障害者政策委員会(第3回)議事録

平成24年11月5日(月)
13:00~17:00
中央合同庁舎4号館220会議室

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

石川委員長 定刻になりましたので、これより第3回の「障害者政策委員会」を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の会議は、17時までを予定しております。
 本日は、浅倉委員、清原委員、福島オブザーバーが所用により欠席との連絡を受けております。
 なお、全国知事会の嘉田委員、連合の花井委員につきましては、代理者の出席となっております。
 本日は、9月に着任いただいた中塚内閣府特命担当大臣、前川内閣府副大臣にも御出席いただいておりますので、まず、御挨拶をお願いしたいと思います。

中塚大臣 どうも皆さん、改めましてこんにちは。御紹介いただきました、内閣府特命担当大臣の中塚一宏と申します。
 私は、昨年の9月から今年の2月まで、内閣府副大臣として障害者施策の担当をさせていただいておりました。半年ほどブランクができてしまいましたが、このたび大臣として担当をさせていただくことになりました。改めまして、どうぞよろしくお願いをいたします。
 また、本日は、第3回「障害者政策委員会」にお集まりをいただきまして、心より厚く感謝と御礼を申し上げます。
 今年は第二次「アジア太平洋障害者の十年」の最終年であります。次の10年を見据えた議論が国際的に行われております。我が国においても、障害者権利条約の締結に向けた議論が活発に交わされておりまして、政府も、障害を理由とする差別の禁止に関する法制について、法案提出に向けた作業を進めているところです。
 この委員会では、新たな障害者基本計画についての意見の取りまとめに向けて御議論いただいているところでありますが、本日は各論についての報告や総論、推進体制についての議論が行われると聞いております。委員の皆様方におかれましては、ぜひ5年後、10年後の社会を見据えました闊達な議論を期待いたしております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

前川副大臣 今般、内閣府副大臣を拝命いたしました前川清成でございます。
 委員の皆様方におかれましては、日ごろから障害者施策の推進に御尽力賜っておりますことを、心からお礼申し上げたいと思います。
 また、今日は、長時間にわたって御議論をいただく、とりわけ差別禁止部会の意見書が取りまとめられましたので、その御報告もあるやにお聞きいたしております。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
 さて、大変私事ではございますけれども、私は9年前に国会に送っていただくまで弁護士をしておりました。この会場に参りまして、竹下先生のお顔を見て、ある種大変懐かしい思いで拝見をいたしました。
 といいますのも、これを言うと年がばれるのですが、30年前に大学に入りました。ちょうどそのころに竹下先生が盲目という障害を乗り越えて司法試験に合格されたということが私たち法学部学生の中で大変大きなニュースになりましたし、私たちには大変大きな励ましとなりました。その竹下先生と今から10年ぐらい前でしょうか、京都地裁で事件の原告と被告、それぞれの代理人をさせていただいたこともあります。そのときの竹下先生の非常に公平でバランスのとれた事件処理に、実は敬服したところでございます。もちろん、そのときは敵味方ですので、そんなことは申し上げておりません。
 いずれにいたしましても、この委員会は、それぞれのお立場で御活躍いただいている方々、障害を乗り越えて御活躍いただいている方々にお集まりいただいているとお聞きしております。障害があるかないかにかかわらず、この世に生を受けた全ての人たちが共生できる社会を目指して、私などは浅学菲才ではありますけれども、中塚大臣をお支えし、一生懸命努力してまいりますので、どうぞ引き続き御指導賜りますようお願いを申し上げまして、一言の御挨拶をいたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

石川委員長 大臣、副大臣、ありがとうございました。
 お二人は所用によりまして途中で退席されるとお聞きしておりますけれども、お時間の許す限り、我々の議論をお聞きいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 また、金子内閣府大臣政務官におかれましては、かねてから障害者施策に携わってきており、本日の会議にもぜひ出席したいとおっしゃっていらっしゃいましたが、復興庁の政務官を兼務されておりまして、その関係で今日は御出席いただくことができませんでした。よろしくとのことでございます。
 議事に入ります前に、1点お願いがございます。
 いつもお願いしていることですけれども、各委員からの発言の際には、まず挙手をしていただき、委員長が指名し、お名前をおっしゃっていただいてから、できるだけわかりやすくゆっくりと御発言をいただきたいと思います。御協力をお願いいたします。
 それでは、本日の会議の流れと資料について、まず事務局から御説明をいただきます。

東室長 こんにちは。担当室の東です。いつもお世話になります。
 最初に事務局の方の人事異動につきまして御報告いたします。内閣府の共生社会政策を担当する政策統括官につきまして、9月の人事異動により、村木厚子前統括官が退任されております。新しく山崎史郎統括官が着任されておりますので、一言御挨拶をお願いしたいと思います。

山崎統括官 9月の人事異動で共生社会政策担当の政策統括官を拝命しました、山崎でございます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

東室長 それでは、本日の会議の流れと資料について、御説明申し上げます。
 本日の議事は、途中で15分休憩を2回入れまして、3つのパートに分けて行います。
 パートの1では13時50分まで、30分ほどになりますけれども、主に本年9月に取りまとめられました差別禁止部会の意見について、棟居部会長より御報告いただいた上で、委員間で意見交換を行っていただきたいと思っております。これに関する資料としましては、資料1と資料2がございます。
 続きまして、パート2及びパート3でありますが、来年度から始まります新たな障害者基本計画に関しまして議論していただくということになります。障害者基本計画は主に総論、各論及び推進体制の3つの部分で構成されております。本日は、各論の部分に関するものにつきましてパート2で、総論及び推進体制に関する部分につきましてパート3で御議論いただきたいと思っているところであります。
 パート2は約1時間を予定しております。基本計画の各論部分の検討を行うために、9月から10月にかけまして開催されていました第1小委員会から第3小委員会の審議状況等につきまして、各小委員会の座長から御報告をいただいた上で、委員間で意見交換を行うということにしております。資料3がこれに関する資料であります。「各小委員会における審議状況について」という表題がついているものでございます。
 続きまして、パート3では、17時まで残りの1時間半ほどを当てたいと思っております。新たな障害者基本計画の総論及び推進体制の部分について、それぞれ御議論を行っていただきたいと思っています。これに関して、資料としては資料4「新たな障害者基本計画に関する障害者政策委員会意見(仮称)(骨子案)」というものを事務局で用意させていただいております。
 なお、先ほども申しましたように、現行の障害者基本計画の計画期間は本年度末で終わりということになっております。したがいまして、今年度中に政府において新たな基本計画の策定を行うことが必要となっております。
 そこから逆算しますと、障害者政策委員会としての意見は、年明け早々にはまとめる必要があるかと思っているところです。委員におかれましては、そのような事情も御配慮いただきまして、効率的な議事運営に御協力いただければと思っているところであります。
 なお、参考資料1として、障害者基本法等があります。参考資料2として、現行の障害者基本計画。さらに参考として、障害者政策委員会の年内の予定を配付しております。
 会議の流れ及び資料につきましては以上でございます。過不足ございましたら、事務局まで御連絡ください。
 以上です。

石川委員長 東室長、ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入ります前に、前回の会議で御質問がありまして、宿題案件となっておりました障害者権利条約の批准に向けた取り組み状況等について、外務省より御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

外務省(阿部) 外務省の阿部と申します。よろしくお願いいたします。
 前回、第2回のこの委員会において、福島オブザーバーの方から、障害者権利条約の締結の見通しということについてお尋ねがあったとお伺いしております。今日はお時間をいただきまして、私の方から現状について御報告させていただきたいと思います。
 まず、政府といたしましては、この障害者権利条約が障害者の権利及び尊厳を保護、促進するという観点から、大変意義のあるものであると考えて、条約の起草段階から交渉に積極的に参加し、高い関心を持って関与してきたということでございます。
 この条約を締結することによって、監視のための国内の枠組みの設置あるいは国連の障害者権利委員会による国際的な評価等々といった意義があると考えております。
 この条約につきましては、平成19年9月の署名以降、関係省庁の御協力もいただきまして、早期締結を目指していったところですけれども、平成21年の通常国会への提出を念頭に準備を進めていたというところでございます。
 その際、政府といたしましては、主として障害者基本法の改正により、この条約上の義務を履行し得るのではないかと考えておったところでございます。具体的に申し上げますと、条約の締結に伴って、主要な法整備といたしまして主に2点。
 1点目は、合理的な配慮の否定を障害に基づく差別に含めるということ。
 2点目は、条約の国内実施を監視するための枠組みを設置することということでございますが、1点目につきましては、障害者基本法の改正により条約の内容に盛り込まれた。2つ目につきましては、中央障害者施策推進協議会に障害者施策の実施状況の監視等を行う機能を有するように障害者基本法を改正したということで、その当時において法整備が必要とされる2点については、こういった形で手当てが進んだということだと思っております。
 他方、当時、準備の過程において、障害者団体の方々と更に議論を尽くすべきではないかという御指摘を頂戴いたしまして、政府といたしましては、条約の前提となる国内制度の整備も含めて更に検討を進めていくということになった次第でございます。
 その後、御案内のとおり、平成21年12月の閣議決定において、当面の5年間を障害者制度に係る改革の集中期間と位置づけまして、障害者基本法の改正あるいは今、差別禁止部会で御議論いただいているような障害者差別禁止法の制定に向けた議論というものが進んでおると承知いたしております。
 こういった状況を踏まえまして、政府といたしましては、引き続き国内のいろいろな法制度も含めた状況を踏まえまして、関係省庁あるいは障害者団体等の関係方面の皆様方と十分に相談をしながら、適切なタイミングで条約を締結できるように引き続き努力していきたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。

石川委員長 ありがとうございました。
 今の御説明に対して、何か委員の方から特段さらに質問等ございましたら、お願いいたします。
 では、竹下委員、どうぞ。

竹下委員 竹下です。
 今の説明で2点だけあいまいかなと思ったので確認したいのですが、締結する際には、留保条項なしで全てが批准されるという方向で進められているのかどうかの問題が1点目。
 もう一点は、現在、差別禁止法も含めて国内法の整備が進行段階だということでありますが、そうであれば、それらの制定なり改正なりができた時点での批准ということを、今、説明されたということになっているのかどうかについての確認、この2点をお願いいたします。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、外務省の方から、重ねて恐縮ですがお願いいたします。

外務省(阿部) 今いただいた2つの御質問ですけれども、留保を付するかどうかという点につきましては、今後、条約締結に向けていろんな検討を進めていかなければいけませんので、その中で最終的には決めるということでございます。
 差別禁止法との関係につきましては、今、申し上げたとおり、当時の考え方というのはあったわけですけれども、その後のいろんな国内の制度の充実というものがございますので、こういうものを踏まえながら適切なタイミングでの締結というものをしていきたいという考えでございます。
 以上でございます。

石川委員長 ありがとうございました。竹下委員、よろしいでしょうか。
 ほかに特段ございますでしょうか。ないようですので、この件はここまでにさせていただきたいと思います。
 それでは、この後、パート1に入っていきたいと思います。
 まず、パート1は、差別禁止部会から簡単に御報告いただいて、委員から意見を出していただくということにさせていただきたいと思います。棟居部会長は今おくれていらっしゃるようなので、東室長の方からかわりに御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

東室長 棟居部会長がもうそろそろお着きになると思うのですが、まだ着いておられませんので、時間がありませんので、まず資料1と資料2をお開けいただけませんでしょうか。
 御存じのように、差別禁止部会は障がい者制度改革推進会議のもとで発足しました。2010年11月から今年の2月か3月まで推進会議のもとで議論して、その後、政策委員会のもとで議論したという経緯をたどっております。結局は9月14日に差別禁止部会の意見として、通算25回の議論を踏まえまして、意見がまとまっているところであります。
 部会の意見の内容につきましては、資料1を見ていただくと、本当に概要ですけれども、書いてあります。上の方に、これまでの経緯並びになぜ法律が必要であるかといったものが書いてあります。差別禁止部会の意見書の初めの部分で触れてあるところであります。
 なぜ法律が必要かというあたりにつきましては、ここにも書いてありますが、障害者に対する差別はなかなか目に見えないものでありますけれども、事案としては多数存在する。にもかかわらず既存の法律では解決が十分ではないといったものがベースであります。
 しかも、多くの国民はわざと差別するというような意識ではなくて、むしろ何が差別かわからないといったあたりが問題だろうということで、物差しを明らかにする。社会のルールとして共有するといったあたりが法律の必要性と書いてあります。
 そういうものをベースとして総則では、理念及び目的というものを設けるべきだということで、それぞれ具体的な内容は書いてありますが、時間の関係上、先に進めさせていただきたいと思います。
 一番コアな部分としては、障害に基づく差別とは何かという部分であります。これにつきましては、「1.障害とは」というところから始まりまして、障害に基づく差別を不均等待遇及び合理的配慮の不提供という2類型で規定しております。
 不均等待遇というのは、障害または障害に関連する事由を理由とする区別、排除また制限、その他の異なる取扱いといった定義が与えられております。
 また、合理的配慮の不提供につきましては、障害者の求めに応じて障害者が障害のない者と同様に人権を行使し、または機会や待遇を享受するために必要かつ適切な現状の変更や調整を行うことを合理的配慮といい、これを行わないことは差別であるといった書き方で位置づけてあります。
 こういうような定義をもとに、具体的にどういう生活分野で差別があるかということで、特に重要な部分として10の生活分野を取り上げて、第2部の方で書かれてあります。ここでは特にどういった事項が問題になるのか、誰がこの差別禁止を守るべき対象なのかといったあたりから書いてあります。
 最後に、第3部ということで紛争の解決というものが書かれてあります。障害者に対する差別が実際に発生した場合に、紛争解決として求められる機能には2つあるということでまず書かれてあります。
 1つは、相談及び調整ということです。何が差別であるのかどうかさえなかなかわからない現状において、どこに相談していいのかわからないといった声が上がっております。そういうことも踏まえまして、まずその人が困っている事案が差別に当たるのかどうかということをきちっと相談できる体制をつくって、そこで調整に入っていただくといったことがベースとして必要であろうと。
 その上で、それでも解決しない場合には、調停、あっせん等の仕組みをつくっていただくということが書かれております。
 最終的には、そこでも解決できない場合には、裁判所による司法判断という仕組みでございます。
 以上が部会意見の概略の概略であります。
 以上は私の説明でありますが、今日、副部会長で活躍していただきました竹下先生も出席されておりますので、補足していただければありがたいと。

竹下委員 委員長、よろしいでしょうか。

石川委員長 では、棟居座長、お待ち申し上げておりましたので、よろしくお願いします。

棟居委員 どうもおくれまして申しわけございません。9月に既に取りまとめを終了いたしまして、自慢になるかわかりませんが、延べ100時間という議論を尽くしました。それは意見書という格好でまとめさせていただいておるわけであります。
 この間、お隣の東室長、そのほかのスタッフの皆さんあるいは委員の皆さんには大変な御協力をいただきまして、最後には全員一致ということで取りまとめをできたということで、座長を務めさせていただきました私としては、それを1点誇りに思っています。
 あとは権利条約というものが1つ客観的な事実としてあり、他方で、国内でこれはさまざまな事案の吸い上げ、いろんな事案を集めまして分析しました。結局、10年、20年という単位で見てもそんなに事態は改善していない。そういうことに愕然としたわけであります。
 ですから、国際的に要求されておる規範と国内の現実、このギャップは非常に大きい。特に国際的な水準がどんどん前に行くものですから、むしろ差が開いているというある種の危機感を共有しておったと思います。だからこそ全員一致という格好がとれたのではないかと思います。
 各論についていろんな分野ごとにさまざまなことを意見書でも書いておるのですけれども、ある意味、本来各省庁さんに動いていただく。今までも既にいろいろ努力されているというのはヒアリングでよくわかったのですけれども、あえて申し上げればもっと頑張っていただきたい。そのためには、共通の規範あるいは基準が要るという、ある種横ぐし、つまり省庁横断的な、分野横断的な総論、総則、これが大事なのではないかということで、まず差別、これは社会的排除ですから、我々は医学モデルではもはやないということで、社会の側が壁をつくっておるという観点から、差別イコール社会の側からの排除ということで、これは禁止される。と同時に、合理的配慮に対する権利が成り立つのだと。この二本柱の総則、総論を立てまして、以下、個別領域ごとの検討をしていただいたということなのでございます。
 最後の最後まで委員の中の非常に頭のいい方が、総則と各則のつながりはどうなっているのだというかなり根本的な問題提起をされまして、私はここに来てまたやり直しになるのかと、200時間かかるのかなと一瞬ひやっとしたのですけれども、この各則はあくまで総則の考えを個別に当てはめると、余りにも問題の多い現実に対して、ここまでは引き上げられるべきだという一般的な方式を個別のテーマ、個別の数字に当てはめていった場合に、こうなるはずだ、こうなってほしいという願いを込めた個別の検討を各則でやっているわけであります。
 ですから、差別禁止部会としてそこまでの権限があるのかと、誰がそんな権限を与えたのだというようなことをおっしゃる方はいるかもしれないけれども、我々はあくまで現実を正確に認識して、新たな規範を当てはめた場合、このぐらいギャップがありますと、それを示すという作業を各則でやったつもりでございます。
 実際には、これはどう運用していくか。その際、ガイドラインといったものがその分野ごとに適切に設定される必要がある。まさにこの場の政策委員会、ここに期待するところが大きいということは、差別禁止部会でも何度も、別に親委員会だからというだけではなくて、まさに実施が一番大事なのだと、理念を立てるのは差別禁止部会で一定の考え方に到達したのですけれども、それを個別領域ごとにどう実施していくか。これは政策委員会の役割は非常に大きいのではないかということで、私どものつたないまとめ、総論の総論みたいなまとめを終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

