障害者政策委員会(第22回)議事録

○石川委員長 これより第22回「障害者政策委員会」を開催いたします。
 御多用のところ、委員におかれましては、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日の会議は17時30分までを予定しております。
 最初に、事務局から委員の出欠状況について御報告をいただきます。

○加藤参事官 事務局です。
 本日は、大原委員、清原委員、田中委員、山崎委員が欠席との連絡をいただいております。また、今のところ、阿部委員、大日方委員、辻井委員、野澤委員が少し遅れておられるようでございます。
 なお、会議冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入りまして、写真撮影が行われますので、御承知おきください。
 以上でございます。

○石川委員長 それでは、本日の議事に入ります。
 毎回のお願いです。各委員から発言を求めるときは、まず挙手をいただき、委員長からの指名を受けてから発言をお願いいたします。
 できるだけ最初に結論を述べ、その後、理由あるいは説明をしていただきたいと思います。また、御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり、わかりやすく御発言いただくようお願い申し上げます。マイクに近寄って御発言ください。発言後はマイクを切ってください。
 障害者基本計画(第3次)の実施状況に関しまして、委員から御発言をいただく際は、可能な限り事前にお配りしております「障害者基本計画(第3次)の実施状況」のいずれの項目に関連しての御意見なのか、資料のページ数とあわせて何項目の何々といったようなことを最初に述べていただくと、対応しやすいかと思います。
 本日は、第3次障害者基本計画の実施状況について議論いたします。
 最初に、会議の資料と流れについて、事務局より御報告、御説明をいただきます。

○加藤参事官 事務局です。
 本日の会議資料と流れについて御説明いたします。
 まず、会議資料でございますが、
 資料1 復興庁提出資料「復興庁における取組について(障害者基本計画7-(2)-1」
 資料2 消費者庁提出資料「障害者の消費者生活相談や消費者被害の実態(障害者基本計画7-(4)-1~4)」
 資料3は、実は番号を振る予定だったのでございますが、お手元にこういう色刷りの1枚ものの紙が入っているかと思います。この番号を印刷できなかったということでございます。資料3としましては、内閣府(障害者施策担当)提出資料ということで、「障害及び障害者理解の促進について(障害者基本計画IV推進体制)」のところで、こういう作品募集という裏表色刷りのリーフレットを1枚入れてございます。
 参考資料1 障害者政策委員会ワーキング・セッションについて
 参考資料2 障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視に係る今後のスケジュールについて(案)
 参考資料3 障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視について(案)(第20回障害者政策委員会 資料)【抜粋】
となっております。
 また、委員の皆様には、机上に常備いたします資料として、障害者基本法、障害者基本計画、障害者基本計画の概要、障害者基本計画の実施状況、障害者の権利に関する条約を御用意しております。
 次に、本日の進行についてですが、会議時間を3つに分けまして、最初に第3次障害者基本計画の「7.安全・安心」の分野について、次に「8.差別の解消及び権利擁護の推進」の分野について、最後に「9.行政サービス等における配慮」「10.国際協力」「IV 推進体制」、この分野について各省からの説明と質疑応答を行います。
 2回の説明者入れかえの際に15分ずつ休憩をとる予定でございます。
 なお、これ以降の写真撮影は御遠慮いただきますよう、お願いいたします。
 以上です。

○石川委員長 それでは、内容に入っていきたいと思います。説明と委員からの意見を、「7.安全・安心」につきまして、休憩時間前のまず最初のパート1として取り上げていきたいと思います。
 最初に、内閣府、お願いいたします。

○内閣府 内閣府防災でございます。よろしくお願いいたします。
 最初に、71ページの7-(1)-1でございますけれども、地域防災計画のもととなります防災基本計画におきまして、障害者等につきまして、地方防災会議の委員への任命など、防災に関する政策方針決定過程や防災の現場への参画を拡大して、多様な視点を取り入れた防災体制を確立する必要がある旨を定めまして、消防庁と連名で各都道府県に対して通知を行いまして、地域の防災力向上を推進するとともに、総合防災訓練大綱に基づきまして、障害者や福祉関係者の御参加を得ながら防災訓練を実施し、訓練で得られた課題等への改善策の検討を通じまして避難支援等の体制の整備に努めているところでございます。
 おめくりいただきまして、72ページ、7-(1)-3でございますが、平成25年6月に災害対策基本法の改正を行いまして、障害者等の災害時の避難等に特に支援を要する方を対象とした避難行動要支援者名簿を作成することを市町村長に義務づけております。これを受けまして、避難行動要支援者名簿の作成・活用に係る具体的手順等を盛り込みました「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」を平成25年8月に策定・公表したところでございます。
 また、市町村において平常時から地域の関係者の御協力を得て、避難支援等の実効性を高めるための個別の計画の策定でありますとか、平常時からの防災訓練参加への呼びかけ、災害発生時または発生のおそれがある場合の情報伝達・避難支援等に取り組むよう通知をしたところでございます。
 あわせまして、災害の発生時に障害者等の方々に緊急かつ着実な避難指示が伝達されるように、ファクスや携帯端末など多様な手段を活用すること、また、障害者等にもわかりやすい言葉や表現、説明などにより、一人一人に的確に伝わるようにすること等も盛り込んでございます。
 また、避難行動要支援者名簿の作成及び活用が進むように、取り組み指針の周知等に努めまして、市町村における取り組みを促進しているところでございます。
 おめくりいただきまして、73ページ、7-(1)-4でございますが、繰り返しになりますけれども、平成25年6月の災害対策基本法の改正によりまして、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取り組み指針を平成25年8月に策定・公表したものでございますが、これらを踏まえまして、平成25年10~11月にかけまして全国の9カ所でブロック会議を開催いたしまして、都道府県、市町村の防災担当者や福祉担当者に対し、改正災害対策基本法及び取組指針の周知徹底に努めたところでございます。
 また、平成26年3月に参考事例集を取りまとめて公表し、市町村の取り組みを促進したところでございます。
 続いて、下の7-(1)-5番でございますけれども、避難所につきまして、内閣府が平成25年8月に「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」の中で、各市町村に対しまして「避難所として指定する施設は、耐震性、耐火性の確保だけでなく、生活面を考慮し、バリアフリー化された学校、公民館等の公共施設とすることが望ましいこと」「障害者等の要配慮者のニーズの把握や、その意見を反映させるようにすること」など、障害者への支援を促しているところでございます。
 応急仮設住宅の提供に当たりましては、高齢者や障害者等が入居する場合において、手すりやスロープ等のバリアフリー対応とすることとしているところでございます。
 内閣府からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 質疑応答は、「7.安全・安心」について各省からの報告を全て伺った上でということにしたいと思います。
 続きまして、総務省、お願いいたします。

○総務省 総務省の消防庁の明田と申します。よろしくお願いします。
 2点ございますが、資料につきましては、同じく72ページをごらんください。
 7-(1)-3の災害時の情報伝達についての部分でございます。
 まず、災害時の情報伝達の手段については、地方自治体が整備するものでございますが、地方公共団体に対し必要な財政支援を行っているということ、それから、情報伝達に関する知見を持つアドバイザーを派遣することにより、障害者お一人お一人、また、住民の方々に対し迅速かつ確実に災害情報が伝達されるよう、地域の実情に応じた災害情報伝達手段の整備を促進しているところでございます。
 このような取り組みを行いまして、市町村における防災行政無線の整備率については、資料にありますとおり80.1%ということで徐々に上昇している状況でございます。今後も市町村における適切な伝達手段の整備促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 こちらが1点目でございます。
 2点目は74ページをごらんください。一番上の7-(1)-7でございます。こちらは119番通報時の配慮についてでございます。
 まず、119番通報をする際なのですが、固定電話の場合に加えまして、携帯電話等から119番をする際に、通報者の発信位置に関する情報が自動的に消防本部に伝達される仕組みを導入しております。この導入につきまして、各消防本部に必要な財政措置を行っております。現在のところ、600の消防本部で整備をしていただいているところでございます。
 このシステムの導入が進むことにより、言葉を発しにくい方からの119番通報に対しても迅速な出動や対応が可能となるものでございます。
 このシステムのほかにもファクスやメール、ウエブによる通報など、音声通話以外の仕組みを導入している消防本部もふえているところでございます。引き続きこのようなシステムの導入促進・普及に努めてまいりたいと考えてございます。
 総務省の消防庁からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、厚生労働省、お願いいたします。

○厚生労働省 厚生労働省障害部の森と申します。
 74ページでございますが、主な取り組みといたしまして7-(2)-2でございます。被災地における障害福祉サービス提供の環境整備のため、障害福祉サービスの事業再開支援事業により、事業所に対しまして、人材確保支援など必要な活動支援を実施しているところでございます。
 7-(2)-3の2つ目の○でございます。被災者のお心のケアを継続的に実施するため、被災3県に設置いたしました「心のケアセンター」におきまして、精神保健福祉士などの専門職による自宅及び仮設住宅などへの訪問支援等を実施しているところでございます。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、復興庁、お願いいたします。

○復興庁 復興庁でございます。
 74ページの7-(2)-1でございます。復興庁では、被災自治体や各地で復興に取り組んでいる方々の参考となるよう、まちづくり、仕事づくり、健康づくりなどの復興の各分野に関して、障害者等を支援している事例を収集して、これらの事例を取りまとめて公表しました。
 参考資料1を別につけてございます。
 「1.東日本大震災からの復興の基本方針」というものがございまして、この中で「子ども・障害者等あらゆる人々が住みやすい共生社会を実現する」と方針が定められております。
 2番のほうは今申しました「被災地における障害者支援事例の収集・公表」でございますが、今後とも引き続き事例を収集して、公表していく予定としております。
 その次のページに、参考として事例集とはどんなものかというものをおつけいたしました。
 これは、岩手県の特定非営利活動法人結人(ゆいっと)という団体の「1.住みやすいまちづくりに障害者の声を届ける」というまちづくりと居場所づくりの例でございます。
 最初の囲みの下に書いてございますように「被災した障害者が自由に街に出て、当たり前に地域で暮らしていける社会になるよう、障害者自身が現状を社会に発信し、理解や改善をもとめる活動を行っている。交流会や商店街のお祭りへの参加など、障害者と健常者の交流の機会を作っている」という事例でございます。
 このページと次のページの2ページで1事例になっておりまして、こうした事例を幾つかまとめたものを公表しているところでございます。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、警察庁、お願いいたします。

○警察庁 警察庁でございます。
 資料の74ページをごらんください。「(3)防犯対策の推進」の部分でございます。
 7-(3)-1は緊急通報についてでございますが、警察におきましては、全ての都道府県警察においてファックスによる緊急通報の受理及びEメールによる緊急通報の受理をさせていただいておりまして、障害のある方からの緊急通報に対応させていただいているところでございます。
 続きまして、75ページの7-(3)-2、障害のある方のコミュニケーションを支援する取り組みの推進の関係でございますが、手話ができる警察官の交番等への配置や、警察版コミュニケーション支援ボード、こちらは警察が取り扱うことの多いものを中心にイラストを盛り込んだボードでございまして、こちらを指さすことによって利用するものでございますが、こちらを全国の警察の交番などへ配布しておりまして、障害のある方からの各種届け出、相談等に対応させていただいているところでございます。
 次の施策については、担当がかわります。

○警察庁 失礼します。警察庁生活安全課の鈴木と申します。
 7-(3)-3、犯罪被害の防止のための防犯情報の提供についてであります。
 犯罪被害を防止するための防犯情報の提供につきましては、効果的な防犯対策、防犯行動を講じていただく意識づくりにつながっているものであります。地域社会の不安を解消するきめ細やかな犯罪抑止対策を推進するためには、犯罪の発生状況、あるいは防犯対策を講ずる上で参考となります具体的な情報を適切に提供することが必要不可欠でありますので、引き続き各種広報媒体を活用しまして、効果的な防犯対策を推進するためのタイミング、あるいは方法に配慮しながら適切な情報提供に努めていきたいと考えております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、このパートの最後の御報告ということで、消費者庁、お願いいたします。

○消費者庁 消費者庁消費者教育・地方協力課でございます。
 お手元の資料2「障害者の消費者生活相談や消費者被害の実態」をごらんください。
 まず、悪質な手口により消費者被害に遭ったということで、全国の消費生活センター、国民生活センターなどに寄せられた障害者の相談件数は、平成21年度以降、増加傾向にございます。平成21年度は約1万4,000件の相談件数でございましたが、平成25年度には2万2,000件という数字になっております。
 その中でも、特に知的障害に関する消費生活相談の事例を幾つか御紹介させていただきます。
 事例といたしましては、知的障害のある娘が知人に頼まれて携帯電話5台の契約をしたが、解約は無理かといった御相談でありますとか、知的障害のある妹が数年前から訪問販売で寝具類を断り切れずに次々に購入している、販売方法に問題があるため、解約・返金してほしいといったような相談が寄せられてございます。
 消費者庁の取り組み状況につきましては、75ページの7-(4)-1をごらんください。
 私どものほうで「高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会」というものを設置しております。これは各福祉関係団体、障害者の関係団体の皆様、関係機関に集まっていただいて、障害者に関する消費者被害について情報共有をするものでございますけれども、平成25年度については2回開催しております。
 それから、障害者の見守りの担い手の方に向けたDVDを作成しておりまして、その中で、障害者の消費者被害の特徴、どういった形で被害救済が図られるかということを紹介させていただいております。
 続いて、7-(4)-2の関係でございます。「高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会」におきまして、関係団体のそれぞれの取り組みを御紹介して相互理解に努めているところでございます。
 都道府県における障害者、消費者の対応の支援ということで、地方消費者行政活性化交付金というものを私どものほうで予算措置させていただいております。この交付金を活用して、地域におきまして障害者のための消費生活相談受付体制の整備でありますとか、障害者を地域で見守る体制の構築、消費者トラブルの防止・発見に関する取り組みを支援させていただいております。
 続いて、7-(4)-3の関係でございます。障害者の方の相談しやすい体制の整備ということで、各地の消費生活センターにおける相談受付用ファックスでありますとか、あるいはEメールでの相談の受け付けについて、自治体さんに御理解をいただくべく導入の依頼をしているところでございます。
 続いて、76ページをごらんください。7-(4)-4でございます。
 一番上の見守りの担い手向けのDVD作成については、先ほど御説明させていただきました。
 2つ目でございますが、地方消費者グループフォーラムということで、全国を8ブロックに分けまして、各地の消費者団体の皆様、関係団体の皆様に集まっていただいて啓発イベントをしておりますけれども、そういったイベントに障害者の方も参加しやすい環境づくりということで、手話通訳を手配したりとか、あるいは要約筆記の手配をしたりといったことをしております。
 最後でございますが、同じく地方消費者グループフォーラムの平成25年度中部ブロックにおきまして、テーマとして「知的・精神障害のある高校生・若者への金銭教育」ということで、講演、啓発の機会といった取り組みを行っております。
 消費者庁からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 以上、第3次障害者基本計画の「7.安全・安心」にかかわる障害者政策の実施状況について、各省庁から御報告をいただきました。
 これより質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見のある委員は挙手をお願いいたします。
 それでは、順次指名させていただきます。
 では、松森委員、お願いします。

○松森委員 松森です。
 私からは4つあります。
 まず、1つ目、7-(1)-1、ここには防災基本計画や総合防災訓練大綱に基づき、障害者等の支援が必要な人を交えた防災訓練の実施等を促進し、避難支援等の体制の整備に努めているとあります。災害に強い地域づくりの促進を内閣府が呼びかけているのはすばらしいことだと思いました。
 率直な質問として、内閣府を含めた各省庁は同様な防災訓練等をどの程度行っているのか教えてください。年間何回実施しているのか。一緒に参加する障害者は何人いて、どのような種類の障害者がいるのか。どのような方法で行っているのか。それらを公開することは国民にとっても参考となるはずです。
 特に内閣府の4号館と8号館は2014年にできて2年目の運用となりますが、障害者政策委員会が開催され、多くの障害者が訪れる場でもあり、今このタイミングで災害が発生する可能性もゼロではありません。こうした背景からも教えていただきたいと思います。
 2つ目は、73ページ、7-(1)-5、避難所について、これは障害者女性の視点からも考えていく必要があります。障害者基本計画の横断的視点あり、かつ、障害者基本法第26条「防災及び防犯」にも障害者の性別について記載されていますが、障害者基本計画の「7.安全・安心」の中には記載されていません。例えば「避難所等における着がえやトイレ等、障害のある女性に対する配慮」など、障害者女性の視点からモニタリングの必要があると思います。
 3つ目、74ページ、7番の「(2)東日本大震災からの復興」について。震災5年目になりますが、被災した障害者の実態把握はどの程度されていますか。例えば被災した障害者について、地域別や性別による犠牲者数、被害の軽減に効果があった好事例や震災から現在に至る障害者の生活状況、仮設住宅や県外避難などで生活する障害者についても、その実態を改めて把握し、検証し、公表していただくことが今後の防災の取り組みや支援につながっていくと思います。
 続いて、4つ目、こちらはちょっと細かいことなのですけれども、75ページ、一番上の7-(3)-2、手話ができる警察官について、実際に全国で何人ぐらい、どの地域にいるのか、手話のレベルはどのぐらいなのか、年間どのぐらいふえているのか、データとしてあれば知りたいと思います。今、全国で手話言語条例の広がりもあるので、行政の職員が手話で対応できるというのはとても重要な項目になっていくと思うからです。
 以上4つ、よろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 御質問は数がありましたので、まず、松森委員からの御質問に対して、内閣府と警察庁になるかと思いますが、よろしくお願いします。

