障害者政策委員会(第29回)議事録
14:00~16:00
中央合同庁舎8号館 1階 講堂
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○石川委員長 それでは、定刻になりましたので、これより第29回「障害者政策委員会」を開会いたします。
委員各位におかれましては、御多用のところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日の会議は、16時までを予定しております。
なお、会議冒頭、御迷惑にならない範囲で、取材が入り、撮影が行われますので、御承知おきくださいますよう、お願いいたします。
冒頭、一言、申し上げます。去る7月26日未明に、神奈川県相模原市の障害者支援施設におきまして、大変痛ましい事件が起きました。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、御遺族の方々に謹んでお悔やみを申し上げます。また、けがをされた方々と御家族の方々にお見舞いを申し上げます。
議事に先立ちまして、この事件で犠牲になられた方々、19歳の女性、26歳の女性、35歳の女性、40歳の女性、41歳の男性、43歳の男性、43歳の男性、46歳の女性、49歳の男性、55歳の女性、55歳の男性、60歳の女性、65歳の女性、65歳の女性、65歳の男性、66歳の男性、66歳の男性、67歳の男性、70歳の女性、お一人お一人に謹んで哀悼の意をあらわし、黙祷をささげたいと思います。
それでは、御起立が可能な方は、御起立をお願いいたします。
黙祷。
(黙 祷)
○石川委員長 どうぞお直りください。
本件に対する政府の対応につきまして、事務局から報告をお願いいたします。
○和田審議官 障害者施策を担当しております、内閣府大臣官房審議官の和田でございます。
政府では、今回の事件を受け、昨日、障害者施設における殺傷事件への対応に関する関係閣僚会議を開催いたしました。
会議では、総理から厚生労働大臣を中心に関係閣僚が協力して、施設の安全確保の強化、措置入院後のフォローアップなど、さまざまな観点から必要な対策を早急に検討し、できることから速やかに実行に移していくよう、指示があったところでございます。
内閣府といたしましても、これらを踏まえた上で、全ての国民が障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合いながら、共生する社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいる所存でございます。
○石川委員長 御報告ありがとうございます。
本件に関しまして、全国手をつなぐ育成会連合会の田中委員より、一言、御発言いただければと思います。
田中委員、よろしくお願いします。
○田中委員 全国手をつなぐ育成会連合会の田中です。
当日に私自身もあまりの出来事に呆然としていたわけですが、会員の皆様から、特に障害のある御本人から、私たちはいなくていい存在なのかという不安を、具体的にどうやって解消したらいいのかということが大きな声として、たくさん寄せられました。また、御家族からも、この先、施設の利用が大丈夫なのかという不安に駆られた連絡もたくさん入りました。
多くはあってはならない事件が起きたということの報道の中で、犯人の発した障害へのネガティブな声明がテロップつきで繰り返し流されるということで、御本人たちからすると、社会全体がそのような思いでいるのかという、追い込まれた気持ちになっていった。
そういった思いに対して、具体的な対策を立てるための何か声明を出さないといけないという思いに駆られまして、今日、卓上に資料を用意していただきましたが、御家族関係者、国民の皆様向けの文章と、特に文字が読める障害のある方に向けて、わかりやすい表現を用いて、同じ内容ですが、短い文章でお伝えさせていただきました。
特に障害者がいなくなればいいということは、皆さんに向けて、直接言われているわけではないということを、不安や不安な気持ちにならないようにということで、皆さんのことを全力で守りますという言葉も添えさせていただきましたので、ぜひこの障害者政策委員会にかかわる皆さんにも、同じ気持ちでいていただければありがたいと思っておりますので、一言、お話させていただきました。
お時間をありがとうございました。
○石川委員長 田中委員、ありがとうございました。
当委員会といたしましても、極めて深刻かつ重大な課題と受けとめて、来期の委員会に引き継ぎたいと思います。
それでは、事務局から委員の出欠状況について、御報告いただきます。
○坂本参事官 事務局でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。
本日は、大原委員と佐藤委員が所用により欠席との御連絡を受けてございます。平川則夫委員の代理として、連合総合政策局生活福祉局部長の金沢紀和子様に御出席をいただいております。
○石川委員長 ありがとうございます。
次に、委員及び内閣府に異動がございましたので、御紹介いただきます。
○坂本参事官 委員の異動について、御説明申し上げます。
本年2月、花井委員が退任されて、その後任として、日本労働組合総連合会総合政策局長の平川則夫委員が、委員として選任されております。
続きまして、内閣府で異動がありましたので、それぞれ一言、御挨拶を申し上げます。
○武川内閣府審議官 6月17日付で、内閣府で異動がございまして、このたび内閣府審議官を拝命しました、武川でございます。共生社会の政策統括官といたしましては、3年間、お世話になりまして、第3次の基本計画や本年4月からの障害者差別解消法の施行等に当たらせていただきました。
今後は、担当分野が広くなりますが、引き続き障害者政策も担当させていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○西崎政策統括官 武川の後任としまして、共生社会政策担当の政策統括官を拝命いたしました、西崎と申します。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
本日の議事に入ってまいりたいと思います。
毎回のお願いで恐縮ですけれども、まず発言のルールについての確認です。
議長が発言を求めます。挙手をしていただき、指名を受けた後、発言をしてくださるようにお願いいたします。
できれば最初に結論を述べ、その後、その理由、または説明をしていただければ幸いでございます。
御発言の際は、まずお名前をおっしゃっていただき、可能な限り、ゆっくりわかりやすく御発言ください。
できるだけマイクに適切な距離で近づいて、御発言ください。
発言が終わりましたら、マイクのスイッチをオフにしてください。
それでは、本日の議題及び資料について、事務局より説明をしていただきたいと思います。
○坂本参事官 事務局でございます。
まず本日は、議題1としまして、外務省から「1.障害者権利条約政府報告について」御報告をいただきます。
関係資料といたしましては、資料1-1から資料1-3を御用意いたしております。
議題2としまして「2.障害者差別解消法の施行について」御報告をいただくわけでございますが、事務局、内閣府人事課、北海道、浦安市及び公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団から、それぞれ取組について、御報告をいただくことになっております。
関係資料といたしましては、資料2-1から資料2-10を用意いたしてございます。
議題3としまして、外務省から「3.持続可能な開発目標(SDGs)について」御報告をいただきます。関係資料といたしましては、資料3を用意いたしております。
最後でございますが、本日が第2期の委員によります、最後の委員会となる見込みでございますので、各委員からお一人最大1分をめどに御発言をいただければと考えてございます。
委員の皆様には、机の上に常備いたしております資料として、障害者基本法、障害者基本計画、基本計画の概要、実施状況及び障害者権利条約の条文、こういったものを御用意いたしております。
なお、これ以降の写真撮影は御遠慮いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。報道関係のカメラも、ここで御退出をよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、早速、議題1に入ります。
「1.障害者権利条約政府報告について」外務省人権人道課の中田課長から報告をお願いいたします。
○中田課長 外務省の人権人道課長の中田でございます。よろしくお願いいたします。
政府報告の御説明に先立ちまして、この機会をお借りいたしまして、先月、行われました、国連障害者権利委員会の選挙について、まず御報告をさせていただきたいと思います。
資料1-3を御覧ください。去る6月14日、ニューヨークの国連本部において開催されました、第9回障害者権利条約締約会合において、障害者権利委員会選挙が行われまして、今、ここにいらっしゃいます、石川委員長が我が国からの候補として、初当選を果たされました。石川委員長が幅広い知見、経験を生かして、国際的な障害者の権利の促進に向けた活動にも、大いに貢献されるということを期待しているところでございます。
引き続きまして、政府報告について、御報告申し上げます。前回の政策委員会以降、本年1月~2月にかけまして、政策委員会以外の関係者からも、意見を幅広くいただく。こういう観点から、政府として、パブリックコメントを実施いたしました。パブリックコメントでいただきました御意見も踏まえまして、一部報告書等を修正いたしまして、お手元の資料1-2のとおり、枠組みを固めさせていただいた上で、英訳作業を行って、6月末に報告書を国連に提出させていただいたところでございます。
英文につきましては、国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)のホームページにも掲載されておりますし、外務省ホームページからもリンクが張られておりますので、そちらを御参照いただければと思います。
政府報告の概要につきましては、資料1-1にお示ししましたとおりでございまして、大まかな構成につきましては、これまで政策委員会において、御議論いただいたとおりでございまして、政策委員会における議論の整理及び統計データも添付資料として、あわせて国連に提出させていただいたところでございます。これまでの政策委員会の御尽力に感謝申し上げたいと思います。
その上で、政府報告提出後の流れでございますけれども、日本に対する審査の約半年前をめどに、障害者権利委員会よりリスト・オブ・イシュー、いわゆる質問書が日本政府に送付されます。それを踏まえまして、提案国として、日本は質問書への回答を送付することが求められております。その後、障害者権利委員会の会期中に、国連のジュネーブ事務所で日本に対する対面審査が行われ、委員会による提案及び勧告を含めた、最終見解が採択されるということになります。
いつそれが行われるかという、今後の見通しでございますけれども、依然として、障害者権利委員会で、提案国166カ国中、1回目の審査が終了した国は40カ国に過ぎないということで、審査待ちの国が滞留している状況でございますので、恐らく数年先になるのではないかという見通しでございます。
いずれにしても、改めまして今回、政府報告という形で提出ができたということにつきまして、政策委員会の委員の皆様方にお礼を申し上げたいと思います。
以上でございます。
○石川委員長 御報告ありがとうございました。
ただいまの報告に対しまして、御質問がございましたら、挙手をお願いしたいと思います。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下です。
