障害者政策委員会(第28回)議事録

○石川委員長 これより第28回「障害者政策委員会」を開催させていただきます。
 委員におかれましては、御多用のところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。
 本日の会議は15時30分までを予定しております。
 では、事務局から委員の出席、欠席状況につきまして報告をお願いいたします。

○坂本参事官 事務局でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。
 本日は大河内委員、大原委員、高橋委員、辻委員、平川委員、山崎委員が所用により欠席との御連絡を受けております。
 それから、花井委員の代理といたしまして、連合総合政策局長の平川則男様に御参加いただいております。
 また、玉木委員、田中委員、野澤委員からおくれるとの御連絡をいただいております。
 なお、会議冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入りまして、写真撮影等が行われますので、御承知おきいただきたいと思います。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入ります。
 まず、発言のルールについてのいつもの確認をさせていただきます。
 まず、委員長が委員に意見を求めます。意見のある方は挙手をお願いいたします。委員長指名に基づいて発言をお願いいたします。最初に結論を述べてください。その後、理由ないしは説明をつけ加えていただきたいと思います。
 まず、お名前を名乗り、できるだけゆっくりわかりやすく発言してください。発言が終わりましたら、マイクのスイッチをオフにしてください。
 また、権利条約に基づく政府報告案に関して御発言をいただく際は、第1回政府報告案のいずれの項目に関連しての御発言なのかを、資料のページ数もあわせてお知らせいただけると幸いです。
 本日は、まず事務局から、障害者差別解消法の施行に向けた取り組みの状況について報告があります。続いて障害者権利条約の第1回政府報告案の確認を行います。
 それでは、会議の資料と流れにつきまして、事務局より御説明をいただきます。

○坂本参事官 事務局でございます。本日の会議資料と流れについて御説明を申し上げます。
 まず、会議資料でございます。
 資料1-1 障害者の権利に関する条約第1回日本政府報告(案)(日本語仮訳)
 資料1-2 障害者の権利に関する条約第1回日本政府報告(案)(日本語仮訳)見え
消し版、これは政府報告本文部分の見え消しとなってございます。
 参考資料1 障害者権利条約第1回政府報告の留意点及び骨子
 参考資料2 障害者差別解消法施行令案及び施行規則案の概要
 参考資料3 障害者差別解消法に基づく対応要領・対応指針一覧
 参考資料4 合理的配慮等具体例データ集「合理的配慮サーチ」について
 参考資料5-1 障害者差別解消支援地域協議会設置の手引き(概要)
 参考資料5-2 障害者差別解消支援地域協議会設置の手引き
 参考資料6 障害を理由とする差別の解消に向けた地域フォーラムについて
以上となってございます。
 また、委員の皆様には、机上に常備いたしております資料といたしまして、障害者基本法、障害者基本計画、障害者基本計画の概要、障害者基本計画の実施状況、障害者の権利に関する条約を御用意いたしております。
 なお、これ以降の写真撮影は御遠慮いただきますようお願い申し上げます。報道関係のカメラもここで御退室いただきたいと思います。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、障害者差別解消法の施行に向けた取り組みの状況について、事務局から報告をお願いいたします。

○坂本参事官 事務局でございます。
 それでは、お手元の参考資料2~6により御説明を申し上げます。
 来年4月の障害者差別解消法の施行まで、残り3カ月余りとなってきました。本日は、施行に向けた政府の取り組みの状況につきまして、5点ほど御報告をさせていただきます。
 まず初めに、参考資料2「障害者差別解消法施行令案及び施行規則案の概要」について御報告をいたします。表裏の1枚紙になってございます。
 差別解消法におきまして、一部政令あるいは内閣府令で定めるとされている部分がございまして、それによって、現在施行令案及び施行規則案を作成しているところでございます。
 まず、施行令案のほうでございますけれども、5点ほどございます。
 1つ目、国の行政機関の範囲。
 2つ目が、独立行政法人等の範囲。この国の行政機関、あるいは独立行政法人等と言いますのは、法律上定義は置かれている言葉でございますが、一部政令に委ねられている部分がございますので、ここで政令で定めることといたしておるものでございます。
 3番目、地方公共団体の長等が処理する事務。
 4番目が権限の委任ということでございますが、これはそれぞれ法律上、主務大臣の権限に属する事務は政令で定めるところにより、地方公共団体の長などが行うこととすることができるという条文でありますとか、主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができるという条文があるところで、政令で委任されている部分があるので、今般ここで定めることにしておるということでございます。
 5番目は、施行期日でございまして、法の施行の日、平成28年4月1日ということでございます。
 次に、施行規則案は、後ほど参考資料5のほうで説明いたします地域協議会に関することでございますが、法律上、地域協議会を設置した場合には公表しなければならないとなっておりますが、それについて内閣府令によるということになっておりますので、その内容についてここに記載させていただいているような内容を定めるということになっておるわけでございます。
 施行期日は、同じく平成28年4月1日となっております。
 なお、この施行令案及び施行規則案につきましては、昨日よりパブリックコメントを実施しておるところでございまして、1月15日まで御意見を受け付けておるということになってございます。
 以上が、政令案及び施行規則案でございます。
 次に、各府省庁の対応要領・対応指針について御報告をいたします。参考資料3をごらんいただきたいと思います。
 ごらんいただいている参考資料3が差別解消法に基づいて作成することとされております各府省庁の対応要領・対応指針一覧になってございます。
 下のほうに<内閣府掲載ホームページ>ということでございまして、対応要領・対応指針、それぞれごとにURLをリンク先として掲載させていただいております。ここをクリックいたしますと、各府省庁がつくっております対応要領、あるいは対応指針のルビなし版、ルビあり版、それからテキストバージョンを見ることができるというつくりとなってございます。
 参考資料4でございますが、「合理的配慮等具体例データ集『合理的配慮サーチ』」について御報告を申し上げます。
 この参考資料4は、法施行に向けまして、内閣府で合理的配慮等の具体例を収集、整理いたしまして、障害者あるいは事業者を初め、広く社会で共有することという目的で公開をいたしております「合理的配慮サーチ」のページとなってございます。
 これは、検索機能のほか障害種別ごと、あるいは生活の場面ごとに具体例を一覧できる仕組みを構築しておるものでございます。
 1枚目がトップページとなってございまして、2ページ目、3ページ目がその例となっておるわけでございますが、例えば、最初のページで「障害の種別から探す」という部分が真ん中よりちょっと下にございますけれども、そこの「全般」というところをクリックいたしますと、そのクリックした結果が2ページ目以降に出てくるということになってございます。
 2ページ目を見ますと「全般」と出てきまして、「不当な差別的取扱いの例」ということで幾つか掲載されて、それから「代表的な合理的配慮の例」といった形でまた幾つか掲載をされております。
 その下は「参考事例集」ということで、いろいろなところから情報提供いただきましたものをリンクという形で掲載させていただいておるということになってございます。
 なお、教育あるいは雇用・就業につきましては文部科学省、正式には「国立特別支援教育総合研究所」、あるいは厚生労働省、正確には「高齢・障害・求職者雇用支援機構」でございますが、それぞれのデータベースにもリンクしている形になってございます。
 続きまして、参考資料5-1、5-2が障害者差別解消支援地域協議会についてでございます。
 差別解消法上、地域における障害者差別に関する相談等につきまして情報を共有し、障害者差別を解消するための取り組みを効果的かつ円滑に行うネットワークといたしまして、「障害者差別解消支援地域協議会」を組織することができるとされてございます。
地域協議会の設置を促進するために、平成26年3月に暫定指針をつくったわけですが、その暫定指針をよりわかりやすくするということで、野澤委員が会長をされておりまして、柘植委員にも御参加をいただいております「地域協議会のあり方検討会」のほうで御議論していただきまして、参考資料5-2にあります手引きというものを作成いたしたわけでございます。参考資料5-1は、その手引きの概要という形になってございます。
 この手引きにつきましては、11月9日でございましたが、都道府県、それから指定都市の担当者を対象といたしまして説明会を開催いたしましたが、その場でも配布、説明をさせていただいたものでございます。
 今年度は全国8カ所におきまして、地域協議会のモデル事業を実施していただいておるところでございますが、そこでの成果も踏まえまして、また、検討会のほうでも御議論いただいて、その内容につきましては更新していく予定でございます。
 また、モデル事業につきましては、来年3月に東京におきまして報告会を開催するという予定となってございます。
 最後に参考資料6でございますが、野澤委員、柘植委員など政策委員会の委員の皆様にも基調講演をお願いをいたしました「障害を理由とする差別の解消に向けた地域フォーラム」について御報告を申し上げます。
 平成25年、26年に引き続きまして、今年度も差別解消法の円滑な施行と各地域における取り組みの促進と機運の醸成といったものを図るために、地域フォーラムを開催いたしておるところでございます。
 今年度10カ所でございまして、既に11月には山口県のほうで、12月には兵庫県の明石市、それから栃木県、三重県で開催をいたしてございます。年明け以降も神奈川県、福井県、香川県、新潟市、鹿児島県、秋田県の6カ所で開催予定となってございます。
 なお、明石市、神奈川県、新潟市、鹿児島県につきましては、先ほど申し上げました地域協議会のモデル事業を実施していただいてございますので、その中間報告会も兼ねておるということになってございます。
 なお、法施行後の平成28年度におきましても、全国15カ所程度での開催を予定いたしておるところでございます。
 事務局からの報告は、以上となります。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、委員より質問があれば挙手をお願いいたします。
 では、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 まず、全体の審議の仕方なのですけれども、これは資料の中で幾つかの質問があるわけですが、これは全体の資料に対する質問という形になるのでしょうか。それとも、個々の提示されている問題ごとでの論議の時間はいただけるのでしょうか。これがまずお聞きしたいことです。
 例えば、施行令のところで聞きたいことがありますし、データベースのところでも聞きたいことがあったりするかと思うのですが、それらは一括でやるということでしょうか。

