障害者政策委員会(第31回)議事録

平成28年12月12日(月)
14:00~17:00
中央合同庁舎8号館 1階 講堂

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○石川委員長 定刻になりましたので、これより第31回「障害者政策委員会」を開催いたします。
 委員各位におかれましては、御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  本日の会議は17時までを予定しております。
 なお、会議冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入り、撮影が行われますので、御承知おきください。
 まず、事務局から委員の出欠状況について、報告をお願いします。

○坂本参事官 事務局でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。
 本日でございますが、佐藤委員、野澤委員が所用により欠席との御連絡を受けております。また、伊藤委員の代理としまして、日本難病・疾病団体協議会理事会参与の齋藤幸枝様に、高橋委員の代理として北海道保健福祉部福祉局長の長野幹広様に、それぞれ御出席をいただいております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入ります。最初に、当委員会における発言要領につきまして、確認させていただきます。
 最初に委員長が発言を希望される方を募ります。挙手をお願いいたします。委員長指名により発言を開始してください。できれば、最初に結論を述べ、その後、理由ないしは説明をつけ加えていただくのが分かりやすいかと思います。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり、分かりやすくお話しください。また、できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。
 それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より御説明をいただきます。

○坂本参事官 事務局でございます。
 本日でございますが、まず議題1として、事務局のほうから本年の障害者週間の結果について御報告を申し上げます。関係資料といたしましては、資料1を用意してございます。
 次に議題2といたしまして、事務局から、障害者差別解消法に基づく地域協議会の設置状況などについて御報告をいたします。関係資料といたしましては、資料2-1及び2-2を御用意しております。
 次に議題3でございますが、私ども内閣府の成年後見制度利用促進委員会事務局から、成年後見制度利用促進委員会における議論の状況について御報告をいただきます。関係資料といたしましては、資料3を御用意いたしております。
 続きまして、議題4といたしまして、事務局から今後想定されるこの政策委員会におけます審議の進め方について御説明いたします。関係資料といたしましては、資料4を用意してございます。
 最後に議題5といたしまして、前回の障害者政策委員会における御議論を受けまして、今後予定される第4次障害者基本計画の円滑、かつ効果的な検討に資するために、今後の障害者施策の課題について、自由に御討議いただく時間を設けたいと考えております。関係資料といたしましては、資料5を用意してございます。
 また、委員の皆様には、関係法令等をまとめたファイルを机の上に用意してございます。
 なお、これ以降の写真撮影は御遠慮いただきますよう、お願い申し上げます。報道関係のカメラもここで御退室をいただければと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 早速ですが、議題1に入ります。障害者週間の結果について、事務局から報告をお願いいたします。

○坂本参事官 事務局でございます。
 障害者週間ということでございますが、障害あるいは障害者について幅広く国民の関心と理解を深め、障害者の社会参加を促進していくために、障害者基本法に基づきまして、皆様御案内のとおり、毎年12月3日から9日までが障害者週間に定められているところでございます。
 本年も、障害者週間の期間中に、関係省庁、地方公共団体、民間団体等の御協力もいただきまして、全国各地でさまざまな啓発事業が行われたところでございます。その具体的な取組につきましては、資料1にまとめてございます。
 内閣府におきましては、去る12月2日金曜日でございますが、この講堂で障害者フォーラム2016を開催いたしまして、障害をテーマとした心の輪を広げる体験作文と、障害者週間のポスターの最優秀賞受賞者の表彰を行いました。
 受賞した作品は、いずれも障害あるいは障害者というテーマと真剣に向き合い、自らの体験や思いを率直かつ豊かに表現されたものばかりでありまして、非常に強く感銘を受けるとともに、将来の我が国を担う若い方々の共生社会の実現に向けまして、非常に大きな力を感じたところでございます。
 また、受賞者の表彰式の後には、シンポジウムを開催いたしました。本年は、障害者施設において大変痛ましい事件が起こったわけでございますけれども、このようなことを乗り越えていくためにも、改めて真の共生社会とは何かについて考えていく必要があると考えまして、真の共生社会とは何かといったことをテーマに設定いたしました。
 シンポジウムでは、冒頭、野澤委員に基調講演をしていただいたほか、久保委員ほか3名の方々にパネリストとして御参画をいただいております。命と尊厳の尊重の重要性の観点から活発な議論が交わされまして、真の共生社会について改めて向き合う、またとない機会となったのではないかと考えてございます。また、このシンポジウムのコーディネートとして、尾上アドバイザーにも多大な御協力をいただいたところでございます。ありがとうございます。
 さらに、障害者週間の期間中、8つの障害者関係団体による連続セミナーを開催し、多数の方々に御来場いただきましたほか、障害者週間のポスターの原画展を有楽町駅前の地下広場において開催したところでございます。
 今後とも、国民一人一人が障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し、支え合い、活躍できる共生社会の実現のため、引き続きさまざまな取組を進めていきたいと考えているところでございます。
 以上が資料1の説明でございます。それに加えまして、障害者週間中の広報につきまして、もう一つ御紹介させていただきたいと思います。
 今月の3日、「霞が関からお知らせします2016」という政府広報のテレビ番組、これはBS日本テレビでやっているわけでございますが、「障害者に対する理解促進」というテーマについて取り上げてございます。
 この番組では、フリーアナウンサーの関谷亜矢子さんと私のほうで、重度心身障害者用の施設を訪問いたしまして、そこから障害者の方々の思いや日常の姿を発信することで、命の尊さについて認識を深めていただくことを狙いとしてございます。この後、ステージの上にございます大型スクリーンで番組を上映いたしますので、御覧いただければと思います。上映の準備が完了するまで、いましばらくお待ちいただきたいと思います。
 なお、著作権の関係ということで、番組の上映中はインターネットでの動画配信や傍聴者用のスクリーンでの投影を行うことができないことになってございますので、その旨、御承知おきいただければ幸いでございます。
 また、これも同じく著作権の関係上でございますけれども、逐語での字幕は恐縮ながらつかないのでございますが、要約筆記のほうは舞台上の小型スクリーンのほうに投影させていただくことになりますので、この点につきましても御了承いただければ幸いでございます。
 以上でございます。

(政府広報番組上映)

○石川委員長 坂本参事官、ありがとうございました。また、内閣府の取組の御紹介、ありがとうございました。
 次に、2つ目の議題に入ってまいります。障害者差別解消支援地域協議会の設置状況等について、事務局から報告をお願いいたします。

○坂本参事官 事務局でございます。
 障害者差別解消法に基づきまして、各地方公共団体は不当な差別的取扱いの禁止、あるいは合理的配慮の提供について適切に対処するために、それぞれの職員向けに対応要領を定めるよう努めるとされております。
 今般、本年10月時点における地方公共団体の対応要領の策定状況について調査を行いました。それから、地域協議会の設置状況についても調査を行っておりまして、資料2-1の表裏になってございますので、これから御説明いたします。
 まず、対応要領の策定状況のほうでございますけれども、都道府県につきましては、策定済みが45、今年度中に策定予定が2ということで、今年度中に全ての都道府県で策定済みとなる見込みとなってございます。  政令指定都市につきましては、20団体の全てが策定済みとなってございます。
 その次の欄でございますが、東京特別区、中核市、県庁所在地(指定都市を除く)につきましては、策定済みが82%、今年度中に策定予定が約15%となってございまして、今年度中にほとんどの団体で策定済みとなる見込みになってございます。
 その次の欄でございますが、その他の市町村につきましては、策定済みが約41%、今年度中に策定予定が約27%となってございまして、今年度中に約3分の2の団体で策定済みとなる見込みとなってございます。
 一方で、未定が約23%、策定しないというのも約1%ございました。策定しない理由につきまして、都道府県の対応要領に準じて対応している、別途策定しているマニュアル等により対応している、こういった御説明をいただいているところでございます。内閣府といたしましては、都道府県の御協力もいただきつつ、引き続き対応要領の策定が進むように働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、裏になると思いますが、今度は地域協議会の設置状況というところになります。障害者差別解消法に基づきまして、地方公共団体では、地域の実情に応じた差別の解消のための取組を主体的に行うネットワークとして、地域におけるさまざまな関係機関から構成される障害者差別解消支援地域協議会を組織できることとされております。今般、これも本年10月時点における地方公共団体の地域協議会の設置状況について調査を行いました。その結果をまとめたものが資料2-2になります。
 都道府県につきましては、設置済みが37、今年度中に設置予定が10ということになってございまして、今年度中に全ての都道府県で設置済みとなる見込みとなってございます。
 政令指定都市につきましては、設置済みが16、今年度中に設置予定が2となってございまして、今年度中に90%の団体で設置済みとなる見込みとなってございます。
 東京特別区、中核市、県庁所在地につきましては、設置済みが約52%、今年度中に設置予定が約15%になってございまして、今年度中に約3分の2の団体で設置済みとなる見込みとなってございます。
 その下のその他の市町村についてでございますが、設置済みが約27%、今年度中に設置予定が約12%となってございまして、今年度中に約4割の団体で設置済みとなる見込みとなってございます。
 一方で、未定が約43%、設置しないも約2%ございました。設置しない理由については、例えば既存の協議会等で対応する。まずは個別対応を進めることとし、必要があれば今後検討するといったような御説明をいただいているところでございます。
 以上、申し上げましたように、都道府県や指定都市、あるいはそれに準ずる大都市におきましては、相当程度の取組が進展しているところでございまして、今後は一般の市町村を中心に、都道府県の御協力も得ながら取組を促していくことが重要であろうと考えているわけでございます。
 このため、内閣府におきましては、有識者による検討会を新たに立ち上げたり、地方公共団体にアドバイザーを派遣するなど、こういった取組を通じまして、今後とも地方公共団体に支援を行ってまいりまして、主体的な対応をしっかり促していきたいと考えております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 以上の御報告に対しまして、御質問等がございましたら、挙手をお願いいたします。
 それでは、石野委員、お願いします。

○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 2点あります。先ほどの内閣府が作成されたビデオ内容について、字幕が画面にあるので私は理解できますが、視覚障害者への対応はどのようになっていますか。副音声があるわかりませんが、そのあたりの見解を伺いたいのが1点目です。
 2点目ですが、障害者差別解消支援地域協議会の設置状況についての報告をいただきました。今年の10月現在の状況ですが、新たな設置状況もあわせて報告をお願いします。委員の構成や当事者の参画がどの程度の割合なのか、また委員長は当事者なのか、学識経験者の方なのかどうか等、協議会の詳細な部分の状況のデータも次の機会に出していただきたい。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、お願いいたします。

○杉田企画官 内閣府、杉田でございます。
 今回、政府広報という枠組みを使って広報番組をつくらせていただいております。
 政府広報の媒体の契約自体が、事前にあらかじめ政府広報室と制作会社、局側との間で決まっておりまして、内閣府の障害者施策担当として何かしらかそういった形の情報保障をしっかりできないかと交渉したのですけれども、契約の形態がもう既に決まっているということで、なかなか限界があったところでございます。
 そういった意味で、今後もしこういった形での広報用の媒体をつくるに当たりまして、今、御指摘いただいたような趣旨も踏まえて、しっかりと対応させていただきたいと思います。

○坂本参事官 2点目は、地域協議会がどういう構成になっているかとか、そういうビジュアルな部分についてももう少し教えてほしいという御指摘かと思いますけれども、そういった点につきましても、今日いただいた御指摘を踏まえながら、どういう地域協議会の実情になっているのかということを知る上で非常に重要な情報かと思いますので、検討させていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 では、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 今の石野委員の質問と重なる部分もあるのですが、3点ほどお願いしたいと思います。
 1つは、地域協議会の活動状況あるいは活動内容について、概略でも結構ですので把握していただきたい。障害者差別解消法が具体的にどのようにして地域で実践されるかに大きな意味を持つと思いますので、それをぜひお願いしたいのが1点目です。
 2点目は、構成ないしは設置の仕方であります。地域協議会の設置が独立した地域協議会を設置している場合と、既成の何らかの審議会の中の一部署、一部門として設置されているところがあるように認識しております。そういう意味では、設置の形態と構成メンバーないしは構成員について、どういう特徴が出てきているのかをぜひ把握していただくことをお願いしたいと思っております。
 3点目は、都道府県と市町村、政令指定都市とも把握しておられるようですけれども、地域協議会の動き方として、都道府県の地域協議会と市町村の地域協議会とはどういう関係になるのか。あるいは、連携があるのかないのかについても、興味と言うと怒られますが、関心のあるところでもありますので、ぜひその点もできれば把握していただくことをお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 坂本参事官、お願いいたします。