日本の報告が権利委員会で審議される予定というものは、ある程度示されているのでしょうか。わかれば教えてください。
○石川委員長 どうぞ。
○中田課長 ただいま御説明申し上げましたとおり、非常に審査状況が滞留している状況でございまして、まだ日本の審査がいつになるかということは、委員会側からは示されてございません。
○石川委員長 竹下委員、よろしいでしょうか。およその推測として、4年ぐらいではないかと考えられております。
他にございますでしょうか。
それでは、次の議題2に移ります。「2.障害者差別解消法の施行について」事務局、内閣府人事課、北海道、浦安市、交通エコロジー・モビリティ財団より、順に報告をいただきます。その後、一括して、質疑応答の時間をとりたいと考えております。
それでは、まず事務局より、障害者差別解消法の施行の状況について、報告をお願いいたします。
○坂本参事官 事務局でございます。
それでは、本年4月から施行された、差別解消法に係る取組の状況につきまして、お手元の資料2-1から資料2-6により、御説明を申し上げます。
初めに、障害者差別解消支援地域協議会の設置促進に向けた取組について、御報告をいたします。
まず資料2-1でございますが、これは地域協議会の円滑な設置・運営に資するため、本年3月に策定をいたしました、障害者差別解消支援地域協議会の設置・運営指針の概要紙でございます。
資料2-2でございますけれども、今、申し上げた、設置・運営指針のポイントをわかりやすく解説するために、同じく本年3月に取りまとめました、障害者差別解消支援地域協議会設置の手引きの概要でございます。モデル事業を実施しました、地方公共団体における具体的な事例についても、盛り込んでおるわけでございます。いずれも野澤委員が会長を務められております、地域協議会の在り方検討会における議論を踏まえて、取りまとめておるものでございます。
資料2-3でございますが、地域協議会の設置に向けた課題整理の支援といったこととか、得られた知見、あるいは抽出された課題を、全国の地方公共団体で共有・フィードバックするということを目的に実施しております、アドバイザー派遣の取組予定というものをまとめてございます。今年度は、全国22カ所への派遣を予定いたしておりまして、来年の3月には、報告会の開催ということも予定いたしております。
今年度の障害を理由とする差別の解消に向けた、地域フォーラムの開催予定について、御報告をいたします。資料2-4を御覧ください。地域フォーラムは、地方公共団体と連携をいたしまして、学識経験者、障害当事者、事業者などによるパネルディスカッションなどを通じまして、地域の障害のある人や関係者の御意見、こういったものを広く聴取いたしまして、差別解消法の円滑な施行に資するということとともに、各地域における取組の促進と気運の醸成を図ると、こういったことを目的に実施しておるものでございまして、今年度は、全国15カ所で開催を予定いたしております。皮切りは、今年の6月2日に山形県で行ったというものでございます。
地方公共団体における対応要領の策定状況について、御報告をいたします。資料2-5を御覧いただきたいと思います。対応要領の策定状況でございますが、内閣府で実施した調査によりますと、4月1日時点で、対応要領を策定しておる地方公共団体は、都道府県ですと41、約87%、政令指定都市ですと15、75%、その他の市区町村ということになりますと354、約21%ということでございます。今年度上半期中、つまり9月中に策定予定ということの地方公共団体を含めますと、都道府県は全て、政令指定都市も全てということになっておりまして、その他の市区町村は852ということで、約50%ということになってございます。
地域協議会の設置状況について、御報告をいたします。資料2-6を御覧いただきたいと思います。内閣府で実施した調査によりますと、4月1日時点で、地域協議会を設置しております地方公共団体は、都道府県ですと18、約38%、政令指定都市ですと9、45%、その他の市区町村は102、約6%という状況でございますが、今年度上半期、9月中に設置予定の地方公共団体を含めますと、都道府県が42、約89%、政令指定都市が15、75%、その他の市区町村が465、約27%、こういう状況になってございます。
対応要領、地域協議会、いずれにも言えることではございますけれども、都道府県や政令指定都市におきましては、相当程度取組が進展しておると言えるわけですが、今後は、中核市、その他、小規模な自治体も含めまして、一般の市町村を中心に取組を促していくことが重要であると、このように考えておるわけでございます。
最後に配付資料はございませんけれども、障害者差別解消法と同じく、4月1日から施行されております、障害者雇用促進法の改正法に向けた普及啓発、こういったことについての取組について、御報告を申し上げます。
改正された障害者雇用促進法の内容及び厚生労働大臣が定めるとされている、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針につきましては、法の施行までに、厚生労働省におきまして、事業主や就労支援機関などの関係者を対象とした説明会を、全国で1,000回以上開催したところでございます。また、周知用のリーフレットなどを配布するとともに、厚生労働省のホームページにおきまして、今、申し上げた、2つの指針とともに、改正法の趣旨、内容及び取扱いを解説いたしました、解釈通知でありますとか、基本的な疑問点にお答えするQ&A、実際に事業主が取り組んでいる合理的配慮事例を収集いたしました、合理的配慮指針事例集なども掲載をいたして、周知啓発に取り組んでおるというところでございます。厚生労働省におきましては、今後とも、引き続きホームページとともに、ハローワークにおける法定雇用率の達成指導でありますとか、求人受理及び職業紹介時などに置きまして、事業主や障害者と接するあらゆる機会を通じて、周知啓発に取り組んでいく、こういうことでございます。
事務局からは以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、行政機関における差別解消法の施行における取組の事例としまして、内閣府人事課の酒田参事官より、御報告をいただきたいと思います。
○酒田参事官 内閣府人事課の酒田と申します。本日は、このような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
それでは、資料2-7を御覧ください。内閣府では、職員の対応要領というものをつくってございまして、それに基づきまして、研修を実施いたしました。その研修の概要につきまして、御紹介をさせていただきます。
まず1ページ目でございますけれども、新規採用職員向けの研修でございます。これは本年の4月に実施したものでございますが、障害者差別の解消に関する基本的な事項を理解するということとともに、障害のある方の立場・心情を理解した、適切な対応をとれるようにすることを目的といたしまして、実施をしたものでございます。
3.内容ですけれども、最初の15分は、対応要領というものの概要を説明したのですが、(2)ということで、2時間15分をかけまして、疑似体験型の研修ということで、外部の専門の企業の方にお願いをいたしまして、実際の体験研修というものを実施させていただきました。
2ページを御覧ください。疑似体験研修の内容でございます。まず研修生を5つの班に分けまして、5つのグループごとに、5つのブースをつくりまして、それを順次訪問するという形で実施をいたしました。
1つ目に聴覚障害に関する研修ということで、聴覚障害のお持ちの講師が手話などを用いまして、日常生活や多様なコミュニケーション方法を紹介するということを行っていただきました。
2つ目といたしまして、視覚障害でありますけれども、視覚障害をお持ちの講師が点字や読み上げソフトなどを使いまして、必要となる配慮を紹介いたしました。
3つ目といたしまして、身体障害をお持ちの講師の方に、日常生活の状況などを紹介していただきまして、必要となる配慮を御紹介いただきました。
4つ目と5つ目が体験型ということで、まず視覚障害に関しましては、研修生がアイマスクを着用いたしまして、白杖を用いて移動する。また、そういった方をサポートする際の留意点などを紹介するといったことも行いました。
(5)ですけれども、今度は研修生が車椅子に乗りまして、段差やスロープを移動いたしまして、そういった方々をサポートする際の留意点などを紹介したという研修を実施いたしました。
次のページ以降、3ページにわたりまして、それぞれの研修の様子を写真で御紹介させていただいております。ここにつきましては、御覧いただければと思います。
最後、6ページでございます。今度は新任監督者、新しく課長級の職についた者、そういった者に対して、研修を実施いたしました。これは先ほどの新人と違いまして、監督者として求められる役割ということについて、理解をさせるというために実施したものでございます。
3のところに、講師として、尾上浩二様にお越しいただきました。この方は、もともと内閣府で政策企画調査官として、まさに障害者制度改革に御尽力をいただいた方でございまして、現在は、特定非営利活動法人のDPI日本会議の副議長をされている方ですけれども、この方に障害者差別解消法と求められる役割ということについて、御講演をいただいたというところでございます。
いずれの研修につきましても、研修生からは大変好評をいただいたというところでございまして、特に新人研修につきましては、体験型ということについて、非常に知見が深まったとか、自分ならこうしようということを考える機会になった、そういったような声が寄せられているところでございます。引き続きこのような研修を実施してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、地方公共団体の取組の具体例として、高橋知事から北海道の取組について、報告をお願いいたします。
○高橋委員 ありがとうございます。北海道知事の高橋と申します。よろしくお願いをいたします。
私からは、まず冒頭、神奈川県立津久井やまゆり園での事件について、一言、触れさせていただきたいと思います。私を含めて、47人の知事が参加をいたします、全国知事会、昨日終日と今日午前中いっぱい、福岡県福岡市で行われたところでございます。その昨日の会の冒頭におきまして、神奈川県の黒岩知事から、今回の事件について、御報告があり、我々全員で亡くなられた方々への哀悼の意を踏まえて、黙祷をさせていただいたところでございます。その後、それぞれの県内に同様の障害者の方々の支援施設があるところでございまして、相互に議論を深め、それぞれの県の中における障害者施設における対応の万全化ということについて、47人の知事が心を1つにして、しっかりと対応していかなければならない、そのような議論をさせていただいたところでございます。
私ども、北海道におきましても、道内に200を超える施設がございます。そういった皆様方に安心して障害のある方々が生活をしていただけるような、そういった環境をできる限り早くもとの形に戻し、万全を期していかなければならない、このように決意をいたしたところでございます。
さて、私からは、今年の4月の障害者差別解消法の施行に伴う、私ども道庁の取組について、御報告をさせていただきます。資料2-8を御覧いただければと思います。北海道におきましては、平成22年、2010年に法律が制定されたわけでありますが、法の制定を先取りする形で、3本柱からなる包括的な障害者条例を、私ども北海道として、施行をいたしたところでございます。1つ目の柱が就労支援、2つ目の柱が権利擁護、3つ目の柱は障害のある方々の暮らしやすい地域づくり、こういった3本柱からなる包括的な条例の施行ということでございます。