○内閣府 内閣府でございます。
 7-(1)-1ということで、実際に訓練をどの程度行っているのかというお尋ねだったと思いますが、今、手元に具体的な数字の資料がなくてお答えができないのですけれども、地域防災計画ということで、地方自治体の市町村で実際どれぐらいの訓練が行われているのかということにつきましては、担当の部局できちんと回数を調査して把握しているのかどうかということから確認しないといけませんので、ちょっとそこは。

○松森委員 私の質問は、地域別ではなくて、内閣府とかがどの程度防災訓練をされているのか、それについてお聞きしたいのです。

○内閣府 内閣府自体、国ということですよね。今、手元に資料がなくて、また後日お答えさせていただけたらなと思います。済みません。

○石川委員長 それでは、4点のうちの2点目、避難所における女性への配慮、また、女性障害者への配慮という観点につきまして、これはどちらになりますか。しかるべき所管がよくわからないのですが、どちらになりますでしょうか。
 では、とりあえず内閣府防災でお願いします。

○内閣府 いただいた御意見、障害のある女性に対する配慮が必要だという御意見は、内閣府としてもそれはもっともだと思いますので、よく承って持ち帰らせていただきたいと思います。

○石川委員長 どうもありがとうございます。
 これは障害女性というだけではなくて、女性全体にとって配慮が必要だということであろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 3点目なのですが、被災障害者の実態調査、生活状況の調査等の実施はされているか。また、それは公表の予定があるかどうか。これはどちらになりますか。復興庁になりますか。

○復興庁 復興庁では、調査等は特段行っていないところです。

○石川委員長 厚生労働省はなさっていらっしゃいますか。

○厚生労働省 厚生労働省でも特に把握は行っていないところでございます。

○石川委員長 そうしますと、内閣府は何かないですか。どこでしょうか。
 では、障害者施策担当で何かお答えいただけますか。

○加藤参事官 障害者施策担当でございます。
 一部の調査結果については、例えば防災の担当なり、あるいは民間の障害者団体等で、障害者の方々の死亡状況が一部の地域で2倍とか、3倍というようなデータがあるとは聞いております。ただ、政府全体として把握しておるという情報は、私は持っておりません。

○石川委員長 きょうは基本計画の実施状況についての監視ということなので、その範囲内にとどめたいと思いますけれども、権利条約の国内実施の監視ということからいいますと、これは重要な問題でありますので、一応、宿題とさせていただいて、受けとめさせていただくということでお願いいたします。
 次に、4点目ですけれども、手話のできる警察官について、これはもうできる、できないというゼロイチの話でもないかと思いますが、研修を受けた方でそれなりに手話が使える方というのは、今どのぐらいの数に達しているのかといったような実績ベースでの御報告は、きょうは難しいかもしれませんが、把握されているか、あるいは把握可能でしょうか。警察庁、お願いします。

○警察庁 警察庁でございます。
 御質問のありました手話のできる警察官の数でございますけれども、平成27年4月1日現在で16の都府県におきまして89人おります。実際、手話のできる警察官が配置されている交番が40カ所という現状でございます。
 レベルに関してでございますけれども、国、地方公共団体などにおけるある程度の資格を持っている者、プラス、公的機関、団体が行う講習を修了して、日常的な会話ができるということで各都道府県本部長が認めた者ということでの調査の数値でございます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 次に、石野委員、先ほど手を挙げていらっしゃいましたね。その後、大濱委員、お願いします。

○石野委員 全日本ろうあ連盟、石野です。
 聴覚障害者としてお聞きします。ファクシミリあるいはメール等々の発信方法があるというお答えでしたが、消防庁、警察庁、消費者庁では、メール、ファクシミリの番号やアドレスの公開は、どのような形でしているのか教えてください。
 2つ目は避難所関係です。福祉避難所については一言もそれが載っていません。情報がわからないので教えていただきたい。全国の福祉避難所の数についても、ぜひどのぐらいか把握していただきたいと思います。
 この2点です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 まず、ファックスとか電子メールでの問い合わせ、あるいは支援要請に対して、その情報をどのように公開されているかということなので、これは警察庁と消費者庁でよろしいですか、石野委員。
 では、消防からお願いします。

○消防庁 では、消防関係を消防庁からお答えいたします。
 消防に関しては全国の750の消防本部が運用しておりますけれども、ファックスやメールでの119番通報については、基本的に事前登録をしていただいて、その登録をしていただいた方が各消防本部の指定の番号ないしはアドレスに登録をいただくという形になっておりますので、これは各消防本部によって扱いが若干違いますので、具体の内容に関しては、各消防本部までお問い合わせをお願いしたいと思っております。

○石川委員長 警察庁、お願いします。

○警察庁 警察庁でございます。
 ファックス110番、メール110番についてでございますけれども、各都道府県警察において開設しているものでございます。各都道府県警察のウエブサイトや各所の障害者支援団体などを通じまして、ファックス110番、メール110番の番号、通報要領につきまして周知をさせていただいているところでございます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 消費者庁もよろしいですか。

○消費者庁 消費者庁でございます。
 全国の消費生活センターは各地方自治体で設置されているものでございまして、メール、ファックスのアドレスとか電話番号についても、各自治体のホームページ、啓発資料などで公開されているということでございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 石野委員からもう一点、福祉避難所についての情報をということで、これは厚生労働省になりますか。

○厚生労働省 いえ、厚生労働省ではないです。

○石川委員長 福祉避難所の担当はどこですか。

○三浦委員 三浦と申します。
 福祉避難所は、県や市町村では消防保安関係の課と福祉関係の課が連動して指定をしていっておられますけれども、本庁のほうでは担当課はどちらになられますでしょうか。

○石川委員長 大濱委員から。

○大濱委員 福祉避難所の管轄は社会・援護局だと思います。

○石川委員長 きょうは、厚生労働省の社会・援護局のほうからはいらっしゃらないのですね。細かく分かれているので、きょうはちょっと。

○石野委員 石野です。
 厚生労働省ではなく、内閣府の防災担当課になるのではないでしょうか。

○石川委員長 済みません、わかりました。わからないということがわかったので、きょうは宿題とさせてください。内閣府のほうで調べて、次回の宿題ということでよろしいですか。

○石野委員 石野です。
 別に警察庁に伺いたいことがあります。消防庁については、メール、ファックスの実施率というのは79.8%と書いてあります。警察庁のほうは実施率は何%か教えてください。

○石川委員長 もし今すぐわかるようであれば、お願いします。そうでなければ、また次回までということで。

○警察庁 実施率ということでございますが、各都道府県全てにおいて実施しておりますので、100%ということになると思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 石野委員、よろしいでしょうか。
 それでは、次、大濱委員、お願いします。

○大濱委員 大濱です。ありがとうございます。
 資料2、消費者庁の件ですが、ここにありますように、高齢の認知症の相談が大多数を占めていて、知的障害者だけを件数として抽出することはできないという注記があります。ですが、おそらく認知症の方と知的障害の方では内容が相当違うだろうと思いますので、今後の集計の仕方としてそのあたりをきちんと区別していただきたい。
 また、男女別に集計していただきたい。以上2点はお願いです。
 次に、実際に被害が発生したとき、警察庁とどういう連携をとっているのかという質問が1点目です。
 2点目としましては、75ページの7-(4)-2に「消費者トラブルの防止及び早期発見」とありますが、やはりトラブルの防止は非常に大切だと思います。実際にこれについて、具体的にどういうことをされていて、どういう具体的な取り組みがあるのか、それがあれば教えていただきたいと思います。
 質問は以上の2点です。

○石川委員長 2点につきまして、では、消費者庁、お願いいたします。

○消費者庁 消費者庁でございます。
 まず、知的障害の方の相談件数を抽出すること、男女別で出すようにという御指摘でございます。注に書かせていただきましたとおり、現在では抽出できない形になっておりますが、御指摘として受けとめさせていただきたいと思います。
 警察庁との連携でございますが、こちらは各地の消費生活センターでこういった相談を受け付けまして、自治体さんで警察と連携したほうがいいという御判断があれば、適宜、警察に情報提供していただいているということでございます。そういう意味で、連携は図られていると認識してございます。
 75ページの7-(4)-2の関係でございますけれども、消費者トラブルの防止に向けた取り組みが重要ではないかという御指摘はごもっともでございまして、消費者庁といたしましては、高齢者、障害者の方は非常に消費者トラブルが多いということでございますので、消費者トラブルに遭わないための消費者教育についても取り組んでございます。
 具体的な取り組みとしては、障害者の方を対象にした啓発講座の実施といった取り組みが各地でなされております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 次に、川﨑委員が挙げていらっしゃったと思います。

○川﨑委員 精神障害者の家族会の川﨑です。
 私のほうからも避難所についてなのですが、73ページの7-(1)-5だと思いますけれども、実は今回の東日本大震災でわかったことなのですが、精神障害者というのは、避難所のように大勢の人がいるところで生活をするということが大変難しい。中には症状が悪くなって大声を張り上げたりする人もいまして、そうすると、精神障害者は避難所から出て行けという、そのような言葉も発せられました。
 そういうところで、精神障害者とその家族が、1階が津波でやられて半壊した自宅で生活をしている方の話を私は聞きました。そういうところには避難物資も来なければ、情報も入らないということで、大変苦労されているということを実際に聞いておりますので、そういう在宅の方もいるのではないかと思うので、そういう方への支援方法をしっかりと考えていただきたいと思います。意見です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 そもそも避難所での生活ができない、そこから出て行かなければいけないという問題についての改善も含めての御意見と受けとめてよろしいでしょうか、川﨑委員。

○川﨑委員 はい。

○石川委員長 ありがとうございました。
 河井委員、挙げていらっしゃいましたでしょうか。

○河井委員 全肢連、河井です。
 内閣府と厚生労働省に質問が1つずつあります。
 まず、1点目、資料の72ページ、7-(1)-3、避難行動要支援者名簿のところなのですが、多分これは個人情報保護法との兼ね合いから手挙げ方式で名簿を作成しているところが多いかと思っていますが、これについてきちんと理解していない障害者であったり、その家族であったりというところで名簿から漏れ落ちてしまう可能性、また、家族と同居している障害者はなかなかこの対象にならなかったりするのですが、高齢の保護者と障害者といった場合には、なかなか避難も難しいという現状もありますので、そういったことも含めて、内閣府として各都道府県、市区町村にどういった形でこの名簿作成について通知を出されているのかというのを確認したいのが1点です。
 もう一点は、73ページ、7-(1)-6、厚生労働省の病院の耐震化率なのですが、これが平成25年度は64.2%とありますが、これの母数はどこを対象としているのか。国公立、私立、全ての病院、例えば病床何床以上とかいうような数字があれば、それを教えていただきたいのと、耐震化に関して、例えば国立は進んでいるけれども、普通の私立の医療法人ではなかなかとか、地域差とか、そういった差があるようでしたら教えていただきたいと思いました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 まず、避難者名簿の作成について、どのような通知をされているか。手挙げ方式とおっしゃっていらっしゃいましたが、この1点と、病院の耐震化率にかかわる御質問が1点ということで、それぞれお願いしたいと思います。
 では、お願いします。

○内閣府 内閣府でございます。
 おっしゃるとおり、個人情報の関係でございますとか、事前に登録していただくという関係でございまして、漏れなく把握することに課題があるというのはこちらも認識はしております。本人の同意が前提となるということでございますので、そこは我々としても地域の民生委員さんでありますとか、そういった地域のそれぞれのかかわりの中でしっかりと同意を得てもらって、名簿に記録をしていくようにしてほしいと、そういう通知というか、そういうことをしております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、厚生労働省、病院の耐震化率について、お願いします。

○厚生労働省 病院の耐震化率の母数でございますが、全ての病院となっておるところでございます。都道府県別ならあるのですけれども、今、設置主体別の集計はされていないところでございます。

○石川委員長 地域格差についても集計はないということですか。

○厚生労働省 都道府県別の集計はしておるところでございます。

○石川委員長 顕著な地域差はございますでしょうか。

○厚生労働省 高いところでは8割を超えているところがありますし、まだ6割ちょっとしかないところもあるところでございます。都道府県別の差は若干あるところでございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、三浦委員、お願いします。

○三浦委員 1点、内閣府防災のほうにお尋ねをいたします。
 71ページの7-(1)-1のところで、今、進捗状況としてお答えいただいているところに「『地方防災会議の委員への任命など、防災に関する政策・方針決定過程や防災の現場への参画を拡大し、多様な視点を取り入れた防災体制を確立する必要がある』旨を定め、消防庁と連名で各都道府県に対し同旨について通知し」とありますけれども、通知をいただいた後、各都道府県に置かれております防災会議に委員として障害当事者の方々が任命されている数など、もし把握をしておられれば教えていただきたいと思います。数字のことですので、後日でも結構です。
 それから、一つ要望といたしまして、先般、この政策委員会に国連の障害者権利委員会の前委員長であるロン・マッカラム氏がおいでいただいたときに、日本からの政府レポートを心から楽しみにしていると。特に第11条「危険な状況及び人道上の緊急事態」の条文に関して、震災を受けたこの国から、その後どのように対応がなされたかを楽しみにしているという発言を最初にいただきましたので、私も素人でどのことがどの省庁の管轄であるかということを細かく把握できていないのですけれども、どうか整理され政府報告に上げていただきますよう、よろしくお願いいたします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、まず、内閣府防災、お願いいたします。

○内閣府 すみません、委員の数については持ち帰って調べさせていただきます。

○石川委員長 それから、さらに2つ目で御意見がございまして、復興庁、この件についてはいかがでしょうか。所管外になりますか。

○復興庁 きょうのお話では、所管ではないと思います。

○石川委員長 そうですか。わかりました。
 それでは、ほかに委員から御質問、御意見があれば、お願いしたいと思います。
 では、辻井委員、お願いします。

○辻井委員 辻井です。
 7-(2)-3に当たるのだと思うのですが、避難が長期化してしまっている状況の中でという意味で、本来、厚生労働省だけではなくて、文部科学省も両方だと思うのですが、障害を持った子供たちへの支援ということに関連して、どの程度の把握が行われ、どのような取り組みをしているのかというようなことに関して、心のケアセンター、県によるのかもしれませんが、子供のところまでの対応というのは、例えば福島などだと十分にできていないだろうと思っています。
 ですから、避難が長期化して大変な状況になっているのをどの程度把握し、どういう対応をというようなスキームそのものが今回はつくられなかったのではないかということを懸念しているのですが、そのあたり、把握されていることで結構ですので、教えていただきたいと思います。74ページ、7-(2)-3です。

○石川委員長 教育のことも含まれますよね。

○辻井委員 そう思います。

○石川委員長 では、とりあえず厚生労働省のほうで答えることが可能であれば、お願いします。

○厚生労働省 障害を持った子供ということですので、うちのほうではデータはお持ちしておりません。心のケアセンターは、被災者の心のケア、PTSDとか、震災の関係での心の傷ですとか、また、長期化したところにおけるPTSDによるぶり返しですとか、そういうものに対応しているところです。障害者の子供という視点では対応していないものですから、データは持ち合わせておりません。

○石川委員長 ありがとうございました。
 内閣府防災のほうはいかがですか。

○辻井委員 一つ意見だけよろしいですか。

○石川委員長 どうぞ。

○辻井委員 特に発達障害とか知的障害とか、もともとの生物学的な脆弱性を持っている子たちのほうがPTSDを出しやすいということは、厚生労働省は十分把握されているだろうと思うので、やはり未来に向けていろいろな支援が必要な方たちのことですので、子供の問題は子供の問題できっちり捉えていくことは非常に重要ではないかと思います。意見です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 伊藤です。
 ささいなことかもしれませんが、今、実は多くの患者会の中では非常に困った問題だと思っているのですが、多分、厚生労働省だと思うのですが、どこに入るのかよくわからないのですが、患者さんはずっと、特に3.11東北大震災以降は常備薬の備蓄ということにかなり心がけているのです。特に希少疾患ですと、どこの地域でも簡単に手に入るものではありませんので、さまざまな工夫をして、一定期間は何があっても大丈夫なように備蓄してきたのですが、最近、厚生労働省のほうで飲み残し薬の整理といいますか、のみ残し薬を無駄にしないような指導ということを強めておられるようなのですが、そうすると、災害に備えての自分の薬の備蓄はどうやったらいいのだという心配が出てきているのですが、これはどのようなところで担当されるのか、何か特別な工夫をされるつもりなのかどうかお聞きしたいと思います。