○坂本参事官 3点ほど今御指摘いただいたわけでございますけれども、先ほどの石野委員とも共通しているところは、数とか割合については把握しているということは分かったけれども、実際に実情はどうなっているのかということについて、もう少し深掘りした形の調査をしてほしいという御指摘かと思いますので、その調査方法等も含めまして、うまく工夫しながら検討させていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 大日方委員、お願いします。

○大日方委員 ありがとうございます。大日方です。
 私のほうから、障害者週間の取組及び広報番組について、一言お願いしたいと思います。
 恐らく今回初めて、こういった内閣府の広報番組を活用された新たな取組だと思いますので、その点、一つ進んだなと私は受けとめをしております。これをどなたに伝えるべきかということを考えるほうがいいと思うのです。そういった場合に、恐らくこの番組は障害のない方に対して、こういうことなのねということを取り組む番組ですので、石野委員の御指摘はもちろん我々にとって情報保障というところは大変重要な視点ではございますが、現実問題、全ての広報のものが私たちが理想とするようなものにはなっておりませんので、それはそれとして、そうしてほしいということは要求として伝えつつも、恐れずにいろいろな方に幅広く、障害のある人たちの共生社会というところの取組をいろいろな方に伝える工夫というのをさらにしていただくとよろしいかと思います。
 この障害者フォーラムもそうなのですが、どなたに伝えるべきなのか、あるいはこれをどなたが聞いてくださったのか、あるいは番組ですと、視聴率、あるいは視聴者層はどういったところに届いたのかというようなことを考えていくことによって、より有意義なものになると思いますので、この番組はどなたにどんな反応があったのか、あるいはフォーラムでどのような参加者がいらしたのかというようなことをとる工夫をしていくと、次の来年に向けた工夫につながるのではないかと思いますので、ぜひそうした取組もやっていただきたいと思います。
 一つ専門家の力を借りるとか、工夫をするということもそろそろ考えてもいいかなと。どうしてもここだけだと専門家が少ないですので、力を借りるというのも一つの工夫かなと思っています。
 例えば企業の障害のある人の取組とかを番組などで伝えると、モデル事業みたいな形でよいかもしれません。
 長くなりまして失礼いたしました。

○石川委員長、御意見ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。それでは、今の大日方委員の御意見もぜひ参考にしていただきたいと思います。
 次に議題3に入ります。成年後見制度利用促進委員会における議論の状況について、内閣府成年後見制度利用促進委員会事務局から御報告をいただきます。

○上村参事官 ただいま御紹介にあずかりました内閣府成年後見制度利用促進委員会事務局にて参事官を務めております上村と申します。私からは、成年後見制度利用促進委員会における議論の状況について御説明いたします。
 私どもの方で資料3「成年後見制度について」という資料を御用意しております。こちらを御覧いただければと思います。時間も限られておりますから、駆け足での御説明となりますことを御容赦ください。
 1ページ目でございます。成年後見制度利用促進委員会は、本年5月に施行されました成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づくものでございまして、この資料の1ページが法律のイメージ図でございます。
 この法律では、ノーマライゼーション・自己決定権の尊重・身上の保護の重視という成年後見制度の理念の尊重などの3つの基本理念、また後見・保佐・補助という3類型がある成年後見制度のうち利用が相対的に低調な保佐及び補助の制度の利用を促進する方策の検討などの11の基本方針を定めるなどしてございまして、また、成年後見制度利用促進基本計画を策定することなども定めております。また、そのための体制といたしまして、閣僚会議たる成年後見制度利用促進会議と、有識者会議たる成年後見制度利用促進委員会が置かれております。
 委員会では、基本計画案の調査審議などを行うことになっておりまして、このため現在、この促進委員会にて御議論いただいているところでございます。
 なお、施行後2年以内にこれらの会議は改組されまして、庶務は厚生労働省に移ることになっております。  資料の2ページ目に委員名簿をつけさせていただいておりますが、委員長は大森彌東京大学名誉教授に務めていただいております。また、知的・精神・発達障害の関係者の方々にも委員として御参加いただいております。
 資料の3ページ目でございます。これまでの委員会、ワーキング・グループの開催実績を掲載してございます。9月23日に第1回委員会を開催して以来、これまでに委員会を4回、また利用促進と不正防止という2つのワーキング・グループが置かれておりますが、それぞれ4回ずつ開催されております。
 資料の5ページ目を御覧ください。こちらは11月21日の第3回の委員会にてワーキング・グループにおける議論の中間的な報告が行われたところでございまして、その際に用意された資料でございます。「成年後見制度(補助・保佐・後見、任意後見)利用促進策の強化が必要な場面及び解決すべき課題」といたしまして、例えば場面1ですと、「利用者・関係者への制度紹介・情報提供」ということで、まだ必ずしも特定の個人を念頭に置いていない段階。次のページでございますが、場面2、「早期の段階からの権利擁護支援の検討開始」ということでございまして、特定の個人について、その子供などが何らかの支援が必要かもと感じる段階。場面3になりますと、「成年後見制度利用に向けた利用者ニーズの見極め」ということで、ではその人に対して支援として成年後見制度の利用が必要かなどを見極める段階などなど、7つの場面に分けまして、委員の御意見と課題をまとめてございます。大体共通しておりますのは、関係者・関係団体によって構成される社会的なネットワークの形成が必要というものでございます。
 資料の13ページ目を御覧ください。委員長の御指示により事務局が作成いたしまして、12月2日の第4回委員会においてお示ししたものでございます。「今後更に検討いただきたい論点」ということで、論点1から3までを挙げております。
 論点1が「権利擁護支援の地域ネットワーク及びその中核を担う機関について」というものでございまして、少し省略しながらの御説明になりますが、例えば本人に身近な親族、福祉などの関係者と後見人がチームとなって、日常的に本人を見守り、本人の状況を継続的にフォローするような体制をどう作っていくか、その構成員はどうあるべきか。
 また、福祉・法律の専門職が個別の後見チームのサポートに対応する仕組みを整備する必要があり、そのため、各地域における権利擁護支援の地域ネットワークの強化を進める協議会を設立することが考えられるが、その構成はどうあるべきか。
 以上のような個別の後見チームの編成とそのサポート体制や協議会の事務局など、連携の中核業務を担う機関の整備に向け、以下の点についてどう考えるかということで、中核を担う機関の設置主体・運営主体、市町村・都道府県・国の役割、中核を担う機関が担うべき機能のうち優先すべき機能、を挙げております。
 論点2は「不正防止」でございまして、不正防止の観点から、権利擁護支援の地域ネットワークにどのような機能を担わせるのが適当か。各後見人の個別の後見業務に対する日常的なチェック、監督の存り方についてどう考えるか。不正を起こりにくくする仕組みの強化として、後見制度支援信託というものがございますが、この後見制度支援信託に並立・代替する預貯金の管理・運用の方策をどう充実するか。任意後見制度における不正、特に移行型任意後見契約における不正を防ぐために必要な対応などは何か、というものでございます。
 論点3が「利用者がメリットを実感できる見直し」というものでございまして、成年後見制度において、財産管理の側面のみを重視するのではなく、意思決定支援・身上保護の側面を重視し、利用者がメリットを実感できる制度・運用とすることを基本とすべきではないか。成年後見制度の利用、類型を判断する入口における見直しとして、医師が本人の置かれた家庭的・社会的状況等に関する情報も考慮した診断書等を記載しやすくする等の運用の工夫が考えられないか。そのためには、国においてどのような取組が必要と考えられるか。家庭裁判所が後見人を選任するに当たり、本人を取り巻く支援の状況等を考慮して決定する運用が考えられないか。そのためには、国においてどのような取組が必要と考えられるか、というものでございまして、こちらに沿いまして年内の委員会としての意見取りまとめを目指して、引き続き議論が進められているところでございます。
 説明は以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 以上の説明に対しまして、御意見、御質問のある委員は挙手をお願いいたします。
 玉木委員、お願いします。

○玉木委員 ありがとうございます。
 ちょっとこの報告に違和感がありまして、というのは、昨年度、この委員会でもワーキングセッションの中で権利擁護支援とか意思決定支援のあり方について論議を重ねてきて、国連に出した政府レポート及び政府委員会のレポートについても、成年後見制度の利用については最終手段にすべきであって、原則は意思決定支援をどう進めていくかということがおおむねの方向性なのかなというふうに私は理解をしているわけですけれども、これを読んでいくと、成年後見制度ありきで、要は成年後見制度を利用促進するためにはどういう工夫があるのかというふうにしか聞こえていなくて、もうちょっと大きいところでは、やはり意思決定支援の仕組みをどうつくっていくのかという論議が見えてこない中で、成年後見制度をどういうふうに運用を変えていくかとか、それこそ監督のあり方とか、細かい各論の話をされていることについては憤りすら感じるというか、ちょっと方向性が、政策委員会で昨年度論議した方向性と、ここで論議されている中身については、若干の齟齬があるのではないかなと感じております。
 意見としてお聞きいただければと思います。以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 事務局も十分御承知と存じますけれども、権利条約が求めていること、そして当政策委員会で指摘してまいりましたこととの間に不整合があるのではないかというのが玉木委員の御指摘ですけれども、それにつきまして事務局のほうで何かございましたらお願いします。

○上村参事官 成年後見制度利用促進委員会は、成年後見制度利用促進法に基づいて設置されているものでございますけれども、成年後見制度利用促進法自体は基本的に現行の成年後見制度を前提としつつ、その利用の促進を図るための措置を講ずるものと考えておりまして、ただ、現行制度における運用が必ずしも本人の意思決定支援や身上の保護に配慮したものになっていないと我々も聞いておりますので、現在、委員会において、より障害者権利条約の趣旨に沿った運用となるよう、運用の見直し等について議論がなされているところでございます。

○石川委員長 ほかの委員、御質問、御意見がございましたら、せっかくの機会ですのでお願いしたいのですが。加野委員、いかがですか。

○加野委員 加野です。
 私も成年後見に関しましては、今、玉木委員が発言されたとおり、障害者権利条約に定められている意思決定支援について、成年後見制度は最後の手段ではないかというところで、今、成年後見制度利用促進というふうになっているところが、そもそものところがかなり違っているのではないかなと感じております。
 今後、障害者基本計画を考えていく中でも、この成年後見制度についてどういうふうにしていくべきかというところは、かなり大きな問題点になっているのではないかと考えております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 第1回の権利条約の政府報告に際しまして、当委員会としまして国内監視の責任を負う機関の責任におきまして、この件につきましては意見を述べておりますので、その点につきましてももう一度御一読いただいた上で、今後の検討の参考にしていただければ幸いに存じます。御報告ありがとうございました。
 続きまして、議題4に行きたいと思います。その前に、実は御所用がございまして、平川則男委員がこの後退席されますので、第5議題の自由討議に関しまして、平川委員から発言したいことがあるという申出がございましたので、ちょっと前倒しにはなりますけれども、先に平川委員に意見を述べていただく機会を設けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、平川委員、お願いいたします。

