度のものと、平成27年度なり平成28年度においては、障害者の利用率は大きく変わるはずなのですね。こういったところについても、定量的な数字をお示しいただけるとモニタリングしやすいかなと考えております。
最後になります。ここになるのかわからないのですが、体育の授業の中でも、障害のある子供が授業にどれだけ参加できているのかというデータがありましたら、ぜひお示しいただきたいと思います。特に特別支援学校あるいは学級での取り組みと、一般校での実態の比較、差異がわかるようなものがあるとありがたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○石川委員長 確認ですが、私のメモでは質問と意見を合わせて4点となっているのですが、正しいでしょうか。
○大日方委員 内閣府に対して1つ、文部科学省さんあるいは厚生労働省さんに対して3つ、
質問というか、データのお願いということですね。
○石川委員長 内閣府でお答えいただくことかどうかも含めて、内閣府から、まず1点目の定量的データについてということです。
○加藤参事官 内閣府でございます。
まず、この施策につきまして、計画をつくるときにあらかじめ目標値を設定するようなものにつきましては、例えば14ページにありますように、目標値とそれに対する現状、進捗状況というものを数字で出していただくことをしております。それ以外のところにつきましても、極力評価をしやすいようにということで、数字を出せるものは出していただくようにしておりますけれども、それぞれの省庁の施策でございますので、それぞれの省庁から御報告のあったものをここに載せておるという状況でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それぞれの省庁のお立場で、ほかにも定量的なデータをもう少し出したほうがいいという御意見だったかと思いますが、そういったデータが存在し、提供可能な状態にあるのかどうかなども含めて、お答え可能であればお願いしたいと思います。
○加藤参事官 事務局でございます。
どうか先生方には、御遠慮なく、この事業についてのこういうデータがないのかと御提案をいただければ、あるものは出せるだろうと思いますし、ないもの、とれないものについてはありません、出せませんということもあると思います。
○石川委員長 ということで、具体的にこういうデータ、ああいうデータと言っていただくと、あるなしも含め、あるいはこれから準備可能かどうかということも含めて、検討しやすいということかと思います。それでよろしいでしょうか。
門川委員から御質問があった件なのですけれども、盲ろうの人も楽しめるような博物館や美術館があったほうがいいと私も思います。これに関しての取り組みについて、文化庁なりから御報告をいただけませんでしょうか。
○文化庁 さわる美術館ということで御質問をいただいたのですけれども、今、直ちにこういった取り組みをしておりますという御紹介をできなくて大変申しわけないのですが、国立の美術館で、そのほかでやっている取り組みを少し御紹介させていただきたいと思います。
例えば東京の国立近代美術館であれば、盲導犬などの身体障害者の補助犬を伴う利用が可能であったり、京都の国立近代美術館では、エレベーターにユニバーサルデザインを導入しまして、音声案内を導入したり、入り口に点字表示板やインターホンを設置したり、筆談ボードを設置したり、そういった取り組みはさせていただいております。
また、ほかの事例ですと、国立西洋美術館では、ホームページに視覚障害者向けの音声案内機能を整備したり、館内の設備に一部点字表示を設けたり、国立新美術館においても、エレベーター前に点字ブロックを設置して、館内の設備に点字表示を設けたり、受付に筆談用ボードを設けて対応したりといった取り組みはしておるのですけれども、御質問いただいたようなさわる美術館というのは直ちにお答えができないのですけれども、今後2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、先ほど厚生労働省さんから御紹介がありましたように、有識者の方々にお集まりいただいて取り組みを進めるべく議論をしていくことにしておりますので、そういった議論の中で、御提案いただいたようなことも含めて検討をさせていただければと考えております。
文化庁からは以上でございます。
○石川委員長 では、伊藤委員。
○伊藤委員 関連なのですけれども、先ほど説明を聞いていますと、どこどこ美術館ではこれをやって、どこどこ博物館ではこれをやってというのは、それ以外のところはそういうことをしていないということなのですか。
○文化庁 国立のものについて御紹介をさせていただきました。地域の美術館ですとか民間の美術館、博物館さんでもそれぞれ取り組みを進められているところかと承知しております。
○石川委員長 よろしいでしょうか。個人的な体験かつちょっと古いので、現状がどうなっているかを確認しない発言なのですが、静岡に県立美術館というのがありまして、そこはロダン館というロダンの彫刻をたくさん集めております。視覚障害、盲ろうももちろんですけれども、申し出ればさわることが可能でしたし、多分、今もできると思うのですが、さわれる彫刻が限定されていまして、小さなものは触われるのです。だけれども、肝心の大きな彫刻、さわっただけで大きさに圧倒されるような彫刻はさわれない。危険だということが一応理由となっていたのですけれども、余り説得的な理由とは思えない。何もぶら下がろうというわけではないので。
だから、いわばコピーであればさわってもいいよというスタンスであったかと思うのですが、これは権利条約の視点あるいは差別解消法の視点からいかがかということについて、文化庁、今、ここで言ってくださいということではないです。考えておいていただけると幸いだなと思いますし、国立であれば対応要領をそれぞれの美術館や博物館がおつくりになるはずですし、そうでないものについては対応指針を文化庁として検討されているかと思うのです。念のため、対応指針について御準備されているかどうかだけお聞きできますでしょうか。次回でも結構です。
民間のスポーツジム等で障害を持った人が断られるケースがあるという件につきまして、所管は文部科学省で大丈夫ですか。お願いします。
○文部科学省 文部科学省スポーツ振興課の本多と申します。
先ほど門川委員から御質問をいただきました、民間トレーニング施設の障害者の方の利用状況についてでございますけれども、申しわけありません、文部科学省でそのような調査をしたことがございませんで、現状では把握をしていないというのが御回答になります。ただ、総合型地域スポーツクラブというものが各地域に設置をされておりまして、今、全国に3,500ほどございます。その3,500の総合型地域スポーツクラブにどれぐらいの障害者の方が参加をされているかというデータについては、約3割の方が総合型地域スポーツクラブに参加したことがあります。過去に参加をしていたということを含めますと、約4割の方が参加をしたというデータが、我々の調査結果からわかっておるところでございまして、まだまだ障害者の方のスポーツ参加が不十分なところもございますので、こういった形で総合型地域スポーツクラブについては、どんどん参加状況をふやしていきたいと考えております。