○石川委員長 難しい御質問のような感じですが、厚生労働省ということでよろしいでしょうか。

○厚生労働省 多分、医薬部局の関係だと思うのですけれども、担当が来ておりませんので持ち帰らせていただきます。

○石川委員長 それでは、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 復興庁にお聞きしたいのですが、7-(2)-1で、一言で言えば復興計画の立案等に当事者の参加をと言っているのですけれども、その答えは、情報提供は行っているということですか。その情報提供の内容は、別紙の参考資料を読ませていただいていたのですが、よく見えてこない。要するに、基本計画で言っている当事者の参加によって立案や復興のための行動が現実に行われているかどうかという具体的な実績、あるいは実態というものまでは報告いただけないのでしょうか。

○石川委員長 復興庁、お願いします。

○復興庁 そうした実態まで踏み込んで把握ができてないものでありまして、我々としましては、この情報提供を通じまして、周知啓発的にこうした活動が行われればということで活動しているものでございます。

○石川委員長 竹下委員、よろしいですか。

○竹下委員 結論は、復興庁は把握していないとわかったのですが、これを把握しないと、まさにこの基本計画が、7-(2)-1がどこまで進んだかわからないということになりませんか。すなわち、まさに実績報告と言うからには、これをどこが把握するのか私はわかりませんが、多分、復興庁が一番近いのだろうと認識するのですけれども、少し御検討いただけないでしょうか。

○石川委員長 竹下委員の御指摘のとおりかと思いますが、これは復興庁なのか、どこなのかということもありますけれども、計画の立案等への参画の実績は報告すべき事柄になるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、花井委員、お願いします。

○花井委員 花井と申します。
 72ページの7-(1)-3の一番上のところです。避難行動要支援者名簿の作成を市町村長に義務づけたとあるのですが、現時点で約1,700強の市町村の中でどの程度作成されているのか教えていただきたいと思います。

○石川委員長 ありがとうございます。
 これは内閣府防災でお願いします。

○内閣府 実は現在、4月の状況を消防庁のほうから各自治体のほうに、状況はどうなっていますかと照会されていると伺っていまして、現在、消防庁のほうで数字を集計中と伺っております。

○石川委員長 それでは、集計結果はいつごろ出ますでしょうか。

○内閣府 消防庁さんに確認した上で。

○石川委員長 では、よろしくお願いいたします。
 ほかに御質問、御意見がある委員はいらっしゃいますか。
 では、玉木委員、お願いします。

○玉木委員 玉木です。
 今さらな話なのですけれども、今回、推進状況を見ていると、やっていることだけ書かれているのですよね。例えば具体的に言うと、7-(3)-3については「警察と地域の障害者団体、福祉施設、行政等との連携の促進等により、犯罪被害の防止と犯罪被害の早期発見に努める」と書いているにもかかわらず、進捗状況は行政の広報紙等を使っていろいろな情報を提供しているだけにとどまっています。
 これはたまたま警察庁さんのところだけ言っているのですが、実際は目標、基本的な方向ということで、何ができていて何ができていないのかという評価をきちんと報告していただかないと、事業を実施していますだけの報告を聞いたところで、全体像として国の施策としてどの程度やれているのかとか、そういうことについて、自治体に通知していますとか、各関係機関に通知しています。という落としどころになりがちなのですけれども、実際はやっていることを障害のある方自身とか、その家族の方とかが知らなければ意味がないので、今後、そこら辺も含めて、きっちりと状況の報告をしていただければうれしいなと思います。
 以上です。

○石川委員長 重要な御指摘をいただきました。ありがとうございました。
 玉木委員の御指摘のとおりかと思います。これまでに何ができていて、特にどういう課題があるのかということも含めて御報告をいただく。そのためには、達成目標をはっきりして、それに対して達成度はどれぐらいなのかということが言えるぐらいの基本計画になっていると、さらにそれは言いやすいとも言えるかと思います。
 大きなテーマですので、きょうここで何か方向性を出すというか、方向性については言えますけれども、それ以上踏み込んだ議論というのはちょっと難しいかなと思いますので、御指摘は全くそのとおりかと思いますので、できる範囲内でというか、可能なことについては現状を認識して、それぞれ担当されている立場で認識されている課題についても、今後、できるだけ御報告していただくということでよろしいですか。

○玉木委員 はい。

○石川委員長 ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
 それでは、ここで休憩に入りたいと思います。15分休憩ということで、2時50分再開とさせていただきます。

(休憩)

○石川委員長 再開します。
 次は「8.差別の解消及び権利擁護の推進」の実施状況についてです。
 なお、既にワーキング・セッションIIのほうで成年後見制度も含めた意思決定支援につきまして御議論をいただいておりますので、その部分はきょうは除いて、それ以外のところを中心に御議論いただきたいと考えております。
 まず最初に、内閣府の障害者施策担当のほうから御報告をいただきたいと思います。

○加藤参事官 内閣府障害者施策担当でございます。
 お手元の「障害者基本計画(第3次)の実施状況(案)」の77ページの8-(1)-1になります。ここは、障害者差別解消法が成立しまして、その施行に向けての準備状況について記載をすることになってございます。
 右側のところでございますが、これはあくまでも平成25年度の推進状況でございますので、先生方から見ると途中経過にしかすぎないと思われるところはあるかと思いますが、平成25年度のものということで御理解いただければと思います。
 最初の○でございますが、法律が制定されましてから、それに基づきます障害者基本方針の検討を進めてきたということで、平成25年11月から障害者政策委員会において検討を進めてきた。その中で、障害者政策委員会委員をはじめ、障害者団体等の関係者からヒアリングを実施したということでございます。
 その後の経過については、御存じのように、平成26年11月まで政策委員会を11回開催しまして、その後、1カ月のパブリックコメントを経て、本年2月24日に閣議決定されたというところでございます。
 2つ目の○でございますが、差別解消法の啓発についてということでございまして、ここでは、地方公共団体との連携のもと、平成25年12月~平成26年3月にかけて「障害を理由とする差別の解消に向けた地域フォーラム」というのを全国10カ所の都市で開催したということ。
 それから、啓発のための障害者差別解消法リーフレット、これはわかりやすいイラストでありますとか、文字にルビを振る、そういった工夫をしたものを作成いたしまして全国に配布するとともに、先ほど申し上げた地域フォーラムにおいても活用しておるところでございます。
 3つ目の○でございますが、地方公共団体の区域における障害者差別解消支援地域協議会を設けることができるという規定がございまして、実際に協議会を立ち上げ、設置及び円滑な運営に資するためのマニュアルを作成するために、有識者等と意見交換を行う「障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会」を開催いたしました。これは座長を野澤委員にお願いしておるところでございますが、この協議会の設置や運営につきましても、暫定指針を取りまとめて公表しているところでございます。
 その後、暫定指針に基づきまして、昨年度はモデル的に4カ所で地域協議会を立ち上げたところでございまして、本年はもう少し箇所数をふやして、続けるということでございます。
 その下の各府省庁でございますけれども、平成25年度の時点では、基本方針を策定後、対応要領、対応指針を作成する等の取り組みを進める予定ということでございます。
 内閣府からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 差別解消法の基本方針の作成、地域フォーラム、差別解消地域支援協議会の在り方検討会、リーフレットの作成等々の御報告がございました。
 次に、厚生労働省のほうから御報告をいただきます。

○厚生労働省 厚生労働省障害保健福祉部地域生活支援室の八木澤でございます。
 第3次の実施状況の中で、虐待防止法の関係と成年後見制度の関係が言われております。
 まず、第3次計画の78ページの虐待防止の関係でございます。
 虐待防止法に関する積極的な広報、啓発活動、障害者虐待の防止及び養護者に対する支援ということが言われております。
 障害者の虐待防止に当たりましては、虐待が発生してからの対応よりも、未然に防止することが何より重要だと思っております。そのためには、障害者虐待防止法の周知のほか、障害者の権利擁護についての啓発、障害や障害者虐待に関する正しい理解の普及を図ることが必要と考えております。
 虐待防止法では、国及び地方公共団体の責務としまして、障害者虐待の防止、障害者虐待を受けた障害者の迅速かつ適切な保護、関係機関等の連携の強化などの体制整備、障害者の保護、障害者の自立支援などを行う人材の確保、資質の向上を図るための職員研修、法に基づく通報義務などの必要な広報や啓発活動を行うこととされております。
 こうしたことから厚生労働省におきましては、通報や相談、広報・啓発活動を行う市町村障害者虐待防止センター、都道府県障害者権利擁護センターの設置、障害者虐待の未然防止や早期発見、対応等を行う事業に対する財政支援を行うこととしております。
 加えて、障害者虐待の防止に関する指導的役割の担い手養成のための研修を実施しているところでございます。
 さらには、市町村及び都道府県、障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応に係るマニュアルを作成しておりまして、これを全国に周知して、その活用を促しているところでございまして、引き続き障害者の虐待の取り組みの充実に取り組んでいくこととしております。
 8-(2)-2では、意思決定支援のあり方、成年後見制度の適切な利用の促進に向けた取り組みが言われております。
 障害者の権利擁護の観点から、成年後見制度の活用と利用促進は必要と思っております。
 意思決定支援のあり方につきましては、現在、障害者総合支援法の3年後の見直しが議論されているところでございまして、今後、その定義や意思決定支援の具体的な方策等が議論されていく予定でございます。
 成年後見制度につきましては、申し立て費用や後見人等に対する報酬の補助、成年後見制度利用支援事業を地域生活支援事業のメニューとして位置づけているところでございまして、引き続き取り組みを推進していくこととしております。
 また、法人後見支援事業により、法人後見実施団体の養成などの取り組みを支援しているところでございます。
 8-(2)-3、当事者間による障害者の権利擁護のための取り組み支援でございます。
 同じ課題に直面する人同士が互いに支え合うピアカウンセリングにつきましては、当事者にとって権利擁護の観点から効果的であると考えております。同じく地域生活支援事業により、ピアカウンセリングを位置づけた相談支援事業に対する財政支援を行っているところでございます。引き続き取り組みを推進していくこととしております。
 私のほうからは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 虐待防止にかかわる施策の実施状況と、意思決定支援にかかわる施策の実施状況を中心に御報告をいただきました。
 それでは、続きまして、法務省のほうからお願いいたします。

○法務省 法務省の大臣官房秘書課付をしております大塚と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 第3次障害者基本計画の「8.差別の解消及び権利擁護の推進」に関しまして、法務省において実施している人権相談について御説明をさせていただきます。
 お手元の「障害者基本計画(第3次)の実施状況」の78ページ、8-(1)-3に記載がございます。
 法務省におきましては、障害者に対する差別や権利侵害を防止し、その被害からの救済を図るため、全国の法務局や地方法務局、その支局におきまして法務局職員、人権擁護委員による人権相談を実施してございます。
 人権相談では、面談・電話及びインターネット上の専用相談窓口で受け付けを行っているほか、市役所などで特設の人権相談所を開設いたしまして、人権相談を受け付けるということも行ってございます。
 こうした形で受け付けました人権相談によって、人権侵犯の疑いのある事案を認知した場合には、調査を行いまして、事案に応じて人権侵害による被害の救済等のための適切な措置を講じております。
 なお、平成26年中における人権相談のうち、障害者の方を被害者とする暴行・虐待、社会福祉施設における侵犯、差別待遇、強制・強要の4類型についての相談件数につきましては、全部で2,818件ございまして、平成26年中に新たに救済手続を開始した人権侵犯事件のうち、障害者を被害者とするこれら4類型についての事件数は448件ということでございます。
 当省からの説明は以上となります。

○石川委員長 ありがとうございました。
 以上、内閣府障害者施策担当、厚生労働省、法務省からの御報告をいただきました。
 それでは、委員からの質問、意見をとりたいと思います。
 最初に、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 8-(1)-3は、障害者差別解消法の関係での相談とか救済なので、それはちょっと置きまして、権利擁護のところに同じ内容を再び掲載しておられるわけですが、その部分で気になるのは、法務省の権利擁護委員会の活動については理解しているつもりですけれども、救済ということについて、厚生労働省からも、法務省からも全く掲載がないと思うのです。
 すなわち、権利擁護の関係では、現実に虐待が起こったり、人権侵害が起こっている場面でどのような救済が現にされているのか、どういう手続が実施されているのかについて、現状を報告いただくことが必要かと思うのですが、この点、法務省か厚生労働省からの回答をお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 法務省、いかがでしょうか。

○法務省 法務省でございます。
 私ども法務省の人権擁護機関におきましては、被害者からの申告等に基づきまして、人権侵犯の疑いがある事案につきましては、所要の調査を行った後に事案に応じた適切な処置を行っております。
 個別具体的な事件につきましては、余り詳細を述べることはできないのですが、私どもが過去に取り扱った事案といたしまして御紹介いたしますと、例えば車椅子利用者の方に対する駅員による乗車拒否という事案がございます。車椅子利用者が電車に乗車しようとした際に駅員に乗車の補助を依頼したところ、これを拒否されたと。さらに、車椅子利用者の乗車自体を拒否する旨の発言がされたとして、介助していた親族から法務局に相談がございました事案でございます。
 法務局が鉄道会社から事情聴取したところ、当該駅員は車椅子利用者が鉄道を利用する際には事前に連絡があるものと思い込んでいたとの説明がございました。法務局が確認したところ、鉄道会社は謝罪の意向を有しておりまして、そのため話し合いの場を設けました。
 その話し合いの場におきまして、鉄道会社が相談者に対して謝罪するとともに、再発防止に取り組んでいくことなどの意向を示し、相談者側の納得が得られたとして、両者の間を調整という形で処置させていただいた事案等がございます。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 関連で、先ほど人権相談、あるいは人権侵犯にかかわる4類型というお話があったのですが、その4つの類型をもう一度教えていただけないでしょうか。

○法務省 私どもが統計上把握している類型は4類型でございますが、暴行・虐待、社会福祉施設における侵犯、差別待遇、強制・強要、以上の4つでございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 3番の差別待遇については、例えば差別解消法の施行後は、不当な差別的取り扱いと合理的配慮の不提供というのは統計的には一緒に扱われる予定ですか。それとも分けられる予定でしょうか。

○法務省 私ども、統計項目といたしましては、従前から差別待遇という形で取り扱ってございます。

○石川委員長 竹下委員からの御質問は、今、法務省のほうからお答えいただいたのですが、竹下委員。

○竹下委員 竹下です。
 法務省の人権擁護委員会の活動は、私も7年ほどやらせてもらったのでわかるのですが、ただ、気になるのは、8-(2)-4の人権擁護のところでこの項目が再び掲載されている中で、これはあくまでも体制の充実とともに利用の促進ということを言っているわけで、何が体制の整備かというと、虐待防止法ができた後で、現実に虐待があったときに、その救済の手順や、あるいはどこが救済を担って権利回復や正常な状態を回復させるのかということを明確にしないと、この部分が意味をなさないと思っているのです。
 ですから、法務省が人権擁護委員会の活動にとどまっているとすれば、これが現状だということになるのかなと思うのですけれども、厚生労働省はこの点についての対応は特にされていないということになるのでしょうか。そういうつもりでの質問です。

○石川委員長 法務省ではなくて厚生労働省への質問ですか。

○竹下委員 はい。

○石川委員長 では、厚生労働省のほう、お願いいたします。

○厚生労働省 都道府県、市町村に障害者虐待防止センターが設置されておりまして、そこで対応されているわけでございます。
 また、先ほど申し上げましたけれども、国でもマニュアル等をお示ししておりまして、その中で、第三者委員会の設置であるとか、虐待防止に向けた取り組みの周知を図っているところでございます。