石川委員長 ありがとうございました。
 今、部会長の方から丁寧な御説明をいただきましたが、竹下先生、よろしいですか。ありがとうございます。
 そうしましたら、残り予定しております時間は13時50分まで、約15分ですが、この後、今の御報告に関しまして意見交換をしたいと思います。御意見のある方は挙手をお願いいたします。
 では、関口委員、まずお願いいたします。次に勝又委員、お願いします。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口明彦です。
 この文章を読ませていただいて、多分当たるのだろうなとは思いつつも、はっきりしないことがあるので。特に我々精神障害者は、入院したときの面会交通権が非常に重要でございます。つい最近、私は武蔵野中央病院というところに出かけていったのです。というのは、面会したいという電話がありましたので、病院の方に面会はオーケーですかと言って、面会自由ですというお話があったので、新小金井まではるばる出かけて行ったわけです。そうしたら、主治医が突然会えなくなったと、会えないと。これに対する説明がちゃんとしていないのです。私が何者かもはっきりしない。帰ってきてみて愕然したことには、御本人から留守電が入っておりまして、あなたの周りにはいろんな人がいるから会わせることはできない。これは医療的理由でも何でもないので、人権問題だと思うのです。
 まさに精神障害者が拘禁されているときに外部と接することができる面会交通権というのがきちんと確立されているということを、ここの中の文章から読み出したのですけれども、読み出せることはできると思うのですけれども、改めてここで確認していただきたいと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 どうしましょうか。ほかにも何人か挙手をされていたので、まず御意見あるいは確認されたいことをとりあえず出していただくというふうにしていこうと思います。
 では、次に勝又委員、石野委員、土本委員とお願いいたします。

勝又委員 ありがとうございます。勝又です。
 私は資料5として、差別禁止部会の意見についてということで意見を出させていただいております。意見出しのお声がけはなかったわけですけれども、ぜひともこのことについては申し上げたいと思いまして、意見を出させていただいております。
 障害女性が受けている複合差別の課題を今回の差別禁止部会の意見の中で、国の基本的責務に関して、特に留意を要する領域としたことは大変評価できると思います。また、積極的差別是正措置を、それらは差別禁止法に基づき禁止される差別に当たらないとしていることについても、非常に明確で評価できると思います。
 この認識を新たな基本計画において女性障害者の複合差別の解消のために、ぜひとも実効性のあるものにしていただきたいと思います。基本法の中でも、性別という形でしか表現できなかったことでございます。女性障害者の複合差別は性差別の問題として非常に見えにくくなっております。
 ですから、ぜひともこれからの議論の中にあります基本計画の中で、この差別禁止部会の意見が反映されることを強く希望いたします。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 石野委員、お願いいたします。

石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 差別禁止法に関して今まで議論をされていたこと、本当にお疲れ様です。感謝申し上げます。
 全体的に見ますと、新しい法律の場合、義務的な性格を含めているのか、努力義務的な性格を持っているか、方針が見えないというのが正直なところです。
 細かい話になりますが、差別事例を集める部分において、どのような形でそれを議論したのか、委員の方がそれぞれの体験を出し合われてそれをまとめたものなのか、あるいはアンケート調査をされたのか、そのあたりを私は詳細を把握しておりませんので、教えていただきたいと思います。
 この部会には、聴覚障害者は誰もそこに参加しておりませんので、当事者の意見はやはり重要だと思います。ですから、違った見方も載っています。例えば医療面での問題ですとか、その辺のことがありましたら確認させていただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 土本委員、お願いいたします。

土本委員 土本です。
 この中で入所施設が入っていないということと、先ほど自分たちでも意見を取りまとめるということで、差別について先日11月5日まで意見を募集ということで書かれているものが流れてきたのですけれども、差別というのは自分たちが入ってこられないのでなかなか言えないところもあるし、多少言えているところもあるのですけれども、すぐ意見をもらうということも難しいのではないかという2つの点を述べたいと思っています。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 先ほど挙手をされていた佐藤委員、お願いいたします。

佐藤委員 ありがとうございます。日本社会事業大学の佐藤久夫です。
 具体的な例で申しわけないのですけれども、ある発達障害のお子さんが入院をした。相部屋に入ろうと思っていたのだけれども、夜落ち着かなくてほかの入院患者に迷惑になるということで個室に入ってくださいと言われて個室料金を取られたということで、これは差別禁止法が禁止する障害者差別に当たるのか、同じ相部屋の料金で個室に入ってもらうということが病院にとって義務づけられる合理的配慮になるのか、そこまでは重すぎる負担ということで病院側には求められないのか。その辺をこの差別禁止法はどういうふうに解決するのかということについてお聞かせいただければと思います。

石川委員長 ありがとうございます。
 伊藤委員と尾上委員までとさせていただきたいと思います。恐縮です。

伊藤委員 伊藤です。
 なかなか中身について事前に精査し、意見を文書で出すことができなかったので、大変申しわけありません。この差別禁止部会の意見について、幾つかの問題があるということを言った上でぜひこれを推進していただきたいと思うのです。
 1つは、病気を中心とした状況から見れば、心身の機能の障害を概念として採用するというのは妥当だということですが、どうも心身の機能の障害というのは、どこまでどういうことを言うのかは我々にとっては理解ができないということが1点であります。
 もう一点は、既に障害者福祉の中で差別が厳然と存在している。例えば同じ病気につきましても、その程度によって、あるいはそれをどう判定するかということも含めてですけれども、障害者福祉の対象となる場合とならない場合がある。同じように、例えばI型糖尿病のように、インスリンを注射しなければ生きていくことができないという状態の人も、透析とかペースメーカーとどう違うのかということもはっきりしませんし、内部障害という概念があるために、その内部障害というものと難病とどう違うのかも。それは若干の症状の違いあるいは固定度の違いで差別を受けるのかというような問題が現実にあります。
 その中でいけば、16ページに4つの類型がありますが、関連差別の類型というところで何か引っかかるのではないかとか、合理的配慮の不提供の類型というものの中にも、現在の障害として取り上げられていない部分について、そのまま放置されているということが残ったままでいいのかというような問題もあるということ。あるいは個別の事例でいけば、ほとんどの事例でたくさんの差別あるいは不当な扱いというのは患者、病気についてもあるわけですけれども、そういうようなことも含めまして、ぜひ今後、そういうことが解消に向かわれるような形での差別禁止法というようなものになっていただきたいという希望と意見を述べまして発言いたしました。

石川委員長 ありがとうございました。
 では、最後に尾上委員、お願いします。

尾上委員 尾上です。どうもありがとうございます。
 まず、差別禁止部会の皆様、どうも御苦労様でしたという感謝の上で、差別禁止部会の意見を政策委員としてどう受け止めていくというか、引き取ってちゃんと今後のプロセスに乗せていくかということで、2点ほど質問したいと思います。
 1つは、資料2、部会報告の6ページの下から5行目のところに、新法の制定に向けてということで、「かような状況において、障害者権利条約の批准という大きな課題に真摯に向かい合うとすれば、障害者分野に係る差別禁止法の制定は、必要不可欠な課題である」というのが部会の皆さんの総意なのかなと思いました。
 この間、推進会議のときからも含めますと、第二次意見を出した後、障害者基本法の原案をこの前の推進会議で議論したというのが1つ。そして、昨年、総合福祉部会の骨格提言の後、今年の2月に総合福祉部会で報告を受けたというようなことがありました。この新法の制定に向けてということで、この意見を踏まえて、今後、新法の検討をされていくと思うのですが、その案の段階のものをこの政策委員会なり、あるいは差別禁止部会で報告されたり検討される予定があるのかどうか、これが1つです。
 2つ目が、81ページのところです。先ほどの紛争解決の仕組みということにかかわって、中央に置かれる機関ということで81ページの3行目のところ、例えば国が障害者基本法に基づいて設置する政策委員会などの既存の組織を活用できるかも含め検討されるべきであるというようなことや、あるいはさらに86ページ、下の方に差別禁止部会の設置についてという、差別禁止部会の設置根拠が書かれていますが、これはこの後の後半の議論になっていくのかもわかりませんが、障害者に対する差別の禁止のあり方については、新たな障害者基本計画の策定に当たり重要な課題であることにかんがみ部会で検討されたということですので、逆に言うと、この差別禁止部会の意見をどういうふうに今後のこれから議論する基本計画の中に生かしていったらいいのか、今後の検討の予定みたいなことを教えていただければと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 申しわけありません。今日は時間を管理するという立場でやらせていただきたいと思います。ただ、既にかなり多くの、かつ根源的な質問や御意見をいただいておりまして、これの中ですぐに差別禁止部会の方でお答えいただくべきことがあれば、それに関してまずお答えいただく。
 部会長からお願いします。

新谷委員 大体簡単な質問なのですけれども、いいですか。

石川委員長 すみません、先に部会長の方から報告させてください。

棟居委員 恐れ入ります。棟居です。
 質問に直接お答えするという格好になりません。たくさん質問を頂戴しましたが、それに対する一般的な公式でお答えしますと、我々はあるべき規範について議論したわけです。ですから、こういう場合どうなるという当てはめについては、我々は規範の定立の際にこういうケースがあるよねということは念頭に置きました。しかしながら、では、これはどうだ、これはどうだというときに答えを全部用意した上で規範を定立するということはやっておりません。これは立法者も同じであろうと思います。
 あと、まさに先ほど最後に、子委員会である差別禁止部会から親委員会であるこの場に御報告を申し上げると同時に、私としてはボールをお返ししたつもりです。つまり、まさに実施をされるのはここが中心になって各省庁に働きかけて実施をされていく。その中で個別の問題が意識されていくということになると期待しております。
 100時間かけて規範だけなのかと怒られるかもわかりません。しかし、そんなものは要らんという声が、いわゆる立法事実がないのだという極めて冷たい響きのある1行の文章でずっと聞かされてまいりまして、やはり規範を定立する必要があるという、そこまで来たというのが100時間の結果ということで受け止めていただければと思います。
 私からは以上です。すみません。

石川委員長 では、副部会長の竹下委員の方から、補足をお願いいたします。

竹下委員 総論的には、今、棟居部会長から御説明いただいたとおりなのですけれども、幾つか答えられる範囲で一応明確にしておきたいと思うのです。
 まず、差別禁止法で定められる義務というのは、それは努力義務なのか、法的義務なのかという質問がありましたが、当然法律で定められる以上は、差別を禁止するという規範は法的な義務になると理解していただいていいと思います。
 事例の収集等の観点ですが、差別禁止部会においては、当然のこととして、現に存在する差別事例というものをできるだけヒアリング等を通じて収集しながら、それに基づいた議論をしてきたということを御理解いただきたいと思います。
 福祉施設という特定の場面での、言わば規定がないのではないかという指摘がありましたが、我々が各論で議論したのは、典型的な生活場面を中心にしてその議論をしたわけで、ここに書かれていることが全てではなくて、言わば典型的な事例、場面を想定して各論を議論してまとめたということであります。
 したがって、福祉施設において虐待等の問題は当然虐待防止法の問題でありますが、そういう施設内における差別事象が起こった場合も差別禁止法の対象として是正がなされていくということにおいては、当然含まれていると思います。
 救済機関の点でありますけれども、この点については、我々部会としては、どのような救済機関でなければならないという議論まではあえてせずに、今後のその部分での議論につきましては、一定の幅を持たせるといいますか、政策委員会での取り扱いも含めた可能性を残した整理をしているというつもりであります。
 心身の機能障害というのはわかりにくいというお話がありましたけれども、この点は相当時間をかけて議論をした結果、こういう表現になっているわけでありますが、これまで我々は障害というものを定義するときに、身体、知的、精神という、言わば固まってしまったような概念に閉じ込められてきた感があります。
 今回の差別禁止法は、先ほど棟居部会長もおっしゃったように、社会的観点から差別の対象となる障害というものを定義づけようとしたことが出発点になっておりますので、その点では、従来のそういう身体、知的、精神という枠組みに捉われずに、肉体的、精神的、そうしたあらゆる人間の持つ機能が低下あるいは邪魔されていることによって、差別の対象となるものをここに取り込もうとしたことがこの概念だということであります。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 では、室長の方からお願いします。

東室長 最後に尾上さんから質問がありました今後の予定というあたりですけれども、来年の通常国会に法案として提出することを目指すということが閣議決定でありますので、今、内閣府としては法案に向けての準備中だということなのですが、その過程において、基本法の改正とか総合支援法のときもそうですけれども、部会等にその経過を披露して意見をいただく機会をつくるのかといった御質問がありました。
 それにつきましては、差別禁止部会の中でも何度か触れていたと思いますが、できれば部会を開いてその経過を報告していただきたいという希望を述べてきました。ただ、意見を上げれば、その部会は終了するというのが基本だと思ってはいます。
 しかし、今そういうこれまでの経緯もありますので、できれば政策委員会はずっと継続していきますので、しかも棟居部会長がおっしゃったようにこの政策委員会に投げられたわけですから、今後の責任を持つという意味で政策委員会を開いてそこで意見をいただくというような機会ができればなと思っているところです。
 その際、実際に部会の意見をまとめていただきました部会の委員の人にはオブザーバー的な形で参加を願うことができればとは思っているところです。その点、まだ確定したものではありませんので、予定ということでお聞き願えればと思っております。
 それと部会につきましては、まだ今、地域フォーラムをやっているところでありますので、それが終わるまではまだ部会の形を残しておいた方がいいのではなかろうかと思っているところです。
 以上です。

石川委員長 前川副大臣の方から御発言をいただけるということですので、お願いしたいと思います。

前川副大臣 副大臣の前川でございます。
 これから申し上げることは所管外になりますので、副大臣としてではなくて、民主党所属の国会議員として御発言させていただきたいと思います。
 救済機関に関してであります。この中にもありますが、簡易、迅速な紛争処理の仕組み、私は極めて大事だろうと思いますし、また、相談及び調整を担える身近な相談機関の存在も大変大事だろうと思います。ただ、この意見書を拝見いたしますと、障害者差別に特化した、独立の機関を新たに創設するかのように読めました。
 竹下先生の方から幅も持たせて議論しているということであれば、ぜひその議論の際に視野に入れていただきたいのは、民主党内で人権侵害救済法、その後、名前を人権委員会設置法という議論を進めてまいりまして、既に案もつくりました。所管は法務省で御検討いただいていますが、障害者差別に限らず、現実にはさまざまな差別があります。それは最終的には裁判所、司法手続をもって救済されるべきでありましょうけれども、なかなか裁判所の敷居が高い、費用がかかってしまう、証拠等々の立証の問題がある。ですから、本当に簡易、迅速にさまざまな差別の問題を解決できる機関として私たちは人権委員会というのをつくらなければならないのではないか、こういうふうに考えております。これからの御議論の際に、ぜひ視野の片隅に入れていただきますようにお願い申し上げます。
 以上でございます。

石川委員長 ありがとうございました。
 まだ北野委員あるいは新谷委員、挙手をされておりましたし、ほかにも御発言されたい方はたくさんいらっしゃると思いますけれども、時間の関係で申しわけありませんけれども、御容赦いただきたいと思います。
 ほぼ2年間という長期間にわたりまして、差別禁止部会を部会長としてリードしていただきました棟居先生の御尽力に対して、まず深く感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。(拍手)
 また、全会一致というところまで議論を重ねられたということにとりわけ敬意を表したいと思いますし、差別禁止部会に参加していただきました委員、専門委員の皆様方におかれましても、その御尽力に対して敬意を表したいと思います。ありがとうございました。(拍手)
 ボールを投げ返したぞとおっしゃられましたので、当障害者政策委員会として、確かにキャッチしましたということだけ今日はお返事させていただき、今後の差別禁止法の制定につきましては、今、いろいろな刻々と動いている状況でもございますし、この政策委員会としてもどのようにそれについてコミットしていけるのか、それについては今後事務局とも、また委員長代理の皆さんとも相談し、検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まだまだ議論はしたいのですが、ここでパート1を終らせていただきまして、15分休憩をさせていただきます。2時15分からの再開ということでお願いいたします。

(休憩)

石川委員長 パート2は、小委員会の1~3まで、各論の報告書を本日御準備いただきました。座長、副座長初め皆様方にはありがとうございました。今から3時15分ぐらいまで60分間をかけまして、小委員会の1から順に20分ずつ、報告及びそれに対して意見を述べていただくことにしたいと思います。
 最初に、第1小委員会の三浦座長の方から、5分程度で申しわけありませんが、お願いいたします。