大日方委員から御意見をいただいた件でございますけれども、先ほど私から御説明をさせていただいたのは、文部科学省の平成25年度の取り組みを御説明させていただきましたので、先ほど厚生労働省さんからお話がありました、文部科学省に移管をされて以降の取り組みの状況につきましては、本日御用意させていただきました資料1をごらんいただければと思います。
先ほど大日方委員からも御紹介ございましたけれども、文部科学省においては、厚生労働省から移管をされた後に、競技力の向上といった観点と、障害者スポーツの裾野の拡大といった観点から、障害者スポーツというものを普及振興しているところでございまして、裾野の拡大、競技力の向上については資料に記載をされているとおりでございます。
移管された経緯ということで、まさしくスポーツ基本法というものが平成23年に制定されました。そのスポーツ基本法というものを受けて、平成24年3月にはスポーツ基本計画というものも策定をされておるところでございます。基本法、スポーツ基本計画において障害者スポーツというものを普及していくのだということを明確に記載して、国として取り組んでいくのだということを記載しているところでございまして、移管に当たってはこういったことも踏まえているということを承知しております。
また、私が所属しておりますスポーツ振興課には、障害者スポーツ振興室という室も設けておりまして、障害者スポーツの普及という観点で鋭意努力をしているところでございます。
大日方委員からいただいた2つ目の御質問でございますけれども、定量的な評価という観点で、NTCであるとか、JISSとか、ナショナルトレーニングセンターと言われるもの、国立スポーツ科学センターというもの、こういったところで選手の競技力の向上を図っているところでございますけれども、こういった施設において障害者の方が利用できたわけですけれども、これまで以上に利用ができるようになるという観点で、そういった使用率をこういった形の進捗状況に記載すべきではないかという御意見だったかと思います。
その観点につきましては、今後データが出てくると思いますので、そういったデータについては、この取り組み状況の中にしっかりと記載をさせていただく方向で検討をさせていただきたいと思っております。
いただいた御質問の3つ目の体育の授業でございます。これも重要な観点だと認識をしておりますけれども、申しわけございません、本日データを持ってきておりませんので、ここで御紹介をすることができないのですけれども、先ほど申し上げましたとおり、進捗状況、取り組み状況の中で、そういったことも含めて記載をしていくように検討をしていきたいと思っております。
以上でございます。
○石川委員長 文部科学省、お願いします。
○文部科学省 文部科学省の特別支援教育課長の井上でございます。
先ほど大日方先生からいただきました、体育の授業で特別支援学校のことも御言及いただきました。特別支援学校におきましては、それぞれの障害に応じた学校が設置されております。それぞれの学校においても子供たちの障害の状況というのはさまざまですけれども、基本的には体育の授業に子供一人一人の状況に応じた必要な変更、調整を加えまして、何らかの形で体育の授業に参加をしているという実態は把握しておりますけれども、そのさまざまな状況の実態の全てを明らかにしたような調査は、行っていない状況でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
先ほどから手を挙げてくださっていた方が、あと3人いらっしゃいます。平川委員、お願いします。
○平川委員 こんなことを申し上げていいかどうかわかりませんが、東京の精神科病院協会でアート展というのをやっているのですけれども、これはどうして始めたかというと、入院している患者さんたちが描く絵が大変芸術的なのですね。我々よりもはるかにうまい。それは、我々以上にいろいろなことを強く感じたり、思ったりする方々が描くからだろうと思うのですけれども、障害者アートというと、どうしても障害があるからできないだろう。だから、よくできているという、それこそ本質を見ないで評価しているような気がしてならないのですね。私は、自分の知り合いの人が自慢になるぐらいの展覧会をということで、東京芸術劇場で展覧会をしたりしているのですけれども、やはり障害があるから、障害者の何とか、障害者のスポーツとか障害者の芸術というのは、私はものによっては失礼なのではないかということが一つ思うことです。
それから、今回、パラリンピックとオリンピックは、パラリンピックは厚生労働省で、オリンピックは文部科学省でというところで1つにしようという話でしょうけれども、変な話ですけれども、我々健常者が車椅子に乗ってテニスをするという形で、同じルールを持って同じ競技をするという形で同じに戦うということも、基本的にはいいのではないかと。一つのルールとしてやっていけば、気持ちの面でも物すごいアスリートだと思います。そういう意味で、ここで文部科学省にやっと移ったのに、障害者のスポーツと、またそこにそれがくっついていくことについては、私は大変憤りを感じたのですけれども、その辺はいかがなのでしょうか。
○石川委員長 ありがとうございました。
文科省にお答えいただきますか。
○文部科学省 文部科学省でございます。
先ほどのスポーツの件でございますけれども、文部科学省にスポーツ振興課の障害者スポーツ振興室を設けたといいますのは、当然、別にそこで分けてやっていこうということではございませんで、もちろん健常者と一緒にスポーツを楽しむということは非常に重要な観点だと思っておりますし、障害者スポーツというものをさらに普及させていこうという観点で室を設けて、十分な体制を構築して振興をしていこうということでございます。
文部科学省においても、資料1にございますように、裾野の拡大に関する取り組みの中で、平成24年度から26年度まで、健常者の方と障害者の方が一緒に楽しめるスポーツ・レクリエーション活動の推進というものの実践研究をさせていただいておりまして、いきなり競技性の高いスポーツをやるというのは難しい面もあろうかと思いますけれども、健常者と障害者が一緒に楽しめるようなスポーツを一緒にやっていこうということで、私どもも政策を進めているということで御理解いただきたいと思っております。
○石川委員長 ありがとうございました。
最近のパラリンピックのテレビの解説などを見ていると、以前とは明らかに違ってきていて、アスリートの立場からアスリートの技術だとか、そういったことをきちんと解説するような解説者が多くいらっしゃるような印象を持ちます。私は全くの素人ですので、大日方委員にお伺いしたいのですけれども、そのように変わってきているように思うのです。
○大日方委員 ありがとうございます。
まさにスポーツ基本法ができて、障害を持つ者がスポーツをすることが大きな転換点にあると私は理解しています。
これまで障害がある人がスポーツをすることは、スポーツ行政において、平成23年ごろまで、スポーツ基本法ができるまでは、ちょっと語弊があるかもしれませんが、視点として忘れられるというか、余り注視されてこなかった分野であったかもしれませんが、ここが大きく変わってきていると思います。