○石川委員長 竹下委員、よろしいですか。

○竹下委員 はい。

○石川委員長 それでは、阿部委員、お願いします。

○阿部委員 日身連の阿部です。
 2つ確認と質問があります。
 まず、1つは、8-(1)-1にありますけれども、各府省庁で対応要領をつくることが義務化されています。これに関しまして、地方自治体は努力義務でございますけれども、その進捗状況というのは把握できるものなのか。または、例えば都道府県レベルはつくっているとか、何かそのような情報があるものなのかどうかの確認でございます。地域に生活する私たちにとっては、その辺の情報がとても大事だと思うので、確認ということでございます。
 8-(2)-1ですけれども、障害者虐待防止法は、正式な名称はたしか「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」で、養護者の支援というのがすごく大事なことだと思いますので、報告のときにはそこも力を入れているということをしっかりとわかるようにすべきでないかと思いました。
 そして、今度対象となっているのが養護者、それから、本当に残念なことではありますけれども、福祉施設従事者のことが大きく話題になったところでございます。そして、使用者とありますが、この3つを対象として通報義務が課せられていますし、そのときに通報する側になるのが、恐らく保育園とか学校とか、病院からの通報というのが多いと思います。
 質問なのですが、保育園、学校、病院等では虐待事例というのは発生していないものなのかどうか、その辺について確認のために、今、対象となっているのが、繰り返しですけれども、たしか養護者、福祉施設従事者、使用者となっているところですので、学校、保育園、病院の状況はどうなのかということがもしありましたら教えていただきたいと思って質問いたしました。
 以上の2点です。お願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、2点ありましたが、最初は内閣府の施策担当から。

○加藤参事官 内閣府障害者施策担当でございます。
 現在、地方公共団体でそういった対応要領をつくっているところはあるかと言われれば、今のところ把握しておりません。これから各府省庁がつくっていく段階の中で、また地方公共団体についても把握に努めていきたいと考えております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 虐待事例、保育園、学校、病院での虐待事例についての把握はされているかということですが、厚生労働省、いかがでしょうか。

○厚生労働省 厚生労働省でございます。
 毎年、虐待に関する調査をしております。例えば医療機関関係者であるとか、教職員の方々からの通報というのはございます。ただ、率とすれば非常に少ない0.1%、0.2%という状況でございます。

○阿部委員 ありがとうございます。数の少なさということかもしれませんけれども、少なくてもとても大事なことだと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。

○石川委員長 それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。DPI日本会議の佐藤です。
 3点質問させてください。
 8-(1)-3です。先ほど話題になっていたところなのですけれども、現在どのぐらいの差別待遇、差別の相談があるか、そのデータがあれば教えていただきたいということが1つです。
 もう一つは、先ほど解決された事例をお話しいただきましたけれども、そういった相談があって、対応して解決した事例というものを公表していただくことはできないか。これが1つ目です。
 2つ目は、体制の充実ということがここで書かれているのですけれども、来年、差別解消法施行に向けて、新たに体制の充実を図る何らかの取り組みというのはあるのか、ないのかというのが2点目です。
 3点目は8-(2)-3です。ここはピアカウンセリングが書いてあるのですけれども、この中で出ている当事者の権利擁護の支援なのですが、市町村の障害者生活支援事業のピアカウンセリングというのは、1996年だったか1997年に位置づけられた制度上のものですので、このころはまだ差別というものに関する考え方が非常に弱かったときだと思います。ですので、差別解消法が来年始まるに当たって、これ以外の何か当事者による事業というのはお考えではないのか。
 以上3点、お願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 3点ということで、差別相談のデータ、特に解決事例の情報開示の可能性についてが1点。
 2点目は、体制の充実ということで、差別解消法施行後の体制強化について。
 3点目として、ピアカウンセリング等での権利擁護に加えて、さらに権利擁護についての施策が考えられないかという御質問、あるいは問題提起であったかと思いますけれども、まず、法務省のほうからお願いできますか。

○法務省 1点目の差別待遇に関する件数でございます。相談件数につきましては、こちらは暦年の統計でございますが、平成26年は1,838件ございました。そのうち人権侵犯事件として取り扱ったものが、差別待遇につきましては263件となってございます。
 2点目の事例の公表につきましては、私ども法務省といたしましても、例年3月に「人権侵犯事件の状況について」ということで報道発表させていただいてございます。先ほど御紹介いたしました事例につきましても、当該報道発表の際に公表させていただくとともに、当省のホームページのほうで掲載させていただいているところでございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 2点目の差別解消法以降の体制の強化については、いかがでしょうか。

○法務省 体制の充実ということでございます。先ほど私ども、常設の人権相談所というところで人権相談を承るとともに、特設の相談所を市役所等で行っているという御説明をさせていただいたところでございますが、現在、引き続き特設の相談所の中に、障害者施設等に出向いて相談を承るという取り組みもしているところでございます。引き続きそのような取り組みを図りまして、埋もれている相談といいますか、そのような相談について対応できるように取り組んでまいりたいと思っております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 補足的にお聞きしたいのですけれども、合理的配慮の不提供については、過度な負担であるとか、必要かつ合理的な配慮なのかということに関しての何らかのきちんとした指針を集積していかないと、適切に対応できないということになろうかと思いますが、これについても充実をさせていくというお考えだと理解してよろしいでしょうか。

○法務省 こちらにつきましては、私どもも御相談を承ることもございます。個別事案ごとにいろいろなケース、事情等ございますので、個々のケースにつきましていろいろ検討させていただきたいと考えております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 3点目に、ピアカウンセリング等の権利擁護を支援しているけれども、それだけでは不十分ではないかという御指摘が佐藤委員からあったかと思いますが、厚生労働省のほうになりますでしょうか。

○厚生労働省 厚生労働省でございます。
 先ほどピアカウンセリングということで当事者同士がというお話がありましたが、もう一つ、当事者同士が支えるものも市町村地域生活支援事業の一つのメニューとして位置づけてございます。こういったものも活用していただくことが必要だと思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、大濱委員、お願いします。

○大濱委員 大濱です。ありがとうございます。
 先ほどからずっと取り上げられていますが、法務省のデータで、人権侵害の疑いのある事案が2,818件、人権侵犯事件が448件という報告をいただきました。それが4類型の合計ですという説明でしたが、できれば事前にその数字を政策委員会にちゃんとお示しいただきたいと思います。例えば、人権侵犯事件448件分のうち差別待遇が263件だということですが、では、人権侵犯事件が全体でどれぐらい発生しているのか、障害者に限らず暴行虐待の発生件数はどれぐらいなのか、あるいは、逆に障害者に対する暴行虐待の人権侵犯事件のうち社会福祉施設での発生件数はどれくらいなのか、強制強要ではどれくらいなのかという数字を事前にきちんとお示しいただきたい。
 これは内閣府の担当室からも、事前にこういう数字をいただきたいと法務省に申し入れていただければ、大変ありがたいと思います。これが1点目のお願いです。
 あと、先ほど阿部委員からも少し質問が出ていましたが、厚生労働省が担当している8-(2)-1の虐待についてです。障害者虐待防止対策支援事業を平成22年度から実施しているとありますが、平成22~25年度までは実際にどういう虐待事例が何件ぐらいあって、どういう地方で発生したのかという数字をきちんと出してもらいたいです。何年に何件あったという数字をきちんと政策委員会にも報告していただいて、できれば、どういう虐待事例があったのかという具体例も含めてお願いできればと思っています。
 以上2点です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 2点ありまして、きょうは御用意がないと思いますが、次回までにデータをいただくということは可能でしょうか。
 法務省のほう、お願いします。

○法務省 申しわけございません。そのように準備させていただきます。

○石川委員長 よろしくお願いいたします。
 2点目ですけれども、これにつきましても、厚生労働省のほうで虐待事例の整理など、あるいは分析なども含めた形で御報告をいただきたいということなのですが、きょう可能であれば。

○厚生労働省 厚生労働省でございます。
 毎年、虐待に関する調査をしておりまして、毎年公表させていただいております。障害者虐待防止法が施行された平成24年10月から調査をしており、平成25年度分は昨年11月に公表しております。
 そのデータを申し上げます。
 養護者による虐待の通報相談件数が4,635件です。虐待と判断されたのが1,764件です。障害者福祉施設等従事者等による障害者虐待は通報相談件数が1,860件、市区町村による虐待判断件数が263件です。使用者による障害者虐待につきましては、都道府県の労働局が調査しておりまして、通報件数が628件あり、253件が虐待と判断されております。
 個々具体的にどのような虐待があったかというのは、そこまでのデータは持ち合わせておりません。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 3つの虐待についてのデータのペアを教えていただいたのですけれども、養護者と使用者に比べて福祉施設においては、持ち込まれた事案に対して、それが虐待だと認定された比率が顕著に低いですよね。それは何か原因として考えられることがあるのでしょうか。もしおわかりでしたらお願いします。

○厚生労働省 通報と相談の件数ですが、単なる施設に対する苦情であるとか、そういったものも全て1カウントされております。または匿名であるとか、そういうものも含まれていると思います。そういったことから、虐待と判断・認定されたものが少ないのではないのかなと思っております。

○石川委員長 わかりました。ありがとうございました。
 それでは、玉木委員、お願いします。

○玉木委員 玉木です。
 2件あります。
 1点目は、先ほどから出てきております人権侵害に関する案件の対応についてのことです。
 このことについては、私もよくわからないのですけれども、法務省で管轄している人権救済にかかわる案件の内容と、虐待防止法に基づく虐待の案件の内容と、来年度から始まる差別解消法の差別にかかわる案件については、かなりかぶっているのだろうなというのが一つあって、もう一つは、障害者虐待防止法一つとっても、市町村が対応する案件と、都道府県が対応する案件と、いわゆる労働局、例えば労働基準監督署等が対応する案件と、実はいろいろなところでいろいろな方が動いているという状況がある中で、そこをきっちりとつなげていくような仕組みがないのかということです。
 そこがきっちりと協働していきながら確認していくことによって、差別であったり、虐待にかかわる案件について、適切な対応がより増すのではないかなということです。これは意見として聞いていただきたいなということが1点です。
 もう一点については、8-(1)-2と8-(2)-2に関係することなのですが、8-(1)-2では、ここに書いている「障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者の有する能力の有効な発揮を図る」ということと、一方で、私が気になっているのが、知的障害の方で成年後見制度を利用している方の中に、例えば公務員になって公務員として働き続けているが、御両親が亡くなって金銭管理が必要で、金銭管理のために後見制度を利用されている方が、被後見人とか被保佐人だから、要するに公務員法上の欠格条項に抵触するから解雇になるというケースが幾つか聞かれているのですけれども、今言った8-(1)-2と8-(2)-2との整合性がなかなか私の中では消化できていないので、そこら辺のことを説明していただきたいなということです。
 以上2点です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 1点目は御意見ということではあったのですが、現状において既存の人権救済の仕組みの間の連携・協力というのは、どの程度おありなのかという点について、それぞれのお立場から教えていただくということは可能でしょうか。
 法務省、可能でしょうか。

○法務省 法務省でございます。
 人権侵犯事件の調査につきましては、全国の法務局、地方法務局のほうで行っているところでございます。ただいま御指摘いただきました連携でございますが、個々の事案に応じて、必要な場合にあっては、現場の法務局におきまして関係機関と意見調整等をさせていただくことはあろうかと思っております。ただ、制度的にそういう仕組みがあるかと言われますと、申しわけございませんが、今のところ、法務省のほうではそういうものはございません。

○石川委員長 同じ御回答になろうかと思いますので、厚生労働省のほうは割愛させていただくということで、あるいはもしコメントがございましたら。よろしいでしょうか。

○玉木委員 結構です。

○石川委員長 2点目ですけれども、成年被後見人あるいは被補佐人であるということで、財産管理等の必要性によってそのような成年後見制度を利用したことで、公務員の欠格条項に抵触するとして解雇された事案が数件あると玉木委員から御報告がありました。
 これについて、どう考えたらよいのか。これは基本計画の実施ということに書いてある事柄を踏まえたときに、どう判断すべきかということについて、もしそれぞれの所管の立場から御見解をいただければありがたく思います。どちらに御指名すればよろしいかと思うのですが、法務省、いかがでしょうか。

○法務省 私ども法務省としては、お答えがなかなか難しいところでございます。

○石川委員長 困ったときは内閣府施策に振るということで、いかがでしょうか。

○中島審議官 審議官の中島でございます。
 調べてみます。法的に該当する例があるのかどうかということは、関係省庁に当たって、そういう例があるのであれば、それが適切なのかどうか、法律上やむを得ないのかということも含めて、参事官にもお願いをして調べてもらいます。
 玉木さんの御指摘の1点目、障害者差別解消法が施行になってきて、現行制度で密接に絡むのは虐待防止法と、法務省さんのやっていただいている人権相談の部分があるわけです。
 正直言って、何かもう一つ制度としては錯綜しているよねという部分があるわけですが、少なくとも人権相談の部分については、司法的な性格を持ったもので対応していくという形になりますし、虐待というような、もう明らかにこれはどう見ても許せないというものについては、市町村、都道府県などの行政が前面に出てしっかり解決をしていくということになる。
 差別解消法については、不当な差別というのは特に問題でありますが、合理的配慮という今後の発展的な概念であるわけですけれども、それについては、最終的には主務大臣の勧告という形で実効性は担保されているものの、共生社会の中で合理的配慮というものを広く理解し合っていくことによって事例を蓄積することにまず一義的な性格を置いているものだということで、制度的には確かに見ばえはあれなのですが、それなりに役割分担をしているのだろうと。
 ただ、そこの横の連携がしっかりとれているのかということについては、考えなければいけないところがあると思いますので、今後、対応要領、対応指針を各府省でつくっていただくことになっていますので、内閣府としても、きょうの問題提起も受けて、法務省さん、厚労省さんとできることがあるのかどうか考えてみたいと思っています。

○石川委員長 ありがとうございました。
 玉木委員から大変重要な御指摘、問題提起をいただきまして、よい議論ができたと思います。
 ほかに意見、質問はございますか。
 三浦委員、どうぞ。

○三浦委員 恐れ入ります。厚労省のほうにお尋ねしたいのですけれども、障害者虐待防止法から先行する高齢者の虐待防止法、児童の虐待防止法の対象になっておられる方々の中には、障害のある方々がどれぐらいいらっしゃるかということの実態把握はできているかということをお尋ねしたいと思います。
 もう一点でありますけれども、児童の分野では、養護者等からの虐待によって障害を得られ、施設等でお暮しになっている子供たちというのは少なくない実態がございます。そのあたりの実態把握もなされているかということを、障害外の管轄になられるかもしれませんが、当然、障害者権利条約の対象となることであるかと思いますので、教えていただければと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 厚生労働省は、きょう、御回答は可能でしょうか。

○厚生労働省 済みません、高齢者虐待防止法、児童虐待防止法の中で、虐待を受けている方に障害者がいるかということなのですが、そういった実態があるかというのは把握しておりません。
 以上です。

○石川委員長 家族の中で親からの虐待によって障害を持つことになったケース等の実態把握についてもお願いしたいというのが三浦委員の御意見というか、御提案でしたので、それはそれとさせていただきたいと思います。
 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
 では、野澤委員、お願いします。

○野澤委員 野澤です。
 8-(1)-3のところなのですけれども、基本的方向の設定がこういう文言なので仕方ない面があると思うのですが、体制の充実と利用の促進を図るとなっていますけれども、もはや体制の充実と利用の促進だけでいいとは思えない状況になってきていると思うのです。これはもちろん大事なのですけれども、いかにそれが有効に解決になっているのか、有効に機能しているのかというのがこれから問われなければいけないところだと思っています。
 そのあたりの有効に相談を解決に持っていくための取り組みだとか、そういう認識についてお聞きしたいなと思います。
 例えば虐待防止法ができて、虐待防止センターができて、いろいろな取り組みをされるようになって、これは大変いいことなのですけれども、せっかく相談に行っても、その先にうまく救済に結びつかないというケースをいっぱい聞きます。
 特に判断能力だとかコミュニケーション能力にハンデがある知的な障害のある方たちの場合、何が人権問題なのかという前提のところ、あるいは本人たちから意思を聞き出すのが難しい場合に、どうやってそれを聞き出すのかというところが非常に重要で、だからこそ意思決定支援が重要になってくるのですが、先ほど施設に出向いて相談をしたと言われましたけれども、多くの国では集団的な処遇をしている施設そのものが人権侵害だという認識で、自由を剥奪しているという前提でそういうところを絶えずチェックしているところがあるのです。
 でも、多分、先ほどのお話だと、施設にいること自体は問題ではなくて、その施設の中でどうなっているのかというあたりを問題にされているとなると、かなり前提が違うような気がします。
 このあたり、この分野というのは非常に認識が変わってきているというか、だんだん進んできていて、タイムラグがあるので、こういう問題設定というか、問いに対して、このようにやっていますということで仕方ない面があるのですけれども、そのあたりをお聞きしたいなと思います。
 私も短期間ですが、実は人権擁護委員というのをやっていたことがありまして、だからわかりますが、申しわけないですけれども、障害者のことをよく知っている人たちばかりではない。というか、ほとんど知らない人たちばかりであったというのが実感なのです。法務省さんのほうで人権擁護委員を毎年集めて研修をやっているのも知っています。というのは、私がそこに行ってお話をしていることもあるからなのですけれども、でも、あのぐらいのもので本当に大丈夫なのかどうなのかということも気になったりしたものですから。
 先ほどもあったように、地域協議会ができて、そこには地元の法務局だとか人権擁護委員さんが入るということになっているので、せっかくなので、こういういろいろな相談窓口や仕組み、体制というのがそろってきたと思います。だから、これを有効にうまく機能させていくための取り組みこそ、これから必要だというような前向きの問題意識から、こういう質問をさせていただきました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 質問の宛て先は法務省でよろしいですか。ワーキングセッションIIでは、この議論は出ていないという理解になりますでしょうか。もしワーキングセッションIIのほうでの議論ということであれば、きょうはそれ以外の部分を優先したいとも思うのですが。
 では、もし可能であれば、法務省のほう、お願いします。