○石川委員長 今、手を挙げていただいているのが竹下委員と伊藤委員なので、まず竹下委員のほうから、今の説明全体に対して、個々の項目ごとに述べていただき、次に伊藤委員に述べていただき、事務局から回答していただくというやり方でいかがでしょうか。
 竹下委員、よろしいですか。御準備の関係で、順番のほうはよろしいでしょうか。

○竹下委員 どう答えたらいいのかな。要するに、後になってこの部分は質問できなくなったりするというのは嫌だなと思うから、最初に全部質問しておかなければならぬのかということなのです。

○石川委員長 この後それほど多くの質問があるというふうには、ここに関しては想定しておりませんでしたので、政府報告の話の内容の確定に入るまでに、このパートについての質問は全部出していただけるとありがたいなとは思います。

○竹下委員 わかりました。それでは可能な限りにします。
 2点に絞ります。
 まず1点目が、参考資料2の政令案の1の差別解消法2条4号の関連の部分ですけれども、ここに警察庁と検察庁が挙げられているわけですが、この趣旨を御説明いただきたい。ここでこの文章をあえて読み上げませんが、すなわち、この2つの組織が独立性の強い組織だから、差別解消法上どういう取り扱いをするということになるのか。この部分についての政令案の意味を御説明いただきたい、これが1点です。
 それから、政令の中で言いますと、2の独立行政法人等の指定の関係ですが、15の法人が掲げられているわけですが、私のほうは網羅することは能力的に不可能ですから、逆にこれによって差別解消法の適用上排除というか、適用外となる独立行政法人にはどういうものがあるか言っていただきたい。そうでないと、掲げたもの以外にあるのかないのかということは、認識としては非常に難しいわけですよね。これを理解できないので、御説明いただきたい。
 政令に関してしては、この2点です。
 それから、データベースは、参考資料4の合理的配慮のデータベース化は非常に価値のあるものであって、非常に重要なのですが、問題は、ここに掲げられてくる、あるいは取り入れられてくる合理的配慮の事例というものはどういうふうに収集されて、どういうふうにセレクトされるのか。すなわち、誰によってどういう基準に基づいて、これがデータベース化されるのか。逆の言い方をするならば、例えば私が提示すれば、それはこの中にデータベースとして取り入れていただけるのか、これらについての取り扱いについてお聞きしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 政令案について2点、それから「合理的配慮サーチ」について1点ということでよろしいでしょうか。
 それでは、事務局お願いいたします。

○田中企画官 事務局、内閣府の田中でございます。よろしくお願いします。
 まず、1点目の施行令案の1の国の行政機関の範囲は、法律の第2条第4号、政令で定めるものを受けての案になっております。この法律との関係で、今回案としては、警察庁、それから検察庁が指定される案になってございますが、その意味づけでございますけれども、まず、法律上に国の行政機関ということで第2条において、例えばその規定ぶりが、警察庁でございますと、大きな意味合いの内閣府という全体で規定されてしまっていることがございまして、あるいは検察庁も法務省における特別の機関になりますので、法務省という既定の中に含まれているものとなってございます。
今回ここで指定する意味づけなのでございますが、特に対応要領を策定するに当たって、法務省が一本定める中に検察庁が含まれているというつくり方は、そもそも可能ではございますが、検察庁あるいは警察庁が独立して、警察庁として一本対応要領を定めることを可能にするといった意味合いで、ここで指定という行為を行っております。これが、まず1の関係でございます。
 2つ目の独立行政法人等の範囲、法律の第2条第5号関係についての御質問がございました。第2条のところで、まず、国の行政機関という規定がございまして、それに続けて第2条第5号になるのですけれども、「独立行政法人等」という規定が法律上ございます。その中身として、イでございますが、独立行政法人が指定されてございます。その次のロで、法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人、または特別の法律により設立され、かつその設立に関し行政庁の認可を要する法人ということで、ここは独立行政法人ではない、いわゆる特殊法人、あるいは認可法人とか、そういう特別な法律に基づいて設立されている法人の中から、いわゆる政府の一部を構成されるという考え方として指定すべきものをここで選んだところでございます。
 先ほどの竹下委員の御質問として、15法人がここで案として挙がっておるわけですが、それではここに挙がっていないところについてという御質問だったと思います。それ以外のところについて全て御紹介というのもなかなか難しいところはございますけれども、これについては政府の一部を構成するという考え方が、ほかの法律においても幾つかあるところなのですが、例示として申し上げますと、共済組合も特別の、そういった法律に基づいて設立されている、いわゆる「特殊法人等」というカテゴリーに入ってくるのですが、そういったところは組合員等の内部での活動を対象としているものについては、政府の一部を構成するとまでは言えないという考え方でございまして、そういうところがここでは対象になってこなかった。法人というのはいろいろあるのですけれども、あとあるとすれば、特別な法律で設立されてはいるのですけれども、例えば株式会社化されていて、商法に従うような、そういった民間の事業者という色彩が濃いとか、そういった考え方によって対象外とされている株式会社系等、そういったものが複数ございます。
 それから3つ目、最後は「合理的配慮サーチ」の事例について御質問がございました。
 まず、これを作成いたしましたときに、基本として今回、対応要領、そして対応指針を各省庁で作成しているところでもございまして、そういったものはもちろん対象としまして、広く集めております。それから、地方公共団体さんにおかれましても、従来からこういったいろいろな事例ですとか、こういう好事例があった。あるいはパンフレット、そういったものをおまとめになっているということもございましたので、地方公共団体さんのほうにも協力を願いいたしまして、広く提供をお願いいたしました。
 そして、このピックアップしているものについてなのですけれども、あくまでも一例と言いますか、合理的配慮のところでも「代表的な」という言葉を付したところなのですが、基本的には私どもの間で、場面としてまずは共通的なものと言いますか、これは広く共有するというものについてを優先的にと申しますか、全てをいろいろ拾って載せるということも考えられるかもしれないのですが、とりあえず今回12月4日にこれをオープンしたわけなのですけれども、そういったところで、現時点でのという判断でこのぐらいの数を掲載させていただいたということでございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員、今のでどうですか。