○平川(則)委員 ありがとうございます。所用がございまして、途中で抜けなければなりませんので、今日は自由討議ということでございますので、現時点において私ども連合として考えている問題意識等を含めて御報告させていただければと考えているところであります。
 課題は2つございまして、1つは雇用の関係で、もう1つは生活支援の関係でございます。雇用の関係につきまして、障害者雇用促進法が改正され、今後より差別禁止であるとか、合理的配慮の提供という方向でそれぞれの取組がされているというところでございます。
 連合としましても、この改正障害者雇用促進法の対応に伴いまして、職場、会社、事業所の段階で不当な差別的取扱いであるとか、不利な条件を付すとか、そういうことをどうやって防止していくのかという取組を連合に加盟しております各労働組合にお願いをしているということでございます。
 労働条件の改善、人事制度、募集・採用においての不当な差別の禁止をしていくということ。また、合理的配慮の提供に向けた体制整備の確認ということで、解決すべき課題を提起させていただいているところでございます。
 そういった中で、合理的配慮であるということで言うと、制度的な取組の課題ということもありますけれども、一方で事業所内や職場においてどういう形で障害者の雇用について理解を求めて、受け入れる体制をつくっていくのかということも課題と考えているところであります。
 実は、連合のほうで、働くことを軸とする安心社会の実現に向けてというテーマで、レポート、提言を募集しておりました。その中で、特定子会社に勤めております、これは連合の組合員の方でございますけれども、発達障害の方から提言が出てきております。
 その中で、雇用主に求められるもの、もしくは職場に求められるということで何点か御指摘がございました。1つ目は、必要な配慮はありがたいけれども、差別的な取扱いはやめてほしいというのがございました。要するに、配慮を通り越して、ある意味理解しがたいルールというのが職場の中に存在しておりまして、しっかりその辺を見極めて対応してほしいということや、2つ目は障害への理解を深めてほしいということでございます。3つ目としましては、発達障害者の立場で言うと、曖昧な指示についてはなかなか理解しがたいところもありますので、指示ははっきりと分かりやすく、ルールの明確化、だめ出しはきっぱりとというふうなことで工夫をしてほしいと。4つ目はキャリアアップということで、同じ職場でずっと働き続ける場合において、どのような形で自分がキャリアアップを踏んでいくのか、そしてそれが職員のモチベーションのアップにつながるのだということも提言されているのかなと考えているところであります。
 そういった中で、この方はさまざまな職場を転々とし、なかなか正規雇用がなかったという中で、たまたま正規雇用に就いた方でありますけれども、多くの民間企業においては、ほとんど正規雇用がなく、非正規雇用になっているということも含めまして、今働き方改革ということで政府のほうで検討されておりますけれども、その働き方改革の中で障害者の雇用に関してもしっかりと正規雇用を増やしていくべきだという提言がございましたし、連合としてもそれに向けてしっかりと頑張っていく必要があると考えているところであります。
 特に障害者の雇用率につきましては、法定雇用率の達成に向けて、まだまだ多くの企業が未達成ということもありますし、また、県などの教育委員会では法定雇用率を達成していない県もいまだに多いということでありますので、雇用の問題についてしっかりと問題点を把握し、その解決に向けた取組というのが重要ではないかと考えているところであります。
 続きまして、生活支援の関係でございます。これも前回発言させていただきましたけれども、障害者が地域で自立して生活していく、もしくは施設から地域移行を推進するためには、障害者総合支援法によるさまざまなサービス提供というのが重要ではないかと考えています。
 ただ、数字でははっきり出ていないとは思いますけれども、障害者サービスを提供する事業所においては、介護人材不足というのが本当に深刻化しているのではないかと考えているところであります。私の知っている事業所においても、ホームヘルプを行う人材がかつては30人ぐらいいたのが今では18人ぐらいしかいなく、いくら募集しても集まらない。それがために、サービス提供が今まで週3回ホームヘルプサービスを提供していたのが、週2回しかできなくなって、障害当事者に我慢をしてもらっているという状況も聞いております。
 障害分野だけではなく、介護分野も本当に深刻な人材不足でありますので、これらを含めましてしっかりと人材確保に向けた対策と、介護職員の処遇改善ということが極めて重要なのではないかと考えているところであります。
 今日はフリー討論でありますので、とりあえず概括的な意見ということで述べさせていただきました。御配慮、ありがとうございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 次に、第4議題に入ります。想定される今後の障害者政策委員会の審議の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。

○坂本参事官 事務局でございます。
 一部もう自由討議が始まってしまった面もあるのですが、「今後の障害者施策の課題について」の自由討議に先立ちまして、まず、今後想定される審議の進め方と、その前提となるスケジュール感につきまして、資料4に基づきまして説明いたしたいと思います。
 現行の第3次障害者基本計画の計画期間でございますが、これは平成25年9月にできたわけですけれども、25年度から29年度末、要するに30年の3月末までということで、そこで満了するわけでございますので、平成30年3月末までに次の第4次障害者基本計画を策定する必要があるということになります。
 ただ、最終段階の手続というのがあるわけでございますけれども、例えばパブリックコメントでございますとか、関係者への事前説明でありますとか、与党の党内手続でありますとか、閣議の手続といったような、そういうもろもろの手続があるわけでございますけれども、そういったものが4カ月、5カ月といった感じの時間を要する見込みであるということになってございますので、そこから逆算をいたしますと、来年10月中ぐらいには、この障害者政策委員会での議論を実質的に終えまして、政策委員会としての意見を最終的に取りまとめていただく必要がある、このように考えているわけでございます。こうした点を考えますと、審議の可能な時間が意外にもそれほど長くはないということがお分かりいただけるのではないかと思っているわけでございます。
 今後の議論の進め方でございますけれども、1つ目は論点の整理と基本計画の枠組み、骨格の具体化をしていくということ、2つ目としてその基本計画の本文の具体化をしていくという、この2つの段階に大別できるのではないかと考えているわけでございます。
 そういった前提に立ちますと、前者の論点整理、骨格の具体化といったことにつきまして、例えば来年4月まで約5カ月間、それから後者の基本計画の本文の具体化をしていくことにつきまして来年5月から10月、例えば6カ月間ぐらいということでありますけれども、そういったことで対応する場合、今御覧の資料4のような審議の進め方が考えられるのではないかと思うわけでございます。
 具体的に説明いたしますと、この後、資料5に基づきまして、障害者施策の課題について自由に御討議をいただくことになっているわけでございますけれども、その自由討議の結果なども踏まえまして、事務局のほうで今後の障害者施策の論点を総括的に整理をいたしまして、第4次障害者基本計画の枠組みの原案を作成させていただくということでどうかと考えているわけでございます。
 この枠組みの原案には、単に基本計画の骨格を示すというだけではなくて、本日の自由討議の結果も踏まえまして、総括的に整理した論点もあわせて記載いたしまして、その後の本文の具体化に向けた検討を円滑に進めることができるように、何とか工夫をしていきたいと考えております。
 その上で、例えば来年2月を目途に、次回の障害者政策委員会を開催いたしまして、枠組みの原案について御審議いただくことにしてはどうかと、このように考えてございます。
 さらに、その場でいただきました御意見を踏まえまして、さらなる精査を行いました上で、来年4月に政策委員会で改めて修正案を御審議いただいて、枠組みを固めていく、こういったことではどうかと考えてございます。
 その後、枠組みが固まった後、基本計画の今度は本文の具体化に向けた検討に入るということになるわけでございますけれども、その具体的な進め方につきましては、枠組みの内容も踏まえながら、来年4月の段階で改めて御相談させていただければと、このように考えているわけでございます。
 以上述べてきましたように、残された時間がそれほど多いわけではないという中で、限られた時間をいかに有効に活用して御審議を進めていただくか、このようなことが非常に求められているのではないかと考えてございます。
 事務局におきましても、しっかり知恵を出していきたいと考えているわけでございまして、委員の先生方におかれましても引き続き御協力を賜れれば幸いということでございます。
 事務局からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 今の事務局からの提案につきまして、御意見、御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。
 では、大日方委員、お願いします。

○大日方委員 大日方です。1つ質問です。
 5月から9月にかけての計画案の具体的な中身について審議というところですが、これはどの程度の委員会の頻度をイメージされていらっしゃいますでしょうか。

○坂本参事官 そこについては、例えば骨格がまとまりましたというのが4月の段階になってきて、本文を肉づけしていくことになるわけですけれども、どのぐらいの頻度かというところで具体的にするのはなかなか難しいと思うのですけれども、どのような体制でやっていくかとか、そういったことも含めまして、その段階が近くなってきて、また考えることなのかなと思っております。今の段階で、どのぐらいの頻度でやるのかとか、そこは答えが難しいかなと思っております。

○石川委員長 大日方委員、お願いします。

○大日方委員 ありがとうございます。
 今のその話を踏まえて提案ですが、今のペースですと、そうそう委員会の頻度というのはつくれないと思いますので、2つ提案したいと思います。1つは、審議の進め方を4月になってから決めるということですが、少し早めて2月の第32回のときにそのあたりの意見交換を少しするということが1つの提案です。
 2つ目は、もし可能であるならば、恐らく5月から9月だとかなり中身のボリュームが厳しいと思いますので、少しでも前倒しにできるように、4月目途が4月の上旬なのか、下旬なのかによって1カ月違いますので、そこのあたりの目標で、第33回を4月の上旬に開いて、具体的な計画案を議論する時間を少しでも増やすという、2つを御提案したいと思います。

○石川委員長 御提案、ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。

○坂本参事官 先ほど、私の御説明の中で、限られた時間であるけれども、それを最大限有効活用するということを申し上げたわけでございまして、そういった観点から、非常に有益な御提言をいただけたのかなと思っておりますので、そういったことも含めまして、また委員長とも御相談させていただきながら、そのあたりを考えさせていただきたいと思っております。

○石川委員長 ほかの方で御意見がございましたらお願いしたいのですが。松爲委員、お願いします。

○松爲委員 文京学院大学の松井でございます。
 初めてこの委員会に入りますので、全体の流れの経過を少し確認しておきたいのです。来年の10月に第4次計画案取りまとめ、その後、政務担当に手交と書いてありますね。その後で、11月から政府案が入ってきます。つまり、ここでつくられました基本計画案が政務担当に移りまして、そして政府案が入りますね。その間に、例えばこの委員会でつくられた話が、政府案に実際に移すときに中身は変わるものなのですか。変わるときに、例えば私どもの委員会というのはどんな立場をとればよろしいのでしょうか。それとも、全く変わらないものなのですか。そこを確認させてください。

○石川委員長 事務局、お願いします。

○坂本参事官 障害者基本法上、内閣総理大臣が障害者政策委員会の意見を聞いてこの基本計画の案をつくるという形になっております。それを所要の手続を経て、最終的に閣議決定という形を経て正式な基本計画になるということが、障害者基本法上、そういうふうに定まっているということでございますけれども、障害者政策委員会の御意見を踏まえて、それを反映させて案をつくるわけですが、その後、例えばパブリックコメントでありますとか、そういったような手続に入ってくるわけでございます。
 そういう中で、障害者政策委員会の取りまとめた案が全く変わらないのかというと、今ここで断言できるわけではありませんけれども、基本的には濃密な議論を重ねましてそういう案をつくってきたということになってくるわけでございますから、極力そういうところは変わらないようにということになろうかと思いますけれども、そういったことで、例えばパブリックコメントで非常にいろいろ意見が出てきましたとか、何かこちらとして事情変更を強いられるようなことがもし仮にあるとすれば、そういったときにこの政策委員会での取り上げ方というのも考えなければいけなくなってくることもあるかもしれませんけれども、基本的にはそのようなことがないように、ここでの議論をなるべく詰めていくということに尽きるのではないかと考えております。

○松爲委員 ありがとうございます。
 そういう形を信頼しておきます。

○石川委員長 ほかにございますか。
 遠藤委員、お願いします。

○遠藤委員 改めてお尋ねをしたい。平成29年11月から3月までの間にやるべきことは理解したのですが、それでもこれだけの期間が必要なのかどうかというところは、正直疑問があるのです。むしろ、ただ今、松爲先生が御質問されたことを委員メンバーが共有できれば、やはり委員会での議論にどれだけ時間をかけて成案をつくっていくのかに、もう少し注力したほうがいいという考え方もあるかと思っており、私はその立場です。もう少し11月から3月の期間を圧縮することによって、委員会での時間というのは確保できないものなのでしょうか。