北海道は、広大でございますので、札幌にございます本庁に推進本部を発足するとともに、北海道内を14のブロックに分けて、地域の行政の支所を設けております。その14ブロックそれぞれに障害者が暮らしやすい地域づくり委員会というものを設置し、個別案件や地域それぞれの課題について、協議斡旋して、解決を図ってきておりますほか、情報交換を行うためのこういった体制を整備してきたところでございます。
そういった中で、今年のこのたびの障害者差別解消法の施行に向けましては、職員対応要領である、障害のある方へのより良い対応ができるサポートブックの作成、合理的配慮事例集の策定、こういったことを行い、職員向け説明会を開催するなど、周知を図ってきているところでございます。
法律制定を機に、道の独自事業として、国や市町村、道内には179の市町村がございますが、そういったところの代表の方々、さらには関係の行政機関の代表者の方々を構成メンバーとした、北海道障がい者差別解消推進連絡会議を設置させていただき、実態の把握、情報交換を行うとともに、道民フォーラムの開催、これは今まで3カ所となっておりますが、加えて啓発用のパンフレットの策定による普及啓発などを行ってきたところでございます。
今後におきましては、道内市町村に対し、職員対応要領の策定や障害者差別解消支援地域協議会の設置を積極的に働きかけるとともに、北海道の持っております条例や障害者虐待防止法、障害者差別解消法をわかりやすく解説をしたパンフレットを新たに作成し、周知するほか、今年度も障害者権利擁護フォーラムを4カ所において開催することとしているところでございます。
3本柱、包括的な障害者条例を有しております、北海道といたしましては、障害のある方も、ない方も、ともに安心して地域で暮らすことのできる社会づくりを目指し、差別の解消をはじめとした、障害のある方の権利擁護の推進に全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの後を見据え、冬のオリンピック・パラリンピックを札幌中心として、北海道に誘致することを表明させていただいているところでございます。
以上であります。ありがとうございました。
○石川委員長 高橋知事、ありがとうございました。
続きまして、浦安市障がい事業課の橋野課長から浦安市における取組について、報告をお願いいたします。
○橋野課長 橋野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
資料2-9を御覧いただきながら、お聞きください。まず資料2-9の2ページを御覧ください。浦安の御紹介をさせていただきますが、面積ですが16.98平方キロメートル、昭和40年、50年代に海を埋め立てして、面積が4倍となり、現在の面積となっています。
埋め立て後の住宅開発で、昭和50年代の短期間に、人口は3倍となり、65歳以上の高齢者が少ないという特徴があります。人口は16万5,411人、高齢化率は16.1%です。障害者手帳所持者は身体2,918人、療育716人、精神780人、合計4,414人で、約半数が65歳以上の高齢者です。高齢者が少ないことから、人口比で国と比べますと、国4.3%、浦安は2.7%と低くなっています。
3ページをお願いします。平成19年に千葉県の差別解消条例が施行され、平成22年から千葉県の県条例の相談対応を行う広域専門指導員に、市の自立支援協議会の委員をお願いしてきました。平成24年に障がい者虐待防止協議会を設置し、虐待防止だけでなく、差別の解消や合理的配慮についても、検討してきました。
虐待の相談対応をする中で、高齢者虐待のケースで、御家族に障害がある場合など、高齢者、障害者の関係機関との連携が不可欠でした。また、障害者の半数が高齢者ということからも、連携強化が必要と考え、平成26年に高齢者、障がい者の虐待防止対策協議会を統合しました。
4ページをお願いします。協議会統合の準備をしているころ、差別解消支援地域協議会のモデル事業のお話をいただきました。千葉県条例の実績を生かして、県との連携を基本として、統合した高齢者、障がい者虐待防止対策協議会をあり方検討会と位置づけ、モデル事業を行いました。
委員構成は、医師、弁護士、警察、民生委員、人権擁護委員、健康福祉センター、社会福祉協議会、高齢者の関係機関として、地域包括支援センター、介護保険サービス事業所、障害者の関係機関として、基幹相談支援センター、就労支援センター、障害福祉サービス事業所、特例子会社、当事者団体などです。
平成26年、27年の2年間で、あり方検討会を6回、ワーキング7回、さらに自立支援協議会の権利擁護部会や本人部会でも検討いたしました。
5ページをお願いいたします。自立支援協議会の権利擁護部会では、委員が所属している明海大学やオリエンタルランドなどの民間事業所の優しい取組を収集しました。
障害者福祉計画のニーズ調査で、差別を受けたり、嫌な思いをしたことがありますかとお聞きしたところ、回答者2,506人のうち、よくある4%、ときどきある14%、計18%、451人の方があると回答されました。障害種別に多い順は、知的障害41%、精神障害36%、自由記述欄では、身体障害の方は交通機関で、知的障害の方は学校や職場で、精神障害の方は友人関係、就職活動で嫌な思いをしたという記載がありました。
この結果を自立支援協議会の本人部会で報告し、差別をなくすためにどうしたらいいか伺ったところ、自分たちのことをもっと知ってほしい、差別や合理的配慮について知ってもらいたい、差別のない安心して暮らせる社会を実現してほしいとのことでした。
6ページをお願いします。本人部会の意見を踏まえ、広報啓発にも取り組みました。差別解消法の市職員研修は、管理職から行い、市長、教育長にも参加いただきました。
障害の理解を深めるための講座として、14の学校に出向き、小学校4年生の子供たちを中心に、直接話をしました。警察署にも出向き、半数の署員に行いました。
昨年の障害者週間は、新浦安の駅前で「障害のある人もない人もかがやくまちうらやす」と題して、駅前広場で飲食ブースやステージでのイベントを行い、障害のある人もない人も一緒に輪になって踊るなど、楽しみながら多くの市民に広報を行いました。
7ページをお願いします。モデル事業の検討の結果、差別や虐待の多くが障害のある人に対する誤解、偏見、理解不足から生じているということを踏まえ、差別解消は、虐待防止の取組と一体的に行うことが効果的という結論に至りました。
市民にとっては、どちらの法律かではなく、嫌な思いをしたと相談に来られると思います。差別といっても、相手が福祉サービス事業所や雇用されている会社の場合は、虐待の可能性もあります。担当が違うと、別の窓口を案内して、対応が遅れることのないよう、一体的に相談対応する体制が必要です。
虐待の相談対応は、高齢者、児童虐待のケースで、御家族に障害がある場合など、法制度を超えて連携が必要なケースもあります。虐待を受けている方が18歳になったとき、65歳になったときと、年齢だけで急に担当をかえることはできません。効果的な支援のために、高齢者、児童虐待などの担当との連携も必要です。
8ページをお願いします。モデル事業の検討結果を市の施策とするために、浦安では4月に条例を制定しました。浦安の条例は、障害の差別の解消を推進するために、虐待を防止する取組と一体的に行うという、独自のものです。定めていることは、市の責務、市民・事業者の役割、障害を利用とする差別の禁止、ここまでは法律と同様です。
ここに加えて、差別解消推進計画を策定し、公表する。この計画は、6月の第1回協議会を経て策定し、既にホームページで公表しています。その取組状況を協議会に報告し、公表すること。
職員対応要領を定めること。
差別解消のための相談体制を整備し、虐待防止と一体的に対応すること。
障害のある人に対する理解、差別解消、虐待防止を一体的に広報啓発すること。
協議会の設置、協議会は高齢者等との虐待防止と連携することなどです。
9ページをお願いします。条例は、野澤委員の前文のおかげで、温かいものになりました。一部御紹介させていただきます。
「私たちの住むまちは、障がいのある人もない人も、夢を追いながら、かけがえのない人生を歩むことができるまちでありたい。」「このまちで暮らす全ての人にぬくもりと希望をもたらし、地域社会を根底からやさしくしていくはずである。」こうした優しい町を私たちは目指しています。
10ページをお願いします。条例施行にあわせて、障がい事業課に差別と虐待の相談対応を行う障がい者権利擁護センターを設置しました。4月から今日までに、27件の相談を受け、対応しています。職員個人で抱えることなく、全てコアメンバーで、組織で話合いをしています。差別なのか、虐待なのか、緊急対応が必要か、中には差別といって相談に来られた方がネグレクトで、迅速に動くことができたケースなどもありました。
地域協議会は、昨年までの高齢者・障がい者権利擁護協議会のメンバーに、教育委員会や消防などを加え、差別解消と虐待防止を協議する、高齢者・障がい者権利擁護協議会として設置しました。
協議会では、会議だけでなく、相談対応で判断に迷ったら、協議会委員の弁護士など、専門家に相談し、アドバイスを受けています。また、当事者の委員の方にも相談して、一緒に検討してもらうこともあります。行政のひとりよがりではなく、行政対応の評価なども協議会でしていただくなど、フル活用させていただいています。
市の職員は、人事異動もあり、専門職ではない職員も多くいます。合理的配慮など、職員だけで検討しても、限界があると思います。職員にとっても、地域の福祉関係者、当事者、医師、弁護士など、地域の人材に頼って解決する仕組みが必要と考えています。相談対応が実際にスタートした今、改めて市職員も、この協議会に支えられていると感じています。
以上で報告を終わります。ありがとうございます。
○石川委員長 橋野課長、ありがとうございました。
最後に、民間事業者における取組の具体例といたしまして、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の松原課長より、取組状況についての調査報告をお願いいたします。
○松原課長 交通エコモ財団の松原から報告をいたします。
私どもは、交通機関の状況を調査いたしております。好事例として、交通機関でどういう例があるかということを、アンケートによって集めております。これは、2014年からアンケートをとりました。障害者、または当事者、支援者、家族の方からの242人の方から、いろいろ事例を集めさせていただきました。その内容を御紹介します。
まず障害者側から寄せられた意見でございます。1番目、乗務員、駅員等による介助についてなのですけれども、タクシーで病院に行くときに、運転手が受付まで連れてってくれたという話です。
電車を利用しているときに、乗り継ぎまで、職員の人が案内をしてくれて、降りるときには出迎えがあったという話です。
バスを降りる際に、カードを入れるのに、運転手が手伝ってくれた、また、バスに1人で乗るときに、運転手が空席まで案内してくれたという話がありました。
2番目は筆談での対応です。これは、実際には駅員の方が筆談で対応してくれたという話です。
3番目、メモ書きでの情報提供で、例えば飛行機の遅延の理由を、メモ書きで教えてくれたという事例です。
4番目、事故のときの対応ですけれども、車内放送で逐次状況を説明してくれたという例がありました。
あと、ここにないのですけれども、ユーザーから新たな話で、ICカードが最近進んでいますけれども、バスに乗るときに、ICカードの残額がわからないというときに、何も言わないのに、運転手からICカードに幾ら残っていますという声かけをしてくれるという話を最近受けています。
もう一方、私どもは交通事業者からも、事例を収集しました。実際には、1番目に係員による付添いです。交通機関は、幾つかの交通事業者を乗り継がなくてはいけないというときに、他の交通事業者まで連絡して、案内誘導をしているという話です。