○竹下委員 今の御説明の中で、まず政令案の1のところですけれども、私の理解力がないのかもしれませんが、そうすると、これは差別解消法の2条4号のイロハのニとホのどれに当たるのかよくわからないのですけれども、いずれにせよ、この検察庁と警察庁は、単に総務省の一部としてではなく、あるいは検察庁に関しては、法務省の一部としてではなく、独自に対応要領をつくるとお聞きしていいということなのでしょうか。これが1点目の確認です。
 2点目のデータベースのほうは、私は今の説明ではすぐに納得できないのですよね。と言いますのは、今回施行に当たって、こういうデータベース化するということ自身は私は非常にいいことだと思うのです。しかし、怖いのは、何が問題かと言いますと、こういうデータベース化されたときに、そこに載っているものは、内閣府が示した合理的配慮のいわば具体例ということになって、一つの基準化をされていってしまうと思うのです。もっと言うならば、ここに載っていないものは、合理的配慮としてその範疇に入らないのだという評価を受ける可能性が極めて強いわけです。そういう誤解を招くことが多いわけです。そういう意味で言うと、このデータベース化するに当たっては、今後どういう基準に基づいて、どういう位置づけをして、こういうものをつくっていくかということについては、やはり論議をしてからすべきだと思うのです。したがって、この取り扱いについては、今後この政策委員会で少し議論の機会をぜひいただきたいというのが私からのお願いです。
 以上です。

○石川委員長 2点目についてなのですけれども、「合理的配慮サーチ」の運用の開始は既に4月に同時スタートという予定でしょうか。

○田中企画官 内閣府の田中でございます。
 こちらは、既にホームページにアップしているということもございまして、皆様にごらんいただけるような形になってございます。竹下委員から、非常な重要な点を御指摘いただいたと思っております。今回この「合理的配慮サーチ」というのも、「合理的配慮」という言葉が今回、差別解消法で新しく規定として入りまして、この言葉を具体例、どういったものなのかといったイメージとともに、広く社会で共有することも非常に重要なことであるという考えで作成したものでございます。
今、示されました御懸念についてなのですが、最初の説明でそこまで詳しくは申し上げませんでしたが、参考資料4のトップページのところでございますけれども、御指摘のとおり、合理的配慮というのは個々の状況、場面、それから分野等々によって多様かつ個別性が高く、これだということを示すのは非常に難しいというのが根本的にあると存じます。
 最初の解説の部分の「合理的配慮等具体例データ集について」というタイトルの2つ目のパラグラフですが、ここに留意点を記載しております。読み上げますと、
合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものです。建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものであり、本データ集に事例として掲載されていることを以て、当該事例を合理的配慮として提供しないことがただちに法に違反するもの(提供を義務付けるもの)ではない点にご留意ください。
注記と言いますか、これが全てではもちろんないですし、あるいはこれをしなかったからといって直ちに違反になるとか、そういうことでもございませんという解説を付した上で、そういった御指摘、そういった問題点等々もあるかもしれないのですが、その上で、これは分野等いろいろわたっておりますので、各省庁さんとも相談して、法の施行に当たって、第一歩としてこういうものを公開して、共有させていただくというもので、今回アップさせていただいたものでございます。
 それからあともう一点、最初の政令指定の件についても、先ほど最後の御質問がございましたが、コメントのとおりで、警察庁さん、それから検察庁さんが一つの行政機関という位置づけにおいて、独立してと言いますか、一つの機関として対応要領が作成可能になるという指定の位置づけでございます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 合理的配慮に関して、これは動的なものだし、絶えず更新していくべきものですし、それから提供する側と求める側とで、多少とも、一定程度のずれというのはあるものでもあり、しかしそれは調整によってよい方法を一緒に考えていくというものでもありますので、そういったものをフィードバックを絶えずしていくという仕組みになっていることが望ましいかなと私も思います。
 ということで、竹下委員の御趣旨は、こういった「合理的配慮サーチ」は非常に有用だけれども、それをどうやって運用していくのかということについて、当委員会でもさらに議論していくべきだという前向きな御提案と受けとめたのですけれども、竹下委員、それでよろしいでしょうか。

○竹下委員 はい。

○石川委員長 そういうことで、既に運用開始しているということで、これはぜひ進めていただきたいですし、また、地域協議会ですとか、そのほか調整を通じて、さまざまな新しい合理的配慮の好事例を収集していくということを継続的にやっていく、そういうものとして、この「合理的配慮サーチ」を育てていくという狙いで始めようとされていると理解しておりますが、その点をちょっと確認させていただきたいと思いますけれども、事務局、いかがでしょうか。

○坂本参事官 今、石川委員長からおっしゃっていただいたとおり、この「合理的配慮サーチ」といたしましても、とりあえず第一歩ということでつくらせていただきましたが、これから、いろいろ事例も集まってくるでしょうし、そういったことで、皆様で育てていただいて、その結果も適宜適切にフィードバックしていくという形でやらせていただきたいと思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 もう一点、雇用・就業に関しても、合理的配慮の収集を行っているということですので、雇用促進法に基づく合理的配慮も、厚労省さんと一緒にやっていくという理解でよろしいでしょうか。

○坂本参事官 そのような御理解で結構でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 はい。

○竹下委員 竹下です。
 そうなってくると、「そのよう」というのは意味がわからなくなってくるのです。雇用促進法に基づく合理的配慮と差別の禁止に関しては、1つは別表というものでまず示されているのがあるのだけれども、独自に事例集1を出して、これから事例集2、事例集3を出していくと、私は雇用対策課から聞いているのですよ。今の話だと、それとデータベース化は一つになるということですか。

○石川委員長 今のは、単にリンクを張るということなのか、データベースとして一つにマージするのか、検索結果の中に、雇用にかかわる合理的配慮も、それ以外の合理的配慮と同じ位置づけで示していくという形になるのか、どうするのかなということでしょうか。

○坂本参事官 そこはマージするということではなくて、リンクという形だということでございます。

○石川委員長 竹下委員の1点目の御質問について、事務局から再度御回答いただきたいと思います。

○田中企画官 内閣府の田中でございます。
 先ほど、最後に申し上げてしまいましたので、もう一度御回答いたしますが、竹下委員の政令に関係する最後の御質問で、法第2条第4号の警察庁、検察庁の指定の件につきましては、第2条第4号のニの政令に定めるものに基づくものが警察庁、同じく第4号ホで規定されている政令で定めるものとして検察庁を今回指定するという案でございます。
 このことによって、警察庁においては、内閣府の中に溶け込まれたものとしての位置づけではなくて、検察庁という一つの行政機関として対応要領の策定ができるようになる、そして検察庁においても同じ考え方で、法務省の中に溶け込んで、法務省が一本の対応要領を作成するということではなくて、検察庁と一つの独立した行政機関として対応要領を作成することが、この指定によって可能になってくるという趣旨でございます。