○法務省 法務省でございます。
 御指摘をいただきまして、研修の内容につきましては、今後、相談に当たる職員、人権擁護委員も含めまして、より精緻な対応ができるように研修の充実を図ってまいりたいと思っております。
 また、各地にできました協議会のほうにおきましても、積極的に法務局職員等が参加させていただきまして、情報交換等を進めていけるように検討してまいりたいと思っております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、平川委員、お願いします。

○平川委員 平川です。
 先ほどの8-(2)-1の障害者虐待防止法に関するところなのですけれども、最近、地域で暮らす精神障害者が大変ふえてきております。このときに、私の経験かもしれませんが、御家族が虐待の加害者ではなくて、逆に御家族が被害者になるケースが非常に多いのです。障害者虐待防止法に関しての進捗状況といいますか、その流れについて、御家族への思いといいますか、精神障害は、本人ばかりでなく御家族も同時に被害を受ける障害でございますので、御家族への配慮といいますか、そういうものが必要だと思います。
 実は昨年、八王子で、長年、虐待を受けられていた御家族が障害当事者を殺害するというような事件がございました。やはり一つの障害で御本人様も御家族様も両方非常に苦しい状況に追い込まれてしまうものですので、この辺については、片方だけ、障害者が被害者になるという視点だけでなく、御家族にもその視点を持っていただくような調査といいますか、進捗のチェックをしていただけないかというお願いであります。厚生労働省にお願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、この件につきましては、厚生労働省のほうでお願いします。

○厚生労働省 御指摘ありがとうございます。確かに御家族の御苦労というのは大変なものだと思っております。レスパイト的に御家族への支援というのも事業として取り組んでいるところでございまして、こういったものも活用しながら取り組んでいただくよう促していきたいと思っております。
 調査につきましては、今後、検討させていただきたいと思っております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 伊藤委員、挙げていらっしゃいましたでしょうか。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 先ほど阿部委員の質問されたことにまだきちんとお答えいただいていないような気がするのですが、さまざまな施設やいろいろなところでの虐待という中に医療機関というのは入っているのかということだったと思います。
 実は、医療機関の中というのは大変特別な社会空間になっていて、なかなか表に出にくい。しかし、現実にこれはひどいというのを目にすることだってよくあるわけですし、また、不十分な状態の中で無理やり退院させると、家庭に帰ってからも大きな事件になるような虐待というのもありますし、医療行為、看護行為の中でもそれは往々にして見られる。
 それについてのさまざまなマニュアルがあっても、そのマニュアルが守られていないということはあるわけですので、医療機関の中でもそういう対象になるのか、ならないのかというのをはっきりお伺いしておきたいと思います。さまざまな施設とか、公共施設、その他のことについては、いろいろ言われておりますけれども、医療の現場で行われること。そこで行われるときにはとても言いにくい、表に出しにくいという現象もありますので、お答えをお聞きしたいと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 厚生労働省のほう、お願いいたします。

○厚生労働省 虐待防止法の中では、学校、教育機関であるとか医療機関それぞれから通報義務は課せられております。ただ、そういう実態はあるのかもしれません。施設でも同様だと思っております。国民に対する普及啓発、そういった部分がやはり重要だと思っております。
 以上です。

○伊藤委員 医療の場合は虐待が生命の危機に直結するという場合も多いし、本当に言いにくい。それをどこかで言えば医療にかかりにくいということがありますので、そういう事例があった場合に、速やかにかどうかわかりませんけれども、問題を提起しやすい、あるいはそれを引き出していただけるような特別な措置というのがなければ、これはなかなか改善されないのではないかという気がいたします。よろしくお願いいたします。

○石川委員長 伊藤委員、ありがとうございました。
 先ほど啓発を進めていくという御回答だったのですけれども、例えば内部通報の困難さというか、そういった問題については、構造的な取り組みがないと先に進まないような印象も持つのですが、その点についてはいかがでしょうか。

○厚生労働省 通報者に対する不利益処分が及ばないように、そういった法律が定められているわけでございまして、相談の際にはあらかじめ紹介していくことで、内部通報しやすい環境づくりをしていくことは必要だと思っております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 あとお二人いらっしゃいますので、そのお二人にとどめさせていただきたいと思います。
 上野委員と松森委員。まず、上野委員からお願いします。

○上野委員 精神科医の上野です。
 私も虐待防止法に関して厚生労働省の方に質問させていただきたいのですけれども、今、病院とか学校、保育所は障害者虐待の通報義務から外れているのではないかと思うのです。

○石川委員長 この件について、厚生労働省、お願いします。

○厚生労働省 大変失礼しました。通報義務はございません。

○上野委員 私自身はそれが極めて問題だと思っていて、今、伊藤委員も質問されたのですが、特に私自身は精神科医をしていますので、問題と思うのは精神科病院における虐待です。私がお尋ねしたいのは、虐待の通報義務から外れた理由が、例えば精神保健福祉法で精神医療審査会に処遇の改善を請求することができるということが理由になっていると聞いたのですが、処遇の改善が請求できる事由と障害者虐待の事由というのは全然違います。だから、虐待の通報から外れているということが非常に大きな問題なのではないかと考えているのですが、そこら辺に関してはいかがでしょうか。

○石川委員長 厚生労働省、お願いします。

○厚生労働省 済みません。医療の分野になってしまうので、所管外なので何とも申し上げることができないのですが、そこら辺は担当部局に申し伝えたいと思っております。

○石川委員長 審議官、お願いします。

○中島審議官 厚労省さんの法律なのですけれども、この法律ができたときに私は厚労省にいて、議員立法でやっていただいたので。
 検討規定が入っているはずです。病院、教育に障害者虐待防止法が射程距離に入るかどうかについては、何年後かの見直しの中に入っているので、これは基本的に議員立法ですので、今後どういう形で改正がされるかということはありますが、少なくとも、今、上野先生がおっしゃったような問題意識については、最初からは盛り込まれてはいないのですが、検討規定という形で入れられたことによって、何らかの答えを出さなければいけないという形に法律の構造上なっておるということで、申しわけないですけれども、補足説明させていただきます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 少なくとも問題の存在はみんなで共有した上で検討課題を通して発信した法律であり、見直し規定があるということですので、政策委員会としましても、委員の意見が一致するようであれば、障害者政策の方向性としてメッセージを共有したいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、あとお一人、松森委員、お願いします。

○松森委員 松森です。
 平成26年11月に報告されている虐待防止法の最新の報告書では、虐待被害者のうち62.9%が女性であるという報告が出されており、女性の被害者が多いことが単純統計にあります。ここではジェンダーの視点からの分析はされていますか。もしされていなければ、必要だと思います。
 今、通報義務について課題が共有できたと思うのですけれども、先ほど厚生労働省のほうから、医療機関、学校での虐待や暴力については0.2%ぐらいと、とても少ない数字が出ておりました。
 でも、DPI女性障害者ネットワークが2010年、2011年に行った障害のある女性の複合差別実態調査の中では、学校や病院、医療機関などでの虐待や暴力も報告されています。しかし、それらが通報義務になっていないとすれば、やはり問題が潜在化してしまいますので、障害者権利条約の第16条に対応できるように、きちんとジェンダー視点からの分析をして、女性に重点を置いた施策立案及び障害のある女性への支援を法令に記述していく改正も必要だと思います。
 今後、見直しがあるというお話がありましたので、政府報告書を出すときの大切なポイントとして障害女性という視点もありますので、御検討をお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 この点につきましても、皆さん異論はなかろうかと思いますので、それぞれの立場で受けとめるということにさせていただきたいと思います。
 それでは、ここで15分休憩をさせていただきます。再開は4時10分ということでお願いいたします。

(休憩)

○石川委員長 再開します。
 「9.行政サービス等における配慮」と「10.国際協力」について、順に御報告と質疑応答とさせていただきたいと思います。
 まず「9.行政サービス等における配慮」について、最初に総務省からお願いしたいと思います。

○総務省 総務省選挙部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 基本計画の実施状況の83ページになろうかと思います。9-(2)の「選挙等における配慮等」という部分でございますが、項目的には3つございまして、まず、9-(2)-1ということで、障害特性に応じた選挙等に関する情報提供の充実ということでございますけれども、こちらの平成25年の推進状況ということでございますが、1つが、平成25年に参議院の通常選挙が行われておりますが、この比例代表選挙におきまして、政見放送において手話通訳、あるいは字幕の付与等を実施したところでございます。字幕のほうはこの参議院選挙で初めて実施したところでございます。
 2つ目としまして、同じく参議院選挙におきまして、これは都道府県が実施主体になってございますが、点字あるいは音声等による候補者情報、これは内容的には選挙公報の内容になりますけれども、いろいろな媒体を用いまして情報提供を実施したというところでございます。
 これにつきましては、事前に総務省のほうから各都道府県選管のほうにこういった取り組みを進めるように通知をいたしましたり、こういった取り組みを実施した場合に、国政選挙ですので、当然、全体として経費を手当てしているところでございましたけれども、こういう取り組みについても経費を見させていただいたというところでございます。これによりまして、こういう取り組みについては、この参議院選挙におきまして全ての都道府県で実施されたという状況でございます。
 次のページの9-(2)-2は、投票所のバリアフリー化ですとか、代理投票の適切な実施等々についてでございますが、1つ目として、同じく平成25年にございました参議院選挙におきまして、投票所へのスロープの設置などの経費を措置することによりましてバリアフリー化を推進したところでございます。これも先ほどの選挙公報の中身と同じように、事前に国として通知をさせていただいて、かかった経費について予算措置をさせていただいたというところでございます。
 2つ目が代理投票についてでございますが、これも適正な運用が行われるように、つまり、代理投票という場合、選挙人の意思確認というものを十分に行う必要がありますけれども、そういったものを丁寧に実際の投票行為に入る前に行うようにということで、各選管に対しまして要請を行ったところでございます。これも事前に通知等を出して要請をしたところでございます。
 3つ目の項目、9-(2)-3でございますが、指定病院等における不在者投票等々、投票所での投票が困難な障害者の投票機会の確保に努めるということでございますけれども、こちらのほうは、関連項目としまして、自書が困難な選挙人であっても、電子投票を使えば容易に投票できるということでございますが、電子投票機の信頼性というものを高めるために関連の予算を確保しまして、技術的条件の適合確認を行ったところでございます。
 総務省のほうからは以上でございます。よろしくお願いいたします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、警察庁、お願いします。

○警察庁 警察庁刑事企画課の課長補佐をしております林でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、私から9-(3)-1及び2について御説明をさせていただきます。
 まず、9-(3)-1、障害者の方が被疑者になった場合に行っている取り調べ時の配慮や、障害や障害者の方に対する理解を深めるための研修の実施状況について説明させていただきます。
 警察におきましては、障害者の方に対する取り調べに関しましては、犯罪捜査規範におきまして「取調べを行うに当たっては、その者の特性を十分に理解し、取調べを行う時間や場所等について配慮するとともに、供述の任意性に疑念が生じることのないように、その障害の程度等を踏まえ、適切な方法を用いなければならない」と規定しております。これに従いまして、障害の種別やその特性に応じた配慮に努めているところでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば聴覚障害者の方につきましては、手話、指文字、筆談、口話等、いかなるコミュニケーションが最適か確認して、適切な手話通訳等を介して行うようにしております。
 また、肢体不自由者の方につきましては、お体に御負担がかからないように配慮し、休憩時間を設けるように心がけております。
 さらに、知的障害者の方については、暗示的な発問を避けて、平易な言葉で簡潔に説明するように心がけております。
 このような特性を踏まえた適切な取り調べを実施するようにしております。
 さらに、いずれの障害者の方に対しましても、取り調べで何を求められているかを丁寧に説明するとともに、当該取り調べの流れや関係する刑事手続について丁寧に説明するなどして、障害者の方々の不安感を十分に取り除くということに配慮しているところでございます。
 また、取り調べを行うに当たりましては、事前に障害者手帳の内容でありますとか、医師の診断書等を確認して、その障害の種別や程度を把握することとしております。ただ、たとえ障害者手帳を持っておられなかったとしましても、御様子や会話を行う中で障害者の特性が見受けられる場合には、その特性に応じた取り扱いを行うように努めているところでございます。
 次に、障害や障害者の方に対する理解を深めるために警察で行っております研修についてでありますけれども、まず、警察学校において、新たに採用された警察官に対する採用時の教養の段階から、障害者の方に配意した警察活動の必要性、重要性について教養しております。また、そのほか、障害者施設における介護体験も実施しているところでございます。
 続いて、取り調べに関する研修でありますけれども、警察大学校、管区警察学校、都道府県警察学校等におきまして、取り調べ技術に係る研修というのを実施しておりまして、その中で心理学等の専門家や有識者を招いた講義を行うなどして、障害を持つ方の特性を踏まえた適切な取り調べに係る指導・教養を実施しているところでございます。
 続いて、9-(3)-2についてでございますけれども、警察における知的障害を有する被疑者に対する取り調べの録音・録画の試行の実施状況について、簡単に説明させていただきます。
 警察におきましては、平成24年5月から、知的障害を有する被疑者であって、言語によるコミュニケーション能力に問題があり、あるいは取調官に対する迎合性や被暗示性が高いと認められる者については、その供述の任意性、信用性をめぐる争いが生じやすいと考えられますことから、公判において取り調べ状況等の客観的な記録による的確な判断を可能とするために、必要があれば取り調べの録音・録画の試行を行っているところでございます。
 録音・録画の実施状況でございますが、試行を開始しました平成24年度中におきましては、知的障害を有する被疑者に係る事件としまして、全国警察から報告があった検挙件数は938件であり、うち録音・録画を実施しているのは872件、率にしまして93%、1事件当たりの平均録音・録画時間56分でありましたところ、その2年後の昨年、平成26年度中はでありますけれども、検挙件数は1,125件、うち実施しているのは1,117件、率としましては99%、1事件当たりの平均録音・録画の時間は6時間30分となっておりまして、録音・録画の実施も増加しており、積極的な取り組みに努めているところでございます。
 今後も引き続き知的障害の程度やコミュニケーション能力等の被疑者の特性、事案の内容、被疑者の精神的負担や供述に与える影響等を考慮した上で、可能な限り広く録音・録画を実施していきたいと考えております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、法務省のほう、お願いします。

○法務省 先ほどに引き続きまして、法務省大臣官房秘書課付の大塚でございます。御説明申し上げます。
 お手元の「障害者基本計画(第3次)の実施状況」で84ページになりますが、9-(3)-1~5につきまして、順に御説明申し上げます。
 最初に、9-(3)-1でございますけれども、基本計画におきましては、障害者である被疑者・被告人がその権利を円滑に行使することができるような配慮を行うと同時に、刑事事件に係る手続に携わる職員の障害や障害者に対する理解を深めるために、必要な研修を実施するとされております。
 これに関しまして、まず、検察庁におきましては、例えば聴覚障害がある方に対して取り調べを行う場合、先ほど警察庁の方からも御説明がありましたけれども、必要に応じて手話通訳者による通訳を介して行うなど、障害の内容や程度に応じて適切な配慮を実施するようにしております。
 また、障害者に関する理解の促進という観点からは、勤務の年数などに応じて法務省ではさまざまな研修を行っているわけでございますけれども、その研修の中で障害者に関する理解、配慮のための講義を実施して、刑事事件の手続の中で適切な配慮がなされるように措置を講じているところであります。
 続いて、9-(3)-2ですが、これは知的障害のある被疑者等に対する取り調べに関する配慮についてであります。
 知的障害によってコミュニケーションに困難を抱える被疑者等に対する取り調べにつきましては、平成26年10月に、それまでから実施しておりました取り調べの録音・録画を、従来、試行であったものから本格実施という形に移行いたしまして、それ以上にさらに積極的な取り組みを行っているところであります。
 また、心理・福祉の関係者から、知的障害による供述の特性や発問方法などについて助言をいただくほか、取り調べに心理や福祉関係者の方に立ち会っていただくという試みを引き続き実施しているところでございます。
 次に、9-(3)-3でございますが、こちらは刑務所等の矯正施設の話でございますが、矯正施設に入所する累犯障害者などに対する社会復帰支援プログラムの提供の促進等について記載がありますが、プログラム案の検討を行っております。
 平成25年度の検討状況を踏まえまして、平成26年度には4つの刑務所におきましてこのプログラムの試行を行ったところであり、今年度はその試行結果を踏まえてプログラム案の内容の改善を図る予定としてございます。
 続いて、9-(3)-4ですが、こちらも矯正施設の話でございますが、矯正施設に入所する累犯障害者などが円滑に社会復帰するために必要なサービスを、矯正施設からの出所後、直ちに受けることができるよう支援を行うというところでございますが、法務省におきましては、地域生活定着支援センター、矯正施設、保護観察所の連携による支援を実施しております。
 適当な帰住先、出所後帰る場所でありますけれども、帰住先がなく、高齢または障害のため自立することが困難な受刑者については、出所後速やかに社会福祉施設への入所や、生活保護の受給等の福祉サービスを受けることができるように、地域生活定着支援センターと矯正施設、保護観察所が連携して、刑務所等に入所中の段階から必要な調整、これは特別調整といいますけれども、特別調整を行っております。
 平成26年度における特別調整の実施状況ですが、690人について調整を行っておりまして、そのうち主な帰住先は社会福祉施設に入所した方が316人、医療機関に入院された方が61人となっております。
 最後に、9-(3)-5ですが、日本司法支援センター、通称「法テラス」の弁護士などによる罪を犯した障害者の社会復帰のための必要な支援の実施について記載されております。
 これに関しましては、まず、保護観察官が資力の乏しい被疑者の法的問題を認知した場合に、民事法律扶助という制度を活用しまして法的支援に努めたほか、障害者等を対象とする弁護士会の無料電話相談などにおきまして、出張相談を実施する必要性がある場合、民事法律扶助制度の活用が円滑に行われるように共通書式の策定などの運用の改善を行ったところでございます。
 法務省からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、厚生労働省よりお願いします。