エレベーターとか、エスカレーター、階段とか、そういう位置が一目でわかる一覧表を駅ごとに作成して、駅係員でみんな共有しているという話もありました。
要請によって、乗降駅に出向いて、介助を実施している、逆に駅から出向いているという話もありました。
列車から降りた際に、タクシーの乗降場まで駅員が案内するということも行っているという例がありました。
2番目、低床バスを定期的に利用する障害者にあわせて、配車しているという例がありました。
3番目、これは障害者割引の簡素化ということで、これは疑問のところもあるのですけれども、従来は障害者手帳の番号の控えをとっていたという事例だったのですが、その手続を簡素化して、手帳の提示だけで割引を可能にしたという話でした。
4番目、専門の相談窓口の提供ということで、こういう窓口を設けて、関係部署に引継ぎや情報提供をするという話ですとか、テレビ電話や手話、メール、チャットなどで受付をしている、インターネットで低床式の車両の走行位置を情報提供しているという話とか、タクシーとかの配車のシートをファックスで予約受付するようにしているという話がありました。
アンケートのときに、当事者に実際に交通機関で差別を受けた経験がありますかと聞きました。そうしたところ、52%の方が差別の経験があるということで、実際には内容として、職員の不適切な対応というのが半分、いろいろな利用に制約があったという方が3割ぐらいいらっしゃいました。こういう状況を踏まえて、私どもは、利用者側と交通事業者双方の誤解があるのではないかということ、認識がまだまだお互いに足りないのではないかということを感じました。
その理由として、交通機関の場合は、バリアフリー法がありまして、その関係が非常に難しい状況になっています。実際に配慮するということは、交通事業者にとってみれば、そんなに難しいことではないのだということを私どもは言いたいと思っていまして、資料の裏にいきますと、私どもは、今『2016年版のすぐわかる障害者サービス解消法』という冊子を作成中でございます。その中で好事例を紹介しております。
実際には1番目、これは路線バスの協力なのですけれども、盲導犬の訓練にバスの車両を提供して、営業所で訓練をしてもらっている。さらにそのときに営業所にいる運転手さんが訓練の風景を見て、盲導犬がどういうふうに利用するのかということを周知しているという例が報告されました。
飛行機の中の話なのですけれども、機内のドリンクの種類をわかりやすく提示しようということで、今まではCAさんが何をお飲みなりますかという声かけだけだったのですが、ドリンクのメニューを紙につくりまして、提示して、指さしでオーダーできるようにしたということで、これは聞こえない方もそうなのですけれども、外国人はじめ、健常者からも非常に評判がいいということで、コミュニケーションをとるのに役立っているという話がありました。
こういうようなところで、現在、冊子を作成中でございまして、8月中に完成する予定でございます。もし興味がある方は、私どものホームページで御覧になった上、財団まで御請求いただければ、冊子は提供いたしますので、どしどし御覧ください。よろしくお願いします。
以上でございます。
○石川委員長 松原課長、民間事業者の取組についての調査報告をありがとうございました。
以上の5報告を受けまして、委員より質問を受けたいと思います。質問のある委員は、挙手をお願いいたします。
石野委員、お願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
資料2-6を御覧いただけますでしょうか。地域協議会の設置の条件についてのデータが載っていますが、一般の市町村、設置率5.9%、とかなり低い率です。今後、100%達成するまでの期間、例えば来年40%とか、2年後は何十パーセントというような計画があるかどうかを伺いたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
失礼しました、もう一つお願いします。北海道の知事からの報告をいただきましたが、北海道の場合も、市町村の検討中という回答がありました。今後のどのような計画を検討されているかを教えていただきたい。
以上です。
○石川委員長 石野委員、すみません、2つ目の質問をもう一度おっしゃっていただけますでしょうか。
○石野委員 北海道の件ですね。北海道で地域協議会の検討中ということで、123という数字がありますが、これから増やしていくどのような計画があるかご教示いただきたく、お願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
まず地域協議会について、これは事務局、お願いします。
○坂本参事官 事務局でございます。
地域協議会のほうでございますけれども、おっしゃったように、何年度に何パーセントにするといったような、具体的な計画というのはあるわけではございませんですが、ただ、この表を見てわかりますように、上半期ということまでいくと、都道府県、政令市、かなり取組が進んできているということがございますので、先ほどアドバイザー派遣ということについての御説明もいたしましたけれども、そういったことにつきまして、今後、中核市、その他の一般市町村のほうにウエートを向けて、そういったところに向けての地域協議会を設置していく上での課題の抽出であるとか、そういったことを通じながら、設置の取組を進めて、内閣府としても促進をさせていただきたいと考えています。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、高橋委員にも質問がありましたのですけれども、よろしくお願いいたします。
○高橋委員 高橋でございます。
資料2-8で、地域協議会の設置状況、道内設置済みに比較して、検討中が133市町村ということで、大変多く、未定も13あるという状況でございます。
私どもは、先ほども御説明の中で申しましたとおり、道内14ブロックに分けて、道庁の支局を置いて、行政をいたしております。その14ブロックごとに障害者の方々の地域づくり、暮らしやすい地域づくりの委員会も持っておりますので、そういった場を通じて、今、検討中、あるいは未定の市町村への働きかけであるとか、必要に応じ、私ども道職員が関心はあるけれども、なかなか検討から設置に進めない市町村には、出向いて行って、設置の促進を図っていく。そういったことをこれからもしっかり行っていきたいと考えているところでございます。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
石野委員、よろしいでしょうか。
○石野委員 ありがとうございました。
○石川委員長 それでは、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 日本難病・疾病団体協議会の伊藤です。ありがとうございました。
質問は1つあるのですが、大変皆さん優れた取組をされておられて、今後、いい方向に進むのではないかと思っております。御努力に感謝したいと思います。
それぞれ取り組むに当たっては、例えば障害者とは何かとか、障害とはどのようなものかという定義をされておられると思います。どのような定義をされておられるか、それぞれのところにお伺いしたいと思います。
と言いますのは、内閣府で今年配付しました、障害者差別解消法がスタートしますというパンフレットなのですが、この中に対象となる障害者とはということで、対象となる障害者は、障害者手帳を持っている人のことだけではありませんと書いてあるのですが、身体障害のある人、知的障害のある人、精神障害のある人、発達障害のある人も含むとまでになっておりまして、実際はその他の障害ということで、障害者基本法では、発達障害だけではなくて、高次脳機能障害とか、難病も対象になると書かれておりますし、総合支援法では、明らかにそれを対象として行っているのですが、このところが問題になっておりまして、改善をお願いしたところなのです。
実際に地域の中では、そういう地域の障害者団体、統一団体の声を受けて、高次脳機能障害や難病も対象になると書かれたパンフレットや、あるいはそういう政策を出して、説明をしているというところもあるようですが、中には障害者手帳を持っていない人は対象にならないというようにお答えになっているところもあると聞いておりますので、今日は大変優れたお話を聞いたばかりで、大変申し訳ないのですけれども、皆さんのところでは、それぞれの取組の対象には、障害者基本法で書いてあるとおりだけなのか、さらにその上につけ加えておられるのか、あるいは障害者総合支援法の対象についても、書かれておられるのか、お聞かせいただければと思います。
○石川委員長 伊藤委員、5つの報告がありましたが。
○伊藤委員 その対象をどのようにしておられるかということです。
○石川委員長 報告者全てに御質問ですか。
○伊藤委員 簡単で結構です。
○石川委員長 時間の関係もあるので、1人か2人に限定していただけないでしょうか。内閣府でいいですか。
○伊藤委員 内閣府と民間団体の方がどう受けとめられているかで結構です。
○石川委員長 まず内閣府にお答えいただけますでしょうか。
○坂本参事官 内閣府からまずお答えいたします。
伊藤委員が言及されたリーフレットは、確かに私どもの説明としては、障害者基本法、あるいは差別解消法の条文をとってきて、対象となる障害者ということで書いておるということでございますが、確かに難病という文字が入っておられないという点につきましては、そうでございます。
今のパンフレットは、法の施行ということもございますので、法の内容の説明といったようなことが、そういう主眼になっていた内容になっていることもございますけれども、今後は改訂版みたいなものも、視野に入れなければいけないということを考えておりますので、その中で、おっしゃったようなそういう御指摘も踏まえながら、いろいろ考えていきたいと思っております。
○石川委員長 松原課長、お願いいたします。
○松原課長 交通エコモ財団から説明します。
私どもの冊子の中で、障害者手帳所持者だけがこの法律の対象ではありませんと明確に言っています。同じように相当な生活に相当な制約を受けている人全てが対象ですと、私どもは認識しております。
ただ、議論になっているのは、認知症の人はどうなのかというのは、今のところ私どもでは不明です。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
この件について、議論を始めると、かなりの時間を要する可能性がありまして、障害法全体の中で、障害の定義なりその法の対象範囲というのは、法によって幾分の違いがあると理解しております。その中でも、障害者差別解消法は、もっとも広い定義と言いますか、対象を幅広にとる趣旨で、この法律ができていると私は承知しておりますけれども、あくまで私見ということで、よりきちんとした議論は、来期にということで受けとめさせていただきたいと思いますが、伊藤委員、よろしいでしょうか。
○伊藤委員 はい。よろしくお願いいたします。
ただ、その前に既に始まっておりますので、なかなか途中で変更するところも困難なところもあると思って、現状をお伺いいたしました。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、川﨑委員、お願いします。
○川﨑委員 精神障害者の家族会の川﨑です。