○石川委員長 竹下委員、よろしいでしょうか。
 それでは、伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 難病・疾病団体協議会の伊藤です。
 参考資料1から5-1までで3点御質問したいと思います。
 1つは、参考資料1で、これは細かなことは書いていないのでしょうけれども、難病が総合支援法の中に入って、これまでもいろいろと一緒に審議をしてきたのですが、難病法という法律について書かれているのは、第9条と第25条の健康の部分だけなのですね。果たしてそれでいいのかということ。
同じく子供の難病についてが、児童福祉法の中に入っているわけですけれども、そこについての記載もちらっと児童福祉法というのが教育とかそういうところに出てくるだけで、全く出てこないのですね。病気のお子さんたちを社会につなげていくためには、さまざまな支援が必要だと思うのですが。

○石川委員長 済みません。伊藤委員、今おっしゃっているのは、政府報告の話ではないのでしょうか。

○伊藤委員 参考資料に書いてあることでちらっと、これがその後につながるものですから。

○石川委員長 つながるというより、むしろそこでの議論になりますので、現時点での事務局の報告についての御質問にとどめていただきたいのですが。

○伊藤委員 はい。参考資料1からは入らないのですか。参考資料2からですか。それは失礼いたしました。
 参考資料2と3につながることなのですが、この国立病院機構とか、いわゆる医療関係の、あるいは高障協のような就労支援のところがあるのですが、この2の独立行政法人等の範囲の中に入っていないのですが、これはその後の対応指針のところで、手続中の医療分野というところに入っているのでしょうかということを伺いたいと思います。
 それから、参考資料4の合理的サーチについてですが、自治体の取り組みの何例かが載っていると思いますけれども、この難病について書かれている自治体は八王子だけなのですね。あとは細々とした疾患名が書いてあったりいろいろするのですが、そういうことで、全体的にそういう捉え方でいきますと、総合支援法の中に難病が入っても、自治体に周知が本当に行き届いていないというのが実態だと思うのですが、このままですと、せっかくつくったものが周知されないのではないかということで、それに何らかの指導なり通知なり、あるいはインセンティブを与えるような何かをしておられるのかどうかということを、この3と4にかけてお伺いします。
 それから、資料5-1というのは、この障害者差別解消支援地域協議会の設置の手引きの中で、関係機関、団体等では、障害者団体、家族等ということは書かれているのですが、
その後医療保険のところでは、医療を行う側のことはなっていますけれども、当事者団体としての患者団体というのが入っていないのですが、これは当事者団体の中に難病の患者団体等というのが位置づけられているものなのかどうかについてお伺いしたいと思います。

○石川委員長 ありがとうございます。
 3点御質問と理解いたしましたけれども、大学附属病院について。

○伊藤委員 済みません。大学附属病院ではなくて国立病院機構とか、そういう大きな組織なのですが。

○石川委員長 これについては、対応要領が出ていると思いますが、事務局から御報告いただきます。

○田中企画官 内閣府の田中です。
 ただいま御質問がございました国立病院機構につきましては、まず法律上に直接規定されています独立行政法人でございますので、もう既に独立行政法人というお立場での対応要領作成の作業をされているということになります。

○伊藤委員 作業するところに入っているということですね。ここに書かれていなかったものですから。

○田中企画官 今回お示しいたしましたものは、いわゆる国の行政機関という各役所のところの対応要領・対応指針双方についての一覧をお示しいたしました。

○石川委員長 厚生労働省のほうで、この病院関係の対応要領のヒアリングの資料など、8月ぐらいの段階で出していらっしゃるかと思うのですが、もし何か補足情報等がございましたら、厚労省からお願いしたいのですが。国立がん研究センターとか国立病院機構であるとか、いずれも対応要領を出していると思います。

○厚生労働省 厚生労働省です。
 厚生労働省が所管する独立行政法人ということで、18法人ですけれども、対応要領を作成しているということでございます。こちらにつきましては、先ほど石川先生からもおっしゃっていただきましたように、8月5日に厚生労働省独自でヒアリングを実施したかと思いますが、そのときにお示しをさせていただいたかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それから、2点目の「合理的配慮サーチ」に難病について書かれている事例が非常に少ないという御指摘であったかと思いますけれども、どうしたらいいのでしょう。事務局のほうに振ってよろしいでしょうか。

○田中企画官 はい。内閣府の田中でございます。
 今、御質問、御指摘がございまして、トップページのところをごらんいただきますと、障害の種別で、真ん中に「難病等」というところを設けて、そこで考えられる具体的な事例、今回は御参考資料ということで両面の2枚ものだけしか配付はできなかったのですけれども、そういう構成としております。
 それから、先ほど御発言がございまして、参考事例集の中で、いろいろな地方公共団体さんが取りまとめたものとかがぱっとヒットして一覧で出るようになっているのですが、そこのキーワードの中に「難病」というのがこのページでは1カ所、2カ所とちょっと少ないような受けとめでいらっしゃったかと思うのですが、あくまでも、これは「全般」というボタンを押したサンプルの、しかも最初の2枚のページという制約もございまして、難病についてのそういう具体例であったり、特性についての説明であったり、そういう資料、文献等もこのほかのページでもヒットするかと思いますので、ぜひごらんいただければと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 3点目ですけれども、患者団体を当事者団体と理解しているかということなのですが、それはそれでよろしいですよね。

○事務局 そういう御理解で結構でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 大日方委員。

○大日方委員 ありがとうございます。大日方です。
 先ほどの竹下委員の質問の2つ目に少し関連をするところなのですが、参考資料2の施行法令案の中の2番、独立行政法人等の範囲というところで、15法人指定があったというところについて質問です。
 これを見る限り、たくさんの独立行政法人があるということだったのですが、一つ気になっているのは、日本スポーツ振興センターは独立行政法人です。スポーツに関する所管、さまざまな事柄を決めているところなのですが、これがここに入らなかった理由、あるいは入る必要がないと判断された理由等について教えていただければと思います。お願いします。

○坂本参事官 政令で定めておるのは「独立行政法人等」という言葉が法律上定義をされるのですが、だから独立行政法人というのはもう法律の中で対応要領をつくるとか、つまり国と同じように扱われることになっております。ただ「独立行政法人等」となっておりますので、一部政令で定めないと、つまり政令に委ねられている部分があるので、その委ねられている部分をこの政令のところで載せているということですので、今おっしゃったスポーツ振興のところは、独立行政法人であれば、当然国と同じように扱われることになってございます。

○大日方委員 ありがとうございました。済みません。理解不足でした。

○石川委員長 よろしいでしょうか。全ての独立行政法人に、さらにプラスしてこういった法人が対応要領を作成する義務を負うということを施行令で示すという趣旨であるというお話でありました。
 最後に、私からも1点コメントさせていただきたいと思います。
 この参考資料以外にも、きのう、きょう対応要領を確定、あるいは明日には確定といったところもあると伺っておりますけれども、まだ若干の省庁で対応要領・対応指針が確定していないという状況になっております。現場のほうで最善の御努力をしていただいているのは承知しておりますけれども、4月施行を前にして、もう時間がございませんので、可及的速やかに確定していただくようお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 間の悪い質問で、三浦委員長代理、どうぞ。

○三浦委員 大変申しわけありません。
 参考資料5-1と6に関しまして、概要版をつくっていただいてわかりやすくなったなと思うのですけれども、フォーラムに関して、周知はどのようになさっているのでしょうか。次年度の予定の15カ所を政策委員会のメンバーも知らないという状況ではないかと思いまして、その部分をお尋ねしたいと思います。