○石川委員長 よろしくお願いします。

○坂本参事官 そこは10月までの議論の進捗とか、そういったところもあろうかと思いますけれども、基本的には与党の手続とか、関係議員の根回し等々、なかなか政策委員会と余り関係のないところではありますけれども、事務局としては相当程度エネルギーを費やさざるを得ないような手続もあるわけでございまして、そういったことでこういうお時間をとらせていただいているというところがございます。
 ただ、遠藤委員がおっしゃるように、ここでの政策委員会での議論というのももう少し時間をとってやるべきではないかという御意見もあろうかと思いますが、そのあたり、議論の成熟度といいますか、そういったことも見極めながら、こちらとしてまた柔軟に対応できるところは対応していくのかなと考えております。

○石川委員長 ありがとうございます。
 事務局としては、保険を掛けるというか、石橋を叩きたいということかと思いますけれども、遠藤委員も御指摘されたように、余裕はないかもしれませんが、もう少し時間は確保できるのではないかと考えていいかと思います。
 それで、私からも1点確認ですが、第3次基本計画を策定する際には、部会方式をとりまして、外部の参考人といいますか、専門家であったり、障害当事者であったりと、より多様な立場の人たちにも参加していただいて行ったという経緯がありますけれども、事務局のほうとしまして、その点についてこの時点で何かお考え、あるいは予算面での準備等につきまして、何かございましたらお願いいたします。

○坂本参事官 そのあたりにつきまして、先ほど、例えば大日方委員が4月でなくて2月とか、そういった御提言もあったりとか、いろいろあるわけでございますけれども、そういったことも含めながら、今、予算面がどうかということは今つまびらかにはないですけれども、いずれにしてもそういう進め方につきまして、また委員長にも御相談させていただきながら進めさせていただきたいと思います。

○石川委員長 それでは、よろしいでしょうか。次回もう少し、先ほど大日方委員からも御提案がありましたけれども、まず最初に骨格を固める、その後、本文、内容について政策委員会としての意見を取りまとめていくという2つの段階に分けて行っていくけれども、後者についての進め方も早い段階で大体の方向性、段取りを合意しておきたいという、この点は多分ほかの委員の皆さんも同じ考えかと思いますので、そういう方向で事務局と調整させていただきたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
 それでは、次に議題5に入ります。前回の政策委員会における議論を受けまして、今後予定される第4次障害者基本計画の円滑かつ効果的な検討に資するために、今後の障害者施策の課題について、委員の皆様に自由討議をしていただく時間を設けたいということでございます。
 それに先立ちまして、まず事務局より本日の自由討議を行うことになった経緯や、あるいは自由討議の具体的な進め方について御説明、あるいは御提案をいただきたいと思います。

○坂本参事官 事務局でございます。
 前回の障害者政策委員会におきまして、26年度、27年度における障害者施策の実施状況について御議論いただいたところでございますが、前回、まず3次計画の実施状況を踏まえて、総括的見解をまとめて、その後、4次計画の検討を行うといった、ある意味、二元的な進め方ということで御説明申し上げたわけですけれども、その際、もう少し時間をかけて議論を進めるべき、平たい言い方をすると、いきなりそういうものが出されるとアキレス腱が切れるような感じになるので、少し準備運動の時間が欲しいといったような御意見をいただいたわけでございまして、そういったことで、そういう二元論的ということではなくて、最初から4次計画の検討を見据えて、いわば一元的に議論を進めていくべきではないかといった御意見もありましたのでということでございます。
 委員長とも御相談をいたしまして、まず、必要な検討時間を確保した上で、昨年取りまとめた議論の整理でございますとか、先般取りまとめた27年度における障害者施策の実施状況、こういったものを踏まえながら、今後の障害者施策の課題について御検討いただくことといたしました。
 これを受けまして、先月の1カ月間、事務局のほうから委員の皆様に、今後の障害者施策の課題について照会をさせていただいたところでございます。その回答を取りまとめたものが資料5でございます。80ページぐらいあるわけでございますけれども、お忙しいところ、実は11月15日ぐらいまではどなたからも来なかったのですが、後半の半月で多数の御回答をいただきまして、本当に感謝申し上げているところでございます。
 資料5でございますけれども、4章に大別したつくりになってございます。Iの「総論的事項」、IIの「分野横断的事項」、IIIの「分野別施策等」、Ⅳの「その他事項」、この4つございます。
 また、IIIの「分野別施策等」というところでございますが、これにつきましては3次計画の構成に応じまして、分野別に細分して記載しております。(1)の生活支援から(10)の国際協力、(11)推進体制、こういったことでございますが、そういうことで細分して記載をしているわけでございます。
 自由討議の進め方でございますけれども、この後、4つの枠を設けて御議論いただこうと考えてございます。1つ目の枠では、総論的事項、分野横断的事項ということで、2つ目の枠では、分野別施策のうち、(1)の生活支援、(2)の保健・医療、(3)の教育、文化芸術活動・スポーツ等ということ、3つ目の枠では、分野別施策のうち(4)雇用・就業、経済的自立の支援、(5)の生活環境、(6)の情報アクセシビリティ、最後4つ目の枠では、分野別施策等のうち(7)安全・安心、(8)差別の解消及び権利擁護の推進、(9)行政サービス等における配慮、(10)国際協力、(11)の推進体制及びその他事項、こういったことについて、それぞれ自由に御議論をいただければと考えておるところでございます。
 それぞれの枠で各20分程度の時間を確保してございます。また、1つ目の枠が終了した後に休憩時間をとらせていただく、このようにしております。
 この後、石川委員長のほうから、自由討議に当たってのいわば心構えのようなものについて御説明をいただく予定でございまして、そういった点も踏まえつつ、忌憚のない御意見をいただければと思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 心構えというようなことではございませんが、自由討議に当たりまして、私たちが認識を共有しておきたいことについて何点か申し上げたいと思います。
 まず、第4次基本計画はどうあるべきかということについてです。その1点目、障害者権利条約との高い整合性のある計画でないといけないということです。第4次障害者基本計画は、障害者権利条約批准後初めて策定する基本計画でありますので、現行の第3次障害者基本計画よりもさらに質的に進化した計画で、かつ権利条約準拠の計画でなければならないと考えております。この点について、全ての委員と考えを共有したいと考えております。
 2点目、障害者権利条約の国内実施の強化に資する計画でなければいけない。PDCAサイクルをきちんと回していけるような計画でないといけないと考えます。政策委員会は、障害者に関する政策の監視、評価に使える水準の統計が国、地方公共団体ともに不足していると、先のモニタリングで指摘をさせていただきました。ですので、そうしたことを踏まえて、第4次基本計画というのは評価に資する、モニタリング可能な計画としての性能を実装しないといけないと考えています。
 3点目といたしましては、第1回政府報告の権利委員会による審査を見据えた計画である必要があるということです。政府報告書で政府全体及び政策委員会が指摘した課題への対策がしっかりと位置づけられた計画とする必要があると考えております。また、審査前に中間監視を行うということを想定しておくことも必要であると思います。
 2点目、政策委員会の役割ですけれども、障害者政策委員会は障害者権利条約第33条に定められております監視するための枠組みを担っております。このため、政策委員会では条約の趣旨に立脚した大局的、俯瞰的見地から障害者施策の大きな方向性や個々の施策の条約との整合性、取り組むべき政策課題等について検討を行うことが求められております。
 また、権利条約や基本法が求めている政策の根拠となる法制度が十分でない場合、あるいは未整備であるような場合や、個別の制度や事業であっても、権利条約が求めているような障害当事者参加型のPDCAサイクルを回せていないものについては、当政策委員会での議論はとりわけ重要であると考えております。
 3点目、本日の議論ですけれども、今後の障害者施策の課題として、各委員から寄せられました回答を資料5にまとめていただいております。時間も限られておりますので、御自身の回答内容について改めてこの場で説明いただくのではなく、ほかの委員の回答から何らかの着想が得られたり、何らかの刺激を受けて発想したことがあれば、自由に御発言いただきたいと考えております。
 委員長からは以上でございます。
 それでは、まず総論的事項と分野横断的な課題についての自由討議を行います。時間は20分程度を予定しております。御意見のある委員は挙手をお願いいたします。
 竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。ありがとうございます。3点ほど総論的にお願いしたいと思います。
 1つは、権利条約に対応していくというのは、今回の意見を出す場合のフォームにも入っていたし、かつ今、委員長からの指摘もありましたので、非常に大きなポイントだと思っているのですが、それに加えて国際比較というものが必要ではないかと思いました。
 この間の国連の権利委員会に各国から報告された報告に対する委員会の勧告であったり、指摘なんかを見ていると、日本の発想と随分違うこと、あるいは日本では全く議論されていないこともあるように思っております。その点で、国際比較というものはどこかで取り入れられないのかなというのが1点目でございます。
 2点目には、分野別とか横断的というところがよく理解できていないのかもしれませんけれども、例えば福祉と、ここで言うところの個別分野の関係がよく分からないわけです。例えば、移動支援事業という障害者総合支援法の制度があるわけですけれども、この議論をしているときに、通勤、通学のところへの適用について、雇用行政との云々とか、教育行政との関係というのが必ず議論されるけれども、それがどこでどういうふうに調整されるか、さっぱり国全体の政策を考えるところでは出てこないわけです。
 したがって、今回分野別で言うと、例えば生活支援というのがある。もう片一方で、雇用・就労支援というのがある。あるいは教育問題がある。それらが重なり合う部分というのをどこで議論し、どういう形で整合性を持たせていくのか、あるいは発展させていくのかということについて、少し議論できないのかなと思ったのが2点目です。
 もう一つは、私は余り理解していないのですけれども、女性と障害者の問題が一定の議論にもなってきているし、委員の方の発言もある。非常に重要だと思うのですけれども、二重差別の問題、あるいは二重差別とまで言わなかったにしても、政策上、大きな特徴を持つ分野だということは間違いないと思うのですけれども、これが横断的と言えば横断的なのですけれども、独自の配慮、あるいは独自の政策が必要だという意味では、これを個別項目に上げるということにはならないかなということが気になるわけであります。
 例えば、ジェンダーバランスというのは常に言われてきているわけですけれども、政策委員会なんかを見ていますと、それなりと言うと怒られますけれども、女性の方々の割合は多いわけですが、それ以外の審議会で参加しておりますと、いまだ女性の割合は極めて低いし、私自身をとってみても、障害者団体における女性の役員数というのは極めて少ないという実態は全国変わらないような気がするのです。それらを大きく前進させるためにはどうしたらいいのかということを独自に考えていくとなれば、やはり個別の項目を上げていかないと、横断的という言い方で抽象的な議論だけしていたのでは前進しないのではないかという不安を持っています。
 以上です。

○石川委員長 御指摘ありがとうございました。主として2つの点を、例ということでもあるし、重要な課題であるという御指摘でもあったかと思いますけれども、今の竹下委員の意見に対して、同感であるとか、あるいはそこから触発されて言いたいことがあるという方はいらっしゃいますか。
 三浦委員、お願いします。

○三浦委員長代理 発言させていただきます。
 今、竹下委員が言われました分野別施策の項目の再編に関しましては、たくさんの委員の方々からも意見をいただいておりまして、同感です。それは、前回のモニタリングで、計画に沿ってモニタリングをするという作業を政策委員会は担わせていただいたのですけれども、現計画の項目立てではやりにくいというところもございますし、漏れてしまって、なかなか強調できないというところも感じられましたので、ぜひ分野別施策の項目立てに関しましては議論していきたいという意見です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 柘植委員、お願いします。