4月から差別解消法が実施されておりまして、各自治体で障害者とは何か、これを理解しようということで、いろいろな取組が行われておりますが、どうしても疑似体験ということで、内閣府でもありますように、どうしても身体障害者の方の理解といいますか、そういうところにいっているような傾向がかなりありまして、私の地域でもそうです。同じような疑似体験があるのですけれども、私たち、精神・知的のメンタルの理解をどうしたらいいかということを、私どもは考えまして、精神障害者も、知的障害者も、大きな生活のしづらさを持っておりますので、私の地域では、これを意見いたしまして、家族や当事者が自分たちの生活のしづらさとか、こういうときにこういう具合に対応してもらったらいいかと、そのような体験談を、今、しているところでありますので、これからいろいろと対応をつくられるところにおきましても、メンタルの精神・知的の人の理解を深めるような、そういう工夫をしていただきたいというのが意見です。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。御意見を承りました。
田中委員、お願いいたします。
○田中委員 育成会連合会の田中です。
並んでいるからというわけではないのですが、全く同じ意見でした。視覚、聴覚、身体ということで、試み的にも始められたと受けとめておりますので、知的や精神、発達障害の疑似体験の方法論も、幾つか御提供できる環境がありますので、ぜひ今後、プログラムを組む際には、御相談をいただければと思っております。
今日、冒頭にお伝えさせていただいた、本人向けの声明文ですけれども、わかりやすい文章の提供の仕方ということで、昨年の障害者自立支援法推進事業を受けて、成果物も発表させていただいておりますので、そういったものの活用のあり方についても、特に新規採用だけではなく、多くの職員の皆さんにわかりやすい表現の仕方ということで、工夫をしていただく段取りもあわせて、検討していただけたらという意見でした。
ありがとうございました。
○石川委員長 田中委員、ありがとうございました。
川﨑委員と田中委員からの御意見は、説得的だと思いますので、よろしくお願いいたします。
他にございますでしょうか。玉木委員、お願いします。
○玉木委員 玉木です。
同じようなことをかぶせるように申しわけないのですけれども、研修において、公の機関だけではなくて、学校教育でも、いわゆる人権学習とか、福祉学習において、疑似体験という手法を用いられていますが、その手法が良いか、悪いかは別にしまして、今回のプログラムを見せていただくと、新人研修で対応要領15分と、疑似体験をランダムにというか、並べていって、研修を行っていますということにはならないと思います。私たちが心配しなくてはいけないのは、新任職員が疑似体験を通して、こんなにしんどくなくて良かったとか、こんな状況ではなくて、私たちは障害がなくて良かったとか、そういう勘違いをしてしまうような疑似体験と簡単な説明だけで、特に新任研修を終わってしまうところの怖さをしっかりとわかっていただいた上で、先ほど言われたような当事者さんとか、家族さん側の体験、思いなどを聞いていただく機会をぜひつくっていただければいいと思っています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
研修プログラムについては、これは非常に重要ですし、既存のもので十分かどうかということについては、検証が必要ですし、一方、民間レベルでは、さまざまな新しい研修の試みがなされておりますので、来期になると思いますけれども、政策委員会としましても、例えば参考人をお呼びして、こういう研修プログラムがあるとか、ああいう研修プログラムがあるといった紹介をしていただくことも、やってみる価値があるのではないかと思いました。どうもありがとうございます。
辻委員、お願いします。
○辻委員 和泉市の辻でございます。
浦安市さんにお伺いいたしたいのですけれども、質問内容は、地域協議会の構成員についてでございまして、先般も松崎市長さんと発達障害の勉強会で御一緒させていただきまして、非常にそういう障害に関しての取組が熱心な方だと、日ごろから参考にさせていただいているのです。
私どもも4月1日付で、対応要領を作成いたしまして、10月に向けて、地域協議会の立ち上げを検討しているのですが、こちらの目的にも書いてございましたように、障害者の方々に対する誤解とか、偏見、理解不足を解消していこうということなのです。
協議会のメンバーは、今、自立支援協議会の中に、部会を立ち上げると考えているのですけれども、自立支援協議会自体が、障害者の方々の協議会というのでしょうか、例えばいろいろな防犯でありますとか、災害の協議会でしたら、さまざまな商工業の団体でありますとか、いろいろな団体さんに入っていただいて、広く啓発活動ができるのですが、どうしても障害者の団体さんだけで構成していきますと、マンパワーの問題からもなかなかいろいろな広く啓発活動ができないのではないかということを危惧するのですけれども、その点、構成員はどうするのですか。先ほど消防とか、教育委員会も入られたということなのですが、これも行政関係者でございますので、一般の団体さんをどう巻き込んでいくかというのは、非常に重要なことだと思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
○石川委員長 辻委員、御質問ありがとうございました。
浦安市の方、お願いいたします。
○橋野課長 浦安市の橋野です。
地域協議会のメンバーにつきましては、高齢者、障がい者虐待防止対策協議会の委員がベースになっておりますので、資料2-9の4ページに記載してあります、医師、弁護士、警察、民生委員、人権擁護委員、保健福祉センター、社会福祉協議会の他に、高齢者の関係団体、障害者の関係団体、ここに教育委員会と消防等の職員対応要領をつくっている部局の責任者ということで参加して入っております。
特に広報啓発に重きを置いて活動したいと考えておりますので、高齢者のほうでは、認知症の啓発、サポーター養成だとかということがとても進んでおりますので、高齢者のネットワークも活用して、障害者、高齢者一緒に広報啓発したいという思いで、今年度は考えております。
○石川委員長 ありがとうございました。どうぞ。
○辻委員 例えば町会連合会でありますとか、老人クラブなど、地域全体に広がっている、そういう団体さんとのお声がけとか、そういうことはあまり考えられていないのでしょうか。
○石川委員長 お願いします。
○橋野課長 地域の方につきましては、民生委員や社会福祉協議会だけに今回なっておりまして、浦安のほうでも、これとは別に自立支援協議会がありまして、そちらには自治会の方にも入っていただいておりまして、地域協議会と自立支援協議会と両方で活動等については、共有して、対応しているところです。
○石川委員長 ありがとうございました。
議題2は以上とさせていただきます。
次に議題3に移ります。「3.持続可能な開発目標(SDGs)について」外務省地球規模課題総括課の岡垣上席専門官から報告をお願いいたします。
○岡垣上席専門官 外務省の地球規模課題総括課の岡垣でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、2015年9月の国連サミットで採択されました、持続可能な開発目標、いわゆるSDGs、こちらについて、御説明させていただきます。
本年、2016年は、SDGsが採択されましてから、これを実施していく最初の年、いわば実施元年に当たる年でございます。本日は、まず初めに、SDGsの前身であるMDGs、これからSDGsの成立に至る、国際開発目標の変遷、次に、SDGsには、どのような目標があり、特に障害分野に関連する目標には、どのようなものがあるのか、そして、SDGs推進に向けた、日本政府の取組について触れた後、最後に今後の進め方について、簡単に御説明したいと思います。
まずSDGsが採択されました経緯について、御説明申し上げます。SDGsは、先進国を含む国際社会全体の開発目標として、2030年を達成期限とする包括的な17の目標と、これを細分化した169のターゲットを設定しています。
SDGsの前身であるミレニアム開発目標、いわゆるMDGs、こちらは2001年に策定されまして、2015年が達成期限として、設定されていました。2015年の達成期限が迫ってきた2010年ごろから、国際社会で議論が本格化しまして、2012年には、ブラジルで国連持続可能な開発会議(リオ+20)こちらが開催されまして、その場において、持続可能な開発の重要性が確認されました。
このような動きを受けまして、持続可能な開発目標に関する具体的な議論が全ての国連加盟国の中で開始されました。こうした流れを踏まえて、作成された原案をもとに、昨年の1月から、国連加盟193カ国による政府間の交渉が行われまして、昨年8月に7回の交渉を経て、合意に至り、その年、昨年9月の国連サミットで、こちらが採択されました。
このSDGsの前身となっていました、MDGsでございますが、こちらは貧困・飢餓、あるいは初等教育等、目標としては、8つ定められておりました。その下に一つ一つの目標をより詳しくした21のターゲットが設定されていました。こちらのMDGsにつきましては、一定の成果を上げていまして、例えば目標①貧困・飢餓については、前倒しで目標を達成しています。
他方で、達成できなかった課題というのも残っております。その中には、乳幼児ですとか、妊産婦の死亡率、こういったものを数値としては改善しているものの、目標達成には届いておりません。これに加えまして、MDGsが策定されてから15年が経過しまして、この間に新たな課題というのが顕在化してきました。この新たな国際開発目標が必要になった理由というのが、この15年間の開発を巡る環境の変化でございます。新たに策定されましたSDGs、これはこうしたMDGsの中で、残された課題、こちらに引き続き取り組むことを、1つの目的としてつくられております。
次に、SDGsの目標について、御説明申し上げます。先ほど御説明しましたが、SDGsには17の目標が定められております。目標の中で、1~6につきましては、貧困・飢餓、健康ですとか、発展途上国の開発に関する従来の目標を引き継いだものとなっております。ただ、単純に同じ目標に取り組むということではなく、MDGsよりも深堀されたものとなっております。これに対しまして、目標の7~17、こちらはクリーンエネルギー、経済成長、気候変動など、MDGsが策定された後に、新たに顕在化した広範な目標が含まれています。
SDGsの特徴としましては、誰一人取り残さない社会の実現を目指し、経済社会、環境を巡る広範な課題に、統合的に取り込もうとしている点でございます。また、特徴としましては、先進国、途上国、民間企業、NGO、有識者など、全てのアクターの役割を重視している点でございます。
次に、SDGsの中で、障害分野にかかわる目標について、御説明申し上げます。まず教育に関する目標4でございますが、こちらは障害者を含む全ての人に、包摂的かつ公平な質の高い教育を確保し、障害学習の機会を促進することとしています。経済成長と雇用に関する目標8でございますが、こちらは障害者を含む、全ての男性及び女性の完全かつ生産的な雇用及び働き甲斐のある人間らしい仕事並びに同一労働、同一賃金を達成することとしています。
さらに持続可能な都市に関する目標、こちらは目標11でございますが、障害者を含む、脆弱な立場にある人々に特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた、交通の安全性改善により、全ての人々に安全かつ安価で、容易に利用できる輸送システムへのアクセスを提供すること、そして、障害者を含む全ての人々に、安全で包摂的かつ容易に利用できる公共スペースへの普遍的アクセスを提供することとしています。
次に、SDGsの推進に向けた、日本政府の取組について、御説明申し上げます。先ほど少々触れさせていただきましたが、日本はSDGsの交渉過程におきまして、日本が重視している開発課題を盛り込むべく、積極的に国連加盟国の間の議論に参加してまいりました。SDGsを採択しました、昨年9月の国連サミットでは、安倍総理からSDGsの実施に最大限取り組んでいくということを表明されています。その後、SDGsの実施と推進に必要となる計画ですとか、体制のあり方について、関係省庁やNGO、有識者の方との意見交換を通じて、検討を進めてまいりました。