○厚生労働省 厚生労働省でございます。
 こちらからは85ページの9-(3)-4について御説明を差し上げます。
 地域生活定着促進事業というものを我々は所管しておりまして、先ほど法務省さんの説明のあった部分と重なるところがございますが、こちらの事業は、矯正施設に収容されておられる方のうち、例えば親がいないとか、長期間の収容で行き場を失ってしまったとか、そういう社会との縁がなくなってしまった方で、なおかつ、高齢であったり、障害があったりするために、釈放された後に何らかの福祉的な支援が必要だと思われる方に対しまして、御本人さんが支援を受けたいと支援を受けることに同意している場合に、必要な調整を行ってまいるというものでございます。
 実際には平成21年度に事業開始となり、全国の各都道府県にお願いして、各都道府県に原則1カ所、北海道はエリアが広いので2カ所あるのですけれども、地域生活定着支援センターというものを設置いただいております。
 実際には平成24年度には全都道府県でセンターが設置され、現在に至っております。このセンターのスタッフが、法務省さんはもちろん地域の関係機関と連携し、いろいろ模索しながら、支援の対象となる方の居所をどうするかとか、そのほか必要なサービスをどう提供していくかということを調整しているところでございます。
 支援実績でございますが、平成25年度の数値を資料に挙げさせていただいておりますけれども、全国の矯正施設に収容されている方のうち、延べ1,000人を超える人に実際に支援ができているなど、一定の実績を上げさせていただいていると考えております。
 ちなみに、先ほどの法務省さんの数字とカウントが違いますので、結構数字が違ってくるのですけれども、これは、こちらのセンターは全国的な調整を図っているというところなど、いろいろな事情に起因するものでございます。
 例えば東京都内に府中刑務所という刑務所がありますよね。その府中刑務所の中にいる方について調整をしたときには、東京のセンターが最初にかかわります。ところが、その人のニーズ、その人がどこに住みたいかということを聞いたときに、例えば私は千葉県に行きたいですと言ったときには、千葉のセンターに案件を移したりとかするという処理が出てまいりまして、先ほど「延べ」と言いましたのは、違うセンターに送るとか、そういう事情がございまして、実人員でない部分がありまして数がずれているものと考えております。
 今後も、長期間の身柄拘束などによって地域とのつながりを失ってしまったのだけれども、実際に何か支援のニーズがあって、支援を受けることについて御本人が希望している方が社会に戻ったときに円滑に支援を受けられますよう、法務省さんとしっかり役割分担をしながら努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、これから質疑応答に入りたいと思います。「10.国際協力」もまだございますので、5時を目途と考えております。
 それでは、御質問、意見のある委員は挙手をお願いいたします。
 それでは、野澤委員、お願いします。

○野澤委員 総務省さんに、9-(2)-2の代理投票のところで、知的な障害とかを持った方は、前はだめだったのですが、成年後見があってもできるようになった。これは大変すばらしいことで、代理投票もいいのですが、ただ、代理投票に簡単にしてしまう前に、漢字は読めないし書けないけれども、ほかの方法であれば自分で投票できるという人は相当いると思うのです。例えば平仮名で候補者の名前を書いてあるだとか、顔写真をつけてあるだとか、候補者の名前を書くのではなくて○を振るだとか、マークシートみたいに塗り潰すだとか、そういう方法というのはやっていないのか、考えられないのかというのをお聞きしたいと思います。
 次に、警察庁のほうの9-(3)-1とか9-(3)-2のところなのですけれども、取り調べで聴覚障害の方に手話通訳が必要なように、例えば知的や発達障害の方にも立会人というか、通訳があってもいいのではないかと思います。ほかの国ではアプロプリエイト・アダルトスキームだとか、インディペンデント・サード・パーソンだとか、かなり実施されている国もあります。この辺については、どのようにお考えなのかということです。
 それと、録音・録画ですが、確かにかなり長い時間、件数もふえてきたというのは喜ばしいことなのですが、やはり全過程の録音・録画でないと、本当に大事なところだけ抜け落ちてしまうと全く逆の意味になってしまうということで、これについては、全過程の録音・録画について、どのように認識されているのかというのをお聞きしたいと思います。
 法務省さんに、9-(3)-4の特別調整のところですけれども、これを見ると、690人のうち入所施設が316、医療が61となると、大体半数が刑務所から出てきて、また施設型のところに入っているということになるのです。
 必要な人の場合にはそれはいいと思うのですけれども、果たして本当にこれが的確に利用されているのか。結構現場で聞くと、本人は家に帰りたいと言っているけれども、なかなか地域での生活は難しいのではないかと現場で判断されてしまって、安易に施設への入所というものが行われているということをよく聞きます。そのほうが施設も加算がつくからであります。地域でその人を支えるのはなかなか難しいからですね。
 そうすると、せっかくこういう制度ができて、一見するといいのですけれども、本当に本人の利益になっているのかどうなのかというのは、やはりもう一度検証しなければいけないのではないのかなという気がします。そのあたりは認識されているのかどうなのかということをお聞きしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 4点あったかと思います。まず、総務省のほうへは、代理投票について進めるということがあるけれども、本人が投票できる代替的な方法がほかにもいろいろあるのではないか、この点についての検討はされているでしょうかというのが1点、これをお願いいたします。

○総務省 総務省でございます。お答え申し上げます。
 先ほどお話のあった中で、マークシート等、より選挙人の方が投票しやすい方法があるのではないかという御趣旨だったと思うのですが、お話のあった中に近いものとして、今、現行の公職選挙法上、記号式投票というものがございます。
 要するに、投票用紙の中に候補者の氏名が振り仮名つきで書いてあって、そこに1つ○をつけるような方法でございますけれども、現行制度上としては、選挙の候補者というのがどうしても告示の日に立候補をして、その時点で固まるものですから、実際、出そろった候補者の氏名を受けて、そういった記号式投票の投票用紙を作成するまでに時間がかかるという理由もございまして、この記号式投票を導入する場合には、基本、期日前投票は対象になっておらずに、当日投票について、これを行うこととされているところでございます。
 ですので、そういう手続上の煩雑性もございまして、実際、制度としてはあるのですけれども、導入している団体はそんなに多くはない状況でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 関連してなのですが、電子投票機についても実証実験をなさったと書いてあるのですが、その結果については御報告がなかったように思いますが、良好な結果だったのでしょうか。それともそうでなかったのでしょうか。

○総務省 電子投票につきましては、先ほどのこちらからの説明の中で適合確認の予算をとっているということでございましたけれども、平成25年度につきましては、予算は組んでおりますけれども、実際、その対象はなかったところでございます。
 といいますのは、この電子投票につきましては、御案内かと思いますが、平成10年代に制度がつくられまして、さまざまな地方公共団体で検討されたのですけれども、1回投票機に故障というか、トラブルがございまして、その結果として選挙無効になってしまったというような経緯もございまして、それを受けてなかなか導入が進まなくなっているような状況にございます。
 電子投票については、今、地方選挙だけが対象になっておりますが、いっとき国政選挙にも導入してはどうかという議論が起こったのですけれども、そういう機器に対する信頼性ですとか、やはり地方選挙と国政選挙では性格が違うだろうということで、慎重に検討すべきだというような議論もございまして、今のところ国政選挙には使えないような状況になってございます。
 そもそも我々も推進するために適合確認のための予算を確保しているところではあるのですけれども、電子投票自体がなかなか広がりを欠いているというような現状にございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 次に、警察庁のほうへの質問がございました。知的障害者へもコミュニケーション支援というか、通訳を配置する必要があるのではないかという認識についていかがかということと、録音・録画を試行されているということですけれども、全過程についてそれが必要なのではないか。また、試行ではなくて本格実施が必要なのではないかとまで野澤委員がおっしゃったかどうか、私、記憶できていないのですが。

○野澤委員 そういう意味のことです。

○石川委員長 そういうことですね。それについて、お願いします。

○警察庁 警察庁でございます。
 貴重な意見、ありがとうございます。
 まず、知的障害者の通訳人や専門家の立ち会いというところなのですけれども、警察は突発事案も多くて、一律に制度化として専門家などの立ち会いというのは非常に厳しいかと存じております。
 ただ、そういうことに関して、やはり事件の立証上の必要性というところで録音・録画も実施しているところでありますので、今後、捜査の影響等を考えて、そういう必要性も課題であるという認識でやっていきたいと存じております。
 録音・録画の全過程についてですけれども、逮捕当初から全て録音・録画していくということについては、基本的に広く全過程に近い形で実施したいと考えております。
 ただ、当初、突発で入ったときには、障害をお持ちかどうかというのがわからないときがあります。そういう逮捕直後の初めの取り調べでありましたり、そういうところが欠落する場合はあろうかと思いますけれども、取り調べの御様子であったりとか、会話の中でわかった折には、それに配慮した取り調べには心がけているところでございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 関連してお聞きしたいのですが、9-(3)-2については、警察庁のほうの書きぶりと法務省のほうの書きぶりが違っていて、警察庁のほうは試行となっており、法務省のほうは実施となっていて、全過程ともなっているのですが、この違いはどう理解したらよいのか教えていただけないでしょうか。

○警察庁 警察庁でございます。
 その点につきましては、警察庁におきましては、現在、試行という形で知的障害を有する被疑者に係る取り調べの録音・録画ということで実施しております。一方、検察庁のほうは、精神障害の方でありましたり、若干広く、しかも本実施ということで実施されております。
 ここの違いなのですけれども、警察におきまして、当初、事件で検挙されてきたという段階で、この方に知的障害があるのかどうかというのを専門家なしで警察だけで独自で判断できるのか、そこを見分けられるかどうかというところに問題がありまして、制度化という方向性にはまだ若干検討が必要かなというところで、知的障害という試行の中で、仮に精神障害者の方であったり、ほかの障害者の方であってコミュニケーション能力が不足しているというのであれば、録音・録画は運用の中で実施しているというところでございます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 重ねて法務省のほうにお伺いできればと思うのですが、録音・録画をされて、録音した内容をレビューされたことによって何かを発見されたとか、こういった問題が浮かび上がってきたとか、そういう録音・録画をすることの効果についての検証というのはされていらっしゃるでしょうか。お願いします。

○法務省 法務省刑事局でございます。
 今のお尋ねの録音・録画の効果等についてということですが、まず、録音・録画につきましては、供述の任意性を確保するという観点で実施しているものでございます。
 また、録音・録画を実施した中での問題点等については、各検察官において日々の業務の中で問題点がなかったかということを検討しておると承知しております。

○野澤委員 野澤ですけれども、ちょっといいですか。
 最初に、取り調べの当初に障害があるかどうかわからないというケースのほうが結構多いと思うのです。裁判の過程で精神鑑定等をやってわかるということがかなりあるので、最初のところでふるいをかけられてしまって録画しないとなると、後で検証のしようがないと思うのです。だから、最初から録音・録画しておいて、別に必要がなければないでいいのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。

○石川委員長 ありがとうございます。
 これについてはいかがでしょうか。法務省、警察庁、どちらでもいいですが。

○警察庁 警察庁でございます。
 確かにおっしゃるところは理解できるところでございます。ただ、全てをということになりましたら、知的障害者とか、障害者の方の録音・録画というのは、事件にかかわらずということになりましたら、大変多くの事件を取り扱うということになります。そうしましたら、機器の問題でありましたりとか、もちろん全事件をしていくという方向性も、今後、いろいろな関係で検討はしていかなければならないところなのですけれども、今のところ、そこは慎重に検討しているところでございます。

○石川委員長 法務省のほうもお願いいたします。

○法務省 法務省でございます。
 ただいまの点なのですけれども、検察庁では、現在、知的障害などコミュニケーションに問題を有すると思われる方の録音・録画を、試行ではなくて本格実施しているところです。
 その中で、確かに御指摘のとおり、最初は知的障害を有する方かどうかというのが判断できない場合はあろうかとは思います。そういった意味では、例えば録音・録画を実施する最初の弁解録取の手続などではわからないというケースがあろうかと思いますが、コミュニケーションに問題あると判断されれば速やかに実施していくという方向で、そういった問題が生じないようにしようと考えているところです。

○石川委員長 ありがとうございました。
 野澤委員からの4点目の質問に移らせていただきたいのですが、これにつきましては厚生労働省のほうからお願いできますか。

○厚生労働省 厚生労働省でございます。
 御質問の趣旨は、特別調整を経て実際に社会に戻られた方の半数以上が施設に入っている、今、脱施設化とか言われている中で、本当にそれでいいのかということでよろしいでしょうか。
 この点につきましては、我々としても本人の真意をどうつかむのかというところに大きな課題があるのではないかと考えているところです。もちろん福祉ですので、我々が法務省と協力してやっている事業というのは、再犯防止の役に立つとは思うのです。ただ、再犯防止に必要だからといって、本人の真意を曲げてとにかくサービスをつけるとか、どこどこに入るというのは福祉の本質からは大きく外れておると思っておりまして、我々厚生労働省といたしましては、本人の真意に沿った支援をいかにするかという立場でかかわらせていただいているつもりでございます。
 ですので、今の御指摘につきましては、法務省さんとこれからもこの事業のあり方について話し合っていく場面が出てまいると思いますけれども、矯正施設の中であったり、我々が本人の真意を聞くときにどうやって聞くのかという観点であり方などを検討させていただけたらいいなと考えております。貴重な御意見、ありがとうございました。

○野澤委員 少しだけ。本人の真意をくみ取るというのはもちろん大事です。それとともに、施設に行くと加算があるというところでそこが加速されるわけで、地域で暮らすときの地域でその方の生活を支えるところにもそういうインセンティブを与えるようなサービスがあれば、もっと違うのではないかなと思うのです。
 矯正施設で刑期を終えて、晴れて自由になって、また集団生活に行くというのは何とも忍びがたいので、その辺は重ねて御検討いただければと思います。

○厚生労働省 ありがとうございます。私は直接の所管ではないのですけれども、ぜひ今の御意見があったことを部内に帰って伝えたいと思います。ありがとうございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 次に、辻井委員。

○辻井委員 9-(3)-3になると思うのですが、矯正施設に入っている累犯障害者にという話なのですが、先ほどの野澤さんの話とも少し重なるのですが、矯正施設に入所している方たちに発達障害があるかどうかということや、精神障害があるかどうかというようなことは、一応、基本的に全ての方が把握されているという理解でよろしいのでしょうかというのが一つです。
 もしそうであれば、やはりそうした方たちの障害特性に対応するようなプログラムをやって、再犯を予防していくということは大変大事なことだと思います。
 もう一個ありまして、9-(3)-4のところに関連すると思うのですが、保護観察等の話というのは、もちろん保護観察官もいるのですが、保護司の方が実際には対応していくという例も結構あるのではないかと思っております。保護司の方は結構御高齢の方などもおられるというような形で、障害、特に発達障害などがあるような方たちに対して十分な理解を得ていくということをしていかないと、実際の矯正・指導といいますか、指導のところの困難というのが生じるのだろうと思うのですが、それはどのぐらいそうした研修をきちんとなされているのかということについて全く書かれていないので、その2点をお願いできればと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、法務省、お願いいたします。