三浦委員長代理 ただいま御指名いただきました、第1小委員会の座長を仰せつかりました三浦と申します。なお、副座長は強力なサポートを棟居副座長よりいただいております。
 第1小委員会におきましては、第16条の教育、第25条の文化的諸条件の整備について、現行の障害者基本計画の進捗状況や障害者制度改革を踏まえた取り組みの進展などを視野に入れて、共生社会構築に当たり、学校教育及びスポーツ・文化について、インクルーシブ(共に生き、共に学ぶ)という観点から、新たな障害者基本計画にはどのような課題が盛り込まれるべきであるのか、幅広く意見交換、議論をいたしました。
 個別のテーマについて御報告いたします。
 まずは論点1「インクルーシブ教育システムの構築について」でございます。
 (1)改正された障害者基本法を踏まえて、障害者基本計画が策定されるべきであり、学校教育においては、障害の有無によって分け隔てられることなく、共に教育を受けることができるようにすべきであるという意見が多く挙げられております。
 例えば2つ目の○でございますけれども、障害者基本法の第16条第1項に、「共に教育を受けられるよう」という文言が入ったことを受けて、障害者基本計画において基本方針が転換していることを明確にするべきであるという意見がありました。入学のときに分けない、希望するときに特別支援学校に入学できるように、また卒業後の地域生活を視野にという御意見がございました。
 (2)なお、共に学ぶことの課題といたしまして、1つ目の○の前半部分でございますけれども、障害の種別や発達段階などにより、必ずしも共に学ぶことで学びが充実しない可能性があるという意見がございました。少数派の文化や言語についても承認されるべきという御意見などがございました。
 次に、論点2の「初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備」についてでございます。
 (1)就学相談については、例えば2つ目の○ですけれども、就学相談では、地域の学校に行けることを情報提供すべきであるという意見がありました。なお、相談支援において大切なことは、地域生活を見通す必要があり、当事者相談員の参加なども必要ではないかという御意見がございました。
 (2)就学先の決定に当たり、障害者、保護者の意向に沿うことを基本とすべきであるという意見は大変多く挙げられました。
 例えば5つ目の○の前半部分となりますけれども、就学先決定については、障害者、保護者の意見を最大限尊重しつつ、教育委員会や学校との合意形成を図るのがベースラインであるという意見がありました。継続した相談支援の必要、教育支援計画の適切な運用の徹底なども意見として挙げられております。
 論点3「初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備」といたしまして、(1)合理的配慮を提供する際の観点については、例えば3つ目の○でございますが、地域の学校から排除をされずに自分の住む地域社会において初等中等教育の機会が与えられるよう、合理的配慮が提供されるべきであるという意見がございました。
 次に、(2)合理的配慮に関する具体的な内容につきましては、個人のニーズに応じた教科書や人的配置などの必要性について意見がございました。なお、5つ目の○には医療的ケアについて看護師の加配とともに教員も支援にかかわって支援を提供できるようにというような御意見も挙がっております。
 (3)合理的配慮に関する課題というところにつきましては、障害のある教員への合理的配慮についても、そこで学ぶ子ども同様に検討すべきという意見がありました。
 (4)基礎的環境整備につきましては、例えば1つ目の○でございますけれども、基礎的環境整備については、地域格差が生じないように、国または地方公共団体が責任を持つべきであるという意見がありました。
 (5)その他のところです。合理的配慮及び基礎的環境整備に関連する事項については、1つ目の○のところでありますが、学習指導要領については、普通学校と特別支援学校との二本立てが今後も必要なのか検討されるべきであるという意見、また、通学支援やコミュニケーション支援の提供のあり方について検討すべきであるという意見もございました。
 論点4「高等教育における障害学生支援について」です。
 (1)高等教育における障害学生支援については、例えば2つ目の○の前半部分でございますけれども、大学入学の際に、障害を理由に拒否しないことを大原則にし、同時に教育のレベルを落とさないことを前提にすべきであるという意見がありました。ただし、1つ御指摘がありますけれども、レベルを落とさないということに関しては、多様な人間のあり方という観点が重要であるという指摘がございました。
 (2)合理的配慮に関する課題の部分でございます。
 1つ目の○の前半部分で、合理的配慮は学業の遂行だけではなく社会的自立をも対象にし、地方自治体、NPO、民間団体とも連携しつつ提供するべきであるという意見がございました。ほかにも、授業の理解が十分できるよう、ノートテークなどの質の向上を求める意見がございました。
 最後に、論点5「障害者が文化的諸活動に参加しやすい環境の整備について」、(1)環境の整備につきましては、例えば1つ目の○部分、文化・芸術振興に当たり、障害者が制作しやすい環境づくりと評価を受ける機会の確保をすべきである。障害の有無にかかわらず、共に参加できるインクルーシブな展覧会などが開催され、さまざまな人がかかわれるようにすべきであるという意見がございました。
 (2)スポーツについてでございますが、例えば2つ目の○です。障害者スポーツ指導員の養成を充実させ、どこにおいても誰でもスポーツができる環境づくりが求められるという意見。また、障害児者のスポーツに関する科目を体育教員養成時の必須科目とするなどの意見、パラリンピックについて文科省と厚労省の連携を充実させるなどの意見がありました。
 以上、駆け足ではございますが、全体に関しての報告とさせていただきます。第1小委員会です。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員に御意見をいただく前に、所管省庁の方でもし特段何かこれについてございましたら、御発言をいただいてもと思います。

大山課長 ありがとうございます。
 それでは、一言、文部科学省の初等中等教育局特別支援教育課長の大山でございます。
 ただいま三浦座長から、議論の取りまとめ、御報告がございましたが、関係省庁の幹事ということで一言発言をさせていただきたいと存じます。
 まず、今、御報告のあった資料の内容につきましては、座長及び副座長の御責任におきまして、小委員会における議論を整理されたものであって、小委員会として結論を出されたものではないと理解させていただいております。
 その上で、あと2点ほどコメントをさせていただきたいのですが、まず1点目は資料の1ページ目でございます。ただいま三浦座長の方からも御紹介がございました「1 インクルーシブ教育システムの構築について」でございます。
 こちらの(1)冒頭のところで、小委員会の議論が取りまとめられたような記載になってございますが、この点につきましては、障害者基本法第16条第1項で、障害者がその年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り、障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるように配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等、必要な施策を講じなければならないと規定されてございますので、この趣旨を踏まえて、施策を推進すべきであると理解してございます。
 2点目は、資料の2ページでございます。「2 初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備①(就学相談・就学先決定等)」について記述がございますが、こちらの(2)のところにおきましても、やはり小委員会の議論を取りまとめたかのような記載がなされてございますが、この点につきましては、障害者基本法の第16条第2項の記述、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し、十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意見、意向を尊重しなければならないという障害者基本法の趣旨を踏まえて、就学先の決定が行われるべきであると理解しております。
 以上、よろしくお願いいたします。

石川委員長 文部科学省の幹事としての御指摘、ありがとうございました。
 それでは、委員から御意見があれば、特に、ほかの小委員会に参加する必要があり第1小委員会には参加できなかったという委員の方からの御意見をいただければと思います。
 竹下委員、お願いします。

竹下委員 疑問が1点と意見が1点です。
 まず疑問は、3の(5)のところで、こういう記述があるのです。「ろう教育については、専門性を確保できるよう人事異動で配慮すべきである」というのは、非常に違和感を覚えます。これは特別支援学校全部について言えることではないのでしょうか。なぜろう学校だけがこういう記述になるのかについて疑問があるので、質問をさせていただきます。
 2点目は、高等教育の部分であります。高等教育につきましては、この間、小中学校との関係でいいますと、文科省の努力によって視覚障害児の教科書保障が大きく前進しているわけでありますが、高等学校以上になりますと、教科書保障がいまだ不十分なままであります。その点での今後の支援というものが重要であると思われるのですが、ここでも聴覚障害者につきましては手話通訳等の記述があるので、これは非常に重要な指摘をしているので大いに支持したいと思うのですが、あわせて視覚障害者の教科書あるいは点字に関する支援というものも高等教育部分で極めて重要な課題になっていると思われますので、この点についての議論があったかどうか、ないのであれば追加していただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 最後にまとめてということで、あと石野委員、お願いいたします。

石野委員 石野です。
 文化的施設と申しましても、公立施設、民間施設、さまざまな種類があります。美術館や博物館、歴史的なそれぞれの博物館とありますが、不思議に思いますのは、宗教関係の施設は1つもここに記述がないのです。私ども、バリアフリーという面を考えますと、宗教にかかわる施設もかなり遅れているのではないかという点があります。
 例えば宗教施設の中でも良いものをバリアフリー化していくということも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

石川委員長 ありがとうございました。
 先ほど中西委員が挙げていらっしゃったので、そこまでにさせていただきます。すみません。

中西委員 中西由起子です。
 この中には海外にある日本人学校で、いわゆる日本の教育、文科省のもとに実施されていると思うのですが、例えば北京の日本人学校では、最初から明白に特別な支援を必要とするお子様は対象外ですというふうに差別をしていて、この中にも日本人学校の部分も含めていただきたいという要望です。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 どうしましょう。限られた時間の中で検討していただいたので、網羅的でない、ここが抜けているということは多々あろうかと思いますが、それは本委員会で基本計画について意見具申をするときにそれを埋めていくというようなことで対応するということで、最初の竹下委員の御質問に対して、そのようにお答えさせていただくということでもよろしいでしょうか。
 あと、石野委員のおっしゃった宗教施設についてはどこでも余り議論していないように思いますけれども、これについてここで議論するとかなり時間的に難しいかなという感じもするので、これは第5小委員会の方でできるかもしれませんが、ただこの宗教的施設というのはバリアフリー化が一番難しい分野で、特に車いすでのユーザーの方が一番苦労されているし、視覚障害者も必死になって不規則な階段を上がったりとか、下がったりとかしているのですけれども、なかなか難しい分野なので、今ここで議論するのは難しいかと思いますが、御指摘は受け止めさせていただくということにさせてください。
 中西委員のおっしゃった海外の日本人学校については、どうでしょうか。幹事の方から何かあればもし。どうでしょうか。では、文科の方でどうでしょうか。

大山課長 よろしいですか。海外の日本人学校というのが基本的に私立でございまして、国がどうこうということ、所管してということがないものですから、何とも難しい面もあるのかと思います。

石川委員長 個別の案件になるので、これもまた難しいケースでいろいろと考えないといけないので、宿題とさせていただきます。すみません。
 御質問がありますか。では、伊藤委員、お願いします。

伊藤委員 伊藤です。
 今の文科省の考え方はおかしいのではないか。いろんな民間の施設や鉄道、いっぱいそういうところにもこうしてほしいと言いながら、なぜ私立の学校だけは手をつけられないのか、そういう理由が成り立つのかというのがわからない。
 あともう一つ、全然別な角度でもう一件。学校を休みがちな病弱児への配慮というのがこの中にないので、種別の障害についてありますけれども、そういう病弱児についてというのも何かどこかで検討いただけないかということです。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 これについては引き続き検討させていただきたいと思いますので、文科の方。

大山課長 よろしければ一言。おっしゃるように、私学とはいえ、文科省としてもお願いをしていくということはあるかと思っております。その点については御趣旨を理解いたします。

石川委員長 すみません、まだ御意見は多々あろうかと思いますが、大分時間が押しておりまして、まだやるべきことがたくさんあるので、すみませんけれども、次に進めさせていただきます。申しわけありません。
 第2小委員会の方から、藤井座長に5分程度でという無理なお願いですけれども、御報告いただきたいと思います。

藤井委員長代理 それでは、藤井の方から報告いたします。
 浅倉副座長とともにまとめました。お手元の9~15ページです。本第2小委員会は、障害者基本法の第15条の年金等、第18条の職業相談等、第19条雇用の促進等、所得保障、ここには年金や経済的負担の軽減、諸手当等が含まれます。
 これについて現行の障害者基本計画の進捗状況等を踏まえて、また障害者制度改革の進捗状況を踏まえて、新たな計画に何を盛り込むべきかということで議論を展開してまいりました。
 各委員、専門委員の議論につきましては、論点ごとに5点にまとめてあります。大きく1つは、障害者の就労施策全体の実施状況。2つ目は、障害者雇用です。3つ目は、福祉的就労。4つ目に所得保障。もう一回就労に戻りまして、就労施策でその他の事項、自営業等が入ります。これらにつきまして議論を展開してまいりました。これをぜひこれからの計画の方に反映してほしいと思っています。
 私の方は主に感想を言わせていただきますけれども、3つばかり言わせていただきます。
 1つは、就労分野あるいは所得保障分野を通して、基礎データが余りにも少なすぎるということ。これは今後、この計画の実施の状況を監視していく上で、また評価検証していく上で決定的に欠陥である。例えば障害者雇用、最高値の水準を示している雇用率は間違いないと思うのです。しかし、実質雇用の形態、就労の形態、例えば非正規が多いとか、こういった部分では状況がわかりにくい。あるいは所得保障に関して言うならば、障害者の経済実態、生活実態、消費実態、ほとんどわかっていないということ。これにかかわっている家族の負担もわかっていないということ等々を踏まえて、やはりデータをどうとるかということが大きなテーマです。
 加えてこれに関しましては、男女、特に女性のデータが乏しい。よく言われていますように、障害ゆえのさまざまな差別、区別、就労分野の特有な区別、差別に加えて、女性のさまざまな不利益。こういう複合を超えた多重的な問題選定というのはデータが欲しい。
 2つ目は、今回は難病に基づく障害者の問題が就労でも大きく問題になっています。それは雇用率を含めた就労全体にどうやって参入していくのか。また、所得保障も同様に、経済的負担の軽減を含めて、所得保障全般に難病に基づく障害者の問題、課題をどう入れ込むのかということは、本小委員会を通して言われたことであります。
 3つ目の感想は、このようにして就労や所得保障に関して、これまでは社会保障の年金部会だとか、あるいは社会保障審議会の障害部会だとか、労政審等、個別に議論はあったけれども、一堂に会してこうした議論があったことはなかったと思うのです。そういう点が大変有意義であり、こうした審議形態が今後とられるべきであろうと、新しい計画でも政策委員会のスタイルを論議すべきということも出ていたように思います。
 最後に少し時間が残っていますので、あと1分ですね。したがって、9ページに戻りまして、中ほどの上の方にあります障害者の就労施策全体の実施状況に関して言いますと、これは福祉と雇用の関係です。つまり、厚労省で言うならば、福祉部署と雇用部署の関係をどう一体的に展開、あるいは雇用施策と福祉的就労施策のギャップをどうやってうずめていくのか。この辺は大きなテーマではなかろうか。
 また、2つ目の大きな雇用に関して言うならば、これは今、言いましたように、最高の雇用率の状況を迎えている。しかし、その一方でその内実がどうかという点で言うと、これももう少し詳しく見ていく必要があるという数字上の発展性と内実との関係をどう見ていくのかというあたりもこれから問われてくる。
 所得保障に関しましては、今、一般的に論じられています年金政策全般の見直し、この中に障害者の年金問題が位置づけられていないという問題、この辺をぜひともこれから含めて議論をすべきではないか。自営業に関しまして言うと、これも実態がわかっていない、ここから入るべきであろうということも出ていました。
 ちょうど時間となりました。どうもありがとうございました。

石川委員長 ありがとうございました。短時間でまとめていただきまして、ありがとうございます。
 この小委員会も有意義な議論ができたと、所管されている省庁とも含めてよい議論ができたと座長がおまとめになりましたけれども、幹事の方からもし何か。特段ございますか。

厚生労働省 特にないです。

石川委員長 それでは、委員の方から御意見、御質問等あればお願いしたいと思います。
 最初に石野委員、お願いします。

石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 障害者雇用について伺いたいのですが、今の説明を聞きますと、民間中心というような形に受けとめますが、国の機関、各都道府県の機関、市町村、行政機関等に関する雇用率について、重点施策5カ年計画の中の21、23ページ、国の機関は雇用率2.1%、実際は雇用している実雇用率は2.29%です。この中で教育委員会だけが雇用率が未達成という数値が出ております。実際には1.78%、未達成という辺はどのようにお考えでしょうか。
 もう一つ、国の機関への雇用で障害種別の実情がどのような実態になっているのかを教えていただきたい。
 行政では障害者の別枠雇用という形で行われています。試験申し込みの中に障害者の場合、例えば聴覚障害者の場合は手話通訳、要約筆記という形で丸をつけるというイメージを私自身持っているのですが、実は市町村や県も含めますと、手話通訳、点字あるいはそういったもののニーズの項目がないようです。積極的に視覚障害者に対しては点字を準備します、聴覚障害者は手話通訳、要約筆記を準備しますというような積極的な取り組みをしているところもあれば、そうではないところもあるというようなことで不均等が起こっていると思いますが、それは是正していただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 ほかの委員からの意見もお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 阿部委員、お願いいたします。

阿部委員 阿部です。
 先ほど藤井座長からのまとめがありました。いろいろな会議を総合的に議論するというのはとても大事なことだと思います。
 さて、教育、雇用・就労に関しては、通学、通勤というのは共通の移動支援の課題でもあります。そのようなわけですので、横断的に移動支援について議論できるのもここでできること、総合的に議論できることです。そのような議論の展開ができればありがたいなと思って意見を言わせていただきました。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。移動支援についてということで、谷間の問題ということだと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。それでは、先ほど石野委員から出された御質問がありますので、これはどうしましょう。
 では、山田課長、よろしいですか。

山田課長 厚生労働省障害者雇用対策課長をしております山田です。
 先ほど石野委員の方から御指摘のあった教育委員会の未達成問題については、こちらの方は文科省とも協力いたしまして、昨年より、特に数値が悪い教育委員会については直接厚生労働本省に呼び出しをして話をするというような形にするなど、対応を強化する形にしております。
 特に今、民間企業の雇用率の上昇ぶりがかなり激しい。それでもまだ教育委員会と逆転は起こしていませんけれども、そういうような状況があって、公的機関が民間企業の模範とならなければいけないということをちゃんと体現できるような状態にする必要があると思っています。
 公的機関の障害種別の実態については資料を持っていませんが、知的障害者、精神障害者の雇用が余り進んでいないという実態にはあると思いますので、そういったところについては今御指摘のようなことも踏まえて対応していく必要があろうかと思います。
 以上です。