本年5月に日本で開催した、G7伊勢志摩サミットは、このSDGsが採択された後に、初めて開催されたG7サミットということでございまして、議長国を務めた日本のリーダーシップに強い期待が寄せられておりました。このため、伊勢志摩サミット開催前の5月20日に、総理を本部長としまして、全閣僚を構成員とする、SDGs推進本部の設置が閣議決定されました。同日、第1回本部会合が開催されています。このように、国のトップを本部長に据えた、このような本格的な実施体制は、他の先進国でも、ほとんど例がないと承知しております。
最後に、今後の進め方について、御説明申し上げます。冒頭に申し上げましたとおり、本年はSDGsの実施元年に当たります。今後、SDGsを着実に実施いていくためには、各国が2030年に向けて、目標の達成に取り組むとともに、その進捗状況を具体的な指標に基づいて、モニタリングし、フォローアップしていくことが重要です。そのために、国連にあります統計委員会において、世界共通の指標の検討というのが進められています。この統計委員会におきまして、本年3月、合計231の指標が決定されております。
また、国連の場において、SDGsをフォローアップする場としまして、持続可能な開発に向けた、ハイレベル政治フォーラムというものが毎年開催されることになっております。第1回のフォーラムがちょうど今月の11日~20日まで、ニューヨークで開催されたところでございます。
日本としましては、SDGs推進本部のもとで、国内実施と国際協力の両面で、積極的に取り組むとともに、そのレビューやフォローアップ、さらには国際社会の発信を着実に行い、誰1人取り残さない、持続可能な世界の実現に向けて、貢献していくことが重要と考えております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問がある委員は、挙手をお願いいたします。
松森委員、お願いします。
○松森委員 松森です。
私からは1つ要望があります。要望の前に確認なのですが、SDGsの目標5は、男女平等と女性・少女のエンパワーメントですね。そこには、例えば女性、または少女に対する差別、暴力の撤廃、労働などについて書かれています。これらは障害女性の複合差別とも密接に関係しますので、今後の資料では、目標5の内容がわかるように追加してほしいと思います。そして、目標5に対応した議論もできるように、統計データを準備して、議論の時間を政策委員会の中で設けてほしいと思います。
以上です。
○石川委員長 松森委員、御意見、御要望をありがとうございました。受けとめたいと思います。
玉木委員、お願いします。
○玉木委員 玉木です。
今回、政策委員会の資料をいただいて、持続可能な開発目標の標題を見たときに、私はどきどきしてきたのです。というのは、近年、特に障害福祉の制度・政策の会議などでは、持続可能な制度体制をどのようにしていくかという中で、私の捉え方の間違いかもしれないけれども、これ以上、お金は使えないから、今の枠組みの中で、継続して、持続して、今の障害福祉サービスを工夫して上げていくというイメージで捉えていたのですが、今日、説明いただいて、特に参考資料の持続可能な開発のための2030アジェンダ和文仮訳からの抜粋という、ここを読むと、すごく私は安心したというか、先が開けてくると思っているわけです。
その上では、いろいろな会議で持続可能なという言葉を使う際に、外務省さんだけではなくて、各省庁の方も、使い方を丁寧に説明していただきながら、要は何を目指すのかということを丁寧に押さえていただいて、そこで足らない部分をどうやって開発していくのか、改善していくのかという、前向きな表現として、今日の説明を聞いて、私は捉えたいと思っていますので、各省庁の方もこの言葉を使う際には、丁寧な御説明をお願いしたいと思っています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
私からも、2点、質問させてください。まずは公共スペースへのアクセスということが、障害分野にかかわる目標として、御説明いただいたのですが、この場合の公共スペースというのは、広く理解してよろしいでしょうかというのが1つです。例えば情報的な公共スペースも含めてと理解してよろしいのでしょうかというのが1点です。
もう一つは、モニタリングのためには、統計データの標準化というか、その整備が必要であるということでございましたけれども、そのためには、男女別の統計、あるいは障害のあるなし別の統計データが整備されていないと、そもそもモニタリングができないということになろうかと思いますが、その理解でよいかどうか、岡垣上席専門官に御質問させていただきたいと思います。
以上です。
○岡垣上席専門官 御質問、ありがとうございました。
一番目の公共スペースにつきましては、まさに御指摘のとおり、広く捉えるということだと理解しております。詳しくどの分野がどのような公共スペースが含まれるかという点につきましては、別途御報告をさせていただきたいと思います。
2点目のモニタリングでございますが、まさに委員長の御指摘のとおり、男女別、あるいは障害があるかないか、そういった別による統計というのは、非常に重要になってくると考えております。国連統計委員会で出てきた指標について、もう一度私どものほうでも検討しまして、国内でのフォローアップ、レビューにおきまして、今の御指摘を踏まえて、検討を進めていきたいと思っております。
○石川委員長 ありがとうございました。
以上をもちまして、本日の議題は全て終了いたしました。
本日は、今期の最後の委員会となりますので、各委員から1人、時間が短くて恐縮ですけれども、1分をめどとして、御発言をいただければと思います。
五十音順ということで、最初に阿部委員からお願いいたします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
今期は、障害者基本計画のモニタリングを通して、権利条約締結後の政府報告にかかわらせていただきました。その中で見えてきたものというのは、地域の課題については、もう少しクローズアップすべきであったということでもありました。ただいまの御意見なども踏まえて、統計が十分にとれていなかったということに関しては、政府もそのような見解でありましたので、しっかりした統計のもとに、根拠ある状況の把握に努めることが大事だと思いました。
あわせて、障害者差別解消法は、私たち障害当事者にとって、社会の中で生活するとても大事なツールになるとともに、これは誰にとっても、暮らしやすい街づくりにつながるということの確認ができました。日本身体障害者団体連合会は、都道府県、政令市に加盟組織を持っておりますし、それぞれの組織は、市町村の単位組織を持っているということから、全国的な議論を地域に展開していくときに、私たちも大きな役割を果たしたいと思っています。また、地域の課題を国レベルで議論する場合においても、私たち、日身連の役割の大きさを自覚したところであります。
どうもありがとうございました。以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
石野委員、お願いします。
○石野委員 石野でございます。
政府報告の41ページ、頭のところに、各行政の手話言語条例の成果の広がりという部分の文言があります。あのときの状況とは、今、大きく様変わりしております。皆様御存じだと思いますが、全国手話言語市区長会が設立いたしました。全国から260の自治体が入会しています。また、全国の手話を広める知事会も結成されまして、36県入会されました。非常に大きく広がり、気運が高まっております。
連盟といたしまして、言語法制定を求めての運動を進めておりますが、あの時の状況から、今、大きく前進し、変わってきております。皆様の理解をぜひ今後もお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 この論議に参加させていただきまして、ありがとうございました。各論の中等につきましても、難病の項目を入れていただきまして、多くの患者が喜んでいるところです。ただ、次期に向けてということが許されるのであれば、先ほど交通エコモ財団の方も言っておられましたように、私もずっと主張していたつもりなのですが、認知症も障害であると捉えていただきたいと思いますし、さまざまな問題がありますので、ぜひそのことも議論をお願いしたいということです。
差別解消法の各論の中でも、ページで言えば6ページからなのですが、第一条の目的の17項目めから、ここでも定義の中で、発達障害までは病名を上げて入っておりますけれども、なかなかそれ以外のところが具体的に書かれておりませんので、先ほども委員長がおっしゃられたように、この次の課題にしていただきたいとお願いしておきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
上野委員、お願いします。
○上野委員 精神科医をしている上野です。
私からは、精神科医療に関する問題点を幾つか指摘させていただきたいと思います。日本には、世界の精神科病床175万床の約2割に当たる、35万床という、大変多くの精神科病床があります。日本にだけ入院が必要な人がたくさんいるというわけではないので、精神科病床は入院が必要でない人の普通の生活の場になっていたりするのです。ここで何が問題かというと、精神科病床というのは、精神保健福祉法で強制力の行使が許されている場であるということです。どういうことかというと、強制力によって、医療者が考える社会の多数派の価値観を押しつける場として、利用される可能性があるのです。
これまでの精神科医療改革は、いわゆる社会的入院の解消というのを主な目標として、なされてきました。しかし、私が考えるに、今の入院中心の収容型の精神科医療のままでは、退院してきた方を地域で支えることが難しいという現状があります。私は、精神科医療の地域化と病棟の精神科病床数の有無を言わさぬ強制的な削減が絶対に必要だと考えています。御清聴どうもありがとうございました。
○石川委員長 上野委員、ありがとうございました。
遠藤委員、お願いします。
○遠藤委員 経団連の遠藤と申します。
まず初めに、4月1日に向け、円滑な施行に多くの皆様が御尽力されたことに対しまして敬意を表したいと思います。
また、本日、幾つも指摘はされておりますけれども、まだまだ課題が残っていることも事実だと思っています。次期の本委員会に委ねられていると理解しておりますので、着実な取組をお願いさせていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
大河内委員、お願いします。
○大河内委員 東京大学の大河内と申します。
2期から議論に加わらせていただきまして、差別解消法のプロセスにかかわれたこと、大変勉強になったと思っております。
障害者に対する理解というのは、表面的には随分進んできましたし、法律もできて、いろいろ良くなっている部分はたくさんあるだろうと思っていますけれども、先般の事件も受けて、障害というのは何なのかということは、先ほど伊藤委員もおっしゃられていましたけれども、まだまだ大きな課題も残っていますし、その中には根深い差別も、まだまだあるのだろうと思っています。
私は盲ろうという、まだあまり知られていない障害の支援及び研究をしておりますけれども、その辺も含めて、障害というものは何なのかということは、これからも法制化されてきてはいますが、個々に発信していく必要があるのだろうということを、この会議を通じて、改めて考えた次第でございます。どうもありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