私がスポーツをやっている人間として大切なことだと思っているのは、障害があろうとなかろうと、スポーツの取り組みは実に多様なのです。競技性が高いトップ・オブ・トップで世界の一番を目指したい人もいますし、身近なところで週に1回ちょっと運動をしたいなという人までいて、それを全て障害者スポーツという形で切り取ってしまうと、多様なものが非常に見えにくくなります。ですので、今、そういう意味では、ようやく障害があってもスポーツを多様な楽しみ方ができるという当たり前のことがかないつつある。
そして、先ほど御紹介がありましたけれども、障害者のスポーツ実施率というのは健常者に比べて低いという政策課題について、文部科学省でも明確に取り組もうとされているという認識を私としては評価をしております。その部分においてスポーツ振興課の皆さんが、そういう形の取り組みを重点的にされているということで理解をしております。
そして、石川先生から御発言いただいたものは、まさにパラリンピックについて、私たちはスポーツとしてアスリートのすばらしさを見てくださいということをお願いしていて、それが少しずつ行き渡っているかなと思っています。
例えば私が言っているのは、私は右足を切断していますけれども、そこのない足に着目するのではなく、残っている足の力強さ、太さ、何ができるのかというところをぜひ見てほしいということを解説の方等にお願いして、それが2020年に向けて徐々に広まることが、結果的には障害のある人たちの可能性をスポーツという観点から広められるのではないかという期待を、当事者としても、また、スポーツ関係者としても抱いている次第です。
ありがとうございました。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
○伊藤委員 私も平川委員がおっしゃったことと関連するのですけれども、それから、阿部さんが先ほどリハビリテーションのことを言ったことと関連するのですが、ちょっと違和感を覚えるのです。
私、スポーツや何かでアスリートの方が競技をしていろいろ広げていくというのは、全然問題がないというか、すばらしいことだと思うのですけれども、これは言わないでおこうかと思ったのですが、病気を持っている方々が運動不足も解消したいということで、公設でやっている健康増進センターに行ったら断られた。なぜか。ここは健康な方が健康を増進するためにある施設なのですから、病気の方はリハビリ、病院へ行ってくださいと言われた。それから、知的障害の方と体幹に変形がある方がプールに行きました。これも周りの方の迷惑になるからやめてくださいと言われた。それから、私は患者の団体で、野球をみんなで見に行こうということになった。申し込みました。そうしたら断られました。実は実現したのですけれども、断られた理由というのは、いつファールボールが飛んでくるかわからないから、よけられない人はだめだ。
競技をするとか展覧会をするということはいいのですけれども、日常でみんなと一緒に楽しもうとするものをだめだと言う。これは、ここで言うところの趣旨と物すごく違うのではないか。育てるものはうんと育てていいけれども、したいというものを拒否するようではだめだというのを、今、議論を聞いていて思ったので、関連で発言をさせていただきました。
ありがとうございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
スポーツにしましても、文化活動にしましても、裾野の部分でインクルーシブになっていなくて、トップだけ評価が変わったとしても、余り意味がないとは言わないけれども、それだけではだめだということかと思います。
それでは、松森委員、お願いします。
○松森委員 松森です。
私からは質問が2つあります。33ページ、3-(4)-2の一番下のほうに、国立劇場等では一部の公演において字幕表示を導入とありますが、一部というのは全体の中のどれぐらいなのか、示していただきたいと思います。
例えばNPO団体のシアターアクセシビリティネットワークが、去年、舞台鑑賞及び情報保障についての意識調査を約1,000人を対象にして行いました。その結果、聴覚障害者の約9割は舞台鑑賞を希望しているのに、その中の約半分が諦めるという結果になっています。例えば文化庁などが出している助成金の費用項目には、情報保障に関する項目がないために、字幕や音声ガイド、舞台説明会、点字プログラム、手話通訳や手話説明などの情報保障を行うことができず、ほとんどが自己負担で対応しているのです。
この現状に対して、助成金の対象に情報保障という枠を盛り込むことが必要だと思いますが、今後積極的に対応していくことなどを考えていらっしゃるかどうかをお聞きしたい。
もう一つ、34ページ、3-(4)-5、映画についてバリアフリー映画の上映を行うなどのバリアフリー映画の普及に向けた取り組みを実施したと書いてあります。しかし、現実には、聞こえない私が日本の映画を見たいと思っても、字幕つき上映は限られた映画館で、1日とか2日間程度の上映に限られています。
「映画上映に関するバリアフリー対応に向けた障害者の視聴環境の在り方に関する調査事業報告書」というものがあります。この報告書は、メディアアクセスサポートセンターがまとめたものです。この報告書の中には、2014年、国内映画の公開数615本中で日本語字幕がついた作品はわずか66本、全体の10%です。また、音声ガイドに至っては615本中6本、全体の1%です。日本人なのに日本の映画が楽しめないという現状は、明らかに異常だと思っています。
このような映画についても、バリアフリー補助金を別に設定することなどで対応できると思いますし、また、音声透かし技術など、新しい技術を積極的に推進することも含めて、今後の施策として考えていらっしゃるかどうか。
以上2つです。
○石川委員長 ありがとうございました。
2点、御質問と御意見がございましたので、お答えいただきたいと思います。
文化庁。
○文化庁 文化庁です。
まず、1点目の国立劇場、新国立劇場での公演の字幕表示の導入のデータですけれども、データとしては把握しておりませんが、まだまだそこまで進んでいる状況ではありませんが、例えば国立能楽堂では客席ごとに字幕表示装置を設置しております。文化庁でやっている映画の支援について御説明をさせていただきますと、文化庁では、芸術性の優れた映画の制作に対して制作費の支援を実施しておりますが、その制作費の支援をした映画に対しては、バリアフリー字幕を制作する費用についても制作費に上乗せして補助の対象とさせていただいております。
以上です。
○厚生労働省 厚生労働省でございます。
3-(4)-5の厚生労働省の下に「(経済産業省)」とございまして、現在バリアフリー映画をどのように普及していくのかということを、経済産業省の予算を用いまして、実証実験をやっていただいております。その結果あるいは進捗なりを私どももしっかりと把握いたしまして、どういうやり方がいいのかというのはしっかりと考えていきたいと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
大河内委員は、この関連で何か御意見はございますか。