石川委員長 教育委員会の件について、文科の方は。
 お願いします。

大山課長 私どもとしても残念に思っておりまして、文科省としても教育委員会に対しまして、例えば点字受験とか手話通訳など、障害者に配慮した採用方法の実施などによる改善を指導しているところでもございます。また、今後も通知や各種の会議などを通じまして、教育委員会における障害者雇用を進める取り組みを促していくように文科省としても努力したいと考えております。
 以上でございます。

石川委員長 ありがとうございました。
 中教審の報告書の中でも、障害のある教員の雇用を促進すべしというような提言が出されておりますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 関口委員、お願いします。

関口委員 どうもありがとうございます。関口です。
 2つのことにまたがって言うのですけれども、1つは、公立学校においてもこのごろ非常勤の講師の方が非常にふえている。つまり、身分が不安定なわけです。このような状態でもって、そもそも障害者をきちんと教育することができるのかという問題が前提としてあると思います。
 次に、労働問題ですけれども、これも非常勤というか、例えば6カ月で更新という労働契約を結ぶわけです。そうすると、6カ月たってだめだったらぽいっという形になる。私の場合だと1年間ですけれども、私の場合、なかなか首を切りにくいでしょうけれども、とにかくそういう形でもって年限を切って、いわゆる有期の雇用契約という形が非常に多くなっているように思うので、その辺のところを今後改善していっていただきたいと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 伊藤委員、お願いします。

伊藤委員 必ずしも本質的な議論ではないかもしれませんけれども、今、教育というのは子どもたちを育てる上で、これは障害を持った子どもだけではなくて、非常に大事な役割を果たすのですが、その教育委員会ないし教育の体質そのものがいろいろ問われている状況の中で、上から目線の雇用という問題ではなくて、教育の体質を改善する上でも、障害者の雇用をきちんと前向きに取り組むということが大事かと思いますので、そのようにできれば記述もしていただきたいぐらいだと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。もしなければ、藤井座長、締めくくりの御発言を。

藤井委員長代理 恐らくこのコーナーは決定的に足りないことを補ったりというコーナーだと思うのですが、今の御意見はまた記録していますので、最後に一言言いたかったことは、阿部委員のおっしゃった通勤問題、派生して通学も含まれるかもわかりませんが、これが縦割り行政の中でなかなかうまくいきにくい。一般雇用における通勤、また自営業者における同行。同じ厚労省にありながら、政策が使いにくい、あるいは使えない。この辺はぜひとも次期計画では踏み込んだ方向に行くべきではないか、こんなことを最後に付言しておきます。どうもありがとうございました。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、足早で申しわけありませんけれども、次の第3小委員会の氏田座長から、やはり5分程度で恐縮ですが、御報告をいただきたいと思います。

氏田委員長代理 ありがとうございます。第3小委員会座長の氏田と申します。
 第3小委員会は北野副座長とともに務めさせていただきました。御報告をさせていただきます。
 第3小委員会においては、改正障害者基本法において新しく設けられた条文、27条の消費者としての障害者の保護、28条の選挙等における配慮、29条の司法手続における配慮等に関する施策について、現行の障害者基本計画の進捗状況及び障害者制度改革を踏まえた取り組みの進展等も踏まえ、新たな障害者基本計画にどのような課題が盛り込まれるべきであるかを検討いたしました。
 これらの分野は、これまでの基本計画では限定的な内容にとどまっていることから、今後の施策の推進が望まれる分野でありますけれども、新設された条文であること、また小委員会の時間的な制約もある中で、本小委員会における十分な議論が尽くされたとは言えない面もあります。ただし、とりわけ消費生活における被害の防止あるいは選挙等の公民としての政治参画支援あるいは犯罪にかかわる司法行為とそのプロセスにおける各種のバリアフリーや必要な支援の徹底、触法障害者の地域生活支援といった、これまでともすれば俎上にあがりにくかった地域生活に欠かせない事象に対する支援が、現場の視点からさまざまな切り口によって論じられたことの意義は大変大きかったと感じています。
 本小委員会を通じて、障害者権利条約とそれを踏まえた改正障害者基本法で明記された、地域で暮らす障害者の諸権利の実現に向けて、いよいよ本格的な取り組みが我が国でも論じられ、そして展開しようとしているのだという強い意気込みが感じられました。
 第3小委員会の報告は、皆様のお手元の資料の17ページからとなりますが、本小委員会の議論において、委員及び専門委員から出された意見を論点ごとに7項目に分けて整理したものです。委員及び専門委員の主観的な意見や必ずしも実現が容易ではないという意見もございますが、第3小委員会の審議状況をできる限り正確に報告するため、そのような御意見も含め、記載させていただきました。
 また、本小委員会報告では、選挙、司法手続等に関して、必ずしも行政計画である障害者基本計画に盛り込むにはなじまない国会や裁判所の取り組みに関する意見も記載させていただいておりますが、これらの意見については、お手元の資料をごらんいただくとわかりますように、留意点をつけて掲載していますので、参照していただきたいと思います。
 ほぼ時間なのですが、次に個別のテーマについて、簡単にかいつまんで御紹介をしたいと思います。論点1「障害者の消費者被害の事前防止及び被害からの保護」では、特に障害者に身近な地域での相談、情報提供の重要性を指摘する意見が多く出されました。また、消費者団体等と障害者との連携の促進を図る見守りネットワークの拡充を求める意見もございました。
 そのほかにも、障害者自身が消費者としての権利に関する理解を深めるため、消費者教育や広報啓発活動の重要性を指摘する御意見がございました。
 次の論点2です。「選挙等における必要な配慮の提供」では、さまざまな障害を有する者の選挙権をどのように実効性のあるものとしていくのかという観点から、郵便等投票ができるものの範囲の拡大であったり、不在者投票ができる施設の拡大等を指摘する意見がございました。
 「成年後見制度と選挙権について」では、被後見人の選挙権に関する意見がありましたが、これについては国会において各党各会派で議論されるべきものに留意する必要がありますので、留意点を記しています。
 「公的活動への障害者の参画の拡大」においては、障害者の審議会等への参画を促進するため、十分な情報保障が必要であるという意見や、審議会等の委員への一定の割合の障害者の参画を義務づけるべきであるという意見がございました。
 「司法手続における必要な配慮の提供について」では、刑事裁判では取り締まりの可視化に関する意見あるいは障害特性に対応した適切な情報保障の必要性を指摘する意見がありました。また、刑事裁判、民事裁判に共有する意見として、司法に関係する全職員に対して、障害者に対する理解や合理的配慮に関する研修が必要という意見をいただいております。
 しかし、これについても行政だけの取り組みだけではなく、裁判所における取り組みも含まれてくると思いますので、裁判所の取り組みの事項については、三権分立の原則との関係で、行政が策定する障害者基本計画に盛り込むことはなじまないということも留意しておく必要があります。この項目についても留意点を記しております。
 「司法手続等における研究の実施について」に関しても、これらの手続にかかわる者に対する研修の必要性について御意見がありました。
 また「障害を有する受刑者・出所者等に対する処遇及び支援の在り方について」では、刑務所内での介助のあり方に関する意見、受刑者への処遇に関するプログラムと、出所後の地域定着支援のあり方に関する意見。地域生活定着支援センターにおける取り組みのさらなる推進を期待する意見等がございました。
 今後の政策委員会における新たな障害者基本計画に関する検討においては、本小委員会の審議状況を踏まえ、また新設された条文でもありますので、さらに議論を深めていただくことをお願いしたいと思います。
 第3小委員会からの報告です。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、消費者庁あるいは法務省の方から何か特段ございますか。よろしいですか。委員の方から御意見、御質問等お願いしたいと思います。
 伊藤委員、新谷委員、竹下委員、後藤委員の順にお願いします。

伊藤委員 21ページにあります留意点のところですが、三権分立ということ、つまり、司法の独立ということと、障害者の基本計画とがなじまない点があるという意味がよくわからない。これは同じ憲法の中でやっていまして、司法と言っても裁判所だけではなくてさまざまなところがあるわけですけれども、ここだけが日本の障害者福祉のらち外にあるということの法的な意味は何かあるのかどうかお伺いしたい。

石川委員長 これについては法務省の方から御発言いただく方がいいかなと思うのですが、いかがですか。
 では、先に。

竹下委員 私も伊藤委員と全く同感というか同じ意見です。留意するということ自身に何も文句を言うわけではありませんが、障害者基本計画の中で裁判を受ける権利あるいは障害者が司法の場でどれだけ訴訟当事者として十分な配慮を受けるかということが障害者基本計画、すなわち国を挙げて行うべきトータル的な計画から排除されるということはあり得ないことだと思います。少なくとも裁判の独立とは全く無関係です。こんな形での議論の仕方はやめていただきたい。法務省、もし間違っていたら指摘してください。
 以上です。

石川委員長 それでは、よろしいでしょうか。
 法務省からの御見解をお願いできればと思います。

法務省 法務省でございます。
 この点につきましては、事務当局の方で整理されることかと思いますけれども、恐らくこれは政府としての障害者基本計画のとりまとめということになると思いますので、裁判所は政府ではなくて三権の中の裁判所ということなので、範囲から外れていくのではないかと思われます。
 以上です。

竹下委員 それはおかしいです。座長、私はそんな見解は納得できない。それは明らかに法律家として黙っておられない。

石川委員長 冷静な御議論をお願いしたいと思います。
 竹下委員、お願いいたします。

竹下委員 法務省、それはおかしい。確かに裁判所の制度であったり司法の分野に関する法律の改正や、あるいは制度の改善に関しては、法務省がそれを審議するときに裁判所を含めた司法関係者を取り入れたところでの審議会で法律改正等をやっていくということは百も承知です。それを行うのは法務省でしょう。法務省は内閣の一機関ではないのですか。
 そういうことをごく当たり前のことでもあるにもかかわらず、そういう形でものを整理してしまうということは、後で禍根を残すと思うので、そうではなくて、この分野については留意するというのであれば、裁判所をも交えたところでの裁判を受ける権利あるいは司法の場面での障害者の配慮について検討していきましょうということのまとめが必要ではないのでしょうか。
 終わりです。

石川委員長 事務局の方、何か東室長。

東室長 誰もが納得できるような意見は、今は、持ち合わせていないというところであります。

石川委員長 法律家にそういうふうに言われてしまうと私は何と言っていいのか困るのですけれども、急にボールが戻ってきてしまいまして、形式的に言いますと、内閣府設置法37条を根拠とする行政機関ということで、行政府としての基本計画への意見具申ということで三権分立については前回東室長もおっしゃっていたと思いますが、だから範囲外だということにではなくて、こちらはこちらの責任においてやるべきことをやるし、司法と立法についても同様にやっていただきたいという意味を込めた話で、留意点というのはそういうことも含めているのではないかなと思うのです。
 この点につきましては、こういう議論があり、意見が分かれているということを、とりあえずは今日の段階では全体で確認するということで先に進めてもよろしいでしょうか。
 どうぞ。

藤井委員長代理 今、幹事の方から、これは行政計画だから、政府計画だから関係ないとおっしゃったのですが、そうしましたら、逆に幹事に質問したいのは、では障害者基本法の29条の司法に関しては、行政計画とは別に障害者に関する司法計画を別個につくるあるいはつくればいいという論法になっているのか、その辺はいかがでしょうか。再度質問したいのです。

石川委員長 これは法務省、お願いできますか。

法務省 すみません、法務省がお答えすることですか。政策委員会でどう取りまとめになるかというお話。

石川委員長 これについては、政策委員会として考えていただきたいというのが幹事からのコメントだったのですけれども、どうしましょう。
 これは委員長としての立場で申しますと、2つの選択肢しかないと思います。つまり、行政機関であるにもかかわらず、そこをある程度乗り越えて、基本計画についての意見具申の中に、基本法の29条に書かれたことを実現するためにどういうことが必要なのかということを、ある意味で行政機関の範囲を乗り越えそうになりながら書いていくことを意見具申するか、司法及び立法府における障害者の基本法あるいは権利条約の趣旨に照らして進めていっていただきたい施策について検討していただきたいということを基本計画への意見具申とは別に述べるか、どちらかあるいは両方かもしれませんが、そういったような対応になるのかもしれないと考えております。
 私が今この場で言えることはそのぐらいのことなのですが、何かございますか。
 新谷さん、どうぞ。

新谷委員 関連してしまう質問だったので、意見をどのタイミングで出すのか躊躇していたのです。私が質問したかったのは立法府の関係です。例えば公職選挙法の字幕付きビデオの持ち込みを禁止するという法改正は、総務省では全然タッチできない。議員さんのお話だということで立法マターだということになっているわけです。それで今持ち込みビデオは実現していない。
 先日、子ども議会が開かれて、そこには手話通訳とか要約筆記がついたという話があったので、質問したのです。どうして国会に字幕のスクリーンをつけないのですかとか、傍聴者は聞こえない人はスクリーンを見ないとわからないわけですから、それは議院内の問題なので立法府マターだとなっているわけです。だから、司法よりもっと厄介だと思うのですけれども、所轄官庁はどこにもないわけですから、全部政党にお任せの話なので、今回の障害者基本計画でそれを書くというのは僭越であれば、少なくともそういう議論がありましたぐらいの問題提起はどこかでやっておかないと、問題だということさえどこにも浮かび上がっていないところがあるわけです。
 ということで、確かに計画で委員長がおっしゃるように私たちは分をわきまえないといけないのだけれども、少なくとも問題のありかぐらいは言うことはできると思うので、それはここの留意点と同じように、私は選挙に関するところでも議論がなかったのかなと、それぐらいのことは書いてほしかったなということがあります。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。分をわきまえるということではなくて、それぞれが責任を果たすべきであるという意味で申したつもりなので、そのように御理解いただければと思います。
 あと伊藤委員、先ほど手を挙げていらっしゃいましたでしょうか。

伊藤委員 三権分立ということを言ってしまいますと、今、新谷委員からもあったような国会の問題とかいろんな問題も出てくると思うのですけれども、本当に障害者の福祉を確立していく、本当に障害者にとっても住みよい社会をつくっていくのだという意気込みがあるのでしたら、相手が裁判所であろうと、国会であろうと、言うべきことは言う、我々はこういうことで進みたいのだということをはっきりと言っていただく、そういう計画であっていただきたいということを要望したいと思います。

石川委員長 既に議論としては、大きく言うと2つの立場の議論が出てきておりまして、これについてどういうふうに対応するかについては、委員長代理、事務局とも相談して検討させてください。あずからせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 後藤委員、どうぞ。

後藤委員 日本福祉大学の後藤でございます。
 第3小委員会におりまして、補足です。20ページの一番下の○で、審議会への一定数の障害者の参加について両論併記されています。どのような種類の審議会にも障害の方が一律に参加すべきというのと、それは時期尚早という意見です。当日も議事録のまとめも時間が押しましたので、発言した皆さんと後でお話ししました。文章はこの形で出ていますが、以下、その補足です。
 基本は男女共同参画と同じ理屈で、施策を時代に対応したものにすべく多様な方々を委員に加えるということです。その点、女性であることと障害であることは同じなはずということ。一方、小委員会でそれだけでもなかろうという議論が出ました。
 趣旨を発言者にお伺いしましたら、一律障害者の比率にすると、この政策委員会のように半分入っているところは却って少なくなるという指摘で、それでややネガティブな表現が併記されています。その点は、障害の方の参加の数をまず確保して、必要なところは上乗せすればよいのではということで同じ認識と話し合っておりました。
 小委員会全員にお諮りしたわけではありませんが、当日発言した皆さんとは、そのように認識を共有しておりますので、補足させていただきます。

石川委員長 ありがとうございました。
 副座長の北野委員、どうぞ。

北野委員 今の後藤委員の御意見も踏まえて、実は20ページの両論併記というのは、主に後藤委員と北野が言った2つの意見の両論併記でございますので、横で今一緒に並んでおりましてその議論をしておりましたら、これは議事録で後で確認してもらえたらよろしいのですけれども、私も見落としておりまして、実は最初のところの部分が、つまり男女共同参画の仕組みと同じように、一定比率を定めて実現すべきであるとおっしゃったのが後藤委員で、私の方は障害者の制度、政策に関する審議会は「過半数を目指す」と言わずに、「過半数とし」と言ったように思うのです。
 あと障害者にもかかわる医療や福祉、教育等の一般的な審議会または国民一般の生活にかかわる委員会等については、一定の比率を定めてその実現を目指すと、それに近い表現をしたつもりですので、これは目指すという表現にしてしまいますと、非常に低いレベルでなってしまう可能性がありますので、この表現はできましたら「目指し」ではなく「過半数とし」という表現。目指すのは、実現を目指すのであって、一定の比率を定めてその実現を目指すという表現で、できましたらこれを直していただけたらというのが1つです。
 もう一つは、大事な議論で本当に法務省の方々からも、要するに留意点という問題が出てきまして、私も実は余りそういうことに詳しくなかったものですからどうしていいのかわからなかったのですけれども、今日、新谷委員からいただいた、はっきり問題提起としては明確に基本計画の中でうたっていきたいなと思うことが1つ。
 もう一つは、できましたら法務省の方からつないでいただいて、裁判所の方でいろいろな試みをしていただくことをかなり進めていただいて、そこの進捗状況について表現できるような連携の仕組みをぜひとも進めていただければと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 ちなみに、第5小委員会の方では、国立国会図書館にヒアリングという形で来ていただいて話をしていただくということが予定されていると理解しております。
 どのようにして進めていくかについては、繰り返しになりますので申しませんけれども、今日の議論を受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、これでパート2は閉めさせていただきます。
 では、30分まで休憩させていただきます。