○柘植委員 筑波大学の柘植です。
 国際比較ということを竹下委員がおっしゃって、それに関連してでございます。既にここに書いたものは説明しないという約束なので、なるべく説明しないように話をしたいと思いますけれども、7ページのところに用語の問題を書いたのです。原語で言うと、“inclusion” “full inclusion” “inclusive” “inclusive education” “inclusive society” “social inclusion”、いろいろなものがあるのですが、それを日本語に訳すときに、いろいろな使われ方をしているのです。
 実は中教審のある2030年を見越しての議論のときにも、いろいろな用語が出てきて、ちょっとこれは整理しないと分かりづらいのではないかと。こういう政策の問題は、専門家だけではなくて、先ほど大日方委員もおっしゃったけれども、一般の方にも理解していただくということは非常に重要なことなので、分かりやすい用語の整理が必要ではないかということを伝えました。
 実はそのためだけではなく、国際比較をするためにも、いろいろな用語を整理するといいのかなと思っております。そのことを7ページ、8ページに書きました。
 それから、私は2期目なのですけれども、1年目の夏に、インクルーシブ教育で委員としてプレゼンしなさいということで言われて、そのときに政策科学の視点からのインクルーシブ教育ということでお話をさせていただいて、そこのペーパーにも書いたことで御記憶があると思いますけれども、進捗状況を把握するために、先ほど委員長はPDCAサイクルと言いましたけれども、把握するための何がしかのツールがあると良いねという話をしたと思います。物差しという言い方をしました。それは、経年変化も見られますけれども、よその国と比べて日本の政策はここが良いねということを浮き彫りにしたり、あるいは残念ながらここがちょっと苦手だから、今度はここを頑張ろうよというふうに客観的に培ってきたものを振り返ったり、足らないものを知って、次の方向に向かっていく、そのためにも非常に重要なことなのだと思います。国際比較という用語が出たものですから、発言させていただきました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、飯塚委員、お願いします。

○飯塚委員 私は今回たくさん回答書に書かせていただいたのですが、意思決定の尊重を重んじた適切な治療と支援の提供ができる計画のための実態把握と対策の視点ということで少し言わせていただきます。約20年前に息子が統合失調症を発症しまして、初めてそのときかかっていたクリニックの先生から、保健所が対応してくれますという話を聞きまして、保健所に行きました。そうしましたら、入院可能な病院をいくつか紹介をしてくださるだけで、治療につなげる適切な支援を受けた覚えはありません。ですから、家族は必死になって、混乱する息子を治療に結びつけなければいけないということで、病院に行って先生とお話をして、先ほど御本人の意思を尊重するということから見ましたら、家族の意思を優先した医療保護入院というのをさせました。
 そのとき医師から家裁に行って今まで本人をどう見守ってきたかの経過を報告してくださいと言われましたので、改めて日記に書いていたことを、本人がどういう症状で、私たちがどう対応したかを書いて持っていきました。それで家裁から、ではあなたたちはしっかり医療保護入院の観察をしていたというふうな結果をされたわけです。そういうことが医療保護入院だということも知らされず、家族はいつの間にかそうなっていたという実態があります。
 それは20年前のことですが、現在も保健所に相談をしたときに同じような対応を受けていると聞きます。家族が相談に行くと、家族がついているから大丈夫ですねということで、十分な対応をしてくれません。地域住民から相談を受けた場合とでは対応が違う。保健所に余りにも担当者が少なくて対応できないという今の状況は、20年前と余り変わっていないということを、地元の実態から感じております。
 相変わらず家族扶養ということにつながっていて、公的責任において社会的扶養、公助を原則とした、本人の意思をちゃんと尊重する仕組みが必要です。治療が必要だということを徹底的に認識できるような働きかけが今もとれていないということについて、家族は本当に悩んでおります。
 抱え込んで、現在高齢化した家族は、親なき後どうしようと悩んでいます。成年後見制度についても、意思がなかなか伝えられない本人を考えますと、きちんと本人の意思を尊重しながら家族に代わって誰かが医療に必要な手続とか生活支援をしてもらえなければ、きちんと生きていけない。引きこもりの本人を抱えている多くの家族は、そのあたりをちゃんとしていっていただきたいと改めて思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。意思決定支援のあり方について、第4次基本計画の中できちんと位置づけてほしいという御意見であったかと思います。いくつかの論点がございましたので、また今後の議論の中で検討していきたいと思います。
 ほかに。辻井委員、お願いします。

○辻井委員 辻井です。
 分野横断という形になるのかなと思うのですが、基本的にライフステージに応じて子供たちが大人になりという形で移行していったり、ある場所で地域に移行していったりというような形があるのですが、移行をどういうふうな形できちっと実態として捉えて、どうやっていくのかという話が、前回のところでも一個一個のところで統計をとっていったりという形になるので、それがどのように移行していったのかという形のところをぜひきちっと捉えていかないと、本当にインクルーシブな方向に向かっているのかどうかということが非常に捉えづらいという形になるので、どういう指標で捉えていくのかということはまた考えなければならないと思うのですが、そうした視点はぜひ、総論及び分野横断的な事項の中では位置づけていただけるといいかな、位置づけていきたいと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、阿部委員、お願いします。

○阿部委員 日身連の阿部です。
 私からは、先ほど委員長のお話にありましたけれども、権利条約との整合性と国内実施の強化というお話の中でですが、これもさまざまな方々からいろいろこの辺のところも勉強させていただきながらなのですけれども、基本法の中では「第32条に障害者政策委員会は基本計画の実施状況を監視し」とありますけれども、権利条約の監視という文言はない。だから、言ってみれば、前回は基本計画監視をもって権利条約の実施状況を検討したのだよというようなお話などを、これは石川委員長からも聞いたことがありますけれども、そうすると、基本計画に述べられていないことに関しては、その監視が行き届かない。前回思ったのは、障害があって高齢になると、介護保険が優先されますが、介護保険の領域が監視の範囲から抜け落ちてしまったのかなと思っていたら、先ほどの枠組みの中の石川先生のお話で納得がいったのですけれども、私たちの政策委員会の監視は障害者基本計画ということなので、権利条約の状況に関する監視は基本法にうたっていないというところの根本的なことがあるように思いました。
 それで、総論的事項の中で、例えば安藤委員が書かれていますけれども、障害者基本法の施行後3年の見直しなどということで、確かにそこに規定されていますので、もっと政策委員会の役割、繰り返しになりますけれども、権利条約の我が国での実施状況について監視するというのをもっと明確に打ち出していただけないかというところがとても大事なことだと私は考えています。
 もう一点は、今、生活のしづらさ調査が12月に行われていますけれども、これについては政策委員会では話題になりませんでした。また生活のしづらさ調査については、私たち基本計画第4次を検討していくときにも大事であろうと思うのですけれども、これがいつになったら整理されて出てくるかどうか、また、それを踏まえた議論もできるのかどうかということをあわせて確認したいと思って発言させていただきました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 玉木委員、お願いします。

○玉木委員 ありがとうございます。玉木です。
 2点あります。1つは、国際比較というのはすごく大事な視点だと思うのですけれども、これまでの慣例からいくと、余り首を出さないというか、ほかの国と比べていくと、ここ日本はやり過ぎだという感じで、政府とか評価されると、それはある意味で困るので、あくまでも国際比較をしながら、中立・公正にこういうことが大事ですよねという論議をしていかないと、国際比較しました、この部分については日本は出過ぎているから、ちょっと抑え目にいきましょうみたいな、そういう子供じみた論議はしないでおきたいなということと、もう一点は、さっきの柘植委員の発言で思い出したのですけれども、昨年、柘植委員がおっしゃられていたオルタナティブレポートというか、自分の経験を掘り起こしていって評価していく、そこはすごく大事な評価になってくるのかなということで、生活のしづらさと言ってしまうと、今のしづらさみたいなところだけが強調されるのだけれども、最近、私がいろいろなところで言っていることは、年相応の経験が障害があるゆえにできてこなかったことはいっぱいあって、そこをきっちりと、障害があっても保障していくような社会の仕組みに変えていく必要があると思うので、横断的と言うよりはライフステージに合った社会生活、社会経験がどれだけ実行できているかという、そういう尺度でも評価をかけていく必要があるのではないかなと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 阿部委員からの御指摘に関連して、私も発言させていただきたいと思います。
 阿部委員は、政策委員会の所掌事項について主として意見を述べられたのですが、さらにそれを一般化するならばということですけれども、障害者に特化した法制度及び障害者に特化しない一般の法制度を権利条約の観点から精査して必要な改正を行うということを基本計画の中で、政府としてそれをやっていくのだというふうに言えないものか。これは必要なことですし、第4次基本計画の中の一つの柱として進めていくということが重要ではないかと思いましたので、阿部委員の御意見に触発されて発言させていただきました。
 ほかにございますか。石野委員、お願いします。

○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 先ほど、委員の方からの発言で、意思決定支援に関しての意見が出ました。これは非常に重要な課題かつ視点だと考えています。第3次障害者基本計画の中に、初めて情報アクセシビリティという分野が設けられました。それまでは情報バリアフリーという考え方だったと思います。しかしながら、2年を経過しても、まだまだ発展途上ということは否めないと思います。さらに議論が必要な分野であり、課題もいくつかあります。そういう意味も含めまして、今後、情報アクセシビリティという分野にも力を入れるべきではないかと考えているところです。
 もう一つ、障害者基本法におきましては、また障害者差別解消法の範囲は三権分立という考え方の中で、行政の部分だけになります。立法府、あるいは司法府は、範囲に含まれていないということで第4次計画のときには、立法府、司法府に対しても、例えば情報アクセシビリティはどこまで進んでいるかというような監視を行えるように、その辺の議論も加えていただければ幸いだと思っています。

○石川委員長 御意見ありがとうございました。
 それでは、加藤委員、お願いいたします。

○加藤委員 ありがとうございます。一般社団法人全国児童発達支援協議会の加藤でございます。
 私は今回初めて参加させていただいて、流れがよくつかみ切れないのと、今回の意見出しに関しても、自分の意見がうまくカテゴリーに分類できなくて、ごっちゃになっているようなところがあることをお許しいただきたいと思います。
 特に、小さな年齢の子供たちのことを考えたときに、今回、この会ももちろんそうですけれども、障害という言葉がキーワードになっているのですけれども、小さな子供たちの段階においては、まだ障害とは言えない、しかしさまざまな生活上、育ち上、学び上の困難さを抱えた子供たちはたくさんおられるわけで、そのことに関して周囲の関係者も苦慮されているという実態がたくさんあるわけです。
 そういう意味では、もちろん障害というキーワードで議論を深めることは大事なことかと思いますけれども、ちょっと年齢を下げたところの子供たち、あるいは子育てを考えたときには、必ずしも障害とは言えないけれども、日常の中でのさまざまな育ちの困難さ、子育ての困難さ、学びの困難さを抱えた、そういう存在がたくさんおられるということを考えたときに、余りセクト的にといいますか、狭い分野で物事を考えていってしまうと、そういう子供たちの存在が全部おっこちていってしまうような気がするのですね。
 そういう意味では、縦断的、横断的と先ほどどなたからも出ていましたけれども、ぜひそういう広い視点で、困難さをさまざまなレベルで感じている、あるいは持っている人たちのことが議論できるという場であってほしいと思います。
 そして、とりわけどうしても各所管が、例えば教育なら文科省、福祉なら厚労省という形で、縦割りといいますか、良い意味でも悪い意味でもそういう管轄の中で事がコントロールされていくわけですけれども、そうした多様な医療、教育、福祉、さまざまなニーズを持って、困難さを抱えて生きている人たちのことを考えたときには、それを横軸的に横断的に捉えていく視点というのをぜひしっかり持って議論をしていっていただけたらと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

○石川委員長 御指摘ありがとうございます。どのように基本計画の中に入れていけるかというのは、御指摘を踏まえつつ、また知恵をいただきつつ、検討させていただきたいと思います。
 ほかに御意見はございますでしょうか。では、北岡委員、お願いします。

○北岡委員 全国地域生活支援ネットワークの北岡と申します。
 私はここで自分の意見として、障害者基本法の改正について、この場でも議論を進めるべきではないかという意見を書かせていただきました。根拠についても書いていますが、5年経っているということで、3年後の見直しということから、2年経過しているということと、それから意思決定支援や権利擁護や虐待防止という項目も、障害者基本法の中で議論されてもいいのではないかと思いましたが、佐藤委員からも同様の意見が出ておりまして、さらにそこには障害の定義とか差別の程度などについても議論してはどうかという御意見に、私自身、また意を強くしまして、ぜひ第4次計画を進めていく上での課題として議論できるようにしていただけないかということを思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。それができれば一番いいなと思いまして、さてどういうふうにすればそれが可能になるかという知恵を絞らないといけないかなと思います。  それでは、大日方委員、お願いします。