○大河内委員 大河内です。
今、お答えいただいたことに尽きるとは思うのですけれども、バリアフリー映画につきましては、3省庁横断的に取り組んでいっていただかなければいけない部分もございまして、御認識いただいているということは非常にうれしく思っておりますが、今、松森委員からも御指摘がありましたように、やはり現状では、日本映画が日本人の障害を持つ人たちになかなか届いていないという問題は現実にございますので、一緒に考えていっていただけるとありがたいと思っております。
それから、先ほどの門川委員の御質問ですけれども、今、経済産業省の予算で実証実験が行われています音声透かしを使ったバリアフリー映画の技術ですけれども、これは映画だけではなくて、例えば美術館だったり、イベント等でも活用可能性があると言われているものですので、そういうところも省庁横断的に御検討いただけるとありがたいなと考えている次第です。
ありがとうございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日身連の阿部です。
先ほど文部科学省からあった、裾野の拡大に関する取り組みと、競技力向上に関する取り組みというのは、すごく大事なことだと思います。
また、26年度からスポーツ振興の予算も文部科学省に移行したということでございますけれども、裾野の拡大に関する取り組みの中での全国障害者スポーツ大会ということは、とても大事なことだと思います。これに付随して、各都道府県で予選会をするということもとても大きな意味があるかと思います。これも文部科学省に移ったのでしょうか。厚生労働省の仕組みかなと確認させていただきたいと思います。
結局は、移行されるときに、これまで培ったものはマイナスの方向には行かないのだと思いますけれども、しっかりと取り組めるように、私たちの地域で言いますと、パラリンピックというのはまだまだ遠い人も多いのですけれども、予選会に出られるということはとても大きなことです。これの位置づけがどこなのか。教室などの開催の「など」なのかどうかということの確認と、それから、全国障害者スポーツ大会は、私、仙台なので、第1回大会を仙台で開催したのですけれども、開会開催をきっかけに充実してきました。種目もふえてきた。精神障害の方の種目もふえてきて、これからもまだ課題があって検討が進んでいくということもとても大事なことですので、その辺のところもお示ししていただきたいと思います。
もう一点だけですけれども、本日はそれぞれの省庁の方の取り組みが示されています。地域でもいろいろな取り組みが行われているのですが、まだまだここにあらわれていない部分もあろうかと思います。東京に住んでいる人はいいと思いますけれども、私たちには国立の美術館とか博物館とか、そういうものはないわけです。ただし、地域も確実に進んでいる部分があります。そういうこともこの報告の中に入ってしかるべきかなと思って聞いていましたけれども、いかがでしょうか。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、野澤委員、お願いします。
○野澤委員 野澤です。私も発言したくなったので、障害者の芸術活動のことを発言させてください。
これはたまたま障害者の芸術活動となっていますけれども、もともとアール・ブリュットというのは別に障害者に限るわけではなくて、フランス語で生の芸術、つまり既存の価値観、手あかのついていない芸術というもののジャンルがあって、もともとはピカソあたりがアール・ブリュットの収集家としても知られているというところから出てきた。たまたま日本では、既存の価値観、手あかがついていないという面で、障害者がアール・ブリュット作品を生み出す人たちとして、大きな役割を演じているということだと思います。
このモデル事業で1億円ですか、これはなぜかというと、いろいろな地方ですばらしい作品があるのですけれども、その価値観がわからなくて、みんなどんどん捨てられていたのです。これでは余りにももったいないということで、それをきちんと発掘して多くの人に理解してもらうようにしていただこうということで、こういう事業が始まったということだと思います。
今、日本のアール・ブリュット作品というのは、ヨーロッパでは物すごい人気で、私もロンドンとオランダのハールレム市でやった作品展に行ってきたのですけれども、彼らは障害者として評価されているのではなくて、芸術家として評価されていて、地元の美術誌あたりは彼らの特集記事とかをやるわけです。澤田真一さんという方は重度の自閉症の方ですけれども、去年かおととしでしたか、ベネチア・ビエンナーレにアーティストとして招待されている。別に障害者として招待されているわけではないということなのですね。
先日来もフランスのナント市から、何人もの方が日本のアール・ブリュットに対して表敬訪問をしてきました。これは2020年の東京オリンピックに向けて世界的に盛り上げていこうという企画なのですね。
ナントというのは、昔は造船業で栄えたところですけれども、日本の造船業でやられてしまって、今は文化芸術を観光と結びつけた町おこしで非常に注目されているところなのですね。むしろ国内よりもヨーロッパで日本のこの分野が評価されているわけです。ナントを見てもわかるように、ただ単に余暇活動という位置づけではなくて、むしろ観光産業だとか文化芸術という面で、大きな役割を果たし得る可能性を持っているところなのですね。
私は、ここでは障害者の芸術活動の支援拠点モデル事業ということでいいのですけれども、むしろこの辺を政府の成長戦略あたりにきちんと位置づけるぐらいでちょうどいいと思っているのです。
障害者というと、何か福祉や給付の受け手としてだけしか我々は見てこなかったけれども、そうではなくて、こういうチャンネルを通して見ると、文化や芸術を発信する側として、世の中に大きな新しいものをどんどん発信しているわけですね。そのレセプターが我々のほうにあるかないかの問題であって、そういうことを考えると、これは本当に1億円ではささやか過ぎるぐらいだと思って、世界でこれだけ注目されているのに、何で日本はまだまだここがこんなに弱いのだろうぐらいにしか私は思えなくて、もっとこのあたりを重点を置いて、成長戦略にきちんと位置づけてやっていただきたいと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
先ほどの阿部委員の御指摘に対して、厚生労働省から何かございますか。
○厚生労働省 阿部委員の御質問で予選会などはどうしているかということなのですが、各自治体の実態をつぶさに承知しているわけではございませんけれども、スポーツに結びつけるための、体を動かす楽しみを感じていただくためのレクリエーション等の活動につきましては、引き続き厚生労働省の地域生活支援事業の補助対象ということで取り組ませていただいております。
実態につきましては今、各自治体の地域生活支援事業の取り組み状況の調査をいたしております。各自治体で予選会ですとか、あるいは運動会ですとか、どういった形でやっておられるのか、実態も明らかになってくると思いますので、また御報告をさせていただければと思っております。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