○石川委員長 三浦委員長代理、どうぞ。大分時間が押しておりますが。

○三浦委員 後ほどで結構です。

○石川委員長 それでは、障害者権利条約に基づく第1次政府報告案の確認に移りたいと思います。
 今回で政策委員会での政府報告案の議論を終えまして、外務省における国連障害者権利委員会への提出に向けた作業に移ることができればと思っております。まず、前回障害者政策委員会における監視の議論を通じて、政府報告に盛り込むことが考えられる意見(事務局案)について確認いただきまして、それをもとに議論を行ったところでございます。これにつきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○坂本参事官 事務局でございます。
 9月24日の第26回、それから10月26日の第27回での議論を経まして、この4つのワーキングセッションで議論いたしました基本計画の分野別施策で見ますと、6つのテーマに2つの横断的テーマを加えました合計8つのテーマにつきまして、議論の整理の意見をまとめる形で、政府報告に盛り込む意見の案を作成いたしまして、御確認、御議論をいただいたところでございます。これを受けまして修文をいたしまして、それぞれ政府報告、本文案の対応する条文の最後に盛り込むという形をとらせていただいてございます。
 それでは、資料1-1と1-2がございますが、1-2の見え消し版のほうで御説明をさせていただきたいと思いますので、それで順に確認をさせていただきたいと思います。
 まず1つ目が第6条の「障害のある女子」のところでございますが、13ページの第41パラグラフでございます。読み上げさせていただきます。
41.なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと)
 障害者権利条約第6条「障害のある女子」に対応するため、障害女性の視点からの記述及び統計を充実させるとともに、例えば、福祉施設での同性介助を標準化するなど、女性に重点を置いた政策立案を推進する必要がある。また、国や地方公共団体の政策を決定する様々な審議会や有識者会議の委員構成については、ポジティブ・アクション※の取組が推進されており、障害者政策委員会においても、こうした視点・取組が必要である。
 ※男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供すること
このような記載を盛り込んでおるということでございます。
 次が、第9条「施設及びサービス等の利用の容易さ」ということで、21ページでございますが、こちらの第9条につきましては、この条に関する障害者政策委員会からの指摘に関しましては、後ほど出てきます第21条「表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会」の最後のパラグラフに入れるという整理にしておりますので、そこを参照ということになってございます。
 次に、第12条「法律の前にひとしく認められる権利」というところでございまして、26ページの第83パラグラフということでございます。読み上げさせていただきます。
83.なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、次のような指摘がなされている。
 意思決定の支援及び法的能力の行使を支援する社会的枠組みの構築が急務である。また、成年後見制度のうち、特に代行型の枠組みである後見類型の運用に当たっては、最良の支援を提供しても、なお法的能力の行使が困難な場合に本人の権利と利益を守るための最終手段として利用されるべきものであり、かつ、代理人が本人に代わって意思決定をする場合にも、法の趣旨に則り、できる限り本人の意思を尊重するよう制度運用の改善を図る必要がある。
 また、家庭裁判所の成年後見人の監督業務の負担の在り方についても課題が共有された。(より詳しくは、付属文書を参照のこと)
以上が第12条でございます。
 次が、第14条「身体の自由及び安全」、32ページの第107パラグラフということで入れております。読み上げさせていただきます。
107.なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと)
 精神保健福祉法等の制度と運用については、医療保護入院についての規定である精神保健福祉法第33条の妥当性について再検証をする必要がある。精神科における患者の権利擁護のため家族や医療従事者から独立した権利擁護者の関与が不可欠である。本人の意思が反映されない入院の減少につなげていくためにも、継続的に調査を実施した上で、最新の正確な統計に基づいて議論を行う必要がある。)
以上が第14条でございます。
 次に、第19条「自立した生活及び地域社会への包容」でございます。39ページの第131パラグラフでございます。読み上げさせていただきます。
131.なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと)
 医療的ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援については、地域によってサービスの水準や運用に差異があるなどして利用しづらかったり、保護者に過重な負担となったりしている。人間らしく生きるための24時間の医療的ケア保障、介護保障が必要である。
 また、精神障害者の地域移行の支援については、精神科医療そのものの地域移行が必要である。精神科に入院している人の地域移行を考えるのと同時に、地域にいる精神障害者を訪問してサービスを提供すること等、精神障害者が地域で生活できるような資源を開発することが重要である。
以上が第19条でございます。
 次が第21条「表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会」ということで、42ページの第142パラグラフでございます。読み上げさせていただきます。
142.なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと)
 情報提供や意思疎通支援をさらに充実することが求められる。様々なメディアや場面において、特に、緊急時の対応、個別性の高いコミュニケーション方法を用いる人たちへの対応、省庁横断的な対応に課題がある。
 また、障害の多様性に対応したアクセシブルな教材の提供や行政情報のバリアフリー化になお課題があることが指摘された。
以上が第21条でございます。
 次が第24条「教育」でございまして、50ページの一番下の行の第167パラグラフでございます。読み上げさせていただきます。
167.なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、インクルーシブ教育を推進していくために、現在の到達点、進捗状況を監視するための指標の開発とデータ収集が必要であるとの指摘があった。また、具体的な課題として、個別の教育支援計画、個別の指導計画の実効性の担保、合理的配慮の充実、本人及び保護者の意思の尊重、特別支援教育支援員の配置や教育的ニーズに応じた教材の提供といった環境の整備などについて問題提起があった。(より詳しくは、付属文書を参照のこと)
以上が第24条でございます。
 次が第27条「労働及び雇用」、55ページの第181パラグラフでございます。読み上げさせていただきます。
181.なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと)
 障害者の雇用・就業の推進のためには、障害者や企業に対する支援の更なる充実をはかることや、改正障害者雇用促進法の趣旨や法に基づく「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」等について情報提供し、着実に実施することが重要である。
以上が第27条でございます。
 最後に、第31条「統計及び資料の収集」、63ページの第210パラグラフでございます。読み上げさせていただきます。
210.なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、次のような指摘がなされている。(より詳しくは、付属文書を参照のこと)
 障害者に関する政策の監視・評価に使える水準の統計が、国・地方公共団体ともに不足しており、日本の人口全体を対象とした調査の実施や男女別統計の実施を徹底すべきである。
以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 前回の議論を踏まえて、適切な修正がなされていると考えますけれども、委員からの御質問、御意見がございましたら受けたいと思います。挙手をお願いいたします。
 上野委員、お願いします。

○上野委員 精神科医をしている上野です。
 32ページの14条ですけれども、事務局から当初いただいた文章では「継続的に調査を実施した上で、最新の正確な統計に基づいて議論を行い、本人の意思に反する入院の減少につなげていくことが大切である」となっていたのですね。そして、私のほうでは、ワーキンググループと会議の中で、認知症の入院の問題に関してかなり議論をさせていただきましたので、こちらのほうに「認知症の医療保護入院の問題を含めて、本人の意思に反する入院の減少につなげていくことが大切である」と意見をさせていただきました。こちらを見ますと、「入院の減少につなげていくために議論を行う必要がある」という形になっていて、私は本人の意思に反する入院の減少につなげることがもっとも大切だと思うのですけれども、こちらの文章によりますと、何か議論をすることが目的のようになってしまっていて、こちらの修正は、残念ながら私は納得できないのですが、御説明をお願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 事務局、お願いします。

○坂本参事官 これは今、議論を行うほうが目的とおっしゃったわけではございますが、この文章においても「入院の減少につなげていくため」ということで、これが一つの目的という書き方にはなっておるところでございまして、ただ、さはさりながら、いずれにいたしましても、この分野につきまして、継続的な調査の実施でありますとか、最新の正確な統計に基づいて議論を行うことの必要性について、論を待つところではないのではないかということもございまして、そういった意味では、上野先生がおっしゃるような趣旨に反するものではないのではないかと考えてございます。

○石川委員長 上野委員、いかがでしょうか。

○上野委員 あと、認知症の入院の件をぜひ加えていただきたい。それは、ワーキンググループでも会議の中でもたくさん指摘されておりましたので、こちらをぜひ入れていただきたいのです。