○大日方委員 私も今の御意見に少し重複するところですが、障害者の定義が恐らく変わってきているだろうというところが重要かと一つは思います。
 ここで考えなければいけないと思っているのは、結構海外の方々が日本で生活するケースが増えてきていて、その方たちの中に当然障害のある方もいらっしゃる。こういった視点が今までの議論の中ではほとんどできていないので、ある種の二重の大変さを抱えていらっしゃる方、文化的にも言語的にも、かつ障害があるというところを我々のこの中でカバーしていくかということが一つ横断的という意味ではあるのではないかと考えました。
 それから、皆さんの意見を聞きながら何となくまとまってきたのですが、やはりライフステージとか生活のしづらさとか、そういうそれぞれの障害のある人自身の生活に沿った形で分野別というのを少し見直すことが必要なのではないかと思いました。
 特に女性のジェンダーの話、意思決定の尊重、それからアクセシビリティという意味では情報保障ということと、恐らく移動の自由という、大きく2つに大別されるのだろうと思いました。
 そして、物差しとか国際比較という話が出ましたが、統計でデータとして何をとるべきなのかというところ、ここも総論的かつ横断的な分野事項になるのではないかと考えました。
 以上になります。

○石川委員長 御指摘、ありがとうございました。複合差別と言えば、女性障害者が抱える困難というふうに、まずはそれを考えるわけですけれども、考えてみれば、ほかにも複合的な困難を抱えている障害者はたくさんいて、国籍を持たない障害者もまたそのような人々ですので、大変重要な指摘をいただいたと思います。基本計画の中に取り込むべき内容かと思います。ありがとうございました。  ここで1回休憩を入れたいと思います。再開は4時とさせていただきます。

(休  憩)

○石川委員長 議事を再開いたします。
 次は、分野別施策のうち「1.生活支援」「2.保険・医療」及び「3.教育、文化芸術活動・スポーツ等」についての自由討議を行います。時間は18分程度を予定しております。
 御発言がございましたら、挙手をお願いします。
 伊藤委員の代理の齋藤様、お願いします。

○齋藤委員代理 齋藤と申します。伊藤委員の代理で出席させていただきました。
 2点ほどございます。1つは、伊藤委員意見の28ページのところ、2-(3)-1で遺伝子診断の利用についてですが、これにプラスして発言させていただきます。遺伝子診断は保護者の意向で今後も増えていくだろうと考えております。
 でも、一番大事なのは、診断した結果のフォローだと思っています。フォロー体制がない中で診断されるということは、親にその決断を求めることになり、非常に過酷なことになります。診断されて、あなたのお子さんは障害を持っていますよと言われたときに、医療機関、保健所等でフォローをしていただくという体制が一番必要だと思います。
 それから、生まれた後、どういう経緯をたどっていく可能性があるかということ、自治体や地域の中でできるフォローやどういう就労ができるかを伝え、親御さんがお子さんの成長の見通しを持った中で判断ができるような形をとってあげないと、診断は非常に過酷なものになりますので、そこをつけ加えていただきたいと考えております。
 もう一点は、教育関係です。インクルーシブ教育を文科省の方針で各学校は難しい中で実施していると思います。ですが、放課後はいかがでしょうか。放課後は「放課後子どもプラン」という形で、文科省のほうでは放課後子供教室、厚労省は学童保育、こんな形で行っているかと思います。
 ところが、今、放課後等児童デイを行う事業者が急激に増えています。この仕組みについては否定するものではありませんが、中には非常に問題のあるような施設もあると伺っております。過渡期ですから、ある意味では仕方がないと考えておりますが、子供が地域の中で、あるいは学校の中でインクルーシブ教育の中で育っていく、この考え方を基本にしながら、放課後もできる限り、健常児と一緒にすごせるよう、さまざまな施策をつくっていただきたい。こんなふうに考えておりますので、つけ加えさせていただきました。
 それから、小さいことですが、やはり学校教育の中で医療的ケア児の問題があります。医療的ケアといっても、非常に重症な医療的ケアのお子さんと、軽いお子さんとがいます。私が今属しております患者会の心臓病の子供たちの中には酸素を持ちながら学校に通う子がいます。そのこと以外は普通に教育に参加できるのですが、そういうお子さんに関しても医療的ケアということで一律に学校の受け入れを拒否されたり、あるいは親御さんの付き添いを求められたりする学校があります。ぜひ医療的ケアも含め、子供にとってどこでの教育が最善なのかということを考えながら、計画を作ってくださるとうれしいと考えております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、阿部委員、お願いします。

○阿部委員 日身連の阿部です。
 生活支援のところですけれども、例えば身体障害者手帳を持っている人で64歳までの人に限りますと、障害福祉サービスを受けている人は、5年前の調査で18.何%、今調査しているからまた変わるかもしれませんけれども、80%以上の人は障害福祉サービスを受けなくても、元気に生活するということを望んでいる人たちが多いと思います。
 そのようなことから、社会参加のチャンス、機会をつくるということですね。明日何をする、来週何をする、来月何をする、そういう目的を持って生活をする、それはとても大事なことだと思います。そのためには、集まる機会、移動する手段、先ほども竹下委員がお話しされましたけれども、移動手段が縦割りになっているということで、今度は検討する必要があると思っています。
 それから、生活ということの中で、障害がある人同士の支援というのもとても大事です。ピアカウンセリングという言葉は出ていますけれども、ピアサポートという、もっと広い観点からのお互いの支え合いということも大事なのではないのかなと思いますし、障害者差別解消法を地域に広げていくためには、もちろん住民の方々に知っていただくということは大事ですけれども、障害がある一人一人がきちんとこのことを理解する取組もすごく大事ではないのかなと思っています。そして、地域の格差のないような仕組みがすごく大事だと思います。
 それから、教育、文化芸術活動等では、現行の計画、これまでの計画におきましては、文化芸術活動・スポーツというのはとても大事ですけれども、権利条約でも余暇活動とか観光ということもうたっているので、もっと身近なところでの教育、文化芸術活動・スポーツなどということをうたっていただきたいと思います。
 前の計画では、教育しかなかった。文化芸術活動・スポーツが加わって、第3次計画は評価できますけれども、もっと権利条約に照らし合わせれば、先の社会参加とつながるかもしれませんけれども、身近なところでの生きがいづくりということを入れていただきたいということと、教育については委員の皆様のお話は本当にそうだと思いますし、大事だと思います。でも、生涯教育という部分もとても大事だと思います。子供のときの教育も大事ですけれども、大人になってからの教育ということについても、これも権利条約でしっかりとうたっているところでありますので、この辺についても幅広い生きがいづくり、充実した生活につながるような視点を今回検討の中でしていただければと思って発言させていただきました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、久保委員、お願いいたします。

○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
 3点ございます。今、阿部委員がおっしゃいましたように、「教育、文化芸術活動・スポーツ等」というくくりになっていますけれども、教育もとても幅広く、今おっしゃったように、学校教育もあれば、生涯にわたっての教育というものもございます。
 また、1つは文化芸術活動・スポーツというのは、教育とは少し切り離して、障害のある人たちの生きがいとか、社会参加とか、そういう部分にも関係してきますので、このくくりの中で教育と文化芸術・スポーツというのを分けて整理をしていただきたいと思います。
 もう一つは、65歳以降の介護保険と障害サービスの部分ですけれども、65歳以降になると、障害のある人は障害者の暮らしにくさというのは一生涯ついていって、プラス65歳からの認知も含めての高齢者のサービスといいますか、支援というものが必要になってきますので、統合するという意味ではなくて、部分的な融合というか、共用というか、そういう視点も必要ではないかと思っています。
 もう一つは、障害基礎年金ですけれども、今もって障害基礎年金を知らないというか、はなから諦めている人が結構いるということが私たちの仲間でもありますので、少しそれをきちんとみんなに行き渡るようにしていただくということと、いわば生活の糧になりますから、そこをしっかりと確保していただけるような、そんな書きぶりをしていただけたらありがたいと思っています。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 御承知のように、権利条約では教育は24条、文化芸術・スポーツは30条と、権利条約ではきちんと分けて条文を規定しておりますので、このあたりもまた第4次基本計画は基本法の中の各論の分類に沿って書いていくのか、権利条約に沿って書いていくのかといったことも含めて議論していければと思います。
 それでは、辻井委員、お願いいたします。

○辻井委員 短く4点。
 我が国で、障害という形でいうと、1つはやはり医療的な診断をされてということがどうしても入ってくるのですが、先ほど加藤委員からもあったように、子供年代でいうと、そもそも診断を受ける前に子育ての難しさとか困難さという形のところが前面に来ますので、子育て支援とか保育のところで、そういうニーズのある子がどのぐらいいて、実際にそこでどういう支援が行われているのかという形がきちっと明らかになるような形をとる必要があると思っています。
 2つ目、教育の中で通常学級、あるいは通常の教育を受けている子供たちの実態がもう少しきちっと明らかになって、そこで通級も含んでどういう支援を受けているのか、そうしたことが個別支援計画をつくってもらっての満足度というか、ある種の有効性というところまで踏み込んだ形で明るみに出てくるようにという道筋は何か考えたほうがいいのではないかと思っています。
 3つ目、今、放課後デイサービスあたりが一番分かりやすいところですが、事業所のやっていただけることの格差がかなりあって、基本的な支援というものをどう取り入れているのかということが、既にガイドライン等があるわけですので、どの程度ガイドラインに書かれたことがなされているのかということは、やはりきちっ書かれていったほうがいいのではないかと思っています。
 4つ目、これはほかの何人かの委員と共通で、余暇支援という枠組みの中で、余暇をどういうふうに位置づけるのかということをきちっと位置づけないと、余暇がうまくいかないことで日常生活が崩れたり、就労ができない人というのが余りにたくさんいて、そうした意味できちっとそこが明るみに出るような形の指標というのを入れていく必要はあると思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 ほかに何か。では、平川委員、お願いします。

○平川(淳)委員 平川淳一です。生活支援について意見を述べさせていただきます。
 精神障害の場合、他の障害と比べて障害が分かりにくい。御本人様でさえよく分からないという状況で、実際にできる機能は持っていてもやれないということが、機能があってもやらない、結果的にはやれないということについて、なかなか御理解がいただけないという状況がございます。そういう意味で、身体、知的と同等の地域生活支援ができる、目標値が非常に難しいのですけれども、この辺は加味していただきたい。
 それから、施設の数値目標等がございますが、例えばグループホームが、ただ居住施設で住んでいればいい、住む場所があればいいという、宿を提供するような形での評価になっていますが、実際にはその人の生活を支援するためのいろいろな機能が必要なわけで、それについて単なるいくつつくったというような形にならずに、何人の人が幸せになったかとか、その人その人に合った生活ができる支援体制を評価するというような視点を入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 最後に、石野委員、お願いいたします。

○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 17ページになります。障害児支援の充実1-(3)-2のところ、もう1つ30ページになりますが、3-(1)-4の部分になります。2つは関連しますので、述べさせていただきたいと思います。
 新生児スクリーニングのときには、聴覚の検査を行っております。もし聞こえない疑いがあった場合には、医師が親に対しても説明をするという話も出ております。成人になってから聞こえなくなった人は、本人の判断は成人の場合はできますが、幼い時期に聴覚障害を持った場合には、自分が判断できません。親が医師と相談して何らかの判断をするということになります。耳鼻咽喉科医師は、補聴器より人工内耳を推奨していく傾向があるのですが、人工内耳はプラス面、マイナス面と両方ありますが、これは完璧ではありません。そのあたりを親も余り十分な知識や情報がなく、医師に頼って、医師の言われるまま人工内耳を装着するという例も多々出てきている現状があります。
 全日本ろうあ連盟では、人工内耳に対して見解を出しました。その内容について、2年間審議をいたしました。もちろん耳鼻咽喉科の専門医、弁護士等々、専門家が集まり、まとめたものです。また、パブリックコメントも実施し、ようやくまとまりました。
 人工内耳に対しましては、決して否定はしません。ただ、問題は判断できる環境なのです。環境整備がまだ充実していないということ。また、両親の選択肢を広げるという環境をつくるべきではないかという意見も盛り込んでおります。