大濱委員、お願いします。
○大濱委員 脊損連合会の大濱です。いろいろとありがとうございました。
本日ご報告いただいた内容で政府報告が提出されたとのことですが、まだ相当多くの課題を積み残したままだと思っています。例えば、先ほど上野委員からご指摘のあった精神科医療の問題、今回の事件と関連して重度障害者に対する支援のあり方などです。特に相模原事件では、重度障害者はいらないと被疑者がかなり明確に発言しています。ですので、重度の心身障害者たちがこれから地域でどうやって生きていくのか、生きるためにはどうすればいいのかも含めて、この委員会でもっと精査していく必要があると思います。
最後に外務省の方からSDGsについてご報告をいただきました。この中で興味深いのは、モニタリングのための231の指標が決定されたとある点です。この231の指標の中に、障害に関する指標が幾つぐらいあって、それを障害者権利条約や障害者基本計画のモニタリングで役立てることはできないのか。これからの障害者政策委員会は、こういうことも含めて、きちんと検討していかなければならないと思っています。
以上です。ありがとうございました。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
大日方委員、お願いします。
○大日方委員 日本パラリンピアンズ協会の大日方でございます。
今回、差別解消法、権利条約の政府報告という、非常に重要なところに議論に加わらせていただくことができまして、私自身も大変勉強になりました。皆様、御存じのとおり、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、あと4年後には日本で開かれます。非常にパラリンピックに対する関心が高くなっていて、それはなぜかと考えますと、1つは共生社会の実現、パラリンピックを通じて、誰もが暮らしやすくなる、そういう社会を日本中の人が求めている、そういうことのあらわれではないかと考えております。
そうしたときに、障害者政策委員会としましては、当事者の方たちの生の声を届けていく、非常に重要な委員会だと思っております。今後は、パラリンピック等の開催で、いろいろな関心が高まっているところを、好機と捉えまして、どんどん障害者政策委員会からもより積極的な、前向きな提言をしていきながら、プレゼン数を上げていくこと。共生社会とは、どのようなものなのかということを発信していくことが期待されているのではないかと感じております。どうもありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
門川委員、お願いします。
○門川委員 門川です。
私は、全国に約1万4,000人の盲ろうの人を代表して、この委員会にかかわらせていただきました。今期は権利条約の政府報告や差別解消法の施行など、重要な問題にかかわることができ、大変意義のある委員会に出席させていただいたと思います。
盲ろう者は、軽度から重度まで、盲ろうに加えて、精神、知的、内部など、いろいろな障害を併せ持つ人たちも、盲ろうの中の人たちにはいますので、非常に根深い障害者だと思っています。盲ろう者の抱える問題は、たくさんあり、今後も課題を一つ一つ皆さんと、問題共有を図っていかなければならないと思っています。
盲ろう者がこのような会議に出席するには、ハードルがとても高いのですが、ここに出席して、盲ろう者からの生の声を皆さんに届けていき、問題共有をしていくことは大変大事なことだと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
加野委員、お願いいたします。
○加野委員 弁護士の加野です。
私も今期から委員を務めさせていただきまして、障害者差別解消法の基本方針と障害者権利条約の政府報告について、政策委員会の意見が反映されていく過程に携わらせていただきまして、大変充実した、有意義な2年間であるとともに、責任の重さを痛感しておりました。
4月に差別解消法が施行されていまして、私個人、弁護士としても、障害のある子を持つ母親としても、障害当事者の方からだけでなく、企業側の方からも、差別解消法に関する質問を受ける機会がこのところ増えてまいりました。そうした中で、まだまだ合理的配慮ですとか、障害者差別解消法の趣旨自体がなかなか十分に伝わっていないというところも多いと実感しております。今後、障害者差別解消法の趣旨をより広く啓発していくことが重要だと感じておりますし、私一個人としても、微力ながらそういうふうに努めてまいりたいと思っているところでございます。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
河井委員、お願いします。
○河井委員 全国肢体不自由児者父母の会連合会の河井でございます。どうもありがとうございました。
私自身、なかなか知識もなく、こういった場になれておりませんで、意見を言うというよりは、皆様方のいろいろな御意見を伺いながら、勉強させていただく2年間でありました。ただ、私どものような肢体不自由や重度重複障害者の今、置かれている課題について、皆様がきちんと耳を傾けて、聞いていただいたことに大変感謝しております。
ますます障害が重度化並びに個別化している中で、私どものような立場の人間の抱えている課題を、今後も一つ一つすくい上げていただいて、今後の政策に反映していただけたら、幸いでございます。どうもありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
川﨑委員、お願いします。
○川﨑委員 家族会の川﨑です。
今回、政府報告案ができ上がりましたことは、まことに私は感慨無量でございます。最初に権利条約を批准するに当たって、ちょっと待ってと私ども障害者団体が声を上げて、いろいろと制度改革をしてまいりました。その間に、既成の制度を変えたり、新しい新法をつくったり、いろいろと私もこの場に参加させていただいて、他の障害の方の理解も進み、ここに障害者差別解消法ができ上がりましたことは、大変に精神障害者の理解も深まったこととあわせまして、嬉しく思っております。
しかしながら、この前の相模原の事件などから、まだ障害者への偏見、差別があることを考えますと、さらなる皆さんとの一緒になって議論をしながら、本当に共生社会をつくるために、頑張らなければいけないと思っております。
以上でございます。いろいろとありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下です。
10年を単位で見ても、これまで障害者の問題では、到底議論されてこなかったであろう問題が国の審議会において議論され、あるいは差別解消法で見られるような大きな社会の変化が起こってきていることは、すばらしいことだと思うわけです。
その反面、今、川﨑委員も指摘したように、相模原の事件、あるいは出生前の検査によって、どんどん障害児がいわば、生まれることそのものを否定する現実が、この社会に広がっていることを、私たちはどう捉えたらいいのかということは、非常に考えさせられる時代だと思っております。
この委員会そのものが今日の外務省の報告からもわかるように、私たちは、権利条約の33条に基づいた監視委員会としての役割、国内における実施を監視するというよりも、内容をつくっていくという役割にもかかわっている、この委員会の役割の大きさ、あるいは本当にどこまでそれが十分に委員会としての機能と言いますか、ミッションを果たし切れているのかということも、それぞれが考えるべきそういう委員会だと思っております。
そういう意味では、この委員会に席を置いたことの責任の重さを感じております。これからもよろしくお願いします。
○石川委員長 ありがとうございました。
田中委員、お願いします。
○田中委員 全国手をつなぐ育成会連合会の田中です。
今回、政府報告書の取りまとめを通して、意思決定支援や成年後見などの枠組みで、権利擁護のあり方を求める機会を得られたことは、大変勉強になりました。
また、今回の事件を通して、いろいろ考えた上で、思い切って声明文を出したところ、思いがけない反響がマスコミなどをはじめ、多くの方からも直接声が届いておりますが、発信の大切さを痛感しております。
今後、超高齢化社会を迎える、成熟した社会の中で、共生社会の実現をする上では、改めて一人一人の個人の尊厳の尊重を進めていくことが大事だと思っております。障害という枠組みを重視しながらも、児童や女性、高齢者という分野に、幅広い視点で捉えていくことが重要だと思っていますので、次の機会もそのようなかかわりを進めていければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
玉木委員、お願いします。
○玉木委員 2年間、本当にありがとうございました。
この場では、自分の言葉で自由にしゃべっていますので、委員さんはじめ、各省庁の方々には、失礼も多々あったかと思います。改めておわびしたいと思っています。ただ、この大事な任期中に、大事な会議で発言できたことに感謝いたすとともに、この間の事件も含めて、人の命とか、尊厳とかを大事にする社会というのは、これがますます求められてくると思いますので、障害者差別解消法の目的の中には、障害のある人も、ない人も、分け隔てなく、相互にその人の人格と尊厳を尊重し合いながら、共生する社会をつくっていくという、強い意志が確認ができたと思います。その確認で、我々はもっといろいろな方に語りかけていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
柘植委員、お願いいたします。
○柘植委員 ありがとうございます。筑波大学の柘植です。
教育学と心理学をベースに研究していますので、その視点から2つお話をしたいと思います。まず1つ目ですけれども、権利条約の31条、統計と資料というところです。法が施行されて4カ月ぐらいたちまして、今日、内閣府から協議会の設置状況が示されました。あるいは浦安市からは、ニーズの調査を行って、その結果が示された。あるいは北海道のほうからは、詳しい説明はございませんでしたけれども、レジュメに啓発活動を推進のための認知度アンケートを実施するということが述べられております。交通の好事例のところでも、障害者から寄せられた事例と交通事業者から寄せられた事例を、それぞれ整理して出していただいたということで、質的な状況調査とともに、このようなある程度客観的なデータもあわせて、法律がうまく施行されて、効果が出ているのか、どういう成果があるのかということを、これから丁寧にモニタリングしていく必要があるのではないかと、改めて感じました。SDGs、世界共通の指標をつくるということもありますので、そのようなことも含めて、取り組んでいくことがもしかしたら次の期の役割になるのかと考えております。
2点目です。今日の冒頭、神奈川のとても残念な事件のお話がありました。私は2年前の最初の会議のときに発言しました。差別解消法が施行されて、成功させるためには、大人にどうのこうのだけではなく、小学生、あるいは中学生ぐらいのときから、もっと徹底的に必要な教育を授けていく。ここをうまくしないと、成功しないのではないかという発言をしたことを思い出しました。今回のとても残念な事件のことを知りまして、改めて小中学校段階での障害のない子供への教育の必要性、重要性を感じたところです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
辻委員、お願いいたします。
○辻委員 全国市長会から参加させていただいています、辻でございます。