○石川委員長 事務局、いかがでしょうか。

○坂本参事官 厚労省のほうの意見をちょっとお伺いしたいのですけれども。

○石川委員長 そうですね。
 厚労省、これまでの議論をずっとしてきたわけですけれども、いかがでしょうか。

○厚生労働省 厚生労働省、精神・障害保健課で精神保健医療統括推進官を務めてございます江浪と申します。
 この中に盛り込む文章に関しましては、基本的に政策委員会の委員の先生方の御意見を反映したものかと思っておりますけれども、認知症に関する記述に関しましても、この政策委員会の中でもいろいろな御意見があったのかなと我々は理解しているところでございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 そうしますと、変えたくなったりするのですけれども、上野委員の御指摘のように、この文の一番重要なことは一体何なのか、目的は何なのかというと、これは誰も異論がないところで、本人の意思に反する入院を減少させるという目的に資するために、やはり客観的な調査の裏づけが必要であるということだと思いますので、どちらが真の目的かというと自明ではないかと思うのですけれども、繰り返しになりますが、その点についても厚生労働省として御賛成いただけますでしょうか。

○厚生労働省 厚生労働省、精神・障害保健課で精神保健医療統括推進官を務めております江浪と申します。
 この点に関しましては、この政策委員会の場におきましては、最新の正確な統計に基づいて議論を行う必要があるという御意見があったことから、こういった形になっているのかなと思っております。厚生労働省といたしましては、この医療を必要とする方に適切に医療を提供できるというところが最も大事な視点かなと考えておりまして、本人の意思が反映されない入院の減少につなげていくということ、そのものだけが目的というところにつきましては、若干違和感があるところではございます。

○石川委員長 ありがとうございます。

 こういった厚労省からの御意見もありますので、何かもう少しよい修文を瞬間的に、上野委員、考えていただけませんか。

○上野委員 そうですね。厚労省の方のお返事がよくわからなかったのですが、認知症の精神科入院の問題に関してはたびたび議論がされていて、この会議の中でもたくさん指摘されているのですね。そして、それが入っていないにもかかわらず、この議論を反映しているとおっしゃったのはどういうわけなのか全く理解できないので、やはり認知症の精神科入院の問題に関しては必ず入れていただきたい。そして、「認知症を含め、本人の意思に反する入院の減少につなげることが大切である」という文章を入れてほしいのですね。「認知症を含め、本人の意思に反する入院の減少につなげていくことが大切なので、継続的に調査を実施した上で、最新の正確な統計に基づいて議論を行う必要がある」とか、ぜひ私たちのこの会議の中での議論を反映した内容にしていただければと思います。

○石川委員長 とっさにというむちゃぶりをしてしまいました。申しわけありません。これはちょっと保留にさせていただいて、ほかの御意見もお聞きしながら、事務局のほうでも考えていただき、私もちょっとバックグラウンドで考えてみたいと思いますので、ほかの手が挙がっていたかと思います。
 加野委員、お願いします。

○加野委員 加野です。
 50、51ページの教育に関する修文のところなのですけれども、事務局案では、この第1文のところは「なお、本条に関しては、障害者政策委員会より、インクルーシブ教育の到達点は何か、その進捗状況を監視するための指標は何か、それを前提としてどのように推進するのかという議論が必要である」という指摘があったという文章になっていたのですが、今回入った文章だと、「障害者政策委員会より、インクルーシブ教育を推進していくために、現在の到達点、進捗状況を監視するための指標の開発とデータ収集が必要であるとの指摘があった」となっていて、もともとの事務局案にあった「インクルーシブ教育の到達点は何か、どのように推進するのかという議論が必要である」という文章が完全に抜け落ちているのですね。今やはり権利条約で求められているインクルーシブ教育というものに対して、日本の現状として特別支援学校、特別支援学級と分かれていることに関して、これを今後どういうふうに進めていくのかとか、インクルーシブ教育をどういうふうに進めていくのかという意味で、インクルーシブ教育の到達点は何か、また、どのように推進をするのかという議論が必要であるということは非常に大事な視点ではないかと思っています。実際、ワーキンググループでも、この点はやはりたくさんの委員の方からも御意見があったところですので、ぜひもとの事務局案にあった「インクルーシブ教育の到達点は何か。これをどのように推進するのかといった議論と進捗状況を監視するためのデータ収集が必要であるという指摘があった」というふうに、もとあったところをぜひ戻していただきたいです。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 柘植委員の御意見も伺いたいのですが、いかがですか。

○柘植委員 ワーキングで議論して、この場で議論した大まかな合意は今、委員が発言したとおりだと思います。
 以上です。

○石川委員長 確認ですが、そうしますと、前回の修文のほうがまさっているという御意見と理解してよろしいですか。

○柘植委員 まさっているというか、前回議論してまとめたのはあのような意見だったので、今回は、よく読むと御指摘のとおり、なるほど少し変わっているなという印象は持ちます。

○石川委員長 この件についても、ちょっと保留にさせていただきたいと思います。
 ほかの委員の御質問も受けたいと思います。
 松森委員、お願いします。

○松森委員 松森です。
 言葉の表現について一つ気になったところがあります。27ページの「88.当事者は、難聴、言語障害、知能が十分でないこと等により」と書かれており、難聴のほかにも「ろう」という言葉がありますので、ここは「聴覚障害と言語障害」という表記にしたほうがよいのではないかと思いました。
 以上です。

○石川委員長 今は政策委員会のコメントについて議論をしているので、後ほど政府報告案全体について意見を求めますので、そのときにもう一度、これを確認したいと思います。
 ほかの委員から御質問はございますか。
 石野委員、お願いします。

○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。質問は後にします。
 まず、意見ですが、4ページ、障害者差別解消法に関する記述があります。今まで議論したとおり、障害者差別解消法に対しての対応については行政だけとなっています。我が国の場合は、三権分立という考え方がありますが、障害者権利条約2条の考え方にもあるとおり、行政のみならず司法の世界も含めるということで司法・立法を含めなければならないと思います。国連も国の三権分立ということについても十分熟知していると思います。なぜ行政だけの範囲にとどめているのか、恐らく聞かれるのではないかと思います。ですから、その経過を書き加えたらいかがかと思います。これが1点。

○石川委員長 石野委員、今議論しておりますのは、政府報告案に含める当委員会としてのコメントということなので、今の御意見はそういう当委員会としてのコメントとして、そうした意見も入れるべきだという御指摘でしょうか。

○石野委員 はい、そうです。

○石川委員長 わかりました。それでは、続けてください。

○石野委員 ありがとうございます。
 2つ目になります。41ページの手話言語条例についても触れられて、これは非常にいいことだと思いますが、手話言語条例が制定されるに当たり、今、26自治体という数字が出ております。これは手話言語条例のみならず、例えば兵庫県明石市のように、手話情報コミュニケーション条例という形の制定している自治体、また最近では横須賀市におきましても、情報コミュニケーション条例の制定を目指す自治体もありますので、手話言語条例だけのみならず、ほかにも含めていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 この件につきましても、政府報告の中身にかかわる話なので、後ほどもう一度戻りたいと思います。
 川﨑委員、手を挙げていらしたでしょうか。
○川﨑委員 質問ではないのですけれども、先ほどの上野委員の32ページのところなのですけれども、この文章を今、瞬間的に考えまして、何しろ本人の意思が反映されない入院を減少するということがここの目的だと思いますので、瞬間的にですけれども、単純に文章を前後を変えたらいいかなと思いまして「継続的に調査を実施した上で、最新の正確な統計に基づいて議論をし、認知症を含めた本人の意思が反映されない入院の減少につなげていく必要がある」ではどうでしょうかという案です。
 よろしくお願いいたします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 かなりいいと思うのですけれども、後でちょっと調整させてください。
 あと、どなたか。
 門川委員、お願いします。