○阿部委員 確実に地域で、各都道府県でやっていますので、それもとても大きなことだと思います。都道府県、政令市でも、予選会で選ばれた方が全国障害者スポーツ大会に出ている仕組みというのはとても大事なことですので、ここでも整理していただきたいと思いました。
○石川委員長 阿部委員、ありがとうございました。
それでは、ここで10分間休憩に入りたいと思います。再開は4時40分とさせていただきます。
(休憩)
○石川委員長 障害者基本計画の各論の「5.生活環境」の実施状況についてということですが、既にワーキング・セッションⅡにおいて御議論いただいている部分もございますので、本日はそれ以外の部分を中心として御議論いただきたいと考えております。
それでは、国土交通省から説明をお願いいたします。
○国土交通省 国土交通省の総合政策局でございます。国土交通省のバリアフリー関係の取りまとめをしている部局でございます。
私から、今、委員長からも御説明がありましたが、障害者基本計画の「5.生活環境」の(1)につきましては、ワーキング・セッションⅡで御議論いただいておりますので、(2)~(4)の部分について、関連する御説明をさせていただきたいと思います。
皆さん御承知かと思いますが、国土交通省では平成18年にバリアフリー法という法律を、それまで公共交通、建築物で独立して制定しておりました2つの法律を一体化する形で法律を制定し、現在に至るまで、このバリアフリー法に基づいて、国土交通省が所管するさまざまな施設におけるバリアフリーの取り組みを進めているところでございます。
この法律では基本方針を定めておりまして、その中に各施設ごとのバリアフリー化の整備目標というものを定めておりまして、現在の目標としましては、2020年、平成32年、ちょうど東京オリンピック・パラリンピックが実施される年と同じになりますが、2020年末までの数値目標を設けて取り組みを進めているところでございます。
ページ番号を打っておりませんが、きょうお配りしております資料の2ページ以降のところに、バリアフリー化整備目標ということで掲げておりますが、ここの右側にあります2020年度末までの目標というものがそれに当たるところでございます。
今回の障害者基本計画の中において、平成25年度の推進状況ということで書かせていただいている内容につきましては、この表のちょうど真ん中にあります現状、2013年度末、この時点の数字を前年度の数字、平成24年度末の数字と対比する形で、それぞれ各項目に記載をさせていただいておるところでございます。
例えば鉄軌道の駅でございますとか、1日の乗降客数が3,000人以上の駅を対象とし、2020年度末までにバリアフリー化原則100%を目標としておりまして、現在の進捗が83%ということになっております。
ホームドアにつきましては、この時点では明確な数値目標を設けておりませんが、先日決定しております交通政策基本法におきまして、800駅においてホームドアを設置するという位置づけをさせていただいております。
車両につきましても、約70%の目標に対して60%、バス、船舶等、それぞれ各公共交通機関においても目標を定めております。主に公共交通機関の施設関係、バスターミナル、旅客船ターミナル、航空旅客ターミナル、それぞれにおいては3,000人以上の駅で原則100%という形の目標を定めさせていただいているところでございます。
こちらが基本計画で言います5-(2)に書かれている部分でございまして、5-(3)では公共的施設等のバリアフリー化ということで、建築物関係あるいは公園や駐車場などが書かれておりますが、道路につきましても原則100%の目標に対して83%、公園におきましても、それぞれ経路ですとか駐車場やトイレにおいてパーセンテージを定め、取り組みを進めております。
それ以外に、(4)ではまちづくりの総合的な推進ということで、今の取り組みはどちらかというと個別の施設ごとの対応ということになりますが、面的な対応ということで目標も定めて、取り組みを進めているところでございます。
そのほか、これらハード整備に加えまして、心のバリアフリーの推進ということで、さまざまな取り組みを行っておりまして、例えば地方局でバリアフリー教室というものを開催しまして、例えばこれは小中学校の学生さんですとか、あるいは一般の方を対象にしておりますが、実際に障害者の方等の体験をしていただく。車椅子の乗降、あるいは体に重り等をつけたり、あるいはゴーグル等をつけて視野を狭めたりといった形で実際に体験をしていただく。その体験を日々の生活に生かしていただく。例えば日々の生活において困っている方とか障害者の方がおられた際には、お手伝いを申し出る。あるいはどういった対応をしてあげればいいのか、すればいいのかということについて経験をしていただく。こういった取り組みも進めております。
このように、ハード、ソフト両面においてバリアフリーの取り組みを進めているところでございまして、そういった取り組みの進捗状況をこの基本計画の中で記載させていただいているところでございます。
簡単ですが、5の生活環境の部分の説明について終わらせていただきます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、委員からの御質問、御意見等を受けたいと思いますので、挙手をお願いいたします。
まず、川﨑委員、大河内委員、佐藤委員、3人の方に順に発言をしていただきます。
○川﨑委員 川﨑です。
どうしてもバリアフリー化といいますと、ハード面がとても強調されておりますが、きょうの資料の中にも心のバリアフリーの推進というのがあるのです。しかし、それも疑似体験で、どうしてもハード面が強いと思うのですが、私ども精神とか知的とかのメンタルの人たちに対しての心のバリアフリーというのは、障害ということを理解してほしいということなのですけれども、この国民の理解、協力の促進等は、国土交通省の中なのですけれども、厚生労働省等でいろいろと啓発ということをやっていただいているのですが、バリアフリー施策の中の心のバリアフリーの推進というのは、具体的に疑似体験以外にはやられていないのでしょうか。お聞きしたいと思います。
○石川委員長 国土交通省さん。
○国土交通省 今、お話のありましたソフト面ということで、メーンとなるのはやはり体験ということかなと思うのですが、実際には、例えば国土交通省の研修所で、昨年からですが、バリアフリー研修というこまを設けさせていただいておりまして、例えば行政機関の方などの参加も求めて、それは体験も含まれておりますけれども、実際に障害当事者の方の御説明というのですか、そういう取り組みもしておりますし、今、お話をしました地方局の取り組みの中でも、体験以外にも障害特性に関する説明ですとか、そういったものをやっております。
あと、まだこれははっきりとしないのですけれども、教育分野とか、体験以外の説明といいますか、知識を身につけることができないかということについては、文部科学省さんなどと御相談を始めさせていただいているところではあります。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、大河内委員、お願いします。