(休憩)

石川委員長 よろしくお願いします。
 パート3ということで、障害者基本計画に関する総論及び推進体制について、これから5時まで90分、45分ぐらいずつに分けて議論をしていきたいと思います。
 まず、事務局の方からお願いいたします。

東室長 担当室の東です。
 障害者基本計画の総論部分につきましては、前回の親会でも議論していただきました。前回の会議では、権利条約及び障害者基本法を踏まえた計画とすべきであるとか、基本的な方針の横断的視点と重点的に取り組むべき課題はまとめるべきといったような意見が多かったのではないかと思います。
 また、計画期間というものについては5年として、重点施策実施5カ年計画と障害者基本計画、これは別々にするのではなくて一本化すべきだろうといった意見も強かったものと思っております。
 今回、資料として、資料4「新たな障害者基本計画に関する障害者政策委員会意見(仮称)」ということで骨子案を出しております。前回のそのような議論を踏まえて作ったものであります。
 この中で総論は「I 基本的な方針」と「II 横断的事項」ということで構成したらどうかと考えております。
 まず「I 基本的な方針」の「1.基本理念」には改正障害者基本法の趣旨を踏まえて、今回の障害者基本計画の基本となる目的とか理念を書いたらどうか。
 次に「2.基本原則」に記載されている項目は、改正後の障害者基本法3~5条の基本原則の項目を記載しております。今回の基本計画では、これらの法律の条文を敷衍して計画の原則として記載したらどうかと考えているところであります。
 「II 横断的事項」の部分は、個別の政策分野を超えて、計画全体に共通する横断的な事項を記載してはどうかと考えております。お配りしている資料に記載されている柱立てといったものは、現行の障害者基本計画と基本的には同じものになっております。
 「III 分野別施策の基本的方向」は、各論で議論していただくところですので、次の「IV 推進体制等」であります。この部分には、障害者基本計画をどのように推進していくのかという観点から、計画全体の実施、推進に関する事項が記載されるということになろうかと思っています。
 まず、今回の基本計画の計画期間は5年として、現行の基本計画に記載されている重点施策の実施5カ年計画の策定はしないということを前提にして考えております。
 その上で、「1.連携・協力の確保」といった部分では、省庁間の連携とか、中央と地方自治体の連携とか、公的機関と障害者団体や民間団体との連携。これらの基本となる事項が書かれるべきではなかろうかと思っております。
 「2.計画の評価・管理」というところなのですが、施策を実施する各省庁において、まずは自己評価等をするということとともに、障害者基本法に基づく障害者政策委員会の監視等について、この部分で書くべきではないかと考えているところです。
 「3.法制的整備」という部分では、計画の評価等を踏まえ、法令の見直し等が必要となった場合、必要な法制的整備を行うといったものがここで書かれるのかなと考えているところです。
 最後に「4.調査研究及び情報の収集・提供」というところがあります。ここでは施策の実施に必要な調査研究や情報収集、そういったものを行うとともに、情報提供を充実させるといったことが書かれるかなと思っています。大体こういったような枠組みで意見をまとめ上げてはどうかという提案であります。
 事務局からは以上です。
 期間については、恐らく10年という人はいらっしゃらないと思いますので、5年ということを前提に議論していただければと思っているところです。

石川委員長 ありがとうございました。
 では、総論及び推進体制、どの程度関係してくるかわかりませんが、これまでは10年という期間でバージョンアップするということになっていたかと思いますけれども、前回の政策委員会では長いのではないか、5年ぐらいが適当ではないかという議論もあったかと思います。
 佐藤委員の方からどうぞ。

佐藤委員 佐藤久夫です。
 この基本計画は93年の障害者基本法のときから法律に基づく計画になったわけですけれども、その場合、法律に基づかない10年というのもあって、それは国連の障害者の10年のときと一緒に合わせて始まったわけで、その後、アジア太平洋の10年と、全く3カ月の年度と年の違いはありますけれども、10年ということでずっとやってきているわけで、今、来年から「アジア太平洋障害者の十年」の第3期目が始まろうとしているわけですけれども、そういう国際的な歩調と合わせてやってきた日本の長期計画を5年にしてしまうという確かに変化の激しい世の中なので、それも一案なのかもしれませんけれども、その辺の国際的な関係をどういうふうに、離脱するわけではないにしても少し時間が違ってくるということで位置づけが変わるのかなと思うのですけれども、その辺の御議論はいかがなのでしょうか。

石川委員長 中西委員、お願いします。

中西委員 中西由起子です。
 第1回、第2回の「アジア太平洋障害者の十年」の進捗状況において、中間年での評価というのがあって、日本での中間年の評価が一応発表はされるのですけれども、私自身、それが何に基づいての評価なのか、いつも余りよくわからなかったので、逆にここで5年と区切ることによって、中間年の発表に合わせられて、私個人として今のお話を伺っていたときにとてもいいと思いましたので、あわせてその意見もお考えいただいたらと思います。

石川委員長 ありがとうございました。中間の評価ということもあるので、5年に区切っても10年でちょうどきっちり同期がとれるということもありますが、佐藤委員、いかがでしょうか。

佐藤委員 どういう指標でどう評価するのかということが余りはっきりしないまま10年いくよりは、きちんと総括をして、総括をするためにもどういうインジケーターで評価をして、どこが進んでどこが残ったのかということをきちんとやらなければ5年も10年も余り変わらないですけれども、そういう指標をきちんとして評価しながらやっていくということであれば、むしろ5年の方がいいのかなとも思ったりもしています。

石川委員長 ありがとうございます。
 藤井委員長代理、ちょっとお伺いしたいのですけれども、インチョン戦略で政府の代表でいらっしゃったと思うのですが、たしかインジケータ(指標)について、モニタリングの際に指標をきちんとつくってやっていこうという話がまとまったと仄聞しているのですが、そのあたりについて何か御紹介いただくことは可能ですか。

藤井委員長代理 今度の韓国インチョンでの会議は、向こう10年間の新しい行動規範をつくったのです。これには10のゴールと23のターゲットとインジケートが49。つまり、ゴールは大きな方向を決めて、ターゲットを決めて、さらに指標を細かく決めて裏打ちしている。10年間という行動年限になっているわけです。だから、アジアのことを考えると、佐藤委員がおっしゃったことは大変大事だと思うのですけれども、大事なことは東さんがおっしゃったことは、5年間で終わるというのは、5年間セットでまた続けるということが多分背景になりますので、そうすれば5年5年というセットにしてやっていく。
 ただし、インチョン戦略の中で大きいテーマはやはり10年かかるだろうと、日本もそこはあると思うのです。ですから、今は10年が重点5カ年となっているのだけれども、今度は5年をセットにしていって、大きい目標も少しぐらいあってもいいのではないかということで、今までと逆になっていくことによって、アジアとも整合性を保つ。
 だから、全部5年ぶちっと終わることよりも、大きなテーマは、少しぼんやり10年間ということがあっても、アジアを意識しながらあってもいいのではないか。おわかりのようにアジアの場合は、やや言葉は注意しなければいけないのですけれども、53カ国のESCAPの加盟のうち、多くは途上国であります。したがって、ロングプランでなければなかなかいきにくいということもありますので、少し日本の状況とは違うので、そう考えると今回は5年を重点化していってよほど大きいテーマは10年ぐらい展望するということの方がいいのかな。これがインチョン会議を含めた感想です。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。大体ざっくりと皆さんの御意見が出たと考えてよろしいですか。そうしましたら、中期、長期というか、どういうふうにしてくかはまた相談させていただいて、次回、12月の政策委員会の際に提案という形をとりたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 後藤委員、どうぞ。

後藤委員 後藤でございます。
 10年であれば、政府としても10年でこれだけかとなるので気合を入れたのをつくろうということになると思いますけれども、5年や3年ですと、割と実務的な計画になる。実務的なのは各省の法令、作用法で日々の取組みでできるのでないか。先にも申しましたが、例えば10年にして2年ごとにローリングすると、逆に5年にしてローリングなしより短期間で実態に合わせられると思います。
 どちらがよいかは別として、内容と期間とがセットになるものだと思います。つくるのは割と実務的なものなので短くしようというならそれで1つの見識と思いますが、野心的なことをしようとするなら、これだけ時間があるのにしないのかと政府と議論するのも1つの方法と思います。

石川委員長 ありがとうございます。
 そうしますと、この話は先送りにすべきではないという御指摘を含んだ御発言でありますか。今、決めろということですか。

後藤委員 議論しながらでもいいかと思います。10年にどうしてもしてくださいということでもないのですが、5年に今決めてしまうのもどうかと思いますので。

石川委員長 分かりました。ありがとうございます。この点について保留にさせていただきつつ、これはここまでにさせてください。
 関口委員、どうぞ。

関口委員 5年にしろ、10年にしろ、基礎は改正障害者基本法にならざるを得ないと思うのです。ですから、そういう意味で言うと、ここに配られている障害者基本計画の古いものに、「はじめに」ということでもって、これからの小計画に沿ってノーマライゼーションとリハビリテーションの理念のもとに着実に推進されてきたという部分に関しては、やはり第1条目的が障害の有無にかかわらず等しく基本的人権を共有するとなっているわけですから、多様性と受け取ることはできるし、その後のことは多分地域社会における共生ということになると思うのですけれども、このところをきちんと位置づけるということは、5年であろうと10年であろうと極めて重要なことだと思いますので、貫く柱だけは一応しっかりと議論していただきたいと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、その貫く柱、総論のところについて議論していきたいと思います。今から35分ぐらいやらせていただきたいと思います。その前に確認ということで、基本計画は今年度中に新しい基本計画を内閣の方で閣議決定していただく必要がありまして、そこから逆算すると、本委員会の意見具申を取り上げて、できるだけそれを採用していただくには、次回の12月17日の政策委員会で案文などを提案して議論していただくという形をとらないと間に合わないと考えております。
 そのために、今日が総論と推進体制について実質的に議論できる委員会となりますので、今日、できるだけ議論したいということで御協力をお願いしたいと思います。
 それでは、総論につきまして御意見を頂戴したいと思いますので、挙手をお願いいたします。
 竹下委員、大谷委員の順にお願いします。

竹下委員 竹下です。
 基本的にこの提案に賛成したいと思います。その上で、次に出てくるであろう文案のために少し内容でお願いしたいのは、Iの「(2)差別の禁止」という項目であります。御存じのとおり、内閣府が何年おきかわかりませんが国民調査をやった際に、前回の調査よりも今回の調査の結果として国民の意識が、日本には障害者に対する差別があると思うと答えた人が増えているのです。
 さらに重要なのは、国の施策が障害者の差別を解消するのに役立っていると思うかという答えに対しては、たしか51%の人が役だっていないという答えになっていたと思うのです。こういう実態が前提にされるべきであって、その点で立法と、立法を踏まえた、今後の5年なのか10年なのかわかりませんが、我が国における障害者の基本的人権の保障がどういうふうに今後充実していくのかということをこのIの(2)のところで十分実効性のある総論の記載にしていただきたいということがまず第1点目のお願いです。
 第2点目の問題は、同じ総論の中で、(1)の地域社会における共生というのがあるのですが、この地域社会における共生というのは、ほぼどの公的文書にも出てくるようになってきているわけですけれども、しかし、その中でもう少し具体性を持った総論という日本語はおかしいのでしょうか、具体性を持ってイメージできるものでそのことが各論にあらわれるような記載が必要だろうと思っております。
 それはなぜかと言いますと、男女問題であったり、障害者問題であったり、どの分野をとってみてもノーマライゼーションという抽象的な定義としてはほぼ定着してきているにもかかわらず、いまだ地域社会における共生が現実には前進していないという認識が皆さんの中に共通していると思うのです。すなわち、そういう理念が十分に浸透してきているはずなのに、地域社会における共生が前進していないことの要因を十分に取り除くためのこの部分での指摘が重要であるということの記載をぜひ文案の際には意識していただければと思っております。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 そうしましたら次に、大谷委員、お願いします。

大谷委員 大谷です。
 竹下委員とほぼ同趣旨ですけれども、具体的に地域社会における共生を各論に持ってこなければ、分野別施策の基本的方向性にこの基本原則を生かすべきであるという立場でなければ、結局また絵に描いた餅になってしまうと思うのです。
 その点に関して、もう一つ前の議論で非常に危惧しました。というのは、教育で小委員会でまとめたところに関して、幹事が意見を述べたところは我々教育だけだったのですけれども、具体的に何に対して意見を述べたかというのは、インクルーシブ教育推進に関してということと、初等中等教育において就学先の決定においては、保護者、本人の意向を尊重すべきである、これがほぼ大勢を占めたという意見に関して文科省は、私は文科省のいる場で意見を言いたかったのですけれども、発言の機会を与えられませんでしたのであえて言わせていただきます。結局それは条文を例示して、条文の中に「可能な限り」と書いてあるからというようなことで意見を言ったのか、趣旨が不明だったのです。大勢ではなかったのではないかというような趣旨の意見を述べられた。
 しかし、私が記憶する限りでは、これに対して明確に反対した人はいない。特に障害者の就学先決定においては、保護者、本人の意向を尊重すべきであるというのは、宮﨑先生すら私もそう考えていると言って、これは反対意見が全くなかったにもかかわらず、これが大勢であったということに関して文科省が異論を言う、反対意見を述べるかのようなことを述べて、それに対して私がその場で反対意見を述べることもできなかったということに関しては、正直申し上げて議事進行にも不満がありますけれども、いいです。

石川委員長 すみません、先ほど手を挙げられたのですか。

大谷委員 挙げたのです。挙げたけれども、時間がないということで切られました。

石川委員長 それは失礼しました。

大谷委員 それはともかくとして、今回もこういう形でせっかく我々が意見を言っても、結局幹事省庁においてそれは通らない。特に障害者基本法は我々が推進会議のときからずっとやっているのは、「可能な限り」と入れられたところに関して、「可能な限り」は国会においても最大限努力すると確認されているにもかかわらず、それはまだできないという形で、その文言を使って消極的な意見がまかり通ってしまうかのようなことが先ほどの討議で見えてしまったのではないかと危惧しております。
 ですから、絶対、「可能な限り」というのが地域社会における共生もそこは入ってしまいましたので、各論においてもそこは生かすのだと、具体的に雇用、教育、移動支援、全てにおいて可能な限り地域における生活を保障するのだという方向性をもう一度確認して、具体的に総論は各論で具体化するということをきちんとした私たちの意見にしていただきたいと思っています。
 そこにおいて省庁間の討議がかなり難しくなってくるのだろうと思いますけれども、やはり我々の意見は意見として、きちんと大勢を占めたなら大勢を占めたという形で通させていただきたいなと思いますので、そこは冒頭、これから具体的な文言を作成するに当たってもぜひ配慮していただきたいと思いますので、述べさせていただきました。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 先ほど新谷委員と尾上委員が挙手されていたと思います。では、とりあえずお願いします。

新谷委員 新谷です。
 総論と言いながらちょっと細かいところに入ります。第2回目の政策委員会のときに一言申し上げましたけれども、障害者手帳の制度について踏み込んでほしいということを出したのですが、それを検討する場が恐らくこの後もないのではないかという気がしますので、意見だけ出させていただきたいのです。
 少なくとも障害者基本法の第2条で、障害者というのは身体障害、知的障害云々で、社会的障壁によって継続的に日常生活で困難を受ける者という規定が入ったわけです。これを受けて、例えば福祉サービスの総合支援法というのは相変わらず実定法、身体障害者福祉法の規定する障害者ということで、その施策については全然変わっていない現状があるわけです。
 先日、日身連を通じて厚生労働省の方に、とにかく障害認定の聴覚障害に関する別表というのは余りにも国際規格を逸脱しているということで何とかしてほしいとお願いしたら回答がきたのです。そういう実態については、全部身体障害認定分科会で決めていますと、そこで全部決めているので、そこに全部げたを預けていますということだったわけです。
 だけれども、考えてみれば、この議論を3年前から始めているのですけれども、一番最新の身体障害認定分科会が開かれたのは平成21年6月11日なのです。ここで3年間も議論したのに、全くその話が認定分科会に伝わっていないわけです。ということは、今回の政策委員会の提案する障害者基本計画の中に、そういうことが課題であるので、検討課題として厚生労働省なら厚生労働省で検討するという一文が入っていないと、私たちがこの問題を認定してほしいという提案ができるのかどうか、全然わからない。手がかりとしては、この委員会しかないのです。
 今回の基本計画のどこかに、手帳制度まで踏み込めないのであれば、その前段階として障害認定が変えるような書きぶりを計画の中に書いていただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 尾上委員、お願いします。