前任者から引き継ぎまして、途中からの参加ということでございまして、当初お伺いしましたとき、障害者権利条約の政府報告の取りまとめの非常にハイレベルな話で、ついていくのが大変だったのですけれども、今でも十分ついていけるとは思っていないのですが、私たち、地方自治体の役割としまして、いろいろな政策を充実していくのはもちろんのことなのですけれども、先ほどからお話がございますように、障害者の方たちに対して、理解をいかにして市民さんに深めていけるかということは、非常に重要な役割だと考えております。これからもそういう点で、今、インクルーシブな社会の実現ということがございましたけれども、障害者の方々と障害のない方々との触れ合いの場でありますとか、いろいろな啓発活動を積極的に広げていきたいと思っていて、また、この機会で、いろいろと学ばせていただけたらと感謝いたします。ありがとうございます。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
辻井委員、お願いいたします。
○辻井委員 中京大学の辻井です。日本発達障害ネットワークの発達障害の観点で、今回、参加していると認識しております。
発達障害の場合、障害領域の中では、ニューカマーという形で、新しい障害という形になるものですから、社会の中で障害として認識してもらうためには、どうしたらいいのかということ。
名前が知られている割には、中身がまだまだ理解されていないというところもあって、そうしたところを、いろいろまだある課題をどう取り組んでいくのかということは、かなり大きな問題なのかと思っております。
柘植委員も話を少しされていたのですが、基本的に検討していくための資料とか、指標とかというものが非常にばらばらな状況ですので、次の期に向けては、そうしたものをきちっとそろえながら、国際的な比較に耐えうるような状況をつくりながらというようなことをしていかなければいけないと思いますので、そうした意味では、次の期もかなり大きな課題があると認識しております。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
野澤委員、お願いいたします。
○野澤委員 野澤です。2年間ありがとうございました。
私は差別解消法の地域協議会の在り方検討会で、主にこの2年間やってまいりました。あちこち地域、市町村に行って、働きかけてきたのですけれども、この設置状況を見ると、何だか申しわけないような気持ちがしてきます。
ただ、この法が施行された後も、非常に関心というのが広がっているのは、実感しております。この法律は、非常におもしろいと思っていて、障害者にとどまらず、まちづくりだとか、あるいは子供たちの教育だとか、いろいろなところにいい波及効果をもたらしていく可能性を秘めていると思います。
先ほど浦安市の橋野課長から発表がありましたけれども、私も浦安市民ですから、浦安の地域協議会だったり、ワーキングチームに入ってやってきたのですが、時間がないので、今日は、橋野課長は随分遠慮されていましたけれども、おもしろい取組がいっぱい始まっています。この法律が始まるときに、市町村の負担が重くなるのではないかということは、かなり懸念されていましたが、モデル事業をやってきた市町村を見ると、むしろ業務は効率化して、軽減していく傾向があって、非常に興味がそそられるような傾向が出てきております。
浦安の中で見ていると、組織とか、ネットワークは、構成メンバーに理解や信頼ができると、非常に活性化して、スピーディーになって、業務が効率化して、形式が排除されて、議論や実質的な取組が生まれるということを感じました。
まだまだこの国は、ポテンシャルのある国だと思います。ただ、こういう理解、信頼というものがもっと生まれると、さらにいろいろなことができるのではないかということを、希望を持っております。どうもありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
平川淳一委員、お願いいたします。
○平川淳一委員 精神科医の平川です。
この権利条約や差別解消法の施行に当たりまして、いろいろな形で参加させていただきまして、ありがとうございました。
私はこの会に出て、精神科医療について、大変大きな偏見があるのだと逆に考えるようになりました。我々精神科医は、精神疾患を持っている方が少しでも早く治っていただくために、人権を考慮した上で、できるだけ強制的な入院にならないように、これは精神保健福祉法の精神でございますけれども、これだけ行っているのにもかかわらず、それがこの委員会の委員の中でも、御理解いただけてない方もいらっしゃる。
さらに今回のような相模原の事件がございますと、何か精神科医の判断が非常に甘いのではないかという批判を浴びる。本当にこれをどうしていくかと申し上げると、やはり地域で精神障害者が暮らすための仕組みがまだ十分でなく、これを充実していかなければならない。もちろん地域で生活している人たちの安全も重要ですが、我々からすれば、精神疾患を持っている方々を守ってあげたいという気持ちが大きいので、この辺はぜひ差別解消法の中で、精神疾患障害を持っている方が、気楽にのんびり暮らしていけるような地域になるように、私は努力したいと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
平川則男委員の代理で御出席の金沢様、お願いいたします。
○金沢委員代理 連合の平川の代理出席の金沢でございます。
この委員会に連合から花井、平川、また、差別禁止部会に伊藤が委員として参画させていただき、まことにありがとうございます。
連合は労働組合として、働く障害者、ともに働く仲間、支える家族という立場から、誰もが生き生きと働き生活できる職場環境をつくるという視点で、障害者政策に対し横断的に提言を行わせていただくとともに、取組を進めてまいりました。
雇用の分野では労働政策審議会に参画させていただき、働く障害者の権利を守るための意見反映に努めてまいりました。また、労働組合のある職場においては現場での取組を進めております。例えば改正障害者雇用促進法では障害者の一層の雇用促進、職場環境の整備に向けた方針を策定し、労使交渉などを通じて法の履行を徹底するとともに、法を上回る取組ということを現場において進めております。
現在、連合では、障害者を支援する人の意識や実態の調査も実施しております。障害者を支援する方、家族に対する支援ということを労働組合として重視しているところでございます。
連合は働く人の権利を守り、誰もが生き生きと生活し働くことができる職場、こういった職場づくりに取り組むとともに、障害者施策をさらに推進、発展させていくため、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
松森委員、お願いいたします。
○松森委員 松森です。この2年間、大変重い責任を感じながら、ひたすら一生懸命勉強してきた有意義な2年間でした。
この政策委員会を通して私が感じたのは、これまでの政策は、女性や母親、子供という視点が少ないということです。どちらかというとこれまで男性目線で進められてきた中で、少しでも障害のある女性とか、障害のある母親、子供という立場での議論を盛り込むことができればと、自分なりに一生懸命かかわってまいりました。障害があってもなくても、生まれてくる子供は祝福されて、一人一人がかけがえのない存在として、大切にされる、そんな社会を目指して、ここで学んだことをもとにして、今後は自分の身近なところや子供たちに対しても、わかりやすい言葉で発信していきたいと思います。2年間、ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
三浦委員、お願いいたします。
○三浦委員 全国身体障害者施設協議会の熊本の愛隣館の三浦でございます。2年間皆様ありがとうございました。
石川委員長がとてもお元気だったので、一度も代理を務めることなく、議事進行されたことを本当に感謝しております。
4月1日までは、差別解消法の福祉事業者向けガイドラインが一番大事なもので、手元に置き、周知をしていたときに、地震が発災いたしまして。それからは福祉避難所ガイドラインで、邁進してまいりました。当初十数万人という避難者から、今、4,000人という避難生活、仮設への移動という時期を皆で迎えております。4月に差別解消法が施行されてから、初めての震災が熊本地震でございます。
今は熊本で、政策委員会と同じような人員構成で、熊本の障害関係団体、当事者団体のリードによりまして、いろいろな情報交換を持ちながら、たとえどんな状況であっても、家は壊れても人としての尊厳は守られるべきということと、差別解消法は守られているか、合理的配慮は避難所でもなされているかということを、事例を集積して、事例のために行っているわけではなくて、その場での対応を皆で必死に行っているところです。
生きた法律であってほしいと思い、やっと少し落ち着いてきたという中で、自分自身も刺されてしまったと同じような事件が起こりました。これは全国の障害者支援施設の皆が思っていることですし、本当に御利用者の方々の家族や本人の思いを思うと、言葉もないほどの事件なのです。ですが、一歩も後退してならないと思うことは、福祉施設という、今の国の制度の枠組みの中であっても、個人の自由が最大限確保されて、地域に開かれた生活の場であろうとする方向性を、失ってはいけないと思うことです。
今自分は、全てのことの渦中にいるので、生き抜いた熊本の仲間と一緒に進んでいきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
山崎委員、お願いします。
○山崎委員 日本知的障害者福祉協会の山崎でございます。
神奈川県の津久井やまゆり園は、私ども協会の仲間でございます。昨日、私どもの会長が現地に赴きまして、献花と哀弔の意を表してきたところなのでございますが、現場の施設では利用者の皆さんは、まだ普通の生活ができておりません。犯人が入ったところは2棟にわたりとても住めない状況で、現状では利用者の方々は施設敷地内の体育館や法人内の他施設に移動されたり自宅に戻って生活をされているようでございます。長い間、良質な支援をしてきた神奈川県の県立の施設だと聞いております。1日も早く仲間たちが普通の暮らしを取り戻し、傷ついた職員の皆さんも心を強く持って1日も早く平常な暮らしに戻っていただきたいということを願うばかりでございます。今後は、神奈川県協会や関東地区協会、そして私ども日本知的障害者福祉協会、一丸となって全国で後押しして頑張ろう。負けてなるものかという決意でございます。
私は、2年前にこの委員会に入らせていただき、冒頭、知的・精神の障害のある当事者を委員に入れてくださいとお願いいたしました。そういった意味では今回、田中さんもおっしゃったように「障害者などいらない」という言葉がマスコミを通じて、インターネットなどにどっと流れているのです。これが衝撃なわけです。そういった意味では、この障害者政策委員会の委員に知的・精神の障害のある御本人が参画することの価値が、次期委員会にあるのではないかと私は強く思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○石川委員長 山崎委員、重要なコメントを最後にありがとうございました。
私からも最後に一言だけ、時間がございませんので、簡単にお礼の言葉を述べさせていただきます。
委員長としての大役を、なんとか果たすことができたとすれば、それはひとえに三浦委員長代理をはじめとしまして、委員各位の御協力並びに事務局のバックアップのおかげです。心より感謝を申し上げます。また、御無礼の数々につきましては、おわび申し上げます。
当委員会は、政府と市民社会の建設的な対話の場、かけ橋として重要であるということで進めてまいりました。第3期はさらにそれを継承し、深めていっていただきたいと祈念しております。
第2期の政策委員会にかかわってくださった全ての皆様に、お礼と感謝を申し上げまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。