○法務省 法務省矯正局の畠山と申します。刑務所を所管している立場から御説明させていただきます。
 刑務所に入ってきます各種の障害を抱えた方の障害の把握というところについてですけれども、刑務所に入りますと、心理学を専門とします調査の専門官、あるいは精神科医、そういった専門の職員が受刑者の調査を実施して、発達障害、知的障害などの把握に努めているところでございます。
 そういった特性を考慮いたしまして、それぞれの個々の問題性に対応した各種のプログラムを実施しているところですけれども、例えば知的障害を抱えた人に対しましては、対人関係上のスキル、ソーシャルスキルトレーニング等を活用しながら指導を行ったりしているところでございます。
 先ほど特別調整の話がございましたけれども、出所後、福祉へのつなぎが必要と思われる受刑者をスクリーニングいたしまして、出所後の福祉の制度についての説明ですとか、特別調整を受けることの意義、出所後の各種の公的支援策についての説明などを行って、出所後の再犯を防ぐような取り組みを各種行っているところでございます。
 以上でございます。

○法務省 法務省保護局でございます。
 先ほどありました保護司への研修の点についてでございますが、まず、特別調整を受けた者につきましては、ほとんどが満期釈放という形で福祉施設の方につないでおりまして、保護観察の期間を受ける者は少ないのですけれども、今は保護司に対しても研修の充実ということを言われておりまして、障害をお持ちの方への対応につきましても、研修に努めるよう担当部署に伝えたいと思います。
 以上です。

○辻井委員 1つよろしいですか。
 特に知的なおくれが明確でないような発達障害の方たちというのは、1つは、矯正機関の専門家の研修の問題だと思いますが、十分に把握されていなくてというのが、やはりまだかなり見られるということ。同じように、結果、特別調整にならずに保護司が実際に見ているけれども、対応ができないというケースもかなりあるということです。
 ですから、知的障害がかなり明確ではないものについては、やはりもう一段明確な対応を少なくとも矯正施設の中でやっていただく必要性があるのではないかというのが現状だろうと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 確認なのですが、矯正プログラム自体の中に、とりわけ発達障害等の障害特性を考慮した有効な矯正プログラム、社会復帰プログラムを少なくとも模索というか、開発されようとしているという理解でよろしいのでしょうか。それとも、ある一つの社会復帰プログラム、矯正プログラムを障害特性、つまり、アクセシブルにするといいますか、そういう意味での障害への配慮という意味なのか、どちらの意味でおっしゃったのかを確認させてください。

○法務省 法務省矯正局でございます。
 発達障害に特化した個別のプログラムというものは、現時点では準備しておりません。ただ、精神障害、知的障害等を有する方に対するコミュニケーションスキルの向上ですとか、そういったものを中心としたプログラムを策定いたしまして、その中に発達障害を抱えた方についても組み込んで受講していただいているといったような状況でございます。発達障害を抱える受刑者についての再犯防止のプログラムについては、また今後とも充実に努めてまいりたいと考えております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 辻井委員、何かコメントはございますか。よろしいですか。

○辻井委員 かなり世間を騒がせてしまうような事件も幾つかあるわけで、なおかつ、一度矯正施設におられて、出てきてまたなさるというようなこともあるわけで、この段階としては、やはり発達障害に対応するようなプログラムというものを明確につくっていくということ。
 それから、そういう特性がある方が十分わからずに出るということも現実的にはどうもあるようなので、やはりそこの中の職員の研修にさらに努めていただくということが必要だろうと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、石野委員、お願いします。

○石野委員 石野です。
 1つだけ質問させていただきます。
 9-(3)-1、警察庁などで被疑者に対する取り調べの際に、先ほど録画・録音の話が出ていました。警察としては手話通訳が必要だという認識を持って手話通訳者を派遣して取り調べる場合があります。そこで、2つ気になる点があります。
 1つは録画です。手話通訳がつく場合、手話通訳も撮るわけですね。手話通訳が撮られると手話通訳者の録画の問題が心配されますが、その場合は拒否ができるかどうかです。
 2つ目は、取り調べが終了して、最後に確認として全て署名捺印があると思います。手話通訳者もそこに署名をしなければいけないと聞いています。これについては、ケース・バイ・ケースでの取り扱いということは理解できますが、例えば警察が、手話通訳者の署名がなければ被疑者に対して不利益になるというような場合、仕方なく署名する場合もあります。これは制度上の根拠があるのかどうか、あるいはまた法的な根拠があるのかということを質問したいと思います。
 以上です。

○石川委員長 2点御質問がありましたけれども、宛て先は警察でよろしいでしょうか。検察庁、どちらでしょう。

○警察庁 警察庁でございます。
 まず、録音・録画のときの通訳の方において拒否できるか否かということなのですけれども、これはもちろん拒否していただくこと、例えば録音・録画されたくないとおっしゃるのであれば、それは要望にお応えできると思います。
 また、署名等の問題でありますけれども、仮に署名、指印が押印できないということであれば、その旨の報告書等を作成するなりして、法的にも対応できると承知しております。

○石川委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

○石野委員 石野です。
 実は今まで手話通訳の事業所から報告を受けておりますが、署名について拒否ができないというような風潮が強く流れているようなので、指導をお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 次に、大濱委員、お願いします。

○大濱委員 大濱です。ありがとうございます。
 先ほどから、ずっと見ていて気にかかっているのですが、例えば総務省の関係で、9-(2)-2に投票所のバリアフリー化を推進したと記載されています。また、法務省の関係では地域生活定着支援センターの取り組みが6年前から行われていて、9-(3)-4で社会復帰の支援を行ったとありますが、例えばインターネットで検索すると厚生労働省のホームページに地域生活定着支援センターの支援状況という詳細なデータが載っているわけです。
 これはお願いですが、加藤参事官を初め担当室の方は大変なのかもしれませんが、例えば投票所について、実際に何年間の間に、それぞれ都道府県でどれぐらいの投票所がバリアフリー対応になって、何%ぐらい増えているというような数字をあらかじめ用意していただければ非常にありがたいです。これは本当にお願いします。
 このような具体的な数字を挙げていただかないと、抽象的な表現ばかりで、推進したと言われても、実態はどうなのかというのが見えません。そのあたりの見える化をきちんと図っていただきたいと思います。
 地域生活定着支援センターも全く同じです。ホームページには支援実績のデータが載っているのですから、それが見えるような数字を政策委員会や第3次計画の進捗状況の資料として提出していただければ大変ありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

○石川委員長 ありがとうございました。
 数字で実績を示してほしいということなのですが、内閣府のほう、お願いいたします。

○加藤参事官 内閣府障害者施策担当でございます。
 委員の御発言、ごもっともでございます。ただ、これは各省庁それぞれの施策でございますので、各省庁の絶対的な協力がなければ内閣府でまとめようがございませんので、むしろ、きょう、委員からそういう御発言をいただいたのは非常にありがたいと思っております。
 以上でございます。

○石川委員長 援護射撃とおっしゃっていただいたかと思います。
 最後に、松森委員。恐縮ですが、時間が足りなくなってまいりましたので、お願いします。

○松森委員 私からは、今、御説明いただいた以外になりますけれども、86ページ、9-(4)-1になります。国家資格に関する配慮等について、現在の実施状況のまとめられ方は、具体的な配慮内容とその実施数などの記載がないのですが、2つ質問があります。
 1つ目は、障害や必要な配慮を申告した受験者の人数と障害別の内訳、実際に試験で行った合理的配慮の内容やその件数、免許交付数など、具体的に集計してきていますか。数も見えるように集計していくことが経過と課題を明らかにすることになると思います。
 2つ目は、現在では、2001年まで欠格条項で門前払いされていた障害のある人が、薬剤師、医師などの免許の交付を受けて就業している例が幾つかあります。それは国連にも報告できるすばらしい内容だと思うのですけれども、免許を交付した障害者の人数や内訳を把握していれば、ぜひ出していただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 それでは、厚生労働省、お願いします。
 済みません、数字なので、ありますか。

○厚生労働省 厚生労働省なのですが、今、席に座っている者が詳しい数字を持っていないもので、お答えできないということで申しわけありません。

○石川委員長 次の政策委員会で御報告いただけるということでよろしいですか。

○松森委員 お願いします。

○石川委員長 いただくということにさせていただきたいと思います。
 それでは、佐藤委員、忘れていました。済みません。

○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
 今のところに関連するのですが、9-(4)-1です。欠格条項などの法制度の障壁の除去をぜひ進めていただきたいと思います。
 1999年に政府の見直し対象63制度というのが出たのですが、このうち51制度について、まだ相対的欠格条項が残されております。権利条約の4条にかかわることですので、ぜひ進めていただきたい。
 あわせて、公務員試験の問題が今いろいろ出てきています。例えば活字印刷物による出題に対応できる者とか、あるいは自力通勤できる者、こういう規定があるために受験ができないという問題が、昨年、出ております。現在、半数の自治体でこういう要件をつくっておりますので、これをなくすためにも公務員試験の共通的な指針を策定すべきだと考えています。
 さらにもう一つ言いますと、議会の傍聴、つえの携帯を禁止する規則がありまして、鹿児島県、愛知県の議会で問題になりましたが、これは標準規則という都道府県、市町村議会の傍聴の基準があるのですけれども、そこにつえというのが書いてあるのです。ここを見直していただきたいと思っています。
 以上です。

○石川委員長 これは質問でしょうか。意見ということでよろしいですか。

○佐藤委員 はい。意見で結構です。

○石川委員長 ありがとうございます。

○川﨑委員 済みません、川﨑ですけれども、先ほど手を挙げていたのですが、ちょっといいでしょうか。

○石川委員長 では、どうぞ。

○川﨑委員 済みません、簡単に言います。
 9-(3)-1のところなのですけれども、いろいろな方から出ていますように、障害者の理解とか、職員に対する研修ということがうたわれておりますが、実際、精神障害者に関しましては、なかなか理解がまだ進んでいないかなということを実感しておりまして、こういう研修会に当事者とか家族の声を聞き入れてくれるようなシステムにしていただきたいということです。
 といいますのは、私は今、東京都の法務局で人権擁護委員をしておりまして、人権相談をしておりますが、精神障害者から警察官に対するすごい相談がかなり多く入っております。精神障害者と言ってばかにして何も話を聞いてくれないとか、もう本当に人権侵害にもなるかなというようなことも出ておりますので、精神を理解するためのただ机上のことだけでなく、当事者の声、家族の声を聞いていただきたいなという意見です。よろしくお願いいたします。

○石川委員長 ありがとうございます。御意見ということでちょうだいするということでよろしいでしょうか。
 それでは、引き続きまして「10.国際協力」と「IV 推進体制」が残っておりますので、こちらのほうに移りたいと思います。
 外務省、内閣府施策担当の順で御説明をいただきます。
 まず、外務省からお願いいたします。

○外務省 外務省人権人道課の中野と申します。
 基本計画の「10.国際協力」の部分について、まず、総論について申し上げます。
 10-(1)-1については、冒頭記載のとおりとなりますが、我が国の障害者権利条約の批准について必要な手続を進めるということですけれども、御承知のように、我が国は障害者権利条約の署名以降、障害者に関する国内施策の一層の充実を進めた上で、昨年の2014年1月20日に条約を批准いたしました。
 条約の規定に基づいて、現在、御承知のとおり、第1回の政府報告の作成を準備中であり、条約第35条の4に「第4条3の規定に十分な考慮を払うよう要請される」とあるとおり、障害者政策委員会からの御意見等を十分に踏まえながら、今後、作成していく所存でございます。
 10-(1)-2についてですが、これまでも国連の人権理事会、国連総会等の場における障害者に関する決議への対応、我が国の障害者団体の国連行事などへの参加への側面支援、国際的な障害者団体による行事等への我が国関係者の側面支援などを通じて、国際的な協力を行っております。今後も引き続き同様の取り組みを行っていく所存です。
 それでは、開発に関する国際協力の取り組みについて、国際協力局から御説明させていただきます。

○外務省 開発協力に関して、続いて御説明させていただきます。国際協力局のナガサワでございます。
 最初に、10-(1)-2、10-(1)-3で、障害者施策は国際的な協調のもとで行われることが必要であり、国連や地域の国際機関など国際的な非政府機関における障害者のための取り組みに積極的に参加することとして、平成25年から10年間、すなわち2013~2022年まで「アジア太平洋障害者の十年」について、アジア太平洋経済社会委員会、いわゆる「ESCAP」と呼ばれていますが、その事務局やほかの加盟国と十分に連携しながら、域内の障害分野における国際協力に積極的に取り組むとしています。
 これにつきましては、1992年以降取り組んできました、先ほど申し上げました「アジア太平洋障害者の十年」について、引き続き協力をしていく所存でございます。
 昨年4月には行動計画である「仁川(インチョン)戦略」、このゴール7というところにありますけれども、防災や災害対策における障害者への配慮を実現するため、ESCAPとともに障害者に配慮した防災に関するアジア太平洋地域会合を開催しました。この開催には、日本による会議費用について財政支援を行っております。
 10-(2)-1でございます。「『政府開発援助大綱』に基づき」とありますが、まず、本年2月にこれを「開発協力大綱」として改定いたしました。これは御案内のとおりでございますが、障害に関しても新しい大綱で研究しておりまして、引き続き障害分野への開発協力を実施していく所存でございます。
 平成25年度に関しましては、前の大綱でございますが、政府開発援助大綱に基づいて我が国は相手国の経済社会状況や開発政策、援助需要を十分把握し、それに沿った援助を実施するため、要請を受ける前から政策協議を活発に行ってきております。
 また、主要な被援助国について、我が国の援助政策を踏まえつつ、真に必要な援助需要を反映した重点が明確な国別援助方針を策定することとしています。平成25年度は21カ国分の国別援助方針を策定し、合計で100カ国分の援助政策方針を策定いたしております。
 10-(2)-2では、開発途上国において障害分野における活動に携わる組織・人材の能力向上を図るため、JICAを通じた研修員の受け入れや専門家の派遣等の協力を行う。また、草の根・人間の安全保障無償資金協力などを通じて、障害分野における活動を行う国内外のNGO等に対する支援を行う。そのような基本方針となっております。
 平成25年度には、集団研修、個別研修、技術協力プロジェクト、第三国研修、個別専門家派遣、青年海外協力隊、シニア海外ボランティア派遣、こういったさまざまな形態で各国の状況・情勢に合った支援を実施してきております。
 また、資金的な協力としましても、合計で49件、3.8億円の草の根・人間の安全保障無償資金協力を実施しておりますし、10-(4)-1に記載してありますけれども、NGOとの連携による「日本NGO支援無償資金協力」を計7件、約1.1億円の規模で実施いたしました。
 最後に、10-(2)-3では、障害分野における国際協力の実施に当たっては、支援の提供と受け入れの両面における障害者の参画を得るように努めると記載されております。新たな開発協力大綱においても当事者の参画は重要な要素です。引き続き当事者が参画した支援を実施していきたいと考えております。
 一例として、平成25年度にミャンマーにおいて「社会福祉行政官育成(ろう者の社会参加促進)プロジェクト」を実施させていただきました。ミャンマーの障害分野の中でも特に支援がおくれているろう者の社会参画を目指して、行政官、ろう者、ろう学校教員が協力して標準手話を策定し、教材を開発して普及活動を行う。それとともにろう者自身を手話の指導を行う講師として育成することができました。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、内閣府の施策担当のほうから「IV 推進体制」について御報告をお願いいたします。