尾上委員 ありがとうございます。尾上です。
 推進体制は後で議論しますか。それとも今一緒にですか。後ですね。
 まず1つは、「はじめに」あるいは「1.基本理念」のところにかかわるかと思いますけれども、この8月20日の政策委員会では、障害者権利条約と完全実施あるいは性能規定的な記述が必要だという御意見もあったかと思います。その上で、今回、基本法の改正ももちろんあるわけですけれども、特に推進体制の中で法的整備というのも入っていることからしますと、この5年間、その批准の時期がいつかというのはまだ予断はできないですけれども、少なくともこの基本計画の時間の中には権利条約の批准というのは当然入ってくる。そのための法的整備が必要なのだみたいなことがわかるような記述が1点必要ではないかというのがあります。
 その上で、先ほどから出ています地域社会における共生ということ、これ自身は基本法の第3条に書かれていることでありますけれども、このフレーズ的に共生というのが使われてしまうとすごく情緒的に受け止められる場合は、みんな一緒に仲良くしたらいいのですけれども、気持ちの上で仲良くすればいいでしょうみたいな感じに受け止められてしまわないように、やはりここは改正基本法の第1条の今回の改正の目的の趣旨というのは、1つは権利の主体ということの確認と、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会。共生というのは障害の有無によって分け隔てられることがないのだということをしっかりと中に書き込んでいくべきであると思います。それが1点です。
 2つ目は、質問にもなるのですけれども、今回の改正基本法の中で総論に当たる部分で第2条の定義。障害の範囲についても非常に大きく変わったと思っています。これを踏まえた部分の、それに対応した項目がないと思っています。
 なので、まず1つは基本理念の中に、言わば第2条を読み上げることはしませんけれども、包括的な、かつ社会モデル的な観点の障害の定義を踏まえてちゃんとやっていくべきだということを記述すること。さらに「II 横断的事項」の「2.利用者本位の支援」というのがあります。(1)のところに切れ目のない総合的な支援というのがありますが、今までどちらかというと推進会議や総合福祉部会を含めて議論してきたことからすれば、切れ目のないシームレスというのは非常に大事なのですが、もう一つ、谷間がなく切れ目のないという、「谷間がなく」というのをここに入れるべきではないか。谷間がなく切れ目のない総合的な支援というところを入れてほしいと思いました。
 推進体制は後でまた申し上げます。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。ほかの委員からも御意見がございましたら、挙手をお願いします。
 では、勝又委員、後藤委員の順にお願いします。その後またお願いします。

勝又委員 ありがとうございます。勝又です。
 「I 基本的な方針」の「2.基本原則」の「(2)差別の禁止」のところに、ぜひとも女性障害者の複合差別の解消ということを入れていただきたいと思います。
 障害者の中で約半数を占めている女性が置かれている、より厳しい状況というのを明らかにして、そこの解消なしには障害者全体の状況の改善はあり得ないと思います。差別の禁止については、先ほど差別禁止部会の意見の中にも、国の基本的責務に関して特に留意を要する領域として、障害女性の問題、複合差別の課題を入れていただいております。ですから、ぜひともここに入れていただきたいというのが意見です。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 後藤委員、お願いします。

後藤委員 2つありまして、1つはバリアフリー化の推進、IIの1にあります。今度は社会モデルをちゃんと反映させる必要があります。UDが大事、バリアフリー化を推進というのは前の基本計画にも書いてありましたが、ここから何が進んだかが問われると思います。
 ユニバーサルな部分は基本部分として、その上に合理的配慮があるという構造をちゃんと書くこと。できるだけ、なるべくというと、先ほどの御議論のようにできるだけできるところはしました、できないところはしませんになりますので、ユニバーサルなところはナショナルミニマムとしてこの水準を満たすことが必要であるとちゃんと書く。それをやらないと、自治体ごとにお金がないのを理由に、各地でものやサービスの給付がまちまちになっていまして、権利条約にいうところの暮らす場所を選ぶという権利を阻害する。この議論は随分してきたと思いますが、合理的配慮やユニバーサルデザインを最初のここに書く。これが1つ。
 もう一つ、尾上委員が指摘されましたが、批准を目指し、権利条約の精神をちゃんと実施していくということを一番基本に書く。それとセットですが、間に落ちる問題で、何々省の何々政策はしましたが、権利条約の視点からは漏れていましたというのを心配します。いわばバスケット条項のような、その他これに類することと、全部類することを受けるような書き方、権利条約の漏れがないようとの精神を1か2か、2ではないかと思いますが、入れていただければと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 また挙手をお願いいたします。
 阿部委員、伊藤委員、関口委員、北野委員、三浦委員長代理、今の順番でお願いします。

阿部委員 阿部です。
 現在検討している基本計画はとても大事なものです。さて、これを地域でどう活用するかというと、地域では各自治体の障害者計画ということになります。しかし、自治体における障害者計画の年度と基本計画の年度がずれているという実態がありますので、なかなか地域に反映しづらいという問題があります。この辺のところについて、今回検討している来年度から国が示す基本計画が地域の障害者計画、ないしは障害者保健福祉計画に反映するような仕組みを何とかつくれないものなのかどうか、それがとても大切なことだと思います。
 もう既に障害者計画がつくられていて、計画年度はさらに長い期間あった場合にどうやって反映するのかということも考えていけるような、そこまで踏み込めないのかなと思いながら、ここで発言する場所ではないかもしれませんけれども、私たちの暮らしている地域で活用する場合にはとても大事なことなので、発言させていただきました。

石川委員長 ありがとうございます。
 伊藤委員、お願いします。

伊藤委員 伊藤です。
 よく切れ目のないとか、谷間のないと言いますけれども、それは一体具体的にはどういうふうに取り上げていくのかというのがなかなか難しい問題なのです。そこのところを具体的な表現ができるのであればお願いしたいと思います。
 もう一つは、障害による分け隔てがないという問題と、では対象とする範囲という問題とは矛盾するのか、しないのか、そこをどうするのかということは総論の中ではきちんと議論した方がいいように思います。
 そのことを前提とした上で、3つ意見があります。
 1つは、難病を今度は入れるということは、以前と違ってその他という表現ではなくてもっとはっきりと明確に入れていただきたいのですが、ではこの難病というのは何かという問題をきちんと取り上げなければならないのと、現在の障害者福祉で取り上げられています内部障害という、これはもう疾病なわけですけれども、それとどう違うのか。どこで線を引くのだという問題もありますので、むしろそこのところはもっと総合的に位置づけをするような表現で取り入れていただきたいと思います。
 2つ目は、先日の新聞のどこかに大きく出ていたと思いますけれども、こういう基本計画であっても、個別法であっても、現場の、実際に遭遇している障害者の方が何か意見を言う、あるいはSOSを出してくるということ、どこに言っていいのかがわからないわけです。実際そういう場所もないのだと思うのですが、そういう強力な監視機構、遂行はもちろん行政でやればいいわけですけれども、そこを監視していく機構をこの中で盛り込まないと、前向きのいいことだけ書いてあって、ではうまくいかない場合には誰がどこでどのように意見を言っていけばいいのかということは、大きな問題になりますので、常設でそういうものが各県にも全国的にも必要であろうというのが1つです。
 もう一つは、器具の問題ですけれども、先ほどどなたかおっしゃったように、幹事がいなくなってしまったのですが、大変気になったのは、先ほどの司法の場合の発言の問題でありますが、文科省で本当はあのとき言いたいと思ったのですが、例の私立ですからできませんみたいなことについては、後でそうではないみたいなことを言っていましたが、先ほど小委員会の取りまとめについて、2回ぐらい同じことを繰り返しましたね。これは結論ですかとか、まとめですとかということを前提の上に、何だかわからないことをいっぱい言っていた。あの真意は何だということをはっきりしないと、今後いい計画をつくっても、具体的に実施する省庁との関係が大きな障壁ができたままになってしまうか、あるいは無視されてしまうか、どちらかだと思うのです。
 そういう意味で、別にこの委員会で言わなくてもいいのですが、どなたかが、あのときの課長さんがおっしゃった、2回も繰り返したあの真意は何なのだということはぜひ確認した上で、各省庁も取り込んだ基本計画になるような実施の体制をお願いしたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 関口委員、お願いします。

関口委員 ありがとうございます。関口明彦です。
 まず、基本理念についてですけれども、古い障害者基本計画にあるノーマライゼーションとリハビリテーションという文言を残すのかどうかということを最初に検討していただきたい。どうも福祉の世界とか何とかを見ていますと、今ごろようやくノーマライゼーションとリハビリテーションに目覚めてきた感じがしないでもないのですが、時代は先に進んでおりまして、私はダイバーシティとインクルージョン、つまり、多様性の尊重と包含、共生ということだろうと思います。ここをどう接合していくのか。ノーマライゼーションとリハビリテーションという文言に対してどう評価をしていくのかということが1つ。
 もう一つ、気になっているのは、障害特性に応じた施策の推進というのがございます。古い方の障害者基本法を見ますと、まず6ページ、11ページ、29ページに精神障害者に特化したことが出てまいります。
 第1条目的でもって、等しく基本的人権を共有するかけがいのない個人として尊重されるとなっているわけですから、障害特性ということに余り振り回されると、ここの部分がないがしろになるのではないかと非常に危惧を持っております。そこで、その辺に関しては、ここまでは基本的人権と、ここから後は障害特性においてやむを得ない合理的配慮という線引きを厳格にしていただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。概念のスリム化とかいろいろ御指摘をいただきました。
 北野委員、お願いします。

北野委員 気になることが幾つかありますけれども、3つぐらい言わせていただきます。
 1つは、5年、10年という議論がありましたが、障害者基本計画と前期、後期と重点施策実施5カ年計画との関連がいま一つよくわからなかったものですから、議論してつくったものと、国、省庁が勝手に出してこられるものというところで、5年計画についてはほとんど意見が言えない状態でしたので、今後は5カ年計画として明確に私たちの意見を反映できる仕組みになる方がよい面もあるだろうと思うのですけれども、そのときに気になりますのが2つ目の意見なのです。
 平成14年に障害者基本計画に関する懇話会というのがありまして、その懇話会で5回議論されて障害者基本計画というのが出てきたのですが、私の記憶によりますと、たしかあのとき、精神病院の長期入院問題であるとか、かなり大切な問題が議論されたのですけれども、そのことがほとんど反映されないような計画が出てきたということです。私は今回はっきり申しますけれども、私たちがこれからやる6つの小委員会でつくる意見が一体どんな形で反映されるのか。どういう形でそれが盛り込まれたものになるのかということが明確にならなければ、こんなものを議論していても意味がないのだと思うのです。
 はっきり私たちがここで議論しているものが明確に計画に反映されていくということでなければ、この委員会は前の懇話会と同じになってしまい、ここが大きな問題ですので、ぜひとも今後6つの小委員会あるいはこの大きな委員会で議論されていることがどんな形で新しい計画に反映されるのかということについて、ある種の明確な方向性というのが1つ。
 最後に、これはたしか最初の14年のときに障害者基本計画に関する懇話会で、基本理念、基本原則が最初にたたき案で出てきて議論した後で、それが最終的にその文言が消えてしまって、あっさりと基本的な方針という表現に変わってしまったという記憶がありますので、ここも基本理念と基本原則とはどういう関係にあるのか。そのつながり。
 基本原則と横断的な事項との連携、つながり、横断的事項と各分野における基本的な方向性のつながりをもっと明確にするということ。大谷委員がおっしゃいましたけれども、ここが不明確なまま、ばらばらと計画が出てくるということではとても納得がいかないと思いますので、どうぞその点を一緒に議論できる委員会として展開できたらと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 三浦委員長代理、お願いいたします。

三浦委員長代理 ありがとうございます。文科省に最も切り返したかった座長でありますが、大谷委員と伊藤委員に代弁していただいたような格好になりました。ありがとうございます。
 私の方からは「II 横断的事項」で、「2.利用者本位の支援」。「利用者本位」という言葉を使ってありますけれども、これは前回の基本計画でも利用者本位と使われています。教えてください。利用者主体と利用者本位の意味と内容の違いを確認させていただければと思います。
 あと1点が、総合支援法の方で明確に難病の方々が福祉サービスの対象になるということが明らかになり、またそれが来年4月からということになっておりますけれども、人数的に考えまして、ざくっとした数字なのですが、障害児者としての手帳をお持ちの方が今700万人。特定疾患の患者数というので同じく700万人いらっしゃるという数字を私どもの委員の方からも挙がってきまして、特定疾患で網羅した数字なのですが、それに対しての対象が増えるということに関しての計画であるということの確認が必要なのではないかということを意見として挙げさせていただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 中西委員、お願いします。

中西委員 中西由起子です。
 この基本原則の「(3)国際的協調」のところがきっとどなたかからも多分意見がないのかなと思って、そのうちに発言しなくてはと思っていたのですが、ずっと今までの議論の中で藤井さんがインチョン戦略、次の「アジア太平洋障害者の十年」に関しての新十年の戦略のお話をされていて、多分切り口としては国際的協調というとまずそれが表に出てくるのだと思うのですが、先ほどのお話にもありましたように、その内容、つまり、「アジア太平洋障害者の十年」を実施するというのは、インチョン戦略を実施するということでありますので、内容が途上国を中心として、そこに軸足を置いた行動計画である限りは、余り日本政府が実施と言っても、例えばインクルーシブ教育においては日本はかなりおくれているのですが、それ以外のアクセスビリティ等の点に関してはものすごく進んでいますので、そういう形での国際的協調を挙げるのではなくて、むしろアジア太平洋の諸国に対して、今度の次の10年の実施に関しての協力ということでこの中に含めていただけたらといいと思います。
 それと合わせてODAの中での障害案件というのは、一応この前、外務省が小委員会で出してくださったリストを拝見しますと数としてはあるのですけれども、額としても、前のときの総数と比べてもかなり減っていますので、その減少の中でこれを減らさせないということと同時に、当事者を中心に、アジア太平洋だけではなくて、広くアフリカ等を含めた地域にも対象を含めて国際協力活動を行うという形で書き入れていただけたらと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 大谷委員、お願いします。

大谷委員 大谷です。
 基本原則と横断的事項のかかわりがどうしても気になるのです。申し上げましたように、社会のバリアフリー化の推進、このバリアフリーということが横断的事項の第1項に書かれるのも気になって、もしこれを言うならば、基本原則との関係から言っても、例えば社会のインクルーシブ化とか、もう一歩進んだ理念を我々は共有しているのではないかと思うのです。バリアフリー化というよりも、社会全体が変わらなければいけないという意味では、インクルーシブということの方がなじみがあるし、これから目指すべきものだろうと思っています。
 本当に利用者本位、利用者主体という言葉に関しても私も気になっているところなのですけれども、ただし、その後に(1)(2)(3)があるのですが、「(3)障害者及びその他の関係者の意見の尊重」となっているのですが、我々が基本法を討議するときに、障害者自身の自己決定権を尊重されるべきであるということがスタートだったと思うのです。
 意見の尊重というのは、意見は聞き置くということになりかねませんので、ここは障害者の自己決定権、その他の関係者の意見の尊重という形になろうかと思いますし、それは切れ目のない総合的な支援がまず第一なのか、その次にもし続くとしたら、障害者の自己決定権に基づくところの支援、そして第3に障害特性に応じた施策の推進という形になろうかと思うのですが、そこのところが全体として基本原則をどのように横断的事項が受け止めたのかということが非常に見えないし、ある種混乱しているのではないかと思いますので、整理が必要かと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。ほかに。今の関連ですか。
 尾上委員、お願いします。

尾上委員 尾上です。
 先ほどの横断的事項のところで、先ほどの関口委員の発言との兼ね合いで、関口さんへの反論という意味ではなくて、障害特性等と書かれているものの中身が改正基本法を踏まえたものなのか、以前の基本計画のものなのか、その確認をしたいのです。
 というのは、今、改正基本法の資料、参考資料1がございますが、16条の第1項のところに、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえという、この「特性」というのが何なのかというのが非常に大きな議論になりました。
 これは国会で確認されている内容を読み上げますと、去年の6月の国会では、単に障害の種別及び程度のみならず、障害者が日常生活等において多様な困難を踏まえるという社会モデルの観点を明確化するという観点から、障害者の特性という文言を用いさせていただいたと。そういうふうな社会モデル的障害者の特性ということに変わっているのか、旧来型の医療モデル的な意味での医学モデル的な意味での障害特性なのか。勝手に当然これは国会で確認されていることだから、社会との関係で出てくる特性なのだろうと思っていたのですが、その確認をお願いしたいと思います。

石川委員長 ここで大分御指摘をいただいたので、例えばノーマライゼーションだとかバリアフリー化ですとか、リハビリテーション、その他、あと利用者本位等々、従来型の概念がそのままあるのではないかという指摘が多かったのではないかと思います。
 事務局の方からまとめてお答えいただけますか。

東室長 担当室の東です。
 資料4は、見えるものを出さないと議論になりませんので、既にあるものを加工して出したといったものでしかありません。ですので、障害の特性は基本法改正に基づいて意味は変わっております。古い意味をこのまま使えということで書いているわけでは決してありません。こういうような章立てがなされておりますので、ある意味、こういう章立てに合わせて新しく、権利条約とか改正障害者基本法を踏まえてどう書くかという御議論をいただきたいというところであります。
 決して皆さんの御議論を制約する形で、ここで触れているわけではありません。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。文字どおりのたたき台ということで出したということで御理解いただきたいと思います。
 それでは、土本委員、棟居委員、伊藤委員、ここまでとさせてください。