○石川委員長 ありがとうございました。
 時間の関係がございまして、ほかにも御意見があるかと思いますが、次へ移らせていただきます。
 次は分野別施策のうちの(4)「雇用・就業、経済的自立の支援」、(5)「生活環境」及び(6)「情報アクセシビリティ」についての自由討議を行います。時間はやはり18分とさせていただきます。
 竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 4番目の「雇用・就業、経済的自立の支援」という分野で、私は1つの発想の転換が必要だと思っているのです。どうしても障害者福祉というのは低所得者対策という要素を持っていると思うのです。それ自身は否定するわけではありませんが、この雇用・就業に対する支援というのはそうではなくて、まさに一人一人の障害者が自らの努力、あるいは国がよく言うところの自助、共助、公助のときのまさに自助を発揮しようとしている場面において、支援というものはどうあるべきかということが問われているのだと思うのです。したがって、決して低所得対策ではないということだろうと思っています。
 もう1つの大きな発想の転換は、雇用分野、あるいは就業分野においては、支援のあり方というものが一面的ではないのだろうと思うのです。例えば雇用という場面においては、事業主、企業側に対する支援と、個別での雇用されている障害者自身に対する支援、例えば職業訓練であったり、休職期間中における職場復帰に向けての支援のあり方、そういうものとの組合せが重要なのだろうと思うのです。そうした二面的な企業に対する支援と、個別の障害者に対する支援の組合せというものをどうちゃんとうまくやっていくのかという発想が必要だろうと思います。
 とりわけ、先ほど申し上げたように、例えば個人事業主なんか、特に視覚障害者ははり・きゅう・マッサージが多いわけですけれども、そういう自助をまさに果たそうとしている障害者に対して福祉のあり方として、低所得者支援ではなくて、まさに自立、自助を支えることによって、その人の社会経済活動を活発化させていくという大きな社会発展の形式を十分そこに考慮すべきではないかと思っています。
 5番目の生活佳境の問題で、実はその後で出てくる安全・安心と絡むのですけれども、例えば公共交通機関における利用の便宜ということが言われてきているわけですけれども、その公共交通機関における安全性とか安心というところを重ねて考えないと、本当の意味でのバリアフリーであったり、ユニバーサルではないのだと思うのです。
 特にここで考えてほしいのは、例えば視覚障害者に限った話ではなくて、ホームからの転落というのは、2015年で国民全体で3,673人がホームから転落しているのだそうです。このうちの大半は子供であったり、酔っぱらいの方が多いのだそうです。これらを考えたときに、障害者に対する公共交通機関におけるユニバーサル化ということは、まさに国民全体の安全をつくり出すという本当の意味でのユニバーサルにつながるということを、大きなポイントとして強調することがこの中では大事なのではないか。すなわち、障害者政策がいわばお荷物であるという発想ではなくて、まさにここでの議論が国民の安全や社会経済に大きく進歩につながっているのだという議論の立て方が必要ではないかと思っています。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 次に、松爲委員、お願いします。

○松爲委員 文京学院大学の松爲でございます。
 先ほど委員長が自分の発言に余り触れないようにとのご指示をいただきましたが、申しわけありませんが重要な提案ですので、私の書いた部分に絡ませてお話しさせていただきます。
 53ページです。まず、一番大切なことは、障害者施策では、福祉から雇用への流れの推進が国会の附帯決議で示されているにもかかわらず、実際問題として、障害者の方々は福祉から雇用へと進んでおりません。障害者自立支援法や総合支援法ができて来た過程で、就労継続A型事業所は何倍増えていますか、また、B型事業所についても何倍増えていますか。企業は今度の平成30年度の障害者雇用促進の改正に向けて、障害のある人をたくさん欲しいにもかかわらず、残念ながら、福祉から雇用へ人材が流れて来ていません。そうしたことから、私は、障害者福祉サービスのあり方そのものに関してきちんと見直しをすることが不可欠だと思っております。
 まず第1に、福祉サービスに従事する人材について確認しておきたいと思います。移行支援事業、就労継続A型、B型事業に従事する職員には、現在、サービス管理責任者研修しか行われておらず、資格を持った専門職が配属されていません。ですから、これらの事業所の設置運営に際しては有資格者もしくはそれに準じる専門職を常勤職として配置することを条件としていただきたく思います。
 第2に、移行支援事業や就労継続A型、B型事業の実態を、どこまで私たちが理解できるかというと、データが公表されていないためにめに全く闇の中です。就労支援サービス機関や相談事業のケアマネジャーが、どこの移行支援事業やA型、B型事業であれば、障害のある個人の状況に応じてより良い雇用に結びつくかどうかを検討しなければならないのですが、肝心の判断材料がほとんど都道府県において公開されておりません。障害のある人の自己決定を支援するというのならば、それに不可欠な情報を広く公開するべきです。これは、同時に、この政策委員会が監視機能を持つという意味からしても、移行支援事業やA型、B型事業の成果について全ての情報を公開する制度を設けるべきだと思っております。
 第3に、54ページに入りますけれども、先ほど竹下委員からお話がありました企業を支えるという点では、重要な機能を果たしている就業・生活支援センターに対する支援をさらに強化してゆくことが必要です。社会的な重要性が増しているにもかかわらず、残念ながらそれに対して十分認識されておりません。また人材の派遣も担保されておりません。そこはぜひとも考えてもらいたいところです。
 最後に、人材育成です。就労支援に関わる人材の育成に関しましては不十分です。例えば相談支援事業のケアマネジャーの育成カリキュラム、サービス管理責任者の研修などを見ましても、ほとんどが福祉サービスの分野に限られた内容しか行われておりません。先ほど指摘したように、法律の改正ごとに福祉から雇用への移行が強調されているにもかかわらず、その第一線に立つ人材の育成プログラムは、あまりに障害福祉サービスの内容に限定されています。少なくとも、福祉から雇用の流れを促進するという視点からすると、雇用する企業は何を求めているか、企業社会で働くということはどういうことなのか、そういったものを含めた基本的な研修内容を根本から構成し直してもらいたいと思います。
 以上のことを含めた基本計画を策定することが、今後の障害者政策に不可欠だと考えております。以上でございます。

○石川委員長 どうもありがとうございました。
 ほかに御意見のある方。辻井委員、お願いします。

○辻井委員 辻井です。
 ちょうど土曜日も、発達障害の成人のおつき合いをしている方たちと活動をしていたのですが、雇用をされているかどうかということもそうなのですけれども、いくら稼げて生活が成り立っているのかどうかというのはかなり大きな問題で、非正規で、障害年金なしで生活が組み立たない形の給与水準の方たちがたくさんいて、就労しているかどうかということよりも定着しているか。5年勤めている人が何人いて、10年が何人いて、15年が何人いてというのを、ある程度ちゃんと定着している人がどれだけいるのかという形の指標、それからどのくらい稼げているのかとか、正規か非正規かというような基本的な指標をきちっと明らかにしていって、より充実した地域生活が送っていけるような形のものがどのぐらい実現できているのかということが明らかにできるような指標をとっていく必要性があるだろうということを非常に強く思いました。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、大河内委員、お願いします。

○大河内委員 大河内です。
 先ほど松爲委員からも御意見がありましたけれども、福祉と労働が分断しているという話の中で、職場、あるいは雇用の場における職場介助者の話も1つ議論しておくべきかなと思いました。
 福祉の分野での生活支援の介助とか通訳みたいなものについては、ある程度の充実が図られているとは思いますけれども、それが1点、例えば職場における人的支援が必要な人の支援というのは、一部ワークアシスタントでしょうか、そういう制度はありますけれども、現状普及しているとは多分言いがたいと思っています。
 現実的に、この委員会を見渡してもそうですけれども、障害を持った委員の大半が支援者を同行しているというところからも分かるように、きちっと責任を持って経済活動をする場合に、やはり介助者は不可欠な状況ですけれども、今はそれをさまざまなやりくりをして、予算を捻出して多分介助者を動向している状況だと思います。この辺をもう少し現実的に充実させるとことによって、社会参加ができる障害当事者は増えるだろうと思っておりますので、そういう観点からも、福祉と労働のまさしく横断的な支援の運用ということも含めて議論をするべきだろうなと思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、大日方委員、お願いします。

○大日方委員 ありがとうございます。
 もう皆さんから出ているところは重複しますので、私も雇用、就労、ここについてはこちら側から政策提言するために、基本的な考え方を変えるという方向で皆さん議論すると有益なのではないかということです。
 もう一つ、生活環境というところで、バリアフリーという言い方をどうしてもしてしまいがちなのですが、この言い方をすると、障害者のことだけになってしまうので、やはりユニバーサルデザインというものを推進するというところを、障害者政策委員会から広く発信していくという発想にこちらも切りかえるという形で議論を進めていくことが必要なのではないかと感じました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 では、石野委員。

○石野委員 ありがとうございます。
 先ほども話をしましたが、情報アクセシビリティの視点について、基本的に申し上げますと、話しやすい、また読むことができる、また分かりやすくというような、全ての部分についてアクセスできる環境を整えるということが重要だと思います。
 また、62ページ、佐藤委員の御発言もありましたが、手話言語法に関してのコメントが資料に載っております。内容は本当に私も同感です。全日本ろうあ連盟では、手話言語法制定を求める取組を続けています。全国的にも、手話言語条例等、各自治体において広がりを見せております。また、手話言語におきましても、「手話を広める知事の会」が結成され、区市町村会もまた270近くが加盟しています。手話言語法についても基本計画に盛り込むべきと思っております。
 もう一つ、情報アクセシビリティについて総括できるような法整備ということも考えるべきであり、両方必要な整備だと考えております。

○石川委員長 ありがとうございます。
 三浦委員、どうぞ。

○三浦委員長代理 この部分にかかわらず、難病の方々が総合支援法の対象になってはいるものの、ほかの障害に比べまして、基礎年金の対象にもならず、また雇用率の算定対象ともなっていません。徐々にこの難病、小児慢性特定疾病の患者の方々の就労支援、そして生活支援もしっかり基本法の対象として位置づけ、計画の中に織り込んでいただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 では、私からも1点だけ。この情報アクセシビリティに関しましては、我が国はそれを推進するための根拠となる法整備が未整備な分野で、そこで他国がどのような法制度を持っているかの国際調査が必要であると思います。
 また、ユニバーサルデザインとか、アクセシブルデザインを組み込んだ機器とか、サービスとか、システムの公共調達を推進していくといったようなことであれば、現状でも基本計画の中に入れ込めるのではないかと考えております。
 以上です。
 引き続きまして、最後の分野ということになりますけれども、(7)「安全・安心」、(8)「差別の解消及び権利擁護の推進」、(9)「行政サービス等における配慮」、(10)「国際協力」、(11)「推進体制」及び「その他事項」についてということで、自由討議を行いたいと思います。
 まず、玉木委員、どうぞ。

○玉木委員 ありがとうございます。
 安心・安全とか、差別解消とか、権利擁護にかかわることですけれども、確かに虐待防止法ができて、いわゆる虐待ということについてみんなで考えなければいけないという機運は高まってきているのですけれども、一方で、メディア等で報道される内容が虐待というテーマで上がりつつも、中身は明らかに暴行罪であったり、傷害罪であったり、金銭搾取という、要は窃盗まがいの中身も、相手が障害者ということだけで虐待ということでグレーゾーンですよね。刑事告発もなかなかされていないと、私は最近、怖さすら感じています。私は虐待とは何かという部分での虐待防止法の見直しなんかもあわせて、差別解消を進めていく中では考えていかなければいけないのではないかというのが一つの意見です。
 もう一つは、冒頭の説明にもあったように、地域協議会ができているとか、対応要領ができているとか、できている評価はやっているわけですけれども、具体的に対応要領の中身の評価については、誰がどこでどんなふうにやっていくのかというのがなかなか見えてこないということと、それが対応要領なんかを見ていくと、一職員に対しては結構縛りをかけているのだけれども、それが例えば市町全体とか、各省庁全体としてどういう責務を負っていて、どういうことをやっていかなければいけないのかということが、私はすごく不明確だと思っていて、なおかつ、あっせん・調整については、結局のところ、市町の担当職員がやっている現状がある中で、具体的に解決していく上では、市町の職員が自信を持って差別事案に向き合っていけるようなあっせん・調整の仕組みも、やはり国として明確に打ち出していってもらいたいというのがもう一個の意見です。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 阿部委員、お願いします。