○加藤参事官 内閣府障害者施策担当でございます。
 お手元の資料の95ページからが「IV 推進体制」というところでございます。
 最初に「1.連携・協力の確保」ということでございまして、右側に平成25年度の推進状況を書いてございます。
 最初の○は、まずは障害者基本計画(第3次)の案を平成25年9月27日に閣議決定を行ったということを書いてございます。
 その下の○は、毎年、前年度に取り組んだ障害者施策につきまして国会に報告をすることになっておりまして、これを市販物にするということで、いわゆる「障害者白書」というものを毎年作成しておるということでございます。
 それにつきましては、市販すると同時にホームページに掲載する、あるいは概要版を点字に翻訳いたしまして、障害者団体あるいは点字図書館等におさめておるというところを書いてございます。
 3つ目の○でございますが、平成25年6月に障害者差別解消法が成立しまして、今申し上げました9月27日には障害者基本計画(第3次)が閣議決定されました。9月30日に地方公共団体を集めまして、この法律の考え方でありますとか、第3次基本計画につきまして解説、説明、あるいは協力依頼等を行って、連携強化を図ったところでございます。
 4つ目の○でございますが、毎年でございますけれども、地方公共団体における障害者計画の策定状況でありますとか、地方公共団体での取り組みにつきまして、調査を行った上、ホームページ等で公表しておるということでございます。
 その下でございますが、「2.広報・啓発活動の推進」「(1)広報・啓発活動の推進」のところでは、2つ目の○でございますが、これも内閣府の別の部署でございますけれども、バリアフリー、ユニバーサルデザインの推進につきまして、顕著な功績・功労があったところにつきまして内閣総理大臣から表彰するということをやっております。
 3つ目の○でございますけれども、毎年、障害者週間におきましては、障害者週間連続セミナーということで、障害者団体あるいは障害者の支援団体の方々に集まっていただきまして、それぞれの活動状況でありますとか、障害者が抱えている課題等につきまして、セミナーということで、1コマ2時間で8コマ、2日間に分けて開催しているところでございます。
 4つ目の○は、毎年、障害者週間のポスターを全国の駅などに配布して掲示していただいているところでございます。
 次のページ、96ページでございますが、「(2)障害及び障害者理解の促進」ということでございまして、ここも先ほど申し上げました障害者週間連続セミナーについて書いてございます。
 2つ目の○でございますが、小・中学生を中心にしました障害者週間のポスター、小・中学生と高校生、一般を対象にしました「心の輪を広げる体験作文」などの募集を行い、毎年、優秀作品につきましては作品集をつくって、全国の小・中・高校等へ送っているところでございます。
 本日お配りしております参考資料2としまして、資料番号のついていなかったカラー刷りのものでございますが、これがリーフレットでございまして、これがまさに作文、ポスターの募集の案内のためのリーフレットでございます。これを都道府県教育委員会等に配布して募集をしておるというところでございます。
 飛びまして97ページ、「3.進捗状況の管理及び評価」ということでございまして、右側には○が2つしか書いてございませんけれども、まさに障害者政策委員会におきまして、随時、必要に応じて各府省の取り組みの把握を行うということでございます。
 したがいまして、本年度行っていますワーキング・セッション、あるいは本日の監視に当たります障害者政策委員会の活動につきましては、平成27年度のところに記載されるということでございます。
 その下の「4.法制的整備」というところは、先ほど申し上げましたが、障害者差別解消法に基づきました基本方針につきまして、平成25年11月から議論を開始し、延べ11回、障害者政策委員会を開催し、50団体からのヒアリングを行い、本年2月24日に閣議決定に至ったということを、平成25年の分だけ書いてございます。
 その下のところは、蛇足的でございますが、平成25年6月に障害者差別解消法が成立したということをここに書いてございます。
 最後のページ、98ページの下の「5.調査研究及び情報提供」というところでございます。
 この上の部分でございますが、我が国も障害者権利条約を締結いたしましたので、それに伴いまして、各国が行っておる監視状況につきまして、内閣府のほうで委託調査を行っております。対象国としましてはイギリス、ドイツ、オーストラリア、韓国、アメリカの5カ国を対象にして、どのように国内モニタリングが行われているのかといったところの調査研究を行ったということでございます。
 これにつきましては、主任研究者を石川委員長にお願いをしておりまして、この概要につきましては、平成26年4月28日の第12回の障害者政策委員会のほうで御報告させていただきました。また、関係の報告書等の資料につきましては、内閣府のホームページに掲載しておるという経過でございます。
 内閣府からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 残り10分強という段階になっておりますが、まず「10.国際協力」に関しまして御質問、御意見を受けたいと思います。
 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
 10-(2)-3の国際協力への障害者の参画のところです。障害者の専門家、調査団、ボランティアとしての派遣に力を入れているということですけれども、どのぐらいの障害当事者が行かれているのかというのを教えていただきたいと思います。特にボランティアのところに青年海外協力隊も含まれるのかなと思いますので、そこも含めて教えてください。
 以上です。

○石川委員長 それでは、外務省のほうからお願いいたします。

○外務省 今、具体的には持ち合わせていないのですけれども、全体の中ではもちろん少のうございます。ただ、その案件が障害に関係するものであれば、当事者として参画する、ないしは議論に参加するといったところは当然のことでございますので、そういったところには我々としても留意して進めているということでございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 そうしましたら、次に「IV 推進体制」に関しまして御質問、御意見があれば挙手をお願いいたします。
 大日方委員、お願いします。

○大日方委員 ありがとうございます。大日方です。
 意見です。95ページの2の「(1)広報・啓発活動の推進」「(2)障害及び障害者理解の促進」のところに関係するところになると思いますが、印象も含めてなのですが、障害者団体等が作成するもの、あるいは団体が実施することというところをどう外へ向けて広げていくのかというところが、今、より求められるようになっているかなと思っています。とかく障害当事者、あるいはその周辺にいる支援者への情報というところにとどまりやすいのをどう広げていくのかというところが今後の課題かなと捉えておりますので、ぜひそのあたりの工夫もしていただければなと思っています。
 以上です。

○石川委員長 御意見ということで受けとめさせていただきます。
 では、阿部委員、お願いいたします。

○阿部委員 日身連の阿部です。
 「IV 推進体制」の「1.連携協力の確保」の4つ目の○の中で、地方公共団体における障害者計画の策定状況とか、障害者施策の先駆的な取り組み等についての情報を取りまとめているということでありますので、この中身の中で、それぞれの地域のいろいろなよい取り組みもですけれども、さまざまな情報がここで集まるものであれば、地域での実施状況も報告書の中にどの程度書かれるものなのかなということで、確認ということで質問させていただきたいと思います。
 今回はみんな各省庁の取り組みはありますけれども、やはり地域で生活するということから考えますと、地域の状況をどの程度報告書の中に取り込むことができるのかどうか、ここにもその調査があるわけですから、その辺のところの確認をお願いしたいと思います。

○石川委員長 阿部委員、ありがとうございました。政府報告へのということでよろしいでしょうか。

○阿部委員 そうです。

○石川委員長 これは外務省のような気もしますが、いかがでしょうか。内閣府ですか。

○加藤参事官 内閣府のほうでお答えします。
 まず、地方公共団体への確認といいますか、調査につきましては、これはそもそもそんなに自由記載欄がたくさんあるような調査ではなくて、簡単なチェック方式で答えていただいています。
 もう一つは、障害者基本法あるいは総合支援法、それぞれの法律に基づいて地方でさまざまな計画を立てていただくことになります。そんなに大きくずれがあるわけではなくて、ある程度の幅の中でやっていただいているのですが、ただ、地方の実情に応じて実際の取り組み方に濃淡があると、そこら辺が出てくるのかなという感じでございます。
 ですから、御指摘のあったように、もし政府報告の中にそういう地方自治体の取り組み、あるいは現状ということで報告できる部分があれば、加えていきたいと思います。

○阿部委員 ぜひその辺、よろしくお願いします。
 さらに、来年だけではなくて、その先でこのような仕組みがあるのであれば、さらに充実して取り組み状況の調査ということも進めていただきたいと思いまして、意見ですけれども、お願いいたします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 差別解消法でいえば、上乗せ、横出しの条例であるとか、手話言語条例であるとか、これまでの経緯からしても先進的な地域からさまざまなことが始まっているということもあるので、集約できるものについては集約して報告書に盛り込んで損はないのではないかなと思います。
 ほかに。
 辻井委員、お願いします。

○辻井委員 「2.広報・啓発活動の推進」ということに関してなのですが、主として内閣府のほうでお答えいただければいいのではないかと思うのですが、啓発しましたということは、イベントがあったということなのでわかるのですが、そのことで本当に啓発がなされたかどうかということに関して、例えば障害者週間について、そのことを認知している人がどのぐらいいてとか、かなり世論調査に近いようなものになるのかもしれないのですが、障害者差別解消法というのが今度できてということに関して、そのような実態データというのはあるのでしょうか。
 要するに、啓発がなされて、行政側としてやった努力というのももちろん貴重なものなのですが、そのことによって一般の方たちが本当に理解するようになるのかどうかということがやはり大事といえば大事なのかなと思うので、そのあたりについて何らかのデータがもしあるのであれば、障害者週間でもいいし、解消法でもいいし、もしそうであれば何らかのそれを把握する手段というのを、アンケート等も講演会に参加した人にとるのですが、啓発という意味からすると、むしろそこに初めて来た人とか、来ない人が知っているけれども来なかったというようなことのほうが大事なのかもしれないわけで、その辺、もし何か数字をお持ちでしたら教えていただければと思います。

○石川委員長 それでは、内閣府、お願いいたします。

○加藤参事官 有体に申し上げて、今、数字は持ち合わせておりません。ただ、もし内閣府で調べるとすると、いわゆる内閣府で実施します世論調査などで、例えば障害者についての理解の程度とか、そういったことはたしか数年前にも調べたことがあるかと思います。定量的なものではそんなところかと思います。
 ただ、定性的なことで申し上げますと、毎年、障害者の作文を募集しておるのですけれども、作文の内容が10年とかのスパンで見るとかなり変わってきておるということで、昔のような身体障害から、だんだん今は発達障害とか、そういったところに国民の方々の関心といいますか、そういったところも、じっくりとではあるけれども変わっておるなということは、定量的には難しいのですが、定性的には把握できるかなと思っています。

○石川委員長 ありがとうございます。
 作文というのは分析可能なデータですか。例えば研究者がその内容を分析して、この10年でこのように意識や考え方が子供のレベルで変わってきているという。

○加藤参事官 全部公表しておりますので、その中からそういったことを研究していただくということは可能かもしれません。

○石川委員長 時間がもうなくなってしまいました。きょうの政策委員会を閉じる時間になっているのですけれども、どうしても今日発言したいという方。
 では、簡潔にお願いします。
 では、柘植委員、初めてですね。

○柘植委員 簡潔にします。
 きょう、議論を聞いておりまして気づいたことです。最初のころだとか、中ほどで何人かの方が意見を言われたことです。
 それは何かというと、私たちは実施状況の監視をしているわけなのです。そうすると、できれば具体的な状況でどう変化したのか、どこまでうまくいっているのか、何が足らないのかということを知った上で議論をしないと難しいのかなと。また、そういうデータがあるとすると、経年変化も追っていきやすいわけなのです。
 近年、アメリカだとかイギリスでエビデンス・ベースド・ポリシー、根拠に基づいた政策をしようよという流れがあって、論文だとか本もかなり出始めているし、また、日本においても政策評価だとか行政評価ということが言われ始めています。
 ですから、わかりやすさということをキーワードに、次回が7月10日、その後、8月10日から本格的に整理の議論に入ると思いますので、ワーキングであったところも含めて、私、ざっとこの全体をきょうの会議の4時間の中で見たのですが、非常にクリアに書かれているところもあれば、いろいろな委員の方から御指摘があったように、わかりづらいところもありますので、短い時間ではありますけれども、項目の難しいのもあると思うのですが、できる範囲でわかりやすい記述に努めていくということをお願いできたらなと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 発言していただいてよかったと感じました。
 松森委員、お願いします。

○松森委員 松森です。
 まず、1つ目、97ページ「IV 推進体制」について。
 この障害者政策委員会委員28名の中で、障害のある女性は私を含め2名しかおりません。障害者権利条約の第34条には、委員会の構成について、男女が衡平に代表されること、並びに障害のある専門家の参加を考慮すると書かれております。これを見ても障害女性が足りていないことは明らかですので、今後検討していただきたいと思います。
 もう一つ、私はこれまで行われてきた全てのワーキング・セッションに出席してきましたが、特に障害のある女性の課題については、横断的にモニタリングする必要がありますので、例えば次回の政策委員会などで、障害のある女性の課題について専門的に取り組んできた方を参考人として呼ぶことを提案したいと思います。
 次に、2つ目、これはどこに対応するかわからなかったのでこの場で言いたいのですけれども、障害者権利条約23条、25条には、女性が障害があっても安心し、子供を産み育てることができる環境について書かれております。
 しかし、障害者基本計画では対応する記述がありません。障害者基本法14条「医療、介護等」の3には「国及び地方公共団体は、障害者が、その性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じ、医療、介護、保健、生活支援その他自立のための適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない」と書かれてありますので、モニタリングをする上でも、これに対応した具体計画が必要なことも含め、議論のたたき台としていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 横断的な視点について、ワーキング・セッションではなくて、この政策委員会の場で外部の有識者を招いてお話を聞くという件については、内閣府のほうで御検討いただきたく存じますので、よろしくお願いいたします。
 あと、石野委員でしょうか。

○石野委員 石野です。
 今までいろいろ政策委員会等に出席させていただいて、3つ感じたことがあります。
 1つ目は、先ほど松森委員も言及されましたが、当事者が半分以上入っている。座長も当事者であるような政策委員会は、ほかの各国に対しても誇れる委員会ではないかという点です。
 2つ目は、例えば知的障害の方は介護者がつき、協力しながら時間をかけてしっかりと討議しているという点です。これもすばらしいと思っております。
 3つ目は情報保障の点です。手話通訳、要約筆記等々、全て情報保障の配慮をする運営規則も内閣府の努力があったからこそと理解しています。
 この3つのすばらしい実績は政府報告にも記述していただきたいという意見です。
 しかしながら、今回は知的障害の方も入っていない、精神障害の当事者も入っていない。これは非常に残念なことだと思っていますので、その辺も書き込まれなければと思っています。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 政策委員会の役割であるとか、あり方についての御意見が続いたのですけれども、上野委員、もし御意見があれば。

○上野委員 精神科医の上野です。
 もう時間がないので無理かなと思っていたのですが、私が提案させていただきたいのは、障害者政策委員会は障害者基本法に基づいて設置されていて、それがつかさどる事務は基本法の32条に列挙されているのですけれども、それは限定列挙と考えると、こういう形で障害者基本計画に基づいていろいろなことを検討するという形になるのですね。そうすると、新たに生じた障害の問題をなかなか私たちが議論できないというか、監視できないというようなことがあります。具体的には認知症の件です。
 認知症の件は非常に大きな問題になっています。現在たくさんの認知症の方がいて、圧倒的に高齢の方が多いので、高齢化による身体機能障害とか、認知症は知的な障害とも似たところがあって、一部の方に精神障害のような症状が出たりとか、今までの分類による3障害全てが出る可能性があるので、障害として扱うということは十分可能ではないかと思うのです。そちらに関して、私たちの障害者政策委員会の中でぜひ議論させていただきたいというか、それを考えていただければと思います。
 というのは、ワーキング・セッションIIの中で認知症に関して私が発言したのですけれども、障害者基本計画に該当部分がないので、議論のたたき台の案の中で全部削除されているのです。それがとても残念で、それを何とかしたいなと思ったのがきっかけです。
 以上です。よろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 この件につきましても、委員長預かりとさせていただいて、持ち帰って事務局とも相談させていただきたいと思います。
 国内モニタリングと基本計画に基づくモニタリングというのはニアリーイコールかもしれないけれども、イコールではないとも言えますし、そこはやっていないということで、そのように報告するというのも一案だし、基本計画のモニタリングだけに限定せずにモニタリングして、モニタリングしましたとして報告するのも一つの選択肢かと思いますので、その点も含めまして少し検討させていただきたいと思います。すぐにここで即答できる件ではないので、預からせていただきたいと思います。
 以上で本日予定しておりました議題は全て終了といたします。若干超過してしまいまして、おわびいたします。
 次回の日程について、事務局からお願いいたします。

○加藤参事官 事務局でございます。
 会議を閉じる前に、前回、佐藤委員から御質問が一つございましたので、それについてお答えをさせていただこうと思います。
 現在、障害者差別解消法に基づきまして、対応要領、対応指針の進捗状況はどうなっているかという御質問だったと思います。
 現在、基本方針が定められたところでございまして、それに基づきまして、国の行政機関及び独立行政法人などにおきまして対応要領、あるいは各主務大臣において対応指針策定のための準備を行っているところでございます。
 御案内のように、法律に基づきまして対応要領、対応指針を定めようとするときは、あらかじめ障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならないとされておりまして、これらの措置を講じた上で、7月13日月曜日から順次、各省庁が障害者団体等からそれぞれの対応要領、対応指針につきましてヒアリングを行う予定でございます。都合4回ぐらいになろうかと思っております。
 そういうことを御回答させていただきまして、次回でございます。参考資料2をご覧いただきたいのですが、次回、第23回障害者政策委員会につきましては、7月10日金曜日の13時15分開始、場所は4号館2階の220会議室、この部屋を予定しております。
 各ワーキング・セッションにおいて取りまとめました議論の整理、たたき台に基づき、議論を行っていただく予定でございます。
 また、新たに8月の予定を追記してございますが、第24回障害者政策委員会につきましては8月10日月曜日、第25回障害者政策委員会につきましては8月31日月曜日の開催を予定しております。開始時間はいずれも13時15分、場所は4号館、この建物の4階の408会議室の見込みでございます。
 以上でございます。

○石川委員長 それでは、これをもちまして第22回「障害者政策委員会」を終了いたします。どうもありがとうございました。