土本委員 土本です。
 先ほど大谷さんも言っていたのですが、情報をもらわないと自分たちが決定することもできないということです。説明がない場合では、知的の自分も含めてですが、決定ができないし、わかりやすく説明する支援者がいないと自分たちの生活も成り立たないということですし、公的というか、認められていない支援者であって、要約筆記とか手話通訳はついているけれども、自分たちはそういう説明をされないとなかなか前に進めない。
 今日の会議もどんどん意見がいっぱい出てきて、自分はもう孤立状況になってきている状況があるのですが、話し合いはすごく大切なことだと思うのですけれども、なかなかついていけられないところもいっぱいあります。自分たちがわかりやすいところは発言できるけれども、それ以外は全くできない状況だということを含めて、大勢の仲間たちがそういうことがあるということです。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 棟居委員、お願いします。

棟居委員 棟居です。
 基本的な方針、横断的事項、分野別施策の基本的方向という章立てはもちろん、既存の障害者基本計画の目次立てに従いながら、しかし、横断的というところで先ほど大谷委員を初めとしていろいろ議論が出ておるかと思うのですが、既存の基本計画では重点的に取り組むべき課題という、もう少しふわっとした書き方になっていました。
 しかし、私はあえて横断的という言葉を今回出したのには立派な意味があると、積極的に評価したいと思っています。というのは、先ほど差別禁止部会の意見のところでも申し上げたのですが、各省庁の縦割りというものが非常に大きな、当面のまさに社会的障壁のある種のものとして存在するわけで、それを横ぐしを入れていくというか、全部に通用する1つの物差し、先ほどインジケーターという御紹介も藤井委員長代理からございましたが、そういうもので各省庁にそれぞれ所管の施策を全部見直していただく際の物差しが要るわけで、これは基本的な方針、理念や原則だけだと、何かきれいなことが書かれているで、人ごとみたいにされてしまう。
 そうではないのだということで、例えばおたくの所管の事柄についてバリアフリーは進んでいますか。これは単なる建物だけではなくて、施策のバリアフリーもちゃんとやっていますかと。そして、谷間や切れ目はないですか。社会モデル的な障害特性に応じた施策がなされていますか。そして、障害者等当事者の意見が入る仕組みになっていますか。この横ぐしで全部見直してくださいというのが横断という意味だろうと思います。
 これは基本計画で今回そういうあえて重点的に取り組むべき課題という従来の基本計画の表現よりもさらに強いとんがった槍のような、横断的という項目も立てられたのは大変結構なことだ。つまり、全部チェックしていただくということで基本計画の理念をどんどん各省庁の所管の事柄にしみ込ませていくスタンスとして評価できると思いました。
 ですから、質問というよりは感想です。

石川委員長 ありがとうございました。
 では、伊藤委員、お願いします。

伊藤委員 先ほどの三浦委員長代理からの御質問といいますか、疑問にお答えしておきたいと思います。難病対策を議論している私どものところで700万という数字は出たことがありません。聞いたことはありません。何を根拠に700万と言っているのかわからないのですが、そうおっしゃっている方々がいるというのは聞いています。
 これは単純に、いろんな病気の数を人口推計比で出した数を足していくとそうなるのかなと思うのですが、それにしても700万人いるというのは希少な難治性の疾患ではないですね。700万人というのは大変な数だと思います。そんなふうにはならないと私どもは思っております。
 数字をどこでどう線を引くのかというのはなかなか難しいのですけれども、しかし、かなり数の多い疾患については、既に対策の中に今の中にも入っていまして、それを全部あわせても70万ぐらいですから、残りは本当に貴重な数の少ない疾患を中心にということでいけば、そんな数には到底ならないだろうと思います。これが1つ。
 あとはお願いが1つですが、これをつくっていく中でぜひお願いしたいのは、用語を少し気をつけていただきたい。本当に専門家の方々はよくわかっておられるのですけれども、我々はよくわかりません。土本さんもそうだと思います。それでもって多くの国民の方々にこれをわかってもらおうとするのであれば、どういう言葉で表現をしたら国民が理解して支持してくれるかということを考えた上で、きちんと用語を選んでいただきたい。バリアフリーでさえよくわからない、何がバリアフリーかもわからないという状況の中で、さらに新しく進んだ概念と言われて、いろいろインクルーシブがどうとかといったものはさっぱりわからない。
 もしもわかったりしても、それはここだけの議論だと思います。多くの国民を相手にしてさまざまな階層の患者さんや障害者を仲間に入れるのだとすれば、もっとわかりやすい表現をぜひお願いしたいと要望しておきたいと思います。

石川委員長 ありがとうございました。課題山積でございます。次回までに文案をとにかく出すということで検討をしたいと思いますので、一応総論につきましては、ここまでにさせていただきたいと思います。
 石野さん、どうぞ。

石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 先ほど土本委員から発言がありましたが、非常に貴重な視点だと思っております。このような政策に関する委員会は本当に情報を密にし、充実するということが必要だと思います。こういうことはほかの世界にはない非常にいいモデルだと思いますが、バリアフリー社会ということも大切な問題ですが、政策委員会でも申し上げていますが、アクセシビリティ、そのような考え方も今後もきちんと盛り込むべきではないかと考えております。
 国連の障害者権利条約9条のアクセシビリティについて文言が載っておりますが、アメリカ、ヨーロッパにおきましては、これは当たり前の概念として既に広がっております。残念ながら、日本においてはまだそれが十分ではない。やはり障害者団体はアクセシビリティということをそれぞれの団体が研究しておりますが、今後とも社会のバリアフリーということも含めてアクセシビリティをきちんと盛り込むべきという基本的な考え方をぜひお願いしたいと思います。
 以上です。

石川委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ここで推進体制につきまして、この後、御意見をいただきたいと思います。推進体制について御意見がある方は、挙手をお願いいたします。
 では、佐藤委員、勝又委員、とりあえずお二人。

佐藤委員 ありがとうございます。佐藤久夫です。
 これまでの基本計画と我々がつくろうとしている5年間の基本計画、同じ部分と違う部分があるべきではないかなと思います。権利条約や基本法の改正に沿った新しい考え方や方向性に基づいて施策を各論的にいろいろ掲げて、それを粛々と実施する。そういうレベルではこれまでと同じ、これまでを発展させるということになると思うのですけれども、先ほど棟居委員も藤井委員長代理も強調されていたように、どう評価するのか、どういうエビデンスをこの5年間でつくるのかという、そちらをきちんとこの推進体制のところにも書いてありますけれども、それがこれまでとは違って、本当にこの5年間の計画の特徴になるようなものではないかなと。
 その指標というのは、100項目になるのか、200項目になるのか、400項目ぐらいになるのかわかりませんけれども、先ほどのインチョン戦略では、10の目標に対してターゲットが23、26、指標が49という項目になっているわけですけれども、これは途上国を含めてみんながどういうデータだったら集められるかということを議論した中で49にとどまったわけですけれども、我が国ではもっときめ細かいものが必要になるのではないかなと思います。
 ですから、来年の1月までにそういう指標をつくるということは到底無理ですので、これからの5年間というのは指標をつくることが計画の非常に重要な部分を占めるような時期だし、それを促すような、この政策委員会の役割は非常に重くなるわけですけれども、そういう5年間の計画にするというイメージで考える必要があるのかなと思います。
 その要件としては、例えば障害のない市民との比較ができることだとか、できたら利用者の満足度までも評価、データの中に盛り込めることだとか、事業を評価する、どういう事業をやった、どれだけの予算を費やしたかというインプット側の評価とともに、アウトカムというか、そちらの方もきちんと評価することだとか。
 非常に重要なことは、そういうふうに集めたデータをどういうふうに活用するのか。どういうふうに区分け、分類して、ブレークダウンしていくのかということだと思うのです。性別ということはかなりいろんな人から強調されていたわけですけれども、それとともに、都道府県別に分けることだとか、年齢別に分けることだとか、各教育とかいろんな分野によってブレークダウンが違ってくると思います。
 そういう点では、内閣府の調査の委員会で盲ろうという障害のカテゴリーをきちんと独立させろという意見が全国盲ろう者協会の方から強く要求されて、それは視覚障害と聴覚障害、重複しているということで重複障害の中に入れたらどうかと、私が座長をしていてそういう言い方をしたら、違うのだと、1つの独立した障害のカテゴリーとして理解できるかどうかが非常に大事なのだということで、ブレークダウンをするときに障害をどういうふうに分けるかということ自体も本当にここで議論していかなければいけないということだろうと思います。
 そういうようなことをやるのには、来年1月ではとても無理なので、本当に5年間ぐらいかけて、どういう物差しで評価するのかということを確立して、それに基づいてその後の5年間、5年間とずっと計画はきちんとエビデンスに基づいた仕事ができるような、そういうことによって国民の理解も得られて、予算も必然的についてくるという関係にあるのだろうと思いますので、そんな形の計画にぜひしたいなと思っております。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、勝又委員、お願いします。

勝又委員 ありがとうございます。勝又です。
 私の意見は、資料5のところにまとめてございますが、これに1つ追加して発言させていただきます。
 基本計画の推進体制部分については、資料4では「1.連携・協力の確保」と「4.調査研究及び情報の収集・提供」というところに関係することなのですが、基本計画の中で障害者の施策と他の施策、例えば男女共同参画基本計画とか、公的統計の整備にかかわる基本計画等、そういうものを所管する委員会との連携を進めるべきではないかと思います。
 今までの基本計画中にも連携・協力の確保というのはございましたけれども、それは省庁とか地方自治体とか、そういうようなところだけに言及されておりまして、ほかの基本計画を所管している委員会との連携というものはございませんでした。
 理由を申し上げますと、基本計画のモニタリング、いわゆる監視のために障害者の置かれた実態や現状を正確に把握できるデータの整備が必要ということが複数の委員から指摘されております。今、佐藤委員の方からも御発言があったところですけれども、そのようなデータを整備するということは、公的統計の責務でありまして、それは障害者の施策に限定されたことではございません。社会全体の利益になることでございます。
 我が国においては、統計委員会というところが内閣府に設置されまして、基本計画の策定と実施が推進されております。現在は、平成25年までの基本計画というのが進行中でございまして、その中でもさまざまな統計についての提案がされておりまして、それを実施するということでモニタリンクが実施されております。
 そもそもモニタリングのためのデータというのは、継続して網羅的に収集されなければ意味がありませんで、統計法との関係で障害者政策委員会が独自に整備するには限界があると考えています。
 と申しますのは、公的なところで調査をするということは、総務省において承認を受けるという手続が必要でございまして、障害者政策委員会で独自にこういう新しい調査をしようということがすぐに通るという状況ではございませんので、ほかの特に統計に関しましては統計委員会に対して、政策上、重要なデータを作成するということを提言していくというようなこともできるかと思います。
 また、障害女性の複合差別の解消につきましては、第3次男女共同参画基本計画においても言及されておりましたけれども、日本の公的統計において男女別のデータの整理が徹底できていないことから、実態の把握すらできない現状です。男女共同参画会議から繰り返し男女別データの整備の重要性が指摘されておりますけれども、官庁や地方自治体の整備は遅々として進んでおりません。
 障害者政策委員会としては、男女共同参画会議と連携して、男女別データの整備を推し進めることが重要かと思います。ありがとうございました。

石川委員長 ありがとうございました。公的統計についての御指摘、ありがとうございます。
 尾上委員、花井委員の代理の方、お願いします。

尾上委員 どうもありがとうございます。尾上です。
 推進体制、まずこの3番の法制的整備のところで、今回、新しい障害者計画が5年になるのか10年になるのかというのは今後議論して最終的に決まっていくことですが、5年であれ、この改革の集中期間ということで障害者制度改革として挙げてきた、今日の委員会の前半で報告を受けました差別禁止法の制定、総合支援法の9項目の見直し。基本法も3年後見直しが入っています。
 この5年間の中に、こういった推進会議からずっと言わば横断的な課題ということで取り組んできたものが当然含まれるので、もちろん、一番最初のところでも議論がありましたけれども、政府の計画と立法のものとの取扱いというのは注意を払う部分があるのかもわかりませんが、少なくとも政策委員会としてこういう権利条約の批准ということからすれば、こういったことが言わばしっかりと立法府においても検討されるべきだといったような課題としてお示しする、お願いするといったことは重要ではないかという指摘であります。
 2つ目が「2.計画の評価・管理」となっていますけれども、今回、障害者基本法の改正の大きなポイントというのは、推進体制に関しては第32条の3が加わったことだと思うのです。言わば監視と勧告といったモニタリングということなので、評価、管理、監視。東室長からは、この中に監視のことも入れると言われていますけれども、だとすれば、表題の中にもう少しちゃんとモニタリング機関なのだということを表題に入れた方がいいのではないかという点です。
 最後、現行の計画、36ページを見ましたら、調査研究、情報提供はわずか2行なのです。ニーズ調査、国内外の障害者施策の先進事例の収集、情報提供など、調査研究、情報提供の充実を図る。図って、その後どうするのかというのが全然書かれていない。ユニバーサルデザインの中では、評価をして次にレベルアップをする、スパイラルアップという言葉を使いますけれども、そういった調査研究をして、政策の見直しやレベルアップにつなげていくということはせめて書かないと、何のための調査研究なのかというのがこれではわからないなという感じがしています。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、花井委員の代理者の方、お願いします。

花井委員代理 花井委員の代理の竹内と申します。
 現行の計画の中に基本的な方針として、「国民一人一人の理解と協力を促進し、社会全体としてその具体化を着実に推進していくことが重要」と書かれています。
 先ほども国民への理解に関する御意見がありましたが、障害者を取り巻く状況や課題は国民一般に伝わっているとは言いがたい状況です。障害者施策を推進していくためにも、学校教育やメディアを通じていかに浸透させていくか。国民への理解を深めるということに力点を置いて進めていく意味では「推進体制等」の項目だと思いますが、どの項目に入れるかは別にしても、そうしたことを記載しておくことが重要ではないかと考えます。
 計画の期間について、先ほど北野委員からありましたように、さきの10年に比べても、出てくる課題のボリューム等も大きいと考えますので、課題を引き付けて具体的に検討していく意味でも5年が適当ではないかと考えます。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 関口委員、後藤委員、氏田委員長代理の順にお願いします。

関口委員 まず大きな提案なのですけれども、差別禁止部会の意見の概要というのが部会三役作成となっているのですけれども、これを、本日をもって障害者政策委員で承認したという形にしてはどうでしょうかというのが提案の1つでございます。
 次に法制的整備のところですけれども、差別禁止部会の報告書の46ページに精神医療のところが出てきます。強制入院のことについては、そのあり方について障害者政策委員会等においても引き続き検討されることの必要性が検討されたと書いてあるので、これは検討事項ということできちんと計画の中に入れていただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 北野委員が挙げてらっしゃいますので、とにかく北野委員まで御意見を伺いたいと思います。
 次はたしか後藤委員、お願いします。

後藤委員 後藤でございます。
 3つありまして、推進体制か前の方かわかりませんが、お手本になる点を集めて示していけばと申してきました。中西委員も国外にそれをと仰せで、アクセシビリティは日本が進んでいるところもあって賛成です。さらに国内に向けても、抵抗勢力とは申しませんが、動きにくい方々のためにも、あめとむちのむちだけでなく、こんなにいい例もありますよと示す。国内外にベストプラクティスを示すのが1つです。
 モニタリングは尾上委員がご指摘ですが、議定書を批准するかという問題や差別禁止部会の議論もありますが、政策委員会だけでなく、現場での苦情対応や調停の問題が残ります。何かの体制か機能によってそれを果たしていくことも、この推進のところで必要と思います。
 3つ目が、先ほど尾上委員が仰せのスパイラルアップという考え方です。バリアフリー法、総務省の画像のバリアフリーとユニバーサルデザインでも、漸進的に進めていくという考え方が最近活用されています。これを利用すると、二元的に○×ではない方法もあるのにしないのか、逆に弁解しにくくなる。漸進的に進める選択肢も入れておくことが、より政策を実施していただきやくすることになると思います。
 最後ですが、文科省の先ほどの発言は全く理解できない発言だったのですが、今日の発言だけ聞くと理解しにくく思えますが、ここの委員の皆さんなら既に御案内と思いますが、7月に文科省から特別支援教育に関する答申が出ていますね。その言わんとするところは、従来の施策を自分たちはそのまましますとメッセージが非常にはっきり出ています。第1章のサマリーのところですが、短期は権利条約の批准まで、中長期は批准後10年ぐらいと分けて書いてあります。私の意訳ですが、短期は従来どおりの施策をします。中長期のところで、最終的には条約の理念が目指す共生社会の形成に向けて、インクルーシブ教育システムを構築していくことを目指す。これです。「最終的には」という用語のときには、関わった委員がいらっしゃったら恐縮ですが、これはずっと先というか、しませんというと極端ですが、あさってですということです。財源とか事情はおありなのでしょうが、その文脈で見ますと、今日の発言も別にびっくりではなくて、その意味をおっしゃっているのかと思います。
 だとすれば、先ほど来も出ていますように、この委員会の意見としては、明確にそのことをするときちっと文章で書いて、やらない場合はなぜしないかをはっきり見解を示していただく。もちろん実現すればいいですし、しなくてもこういう理由でしないとはっきりお伺いしておけば、今後だんだん運動をして巻き返していくこともできる。それを言いもしないと、満場一致であったかどうかといった入口論ではなくて、きちっと意見を今度こそ文書で一致させればいいのです。それで見解をいただくことをしてはどうかと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 氏田委員長代理、お願いします。