○大河内委員 大河内です。
今の川﨑委員のお話に重なる部分がございますけれども、ハード面のバリアフリー化というのはかなり充実してきていて、移動の円滑化も進んできていると思いますけれども、一方で新しい問題もいっぱい出てきていて、例えば合理化、無人化等々の問題で、合理化に際してホームで駅員さんの介助が受けられにくくなるという状況をお聞きしたり、あるいは窓口が縮小されることによって、窓口でしか障害者割引の切符が買えなくて困っているという話とか、ICカードは便利ですけれども、円滑な移動が可能なICカードが介助者と一緒に使えないだとか、そういう問題がいろいろと声として団体さんからも出されていることは御承知のことかと思いますけれども、特にソフト面のバリアフリー、特に新しいものを事業者が導入したときに、いろいろな障害を持った人たちが利用することを想定されないまま新しいものにシステムが変わっていくときの問題点等について、どのような取り組みだったり、何かデータがありましたら、今後の方向性も含めて教えていただきたいと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、国土交通省、お願いできますか。
○国土交通省 今、御指摘いただきました駅の無人化の問題ですが、我々が最近よく聞いていましたのは、関西の某鉄道会社がかなり御要望等をいただいているところでございますが、多分、鉄道局のほうでそのあたりの対応をされておりますので、細かい話は私からできるかどうかわからないのですけれども、鉄道事業者側の言い分からしますと、経営の合理化という話とかもおっしゃるところはあるのですが、一方で、それに伴って利用者の方の利用環境が損なわれる。例えば実際に鉄道に乗車できないということを、鉄道事業者としてどう考えているのかというところもありますので、鉄道局もそのあたりは十分認識をしておりまして、鉄道局が指導という権限まで持っているかどうかわからないですが、話については事業者に伝えた上で、そういった現場の困っている声にどういった形で対応するのか。例えば駅員等を減らすということに対して、何か代替措置を講じていないのかどうかということも含めて確認はしていると思いますので、戻りまして、鉄道局にはそのあたりの進捗状況について確認をさせていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 障害者手帳にICカードを入れて、自動改札対応というのはできないのでしょうか。
○国土交通省 国土交通省でございます。
例えば障害者割引の半額というのは、子供用の半額の切符を買っていただくやり方をしているという話も聞いております。確かに、要望として子供用のICカードを交付すればいいのではないかという話もいただいておりますが、そこも今、省内で検討しているような話は伝え聞いておりますので、また確認できればお伝えさせていただければと思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。DPI日本会議の佐藤です。
2点あります。
まず1つ目は、データを出していただきましたけれども、これは法の対象になっているデータなのですが、法の対象外のところも含めた数値を出していただきたいということです。きょうのマッカラムさんのお話の中で、正直な報告、できているものとできていないものがはっきりわかるようなものがいいとおっしゃっておりました。
そう考えたときに、バリアフリー法で整備は進んでいるのですが、もともと対象になるところは非常に少ないという法律の限界がございます。ですので、例えば駅は3,000人以上が対象の駅ですけれども、地方に行けば1日の乗降客3,000人以下の駅がほとんどなのですね。そうすると、地方がどうなっているかというのがこの報告ではわからないわけですので、ぜひ法律の対象外も含めた数字を出していただきたい。これが1つです。
2つ目は、バリアフリー法の見直しの方向性とか、そういうものはないのかなというのをお聞きしたいです。私、建物に関して少し法律が弱いのではないかと思っています。例えば私は車椅子ですけれども、3人ぐらいが車椅子で集まって御飯を食べにいこうというと、もう探すのに一苦労なのですね。ほとんど入れません。例えば普通に歩いている人が3人で御飯を食べにいくことは当たり前のことなのですけれども、それは非常に難しい。それはなぜかというと、バリアフリー法でちゃんと対象になっていないからなのですね。例えばアメリカに行ったときは、本当にどこのお店でもかなり入れるわけですね。ですから、アメリカに行くと日本はやはりすごくおくれているなというのを実感しました。
現在、建築設計標準の追補版のパブコメをされていまして、あれはもともとない基準を入れていただいて、私は大変すばらしいと思っております。ただ、残念ながらガイドラインですので規制力がないというところで、バリアフリー法ができたおかげで駅の整備は進んだと思いますけれども、そこは規制力があったからこそ進んだと思います。ですので、建物も含めて見直しの方向がないかというのをぜひ教えていただきたい。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
国土交通省から。
○国土交通省 国土交通省でございます。
法の対象外のデータの公表についてですけれども、まず、各局がそれぞれのモードごとのデータをどこまで細かく集めているかというところにもよるかと思います。仮に細かく対象外の部分まで集めているものがあれば、あとはそれを公開するかどうかという判断だけになろうかと思います。ただ、集まっていないと、また集めるところからの作業になりますので、そこは実態も踏まえて確認をしたいところでございます。
法の見直しについては、障害者差別解消法とか、いろいろ関係するような法律も施行が予定されておりますし、東京オリンピック・パラリンピックも予定されております。国土交通省で副大臣をヘッドにしたバリアフリーのワーキングチームを設けておりまして、その中で今後のバリアフリーの国土交通省としての取り組みの内容について検討を進めておりますので、その検討内容を踏まえて、必要に応じて法改正ですとか、今、先ほどのガイドラインの追補版ということも進めておりますけれども、そういった対応も含めて考えていきたいと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
阿部委員、挙げていらっしゃいましたでしょうか。
○阿部委員 日身連の阿部です。
表についての確認なのですけれども、ここに「バス」「乗り合いバス車両」とあって「ノンステップバス」「リフト付きバス等」とありますけれども、ノンステップバスというところは、いわゆるバリアフリー法対象路線バスなどを言っていて、リフト付きバスというのは対象外のことを言っているのかなと思うのですけれども、その確認が1点です。リフト付きバス等というところが対象外のほうを言っているのだったら、かえってそこを出していただいたほうがわかりやすいのかなと思いながら質問をしました。