○阿部委員 日身連の阿部です。
 推進体制のところになるのかもしれませんけれども、今回の政府報告でも統計資料の課題が大きくありました。さて、このときにまた地域が見えてこないということもありました。地域ではさまざまな計画策定のときに、PDCAサイクルでありますので、調査も行っています。地域のさまざまな調査をもっと生かすことはできないのかなということです。
 それぞれの地域で計画策定のための調査をしているのが微妙に違うから難しいものなのか、せっかくのその資源を生かせるということは、本当に大事な課題ではないかなと思いますので、推進体制のかかわりの中で発言させていただきました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員、お願いします。

○竹下委員 1点は、玉木さんの意見とほぼ似ているので一言にしますと、差別解消が現実に前進するためには、それがどういう形で解決されていくかということをできるだけ手順というのか、そういう道筋が全国的に見えてくるような、そういうマニュアル化がぜひこれから問われるのだろうと思います。
 それから、行政サービスですけれども、ここで私が気になるのは、配慮ということによって格差が不平等にならないようにしてほしいということであります。例えば、視覚障害者の選挙公報の問題を一つ捉えますと、これを行政配慮として捉えるならば、不平等が生じているわけです。なぜかと言いますと、選挙公報が点字で発行されることについては、選挙管理委員会の努力義務のようにされているわけです。それが配慮の内容として、例えば候補者の一覧表だけを配布することをもって配慮だと言っているところと、選挙公報の全文訳を配布しているところがある。また、その配布の仕方も希望者だけに配っているところ、あるいは媒体においても点字と録音、そういうものを選択制のところと、一方的に決めているところもある。こういう配慮の結果が不平等を生むということは大きな弊害だろうと思うのです。
 そういう意味では、行政サービスにおいては公平、平等というところを法的にどう確立していくかということも大きな課題ではないかなと思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますか。では、大日方委員、あと久保委員までとさせていただきます。

○大日方委員 手短にいきたいと思います。
 枠組みについて、今回、議論するということですので、個別の話ではないのですが、(8)「差別の解消及び権利擁護の推進」と(11)の「推進体制」は極めて重要な視点だと思っています。こちらについて、ぜひ柱をしっかりと立てる必要があるだろうと。先ほどの広報の話もありましたが、当事者以外の人たちがどう理解していくのかというところについて工夫が必要だろうと考えています。
 2点目ですが、「安全・安心」というところについてですが、皆様からの意見を見ていますと、主に災害が最近多い、その発災に当たって障害のある人たちがどのように避難していくのかというところを少し具体的に議論したほうが、ここは障害者政策委員会ならではやれる取組だと思うので、時間をかけてやったほうがいいのではないかと、そのように感じました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 では、久保委員、お願いします。

○久保委員 全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
 3点ほどございまして、1つは女性障害者の複合の差別があります。これは先ほどからもお話がありますように、このことはもうライフステージにわたってありますので、少し分野別というくくりがやりにくい部分でもあるなと思っております。
 成年後見制度も、差別解消及び権利擁護の部分に書いておられる方もあれば、生活のところに書いておられる方もありますし、このどこの箱に入れていったらいいのかというのがみんな分かりにくい部分があるのかなと思っています。
 成年後見制度は、今回資料が出ておりますので、私も委員に出ておりますけれども、成年後見制度そのものは障害のある人の人生の伴走者であってほしいということをお願いしておりますので、その部分をしっかりと捉えて書き込めるようにしていただけたらありがたいなと思っております。
 それから、先ほどからお話がありますように、当事者以外の理解といいますか、やまゆり事件もありましたので、私どもは本当に再確認をしたのは、多くの障害の方、一般の国民の方々の心のバリアフリーというのがとても重要だと再確認をいたしましたので、その部分ももう少し議論を深めて、しっかり書き込む必要があるかなと思っております。
 以上です。

○石川委員長 柘植委員も挙げていらしたので、柘植委員も発言をお願いします。

○柘植委員 筑波大学の柘植です。(8)の「差別の解消及び権利擁護の推進」のところで発言したいと思います。
 ここは皆さんもっとたくさん書かれるのかなと思ったら、そんなに多くなくて、どうしてかなという気持ちがします。
 71ページの上のほうに、今日は御欠席ですけれども、高橋委員が、合理的配慮の提供について、事例を集積していかないと適切に対応できないと考えると、はっきり書いてくださって、なるほどそうだと思います。
 下のほうに私も書いてみました。合理的配慮の提供の実施状況の把握を丁寧に行おうということですね。より広く客観的なデータだとか、統計がたくさん必要だねということが先回も先々回も、また今日もたくさん出ました。そのような中で、特に合理的配慮がこの4月から始まったわけですから、これについては特別にきちんと蓄積していく必要があるのだろうなと思います。
 権利条約でリーズナブル・アコモデーションの定義がきちんとなされていますね。恐らくあの定義を大事にしながら、どこの国も同じような定義をしているのかなと思います。話はそれますけれども、ユニバーサルデザインもそこできちんと定義されていますので、とても安心なのです。
 つまり、何かと言うと、リーズナブル・アコモデーションというのは、実は日本だけが取り組んでいるわけではなくて、どこの国も、多少定義は違うのだろうけれども、取組を始めたところなのですね。つまり、世界共通言語と言って言い過ぎかどうか分かりませんけれども、よそと比べやすい指標が一つ落ちてきた、おりてきたということなのですね。だからこそ、例えば教育の例で言いますと、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の通常の学級で、発達障害だとか、さまざまなお子さんが学んでいるとすると、どういう合理的配慮がなされているのか、どういう効果があるのか、あるいは残念ながらこれまでなされている合理的配慮がうまくいっていないので、さらにどういうものが必要かということを議論していくためにも、例えば幼稚園、小学校、中学校、高等学校で、発達障害については6%から7%可能性があるというデータは、10年置いて2回にわたって国は出していますけれども、ほかの障害については十分なデータがないので、これも出していかないと、具体的な政策をオンしていこうと思っても、何をすればいいのかということの判断にも影響を与えるので、まずは実態の把握を丁寧にしていくといいのかなと思います。
 その上で、合理的配慮の提供の実施状況、その効果と、十分効果が上がらないというデータをこれから1年、2年、3年かけて蓄積していくのが必要かなと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 加藤委員。

○加藤委員 時間がありませんので一言。
 私たちの障害施策関係については、近年目覚ましく、充実、発展を遂げてきている。まだ十分ではないにしても、それなりの拡大、前進、進歩を遂げてきていると実感はするのですけれども、一方では、各省庁に本当に似たような政策が非連続にばらばら乱立しているような実態があるような気がします。そういう意味では、各省庁でそれを整理するというのは、ある意味では非常に難しいことなのかもしれませんので、まさに内閣府主導で横串的に少し整理をして、シンプルに分かりやすく、そして、経済的なロスも省きながらというような視点でこの会が機能できたらいいなと願っております。ありがとうございました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 松爲委員、どうぞ。

○松爲委員 松爲でございます。
 今の加藤委員と先ほどの柘植委員との関連で言います。柘植委員の合理的配慮に関するデータベースとの関連では、労働分野では既に全国のハローワークを介して合理的配慮に関するデータを半期単位ごとに集めて、ホームページで公開しています。それと同じ要領でデータベースを構築してゆくことが望ましいと思います。
 問題なのは、収集されるデータは膨大な数になり、労働分野ではホームページで数十ページにわたります。ですから、その収集したデータをどのように人事や労務の人ばかりでなく、社員全体に周知してもらうための手立てを考えなければならないと思います。そのためには、合理的配慮のデータを加工して一人一人に分かりやすい形で情報を提示する方法を考えることが必要だと思います。
 また加藤委員のご発言を踏まえますと、労働分野における合理的配慮の内容は、単に企業の配慮上の問題ではなくて、社会生活のいろいろな場面でも活用できる内容です。ですから、例えば学校教育での障害者教育にも活用できる事例がたくさん含まれています。そういう点からすると、柘植委員がご指摘の差別解消法における配慮事項と労働分野での配慮事項とを包括したデータベースが作成され、しかもそれらを加工して見直に把握できる形の資料を作成することが望ましいと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますでしょうか。
 岩上委員、お願いします。

○岩上委員 岩上でございます。
 先ほど阿部さんもおっしゃっていましたし、今、玉木さん等の意見とも一緒のところがございますけれども、国のほうで障害者基本計画をつくって、それだけで終わりではなく、都道府県はそれにならって計画を立てる、市町村も立てる。そこが連動していただかなければいけないわけですから、最初に大日方さんがおっしゃったように、骨格を早目に出していく。そうしませんと、国が今回権利条約に合わせた形でということで変えるのであれば、その方向性を示しておかないと、同じ方向を見ているのだけれども、どうも違うみたいな計画が立てられてしまうのではなかろうかということを危惧するところです。
 もう一つは、その中で市町村や都道府県が立てた、実施をしたことの良質なモデルをきちんと般化できる仕組みが必要だということを、推進体制を考えていく上では非常に重要になってくるかなと思います。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 阿部委員。

○阿部委員 簡単に。
 合理的配慮の重要性というのはそのとおりだと思います。でも、このとき大事なのは、やはり個別的なものであり、障害がある本人が合理的配慮ということを自分で申し出やすいような環境をつくっていくということと、そういう合理的配慮について話してもいいのだなと思われるような環境をつくっていくことが大事だと思って、一言発言させていただきました。ありがとうございました。

○石川委員長 ほかに発言を求める委員はございますか。
 齋藤委員代理、お願いします。

○齋藤委員代理 齋藤です。細かいことですが、発言させていただきます。  私は地方自治体に勤めていた経験があります。国のほうからさまざまな計画づくりが求められ、ここで議論されている基本計画や、難病関係の計画づくり、それから基本構想に基づく基本計画等々。また、先ほどから出ておりました協議会も、難病もありますし、自立支援医療の協議会もあります。ところが、メンバーは重複し、似通っている協議会がたくさんできているのです。
 例えば私がいたところは地域保健福祉推進協議会という介護保険と医療関係と福祉関係を審議する協議会がありました。その中で部門が3つに分かれていて、それを最後に統合調整していました。さまざまな協議会をつくった場合には、うまく連動するような形のつくり方をすることをぜひ、指導や通知をしていただくと、無駄がなく効率的で良い計画ができるものと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 私からも意見を述べさせていただきます。
 改正雇用促進法の差別禁止指針におきましては、補助機器、補助犬、補助者の利用を拒むことも、また直接差別であると明確に規定されていますが、差別解消法の基本方針にはそのような明確な記述がありませんでした。
 ですので、本来的には基本法の改正において整理すべきであると思いますが、基本計画におきましても差別解消のところでその点ははっきりと、つまり、雇用促進法の差別禁止指針がまさっていると思いますので、その点を明記することがよいのではないかと考えます。
 時間が大体参りました。本日、予定しておりました議題はこれで終了となります。本日の自由討議を踏まえまして、また各委員から寄せられました回答を踏まえまして、第4次障害者基本計画案の検討に向けて、論点を総括的に整理した上で、第4次障害者基本計画の枠組み案を事務局のほうで検討していただくよう、お願いいたします。
 以上で、本日の議題を終えたいと思います。事務局より事務的な連絡事項があればお願いいたします。

○坂本参事官 事務局でございます。
 次回の政策委員会でございますけれども、来年2月を目途ということで開催を予定いたしております。後日、事務局のほうから日程照会を行わせていただきますので、具体的な日程等につきましては、その結果も踏まえまして改めて御案内を差し上げたいと思います。また、議題等の詳細につきましても、確定次第、速やかに事務局から御連絡を申し上げたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 それでは、これをもちまして第31回「障害者政策委員会」を閉会いたします。ありがとうございました。