氏田委員長代理 ありがとうございます。先ほど佐藤委員からも推進体制でどう評価するかというお話が出ていたと思います。障害のない市民との比較というお話もあったのですけれども、もう一つ、共生社会をつくるといったときに、一般市民の障害のある人に対する態度とか対応とかというところがかなり改善されていかなければいけないという思いがあるように思います。基本計画を進めるに当たって、共生社会づくりというところで一般市民の障害のある人への態度や対応の変容などを図るようなことができないのかなと思うのが1点。
 もう一点は、土本委員から議論のスピードが速くてむずかしいとのご意見が出されていますが、この政策委員会で土本委員が完全参加できるようなサポート体制を何か考えるべきではないかと感じました。私も家族の立場から参画させていただいていますが、すごく難しいなと思うことがたくさんあるのですけれども、座長、副座長会議とか、委員長代理会議とかで事前にいろいろなお話を聞きながら準備したり、わからない点を勉強したりという時間があるのですが、ルビをふれば内容が分かりやすくなる訳ではありませんので、
 かみ砕いた説明とか事前の準備というところで、工夫や配慮をお願い出来ればと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 北野委員、藤井委員長代理の順でよろしいですか。
 どうぞ。

北野委員 この推進体制のところで4つありますから、その4つについて申します。最初に調査研究と情報の収集のところでは、これも勝又委員からも言ってもらったのですけれども、まず事務局体制の問題が大きいと思うのです。やはり事務局の人員であるとか、独自予算というのを確保していただきませんと、例えばさまざまな民間の調査機関との連携などを考えますと、当然民間との関係では予算がかかりますので、公的な機関や他の民間機関との調査を委託したり研究したりするときは、当然一定の予算と事務局の人員体制がかなり必要であると考えております。
 2つ目は、計画のモニタリング体制の部分なのですけれども、計画のモニタリング体制を今後どうしていくのかというのはとても大きな問題だと思うのです。恐らく毎年、例えば省庁がつくった計画に対して、達成した、ここまでやりましたよというデータが出てくるということを私たちもチェックするということがメインになってしまいますと、それだけでは実はいろんなものの展開が難しいと考えておりまして、アメリカとかカナダの障害者の委員会を見ておりますと、政策委員会独自で焦点化して、このテーマは非常に進んでいる、遅れている。このテーマはぜひとも進めるべきであるということについては、重点的にモニタリングの項目を定めて、アウトリーチを含めてきっちりどうしていくのかというのを各自治体でのヒアリングも含めてやっていかなければ、データだけでは進まない。ですから、そういう仕組みをほかの国々の仕組みからも学んでいけたらどうかと思います。
 3つ目は、法制の整備ですけれども、尾上委員におっしゃってもらったように、1つは総合支援法で3年間の検討課題を残していますので、この検討課題を実はどこでやるのか。どういう形で障害者の参画をきっちりやるのか。どこが事務局を担って、どういう形でやるのか。どの時点までにどういう形で報告し、どこまでどういう形で展開するのかということを明確にしていただきたい。
 最後に差別禁止法に関して言いますと、紛争解決のための仕組みとしての相談であるとか、仲裁機関の全国的な展開、自治体での展開をどうするのかとか、各分野におけるガイドラインをどこが作成し、どこで障害者参画のもとでどういうふうに作成し、そしてどの時点でどんなふうにそれを展開して実際に実行していくのかというところをぜひともここの政策委員会でと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

石川委員長 ありがとうございました。
 最後に藤井委員長代理ということでお願いします。

藤井委員長代理 やはり推進体制が恐らく一番注目されるだろうと思います。特に今度の場合は大変議論していきましたし、一定のレベルを保ちつつ議論している。2つ、3つあります。
 1つは、現行の障害者基本計画で分野別施策の中にある社会啓発はないのだけれども、私は今度の分野別に入れる必要はないと思っています。代理がおっしゃっているとおりに、推進体制にこの要素を入れるべきだろうと。内閣府にも広報機能はあります。また、大手の各種報道機関に対しても、もともとアップローチをしていく必要がある。
 本当にきちんと根拠としてここにあるのだということを示していくという点から言っても、言葉は社会啓発というのがいいかどうかわかりませんが、国民に対してアピールしていくということの言葉を1つ、項目を起こした方がよかろうと思います。
 2つ目は、これも北野委員と重複するのですけれども、少なくとも障害者政策委員会は、前身である障がい者制度改革推進会議、ここの2つの部会はフォローアップする義務があると思うのです。したがって、この推進体制あたりにそういうことも含めてフォローアップという観点から、ここに何か項目を起こしていく必要があるかと思います。
 もう一点は、わかりやすさ。これは伊藤委員も強調していました。私はこれについては、この間、わかりやすい版というのを2回つくっていますけれども、本体よりもあちらの方がよほどいいという声が多いのです。これでは意味がないのです。したがって、本体そのものをどうするかという議論をしていかないと、これは国民から乖離する一方です。できれば私は中学生ぐらいにわかるような文言で、どうしても単語として用語としてわからない場合には用語解説をつけるというぐらいにして、そういう努力をみんなでし合うということは、少なくとも政府が最後どうなるかわかりません。ただ、我々が12月17日、手を離れるときにはそういう努力をして政府にお渡しをするということ。
 最後に、これも事務局についてということを言っておきたいのですが、この間に制度改革と障害者政策委員会が頑張っている背景には、事務局があると思います。ここがなかったらとてもできなかったと思います。したがって、ここの人員の数と予算の裏打ちときちんと項目化しておく必要があるだろうということを強調させていただきます。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 先ほど関口委員から御提案があった件についてなのですけれども、差別禁止部会の概要版についての取扱いですね。これについていかがでしょうか。ほかの委員の御意見を伺いたいのです。
 どうぞ。

棟居委員 差別禁止部会がまだ存続しておりますので、その部会長として申し上げますと、この3役作成の資料を正規のものに取り上げていただくというのは非常にありがたいことで、それはなぜかというと、1つには内閣府のホームページに載せていただける。問い合わせに対してこういうものがございますと即答できるということが1つ。
 もう一つ、いろいろなところから説明に来てほしいとお呼びがかかっておりまして、その際に正直申し上げて意見書を携えていくと非常にそれだけで抵抗感を示される。これを配らなければいけないのかとか、あなたは本当にこれを説明できるのかということになります。ということで、この概要版はもちろん非常に圧縮されておりますけれども、全体で何をやろうとしておるか、言おうとしておるかが逆にわかる格好になっておりますので、こちらを正規のものとして使わせていただくと、あちこちに出かけて御説明申し上げるときに作業がしやすいという観点からのお願いということでございます。もちろん、便宜的な理由にすぎません。

石川委員長 では、大谷委員、どうぞ。

大谷委員 ごめんなさい、私の勘違いなのかもしれませんけれども、9月14日付の差別禁止部会の意見は、この政策委員会の意見とはなっていないのですか。何となく引き続きこういう形でまとめましたということを報告して、そしてこれは政策委員会の親部会に上げたとたん、政策委員会の意見になっていたのかなと思ったのですが、そうでもないのですか。質問です。

石川委員長 遠藤委員、どうぞ。

遠藤委員 一連の動きということでは、前身の会議から同じような動きがありますので、まずその当時、どういう形で部会が立ち上がって、部会でまとまって、そのものを親会議がどうやって受けとったのかというところを明らかにした上で、今、これをやる必要があるのかないのかという議論に入っていくべきだと思います。最初にそれをお願いいたします。

東室長 担当室の東です。
 資料2、この部会の意見の86ページを開けていただけませんか。差別禁止部会の開催根拠について2つほど書いてあります。当初は障がい者制度改革推進会議のもとでの開催ということで、それは平成22年11月1日付で、障害者制度改革推進会議の決定ということで差別禁止部会が立ち上がって、その規定が載っております。
 ただ、これが障害者基本法の改正によりまして、推進会議がなくなりましたために、今年の7月23日、障害者政策委員会、この政策委員会の決定として、新たに差別禁止部会をつくるということになっておりまして、それが4項目で書いております。
 基本的には障害者に対する差別の禁止のあり方については、新たな障害者基本計画の策定に当たり重要な課題であることにかんがみ、障害を理由とする差別の禁止に関する法制の制定について調査検討するため部会を置くということになっておりますので、政策委員会が基本計画の策定に当たって重要な課題だと、それについて検討する必要があると、だから部会で検討しなさいという仕組みになっているということです。
 結果としては3項で、部会は9月をめどに調査検討を終えるものとし、部会長はその結果を政策委員会に報告するものとしていることになっておりまして、今日その報告をしたということ、そういう経緯であります。その上で、政策委員会として部会に命じたことをどうするのかということは、皆さんがここで議論していただくということになるのかなと思っております。
 以上です。

石川委員長 大谷委員、どうぞ。

大谷委員 私は当然報告を了とするというか、その報告を受けて、その報告を政策委員会として異議なしと、異論なしという形で今日は取りまとめていただいたのかなと、全く無条件で楽観していたのですけれども、これは部会意見であって政策委員会とは別物という取扱いのままになってしまうなどというのは余りにも経緯を無視しているかなと思いますので、私は本日の答申を受けて、関口委員がポンチ絵だけ了解しろという趣旨で言われたのか、それとも全体として意見を我々は了としたのだから、この1枚ものの概要も含めてこの内容で政策委員としても了としたということとしてまとめるのが適切というか、素直な流れではないかなと思うのですが、いかがなのでしょう。

石川委員長 関口委員と遠藤委員という順番でお願いします。ただ、時間が予定を超過していますので、遠藤委員までの御意見。

関口委員 報告は受けたわけで、大幅な異議が出なかったのですから、多分それは了としたということであると思います。
 私が一番気になったのは、今までの推進会議の第一次意見、第二次意見で、3役のまとめというのがないのです。推進会議となっていて、概要となっております。ですから、これは当然この概要版も政策委員会とするのが穏当ではないかと思って、今、お伺いしたら、ましてや正規のものにならないという話もあったので、それならば政策委員会として、部会三役というところを障害者政策委員会という形に直したらいいのではないかという御提案です。

石川委員長 ありがとうございます。
 遠藤委員、どうぞ。

遠藤委員 経団連の遠藤と申します。
 正規になるとか、正規にならないとか、そういう考え方自体が全く理解できなくて、諸手続にのっとってまとめてください、まとめたものを御報告してくださいということについて、その手続をやっているだけだと私は理解しています。
 2点目として、たしかこの種の議論は、総合福祉部会の取りまとめを佐藤先生の御尽力で対応された際、それを推進会議で受けたときも、この議論を繰り返しでやったような記憶がしていまして、私は余りこの議論をやることに意味があるとは思っていません。むしろ、この内容をどう踏まえて次の段階にしていくかというところに皆さんが注力していくべきだと個人的には考えております。
 以上であります。

石川委員長 ありがとうございます。
 伊藤委員、最後にさせていただきます。

伊藤委員 1つは、この意見について遠藤委員がおっしゃったことを私も支持したいと思うのです。先ほどの議論の中で、各さまざまな障害者施策を決める中では、障害者の割合、当事者の割合を2分の1以上にするとか、一定の割合にするとかといういろんな議論があったかと思いますけれども、88ページにある差別禁止部会、大変いろいろな教授の方とか准教授とかというのがたくさんあるのですけれども、この中では障害当事者の割合というのはどのくらいなのでしょうか。お聞きしたいと思います。

東室長 担当室の東です。
 差別禁止部会の構成員は、推進会議のもとでの構成員と政策委員会のもとでの構成員は若干変わっております。ただ、パーセンテージとして何パーセントだという形では出しておりません。例えば家族と書いていない人であっても、家族の場合もありますし、数え方によっていろいろ変化もあります。
 個人の情報にも関係するところですので、この方はこうだということでこの場で説明は差し控えたいと思いますが、ここの政策委員会とか、総合福祉部会に比べて障害者の割合が少ないと言われるのは、確かにそうだと思っています。
 ただ、それはどうしてかということなのですが、1つには、法律を新たにつくるという問題で、日本の法体系の中に入ることができるのかどうかという一番基本的な点からの議論が必要だということで、かなり法律の専門家、部会長、棟居先生もそうなのですが、基本的な法律の専門家に来ていただいているということでございます。

伊藤委員 その理由はいろいろあるのだと思うのですが、ただ、ここはこうだと言っていて、ほかのところに対してだけ一定の割合を求めるというのは通らないかもしれないなというのを感じたので、今、現状どうこうという話ではなくて。

石川委員長 すみません、先ほどからの件についてなのですけれども、一応、障害者政策委員会の運営規則の5条というところを見ていただけるとありがたいのですが、そこに、専門的かつ詳細な検討が必要と認められるときは、部会等を設置することができるとなっています。これは第一回に設置しました。次に、部会等は委員会から付託された事項に対して調査検討を行い、その結果を報告すると書かれています。今日報告していただいたので、報告していただいたものを確かに受け取ったという段階だと思います。
 新谷委員、どうぞ。

新谷委員 差別禁止部会の報告のところで意見を出したかったのですけれども、今日、部会から意見が出ておりましたね。意見を受け取って、私たちは質問をした。これを受け取って政策委員会として、今日副大臣がおられるときに、これは石川さんから渡すのかなと思ったのですけれども、そういうセレモニーはないですね。改めてこれは政策委員会でもう一回整理して、それで政策委員会の名前で政府にお出しになるのですか。

東室長 担当室の東ですけれども、実は先般、これは大臣に部会長の方から手渡しはされておりますので、今日改めてという形にはしていないというところです。すみません、御報告していなかったので申しわけなかったと思います。日時は少し忘れてしまいましたので。

新谷委員 前は少なくともセレモニーとしては、推進会議のときに小川さんから大臣に渡すというセレモニーがあったと思うのです。それでみんな一応手続としては納得しているということがあったと思うので、今回部会長から大臣では違うのではないですか。

石川委員長 この件については、部会長に対して内閣から、できたところですぐに手交してほしいと話があって手交されたものと理解しています。
 阿部委員、どうぞ。

阿部委員 事務局へのお願いなのですけれども、自治体の、市町村の障害者計画が義務化されたのが2006年、平成18年で、多くの自治体は自立支援法もあって、6年計画をつくっているというところが多いと思うのです。その実態について総務省等で調べていただきたいと思います。
 つまり、国の基本計画は来年からですが、今年からの障害者計画をもう既につくって施行している市町村が多いと思います。そのような場合においても、国の基本計画が反映する仕組みをきちんと検討するためにも、1,700市町村の計画期間の実態について資料をもし出せるのであれば出していただきたいなと思ってのお願いです。
 とにかく国の計画が市町村に反映しない限りは、国がつくっても、私たち、地域で生活している人たちには、言い方は変ですけれども、反映しません。理念だけにならないようにということで、そのようなことができるのかどうかお願いしたいと思います。

東室長 担当室の東です。
 その点はできるかできないかも含めて検討させていただきます。

石川委員長 すみません、議事の進行の手際が悪くて申しわけないのですが、時間がもうないので、最後の件については、もう一回持ち返らせていただいて整理をしないといけないかなと感じています。ということで、今日のところはそこまでにさせてください。
 それでは、パート3はこれまでということで、これで閉会ということになるのですけれども、どうぞ。

中原委員 今、差別禁止の扱いが話題になりましたけれども、パブリックコメントをやっているのですね。これの意見出しがあって、最終的にどうなって、この意見との整合性がよくわからないのですが、説明していただけたらと思います。

東室長 御存じのように、実は今日までがパブリックコメントの期限なのです。1カ月間ほど行いましたけれども、それを踏まえて具体的な立法に当たるということになると思っているのです。

中原委員 その意見が、今日出ている概要版に反映されるようなことはないのですか。

東室長 部会の意見は部会の意見として確定しているということだと思っています。だから、パブコメはパプコメとしての意見という形になります。

石川委員長 すみません、閉会させていただこうということなのですが、本日の会議には、先ほど申しました国連の障害者特別報告者のシュアイブ・チャルクレンさんが後半、傍聴していただいておりますので、最後にチャルクレンさんから御挨拶をいただければと思いますので、チャルクレンさん、よろしくお願いいたします。

チャルクレン氏 ありがとうございます。皆さんがここで熱心にさまざまな新しい法律や制度についてお話しいただいているのを傍聴させていただいて、大変うれしく思います。ぜひ皆さん、国連の障害者権利条約を批准してください。
 さまざまな種別の障害者の方がここに参加しておられることを非常にうれしく思います。そして、皆様のこの政策委員会の御成功をお祈りします。

石川委員長 チャルクレンさん、どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、次回の政策委員会の日程等について、事務局からお願いします。

東室長 担当室の東です。今日はどうも長時間、御苦労様でした。
 現在、後半の小委員会が開催されております。今後11月12日の月曜日及び11月26日の月曜日にそれぞれ第2回及び第3回の小委員会の会合を開催する予定であります。
 そして、これらの小委員会の後、12月17日、月曜日になりますけれども、第4回の政策委員会を開催するといった予定です。本年度中の閣議決定を前提としますと、第4回政策委員会からは具体的な案文に基づいて御議論いただくということになると思います。年内の日程については以上です。現時点では、まだ日程は決めておりませんが、年明けにも入れたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

石川委員長 どうもありがとうございました。
 では、以上で、本日の「障害者政策委員会」を閉じたいと思います。