高速バス等の対象外のバスなのですけれども、私の知り合いで車椅子を利用している人が、この辺のところはどうなのかなということで、御本人が高速バスを何度も使っていると、確かにバリアフリーではないけれども、いわゆる心のバリアフリーというか、運転手さんとか乗務員さんがいろいろ対応してくれるようになったとのことです。これこそが合理的配慮だと思いますので、高速バスというのは多分対象外であるからだと思いますけれども、リフト付きバス等となるとかえってわかりにくくなるのではないかということが1つでした。合理的配慮ということで言うと、何度も使っていると乗務員さんは配慮してくれるよと言っていたことを伝聞で伝えさせていただきます。
○石川委員長 ありがとうございます。
1点目の質問について、国土交通省からお答えいただけますでしょうか。
○国土交通省 国土交通省でございます。
「リフト付きバス等」の「等」というのが逆にわかりにくいということかと思いますが、表現上はずっとこのままで来ていますので、今の段階でこれをいじるのは難しいかなと思うのですが、おっしゃるように、確かにリフト付きバスとかスロープ付きバスとか、そういったものを含めて「等」という形で表現をされているのではないかと思います。
○阿部委員 その箱を見ると「適用除外認定車両(高速バス等)を対象」と書いてありますので、こちらを主に言って、上のほうは「対象から適用除外認定車両(高速バス等)を除外」だから、これで全体を指すので、上のほうは適用で、下のほうが適用外と読めますね。そこがちょっとわかりづらかったなと思いました。
○国土交通省 わかりました。すぐに直せるかどうかわからないのですが、表現方法については今後工夫したいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
石野委員、挙げていらっしゃいましたでしょうか。
○石野委員 石野です。
質問の前に国土交通省の方の回答に少し補足説明をします。ICカードについて、子供用を使うということもあるという話でしたが、実際は違います。これをごらんいただけますでしょうか。このカードは、障害者専用のICカードです。これはまだ全国には広まっていないのですが、使えるのは京都、大阪、神戸あたりが中心になっています。これは地下鉄もどこでも利用ができるというものです。しかし、そのカードはまだ全国には広がっていないということを補足させていただきます。
バリアフリー法に基づいて、さまざまな目標数値等が出ておりますが、確かに以前と比べて、例えば情報バリアフリーというものも改善されているように思います。しかし、今度、東京オリンピック・パラリンピックが間近に迫っております2020年、特にこの報告を拝見しますと、例えば旅客船等につきましては、2020年50%の目標達成率という数字が出ています。この数字についてよく理解ができません。東京オリンピックに合わせて100%は難しくても、せめて90%、80%にしていただきたい。なぜ、50%なのかが理解し難いので教えていただきたい。
以上です。
○石川委員長 それでは、2点目につきまして、2020年の目標が50%ということなのですが、その根拠について教えていただきたいということです。
○国土交通省 国土交通省でございます。
数字の根拠は、それぞれの所管局で登録をされていますので、私のほうで50%をどういう観点で設定したのか、現時点で手持ちの情報がありませんので、それは戻りまして確認をさせていただきたいと思います。
ICカードのほうは、認識不足で失礼いたしました。
○石川委員長 ありがとうございました。
あと、伊藤委員。
○伊藤委員 簡単なものを1つと、住宅の問題について触れてよろしいですか。きょうは交通だけですか。よろしければ、あわせてお願いをしておきたいと思うのです。
○石川委員長 住宅は、ワーキング・セッションで取り扱っているかと思います。そちらはまだもう一回ございますので。
○伊藤委員 もう一回ありますか。
○石川委員長 はい。
○伊藤委員 では、交通に限って。
これは大したことはないのですけれども、北海道の高速道路は、ETCを使っている障害者もとまって手帳を提示と書いてあるのです。あれはETCを使う意味があるのかなという気もするのですが、これはどんな関係なのでしょうか。
○国土交通省 国土交通省でございます。
多分、それは誤解があって、ETCを交付されている車はノンストップで走っています。もともと昔は、障害者手帳を見せて料金を払うときに割引を受けていたのですが。
○伊藤委員 それはわかっているのですけれども、北海道では完全にそこのところに、ETCの方もとまって手帳を見せるようにと書いてあるのです。
○国土交通省 北海道の道路に書いているということですか。
○伊藤委員 ゲートのところに大きく看板が出ているのです。これは特殊でしたか。
○国土交通省 道路局に確認しないといけないですが、少なくとも我々の認識上は、ETCを持っている方はノンストップだと思います。
○伊藤委員 この間までそうだったのです。
○国土交通省 それは確認をしてみます。
○石川委員長 大濱委員、お願いします。
○大濱委員 阿部委員の質問と重なりますが、先ほどの別紙のペーパーで、リフト付きバス云々とあって適用除外とありますけれども、これがイメージしているのは、例えばシャトルバスとか観光バスとか、そういうことをイメージされているのだと思うのですよ。要は、低床バスみたいにできないようなバスが、リフト付きバスということでイメージされているのだと思いますが、ユニバーサル議連の回答では、空港からのシャトルバスについては前向きに検討するという返答をもらっていると思うのですが、差別解消法ができまして、ここら辺が25%というのは、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて数値目標がかなり低いと思うのですよ。高速バスにしても、シャトルバスにしても、もうちょっときちんと整備してもらわないと、日本がこれから観光客を云々と国土交通省が言っているのであれば、4分の1というのは数字として低過ぎるかなと。やはり再度検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国土交通省 国土交通省でございます。
先日もユニバーサル議連の視察の際にも、御要望ということでいただいたかと思います。その後、自動車局に確認をした範囲では、今後、空港アクセスバスでリフト付きバスを導入したケーススタディーの検討を実施するので、その結果を踏まえてさらなる導入促進について検討をしたいと一応は言っておりましたので、まずはそのケーススタディーを見ての判断なのかなと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
関連ですか。
○大濱委員 関連でいいですか。
25%というのは暫定の数字ということで考えてよろしいということですか。
○国土交通省 現時点では、25%が公式な目標数値です。
○大濱委員 空港間のシャトルバスは考えるけれども、高速道路のバスは考えないという解釈ですか。
○国土交通省 そこまでの細かい認識を自動車局が持っているかどうかは確認できていないですが、いずれにせよ担当局としては、4%を25%に極力近づけるような取り組みはしたいという認識は持っております。
○石川委員長 ありがとうございました。
まだ続きそうなので、ここで1回止めさせてください。