○門川委員 門川です。
 先ほどの事務局からの説明のあった部分ではないのですが、いいですか。

○石川委員長 そう言われると、だめですと言わざるを得ないのが私の立場でして、政府報告に盛り込む委員会の意見についてだけ、今、とりあえず議論をさせてください。その後もう一度発言の機会を差し上げますので、よろしいですか。

○門川委員 わかりました。先ほど、21条、24条等の事務局報告があったのですけれども、該当するパラグラフではないのですが、よろしいですか。

○石川委員長 「政策委員会において」というパラグラフに限定して御意見、御質問を今はいただいているので、それ以外のパラグラフは後で。

○門川委員 わかりました。では、後でお願いします。

○石川委員長 これで全てでしょうか。
 一回休憩を入れさせていただいてもいいでしょうか。10分休憩して、ちょっと検討します。

(休  憩)

○石川委員長 お待たせしました、再開します。2点保留にしていました。他に忘れているものがあれば、また御指摘ください。
 1つは精神にかかわるところ、もう一つはインクルーシブ教育にかかわる点です。
 それで、まず精神にかかわる点について、坂本参事官のほうから、このような修文でという案を示していただきたいと思いますので、ちょっとお願いします。

○坂本参事官 事務局でございます。
 先ほど上野委員がおっしゃったような感じになるかと思うのですけれども、「関与が不可欠である」の後に、「認知症も含め、本人の意思が反映されない入院の減少につなげていくことが大切であり、そのためにも継続的に調査を実施した上で、最新の正確な統計に基づいて議論を行う必要がある」という修文ですと、たしか先ほど上野委員が御提案していただいたのとほぼ一緒ではないかと思うのですけれども、よろしいですか。

○上野委員 上野です。
 ありがとうございます。そのとおりだと思います。

○石川委員長 川崎委員もよろしいですか。

○川崎委員 よろしいです。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、インクルーシブ教育について、これは文部科学省の井上課長のほうから、今、この当委員会の意見はこうであろうという井上課長なりの理解に基づいた提案をしていただこうと思います。お願いいたします。

○文部科学省 文部科学省、特別支援教育課長の井上でございます。
 先ほど、加野委員のほうから御指摘いただいた部分、50~51ページにかけてでございますけれども、この部分は確かに政策委員会で議論されたことを伝える部分ですので、それに即した形で誤解なく表現されるのがよろしいかと考えております。51ページの1行目の現在の文章「現在の到達点、進捗状況を監視するための」となっておりまして、若干わかりにくいと思うので、先ほどの御発言も含めまして、前ページからになりますけれども、「インクルーシブ教育を推進していくために、我が国が目指すべき到達点に関する議論、進捗状況を」以下同じという形でいかがでしょうかという御提案でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 インクルーシブ教育として目指すべき到達点についての議論を行っていく必要があるということと、進捗状況を監視するための指標の開発と両方必要であると、これは議論としてそういうことだったと思いますけれども、このような修文でいかがでしょうか。加野委員、柘植委員、あるいはほかの委員にもお聞きしたいと思いますが、まず加野委員、いかがでしょうか。

○加野委員 はい、結構です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 柘植委員、いかがでしょうか。

○柘植委員 それで結構です。現在の目指すべき到達点を議論していくこと、そのためになのですかね。その後ろはアンドでいいのかな。

○石川委員長 「また」ですかね。

○柘植委員 はい、わかりました。

○石川委員長 要するに、教育哲学というか、より思想的な議論と、それからやはり現状を評価するための指標の開発というのとは水準が違うかなと思います。

○柘植委員 「また」でつなぐといいかなと思います。以上です。

○石川委員長 今の修正も含めまして、これで一応8点について、政府報告の中に政策委員会の意見を入れるということで議論して、修文をしてまいりましたけれども、各委員、これでよろしいでしょうか。御異論ございませんでしょうか。
 あと、石野委員から、それらに加えて、さらに政策委員会として、我が国における監視の限界について、政策委員会の意見としてコメントを入れたほうがよいという御趣旨だと理解いたしましたけれども、そのような御提案もあったわけですけれども、確かに我が国の監視の限界については当委員会でも議論してまいりましたし、それはそうなのですけれども、この政府報告の中に政策委員会の意見としてそれを入れるという議論は、きょう出てきたということでもありまして、これは議論が熟していないと言いますか、最終段階で御提案いただいたということもありまして、今回はちょっと入れづらいのかなと個人的には思っておりますけれども、ほかの委員の御意見、あるいは事務局の御意見もお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 石野委員、どうぞ。

○石野委員 石野です。もっと早い段階のときから意見を申し上げるべきだったと思いますが、なぜ今ここで発言させていただいたかというと、最近、JDF(日本障害者フォーラム)として立法・衆参両議院に対して要望を行い、対応要領の作成を申し入れました。そのような動きがありますので、そういう取り組みがあるということの背景を踏んで申し上げました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 33条の監視の枠組みのところで、政策委員会についてこういう方法論とかこういう枠組みで監視をしているということを書く余地はありますか。今どうなっていたか、余り書いていないと思うのですけれども、つまり障害者基本計画の監視を通じて権利条約の監視を行うというのが政策委員会の役割になっておりますので、そのように明記することを通して、いわば監視全体の中のサブセットであるということは伝わるかなとも思うのですが、どうでしょうか。これは政府報告案のところにかかわる話になっていくと思いますので、そのようなこともちょっと念頭に置きながら、差し当たり政府報告案に盛り込む政策委員会のコメントは確定とさせていただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、次に進みたいと思います。政府報告案の本日外務省のほうから取りまとめていただいた修正につきまして、御報告をいただきたいと思います。

○外務省 外務省でございます。
 先ほど、政府報告に盛り込む政策委員会の意見につきましては御確認いただきましたので、それ以外の部分につきまして、前回第27回の政策委員会での政府報告案に対する指摘を踏まえた修正案について概要を御説明申し上げます。
 まず、本文でございますけれども、各委員からの御指摘を踏まえまして、関係省庁で既存の書きぶりを改めて見直した上で、必ずしも全てではございませんけれども、可能な範囲で加筆修正を行わせていただきました。個別の修正については、お配りしております資料1-2の見え消しの部分や、斜字体以外の部分でございますけれども、お時間の関係もございますので個々に御説明申し上げませんけれども、そういう形になっているので御確認いただければと思います。
 それから、添付資料といたしまして、政策委員会の議論の整理を追加いたしました。それと統計データにつきましては、各委員からの御指摘も踏まえまして、幾つかの資料を追加するとともに、特にデータ37、42を追加するとともに、可能な範囲で単年データを複数年データに差しかえさせていただきました。合計9データでございます。
 一方で、このような追加はさせていただいたわけでございますけれども、障害者当事者、関係者の方のニーズを踏まえた収集を行う必要がある、その上で内容面をより充実させることが必要があるという認識については変更はございませんので、その点につきましては、今後の課題として引き続き3に記載した次第でございます。
 前回もお伝えしましたとおり、報告制度は権利委員会からの勧告などを通じまして、国内制度の改善につなげていくという意義がございますので、政府といたしましては、本日提示いたしました修正案について、委員の皆様方に御確認いただいた上で、パブリックコメントや英訳作業を行い、早期の提出に向けて作業を進めたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 文部科学省から、1点御発言があると聞いておりますので、こちらもお願いいたします。