○阿部委員 済みません、1つだけ簡単にです。
○石川委員長 阿部委員。
○阿部委員 路線バスの認可を受けていると、ノンステップバスは、何か催し物があったときに使えない状況がありますけれども、障害がある人が集まるさまざまな大会等のときには、路線バスの認可でも弾力的に使えるようにできるような工夫があるかどうか、検討をお願いしたいと思います。地方では、もうリフト付きバスはほとんどなくなっている状況です。ただし、路線バスにはノンステップバス、スロープがあるのですね。弾力的にそのように催し物に使えるようになると、すごく違うのだなと思いました。
○石川委員長 御意見でしたが、国土交通省のほうでコメントはございますか。
○国土交通省 私の立場では何とも言えないので、担当局に伝えさせていただきたいと思います。
○石川委員長 平川委員、お願いします。
○平川委員 私はユニバーサルデザインのところのお話になるかと思いますけれども、点字ブロックのことです。私どもが認知症の患者さんたちを診ていると、床の色の変化だけでつまずいて転んでしまうのですね。頸部骨折等の原因になってしまって、バリアフリーと同時に点字ブロックをつくられることが多くて、非常に転倒、骨折の原因になってしまっているようにも思うのですけれども、いわゆるデザインを変えるとか、もちろん視覚障害者の方に配慮すべきだと思いますが、何か別のいい方法を考えていらっしゃるかどうか、質問です。
○石川委員長 ありがとうございます。
国土交通省、いかがでしょう。
○国土交通省 確認なのですが、視覚障害者の方が点字ブロックでつまずくということですか。
○平川委員 認知症の方々が転ぶということです。
○国土交通省 いわゆる障害特性間で、例えばよくありますのは道路の段差2センチの話とかで、車椅子の方は段になるのだけれども、視覚障害者にとってはということで、多分、いろいろな障害特性の違いによって。
○平川委員 ですから、皆さんがいいような形のユニバーサルデザインにならないかということです。
○国土交通省 それは、段差をなくせばあれですし、どこか中間点に落とさざるを得ないと思います。なので、点字ブロックをなくせば視覚障害者の方は当然お困りになりますし、それがあれば車椅子の方ががたがた走りにくい。そこはもう多分、どちらの肩を持てばどちらがということになりますので、そこはなかなか難しいのではないかと個人的には思います。
○平川委員 そこが知恵の出しどころではないのですか。
○石川委員長 済みません、皆さん大分お疲れのようで、議事を無視して発言される方が多くなり、私も次第に気持ちのコントロールをすることが難しくなってきましたので、どちらかにしましょう。つまり、ルールどおりに発言をするか、あるいはここまでか。
これは重要な御指摘だと私も思いますし、エビデンスとしては、点字ブロックをきっかけとしてどれぐらい転倒等が起きているのでしょうか。そういったデータはどこか。今、担当がいらっしゃらないかもしれませんが、厚生労働省とかでございますでしょうか。
○伊藤委員 難病の伊藤です。
北海道では、特に冬場になると足の裏に雪をつけて入ってくると、建物の中に入っても点字ブロックは滑って転倒するのですね。建物を建てるときにかなり指導を受けたのですけれども、点字ブロックのスペースをかなり限定させてもらったというのがあります。特に歩行が不自由な方が多いものですから、かなり難しくて、また、表は表で、どの道、冬になったら雪の下になって点字ブロックの役割を果たしていないので、何か別の方法はないかというのは、ずっと悩みではあるのです。これは何かそういうコンテストでも開いて、新しいユニバーサルデザインを募集するとか。ただ、国際的だというのですと、日本だけ別だというのも困りますので、そこは病気で歩行不自由な人たちにとっても大きな悩みのところであるのです。
○石川委員長 御指摘ありがとうございます。
現状の点字ブロックが理想的ということではないと思います。あるいは技術的にどういうソリューションがあり得るかということは、研究テーマとして重要かと思います。所管はどこというわけでもないと思いますので、例えば厚生労働科研費であるとか、いろいろあろうかと思いますので、我こそはと思う方はぜひ研究開発に名乗りを挙げていただきたいと思います。
ほかにございますでしょうか。
では、大日方委員、お願いします。
○大日方委員 1点質問なのですが、バリアフリー化整備目標についての御質問です。
鉄軌道駅2020年までの目標で、3,000人以上の駅で100%を達成した場合に、駅の総数でいうと何割が達成できたことになるのでしょうか。つまり、3,000人未満の駅というのは、駅の総数という意味においては日本の中にどのぐらい存在するのかということをお聞かせいただきたいです。
○国土交通省 済みません、今、手元に数字がありません。確認すればわかると思いますので、それはまたお伝えしたいと思います。
○石川委員長 最後ということで、石野委員、お願いします。
○石野委員 石野です。
私自身の勉強不足かもしれませんが、例えば宗教関係の施設は、バリアフリー法の対象外なのか、対象内なのか、教えていただきたい。宗教においての施設がバリアフリー面で大分おくれているところが多いので、伺いたいのです。
以上です。
○石川委員長 国土交通省、お願いします。
○国土交通省 今、法律の条文が手元にないのであれなのですが、不特定多数の方等が利用する施設とかという形で、実際に法律の中で明確に細かく特定建築物とか特別特定建築物という形で施設が列記されておりますので、そこに含まれていれば対象になりますし、入っていなければ義務づけ対象外になりますので、そこも条文を確認させていただければと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
○石野委員 石野です。
わかったような、わからないような回答ですもう少しわかりやすい明確なお答えをいただきたいのですが。
○国土交通省 要は、条文に書いてあれば対象ですし、書いていなければ対象外です。今、その条文が手元にないので確認をしますということです。
○石川委員長 これは確認をしていただいて、後日御報告いただくと言うことでよろしくお願いいたします。
それでは、以上とさせていただきたいと思います。
最後に事務局からの連絡事項をお願いいたします。
○加藤参事官 事務局でございます。
お手元の参考資料2をごらんください。この資料には、今後の障害者政策委員会、ワーキング・セッションの予定が記載されております。次回、第22回障害者政策委員会につきましては、6月29日の月曜日、13時30分開始、場所は8号館の1階の講堂を予定しております。官邸のほうの8号館になります。
第3次障害者基本計画の「7.安全・安心」「8.差別の解消及び権利擁護の推進」「9.行政サービス等における配慮」「10.国際協力」、Ⅳの推進体制の分野における実施状況について御議論いただく予定でございます。
なお、各ワーキング・セッションの第2回も順次開催される予定でございます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
以上をもちまして、第21回の障害者政策委員会を終了いたします。ありがとうございました。