○文部科学省 文部科学省、特別支援教育課長の井上でございます。
 前回まで門川委員から、障害者権利条約第24条第3項(c)に「盲ろう者」とある点について、学習指導要領に盲ろう教育に特化した記述がないことについての御意見を頂戴いたしました。そのことについて、状況も含め、少しお話をさせていただきます。
 特別支援学校の学習指導要領には、視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者、病弱者、知的障害者である児童・生徒に対する教育を行う特別支援学校に関する記載がございます。そして、重複障害者等に対する教育課程の取り扱いについて記載もされているところでございます。
 学校教育法の施行規則になりますけれども、第131条第1項におきまして、重複障害の児童・生徒に対しては、特別の教育課程を編成することができると規定されてございます。ただし、重複障害の児童・生徒等につきましては、障害の組み合わせ、あるいは障害の状態がさまざまであり、それぞれの教育的ニーズに応じた支援を行うことが必要であるために、学習指導要領には盲ろう教育について特化した記載はされていないという状況でございます。しかしながら、盲ろう教育につきましては、今後検討が必要な重要な課題であると認識しているという状況でございます。
 ありがとうございました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 外務省の中田課長からも話がありましたように、我が国の第1回政府報告を余りおくらせますと、それに対する権利委員会からの審査が非常におくれてしまうということもございますので、本日の政策委員会での政府報告案への意見をもちまして、本委員会としての政府報告への意見出しは終了としたいと考えております。時間がないという状況でありますので、前回からの修正点に絞って御意見をいただきたいと思います。
 石野委員。

○石野委員 大変申しわけございません。外務省に対しての質問なのですが、先ほども話がありましたが、耳の聞こえない人、ろう、難聴者とさまざまな日本語の表記があります。また各種法律上においては、聴覚障害者や聞こえない人などさまざまな日本語表記があります。政府報告の中で、例えば警察庁は、聴覚、言語障害のある者という表記、また裁判所におきましては、難聴、言語障害、または耳の聞こえない人、または話せない人というさまざまな表記方法があるのですが、その一方で、障害者権利条約の政府公定訳等では、聞こえない人は「ろう」という言葉に統一しています。そのあたり、政府報告においてはどのような表現で統一されるのかちょっと伺いたいというところがあります。
 以上です。

○石川委員長 これについては、中田課長、お願いします。

○外務省 ありがとうございます。
 政府報告の英訳作業につきましては、政府報告の中で、例えば法令用語ですとか、専門用語で既に日本に定訳が存在するものにつきましては、基本的にその英語を使うことのほうが、日本のほかの制度との整合性、理解のしやすさという観点から必要なのだろうと認識しておりますが、そういった定訳ですとかが存在しないものにつきましては、できる限り障害者権利条約で用いられている英語表現に沿った翻訳をするように作業するつもりでございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 門川委員、どうぞ。

○門川委員 門川です。ありがとうございます。
 時間がありませんから、簡単に発言させていただきます。先ほど、21条、24条と言いましたが、24条については、先ほど文科省の井上課長さんの御説明と、それからその前の政策委員としての意見の修正、つまり発展的取り組み云々についてお聞きして、今後に期待したいと考えます。
 それで、21条について一言ですが、このパラグラフの139番目の書きぶりを見ますと、これでは特に盲ろう者について、通訳・介助員の養成についてはあるのですが、派遣についてはわかりにくい表現になっていると思いますので、手話通訳、要約筆記等というのもありますけれども、ここに「通訳・介助員の派遣」ということも含めていただきたいと思います。
 それと、ちょっと議論と関係ないのかもしれないのですが、一言。第4条の、パラグラフ30のところに、政策委員会の委員のメンバー構成について書かれていますが、ちょっと気になるのが、身体障害者の次に「知的障害者、発達障害者等々」と書かれていますが、知的障害者の委員について、当事者もしくは家族の方がこの中にいらっしゃるのでしょうか。その辺がちょっと気になったので確認させてください。
 以上です。

○石川委員長 知的障害の家族の方はいらっしゃいます。発達障害の関係者もいらっしゃいます。

○田中委員 全国手をつなぐ育成連合会の田中です。
 家族としての立場で参加させていただいていると皆様にも認識していただいていると思いますので、改めて確認させていただければと思います。

○石川委員長 済みません。21条の報告の内容について、門川委員が入れるべきであるとおっしゃったことについて、もう一度端的におっしゃっていただけますか。

○門川委員 門川です。
 手話通訳、要約筆記、通訳に加えて、盲ろう者向けの通訳・介助員の派遣です。養成については読めばわかりますが、派遣についてはわかりにくいです。まあよく読めばわかるのですが、わかりにくいなと思うので、入れておいていただけるほうがよろしいかと思ったのですが、いかがでしょうか。

○石川委員長 厚労省、いかがですか。

○厚生労働省 厚生労働省の自立支援振興室長の道躰でございます。
 今の御意見でございますけれども、139パラグラフの記述のことかと思います。42ページの139パラグラフの下から4行目に「手話通訳者、要約筆記者及び盲ろう者向け通訳・介助員を養成する事業」と書いてございまして、2013年4月からこの事業が都道府県の必須事業となりましたということを説明しております。さらに上の方に上がっていただきますと、この42ページの上から3行目のところに「(手話通訳者、要約筆記者等)の派遣や設置」と書いてあるわけでございます。この派遣についてはこちらで書いておりまして、これはもともと必須事業としてやっておりますことから、派遣の方のグループだということでございます。手話通訳者、要約筆記者等とまとめておりますので、例えばこの要約筆記者の後に「・盲ろう者向け通訳・介助員等」としていただければ明確になるのではないかと考えております。いかがでしょうか。
 以上です。

○石川委員長 では、そのように少し追記するということでよろしいでしょうか。

○門川委員 そのようにお願いします。
 あと、前も言いましたが、手話奉仕員、それから手話通訳と続いておりますが、よろしいのでしょうか。英訳するとどうなるのでしょうか。

○石川委員長 英訳の際、悩むことになるかもしれませんが、そのときに調整するということで、英訳のときにこれはどうするのだろうという表現は、あちらこちらに散見されますので、それはここで言い出すときりがなくなることをおそれますので、お任せいただくということでお願いできればと思います。

○門川委員 わかりました。

○石川委員長 それでは、これは非常に重要である、ぜひ言いたいという御意見をお持ちの方、挙手をお願いしたいのですが。
 では、伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 先ほどのことはまた別にしまして、外務省の方に質問をしたいのですが、難病というのをどのように英訳されるおつもりでしょうか。難病というのは日本だけの独特の概念ですので、難しいかと思いますが。

○外務省 個別の専門用語につきましては、厚生労働省さんのほうでどういう訳を充てるか御検討いただいておりますので、ちょっと今この場で申し上げるのは難しいので、御了承いただければと思います。

○伊藤委員 はい、わかりました。

○石川委員長 加野委員、お願いします。

○加野委員 重要というか、実は表現上のことなのですけれども、冒頭の「Ⅰ 条約締結に至る経緯」という表題なのですが、その内容の修文がたくさんあったので、文章と表題がちょっとミスマッチになっているかと思いますので、そこの表題を考えていただければと思うのですけれども、表現ぶりはお任せいたします。

○石川委員長 御指摘ありがとうございます。これはちょっと検討していただくということにしたいと思います。
 ほかにございますでしょうか。
 そういたしましたら、最後はちょっと時間がなくて、駆け足になってしまいましたけれども、本日の委員会での政府報告案についての確認作業は、これをもちまして、当委員会としての本件についての作業を終了させていただきたいと思います。
 御協力どうもありがとうございました。
 それでは、事務局からお願いいたします。

○坂本参事官 事務局でございます。
 次回以降の日程等につきましては、現段階では未定でございますので、追って日程照会等をさせていただきたいと考えております。
 あと、先ほど三浦委員のほうからございましたフォーラムの件でございますけれども、フォーラムの周知は、各都道府県指定都市及びプレスに開催について周知しているほか、内閣府ツイッターで開催報告を投稿しているという形で周知をいたしております。
 それから、予算のほうで、15カ所でございますけれども、これは今、予算要求中ということでございますので、今後開催希望等をとって、この15カ所等について決めていく予定でございます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、第28回の「障害者政策委員会」を終了させていただきます。ありがとうございました。